○小谷輝二君 私は、公明党・
国民会議を代表いたしまして、ただいま御
説明のありました
昭和六十一
年度地方財政計画、
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案並びに
地方税法及び
国有資産等所在市町村交付金及び
納付金に関する
法律の一部を
改正する
法律案につきまして、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
本年は、
地方自治が発足いたしまして四十年、大きな節目を迎えようといたしております。特に、八十年代は、
地方の時代と言われております。これまでの
地方自治の跡を振り返ってみたとき、
政府の
施策はただかけ声ばかりと言わざるを得ません。すなわち、臨調や
地方制度調査会では、中央に権限と
財源が集中していることについて、
地方自治制度の
地方分権化を再三提言しておるわけでございますが、現在に至るまで、これらに対して何ら見るべき
改革は行われておりません。
総理は、こうした現行の
地方自治の
実態をどう考えているのか、また、高齢化や価値観の多様化が進行する中で、二十一世紀を見通し、これをどのように
改革しようと考えているのか、まずお伺いをいたします。
今、
我が国の当面する重要課題の一つは、
経済摩擦の解消であります。この問題の解決は、
住民生活に密着した上下水道を初め
住宅建設など、社会資本の充実を図ることによる
内需拡大策を強力に
推進しなければならないのであります。そのためにも、
地方自治体の役割は、今後ますます重要と考えられるのであります。したがって、国、
地方間の抜本的な役割分担の改編が今必要と考えます。
総理の御
所見をお伺いしたいのであります。
次に、
昭和六十一
年度地方財政において最大の課題である国庫
補助金の
削減の問題についてお伺いいたします。
政府は、本
年度に引き続き六十一
年度においても、
補助率カットの継続、
拡大を図っております。これによる
地方負担は、本
年度の二倍を上回る一兆一千七百億円にも上っております。言うまでもなく、
地方財政は、三千三百余の団体でありますが、その公債費負担率を見ますと、危険ラインと言われております二〇%を超える団体は既に全体の三分の一に達しており、
地方財政はその負担にたえられるとは到底言えない
状況なのであります。しかも
政府は、本年をもって
地方行革元年と称し、
地方行革大綱をもって
地方自治体の
経費節減を強制した上、それによって生み出された余裕を、
住民に還元することなく、国に吸い上げようとしているのであります。この
補助率カットは、
行革に反するとともに、
地方に
負担転嫁を禁じている
地方財政法にも違反するものであると考えるわけであります。
政府は、このような国、
地方間の原則に反する
補助率カットの
拡大、延長をどのような根拠に基づき行おうとするのか、その理由を明らかにされたいのであります。また、今回の
補助率カットの
拡大、延長は、三年間とされておりますが、三年後にはさらに継続されることはないのか、この点について
総理及び
関係大臣に明確な
答弁を求めるわけでございます。
次に、
税制改正についてお伺いいたします。
六十一
年度の
政府の
税制改正案によると、
国民が期待していた
減税は行われておりません。それどころか、たばこ消費税の
引き上げ等のため、
国民の
税負担は一層強化されようとしております。このため、名目収入がふえても、物価上昇や
減税見送りにより、
国民の可処分所得は減少すると言われております。こうした
実態では、
政府が期待している内需の
拡大を図ることは、全く困難と言わざるを得ません。
国民の
税負担の
軽減と消費の
拡大を図るためにも、
不公平税制の
是正等により、所得税、
住民税合わせて二兆三千四百億円の大幅
減税を早急に行うべきであると考えますが、
総理の見解をお伺いするものであります。(
拍手)
また、
補助率カット補てんのためのたばこ消費税の
引き上げは、明らかに国の
財政再建のための大衆
課税の強化であって、「増税なき
財政再建」に反すると思いますが、この点について
総理及び
関係大臣にお伺いをいたします。
次に、
機関委任事務の
整理合理化についてお伺いいたします。
総理は、かつて、
補助率カットと引きかえに、国の権限の大幅
地方移譲を行うことを約束されました。ところが、今
国会で
予定されている
機関委任事務の
整理は、その
件数、内容ともわずかなものにとどまり、
地方自治体の要望にほど遠いものとなっております。
総理は、このような
機関委任事務の
整理をもって、
補助率カットに相応したものと考えているのかどうか、その見解をお伺いするものであります。
さらに、今回、このようなわずかな
機関委任事務の
整理と引きかえに、
政府の代執行制度の
改正がなされようとしております。すなわち、
機関委任事務を
地方自治体が
実施しなかった場合、
政府は、いわゆる裁判抜きで代執行ができる
措置を講じようとしているのであります。現行制度は、
政府の代執行は、第三者機関としての裁判所の
判断を踏まえてできることとされております。これは国、
地方の権限のバランスをとり、中央
政府のごり押しを防ぐためのものであって、憲法上確認された
地方自治を保障する重要な制度であります。今回の裁判抜きの
改正は、戦後築き上げられた
地方自治の枠組みを崩すものであり、
政府は、このような
措置はとるべきでないと思うわけでございますが、
総理及び
関係大臣の見解を伺いたいのであります。
さて、現在、
円高が大きな問題となっており、これが日本
経済に与える影響は重大であります。
円高は、歯どめを失ったように進行し、昨日には百七十円台に達しており、その結果、輸出
関連企業は壊滅的な打撃を受け、企業の所得、
雇用に重大な影響を与えているのであります。
政府は、このような事態をどう
認識し、また、これらに対してどのような
対策を講ずるつもりなのか、
関係大臣の見解を伺います。なお、
政府は、今後の
円高の見通しと、
我が国経済の
現状において好ましい円レートはどのくらいと考えているのか、あわせて
お答えをいただきます。また、
円高に加え、原油価格の
引き下げによる電力料金等の差益は、膨大な額に上ることが明らかになっております。この
円高差益の還元に対する方途について、この機会にお伺いをいたします。
次に、
国民健康保険会計についてお伺いいたします。
国保の五十九
年度決算によると、全国の赤字
市町村は、全
市町村の一二%に当たる四百二団体で、前年の三倍に増加しておるのであります。この原因は、五十九
年度に新設されました退職者医療制度の加入者について、
政府が過大に見積もり、国庫負担の大幅
削減を行ったことによるものであります。これに対して
政府は、十分な
財源補てんを行わないため、
地方自治体は、六十
年度に平均一〇%の大幅な
国民健康保険税の
引き上げを行っており、保険税の平均は四万三千円にも上っております。国保の医療費の負担は既に限界に達し、国保制度そのものの存立が危ぶまれております。
政府の見込み違いによる赤字は当然、
政府によって完全に
措置すべきでありますが、
関係大臣の見解をお伺いいたします。(
拍手)
また、現行の
市町村単位の
国民健康保険では、小規模団体が高額な負担にたえられない事態が生じております。この問題についての
対策をあわせてお伺いいたします。また、
政府は、現行の窮迫している国保制度に対し、抜本
改正を考えているようでありますが、その
改正の
概要をお示しいただきたい。
以上、当面する緊急かつ重要課題について
質問をいたしましたが、
政府の率直な
答弁を求め、代表
質問を終わります。ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣中曽根康弘君
登壇〕