○島田
委員 重ねて申し上げておきますけれ
ども、あなた方の資料によれば、
加工原料乳の主要なる地帯の
北海道では既に一戸
当たり平均三千万の
負債を持っていますね。その利子も百五十万になろうとしています。今
政務次官がおっしゃっているように、平均以下の
農家の
負債を完全に返して健全なる
経営を続けることが可能だとお
考えでしょうか、今度の
諮問された
乳価で。
現に私
どもの耳には本当に悲しい事故が相次いで報告されているのです。それも単なる自動車事故で死んだとかいうような
——それでさえも悲惨なことですが、みずから
経営の将来に見切りをつけてあたら大事な命を失っている、自殺している
人たちが相次いでいるのですよ。つい最近岩手県からもその生々しいレポートが寄せられました。私も本当に胸を痛めておる。先月も一人大事な中核
農家が自殺をしたという報告を聞いて、私は本当にこのままで済まされないという
気持ちになっていましたら、今月に入ってまた一戸。そして一年間に五千戸といえば毎日何戸やめていますか。十数戸の
酪農家が戦線離脱をしているのです。こんな悲惨な相次ぐ不祥の事態に対しても原局として痛みを感じないとすれば、私はそれは政治ではない、
行政ではないと思うのです。
岩手県では大変社会的な大問題としてこれが取り上げられました。大型
負債を抱える、固定化された
負債を多く持っている
農家を対象にして過般社会党の岩手県本が
調査した結果も私の手元にレポートされてまいりましたし、また現地では連日新聞あるいはテレビがこれを社会的な大問題ととらえて報道しています。
私はある学校を訪問いたしましたら、そこの校長さんが、教育問題を
お話しする前に島田さんの顔を見たらまず我々の
気持ちを
お話ししたいと思って待っていましたが、
お話しします、今の
酪農どうなるのですかと、学校の
先生たちが非常に心配しているのですね。子供
たちの表情が日増しに暗くなっていくというのです。教育者の
立場でそれはほうっておけるわけはありません。
負債を抱えて暗い毎日を送っている家庭の中にいる子供
たちは、そうでなくても子供は親の背中を見て育つと言いますから、親の悩みを子供は知らないようでいてちゃんと知っているわけです。そんな暗い思いをさせて毎日学校に通わせている。親として忍びないじゃないですか。それを見た学校の
先生、校長さんも胸が痛む、頭が痛い、何とかしてやってくださいよというのが私に対する、教育問題よりももっと、いや教育問題そのものにぶつけてこの深刻な
酪農の
実態の打開を訴えておられるのです。
あなた方にその痛みが
一つもわかっていないんじゃないでしょうか。私はこの
委員会で本当に私らしからぬ
質問をしているのですよ。こんな大きな声で嫌ですよ。しっかりしてくださいとあなた方を激励するのにもこんな大きな声を出したくない。しかし余りにもわかっちゃいないんじゃないですか。
この岩手県の話に戻りますが、県当局も市も大変頭を痛めてこの
対策に取り組んでいるけれ
ども、何しろ出先の乏しい地方財政では救い得る限界がある、やはりこれは国を動かしてこの
対策に本腰を入れてもらう以外にはないんだ、こう言っているのですね。県議会のやりとりの中では、二百七十戸がとても今のままでは再建不能だと言っているのです。岩手県の中だけで二百七十戸といったら、五十近い都道府県でこの調子で再建不能で
酪農をやめるとしたら大変な数になるじゃないですか。ですから皆さんは、牛肉
価格、豚肉
価格あるいは
乳価の六十一年度の
決定に対しては今までと違った非常に強い期待を込めて見ているのです。その期待を見事に裏切っているじゃないですか。だから私は、こんな
諮問案は断固として容認できないから撤回しろと冒頭申し上げたのであります。
しかし、
負債整理対策というのはあくまでも、主従の関係で言えば往の
対策であります。それはもう御自覚になっていると思うのであります。低
乳価で抑え込んでいて、あとは
負債整理対策で、これは限界がある話でありまして、
負債整理対策をやるにしたって、これは私に言わせれば、まずはもとになる農
畜産物の
価格を正当に、借りた金を返すことのできる
価格水準で決めていくということが原則である。しかし最近の、ここ数年の
価格決定の
状況というのは、
乳価に象徴されているごとく、すべてみんな借金を返そうと思っても返せないという仕組みの
価格決定になっている。せめて現状を維持するというのならまだ多少は許すところがあるけれ
ども、昨年の九十円七銭でさえも我々は、大問題である、これで
酪農家の転落を防げるかと言ったが、防げないで依然ことしだって数千戸の
酪農家がやめている。
しかし、
審議官の、あるいは
保利次官の話を聞いて私は一層幻滅を感ずるのでありますが、今の
価格決定で平均以下の
酪農家もちゃんとやっていける、そんな自信がどこにあるのですか。来年の今ごろ
酪農家がまたもや数千戸も雪崩を打ってやめるような現象が続いているとしたら、私は断固として容赦しない。
私は毎回毎回、昨年の今ごろも同じ
指摘をしたのであります。大丈夫だと言いました。大丈夫どころか、きょうは時間がないから個別のことまで言えません。ただ
一つだけ申し上げておくが、昨年大変問題になりましたのは、
瓜生審議官と私のやりとりの中で、発酵乳の二十万五千トン、これは生乳で見事に消化してみせるとあなたはそこで胸を張ったんだ。現状はどうなっているのですか。何
一つ我々が
指摘したとおりやっていないじゃないですか。あなた方胸を張ったような実績が出ていないじゃないですか。そのリスクは挙げて
生産者にしわ寄せされているのですよ。
乳価以外のことで言ったってそうでしょう。
今度の
乳価は、四円の値下げは全部
酪農家にしわ寄せされている。それだけではない。戦線離脱を余儀なくされる。それはふるいにかけていくんだから仕方がないんだ、後は二万戸になったってゼロになったって知ったこっちゃないというなら話は別であります。
負債整理対策、一体どう
考えていますか、この点もお聞きをしておきたい。