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安倍(基)
委員 任期満了までにもしできなかったら全員が資格喪失というほどに私は厳しく考えております。しかし、解散権を確保するためにもう今国会中にやらにゃいかぬ、何が何でもやらにゃいかぬ、できなかったら解散だというような
議論はまさに本末転倒であって、これはさっきの、解散権というのは絶対である、それを回復するためにはすべてを犠牲にしなければいかぬというような
議論につながるわけでございます。
これは解散権の本質論になるわけでございますけれども、さっき長官が来られる前にちょっと話が出たのですが、キングあるいは戦前の天皇、これは統治権を総攬する、それを国会が制限するという形でございます。ところが日本の場合には象徴天皇になって国政に関する権限を持っていない。西ドイツの場合にも象徴大統領である。その場合には、行政府と立法府が完全に対立して不信任案が通過したときに初めて行政府の長に解散権が憲法上与えられているわけです。日本の構成は、まさに国家構造はそのとおりなんです。現在におけるいわば七条解散論というのは国際的に
議論したら通用するとは私は思いません。これは憲法学者はもう一遍
議論し直すべきだと思うのです。でございますから、だれが判断権を持っているかという問題なんです。
国民の意思を問うということはおかしくない。
国民の意思を問う、だれがその判断ができるのかという問題になりますと、この点はまた長くなりますから。
それではその次に、いわば是正されないまま解散できるかということでございます。任期満了のときまでには完全に直さなければいかぬと思います。是正されないまま解散できるかということにつきまして、一般的にはこれは法律論じゃなくて政治論だということを言われます。
国民の意思を問うという場合に何が
国民の意思であるかといいますと、それは非常に抽象概念でございまして、選挙を通じてわかる。長官も刑事訴訟法あるいは民事訴訟法を勉強したと思いますけれども、いわゆる手続規定、もし定数是正がされない場合には何が
国民の意思であるかはっきりしない面があるじゃないか。要するに
国民の意思が正当に反映されない
状況だ、こう言っているわけです。でありますから私は、定数是正がされないままの解散・選挙というのは、問うべき
国民の意思について、その
国民の意思が正当なルートでもって出てこないということになりますと、これはいわば法理的な制約になる。単に政治的な制約だけじゃないと思います。この点についてはあるいは
議論があるかと思いますけれども。今の解散権絶対の主張からいうとそうかと思いますけれども、しかし、
国民の意思が何であるかという手続が非常に瑕疵があるときに
国民の意思を問うことそのものに問題が出てくる。したがいまして、定数是正なきままの解散というのはその点でも問題があると私は思います。いかがでございますか。