○大出
委員 今おっしゃった最後の指導というのは公なのかどうかわかりませんが、文章を見ますというと何とも書いていませんからね。だれがとも何とも書いてない、文章が書いてあるだけで。非公式なのかもしれませんが。私の調べた限りでは、文部省が直接というのはないですね。確かに安井謙さん初め国
会議員、柔道の将来を考える方方が集まって一生懸命御努力された時期があります。文部省じゃない。ほっぽっといたわけですね、文部省というのは。
そこで、長い答弁になると実情を申し上げにくくなりますから、私の方から申し上げますが、この全
日本学生柔道連盟、これは二百六十一校もあるんですよ。べらぼうな団体なんです。例のチャンピオン
山下さんから始まりまして、歴代のオリンピックの有名な選手というのはみんな学生あるいはOB。これは大学それぞれがOBと一緒になって、私も自分の出身校のOBで剣道を今でも在学生とやっておりますがね、一体なんです。二百六十一校もある各大学、みんなOBと一緒にやっているわけで、学生だけじゃないのです、これは。卒業すれば全部OBになって、道場で一緒になってみんなやっているんですから、べらぼうな団体。しかも、百二十カ国、国際的に柔道が普及されたのは、大学を出たインテリ層の柔道家がほとんどが外国へ行って、言葉も通用しますからやってきているわけでございまして、既存の町の道場主がやっているんじゃない。今日ここまで国際的に柔道が普及したというのは全
日本学生柔道連盟の皆さん、ほとんど一〇〇%この方の努力、寄与なんですね。現実なんです。体育協会傘下の全柔連、この全
日本柔道連盟、こっちの方は
それなりに各県の町の道場や骨接ぎをやったりしている方々をたくさん集めているこれも大きな団体、こうなっている。
これの反目なんですが、この全柔連とそれから講道館、このあり方についての大変な
批判が起こっているということであって、全柔連からは学生柔道連盟が抜けましたから、今度は全柔連しようがないものだから筑波大学を中心にする。筑波大学というのは東京高等師範ですから、嘉納治五郎先生、校長を昔やっていたのですから。ここを中心に、二十ばかりですよ、実際には。強い学校なんかありはしない、集めて対抗する形をつくったというだけであって。
そこで、全部話をしてしまいますけれ
ども、なぜ
批判が起こったか。まず
一つは、講道館の百周年というので、今あそこは七階ぐらいありますか、あの講道館の立派な建物を水道橋につくった、二十五億かかったとかなんとかいうのですけれ
ども。本来、講道館というのは東京国税局が免税措置を認めていない。何遍か私やったが、断じて認めない。これは大蔵大臣に聞きたいのですけれ
どもね。ところが、全柔連、体育協会傘下の任意団体で法人化されていない、これも不思議な話であります。どこのスポーツ団体もほとんどみんな法人化されていて、されていないのは二つか三つ。この大きな全柔連が法人化されていない、講道館と一緒だからです。そこで免税措置がないから、全柔連の名前ではこれは法人格ない任意団体、体育協会ということで免税が適用されるということで金を集めた、全柔連が。そして、全柔連が集めて、免税措置を適用して、税金を免除してもらって、水道橋に講道館のあの大きな建物を建てた。どこが持っているか。登記は講道館でございます。全柔連が集めて、免税措置を適用して講道館の建物を建てた。今住友銀行だなんだみんな入っている。これは
国民の税金ですから、そう簡単に免税措置を適当にやられちゃ困る。聞くところによると、これは文部省の指導だという。そんなことを指導されたとなるととんでもないことですけれ
ども。今度は文部省の指導でないとすれば、これまたとんでもないことになる、どっちでも。指導がなければ勝手にやったのですから。全柔連の名前で免税措置を適当に使ってなんという、あり得る姿じゃないですよ。全柔連自体の建物で登記しているのなら話はわかる。
こういうことをなぜやるか。講道館の館長さんと全柔連の会長は同じ嘉納さん、しかも、講道館の総務
部長さんは全柔連の事務
局長さん、しかも、講道館の館長さんを選ぶ規約を見ると、百名の維持員というのを館長が指名する。館長が自分で指名した百人の維持員が、館長を
選挙する。自分で指名した百人だから、館長になるのは当たり前でしょう。そのまま全柔連の会長でしょう。総務
部長は全柔連の事務
局長でしょう。
段位というものが非常に大きな収入源でありますけれ
ども、これにも、いろいろな寄附だなんということになると段位が行っちゃったりするんですからね。たくさん例があります。また、段級審査が行われ、段位を得たときの金が高過ぎる、こういうところで実は大変な
批判が起こっているということなんです。
で、この講道館百周年で建てる建物の金をどうやって集めたかというと、ここにある。これは私もいささかあきれたのですがね。これは「各段位昇段時の必要費用一覧表・
昭和五十六年十月一日より」、これは世田谷区の、つまり県の県柔連が出しておる全柔連傘下の一覧表と同じものなんですけれ
ども、どうなっているかといいますと、初段の方、初段を取る人、私も横浜武徳館で初段を取りましたがね、講道館柔道の。ところが、まず初段、地区入会金、これは世田谷ですから世田谷の入会金二千円、それから審査推薦料二千円、ここに付加金が二千円ついている。付加金の二千円て何だ。講道館の建設費用、強制ですね、これじゃ。次に、今度は地区柔連、世田谷区の世田谷区柔連ですね。隣に今度は講道館。ずっと積算していく。講道館の入門料三千円、登録料千五百円、この上に三千円という今度は付加金がある。付加金五千円になりますね、これを見ると。講道館の初段取るのに五千円付加金が要る。そして振興費六百円。これはどこかというと全柔連が取る。今度講道館建てるので集めた金の三%は全柔連が取っている。協力費二千円。これは五十六年の計算でいって初段を取るのに一万八千円ぐらいかかる。今二万円ぐらい。十六、七の高校二年、三年の学生ですよ、私も中学卒業するときに取ったのだから。剣道が本職だが、僕は武適正課の方は柔道を五年やったものですから、ここまで来た。
そうなるとどういうことになるかといいますと、二段、三段、だんだんだんだん高くなってくる。二段なんていうのはべらぼうに高いのですね、二万円超しちゃうのです。
ここに
一つ手紙があるのですよ。これちょっとじいんとくるようなことが書いてある。下の方で一生懸命柔道を教えている高校の柔道の先生なんです。「江東区森下五の一の七 都立墨田工業高校内」と書いてある。お名前だけ読まぬでおきましょう、書いてありますが。何と書いてあるかといいますと、「要望書」というのですよ。「私は都立墨田工業高校で十年間柔道部の顧問をして」教えている、「常々入門料、登録料、協力費、手数料等がばか高いことについて不信を持っておりました。昇段審査は、任意とはいえ一万円以上ものお金を高校生から取ることが」、一万円ところじゃない。この人「一万円」と書いていますが、二万円近い、一万八千円。「お金を高校生から取ることがどういうことなのか。クラブの運営も幾多の問題が出ています。今年になっても、合格したけれ
ども払うお金がなく私が貸したこと(母子家庭の子)や、礼金がないからと二段を受けるのをあきらめた卒業前の三年生など、何度も悲しい思いをしました。それもこれも柔道の家元制にその因があると考えます。無論、柔道は礼はとうとびますが、華道、茶道ではなくスポーツです。スポーツとしての柔道をさらに全世界に広げていくために」断固改革してくれ、こう書いてある。じいんとくるところがありますよ、これ見ると。
剣道なんていうのは初段取ったって何もかもひっくるめて五千円です。二万円も取りません。弓道もそうです。私も、剣道も何回も段を取っておりますけれ
ども、全く違うのです。これは上の方にいきますと、いきなり審査推薦料が二万円なんていうことになるのですかね。こういうあり方というのは、講道館に大きな愛着、愛執を持っている、ふるさと的感じのする、全く柔道の初歩を教わった私ですけれ
ども、どうにもこれは一年間調べてみて納得いたしかねる。
ついでに申し上げておきますが、何と、さっき私申し上げましたように、大
日本武徳会の段もありました。京都の武事の段もありました。ほかにも段があります。ところが、全柔連というのは講道館の上の体育協会に続いている、
日本全国の柔道の選抜その他をやる団体でしょう。文部省は補助金出しているでしょう。この全柔連の規約ですよ、これ。全
日本柔道連盟規約付全
日本柔道連盟アマチュア規程ですよ。これはアマチュアなんですよ。全
日本柔道連盟、これが文部省から補助金もらっているわけですよ、体協を通じて。
この規約の中の十八条に、「本連盟加入団体に属する者の段位は、講道館の段位による。」これ以外認めないというのです。これはちょっと問題なんですよ、武道ですから。剣道だって群馬の馬庭念流だっていまだにある。北辰一刀流だってある、私は小野派一刀流だけれ
ども。たくさんある。鹿島新当流だってある。いまだにある。そういうのを何でこうしなぎゃいけないのか。ところが、これは規約を改正してぴしゃっと一本に絞っちゃった。それ以外はもういけない。試合にも出さない。除名しちゃう。
しかも、ここでこういうことをやられちゃ困るんだが、規約を改正して、「他団体の段位取得禁止について」「
昭和五十六年三月三十一日講道館
理事評議員会及び四月三十日全
日本柔道連盟評議員会の両議決に従い、」講道館が先に出てきて全
日本柔道連盟が後から出てくる。文章というのは、講道館館長、全
日本柔道連盟会長、同じ人間です。
講道館長、全
日本柔道連盟会長から、次の通知文が
昭和五十六年五月十二日付で発送された。遠い昔じゃない、五十六年。この中身を見ると、ほかの段位を取っているやつは全部返せ、そうでなければ連盟から除名すると言う。そして除名するだけじゃない、こういう手続でその段位を返上しろと言うのです。「次の
内容を備えた誓約書に上記返上届リコピーを添えて」講道館に提出しなさい。中身の書式まで書いてある。「
昭和何年何月付 国際武道院(または他の団体名)から授与された何段(または称号など)及び証書は、同封リコピーのとおり、
昭和何年何月何日付をもって返上いたしました。今後は、講道館以外の団体から段位などを受けることなく、講道館柔道に専心することを誓約いたします。」
誓約書があれば、今までほかから取っている段位があっても問題にせずにこれは水に流す。ちゃんとこれをこの書式に基づいて返上して、返したリコピーをとって誓約書をつけて講道館に出せ。これでは、さっき私が申し上げた各段位昇段時の必要費用一覧――ほかの段は認めないんだから、全柔連規約というのは改正しちゃって。アマチュア団体なんですよ、これ。しかもこれは体協の傘下なんですよ、全柔連というのは。補助金を出しているのですよ。そうでしょう。幾ら仕組みとしと世襲制みたいな、百人の維持員というのを館長が指名して、その維持員が館長を
選挙するんだから館長になるに決まっているのですよ、
選挙してくれないやつは指名しないんだから。全柔連傘下の各県の
組織というのは、町の道場主の方や骨接ぎなどやっている方がたくさんおるのだけれ
ども、みんな講道館の方が多いんだけれ
ども、これは地区柔道会、全柔連、都柔連、全部それに払う金を取り立てる
組織になっているのですから。それが全柔連なんです。講道館の金を取り立てるのですから、いやでも応でも全柔連、講道館一体になっちゃうじゃないですか。そうでしょう。
こういうことにしておけば、それはほかから純粋な学生――
山下チャンピオンなんかだって、ひとしきり悩んだことがある、試合に出さぬというので。そういう傍若無人な形があってはいけないと私は実は思っている。
時間がないから全部ここで一括しゃべりましたけれ
ども、もう一遍念を押しておきますけれ
ども、学生の皆さんの方の全
日本学生柔道連盟というのは小さくない、全国二百六十一大学あるのですから。ところが、これがこんな非民主的なことはないじゃないか、段位に高校生から何でこんな金を取るんだといって
批判した、それで脱退した。そうしたら、今度はこっちに大学柔連というのをぽっとこしらえた。こしらえたって二十二校。筑波大学が中心。強いのは筑波大学だけ。嘉納治五郎先生が校長をやっていた東京高等師範が筑波大学に行っているのです。そうでしょう。
そうして、今度は国際試合に学生を出さないと言うものだから、しようがないから両方に、二百六十一校の全柔連に入っていて抜けたくない、だから入ったままで、こっちに名前だけつけて出させてくださいという人たちも出てきている。しかし、学柔連から抜けようとする人はいない。そこにOB、卒業生が、猪熊さんから醍醐さんからみんなそうですよ、みんないて、二百六十一校の道場で学生と一緒になって柔道を一生懸命修行しているわけですよ。だから、外国の選手もそれぞれの好きな柔道家のところに、大学の道場を訪ねているわけですよ。
講道館というのは、私にすれば天下の講道館。このままじゃ死んでしまいますね。段位だけでこんなに金を取って維持していたのではもちませんですよ。そういう
意味で文部省は、これは真剣に考えていただかぬと、国技柔道でしょう、しかもスポーツでしょう、今日は。私の剣道の時代は心技体なんていいまして、礼、道なんですね。講道館という名前も道を講ずる館なんですね。しかし今は、一般的にいえばスポーツでしょう。そうすると、やはりそこのところはお考えいただかなければいかぬ。だから、かいらい的に二十何枚かやっとこさっとこまとめて、筑波大を中心に――ほとんどろくな選手はいない、筑波大以外には。そして、対抗させた形にして、一緒にするという名目をつくろうというところに問題があるのじゃなくて、講道館、全柔連のこの
関係、そして体育協会が上にあって、講道館の建物をつくるといって免税を――講道館にはない、東京国税局がぴしゃっと断った。そうしたら全柔連、体育協会の方の免税措置というものを使って二十五億も集めて、まあ金額は精査しておりませんけれ
ども、あれだけの建物が建つのだから大変な金でしょう。取り方は、みんな昇段者からずっと取っていったんですよ、毎年付加金を。二千円、三千円という、初段で二千円、ここに二千円、ここに三千円、五千円とあるわけですが、そういうやり方で免税、そして今何が入っているか、住友銀行以下みんな入っているでしょう。だから、東京国税局は免税を認めないのは当たり前じゃないですか、財団法人であっても。そうでしょう。だから、ここのところ、大臣、私一年も調べましたから、いきなり答弁するのは大変だから、私はこの質問は何回でもずっと続けるつもりでおりますから、だから御研究いただきたいのですが、御感想があれば一言お述べいただきたいのですが、いかがですか。