○多賀谷
委員 日本は第一次エネルギーに占める国内炭の
割合がわずかに三・三%。これはイギリスの三一・九、西ドイツの三〇・九、フランスの七・一、アメリカの二一・一に対して非常に少ない。しかし、海外炭との値段の格差をおっしゃいますけれ
ども、これは各国同じなんですよ。
日本だけ特別に海外炭と国内炭の値差があるわけじゃない。というのは、
日本の場合は、能率からいうと少なくとも西ドイツ、フランス、イギリスに比べて最高なんですね。一年間の一人のトン当たりを見ると、
日本は七百三十一トン、西ドイツが五百五十八トン、フランスが五百十二トン、イギリスが五百三十一トンですから、
日本が最高なんですよ。ですから、
日本の石炭と海外炭の値差があって、非常に高いように宣伝されておる、確かに高いのです。高いけれ
ども、これはどこの国も同じなんですよ。
例えばドイツでいいますと、ドイツは陸地まで持ってきてですから海外炭の方が、これは実際は
日本のような
計算をするとまだ差があるのですけれ
ども、それでもドイツ国内炭が二百六十ドイツ・マルクですね。輸入が百五十六。差が百四です。八千円ぐらいですね。八千円ぐらい内陸に持っていって海外炭の方が安い。
日本は海岸線で大体一般炭は一万円、原料炭が一万四千円、こう言うのですけれ
ども、海外から比べると決して
日本だけが差が大きいのではない。それはそうでしょう。よその国から皆来るのですからね、同じような条件で。しかも、北海道の電力会社が使っている内陸の発電所は、差が千七百円くらいですね。それは国内炭が今は高い。かつては石油よりも国内炭がずっと有利であった。しかし今は大体千七百円ぐらいですね。やはりこれを
一つ前提に置いていただきたい。
日本の炭鉱だけが値段の差があるんだということが盛んに言われておるけれ
ども、決してそうでない、こういうようにまず
大臣に認識してもらいたいのです。どこでも同じ。しかし、どこも
政策をとっておるわけですよ。ドイツだって自由
経済であるけれ
ども、市場理論であるけれ
ども、エネルギーというものはやはり特別な地位を占めておるんじゃないかというのは、どこの国も同じような考え方ですね。運輸
大臣は帰られたけれ
ども、
日本の炭鉱の場合、私
企業の
企業政策はできたけれ
ども、
産業政策ができなかったというのですね。
かつて全国一社に炭鉱をすべきだと主張をされた。これは経団連の会長の植村さんなんですよ。石炭の全国一社案を出されたのです。そこで、私が政審会長になったときでしたけれ
ども、根本政調会長や、公明党は浅井政審会長、民社党は竹本さんでしたけれ
ども、みんなで話し合って、じゃ、ひとつ炭田別に三つにつくろうということを決めた。北海道、常磐、当時はまだ常磐もかなり元気がありましたね、九州と。それが実を結ばなかったというのは、結局、率直に言いますと財閥発祥の会社なんですよ、炭鉱は。
ドイツと
日本と違いますのは、ドイツは鉄鋼会社が石炭を経営しているのですよ。石炭会社が鉄鋼を経営しているのです。そして石炭会社が四割みずから発電をしておるのです。ですから、いわばコンツェルンのような、非常に資本家としては強靱な組織になっている。
日本の場合は、御存じのように国有鉄道は別でしょう。それから電力は別会社でしょう。製鉄は別会社でしょう。かつて炭鉱会社は皆製鉄を持ち電力を持ち鉄道を持っておったのですよ。それが全
部分断をされたわけですよ。ですから、需要業界と全然つながっていないというところに問題があった。ですから、一社の方がいいだろうということでありましたが、それができなかった。ところがドイツはやったのです。ドイツは
昭和四十三年に既にルール炭田を一社にしたのです。ルール炭田を全部一社にした。私と
岡田利春君が一緒に
調査に行ったのですけれ
ども、向こうはやるですね。もうこれはどうしても一社でなければもてぬというので一社にした。そしてドイツ方式というのは、自由
経済だとか市場理論だとかいうけれ
ども、このルール炭田株式会社に入る入らぬは勝手です、しかし、入らない者は補助金は全部打ち切ります、こう言うのです。もうそれは皆入りますよ。そういう
政策をやって、今ドイツはルールの炭鉱株式会社、ザールの炭鉱株式会社、炭田別に二つ。あとは小さな炭鉱があります。ところが、
日本の場合はそれができなかった。今から考えれば、ここが
日本の炭鉱のまさに分岐点であったと思うのです。非常に残念です。しかし、今はもうそういう話をしてもとてもだめですよね、歯が抜けたようになっているのですから。今統合せよなんていったって今は
メリットがない。残念ながらいいチャンスを失ったと思うのです。
そこで、一番問題は、やはり地域
経済に与える影響が非常に大きいということです。これは、炭鉱がつぶれまして、筑豊炭田で二十年になりますが、まだ膨大な石炭の後遺症の費用が要るのですよ。もうこんなはずはなかったと我々も思いますが、物すごく要るですよ。石炭予算の生産部門と後処理の分では、後処理がずっと多いでしょう。ですから、今北海道の炭鉱をどうするかとか高島炭鉱をどうするかというのは、町がなくなるわけですからね。地域
経済をどういうように考えられておるのかというのが
一つ。
時間も余りありませんから、もう
一つ、一番問題はやはり北電です。北電は国内炭を多く使ってもらっている。ところが北電は伸びがないでしょう。ですから北海道電力が料金が一番高いのです。伸びはないし配電コストは物すごく要るでしょう。それは当たり前ですよ。ですからこの北電も何とかしてやらなければならぬわけです。ところが、北電は自衛措置としてはどう考えるかといえば、海外族を入れるでしょう。海外炭を入れれば北海道の内陸の炭鉱はつぶれるんですよ。こういう形になるわけです。ですからこれは一体、需要業界がどう協力をするか、どういうようにお考えであるのか、ひとつお聞かせ願いたい。エネルギー全体としての
政策が欠けておるんじゃないかというように思うのです。どうでしょうか。