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田邊(誠)
委員 それでは、時間がございませんので、実は外交問題、まだ引き続き
質問をすることが残っておりまするが、一応、経済、財政関係について若干
質問をいたします。
それで、大蔵大臣も言っているように、この六十一年度予算、いろいろな使命があるけれ
ども、大きく分けて、財政再建の道筋からいって、本年度の予算はどういう役割を果たすのか。
もう
一つは、
総理がいつも言っているように、
世界の中の
日本、
世界経済は今非常に混迷をしておる、こういう
状態の中で、
世界経済の再生のために
日本の果たす役割というものは一体何だ、こういう私は二つのものを持っていると思うのです。――ところが、残念なことに、この
政治の顔と言われる六十一年度の政府予算というのは、これはどちらの役割も実は果たしていない、極めて中途半端な形になっているということを、これはどなたも指摘をいたしておるわけでございます。私だけじゃないわけでございます。現に与党の有力な藤尾政調会長も、この手法はもう六十二年度以降はとれないぞ、竹下大蔵大臣も、どうも来年度以降財政再建に向けてのこのやり方というのは実はとても困難になってきた、六十五年度赤字公債脱却というのはなかなか難しい、こういうふうに言っておるわけでございます。
私は、この際、やはり
日本の持っているところの潜在的な成長力、これを一体どうやって活用するか、そして、中期展望の中でもって安定成長を遂げていくにはどうしたらいいかということを考えなければならぬところに来ていると思うのです。そのためには実はどのくらいの成長率が適当かということについては論議があるでしょうけれ
ども、やはり四%から五%、できれば五%の実質成長というのが望ましいのじゃないだろうか、こういうふうに実は我々は見ておるわけでございます。
そこで、
総理も言われたししまするが、内需拡大が必要だというのは、まあこれはだれしも言っているんですね、だれに言っても。しかもこれは国際的な約束だということは、実はウィリアムズバーグ・サミットにおけるところの内需拡大の約束、昨年のG5におけるところの公約、こういった点から考えられるわけでございまして、各国とも悩みながら、実はかなりそれに対応しているんですね。
アメリカも財政
均衡法などというものをつくって財政赤字をなくそうと努力しておる。ヨーロッパもかなり内需拡大への拍車をかけている、こういう状況になってきたわけでございまして、したがって、我々もこの円高の中で、かなり円高デフレも出てきているという
状態でございまするが、やはり内需拡大をしなければならぬということでございまして、名目五・一%、実質四%の成長を見込むと言いますけれ
ども、これを決めたときに安倍さんも、実際、これは達成困難ではないかというふうに懸念を表明されたというのですけれ
ども、これは
外務大臣だけじゃなくて、民間の調査、どれを見ても、実質成長は大体二%から三保八%という
状態でございまして、相当無理なのです。無理なんだけれ
ども、政府としては対外的にこれだけは宣言しなければならぬというところへ来ているんでしょうね。そういった
意味からいいましても、私はかなり内需拡大について本腰を入れなければならぬ。
しかし、残念なことに、いわばその目玉というのは何かといえば、最終消費である。消費拡大ということについて、政府は楽観的な見通しを立てているけれ
ども、これまた、実はなかなか困難。GNPの大体六〇%を予定するところの消費拡大、これがなかなかできない。減税がなくて、いわば累進課税の中でもって段階が上へ上がりまするから、実質的な増税、非消費支出がどんどんとふえている。契約的な資金支出もふえているという
状態でございまして、一々数字を挙げませんけれ
ども、これは大変な状況になってきているということでございまして、五十四年から五十九年の世帯別の実質消費支出を見ますると、この間、わずか〇・二%しか上がっていない。ほぼゼロ。GNPの伸びはこの間、平均三・五%、結局は、消費支出が抑制されている、可処分所得が伸び悩んでいる、こういう状況でございました。
そういうことになってまいりますると、手っ取り早く財政がこれに対して対応できるものは何か。
竹下さん、あなたは毎年毎年、言いたくないことだろうけれ
ども、財政が経済に対する寄与率は中立だ、ゼロだ、こう言ってきた。これはとても疲れて、政府も疲れたろうし、
国民も疲れている。これは私が言うのじゃありませんよ、中曽根さん。ある新聞論調によると、一体政府というのは何の役に立ってきたんだ、経済無策の三年間じゃないか。六十一年度も無為に終わるか、とこう酷評しているのですね。だから、いろいろなことを考えてこれでやってきたなんと言うけれ
ども、私も余り難しいことはわかりませんけれ
ども、しかし、だんだん役人が積み上げたものをただやっているだけでは
政治ではございませんので、したがって、この際、ひとつ我々としてはこの発想を転換をしてもらいたい。
という状況の中で、まず
一つやるべきことは、大幅減税。
総理は、春に減税で、選挙をやりましてからそれから秋に増税、こういうふうに税調に頼んでいる。小倉税調会長に聞きたかったのだけれ
ども、こんなやり方はないですよ、実際に。シャウプ勧告以来の税制改正をすると言っているけれ
ども、これは私が言うまでもない、シャウプ税制というのは、所得税を確かに竹下さんの言うように七〇%から下げる、しかし総合課税の問題がある、それから所得税の補完税としての富裕税の創設というもの、これまでひっくるめて実はどうするかということを言っているのでございまして、そういった点から見て、どうも
総理の作為的な、まず減税ありき、そして選挙をうまくやってから増税、こういう、これは本筋じゃないですね。私は、減税その後増税というのじゃなくて、増税は一応置いておく、これは。まずひとつ迂回作戦をとって、大幅減税をやってみる、そしてパイを大きくして、税収もふやしていくという
方法をとれませんか。これは
国民が今願っていることじゃないでしょうか。
しかし、そうなってくればなれが出る、一たん膨らましたらなかなかそれは縮められないと、こういう意見は私は知っています。官房
長官もこの間
国会計論会でそう言っておった。しかし、そうやって毎年毎年来たから、実はこの問題に対して財政再建もできない、そして本当の
意味におけるところの内需拡大によるところの景気の浮揚もできないという状況になってきたのだと私は思うのです。
ですから、この際
思い切って、
総理も減税をやると言っているのですから、減税をやって、そしてひとつその後景気の状況を見ましょうや、経済の状況を見ましょう、そういうことでなければ、この三・六%と予定しているところの個人消費は、実際は昨年もできなかった、当初予算に比べてできなかった、修正せざるを得なかった、三%。ことしはもっとひどいですよ、今の状況は。というところから見て、とてもこのあなた方の見込みは達成できない、国際公約も果たせない、
世界経済に対するところの、経済大国になったと自負しているところの
中曽根内閣のこの
経済政策は結局無為に終わる、こういう形になるだろうと思うのでありまして、この際、ひとつ
思い切って大幅減税、私は二兆三千億と言ったけれ
ども、もっと多くてもいいんです。大体三年間で五兆円ぐらいは必要だ、そうでなければ景気浮揚できない、こう思っておるのでございまして、どうでしょう、五兆円ぐらいの三年間でやるということの目標を立ててやってみたらどうでしょうか。
経済に対してあなたはいつも
責任を負わない。外交ではお得意だと言っているけれ
ども、経済は非常に声が弱い、主導権をとらない。それは大平内閣も、大型間接税導入で五十四年の選挙で大敗を喫した、四十日抗争になった。
鈴木内閣も、五十九年度の赤字公債発行ゼロの公約が破綻して、いわばこれも引き金になって退陣せざるを得ないという状況になった。ということから見て、経済に対して
中曽根総理が大統領的権限を振るわないということもわかりますけれ
ども、あなたが経済に弱いことも知っておりますけれ
ども、しかし、この際ひとつ大型な減税、この減税に踏み切るというちょうど時期ですよ、あなた。九カ月の残された期間の中でもってあなたがやれるとしたら、この大幅な減税、こういうことにならざるを得ない、こう私は思っておるわけでございますが、
総理の決意をひとつ端的にお聞きをしたい。