○和田
教美君 それでは、この問題はこれ以上追及しても水かけ論になりますからいいでしょうが、そこで、この問題と
関連して
政府・
外務省は、公表しない理由として外交
関係という問題ともう
一つは
企業秘密というこの
二つの点を今まで主張されてきたわけですけれども、憲法上の新しい人権として私は定着しつつあると思うんですけれども、いわゆる国民の知る権利ですね、これとの
関係が一体どうなるのかという問題について
質問をしてみたいと思います。
知る権利というのは、環境権だとかプライバシーだとか、あるいはそういうふうな社会環境の新しい変化に応じて憲法上定着してきた新しい人権だというふうに私は思います。そして、行政による情報独占が非常に進んでいるという状況に対して、国民がそれを監視するためにはぜひともこの権利は尊重されなければならないというふうに
考えるわけです。知る権利は新しい人権だということですから憲法上これだという規定はあるいはないかもしれませんけれども、しかし第十三条の自由、幸福の追求権、あるいは憲法二十一条の表現の自由、憲法二十三条の学問の自由などいろいろ
関連があって、それを踏まえて出てきた新しい人権概念だというふうに私は思っておるわけです。特に二十一条の表現の自由保障の中に知る権利を含めるべきだという流れを、多くの学者が
指摘いたしておりますし、これは世界的な傾向だというふうに私は
考えております。
日本にはこの知る権利を具体化する手段として情報公開法の制定がまだないわけですけれども、しかし、
アメリカその他ヨーロッパではもう情報公開法はどんどんできておるわけでございますが、その
内容を見ると、確かに国防とかあるいは外交に関する秘密、プライバシー、営業上の秘密ですね、これはいわゆる
企業秘密でございますが、これは一応公開を適用除外するというふうなところが一般的でございます。しかし、欧米の情報公開の
考え方は、原則は公開であって、外交、
企業秘密などに対する制限も例外措置であって、まあ一定の条件をつけているというところが多いようでございます。
そこで、まず
企業秘密の保護という問題についてお聞きしたいんですけれども、こういう営業上の秘密というものを、行
政府が全部自分の握っている情報を見せていけないということでは私は断じてないというふうに思うわけです。憲法第二十九条にも財産権の規定がございますけれども、この財産権の
内容は、公共の福祉に適合するように
法律で定めるというふうになっております。つまり公共の福祉という縛りが
一つついておるわけでございます。だから国家的利益だとか社会的利益に反するようなものは、これは私は
企業秘密というふうなものには当たらない、行
政府が守るべき
企業秘密には当たらないというふうに思うわけでございます。
そこで、今度のフィリピン円借款プロジェクトをめぐる一五%あるいはそれ以上の莫大なリベートを出しているというふうな問題は、
外務大臣もいつか予算
委員会で、これはリベートというよりも直接わいろにつながるものだというふうなことを答弁されたこともございましたけれども、そういう契約
関係というものは普通の商慣習ではなくて一種の反社会的な行為、反社会的な商慣習だ、商行為だというふうに決めつけていいんではないか、だから
企業がそういうものをやった場合に行
政府が情報公開を拒むということは理由がないというふうに思うわけです。殊に円借款は国民の税金を使っておるわけでございますから、国民的利益との兼ね合いということを重視しなければならない。そういう
意味で、国民的利益に反することについてその情報を公開しろということを国民が要求するのはこれは当然のことだというふうに思うわけですけれども、その点についての
外務省の基本的な
考え方はどうお
考えですか。