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大原委員 私は、部落差別の問題に
つきまして所定の時間で
質問をいたします。
せっかくの貴重な時間ですから、
皆さん方のお手元にこの冊子を配付いたしまして、これを参考にしていただきながら
質問をいたします。「いのち 愛 人権 部落差別は、いま。」という
国民運動中央実行
委員会の冊子であります。これはあらかじめ
総理大臣以下関係各
大臣に対しましては、先週既に配付をいたしまして、そして
質問要項を示してあります。
この部落差別の問題は長い間の歴史のある問題でございまして、私は、
国会でもいろいろな議論をしてきたわけでありますから、非常に重要な今の
段階におきまして余り形式的な議論ではなしに中身のある議論をいたします。
今から二十年前、同和
対策審議会答申が出まして、部落差別の問題は放置できない今の社会における最大の社会問題であり、人類普遍の原理に基づいて国の責任あるいは全
国民の
国民的な課題、これは七十三ページにありますが、そういう観点に立ってこの際抜本的に改正すべきであるという、
審議会設置法を設けましてそしてその答申が出されまして、いろいろな法律が出てきたわけであります。
当時、私が初めて出ましたのは
竹下大蔵大臣、外務
大臣などと同じでございまして
昭和三十三年ですが、三十五年、六〇年安保のときですが、この議論の中でこういう議論があったわけです。当時は岸内閣でございましたが、安倍さんの岳父でありますが、日米安保条約が非常に激しかったときであります。そのときに、これは共産党の諸君の議論でありましたが、日米安保条約を
憲法を踏みにじって強行するような、そういう内閣に対しまして部落差別の解消の国策樹立の要求をすることは、これはお門違いである、そういう議論がございました。つまり、その背景には民族民主統一戦線の
考え方があった、政権構想があったと思うのです。日米安保条約を焦点に置きまして政権構想があったと思うのです。つまり、そのときには、そういう政府に要求してもだめだ、たとえ出たにしても融和的な、分裂的な政策である、そういう議論でありました。私もその議論の渦中におりましたからよく知っております。
しかし、亡くなりました松本治
一郎先生を初め水平社以来の伝統を継いでいる
指導者たちは、私は入ったばかりですが、一緒にやったわけですけれども、そうではない、たとえ安保条約が大きな
政治課題になっておっても、この部落差別の問題は政党政派だけの問題ではない、
国民的な課題であるから、どういう政府であっても新しい
憲法のもとでこの差別を解消するということはやらなければならないし、やらさなければならない、
国民的な課題としてやるのだ、こういうことで
昭和三十五年、六〇年安保の当時議論をいたしまして、いろいろな議論を押し切って運動を推進いたしまして、二十年前に一定の同対審答申が出たわけです。山口県に関係深いのですが、
佐藤元
総理大臣も非常に熱心にこのことをやられたわけであります。ですから、同対審の答申が出まして今二十年で、同和
対策事業特別措置法が出ましてから十七年間を経過したわけであります。今、戦後四十年を迎えまして、私どもはこれらを一応整理、
総括をいたしまして、成果と一緒に結果についても十分話し合って、これからどうするかということを考えなければならないというふうに思います。
そこで
質問の第一は、
総理大臣、あなたは施政方針演説におきましても非常に立派な演説をしておられるわけであります。「戦後の四十年間は、廃墟の中から立ち上がり、自由と平和、民主主義と基本的人権の尊重を基本理念とする現行
憲法のもとで、かつてない繁栄と発展を実現してきた時代であり、」云々と書きまして、世界の歴史に類例のない、誇るべき時代、「自由と人権を基調とする市民社会の確固たる基盤が構築されたのであります。」と言って、四十年間を言っておられるわけであります。その演説の中には「地球倫理」という
言葉も出ておりまして、地球倫理の確立、これは昨年の四十周年の国連総会における中曽根
総理の演説にも出ております。私は事前に外務省に「地球倫理」というのは一体どういうことか、原典があるのか、こう言ってみましたところが、ないというわけですね。これは外務省の文書にはどこにもありませんし、国際文書にもありません。あなたの言われた
言葉で、私は非常にいい
言葉だと思うのですよ。しかし、
言葉がよ過ぎるとまた悪いこともあるから。そのことは別にいたしまして、この文章は非常にいいです。同対審の答申の意思を受けたことです。私は、平和と人権は、あなたの演説のように非常に深いかかわりがあるというふうに思います。
そこで、この文書を、主な点については私が通告しておきましたからお読みいただき、あるいは検討されたと思いますが、平和と人権、そしてこれをごらんになりまして、あなたの、
総理大臣といたしましてのこの問題に対処するこれからの決意、これを簡単にお答えをいただきたいと思います。