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佐藤(徳)
委員 たしか森
文部大臣がおやめになられた直後だったでしょうか、ゆとりの時間は失敗であったとどこかに行ってお話しされて
新聞に出たことがありますが、既にそのときには
大臣をおやめになっちゃったので
委員会でやりとりをすることが実はできなかったわけであります。ただ、私は、全国幾つかの特徴がありますから必ずしも固定したような物の言い方はできないとしても、ゆとりの時間を設定されることは結構である、しかし、本当に活用いただきたいという気持ちは痛いほどわかりますけれども、活用できる現場の
状況にあるのかどうかということについて私は非常に疑問を持っているわけであります。
例えば、二月二十日の朝日の朝刊に「テーマ談話室」というのがございます。これはしばらく続いておりました。その中で「新
教育四十年の経験から一言」という、
小学校の教員を経験された先輩の方が投稿されております。こういうことを言っているのですね。
八教科、道徳、特別活動、
学校行事などに区分されている
教育内容のうち、とくに特別活動の分野がネコの目のように変わるため、多くの
教師が必要以上の精力を傾け、主要八教科の研究や
指導が年々手薄になったきらいがあります。
また全
教育課程の順序、統合性を総括的にチェックする機能が現場にあるでしょうか。専門分化のばらばら作業では、全人
教育はとても不可能です。
次に授業に必要な教材研究、教具の準備や後始末、
反省のための最低時間も保証されていない。とくに
小学校は勤務時間内ではむずかしく、家に持ち帰るか、準備なしで授業に臨むのが現場
教師の泣きどころです。こういう投稿を実はされておったのを読んだことがあります。
大臣は大変
教育の専門家だと皆さん思っておられますし、
大臣自身もそうだと思うのでありますが、専門家であるかどうかは別にいたしまして、私と
大臣の違いは現場の経験があるかないかなんでありまして、私は、何年か前でありますけれども自分の経験を思い起こしながらいろいろ今日の
教育問題を心配をしている一人なんであります。それだけに多くの仲間もおりますし、いろいろなお話も聞くわけであります。後ほど
見解をいただきますが、こういうことが現場の声だということをぜひひとつお聞き取りいただきたい、こう思うのであります。
つまり、教材研究の時間がないということを訴えております。これは
文部省の方御
承知のとおり、授業を行うためには教材研究は必要欠くべからざるものであります。この教材研究が進む度合いによって授業のあり方についてもいろいろ工夫がされるでありましょうし、一々注釈を加えますと時間がありませんからそれだけきり申し上げることができませんけれども、教材研究の時間が少ない、こう訴えていることも確かであります。
それから、管理職が授業時間の年間時数確保のために授業をつぶさずに諸行事を持ち込んでしまうということも、ゆとりの時間が削られている
要因というのはここにあると私も思います。
また、進路
指導という名の
テストが横行している、これは先ほど
大臣の
お答えのとおりであります。
さらに、これは小規模
学校だと思うのでありますが、会計の仕事を一般教諭にさせているために仕事が非常に煩雑であるという訴えもあります。
さらにまた、これは後ほど触れますが、地方
教育委員会の研究指定校が多過ぎるという指摘もあります。
それから、小中教研の研究指定、研究題の押しつけ、あるいは研究会、各種
会議が非常に多い。私、ある現場から、幾つかの
学校からいただいてきたものを持っているのです。ずっと
学校行事の一覧表ですね。これは私が現場にいたときと大差はないのでありますけれども、とにかく
会議が非常に多いのです。特に
中学校は専科
指導、教科
指導をやっておりますからいろいろなことがあるわけでありますが、
小学校ですら非常に多い。
出張が多い。これは出張というのはいろいろ意味合いがありますから整理をしなければいけない点があると思うのですが、特に校長の出張が極端に多いということが述べられています。一度実態をお調べになった方がよろしいのじゃないでしょうか。そして教頭や各種主任の出張も多く、それが他の教職員に影響を及ぼしている、これも事実でしょう。
子供をそのままにしておくわけにいきませんから、自習をさせたり隣のクラスを面倒見たりという事例は今でもたくさんあるわけであります。
それから、
指導主事の
学校訪問が多く正常な
教育活動が阻害をされている
傾向がある。
また、
教育事務所や地方
教育委員会の
調査が多過ぎるという指摘もあります。
さらに、受験体制——オリンピック体制という表現を使っていますね、手っ取り早い表現なんでしょう。受験体制、オリンピック体制に研究指定が加わって、現場を多忙化させ、
子供の生気を奪っているという指摘もあります。
あるいは、平日の放課後に
学年会、
学年主任会、現職
教育、
生徒指導、企画
委員会、定例打ち合わせ、特設クラブ、ありますね。毎日とは言いませんが、あります。そうすると、勤務時間内に教材研究をする時間が一体あるのだろうか。出張が多いときには
子供を一体どういうふうにしているのだろうか。この悩みというのは現場を経験された
教師であればみんな
考えていることなんであります。私は若いときによく先輩から、授業で勝負しろ、授業は真剣勝負なんだと教えられたことを実は今でも思い出しているわけであります。それだけに落ちついて授業をさせるような
学校の経営なり
教育体制というものができないのだろうか、もろもろの仕事の合間に授業をするということでは、極端な言い方かもしれませんが、まさに本末転倒なんであります。
たかる、各種コンクールへの義務参加の問題や、あるいは先ほど
大臣が
お答えになりましたゆとりの時間でありますが、ゆとりの時間特設でゆとりがないという表現をしていらっしゃる
先生もあるわけであります。
学校管理体制の
強化がもたらしたものもこれまたたくさんあるわけであります。
挙げれば切りがないほど問題が指摘をされているのでありますが、全国的にはさらに多くの問題が内包されていると思います。私が今申し上げましたのは私の作り事ではなくて、実際に現場を歩いたり現場
教師といろいろ話し合いをして出された問題の整理であります。ひとつ
大臣なり、初中
局長がいらっしゃいますから
文部省の
考え方なりをぜひお聞かせいただきたい。私が言いたいのは、今
教育の非常に大事な時期だけに
教育に専念させるべきだ、専念させるためにそういう条件をつくってやるべきじゃないか、こういう主張なんであります。
大臣、いかがでしょうか。