○正木
委員 こんなことは釈迦に説法みたいなものでありますけれども、これは
国民所得との関連でこの税の
負担率というのは出てくるわけですね。大体
国民所得というのは名目GNPの八〇%か八二、三%までいく場合があるかもわかりません。要するに、税金が上がっても
国民所得がふえたら
負担率は上がらぬ、こうなるわけですね。ところが非常に特異な累進税率というものを
日本がとっているために、その割合ではふえていかないで、上の段階になったときにはさらに
負担率が高くなってくるから、この税の租税
負担率が当然上がってくるということになるというわけなんですよね。それはわかる。それはわかるけれども、それをある程度
調整せにゃいかぬですよ。その
調整することが減税ということですわ、私に言わせれば。
特に所得税の
負担率のふえている内訳を見ますと、一人当たりの給与額が二八・二%の伸びにとどまっているにもかかわらず、一人当たりの課税額は二六・九%と一・七倍もふえているのです。五十九年に減税があったにもかかわらずですね。さらに六十一年度に限ってみても、減税が見送られたために年収四百万円の夫婦子供二人の典型的なサラリーマン世帯の場合は、五%のベースアップがあって年収二十万円がふえると所得税は十一万五千円から十三万一千二百円と一三・三%も上昇するということになる。この辺がやっぱり
一つは問題なんですよ。その点、法人税の場合はそんな累進税率じゃありませんから問題はないのですが……。したがって、租税
負担率というのは景気の動向に左右されるということよりも、そういう形の税制の仕組みの中にもともと大きな問題があると言わなければならないわけであります。したがって、減税をしていただきたいのであります。
私は思うのですけれども、
政府はお嫌かわかりませんけれども、来年抜本改正をすると言うけれども、どんな形になるかよくわかりませんが、減税なんというものは、これは野党、またこの予算
委員会が終わりに近づいてくると修正要求をやるわけですよ。しかし実際問題としてこの修正要求というのはでき上がったものを変えろというものですから、これは建前から言えば変えるのは当然であるというようなものやけれども、そうはいきませんわ。あれ恐らく、
防衛費が突出した突出した、こう言っているけれども、
防衛費もあの突出分を予算修正でやれと言ったらできませんぜ、きっと。なぜ突出した
防衛費が予算の中にあるかといったら、先に取ったからなんです。先取りしたのです。これだけの
防衛費はもらうぞ、そうじゃないと
アメリカにぐあいが悪いぞということで先に取ってしもうたからです。これはやっぱり減税も先に取ってもらわなければいけませんわ。
それだから私は前から主張しているのは、要するに予算編成のときに予算
委員会を開いてほしい、で野党の
要望を聞いてほしい。それは、いろいろ政調会長が野党の政審会長を呼んで予算の
要望を聞いたり、また党首会談でいろいろ予算の
要望を聞いてくれていますけれども、事予算に関して数字が変わったというのは余り聞いたことないわ。まあ、言ってこいよ、聞いたるがなてなもんです。聞くだけ聞いて、後知らぬという感じですからね。本当言えば、予算編成の時期に予算
委員会を開いてもらって、そのときに野党の
要望を聞く。そのときにうんと言うかどうかわかりませんけれども、そのときに先に減税分をがばっと取ってしまう。これだけしか税収はないぞということで予算編成を始めてもらわぬ限り、これは減税できぬわ。正直に僕は申し上げているのですよ。しかし、私は断固としてやりますよ、予算修正。旗はおろしませんよ、私は。旗を掲げて最後までやりますけどね。
だから、そういうことも同時に
考えないと、これはやはり与党は与党なりのメンツというものがあって、私は最高のものですと思った予算を修正するなんということはとんでもない、僕が与党でも言いますよ、それは。その誇りがなくなったら終わりでしょう、
政治家として。しかし、何とか——そうすると、これもはっきり申し上げますけれども、予算を人質にとるよりほかに言うことを聞かすわけにいかぬわけですよ。恐らくそうなるよ。覚悟しておいてください。暫定予算かどうかというような形になって初めて話し合いが生まれてくるのですよ。米ソの軍縮みたいなものですわ。
ですから、そういうこともありまして、例年減税のことを申し上げておりますが、これはテクニックの関係からいえばそういうことになるかもわかりませんけれども、しかし、やはり減税をしなければならない理由は何かと言えば、どうしてもこれは外国に対しても内需拡大という、これをこれだけやっているんだということを立証しなければいかぬでしょう。恐らくサミットでもそれを要求されるんじゃないかと思いますけれどもね。それほど低級な話じゃないと思います、この話は。どうせ、それは偉い人だって言ってること、
考えていることというのは我々と一緒なんですから、どうなっているのや、おまえのところはてなことになるよ、それは。何もやっとらへんやないか、減税もやらな、公共事業もやらぬし、予算を圧縮するばかりで、集中豪雨的な輸出をして迷惑を受けているのはこっちばかりやないか、どないなっとるねんというようなときに、やはり
総理、言わないかぬわ、それ。それは大阪弁では言わぬとは思いますけどね。そういう話ですよ、結局の話が。
そうすると、やはり個人消費を、六二%もあるわけですから、いわゆる寄与率が。寄与率というか、シェアというか、この六二%の個人消費を伸ばす、そんなに妙案なんかありませんよ。これは賃上げと減税しかないのですから。使いでのある金をふやしてやるというよりほかに道がないわけですからね。そのための減税ですよ。だから、私
たちが拡大均衡、拡大均衡ということを数年前からやかましく言ってきておるのもそこにあるわけであって、それは財政再建というのは成長を高めて、税の自然増収をふやす、そのことで赤字を消していくというのは一番理想的な形ですね。鶏でいえば、卵をどんどん産まさないかぬわけですが、全然えさを食わさぬと卵を産めと言っているのです。そういうことでしょう、結局。えさはないぞ、産め、六十五年まで産むのを待つと言っているんだから、どうなっているんだろうと思いますよ。ですから、そのためにはやはり減税というものを、それは苦しいでしょう、苦しいのはわかっているけれども、減税をやらなきゃいかぬのですよ。公共事業をふやせる話じゃないんですよ。政策手段なんてそんなにたくさん財政的にはあり得るはずがないわけです。
だから、それをやらぬというのだから、相変わらずえさを食わさぬと卵産みよるのを待っているというだけで、結局、年度末赤字になってえさを食わさないかぬのですから、ちゃんと卵を産めるようなえさを食わしてもらいたいと思いますな。どうですか。
〔林(義)
委員長代理退席、
委員長着席〕