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立木洋君 これは
ソ連と
日本との原発それ自体が違うとか、いろいろな議論もあるようですけれども、
ソ連の場合もまだ原発の
事故原因というのが明確にされているわけじゃない。それから、
アメリカ自身でも、御承知のようにいろいろと
事故があったし、スリーマイル島のああいう
事故も重大な
事故としてあったわけですし、
アメリカのあれを見てみますと、結局いわゆる全身被曝の危険地域というのが炉心から半径十六キロというふうに言われている。それから、飲み物や食べ物なんかの場合では、体内被曝というものの危険地域というのが半径約八十キロ。そうすると、
日本の原発が置かれている状態というのは、もう住民がこの範囲内にはほとんど存在しているわけですね、大量に。そういう状態の中で
日本の原発というのはあるわけですよ。だから私は、地震が極めて多い
日本なんかの状況を考えますと、安全の上に万全を期すということがさらにあっても私は行き過ぎは決してない。だから、そういう
意味では私はもっと全力を尽くしてほしいと。
また、今度のこの日中
原子力協定の問題で言えば、こういう状態にあるという安全性の問題について、私
自身としてはこれは完全に安全性が確立されているというふうには判断できませんし、そういう問題も含めて
中国側にもきちっと
情報を提供するなり、
努力はやっぱり払うべきではないかというふうに私は思うんです。
それで、最後に一括してお答えをいただきたいわけですが、ですから私たちの考え方というのは、相手国の要望に応じて
我が国が
原子力の問題で必要可能な
協力を行うということは、一般的には私たちは否定しているわけではもちろんないわけですけれども、重要なことは、
日本の
原子力協定が日米
原子力協定に見られるように対米従属下にやはり置かれている、
原子力行政が。また
原子力発電の安全性が完全に保障、確立されていないということをも考えるならば、こうした
協定などの問題について考える場合に、こういう従属性を拡大するような
意味を持つようなことや、あるいは安全性の保障のない技術をいわゆる無責任に外国に輸出するというふうなことになる場合に、我々は相手国のいかんにかかわりなく、それに賛成しないという態度をこれまでもとってきたし、現在でもとっているわけですね。
今回の日中
原子力協定というのは、相手国は確かに社会主義の
中国でありますけれども、この主要な
内容は、
我が国の
原子力発電の機械だとか技術なんかの
中国への輸出というものも含まれているわけですね。そうすると、安全性の問題が依然として多くの問題を抱えていると見られている今日の状況、これは原子爆弾を
開発するという過程の中で、平和利用というのがいわゆる若干それを借りてつくられてきたという経緯があるわけですから、抜本的にやっぱり平和利用の問題を最初から考え直す必要があるということをも念頭に入れるならば、これまでも、無責任な増強
計画はすべきではないし、いわゆる現存する
原子力の発電所の問題については全面的に総点検せよということを私たちは提起しているわけです。
そういう
見地から見て、今日、この
原子力協定の
承認案件については私たちは棄権するという態度をとるというふうにしているわけですけれども、今言った安全の問題をさらに完全に確保するという点で全面的な
努力をしてほしいという問題と、
中国側にも
情報を提供するということについて、その二点、最後にお答えをいただきたい。