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佐藤(誼)
分科員 今の答弁では、私から言うと、重要な
考え方が抜けているのではないか。それは、端的に言いますが、料金について一定期間一律に割引するという
考え方、それからやや長期的に電力料金を引き下げていくという
考え方、これが検討の対象になっていないというのはちょっと問題があると私は思うのです。そこで、私は若干私の
考え方を述べて、このことについての見解を承りたいと思うのです。ちょっと長くなりますが、私の見解ですからよく聞いておいてください。
私は、これは円高の行方、原油の価格の変動によって違ってきますから、引き下げ幅は今後検討するにしても、この際、電気料金そのものを下げるべきだと
考えております。その上に立って、
先ほど言われましたが、電気料金制度のひずみの是正もあわせて
考えていくというのが、
考え方として、あるいはこれからの還元の方法として至当ではないかという
考え方を私は持っております。
それで、なぜかということですが、御承知のとおり、料金原価主義の立場でそれぞれ負担しているわけであります。したがって、この料金原価主義の立場で原価を負担している
需要家に還元するのが筋だと私は思うし、
考えてみれば、従来、値上げの場合、原価主義の立場で
需要家がその値上げを負担してきたことは明らかであります。したがって、そういう点から見ても、繰り返すようですが、
需要家に還元するというのが、原価主義の立場からいって当然だというのが基本です。
次には、公平主義の立場で
需要家に一律還元するのが至当だと私は思うのです。しかも、その引き下げは期間割引ではなくて料金引き下げでやるべきであり、私は、その財源の見通しはあると思うのです。一定期間の割引ではなくて、電気料金そのものを下げる、こういうやり方をとるべきだと私は思うのです。
したがって、そういう観点に立ては、端的に言えば、すべての
需要家に長期に一律に還元される、いわゆる料金引き下げを第一義的に
考え、実施すべきだ。ただ、その引き下げの幅についてはいろいろ検討の余地がある、こういう
考えです。
なお、これにはいろいろな議論があると思いますから、私は、関連して若干の問題をここで述べておきたいと思うのです。
その第一は、制度のひずみの是正の問題です。
これは、
通産大臣が前から出している
考え方ですね。今も答弁ありました。もちろん、私はそれ自体は否定するものでもないし、また、必要な面だろうと思うのです。しかし、それだけでは、例えば
家庭をとった場合など、毎月使用量が百二十キロワット・アワー以下の電気消費量の少ない世帯では、このやり方では差益還元の恩典がないということですね、三段階料金のこれをずらしてみたって。これは重大な問題だと思うのです。
それから第二は、電気料金を一律に引き下げた場合、その財源が果たしてどうなのだという、やや長期的な見方が議論されると思うのです。
それは、御承知のとおり、電力会社の年間の売り上げ総額、いろいろありますが、おおよそ十二兆円と言われておりますね。円高差益等を、
先ほどは一兆円を下らぬ、あるいは一兆五千億、いろいろありますが、一兆二千億相当と見れば、これだけで一〇%値下げ可能でしょう。私は、そういう点からいって、値下げをするとすればまず一〇%
程度は可能ではないのかなというふうに思うのです。ただ、一〇%にするか、八にするか、何にするか、これからいろいろ
考え方、
状況の推移によって違ってくると思いますが、私は今のとらえ方としては可能だと思うのです。
第三の問題は、五十三年に差益還元をやったら、すぐまた値上げされましたね。これが今大きな教訓になっておるわけでありますが、そういう点から、今回料金値下げをしてもまた再値上げになるのではないかという、危惧の念といいましょうか、いろいろあります。これは大きなことだと思うのです。
しかし、私は、五十三年当時と現在では
状況、
環境が随分違うと見なければならない。つまり、五十三年当時に比べて、
一つはインフレがない。原油コストが値下げとなって、当分は価格安定時代であるというふうに見ていいと思うのです。それに、
先ほど議論のありました円高は、国際
環境から見て安くなってもそんなに幅はないだろう、二百を超えるかどうかという辺は
考え方でしょうけれ
ども、もとの二百四十、二百五十に戻ることはない、五十三年と比べると今の時点ではそう見るのが至当ではないのか、常識的ではないのか。つまり、石油危機時代の五十三年当時と現在では、国内外の
環境がかなり違うということだと思うのです。ですから、その当時の
状況を我々が反面教師として、教訓として生かすのは必要だけれ
ども、余りそのことにこだわり過ぎると、今日の時点に合った適切な差益還元の方法が見出せないということになりはしまいか。
第四の問題は、
需要家への還元の金額であります。
五十三年はラーメン一杯ではないか、一々返したって微々たるものではないかというようなことをよく言われました。しかし私は、仮に一〇%値下げしたとすれば、電力料金だけで、ガス料金は入れないで、
家庭の場合は一世帯年間で七千二百円
程度になるのではないかと思うのです。算定の基礎は言いません。一方
産業用の場合は、消費電力量が非常に大きいですから、一〇%下げただけで相当の還元額になると思うのです。
家庭に対する還元の総額は、七千二百円掛ける約四千万世帯と
考えますと、計算上は二千八百八十億円となるのです。これは、今野党が予算編成に当たって要求している住宅減税、教育減税にも匹敵する額なんです。ですから、私はラーメン一杯の議論ではない、個別の
家庭についてもそうですし、国民全体にも相当メリットのある還元になると
考えるわけです。
以上述べたことは電力料金だけの還元でありますけれ
ども、ガス料金の還元を合わせれば相当の額になると見られると思うのです。
考え方を簡単にするためにガスの問題を今挙げておりませんけれ
ども、きょうの読売新聞によれば、「電気、ガス差益還元」ということでガスも一緒にしていますね。私はちょっと問題があると思うのですが、一カ月大体五百円くらいかということを出しています。
次に、電力料金制度のゆがみの是正の問題ですけれ
ども、特別料金制度、それから
家庭用の三段階料金制度、これが今のままでいいとは私は思いません。
昭和四十九年の第一次石油危機に際して、省エネ
政策の一環としてこの制度が導入されたことは御承知のとおりですが、三段階制度であっても、簡単に言えば今一般
家庭の消費量はぐっと上がっていますから、これを手直しするというのは私は必要だと思うのです。問題は、全体の原資、財源がどのくらいあるかということにかかってきます。ですから、幅はいろいろ議論があるだろうと思うのですが、一律に電気料金を下げる、このことを基本に据えながらひずみ、ゆがみを財源全体を見ながら
考えていく、こういうとらえ方が至当ではないか。
先ほど内需の拡大とか、いろいろなことがありました。私はあながち否定はしないけれ
ども、やはり原価主義をとっている限り、余裕が出たら原価を負担している皆さんに返すというのは当然ではないかと思うものですから、そのことに焦点を当てているわけでございます。
やや長くなりましたけれ
ども、きょうの新聞などを見ますと、これからまたいろいろ検討されると思うのです。したがって、
通産大臣はいろいろな意見を聞きながら決めなければならぬと思いますが、幅のことは別として、
考え方の基本として私はそういう
考えを持っているのです。ですから、
通産大臣がこれから決めていくに当たって私のような
考えもあるということを十分参考にしていただきたいというふうに思うのですが、その辺についての
大臣の感想はどうですか。