○後藤(康)
政府委員 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
本
法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。
第一に、農水産業協同組合貯金保険
機構の業務として新たに加えられる
資金援助業務の対象につきましては、主として信用事業に起因して、貯金等の払い戻しを停止するおそれがあるか、または貯金等の払い戻しを停止した農協、漁協等としております。
第二に、
機構が行う
資金援助業務の方法につきましては、基本的に金銭の贈与、
資金の貸し付けもしくは預け入れ、資産の買い取りまたは債務の保証もしくは引き受けとしております。
第三に、
機構が行う
資金援助を農協、漁協またはこれらの連合会等が受けるための手続につきましては、
資金援助を受けようとする農協、漁協またはこれらの連合会等は、あらかじめ、合併または信用事業再建措置について、
都道府県知事による適格性の認定またはあっせんを受けなければならないこととしております。この場合において、
都道府県知事は、その合併等が貯金者等の保護に資すること、
機構による
資金援助が不可欠であること等の要件を満たすときに、主務
大臣の承認を経た上で、適格性の認定等を行うことができるものとしております。
第四に、
機構が行う
資金援助の決定につきましては、農協、漁協またはこれらの連合会等から
機構に対して
資金援助の申し込みがあったときは、
機構は、主務
大臣の認可を受けて、
資金援助を行うかどうかを決定しなければならないこととしております。
このほか、
機構の
理事の任期を二年とする等、所要の規定の
整備を行うこととしております。
以上をもちまして、
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
法律案の提案理由の補足説明を終わります。
引き続きまして、
農林中央金庫法の一部を改正する
法律案について、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
本
法律案を
提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。
第一に、農林中央金庫の
民間法人化を図るために必要な規定の
整備であります。
その一は、
政府の出資資格の廃止であります。
農林中央金庫は、大正十二年に
政府出資を受けて発足したものでありますが、
昭和三十四年以降は
民間資金のみを資本金としており、また、経常的経費についても
補助金等を受けていない等、自主的な業務運営を行うに至っているものであります。
このような状況を踏まえ、今回、農林中央金庫の経営の自立化及び
活性化を図る観点から
政府の出資資格を廃止しようとするものであります。
その二は、これに伴い、総務庁設置法における特殊法人に関する
審査、調査等の規定の適用対象から農林中央金庫を除外することであります。
その三は、資本金に関する規定の
整備であります。
農林中央金庫の資本金
制度につきましては、その経営の基礎を明確にする等の観点から、資本金額及び出資一口の金額を法定するとともに、増資に際しては認可を必要とすることとしていたものでありますが、
民間法人化に伴い、これを、他の
民間金融
機関の法
制度に倣い、資本金の最低額を法定するとともに、資本金の減少に際しては主務
大臣の認可を、資本金の増加に際しては主務
大臣への届け出をそれぞれ必要とすることに改めることとしております。
その四は、登記に関する規定の
整備であります。
農林中央金庫の登記につきましては、これまでほとんどの登記が主務
大臣の嘱託により行われることとされておりましたが、これを当事者の申請に基づく登記に改めることとするものであります。
その五は、役員に関する規定の
整備であります。
副
理事長及び
理事につきまして、これまで
理事長が出資者総会の同意を得て任命することとなっておりましたのを出資者総会において選任することに改めるとともに、
理事の任期につきましては、現在四年とされているところでありますが、今後の業務運営に当たり経営の
活性化を図る等の観点から、これを三年に改めることとしております。
その六は、業務運営に係る
政府の規制の緩和であります。
農林中央金庫の自主的運営を助長するため、金融
機関に対する貸し付け及び剰余金の処分に係る主務
大臣認可を廃止することとしております。また、剰余金の処分に係る認可を廃止することに伴い、農林中央金庫の準備金の積み立て、剰余金の配当等につきまして、協同組合原則にのっとった所要の規定を
整備することとしております。
このほか、
民間法人化に伴う所要の規定の
整備といたしまして、主務
大臣による従たる事務所の設置命令を廃止するとともに、これまで産業組合法の準用によっておりました農林中央金庫の定款記載事項及び名称使用制限に関する規定につきましては、法人としての基本的事項に関するものでありますので、これを総則中の規定として
整備することとしております。
第二に、最近における金融環境の変化に即応し、所属団体その他の取引先のニーズにこたえるとともに金融
機関としての機能の
整備を図るために必要な業務規定の
整備であります。
その一は、これまで貸付期間の制限や定期償還貸し付け、年賦償還貸し付け等の貸付方法の区分を設け、それぞれ規制を行ってきたところでありますが、このような規制は今日の金融情勢のもとでは
必要性に乏しく、他の
民間金融
機関の法
制度においても、かかる規制を行っていないことから、これを廃止するものであります。
その二は、新たに、金銭債権の取得または譲渡の業務を行い得ることとすることであります。
これは、最近、資産運用の選択が多様化しているとの実態を踏まえ、所属団体等のニーズにこたえようとするものであります。
その三は、債務保証業務及び出資または株式の払込金等の取り扱いの業務の対象範囲を拡大することであります。
これらの業務は、信用供与に伴う金融サービスとして最近
重要性を増しておりますことから、これら業務の対象者を農林中央金庫が貸し付けを行い得る者まで拡大することとしております。
その四は、新たに、貸し付け先のために、社債等の債券の募集の受託の業務及び担保附社債信託法による信託の業務を行い得ることとすることであります。
これは、近年、
企業等が社債等の発行により
資金の調達を行います場合には、当該
企業等にとっての主たる融資
機関が募集の受託等の業務を行うことが一般的になっておりますので、農林中央金庫におきましても
関連産業法人等の貸し付け先のために本業務を行い得るよう法律上の規定を
整備するものであります。
その五は、預金の受け入れ対象者の追加であります。
これは、決済の利便に資する等のため、農林中央金庫が預金の受け入れを行い得る対象者として、新たに、貸し付けを行い得る者、継続的に為替取引を行う者、業務代理により貸し付けを行った者等を追加するものであります。
その六は、新たに、公益事業法人の業務の一部の代理を行い得ることとすることであります。
これは、所属団体等のニーズに応じ、ガス料金、電気料金等の公共料金の収納を行い得ることとするためのものであります。
このほか、農林債券の円滑な市場消化を図る観点からその募集の委託を受けた証券業者に対して
資金の貸し付けを行い得ることとするとともに、農林中央金庫の余裕金の運用対象に金銭債権、金銭信託等を加えることとするほか、罰則の
整備、関係法律の改正等、所要の規定の
整備を行うこととしております。
以上をもちまして、
農林中央金庫法の一部を改正する
法律案の提案理由の補足説明を終わります。