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大内委員 これはしかし、残念ながら
日本の事実であろうと思うのです。それだけにこれからの
住宅建設また
住宅建設が促進されるような
住宅に対する税制という問題について、どうか
総理も
大蔵大臣も真剣に考えていただきたいと思うのであります。
例えば、第四期の
住宅建設五カ年計画、これは
昭和六十年度で終わる計画でございますが、この
住宅計画の実績見通しは大体七九・五%、八〇%を切る状態であります。そして、今
住宅水準の国際比較というものを建設省は随分データを出されましたね。ああいうのはどんどんやるといいのです。私はこの国際比較を隅から隅まで相当見てみました。その結果よくわかりましたのは、
日本の
住宅水準というものは
先進国に比べると著しく悪い。そしてその
住宅に対する満足度というのは
先進国では大体七〇%台ですね。高いところは八〇%台ですが、
日本の場合は四六%です。半分近くが今の
住宅に対して不満を持っている。したがって、その不満率というものもやはり同じ四六・三%に達しているんですね。西ドイツの場合は八一%です、カナダの場合は八三%でございますから、半分近い不満感というものを持っている。
しかも一番大事なのは、
住宅の価格と所得の乖離ですね。私はこれも調べてみましたら、ことしはたしか、一月十五日の成人式には二十のいわゆる若者が百八十万人巣立っていきました。そしてこの二十の若者が結婚し、職場を得、そして三十五歳ごろになると自分の
住宅を取得するんですね。ところが、その時点の自分の所得と
住宅の価格を見てみますと、
日本の場合は六・五倍なんです。これは建設省が出している数字なんです。
アメリカはどうかと思って調べてみましたら三倍なんですね。フランスはどうかと思って調べてみたら二・七倍なんです。イギリスは幾らか高くても三・六倍なんです。これなら
住宅は買えるのです。ところが
日本のそうした三十五歳近辺のサラリーマン、事業主においても
住宅が買えない。これは国の
住宅政策と自治体の
住宅政策がおくれているという
意味なんですよ。これはさっき私は
住宅問題で幾らか
議論しましたけれども、本当に
日本が
世界に出かけていって誇れる国家、民族になるためには
住宅の整備というものは非常に重大だ。あのキリストにおいてすらも、人の心を正すのはまず立派な
住宅を与えることにあると言っていたくらいなんです。
そして、その
住宅に対する減免税の比較というものを見てみますと、これもまたひどいですよ。さっきちょっと、別に私は揚げ足をとるわけではございませんが、
総務庁長官はちょっと数字を間違えられていたように思うのですが、歳出総額に占める減免税額というのは
アメリカは四・一%、それを今一%にするように努力されているという
お話がございましたが、そうではないのです。〇・二%です。イギリス、ドイツの場合は三・七%です。ですから
住宅に対する施策というものが実はあらゆる面でおくれているのです。
そこで、私は中曽根
総理が研究されているというレーガン減税を見てみたのです。
住宅減税。そうしたら、一九八五年の利子控除額だけを見てみますと、二百五十億
ドルです。あの当時は換算が幾らか違いますから、邦貨に直しますと五兆八千七百五十億です。利子控除額だけです。しかしそれは八五年だけで、八三、八四、八五と連続して見てみますと十九兆くらいの利子控除をやっています。
利子控除以外のすべての
住宅税制の優遇措置を見てみたのです。これは一九八五年だけで四百二億六千万
ドルです。これは二百二十四円、当時の換算で見ますと九兆円ちょっとです。
日本の減税額御存じでしょうか。大体四百億から五百億です。
アメリカは九兆円、
日本は四百から五百億、まさに雲泥の差なんです。
もう一つ比較してみたのです。
日本と
アメリカで、例えば
住宅ローンを一千万円持っている、給与収入は中堅サラリーマンで六百万円、年利八・二%、二十年間の元利均等の償還でどのくらいの税額の控除が行われるであろうかということを計算してみたのです。
日本の現行の税額控除方式によりますと、今の条件でいきますと三十九万円控除されます。ところが、
アメリカの利千所得控除でいきますと百七十三万円なんです。四・四倍なんです。
これを見てみますと、
日本の
住宅減税というものがいかに貧弱であるか、これは一回本当に考えてもらいたいですよ。そしてきのう、おととい、さきおとといと
議論が続いておりましたこの
住宅減税を見ておりますと、いや、六十一年度は相当の
住宅減税をやりました、確かに幾らか努力しているのですよ。しかし、この
住宅取得の促進税制の創設ででき上がったのは三百七十億でしょう。これでは本当のいい
住宅は建ちませんよ。
日本の
住宅は依然として偉大な村に発展していくだけなんですよ。これを本当に考えていただく政治があれば
国民は非常に喜ぶと私は思うのですよ。中曽根
総理が本当にこの問題に手をつけるなら、今の高い支持率はもっと上がると思いますよ。
そこで、私はこの際提案したいのです。来年やるとおっしゃいましたね。ことしもやってもらいたいのです。しかし、ことしは一定の予算の枠組みがあるからそんな無謀なことはできないでしょう。したがって、最小限の要求をここで申し上げますので、ちょっと聞いていただきたいのです。
これは今度の
政府の
住宅減税でも取り上げられているところに即した修正なんですけれども、一つは、今回の
住宅減税において税額控除される額が、年末における
住宅ローン等の残高の一%相当額となっていますね。江藤建設大臣は就任早々の新聞記者とのインタビューで、一%なんてけちなことを言わないでもっと上げろと言った。言いっ放しでは無
責任です。したがって、これは二%相当額にまず引き上げたらどうかと思うのです。
二つ目、
住宅減税の適用期間を三年間と今度しましたね。
アメリカの場合、これは無期限なんです。期間の制限なしなんです。せめて五年ぐらいにしてもらいたいのです。
三つ目、減税の適用対象は借入金の残高となっておりますけれども、
住宅の取得費の全体にしたらいいと思うのです。そうすると非常に恩恵が出ます。つまり、
借金で建てる場合の頭金や、
借金をせずに建てる場合についても減税の対象にしたらどうか。
私は、
住宅減税というのはもっと大規模に大がかりでやらなければならぬと思いますが、少なくとも六十一年度予算という枠内で見てもこのぐらいは努力すればできる、民社党としてはそういう
意味で六十一年度予算についても
住宅減税を
拡大する修正を要求したいと思うのです。
この私どもの要請に対して
検討されますか。恐らくこれからいろいろな予算修正交渉も持ち上がってくると思うのです。しかし、そんなことは受け付けないと言ってはねつけるだけでは、
政府がおっしゃっている
住宅減税について我々は真剣に考えているとは到底言いがたい。これは私どもの最小限の要求でございますが、
検討していただきたいと思いますが、いかがでしょう。