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工藤(晃)
委員 通産大臣が、我が党が何か地方線をもっと外せとか、そういうことを言っているかのように言うのは、これは全く驚くべきで、いつそんなことを言ったことがありますか。それは取り消していただきたい。(発言する者あり)いや通産大臣じゃない、運輸大臣、運輸大臣がそう言うのは取り消していただきたい。
同時にこの問題は、後で私、三塚運輸大臣といろいろお話したいと思います。その本も持ってきておりますから、それは後におきますけれども、しかし、今度民間鉄道になると、いろいろな資本費だとかそういう
負担を取り除かなければ経営できないのだ。なぜ国鉄のときにそういう考え方にならないんだろうね。国鉄のときに、あんなむだな、過大な投資、しかも借金でやらせる。ヨーロッパでやっているような赤字の補てんを単年度でやっていくというようなこともやらない。特定人件費も
負担しない。こういうことで国鉄をどんどん追い詰めていって、それで財政破綻ということが起きている。だから、今運輸大臣が言うように、鉄道を動かすにはいろいろな超過
負担を取り除かなければいけないという、そういう立論が正しいとするならば、なぜ国鉄に対してやらなかったのか。その
政府の重大な責任をみずから認めたことにならざるを得ないと私は考えるわけであります。
そうしておいて、今度は民間鉄道になると、これもただ、あれも簿価というふうに渡して、後は自由にもうけてください。これは
国民の財産ですよ。そんな簡単にやられてはたまったものではない。しかし私は、時間の都合もございますので、次の問題として長期債務の問題に移りたいと思います。
国鉄財政の再建に当たって、いわゆる債務というものは、どうして生まれた債務であるか、どういう性格の債務であるか。したがって再建に当たって、この部分については当然、国鉄に負わしてはいけないものであったから別途これは措置するとか、あるいはこの債務についてはもっと減額しよう、返済条件を緩めよう、こういうことをやるべきでありますし、例の民間会社の会社更生のときでも、わざわざ債務を重くしようなんということをやった例は一度も聞いたことないし、特に大口の債権者に対しては、少し小さくしてくれとか、少し返済を緩めてくれということで落ちついていくわけでありますが、今度のやり方がそういうことを一切やらないということだけではなしに、突然、今まで二十数兆円というふうに考えていたのが、三十七兆三千億円になってしまう。請求書が二十四兆円来ると国鉄は思っていたんだけれども、来た請求書は三十七兆円だ、これは一体どういうことなんでしょうか。
しかし、それにしても、この問題を明らかにするために、最初の二十兆円余りの債務についても、どうして生じたかということを私は取り上げないわけにはいかないので、実は三塚博著「国鉄を再建する方法はこれしかない」というのを持ってきたわけであります。
この中で、四十七
ページのところに、「当時は、高度経済成長の真ただ中であったから、将来、日本経済は途方もない規模に膨張し、」「輸送量は、結局、鉄道に回帰するしかないと真面目に信じられていた。」「このような判断に立ては、かりに一時的には借金経営でつないでも、将来においては必ず
収入が増加し、返済は十分可能であるとみることも故なしとしなかった。」「国鉄運営についていえば、この
昭和四十八、四十九年の時点で、将来の
収入をあてにした借金による後送り政策は完全に論拠を失ったはずである。」「ところが、赤字が増加するにもかかわらず、国の景気刺激策とあいまって設備投資を拡大し、将来の返済メドがたたない財政投融資などの借入金が増大していった。」つまり、
昭和四十八、四十九年、明らかに
見込み違いがあった。きっと交通需要量がふえるという判断に立ったために、どんどん借金で設備投資をしてしまった。誤っていた。しかし、四十八年、四十九年ごろ明らかにこの論拠を失っていたんだから、そこで改めればこういうことが起きなかったということが、ここにはっきり出てくると思うわけであります。
八十七
ページのところに、「国鉄の設備投資は、東海道新幹線の建設のように、国鉄自らが、鉄道の未来を指向して主体的に行なった部分もあるが、大部分は、戦後の経済復興、急増する大都市通勤」等々、「いわば国策への協力として行なわれた。問題は、設備投資に要した資金のほとんどが、戦後全期間を通じて借入金であったということである。」これが大きな問題をつくった。これも運輸大臣はっきり指摘されております。
〔
委員長退席、林(義)
委員長代理着席〕
九十八
ページから九十九
ページ、「欧州先進国の国鉄も日本と同様、赤字に悩んでおり、各国とも大幅な国家援助をしている。」「これら欧州諸国と日本の決定的な違いは、日本では、単年度の赤字分を国鉄の借り入れ金でまかなうことにしているが、欧州では欠損の単年度処理を原則とし、赤字の後送りはしていない。しかも、ローカル線など非採算輸送、あるいは社会政策からくる運賃などの
負担については、一種の契約概念にもとづき、国庫などから補填するルールになっている制度は、参考に値するだろう。」ヨーロッパと違って、単年度で赤字の補てんということをやらないで借金させる、これが雪だるまになった、これは監査
委員会報告も常に指摘してきたところであります。
余り私が読み上げますとこの本の宣伝を
工藤がやっているのじゃないかと誤解されますからこれだけにしますが、ここまで読んだところからいっても、国鉄の長期債務が二十数兆円だというけれども、これは実は避けることのできた長期債務であるということを物語っているわけであります。なぜ借金でやってしまったのだろう、なぜヨーロッパのように補てんしなかったのだろう、これさえやっておれば二十数兆円にならなかったじゃないかということを認めておられます。
ついでに申しておきますと、我が党は六九年、七三年、国鉄に対して
抜本的な改善策を提案しました。これはまさにさっき言った四十七、八年のことでありますが、十兆円も設備投資をやるな、三兆円台に戻しなさい、そしてヨーロッパがやっているように基礎施設の建設は国が持ちなさい、公共サービスの
負担をやりなさいと。こういうやり方をやれば、この二十数兆円は防げたのではないかと思います。財政の破綻は防げたのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか、大臣の
答弁を求めます。