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政府委員(
武石章君)
先生いろいろと御心配をいただきましたとおり、
有害液体物質に関しましての
規制が施行されますと、内航海運業の用に供する
船舶には、これまでより厳しい
排出規制だとかあるいは
構造設備規制、あるいは新たな
検査義務、受検義務というようなことが生ずるわけでございますが、この問題につきましては、
条約でいろいろと、
条約がつくられる過程から内航海運業界ともよく連絡をとっておりまして、その結果を反映したという形で実は既存の内航
タンカーにつきましては十年間の
猶予期間が設けられておるということでございまして、これは六十九年の六月まででございますが、このように
条約の採択の前後にわたって、海運業界に対しまして、必要な情報を提供するとともに指導を行ってきたところでございます。
船の寿命というのは、こういう種類の
タンカーは大体十年
程度でございますので、ほとんどの船は新しい
設備をこの期間に
設置することなく退役していくものだと思っております。したがいまして、この
条約の
規制というものが明らかになる過程で、それ以後できます船はほとんど
附属書の
規制内容に適合した
構造設備を備えた形で建造されております。
そういう意味で、現実には今後この施行によって運航上の支障は余りないと考えておるわけでございます。
もちろん
先生御
指摘のとおり、受け入れ施設がきちっとあるかとか、あるいはその受け入れの施設における実際の
有害液体物質等のくみ上げといいますか、そこへの投入というようなことが円滑にいかないとそれはそれなりの経済的な負担になるわけでございますが、現実にこういう内航の
有害液体物質を運んでおります
タンカーはほとんどが企業
関係の物質でございまして、それぞれ相手工場内にほとんど受け入れ施設がある場合が多いようでございます。したがいまして、そこで荷役をして直ちに陸揚げをするというようなことが可能ではなかろうかと考えておるわけでございます。
そういう意味で、海運業界にいたずらに過剰な負担が生じないように、私
どもとしても十分に荷主業界あるいは受け入れ施設を
整備する方々、内航業界と、この三者の間で十分協議をいたしましてそういう体制をつくってまいりたいということで、この
条約を採択する前からその問題について取り組んで、いろいろと対応を考えた上でこの
法律を制定して
批准をするというところに至ったわけでございます。
そんなような背景もございますので、御心配の点は余り大きな御心配にはならないんではなかろうかと考えておるわけでございます。
政府といたしましては、さらに途中で改造する船あるいは今後の船につきまして、新しい船をつくる際にこういう
設備を備えなければならないわけでございますが、内航海運業におきましては、中小企業が大変に多いということを考えますと、これらの物質を輸送する
タンカーについての建造資金あるいは改造資金について
船舶整備公団の融資制度を活用いたしまして、私
どもとしても十分これに対応してまいるとともに、いろいろな技術的な助言とかそのほかの援助をしてまいりたいと、かように考えております。