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1986-04-02 第104回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二日(水曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      倉田 寛之君     岩上 二郎君      井上  計君     伊藤 郁男君  三月二十八日     辞任         補欠選任      岩上 二郎君     倉田 寛之君  四月一日     辞任         補欠選任      安恒 良一君     対馬 孝且君  四月二日     辞任         補欠選任      対馬 孝且君     安恒 良一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 江島  淳君                 吉村 眞事君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 倉田 寛之君                 高平 公友君                 藤田  栄君                 森田 重郎君                 安田 隆明君                 小柳  勇君                 対馬 孝且君                 小笠原貞子君                 伊藤 郁男君    国務大臣        運 輸 大 臣  三塚  博君    政府委員        運輸大臣官房会        計課長      近藤 憲輔君        運輸大臣官房国        有鉄道再建総括        審議官      棚橋  泰君        運輸省運輸政策        局長       栗林 貞一君        運輸省国際運輸        ・観光局長    仲田豊一郎君        運輸省海上技術        安全局長     間野  忠君        運輸省港湾局長  藤野 愼吾君        運輸省航空局長  山田 隆英君        海上保安庁次長  岡田 專治君        気象庁長官    内田 英治君    事務局側        常任委員会専門        員        多田  稔君    説明員        科学技術庁研究        調整局生活科学        技術課長     高多 康次君        水産庁海洋漁業        部魚船課長    高山 和夫君        気象庁地震火山        部長       河村まこと君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      前田喜代治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和六十一年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、昭和六十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (運輸省所管及び日本国有鉄道)     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  去る三月二十八日、予算委員会から、四月二日の一日間、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 対馬孝且

    対馬孝且君 きょうは委嘱審査の日でございますが、特に問題点を私は北海道地方ローカル線問題、今回の広域募集問題等をめぐる当局あり方政府態度、こういう問題を含めて質問いたしてまいりたいと思います。  まず、基本的な態度について大臣にひとつお伺いをいたしたいんです。  北海道鉄道歴史というのは、多くを申し上げる必要はないと思いますが、明治十三年十一月二十八日、手宮—札幌間を三十五・九キロで当時の北海道鉄道敷設法公布、政令によってスタートをいたしました。その後、一九〇六年、明治三十九年に鉄道国有法公布をされまして、そして明治四十年から北海道鉄道開拓歩みになっている、こういう歴史的な鉄道でございます。一口に申し上げまして鉄道歩み開拓歴史である、こう私はまさに歴史的な経過を踏まえて、それだけやっぱり北海道鉄道というのは北海道五百七十万道民にとっては開拓歴史がまさに鉄道歩みであった、こう考えておりますので、この点の認識についてまず大臣に基本的な北海道認識開拓歴史を踏まえての所見だけお伺いしておきたいと思います。
  4. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今、対馬委員仰せられましたとおり、まさに北海道開道百年と言われ、開道百十年に向けてスタートせられておるわけでございますが、開拓歴史は苦難に満ちたものでありましたと同時に、北海道鉄道北海道開拓と軌を一にしながら困難を切り開き、そして地域開発、道の確立のために多大なる役割を果たしてきましたことは御説のとおりであります。
  5. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣からまさに私の認識と一致する、鉄道歩み開拓歴史であったという認識大臣所見もわかりました。  そこで、私はローカル線問題についてひとつ冒頭伺いをしておきたいと思います。  まず第一点は、今回の国鉄監理委員会意見によりますと、つまり第一次線、第二次線、これは引き続き地方ローカル線として今協議が実は行われております。対策協議会を通じまして協議に入っております。  そこで、第一次線、第二次線、私も全部資料を持っておりますから端的に申し上げますけれども、問題は第三次線の特定地交線廃止ということがあるのかないのか。これは答申の中には明らかに触れられてないんでありますが、最近ちらちら第三次の特定地交線の問題が明らかにされているようでありますが、この考え方冒頭ちょっと端的でいいですからお伺いしておきたいと思います。
  6. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 監理委員会の御意見によりますと、輸送密度が少なく、バス輸送転換することが適切な路線である特定地方交通線については、引き続き転換を図る必要がある。問題はこの特定地方交通線でございますが、これは運輸大臣承認をいたしますと地方交通線特定地方交通線になるわけでございます。そこで法律に戻るわけでございますけれども再建特別措置法法律規定によりますと乗車密度が四千人までということになっておるわけでございます。一次線、二次線はとりあえず二千人未満を行ったわけでございます。  そこで法律に戻りますと、四千人までの線、こういうものが対象になるわけでございまして、また監理委員会の御意見では、さらに現在法律に基づき実施され、また実施が予定されている対策を引き続き実施するように、こういうことになっておりますので、今の法律規定から照らしますと、引き続き第三次線と言われておりますものについてもこれを民営・分割までの間に引き続き対策を推進すべきだ、こういう御意見であるというふうに私ども理解をいたしております。そのような観点から、現在国鉄において三次線の選定のための作業を行っておる、こういうことでございます。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうすると、三次線は今検討されていると、こう理解していいですかな。
  8. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 国鉄において調査等行いまして、調査等も終わりまして、その結果を今整理をいたしまして検討をしておるところでございます。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 わかりました。  それならば一つ伺いしなければならぬわけでありまして、現在第一次廃止線状況、私がつかんでいる限りでは、第二次線が六百九十三・二キロ、これをずっと見ますと、まだこれ六十年度当初第一回対策協が行われたばかりでしょう。これ認識が間違いだったら指摘してもらって結構だが、これは時間がないから私細かく申し上げませんけれども、いずれにしましても六十年に入ってから第一回、第一回、第一回、こういう状況ですよ。したがって、これが果たして第二次線が方針どおり対策協議会協議が整うと、そう認識していますか。
  10. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 御承知のように、第一次特定地方交通線審議を中断しておる線を除きましては全部対策が終わりまして転換が済むか間もなく転換が行われる。  それから、第二次線につきましても、相当部分が既に転換が終わっておりますが、中には協議会協議がまだ整わないもの、それから先生お話のございましたように、第一回の協議会というものしか行われていないもの、ないしはまだ第一回の協議会に入っていないものというものがございます。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 しかし、現実にあなた羽幌線にしたって、広尾線にしたって第一回協議は今まだ継続続行中じゃないですか。松前線にしたってこれは協議凍結、それから胆振線にしたってこれは第一回対策協、三月冬期調査が終わったばかりと、こういう個々のものが全部出ておりますけれども、あるいは富内線にしたって六十年六月十四日に第一回対策協士幌線にしたって六月二十日が第一回対策協議会、こういう状況の中で私が申し上げたいことは、特に長大路線四線の問題について先般の十一月十九日、これは北海道亀井委員長が参りまして事情聴取をいたしました。この席上で特に言っているのは、北海道長大路線、いわゆる保留線四線については北海道経済あるいは住民の足、冬期積雪状況等勘案をいたしまして、これは再検討を要するものである、こういう委員長みずからこれを認めているわけであります。  こういう対応の中で考えますと、第二次線があなたこれ決定はしておるといったって、まだこれ対策協でずっとこれから、第一回目に入るか入らぬか、あるいは中身がどこまで詰められるのか。私が聞いている範囲では、この間の地方自治体首長会議では、これ以上対策協議会に入ることはできないという市町村もありますよ。そうなった場合どうなるんですか、これ。
  12. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 北海道に限ってだけ申し上げますと、先生ただいま御指摘のございました士幌線、これは既に四回協議会をやりましてバス転換することで合意済みでございます。  それから、広尾線、これも四回やりましてバス転換合意済みでございます。  湧網線も三回行いまして、バス転換合意済みでございます。  それから、羽幌線、それから歌志内、幌内線は第三回の協議会まで終わっておりますが、まだ結論が出ておりません。  それから、富内、胆振、瀬棚、この三線も四回協議会を行いまして、すべてバス転換方向合意済みでございます。  松前線は、四回協議会を行っておりますが、まだ結論が出ておりません。  それから、先生ただいま御指摘のございました、俗に保留四線と言われております標津池北名寄天北、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、まだ第一回協議会に入っていない、こういう状況でございます。  そこで、亀井委員長の御発言でございますけれども亀井委員長の御発言がございました後、私ども監理委員会の方からその事実関係について伺ったわけでございますけれども、私どもの伺っている限りにおきましては、亀井委員長保留四線について再検討をすべきだというような趣旨の御発言はなされていない、こういうふうに委員長から承っております。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 大事な問題ですから、いずれにしましても対策協議会ではまだ最終決着はできていない、これは事実ですね、間違いありませんね、第二次線については。
  14. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先ほど申し上げましたように、北海道の第二次線のうち六線につきましては、協議会において転換のことで結論が出ております。  あと保留四線と保留四線以外の四線、八線についてはまだ結論が出ていない、こういう状況でございます。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 だから十線のうち八線がまだ結論が出ていない、この大勢は大半でしょう、そんなこと言ったって。十線のうちの四線、そのほかに保留が四線あって八線なんだから。しかもこの保留四線というのは百キロ以上だよ、長大路線ですよ。一番難問の問題が残っているんだ、これ。そんな安易な、何か話し合いができてすぐ転換できるような認識を持っているけれども、つい最近、先月の十八日に、紋別市長を先頭にして市町村自治体協議会で総決起大会やって、あくまでもこの長大路線四線を含む地方ローカル線は存置すべきものである、現地でこういう総決起大会やっているじゃないですか。むしろこれはそういう方向でもって積極的に住民パワー住民運動を展開すべきだと。これは新聞に載っているじゃないですか、私ここに持っていますけれども。そういう状況なんだから、したがって既定方針どおりもしどうしてもこれが当初の方針どおり協議が、議調わすという場合にはどういう態度をとるんですか。
  16. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生承知と思いますけれども法律規定によりますと、対策協議会を開きまして二年間の間に協議が調わないという場合には国鉄において転換のための措置をとることができる。逆に裏を返しますと、二年間は協議会においていろいろな面から御検討をいただくということでございます。したがいまして、協議会に入りましてから二年の間いろいろ関係方々と御協議を続けてまいりたい。  第一次線につきましても、当初は転換についていろいろ御意見がございましたけれども、二年間という歳月をかけて関係皆さん協議会というところでいろいろお話し合いになりますと、いろいろな意味理解も得られますし、知恵も出ますというようなことで、円満な転換が進んだわけでございます。  二次線につきましても同様にこの規定による二年間の協議を十分行ってまいりたいというふうに考えております。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 それは円満に解決をするなんということは、私はそういうことは不可能だと思う。なぜかというと、現に私はこれは町村会名前は避けてくれ、町村長名は避けてくれということですので言いません。それは現に国鉄当局が圧力かけているじゃないですか。今の二年間の間にあなた方が協議会参加をして、これをしなければバス路線への転換の三千万円あるいはセクターの二分の一というものは将来保障されませんよと、早くこの協議会参加をして、早く議調った方が得策ですよと、こういう現に圧力かけているじゃないですか、そんな円満にとか円滑にとか言葉では言っているけれども現実に言っているんだよ、我々のところへ来て。町村長名名前を出すのは避けますけれども、こういうやり方自体が非常に今はもう至上命令、何かこれに反対したら国賊みたいなそういうやり方自身に全く住民合意あるいは国民合意を得られるというような方向作業は行われていませんよ、これ、はっきり申し上げますけれども。本当は町村名挙げてもいいんだけれどもね。そういったやり方が果たして正常なやり方なのかどうか。地域住民コンセンサスを得るとか、国民合意を得るとか、こういう言葉は使っているけれども現実にそういう町村長がはっきり言っているじゃないですか、これ。立場があるから言わないだけの話であって、我々のところに来て全く国鉄やり方というのは許せない、こういうあなた率直な意見なんですよ。そういう点についてどういうふうに受けとめているんですか。言葉で圧力かけているんだろう、現に名前言ってもいいんだよ、僕は。
  18. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 御承知のように、協議会のメンバーには関係地方公共団体皆様がお入りになっております。関係地方公共団体皆様には、多分国鉄は足しげくいろいろな面で接触をしておると思います。むしろ私どもは、従来国鉄関係地方公共団体との間においての接触が足りなかったんではないかと、もっとやはり地元皆様とよくいろいろお話し合いをして、単なる協議会の席上だけではなくて、常日ごろ、日常からいろいろ意見を交換して情報を提供して、その上で御検討を進めていただくというのが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。どういう事情であったのか、私わかりませんが、法律上の規定によりますと、転換についての転換交付金ないしはその後の助成金というようなもののあり方、それから今回の国鉄改革実施をいたすといたしましたら、その関係でどういうふうにそれがなっていくかということを十分それらの市町村皆様にも御説明を申し上げながら、公式の場の協議会協議を行っていくということは、私どもこれはむしろやるべきことだというふうに思っております。  ただ、それが先生おっしゃるように、まあ脅迫すると申しますか、そういうような物の言い方で仮にあったといたしましたら、それは望ましくないことだというふうに考えております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 総裁総裁に質問します。  今、やりとり聞いておって、そういう受け取りがあったらって、現実にあるんだよ。そういう誤解を招いたり、そういう圧力的な、そういうものをもって強引に協議会参加をさせ、そうしてそれが強引に押し切られるというふうなことについては、これは今のあなた、地方の時代、あるいは自治体の尊重、自治体との合意国民的コンセンサス言葉では随分出るけれども、そういう状態が現実にないから僕はここで指摘しているんだから。ただそういう点は客観的な公平な立場で十分に自治体意見を尊重してやっぱり行っていくと、こういう総裁考え方をちょっと姿勢として伺っておきたいと思います。
  20. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) この地方交通線の問題は、当該地域にとりまして非常に大きな問題である。特に北海道につきましては、今先生おっしゃいましたように、長い歴史現実いろいろな利害関係がございますんで、大変な問題であることはもう十分私ども承知をいたしております。そういう意味におきまして、今運輸省から申し上げましたように、何遍もよく自治体接触をして、そしてよくこちらの真意をお伝えし、それから自治体側からの御要望もよくお聞きしまして、そういう中からおのずから一つ方向が生まれてくることを期待をしておるわけでございます。  まあ、趣旨といたしましては、先生おっしゃいますような行き過ぎというようなことのないように、私ども十分指導してまいっておるつもりでございますし、また現実、まあ現場の人の熱意からいろいろな意味での受け取り方があろうかと思いますが、決して強制とか何か、そういうようなことでやっているとは私も思っておりません。今後も御趣旨に沿いまして、十二分に自治体の気持ちをそんたくし、お話し合いを続けていきたいというように思っております。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 総裁から今、自治体意見を尊重して実施をいたしてまいりたいという、そういう基本姿勢が出ましたから、そのとおりひとつ貫いてもらいたい。現実に問題が起きているからこう言っているんで、これは町村長名前挙げてもいいんだけれども、それだけはひとつ勘弁してくれと言うから言わないだけの話であって、相当のやり方してますよ、これはっきり申し上げるけれども。これだけは言っておきますから。総裁はそういう指導で対応するというから、それは了といたします。  そこで、あなたさっき十一月十九日、国鉄地方公聴会懇談会の席上で亀井委員長はそういうことを言ってないというが、ちゃんと載っているんですよ、道庁が記録したやつですよ。私、時間がもったいないから簡単に言うけれども、本年八月廃止を認めた第二次廃止対象路線保留四線、名寄天北池北標津取り扱いについては強い不安があるので、これらの問題については係官を派遣をし、実態調査を十分行って十分再検討し、これにこたえてまいりたい、こういうのが出ているんじゃないか。これあなた全然言ってないなんてどういうことなんだ、日本語的に言ったら、十分保留四線については再検討して、地元意思にこたえるようにいたしてまいりたい、地元意思は存続してくれ、存置してくれとこう言っているんだから言うんだよ、これ。あんた行ったかどうか知らぬけれども、私も羽幌の近くの出身だから、あの百キロ以上の長大路線名寄にしたって標津にしたって全部歩いているけれども、あの冬場積雪地帯にどうやって通勤通学できるの、どうやって老人の方々が通うことができるの、人道上の問題なんだよ、これは、はっきり言って。だから、この間、つい最近だ、この国鉄分割の高々と皆さん方がやっている、そういう中でさえ、地方自治体皆さん方の総意をもってこの長大路線四線だけはどんなことがあっても将来ともに存置をしてもらいたい、こういう決議をして立ち上がっているんだよ。そういうことを現にこれは十一月十九日これはちゃんと文書、これ会議録とったのは道庁ですよ、道庁。その会議録を持っていますよ、私は。そんなでたらめを言うもんじゃないよ。私はそういう事実を持っているから言っているんであって、したがって、お聞きしたいことは、長大路線四線について、これは二年間だけ経過措置をとると、結果的に現行二年間を一応六十四年四月までということでしょう、長大路線については。この態度に対して具体的にどういうふうにこれから対応しようというんですか、その点ちょっと聞きます。
  22. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) まず亀井委員長の御発言の問題でございますけれども、私どももそういう報道がなされた事実は知っております。  そこで、直ちに再建監理委員会の方に亀井委員長のそういう御発言があったのかどうかということをお伺いを申し上げましたところ、こういう御回答が参っております。北海道地方懇談会において、道知事からいわゆる保留四線の取り扱いについて、これらの路線がいずれも百キロを超える長大路線であり、地域住民生活産業活動に重大な役割を果たしており、その取り扱いについて配慮してほしいとの意見がありこれに答えたものだと。その亀井委員長真意は、いわゆる保留四線についてはことし八月に、当時でございますが、特定地方交通線として運輸大臣承認があったものであるが、今回の地方懇談会において、知事からそのような御意見があったので、私としてもどういう経緯になっているか係の者をして運輸省から話を聞かせたい、こういう趣旨であった。その後運輸省から亀井委員長のところに出向きまして、いわゆる保留四線の取り扱いにつきましての事情を御説明申し上げまして御了解を得た、こういう事情でございます。  それから、二年間の経過措置の問題でございますが、これは今国会に御提出を申し上げております法案関係の問題でございますので、いずれまた改革法を御審議いただきます際に十分いろいろ御説明を申し上げる機会があるかと存じますけれども一口に申し上げますと保留四線に限らず昭和六十二年の三月三十一日までに協議が調わなくても、そこで特別措置法というのは形式的には廃止をされますけれども、その部分については以後二年間をその条文の効果を延長いたしまして、従来と同じような考え方協議を行っていく、そういうこととしたことでございます。したがいまして、保留四線のみならず昭和六十二年三月三十一日までに協議の調いません線区につきましては、引き続き従来どおり協議会その他の手続を行い助成その他の措置継続をしていく、こういう考え方でございます。  そこで、保留四線非常に長大な路線で、羽幌線保留四線ではございませんけれども、非常に冬場寒くて大変であるというようなことは十分理解をいたしております。十分理解をいたしておりますゆえに他の線区と区別をいたしまして、引き続き地元から御要望のございました厳冬期における現地調査というものを再度運輸省じきじきに行ってくれ、こういう御要望がございましたので、その御要望を受けましてやって、今日取り扱いを若干違えておるところでございます。  しかし、その調査の結果、一応バス運行というものは可能であるというふうな結論運輸省は得ております。したがいまして……
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 そんなこと聞いているんじゃない、なぜ二年間猶予したかというその考え方を聞いているんだから。
  24. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 協議会におきまして今後御検討いただきたい。  二年間の問題は、保留四線のみならず昭和六十二年の三月三十一日までに転換その他の協議等が調いません路線について、いわゆる民営・分割後、新しい法案をお認めいただいて、民営・分割後も引き続き従来と同じ対策を二年間行っていく、こういうこととしたということでございます。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは国鉄当局の、国鉄側の発表間違いなんですか。「道内国鉄長大路線暫定連行」「赤字を抱え込む疑問派」ということで、「執行猶予二年」という大々的にこれは出ているんですよ。執行猶予二年、長大路線について。今のは全体的に協議が調わない場合には全体的にも同じだと、こう言うけれども、これはちゃんとはっきり、長大路線四線について暫定的な経過措置として二年間延長する、猶予したと、これは間違いなんですか。
  26. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 法律的には保留四線のみではございません、全国にいろんな線区がございます。その線区の中ではこのままで推移をいたしますと六十二年三月三十一日までに協議が調うのが難しいと思われるような路線もないわけではございません。したがいまして、それらの線区も含めて調わない場合には二年間延長をして協議を続けていく、こういうことにしておるわけです。  ただ、北海道につきましては、恐らく現在の協議会の開催状況等から見まして保留四線がその主たるものである、そういう意味でそういう新聞報道がなされたというふうなことではないかと思います。
  27. 対馬孝且

    対馬孝且君 もう一回確認しますけれども、長大四線に限らず第二次線区の今の継続議調わないということになれば、結果的にさらに二年間猶予、余裕を見ることができる、ただ六十四年四月と、こう理解していいんだね。
  28. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 原則は今先生のおっしゃったとおりでございます。若干バリエーションがございますのは、いわゆる、先ほど先生から御指摘のございました第三次線というものの取り扱いはこれから承認がなされるわけでございますから、それにつきましては二年半ということで別途の取り扱いをいたしております。
  29. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは、はっきり申し上げますけれども、もう一回確認しますよ、長大路線だけに限らず第二次線のこれから議調わないということがある場合は、今言ったように長大路線四線と同時扱いをして六十四年四月まで一応取り扱いを続けていく、こういう確認でよろしゅうございますか。
  30. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 先生、今二次線とおっしゃいましたけれども、一次線にも可能性のある線がございます。それは協議中断しておる線がございます。そういう線も含めまして、協議の調わない場合は従来どおりの協議を二年間続けていくということでございます。
  31. 対馬孝且

    対馬孝且君 そこで、今、わかりました、そのことを確認いたしましたから……。  この亀井委員長発言は、あなたそういう言葉あったけれども、これは私、道庁会議録をとったものを申し上げたんだから、だからこれは正確に言っているんですから、そこはひとつはっきりしておきますよ。  そこで、私は次のことを、それではお伺いするけれども現実北海道の今これは長大路線四線が、仮に、あるいはその他の第一次、第二次を含めて六十四年四月ということになると、当時の北海道旅客鉄道株式会社の収支は変えざるを得ないですね。当初の計画収支と変わらざるを得ないね。この点どうですか。
  32. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) おっしゃるように六十二年の四月一日以降は国鉄がなくなりまして新会社しかございませんから、それらの路線は引き続き新会社が運営することになります。ただ、そうなりますと、その路線は当然赤字線でございますので、その負担というのは新会社が受けなければいけない。そういうことではおっしゃるように新会社の収支に非常に大きな影響がございます。そこで、それにつきましては、生ずる赤字の全額を国鉄清算事業団、すなわち国において事実上これを肩がわりする、こういうことにいたしておりますので、収支には影響がないというふうに考えております。
  33. 対馬孝且

    対馬孝且君 影響はないが、変更はしなきゃならぬでしょう、今の発表した内容とは。九月十日の運輸委員会でおたくは資料出したけれども、あの計画からいくと再検討せざるを得ないでしょうというんだ。
  34. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 監理委員会の試算を監理委員会がこの委員会にお出しを申し上げております。その中には、おっしゃるように二次線の分は入っておりません。赤字が入っておりません。しかし、それは先ほど申し上げましたように、清算事業団が全額肩がわりをいたしますから赤字は生じないということでございますから、監理委員会の試算には影響はないというふうに理解をしております。
  35. 対馬孝且

    対馬孝且君 監理委員会の内容に云々をしているんじゃなくて、収支を一応見直さざるを得ないでしょうと、こう言っているんだよ、二年間それを延長するんだから。そんなことは常識じゃないですか、これは。
  36. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 今申し上げましたように、生ずる赤字は全額清算事業団が肩がわりをいたしますから赤字はその線区には出ませんので、収支試算は別にそういう意味では影響がないだろうということを申し上げたわけです。
  37. 対馬孝且

    対馬孝且君 影響がないということ、収支の支出がこれいじらなくても済むということになるの。私は影響のことを言っているんじゃないんだよ。当時の試算の発表からいくなら、二年間、長大路線を六十四年四月まで延長することになれば、結果論として支出の組み立てはやり直さなければならないでしょうと、こう言っているんだよ。
  38. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 生じます赤字が支出の方に立ちますが、その分については別途補てんが立ちますので、そういう意味では収入と支出の分に、若干のその部分の収入と支出の分の計算は変わると思います。収支試算の結果は同じである、こういうことです。
  39. 対馬孝且

    対馬孝且君 そういう支出を聞いているんだから、そんな影響があるかないかなんて聞いているんじゃないんだよ。やり直さなきゃならぬだろうと言っているんだ。  そこで大臣、ちょっとお伺いしますけれども、この長大路線が二年間、六十四年四月ということになって、そういう意味では経過措置をとったと。そこで問題になることは北海道認識なんだけれども大臣、これは率直に言って、しばしば聞くと、民鉄の二割増しでもって北海道鉄道株式会社をスタートすると、こういうわけだ。随分現場へ私も行ってみましたけれどもね、そういうことにはならないというんだ。私自身が、実際に素人的に見ても、そういうことにはなりませんね、はっきり言うけれども。なぜかというと、北海道に民鉄なんてないでしょう、対象とするものは。どこにあるんですか、北海道の民鉄というのは。昔は豊平と定山渓の間にそれはありましたよ。今北海道に、民鉄と対象といったって、対象にするものないでしょう、これははっきり言って。これは私は大事なことだから申し上げるんだけれども、前の高木元総裁が、北海道と本州の民鉄と国鉄、仮に民鉄方式をとったとしてもそう変わりはないと思う、こういう発言しているんだよ、当委員会で。ところが、後から、いや実際に私が北海道を歩いてみてこのことを実際に当たってみると、やっぱり問題があるということを素直に認めている。どういうことを言っているか、これは時間もあれですがこういう言い方しているんですよ。私も現場見てわかるけれども、私鉄は単線運転なんだよ。北海道のことし改正になった三月一日のダイヤを見ると、卑近な例で簡単に時間ないから言うけれども、札幌から出発して室蘭行くんだよ。室蘭に行って、今度は室蘭から長万部に行くんですよ。長万部から行って、私現に見てきたから、長万部から今度は倶知安を通って札幌へ帰ってくる。これは単線運転じゃないんだ、こんなものは。これは全く幹線と支線が入り乱れているから全部そういう運行をやるんです。当然これは夜行運行があります、はっきり言って。これは高木総裁が後から訂正して、全く申しわけなかったと、実態認識と違っておったということを素直に彼は認めている。  それから問題は、これは私鉄と違うのは、ホーム要員は、これは安全性の問題で当然ホーム要員が必要だ。一番大事なことは何かと言ったら、冬期ですよ、冬場冬場三百六十数億ですか、あなた方の物件費というのは。この間私二月に滝川—岩見沢の保線区を歩いたんだ。信号機が現実にあれだけ二メーターも雪降って、今自動化なったといったって、やっぱり除雪をして、それ相当の対応を、熱で暖める、ああいうものを全部対応しながらやっているし、こういう積雪寒冷の地帯だと。しかも民鉄の場合は保守は全部一括民間に払い下げでしょう。民間で全部一括下請でやらしているでしょう。こういう状態というのは、北海道積雪寒冷の地である。しかも長大路線四線がある。百キロ以上が五線もある。こういう実態認識で、私は民鉄二割増しでやっていけるという自体が私はわからぬね、はっきり申し上げて。今の百歩譲って監理委員会の言うとおりの職種別、ずっと自分なりに洗ってみたけれども、支障がないと言うが、情報収集だけが支障ないというだけで、あとの電気あるいは運転、施設ずっとありますけれども、時間がないから申し上げませんけれども、これは全体職種は必要だと、こう言っている。認めている。しかも十四線区残すというんでしょう、大臣、はっきり言って。そうでしょう。監理委員会の方を百歩譲っても十四線区は残すと言っている。残すという事態で一万一千でこれはできますという、大体これが一体どういう——バックデータがあったら全部数字を出してもらいたい。私の試算でいったら、優に二万五、六千は必要ですよ、この状態では。そんな単線運転で大体対象にならないでしょう。夜行でしょう。積雪寒冷の地域、長大路線、しかもホーム要員が必要だと。ホーム要員がいたかどうかは別にして——そこへ今度は無人化になってきた。岩見沢から豊幌、上幌向、無人化になっちゃった。今までは事前に信号係の方に今列車がたったということですぐ対応した。この間新聞に出た、苗穂駅を通過して乗客が乗れなかった例があるでしょう。ブザーが鳴らなかったので。そうなるんだよ、はっきり言って。駅は無人化になっている。私も現場に行ってみたらもう非常に神経をとがらして対応しなきゃならぬと、大変なことですと、今。こういう実態論から言って一万一千で大体これができるなんて感覚を持っている北海道認識自体に問題があるね。やれるとしたら首を切るか、運賃を五倍か六倍にするか、私がしたら、函館本線一本だけの必要経費が、今ですよ、現在時点で計算すると千二百五億かかる。初年度のケースが千二百七十億だ。答えが出ているじゃないですか、あなた、これ。函館本線一本残してあとは全部ぶった切って、運賃五割増しして、六割増しして、そうして首切りやって一万一千にして、それでやっていける、これではおれもやれるんだ。三塚大臣に頼まなくてもおれがやってやるよ、本当に。そんな実態論が余りにも、単なる回帰式方式とかいろいろなことを私も検討したけれども、こんな実態諭では北海道はできるものではないということですよ。この認識どうですか、大臣
  40. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) まず事務的なことをちょっと申し上げますと、まず先生おっしゃっておる試算というのは、監理委員会意見を出します際に試算をいたしましたもので、それに関連いたしますバックデータ等は当委員会等の御要求によりまして既に相当部分提出を申し上げておるというふうに理解をいたしております。  ただ、これはあくまでも監理委員会の御試算でございます。私どもは法案を御審議いただく際には、監理委員会の試算ということではなくて、政府として改めてこの問題につきましては計算をいたしまして、先生の今の御疑問その他につきましては、法案審議の段階に御納得のいくように御説明を申し上げたいというふうに考えております。
  41. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今人員の問題については棚橋審議官が言われたことで、法案審議の際にきちっとしたデータを整備をして御審議をいただきたいと思います。  問題は、国鉄に対する愛情の観点からいろいろ御開陳をいただきました。今回の国鉄改革は、もうたびたび申し上げておりますように、鉄道の再生を期するためにどうするかという基本 ただ一点、そこに焦点を合わせまして御審議をいただき、また政府もその点で法案を出させていただき、法案審議に備えさせていただいた、こういうことでありまして、鉄道でなくもう別のものでやるんだというふうなら別ですが、再生を期するという、新生を期するという点で、しからばどうやるのかということでありますと、御指摘のように首切りとおっしゃいましたが、私どもは首切りではない、合理化に伴う、余剰人員と言わない、これは過員と、こういうことにもなるわけですが、お一人といえども路頭に迷うようなことのないような形で、軽量経営にこれを脱皮をさせるための作業をこれから真剣に進めなければならぬだろう、こういうことであり、さらに今御指摘のように、経過措置として長大路線四線を含め数線が残ります。ですから、それは経過措置でございますから、監理委員会の試算は試算、政府の試算は試算としてお出しをし、項目が赤字が立ちます、清算事業団から収入が入ってツーペイになります、こういうことで、その辺のところも十分組み入れながら、経営が鉄道として再生できますようにこれに取り組んでまいる、こういうふうに御理解をいただきますようにお願いします。
  42. 対馬孝且

    対馬孝且君 これは、いずれまた日を改めて申し上げますが、今のままでいくと、これは乗る人も地獄だ、私に言わせると。乗る人も地獄、働く人も地獄、去る者も地獄。これは安全も保障されなければ、全く不安でならないね、現実の問題として北海道の実態を言うなら。ただ、私はそういう意味一口に申し上げておきますが、大臣には、このままの計画であるならば、民営・分割となるならば、乗客も地獄である、働く人も地獄だ、去る者も地獄だ、これでは再建ではなくて解体である。これだけ私の意見をはっきり申し上げておきます。  そこで、今時間もあれですから、広域募集の問題について、私は実態論を挙げて、ひとつはっきり、時間もありませんから明確にお答え願います。  これは総裁、あなたは委員会でも明らかに言明しておりますが、今回の広域募集については希望者の意見を尊重するということは間違いありませんね。
  43. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 今回の広域異動は、あくまで本人の希望を受けつけるということでございまして、よく本人に広域異動の中身は説明はいたしますけれども、強制、強要ということは一切行いません。
  44. 対馬孝且

    対馬孝且君 今総裁から、希望を尊重して一切強要あるいは強制その他は行っておりません、こういうことですから、時間もありませんからずばっと申し上げます。  これは現実に、あんたこれ、強要、強制どころじゃない、大変なことが旭川で行われていますよ。それから釧路でも同じ、私、釧路へ行ってきたんだから。これははっきり申し上げます。三月の二十日、釧路の電気区、一人ずつ区長が呼びつけて、これは業務命令だ、行かないと言ったら業務命令だと、こう言っているんだよ、業務命令。希望じゃないよ、業務命令、総裁。  それからもう一つは、どうしても応じないか応ずるかという問題について五人呼んでいる、五人。まさにこれは軟禁状態だ。約三十分近く、これは一人扱ってやっている。しかも、テープをちゃんと置いてやっているんですよ。テープを備えつけて。こういうやり方が、総裁、何が希望だ、私に言わせれば。こんな状態は前時代的だよ。戦前か、ちょんまげ時代でもこんなことやらなかったよ、あなた。  今、室蘭でもって造船業界が大変な不況に見舞われて、きょうも来ておりますけれども楢崎造船というところが今、希望退職募集やるのに三カ月かかって、団交やって話し合いをして、円満に今話し合いが進められている。去年は新日鉄が六百人、実は君津、釜石に配置転換する。これは常識でいえば、民間でいえばみんな労使が話し合って、受け入れ先がどうなるのか、行く場合の条件がどうなるのか、家族もろとも引き揚げの場合の条件はどうなるのか。行く先の就職は一体どうなるのか。これは民主主義の原点じゃないですか、私に言わせれば。コンセンサスを得るとかなんとかという言葉を使ったって、こんなものはあなた、通っていないじゃないですか。  時間がないから言うけれども、釧路のこういう例、それから旭川。この旭川の実態だってそうですよ。これは現にあなた、業務命令だと言って、石川という人間が助役二人に呼ばれて、それではっきりこれはもう言い渡しされている。君の態度がはっきりするか、しないかと。これは業務命令で来いと。初め、行かないと言った。希望の募集であるから行く必要はないと。いや、これは業務命令だ、助役としての業務命令だ、こう言って、こういう攻撃を受けている。君は広域異動を受ける。どうしても来ないとするならば、業務命令で来い、こう言っているじゃないですか。  それでやむなく行った。行ったら、君、君の態度がよくないとかそこから始まって、一問一答随分やりとりしている、これも。最終的に帰してもらったが。事実上、こういう強制、強要、軟禁状態なんだ。  これが国鉄の体質なんだよ。私は民間出身だけれども、こんなことは考えられない、民間では。どこだって、民間で希望退職募集——去年、私は函館ドック問題で、時の運輸大臣と私が中へ入って、安恒議員もおるけれども、一緒にやった。函館ドックの問題だって全部これは団体交渉で解決したんだよ。こういう実態をどういうふうに考えるんですか。総裁は希望を尊重してやっていると。この事実認識についてどういう対応がこれから——これが本当に希望を尊重したやり方かどうか。私は怒り心頭に発している、この問題については。
  45. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 実情をちょっと私、じかには知りません。よく調べます。しかし、今申し上げましたように、あくまで本人の希望に沿ってやっておるということでございます。中身は大変な中身でございますから、いろいろと管理者が本人に話をしていると思います。ただ、おっしゃいましたような強要、強制ということは、私はないというふうに信じておりますけれども、よく実情を調べさせていただきます。
  46. 対馬孝且

    対馬孝且君 実情を調べるだけではなくて、これは旭川の場合は北川という助役ですよ。これはあなた、三月二十四日十六時四十分。ちゃんと僕は時間まで言っているんだ。抽象的なことを言っているんじゃないんだよ。北川助役、伝住助役に呼ばれて、何回も来たけれども、ついに、私はあくまでもこれは希望であるので行きかねますと。それじゃ君は業務命令で来いと、ちゃんとこれには言っているじゃないですか、北川助役が。業務命令ですから来てくださいと。それでやむなく了解とこう言っているんだ、石川という本人が。これはあなたに見せますよ、これ。一間一答、全部そのやりとりがここに載っているんです。  こういう実態だから、私の言いたいのは、こういうやり方について希望意見を尊重するということは、これは個人では限界があるんだよ。だからやっぱり労働組合との間で十分話し合って、民間だったらイロハのイだ、こんなものは。どこだってやっているんだ、こんなこと。そういう身分上の人権問題にわたっている問題もあるんだ。ただし、受け入れ先が果たして保障してくれるかと。本当に安定職場なのかと。一家うちを畳んで家族もろとも引き揚げなければならぬ。  今、旭川で不動産会社のPRがこういうことだという。もう少し時間を待ちなさいと。今国鉄の職員がやむにやまれずして、うちを売っていくから、今不動産会社から買ったって損するよ、値段が三分の一になるからと。こんな暴論まで出ているんだよ、あなた。これは人権問題だというの、私は。  現実にこういう強制、強要にわたっている。こういう実態を直してもらいたいし、直ちに、そういう尊重するなら尊重する、もう一回総裁として末端に行政示達をする、これをやってもらいたい。大臣、どうですか。大臣もどのような意見が、聞かしてください。
  47. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) たびたび申し上げておりますように、私どもはあくまで本人の希望と。強制、強要はしてはならぬという意味での指示はいたしております。現地におきましてどのような対応が行われておるか、その辺は現地を通じてよく調べますので、そうしたことのないように、今後も努力をいたします。
  48. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今総裁対馬さんのやりとりを聞いておりまして、総裁言われたことに尽きると思います。  本来、こういう大改革のことでありますから、いろいろな波が立つことも予想されると思うんですが、それは総裁も私も全く同意見なんですが、それでありますだけに、労使協調の中でこの改革のコンセンサスを得つつ前に進めるように、万般の配慮をするようにと、こういうことで申し上げておるところでありまして、今総裁もよく調べるということでありますから、またそれを私も聞かせていただきます。
  49. 対馬孝且

    対馬孝且君 これはもう一回確認しますがね。はっきりそういう事実があるということを私ここに出しておるんですから、お手元にやりますから。これは日時、場所、だれが助役で、だれがこういうことを交わしたかという、僕は持っているから、だからそういうことがあるんだから、もう一回行政指導をきちっと、総裁として本人の希望による広域公募であるということをはっきり示達をしてもらいたい、こう再確認してよろしゅうございますか。
  50. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 先ほどから繰り返しておりますように、そのように指示をいたしておるところでございますし、遺漏のないようにしたいと思います。
  51. 対馬孝且

    対馬孝且君 示達をしていることはわかりました、そういうことを指示するということですから。  それでは労働組合とどうして話し合いしないんです、はっきり言うけれども。当然あなた国労との間で、今も大臣は言ったじゃないですか、労使の話し合いが大事だと。しかも、円満に民間では行われているんだよ。組織率七八%ある国鉄労働組合とどうして話をしないんだ。常識じゃないですか、こんなことは。時間がないから言わぬけれども。そういうことは民間ではまさにそういう関係があるから労使円満にいっているんだ。前時代的ですよ、このやっていることは。しかも七八%の組織率がある労働組合を、そういうものを尊重して円満に話し合いをして、個人が尊重をされて、人間の原点は、人権無視であってはならないということでしょう。本当に思いやりだと、三塚運輸大臣は口を開くとそういうことを、十分に思いやりがある方式でこういうことを考えましたと、言うならそのように労使関係をやっぱり維持することが先決じゃないですか。この点どうですか。労使で話し合って解決をしてもらいたい、解決をするという方針をとってもらいたい、この点をはっきり申し上げます。
  52. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 広域異動は大変な事柄でございますので、それに伴いましていろんな問題が出ると思います。教育問題、住宅問題等々があると思います。そういうことで、私ども立場からいたしますと、これは一般の今まであるルールでやることができる。しかし、この際特殊なケースでございますから、組合側から労働条件について申し出がありますれば交渉いたしましょうということで交渉をやっております。  三組合につきましては既に妥結をいたしております。国労については引き続き交渉を実行しております。そういう事情でございます。
  53. 対馬孝且

    対馬孝且君 申し出があればという、総裁、そこが間違っている。広域公募北海道は二千五百人、提案しているのはどっちなんだ。これはあなた間違ってもらっては困るよ。組合から異動せいと言っているんじゃないんですから、国鉄側から異動してもらいたいというのなら、国鉄側から申し出なきゃだめじゃないか。そういうものだろう。だから、そういう意味では申し出があれば交渉しましょう、こんなの逆立ちしている話であって、これは労使交渉というのは民主主義の原点ですから、信頼関係なんだから。しかも国民的信頼を得てやるということですから、そういう方向でぜひひとつ実現方をやってもらいたい。これは大臣に言っておきます。どうですか、大臣
  54. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 大臣の前にちょっと申し上げますが、今まであるルールでこれは可能であると今申し上げたところでございますが、しかし、中身につきして問題があるでありましょうから交渉いたしましょうということで現在も交渉しておるということでございます。
  55. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 労使の問題はやっぱり国鉄と組合との関係なものですから、運輸省としてはただいまのところ見守りつつ、問題があれば指導を申し上げる、こういうことで精力的になお話し合いを進めながら詰めていきますように、またよく指導してまいります。
  56. 対馬孝且

    対馬孝且君 一つだけ。  これは今の事態認識でいくと、問題は平和的な解決はできませんよ。それから、問題の結果が実ることもありませんよ。私の言いたいのは、一日も早くやっぱり国鉄労使の関係を軌道に乗せて、そして本人の希望意見というものを尊重しながら労使関係の円満な解決を指導すべきである、これだけ特に申し上げておきます。  終わります。
  57. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) ちょっと一言だけ、先ほどの特定地方交通線協議期間の問題でございますけれども、二年間の問題でございますが、もし誤解があるといけませんので確認的に答弁をさせていただきますけれども、従来の法律が六十二年三月三十一日で切れますので、その法律の効果を二年間延長するということでございまして、従来の協議期間に加えてさらに二年間の協議期間を加えるという意味ではございませんので、その点よろしくお願い申し上げます。     —————————————
  58. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  安恒良一君が一たん委員辞任されたため、現在理事が一名欠員になっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に安恒良一君を指名いたします。     —————————————
  60. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、質疑を続けます。
  61. 安恒良一

    安恒良一君 きょうは、私は造船問題についていろいろお聞きをしたいと思います。  まず、日本は四面を海に囲まれて、工業立国、貿易立国を旗印に今やGNP世界第二位の経済大国になってきましたが、これからも我が国の大きな基本政策としてはいわゆる貿易、工業立国ということは変わらないと思いますが、大臣どうでしょうか。
  62. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御説のとおりです。
  63. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、貿易立国ということになりますと、かなり今日では航空機が発達をしております。しかし、航空機で運べるものというのは、私はある程度特殊なものではないか、だから主要な貨物の大部分はやはりこれからも海上輸送、これが中心になると思いますし、今後もこのことのパターンは長期的に変わらないと思いますが、どうでしょうか。
  64. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 全く基本的認識は同じです。
  65. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、昨年の八月に三光汽船が倒産以来、海運と造船不況がかなり深刻化しているのは大臣も御承知のとおりだと思います。しかしながら、今も言いましたように、貿易立国ということになりますと、いわゆる造船業というものはこれを立て直し、安定化が必要だと思う。でなければ国としての貿易立国、工業立国を遂行することはできないと思いますから、造船産業の立て直し、安定化、これは国の重要な課題だと思いますが、その点どうでしょうか。
  66. 三塚博

    国務大臣三塚博君) おっしゃるとおり、大変昨今の海運、造船の深刻な事態を見るにつけましても適切な手を打っていかなければなりません。同時に、前段御質問ありました海洋国家、貿易国家としての基幹から言いましても、本造船業に対する考え方というのは極めて重要な施策の基本でなければなりません。
  67. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、造船産業というのは、労働集約型であると同時に技術集約、組み合わせ産業であります。例えば、コンピューターの技術ほかあらゆる技術を包含した産業であるというふうに私は考えますが、大臣この点どうでしょうか。
  68. 三塚博

    国務大臣三塚博君) かつて労働集約型産業と、こういうことで大変雇用を抱え、我が国の産業界におきましても重要なパートを占めてきました。同時に、その重要性は一向に変わらぬわけでございますが、御説のとおり、労働集約型産業ではありますけれども、それに加え世界の中で競争をし、トップの位置を占めていくためにも設計、生産、管理の分野においてコンピューター、エレクトロニクス等の技術が導入をされ、広範にこれが活用された産業であるという意味で技術集約型産業ということに相なるというふうに思います。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 大手造船、例えば私が言っている大手は三菱重工とか日立とか、造船産業というよりも、名前からしましても、例えば三菱重工という重機械などの産業になっています。造船の多種な技術が発展的に転用され、各種のプラントや高度な連続生産機械類などの分野に広がり、日本の工業技術の基礎を担ってきたと言っても過言でないと思いますが、この点はどうですか。
  70. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 鉄道技術が日本の大手ゼネコンを初め、建設技術に多大な影響を及ぼしたということは周知の事実でありますが、造船技術が今御説のように流体、素材、機械、電子、電気と多種にわたっておることの中で開発されたノーハウというものが、御説のとおり万般のこの分野の他の重工業に影響を及ぼし、これを今日まで推進をしてきたということも歴史上の事実だと、このように認識をいたしております。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 ところで、我が国の人口構造を見ると、首都圏、関西圏等の大都市への人口の流入が進んでいます。大都市と地方の収入の格差や生活の格差、こういうのが拡大し続けている点は大変問題であるというふうに私は思います。ですから、これから日本がバランスよく将来に向かって発展をしていくためには、どうしても地方の活性化、つまり地域経済の活性化、こういうことが非常に必要ではないかと思います。  例えば、竹下大蔵大臣がふるさと論ということを一つの重要な政策であるというふうに発表されていますが、私はやはり大臣、これからの日本のバランスよくしかも均衡ある発展を日本経済が行っていく、また国民生活の安定もやっていくためには、どうしても地域の活性化、それから地方経済の活性化、こういうことが必要だと思いますが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  72. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今日の我が国経済の実態を見てまいりましても、過疎過密という言葉で端的に表現さしていただくわけでございますが、国の政策としても、国会の中でも、東京に集中するこの過密というものをどうするのかという点で大変な政治問題になっておる中で、やはり三全総、これからあります四全総もそれを目指すわけでございますが、地域経済の振興、このことが国の政治の基本になってきたことだけは間違いございません。  そういう意味で、今後運輸政策の中でも、地域経済の振興を中心とした地域づくりというものを頭の中に入れていきながら進めませんといかぬ、こういうふうに思っておるところであります。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 この点は大臣と私も認識は一致したわけですが、そこで少し具体的な問題についてお聞きをしていきたいと思います。  造船産業というのは今日まで海上交通の拠点、それから漁港の拠点に立地して発展をしてきたと思いますが、この点どうお考えですか。
  74. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 海上交通は、まさに最初は漁港、漁船のたまりからでありますことはこの歴史の流れを見ますとまさにそういうことでありまして、地域の良港を求めて、そこで漁港が形成をされてまいり地域社会が形成され、地域経済が形成をされていったという経過の中で、まさにそれが港湾という形になり、近代港ということになり、臨海工業地帯を形成をするというところに結びついてきたというふうに思っております。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、今基本認識が一致しました地方の活性化のあり方について、少し大臣のお考えを聞きたいんでありますが、地方の活性化のために、新規、新しい企業の誘致や、これも新事業の開発ももちろん大事であるというふうに私も思います。しかし既存の産業を活性化をして生かしていく、そして新しい事業の土台をつくっていく、こういうことが必要であると、第一であるというふうに思いますが、この地方の活性化についてのお考え方について聞かしてください。
  76. 三塚博

    国務大臣三塚博君) やはりそこの核形成を中心として地域経済をつくり上げていくということになりますと、既存の産業、事業体というものを、これよりよい形で伸ばしていくという施策が第一に考えられなければならぬと思うんです。それが時代の大きな波の中で消えていく産業ということでありますならば、その産業をどう転換をするかということがその第二に考えられなければならぬ。第一は、既存のものにてこ入れをし、これを伸ばす。転換をせざるを得ないものには転換に手をかしながら、さらに次への飛躍を考えていくというのが一つでありましょうし、第三にやはり新時代に対応した新産業の立地体系がそこにでき上がりますように施策の中で考えてまいる、そのための基盤づくりというものをその中でやはり行っていかなければならぬ、このように思っておるところであります。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 そこで今度は少し事務当局に聞きますが、最初に数字でありますから、造船は好不況のいわゆる波がいろいろあって、まあ現在は非常に不況状態になっているということでありますが、長期統計では循環型産業であると、現に海造審の予測でも数年後には需要がふえるんじゃないかと、こういうことが明らかになっているようでありますが、この海造審のいわゆる長期見通しについてちょっと説明してみてください。
  78. 間野忠

    政府委員(間野忠君) ただいま先生おっしゃいましたように、海運造船合理化審議会の方で需要見通しにつきましていろいろ議論いたしました結果、大体の合意が得られております。  それによりますと、この六十二年から六十三年にかけまして、非常に厳しい不況の時代と申しますか、新造船需要が非常に減るであろうということで、標準貨物船換算トンというようなもので我我表現しておりますわけですが、それで年間三百十万とか三百二十万トン程度にまで落ち込むんではなかろうかと。ただ、その先、現在存在しております過剰船腹が逐次解撤されていきますれば、いずれ十年ぐらい先には今の標準貨物船換算トンで申しまして五百二十万とか、五百万トンを超える程度にまで回復するというふうに考えられております。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 いずれにいたしましても、海造審の予測でも、まあ数年後には需要がふえるであろうという私の手元に海造審の見通しも、資料持っているわけですが、そこでずばり質問したいんですが、造船不況の要因は、前回のオイルショック不況までは建造量が上昇を続けてきていたこともあったが、大手——大手とは三菱以下七社のことでありますが、大手と中小手、これは大手を除きました造船企業のことを言っているんです。この建造分野は一応すみ分けの型でバランスが保てておったと思うんです。ところがオイルショック後、大型タンカーなどだめになりまして、大手が中小の分野に参入してきた。で、ここにおいてすみ分け分業型が崩壊してしまいました。そしてそのために、競争が非常に今日まで激化してきたと思いますが、それが主要な原因だというふうに思いますが、ここはどうですか。
  80. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 確かにおっしゃいますように、二度にわたる石油危機以後、非常に海上荷動き量が減少してまいりまして、需要が減ったということが一番大きな原因かと思います。ただ、御指摘のように、石油危機による結果として、大型タンカー、これは先生指摘のように主として大手が建造しておったわけですが、この大型タンカーがほとんどなくなったということは事実でございます。ただ、それといわゆる大手以外のところも非常に力をつけてまいりまして、従来大手がやっておりましたコンテナ船ですとか、自動車専用船ですとか、そういうところにも中手も伸びてきた。そういったことで、需要構造の変化と石油危機の結果需要全体も減ったというようなことから、非常に競争が激化してきたというふうに考えております。
  81. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、コスト割れするような競争を放置をしておったのでは私は産業の活性化にならないし、国益にもならないと考えるのであります。そこで、適正なすみ分けというか分業構造をつくるように政策的に指導すべきだと思いますが、この点はどうですか。
  82. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 前回の不況の際から、大手はかなりおっしゃいますようにいろいろ力もあるということで、前回の設備処理等においてもそれぞれウエートをつけまして設備処理とか操業度の調整等について考えてまいったわけですが、現在も操業調整を実施しておるんですけれども、これにつきましても主要企業のみを対象にして、その中ではやはり大手に行き着くというような調整をやっておるわけです。また、大型のドックとか船台で、小さい船を同時に二隻以上つくってはならないというようなこともやっておりまして、そういった意味ではできるだけ過当競争を防止するようなことを考えてやっておるつもりでございます。
  83. 安恒良一

    安恒良一君 もちろん過当競争のいわゆる防止、いろいろおっしゃるが、私が言っていることは、やっぱり適正なすみ分け、分業構造、こういうものについてあなたたちがいま少し政策的に指導すべきではないかということ、どうですか。
  84. 間野忠

    政府委員(間野忠君) ただいまの海運造船合理化審議会で今後の政策についていろいろ御審議願っておるわけでありますが、海運造船合理化審議会の中では、この際むしろできるだけ自由にすべきだ、政府の介入は減らすべきだというような御議論も相当強いのが現実でございます。
  85. 安恒良一

    安恒良一君 私は、まあ自由にすべきだということになるとそれはもう全くこれは中小を殺してしまう。  そこで、少し中身に入ってみたいと思いますが、私が先ほど言ったように、大手は各分野に進出していますね。また、将来にわたって各種の技術の開発によって経営を拡大する要素を大手はたくさん持っているわけです。ところが、中小専業の造船所は、転業するとしても容易にこれはなかなか転業はできません。これが今日の現状だろうと思うわけであります。でありますから、そう考えてまいりますと、やはりこういう点についてどういうふうにあなたたちは問題を指導しようとするのかということについてお聞きをしたいんです。
  86. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 確かに非常に大手も中小も困っておるわけですけれども、おっしゃいますように、中小については、その基盤が、経営の基盤も弱いということは御指摘のとおりでありまして、中小造船業への影響というものはなるべく考えなければならないというふうに考えております。  そこで、中小企業につきましては、全産業を横断的に、企業合理化促進法でありますとか、あるいは最近円高で、対策として特定中小事業者の事業転換のための臨時措置法、こういうものが国会でも成立さしていただいたわけですけれども、こういったものの対象に造船業を指定いたしまして、有利な税制でございますとか、低利の融資が得られるように努力しておるところでございます。
  87. 安恒良一

    安恒良一君 その方面だけじゃなくて、私が何回も言っているように、国の政策としてすみ分け、分業安定が私は望ましいと考えます。  その方法は、大手が技術開発や特殊な船舶の建造を中心とする、中小は一般的船舶の製造を受け持つ、こういうふうに私は監督官庁として政策を誘導すべきだ、こういうふうに思うんですが、そのことが今日の競争激化、それから大手は大手なりにちゃんと生き残れるし、中小は中小なりに生き残れるというふうに思うのであります。  このことについて、そこで大臣に最終的にちょっとお聞きをしておきたいんですが、具体的な方法としては大手が開発した技術等を適正、適当な形で中小に移転をし、日本の造船全体が将来にわたって活性化を持続し、かつ地域の活性化、地域産業の開発にその技術が活用されるようにすべきだというふうに考えます。私はこの具体的すみ分け態勢をつくるためにOTTRM、すなわち技術移転調整機構のようなものをこの際政府の主導によってつくる、そして実施すべきだ、こういうふうに考えますが、このところはいわゆる当局じゃなくてやっぱり大臣の政策として、私は技術移転機構、こういうものを大臣の提唱でおつくりになるということについてお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  88. 三塚博

    国務大臣三塚博君) その前に、今局長との一問一答の中ですみ分けの問題でありますが、海造審のいろいろ方針もあり、やられておるわけでありますけれども、基本的な政策の考え方としてやはり中小企業の振興という国の政策もあるわけでございますから、そういう意味で御指摘の、例えば特殊船は大手、それから一般の船は中小というふうにこれが進められるということは、共存共栄という意味で大変大事なことですから、これは海造審は海造審、やはり運輸省運輸省運輸大臣として振興策を、すみ分けという言葉になるんでしょうか、分配ということになるんでしょうか、そういうことも極めて重要なことでありますので、さらにそれを考えてまいりたいと思います。  さて、今、技術移転の新しい機構をどうだと、こういう御指摘のようであります。かねがねこういう状況でありますから、造船世界一の中で、これは大手だけの力ではございませんで、やっぱり中手一体となった日本の造船という意味で構築してまいりましたことであり、その間大手のノーハウが中手に移転をする、こういうこともありましたし、運輸省としてもこういう点について意を用いつつ技術提携、人材派遣などについても進めてきたところでありますが、今日のように極めて危機的な状況の中で、国の政策としてそういう技術移転の機構といいますか、そういうセクションといいますか、そんなものをどうだと、こういうことであるとすれば、やっぱりいいことはいいこととして進めなければなりません。ただ、新法人どうだということに、すぐに行革の問題点にかかってきますものでありますから、任意といいますか、運輸省の指導という形で、今あります、いろいろな団体もありますが、それらをどうしたらいいのか、また役所の機構としてどうあるべきか、こんな点も十二分に精査検討をしながらさような意味のことについてさらに深めてこれを確立し進めたい、こういうことで前向きにひとつ真剣にやってみたい、こう思います。
  89. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、このところは新法人がいいのかどうか、これは行革の関連その他いろいろありますから、私はそこの細かい性格づけまでやっておりませんが、今大臣がおっしゃったことを行政で生かすためにも私はこのことが必要だと。なぜかというと、すみ分けをしてやるように大臣指導するとおっしゃいますが、今日の不況になりますと、大手は力を持っているわけですね。そこで、もう本来中小がやっていいところまでどんどんやってきていることは今日の現状は事実なんです。  本来私は、大手は大手なりの特殊な船であるとか海上の大型プラントであるとか、いろんなものがあると思いますが、背に腹はかえられぬということで中小の分野にどんどんこれ今日やっぱり入ってきていますから、よほどここのところは運輸省が、大臣が強力な御指導をお願いしないと中小の分野がなくなってくる。例えば、今海造審で設備削減の問題がいろいろ議論されているようですが、この場合も、御承知のように大手は造船台何基も持っていますから、例えば二割なら二割削減するというときに、中小は造船台一基しかないですね。これの二割なんというのはなかなかできっこないんですから、そんなこといろんなことを考えていきますと、私は、ここのところは大臣が前向きにということでおっしゃいましたから結構ですが、ぜひとも技術移転のための機構というものをきちっとつくって、大手も中小も共存共栄ができる、そして地域経済の活性化もできるということにかなり強力な行政的な御指導を、大臣みずからひとつ、そしてやっぱり造船工業会を呼んで造船の労使にそのことを大臣が提案されるということがないと、私は今、今日この二、三年の不況を考えると、どうしても自由主義経済というのは一面では競争激化、弱肉強食という原理を持っていますから、その点をひとつもう一遍大臣のお考え聞かしてください。
  90. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変万般にわたり御心配をいただいたわけでありますが、いいことはやはり進めるというのが政治でなければなりませんし、そういう意味で労使の代表、特に経営者の代表、こちらの大手、中手、これを運輸省に招致をいたしまして、この危機を乗り越えるために協調体制をつくり上げるという観点で進めてほしい、その案として技術移転調整、これをきちっとやれぬものだろうか、こんな点で行動を起こしてみたいと思います。
  91. 安恒良一

    安恒良一君 次に、農水省も来ておりますからちょっとお聞きをしたいんですが、今我が国の漁船の建造能力というのは、非常にまた立派な漁船ができるんですね。ところが、私よくわかりませんが、何か日本の漁船を輸出する場合の規制があると聞いておりますが、その中身についてまず聞かしてください。
  92. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) お答え申し上げます。  漁船の輸出に関しましては、御指摘のとおり、漁業競合を避けるということのために、漁業種類ごとに規制を設けております。  具体的に申しますと、外国に輸出されました漁船が我が国周辺水域で操業し、我が国沿岸漁民の漁業に重大な影響を及ぼすもの、それから我が国が加盟しております国際漁業機関や二国間条約におきまして取り決められております漁業資源の保存措置に悪影響を及ぼすもの、及び我が国の多数の漁船が操業しております水域で輸出された漁船が操業しますと著しい競合を起こす、こういう形の漁船輸出につきましては現在規制を設けておるわけでございます。  現在の漁業をめぐる情勢は御存じのとおり非常に厳しいものがございまして、日ソ、日米、こういった北洋漁業関係あるいは全般に厳しい状況でございますので、したがって、現行の輸出基準を大幅に緩和するということは、現時点で望ましくないと考えております。  しかしながら、昭和五十二年に世界の主要国が二百海里水域を設定しまして、近年漁業環境が著しく変化しております。こういったことを勘案いたしまして昭和五十八年以降規制に関しまして徐徐に緩和をしておるところでございます。今後とも漁業状況を十分考慮いたしまして規制の見直しを行っていくという考えでございます。  なお、新造漁船の輸出につきましては、近年韓国、台湾、スペイン等こういった国で漁船建造の技術が上がりまして、我が国の造船、新造の漁船輸出が難しい、こういった状況にもあることを申し述べておきます。
  93. 安恒良一

    安恒良一君 ちょっと実態的に、新も旧もいわゆる輸出規制をされているそうですが、実態的にどうなっているか、それから輸出の実績はどういうふうな状況になっていますか。年間新がどのくらい旧がどのくらい、それからその地域はどういう地域になっていますか。
  94. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) 昭和五十九年度の実績で申しますと、トータルといたしまして二百二十隻でございます。そのうち新造船が九十一隻ございます。それから漁業種類別に申し上げますと、底びき網漁船が四十六隻、カツオ・マグロ漁船が三十八隻、まき網漁船が三十五隻、その他百一隻、こういう内訳になってございます。
  95. 安恒良一

    安恒良一君 旧は。
  96. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) これはトータルでございまして、この中に新造船が九十一隻含まれております。
  97. 安恒良一

    安恒良一君 それから地域別には、輸出先は。
  98. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) 地域別の資料については現在持ち合わせがございませんので、後ほどお届けいたします。
  99. 安恒良一

    安恒良一君 今持ち合わせがないなら、きのう私はこういうことについて質問するというのを通告しておきましたから、ないのは遺憾ですが、やむを得ませんから後で出してください。  詳しいことはわからないにしても、例えばアジア地域とか、それから今おっしゃったようなヨーロッパとか、アフリカとかラテンとか、大体どんな比率になっていますか、輸出の状況は。細かい資料は後でいただけばいいですからね。
  100. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) 地域別に申しますと、アジアそれからアフリカ関係が大半を占めております。
  101. 安恒良一

    安恒良一君 そのアジアとアフリカの中身を知りたいの。中身を知りたいから聞いている。アジアとアフリカが大半というのは、そんなことはわかっている。今細かい資料は別にしても、大体アジア関係がどのくらいとか、アフリカ関係がどのくらい、それは新ではどのくらい、旧ではどのくらい、ちょっと感覚わかりませんか、それも……
  102. 高山和夫

    説明員(高山和夫君) アジア関係につきましては、韓国、北鮮、中国、それからフィリピン、インドネシア、こういったところが主なところでございます。  隻数につきましては、現在手持ちございませんので、後ほど調べて御報告いたします。
  103. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃやむを得ません。それでは、これは後で資料として、ここ最近の一、二年の輸出の実績、それから新造船、旧の実績、それから地域別ですね。地域別といいますか、国別でも結構ですから、こういうふうになっているということをひとつ出してもらいたいと思います。  そこで農水省にもお聞きしたいんですが、それから最後は大臣にもお聞きしたいんですが、日本は世界的にもすぐれた漁船をつくっているわけですね。ですから、私は今日造船不況、いろんなことを考えますと、漁船の場合は中小造船でも十分に立派なのができるわけですから、この際世界的に市場にやっぱり売り出したらどうか。船を売り出すと魚をとるやつが問題になるという考えもかなり消極的じゃないか。というのは、率直なことを言って、今言われたように主として売り出しているのがアジアとアフリカだと、こう言われるんですね、アフリカとか、ヨーロッパも一部あるんですね。そうすると、二百海里いろんなことがありますから、日本の場合にはかなり広範に出ていっていますが、アフリカから日本の周辺に魚をとりに来ることはこれはないだろうと思うんですよね。まあ韓国とかそういうのはありますわね、率直に言ってありますから。これが船を売ると日本の漁場に来るからということで、日本の優秀な船を売らぬと、こういう御主張のように農水省はお考えのようですね。しかし、私は今日の時代において、せっかく日本が立派な漁船をつくれるというなら、そういうものについてこれを緩和をしたらどうか。特に、私が聞くところによると、新造船について厳しいですね。旧もやっておるけれども、新造船について厳しい規制がある。それはなぜかというと、結局、旧はある程度輸出している。旧にも規制かけていますよ、かけていますが、ところが新造船に厳しい規制があるためにどうしても旧の方が輸出が盛んだというふうに私は聞いている。ですから、その中身をいろいろ資料知りたかったんですが、きょう農水省が小さい資料持ってきていません。  そこで大臣、私はこの点一遍、きょうここで農水省の皆さん方に私が、それじゃこの新造船の輸出を活発にやりますと考えると言っても、ちょっと事務当局では御無理な点がありはしないかと思いますから、あとは大臣運輸大臣としての考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  104. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまお聞きしておりまして気づいたんでありますが、うかつといえばうかつなのかなと思うんですが、造船世界一の国で、我が国の船舶というのはほとんどフリーかなというのが私の、言うなれば政治的常識だったわけです。優秀なノーハウを持つ、そのものはやはりそれぞれの国家も必要とするでしょうし、後進国であればなおさらのことだろうと思うんですね。    〔委員長退席、理事矢原秀男君着席〕 経済国家として、日本がそれだけの矜持を持ってやりますことが、日本のやはり政治的な役割だろう。こういう意味で、今議論を聞いていて、正直言っておやという感じは受けました。  しかし、現実に、今局長から貿管令で漁船が制約されているようですという話を聞いたわけですが、やはりその理由が那辺にあるのか、沿岸漁業なり近海が大変だというのか。遠洋はそれはもう勝負ですから、これは公海上の勝負は勝負でおやりをいただけばいいわけでして、我が国が独占するべき性格のものではないわけですね。  そういう点で、私もよく本件は精査をします。そういうことの中で、引き合いがありますのにノーと言うべき性格のものではないだろうという点は思います。国際協調で生きていかなければならない我が国の国是があるわけですから、そういう中でありますれば、やはりそういうことは大いに交流をし合いながら、また助け合いながら、またそれに、要望にこたえていく。古い漁船だけ、償却終わったやつをそっちに何かくれてやるみたいな、安く売るみたいなことだけではいかぬことだろう、こんなふうに率直に思います。
  105. 安恒良一

    安恒良一君 ぜひ、これは大臣、早急に運輸大臣と農水ですね、それから貿易の関係もありますから通産にも関係すると思いますから、関係大臣でぜひ御相談をしていただいて、新造船の優秀な漁業船が世界各国から引き合いがある場合には、これはやっぱり売っていく、輸出規制を取り払う、こういうことで。それはなぜかというと、大臣も御承知のように、漁船の造船所というのは地方に多く散在しているんですよね、地方に多く散在している。しかも、これは非常に資本が少ない中小企業が多いのです。しかし、漁船が各国から引き合いがあったときに自由に輸出できるということになると、そうしますと私と大臣とでも一致しています地方経済の活性化ということにもこれは非常に力になることでございますから、今までは今までなりの農水省としてとってこられた歴史が率直に言ってあると思います。ありますが、ぜひこの際は、運輸大臣それから通産大臣、農水省大臣の間で具体的にぜひ協議をして、さすが三塚運輸大臣になったら仕事が早かったな、ぱっと決まった、こういうふうにやってもらいたいんですが、どうですか。
  106. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御激励を受けました。ちゃんと、ひとつやります。進めてみたいと思います。
  107. 安恒良一

    安恒良一君 それじゃ委員長、私は一時間予定していましたが、非常に明快に大臣が答弁なされましたので、私の残る時間はあれをしまして、次にどうぞ進めてください。
  108. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 最近、非常に政府におかれましては、民間活力の活用ということを一生懸命やっておられるようであります。このことは大変結構なことだと思うわけでございますが、運輸省におかれましても民間活力の活用についていろいろとお考えがあろうと思いますが、どういうことをお考えか、まず最初にお聞かせいただきたいと思います。
  109. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 民活の議論については、多くの方々が非常に多くの意見を述べておられまして、お立場なりお考えによって御議論の変わるところがあるということを私たち承知はいたしておりますが、その中でまた、私たちの周辺におきましてもいろいろな議論をいたしました。直接的には今国会にも民活法という形でいずれ御議論、御決定をいただきたいとは思っておりますが、私たち運輸省でこの民活法において考えております事項は、国際会議場施設とか、国際見本市会場施設だとか、旅客ターミナル施設だとか、また特に港湾の場合でありますと港湾業務用施設とか、そういうふうなものを考えておるわけでございます。    〔理事矢原秀男君退席、委員長着席〕  これらの施設の整備事業といたしましては、現在全国で三十ぐらい、ないしはそれを上回るようなプロジェクトがいろいろ構想されております。これらのプロジェクトにつきましては、今申し上げましたような施設の整備のほかに、当然それに関連いたします道路とか緑地とか岸壁とかなどなどのいわゆる港湾にかかわる施設の整備と、それからその上物が乗っかります土地の造成、埋め立て事業というふうなものとが相重なって、相助け合ってプロジェクトとして進むというふうに見ておるわけでございますが、おおよそそこらあたりを、極めて概算で恐縮でございますが見積もってみますと、五兆円を超えるような規模になるんじゃないか。概算でございますので、ちょっと恐縮でございますが、そういう見通しを現時点で持っております。
  110. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 民間活力活用のためにいろいろ仕事をするという場合に、非常にいろんな問題、障害が生じることが多いと思うんですね。例えば市街地において再開発事業をやろうというような場合ですと、その周辺のいろんなかかわり合いがたくさんあるために非常に問題が多発してくるというようなことがあると思うんです。その点、港湾の地域におきましては、そういういろんな従来のかかわりというようなものが、一般の市街地等を再開発するような場合に比べると相当少ないのじゃないかというふうに思います。そう考えてまいりますと、今後民活をやっていく場合に港湾周辺の地域でプロジェクトができてくる可能性が非常に多いというふうに思うわけであります。  さて、今伺いますと、国際会議場あるいは見本市会場、あるいは旅客ターミナル、港湾業務ビル等を考えておられるということでありますけれども、そのほかいろいろな施設が港湾の周辺の地域で民間活力を活用してつくられる動きが出てくる可能性が私は非常に多いと思うんです。例えば情報関連の施設でありますとか、あるいは通信関連の施設でありますとか、いろいろそういうものの実態を見ていますと、非常に港湾周辺を志向するように思われるんですが、そういうものは今回、先ほど御説明いただいた中に入っておりませんけれども、こういうものについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  111. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 今、先生冒頭におっしゃいました港湾周辺では比較的土地も豊かにあり、制約条件等が比較的少ないんじゃないかという御見解でございましたが、実は私たちもそういう同じような見方をいたしております。そういった意味で今後いろんなプロジェクトが構想され、動き出す可能性を十分に抱いているというふうには思ってはおります。ただ、今回の民活法の制定ないしは議論に関係いたしましては、最近におきます経済的環境の変化に対応できるような経済社会の基盤の充実に資するものという観点から今申し上げたような施設整備を考えたものでございます。  ただ、今、先生お話のありましたような今後の経済社会情勢の変化というようなこともあるとも思っておりますから、例えばテレポートのような情報や研究に関する施設につきましても、そういった熟度などを踏まえて今後新たなプロジェクトとして私たちも考えていきたいというふうに思っております。  ただ、一つちょっと言いわけ、補足的になりますが、現在の考えております港湾業務用施設といったふうな共同利用施設を一例として申し上げまするならば、そういったビルディング、建物の中に例えば港湾に関係する情報を提供するようなそういった機能、それからまた、あるいは場合によりましてはコンピューターによります計算の機能、そういったふうなものは備えていくことが可能だというふうに思っておりまして、直接的といいますか、若干分野が、対象範囲が狭くなるかもしれませんが、できるだけそういう多目的な利用の業務用施設というようなことは可能であり、また、考えていきたいという気持ちは十分に持っております。
  112. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ただいまのお話のような港湾業務用ビルをいわゆるインテリジェンス化するというようなお考えのようですけれども、これは確かに将来の方向としてはそういうふうにお考えをいただいたらいいと思います。しかし、その一つのビルの中にそういう機能を備えていくということだけでなくて、さらにいろんな機能のビルが一つの地域でお互いに助け合いながら地域を形成していくというのが都市の開発の姿だと思いますから、先ほども申し上げたように、港湾の地域というのは非常にある意味では適地であると思いますので、今後幅広く考えていかれることをお願いをしたいと思うのでございます。  それから、現在運輸省で港湾整備の計画を改定をされることを決めておられて、今度法律も出しておられるようでありますが、民間活力の活用の事業というのは港湾整備五カ年計画とは関係があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  113. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 昨年暮れに六十一年度予算の編成等の一環で、港湾に関する新しい五カ年計画の発足、総投資規模四兆四千億ということで事実上お決めをいただき、そして二月の末にその投資規模について閣議の御了解をいただいたということがございます。今、先生お話しのように、緊急措置法の改正を今国会の御審議、御決定をお願いをしておるところでございます。  さて、先ほどもちょっと触れましたが、港湾機能の総合的な整備を行う、つまり民間の活力を活用して行うという事業と、それから主として公共事業方式によりますところの港湾整備の推進、港湾整備五カ年計画の中心をなすものでございますが、これとはやはり一体的に行われなきゃならぬというふうに思っておりまして、この五カ年計画の遂行ということと民間活力を活用した事業の推進というのが重大なかかわり合いを持っているというふうに思っております。したがいまして、この五カ年計画の中におきましても、しかるべきそれらの位置づけをきっちりとしておかなきゃならぬのじゃないかというふうには思ってはおるわけでございますが、先ほども私ちょっと申し上げましたように、若干言いわけ的で申しわけありませんが、民間事業の進め方についてもいろいろまだきっちりと確立されていない分野もあるというふうなことも考えたときに、やはり若干の実績みたいなものを積み重ねていくことによって公共事業との絡みみたいなものが明確化されてくるという側面も正直言ってあるのではないかというふうに思っておりまして、現時点におきましては、この二月の閣議了解をいただきました五カ年計画の総投資規模四兆四千億ということの中で、港湾機能施設整備事業、上屋とか荷役機械とかそういったふうないわゆる採算に合うものを起債事業でやっておりますが、そういった事業の中に入れておこうと、こういうことで整理をいたしておるというのが現状でございます。
  114. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そうしますと、五カ年計画の規模は、金額で決まっておるわけですけれども、その五カ年計画の中の港湾機能施設というところにこういう民活の事業の規模が内数として入っているという意味でしょうか。
  115. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 内数として入れておるわけでございます。ただ、この法律の改正をいただきまして、そして具体的な五カ年計画を閣議の御決定をいただくまでにいろいろそういった定量的な詰めはやらなきゃならぬということはあるということは御理解を賜りたいと思います。
  116. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 先ほど、関連公共施設を含めて五兆円程度の規模だということが御説明ありましたけれども、このうちの関連でない直接のものの費用というのは五カ年計画の中に全部入っていると考えていいんですか、それとも五カ年計画の中に一部しか入ってないとおっしゃるのか、その辺ちょっとはっきり。
  117. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 先ほど五兆円オーダー、五兆円を超えるということを申し上げまして、そして若干概算でございますというお断りを申し上げながら数字を御披露いたしましたが、中には十年かかるものもあったり、十数年かかるものもあったりするんではないかということもございますので、五兆円オーダーのものがすべて今度の五カ年計画の中に入るというわけではないことははっきりいたしておりますが、それを今度の五カ年計画の中にどの程度のオーダーを見込むかというのは今後の作業として詰めをさしていただきたい、かように考えております。
  118. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そうすると、もう一回確認しますけれども、先ほどの国際会議場、見本市会場ですね、そういった施設に関連する起債の額がのっているということですか。それともこういう国際会議場とか見本市会場とか旅客ターミナルとか、こういうものに要するプロジェクトの費用というのが港湾整備五カ年計画の中に組み込まれる、もちろん十年以上かかるものもあるので、そのうちの五年分は組み込まれるというふうに考えてよろしいんですか。
  119. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) そのうちの五年分をこの五カ年計画の中に組み込みたい、かように考えております。
  120. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 そういうことで、五カ年計画の内容としていわゆる公共事業とかみ合わせてこれを実施をしていかれるということを確認したわけですけれども、現在国土庁で四全総も検討しておられるわけですけれども、四全総の目標とするところは、国土の均衡ある発展、これが目標だと思います。公共的な投資というのはこういう目標に対してうまく合致するように恐らくやられておると思うんですけれども、今まで私がいろんな機会に民活のプロジェクトの現状といいますか、今明らかにされているものを、情報としていただいたものを見ますと、必ずしも全国に均等にこれが存在しているように思えないんですね。当然、民間活力の活用ですから民間の経済力の大きいところがたくさん出てくるというのが私は当然だと思うので、また実際に今までいろいろお聞きしたような情報によりますと、東京周辺あるいは大阪周辺あるいは中京周辺というような非常に経済力の強いところにたくさん集中するということになりそうに思うんですけれども、その辺はいかがでございましょうか。
  121. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 今、先生もお話ございましたように、私も日本の国土をできるだけ広く有効に利用するということを心がけ、考えていかなきゃならぬ。また、国土計画の基本的な理念もそこにあるはずだというふうに理解をしておりまして、それと今回の民活事業との絡みということについてもいろいろ議論もしたり思ったりすることがございます。  今、お話にもございましたように、民活プロジェクトが成立するための重要な要件の一つとして、やはり事業の採算性ということがあると思っておりまして、そういう観点からいきますとどうしても大都市周辺が有利といいますか、集まりやすいということはそうだろうというふうに思っております。  しかしながら、前段申し上げましたような、私自身ないしは私の周辺の者の考え方で、運輸省でいろいろ議論をいたしましたきっかけと申しますのは、やはり昨年にも御披露申し上げたわけでありますが、二十一世紀への港湾という今後の港湾のあり方というものをいろいろと議論した中で、それを進めていくために必要なプロジェクトファインディングをいろいろと心がけてまいりました。  一般的な民活事業がとかく大都市周辺になるかもしれないというふうには思いますが、今までのところ港湾にかかわり合いのある民活プロジェクトでは、北海道から九州、沖縄までまあまあ幾つかございまして、若干我田引水かもしれませんが、比較的地方分散的なプロジェクトが発掘できておるんじゃないかというふうに思ってはおります。  しかしながら、これで決して十分だというふうには私も思っておりませんで、今後全国的なプロジェクトの発掘、掘り出しに努力をしなきゃいかぬ、そういったことのために必要な調査実施、指導というような面にできる限りお役に立ちたい、こんなふうな考え方を持っております。
  122. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 全国にある程度配分されているという今の御説明ですけれども、私がいろいろ聞いておりますところでは、例えば日本海側には非常に希薄ではないかというような御意見も聞いておりますし、そういったことを考えますと、さらにそういう全国にバランスをとっていくという考え方を推し進めていただきたい。  調査のお手伝いというふうに今おっしゃいましたけれども、具体的にはどういうことをお考えかちょっと伺いたいと思います。
  123. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) ちょうど六十一年度予算の御審議をいただいておる場でございますが、港湾の中に港湾事業調査費というある種の調査費を持っておりまして、そういったものをできるだけここの数を多く、そしてまた地元の港湾管理者を中心とする地元皆さん方の御意向もそれなりに私たち承っておりますので、全国的に当面はモデル地域を選び出して、先ほど申しましたような調査費を用いてプロジェクトの具体化、必要な調査というものをこの六十一年度の予算の中でやらしていただきたい、こんなことを試みようとしております。
  124. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。  それから、そういう各地域に現在考えておられる民活が当てはめられるところがないか、あるいはどうやったら当てはめられるかという調査をされるんだと思いますが、それに加えて、冒頭申し上げた幅広く民活の対象を考えていっていただきたいということの中に、地域の受け入れやすいような、要するに先進地域だけではなくて、あるいは経済の発展している地域だけではなくて、そういうまだ、そういう意味ではややおくれているような地域でも成り立ち得るような事業も今後ぜひ発掘をしていただきたいと思うわけであります。ですから調査は各地域ごとの調査のみならず、そういう面で事業の内容についても今後検討をしていただきたい。  例えて言えば私はこういうことも考えておりますが、日本の場合、いわゆるレクリエーションの施設の一つであるマリーナ、ヨットハーバーですね、これが各地に小さいものができてきております。しかし、大型の海洋帆走型のヨットがそこで停泊をし、そしてその乗組員がそこで何日かの生活をし、そしてまたそれに伴ういろいろなレジャー活動ができるというような拠点は、残念ながら日本の場合はほとんどないと思うんですね。国際的に見ますと非常にそういうのが各地にあるわけで、日本はそういう意味で世界の一つの盲点になっておるように思います。今後、日本の場合もそういうことにも力を入れていくことが、まあ経済ばっかりやってて、もうけることばっかりやっている日本というような非難をなくする意味でも意味があると思いますし、またそういう大型オーシャン型のヨットの拠点というようなことであれば、必ずしも東京、大阪なんというところに皆行きたがるわけじゃないわけで、地方の方がむしろ行きたがるのではないかというふうにも思います。これは私のまだ十分に検討したわけでない、やや思いつきに近い考え方ですけれども、例えばそんなことも含めて将来検討していただけると大変ありがたいんですが、この点についてちょっとお考えを。
  125. 藤野愼吾

    政府委員(藤野愼吾君) 先ほどもちょっと触れましたように、今回の民活法におきましては、民間とか、第三セクターの投資の対象となり得るものというような観点とか、あるいはまた当該施設が公共的な経済社会基盤として重要な意味合いを持つものとかという観点から、まずは最も優先度の高いという観点から選びまして物事の整理をしようといたしてはおりますが、今お話のようなレクリエーションというようなものは、私個人的に考えてみましても、やはり産業としても成長的なんじゃないかと思いますし、またその裏にはイコール公共的な意味合いも持っておればこそと、こういう感じもいたすわけでございまして、そういった意味でそれらのものについても今後の検討は十分にさしていただきたいと思っておりますし、またそれに値する分野なんじゃないかというふうに考えております。いろいろ御指導賜りたいと思います。
  126. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 民活も含めまして、公共投資といいますか、社会資本投資というものの効果を考えますと、そのものがそれを利用することによっていろいろな便益を生み出す。つまり港湾は港湾を使うことによって船がそこへ寄港するというような、そういう便益はもちろん当然あるわけでありますが、そのほかに公共投資をすることによって、その地域にお金が落ちる、その地域の各産業に活性を与えるという効果が一つあるのだと思うわけであります。その効果は、いわゆる公共事業というものの効果から見れば、表の効果から見れば副次的な効果かもしれませんけれども、現在非常に対外摩擦が言われ、国内経済の内需振興ということが必要だと言われておるこの時勢から見ますと、その効果は決して副次的とは言えない、むしろそっちの方に重点を置いて考えなければならないような場合もあるように思うわけであります。  そういうふうに考えますと、公共投資というものの配分のあり方といいますか、全国的な配分のあり方は、先ほど新全総に関してちょっと伺いましたように、全国を、平等にはいきませんけれども、なるべく均一に発展をさせるという配慮が当然あってしかるべきだと思うわけでございます。  さて、先ほど来御質問申し上げてお答えもいただきましたが、民活が今後の課題として全国に広く効果を及ぼすように調査もなさるし、今後努力をしていただけるということはわかりましたけれども、少なくとも現在の時点で見ますと、必ずしも全国に恩恵が及んでおらないというふうに思います。そういうふうに考えてまいりますと、民活で相当量の事業が望めるような地域、その地域の今度は公共事業の方ですね、民活でない方の、公共事業の方は、若干そういうところには遠慮していただいて、そして民活のプロジェクトが余りないようなところへ手厚く配分をしていただくというようなことで、トータルで全体がうまくバランスするというような御配慮が必要ではないかと私は思っておるわけでございますが、この点につきまして運輸大臣の御所見をぜひ伺わせていただきたい。
  127. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 先ほど来港湾局長とのやりとりを聞かせていただいておりました。世を挙げて民活ということの流れの中で、運輸省も民活のプロジェクトを将来計画を含めて出ささしていただいたわけでございますが、問題は、国会の中にもそういう議論が強くある、またマスコミを通じて全国的にやっぱりそういう流れもあるように報ぜられておるポイントに、民活が必要な地域は実は地方ではないのかという指摘なんですね。ところが、地方は採算制という意味でなかなか民活が機能しない。採算ベースの、投資採算制という点でいける東京港でありますとか、港湾でありますとか、大都市周辺とか、ど真ん中ですとかいろいろ言われるわけであります。それもそれなりにいろいろな点で必要なことは私も認めるわけでございますが、いみじくも吉村委員指摘のように、それはそれとしても、しからば公共事業費の配分の中で思い切った方式がとれないのかという、こういう御提案でありまして、このことは極めて地方振興の点からいいまして重要な課題であります。それと同時に、先ほど来御質問がありましたとおり、地域経済活性化という意味におきましても、また地方の安定化という意味におきましても、港湾また運輸関係の事業についての配分の張りつけという問題は、そこに十分意を用いてやっても、政治の点からいってけしからぬと言っておしかりを受ける問題ではなかろう、このように実は思っておりますし、こういう時期でありますだけに、十分、今、安恒先生からも造船という観点の御指摘でありましたが、まさに地域経済活性化という点では吉村先生と軌を一にする、根底に流れる哲学は同じだなというふうにも思うわけでありまして、そういう点で配分の中でできるだけそこに意を用いた形でやるようにしなければなりませんでしょうし、六十二年度編成、また予算が成立をさせていただきますと準備に入るわけでございますから、そういう考え方を十二分に取り入れた中で、概算要求、そして来年度予算編成、これに立ち向かう、こういうことでやっぱり国土の均衡ある発展、特に地域振興というのが今日極めて重要なポイントとして叫ばれておるわけでございますから、心してまいるつもりであります。
  128. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 大変前向きの御答弁をいただきましたので、安恒委員のまねをするわけでありませんけれども、私もこれで終わらせていただきます。
  129. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 午後一時ちょうどに再開することとし、休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  130. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  131. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず第一に、第五次空港整備五カ年計画の策定につきまして若干の質問をしたいと思います。  昭和六十一年度を初年度とする第五次空港整備五カ年計画、投資規模一兆九千二百億円を策定されているわけでございます。この件につきましては、空港整備五カ年計画というのが六十一年二月の二十五日閣議了解にも出ておりますし、第五次空港整備五カ年計画の策定について運輸省からも計画策定の趣旨等が述べられておるわけでございます。  この第五次空港整備五カ年計画、昨年の八月は航空審議会から中間のまとめとして公表され、五カ年の事業計画一兆九千二百億円計上されました。詳細については今後の検討課題を待つことになるわけでございますけれども、主として三大プロジェクト、関西国際空港、東京国際空港沖合展開、新東京国際空港二期工事が中心になることはほぼ明確でございます。計画ではその他三十空港の整備の計画が策定されているわけでございます。  まず、これにつきまして、大臣から空港整備に関する取り組み、これについての御所見をお伺いしたいと思います。
  132. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 航空輸送は重要な我が国の交通手段に相なってまいりました。特に近年、各県一空港というようなスローガンのもとに、すべて空港を設置しようという陳情、請願運動などが展開されておるところであります。さような中で特に航空需要の増高、また諸外国からの強い要請、これらにこたえてまいりますためには、御指摘の新東京国際空港、東京羽田国際空港、伊丹国際空港、キャパシティーが満杯に相なっておるわけでございまして、成田については着実に第二期工事にこれに取り組んでいかなければなりませんし、羽田沖は御案内のように沖合展開をただいま着実に進めておるところであり、おかげさまで泉州の漁業交渉も解決をいたし、本格的な取り組みへ第一歩を印すると、こういう形に相なったものでございますから、この三大プロジェクトを着実に取り進めてまいるというのが第一であります。  第二に、御指摘のように、三十九ジェット空港化相なったわけでございますが、さらに残りのジェット化に向けてこの整備に取り組んでまいると、こういうことに相なろうというふうに思うのであります。  計画に従いまして実効ある整備を取り進めてまいると、こういうのが基本的な構えでございます。
  133. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この空港整備五カ年計画策定、この目標設定の基準となる一つとしては、航空輸送の需要予測というものが非常に必要であろうかと思います。この航空輸送の需要予測、こういうことになりますと、一つは、国際線の場合、旅客と貨物はどういうふうに推移していくのかという分析、二番目には、国内線の同じく旅客と貨物、これの推移予測、三番目には、国内主要空港における今後の需要予測という、この大まとめにしまして三種類に分かれるのではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、具体的な数字という観点からまいりますと当局ではどういうふうな数的な予測をされていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  134. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 我が国の国際及び国内航空輸送需要の今後の見通してございますけれども、まず国内の航空旅客につきましては、昭和五十九年度の全国の国内旅客が四千四百七十万人ほどでございます。  今まで国内航空旅客につきましては順調に伸びておりまして、たまたま昨年八月の日航機事故がございまして、若干その後は低迷しております。今後事故の影響からいつ回復するかということにつきましては予断を許さないわけでございますけれども、今後とも中長期的に見てまいりますと、航空輸送の持ちます高速性であるとか快適性であるとか利便性といったようなものから今後とも伸びていくんではなかろうかというふうに考えております。  数字につきましては、非常にその需要予測が難しいわけでございますけれども、私ども先般航空審議会に五カ年計画をお諮りした際には、大体年率五、六%の伸びが今後六十五年程度まで期待されるんではないかというふうに考えておりまして、五十九年度の実績に比べますと一・三倍ないし一・四倍ということで、数字といたしまして六千万人から六千三百三十万人ぐらいに達するのではないかというふうに考えております。  それから、貨物につきましては、旅客よりもこれまでの過去の伸びも高いわけでございまして、はっきりした数字を今手元には持ち合わせておりませんけれども、旅客に比べますとより大きな伸びを示すんではないかというふうに考えております。  それから、国際航空旅客の方でございますけれども、これも我が国経済社会の国際化の一層の発展でありますとかあるいは世界景気の回復基調を背景といたしまして、今後とも国内旅客を上回る伸びが期待されるのではなかろうかというふうに考えておりまして、一応これも航空審議会にお諮りしました際の私どもの試算といたしましては年率六ないし八%程度の伸びが期待されるのではなかろうかということで、六十五年度につきましては、五十九年度実績千六百六十九万人の一・四ないし一・六倍ぐらい、数字にいたしまして二千三百七十万人から二千七百万人程度が見込まれるのではなかろうかというふうに考えております。  また、国際の貨物につきましても、これまでの過去の伸びから見ますと、やはり旅客より高いわけでございます。これも旅客を上回る伸びが期待されるのではなかろうか、かように考えております。
  135. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 空港整備特別会計の六十一年度分の収支案において、歳出の総額二千七百四十六億円、対前年度比三・九%の伸びを示しております。一般公共事業の伸び率ゼロから見てかなり高率であり、さらに空港整備事業費が千二億円で、対前年度比一九・四%と突出をいたしております。空港整備は全般的に十年おくれていると言われているわけでございますけれども、思い切った施策等考えているわけでございますが、この空港整備のおくれがひいては安全問題まで波紋を広げることもまた懸念をされる分析もあるわけでございます。今度の日航ジャンボ機墜落も、技術面もさることでございますけれども、空港整備のおくれが機材の大型化に拍車をかけ無理のある飛行というものを余儀なくされている、こういうことも一面では考えられるわけでございます。こういうことで、空港整備という点につきましては、今後各府県も非常に要求の多い点もあるわけでございます。  こういう点から絡めまして、まずお伺いをしたいことは、歳入面における航空運賃の一〇%は通行税となっております。過去は全額空港整備特別会計に入っておりましたけれども、現在は余り数的にも見られてない感じなんでございますけれども、これは全額空港整備に入れるべきではないかなと思うわけですけれども、この点はいかがでございますか。
  136. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) 通行税につきましては、先生指摘のとおり、予算の一般会計ゼロシーリングのかかる前はおおむね通行税相当額が一般会計から空港整備特別会計に繰り入れられておったわけでございますが、その後一般会計につきましてシーリングができましてからだんだん繰り入れ率、私どもはそう言っておりますが、繰り入れ率が下がってきておりまして、六十年度で見ますと一般会計からの繰り入れ額九百二十七億に対しましてそのうちの航空機燃料税が四百九十億でその他の一般財源が四百三十七億ということでございます。  一方、通行税相当分は約七百二十五億というふうに計算しておりますので、繰り入れ率が六〇・三%になるわけでございます。またさらに、六十一年度にはこの額が、繰り入れ率が五〇%を割るというふうに考えられております。  私どもといたしましては、この通行税の取り扱いにつきましては、航空機が現在のように広く国民各層に利用されるようになった今日、元来これは奢侈的な要素があるということで課されていた経緯もございますので、このような通行税というものが時代にそぐわなくなったんではないかということで、六十一年度にはその廃止要望したところでございますけれども、認められなかったという経緯がございます。  また一方、ただいまお話のございましたように、空港整備に、あるいは安全対策実施に当たって今後財源がいろいろと必要とされるわけでございまして、空港整備特別会計の財源を確保するという観点からも通行税の取扱いを今後考えていく必要があるんじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  137. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ちょっと速記とめて。    〔速記中止〕
  138. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 速記起こして。
  139. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 空港整備の財源の確保という問題で大臣にお伺いしたいと思うわけですが、先般の事故の問題等々を非常に多角的にやはり分析をしてまいりますと、先ほども申し上げておりますように空港整備のための歳入面における財源の確保、こういうふうなことは非常に安全性という線上から見ても非常に大事なことだ、こういうふうに思うわけでございますけれども、この点、大臣の空港整備のための歳入面における財源の確保、この大臣の方針についてお伺いをしたいと思います。
  140. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいま航空局長からもお話があったと思うのでありますが、通行税の廃止は先般の税制でこれを認めるわけにはいかない、こういうことになり、そのまま存置することに相なりました。存置します以上、この通行税は確実に一〇〇%導入、特会にこれが移転されるようにということでなければなりませんし、かねがね運輸省としても通行税があります限りこのことは特会に一〇〇%繰り入れていただかなければならぬ、こういうことで続けてきたと主張をしてまいってきたところでございます。他に財投の導入等が行われることによってその部分は十分見ておるというのが財政当局考え方のようでございますが、しかし三大プロジェクトが本格化するということで資金需要が生じてまいりますものですから、この財源問題については国会の論議等もございますものですから、これを踏まえ、運輸省としても幅広く検討をいたして、その財源措置の確保について万全を期していきたいということで進めておるところであります。
  141. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先般運輸大臣、神戸にお見えになりました。そして、神戸沖空港について五次計画に位置づけの、そういうふうな積極姿勢発言等が、これは三月二十二日にお見えになって発言をされたようでございます。神戸沖空港の実現というテーマにつきましては地元においては非常にやはり注目をしておりますし、この委員会におきましても、過去何回かいろいろと論議になっているところでございます。そういう中から今度の第五次空港整備五カ年計画の中にこの神戸沖空港計画を組み入れる方針の前向きの発言というものが、今申し上げたような報道もされていたわけでございます。そういうことでまず、大臣のこの御発言の内容等についてお伺いをしたいわけでございます。
  142. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 最近二度神戸に出張で出ました機会に地元新聞に報道がなされておるわけでございますが、初回の分につきましてはインタビュー実はございませんでした。ですから推測記事かなというふうに思いますが、三月三十日は会見という形で記者団に申し上げたことは事実であります。  記事については、それぞれの報道のしぶりでございますけれども真意いかんということで申し上げさしていただきますならば、ただいま五次空港計画の準備、審議と申しますか、行われておるところでありまして、九月ないし十月を目途に決定をしてまいりたいという最終の審議に入っておる期間でありますものですから、それを見つつ対応しなければならぬ。しかしながら、かねがねの神戸沖空港に対する市及び県の取り組み、特に神戸市、五十七年以来一般会計から予算を投入し、精密な調査を行い、運輸省もこれに協力するという態勢で取り組んでおります諸事情から言いますれば、第六次空港整備計画にまで待てということにはなかなかならないのではないか、こういうことを申し上げさしていただきました。それに対して、それは五次空港に入るということかと、こういうことでありますから、本件についてはただいま審議中でありますし、主管大臣として、担当局なりまだそれぞれの機関が協議をいたしている中で、ここで申し上げるということは差し控えたい、しかしながら今日的な真剣な取り組み、地元のこれに対する態勢については深く理解をいたしておりますと。問題点は何かあるのかという点については、空域及び管制の問題があるでしょうと。この問題が真剣に航空当局においても論議されておるところであり、問題が解決をされれば前進が期待できるのではないか。  特に空域、これは御案内のような地形でありますものですから、騒音等々の問題も今後十分に考慮の中に入れた形で空港建設を取り進めなければなりませんものですから、そういう点でこの辺のクリアする問題があるが、非常にその準備態勢というものについては評価されるべきものがありますと、こう申し上げたところであります。
  143. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 近年、確かに資源の少ない日本の各府県というものは、もちろん国の問題等もございますけれども、地域発展と国内、また世界の各国との交流、こういうふうなところに芸術、文化、経済、いろんな多面にわたる交流というものを考えますときに、条件が許せばやはり国も前向きにならざるを得ない、私はこういうふうな考えでおるわけでございます。で、神戸市の方も担当の方々に数年いろいろと折衝しておりましても、もし国にお金がなければ神戸市が主体となって地元でお金は全部つくれますと。漁業補償問題でも関西新空港の問題、巨額な金額が今出ておりますけれども地元ではそういう問題も責任を持ってきちっとやれますと、非常に財政的にも積極的な態勢というものを示しておりますが、今大臣がおっしゃいましたように、確かにこの空域管制の問題がやはりアメリカのある専門関係では、大体そういう空域は、調整を一つのコントロール、そういうことでできるんではないかというふうなことのいろいろの示唆もあるようでございますけれども、我が国におきましては、安全という立場で非常に厳しく慎重に検討されておられると思うわけでございます。そういう立場からこれは専門的に当局にお伺いをしたいと思うんでございますが、今大臣も空域管制の問題、大阪湾とそういう地勢の問題、そういうふうなもろもろの条件もございますけれども、こういうふうな問題も関西新空港とまた連動ができるという立場の中から空域管制というものを技術的に見られた場合にどうなのかということでございますけれども、この点はいかがでございますか。
  144. 山田隆英

    政府委員(山田隆英君) ただいま大臣からも申し上げましたように、神戸沖空港の問題を考えます場合に、一つの大きな問題は管制あるいは飛行経路の問題でございます。  御承知のように、関西地区につきましては、現在関西空港が泉州沖五キロのところに計画をされております。それからまた大阪では現在伊丹に現大阪国際空港が存在しております。さらに神戸沖に空港をつくるとした場合に、この位置はまだ必ずしも確定しておりませんけれども、一応ポートアイランドの沖合あたりに想定されておるわけですが、このような三空港がこのような地域に併存できるかどうかということが一つの大きな問題になるわけでございます。  外国の事情とよく比較されるわけでございますけれども、外国の場合ニューヨークの周辺、あるいはサンフランシスコの周辺に大体同じような区域の中に幾つかの空港が併存しております。ただ外国の場合ですと空域が比較的自由に使えるという条件がございます。ところが、大阪地区の場合ですと、今度の関西新空港につきましては、地上に与える騒音をなくするというのが大きな一つの目的になっておりまして、海上だけで飛行経路を設定しようということになっております。それから神戸の場合ですと、神戸のすぐ北の方に六甲山系というのが約千メートル近くの山並みがございます。そういう自然条件あるいは社会条件というものの制約の中でその三空港が併存できるかどうかということにつきましてはいろいろ問題があるわけでございまして、現在この神戸沖空港の問題につきましては、兵庫県、神戸市におきまして空域問題、そういった空域問題を含めて調査中であるというふうに私ども承知しておるわけでございまして、そのような調査結果を待ちまして、その結果も参考にしながら空域管制の問題等を含めまして今後運輸省としての考え方を詰めてまいりたいと、かように考えております。
  145. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 地方空港の場合、場所の選定、気象データの収集、環境のアセスメント、また今お話ございました空域管制の問題、そのほか船舶の航路の問題等々いろんな問題があろうかと思います。そういう面でよく国と地元と連携を密にしていただきまして、やはり綿密なる分析の中で、また方向づけという時期等が来れば、それはまたそのときに明快なる判断をしていただきたいと思います。  では次に、地震の予知の問題について質問したいと思います。  きょうのNHKのテレビでも、伊豆大島で三十三回にわたっての微震が続いているということ、日本列島という宿命的な問題の中でこれはおろそかにはできない問題でございます。そういう意味で簡単に質問をしたいと思います。  まず地震の予知についてでございますけれども、災害は忘れたころにやってくるとよく言われております。特に、地震対策は決してこれは油断をしてはなりません。常時観測体制を整備し、強化拡充を怠ってはならないと思います。  まず、地震の予知について気象庁に若干の質問をしてみたいと思います。  地震予知機能が正常に作動した場合、次のような手順を経て警戒宣言が発令されると思うわけでございます。一つは各種観測データの常時監視、二番目に異常現象の発見、三番目に判定会の開催、四番目に地震予知情報の報告、五番目に閣議、六番に警戒宣言、七番に防災強化計画に基づく対策実施。この際、大規模な地震、マグニチュード八以上の発生のおそれがあると判断をするのが地震防災対策強化地域判定会であると聞いておりますけれども、大規模地震が発生することを予知することは現在の科学の力をもってしても果たして可能なことなのかという素朴な疑問が生じるのでございます。これについて気象庁長官はどのように考えていらっしゃいますのか、御所見伺いたいと思います。
  146. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 先生指摘のマグニチュード八クラスの地震の問題でございますが、いわゆる海溝性地震でございまして、一番今問題になっている東海地域に発生のおそれがあると予想されているわけでございますが、これは今委員がおっしゃいましたように、常時監視をし、その前兆現象をキャッチするならば、短期あるいは直前の予知ができるであろうということが非常な高い確率で考えられるわけでございます。しかし、残念ながらマグニチュード七クラスの地震におきましては、まだその発生機構なるものが十分わかっておらないのでございまして、ただいま研究段階でございまして、鋭意その研究を進めているわけでございます。  それで、その前兆と申すものでございますが、マグニチュード八と申しますと関東大震災程度のあのくらいの大きさでございますが、あのような大きな地震が起きる前には、長期的あるいは短期的にあるいは直前的に変化があるのであろう。それで特に小さな地震が、まあこれは我々基準としてはマグニチュード四以上というのを目安にしているんでございますが、小さな地震がびりびり、びりびりと起こってくる、これが何日か前から起こってくる。それが例えば二、三日前とかということになると活発化してくる。ある判定基準があるんでございますが、例えば一時間なら一時間の間に何個以上とか、こういうことが起こることが予想されるわけでございます。これは過去のいろいろなデータからもそう考えられるのでございます。それから地殻ですね、我々の住んでいる地殻がゆがみ、このゆがみに変化があるであろう。それから傾斜でございますね、わずかの傾斜も今キャッチすべく観測体制をしいているわけでございますが、傾斜が少しなりとも変化があるであろう。それからまだいろんなことが言えるんでございまして、地下の水位でございますね、あるいはラドンというものの濃度などなどというようなものが、巨大な地震の前には変化があるはずである。これを我々判定会の基準としましては二、三日ぐらい前にキャッチし、なお迫ってきた場合には数時間前に予知情報を総理に届けるというようなことまで考えておるのでございます。  しかし、ついでで申し上げますけれども、現在のところ、今までのうちでは異常と申しますような現象はあらわれておりません。しかし、有名な言葉で、あす起こっても不思議でないという言葉がございますが、非常にある意味で大規模地震が近いであろうという予想は我々立てているわけでございます。
  147. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先般、東大の茂木教授が東海地域における地震発生状況を震源の深さから分析され、かつては二十キロより浅いところの地震が多かったが、最近はその震源は二十キロメートルより深いところの地震が多くなってきていると発表しておりましたけれども、こういう観点の中で、この情報について気象庁がどのように判断されていらっしゃいますのか、また東海地域だけに限った場合に、その地震観測の中で現在までのところ判明している異常というもの、そういうふうな変化相というものが出ているのかどうか、そういう点わかりましたら教えていただきたいと思います。
  148. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 茂木先生は私どもがお願いしてある判定会の委員の有力なメンバーでございます。それで、先ほどこのように新聞紙上でも、茂木先生の説が述べられたのでございますが、前兆に関する学説なるものはいろいろございます。  それで、この茂木先生も非常に専門家でございますので、このような研究でございますね、昭和五十五年を境にして先生が御指摘になったようにだんだん深くなってきたじゃないか、これは過去の南海あるいは東南海地震のときでもものすごい地震が起きるちょっと前に非常に地震が深くなってきた、茂木先生もそれに着目しまして分析しましたところ、だんだんと、いわゆるプレートテクトニクスという学説の中のプレートが潜り込んでいってあるひずみがたまってはね上げて地震が起きるわけでございますが、その起き方がだんだんと深いところへ入っていくというところで一つ説が出てきたわけでございまして、非常に東海地震の予知の上で我々は貴重な御意見一つとして承っておるわけでございます。  それで先生指摘のように、気象庁は常時監視という立場でこれを四六時中当番者が張りついて異常現象をキャッチしようと励んでいるわけでございます。それで短期あるいは直前予知のための監視を続けておるのでございますが、この想定震源域というのがございまして、静岡県の沖のところですね。その近くでマグニチュード四クラスがびりびりと起きたときはございます。去年も起きましたけれどもやんでしまいました。それでさっき申し上げましたようなある限られた時間の中でびりびりびりびりと連続的に起きて、さあこれは前兆かもしらぬぞというようなことがありますれば、もちろん我々は報道機関を通じてもいろいろ発表いたしますし、いろんな観測強化に励むわけでございますが、現在のところ発見されておりません。
  149. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 気象庁の予算を見ますと、地震活動等の総合監視システムの整備を行うべく六十年度は千九百万円、六十一年度が二億七千五百万円、こう両年度において計上されております。この監視システムというのは全国の地震観測、こういうふうなことでデータの収集及び分析のコンピューター化、非常に広範囲にわたっておるようでございます。こういう総合的なデータの分析及び収集、スピーディーにやっていただく、そういう精度の高いもの、こういうふうなことを考えておりますとやはり観測網の整備というものが早く達成されなければいけない、こういうふうな感じがするわけでございます。そういう中でまだ未整備の分野というもの、そういうのはどういう点が残されているのか、この点伺いたいと思います。
  150. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 今先生がおっしゃいましたように、地震活動等総合監視システムと申しますのは、今まで人間がマニュアル、いわゆる人力で総合判断していたのを、コンピューターでやれるものはいち早く計算し津波予報などを五分以内に出そうじゃないかというところのシステムでございますが、それでそのような津波予報の迅速化という、それから東海地震の短期直前予知の確度をもっとよくしなきゃならぬ、確度を向上しなきゃならぬということ。それから判定会の先生にいち早く過去のデータあるいは現在のデータをぱっと提供する、こういうことのために今整備しているわけでございまして、この整備をこの二年の間に整備いたしまして、できるだけ早く皆様に確実な情報をお届けしたいと思っているわけでございますが、この地震観測体制ということにつきましては、実はこのシステムができましてその成果などをよく調べ分析して、それから今後とも整備の拡充を図っていきたい、こう現在のところは考えている段階なのでございます。
  151. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 五十八年度の気象庁の予算の中で、これは前のことですけれども、地震予知に関する実験及び理論的な研究というのが五十八年度ではもう既に終了したわけですね。これは当初の目的が達成されている意味なのか、これで予算切れてますので。それとも地震予知についての理論体系というものがもう完璧にできたと、そういう意味でこれは終了したのか、そういう点はいかがでございますか。
  152. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 五十八年度で終了いたしましたのは地震予知に関する実験的及び理論的研究ということでございまして、これは六十年度、六十一年度にかけて進めておりますところの今御指摘の地震活動等総合監視システムに十分に生かされているわけでございます。  それから、その後五十九年度から五年間にわたって、なお何といいますか、問題になっております直下型地震、特にマグニチュード七クラスの直下型地震は研究段階でございますと申し上げましたが、この直下型の方に気象研究所の特別研究のお金をいただいているわけでございます。
  153. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 現在、今お話ございました「直下型地震予知の実用化に関する総合的研究」、これは予算書にも明記をされております。こうした地震予知に関する研究については、政府関係では気象研究所以外また別の面で非常にこれが研究されて、非常に気象庁としても横の連携をとっているんだというふうなところがございましたらちょっと御披露していただきたいと思います。
  154. 内田英治

    政府委員(内田英治君) お答え申し上げます。  研究観測機関は随分多方面に分かれております。国立防災科学技術センター、それから国立大学が多く参加しておりますし、移動観測所、それから地質調査所、それから海上保安庁、それから気象庁、それから国土地理院、それから電波研究所、このような機関が実は研究観測機関としてあるのでございまして、お互いに非常に密接な連絡をともにし、また判定会にも関係の機関には参加していただいておりまして、それからもちろん気象庁には参考データは全部テレメーター化して入っておるところでございます。こういうふうな事情でございます。
  155. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、運輸大臣に質問いたしますけれども、六十年の三月二十五日に地震防災対策強化地域判定会会長の浅田敏さん、東海大学の教授、国会へ参考人でお見えになったと思うんですけれども、地震に関する基礎研究費の不足を訴えておられます。今もお話を伺いながら、気象研究所における地震研究は三千万円にすぎないと私は予算の中で見ているんですけれども、地震の国日本の研究として非常にわびしい、寂しいような気持ちがするわけでございますが、この予算の状況から見て、まず気象庁長官、この点についていかがなのか。その後運輸大臣にお伺いしたいと思います。
  156. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 先生指摘のお金のことでございますが、気象研究所では実は「直下型地震予知の実用化に関する総合的研究」という、そういう特別研究がございます。そのほかに地殻内の地震活動と発生機構に関する基礎研究などなどいろいろの研究を行っておりまして、事項別の経費として六十一年度は先生がおっしゃったような三千万円というものが計上されております。ところが実はそのほかにも経常研究費と申しまして細かな研究費もございますし、それから共通経費といっていろいろな部が共通に使うお金もございます。それから特に最近コンピューターが非常にすぐれて、大型スーパーコンピューターがもう既に導入されました。そのための共通施設費などなどとございまして、こういうものを集めて相当なお金をいただいているわけですが、これを分離して、じゃこの今の地震予知にどれぐらいなるかと、こうやるのは非常に難しいのでございます。  それで、今のところ気象庁としましては、測地学審議会というのが、私たちも、気象庁も入っているのでございますが、測地学審議会の地震予知に関する計画がございます。その計画の趣旨に沿いまして、必要と思われる施策を進め、当面のお金をいただいている、こういう現状なんでございます。
  157. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 内田長官、少ない予算の中で大分御苦労をして頑張られております。  実は先般、国会の合間、ちょっと空白が出ましたときに、気象庁を三時間余にわたり拝見させていただきました。非常に努力をされ、英知を集めて頑張られております。そういう意味で、この東海地震の予知体制、大変重要な問題でありますし、他の諸政策、津波等の予報についてもそうであろうと思います。  そういう点で、この準備体制、また技術完成に向けて、必要な予算につきましては、来年度概算要求につきましても運輸省として果敢にこれを要求し、進めてまいらなければならぬと、実態を拝見をさせていただきましてそのように思ったところであり、本日矢原先生から本件について強い御指摘をいただいたことを肝に銘じて、これから取り組んでまいります。
  158. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 地震研究所というふうな強力な専門的なそういうものは、政府としては、さらに将来にわたって被害を防ぐという意味では検討されたのかどうか、そういう点はいかがですか。
  159. 高多康次

    説明員(高多康次君) 科学技術庁は、この地震観測予知の推進につきまして、地震予知推進本部というのがあるわけでございますが、その本部長が科学技術庁長官になっておりまして、この地震予知推進本部を通じまして、地震予知の研究につきましても、政府関係機関及び国立大学との緊密な連携協力のもとに総合的な推進を図っていくというところでございます。  ただいま先生がおっしゃいました総合的な研究機関の件でございますが、地震予知の推進のためには、多種目あるいは多点にわたる観測、それからデータ処理の方法論、こういうものを含めまして多角的なかつ総合的な検討を進めることが極めて重要であるというように考えております。そのためには、先ほど気象庁長官の方から御紹介がありましたような、各機関がそれぞれ持っております特徴を生かしまして、その各機関の得られました観測データ及び研究成果というものを相互にチェックし合い、検討し合うということで行うということが、一つの研究所で総合的に行うというよりもより効率的に行えるんではないかというように考えております。  なお、研究データ等の専門的事項の検討や評価につきましては、学識経験者、各研究機関の委員等から成っております地震予知連絡会の場で随時検討がなされております。
  160. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 長官、気象庁から出ておる、これは過去百年間の主な津波の被害の、その中で、三陸地震の場合はマグニチュードが八・五ですか、そういうあれで岩手県では二十四メートルの津波が来てますね。それで、死者、行方不明が二万七千人。それから関東大震災のときは七・九でございますが、それによって千葉県の館山では八メートルの津波、十四万二千の方々が死者、行方不明になっておりますね。それでまた、三陸地震の昭和八年では八・一のマグニチュードで岩手県の三陸では二十五メーターの津波が来ているわけなんですが、それで三千人近くの犠牲の方がいらっしゃる。こうなってきますと、今後津波の面だけを見た場合に、日本の国のそういう危険地域において、関東大震災では、館山で八メートルの津波、十四万が犠牲になっております。岩手県の想像できない、この二十四メーターから二十五メーターの津波でやはり数万人の被害がございます。  これがもし、周期的な面から見て非常にこれは長い期間になっておりますから、地球の地殻構造の面から見ましても、やはり近い将来不幸なことですけれども予測もしておかなくちゃいけない。こういう場合に、これらの非常に高い津波に対して防げる方法というものが技術的に今の研究の中であるのかどうかということを伺ってみたいと思うんですが。
  161. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 大自然の現象をできるだけ人工的に防ぐという問題は、非常に大きな問題でございますが、この津波と申しますのは、実は地震の震源域の距離と地震の大きさと海の深さ、こういうものの関係で起こるものでございまして、それが本当に陸地のそばで起きました場合はいち早く津波が参りますので、これは海岸にいる人はいち早く地震が起きたとなれば逃げる以外にない。それから、私たち気象庁としましては、先ほど申し上げたような総合監視システムでできるだけ早く情報を伝え、特に大きな津波が来たときに海岸にいる人に対してはできるだけ注意を喚起するという、このことを一生懸命心がけているわけでございます。  また、ただこれは人工的に、例えば大きな堤防をつくるとか、あるいはそのほかのことにつきましては、別な自治体その他、ほかのところで処置しているところでございますが、この死人の数につきましても、後で担当の部長や課長が来ておりますから一言あるいは申し上げたいと思いますけれども、これがこのまま、例えば何メートルの波が来たからといってそれだけまた被害が起きるというようなこととはまた違う問題だと思っております。
  162. 河村まこと

    説明員河村まこと君) 先ほど先生指摘の関東地震の死者でございますが、これは御存じのように東京の火災によりますものが大体十万でございまして、津波による死者というのは数百名だったと記憶いたしております。  それから、確かに三陸津波の場合には二万人を超す大きな死傷者が出ましたが、これは今のような津波予報あるいは警報体制が整っていなかった時代のことでございまして、現在では津波予報を迅速化することによりまして対策が十分立てられると考えております。
  163. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 あなたはそれは専門家ですからあれですが、僕らも現地いろいろ視察することございますけれども、やっぱり二十メーター以上とか十メーター前後の場合にやはりまだ完璧ではないように感じるわけです。だから、そういうような点よく努力をしていただきたいと思います。  今は津波の問題を言ったわけですが、これが内陸の地震の被害の場合も、関東大震災の場合はそれは木造の建物とか地震の報知の問題とかいろいろ徹底しなかったと思うんですけれども、七・九のマグニチュードの中で約十万人近い方が亡くなっていらっしゃいます。行方不明が四万三千、家屋の全壊が十二万八千、焼失の家屋が四十四万七千軒、これが関東大震災の状況でございます。こういうふうに見ますと、内陸の場合でもマグニチュード七・九以上、八ぐらいになりますと、紀伊半島沖でも八が出ておりまして、当時死者が千三百人、いろいろ出ておりますけれども、やはり日本の国は地震のそういう宿命を持っていると仮定をする中で全知全能を傾けていくということが非常に大事であろうと思います。  この内陸の場合は、今長官あれですか、関東大震災のようなマグニチュード七・九、それ以上の八、過去の状況から見て、そういうふうな場合、これは今東海だけに論議を集中しておりますけれども、東海地域だけではなしに東京で今マグニチュード八の場合を想定した場合、津波は別としまして、内陸の場合の震度によるこの地震被害、こういうふうなものから見ましたときに現在ではどういう対応ができる状況であるのか、その点を伺いたいと思います。
  164. 河村まこと

    説明員河村まこと君) お答えを申し上げます。  過去に濃尾地震というのがございまして、これはマグニチュード八クラスの地震でございまして、確かに直下型地震と呼ばれる地殻の内部で起こります地震でございましたが、実際にその後いろいろ調べてまいりますと、大体直下型地震と考えますのは七クラスの下の方であろうと今考えられておるわけでございます。  そういうことで、確かに局地的には震度七ぐらいの烈震、激震というようなものが起こる可能性があるとは思いますけれども、残念ながら、先ほど長官から答えましたように、内陸のこういった直下型地震の予知ということは技術的にまだ解明されていない部分がたくさんございます。そういうことでただいま気象研究所で鋭意その勉強をいたしているところでございます。
  165. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間参りましたので、最後に運輸大臣に御答弁をお願いしたいと思うんですが、今大規模地震対策特別措置法における地震防災対策強化地域指定というものは東海地域六県、百七十市町村に限られております。これは東海沖大規模地震というものを想定をされた対応だと思いますけれども、今、過去の被害状況から見まして南関東地域、これは東京を中心とするそういうところでございますけれども、やはりこういうものも想定もされるわけでございます。そういうことでございますから、先手先手にやはり技術の総力をもって対応というものを考えていただかなくちゃいけないと思います。  そういう意味で私は、一口に言えば予算が非常に少ない、こういう問題と、もし起きたときに極力被害は少なくしていかなくちゃいけない、こういう観点からこの地震問題というものを取り上げているわけでございますけれども、これらを絡めて今後の地震に対する対応、こういうことを該当地域の人々は大変やはり心配をしているものでございます。そういう点について最後にお伺いをしたいと思います。
  166. 内田英治

    政府委員(内田英治君) 先生がただいま御指摘になりましたことは非常に私たちも重要なことであると思っております。今回のことにつきましては、大震法による地震防災対策強化地域ということで指定されたのでございますが、中央の防災会議検討を経まして内閣総理大臣が指定することになっており、そう定められたわけでございます。  それで、先ほどから話題に上っております東海地域だけが現在指定されているわけでございまして、南関東は地震予知連絡会の観測強化地域という意味では指定されておるんでございますが、大震法になるものではございません。もしもこの南関東地域が大震法のような法律による指定を受けた場合には、その時点で対策を十分見直していきたい、こう考えておる次第でございます。
  167. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 地震対策については、気象庁を中心に迅速な予知ができて対応できるということに全力を尽くすことは当然でありますが、御指摘は東海地区以外の地域についての対策について万全を期せという御趣旨であろうと存じます。  既に海岸事業五カ年計画の中で大船渡では津波防波堤を実施済みであります。今度の新計画の中で、釜石、久慈、いずれも三陸津波地域に相なっておるわけでございますが、このような措置をさらに事前の対策として講じてまいりますように、今後も予算措置等について連携をとりつつ取り組んでまいるつもりであります。
  168. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 それでは、今直面しております造船危機に対する救済の問題を中心にいたしまして御質問をしていきたいと思います。  大臣ももう既に御承知のように、造船産業が今極めて大変な危機に直面をしておる、こういうことはもう既に認識されていると思います。私もこのところ三カ月ぐらいにわたりまして全国の造船の職場をできるだけ回ってきたわけでありますが、肝心の船台に船がない、人もない、まさにがらあきの状態というのが非常に多いわけです。まさしく造船産業は今どん底の状態を迎えているのではないか、こういうように実感をしているところです。  六十二年あるいは六十三年危機説ということが言われているわけでありますけれども、六十二年ということになるともう来年でございます。それを、その六十二年危機説をまさしく裏づけるような、裏書きするようなそういうような実情ではないか、このように。思います。  造船労使にとりまして船台に船がないということは本当に悲しく寂しいものだと思うわけですから、とにかく日に日に仕事の量が減っていく、新造船の受注もままならない、この先一体どうなるのか先行きまさに真っ暗、うめくような声が現場から私は聞こえてくるように感じ取ったわけであります。  構造転換ということが叫ばれておりますけれども、これも容易ではない。よほど本腰を入れて対策を講じないと、なかなかそこまでいかないぞということも感じているところでありますが、そこで大臣はしばしば国鉄の職場などには足を運ばれまして現場の実情を非常によく把握をされまして、したがって国鉄再建につきましては的確な方針も持たれている、このことにつきまして私も尊敬をしておるわけでありますが、この際、行動の三塚の面目を発揮いたしまして、造船の職場も足を踏み入れて、その現状を実感していただきたい、こう思うわけであります。必要ならば私どもは案内役買ってもいいわけですが、そういうことで本当の実情を把握をしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょう。
  169. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 国会の論議を通じ、また関係業界、組合の皆様方の御陳情などにも接して、深刻な度合いは存じておるつもりでありますが、やはり百聞は一見にしかずという先人のことわざもこれあり、御指摘のようにぜひ国会の審議の許される合間の中で出向いて、さように現地で物を見、また実際にお話を聞かさしていただくなどして、今後の対策に万全を期してまいりたいというふうに思います。
  170. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ひとつ大臣よろしくお願いいたします。予算案も通過した段階で、ひとつ考えていただきたいと思います。  そこで、五十三年の危機の際には、これは運輸大臣の告示によりまして造船企業が設備を三五%削減、その結果、実に六万八千人の労働者が職を失ったわけでございます。五十一年の当時、二十四万四千人おりました造船に働く人々が、五十三年には十七万六千人に減っているわけでありますから、実に六万八千人、この方々が職を失ったわけです。この六万八千人の職種転換のために、これはもう労使が一体となって、それこそ血眼になって新しい職場探し、これをやったわけでございます。五十三年当時は、まだ高度経済成長時代の余韻が残っておりましたから、あるいは他産業がまだそういう状況でありましたから、比較的にと言ってもいいかもしれませんが、スムーズにいったと思うわけでありますが、今はちょっと様相が違います。製造業は、御承知のように円高によって相当みんな苦しんでいるわけでありまして、したがって五十三年当時と、今回生じつつある余剰人員対策というものはちょっと様相が違う、こういうように思います。  今、私も歩いて感じますことは、現場の今労務担当者は本当にこれは血眼になって、足を棒にして従業員の出向、派遣先探しに本当に毎日夜を徹してと言ってもいいかもしれません。そういう深刻な状況で職場探しをやっている、こういう状況であります。しかし、それでもまだ追いつかないということですね。  したがって、大手の場合には、御承知のように定年延長をしようというところを途中で定年を凍結をするということで、これは実質的に涙をのんでやめてもらおう、こういう対応をしているわけですね。しかも、五十八歳から六十程度の方々にやめてもらうということになりますと、この人たちは一番生活費がかかる時代ですね。こういう人たちが職場を今失っていく、こういう状況であります。あるいは大手の日立、三井に見られますように、賃上げもこれはやらない、こういうことで労使が合意をしている。非常に深刻であります。  そして、中小はどのようにしてこの危機を突破していこうと考えているかというと、労働時間を年間百時間から百五十時間延長して、そして競争力をそういう形でつけていこう、こういう対応をしているわけです。それでもなお先行きが不安ですね。したがってこれからさらに工場閉鎖が出てくるかもしれないという危機感があるわけです。  そこで、御承知のように、造船重機に働く者の団体であります造船重機労連は、各関係組織との密接な連携をとりながら、実はその出向、派遣の仲介業までやろう、こういうことまで決意して、その準備態勢に今入っているわけですね。事態はますます深刻化している、このように思います。  大臣も既に御承知のように、造船産業は高度経済成長の時代に日本の経済成長の中心的役割を果たして、経済成長を引っ張ってきたわけですからね。そういう役割を果たした造船産業を私は見殺しにしてはならない、こう思うわけでありますが、したがって強力な、緊急な救済対策、こういうものを講じてほしい、これが強い願望であります。  そこで例えば、当面の緊急対策として、この造船というのは非常に高度な技術がありますから、そして設備の汎用性というものがありますから、そういうものを生かして公共事業の鋼構造物事業ですね、これらを優先発注させるような、そういう政策を進めていただきたい。そのためには自治省や、建設省や、通産省や、そういうものを通じて総合的な形で積極的な支援態勢をとる、こういうことが欲しい、こう思うんです。  また、前回の不況時にも、これは政府自治体の保有する官公庁船の大量発注、例えば官公庁船の近代化合理化あるいは耐用年数を厳守させて新しい船をつくる。いわゆる今は緊縮財政のもとで耐用年数が延ばされておりますから、それをやっぱり正常な形にして、そういう形で仕事量の不足を補う、こういうものを今回も進めていただきたいと思うがいかがであろうか、こういう点でございます。  特に造船の場合には、これは造船のあるところは造船城下町でございまして、造船がおかしくなると、その地域全体がおかしくなるという、非常に地域経済に影響力があるわけでありますから、その点も考慮いたしましてそういう緊急な対策がとれないのかどうか、この点をお伺いをしたいと思います。
  171. 三塚博

    国務大臣三塚博君) もう伊藤先生も御案内のとおり、この造船業の危機的状況を脱しよう、こういうことで、内航船はもとより、今回外航船の解撤も法案化させていただき、法律が成立をさせていただきますならばそれに対応をしてまいるということで、まず基本的な点はそこに一つあります。海造審の答申を得て、さらに需給調整のバランスをどうとるかというのも一つあります。しかし、御指摘のとおり、緊急措置として打つべき手を打て、こういうことでございまして、かつての五十三年の状況を十分参考にしつつこれに対応していかなければなりませんし、そのために必要なことは関係省とも協議をしなければならぬと思っております。  さらに、運輸省といたしましてこれらの仕事の創出についてどうやるか、こういうことでありますが、海上保安庁、官庁用船、これは当然そういうことになりますし、防衛庁初め、その他の点につきましても、あるいは若干経済摩擦になるのかなと思いつつも、LPG,LNG船の国際入札参加と、こういう形の中でも果敢にそういうものに取り組まさしていただきながら仕事をつくっていかなければならぬだろうと、このように思います。  また、ノーハウを使われまして、橋梁等、公共事業にも進出をいたしておられるわけでございますから、この点も優先発注とはなかなかまいらぬだろうと思いますのは、公共事業が抑え込まれておりますものですから、建設業その他も大変そういう意味で競争が激しく相なっておるわけでありまして、その点を加味しつつも主管官庁として、やはり御指摘のように造船の町は一つの町でありますものですから、造船業を持つ県及び自治体、こういうところにこういう期間こそ優先的に地元企業育成ということでお取り組み賜らんだろうかと、こういうお願いを申し上げてまいらなければならぬと思っております。さようにひとつ取り組んでまいるつもりであります。
  172. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ぜひひとつ積極的な推進をお願いいたします。  地方自治体の中には、造船業を誘致してそこへ企業を持ってきたところもかなりあるわけですから、そういう意味でぜひともお願いを申し上げたい。  それから、今大臣も触れられました解撤事業ですね、これはまさしく雇用確保と船腹過剰の解消ということで一石二鳥の効果がある、こういうように思っておりますし、今度三年間で百九十万トンの解撤を進めようという法案も準備されているわけでありますが、問題はこれが予定どおり進められるのかどうか、ここが問題であります。  例えば、前回の不況時の場合も、これは五十四年から三年間かかって四百万トンの解撤を進めようということで進めてきたわけですが、実際には七年かかっているわけですね、やっと六十年において四百万トンが実現したと、こういうことですから。  それには原因はいろいろあります。解撤が進まない要因というのは幾つかあるわけでありますけれども、その中の一つは、やっぱり鋼材市場の値動きが激しいために採算ベースに乗らないということがあるわけですね。それから、解撤する側は解撤する場合に非常に危険度が伴いますから、その点のコストも高まる、こういうことで、これは一つの例なんですけれども、そのほかにさまざまな原因があります。  そこで、これは検討をしていただきたい私どもの提案ですけれども、その一つは、この解体された再生材を市場任せにするのではなしに、これをプールして市場の安定を図るような方策がとれないのだろうか、これが一つでございます。そして、それが困難であるとするならば、解撤事業に関連した事業者に対し税制上の特別の優遇措置を講ずると、そういうような方向がとれないものであろうか、これが第二点でございます。そしてまた第三点としては、今解撤のための助成金も出ているわけでありますが、これを大幅に引き上げる、こういうことによって五十三年当時計画をした解撤事業の経過から考えまして、その愚を再び繰り返さないためにもこういう形で具体的な対策を立てながら進めていっていただきたい、こう思うわけであります。  もちろん、今度の法案の中にはこの解撤のための債務保証の点では非常に一歩前進をしていると、したがってこれでもかなり進むだろうとは思いますが、もっと具体的なきめ細かな対策を立てないとこれがなかなか進んでいかないのではないかと予想をされるわけでありますが、その点についての御見解を大臣にお伺いいたします。
  173. 間野忠

    政府委員(間野忠君) 解撤の問題でございますけれども、ただいま御指摘ありましたように鋼材市場の値動きが非常に激しいということは事実でございます。  ただ、コストになりますスクラップする船を買う値段とそれから売る再生材の値段とは大体連動して動いておりますので付加価値という面では変動はありますものの、買う時期、売る時期さえ間違えなければ付加価値という点では余り変化はないかというような気がいたしております。したがいまして、実際事業者がやる場合には解撤が済んですぐ売るというようなことではなくて、やはり市場の動きを見ながら再生材を処理していくということをとっておられるのが実情であると思います。  それから、解撤の助成金につきましては、そうは申しますものの難しい問題でございまして、最初スタートしたときにはトン当たり六百五十円という非常に安いものでございましたけれども、その後何度か助成金の額を上げていただきまして最近では二千八百四十円でやっておってまいったんでありますが、六十一年度からは単価を三千二十円に引き上げたいというふうに考えております。この助成金の性質でございますけれども、先ほど申しましたように、助成金の額を決める上ではスクラップしてから再生材を売り払うまでの金利負担というようなものを考慮して補助金の額を決定しておるわけでございます。
  174. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 解撤の問題で、もう一つは、これは中国や東南アジア、発展途上国、これは再生材を幾らでも欲しいと、こういう環境にあるわけでありますが、そういうことですから国際的な解撤事業の促進、これはもう運輸省もかねてから考えられておりまして、その対策を推進されているようでありますがいまだに実現をされていない、私はそういうように判断をしているわけでありますが、一体どうしてその辺のところがなかなか進まないか。原因はいろいろあろうかと思いますが、その辺のところをもしおわかりならば御説明いただきたいということと、私はこれらの発展途上国の国々の解撤の能力を助成するために、経済援助という立場から低利の融資あるいは技術援助というものの特別枠を設けて経済援助の立場から積極的にこの国際的な解撤事業を促進すべきだ、こう思っておるわけでありますが、その点についての御見解をお伺いしておきます。
  175. 間野忠

    政府委員(間野忠君) ただいまおっしゃいましたように、過剰船腹を解消する上では、我が国だけではなくて国際的に解撤を促進するということは非常に重要であると考えております。そこで、発展途上国の中でも工業化の進展に伴いましてかなり鉄鋼需要が起こっておるわけでございますので、これらの諸国で船舶の解撤が行われますとこういった国の経済成長にも非常に効果があろうというふうに考えております。  ただ、御指摘のように、かなりこういう国で解撤量はふえておるんでございますけれども、さらに促進する必要はあると考えておりまして、六十一年度の予算案におきましても、中国あるいは東南アジアにおきましてその解撤を促進する上での必要な基礎調査とそれから技術の普及向上に関する資料の作成、そういったことをお願いしておりまして、こういったことによって発展途上国における解撤も促進してまいりたいと考えております。
  176. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今局長答えられたとおりでありますが、御指摘の経済協力につきましては、今の技術の普及の進行状況とのバランスがあると思うのでありますが、本件も本問題を解決する一つの重要なポイントかなと思いますので、その辺、経協四省庁、特に外務、経企等々と連携をとって研究をいたしてみます。
  177. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 ぜひひとつお願いをいたします。  時間が迫ってまいりましたので最後になると思うんですが、大臣も先ほど申されましたように、私どもはこの造船産業の危機の突破を何としてもしなければならないと考えまして、大臣にもさまざまな形で要望を申し上げてきたところでございます。  例えば、新規需要を創出させるために、政府、業界、労働組合、この三者による需要創出特別委員会、これは仮称ですけれども、そういうものを設置して話し合いの場を積極的に設けていただきたいとか、あるいは日本の美しい海あるいは夢のある未来をつくるために海洋開発事業として計画されている沖合の人工島あるいはマリンポリス、東京湾横断道路、公害の少ない海上空港、未来都市工業地帯の洋上移転等々海洋浮体工法を積極的に推進して具体化を図っていただきたいとか、さまざまな御要望を既に申し上げてきているところでございます。しかし、海造審の造船部会でも明らかにされておりますように、長期的な需要見通しによりますと大変見通しはなお暗いわけであります。したがって、思い切った造船以外への構造転換、これが必要であるということはもう大臣も重々御承知のことだと思います。しかし、これも構造転換も先ほども私言いましたけれども、言うはやすくなかなか難しい問題があるわけです。例えば船台を一基しか持っていないところの船台を一基つぶせばもうその造船企業はお手上げですね、つぶれてしまう。そういうことで、構造転換のための設備の削減一つとりましてもなかなかこれ容易ではない、こういうことも考えられるわけです。  そこで大臣、これもまた我が党議員が衆参両院の予算委員会などを通じまして大臣にも見解を求めてきた問題でありますけれども、私からもここで改めて御要望を申し上げたいことがあるわけです。  その一つは、関係省庁、通産、建設あるいは自治、労働、これらの関係省庁による連絡機関を設けて総合的な見地から本腰を入れた構造転換対策、こういうものが何としても必要だ、こういうように思います。この点については大臣予算委員会ども通じまして積極的な御答弁もいただいておるわけでありますが、具体的にこれを本当にこういう形で連絡機関なり、対策閣僚会議でも結構だと思うのですが、そういうものを設けていただくような、また設けて対策を推進しなければなかなかこれ進んでいかないぞと、このようにも思うわけでありますが、その点についてくどいようですけれども改めて御見解をいただきたい、これが一つでございます。  もう一つは、この構造転換を円滑に進めるためには、何と言いましても、これに必要な法的措置、かつて、炭鉱の離職者対策法なんていうのもありましたけれども、そういう意味の臨時措置法、そういうものがどうしても必要だと私どもはそのように考えているわけでありますが、この二点につきまして、大臣の御見解をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  178. 三塚博

    国務大臣三塚博君) ただいまの二つの御指摘につきましては、御指摘のとおり、運輸省としても既に所管間野局長を中心に、今言われました省庁の局長、担当官と絶えず横の連携をとりつつ取り組まさしていただいておるところでございますが、事態の進行をよくにらみつつ、もう一つは海造審の答申が六月ごろと予定をされております。その答申を受けてそれに見合う体制をどうつくるかというときに、当然そういう御指摘がどう生かされるかということにはなろうかと思いますが、先生の御指摘は、しかし今の状況ではなかなか決め手が出てこぬのではないかという御懸念も背景にあるやに推察をいたすわけであります。さような意味で、さらに局長も担当官の諸君も同席して全部聞いておるわけでございますから、さらに横の連携を今御指摘の通産、建設、自治、労働と密接にとらさしていただきながら、これに対し、それぞれ政府として何ができるか、もう少し研究をさせ、検討し、その成果の結果の中でどう対応するかということで、ただいま御指摘の連絡協議会になりますか、閣僚協議会になりますのか、その辺に展開をしてまいりたいと思いますし、そういう形の中できちっとした対応がとられていく、あるいは法制的にもっと何か果敢に取り組んでまいらなければならないということでありますれば、次の段階で特別措置法なり、しかるべき法制がそこに出てくるのではないだろうかと思います。  今日の段階におきましては、手おくれに相なりませんように今の体系の中でできますものはすべてとにかくやり抜いてまいるということで対応しつつ、前段申し上げました段取りの中で、十分ただいまの御提言を頭に入れながら対応してまいりたいと思います。
  179. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 よろしくお願いいたします。  以上でございます。
  180. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 最初に運輸省にお伺いいたします。  分割・民営会社に引き渡す資産のうち、新幹線、そして関連事業、出資株式、それ以外のものは簿価で引き継ぐということになっていると思いますが、そのとおりでございますね。
  181. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 逆の言い方をいたしますと、事業用に必要なものは本州会社と貨物会社、これについては簿価で引き継ぎますが、三島はそういう意味では債務は引き継がせない、こういう形でございます。
  182. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 国鉄伺います。  東京、札幌、大阪、神戸等の駅の各構内の用地の面積、そしてそのほか価格幾らになっておりますでしょうか。
  183. 前田喜代治

    説明員前田喜代治君) 東京駅ですが、二十二・七ヘクタール、簿価額が五億六千二百万円、それから札幌駅ですが、十・一ヘクタールで二億四千六百万円でございます。大阪駅ですが、二十六・七ヘクタールで九億一千二百万円でございます。神戸駅は七・五ヘクタールで一億一千七百万でございます。
  184. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今おっしゃいましたその数字を例えば坪当たりにしてみますと、東京駅の場合は今時価一億とも言われておりますけれども、その坪当たり今の簿価で割ってみますとわずかに八千二百円という価格になります。札幌駅の場合にも坪八千百十八円、私でも買いたいというぐらいの価格でお譲りになるわけでございます。  ところで、八重洲口等の売却予定地、そして線路敷地というものは当然除くわけですけれども、それを除いた面積というものは、計算してみますと、調べた結果およそ六ヘクタールくらいというふうに言われておりますし、実際にそうだと思います。この六ヘクタールの用地、有効に活用できるわけでございます。六ヘクタールで時価が一兆八千億円の用地がわずかの、簿価でいきますと一億四千八百万円で新しい民営会社に引き渡される、こういうことになります。仮に一ヘクタールだけを処分したとしても三千億円というのが、俗な言葉で言えばぼろもうけということになるわけです。処分しなくても、その莫大な資産価値を利用して不動産、観光、レジャー、高層ビルなど関連事業に進出して、ここでまた相当の大もうけができるということでございます。  現に、私が言うのではなくて、政府や自民党内で既にいろいろ検討されているということです。東京駅に日本一の高層ビルを建てようというような構想も、もう御承知のようにこれは赤旗だけじゃなくて各紙が出しているわけでございます。御承知だと思いますが、二月二十六日の日刊建設工業、「江藤建設相は二十五日の閣議後中曽根首相と会い、「都庁が移転することもあり、建設省としても東京駅周辺の再開発に知恵を出したい。例えば、東京駅の上に日本一の超高層ビルを建てる構想で、きのう、」——二十五日の前の日です、二十四日。「杉浦国鉄総裁とも話し合った」」というふうに出ております。御承知のことだと思います。また、これは読売さんですか、いろいろ出ているんですけれども、「政府・自民党は十八日、民間活力導入による都市再開発促進のため、江崎総務庁長官ら関係五閣僚、党幹部による連絡会議を開き、この場で、東京駅とその周辺に超高層オフィスビルを建設する東京駅再開発、」というようなことを決める方針だと、こういうふうに書かれております。また、ほかの新聞見ますと、これは日経ですか、「自民党内では既に天野民間活力導入特別調査会長らが内需拡大、地価抑制のため、東京駅の高層ビル化、東京・晴海沖の埋め立てなどを提唱しており、幹事長発言はこの構想を支援していく姿勢を明確にしたものだ。」と。読み上げれば切りがないからこの辺にしておきますけれども、もう既に東京駅を高層ビル化して、そしていろいろな観光、レジャーというようなものをやろうとしていると、こういうことでございますが、当然御承知のことだと思います。いかがでございますか。
  185. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御指摘の記事は一々私読んでおりませんが……
  186. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 みんな読んでおいてください。
  187. 三塚博

    国務大臣三塚博君) はい。朝、毎、読に出ております五閣僚との関係のときはちゃんと読んでおります。あれに正確に書いておるのと正確に書いてないのとがあるわけでありますが、民活はそれ自体内需喚起という意味で非常に重要な柱で、私も閣僚としてこれは参加をし、進めていかなければならぬという立場にございます。  さはさりながら、今御指摘のように、東京駅、超高層で空中権までどうでありますとか、それから既に監理委員会指摘があり、政府としても本社跡地についての売却ということは既定方針の中に入れてあるものであります。汐留またしかりであります。その分についての民活ということで、それも含めてということに相なりますと、私ども監理委員会の答申を尊重申し上げ、政府として改革法案もお出しをさせていただいておる担当大臣といたしますれば、そのことは軽々にのめないということを明確に申し上げたわけでありますし、方針どおりこれに取り組まさせていただかなければなりませんとこの点明確に申し上げ、江崎特命相は私のその申し入れを理解をしておるというふうに受けとめておりますし、党の方はなかなか受けとめておる方、運輸大臣の言われているとおりそうであろうという人と、いや、さはさりながら内需喚起で大変大事であるからなお考えでくれという人もおります。しかし、考えてくれという人に対しましては、国鉄改革国民共有財産を処分をしつつ、特に重要な鉄道の再生を願う、このことにいささかも狂いを生ずるようなことを運輸大臣としてはとるわけにまいらぬ、この点だけは明確に申し上げておるところであります。
  188. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が今指摘いたしましたのは、旧国鉄に残って、そしてそれは売却用地として指定されているというところは言ってないの。民活の東日本旅客鉄道旅客株式会社に移されるというその中の今言った六ヘクタールというのは使えると。これは売ろうと思えば売れるわけですよね。そして、ここで地上高層を建てれば非常に今言ったような大もうけができると、こういうことは許されてはならないと思うわけなんですが、それについては当然だとお思いになるでしょう。混乱しないで二つ分けてください。
  189. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 後段の方にお答えをいたしますと、それはまさに法律が制定をされました後に、あの地区は東日本旅客鉄道株式会社のエリアになると思うのでありますが、その経営者の皆さんがどう判断をするかでありましょうし、自分の中心になる東京駅を売って鉄道どこに行くかということになりますし、主管大臣、そのときはだれになるかわかりません、仮に私がそのままあったとすれば、そんなものは売らせるわけにまいりませんし、それはやっぱり、それはそれとして、鉄道会社の財産として、多角的にそれを直轄事業としてどう活用するか、こういうことになるべき性格のものだなと、こう思っております。恐らく後任の運輸大臣もそういうふうになると思うし、これはやっぱり改革の論議の中で取り決めました基本方針というものはそのようにならなければならぬと、このように思っております。
  190. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣、その売却予定地というものを除きまして民活の会社に譲り渡す、簿価で譲り渡すという土地が、今言ったように東京駅で六ヘクタールあるわけですよね。だからその民活の会社に——わかりませんか。民活の会社が譲り受けるわけですね、簿価で。その中の土地で六ヘクタールあるんだけれども、たとえ話を小さくして一ヘクタールでも、これを高度に、高層ビルを建てるとかいろいろと営業利益を上げようと思ってほかに貸したりというようなときには、その民活会社が自由にできるわけですよね、これは国鉄直轄でないですから、自由にできるわけですから。そうするともうかるわけでしょう、その民活の会社。簿価で譲り受けたその土地と、そして東京駅つぶすというわけじゃなくて、しかと東京駅にして上に何ぼでも建てられるんですから、そういうような民活の会社が簿価で譲り受けたその土地で俗に言うぼろもうけなんかをさせてはならないというのが私の考えだし、当然だと思うんですよね。そういうぼろもうけしないように、させないようにしなければならぬと思うんですよね。——それ首振っていらっしゃるけれども、ぼろもうけしていいんですか。
  191. 三塚博

    国務大臣三塚博君) それは民活会社と今言われておりましたが、民活会社ではなく、民間会社イコール私の言うここは東日本旅客鉄道会社(仮称)であるであろうと。ですからその会社が、会社経営の観点から空中権をどう活用してどうやるか、その土地をどう売るかということは、基本的には御指摘のとおり経営戦略で、そこの役員会なり株主総会の——といってもまだ国であるわけでありますが、その決定を得られればそうなるであろうということはあり得ます。あり得ますが、これだけの再生を期した鉄道改革の中で新鉄道会社が、ベースになる、特に日本の中心になるこの東京駅というものを安易に売りましたり、移譲したりということはあり得ないであろうと。大変重要なそこの基幹財産となり得るものでありますから、基幹財産を大事にし、多角的な利用、運用という点で収益を上げるということはあり得ますけれども、やはり経営者の方はそういう視点でやられるだろうと期待をいたしますし、また国が出資をして当分いくわけでありますし、当分の間そのままいくわけでありますから、そういう意味でそういう指導も行えるでありましょうし、株を放出して純粋民間会社にある時点に相なりましたとしても、その場合の物の考え方、事業その他について余り干渉はせぬことにいたしておりますけれども鉄道運営という所管官庁といたしますれば、やはりそれはそれできちっと保有しながらいくべきであると、こういうことでありますので、期待だけではなく恐らく経営者はそうするでありましょうし、また運輸省としてもそうあらねばならない。ただ、それはもうかると、こういう話でありますけれども、国が出資をしてつくる鉄道会社でありますから、そういう意味で財産が移転をしておるという意味にお考えをいただければよろしいと思いますし、東日本は東北を含めた広大なエリアの中で地域交通を担当をしていかなければなりませんものでありますから、そういう意味で前段申し上げました多角的な運用でできるだけ収益を上げて、それが鉄道経営にプラスになっていくように、売るということではなく、恐らく小笠原先生もよくそこの辺はおわかりだと思うんです。売るときは日本の鉄道がやめて撤退をして別な事業に転換をするときでありましょうし、そういうことはほぼ考えられないわけであります。新幹線ももうこれでスタート、高度交通を進めるわけでございますから、それは御信頼いただいてよろしいのではないかと、こう思います。
  192. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことはあり得ないとか、御信頼いただきたいとおっしゃるけれども、御信頼できないから質問をしているわけなんですね。だから、そういうふうな簿価でもって安く譲り受けたものを民営の会社になって多角的経営するんだというふうにしてどんどん利益を上げる。だけど、それはその会社の利益じゃなくて、それを安く貸与されたところの資本としては大もうけするわけですよね。だから、そういう不当な大もうけをすることがないように抑えるという具体的な歯どめというものがありますか。期待するだのなんかというんじゃだめ。そんな情緒的なことを言ったらだめ。
  193. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) 基本は大臣がお答え申し上げたとおりでございますが、これには二つの考え方、御意見があると思います。  一つは、新しい鉄道会社、極力私鉄並みの健全な経営をさせていくためには、関連事業に使えるような用地とかそういうものも持たせて健全にやっていくべきではないか、これも私ども大変傾聴に値する御意見だと思います。ただ、その反面、大変大きな債務をしょっておりますから、その債務の処理のためには事業団に極力渡し、それを売却等に充てて国民の御負担を少なくする。この両方の御意見があるわけで、その両方を両立させるような形で新しい経営体をつくっていくという考え方の中で、事業用に必要最小限度のものだけは簿価で渡す。ただ、それじゃ関連事業何もできないじゃないかというときには、その鉄道用の事業用の資産をうまく活用してある程度の関連事業を行えるような余地は残すと、そういうふうな考え方で今回の改革案を考えておるわけでございます。ここらのあたりはまた法案御審議の際にいろいろ御議論をいただくべきところだというふうには考えております。  そういう考え方で今の先生の東京駅というようなことで考えますと、東京駅の鉄道事業用に必要最小限度のものだけを新会社に引き継がせると。ただ、その際にはその鉄道の用地というのは、将来鉄道がまだまだこれから、例えて言えば、東京駅の地下の横須賀線の駅などをごらんになればわかりますけれども、昔は想定できなかったような鉄道の展開というのがあるわけでございますから、そういう観点からはある程度将来の鉄道の施設の展開に必要なものというものの可能性の余地も残してある。そういうような形の中で、仮にそこに高層のビルを建てるとか、そういうようなことである程度の関連事業関係が営めるということであったら、これは健全な私鉄並みの経営を行う会社として至当ではないかと。ただ、おっしゃるように、それが大変ぼろもうけになるとか、必要以上のゆとりのある土地を持たせて、それが直ちに売却とか、そういうものに回されるということはないようにしたいというふうに考えております。
  194. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私が聞いているのはそこなのよね。ぼろもうけさせない、そういう簡単に売却させないというようにしたい。その、したいの裏づけの根拠というのは何かありますか。
  195. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) まず、例えば渡しました土地を半分に集約して残りを売ってしまうというような場合がもしあるということでございましたら、これはいけない、これは事業用に使わないわけでございますから。その際には、これは清算事業団に先買い権というものを与えまして、渡した価格ないしは若干その後の物騰等を加味いたしました額で清算事業団が先買いできる、こういうふうなことを現在考えております。したがいまして、事業用に渡した土地を生み出してこれを売却とかそういうものに回すということはまずできない、こういう仕組みを考えております。
  196. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから、まずできない仕組みというのは何ですかと言うんです。
  197. 棚橋泰

    政府委員棚橋泰君) これも法案を御審議いただきましたら、その際にいろいろ御説明申し上げますけれども、今申し上げましたように、事業用に引き渡した土地を売却する場合には、法律上清算事業団に先買い権を与える。そして原則として売り渡した価格で買い戻させる、こういうふうなことを考えております。
  198. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあいろいろ問題があるんです。時間とるから、ちょっと先に具体的に進めますけれども、例えば、これは「丸ノ内」といいまして、これは三菱地所の社内報なんですね、八五年新春号。ここにこう書いてあるんですね。  空想小説、「丸ノ内二〇××年」というので、懐古しているんですね。  M地所の本社——三菱地所ですね、   M地所の本社は、東京駅の目の前にある。か  つて国鉄と呼ばれていた組織は数十年前に分割  民営化され、東京駅は東京鉄道輸送サービス・  コーポレーションの主要ターミナルとして大き  く変貌を遂げていた。もちろん単なる駅として  の機能だけではなく、ホテルやショッピングゾ  ーン、アスレチックゾーンなども組み込んだ複  合建築である。東京鉄道輸送にはM地所もかな  りの額を出資していたので、共同設計の形で建  てられたのだった。  三菱地所ですよね、今問題になっているのね。これもう素直ですね、もうちゃんとこういうふうに書いているんですわ。おたくの方ちょっと苦しい立場だから、いろいろね——いや、本当だよ、苦しいよあの答弁なんて、聞いちゃいられないよ。  だから、こういうふうにもう書いてあるし、実際にこれがメリットで民営の会社というものが出てきているわけですよね。例えばいろいろ言われてますね、五年以内だったら土地は売られないようにしますとかね。そうすると、日航法だとか、それから関西国際空港法なんか見ても、日航法だったら一億円以下は自由ですよね。関西国際空港法でも法律が出て施行される、その施行令見ても三億円以下なら自由ですからね。だから、それを民営の会社に移してしまったら自由ですよ。下は国鉄の駅にしておいて、上どんどんどんどん今言ったような夢みたいなものまでそこで大きなもうけがあるから一生懸命やっているんだということは、幾ら否定してもこれは事実なわけですよね。だから、そういうこともうきょうははっきり言いますけれども、そういうことがゆめゆめどっかの大資本が入ってここでひともうけしちゃった、これが民営・分割のメリットであったなんてことを言わせないという姿勢できちっとやっていただきたいと思うんです。  大臣、情緒的な言葉でごまかさないで具体的に言ってください。
  199. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 大変、昨年の、夢を書いたどこかの社内報、それはあくまでも社内報ですから論評の外といたしまして、ただいま御論議の中で交わされておりますことは、まさに国民共有財産を何としても守っていかなければならない、こういうことが基本なんですね。そういう点で鉄道再生のための手法が監理委員会によって出され、政府もそれを精査をし、それで修正をしつついこうということで法律提出に相なりました。よって、十六兆七千億円、国民皆さんの御負担をお願いを申し上げると、こういうことにこれなるわけでございます。  そうであります以上、共有財産でありますから、鉄道事業施行上必要なぎりぎりのものは鉄道会社にお持ちをいただきます。残りは売らさしていただきます。売る方法はもうかねがね言っておりますとおり、公正にガラス張りの中で処分をいたしてまいります。こういうことで、五兆八千億プラスアルファを生み出し国民負担を少なくします。こういうことでありますから、事業に必要な分だけが六分割会社がこれを持って進むわけでございます。ですから、それを売りますことは、今棚橋審議官言いましたとおり、事業に支障があることに相なりますし、この会社がアウトになるときにしか想定上ございません。そういうことでありますから、この財産は貴重な鉄道運営の最小限の財産でありますから、そのことはきっちりと再生のために使っていただかなければなりませんし、そうでない場合は、棚橋審議官が言いましたとおり、清算事業団がきちっと処置をするということで二重、三重に歯どめが相なっておりますから、日本共産党の皆さんが時々そういうことを言うんです。小笠原さんもきょうそういうことで言われておりますが、ゆめゆめさような御心配はございませんということを念のため申し上げます。
  200. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ゆめゆめ——本当にしょうがないんだよね、鉄道事業に支障を来さない、三十八階の高層ビルを建てたら三十八階にホームなんてつくるはずないの。そうすると、その下の土地は自分で押さえていて、そこを鉄道事業に使ったって上の空中権はどんどん、ただみたいな地所なんだから、安く譲り渡してもうけさせることができるのよ、だから私が言っているの。何にも具体的歯どめないですよ、今の言葉。これ、また次やりましょう。時間がなくなってきたから、今度は、これまだお預けですから、ゆめゆめ、もうこれでやめるということないですから気をつけてください。  では、次に国鉄伺いますけれども、広域配転が問題になっていますね、北海道から二千五百人。これは分割・民営化するために行うものですね、総裁
  201. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) おっしゃるようなことにも役立つわけでございますが、形の上では余剰人員の発生というのは、改革に伴いまして、この分割・民営のあるなしにかかわらず発生をする問題でございます。したがいまして、私どもは余剰人員対策につきましては、かなり前広に対処してまいりたい。なお、またそこで一番問題になりますのは、地域的なアンバランスということでございますので、これもできるだけ前広に解決をしておきたいというふうに思った措置でございます。
  202. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういういろいろな問題はあるけれども分割・民営のためのものでもある、そういうふうに今おっしゃいましたね。それだけというわけではないけれども分割・民営化するために、そしてまた今言われている一般余剰人員の問題として全国平均化するためにというふうに今おっしゃって、議事録に残っていると思います。それは正しいと思うんです。  なぜならば、これは国鉄の社内報「つばめ」の三月二十日号、ここで澄田常務が言っていらっしゃるんです。こういう広域配転というようなものも、監理委員会意見によれば、六十二年四月の時点で約六万一千人というような余剰人員ができてくるというようなことだから、だから余剰人員一般ではなくて、民営・分割のためであるということは明白だと思うわけなんです。今それもあるとおっしゃったから、それでいいと思います。  それで、民営・分割というのは今、国会にかかり始めたときですから、それなのにもう既にそのためにというので行政面でどんどんやっていくというのは一つの問題だと思うんです。  もう一つ具体的に言いますと、募集に当たって、「将来の配属に際しての希望は、可能な限り、優先的に配慮する。」、こういうふうに言われているわけです。これは民営会社に優先的に入れるという意味になるわけですね。これはおたくの方から「広域異動の実施について」という文書が出されているわけです。その内部文書の中で「将来の配属に際しての希望は、可能な限り、優先的に配慮する。」、こういうふうに書かれているし、また、おたくで出された想定問答集というのがございます。その中にも、本人が希望した場合は新会社への配転は可能かと聞かれたならば、将来の配属に関する本人の希望については国鉄として可能な限り優先的に配慮をする、こういうふうに書かれているわけですね。その辺どうでしょうか。
  203. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) この広域配転は、例えばまあ先生地元でございます北海道、長年住みなれた北海道から東京、名古屋方面に出てまいります。大変な本人の将来の設計を崩すような大きな事柄でございます。したがいまして、できるだけ本人の希望を聞きまして、できるだけ希望に沿った形で将来設計を考えてあげたいという私どもの気持ちであります。したがいまして、その希望が何であるかは、これはわかりません。それはかなえられるかもしれませんが、できるだけ希望に沿ったやり方でしたいということでございます。
  204. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 つまり、ここの文書で、「将来の配属に際しての希望はこという将来の配属に際しての希望は、」というのは民営・分割の新会社に入るという希望ということを言っている言葉理解してよろしいですね。
  205. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) 先生、ちょっと先ほどお話ございましたように、まだ法律も通ってない、そういう状況の中で民営・分割会社におまえは希望があればやるよということを私は申し上げておりません。そういうことではございませんで、そうした全般の将来設計につきましてよく相談に応じ、希望を聞いてあげたい、こういうことでございます。
  206. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 希望を聞いてあげたいという親心はわかりますから、それまでは否定しないんだけれども、まだ、今おっしゃいましたね、まだ法律が通っていない、民営・分割の、これが具体的に法律でも済んでいない段階だから、国鉄として新会社に入れるように努力してあげますよという言葉は出せないわけですよね、今のところ。出せないからこういう言葉でお書きになったというふうに理解してよろしいですね。
  207. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) いろんな希望があろうかと思います。今、議論になっておる将来の、法律が通った場合の会社に行きたいというような希望もあるいは出るかなということも頭に置きながらいろんな希望を聞いて対応したいということでございます。
  208. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこで伺いますけれども、そういうふうな配慮はいいと思うんです。配慮は配慮としてわからないでもないけれども国鉄当局、あなたたちが優先的に入れるとか入れないとか努力するとかという、そういう権利の問題として国鉄にはまだないと思うんだけれども、どうですか。
  209. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) これはいずれ法案で移り変わりの規定の御審議の際に御説明があるかと思いますが、新しい会社に移る場合の仕組みでございますね、職員は自分が行きたいからすぐ行けるというものではございませんで、設立委員が採用条件、基準等をつくりまして、それに対して募集をして選定をする、こういうことになるわけであります。
  210. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 だから私が言った、法律が通って設立委員というのができて、そしてそこでいろいろな基準ができたときに国鉄はそれに沿って希望をかなえるということは言えると思うのね。まだ法律も通ってない、設立委員なんというのもできてない、その段階で国鉄が極力努力、優先的に配慮するということは言えないわけですわね。そんな権限今ないんです、法律的にまだ遠慮しなきゃ書けないようなことですよ、これ。今国鉄にそんな権限ないでしょう。権限があったらちゃんと書けるわけでしょう。あったら書けるんだけれども、権限がないからこういうふうにぼかして書いているということは、本来ならば言えないことなの、そうでしょう。言えるんだったらちゃんと書けばいい。言えないからこういうふうに書いているわけです。そんな汚いことやめなさいというの私は。国会でまだ審議も十分なってないわけです。監理委員会が答申した、五人の委員会が答申した、総理大臣も従います、運輸大臣も従います、国鉄従います、要らないよ、運輸大臣要らないわね、監理委員会が決めたらそれで全部済むんだったらね。そして答弁するのは、大変御苦労なさるのはあなたたちだからね。本当に御苦労わかりますよ。だから、そんな変な苦労しないで、書けないからこういうふうにごまかした。だから、口は悪いけれども、こういうふうに美しく文章を考えなきゃならないような、そういう今の国鉄に権限もないようなことは、私はやめなさいと言うの、共産党言うの筋通るんだよ。ごまかそうなんてぐちゃぐちゃ言うからおかしくなるの。ちゃんと筋通せば——これ、こんなことやめなさい、まだ国鉄決まってないんだから。北海道から二千五百人内地へ行けなんて、しょっぱい海渡って行けなんて、北海道の人は今はもう大変ですよ。家庭破壊から、もう子供の深刻な悩みから。だから私はそう言うわけなんです。だから、民間会社をつくって、そこにもう地上権簿価でもらったら、下に駅の施設やったら、上なんてただですよ。私、三菱の地所の専門家にいろいろ聞いてみた。どれくらいの原価になりますか。いや、そんな安く坪八千二百円で譲り受けたところに何階も建てて、その三十階が坪何ぼに当たるのか計算しようありません。そしたら、これはいいもうけの目玉ですよね。だから、こういう無理な国鉄の再建という名前はうそだ。最終ねらいはもう財界、大企業が大もうけするとはっきり言わしていただきたいと思うんですね。今言ったような権限のないようなことは言わないで、ごまかさないできれいさっぱりおやめなさいというのが私の見解、正当な見解だと思いますが、それを申し上げる。何か意見があったら言ってください。私これで終わりますから。
  211. 杉浦喬也

    説明員杉浦喬也君) いろいろと御意見いただきましたが、私どもの方といたしましては、何といたしましても効率的な企業というものにしなきゃいけないと、合理化をしなきゃいけないと。それに伴う余剰人員というのはどうしても発生いたします。したがいまして、余剰人員をどういうふうに雇用の場を確保して一人たりとも路頭に迷わせないようにしなきゃいかぬかということは私の責務であるというふうに思いますので、そういう見地から頑張っていきたいと思います。
  212. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 最後に、ぼろもうけの話ばっかり出るのですから、それはきちっとした歯どめがございますし、仮に新会社が高層を建てまして、リースでお貸ししたりテナント料を取りましたりということでもうけさしていただきますならば、それは運賃の改定の際に要素として働くでしょうし、また営業上のサービス向上という意味でこれまた働いてまいりましょうしと、こういうことで御理解いただければよろしいし、また広域配転は総裁から一々御相談もいただいてまいってきたところであり、私も北海道に就任直後参りましたとおり、また公明党の御調査予算委員会における提示御資料にも、とても一万三千人道内において消化できない経済事情どもこれあり、今日ただいま合理化、軽量経常という観点でひとつ広域配転ということも一人一人の生活権確保でやむを得ないと、進めさしてほしいということでありますから、ごもっともであろうと、こういうことでサポートさしていただきながら取り組んでおります。御理解のほどお願い申し上げます。
  213. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 どうも理解できない。
  214. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) これをもって、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管及び日本国有鉄道についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十四分散会      —————・—————