○
佐藤(観)
委員 今
皆さん方のお手元にちょっと資料をお渡しさせていただきましたが、これは名前は申しませんけれども、大変権威のある研究所で試算をしていただいたわけであります。しれは見ていただければおわかりかと思いますが、が一兆円といたしまして還元をした場合でございますけれども、電力料金で還元をした場合と電線の地下埋設で還元をした場合というのが書いてございまして、電力の需要量が八四年度実績が五千九万キロワットアワーでございますので、毎年三%成長しておりますから、八六年度が五千三百三十三万キロワットアワー、キロワットアワー当たりにいたしますと二十三円四十七銭ということになるわけであります。一兆円上がったといたしますと、一兆円を五千三百三十三万キロワットアワーで割り、それを二十三円四十七銭で割りますので、八%全く延べにしますと電力料金は下げられる、こういうことになるわけであります。これはそう難しいことじゃない。
それから二番目に、電線の地下埋設にいたしますと、大体一キロメートル埋設するのに三億円から五億円ぐらいかかるということのようでございます。平均四億円といたしますと二千五百キロメートル地下埋設ができます。今まで八四年度中に地下埋設した総延長が一万四千二百十三キロあるわけでございますけれども、大体七五年から八四年までの間に平均して五・七%ぐらいずつ地下埋設を伸ばしておりますので、毎年八百十キロメートル地下埋設をしているということでございますから、二千五百キロメートルしたということになりますと、いわば三年分地下埋設ができるということになるわけであります。
これを、電力料金を八%引き下げた場合と地下埋設をした場合との国民経済に与える影響を、ここが非常に難しい、いろいろなモデルを使ってシミュレーターをやらなければいかぬので、ここが難しいので、これは本当にそういった最高の研究所でやってもらった数字がそこにあるわけでありますが、消費者物価指数に与える影響が〇・二、それから卸売物価指数に与える影響が〇・二三。これが完全に浸透したといたしますと、消費者物価には〇・三六、卸売物価には〇・七四という数字が出ているわけであります。
これを地下埋設をしたときに一体景気浮揚効果がどれくらいあるかということで、今申しましたように一兆円全部やったといたしまして、来年度四月から一兆円全部やったといたしますと、ケースAでございますが、実質GNPに与える影響というのは〇・二五でございますから、いわば四%実質成長しようというときの十六分の一上がってくるということでございます。しかも貿易収支では十億ドル減りますよという数字が出てくるわけであります。それが来年の九月から実施した場合、つまり五千億円程度やった場合ということでございますけれども、そのときには実質〇・一三成長率を押し上げるという計算が出ているわけでございます。
ひとつそういった
意味で、いろいろな
議論があろうかと思いますし、この後
井上委員も別の角度から、ニュー社会党はいろいろ提案をする政党でございますので、これは今申しましたように名前は申し上げませんが、大変権威のあるところがコンピューターではじいていただいた数字でございますし、まあ
皆さん方も行かれて、これだけの国で、あの都市の真ん真ん中に電線があれだけ出ている都市というのは余りありませんので、そういったこともお
考えいただき、これは電線だけでなくて、NTTも含めてやはりやっていただくということがいいのじゃないかと私は思っておりますが、今大臣からございましたようにいろいろな角度の御
議論があろうと思います。ただ、電力会社の決算が三月なんですね。三月でございますから、G5以降上がった分というのは、大蔵大臣の税金で取られては、それは今
議論しております
補正予算には幾らかプラスになるかと思いますが、需要を喚起するという面からはどうかなというふうに思いますので、そうすると通産大臣、のんびりもしていられないという問題があるのですね。そのこともお含みおきをいただきまして、ひとつ早急な結論をいただいて、今言われております内需拡大にしていただきたいというふうに思うのでございます。(江崎国務大臣「ちょっと答弁しよう」と呼ぶ)いえ、いいです、時間がないものですから。ありがとうございます。
それからもう一つ。どうしても時間内に提案をしておきたいのは、
松浦委員が経済審議会の報告をおととい取り上げておられましたけれども、特に週休二日制と時短の問題でございます。これは
皆さん方も経済審議会の報告、特に六十年度のリボルビング報告を読まれたと思うのでありますけれども、三カ所にわたってかなう時間短縮と週休二日制の問題を取り上げて、ぜひ必要だということを言っておるわけであります。もう時間がないから一々読み上げませんけれども、御承知のとおりだと思うのです。
またこれは中間取りまとめでございますけれども、先ほど触れたかった「二十一
世紀産業社会の基本構想」いわゆる産構審からの中間報告でございますけれども、出ている中でも、簡単に言えば、これから日本人の生活のあり方自体が変えられる時代じゃないか。私がこの貿易摩擦を奇貨としてと言ったのは、いわばそういった
意味での働き過ぎと言われているような今の
状況というのを、日本人の生活のあり方として今後高齢化社会、長寿化社会の中で
考えていく必要があるのじゃないかという観点から申し上げたわけでございまして、この賃上げの問題につきましてはおととい
松浦委員からお話がございました。
特に、労働分配率が最近下がってきているということについては、やはり
政府の
皆さん方にも十分知っていただかなきゃならぬと思いますし、その結果が実質所得が六年ぶりにマイナスになっている。これじゃ内需拡大といったって、六割占めます個人消費がふえるわけがないわけでありまして、賃上げの問題につきましては、言うまでもなく労使の基本的な問題だということで私は理解をしております。しかし、労働時間、週休二日制、時短の問題というのは十分
政府が関与できるところがあるわけですね。私も大蔵
委員会の
理事をやっていたときに銀行の週休二日制の問題を随分やってきて、そして幾らかずつ進んできたわけであります。そういったことから申しますと、一九七五年と八四年を比べてみましたけれども、労働時間はフランスは百八十一時間減っているのですね。そう言うと恐らく
皆さん方はたからヨーロッパ病だ、こう言われるかと思いますけれども、西ドイツは二十六時間減っているのでありますが、西ドイツは経済はうまくいっております。それからイギリスが八時間ふえ、
アメリカが五十時間ふえておりますが、日本は何と百三十七時間、一九七五年からふえているのですね。これでは世界から働き過ぎだ、貿易摩擦をわんわん言われるのは当然ではないか、私もこう思うわけでございます。あわせて内需拡大の観点からいいましても、これは通産省がはじいておりますけれども、これはもう真っ当な、しかも所得階層別にやっている数字でございますから、それは極めて説得力がある数字が出ているわけであります。その内容についても細かくは申し上げませんけれども、間接的な内需拡大も含めてざっと三兆円になるのではないか。三兆円という数字は、昨年
皆さん方がお決めになった「内需拡大に関する対策」の事業規模と効果というのがざっと三兆円ですね。効果が出てくるのはこれは一回きりですよね。しかし、週休二日制なり時短という問題はこれからずっと影響が出てくる話でございますので、そういった
意味からいいますと週休二日制、時短の問題というのはこれだけ世界から批判を浴びている問題でございますから、この際本格的に
中曽根内閣が取り組んでいい問題ではないか。特にサミットの前に労働サミットというのが四月の二十一日からあるという中で、日本は袋だたきになることは私は火を見るより明らかではないかと思います。
労働四団体なり全民労協が労働基準法の改正の問題で今着々と詰めているようでございまして、例えば一日に労働時間八時間、一週四十時間、週休日数が百四時間、有給休暇が十五日間、これはILOの百三十二号条約によるものでありますが、それから残業時間を年間百五十時間といたしまして、合計千八百六十三時間。一挙に西ドイツ並みとはいかないまでも、
アメリカ並みくらいにまずいこうじゃないか。この問題は労働基準法の改正等の問題がございますから、
政府がこれは労使間に任せるというだけでは済まない問題だと思うのです。特に労働組合法の中に、その地域の四分の三の労働組合が締結をしなければ他に波及をしないということがございまして、そういった
意味では労働
行政というのは極めておくれているのではないかと私は思うのであります。
時間がないから全部いろいろと申し上げましたけれども、ひとつ労働大臣、本格的に労働大臣の時代に週休二日、時短の問題、これは賃金とちょっと違いまして、労働
行政ということで十分やっていける
可能性があるテーマでございますから、ひとつ取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでございますか。