○
政府委員(大塚正夫君)
公害等調整委員会が
昭和六十年中に行いました
公害紛争の
処理に関する事務及び
昭和六十一年度総理府所管一般会計
公害等調整委員会予算案について御
説明申し上げます。
まず、
公害紛争の
処理に関する事務の
概要について申し上げます。
昭和六十年中に当
委員会に係属しました
公害紛争事件は合計九十三件で、その内訳は、
水俣病に関する調停事件七十二件、大阪国際空港
騒音被害に関する調停事件十八件、仙台湾における養殖ノリ被害等調停事件一件、高知市における建築物損傷等責任裁定事件一件及び壱岐における養殖真珠被害原因裁定事件一件であります。
昭和六十年中に
処理が終結しましたものは三十九件であります。このうち、三十八件は
水俣病に関する調停事件であり、
水俣病と認定された患者四十九人に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに具体的な支払い金額等を定める調停を成立させたものであります。他の一件は、高知市における建築物損傷等責任裁定事件であり、
公害紛争
処理法第四十二条の十二第二項の規定により、不受理となったものであります。
その他の係属中の事件につきましては、目下手続を進めているところであります。
次に、全国の
公害苦情の実態について申し上げます。
当
委員会の
調査によれば、
昭和五十九年度の総苦情件数は約六万八千件となっております。この苦情件数は、四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少傾向を示してまいりましたが、五十八年度にわずかの増加となり、五十九年度においても、前年度より五・九%増と二年連続の増加となっております。
これを
公害の種類別に見ますと、
騒音に関する苦情が最も多く、三二%となっております。次いで
悪臭一九%、
大気汚染一四%、
水質汚濁一二%の順であり、これらで全体の約八〇%を占めております。これらの苦情につきましては、都道府県または市区町村がその
処理に当たっておりますが、当
委員会といたしましては、これらの
地方公共団体に対し、
公害苦情相談
指導者研修会等の
実施、苦情
処理に必要な情報の提供、あるいは個別の事案についての
指導助言等を積極的に行っているところであります。
続きまして、
昭和六十一年度の
公害等調整委員会の
予算案について、その
概要を御
説明申し上げます。
昭和六十一年度
総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、
公害等調整委員会の
予算要求額は四億九百八十八万円であり、これを前年度の
予算額三億九千二百五十二万二千円と比較いたしますと、一千七百三十五万八千円の増額であり、その増加率は四・四%であります。
次に、
予算要求額の内訳について御
説明申し上げます。
第一に、当
委員会に係属する
公害紛争事案の審理及び
公害の因果関係の解明に必要な
調査並びに職員基本給等の人件費を含め、一般事務
処理等のための
経費として三億八千三百四十二万六千円を計上しております。
第二に、中央及び地方における
公害紛争の
処理について、都道府県等と連絡協議するための
経費として四百三十八万四千円を計上しております。
第三に、
公害苦情の実態
調査及び
公害苦情の
処理を担当する
地方公共団体の職員に対し
指導、研修、情報提供等を
実施するための
経費として二千二百七万円を計上しております。
以上が
昭和六十年中に
公害等調整委員会が行ってまいりました
公害紛争の
処理に関する事務及び
昭和六十一年度の
公害等調整委員会予算案の
概要でございます。よろしくお願い申し上げます。