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櫛渕政府
委員 まず、遺伝資源の我が国における現在の
状況でございますけれ
ども、農林水産省として現在保存をしております遺伝資源の総点数は約十二万三千点でございます。
その概略を申し上げますと、二万点以上の保存をしておりますのは、稲、それから大小麦・麦類、それから牧草・飼料作物、これらはそれぞれ現在二万点以上の保存点数がございます。そのほか、例えば豆類等は約一万点、
野菜等も約一万点でございます。
さらに、遺伝資源の確保につきまして現在の
状況を
一つの事例として具体的に申し上げますと、例えば五十九年度の遺伝資源の収集の実績でございますけれ
ども、この年度で七千七百点の収集実績がございまして、このうち国外から収集した遺伝資源が四千八百点ございます。もちろん
種子繁殖性のものと栄養系のものと合計でございます。
さらに、遺伝資源の保存の
現状でございますけれ
ども、遺伝資源の保存はなかなか大変な仕事でございまして、先ほど申し上げましたような非常に莫大な点数について、
種子繁殖性の植物の
種子の保存は主として筑波にあります
農業生物資源
研究所の
種子貯蔵施設を
中心に保存をしてございますが、例えば芋類だとかコンニャクのたぐいといった栄養系の作物あるいはその野生種、木本性の果樹でありますとかお茶あるいは桑、こういったたぐいのものは貯蔵施設で貯蔵するわけにまいりませんので、これは
全国にあります国の
試験研究機関、それから
原原種農場、種畜牧場といったところの組織あるいはそういった立地条件を十分に活用しまして、
全国のネットワークの中でその保存を図っておる次第でございます。
さらに、遺伝資源につきましては、有効に活用するための
方策として、極力その特性情報、持っている遺伝資源の特性情報の評価が非常に重要でありますが、大変な手間がかかる仕事でございまして、先ほどのネットワークの中で情報の
調査、評価とそのデータベース化を鋭意進めておる次第でございます。
なお、後段の
お尋ねの作でございますけれ
ども、
国際的な
研究協力といいますか遺伝資源に関する協力の
実態について申し上げますと、まず第一点としては、
国際的な探索、収集の活動がございまして、これに我が国としては専門家を積極的に派遣をして協力を進めております。その
国際的な機関と申しますのは
国際植物遺伝資源
理事会と申しまして、略称IBPGRと呼んでおりますけれ
ども、この
国際機関で計画的に遺伝賢源の探索、収集の活動を毎年進めておりまして、この中に我が国の専門家を派遣して協力を進めております。その具体的な
成果としては、六十年度にネパールを
中心に約三千点の稲、麦、雑穀、果樹、
野菜、こういったものの遺伝資源の収集について
成果をおさめております。
第二点としましては、
国際的な遺伝資源の保存
体制があるわけでございますが、これについて我が国も積極的に協力をしておりまして、これは具体的には稲、大小麦、
大豆、カンショその他幾つかの作物につきまして、先ほ
ども申しましたIBPGRに協力をしまして我が国は一定の保存の分担をやっておりまして、そういう
意味では、筑波の
種子貯蔵施設が
国際的なある
一つの保存機関の
役割を果たしておるわけでございます。
第三点としましては、
国際的な遺伝資源に関する
共同研究の実施でございますが、これにつきましては、現在中国の雲南省におきまして、遺伝資源の利用という観点から水稲の
育種に関する日中
共同研究を進めてまいっております。
第四点としましては、遺伝資源の宝庫と言われる熱帯、亜熱帯の諸国の遺伝資源の保存施設あるいは保存
技術、こういったものに対して我が国は資金面あるいは
技術面での協力を、これはJICAの
関係でありますけれ
どもやっております。
第五点としましては、そういった途上国の遺伝資源に
関係する
研究者を我が国に毎年迎えまして、我が国でその遺伝資源
関係の研修を実施してまいっております。これは数年間続けておりまして、毎年十カ国以上の国からそういった若い
研究者が
日本に参っております。
こういうようないろいろと総合的な
国際的協力の中で、今まで我が国は遺伝資源の
研究あるいは収集、保存、こういった面に関して貢献しておりますけれ
ども、今後一層この点に力を入れたいと
考えております。