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1986-03-06 第104回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十一年三月五日(水曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      相沢 英之君    小此木彦三郎君      久間 章生君     上田  哲君      東中 光雄君 三月五日  相沢英之君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和六十一年三月六日(木曜日)    午前九時開議  出席分科員   主 査 相沢 英之君      小此木彦三郎君    久間 章生君       上田  哲君    山下洲夫君       山中 末治君    横江 金夫君       渡部 行雄君    津川 武一君       東中 光雄君    藤田 スミ君    兼務 佐藤 徳雄君 兼務 沢田  広君    兼務 新村 勝雄君 兼務 田並 胤明君    兼務 戸田 菊雄君 兼務 安田 修三君    兼務 長田 武士君 兼務 貝沼 次郎君    兼務 鈴切 康雄君 兼務 宮地 正介君    兼務 森田 景一君 兼務 小川  泰君    兼務 小沢 貞孝君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 瀬長亀次郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三塚  博君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    吉田 耕三君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房審         議官      熊代  健君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省国際運輸         観光局長    仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省貨物流通         局長      武石  章君         運輸省航空局長 山田 隆英君         海上保安庁次長 岡田 專治君  分科員外出席者         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      浜田 康敬君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         大蔵省主計局主         計官      佐藤  謙君         建設省都市局街         路課長     佐藤本次郎君         建設省道路局道         路経済調査室長 藤川 寛之君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     長谷川 忍君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         日本国有鉄道常         務理事    山之内秀一郎君         日本国有鉄道常         務理事     岡田 昌久君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         日本国有鉄道常         務理事     前田喜代治君         日本国有鉄道常         務理事     山田  度君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   横山  章君         参  考  人         (日本銀行文書         局長)     勝股 康行君         参  考  人         (帝都高速度交         通営団総裁)  薗村 泰彦君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君         予算委員会調査         室長      大内  宏君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   上田  哲君     横江 金夫君   東中 光雄君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   横江 金夫君     左近 正男君   藤田 スミ君     田中美智子君 同日  辞任         補欠選任   左近 正男君     山中 末治君   田中美智子君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     渡部 行雄君   林  百郎君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     山中 末治君   辻  第一君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     上田  哲君   浦井  洋君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   上田  哲君     横江 金夫君   津川 武一君     岡崎万寿秀君 同日  辞任         補欠選任   横江 金夫君     山下洲夫君   岡崎万寿秀君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   山下洲夫君     上田  哲君 同日  第一分科員菅原喜重郎君、瀬長亀次郎君、第二  分科員長田武士君、第三分科員新村勝雄君、第  四分科員田並胤明君鈴切康雄君、第五分科員  戸田菊雄君、安田修三君、第六分科員佐藤徳雄  君、沢田広君、貝沼次郎君、宮地正介君、森田  景  一君、小沢貞孝君及び第八分科員小川泰君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十一年度一般会計予算  昭和六十一年度特別会計予算  昭和六十一年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ————◇—————
  2. 相沢英之

    相沢主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、運輸省及び郵政省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省所管事項説明は、両省審査冒頭に聴取いたします。  昭和六十一年度一般会計予算昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算運輸省所管について政府から説明を聴取いたします。三塚運輸大臣
  3. 三塚博

    三塚国務大臣 昭和六十一年度の運輸省関係予算について御説明申し上げます。  まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、三十七億九千九百七十一万三千円、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百六十三億九千四百二十四万八千円を含め、一兆一千三百十五億七千百二万七千円をそれぞれ計上いたしております。  次に、特別会計について申し上げます。  自動車損害賠償責任保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆八千四百二億七千四百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千五百二十億二千六百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百八十一億二千五百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千七百四十一億八千三百万円余をそれぞれ計上いたしております。  また、昭和六十一年度財政投融資計画中には、当省関係公社公団等分として一兆九千九百四十一億円が予定されております。  運輸省といたしましては、以上の予算によりまして以下の事項重点施策推進を図ることといたしております。  まず第一に、日本国有鉄道事業再建推進することといたしております。  国鉄事業再建につきましては、昨年十月、国鉄分割民営化基本とする「国鉄改革のための基本的方針について」閣議決定を行い、六十二年四月に新経営形態へ移行することといたしておりますが、この抜本的改革の円滑な実施に資するよう、引き続き、職場規律の確立、新規採用原則停止設備投資の抑制、特定地方交通線の整理の促進等緊急対策推進するほか、新経営形態への移行に向けて所要施策を講じていく必要があります。  このため、六十一年度におきましては、事業運営改善のための緊急に講ずべき新たな措置として、昭和五十五年度に棚上げした特定債務五兆五百九十九億円を一般会計が承継し、一般会計は同額の長期資金国鉄に対し無利子で貸し付けたものとすることなどにより、長期債務に係る負担の軽減を図るとともに、余剰人員対策として希望退職促進を図ることとし、特別給付金及び退職手当の支給に必要な資金について政府保証を付した債券の資金運用部引き受けによる財政融資を行うことといたしております。  また、予算人員二万七千人の縮減を初め経営の一層の合理化に最大限の努力を傾注するとともに、所要運賃等の改定による増収額七百五十億円を見込み、総額三千七百五十二億円の助成を行うことといたしております。  第二に、交通基盤施設等整備促進し、国民生活安定向上を図るため、港湾海岸及び空港の各部門について、六十一年度を初年度とする新たな五カ年計画を策定することといたしております。  これにより物流総合化及び高度化臨海部活性化及び地域振興等を目指した港湾整備、高潮、津波等から国土を保全する海岸整備、関西国際空港、新東京国際空港東京国際空港整備を初めとする空港整備等それぞれの事業計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。  また、鉄道につきましては、都市高速鉄道整備等推進するとともに、整備新幹線につきましては、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団所要建設費及び調査費を計上しております。このうち、建設費につきましては、整備新幹線財源問題等検討委員会における検討を進め、その結論が得られた段階で、五十七年九月の閣議決定を変更した上で執行するものとしておりますが、新幹線周辺環境整備事業のために必要があるときはこれに充てることができることとしております。調査費につきましては、これにより、引き続き、各路線ごと調査進捗状況に応じ、所要の作業または、調査を進めることとしております。  第三に、外航海運対策といたしまして、貿易物資安定輸送確保するため、財政資金により、近代化船への代替建造を中心とする外航船舶整備促進するとともに、現下の海運不況対応して船舶解撤に伴う債務保証制度を創設することといたしております。  さらに、造船対策といたしまして、造船業経営安定化のため、船舶輸出確保を図るほか、過剰施設の処理及び船舶解撤事業に関する助成を行うこととしております。  船員対策といたしましては、船員雇用対策などを推進することといたしております。  第四に、経営改善に努力している地方バス中小民鉄離島航路等に対し、地方公共団体協力して助成を行い、国民日常生活に不可欠な公共交通サービス維持確保に努めてまいります。  第五に、観光対策といたしまして、海外観光宣伝事業等推進するとともに、国民観光レクリエーション活動のための施設整備していくことといたしております。  第六に、貨物流通情報システム及び物流拠点における貨物流通施設整備促進するなど貨物流通対策推進を図ることといたしております。  第七に、海上における捜索及び救助に関する国際条約の発効及び国際的な新海洋秩序形成動き対応して、広大な周辺海域における船舶航行安全体制を確立し、また、我が国権益確保を図る等のため、巡視船航空機等整備推進するほか、海洋調査充実強化等を図ることといたしております。  第八に、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星業務を引き続き推進し、また、気象資料伝送網整備等気象観測予報体制充実を図るとともに、地震・津波火山対策等防災対策強化を図ることといたしております。  第九に、運輸行政の要請である安全の確保を図るため、陸海空にわたる交通安全対策充実推進することといたしております。  なお、運輸省関係予算部門別重点施策の概要につきましては、お手元に配付をいたしております「昭和六十一年度運輸省予算説明」及び「昭和六十一年度日本国有鉄道予算説明」によりまして御承知願いたいと存じます。  以上をもちまして、昭和六十一年度の運輸省予算についての説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 相沢英之

    相沢主査 以上をもちまして、運輸省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 相沢英之

    相沢主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横江金夫君。
  6. 横江金夫

    横江分科員 早朝から御苦労さまでございます。私は、名古屋交通の活力、そのために、とりわけ今一番名古屋で中心的な議題というか、問題になっております国鉄西名古屋港線旅客線化の問題と、いま一つは、金山総合駅の整備についての二点質問を申し上げてまいりたいと思っております。  特に、この国鉄西名港線につきましては、通称西臨港線という名前で、国鉄名古屋駅と名古屋港の十二・三キロ間を南北に結ぶ貨物専用線であるわけです。この西臨港線東海道線の一部として昭和二十五年四月に開業いたしまして、かつては戦後の戦災復興関連物資名古屋港に陸揚げをされた石炭などを運ぶ重要な貨物線でありました。現在はコンクリートやコークス、化学薬品を一日一往復だけ運んでおるわけでありますが、年間のその量は十五万トンだというふうに言われているわけであります。当時、建設に当たりましては、将来の旅客線化を期待いたしまして、地主、とりわけ田畑を無償提供したり用地買収協力した住民も多くて、昭和二十七年には名古屋市議会から運輸大臣あるいは国鉄総裁旅客線化要望する意見書が提出されておるわけであります。以後、今日に至るまで息の長い実現に向かっての要望活動が続けられてまいりました。  西臨港線旅客線化構想は、昭和五十五年に名古屋市の基本計画、あるいはまた五十六年には国鉄名古屋管理局が発表した汽車から国電へのキャッチフレーズの「プラン80」で次のように位置づけられております。西臨港線沿線開発が進んでいますが、同地域には高速交通機関がなく、都心との連絡が極めて不便な状態である。西臨港線強化して旅客営業を行い、関西本線または地下鉄八号線に接続して直通運転を行うことができれば、名古屋南西部輸送体系整備することができる。また、県におきましても、交通網整備推進会議でこの問題が取り上げられておるわけであります。  御案内でございますが、この旅客線化が最近具体的な話が出てまいりましたのは、昨年の三月に名古屋港の金城埠頭で開催されましたワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85、通称輸入博でございますけれども、ここへ懐かしいSLを運行させる、こういう計画をしたわけでありますが、費用が一億円ぐらいかかるとか、あるいはSLの調達の見込みが厳しいということで実現しなかったのであります。参考までに申し上げますと、輸入博は最高の成果をおさめまして、百八十万人の方がお見えになりました。前に中国博をやりましたが、このときは百三十万で、記録は随分伸びたわけであります。このため、バスあるいはマイカー等でこの名古屋金城埠頭へということで、まさに大渋滞でございまして、名古屋港へ運ぶ貨物が、渋滞を避けるためにほかの港へ行ってしまったということも、実はあるわけであります。  特に今回、西臨港線旅客線化が再び浮上してきた大きな理由といたしましては、御案内のように、笹島貨物駅と名古屋貨物ターミナル、これは未利用地が随分広大でございまして、約五十二、三万平米の未利用地が実はあるわけであります。都市の再開発、未利用地の再開発等を含めて、高度情報化センターとかコンベンションセンターとかいろいろな高度利用が今行われているわけであります。そういうための交通確保が必要だということが一つであります。また、いま一つは、活性化のために各プロジェクトが展開されておりますけれども名古屋港と都心を結ぶアクセスとしての活用。いま一つは、西臨港線は他の貨物線と異なりまして、この名古屋市の西南部地域においては、住宅地域が実は密集しておるわけであります。団地も非常に多いわけでございまして、しかも公共交通機関バスしかなくて、この臨港線旅客線化されれば、沿線住民の通勤や通学などの利便は非常に向上するというふうに言われているわけであります。  そこで、このような背景に基づきまして、地元の機運の盛り上がる中で、実は国鉄名古屋管理局地元名古屋管理組合愛知県や名古屋市におきまして、この旅客線化のための研究会が設置されまして、現実にその可能性について、昨年の九月からそれが進められておるわけであります。計画案もまとまったようでございます。  その計画案でまいりますと、名古屋駅から汐止という、一番先まででございますが、その向こうに金城埠頭があります。その金城埠頭までではありませんが、名古屋汐止間に新駅を六カ所設け、そして一日に七十往復を旅客運行する。営業開始は六十三年。そして二年先の六十五年には一日に二万九千人の利用客を見込んでおるわけでございまして、総工費は約百億円。営業主体国鉄の来年四月の民営化後に第三セクターとして実は想定をされておるわけであります。  このように、西臨港線旅客線化構想が非常に進んでいる段階でございまして、私はその中において順次質問申し上げたいと思います。  先ほど申し上げました、国鉄名古屋管理局名古屋管理組合地元がいわゆる研究会を設置されて検討を進めておみえになりますけれども本社あるいは運輸省には報告がもう参っておるというふうに伺っておるわけであります。その報告をお受けになりまして、その内容についてはどのように承知しておみえになり、そしてその計画内容をどのような評価をしておみえになりますか、まずこれについてお尋ねをしてまいりたいと思っております。
  7. 須田寛

    須田説明員 ただいま先生指摘がございましたように、西名港線の旅客営業化につきましては、かねがね地元から大変強い御要望をちょうだいしておることは私ども十分承知をいたしております。  現地の名古屋管理局におきましても、その必要性十分認識をいたしまして、昨年の九月からでございますけれども地元中部運輸局名古屋市、愛知県、それから名港管理組合等皆様方と御一緒になりまして研究会を開催いたしまして、既に四回分科会を開催して、相当程度議論を煮詰めているというふうに聞いております。  ただ、問題といたしましては、現在貨物線でございますので、線路の規格がまだ大変低い状況でございますので、線路強化にかなりの経費が必要だ、それから踏切もございますので、そういった踏切の改良ないしは立体化の問題も必要だ、場合によれば電化その他の問題もあるというふうなことでございまして、今その辺の詰めをさらに詳細いたしておるところだというふうに承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、名古屋の局が非常に積極的に取り組んでおるということにつきましては、たびたび報告も受けておりますし、私どももそれなりに承知をいたしておるところでございます。  ただ、最終的にどういった経営の仕組みで、どのように経費を調達して運営をするかというふうな詰めをまだ残しておるようでございますが、近々にその辺の結論が出るというふうに聞いておりますので、その辺を十分聞きました上で、本社といたしましても対応に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  8. 横江金夫

    横江分科員 結論を待ってそのような対応を決められるわけでありますが、何回か報告をされている中で、本社としては、この受け入れ可能性についてはどのようにお考えになっていますか。  いま一つは、もう結論も間近だというふうに伺っていますけれども結論が出る時期、そして本社としての結論を出す時期というものも含めて御答弁を賜っておきたい。  評価については、総裁あるいは大臣からもひとつ冒頭に表明していただきたいと思います。
  9. 須田寛

    須田説明員 結論が出るのにはもうそれほどの時間はかからないというふうに聞いておりますので、来年度、つまり四月以降の年度に入れますれば、本社としては十分検討ができる材料は整うと存じます。  ただ、現在私どもはいろいろ経営改革を掲げておりまして、先ほど先生からも御指摘ございましたように、東海会社設立等の問題がございますので、やはり新しい会社一つ方針の中で、この議論を最終的にどのような軌道に乗せるかということは詰めてまいることになるだろうと思っておりますので、その辺の経営改革動き等も見きわめながら本社といたしましても対応してまいる、このように相なろうかと存じます。
  10. 横江金夫

    横江分科員 もう一点伺いますが、お話の中では非常に評価をしておみえになるようでございますけれども、その評価の上からまいりまして、受け入れは可能だ、このように理解きしていただいていいのか、これも詰めて明確にお答えいただきたいと思います。
  11. 須田寛

    須田説明員 先ほど来お話がございますように、確かに必要性は十分理解できるところでございますし、また技術的な問題点もかなり詰められているというふうに考えておるわけでございますが、何分にも今申し上げましたような諸経費の捻出をどうするか、それから運営上当初におきましてどの程度採算性があるかというふうなことにつきまして、またやや詰める点があろうかと思います。しかし、その辺が詰められ得れば、技術的にはプロジェクトとしては十分実現可能だと考えておりますが、そういったいろいろな前提、むしろソフトの面でいろいろまだ詰めるべき点がございますので、それらを詰めました上で、聞きました上で最終的な総合評価をいたすことになろうか、このように考えております。
  12. 横江金夫

    横江分科員 実現可能だということで、大いに期待をしてまいりたいと思います。  そこで、具体的には、第二点の質問といたしましては、この西臨港線は、今貨物線で確かに一日一本しか走っておりません。今お話しのように、民営分割化後においては全国的な貨物会社ができるわけでございまして、貨物線のままでいきますと、この帰属が全国一本の貨物線会社の方へ行ってしまって、今の目的がちょっと心配になってくるわけでございまして、旅客線化ができるまでは新しい東海旅客会社に残しておく、その方が私どもより希望が持てると思いますけれども、そこらの点についてはいかがでございましょう。
  13. 須田寛

    須田説明員 今、先生のおっしゃいました問題も、これからの方向を考える際の重要な問題かと存じますので、先ほど申し上げましたような地元研究会結論を得ました段階で、本社検討いたします際に、運輸省等ともよく御相談を申し上げて結論を出してまいりたいと思います。
  14. 横江金夫

    横江分科員 まだ検討課題の部分が非常に多いわけでありますが、例えばこの旅客線化に当たりましては、既存の交通計画、すなわち四十七年三月の都市交通審議会の答申の路線では入ってないわけです。実は、これをオーソライズしなければならないと私どもは思いますが、東京におきましては、貨物線旅客線化についても、既存線の有効活用の観点から実は見直しもされているわけでございます。名古屋においても、とりわけ西名港線につきましては、地下鉄も高畑まで行っておりますし、その延長の問題等もありまして、並行してもちろん地下鉄も必要であると都交審の見直しが将来出るかもしれません。今回の西名港線については、まだその辺が審議されてないわけです。そういう面の見直し等も含めて、名古屋圏における西臨港線を含めた都交審の見直しというのは法的には必要じゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  15. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 担当は地域交通局でございまして、参っておりませんので、明快なお答えをちょっと申し上げかねるのでございますけれども、先ほど来国鉄からお答え申し上げておりますような形で、最終的には国鉄の判断によって——現在ある線でございますから、その線をどのように活用するかという形でございますので、必ずしも都市交通審議会の答申は必要ないのではないかというふうに思っております。ただ基本的には、先ほど来須田常務がお答え申し上げておりますように、民営分割という大きな過程の中の一つ動きでございますので、新しい東海旅客会社等のあり方というようなものと絡めながら検討していくことが必要ではないかというふうに思います。
  16. 横江金夫

    横江分科員 先ほども答弁ございましたが、この実現のためには費用の問題もあると思います。確かにこの研究会で百億円ということが出ておりますので、実は相当の金額だと思うわけでありますが、特に最近の民活の活用の問題ですね。先般、三塚大臣建設の江藤大臣名古屋にお見えになりまして、そこで交通体系、とりわけ伊勢湾の伊勢湾道については民活導入を、七千億ぐらいの予算でございますけれども、それを取り入れるんだと元気いっぱいな、地元としては喜んでおる発言が実はあったわけでございます。運輸省の関係といたしましても、この伊勢湾道と名古屋から名古屋港に入ります臨港線というのは全く一体のものだと私は思います。額的に百億円だといいますと、民活のモデルケースとして、伊勢湾道と同じように、運輸、建設とあわせてこれを取り上げていただくということはいかがでございましょう。大臣からちょっとお答えいただきたいと思います。
  17. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま須田常務と横江委員とのやりとりを聞いておりまして、総合判断の最終結論を得るという段階にあるようでございます。名古屋というのは、我が国における中部圏のセンターでありまして、この地域都市交通整備、また地域振興の上からの都市開発計画の上に立った町づくりというのは、政府も、名古屋市及び愛知県の計画提出を待って、提出のあるものもありますが、進めるという基本線においてはそのとおりであります。特に財政がこのような今日でありますから、創意工夫を求めるという観点も一つあり、計画的な工事実施という意味で、民活の活用をこれに取り入れさせていただきまして、住民要望する計画計画的に前に進む、こういうことについて運輸省としても御協力申し上げることは当然のことだというふうに思っております。
  18. 横江金夫

    横江分科員 この臨港線については、住民とともに、民活も取り入れ、協力をさせていただくのは当然のことだということで非常に力強い御発言をいただきました。伊勢湾道と同じように、ぜひこの西名港線の旅客線化の実現に向かいまして大臣の力強い御答弁に大きく期待をしてまいりたいと思います。  もう一つ、ここまで御答弁いただきますと、これはもう実は必要ないかと思いますが、新しい費用の捻出の関係等で、いわゆる開発をしますと、開発利益が出るということで、東京圏においては運政審の答申の中で、鉄道建設基金の創設等も出ているわけであります。民活でやっていただくということで、この辺のところはさほど必要ないかもわかりませんが、私は、この鉄道建設基金ということも、名古屋圏の問題からいきましても、開発利益の還元の関係からまいりましても、一つのいい構想じゃないかという感じも実は持つわけでありますが、ここらにつきましても一言御答弁を賜ってまいりたいというふうに思っております。
  19. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生お話の基金の問題は、現在準備中のものでございますが、基本的には民営分割会社になりました場合に、これらの旅客会社というのは当然そのようなものの対象にはなるというふうに思っております。したがいまして、新しい東海旅客鉄道株式会社がどのような判断をするかという問題だと思っております。
  20. 横江金夫

    横江分科員 大臣から民活を含めて運輸省として積極的に協力するというような御答弁をいただきましたので、大いにお願いさせていただきまして、次の金山総合駅に移ってまいりたいと思います。  この金山総合駅というのは、総裁大臣も御存じでございまして、名古屋というのはほとんど副都心がないのです。東京へ参りますと、新宿だ、ほれ渋谷だということですが、名古屋は何でも大きなものをぽんとつくる一点集中的なところでございまして、名古屋駅だけは立派でございますが、ほかは余りよくないというのが名古屋の特徴でございまして、これじゃいけないということから、金山副都心整備を図るということが実は進められておるわけであります。そういう関係等から、この計画が、国鉄中央線金山駅を南へ移転をさせる、東海道本線の新駅を設置する、全体を橋上駅として地下鉄二号線とか四号線、将来は五号線や七号線の駅もそこへ入れるということで進められているわけでありますけれども、この計画自体、金山の整備自体は昭和二十五年に鉄道復興計画委員会で実は発表されておりまして、その費用負担がネックになって三十数年もたなざらしに実はなっておるわけであります。名古屋市の試算では、橋上駅の工事費は三十八億円で、これを名古屋市と国と名鉄の三者で負担する話し合いがされましたが、なかなか話し合いがうまくまとまらないわけであります。  特に、名古屋は四年先に市政百年を迎えるわけでございまして、この近くで世界デザイン博という大規模なイベントも計画をしておりますから、名古屋市としては金山総合駅の開発整備は重大中の重大な課題に実はなっているわけであります。また名鉄にいたしましても、熱田、いわゆる神宮前から金山の複線化をしなければお客さんを運び切れないという問題等もあるわけでありまして、名鉄も実は一生懸命なんであります。ところが国鉄さんは、例の民営分割等の問題がありまして、そこらあたりが、気持ちは、腹の中では一生懸命でございましょうけれども、顔の面には出てこないというのが金山総合駅の実態じゃないかしらんというふうに実は思うわけです。もちろん国鉄さんは財政事情の観点から消極的な感じが実はとれるわけでございます。名古屋市はほかしておけないものですから、見切り発車をするような形でございまして、六十一年に三千万円の調査費を計上しました。もちろん事業化の前提でございまして、来年の六十二年から着手をしようと実はしておるわけであります。ここで国鉄さんも、若干、腹の中ではやりたいけれども、消極的だという気持ちからちょっと顔を表へ出していただきたいと実は私は思うわけでありまして、この名古屋の一点集中から副都心の金山、その整備のために、中央線もそれから東海道本線も入っております一番の国鉄の目でございますから、この金山総合駅について国鉄さんはどのようにお考えになってみえるのか。この金山総合駅につきましての国鉄の考え方をこの際ひとつ明確にしていただきたい。芽をちょこっと出していただきたいと思うのですね。お願いしたいと思っております。
  21. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生お話のございました金山駅の総合駅化の問題でございますけれども先生もよく御承知のとおり、かなりの工事費を要するプロジェクトでもあるということであり、また関係者も非常に多方面にわたっておりますので、なお調整、検討を要する事項が残されているというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、大変地元がこの計画に強い御熱意を持っておられるということは十分承知をいたしておりますので、国鉄といたしましても、計画の策定あるいは実現、それぞれの段階におきまして応分の御協力を申し上げたいというふうに考えております。
  22. 横江金夫

    横江分科員 応分の御協力をぜひお願い申し上げてまいりたいと思いますが、私は、今の段階では、国鉄民営分割の来年の四月、民営化の東海旅客鉄道会社になってからでは、この計画に対する対応名古屋市のスケジュールに間に合わない感じが実はするわけですね。やはり今のうちから意思決定を、応分のと今お話がございましたから、そこで意思決定というふうに理解できるわけでございますけれども東海旅客会社に移行をしたら直ちにそれが実行できるような、今からいろいろな整備検討も必要でございましょうけれども、そういう点についても、新しい会社に即その時期に対応できるような、そういう体制にしてもらわないと、名古屋市もそれから名鉄さんも困るのじゃないかと思いますが、一番おくれている国鉄さんでございますので、その新しい会社がぱっと対応できるという姿勢を示していただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  23. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 基本的には、この問題に対処してまいりますのは新会社でございます東海旅客鉄道株式会社ということになると思いますが、私ども国鉄といたしましても、現時点におきましていろいろ地元とも十分御相談を申し上げ、それらの経緯につきましては、十分新会社に承継をするということで進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 横江金夫

    横江分科員 新しい会社に十分承継するということで理解させてもらいました。  ところで、私は、国鉄さんというのが非常にお客さんが少ないというのは、金山で一番わかると思いますけれども、特に愛知の関係を見ますと、駅と駅との間が非常に離れ過ぎておるのですね。お客さんなんか要りませんよというような感じに見えるのですね。その象徴的なのは、熱田から名古屋駅、一番肝心の金山に東海道線の駅がない。それは熱田駅から名古屋駅だけの話じゃありません。笠寺にしても大高、大府にしても全部そうなんですね。こういう距離、区間の間が非常にあり過ぎるからお客さんが利用しにくいということだと私は思うのです。その典型的なのが金山なんです。そういう全体の駅の区間の間が長過ぎるということが一つと、金山に東海道線の駅をおつくりになる、こういうことについてひとつ明確にしていただきたいというふうに思うわけであります。
  25. 須田寛

    須田説明員 東海道線の新駅設置のお話かと存じますけれども先生指摘のように、確かに名古屋周辺は駅間が長うございます。したがって、極力駅間を埋めて、お客様に御利用いただくように、今地元の御協力を得ながらやっているということが一般方針でございますが、問題は金山なんでございますけれども、ここに駅をつくりますと、東海道線の東部の方とそれから中央線のお客様の乗りかえ駅になると思います。相当程度の乗りおりのある駅になろうかと思いますので、それなりに駅の効果はあるわけでございますが、駅の構造というのをかなり大きく考えなければいけなくなってまいると思います。その場合、やはり今お話が出ております金山総合駅の構想がどうなるかということとの関連を見まして施工いたしませんと、手戻りが生じますので、先生が今おっしゃいました金山総合駅をどうするかという結論をなるべく急ぎますと同時に、その議論の中であわせて検討いたしてまいりたい、こんなふうに思っております。必要性は認識をいたしておるのでございますが、その実施あるいは内容検討につきましては、総合駅構想とあわせて検討させていただきたい、このように考えております。
  26. 横江金夫

    横江分科員 東海道線の金山の新駅、これは一番大きな——それがなければ金山総合駅は意味がないと私は思います。だから、その重要性については考えてみえるということでございますから、私は今つくれとは言いません。総合駅の中でつくる、こういうことでございますから、そのために総合駅のときには必ずつくります、必要性じゃなしにつくります、さもなければ、これは目玉がなくなってしまいますから。その認識でいま一度御答弁をいただきたいというように実は思うわけでございます。  たまたまその駅をつくる場合に、例えば民間になった場合と今の場合とで、つくり方とかいろいろな形が駅舎の場合違うと思いますね。その場合に、請願駅方式なのか、地元負担なのかという問題があるわけですが、これから検討されるわけでありますけれども、もちろん民間になってからとなりますが、そこらの手当てと対応についても、私どもは、しっかりつくってもらわなければ金山総合駅というものは意味がないという意味から、そこまで含めて関心を強く持っておりますので、それもあわせて御答弁を賜りたいと思います。
  27. 須田寛

    須田説明員 金山総合駅が計画されます場合には、当然東海道線にも金山駅が必要だということは十分認識をいたしております。あわせて考えてまいりたい、このように思っております。  それから、経費の問題につきましては、先ほど岡田常務が申し上げました応分の御協力という範囲の中でいろいろ御相談に乗ってまいりたい、このように考えております。
  28. 横江金夫

    横江分科員 新しい会社の場合には、従来のような国鉄という姿勢と全く変わった商人国鉄、こうなってくると私は思いますが、そうしますと、副都心の金山の中でいろいろな商売、例えばターミナルホテルあるいはデパートとかいろいろなことをお考えになると思いますが、名古屋駅と同じように、金山の場合もそういうような構想等についてもお持ちかどうか、あわせて伺いたいと思います。
  29. 須田寛

    須田説明員 私どもはぜひそういうふうに駅を多角的に使ってまいりたいと思っておるわけでございますが、問題は、私どもがあの地域に持っております用地が線路のいわゆる掘り割りの中の線路敷を中心とした極めて限定された範囲に限られておりますので、そういった総合駅にいたします際にも、やはりいろいろ地元なり県、市の御協力をちょうだいしなきゃできないという状況でございます。ただ、私どもはやはり駅をつくります以上は、先生のおっしゃいますような総合的な、多角的なターミナルを持った駅にしたい、このように考えております。
  30. 横江金夫

    横江分科員 民活の取り入れ、西名港線の問題あるいは総合駅につきましても大臣の積極的な御発言をいただきまして喜んでおる次第でございます。  私は、最後にでございますが、これは強く要望しておきたいと思います。  とりわけ名古屋というのは、地理的には一番中心でございまして、名古屋が発展しなければ日本は発展しないというふうに私は自信を持っております。ところが国の場合には、東京だ大阪だといって、いつも名古屋を飛び越していっちゃうのですね。大臣、そういう傾向がありありあると私は思うのです。今度民活ではそういうことはなくなると思いますが、だから、その意味合いから都市交の関係についてはどうぞ大臣、私は大臣の国会の答弁を聞いておりまして一番すばらしいと思います。本当にすばらしい、テレビでもそう思います。時間がありませんから申し上げませんが、本当にすばらしい大臣だと思う。その意味合いからも、どうぞ名古屋をお忘れなく、これからの投資は日本の中心の名古屋にぜひひとつ大きな御投資をいただきまして、名古屋交通活性化に大きな力を発揮してまいりますようにお願いして、時間が参りましたから質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  31. 相沢英之

    相沢主査 これにて横江金夫君の質疑は終了いたしました。  次に、森田景一君。
  32. 森田景一

    森田(景)分科員 国鉄が大変な状況で、民営分割というこの問題が今国会の大きな焦点になろう、また赤字線も廃止していこう、こういう状況の中で、千葉県は新しい鉄道をたくさんつくらなければならない、こういう非常に重要な問題を抱えておる県でございます。特に先般、運政審の方からもその新線につきましては答申が出ております。そういう立場から、私は最初に常磐新線の建設促進についてお尋ねしていきたいと思うわけでございます。  もう御存じのとおり、国鉄常磐線の混雑率は物すごい状況でございまして、三〇〇%にも達する、このように言われているわけでございます。通勤通学者の方々は、文字どおり死に物狂いという状況で朝晩利用しているわけでございます。私も利用している一人でございます。この混雑を緩和するために、常磐線と並行して走る第二常磐線といった鉄道をつくってもらいたい、これは地域住民の長年の願望でございました。  昨年の七月、運政審から、「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」についてという答申がございました。その答申の中で「常磐新線の新設」ということが盛り込まれているわけでございます。関係地域の方々は大変な喜びようでございまして、今度は一日も早くこの常磐新線をつくってほしい、こういう大きな期待を持っているわけでございます。将来に希望があれば今の苦労が我慢できる、今利用していらっしゃる方々はそういう気持ちであろうと思います。  この常磐新線が完成しますと、必ず黒字線になるであろう、こういう予測がされているようでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、今国鉄民営分割という問題で大変な状態にあるわけでございます。国鉄がこの常磐新線を建設できる状況ではないと私どもは考えているわけでございます。  しかし、この常磐新線を一日も早く建設するためには、建設主体をどうするか、これを決めないことには進まないわけでございます。答申によりますと、この常磐新線は十五年かかってつくるべきであろう、こういう内容のようでございます。ルートにつきましても、東京から秋葉原を通りまして、「浅草−北千住−八潮市南部−三郷市中央部−流山市南部−柏市北部−守谷町南部」、こうなっておりまして、将来は筑波研究学園都市につながる、こういうものでございます。したがいまして、関係するところは、東京都、埼玉県、千葉県、茨城県、一都三県になるわけでございます。現時点におきましては、この一都三県が中心になって、あるいは国鉄さんも入るかどうか、いずれにせよ第三セクター方式で事業主体を決めざるを得ないのではないかというふうに私どもは考えているわけでございますが、この点につきまして運輸大臣の御見解を承りたいと思います。
  33. 服部経治

    ○服部政府委員 常磐線の大変な混雑の状況、それから昨年の運政審の答申の前後の状況は、先生の御指摘のとおりでございます。  それからまた、この常磐新線の早期実現を期する上でまず何よりも急がれることは、建設主体をどう考えるかというところを固めまして、そしてそれに従って建設主体をつくるというところから始めなければならないことも先生の御指摘のとおりでございます。  この問題につきましては、先生も御指摘になっておられましたけれども、現在の常磐線との関係もございまして、本来ならば国鉄がその建設に当たるというのが最も普通の考え方であろうかと考えますけれども、これも先生の御指摘にございましたように、国鉄が置かれております現在の厳しい状況も考え合わせますと、常磐新線の早期完成を期するという意味からは、国鉄をその建設主体とすることにはなお難点もいろいろあろうかというふうに考えられるところでございます。  また一方で、常磐新線の早期実現を図るということ、かつはまた、この線の長期にわたる将来に向けての採算性をできるだけ良好なものにする必要があるというようなことを考えますと、そのためには、用地の取得あるいは資金調達の面などで、関係の地方公共団体の積極的な、あるいは全面的な協力というものを仰ぐことが不可欠であるというふうに考えられるところでもございますし、さらには、加えまして、民間活力の導入というような方策もあわせて取り入れられるような仕組みというものを考えることが必要ではないかというふうに私ども基本的に考えておるところでございます。  このようなことを考え合わせますと、常磐新線の建設主体につきましては、関係地方公共団体あるいは民間企業等が出資設立する第三セクターによることが最も望ましいというふうに考えているところでございますし、また運政審の答申が出ました直後から、私ども、関係の一都三県の方々と、これらの問題につきましてたび重ねまして意見の交換を続けてまいっておるところでございますが、そうした中でも、常磐新線の建設主体としては第三セクター方式によることが望ましいのではないかというような方向がほぼ確認できるところまで参りましたので、先般、一月の末でございますが、一都三県の関係者の方々と私どもとで構成する常磐新線の整備方策についての検討会というものを発足させたところでございます。  今後、私どもといたしましては、建設主体の設立の問題を中心にしまして、その余の幾つかの問題を含めまして、この場を大いに活用いたしまして、今後に向けて具体的な検討を急いでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 森田景一

    森田(景)分科員 昨年の予算委員会におきまして、当時運輸大臣は前任者の山下運輸大臣でございましたが、近江委員質問に対しまして、第三セクターでやるのか、民鉄でやるのかあるいは国鉄でやるのか、答申をいただいたら速やかに決定する、このように答弁されております。これは三塚運輸大臣も十分御承知だと思うのです。  それで、今御答弁がありまして、積極的に対策を進めていらっしゃるということでございますが、では、その事業主体を決める手法といいますか、手続といいますか、これこれこういうふうな手続をして事業主体は決める、この手法についてこれからどういう手続が必要なのか。それでいっその事業主体を決める見込みなのか。何か新聞ではいろいろうわさされておりますけれども、しかし三塚運輸大臣のときに、ぜひこの常磐新線の建設主体は決めていただきたいと思うのです。その辺の御説明をひとつお願いします。
  35. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、現在、建設主体の問題を中心に、今申しました検討会の場で今後に向けて具体的な検討を急ぎたいというふうに思っているところでございまして、建設主体設立の手続といたしましては、そういった場での検討結果も踏まえ、あるいはさらに国鉄との御相談も重ねながら、最終的に建設主体設立の意思が関係者によって固められますと、それに従いまして、あとは現在の地方鉄道法上の諸手続が進んでいくということになるわけでございます。
  36. 森田景一

    森田(景)分科員 その見通し、要するにいつごろまでに建設主体が決められていくか。私は、東京都も積極的だ、茨城県も埼玉県も積極的だ、だけれども千葉県がどうも積極的でない、こんな話を実は聞いたわけです。先般、千葉県知事にその旨を話しましたら、いや、そんなことはありません、私どもも一生懸命地元の願望でありますから協力していきます、こういう話でございますし、今のお話ですと、とにかく皆さんは、積極的にやりましょう、こういうことですから、合意を得ることはそう難しくない。特に千葉県は、今東京湾横断道路という大きなプロジェクトを進めようとしておるわけでございます。あれもことしの予算については当初ついてなかったようですけれども、大蔵大臣と木部建設大臣、前任者だったのですが、大臣折衝で予算がつけられた、こんなふうに聞いているわけでございます。先ほどもお話がありましたけれども三塚運輸大臣はもう実力の誉れ高い大臣である、こういう評価をされておりますので、ぜひひとつその辺のところ——先ほど申し上げましたように、東京都とか三県がありまして、担当者の方々が御苦心なさるかもしれませんけれども、機運としてはそういう状況でございますから、早く決まるだろうと私は思うのです。ですから、先ほど申し上げましたように、三塚大臣の在任中に決めていただければ、後はずっと進むわけです。ところが国鉄民営分割問題がこうだなんてことで、そっちは後だ、こうなったのではまた先へずっと行ってしまうという心配があるわけです。まさかこれだけ優秀な方々がそろっている運輸省が、国鉄民営分割だけでみんなそっちへ頭が向いてしまうということはあり得ないと思うのです。そういう方向を大臣が、夏までなら夏までに事業主体を決めろ、秋までには決めろ、また決めるんだ、こういう方針で進まれればきちんと決まると思うのです。いかがでしょうか。
  37. 服部経治

    ○服部政府委員 大臣からお答え申し上げます前に、私からちょっと御説明させていただきますが、この建設主体をどうするか、どういう性格のものにするかという問題は、その余の問題、例えばどういう格好でどういう良質の長期資金というものを調達し得るかなどの問題と深く深くリンクしておりまして、かかわり合っておりまして、そういったその余の問題の詰めと並行しながら建設主体に構成なり設立時期なりの問題がこれから煮詰められていくわけでございまして、私どもとしては、できるだけその検討を急ぎたい、あるいは急ぐように関係の公共団体に要請を続けてまいりますけれども、今、現在の段階で、その時期を明確に申し上げることはできないような状況でございます。
  38. 三塚博

    三塚国務大臣 森田委員指摘の、この常磐新線の問題は、ここ数年かねがねの懸案でございました。予算委員会、運輸委員会、各委員会において指摘をされてきましたし、各県知事から、また地方自治体から、また議員各位からも非常に陳情のありました問題でございますだけに、運輸省としては、この取り組み方は、ただいま服部地域交通局長答弁しましたように、積極的かつこれが長期検討などと言われませんようなことでできるだけその結論を急ぐ、また形をつくらさせていただくべくベストを尽くす、こういう姿勢で取り組んでおりますことは御理解がいただけるというふうに思います。  問題は、今度地方鉄道法をベースに新しい鉄道の姿を想定した鉄道事業法を今月十四日までに提出をさせていただくわけでございますが、その中にも、第三セクター方式による事業主体というものを改めて想定をした、受け入れられる規定にいたしておるわけであります。そういう点などを考えてみますれば、特に常磐新線がこれだけ騒がれるというのは、都市交通としてとても今の単線だけではどうにもならぬというピークの状況にありますことを踏まえますれば、運輸省とすれば、これに積極的果敢に取り組まさせていただくということは当然であります。  ただ、地域交通局長が言うのは、一都三県の知事さん及び関係県の皆さんも議会もあられるわけでありますので、運輸省がどんどん前に出ますことで、この仕事がうまく進むことの足かせになるようなことが万が一あってもならぬだろう、地域の盛り上がりがここまで来たのでありますから、それを大事にしながらこれを誕生させていく配慮、しかしながら、待つのではなく、時に刺激を与え、時に積極的に参加をさせていただくということで、一月末検討会がスタートいたしたということはその熱意であるというふうに御評価をいただきますればと思うのであります。  私としましても、さらにこれに最大関心を持っておる一人でありますものですから、地域交通局長からも絶えず報告を聞いておりますし、また知事さん方とお会いしたときにも、森田委員も言われますように、千葉の知事は決してそうではないということを私も知っておりますし、そういう意味で、私自身もそういう第三セクター事業主体化ということについて端的にお話を申し上げ、この方式を固まらさせていただく、そしてその建設費負担方式なども、捻出方式でしょうか、こういうものなども進めさせていただきますればと思いますし、横断橋方式の中で取り入れられましたことなども重要なベースとしてこのことを取り進める、こういうことで、これだけの熱望にこたえて積極的にこれに取り組んでまいります、こういうことで進めたいと思っておるところであります。     〔主査退席、久間主査代理着席〕
  39. 森田景一

    森田(景)分科員 決意のほどをお聞かせいただきました。いずれにいたしましても、一都三県でございますから、どこかがまとめなければこういう会議はまとまらないわけです。まあ一番大きな東京都さんが中心になってまとめる、こういう方向でも出ればまた別でございますけれども、そういうものがまとまるまでは、運輸省が積極的なアドバイスといいますか、まとめていただかなければ、これは私が申し上げるまでもなく大臣御存じのとおりでございますので、そういう意味におきまして、実力者大臣三塚大臣が在任中にぜひ事業主体を発足させるように御努力願いたい、こういうことでございます。
  40. 三塚博

    三塚国務大臣 承知しました。全力を挙げて頑張ります。
  41. 森田景一

    森田(景)分科員 実は、この常磐新線の答申が発表になりまして一番喜びましたのが流山市の住民であります。この流山市というのは、昔、今の常磐線ができるときに、計画としては東京から流山を通って茨城県に抜ける、こういう計画だったそうですが、当時まだ船の便が盛んでございまして、鉄道ができると船の方が寂れてしまうということで流山の人は反対したのだそうです。それで今の松戸から柏に抜けて茨城に行く。それが本当に大きなミスであったということで、ぜひ流山を通してほしい。答申に「流山市南部」とありまして非常に喜びまして、早速住民の方々が常磐新線を上空から視察する会というものをつくりまして、これに千葉県知事、流山市長、柏市長、そして運輸省からは当時、今異動になったかどうかわかりませんが、荒井正吾さんという交通計画課長、それから岡田宏さんという国鉄常務のお二人が一緒に乗られたのです。それで上空からずっと見られた。これは路線もキロ数も明示してありますから、路線については当然承知していらっしゃるのだと思うのですが、私どもも、この答申を地図で見ていきますと、埼玉県を通って流山に入る、そのためには武蔵野線の南流山駅あたりで交差するのが妥当なんじゃないか、こう思うわけです。それから柏に行きまして、東武鉄道の豊四季という駅があります。あの豊四季の訳か、あるいはもう少し野田の方に寄った豊四季と初石の中間あたりを通る、そんなふうに見られます。いずれにしても守谷に行ってしまう。その途中に元米軍が通信基地として使った跡地があります。非常に広大な土地であります。これは今、国と県と市ということでいろいろ払い下げになりましたので、整備計画が進んでいるわけです。そこを通るのか、ちょうどそこにまたゴルフ場がありまして、ゴルフ場にかかるのか、それともその辺の南を通るのか北を通るのか、その辺が非常にわかりにくい。視察されたのですから、当時の計画課長がおいでのような様子でございますから、その辺のところ、ゴルフ場の南側になるのか北側になるのかひとつお答えいただきたい。
  42. 服部経治

    ○服部政府委員 運政審答申で明確にされておりますルートというのは、主要な経過地を明示する格好のものでございます。今後具体的にどういうところを地図に落として通っていくかというような方針を決めるのは、まさに建設主体そのものでございます。この建設主体は、現在私どもが期待しておりますのは一都三県が主体になる、そういった建設主体でございますので、その具体的なルートの問題につきましても、今後先ほど申し上げました検討会の場でさまざまな角度から議論が積み重ねられていくものというふうに承知しております。
  43. 森田景一

    森田(景)分科員 常磐新線につきましては、大臣からも御決意を伺いましたので、この辺で終わらせていただきますが、ぜひ一日も早く建設をというのが地元の強い願望でございますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  次に、もう一つ国鉄の京葉線の問題が千葉県にございます。先般、国鉄としては最後の新線開業ではないかと地元では言われました京葉線が西船橋−千葉港間で暫定的にといいますか部分開業されたわけです。同じ日に埼京線の開業式もありまして、三塚運輸大臣、千葉の方においでになるかと期待しておりましたが、そちらの方に行かれまして、事務次官が大臣の代理でおいでになりました。地元では大変な喜びようでございます。御存じのとおり、あれは将来は東京に直接乗り入れができる計画になっているわけですけれども、現在西船橋で中断しているわけです。そんなことがありまして、せっかく部分的にしろ開業したのですから、一日も早く東京まで開通してもらいたいという強い要望を当日参加された方々も言っておりました。  それで、何回も繰り返すことになるのですが、国鉄民営分割ということになって、今はどうなんだかわかりませんけれども、来年の四月一日から発足させたい、こういう予定になっていらっしゃいますね。今までは建設資金については国の予算でつけておったわけですが、民営化された場合の資金の調達の方法、こういうことは一体どうなるのだろうか、大変心配な問題です。その点について、まず最初にお聞かせいただきたい。
  44. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 京葉線は御承知のように鉄道建設公団で建設を進めております。鉄道建設公団のシステムと申しますのは、鉄道建設公団が資金を調達いたしまして、完成いたしました線を有償で国鉄に貸し付けるということでございます。民営分割に伴いまして変わりますところは、国鉄というところが東日本旅客鉄道株式会社というところに変わるわけでございます。これにつきましては、先般国会に提出いたしました法案で、それらのところに所要の措置を加えることといたしておりまして、今後も京葉線のような線区につきましては、引き続き鉄道建設公団で従来どおり建設をいたしまして、同じような形で東日本会社に貸し付ける、こういうことになっておりますので、その面については別に問題はないと考えております。
  45. 森田景一

    森田(景)分科員 資金的には心配ない、こういうことで安心でございますが、今工事の方は東京駅につなげる工事、非常に難しい工事にかかっているようでございます。特に東京の市街地の地下を通るような工事でございます。資金的に心配ないとすれば、この工事の進み方が順調ならば、昭和六十三年春開通が予定になっております。これができる可能性はあると思うのですが、この工事の進みぐあい、それから予定どおり六十三年春開通に間に合うのかどうか。その辺について鉄建公団の方でおいでいただいていると思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  46. 横山章

    ○横山参考人 お答え申し上げます。  一番問題になりますのは、京葉線の新砂町から東京間の七・三キロでございますけれども、この区間は既に八〇%の工事を発注いたしておりまして、現在時間のかかる駅部立て坑の工事、シールド機械の製作等を進めておりまして、予定の六十三年の春までに竣工させるべく今努力をいたしております。
  47. 森田景一

    森田(景)分科員 いずれにしましても、東京駅まで直通運転ということになりますと大変便利になるわけです。  時間がもうないようですから、一つだけちょっとお話ししておきたいのですが、もともとこの京葉線は貨物線として計画された線でございましたが、それが地元の人たちから、海浜ニュータウンができまして、ぜひお客さんも乗れるようにしてほしいという要望がありまして、国鉄運輸省の皆さん、地元の皆さんの御協議で、今のところは貨客両用ということになっているんでしょうか、けれども貨物線ではどうにもならなかった、今になるとそう思うのです。ですから、旅客用にしたということは正解だったと思うのですが、貨物線計画したために、西船橋の方では、千葉港の方から西船橋まで行く路盤、線路、それから東京方面から西船橋に来る路盤、こう二つありまして、将来直通になりますと、広がったところを三角形になるような形で東京直通の電車が走る設計になって、事実路盤はそうできているのです。今の計画では、武蔵野線は西船橋ですか、そこまでは走るから、今使っている西船橋−千葉港間のは使える。しかし、東京の方へ行くもう一つの路盤は使う予定には今なっていないのです。これはぜひ線路を敷いてもらって、武蔵野線から東京まで直通の電車が走るように、一日に何本もたくさんというわけにはいかないと思います。通勤時間に走るような、そういう計画をぜひ実現させてもらいたいな、こういうふうに思っているわけでございます。  もう時間が経過しましたので、この点につきまして一点だけお伺いして質問を終わりたいと思います。
  48. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 京葉線の運行につきましては、国鉄、その継承体であります東日本旅客鉄道株式会社運営をさせていただくということになると思いますけれども、そういった意味で、私から御答弁を申し上げますが、今、先生からもお話ございましたように、やはり京葉線の旅客線化、これの主体の流れは、千葉地帯から東京都心に向かう流れが主体の流れになるというふうに考えております。  今、先生お話ございました西船橋方から東京方に向かっておりますデルタの一点、これをどういうふうに考えていくかということにつきましては、今回の西船暫定開業、それから東京までの本格開業、そういった時点におきますお客様の流れ、それからニーズ、そういったものを十分参考にしながら考えてまいる事柄であるというふうに考えております。
  49. 森田景一

    森田(景)分科員 格段の御努力をお願いしまして、質問を終わります。
  50. 久間章生

    久間主査代理 これにて森田景一君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  51. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 国鉄の改革について私から大臣にお伺いしますが、今国を挙げて行政改革の急務が叫ばれ、その一環である国鉄の大改革が、国鉄再建監理委員会の意見書も提出されまして、行われようとしております。国鉄経営は既に破産し、一日約六十三億円、年約二兆三千億円の赤字を積み重ねていますので、今や国家財政の足かせとなって、その再建は緊急かつ国民的課題でありますので、私もこの国鉄事業を健全で活力ある企業体として再生させるために、国鉄分割民営化の実現をこいねがっているところであります。また私の支持母体からも余剰人員対策長期債務処理、人員の継承方式、経営方式に万全を期することを条件にその促進を図るよう要請されておりますので、この国鉄分割民営化に取り組む大臣の所信のほどをまずお伺いいたします。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま問題点を明確に御指摘をいただきながら御質問いただいたわけでございまして、菅原委員と全く共同認識でございます。よって、我が国国政の最大重要政治課題というふうに受けとめさせていただいておりますし、同時に、この改革は一日のおくれもあってはならぬのではないだろうか。そういう意味で、国民の深い理解と国会の本件に対する御協力の中で御決定をいただきながら、この改革が、諸法案を提出をさせていただいておりますけれども、その方向の中でしっかりと進めさせていただきますよう運輸大臣として全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  53. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 ついては、総裁も、簡単でよろしゅうございますので、一言決意のほどをお願いいたします。
  54. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 国鉄の現状からいたしまして、抜本的な改革というのはもう絶対に必要であるというふうに思います。法案も提出されました。いろいろな問題がございますが、そうした問題につきまして運輸省ともども懸命の努力をしてまいりたいというふうに思います。
  55. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 ついては、余剰人員対策の見通しはどうでございますか。いろいろ新聞でも承知しているところでございますが、計画どおりに大体対策ができる見通してございますか。
  56. 三塚博

    三塚国務大臣 今、国鉄総裁が中心となりまして、各方面にお願いをいただいております。また運輸大臣としても、担当局長を初めともども関係局長も動員いたしまして、各方面にお願いを申し上げております。内閣としても、総理を中心に経済四団体に既にお願いを申し上げました。さらに地方公共団体についても近々お願いを申し上げる。こんなことでございまして、国家公務員、地方公務員グループについての三万人については、ただいまのベースを堅持しながら何回も何回もお願いすることをしてまいりますならば、各地方自治団体も最終的には御賛同いただき、御参加をいただけるものと考えております。これができ得ますと、ほぼ六万一千人の他の業種への転換が可能であるというふうに思っておるところであります。
  57. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 それから長期債務処理。用地売却もありますが、最終的に残る債務の具体的な処理方策についてお伺いするわけですが、私たちは国鉄再建新税の不安も感じられるわけでございますが、この二点についてどうなっておりますか。
  58. 三塚博

    三塚国務大臣 長期債務の問題については、十六兆七千億円国の責任において措置すると明確に閣議決定をいたしたところでありますし、本会議予算委員会を通じまして総理からもこの点は明言をいたしておるところであります。この方式は、清算法人発足後、余剰人員の進みぐあい、それから土地の処分、諸状況を勘案いたしながら取り組んでまいるわけでありまして、名言をいたしておりますとおりのことでございますものですから、全力を尽くして責任を全うする、逃げはしない、こういうことであります。  新税の問題でございますが、本件は、中曽根内閣は「増税なき財政再建」、こういうことであります。そういう意味で、ただいま新税をもってこの長期債務の処理を図るということは考えておりません。
  59. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 次に、職員の継承方式でございますが、今日までの国鉄経営を悪化させた労使関係の刷新ができないままでは、せっかくの新しい体制も効率を上げることはできないんじゃないか、こう思うわけでございます。こういう意味から、私たちは、やはり一応今までの関係を白紙に戻した状態での新しい労使関係が結ばれるような配慮が欲しいのだ、こう願っているわけですが、この点に関してはいかがでございますか。
  60. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 これからの改革を行う場合におきまして、労使関係の信頼関係、緊密な連携、協力体制、これはもう必要だと思います。そういう意味におきまして、各労働組合に対しましていろいろな機会に、これからの提案もたくさんございますが、今までもございました、そういう機会に十分に話を詰めておる、そういうふうにしておるところでございます。その際にも、現在の国鉄改革の重要性、必要性というものにつきまして十分理解をしてほしいということで説得をし、組合もそれなりに対応をしてきているというところが多うございます。なおまた、基本的な主義、主張の関係でそうした面での完全な理解が得られないという組合もあるわけでございますが、今後とも粘り強く話を進め、新しい会社につきましては、新しい労使関係というものを打ち出していきたいというふうに努力をしておるところでございます。
  61. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 それから、民間経営方式のよさが最大限に生かされる対応でなければならないと私たちは考えております。この点についていかがでございますか。
  62. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回の国鉄民営分割に際しまして、私ども基本的に考えておりますことは、新しい会社が、いわゆる私鉄並みというような、従来の国等からのいろいろな意味の規制を取り払いまして、自由な形で、かつ健全な形で経営が行えるようにする、こういうことではないかと思っております。  そういうような観点から、今回国会へ提出をいたしました法律によりまして、新しい旅客会社貨物会社につきましては、当面これは一〇〇%国鉄出資ということでございますので、そういう意味での必要最小限度の規制、これはやむを得ないと思いますが、その形の中では最も緩い形の規制といたしたわけでございます。そういうような形で、関連の事業経営等も含めまして、極力自由な形で経営が行えるというような配慮をしておるところでございます。
  63. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 過般、青森市を訪問の際に、私たち民社党市議団から青森市までの新幹線の早期乗り入れ実現への努力を要望されてきたわけでございます。一応盛岡以北への着工に対しましてはゴーサインが出ているわけでございますが、この建設予算は今後どのような形で確保されていくのか。新幹線保有機構との関連もあると思うわけでございますが、この点に関してお伺いする次第でございます。
  64. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 東北新幹線の盛岡以北につきましては、御承知のように、昨年の十二月に工事実施計画の認可申請が出されたところでございます。ただ、その取り扱いにつきましては、昨年の八月二十二日に政府と与党との間の申し合わせがございまして、政府・与党間の閣僚と役員によります財源問題等検討委員会というのがございまして、この委員会におきまして、着工の前提となります運営主体、建設主体、並行在来線の取り扱い、さらには一番大きな問題でございます財源問題につきまして結論を得た上で行う、こういうことになっておるところでございます。したがいまして、現在、御承知のように毎年度工事費をつけておりますが、これらの結論が出た上でこれらの工事費を執行する、こういうことになっておるところでございます。
  65. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この新幹線保有機構は、一括保有される方式という趣旨ではないかと思っているわけでございますが、この機構に任せるというわけではございませんか。これは単なる旅客会社の収益調整のための機構である、こういうふうに解釈していいわけでございますか、この新幹線保有の方式は。
  66. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回提出いたしました法案にございます新幹線保有機構と申しますのは、現在ございます新幹線を一括保有して、そして新しく発足する旅客会社に貸し付ける、こういうことでございます。  ただ、東北新幹線の東京−上野間、これはもうほぼでき上がっておりますので、これにつきましては、あわせましてこの機構が保有し、完成後貸し付けるということになっております。いわゆる整備新幹線につきましては、現在のところの法律の体系といたしましては、この機構において扱うというようなことは規定をいたしておりません。
  67. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 この新幹線の一括保有機構の中に、私たちとしては、建設工事能力を持たせないのがよいのではないか、こう考えているわけでございます。しかし、持たせるならば、最初からこれを明記しまして、その予算、財源のあり方も、長期債務の中に入れて、その返却ができるような試算のもとにこれをなすべきじゃないか、こう考えているわけでございます。  いずれにしても、盛岡以北の早期実現は、これは私たちも熱望をしているわけでございますし、また三塚大臣はこのことはよく御存じなはずでございますので、ひとつこれへの万全の配慮をお願い申し上げて、質問を次に移らさせていただきます。  実は、分割民営化で、急に赤字の在来線に対するところの廃止不安というのが赤字在来線の路線の住民から起きております。国鉄再建法に基づいて、特定地方交通線にはバスがえということがはっきりしておりますし、特定地方交通線以外は幹線と一緒に新しい旅客会社にこれを運営させるということにはなっているわけでございますが、いずれにしても、私の地元であります大船渡線沿線では、これが廃止されるのではないか、そういう不安が大きいわけでございます。こういうことで、地域住民も、これを赤字にしていたのではいかぬというので、随分団体旅行を企画しまして、鉄道利用にいろいろなPRをして協力しているわけでございますが、この地域の不安、あるいは私たちばかりじゃございませんが、全国的なこういう不安に対して、国はどのような指導方針をとっていくのか、お伺いする次第でございます。
  68. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 今回の民営分割に伴いまして、地方交通線につきましては、いわゆる特定地方交通線、これは現在法律の規定に基づいて所要の対策を進めておるわけでございますけれども、それらの特定地方交通線対策につきましては、従来どおりこの対策を進めていきたいというふうに考えております。それ以外の地方交通線につきましては、これはそれぞれの新しい旅客鉄道会社に引き継ぐことといたしております。  御指摘の大船渡線は、いわゆる特定地方交通線ではございませんで、それ以外の交通線でございます。したがいまして、それは新しい民営会社に引き継ぎまして、その後の経営判断は新しい会社において行うというのが基本だと存じます。  ただ、今回の改革によりまして設立いたします会社は、極力健全な経営ということを目指しております。その反面、徹底的な私鉄並みの厳しい経営体制にはいたしますけれども、他方、長期債務、特定年金負担というようなものはすべてこれから分離をいたしまして、健全な経営でやっていけるということを目指しております。したがいまして、そういう意味で、大船渡線を含めます地方交通線も、新しい経営形態がそれなりの経営努力をすれば、十分これを維持していけるというふうに考えておるところでございます。
  69. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 そういたしますと、新しい経営主体ができた以降は、一応新しい経営主体の判断に任せるということもあり得るわけでございますね。そういう基本方針でございますね。
  70. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 新しくできます会社は、いわゆる民営鉄道と全く同じような経営の形になるわけでございますから、それらの線区の経営の考え方はすべて新しい会社がこれを判断するということでございます。
  71. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 実は、御承知のように大船渡線はなべづる線でございまして、新しい経営会社に判断を任せるというと、これは勢いまた赤字が予想されるので不安が増大するわけでございますね。しかし、今三陸鉄道が第三セクターでいい成果を上げておりますので、新会社の一方的な判断というよりも、常に国が地域の利便を考えた指導を、現在要求されておる路線については今後とも指導できるようにひとつ前配慮というのですか、そういうこともお願いしておきます。  次に、超特急、いわゆるスーパーやまびこの一ノ関駅停車の問題でございます。  前総裁にも質問しておきましたが、昭和五十八年十二月、新幹線上野乗り入れ時のダイヤ改正案がまとまったというニュースが流れた時点で、一関もこの誘致に乗りおくれてはいかぬというので、急に陳情合戦の態勢を組んで、今日までこれの要望をなしてきたわけでございます。そこで前総裁にスーパーやまびこの停車をさせた判断基準というものがどうなっておるのかを一応問いただしたわけでございますが、その中に、経済的な配慮で将来客数がふえるような状態があったら、その時点で検討させていただきたいという答弁政府委員の方からですかなされております。またスーパーやまびこの一ノ関駅停車については、新総裁にも陳情が行ったはずでございますが、この点の見通しはどうなっているわけでございますか。
  72. 須田寛

    須田説明員 今の先生の御指摘は、停車駅の少ないやまびこの問題だと思いますが、今この列車は、首都圏と盛岡ないしは青森、秋田方面の比較的遠距離のお客様をお運びするということで二時間四十五分運転をしておるものでございまして、停車駅は三駅に限定しておるわけでございます。したがいまして、非常にお客様の多い駅だけに限定をさせていただいて今やっておるわけでございますので、現時点では一ノ関は全部通過になっている、こういうことでございます。  ただ、今の状況で考えてみました場合に、今のような使命がございますので、停車駅を極力ふやしたくないということ、それから停車駅のバランスということも考えなければいけないということを考えてまいりました場合に、現時点におきましては、一ノ関駅御利用のお客様の数からいたしますと、これにつきましてはやや難しいというふうに申し上げざるを得ないのが実情でございます。ただ、現在一ノ関駅はお客様の数が急速にふえておりますものですから、将来その辺の事情を十分見きわめまして、またそれらしい対応をしてまいりたい、このように考えております。
  73. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 実際一ノ関駅の乗降客一日五千人台、福島は九千人を超えておりますし、郡山になりますと一万人台でございますから、こういう乗降客の状況を見きわめて将来検討するといいましても、これは一体どの点までなのか、こういう経済指数からいうとほとんど不可能に近い乗降客の数じゃないか、こう思うわけでございます。しかし、地元では大変な熱の入れようで、そのための費用も莫大でございますので、民間の協力を得て——こういう点ひとつ地元のそういう熱意もお酌みいただきまして、適切な御指導、配慮をお願いしたいな、こう思うわけでございます。  このスーパーやまびこは、福島あるいは郡山にも停車する。福島、郡山の人たちが一般のやまびこと比べてどのくらいスピードアップするかというと五分から七分前後でございますね。ですから、本来こういうものはとめるべきでなくして、東海道新幹線でも東京、名古屋、京都、大阪というようにありまするように、盛岡、仙台、上野、こういう乗り入れをすべきであったのじゃないか。どうも政治的配慮が動いたのじゃないかということを感じているわけでございます。そうなりますと、青森に新幹線が開通した時点には、やはりこういう既存の一つのケースがありますから、国民だれもが期待して納得のいける、今度はスーパーの上に超がつく超スーパーやまびこでも通しまして、現在のスーパーやまびこは百キロぐらいの区間のところにはとめていく、こういう配慮をお願いしたいな、こう思うわけでございます。これは私は前向きの協力を申し上げようとして言っておるわけでございますので、その点をひとつ大臣も心にとめておいていただきたいと思います。  それから、モータリゼーションの問題も、ヨーロッパに私が二十数年前に行っておりました際などは、向こうでは鉄道が支線がどんどん廃止されまして、それにかわるモータリゼーションの方が、バス輸送の方が便利で、大体三十分以内、普通二十分前後でバスを通すと、各家庭が自家用車を持っておりましても十分対抗できるわけでございますね。ですから、今後このモータリゼーションの計画ということも、新会社ができるわけでございますから、新会社が弾力性を持って対応できるような指導をしていっていただきたい。このことは前回も要望しているわけでございます。  さらに、時間がなくなってまいりましたので、三陸鉄道で久慈−盛間の一貫経営の実現を国鉄分割民営化前に何とか実現したいというので県が要請しているわけでございます。三陸鉄道、これは成功した例でございますので、県の要請には前向きに検討するようではございますが、私の方からも特段の御配慮をお願いしておきまして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  74. 久間章生

    久間主査代理 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に藤田スミ君。
  75. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、国鉄阪和線の安全性及び乗り心地の快適性の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  初めに、阪和線の特性を国鉄はどのように認識をしておられるのかということをお伺いしたいわけですが、阪和線というのは、昭和四年の七月十八日に、当時社線と申しましたけれども、いわゆる民間会社として建設されました。そして昭和十五年に南海鉄道と合併し、十九年の五月一日に国鉄阪和線と呼ばれるようになったわけです。     〔久間主査代理退席、主査着席〕 私鉄は当時基盤投資を非常に軽視をして建設をしておりまして、しかも阪和線は南へ行くほど大阪泉州の山手の軟弱な路盤の上を走っている、こういうふうになっているわけであります。その結果、線路の敷地幅が非常に狭い、あるいは踏切、カーブが非常に多い、それから今の基準では許されないような勾配のきついところもある、あるいは線路の下を横断している農業用水路の数がこれまた無数にありまして、しかも線路の側溝率が低いというふうな歴史的かつ地理的な条件による悪条件が存在をしているわけであります。この点についてどう認識をしておられるのか。あわせて阪和線の今後の乗車効率の見通しについて将来像をどのように見ておられるのか、お聞かせをいただきたいわけです。
  76. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 阪和線の線路先生の今の御感想につきましてちょっと述べさせていただきたいと思いますが、先生も御指摘ございましたように、阪和線は和歌山地区と大阪都心とを結ぶ重要な路線、特に通勤通学路線、旅客輸送の面あるいは紀勢線を通じましての都市間旅客輸送ということで重要な役割を果たしている路線でございますが、その線路の特質につきましては、先生今御指摘ございましたように、例えば下水渠が多い、あるいは踏切の箇所数が他と比較いたしまして多いというような問題はございます。それからまた地盤につきましては、一部区間につきまして地盤がシルト質を主体といたしまして軟弱な区間を通っているということもございます。  ただ、先生お話にございました曲線の問題につきまして考えますと、ほぼ並行して走っております南海電鉄の線路等と比べますと、非常に曲線が少ない、むしろその曲線を避けて建設をしたために、ある一部の区間で地盤が軟弱なところを走っているということが言えると思います。それから勾配等につきましては、現在の列車の運転に対しまして、決してそうきつい勾配ではないというふうに考えているわけでございます。  お話のございました乗車効率の見通し等につきましては、須田常務から御答弁を申し上げます。
  77. 須田寛

    須田説明員 現在、阪和線の乗車効率は、快速で申し上げますと、朝ラッシュの一時間の一番混難いたしますところで大体二三五%、各駅停車が大体一八八%ぐらいの効率でございます。最近快速電車の増強をいたしまして、いろいろ待避線等の増設をいたしまして、大分快速電車の方にお客様を移っていただいておりますので、現時点ではこのようなところになっておりますが、やはり沿線が非常に発展をいたしておりますので、これからも通勤輸送の改善ということは非常に重要な課題だと考えておりますので、車両の増結とかあるいは今の列車種別を十分見直しまして、お客様に御便利な列車体系にするとか、このような改善に力を入れてまいりたい、このように考えております。
  78. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 カーブの問題、それから勾配の問題については若干すれ違いがありますが、特性については大体私の認識と一致していると思います。それから阪和線は将来ますます繁忙化していくという点についても認識が一致していると思います。その上に立ってお伺いをいたしますが、国鉄では乗り心地をよくしていくために、大臣、御存じでしょうか。例えばレールの高低を見ていくP値、御専門ですので御存じだと思いますが、そのP値の目標を定めまして、P値の指標を引き下げて乗り心地をよくしていく、そういう努力をしておられると思うのです。  そこでお伺いをしたいのは、今後のP値を下げる方針及び全国の高低のP値の状態、高低だけで結構です。高低のP値の状態の実瀬をお聞かせください。
  79. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生指摘の乗り心地に最も関係いたしますのは、先生お話がございましたような高低のP値でございます。高低のP値につきましては、現在は各管理局がそれぞれの路線の特性、輸送量でございますとか速度でございますとか、その線区の使命に応じまして各管理局で目標を定めて、その中で管理をしていくということにいたしておりますが、今のP値、例えば数字で申しますと、全国の二級線のP値は最近著しく下がってまいりまして、ひところ三五近く、三〇をオーバーしておりましたものが、現在は二〇を切るというようなところまで下がってきているような状況でございます。  なお、阪和線のP値について申し上げますと、ひところ五十一年当時におきましては四一程度でございましたものが、これもいろいろな施策の結果、改善をしてきておりまして、現在三〇という状況に改善をされてきている状況でございます。
  80. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 つまりP値を下げるために努力をしておられるし、最近ではかなり改善をされてきた、こういう御答弁というふうに聞きますが、しかし、その阪和線でも、久米田支区と申しまして、鳳から日根野の間、あの区間を通称久米田支区と呼ぶわけです。その久米田支区のP値というのは、先ほど阪和線は三〇だというふうに言われましたけれども、ここは三五なんです。間違いありませんね。その三五というのは、全国の実績で見ましたら、もう一日に二、三本ぐらい通る、私は反対ですが、いわゆる分割民営化で廃線の対象にされているような四級線並みの実績にしかなっていない。私のところに、最近阪和線の電車の揺れが非常に気になり出したという声がたくさん聞こえてまいりましたので、実際に阪和線に乗ってどういうぐあいかということを見てみました。それから線路のところも実際に歩いて、どういう問題があるのかということを現場の天鉄局の方なんかにも説明を伺いました。大体阪和線と同じように、都心から近郊住宅地の方へ走っている東京の方では横須賀線というのがありますが、これはP値一七なんです。それの倍なんです。こういうような状態になっているのが阪和線の特に久米田支区という地域なんです。これはやはり改善の必要があるというふうに思うわけですが、改善策を示していただきたいわけです。
  81. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今、先生お話のございました阪和線のうち久米田支区、先ほども私もちょっと申し上げましたが、この区間が地盤が軟弱な地区を通過している部分でございます。その久米田支区におきますP値が現在の時点で三五であるというのは先生の御指摘のとおりでございます。この区間につきましても、かつて昭和五十年当時では四四くらいの状況であったわけでありますが、鋭意改善に努めた結果、現在三五程度まで下がってきているという状況でございます。やはりこのP値と申しますのは、乗り心地を管理する一つの数値でございまして、列車の安全運転に影響するということでは決してないわけでございますが、今のP値三〇と申しますと、乗客の七割程度の方々が普通またはよいと感じるというようなレベルになっているわけでございます。しかしながら、乗り心地を改善をするということは、やはり鉄道事業者に与えられた非常に大きな使命の一つであるというふうに考えておりますので、今後も機械の稼働をさらに高めるというような手段を講じまして、これの改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
  82. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 近年だんだんによくなったと言われましたけれども、五十七年から以降六十年まで、表で見ましても、これは天鉄局の表ですが、P値三五は変わってませんよ。余り認識をそんなふうに甘く見ないでいただきたいと思います。P値を下げるために努力をされる、したがって保線作業を充実していく、こういうふうに理解をしていいわけですね、改善のために保線作業などに力を入れていくと。簡単で結構です。
  83. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 機械の効率を上げ、線路の状態を良好にするために努力をいたしております。
  84. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 ぜひそういうふうにしていただきたいという上に立って、しかしながら、最近の一連の合理化、要員の削減で手が回らなくなっている、私は現場を見てそのことを思いました。  大臣、自動車にはねをかけられるという話は常識、常識言うたらちょっとあれですが、よくある話です。電車にはねをかけられるのですよ。そういうところがあるのです。私が線路の横を視察していると、ここで私ははねをかけられたと言ってかんかんになって怒って、私に訴えに来た人があるぐらいのところもあるわけです。  一つは、そういう状態なのに、阪和線の場合は、レールの下にバラストといいまして砂利を入れる、そのバラストを道床の下に入れてつき固めていくマルタイという機械があるのです。さっきの機械はそのことなんです。阪和線の場合は三つの支区に分けていまして、それぞれ一台ずつあった。それを今は三支区全体で一台にしてしまったのですね。緊急用ということで、今は日根野支区のところだけにはマルタイはもう一台置いているわけです。ところがそれももうことしの三月でやめにする、こういうふうに言われているわけです。これでは改善できないじゃないかと私は思う。  もう一つの問題は、先ほど指摘をしましたように、用水路が非常に横断をしている。それから側溝率が低いというようなこともありますし、それから踏切の数が多いというような特性の中で、マルタイという機械を十分稼働し切れない条件があるわけです。セメンを張ってなかったらマルタイは進むのですが、セメンを張っているところは機械を入れられませんから、セメンを張っているところとセメンを張っているところの真ん中の距離が短かったらその機械を使えない。だから結局タイタンパー、つまり手動式で昔やっていたようなああいうやり方で、人海戦術で補修をしていかなければならぬという状態になっているわけです。ところが、その仕事が最近は実際に相当下請に回されてしまっているのです。この下請化がひどくなった三年前からP値が改善されてきていないというところに一つの重要な問題点があるというふうに私は思います。  加えて、五十七年の合理化に続いて昨年の十月の合理化で百三十四人の要員が百人に削られました。しかも、今度の三月のダイヤ改正で線路検査の検査周期が延伸をしてしまいましたので、阪和線の特性というのは、これでは全く無視されているではないか。それでもP値は改善できるというふうに考えられますか。私は改善をしていくという先ほどからの御答弁の上に立ってお答えをいただきたいわけです。
  85. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生からいろいろお話ございましたけれども、まずマルチプルタイタンパー、いわゆる線路のつき固め機械でございますが、これにつきましては、先生お話ございましたように、この阪和線を担当いたしておりました機械が三台ございました。現在はその配置を一台にいたしております。これはそのとおりでございます。しかしながら、その背景には、この地区におきまして、かつてマルタイ一台当たりの年間のつき固めの稼働キロ数が四十キロ程度しかないという実態がございます。現在この地区に配置いたしておりますマルタイの稼働は百四十キロということに上がっております。これにはいろいろなことがございますが、いずれにいたしましても、マルタイの稼働キロ数が非常に上がっている、そういう実態を受けてマルタイの配置台数を適正化したものというふうに考えております。  また、先生いろいろお話ございましたとおり、例えば踏切の区間でございますとか、あるいは下水渠の区間でございますとか、マルタイが使えない部分がございます。そういった部分については、人力によるタイタンパーあるいは速修的な補修作業が必要なわけでございます。これの主力につきましては、外注ということにいたしていることも実態でございます。しかしながら、外注の効率あるいは技術力というものが決して直轄に劣るということでもございませんし、保線作業を外注にしたことは、P値が改善できないということと無関係であるというふうに私どもは認識いたしております。  そういった状況の中で、先ほども申し上げましたように、この地区、特に先生から御指摘のございました一部の軟弱地盤の通過地区については、乗り心地を改善するための方策というのは、いろいろ問題がございますけれども、私どもさらに工夫を凝らしまして、機械の稼働を上げる、あるいは機械の作業の合い間に、機械グループによって、タイタンパーで人力でなければできない区間の補修作業をするというような施策を通じまして向上を図っていきたいというふうに考えております。
  86. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 大臣、聞いておいてほしいのですが、小さい家の中でこの国会の掃除をするような掃除機を使ったとしたら、何かすごく効率がいいようで実は隅々がうまくいかないとか、やはり物には適性というものがあるわけです。さっきから機械の稼働率を上げているとか言うが、私も見ましたけれども、確かに前のよりもちょっと新しい機械ですよね。それがうまく阪和線に適しているかというと、そうとは言えない、そういう実態があるのですよ。外注の問題は無関係だとおっしゃいましたけれども、現場を調べてください。私は、外注にかえられてから確かに悪くなった、そういうふうに考えてますので、これは調べてください。同時に私は、そのためにも線路の検査の見直しをもとに戻して、人減らし、合理化で下請化をますます進めていくというようなやり方は責任を持つという観点から改めていただきたい。これは御答弁を求めませんが、要求をしておきます。  次に、乗客サービスの向上について二点お伺いをいたします。  阪和線の場合、乗り心地の悪さというのは単に線路が悪いだけじゃないわけです。車両が古いわけです。セコハンという言葉がありますが、六十年三月時点の天鉄局の調査によりますと、特急用以外の車両は九四%が首都圏の東海道線、そういうところから回されてきたセコハン車両で占められているのです。そして現在使われている車両で、特に通勤用、普通の乗客が乗る一〇三型という車両が阪和線全体の車両の半数以上を占めているわけですが、その冷房化率たるや非常に低くて七二・五、強化暖房に至っては五二%というような状態になっているのです。二年前までは、五十八年までは毎年二十四両ずつ冷暖房強化のために一生懸命努力してきてくれておったのです。ところがここ二年、五十九年、六十年はストップしてしまいまして、冷房化率はちっとも変わっていないのです。これはぜひとも促進をしていただきたい。  もう一つですが、阪和線は、養護学校とか障害者のセンターとかスポーツのセンターとかがあり、私は阪和線のことを俗に福祉線というふうに呼んでいるのです。これまで私は国鉄のそのための努力については一定の評価をしています。決して満足をしているというわけじゃないけれども、しかし評価をしています。それから駅員さん、特に障害者が利用するところの駅員さん、例えば阪和線で言えば上野芝駅あるいは百舌鳥駅、こういうところの駅員さんというのは、涙が出るぐらいうれしい障害者に対する温かい配慮をしてくださっているのを私はいつも見て知っています。しかしながら、これもだんだん様子が変わってきました。それをやろうといったって、要員が減っているのですから、実際問題としてできなくなって非常に悩んでおられます。しかも、駅の障害者のための改善、それから点字ブロック、券売機がふえましたね、それに対する点字シール、そういうものとあわせて構内アナウンスの繰り返しなどによる障害者対策というのは、障害者年が過ぎたからということではなしに、その後も十カ年計画で進めているのですから、もっと強化をして、この阪和線のすぐれた一つの特性、福祉線をもう少しそれらしく一層の努力をお願いしたい。  二点です。時間がありませんから、できるだけ簡単に答弁してください。
  87. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 車両についてお答えを申し上げます。  先ほど、冒頭お話がございましたように、阪和線の車の主体は、かつて東京地区の通勤電車に使ったものでございます。これは山手、京浜線に新しい信号設備を入れた際に、新しい車両をつくりました関係で、その車を持っていったのが主体かと思っております。  冷房化率でございますが、大体私ども調査によりますと、阪和線の快速電車が七九%程度、それから普通電車が七三%程度というふうに認識をいたしております。先生のおっしゃるとおりかと思います。大阪地区全体の冷房化率を調べるとほぼ七九%でございますので、大体同じか、やや悪い程度かなというふうに判断をいたしております。  今、特に各駅停車を中心に使っておる電車一〇三型というのは、全国で東京地区、大阪地区を含めて使っている車でございまして、ここ当分、しばらくの間は使っていくつもりでございます。  阪和線につきましては、当面直ちに冷房化を変える計画は持っておりませんが、今後またサービス改善の一環として検討してまいりたいと思っております。
  88. 須田寛

    須田説明員 今の福祉ラインの問題でございますが、大変お体の不自由な方のお乗りになる駅が多いということは十分承知をいたしておりますので、経営の効率化も進めなければいけませんけれども、そういったお体の不自由な方に対する安全、サービス面には遺憾のないように十分留意して進めたいと思います。
  89. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 運輸省はせんだって私の地元の泉北高速鉄道というのの運賃を値上げするのを承認するときに、冷房化率を高めよという意見をつけてその値上げを了承されたのです。私はそのことも運輸省に直接お願いしておりましたけれども、そういう意見をつけて値上げをされた。値上げはけしからぬと今でも思っていますが、しかしそういう意見をつけられた。運輸省自身がその値上げをするときそういうふうにされているのです。国鉄はずっと値上げを毎年やっているのに、何で冷房化率をそんなふうにかたいことを言うのですか。私は、私鉄とのバランスの上からも、そんな答弁はぐあい悪いと思うのです。後で大臣からもう一度御意見を伺います。  もう一つ大事な問題があるわけです。  その線路の検査の期間延長と同様に、車両の検査体系が変更されました。時間がありませんから、もう詳しく申しませんが、要するに、人間がドックに入るのを毎年やっていたのを三年に一回、そして精密検査の方は四年に一回やってくれていたのを六年に一回にしてしまったのです。そのために、いわば予防主義から発生主義というふうに変えられてしまいました。しかも、仕業検査といいまして、もう少し軽い検査ですが、これも二日に一回を三日に一回、交番検査というのは二カ月に一回を三カ月に一回と、検査周期をうんと延長してしまったわけです。  そこでお伺いをいたしますが、運輸省国鉄の昨年四月のこうした検査周期の見直しを承認するに当たって、五十九年の六月二十八日に運輸省から国鉄に対して、一つの意見というのですか、条件をつけておられますね、それを明らかにしていただきたいわけです。できるだけ簡単にお願いします。
  90. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 五十九年の六月に、ただいま先生おっしゃいました特別承認を行います際に、「なお、この承認は、車両の検査周期の延伸により重大な支障が発生し、又は発生するおそれがあると認められるときは、直ちに承認の全部又は一部を取消されることがあることを了知されたい。」国有鉄道部長名でかような文書を出しております。
  91. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 つまりこの承認は問題があったら取り消される、こういうことですが、その取り消しというのは全国一斉に行うということか、それとも問題のある路線あるいは車種に対して、その条件を見て適用していくということなのか、そこのところだけ。これも簡単で結構です。
  92. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、国鉄の車両の検査につきましては、規則によりまして、一定の期限を規則内に明記しておりますけれども運輸大臣の承認を受けた場合には、それに例外ができるということの承認でございます。  ただ、これは五十九年だけではなく過去にも、たしか昭和四十五年だったと思いますけれども、行っております。このときも同じような条件を付しております。これは当然のことながら例外の承認でございますから、それによって何か不都合が生じた場合には、当然取り消しが行われるといういわゆる建前論を明記したものでございまして、特にこれによって従来取り消しを行ったとかいう例はございません。  御質問のような、それはどの範囲に対して行うかということでございますけれども、これは車両の検査周期そのものに対する特例の承認でございますから、それは当然その車両の仕様全体にかかるわけでございまして、一部の路線とかそういうものを想定しているものではございません。  なお、承認の際、一つの承認でなくて、機関車とか貨車とかいろいろに分けて承認をいたしておりますから、そういう車種別のものについては、「一部」と書いてございますのは、当然その一部分について不都合が発生した場合にはそういうことが行われることがある、こういうことと御理解をいただきたいと思います。
  93. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 大変残念ですが、時間が来てしまいましたので、最後にまとめて大臣に大慌てで質問します、たくさん恐縮ですが……。  私はこの問題は非常に大事だというふうに思うのですね。それで、私のさっきから言っている地元の日根野電車区というところがありまして、ここは一昨年までは車輪転削作業というのは月に平均十一両から十二両ぐらいあったのです。ところが昨年四月に台車検査が廃止されまして、その後に九月に関西線の王寺駅で脱線事故が起こったのです。そこで作業量は一気にふえまして二倍から三倍というような状態なんです。人減らしがあったわけですから、もう残業に継ぐ残業で、これは大変な問題が出ました。  ところが、私はこれは日根野だけかなと思っていたら、東京池袋の電車区でもそういうことがありまして、車輪の取りかえ作業は、一昨年に比べて昨年は三倍もふえ、その上部品とか予備車両などの不足で、車輪取りかえをしなければならない電車が二十九両もあるのに、それをそのまま使っているわけです。したがって、このような車輪踏面の異常な摩耗を放置すれば、脱線につながるおそれがあるというのが現場の労働者の声であります。こういう状況こそまさに、今回検査体系を大幅に見直して周期を延伸したけれども、ぐあいが悪いんだという具体的なあらわれが出てきているのじゃないか。それでもこういうものを放置しておけば、まさに運輸省そのものの責任が最終的には問われてしまう。もし死傷者が出てから、ああしもたことした、これは現状を見直さないかぬ、承認を取り消さないかぬというような話は、これは話になりませんから、運輸大臣のそういう場合の責任という立場から私はもう一度御答弁を求めておきたいわけです。  恐縮ですが、もう一点どうしても聞いておきたいのです。関西新国際空港の問題です。 この問題で大臣は知事に対してあっせんを依頼されました。細かく申しませんが、聞いておきたいのは、そのあっせんに対して、漁業交渉の妥結の時期あるいはその金額について大臣は知事に条件をつけられたのか、それとも白紙で委任されたのか、それが一つです。  もう一つ、泉州は新空港つくりによって大阪府が前島づくりをやっています。これはどうしても空港に欠かせない施設ということになっているわけです。その前島の埋め立てについて、最近はもう地先権に対する補償が出されました。つまり重要な藻場がつぶされて、そしてもうほとんど漁業ができなくなるわけです。仲買人はそこで今深刻な問題に突き当たっているのです。私は町を歩いていまして、漁師が休んでいると、魚屋が漁師に、きょうは寝てんねなあ、こうあいさつするのです。一体の問題なんです。ところが仲買人の……
  94. 相沢英之

    相沢主査 ちょっと藤田委員に申し上げます。質疑時間を経過しておりますので……。
  95. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 済みません。  仲買人に対する補償の問題が全く何にも対象にされていないのです。この問題については、ぜひとも運輸省がイニシアチブを振るって何らかの措置がとられるよう関係機関に働きかけをしていただきたい、このことをお願いして、私の質問を終わります。御答弁をお願いします。
  96. 三塚博

    三塚国務大臣 大変きめの細かい御質問を拝聴させていただいておりました。国鉄当局もそれなりに全力を尽くしておるわけでございまして、冷房化の問題は、新会社がスタートし移譲されるわけでありまして、営業係数等、また地域交通密度等々を勘案しながら、快適な、乗りやすい条件をつくりますことが営業の基本方針でありますから、そういう点で十二分に今後配慮されるものと考えております。  また、安全の問題は、運輸行政基本でございまして、これも総裁を中心に技術陣全力を挙げておられるものと思います。藤田委員心配の御指摘もありましたが、私も聞いておりましたし、なおそういうことで格段の御努力をいただけるものと考えております。  また関西新空港、知事にごあっせんをということでありまして、仲介の労をとる時期に来たのではないだろうか。関西新空港は待望の空港であり、大分ずれてまいりました。六、七月に決まるものが、それが決まらない状況は、何とも残念なことであり、全力を尽くしてほしい、こういうことで時期はできるだけ年度内にお取り決めいただけぬかとは申し上げましたが、金額は両当事者の問題でありますので、触れておりません。  仲買の問題は航空局長が申し上げるそうであります。
  97. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 先生の御質問のございました魚の仲買人のことでございますけれども、この仲買人の方が埋め立てによって受けます影響につきましては、間接的、二次的なものということで、直接損失補償基準の対象になるというふうには考えておりません。ただ、しかしながら空港島であるとかあるいは対岸部の埋め立てによりまして非常に大きな影響を受ける場合には、関係の地方公共団体におきまして、地域振興という観点から何らかの対応がなされるよう協議、調整を図ってまいりたい、かように考えております。
  98. 相沢英之

    相沢主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。  次に、山中末治君。
  99. 山中末治

    山中(末)分科員 どうも御苦労さまでございます。大臣、御出席を賜りましてまことにありがとうございます。  私は、沖縄におきますバスの問題につきまして、大臣を初め皆様の御所見を承って何とか善処をお願い申し上げたい、このように考えているわけであります。  御承知のように、私が今さら申し上げるまでもないのでありますが、沖縄本島の交通機関と申しますのは、大量輸送機関としましてはひとえにバスに頼っているわけであります。聞くところによりますと、将来はモノレール等の御計画もうわさに上がっているやに聞いておりますけれども、今大量輸送機関としてはバスに頼るしかないという状況でございます。この状況のもとで、実は昭和五十九年の六月二十六日に、沖縄におきますバスの問題につきまして当面何とか改善をしなければならない、こういうことで、御承知のように沖縄県知事さんが意見を発表されました。  それは、沖縄県内のバス企業の中で、バス会社が四社あるわけでありますが、その中の大手二社が特に厳しい経営環境にございますので、バス業界全体として再編といいますか、そういうものを何とかしなくてはならないだろうということで知事が御発言なさいまして、バス問題は放置できない重要な行政課題である、早期に結論を出すよう取り組むというような御発言が議会の答弁の中でございまして、その後与野党全会一致によります議会採択、こういう政治的な経過も踏まえてまいったわけでございます。  これを考えてみますと、先ほど申し上げましたように、唯一無二の大量輸送機関でありますバスに対します県民各位の期待、それからバス事業に従事しております会社あるいはそこで働く方々、こういう方々の願いというものが知事の御発言に集約をされて、議会で与野党全会一致で採択をされたのじゃないか、実はこのように存じておるわけでありますが、これを契機にいたしまして、同年の六月二十八日、バス会社へ勤めている労働者側の方もこの知事の提言に対して何とか協力をしていく、こういう意思表示が発表されました。  その後、二つの大きなバス会社につきましても、会社側の合併の基本的な文書、この合意文書を発表されておるわけでありまして、その後十二月に至りまして、十二月五日に会社側は、その合併の基本合意の線に沿って四百二十六名の人員整理等合理化案も提示をしてまいられました。  その後また、運輸省御当局を初め沖縄開発庁、それから沖縄県、沖縄総合事務局、地元金融機関等によりまして東京で合同会議を持っていただき、いろいろと地元要望に沿っていただくための会議をなさっておられます。  その後また、沖縄県下の全市町村につきましてもこういう要望が上がってきておるわけでありまして、六十年の七月三十日に至りまして基本的な合併の合意というものが得られたという経過があります。この点につきましては、沖縄県知事さんからも総合事務局長さんからもコメントが出ておるようなわけであります。  こういう状況を踏まえて、会社側もそこで働く労働者側も、そしてそれを取り巻いていろいろ指導等をなさっていただいた運輸省初め県側、沖縄開発庁関係の温かい方針といいますか、そういうものが実りかけてまいりまして、私どもも非常に喜んでおったわけであります。  実は、私もおととしの夏に沖縄県へ参りまして、現場をつぶさに見せていただきました。そして会社側の、四社ありますが、四社の社長さんにもお会いいたしまして、お話も聞かせてもらいました。それから、知事さんにも沖縄開発庁の出先の方へも参りましていろいろ話を聞かせてもらいまして、これは一定の方向を見出していただくので非常にいいことだというふうに実は理解をいたして帰ったわけでございます。  このバス経営環境が非常に悪くなったというのは、そのときの話では、海洋博等がございまして、そのときに内地また外地から非常に多くの方が沖縄へ来島された、それに対する輸送機関としてバスの増発等が緊急の課題として浮かび上がつきた、それに対応してきたという歴史的な経過があるようでございます。バス会社によっては、その後企業合理化をしていくという動きもあったようでありますが、そのときとバスのダイヤ等がほとんど変わりのないような状況で運行されているという面もあるようでございまして、この経営環境というのは非常に苦しい、そのままできましたから苦しいということが言われておったわけであります。  以上、先ほど申し上げましたような経過の中で、実は私どももこれはやむを得ない措置だなというふうに考えておったわけですが、その後二月十三日に、もう大臣承知だと思いますけれども、両社の社長さんの方から合併ができない旨の意思表示があったということを実は聞いております。まことに残念なことだと存じておりますし、その間いろいろ御指導賜りました運輸省当局を初め、県も含めて関係各位の御労苦が水泡に帰してしまうようなことになったら大変だということを心配いたしまして、大臣の所轄の中にはいろいろ問題ありますけれども、きょうはこの沖縄のバスの輸送問題に関してのみ御質問を申し上げようとして参ったわけであります。  そこでお聞かせいただきたいわけでありますが、昭和五十九年の六月知事が方針をお出しになって動き出してからことしの二月までの間、非常な御苦労を願ってきたわけです。これが水泡に帰したら大変だなという感じがあります。そこでまずお聞かせいただきたいと思いますのは、二月十三日にそういう両社の社長さんで合併が困難だ、できないということを出されるまで、二月十二日までの経過を踏まえていただいて運輸省御当局としてはどのようにお考えでございましょうか、まずその点をお聞かせいただきたいと思います。
  100. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生がお述べになりました沖縄県知事提言に端を発しまして、一時期大きく前進しかけました琉球バス及び那覇交通の合併問題の沖縄地域社会におきます意義づけと申しますか位置づけは、まさに先生指摘のとおりでございます。また、その後今日に至りますこの合併問題の成り行きも御指摘のとおりでございますし、沖縄県におきますバス事業経営の悪化の原因その他につきましても、ほぼ先生の御認識どおりだというふうに私理解いたしております。  直接お尋ねのございましたこの合併問題が水泡に帰した件について運輸省としてどう認識しているかという点についてお答え申し上げますけれども、私どもといたしましては、何よりも沖縄県民の足を確保することが大事であるという認識のもとに、この県知事提言に端を発しました合併による両社の再建問題につきましては、私どもとしてその方向を尊重し、支持し、そしてまた側面的な御協力を続けてまいってきたところでありますが、ことしに入りましてからではございますけれども、両社の社長をそれぞれ私のところにお呼びいたしまして、ぎりぎりまで合併の実現に向けまして及ばずながら精いっぱいの努力をしてまいったつもりでございます。しかし、御指摘のような格好で、もっぱら会社側の事情によりましてこの合併が実現しなかったという点につきましては、まことに不本意でございますし、極めて遺憾であるというふうに存じておるところでございます。
  101. 山中末治

    山中(末)分科員 もう大臣御専門でございますので、このあたりについてはよく御存じだと思いますが、実はそういう経過がございまして、その間働く者の側としましても、四百何名の整理もしなければいかぬというような案についても、県を初め関係当局の離職しても何とか職場があるようにということで、知事も県会でそういう意思を表明しておられます。そういうことで、もう九割九分まで詰まってきたような感じがあるわけです。その間には合意書とかいろいろな文書が出ておるわけですが、今になってそういう合併ができないというふうなことが起こってきますと、これは国、運輸省、沖縄開発庁、出先、県、それから金融機関を丸め込んだ一つ動き、この動きに著しく背信的な行為だというふうに私どもは実は考えているわけです。  今御答弁願いましたように、足を確保することが一番大切なことで、そのためには働く者の側としても、そういう合理化方針について随分苦労があったと思いますけれども、支持し、合意されたという経過がありまして、この期に及んで合併ができないということになると、これはだれを一体信用したらいいんだろうかということの疑念を非常に強く感じるわけなんです。  その点について大臣、今日まで運輸行政については非常に御造詣深い方でありますので、この二月十三日に至る、十三日以前の経過について今答弁いただきましたけれども大臣としてもひとつこの点について御見解をお聞かせいただければ非常に幸いだと思います。
  102. 服部経治

    ○服部政府委員 最前も申し上げましたように、私ども関係の省庁とも緊密な連携をとりながら、国として、私企業間の合併の問題ではございますけれども、異例とも言える支援体制をしいてまいったつもりでございますが、結果として両当事者の合意が成立しなかったということで、この合併問題が水泡に帰しましたことはまことに遺憾と思っておりますが、しかしそれを振り返って言うだけではどうしようもない話でございまして、とにかく沖縄県におけるバス輸送の足を確保するということは、合併がどうなろうと今後に向けての大きな問題でございますので、私ども、今後に向けて、なお重大な関心を持ってこの沖縄のバス問題に取り組んでまいりたいという考えでございます。
  103. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま大変御熱心に今日までお取り組みをいただいてまいりました山中委員の御開陳、また、ただいまの地支局長答弁ども伺わさせていただきました。  本来、労使一体となって物事を進めますことが問題解決の基本であります。特に公共交通バス事業地域の足であります。そのことのために、特に今御指摘のように、両労働組合が三百五十名の人員整理を含む基本的問題に合意をされたというところまで認識をしてこの問題に取り組む、こういうことでありますならば、まさにこのことが成功したと言って過言ではないわけでありますが、知事が全力を尽くすという、そんな形の中でなおかつアウトになったということは、今地交局長が言ったとおり極めて遺憾であります。遺憾以上に、公共交通として事後のこれからの展望をどう持っておられるのだろうか、こんな点も今お聞きをいたしておって率直に感じました。よって、また沖縄県知事さんはたびたび東京にお出ましをいただいておるわけでありますから、私自身も改めてよく御意見なども承ってみるつもりでございます。  そういうことの中で、民間会社は民間会社独自に判断をいたしますと、株主を控え、役員会というようなことで決定をしますとなかなかもって難しい点はございますが、公共交通という地域住民の足を確保するという、鉄道のないところでバス基本でありますという、まさに沖縄はそうであるわけでございますから、そういうかかわり合いの中で、果たして地域の足がそれによって十分確保されるのか、安全運行を含めまして、その辺もいずれ機会を見て両社の代表からも私も改めて聞いてみる必要もあるのかな、こんなふうにも考えておりますので、真剣に取り組んでまいるつもりであります。
  104. 山中末治

    山中(末)分科員 御造詣深い大臣のことでございますので、今おっしゃったようなことで何とか御尽力をお願い申し上げたい、このように考えます。  現在のところは島民の足はスムーズに確保されているということは、現地からも聞いておるわけですが、二月十三日に両社長さんからそういう話がありまして、明くる日にそれに対する抗議のストライキがやられまして、これは幸い一日で済みましたけれども、この一年余り、約二年近い経過を踏まえてみますと、これは抗議のストライキだけで済む問題じゃない。もうおなかの中が煮えくり返っているような感じが実は労働側としてはしているんじゃないか。それから、御尽力願いました各機関の方もそれに近いものを持っておられるのじゃないかと思いますが、そういうことについては表面に出ておりませんけれども、この処置といいますか、これを一歩誤りますと、大臣が今おっしゃったように、足を確保するということに対して非常に支障を来すことが心配をされるわけです。したがいまして、今御答弁を賜りましたけれども、時期的なものもございますので、早急にいろいろな方法で対応願うようにこの機会にお願いを申し上げておきたい、このように存じます。  それから、仄聞するところによりますと、労働経済研究所がこの二つのバス会社についていろいろ分析をしておりまして、旅客収入は割合高い、こういうことですね。ところが、賃金は全国で最低グループに入っている、こういうことを聞かされているわけです。これは三年間ベース改定もないのですわ。私も、おととし十二月の末でございましたが、沖縄の現地の方から電話がかかりまして、ベース改定とか臨時給とか、そういうものの交渉が妥結をした、ところがその妥結した条件で支払いがされないんだということで、実は慌てて各方面にまたお願いをした経験がございます。そういういわば非常によくない条件で、勤務している人は働かざるを得ないような状況にございます。     〔主査退席、久間主査代理着席〕  ところが、旅客収入は高い、賃金は全国で最低グループにある。この辺に奇妙な感じが実はいたしまして、それでいろいろ教えてもらいますと、車両に対します物件費、車両部品等ですね、こういうものが高い。それから資本費、これもやはり借入金の金利が高いというようなことが言われておるわけです。これも、この分科会に出席をいたしますまでに関係の方々に、これはどういうことなのでしょうということで、問題を投げかけまして御意見を聞いたんですが、運輸省御当局としては、それは相対的に高いか安いかということで、資本費の占める割合とか物件費の占める割合とか、それを類似のバス会社のものと比べてみることはできるけれども、個々にタイヤがどうだとか、バッテリーがどうだとか、ガソリンがどうだとかというところまではなかなかわかりにくいというお話がありまして、それもそうだろうなというふうに考えておるのです。  そういうことも一方にございまして、聞くところによりますと、バス会社がありまして、そのバス会社は経理上は非常に困難だ、苦しい。しかし、社長が同じ社長で別の会社があって、そして、そこでいろいろなバス関係の仕事をされている。そこは割合いいという話もございまして、それで、そのあたりのことについても、これはやはり資本費、物件費等が高いということの原因になっているんじゃないかというふうに私は推察するわけです。確証はございませんけれども、推察します。そういう点についても、ひとついろいろお話を聞いていただくときにあわせて御注意願えないだろうかというふうに思いますが、いかがなものでございますか。
  105. 服部経治

    ○服部政府委員 先生の御指摘、御質問は二点にわたったと思います。  まず、最初のお尋ねでございますが、この両バス会社の合併問題というのが具体的な日程に上ってきましたその遠因も、かつての非常に長期間にわたりましたストライキ行為で、大変に現地の皆さん方の足が大きく奪われたというようなことの繰り返しがございました。そういうことを踏まえての両社の再建問題であったというふうに認識いたします。そこへもってまいりまして今回のような事態が起こりまして、さらに労使間の不信感が増幅されるという懸念は強いわけでございますが、私ども、そういうことがあっては本当に残念だと思うわけでございまして、両社の社長は、合併こそ成りませんでしたけれども、今後はそれぞれの会社として自主再建の道をしっかり歩みたいというような意向をはっきり表明しておりますので、その点につきましては、いずれ両社から明らかにされるでありましょうその自主再建の方策というものを私どもなりに十分チェックさせていただきまして、仮にそれが十分信頼性のおけるものであるというふうになるならば、私どもはさらにその自主再建の策につきまして積極的なお手伝いを今後に向けてさせていっていただきたいというふうに考えております。  それから、沖縄におけるバス会社といいますか、特に両社の経理内容についての御指摘なりお尋ねがあったわけでございますが、一点申し上げさせていただきたいと思います。  確かに、沖縄のバス事業に従事する方々の賃金水準は、全国のバス事業のレベルに比べましてかなり低い水準にございます。それは事実でございます。しかし一方で、会社の収入レベルも全国のレベルの六割程度ということでございまして、望ましいことではございませんけれども、やはり賃金の水準というものは、会社の収入の程度にも深い相関を持たざるを得ない事情はあるであろうというふうに思います点が一点ございます。  それから、この会社の経理に関しまして、物件費の面で不明朗な点があるのではないかという御指摘がございました。この点につきましては、私どももかねてそういううわさがあることは聞き及んでおりますけれども、現在私どもの手元にございます両社の経理内容の資料からは、この席でそうであるというふうにお答えするには至っていない、そういう状況でございますが、いずれにいたしましても、現在沖縄県のバス四社からは運賃改定の申請が出されておることでもございますので、そういった機会をとらえまして、今先生の御指摘のありました点につきましてももう少し、何が本当の姿であるのかということについて十分勉強させていただきたいというふうに思います。
  106. 山中末治

    山中(末)分科員 ありがとうございました。  大臣、ずばり最後ですが、沖縄の住民の方々の足を確保するということについて、それを一つの大きな目標に置いて運輸大臣の管轄下にこれを置くという御意思はございませんか。
  107. 三塚博

    三塚国務大臣 今の山中委員指摘は、国営を含め公営化ということ。国営ということになるとなかなか難しいわけですが、そういう意味が一つかと思います。  株式会社でありますものでありますから、今地域交通局長が言われました運賃の申請も出ておりますので、先ほど申し上げましたようなことを踏まえて、私も、上京をいただいた折に両社長に、どういうことなのか、ただいまの御指摘も私も承らさせていただきましたから、率直に申し上げながら、さらに前段申し上げました地域交通としての役目を果たしてまいるという、その最大ポイントを踏まえて話をいたします。  また、知事ともやはりよくその辺のところを踏まえさせていただきまして今後に対応していただかなければならぬ。地域バスですから、地域民の信頼の中でまいりませんければなかなかうまいことまいりませんものですから、そこの辺も踏まえながら、せっかく今地域交通局長が頭を痛めてやられておるわけでありまして、私もそれとベースをともにしながら、特に今御指摘いただきましたようないろいろな御提言を踏まえてしっかりとやらさせていただきます。
  108. 山中末治

    山中(末)分科員 ありがとうございました。終わります。
  109. 久間章生

    久間主査代理 これにて山中末治君の質疑は終了いたしました。  次に、田並胤明君
  110. 田並胤明

    田並分科員 それでは、幾つか地元問題を中心にして質問をしたいと思います。  私もついせんだってまで運輸委員会におりましたので、三塚大臣、一緒に運輸委員会でやっておりましたが、大臣の就任をまずお祝い申し上げたいと思います。  ただ、ここで運輸大臣要望しておきたいのは、これは答弁は要りませんが、国鉄の改革問題で、どうも運輸大臣は頭の中がもう分割民営しかないような感じでいろいろと進めているようでありますが、二十一世紀を展望して、ぜひひとつ、国民のための、利用者の立場に立った国鉄改革というものも我が方はいろいろと提案をしているわけでありますから、柔軟性を持って十分対応していただくように、まず要望だけ申し上げておきたいと思います。  そこで第一点目は、浮上式のリニアモーターカーによる高速交通システムの導入、整備についてひとつお聞かせを願いたいと思うのです。これは本当に地元問題で恐縮なんですが、大宮と成田空港を結ぶ高速リニアモーターカーを導入したらどうかという提言でございます。  運輸省調査によりますと、新東京国際空港を利用する人の数が五十九年度で一千三十五万人というように聞いております。これらのほとんどの人が、都心から京成ルートあるいは自動車による空港までの利用ということが今は中心でございます。例えば東北新幹線、上越新幹線、それらを利用するお客さん方が成田まで行くとすると、上野まで一たん出て、上野から京成に乗りかえて約一時間、大宮から計算すると約二時間、それから、自動車を利用すると約三時間、こういう現状です。  ところが、埼玉県が考えておりますのは、飛行機を利用するためにそこへ行くのに二時間も三時間もかかるような状態では、せっかくの現代高速交通の恩恵を十分に生かし切れていないんじゃないかということから、埼玉県が千葉、茨城両県知事さんあるいは首都圏サミット会議、こういうものに提起をして、できれば大宮を起点として、国際的な研究学園都市であります筑波の学園都市を経由をして成田空港へ行く、こういう高速リニアモーターカーというものを考えてみたらどうだろうかというので、そこにも提起をし、また国の方にも、国土庁、運輸省建設省、関係各省に実は提起をしているわけでございます。  この導入構想が実現をされますと、埼玉県はもとより、北関東、上越、北陸、東北、つまり東日本全体の大きな利益につながるのではないかという観点で、このリニアモーターカーの導入について埼玉県知事の方から提起をしているのは既に御存じだと思うのですね、運輸省の方にも要望いたしましたから。  問題点というのは、現在国鉄方式あるいは日航方式でそれぞれ実用実験段階に来ておりますが、実用も恐らく間近いのではないかと思うのでありますが、残念ながら、リニアモーターカーが現在乗り物として社会的な認知が得られておらないのです。また、法制度上も明確な位置づけが今日されておらないわけであります。  したがって、質問の第一点は、要望にもなるかとも思うのですが、時期としては法制度上位置づけるべきではないか。実用実験から実用化という方向に来ているわけでありますので、所管は運輸省が当然当たるべきだろうと思いますが、法制度上の位置づけというのをもう明確にするべき段階に来ている、このように思いますので、運輸省の方の考え方を第一点に聞きたいと思います。
  111. 服部経治

    ○服部政府委員 浮上式のリニアモーターカーの法制上の位置づけという点につきましてのお尋ねでございますが、私ども、これは現在の法制に照らして言えば、地方鉄道法上の鉄道であるというふうに疑いもなく考えております。  ただ、それが社会的に認知されていない状況という先生の御指摘があったわけでございますが、それは遺憾ながら、まだ浮上式のリニアモーターカーなるものが実用化の段階を迎えてないからということだけでございまして、将来これが実用化の段階を迎えまして正式に公共交通機関として機能する段階に立ち至りますれば、当然のことながら、所要の手続を踏んで公共機関化への道をとるわけでございまして、その段階では鉄道というふうに明確に位置づけるつもりでございます。
  112. 田並胤明

    田並分科員 局長答弁で理解をいたしましたが、実用化になった時点で公共交通としての位置づけをしていきたいということですから、実用化に向けてのまた一層の努力も運輸省としてもぜひお願いをしたい、このように思います。  次に、同じリニアモーターカーの関係で、昨年の七月に運政審の方から東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画が出されました。中身は、昭和七十五年を目標年次とする交通基本計画が進められているわけでありますが、この中で東京圏の将来展望を描いた交通体系が示されているわけなのです。この中で第一点目に言っているのは、現在激化をしている交通混雑の緩和を図るということが運政審答申の第一の目標。二つ目は、空港アクセスの改善策として都心からのアクセス改善を図る、このようになっているようです。  この二点目の、空港アクセスの改善として都心からのアクセス改善を図るんだ、このようになってきますと、今でも——きょうは上田先生がいるのでちょっと少しあれなんですが、都心からのアクセス改善だけでは、現時点でも大変な交通混雑でありますから、したがって東日本バイパス的な役割を、先ほど言った大宮−成田間のリニアモーターカーの導入によって改善を図られるのではないか、こういう気がするわけです。  どこうが、この運政審答申の中では、残念ながらリニアモーターカーの記述が見られない。したがって、できることならば二十一世紀を展望して、これからの交通体系あるいは交通機関のあり方というものは、恐らく大きな変化がもたらされてくるような気がいたします。それを七十五年までの交通体系のあり方として答申をしているわけでありますから、世の中の変化に合わせて、五年ぐらいでこの運政審答申そのものの見直しをしていただくようにしていただかないと、実はこのリニアモーターカーはいつまでたっても浮上しないわけでありますから、この辺の見直しも含めて、また先ほど申し上げましたように、都心からのアクセス改善だけでは大きな壁にぶち当たる、こういう気がいたしますので、大宮−成田間のリニアモーターカーの導入によって東日本バイパス的な役割を公共交通として果たさせていく、そういう方向をぜひひとつとっていただきたいということでございます。
  113. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生のお尋ねの中にございました新幹線の大宮あたりから成田空港への浮上式リニアモーターカー鉄道整備してはどうかというお話でございますが、先生承知のように、現在国鉄あるいはこれまで日航が開発を続けてまいりましたいわゆる浮上式のリニアモーターカーは、まず高速性という点で非常にすぐれた特性を持っておりますし、さらにそのほかでは低公害性、騒音は少ない、公害発生はないという低公害性という大きな特性を持っております。この後者の低公害性という特性に着目いたしますと、これは都市の将来の交通機関として非常に有用なものとして期待されるという面がございます。  それからまた、先に述べました高速性という点でございますが、これが現在国鉄なりあるいはこれまで日航が開発してまいりましたその当初のもくろみどおり三百キロなりあるいは五百キロなりという大変な高速が実用化段階で実現できるのであれば、これは都市間の中距離輸送の分野にも非常な適性がある性格の交通手段だというふうに認識しておるところでございまして、たまたま昨年の運政審答申の中では都心から空港へのアクセスという表現こそとられておりますけれども先生が今御指摘になられました御構想につきましても、もちろんその範疇外であるわけはないわけでありまして、今後に向けていろいろな検討、研究を続けていくことが望まれるのではないかというふうに思っております。
  114. 田並胤明

    田並分科員 局長答弁の中で、都心からのアクセスの改善の中に一つは含まれるのだということならば、副都心という位置づけだってあるわけですからこれは構いませんが、ぜひひとつそういう方向で努力をしていただきたいと思います。  そこで、大臣の方に要望しておきたいのは、今後リニアモーターカーの安全性が乗り物として確認をされて、しかも法的な位置づけを早急に進めてもらって、各省庁間いろいろ関係するものですから、考えを統一されてぜひこれを進める決意をひとつお願いしたいと同時に、運輸政策としてこのリニアモーターカーをきちっと位置づけておいてほしいという強い要望が私どもあるわけですが、ひとつ大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
  115. 三塚博

    三塚国務大臣 さすが田並委員も運輸委員としてともに運輸政策を勉強させていただきました尊敬するお一人であります。二十一世紀に向けての都市交通基本的な戦略手段、それはやはりリニアであろう、いわゆる中距離都市交通という意味で鉄道新幹線というものの特性がもう広く熟知されてまいってきたところでありまして、大都市間の新交通システムという形の中の位置づけからいいますと、本方式が実用化が確立をされるということに相なりましたならばすばらしい交通手段だろう。  敷設にどれだけのものを要するかという最後の採算面の検討に入るわけであり、一部言われますように道路を利用してまいりますから、それほど用地買収は必要ではない、そういう意味で非常に低廉にこれが進められるのではないかという指摘もあります。そういう面で、国鉄開発のリニアモーターカー、若干方式が違いますHSSTということであり、いずれも聞き及ぶ範囲では、国鉄のリニアがそのうち、といってもそう遠くないここ二、三年ぐらいで、単線運行ならば実用化へジャンプできるのではないだろうかというところまで来た。ただ、実用化に向けてのあれでありますから、宮崎の実験距離よりももう少し長い距離でやらなければならぬという問題がありますという指摘もあります。  それら総合的に含めまして、リニアのあり方は、政治の場面で運輸政策として御説のようにしっかりと関係省との協議の中で、意見交換の中で取りまとめていく時期に到来をしたのかな、こんなふうに思っておりますし、このリニアの実用化に向けてのジャンプについて、いろいろとそういう調査研究、検討というものを具体的に取り進めなければならぬ時期かな、こんなふうに思っております。
  116. 田並胤明

    田並分科員 それでは、重ねて要望申し上げますが、今申し上げたように運輸省交通政策の一環としてぜひ位置づけていただきたいということと、さらに高速性が非常にある、しかも公害がないということで、試算をすると、時速二百二、三十キロで走って、大宮から筑波学園都市を経由して成田まで二十五分ぐらいで行くのだそうです。学園都市を経由しないと二十分で行く。したがって、単線でこうやっても、五十分間隔でしょうか、そのぐらいで、一時間に一本ぐらいはとりあえずは単線でもできるということなんです。したがって、二十一世紀に向けての新しい交通機関として、これは大きな交通機関でありますから、ぜひひとつ一層の努力をされて期待にこたえていただきたい、このことを申し上げて次に移ります。  次は、国鉄高崎線の輸送力の増強の関係でございますが、現時点で、三月三日にダイヤ改正がなされましたから、わずか二、三本ふえただけなんですが、若干混雑度が改善はされたと思うのですが、現在の高崎線の混雑度、それに対する混雑緩和策等についてお聞かせを願いたいと思うのです。  その中で特に、三月三日で国鉄埼京線が大宮から新宿まで直通で乗り入れる、交通混雑の緩和には大変役立っているわけでありますが、私ども上越新幹線、東北新幹線が埼玉を通るときに県の方から強く要請をしたのは、通勤新線は宮原始発で新宿まで。ところが、車両基地の確保難から現在川越方面に入っておりまして、川越方面も大変結構でありますが、ぜひ現在工事が途中でストップをしております大宮−宮原間の工事の再開と、早急にこれを完成させるための努力をしてほしいということであります。  したがって、お聞かせ願いたいのは、大宮−宮原間の全体事業費がどの程度で、既に事業が実施をされた割合はどのくらいになっているのか。これは用地、工事両面にかけてまずお聞かせを願いたいと思うのです。
  117. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 高崎線の混雑緩和の問題につきましては、今先生からお話もございましたし、また平素かねてから先生から各般の御指導を賜っているところでございますが、この区間の乗車効率、特に中電輸送の問題でございますけれども、高崎線の熊谷方面あるいは東北線の小山方面から来る都心へ向かう中距離通勤輸送の混雑率が非常に高いということは事実でございまして、現在の状態は、高崎線で申しますと約二五〇%ぐらい。それが今回、先生も御承知のように、貨物線を利用いたしまして赤羽まで入ってくる中電を、今回のダイヤ改正の時点でラッシュ時間帯で二本増発をいたしまして、合計五本になっております。これは五十九年二月のダイヤ改正からいたしたわけでございますが、現在五本貨物線を利用して赤羽まで入ってきているという状態でございまして、これによりまして乗車効率は約一〇%未満下がったのではないかというふうに考えているところでございます。  それで、先生から今御質問のございました大宮−宮原間、埼京線の一部として計画をしておりましたところの大宮−宮原間についてでございますが、ここの総工事費が九十四億円というふうに考えておりまして、五十九年度まで約十八億円の決算をいたしておりますので、前年度まで決算をいたしました工事費の率といたしましては、一九%ということになっております。  なお用地取得につきましては、必要な用地取得面積のうち約六三%の取得を終わっているという状況でございます。
  118. 田並胤明

    田並分科員 そこで、国鉄の方に聞きたいのは、運輸大臣の考えていくと来年四月に分割民営、一応こういう時間設定がされているようですが、それとは別にこの事業についてはこのまま置き去りにしてしまうのか、今後の進め方ですね、国鉄としてはどのようにしていこうとするのかということ。もう一つは、せっかく十九億投資をしたわけで、しかも用地が六三%取得。取得をされた地主さんにしてみると、どういうことになってしまうのだろう、非常に不信感を持っているのも事実ですし、これは続行してぜひとも完成をさせてほしい。  それで、混雑緩和の関係で申しますと、今は高崎線と東北線が大宮で一本になって上野まで来る。そのために上野−大宮間は三分半ヘッドで行けるのですが、高崎線と東北線に分かれるものですから、高崎線、東北線は七分ヘッド、こういう計算になっているわけです。ですから、これ以上の増発をしようと思っても、ほぼ限界に来ている。しかし、高崎線沿線、東北線沿線そうなんですが、とにかく人口急増で、もうかれこれ埼玉県の人口も五百九十万になろうとしているわけです。その大半が東京通勤者なんです。そうなりますと、今でも住宅・都市整備公団で高崎線の北鴻巣駅を中心にしてかなり大規模な開発がされていますし、あれらが完成した時点では相当の混雑率になるだろう、このように予想されますので、今の貨物線を利用するか、これも一つの方法です。  ただ、これだけではどうにもなりません、赤羽までしか行かないのですから。したがって、宮原まで開通をさせ、行く行くはさらに北の方まで持っていくことにして、当面は富原まで線増工事をやってもらって、高崎線の一部を宮原始発で、埼京線経由ではなくて、大宮から池袋、新宿へ行く、そういう電車の増発をしていけば若干の混雑緩和につながるのではないか、こういう感じがいたしますので、ぜひひとつこの将来展望、そんなに遠い将来ではなくて近い将来展望、この線はどのようにされるのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  119. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生の御質問全般についてお答えを申し上げたいと思いますけれども、まず高崎線の混雑緩和につきましては、これはやはり首都圏の中で非常に混雑率の高い線区でございますので、これの改善に向かっては鋭意努力をしていく必要があるというふうに考えております。  高崎線の混雑緩和の方策といたしましては、今先生からもるる御説明がございましたように、いろいろな方策が考えられるわけでございます。御承知のように、今東北貨物線の通勤輸送としての利用状況が非常に中途半端な状況になっております。赤羽どまりということで、隔靴掻痒の感のあることも事実でございます。したがって、そういうものの池袋方面への乗り入れ、都心方面への乗り入れ、あるいはさらなる増発というようなことも考えながら、首都圏北方面の輸送全体をどうすれば最も効率的な輸送形態になるかという観点から十分検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。  しかしながら、事は緊急を要する事態であることについては十分認識を持っておりまして、分割民営化が行われた後におきましても、そういうような今までの私ども検討の経過につきましては、承継会社となる東日本旅客鉄道会社に十分承継をしてまいりたいというふうに考えております。  また、埼京線、大宮−宮原間の扱いということで御質問ございましたけれども、これも今最初の方に申し上げました首都圏北口輸送全体をどうするかということの中の一環としてやはり考えさせていただきたい。当時、大臣の認可を得ましたときの状況から比べますと、例えば貨物線の利用の状況でございますとか、そういうのが大幅に変わってきているという状況もございますので、いずれにしましても、どうやれば最も効率的に高崎線、東北線を含めての混雑緩和をできるかという観点から検討してまいりたい。さらに、これらの残されました工事をどういうふうに引い継いでいくかということにつきましては、運輸省御当局とも十分御指示を得ながら進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  120. 田並胤明

    田並分科員 局長答弁はそれしか出ないだろうと思うのですよね、タイムが決まっちゃっている運輸省の考え方からいうと。私どもは、それとは関係なく、とにかくせっかく始めた工事なんですから、それをぜひ完成させてほしい。  そしてまた大臣、高崎線でも東北線でも、複々線にしない限り、どうやっても混雑緩和はできないのですよ。それは、宮原まで当面埼京線に乗り入れるあるいは貨物線に乗り入れる、いろいろな方法がありますが、具体的にはもうとにかく混雑緩和を図るためには線増工事しかないわけですね。だから、中央線にしても東海道線にしても総武線にしても、快速も走っている、特別快速も走っている。高崎線、東北線は快速もない、特別快速もない。我々から見ると、同じ国民なのにそういう非常に不公平な扱いを受けておるのですよ。したがって、人口が少ないところはそんなものは要らないんだと言うと怒られますが、とにかくすごい混雑率ですから、ぜひひとつ国鉄とも十分協議をされて、この大宮−宮原間の早期開業について一層の努力をされるようにお願いをしておきたいと思うのです。  それと、もう時間がないので、最後に上越新幹線の利用拡大の問題についてちょっとお伺いをしたいのですが、上越新幹線が開通をしたことによって、一つは、この新幹線を利用する人がふえたために、単身赴任者が大変減りました。ところが、まだ高いわけですよ。おかげさまで定期を利用する方については、例えば私が住んでいる熊谷から上野まで今一般の人は千六百円、定期を利用する人はそれが半額の八百円。ですから、まあまあ朝の七時台、八時台というのは通勤者の人もかなり乗ります。高崎で大体五割ぐらい埋まって、熊谷へ来ると大体それがまた七割から八割、場合によると、月曜日なんかは満杯になりますね。こういうように利用率が非常に高くなっております。まさに朝七時台、八時台、夜の八時台、九時台、これは通勤新幹線的な役割をかなり果たしていると思うのですよ。  今ここで新幹線の料金を値下げをしろなんて言ったって、かなり難しいと思うのですが、逆に現在の新幹線料金、例えば熊谷−上野間八百円というものを、これを五百円にして往復千円で行ける、あるいは高崎まで千五、六百円でもって往復ができる、上毛高原まで二千円前後で行ける、こういう話になれば、もっともっと通勤者が乗れる体制になるんじゃないかと思いますね。  したがって、要望したいのは、通勤新幹線的な役割を今日果たしてきている朝と夕方の新幹線についての料金値下げをして、もっと利用者の拡大を図るべきであるということと、もう一つは、朝晩の電車を上下もう一本ぐらいずつ増発ができないか。これは三月三日にダイヤ改正したばかりですから、すぐにすぐというわけにいかないでしょうが、次のダイヤ改正までにはそれらも検討してほしい、この以上二点をお聞きをしたいと思います。
  121. 須田寛

    須田説明員 先生指摘ございましたように、上越新幹線ないしは東北新幹線は、早朝まだすいている時間帯がございますものですから、近距離の通勤のお客様にも極力御利用いただきたいと思って、いろいろ定期とか回数券の発売をいたしておるところでございます。最近はおかげさまで順調にお客様がふえてまいりましたので、これからもぜひ御利用いただきたいと思っておるわけでございますが、今の値下げというのは、私ちょっと遺憾ながら実現いたしかねると思いますけれども、極力御利用いただきやすくするために、いろいろこれからも定期やその他で切符の工夫をしてまいりたいと思います。  それから、増発でございますけれども、現在上越の列車、朝三本通勤時間帯に入っておりますけれども、大体六割程度の乗車率でございます。したがって、まだゆとりがございますので、もう少し様子を見させていただきまして、もしこれからもお客様がおふえいただくようでございますれば、若干の余力もございますので増発等も検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
  122. 田並胤明

    田並分科員 今の答弁では、全然できないという話でありますから、非常に不満でありますが、いずれにしても乗客がふえることによって増収を図るというのも一つの方法ですし、あるいは増発をすることによってあと一本朝早く出れば、かなり東京通勤も楽になります。したがって増発の関係についても、恐らく今六割じゃないですよ。私なんかも時たま利用さしてもらいますが、かなりふえていますし、ぜひひとつそれらも考慮に入れながら、増発と増収のための値下げをする、こういう方向で真剣に検討してほしい、このことを要望して終わります。  以上です。
  123. 久間章生

    久間主査代理 これにて田並胤明君質疑は終了いたしました。  次に、鈴切康雄君。
  124. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 運輸大臣、御苦労様です。  時間の都合がございますので、率直にいろいろとお聞きをしてまいりたいと思っております。  羽田空港の沖合展開につきましては、埋立工事が着々と進んでおります。第三期工事が昭和六十八年三月で完了すれば、将来は年間八千五百万人の乗降客が見込まれる計画となっております。とすると、羽田空港都市を結ぶ交通体系は非常に大きな関心を持たざるを得ない問題でありますし、それとの関係で都市の再開発という問題は非常に密接な関係にある以上、将来構想にも大きな影響を与えることになります。  そこで、運輸省並びに建設省に対して、新空港都市を結ぶ総合交通体系についてお伺いしたいわけでございますけれども、将来年間八千五百万人の乗降客を取り扱うことになれば、空港へのアクセス交通施設としては道路及び鉄道の導入が必要になってまいります。  そこで、まず鉄道の導入についてでありますけれども、第二期工事の終了した六十五年七月には浜松町−羽田モノレールが西側ターミナルまで延伸され、供用開始される計画でありますが、京浜急行空港線は、その時点ではモノレールとの接続駅まで延びるだけの計画になっており、最終計画駅まで延伸されるのは、旅客の動向との関係で八十年代と言われております。しかし、将来計画のためにターミナル地区に京浜急行の最終計画駅を先行投資させておいて、長い間放置しておくということは問題があるんじゃないだろうかと私は思います。  そこで、二点お聞きしますけれども、もう少し早く京浜急行の供用を開始することはできないのかということが一点と、もう一つは、京浜急行が供用開始するということによってモノレールの採算がとれないということであるならば、国が補助をしてあげてもよいのではないだろうかということについてお聞きいたします。
  125. 服部経治

    ○服部政府委員 京浜急行とモノレールの羽田延伸でもって、羽田への都心からのアクセスを整備いたしたいというふうに基本的に考えておるところでございますが、この両者が空港ターミナルまで乗り入れます場合には、この両機関の利用の度合いというのは、大体フィフティー・フィフティーであるというふうに私ども見通しをしておるところでございまして、その場合には、今の時点で、早い時点で京浜急行が新ターミナルまで入りますときには、現在のモノレールの経営に非常に大きな支障を生ずるという見通しがございますために、その辺の需要の動向を見ながら、この京浜急行のターミナルまでの乗り入れの時期を決定いたしたいというふうに考えておるところでございます。  それから、そのことによってモノレールに重大な欠損、大きな欠損を生ずる場合には国から助成してはどうかというお尋ねでございますけれども、それは言うべくして非常に難しい問題であるというふうに認識しておるところでございます。
  126. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 京浜急行の最終計画駅を先行投資をする、そういうことによってこれを結局は最終的につなぐということになれば、京浜急行もかなり先行投資をしても供用開始ができないということになってしまうわけですけれども、その点のあれはどういうふうになっておりましょうか。
  127. 服部経治

    ○服部政府委員 その点につきましては、二点にわたって御説明しなければならぬと思います。  まず第一点目は、真実先行投資の必要があるかどうかということでございます。これは、京浜急行線のターミナル乗り入れ時期に合わせて工事をやりますと、既にその時点ではターミナルの上部構造等ができ上がっている可能性が高い。したがって、その下をシールド工法で抜いていくことになるわけでございますが、かなりコストが高くなるのではないかという懸念がございまして、先行投資、先行整備必要性ということを京浜急行は現在検討しておるところでございます。果たして上物ができますと本当にシールド工法で抜けるか抜けないかという点をさらに技術的に関係各方面と詰めていく必要があるということで、現在鋭意その検討を急いでおるという事情が一つございます。  それから、京浜急行が採算面から先行整備必要性を主張いたしますのは、後から行く場合よりも先にやっていた方が安いという見通しがあるからでございまして、その選択の問題であるというふうに基本的に認識しております。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 そうなりますと、技術的な面の調整ということになりますけれども、その技術的な面の調整は大体いつごろにその結論が出るようになるのでしょう。
  129. 服部経治

    ○服部政府委員 ここ数カ月だというふうに思っております。
  130. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 今現在、年間二千五百万人ぐらいの乗降客です。これが八千五百万人に将来はどんどんふえていくわけでございますけれども、当然のこととして大量輸送機関が必要になってくるわけでございます。その件については、京浜急行の空港線を京浜蒲田から国電蒲田駅まで延伸する案と、それから、西馬込までの都営地下鉄一号線を延伸し、国電蒲田駅及び京浜急行空港線に乗り入れをするという案と、それから、環状八号線を利用する新交通システムにより、杉並区、世田谷区方面と新空港を結ぶ案など種々論議をされておりますけれども運輸省としては、新空港の総合交通体系をどのようにお考えになっておりましょうか。
  131. 服部経治

    ○服部政府委員 いろいろな方面でいろいろな構想が議論されていることは事実でございますが、私ども運輸省といたしましては、羽田の沖合展開に伴いますアクセスの整備に関しては、まづ一つには、昨年の七月に運輸政策審議会から御答申をちょうだいしておりますが、それは、モノレールの延伸と京浜急行空港線の延伸、この二つによって対応すべしというふうに答申上明らかにされております。  それからいま一つは、五十八年の二月に、東京国際空港整備基本計画というものを私どもの航空局の方で策定しておりますが、その中でも同様のことが明示されておりまして、そのような方針で臨むつもりでございます。
  132. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 運輸政策審議会の答申七号でも、都営地下鉄一号線の南進については、「東京圏西南部方面からの輸送需要の動向等を勘案のうえ、周辺路線の将来のあり方も含め、今後検討する。」というふうになっておりますけれども、この件については政府はどうお考えになっておりますでしょうか。
  133. 服部経治

    ○服部政府委員 都営一号線の西馬込からの延伸問題につきましての運政審上の扱いは、ただいま先生が御指摘になったとおりでございまして、私どもそのとおり受けとめておりまして、これは西馬込からの羽田への延伸ということを除外するわけではございません。それを含めまして、長期的な検討課題だというふうにとらえております。
  134. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 西馬込の駅は、御存じのとおり、あそこで切れてしまいましてどこにも通ずることができないということですから、西馬込は当然蒲田の方に延伸してもらいたいという、そういう希望住民の方々にも非常に強いわけですから、今御答弁がありましたように、これは長期的な問題として取り上げなくてはならない問題だというお話ですから、それはそれとして結構です。  そこで大臣、大変に大臣も時間がお忙しくて、本来ならばもう少し論議をした上で大臣にお聞きした方がいいわけですが、もう率直にお伺いいたします。  実は、羽田空港沖合展開の問題は、東京都や大田区が理解を示して協力をしてきましたから、今日の展開計画が実施されるに至っているわけなんです。そういうことから考えまして、今日まで空港周辺の住民に与えた航空騒音の被害ははかり知れないものがあったわけですし、行政区としても羽田空港は大田区に存在するわけです。空港と東京南部を結ぶ大量輸送機関がもしできなければ、川崎からは川崎の港線経由湾岸道路で空港へ乗降客が流れ、一方浜松町からはモノレールで空港へ直接客が流れ込むということになります。そして、東京南部からの客は直接空港へ行けず、迂回してモノレールを利用する以外にないという格好になってしまいます。  私がお願いしたいことは、京浜蒲田と国電蒲田の間はわずか七百メートルなんですね、この間が実は何の鉄道のあれがないために、空港利用者に、言うならば非常に不便をかけております。また、そのために蒲田の都市開発はもうデッドロックに乗り上げているような状態でございます。これでは、空港を抱えているところの大田区、なかんずく蒲田周辺というものはこれから寂れる一方で、スラム化してしまうという、そういう感じがいたしますし、沖合展開に協力をしてきた大田区としては何にもメリットがないという状況になってしまいます。  そこで、東京都は、交通体系、なかんずく国電蒲田につなぐ大量輸送機関の問題については、今話がありましたように、採算上の理由で若干問題があるというふうに言っておりますけれども、今まで協力してきた地元の考えをもっと尊重していただいて、利用者に愛される交通機関をつくるよう、当然都とも話し合っていかなければならない問題であります。運輸大臣にもぜひこの問題については前向きに取り組んでいただかなければいけないんじゃないかと思いますけれども、その点ひとつ大臣の御答弁を伺いまして、大臣もお時間がお忙しいようですから、どうぞ、そちらの方に行っていただきたいと思います。
  135. 三塚博

    三塚国務大臣 今鈴切先生、服部局長のやりとりを聞いておりまして、財政が絡む問題、また旅客流動という問題、両線の健全な発展、こういうようなことなども配慮した答弁であるわけです。  一号線の問題は長期的課題であるという見解であるわけでありますが、私もかねがね東京都及び大田区の国電蒲田、それから京浜蒲田の連絡についての要望が強くありますことを承知いたしております。私も学生のころ羽田空港の周辺に住んでおりまして、京浜急行で通学したわけでありますが、京浜蒲田、国電蒲田というのはあの間が何もない、このことの都市交通上の必要性、私は三年ぐらいの期間でありますが、それなりに知っておるわけです。その後もそのままであるということでありまして、事柄の重要性は御指摘のとおりであろうと思います。  特に、大田区に羽田国際空港がございますということについての大田区民の感情が、都営地下鉄一号線西馬込からの延長という問題に結集しておりますし、それが長期課題というのであれば、蒲田両駅間のアクセスをどうするのかという問題について運輸省として積極的な取り組み方があってしかるべきでないのか。こういうことについては、東京国際空港を持っておる、また羽田沖展開という大事業を大変な御理解の中でお進めをいただいたという意味では、こちらは航空、こちらは地域交通ということではなく、総合交通体系という中で真摯に取り組んでいかなければならぬこれまた最大のテーマだというふうに思います。  本件については、大田区の区長、また地元の皆さん、そしてまた東京都がそれぞれの見解をお持ちであるわけでありますし、東京都ともよく連携をとらさせていただきながら、大東京の都市交通のあり方というのはこれから果てしなく続くわけでありまして、そういう中で先般知事に会いました折に、東京都における都市交通のあり方いかんということで本格的な検討調査会を設置いたす、それで運輸次官OB、大蔵次官OB、自治次官OB、それに経済界、各界、こういうことで御参加をいただきまして真剣に取り組みたい、こう言っておるのです。それと、従前の財政援助方式では、東京がそれだけ一気にやりますと地方都市が完全にアウトになるという問題提起も、実は知事さんにさせていただきました。そういう中で、それではというのでこういう検討方式を考えられるということであれば、さすがだなと実は私は思っております。  そういう中で、都議会、区との連携の中でこういう問題が真剣に取り上げられ、進められるということについて、国がこれをただ手をこまねいているなどということがあってはなりませんし、これはまた積極的にそこまでおやりをいただくわけでありますから、これに関与し、取り組んでまいりまして進まなければいかぬ、こういうことで、これは鈴切先生かねがねの御主張、また地元でもありまして、全体展望の中でありました件でありますので、前向きに真剣に取り組まさせていただきたいと存じております。
  136. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 大臣、大変に前向きな御答弁をいただきました。お時間の都合でどうぞ……。  順序は若干変わりましたけれども建設省来ていますか。——来ていますね。  次に、道路についてお伺いをいたします。  沖合い展開の第二期工事の完了時には、東京湾岸道路が新空港の地下を走るようになり、将来はさらに南進していく計画になっております。  それとは別に、昭和五十七年四月一日に国道四百九号線が川崎市と成田を結ぶ線として指定され、川崎市内の区域決定がまだなされていないが、建設省としては川崎市のどこからどこまでが国道四百九号線に決定されると聞いているのかということが第一点です。  第二点は、指定した国道の上、または国道に沿って高速道路あるいはバイパスを建設し、それと川崎駅を結ぶことについてはどうなのかという問題であります。  第三点は、それらの計画を六十一年度から十年計画で進めるとの話を聞いておりますけれども、この三点について具体的に御説明を願いたいと思います。
  137. 藤川寛之

    ○藤川説明員 お答えいたします。  まず第一点の国道四百九号の区域決定の問題でございますが、現在川崎市が管理しておるわけでございますけれども、川崎市において区域決定の手続をやるべく準備中であるというふうに聞いております。それで、区域決定する範囲は、川崎市の埋立地でございます浮島から川崎港線をずっと通りまして、主要地方道の川崎府中線というのに接続するわけでございますけれども、それに接続いたしまして国道の二百四十六号までの区間につきまして区域決定しようということで準備中でございます。  それから、その国道を利用してといいますか、国道の上または国道に沿って道路をどういうふうに計画しているのか、それが川崎駅と結ばれることになるのかというようなお話でございますが、私どもこの道路につきましては、川崎縦貫道路というように呼んでいるわけでございますけれども、これは川崎市が非常に細長い町でございますので、それを東西に縦貫するような道路が欲しいということで、前々からその実現について非常に強い要請をいただいております。私どもとしては、現在川崎縦貫道路ということで、そのルートとか構造をどうするかというようなことを、川崎市とか神奈川県と一緒になりまして検討を進めているところでございます。できるだけ早く決めたいというふうに考えておるわけでございます。まだルートがはっきり決まっておりませんけれども、この川崎縦貫道路につきましては、いずれにしても川崎駅の付近を通過するようなルートになるのではないかというふうに考えております。  あと、これをどうやって整備していくかということになろうかと思いますけれども、今申し上げましたように、まだルート、構造というものをどうすべきかということが決まっておりません。これはできるだけ早く決めたいというふうに考えております。  それで、都市計画決定をするわけでございますが、できるだけ早く決めまして整備を進めるわけでございますけれども、御承知のとおりどのルートになるかまだはっきりしておりませんが、いずれのルートになりましても、非常に人家の密集いたしました市街地の中を通るということになります。したがいまして、この建設を進めるというのはなかなか大変だろうというふうに考えておりますけれども、関係する方々の理解と協力を得ながら、川崎市の方からもできるだけ早くつくってほしいと言われておりますので、私どもの方としてもできるだけ早く、東京湾横断道路の建設、これができ上がる時期が大体十年後でございますので、できるだけそれに合わせてつくり上げるというようなことで努力していきたいというふうに考えております。
  138. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 これの背景につきましては、川崎市は当初新幹線の新横浜から川崎を経由して羽田までの地下鉄を計画しておったということなのですけれども、運輸政策審議会の答申の第七号に新横浜から川崎までというふうになったために、川崎から空港を陸送するということで、今あなたがおっしゃったような計画があるわけです。それで、川崎から陸送をするということになれば、大体十分か十五分ぐらいで乗客を運ぶバイパスをつくる、こういうことについてはあなたは若干でも聞いておられますか。
  139. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今のお話については、私は今までまだ承ったことがございません。
  140. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 将来構想として、川崎港線あるいは川崎府中線が高速道路並みの道路になったときに、南進してくるところの外郭環状線につなぐという計画もあるように聞いておりますけれども、その点も確認しておきたいと思います。  あわせて、当初から計画をされておりました外期環状線は、大田区内を通過して多摩川の土手伝いに北上していくことになっておるのですが、計画変更されるということになるのか、二つ一緒に御答弁願いたいと思います。
  141. 藤川寛之

    ○藤川説明員 お答えいたします。  まず、川崎縦貫道路でございますが、先ほど御説明申し上げましたように、川崎市内の、東西に細長い町でございますが、その骨格になるような形で計画している道路でございます。  それから一方、東京外郭環状道路でございますけれども、これは都心から大体十五キロ圏ということで、東京都の周辺部をぐるっと回るような形で計画しておりまして、放射状に入ってきております高速道路と連結するような計画になっておりまして、そういう観点では、要するに首都圏の広域幹線道路というのですか、そういう性格を持った道路だというふうに考えておるわけでございます。  私ども、今お話がございましたように、この東京外郭環状道路については、東名高速道路から北側の部分につきましては都市計画決定がされておりまして、大体ルートとしての計画は固まっておりますが、東名高速道路から南側の部分につきましてはまだ計画が固まってないということで、現在調査を進めております。  川崎縦貫道路につきましては、現在の考え方といたしましては、ずっと市内を西進していくわけでございますので、いずれ東名高速道路等と接続することにはなるというふうに考えておりますが、先ほど申し上げましたように、東京外郭環状道路と若干性格が違うというようなところもございます。ですから、これを直接結ぶかどうかというようなことについては、私どもとしては今後十分調査検討して決めていきたいと考えております。
  142. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 二点一緒に聞いてしまいましょう。  放射十七号線、いわゆる産業道路ですね。産業道路と環状八号線の交差点における京浜急行の地下化事業は、同交差点の渋滞解消を図るとともに、踏切道による事故の防止を図るものとして昭和五十六年度に事業採択がなされ、全体事業費として二百三十五億円が予定されておりますけれども、六十年度までの進捗率がわずか一三%、都が要求している六十一年度分を含めても二〇%ですね。こんなペースでは十年たっても事業は終わらないし、交通渋滞は解消されないというふうに思います。今後の計画として、京浜急行の地下化事業はいつまでに完了されるつもりなのかということが一つです。  それからもう一つは、京浜急行羽田線の地下化の問題とともに、大鳥居駅付近の環状八号線の拡幅工事の問題がありますけれども、この付近の拡幅工事はいつごろまでに完了される計画になっているのか。あわせて、一刻も早いこの交差点の渋滞解消のためにも拡幅工事の促進についてどうお考えになっているか、この点をお伺いしたいと思います。
  143. 佐藤本次郎

    佐藤(本)説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございました京浜急行大鳥居駅付近の交通ネックの解消は、羽田空港へのアクセスの円滑化並びに交通安全対策上、私どもは急務であると存じておりまして、現在東京都施行によりまして、鋭意その解消のための事業を進めているところであります。  御指摘がございました京浜急行羽田空港線と放射十七号線、環状八号線との立体交差の事業につきましては、昭和五十六年度から事業化いたしまして、現在今年度末で進捗率約一三%となってございます。この地区は、御存じのように既成市街地の中を鉄道が走っている、それを地下化する工事でございまして、その工事に当たりましては十分慎重に事業を進める必要があるというようなことで現在工事を進めている関係上、多少おくれている点がございますけれども、今後ともこのような地域の特殊性を考えまして、地元住民の方の御理解を得ながら、昭和六十八年度までには完成いたしたく事業促進してまいる所存でございます。なお、六十一年度予算につきましては、東京都の方から御要望は十八億円、それによっての用地買収、工事促進という要求を受けているところでございます。  続きまして、第二点の大鳥居駅付近の環状八号線の拡幅についてでございますけれども、この道路事業につきましては昭和五十六年度から着手してございまして、六十年度末での進捗率は七三%でございます。その完成目途は一応昭和六十五年ぐらいを予定してございますが、できるだけ早く完成するよう事業費の確保を図るとともに、地元住民の御理解を得るべく努力してまいりたいと思っておるところでございます。  以上でございます。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切分科員 もう大体時間が来たようでございますけれども、全く話は別なんですが、建設省の方に若干お礼を申し上げたいと思うのです。  これは昨年の予算分科会で取り上げた問題なんですが、新六郷橋から都道四百二十四号線へおりるループ型ランプの周辺と内側に造成されている記念公園の建設については、建設省の御協力によりまして、今月末の完成を目指して工事が着々と進んでおります用地元の皆さんも大変に喜んでおられますので、この機会をおかりいたしましてお礼を申し上げます。  以上です。
  145. 久間章生

    久間主査代理 これにて鈴切康雄君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  146. 相沢英之

    相沢主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。瀬長亀次郎君。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 私は、きょうとりわけ空の安全について運輸大臣質問をします。  まず最初に、昨年十二月二十一日に在韓米軍機、OV10ブロンコでありますが、これと全日空機が那覇の北方洋上でニアミスを起こしておる。この全日空機には乗員乗客百一名が乗っており、まかり間違えばこれは大変な惨事になるところでありました。ところが、いまだに何ら真相究明の発表がない。聞くところによると、横田の在日米空軍はそうじゃないと否定しているだけではなくて、こちらの要求する資料も出さないといったような状況だと聞いておりますが、運輸省は現在この事実についてどう調査を進めておるか、まずお答え願いたいと思います。
  148. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 昨年の十二月二十一日の沖縄におきます米軍機と全日空機のニアミスの件でございますが、これにつきましては、まず全日空機の機長から報告がございました。それを受けまして、現在全日空機の機長であるとか副操縦士、米軍に対しても関係者からいろいろ事情を聴取いたしております。現在まだ最終的に事実関係がはっきりいたしませんけれども、今まで私ども承知しておるところでは、全日空機の機長と米軍のパイロットの状況についての説明の間に大分差がございます。さらにこれらにつきましてフライトレコーダーであるとか交信記録等から事実関係の確認を行っていきたい、かように考えております。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 実はこの前沖縄へ行きまして調査したのですが、御承知のようにいわゆる嘉手納RAPCON内で民間機は三百メーター以下の高度、嘉手納、普天間に着陸進入する米軍機は六百メーター以上というのが大体これまでの規定なんです。ところが、民間機の下をくぐらなければならなかったのかどうか。高度六百メートル以上でこう飛んでおる、ところが飛行機は下をこう通っておる。私は向こうへ行って調べたのですが、この事実は運輸省は認めるのですか、どうですか。
  150. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 確かに沖縄空港からの出発経路につきましては、民間航空機の場合、約三百メートルでございますが、千フィートの下をくぐって飛ばなければならないことになっております。今回のニアミスの報告を受けたケースでございますけれども、そのような高度を飛んでいるときに米軍機が前を横切ったというふうに聞いております。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは真相究明に具体的問題を提起しておるのですよ。全日空機がこう飛んでおるでしょう。米軍機がこう飛ばぬといかぬわけだ。それがこう飛んでいくわけでしょう。それはあなた、起こりますよ。どこに原因があるのか。普通の嘉手納あるいは普天間基地の米軍機であればその辺のことはよく知っておりますよ。今度の場合はこう下を飛んでおる。こういった事実からして、最後に申し上げますが、これはもう二カ月近くなるのですよ、起こってから。いまだに責任ある運輸省として何ら回答を与えていない。これは、空の安全を守るのは運輸大臣、もう運輸大臣に頼るしかないというほど、運輸省は空の安全を至上命令としてやっていかなくてはいかぬ。いつまでに真相究明され発表するのか、そこにめどがついていますか。期間を挙げてください。
  152. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 関係者が米軍ということもございまして、米軍の場合、先ほどちょっと先生からお話がございましたように、横田基地を通じていろいろ照会する、現地が沖縄ということもありまして確かに時間がかなりかかっております。私どもとしては、事実関係をはっきり確認するためには、関係者からの事情聴取あるいはフライトレコーダーとか交信記録等による確認作業、こういうものをまだしばらく続ける必要がございますので、そのために時日を要します。現在までのところ調査がいつ完了するかということははっきり申し上げられる段階にはございませんけれども、なお一、二カ月を要するのではないか、かように考えております。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 期限を定められないと言うが、百人以上乗っておるのですよ。ひやっとするところなんです。危ないところなんです。それを二カ月も調査調査と言って全然究明していない。では、一カ月以内ぐらいにできるのですか、どうなんですか。
  154. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 ただいま申し上げましたように、なお一、二カ月ぐらいを要すると思っております。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 一、二カ月というと、今は三月だな。四月いっぱいにはできるのですか。これははっきりさせてくださいよ。
  156. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 四月いっぱいに完了するように努力したいと思いますが、場合によっては五月にずれ込むかもしれません。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 この問題について運輸大臣もひとつ事務局を激励して、四月いっぱいと言わず来月あたりでも結論が出て、いや、これはこうだったという、アメリカではなくて日本政府の政策、調査結果はこうなんだとなれば、ははあ、これはこういうミスがあったから、これを起こさなければ安全に行けるなということがわかりますから、特に那覇空港はいわゆる民間専用にしろ、これは大臣よう御承知であると思いますが、大臣、ひとつ早目に、というのは一カ月、来月いっぱいあたりには督促して発表できると一言言ってください。
  158. 三塚博

    三塚国務大臣 今局長は全力を尽くしてやるという旨の答弁を繰り返しておるわけでありますが、政府官僚というのは慎重の上にも慎重というので歯切れが余り、先生からいうとよくないようでありますが、なお基本は、伺っております限りは、しっかり調査の上やります、こういうことでありますので、御趣旨を踏まえて進めるように私からも申し上げます。民間空港安全というのが第一でありますから、その辺の実態がどうなっておるのか、できるだけ早く判明いたしますことが大事なことでありますので、よく心得て進めてまいります。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これは、きのうですか、運輸省からもらった表なんですが、私はこの表を見て驚いたのですよ。これは新東京から下は与那国までの民間空港の利用の状況、このようにずっと実態が出ております。これは六十年なんですが、驚くべきことに米軍機が一カ年間で七百九十三回民間空港を使っておるのですよ。民間空港を使う場合にはやはり何か条件があるのですよ。勝手に使ってもいいということにならぬわけなので、この状況は皆さんからもらった資料でわかりますが、これだけ米軍機が民間空港に出入している目的は一体何か、これを説明してください。
  160. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 一般的に、米軍機が我が国におきます民間空港を使っている場合の使用目的というのは、物資の輸送であるとかあるいは給油などであるというふうに承知しております。
  161. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 それで、もう一つですが、例えばタッチ・アンド・ゴーをやりますね。こういったような訓練はやっちゃいかぬとか、外務省は見解をとっておるでしょう。今の、民間空港でタッチ・アンド・ゴーをやった空港は幾つありますか。
  162. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 タッチ・アンド・ゴーをやるという計画は、話は聞いておりますけれども、実際にやった例はないというふうに承知しております。
  163. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 あなた方運輸省でしょう。これぐらい知らぬでは困るですよ。タッチ・アンド・ゴーを函館空港でやっておるのですよ。これは私、切り抜きを持っていますが、今問題になっている三宅島だ、ここでやっておるのですよ、タッチ・アンド・ゴーを。ちょっとひどいんじゃないの。
  164. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 ただいまちょっと訂正させていただきたいと思いますが、過去にやった例は確かにございます。ただ、私どもの方ではタッチ・アンド・ゴーをやらないようにしてほしいということを米側に申し入れまして、最近はやっていないというふうに聞いております。
  165. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 これも答弁を訂正してもらわぬと……。三宅島は最近ですよ。これは毎日新聞にちゃんと書いてある。それで、聞いたら、ミスでした、いや、ここを航空母艦と思いました、三宅島をいわゆる沈まない航空母艦と、そんなでたらめがあるものですか。これは、今までの運輸行政、航空行政がいかにでたらめであったかということを示しておるのですよ。こんな大きな、五段抜きですよ。これは最近ですよ。最近ないと聞いております、しかし、最近ある。何か答弁ありますか。
  166. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 三宅島で五十九年に、米軍が見誤ってタッチ・アンド・ゴーらしき行為があったということは、先生の御指摘のとおりでございます。
  167. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 運輸大臣、これじゃちょっと不安でしょう。過去のことが全然わからぬ。函館でもやっておるのに、最近だったのかなという調子。三宅島はわからぬと。三宅島は、この新聞調査の結果はこう書いてあるのですよ、実はカールビンソンと思い違いしましたと。あんなでっかい三宅島を空母と思い違えてタッチ・アンド・ゴーをやっておるのですよ。タッチ・アンド・ゴーは、急激におりてきてざあっと行くんですよ。これを、運輸省ともあろうものが——今航空局長さんですか、これは少し注意しないと……。持ってないですか、私が指摘するまでもなく、民間空港でタッチ・アンド・ゴーの訓練やった……。
  168. 岡本行夫

    ○岡本説明員 地位協定の運用に関することでございますので、私、外務省の安全保障課長でございますが、一言御説明させていただきます。  先生承知のように、地位協定第五条のもとで米軍機は日本の民間空港にも出入りすることができるわけでございます。他方、我々は米軍に対して必要な施設及び区域を提供しているわけでございます。したがいまして、民間空港への発着は必要最小限のものに限るということで、我々は随時米側に問題を提起し、指摘してきております。  先ほど先生指摘のようなケースがございました場合には、私ども、米側に対してその都度注意を喚起いたしまして、先ほど運輸省の方からも御答弁がございましたが、民間空港の使用というのは米軍の運用の目的上やむを得ない必要最小限のものに限るように指導してきてるところでございます。
  169. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 今の答弁答弁になっておりませんが、それは後で反駁します。第五条にちゃんと制約がありますよ。緊急の場合以外には、と言っておる。これは後で反駁します。今の外務省の答弁答弁になっていないのですよ、実際は。外務省でも一般方針としては、タッチ・アンド・ゴーなんか訓練などのあれは民間空港はやってはいかぬ、せっかく施設、区域をあなた方が与えているのだから、我々は反対だが。そういう施設、区域以外には民間空港を使ってはいかぬということはこれまでの答弁で明白なんだな。これは後で反駁します。  それで、次は今示しましたものの説明ですが、いわゆる民間空港の米軍機の軍事利用について。これはひどいのですよ。この三月二日に宮古の下地島、これに米空軍の大型ヘリ二機が着陸し、給油を行った。あるいは去る二月十四日には沖縄の宮古空港に在韓米軍、これは例のOV10ブロンコの問題ですが、宮古で給油して、フィリピン・クラーク基地に向かって飛び去っておりますが、同じ日にC130輸送機が横田基地から宮古空港で給油して嘉手納に飛んでいる。近年、宮古、石垣空港に米軍機がしばしば飛来して給油を行っております。  ところで、全国的に見て、驚くべきことなんだな、米軍機によって利用されている。例えば稚内、米軍機の着陸回数は、昭和五十八年三百九十二回、六十年五十一回。釧路五十三回、同じく三十八回ですね。仙台九十九回、同じく六十年には四十六回。長崎、ここはひどいんだな、何だろう、三百四十七回、六十年に二百十四回を初め、帯広、新潟、広島、徳之島、沖永良部、奄美など、かなり広範囲に利用されている。これは一体目的は何かという問題です。民間空港こそ我々大事な空港でしょう。これへ米軍機が——今これはあなた方の資料なんですよ、こういうふうに一カ年間に七百回も発着する。目的は主として一体何なのか。いわゆるタッチ・アンド・ゴーみたいなことはやらぬようにと外務省も言っておりますが、一体全体、全日本の空港をこのように北から南まで米軍機が自由自在に使っているという目的は何なのか、これから説明してください。
  170. 三塚博

    三塚国務大臣 先ほど航空局長が申されましたとおり、物資の輸送、給油である、こういうふうに私も承知いたしておるつもりであり、回数の点でちょっと多過ぎるのではないかという御指摘であるようでありますが、またそれはそれで、仙台なんかのやつは机上演習というようなことを米日でやりました際に、その机上演習の資材なんかが何回か往復いたしたようでありますし、既に待機した民間の方がおいでになりましたことでふえたようであります。その他、これだけのやつは地位協定に応じまして物資、給油の輸送である、大体そんな感じのようでありますけれども、通告がございますれば当然これはそれを認めるというのが我が国政府の立場でございますし、日米安全保障条約に基づく地位協定でございますものですから、条約上の責任は負う、こういうことであろうと思います。  ただ、今瀬長委員申されました三宅島、カールビンソンに見間違ったというのは、それは見間違うのはどういうことなのかちょっと私もよくわかりませんが、夜間であればあるいはそういうこともあり得るかな、しかしいずれにしても巨大なものと航空母艦の識別ができなければタッチ・アンド・ゴーはできないわけでありまして、その程度のことであってはならないな、特にタッチ・アンド・ゴーということ、本当に訓練というそういう認識のものがやられるというのは、通告を受けて合意をしてスタートをしませんければ、民間航空の安全性の維持という点においてこれは行政の目的を期することができ得ないわけでございますから、そういう点で過去にそういうまがいのものが、らしきものがということはいろいろ指摘されておるようでありますが、正式にタッチ・アンド・ゴー、こういうことの連絡、通知というのはありませんし、そういう形の中で民間空港を所管する運輸省といたしますれば、旅客の安全第一主義、こういうことに徹して今日までやってきておるというふうに承知をいたしておる、こういうことであります。
  171. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 大臣、らしきものじゃないのですよ。あなた、タッチ・アンド・ゴーを見たことありますか。それは大変ですよ。だから今三宅であれが問題になっているのもそうなんです。あれの轟音はひどいのですよ。らしきものじゃないのです。やったのです。函館でもやったのですよ、これは。ですから、その面で私は大臣に認識を新たにしてもらいたいと思います。  それで、今三つの点を申し上げますが、民間空港はやはり特別な配慮をしなくてはいかぬという点は、緊急以外の場合には軍事目的のためにこれを使ってはならぬ、これは運輸大臣承知、今のような答弁でありますから。これは昭和四十四年四月十八日、衆議院内閣委員会で当時の手塚——これは三塚さんと間違えますが、手塚航空局長は、地位協定五条、今外務省の課長さんですかが言った地位協定五条は、不時着的な使い方をしての米軍の権利と申しますか、条約上の地位になっているだけです。軍事基地的な使い方、不時着的なもの以外は拒絶していく旨言明している。これははっきりここに言明しております。そのときの航空局長なんです。次に、同じようなことが、これも同年四月二十五日、衆議院内閣委員会、これですが、当時の愛知外務大臣、この人も、これは無条件に何でも認めるということではないと、これは合同委員会の合意によって実行上の制約がある旨はっきり述べておるのですよ。  それともう一つあります。いわゆる緊急の場合以外には使ってはいかぬ。緊急の場合といえば、まさか有事を想定するのじゃないと思うのですよ。  だからそういった今私が申し上げました航空局長の証言、それから愛知外務大臣の証言、それから日米のいわゆる空、海に対する出入関係の問題ははっきり制約されているのだということが大臣とそれから局長答弁であり、また緊急時にはこれは日米合同委員会のそういった海と空、海はこういった開港の海以外にいかぬ、それから空は米軍に地位協定で認める区域、施設、この以外に緊急でないといかぬというふうな制約があるわけなんです。ですからこの状態は、これは許されてはいかぬことなんです。ところが、現実には許されておるというのが現実なんですよ。この点ははっきり大臣、現実にまず一つは今の愛知外務大臣答弁、今やわられたと思いますが航空局長答弁、ここに一致しておるのです、これ以外には認めないと。これは実行上認めるわけにはいかぬということ。だからあの五条の問題、あれと違うのですよ。今外務省の課長さんは言っていましたが、一般的なのはそうした五条にあります。あるが、こういう制約されているということ、事実は、民間空港を安全に活用して空の安全を守るのだというのが運輸大臣の至上命令ですよ。人間の生命よりは安保条約が優先するなどということは、運輸大臣、考えておらぬと思うのです。まさに憲法に規定された人間の尊厳、この問題だ。  ですから、これは時間も参りましたので最後の締めですが、今三つ私、制約を言いましたよ。局長の証言、それから愛知外務大臣の内閣委員会での証言とそれから緊急でない限りいけない。緊急、まさに有事でないはずなんです。そういった三つのかぎがあるのですよ。私、その点を三塚運輸大臣もはっきりここで、日本国民の空の安全を守るために、今私が指摘しましたこの点は厳粛に実行していきたいといった点の意見を述べてほしいと思います。
  172. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 ただいまの米軍機の民間空港の使用の問題でございますが、条約上の解釈については外務省から御答弁いただくのが適当かと思いますけれども、私ども承知しておりますのは、地位協定上米軍としては我が国の飛行場に出入りすることができる、それは何も緊急の事態に限らないというふうに承知しております。  ただ、事実上の問題といたしまして、米軍が欲するままに出入するということでなくて、飛行場の実情であるとかあるいは地元の方々の感情も十分考慮していただきたいというような要請は米軍に行っておりますし、またもちろん民間航空の安全確保については、これは第一でございますので、万全を期するように米側に具体的ケースに応じて要請しているところでございます。そういった面での調整は行っているということでございます。
  173. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 もう時間が参りましたので、最後に大臣の一言。今の航空局長のあの逃げ答弁では、空の安全、守れぬですよ。安保よりは人間の生命ですよ。だからひとつ大臣、所信を述べてください。
  174. 三塚博

    三塚国務大臣 今の質疑のやりとりをお聞きをいたしておりまして、基本的に決して航空局長の言っていることも瀬長委員の法令上また航空安全という観点でそう違いはないというふうに私は思っております。  そこで基本的な考え方を申し上げますならば、民間航空は民間航空なんですね。やはり生命の安全、通航の安全性というのが絶対の要件でございまして、そのことに運輸省としてこれは徹しておるわけであります。要すれば、地位協定との関連でどう扱うのか、こういう点が最後に残された点でございまして、タッチ・アンド・ゴーが我が国政府運輸省の許可なくして勝手にやられておるということはないわけでありまして、それは要すれば、軍用機といえども、緊急時今着陸できる飛行場はそこしかないという意味で着陸をさしてくれ、こういうことでありますれば、それはそのことに同意せざるを得ないという地位協定上の役目があるというふうに思います。そういう個々のケースについては個々に判断をしなければなりませんが、私が大宗として申し上げ得ますことは、瀬長委員が御指摘をいただきました民間の航空飛行場としての安全性、このことはしかと行政の基本であろう、政治の基本であろうという御指摘は全くそのとおりでありまして、その方向で今日までやってきたつもりでありますし、今後もそれで全力を尽くすつもりであります。
  175. 瀬長亀次郎

    ○瀬長分科員 時間が参りましたのでこれでやめますが、今の地位協定の五条ですね、これはちゃんと五条があっても具体的にこうこうこうこうでやっちゃいかぬぞとあるものだから、手塚局長愛知外務大臣答弁せざるを得なくなったんでしょう。だから、その点を踏まえてひとつ空の安全のために大臣奮闘してほしいと強く要望して、私の質問を終わります。
  176. 相沢英之

    相沢主査 これにて瀬長亀次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君。
  177. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 最初に大臣に、第五次空整の中に福島空港を入れていただいて福島県民を代表して一言御礼申し上げます。  そこで、この第五次空港整備計画というものは一体どのように進められ、今後はどういうふうになっていくのか、その概要と見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
  178. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 第五次空港整備計画につきましては、現在の第四次空港整備計画が本年度で終了いたしますので、六十一年度を初年度として六十五年度までの計画を策定しようとしているところでございます。  この計画の策定に当たりましては、国際及び国内航空需要の増大に対処するため、五カ年間に事業が本格化する関西空港であるとかあるいは新東京国際空港整備及び東京国際空港の沖合展開といった、こういう三大プロジェクトを最重点課題として推進することとして今鋭意内容詰めているところであります。  先日、この五カ年計画事業規模につきましては総額で一兆九千二百億円、そういうことにつきまして閣議了解をいたしたところでございます。  今後具体的な計画内容につきまして詰めていくわけでございますが、できるだけ早く計画を策定したい、その中で個別の空港をどういうふうに取り上げるかということも決めていきたいというふうに考えておりまして、今後航空審議会の御審議もいただき、最終的にはまだ時期ははっきり申し上げられませんけれども、なるべく早く閣議決定という形で策定いたしたい、かように考えております。
  179. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、福島空港建設がいよいよこれから始まっていくわけですが、大体いつごろ着工になって、その一番機が飛ぶまでにどういうスケジュールでそこまでいくのか、その辺のポイントについて御説明願いたいと思います。
  180. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 福島空港につきましては、来年度の予算の中で実施設調査費を計上しておるところでございまして、六十一年度に新規着工を予定しております。  この空港建設スケジュールでございますけれども、福島空港の場合に、需要がどうなるかということを考えますと、福島空港と東京とは非常に近いものですから、その間の航空路というのは余り考えられないのではないだろうか。福島空港の場合、一番考えられます相手方空港といたしまして大阪空港が考えられるかと思いますが、先生承知のように、大阪空港は現在ジェット便数を一便もふやせないというような状況でございまして、大阪空港でそのような余裕ができますのは、関西空港ができます、今の予定では大体六十八年の春ということでございます。したがいまして、この福島空港につきましては、関西国際空港の供用開始時期をにらみながら建設を進めていきたい、かように考えております。
  181. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、この福島空港が完成するまでにおおよそどのくらいの総予算がかかるのか、それからことしつけられた三千万というのは大体どのように使われていくのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  182. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 まず福島空港建設費総額でございますけれども、それは約二百五十億ほどでございます。それから六十一年度の調査費といたしまして今計上しておりますのは、国費で申しますと千五百万、これは五割補助になりますので、事業費ベースで申し上げますと、先生おっしゃいましたように三千万になります。  この実施設調査費でどういうことをするかということでございますけれども、施工方法等の調査をいたします。
  183. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この空港は第三種の空港と言われておりますが、大体県が主体に進められるわけですけれども、これからいろいろな面で他省庁との関連で、ぜひここだけは先行させたいあるいはここは並行して進めたい、そういうものがあるかと思うのです。そういうものがもしありましたら、ひとつ御指示いただいて、それから予算上の措置としてはかさ上げが若干あるやに聞いておりますが、かさ上げがあるとすればどのくらいのかさ上げになるか、その辺もお聞かせ願いたいと思います。
  184. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 今先生おっしゃいましたように、福島空港は第三種空港ということで福島県が建設管理をするわけでございまして、国といたしましては、それに対しまして五割の範囲で補助をするという空港でございます。  今後この建設事業を進めるに当たりまして調整すべき事項といたしましては、空港へのアクセスの問題がございます。現在考えられております福島空港は山の中にございまして、今のままではそこへ行く道がございません。近くを通る道路から空港までの道路計画というものを道路の施工の事業主体と調整をしていく必要があろうかと思います。  それから、空港周辺に都市公園を整備しようという計画を私ども承知しておりますが、その場合に、都市公園の計画との調整が必要かと思います。  また、保安林が工事予定地域の中にあるわけでございますが、それらの保安林の解除についても調整が必要かと思います。  これらの調整につきましては、運輸省といたしましては必要に応じ県を指導してまいりたい、かように考えております。  なお、土工量の問題につきましては今後の調査を待たないとはっきりしたことは申し上げられないということでございます。
  185. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 次にここで本来なら大臣に聞いておくところだけれども、時間がありませんから後で総括してお願いします。  第二次特定地方交通線に指定されてきた会津線の問題についてですが、これは御承知のように野岩線がことしの十月に完成されるという運びになってきておるわけです。その野岩線が完成されるということで大変地元住民は喜んでおったところが、一方で今度つながるはずだと思った会津線が取り払われる、こういうことは大変矛盾していることで、しかもこれは去年、おととしか、さきおととしたと思いましたが、私が細田運輸大臣のときに質問した際に、ここは特殊な地域である、この特殊性を十分了解しているからという趣旨の御答弁をなされたのですが、その特殊性というものはその後さっぱり出ていないようなんですが、それはどういうふうに具体的には、なるほど細田大臣が考えたように特殊的に取り扱っておるというところをひとつ御説明願いたいと思います。
  186. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 先生の御指摘のとおり細田運輸大臣が、たしか五十九年の内閣委員会での答弁であったと思いますが、この会津線の問題につきましては、簡単に申し上げますと、大臣は第二次指定線といいましょうか、その中でも特別な地位にあるということと、それから、ほかの地域にはちょっとない特別の線の形をしておる、こういうような内容の御答弁をしておりますが、私ども、細田運輸大臣答弁の趣旨は、今の会津線は会津線だけで物事を考えるのでなくて、その先の、先のといいますか、野岩線が関東の方から会津線につながってくるという問題があるので、それを含めて物事を考えるということで答弁なさったと理解しております。  それでまずは、先生の御指摘の野岩線ができるのに会津線が特定地方交通線になるのは矛盾ではないか、こういうことにつきましては、当然会津線を選定する際の輸送密度の推計の中に、今の野岩線が開業をした場合にどの程度の増加需要があるかということを判断した上でなおかつ会津線の方は輸送密度が低い、こういう考え方で特定地方交通線として選定されたということでございますので、その点につきましては特に矛盾ということではないのではないかと思っております。  それから特殊性があるということの取扱いの問題でございますが、ただいま御高承のとおり、この会津線につきましての協議会が地元で開催されておるわけでございますが、その協議会の中での協議におきましても、ただいまの野岩線との関係の需要の問題というのを当然前提に置きながら関係の皆様方がいろいろ御協議いただいておる、このように理解しております。
  187. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 今日は時間がありませんから議論はしません。  そこで、会津線は今どのような関係市町村あるいは県を入れてこの問題についてお話がなされているのか。例えば第三セクターあたりでこれを受けておる、そういう場合には今の線路ではとても老朽化してどうにもならない。この線路は新しくしてあげましょう、あるいはまたこの野岩線は新線ということで電化まで設備されておるわけですから、その延長として会津若松駅までは電化してあげましょう、そういうようなものがあって初めて第三セクターに譲り渡しても第三セクターの関係者はそれほど困りはしないだろう、将来に希望を持てるだろう、こういうふうに思うわけですが、そういう点の配慮はどの程度なされておられるのか。
  188. 川口順啓

    ○川口説明員 会津線につきましては、ただいま先生指摘のとおり、地元の対策協議会の会議におきまして、転換後の代替輸送のあり方につきましていろいろと御議論をいただいておるところでございます。その御議論の中で第三セクター化という線もいろいろ御相談があるというふうに、逐次そういうふうな御議論が進んでいくというふうに伺っております。私ども国鉄といたしましては、協議会の会議におきましてできるだけ早期に円満に御結論が得られることを期待しております。  第三セクター化が確定しました場合には、転換交付金等を用いまして車両の購入でありますとか車両基地の整備でありますとかそういった初期投資を賄うというのが通例でございます。一方、運転保安にかかわる施設の維持管理等につきましては従来から国鉄が行っております。今後も転換までの間においては国鉄がこの面について引き続き施設の維持管理等に努力してまいるわけでございますが、電化の問題につきましては相当の大きな新規工事になりますが、この会津線が廃止転換を前提としている特定地交線という性格の線路でございますので、国鉄の負担で電化工事を行うということは極めて困難であると考えております。
  189. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、こういうふうに理解していいのでしょうか。線路は新しいものに敷きかえて、しかし金がかかるから電化はとてもできない、端的に言うとこういうふうに理解していいですか。
  190. 川口順啓

    ○川口説明員 線路施設につきまして、列車の運行に差し支えない、運転保安を確保できるという維持管理については、転換までの間は国鉄がやってまいる、こういうことでございます。
  191. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 維持管理まではと言うけれども、そこをはっきりしないと困るのですよ。例えば今桑原駅と舟子ですか、あの間の線路は野岩線の新線と同じ線路を敷かれているわけですね。新しく補修するところは皆新しくなっているのに、列車が転覆しないから今のままでも使えるところは使うのだという思想でいくと、これは大変なことになりますよ。大体あなた方が今まで経営してきて経営し切れなくて赤字をつくって、そうしてその赤字をどうしようもないからぶった切るということなんだから、それを地方の市町村やその他のいわゆる第三セクターをつくって引き受けて何とかこの国鉄の所期の目的に従って運輸行政協力しよう、こういうことで引き受けるのだから、そこまではあなた方の責任ですよ。そこはちゃんとしないと、地域住民が非常に今困っているのです。迷っているから、その点をもう一度明確にしていただきたい。  それから、時間が非常に迫っておりますから、今度特定地方交通線の第三次指定が国鉄の方から申請されると聞いておりますが、これは大体いつごろに申請されるおつもりか、そしてその規模はどのくらいなのか、また、そこには福島県内にある地方交通線が含まれるのか含まれないのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  192. 川口順啓

    ○川口説明員 会津線の問題についてでございますが、先生先ほどおっしゃいました御趣旨あるいは地元の方々の御要望というものはただいま承りましたのですが、一方、国鉄の現在置かれております非常に窮迫した財政状況ということもございますので、その観点も踏まえながら、今後協議会の会議の場で具体的な御相談を進めてまいりたい、このように考えております。  それから、第三次特定地交線の問題でございますが、現在国鉄におきましては、十三線区を対象に選定のための調査を行ってきておるところでございます。目下この調査結果を整理している段階でございまして、申請の線区が何線区になるかとか、あるいは申請の時期がいつであるかということは、ただいまの段階では決めていないわけでございます。線区の数といたしましては、先ほど申しましたように十三線区を調査対象線にしておりますので、この数を超えることはございません。それから、申請の時期につきましても決まっておらぬわけでございますが、私ども国鉄の立場といたしましては、なるべく早い時期に申請にこぎつけたい、このように考えております。それから、もう一つお尋ねの福島県の線区が含まれているかというお尋ねでございますが、今回の調査対象線区には、福島県の線区は含まれてございません。
  193. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そこで、この福島県内には、地方交通線として今手つかずになっているのが、水郡線、磐越東線、磐越西線、只見線、こういうのでございますが、これは将来、一体どのように位置づけられて、どういう所属で運行されるのか、運用されるのか、その辺についてお伺いいたします。
  194. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 ただいま先生指摘の四線でございますが、私どもの考え方では、これから旅客鉄道会社が引き継ぐ路線というのは特定地方交通線以外の路線は全線区引き継ぐという考え方でございますので、ただいまの四線につきましても当然東日本旅客鉄道会社が引き継ぐ、こういう形になるかと思います。  それで、この四線の今後の取り扱いの問題になりますと、それはその新しい会社の新経営陣が今後考えていくという問題になるかと思っております。私どもは、この改革を実行することによりまして、地域に密着した鉄道網が維持整備されると思っておりますので、そういう意味では、この四線の今後の活用ということが相当期待されるのではないかと考えております。
  195. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 ローカル線の方は一応そのくらいにしておきまして、今度は東北新幹線の問題についてお伺いいたします。  かつて東北新幹線は、いわゆる上野−東京間をつながないのでは新幹線の意味がない、こういうことで大分議論されたことがあります。そこで、国鉄もこれをつなぐということで私に確約されたことがありますが、この後間もなくこれが凍結された。そこでそのままになっておるのですが、これは大臣、今度はこの凍結は解除したでしょうか。そしてまた、上野から東京駅に乗り入れできるのはいつごろになるのか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
  196. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、今度新幹線保有機構法、まあリース会社でありますが、このリース会社がスタートいたしましたならば担当しよう、その場合、東日本鉄道会社の運行するかしないかという意向を聞いて、これにスタートを切るという一つの法文体系になっております。この理由は、新幹線保有会社整備新幹線をやらせるなどということはないわけでありまして、明確に遮断をいたしまして、上野−東京間は東北新幹線であります、こういうきちっとした法定上の解釈の中で物事を運ぶといたしますれば、この部分をやる人がだれなんだろうかということになりますものですから、東日本旅客鉄道会社がやるというのであればそれも一つかなという一つの解釈といいますか考え方もございました。しかし、リース会社というのは本来新幹線リースで収支の均衡を図り、運賃上も全国平均的にやろうというねらいもございますものですから、そこで担当をする。その場合は東日本の意見を聞いて工事をスタートする。いつまでにやるのだということは、この法律が制定をされました後に、また東日本とも協議をし、リース会社の役員の皆さんの運営の方向の中でこれを取り決める、こういうことであります。  いつまでにこれがやれるかということでありますが、あれだけ、出戻りにならぬ程度の工事費だけは、凍結、当分見合わせるといってもつけてきたわけであります。残工事が四百五十億程度でございますものですから、これをどう進めるかということは、今後この法律が成立をした後に真剣に検討して取り進めるべき問題かな、こんなふうに思っております。
  197. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 そうすると、つまり、それほど確定してはいないわけですね。方針がはっきりはしてない。ただ大臣の頭の中にこうしたいと思っているというだけのことなんですか。
  198. 三塚博

    三塚国務大臣 いや、そうではございませんで、新幹線鉄道保有機構が建設を行うものとしております、これは明記してあるわけです。ですから、この法律が成立をいたしますれば、四月一日にスタートを切りました、こういうことでありますれば、東日本旅客鉄道会社の意見を聞いて建設を行う。東日本が、もうそんなものは私の方は運行しませんよと言えば話は別ですが、そういうことはないであろう、こんなふうに推測はされる、こういうことなんですね。
  199. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がありませんから前に進みます。  そこで、私は、今の国鉄民営分割化というのを見ていて、一番肝心かなめのところが議論されていないような気がしてならないのです。それは何かと申しますと、国鉄というのは、言うまでもなく百年以上にわたって国民が築き上げた財産ですね。これを今度民営化するということは、一般の個人の場合もありましょうし、法人の場合もありましょう、そういう株式会社になってしまうわけですからね、言ってみれば民間に譲渡するみたいな形になりますね。その際に、その国鉄の財産が、本当に適正に評価した場合にどれだけなのかというのがさっぱりわからないのですね。当局の答弁も、質問する人によって大分違ったりいろいろしているようだし、それから学者連中の評価の仕方もいろいろ違いますし、これは一体、本当の話、国民にはっきりと理解させられるだけの結論の出し方というもの、そういう一つの方式というものをまず明らかにして一その上で専門家たちが、あるいは国民の代表たちがこういう評価なら納得してくれるだろうというところで評価すれば割と国民の理解が得られると私は思うのですよ。  ところが実際問題は、国民がどういうふうにこれを受けておるかというと、赤字になっていくローカル線は全部切って、これを地方自治体を巻き込んだ第三セクター等に任せてしまって、幹線のもうかるところだけ残して、そしてこれはこの間の敷地の売買問題でも問題になったように、安く国の財産を特定の資本家たちにやってしまうのじゃないか、そして自分たちだけでそのもうかる部分を運用するのじゃないか、これはけしからぬというのが率直に言った国民の感情です。だから私は、その感情を何とかここで解いていただきたい。それにはどういう方法で今後新しい評価のし直しをしていくか、そしてこの財産の適正な価値というものを国民の前に明らかにする、それには例えば今ある財産だけでなしに、これからこれだけの国鉄の規模と同等のものをつくろうとした場合にはどのくらいかかるのか、そういうものまで一切頭の中に入れてひとつ評価のし直しというものをすべきである、こういうふうに思いますが、その点についてひとつお答えを願いたいと思います。  本来はもっと具体的にそれぞれの財産区分に従って、大体今の時点でもいいですから価額を明らかにしてもらいたいのです。この財産評価の仕方等についてよろしくお答えを願いたいと思います。
  200. 三塚博

    三塚国務大臣 二千六百ヘクタールの評価もどうやるかはいろいろ議論が出たところでありますが、この点は、法案を提出をいたし御審議をいただく時期に箇所数については御提示を申し上げる、価額は公開入札を原則として進めますものですから、こういうことでその落札価額をもって評価をしていただく、こういうことであります。  それともう一つは、六会社に承継される財産の評価をどうするのか、こういうことであります。これは、持っていく財産の一部について評価はございます。評価委員会が正しく評価をするということでありますが、鉄道の路線として使用される部分については、それはその鉄道があるがゆえにそれが行われておるわけでありまして、鉄道が外されましたならば評価が一体どうなるのだろうかといういろいろな仕方があるわけでありまして、政府は一貫して答弁をしてまいりましたのは、鉄道線路としてこれを進めております評価と、鉄道がない場合はどうするのだという評価を問われる声もあるわけでありますが、依然鉄道としてこれを存置し、引き続き国民の財産としてこれがいくようにすべきである、こういうことなものですから、その点は簿価を現在価額に置きかえるという必要はない、こういう言い方をさせていただいて今日まで来ておるところであります。  そんな点で、今後民間会社になるのであるから切り売りになって特定のものかと、よくそういう御批判もございます。しかし、これは国全額出資の特殊法人でございまして、やはり国会の管理監督がそういう意味で効いてまいります。さような意味で、切り売りが行われるということはございませんし、また代表取締、監査役が運輸大臣の認可事項ということで、これまたその最大の担保が行われるということであります。簡単に申し上げますれば、公正にガラス張りの中で、なるほどと言われる会社経営が行われますように、またそういう意味の国会という全体をにらむコントロールの中で国民の疑惑がございませんように進んでまいりたい、こう思っております。
  201. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、ただ一つ、入札させるから正しく評価されるのだ、あるいは公売するから正しく評価されるのだ、これは大変な間違いだということを一言言っておきます。  なぜかというと、例えば競売に付された場合に、金のある人がその必要に応じて金をどんどん出せば高く売れるし、金を持っている人が周囲にいないときには最も安くたたかれてしまうのです。それは評価どおりじゃないんですよ。持っている者の金の量によってその価額が変わっていくということを考えると、ただ公募して株を公開入札にするからとか、そういうことではなかなか納得できませんということを申し上げて、終わります。
  202. 相沢英之

    相沢主査 これにて渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、長田武士君。
  203. 長田武士

    長田分科員 まず初めに運輸大臣にお尋ねをいたします。  本年二月十八日に閣議で、政府は運賃値上げを先取りし、複々線化工事を進める特定都市鉄道整備促進特別措置法を決定いたしております。そこで、まずこの法案の目的と趣旨について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  204. 服部経治

    ○服部政府委員 お答えいたします。  先生も御承知のように、大都市圏におきましては、毎日極めて大量の旅客流動の発生が見られるところでございますが、特に朝夕の通勤通学時には、短時間に大量の流動が集中する状況がございますために、輸送力の極めて大きな都市鉄道が、他の交通機関では代替し得ない重要な機能を果たしておるところでございまして、また業務交通やその他ショッピング等の日常交通におきましても、鉄道都市の基幹的な交通手段としての極めて重要な役割を果たしておるところでございます。  今申しましたような都市鉄道の果たしている役割と申しますか、機能の重要性にかんがみまして、大都市圏においてなお増大を続けるピーク時の輸送需要に対応いたしますために、従来から各都市鉄道は列車運行回数の増加、列車の編成長の長大化等のための工事を鋭意行いまして、その輸送力の増強に努めてきたところでございますが、一部の主要線区におきましては、このような従来からやってまいっております対応では、既にその限界に達しようとしている状況がございまして、御承知のような朝夕の著しい混雑状況あるいは列車の運行速度の低下といったような状況が随所に見られるわけでございまして、快適な都市生活環境の形成を図る上で極めて立ちおくれた状況が今日なお続いている現状でございます。したがいまして、今後さらに増大することが見込まれますこうした輸送需要に対応いたしまして、そういった問題の抜本的な解決を図りますためには、こういった従来からの輸送力増強対策に加えまして、複々線化などの大規模な輸送力増強工事の本格的な促進を図る必要があるというふうに考えております。  今回御提出申し上げております本法律案の目的でございますが、これは今申しましたような観点から、都市鉄道の抜本的な輸送改善を図るために、複々線化等の大規模な輸送力工事を促進するということにあるわけでございます。  ところで、この今申しました複々線化等の工事でございますが、これは例えばキロ当たり安くても百億円、高いところではキロ当たり三百億円といったような膨大な投資を必要とする工事でございます。しかも、それによります輸送改善効果は極めて大きいものがあるわけでございますが、そのことによりまして直接新しい利用者を獲得するというようなことにはつながらない性格のものでございますので、その意味で採算的には極めて効率の悪い投資になっております。このために、複々線化等の工事を促進する必要性は極めて高い現状、現実があるにもかかわらず、その速やかな実施ということが極めて困難な現状があるわけでございます。  ちなみに申し上げますと、この首都圏におきましては私鉄の路線が九百数十キロございますが、そのうち複々線化の区間というのはわずかに一・二キロメートルといったような状況でございます。そういった実情にかんがみまして、この法律案におきましては、特定都市鉄道整備積立金というような制度を設けるなどいたしまして、必要な複々線化等の大規模な輸送力工事の促進を図ろうというふうに考えておるものでございます。
  205. 長田武士

    長田分科員 御説明を伺いましたけれども、運賃を値上げをいたしまして、高架そして複々線化、輸送力増強について、私は思い切った手法だなという感じがいたしております。  しかし、実は問題がないわけでもないのですね。そこで私は、何点か問題点をお尋ねをしてみたいと思っております。  本来鉄道とか公共事業は、受益者負担というのが原則でございます。一般に高速化して時間が短縮される、これについて利用者はプラス面が出てまいります。ただ問題は周辺住民に対しての配慮といいますか、こういうことももちろん必要でありますけれども、私も実は西武池袋線の地域を持っておりますから、高架問題等で私たちはこの十年間そういう運動を展開してまいりました。たしか、あかずの踏切と言われまして、もうその交通渋帯たるや全く最たるものですね。そういう状況から高架にしようということです。しかし、高架を促進するためにも、周辺の住民の一部反対がございます。これについてはやはり北側の方がどうも日照権を奪われるという問題等々がいろいろ惹起してくるわけですね。  そうなりますと、私はまず第一番目には、利用者の運賃値上げたけで、それを原資として建設をするということでありますけれども、そうなりますと、受益者負担の原則からいってちょっと無理があるのじゃないかという感じがいたしております。そういう意味で私は住民運動、住民訴訟みたいなことにならなければいいと思っているのですけれども、もしもそういう運動が展開される場合、ちょっと当局としてもしんどいんじゃないかなという感じがいたしておりますが、どうでしょうか。
  206. 服部経治

    ○服部政府委員 今西武線を例にとっての御指摘でございますが、私ども、ただいま先生が申されましたような事態にあちらこちらで遭遇いたしておりまして、非常に頭を痛めておるところでございます。  輸送力の増強は、その鉄道を利用される多くの方々にとりまして大変必要なことでございますが、一方で、そういった工事が現実に行われる付近の住民の方々には、工事期間中あるいは工事後の高架等によりまして、いろいろの面でまた御迷惑をかけることもあるわけでございまして、その間の利害の調整ということは、今後に向けましても非常に大きな問題だというふうに考えております。  先生の次の御指摘は、そういった工事が行われることになった付近の住民から、現在私どもが法案をもって御提出申し上げております制度についての反対が起こったらというような御趣旨と承りましたが…(長田分科員「そうじゃなくて利用者、乗客乗客」と呼ぶ)わかりました。私どもは確かに、特定の鉄道の利用者につきまして、運賃の前倒し負担をお願いするという考え方の上に本制度を組み立てておるところでございまして、その点の御指摘であろうかと思いますけれども、この制度によりまして促進されることとなります複々線化等の工事の社会的な重要性あるいは緊急性ということにかんがみまして、私どもはこうした考え方が社会的に容認されるというふうに考えておるものでございます。
  207. 長田武士

    長田分科員 運輸大臣、私は受益者負担の原則からいって、ちょっと無理があるような感じがするのですが、率直な御意見どうですか。
  208. 三塚博

    三塚国務大臣 受益者負担ということになりますと、受益者の範囲は一体どういうことなんだろうかという一つの特定の仕方も出てくると思います。  端的にいいまして、長田委員言われますように、固定的に通勤通学でお乗りになっている者を受益者と仮に特定をするとすれば、その人だけの負担でそれをやるというのはいかがかな、こういう論は当然出てくると思うのです。しかしながら、この線区を利用される方は、相当多くの方が日常生活の中で活用するでありましょうし、それともう一つは、それが全額受益者負担で、あるいは相当部分受益者負担に頼りましてそれをやるのだということであれば、それはお説のとおりであろうと思います。  そうではなくて、なかなか今日の私鉄運営というのは、運賃だけでは到底カバーしきれないというつらいところにきているだろうと思うのです。そういう中で、複々線工事が必要であることは私鉄労使ともにわかっておりましても、経営者がよくわかっておりましても、ファンド、資金の調達において大変難しい。そうであるならば、許されるぎりぎりの範囲という意味で、今回この法律の中でうたっております率、それによって得るものを積み立てて、それを工事費に振り向けると大体二五%程度が充足できるかなと。ですから、四分の一を、運賃によって上がる分をそのまま純粋に積み立て、その工事に投入することによってどうだろうか、それによって全体の七五借り入れるのの利子がカバーというか、利率的にならされまして、非常にやりよくなることによってこの経営がまた前に進む。地域のためにも、先生指摘のようなことで、複々線化によって直接間接にその恩恵がもたらされる。そういう意味で、もう待ったなしのところまできたものでありますから、何かないかということで、運輸省、全力を挙げて考え抜いて、まあ民鉄協会の御意見も聞き、またそれなりに私鉄総連の御意見もどんなものだろうかと、これは非公式に服部局長よく聞いて、私も聞いてみました。そんな中で構築をした案であります。
  209. 長田武士

    長田分科員 私は高架促進は大賛成なんですけれども、ちょっと無理があるなどいう感じを受けたから申し上げたのです。  そこで運賃でございますけれども、六、七%くらい考えているようですが、私は、通学生については、教育の負担が大変重いという調査がこの間もございましたけれども、こういう点については配慮が必要じゃないのでしょうか。
  210. 服部経治

    ○服部政府委員 この制度が適用されることになりますと、大体におきまして三%から四、五%の運賃のかさ上げが行われることになるわけでございますが、無論その際にも、現在行っております学生定期の割引という制度はそのまま踏襲されることになると考えております。
  211. 長田武士

    長田分科員 割引制度はもちろんあるのでしょうけれども、やはり値上げするのですか。現状維持ということは無理でしょうか。
  212. 服部経治

    ○服部政府委員 この点につきましては、割引定期を御使用になっておられる利用者の方々にも、それなりに応分の御負担をお願いせざるを得ないというふうに考えております。
  213. 長田武士

    長田分科員 複々線の完成後には、利用者に後戻しですか、こういうことがうたわれております。これは本当にやれるのですかやれないのですか。後でまた設備が必要だという場合、大変簡単に約束されて、実行できるのですかできないのですか。
  214. 服部経治

    ○服部政府委員 それが確実に実施できませんと、この制度を御提案することもできないというふうに考えておりまして、私ども、この積立金の取り崩しが始まりましてから後の運賃につきまして、前倒しで御負担をいただきました積立金に相当する額全額を、運賃を通じて利用者に還元してまいる考え方でございます。これはきっちりやらせていただきます。
  215. 長田武士

    長田分科員 そうすると、運賃を下げるのですか。それとも、そのお金を利用者に還元するというのは、実際問題お金を出した人間が受け取れるのですか。そうじゃないでしょう。どうなんですか。そうしないと、公平な負担という点では、後戻しなんというのは適正を欠いているのじゃないですか。     〔主査退席、久間主査代理着席〕
  216. 服部経治

    ○服部政府委員 私、今御説明申し上げましたように、取り崩しが始まりましてから後、運賃を通じて利用者への還元を図ると申し上げましたが、それは運賃の水準を取り崩し額に見合った分だけ下げるという意味でございます。
  217. 長田武士

    長田分科員 この問題については、私はそういう沿線を持っておりまして、大変長期戦になるような感じがいたしております。そういう意味で、住民の意向を十分体して、運輸委員会になると思いますが、どうかひとつ十分審議をしていただきたい、このように考えております。  次に、都営地下鉄十二号線についてお尋ねをいたします。  この問題につきましては、去る二月二十八日、都知事から直接三塚運輸大臣に申し入れを行ったと伺っております。これについて、特に十二号線放射部の工期繰り上げと、長い間凍結状態となっておった十二号線の環状部の建設について要請があったと聞いております。運輸大臣は、こうした都知事の要請に対しましてどのように対処されるのでしょうか。
  218. 服部経治

    ○服部政府委員 十二号線は先生承知のように、新宿から出ております放射部と、それから新宿から出て新宿へ帰ってまいります環状部とから成っております。  まず放射部でございますが、これは既に東京都が新宿から光が丘までの免許を持っておりまして、またその上に練馬−光が丘間につきましては既に工事に着手しておるという状況がございまして、今後に向けましてその整備が図られていくというふうに考えております。  それから環状部の話でございますが、これは先生、凍結状態にあるという表現をおとりになりましたが、実際そのような状況が長く続いておりまして、この環状部の建設を行うということになりますと、そのために必要な投資額と想定される需要量との関係から、採算上いささか問題があるように、私ども現在の段階では承知しておりますけれども、この点につきましては、先般東京都の方で、この十二号線建設の問題を中心に都営地下鉄のあり方を全体的に見直し検討するための検討会というものを、かなりのハイレベルのメンバーでつくりまして、その中でこの十二号線建設の問題を御勉強なさるというふうに聞いております。私どもとしましては、その検討会におきます結論をまちまして対応をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  219. 三塚博

    三塚国務大臣 手続の面については、今服部局長が言われたとおりであります。私と東京都知事の話し合いにおきましては、まさに知事の立場、都議会の決定事項、都庁移転に伴う議決、こういうものを踏まえて物を考えようというのが一点。それともう一つは、これからの錯綜する大都市交通整備というものは、やはり地下鉄というのは金がかかりますけれども、それがすぐれた手段であることは間違いないな、こういう点でも一致をいたしたところであります。  問題は、助成制度を取り込んでおります地下鉄事業でありますだけに、一気にそのことがスタートを切りますと、他都市の地下鉄工事に波及するところ極めて大ではないのかという財政上の制約が一つあります。これも率直に話し合わさしていただきました。そういう中でそれをクリアできないものだろうか。と申しますのは、東京都の財政事情が他都市に比べすぐれておりますものですから、その辺のところの考え方が都民、議会の協賛を得られて前に進むということでありますと、本問題は具体的に急速に進むのではないだろうか。そういう点で知事が、今、局長が触れましたハイレベルの調査会、大蔵次官出身、自治次官出身、運輸次官出身を中核とし、交通学者、専門家、それから受益者代表というようなことで調査会を開き、どうしたならばいいか、また東京の都市交通はどうあるべきかということで御検討をいただいて、財政と都市交通のあり方をそこで答申を得る、それを受けてスタートを切る。私どもはその調査会のスタートについて事務次官の経験者を差し出しますということで、それはもう約束を申し上げましたし、それを今服部局長のところで人選をいたしております。そのことでこたえる。こんなことで、現実に合った処理方式の中でこの十二号線の必要を認めつつ、具体的に進めるのにはどうするか、こういう点についてお互い検討し合いながらこれに取り組んでいこう、こう考えておるところであります。
  220. 長田武士

    長田分科員 大臣よく御存じのとおり、都議会でも、新宿移転に対しましては二分するような論争がございました。そうしてあのように決まったわけでございますから、都庁が移転されました、交通手段がございませんということであったのでは、ちょっと都知事も窮地に追い込まれますので、どうかひとつ配慮していただきたいと私は考えております。  また、地下鉄十二号線に関しまして、光が丘から大泉方面への延伸につきましても、私は昨年三月、当分科会におきまして強く要望いたしました。運政審の答申第七号でありますが、七号の高速鉄道網等の整備計画の中にも大泉方面への延伸が盛り込まれておりまして、私は多大に評価しておるところでございます。御承知のとおり、光が丘から西に至る大泉方面は極めて交通過疎地域でございまして、十二号線の延伸については地元の方々から大変強い要望が出ておるところでございます。したがいまして、この延伸路線について、私はぜひとも整備する必要があると考えておりますが、今後の見通しについて所見を伺いたいと思います。
  221. 服部経治

    ○服部政府委員 地下鉄十二号線の大泉学園町方面への延伸ということにつきましては、大変広範囲の地元の方々から強い要望が出ておることは私どもよく承知しております。そういう状況を踏まえまして、昨年の運政審の答申の中にも、これまで、将来長期的に検討すべきというふうにされておりましたこの部分が実線でもって、昭和七十五年までに整備を終わるべき路線という格好で位置づけられたところでございまして、私ども、その答申の趣旨を十分に体しまして、今後への取り組みを図ってまいりたいというふうに考えております。
  222. 長田武士

    長田分科員 次に、国鉄問題に対しまして、運輸大臣及び国鉄総裁にお尋ねをいたします。  昭和六十二年四月の国鉄民営化に伴いまして、今大きくクローズアップされておりますのが国鉄用地の売却問題でございます。先日の予算委員会においてもこの問題が取りざたされまして、国鉄再建監理委員会の答申で出された売却可能用地二千六百ヘクタール、五兆八千億円の評価額が適正かどうか判断ができないという批判の声が出てまいりました。私はやはり売却対象用地が明示されていないというところに大きな原因があるようにも思います。現在国鉄が抱えております莫大な長期債務をどのようにして解消するかということは、最も重要な課題であろうと考えます。しかし、この陰にありまして、地元国鉄用地を抱えておる商店街の方々が不安におびえておることもまた事実なんですね。私があえておびえていると申し上げましたのは、地元国鉄用地が果たして民間に売却されるのかどうか、また、売却されるとすればどこに売却するのか等々、場合によっては地元商店街の方々の死活問題にもなりかねない状況にあるからであります。  そこで、国鉄用地の売却については今後どのような手順で準備を進めていく予定なのか、また、いつごろをめどとしておるのか、その点について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  223. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生今御質問ございましたのは、いわゆる国鉄用地のうち、債務償還の財源に充てるために、旧国鉄と申しますか、いわゆる清算事業団の方に引き継ぎをいたしまして、そうしてから売却をするということについてお尋ねなされたというふうに考えておりますが、そういうことでよろしゅうございますか。——それらの用地につきましては、現在国鉄におきましては、新経営形態のもとにおける将来の事業の姿を見通した上で、最小限必要となる事業用地をまず確定をしていく、それ以外の用地については原則として清算事業団の方に移して、清算事業団の手によって売却をするということで、今その線引きの作業を鋭意急いでいる段階でございます。  そういったことの確定は、法案成立後運輸省に設けられます第三者機関の審議を経て、引き継ぎ並びに承継に関する実施計画書ができました時点で確定をすることになるわけでございますが、その確定をし、清算事業団の方に引き継がれた土地につきましては、今回の法律によりますと、清算事業団に設置をされます資産処分審議会の意見を聞いた上で、公正かつ適切な処分を行っていくことになるというふうに考えておる次第でございます。
  224. 長田武士

    長田分科員 私の地元では、国鉄用地の民商売却問題で実はいろいろな意見が出ておるのですね。困惑をいたしております。  それは、大臣、地袋の芝浦工大の跡地の問題であります。この用地については、周辺も含めまして、実は三年前から、地方自治体、豊島区でありますけれども、それから企業、それに国鉄側も参画をいたしまして、大幅な区画整理事業計画をいたしておりました。これは、自治体も本腰を入れまして、事実、調査費等の名目で毎年予算も計上したわけであります。こうした状況の中で、去年最終案が固まった段階に入りましたが、突如として国鉄側から、民商売却もあり得るというような話が持ち込まれまして、以来今日まで、最終案を保留せざるを得ない状況に追い込まれておるわけであります。三年間にわたって地元と話し合いを重ね、アウトラインも決定したというやさきであります。これを民間に売却するということになるならば、これはまさに国鉄の信義問題になるのではないかという感じが私はいたしております。この点について、総裁はどうお考えでしょうか。
  225. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今先生指摘のように、この地域につきまして、地元の自治体と関係の皆さんが協議会をつくりまして、いろいろと御検討になってきた経緯は十分承知をいたしております。ただ、一方におきまして、国鉄問題の詰めと同時に、監理委員会の方向としましては、できるだけ売れるものは売れというような方向が出され、我々も、そういう方向はしなければならぬというふうに思っておるところでございまして、今までの地元のいろいろな御検討の経緯と、それから新しい命題の土地売却の問題と、双方勘案をいたしまして今検討をしておるところでございまして、現在まだ結論が出ておりません。
  226. 長田武士

    長田分科員 三塚運輸大臣、実はそういう状況でございまして、地元としてもそういう詰めをやりまして、最終案が出るという段階でございまして、ここで、さあ第三者に売却だということになりますと、ちょっと信義にもとるようなことになりますので、この点はひとつぜひ胸に入れていただいて、御配慮いただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  227. 三塚博

    三塚国務大臣 今総裁からお答えになりましたのが基本的な原則であろうと思いますが、しかし、同時に、本件が、長年にわたりまして都議会と地域が一体となった形の中で、国鉄と相協議をしながら、地域開発のために、また地域振興、駅周辺整備というもろもろの問題で取り組んでまいった経過は存じております。また、区長初め議会代表から正式に御陳情などもちょうだいをしておるところでありまして、監理委員会等の最終的なすり合わせがあるのだろうと思いますが、今日ただいまの段階では、国鉄がこの方向づけ——今信義に反するのではないだろうかという問題指摘があったわけでありまして、その辺の中でどう取り組むか、最終的な御方針をひとつお取り決めをいただき、運輸省に上げていただきますればと思っておりますし、そういう点で、運輸大臣とすれば、いつまでも検討しておりまして新しい会社になってしまっては困りますから、やはり検討の結果は、それはそれとして、地域別を全部法律案審議までに出すということをいたしておりますから、急いでいただきまして、御相談を早く持ち上げていただきたい、こう思っております。
  228. 長田武士

    長田分科員 これは運輸大臣国鉄側から呼びかけた三者協議なんですよ。国鉄が呼びかけておいて、はい、知りません、売ってしまいましたでは、ちょっとうまくないですよ。そうでしょう。  監理委員会が見えていると思いますので、その点、簡単に御答弁いただきたいと思います。
  229. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 国鉄長期債務は極めて膨大でございますので、その処理に当たりましては、まずは第一に国鉄の自助努力が必要であるということで、非事業用用地につきましては原則として売却してもらう、そして、なお残る長期債務につきまして国民負担をお願いする、そういう観点から、できるだけ非事業用地につきましては売却していただくという意見を提言しておるわけでございます。  その際に、いろいろ都市計画等との関連、そういう問題につきましては、実際の段階でいろいろと調整しながらやっていただきたいとは思いますが、国民負担の軽減という観点から、売却の際には、公開競争入札を基本とする適正な時価によって売却していただきたいというように提言しているところでございます。
  230. 長田武士

    長田分科員 それから最後に一点、同じく大塚の貨物ヤード、この問題も、住民とのいろいろな協議会ができておりまして、そういう点では大変大きな話題を呼んでおります。そういう点もぜひひとつ御考慮いただければ大変ありがたいと思っております。
  231. 久間章生

    久間主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。  次に、戸田菊雄君。
  232. 戸田菊雄

    戸田分科員 時間が余りありませんので、端的に問題を絞って二点ほど質問してまいりたいと思っておりますが、大臣、連日御苦労さまでございます。  第一点は、今国鉄資産はどのくらいでしょうか、ちょっと説明してください。
  233. 熊代健

    熊代政府委員 五十九年度末におきます国鉄資産の額は、簿価で、総額十二兆一千億でございます。
  234. 戸田菊雄

    戸田分科員 監理委員会の答申で各般指摘をされておりますが、それを見ますと、いわば一般の会社の破産方式ですね、こういうことでいろいろ積算をされてきている。ですから民間の会社が、私も何件か手がけましたけれども、倒産をしますと、例えば銀行債権幾らあって、商品債権が幾らあって、そして国鉄国鉄の財務諸表その他による資産がどのくらい、この点についてどういう処理をしていくかというようなことでいろいろやられるのですけれども、今回の答申案のいろいろな数字を見ましても、そういう点は全然何もないのですね。これは時価に評価したらどのくらいと考えておりますか。
  235. 前田喜代治

    ○前田説明員 私どもの資産は、先ほど審議官の方からお話がございましたが、現在時価で幾らという評価はいたしておりません。
  236. 戸田菊雄

    戸田分科員 それはできないということですか。見積もりはあるが、発表できないということですか。
  237. 前田喜代治

    ○前田説明員 実際に具体的に幾らになるかという評価自体をいたしておりません。と申しますのは、私どもは、資産を時価に評価するといろいろな意味があるかと思いますが、これは例えば資産がインフレ等で実体が大変損なわれるとか、あるいはまたこれを処分をするとか、そういったときには必然的に必要な評価というのはあるかと思いますけれども鉄道の場合、国鉄はこれからのいろいろな改善計画を持っているわけでございますが、永続的にといいますか、将来にわたって事業をやっていくということになっておりまして、そういったものに必要な資産というものについては特に評価がえをすることは必要ないと思っていますので、現在の段階では資産の評価、再評価というのをやっておりません。
  238. 戸田菊雄

    戸田分科員 監理委員会でもそういうことは触れておりませんけれども、しかし監理委員会の今回の財産評価その他については三通りでやっているでしょう。旅客鉄道会社は簿価でいきますよ、しかし新幹線保有機構みたいに、この運用については調達価額でやっている。仮に調達価額でいった場合に、どの程度になります。
  239. 前田喜代治

    ○前田説明員 監理委員会の方で御意見書の中でいろいろ出てまいりますが、新しく債務をどのくらい持つかというような観点から、新幹線の場合の評価といいますか、再調達価額ということで検討しなさいという指摘があるわけでございますが、現在国鉄自体、まだこの辺の詳細についての再調達価額の検討というのは詰めておりません。と申しますのは、引き継ぐ場合の評価につきましては、今後御審議される法案の中で審査委員会等を設けて、その中で御審議をやってもらうというふうに理解しております。
  240. 戸田菊雄

    戸田分科員 いずれこれは総体時間をとりますし、詳細にいろいろと検討してまいりたいと思っていますが、きょうの段階は先に進みます、時間がないですから。  そこで、監理委員会で全部資料は持っていますが、いろいろな長期債務その他については数字をはじき出している。これを見ますと、国鉄が赤字になった発生要因というものについては全然触れてないのですね。そういうものがまた数字にあらわれていない。そういう点は監理委員会としてはどういう判断をいたしておりますかね。
  241. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 監理委員会といたしましては、新経営形態が最大限の効率的な経営を行っていくためには、経営形態を改めること、それから要員体制を適正にしていくこと、そして最後に膨大な長期債務を処理するということでございますが、その長期債務につきましては、発生原因別というやり方ではとらえておりません。現に国鉄が借金をしているという形の長期債務から、年金の過剰な負担とか等々のものを取りまとめて、全体として三十七兆三千億というように導き出し、それを新経営形態が最大限の効率化を前提として負えるだけ負っていくということで、残りのものにつきましては旧国鉄におきまして処理をしていくという形をとっておるわけでございます。
  242. 戸田菊雄

    戸田分科員 この処理すべき長期債務等の配分ということで、例えば国鉄長期債務二十五・四兆円、年金負担等四・九兆円、ずっとありまして、最終的に今次長がお話しになったような三十七・三兆円、こういう長期債務、こうなっているわけですね。だから、こういう赤字がどういうことで発生要因として生まれてきたのか、こういう点について若干説明してください。
  243. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、監理委員会といたしましては、その発生原因別には正確にとらえておりません。一応定性的には、国鉄長期債務がどうして生まれたかということにつきましては、もちろん設備投資をしてきたことによる債務もございましょうし、あるいは毎年の赤字に対する運転資金を借り入れるということもあったと思いますけれども、そういうぐあいにしては、そういう発生原因別にはとらえておりませんで、あくまでも先ほど来申し上げましたように、今後処理すべき長期債務等といたしまして、いろいろな種類のものを個別に積み上げ、三十七兆三千億と出し、それを新事業体と旧国鉄に適切に配分したということでございます。
  244. 戸田菊雄

    戸田分科員 時間の関係がありますから、後でいずれ詳細に検討してまいりたいと思っています。  そこで大臣、十六・七兆円、最終債務、この処理方式は閣議等では決定されておりますか。
  245. 三塚博

    三塚国務大臣 十六兆七千億は政府の責任において処理する、ここを明確にして、要するに逃げも隠れもしませんよ、しかしその財源は一体どうするのだ、こういうことにつきましては、清算法人がスタートいたしましたら、余剰人員の三カ年におけるその再配置の問題がありますし、土地の売却二千六百ヘクタール相当額、十年程度かかりますが、それの流れと展望に立って、一体これをどうするかということで、それまでに明確にしなければならぬな。責任は明確でありますが、具体的手法をどうするのだ、こういうことについてまず清算法人をスタートをさせまして、その中で処理等を煮詰めながら、と申しますのは、五・八兆プラスアルファで売れるようにしろという意見も強くあるわけであります。そういう点をにらみ、その償還についての具体的な財源と手法を考えなければならない、こういうことであります。
  246. 戸田菊雄

    戸田分科員 いろいろ巷間取りざたされているのは、例えば交通税で処理をしようとか、あるいは国民に一時負担をしてもらおうとか、いずれにしても税金でしょうかね、等々の意見がありますが、その内容については大体いつごろまでに詳細決定されましょうね。
  247. 三塚博

    三塚国務大臣 これは今度関係法の審議をいただくわけでございますが、その中でこの長期債務の問題も相当議論になってまいると思います。そういう中で取り組まなければならぬわけでございまして、その財源、言われる国鉄再建税あるいは利用税による交通税方式等々、各党間に、また我が党の中にもいろいろな意見があります。しかし、やはり現内閣が「増税なき財政再建」ということでありますから、その手法によるわけにはまいらぬな、こういうことで別途講じなければならぬ。  そういう意味で、かねがね申し上げましたことは、今も申し上げた雇用対策、用地、そういう見通しがおおよそつく段階、いつつくのだというと、三年ということもありますし、二年ということもありますし、そういう段階で国の財政の状況、歳入歳出の現況等も全般的に見て処理しなければならぬ。監理委員会は二十五年方式でいけば一兆四千億じゃありませんか、三十年で一兆三千億ですね、補助金支出は七千億程度きておるのでありますから、六千億程度思い切って政府が決心をすれば、きちっと三十年でいくのじゃありませんか、この意見も有力な意見としてありますが、しからば七千億、六千億、シーリングで捻出できるかということになりますと、なかなかこれも言うべくして大変だな、こういう問題もありますものですから、すべてそれらを含めた議論をどうするか。やはり委員会の論議をベースにしつつ、政府・与党として、特に政府の責任において処置するということでありますものですから、これは余りのんびりとしたことで物を考えるのではなくして、真剣に詰めていかなければならぬ問題だ、このように思っております。暫時御猶予をいただきたい、こう思っておるところであります。
  248. 戸田菊雄

    戸田分科員 本当に時間がないものですから細かくいけないのですが、監理委員会の答申に基づいて長期債務基本的視点に幾つか疑問点がありますから、そういう点を指摘をしていきたいと思うのです。  監理委員会では、国民負担を小さくする手段として、一つ国鉄所有の非事業用地の売却収入五・八兆円あるいは旧国鉄の新事業体への出資株式売却、この収入が〇・六兆円、新幹線資産の再調達価額と簿価との差額、これが二・八兆円等々で、できるだけ実際の最終債務処理を少なくしようということで言っておりますが、この中身がいろいろな問題で非常に疑問点がある。例えば北海道、四国、九州三島の基金制度で利ざやで稼いでいく。これはまあほとんど黒字になることは不可能ですが、それでもって経営形態を支えていく、こういうのですね。だからそういう問題についても完全な保証はない。あるいは土地売却に当たっても、これは今後どういうふうにいくかわかりませんが、公開入札と随意契約、こういうものがありますね。私たちからすれば、公平平等に公開入札でガラス張りで、そういう保証体制を確立すべきだ、こう考える。あるいは出資株式についても、売却方法でもってどのくらいの時価、そういう問題についても、これは経営がよければ買い手はつくでしょう、時価は高くなるでしょう。しかしそういう衰退産業に対するいろいろな波動というものがありますから。殊に西欧なんかは、民営化した場合に成功したものは株価の問題なんですね。そういうものが買い手がつくような、高く売れるようなことであれば非常に順調にいくわけですが、そういうことがない。  だから、各項目ごとに監理委員会答申でやられた内容等をいろいろ考えてみますと、殊に新幹線資産についてはこの調達価額でやるというのでしょう、さっきもちょっと指摘したように。ところが鉄道旅客に渡すものは簿価だ、こうやっちゃってるのですね。そういう幾つかの財政調達の監理委員会が出したつじつま合わせの数字というのは多くの疑問を持っておる。こういう問題について、これからいろいろと検討しなければいけませんが、そういう内容等々を含んだ監理委員会の答申の借財その他については信憑性が少ないんじゃないか、こう考えているのですが、監理委員会、これはどうでしょう。
  249. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 今先生いろいろな点を御指摘になりました。  まず、北海道を初めとした三島、これは成り立たないんではないかというような御指摘がございましたが、当方で試算した長期見通しというものも国会に御提出してございますけれども、私鉄並みの合理化、債務の免除等々の措置を講じてもなおかつ出る営業赤字につきましては、これを打ち消して、スタートから均衡がとれてスタートできるように基金を積むという考え方でございまして、その後の輸送需要の動向をも勘案しても、なおかつ三島は成り立っていけると考えております。  それから、株式などの売却でございますが、一応六千億と置いておりますが、これは六つの旅客会社の一応の券面額でございますが……(戸田分科員「項目ごとは要らない、時間がないから。信憑性の問題について」と呼ぶ)はい。そういうことでございまして、株価につきましても、本州などは高く売れる、三島などはそうでないかもしれない、いろいろなことが考えられますので、一応券面額を載せたわけでございます。  そういうことから申し上げまして、我々が当時得られました実績等の資料からいろいろな推計をして数字をつくったものでございまして、我々としましては、このような数字は合理的な、適切なものであろうと考えております。
  250. 戸田菊雄

    戸田分科員 これは実際、旧国鉄の債務分担の配分の額などを考えてみますと、非常に不明なんです。これは総裁、困るんじゃないかと思うのです。例えば総額にして十七兆円、こう言っている、旧国鉄に持っていかれる債務の配分が。そうしますと、今のところは五・八兆円の非事業用地だけの売却ですね。だから、恐らく全国的に百二十九カ所、この売却の権限だけ与えるが、あとは一体どういう処理でもってこの債務の負担を返却していくのか、答申では皆目そういうことは触れておらない。この点はどうなんですか。
  251. 熊代健

    熊代政府委員 今の点でございますが、先ほど大臣からも御説明いたしましたように、長期債務は一応清算事業団において、土地売却等の処理とあわせて雇用対策等もやっていく。その事業団の残る債務等につきまして、今回本院に御提出をいたしました法案の中で、国がその償還、利払い等につきまして円滑、確実な処理ができるようにする。「図るものとしこということで、それに所要の措置を講じていくということにいたしております。財投助成金等も可能な範囲でできるだけやっていく。先ほど申し上げたように、三年程度の間に最終的な基本的な処理方針を決定するということにいたしておるわけでございます。
  252. 戸田菊雄

    戸田分科員 だから、その五・八兆円を除いた十七兆分マイナス、それはどういう具体的な内容、資産を処分をしてやるのですか。旧国鉄はこれとこれとこれを権限を与えてこういうものの処分方式ありますよというものは、具体的にどういうことがありますか。
  253. 熊代健

    熊代政府委員 旧国鉄に引き継がれます二十五兆何がしの清算事業団にその債務が参ります。その債務につきまして、先生指摘になりましたように、監理委員会として二兆八千億の新幹線保有機構からの債務弁済、それから五兆八千億と想定されます。地売却、それと六千億と額面上計算されております株式、これの処分をしまして、残ったものが十六兆七千億、これを最終的に国民負担を求めざるを得ない。その処理につきましては、一月二十八日の閣議決定において、先ほど来申し上げておるような処理をする、それまでの間の清算事業団における処理につきましては、今回御提案申し上げている中で基本的な方策を政府としても示して、それに従って所要の措置を講じていくということにしているわけでございます。
  254. 戸田菊雄

    戸田分科員 了解できませんが、後でこれはゆっくりやります。  問題を変えて、今度国鉄の基幹的通信の別会社をつくる、こう言っていますね。この資産はどのくらいと考えていますか。
  255. 熊代健

    熊代政府委員 この基幹的通信につきましては、監理委員会の答申に沿いまして、我々といたしましては今回の改革法の中で、その業務に適切な工事を運輸大臣が指定するものに引き継がせるということにしておりますが、そこに引き継がれる資産は現時点での資産でございます。まだ確定ではございませんが、基幹通信部分といいますか、無線通信網それから光ファイバー等でございますが、その部分が約三百八十億、それから電算機及びそのシステム、これにつきまして約百七十億弱というふうに考えております。なお、具体的な中身についてはさらに今後詰めていくということで進めております。
  256. 戸田菊雄

    戸田分科員 大要の取り組みはこれからということでありましょうが、監理委員会が答申の中でうたっているのは「地域内通信 通信施設のうち、後述する基幹的通信網以外の主として地域内の用に供されるものは各旅客鉄道会社が引き継ぐ。」それを受けまして「基幹的通信」、これは答申の八十九ページですが、「国鉄分割した場合には、旅客鉄道会社間をまたがる列車運行に伴う会社間の業務用通信やマルス(旅客販売総合システム)の運用等複数の会社間を結ぶ情報通信のシステムが必要となる。このため、主としてこれらの通信に用いられる基幹的な有線及び無線通信網等については、これを所有し、旅客鉄道会社等に使用させるなどの事業を行う別会社を設立する。この会社は各旅客鉄道会社等の共同出資会社となり、当面各旅客鉄道会社の業務用通信等を行うこととなるが、将来は、更に一般ユーザーを対象とした事業の展開が期待される。」こうあるのですね。これに対する具体的な別会社づくりというものは既に成り立っているのですか、これからですか。
  257. 熊代健

    熊代政府委員 当然のことでございますが、今回、改革に関する法律を御提案申し上げ、それの成立をまって進めるということに相なります。したがいまして、現在その場合に備えて検討は行っておりますけれども、具体的に今あるかどうかという点については、そうではないと申し上げる以外にありません。
  258. 戸田菊雄

    戸田分科員 国鉄の通信網というのはすばらしい、あらゆるノーハウを持っているのですよ、NTTと匹敵するぐらい。だから、そういう問題について別会社を運用して、例えばこの改革法案十一条、これによると承継法人ということで、法的にもその限界にとどまるのですね。だから、これからどういう会社にしていくのか、非常に複雑だろうと私は思うのですね。六つの旅客鉄道会社はつくるわ、貨物会社はつくるわ、そして新幹線保有機構はつくるわ、そして旧国鉄は置くわ、自動車は十二社分割でもって局ごとにやるわ、そして今度は通信網の基幹線についてはこれまた別会社をつくりますよ、すべてはリースその他でもって複雑な状態になる。全国ネットワークだから、そういう点の保全や開発が非常に進歩したのですよ。ところが、民間サイドに行ったということになりますと、やはり利潤が先ですから、どうしてもそういう点が後手後手に回らざるを得ない。そういう事態が来るのではないだろうか。こういう必要があるのかどうか。どうですか。
  259. 熊代健

    熊代政府委員 今お尋ねの、分割をした後、その基幹的な通信は、主として六つの旅客会社及び一つ貨物会社に必要なものでございます。これは電気通信事業法上、複数のものに利用させるという格好で、相互にやるという手もあろうかと思いますけれども、それではなかなか円滑に——瞬時を要しますものですから、監理委員会としては、基幹的な通信網については旅客会社貨物会社以外の法人に引き継がせて一体的に運用させるべきだということで提言を受けているわけでございます。我々としてもそういう必要性に基づきまして、先ほど申し上げたような形で別法人にする。先生おっしゃいました一体的な問題については、電気通信事業としまして一体的なもの、当面は今やっております列車運行あるいはマルスといったようなものについての仕事を中心的にやる、将来的には民間への活用も図るということにしておりますので、その御心配の向き、御懸念はないのではないかというふうに思っております。
  260. 戸田菊雄

    戸田分科員 時間もありませんからあれですが、とにかく保有する電話数が十三万台、ファクシミリ約九千、新幹線の運転管理をコンピュータで行うCOMTRAC、こういう開発運営、それからそれに携わっておる従業員が四千名等々、あるいはソフトウエアセンター、これは一千件の登録等々のケーブルを敷設して近代的なノーハウでやっておる。こういうものをあえて分散をしてやっていくというようなことが必要かどうか、それがメリットになるのかどうか私は非常に疑問に思っております。ですから、こういう点は十分な検討をしていただきたいと思いますが、その辺に対する総裁大臣の見解を伺って、なおかつ最後に、これは大臣にもいろいろといっていると思うのですが、最近、大崎一帯でもって東北本線在来線、これを国電方式で少しサービスを向上してくれないかというような話があります。当然大臣にも十分いっておると思いますから、若干今度の改正で対応をとられたようですが、まだまだ不便だ。私も時々ここ小牛田まで行きますけれども、まず一時間半ぐらいでようやく一本です。あれでは乗れと言ってもなかなか、それは利用が減少するだろう。だから車両は短くてもいいです、二両編成でも結構です、国電方式でということが地元の熱望ですから、これをひとつ検討していただきたいと思います。  以上、極めて短い時間でありましたが、質問をこれで終わりたいと思いますが、総裁運輸大臣に……。
  261. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今先生の各種の事業体の分割、その中の一環としての基幹的な通信会社というような点の御指摘があったわけでございます。やはり本質的な問題は、鉄道本体をどのようにするかということだと思います。この通信機関の問題は、いわば鉄道を相互に結ぶ動脈なりあるいは神経中枢といいますか、そういうものだというふうに位置づけられると思います。やはり鉄道そのものを分割する必要がある、そういう理論的な結論が出ておるわけでございますので、あとその中枢神経をどうするかという考え方なんです。それは一応全部一本でやるというふうな基本的な考え方で、それを各社に利用してもらうということでございます。技術的にはいろいろな問題があろうかと思いますが、現在の技術によりますれば、そういうことはうまくいくのではないかというふうに思っておるところでございます。
  262. 三塚博

    三塚国務大臣 総裁の言われたことで尽きるわけでありますが、要すれば全国ネットワークができますことは御案内のとおりです。そういう意味で、しかし母体になる旅客会社貨物会社が法律により分割体でいきますものですから、その辺が統一的にいかぬのでは、交通体系として国民の期待にこたえられないのではないかということで基幹通信、こういうことでソフトとハード、こんなことでまいる。これは全額出資といいますか、六会社全部出資しまして、全くの保有の直系会社というようなことのようでありますし、日本テレコムという、既に御案内のとおりスタートしておるのがあります。これは民間資本の方が大きいわけでありますから、そういう点では御指摘のような懸念があるわけでありまして、やはり鉄道が勝負をかけるわけですから、こういうときはそういう意味できちっといけるという体系をとることが大事だ、こう思っております。  大崎の国電並み、これは全体の我が国の鉄道網のダイヤが乗りやすいことでいくということでありまして、須田常務、名人がいないようでありますが、総裁がおりますから、よくそこは考えておやりいただけますように、こう思っております。
  263. 久間章生

    久間主査代理 これにて戸田菊雄君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  264. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 国鉄問題について若干の質問をいたしたいと思います。  私は、年代はいつだかもう忘れてしまったが、たしか佐藤内閣のころと思いました。当時の国鉄の副総裁がたしか磯崎さんでありました。あのときに、随分国鉄問題で質問をいたしました。その要旨というのは、民間では当たり前のようにやっておる労使相協力して生産性向上運動、こういうものをやらなければいかぬではないか、こういうことを主体に長々と質問をいたしました。その後、磯崎副総裁がたちまちに総裁になって、私のところへ、会館へあいさつに参りました。そのときに、小沢先生のおっしゃるとおりにこれを必ず私はやってまいります、こう言って、決意のほどはわかったわけですが、その後の失敗が今日の事態を招いたのではないか、こういうように私は考えておるわけです。  その後、第一次再建計画、第二次、第三次、何回出されたかわかりません。しかし、これはすべて国会議員と国民をだますものであった、こういうように私は思っております。そして、もうこれは行き着く先は、どうしても今政府で考えておるように分割民営によって活性化を図っていかなければならない、こういうように私は思い詰めている一人であります。以下、そういう立場から若干の質問をいたしたいと思います。  まず第一には、国鉄改革において、民営化を断行するということについては、大方の意見の一致を見ているところでありますが、分割については、なお一部の国民、野党から反対の意見が述べられております。しかし私は、地域に密着したきめ細かなサービスや徹底した能率向上などを考えると、全国一社というのは望ましくない、新会社同士がサービスを競い合うことが結果として乗客の利便につながる、こういうふうに確信をいたしておりますが、大臣の見解はいかがでしょう。
  265. 三塚博

    三塚国務大臣 小沢先生指摘のポイントは、全く私の考え方と同じであります。今日まで国鉄は全力を尽くしてやってきたとは思います。思いますが、何せ公企体という、親方日の丸という問題がありましたし、全国画一的になかなかうまいこと進まぬ、こういうことの中で、やはり思い切った改革をして前に進む、そして再生は確実にこれを期する、こういうことでありますと、六つの旅客会社でスタートを切る以外に今のところ道はないのではないか、こんなふうに思っております。
  266. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 我が長野県は、建設省の出先である地建、これも北陸地建、それから中部地建、関東地建、こういうふうに分かれておる。その他いろいろなことが分かれておる。そういうことから、県内ではこの三分割案について非常に心配をしているわけで、実は県会で議決をして、県内国鉄線の三分割反対に関する請願書、こういうものが出されてまいりました。これは、そのほかの役所もそういうふうになっているのでいろいろと問題があったからこういう気持ちになったのではないかと思いますけれども、県内三分割反対ということを冒頭に掲げながら、中身はどうも分割民営反対みたいな中身になっているわけで、そこで私は具体的にお尋ねをしたいわけです。  私の出身県の長野県は、県内国鉄が三分割されることになりますが、私は逆に、三つの会社が県内においてサービスを競い合う、お互いに切磋琢磨することによって、今まで以上に県民のニーズにこたえることができるようになると考えています。また、長野県は、東日本会社においては従来以上に首都圏と強い結びつきができ、地域の発展に資することになると私自身は予想をしておるわけですが、これは総裁、どのようにお考えでしょうか。
  267. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今回の分割のねらいどころといいますか、必要性の大きなポイントの一つは、やはり地域地域交通のお客さんのニーズに、御要望に適切におこたえができるのではないかということが一つの大きなねらいでございます。  それからまた、会社地域によって分かれますと、他地域会社、あるいは地域内の他の交通事業者との間のいわば公正競争といいますかそういうようなことで、会社として一般への低廉なサービスを提供するという競争意識が出てくると思います。  こうした二点から考えますと、長野県が三つの分割会社でそれぞれ分担されるということは、考えようによりましては、なかなか煩雑だというふうにお思いの方があるかもしれませんが、今先生がちょっとお触れになりましたように、この二つのポイントからいいまして、地域皆様方の御要望におこたえするようなきめの細かいサービスを提供することができると私は思います。
  268. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 今回の分割案は、乗客の利用実態、列車体系などを勘案の上分割されていると私は思いますが、長野県の大糸線、飯田線の分割についても、その点が十分配慮されておるでしょうか。例えば、大糸線は南小谷と北小谷のところで分かれているわけです。何か私たち県民は、南小谷まで行ったら一回おろされてしまって、それからまた乗りかえていくんだみたいな幼稚な考えがあるわけなんです。この点についてはどうでしょう。
  269. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 先生の御指摘のとおり、監理委員会の答申で、大糸線あるいは飯田線、そういったあたりのところにつきましての分割の仕方ということが、結果的に長野県を三分割、こういう形になっておるわけでございますが、監理委員会の御判断はその意見の中に示されてございまして、飯田線の場合ですと、線区全体の一体的な運営を考慮するという話、大糸線の場合は旅客の輸送段差、それから列車の折り返し運転が多いことを考慮、こういうことでございまして、大糸線の例で申し上げますと、今の南小谷のところで電化区間とそうじゃない区間との違いが出てきますので、そこのところで列車の折り返しとかそういったようなものが起きる、また、輸送の関係につきましても、旅客の流動もそのあたりのところに一つの段差がある、こんなことでございますので、私どもも監理委員会の意見が妥当なものだ、かように考えております。
  270. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 次に、分割に伴い、運賃の負担、会社間の相互乗り入れなどについての利便の低下、接続の悪化のおそれがあるとの一部の根強い意見がありますが、私は、そのような予想される低下の心配は全くないと確信をしているわけですが、このことを改めて運輸大臣に確認しておきたいと思います。
  271. 丹羽晟

    ○丹羽(晟)政府委員 先生の御指摘のとおり、分割に当たっては旅客の利便の確保という点の配慮が一番大事かと思っております。それで、監理委員会のお考えも、旅客流動を分断しないというのが基本的な分割に際しての考え方でございますが、そういう意味では、線区内流動というのでしょうか、地域内流動は相当高い、ほとんど九〇%台の流動におさまっているというような形になっておりますが、それでも一部二つの会社をまたがる、そういう旅客が出るということもまた否めない事実でございますので、この辺に関しましては、私どもの方といたしましては、運賃の通算制とか、それからあるいは列車運行の相手の会社の方に入っていく直通運転というのでしょうか、そういうようなことを今後旅客会社ができましたときに指導いたしまして、それでその複数の会社間の調整が図られるようにいたしたいと考えております。
  272. 三塚博

    三塚国務大臣 今小沢先生指摘の、行ったわ、そこで途中で次の会社だから乗りかえて行くという、それはないわけです。完結型で、そこで乗りかえ地点でありますればそういうことになりますが、こちらから東日本と西日本、東海に変わりましたから、ここで線が走っておるのにおりてどうだなどということはあり得べきことではございませんし、線区別に考えておりますので、そこは真っすぐにお客さんの利便第一でまいります。  それから、今国鉄部長言われましたとおり、運賃はさようなことで通算制でまいりまして、こっちとこっちの会社が差が出ますということはないように三社間配慮しなければなりませんし、特に長野県、これは三つの会社が入り乱れるという点で、全く完結型を目指すという意味でやむを得ずこういう形をとらざるを得ないという意味で、県民の皆様にそういう意味の深い御理解をいただかなければならぬわけでありますが、総じて言いますと、今までの国鉄がやってまいりました管理局別の運行がそのまま基本としてあります、運賃についてもサービスについてもあります、しかし、サービスは旧国鉄よりも新しい民間会社の方がさらにサービスに徹するし、地域鉄道として前に進まさせていただきます、こういう点にあります。そういう点で、御指摘の心配はありません、このことが言えるわけであります。また、いささかもないように全力を尽くすように新会社に向けて指導をしてまいる、こういうことであります。
  273. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 次に、民営分割化によって、採算性の悪い地方交通線は運営されなくなるのではないかということが一部で言われておりますが、逆に、現行の経営形態のままいけば、国鉄の宣伝のパンフレットにもあるように、一日六十三億ずつ赤字を出している、こういうような状態なので、その方が赤字処理のために次々と非採算線区を廃止することになり、その心配が残るのではないかと私は思いますが、分割民営化を早急に実施すれば、民間経営の創意工夫のもと、徹底した効率化を図り、地域と密着したダイヤ編成を初めとするサービス向上等懸命の経営努力を通じて、幹線、地方交通線ともに活力ある経営を行える結果、新しい会社においては地方交通線を地域住民の足として存続維持していくことが可能ではないか、私はこういうように思います。この辺、大臣の御見解をお願いいたします。
  274. 三塚博

    三塚国務大臣 小沢先生鉄道再生の分析の正確さに、私自身深く敬意を表するものであります。  まさに今のままでまいりますと、好むと好まざるとにかかわらず、それを切り捨てて前に進まざるを得ないことだけは出てくるであろう。二兆円余の借財がオンしてまいるという昨今の状況でありますので、この長期債務のしがらみから脱却をいたしまして、再生新生鉄道に向かわなければならぬ、こういうことで取り組まさしていただいておるわけであります。よって、これが新しくスタートすることにより、地域鉄道として地域と一体になり、愛される鉄道ということで労使ともに全力投球をしてまいりますならば、特定地交線を除いた言うなれば地方交通線、これはそのままその地域鉄道として組み込まれ、残るでありましょうし、こういうふうに私も信じておりますし、またそうあらねばならない、こういうふうに思っておるわけであります。要すれば、画一的な鉄道運営ではなく、地元にぴったり合いましたダイヤ編成もできるでありましょうし、サービスもできるでありましょうし、そういう中で御信頼もいただけるでありましょうと、こういうことで鉄道が前に進む、こう思っております。
  275. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 国鉄のことはそれだけで終わります。  最近、何か運輸省で国際観光モデル地区を指定して、いろいろ何か施策を講じてやろう、こういうようなお話があるそうであります。  地方における国際観光の振興を図るためモデル地区に指定をすることについて、我が松本周辺、あの地区全体が大変な熱意を持っておるわけであります。特にダイナミックな北アルプスを背景とした自然環境に恵まれておって、対象地区は三市三町七カ村、こういうようになっております。あの地区では、既に世界のアルピニスト会議をことし開催をしようとか、あそこには音楽家の有名な鈴木鎮一先生がいますが、既に世界的な音楽コンクールをやっておるとか、商工会議所から地域市町村は大変熱心に進めておるわけであります。それから国際会議場もぜひつくろうということで、現場では大変な勢いでやっておりますので、この地域をぜひ指定していただきたい。  それから簡単に、このモデル地区とは一体どんな内容のことをやるのですか、それもちょっと御説明いただきたいと思います。
  276. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 国際観光モデル地区構想というのがございますが、これはまず魅力のある観光資源を持っている、そういう地域であって、外人の観光客が一人歩きができるような、そういう環境を整備していただく、そういう整備に向けてその地元も積極的に取り組んでいただける、こういうような点を重点的に考えまして、たくさん御要望がございますが、そのうちでモデル地区というものを指定をいたしまして、その地区に対して国が、または国際観光振興会というものが、海外の観光宣伝とか国際会議の誘致とか、いろいろな面でその地域に外人観光客が訪れるに当たって協力をするということを考えた構想でございます。  地区の指定につきましては、現在三十八道府県四十三地区から御要望を寄せられておりますが、事務的に現在、先ほど申し上げましたような点につきまして慎重に審査をしておりますが、できますれば三月の末ごろまでには結論を得たいという方向で考えております。
  277. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いま一つ、松本空港のジェット化整備、これは年来の地元の主張で、長野県挙げての運動でありますが、県内唯一の松本空港はいろいろの問題をはらんでいるが、産業、文化、観光の近代化の波からすると、現状では全く機能が弱いわけであります。そのためジェット化の整備を県、松本市を中心に取り組んでまいりましたが、県民の期待も大きなこと、松本空港整備計画を近く閣議決定となる第五次空港整備計画に組み入れてもらいたい、こういう立場から、次の点、松本空港整備計画の現状、それから第五次組み入れ決定はいつになるだろうか、できるだけひとつ……。
  278. 山田隆英

    山田(隆)政府委員 松本空港整備拡充につきましては、現在の滑走路は千五百メートルということで、それをジェットが使える二千メートルにしたいということで、今地元で非常に強い要望が出ていることは私も承知いたしております。そして、この計画を六十一年度から発足いたします第五次空港整備五カ年計画に組み入れてほしいという御要望十分認識しております。  長野県が設置する空港になるわけでございますが、県当局といたしましても、昭和五十五年度から調査費を計上いたしまして所要調査を行っているところでありますけれども、今後さらに需要であるとかあるいは就航機材をどうするとか、あるいは気象条件等についての調査もまだ残っているというふうに承知しておりますし、また地元の合意形成についても、まだ問題が幾らか残されているというふうに聞いておるところでございます。  次期の第五次空港整備五カ年計画の決定がいつ行われるかということでございますけれども、先般五カ年計画事業規模については閣議了解がなされたところでありまして、今後計画の具体的内容についてはこれから検討していくというところでございまして、この松本空港につきましてどのようにこれを取り上げていくかということは、現段階ではまだ申し上げる段階にないということを御承知願いたいと思います。
  279. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 予定された質問なり何なり、それで終わりです。ぜひ後の二つは、目的がかなえられるように御尽力をいただくように特にお願いいたします。  今ここへ来る途中で、この本を買えと。それは、題名は「国鉄を売った官僚たち 国鉄崩壊の原点・魚は頭から腐る」、定価千三百円、大野光基著。発行は善本社。推薦の言葉に三塚博、加藤寛とこうあるわけで、敬愛する両ヒロシの本だから多分いいと思うのだけれども、これどうなんですかね。
  280. 三塚博

    三塚国務大臣 大野さんというのは、マル生運動当時のたしか能力開発課長であったわけです。マル生失敗で、それでキャリアでありますが、本社を去られた、こういう体験の方で、自後ずっと国鉄再建のためにはということで御研究をいただき、ずばりと提言をされております。私は、そういう意味で基本的に勇気ある提言だな、言うならば、「魚は頭から腐る」というのもこれは基本でありまして、言うならば、経営は労働側を責める前に、やはりトップ経営陣が経営というのは何かという基本論に立つべきである、国家経営も、内閣もまさにそういうことだ、こういう意味で、全く大野さんのかねがねの行動、考え方も知っておりますものですから、昨年、まだ大臣になる前でしたが、こんなことで出しますので、あなたに推薦文をというので、まあ大野さん、よく知っております方であるものですから、喜んで短文を寄せさせていただきました。
  281. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 大臣の推薦だから、大いに販売をいただきたいと思います。
  282. 久間章生

    久間主査代理 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  283. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 最初に大臣にお伺いをいたしますけれども、最も重要な公共機関として鉄道があるわけです。その運輸政策、鉄道政策、これについて基本的なお考えを承りたいと思います。
  284. 三塚博

    三塚国務大臣 新村先生も御案内のように、鉄道は基幹的交通手段であり、大量輸送交通手段、昨今は新幹線が出まして高速と、こういうことになり、同時にまた安全であるということで、国民から極めて強い信頼を得て今日まできたというふうに見ておりますし、我が国鉄道が我が国の近代化また戦後のあの経済安定、国民生活安定に尽くしてまいりました役割は、極めて大事であるというふうに思っております。
  285. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そこで、現在国鉄が非常な苦境にあるわけでありますけれども国鉄必要性あるいは国民国鉄に対する期待というのは、これは決して低下をするどころではなくて、かえって向上しておるということであります。  そこで、この国鉄の使命としては、今おっしゃいましたけれども、特に運輸機関としては、通勤、通学輸送、大都市間の大量輸送ということが、これは状況が変わっても、現在も変わらない使命であり、要請だと思うのです。そういうことで、何よりも今どの地域あるいはどの部分に輸送需要が最も多くあるのか、国民の期待なり要求なりがあるのかということ、これを判断をされて、大変厳しい状況でありますけれども、必要なところには必要な投資をやはりしていただくということが必要だと思うのです。  そこで、手前みそになるかもしれませんが、東京を中心にして鉄道網を考えた場合に、これはいつも申し上げるのですけれども、ずっと放射線が、東海道線、東北線と放射線がございますけれども、東京の東北部ですね、千葉県北部、埼玉県の南部、茨城県の南西ですか、その地域を覆う鉄道がないというか、あるのはあるのですけれども、常磐線ただ一本。ですから、千葉県には千葉方面に向かう総武線がございます。それからずっと時計の針と逆の方向に向かっていきますと東北線がございます。総武線と東北線の間のかなり開きの大きいこの扇形の中に常磐線ただ一本しかない、東京に向かう線がただ一本しかないという状況でありまして、これは冷静にお考えをいただけば、恐らくどなたも不思議にお考えになる現象ではないかと思うのです。  しかも、常磐線というのがただ一本で、そこへ、その周辺に私鉄はありますけれども、東武線あるいは関東鉄道あるいは京成、そういう私鉄はありますけれども、その私鉄がすべて常磐線に乗り入れているわけです。東京まで入っていないということですから、私鉄、国鉄を通じて東京からの放射線、これは総武線と東北線の間の大きな扇形の間でただ一本しかない、こういう形になっておるわけでありまして、こういう状況が今までそのままになっていたこと自体が不思議であると我々は考えておるわけでありますが、そういう状況について大臣にはひとつ、御存じではありましょうけれども、再認識をいただきたいということであります。いかがでしょう。
  286. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたエリアにおける都市交通機関として、常磐線一本であれだけの大人口、それと都心部とまた通勤地と結ぶということはとても異常な状態であり、朝夕のラッシュ、一度拝見をいたしておりますが、大変なラッシュでありまして、大変なことだなというふうに認識をいたしております。先ほど冒頭鉄道をどう考えるかという意味の中において、まさに特性の発揮できる分野は、大都市交通線の基幹としての特性というのが鉄道に与えられた最大のものであろう、こんなふうに思っておりますし、新村委員指摘の問題提起、また現状分析というものについては、私も同様の分析と認識を持っております。
  287. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大臣、あの電車にお乗りになったかどうかわかりませんが、朝夕、特に朝のラッシュ時には、時に定員の三倍に達するということです。三〇〇%に近いということですね。これは東京近郊にもそういうところがありますけれども、常磐線ほど込むところはないのですよ。あるいは首都圏、あるいは大阪圏を通じても言えると思いますけれども、最高の込み方。しかも、通勤通学については代替の手段がないわけです。  最近開通した常磐高速、あれは自動車道路で開通しましたけれども、既に朝は使えない。朝はもう三郷近所から詰まっている。帰りはいいのですけれども、上りは全く使えない。距離は四十キロあるいは五十キロの距離ですけれども、時間にすると二時間もかかるということでありまして、鉄道以外には大量交通をさばく手段がないわけです。ですから、そういう点でぜひ常磐線のラッシュを解決する施策を一日も早くとっていただきたい。  重ねて申し上げますけれども、運輸政策というのは、何といっても、どこが一番緊急なのか、どこが一番住民から要求されているかということを判断されて、そこへ重点的に投資をするということが政策としては絶対な条件だと思います。そういう点でお願いをしたいわけでありますが、常磐線の混雑緩和のために運輸政策審議会でも先般答申をしまして、常磐新線の建設を提言をされました。しかしこれは、おおよそのルートは答申をされておりますけれども、その事業主体をどこにするのか、資金をどうするのかということについては全く提言をされていないということなんですが、地元ではこの提案を非常に歓迎しまして、知事あるいは市町村長を初め今積極的に動き出しておりますけれども地元がいかに熱意を持っても、これは何としても国の力がなければどうにもならない。そこで運政審が答申をした常磐新線、この少しでも早い実現に向かって国はどういう対策をこれからおとりになるのか、また現在どういうような状況であるのかをお伺いいたしたいと思います。
  288. 服部経治

    ○服部政府委員 先生指摘の常磐新線でございますが、御承知のように、昨年の七月に運輸政策審議会から都市交通対策上その整備が喫緊の課題である路線だというふうな位置づけを受けまして答申をいただいたところでございます。  私どもといたしましては、この運政審答申の内容を真剣に受けとめておるところでございまして、これまで関係地方公共団体の方々とその早期実現のための方策について何度もひざを交えて御相談を続けてまいってきたところでございまして、ようやく問題意識の統一も図られてまいりかけた状況になりましたので、その常磐新線の早期実現を図るためにまず最も急がれる問題でございます。その建設事業主体をどうするかという問題、それから資金調達をどうやって図っていくかという問題、そういう問題について具体的な検討を進めるための場といたしまして、私ども運輸省と東京都、千葉県、埼玉県、茨城県という一都三県の関係者の方々で構成いたします常磐新線の整備検討会というものを先月の末に発足させたばかりでございまして、今後この場におきまして回数を重ねまして具体的な検討を急いでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  289. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、この五者、国と東京、千葉、埼玉、茨城、ここでまず施行者がだれになるのか、実施主体がだれであるのか、あるいは構造とか資金とかということが検討されると思いますけれども、まだそういう具体的な検討には入っていないわけですか。まず施行者、事業主体はどこになるわけですか。
  290. 服部経治

    ○服部政府委員 もう既に具体的な検討に入ったところでございます。
  291. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうしますと、逐次主要な点についてお伺いしたいと思いますが、まず事業主体はどういうお考えですか。
  292. 服部経治

    ○服部政府委員 この一番問題でございます常磐新線の建設主体をどういうものというふうに考えたらいいのかということでございますが、現在の常磐線との関係等も考えますと、本来ならば国鉄がその建設に当たるということが最も普通の考え方だろうというふうに思うわけでございます。しかし、国鉄が置かれております現在の大変厳しい状況ども踏まえて考えますと、この常磐新線の建設を急ぐことが大事であるならば、この際国鉄をその建設主体に擬して、そういうスタンスのもとに検討を進めるというのではちょっと問題があるのではないかというのが、これまで私どもと一都三県の方々との間の繰り返してきた協議の中でもほぼ意見の一致を見た線でございます。  そして、国鉄に問題があるというだけではございませんで、もう先生もよく御承知と思いますが、この常磐新線の建設は、とにもかくにも急がれるということが一つ。それから、つくった常磐新線の運営が安定的に継続的に行われる必要がありますことから、その常磐新線の収支採算性というものを長期にわたって安定させるという必要がある。そのためには、何といいましても建設段階から良質の資金をできるだけ大量に確保するということが必要でございます。すなわち、資金調達をどうやって円滑に行うかということが必要でございますので、この二本の柱を中心に物を考えてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  293. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大臣にお伺いしますけれども、せっかく路線の答申があったわけでありますが、これだけでは絵にかいたもちであります。そこで、国あるいは地元で協議会というようなものができたそうでありますが、まず施行者、実施主体がどこになるのか、それから資金の問題、これらについて大臣はどういう構想をお持ちですか。
  294. 服部経治

    ○服部政府委員 先ほど私の御説明が若干舌足らずであったかと思いますが、国鉄建設主体に擬することには問題があるということでございまして、現在私どもが一都三県の方々と協議を進めております。その底にあります考え方は、地方公共団体あるいは関連の民間企業が出資し設立する第三セクター方式というものによることが最も現実的な方法ではないかということで考えておるわけでございます。
  295. 三塚博

    三塚国務大臣 今服部地交局長からるる考え方が披瀝をされております。本来、国鉄がこういう大改革の転換期にございませんければ、まさに国鉄技術陣の最も得意とする建設の分野であります。しかし、六十二年四月スタートということで、新しく収支計算を立てましてスタートを切りますものでありますから、なかなか直ちに、東日本旅客鉄道のエリアでありますけれども それに行わしめることがしかして是なのか非なのか、やれるものなのかという問題の煮詰めがあります。  と申しますのは、もっと正確に言いますと、国会に五法案を御提出をさせていただきましたわけでして、後から今週中に二法案、こういう段取りでありますから、国会の御承認をまだ得ておりません。得た後に法人がスタートするということでありますので、それを目標にということが、やはり法令上なかなか問題があろうかというのが第一点。  第二点は、旅客会社のスタート時における諸状況という点を勘案をいたしますと、今地交局長が言った第三セクター方式をこの際思い切って取り上げるべきなのか。横断橋がああいう民活方式を取り入れてやりたいということで、これも法律が提出をされておりますものでありますから、ひとつそれを参考のものとして考えていくというのも一つではないだろうか。当然そこに国家資金の導入もあるでありましょうし、民間資金にインセンティブを与える方式で調達することもあるでありましょうし、これだけ御熱心におやりをいただいている一都三県に御参加をいただくということもそういう中で行われてまいる、三者ともに一体となってこれに取り組んでまいるということは、地域のニーズに完全にこたえることでありますし、大都市交通として最も鉄道の特性が発揮できる分野でありますから、投資採算性ども早急にお出しをいただいて、そういうことで取り進めをいただく。これは、ここに総裁おりますが、得意の分野でありますので、こういう資料は運輸省、もう服部さんの方でいろいろやられておるようでありますが、早急にそういうものを、喫緊の課題だ、こういうのであれば、やはり喫緊らしくこれをやりませんとならぬだろう、こんなふうに思っております。  大変大事な線区でありますものですから、私も最大の関心を持ちながら、今後とも局長を督励を申し上げて進んでまいるつもりであります。
  296. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 仮に第三セクターということになれば、この国鉄論議がどういう経過をたどるかわかりませんけれども、それとは別なわけですね。(三塚国務大臣「はい」と呼ぶ)第三セクターですから、別なわけですね。  それで、御承知だと思いますけれども地元も決して、地元の責任を回避をして国ばかりに押しつけるということではないと思うのですよ。これは地元が一番熱望しているわけですから、したがって、知事あるいは市町村長も全く同じ歩調で運動しているわけですから、地元としても応分の負担はするという決意はあると思うのです。それからまた、それ以外の民間資本の導入ということも考えられると思いますね。ですから、そういう方向でお考えいただいているということであれば、その基本的な方針をぜひ早く固めていただいて、出発をしていただくことが必要だと思いますね。  それから、実はこれは単なる地方の問題ではなくて、一つの国策として考えてもいいくらいのものだと思うのです。金も、一兆円まではいかないですか、恐らく六、七千億かかるでしょう。ですから、我々住民の考えからすれば、これは国が考える、国の次元で考える一つの重要なプロジェクトじゃないか。そういう点からすると、横断道路よりはむしろこれは優先されるべきだと思うのですね。横断道路というのは、あればあったにこしたことはないのですけれども、関係住民が横断道路はぜひ必要だということで熱望している、待望している、それほどのところまではいっていないのですよ。あればあった方がいいという程度ですよ。ところが、常磐線はなければしはうがないのですよ。なければしょうがないし、恐らく百万を超える人たちが毎日通勤苦に悩んでおるわけですから。  これはどうですか、大臣、横断道路については特別法をつくりましたね。常磐線で特別法をつくっていただけませんか。それで組織から、資金の調達から、強力にひとつ推進していただくという御構想がまとまりませんか。
  297. 服部経治

    ○服部政府委員 再三繰り返したようなお答えで恐縮でございますが、これまで、運政審答申から約半年以上経過いたしまして、その過程の中で、関係の都県の方々と十分協議を尽くしてまいったところでございますが、今到達しております共通の認識としては、地方自治体が主導権を握る形の、それに民間企業を加えての第三セクター方式が最もしかるべしというところまで来ております。  で、私どもこの事業を円滑に進めていきますためには、できるだけ長期、低利、あるいは場合によっては無利子の、いわゆる良質の資金をできるだけ大量に確保していくということがこの事業長期の安定化のためにもぜひとも必要でございますので、その辺の方策につきましてこれから鋭意検討を進めてまいる考え方でございますので、そういう方向の中から、何とか先生の御期待にも沿えるような方向を早く打ち出したいというふうに考えておるところでございます。
  298. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 地元としては、この事業の先頭に立って、あるいは中心に位置して中心的な役割を果たしたいという意気込みがあると思います用意気込みはあるし、また、資金の調達等についても地方団体が大きな役割を果たすと思いますけれども、何といっても技術力ですね。国鉄さんは世界有数の、最高の技術を持っていらっしゃるわけでして、地方にはそういうものは何もないわけです。意気込みしかないわけです、意気込みから金は集まってくると思いますけれども。ですから、そういう点で、地元に意気込みを持ってもらうということと同時に、国が推進力にならなければだめですね。それから技術力も十分お持ちなわけですからね。だから、そういう点で、大臣も先頭に立っていただくという御決意はありますかどうですか、ひとつその点をお願いしたいのですが……。
  299. 三塚博

    三塚国務大臣 鉄道建設公団というのもありまして、それをどう活用するかということもあります。今自由民主党の中で、新技術集団、今新村委員指摘のように、国鉄の冠たる技術陣をどうするかという点について実は真剣に御検討をいただいております。一括法に、全幹法、全国新幹線建設法をどのように改定をするかということと、整備新幹線との関係がありまして、密接不可分の問題がありますものですから、その辺で、政府政府として、法案に許されるぎりぎりのところの決定をして、来週の金曜日までに閣議決定をいただく、こう思っておるわけでありまして、その中に鉄建公団があるわけであります。こういうのとどうかみ合わせるかを運輸省において具体的に原案をつくらさせていただき、協議を進める、こういうことだと思いますし、運輸政策の責任者として、大都市交通のこれだけの状態におけるこの新線の建設が、具体的に着実に前に進みますようにこれは先頭に立て、こういうことでありまして、おっしゃるとおりのことであろうと思いますので、さっきも申し上げましたとおり、地支局長も大変熱心でありますので、関係局との連携をさらに深め、一番いい方法は何か、こういうことで真剣に取り組まさせていただきます。
  300. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 その決意でひとつお願いしたいと思います。  そうしますと、これを進めるに当たっての体制なり具体的な構想、これが基本的に固まるのはいつごろですか。
  301. 服部経治

    ○服部政府委員 いつごろというふうに今の段階でお答え申し上げることは大変難しゅうございますけれども、私ども最前から繰り返して申し上げておりますように、とにかく早くつくることが必要でありますので、そのための準備段階の作業も鋭意進めてまいりたいというふうに思っております。
  302. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 ぜひひとつお願いしたいと思います。  それで、目標としては何年になりそうですか。完成目標はいつですか。
  303. 服部経治

    ○服部政府委員 完成の目標は、遅くとも昭和七十五年までということでございます。
  304. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 七十五年、遠い将来ですね。ですから大臣、これは国政の中におけるプロジェクトの意味があるんだということを御認識いただきたいのですよ。これでひとつ頑張っていただきたい。  時間がありませんから最後にもう一つですけれども、現在国鉄は大変な状況の中にあるし、新しい段階に移行しようとしておるところであります。国鉄の百年の歴史でかつてなかった局面に立っておるわけでありまして、新しい躍進を、新しい脱皮を図るといいますか、新しい段階に入るわけでありますけれども、こういう中でちょっと気になるのは、最近労使の関係が必ずしもよくないという感じを持つわけです。この間も二、三の職場に行きました。これは扇動に行ったのじゃないですよ。両者に、厳しい状況の中で頑張ってくれという激励に行ったわけですけれども、必ずしも労使間の信頼が十分でないという感じを持ったわけです。ですから、これから国鉄が新しい段階に入ってこの難局を突破していくためには、どうしても労使の信頼関係を回復するということが必要だと思います。ですから、どっちが悪いとかどっちがいいとかということではなくて、現在ちょっととげとげしい空気が職場にあるということは事実です。大臣、こういった点についてどうお考えですか。
  305. 三塚博

    三塚国務大臣 御案内のとおり、労使の問題は、本来労使関係の良識によってこれが決められてしかるべきことであります。こういうことでおります。就任以来、国労委員長を初め勤労、鉄労、全施労というふうに、執行部の皆さんとも懇談をさせていただきました。今日置かれておる国鉄状況の認識の中から取り組みをお願いしたいし、同時に、労使が一体的な協調の中でお取り組みいただくことをお願いしたいと申し上げておるわけでありまして、何となくぎくしゃくをしているその辺が心配だという御指摘でありますけれども、勤労、鉄労、全施労というような三組合は取り組みが基本的に一致した、基本認識も一致したように承っておりますし、大組合の国労が、現状の認識というよりも、まだその取り組みについて必ずしも一致しないというようなことであるわけでありまして、労使問題でありますから、私はまだこれにどうという立場にございませんで、特に今国鉄総裁もこうやって聞いておられるわけでありますから、真剣に話し合いを進め、共同の目的に何とか向かっていただけないものだろうか、このことを念願をしております。こういうことであろうと思います。
  306. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 御健闘をお祈りします。  終わります。
  307. 久間章生

    久間主査代理 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、貝沼次郎君。
  308. 貝沼次郎

    貝沼分科員 短い時間でございますので、二点につきましてお尋ねさせていただきます。  初めに、これは陳情でございますけれども、忘れないうちに早くやっておきたいと思います。先ほどもちらっと話が出ておったようでありますが、国際観光モデル地区の指定の話でございます。  日本の国際化という問題で、国際社会における我が国の役割が増大してきておるとか、諸外国との各種摩擦の問題であるとか、国際間の相互理解と国際親善の増進が重要になってきたというようなところから、外国人の——こちらから行く方はかなり行っておりますので、どこへ行っても日本人のおらぬところはないくらい行っておりますから、これはかなり徹底しておると思いますが、日本の国を知らない人もまたかなり多い。あれは中国のある島国ではないかという考え方を持っておる人も多いし、そういうようなところから、外国人旅行者をどう受け入れていくのかということが非常に大事だろうと私は思っております。そのために、出入国手続という問題もありますが、本日はこの問題はいたしません。そうでなく、外国人旅行者の接遇の向上といいますか、どうやって理解を深めていただくかというところがポイントではないかと思っております。  国際交流その他も大変重要でありますけれども、このたび国際観光モデル地区指定をされるのは、そういうような意味も含めてではないかと考えているわけでありますが、その意図するところは一体どういうことなのかということを御説明願いたいと思います。
  309. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 国際観光モデル地区というものは、観光政策審議会から意見具申ということで五十九年にいただいておりますが、この意見具申の中身を見ますと、先生指摘のように、これから将来にわたっての国際間の相互理解、国際親善というものが重要である、あわせて日本の独特のよさの紹介、また地域の振興に資するというような観点から国際観光モデル地区という構想が生まれてきたわけであります。  それで、これはどういうことかと申しますと、日本じゅうにすばらしいところがあればよろしいのですが、なかなかそこまで手が行きませんので、モデルという格好である地域を特定いたしまして、こういう形でいろいろ施設を整えたり、また観光の魅力ある場を提供したりということを一体的に考えれば、そこにお客さんが、特に団体ではなくて、外国人の観光客がひとり歩きできるような環境をつくることができるのではないかとか、そういうものができれば、それがまた新しい日本の国際観光の売り物になるのではないか、そういう発想から生まれたわけでございまして、その後、小委員会などを設置いたしまして鋭意検討し、六十年の六月に小委員報告をいただいて、これに基づいて現在二月十五日までにいろいろ御要請をいただいておりますが、その中身を審査させていただいている、こういう状況でございます。
  310. 貝沼次郎

    貝沼分科員 よくわかりました。  それで、海外旅行者の観光に対する考え方が実は大変多様化してきておる。日本に来ると、とかく東京、富士山、京都、お寺回りというのがどうもパターンになっておる。ところが彼らは必ずしもそういうものを見たいわけではない。日本に来ていろいろ勉強したいということは、やはり日本の科学技術の粋を集めたものは一体何なのかとか、例えば新幹線はすばらしい、こう言ったところが、ある日本の方が、あれは騒音がありますよ、そうしたら砂漠の王様が、その騒音が欲しい、砂漠には騒音がない、こういうことで我々の考えるのと全然違うことを求めておるわけでありますから、あるいは日本の経済の発展のぐあいとか、それからスポーツだとか教育とか、こういうことを見たがっている人もたくさんおると思うわけですね。     〔久間主査代理退席、主査着席〕 したがいまして、今回のモデル地区の指定に当たって、こういういろいろな点から判断をされることになるのかどうか。例えば岡山県なんかの場合は、瀬戸大橋という日本の科学の粋を集めたものができるわけでありますが、こういうものは一つの対象になるのかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
  311. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 もちろんモデル地区ということで指定をさせていただく前提には、その地域が外人の観光客にとって魅力のあるものでなくてはならないということがございます。今までの既成概念で申しますと、それは富士山、また京都、奈良ということでございますが、私どもが基準にしている魅力ある地域と申しますのは、そういう既成の古い今までの概念にとらわれることなく、やはり先生指摘のような新しい日本を紹介するもの、また今まで外国人には知られていない地方独特のもの、こういうものを紹介する、しかもそれは場合によっては一つの物ではなくて、イベントというかお祭り、そういうものも含めまして、総合的な一つ地域の活動そのものが観光の対象にもなり得るわけでございまして、そういう広い意味で魅力というものを考えておりますので、当然ながら先生の御指摘のようなことは中に入ると考えております。
  312. 貝沼次郎

    貝沼分科員 だんだん有望になってまいりましたね。  実は、岡山県はああいう瀬戸内海の国立公園もあり、瀬戸大橋があり、吉備高原都市とか備前焼とか、一々挙げていれば切りがありませんが、そういう面では大変合っているところではないかと思いますので、ひとつ応援方をよろしくお願いしたい、こう思うわけであります。  そこで、現在までの進捗状況でありますが、どういうところまで来ておりますか。先はどちらっと聞いたのでは、三月末ごろに何か結論を出したいというようなことがちょっと聞こえたような気がいたしましたが、その点も含めてお答え願いたい。
  313. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 実は御要望は二月十五日に締め切っておりますが、それまでにいろいろ各地域からのお話は伺っております。なるべく早いうちにこの指定をいたしたいという気持ちがございまして、現在三十八道府県から四十三地区について指定の申請が行われております。これを現在審査中でございますが、できれば三月の末までに一応の結論を出したいというふうに事務的には考えております。
  314. 貝沼次郎

    貝沼分科員 そこで、この指定のやり方についてちょっと確認しておきたいと思いますが、これは全国一律で、例えば話では十カ所ということをちょっと聞いているのですけれども、それぐらいをお決めになるのか。それとも各地域別に、例えば中国地方五県の中から幾つとか、あるいはこの方面から幾つとかというふうに地域的にお決めになるのか。この辺のお考えはいかがですか。
  315. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 もちろん考え方といたしましては、全国を通して一つの、何というのですか、魅力のある程度また進捗ぐあい、熱意、そういうもので考えさせていただいておりますが、もちろんその中には、ある程度地域的なバランスというものは我々は考えなくてはいけないんではないかというふうに思っています。
  316. 貝沼次郎

    貝沼分科員 それじゃ、これは答えられないかもしれませんが、中国五県ではどれぐらいをお考えでしょうか。
  317. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 今申請が三件出ております。そのうちのどれがとか、幾つというのは、今の段階ではちょっとお答えしにくいので……。先ほど申し上げましたような全国的な一つの考え方に基づいて、それぞれの魅力というものを判定していきたいというふうに考えております。
  318. 貝沼次郎

    貝沼分科員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。  それから次の問題は、国鉄貨物の貴重品扱いの割り増し料金の問題でお尋ねをしたいと思います。  昭和五十九年度の会計検査院の指摘によりますと、国鉄は貨幣輸送の運賃について貴重品扱いとしていたらもらえたはずの料金をもらっていない。そのために五十八年、五十九年度二年間で、貨物二千百七十四口、二万二千九百八十三トン、不足した貨物収入が約一億三千万円。これだけもらわなかったということですね。こういう指摘を受けておるわけでありますが、これについて国鉄の方ではどういうふうにお考えになりましょうか。
  319. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 先生指摘のように、検査院から昨年十月二十四日に御指摘をいただきました。制度的に、実はコンテナ混載につきましては、貴重品の制度がございませんでしたものですから、直ちに制度を改めまして、十二月一日から貴重品十割増しを車扱いと同じようにいただくことにいたしました。  弁解いたすわけでございませんが、もともと貨物の運賃の仕組みが、従来は品目によりまして、多いときは二十品目ぐらいを、品目によって値段を変えるという仕組みでございましたが、コンテナ混載につきましては、逆にコンテナ一個売り、後何を積んでもいいです、混載につきましても、一車売り、後何を積んでもいいですという形で営業を行っておりました。したがって、コンテナ混載については、この品物は何割増しということをいたさなかったわけでございます。  ただ、貴重品につきましては、五十一年度に二割増しをいたしましたけれども、そのほかのものについては、コンテナの形、冷蔵コンテナとかいう形については割り増しにいたしましたが、中身のものについては一切そういうことはなかったわけでございます。  しかし、先生指摘のように、昨年度の決算を見ましても、年間一万トン、一年間だけで約六千万円ぐらいの収入があったわけでございますので、これの十割増しとなれば、やはり六千万円ぐらいの増収が図られるものですから、直ちに制度を改めたわけでございます。
  320. 貝沼次郎

    貝沼分科員 まあそういうふうに答弁するわけですね。だけど、これは制度を改めてもだめなんですよ。改めたということは、コンテナに貴重品が入っておると書くということでしょう。書かない場合はわからない、コンテナをあけないですから。  というのは、なぜそういうことが考えられるかというと、これはその動きを見ないとわかりませんね。まず荷主が、これは日銀ですが、通運事業者と契約をするわけです。このとき貨幣を送るときは貴重品として契約するわけです。したがって三倍ぐらいの値段で契約するわけです。そうでしょう。ところが通運事業者は、国鉄へ持っていって、そうして貴重品扱いをしない。自分は三倍取っているのですよ。自分は貴重品の金をもらっているんだ。日銀は、これから確認しますけれども、払っている。そうして国鉄を使うときは普通貨物で行っちゃうのです。そうでしょう。だから国鉄は貴重品の扱いを受けてない。それでその荷物が今度は送り先に届くわけです。これだって日銀から行く荷物というのは、補助貨幣というのはめったやたらなところに行くわけじゃない。その筋のところに行くわけです。だからこれはどういうふうにして送られてきたかというのはわかるのですよ。したがって、この中間におる通運事業者、トラックで運ぶ通運事業者は、日銀からは高い金で引き受けて、そして国鉄は普通で運んでいる。あとは自分がもうけておっても、これは書かなきゃわからない。そうでしょう。あなた今書くようにすると言うけれども、書くか書かないかは書く人の自由なんですから。そしてその補助貨幣そのものはもう保険もかかっているわけです。ですから、ただ書くようにいたしましただけでは抜本的対策にならない。大体貴重品を取り扱うのに金がかかるというけれども、特別な扱いなんかできるはずないでしょう、コンテナの中に入っているんですから。それだけ特別に扱うというのはどうやって特別に扱うのですか。なぜそれだけを高く料金をもらわなきゃならないのですか。こういうことを考えたら、その制度そのものがおかしいのです。  そこで、あなたの先ほどの答弁は、それは対策になっていないということを私は言うわけですけれども、その裏づけとして日銀の方にちょっとお尋ねをいたします。大変御苦労さんです。  ただいま私が申し上げましたように、日銀からは、この通運事業者に対して、貴重品扱いとして、しかも荷物が送り先に着くまでの契約として、高い料金を支払って契約をされておるわけですね。この点はいかがですか。
  321. 勝股康行

    ○勝股参考人 お答えいたします。  二月末までの間につきましては、私どもの方で日通にお願いしたものについては二十五割増しの料金を支払っておりました。三月に入ってからは制度が変わりまして、列車の部分につきましては十割増し、前後の部分については五割増しということに制度が変わりました。
  322. 貝沼次郎

    貝沼分科員 今のは答弁になってないのですよ。あなた書いたのを読んでいるけれども、そうじゃない。いいですか。日銀の方は貴重品扱いでその通運事業者、あなた今、日通と言いましたけれども、僕は通運事業者といろいろありますから言っているのですが、通運事業者に対して貴重品扱いで契約をしておるでしょう。例えば二十五割増とこういうふうに言うことは、三倍半ということですから、それだけの料金を払ってあなた方は契約をしておるのでしょう。それを確認しておるわけです。しかもそれは運輸省の認可のもとにそうやっているのじゃありませんか。いかがですか。
  323. 勝股康行

    ○勝股参考人 ただいまの点、まさに二月末まではそのとおりでございました。三月から先ほど申し上げたように変わったわけでございます。
  324. 貝沼次郎

    貝沼分科員 お認めいただきましたが、私は今そういう事実が起こったことについて言っているわけですから。  それで、たとえ変わってもコンテナに入っておるのですから、その中の貨幣だけを特別扱いしてくれというわけでしょうが、そんなことはできない。できますか。コンテナをあけて出すのですか。そんなことできないのですよ。どうですか、出すのですか。
  325. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 混載貨物の場合、先生指摘のように、混載であった場合の特別料金がなくて、事実上は混載でなくて、実は一品物でコンテナ一つに全部貨幣が入っているわけでございます。したがって、今回からそういう一品物で入ってきたものにつきましては、コンテナの料金を先ほど申しましたように十割増しいただくということにいたしたわけでございます。  ただ、先生指摘のように、じゃ封印をしたらわからないじゃないかということでございますが、これは通運業者と国鉄というのは一体になってやっておるわけでございまして、特に貨幣を日銀と通運業者と私どもが送るようなときに、それがうその表示で送るようなことになれば、これはすべてのものを疑ってかかることになりまして、例えば危険品が入っている、あるいは火薬が入りている、全部あけてみる、これはおかしいということにもなろうかと思いますが、そこは私は信頼して、事実は貨幣として送るのに、間違った表示で送るということは考えておりません。
  326. 貝沼次郎

    貝沼分科員 信頼するのは結構です、信頼しなければいけません、人間は。だけれども、今まで信頼できるようなことをやってこなかったじゃありませんか。そうじゃないですか。この通運事業者は貴重品扱いしてくれなかったのでしょう。どうなんですか。それとも国鉄は貴重品扱いしたのですか。したのなら金をもらわなければいけませんよ。
  327. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 実は、コンテナに先ほど申しました中身によって値段を変えるという制度が国鉄にございませんでしたものですから、それは国鉄が公示している制度でございますから、貴重品扱いを取るという仕組みがなかったわけでございます。したがって、通運業者が所定の運賃を払えば、通運業者が別途荷主さんである日銀さんからいただくものについては我々が関知できない仕組みであります。
  328. 貝沼次郎

    貝沼分科員 だから、そこがおかしいというのです。あなた方はできた法律でやっているというのでしょう。そのとおりやったのだからそれでいいでしょう。法律が不備なんです。法律ができるとき、コンテナはなかった。だから今時代に合いませんよということです。これから国鉄がどうなるかわからない、それと別問題だと思うのだけれども、少なくともそれで強弁したってだめなんです。そんなものはあっさりと取り扱いを変えた方がいい。しかも、貴重品というものは定義があって、貴重品というものはこういうものだということで、何も貨幣だけじゃありません、いろいろな貴重品があるわけです。それがただ乗っているだけで、例えば二十五割とか二十割とかという料金を支払うことになる。取り扱いは、列車は同じように走っているわけですから、早く着くわけじゃない。では特別大事に扱ったかというとそれもない。どこに料金を別々にしなければならなかったかということは、僕は意味はわかりませんけれども、まあまあ特別の扱いをしてきた。ところが、日銀の方が高いお金を通運業者の方に払っておるにもかかわらず、それは全部その業者の懐に入って、国鉄の方は何ももらわないで一生懸命運んでおった。あなたはその通運業者と国鉄はお互いに信頼があり、あうんの呼吸だと言っておりますけれども、そんなことがあうんの呼吸だとはとんでもないことだと思うのですよ。ちゃんと改めていただかないといけないということを申し上げておるわけであります。そのためには、もうその規定というのは時代に合わない、だからむしろ抜本的に変えた方がいいのではありませんかということを申し上げておるわけでありますが、いかがでしょうか。当局と、できれば大臣の方からも御答弁をいただきたい。
  329. 武石章

    ○武石政府委員 現在の通運会社の取り扱いでございますが、通運会社は荷主から集配をいたしまして、積みおろしをして、そして列車に乗せた上で、また行った先で同じような積みおろしをして配達をする、そういう一連の行為全体を請け負ってやっておるわけでございます。鉄道輸送というのは、両端輸送がありませんと機能しないわけで、それによって初めて完結するという性格の輸送でございますので、通運業者はそれを一貫して請け負っておるわけでございます。その際に、特に集配とか積みおろしのときには、もちろんコンテナへの詰め込みとかいろいろな段階がございますが、それぞれの作業段階において、これが貴重品であるということで特段の扱いをやっておるわけでございます。特に重要なものにつきましては、ガードマンを雇って、あるいはそれを乗せた車で運ぶというような特別な措置をやった上で列車に積み込んでおるということでございます。そういうことと、それから通運業者が荷主に対して責任を持つという形になりますので、もしこれが滅失あるいは盗難に遭ったというようなときには、これに対する賠償をしなければならないわけでございます。そういう危険負担というものも平均的には一つのコストになるわけでございます。そういうものを勘案しまして、割り増しの通運料金ないし運賃というものを定めておるわけでございます。  今回、このように国鉄の方が制度をお変えになったということになりますれば、当然に通運事業者から国鉄事業者へ支払う鉄道運賃部分については十割増しになるわけでございます。そういうことで、国鉄の方でそういう運賃をお取りになるという関係において、両者の責任関係が従来と変わってまいると思います。そういう関係のもとにおいてこの運送が行われているということになるわけでございます。そういうことでございますので、通運事業者も当然にどの通運事業者でも相手にしているということではございません。責任のあるところを荷主さんとしても選んでおられると思いますし、そういう体制は十分にとられて、信義誠実の原則にのっとった運送が行われておると私どもは考えております。
  330. 岡田昌久

    岡田(昌)説明員 貴重品の扱いにつきましては、他運輸機関、航空あるいは路線トラック、あるいはその他につきましても割り増し料金の制度を持っております。したがって、我々も車扱いについては従来持っていたわけでございますが、先ほど申しましたように、品目別な扱いをしなかったものですから、そういう次第になっておりましたが、今回抜本的に変えまして、やはり我々も営業でございますので、世の中の物流業者に伍して営業してまいらなければなりませんし、いただけるところからはできるだけ運賃収入を上げたいとも考えておりますので、今回制度を改めまして、公示いたしまして、コンテナにつきまして十割増しということにいたしました。
  331. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ですから、さっきから何回も言っているのです。あなたの方で変えたのを私持っているのです、条文、十一条の二というのを。書きなさいというだけのことですよ、結局。それだけのことです。それで今までガードマンだとか何だかんだ説明がありましたけれども、貴重品が中に入っていることはわかるのですよ、従来もずっとやっていることですから。わかるのだけれども、書いてない。もちろん今あなたがおっしゃったようなガードマンだとか何だとかということはやらないのですよ、やる必要ないのですから。貴重品と書いてない場合はやる必要はない。だから会計検査院から指摘されたのです。だから、それはもうこういう小手先のことじゃなしに、貴重品を特別扱いするとかなんとかということは、それよりはむしろ保険でもやるとか、少し変わった方向で考えた方がいいんじゃないか、私はこう思うのです。保険がいいか悪いかはひとつ御検討いただければよろしいと思いますが、今までのやり方ではちょっと対応しきれない部分があるだろうということを提起しておるわけでございます。  それから、もう時間があと一分か二分ですから大臣要望だけ申し上げたいと思います。  一つは、ただいまのような件についてひとつ御配慮いただきたいということ。それからもう一点は、国鉄の切符なんですけれども、これをもっと多種多様にお考えいただいたらよろしいのではないか。例えば支線で朝晩のラッシュというのはぶら下がるように乗っている。それで昼はもうがらっと空気を運んでいるような列車がありますね。そういうところは、例えば午前十時から午後二時、この間は割り引きをするとか、あるいはおばあさんの押し車を乗っけてあげますとか、あれさえ乗っければどこまでも行けるわけです。あれが乗らないために年寄りは動けない。だからそういういろいろな、例えば英国の場合はウィークリターンとかいろいろやっております。ですから、そういうふうに日本の場合も考えて考えられないことはないと思いますので、御検討いただいたらよろしいのではないかと思いますので、お願いいたします。
  332. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま貴重品輸送論争を拝聴させていただきました。こういうものはやはり常識的になるほどと思われるものであった方がよろしいと思いますし、それなりにまた改善も、この時点で図られたという話もお聞きをいたしております。貝沼議員御指摘の点を皆さんもよく聞かれておることでありますし、ベストな道を選ぶということで努力をしていかなければならぬと思います。  また、切符発行について、その例等についての貴重な御提言もありました。民間会社としてスタートいたすということに相なりますれば、旧来のカラーを抜け出しまして、今御提示いただきました大胆な手法を講じさせていくべきである、私もその御趣旨に全く同感でありますので、今後そんな方向で、総裁もここで聞いておられるわけでありますし、よく進めてまいるつもりであります。
  333. 貝沼次郎

    貝沼分科員 ありがとうございました。
  334. 相沢英之

    相沢主査 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。  次に、安田修三君。
  335. 安田修三

    安田分科員 それでは、国鉄当局にお尋ねいたします。列車運行の雪対策の関係だけでございます。  雪害による列車遅延があった場合に、旅客に速やかに知らせるということは、サービスというよりも業務に付随した当然の行為であろうと思うのでありますけれども国鉄はなぜかそうしたことの対応が万全でないと私は思っております。今までその他の災害で列車遅延その他に遭遇したこともございますが、突発的な災害という場合にはやむを得ざるものもありと思ってまいったのでありますが、毎年繰り返される雪対策、これは毎年のことでございますので、そういう点では一体どうなっておるのだろうかと多くの旅客から苦情を聞くわけであります。そこで、人の言うのには針小棒大なこともございますし、私もせっかく皆さんが雪と闘って旅客運送に当たっておられるのに、余り適当なことも言いたくないということで、自分で体験したことをためておこうと思って、幾つか実際体験しましたので、その実例も申し上げて、皆さんにぜひひとつこういう点の改善等を求めたい、こう思って申し上げたいと思うのです。  何といいましても安全輸送ということは国鉄の使命でありますから、そのためには情報等の伝達、そしてそれに基づく業務の指令、指示ということが当然のことでありますし、重要であります。したがって、列車にはそれぞれいろいろな指令が出されておりますので、そういう点では万全を期せられておると聞いております。ところがお客の言うには、列車の遅延があった場合、そういう点では全然知らされていないということが間々出てくるわけであります。  そういう点で、先ほど言いましたように、実例を申し上げますと、例えば五十九年十二月二十八日、これは大宮発あさひ一九一号、十三時五分発であります。長岡着が十四時三十一分。十四時五十一分の金沢方面行きの雷鳥三二号に接続予定でありますが、一時間おくれたということでありますので、旅客が全部ホームに待機しておりました、中で食事をとったりして。一時間たって、今度はもう一時間たてば新潟を発車するということでございました。それぞれうちの方に帰省客等が電話をかけたりてんやわんや、待合室にあふれて待っておった。一時間たったところが今度は、この先はわからないという。じゃ一体どうなるのか、運休なのかどうか、運休になれば宿でも用意しなければならぬでしょう、はっきりしてくれという。そこで、じゃ東京へ帰るか、一体どうなるのか、先へ行かないなら帰ろうかといろいろお客ががやがや言っている。結局最終的に運休だという。これが十六時四十分ごろだったと思います。一体今までなぜそういうことがわからなかったか。いや、朝から動いてなかったんだからという。こういう赤帽さんが三人ほど出てのお話であります。さあ、お客が慌てて、それぞれ子供さんは、ばあちゃんのところへ行くよ、じいちゃんのところへ行くから東京へ帰るのはいやだという。これはしかし雪害でありますからやむを得ません。東京方面へお帰りください、精算いたします。私の場合は東京へ戻りましたし、一緒におりました連れは、そのまま東京二十時発のひかりでとにかく名古屋乗りかえ、こだまで米原へ行ったところが、きたぐにで一時間余待ちまして、地元へ帰ることができました。翌朝着きました。ところが検札の中で何人かのお客さんが、黒部、魚津下車の方でございましたが、私は乗っておった人の切符を見て、これはただ長岡経由富山行きの切符でそのまま逆戻りしたわけでありますが、他のお客さんは、上野で精算を受けて、東京駅から新たに切符を買って米原経由で乗ったのです。高い切符買ってと大変困っておりました。車掌さんに食いついております。車掌さんは、これはやむを得ない、私はどうしようもない、いわゆる乗り継ぎ料金の急行料金、きたぐには急行であります、それだけは処理いたします、こういうことであります。非常に不親切なことから、お客さんが逆戻りし、遠回りし、余計運賃を払う、こういう結果になりました。  さて、六十年十二月十七日、昨年暮れ、これはとき四一七号、上野発十八時二十二分、長岡着二十時十六分であります。上野を立つときには、列車のおくれに御注意くださいという車内放送が新幹線でございました。長岡駅では何の放送も掲示もございません。二十分程度おくれて列車が発車いたしました。これは北越一〇号であります。来迎寺辺で停車してから全然動かなくなりました。慌てて無蓋のホームへおりて自宅へ電話をかける人、中には柏崎方面の方は迎えに来てくれという人、いろいろありました。車内の売り子さんが駅の情報として、福井県内の駅構内だったかと思いますが、倒木のためにおくれているという情報が流れました。車掌さんの方は、正確を期すためだと思いますが、なかなかわからないと言う。これは当然なのでございましょう。ここで大分とまって、途中で一服し、一服し、結局富山に朝三時五十三分に着きましたが、その間何の情報もございません。  つい最近、今年、六十一年二月十一日、雷鳥二五号、富山発十八時五十九分、糸魚川−直江津間で架線事故のため一部不通という富山駅での掲示がありました。しかし、大丈夫とのこと。掲示がある以上は少々のおくれは私たちも覚悟済み、お客さんもそうでございます。接続だけが心配でございましたが、大丈夫だということでみんな安心しておりましたところが、黒部駅で一時間、それからが各駅でとまりました。しかし、これは情報がございました。下り線の架線事故のために上り線を使って片側運行しておるので時間がかかります。そういう点で実はこれもみんな安心しておりました、これはやむを得ないですから。ところが一服し、一服しているうちに、今度は糸魚川を過ぎましてから、直江津で後続の能登号にお乗りください、直江津へ着きましたら六番線ホームにお急ぎください。何のことかわかりませんが、六番線ホームに急いだところが、そこに普通列車がおりました。スピーカーが入ってそれにお乗りくださいと言うのかと思いましたら、それもございません。とにかく寒いからそれに乗っておりましたところが、それが上野行きでありますので、これかと。結局長野からその普通列車が妙高になります。上野着朝四時四十八分。この列車自身が直江津で接続のために五十分おくれで発車しましたが、上野ではそれを回復しておりました。そういう点で、これは長岡での新幹線接続ができなかったために、一応途中でそういう接続はあったのですが、それがこうなるからこうだということはない。ですから、大変みんなまごついておりました。  さて、こういうことがあって先月十七日、六時四十四分北越一号に乗るために駅ホームにおったのですが、富山駅でありますがたまたましらさぎ二号がおくれておりました。お客さんがそこに参りました車掌さんに、さて、しらさぎ号はどうなるんでしょうか。格好を見ますとわかるものです、でかいかばんを持っていらっしゃるから。そうしたらその方は、私は乗務一分前に来たのですが、実はわからないのです、ただ、この車両は金沢駅から回送されてくるのでおくれておるのだと思いますが、何の放送もございませんので不自由でしょう、私が聞きましょうと言って構内の専用電話で聞いていらっしゃいました。おくれておるならおくれておると放送を入れてください。間もなく放送がありました、おくれておると。そこで、立っておるお客さんたちは雑談をして、その人もいろいろ話しておりました。どうしておくれておるのかな、何の放送もないねと言って。私たちも実際全然わからないのですと。どうしてわからないのですか、わからないのです。私は非常に不思議に思いました。業務に携わっておる人が列車のおくれを知るすべが全然ない。何と不思議な組織になっておるのか。列車運行あるいは機関車指令というものがあるのだそうですが、こういうものにもし間違いがあれば大変な事故になる。これは間違いがないということは、私も現場の人たちも確認しました。だが、旅客の関係では全然そういうお話がない。これはどういうことなんだろうか。そこで私は先ほどの質問をしたわけです。一体なぜ対応が万全でないのか、お答えいただきたい。
  336. 須田寛

    須田説明員 先生にいろいろな面で大変御迷惑をおかけいたしましたことをまずおわび申し上げます。  大変詳細に御指摘をちょうだいいたしましたので、私ども、今の先生の御体験をもとにいたしまして、改善策を身にしみてよく考えなければいけないというふうに思った次第でございますが、大体大別をいたしますと、先生の御指摘いただきました点に二点問題点があったかというふうに考えます。  一つは、やはり事故の場合の情報というものがお客様になかなかお伝えできなくなっていたのではないかという点が第一点でございます。それからもう一つは、車内におきますお客様への御案内ないしは切符変更等の取り扱いにつきまして徹底を欠いておって御迷惑をかけた、大体この二つではないだろうかと思います。  前者の方の改善策でございますが、実は、事故の起こりました場合のそういった情報の対応といたしましては、列車なり駅から局にございますところの列車指令なり旅客指令というものが列車の運行状況を把握いたしまして、それに応じまして適切な対応をとり、かつまた、その情報を駅なり車内なりに流しまして、お客様に御連絡を申し上げる方法をとっておるわけでございまして、新幹線では列車無線がございますので、かなりな程度確実を期してやっておるわけでございますけれども、実は、在来線には一部の線区を除きましてまだ列車無線の設備のないところがほとんどでございます。したがいまして、そういった情報の伝達が駅を介して渡ってまいることになりますので、駅間に列車がとまったりいたしました場合に、どうしても情勢の把握がおくれたりあるいはお客様への御連絡がおくれたりする場合がございます。それからやはり電話と人間の手作業を中心にやっておりますので、その間、伝達におくれをとったりするような場面が多々あろうかと思いますので、その意味で大変御迷惑をかけたものと思います。やはり職員がそういったお客様への情報の御連絡なりあるいはそういった措置につきまして、より的確に対応すべきことは申し上げるまでもございませんけれども、今私ども、保安の問題も含めまして、安全の問題の対策と絡めまして、列車無線を全国の主要幹線に整備をいたすべく、これは私ども国鉄の間に何とか手をつけようということで、この秋を目途に今大車輪で工事をいたしておりますので、これができ得ますれば、列車の運行状況の把握というものはもっと正確になりますし、お客様への御伝達等も円滑にまいると思いますが、それまでの間も極力、先ほど申し上げましたように、職員の指導に留意をいたしまして、遺憾の点のないようにしてまいりたいと思います。  それから、もう一点の車内でのお客様への切符の変更等の取り扱いの問題でございます。先ほど先生の御指摘になりましたような、事故で不通区間がございまして、お客様に別な経路を迂回していただきます場合は、車内で車掌が切符に証明をいたしまして、そのままできるような手配をとるわけでございます。ただ、常時そういう手配をとりますと、お客様の御案内にも非常に混乱をいたしますので、実は雪害とか大きな事故のございました場合に、局から指令手配といたしまして、列車なり駅なりに緊急の手配をして、こういう場合にはお客様のお申し出によってお金をいただかないで迂回手配をするのだということを申し上げるわけでございます。今の先生の御指摘いただきましたこの際は、非常に現場が混乱をいたしておりまして、多分その手配をした者がおくれたかあるいはそれが車掌に徹底を欠いたために、そういうふうな御案内をしてしまったものと思います。これも、先ほど前段の場合と同じような解決策が必要でございますので、十分これからも注意してまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、やはりそういった列車無線等の設備的なバックアップがもちろん第一でございますけれども、やはり職員なり関係の列車指令あるいは当直等に当たります者がお客様第一で情報を極力きめ細かくお伝えをすると同時に、御案内に遺憾なきを期する、そういったような精神を持って頑張ることが何よりと思いますので、これからも、今、先生から貴重な御体験を御指摘ちょうだいいたしましたので、十分現場にもその旨伝え、かつ私ども自身も鋭意努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  337. 安田修三

    安田分科員 列車無線の件は、私は一遍忘れ物のことでわかったのですが、聞くだけ聞いてから、実は列車無線がない。なるほどこれは変だと思ったのです。これはひとつぜひ備えつけて万全を期してもらいたいと思う。  それから指令系統、例えば列車が遅延する。皆さんの場合、雪の場合に列車に運転規制をやらせるのです。これは上からちゃんと判断して指令が出る。それと同じように、その場合にどう対応するべきかという指令系統がはっきりしなくて、どこがその頭脳として判断するのか。だから私は現場の駅の方でまごつくのじゃなかろうかというふうに思います。ですから、それはぜひひとつ洗い直してきっちりしていただけば、何といってもしにせの国鉄でありますから、そんなものはすぐ解決できることじゃないかと私は思うのです。  さて、次に富山−東京間の冬季ダイヤが、雪の降り始めの時期にどうしてもおくれてくる。これはどこでも、初めの場合はそういうことはまごつくことがありますが、毎年毎年のことでありますので、もう近代化されている鉄道では、まあよほどのことがない以上はと思うのですが、そういうことがやはり起きてまいります。雪対策に万全を期するというのは大変ですが、私はまだ手抜かりがあるからではないかと思うのです。  そこで、国鉄の多雪線区はおおよそれ千八十キロに及ぶと皆さんの方でもいろいろな資料で言っておられますので、かなりの線区になります。そういう点では、雪との闘い、雪を克服するということについては大変御苦労だと存じております。そして三八豪雪、四八豪雪、五六豪雪の経験を踏まえられまして、五十六年度に策定された雪害対策長期構想に基づいて計画的にいろいろな設備や機動力を備えられておるということを実は承っております。そういう点では、地上設備と車両関係で除排雪、消融雪等の設備は、三十八年当時と比べまして、除雪車両以外は、数字からしますと格段の増強がなされたものと実は私自身も見ておるわけです。  さて、国鉄の除雪指数と列車運休キロの推移は三年から四年ごとにピークを記録している、こういう皆さんの方の見方のように私は思っております。これに対処し、先ほどのように設備、機動力で整備が図られたためでしょうか、列車運休本数も以前から見れば実は減少しておるわけであります。これはいわゆる列車の運行本数そのものの減少による点からということも見逃せないと思います。要するに、総体本数が減っておるから運休本数も少なくなっておるのじゃないか、こういう点も私は見逃せないのじゃないかと思いますが、しかし、機械力、設備力、機動力の増強によるいわゆる運休本数の減少ということが顕著であろう、こう思うのであります。しかし、最近の統計では、五十五年度で二万六千九百二十七本、五十八年度一万一千六百五十八本、六十年度、今年度は二月末までに一万七千二百八十三本の運休が出ております。  さて、これだけ近代化されて、そして設備も、見ますと確かにたくさんできてきましたが、なぜこれだけたくさんの運休が出てくるのか、そして一番初めに質問しましたような障害が出てくるのだろうか。遅延時間数等も、見ますと、かなりの量に上ってまいっております。そういう点で、まずそこからお尋ねしたいと思います。
  338. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 今、先生から多岐にわたります御指摘を賜ったわけでございますが、まず、例年雪の降り始めにおいてダイヤが乱れることが多いのではないかという御指摘がございました。私も確かにそういう事実はあるというふうに思っておりますけれども、この点に関しましては、やはり降雪予報を的確に、確実に把握をする。それから除雪機械でございますとか除雪の設備でございますとか、そういったものの整備、いざとなったときに動かないと困るという問題がございますので、そういった整備の確立ということに努めているところでございますので、今後とも雪の降り始めの時期に列車の乱れを少なくするということについて、全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。  なお、先ほどお話ございました、ことしと申しますか、今回の六十年の暮れの降り始めの時点のダイヤの乱れにつきまして、先ほど先生からもお話ございました。御迷惑をおかけして大変申しわけなかったと思っておりますが、これの原因は、非常に多数の個所で、線路のそばにある木が大量の雪のために倒木、しかもこの時期はまだ気温が高いものですから、雪質が重くて倒れるということが次から次へと発生をいたしまして、朝早くから夕方に至るまであちらこちらでそういう事象が起きましたために、大変御迷惑をおかけしたという事態で、まことに申しわけなく存じている次第でございます。  それから、今、先生から、運休本数、その他いろいろ御指摘を賜ったわけでございますが、私ども、全般といたしまして、降雪量に比べまして運休でございますとかあるいは運転規制をする、しかも高次の運転規制をする、第三次規制以上と申しておりますが、非常に多くの列車を抑止しなければいかぬというふうな規制をしなければいけないというものとの相関関係を調べてまいりますと、やはりこの五年間でかなり減ってきているというふうに把握をしているわけでございます。  それには、例えばポイントの融雪器でございますとかあるいは流雪溝でございますとか、それから大型の除雪車はともかくといたしまして、駅構内の除雪に適したような小型の、小回りのきくモーターカーロータリー、モーターカーラッセル、そういった除雪車を逐次整備をしてきておりまして、その両数もかなりの数に上ってきております。そういった設備面での強化あるいは除雪機械での強化、そういったものを含め、今後ともこういった雪害時におけるダイヤの乱れが極力少なくなるように万全の態勢をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  339. 安田修三

    安田分科員 私も、機械増強の点は、それは調べてわかっております。新たなそういう消融雪装置等がポイントにできたところへ新たにラッセルを通した場合に、かたい凍った氷状の雪がそこへ挟まる、凝雪というのでしょうか、挟まる、そしてポイントが動かなくなるという新たな障害が起きていることも承知しております。しかし、これだけ近代化されたのに、どこに問題があるのだろうか。  一つは、線区全体としての輸送機能が発揮できるような対策に欠けるところもあるのじゃなかろうか。新潟局管内の書いてあるものを見ますと、五十八年度の在来線の除排雪量は、これは積雪量から推定だそうでありますが、六千百七十万立米、お金にして、かけたのは二十四億二千万円だそうであります。これに対しまして新幹線の明かり区間の降雪量は、これは除雪する必要はありませんで、スプリンクラーで温かいお湯を出していますが、これが九百三十万立米。これは在来線の量と比べて一五%。かかった油代だとか電気代、それらお金が二十九億八千万円だそうであります。新幹線にこれだけ多くの金がかかっているわけです。在来線の方は二十四億二千万円かけて、量はもっと多くやっている。私は、そういう点では、もっともっと在来線の線区全体で、先ほど言いましたように、輸送機能を高めるためにいろいろなことをやられる必要があるのじゃないだろうか、そういう点についてお尋ねしたい。
  340. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生からいろいろ御指摘を賜ったわけでございます。また線区全体として輸送機能が発揮されるように強化する必要があるのではないかという貴重な御指摘を賜ったわけでございますが、それでは、雪害の場合に、鉄道はどこに一番問題があるかといいますと、やはり駅の構内に問題があるということは事実でございます。  と申しますのは、駅の構内には分岐器がございます。列車にくっついていた雪が動揺によって落ちる、それが分岐器の間に挟まってしまう、したがって、分岐器の転換がうまくいかなくなるというような問題もございますし、それからホーム等がございまして、なかなか大型機械が入らないというような問題もございます。雪の捨て場も少ないという問題もございます。したがって、そういうことに対応していきますために、駅構内におきましては、流雪溝でございますとか分岐器の消雪設備でございますとか、あるいは、先ほど申し上げましたように、特に駅構内における除雪に適しましたモーターカーロータリーとかモーターカーラッセルというような小回りのきく小型の除雪機械を投入するということによって対策を立てているわけでございます。  それから、今新幹線の事例がございましたけれども、実は上越新幹線であれだけのことができておりますのは、ほとんど全線が高架スラブでできております。したがって、下が土路盤ではなくて、軌道を受けているものがコンクリートの路盤であるということから、大量の温水散水をやりまして雪を解かすことができるわけでございますが、在来線は路盤の上に直接線路が乗っております。ここに仮に幾ら温度を上げて大量のお湯、水をかけましても、先に路盤の方がうんでしまう。したがって砂利がめり込んでしまう。これは大変な泣きどころでございまして、在来線にはそういった東北、上越新幹線でとっておりますような温水消雪設備ができないということがございます。またコストも、先ほど先生からお話がございましたように、大変なコストがかかってしまうという問題もあるわけでございます。
  341. 安田修三

    安田分科員 私も新幹線のように全部スプリンクラーでやれとは言いません。それでやるようなメリットがあるかどうかということになりますと問題があると思います。  問題は、線区全体の輸送機能を果たすためには——皆さんはもう大体ウイークポイントはつかんでいるのだから、構内の場合もそれぞれ改善されたし、施設等も従前から見ると随分変わってまいっております。けさもやっておりました。地下水を工業用水で温めて循環させる。ああいうのも新潟局管内で随分行われたりいろいろやっております。問題は、そういうものを重点的にどう設備をしていくか、これが一つ問題じゃないのか。だから、動かしておったといっても、大体問題が起きるところはいつも起きておる。それも改善はされているが、まだまだ随分工夫しなければならぬ、金もかけなければならぬ。問題は、そういう点を重点的に整備することが皆さんの雪対策ではないかと思います。  さて、最近は経費節減で、従来は要員をあらかじめ残すことが行われてきたのでありますが、皆さんも冬の場合はそれぞれ要員配置を増員して行ってはいますが、例えば保線関係で施設系統の人を補修当直させて、あらなじめ雪に備えておいたという時代もあったが、最近は要員がだんだん減ってきた。先ほど雪情報も言われました。新潟局管内のものを見ますと、観測点、気象台あるいはまた輪島上空の気象情報その他それぞれ総合して科学的に皆さんがやっておられますが、昔のように空を見上げて、さあこれは一降り来るぞ、では準備しておかなければならぬというようなものが今ではなくなっておるのじゃないか。だから、雪が来てまごつく、遅い、初動動作ができないというようなことが最近出てきておるのじゃないか。あるいは施設職員の統廃合。例えば保線支区などの廃止がある。そうしますと、従来ラッセル車を動かす場合でも、ウイングの開閉などに地理あるいは技術ともに熟知している人が乗っていたのが、そうではなくして保線区の本部からかわって人が来るから、中にはなかなか効率よくできないという面が出たり、実はそういう保安といいましょうか保線関係の施設、要員関係が減ったということも、こうした近代化された設備の反面、なかなか思うように雪対策が進まないという面も出ておるのではないか。私はいろいろなことを調べてみて、そういう点も一点見逃すわけにはいかないと思っておるのです。  そこで、この点お答え願いますとともに、時間もなくなりますので、国鉄答弁をお聞きしましてから大臣答弁を聞きたいのですが、大臣も雪の関係の地域ではございますけれども、余り降らないと思う。実は北陸関係は御存じのようにべた雪でございます。だから、架線事故その他も起きやすいということになるので、先ほど倒木の話がありましたが、例えば今までは防雪林の山を保線の人が見ていく、こういう要員も最近は減らされて、いわゆる支区におったのがいないようであります。ですから、山回りも十分でない。だから倒木が出るのも当然じゃないか。しかし、これは専門的なことでございますから、きょうはそれだけを聞こうと思っているわけではありませんから、概観的に今まで私が調べたり見てきたことだけを申し上げるのでありますが、鉄道運行というのは、安全性のないものは、もうかるもうからぬよりも国民は見放してしまうのですから、何としましても安全性、便利性、そして世界一正確である国鉄が雪には弱い、これは雪国にあっては何としても克服してもらいたい。運輸大臣新幹線問題に大変熱心で、うちの県もぜひやってもらいたいとお願いしておるところでありますが、こういうことが積み重なると、一日でも早く新幹線でなければだめだと余計思いが募るわけであります。国の方におかれましても、先ほど新幹線の設備、雪に対して使う金額を言いましたが、これは新潟管内だけのお金であります。そういう点については、財政厳しい折でありますが、効率的、重点的にぜひひとつ万全を期してもらいたいと思います。これは大臣に後からお伺いいたします。
  342. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 お答えを申し上げます。  かつては、国鉄におきましては冬期間におきまして臨時雇用員という形で、雪がいつ降るかわからぬということに備えてかなり多くの方々にお手伝いをいただくということをいたしておりました。その数につきましては、この数年間の傾向を見ますと確かに減ってきております。それは冬のある期間常時一定の数の臨時雇用員をお願いしておくということは、雪の降り方もいろいろございますし、必ずしも得策ではないということもございます。したがって、これに対応するというような事柄としましては、非常に雪が多くてどうしても段切り等をしなければいけないというような場合には、部外業者の力をかりて段切り作業等をしているというような実態でございます。  それからまた、今の保線支区の問題でありますが、確かに先生指摘のように、金沢鉄道管理局等におきましても、保線支区の数は減らしておりますが、保線駐在という制度をとっておりまして、現地に明るい職員をそこに配置をし、そういった雪害に対して極力対応できるような知識、技能を持った職員は最小限配置をしていく。効率化はあくまで目指さなければいけない問題でありますが、定時性の確保というものも極めて大事な問題であり、そういった対策をとってきているということでございます。  なお、私も豪雪の時期に新潟鉄道管理局におりまして、大変な苦労をいたしておりますので、こういった雪害問題につきましては十分な配慮をとり、設備面での強化といったことを通じて極力御迷惑をおかけする機会を少なくしたいというふうに考えている次第でございます。
  343. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま安田議員の緻密な体験の中の除雪、そして安全運行ということについての御質問、御提言を拝聴させていただきました。国鉄の運行の基本は安全運行であります。正確に目的地に着くということであるわけでございまして、さような意味で雪害対策、ただいま岡田常務が言われましたとおり、真剣に取り組んでおりますことも承知をいたしておりますが、さらに今後過去の経験、今言われました御指摘等々を踏まえながら、また大変厳しい国鉄財政の事情にありますけれども、安全運行それから列車に対する信頼という意味で、除雪車両でありますとか消雪、融雪ということの措置について、さらに努力をいただきますように、そのことが収入につながると私も考えておりますので、進めてまいりたいと存じております。
  344. 安田修三

    安田分科員 御尽力をお願いいたします。  では、終わります。
  345. 相沢英之

    相沢主査 これにて安田修三君の質疑は終了いたしました。  次に、小川泰君。
  346. 小川泰

    小川(泰)分科員 二つほど私きょうは御質問申し上げたいと思います。  一つ運輸省直接の所管ではないと思いますが、御案内のとおり東京湾横断道路、この問題が今出てまいってきております。これの施行者の方は建設省が中心になっておやりになるのでしょう。その場合に、長い時間をかけてこの開発建設が行われるわけでありますが、とりわけ東京湾全体の今までの状況あるいは現状、その湾を中心にして、京浜工業地帯、こういういろいろなかかわり合いが出てくるという観点からの質問なんです。  そういう角度からいいますと、一つは海運という問題が、建設中にも、あるいは建設が仮に終わった後においても一つの影響が大きく出てくる、こう見ます。さらには、少々ではありましょうが、漁業というものもその中にございます。さらには港湾事業というものもここに出てまいります。こうやって考えてみますと、東京湾横断道路といって、千葉と神奈川を結んで、それを中心にして物を考えようということで建設をされますが、そっちの方はそっちの方でいろいろ準備をされ、検討されていますけれども、過去の経緯に照らしますと、それから受ける影響対策というものが、建設の方が主体になる余り、往々にして後に残されるという傾向がなしといたしません。そう考えますと、事が日本のいわば表玄関というところだけに、いろいろな問題が影響として生まれるように思われますので、確かに原因は東京湾横断道路建設というところから発生するのですが、それによって海あるいは陸、工場、漁業、こういったようなところにどんな影響がもたらされるかということも十分御調査の上でその対策が行われるだろう、こう思いますので、まず前半に、そういうものに対して取り組む姿勢といいますか、その辺をちょっとお聞かせいただきたい、こう思います。
  347. 服部経治

    ○服部政府委員 東京湾横断道路の建設によりまして影響を受けるおそれのある航路といたしましては、東京湾口を運航しております、神奈川県側が久里浜でございまして、千葉県側が金谷でございますが、東京湾フェリー、それからまさに湾岸道路と交錯するような格好で現在カーフェリー営業を行っております、川崎と木更津を結ぶ航路をやっております日本カーフェリーの二社があるわけでございます。  私どもといたしましては、今後この二社に与えます横断道路の影響につきまして、その影響の度合いをできる限り正確に把握するための作業も行っていきたいという考えでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、こうした航路事業者に対する必要な補償の措置につきまして、これまで本州四国連絡橋の建設に伴って見られました補償事例なども参照しながら、それとの均衡を失わないような配慮のもとにそういう補償を行うということにつきまして、関係機関の方と十分協議をしてまいりたいという考えでございます。
  348. 小川泰

    小川(泰)分科員 よくわかりますが、とりわけ本四架橋や何かの実績に照らした場合と、この三浦半島から千葉県の房総半島まで抱え込んだ大きな東京湾というものが持つ性格、これに与える影響というのはまた一皮、二皮違うというふうに思っておりますので、個々に、海運はこうだ、でき上がった場合に安全航行はこうだ、作業中はこうだ、あるいは漁業はこうだ、あるいは港湾の荷役を初めいろいろな問題はこうだという点は一々わかるのでありますけれども、そういうものに対応する対応の仕方というものが、例えば船の問題はこのプロジェクトですよ、漁業はこっちですよとか、港湾の問題はこっちですよとか、さらには、よく考えてみますと、業界によっては仕事がなくなってしまいますから、その会社事業転換をしなきゃならぬという問題も起こり得ます、そうしますと、事業が変わってまいりますれば当然そこに働いている人の労働環境も変わってくるというように、非常に幅広く奥の深い影響が出てくるというふうに思いますので、単体的に対応するのじゃなくて、そういうものの総合性、融合性というものをまとめて見るような姿で対応する母体といいますか、何かそういうものが必要ではあるまいか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思うのですがね。そういう考え方でいくのかどうか。
  349. 三塚博

    三塚国務大臣 運輸省として安全運航等々について、本法案が提出されるまでの間ミーティング、協議をやってスタートを切ったわけでありますが、及ぼす影響極めて大、各般にわたるのではないかという御指摘、御指摘のとおり、想像しますと物流革命のようなものでありますから、そういうことはあり得ることであるな、このように思います。建設省を中心に本件に今当たっておるわけでありまして、その調査研究、検討と歩調を合わせながら、ただいまの御提言を建設大臣その他の閣僚、経企庁あるいは国土庁なんでしょうか、そこにボールを投げてみまして、マクロの経済市況調査ということも、当然経済効果というものを見るという意味におきましても大変大事なことではないか、こんなことで私からも問題提起をしてみたいと思います。
  350. 小川泰

    小川(泰)分科員 過去の経過にちなんで今大臣のお答えになった視点からぜひこれは——十年がかりぐらいでやるのでしょう。その場合に、問題によってはスタートから十年間かかって転換をしなきゃならぬものもありましょうし、あるいはある部分において一定の年限でやれるところもありましょうし、まあ千差万別だと思います。したがって、これは私どもも、こう決めたからその範囲内でやったかやらないかという問題じゃなくて、いろいろなものが幅広く、問題によっては、準備したがその範囲内でできちゃったというとなお結構、あるいはこう思ったけれどもさらにやらなければならぬなという問題も出てくるという、非常に幅を持った対策で、しかも総合性で対策を立ててほしい、私こういうことを申し上げておきます。大臣のお答えで結構でございますので、どこから問題提起されてもよろしゅうございますが、そういう対応でぜひお願い申し上げたいということをさらに申し添えておきたいと思います。  続いて二番目の問題で、私は時間がおくれるのは余り好かぬ方ですから、六時にはぴったり終わりたいと思います、持ち時間は少なくなっても結構です。次の問題といたしましては、極めて具体的な問題でありますけれども、ここ両三年前から川崎市の幸区あるいは中原区に所属する新鶴見操車場というものがあります。この跡地の再開発利用という問題でそれぞれ関係者が相寄り相集まって、今プロジェクトでも組むという前段の話し合いが進んでおるようでございますが、これまた私も何回かあそこを歩き、行って見ておるのでありますけれども、あの隣接の市町村にしてみれば最後に残されたような開発地点、こう見てよろしいかと思います。また、あの開発が全体の町づくりに役立つか、あるいは特定化されるかによって相当大きな今後の影響が出てくるだろうというふうに思います。したがって十分な御検討を関係者の間でなされておると考えますが、今どんなふうな計画でどこら辺まで進んでいるのかということをちょっとお聞かせいただきたいなと思います。
  351. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 新鶴見操作場につきましては、先生も今御指摘ございましたように、新川崎駅周辺地区整備計画調査委員会というものが地元の川崎市、横浜市、神奈川県、それに国土庁、建設省、住宅・都市整備公団、国鉄、学識経験者、こういった構成で組織をされておりまして、この川崎地区にございます新鶴見操車場を都市開発のためにどういうことで役立てていくことができるかという検討を続けておられるわけでございます。  ちょっと話が前後いたしましてまことに申しわけございませんが、現在国鉄といたしましては膨大な長期債務の償還に充てるために、いわゆる五・八兆、二千六百ヘクタールとされております非事業用地を生み出すべく、全国鉄用地につきまして将来の事業の姿を予想した上で最大限生み出すということで全力を挙げて検討している。この新鶴見操車場もその全国で検討している一環という位置づけにあるわけでございますが、この委員会は五十八年に設置をされまして、現在までに委員会の回数としては六回開催をされております。  御承知のように、やはり今の新鶴見操車場と申しますのは、抱き込みヤードと申しておりますが、本線が両側にある、真ん中に仕分け線がある。その中には機関区等の設備もある、あるいは貨車区の設備もあるということでございまして、今後の新事業体におきますところの貨物事業を考えまして、一体どういう設備がどの地区になければいけないかということが当然あるわけでございます。また、線路が両側にあって真ん中だけがあいてしまったということでは使えないわけでもございますし、それから御承知のように、今までの状況といたしましてはいわゆるオフリミットと申しますか、一般の方々の立ち入りのできない区域ということになっておりますために、道路もろくすっぽございませんし、それからまた下水道でございますとか電気でございますとか、宅地として利用するための基盤的な施設も欠けているわけでございます。そういったものを含め、かつ、周辺のもっと広域な土地の利用計画といった点から、この地区をどういうふうに使ったらいいかということで鋭意検討を進めてきているわけでございます。  今の段階で最終的な結論に達するには至っていないわけでございますが、さらに恐らく、この今まで続けてまいりました検討の作業は今後とも引き続き都市みらい等の場に移されまして検討が続けられていくことであるというふうに理解をいたしております。
  352. 小川泰

    小川(泰)分科員 中間報告でも何でもいいのですけれども、大方どの辺に出てくると見通されますか。
  353. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 まだ結論を得るためには今後二年近くを要するのではないかというふうに考えております。     〔主査退席、久間主査代理着席〕
  354. 小川泰

    小川(泰)分科員 できましたら、こういう場ではなくて結構なんですが、現状を知らされる範囲内で後でちょっとデータでもいただくと大変ありがたいなというふうに思っておりますので、それは後に譲らせていただきたいと思います。  そこで大臣、これは大臣だけにお答えいただく物の考え方かどうかわかりませんが、今のお答えの中にもございますとおり、国鉄がやがて民営という発想で国民の前に出てまいりましょう。そうなりますと、どのくらい負債があって、どう埋め込んで、次どんな体制に持っていくかというものもぼちぼち示され出してくる、これはそれでよろしいと思います。  ただ私は、これは国土庁あたりの見解になるのか、どうも分かれちゃっているものですから、どこへ的を絞っていいかわからぬですが、この国鉄の持っている土地といい、大蔵省もあちこちに土地を持っている、建設省も持っている、各省庁をひっくるめて言うと、国有地という形で相当な土地が日本国じゅうに今保有されておるということは明らかだと思います。ところが、この認識が、例えばこれは大蔵省の土地ですよ、だから大蔵省ができるだけ有効に使うためにやっておきましょう、こういう発想になりますね。国鉄の問題も、今こんなに、体質を強化するためには持っている土地を有効に、はっきり言ってしまえば、なるべく借金を減すような材料に土地を高く売ってどう有効に埋めていくかという考えになりがちですね。あるいは普通のデベロッパー、土地をどう利用しようかという格好で、ほっておきますと、それはその土地の条件なり環境なりによって高く売れるところもあるし、安くも売れる、こういうものが民間の普通の流れの中で処理されていくなというふうに僕は見るのです。この一面も十分わかるのでありますけれども、しかし、戦後ずっと見てみますと、この土地政策というものが日本の政策の中で一つのセオリーがどれだけ貫かれておるかどうかということを考えてみますと、高度成長時代にはこうだった、その前はこうだった、今度は住宅開発しなければならぬときはこうだというので、ちょっとばらばらにその時代時代に対応し過ぎてきたのではあるまいか、こう見えてならないのです。  そう見ますと、国鉄の土地とはいえ、これは国全体のものなんですね。最終的には高く売ろうと安く売ろうと、回り回って考えれば、国民の財産としてどこかで国民がその利便を求めあるいは負担をしていかなければならぬという大きな立場にあるものだ、こう見た場合に、今回国鉄民営化されるに当たって保有される土地というものは、扱い方によっては日本の土地政策に相当大きな影響を与え得る要素を持ったものではないか。こういう観点で見ますると、これは負債を埋めるためにやたらに高ければいいんだというふうには思いはしませんけれども、まあ安いよりは高く売って借金をなしていこうというのは人情ですから、そういう自然のままにほっておいていいものだろうかどうだろうかということがどうしても私の頭から抜け去らないのです。  せっかく日本がここまできて、こんな大量にといいますか、一様に土地というもの、全国的に見える土地の問題というのは僕は最後に残された非常に幅広く広大なものだろう、こう思うので、土地政策の基本を見直すための活用の題材として格好のものではないかというふうに思っておりますので、そういう観点からこの国鉄の保有の土地をもう一面見ていただく必要があるのではないか。仮にそれが安く売ることによって土地政策のひずみを直し得るというような自信があるならば、当然のごとくそれはオープンに国民の前に示して、そして全体的にはこんなによくなるんですよというようなこともやり得るチャンスかな、やり得る材料かな、こういう側面も一つありはしないかなと思うので、これは運輸大臣にお答えもいただきたいのですが、そういう考え方で見るのも間違いではないんじゃないかなと思うのですが、所感があったらちょっとお聞かせいただきたい、こう思うのです。
  355. 三塚博

    三塚国務大臣 大変重要な、示唆に富んだ提案であろうと思います。実は私、党におりました当時からただいま御指摘のような視点の問題提起をしてみたことがございます。なかなか、土地政策という全体の中でどう考えるのかということになりますと、地価との対応一つ出てまいります。それと、今予定をいたしております二千六百ヘクタールの主要な部門は大東京であり、大横浜であり、大川崎であり、この周辺地区あるいは大阪、中京地区、こういうところであろうと思うのです。その都市の風格をつくり上げてまいりますためのセンターでありますことも事実でございます。そういう中で、都市改造、まさに大都市計画というものを横目でにらみながら土地政策との絡み合いでこの整合性をどう求めるかというのが、国鉄を離れて物を考えましたときの一つの視点に出てくるだろうと思うのであります。  ところが今御指摘ありましたとおり、国有財産の売り払いも、税収の不足をぎりぎり賄うために、これまた大蔵省も公開入礼で、高いところでこれが決着するようにやられておる。またそれは悲しいことで、不正が行われるのではないかという国民的な、あえて申し上げますと相当そういう政治不信に基づく指摘対応するという意味でも公開入礼制度、ガラス張りということになるわけでありますが、やはり正解を求めるという意味ではそれも一つの方法でありますし、特に国鉄は御案内のとおり国民に御負担をお願いしなければ再生できないという大きな足かせを負うておりますものですから、そういう意味で、まず自分の持てる財産、これは国民共有の財産でありますけれども、いずれもマクロで見ますと国民のポケットの中で右から左と、こういう指摘も一面を言いあらわして正解だと思うのです。しかしながら当面、財政運営という点から、また国民負担というお一人、お一人の観点から物を見てまいりますと、やはり国民負担は国民負担である、こういうことでありますので、この二千六百ヘクタールの処理は、予算委員会でも申し上げておりますとおりガラス張りに、公正にこれが処分をされ、私自身の本音を申し上げますと、この担当大臣なものでありますから、できるだけ高い値段でお買いをいただけぬものだろうか、談合などということは絶対行われぬようにこれをやらなければならないな、こう思っておるわけです。  しかし、適正地価対策という問題が一面にあります。ですから、その方向はどうするのか。そうすると公益、国民の利益とは何かという基本論にまた戻りまして議論しなければなりません。しかし、いずれにしても明確に処断をしていかなければなりませんし、そういう意味で、公共団体が都市改造、都市計画ということで主体的な役割を果たしてまいる、転売でどうだこうだということではない、明確な計画が提示をされ、そしてそういう中でそのことが進められるということであれば、そこに国土庁が意図する適正価額という問題に近づいていくのではないだろうか、こういうことであります。  その辺、国民の利益という意味で、どちらを優先し、あるいは優先するということではなくバランスをとって調整をとるということで、仮に財政の余裕があるならばそこで同じ国民の金ということででき得ることもあり得るなとは思いますけれども、なかなか今日、この法案の構成を考え、御提示を申し上げた思想の中ではそれが残念ながら、その前に浸透といいますか、今申し上げたような先生と私に共通点のあります点が直ちに実行計画として、実行案として成らないことは残念でありますけれども、国会の論議を通じながら、これは十年間で土地を売るわけでありますから、どういう状況に相なりますのか十二分にまた御論議を承らせていただき、また政府の側からも申し上げさせていただきまして、いい道を選んでまいりたい、このように思っております。
  356. 小川泰

    小川(泰)分科員 もうこれで私やめますが、ぜひそういう観点も十分取り入れていただいて、これからひとつ検討をお願い申し上げて、終わります。
  357. 久間章生

    久間主査代理 これにて小川泰君の質疑は終了いたしました。  次に、沢田広君。
  358. 沢田広

    沢田分科員 どうも大変御苦労さまでございます。既にいろいろな角度から、いろいろな分野で質問もあったことだと思いますので、なるべく重複はしないつもりでやりますが、ありましたらお許しをいただきたいと思うのであります。  最初に、国鉄当局にお伺いしておきます。  国鉄当局は今、人員、いろいろやっておりますが、私は、今の段階は法案の審議にはまだ入っていないという前提で、提案はしたかもしれないけれども法案の審議にはまだいずれも国会は入っていない、これが今の時点であるとまず理解していきますが、それは間違いないですね。ごっちゃになるといけませんから、その点確認しますが、よろしいですか。
  359. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生おっしゃるように、五本の法律を国会に提出させていただいておりますが、まだ提案理由等もお読みしていない状況でございます。
  360. 沢田広

    沢田分科員 だから、主として現状で聞いていくわけでありますが、今国鉄としては、いろいろ監理委員会その他から言われている勧告といいますか、そういうものについてみずから自主的にいろいろなことをやっておられるようでありますが、いわゆる国鉄自身としての考えでこれはやっておるわけでありますか、それとも監理委員会が答申したからそれを守ってやっていっているということなのですか、それとも運輸大臣から指示があってこういうふうにやっているのですか。いずれにしても、その命令、指示系統の主体はどこかという点についてひとつお答えいただきたいと思います。
  361. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 監理委員会の答申以後、政府の方でも基本的におおむね監理委員会の意見に沿った国鉄改革基本方針閣議決定しております。政府基本的な考え方が決まっておるわけでございます。そういうことで国鉄といたしましても、いわば政府機関ということでございますから政府方針に従いまして改革の諸準備をすることが当然かと思いますが、法案が出ていないうちからいろいろなことをやっておるじゃないかというお話がよくございますが、やはり法案が出てからではなかなか間に合わないいろいろな準備が非常にたくさんあるわけでございます。国会の御審議に十分たえられるように、内部におきましてあらゆる角度から検討、準備を行っているところでございます。
  362. 沢田広

    沢田分科員 そうすると、閣議で決まった方針を体して国鉄みずからの意思で対応しようと努力している、てにをはについて若干の違いがあるかどうかは別として、趣旨としては現在はそういう進行形にあると解してよろしいですか。
  363. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 国鉄が勝手にひとりだけやっているわけではございませんで、政府方針運輸大臣の指示に従ってやっているということでございます。
  364. 沢田広

    沢田分科員 運輸大臣のいないところになりますが、後で委員長にお伺いしますが、法案は今出しかけてきた、そうなると、法案の中身を先取りしてやっているのにはそれなりの意味があるのではないか。法案が出てからでもいいのじゃないかということも一方では考えられるわけですから、国鉄がそれを先取りしてやるのには何らかの目的意識、価値観をそこに求めていると解するのが常識ではないかと思いますが、それは何もない、言葉は悪いですが、でくの坊みたいに言われたとおりに動いていますということではないだろう、もっと目的意識があってやっていることなのではないか。これは余りに読み過ぎていたり評価し過ぎているのかもわかりませんが、この点はいかがですか。
  365. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 もちろん、国鉄には独自にやってまいりました長い歴史がございます。したがいまして、政府方針を丸写しでやっているということではなしに、国鉄自身の動きの中で、大きな組織でございますから多くの人間の気持ちも変えながらいろいろな準備をしていくということは、国鉄の気持ちをそれなりに一つのものにまとめた上でそういう方向に進んでいるということでございます。
  366. 沢田広

    沢田分科員 第三者的にということは恐縮でありますが、今の状況を見ますと、管財人であったにしても新しい会社に更生しようとするにしても、あるいは何とか黒字体制に持っていこうとするにしても、国民の利便を一層強めようとするにしても若干急ぎ過ぎているのではないか、こういうふうに感じます。余りにも錯綜する条件が重なっている、職員に不安、動揺を与えている。そういう面においてもっと落ちついた、将来を展望した処方というものがあってしかるべきだと思います。その点はそう感じてないからそうやっているのだろうと思いますし、何かの目的があるからそうしなければならぬのだということであればそれなりの意味があると思いますが、念のためにその点お聞かせいただきたい。
  367. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 急いでいるかいないかということでありますが、気持ちの上では大変せわしく忙しくやっておるところでございます。なぜそうするかといいますと、全体を考えますと国鉄の現状を一刻も早く健全なものに変えたい、変えなければならない。一日おくれれば六十三億円の赤字が出ますので、それだけ借金が重なるということで、最終的な国民の御負担が次第に積もり重なってまいります。これを一日も早く健全企業に変えまして国民へのしわ寄せを少なくすることが必要であると思うわけでございます。また、門限といいますか将来の時期的な見通しとしましては、はっきり監理委員会の意見にも出ておりますし、また政府方針でも決まった時期までにやるのだということになっております。したがいまして、私どもとしましては、そうした決められた時期へ向かいまして、大変忙しく大変な作業ではございますが、職員全体を挙げまして懸命な努力をしているというのが実情でございます。
  368. 沢田広

    沢田分科員 時間が三十分ですから、基本的な問題をやっていると一時間以上の論議になりそうですからペンディングにします。ささやかな私の発言ではありますが、そういう危惧が今後の国鉄にとって極めて重要な意味を持つものだ、私はそう自負しているわけであります。どうぞ国鉄も悔いを残すことのないように対処していただきたいと思うのです。  そこで念のために、これは通告にはないのですが、青函トンネルの七千億程度かかった費用、利息を加えますと今一兆円を超えている負債、総裁はこれは国鉄の純粋な負債だと甘んじて受けておられる心境ですか。
  369. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 全体の中の位置づけとしまして、青函トンネルの建設目的が、国土の全体的な発展ということもあるでしょうが、当面の目標としましてやはりレールによって本土と北海道を連結するということにもあったわけでございます。でき上がりますれば当然に国鉄が鉄建公団から借り受けまして列車を走らせるということでございますので、なかなか大変な金額ではあるにしましてもこれは国鉄運営すべきものだと考えて今まで来たことは事実でございます。
  370. 沢田広

    沢田分科員 私は、それは国鉄の負債であると自信を持って考えておるのかどうかということを言ったので、若干言いわけがましい答弁であったと思うのです。  では、本四架橋についてはどのように考えておられますか、念のためにお聞かせいただきます。
  371. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 これも今申し上げましたような全体の国土的な配慮、それから道路と一体となった鉄道線路をそこに敷設するという両目的があるということでございますので、なかなか大変な負債ではございますが、いずれ使用料を払って国鉄が使うことを覚悟の上での作業であったと思います。
  372. 沢田広

    沢田分科員 極めて寛容、悠揚として迫らざる心境であられて、貧乏な、破産するような会社がよくもそこまで思い切ってその負債をしょい込んだものだなと敬意を表する次第であります。  時間の関係で続いて、この前運輸大臣と安全輸送をやっていく場合の国鉄の基準についてやりとりをいたしました。これがどういうふうになるにせよ、どの程度が今の輸送のリミットとして確保できる条件か。台風の場合を想定すれば雨量、それから地震、地盤沈下もあるでしょうし、風速というものもあると思うのでありますが、それらの基準についてはどういうふうに考えておられるか。これはやはり国鉄でしょうね。大臣に聞くのはかわいそうで、これは総裁が答えるべき筋でしょう。お願いします。
  373. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 国鉄に限らず、交通事業に従事する者の基本的な姿勢は何といいましても安全輸送に徹するということであるわけでございます。なかんずく国鉄は今一生懸命経営改革をやっております。絶対に安全が第一であるということは、私も全職員に何遍も申し上げているところでございます。  そこで気をつけなければならぬことは、安全は個々の職員の現場における日常の活動の中での気配りといいますか、安全に対する気持ちを絶対に忘れないということがまず第一かと思います。それからまた、今のような改革の時期でありますと、将来の自分の問題等に心が動揺をするということがあって、それがまた安全に差しさわってはいけないということも何遍も言っておることでございますし、また合理化の際におきましても、これも安全に徹した考え方でやる、あるいはまた乏しい工事費ではございますが、安全投資については、これを最重点に実施するというような諸点に配慮しながら安全対策を実行しているところであります。
  374. 沢田広

    沢田分科員 結果的に、もし事故が起こったときはケース・バイ・ケースである、別にもう基準はないんだということのようでありまして、これは若干事実とも相反するし、やはり国鉄の規則の中にはそれぞれ決まった基準があるわけですから、総裁が知らないのなら知らないと言って、そこは抽象的にごまかすような気じゃなく答弁してもらいたいと思ったわけであります。社会一般的な基準を言えば、この前も運輸大臣に言いましたが、風速は四十メートル、雨量は五十ミリ、これは下水道計画の基準がそうなっているという意味で言っているわけであり、震度はおおむね三というのがほぼ守らなければならぬ、それは最小のシビルミニマムとしての基準であろう、こういうふうに私は推定しているつもりでありますが、これも国鉄総裁、そこまでは目が届かない、その辺は適当に職員に任せてあるのだということであれば、もう時間がなくなってきますから、その点一言、どっちなんだか、あるのならある、総裁がそこまではちょっと気を配っていないというなら配っていないと、ここは素直にそう言ってもらって先に進ませていただきたい。お願いします。
  375. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今私が申し上げました抽象的なことは、心構えといいますか、基準をつくるときの考え方の基本である。それぞれ各部門別に安全基準はぴしっと立派なものができております。
  376. 沢田広

    沢田分科員 では、それに到達するためには、例えばどの程度金があればその基準を守る条件になれる、これもアバウトな話で結構ですから、総裁が管理者として見て、いわゆる安全な輸送を確保するためには大体どの程度金が必要かということはもちろん想定されていると思うのですが、その点どの程度だと、大体、見当で結構です。
  377. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今、工事費が非常に詰められてきております。今約四千億でございますが、そのうちの約四分の三ぐらいは安全といいますか、基礎的な取りかえその他の金額に充当をされているものと思います。
  378. 沢田広

    沢田分科員 私の言っているのは、例えばこれが身を変えるにしても変えないにしても、要すれば、いわゆる完全な体で退院をしてそして就職するというのが国鉄の今の考え方だと思うんですね。そうでしょう。療養中で退院をしてさらに働くというつもりじゃなくて、それならば完全に治癒した状態において新しい人生に踏み出す、こういうことだと思う。そうすると予算でどうということじゃなくて、いわゆるそういう状態になるために必要な資金はおおむねどの程度必要になるかということは、総裁考えておりませんか。なければ次へ行ってもいいのです、もう時間がないですから。ただ予算じゃないのです、もしそういう状態にするためには大体どのぐらいかかるのだろうか。経営者とすると、大体次の設備投資と次の安全確保というものは絶対の要件じゃないかという気がするのですが、いかがですか。
  379. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今申し上げましたように、約三千億程度の金額をもってやれば十分であるというふうに思います。
  380. 沢田広

    沢田分科員 これ以上詰めてもまた時間がかかりますので、これは別なときに、あとは残しておいて行きます。  次に、鉄道と航空関係の環境基準について、これも時間の関係がありますから簡単に、鉄道については新幹線と普通線それから私鉄、それから航空は飛行機、この環境基準はあるのかないのか、あるとすればどういうものか、それだけお答えいただきたい。
  381. 浜田康敬

    ○浜田説明員 鉄道及び航空機の環境基準についてのお尋ねでございます。  まず航空機につきましては、昭和四十八年の十二月に定めました航行機騒音に係る環境基準というものがございます。それから鉄道に関しましては、昭和五十年の七月に新幹線鉄道騒音に係る環境基準というものが定められておりまして、それぞれ地域の類型に応じまして二類型に分けて基準値が定められております。例えて申しますと、新幹線鉄道騒音に関しましては、住居系の地域で七十ホン以下、それからそれ以外の地域では七十五ホン以下ということで決められておりまして、なお、それのほかにそれぞれ環境基準を達成すべき目標の期限というものも路線、あるいは飛行場であれば飛行場ごとに定めてございます。
  382. 沢田広

    沢田分科員 それじゃ、それは後で表にして私の方にいただけますか。
  383. 浜田康敬

    ○浜田説明員 はい。
  384. 沢田広

    沢田分科員 はいと返事をして頭を下げましたから、もらえるものと、これは記録の上にとどめておきます。  続いて、若干地元の問題をこの機会にお聞かせいただいておきたいのでありますが、埼京線については、国鉄に大変お骨折りいただいて感謝をいたしますが、宮原の接続は法律で決まっていたと思うのであります。これは私の聞き間違いかどうかわかりませんが、法律ではそうなっているというふうに思っておりますが、そう解釈して間違いありませんか。     〔久間主査代理退席、主査着席〕
  385. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 埼京線につきましては、宮原から大宮を経まして赤羽に至る路線ということで、線路増設に関します運輸大臣の認可を得ているわけでございます。法律で決まっているという先生の御趣旨がどういう御趣旨かちょっとよくわかりませんが、法律に基づきまして運輸大臣の御認可を得ているということでございます。
  386. 沢田広

    沢田分科員 それでは、認可を得ているから、この意味は、国鉄としては施工をするという、まあ途中までもう進んでいるのですが、施工する意思はある、こういうふうに解してよろしいですか。
  387. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 例えば奥羽線の線増でございますとか、あるいは羽越線の線路増設でございますとか、そういったところで運輸大臣の御認可を得ているものは数多くございます。しかしながら、最近の極めて厳しい財政状況の中でそれを凍結している区間というのは大変多くあるわけでございます。(沢田分科員「簡単に言ってくださいよ」と呼ぶ)  それで、今の大宮—宮原間の問題についてでございますが、今、東北線筋、高崎線筋の大宮から先のお客様が都心に向かわれる通勤輸送、私ども、いわゆる中電と称しておりますが、この中電を使っての通勤輸送が非常に厳しい状況にある、大変混雑をしているということについての認識は十分に有しております。また、これらのお客様の数も年々ふえてきているということも事実でございます。したがいまして、我々、首都圏北口と申しておりますけれども、大宮から以北の通勤輸送対策ということについて何らかのものを考えていかなければいけないという認識は十分に持っているわけでございます。しかし、それが必ずしも埼京線の大宮−宮原間ということにつながるものではないということも考えております。
  388. 沢田広

    沢田分科員 つながるものでもないし、つながるものであるかもしれない、この両方の意味があるわけでしょう、一応大臣の認可を得てやったという責任の上から見れば。  次に行きます。東北本線を埼京線に赤羽で乗り入れるという考え方はありますか、これは考え方があるかないかだけでいいですから。
  389. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 配線上大変困難でございまして、恐らく莫大な工事費を要すると思いますので、そういう考え方は持っておりません。大宮あるいは赤羽で乗り入れるという計画は持っておりません。
  390. 沢田広

    沢田分科員 それでは、東北本線は、これはもう現段階においては無理である、こういうふうに理解していいですか。
  391. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先ほど申し上げました東北線、高崎線の中電輸送力の増強をどうするかということにつきましては、現在あの区間に旅客線と並行して、大宮から赤羽を経まして田端を通り池袋に行く貨物線がございます。この貨物線をどういうふうに使うかということが一つの課題でございます。その意味で、既に五十九年からだと思いましたけれども、池袋にホームがございませんのでこの貨物線は赤羽までしか入ってまいりませんでしたが、赤羽にホームをつくりまして、ラッシュ時間帯におきまして東北、高崎各五本ずつの中電輸送を行って、多少でも混雑率の緩和に役立てているところでございます。
  392. 沢田広

    沢田分科員 あとはまたの機会にしますが、上野−東京の新幹線については、国鉄としては継続して東京接続、こういうことで考えていると解してよろしいですか。
  393. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 上野−東京間の工事につきましては、現在大変厳しい財政事情にございますので、運転保安上——と申しますのは在来線の下を入ってくるという工事の計画でございまして、そういったところはほっておくことができない、あるいは道路等との交差のためにほっておくことができないという最小限の工事を今施行している、その範囲にとどまっているというのが実情でございます。
  394. 沢田広

    沢田分科員 東京まで延ばす意思を持っているのかどうかということを聞いているのです。
  395. 三塚博

    三塚国務大臣 これは、新幹線保有機構法というものを出しまして、その法文の中にも明記いたしておるところですが、保有機構が行う工事の中に大規模災害、それと上野—東京間、この二つだけ規定いたしております。ただ、この法律が通らなければいけませんで、今はそれをぜひ通してくださいとお願いを申し上げておるわけですが、それが成立をいたしました、旅客会社も成立をいたしましたという時点において、東日本旅客鉄道株式会社のエリアでありますから、そのときの社長がどなたかわかりませんけれども運行してくれるかどうかそこにお諮りをいたしまして、ぜひというのであれば保有機構の中で進める。  その意味は、資本費を全部ひっくるめますと千百億、残は四百六十億くらいでありますけれども、全部の償還計画がそこに発生をするものですから、そういう点で保有機構がバランスをとることの方が正解だということで、本件に限り保有機構にこのことをお願いする。こういうことを法文上明記したということは、国会の御承認を得て法律に相なりますればこれが進む、こう理解してよろしいと思います。
  396. 沢田広

    沢田分科員 大臣がいない間に、余りせっかちに進め過ぎているのではないか、これだけのものを進めるのには職員の不安、家族の不安、動揺ははかり知れないということを考えたときに、より慎重に、また十分に意向を持って対応することが望ましい、こういうことを総裁要望いたしました。この点は大臣にもお願い申し上げたいと思います。  車検制度の見直しについてはこの前も触れましたが、あわせてこの点もお願い申し上げて、時間一分前でございますが、私の質疑は終わりたいと思います。
  397. 相沢英之

    相沢主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。  次に、宮地正介君。
  398. 宮地正介

    宮地分科員 私は、きょうは首都圏の通勤通学難解消の問題を中心に御質問をさせていただきたいと思います。  ちょうど昭和四十七年、田中元首相が有名な日本列島改造論を発表いたしまして以来ここ十数年、東京都を中心に、我が埼玉県、またお隣の千葉県、神奈川県におきましては、大変な人口急増県になってまいったわけでございます。そうした人口急増県と都心を結ぶ通勤通学の問題というのは大変な社会問題になってまいりました。昭和五十一年十一月に国土庁が首都圏基本計画を発表いたしまして、その中におきまして、「鉄道網の整備に当たっては、混雑の緩和、所要時間の短縮及び安全の確保を図る。このため、複線化、複々線化等の線増、電化、新線建設のほか、相互乗り入れ、鉄道の連続立体交差化、踏切道の整備、追越駅待避線の新設等を図る。」このような立派な計画を発表され、今日まで政府もいろいろと御苦労されながらその対応をしてきたと思っております。  こうした首都圏における通勤通学難を今後どのように解消していこうと新運輸大臣はお考えであるか、まずその辺の所見を伺いたいと思います。
  399. 三塚博

    三塚国務大臣 御指摘のとおり、埼玉県は東京大都市圏に入っており、人口稠密でありまして、通勤通学が大変深刻な状態に相なってまいりましたことも正確に認識いたしておるつもりであります。よって、それぞれの審議会にお願いをしておるものの、答申を見ましても、今申されました国土庁の見解と同一基調の答申なり提言をいただいておるものでありますから、これにしっかりと対応してまいりますのが運輸省としての重要な仕事であろう。特に大都市交通圏の確立は、これだけ過密に相なっておる中で、住民の足を確保し快適な状態をつくり上げるという政治の目的にかなうことでありますので、すべての分野をにらみつつ、あらゆるノーハウを結集しながらこの問題に対応しなければならぬ、このように思っております。
  400. 宮地正介

    宮地分科員 そこで、私は具体的な問題についてお伺いをしてまいりたい。  まず、この永田町を現在通過しておりますところの地下鉄有楽町線の延伸の問題です。地下鉄有楽町線、正式には八号線とも言われておりますが、これの東武東上線との相互乗り入れの問題からお伺いをしてまいりたいと思います。  この問題について、私は、昭和五十二年の分科会以来今日まで、数回にわたりましてその促進のための要請をしてきたわけでございます。営団においても、また運輸省におかれましても多大の御努力をいただきまして、現在営団成増まで開通しております。これがいよいよ来年、昭和六十二年の秋を目途に、九月ごろと聞いておりますが、まず東武東上線の和光市まで営団の御努力でドッキングがされまして、さらに和光市から北上いたしまして、東武鉄道の複々線化によりまして志木駅まで開通は今度は間違いなくいくであろう。今までは五十六年開通説、いろいろと用地買収難によりまして地域住民の期待が延び延びになってきたわけでございますが、まずこの来年秋開通はほぼ間違いないと私たちは信じておりますが、営団総裁、この点についての実現の見通しをどうかお聞かせいただきたいと思います。
  401. 薗村泰彦

    ○薗村参考人 帝都高速度交通営団総裁の薗村でございます。  私どもの営団の業務運営について平素から大変お世話になっております。特に先生今御発言ございましたように、従前から私どもの有楽町線とそれから東武の東上線との輸送事情につきましていろいろ御指導を賜っておりまして、ありがとうございます。  今お話しのとおりで、簡単に申しますと、おかげさまで六十二年の秋ごろまでには、私どもの新線建設の和光市、それから和光市の車庫の工事が終わる手はずになりました。それから東武の方も、お話しのように志木までの複々線工事が進捗してしるように聞いております。予定どおり進んでいることを御報告したいと思います。
  402. 宮地正介

    宮地分科員 来年の秋までに念願の地下鉄有楽町線が東武東上線の志木までまずもって開通の実現が見通しがついた、これにつきましては、関係当局の長年にわたる御労苦に敬意を表したいと思うわけでございます。  さて、この志木までの開通だけで本来的な埼玉県西部地域の通勤通学難解消が解決したとは言えないわけでございまして、最大の問題は、この志木以北に有楽町線、東武鉄道のいわゆる一般相互乗り入れがどう実現するかが実は地元における最大の課題でございまして、私は、当時の運輸省住田鉄監局長時代に、この志木までの開通と同時に、でき得れば志木、さらに川越市あたりまでいわゆる一般相互乗り入れによりまして同時の決着をつけるべく御努力をいただきたい、こういうことを再三運輸省に調停をお願いし、また私も地元におきまして営団の担当の部長さんあるいは東武東上線の担当の部長さん等にもいろいろお願いをしてまいりまして、昨年この志木−川越市までの一般相互乗り入れにつきまして、図らずも営団と東武の間にその協議をするための分科会ができ上がった。その窓口として、きょうお見えの営団においては望月運転部長さんが担当されておる、東武東上線においては東上業務部長の宮田さんが担当されておる、このように伺っておりまして、いよいよその実現にも大変に今御苦労いただいておる、このように私は聞いておるわけでございますが、この点について営団総裁としてはどのように御承知をしておるか、またこの対応について東武とどのように今協議をされているのか、伺いたいと思います。
  403. 薗村泰彦

    ○薗村参考人 宮地先生から今お話のあったとおりでございます。六十二年秋の工事の完成の機会に相互運転をするということで、今お話のございました分科会段階で東武さんと両方で協議を進めているという現状でございます。
  404. 宮地正介

    宮地分科員 これについて、やはり何といいましても民間レベルで協議、大変に御苦労されていることを多としなければいかぬと思いますので、この点について運輸大臣、志木からさらにその先は東武鉄道の現在の線路をお借りして有楽町線が川越市あたりまで延伸するように、それがさらに埼玉県西部地域の通勤通学難の根本的な解決になるんだという立場で民間が大変御苦労されているわけでございます。私は、運輸省当局としてもこの前向きの民間の通勤通学難解消の努力をぜひサポートしていただきたい、御援助をしていただきたい、こう思いますが、簡単で結構ですが、御決意のほどを伺いたいと思います。
  405. 三塚博

    三塚国務大臣 全く同感でございます。営団総裁、大変御苦労いただいております。それと今度運輸省から、複々線化に民間がぜひ取りかかれるように準備金制度、運賃の一部をこれに積み立てて、税の免除をいただきながら取り進めるという諸方策なども出ささせていただきながら、大都市交通推進のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  406. 宮地正介

    宮地分科員 ぜひ来年の秋には、川越市あたりまで地下鉄有楽町線ができるだけ多くの本数が乗り入れされまして、特に埼玉県西部地域、東武東上線沿線地域住民の十数年来の本当に渇望した願いでございますので、さらなる御努力を私から強く御要望させていただきたい、よろしくお願い申し上げる次第でございます。  今のは東側の営団成増から東武東上線への乗り入れの問題でございました。さてもう一つの地下鉄有楽町線の問題は、今小竹向原と新桜台というところで、ここのところは西武鉄道事業主体でございますので通称西武八号線と呼んでいるようでございますが、何といいましても、今度は所沢方面の通勤通学難解消のため、新桜台から西武鉄道への相互乗り入れが大きな課題でございまして、用地買収等で今大変御苦労されておるということも伺っております。  まず、この新桜台−練馬間、この練馬でのドッキングが大変難しいのですが、今どのように進められているのか。また、練馬から北上いたしまして石神井公園までが高架線方式による複々線で、西武鉄道の西武八号線が相互乗り入れをされる、こういう計画が本来でしたらちょうどこの六十一年三月に開通予定ということで今まで御努力いただいたわけですが、残念ながら、用地買収問題等でこれが今相当おくれておるというふうに伺っておるわけでございます。この辺の進捗状況並びにその目標はどのくらいの年次に置いておられるのか。  私、きょう質問する前に西武鉄道さんの幹部にもいろいろお伺いしましたら、大変難しい問題ですが何とか六十五年ごろにはという感じで今努力をさせていただいております、こういう感じも少し伺っているわけでございますが、そういうことであれば、ぜひ運輸省当局もそうした私鉄の御苦労にさらなる御助力もいただきたい、こう考えているわけでございますが、この二点について一まず運輸省どのように把握されているか、伺いたいと思います。
  407. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいまお尋ねのございました西武八号線の新桜台−練馬間の工事でございますが、この工事は、西武鉄道が別途工事中でございます西武池袋線の桜台−石神井公園間の立体交差化事業とあわせて実施するという形のものでございます。ところが、この立体交差化工事につきまして、関係の地元との調整が極めて難航いたしております。したがいまして、新桜台−練馬間の工事につきましても、練馬駅付近の工事の見通しもつかないといったような極めて厳しい状況があるわけでございます。しかしながら、先生も御指摘のように、本工事によりまして西武八号線と西武池袋線が接続することになりました。それによりまして、練馬以遠の西武池袋線の利用者の方にとりましては、営団有楽町線経由での都心への直通短絡ルートが実現する極めて意義の大きい工事でございますので、私どもといたしましても、さらに事業者を督励いたしまして、地元との調整を一層精力的に進めるよう指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  408. 宮地正介

    宮地分科員 今私が申しましたのは、非公式な西武鉄道のある幹部とのいろいろな対応の中で出てきたお話でございますけれども、西武としては用地の買収等で非常に苦しい立場に追い込まれておる。しかし、この問題も、見通しも大変出てきておるのだ、そういうことで、当初六十一年開通予定のこの問題も、六十五年ごろにはということで今大変な努力をしております、こういう大変涙ぐましいお話を伺いました。こういう場でございますからお名前を差し控えさせていただきますが、相当有力な幹部の発言でございます。  私は、これを受けまして、あなたの方でぜひこの問題の解決のためにさらなる決意で頑張っていただきたい。既にそういう目標年次まで出しているということは、これは大変な決意だと思うのですね。これについて簡単に、運輸省、どのようにお考えになっておられますか。
  409. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいまの先生の御指摘の趣旨をよく踏まえまして、今後西武鉄道を指導してまいりたいというふうに考えております。
  410. 宮地正介

    宮地分科員 運輸大臣、西武の堤オーナーも稲門会ですから、大臣と同じでございます。そういう点では非常に意気も投合して、堤オーナーも実業界ではなかなか大変な大物でございますし、久方ぶりの大物大臣でございます。  この問題は、埼玉県の西部地域、特に所沢には、御存じのように早稲田大学がこれからいろいろ進出してくる。三十万人口にはなる。県西部地域の一方の川越と、一方所沢も完全な雄都なんですね。そこに、今そうした地下鉄と西武鉄道との相互乗り入れが大変に重要な時期に来ているわけでございます。どうか運輸大臣としてもここに少し目を配っていただきまして、通勤通学難の解消のために御努力をいただければありがたいのですが、大臣としてこの点どういう御決意をお持ちか、伺いたいと思います。
  411. 三塚博

    三塚国務大臣 今服部局長が言われましたことで尽きるわけでありますけれども、担当局長でありますから、ずけっとした物の言い方がない、沈潜した形の中で燃える決意を彼は言っておると思うのであります。そういう意味で、西武八号線の御指摘については、私としても事業者に対してはもちろん強くその辺を御要請を申し上げながら、地元との調整をさらに進めまして、このことが一日も早いスタートが切れますように頑張ってまいりたい、このように思っております。
  412. 宮地正介

    宮地分科員 さらに、いわゆる都営地下鉄の十二号線の延伸問題について一言だけ伺っておきたいと思います。  これは御存じのように、最近東京都知事も、東京都庁の新宿移転に伴いまして、これを一年繰り上げて何とか開通を早めようと大変熱心に御努力をし始めているわけでございます。これはまさに、新宿から練馬を通って、練馬の光が丘、大泉学園町、ちょうど埼玉県の県境のところまで来るのですね。先ほどからお話ししておりますように、人口急増のこの埼玉西部地域、こうした十二号線が県境まで来るのを見て、やはり埼玉県の例えば新座市などというところは、市を挙げまして、国の力によって何とか埼玉県まで延伸できるような処方せんはないものか、こういう期待も今出てきているわけでございますが、こうした問題について運輸省といたしましてはどういうふうにお考えでございましょうか、お伺いをしておきたいと思います。
  413. 服部経治

    ○服部政府委員 先生も御承知のように、約十五年ほど前に出ました当時の都市交通審議会の答申の中におきましては、十二号線のいわゆる放射線部分でございますが、これは新宿から光が丘までの路線というふうに位置づけられておりましたが、昨年の運政審の答申の中では、これが大泉学園町までさらに延長されまして、そこまでの区間を昭和七十五年までに完成すべしという答申内容に相なっております。さらに、大泉学園町から先、新座方面への延伸につきましては、今後長期的に路線の延長について検討すべきであるというふうな位置づけがなされておるところでございます。  先生もよく御承知と思いますが、現在都が持っておりますこの十二号線に関する免許の内容は、環状線部分と、それから放射線部分につきましては新宿から光が丘までの区間でございます。光が丘−練馬間については既に工事の着手を見たところでございます。  この光が丘から先、まず大泉学園までの延伸を図り、さらにその先、新座方面へ向けての延伸を図っていくということにつきましては、現在東京都が工事に着手しております工事区間の今後の進捗状況を踏まえ、かつ埼玉県方面の地域開発状況ども子細に検討いたしまして、かつまた、広く関係住民の方々の強い要望も踏まえながら、今後に向けて対応してまいりたいというふうに考えております。
  414. 宮地正介

    宮地分科員 今の局長さんの大変に前向きの発言に期待をし、また、私どもも埼玉県知事等に働きかけをいたしまして、住民要望に沿って頑張ってまいりたいと思いますので、その節はまたよろしくお願い申し上げたい、こう思います。  さて最後に、国鉄の川越線の問題につきまして少しお伺いをしてまいりたいと私は思います。  御存じのように、昨年の九月三十日に埼京線が開通になりまして、それに伴いまして国鉄川越線とのいわゆるドッキングに成功いたしまして、新たな新線ができ上がったわけでございます。一つの大きなネックは、もう国鉄当局も御存じのとおり、いわゆる車両基地をどこにつくるかということが最大のネックであったわけでございまして、当初は浦和につくるということでございましたが、この問題はだめになりまして、我が川越の南古谷に車両基地を建設するということになりまして、この埼京線の開通になりました。  言うまでもなく、埼京線の開通は、東北新幹線あるいは上越新幹線の上野乗り入れの最大のかぎを握っていたわけでございます。そうした一つの新線の流れに伴いまして、地元国鉄川越線においても大きな恩恵をこうむったわけでございまして、一つは、大宮から高麗川までの全線が、ディーゼルカーから電化をされるという画期的な工事が完成をいたしました。そして、大宮から日進まで、一部複線化が完成をいたしました。さらには、十両編成の埼京線が、池袋から直通で川越まで乗り入れが成るという大変な恩恵をこうむったわけでございます。  しかし、地元におきましては、これはあくまで暫定的な問題の措置である、本来ならば全線複線電化をしてもらいたかった、あるいは高麗川まで十両編成の直通乗り入れをしてもらいたかった、これが偽らざる地元大宮、川越、日高町住民の願いであったことは、国鉄当局も十二分に御存じのとおりであります。しかし、財政上の事情等によりまして、先ほど申し上げました一つの恩恵に終わっているわけでございます。  さらに、それが今回、三月三日に埼京線がいよいよ新宿まで乗り入れになりまして、大宮−新宿間が三十一分で走ることができるようになりまして、埼玉県の県民も大変に喜んでいるわけでございます。しかし、私どもが先ほど申し上げました一つの恩恵の中で地元、特に車両基地を抱えている川越市民にとっての最低限度の願いは何か、それは川越から新宿まで、何とかもう少し直通乗り入れをふやしてもらいたい、あるいはもう少し時間の短縮ができないかという問題でございます。  現在、川越始発七時から八時までのラッシュ時には、約十八分間隔で四つ出ておりまして、大宮まで約十八分間、そして新宿まで三十一分という、四十九分で大体一時間四本という間引きの直通が出ているわけであります。なぜそのような状態にあるのか、それはもう御存じのとおり、大宮−日進間だけが複線化でございまして、日進と川越の間がいまだに単線になっているという最大のアキレス腱があるからでございます。もしもここのところの約十四キロが複線化になりますれば、恐らく川越から大宮までは十分程度で行ける快速が出せると思います。なれば、新宿までは何と四十一分で行くようになるわけでございます。  そうしますと、現在川越から東武東上線で池袋に出て新宿にお通いの通勤、通学の方々が、国鉄を利用することは十二分に考えられるわけであります。なぜならば、今川越から池袋まで東武東上線で準急を使っても五十分程度はかかるわけでございまして、乗りかえて新宿に行けば一時間を優に超えるからでございます。私はそういう点を考えたときに、この日進−川越間の複線化をするのに大体キロ当たり十億円かかる、百四十億あれば何とかこの複線化ができるということも伺っておるのでございます。  今こそ、厳しい国鉄民営分割の問題等があると私も十分存じ上げております。財政事情の厳しいのも存じ上げております。しかし、この車両基地をつくることに川越市民がどれだけの苦労をし、どれだけの理解を示したかということも御理解いただきたいと思うわけでございまして、そういう点からするならば、近い時期に英断を下して、この日進−川越間の複線化の実現に国鉄は努力すべきではないかと思うのでございますが、国鉄総裁の御意見と、運輸大臣の最後の御所見をお伺いしたいと思います。
  415. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 南古屋の車両基地の建設に当たりまして地元から賜りました御好意、御協力に対しましては、厚く御礼を申し上げる次第でございます。  今先生お話のございました大宮−川越間の線路増設の問題でございますが、先生おっしゃいましたように一キロ当たり十億余りということで、相当巨額な工事費を要する工事になるということでございます。  それで、昨年の埼京線の開通、川越線の電化以降の輸送量を見ておりますと、当面、現在の輸送量から見ますと、まだ輸送力的には十分な余力があるというふうに考えております。大体輸送量が、大ざっぱに申しまして今から約二倍ぐらいふえても、単線設備でもまだ対応できるというふうには考えておりますが、しかしながら、この地区、このたび新宿乗り入れも果たしたことでございますし、そういった輸送改善に伴いましてさらに人口の外延化という情勢も受けまして、輸送量の増が期待できる区間でございます。そういったものの推移を見ながら、線増の問題については検討をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  416. 三塚博

    三塚国務大臣 今岡田専門官の話で、単線でも対応できるのが現状であります、しかし今後の動向を見きわめつつ対応したい、こういうことのようであります。卵が先か鶏が先か、時間があればその論を展開なさると思うのであります。それらを総合判断いたしますれば、東日本旅客鉄道会社都市交通をどうあるべきかということで、新会社がこれに総合的な判断を下す、こういうことの中で地域社会のニーズにこたえ、地域鉄道としての任務を果たすということでありますならば、展望はまたおのずから開けてくるのではないか、このように思います。
  417. 宮地正介

    宮地分科員 今後の御期待をいたしまして、終わりにいたします。どうもありがとうございました。
  418. 相沢英之

    相沢主査 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。  次に、山下洲夫君
  419. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 実は、国鉄問題に大変なエキスパートの大物大臣と、また、過去にたしか二回だと思いますけれども国鉄再建に取り組まれましたまた大ベテランの国鉄総裁でございますので、その大物お二人の方に全く国鉄問題では素人の私が質問いたしますから、懇切丁寧に、だれにでもわかるような御答弁をまずお願いしたいと思うわけです。  そういう中で、私は深く入り込みたくはないわけですが、日本国有鉄道の改革法案が今提出をされ、まだ付託はされていないわけでございますが、その中でその問題にはなるべく触れないように、実は私も二月二十一日の衆議院本会議国鉄問題について若干質問をいたしました。その中で、特にいろいろと余剰人員の問題が今盛んに言われているわけです。私は、余剰人員というより、これは政治的あるいは政策的にこのようなものがいつの間にかつくられてしまった、大変な不快感を感じているわけですし、同時に、私自身は、国鉄分割民営、この問題はどんなことがあってもすべきではない、できれば現行の国鉄で生き生きとした未来の開ける国鉄改革をすべきだという、基本的な考えは違うわけでございますが、いい悪いは別にしまして、何か六万一千人の余剰人員が出ている、こういうことが盛んに言われております。  また、そういう中で国鉄関連企業とか、あるいはいろいろと言われておりますが、公的機関の中に約三万人ぐらいを何とかお願いをしたい。国と地方の方にも分けてお願いしたい、そういう議論もされております。私自身、その中で特に公的機関の地方への部分で若干お尋ねしたいと思います。  せんだっての本会議で私質問いたしましたところ、運輸大臣はこのように答弁いたしています。「他に御転職をいただく方々につきましても、国鉄は本来の姿で御努力をいただいておりますけれども、公的部門政府が責任においてこれをお引き受けをいたす。同時に、地方団体にも、国鉄の果たしてまいりました今日までのこのことから、しっかとお引き受けを賜るように、私からもお願いをいたしておるわけであります。雇用というものは極めて大事なことであります」、このようにおっしゃっています。確かにお願いをなさっていると思うのですが、具体的に地方公共団体に対してどのようなお願いを今日までされてきたのか、そのことをひとつお聞きしたい。  時間がありませんから、ついでにもう一つだけあわせて御答弁いただいておきたいと思いますが、現在、鉄道公安員は何名いらっしゃるのか。よく二千八百八十二名という数字が言われておりますが、現実に何名いらっしゃるのか、そこもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  420. 三塚博

    三塚国務大臣 地方公共団体に対するお願いの仕方は、私自身、北海道知事、四国の知事会代表であります高知県知事、熊本県の九州知事会代表にお会いを申し上げ、東京都知事会会長にお会いを申し上げる、こういうことを行いながら、同時に、地方自治六団体と深い関係にあります自治大臣、自治省の担当官をしまして、国鉄の置かれておる現状の分析の上に立った理解と、さらに公的部門三万人を完遂をいたしますことが国鉄再建のために重要なポイントであります。  政府は、政府みずからの責任でありますから、これを各省にそれぞれ割り当てに近い形で御消化をいただく、同時に、これに準じて採用の一〇%程度国鉄余剰人員のお引き受けをいただけないだろうかというのが六十一年度採用についてのお願いであり、六十二年度以降については、国も一〇%以上の採用をいただくことにいたしておりますものですから、これに準じて御理解をいただけぬか、こういうことで自治省からまたお願いを申し上げておる。  同時に、総務庁長官江崎さん、また事務方の皆々様方にも、行革という立場ではありますけれども、この国鉄再建もまさに行革の最大の目玉であるという観点で、この点についての御協力をお願いをしたい、今のところ三方面からお願いを申し上げておる、こういうことであります。  それから、公安警察官、現在の数字は総括審議官から答えさせていただきます。
  421. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 公安官の現実の数字とかそういうものについて若干誤差があるかもしれませんが、都道府県警察に公安官としてお引き受けいただきたいとしております数字は、今先生おっしゃいましたように二千八百八十二でございます。
  422. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 今お願いをしている御答弁をいただいたわけでございますが、本当に今地方というのは大変な苦しい思いをしているわけであります。と申しますと、地方財政計画の中で見ていただいてもおわかりでございますし、同時にもう一つは、地方行財政改革がどんどん行われている。自治省の指導のもとで地方行財政改革がある前から、地方というのはもともと財源も財政も大変弱いところでございますから、一生懸命努力しているところに、またそのような行革の波が押し寄せてきているわけです。  そういう中で、六十一年度といたしましても、計画掲上人員が全体的には千七百九十六人ふえるわけです。この中には、今御答弁いただきました二千八百八十二名の鉄道公安員も、警察官の増員としてふえる格好になっているわけです。全体的に見ますと、一般職関係によりますと、定員合理化によって七千九百四人から減らされていくという状況であるわけでございますから、幾らお願いをしてもなかなかそのスペースはないのではないか。 一〇%とおっしゃいましたけれども、大都市の自治体は、例えば百人とか二百人とか採用するところはあるでしょう。それはせいぜい都道府県ぐらいでしかないわけであります。そういう中で、実際に数字的には私も正確に知りません、一万とか一万一千とか、あるいはこれは公安員の数字が入っているのかどうか細かいことは知らないけれども、かなり膨大な職員を採用してほしい、このようなことを盛んに見聞きするのが現状であるわけです。そういう中で私思いますのは、現実には、言ってはみるけれどもできないのではないか。  また、自治体には採用基準というのがあるわけです。特に一般職につきましては、年齢が自治体によっては二十五歳未満であるとか。これは大きな国家事業だから国家的な責任でぜひやってほしい、そのこともわかるわけです。わかりますけれども、地方にはそれ以上の大きな事情をまた抱えているわけです。そういう中で、ただ一〇%くらい採ってほしい、十人以下のところはもう採るなということですから、三千三百から団体はあるわけです。だけれども、実際に大きいのはわずかしかないわけです。現実におっしゃることができるか、これは机上のプランではないか、私はそのように思うわけです。  ただ、なぜ鉄道公安員ができるか。昨年も定員はふえておりません、警察官は。定員増で二千八百八十二名が吸収できる、私はそのように判断しているわけですが、いかがでしょうか。
  423. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、地方公共団体においても行財政改革を鋭意進めていただいておるところでございますけれども、そういう中におきましても、地方公共団体におきまして職員の新陳代謝等によりまして採用数があるわけでございますので、国についても同様でございますけれども、国の場合は六十一年度については一〇%以上、六十二年度以降についてはまた一〇%以上の別に定める率といたしておりますけれども、これに準じた措置を地方公共団体にもおとりいただきたいという趣旨でございます。  国鉄改革によりまして本当に国鉄鉄道事業として再生するならば、地方公共団体にとっても地域にとって望ましい交通体系が整備されることになるわけでございます。また、国鉄の余剰人員の雇用の問題というのは、同時に地域の問題でもあるわけでございますので、その点について地方公共団体の御理解を得たいということでございます。自治省の方から大変行き届いた通知を地方公共団体に出していただいておりまして、また自治省の方でブロック別に説明会を行っておりまして、そういう趣旨の徹底を図っておるところでございまして、逐次自治体の方には御理解をいただいているものと私ども考えております。  現実に都道府県あるいは市町村等におきましても、六十五年度初めまででございますけれども、それぞれある程度の数字を受け入れたいということのお申し出がございます。今日まで合計いたしますと約四千人ということになっております。この中には今先生の御指摘鉄道公安職員の点も含まれた数字になっておりますけれども、今後さらに私どもの方はよく御理解を得てこれを進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  424. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 確かに、今私の手元にあるので三千九百人ですか、約四千人ある。今の鉄道公安員の二千八百八十二名が入っているわけですから、これを外しますと大したことはないですね。  県数でいきますと十数県ですか、十数県の二十幾つの市町村が今一応申し出をされているという状況であろうと思うわけです。そういう中で北海道が大変大きいのですが、これは五年間で三百八十人という計画なんです。そのうちの百五十人が、鉄道公安員からと言った方がいいと思うのですが、警察官の増員なんです。あるいは、宮城県は二百人という一応申し出をされているわけです。この中には、まだ何名かわからないけれども警察官も含みますよという格好になっている。東京都みたいな大都市ですら、たったの千二百五十人です。そのうちの二百五十人が警察官ということになっているのです。現実には皆さん方は、一万人くらいは採っていただきたい、しかも鉄道公安官を含めないでということで今計画をなさっているのではないですか。そこはどうなんですか。
  425. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 具体的な数字につきましては、六十一年度は一応地方公共団体一千人ということにいたしておりますけれども、六十二年度以降の分につきましては、公的部門全体で三万人の配分ということになります。これにつきましては、昨年十二月十三日に国鉄余剰人員対策基本方針を決めました閣議決定に基づきまして今後詰めてまいりまして、本年秋までに分野別の国鉄余剰人員の採用計画というものを決めることにいたしておりますので、その中で明らかにすることといたしております。  なお、先生指摘の約四千名の中にはもちろん鉄道公安職員が入っておりますけれども、これは申し出のありました府県の中で含まれているわけでございまして、二千八百八十二人という数字をそっくり引くということにはなりませんので、念のため申し上げておきたいと思います。
  426. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 いずれにしましても、国鉄分割民営化しようというのは政府がその方向を出しているわけでございまして、その最高責任者は運輸大臣でございます。同時に、国鉄総裁も職員に対する最高の責任者でもあろうと思うわけです。だから、何人たりとも路頭に迷うようなことは絶対してはいけない。そういう意味では、地方自治体も運輸省あるいは国鉄がお願いしている一〇%なら一〇%を喜んで採用していただく、このような環境をつくる一定の責任はあろうと思うわけです。しかし、先ほども申し上げましたとおり、行財政改革はやる、適正定員ということで、言うことを聞かなかったら場合によれば起債のカットをしますよというような、自治省の強圧的な指導がここ数年行われているわけなんです。  そこで、二十二、三歳の若い国鉄職員を地方自治体に受け入れよというなら、話はわかりますよ。残念ながら、そういう人は国鉄には一人もいないのです。今日、若くてもみんな二十四、五歳から上なんです。地方自治体としては、四十歳の方を採用するより、十八歳か二十歳の新進気鋭の人を採用した方が人件費も安いし、あるいは将来その職業に適応するのも早いでしょうし、すべていいわけです。一方、国鉄職員にいたしましても、国鉄に入社されますときには、少なくとも生涯国鉄国鉄マンとして過ごすのだという誇りを持って入社されたと思うわけです。それも無試験で入ったわけではない、国鉄の試験に立派に受かって採用された、そういう方なんですね。  そういう方が例えば地方公共団体へ移られるということになりますと、自治省の第五〇号通知というのがあるわけです。これは公務員部長から各都道府県に出されています。また、市町村にもこの趣旨を徹底されたいということが書いてあるわけです。「地方公共団体における国鉄等職員の受入れについて」という中で、「国鉄等職員の受入れ手続及び任用方法等」というのがあります。  この中で、私は二つばかり大きな問題があるなと思うわけです。これは、今日の状況からいえば、地方の側からすれば当然のことでもあろうと思うわけです。それは何かといいますと、「地方公共団体において国鉄等職員を一般職の職員として受け入れるにあたっては、地方公務員法に定める能力の実証等所定の原則及び手続に則り、採用を行われたいこと。」その後続いておりますが、時間がないから読みません。  三番目にこういうことが書いてあります。「国鉄等の在職期間に係る退職手当について地方公共団体に負担をもたらすことのないようにするため、」ここが大事なんですが、「国鉄等の退職日と地方公共団体における採用日との間に必要な期間(一日以上)を置く措置を講ずることについて国鉄においても了解済みであるので、適切に対処されたいこと。」  総裁に答えていただきたいと思うのですが、「国鉄においても了解済み」というのはどういうことですか。一遍生首を切るということですか。
  427. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 自治体に非常に大変な中にも受け入れをしていただくわけでございますが、いろいろな条件の問題がございます。給与をどうするか、格付がどうなるか、あるいは退職金、年金の問題等もございます。一番問題は退職金だと思いますが、今そこで表明されているのは、一応退職手当を支払うという趣旨であると思います。それによって新たに地方公務員になるということで、一日置くというようなことだと私は理解いたします。
  428. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 「国鉄においても了解済み」となっているのですね。国鉄で退職金を支払って、一遍退職してから受け入れますよ、こういうことを自治省は指導しているのです。だけれども、今日の国鉄職員は、国の機関であろうと民間機関であろうと、あるいは地方の公共機関であろうと、行こうとされる方は、自分の意思で喜んで行こうとしているわけではないのです。一つには国策として行こうとしているわけです。なぜ一たんそこで、将来にわたって大きな不利益をこうむる首切りをしないといけないのですか。また、そこをなぜ国鉄の方で了解をしないといけないのですか。その辺についてもう一度総裁答弁してほしいのです。
  429. 澄田信義

    ○澄田説明員 先ほど雇用対策本部からお話がございましたように、地方自治体に対しましてそういった御指導を雇用対策本部からもしていただき、また自治省からもしていただいておる折からでございますので、私ども国鉄といたしましては、あくまでも職員の希望を前提といたしまして、希望者の中からそういった地方自治体の方へ行ってもらっているという状況でございます。決して今おっしゃるような強制とか命令によってということではございません。
  430. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 そんな答弁をされたら、だんだん横道へ入って質問がしにくくなってくるのだけれども希望希望と言いますが、あのアンケートにしたって強制でしょう。しなかったら、駅長さんや助役さんが呼びつけているのですよ。そんなごまかしを言ってはいかぬですよ。そんなことをおっしゃるなら、初めから希望をとらなければいいじゃないですか。そうでしょう。なぜ一遍やめさせるということを約束するのですか。国鉄に採用された皆さんは、国鉄の試験を受けて採用されているのでしょう。同じ公的機関じゃないですか。だから、公的機関から横へ移るのは、当然移れるじゃないですか。  これは余剰人員問題ではないのですけれども、ちょっと例を申し上げます。沖縄返還のときの国会ですよ。琉球政府の職員は、すべて身分をそっくり保障されて、国家公務員あるいは地方公務員に移されたわけです。六十八回国会の内閣委員会でこういう質問がされているのですね。琉球政府の職員の国家公務員への身分の引き継ぎについて、裁判所関係を含めると六千七百人くらいの予定になっている、この引き継ぎに当たっては、解雇者を出さず、配置転換については本人の希望を尊重してやってもらいたいという沖縄側の強い要望があるが、その点はどうか。これに対して、当時の山中総理府総務長官はすばらしい答弁をしていますね。大臣もぜひやってほしいのですけれども、もちろん人員整理は一人もない、引き継ぐ職員について、国家公務員であるから、一片の辞令で沖縄県以外の地に配置される可能性があるが、そういうことはやらない、必要ならば琉球政府あてに公務員担当大臣としての覚書を出してもよろしいと言っている。ここまではっきりした答弁をされているのですね。本当に一人も血も涙も出ない、かえって琉球政府の職員に喜ばれたのじゃないかと思うのですね。そんな答弁をしています。  そういう中で、やはり財政的な面倒を随分国が見ているのですよ。だから地方自治体にしましても、例えば一万人採っていただきたいというのであれば、今定員が仮にAという村は百人だ、そうすれば、例えば二人採ってもらいたいといえば、二人分の財政的な面倒を見ればいいじゃないですか。そして採ってください、その分住民にうんとサービスすることを考えてください、そういう処置で一万人なら一万人分、三万人なら三万人分公的機関でやればいいじゃないですか。だって、分割して民営にすればバラ色になるとおっしゃっているのでしょう、本屋さんもすぐ開店できるしと言って。それが最近のあれではちょっと変わってきているようですけれども、その辺はどうなんですか、大臣
  431. 三塚博

    三塚国務大臣 これは沖縄の場合の独立のときのケースとまた違うわけでして、国鉄改革はまさに行政改革の最後の目玉と、わかりやすい言葉でそういうことになっております。というのは、この鉄道を死に体にするのではなくして、国民鉄道として、地域鉄道として新生、再生をさせなければならぬ。そのためには、民鉄並みといっておりますが、軽量経営で人件費の節減を図りつつ、言うなれば一人一作業ではなく、一人三作業も四作業も五作業も、血みどろの努力の中でこの鉄道を再生させるようにしなければならないのではないだろうか、こういうところにあるわけですね。  鉄道は、政府から国民の税金によって、それぞれ六千から七千億円の助成を得つつ今日まで来ましたが、再建の見通しがなかなか立ちませんのでここまで来たわけですね。そこで六万一千の余剰人員であります、こういう結論になりまして、三万の公務員部門をどうするのかという今山下さんの議論であるわけです。地方公共団体、行政改革をやられて御苦労いただいておることもよく承知をいたしております。ですから、御採用いただける都道府県においてもこのことに今理解をいただいてきておるわけでありますが、県庁所在地の市は、おっしゃるとおりそれなりの御理解を得ております。それは財政支出が苦しい、また鉄道の恩恵にストレートにあずかっておらぬ地域はなかなか出てこないと思うのです。これを強制的にどうだというわけにはなかなかまいりません。  地方自治体も独立団体でありますし、自治労の皆さんも、何か先般の大会の模様をマスコミ紙上で拝見をさせていただきますと、我々も地方財政改革で苦しいので受け入れるわけにはいかない、反対、こう言われておるわけですね。やはり私は、それはそれぞれのお立場で言わんとすることはわからぬわけではありませんが、こういうピンチのときはお互いが助け合うということの中で御理解をいただくということが、労働者連帯という意味で大事なことではないだろうか、こういうふうに思います。だからといって、私はそれを押しつけるつもりはさらさらありません、団体が別なんでありますから。  ですから、国に準じてただひたすらお願いを申し上げる。今日置かれておる鉄道の状態を御理解いただく。今日まで、ここまで来ましたのも、日本国有鉄道が近代化、地域開発という意味で果たしてきた役割も、それなりに御理解をいただけるのではないだろうか。さらにそのことが、今後一体的な取り組みをいただきますならば、地域鉄道としてまた再生も可能であるし、ぜひそうせしめていかなければならない。こういうことでありますならば、そのことが最小限御理解いただけるでありましょうし、それが鉄道のある町ということで今後の四全総の中でも地域開発というものが進むということでありますならば、今日ただいまの時点ではそうでありますけれども、一年後どうなるのか、二年後どうなるのか、政治は絶えずあした、一年先を展望しながら地域開発というものを進めていくわけでございますから、そういう中でその雇用条件というものもまた変わっていくでありましょうしと、こういうふうに思いますし、その辺のところは相手様の御判断でありますけれども政府とすればひたすらお願いを申し上げる。  国の財政は、もう既に御案内のとおり大変な状況の中で再建の厳しい取り組みをいたしておるわけでありますから、そのことで人件費補助を与えてお願いをするということは到底不可能なことであって、それができるくらいであれば、これはそのままの状態でいけるはずであります。そういうことなどを御理解をいただきまして、格段の御鞭撻を賜りたい、こう思うわけであります。
  432. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 時間がなくなったようですから最後にしたいと思うわけですが、私は全く逆だと思うのです。鉄道の恩恵をこうむっているところでも、採用したくても採用できるほどの基盤がないのですね、残念ながら地方自治体にしましても。  私は、名古屋駅から各駅停車の鈍行で行って一時間二十分ぐらいのところに住んでいるのですが、中津川市という五万二千の人口なんです。そこに国鉄職員だけでも、現職で管理者すべて含めて五百五十人ぐらい住んでみえるのです。その隣に恵那市というのがあるのです。人口三万二千人です。そこは古屋元自治大臣の地盤です。そこの市の職員が四百人ぐらいです。国鉄職員もやはり四百人ぐらい現職で住んでいるわけです。それぐらい大勢いらっしゃるのですよ。では、中津川市が昨年何人職員を採用したか。たったの七人ですよ。そこに百倍くらいの競争率になるのですよ。採りたくても揺れないのですよ。  では、国鉄の恩恵をこうむっていないかと思えば、大変こうむっていますよ。通勤通学や大変な恩恵をこうむっていますし、あるいは町づくりのためにも随分恩恵をこうむっているのです。そしていざ採れといったって——いや、採りたいと思うのですよ、地方自治体も。だけど、定員外で採りますと自治省にしかられますからね。起債がカットされますからね。だから、それをされないように環境づくりをするのも、国鉄を国策としてやられるなら、同じように国策として自治体に対しても採れる環境づくりをするのはやはり政府の責任じゃないですか。その答弁をいただいて、時間がなくなりましたから終わりたいと思います。
  433. 三塚博

    三塚国務大臣 御採用いただいて、自治省が行政上で差をつけるなどということはさせないようにいたします。きちっといたしますから。
  434. 山下八洲夫

    山下(八)分科員 終わります。
  435. 相沢英之

    相沢主査 これにて山下洲夫君質疑は終了いたしました。  次に、津川武一君。
  436. 津川武一

    津川分科員 国鉄分割民営をめぐって今後地方ローカル線はどうなるのか。赤字を理由に切り捨てられるのではないかとの不安が広まっております。国鉄再建監理委員会の最終答申によれば、「旅客鉄道会社国鉄から経営を引き継ぐ鉄道路線は、特定地方交通線を除く全線区とする。」こうなっております。特定交通線については、「バス転換等を図ることが必要である。」と、廃止も打ち出しております。  そこでお尋ねします。特定地方交通線とは何であるのか、どういう基準で決めているのか。五能線、津軽線はどうなるのか、お答えを願います。
  437. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 特定地方交通線とは国鉄再建特別措置法によりまして一定の基準を明示してございます。同法に基づきます政令等で基準が明確になっておりまして、大ざっぱに申し上げますと、乗車密度が四千人未満の線、鉄道特性のない線、若干の例外規定が置いてございます。そういうものに該当するもので国鉄運輸大臣特定地方交通線としての承認申請をする、承認されたものが特定地方交通線となる、こういうことでございます。  そこで、御指摘の津軽線と五能線でございますけれども、これにつきましては、地方交通線ではございますけれども、ただいま申し上げましたような基準に照らしますと、現在のところでは特定地方交通線とは考えておりません。恐らく国鉄からそういう意味で申請があるということはないだろう、かように思っております。
  438. 津川武一

    津川分科員 現在のところではというのはやはりひっかかるのです。そこで、これは現在のところでなく、もう廃止しないという線ではっきりさせていただきたい、これが一つ。  もう一つ、新しい会社に引き継ぐというが、新しい会社で大丈夫かなという心配が出てくるわけです。監理委員会の答申では、地方交通線について会社の健全経営を阻害することのないように運営しろと注文をつけております。逆に、赤字ローカル線は会社の健全運営を阻害すると称して次々と廃止していくということにならないのでしょうか。民間私鉄の場合、経営全体が黒字でも、赤字線については反対があっても容赦なく廃止する例が各地で見られております。今回の分割民営化によって、赤字ローカル線、五能線と津軽線が新会社経営者の判断によって切り捨てられる事態が進むのではないでしょうか。これが地域の皆さんの端的な心配なんです。そうならないという法的な、制度的な、行政的な歯どめがあるのかどうか。この際、地域の皆さんの心配を解消する意味においてお答え願いたいのです。
  439. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 ただいまのところと申し上げましたのは、基本的に、先ほど申し上げましたように、国鉄が承認申請をして、それを運輸大臣が判断をいたすわけでございます。恐らく国鉄は、基準に照らしまして承認申請をしないだろうという意味で申し上げたわけでございます。  それから、新しい経営形態に移りましてから後は、今回の国鉄の改革は、それぞれの会社が私鉄並みの自由な経営、責任ある経営を行う、しかし、それが健全に行えるように国が十分な措置をした上で新しい経営形態に引き継ぐ、こういうことになっております。したがいまして、引き継ぎましてから後は、現在の私鉄と同じように、それぞれの経営形態経営上で判断をすべきことであるというのが原則だと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、長期債務とか年金負担とかそういうものをすべて外しまして、なおかつ適正な人員で効率的な経営を行える、こういう形で新会社を発足させるということになっておりますので、そういう新しい経営形態においてそれなりの経営努力をすれば、十分健全な経営が行えるというふうに判断をしております。したがいまして、現在の私鉄でも決して黒字の線ばかり持っておるわけではございません。それぞれいろいろな線を抱えておりますけれども、それなりの経営努力をして、それらの線を支えて健全な経営を行っておるわけでございますから、新しい経営形態がそれなりの経営努力をすれば、先生指摘のような線区、新しい事業体が承継いたしました線区は、十分これを維持しながら経営を行っていけるというふうに考えております。  逆に申し上げますと、現在の国鉄のままでございますと、どんどん収支が悪くなってまいります。そういう意味でさらに赤字線を支え切れなくなるということになるのではないか。そういうことにならないように今回の改革を行っておるわけでございますから、そういう意味では新しい経営形態の十分な経営努力というものを前提にいたしまして、さような線についてはそれなりの維持が図れるというふうに考えております。
  440. 津川武一

    津川分科員 新しい会社に移ったときに、その心配は全然ない、こうおっしゃられるわけでございますが、心配があるのかないのか、もう一回答えていただきます。
  441. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 新しい経営形態は私鉄並みの経営でございますから、それなりの相当な経営努力というものが前提にあろうかと思います。そのような経営努力を十分すれば、それらの線区は十分経営上も支えていけるというふうに考えております。
  442. 三塚博

    三塚国務大臣 これは津川先生、今総括審議官が言われましたとおり、私の会社ですね、それと同時に地域鉄道なんですね。ですから、その県、地域挙げて、この鉄道は自分の鉄道だ、こういうことでこれを大事にし、これを保持し、進めるということであります限り、この鉄道というのはそのまま残っていくであろうと私は思うのです。  そこで、東日本旅客鉄道株式会社は、関東圏もあるわけですから、そういう中で全体をにらんで、東北の鉄道をどうするかということでありますから、まさにこれは地域の皆さんが、そこで労使一体となったそういう体制になるわけですから、労使一体となってこのニーズにこたえるという真摯な努力がやはり大前提になるであろう。なるほどよくやっているということでありますれば、それは全く理想的な形でありますから、多少営業係数の上でその地域がもたらすものがありましても、経営上良好な状態の中にある中で、そのときの経営者はどなたか私はわかりませんけれども、その経営者は地域を無視して前に進むということはあり得ない、こういうことだと思っております。
  443. 津川武一

    津川分科員 大臣がそう言ってくれれば安心してもいいのですが、それを保証してくれればいいのです。
  444. 三塚博

    三塚国務大臣 御協力をひとつお願い申し上げます。
  445. 津川武一

    津川分科員 御協力ではかなわないんだよ。保証でなければだめなんで、その点、後で答えていただきます。  もう一つ。あの線は、皆さん御承知のとおり、五所川原の西は過疎地帯、五所川原から青森、弘前に寄っているところは人口のふえているところです。あの線が五所川原で二分されて、そっちの西の方はさっきの四千—二千人の基準に合わない、こちらの東の方は四千—二千人の基準に余りにも合う。そこで、分割されて、五所川原より東は残して、五所川原から西は切られる、捨てるという——大臣は一生懸命やってくれる企業だからと言うけれども国鉄であったならば国民の立場というのは要求しやすいのです。私鉄の会社になったら地域の人が困るのであります。  そこで、分割されて、二つに割られて、片っ方が捨てられる心配はありませんか。
  446. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 基本的に、先ほど大臣が申し上げましたように、これからは民営鉄道といたしまして地域に密着した経営というものが行われていくというふうに考えられます。またそのような経営を行っていけるように、今回の改革でいろいろな措置をしたいと思っておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生の御指摘のように、五所川原から東、西というような問題については、まさにこれは、地元においてそれを西、東に分けた場合にどのような影響があるか、そういうこととの関連だと思います。私鉄でございましても、先ほど申し上げましたように、決して不採算なところを切り捨てておるわけではございません。それなりに懸命な経営努力の中で、それなりの地元交通事情とか地元に密着した形での経営の中において維持すべきものは維持していくということでございます。そういう体制ができるような形で会社を成立させていきたいと思っております。
  447. 津川武一

    津川分科員 私鉄は、やはり公共の利益も考えるだろうけれども、利潤追求が中心なわけですね。そこで心配が出てきている。  二、三日前に私のところに地元からの電話があった。五所川原以西では鯵ケ沢高校、深浦高校、木造高校の生徒二千三十五人のうち九百二十九人が毎日利用している、こういう線なんです。また中学校の生徒も、岩崎中学校、深浦中学校、大戸瀬中学校だけで七百五十七人のうち二百七十九人の中学生が利用している。また五所川原というのは地域の中心になっておって、病院の通院も過疎地域から五能線を利用して来ておる、こういう線なんですね。しかも、五所川原以西はバスの便が非常に悪い。国鉄は冬の吹雪でひっくり返されて、機関士が死んだこともある、こういうところなんです。こここそ国鉄として守ってもらわなければならぬ。ところが採算を中心にすると、ここが捨てられる可能性が出てくる。  そこで大臣、五所川原以西を守るということをここで明言してださらないと、私帰れないですよ、これじゃ。
  448. 三塚博

    三塚国務大臣 津川先生も、国鉄改革基本的路線と今後のあり方、よく御理解の上で御質問いただいておると思いますし、おっしゃるとおり株式会社でありますから、利潤追求というのが第一に出ますことは御推察のとおりであります。しかし、鉄道事業は、バス事業もそうでありますが、認可であり、同時に、やめます際もさようなことにつながるわけであります。公共交通という意味合いもそこに付与いたしておるわけでありまして、しかるがゆえに、厳密な審査の上でこれを認可いたしておるわけであります。みだりに経営の論理だけで、これはこれでやめますよ、こういうことにはなりませんし、やめるにはやめるだけの理由が明確にそこに申請として出され、審査の結果、なるほどこれはこれ以上何らの補てんの措置を講ぜずしてやらせることは、本体がアウトになることにつながりかねない、働いておる労働者の皆さんも大変なことに相なるわけでございますから、そういう総合判断がそこに働くと思うのであります。  そこで、また前段に戻るのでありますが、それだけの地域的な諸条件が備わっておるといたしますれば、この地域鉄道である東日本旅客鉄道会社は、そのことの経営にいろいろなノーハウを投じまして頑張るでありましょう。またそれを頑張らせますように、地域も首長さんを先頭に、また公職の皆さん方を中心に相談をしながら、住民一体となった要請運動が展開をされていくということでありますと、今言われたような過疎地とはいいながら高校が三つもあり、中学もあり病院もありということで、社会的ニーズがそこに存在をするということでありますと、私は経営者じゃありませんが、今のお話を聞いておる範囲では、そういうことにはならないだろう。それはまた地域鉄道として地域が一体となって鉄道を守り抜くという大前提がそこにあるわけですし、そういたしますれば、県知事も県議会も、国会議員団も黙っておらないのではないだろうか。  そういう意味で、その場面のピンチをどう切り抜けるのか。そういう点で、余り最悪の話をしちゃいかぬわけで、私はそのままあの線は依然として地方交通線、鉄道として残っていくものであるというふうに実は思っておりますものですから、あえて津川先生が最悪の状態を想定されながら御質問をいただきましたので、鉄道の果たす役割、民鉄でありましょうとも公共性という一面がございますし、地域一体であります限り、鉄道というものは前に進んでいくのではないでしょうか、こう申し上げておるわけであります。
  449. 津川武一

    津川分科員 そこで、三塚運輸大臣は、心情として何か大丈夫であるという希望を表明したけれども、守る、大丈夫だという保証はできないと言ったことを選挙民に、地域の人に話をして、守る運動を展開しなければならなくなりましたが、それでいいですか。
  450. 三塚博

    三塚国務大臣 私が東日本旅客鉄道株式会社の社長に任命されますれば、今、運輸大臣でありますから、それはないと思いますけれども、仮に私がその立場であるなら、また責任を負ってきちっといきますと言えるのでありますが、私はまさに経営に関与いたす立場にないわけでありますものですから、所管大臣として地方鉄道はかくあるべしという運輸省の考え方、また私の考え方を申し上げて、ぜひ守るべく地域鉄道としてこれでいきましょう。そういうことでありますならば、私もどういう立場でありましょうとも、そのときは運輸大臣がどなたか、東日本鉄道会社社長がどなたかわかりませんけれども、ぜひ一緒に参加をして地域の皆さんとやろう、こういうことで参りますということだけは正式にここでお約束できます、こう申し上げます。
  451. 津川武一

    津川分科員 大臣希望的観測と希望的気持ちは地域の人に伝えますが、保証はしてくれなかったということだけ言って、重ねてそのことを指摘し続けていきます。ただ、本当は国鉄を援助したいのですよ、国鉄にもうけていただきたい。  そこで、国鉄にもうけていただく一つの方法として、奥羽線の弘前−青森間の複線化です。単線であるために、わずか四十キロにすぎない弘前−青森間が、特急待ちなどのため一時間半かかることもしばしばです。しかも時間が当てにならない、特急が来ると。したがって、大事な用事を足すときには乗れない。そこで複線化に対する地域の願い、期待というのは非常に高まっているわけです。しかも、この奥羽線と並行して走っている国道七号線の混雑ぶりはひどいもので、スピードアップしようにもどうにもならない状況なのです。  そこで、どうしてもこれは複線化していただかなければならぬ、しかもトンネルは既に二つできておりますし、条件はそろっていると思うのです。複線化のための今後の計画、見通し、地域の人にこたえて国鉄がもうかるように、ひとつ答えていただきます。
  452. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 先生から今お話ございました奥羽本線の弘前−青森間の複線化の件についてでございますが、このうち弘前から川部の間につきましては、既に複線化が完了いたしておりますので、川部−青森間の複線化ということになると承知をいたしております。  この間、川部という都市、青森という都市を結ぶ線路でありまして、地域にとっては大事な線区であるという事情については十分承知をいたしておりますが、何分にも複線化と申しますのは、新たに用地を買収し構造物をつくり線路を引くということで、大変多額な工事費を要するプロジェクトになるわけでございます。そして、やはり複線化の基本的な目的と申しますのは、単線のままでは運べないということになってくる、しかも輸送量もどんどんふえてくる、列車回数も、これは線区によっていろいろ違うわけでございますが、例えば百本を超える、百十本を超える、百二十本を超えるというような状況になってきて、さらにそれがふえ続けるということになりまして、複線化ということが意味を持ってくるというふうに考えているわけでございますが、まことに残念ながら、この間の輸送量は、現在でも単線でありますし、当時も単線であったわけでございますが、過去最大の輸送量に対比いたしますと、旅客輸送量におきまして(津川分科員「わかりました、もういいです」と呼ぶ)六割余り、貨物輸送量において一割ぐらいに落ち込んできておりますので、複線化の見通しは大変厳しいということでございます。
  453. 津川武一

    津川分科員 それが今までの国鉄の態度で、早く複線化することを強く要求していきます。  そこで、複線化を断ったときのあなたたちの態度でした。やっぱり必要なことを認めてくれて、快速列車を出してくれた。これはよかったですよ。朝七時二十九分弘前発の列車は始発から満員です。これが国鉄地域住民にこたえる道でもあり、複線化しないときの——いや、複線化はやってもらわなければなりませんよ、これは引っ込めませんが、せめてもの罪滅ぼしみたいにやったのが意外に当たっておる。そこでもう一列車の増発、増結が強く求められております。このくらいはやってくれてもいいでしょう。  もう一つ。五所川原の付近から県都青森に対する通勤が相当多いので、深浦−青森間の快速列車、奥羽線には快速列車をもう一本ふやす、この二点、答えていただきます。
  454. 須田寛

    須田説明員 今、先生指摘のございましたように、弘前−青森間に現在快速が一往復、それから深浦−青森間に快速が一往復ございまして、弘前−青森間を大体四十分で結んでおります。先生指摘のように、確かに大変よく御利用いただいておると伺っておりますが、この中で深浦から入っておりますものは、もと急行列車であったものを立てかえまして御利用いただいているものでございます。本当のところ、この区間は都市間輸送という性格もございますので、こういった列車はお客様に非常によく御利用いただきやすいものと考えているのでございますけれども、何分にも全体として、今もってお客様の数の減少に歯どめがかかっておりません。特に、快速列車がふえる反面におきまして、特急とかそのほかローカルのお客様がむしろ逆に非常に最近また減ってまいっております。したがって、全体といたしまして、どうもまだひとつ増発という感じにならないわけでございます。ただし、この快速列車が非常に地元の皆様に喜んでいただいておりますものですから、今後列車を立てかえます際に、こういった列車をもう少しふやせないか、全体の本数の中でどういうふうに列車の配列を考えていったらいいか、その辺も含めまして、お客様に御利用いただきやすい列車とするように努力していきたいと思っております。
  455. 津川武一

    津川分科員 時間がないので進めていきますが、青森駅には東北線が入ってくる、奥羽線が入ってくる。これが合流したところに七号線が跨線橋となって青森市に入る。国鉄が単線だからお客さんが車で来る。そうすると、今度跨線橋の橋のところに行くと三十分かかる。だから複線化する、快速列車をつくることが一つと、もう一つは、建設省、来ていますね。橋を拡幅すると、国鉄と相談して両方でやると問題が解消される。拡幅の計画はどうなっているのか、いつ拡幅の工事に着工できるのか、お答え願います。
  456. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今、先生からお話がございました古川の跨線橋でございますけれどもお話がございましたように、跨線橋のところが非常に狭くて、四車線になっているということで、確かに車の流れのネックになっているわけでございます。それで私どもといたしましても、これを拡幅しなければいけないということで、昭和五十五年から調査を進めておりまして、昨年十二月でございますけれども、ようやく都市計画決定を見たわけでございます。車が非常にたくさん通っている場所でございますし、現在の道路を拡幅するということでございますので、技術的にも非常に難しい、それから安全面でもいろいろな対応をしなければいけないということで、この調査にかなり時間がかかりましたが、ようやく昨年十二月に都市計画決定を見たということになっております。  この計画でございますけれども、現在の四車線、幅が十八メーターしかないのですけれども、これを三十・五メーターの六車線に拡幅する計画でございます。それは奥羽本線それから東北本線をまだく部分が三十・五メーター。その前後につきましても拡幅する必要がございますので、前後につきましても、幅がちょっと広くなりますけれども、四十二メーターから四十四メーターという形で、この跨線橋を挟みまして前後五百メーターの区間を拡幅する計画になっております。  その事業の見通してございますけれども、今お話がございましたように、非常に道路交通のネックになっているということでございますし、早く工事を進めてほしいという要請がございます。私どももそういう要請を踏まえまして、現在その事業の実施について検討しているところでございます。
  457. 津川武一

    津川分科員 いつ着工するかまだわかりませんか。早く着工してくれというのが圧倒的な声なんです。大体の見通しでもいいです。いつごろ着工するか。
  458. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今申し上げましたように、緊急性としては非常に高いと考えておりますので、私どもとしてもできるだけ早く着工に持っていきたいと考えております。いつ工事にかかるかということにつきましては、今のところまだちょっとはっきりいたしておりません。
  459. 津川武一

    津川分科員 早くやってくれるように、これはまた後で建設省に交渉に行きますから。  そこで最後は、青森操車場です。青森市のほぼ真ん中にあります。現在ほとんど使われておりません。その上にまとまった広さを持っています。何に使ってもすばらしい用途のところでございます。ここは昔浦町という駅があって、その周辺が込んできたので、この駅を取り払って、その隣接したところが青森操車場です。そこで、青森の東に浅虫という温泉があって、西の方に新城という住宅地帯があって、浅虫と新城間の居住地の人たちが、浦町という駅がなくなったので不便しておるので、この操車場、そこに買い物列車の停留所をつくってください、そうするとお客さんがたくさんふえて、国鉄国民から喜ばれて、もうかるわけなんですが、この買い物列車の停留所をつくるという計画、聞いたことがありますか。これをひとつやってくれますか。
  460. 須田寛

    須田説明員 先生指摘のように、青森操車場は青森の繁華街に非常に近いところにあって、もと旧駅があったということも承知をいたしておりますし、地元にそのような御要望があることも承知をいたしております。ただ、今御指摘がございましたように、青森操車場の跡地をこれからどのようにしてまいるかということが一つ基本にございまして、この点につきましての方向がまだ出ておりませんので、青森操車場の跡地の利用方法の決定を見ながら、駅の問題につきましても検討していくべきものかと考えております。
  461. 津川武一

    津川分科員 まだ用途が決まってないなら、なるべくそういうふうにしてほしいと思うのです。  そこで、次の質問を二つばかりいたします。  分割民営化で売却地に入っていますか。もし売却地として入れているならば、簿価は幾らになっていますか。この二点。
  462. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 御承知のように、青森操車場につきましては、将来例えば津軽海峡線連絡鉄道の機関車基地として重要な役割を担うというような位置づけもあるわけではございますが、いずれにいたしましても、現在国鉄といたしましては、その抱える大変膨大な長期債務の処理に当たりまして、国民皆様方に多大の御負担をお願いするということにかんがみまして、すべての国鉄用地の中から最大限の用地を生み出す、それによって債務の消化に充てるということで、国鉄の持っている所有地すべてにわたりましていろいろ検討いたしているところでございます。そういった意味で、御指摘の青森操車場につきましても、今のような観点から検討の対象にしているわけでございますが、ただ、現在の時点で、それを債務消化の対象用地として売却するかどうかということについては、まだ見通しを得ているわけではございません。なるべく早急に検討詰めまして、それらにつきましては政府とも御相談の上、また取り扱いについてはいろいろ御相談をしてまいりたいと思っております。
  463. 津川武一

    津川分科員 これで質問を終わりますが、大臣、町の真ん中で、しかもまとまった非常にいいところで、市民生活にとっても、公用地としても非常に需要の多いところなので、下手な売却地にしないように、御意見があったらひとつ教えていただいて、質問を終わります。
  464. 三塚博

    三塚国務大臣 今、岡田常務が言われたことで尽きようかと思います。それで主要駅の周辺の用地というのは、いつも活用可能性に富んだ土地でありますことは御案内のとおりであります。適正に、ガラス張りで、その処理、それからその利用というものが行われるように、私自分も願っておるところであります。
  465. 津川武一

    津川分科員 終わります。
  466. 相沢英之

    相沢主査 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤徳雄君。
  467. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 きょうは私が最後のようであります。今ほど御質問されました津川先生、私も、大臣も同じ東北でありまして、きょうの締めくくりは東北で国鉄問題を行うことになるわけでありますが、特に運輸大臣国鉄の専門家でもありますし、大物大臣でもありますから、どうぞひとついい答えを出していただきたいと冒頭お願いを申し上げておきます。  大臣の隣の県は岩手でありまして、今盛んに運動が起きております盛岡−青森間の東北新幹線の延長計画、この現状は一体どういうふうになっておるのでしょうか。進行状況並びに着工見通しについてお尋ねいたします。
  468. 三塚博

    三塚国務大臣 ただいま御案内のように、工事認可申請を受理をいたしまして、新青森駅周辺整備事業というので昨年暮れに起工式を行った、こういうことであります。要すれば、工事認可申請書を受理をし、審査をし、そして認可をいたしませんければ、本格着工ということにならぬわけでありまして、そのために昨年八月二十二日政府・与党の申し合わせによりまして、財源等検討委員会というのが関係閣僚を中心として構成をされたわけであります。そこで財源、事業主体、運行主体、並行線のあり方、こういうものを協議をしまして、本年度末までに結論を得たい、それが出ましたならば、五十七年の閣議の変更手続をいたしまして認可を与える、こういうことで着工へと進むことに相なっておるわけでありまして、検討委員会を精力的におやりをいただき、結論が出るように進めたい、こう思っておるところでありまして、ただいまの段階では今申し上げたことが現状であります。
  469. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 数多くの質問を準備をしてまいりましたが、本当は最後ですからゆっくりやりたいところでありますけれども、時間的限定もありますので、端的に質問をいたしますので、大臣並びに関係者の皆さん、端的にひとつお答えをいただきたいと思います。  私は、国鉄が現在のままでいいとはもちろん思っておりません。きょうのテレビでも我が党の改革案を放送されておりましたが、いずれ運輸委員会を中心にいたしましてかなり多くの議論になるだろう、こんなふうに思っておるわけであります。  そこで、去る二月三日の予算委員会で我が党の田邊書記長が質問をいたしまして、大臣が非常に重要な答弁をされております。予算委員会会議録を丹念に読みましたが、読めば読むほど私にとりましてはさらに多くの疑問を持たざるを得ません。そこで田邊質問に関連することにもなるかもしれません。国鉄再建に当たり、長期累積債務の処理について、国民は御承知のとおり重大な関心を持っておりますし、それだけに国民に対してわかりやすくしかも正しくその内容を明らかにしなければいけない、こう思うのであります。私は私なりの調査資料に基づきまして具体的に質問をいたします。明確にお答えください。  その第一は、田邊質問に対して国鉄再建監理委員会の委員長であります亀井参考人が、長期累積債務が約二十五兆四千億円と答えておりますけれども、間違いございませんか。
  470. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 国鉄が現に借金している債務、国鉄長期債務昭和六十二年度首における監理委員会での推計額は、「意見」にも明示してございますように、二十五兆四千億円と推計いたしております。
  471. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 同じく亀井参考人は、「土地の売却並びに株式の処分ということでぎりぎり結局十六兆七千億残りますので、これは結局、国鉄の借金というものは、これは日本国有鉄道国民の財産でございますから、やはり借金も結局は間接的には国民の借金ということになるので、これを国において処理をしていただきたいというのが私どもの意見でございます。」と答弁しておりますが、間違いございませんか。端的に答えてください。
  472. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 そのとおりでございます。
  473. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 また、「明らかに既に使っていないという遊休土地がございます。そういうものを一々推定をいたしまして、合計二千六百ヘクタール、合計五兆八千億という数字を出した次第でございます。」と答弁しておりますが、間違いございませんか。
  474. 吉田耕三

    ○吉田(耕)政府委員 そのとおりでございますが、意見書に明記してございますように、売却可能用地として我々は少なくとも二千六百ヘクタール程度、価額で少なくとも五兆八千億程度というぐあいに明記しているところでございます。
  475. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 さて、政府は一月二十八日の閣議で、国鉄長期債務の処理の基本方針、つまり亀井参考人答弁国鉄用地売却として合計二千六百ヘクタール、五兆八千億円、国の処理として十六兆七千億円を決定しているわけでありますが、そのように理解してよろしいですか。
  476. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 この閣議決定におきましては、再建監理委員会の「意見」によればこうなるとされているこの長期債務について、こういう表現を使っております。
  477. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 運輸大臣大臣答弁をされております。その中身は、「ただいまの御質問基本は、考え方とすればそのとおりでありまして、高い値段で売れますることを私どもも実は期待をいたしておるわけであります。十六兆七千億が十五兆になり、十四兆に相なりますことを願う、当然その分だけ国民の負担が少なくなるわけでございます。」こうお答えになっているわけでございます。今でもその気持ちは変わりありませんか。
  478. 三塚博

    三塚国務大臣 変わりません。
  479. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 それでは、次の質問に移ります。  国鉄本社本社用地プロジェクトチーム用地調査室というものがあるはずでありますが、現在どのような機能を果たしておりますか。
  480. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 そのような組織と申しますか、そういうプロジェクトチームを設けておりまして、現在国鉄の持っておりますすべての土地の中から、将来の事業の姿を見通した上で最小限事業に必要となる土地はどこであるか、したがってどの程度の土地を、先ほどからお話のございました債務償還の対象に充てることができるかということについて鋭意作業を詰めているところでございます。
  481. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 用地調査室というのはありますね。
  482. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 ございます。
  483. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 線引き作業スケジュールによると、六十年八月から十一月までに旧国鉄保有分の確定、売却用地リスト案の作成、これは地方、本社調整を行い、さらに各事業体間の用地境界の画定、これは線引き、本社内各プロジェクト分科、また各事業体間の固定資産原簿の確定、これは振り分け、簿価の算定等を行い、十二月に国鉄案確定、これは件名の確定、線引き概要、作業手順の作成等のスケジュールを計画からいいますと完了したことになっているはずでありますが、そのように理解をしてよろしいですか。
  484. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 昨年の秋ごろ発足させていろいろな計画をつくったわけでございますが、その時点におきます作業といたしましては、そのような作業目標を立てたことはございます。しかしながらいろいろな事情がございまして、と申しますのは、大変膨大な作業でもある、それから例えば現に未利用になっている土地ということだけではなしに、現在使っている土地であっても、そこの施設をどこかへ移すというような作業も全部含めての作業でございますので、作業の工程は現実におくれております。
  485. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 私の資料によりますと、線引き作業スケジュールというのは六十年の十月ですね。これは先ほどお答えいただきました。地調査室でつくられたようであります。  さて、線引き作業スケジュールによりますと、六十一年一月より五月の段階までに調整に入り、先ほどおくれているというようなお話がありましたが、スケジュールのとおりにいけば、五月から六月中旬にかけて国鉄最終案が確定をされ、つまり線引き確定がなされる。そして六月下旬にかけて資産評価委員会が開かれて、十月までに政府、監理委員会との調整に入るという計画になっておりますけれども、そのとおり進行する考えですか。
  486. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 これはあくまでも法案の作成なり提出、あるいは法案の成立が、この時点の見通しといたしまして六十一年の五月ごろを予定をしてつくった資料でございます。したがいまして、これらにつきましては、法案の御審議との関係もあり、かつまたその法案の成立時点において確定をするというような問題もございますし、その意味では当時のスケジュールとはかなり大幅に異なってきております。
  487. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 それは国会審議の関係ですから当然だと思います。また、計画計画でしょうから。  しかし、私はまた次にお尋ねしたいのは、六十一年十一月に旧国鉄保有分の確定並びに振り分け確定を行って、承継計画書の提出、同書類の整備を行い、新会社の発足、こういうふうになるんだというふうに理解をいたしますが、ずれがありますから、日にち的にはずれると思いますけれども、間違いございませんか。
  488. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 これは先ほども申し上げましたように、あくまでも昭和六十一年五月に法案を成立させていただけるということであり、六十二年四月には会社が発足をする、新経営形態が発足をするという前提に基づいて立てた作業のスケジュールでございます。
  489. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 二千六百ヘクタールの国鉄用地売却はいつから開始されますか。
  490. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 国鉄長期債務を償還するための用地の売却は、新機構が発足をいたしまして、なかんずく日本国有鉄道清算事業団が発足をし、線引きが確定をいたしまして、その土地が日本国有鉄道清算事業団の手に移りましてから売却が開始をされる、そのように理解をいたしております。
  491. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 日本国有鉄道再建監理委員会は昨年の七月二十六日に「国鉄改革に関する意見」を内閣総理大臣あてに提出をしておるはずであります。その中で、「第一章 国鉄改革についての基本認識」の「国鉄改革はなぜ今必要か」、これがあるわけであります。これは、こういう本が出ておりまして、私も随分読んでみました。この九ページであります。次のことが書かれてあるわけであります。「借金の残高も昭和六十年度末には実に二十三兆六千億円もの巨額に達すると見込まれ、民間会社なら既に破産した状態となっている。また、」云々と、こう表現されております。大臣もそのように理解していらっしゃるのですか、どうですか。
  492. 三塚博

    三塚国務大臣 状態が破産状態と同じだ、表現はそういうことでありますが、まさに危機的状況にあるという認識でほぼ一致をいたしております。
  493. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 まさにそういう状態となっているということですね。文章上は断定的に言っているわけですね。これは重要な問題ですから、後ほど私は具体的に質問をいたします。  さて、そこで、民間企業の場合は、破産認定には債務と同時に資産も明らかにしたバランスシートが不可欠であることは常識であります、御承知のとおり。  それはさておきまして、国鉄の場合、破産をさせないために、いわゆる監理委員会が報告をし、閣議がそれを確認をいたしました、先ほどのお答えのように。すなわち、「「旧国鉄」において売却可能と考えられる用地は少なくとも面積二千六百ヘクタール程度昭和六十二年度価額で五・八兆円程度と推計している。」と書いてあるわけです。それは前段今申し上げました国鉄を破産をさせないために、こういう考え方に立ったと、その部分はそういうふうに理解してよろしいですか。
  494. 三塚博

    三塚国務大臣 おっしゃるとおりです。
  495. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 昭和六十年十二月六日の運輸委員会で、我が党の田並議員の質問に対して、国鉄の杉浦総裁と監理委員会の会長代理の加藤委員答弁をしています。これも読んでみました。  実は、お読みになったかどうかわかりませんけれども、二月二十八日に発行されました朝日ジャーナルに、「初公開 全国“駅前一等地”売り出し予定(面積単価)一覧 詐欺・土地転がしで始まった“列島”切り売り」という見出しで詳細に掲載をされております。それによりますと、東京南鉄道管理局、西、北管理局、千葉鉄道管理局、水戸、高崎鉄道管理局の一ヘクタール以上の売却予定地のみを計算いたしますと、次のようになるはずであります。つまり発生面積、朝日ジャーナルでは処分面積と言っておりますが、先ほどのプロジェクトチームの皆さんがやられている表現は発生面積と表現しているはずだと思うのであります。これは三百五十五・〇九ヘクタール、三十二件。不動産鑑定士によるもの、公示価格、不動産業者等による土地評価を累計いたしますと、三兆八千二百十八億三千万円となります。仮にこの価額で売却したとすれば、国鉄再建監理委員会や閣議決定をされました五兆八千億円を土台にいたしますと、残りは一兆九千七百八十一億七千万円という数字が実は出るわけであります。朝日ジャーナルの中身が正しいかどうかはわかりません。  今度は、朝日ジャーナルの資料ではなくて、私が入手をいたしました、大阪を中心にした資料によりますと、次のとおりになるわけであります。これは五十九年十月調べ、六十年本社調べ、六十年十一月調べで、私の持っている資料では昨年の十一月調べで出ているようであります。これでいきますと、京都の梅小路、大阪の梅田(北)、吹田「信」、ですから信号所か何かだと思うのです。それから兵庫、これは神戸の駅前通り。それから同じ兵庫の加古川。高砂(工)とありますが、恐らく工場跡地だと思います。竜華「操」、これは操車場だと思うのであります。奈良、京都の二条、兵庫県の尼崎港、兵庫県神戸市の生田の湊川、兵庫県の西明石、東加古川、京都府の東舞鶴、西舞鶴、大阪の放天、さらに湊町、京都の福知山、それから兵庫の姫路。件名にして十九件であります。この分だけを計算いたしますと、昭和六十年十一月、国鉄本社用地プロジェクトチーム用地調査室の調べでは、発生面積が百八十六・三ヘクタールとなっています。ただし、これは梅田南の三・一ヘクタールが入っていない数字であります。同用地室で計算した売却総額は三千二百九十九億四千万円となるのですね。その中で、例えば大阪の梅田(北)の場合、用地調査室による国鉄調べでは、これは六十年の十一月調べでありますが、発生面積二十一・○ヘクタール、単価は一平米六十一万四千円となっておるようであります。これを単純計算いたしますと、総額で千二百八十九億四千万円となりますね。  ところが、ある不動産鑑定士に現地に行ってもらいまして調べていただきました。そういたしますと、依頼をいたしましたその不動産鑑定士に報告をいただいたわけでありますが、一平米の単価は何と四百万円と鑑定されています。国鉄というのは日本一の大地主であります。しかも駅前の一等地を皆持っているわけであります。その差は実に一平米三百三十八万六千円という考えられないような数字の開きになっているのであります。不動産鑑定士によっていろいろ計算の仕方があるでしょうけれども、私が依頼をした鑑定士によればということを前置きしておるわけでありますから、そのように御理解いただきたいのですが、その不動産鑑定士による計算でいきますと、発生面積が二十一ヘクタール、単価一平米四百万円の総額は八千四百億円になってしまうのですね。国鉄調べの総額と不動産鑑定士の調べによる総額の差は七千百十億六百万円、まさに膨大な金額であります。国鉄調べと時価の倍率は約六・五一倍であります。その差はお聞きなっておわかりのとおり驚くべき数字であります。  先ほど申し上げました売却予定地を合計いたしますと、国鉄調べによる発生面積は百八十六・三ヘクタール、売却予定額三千二百九十九億四百万円となりますけれども、不動産鑑定士による調べでは一兆二千八百四十五億二千万円となる計算なんです。これは梅田南を除いております。その差は何と九千五百四十五億八千万円でありまして、これまた驚くべき数字の差になっているわけであります。  そこで、関東と関西の国鉄調べによる発生面積は、関東が三百五十五・〇九ヘクタール、関西が百八十六・三ヘクタール、合計五百四十一・三九ヘクタール、これは国鉄監理委員会と政府閣議決定であります二千六百ヘクタールのわずか二〇・八%にしかすぎません。不動産鑑定士や公示価格で計算した関東、関西の総額は五兆一千六十三億五千万円になるはずであります。したがって、監理委員会並びに閣議決定である五兆八千億円から、国鉄調べによるところの関東、関西の発生面積を売却したと仮定した場合の先ほど申し上げた総額を差し引きますと、その残額点六千九百三十六億五千万円になるはずであります。しかも二千六百ヘクタールの二〇・八%でこの額になるわけですから、二千六百ヘクタールを仮に全部売却をしたとすれば、国鉄長期累積債務は計算上はゼロになるかもしれない。あるいは売却総額が、推定でしか申し上げられませんけれども、少なくとも十兆円は下らないんじゃないかというふうに私は判断をしたわけであります。そういたしますと、国民負担分が十六兆七千億円ですから、仮に売却総額を十兆円に抑えたと仮定した場合に、国民負担分は十二兆五千億円に軽減をされる。つまり運輸大臣が御答弁された十五兆から十四兆に、あるいはもっと低くという気持ちがあって十五兆、十四兆という表現をなされたと思うのですが、国民負担分、国が出す分はまさしく軽減をされるわけであります。  きょうのNHKの五時と七時のニュースで放送がありました。そしてすぐに私なりに調べたのでありますが、九段の靖国神社のそばの国鉄の宿舎跡地を売却いたしましたね。発生面積は五百七十四・八九平方メートルであります。単価は一平米一千八十九万円、総額にして、私の計算でいきますと六十二億六千五十五万円、落札者はあしたの新聞に出るでしょうけれども、新光産業株式会社、これは貸しビル業であります。それで十一社で競争入札、これは大体テレビも放送しておりましたけれども、妥当な価格で売却したのではないか、こういう報道であります。東京の跡地というのはかなりあるわけですね。  そこでお尋ねをいたします。時間も余りありません。本社用地プロジェクトチームの用地調査室で既に調べ上げた資料というものを速やかに国会に提出をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  496. 岡田宏

    岡田(宏)説明員 いろいろ先生からお話がございましたけれども、いずれにいたしましても、国鉄のこの用地が実際にどういう価格で売却をされるかということについては、先ほどもお話を申し上げましたように、組織の変更が行われ、現在持っておる国鉄用地のうち非事業用地が日本国有鉄道清算事業団の手に移りまして、そこで法律に基づいて定められております資産処分審議会で審議されまして、そこで売却をされるということであると思います。  国鉄が今いろいろな評価の推計はいたしておりますが、しかし今、先生からお話しございました数字あるいは朝日ジャーナルに出ておりました数字等につきましては、私ども承知をしていないような数字が流れていることも事実でございます。  それから、今、先生からお話しございました九段北の用地については、先生がおっしゃいましたとおりでございます。  なお、どれだけの用地が日本国有鉄道清算事業団の方に移るかということについては、先ほど申し上げましたように、確定をいたしますのは法律が通過して後ということになると思いますけれども、これらの今やっております作業を早急に進めまして、それをどのような形で御報告を申し上げるかということについては、運輸省と十分御相談をした上で対処してまいりたいと考えております。
  497. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 私が聞いているのは、資料の提出をしてくださいと言っているわけですから、答えてください。
  498. 三塚博

    三塚国務大臣 これは申し上げておりますとおり、法案も五法案を出させていただき、来週金曜日に二法案が終わります。そうしますと国会に全部そろいます。それでいよいよ運輸委員会になると思いますが、具体に審議が行われる、こういうときに、十二分にその審議が有効かつ慎重に行われることを期待して、その箇所数だけは提出するように、実は運輸省国鉄にも指示をいたしておるところであります。価格は、これは談合その他の問題が起きてはなりませんものですから、その点だけは御勘弁をいただきまして、箇所数だけを明示させていただきます。イコール総面積が出ます。こういうことであります。
  499. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 大臣、お気持ちわからないわけではありませんけれども、しかし中を調べると、例えば数字の操作をしたのかどうかわかりませんけれども、六十年の一月の本社調べと六十年十一月の調べを比較してみますと、六十年の一月の単価よりも六十年十一月の調べの単価の方が安くなっているのですね。これはどういうものなのか。時間がありませんから言いっ放しでおきますけれども、私にとっては極めて疑問であります。しかも先ほどお答えいただいたように、国民の前にやはり明らかにしなければいかぬ。そうだとすれば、私は国会にその資料を提出を願いたいということを要求しておきます。そうして二千六百ヘクタールの時価による売却総額というものを国民の前に明らかにしていかないと、これは納得できないのではないでしょうか。  大臣、私は今までずっと少し長い時間しゃべりましたけれども、その中身を含めまして御見解を承ります。
  500. 三塚博

    三塚国務大臣 朝日ジャーナルは別として、佐藤委員が大阪周辺をよくお調べになった、それはそれなりの基準でやられたことかなとも思います。また国鉄岡田常務が今検討いたしております問題、価額にして五兆八千億程度に売れるであろうというのは、監理委員会が各件数を全部評価をして積み上げた数字だと言われておるわけです。ですから、私が確認を受けて、そのとおりだと申し上げました。できるだけ適正にこれを売らせていただく、国民負担を少なくしたいと申し上げておりますのも、適正な処分方式といいますことは、国民の皆様に疑惑を持たれることのありませんように、ガラス張りで公正に、なるほどと言われますような方式で処分をしてまいる、こういうことであります。
  501. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 それはそのとおりだと思います。ぜひそのようにしてもらいたいために私は資料の提出を要求しているわけでありますから、問題になる点でありますので、十分御検討いただきたいと思います。  最後に大臣プロジェクトチームの今後の進行計画によりますと、六十二年四月に新会社を発足させる、そして旧国鉄の非事業用地の売却は清算事業団がやられるということですけれども、新会社が発足した後に売却するというのは私はどうしても納得いかないのです。時間がないから、これ以上やることはできませんけれども、いずれ機会があったら私はまたやりたいと思います。そのことは民営分割のための国鉄いじりとしか言いようがないじゃないか、こんなふうにも考えるわけです。債務と資産を明らかにしたバランスシートをいずれ国会に提出しない限り納得がいかないのではないでしょうか。この点についても資料の要求をしておきます。  そして、大臣の選挙区の仙台市もそうでありますし私の出身の郡山もそうでありますが、駅前開発が全国各地で進められておりますね。駅前というのはその都市の顔でありますから、そういった場合については、駅前の国鉄の土地を地方自治体に優先的に売るということがあってしかるべきだというふうに判断をされますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  502. 三塚博

    三塚国務大臣 本件は、その地方自治体が都市計画事業を明記し、計画を具体的に詰められて申し入れがありましたときに前向きで検討される案件である、このように思っております。
  503. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 若干超過いたしましたが、時間が来ましたので、残念でありますが、これで終わります。
  504. 相沢英之

    相沢主査 これにて佐藤徳雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前九時より開会し、運輸省所管及び郵政省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十三分散会