○山原
分科員 実態がわがらないのですね。率直に言ってそうだと
思います。当時は御
承知のように世界を震憾させた大事件になりまして、連日大騒ぎをしたわけですね。そのときに
政府におきましては原爆被害対策
協議会というものを構成しております。恐らく
政府全体としてそういう
対応の組織を持ったと
思います。
厚生省からいただいた資料の中にそういう言葉がありまして、
厚生省の方は恐らくそのうちの幾つかの部門を担当したのかもしれませんが、原爆被害対策
協議会食品衛生部会というのがいただいた資料の中に出てきますから、恐らく幾つかの部会があったのではな
いか、それで
対応したのではな
いかというふうに
思いますけれども、今水産庁、
厚生省から
お話がありましたように、実態がつかめないということですね。
それで、時間の
関係がありますから私の方から申しますが、実は昨年は広島、長崎の被爆四十年ということで、実は私どもの調査では、約八百隻の漁船、船舶が当時ビキニ環礁地域で操業いたしております。そしてその中で、これは私の県に
関係があるわけでございますけれども、二百七十隻が高知県のカツオ・マグロ漁船でございました。したがって、この問題について私どもの県の学校の
先生方あるいは高等学校の生徒あるいは科学者、医師等が一緒になりまして調査を始めたわけです。あのときに被爆した
人たちがどうなっているかというのは、これがこういう膨大な資料として今作成をされているわけです。
これによりますと、当時どういう
状態かと申しますと、高知県で当時被爆した方が十四名、これは死亡した方が十四名になっております。これがすべて被災によるものかどうかの因果
関係はもちろん正確には言えませんけれども、いわゆる個別調査をやる中でこういう事態が起こっているんですね。
ちょっとその例を申し上げますと、高知県の第二幸成丸は、三月一日に実験が行われまして、三月五日に危険水域に突入し、第二、第三回の核実験、これは三月二十七日、四月七日に行われておりますが、この間危険水域近くで操業いたしております。その後、漁労長が腸がんで死亡、一等機関士は
心臓麻痺、操機手は糖尿病で急死をいたしておりまして、いずれも体がしんどいと訴えながら、仕事中に周りの人が気づかぬうちに死亡するという事件が起こっております。
また、当時マーシャル諸島で操業中の第二新生丸、これは乗組員十九人のうち七名が亡くなっておりますが、そのうち多くの人は大腸がん、喉頭がん、脳腫瘍で亡くなっております。この中の現在生存中のAさんの例を見ますと、白血球の異常減少が現在も続いております。
さらに、痛ましい話ですが、室戸岬水産高等学校の生徒のT君というのがおりますが、彼は練習船第五大国丸に乗りましてカツオ漁に出ておりましたが、帰港後白血球が急減をいたしまして、高熱、鼻血に苦しみながら二十一歳で亡くなっております。
〔野上主査代理退席、橋本(龍)主査代理着席〕
こういう例を
一つ一つ見てみますと、私の県だけで実に十四名。そこで全国的にどういう情勢かということを見てみますと、第五福竜丸で久保山さんが亡くなりましたが、同船の川島正義さんが五十年に亡くなっております。また引き続いて五十四年に増田三次郎さんが死亡しておりますが、これは放射能の影響が尾を引いたのではな
いかと言われております。そのことは、この船が所属しておりました大都魚類株式会社の三十年史の中に載っているわけでございます。
さらに、第五福竜丸と同じく行動しておりました第五拓新丸の一乗組員、これはビキニから大体千六百キロで被爆をしておりますが、六十一年九月二十七日に貧血、急性骨髄性白血病で
入院をいたしておりまして、十二月十一日に死亡いたしております。
第七京丸、五十四年四月に大阪に帰港しておりますが、四月六日にビキニから千五百六十キロメートルで被爆をいたしまして、船長は白血球三千五百以下、乗組員
全員二十一名が放射能症になりまして、白血球の激減が見られております。
貨物船神通川丸、これはビキニ北西の千二百マイルで被災をしておりましたが、五十四名
全員放射能症、
全員頭痛を訴えております。
さらに、
政府が派遣しました調査船俊鶻丸、これは当時有名になった調査船でありますが、これも肝臓
障害が続出をいたしております。
さらに関西丸、これはビキニから二千マイルで被災をいたしまして、船長は再生不良性貧血で死亡いたしておりますが、そのお骨の中からストロンチウム90が普通の人の十倍以上検出されたことが報告をされております。
また弥彦丸、これは南太平洋のマカチア島から燐鉱石を運んで岡山県玉野に帰る途中ビキニで被爆をいたしまして、平三義さんが原爆
手帳を
申請しましたが、原爆
手帳は広島、長崎に限るということで、彼は自費で肝臓
障害、慢性腸炎の治療をしておりまして毎日安静の日を送っているというのが現在の実情でございます。
その後、朝日新聞の調査によりますと、死亡十名、そのうち八名が病死ですが、うち四名は胃並びに大腸がんなどによって亡くなっておりまして、生存者の三分の二が何らかの健康
障害を訴え、六名は現在も入通院、療養中となっております。これらの方は、大半の人が国による健康調査をやってほしいと望んでおることが報告をされておりまして、ビキニの悲劇は今もなお終わっていないというのが現在までの調査の結果でございます。
そこでお伺いしたいのですけれども、これらの大事件について、確かにその後資料が散逸をしたりあるいは追跡調査が行われていないということはわかるのですが、私は実は、所管は科学技術庁ではな
いかとかあるいは水産庁ではな
いかとか、
厚生省ではな
いかとかいうことを伺いまして、それぞれ係の方においでいただきましたけれども、この真相をつかむことができないのです。けれども、これは放置できる問題ではないと思っております。したがって、これらについて、時間の
関係で要約して申し上げますけれども、今までの調査されたことあるいは当時の書類、これなどを整理いたしまして、さらにそれに基づきまして、現在病苦に呻吟をしておる方
たちがおいでになるとするならばその健康診断等そういう対策を一応立てる必要があるのではな
いかというふうに思うわけです。
これは私として要請でございますけれども、考えましてもこれはどうも水産庁でもなかろう、あるいは科学技術庁でもなかろう。きょうは科学技術庁にも聞いていただぎたいということでお見えいただいておると思うのですけれども、どうもやはり
厚生省の仕事ではな
いかなという感じもするわけです。あるいは総理府かもしれません。
その意味におきましてこれは
大臣にお伺いしたいのですけれども、これらについて一応統括をして、何らかの
対応できる体制をぜひとっていただきたいというのがきょうの
質問の
趣旨でございますけれども、この実情を御勘案くださいまして、ぜひそのことを実現していただきたいと
思いますが、この点
いかがでしょうか。