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1986-03-27 第104回国会 参議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十七日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員氏名     委員長         最上  進君     理 事         石井 一二君     理 事         宮澤  弘君     理 事         松前 達郎君                 大鷹 淑子君                 後藤 正夫君                 嶋崎  均君                 中山 太郎君                 夏目 忠雄君                 鳩山威一郎君                 原 文兵衛君                 平井 卓志君                 秋山 長造君                 久保田真苗君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 立木  洋君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君                 秦   豊君     —————————————    委員異動  十二月二十四日     辞任          抜山 映子君  一月二十二日     辞任         補欠選任      嶋崎  均君     森山 眞弓君  三月十九日     辞任         補欠選任      関  嘉彦君     小西 博行君  三月二十日     辞任         補欠選任     小西 博行君      関  嘉彦君  三月二十六日     辞任         補欠選任     後藤 正夫君      板垣  正君     関  嘉彦君      小西 博行君  三月二十七日     辞任         補欠選任     板垣  正君      坂元 親男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         最上  進君     理 事                 石井 一二君                 宮澤  弘君                 松前 達郎君                 秦   豊君     委 員                 大鷹 淑子君                 坂元 親男君                 夏目 忠雄君                 鳩山威一郎君                 原 文兵衛君                 平井 卓志君                 森山 眞弓君                 秋山 長造君                 久保田真苗君                 黒柳  明君                 和田 教美君                 立木  洋君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君    政府委員        外務政務次官   浦野 烋興君        外務大臣官房審        議官       斉藤 邦彦君        外務省アジア局        長        後藤 利雄君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省欧亜局長  西山 健彦君        外務省中近東ア        フリカ局長    三宅 和助君        外務省経済局長  国広 道彦君        学省経済協力        局長       藤田 公郎君        外務省条約局長  小和田 恒君    事務局側        常任委員会専門        員        小杉 照夫君    説明員        財務省経済局次        長        池田 廸彦君        通商産業省生活        産業局文化用品        課長       北畠 多門君        労働省労働基準        局賃金福祉部企        画課長      松原 東樹君        労働省職業安定        局雇用保険課長  浜田 道雄君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正  し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉  の結果に関する文書締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 最上進

    委員長最上進君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告をいたします。  昨日、後藤正夫君及び関嘉彦君が委員辞任され、その補欠として板垣正君及び小西博行君が選任されました。  また、本日、板垣正君が委員辞任され、その補欠として坂元親男君が選任をされました。     —————————————
  3. 最上進

    委員長最上進君) 次に、理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 最上進

    委員長最上進君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事秦豊君を指名いたします。     —————————————
  5. 最上進

    委員長最上進君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りをいたします。  本委員会は、今期国会におきましても国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 最上進

    委員長最上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 最上進

    委員長最上進君) 次に、安倍外務大臣及び浦野外務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。安倍外務大臣
  8. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) このたび外務大臣として留任いたしましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言あいさつを申し上げます。  最近の国際情勢を見ますと、まず東西関係では、昨年約六年半ぶりに開催された米ソ首脳会談を受け、第二回首脳会談について米ソ間の話し合いが進められておりますが、その焦点である米ソ軍備管理交渉進捗ぶりなど、依然予断を許さない状況にあります。他方世界各地では、イラン・イラク、カンボジアなどにおいて紛争が続き、国際テロ事件が多発するなど、依然不安定な状況にあります。また、最近はフィリピンにおける政変という大きな動きがありました。国際経済面では、経常収支不均衡、雇用問題、保護主義累積債務といった問題を抱える中で、最近は経済成長の鈍化、石油及び一次産品の価格低落などといった新しい要因も加わってきております。  このような国際情勢のもと、世界の平和と繁栄を維持する上で世界のGNPの一割を占める我が国の果たすべき役割はますます重大となってきております。私は、三年有余の間、世界の平和と繁栄のための環境づくりに向け、自主的かつ積極的な外交を心がけて努力してまいりました。今後とも積極的な外交努力を継続していくとともに、二十一世紀へ向けて我が国のあるべき姿勢を考え、外務委員各位の御協力も得まして、我が国外交の一層の発展を探求してまいりたいと考えております。  本年五月には東京において主要先進国サミットが開催されますが、こうした世界の主要問題を話し合い我が国がその国際的役割を果たすよい機会として、その成功のため全力を傾ける所存であります。  この委員会に御出席皆様方は、多年にわたり外交問題に真摯に取り組んでこられ、この分野に精通された方々であります。今後とも皆様の幅広い御指導と御鞭撻を賜り、引き続き外務大臣の重責を無事果たせますよう御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
  9. 最上進

  10. 浦野烋興

    政府委員浦野烋興君) このたび外務政務次官就任をいたしましたので、一言あいさつを申し上げます。  外交問題に精通しておられる外務委員会皆様方を前に、このようなことを申し上げるのは大変僭越ではございますが、現在の国際情勢は依然厳しいものがある。その中にあって、日本のかじ取りの任務に当たる外交の使命は極めて重大であります。また、相互依存関係がますます深まっている今日の国際社会においては、世界の平和と繁栄なくして我が国の平和と繁栄も確保できないことは申すまでもありません。  本年五月には、東京サミットを控えており、その成功に向けて議長国たる我が国が果たす役割は極めて重要であります。私といたしましては、微力ではありますが、安倍大臣を補佐いたしまして、我が国世界の平和と繁栄のために貢献し、もって日本の平和と繁栄を確保していくため、最善を尽くしてまいりたいと念じております。  皆様方の御指導と御鞭撻により、任務を全うできますよう、諸先生方の御協力をお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。     —————————————
  11. 最上進

    委員長最上進君) 関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、両件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣
  12. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件及び関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件でありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、まとめて御説明いたします。  我が国皮革輸入数量制限については、昭和五十九年五月にガット締約国団によりガットに違反する旨の結論が出されており、また、革靴についても皮革と同様の結論が出されることが予想されました。かかる状況並びに我が国皮革革靴業界小規模零細性が高く国際競争力も乏しく、また、歴史的かつ社会的にも厳しい状況にあることを認識いたしまして、我が国は、皮革及び革靴に関する輸入数量制限にかえて関税上の措置関税割当制度)を導入することを目的とし、皮革及び革靴譲許税率引き上げ等を行うため、昨年十月より、ガットに基づきアメリカ合衆国及び欧州経済共同体とそれぞれ交渉を行ってまいりました。  その結果、アメリカ合衆国との間においては、ガットに附属する日本国譲許表に掲げる皮革及び革靴譲許税率皮革については二〇%から六〇%へ、革靴については、品目により二七%または二一・六%から六〇%または一足につき四千八百円の従量税率のいずれか高い方へ引き上げることとし、また、欧州経済共同体との間においては、同様の譲許税率引き上げに加えて、現行の譲許税率を一次税率として譲許し、この税率の適用される量が一定量を下回らないものとすることとし、その代償としてそれぞれ他の品目譲許税率引き下げを行うことにつき、本年二月に合意に達した次第であります。  皮革及び革靴についての従来の譲許税率引き上げることに対する代償といたしましては、アメリカ合衆国に対しては、計測機器、紙及び板紙、シリコンウエハーその他化学製品航空機用無線機器、レーダー及び分析機器等機械類を含め全部で二百七十八品目について、また、欧州経済共同体に対しては、乗用自動車、眼鏡の柄及び枠、香水・オーデコロン、自動車用タイヤ写真感光紙等十二品目について、従来の我が国譲許税率引き下げが行われることとなります。  これらの文書は、このような交渉結果を収録したものでありまして、国会の御承認を得た後、政府ガット事務局長に対して行う通告によって効力を生じ、実施されることとなっております。  よって、ここに、これらの文書締結について御承認を求める次第であります。  以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  13. 最上進

    委員長最上進君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 松前達郎

    松前達郎君 最初に、ただいまのガット一般協定関連した質問をさしていただきたいと思います。  まず最初に、今、経過について多少大臣から触れられましたけれども、日米皮革交渉がずっと行われてきたわけなんですが、その経過、とりわけ譲許部分との関連とかいろいろあると思いますので、その経過についてお伺いいたしたいと思います。
  15. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) 簡単に経緯を申し上げます。  もともと五十年代の初めからこの問題はあったわけでございますが、お手元にございます合意に限って申し上げますと、昭和五十七年の十一月にアメリカからガット二十三条一項の二国間協議の申し入れがございました。五十八年の一月から二十三条一項の協議が行われまして、残念ながらこの段階で妥結に至らず、四月にアメリカガットの小委員会設置の要求、すなわち二十二条二項の手続を発動いたしました。これが認められて、五十八年から五十九年の初めにかけてガット委員会での討議があった。五十九年の五月にこの小委員会報告。簡単に申し上げますと、日本制度ガットに抵触しているので妥当な期間内にこれを是正するようにという勧告でございます。この勧告が採択されました。その後、ほぼ一年間を経まして、昨年の秋以降アメリカとの間で外相交渉を行い、さらに若干おくれましたが、ほぼ成功いたしまして、ECとの間で交渉を行い、先ほど説明のございましたように、本年二月に妥結したわけでございます。
  16. 松前達郎

    松前達郎君 その経過の中で日米皮革交渉アメリカ側アメリカ法律不公平貿易に関する報復措置に関する法律がありますね、三百一条、これを発動するという意思表示が行われたようにも聞いておりますが、そういうことも多少圧力としてあったのかどうか、それについてお伺いしたいと思います。
  17. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) 御指摘のように、昨年の九月にアメリカ大統領発表が行われました。アメリカとしては、昨年の十二月一日までにこの交渉が妥結しない場合には通商法三百一条に基づく対抗措置を発動するという旨を明らかにいたした経緯がございます。
  18. 松前達郎

    松前達郎君 報道によりますと、そのときに総理の親書がレーガン大統領あてに送られて、その結果アルミの関税とか、そういったものが大幅に引き下げられる、こういうふうな譲歩が行われたというふうに報道されていますが、これは事実ですか。
  19. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) 先ほど申し上げましたように、アメリカとの二国間の交渉は、昨年の秋以降、九月、十月の時点から始まったわけでございます。  他方、ただいま御指摘のございましたアルミニウム等の話は、これは昨年のかなり早い段階から話が出ていたわけでございます。そういうわけで、結果としては年末に至りまして一つの、何と申しますかパッケージという言葉を普通使っておりますが、パッケージという形になりましたが、実際上は二つの問題をあわせて処理いたした、こういう次第でございます。
  20. 松前達郎

    松前達郎君 今回の附表といいますか、附属する表を見てみますと、物すごく膨大ですね。厚さにして三センチぐらいあるんじゃないかと思われるぐらいですね。この全体をずっと見てみますと、相当の量の細かい取り決め、それぞれの品目について挙げられているわけなんですが、その中から今回無税というのが大分出てきておりますね。その無税というのをピックアップしていきますと、その中の大部分自動車とか、そういうのはあれとして電気関連製品ですね。電子を含みますか、あるいは通信、こういったようなものが無税ということになってきていると思います。これはかつて政府調達品とか、そういう問題に端を発してアメリカから非常に要望があった、大分前の話ですが通信関連製品輸入とか、そういうもの、あるいは市場開放の問題と含めていろいろと問題にされた分野だったと思うんですけれども、これとこの皮革交渉、それからその結果として出てくる今回の措置ですね。そういうものとの何か総合戦略というものがこの裏にあるような気もするんですけれども、その点はお感じになりませんか。
  21. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) 若干技術的にわたりますけれども、実際的に関税ゼロ、すなわち無税待遇を供与するということと、それからガット上これを譲許する、すなわち、またテクニカルなんでお許しいただきますが、通常バインドという言葉を使いますが、これとは一応法律的には違った性格でございますし、また意味も変わってまいります。皮革との関係アメリカとの間で結びました合意はゼロに、御指摘のような品目を含めましてゼロならゼロ、あるいは特定の税率なら税率、そういうものをガット譲許表の一部として譲許する、バインドする、そこに重点がございます。それから、その意味ではお手元にございます合意内容はあくまでもこれは革の及び革靴の問題との関係で処理したと、こういうものでございます。
  22. 松前達郎

    松前達郎君 まあ、表が非常に細かい品目にわたっておりますから、これを一々私も全部とても見る時間はありませんが、一言で言いましてガットに提訴されるような内容のものですね。例えば数量制限をかけるとか、そういったような問題が恐らく今後も問題になり得るだろうと私は思うんですが、今回皮革に関しては数量制限を撤廃するかわりに、ある程度の、一定限度を超えた分について高い税率になりますが、かけるということですが、こういう措置を今回やって、ガット関連する問題として今後同様なものが出てくるかどうか、現在まだそういうものが残っているのかどうか。その点いかがでしょうか。
  23. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) まず事実関係から申し上げますと、我が国のいわゆる残存輸入制限品目はお手元にございます二件の合意につき御承認賜りますれば四品目減りまして、残りますものは二十三品目となります。このうちの鉱業製品は石炭だけでございまして、あとは農水産物資ということでございます。この大宗を占めます農水産物資に関しましては、現在視野に入っております新ラウンド、これとの関係ガットの方でこういう残存輸入数量制限をやられる。それからアメリカは現在義務免除を得ておりますけれども、それの対象となっておる品目でございますとか、こういうものを全部ひっくるめまして、今後新ラウンドの中でどういうふうに扱っていこうかということを今検討している最中でございます。  それから、他方同時に現在のガットの枠組の中には先ほどもちょっと言及いたしましたが、二十三条という条項が設けられておりまして、これは輸出国相手国制度により自分の通商利益が害されていると判断し、これに固執した場合にはこの紛争処理手続を発動することはこれは当然の権利でございまして、これを封ずる道はございません。したがいまして、これから先問題となる可能性があるのかということでございますれば理論的にはございます。しかしながら、同時に農水産物に関する輸入数量制限というのはなかなか簡単にはいかない問題だという意識はガット全般にございまして、既にその取り組みは始まっておると、こういうふうにお答えするのが一番よろしいかと存じます。
  24. 松前達郎

    松前達郎君 まだ二十三品目ということでございますが、その中で大きな部分としてはやはり農水産物が今後の問題になる可能性のある問題だと思うのですね。現在既に農産物自由化交渉が進められてきていたわけですが、これがタイムリミットがもうやってくるということですね、もうやってきたんですかね、これ。タイムリミットがあるということで、それに関してまた同じようなアメリカからの要望が出てくる可能性もあるんじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。現在、農産物自由化交渉の進展の度合いと、それから今後の見通しですね、それも含めてひとつお願いができればと思います。
  25. 国広道彦

    政府委員国広道彦君) 御存じのとおり、農産品十三品目、現在ではアメリカは一品目は後回しにしまして十二品目という指摘をしておりますが、この問題はかつてアメリカガット二十三条によって問題提起をした品目でございます。その後日米間で協議をした結果、二年間、俗な言葉で言いますと休戦をしたわけでございまして、その休戦期間が来月の二十二日で終わるということでございます。その後どうするかということにつきまして目下日米両国間で話を進めているところでございます。米国側が、原則の問題としましては十二品目ガット義務に違反するものであるから、日本はこれの自由化を直ちにするなり自由化する将来のめどをつけるべきだという意見を持っております。それに対しまして、日本側は現実の問題としてなかなかそうはいかない状況にあるということ、そういう認識の上に立っていかなることをなし得るかということについての話し合いをしておりまして、これは目下交渉中でございますから、結果を予断することはお許し願いたいのでございますが、今申し上げられますことは何とか二十二日以降の取り扱いについてもまた円満な了解に達することを希望して話し合っておるということでございます。
  26. 松前達郎

    松前達郎君 これは恐らく基本的な問題として考えた場合、非常に重要な問題だと思うのですね。今、ちょうどアメリカ週刊誌が、表紙に「ライスウォー」というタイトルでもって、出ているわけですね。中を見ますと余っているところにはたくさんあるけれども、ないところには全然ないというふうな、そういうタイトルなんですが、米の問題も一時かつてアメリカがちょっと触れたような気もするんですが、こういったような問題も恐らくいずれは成り行きによってはまた再び台頭してくる可能性もありますが、これはアメリカの方は日本のシステムを理解しているんですか。
  27. 国広道彦

    政府委員国広道彦君) 先ほどからお話しのガット義務等の観点から申しますと、米は国家貿易品目でございまして、取り扱いが別でございます。残存輸入制限品目のように明確にガット違反であるということで問題にされているものではございません。国家貿易には国家貿易品目取り扱いの規定がカットにございますから、それに基づいてやっていればガット上の問題は生じないわけでございます。ただ、御質問の後半の点は、米側は、米というものが日本農産物にとって非常に重要な問題である、これの自由化とかという問題を軽々に取り上げられても、それには日本側にはより重要な政治的な問題があるということを理解しているのかという点につきましては、理解しているというふうに私は解しております。
  28. 松前達郎

    松前達郎君 それでは、もう一つだけこれに関連しまして、結論的に、今回の措置によって、すぐではないにしても、近い将来ですが、日本皮革関連産業にこれがどういうふうな影響を及ぼすであろうか、この辺の予測はついておりますでしょうか。
  29. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) ただいま先生の御指摘の今回タリフクォータ制度に移行することによって日本皮革産業あるいは革靴産業に対してどのような影響を与えるかという御質問でございますが、先生御案内のようにこの税率は六〇%ということで非常に高い税率を設定しておるわけでございますし、革靴につきましても一足四千八百円、あるいは六〇%いずれかどちらか高い方、こういうことで設定をしておるようなわけでございます。税率の体系といたしましても日本税率の中で非常に高い体系にまず入っているということがあるかと思いますが、それと同時に、もう一つ一次税率の枠をどのようにするかということが重要なポイントになるかと思いますが、これについても必ずしも明確に比較はできないわけでございますが、現在の輸入割り当て制のもとにおきます枠の大きさあるいは実績、それを物すごく大幅にふやしまして、例えば二倍とか三倍とかそんなような数字にするわけではございませんで、日本の国内の非常に難しい状況というのをよく踏まえまして、一方において市場のアクセスを図っていこう、そのあたりを図ってやっていこう、こういうふうに考えておりますので、この制度が導入されたということによって今直ちに物すごく大きな影響を与える、そういうふうには考えておりません。しかしながら、御案内のとおり皮革革靴産業につきましては、現在非常に不況の状況であるとか、なかなか思うように製品が売れないとか、いろんな問題点がございますので、そのあたりについては私どもとしても十分認識をしておりまして、皮革関係の技術振興を図るとかいろんな対策をとっていきたい、こういうふうに考えております。
  30. 松前達郎

    松前達郎君 ちょっと今聞き漏らしたんですが、現在の輸入実績、それが今度六〇%の境目がありますね、輸入関税ががくんと上がるところがありますね、量をオーバーした場合。それとの関連はどうなりますか、それ以内で今あるのか、あるいは実績がもうはるかにそれをオーバーしようとしているのか、その辺をちょっと。
  31. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) お答えをいたしますが、例えば革靴の例でわかりやすいと思いますので、ちょっとお答えをいたしますと、革靴の場合ですと現在の実績が、昭和六十年の数字でございますが、大体百万足強でございます。百三万足か百四万足でございます。それに対して第一次税率の枠を二百五十万足弱ということで設定をしておりますので、実績との関係では二・何倍、こういうことになるわけでございますが、従来から、これについては先ほど申し上げましたように、輸入割り当て制度というのをとっておりまして、その枠について必ずしも明確にきちんと計算し得るわけではございませんが、おおよその枠の感じを申し上げますと、大体二百万足弱、こんなような数字でございますので、それから見ますと非常に大きな数字として伸びているということを申し上げることはできないんではないかと思いますが。
  32. 松前達郎

    松前達郎君 それでは次に移らしていただきます。  非常に、最近国際情勢が一カ所じゃなくてあらゆるところで大きな変化なりあるいは問題を提起しつつあるわけでありますが、とりわけその中でリビアの問題がやはり大きな問題じゃないかと思うんです。これは石油の輸出国でもあるし、そういった関連から見てもリビア問題というのは今後うっかりすると大きな問題に発展しそうだという感じがするわけでありますが、これはシドラ湾における米軍の第六艦隊の演習が一つの理由となって、そこに交戦が行われるような新しい局面が展開してきた、こういうことに一言で言うとなると思うんですけれども、これに対してどうなんですか、例えば最近アラブ諸国もアメリカの砲艦外交のやり方に対して非難をするようなことになってきた、その他の逆の立場の国もあるようでありますが、こういったような問題もやはり我々としてこれは遠い国のところで、地中海で起こっていることだというふうに看過できないだろうと私は思うんです。  アメリカの場合は、これと同時にホンジュラスの問題、ニカラグアの問題、こういったような問題もありますし、各地でそれぞれ小さなトラブルといいますか、出てきている、こういう状況であろうと思うんですが、全般的に見てどうなんでしょうか、外務省として、大臣としてこれについてどういうふうな見方をされておるでしょうか、それについてお伺いしたいと思います。
  33. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 現在、リビアをめぐりましていろいろと情勢が変化をいたしておりますが、大変、日本としましてもこの状況については憂慮をいたしておるわけでありまして、事態がこれ以上悪化しないように希望をするわけです。  米側は、今回の行動を、シドラ湾の国際水域におけるリビアの敵対軍事攻撃に対抗するための自衛権を行使したものというふうに説明をしております。一般論としては、国際法上自衛権の行使としての武力行使は認められておりますが、しかし、本件に関しましては、我が国は第三国でもありますし、また事実関係につきまして十分詳細に承知をしておらない、こういうことでございますし、現時点で政府としての見解をはっきり申し上げられるという段階ではございませんが、いずれにしましても、悪化することは避けることを期待もしておりますし、また、アラブの外相会議が決議を行ったということも我々承知もいたしておりますし、状況の鎮静化を念願をしておるわけであります。  さらに今、ニカラグアの問題等についていろいろな動きも出ておるようでありますが、これもアメリカの議会で大統領のニカラグア援助に対する提案も論議され、下院において否決されたという事態もありましたし、依然としてニカラグアの情勢が厳しい。コンタドーラグループの和平への動きも活発に行われておるようでございますが、これもまた、日本としましても、何とか平和的に解決するといいますか、特にコンタドーラグループが積極的にこの問題の平和解決に向かって活動を開始することを期待しておりますし、我々としてはバックアップしていきたい。  全体的には米ソ首脳会談という、ことしはむしろ緊張緩和という状況は大きく世界の中で期待を持って迎えられた年ですけれども、部分的にはいろいろの地域で問題が起こっているということについては我々としても大いに注目していかなきゃならぬ。まあレバノン等も決して予断を許さない、こういうこともきょうの報道なんか出ておりまして、こういう状況日本としましても情勢を把握するためにこれから努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
  34. 松前達郎

    松前達郎君 今の外務大臣がおっしゃった中で、アメリカ側の主張としては自衛権の行使であるということを言っているわけですね。これは確かにそう言っていると思うんですが、本来自衛権というのは、自分の国に対する攻撃を指して自衛するということをいうのか、こういうふうな軍事行動をやっている、しかも公海上あるいは外国に非常に近いところ、こういうところで行動しているものに対しての攻撃に対しても自衛権と言うのか、この辺、これはアメリカ日本と解釈が違うかもしれませんが、私は自衛権というのは、本来ですと自分の国に対して攻撃を受けたときはこれは自衛権と言えると思うんですが、挑発行為に対して攻撃を受けたから自衛権というのはちょっと何かひっかかるんですけれども、その点どうお考えでしょうか。
  35. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) 先ほど外務大臣から御答弁申し上げましたように、本件の事実関係につきましては、私どもまだ詳細を正確に把握しているという状況ではございません。それからまた、私ども日本としては第三国の立場にございますので、この問題についてコメントすることは必ずしも適当ではないという気がいたしますが、一般論として御質問に対してお答えすればこんなことになろうかと思います。  つまり、自衛権というものが一般的にある国の領域に対して武力攻撃が加えられたときだけに行使し得るかという点につきましては、学説はいろいろございますけれども、一般的に申し上げれば、ある国の権利に対する侵害行為が行われるというようなときに、その侵害行為を排除するために必要な最小限度においてこれに対して実力を行使するということは、自衛権として認められるというのが一般的な国際法の考え方であると思います。その意味におきましては、今御質問がありましたような事態を想定いたしました場合に、相手から実力行使があって、そのためにこちら側の権利が侵害されるという状況があるときには、それに対して対抗措置としての実力行動を最小限度においてとるということは許されることであるということは申せるかと思います。
  36. 松前達郎

    松前達郎君 リビア側の方はシドラ湾が自分の領域であると言っているわけですね、まあこれはリビア側の勝手な解釈と言えばそれっきりかもしれませんが。それに対して侵入をされているというのは自衛権行使して差し支えないということに準じて考えられる、そういう面もあるんですね。アメリカの方は官公の領域じゃないですね。ですからアメリカの方はリビアが攻撃したことに対して自衛権を発動したというのは私はどうも余り筋が通らないような気がしてならないわけなんです。逆に考えますと、既に国際テロを封じ込めるための一つの手段だと言っておりますが、どうもそれは理由であって慎重に計画をされた挑発行為であると見ざるを得ないんですけれども、日本政府でそういうことを言ったら大変なことになりますからまあそういうことはおっしゃらないと思いますが、私の考えではそういうふうに見ております。けんか両成敗と言えばそれっきりかもしれませんが、しかし、そういうようなものじゃなくて、裏に秘められているのは、アメリカの独善的な大国主義的なものがどうもある、意識的にそういうものが行為になって出てきたんだというふうに私は解釈したいんですね。恐らく、これも国連でまたいろいろと論議があるようにも聞いておりますけれども、こういうことがだんだんと当たり前になってきますと、いつそれがエスカレートしてもっと大きな対決に入っていくかもしれない、この辺私非常に心配をするわけなんです。まあこの読み方についてはいろいろあると思いますけれども、今自衛権という話が出たものですから、自衛権は日本にも関係ありますね。例えば日本の演習があったり、あるいは日本が公海上で何か行動していて攻撃されたときに自衛になるのかどうかとか、いろんな問題があると思います。それで今ちょっとお伺いしたわけなんですけれども、いずれにしてもこのリビアの問題というのは、ただ火遊びだというふうに簡単に解釈すべき問題じゃない、こういうふうに思うんです。とりわけアメリカが、きょうの報道あたりを見ますと、石油の備蓄を再開するという問題も取り上げて検討するようになってきたというふうに言われているんですけれども、やはり原油の産出国でありますからね、そういうふうなことから考えた場合、相当大きな経済的な影響も出てくるであろう、こういうふうに思うんです。  そういった面で、これからの外務省としての対応ですね、これもやはり相当広い見方でごらんになって、いくべきだろうと私、考えておりますが、その点大臣、いかがですか。余り突き詰めたことはおっしゃらなくて結構でございますが。
  37. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今石油価格が非常に急落をしているということでありまして、そのためにOPECの会議も開かれた。そのOPECの会議も結論が出そうにない、あるいはまた非OPECの石油産出国との間の協議等もどうもうまくいっていないというふうな状況で、油のスポット価格等も十ドルを割りそうなというふうな声すら出ておるわけで、これは国際経済に与える影響は非常に深刻だと思います。特に日本としましても、あるいは世界経済にとってもやはり一番問題となるのは石油価格の乱高下だと思っておるわけです。非常に急激な低下というのは、これは石油産出の開発途上国等はまさに累積債務を持っている上にさらにまた大きなパンチを、影響を受けるわけでございまして、ますます深刻になってくるんじゃないか、こういうふうに思いますし、また中東諸国等もこの石油の価格の低落に伴うところのいろいろの問題も起こってくるわけでありますので、日本としましては、石油についてはほとんど外国から輸入しているということですから、日本経済にとってむしろ石油の価格が下がることはプラスの面の方が大きいわけですけれども、しかし全体的に見ると、やはりこうした急乱高下は避けるように、いろいろとこれは国際的に、日本もこれだけ国際経済の中で大きな役割を持っておりますから、外交の面を通じましてもこうした石油価格の乱高下というものに対して、何らか日本としてもこれを阻止する、そういうことが起こらないようにいろいろな面で国際的な協力関係を進めるように努力をしていなかきゃならぬ、それは一つ日本役割ではないだろうか、こういうふうに思っております。  アメリカは今備蓄を始めだというのは、やはりアメリカは消費量の三割は輸入しておるというふうに聞いておりますがやっぱり最も大きな生産国ですし、そして石油の価格の低下に伴いまして大変テキサス等で倒産も起こっておるというふうなことも聞いておりますし、そうしたいろいろな状況等も踏まえ、また中東の不安というようなこと等も前提にして備蓄というふうなことも考えたのかもしれませんけれども、これは、備蓄問題はアメリカのみでなくて、日本もこういう状況になったとしても、やはり備蓄は確保しておく必要があるというのは我々は当然のことだろう、特に日本の場合はそうだろう、こういうふうに思います。
  38. 松前達郎

    松前達郎君 このリビアの問題については、これはごく最近起こった問題ですから、しかも重要な問題と思いますので、恐らくこれはどうでしょうか、東京サミットあたりではこういうのは話題になる可能性はありますか。
  39. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはサミットで、決められた議題以外にそのときどきの起こっている事態等については首脳の意見の交換もありますし、外務大臣としての議論も行うわけでありますし、当然そういう中の一環として、この事態がどういうふうになっていくか今後見ないとわかりませんけれども、事態によってはもちろん話し合いになっていく、話し合いというか、議論の対象になるだろう。また、これは世界平和ということを考えますとき、あるいは中東和平というようなことを考えるときに、もし問題がエスカレートするというようなことになれば、当然取り上げられる課題だろう、こういうふうに思います。しかし、事態がこれからどうなりますか、鎮静することを我々は念願しているわけですけれども。
  40. 松前達郎

    松前達郎君 これが鎮静の方向に向かってくれれば非常にいいと思うんですけれども、どうやらまだまだどう展開していくか予断を許さないような感じもするわけですね。  話が全然変わってくるんですが、SDI問題がいろいろ今言われているんですけれども、SDIに参加するかしないかという問題、これは前からいろいろと議論されておるわけなんですが、ことしになって私自身もアメリカに行きまして、学者の皆さんと会うチャンスが非常に多かったわけなんですが、アメリカの皆さんの意見というものが最近アンケートでまとまってきているわけですね。しかも学者の意見として、特に物理学者の意見、これが三分の二程度がSDIというものが果たして実現できるかどうかということについて疑念を持っているというのがその結果として出てきたというふうに報道をされてきているんです。  計画としては非常に壮大な計画で、非常に費用もかかる、あるいは科学的にまだ開発されていない分野も含まれている。いろいろあるわけなんですが、これについてヨーロッパの国の中では、これが経済的な問題あるいは先端科学技術の問題として参加しておかないと乗りおくれてしまう、SDIなんかよりも自国のそういった先端技術の開発問題で考えている国もあるんですね。日本の場合はまだはっきりしたこういう態度というものを表明していないわけなんですけれども、この参加問題について安倍外務大臣、前からいろいろ慎重に考えておられるようですけれども、それについて御意見ありましたらひとつお聞かせいただきたい。
  41. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) SDIにつきましては、日本政府の基本的な考え方はもう何回も申し上げましたように、SDIの研究については理解をするということでございまして、この研究に参加するかどうかということについてはまだ検討中です。アメリカとしましては日本の研究参加を求めておるということは御案内のとおりであります。  日本としましては、そういう中で参加をすべきかどうかということについては、やはり日本の重大な政策の方向を決めることになるわけでございますから、慎重にしなきゃならぬということでこれまで研究を続けてきております。第一次、二次の調査も終わりまして、今ちょうど第三次調査団を、これは官民合同の相当な大規模な調査団をアメリカに派遣をしておりまして、アメリカ側で三班ぐらいに分かれて非常に徹底的な調査をするということになっておりまして、来月の初めごろには帰ってくるわけでございますので、日本政府としては、そうした第三次調査団の調査の結果がいつごろ出ますか、その結果を踏まえながら、今度は政府としてどういう対応をそれに対してするか、その調査の結果を踏まえてどういうふうにこれから考えていくかということを政府政府なりにひとつ決めてまいりたい。ですから別に今期限を切ってどうするこうするという私は必要もないと思いますし、そういうことを求められておるわけでもない。日本の大事な問題ですから、十分時間をかけてでもこれはやっていいんじゃないか。その第三次調査団の結果を待ちたいとまず思っております。  調査団を派遣したと言いましたけれども、これからこの土曜日に派遣をする、こういうことになっております。
  42. 松前達郎

    松前達郎君 ワインバーガー国防長官が企業の研究契約へ参加を期待するというふうなことも言っていますね。その反面、今度逆に国防総省の方では、日本の先端技術に余りアメリカが頼ってはいけないんだというふうな、一言で言うとそういう議論が行われている。エレクトロニクス技術に関して、兵器の一番心臓部などにも日本の製品が随分使われているという、あるいは日本以外のアジアの製品も含めてでしょうけれども、そういうことから対外依存度が多過ぎるというふうな批判も出ているようですね。ですから、アメリカも大分いろんな面で、研究参加といいますとそういう面が非常に出てまいりますから、将来の投資的な問題としていろいろな意見があると思うんですね。ですから、これは今おっしゃったように、やはり十分慎重に考えていかなきゃいけない問題だと思うんです。  これは仮に参加するということになった場合でも、一体どこがどうやって参加していくのかという問題ですね、契約しながら企業がそれぞれ参加するのか、あるいは政府機関として何か特別なグループをつくって参加していくのか、いろいろあると思うんですね。なかなかやりにくいと思うんですね。SDIというのは防衛の問題ですから、例えば防衛庁の研究所が行くといっても、防衛庁の研究所はそんな力はありませんから、参加したら教わってくる程度であって、全然それに対してのプラスにはならない。そういうようなことですから、やっぱり非常に難しいと思うんですね。この問題慎重にというのは、そういうことも含めて慎重にならざるを得ないんじゃないかと私は思うんですが、これはぜひ十分な検討をされた上で判断されるように私の方からもお願いしたいと思います。  その中で、特に最近では核抑止力ですか、これに関する解釈も、かつてのような単純な解釈じゃなくなってきておりますから、そういったものも含めてやはり将来を展望していかなきゃならないんじゃないか、こういうふうに思っております。  SDIはそのぐらいにいたしまして、今非常に話題になっているのがフィリピンの問題なんですけれども、とりわけそのフィリピンの中でもマルコス氏のリベートという問題がこの国会でも非常に大きく取り上げられてきている。これは海外援助との関連ですから、これに対して総理並びに安倍外務大臣の方から、この海外援助についても十分検討するという意思が表明をされておるわけでありますが、これは国会委員会が今度できることになろうと思いますけれども、そういうもので援助問題を含めて、特にこのフィリピンの問題を含めて検討されていくということですけれども、外務省としてそれについてできるだけの協力が得られるものかどうか、その辺いかがでしょうか。
  43. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この問題は何としても世界的に大きな反響を呼んでおりますし、日本の企業も関係があるということで、日本等でも大きく報道もされておりますし、特にこれが日本の援助に絡んでいろいろと言われていることは、私は日本の援助を考えていく場合、今後とも拡大をしていかなきゃならぬという日本の責任があるわけですから、そういう立場から見ましても、十分ひとつ掘り下げて、いろいろな面をやっぱり解明をしていく必要があると、こういうふうに思っております。  日本の援助自体については、フィリピンを初めとして、各国に対しては非常にきちょうめんに私は全体的にはやってきていると思いますし、それなりの効果は上げて、各開発途上国の信頼を得ていると、こういうふうに思っておりますけれども、しかしフィリピンについては今言われておるような問題がいろいろと報道されておるわけですから、これからの援助というものをより効果的、効率的に行うためにも、いろんな面で明らかにすべき点は明らかにする必要がある。法的にどうだとかこうだとかいうことだけでなくて、援助のあり方というものを考えると、やっぱり明らかにしていく必要がある、こういうふうに思って、これから外務省としても国会の御要請を踏まえて、できるだけの資料等についてはこれをお示しをしたい、こういうふうに 思っております。
  44. 松前達郎

    松前達郎君 海外援助というのは、これは何もフィリピンに限ったことではないわけですから、特に開発途上国に関しては受け取る側がすっきり整備されたシステムの中で受け取っているように私は余り解釈していないんですね。我々経験がありますが、例えばマニラ湾に我々の船を持っていきますと、それを警備しなきゃならない。警備するために警察権力をかりるわけですね。そうすると、やってくれるんですが、それがまた泥棒をやりますので、これをまた監視するためのプライベートな監視の人を雇わなきゃいけないと、こういう状況なんですね。これは今はどうか知りませんが、比較的そういう面があるので、やはり内政干渉じゃないんですね。これは我々の税金ですから、多少やかましく言わないとその辺は直らないんじゃないかと、こう思うんですわ。  フィリピンの場合特にそれがひどかったようでありますから、その辺を今後も、政権がかわったとしてもやはり体質的にそういうのが残っている可能性があるので、それも十分監視していく必要があると思いますけれども、これはフィリピンだけじゃなくて、インドネシアも政権が長いんですね。大体政権が長いのは、自民党さんもそうなんですが、往々にして腐敗を招くということもありますので、これもやはり、別に具体的にどれという事例は申し上げませんが、やはりそれも含めて、あるいはその他の国も含めて、経済援助に対しての監視を少しやっていく必要があるんじゃないかと思います。  また同時に、これはリベートというのは商行為の中で当然起こり得る問題ですから、リベートとして正規にちゃんと出ていればこれは問題はないかもしれませんが、問題は、それがまた日本に還流してきていろいろと、かつてのロッキードみたいなことになっても困るんですね。あるいはあるんじゃないかという気もしますけれども、しかしそういったことがあるというのは非常に不愉快であり、日本の海外援助に対する信用というんですかね、そういうものも疑いの目で見られる可能性がありますから、この問題は非常に重要だと私は思うんですね。  これは国会の中で今後委員会がつくられ、審議が行われていくんじゃないか、こう思いますので、そちらの方にゆだねることにいたしたいと思いますが、新聞報道ですと、いろいろと具体的な商事会社の名前がもう既に出てきておりますね。幾つかの事例に全部がかわっている商事会社、かかわっているというのは、別にかかわったから悪いというわけじゃありませんが、ところが、金額的には少ないけれども、非常に黒いうわさのある商事会社というか、組織もあるわけですね。ここで具体的には申し上げません。そういったようなものもありますので、やはりこの辺はっきりした態度で追及していかないとならないんじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。  これに対して資料の請求その他が今後行われてくるんじゃないかと思うんですが、なかなかこれは出てこないわけですが、例えば外務省としてそういう調査をされるときには、いわゆる正規の窓口といいますか、正面から調査を依頼してやっていく、そういう方法が一つありますね。それからもう一つは、裏面からやっていく方法がある。うわさを種にしてやっていくと言えばおかしいんですが、そういうものをきっかけにしながら調査に入っていくというやり方があるんですけれども、これは私は両方とる必要があるんじゃないかと思うんですね。ただ、形式的にやりますと、どこかでぷつんと切れてしまう。そういうことなんで、その辺の情報網は外務省ですからあると思いますが、その辺も気配りをされながら、今後ひとつ調査をやられたらいいんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  45. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 調査という言葉のあれでございますが、当面は先生御案内のように、米国の税関が、マルコス前大統領がハワイに参りましたときに持ち込みました文書を保管いたしまして、これは同文書をマルコス側及びフィリピン現政府の双方が引き渡しを要求いたしまして、三月十八日にその同文書の写しをその両方、マルコス側とフィリピンの政府側に手交したわけでございます。他方、米国の下院外交委員会では、太平洋小委員会が米国の政府に対しまして文書提出命令によりましてこの同文書を入手いたしまして、それを発表いたしまして、それが大体二千ページを超すわけでございます。その公表した文書は全部ただいま我が方が入手いたしまして、その中で我が国日本の企業に関連する部分は大体百五十ページから百七十ページくらいあるんだろうという気がいたします。  現在、これが私どもの持っております資料のすべてでございますが、この大量のものを十分ただいま検討中でございますので、この検討の結果を見まして私どもとして何ができるかとかいう点をまた考えてみたいと思っております。
  46. 松前達郎

    松前達郎君 その辺ひとつ十分検討していただきたいと思うんですね。資料としてまたほかの方からも出てくるかもしれませんので、それももしか出てきたら取り寄せられて検討された方がいいような気がいたします。  前にも私委員会で申し上げたんですが、対外援助というものはすべてお金というのが基本になる。それはもうしようがないと思うんですね。お金が基本になるんだけれども、それが見返りとして常に日本の商行為がそこの中に絡み込んでいくということですね。これがどうも果たして援助としてそればかりで全部援助と言うんだったら適当かどうかという問題があるということを申し上げて、やはり開発途上国がだんだんと発展をしながら経済的にも豊かになっていくための基本問題というのは、ただお金を提供するということだけじゃないと思うんですね。それだけやってもこれは一時的なものであって、植民地なら別ですけれども、そうじゃないんですから一時的なものになってしまう可能性がある。それを半分ぐらいは教育援助とかそういうものに切りかえるべきだと私は前から思っているんですね。やはりそういった経済基盤をつくり上げていくための力というのはやはり教育を受けた人材にあるんじゃないかと私思うんで、その辺も今後これを機会にしてひとつ考えていかれたらどうかと思うんです。  このやり方については、いろいろ簡単なものじゃないと思いますけれども、こういう問題も含めて経済的な援助ということに最終的にはなるわけですからお考えいただければと私は思っておるんですが、その点いかがでしょうか。
  47. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいまの先生の御指摘は、カテゴリーで申しますと技術協力に、資金協力よりももうちょっと今後力を入れていくべきではない、かという御指摘かと存じます。  確かに我が国の場合には技術協かが開発援助全体に占めます割合が一割ということでございまして、フランスなどは四割以上がまさに教育を中心とする技術協力になっております。先進国の平均が二割ということですので確かに技術協力の占めます地位はほかの諸国に比しましても非常に低いということが申せると思いますので、先般御決定をいただきました本年から始まります第三回目の中期計画におきましても、技術協力に重点を置いていくということがうたわれております。技術協力に対する拡充努力というのが、資金協力にもまして必要だろうというのは御指摘のとおりかと存じます。他方、円借款それから無償資金協力等の資金協力の面におきましても、単に資金が供給されるということだけではなくてそれに伴ってやはり技術移転とそれから要員の訓練ということも伴って行われておりますので、実はその面での技術協力の占めます分野というのもあるんだということもちょっと付言させていただきたいと思います。
  48. 松前達郎

    松前達郎君 今おっしゃったことが推進されていくことを希望するんですが、とりわけ基本的にはやはり教育機関というものが、それを担当していく部面と、それから訓練機関ですね、いわゆる技術訓練、そういうものが担当する分野と、いろいろあると思うんです。しかし、基本的には、長い目で見るとやはり私は教育機関というものが教育を担当し、例えば先進国に近づこうというのなら工業というものがどうしても発展せざるを得ない、そうならばその工業を担当すべき力を持った人材を育成する必要がある。日本の場合は、かつて工業教育を非常に重点的にやった時期があります。その結果としてある程度今日のような時代になってきていると思うんです。  そういったことを、これはすぐ速効性はないんですけれども、その国の立場になって考えてみれば、やはりこれは十分協力としては効果のあるやり方ではないか。ですから、これに対して資金的な協力もありましょうしあるいは人材的な協力もありましょう、いろいろあると思いますが、その辺をお考えいただいて、余り外務省ばかりがそれをやるとまた文部省との関連もあるかもしれませんが、しかしそんなことは考えないでいいですからどしどし進めていただければと、こういうふうに私思いますのでひとつよろしくお願いしたいと思います。  じゃ次に、さっきちょっと触れましたけれども、もう東京サミットも近づいてまいったわけでありますが、外務大臣議題のことをおっしゃったですね、用意された議題があると。内容的にどういうことが大体予定されているのか、ひとつお知らせいただければと思います。
  49. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 議題につきましては、いわゆる首脳の個人代表というのが何回か会合をいたしまして整理をいたしておりますが、まだ最終的な整理、合意というところまでは至っておりません。  しかし、大体議論の問題点というのは明らかになりつつあると私は思っております。経済サミットということですから経済問題が主力になるわけでございます。もちろん政治の問題も首脳間で話し合われることは、これはもうこれまでのサミットの例から見て当然のことだと思うわけでございます。  やはり、まず第一には先進国間のいわゆる経済成長、持続的な成長を確保するためにどう各国があり得べきかということであるとか、あるいはまた国際的な通貨の不安定に対してどういうふうにサミット参加国が協力できるか、協力すべきかといったような問題、これは今度の議題になり得るというふうに言われておりますし、またニューラウンドを九月に控えておりますからニューラウンドに向かっての自由貿易体制を確保するためのいろんな問題の論議、そういう中で日本貿易黒字といったものもやはり当然議論の一つにはなってくると思いますが、それは我々は日本のこれからの一つの努力というものを、自由貿易体制を堅持しながらやっぱり世界経済へ貢献していくという、そういう中での日本の努力というものを主催国である日本がこれからの決意とともに明らかにしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに思います。  あるいはまた、石油のいわゆる急落に伴うところの開発途上国の問題、特に累積債務の問題等は相当深刻な議論になると思いますし、これはまたサミット参加国の、大きなこの問題に対して責任が生じてくる、こういうふうに考えておるわけで、やはり問題はなかなか山積していると言っても過言ではないと、こういうふうに思います。
  50. 松前達郎

    松前達郎君 東京サミットを開催されて、最近交通渋滞まで起こすぐらい相当厳重な予備警戒といいますかね、こういうものが行われているんですが、せっかく行うんですから成果はもちろん出ることを期待するんですが、そういった面でも余り事件がないようにしなきゃいけないと思っているんですけれども、このサミットの中で日本の立場もありましょうしそれから国際的な解釈の問題もいろいろあると思いますから、ひとつ遠慮なしにやっていただければというふうに期待をいたしたいと思うんです。  それからもう一つ、最後なんですが、これは日ソ漁業交渉の問題なんですね。これは毎年毎年漁業交渉というのは難航をすると言っていいでしょう。そういうふうな状況で進められてきているんですが、今回まだ交渉が進展をしていない状況ですね。これらについて、やはりソ連側の解釈というのはもともとそういった魚族というものは、魚族に対する保護の問題が基本になっていろんな主張が展開をされてきたのがかつてからの原則的な解釈だと思うんです。問題は、そこでひとつ外務省が提案していただいてもいいのですけれども、基本的な問題、ソ連というのは科学的事実に非常に弱い、弱いといってもあれですが。ですから、こういったような問題で少しすり合わせをしておく必要があるんじゃないか、こう思うんです。  例えば、魚族の資源確保についての調査研究あるいはそれの開発、資源の増殖、生産ですね、この開発、こういったようなものを、日本からも金を出しているわけですから、それを彼らもつぎ込んでいろんな養殖場とかそういうものをつくっているようですけれども、こういったような問題はひとつ外務省の方から新たな提案として出していただいて、日ソ間で基本的な問題について常に接触をしながら話し合っておくというのをやった方がいいような気がしてならないんですね。ただ交渉時期になってその立場立場で角突き合わせてやるよりも、そういった普段の努力が行われれば、割とこういう交渉内容が先行きが見えてくるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その点いかがでしょう。
  51. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 日ソ漁業交渉というのは非常に長い歴史を持って今日に至っておりますし、そういう中で資源問題とかいろいろと科学的な調査の問題とか、そういう面については相当日ソ間ではやってきている。私も農林大臣をやりましてそういう日ソ漁業交渉なんかやった経験がありますけれども、相当進んでおる。非常に実務的にこれは解決されて今日に来ておるわけなんですが、しかし最近の状況を見ますと、特に新海洋法二百海里が設定をされるということになって、ソ連側の態度も相当やはり二百海里以内に対する主権的な立場というのが強化をされまして、日ソ漁業交渉もその面から難しい問題がいろいろと出てきておるように思います。そういう中で三カ月間これはやってきているんですが、結論が出ない。日本も譲歩に譲歩を重ねながらきておるわけで、今回もいわば最終的な一つの提案を行ったわけですが、残念ながらソ連が受け入れるということには今のところならないようでございます。  私も一昨日アブラシモフ大使を呼びまして、せっかく日ソ関係が全体的に改善するというふうな状況にあるときに、今までうまくいっていた漁業交渉がストップして、そしてここで全く無条約状態になるということは、これは日ソ間の将来のために決してよくないので、日本側の提案ももう一回よく考えてもらいたい。日本もまたソ連側の考え方については十分ひとつ考えてみよう。この段階にくれば、ソ連も全体的に日ソ関係というものをとらえた形でやはり判断をしてもらう必要があるんじゃないか、これをシェワルナゼ外相にぜひ伝えてほしいということを率直に言ったわけでございまして、これまでは日ソ漁業交渉というのは、非常に実務的に処理されてきたんですけれども、全体的に非常にいい空気が出てきておるときに、今までうまくいっていたのがこれがぶつかってしまってにっちもさっちもいかないということになれば、やはりそれは影響するところが大きいわけですから、また問題は、今おっしゃるように具体的に相当技術的な問題が多いわけで、詰めればある程度解決の道も開かれないわけじゃないと私も思うわけでして、一押ししたわけであります。  これは羽田農水大臣が行かれるようになるかどうか、今外務省で外交ルートを通じまして最終的な決着を、そして解決を図りたいという最後の努力をしておりますが、今お話しのような点は、これはまあこれからの日ソ関係を考える場合に非常に大事なことだと、こういうふうに思っておりますし、十分そういう点は踏まえてこれからも努力はしなきゃならぬ、こういうふうに考えます。
  52. 松前達郎

    松前達郎君 漁業交渉の今までの経過を見ますと、平行線をたどって、交渉結果で平行状態でずっときているなんというのはないんですね。毎年毎年下がってきて、いずれゼロになってしまうんじゃないかと、そういうふうな感じを持っておるんですが、ゼロにするのがソ連側の目的かもしれないんですけれども、しかし、それがゼロにしなくていいんだという根拠をお互いに認識をしていくという、そういう作業がやはり必要だろうと思うんですね。そのために今私が申し上げたんですが、これはなかなか角度を変えた見方なものですから、交渉段階の中でそれをやるのか、あるいは普段からやるのか、いろいろ技術的な問題はあると思いますけれども、数量とかそういうふうなものだけで縛った交渉というものが行われるとき、これはしょうがないと思うんですね、その交渉としては。しかし、その交渉の前段階としての今申し上げたような協力態勢というものがどこかにありますと、これは比較的楽になってくるんじゃないかと、こういうことを多少漁業相の方も言っているようでありますから、その辺もひとつ、やり方はどういうふうにやるか、私の方から申し上げませんが、御判断いただいてできましたらそういう提案を逆にこっちからぶつけていくということもいいんじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。  そのほか幾つかの質問もあるわけですが、また委嘱審査もある予定ですから、私の質問はきょうはこれで終わらせていただきます。
  53. 黒柳明

    黒柳明君 条約についてはまだ後ほどお伺いしますが、まずフィリピンの問題についてお伺いしたいと思います。  外務大臣、今も非常に積極的な発言をされましたし、先般衆議院の外務委員会でも、また参議院の予算委員会でも解明に対して積極発言をしております。これは、当面はフィリピンの問題ですけれども、あくまでも日本の海外援助全体に対しての外務大臣としては見直しを考えているのか、あるいはシステム自体も私も今いろいろ調べているんですが、商品借款なんかはどこへ消えちゃったかわからない。有償なんか足跡ありますから、ある程度これから調査していけば何か不明な点が出るかな、あるいは黒い問題がと、こう考えますが、商品借款については全くどこに打っちゃったかわからない。足跡がない。あるいは契約なんか見ましても随契が非常に多くなっているわけですね。これはすぐ談合であると、こう言えないわけではありますが、そんなことをいろいろ考えますと果たして今のシステムそのもの自体もこの際考慮して見直す余地があるんではなかろうかなと、こんな考えもするんですが、外務大臣のフィリピン問題について見直すというのは、海外援助全般なのか、あるいはシステムも考えてそういう見直しということは考えられるのか。いかがでしょうか。
  54. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は基本的にはやはりこうした日本の援助に絡んでフィリピンのマルコス前大統領時代のいろいろ問題が報道されると、日本の援助そのものが非常に疑問、疑惑をもって見られるということは極めて残念だと、そういうふうに思っておりまして、これははっきり解明しなきゃならぬと、そういうのが私の基本的な考え方です。  と申しますのは、日本の援助システムというのは割合にきっちりといっているんじゃないかと、私もわずかな経験ですけれども、全体をずっとフォローアップしてみましてそういうふうに思っています。例えば円借それから技術援助それから無償というふうな形になっておりますが、これはほかの国と比べても割合に事前の調査とかフィージビリティースタディーとか、そういう点、それから事後のフォローアップといった面についても全体的にはうまく動いているように思います。それが各国、開発途上国の日本に対する評価にも私はつながってきている。これは政府もいろいろと援助について今まで改善すべきところはしてきましたし、国会からも御指摘があった。そういう点も反省材料にして、いろいろと改めてきた点が最近の評価に私はつながっておるんだろうと、こういうふうに思っておるわけです。  しかし、そういう全体的にはうまくいっているとしながらも、やはり今問題になっているような事態で、もっと解明しなきゃわかりませんが、そういうふうになってきて日本の援助というものに対してこのままの姿でいいのかどうかということで、今後の情勢等を見て、そういうことになれば私はやはり改めるところは改めていかなきゃならない、こういうふうに思うわけで、援助はこれでやめるわけじゃありませんし、これからもっと倍増、拡大をしていくわけでございますから、どうしてもそれは効果的、効率的に相手の国民の期待にこたえるような形に持っていかなければなりませんし、そういう面から、やはりもし改めるべきところがあれば全体を見直しながら改めて、あるいはプラスして新しい分野でもっと考えていく点があればそれは弾力的にやったらいいんじゃないか。ちょうどいい機会だから、いい機会といったら大変問題がありますけれども、こういうふうにいろいろと言われておるときですから、この際いろいろと全体的に掘り起こしてみて、そして反省するところは反省する、改善するところは改善する、あるいはつけ足すところはつけ足すということで援助政策全体を検討してみたらどうか。しかし基本骨格というのは私は変わらないと思いますし、これはそれなりに私は役割を果たしておる、こういうふうに思っておるわけです。
  55. 黒柳明

    黒柳明君 経済協力局長ですか、第一回の調査団というんですか、行きましたですね、どういうことがわかりましたでしょうか。どういう調査をしてお帰りになられた。ここは言える範囲で結構ですけれども、お教えいただけますか。
  56. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 今月の二十日と二十一日に私及び関係四省庁、大蔵、通産、経企及び農水の担当課長と御一緒にフィリピンに行ってまいりました。目的はアキノ大統領の新政府ができました直後に梁井外務審議官がフィリピンを訪問されまして、外務大臣の談話の内容、新政府に対します我が国の基本的な方針等の伝達をなさいました。その際に、一般的な我が国協力姿勢というものを政府の基本的な姿勢として表明されたわけですが、具体的な経済協力の問題点につきましては後ほど専門家の協議チームを送るということを言われて、先方もぜひ準備が整ったら来てもらいたい、こういうお話でございました。その後、アメリカそれからIMF及び世銀等も実務家レベルのチームを送りまして、フィリピン新政府の政策の方向を聴取しましたり、それから各援助国及び援助機関の、フィリピンとの今までの関係のレビューと今後の方針等の打ち合わせをしております。日本に対しましても実務レベルの協議チームの派遣を早くしてもらいたい、こういう御要望がございましたものですから、国会の御審議の合間を縫って伺って先方の関係の方々との間でお話し合いをしてきた、こういう次第でございます。  お話し合い内容は、まずフィリピンと日本との経済協力関係というものが今までどういうふうに進展してきたかということと、日本の基本的な援助姿勢と申しますか、これはフィリピンに対しましても、それから各国に対しましてもそうですけれども、というものを説明し、かつ現在日比間の経済協力がどういう情勢にあるかということを、先方も皆さん上の方は新しい方なものですから、新しい方に御説明をしまして、実はボールはもう先方にある、我が方としてはこういう形でお示ししていますという御説明をしてきた。先方からは、新しい政府の方針としては、農業の重視でございますとか、中小企業の育成ですとか、そういうようなことを重点的にやっていきたいということと、それから、経済混乱が依然として非常に続いておりますものですから、日本の援助もできるだけ弾力的な、かつ早く即効性のある形での援助の供与をしてもらいたいというような要望があったというのが実情でございます。
  57. 黒柳明

    黒柳明君 そうすると、まず先方の新しい担当者と話し合ってきたと。こういう今いわゆるマルコス文書に出てきたようなリベートに関しての円借款に関していろんな不備の点、こういうものを調査するという段階ではなくて、今後速やかにそういうものを実務者レベルの調査団を派遣する、こういうことで先方の要求をのんできたというか承ってきたと。その次の段階においてはどういう手をこれから打たれるということなんでしょうか。具体的な調査団というものを出すわけですか、政府としては。
  58. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 今いろいろ報道されております問題につきましては、二十日、二十一日の時点だったものでございますから、私からは全般的な感想としまして、フィリピンとの間の経済協力の問題に関連して、いろいろの言葉の使い方は非常に気をつけたんですけれども、目的、正規の使われ方をしなかったかのごときうわさとか報道等が出ているのは、援助を担当している実務者としましても、それからフィリピンで現時点で四百名以上の方々が援助活動をしておられますが、百十名の青年協力隊員を含めまして、こういう実際援助に携わり、フィリピンの経済社会の発展のために身命を賭して一生懸命働いている人たちにとっては報道されること自体が非常に悲しいことだというようなコメントをしました。先方は相手方によっていろいろの対応をしておりましたけれども、余り感情的な書き方をするのはよくないとか、日本とフィリピンとの間の協力についてのイメージが害されるのは決して好ましいことではないというような対応をしてこられました。その程度の応酬でございました。  その後今の御質問の本問題に関連してどういうミッション等を送る予定があるかということかと思いますが、現在政府として考えておりますものは、先ほど外務大臣からも御説明申し上げましたように後追い調査、評価調査というのを毎年約百件ぐらい、世界じゅうについて実施しておりますが、四月から始まります新年度におきましては、このような状況にかんがみましてフィリピンにおける評価調査というのを重点的に力を入れて行っていこうということで、現在農業とかエネルギーとかそういうセクター別に専門の方々にお願いをし、我が国の対比経済協力がどのような効果を上げ実績を上げてきたかということを評価してまいろうということを考えておる状況にございます。
  59. 黒柳明

    黒柳明君 それは現地に派遣する前提でいろいろ資料を集めるというか、要するに今おっしゃったようなことがあるんですが、現地に派遣するわけですね、もう一回。
  60. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) さようでございます。
  61. 黒柳明

    黒柳明君 いつごろになりますか。
  62. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) これは今人選を進めている段階でございますので、新年度に入りましてこの予算が成立をしました後に、行っていただく方の御都合それから先方の受け入れ態勢等を勘案しながら順次派遣をしてまいりたいというふうに思っております。
  63. 黒柳明

    黒柳明君 これは外務大臣にこんなことを言うまでもなくマルコスが資産を形成したのは確かにマルコス前大統領の罪である、こう思いますけれども、これはアメリカも含めて日本は当然のことながらそれに結果的には手をかしてしまった。これも残念ながら今大臣がおっしゃったように明らかなわけであります。あのサロンガ委員長が私がワシントンにいたときには下院で証言をしておりました。それからニューヨークに来て間もなくマニラに帰るわけですね。それできのうもおとといもけさもサロンガ長官との対話が活字になっておりましたが、早速関連の業者を呼んで事実究明に当たりたいと、こんなことも言っておりますですね。ですから、どこよりもやっぱり日本が一番積極的にこの問題について対応しなきゃならない、そうしようと大臣もおっしゃっているわけですから。そうなりますと、ちょっと政府の取り組み方があるいは遅いのかな、もっと速やかにやる必要があるんじゃなかろうかなと、こんな感じもしないではありません。  まあそれはともかくとして、またいろいろ質問しますが、まず一つ大臣、このリベートというのは一般商習慣として正しい、こういう場合もありますが、このマルコス問題、フィリピン問題について、いわゆるマルコス文書で出てきたリベートというものについて、一般商習慣としてこれは妥当なものであるという判断をしますでしょうか。どうでしょうか、大臣
  64. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはまさにこれから解明さるべき問題だと思うんです。私もただアメリカ国会で証言された内容等を新聞を通じて承知しておると、外務省も入手した文書は大体そういうことでありまして、これがどういう性格のものか、まずフィリピンの法律でどういう形、どういうことになるのか、商業的には口銭とかリベートとか、これはどういうときでもあるわけですけれども、今の取り上げられた問題については、果たして正当なリベートとか、口銭とかそういうものと言えるのか、あるいはもっと権力に結びついたということがはっきりしたときに何か法律上の責任を問われるようなことになるのか、その辺のところはやはりフィリピンの法律の問題だと思います。  ですから、これは見てみないとわからぬと思います。それからまた、そういうことに日本の企業が関与したときに今度は日本法律との関係で、特に主として税法の関係や外為法の関係でどういうふうになるのか、この辺のところも具体的には我々としても調べる立場にありませんし、もっと明らかにならぬと何とも言えない状況でありますから、こういう点はだんだんとこれから事態が明らかになってくるにつれてはっきりしてくると思いますし、特に私は、そういう問題が日本の援助との絡みで問題になるということになると、これから援助を進めていく場合において、非常に援助そのものが、せっかくの援助が相手の国民に対して批判を買うというようなことになっては意味ないわけですから、この点は十分踏まえてこれらの問題の処理といいますか、対応といいますか、解明を図っていかなきゃならぬと、こういうふうに思います。
  65. 黒柳明

    黒柳明君 お金には印がついておりませんから、我が国の円借款からリベートが払われたのか、あるいは商習慣として手数料として、コミッションとして払われたのか、これは調べてみなけりゃわからない。これは確かに大臣の立場になりますとうかつな発言はできない、これはもう当たり前だと思います。ですけれども、どう見ましても今のこの問題というのは、一般商習慣の中で行われたものにせよ、今大臣おっしゃったように、日本の円借款にまつわる非常に不明瞭なうわさが立てられたこと自体がやっぱりうまくない。  さらにもう一つ言うと、これが円借款に上乗せされたものであると、さらにこれはとんでもないものである、こういうことになるわけでありまして、しかも何かいろいろの、マスコミの活字と言っちゃ失礼ですけれども、そういう中においては、もうフィリピンについてはこんなのは当たり前なんだ、こういううわさ以上の信憑性があるものがどんどん証言として出ております。昨日、特別委員会設置、それから証人喚問も与党・自民党はのむと。例の五十一年のロッキード、五十五年の航空機疑惑のときから、証人喚問については法的に疑義がある、法を直さない限りはもう呼ばないんだというようなことをおっしゃっていたわけですね、与党・自民党としては。ですけれども、経企庁長官のああいう発言が幸か不幸かそういう証人喚問ということまでも合意ということになったわけでありまして、しかも、フィリピンの方ではすぐこれが始まると思いますよ、どんどん要するに実際の商社関係を呼んで。  そうすると、今までの場合には、国会でこれをやればいいんだ、こういうふうに国会にげたを預けていましたけれども、今回は私はそうじゃないというような感じがするんですよ。やっぱり新聞に、あるいはテレビに報道された。これはあくまでもアメリカ政府が、いわゆるソラーズに出した文書の中に出ているわけですから、しかもマルコスのサインもきちっとあるものですから、だからこの真偽のほどというものはそんなに疑惑を持って見る必要はない。もう真実であること間違いない。であるならば、ひとつ日本政府も、外務大臣が、あるいは総理も積極的解明という御発言をなされるならば、やっぱり行動もこれに伴っていかないと、これはフィリピンの方からまたボールが投げられた、それから今度はソラーズ委員長も秋には選挙がありますから、これはそれなりに真剣ですよ。ただし、私のあれするところ、向こうの政府当局・司法省当たりはロッキードと全く次元が違いますからちょっとどうかなという感じがしますけれども、少なくともソラーズ小委員長関係では真剣ですね。  そうなりますと、次から次からフィリピンからアメリカからいろんな事実が出てきて、日本ではそれを受けて立つというようなケースではちょっと今度はうまくないんではなかろうかというような感じが非常に強くするわけです。まして、これはこんなことないと思うんですが、野党も調査委員会をつくりまして野党からどんどん出てきたなんといったら、私の方はそんなことやりませんよ、おとなしくやっていきますけれども、野党からいろんな問題が出てきて、政府の方が何やっているんだということになりますと、それこそやっぱりうまくないんじゃなかろうか。これは外務大臣がもう既にあれだけの積極発言をされましたから、もう各省と政府がタイアップして徹底的にこの究明の方向にいっていると思います。それにしてはちょっとやっぱり、またフィリピンの方が先行するのかなというような感じがいたします。  どうですかな、大臣、例えば疑惑として指摘されたような業者なんか含めまして、その事実関係というものを調べるというような、外務省は今までにない積極姿勢を示すというような考えはないですか。外務省が責任を持って円借款の窓口としてやった問題ですから、その責任を感ずるならば外務省が相当のところ、事実関係はすべて司法当局に任せるんだということではなくして、できる範囲においては事実関係というものをみずから認識していく、調べていくと、こういう積極姿勢が今回はあってもいいんじゃないかなという感じもするんですが、その点いかがでしょうか。
  66. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これまた全貌をキャッチしておりませんから軽率にはっきりしたことは申し上げられませんが、総理も私も国会で申し上げましたように、これはやはり究明しなきゃならぬという考えてありますし、今いろいろと表に出ている文書、あるいは情報として入っているいろんな内容等も踏まえて、例えば法律違反があるということになれば、これは関係各省庁で検討もしておられるだろうと、私はそういうふうに思います。と同時に、外務省としましても、これは外務省だけが所管じゃないんですけれども、四省庁でやっています。しかし、外務省が大きな役割をしておりますから、対外関係においてはやっぱり大きな責任持ってやらなきゃならぬと思いますが、ああいう文書の中へ出ている円借のプロジェクトとか、そういう問題点でいろいろと言われておりますから、その円借なんかの事業が、交換公文もありますし、フィージビリティースタディーもその前にやっていますから、交換公文どおりきちっとやっているかどうかということが非常に大きな私は問題だと思います。  これがきちっとやられなくてどこかそれが妙なことになっていたといったら、これはもう大変なことでありますし、そういう点、明らかになった具体的なプロジェクト等をやっぱりきちっとフォローアップして、交換公文どおり行われておるか、実行されておるかということは、これは外務省としては確認する必要があると、そういうふうに思って今度調査団も派遣してそういうことをやるわけでありますが、内部でフィリピン政府当局とそれから日本の業界との間でどういうことになっているかということは、なかなかこれは交換された文書以上に我々としてもキャッチできない面がありますし、あとはフィリピンの法律の問題そのものとの関連でもあると思っております。そういう点で、もう少し我々も情報はできるだけ集めるように努力してみたいと、こういうふうに思っておのます。  ただいま概括的に申し上げたわけでございまして、それ以上のことはなかなか今具体的にそれじゃどうなっているというところまで申し上げる立場にはないことをお許しいただきたいと思います。
  67. 黒柳明

    黒柳明君 確かに海外援助というのは難しい点があるわけでありますが、交換公文どおりといっても、何か今の事件というのは政治的圧力でその優先順位を変えてそれで私腹を肥やす材料にしたと、こういうようなことについてはこれは全くああいう文書が出たからわかるようなものであって、全くそんなものはわからないわけでありまして、あくまでも向こうから要請、こちらが調べた、それで交換文書をつくった、それに基づいてこちらが援助をする、まだこの範囲を出ないわけであります。  ところが、その中においても、今申しましたように私腹を肥やすために悪いことが行われていたような感じがするわけでありますが、今大臣おっしゃったんですけれども、例えばロッキード事件の場合も、会計検査院が全日空についてもうちょっと立ち入って監査していればあのロッキードの発生が未然に防げたのかなと、こういうことがあのとき論議されたわけであります。ですから、会計検査院がこのフィリピンの問題についてタッチする、こういう方式もやっぱりとった方がいいんじゃなかろうかと、こういうような感じがするんですが、この点いかがでしょうか。
  68. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、例えば日本の援助する方の実施機関である基金とかJICAとか、そういうところに対して会計検査院はもちろん審査をするのは当然のことでありますが、海外の援助した事業そのものについて具体的にやるというのは会計検査院法ですか、立場から難しい、できないのじゃないかと、こういうふうに思っております。大体各国の援助もそこまではやっていないというふうに承知しております。これは二国間の問題ですけれども、しかしそうは言っても、援助したものがきちっとやっぱり実行されるということは大事なことですから、その点についてはもう日本政府としても相手国との約束をきちっと守らせるという立場でもっと努力する必要といいますか、そういう点は今いろいろと検討する必要があると思いますけれども、会計検査院が出ていくというのはちょっと海外の援助については難しいんじゃないだろうかというふうに私は思っております。
  69. 黒柳明

    黒柳明君 確かに、会計検査院、国内の問題じゃありませんから、しかも、善意の援助といいますか、海外援助ですから、それを一々国内で調べるということはできない。しかし、やっぱりこれは、大臣がくしくもおっしゃった二国間の問題ですから、二国間の合意があれば決して一〇〇%できないという問題でも私はなかろうというような感じがするんですが、どうですか。  私が言ったのは、今のフィリピンのこういう問題だけについてという前提を附置して、すべて、あるいはこれからもということじゃなくて、これだけの疑惑が上ってきたわけですから、これだけでもという前提ですよ。  しかも、さかのぼってマルコス文書の真偽、これはこれからとしても、その範囲に限ってということでアキノ政権と合意を得るということは可能じゃないんでしょうか。
  70. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 基本的には、ただいま外務大臣から御説明がありましたように、政府といたしましては、政府としての事前の調査、プロジェクトの的確な把握、価額計算と申しますか、費用の見積もり等を行いまして交換公文を結びます。交換公文で最高限度額、今回の場合ですと借款の限度額というのを決めまして、かつその中に適正使用条項というものも盛り込みまして、相手国政府がこの借款を適正に当該事業の目的のために使うようにという義務を課し、かつそれに加えまして先ほど委員もちょっと御言及がございましたけれども、随契ということは極めて例外的なものを除いてはございませんで、公開入札によるということを基本にして進めております。  それから以降公開入札を行うべきであるというフレームワークをつくりまして、そのフレームワークのもとで自分の事業でございますから相手国政府が入札を行って一番性能のいいものを一番安い価額で公示していくということは、これは相手国政府がその企業との間で行っていく商契約といいますか商行為として行うものでございますので、その点には原則として日本としては立ち入れない、援助供与国としては立ち入れないし、立ち入るべきではない問題なんだろうと思います。  ただし、それには二つ制約というのがございまして、一つは、ただいま大臣が御説明いたしましたように、交換公文で規定しております適正使用の条項、援助の目的のために使うべきだというのが本当に守られているかどうかというのが一つと、それからもう一つは、国内の関連法令にきちっと沿っているかどうか、この二つの限定がございますけれども、基本的にはその内容相手国政府と企業との間の問題だろうというふうに考えます。  それから、第二点の会計検査でございますけれども、会計検査を相手国に対して行うというのは内政干渉と申しますか、そういう問題がございますし、ほとんどの国はそういうことは行っておりません。ただ一つの例外はアメリカでございます。アメリカの場合には、昔からただ一つの援助国だったという歴史と、それからアメリカの援助自体がかなりの予算補助的な援助だということもあるかと思いますけれども、特別の取り決めを結びまして会計検査用の資料を整えておくようにという合意を結んでやっている。しかし、日本も含めましてはかの援助国は、やはり援助の本旨から申しまして経済協力というのは相手国の事業をお助けするんだという基本的な態度からしまして、相手国に入っていって会計検査というものを行うというのは、本来の援助の趣旨たる両国間の友好関係の促進というものに役立たないんじゃないかという考え方からそういう姿勢、立場はとっていないというのが現在の状況だと考えます。
  71. 黒柳明

    黒柳明君 アキノ政権も、暫定政府として名称をつけて、憲法改正、選挙も秋にやるとかやらないとかという話がありますが、我が国の借款の債務国としての債務の継承については、何らかの意思表示はあったんですか。
  72. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 特にございません。
  73. 黒柳明

    黒柳明君 この問題はどういうことなんでしょうか、まだ内閣として、政権として安定していないから、そういう意思表示というものについてこちらが確かめる必要がない、まだ対話のチャンスが来ていないということなんでしょうか。たしか、私の知るところによると、有償が四千何百億ですかね、まだ継続中が三十何件ぐらいあったんじゃないですか。これはどういうことに今後なりますかね。今の事態を踏まえると、あるいは凍結とか、これでストップというふうなことも考えられるのか、その点いかがでしょうか。
  74. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘のように、今までの円借款の供与約束ということで申しますと四千億円余り、現実にはまだもちろん実施しておりませんものもございますし、返済したものもございますので、債務ということになりますと恐らく二千億幾らかと思いますけれども、債務の継承云々という御指摘についてはむしろそれは当然のことである、先方がそれを返済してくるないしは債務を継承するのは。ということで私どもも臨んでいるということかと思います。
  75. 黒柳明

    黒柳明君 今現在完了しないのは三十件ぐらいですか、まだ継続中なのは。
  76. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 正確な数字は、今まで実施済みのプロジェクトで申しますと、商品借款を除きますと実施が完全に済んでおりますのが四十五件、それから約束をしまして現在実施中の案件が二十五件、それから約束をしましたがまだ着手をしていない案件、これが十六件ございます。
  77. 黒柳明

    黒柳明君 一昨々日ですか、テレビで、国道第一号線ですか、あのセメントが少なかったのかとか、どうだとかといってもう既に壊れていたとか、こんなことをテレビでちょっと見たんですけれども、大臣、当然向こうが債務を継承するのが当たり前だと、こう今局長おっしゃったんですけれども、私もそれは当然だと思うんです。  当然だと思いますけれども、やっぱりこれは二カ国間の約束事ですから、しかも革命政府と言いたかったのが暫定という名になったわけです。懸案はこれからありますね、いろんな問題があります、国内的にも対外的にも。ですけれども、もう対日のこういういろんな不明な点が出された、日本関係の今指摘された問題につきまして、これはもう当面緊急の問題ですね。これについてやっぱり政府としてもこの問題を解明しなきゃならないという立場ですと、今までと同じぐらい今後のウエートがあると思うんですね。それについて向こうの政府のしっかりした発言というか意思表示というものをつかまえなきゃならない段階じゃないかと思うんですけれども、大臣どうでしょうか。  向こうが発言するのをまず待って、もうちょっと余裕を持ってというようなことなんでしょうか。当面はまだ業者も手つかずであると思います、不安だと思います。しかし、援助というのはマルコスのためにもアキノ大統領のためにもやるのじゃなくて、フィリピン民衆のためにやるわけですから、それが全く業者の方はどうなるかわからない、不安である、手つかずである、しかもやったところがもう壊れちゃって疑惑が出ている。今までもいろんな疑惑が出ている。  そうすると、将来のことについては全く、フィリピン国民のための援助なんでいうことは口で言いましても現実には全く進んでいないわけであります、手つかずなわけであります。そうすると、向こうの方もこれについては当然債務を継承する姿勢はあるとは思いますが、果たして全面的に継承するかどうか疑問なんじゃないでしょうか。ということは、マルコス政府がやったことです、しかもそこにいろいろな業者とのリベートがある、しかも工事について不備がある。そんなものをアキノ政権が責任を負えるかということになりますと、これは客観的に見ますと、きちっとした工事が行われているならばマルコスが私腹をこやした分についてはアキノ政権はこれはもう関知するところじゃない、しかしながら国の全責任を負った政権としては、工事がきちっとしていない面においてこの債務を継承できるのかどうか、これについては一言やっぱり言葉が出てくる可能性があると思うんですけれども、局長
  78. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 先ほど先生御質問ございました、先般協議チームということでフィリピンに参りまして、先方の責任者の方々とお話ししてまいりましたときの経験に基づいて御説明を申し上げますと、先方は前政権のときに約束済み、昨年の十二月二十四日に交換公文を下しまして、十一プロジェクトとそれから商品借款をお約束済みで、その後貸付契約をちょっととめておるものがございますが、それについては現在新政府として検討している、新しい政府でございますからいろいろ政策の重点の置き方も当然違うと思いますし、そういう新しい政策に照らして検討している。大部分のプロジェクトは民生の安定ということに向けられているものだということで、そのまま貸付契約の調印に進んでいきたい。しかし、一、二件かと思いますけれども、フィリピン政府としての内貨負担が多いもの、今経済の状況が非常に悪いものですから、それについてはちょっと後回しにするということをお願いをするかもしれないというような感じでございまして、基本的には今までの日比間の経済協力関係というものを進めていく、維持発展させていきたいという意気込みが感ぜられました。  それから第二番目に、技術協力それから使節団、調査団の派遣等々は一時期、例の政変の前後の若干混乱した時期というものは、二週間ばかりとまっておりましたけれども、その後はきちんと、先方も来てくれということで派遣も続けておりますし、それから返済等も遅滞なく行われているということでございまして、両国間の経済協力の実務面での関係というのは若干の空白、当然のことながら二週間ばかりの空白はございましたけれども、その後は以前どおりに進められているというのが現状でございます。
  79. 黒柳明

    黒柳明君 繰り返して申しますけれども、もうそろそろ、向こうは完全に債務を継承すると、こう意思表示をはっきりつかんで、今までの疑惑はこれからですから、今後に対するプロジェクトというものを進めるなら進める、こういう段階に来ているんじゃなかろうかと私思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  80. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この点については私は全く疑いを持っておりません。それはアキノ大統領も政権を獲得しまして、国際協約は守っていくんだ、国際協約はこれを遵守するということをはっきり言っておられますし、日本とのいろいろなこれまでの政府間の協議におきましても、今局長が申し上げましたように、これまでのマルコス政権との間に続いたいろいろな案件等についてはこれもアキノ政権として継承していくということでありますかも、その点は我々は何も心配しておりませんし、むしろこれからどういう形で日本がアキノ政権に協力できるか、フィリピン経済の安定に協力できるかということを主体にひとついろいろと相談をしてまいりたいというふうに今思っておるわけです。  もちろん今までの案件について、私は全体的には非常に日本のフィリピン援助というのは、いろいろと疑惑の方が先に出て、何かフィリピン援助が問題が多過ぎるような話ですけれど、今いろいろとフォローアップしていますけれども、全体的には私はフィリピンの経済には非常に資したと思っておりますし、そして約束はきちっと守られている。リベートの点がいろいろと言われておるのは非常に残念ですけれども、これはなかなか我々としてキャッチできない点がありまして、実際は交換公文に基づいたいろいろの事業は相当きちっと行われておると思いますが、しかし、これは調査もすることは当然でありますし、それからやはりこれからの、今フィリピン経済が悪いですから、例えば金利等の棚上げとか、そういう措置等についてはこれはIMFなんかでもやっておることですし、日本としても、これまでの二国間の約束はちゃんと守っていただけるという大前提の中であって、しかし同時にまだこれからのフィリピンの経済の安定と発展のためにどういうふうに協力できるかという点は十分踏まえて、そういう点では弾力的に対応していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  81. 黒柳明

    黒柳明君 アジア局長ね、先ほどアメリカで公表されたもの二千ページ、日本関係百五十ページ、今いろいろ検討されているとおっしゃいました。ソラーズ委員会は未公表のものをまだ持っていると、こういうことですが、この文書を要求はしているんでしょうか。
  82. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 確かに若干の文書が発表されていないのがあるようでございます。しかし、これは米国側の説明によりますと、全く第三国にかかわるものではなくて、個人の問題にかかわることであって、ましてや日本を含める第三国の企業の問題にかかわるものは全くないんで、この部分は公表しない。これについては日本関係するものは全くないということをはっきり申しておりますので、私どもとしてはこれについて文書を要求する考えは持っておりません。
  83. 黒柳明

    黒柳明君 失礼ですが、今おっしゃったそれはどこから、国務省ですか。
  84. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 国務省及び議会関係でございます。
  85. 黒柳明

    黒柳明君 ソラーズ委員長とも私はいろいろコンタクトがありますので話をしておりますけれども、先ほど申しましたように選挙がありますので、それからこれはあくまでもアメリカ国内というよりも日本・フィリピンの問題で、特別にアメリカ国内の問題は、これは議員が三名出ておりますね、それからレーガン、カーターの選挙資金も出ております。だから国内は全く関係ないということはないんですけれども、ただ、ロッキードと違って議員から直接文書を入手したという問題じゃなくて、アメリカ政府からソラーズに渡ったという文書ですから、ロッキードと全くケースを異にしていることは間違いないんです。  ただ、これは私はまだこれからいろんな調査が進んでいくわけですけれども、米国政府が入手したものを、不利なものをやっぱりソラーズ委員長に渡すということは現実的に考えられないわけでして、また、米国政府が対日関係を考慮しないということも考えられないわけでありまして、そんなことから御案内のようにその中にアメリカで追及する最も重要な問題があるんだ、フィリピンではこれからそれをもとにしてやるんだとか、そこに日本の政治家の名前が出ているんだとか、また私はこういううわさを根拠にして何も発言もしたくないんですが、そういううわさが立っていることだけは客観的に間違いないわけであります。  ですから、これからいろんな問題が発展する可能性があるわけでありますので、未公表の中に、国務省、議会筋が言うんですから一〇〇%間違いはないと私も思いますけれども、ひとつそれについてはあくまでもフォローアップしていかないと、何のために公表しないのか、これだけ膨大なものを、しかも、その中にはレーガン、カーターの選挙資金までもやったと。これまで出ていながら何で未公表な部分があるのかということについて私は非常に疑惑を持たざるを得ない、こういうことでありますので、今別に私がそれについてどういうものがあるんだと、こう指摘する何物もないわけであります。局長のおっしゃったことを信ずるよりほかないんですけれども、非常に未公表ということについて疑問を持たざるを得ない。これから私どももその点について何らかの調査をしなきゃならないとは思っているんですけれども、局長がおっしゃったこと、これについて私たち今のところは御答弁を信ずるよりほかない、こういうふうに思うわけであります。  それから、局長、もし資料を今分析したところで、失礼ですけれどももう既に活字になっているわけでありますから、それ自体失礼ですけれども、政府が後追いなわけであって、これはもう事実は間違いないんですが、そういうリベート関係が出ているわけですね、マスコミの活字になって、テレビで報道されているように。そういう事実が、分析して活字になって出ていることは間違いないと思うんですが、それがわかったときにはどうされるわけですか。これはもう既にマスコミで報じられているわけであります。亡くなられた東陽通商の小竹さんという人はこうだああだとか、マルコスに対して手紙を出したとかこうとか言っているわけでありますが、そういう事実関係というのは間違いなくその中に入っているわけでありますね。リベートがあった、要求された、一五%、一〇%だと。そういう事実関係が外務省として目で確かめた、その後はそれをどうされるわけですか。国会の究明を待つわけでしょう。その後どうするわけでしょう。
  86. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 私どもがただいま鋭意分析しております中で、資料の、もう先生御案内のとおりでございますけれども、送金通知とか送金依頼書とか、あるいは送金計算書、船荷に関するメモ、船荷証券、企業のビジネスレター、円借款に関するリスト等というものがいろいろな形で並べられている、これはもう先生御案内のとおりでございます。  これは、私どもとしてはこの結果どういうものが出てくるかは別にしまして、まず第一に私どもがなすべきことは、こういうものをはっきりと整理分析するということでございますけれども、その結果どうするかという御質問につきましては、先ほど大臣からもお話がありましたように、改善すべき点とか何をすべきかという点は、私どもとしては慎重に検討しなくちゃいけないんだろう、そういうのが現在の段階でございまして、その後それじゃどうするかという御質問については、私どもとしてはまず第一に、しっかりと分析をする、誤りなき分析をしたいということが現状でございますので、それ以上のことを特にここで今御答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
  87. 黒柳明

    黒柳明君 分析は当然やらなきゃなりませんですね。それから今度は、それが疑惑であり、その事実関係がそうであったかどうかということは活字だけじゃわからないわけですよね。それはどうされますか。果たしてそのマルコス文書なるものに書かれたもの、いろんなものがあるわけです、今おっしゃったようなことも公表されている。その事実関係というものがはっきりわかって改善すべきは改善する。誤りのものはこれはもう誤りとしてネグればいいわけですからね。ですから、政府としてその事実関係についてどういうふうな解明、究明の方法を考えていらっしゃるのか。
  88. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 私がお答えいたしますのも、既に先ほど大臣からお答えしたところに尽きると思います。  その結果、やはり日本政府として一体何ができるかという問題等ございます。したがいまして、その分析の結果は単に外務省のみならず、関係省庁とも同じように今その文書を持っておりますから、分析いたしまして、それを照合いたしまして、政府として何ができるか、やっぱりできないこともあるわけです、黒柳先生御案内のとおりでございます。それはその時点においてまた考えなくちゃいけないと考えております。
  89. 黒柳明

    黒柳明君 これは新聞報道でもう御存じだと思うんですけれども、けさも、神戸の総領事館の跡地が、何かリベートよこせ、三億だとか、それからせんだっては六本木の旧大使館あるいは大使公邸の跡地、しかも不動産業者は手付までも取られたとか、こういう問題も出ておりました。それから、丸紅の問題も出ておりました。それから、フィリピンの報道で、二億の資産が東京に送金され、預金されているとか、こういう報道も出ておりました。等々いろんなものが出ているわけでありますが、こういうものについては、局長さんが今おっしゃった、いろんな解明をしなきゃならない、そういう中に入れていますでしょうか。マルコス文書の中にはこれは入ってないわけですよ。こういうものについては事実関係を解明する中に入っていますでしょうか、検討項目の中に。
  90. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 今、先生の御指摘の例えば六本木の土地とか神戸の問題等は既に新聞等にも報道されておりますもので、私どもとしては大変関心を持ちまして調査をいたしたわけでございますが、私どもの承知する限りにおいては、例えば六本木の土地について何か大使館、これを処分するとか、そういうことはうわさの段階でございまして、現状においてそれが処分されるというようなことは承知しておりません。また、そういうことになりますれば、この土地をフィリピン政府が取得した経緯にかんがみまして、当然私どもに事前に連絡があるはずでございますが、そういうこともありませんし、ただ受け身じゃございません、私どもの方から積極的にこのフィリピン大使館等にも照会した経緯がございます。神戸につきましても、同じようなうわさはございますけれども、現状において何か特別なあれがあるというようには承知しておりません。  このように、私どもとしてはかような報道が出ますと、やはりただ傍観するんじゃなくて積極的にその事実関係の解明には努力してまいりましたし、今後とも努力してまいりたいと、かように考えております。
  91. 黒柳明

    黒柳明君 時間がありませんので、外務大臣、まだまだこれは事実関係というのは私もわからないだけに、いろんな問題についてマスコミの活字や何かを拾いながらできるだけ努力をしながらやってきたし、これからもやらざるを得ないと思うんですが、いずれにせよ、この問題について日本政府が相当テンポを速く解明の歩を進めないとやっぱりうまくないという概括的な感じを今持っているわけでありまして、外務大臣、総理を初め積極的な発言をしておりますので、ぜひ行動も伴ってこの解明について日本政府が積極的に行動を起こして、国民の貴重な税金を、過去はどうあれ、これからは一銭たりともこういう不明瞭なところに使わせない、こういう意欲を示していただきたい。  これが私の最後の要望でありますので、ひとつ外務大臣先ほど松前先生もおっしゃいましたように、経企庁長官の発言から衆参で特別委員会ができましたし、それから証人の喚問も、これは国会でこれからどうなるかわかりませんが、一応喚問もすると、こういう前提で委員会の設立も決まりましたし、きのうからまた新しい時点で外務大臣もこの問題に取り組むお考え、決意をお持ちであるかと思うんですが、この問題の締めくくりに外務大臣のひとつ締めくくりの御発言を願いたいと思います。
  92. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) この問題はしばしば申し上げましたように、日本政府としましても、私としても最も大きな関心を持っておりますし、これからの日本の援助ということを考えますと、やはり疑惑の点は解明をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておりますので、外務省としてもこれから国会でも御審議が行われると思いますが、できるだけの御協力を申し上げなきゃならぬと思います。  また、同時に外務省として入手した資料等につきましては、関係各省に早速これは配付、提供いたしまして、関係の各省庁の検討に資したい、こういうふうに考えております。
  93. 黒柳明

    黒柳明君 最後に二つまとめてお伺いしますが、一つはSD1の問題ですけれども、二十九日の土曜日からですか、第三次が官民合わせて二十一社ですか、調査に行く。各国も一応、イギリスは政府と民間ですか、大体あとは民間ということで対応が出ているわけですが、もうこれは実際にアメリカから要望があってから足かけ二年、丸一年数カ月たつわけですね。ですから、別にサミットを目標ということではなくて、あるいはワインバーガーが間もなく来るわけでありますが、それを目標じゃなくしても、もうそろそろ政府としてもどういうふうに参加するのかしないのか、こういう意思表示をするときが来ているのかなという感触が私は客観的にするんです。  ということは、一次、二次が行って第三次、しかも民間も行っているわけですから。しかも年数も相当たっている。しかも西側諸国の対応が一応出ている。こんなところを含めますと、もう日本としても、まあ総理大臣はかねて積極的であって外務大臣は若干いい意味で非常に慎重であったと、こういう感触を受けるわけで、食い違いという意味じゃないと思うんですけれども、それにせよ、何かもうそろそろ時期が来ているのかなという感触がするんですが、これはそういうことでもないんでしょうか。まだまだ外務大臣の本来の発言であった慎重に、慎重にという、まだ時期であるのかどうか。  それからもう一つ、この条約に絡んでですけれども、皮革、革製品の問題がガットの中で出ておりますが、MOSS協議の中でまたこれが出ているわけであります。MOSSの四項目が一応まとまって、行政レベルでは一応評価しているんですが、まだ議会筋は、御存じのように、貿易摩擦でいろいろクレームをつけているわけでありますが、MOSSが終わってまた新MOSSだ、また新々MOSSだと、いつまでいっても日本は受け身で、要するに五百億ドルが何百億ドルに黒字が下がらなければアメリカからの受け身でなきゃならないのかと、こういうことも考えられるんですが、そのMOSSから新MOSS、さらにその次の交渉、このMOSSについても日本側も相当やっぱりある意味においてきちっとした姿勢を示しておきませんといけないんじゃないかなという感じもするんですが、その点いかがでしょうか。
  94. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) SDIについては、私もしばしば申し上げておりますように、これは国の非常に大事な方向の決定に関する問題ですから、慎重の上にも慎重を期したいというのが私の考えで、これは変わりません。  それで、三次調査団を出すわけですが、今度相当大々的に調査してまいりますので、その調査の結果を踏まえて、それを十分お聞きをして、さあどうするかといった点等も考えてみたらいいんじゃないかと、こういうふうに思いますし、さらにその調査団の結果がいつごろ出るか、私はそう時間を制限してこれに対して結論を出す必要はないえじゃないかと。アメリカは、黒柳さんもおいでになって、どういうお考えを持っておられるか、感触を持たれたか知りませんが、アメリカは相当SDIに対しては日本協力、研究参加に対する協力を求めるという姿勢はこれまで以上に強くなったような感じはしておりますけれども、しかし日本日本の問題ですから、我々としては第三次をとにかくやってもらって、それを踏まえて検討したらいいんじゃないかと、こういうふうに考えております。  それから、貿易摩擦の方はやはりこれだけの黒字ですから、確かに円高等が進みましたために今までよりちょっとアメリカの空気も落ちついているといいますか、MOSSもあのように決着しましたし、そういう感じがありますけれども、しかしこれからの議会はやはりこれだけの貿易黒字でまたいろいろと火の手が上がってくる可能性もなきにしもあらずだと思いますし、新しい四分野以外にアメリカ側としても何か新しい分野を研究しよう、MOSSでやろうじゃないかということを言ってきておりますし、まあ日本としてもその点については話し合いをしようということになっておりますので、これは政府間でこれからひとつ協議をしていきたいと思いますが、全体的には貿易摩擦の問題はそうなかなかこれでもって終わりということにはどうもならないんで、これからも延々として続いていく中で、いかにしても日米間の信頼関係を保ちながら自由貿易という体制をやっぱり何とか維持していくという努力は日米双方に大事じゃないかと、こういうふうに思っております。
  95. 最上進

    委員長最上進君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  96. 最上進

    委員長最上進君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件、両件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 秦豊

    秦豊君 最初に外務省に、ガットに絡んで一問だけ伺いたいと思います。これは賛成法案ですからしつこくはやりません。  今度の措置によりまして、皮革革靴をめぐるいわゆる対外摩擦、主として日米ですけれども、これは恒久的に解消されるんだというふうに楽観してよろしいんですか。
  98. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) 今度の交渉の目的は、我が国がこれまで皮革及び革靴につきまして維持してまいりました措置ガットの整合性、これが中心的な問題でございました。このタリフクォータという制度は、これは諸外国にも例はございますし、ガットとの整合性は担保されております。その意味におきまして、法律的な問題につきましては、これから以後はガット上の問題は生じない、かように考えていいかと思われます。ただ、これから先、実際に例えば輸入の量がどれくらいになるとかそういうことにつきましては、それは全く問題が生ずる可能性がないとは申し上げられません。しかしながら、その場合の調整は、もはやガットとの整合性という次元の問題じゃなくて、あくまでも個別産品の貿易の問題、そこに還元されるというふうに考えております。
  99. 秦豊

    秦豊君 それから、先ほど同僚議員がアメリカとリビア間の戦闘行為について若干質問されたようですね。外務大臣、自衛権論争まであったようだが、ごく平明にこれを考えまして、アメリカとリビア間のこういう軍事紛争というものについて、少なくともこれまでの国際的な反響としては、イスラエルがまずトップで、続いてイギリスと、大体同じころにやや肯定的な、支持するというふうなニュアンスではないが、否定的ではないという反応を打ち出しておりますけれども、日本の外務省、特に外務大臣としては、少なくとも最もティピカルな砲艦外交の現出であって、好ましいというふうな態度は私はとれないと思うんですが、基本的にどんなふうなお考えでしょうか。
  100. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはアメリカは自衛権の行使だと、こういうことを言っておるわけですが、これに対してアラブ諸国は結束して、全会一致というべき姿でアメリカを批判している、こういう状況です。そういう中で、日本としましては、この事態がやはり何とかおさまることを心から念願しておるし、これ以上拡大することを大変憂慮いたしておるという立場で、これ以上突っ込んだ見解を申し上げるという立場に日本政府としてはないし、またそういうことは避けたい、こういうふうに思っておるわけです。とにかく、一日も早く事態の平静化を期待する、こういうことであります。
  101. 秦豊

    秦豊君 安倍外交というのは創造的外交ですよ、理念の根底としては。お世辞でも何でもなく、あなたが大臣就任されてからの日本の中近東外交というのは、少なくともアメリカの引力圏を脱却しようというふうな基本姿勢のもとに運行され、実施をされてきた、だから中近東諸国から日本を見る目は変わってきたわけですよ、あなたになってから。そういうときに、つまりシドラ湾事件のようなときに、一日も早い鎮静化を期待すると、これは当たり前の話ですよ。そうじゃなくて、安倍外交なんだから、もう少し踏み込んだコメントがあってしかるべきではないのか、日本外交としてのアナウンスメントがあってしかるべきではないかというのが私の意見なんだが、重ねて大臣いかがですか。
  102. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは今始まったばかりでありますし、それから事態がどういうふうになっていくか、その背景というものは具体的にまだ我々も承知しておりませんし、もっと事実関係日本としても知る必要があるんじゃないか。現在の事実関係だけでは十分でないと我々は思っておりますし、そういう点で今コメントは差し控えるという立場をとっておるわけでございます。これは日本はやっぱり第三国という立場ですから、そういう意味では慎重にこの辺のところを見ておる。事実関係をもっと把握した上なら別ですけれども、今の段階でそれ以上突っ込んでコメントするということは差し控えるべきだ、こういうふうに思っております。
  103. 秦豊

    秦豊君 こんなことに余り無用なエクスキューズというか、遠慮はそれこそ無用だと思いますがね。  ならば、この問題については最後に大臣、きょうも日本時間ではタイムラグがあるけれども、国連では米ソそれぞれの国連代表が激しく論争を展開しているわけですね。日本の国連大使はどういう立場をとるように訓令されたんですか。
  104. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まだ日本は今常任理事国でもありませんし、非常任理事国でもない、メンバーでないものですから、これから国連総会で論議されるという事態になれば、また採決されるということになれば、日本の立場については訓令しなければなりませんけれども、何もまだそういう点については訓令も指示もいたしておりません。
  105. 秦豊

    秦豊君 これ以上あなたはなかなか難しそうだけれども、やはり事あるごとに中東各国の反応というものをもっとナーバスに、また的確に予見して、それを表現する場はもちろん二国間、多国間あるけれども、やっぱり国連の場というのがあるわけだから、国連でこそそういうアピールを積極的に展開されんことをこれは希望しておきます。  それから、きょうはフィリピン問題を少しやってみたいと思っているわけですが、その前に安倍大臣どうされますかね、日本とソビエトの問題で、私この前の予算委員会三月十二日に伺おうと思って時間切れになったので、ちょっとリピートしますが、どうされますか、日ソの定期外相会議ですね。これは今煮詰まりつつあるんですか、ほぼいつごろというふうな線で、いかがですか。
  106. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) またこれは煮詰まってはおりません。しかし、とにかく私が行くということについては、これは日ソ共同声明で明らかにしておりますし、向こう側もそれは十分承知しておりますから、歓迎するということですけれども、いつそれじゃあ行ったらいいかとか、こちらも実は都合があるもんですからね、向こうも都合があるでしょうし。その辺のところはこれからひとつ詰めようということで、とにかく行くということについての合意はもちろんできているわけですから、問題はタイミングの問題で、その点についてはまだまだこれからの相談だと思っております。
  107. 秦豊

    秦豊君 そうだと思いますね、外務大臣。あなたは福田派の首脳なんだから、首脳として考えるべき政治日程もいろいろありますしね。中曽根さんの政治日程にべったりでは独自性がなくなるんだから。それで、例えばサミットの後、仮に同時選挙か単独かは全然関知せざるらち外の問題としても、少なくともあり得る時期としては東京サミットの後、選挙戦の公示の前というふうな時期は、私はやはり懸案のたまっている日ソ間の外相定期協議としてはむしろ望ましい時期ではないかと思いますが、いかがですか。
  108. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろんサミットの前ということはちょっと考えられませんが、サミットが終わった後どういうタイミングで行けるか、それはやはり向こう側も米ソ首脳会談等も控えておるし、これは非常に微妙な状況にあるようですから、その辺のところはなかなかまだ、こちらも向こう側も詰め切っていないということなんです、実際のことを言いますと。ですからサミットまでは不可能だと思います。サミット以後いつの時点でということについては、これはまだまだ交渉して決めるという段階にまで至っていない、こういうことですね。
  109. 秦豊

    秦豊君 なぜ私がこういうふうに細々と伺いたいかといいますと、多くの方々が待望している北方墓参問題というのがあるわけですよね。これは九月じゃないんですよ。八月でもないんですよね。七月を希望している。それでソ連の方は決定的にネガティブな反応は今のところ示していないんですよ、可能性のある問題だと。つまりドアを半開きにしているわけですよね。あながち望みなきにあらず、そうするとそれを、出先には大使もいる、それはわかり切った話だが、やはり科学技術協力協定の問題もあるし、それから安倍外交としてはやはりここで何か日ソ間についての問題妥決の、やはり領土問題なども絶えず主張し続ける必要があるんだから、むしろ能動的に外務大臣が行く番であれば積極活用をして北方墓参問題を解決し、科学技術協定に道を開き、領土問題でもう一回日本側の主張を堂々と展開する場としては、むしろ七月以前に、あるいは六月以前に、五月下旬というふうな時期をソ連側との合意を取りつけて、むしろ外交的な場をつくると、これは私いい展開だと思いますが、重ねていかがでしょうね。
  110. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 秦さんのお考えは非常にいいお考えだと思います。そう時期がいつまでもというアローアンスがあるわけじゃないですから、私のときに必ず私は行きたい。行って領土問題も東京でやりましたから今度はモスクワできちっとやりたいと思いますし、同時に文化協定、それから北方墓参の問題も、特に北方墓参の問題については向こう側も非常に人道的な問題だということで、いわば門をあけて待っておる、こういうふうな感じを受けていますから、この辺のところも行けば形をつけたい。それにはやっぱり私が行ってシェワルナゼさんと東京での経緯を踏まえて話をするのが一番いいんじゃないか、こういうふうに思っていますから、私は非常に積極的に能動的にこれは進めていきたい、こういうふうに思っておりますが、これは何といいましてもタイミングといいますか、両方が合う時間というのが、これは話し合いかないと決まらないわけですから一方的にこちら側がこういうふうに申し入れても向こうの立場もあるものですから、その辺はこれからそろそろ外交ルートでひとつ話し合いをさせたい、こういうふうに考えておるわけです。
  111. 秦豊

    秦豊君 外務大臣、非常に率直な御答弁だと思いますよ。大臣のお気持ちは私に素直に伝わってきました。  そこで、またもう一回蒸し返しますが、羽田農水大臣に対して、日ソの魚の問題がこうなっていると。まあデッドロックとは言わないが、それに近いと。農水大臣が訪ソをされればやや解決の方向がほの見えますよというニュアンスがもたらされているときだから、諸懸案を束ねた安倍外交の登場という意味では今までの御答弁をずっとまとめますと、積極的にやってみたい。領土まで含めて、北方墓参も片づけたい。それで科学技術協力協定についても漸進的に取り組みたい、そういう日本外交の姿勢をなるべく早くソ連側にぶつけ、ソ連側の合意を取りつけたらやってみたい、こういうふうなことは非常に可能性のある外交日程だと受けとめてもよろしゅうございますね。
  112. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) そのとおりです。これはこれからの具体的日程として取り組んでいきたい、こういうふうに思っています。
  113. 秦豊

    秦豊君 わかりました。  それからSDIも同僚議員が二、三、松前さんもお聞きになったのではないかと思われます。思われますが、一つ二つちょっとお伺いをしておきましょう。  外務省としては、かねがね安倍大臣の答弁というのは中曽根さんと対比すると非常にはっきりしているんですよ。中曽根さんは、少なくとも前川委員会のリポートに余り期待が持てそうもないという兆候があらわになってきたんで、四月中旬にアメリカを訪れるとき、五月にサミット東京で開くとき、やはり際立った内需拡大策についてみずから確信を持てない段階では、SDIについての日本側の態度を何らか踏み越えておくということが中曽根さんの脳裏の中では非常に重要な課題として改めて浮上している形跡があるんですね。そういう中で安倍外務大臣は、別にこれはタイムリミットを設ける必要はないじゃないかという慎重論を一貫していらっしゃる。私はその慎重論の方にくみしている議員の一人です。そういう慎重さは堅持されるべきである、こう思っているんです。  そこで、午前中にもそういう御答弁があったようだが、私一つ提案があるんですがね。このままで中曽根さんをアメリカへやっちゃいけないと思うんですよ。行かれる前に、外務大臣が発議してSDIについて政府側の方針を、結論でなくてもいいから中間的に取り決める関係閣僚会議の早期開催を提唱していただきたいと思うんです。それであなたが中心になって総理を呼べばいいんだから、大蔵とか科学技術庁とか経済企画庁とかあるいは通産とか防衛とか関係閣僚会議という場をつくって、今後SDIについては中曽根総理の独走は許しませんよ、それは困るんだと。松前さんも言われたようだが、全米の科学者の六二%が実現に科学技術的にさえ疑問を持っている。逆にソ連がより新たな対抗手段、攻撃手段を開発するだろうという可能性については五四%がイエスと言っている。つまり、技術的に見ても空中楼閣的な批判がまた改めて高まっているこの時期に、日本政府としてはいたずらに踏み越えるべきではないというのが私の意見なんで、今の提案いかがですか。
  114. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は、中曽根総理も私も基本的には変わっていないと思いますが、それは例えば今度中曽根総理も行きます。私も一緒に行くんですけれども、今の日本の姿勢はSDIの研究に対して理解をするということですよね。これは総理大臣だけじゃなくて私も含めた政府全体の日本政府としての見解です。これを今度行って一方的に、いやこれは研究参加しますよということは、総理大臣としても言える立場じゃないわけですよ。関係の閣僚もありますし、その前には今おっしゃるように積み上げてきちっとやらないと、総理大臣だけでこういう重大な問題を、参加するとかしないとか一方的にこれは決められる筋合いのものでは私はないと、こういうふうに思っております。やはり手続が要ります。関係閣僚会議もありますし、それから調査を踏まえた十分な検討というものがその前提にならなければならぬと思いますから、そういうふうなことを考えましても総理が一方的に言われるということはあり得ないわけですから、その点私は全く心配もしておりませんし、そんなことはあり得ないと。ですから、調査団が四月の七日か八日ごろに帰ってきますから、それから我々はアメリカに行きますが、また帰ってきまして、そして調査団の検討した結果というのが我々に報告されるでしょう。それがいつになりますか、四月の終わりになりますかあるいは五月になってからになりますか、その辺のところは何もこれは期限を切って報告を求めるということでもないので、十分調査してもらわなければ困りますから、その報告というものは権威のあるものでなければならぬ。権威といいますか、非常にきちっとしたものでなければ困ると思っていますから、それで報告を受けて、それから関係閣僚とか、そういう閣僚が相談するということが必要なら、そういう事態にもなると思いますから、そういう順序を追っていかなきゃならぬと思いますね。ですから今おっしゃるように、一方的にこの四月の日米首脳会談が非常に危ないとか、そういう御心配は全くこれはありません。
  115. 秦豊

    秦豊君 わかりました。  それから、これは結論の出る前にこういうケーススタディーをあえて大臣に伺うのもいかがかとは思いますけれども、やはり今後必ずある時期には結論を出さねばならぬ問題だから伺っておきますけれども、一つの方法として在来の軍事技術の協力協定、それは日米安保の枠組みじゃなくて、別に日本政府アメリカ政府間でSDIの研究参加についての何らかのメモランダムというか、覚書をつくりまして、そうしてアメリカ日本政府が持っている技術を使えるというふうな枠組みをつくるということについては望ましい、あるいはあり得るというふうにお考えでしょうか。
  116. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 各国でそれぞれいろいろなやり方で、これはもう表に出ておりますし、そのやり方にはいろいろ態様があるようです。日本は今後どうするか、それはとにかく、まだ日本自身も参加するかどうかということすら決めていないわけですから、そういう段階で、今その辺のところを申し上げるという段階ではありませんけれども、しかし、各国がやっているそういう姿というもの、態様というものは、これは十分我々もいろいろとキャッチしておるわけであります。将来これを日本との関係でどういうふうに、日本日本なりの独自なやり方もあるかもしれませんが、とにかく前提としてまだ決まっていないわけですから、ちょっと申し上げにくいわけですね。
  117. 秦豊

    秦豊君 それから、くどいようだが、あと二つほどケーススタディーをやってみたいと思うんですけれども、今私が最初に申し上げましたケース以外に、例えばアメリカ政府やあるいはSDIの組織局が直接日本なら日本の研究機関ですね、あるいは日本の企業、エレクトロニクス関連の企業と直接契約するというふうな挙に出た場合には、外務大臣としては好ましくないとお考えですか、それならば企業とアメリカ政府との問題であるというふうにとられますか。
  118. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いや、その辺のところはアメリカ側からまだもっと聞かなきゃならぬことがありますし、ですから、具体的な例に限って答弁するということになりますと非常に誤解を招くおそれがあるので、ちょっと私避けた方がいいと思うんですが。というのは、何としてもまだ理解という段階で、それ以上進んでいないわけですから、私は、理解から進むかどうかということについては、そう何も今ぎりぎりに日を限ってやらなきゃならぬという必要はないんじゃないか、もっとじっくり腰を据えてやる必要があるというのが、私の主張といいますか、私の考えなものですから、今まだそういうところを想定して私自身も余り考えておらないわけです。  ただ、各国のいろいろとやり方については相当参考として我々は情報は入手しておりますし、私も各国へ行ったとき、その考え方、やり方については聞かしていただいております。
  119. 秦豊

    秦豊君 藤井北米局長、私が申し上げたのは、二つの態様について申し上げたんですね。三つ目をつけ加えますから、それについてアメリカ担当の局長としての見解をちょっと伺っておきたい、突然ですがね。  つまり、申し上げた二つ以外に、アメリカのペンタゴンのもとに集まるコンツェルンですね、主契約企業のもとで日本なら日本の企業が契約を結ぶ、こういうふうなことを含めて三つのケースが私はあり得ると思うんですね。局長としてはどういうふうにお考えですか。
  120. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ただいま大臣が御答弁なさいましたように、研究参加の形というのは、一般論としては、ほかの国の例などを見まして、いろいろな形があると思います。御指摘のようにペンタゴンと企業が直接結ぶ例、それから企業同士で契約する例、いろいろあるようでございます。  それで、日本が仮に参加をすると仮定をいたした場合でございますけれども、その場合にどのような態様があり得るかということは、先ほどから大臣が御答弁なさっておりますように、日本がこの研究に参加するかしないかということの全体の検討を踏まえて、その中で検討中でございますので、特定の形態について今の段階で云々するということは困難かと存じます。
  121. 秦豊

    秦豊君 じゃ、SDIについて、もう最後です。イフイフ論争の一つになるから余り立ち入りませんけれども、アメリカはこういうことを考えているんですよ。デュアルユースといいますか、軍民両用、両方に使える、このデュアルユースについての可能な技術分野について日本への期待を強めていると、これがアメリカのSDIについての今一番新しい態度じゃないかと思うんですよ。  そこで、日米間では公式以外に非公式ないろんな接触があり得ているわけであって、憶測ではなくて、やっぱり日米間では非公式に秘密保護協定というふうな、我々野党がガーンと反発するような、マスメディアが切り込むような、そういうものの必要のない軍民両用の技術について日本企業の先端企業群の参加を求めていると、それならば何にも差し支えないのじゃないか、一種の変形西ドイツ方式と、これなら外務省は全然胸を痛めることはないのじゃないかなと私は思うんだが、それについてはどうですか。
  122. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 現在のところ、アメリカ側日本の参加を前提とするような意味でのSDIについての話をしておりませんので、我々、新聞とか、あるいはアメリカの担当者の講演とか、そういう文献等でいろいろな動きを承知しておるわけでございますが、御指摘のようにアメリカの一部におきましては日本の技術というものに対しましての期待があるというふうには思います。  なお、けさほど当委員会でも御指摘ありましたように、他方アメリカの企業の中には余りにもアメリカの国防産業等におきまして日本の、もちろんこれは汎用品でございますけれども、関係のものが使われ過ぎるんではないかというようなおそれとか、いろいろな考え方、動き等があるかと思います。したがいまして、日本政府としてこの段階でこうであるというようなことを断定的に申し上げることは困難かと思います。
  123. 秦豊

    秦豊君 まあ、いいでしょう。これはまたやりましょう。  フィリピン問題を残った時間でひとつ。  外務大臣、これ御記憶でしょうか、五十九年三月二十一日参議院予算委員会、それから三庁二十七日参議院予算委員会、それから四月の予算委員会で二回、通算四回、ちょうど大臣のもとで第十二次円借款、総理大臣兼大蔵大臣ビラタ氏、フィリピン駐在大使大川氏の時代です。私が幾つかの公文書のコピーをもとにしていろいろと申し上げて、委員会はしばしば審議中断に追い込まれたという事態があったんだけれども、あのときに私が調べましたのは、マラカニアン宮殿でマルコス氏と中曽根総理が会談された五月七日以前の第十二次円借款に関するフィリピン政府の公文書と、それから七日が終わって四日たった五月十一日、さらに五月二十四日にビラタ氏から大統領府に出された公文書ががらっと激変しているんですね。何が変わったかというと、今までは官僚ベースで積み上げてきた十六、七のプロジェクトの中には影も形もなかったマルコスの生まれ故郷バギオの近くにつくりたかったサンロケプロジェクトという、今からすれば壮大な夢のプランだが、これがいきなり中曽根氏フィリピン訪問の直後、四日後から急浮上をして、マルコス氏がこう矢印を書いて、これを頭にしろと、入れろというふうな指示まで与えて署名をしている文書のコピーがあったわけですね。だから、これは間違いないと。これはマルコス氏の署名に間違いないという確認も得ましたので質問をしたわけなんですけれども、あのときに私が大臣に申し上げて、大臣も確かに慎重でなければならない、あのときにもSDIじゃないが、中曽根さんは能動的、安倍外務大臣がやや慎重というニュアンスがはっきりとこぼれました。私は、あのことを二年前に追及した中で、東陽通商も出てくるし、ピー・アンド・エヌも出てくるし、これからいよいよ出てくるであろう三立コーポレーション、あるいは太平オーバーシーズなんという商社並びにダミー、小会社の存在等ロドリゲスとの癒着の関係、IOオフィサーの問題などについてずっと一連指摘をしたわけです。そのときに国家経済開発庁、NEDA、それから公共事業・高速道路省MPWH、それからIOオフィサー、それと大きい商社で言えば丸紅は実は後勁に退いていて、その子会社、東陽通商の子会社などが戦後賠償以後の人脈を使って、ほかの商社は寄せつけないような濃密な癒着関係を形成しているという一端を実は追及したわけですけれども、それが二年ぶりにソラーズ委員会からの文書公開によってようやく明らかになったと思います。  そこで、これから質問ですけれども、大臣、率直なところ五千数百億円という血税がフィリピンに、ルソンに流れ込んだわけですね、消化率は別として、十二次にわたって。これは、原則論というか本質論としてこういうふうな十二次にわたるプロジェクト中心の対比援助は成功とはとても言えないというふうな認識はお持ちじゃないですか。
  124. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私はこれまでのプロジェクト全体についてよく承知しておるわけじゃありませんが、しかし、率直な感想として述べさしていただきますと、フィリピンその他の開発途上国もそうですが、私は日本の援助というのは非常にきちょうめんに全体的には行われておる。そしてその国の経済の発展、福祉の向上には大きく寄与しておる、これがやはり各国の日本に対する期待とか信頼というものにつながっておると私は思っております。特に、東南アジア等ずっと私も何回か回りましたが、そういう中で最近日本に対する信頼感が強くなっているというのはそうした日本の援助というのがやはり非常に効果的、効率的に全体的には行き渡っておるということではないかと思います。それには日本の援助自体もいろいろな、これまで問題が起きたというものの反省を踏まえながら、改善するところは改善をしてきたという点があるんじゃないかと思います。それから、援助について非常に慎重に対応してきたというところもあるんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけです。全体的にはそういうことですね。  フィリピンの経済にはそれなりの役割を果たしてきた、こういうふうに私は思うわけですが、しかし今マルコス政権のいろいろの問題が出ておりまして、それが日本の援助との絡みで、そしてそれがリベートというような形でとやかく言われているということについては極めて私も残念に思っておりますし、これもいわ似るフィリピン政府とそのプロジェクトに参加した日本の企業とどういう関係になっているかということは、これはもっとそれこそまさに解明される必要があると思いますが、日本の援助そのものがストレートに何かマルコスさんの方に行っているということでは私はないと思います。それはやっぱり指摘されたプロジェクト等で交換公文に基づいてきちっと援助が実施されたということでなければなりませんし、その辺はこれからひとつ我々ももう一回フォローアップする必要があると思いますが、少なくともそういう疑惑が持たれるというのは非常に残念だと。しかし、それで全体の日本の援助というもの、そのものについて非常に悪い評価が行われるということは、これはまた極めて残念で、全体的にはそんなものじゃないというのが私の率直な感じです。  しかし、いろいろと疑問の点は追及して明らかにして、そして日本の援助というものを振り返ってみてこれから援助を進めていくわけですから、これに対して参考といいますか、これをよりよくするための一つの大きな布石に、むしろ逆に、布石に持っていかなければならぬ、こういうふうにも思っておるわけであります。
  125. 秦豊

    秦豊君 大臣ね、僕は外務委員会日が浅いんですが、あなたとそんなに基本的に認識が隔たったことは余りなかったんだけれども、この問題は決定的に違いますね。なぜそういうことを言うかといいましたら、円借款というのはやっぱり巨大などんぶり勘定の水源地ですよ、はっきり言って。こういう官僚ベースが積み上げたアプリケーション・フォーム以前にIOオフィサーのところを通るときから、あるいは向こうの官僚機構を通るときからもうプラスアルファをベースにして請求が来るわけなんだから、しかも要請主義だといいながら、やっぱりさまざまなフィクサー、コンサルタントと称する特定の人脈がまるで入れ知恵をし、まさにコンサルタンティングをして、こうやれば取りやすいよ、来年はこれをねらったらどうというふうな、そういう存在がつまりマニラに、マニラロビーで、マルコス政権の周囲にはクローニーという取り巻きがいる、IOオフィサーの周囲には日本人のそういう黒い取り巻きがいる。その上に乗っかってこういうものが出てくるんだから、これを幾ら審査したって、もともと水増しされているんだから、そんなもの確証も何にもないけれども、少なくともそれをJICAやあるいは日本の海外経済協力基金の長い仕事に携わった人々が匿名で証言をしてはばからない、フィリピンの高官からもそういう声が漏れている、フィリピンの議員からも漏れている。あなたは中曽根政権の外務大臣だから、十二次に及んだ円借款の五千数百億円は失敗でしたと、この答弁の席でそういう日本語が出ないことはよくわかるけれども、対比借款に重大な問題があった、軍事援助はアメリカ、経済援助は日本、この図式の中で日本の国民の血税が相当むさぼられたんだというシビアにしてクールな認識を前提にしないと、今後衆参両院で特別委員会を幾つ、何回つくったって、政府の基本姿勢が、今までは間違っていなかった、全体的な評価も高いものがあると信ずると、まあこれから気をつけます、こんな認識じゃ事態の解明は進みませんよ。違いますか。
  126. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはこれからいろいろと解明も進むでしょうから、そういう事態を見守る必要があると思いますが、先ほど申し上げた考え方は今も変わりませんし、フィリピン政府でも、アキノ政権でも私はそうだと思いますね。日本がこれまでやってきた援助について全面的な否定をする立場に立っておられるわけじゃない。日本の援助というのはそれなりに大きくフィリピン経済に稗益した、そういう前提に立ってこれからも日本の援助を進めてほしいというのがアキノ政権のいろいろの関係者の話として、私は直接まだ会っておりませんから、聞いておるわけで、ですから我々も、問題があったとすればそれははっきりしなきゃなりませんけれども、全体的にはフィリピンに対してそれなりに日本役割を果たしてきておる、こういうふうに思っておりますし、フィリピンも、今のアキノ政権も決して今までの日本のやってきたこの努力あるいは援助というものを、今、秦さんのおっしゃるように、基本的に否定するような感じでは全くないと思いますね。私は非常な評価もしていただけるんじゃないか。ですから、その辺はフィリピンはフィリピンで今いろいろと問題になっているんですから調べていただきたい、フィリピン自体で調べていただきたい問題だと思いますが、フィリピン政府日本の努力の評価については率直な評価があるというふうに考えております。  ただ、マルコス政権の最後の段階において、これはやっぱり日本国会というのは私はそういう意味では民主的な非常にいい意味で大きな役割を果たしていると痛感するわけですが、我々は政府の立場においてマルコス政権と約束したいろいろな円借その他プロジェクト等についてもいろいろと最後の段階では相当ブレーキといいますか、私自身も少し手控えたといいますか、実行を少し手控えたような面があるわけですが、こういう点はむしろ日本の援助というものは本当にその政権を助けるんじゃなくて、私がしばしばここで申し上げましたように、その国のやはり国民の福祉の向上とかあるいは経済の安定に直接つながっていくべきものじゃなければならぬという考え方があるわけで、したがってむしろ紛争を助長し、その紛争に利用されるような、そういう状況になればそれはそれなりにいろんな面で慎重に対応していくというのがこれは筋だろう、こういうふうに思って、最終の段階においては慎重にやったつもりなんです。しかし、全体的にはこれまでの援助そのものはそう今おっしゃるように間違っている、これが何か違った評価だけが出てくる、こういうふうには私はとれぬのですがね、どうしても、客観的に見ても。
  127. 秦豊

    秦豊君 安倍大臣、アキノ新政権が安倍大臣のような認識を持っていないからこそサロンガ行政規律委員会で今までのいわゆる円借款の積算の方法、申請の仕方、道筋、だれが担当しだれがどういうふうに決済をしていったか、どうゆがんできたか、それを御破算に願ってアルファベットのAから全部再検討しようと言っているんですよ。フィリピン現地にそういう声があるわけですよ。そうなったら、例えば日本とフィリピンで協力体制をとって抜本的に経済援助、具体的には円借款だけれども、これを見直すための提案があったらそれはお受けになりますか。あるいは逆に、安倍外務大臣がフィリピンの新政権に提案をされる御用意がありますか。
  128. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) フィリピンはアキノ政権に移りました。そういう中で政治経済は非常に混乱した状態が続いております。アキノ新政権のやっぱり最大の課題は、経済をいかに回復していくかということだろうと思います。それにはやはり日本は友好国として協力をしていかなきゃならぬというのが日本の立場ですから、したがって、アキノ新政権が誕生すると同時に、アキノ新政権に対しましても日本は援助をいたしますよ、これ以上御協力申し上げたいということを申し入れております。そのためには、これからひとつ協議していきましょう、どういうアキノ政権として援助を望むのか、それは我々としても非常に弾力的に対応していきたいと思っておる、ですから、協議をしてお互いに一致しなきゃどうにもなりませんから、協議チームを送ってお話し合いをしましょうということで、実は経済協力局長を第一回の調査団長として送り込んで、向こうと早速協議を始めたわけで、この協議の中で、これからのフィリピン経済に対して日本のどういう援助を求められるのか、あるいはどういうやり方が一番いいのかという点については向こうの考え方も聞くし、日本の考え方も述べて、それでやはりコンセンサスを得た中でこれは進めていったらいいんじゃないか、こういうふうに思っています。
  129. 秦豊

    秦豊君 外務大臣、提案をしましょう、時間が少し切迫してきたようだから。大臣が、たしかどこの委員会ですかな、衆議院だったのか、参議院の予算委員会ですかね、対比援助については全面見直しもやぶさかでないという意味の答弁をされたように記憶しているんですが、これは具体的にどこからどう手をおつけになるべきか、そういうふうなお考えが具体的に下敷きになっていてああいう答弁になったのですか。どういうことをお考えになっていますか、見直しという場合にどこから手をつけるか。
  130. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは外務省だけが専管じゃないんですけれども、各省、四省庁がフィリピン援助その他の経済協力をやっているわけですが、外務省はやはり一番対外的に責任を持っているわけですから、これまでの援助の実態というものをプロジェクトごとに評価もしているわけですけれども、いろいろと問題を指摘されているわけですから、もう一回これまでの援助のあり方等について、これはちょうどこういう時期ですから、もう一回調査し直して、そして、同時にまたフィリピンでもいろいろと議論も出てきておりますし、フィリピン政府のこれに対する評価もまた出てくるでしょうから、そういうものを踏まえながら今後の援助のあり方等については検討していく。  日本の援助の基本は変えるわけじゃありません。これは人道援助と相互依存という、そういう基本は変えるわけじゃありませんけれども、援助のやり方については私は弾力性を持って、その国の対応に応じた弾力的なやり方というものがあっていいんじゃないか、こういうふうに思っていますが、具体的にはどうするこうするということじゃありませんで、これは今後のフィリピン政府との相談の中でひとつ考えていったらいいんじゃないか、こういうことで事務当局にも指示しております。  それから、今度もフィリピンに対してODAの研究会で、今までのプロジェクト等についていろいろと検討してもらうために調査団を送ろう、鎌田前会計検査院長をお願いしまして送ろう、こういうことで準備を進めておるわけであります。
  131. 秦豊

    秦豊君 具体的にちょっと、今やややわらかく聞きましたからね。それでは、こういう点は実行されましたか。僕は、十二次円借款のときにも透明度の問題を大臣に二、三回聞いた。交換公文にちょっと条件づけましたね。あれが精いっぱいじゃなかったかと思うんだけれども、つまり第十二次円借款の際の条件、商品借款の見返り資金、つまりフィリピンの輸入業者により支払われる代金相当の内国貨、つまりペソ貨についてはフィリピン中央銀行に積み立てて、日比両国が合意する円借款プロジェクトにのみ使用し、その使途は日本政府報告をする、これは局長、そうでしたね、藤田さん、これは実行されましたかな。
  132. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) フィリピンは従来商品借款を供与いたしておりました際、同様見返り通貨というものが発生しまして、過去におきましても報告をきちんといたしておりました。  ただいま委員質問の十二次円借款につきましての見返り資金でございますけれども、十二次円借款の場合には三百五十二億円の商品借款が供与されまして、二月末までに四八%ぐらいが実施されております。したがいまして、見返り資金として発生しております額も百五十億円相当ぐらいのものかと思いますが、この見返り資金の使用につきまして、我が国のフィリピンに対します円借款プロジェクトの内貨分に使用させてもらいたいという申請を昨年要請としましてこれを審査し、許可を与えまして、その後こういうプロジェクトにこれだけの金額を使用しているという最初報告が本年の一月末にフィリピン中央銀行から参っております。
  133. 秦豊

    秦豊君 ちょっと大臣、ここで提案を幾つかしますからね、それを受けとめてください、それで検討してください、私的諮問委員会で。それで、うちの方で特別委員会ができたら、またそれで野党側の建設的な提案としてもっと精緻なものを練り上げて出しますから。  これはメモですけれども、つまり私の認識では問題の根本、諸悪の根源はプロジェクト中心の現行制度そのものにあるんですよ。これ円クレジットの変形なんですよ、惰性なんですよ、これを改める。こんなものをやるより、クローニーに流れるんだから、こんなものやるよりマニラの街角に立って、あの東南アジア最大のスラムのトンドに行って、鼻をつく異臭の中に立って、汚水の上に立って僕は二回行ったけれども、こういう貧民窟を一掃するための五カ年計画とか、民生や福祉の強化につながるそういう民生プロジェクト、これなら僕は円借款をどんどんつぎ込むことについての国民合意の裏づけを得やすいと思う。今までのようにむなしい壮大な工業プロジェクト、これは私は余りにも非効率である、ぜひ改めるべきである、こう思います。  それから入札価格についても、これは審査は形式的で、実質的に恐ろしくないんですよ。日本の官僚機構による審査なんというのは恐ろしくないんです。これをもっと精密にやるためにはどうすればいいか、知恵を出し合いましょう。  それから、工事が契約どおりに行われているかどうかのチェックが現行のシステムではまるでできない。藤田さん首をひねっていらっしゃるけれども、できっこないですよ、JICAが幾ら踏ん張っても。だから手抜きで、どこでどう浮かしたか、そんなこと全然チェックなんかできるはずがない。  それからその次に、プロジェクトの受注企業者、受注企業の名前、現地の代理店、入札価格、これぐらいはぜひ国民の代表たる国会のこの場で明らかにすべきである、こう思います。  それから日米の比較をしてみると、アメリカの国際開発庁、AIDの職員は、全部で言うと五千人であるけれども、フィリピンにいるのは二百人なんですね。日本の海外経済協力基金、OECFの駐在員は、たしか記憶違いでなければ二名ないし三名ですよ。それでどうして現地で、契約書にうたわれているような資材がマニラの埠頭に陸揚げされたかどうかなんていうチェックを、納入されたかなんていうチェックをできるはずがない。不眠不休で何年働いても不可能です。せめてアメリカ程度が望めなかったら、当面の応急策としてはOECFの駐在員を少なくとも倍増するとか、あるいは荷動きの激しいときには臨時にスタッフを張りつけて、審査を厳正にするというふうなことぐらいはまず考えるべきであると、こう思いますがいかがですか。
  134. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) まず事務的なところからお答えさせていただきます。  第一番目の、プロジェクト中心主義を改めよという御指摘でございますが、これは確かに我が国の場合にはどちらかと申しますと、プロジェクトというものが形として残るものでございますから、プロジェクト援助中心ということでノンプロジェクト、非プロジェクト援助というのは一割ないし二割というのが円借款における今までの状況でございます。ただ、このノンプロジェクト援助と申しますのはまさに商品借款が主体でございますので、商品借款としてのいい点、それから欠陥と両方を備えているんじゃないかと思われます。  それから第二番目の入札価格でございますけれども、入札価格は御承知のとおり政府間の取り決めで、何も先方が言ってまいりますものが政府間の取り決めにそのまま反映されるわけではございませんで、もう委員よく御存じだと思いますが、要請がございましたものを国内及び現地に政府ミッションとそれからOECFミッションというものを送りまして、それを精査し、かつ相手側とも協議をしまして最高限度額というものを決めます。その限度内での入札をしているわけでございます。入札はもちろん相手国政府が行うものでございますから、相手国政府が入札を行いまして、第一位、第二位、第三位と付しまして、通常は第一位ですけれども、そのうちの第一位、一番最低価格の者にアワードを出したいということで基金に言ってまいります。それを見まして先方の入札評価にこちらに異存がなければそれに同意をするという形で向こうに通報しまして、それに基づいて契約を先方政府が企業と行う。その契約はまた我が方に参りまして、海外経済協力基金がそれを審査し承認する、こういう手続になっております。したがいまして、基本的には先方の政府と企業との間の言うなれば商行為と申しますか、商契約ではございますけれども、これが政府間の交換公文にきちんと沿っているかどうかという審査を基金において行っているということでございます。
  135. 秦豊

    秦豊君 なるべく簡潔に願いたい。
  136. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) それから受注企業等の名前を価額も含めまして出すようにという御指摘でございますが、これは随時、今までも累次にわたりまして御答弁申し上げておりますように、先方政府と企業との間の契約の内容でございますので、我が国政府としてはその契約の当事者ではございませんので、これを明らかにするという立場にはないというのが、累次今まで政府として御答弁申し上げてきたところでございます。  それから日米の援助の差、AIDは五千名いるが日本は人数が少ない、もう少し増強せよという、非常に応援をしていただいている、定員を増強せよというお言葉かと思いますが、それとともに確かにアメリカの場合にはフィールドを非常に重視している、日本はどちらかといいますと東京、本部中心主義だということはあるかと思います。ただ、いずれにしましても契約に定められたものが埠頭に着いたかどうかというもののチェックというのは、これは政府機関なりAIDなりが行うのじゃございませんで、これは実際に建設に従事します企業が船荷証券を出して基金からお金を支払いを受けまして、現地でそのチェックをして建設にかかるということでございますので、政府としてきちんとしたものが着いているかどうかをチェックするという立場にはないということでございます。
  137. 秦豊

    秦豊君 大臣、これももどかしいけれども、要請主義に基づきます、一たんルートに乗ったら後は内政の問題です、良識に期待します、チェックは厳正に行われています、民衆は喜んでいます、こんな戯画的な認識を前提にしたら対比援助の見直しなんか絶対できませんよ。  それで、あと話をちょっとはしょりますが、何回でも提案しますが、きのうフィリピンから帰ったある友人が言うんです。シン枢機卿なんかにも会っている私の友人ですけれども、深夜に電話で話を聞くと、アキノ政権の国庫は今空っぽなんです。アジア開銀は緊急一億ドル融資、援助というか、これは約束したんであって、金は流れていない。アメリカ政府は緊急援助を検討中なんです。それで今マニラの街頭に立っている警官の月給は御存じですか、一万三千円なんですよ。だからわいろが常道になるんです。ちょうどフィリピンのクローニーのあのリベートと同じなんですよ。ところがそれにきちっと月給を私わにゃいかぬ。払う金がない。もう差し迫っているんです。アメリカ政府は急ぐようですが、今までのいわゆる原則論を抜きにして当面の問題として、無償で緊急援助をとりあえずある金額を実施する。こういうお考えは安倍大臣お持ちですか。
  138. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) こうしたフィリピンのこれからの経済再建のための日本協力については、今フィリピン新政府との間に話をしておるわけで、これはやはり両国の合意がなければできないわけですね。日本としては御協力しましょうということは申し入れているわけですから、フィリピンでどういう形がいいか、まだ十二次も実行しておりませんし、そういう中でどういう形がいいかということでこれから詰めて、早く結論を出して、今の経済は非常に悪いということは我々も承知していますから、協力を実施の段階に移したい、こういうふうに思います。
  139. 秦豊

    秦豊君 大臣日米間で緊急援助についてのお話し合いをなされておりますか。全くありませんか。
  140. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは先般梁井審議官が行きまして日米で次官級協議を行って、これは全体的な協議をやったんですが、フィリピンについては非常にフィリピンの経済が厳しい状況にあるので、アメリカ協力はもちろんであるが、日本日本なりの独自のひとつ協力をするということで、日米間では前向きに対応するという結論を出して会合を終わったということであります。
  141. 秦豊

    秦豊君 そこで大臣、やっぱりアキノ政権の前途を励ますという意味、そして清潔な民主政治を目指そうという意欲、こういうフイリピン政情の安定というのは我が国のアジア外交にとっても安定要因の一つですから、思い切って緊急援助を実行されるというふうなお考えは現にお持ちになりませんか。
  142. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは今の日本とフィリピンとの関係においては相当な思い切ったことができるんじゃないかと思いますよ。これは我々としても協力しましょうということを言っているわけですから、藤田局長等も行きましたけれども、フィリピンでは担当大臣等はきちっとしておりますが、まだまだ具体的に受け入れる方の体制が、新政権下多忙でというか、なかなかでき上がっていないという面はあるようです。フィリピンとしても急ぐということになれば、こちらもそれに対応するという気持ちを持っているわけですから、とにかく話し合いをしなければ、日本が一方的にどうだこうだと言ってもフィリピンの実態がわかるわけじゃありませんから、話し合いをすることがまず大事だ、こういうふうに思います。
  143. 秦豊

    秦豊君 それじゃ外交ルートで緊急援助を要請するというお申し出があったら受ける用意はいつでもあるということですね。
  144. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) もちろん我々はそういうことはいつも言っております。
  145. 秦豊

    秦豊君 最後に。これは一部媒体がフィリピン大使館の跡地売却問題について、いわゆる東京におけるマルコスファンドという問題を扱って、三十社ばかりが群がっているとか、マラカニアンに直訴した実業家というふうな報道がなされましたんですが、マニラの友人から届いたエアメールによると、今まで言われていなかった例えばオカバディストリビューターズのグループが、ラドロホ・F・ラモスあてに出した文書というものがありまして、これを見ると、東京六本木と富士見町のフィリピン大使館の跡地、公邸購入の正式オファーが現在検討中であることをお知らせいたしますとか、いろいろニュースが、レターが述べられているわけなんだが、これは何枚かになっていまして、まだ翻訳が終わっていないが、これを見ると、いわゆるさまざまなハイエナたちが、率直に言ってもうほしいままに暗躍をしている実態が跡地問題一つをもってしてもうかがわれる。しかも、それに鹿島建設が新築通知までを関係機関に出していると言うに及んでは、この問題についても解明はこれは時間を要するわけですけれども、六本木と富士見町のフィリピンの外交機関跡地ですね、これはどういうふうにされるわけですか、新政権への継承問題等々を含めてどうなっているんですか。
  146. 後藤利雄

    政府委員後藤利雄君) 六本木は確かに遊休地になっておりますが、昨年あたりこれを何か処分するとかいろいろうわさがありました。私どもこれを聞きまして、この大使館に一体そういううわさがあるのかと、それを確かめたわけでございますが、その時点においては、六本木の土地については新しくフィリピン大使館のいわゆる事務所を新築したいという考えを持っているというような話をそのとき聞きました。しかし、私どもはいずれにしましても、そういう賠償で提供した土地についてどういうようにするかというのは事前に我が方に連絡してほしいということをその当時から注意を喚起しておりますが、結論的に申し上げますと、新政権においてはそのような処分については一時全部中止をするようにというようなことも既に指示したと聞いております。私どもも大使館を通じてそれを確認しております。  それから富士見町の大使公邸、これは現に大使が住んでおりまして、フィリピン側が自腹で購入したものでございまして、これについて何か処分をするとか云々について私ども承知しておりません。
  147. 秦豊

    秦豊君 終わります。
  148. 立木洋

    立木洋君 今の問題の継続なんですけれども、とりあえず時間がないので、端的に二、三点だけ、きょうフィリピン問題をお伺いしておきたいと思うんですが、大臣がこれまでも繰り返し徹底して調査、解明するというふうに何回か申されておりますね。先日の参議院の予算委員会でも、世間で言われている問題をはっきりさせる必要があるということも言われているわけですね。ですから、問題というのはただ単に日本がフィリピンに行った援助、これが有効的であったのかどうか、あるいはそのやり方にどういう不備があったのか、あるいはシステム上どういう問題点があるのかということにとどまらないで、援助の私的な流用の疑惑ですね、それから日本企業による贈収賄の疑惑あるいは日本へのリベートの一部還流の疑惑などなどの問題にも視点を当てて問題を解明するという姿勢なのかどうなのか、まずその点、大臣からお伺いいたします。
  149. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) このフィリピンの問題については、中曽根総理も事態を解明したいということをはっきり言っておりますし、私もやはりそういう趣旨に従って一つの考えを述べておるわけですね。したがって、外務省として情報もキャッチしながら、その情報を関係の省庁等にも送りまして調査をしていただいておるわけです。  日本法律に違反すれば、それぞれの関係の立場でこれは訴追されると思いますし、同時にまたフィリピンでの犯罪につながっていけば、それはフィリピンの中での問題だと思うわけでございますが、そうした法律違反であるとか法律違反でないとか、そういう問題もありますが、これは法律違反ならきちっとしなきゃならぬ、そういう点では解明されると思いますし、しなきゃならぬと思いますが、同時に法律違反でなくても、やはり日本の援助というものに関連していろいろ出ている問題ですから、私は援助というものがきちっと効率的、効果的に行われるということが非常に大事だ、非常に透明に行われることが大事じゃないか、こういうふうに思っておりますので、今までのいろいろな問題点等も十分踏まえながら、改善するところはやっぱり改善していかなきゃならない。これはこの問題が出ただけに、我々の知らない点が随分ありますから、そういうものを踏まえた形で行っていく一つのいいチャンスじゃないかと、こういうふうに考えておるということであります。
  150. 立木洋

    立木洋君 私が述べた問題点は念頭において調査に当たられるということと受けとめますが、それで外相の私的諮問機関のODA研究会内部に設置された援助評価検討部会というのがございますね。これは二十四日の会合で、日本企業のリベートが焦点になっているマルコス蓄財問題とのかかわりは調査の対象から外されたというふうに言われているんですが、これはどういう意味ですか。事実関係だけ端的にお願いします。
  151. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 鎌田前会計検査院長及び河合三良前行政事務次官にお集まりいただきまして、今後の評価検討部会の仕事のやり方及び進め方等について御検討願ったわけですが、その際の検討の対象と申しますのは、援助、経済協力プロジェクトの評価作業ということを行う、すなわちその経済協力プロジェクトがいかに効果的、効率的に運営され、どういう当該国からも評価を受けているか、この場合フィリピンでございますが、そういうことを行うものであって、先方政府の行っております入札及びその企業との間の契約の内容に立ち入りましてその分析を行うとか、そういうことは本来なし得ないことであるので、それを行うものではないということを確認されたと、こういうことでございます。
  152. 立木洋

    立木洋君 さっき藤田局長が言われたことで、次回にフィリピンに送る調査団の内容についても、これは評価調査という名目で送ると。そうするとこれは、援助が有効に使われたかどうかということを調べることであって、いわゆる疑惑の問題については一切関与しないということですか。今大臣が言われた、そういう問題も当然念頭に置くということとは違うんですか。外務省の派遣する調査団はそういうことを念頭に置くか、簡単で結構です。
  153. 藤田公郎

    政府委員(藤田公郎君) 本来政府間で結びました取り決めの趣旨に沿って経済協力が実際に行われ、効果的に進められ、効率的に行われているかということを見ていただくということでございます。
  154. 立木洋

    立木洋君 どうも大変私は不本意ですけれどもね、そういう答弁というのは。だけれども、時間がありませんから、次に二点だけ大臣に確かめておきたいんですが、例えばロッキード事件が起こったときですね、三木首相がアメリカ協力要請しましたね、政府として公式に。今回の場合にフィリピン政府に対して日本政府が公式にこの問題を解明するために協力してほしいというような態度をおとりになりませんか。私はやるべきではないかと思うんですが、いかがですか。
  155. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) フィリピンの今のマルコス問題に関する文書等公式な文書は、アメリカの手を通じまして議会で公表されました。これは日本も入手しておるわけですね。そういう点では、日本としても資料は手に入れておりますし、そういう中で、日本企業の関連ということで、日本法律に違反するということになれば、これはもう日本の捜査当局とかその他が関心を持って調べることになると、こういうふうに思っております。フィリピンにおける法律違反ということになれば、それはフィリピン政府の問題じゃないかと。これもフィリピンでこれからどういう調査が行われるかわからぬわけですが、それは今後とも我々は注目して関心を持って見詰めたいと、こういうふうに思っておりますが、今フィリピン政府から日本に対してこの問題についての協力を求めるとか、要請というのも来ておりませんし、日本政府としても今ここで、具体的な問題が出てくれば別ですけれども、そうでない段階においてフィリピン政府に対して協力を申し入れるという状況といいますか、情勢には今はないと、こういうふうに思っております。
  156. 立木洋

    立木洋君 じゃ最後に、これはやはり両国にまたがる問題ですからね。だから、それは双方で協力し合えばそれだけ問題の解明というのは早くできるわけですし、大臣自身が繰り返し問題の徹底した解明ということを強調されているわけですから、そういうことを向こうから言ってくるのを待つ云々ではなくて、こちらからも積極的にそういう問題解明のためにやっぱり乗り出していくということを私は至急に検討していただきたい。  それから同時に、問題は、これは必要が起こればということになるでしょうが、国際的な司法の幇助協定ですね、こういう問題も将来とも考えて、問題解明のために努力をしてほしいということを述べておきたいんですが、この点についての最後に大臣にコメントをいただきたい。
  157. 小和田恒

    政府委員(小和田恒君) ただいま大臣からお答えいたしましたように、このマルコス関連の問題というのは、いろいろな断面と申しますか、いろいろな側面があるわけでございまして、きょう午前中以来、主として外務大臣がお答えしておりましたのは、我が国の対比経済協力が取り決めに従って適正に行われているかどうかという見地から、経済協力の適正さということを中心にお答えをしてきたわけでございます。  そういうこととはもちろん別にいたしまして、例えば我が国法律に触れるような行為があるのかどうかというような問題、あるいはフノリピンの法律に触れるような問題がフィリピンにおいてあるのかどうかというような問題が別途あるわけでございますけれども、その問題は外務省の問題と申しますよりは、一つ日本政府全体の問題であり、またもう一つはフィリピン政府の問題でございます。そういう段階におきましてそういう問題が仮に出てくるというようなことになれば、今御指摘になりました司法共助の問題であるとかその他いろいろな法律的な手続の問題が出てくると思いますが、先ほど大臣がお答えいたしましたように、今の段階において、現状でそういうところに来ているというふうに私ども外務省の担当する限りにおきましてはそういうことに直接かかわるような判断はしていない。しかしながら、これは先ほど来申し上げておりますように、これは外務省の問題ではございませんので、それぞれの部局がそれぞれの立場から検討することになるというのが筋であろうというふうに考えております。
  158. 立木洋

    立木洋君 きょうはこの問題はここまでにしておきたいと思うんですけれども、なぜ私がこのことを強調するかと言えば、もう御承知のように、経企庁長官がああいう発言をされた。これは四省庁の一つの省庁の責任者でしょう。問題は徹底して解明しなければならないという態度が今求められておるときにあんな暴言をはいて、許されないわけですよ。問題を解明するなら解明するようにもっと責任のある態度をとるべきだと思う。そういうことを私たちとしてはとりわけ強調したいわけです。だから、そういう意味政府自身も外務省もイニシアチブをとってこの問題解明のために徹底して協力する、努力するということを重ねて強く要求しておきたいと思うんです。  次に、ガットの問題に移りますが、アメリカ皮革あるいは革靴ですか、これらの問題で大変不利益をこうむっているというふうなことで盛んに攻勢をかけてきた。それが結果としてこういう今日の事態になってきているわけですが、私はそこで特に言いたいのは、アメリカ日本との革靴の輸出入の経過を見ますと大体バランスが保たれている、アメリカに対する輸出入。それからまた、状態を言えば、日本アメリカに輸出している量というのはアメリカ輸入の全体のシェアから見れば〇・四%足らず、これは向こうの輸入にとって日本の業者が輸出しているのは非常に大きな打撃を与えているという問題ではないだろう。  しかし、もう一歩振り返ってみて、それなら日本に対するアメリカ革靴なんかの輸出がどうなっているか。今まで数量制限してきたわけでしょう。ところが数量制限の半分そこそこじゃないですか、日本に入れてきているのは。まだ数量制限しているまで到達していない。アメリカがもっと輸出しようと思ったらできるのにそれまでやらないで、なおかつ、今度こういう形で提訴してきて日本のこういう状態にまで持ち込むという攻撃をかけてきた。  現に、あれは昭和五十五年でしたか、アメリカのなめし革の業者が日本東京で開かれた展示会に来ていろいろ視察をしましたね。あの視察をした状況の中でもアメリカの業者自身が自分たちがもっと国内で調整して努力しなければならない余地があるということを認めて帰った。通産省は、当時はこれは行政問題ではないというふうな立場もとってきているわけですね。  だから、こういうふうにして考えてみると、この事態がアメリカに対して大変な不利益を引き起こして、今回のような事態で日本が譲歩しなければならないというふうな、つまり、数量制限を取っ払う、もちろん第二次関税については高い税率にしてありますけれども、いわゆる数量制限は取っ払ってしまったというふうな形にしなければならない必然性というのは本当にあったんだろうか。もっと日本外交姿勢として的確な、もっと筋の通った外交姿勢をこの問題でもとるべきではなかったかというふうに感じるんですが、いかがでしょうか。
  159. 池田廸彦

    説明員池田廸彦君) ただいま御指摘の点は、私ども実は数カ年にわたりましてアメリカ側、これはアメリカ政府もそうでございますし関係の業界の方にも重ねて、重ねて説明してきたところでございます。しかしながら、最終的に五十八年の時点に至りまして、アメリカ政府としては実際上の貿易の利益、これはもちろん重視するけれども、同時に日本ガットに違反すると思われる状態を維持していること、これの是正を求める。これが要求の中心の柱であると、こういう態度で言ってきたわけでございます。  それから、委員御承知のように、一たん特定の国がそういう法律上の、ガット条文上の権利を発動するということになりますとこれをとめる手だてはございません。言いかえますれば、これは我が国としてこれに拒否権を行使するということはできません。つまり、仮にもしも拒否権を行使すると、大体ありませんけれども、そういうような事態になれば、今度は立場をかえて我が国が特定の国に対してこれはどうしてもやはり日本法律上の権利を行使したい、こういうふうに考えたときに、今度は逆に相手側が拒否権を行使するということになるわけでございます。ですから、ガット法律上のシステムといたしましては、そういう正当な権利の行使に対しては何人もこれを拒否してはならないということになっておりまして、法の前には平等ということでございます。
  160. 立木洋

    立木洋君 ガットに提訴した後のルールについては言われたとおりかもしれませんけれども、私が言いたいのはその提訴に至る過程での日本政府交渉の姿勢に問題があるだろうと私は思うんですよ。大臣、ちょっとこれは聞いておいてくださいね。  御承知のように、残存輸入制限品目というのがそれぞれの国にありますね。これはそれぞれのいろいろな経過があり、問題があってそういう状態になっている。例えばアメリカの場合では六品目がそうなっているんですね。あるいはフランスの場合は二十七品目です。これは鉱工業製品だけに限って私は言っているわけですが、イタリアの場合が五品目、イギリスが二品目日本が今度これが通過してしまえばあと一品目だけになってしまう、石炭だけになるというふうなことですね。これはそれぞれに経緯があるわけで、ですから皮革革靴等について日本での工業製品中残存輸入制限品目としてきたのには、これはこれなりの社会的な理由があったし、この産業自身の特殊性から日本政府としてもこれまでこういう措置をとってきた。同時に、今度全体的な関税水準を見てみれば、有税品目にしてもいわゆる実行税率というのは日本が一番やっぱり低いですね。そういう努力もしてきている。だから、現在の経済摩擦の中でこの皮革それから革靴、これがこれほど攻撃を受けるというふうなことはもっと努力をして未然に防ぐべきではなかったか。  あとは、大臣よく聞いておいていただきたいのは、例えば日米漁業協定の問題ですよ。大変なことを今アメリカは持ち出してきていますでしょう、もうむちゃくちゃですわな。それから今度は航空協定、これは自民党の議員さんの中だって腹立っておれがアメリカに行って交渉してきてやるということまで言い出す状態でしょう。アメリカから提起されたら仕方がないからといってそれでどうするかというふうな外交の姿勢ではなくて、こちら側がもっと自主的な、我々の主張すべきことを主張して、向こう側が敷いた土俵で相撲を取るんではなくて、やっぱり我々の主張すべきことをもっと主張して、ガットにこうして提訴される以前にこういう問題も解決すべきではなかったか、そういう外交努力をすべきではなかったかという点について、大臣の所見をその点で伺っておきたいんですけれどもどうでしょうか。
  161. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今回、革の交渉にしても日米間は全く対等という立場で丁々発止やり合ったわけでありまして、向こう側のペースで一方的にやっているわけじゃありません。これは車もそうですし、それから漁業もそうですし航空もそうです。大変難しい多年にわたる懸案的なものもありますけれども、日本日本の立場がありますからそれだけ頑張って交渉が難航しているということも事実であります。これからの外交は非常に難しくなりますけれども、特に日米間、こうした貿易のインバランスが非常に大きいだけに難しい面がありますが、日本の国益というものを踏まえながらひとつきちっと取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。
  162. 立木洋

    立木洋君 もちろん、何も言わないではいそうですかと言って受けてきたというふうな言い方をしているわけじゃありませんよ。しかし、経過的に見れば、やはりアメリカに最後的には譲歩してしまう、そういう姿勢になっているんじゃないかということを特に私は強調しておきたいんです。  しかしこの問題について、やはり革靴、履物、こういう業界が今大変な状態になっている。これが進行するならば打撃が非常に大きくなるという問題がありますので、その点について若干通産それから労働関係にお聞きしておきたいんですが、今度の確かに二次関税は六〇%という高い税率になっておりますけれども、全体としては数量制限がなくなった。一次関税による数量というのは政令で定めるということになっていますね。現在定めているのがここに出されている。これを毎年政令でどんどん数量制限の数量をふやされていったんじゃこれは大変なことになるんですよね。これは一定の歯どめだということでもしやられるならば、今後この一次関税の数量は、これはふやさないというふうな点について努力されるのかどうなのか、その点どうです。
  163. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) 今御指摘のございました一次枠の数量の件でございますけれども、これについてこの国会の方で御承認をいただいた場合においては、政令が出てくる、こういうことになるわけでございますが、今この条約上で規定をされておりますのが二百四十五万三千足、こういう数字が出ておるようなわけでございます。
  164. 立木洋

    立木洋君 済いません、時間がないので。端的に言ってください。
  165. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) この数字につきましては、アメリカにいたしましても、あるいはECにいたしましても極めて不満である。一方、私どもといたしましては、国内の厳しい状況をよく先方の方に説明をする、こういうようなことで対応してまいりました。  それで、関税割り当て制度の性格といたしましては、割り当て枠については毎年関税率審議会の関税割当部会で最終的に決まる、こういうことでございますので、私どもといたしましては今までの国内の厳しい状況、それと今言いましたようなそういう市場アクセスといいますか、そういうような点等も考慮しながら対応をしていきたい、こういうふうに考えております。
  166. 立木洋

    立木洋君 今問題にされている、アメリカのレーガン大統領の方は報復措置をとるというふうなことも言ってきている。そういう状況の中ですから、また順次数量を拡大していくというふうなことはしないように努力をして、やっぱり業界の状態というのは大変ですから、そういうふうに努力をしてほしいということを重ねて強く要望しておきたいと思うんです。  それから、通産省の方ですが、実際に今回皮革あるいは革靴の業者の方々が自分たちの問題でこうした事態になったわけじゃないんですね。これは、国のとった施策の結果としてこういう事態が招かれるわけですから、国としては、そういう困難な状態に対しては援助の手を差し伸べるということは、私は当然の対応としてなければならないと思うんですが、この緊急対策として、例えば特別融資の実施の問題あるいは借入債務の返済繰り延べなどのことや、あるいは事業転換への援助、こういう問題についてやっぱり直ちに実施すべきではないか、そういうようなことに着手しているのかどうなのか、どうですか。
  167. 北畠多門

    説明員(北畠多門君) まず、御指摘関税割り当て制度に移行した場合の国内の影響につきましては、先ほども、午前中の委員会で私の方から御答弁さしていただいたような状況でございますが、私どもといたしましては基本的に現在皮革なり革靴が非常に厳しい状況であるということは十分承知をしております。それで、各種のいろいろな中小企業対策あるいは私どもの予算がございますが、そういうものを基本的には活用していくという考え方でございます。  例えば、円高対策等で国内で非常に輸入がふえるとか輸出がしにくくなるというような状況に対して融資制度というのがございます。これについては、皮革革靴について三月の初めでございますが、指定をするということで業種の指定をいたしておるようなわけでございます。  それから、革靴につきましては、かなりいろいろ皆様方とも議論をさしていただいたわけでございますが、やはりこれから技術振興をぜひ図っていく必要があるんではないか、こういうふうに考えておりまして、具体的には既に国会の御承認をいただいたわけでございますが、六十年度の補正予算の中で三十億円を計上いたしまして、これを社団法人日本皮革産業連合会の方に交付をいたすことにしております。これの運用益を元にいたしまして技術振興を図るという考え方でございます。具体的には、例えば靴の関係でございますと、足型がなかなか合わないんじゃないかというような議論とか、あるいは靴についてイージーオーダーシステムを導入すべきじゃないかとか、いろいろな御提案を実を申しますといただいておりますので、そんなあたりについてその予算を上手に使って対応してまいりたいというふうに考えております。
  168. 立木洋

    立木洋君 実態を十分に調査して、そういう状態に対して速やかな対応をしていくように重ねて要望しておきたいと思うんです。  労働省、御承知だと思いますけれども、靴産業は、日本で五千二百以上の事業所があって、非常に零細ですね。それで大変今度の事態で、家内労働者が周りに下請しているわけですから、大変な事態になっているんですけれども、労働省として未払い賃金立てかえ払いの制度、これを倒産した場合などに速やかに家内労働者にも適用してほしいということと、それからもう一つは、皮革革靴及び関連企業の倒産に伴う賃金や工賃の不払い問題について、その債権を労働債権として優先的に支払うように関係機関などに通達を出して行政指導を強化するように徹底してほしいという要望をしたいわけですが、この点についてはどうですか。
  169. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 未払い賃金の立てかえ払い制度は、企業が倒産しました場合に、労働者に未払い賃金がある場合に、それの請求に基づきまして一定範囲のものを政府が事業主にかわって弁済すると、こういう仕組みでございます。不幸にしてお話のような事態が生じまして未払い賃金の立てかえ払い制度の要件を満たしております場合には、その制度の趣旨にかんがみまして迅速な事務処理を図りたいというふうに考えております。  ただ、家内労働者の関係につきましては、この制度が雇用労働者に対しましてその使用者が支払い責任を負っております賃金につきまして立てかえ払いを行うと、こういう制度でありまして、実は強制保険であります労災保険の中で労働福祉事業の一環として実施しておるという性格のものでございます。そういうことから委託者が責任を負うべき家内労働者の未払い工賃につきまして、この制度を適用するということは甚だ困難であると、この制度の限界だと、こういうことでございます。  それから、なお最後に御指摘ございました賃金債権等につきまして、優先扱いするということにつきましては、そういう事案が労働基準監督署に申告事案として出てまいりました場合には監督署を通じまして、従来からも事業主に対しまして指導しておるところでございますが、お話のような点につきましても同じように強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  170. 立木洋

    立木洋君 それは今までの法の建前からあなたはそういうふうに言われますけれども、実際状態というのは家内労働者というのは極めて低賃金の収入ですね。事実上奥さんと二人で働いているとか、息子さんを入れてやっているとか、家内労働の場合、非常に大変な低い労賃で仕事をしなければならない、下請けをして。そういう状態でやっているところに対して、やはり今の状態の中で国の施策で生じたいろいろな困難な問題についても、これまでの制度がこうですから、それで勘弁してくださいということじゃなくて、もっとそれを打開するような方法を労働省の方としても考えてほしいわけですよ、今までの制度ではそれはできませんからということじゃなくて。  もう一つあわせて申しておきますのは、不安定な雇用状態に置かれているこれらの産業に従事する靴工に対しての雇用保険の問題ですね。これも確かに今の条件のもとでは家内労働には不適用だとかというふうなことになってくるかと思うけれども、ほかの方法でいかなる保険の措置がとれるかどうか。これも私は検討してほしいと思うんですよ、どうですか。
  171. 浜田道雄

    説明員(浜田道雄君) 今先生からお話がありましたように、雇用保険は雇用関係にある労働者が失業という事態に立ち至ったときに保険給付を行うという制度でございますので、家内労働者の場合、御存じのように自主的に就労したり、あるいは委託関係が多数にわたったりというようないろいろな格好がございまして、雇用労働者とかなり性格の違った面がございますので、現在の雇用保険という格好の保険制度の中でこれを扱うことは非常に難しいというふうに考えております。従来からもまたそういうことで申し上げておるわけでございます。  ですから、先生の御要望の点から考えていきますと、むしろそれは雇用保険という制度と現在の家内労働者の性格がかなり違っておりまして、失業というものの認定が難しいという点から申しますと、今のこの制度の中ではちょっと難しいんではなかろうかというふうに考えております。
  172. 立木洋

    立木洋君 これで最後になりますけれども、その法律上の問題というのは私はよく知っているんですよ。しかし問題は、こうした国の施策のもとで家内労働者が大変な状態になるんだから、それに対して何らかの保険的な措置を考慮すべきではないか。これは先ほど言ったように、例えば事業の転換とかいう場合の援助の仕方あるいは今言ったようにほかに保険の方法では何かないかどうか。業者は業者なりにまた保険の方法があるわけですよ。しかし家内労働者という性格のために、雇用保険も適用されぬわ、業者としての保険も適用されぬわ、無保障の無条件の状態で置かれてしまうわけでしょう。一番大変なんですよ。だからその問題はここであなたが答えることができるような状態ではないということはわかっていますから、帰って、そういう問題が十分に保険できるような手当てを講じるようなことができないかどうか、これは通産、労働両方で十分に僕は検討してほしいと思うんです。国の施策のもとで起こったこうした事態にそういう無保障の状態で大量の人々をほうり出してしまうというようなことは余りにもこれは許されない。真剣に私は検討していただきたいということを最後に強く要望して、後でどういうふうに検討されたか経過を聞かしていただきたいと思うのでありますが、通産、労働ひとつよろしく。いいですか。帰ってよく報告して検討してください。
  173. 最上進

    委員長最上進君) 立木君、もう時間ですが、よろしいですか。
  174. 立木洋

    立木洋君 報告して検討しますと、一言ずつ言っておいてくださいよ。記録に残らないんだ。帰って報告して検討しますと答弁の仕方まで教えておきますから。
  175. 松原東樹

    説明員(松原東樹君) 家内労働対策については総合的に検討するセクションが別にございますので、その課に伝えておきます。
  176. 最上進

    委員長最上進君) 他に御発言もなければ、両件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 最上進

    委員長最上進君) 御異議ないと認めます。  これより両件を一括して討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許修正し又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  178. 最上進

    委員長最上進君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表一日本国譲許表一に掲げる譲許修正し又は撤回するための欧州経済共同体との交渉の結果に関する文書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  179. 最上進

    委員長最上進君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 最上進

    委員長最上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会      —————・—————