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1986-05-19 第104回国会 参議院 科学技術特別委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十一年五月十九日(月曜日) 午前十時開会
—————————————
委員
の
異動
五月十六日
辞任
補欠選任
菅野
久光
君
福間
知之
君 五月十七日
辞任
補欠選任
福間
知之
君
松前
達郎
君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
馬場
富君 理 事
岡部
三郎
君 志村
哲良
君
稲村
稔夫
君 塩出
啓典
君 委 員
岩動
道行君 長田 裕二君 工藤万
砂美
君 竹山 裕君
成相
善十君 林 寛子君 安田 隆明君 穐山 篤君 片山 甚市君
松前
達郎
君 伏見 康治君 佐藤 昭夫君 山田 勇君 発 議 者
稲村
稔夫
君 国務大臣 国 務 大 臣 (
科学技術庁長
官) 河野 洋平君
政府委員
科学技術庁長官
官房長
矢橋 有彦君
科学技術庁原子
力局長
中村 守孝君
科学技術庁原子
力安全局長
辻 栄一君
科学技術庁原子
力安全局次長
堀田 俊彦君
事務局側
常任委員会専門
員 野村 静二君
説明員
資源エネルギー
庁長官官房企画
調査課長
林 康夫君
資源エネルギー
庁公益事業部開
発課長
関野
弘幹
君
資源エネルギー
庁公益事業部原
子力発電安全管
理課長
神田 淳君
参考人
青森
県副
知事
山内
善郎
君
泊漁業協同組合
理事
滝口作兵エ
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関 する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
原子力基本法
及び
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関する
法律
の一部を
改正
する法
律案
(
稲村稔夫
君外三名発議)
—————————————
馬場富
1
○
委員長
(
馬場富
君) ただいまから
科学技術特別委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る十六日、
菅野久光
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
福間知之
君が選任されました。 また、去る十七日、
福間知之
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
松前達郎
君が選任されました。
—————————————
馬場富
2
○
委員長
(
馬場富
君)
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、及び
原子力基本法
及び
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を一括して
議題
といたします。
—————————————
馬場富
3
○
委員長
(
馬場富
君) まず、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。 両
案審査
のため、本日、
参考人
として、
青森
県副
知事山内善郎
君及び
泊漁業協同組合理事滝口作兵エ
君の
出席
を求めることに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
馬場富
4
○
委員長
(
馬場富
君) 御
異議
ないものと認め、さよう
決定
いたします。
—————————————
馬場富
5
○
委員長
(
馬場富
君) これより
参考人
の
意見聴取
を行います。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
山内参考人
、
滝口参考人
には、御多忙のところ貴重なお時間をお割きくださいまして、まことにありがとうございます。 当
委員会
は、ただいま
議題
となっております両
法案
につきまして慎重に
審査
を重ねているところでございますが、本日はそれぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
を賜りまして、
審査
の
参考
といたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 議事の進め方でございますが、まず
参考人
の方々からそれぞれ十五分ずつ御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
に答えていただきたいと存じます。 それでは、
山内参考人
から御
意見
を承ります。
山内参考人
。
山内善郎
6
○
参考人
(
山内善郎
君) それでは
意見
を申し上げます。 今国会に提出されております
法改正案
の主な
内容
は、第一点が、
廃棄物埋設
及び
廃棄物管理
の
事業
について
許可制度
を設け、その
規制
に関し所要の
規定
の
整備
を図ることであり、第二点が、
指定検査機関等
に
溶接
の
検査等
を行わせることができることとし、これに伴う
規定
の
整備
がなされることと
承知
をいたしております。 昨年十月、
原子力委員会
及び
原子力安全委員会
は、
専門
の
廃棄事業者
が集中的に
廃棄物
を
処理
処分する場合には、その
安全確保
の
責任
を
廃棄事業者
が負うこととすることがより適切である旨の
決定
をしており、今回の
改正案
は、この趣旨に沿ったものと理解をいたしております。本職といたしましては、
安全確保
の観点から、低
レベル放射性廃棄物貯蔵施設
の
設置者
であります
日本原燃産業株式会社
に対する
規制
と
責任
の
明確化
がなされるものと
評価
をいたしております。また、
原子力委員会
は、
返還廃棄物
の
貯蔵
を再
処理事業
から独立した
業務
とすることができる場合は、
実施主体
が
廃棄事業者
として、
返還廃棄物
の
貯蔵
についての
安全確保
の
法律
上の
責任
を負うことが、より適切である旨の
決定
をも同時にいたしておりまして、今回の
改正案
はこの
決定
を踏まえたもので、
日本原燃サービス株式会社
を
廃棄事業者
とすることによりまして、その
責任
を明確にしたものと
評価
をいたしております。 次に、
溶接検査等
の
代行制度
の導入につきましては、
指定検査機関等
に対して厳正かつ公正な
検査等
が行われるよう、国の厳格な監督を望むものであります。
最後
に、このたび
ソ連
の
チェルノブイル原子力発電所
で発生いたしました
事故
は、その事態の
重大性
から、
本県原子力発電所等
の
建設予定地域
の
住民
はもとより、県民に対し多大の
不安感
を与えたところでありまして、まことに憂慮にたえないものがございます。
原子燃料サイクル等原子力
の
平和利用
に当たりましては、
安全性
の
確保
がすべての前提となるものと認識をいたしておりますので、国におかれましては、今回の
ソ連
での
事故
に関し、その
原因
、
状況等
を可及的速やかに
調査
をいたして、早急にその結果を明らかにされるとともに、今回の
事故
を重大な問題と受けとめ、
安全対策
に万全を期するよう、この
機会
をおかりいたしまして
要請
をいたすものでございます。 以上でございます。
馬場富
7
○
委員長
(
馬場富
君) ありがとうございました。 次に、
滝口参考人
にお願いいたします。
滝口参考人
。
滝口作兵エ
8
○
参考人
(
滝口作兵エ
君)
滝口
でございます。 私は、
青森
県
六ケ所
村
泊漁業協同組合
の
役員
として、
昭和
三十七年より二十四年間、微力ではございますが、
組合
の運営のために働いておる者でございます。今回、
参議院科学技術特別委員会
より
参考人
としてお呼びくださいまして、
意見
を述べさせていただく
機会
を与えてくださいましたことは、まことにありがたく光栄に存ずる次第でございまして、厚くお礼を申し上げます。 今回の
原子炉等規制法
の一部を
改正
する
法案
の
内容
は、我々
六ケ所
村の海を
生活
の根拠としている者にとりましてはまことにありがた迷惑でもあり、
反対
の
立場
から
意見
を申し上げてみたいと存じます。 御
承知
のとおり、電事連から
核燃料サイクル
三
施設
の
立地
が県へ正式に
要請
されましてから、
立地
の第一条件であり、またそうであるべきはずの
住民
の満足な合意も得られず、また
安全性
につきましても多くの疑問があるこの危険な
核燃料サイクル施設
を、しかも、たったの七カ月か八カ月そこらで
立地
を
決定
されてしまいまして、我々
漁民
は大変な不安におののいているのが実情でございます。また、三
施設
の
規模等
は、今さら私ごとき者が申し上げるまでもなく、世界でも例のない年間八百トンの再
処理
と、しかも
濃縮ウラン
、それに三千トンの
使用済み燃料
の
貯蔵プール
や、
ドラム缶
にして当初は百万本、最終的には
ドラム缶
三百万本の低
レベル放射性廃棄物貯蔵施設
、これは世界的にもその例を見ない巨大なものであります。それがゆえに
建設場所
の
予定地
の選定に当たりましては、沖縄はもとより鹿児島の徳之島あるいは長崎県平戸、また高
レベル廃棄物貯蔵施設
の
立地
要請
されております北海道の幌延町等、我が
六ケ所
村よりは発展の非常におくれているいずれの
地域
におきましても、核の
ごみ捨て場
になることを恐れ、危険な
放射能施設
としてあまされ、
立地
を拒否されてきたのも
先生方
既に御
承知
のとおりと思います。 また、
安全性
の問題を取り上げて見ましても、今、
六ケ所
村へ
立地
が
決定
してあります再
処理
と
濃縮貯蔵
のこの計画によりますと、三
施設
から大気中へ放出される
放射性排気
、また三
施設
から毎日千三百トン近くの
放射性廃液
が海へ直接
垂れ流し
されるわけでございますけれ
ども
、この
規制
は一体
濃度規制
なのかあるいは
容量規制
なのか。また、その
排気
、
廃液
の中にどれくらいの
一体トリチウム
やクリプトンが含まれて
垂れ流し
と吐き出しをされるのかどうか。また、
人工放射能
の人体への
濃縮蓄積
の
問題等
、我々としては
判断材料
のすべてにわたりまして今もってその
安全基準
の目安さえ示されずに、また私
ども組合
では
説明会
をしてくれるように
原燃二社
に対し
要請
しているにもかかわらず、今もってただの一回も
説明
がなされていない
現状
であります。 また、この
海域
は、我々
漁民
にとりましてもかけがえのない海資源豊かな主要な漁場でありますし、私
ども組合所属
の多数の
漁船
が毎日のように操業しているのでありまして、さまざまな
放射性廃棄物
を積載した危険な運搬船が激しく港へ出入港するわけでございます。また、外国から軍艦で護衛されて返還される高
レベル
の
返還物等
、それによって引き起こされるであろう衝突の
危険性
と
漁船操業
への制限、あるいは一〇〇%出ることを予想される
風評被害等
、私
ども
六ケ所
村の
基幹産業
をなしているところの
農漁業者
から見た場合、果たしてこの
核燃料
の
企業立地
がどのような
利益
を一体我々に与えるものかどうか。我々はこれが提起されて以来、
漁業者
、
農業者
とも本当に共存が可能なのかと、今まで苦しみ悩み、そして学習をしてきたのでありますが、幾ら考えてみましても、私に言わせれば
基幹産業
でありますところの
農漁業者
にとりましては百害あっても一利なしと断言せざるを得ないのであります。 もし
立地
を許したならば、
我が国最後
で
最大
の公害吐き出しと
垂れ流し企業
と断定せざるを得ないのであります。しかも、
立地予定
の二キロの
近接地
には五百万キロリットルの
石油備蓄基地
があり、またわずか八キロの地点には
三沢対地射場
があるのは御
承知
のとおりであります。この
区域
は
特別管制区域
となっておりまして、過去五年間でも十回もの誤爆や航空機の
墜落事故
が起きておりますし、この三
施設
を一カ所に集中
立地
させるということはそれだけ非常に
危険性
を増すことになりまして、一つの
施設
の
事故
が他の
施設
の
事故
をも誘発し、
最後
には我々が想像もできないような悲惨な大
事故
となり得る
危険性
が十分あるのでございまして、そのときはもう
六ケ所
村はもとより、
青森
県も
日本
の国もこの世には恐らく存在しないだろうと、私はこう思うのであります。これはわずか百万キロワット一基の
ソ連
のチェルノブイリの
原発事故
で既に
実証済み
であります。 このような最も
危険性
のある
核燃料サイクル施設
をこのまま
立地
強行されるならば、
事故
の不安に脅かされ、夢も希望もなくしまして、しかも重大な障害を、我々の郷土や子々孫々にまで悔いを後世に残す結果になることを私
ども漁業者
は一番恐れるがゆえに、この
施設
の
立地
には、今回の
原子炉等規制法
の
改正
以前の問題として、私
ども組合員存亡
の問題として
反対
し続けてまいったのであります。今回の
法改正
では、各
原子力発電所
にあふれておりました
放射性廃棄物
をすべて私
ども
の
六ケ所
村へ集結し、核の
ごみ捨て場
にしようということですから、今まで申し上げてきましたように、我々の死活にかかわる問題と考えます。何としましても、
放射性廃棄物
は
発生者
の
責任
のもとに、発生させた各
原子力
の
発電所
の敷地内で
処理
処分すべきでありまして、何の約束も
責任
もない遠く離れた我が
六ケ所
村に設置する方式は絶対とるべきでないと存じます。
放射性廃棄物
の
発生者
である
電力会社
が法的に安全の
確保
、損害の賠償を負うのは当然の理でありまして、
廃棄物業者
に
法的責任
を課し、
発生者
が
責任
を免除されることは道理に反することではないかと思うのであります。 また、国が
検査業務
に
責任
を持って当たっているのに、
検査業務
の一部とはいえ、
民間業者
にゆだねることはもってのほかであります。
核施設
についてはどんなに厳重に
検査
をしても、し過ぎることはないのでありまして、
民間
の
機関
に移行させた場合には、どなた様が考えましても甘く緩い
検査
になることは火を見るより明らかであります。予算の問題で
民間検査
の
代行
は適当でないと思うのであります。また、
放射性廃棄物
のうち、低
レベル
の
ドラム缶
を将来
埋設
することを考えているようだが、とんでもないことでございます。
埋設
に値するものをどう区分し測定するのか、あるいはアルファ、ベータ、ガンマの諸放射線の有無をどのように測定するのか。その
安全性
が
確保
されることなくして
埋設
するということは絶対許されないことと思うのであります。 また、
北村青森県知事
は
立地受け入れ
が公平に行われたと言っているようでありますが、それは全くのごまかしであります。
核燃推進側
がいかに強引に
立地受け入れ
をしようとしているかを、
六ケ所
村
泊漁協
の例をお話し申し上げたいと存じます。昨年五月の
定例総会
におきまして、
原燃二社
から出されております
核燃料サイクル立地
のための
海域調査
の
受け入れ要請
に対する
諾否
は、
組合員
の
生活
に極めて重要なことであるので、
理事会
、
役員会
でなく、
臨時総会
において
決定
しなければならないという
議決
がなされました。そして、七月の
臨時総会
で
諾否
の件が話し合われるはずでございましたが、
推進派理事
と
組合員
で
書面議決書
が、三百八十に近い者が買収をされまして、これが判明しまして
総会会場
で糾弾され、その
総会
は流会となったのであります。県と
原燃二社
から、
核燃サイクル立地
を推進しようとする
理事
ら四人は、自民党の有力な
県議会議員
のさしがねを受けて、当時公務で
交通事故
で入院中の私の
組合長
を
書面解職
という
青森
県で初めての、私に何らの弁明の余地も与えずに、ただただ、単に定款に各
当選理事
で互選すると、こうあるのを逆手にとり、私を
書面解職
をしたのであります。そして四人の
理事
で
理事会
の決議もせずに
調査受け入れ
を決めて、
原燃二社
に
同意
を渡しているのが
現状
でございます。 この
暴挙
に対して、正
組合員
の
過半数
が、
理事会
には
調査受け入れ
の
決定権
がないこと、新たに
臨時総会
を開くべきだという
開催請求
の
署名
がなされました。その
請求
による
臨時総会
が一月十日に開催されまして、この危険きわまりない核の
ごみ捨て場
の
立地調査
に対しては、
立地
されることによって我々の海は死んでしまうのであります。そのために移転を含めた
漁業補償等
千四十二億の支払いかない以上、
調査
には
同意
をしないことを満場で
決定
したのであります。そして、
原燃二社
に対して
推進側
の
理事
が勝手に渡した
同意書
の返却と千四十二億円の
動議書
を発送、通告したのでありますが、開封されないまま送り返されてきております。その後も
原燃二社
からは何ら回答が得られない状態であります。 その後も
推進派理事
は
組合員
多数の意思を無視し続けましだので、再び
組合員過半数
の
署名
をもちまして
板垣理事
の
理事解職
のための
総会請求
を
理事会
に対して起こしたのであります。
推進派
の
理事
四名は不当にもこの
請求
を受け取ろうとしなかったために、
理事会
での
臨時総会
が開けず、やむなく
監事招集
による
臨時総会
が三月の十九日に行われたのであります。ここで満場一致で
板垣理事
の
理事解任
が
決定
されました。しかるに
推進派理事
は、またしても
理事会
での正式な討議のないままに三月二十三日に
臨時総会
を招集したのであります。この
総会
の
異常ぶり
は新聞などの報道によりまして皆様もよく御存じのことと思いますが、十九日の
総会
で
理事
を解任されている
板垣組合員
が、
私服警官
とガードマン三十名ほどに守られまして、
出席者
の確認もせずに、
事務局
にも提出されていない
書面議決書
なるものがあるものとして、前もって用意されておりました
メモ
を読み上げ、すぐに
私服警官
に守られ退場したのであります。その間一分三十五秒足らずの
総会
であります。全くのやらせ猿芝居が行われたわけであります。それに対して
青森
県も
原燃二社
も口をそろえて、その
総会
は有効であり、
調査受け入れ
が
決定
されたとして、今既に
海域調査
の
申請
がなされているのであります。
板垣組合員
が読み上げました
メモ
を原文のまま読み上げてみますと、これがその当時の
メモ
であります。
板垣組合員
が読み上げた
メモ
は、
組合員
の
出席者
が
書面議決書
と
委任状
などを合わせ四百二名で、
総会
が成立したので開会します、きょうの
議案
は配付しているとおり二件です、一
号議案
はこれまでいろいろあって皆さんもよく
承知
と思います、二
号議案
は私の
解職
の問題です、この際私に議長をやらせていただき
議案
の採決をします、一
号議案
による
同意
が四百二名で
過半数
を超えているので
決定
する、二
号議案
は同じく
反対
三百九十九名で否決することに
決定
します、これで閉会するということで終わったわけでございます。これが
板垣組合員
の読み上げた
メモ
の全部であります。以上のとおり、
板垣
は、正
組合員
の
出席者
が
書面議決書
、
委任状
などを含め四百二名で
総会
が成立した旨
発言
しているが、
総会
の
受付業務
をしている当
組合
の
事務職員
がたれ一人として
書面議決書
も
委任状
も受け付けしていないのであります。
受付業務
に立ち会いをした
村畑
、
赤石理事
の二人も見ていないのであります。三月二十三日の
総会
から
あと
三日もすればもう二カ月になるわけでございます。前にも申し上げましたように、このような
メモ
の朗読という前代未聞といったらいいのか、常軌を逸したやり方の
総会
でも、
県知事
も村長も
原燃二社
も
総会
が有効であるとして
八戸保安部
に
海域調査
の
申請
がなされております。この
民主主義
の
日本
においてこのような
暴挙
が許されていいのでありましょうか。 私は、
北村知事
の余りな干渉には我慢できなくなりまして
知事
に抗議に行ったわけですが、
知事
には会えずに、きょう同じく
参考人
として
おいで
になっておられる
山内
副
知事
さんにお会いいただきましたので、
総会
のいきさつを報告、
総会
の無効を訴えたのでございます。ところが副
知事
も、
総会
が有効であるとの見解であり……
馬場富
9
○
委員長
(
馬場富
君)
発言
中恐れ入りますが、
参考人
に申し上げます。本日は
原子炉等規制法
の一部を
改正
するというその
意見
でございますので、
議題
以外のことにつきましては御遠慮願いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
滝口作兵エ
10
○
参考人
(
滝口作兵エ
君)
関連性
がありますので、
あと
一分で終わります。 その
理由
はとお尋ねしたところ、四百二名の
書面議決書
があるからと答えましたので、副
知事
さん、あなたその
書面議決書
を見てますかとお聞きしたところが、コピーを見たとはっきり言明したわけです。我々は見ていないから見せてくれないかと、今
おいで
になっている副
知事
にお願いしたわけでございます。我々は一日も早く泊にもどのような平和が訪れるようにしたいのであります。
放射能
のごみをどっさり持ってこられることは御免です。 さらに、私が、この
法案
に
反対
する
最大
の
理由
は、この
法案
が通って
原燃二社
が
責任主体
になることの恐ろしさにあります。
原燃二社
が
六ケ所
村においてこれまでやってきておられる行為を見ますと、こんな
会社
に恐ろしい
放射能
の
管理
を任せてはおけないと強く思うのであります。
企業利益
のためには何でも強引にやってしまうとしか思われないのであります。
ソ連
の
原発事故
で
放射能
の恐ろしさは改めて認識されようとしております。どうか
参議院議員
の
先生方
の慎重な
審議
をもちまして、恐ろしい核の
ごみ捨て場
に安易にされるような
法案改正
がなされないようよろしくお願い申し上げまして、私の
意見
といたします。
馬場富
11
○
委員長
(
馬場富
君) それでは、
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
岡部三郎
12
○
岡部三郎
君
山内
副
知事
さん、また
滝口理事
さん、きょうは本
委員会
のために
参考人
としてはるばる
青森
から
おいで
いただきまして、貴重な御
意見
を賜りましてありがとうございました。若干の
質問
をさせていただきたいと思います。 最初に、
滝口理事
さんにお伺いをしたいと思いますが、本
委員会
は目下、
原子炉等規制法
の
改正
についての
審議
をしているわけでございますので、それについてのひとつの御
意見
を賜りたいと思う次第でございます。 ただいま
滝口参考人
は、
六ケ所
村に予定されておる
原子燃料サイクル
三
施設
の
立地
につきまして、
本法
以前の問題として
安全性
の面から大変疑問である、
安全性
の面に疑問があるから
反対
である、こういう御
意見
であったわけでございますが、そうした面を考えましても、
本法
においては、例えば低
レベル
の
放射性廃棄物
については、
現行法
ですと、その
発生者
である例えば
原子力発電
をやっている各
電力会社
にさまざまな
規制
をかけて、これを
チェック
をするというふうなことであるわけでありますが、実際にその
廃棄物
の
処理
をするのは
六ケ所
村の
現地
でございますから、
現地
で
最終貯蔵
をする
日本原燃産業株式会社
、これに
責任
を持たせて、これに
規制
をかけて厳重な
チェック
をしていく、
安全面
からの
チェック
をしていくということの方がはるかに効果があるのではないかというふうに我々は考えるわけでありますが、この点いかがでございましょうか。
滝口作兵エ
13
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) お答え申し上げます。 確かに
先生
のおっしゃるとおりでございますけれ
ども
、
原因
の
発生者
はあくまでも
原発
でございます。恐らく
日本
の九
電力会社
のほかに
原発
の
会社
は一社か恐らく二社だろうと私は思います。
資本力
におきましても、恐らく優秀な総力のある各
電力会社
だろうと思うんでございます。その
電力会社
が
原因
をつくっておりながら、しかも小っちゃい
会社
にそれを任せてしまう、こういうことに対する不安が我々はあるわけです。これはあしたに必ず稼働しますというと一〇〇%
放射能
による
被害等
が出てくるのは確実なわけです。それをなせ小っちゃい
原燃二社
にその
責任
をかぶせてしまうのか。私は
責任逃れ
ではないだろうか、このように思います。 それにもう一つ申し上げますというと、今まで
原燃二社
の私
ども生まれ部落
にとった行動によりますと、例えば今も、おしかりを受けるかもしれませんが、三月十九日に
板垣理事
の
解職
の
総会
があっておったんですが、三月二十三日のいわゆる
推進派
の
総会
が有効であると、十九日の……
岡部三郎
14
○
岡部三郎
君
質問
はそういうことじゃございませんので、
質問
にだけお答えを願いたいと思います。
滝口作兵エ
15
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 十九日の
総会
はいいと、だから二十三日に出て十九日はだめだと、出なくてもいいと、こういうふうな
会社
の社員を使っての
反対運動
をしているわけです。
馬場富
16
○
委員長
(
馬場富
君)
滝口参考人
に申し上げますが、
質問者
の
質問内容
にだけ答えてください。
滝口作兵エ
17
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) だから、そういう関係でございますので、私は全くこの
会社
がもうひどい
会社
である、内政干渉も甚だしい
会社
である、そういうイメージを持っております。以上です。
岡部三郎
18
○
岡部三郎
君 次に、
山内参考人
にお伺いをしたいわけでございますが、
青森
県とされては
六ケ所
村むつ小川原開発地区に
原子燃料サイクル
三
施設
の
立地
を認める、こういうことで五十九年四月以降いろいろ県論の集約にお努めになりまして、大変御苦労をされたわけでございます。さらに、そうした県のさまざまな方々の御
意見
を踏まえまして、政府並びに
原子力
事業
者とも交渉を重ねてこられたことだと思いますが、現段階でまだ未解決の問題は例えばどういうふうなものがおありなんでしょうか、教えていただきたいと思います。
山内善郎
19
○
参考人
(
山内善郎
君)
岡部
委員
申されたとおり、電事連から
立地
の協力
要請
を受けて以来、県といたしましては、県内各層各界の代表の方々約三百二十名に対しまして二回にわたって
意見聴取
をいたしたわけでございます。それによりまして、最終的には県議会の全員協議会を開き、また
六ケ所
の村長から正式の文書もちょうだいをいたしまして、
立地
の協力
要請
を受諾いたした次第でございます。 現在残っている問題がないかというお話でございますが、陸上の
調査
は順調に進んでおりますし、海上の
調査
も過般、全関係漁協の承諾を得まして、近く海上保安部から許可が出次第
調査
に入る予定といたしております。 この段階ではまあまあ事が順調に進んでおるものと考えておるわけでございますが、ただ、先ほ
ども
申し上げましたように、
ソ連
の
事故
が起きまして以来県民が非常に不安を感じておりますので、県といたしましては、あの報道がなされた直後、
知事
が科技庁に参りましてこの問題をお話し申し上げ、また関係電力に対しましても今後の対応等について
要請
をいたしたところでございますが、早速国におかれましては五月の二日に担当官を派遣くださいまして、電源二社とも
ども
この問題に対して第一回の
説明
があったわけでございます。それはもう御
承知
のとおり、
日本
の
原発
と
ソ連
の
原発
では大体タイプが違うものである、それから
日本
におきましてはアメリカのスリーマイルアイランドの
事故
の発生以来国内の
原発
に対して厳重な
審査
、
規制
をいたしまして、なお一年に一回厳重な
検査
をしておりますので、
ソ連
におけるような
事故
は恐らくは起こらないであろうという御
発言
がございましたが、ただこれだけでは県民がまだ不安を感じている面が非常に多いのでございますので、県といたしましては文書をもちまして関係官庁、関係各社に対しまして今申し上げたようなことを、
原因
の正しい
調査
をしていただき、県民に対して
安全性
の確認ができるようなひとつ御
説明
をいただきたいということを
要請
をいたした次第でございます。現在懸案と申しますか、抱えておる問題はこの問題一つでございます。
岡部三郎
20
○
岡部三郎
君 地元の
最大
の要望であるし、また現在残された
最大
の課題が
施設
の
安全確保
の問題であるということは、これはもう当然の話であろうと私
ども
も考えるわけでありますし、特に今回のチェルノブイル
発電所
の
事故
に関連してただいまも強い御要望があったわけでございます。 このことにつきましては、既に国会でも本会議で決議がなされておりますし、また
施設
の構造上の差異等から、
ソ連
でああいう
事故
が起きたから直ちに
日本
の
施設
が不安だというものではないと思いますけれ
ども
、しかし
安全性
ということに関してはこれは絶対ということはあり得ないわけでありますから、我々といたしましても、今後もひとつ政府を叱咤勉励いたしまして、
安全性
の面につきまして万全を期するべく努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
青森
県とされましては、この
事故
を契機として、この三
施設
の
立地
に対する従来の県の方針というものに何らかの変更があるというふうなことはございませんでしょうか。
山内善郎
21
○
参考人
(
山内善郎
君) 従来の方針については変わりがないと存じております。
岡部三郎
22
○
岡部三郎
君 県がこういう
施設
を県内での
立地
を認めるというためには、
安全性
の面が大前提であるということはもちろんでありますが、それと同時に、やはりこういう
事業
を通じてこの
地域
の発展振興を図るといった面をお考えの上でこういう御方針を決められておられることだと思いますが、そうした
地域
住民
の雇用の
確保
あるいは所得の増といったような面につきまして、御要望がございましたらお述べをいただきたいと思います。
山内善郎
23
○
参考人
(
山内善郎
君) おっしゃるとおり、この問題は何といたしましても
安全性
の
確保
が第一義的なものでございますが、やはりこれを受け入れる以上は、地元
住民
または県民に対して何らかのメリットがなければいかぬということは我々も十分考えておるところでございまして、既に関係電力二社、
青森
県知事
、
六ケ所
村長、電事連会長が立ち会いのもとに協定書を締結をいたしておりまして、地元に対する雇用の拡大、またそれに関連する、電源三法交付金にとどまることなく、その他の
施設
についても地元の発展のために協力をしていただくような協定を結んでございますので、これはぜひひとつ実行をしていただきたいと存じておる次第でございます。
岡部三郎
24
○
岡部三郎
君 ありがとうございました。
稲村稔夫
25
○
稲村稔夫
君 お二人の
参考人
には遠いところをわざわざ、現在
審議
をしております
法律
についての言ってみれば直接関係を持たれる
現地
という
立場
から、いろいろと御
意見
をお聞かせいただくためにお運びをいただきましたことを、心から御礼を申し上げたいと存じます。私、社会党の
稲村
と申します。大変貴重な
現地
の御
意見
ということでございますので、そこで私からも何点かについてお伺いをし、率直な御
意見
をお聞かせをいただきたい、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。 最初に、
山内参考人
にお伺いをしたいのでありますが、私は今
山内参考人
が、県民の中にもまだ
安全性
等についてはいろいろと不安が残っている部分もあり、そうした不安を解消していくということが非常に大事だという観点で物をおっしゃったということには私も同感でありますが、その
安全性
について県としてどのように受けとめておられるかということについて、若干お伺いをしたいのであります。 私は、今回の
ソ連
のチェルノブイリの
事故
の
原因
の細かいことはまだそれぞれ情報が入っていないからわからないというところもございますけれ
ども
、いずれにしても人間が操作をしているものということの中で、その人間の甘さといいましょうか、そういったものがどこかで働いていたのではないかなというふうにも想像もするわけです、アメリカの
原発事故
につきましても、やはり人為的なミスがついて回っているというのが普通のようでありますし、そういたしますと、
原発
に限らずそのほかのいろいろな
事故
、大きな
事故
小さな
事故
にかかわらず、やはり常に人間が操作しているものについての
事故
が発生をした場合には、人間のミスというものがそこに介在をしているという、残念ながらそういうことになっていると思うんですね。 ですから、例えば機械的に安全を
チェック
していくときに、装置としては二重三重に
安全性
を
チェック
できるようにという装置がされます。しかし、そういう装置を二重にも三重にもやっていっても、また何かの人間のミスというものが起こって
事故
につながる。こういうことがあるだけに、今度は人間の体制としての
チェック
の体制というものがやはり二重三重というものになっていることで、またある程度機械による
チェック
だけではなしにより
安全性
を高めていく、こういうことになるのではないかと考えているわけです。 この
立地
を受け入れられるという御方針になりました
青森
県としては、そうした今の廃棄二社の関係のいろいろな安全
チェック
の体制と同時に、国の方もいろいろな
規制
の
法律
等で
規制
をする分もございますけれ
ども
、県として、今度はこうした安全の
チェック
の体制をどのようにしていかれるのか、いかれようとしているのか。その辺のところを十分御検討をいただいた上で
立地
ということの御判断に踏み切られたのかどうか、こんなことについてお伺いをしたいと存じます。 まず、
山内参考人
からお答えをいただきましょうか。
山内善郎
26
○
参考人
(
山内善郎
君) おっしゃるとおり、これは非常に危険なものでありますので、これをいかに防護をいたしまして
安全性
を
確保
するかということが問題であろうかと思うわけであります。お説にもありましたように、機械的には何重にもこれを防護いたしまして、また人的にもこれを
チェック
をするということが必要であろうかと思う次第であります。さきに
青森
県では、原船「むつ」が
青森
県に係留されたのでありますが、これに対しましても
事業
団だけに
チェック
を任せるのではなく、県自体もこれを
チェック
する体制を整えてこれに臨んだ経験がございます。したがいまして、このサイクルの問題につきましても、今後、建設に当たりましては国の厳重な
審査
が行われて、これに合格して建設をされることになると思うわけでありますが、県といたしましても、国の指導を得ながら県自体としても何らかの措置を講じていく必要があるのではなかろうかと存じておるわけでございます。
稲村稔夫
27
○
稲村稔夫
君 ちょっと私は、今のお話ではまだ体制としては何か理解しかねるところがございます。といいますのは、やはり大きな不安がいろいろと
住民
の中にはある。そういうものであれば、当然不安が出ないような体制づくりというものを行政の推進の側としては積極的に行っていく。そういうことによって、
安全性
を県としても積極的な面で
チェック
をする体制があるんだということをやっぱりお示しをいただかなければ、なかなか納得できないというところがあるのではなかろうか、こんなふうにも思うんです。そういう観点から、例えば監視なり何なりという形で、
住民
の監視体制といいましょうか、そういったものについて県の方はどういうふうにお考えになっていますか。
山内善郎
28
○
参考人
(
山内善郎
君)
住民
自体の監視体制が必要でないかというお話でございましたが、そういう御
意見
のもう既に出ていることは私も
承知
をいたしております。ただ、
住民
、県も含めて、
原子力
の問題につきましては
専門
的な知識がなければなかなかこれを判断することは面倒なわけでありますので、
住民
の監視体制、
専門
的に完全に知識があってそれを監視し得る体制が整うのであれば、そういうことも考えてもいいのではないかと考えておりますが、今のところは具体的に
住民
自体による監視体制をつくるかどうかということは
決定
をいたしておりません。
稲村稔夫
29
○
稲村稔夫
君
決定
をしておられないけれ
ども
、技術的に可能であればそういう体制をつくっていくことも検討してよろしいと、こういうふうに受け取ってよろしいんでしょうか。 今、
専門
的知識というふうにおっしゃいましたけれ
ども
、確かに一つ一つの事象についての
専門
的知識の問題というのは重要なポイントの一つであります。しかし同時に、それらの
専門
的知識というのは、いろいろな学者なり研究者なりというような人たちと御相談をいただけるような体制をつくっていくことで一定程度の可能性というものを持っておりますので、その辺のところはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
山内善郎
30
○
参考人
(
山内善郎
君) サイクルの問題は県としても非常に重要な問題でございまして、方針その他は最終的な
決定
はまだいたしておらないわけであります。これからも
地域
住民
の方々、あるいは国の御指導、あるいは
専門
の学者の方々の御
意見
を聞きまして、最良の方法でこういう問題を進めてまいりたいと存じておりますので、今申されました体制につきましても、そういうことで今後検討してまいりたいと存じております。
稲村稔夫
31
○
稲村稔夫
君 安全についての
住民
との対話といいましょうか、県としてその辺の
住民
との
意見
交換あるいは要望の吸い上げ、こういうような作業をいろいろと受け入れられるからにはお考えになっておやりになったんだと思うんですけれ
ども
、今までそれはどの程度おやりになったんでしょうか。
山内善郎
32
○
参考人
(
山内善郎
君) 県といたしましては、先ほ
ども
申し上げましたように、このサイクル問題のことにつきましては、技術的にもこれに通ずる職員等も少ないわけでございますので、まず国内のこの問題についての造詣の深い
専門
家の方々十一人に委嘱をいたしましてこの問題の御検討をいただいたわけでありますが、それにつきましては最終的に、基本的には
安全性
が
確保
し得るという御回答をいただいて、報告書をちょうだいいたしたわけであります。その報告書につきましては、非常に分厚いものでございますので、あらまし要約したものを印刷をいたしまして県下に配布をし、また新聞、テレビ等でこの学者の
先生方
の結論を県民にPRをいたしたわけであります。その他、先ほ
ども
申し上げましたが、県下の各界各層の代表の方々約三百二十人につきまして御
意見
を二度にわたってちょうだいをいたしまして、また
六ケ所
村内におきましては、村民約四百名の方々が茨城県の東海村を視察をして、その認識を深めていただいたわけでございます。そういうことで
六ケ所
村におきましては、そのほか各部落ごとに、先ほど
滝口参考人
さんは余り
説明
もなかったようなことをおっしゃいましたが、各部落ごとに
説明会
を開催し、村民の理解を深めていただきまして、最終的には
六ケ所
村から正式文書で
立地
に対する協力
要請
受諾の文書をちょうだいし、県議会も全員協議会を開催いたしまして、県議会の
意見
を拝聴し、
知事
の最終態度を決めた次第でございます。
稲村稔夫
33
○
稲村稔夫
君 私は、今のお話を伺いながら一つ疑問がまた新たに出てきたのでありますけれ
ども
、それは要は
安全性
について
専門
家の皆さんからいろいろと御
意見
をお聞きになった、これは一つの手続としてといいましょうか、みずからが理解を深めるという面でも非常に大事なことでございましょう。そして報告書を要約をされて各関係の皆さん方に配布をしたりあるいはテレビでいろいろと報道してもらったりというような御努力をされた、こういうお話でありました。しかしその場合に、
住民
の側からいたしますといろいろな疑問とか心配とかというのを持っております。それに対して、そうすると説得の
立場
で当たられたんでしょうか、それとも
住民
の側のいろいろな疑問というものを吸い上げてそれをまたさらに検討するというような形をとられたんでしょうか、その辺のところはどのような運営をされましたでしょうか。
山内善郎
34
○
参考人
(
山内善郎
君) この問題につきましては、県といたしましては初めにこうやるという
意見
を持たなくて対処したわけでございます。今申し上げたような段階を経て最終的に県の態度が決まった、こういうことでございます。しかしこれは、
立地
に対する協力
要請
を受け入れたのでございますが、しかしながら
ソ連
の
事故
等もございまして県民にまだまだ不安が残っていると感じておりますので、今後とも
住民
の御
意見
、県民の御
意見
を十分聞きながらそれに対応してまいりたい、かように存じております。
稲村稔夫
35
○
稲村稔夫
君 ありがとうございました。 まだ私の持ち時間というのもございますので、今度は
滝口参考人
にお願いをしたいのでありますが、いろいろと漁協という運営の中で御苦労してこられたというお話もございましたが、そのこととは今回の
法案
との直接のつながりということとは別ということで、そのことはひとつわきに置きまして、
住民
という
立場
あるいは
生活
者というのでしょうか、その
地域
に住んでいて
生活
をしておられるそういう
立場
から、どういうふうにお考えになっているかということをお伺いをしたいと思うんです。 今、
山内参考人
からお話のございました
安全性
についての関心というものが高いから、そこで部落ごと等に懇談会なんでしょうか座談会でしょうか、そういう言ってみれば
機会
を持って皆さんの御
意見
は聞いたというふうに言っておられるんですが、先ほどの御
意見
の中ではこうした
安全性
について十分な
意見聴取
はなかったというふうに言われたと思います。それで、その辺の関係についてどのように受けとめておられるのか、伺いたいと思います。
滝口作兵エ
36
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 今、
規制
法とは、またおしかりを受けるかもわかりませんけれ
ども
、これくらいのいわゆる世界に例のない規模の大きい
事業
を
立地
されるものですから、当然まず何より
住民
の合意が一番大事だろうと私は思うわけであります。今、副
知事
さんおっしゃっておられますが、私
ども
もこの
核燃料サイクル
につきましては、
先生方
も恐らくそうだと思うんですが、非常に難解な問題がある。一
組合員
、漁師の我々ではとても容易ならざる問題がありましたので、昨年の二月二十四日に放射線遺伝学の埼玉大学の市川
先生
をお招きして、水産大学の
先生
と二人で、特にお願い申し上げまして学習会を持ったわけでございます。人によりましては慎重・
反対
派の人と言うかもわかりませんが、それで私
ども組合
員全員とそして部落の総代さんにお願いして学習会を開いたわけでございますが、一たん公民館の場所を提供したにもかかわらず、翌日になりましたら貸せないということがあったんです。これは公民館長の権限なわけですけれ
ども
、なぜ貸せないのかと言いましたら、講師に問題があると。御
承知
のように遺伝学のムラサキツユクサで有名な市川
先生
でございます。やはり我々は素人なものですから、これらのいわゆる放射性物質がさまざまな問題を通して人体に蓄積される、あるいは濃縮される、いろいろな放射性物質がいいのかどうかということで学習をしたわけです。 そのように本来は村で、当然県でやらなければならない
説明会
、学習会なのに、我々にろくな学習の場を、しかも公民館を貸さないと。私はその当時議員でもありましたが、大変議会で問題にしましたが、あくまでも村長の入れ知恵だろうと。私に言わせれば、この部落、今、副
知事
さんに反論したことはないんですけれ
ども
、確かに一万四千人あるうち四百人の方が東海村を視察されました。あるいは特別
委員会
がつくられまして四回ほど会合を持ったことがあります。それと、うちの方は、
六ケ所
は三十三カ所部落がございます。うちの方が一番大きくて約千五十戸あります、戸数にして。人口四千人なんです。その部落に十時から対策
委員会
の名のもとに
説明会
が一回あったきりです。しかも七十名の、時間帯が十時という、御
承知
のように泊時間といって、二時間か三時間おくれることを泊時間と言いますが、この時間帯も、漁師は夜行って昼寝ておるわけですし、一時からやればかなりのお父さん方も若い方々も見えるわけですが、故意に我々の目、耳、口をふさぐようにろくな勉強をさせない意図のもとに十時からなんです。七十名の方が
出席
して
説明
を受けていますけれ
ども
、それでも今副
知事
さんおっしゃったように
住民
には
説明会
をやったと、こういうことになるわけです。我々もそのために大変に苦慮して、公民館を貸さなかったものだから。私の方には立派な研修センターがあるわけですが、部落の一番の端っこで非常に人の集まりが悪い、そういうことで特に役場にお願いしたわけです。このように
住民
に知らせる、
住民
の合意を得るということは勉強させるのが一番の前提になるわけです。 ところが、私も反論するわけじゃないけれ
ども
、絶対短い期間に、だれもが知らないうちに、覚えれば皆さん大変
反対
が強くなる、特に泊の漁師は大変だろうと、そういうことで一日散にこれを進めてしまった。私も全員協議会の議員として、今おっしゃった二回目の各界各層の
意見聴取
だったわけですが、それが一月の十八日だったんです。私の方の
六ケ所
の村議会で
決定
をしたというのが十六日なんです。決して
決定
してはおりません。これは非常に大きい問題だからいずれまた再度検討してみて、それでその日は特別
委員会
から出た三十七項目に対するいわゆる報告にとどめたわけです。それが十七日、翌日には何と七項目に圧縮して全員協議会で全員了承したという、うそでごまかしをしているわけです。はっきり副
知事
さんおっしゃっているとおり、
知事
が十八日に
六ケ所
の議会、そして
六ケ所
の村長に対して非常に謝辞を述べているわけです。私は心外でならなかったんです。全然決まっておりませんでした。いずれ後で、大事な問題だから、再度
委員会
を開いてさまざまな各界から
意見
を聞いてやりましょうと、こういうことでその日は結論を得たのに、もう次の日に、十七日に勝手に議会を軽視して言っているわけです、村長が。こうやって十八日に
知事
が、全員協議会で
決定
したという、この
決定
が非常に大きかったわけです。三百人くらい集まった人でも、いや
六ケ所
の地元が
決定
したのだから
異議
ないんじゃないかということになったんです。そのように、非常に捏造された討議であったということを私はこの席で申し上げたいと思います。以上です。
伏見康治
37
○伏見康治君
青森
県からはるばると
おいで
くださいまして、お二人の
参考人
に対して感謝を申し上げたいと思います。
青森
県と申しますと、私たち特に遠くの方におります者にとりましては、すぐ
原子力
船「むつ」のことを思い起こすわけでございます。随分長い間、地元の皆様に
原子力
船「むつ」では御迷惑をおかけしたのではないかと思うんですが、しかし全く無関係な
立場
からあの「むつ」の事件を回想してみますというと、本質的でない、何か瑣末なことで騒いでいたという感じをどうしても否みがたいわけでございます。例えば放射線漏れということと
放射能
漏れといったような、非常に本質的に違うことを混同してしまうといったようなことで騒ぎを大きくしている。これはだれの
責任
であるか、新聞記者の
責任
であるのか何かわかりませんけれ
ども
、物事の本質でない、何か周辺的なことでいたずらに物事を紛糾させてきたといったような感じを遠く離れた人間としては感ずるわけでございますが、しかし地元におられる方々にとってはもっと真剣な問題で、本当に大変御苦心になったんだろうと、こういうふうに考えるわけでございます。
青森
県におられる方々は「むつ」について、もちろん過去におけるいろいろな経過を十分御存じだと思いますが、それから今度のことに対する何か教訓を得られたはずだと私は思うのでございますが、まず
山内
さんからそういうことをお伺いいたしたいと思います。
山内善郎
38
○
参考人
(
山内善郎
君)
原子力
船「むつ」につきましては非常に長い間いろいろなことがございまして、再入港の折には私が正面に立っていろいろ国の方にお願いを申し上げ、地元の説得に当たった経緯もございます。 ただいまお話がありましたように、
放射能
が漏れたのでもないのに何であんな騒ぎになったのかなと、こういうことでございますが、やはりその前に強行出港というような地元の完全に了解を得られない前に船が強行突破をして試験航海に出たという経緯がございます。そういうことでございましたので、やはり
放射能
だか放射線たかの区別もつかない方々も多いわけでございまして、何だ、あれほど安全だと言っていながらそういうトラブルを起こしたじゃないか、我々がもう少しみんなに了解を得られてからこの試験航海に出た方がいいと進言をしたのに強行突破をしたからこういうことになったんだという
意見
が大半であったように存じております。したがいまして、今度の問題につきましても、やはり建設をし、これを操業するまでには、県民の本当の御理解と御協力を得た上で進めなければいけないと、かように存じておる次第でございます。
伏見康治
39
○伏見康治君 ありがとうございました。
滝口
さんにも同じような御
質問
を申し上げたいと思うんですが、
滝口
さんは、そのときは「むつ」からは離れた場所にお住まいで、また行政の
責任
者でもなかったと思いますので、
山内
さんとは違った
立場
だとは思いますが、しかしお近くで、同じ
漁民
でいらっしゃるというような観点から御関心が深かったかと思うのでございますが、どういうふうにあの「むつ」の事柄をごらんになっていたでしょうか。
滝口作兵エ
40
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 御指摘のとおり、御
承知
のようにむつ湾というのは私
ども
太平洋東岸と違いまして非常に流れが緩慢でございます。したがいまして、自然の浄化といいますか浄化力といいますか、そういう関係につきましては非常に要注意な場所であるわけです。でありますので、近年、御
承知
のようにホタテ産業があの湾内で百億に近い生産高を誇っている。こういうことで、
地域
の
漁民
にしてみれば、ちょっとの汚れも、太平洋の我々とは違いまして非常に、即それから離れていく。しかも今、御
承知
のように消費者のいわゆる嗜好というのが全然違ってきている。ちょっとの野菜でも肥料さえ使わない、農薬も使わない、こういうことのような考え方ですので、
漁民
にしてみれば、騒ぎが大きくなり関心が大きくなるのは当然のことだと思います。以上です。
伏見康治
41
○伏見康治君 どういうふうにすればもう少し円滑に事々が運んだであろうかという御感想をいただきたいと思います。
滝口作兵エ
42
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) やはり今の核燃サイクルの
立地
と同じで、非常に
住民
の合意の仕方がなされていなかったと。今も副
知事
さん言われますように、強行出港のようなのは最たるものであります。これはもうやはり今からはすべてにわたってそうなんですが、
住民
の合意が一番大事だと。今も我々がやっている
反対
の運動、闘争というものと、ここの
委員会
に来て申し上げるのは確かに原力炉の
規制
法の一部
改正
でありますけれ
ども
、地元ではそれ以前の問題として、特にソビエトの
原子力発電所
の
事故
、あるいはまたいわゆるアメリカの
事故
等を見まして、安全であるとは言いながら、やはり高度な技術を駆使すればするほど、技術が高くなればなるほど、それを使うのは人間でありますし、
最後
には人間の操作がやはりそういう重大な
事故
を起こす。物が危険だからゆえにそういう結果になるんだと。いかに二重に三重にしようとも、そこでの人間のちょっとした過ちでそれがぶっ飛んでしまう、こういうことに対する懸念だろうと思うわけです。以上です。
塩出啓典
43
○塩出
啓典
君 両
参考人
の方には、大変遠路、いろいろありがとうございました。
山内参考人
にお尋ねしますが、下北半島に
原子力
関係の三つの
施設
が設置されると非常に集中し過ぎるのではないかという、こういう
意見
があります。確かにそう言われてみると大変な
施設
が集中するという、しかし一方では、やはり一つの技術的な
安全性
の
管理
という点から見れば、余りあちこち散らばってもやりにくい点があるのじゃないかという両方あるわけですけれ
ども
、集中という点についての
青森
県民の皆さんの受けとめ方はどうなんでしょうか。
山内善郎
44
○
参考人
(
山内善郎
君) 三
施設
集中して同じ場所に
立地
されるということにつきましては、これは非常に危険度が多くなるという
意見
の方々もございますが、しかしながら、何といたしましても
安全性
を確実にするということになれば、三つ一緒になりましても、ただいまも言われましたが、
管理
その他ではむしろいい面もあるのではないか、かように考えております。
塩出啓典
45
○塩出
啓典
君 この
法案
につきましてはそう急ぐ必要はないじゃないか、そういう
意見
がありますし、
廃棄物
の
処理
は何十年、何百年将来にわたる問題だからもっと慎重に論議をすべきじゃないかと。しかし一方では、既に二つの
会社
ができていて、今ごろ
法律
を出すのは後追いじゃないか、そういう点からするならばもっと早くこの
法案
を
審議
して、その後
会社
ができるのが本当じゃないか、そういう
意見
。私たちもどちらも一理があるな、そういう感じがするんですけれ
ども
、
青森
県としてはその点はどのようなお考えでしょうか。
山内善郎
46
○
参考人
(
山内善郎
君) この問題だけでなく、地元の我々といたしましてはやはり先送りのものをなるべく少なくしたい。具体的にお決めをいただいて、それに基づいて県民、
住民
の方々に
説明
をし、納得を得ながら進めてまいりたいと存じておりますので、できますれば物事はなるべく具体的なものを先送りしないで決めていただきたいという感じでございます。
塩出啓典
47
○塩出
啓典
君
滝口参考人
にお尋ねします。
滝口
さんは、今回の
法案
に基づいていわゆる
発生者
の
責任
が、この原燃サービス、原燃産業と二社に
責任
が移るということについて、こういう
会社
に
責任
が移るのは非常に心配だ、こういう御
意見
だったと思うんです。既にこの二つの
会社
は存在をしているわけでありますが、今日までのこの二社との接触において何か具体的にこういうことだから信用できない、そういう何かがございますのでしょうか。もしあればそれをお聞かせいただきたいと思います。それとも、そういうことじゃなしに、いわゆる
発生者
の
責任
がこの新しい
会社
に移るということは、
発生者
の
責任
がなくなるという点に問題があるということからの御
意見
なんでしょうか。その点お伺いいたします。
滝口作兵エ
48
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 確かに御指摘のとおりでございまして、
原燃二社
といいますと、できたての、私の素人目から見た場合に
資本力
も非常に少ない、やはり法的に、いわゆる発生きしている大きな
電力会社
の逃げ口じゃないのかと。この真下にかなり再
処理
工場なんかができますというと、私さっきも申し上げましたように、一体
排気
の中にどれくらい出るのかと。そういうことで、恐らく五年たたないうちに私
ども
の生産する魚、野菜は
放射能
の汚染があるのではないだろうかという、今の人間の核に対する恐怖心から当然問題になると思うんです。その場合のいわゆる補償体制が一体この小さい
会社
でできるのかどうかという懸念が一番あるわけです。発生させたら発生させたその
会社
がとればいいんです。東北電力だったら東北電力がとればいい。私そこが一番心配なわけですし、またさっきもおしかりを受けましたけれ
ども
、私の方にはまだ二
会社
とも
説明
が一回もなされていない。私は二回ほど
組合長
として
要請
してあるはずですが、一回もこれについての
内容
、概要についての
説明
がなされなかった。ただいま問題になっている海洋
調査
については、お願いしながら、
調査
はこういうものですと来ましたけれ
ども
、二回ほど
要請
したのに一回も
説明
をしていない。そのような状態で、私の方も四千人の人口のある部落ですので、当然各家庭をお回りになってPRするのは一向構わないんです。私も川上という副所長に、それは一向構わないと。 ただ、さっきも言いましたように、重大な
組合
に対する内政干渉をしておる、県と一緒にやっておるのか村と一緒にやっておるのかわからないけれ
ども
。というのは、今言う
解職
の
総会
がありましたら、我々、一時半に
理事会
があって、それを
決定
する二十二日の
総会
を既に十時にこの原燃
会社
二社の職員が知っておるわけです。覚えておって、うちの方の
組合員
に十九日の
総会
はもうこれでだめだから出なくてもいいと。二十三日は、これは
推進派
の
板垣
組合長
だから出なさいと、各家庭を回りながら。これは内政干渉だと私は思うんです。
原子炉
規制
法とは違いますが、これは
先生
の
質問
ですから答えますけれ
ども
、そのように全く
住民
との対話がもうやらせの原点に立っている
会社
である。そういう関係で我々から見た場合に非常に
危険性
のある
会社
だと、やっていることはとても信用できないと、こういうことも一つの大きな要因になっております。
塩出啓典
49
○塩出
啓典
君 これは
最後
に両
参考人
にお尋ねをしたいわけですが、両
参考人
とも
住民
の合意が大事であるということはおっしゃいました。確かに我々もこういう
原子力発電
を推進するにはやっぱり科学的な
安全性
だけではなしに社会的
安全性
が必要であるという、これは神奈川大学の川上
先生
が言われたわけで、社会的
安全性
というのはやっぱり
住民
の合意だと思うんですね。しかし、じゃ一人でも
反対
したらできないかというとなかなかそういうわけにもいかない。そういう場合に一つの目安は、
住民
の代表であるそれぞれの議会が賛成か
反対
かということが一つの判断ではないかと思うんですが、それで
山内参考人
に、
青森
県、他の市町村、あるいはこの下北半島の周辺市町村等で議会の意向はどうなのか、これを簡単に時間がもうありませんのでまとめていただきたいと思います。
山内善郎
50
○
参考人
(
山内善郎
君) 県議会、市町村の議会そのものの
意見
はどうかということでございますが、これはやはり革新その他で、イデオロギーで
反対
する議員さんは多少おりますが、大半はどの町村、県も賛成ということになろうかと思います。
塩出啓典
51
○塩出
啓典
君
滝口参考人
にお尋ねしますが、いろいろお話を聞きまして、確かに
説明
の問題にしても非常に行き違いというか、あるいはいろいろそういう
説明
も十分受けていない、あるいは将来この
施設
から
放射能
を持った物質が流れて影響があった場合の補償をどうするかとかそういうような点の問題、あるいはその
施設
から実際に放射性物質がどれだけ出るのか、そういう心配があるのかどうか、こういうような点について、私は当然
漁業者
の皆さんとして納得いかなければそう軽々しく賛成はできない、そのお気持ちはよくわかりますが、そういう点はやはり十分話し合いをして、それでもなおかつ最終的にはある程度の多数決の原理で従わざるを得ないんじゃないかなというそういう気がするんですけれ
ども
ね。だから今
参考人
のお話は、そういう話し合いというか、そういう過程がまだお話からは不足しておるわけですが、最終的にはやっぱりある種の、一人の
反対
があってもできないというわけにもいかない、大体の合意が得られれば進めなければいけないのではないかと私は思うのでありますが、
あと
一分しか時間がないわけなんですが、簡単に御
意見
をお願いします。
滝口作兵エ
52
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 一月十日の
総会
を核燃だけの問題で開催しまして、
組合
の皆さんに御相談申し上げました。やはり核燃三点集中
立地
、御
承知
のようにこれはもう大変な規模でございます。それに隣接して、約千メーターから二千メーターのところにすぐ五百万キロリットルの石油備蓄がある。しかも毎日のようにF16のいわゆる対空、対地の演習が射場でなされている。それに隣四キロの地点に新たに
原子力発電
ができる。そういう観点から、私の方の
組合
ではもうだめだと、わずか十戸の部落から千戸まで栄えた、四千人の人口を擁する、集落をなした部落ですけれ
ども
、ほとんど一〇〇%の人はだめだろうと。将来展望に立って、皆さん都会の方々が本当に賢くなって、だれも我々のとった魚を買ってくれる人がいないのではないのか。百姓もそうなんです。せっかくへんぴなところだという名で知られてきた
六ケ所
が、今は農業の関係では大変な野菜生産高を誇っているわけです。なぜなれば、僻地だからゆえに野菜も高い野菜はとっていなかったわけです。菜種が収益の高いものだったんです。ところが今、ナガイモ、ニンジン、ニンニク、そういう高級な野菜の生産、しかも、うちの
六ケ所
を中心にして、上北は御
承知
のように酪農と野菜生産では
青森
県一なわけでございます。この地場産業といいますか、これが恐らく壊滅的打撃を受けるであろう。我々漁師は、そういう関係から、一千四十二億の漁業補償、移転を含めて、もうだめだと、これであったら応じますと。決して
反対
していません。(「結局金ね」と呼ぶ者あり)そのとおりです。
佐藤昭夫
53
○佐藤昭夫君 どうもお二人の
参考人
の方御苦労さまでございます。 最初に、
山内
さんに二つほど
質問
いたしますが、先ほ
ども
、県当局としては、
住民
との対話をそれなりに重視をしているし、できる限りのことをやってきたような意味のことをおっしゃっていたかと思うのでありますが、実は私は
青森
に少し友人もいまして聞いておるのでありますけれ
ども
、
核燃料サイクル
基地の問題で、科学者・文化人の会、この会から公開
質問
状を出しているんだけれ
ども
、県当局からは、そういうものに逐一回答する必要はない、県議会で議員の
質問
に答えているのをもって回答と心得よと、こういう態度だということを私耳にしているんですけれ
ども
、当局の真意のほどはどういうことかということが一つです。 それからもう一つは、今日まで
原子力
関係の諸
施設
、
発電所
が主だったと思うんですが、そういうものをつくるということは
地域
の経済振興に役立つ、過疎地が多い、そういうもとで
地域
の繁栄に役立つんだということがいろいろ言われてきました。しかし、そういう中で、私、最近、同じ東北の福島県、東北の中では
原発
のかなり総体的に集中
立地
をしておるところでありますけれ
ども
、ここが昨年の六十年三月、「
原子力
行政の
現状
」という県としての
原子力
白書とも言うべきものを出されているんですけれ
ども
、この中で「
地域
振興対策」という一つのチャプターを設けて、そこでいろいろ統計もとりながら記述をされているんです。その中で「商業」、県のこの
地域
の商業の状況はどうかということで、「四十一年以後県全体の伸びを上回っているが、その
内容
を見ると酒場・バー・クラブといった特殊な分野の伸びが極端に高くなっており」、こういう点で、「このことは質的にみて必ずしも
立地
が商業基盤の充実につながっていないといえる。」というふうに書かれています。 また、自治体の町村財政の問題について、いわゆる電源三法交付金の交付、こういうもので一時は収入がふえたと、しかしこれらの
事業
の終了や固定資産の償却の進行に伴ってこれらの収入は急激に減少していくことが確実であるために、町村財政に与える影響は深刻だということで、一生懸命今日まで
原発
誘致をしてこられた県としては、控え目の表現でありますけれ
ども
、かなり精いっぱいといいますか、無条件、手放しで結構結構と言うわけにはいかぬ、そういう問題があるんだということを言われておる。こうした点で、
青森
県として、この三点セット、このサイクル基地、これを受け入れるという問題をこういう
地域
振興という点との関係でどういうふうに考えておられるか、この二つ、まずお伺いいたします。
山内善郎
54
○
参考人
(
山内善郎
君) 第一点の御
質問
でございますが、文化人の会からそういう
質問
状が参ったことは事実でございます。県といたしましては、公式な団体からの照会であれば
知事
として正式に御回答申し上げるという態度で今まできておりまして、個々の個人的な御
意見
に対しましては、正式な文書で回答をするまでもなく、県議会あるいは新聞等で県の
意見
を出しているわけでございますから、文化人の会の御
質問
も、議会等で逐一全部
知事
答弁として発表をいたしておりますので、これによって御理解をいただきたいと、こういうことできております。 第二点の福島県のその本でございますが、私もぜひこれは一遍読まねばいかぬなと思っていながら、どうも不勉強で今まで読んでおりませんが、ただ私……
佐藤昭夫
55
○佐藤昭夫君 去年の三月ですよ。
山内善郎
56
○
参考人
(
山内善郎
君) 私、数年前に福島の
原発
の状況を視察に参りました。その当時は、今のこの核燃サイクルの問題はございませんでしたが、我が方では東通村の
原発
が計画されておりましたので、それの
参考
にしようと思って福島県に参ったわけでありますが、私のその当時の感想といたしましては、交付金が来るといってこういう大きな
施設
をつくっていいのかな、後で維持
管理
に非常に苦労するのではないかなという感じを率直に受けたわけであります。したがいまして、私
ども
の方で
原発
が具体化し、交付金が来るような時点になりましたら、県として地元町村に、やはりこういうことを十分考えながら、将来生産の上がるような
施設
をつくるように指導しなければいかぬなということを強く感じたわけでございまして、福島の場合は、まさに私その当時からそういうことを感じた次第でございます。
佐藤昭夫
57
○佐藤昭夫君 第一点のあれについてそういう
理由
を申されておりますけれ
ども
、私は、少なくとも相当数の科学者・文化人の会として、一人の個人が
質問
しているということじゃないですから、やっぱりそういうものに対しては、当然対話を重視するということであれば、適切な対応がとられてしかるべきじゃないかというふうに思いますが、これは
意見
として申し上げておきます。 そこで、
山内
さんにお尋ねをしておった第二点とのかかわりで
滝口
さんにもお尋ねをしたいと思いますが、そういう
地域
振興という名をもってどんどんこういうことがやられてくる、これが実際は
地域
にどういう影響をもたらすのかというこの問題で、きょうも
滝口
さんはいわば土地と海は孫子末代へのかえがたい財産だと、一時の金をもってかえられないという、今日までしばしばそういうことが各地で起こっております漁協の方々から言われてきたことでありますけれ
ども
、そうした点でこの場で訴えたいということで先ほど来お話があったかと思うのでありますけれ
ども
、そういういわば金をもって
住民
の魂をかすめるようなやり方といいますか、こういうやり方についてどう思われるか。既に下北の
地域
で、企業の側といいますか、
事業
連の側というか、こういう側で何か具体的な動きが出ているかどうか、こんな点、
滝口
さんおわかりでしたら御
説明
いただきたいと思います。
滝口作兵エ
58
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) さっきもいろいろの
先生
から御指摘がありましたが、新しい動きがないかということですが、二、三日前に下北、上北地方の市町村長さん方が、
ソ連
の
原発
による
地域
住民
の声が、非常に大きく危険が騒がれまして、というのはやはり
事業
立地
される核燃の関係でありますが、会議を持って
知事
に強力に
要請
しているはずです、早く
説明
をしろということで。それと、いわゆる
立地
が、今
先生
御指摘のとおり、
最後
までその
地域
の振興策につながるのかどうかと。私もさっき申し上げましたように、いわゆる
基幹産業
である農業、酪農、いわゆる野菜生産農家、私
ども
海でなければその
生活
能力のない漁師は絶対に両立できないと思うんです。私は
基幹産業
を中心にした内陸型の企業、
地域
的に恵まれない
六ケ所
ですからなかなかそう簡単にはまいらないと思うのですが、やはり自然なままの状態にして努力して待つべきである。あえて危険なものを持ってこられて、それに千人か千五百人の就労ができたとしても、
基幹産業
である一万四千人の非常な人口を擁している
漁業者
、
農業者
、酪農者、その方々がもう既にできなくなる。こういうことになりますというと、福島県の例にもありましたように、
六ケ所
の場合は絶対に私は振興策はない。それは確かに役場自体には電源三法でもっこり入りますから箱物は建つでしょう。今まででもむつ小川原開発でその経験はあります。 我々もやみくもに、ただイデオロギーで
反対
しておるんじゃないわけです。現に
山内
さんここにおりますけれ
ども
、国防上の重要性を認識して、私の方ではむつ小川原開発と同時に今まで対空射場があったわけです、
六ケ所
の役場の前に。だけれ
ども
、むつ小川原開発の進展に従ってじゃまになる、そういうことで泊の漁協の漁業権の中へ移転してくれないか、そういうことで、七月から十一月の十五日まで、これは漁業権の三分の一を一年近く制限を受けているんです。我々だって国民ですから、やみくもに何かのイデオロギーで
反対
していると思われては困ります。かなりうちの方でも騒ぎがあったんですが、我々もやはり国防上のそういう認識をして協力すべきだと、こういうことで今もって協力しているわけです。 ただ、限られた海をそのようにさまざまな制限をされて、
最後
に漁師がどこへ行くのか。御
承知
のように、国際的には二百海里の問題で
規制
が激しくなって追い出されて、沿岸のみやられる。今までサバのまき網なんかでもこんなに近くには来なかったけれ
ども
、やはり締め出しのおかげで何としても沿岸に来なければだめだと。我々みたいな経営能力のない五トンか十トンのものが非常に困る。そういう観点からしても、我々にはもうこれ以上漁業を阻害するこういう建物は要らないと、こういうことなんです。以上です。
佐藤昭夫
59
○佐藤昭夫君 ありがとうございました。
山田勇
60
○山田勇君 両
参考人
、大変御苦労さまでございます。同僚議員の今までの
質疑
の中を聞いておりまして、大変
参考
にもなりましたし、賛成、
反対
という両極論の御
意見
も出たかに感じております。 そこで、
滝口参考人
にお尋ねをいたしますが、先ほど来のお話を聞いておりますと、投棄する安全
審査
の基準といいますか、
検査
、そういうものに大変不安を持っておられる。これは当然のことでございましょう、それと同時に、
日本
原燃産業と
日本
原燃サービスの二社に一応ある意味では限定をして投棄処分をするんですが、それに対する
資本力
云々についても御不満を持っておられるようです。若干我々
法案
を
審議
しておりますので、その
法案
の
審議
の
内容
からいきますと、例えば廃棄
事業
の認可は内閣総理大臣が行い、その際
原子力委員会
と
原子力安全委員会
の
チェック
が条件になっております。
施設
の使用前
検査
や定期
検査
、基準に適合するかどうかの確認も国が行うこととなっております。そういうことになってまいりますと、
滝口
さんが持っておられます、これは
法案
の
内容
をそのまま朗読さしてもらったわけですが、そういう安全
審査
の不安といいましょうか、基準といいましょうか、そういうものについて
法案
の中ではこのぐらい
チェック
機関
を持ってこれを投棄するということですが、その点についての
滝口
さんの御
意見
を伺わさせていただきたいと思います。
滝口作兵エ
61
○
参考人
(
滝口作兵エ
君) 確かに国の
法律
で
規制
するものですから、そういう面においては心配ないと言われればそういう心配はないということになると思いますけれ
ども
、やはり我々は基本的な考えからして、核燃集中
立地
されようとすることに対して非常に危険であると、こういう見解を持っているわけです。今の
規制
法以前の問題であると。御
承知
のように、非常に三点、一点でも各
地域
では地元の合意を得るに大変だったと思うんです。一点でも。今現に北海道の幌延さんは高
レベル
のいわゆる
貯蔵
施設
の研究というだけでも大変な
地域
住民
の反駁を買っているわけです。三点セット、恐らく高
レベル
のが入ってきたら、これはもう五点がそこらになるんでしょう、入っていないのを含めますと。大変な
危険性
を含んでおると私はそう思うんです。 そういう関係から、もうこれは
規制
以前の問題として、現実にはもうこれはあべこべということになるんでしょうけれ
ども
、我々は今そこを盛んに論議しているんです。三点セット
立地
が一体どうなのかという、
危険性
があるんじゃないかということなんです。ずっとそれを通り越して、いわゆる
原子炉
の
規制
法の一部
改正
でそういう二業者に委託させるというようなことになって、ますます我々はそういう
不安感
を持っているわけです。だから、あくまでも発生したところへ持っていけばいいんだと。何も我々のところへ、今まで僻地だとか
六ケ所
だとばかにしておいて、何もこんなのを持ってくる必要はないんだと。我々はそんなに東京のように高度な
生活
をしなくても、我々でも人間らしい
生活
が今からでもできますから、今までできてきましたので。もう核の一切のごみは御免である、こういうことです。
山田勇
62
○山田勇君
山内参考人
にお尋ねをいたします。 現実、三十三基という
原発
、九
電力会社
はもう稼働しております。そういう中で、こういう放射性物質、
廃棄物
が出てくるんですが、これはいつか
処理
をしなければいけない。それが
青森
県に白羽の矢が立って、県なりの御
調査
をなさいまして、
立地
条件等として受け入れの態勢をお持ちになりました。そこで、こういう
施設
ができるということによって、先ほど来同僚議員からもありました、福島の例も言われましたが、
青森
県としてのこういう
施設
ができたとしてのメリットといいましょうか、また完成後の
青森
県としての県の姿勢といいましょうか、その辺を簡単で結構でございますので、述べていただければ幸いでございます。
山内善郎
63
○
参考人
(
山内善郎
君) エネルギーは
原子力
を考えないで考えることはできないわけでございますので、だれかがこういう
施設
を引き受けなければいかぬと私は思う次第でございます。
青森
県にぜひこれの
立地
をという
要請
も国の位置づけとしてもございましたので、県としては民生安定上支障がなければこれを引き受けることにいたしたいという最終結論を出したわけでございます。やはり県としてお願い申し上げたいことは、
青森
県、一番今足りないものは雇用の場でございます。県外出稼ぎ者が毎年六万人以上超えるという県でございまして、やはり地元に雇用の場がないために家族と離れて遠く県外に出て仕事をしなきゃいかぬという、それによってまたいろんな問題も起きてきておりますので、これを
立地
することにいたして、建設期間はもとより、運開、
施設
ができました後も相当な地元雇用の場ができることをまず期待をいたしている次第でございます。
山田勇
64
○山田勇君 私も先日、関西電力の小浜の
発電所
に行ってまいりました。その当時からの記録を見ておりますと、先ほど来
滝口参考人
が大変心配しておられます、そういうかなり温度の高い排水をしております。魚一匹寄ってこないだろう云々ということで
反対
の方も大変唱えられましたが、現実は今まで集まらなかったクロダイ等々が今、回遊でずっと回ってきて、それで御
承知
のとおり、これは汚染されたタイであるというような宣伝が出たもので、
電力会社
の社長みずから
放射能
汚染を含んでいるか含んでないか、食べるということで食べております。私らも同盟の組織でそういう
施設
へ行くので常にそのタイを何年間食べております、小浜のクロダイを。これも格安の値段で市場へ出回っております。これを食べております、そういう形で。 そこで、
滝口参考人
にお尋ねするんですが、これは
法案
のまだ過程でございますので、この
法案
が通ったとか、この
施設
ができるということを前提ということではなく、こういうものは法
規制
の中で仮に
施設
が、こういうものが
青森
県にできた場合、そういう悲観論的なことばかりでなく、何か国にまた県に、僕はそういう魚を養殖するような何か巣づくりみたいなものを海の中へ投入するとか、何とかそういうふうな漁業全体としての御努力的なことも前向きな建設的な考え方ができないものであろうかと思います。 ただ、誤解をしないでほしいのは、いかなる立派な
施設
であろうが、安全を確認しようが、
地域
住民
の犠牲の上に成り立つ
施設
というのはございません。十分これからも県も
地域
住民
との対話を何度も何度も重ねながらぜひ御努力をいただきたいと思いますし、私はいつも申し上げるんですが、科学に、また新しいこういうものに安全というものはまずないというふうな極論を持っております。しかし、より
安全性
を高めるために国、行政、電力、そういうものは日夜努力しているということも事実でございます。そういう形で僕はぜひ
安全性
を確認しながら、ぜひこの
施設
ができることをひとつ望む、私は賛成の
立場
で望むんですが、そういうことでございますので、ひとつ
滝口参考人
また
山内参考人
、
最後
の
質問
になりますので、簡単な御
意見
で結構でございます、お述べいただければ幸いでございます。
滝口作兵エ
65
○
参考人
(
滝口作兵エ
君)
先生
には何か
原子力発電
と、今私
ども
に
立地
が
決定
しております核燃サイクルの
施設
との考え違いだろうと思うんですが、確かに
原子力発電
の場合は温排水が出ます。かなり高度な高い温度ですから大変困る。魚種によっては出ると思いますが、これは決して
放射能
は含まれていない、海水から冷却水になるだけなんです。ところが、今私
ども
のところへ
立地
がされているというのは、核燃のこの
廃液
の中には必ず御
承知
のように
使用済み燃料
を切って、そうして溶かしてある程度薄めてやりますので、必ず排水の中にまじって海水に出るわけです。温度とは違うわけです。
原子炉
の場合には温度がありますので、やはりアワビの養殖あるいはタイ、そういう関係も私も何回も見ております。だがしかし、この核燃サイクルの再
処理
施設
から出るものは決してそのようなものでありません。必ずこれも何種類かのいわゆる放射性物質を含む核種が出るわけです。これは
原発
の温排水とは全然違いますので、そこを
先生
ちょっと誤解のないようにしてもらわなければ全然違ったことになります。以上です。
山内善郎
66
○
参考人
(
山内善郎
君) 安全
規制
の問題は国において厳重に
審査
された上、建設が許可されるわけでございますので、必ずしも
滝口参考人
が言われたようなことは私は起きないのではないかと思っている次第でございます。また、先ほど
滝口
さんは、こういうものができれば
六ケ所
の魚は全然売れなくなる、これで損害をこうむるんだというお話もございましたが、原船「むつ」の場合も風評によって魚が売れなくなったり値段が安くなるという心配が
地域
住民
、
漁民
の方からございましたので、国の方にお願いを申し上げまして基金をつくっていただいてこれに対応したわけでございますが、風評によって陸奥湾の魚が値段が下がったりあるいは売れなくなったという事実は今まで全然ございませんでした。
山田勇
67
○山田勇君 結構です。
馬場富
68
○
委員長
(
馬場富
君) 他に御
発言
もないようでございますから、以上をもって
参考人
の
意見聴取
を終わります。 この際、両
参考人
にお礼を申し上げます。
山内参考人
、
滝口参考人
には、当
委員会
のために貴重な御
意見
をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。
委員
一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十九分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
馬場富
69
○
委員長
(
馬場富
君) ただいまから
科学技術特別委員会
を再開いたします。
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、及び
原子力基本法
及び
核原料物質
、
核燃料物質
及び
原子炉
の
規制
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を一括して
議題
とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
願います。
松前達郎
70
○
松前達郎
君
規制
法関連の
質問
を今からさせていただくわけですが、まず最初に、
原子力発電
に関連して、エネルギー生産の状況を大まかに私自身も把握をしておきたいと思うので、その点についてお伺いをいたしたいと思うんです。 現在の
原子力
による電力生産、この状況、パーセンテージは恐らく二〇、三〇にいったかいかないか、それにちょっと足らないぐらいだと思うんですが、
現状
では一体どういう実態なのか。それからさらに、原油が大分値下がりしておりますが、この原油価格といわゆる
原子力発電
による電力コストですね、これの問題。あるいは、原油が値下がりすると言いましたけれ
ども
、円高、逆に言えばドル安かもしれませんが、そういった関係で輸入価格が恐らく原油に関しては相当実効的には下がっているはずですから、こういったようなものも含めていわゆる電力そのものの価格ですね、コスト、これについてどういうふうに考えておられるか。これは恐らく通産省の方がいいと思うので、通産省の方からお願いいたしたいと思います。
関野弘幹
71
○
説明員
(関野
弘幹
君)
昭和
六十年度におきます
原子力発電
による発電電力量は千五百九十億キロワットアワーということでございまして、これは全発電電力量の二六%に相当いたします。六十年度に初めて石油火力を抜きまして、
日本
の
原子力発電
は発電の最も大きな比重を占める電源になった、こういうことでございます。設備量は二千四百五十二万キロワットで、これは全体の一六%を占めております。 それから
原子力
の発電コストにつきましては、最近の経済状況あるいは燃料価格等を考慮いたしましても、私
ども
は最も経済的な電源と考えております。これは
先生
のお話のように、原油がただいま下がってきておりますが、発電コストを考えます場合には、現在の原油価格がどの程度長期的に維持されるかという点が最も重要な点かと存じます。こういうことから考えますと、原油が一時的に大きく下がりましても、また一時的に大きく下がれば下がるほど反騰は早期で、かつ大きくなるというふうに私
ども
考えておりまして、今後エネルギー石油危機も考慮いたしますと。現在の石油代替電源開発の基本は、今後とも
原子力
あるいは石炭開発等によって行っていくという基本的な考え方を維持するべきだというふうに考えております。 また、この円高及び原油価格の値下げに伴いましては、御高承のとおり、電力、ガス両方合わせまして総額約一兆八百六十億円の還元を行うということを
決定
しておりまして、五月十五日、電気
事業
につきましては、電気
事業
法に基づく通産大臣の認可を行いまして、六月一日から実施することとしているところでございます。
松前達郎
72
○
松前達郎
君
現状
での
原子力発電
のコストはどのくらいになるんでしょうか。
関野弘幹
73
○
説明員
(関野
弘幹
君) 私
ども
通産省で計算しております耐用年発電原価という、耐用年にわたる発電原価の試算をいたしてみますと、
原子力
がキロワットアワー当たり十円程度になるのではないかというふうに考えております。
松前達郎
74
○
松前達郎
君 かつては十一円とか十二円とかそういう時期もあったと思うんですが、十円程度。それと、電力生産は何も
原子力
だけじゃないわけですから、火力発電ですね、これもちょっと資料があったら教えていただきたい。火力発電のコストというのは一体どのくらいですか。
関野弘幹
75
○
説明員
(関野
弘幹
君) 火力発電の発電コストにつきましては、今後の為替レート、あるいは先ほど申しましたような原油価格がどの程度どういう水準で維持されるかという点が見通しが非常に難しいわけでございますが、一定の仮定を置いて計算いたしますと、石油火力が十二円程度になるのではないかというふうに私
ども
考えております。
松前達郎
76
○
松前達郎
君 今後の石油価格、原油価格ですか、これの変動というのはこれは予測ができないわけですし、それにまた絡んできているのが円高の問題ですね。こういうものが絡んでいますから、この辺の数字は恐らく相当フラクチュエーションがあるんじゃないか、こう思うんです。だけれ
ども
、大体そう余り大差なくなってきつつある、これが
現状
だと思うんです。将来の予測がどうあるということはこれは別にいたしまして、
現状
からいってそういう状況であるというふうにまず頭に置いておきながら、もう一つお伺いしたいのは電力の需給問題です。 かつてエネルギー需給のバランスシートが発表された時点で、非常に将来ともGNPがどんどん伸びていけばそれなりにエネルギーの需要が、需給関係がどんどん上がっていく、こういうふうな状況の中で予測が行われておったんですが、何度かその予測について修正をされておりますね。一番新しいのは昨年ですか、出たのは。その修正というのはおよそ下方修正ですね、見てみますと。これは
日本
の国内における電力消費等が、あるいはエネルギー全体といってもいいんですが、非常にかつて予測したよりは少なくて済むようになってきた。これはいろんなテクノロジーが開発をされたということもあるでしょうし、またそのほかいろんな要因があると思いますけれ
ども
、この電力の将来の必要量、この辺について、需給バランスの表についてやはり下方修正せざるを得ないと私は思っているんですが、その点いかがでしょうか。
関野弘幹
77
○
説明員
(関野
弘幹
君) 御指摘のとおり、
昭和
五十四年、五十五年にかけまして第二次オイルショック後電力の需要が大幅に停滞いたしまして、そのときに何回かにわたりまして将来見通しの下方修正を行ってきたわけでございます。現在、私
ども
が指針にしております将来予測は、
昭和
五十八年十一月の「電気
事業
審議
会需給部会中間報告」の数字でございますが、これによりますと、
昭和
七十年度には電気
事業
用の電力量で約七千億キロワットアワーということになっておりまして、これは五十九年度の実績から見ますと、年率二・七%の増加ということになっております。五十八年以降、私
ども
この見通しを改定しておりませんが、これはほぼ現在の状況がこの五十八年十一月の「電気
事業
審議
会需給部会中間報告」のラインに沿って需要も伸びているということからでございまして、私
ども
は今後、経済の安定的な成長に伴いまして電力需要はほぼ二・七%程度、さらに
最大
需要電力は三・一%程度の伸びで今後とも安定的に増加していくというふうに考えております。これに対応いたしまして、電源開発をやはり計画的に進める必要があるわけでございまして、現在この五十八年十一月の電気
事業
審議
会需給部会の報告のラインに従いまして、各
電力会社
もその設備の拡大、拡張に努めているところでございます。
松前達郎
78
○
松前達郎
君 今おっしゃいました電力の必要性についての伸びですね、これは経済の状況その他からの影響というのは非常に大きいと思うので、これもまた今のような状態で経済が推移していく場合、また数字が多少は変わってくるだろうと思うのですが、さてその中で、
原子力発電
については一体将来どの辺が、電力の生産のパーセンテージとしてどのくらいが一体限度だ、このあたりがいいんだという目標等がおありでしょうか。例えば電力総生産量の三〇%程度が
原発
でやるべきであるとか、フランスみたいにもっとたくさんの数字を出すとか、あるいはもうそろそろこの辺でサチュレーションだ、この辺でもうそろそろ
原発
については新たに企画しなくてもいいんだ、これはいろんな問題が後、尾を引いてまいりますので、そういう見通しというのは立てておられますか。
関野弘幹
79
○
説明員
(関野
弘幹
君) 先ほど御
説明
いたしました五十八年十一月の「電気
事業
審議
会需給部会中間報告」では、
昭和
七十年度におきます
原子力発電
の発電電力量に占めます比率は現在の二六%から三五%まで上昇する、このときの設備量の比率では現在の一六%から二三%まで増大するという計画になっておるわけでございます。 御
質問
の
原子力発電
をどの程度の割合まで開発するかという点につきましては、長期的な視点に立って
原子力発電
の技術開発の進展、あるいは電力の需給の構造、あるいは燃料の状況、燃料価格の相対関係等を踏まえて総合的に判断すべき問題であるというふうに考えておりまして、私
ども
現時点ではこの五十八年十一月の電気
事業
審議
会需給部会にある見通しに沿って開発を進めていくというのが現在の方針でございます。
松前達郎
80
○
松前達郎
君 そうすると、特別、我が国としての
原子力発電
における電力生産のパーセンテージのリミットというのは設けない、あるいはさっきおっしゃいました数字の中に三五とかそういう数字がありますが、三〇%あるいは三五%ぐらいが大体我が国には適当な数字であるというふうに判断されているのか、それが一つ。 どうしてこういうことを申し上げるかということは、
廃棄物
の問題とこれは関連するわけですね。今後、
原発
ができればそれなりに
廃棄物
がふえるのは当たり前でありまして、これを
処理
処分するのに一体どうするかというのがまだ確定していませんから、テクノロジーその他もすべて含めて。そういう意味で
質問
さしていただいているのですが、感じとしてどうですか、やはり三五%ぐらいで抑えるというか、リミットがあるんじゃないか、これはもうすべての要因を含んで、感じですよ、どういうふうにお考えになっておられるか。恐らく出てこないと思うのですが、もしかお考えがあったらお願いします。
関野弘幹
81
○
説明員
(関野
弘幹
君) ちょっと私
ども
今の御
質問
に直接お答えするようなまだ状況になっておりませんので、直接的なお答えはいたしかねますけれ
ども
、私
ども
としましては、この三五%が特にマキシマムのリミットであるというふうには考えておりません。いずれにいたしましても、今後の長期的な視点に立った技術開発の進展や需給動向等を考えながら、今後検討していくべき課題だというふうに考えております。
松前達郎
82
○
松前達郎
君 まあパーセンテージをここでおっしゃるわけにいかないと思うので、これはこのくらいにしておきますが、私自身の考え方ですと、
原子力発電
がいい悪いというのはこれは別においておきまして、現在、電力生産を
原発
に頼るとするならば、
原発
そのものが持っているいろんな条件がありますね、さっき申し上げたような
放射性廃棄物
等の問題、あるいは後でまたお伺いしますが、廃炉の
問題等
もそろそろ出てまいりますから、そういったような問題もすべて踏まえて、我が国のシチュエーションとして一体どのくらいが適当なのかということぐらいはある程度検討しておかなければならないと私は思っているのです。一〇〇というわけにもいかないでしょうね、当然。また同時に、全然ゼロといっても現在もう既に三〇%近い数字は生産しているわけですから、それをまたゼロにしろといってもそう簡単なわけじゃない。そういったような中で、やはりある程度のバランスがとれた目標値というものを設定していかないと、どうも考えようがないのですね。 これについていろいろ関連したものを考えようとしてもなかなか考えられない。そういうことなんで今
質問
さしていただいたのですが、そろそろ頭打ちにきているんじゃないかと私自身思っているのです、いろいみな状況を考えまして。やはりこれ以上新たに
原発
の新設等はそう簡単に、ただ
原発
に頼れば非常に安定したエネルギーが供給できるということだけで、あるいはそれに関連したことだけで決めるべきでもないし、エネルギー
確保
に関する安全保障上の問題からしても検討しなければいけないでしょうし、それから、あるいは国際間のいろいろな協定等に含まれているような問題がありますね、
原子力
協定、たくさんあります。そういったような問題も含めて考えなければいけないでしょうし、また同時に、産業界そのものが実は
原発
産業に相当従事しているわけですね、そういう点も含めてある程度考えていかなければならない。すべての面からやはり包括的に、総合的な面からの検討というものをしておかないと、ただ、いい悪いと言ったって、どうもなかなかそこの判断がしにくいというのが恐らく国民の皆さん方の見方じゃないかと私は思っているのです。まあそういったようなことで今
質問
さしていただいたわけなんです。 さて次には、
原子力発電
を推進するというその中に
核燃料サイクル
の問題があるのですね。やはり経済的に燃料を使っていこうという問題がある。これらについてもやはり技術的にまだまだ一〇〇%完成されているものでもない。これはもう当然の話ですが、また同時に、これについて相当の費用を投入しなければ開発ができていかない。そういうことがあるわけなんですが、これらについてもまだはっきりした数字がつかめてないかもしれませんが、こういったサイクルを実現するための投入するべき今後の経費等が、相当莫大な経費になるんじゃないかと思うのです。これが一体どのぐらいのめどになるのか、それが一つと、それからさらに、このサイクルを実現するために
処理
機関
その他を全部運転していくための経費等もあると思います。そういったような経費等が、これはエネルギーコストに関係してまいりますから、一体大体どのくらいの規模のものなのか、その点、もしか見当がついていましたらひとつお教えいただきたいのです。
中村守孝
83
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 今の全体的な費用のかかり、どのくらいかということかと思いますが、具体的なことといたしまして、現在、
青森
県の下北半島に進めております
原子燃料サイクル
の三
施設
、
民間
の第二再
処理
工場、それからウラン濃縮
施設
、低
レベル
の
放射性廃棄物
貯蔵
施設
ということの計画を持っておるわけでございますが、この計画で、再
処理
施設
が約七千億、ウラン濃縮
施設
約千六百億、低
レベル
放射性廃棄物
が約千億ということでございまして、概算すれば約一兆円というものが当面下北の開発に投じられるという形になります。
松前達郎
84
○
松前達郎
君 規模は大体わかりましたけれ
ども
、その
施設
がもしかできたとすると、今おっしゃったのは投入金額でありますね、それの運転経費がありますね、運転というのか
施設
を動かしていく経費、これはどのくらいですか。
中村守孝
85
○
政府委員
(中村守孝君) ただいまの運転コスト幾らかということでは、個別にどの
施設
で幾らということをちょっとなにしておりませんが、
核燃料サイクル
全体としてどのくらい費用がかかるかということにつきましては、実はOECDのNEAというところで
原子力
についてのいろいろな問題を討議いたしておりますが、そこでの計算といたしまして、例えば再
処理
をしない場合と再
処理
をした場合というようなことで計算をいたしまして、天然ウランの値段、それから転換、濃縮、成形加工、それから途中の輸送だとか
貯蔵
だとか、
最後
の処分まで含めました計算といたしまして、ちょっとあの試算した時期が現在のような為替レートになっておりませんので、一ドル二百五十円としてここでの計算を勘案いたしますと、再
処理
したケースにおきましてキロワットアワー当たり、これは取り扱いの量によって変わってまいりますので、そういう意味では発生電力量はキロワットアワー当たり幾らかという計算がよろしいかと思うのですが、それでは二円十四銭という数字が計算されております。
松前達郎
86
○
松前達郎
君 再
処理
するのにかかる費用、それからもう一方、違う考え方でいいますと、使い捨てというんですか、再
処理
しないでそのまま使い捨ててしまった方が安いんだとかいろいろな考え方が、これは各国違うと思うんですけれ
ども
、やはり多少経費はかかっても再
処理
して使った方がいい、もしくは、例えば燃料の原材料が多量に入手できる、いつでも入手できる状態になってその辺の心配がない場合にはあるいはそのまま使い捨ての状態にした方がいい、この二つのうちどっちがいいんですかね。この辺ちょっと教えてください。
中村守孝
87
○
政府委員
(中村守孝君) 先ほどのOECDのNEAの計算でございますが、これは
原子力発電
を推進しておる各国から資料を持ち寄りまして、そこで集大成するといいましょうか、そういったものを総合的に勘案して試算をした結果でございますが、先ほど申しました再
処理
のケース、再
処理
した場合ということで二円十四銭という数字を申し上げましたが、再
処理
をしないでそのまま
使用済み燃料
を処分するというようなことも考えた方でいきますと、これがキロワットアワー当たり一円九十五銭という数字が出ておるわけでございます。この程度の差でございますと、
原子力発電
全体に占める燃料コストの比率からいいましても、どちらがいいとか悪いとかという結論を早急に出すというものではなく、それぞれの国のエネルギー事情等によりまして、その国の政策的な判断でどちらを採択するかという問題だろう、こういう感じの報告になっております。 私
ども
日本
の場合で申しますと、何分にもエネルギー資源がなく、世界のエネルギーの十分の一を我が国で消費しておる、そのくせ自前のエネルギーがないというような国情を考えますと、我が国としてはできるだけ、
原子力発電
の結果出てくるプルトニウムの再利用、それから燃え残りのウランの有効活用、こういうものが、エネルギー貧源がなくて、かつなお大量にエネルギーを消費する国として、国際的な上からいってもこのプルトニウムの利用という選択の道をとるべきではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
松前達郎
88
○
松前達郎
君 価格にそう差がないということですね。原材料といいますか、例えば天然ウランの入手あるいは
核燃料
の入手、こういうものがある程度大量に入手できる保証があれば、どうなんでしょうか、私はそこの問題というのはおのずから解決していくと思うんですね。ですから一言でいえば、それがないからなるべく効率よく使っていこう、そういうことになろうと思うんです。そうなりますと、もう一つ問題となるのは再
処理
技術等の問題なんですね。再
処理
の
施設
そのものが安全に運転されていくべきなんですが、果たしてそういうものが技術的にも担保されているかという問題、それからさらに、一言でいえばいわゆる
安全性
ということになろうと思いますが、そういうものが果たして確実に
確保
されていくであろうか。今は完全に安全だとは恐らく皆さんもおっしゃらないと思うんですが、そういったようなものとの兼ね合いが出てくるんじゃなかろうか。ですから、我々、この
原子力
問題、いろいろ考えているときに、やはりそういう問題をどうしても考えざるを得ない。さっきのコストの問題、経済的な効率の問題だけでいいますとそう大きな差はないですね。再
処理
であろうと、あるいは石油、原油等による値下がりも含めた上でのいわゆる火力発電とか、そういったようなものとの差というのもそう大きくはないですね。しかもこれは変動的である。ですから、ある面では非常にバランスがとれて、優劣がどっちともつけがたいような事態が今の状況じゃないかと私は思うんです。これは世界の経済の動き、あるいは化石燃料の入手の価格等も含めて、非常に判断のしにくい時代になったのじゃないかと私は思っておるわけです。 ちなみに、化石燃料等については何年後かにはいずれ枯渇してしまうんだ、これはローマ・クラブのかつての警告があったわけですが、枯渇ということは私はそう簡単には起こらないと思っているんです。これは採掘する手間さえかければ、コストが高くなると思いますが、絶対に一滴もなくなってしまうということはあり得ない。当分の間ある程度の量は
確保
できるんじゃないか、こう思うんですね。ですから、ローマ・クラブ時代のああいうセンセーショナルなサゼスチョンというのは確かに人類の将来には必要だけれ
ども
、しかし現時点として、すぐこれだけですべてを倒していくというわけにはいかないわけですね。ですから、ちょっと私自身もいろいろな考えになって、そういったいろいろな状況を見ますと、どうも
原子力発電
というものについての特別なプラスの面といいますか、圧倒的にプラスの面があるんだというような議論というのは恐らく今後まかり通らなくなっていくんじゃないか、こういう気がしてならないわけであります。かつての段階ではそういった非常にセンシブルな時代がありましたから、原料の問題から含めて。確かにそうだったかもしれませんが、その点でちょっとバランスがとれてきてしまったという感じを抱いておるわけなんですが、恐らく国際的にも各国とも経済事情とかいろんな事情で、
発電所
を売り飛ばそうなんというフィリピンの
決定
はこれは別ですよ、ですけれ
ども
、そうじゃなくて全般的に見て、各国とも
原子力発電
の計画等について、国によっては新しいものについてストップという状態に持っていっている国もあるでしょうし、あるいはそれをどんどんと縮小していく、そういう計画を持っている国もあると思います。これらの状況について
説明
していただければと思います。
関野弘幹
89
○
説明員
(関野
弘幹
君) 現在、国際
原子力
機関
、IAEAの報告によりますと、一九八四年末現在で、
原子力発電所
を持っておりますのは台湾を含めまして二十六カ国でございまして、三百四十五基、二億一千九百万キロワットの
原子力発電
が設備されているわけでございます。これは一九八四年の世界の全発電電力量の一三%を生み出した、こういう状況になっておりまして、将来予測によりますと、OECDのNEAの作業でございますが、二〇〇〇年における設備規模は五億百万キロワットから五億八千三百万キロワットくらいの間になるのではないかというふうに見通されているわけでございます。現在、確かに石油が非常に下がっておりますけれ
ども
、いずれにいたしましても供給の安定性とそれから経済性という面から、私
ども
はやはり石油代替電源の中核として今後とも
原子力
の地位は拡大していくというふうに考えているわけでございます。 それからチェルノブイル
事故
後、各国の
原子力発電
計画の見直し等につきましていろいろ新聞等で報道されております点は私
ども
も
承知
しておりますが、現時点ではまだ未確認のものが多いので、これについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いすれにいたしましても当省としては、現在チェルノブイル
事故
後の各国の動きについて情報収集に努めているところでございまして、今後ともこの努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
松前達郎
90
○
松前達郎
君 今の
ソ連
のチェルノブイリのことはまた後で多少お伺いしたいこともありますので後に回したいんですが、今いわゆる化石燃料の問題をちょっと申し上げたのですけれ
ども
、化石燃料が入手が非常に不安定である、いつどうなるかわからない、そんなことを言っていると、今度は恐らく防衛庁の方はシーレーン防衛ということになってきちゃうんですね、非常にいろいろと関係が出てきますから。しかし、化石燃料については今のところ安定的供給を受けていることができる、ただし、一たん何か事が起こるとこれがなくなる可能性もある、こういうお話でしたけれ
ども
、そういうこともあるかもしれません。
原子力
の関係での燃料、これについても国内でのいわゆるウラン鉱石というものの採掘というのはコスト的にはほとんど話になりませんし、海水からとるといってもそう簡単に、また物すごいエネルギー要るかもしれません。ですから、これも
日本
にはほとんどないわけですね。だからこれを
確保
して、サイクルを描きながらフルに利用しようという考え方、考え方としてはいいと思うんですけれ
ども
、そのかわり、今度逆に非常に安定化してないからという反面、問題としてはその後の
処理
、
廃棄物
等も含めてその
処理
というものも出てきてしまう。だから、総合的に見て一体どっちがいいのかという問題。こういう問題が、さっきから私も何回も申し上げますように、非常にバランスのとれた状況になっちゃっていますから、なかなかこれが絶対いいんだという判断ができないという問題がある。私、ここで申し上げているのは、だから今の
原子力発電所
、すぐあしたからとめちまえなんて言ったらこれは電気がとまっちゃうから、そんなことを言っているのじゃないんです、そういうことではありません。やはり我々としては、総合的にこういう推進するならする、あるいはしないならしないで、総合的に見て、エネルギー全体を見ながら将来のビジョンを立てるべきだということで今申し上げたわけなんです。 今度はどんどん細かくなりますが、今
議題
となっております
法律
に関係しての問題なんですが、この
法律
、大ざっぱに見ますと二つに分けられると思うんですね。一つは
廃棄物
、これに対しての問題。それからもう一つは
検査
。これは
原子力発電所
も含めてだと思うんですが、いただいた資料だと
溶接
という言葉も使われていますが、こういう
検査
を科学技術庁が今までおやりになっていた、これを今度は
民間
の
事業
者の方に移管できるという、大きなところこの二つだと思うんですが一私の解釈でよろしゅうございますか。
辻栄一
91
○
政府委員
(辻栄一君) 今回の
法律
改正
の基本的な問題はその二点でございますが、あわせて
原子力
損害賠償法もこれに関連して一部
改正
を行っております。 なお、
検査
の
代行
の問題の関連でございますが、これについては科学技術庁は現在、
原子力発電所
の
検査
はやっておらないわけでございまして、今回の
代行制度
の対象となりますのは、科学技術庁が
規制
を担当している部分、すなわち開発段階にある
原子炉
、具体的にいえば「ふげん」ですとか「もんじゅ」ですとかこういったもの、それと
核燃料サイクル
関係の
施設
が対象となるわけでございます。
松前達郎
92
○
松前達郎
君 そうしますと、商用になっている
原子炉
、通産の方の管轄下に入るような
原子炉
についての
検査
、これについて特に
溶接
だけ例えば例に挙げた場合、これはどこがやるんですか。メーカーに全部一任ということになるわけですか。
辻栄一
93
○
政府委員
(辻栄一君) これは通産省がお答えする部分かもしれませんが、これにつきましては、通産省の方で
検査
を所管しておるということでございまして、電気
事業
法による
検査
を実施しているわけでございます。
松前達郎
94
○
松前達郎
君 細かくなりますけれ
ども
、
溶接
の
検査
、科学技術庁で今までやっておられた
検査
の
内容
というのは、一体具体的にはどういうことをおやりになっておられますか。
辻栄一
95
○
政府委員
(辻栄一君)
検査
といたしましては、基本的には今度対象としておりますのは使用前
検査
でございます。
検査
としてはこのほかに定期
検査
というものがございますし、
施設
の種類によっては
施設
検査
という名前でしているところもございます。そのほか立入
検査
というようなものが
検査
の中にはございますが、今回の
検査
を指定
機関
に行わせる部分といたしましては、この使用前
検査
あるいは
施設
検査
、これのうち同じこういったようなものの
検査
でも構造
検査
、性能
検査
といったようなものがございます。従来、性能
検査
、構造
検査
のうちの構造
検査
のまたその一部でありますところの
溶接
の部分についての
検査
、これを指定
機関
に
代行
させるという考え方を持っておるわけでございます。
松前達郎
96
○
松前達郎
君 それは全体からいくとそうですけど、今例えば
溶接
検査
一つ挙げますと、書類的にやっておられるのか、それとも実際にエックス線
検査
とか超音波の
検査
とか、そういうものも器具を持っていって具体的に当たって
溶接
部分を
検査
されているのか。どうしてこういうことを言いますかというと、どうも
溶接
が一番
日本
は得意だと言いながら、一体化しているかどうかというのは大変な問題なんですね。これは後で
事故
等が起こったら大変だということですから、そういうことをちょっとお伺いしたかったわけです。いかがですか。
辻栄一
97
○
政府委員
(辻栄一君)
溶接
の
検査
として具体的にやりますのは、
検査
でございますから現場へ行って物を見るわけでございまして、まず材料の
検査
から始まるわけでございまして、これに使用する材料あるいはこれに使用する
溶接
用の資材、こういったもの用のものの
チェック
をいたしますが、あらかじめ図面
審査
等によりまして
溶接
の方法についての認可をするわけでございますけれ
ども
、それに基づいて
検査
が実際にそのとおりに行われているかどうかということを現場立ち会いによって
チェック
をするということでございまして、まず
溶接
の開先面の
検査
をやります。それから
溶接
の仕上がり状態の
検査
もやります。それから
溶接
に関する熱
処理
でございますね、そういったようなものが適正に行われているかどうかということも見ます。もちろん
先生
御指摘のエックス線
検査
による欠陥の有無、エックス線
検査
のみならず、物によってはその他の非破壊
検査
法も併用いたしまして欠陥があるかないかというようなことも
検査
をいたしますし、また一部分につきましては溶着金属についての機械的性質等についても試験を行う。最終的には全体として圧力をかけるべきような部分につきましては圧力試験を行うというようなことによって
検査
を行うわけでございます。
松前達郎
98
○
松前達郎
君 そうしますと、一応すべての分野で技術的な面も含めた
検査
を行っておられるというふうに私、今お聞きしたわけですけれ
ども
、これを今度は外に出すということになる。科学技術庁じゃなくて
民間業者
がやることになりますけれ
ども
、恐らくやるとなれば同じことを全く同じような仕様に基づいて行い、しかもその結果について報告をさせていくというふうなそういった段取りになっているのじゃないかと思うんですね、多分そうだと思いますが、これはそうじゃなかったら大変なことになりますので。これは御返事要らないですが、通産省の方の商用
原子炉
についても全く同じようにやっておられますか、
検査
について。
神田淳
99
○
説明員
(神田淳君)
検査
の
内容
につきましては、今の安全局長の答弁のとおりと理解しております。
松前達郎
100
○
松前達郎
君 それは通産省の方がお出かけになってやっておられるのか。
神田淳
101
○
説明員
(神田淳君)
溶接
検査
につきましては
専門
機関
、発電設備技術
検査
協会という
専門
機関
に移管いたしまして、この
専門
機関
が国の
代行
という形で
溶接
検査
をしております。
松前達郎
102
○
松前達郎
君
専門
機関
、信頼置けるんでしょうね、その辺の。これは結構です。 そういうことで、今後、
民間
の方にその
検査
が回っていくわけですけれ
ども
、これの
検査
、これはいわゆる商業としてやるわけですから、やはりなかなかがっちりとした
検査
の条項その他すべてを含めての厳守が行われるかどうかという問題がここにあるんじゃないか。
溶接
部分は非常に多いですからね、恐らくその
溶接
部分にもしか欠陥でもあればほかのところよりそこの方が先にいかれていくので、その辺の問題が特に重要な問題であろう、こういうふうに思ったものですから今
質問
さしていただいた。それからもう一つ、
廃棄物
の処分ですね。この問題が一つこれに盛り込まれているんですが、この
廃棄物
というものの
レベル
、要するに放射線
レベル
ですね、これの
レベル
で分類をされているようですが、これは大まかに言ってどういう分類をされているんですか、段階とか。それから、もしか代表的な対象物があればそれをおっしゃっていただきたい。
辻栄一
103
○
政府委員
(辻栄一君) 実は今の御
質問
には後ほど
原子力
局長より答弁していただきますが、
先生
の御
質問
の中で、この
検査
指定
機関
につきまして
民間
企業というようなお話がございましたが、私
ども
考えているのはそうではございませんで、公益法人にさせるということにいたしておりまして、最近、
検査
会社
いろいろ出ておりますが、そういった
民間
企業にやらせるという趣旨ではございませんで、中立、公正な財団法人を考えておるわけでございます。その点ちょっと補足
説明
さしていただきます。
中村守孝
104
○
政府委員
(中村守孝君)
放射性廃棄物
につきましては、大きく分けまして低
レベル
放射性廃棄物
と高
レベル
放射性廃棄物
と言われておるわけでございますが、低
レベル
放射性廃棄物
につきましては、主として
原子力発電所
等で発生するものでございまして、これはまあ実際に機器の修理、点検等に使います紙だとか布だとかそういった関係のもの、あるいは衣類だとかそういったもののほかに、
発電所
で使いました水、
放射能
で汚れた水なんかにつきまして、これも蒸留したりしまして薄めて外に放出しておりますが、その
あと
に濃縮されました部分のものとか、そういったものがあるわけでございます。高
レベル
放射性廃棄物
につきましては、再
処理
施設
でできます実際に
使用済み燃料
を溶かしました液体等が、これらの中に一種の核分裂によって発生しました
廃棄物
が入り込んでおりますので、こういった種類のものが主体でございまして、これは現在、液状で東海村の再
処理
工場にためておりますが、これは行く行くはガラス状に固めて
処理
処分しようということで、これは通常ガラス固化体というような物の言い方をしております。 低
レベル
放射性廃棄物
につきましては、一般に気体とか液体のものにつきまして、許容の量以下のものにつきましては、十分安全を確認した上でそれぞれの
事業
所から環境に放出されておるわけでございます。
発電所
の中で発生しました固体のもの、紙とか市とかこういったものは焼却をいたしまして、例えばセメントで固めるとか、それから液体状のものにつきましても、先ほど申しましたように、蒸発等なんかいたしまして濃縮いたしますので、その濃縮されました残りのものをセメントで固める等のことをしておりまして、現在
ドラム缶
におさめて
発電所
の敷地内の保管
施設
に安全に保管しております。そのほか
発電所
で発生するものといたしましては、炉の構造物修理等によって生じました構造物等が一部ございますが、こういったものは一般の低
レベル
より若干
放射能
が余計にあるというようなものにつきましては、例えば
発電所
のプール内に
貯蔵
するとか、そういったような形で現在安全に保管をしておるわけでございます。 これらの低
レベル
放射性廃棄物
につきましては、いずれ最終的な処分をしなければならないわけでございまして、このうち低
レベル
放射性廃棄物
の中でも
放射能
レベル
の低いもの、今回の
法律
でいろいろ御
審議
いただいております無拘束限界値からそれを前提にいたしまして、
埋設
しても差し支えないと見られる濃度の上限値、これの間に入るような低
レベル
廃棄物
につきましては浅い地中に
埋設
をするという方法を考えております。この濃度の上限値を超えるような低
レベル
廃棄物
につきましては、引き続き安全に人間の
管理
の行き届く形で保管をいたしまして、その
放射能
がいずれ逓減をして
埋設
が可能になるような時点で
埋設
をするというようなことを考えております。 それから再
処理
工場において発生いたします高
レベル
放射性廃棄物
につきましては、これは先ほど申しましたように、安定した状態にするということでガラス固化体にいたしまして保管をするということを計画いたしております。これにつきましては非常に熱が発生するものでございますので、
放射能
が逓減していく過程におきまして熱が発生いたしますので、三十年ないし五十年は十分人間が直接
管理
できる形で
貯蔵
をした後、熱の発生量が少なくなったその後におきまして地中数百メーター程度の深地層中に処分をするということを考えておる次第でございます。
松前達郎
105
○
松前達郎
君 よくいろいろな週刊誌などに、無拘束限界値以下のものは産業
廃棄物
並みに
処理
できる、一般的な工場から出てくる産業
廃棄物
並みにこれは
処理
するというなら、何も業者は関係ないわけですね。どこでも廃棄をする業者だったら構わないということになるんですね。その辺が問題だというふうなことがよく言われてきておるわけですが、そういうこともありましたのでちょっとお伺いをしたんです。 また、これについて後で同僚議員から
質問
があると思いますので、私、ほかの方に移らしていただきたいんですが、今回のチェルノブイリ
原発
の
事故
があったわけですが、これでいろいろなことが、
事故
の
原因
とかそういうものはまだはっきり明確にならない。恐らく
ソ連
でもわかっていないとこの前も言っていましたから、確定した
原因
が出てきていないと思うんですけれ
ども
、結果としてはああいう結果が出てきている。それで一つだけ、機器類が正常に常に作動しているかどうかという問題とか、あるいはさっき申し上げた
溶接
部分が悪くなってそこからいろいろなものが出てくるとかいう問題とか、そういうのはちょっと別にしておきまして、これは技術上の問題ですね、製造技術も含めた問題ですけれ
ども
、そうじゃない分野がどうもこれから非常に大きな問題となってくるのじゃないかと思うんです。それは何かといいますと人的ミスなんですね。 これは、春になると時々情緒不安定の人がふえてまいりますけれ
ども
、それだから
ソ連
のが起こったとは言いませんが、とにかく人的ミスを一体どう防いだらいいのか。コンピューターであるから安全であるということも言い切れませんけれ
ども
、しかし人間が扱うべき部分というのが必ずあるわけなんで、こういった人的ミスを防ぐための手段、いろんな方法、方策等が今後大きな課題となってくると思うんです。TMの
事故
、これも恐らくそれに起因するところが大きいのじゃないかと思うんですね。それからチェルノブイリも恐らく今、私自身が入れている情報ではそういうことが十分考えられる。
日本
におけるそういった
事故
とか故障とかそういうものも結果的にいうと、例えば洗った水をどぶに流しちゃったとか、そういうやってはならない人的ミスですね。ミスというのか知らないでやったのか、これは大変なことなんですが、そういったような人間の要素が非常に入った部分でこういった大きな
事故
とか汚染につながる可能性があるので、その点についての問題は恐らく今後重要になってくると思うんですが、その点何か考えておられますか。
辻栄一
106
○
政府委員
(辻栄一君) 御指摘のように、スリーマイルアイランドの
事故
に際しましても人的ミスの問題が大いに問題となりましたし、今度の
ソ連
の
原発事故
におきましても、まだ御指摘のように詳細わかっていないわけでございますが、もう既にいろいろマスコミ等で人的ミスがあったのではないかということも仄聞されておるわけでございまして、この問題は非常に重要な問題であると考えております。スリーマイルアイランドのときにおきましても、人的の問題については五項目ばかりを取り上げましてその対応策としておるわけでございます。 そもそも
施設
の設計におきまして、運転員の誤操作あるいは誤判断等を防止いたしますために、安全サイドに働くいわゆるフェールセーフというような考え方を持っていろいろ
施設
の設計をやっておるわけでございます。また、
原子炉
の保護設備、工学的な安全
施設
等の安全装置は極めて信頼の高い設計をしており、
事故
時にできるだけ自動的にやるという建前になっているわけでございます。ところが、
事故
が起こった後を見ますと、そういったフェールセーフを、わざわざ人がフェールセーフシステムをつぶしてしまったというような誤操作も出てきたわけでございます。こういったミスの防止については、設計面のハード面のアプローチと、それから
管理
面のソフト面からのアプローチが必要でございまして、先回のスリーマイルアイランドの
事故
に関しましても、制御盤の設計であるとかその他につきまして人間工学的な要素を配慮したような設計に改善するような対策はとられたわけでございます。すなわち、中央制御盤のうち
事故
時や機動停止時に用います制御盤は専用としてしまうというような制御盤の改善をやるとか、あるいは表示装置をカラーブラウン管に改めて非常に色彩感覚を取り入れられるようにすることができるようになりました。あるいは計器、警報操作スイッチなどは、その機能や重要性に応じましてこれまた色分けするといったような格段の工夫はしておりまして、できるだけそういったミスの起こらないような対策をとるように努力はいたしてきております。 また一方、
管理
面におきましても、これは教育訓練という問題になってくるわけでございます。もう一つはマニュアルの
整備
というようなことになってくるわけでございまして、教育
管理
面におきましては、
先生
御
承知
のようにPWR、BWR、それぞれシミュレーターを持っておりまして、そこで教育訓練をやっておるわけでございますけれ
ども
、このカリキュラムにつきましてもいろいろな一般的な運転対応ではなくて、
事故
が起こった場合にどうするかというようなのをやはりプログラムに入れておきまして、それに対する対応をやらせるというようなことなど係を入れておきまして、またそういった既存の運転員の定期的な技術向上のためのシステムも導入して、ただ一たん本職になったらもうそのままでいいというのではなくて、やっぱり定期的にそういったシミュレーターのところに行って教育訓練を受けるといったような制度もやっておるわけでございまして、今後ともそういったような面におきましてもできるだけ力を入れてやっていく必要があると思いますし、今度の
ソ連
原発事故
もおいおい
内容
がわかってまいりますればいろいろな具体的な対応すべき事項が出てくると思いますので、それをできるだけ取り入れてそういった面の改善にも力を入れてまいりたい、かように考えているところでございます。
松前達郎
107
○
松前達郎
君 いろいろな手段でもって情報が直接、しかもはっきりとコントロールする
立場
の人のところに入ってくる、これはいろんな工夫が必要だと思うんです。ところが、一人でもしかそれやっているとすると、その人が居眠りしていたら終わりになっちゃうので、あるいは判断の仕方が悪いとまた終わりになるから、何かもうひとつ幾つかの多重制御といいますかね、そういった面までどうもやらないと、必ずしもその辺がうまく一〇〇%コントロールされているかという、信頼しないといえばそれっきりなんですけれ
ども
、人間、信頼というのは、これ、政治の世界でも全然信頼置けませんので。ただし、技術の世界ではある程度訓練された人だからあれでしょうが、その辺も今後検討課題になるのじゃないか、こう思うんです。 それからもう一つは、
事故
が起こらないことを前提とされているようですから、
事故
を起こしたときの問題をここで言ってもなかなか取り扱いに図られるかもしれませんが、例えば今度の
ソ連
の
事故
の場合の情報入手。これはどうしてかというと二つあります。
原子炉
そのものがなぜこういうことを起こしたのかという技術的な情報ですね。それからもう一つは、さらに起こした結果として出てくる人間への被害、影響といいますか、こういったような問題、この二つがあると思うんです。あるいはもっと後になると、それの今度は治療の問題、医療関係の問題、こういう問題も出てくると思うんですね、これは現実に起きたのですから。 そこで、いろいろとその情報の問題について検討してみると、まず最初に確認したところはあのランドサットという衛星です。あの衛星の情報が確認の最初だったと思うんですが、スウェーデンで
放射能
が検出されたと、これもあるんです。だけれ
ども
、実際ビジブルな問題として確認されたのがランドサットの情報だ。これも本来ですと、たしかスウェーデンのキルナで受信しているんだと思うんですが、この情報が余り正確でなかったから結局データトランスファー衛星を使ってアメリカの方で直接ワシントンの郊外で入れて、そしてそのおろした情報をもとにコンピューター
処理
して画像ができている、それを新聞に発表されたと、こういうふうな段取りなんですが、こういった情報収集。 それからもう一つは気象情報ですね。気象情報が余り正確でないために科学技術庁の方でたしか
日本
には
放射能
の影響がないだろうということをおっしゃったら、その後すぐ影響が出てきた。影響というのは、人間の
生活
に影響するものでないにしても、ある程度の放射線の検出がされるということになります。これなんかもアメリカあたりだと商務省、農務省共催でいわゆる農業気象というのをやっているのです、全地球の。これはNOAAという衛星を使ってやっているわけです。ですから、これがしかももう既に、この
事故
が起こったすぐ後に、すぐ穀物の相場が上がるであろうということを予測をした発表をしていますね、その相場が上がるとかの問題で。私言っているのじゃないんですが。 それで、しかも
放射能
が、爆発したかあるいは普通の火事みたいに上がったかわかりませんが、その気流に乗って拡散をしていく。拡散の仕方が上層と下層では全然違う。下層の方はヨーロッパの西の方に拡散をしていきますし、上層の方はそれが今度逆に
日本
の方に向いてくる。こういう予測は当然つくわけなんで、
事故
のあった場合、こういったような予測も含めてWHOあたりは世界的な総合的な情報交換機構をつくったらいいんじゃないか、こういう提案ももう既につい数日前にしているわけです。ですから、
事故
が起こることを前提としてというとどうも余り乗り気になられないかもしれませんが、しかし起こる可能性もあるので、何もこの
原子炉
の
事故
だけじゃなくて、やはりそういったようなことも今後、将来の問題として考えていかなきゃならないんじゃないか。 これは気象庁の皆さんがおられると大変喜ばれるかもしれませんが、いずれにしてもそういった総合的な、もう今一カ所で済む問題じゃないんですから、全地球的に考える問題ですから、そういったシステム等も率先して我が国として取り組んでいくべきであろう、こういうふうに私は思っておるわけですが、その点について新しい情報等入手がありましたらひとつ発表していただければ、なければないで結構ですが、さっき私が申し上げたような総合的な情報入手機構といいますか交換システムといいますか、こういうものをつくった方がいいという考えを持っているんですが、その点どういうふうにお考えになりますか。
辻栄一
108
○
政府委員
(辻栄一君) 私
ども
先生
と同様の所感を持っておるわけでございまして、同時に私
ども
だけではなくて、これは国際的にもその必要性が認識されております。既にIAEAにおきましてそういった国際的な情報の体制をこれから検討していこうじゃないかという話にもうなっておりますし、IAEAの
事務局
長が
ソ連
に参りました際に、そういった情報交換についても一応合意をしてこれからやっていこうという基本的な話ができてきつつあります。 それで、具体的なあらわれとして、
ソ連
は七カ所に国境付近にモニタリング装置を置きましてその情報を入れてきておりまして、もう既に私
ども
の方の安全局のファックスにも毎日その情報は入ってきております。最近やや落ち着きを見せてきておりまして、最も
発電所
に近いところ一約七十キロぐらいのところにオスターという場所があるんですが、そこのデータが一番
発電所
に近いものですから、そのデータをあれしますと、この一日、二日は大体〇・二ミリレントゲン・パー・アワーという
レベル
に下がってきております。これは決して低い値ではありませんけれ
ども
、そういったようなところで少しずつ改善が図られていくんじゃないかなというふうに思っております。これは、国際的にはそういうことで、恐らくIAEA等を通じてそういった問題がこれから具体的なスキームにまとめられていくディスカッションが行われることになると思います。 国内の問題についてちょっと御
説明
さしていただきますと、私
ども
安全だ安全だと言うばかりではございませんで、一応防災体制につきましてもスリーマイルアイランド以降いろいろやってきております。特に、
放射能
の放出とその予測につきましては、
事故
直後から
原子力
研究所におきましてこういった予測システムの開発に着手してまいりまして、もう最近では実用化の段階にまいりまして、既に実用化の一号機をつくっております。これはSPEEDIという名前をつけているんですけれ
ども
、コンピュータープログラミングでございまして、
原子力発電所
のある
日本
の細部の地形が全部コンピューターに入っております。それからこれと気象庁のアメダスは、テレビでは雨の数字だけ出てきますが、あれだけじゃなくて、風向、風速、温度、そういったデータも全部あのアメダスに入ってきておりますので、アメダスとそこをコンピューターでつなぎまして、そういう気象データが入ります。そうすると、インプットデータとしては
発電所
からどのぐらいのキュリー数が放出されたというのが出ますと、そのコンピューターでどのぐらい
放射能
のプルームが流れるかというのがディジタルで目に見えるようにできてきております。ことしの秋ぐらいまでにはこれと安全
委員会
とをつなぎまして、安全
委員会
の方にディスプレーをつくるというような形にまで
整備
されてくると思いますので、そういった方面の情報流通には大いに使われるのではないかというふうに考えております。
穐山篤
109
○穐山篤君 時間の関係で、最初にエネルギーの需給見通しの問題について伺います。 いただきました資料は五十八年十一月策定のエネルギー需給見通しの表であります。そこで伺うんですが、たしかその前の
昭和
五十七年四月の需給見通しでいきますと、
原子力
の場合に、六十五年度が四千六百万キロワットアワーであったと思うんです。それが三千四百万に下方修正をされた。それから五十七年の策定では、
昭和
七十五年度の試算では九千万キロワットアワーであったものが六千二百万キロワットアワー程度というふうに相当修正をされたわけです。そこで、先ほ
ども
質問
がありましたが、もう一度伺いますが、これは具体的にどういう
理由
でどういう算定根拠をもって相当程度の下方修正をしたのか、その点をまずお伺いします。
林康夫
110
○
説明員
(林康夫君) 長期エネルギーの需給見通しにつきましては、御指摘のとおりこれまで逐次改定を行ってきたわけでございます。これは
理由
といたしましては、石油危機とこれに伴う景気回復のおくれ、あるいは産業構造の変化、省エネルギーの進展等エネルギーを取り巻く内外の情勢変化を踏まえて、より現実に合った指針とするために行ったものでございまして、実際に御指摘のとおりに改定を行っておりますけれ
ども
、エネルギー全体に占める
原子力
のシェアという意味では、五十七年度の見通しにおいても約一一%でございますし、五十八年度の秋の見通しにおきましても一一%程度ということでございまして、全体におけるシェアは大きな変化を示しておりません。 もう一つの、どうやって改定をするのかということでございますけれ
ども
、これは現実に各電気
事業
者の
立地
の計画等を逐次積み上げまして全体の規模を出すものでございまして、現実にはそういうヒアリングベースで積み上げを行っているということでございます。
穐山篤
111
○穐山篤君 計算でいきますと、五十七年の四月対五十八年十一月策定のものを見ますと、今私が申し上げました六十五年度で千二百万キロワットアワー、七十五年度では二千八百万キロワットアワー、特に七十五年で計算をしますと、一年分違うわけですね。かなりの下方修正だと思うんです。 そこで、五十七年四月当時見通しをつけられたときの
原子力
行政の将来展望、それから五十八年十一月に策定をしたころの
原子力
の将来展望、これは設備、
施設
その他を含めてでありますが、相当変わったのではないかなというふうに判断できるわけですが、その点はいかがですか。
林康夫
112
○
説明員
(林康夫君) この見通しは総合エネルギー
調査
会の需給部会の見通してございますけれ
ども
、
原子力
に対する考え方という点では、私
ども
といたしましても、
日本
がエネルギー政策を展開する上で、
日本
のエネルギー供給構造が極めて脆弱であるということを踏まえて、今後とも
原子力
に依存する程度は相当あるのではないかと考えておりますし、またそのエネルギー政策の基本的路線も堅持していかざるを得ないというふうに考えておりまして、
原子力
に対する見方という点では、我が国が非常に脆弱なエネルギー構造を持っている中で極めて重要なエネルギーという点では、五十七年の見通しの際にも五十八年の見通しの際にも基本的には見方を変えていないわけでございます。
穐山篤
113
○穐山篤君 今までの
原子力
行政というものを私なりに見ておりますと、従来の政策というのは、軽水炉、これを定着させる、あるいは改良をしていく、効率化を図っていく、その上に立って高速増殖炉の
原子力
行政と、過去の例をずっと見るとそういう感じがするわけです。そこで、下方修正をしたためにその政策がいささかでも変化をしてきたのか、あるいは変化をせざるを得なくなってきたのかという点についてはどういうふうに考えられましょうか。
林康夫
114
○
説明員
(林康夫君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この下方修正は全体のエネルギー需要の減退ということを踏まえて行ったものでございますので、基本的にはその見通しもエネルギー需要の状況に従って年次が先に延びたということでございまして、方向としてエネルギー政策の
内容
が変わったというようなことはございません。
穐山篤
115
○穐山篤君 今私が申し上げたように、軽水炉から高速増殖炉の
原子力
政策は変えないと、ただ実際の問題として、下方修正をした、あるいはその他の
原因
もあって実用化のおくれが現実問題としては発生をすると、こういうふうに理解をしていいんでしょうか。
中村守孝
116
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
今御指摘の軽水炉から高速増殖へという基本的な炉型戦略の考え方は現在変わっておらないわけでございます。
先生
御指摘のように、エネルギー需要の長期的展望が下方修正をしてきたという中にありまして、高速増殖炉の開発計画、我々も早くから取り組んではまいりましたが、現実問題としては、
立地
問題その他もございまして計画はかなり当初から比べるとおくれております。それで、現在実用化時期につきましては、前回、五十七年度に
原子力委員会
の長期計画を策定いたしましたときには、西暦二〇一〇年ごろに実用化するんじゃないだろうかという見込みを立てておりましたが、その後世界的な情勢から見ましてもやはりこれは若干後送りになるのではないかというぐあいに考えておるわけです。ただ、我が国の高速増殖炉はようやく原型炉を現在建設中という段階でございまして、フランス等に比べますと相当なおくれを見ておりまして、今後実用化までには実証炉の建設等の段階を経まして、実際に軽水炉と競合できる高速増殖炉ができ上がって初めて実用化と、こういう段階になってまいります。何分にも
原子力
開発の懐胎期、懐妊期間と申しましょうか、そういうものは長いわけでございまして、現在我々は原型炉の建設に一生懸命取り組んでおると、こういう状況にございます。
穐山篤
117
○穐山篤君 ちょっと
参考
までにお伺いしますが、「常陽」ですね、これ目下稼働しているわけですが、当初考えました建設費と最終的な建設費の比較はどんなものでありましょうか。
中村守孝
118
○
政府委員
(中村守孝君) 大変恐縮でございますが、実験炉「常陽」、かなり前でございますので、ちょっと今数字を手元に持ち合わせておりませんので、当初の計画とちょっと申しわけございませんが……。
穐山篤
119
○穐山篤君 それでは今話の出ております原型炉「もんじゅ」ですけれ
ども
、これは最初私
ども
が聞いたときの数字は四千億程度と、こうなっていたと思うんですが、これが最終的にどのくらいの金額で竣工するんでしょうか。
中村守孝
120
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
今御指摘のように、原型炉の「もんじゅ」につきましては、工事、いよいよ
立地
を最終的に決めて具体的に取りかかるという段階での見積もりが四千億円でございまして、これは現在約五千九百億円ということで、あくまでもこの範囲に全体の建設費がおさまるよう一生懸命努力をしておるところでございます。
穐山篤
121
○穐山篤君 非常に値段としては高い品物だなという感じがします。 そこで、もう一つお尋ねをするわけでありますが、プルトニウムの需給関係ですね、これはどういうふうに推移をすると見ておりましょうか。
中村守孝
122
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 現在プルトニウムにつきましては、国内的には高速増殖炉実験炉の「常陽」とか、それからこれから建設いたします原型炉の「もんじゅ」、それから新型転換炉「ふげん」という炉を現在敦賀で運転をいたしておりますが、こういったものに燃料を供給するためのプルトニウムの需要というものが当面の需要でございまして、これらにつきましては、東海再
処理
工場で再
処理
いたしましたものに加えまして、フランス、イギリスにお願いしてあります再
処理
の結果出てくるプルトニウムを国内に持ち帰って利用しておるということでございまして、当面はこういったものの需要と見合っておるわけでございます。 さらに、行く行くは出てまいりますプルトニウムを、先ほ
ども
お話ありましたように、本来は高速増殖炉で使うということが究極の目標でございますが、それまでの間は軽水炉とか新型転換炉で、いわゆる熱中性子炉で積極的にこれを利用していこうという政策に立ちまして、軽水炉につきましてもプルトニウム利用についての試験的利用から本格的利用ということを考えておるわけでございまして、そういったことで、軽水炉の利用までを考えますと、これから
民間
で建設いたします再
処理
工場での出てくるプルトニウム等々も考え合わせましていきますと、
原子炉
を、例えば軽水炉とかにつきまして、BWR、PWR、そういったものが数基ずつ程度軽水炉でこのプルトニウムの燃料を利用するというようなことを考えていきますと、西暦二〇〇〇年からちょっと先ぐらいのところまで累積するプルトニウム量というものはバランスをするというような状況になっております。
穐山篤
123
○穐山篤君 私、素人なものですからちょっと数字を教えてもらいたいんですが、「ふげん」と「常陽」で毎年どのくらいのプルトニウムが必要であるのか、それからこれからでき上がります「もんじゅ」を含めますと毎年どのくらいのプルトニウムが必要になってくるのか、最終的に需要と供給がバランスするというようなお話でありますが、海外に注文をしてありますプルトニウムの供給体制、この点はいかがですか。
中村守孝
124
○
政府委員
(中村守孝君) プルトニウムにつきまして原型炉「ふげん」での年間の使用量は、年によって取りかえ燃料の差異等がございますが、多いところでは年間約百十キログラム・プルトニウム・フィセル、核分裂を起こしますプルトニウムの量で約百十キログラム前後、それから「常陽」におきましてやはり同じく年間百キログラム程度でございます。それから原型炉「もんじゅ」になりますと年間約四百五十キログラムぐらいのプルトニウムの所要量が出てまいります。それから長期的には東海工場におきまして出てくるものと、それから
民間
がこれからつくります第二再
処理
工場、それから海外の委託をしております再
処理
工場等から再
処理
した結果できるプルトニウムを国内に持ち帰るというような計画でございまして、このような体制で先ほど申しましたような「ふげん」、「常陽」、「もんじゅ」、それから今後出てくる大間で建設中のATRの実証炉、それから軽水炉関係の本格的利用に備えたい、このように考えておる次第でございます。
穐山篤
125
○穐山篤君 先ほ
ども
同僚
委員
から
質問
が出ていたわけですが、今後のエネルギーの中で
原子力発電
というものを重視していきたい、こういうお話があったわけですが、しかしそのためにはいろいろな周辺の
整備
の問題があると思うんですね。例えば、先ほ
ども
出ておりましたが、コスト、経済性の問題もあるだろうと思う、それから
原子燃料サイクル
の問題があるだろう、それから何といいましても安全の担保ということが我々にしてみれば
最大
、最高の問題であろうというふうに素人なりに考えますけれ
ども
、こういう分野についての
科学技術庁長官
なりあるいはエネルギー庁の方の考え方をこの際明らかにしてもらいたい。
河野洋平
126
○国務大臣(河野洋平君) エネルギー政策を考えますときには、今
先生
おっしゃいましたようにただ単にコストだけで考えるというわけにもいかないと思います。国際的に見ましても外国にエネルギー源を依存する我が国でございますから、国際的な環境、つまり平和が維持できているかどうか、あるいは
地域
的に分散してエネルギーの供給を考えるとか、そういった国際的な配慮も必要でございましょうし、あるいは国内的には今
先生
御指摘になりましたような周辺の環境あるいは
整備
、こういった問題も勘案しなければならないと思います。先ほど来から御論議がございましたように、現在極めて原油の価格が下がっておる、円高ということもあって強いて円高のメリットを考えればそういったところにもあるではないか、そういう御議論もあったように伺いますけれ
ども
、ただ単に今現在の原油の価格だけを考えてあれこれするというわけにもいかない、長期的に安定した供給というものがどうやって
確保
できるかということを考えなければならぬと思います。さらにもう一方、科学技術の進歩ということも想定していかなければならないわけで、日進月歩というと少し言い過ぎになるかもしれませんけれ
ども
、科学技術の進歩というものも我々は頭の中に入れて考えていくべき必要があろう、こう考えるわけでございます。
穐山篤
127
○穐山篤君 長期見通しの問題については以上で終わります。 さて関連をして、
原子力
船「むつ」、今日ただいまどうなっているのか、あるいは将来どうするのか、その点いかがですか。
中村守孝
128
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。
原子力
船「むつ」の計画につきましては、当初から比べまして研究開発のスケジュールが大幅に遅延をいたしております。さらにいろいろな関係から経費の増大を招いているということで大変遺憾に思っておるわけでございますが、何分にも資源小国の我が国であり、さらに世界有数の造船海運国であるという我が国として、長期的な展望に立ちますときに、将来の船舶用の
原子炉
の研究開発というものは非常に重要な問題であろうかと思っておるわけでございます。 それで、
原子力
船用の舶用炉の開発につきましては陸上でのいろいろな実験も可能なのではないか、そういうことで陸上でいろいろ基礎的な研究を進めたらどうかという御
意見
も多々あったわけでございますが、
原子力
船特有の問題といたしまして、やはり海上における波による振動その他陸上に大きな振動台をつくってということでは非常に大変なお金のかかる話でもございまして、海上での実験というものが必要になるわけでございまして、そういう意味からはこの
原子力
船「むつ」というものが非常に貴重な実験材料になるわけでございますので、ぜひこの「むつ」を使いまして得がたいデータを得たいということで、私
ども
関係方面の各般の御
意見
を踏まえて慎重に検討いたしまして、昨年の三月三十一日に新しく基本計画を策定して、現在その計画に沿って進めておるわけでございます。 この基本計画は、端的に申しますれば現在関根浜の港を建設中でございますが、この関根浜の港を建設後そこを基地にいたしまして、約一年程度の間海上における貴重なデータを精力的に得まして、その後
原子力
船を解役する、こういうことで六十五年度には一応「むつ」としての研究開発計画を終了させるということで現在鋭意準備を進めておるところでございます。
穐山篤
129
○穐山篤君 私もかつて決算
委員会
に所属しておりまして、この金食い船のあり方の問題について随分議論がありました。膨大な国費を使って、リスクがあるのはやむを得ないにしても期待どおりのことにならずに、与党・自民党の中にも廃船にしなさい、こういう圧倒的なお話があるわけです。この
原子力
船「むつ」の建設、当時の
意見
としては陸上で実験をすればいいじゃないか、そして十分に見通しがついた上で商業用に転化をしてもそれはいいではないか、私はこういうふうに主張をしたわけですけれ
ども
、急ぎ過ぎた結果がこういう状況になったと思うんです。研究が終わった後これをどういうふうに転用をしていくのかという点についてはいかがですか。
中村守孝
130
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
の御指摘は、
原子力
船「むつ」そのものが実験終了後どういう扱いになるかと、こういうことかと思いますが、
原子力
船「むつ」につきましては、実験が終了しました後は
原子炉
を解体いたしまして後いわゆる廃船という、言葉はちょっとあれでございますが、をするということでございまして、その船を解体してしまうか、あるいは
原子炉
を取り除いた後の船につきましてはほかに使い道があるということで御希望の向きが出てくれば、そういった扱い方も考えようかと思っておりますが、現在のところまだ
原子炉
を解体するというところまででございまして、それから先の有効に使うという意味では具体的な計画をまだちょっと詰めかねております。
穐山篤
131
○穐山篤君 この場では余りふさわしくない
意見
ですけれ
ども
、高い買い物をし過ぎたな、国民の血税を使い過ぎたなと、こういう気持ちがしてならないわけであります。商業用にはソビエトなど若干の船がありますけれ
ども
、そもそも
日本
ではこの計画はむちゃであった、こういうふうにきょうのところは指摘をしておきたいと思うんです。
原子力基本法
ができて三十年ですか、科学技術庁ができてこれまた三十年になるわけですけれ
ども
、そこで現在三十二基の
原子炉
が稼働をしているわけでありますが、耐用年数はそれぞれの型によって違いがあると思うわけですけれ
ども
、これは私
ども
勉強の限りでは三十年ないし四十年というふうに理解をしているわけですが、一般論で最初ひとつ耐用年数というものを紹介してもらいたいと思うんです。
中村守孝
132
○
政府委員
(中村守孝君)
原子炉
の耐用年数につきましては、明確に幾らというようなことを決めたどこかのオーソライズ
機関
の、何といいますか公的な
機関
で幾らと決めたということはないわけでございますが、法人税法などで適用されている減価償却では、この
発電所
用の鉄筋コンクリートが四十五年、汽力発電設備は十五年というような数字がございまして、これが援用されるんだろうと思いますが、実際の問題としてどのくらいもつのだろうかということにつきましては、私
ども
も
専門
家といろいろお話ししておりますが、先ほど
先生
御指摘ございました三十年ないし四十年ということが現在の皆さん方の御
意見
でございます。
穐山篤
133
○穐山篤君 そうしますと、今世紀中に耐用年数の目いっぱいくる
原子炉
が発生をするわけですね。当然のことながら、さらにそれを修復して延命を図るか、あるいは廃炉にする、そういう方法が技術的には考えられるわけです。これまたどういう方向で研究されていますか。
中村守孝
134
○
政府委員
(中村守孝君) 我が国で一番古い商業用の炉が
昭和
四十一年の運転開始でございますので、この炉がいわゆる東海村にございますコールダーホールタイプの
原子炉
でございます。これが一番最初の廃炉の対象になろうかと思うんですが、一方、研究用の炉としてございます、
日本
原子力
研究所に出力は小そうございますが、実際に発電をした
原子炉
がございまして、これはJPDRと言っておりますが、この炉につきまして、今後の
原子炉
の解体に必要な技術開発の一環として、この炉をひとつモデルにしてやろうじゃないかということで、現在まで数年間解体に要する要素技術、エレメントの技術についての開発を進めてまいりまして、本年からこのJPDRの解体作業に入るということを計画しておるわけでございます。 長期的に我が国の廃炉をどう進めていくかということにつきましては、
原子力委員会
の
専門
部会でも検討いたしまして、五十七年六月に
原子力委員会
が策定しました長期計画においてその基本的な考え方が示されておるところでございますが、これではまず安全の
確保
を大前提に
地域
社会との協調を図りつつ進めるべきだと。特に敷地につきましては、
原子力発電所
としての用地として引き続き有効に利用していく。何分にも我が国としてはこういう国土狭隘なところでございますので、有効に活用していくという意味でそういうことがうたわれておるわけでございます。 したがって、その
原子炉
を廃止するための措置の進め方につきましては、引き続き使用できる
施設
、これは
原子炉
そのものはやめるにしても、周辺に使えるような
施設
等がいろいろあるわけでございます。そういったものの再利用を十分考慮した上で、
原子炉
の運転終了後できるだけ早い時期に解体撤去することを原則とする。個別にはそれぞれの
立地
地点におきます諸事情がございましょうから、必要に応じ適当な期間は要するに人が入らないように、それから
放射能
を封じ込めるという意味での密閉
管理
という方法、あるいは遮へい隔離という方法、この二つの方法で進める期間というものが必要になる場合もあるだろうということでございまして、この期間は
原子力
施設
を解体撤去するのではなくて、かなりな部分は取り壊しますが、肝心な部分はいわゆる閉じ込めて人が入らないようにするというようなことをするわけでございます。 そういったようなことにつきまして、ある期間はそういう状況にしておきますが、最終的には解体撤去をして跡地を
発電所
に利用するというのが
原子力委員会
としての考え方でございまして、私
ども
もその線に沿って長期的な展望をし、そのために必要な技術開発を先ほど申し上げましたようにJPDRの解体ということを一つの中心的なプロジェクトとして進めてきておるところでございます。
穐山篤
135
○穐山篤君 廃炉にするということは
放射能
の固まりをどうするかということになるわけですが、この
原子力発電
を考えました今から三十年前ですね。この廃炉の問題について十分に研究がされないままに専ら建設の方に開発の重点が置かれておったというのは、非常に国民の一人として驚くわけです。これは何か特別の
理由
があったんでしょうか。
中村守孝
136
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
御指摘のような、
原子炉
をそもそもつくる三十年前、いろいろ研究開発をしていたときに廃炉の問題をどう考えていたかということにつきましては、確かに建設をするということがまず先にあって、最初から廃炉についてどうするこうするという詳細な技術開発というようなプロジェクトはなかったことは事実でございます。それがどうであったかということにつきましては、特段のどうだからそうしなかったということは、資料もございませんので私
ども
断定するわけにはいかないわけでございますが、私個人の推測といたしましては、解体の技術については今後の技術開発等によりまして、方法論は何といいますか、経済性という点においてはいろいろ今後の技術開発をすることは必要でございますけれ
ども
、本質的に取り壊しすることなりが全く技術的に不可能であり、それを片づけなければ
原子炉
の開発は進められない、そういうような理解は当時しなかったんだろうと思いまして、今後の解体までの間に十分な技術開発をして、経済性のありかつより一層
安全性
が
確保
できる技術の開発は十分実現可能である、そういうような判断をしたのではないかと考えております。
穐山篤
137
○穐山篤君 この
原子炉
の中で発生するいろいろな物質があるわけです。稼働している間に出てくる物質あるいは例えばセシウムであるとかストロンチウムであるとかプルトニウムであるとか、そういう問題の半減期の問題も十分考えなければなりませんし、
原子炉
の容器のニッケルなりあるいは銅の含有量、そういうものも当然
原子炉
をつくる場合には技術的に言えば念頭にあるわけです。それが途中でどういう
事故
、災害に遭うかもわからない。あるいは最終的に耐用年数が来ますと、若干のものは設備、
施設
の転用ができますけれ
ども
、その母体について言えば廃炉にするという可能性が一〇〇%近いわけですね。したがって、
原子力
の発電のための研究開発というものも当然でありますけれ
ども
、その途中のトラブルあるいは将来的な廃炉の問題についても当初から研究をしておかなければ十分
安全性
を担保することは不可能だというふうに私は考えますけれ
ども
、その点については科技庁の御
意見
はどうなんでしょう。
中村守孝
138
○
政府委員
(中村守孝君) 今
先生
御指摘にございました銅の含有量というようなものは恐らく圧力容器の脆化の問題にかかわるものと思いますが、そういった問題につきましては、
原子力発電所
の
安全性
という点につきましては、
原子炉
を設置する段階におきます安全
審査
の段階で世界的ないろんな資料を集めまして、材質も含めて十分
安全性
を確認した上で許可をし建設をし運転をしておるわけでございます。 廃炉につきましては、我が国はこういう国土狭隙の地でございますので、基本的に解体撤去をして跡地は有効に利用していくというのが我が国の考え方でございますが、その開発の当初において解体撤去するというところまでは考えなかったところもあろうかと思いますし、実際にお国によっては、先ほど申しました密閉
管理
といいますか、コンクリートで封じ込めてしまう、
原子力発電所
の中で一番
放射能
の高いところはコンクリートで閉じ込めてしまう、こういうようなことで
処理
をしておるところもあるわけでございます。我が国ではそういったことでなく、周辺の皆さん方の御理解も得ながら進めていかねばならない
原子力発電所
でもございます。そういうことで、解体撤去をして跡地はまた有効に利用して
地域
とともに繁栄をしていこう、こういう考え方で現在鋭意より安全なより経済的な解体技術というものを目指して努力をしておるところでございます。
穐山篤
139
○穐山篤君 目下研究中のようですから、最終的な正確なお答えは出ないかもしれませんけれ
ども
、例えば東海村にあります
原子炉
を解体する場合、解体したと仮定をして、どの程度の放射性物質が出てまいるものでしょうか。あるいはそれを解体、廃炉にするために必要な経費というのは大ざっぱに言ってどのくらいかかるものでしょうか。
中村守孝
140
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 実用炉について具体的に東海村という特定のところについてどうだという数字は持ち合わせておりませんが、エネルギーについての通産大臣の諮問
機関
でございます総合エネルギー
調査
会の
原子力
部会が昨年の七月に廃炉についての試算をまとめております。発生する
廃棄物
量は、百十万キロワットクラスの
原子力発電
施設
におきまして、全体で
放射性廃棄物
であるものもそれから非
放射性廃棄物
であるものも含めまして五十ないし五十五万トン出てくると。そのうち
放射性廃棄物
として扱われるべきものは約二%程度であろうという試算がなされております。そうしますと、五十ないし五十五万トンでございますので、そのまま二%を掛けますと一万ないし一万一千トンという数字が
放射性廃棄物
の量として出てまいります。外国の数字といたしましては、米国の
原子力
規制
委員会
が
調査
した数字といたしまして、百二十万キロワットのものにつきまして
放射性廃棄物
の量が一万五千ないし二万トンだというような試算もなされております。おおよその数字はその
レベル
のものではないかと考えておる次第でございます。 それから費用の点でございますが、これにつきましては大体建設費の一割程度がかかるのではないだろうかということでございまして、先ほどの総合エネルギー
調査
会の
原子力
部会の報告によりますと、例えば百十万キロワットクラスでありますと、いきなり壊すのではなくて五年程度は安全に
貯蔵
した後ということでございますと約三百億円ほどかかるのではないか、こういう試算もなされております。
穐山篤
141
○穐山篤君 この間のソビエトの
原子力発電所
の
事故
で、新聞で仄聞するところによりますと、あの爆発
事故
によって数十種類の、例えばストロンチウムほかたくさんの何と言うのですか、核分裂物質と言うのでしょうか、が報道されていたわけですが、すぐ私
ども
その場合に一つ一つの物質の半減期がどのくらいだろうということを想定したわけですが、そういうことが
専門
的に新聞には書かれていないわけですね。今
説明
のありました廃炉にした場合、解体をした場合、放射性物質としては約一万トンというから、鉄道の貨車一車が十トン車として、大変な物が発生をするな、こういう感じがするわけです。 そこで、一般論で結構でありますが、
日本
で今実用化されて稼働中のものが廃炉にした場合にどういう種類の核分裂物質ですか、どのくらいの数の物が発生をするのか。それから一番長い半減期のものはどういう物質であるのか、その点ちょっと
説明
をしてください。
中村守孝
142
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
の大分難しい御
質問
で、今の御
質問
のすべてにちょっと今にわかにお答えできない点もございますが、
原子力発電所
を解体撤去した場合の放射性物質の問題でございますが、
先生
お挙げになったセシウム、ストロンチウムというようなものは半減期三十年程度でございますが、この種のものはいわゆる燃料体の中に入っておるものでございまして、今回の
ソ連
の
原子力発電所
の
事故
の場合は、燃料が破損したために恐らく燃料の中に入っていたものがすべて飛び出してしまったというような、すべてといいますか、燃料体の中にあったものが飛び出してしまったというようなことから、セシウムだとかストロンチウムだとかいうものが検出されたんだろうと思います。そういうことでございますと、燃料の中にはプルトニウムだとか、いろいろ、それこそ一万年以上の半減期のあるようなものもあるわけでございます。 しかし、我々が
平和利用
の
原子力発電所
を解体する場合におきましては、燃料体というのはそもそも別に
処理
をするわけでございまして、したがいまして基本的には
原子炉
の中でどういうものかというと、例えば圧力容器なんかが高い放射線にさらされているために放射化されているというようなことでございまして、そういうことになりますと例えばコバルト60というようなものが中心になるわけでございまして、こういうものでございますと半減期は五年程度というものでございます。燃料体につきましては、
先生
御心配の半減期の長いものにつきましては、燃料を再
処理
工場に運び込みまして、そこで分離をして、そういうものはいわゆるガラスの固化体という形に
処理
します。そして、これは数百メーターの地層の中に
埋設
して再び人間の
生活
圏に戻ってこないような処置をしよう、こういうことを考えておるわけでございます。
穐山篤
143
○穐山篤君 いずれその問題についてはまだ別の
機会
に伺います。 次に、きょうのテレビ放送でもあったんですけれ
ども
、
原子力発電
にかかわる重大な緊急事態という問題について伺います。 先日、私は内閣
委員会
で、安全保障会議設置法に絡んで、通常の緊急事態、それから重大な緊急事態というものを
原子力
にかかわって整理整とんをしてみると、どういう状況が通常の緊急事態であってどういうものが重大な緊急事態であるかということをお伺いしたわけですが、余り胸に落ちるような
説明
がなかったんですが、この
原子力
の分野ではその点どういうふうに整理をされておりましょうか。
辻栄一
144
○
政府委員
(辻栄一君) この前、内閣
委員会
では私が御答弁したわけでございますけれ
ども
、私
ども
、通常の緊急事態として考えておりますのは、やはり何といいましても
原子力発電所
の
事故
であろうかと思っております。この場合において、
原子力発電所
から大量の放射性物質が外部に放出されるというような事態が起こります場合は、これは基本的には災害対策基
本法
が適用されるという事態に相なろうかと思います。こういう事態につきましては七年ほど前のスリーマイルアイランドの
事故
の教訓がございまして、
放射能
による災害対策につきましての当面の対策ということを中央防災会議におきまして
決定
いたしたわけでございまして、それによりまして関係行政
機関
なり何なりの協力体制等が決められておりまして、またその線に沿いましてその後相当の予算対策もいたしまして、緊急時の連絡通報体制その他の
整備
、あるいは緊急医療用の資材の
整備
等を図ってまいっておるところでございまして、基本的にはこれで対応できるものというふうに考えておるわけでございます。 その安全保障会議における重大な緊急事態ということが具体的にどういうふうになるかということにつきましては、これはやはりケース・バイ・ケースの問題でございますけれ
ども
、こういった災対法による
事故
対策本部等によって対応できないような社会的な大混乱がこれに伴って発生したというような場合があったとすれば、その部分が重大な緊急事態として安全保障会議の方の担当になるというふうに考えておる次第でございます。また、政治的意図を持ちましたいわゆる核ジャックが発生した場合につきましてもこの安全保障会議で検討されることがあり得る事態も出てくるかもしれないということを御答弁したわけでございますが、概略そのように考えておるわけでございます。
穐山篤
145
○穐山篤君 私は、先日述べましたのは、科学技術庁設置法に基づく
科学技術庁長官
が
処理
できる範囲内は通常の緊急事態であろう、それを総合しますと災害対策基
本法
に述べられている範囲で
処理
できるものであろう、そういうふうに一般論としては理解をします。ところが、先日も指摘をしましたように、
原子力発電所
でトラブルが発生をした、いろいろなケースがあるだろうと思いますが、例えば
住民
を避難させるような場合もケースとしては考えられる、あるいは水であるとか、あるいは魚であるとか野菜であるとか、そういうものについての政府の統制といいますか、指揮命令の
管理
に入る分野も出てくるだろう、それを一つ想定をしました。それからもう一つは、核ジャックというそういうものが理屈上あり得る。こうなった場合は単純に通常の緊急事態というものではないような感じがする。それから第三番目には、
日本
の周辺、
日本
海であるとか太平洋側で、
日本
の
責任
ではないけれ
ども
、
原子力
潜水艦と何とかの船が衝突をした、そういうふうなケースも当然考えられる。 〔
委員長
退席、
理事
岡部三郎
君着席〕 それからこの間のソビエトのような
事故
で
放射能
が降ってくる、いろいろなケースが考えられていたわけです。 たまたまきょうテレビを見ておりましたところ、再
処理
されたプルトニウムを積載した船がグリーンピースに乗っ取られた。もちろんそれは略奪をしたわけではなくて、そこがちょっと憎いんですけれ
ども
、
管理
が悪いからこういうことが起きるぞ、いつでも、核兵器をつくる材料というものの
管理
について国際的に警鐘乱打をしたと。なかなか憎いやり方なんですけれ
ども
、これも私が指摘をした部分の一つであったわけです。 そこで、重大な緊急事態、私が申し上げたようなものも
原子力発電
を考えたときあるいは開発をしたときに当然ケースとして想定をされたと思うんですが、通産省なり科学技術庁としては、私が申し上げたようなケースについてその対応を今まで研究をされてきたかどうか、あるいはそういう場合の対応のために必要な機具の
整備
、そういうものも十分に準備をされてきたかどうか、その点いかがですか。
辻栄一
146
○
政府委員
(辻栄一君) 防災対策関係、つまり
原子力発電所
の
事故
の問題に関しましては、先ほど御
説明
を申し上げましたように、防災対策に必要な諸般の資機材なりあるいは体制なりについての検討が一応整っておる状況にあるということが申し上げられると思います。 核ジャックの問題につきましては、これは国際的にもかねてから問題となっているところでございまして、核物質防護措置ということで呼ばれておるわけでございますが、これにつきましては国際
原子力
機関
、IAEAにおいて検討が行われまして、既に各
原子力
施設
に対します核物質防護の基準が定められておるわけでございます。これは核物質が容易に盗取等によってジャックされないように
施設
面あるいは
施設
の
管理
面において防護措置を講じておくという基準を定めているわけでございまして、我が国におきましてもこのIAEAの基準を踏まえまして
原子力委員会
において検討が行われて報告が出され、その報告を踏まえて関係行政
機関
において所要の防護対策が講じられているところでございます。 これは、その
施設
に内蔵するところの核物質の種類において
レベル
が幾つかの段階に分けられておるわけでございますけれ
ども
、各
発電所
、あるいは特にプルトニウム等を扱います東海村の動燃
事業
団のプルトニウム関連
施設
においては最も厳しい基準が適用されておりまして、すべての核物質の収納場所は堅固なる倉庫に入れてきちっと施錠する。出入りにつきましてはきちっとした
管理
をやり、かつ中央監視所におきまして人々の出入りについてはすべて監視をする。周囲には高い塀をめぐらして、さらに監視カメラを設けてこれを集中監視するといったような基準が定められておりまして、
日本
の
原子力
施設
はこういったIAEAの基準の
レベル
に沿った対応をしているわけでございます。その中には、やはり治安当局との連絡問題についても基準があるわけでございまして、もしそういうような事態が発生した場合には直ちに治安当局に連絡をとる、かような体制になっているわけでございまして、それから先の話はこれはとても私
ども
の手に負えるところではございませんので、治安当局の方にその対応を任せるということにいたしておるわけでございます。
穐山篤
147
○穐山篤君 今も指摘をしたところですけれ
ども
、
日本
はプルトニウムを海外、フランスなり何なりに再
処理
を依頼して、船なりあるいは航空機による輸送ということになるわけですね。
昭和
五十九年度でしたか、そういう問題が発生をしたことも記憶に新しいわけですが、きょうの報道を見ますと、イタリアからイギリスに回航します船がジブラルタル海峡で一時的にグリーンピースに乗っ取られたわけです。プルトニウムそのもの、あるいは鉛そのものを爆破するという計画ではなかったからまあまあ話で終わったようなものですが、そういうことも今後考えられる要素ではないかなというふうに思うんです。 そこで、IAEAの申し合わせ、規則、協定というものは
最大
限尊重しなければなりませんけれ
ども
、核ジャックだとか、あるいは今言いました核兵器に活用のできますプルトニウムを奪取するとか、あるいは不測の事態や
事故
が発生しないとも限らないわけであります。そういう点についてまだ大きな現実問題に直面をしませんから、なかなか対応としては卓上のプラン以上のものは出ないと思いますけれ
ども
、これだけの
原子力発電所
を持っている以上は、一つ一つについて十分な
安全確保
という問題を考えなければならぬし、またその周辺
地域
の方々にもこういう事態が想定をされる、された場合にはこういうことをしなきゃならぬという意味で、心構えなり訓練というものが当然必要だと思うんですね。 ところが、
原子力発電所
をつくるときには随分資金は周りにまきますけれ
ども
、そういう問題についての啓発、PRというものは非常に少ない。これは安全ということが絶対一〇〇%担保されているから心配ないんだということであるかどうかはわかりませんけれ
ども
、しかし世界各国の
事故
、トラブルを見てみますと、予想されない事態が発生をしているわけです。そういう意味で十分な対応を、もっともっと現実的な対応というものを考えてほしい。またそれも発表すると、何といいますか周辺
住民
に不安を与えるというふうな気持ちからかどうかわかりませんけれ
ども
、そういうものについて公表した例というのは余り見ていないわけですね。そういう点について十分配慮してやってもらいたいと思うんですけれ
ども
、いかがでしょうか。
辻栄一
148
○
政府委員
(辻栄一君)
原子力
施設
の
安全確保
を第一とすることは言うまでもありませんが、万が一の保険としてこういった防災対策についても十分な配慮を払っていくことは重要であるということは当然でございますし、これがまたスリーマイルアイランドのアメリカの
原発事故
の教訓でもあったわけでございます。先ほど申し上げましたような当面の対策におきまして、先ほど私申し上げました資材面の
整備
についてと同時に、
原子力安全委員会
の
専門
部会におきまして、そういった防災における避難計画の策定であるとか、あるいは教育訓練の
問題等
についても一応の基準は設定してありまして、既に
原発
所在地の周辺各市町村を含めまして防災対策計画というものはまとめられております。 そしてこれの訓練につきましても、毎年九月一日の防災の日に相前後いたしまして、各こういったものの行政担当官
レベル
の訓練は行われておるわけでございます。
先生
御指摘の地方
住民
に対する参加の訓練の問題もあるわけでございますが、この点につきましては実際に対応する県あるいは市町村における考え方でいろいろ違うところもございます。非常によくやっているところもあれば、まだ不十分なところもございますので、今後こういった点についてのPRその他につきましても意を用いてまいりたいと思っておるところでございます。
穐山篤
149
○穐山篤君
安全性
の
確保
という面でもう一つ伺いますが、低
レベル
の
放射性廃棄物
を今回の
法律
では業者に任せる、そういう
法律
になっているわけですが、そこで勉強のためにしっかり聞いておきたいのは、今まで低
レベル
の
廃棄物
につきましては海中投下をした例があるわけですね。たしか記録によりますと千六百六十一本の
ドラム缶
が二千五百メートル下の海底に投下された、こういうふうになっているわけですが、もう既に十年以上経過しているわけです。この間、科技庁にしろあるいはエネルギー庁にしろ、さらには海上保安庁にしろ、これは結局は重いから沈んでいるようなものなんですけれ
ども
、浮遊の状況であるとか、あるいは
ドラム缶
の破損の状況であるとか、その後お調べになっていると思うんですけれ
ども
、その点いかがですか。
辻栄一
150
○
政府委員
(辻栄一君) 御指摘の海洋投棄につきましては、当時の
日本
放射性同位元素協会というのがございまして、
昭和
三十年から四十四年にかけまして相模湾、駿河湾及び房総沖におきまして計十五回にわたりまして放射性同位元素協会による
放射性廃棄物
の海洋投棄を行ったわけでございます。投棄された
廃棄物
は、この協会が放射性同位元素を取り扱いました際に生じました
放射性廃棄物
を主として
ドラム缶
の中にコンクリートで固め込んだものでございまして、固化体は全体で千六百六十一本、含まれていました
放射能
は当時の値で約四百七キュリーという報告になっております。 これらの投棄につきましては、投棄物が放射性物質の漏れ出しにくいコンクリート固化体でありますことと、それから投棄物中に含まれまするところの放射性物質がほとんど海中に溶け出しにくいコバルトによって占められている。 〔
理事
岡部三郎
君退席、
委員長
着席〕 それから
放射能
量は、コバルトは半減期が約五年ですか、でございますので、現時点におきましては約四十キュリー程度に減衰しているわけであります。また水深が二千メートル以上である。それから投棄
海域
周辺につきまして、これまで太平洋沿岸の
放射能
バックグラウンドの把握という点から、水産庁がプランクトン等の生物と海底土の
放射能
水準の
調査
を行っているわけでございます。これは毎年、専用の
調査
船に行っていただいて
調査
をしていただいているわけでございますが、その結果から特に異常は認められていないということ等から、
現状
において特に
安全性
上の問題はないのではないかというふうに考えています。
穐山篤
151
○穐山篤君 二千五百メートル下まで入ってお調べになったわけじゃないですよね。それは海上保安庁も途中のプランクトンを調べて、どの程度であろう、コバルトの半減期が短いから、今日では四百七キュリーがせいぜい一割ぐらいに落ちているであろう、こういう推定ですよね。その意味では、私
ども
目でしっかり確認をしたわけではありませんから、この問題についての不安は依然として消えない、こういう気持ちを持っているわけであります。しかし、ただ疑うだけでは能のない話でありますので、十分に海中、海底
調査
をしてほしい、こういうことをこの際申し上げておきたいと思います。 なお、
質問
の通告にはなかった話ですけれ
ども
、今科技庁なり海上保安庁その他が持っております、海中にどの程度まで潜れるか、潜水ができるかという意味では、六百ないし七百メートルというふうな
説明
が予算
委員会
で河野長官からあったわけですけれ
ども
、世界の深海艇では何メートルぐらい下がれるんでしょうか。
質問
の通告がなくて恐縮ですけれ
ども
、
参考
までにお伺いしておきます。
矢橋有彦
152
○
政府委員
(矢橋有彦君) 私の
承知
しております範囲では、フランス及びアメリカが持っております六千メートルであると考えます。
穐山篤
153
○穐山篤君 喜屋武
先生
が例の終戦前後の船舶の沈没の問題について長官に
質問
されておったわけですが、あの当時、
日本
の設備、技術では無理だ、こういうお話がありましたが、今のお話でアメリカ、フランスが六千メートル、私が知っております深海艇は四千メートルという記録があったわけですけれ
ども
、長官、そういう意味で喜屋武
先生
の
質問
に十分答えられるように、これは番外の話ですけれ
ども
、研究をひとつ、取り組みをお願いしておきたいと思っています。 さてそれから、もう時間がありませんが、同僚
委員
が最初第一回目に
質問
をしました
廃棄物
についての、政令でそれぞれお示しをします、こういう答弁になっているわけですが、その政令を決めるのは、ことしの八月、
原子力安全委員会
ですか、ここで十分検討してからでなければ出てこないという話があるわけですが、そうなりますと、
改正
後の第五十一条の二第一項第一号という問題については、この
法律
が成立する瞬間でもわからないということになるわけですね。この
法律
が最終的にどういう
処理
をいつ、されるかは別にして、成立をした暁にはこの
法律
は官報に公示がされるわけです。ところが
廃棄物
の問題について、国民は抽象的な高
レベル
とか低
レベル
の
廃棄物
ということは目にいたしますけれ
ども
、どういうものが、どのくらいのものが低
レベル
であって、それは第何項に該当するのかということが全くわからないままにさらされるという事態になるわけです。 本来は、この政令も十分準備をして、
法律
と一緒に国会に提出をして、それで賛否を問う。どちらの道を選択するかを議論するのがオーソドックスな道だと思うんですね。私
ども
も、どう読んでみても拘束値の問題につきましても明確にならないままに
法案
の
審査
が終わってしまう、そのことを非常に心配をしますし、この種の
法律
の
審議
に当たっては適当なやり方ではない、適切なやり方ではないというふうにいまだに考えているわけですが、この点、長官いかがでしょうか。
河野洋平
154
○国務大臣(河野洋平君) 政令にゆだねる部分が極めて重要な部分ではないかという
先生
の御指摘でございますが、この政令にゆだねる部分につきましても、
法律
によってその粗筋、骨格を指定いたしまして、この骨格の中で政令によってきちっと書くというつくり方になっております。
先生
ただいまおっしゃいましたように、政令の部分もすべて細かい数字も入って
審議
をする方がいいではないかという御
意見
は、それも大変オーソドックスな一つの考え方であろうかと思いますが、今回のこの
法律案
を御
審議
いただきますにつきましては、御
審議
いただきます間に再三御
説明
を申し上げましたように、国際的な考え方を
日本
的に読んで数値を決めるという作業等が現在
原子力安全委員会
等で進んでおるという事情もございまして、今回は政令の部分について完全な形でお示しをすることができなかったわけでございます。しかしながら、
委員会
でのさまざまな御指摘等につきましては、でき得る限り
メモ
等で御提示をいたしまして御
審議
いただけるような形を整えてきたつもりでございまして、どうかひとつその点は御理解をいただいてぜひ御
審査
をいただきたい、こう考えておる次第でございます。
穐山篤
155
○穐山篤君 きょう午前中から
参考人
が賛成の
立場
、
反対
の
立場
で
意見
が開陳をされたわけです。その際、もちろん
反対
論は三点セットが
青森
県に持ってこられること自体に
反対
なんですけれ
ども
、
反対
理由
の一つの中に、果たして
安全性
が十分
確保
されるものであるかどうかという
内容
が鮮明にされていないために、疑心暗鬼の人はどちらを選択するかといえば
反対
ということになるのは当然であります。また、我々もこの
廃棄物
の
処理
それから
検査
の
代行
の問題について皆さん方とはは違った考え方を持っていることは間違いありませんけれ
ども
、それでも中身がわからないままにこれの
処理
をしてくれというのは少しむちゃがあるんじゃないかなというふうに思うわけです。 一般論としてはガラスで固めますとかいろんなことが言われておりますけれ
ども
、最終的には政令と総理府令ということにならざるを得ないわけですね。その手のうちを全部見なければ、我々もあるいは
地域
住民
も、これが本当に外部の下請業者に任せていいかどうか、あるいは
検査
の
代行
を下請業者にやらしていいかどうかというその判断は非常に難しいと思う。
専門
的なだけにその点非常に難しいと思うんです。そういう意味で、政令案が準備された後に一緒に提案をしても遅くはなかったじゃないかというふうに考えるわけです。当然のことでありますけれ
ども
、三点セットというのは
法律
が決まったからあしたから
青森
にできるわけじゃないですよね。十分な準備というものが必要になるわけです。その意味では今度の
法案
の提出というのは若干時期的に選択を誤った、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですが、その点長官もう一度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
辻栄一
156
○
政府委員
(辻栄一君) 先ほど御
説明
いたしましたように、残念ながら今の段階で
埋設
の対象となる
廃棄物
の濃度上限値あるいは無拘束限界値の数字を具体的にこれだと示すことができないのは、今
原子力安全委員会
で検討中の状況であるからでございまして、ただ、その点について全くわからないというわけではございませんで、この安全
委員会
で検討している物の考え方が、国際的なIAEAという国際
原子力
機関
の検討の結果をベースとして物を考える、しかも対象となるものは当面コンクリート、アスファルト等によって固形化された
廃棄物
でありまして、その
放射能
濃度がただいま申し上げました濃度の範囲内にあるということを申し上げているわけでございます。 同時に、その範囲内につきましても
日本
ではまだ具体的に決めておりませんので、幾ら幾らという数字は御指摘のように八月ごろまでお待ちいただきたいわけでございますけれ
ども
、もう既にIAEAで決まっております
放射能
濃度というものをお示しいたしまして、まあこれよりか
日本
的な検討で厳しいものになるということで御
説明
を申し上げているわけでございます。私
ども
もできれば
法案
と同時にこの数値を御提示いたしたかったわけでございますけれ
ども
、そういう事情でまだ
原子力安全委員会
の報告が最終的に固まっていないという状況でございますので、ひとつその点は御了解をお願いいたしたいと思うのでございます。
穐山篤
157
○穐山篤君 そう簡単に賛成というようなことにはならないんですよ。これはまじめな意味でそう私
ども
は考えるわけです。もう時間がないので一々申し上げることができないんですけれ
ども
、
責任
のとり方の問題についてもまだ鮮明ではないという感じがします。 そこで、私
ども
日本
社会党は、議員立法で
発生者
責任
というものに基準を置いた代案を提案してあるわけでありまして、そのことによって
日本
の
原子力
安全の問題について
最後
まで国が
責任
を負う、あるいは
発生者
が
責任
を負う、その体制をまだまだ当分の間は続けていく必要がある、これで安全だというのにはまだまだ時間が足りないような感じがするわけです。私
ども
社会党の分析から言うならば、三十二基が稼働はしておるものの、まだまだ試しの時間帯である、開発途上の時間帯であるという分析であります。完成されたものであるという理解には立っていないわけです。したがって、
安全性
の問題については二重、三重の縛りをかける、その意味を込めて私
ども
の議員立法が提案をされているという真意は十分にひとつ理解をしていただきたい、このことを強く
要請
をしてきょうの
質問
は終わりたいと思います。
伏見康治
158
○伏見康治君 これは通告してないことなんですけれ
ども
、今の同僚議員の
質問
に関連してちょっと伺ってみたいんですが、放射性同位元素協会が海の底にほうり出した物の行方がどうなっているかというお尋ねがございました。そのときに、世界で一番深いところに行っているのはフランスとアメリカで六千メートルまでというお話がありましたが、
日本
にも「しんかい二〇〇〇」というのがあるはずでございまして、ちょうどその辺のところに実は放射性同位元素のほうり出したものがあるんじゃないかと思うんですが、どうして「しんかい二〇〇〇」をお使いになってそれを調べようとなさらないのか。特に、この海洋科学技術センターというのは科技庁が面倒を見ておられるところだと思うんですが、その点はどうなんでしょう。
辻栄一
159
○
政府委員
(辻栄一君) この海洋投棄問題につきましては、実はこの前に
規制
法を
改正
いたしまして海洋投棄に関する手続
規定
を入れたころ非常に問題となったポイントの一つでございます。その当時、新聞にもいろいろ多く出ましたし、私
ども
もこのために特別の
調査
をいたしたわけでございます、当時はまだ「しんかい二〇〇〇」はできておりませんでしたけれ
ども
、
昭和
五十五年——ちょっと年次は相前後するかもしれません、多分五十五年ごろだったと思いますが、水産庁及び海上保安庁の船舶にお願いいたしまして、投棄地点周辺の海底土につきましても、簡単に言えば上からやりを突き刺しまして海底土を採取して、それの
放射能
分析をやるというような
調査
をかなり入念に行いまして、東海
海域
周辺についての
放射能
の漏えいというようなことについてはまず問題なかろうという結論を出しておりますし、また周辺の海底のプランクトン等につきましても、海底周辺のものにつきまして特に水産庁にお願いして採取をしていただいております。固化体そのものにつきましては先ほど御
説明
いたしましたとおりで、コンクリート固化されたものでございますので、まずそれが露出するという危険は多分ないと思いますけれ
ども
、念のためということでかなりいろいろな
調査
をやって、その結果、まあ大丈夫であるという判断をいたしておるわけでございます。
伏見康治
160
○伏見康治君 それで「しんかい二〇〇〇」を使うという話はどうなったんですか。
辻栄一
161
○
政府委員
(辻栄一君) そういうことでございますので、今のところ私
ども
としては「しんかい二〇〇〇」を使ってまで調べねばならぬほどの問題ではないというふうに理解しておるわけでございます。
矢橋有彦
162
○
政府委員
(矢橋有彦君) 「しんかい二〇〇〇」が使えないかという御
質問
につきましては、ちょっと時間の余裕をちょうだいいたしまして、
先生
の御
質問
の時間の中で後からかいつまんで申し上げたいと思います。
伏見康治
163
○伏見康治君 それでは通告をいたしました
質問
でやっていきたいと思いますが、今回の
法律
改正
で
原子力
施設
の
検査
体制に変化が起こるんだそうでございますが、今まではどういうやり方でやってきたのか、そして今度それがどういうふうに変わるのかということをちょっと
説明
していただきたい。
辻栄一
164
○
政府委員
(辻栄一君) 今までは、先ほど
松前
先生
の御
質問
にありましたような
検査
を、使用前
検査
の中の構造
検査
の一環として国の
検査
官が行っていたわけでございます。今回、この部分を、
溶接
検査
の部分だけを特掲いたしまして、その部分を指定
検査
機関
に実施させるということにいたしますわけでございますが、
検査
を実施する事項、
検査
のやり方、方法等につきましては従来と変わるところはないというふうに考えております。
伏見康治
165
○伏見康治君 なぜ
溶接
部分だけをいわばそういうふうに新しい仕組みに変えたのであるかというその
理由
を述べてください。
辻栄一
166
○
政府委員
(辻栄一君) これは
検査
全体を指定
機関
にやらせるという方法も一案ないわけではございません。こういうふうに
検査
全体を
民間
の公益法人にやらせているという例の典型といたしましては、例えば船舶
検査
とか、そういったようなものがあるわけでございまして、これらは立派な
検査
機関
がございましてやっておるということは
先生
よく御存じのとおりであろうかと思います。しかし、
原子力
分野の部分につきまして一挙にそこまで持っていくということはいかがなものであろうかという点が第一でございますし、特に
原子力
施設
の
検査
につきましてはいろいろな複雑な問題もございますので、むしろこの
検査
の中から、比較的
検査
の手法が確立している、判定方法についても確立していると目されます
溶接
検査
に限ってこれを指定
代行
させるということを考えているわけでございまして、これは先般の臨時行政
調査
会の報告におきましても、定型的に実施できる部分については
民間
移行を積極的に考えるという趣旨に沿ったものであろうかと考えておるところでございます。
伏見康治
167
○伏見康治君 今、
溶接
の
検査
をする、
民間
ですか、指定する
機関
というものは具体的には何が想定されているんですか。全く新しくつくるんでしょうか。
辻栄一
168
○
政府委員
(辻栄一君) これは
法律
ができました後、
申請
によって指定を行うという制度でございますので、今私
ども
の方からこれこれと決めつけるわけにはいかないわけでございますが、基本的にはまず公益法人であることということが前提でございますし、それからそこに必要な知識経験を有する
検査
員または確認員が一定数以上いると。それから
業務
を適確に遂行するに足る技術的な、経理的な基礎があるといったような問題を
チェック
いたしまして、その団体に指定をするというやり方をとっていくわけでございます。 具体的には私
ども
、今は放射線障害防止法に基づく指定
検査
機関
あるいは指定確認
機関
等になっております財団法人放射線安全技術センターというのがございますが、ここがこの指定
機関
となるべく準備を進めているわけでございまして、多分
申請
がそこから出てまいるというふうに考えておりますけれ
ども
、いずれにいたしましても、厳正な
審査
を行った上でこれを施行するというやり方をとってまいりたいと思うわけでございます。
伏見康治
169
○伏見康治君 先ほ
ども
、そういう指定
機関
に任せるというのは臨調の答申の精神に基づくものであるという御
説明
があったと思うんですが、臨調答申は私は非常に尊敬して、その方向にいろんなものを、今国が直接やっております
検査
機構というものをそういう方向へ任せるという基本方針には私自身は大賛成なんですが、しかし
日本
国民の従来の感じからいいますというと、お上にやってもらわないと信用できないというそういう不思議な感情が、余り民主的でないと思うんですが、そういう感情がいまだに残っていて、実際
民間
に任せるとときどきエラーを犯す点がなきにしもあらずという場合がある。したがって、今度の指定
機関
というものはお上以上に立派なことをするんだという条件を整えないといけないと思うんですが、それはどういうふうにしておられるんでしょうか。
辻栄一
170
○
政府委員
(辻栄一君) おっしゃるような気風があることは私
ども
も十分認識しているところでございまして、この
法律
ができた場合のその運用については、慎重の上にも慎重を期してやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、今回の
法案
におきましても、今度の
代行
機関
、指定
検査
機関
にいたします場合には、
審査
の基準といたしまして、そういった技術能力、経理能力、信頼できる中立的な
機関
であるかどうかということはもちろん
審査
の基準としておるわけでございますが、実際にその
検査
を行う
検査
員の資質につきましても今度の
法律
では認可事項ということにいたしておりまして、この団体の監督につきましては、こういった指定
機関
につきましての監督
規定
、
法律
によっていろいろまちまちでございますが、私
ども
恐らくいろんな
法律
の監督
規定
の中で一番きついところを全部拾い上げたというふうに考えておりまして、この
代行
機関
の技術的水準とその中立性については特に意を用いてまいりたい、かように思っているわけでございます。
伏見康治
171
○伏見康治君 特に中立的であり公正であるという条件は非常に大事だと思うのでございますが、科学技術庁というか
原子力
局というか、昔まずいことがありまして、分析化研事件というのが起こりまして大変世の中を騒がせたと思うんですが、ああいうことにならないためのいろいろな条件づくりを万全にやっていただきたいと思うわけでございます。 その一つの条件というのは、やはりこういうお役所が面倒を見てつくる団体というものは結局お役所に頼りたいところがあるものでしょうから、いわゆるお役人の天下りということの人事が非常にしばしば行われる。そのために、結局お役所と一体化してしまって第三者
検査
機関
としての性格が失われるということがしばしばあるんですが、そういう点についてももちろん御用心をなさるということだと了解してよろしいですか。
辻栄一
172
○
政府委員
(辻栄一君) 先ほど申し上げましたように、一番重要なことは
検査
員の充実、技術水準の向上ということであろうかと思います。この指定
検査
機関
の
検査
員に必要な知識経験を有する者を充てる、これらの者につきましては、広く各界からしかるべき能力のある人を集めてきてやらせるということになると考えておるわけでございます。そういったようなことによりまして、やはり技術、能力優先ということでこの大事についても考えてまいりたい、かように思っているところでございます。
伏見康治
173
○伏見康治君 私は、私の友人たちがつくっている第三者
検査
機構研究会というふうなものに参加して勉強しているわけなんですが、そこで幾つかの第三者
検査
機構が持つべき条件というものを考えているわけです。その実際の
検査
に当たる方の判断ですが、これは合格である、これは不合格であるという判断はその
検査
機構に完全に任せないといけないわけでして、つまりこういう
検査
をしてくれという、発注者の方がこういう答えを期待しているというそういう暗示を与えてしまいますというと、その暗示に従った答えが出てくるおそれがある。第三者
検査
機構と言う以上は、本当に第三者として判定の結果というものを完全にゆだねるという姿勢が問題を出す方、つまりお役所側の方に完全にないといけないと思うんですが、それはそういうことでしょうか。
辻栄一
174
○
政府委員
(辻栄一君) おっしゃるとおりで、判断についてはその
検査
員にきちっと任せるということが必要でありまして、それにいささかも何らかの圧力を加えるということは最もいけないことであろうかと思います。したがいまして、その一つの方法といたしまして、私
ども
は判断は
機関
に任せるわけでございますが、
検査
の方法並びに判定基準につきましては総理府令によりましてきちっとしたものをつくってこれを渡す。そこの
機関
の
検査
基準が国のそういった定めた
検査
基準を少なくとも下回るものではない、それより上回ればいいんですが、そういうことを一つのベースといたしておるわけでございます。 あわせてもう一つ、国じゃないから、例えば
民間
であると業界からの圧力がかかってきてともすれば
検査
が安易に流れるかもしらぬというようなことをあるいは御心配になる面があるかもしれませんが、この点につきましてはまず基本的に手数料制度にしているということでございまして、手数料はこの
法律
によって定める、かつ手数料の額もこの
法律
による政令によって定めるということによりまして、要するにこのサービスを相手の
会社
に売るという性質のものではない、したがいましてそういう面からの圧力につきましては極力これを排除して中立的な
立場
を保たせる、そういう環境をつくってやりたいということで、そういう方向で
法案
を用意しておるわけでございます。
伏見康治
175
○伏見康治君 第三者
検査
機構というものは、
専門
技術に関しては非常に水準の高い人たちの集まりであるべきだ、こう思うわけですが、そういう意味合いから申しますと、
溶接
なら
溶接
一般を取り扱う方がいいのではないかという感じがするわけです。
原子力
関係の機器の中の
溶接
を
検査
するんじゃなくて、
原子力
関係以外のもっと広い範囲の
溶接
作業全部に通じている方の方が
専門
家としていいのではないかと思うんですが、それについてはどういうお考えでしょうか。
辻栄一
176
○
政府委員
(辻栄一君) いろいろな団体があろうかと思いますし、それは
業務
量との関係でいろいろまたバリエーションがあると思います。ただ、私
ども
この面につきましては、こういったことで使われる材料といいますか、そういったようなものも
原子力
施設
ということである特徴がございますし、そういう面について
専門
的にエキスパタイズされることがより望ましいんではないかなというような気もしているわけでございまして、その辺については具体的にまた
申請
が出てくる段階で
検査
員の資質などの面についても配慮してまいりたいと思っております。
伏見康治
177
○伏見康治君
官房長
、何か答案を持ってこられたのですか。
矢橋有彦
178
○
政府委員
(矢橋有彦君) 先ほどのことについて
調査
をいたしました結果を申し上げます。 まず、「しんかい二〇〇〇」で可能な
調査
は何かということでございますが、一般的に申しまして水深が二千メートル以浅の海底における写真撮影、泥ないしは海水の採取でございます。他方、先ほど来御
審議
の対象となっております投棄物はほとんどが水深二千メートルより深いところにございます。したがいまして、技術的限界を超えているということでございます。なお、仮に浅いところのものがありましても、他方で「しんかい二〇〇〇」の作業計画がぎっしり詰まっておりますし、一方
調査
には相当長期の事前準備期間が必要でございます。そういったことを考慮いたしますれば、先ほど安全局長から申し上げましたように、本件投棄物に関して現時点で安全上問題なしと判断される
現状
では、この問題については慎重に考えたい、かように考えるわけでございます。
伏見康治
179
○伏見康治君 多くのものが二千メートルよりも深いところにあって「しんかい二〇〇〇」では届かないというお話はいささか残念ですが、そうでない二千メートル近所にあった場合には、写真に撮ると言われた、目で見るということが私は極めて大事な要素だと思うんです。 この間の日航機の災害というのを回顧してみますというと、あの三十分の間、パイロットは自分のしっぽがないということに気がつかずに、要するに操縦盤の上に並んでいるメーターだけをにらんで操縦を続けた、非常にお気の毒な状態に置かれたわけですが、もし自分のしっぽを眺めることができて、しっぽがないという条件を早くつかんでいたら、恐らく操縦士の操縦の仕方というものは変わっていて助かったかもしれないとさえ私は思います。 一般的に申しまして、近ごろの操縦装置というものはメーターばかりたくさん並べるというくせがついてしまって、マン・アンド・マシーンの関係というものを無視しているものが非常に多い。TMIの
事故
の場合にも何十というアラームが一どきに鳴り出して全く茫然としてしまったというお話がございますけれ
ども
、そういうつまり計器に頼るようなシステムだけでは物事はつかめないのでして、やはり全体像を描いてみるという、そういう人間のもう一つの知恵ですね、それの方をもっと働かせるようなことを考えないといけないと思うんです。海中に投棄したものなんというのはどういうふうになるかわからないというような場合には、まず目で見るということが私は一番大事だと思うので、「しんかい二〇〇〇」の方のスケジュールは非常に込んでいるだろうと私も想像いたしますが、しかし
原子力
にとってこの問題は極めて重大な問題なのですから、ほかのスケジュールとの軽重の度合いをお考えくださって、割り込まさせたっていいはずだと私は思うので、お考えおき願いたいと思います。 それではその次の問題に移りたいと思いますが、この前も申し上げたことでございますけれ
ども
、TMIの
事故
、今度のソビエトの
事故
ももちろんですが、その方はまだよくわかっていないと思うので、TMIの
事故
のことについていろいろ伺ってみたいと思うんですが、このTMIの
事故
が
日本
の
原子力
安全の体制といったようなものにどういう影響を結局与えたのかという点をまず教えていただきたいと思います。
辻栄一
180
○
政府委員
(辻栄一君) 第一番目は、これについては相当アメリカから情報の提供がございました。引き続きまた、先般御
説明
しましたように解体作業も進んでおりますので、さらにいろいろな情報が入ってこようかと思いますが、当面、
事故
直後から約一年をかけまして
原子力安全委員会
におきまして米国
原子力発電所
事故
調査
特別
委員会
というのをつくりました。ここでこの
事故
を反映すべき事項といたしまして、五十二項目という事項を摘出いたしまして、検討する検討テーマにまずいたしました。 検討テーマにつきましては、安全
審査
指針に反映すべきもの、あるいはその下位の幾つかの基準に反映すべきもの、あるいは運転員の資質の向上のために配意すべきもの等々幾つかに分類をいたしまして、それぞれの
専門
の部会におきましてさらに検討いたしました。その結果が
昭和
五十五年と五十六年の
委員会
決定
となって幾つかの改善が行われているわけでございまして、基本的にあの段階におけるスリーマイルアイランドの
事故
で学ぶべき事項というのが現在の
原子力発電所
の安全設計の
審査
指針やら、あるいは
検査
あるいは運転員の訓練に反映されておるわけでございます。 そのほかに、もう一つ防災の問題についても新しい問題を提起いたしまして、その件につきましては、先ほど穐山
先生
の御
質問
の中にもございましたので重複しては申し上げませんけれ
ども
、あの分野におきまして
日本
の
原子力
防災対策というものが一段と進んだということは言って差し支えないのではないかというふうに考えております。
伏見康治
181
○伏見康治君 もう同僚
委員
がいろいろ伺っておられて、むだな重複になるおそれもありますが、私自身の
責任
がややある問題が一つあるんですね。 それは
原子力
の初めのころ、
原子力
の
安全性
を考える最初のころに、
原子炉
立地
条件というものを考えさせられたことがあります。つまり
原子炉
をどこかに置いたときにそれが何か
事故
を起こした、
放射能
をまき散らされた、
原子炉
の周囲にそのおそれのある場所をいわば人の入らないところにしておこう、一般人の自由に入れる場所から要するに
原子炉
を遠ざけておこうということで
立地
指針というものをつくっていただいたわけでありますが、
放射能
をばらまくといっても、どういう
事故
を想定するかによっていろいろ変わってくるわけでございます。 そのいろいろな段階のものを考えたわけですが、言葉で申しますというと、技術的に見て可能な
最大
事故
でしたかな、何かそういうようなこと。さらに、その上のものを考えたわけでして、技術的にはあるとは考えられないけれ
ども
、仮想した重大
事故
を考えようというようなことで、用心には用心を重ねたつもりなんですけれ
ども
、ですから今その線に沿って、
原子炉
をおつくりになる方はそういう重大
事故
、仮想
事故
による
放射能
の分布がどうなるかという計算をなさって安全
委員会
に提出なさるわけですね。それは今でも続いているんでしょうな。その数字がTMIの
事故
のようなものを土台にしてどういうふうに変更されているか、これは私自身の昔の携わったことのある問題なものですから、それがどうなっているかは非常に
責任
を感じますので、お伺いしたい。
辻栄一
182
○
政府委員
(辻栄一君)
先生
のおつくりいただいた基準は、ストリクトリーにいまだに守られて作業が進められておるところでございます。しかし、スリーマイルのときに結果として格納容器の外に放出された
放射能
、これは希ガスと沃素について申し上げますと、希ガスは二百五十万キュリーという数字でございまして、沃素は約十五キュリーということになっておりまして、これはもうアメリカのNRCが最終的に決めた数字でございます。先般の
参考人
の数字はちょっとうろ覚えだったので違っております。一方私
ども
の方で、
先生
のおつくりになったいわゆる仮想
事故
において想定しておりますものを申し上げますと、TMIとほぼ同じ大きさの八十九万キロワットの炉について申し上げます。これは例えば伊方の三号炉の場合でございますが、このときの仮定の
事故
というのは、希ガスで二十万キュリー、沃素で二千三百キュリー、こういう数字を想定して計算をやり、それで
立地
の基準をやっているわけでございまして、この数字を見ますと、放射性希ガスはTMIの場合にはこの基準を上回っておったということでございます。 その件について、先ほどの
事故
調査
委員会
におきましてもいろいろ検討が行われましたが、結論といたしましては、この数字、現在の仮想
事故
の数字を変更する必要はないという結論になっております。その
理由
は、スリーマイルのときの
事故
がどうしてそんなに出たかということに起因するわけでございます。これは
事故
のときに
原子炉
圧力容器から放射性の希ガスあるいは沃素を含みました
廃液
が炉内にたくさん出たわけでございますが、これが格納容器の底にたまりまして、自動的に排水ポンプでこれが外へ出たというわけでございます。 それで問題は、その格納容器はきちっとしておりますが、幾つかの貫通部分があるわけでございまして、その両側に隔離弁という弁がついてございます。これは自動操作になっておりまして、
事故
があるとパルプが閉まる、こういうことになっておるわけでございます。スリーマイルのときにはバブコック・アンド・ウィルコックスというBWのそのシグナルが、格納容器の圧力高という信号だけで作動する、格納容器の圧力が高くなると閉まるという条件だけでしか作動していなかった。このために、本来ならば
事故
が起こっだときにすぐ隔離弁がとめられて、それでポンプが作動してもポンプの底の水が外へ排出されないというぐあいになるのがならない。五時間排出され続け、やがて別の信号でこれは閉になります。一たんとまるんですが、運転員がここでまた大エラーをやらかしまして、また後であけてしまうわけです。それで、その結果またどんどん出ていく。その結果が希ガスが大量放出したということによるもののようでございます。沃素が比較的少なかったのは、沃素が中で雨を降らしたりなんかしてガスをできるだけ抑えるというようなことで、意外にそういったものであらわれる、あるいは格納容器内に沃素がべたべたついちゃって外へなかなか出てこないというようなことで、沃素というものは意外に出ないものだなというのが一つの教訓だったようでございます。 そこで、ウエスチングハウスの
日本
の設計を見てみますと、格納容器隔離条件が非常用炉心冷却設備が作動すると入るというふうになっておりますので、まず基本的には、ウエスチングハウスの炉の場合でしたら、ああいった排水ポンプからどんどん水が外へ出てくるということはなかったろうということが考えられるわけで、特段対応する必要は基本的にはなかったわけですが、なお、念のためということで、この辺の関係についてはいろいろな検討が行われまして、ウエスチングハウスの設計の場合に予想されるそういったそのほかの条件も含めまして検討が行われた結果、隔離弁に対する信号の出し方について多少の変更が加えられまして、まず、どういう状況においても隔離弁がとまることはない、単に隔離弁の作動状況につきましては、そこだけでなく、ほかの貫通管についても全部手当てをするというやり方をいたしまして、この点については安全
審査
指針そのものは変えませんが、その条文に即した具体的
内容
につきましてまた基準を新たにつくりまして、それで対応していく、こういうことであればこの仮想
事故
の数字を現段階で修正する必要は全くないという判断で、そういう対応で落ちついておるということでございます。
伏見康治
183
○伏見康治君 ありがとうございました。 時間が来てしまいましたから……。
佐藤昭夫
184
○佐藤昭夫君 きょうは高
レベル
放射性廃棄物
対策の問題について
質問
いたします。 本
法案
の背景となっています
昭和
五十九年八月の
原子力委員会
放射性廃棄物
対策
専門
部会の中間報告、この中に同時に高
レベル
廃棄物
の処分方策も述べているわけでありますが、その際、この地層処分を行う場合の有効な地層、この考え方については結論が出たということになっているわけでありますが、それはどういうことを考えているのかということでありますけれ
ども
、
質問
の答弁ということですと、長々お話がありますと時間を食いますので、私からこういうことですかと聞きますので、イエス、ノーで答えていただきたい。 この報告の「我が国における「有効な地層」としては、未固結岩等の明らかに適性に劣るものは別として、岩石の種類を特定することなくむしろ広く考え得るものであることが明らかとなった。即ち、同一種類の岩石においても、それが賦存する地質条件によって地層処分に対する適性にはかなりの差が認められることから、岩石の種類を特定するのではなく、むしろその地質条件に対応して必要な人工バリアを設計することにより、地層処分システムとしての
安全性
を
確保
できる見通しが得られた。」と、結論部分はここですね。
中村守孝
185
○
政府委員
(中村守孝君)
先生
御指摘のとおりでございます。
佐藤昭夫
186
○佐藤昭夫君 そこで、問題はこの中間報告でありますけれ
ども
、この結論には私はいろいろな疑問点を感ずるわけであります。 まずその第一点でありますが、「岩石の種類を特定することなくむしろ広く考え得る」、こう述べていますけれ
ども
、確かに完璧な岩石というものはなくて、それぞれ一長一短はあるわけでありますけれ
ども
、よりベターな岩石というのが考えられるのじゃないか。そこで、
質問
の通告をしておきましたが、これが実物ですけれ
ども
、
昭和
五十七年度文部省科研費研究報告(B)の五七三〇六〇二八というナンバー、「高
レベル
放射性廃棄物
の安全処分に関する研究」という報告書の中に、英文と並んで訳文も丁寧につけて紹介があるわけでありますけれ
ども
、一九八二年九月に国際学術連合、ICSU、ここが高
レベル
放射性廃棄物
処分に関する研究と開発についての
調査
報告書、このころは伏見
先生
が学術会議の会長だったというふうにも書いてあるんです。この報告書の中で各国の高
レベル
廃棄物
処分計画の概要が紹介をされています。各国とも岩石の種類を特定する、あるいは大体こういう岩石を重点にしたらよかろうという考え方がかなり具体的に出ているんです。 紹介しますと、ベルギー、これはブーム粘土、カナダは結晶質岩、西ドイツは岩塩層に主として限定する。フランスは花崗岩体に重点、オランダは岩塩ドーム、スウェーデンはかたい岩石、特に花崗岩、スイスは結品質岩石(花崗岩と片麻岩)、
ソ連
は岩塩、花南岩、砂岩、英国は結晶質岩石に重点、米国は岩塩ドーム、岩塩層、玄武岩、花崗岩、凝灰岩等に重点という、各国がこういう方向で検討をやっているということの紹介があるわけですけれ
ども
、こう見ますと、我が国のさっきの
原子力委員会
専門
部会の報告、特にどの岩石をということで特定するというのは余り適当じゃない、こういう結論というのは驚くべき、何といいますか、上品な言葉で言えば寛大さ、私に言わせれば非常にルーズな結論になっているんじゃないか。こういうことで高
レベル
廃棄物
の処分というような数万年にも及んで
安全性
が問われるような問題に対処していいのかどうかというふうに疑問を持たざるを得ません。 特に
日本
の場合は雨量も多い、地下水脈が発達をしている、また地震国としての地殻の活動も活発だと、にもかかわらず、
日本
の場合、さっき私が対比して示しましたようなそういう緩やかな有効な地層の選定、こういうことで一体いいんだろうかというふうに思わざるを得ないんですけれ
ども
、どうでしょうか。
中村守孝
187
○
政府委員
(中村守孝君)
原子力委員会
の報告書の中で、特定の岩石ということに絞らなくてもいいということは、例えば花岡岩でなきゃいけないとか、そういう特定のものでなければいけないということにする必要は別にないということでございまして、先ほど
先生
から御指摘いただきました各国の中身もそれぞれ違っておるように、例えばどうしても花南岩、結晶質のものでなきゃいけない、こういう傾向は出ていないわけでございまして、これにつきましては国内でのいろいろな岩石、火成岩だとか古い第三期以前の堆積岩とか変成岩とか、そういったいろんなものがあるわけでございまして、そういった岩のどれかに固定しなければいけないということではないということでございまして、今後いろいろさらに研究を進めていくわけでございます。実際の候補地を具体的に決めるにつきましては、こういった岩質の中で得られる候補地の中で最善のものを選んで実際の処分地としていく、こういうことになろうかと思う次第でございます。
佐藤昭夫
188
○佐藤昭夫君 しかし、そのような詭弁のようなことを言うたって私は通らぬと思うんですよ。各国は確かに一つに限定しているというふうには言い切れないかもしれません。だからそれが単数であるか複数であるか。しかし、幾つかのより好ましいのはこんなような種類の岩石じゃないかということで各国は大体取り組みをやっておる。そのときに
日本
の場合には、いやそんなものは何でもいいんだと、一体本当にこの地下に埋め込んだ放射性物質がいろんな水分なんかでしみ出るのを極力食いとめるためには何がよりベターか、何がよりベストかと、どれだけの真剣な検討をやっただろうかというふうに思わざるを得ないんですよ。 次に二つ目の問題。この同一種類の岩石でもそれが賦存される地質条件によってかなりの差が認められるということはそのとおりだと思います。したがって、有効な地層という場合、岩石の種類とともに地質条件、地質構造、これが重要な要素となるということは当然であります。そこで、さらにこの中に出てきますが、ICSUの陸上処分に関するワーキンググループ、その報告で、第一の必要条件として、十キロ立方メートル程度の容積を持つ地殻の単一ユニットであり、最小の透水性を持ち、将来百万年にわたって変動や透水性の変化の徴候がないということをワーキンググループが研究報告をしているわけですね。 また、
昭和
六十年の七月、北海道
知事
がこの
廃棄物
処理
問題で欧米
調査
団を道として派遣をされておるそのときのレポートがあります。その二十三ページにこういう報告が出ている。米国では、一、乾燥地帯であること。二、雨量が少ないこと。三、透水性が低いこと。四、川、泉、湖、海から遠ければ遠いほどよいこと。五、地殻が動かないこと。すなわち地震帯でないこと。六、地層中に貴重な地下資源が含まれないことなどが条件として挙げられているというふうに報告にあります。 ところが、この
原子力委員会
の中間報告、これでは有効な地層たる条件がほとんど全くと言っていいほど示されていない。わずかに条件とされているのは、さっき私が最初に引用朗読しましたように、未固結岩、すなわちまだ固まってない岩石ということではいけませんと。こんなのは当たり前であって、そんな岩石だったらもう自由自在にしみ出るわけですから、こんなものは条件というようなものにならない、議論の前提と言うべき問題だと思うんですけれ
ども
、こういうことでもって有効な地層何たるやということの選定はほぼ終了したというのは、これはもう全くずさんと言うほかにもう言葉がないというふうに言わざるを得ないと思うんですけれ
ども
、大臣どうですか、外国の例それから北海道の
調査
団が行かれたときの米国側の証言、こんなようなものに照らして、まだ河野さんが大臣に就任しておられない時期の
原子力委員会
ですけれ
ども
、本当にこの万全の検討がやられたかというふうに、感想程度のことでいいですけれ
ども
、どうですか。
中村守孝
189
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 ただいま
先生
御指摘の点は、個別の、これから第二段階としてやろうとしております候補地の選定の際のいわば基準というようなものでございまして、そういう意味で私
ども
今どういう候補地をこれから選ぶかということについての基準、こういったものを
先生
の今のいろいろ御指摘あったことも含めまして、現在
専門
家の方々に集まっていただいて検討を進めているところでございます。
佐藤昭夫
190
○佐藤昭夫君 念のため聞きます。 今私が問題にしております
原子力委員会
の中間報告が出ましたのは五十九年八月ですね。国際学術連合でしたかICSU、この報告が出ましたのは
昭和
五十八年三月です。その一年半ほど前ということですが、こういう
内容
なんか
原子力委員会
の
専門
部会での検討のときに検討の一つの
参考
材料として上っていますか。
中村守孝
191
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 直接にその資料を使ったかどうかはちょっと私そこまであれしておりませんが、検討いたしました
専門
部会の
先生
は、
先生
御指摘の文部省の方の
委員会
にも参加しておられる方と何人かダブっておりますので、そういう
先生方
も十分そういった報告の
内容
について御
承知
であろうかと思います。
佐藤昭夫
192
○佐藤昭夫君
専門
部会の報告が出ましてから北海道の
知事
調査
団は出たというのでその後ですけれ
ども
、さっき米国側のそういう証言を紹介しました。さらにあるんです。この北海道
知事
の欧米視察レポート、これによりますと、アメリカの地質
調査
所が回答しているんですが、「処分をする場合、色々な不確定要素があるので、天然の多重バリアが必要である。多重バリアは、最終的に予測できないのを守るということであり、人工バリアは確信が持てない。」、こう言っているんです。 要するに、この人工バリアに依存をして放射性物質ががあっとしみ出てくるのを食いとめるというこのやり方では完全にそのことを全うできないということを米国の地質
調査
所なんかは言っている。もちろん人工バリアが全く役に立たぬというふうにも私は言わぬわけですけれ
ども
、しかしさっきありましたICSUの報告によると百万年にわたる
安全性
の
確保
が必要だと。こういうスケールで考えた場合に、やはり人工バリア、これに期待をかけるということじゃなく、天然バリアによって最終的には安全を担保するという、これを基礎条件とすべきじゃないか。したがって、天然バリアをどう選ぶか、その要件などについて慎重な検討結果に基づく厳密な条件をクリアするような地層を選定する、こういうことでなければならぬと思うんです。 ところが、この中間報告では、地層という天然バリアについての厳格な条件を示さず、地質条件に対応した人工バリアによって
安全性
を
確保
できるとしている。この考え方と今の米国の地質
調査
所の考え方とは格段の差がある。とりわけ
日本
の場合、アメリカのような砂漠地帯があるわけでもない、雨は多いし地下水脈が発達している、加えて地震が多い、人口密度も高い。こういう
日本
では諸外国と比べてみても最も厳格な基準を策定していくと、こういう基本的姿勢で、ぜひ今からでも遅くない、よく考えてもらう必要があるというふうに思いますが、まずこの基本姿勢、大臣どうでしょう。
河野洋平
193
○国務大臣(河野洋平君) この問題はできるだけ慎重に検討すべきものだというふうに考えております。
佐藤昭夫
194
○佐藤昭夫君 さらにこの北海道の視察報告、この中で米国の未来資源研究所の所長らがこういうことを言っています。重要なことは、まず厳格な
規制
基準をつくり、その後
調査
すべき候補地を決める。
規定
、基準もないうちに
調査
をすると内々決めている場所に合わせて基準がつくられる。ちょっと頭の痛い言葉ですね。こういう指摘もしているわけであります。さらにその前段で、
日本
は地震や火山活動があり、安全に地層処分ができる場所はないと考える。こういった点で非常に大切な指摘だと思います。 さらに
専門
部会の中間報告、ここでは有効な地層の選定は終わった、考え方の選定は終わった、こういうことで一体それはどこかというと、そんな別に特定の場所を決めたものではないということで逃げる。幌延が有効な地層に含まれるのかといえば、どこの地層が有効な地層かを具体的に
評価
したものでもない。その幌延に計画しているのは
貯蔵
施設
であって最終処分地ではない。有効な地層に含まれるかどうかには関係ない。こういう言い方でありますけれ
ども
、しかしそれならば、幌延に当面計画しているのは
貯蔵
施設
だけれ
ども
、しかし将来にわたって最終処分地とはしないということを断言ができるのかどうか、この点どうですか。
中村守孝
195
○
政府委員
(中村守孝君) 幌延の
貯蔵
工学センターについては、少なくとも私
ども
が今計画しているのは、あくまでも三十年ないし五十年の間高
レベル
廃棄物
並びにTRU
廃棄物
を
貯蔵
するということと、それから将来の処分地を探す上でいろいろ
先生
今御指摘のように科学的にやれと、こういうことを十分我々も慎重にやらなければいけないということでいろんなデータもとらなきゃいけないわけでございますので、そういう意味で深い穴を掘りまして深地層中におけるいろいろな現象を調べよう、こういうための深地層試験場、それからそれと付随いたしまして陸上でもできるような深地層処分に関する研究をやるための環境工学試験
施設
、こういったものをつくろうということにしておるわけでございます。 そういうことで、幌延につきましては先ほどの未固結岩のところではないわけでございまして、一つの将来探り得る候補地としてのデータが得られるところの一つであろうかと思っておるわけでございますが、私
ども
それをそのまま最終処分地にするような適地の条件が備わっているかどうかもそういう意味でわからないわけでございまして、現在私
ども
はそこを処分地にするということは考えていないわけでございます。
佐藤昭夫
196
○佐藤昭夫君 私は今の
説明
にも多々疑問を感じますね。この
原子力委員会
の報告を出したときの「有効な地層」というこの中に幌延は念頭にないというふうに本当に言うんだったら、一体この深地層処分のための試験というものをなぜやるのか、この計画概要にも出ていますけれ
ども
、そのことは将来処分場ということが含まれているんじゃないかという危惧を持たざるを得ない。それで、もし有効な地層にこの幌延は含まれているんだ、こういうことになりますとこの有効な地層なるものを、ずっとこの前段でるる述べたように、いかにずさんな検討、選定をしてきたのかというふうに言わざるを得ないのであります。 もう一つ例を挙げましょう。朝日新聞の昨年の十二月二十三日付「論壇」に、八木健三さんという北大・東北大名誉教授、岩石学の権威、この方が幌延問題、そして
原子力委員会
の
専門
部会報告、ここらの問題に関係をして非常に厳しい
意見
を述べておられます。詳しく紹介している時間もありませんけれ
ども
、この幌延開進地区の岩石、地質とその構造などからして処分場の候補として失格だというふうに断言されている。さっき以来紹介しております国際学術連合の研究報告、これにも八木教授は深くかかわってこられた方でありますけれ
ども
、そういう点からもこの全世界の中心的学者が集まってまとめたこれに照らしても、今の
日本
の進もうとしている方向は極めて危険だということであります。
質問
通告をしておきましたけれ
ども
、朝日「論壇」に載っておるこの八木教授の見解、どう受けとめですか。
中村守孝
197
○
政府委員
(中村守孝君) 先ほどの幌延の問題に関連するわけでございますが、私
ども
今この処分地としての候補地の選定をしなければいけないという段階に来ておるわけでございますので、その意味で現在地質学者のほか、
原子力
の
放射能
の物質についてのいろいろな知識のある方等々にお集まりいただきまして、広域
調査
についての具体的な進め方を検討していただいておるところでございまして、先ほど来
先生
御指摘のいろいろな問題を踏まえてどこを選定していくかということをやっているわけでございます。そういうことでございますので、個別地点として幌延が処分地に適するとか適さないとか、あるいは処分地にするんだとかいうような段階ではないわけでございまして、私
ども
はあくまでも現在は
貯蔵
工学センター、いわゆる試験研究
施設
として考えておるわけでございます。 それで、今
先生
御指摘の八木
先生
の「論壇」につきましては、まさに処分場にするということの前提でいろいろ言っておられる問題でございまして、私
ども
処分場とするというようなことにもし現在考えているのであれば、十分そういったお考えを慎重に受けとめて検討しなければならない問題かと思いますが、現在私
ども
そこまでのことを考えておらないわけでございます。
佐藤昭夫
198
○佐藤昭夫君 そういう言い方をされるんでしたらもう一遍聞きます。 さっきの局長の答弁では、幌延については当分の間は
貯蔵
施設
だ、処分場というようなことは念頭にないと。念頭にないというか課題に上ってないということであったんですが、そのことは文字どおり当分の間であって、その当分がどれくらいの年数がはともかくとして。というので、将来処分場にもするということはあり得るというのか、そういうことはあり得ないというのか、どっちですか。はっきりしてください。
中村守孝
199
○
政府委員
(中村守孝君) お答えいたします。 私
ども
は、今の当分というか長期的というか、考えていないわけでございますが、論理的に言って、おまえ全く可能性ゼロ%なのか、こう言われますと、先ほど来申しておりますように、個別地点のどこを候補地としていくかということにつきましては、今いろいろ選定条件について
専門
家にお聞きをしている段階でございますので、論理的にゼロでないということでございます。
佐藤昭夫
200
○佐藤昭夫君 だから重大でありませんか。だから幌延の
地域
の北海道の皆さん方が強く
知事
を初めとして
反対
をしておる、その不安も実はそこにあるということでありますし、そして先ほど来るる言っているように、例えば八木
先生
もそういうこともあり得るということで、そんなようなことがもし万が一起こるとすればこれは大変なことになるよという警告として、科学者の
立場
からこういう
意見
が述べられておるということじゃありませんか。何も処分場が前提の議論だからどうだこうだということで切り抜けられる問題じゃないでしょう。論理上あり得る問題なんだからということでもっとこの問題を厳粛に受けとめて、よくよく国としての対応を考えてもらう必要があると思うんですよ。 結局こういうふうに見ていきますと、今回の
原子力委員会
の中間報告なるものは、この幌延をも将来最終処分場の候補地としてあり得るかもしれないそのことを排除しないためにまとめられた、非常に科学的検討も不十分、おろそかなままにまとめられたそういう政治文書じゃないかというふうに私は言わざるを得ないんですよ。 なぜなら、大事なことを言っているんですよ。このICSUの報告書の七十六ページ、この報告の結論とも言うべき「要約」という見出しで十項目ほどだったと思いますけれ
ども
、結論を述べておるその中の第二項目に非常に含蓄あるというか、耳を傾けるべきことが結論として言われております。「サイト選定の規準は
安全性
と科学によって
決定
さるべきであり、実際の選定にあたってはこれらの要素が含まれることも考えられるが、経済や政治に左右されてはならない。」と、こう書いてある。もう全く当然のことだと思うのでありますけれ
ども
、八木博士もこのことを朝日の投稿の中で触れられておるんですけれ
ども
、当然この基本原則は厳守してやってもらえるんでしょうね、大臣。
河野洋平
201
○国務大臣(河野洋平君) 科学的な判断というものは常に一番前提となってくるものであろうと思います。こうした問題を論議するときにいたずらに情緒的に流されていくということは、時として非常に結論を間違えることがあるというふうにも思うわけでございまして、
先生
どういう意味でお使いになったかよくわかりませんが……
佐藤昭夫
202
○佐藤昭夫君 いやいや、使ったんじゃない、ここに出ているんです。
河野洋平
203
○国務大臣(河野洋平君) 私
ども
として答えを導き出す場合に政治的な判断というものが余りに入ることは好ましくない、こういう気持ちは私
ども
も持っております。
佐藤昭夫
204
○佐藤昭夫君 もう一つの問題でありますが、この間の十六日の
委員会
で私は、この
廃棄物
の処分に当たって本
法案
に示される最も肝心な問題であるところの
放射能
濃度基準、これを今後の政令事項にゆだねていることの不当性を取り上げました。これは
六ケ所
村に
核燃料サイクル
基地をつくろうとか、敷地内
管理
が狭隘となった発電
会社
の要求に追随をして、国民の命と健康にかかわる
安全基準
をあいまいのまま今次
法案
を提出してきたその政府の無
責任
さを示すものだということで言っておったのでありますけれ
ども
、こういう企業追随のもう一つの証明、お聞きをしたいのでありますが、この今次
法案
の対象となってない放射性同位元素、RIの
処理
処分問題、これは今度の国会には出てないわけですね。もちろんそういうのを業者に任せるということで
民間
団体の指定は既に決まっているということであるにしても、RI処分に当たっての濃度基準、これははっきりしてないということでそこはそういうまま、そして
発電所
の
廃棄物
、これのどういう形で
処理
処分をやるかということだけを先行させる形でこの
法律
が出てきているというこのことは、やっぱり企業の要求に追随をしているという批判を免れないと思うんですよ。何か釈明があればしてみてください。
辻栄一
205
○
政府委員
(辻栄一君) 放射線障害防止法につきましては、廃棄の業の問題につきましては既に
現行法
で廃棄の業というものは決められておるわけでございます。問題は、RI
廃棄物
の
埋設
処分なりあるいは無拘束限界値をどういうふうに取り扱っていくかという問題であろうかと思うわけでございまして、私
ども
は基本的には、こういった無拘束限界値あるいは将来RIについても陸地の埋め立て処分が行われるという事態が来るならば、この辺の数値は同じものを使うことができるというふうに思っております。 ただ、RIの問題、今回
改正案
を出さなかったという
理由
の一つは、やはり陸地処分についての具体的なプロジェクトがまだ計画されてないということで、これについての
法改正
を急にやる必要もないという点が一点と、もう一つ、無拘束限界値のようなものを定めた場合に、
規制
を具体的にどういうふうにやっていくかという問題について核物質の
事業
所とは根本的に違いがある。これは非常に小規模の
事業
所が多いわけでございまして、ただ革に無拘束限界値の導入をやりますと、この場合にそれに便乗して無拘束限界値に達しないようなものが安易に捨てられてしまうという可能性が非常に高いわけでございまして、これらについての
規制
体制といいますか、その辺の実態論を少し詰めてまとめておかないことには具体的な
法律
改正
に到達できないということでございます。 無拘束限界値を導入するかどうかは、実はRI法を
改正
しなくてもできるわけでございまして、これは
核燃料物質
についても同じでございます。現在の府令、政令等で扱っているところの扱いを変えればできるわけでございますけれ
ども
、RIについて今それを踏み切らないところの
理由
は、一つには最も大きな点は、それの
チェック
体制をどうするかということについての検討がまだ進んでいないという点でございます。現在、RIの
廃棄物
につきましてはほとんどアイソトープ協会がこれの集配、それから
廃棄物
処理
をやっているわけでございますが、最近ようやく岩手県の滝沢村にこれの保管
施設
をつくるというプロジェクトができてきたのがようやくでございまして、しばらくの間はこれによって全国各地のものをここに保管するということで対応できております。将来、こういった問題につきましてはさらに検討して、十分
チェック
体制ができるという見通しがつきました段階でこの対策に踏み切っていくという考え方でございます。
佐藤昭夫
206
○佐藤昭夫君
意見
ありますけれ
ども
、また後日。
馬場富
207
○
委員長
(
馬場富
君) 両案に対する
質疑
は本日はこの程度にとどめます。 次回は明日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十九分散会 —————・—————