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1986-03-20 第104回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君    理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君    理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       上草 義輝君    太田 誠一君       片岡 清一君    佐藤  隆君       鈴木 宗男君    田邉 國男君       月原 茂皓君    野呂田芳成君       堀之内久男君    山岡 謙蔵君       島田 琢郎君    新村 源雄君       竹内  猛君    辻  一彦君       細谷 昭雄君    水谷  弘君       吉浦 忠治君    稲富 稜人君       津川 武一君    中林 佳子君  出席政府委員         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     桜井  誠君         参  考  人         (宮城伊具郡         丸森農業協同         組合組合長理事高野 正道君         参  考  人         (長野下伊那         郡喬木農業協         同組合組合長理         事)      福澤 益人君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ————————————— 三月十八日  土地改良事業等に関する請願(山原健二郎君紹  介)(第一四七八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農業協同組合合  併問題)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、農業協同組合合併問題について調査のため、参考人として全国農業協同組合中央会常務理事桜井誠君、宮城伊具丸森農業協同組合組合長理事高野正道君、長野下伊那郡喬木農業協同組合組合長理事福澤益人君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、本件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査参考にいたしたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。桜井参考人高野参考人福澤参考人の順に、お一人十分程度意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。  それでは、桜井参考人にお願いいたします。
  3. 桜井誠

    桜井参考人 全国農協中央会桜井でございます。きょうは農協合併問題につきまして参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、大変ありがたく思っておるわけでございます。  この問題につきましては、御案内のとおり、昭和三十六年、政府の提案によりまして合併助成法成立をいたし、自後五回にわたりまして議員立法という形で五十七年の三月の末まで延長がされてまいったわけでございます。  目標といたしますのは、能率的な事業経営をやろう、小規模農協ではなかなかそこら辺が大変であるというところから合併促進が行われてきたというふうに理解をいたすわけでございますけれども農協自体におきましても、この合併助成法のもとで積極的な取り組みを現在までやってきたわけでございます。昭和三十六年の三月末に一万二千五十ぐらい総合農協があったわけでございますが、六十年の三月末におきましては四千三百三農協というふうになりまして、事業分量におきましても、三十五年度対五十八年—五十九年度で申し上げますと、貯金は四十五倍の三十六兆円、販売高につきましては約十倍の六兆一千億円、購買高につきましては十八倍の五兆一千億円、長期共済契約保有につきましては百九十五倍の百九十五兆円というふうな形で増加をしてまいったわけであります。  このような合併促進は、先ほど申し上げましたように、系統農協自体取り組みもさることながら、助成法に基づきまして合併が必要であるというふうな趣旨の浸透あるいは行政によります援助というふうなことが大きくあずかって力があったものというふうに理解をいたしております。  ところが、現在の時点で申し上げますと、正組合員戸数五百戸未満農協が約三一%、千戸未満で全体を見ますと計六一%ということでございまして、今後の先行きを考えました場合に、このような規模農協でいいのかどうかというふうなことが懸念をされてまいったわけであります。  これからの農業農村がどういうぐあいに動くかということにつきましては、いろいろ予測もされておるわけでございますけれども、全般的に食糧消費が停滞をいたしておるという中で輸入の圧力が増加をしておるという現実がございます。また、農業生産構造自体が、労働力の面でもあるいは農用地の利用の面でも脆弱化が進んでおる。特に高齢化等が問題になっておりますし、農村地域社会自体の活力の低下ということも懸念をされておるわけであります。  また、農協経営をめぐります環境自体も大きく変化をしつつあるわけでありまして、とりわけ金融自由化、金利が先行き自由になるというふうなこと、あるいは通信を中心といたしまして高度情報化社会進展というふうなことを考えました場合に、農協企業との競争というのは、現在も相当な激化でありますけれども、これからも極めて激しいものになる、そういう中で二十一世紀を生き抜いていかなければいかぬという課題をしょっておるわけであります。  そこで、私ども系統農協におきましては、昨年十月、第十七回の全国農協大会を開催いたしまして、「八〇年代後期における農業農村振興方策」あるいは「農協生活活動基本方針」、あるいは「総合力発揮をはかる経営刷新方策」を決定いたしまして、現在その推進に努めておるところでございます。  これらの方策を実践いたします場合に、もちろん農協の方そのものが強くなければならないということでございまして、そのためには合併が極めて肝要であろうというふうに考えておるところであります。  具体的に申し上げますと、先ほど申し上げましたような農業振興を図っていく。このためには農業生産組織化でありますとかあるいはコストの低減を図っていかなければいかぬわけでありますが、生産あるいは流通加工施設整備ということをやっていかなければいかぬ。あるいは、金融自由化に対処いたしまして機械等施設投資もしなければなりませんし、利ざやの縮小というふうな事態が起こるわけでありますけれども、これに耐え得る健全な経営体質を確保していかなければいかぬというふうに考えます。あるいは、組合員営農生活面、いろいろな相談事があるわけでありますけれども、そういうものに対して的確にこたえていく相談活動事業強化というふうなことが必要であろうと思いますが、そういう場合にどうしても有能な人材、職員の確保ということもこれまた大変必要であろうと考えております。  また、系統農協全体が組織効率化を図っていくことによりまして組合員へのメリット還元をしていかなければいかぬと考えるわけでありますが、そういった課題を実現いたしていくためには、小規模農協では不可能ではないかというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、全中におきましては、本年の一月理事会で全体の合併推進方策というふうなものを決めまして、各段階に合併推進協議会を設置をいたすという取り組みをいたしております。また、全中自体でも対策室を設置いたして現在推進いたしておるところでございます。  一応合併目標については、目安として正組合員戸数三千戸以上、それから都市化地域におきましては貯金高三百億円を一応の目標ということで考えておるわけでございますけれども、これはそれぞれの地域実情に応じて農民の意向に即して合併が図られていかなければいかぬということでございますので、強制的、押しつけ的な形での合併推進をすべきでないというふうに考えておるところでございます。  また、問題になりますのは、合併に伴いまして組合員との間が希薄になるのではないかという懸念ももちろんあるわけでございまして、これに対しましては、特に支所の機能の強化ということを通じ、あるいは組合組織との結合を通じてその面をカバーしていく必要があろうというふうに考えております。  以上、要点だけ申し上げたわけでございますが、現在合併助成法につきましては五十七年三月末で一応切れているわけでございますが、本年四月一日以降六十四年三月末まで三年間、再びこれの適用につきまして、先生方の御配慮によりまして議員立法の形で全会一致で御成立を賜らば、大変ありがたいというふうに考えておるわけでございます。  以上、意見を申し上げさせていただきました。終わります。(拍手
  4. 大石千八

    大石委員長 ありがとうございました。  次に、高野参考人にお願いいたします。
  5. 高野正道

    高野参考人 私は、宮城県の最南端にあります丸森農業協同組合組合長理事高野正道であります。  丸森町は、国鉄丸森線、または六十一年七月から開業が決定しておる第三セクター、あぶくま急行が走っている町と言えば御記憶かと思います。昭和二十九年、八力町村合併により生まれました。合併した当時の人口は約二万九千人、うち農家人口一万四千人。一部伊具盆地を抱えているというものの、耕地率一七%の山村であります。  次に、丸森農協の概要について申し上げます。  丸森農協は、昭和三十九年旧町村単位の八農協大国合併して生まれたのでありますが一平場地帯山間地帯に分かれ、また農協間の格差も大きく、半数農協県農協中央会指導援助を受けながら運営し、中には開店休業農協もあった状態でした。私の父も当時、小斎農協、三百戸の組合員数で最も経営内容のよかった農協でありますが、そこの組合長をしており、合併については大分悩んだようでしたが、当時、構造改善事業によるライスセンター建設を、大国合併により建設するしかないと組合員を説得したことを記憶しております。  組合の概況を申し上げます。  組合員数につきましては、三十九年、合併当時は三千四百人、現在は准組合員まで含めまして三千六百人。出資金につきましては、三十九年が三千三十九万、六十年では二億二千六百万。積立金につきましては、三十九年が百二十二万、六十年が一億八百万。固定比率につきましては、三十九年が一一二%、六十年は六五%。営農指導員につきましては、合併前は五名、現在は十八名であります。  私は、四十三年に理事、四十六年に専務理事、五十二年に組合長理事に就任し今日に至っておりますが、半数不振組合であったこともあり、その運営は容易でないものがあり、赤字を出した年もありました。合併十年後にはようやく経営も安定し、五十二年からはわずかではありますが出資配当利用配当もできるようになりました。  今になって考えてみますと、もし合併していなかったら半数以上の組合経営不振に陥り、農民のよりどころがなくなる事態も起こったのではないかと語り合っております。農協合併なくして丸森町全域の農家経済の安定はなかったものと確信する次第であります。  次に、合併の利点について申し上げます。  まず一番目に、経営が安定したことであります。二番目に、営農指導体制が充実したことであります。三番目に、職員数が多くなり、職員専門化が進めやすくなったということであります。四番目に、購買品価格につきましては、山間地帯平場地帯、全町一本価格で購買することができるようになったことであります。五番目に、施設の充実が挙げられます。事務所の改築等につきましては、八つの支所がございますが、合併後すべて改築をいたしております。農業倉庫につきましても、合併後、三カ所新しい近代的な倉庫を設置しております。次に、ライスセンター育苗センター農業機械化センター、養蚕の稚蚕飼育所等建設をしております。  さらに、大型合併したことによりまして組合員との結びつきがどうしても薄らぐというふうな批判もあるわけでございますが、これらを解消いたすために、一日対話の日といいまして、全職員で、一職員三十戸ないし三十五戸ぐらいを担当いたしまして、月に一回組合員宅を訪問しております。さらに、年二回部落座談会を各部落において実施をしております。  宮城県の状況を見ると、昭和三十六年三月に農業協同組合合併助成法制定以来二十四年の歳月が経過し、この間法律の特典を受け合併が進行した結果、宮城県の農協数は二百十四農協から百十一農協へと減少し、大型農協も幾つか誕生しました。しかし、農業協同組合合併助成法昭和五十七年三月をもって期限が切れ、以後は自主的な合併推進されてきましたが、二ケース合併の実現にとどまっております。  県内農協規模別分布状況を見ると、正組合員五百戸未満組合は二十三農協、二〇・七%、五百戸以上千戸未満は五十農協、四五%で、千戸未満組合合計は七十二農協で全組合の六五・七%も占めています。これらの経営規模は、金融環境変化商系企業との競争激化高度情報社会進展を考えるとき、その対応が困難になることが予想されます。全中が出した指針、正組合員戸数三千戸以上、貯金残高三百億、まさに当を得た指針だと思います。  私の地区では、二市三郡でありますが、九市町、七農協ですが、全中指針である貯金残高三百億の農協はありません。将来はさらに大同団結もとの話もささやかれております。  しかし、農協合併にはいろいろな難問を抱えています。農協間格差の問題、組合員間の感情問題、役員のポストの問題、それらを乗り越えるにはどうしても法による援助がぜひとも必要であります。困難な農業情勢を切り開くため、農村社会の発展のため、ぜひとも期限を延長していただきたくお願い申し上げ、意見の陳述といたします。(拍手
  6. 大石千八

    大石委員長 ありがとうございました。  次に、福澤参考人にお願いいたします。
  7. 福澤益人

    福澤参考人 私は、長野県の下伊那郡喬木農業協同組合組合長理事福澤益人でございます。  飯田市に隣接をいたしまして、天竜川沿いから赤石山脈の方に向かって伸びておる地域でございます。  私どもは、昭和三十四年、農協合併助成法の以前に、村内に喬木農業協同組合喬木村南農業協同組合、この二つがあったわけでございます。この南農業協同組合は、農協法ができたときに長野県で一番真っ先に設立をされまして、知事の認可第一号の農協でございましたが、四十五人程度の小さな農業協同組合であったわけでございます。それが昭和三十四年に経済活動が行き詰まりまして、喬木農業協同組合吸収合併、こういう形になりまして、現在、村内一農協、こういう形になっておるわけでございます。  なお、この飯田下伊那地区、現在五ケース合併研究を進めておるわけでございますが、そのうちの一つといたしまして、私どもと豊丘村農協信州高森農協とが今合併推進決議のもとで検討を重ねておるわけでございます。  その規模を申し上げますと、組合員数で五千三百六十人、戸数は正組合員あるいは准組合員含めまして四千九百四十六戸、ほぼ五千戸になっております。なお、生産額は百億、こういう額に達しております。貯金につきましては三百億、貸し付け百二十億、こういうような形になっておりまして、今全中目標として指導をされております規模にほぼ匹敵をしておる、こういうことが言えるわけでございます。なお、購買活動におきましては、生産三十億、生活購買三十億、合計六十億、そのような大体の規模合併推進内容になっておるわけでございます。  私どもケースは、昭和五十三年度の通常総会におきまして、関係農協合併研究に入る、この総会決議をいただきまして五十四年の七月に研究委員会が発足いたしました。以来、各部会に分かれまして、例えば総務部会におきましては合併基本構想あるいは経営試算上の重要事項等を検討いたし、なお金融共済あるいは生産資材生活資材指導部会、こういうようにそれぞれの分野におきまして、取り扱い方針それから取り扱い収支の五十五年、五十六年、五十七年の三カ年計画をまとめたわけでございます。それらは五十五年三月の総会中間報告ということで各農協とも報告を申し上げておるわけでございます。要は、手数料は安いところに合わせていく、給料は高いところに合わせていこう、そうして合併によって力をつけて健全経営ができるように努力をしていこう、こういう基本的な内容のものでございます。  ところが、その後、その中の一農協がなかなかはかばかしく進んでいないわけでございます。私どもと隣の一農協は、推進決議以後いつでも合併に進みましょう、こういう形でおるわけでございますが、最近の合併推進委員会、小委員会等におきましても、その中の一農協がなかなかまだ前進することができない、ただいまこういう形になっております。  その原因の一つは、生産部会において、果樹専門的分野皆さんにおきましてまだ若干合併ということについての心配がある、こういう問題が一つでございます。これは、私どもの推測いたしますのは、私ども地区果樹生産先駆者たちが、やはり我々は我々で一つのまとまりでいきたいという気持ち、これが若干支配をしておるということと、いま一つは、合併助成法が切れておるということから、合併に伴うところの登録税でありますとか、そういった税関係の支出というものが非常に大きなものになる、果たしてそれで大丈夫か、こういうような内容のものでございます。それらはできるだけ私ども努力でひとつ進めよう、こういう申し合わせの中で今進めておるわけでございます。  合併推進していこうという私どもといま一つ農協は、既に時代おくれになってしまうということから、農協間の事業協同に入っております。  その一つは、蚕の稚蚕共同飼育を二農協農協間協同に入っております。いま一つは、生活面での醸造事業、みそ、しょうゆの共同加工共同購買、この仕事を二農協農協間協同をいたしております。それから、いま一つは自動車の民間車検でございます。これも新潟陸運局許可をいただきまして指定工場として活動をいたしております。これも農協間協同に入っております。  いま一つ、一番大きな問題は、果樹分野でのリンゴの銘柄統一と二農協共同選果に入っておることでございます。これにつきましては私ども一番神経を使ってまいったわけでございますけれども、現在の市場の荷受けというものが非常に整備されて大型化しておる中で、小口の出荷ではまずい、こういうことから生産部会皆さんの非常に熱意ある先進的な決意のもとで踏み切ったわけでございまして、大変敬意を表しておるわけでございます。この皆さんが、これからの市場対応というものは荷口の大型化でなくてはならない、こういうことから、六十年度から全部共同選果に踏み切ったわけでございます。東一の市場あたり評価も非常にお褒めの言葉をいただいておるわけでありまして、今後のあり方はそういう行き方でないと産地が流通競争に勝っていけないだろう、実はこういうありがたい評価をいただいておるわけでございます。また、その部会皆さんは、ぜひ今のケース合併というものを一生懸命熱心に進めてほしいと理事者のしりをたたいてくださっておるわけでございます。  私どもは、そういうバックの中でできるだけの努力をしていきたいと考えておるわけでございまして、本日ぜひともお願いを申し上げたいと思いますことは、この合併助成法適用を六十一年度から六十四年の三月、この三カ年にわたりましてお願いいたしまして、私どもが今望んでおります、なおまた生産農家が望んでおりますこの合併推進にお力添えを賜りたい、このようにお願い申し上げるわけでございます。  まことにまとまらぬようなことを申し上げましたが、以上、私の方から意見としてお願い申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。
  8. 大石千八

    大石委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
  9. 大石千八

    大石委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山岡謙蔵君。
  10. 山岡謙蔵

    山岡委員 三人の参考人皆様方には、御多忙の中、大変御苦労さまでございます。  時間がございませんので簡単に御質問を申し上げます。  最初に、桜井参考人にお願いいたします。  農協中央会常務といたしまして、全国農協指導、統括するお立場にあるわけでございますが、ただいま農協合併についての適正規模について、三千戸ないしは貯金で三百億を目標にいたしておる、こういう説明でございますけれども農協適正規模は三千組合員、三百億とお考えになっておるのか。一つには、行政区画基準にした一市町村、一農協ということを基準にするのが適当でないかというようにも考えますので、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。
  11. 桜井誠

    桜井参考人 適正規模の問題につきましては、極めて難しい問題だと思います。全中の方で先ほど申し上げましたように正組合員戸数三千戸、それから三百億円といいますのは、都市化地帯農協として諸種勘案三百億ということでございまして、これでなければ全然いかぬということではございません。  地域実情、特に立地条件それから農業経済圏等々を勘案いたしまして、また先ほど御意見のありました生産団地化とか諸種条件勘案規模は決まっていくと私は考えておりまして、一概にこれが適正でこれがだめというのはなかなか言いづらいと思っておるわけでございます。小規模農協でもかなりよくやっておられる農協もあるわけでございますが、そうはいいましても、これから先行き金融自由化等の問題を考えますと、五百人あるいは千戸未満というふうな小さなところでは生き抜きが難しいのではないかと思います。  それから、行政との関連でございますが、現在、町村区域未満農協が一七%、それから市未満農協が二三%、町村一円のものが三八%、市一円のものが一一%というふうになっておりまして、当面の私どもの考え方、指導方針といたしましては、市町村区域未満のところにおきましては市町村区域に合わせるということが最低限必要ではないかと判断をいたしておるわけでございます。
  12. 山岡謙蔵

    山岡委員 あらかじめお断りをいたしておきまするけれども農協経営規模あるいは正組合員准組合員、それからその他の経済状態、これによって異なることは申し上げるまでもございませんので、それを踏み越えた上で、どういうように農協として——ただ大きいからいいというものでもないし、小さければいいというものでもないし、全部自主性に任せて指導しておるわけではないわけでございますから、そうすると一応の目安というものはあってしかるべきではないか。  そうすると、一万二千が四千三百になったということは、三千三百市町村からいいますると、まだ町村の中にそれぞれ千以上分かれた農協がある、こう理解してよろしいわけじゃないかと思っております。農協経営というものが市町村行政密接不可分関係にあることは、参考人が御承知のとおりであります。土地改良事業あるいはその他の生産物協業事業を行うにいたしましても、それに伴ういろいろな基礎的なものについてそれぞれ行政対応の仕方がまちまちでありますると、参考人の中で福澤さんが申されたとおり、給料はそれぞれに高いところに合わせますけれども行政区域が異なりますと、今度は反対にどうしてもそれぞれ低い基準に合わしていくということになるわけです。  ですからそのことをお尋ねいたしたわけでございまするが、そうするとあなたのお話では、それぞれ適当な、自主的な問題によって一方的な結論が出せない、こう理解をするわけですが、その辺についてはもう一回明確に御説明を願いたいと思います。
  13. 桜井誠

    桜井参考人 ですから、全中方針といたしまして先ほど申し上げましたような正組合員戸数は三千戸以上、それから都市化地帯農協にありましては三百億を目指しましょうという一応の目安はあるわけでございますが、あとの規模につきましては、各県、各地域実情に応じて組合員の意向に基づいて決定をしていくというふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げましたように市町村区域未満農協も相当数あるわけでございますから、これはなるべく市町村行政密接不可分な形で仕事がされていくことが大事だと思いますので、そのような方向で市町村区域と合わせるということがまず最低限必要ではないか。  と申し上げましても、それでは市町村の区域を超えた農協が絶対いかぬというわけにもまいらぬわけでありまして、それぞれの立地条件あるいは農業経済圏に基づきまして市町村の範囲を超えての合併ということも現に五%程度はあり得るわけでありますので、そういう点につきましては、今先生のお話のように、おくれておる市町村に合わせてしまうというマイナス面もあるのではないかという御指摘でございますが、私どもとしましては、そういう広域の合併農協の場合におきましては、なるべく高い水準の市町村に合わせるような農協の働きかけ、そういうことも大事ではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
  14. 山岡謙蔵

    山岡委員 時間がございませんので、まことに残念でございまするが先へ進ませていただきまして、高野参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  三十九年に八つの農協合併をされたわけです。それで、合併の利点について、時間がございませんので重複は避けますが、五点をお挙げになった。そして、さらに大同団結をしたいけれども、三つの点、経済格差、住民感情、役員の問題、この問題でさらに大きな大同団結は困難だ、こういう御指摘があったと思います。あわせて、宮城県に千戸以下の農協が七十三、六五・七%、こう御説明があったわけですが、宮城県全体を見られて、その六五%の農協合併をしないその要因、いわゆる合併指導について阻害しておる原因、これをどのように御理解をしておられるかということが一点。  時間がございませんので、恐縮ですが、次に、八つの農協合併をいたしましたときに、この役職員内容、機構、組織についてお尋ねをしたいわけです。当初はこの八つのうちから組合長を出し合って、そして支所をおつくりになっておると言われたわけですが、八つの組合長が全部支所長になって、あるいは専務さんが全部支所長になって、その役員の方々が留任をされるということによって農協合併が成功しているところと、片一方では経営移譲、その人々に全部退いていただいて新しい陣容で行っておるところと二つあるわけでございまするが、おたくの場合にはこの二つの利点をどのように理解をされておるのか、この点お教えをいただきたいと思います。
  15. 高野正道

    高野参考人 まず最初に、宮城県の合併がなぜ進まないのかというふうな点でございますが、千戸未満農協が七十三農協で全体の六五・七%あるわけでございます。これらにつきまして、私も県の中央会の理事等もやっておるわけでございますが、いろいろ意見が出されます。  その阻害要因につきましては、特に米地帯の農協合併が進んでいない、合併しなくても経営がやっていけるというふうな考え方が強いのではないかというふうに考えております。一市町村に四つの農協があるというふうな町村もございます。そのような点から考えますと、今まで経営がやってこれたんだからというふうなことで、無理して合併しなくてもというふうな考え方が組合員なり、特に役員の間にポストの問題等も絡んでそういう考えが強いのではないかというふうに想像しております。  それから、当丸森農協の場合の合併後の経過でございますが、八つの農協合併いたしまして、一年間は各組合長がそれぞれ常務理事になりまして、一年間だけは各支所支所長を兼務したというふうな経過でございます。一年を経過いたしまして新しく役員を選んだ場合には、組合長、専務だけで、常務理事制は廃止をし、支所長については職員をもって充てたというふうな経過でございます。
  16. 山岡謙蔵

    山岡委員 もう一点高野参考人にお伺いをしたいわけですが、この三十九年の合併は、組合の方で当初役員会、総会に諮って合併の決議をして合併推進協議会をおつくりになって着手をされたのか、あるいは行政主導型で町村長さんから呼びかけがあり、地方公共団体、県から呼びかけがあって、最初に農協の日勤の組合長、専務等役員の方々が合併促進協議会をおつくりになって、青写真をつくって、そうして総会に語るという経路をとったのか、この二つのいずれをおとりになったか。その点、大体全国的に調べてみるとこの二つの経過で合併をいたしておると理解をしておるわけですが、そのいずれが適当であったというように御認識をされておるのか、この点お尋ねをいたします。
  17. 高野正道

    高野参考人 丸森農協の場合につきましては、当時の町長さんが主宰をいたしまして合併協議会が設立された、合併協議会の会長は町長であります。そのような審議の経過を踏まえまして各農協総会に諮った。その各農協総会内容でございますが、一、二の農協では合併が否決されそうになった、その際に町長さんが熱弁を振るって合併がやっと承認されたというふうに記憶しております。
  18. 山岡謙蔵

    山岡委員 それでは、率直にお聞きして恐縮でございますけれども、三十六年から、この初めの促進法のときに急速に農協合併促進されておるわけですが、それはほとんど市町村、地方自治体のいわゆる行政主導型の合併促進によって成功しておると私は理解をしておるのです。むしろ、農協で、理事会で、それから次にそれぞれ総会で決議をして、それから合併促進法によって経営計画の青写真をつくったのではなくて、初めに町村長さんがほとんど合併推進協議会の会長に御就任をされて、そうして農協組合長さんその他の方が専務の方々をお集めになっておやりになった、こういう方が多いのではないかと思っております。  もう一点、非常に突っ込んだ質問で恐縮ですけれども、その二つの場合にいずれが成功しておると理解をされておるのか、この点お尋ねをいたしたいと思います。
  19. 高野正道

    高野参考人 私は、時代の変遷があろうかと思います。  先ほど申し上げましたように、当農協合併時点につきましては、経営不振の組合半数以上あったというふうなことで、農民自体の自主的な合併というふうなものについてはいろいろな問題があったというふうに記憶をしております。  それから現在、先ほど私の地区七つの農協で云々というふうなことを申し上げましたが、現在の私の地区農協につきましては、それぞれの農協規模的にも十分でありますし、経営内容も十分なわけでございます。ただ、現在我々七つの農協で仙南農産加工連というふうなものを設立いたしまして、豚肉、鶏卵それに一部野菜等を含めて、共同加工場というふうな考え方で現在加工連という組織を持ちまして約三十億ほどの販売高を上げておるわけでございます。そのように、もしも七つの農協大国合併するというふうなことが起きるとすれば、これは行政主導でなくて組合員間の本当の自主的な合併になるんではないかというふうに考えております。
  20. 山岡謙蔵

    山岡委員 行政主導型の合併はこれからは恐らく大変困難が伴うだろう、こう私は理解をしておりますけれども、今までの経過から調べてみてそのような感じがいたしましたので、あえてお聞きをしたわけでございます。  最後に、福澤参考人さんにお尋ねをいたします。  あなたが今合併促進をし、推進をしようといたしておりまするのは、それぞれ行政区域の異なった三つの市町村にまたがっての合併推進ですね。そうすると、それぞれ市町村行政対応の仕方が違う農協で、その合併推進しようというときに、いろいろな経営計画をお立てになるときに、行政上の矛盾がないのかということが一点。  それから次に、それぞれの職員の方々に新しくこれから合併をしようとしているときに動揺がないのかということが第二点。  この二点についてどのように御理解をされておるのかお尋ねをいたします。
  21. 福澤益人

    福澤参考人 まず第一点でございます。行政が三つに分かれておるわけでございますが、似たような地域でございまして、ほぼ似通った行政対応になっておるのと、土地改良区あるいは広域的な農業施設等につきましては地区の広域行政の中でほぼ似たようなことになっておるわけでございます。特に団地づくり等の土地改良区は広域的な土地改良区でございますし、また、広域農道等につきましても広域的なものでございます。多少心配いたしますのは、町村農協に対する助成措置、援助措置、そういうものに違いがありますけれども、それは合併計画の中で十分調整ができていくと思います。  なおまた、前段に行政内二農協一つになった場合も、町長さんの裁定案でなったわけでございますが、その裁定は、前段に行政内をして、そして後、続いて翌年他の行政区域と合併をするんだ、こういう裁定案が出されておるわけでございまして、行政におかれましてもそういう積極性がございます。  それから第二点、職員の考え方でございますけれども、前段にも申し上げましたとおり、この合併経営研究に至りましては職員部会組織でそれぞれ検討をいたしておるわけでございまして、現在のこの時代ではどうしても合併をしていかないと職員自体も伸びていかれない、なおまた、県の検査あるいは中央会の監査等で、同一職場におけるところの勤務年数の長い者についてのいろいろな指摘があるわけでございますが、合併することにおいてこれらの弊害も除かれる、こういうようなことから、職員の段階におきましても合併につきましては理事者の決定に間違いなくついていかれる、このように私は確信をいたしております。  以上でございます。
  22. 山岡謙蔵

    山岡委員 時間が参りました。以上で終了いたします。  参考人の皆様、どうもありがとうございました。
  23. 大石千八

    大石委員長 串原義直君。
  24. 串原義直

    ○串原委員 参考人皆さん、大変にお忙しいところをありがとうございました。貴重な御意見を伺いまして、今後の審議の参考にさせていただきたいと思います。  そこで、この際、二、三伺っておきたいわけでありますが、最初に桜井参考人に伺います。  先ほど、合併がそれぞれ全国的に進められてきて事業が拡大をして力が強くなってまいりました、こういうお話でありましたけれども、先ほどの話以外に、事業の拡大ということにあわせてこういうメリットがあった、いいことがありましたということがありますならば御説明を願いたい。  いま一つは、千戸未満の未合併農協がまだ六一%ほどありますという話でありましたが、長い間合併指導してきたのに六一%の合併がまだできないということは、合併というものはなかなか簡単なものじゃないということも示しているように思うのです。したがいまして、今後の合併指導に当たってこのことは留意をしていかなければならぬ、気をつけなければならぬ、こういうこともおありかと思うのでございますが、これからの合併に対して、指導機関としてこんなことを気をつけていきたいと思っておりますというようなことを、お考えがありましたら教えてもらいたい、こんなふうに思います。
  25. 桜井誠

    桜井参考人 先ほど合併に伴いまして農協事業分量が拡大をしてまいったということを申し上げたわけでありますけれども、私ども三年に一回総合農協の一斉調査をやっておりまして、合併に伴いましてどのような効果が出てまいりましたかということを組合長皆さんにお聞きをいたしております。  それによりますと、まず第一点として指摘をされておりますのは、諸事業、諸施設が拡大をしたということでございまして、信用、共済、経済事業、関連施設整備が一番大きく充実したということが取り上げられております。二番は、営農なり生活指導、それから相談活動小規模農協のときよりも充実をしてまいったということでございます。そのほか、先ほど組合長さんからも話がございましたが、生産団地化農業経済圏が同じようなところでまとまって生産をし販売をするという面で合併が非常に効果があった、あるいは販売力強化という面での効果があったという指摘がございました。  それから、もう一つ大きな面で考えられますのは人的体制の強化でございまして、職員の面におきましても、例えばだんだん大規模農協になってまいりますと短大あるいは大学卒の職員採用ということもウエートが高まってきております。それから、待遇面で申し上げますと、正組合員二千戸以上の組合は全農協の平均を相当程度上回っておる、二千戸未満農協におきましては平均よりも低い、こういう状況でございますので、職員の人的整備の面でも合併は非常に効果が上がったというふうに考えております。それから、自己資本の充実という面も当然あるわけであります。  今後合併推進していきます場合にいろいろ険路があるわけでございますが、先ほど申し上げました調査に基づいて若干申し上げますと、組合員との結合が薄れるのではないかという心配、各組合の財務がつり合いがとれていないというふうな問題、あるいは地域の感情といいますか、自分たちのところでまとまっていこう、あるいは町村合併のしこりが残っておるという指摘もございます。あるいは環境条件、主要作物の相違等を挙げておられる組合長さんもおるわけであります。あるいは本所、支所の所在地をどうするかというふうなところからなかなか合併推進をされない、この中にはもちろん役員人事等の問題もあろうかと思っておりますが、いずれにしても、これから経済環境が極めて変化をしてまいるという状況の中で、小規模農協では二十一世紀の生き抜きはできないというふうに私は考えますので、やはり組合員理解を得ないことには合併ができないわけでありますから、この合併につきましての効果、メリット——デメリットがあります場合にはそれを補う対策について十分な組合員との話し合いが極めて大事でありまして、上の方から押しつけ的に合併推進してはならないというふうに理解をいたしておるところであります。
  26. 串原義直

    ○串原委員 高野参考人に伺いたいのでございますけれども、先ほどお話をいただきまして、合併してよかったという点について五つほどお挙げになりました。そして、経過の中で運営が大変なときもございましたという話もあったわけでございますが、合併後の御努力に敬意を表するわけであります。苦労したというお話も若干ございましたが、合併してよかったという点もあったわけであります。しかし、なかなかこれはいいことずくめではなかったということも幾つもおありになるのじゃないかと思うのです。つまり、問題点も幾つかあったのではないかと思いますが、お差し支えなければ、いや、この点は、実は合併してよかったこともあるけれども苦労をいたしましたというようなことがありましたならば教えていただけませんか。
  27. 高野正道

    高野参考人 合併していろいろな問題があったのではないかということでございますが、一つは、先ほど申し上げましたように、私の場合は平場地帯山間地帯に分かれておるものですから、どうしても平場地帯の方々からは、合併前は出資配当なり利用配当もあった、それが合併したことによってなくなったというふうなことの不満がまず出ました。それから、肥料あるいは農薬にいたしましても、山間地帯農協は手数料を案外高く取っておりましたし、平場地帯は安い手数料だった。同じ肥料を配達するのに、平場地帯は一日四回も配達できる、山間地帯は二回も配達できないのじゃないか、当然値段の差をつけるべきじゃないかというふうな不平不満もあったわけでございます。  それから、出資金につきましても、多いところは少ないところの三倍以上の出資額を持っておった。同じ組合員でありながら出資額が極端に違うというふうなこと、我々に出資額が同額になるまで我々の方は出資をしないというふうな話もあったわけでございます。それから、職員管理等につきましても、百三十名ほどの職員になったわけでございますが、大勢集まりますといろいろな労務管理等でも大変だったというふうなこともございます。  しかし、それらを乗り越えまして、現在、丸森農業協同組合組合員合併してよかったなという組合員が大多数でございまして、現在は何ら問題は残っておりません。
  28. 串原義直

    ○串原委員 もう一度高野参考人にお願いしたいのでありますけれども、私は、合併に当たって農協組合員との結びつきが薄くなる点を心配していたのであります。組合長さんは、こんなことをやりました、こういう点につきまして対策を立ててやったというお話がございました。一日対話の日なんというものをつくってやっているというふうなお話もありまして、これは大変結構なことだと思いますが、実は先ほど桜井参考人も少し触れていただきましたけれども農協組合員との間が疎遠になるということがありとするなら、この辺が一番問題なところじゃないかと思っているのです。  組合長さんは、今お話しをいただいて、二つほどこのことについて気を配ってやっておりますという話でありましたが、今やっていらっしゃらなくても、合併してみて、合併した組合長として、こんなことをやるといいんだけれどもなという構想みたいなものをほかにお持ちであるならば、この際ちょっと教えていただけませんか。
  29. 高野正道

    高野参考人 今後どのような構想があるかというふうなことでございますが、その前に、合併したことによって農協組合員間がどうしても薄らぐのではないかというふうな御質問でございますが、確かに三百戸、四百戸の組合長でありますと、すべての組合員の経済内容なり顔も把握できるわけでございます。それが三千戸以上になりますと、組合員の顔と名前あるいは経済状態まで組合長の頭に入り切れないというふうな問題があるわけでございます。  しかし、うちの農協の場合には旧農協単位に支所を置いておりますし、支所長が組合長的なことで日常業務につきましては対応できるというふうな体制をとっておりますので、とかく世間で言われます大型農協になりますと組合員農協の隔たりができるのではないかというふうなことについては現在考えておらないわけでございます。  なお、できる限り組合員組合長あるいは役員というふうなものが直接話し合う場を設けようというふうなことで、年二回全集落において部落座談会というふうなものを開催いたしまして、組合員の話を直接聞いておるというのが実態なわけでございます。
  30. 串原義直

    ○串原委員 福澤参考人に伺いたいのでありますけれども組合長さんは関係する農協合併した方がよろしかろうという立場で汗を流していらっしゃることを先ほど解説をいただいたのでございますが、その研究をしている過程の中で、なかなかスムーズに進んでいかないという理由を二つほどお挙げになってお話しいただきました。  なるほどなということでお聞きしたわけでございますが、この合併促進法によりますところの国の手当てというものは税の軽減ということにあるわけでありますけれども組合長さんは、合併の足かせになっている問題点等々も含めまして、これから合併を進めていくに当たって国はこんなことをできるだけ農協に対して配慮してもらえるならばいささか合併促進をいたしますというようなお考えがあるだろうと思いますし、時によればこんなことを国会の方でも本気になって考えてもらうと合併について都合がよろしいというような希望みたいなお考えがおありになるだろうと思うのでございます。現場で汗を流していらっしゃるだけに、そう思います。そんな点がありましたならば、この際、説明といいますかお示しを願えませんか。
  31. 福澤益人

    福澤参考人 私どもは住みよい豊かな農村をつくりたいという血に燃えておるわけでございますが、何にいたしましても理事者努力ということでこれはなし遂げていかなければならぬ、そして組合員皆さんを説得していかなければならぬ、また職員皆さんにも説得をしていきたい、こういう考え方でおるわけでございまして、ただいま御質問の面につきましては、私どももいろいろとこうしていただきたいものだという点があるわけでございます。  一つには、先ほどもちょっと申し上げましたが、組合員の意識の改革を図っていかなければならない。これは私ども組合員教育という面で努力もしていかなくてはなりませんが、これは中央会あるいは行政の面におきまして、かつてのようなある程度強い指導性があった方がいいのではないかなという感じが実はいたすわけでございます。しかし、それにいたしましても、あくまでも当事者、農協自主性は絶対尊重していただかなくてはなりませんけれども、そういう指導力をいただきたいなという感じがいつもしております。それは、察するところは、合併助成法が切れておるためにそういう力が出されないのかなという感じもいたしておるわけでございます。  なお、この助成法があるとないとでは合併における負担がどのくらい違うだろうということで、私ども若干試算をした面もあるわけでございますが、私どもの事例の中で、例えば登録免許税につきましても、通常の場合の千分の六で試算した場合には七百二十七万一千円という金額になるわけでございますけれども助成法適用された場合の千分の二にいたしますと二百四十二万四千円というようなことになりまして、その差が四百八十四万七千円、これは概算でございますが、約五百万というものがここで違ってくることにもなるわけでございまして、こうした経済的な裏づけというようなことも、合併促進におきまして大きな力になってくるのではないかという感じが実はいたしておるわけでございます。  私どもが絶えず思っておりますこと、感じておりますことは、合併助成法適用していただいて、でき得るならばそうしたものをバックに、私ども努力をいたしますが、行政あるいは中央会というお立場におかれましても、指導力、積極性を持っていただけたらと思っておるわけでございます。  以上でございます。
  32. 串原義直

    ○串原委員 最後になりますが、桜井参考人に、時間がないから率直に伺いますけれども、実はこういう意見を聞いたのであります。  農山漁村は一体という考え方に立ってでございましょうが、昨今の厳しい経済情勢の中で、このごろでは農山漁村も、経済情勢がここまで来たのだから、農協、森林組合、漁協というような組織も、山の中の地域では一緒になって考えていくことをそろそろ検討する時期に来ているのではない、かというような意見を述べた人がおります。桜井さん、この点についてどんなふうにお考えですか。
  33. 桜井誠

    桜井参考人 現在の法制におきましては、森林組合、漁業、水産業協同組合農業協同組合というふうに分かれております。地域によりまして、山間部で組合員が森林組合農協の両方に入っておる、それから漁村地帯におきまして両方に入っておるということも当然あるわけであります。  今お話しの農林水産関係の協同組合が、地域によりましては森林組合農協合併といいますか統合するというふうなことも考えてもいいのではないかという御意見も私は聞いております。  これからの協同組合のあり方として、現在、私ども全中におきましても総合審議会でいろいろ検討を進めておるわけでございますが、一つの検討課題であることは間違いないと考えております。ただ、では直ちに森林組合農協の合体が今後の方向だと、私もまだ十分研究をいたしておりませんので、きょうお答えができませんけれども、重要な課題であろうと認識をいたすわけでございます。
  34. 串原義直

    ○串原委員 ありがとうございました。
  35. 大石千八

    大石委員長 竹内猛君。
  36. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 参考人皆さんには、大変お忙しいところ貴重な御意見をありがとうございました。  私は、合併問題については基本的には別に反対をするわけじゃありませんが、大変心配をすることがたくさんあるものですから、その点をただしておきたいと思います。  農地改革で零細な土地を持った農民を今後どういうふうに進めていくかということで、二十二年十一月十九日に農業協同組合法ができて、それ以来ずっと三十何年間を経過しておるわけですが、当初から見るとこの間に農業を取り巻く情勢が大変変化をしてきておる。最近は、国際化時代という形で物が外国からどんどん入ってくる。そして、従来の価格問題から最近は構造問題へ、あるいは補助から融資という形で農業政策の骨組みも大分変わってきた。  こういう中で農協合併が行われるわけでありますけれども、既に六回行われている。当初の合併のときには参加数が一千三百七十八、その次の第二次で四百十、それが百四十四、二百八十七、百七十二、九十六、法律が切れたときでも三十九が自主的な合併をしているという段階であるわけです。今日の合併は、その切れた間を飛び越して、今度は三年間、法律によって進めようという形になっているわけですが、既に合併すべきものは多くは合併して、今残されたものはかなり合併のしにくい状況にあるものが合併しようとしている。  私自身は長野県の茅野市で生まれていますから、茅野市へこの間帰ってみたら、七つの農協合併して茅野市農協ができた、まだ一つ合併に参加していない農協がある、二十一の売店をつくったけれども三つだけが黒字であとは全部赤字だ、だがこれをやめるわけにいかないというのが茅野市農協のある理事の話でありました。  現在は茨城県にいるわけですが、茨城県の場合には、現在、行政が九十二、農協が百十三あります。県の農協大会ではこれを十七くらいに合併しようという計画を立てているわけですが、実際に合併しなくても団地連絡会とかいろいろな形で十分にやっているのがあります。ここに石岡を中心とした玉川農協の本がありますけれども、玉川農協というのは全国でもまれに見る有名な農協で、参観人が多くて組合長も困っている。戸数は二百五十戸です。この二百五十戸を中心として石岡団地区の団地連絡会をつくって、畜産を中心として農林省も農協も、あらゆる行政と経済団体が一つになって今日までやってきているけれども、なお現在の経済情勢のもとではどうもうまくいかない。だが、合併したら何かよくなることばかりの話ですけれども、現在の状況のもとでは、合併をしなければならないが今の政治情勢やいろいろな情勢の中では非常に困難なものがあると私は思っております。桜井参考人、その点についてはいかがですか。
  37. 桜井誠

    桜井参考人 前段申し上げましたとおり、これからの時代におきましては、特に金融自由化問題あるいは情報通信手段の発達に伴っての問題が一番大きいかと思います。現在、組合員戸数が少なくても経営が非常によろしい、事業成績もよろしいという農協ももちろんあるわけでありますけれども、それじゃこれから先五年、十年あるいは十五年を展望していった場合に、小規模農協のままで生き抜きができるかというふうに考えますと、これはなかなか困難なことではなかろうか。特にこれから三年、五年の間に社会経済情勢は急速に変化するというふうに考えますと、今回の三年の間の合併というのが一つの大きな試金石になろうかと私は思っております。    ‘  なお、合併に対していろいろな阻害要件が先ほど申し上げましたようにあるわけでありますけれども、これは組合員皆さんとのじっくりした協議、話し合い、理解ということを中心に進めていく必要があろうと思います。
  38. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 先ほど山岡議員の方からも御質問がありましたが、この合併に際して農林省が参加をして、中央でもそうですけれども末端でも農林省、行政が加わる。そして指導される。本来ならば、自主的に農協そのものが推進協議会をつくり、それを農林省なりあるいは各県の農政関係行政がバックアップするという方式をとるのが筋だと思うけれども、その点について、農林省が加わるということについていささか疑問を持つのですね。つまり、官尊民卑という思想が日本にはある。この思想がある意味においては非常に誤らせておる。つまり、農民の依存心というもの、補助金なりなんなりそういうものに依存する。自主自律、自営、どういう形で自分の経営を自分が守っていく、あるいは自分の経営というものを同じ者が一緒になって守っていくんだ、こういうことにならなければいけないのに、行政指導するということについてかなり疑問があるのだけれども、この点について、やむを得ないですか、いかがなものですか。
  39. 桜井誠

    桜井参考人 全中におきましては、先ほども申し上げましたとおり、一月の理事会におきまして、各段階において合併推進の協議会を持ちまして推進をしようということで進めておるわけでありますが、その中に、中央段階におきましては農林水産省、県段階におきましては県庁のそれぞれの主管部といいますかが入っていただく。町村段階でも同様の考え方でございます。これは、行政の主導で合併推進するという意味で入っていただいておるわけではございませんで、やはり行政援助指導も得るということで、主体性を全然失う、行政の方で計画をつくってそのとおりやりなさいよという意味合いで私ども考えておるわけでございません。昭和三十六年、出発当初におきましては、町村合併促進法等も多分あったかと思いますが、その関連でやや行政主導的な意味合いの合併が進められたかと思いますけれども、時代は変化をいたしておるわけでございますし、やはり農協が主体になりまして、行政援助も受けながら進めていくということが大事だと思っております。
  40. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 三千戸あるいは三百億という形になりますと、北海道のように非常に農家がばらばらなところで、広範な地域において三千戸ということになると大変なことだと思うし、それから三百億ということになると、これは都市農協ですからそれはあり得ると思いますが、合併した農協農民とのかかわり合いというものが、組合長の顔も見たことのない農民が出てくるのではないか。そのときに支所を置く、一体、支所にどれだけの機能を与えるのか。農家が一番心配をするのは、何をつくるかどうかということじゃなくて、お金を借りるのに、一体これについて承認をしてくれるのかしてくれないのか、今までの借金についての始末をどうするかという金の問題が一番心配なのです。そのときに、どの程度の決裁権を支所長に与えるのか。与えなくて、そこへ行って話をしたけれども、それはだめだ、組合長に聞け。遠く一日かかっても行けないようなところに組合長がいるのでは困る。その点はどの程度のものが与えられるのか、それはどうですか。
  41. 桜井誠

    桜井参考人 合併に伴いまして特に農家との結びつきが薄くなるという心配が組合員からもあるわけでございまして、それに対しまして特に支所の機能の強化という点が必要であろうかと思っておりますが、それでは支所長にどの程度の権限を付与するのかというお尋ねであります。  現在におきましても貯金担保の貸し付け等々においては支所長権限で行われておるというふうに私は考えるわけでありますが、支所を通じて本所に決裁といいますか、本所まで行かないと貸し付け等がスムーズにいかない面も場合によりましては当然あろうかと思います。その場合の事務の的確処理、迅速さ、こういうものが当然必要になろうかと思っております。  支所長に対してどの程度の権限を付与するか、範囲ですね、これについて具体的に細かにどのように実際やっておるかという点につきましては私どもまだ十分把握をいたしておりませんが、いずれにいたしましても支所長権限の強化ということは合併に伴いまして大事な要素ではないか、こんなふうにも考えます。
  42. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 専門農協総合農協関係ですが、専門農協の方ではこの合併についていろいろ意見を出しているようですけれども、その調整はうまくいっているかどうか、その点についてお尋ねします。
  43. 桜井誠

    桜井参考人 今回の合併助成法適用に当たりまして、専門農協の問題もあるということは承知をいたしております。特に今回の適用につきましては、金融自由化という面が一番大きな要素ではないか。となりますと、信用事業をやっておるというところから総合農協が中心になっておるわけでございますが、これにつきましては今後の全中での合併推進方策あるいは行政庁の合併指導といいますか、こういうことに伴いまして、専門農協同士の合併が行われていくことも大事ではないかと思っておりますし、それらの調整はやはり必要だと考えております。
  44. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 続いて福澤参考人にお尋ねいたしますけれども、その前に、これは桜井参考人にも関係があるのですが、全国には三十六万の農協関係職員がおられますね。この職員の給与体系は必ずしも一本ではない。いろいろな形の給与体系がある。その給与体系で、先ほど福澤参考人の方からは給与が高いところにやります、こういうふうなお話、結構なことですね。それから、手数料はなるべく小さくします、これも非常にいい話だ。こういうことがうまくいくかどうかということです。  問題は、行政の中には役場の職員もおられる、学校の先生もいる、農協もどこにもある。この三つの関係をどのように考え、とりわけ、給与というものはどれが一番適当かということについて考えなければいけないと思うし、合併によっていささかでも職員を減らすようなことがあればまたえらいことになる。その点については、中央で考えていることと末端でやっていること、これは高野参考人にもあわせて、合併されたところではどうされているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  45. 桜井誠

    桜井参考人 合併に伴いましての職員の待遇面につきまして、先ほど組合長さんからもお話がありましたようですが、実態的には給与の高いところに合わせるというのがほとんどであります。したがいまして、合併当初は経営的にもかなりきつい面もあろうかと思いますが、そういうものを乗り越えて現在まで合併農協では来られておるというように考えております。  それから、給与の水準につきましてどこら辺の水準がよろしいかということになろうかと思いますが、大方は市町村の役場の職員の給与が一応の目安になって、農協でもその方向で措置をされておる、こんなふうに考えております。
  46. 高野正道

    高野参考人 当農協の場合は、役場職員の給与を目安にしてまいりました。現在、大体十年ごろまでは役場職員並みになっております。高齢者につきましては役場職員よりも若干低いというふうな実態になっております。以上です。
  47. 福澤益人

    福澤参考人 合併研究の過程で、手数料は少ないところへ、給料は高いところへ、こういうことを目標にしていたしましたが、合併をするケースは、現在の地区ケースは大体今まで似通ったような条件のところがそのケースになっておりまして、この話が始まる前からも地区組合長会等でおよそ手数料それから給料等につきましては調整をされておりまして、違いというものはごくわずかな面での違いがある程度で、それほど大きな違いはございません。スムーズに合併促進を図るためにはそういう方法がいいだろう、こういうことでその方策をとったわけでございます。以上でございます。
  48. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間が参りましたので、あと二点だけ御質問しますが、農協合併して大型化になってくる。そうすると、段階的に現在は三段階。その間に支所等を設ければ中間にあるので、大体五段階を経なければ末端まで行かない。そうすると、段階ごとに手数料というものが必要になってくる。だから、本来ならば段階をもう少し圧縮をして手数料を省くことができないかどうか。  もう一つは一経営至上主義に陥ることのないようにするためには、宮城県の話では技術者がふえた、三人から十八人になりましたかね。これは当然そういうことになるわけですね、大きくなったから。経営指導というものに重点を置いて農民と密着していくためにはどういうような努力をされるのか。見通し等についてはこれは桜井常務からお伺いしたい。お願いします。
  49. 桜井誠

    桜井参考人 農協合併に伴いまして現在の三段階制をどう考えるかというふうなお尋ねであろうかと思いますが、これにつきましては、現在組織は三段階制というふうになっております。また、事業の面でも三段階制ということになっておるわけでございますが、これからの物流手段の発達あるいは通信手段の発達ということを考えていきました場合に、組織は三段階でありましても事業は二段階というふうな仕組みが当然考えられなければいけない。また、品目によりまして、今申し上げましたように、従来は三段階で行っておったのを場合によりましては二段階にしていくということは当然必要なわけでございまして、先ほどちょっと全中での総合審議会での検討が今進められておるということを申し上げましたけれども、これは重要な問題、それから連合会自体の整備の問題も大きな課題になっておるわけでございます。  それから、経営至上主義に陥らないためにどうするかというお話であろうかと思いますが、もちろん農協組合員に対する最大の奉仕を目的としておる組織でございまして、当然その面での機能の発揮が求められるわけでありますが、同時に、それでは赤字のままでいくということでは、これは組合員の要求にこたえられない、こういうことでございますので、その点の調整、調和、これが農協にとりましては一番大きな要素ではないか。単に職員の給与あるいは役員の報酬を払うために事業分量を拡大してまいるというのでは本末転倒でございますから、組合員の共同参加、組合員の企画、それに伴います実践ということを通じて自動的に利用率が高まる、その結果経営体質強化されるということが私は筋道ではないかと考えます。
  50. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後にもう一点。  よく農協について、金の持ち出しやいろいろなところへ貸し付けを余計やったりする、いわゆる不明朗なことが新聞に散見される場合が多い。それは人材をつくらなければならないということになる。その人材をつくるために、それからそういうようなことのないようにするためにどのような考え方を持たれているか、それを最後にお伺いして終わります。
  51. 桜井誠

    桜井参考人 時たま新聞紙上で農協の不正事件あるいは職員の横領事件等々、あるいは不当貸し付け等々が出ることはまことに遺憾でございます。私は、やはりこれは役員、職員の資質向上がまず基本的に必要である。そのための役職員の教育という面が大事でないか。  それからもう一点は、内部統制の組織強化問題、これがございます。あるいは内部監査の強化、同時に中央会の監査、それから行政庁によります検査というものを通じまして、不正事件あるいは不当事件というものが起こらないように常日ごろ全中あるいは県の中央会での、あるいは行政庁等の指導強化してまいる必要があろうかと思っております。
  52. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  53. 大石千八

    大石委員長 武田一夫君。
  54. 武田一夫

    ○武田委員 きょうの三人の参考人皆さんには大変朝早くから御苦労さまでございます。いろいろと貴重な御意見をちょうだいいたしまして、私もいろいろと考えていた問題についてはその御意見の陳述の中で理解できたところもございますので、その分野を除きまして三人の参考人に二、三お尋ねをいたします。  最初に桜井参考人ですが、先ほどのお話の中に、大型化推進の中であくまでも地域実情に応じて合併促進したいというお話がございました。当然それは必要であると思います。そこで、私もあちこち歩きますと、優秀な組合長さんを中心として役員の皆様方も懸命に頑張っておる、経営も非常に健全、運営も非常にいい、しかしながら小型な、小さいところもあるようであります。そういう方々は、我々はこのままでもやっていけるんだという自負と自信を持っているわけでありますが、そのような方々と合併大型化ということの整合性、これはどういうふうな点にポイントを合わせてやっていくかということは非常に大きな問題でないかと思うのです。苦労なさるのはここでないかと私は思うのですが、この点についてどういう取り組みをなさろうとしているのか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  55. 桜井誠

    桜井参考人 今お話しのように、組合員戸数が少ない農協におきましても、営農面でもあるいは信用、共済その他事業におきましても優秀な事業展開をされておる農協も当然あるわけでございます。ただ、私ども懸念をしてまいりますのは、農協は信用事業をやっておるわけでございまして、特にこれから金利が自由化されていくということになりました場合に、他の金融機関との競争は極めて熾烈なものになろうというふうに考えます。現在、農協は国債の窓販等が実施をできるという状況にはされていないわけでありますけれども、当然そういう課題も出てくる。また機械化、CDの設置でありますとか組合員の利便に応じまして自動預金払い出しとかあるいは貯金ができるとか、そういう施設の投資もしなければいけない、あるいは通信関係施設投資も当然しなければいけない、こうなってまいりました場合に、それでは三百戸あるいは五百戸の農協が今後五年、十年、十五年を考えました場合に果たしてやっていけるのだろうかという懸念を持っております。そういう農協は直ちに現時点で合併しなくてもいい成績でありますので、合併について否定的な答えもあろうかと思いますが、話し合いを通じながら、やはり将来を考えてお互いの理解を深めるということが大事ではないかと考えます。
  56. 武田一夫

    ○武田委員 もう一つ桜井参考人にお尋ねします。  先ほど高野参考人から大型合併に踏み切っていろいろと農家経済に貢献しているというお話、その中で経営の安定、経営指導体制の充実、職員専門化が進められた。非常に理想的に進められてきた一つの姿で、これは組合長を中心としたそういう関係者の努力の結果だと私は思うのでありますが、この反面、最近あちこちへ行って聞きますと、農協というものは本来は組合員農家の営農と生活防衛のために一生懸命頑張ってくれるのが農協であるということで、我々は本来の使命をそこに酌み取っているんだ、しかしながらそういうことでなくなってきているところがあるんだ、特に大型経営農家の方がそういうことに対する不満とか不安から、脱落といいますか抜けていくという話を聞くわけであります。こういう傾向があるわけでありますが、私はそういう話を聞くにつけて、大型化に伴う一つの弊害といいますか欠陥というものがそこに出てきたのじゃないか。地縁的なつながりが強い、農協というのはそういうものがあります。  それから、組合員とのつながりが非常に希薄になる。信用事業に走り過ぎて肝心の営農がおろそかになっているという地域もあるというようなところで、そういうものの不満、不安から組合をやめて出ていく。これはまじめに一生懸命やっている大きい農家ほどそういうことだということは考えなければならない問題なので、そういう弊害、先ほどいろいろと常務もあるいは二人の参考人も話されましたが、そういうものに対する指導監督をやはりしっかりとしなければならぬと思うのですが、こういうふうなものに対する対応はどうなさるか、この点についてお聞かせ願いたい。
  57. 桜井誠

    桜井参考人 私の認識では、合併に伴いまして営農指導関係が薄れるということよりは、いろんな組合長さん方のお話なり調査なりを通じましては、合併に伴いまして営農なり生活指導あるいは相談活動がむしろ強化をされてくるというのが答えとして返ってきております。  今お尋ねの大型農家が大規模農協に対しましていろいろな面で不満を持って離れていくことがあるのではないかという御指摘でございますが、確かにそういう面もあろうかと思っております。具体的には、例えば同じ組合員でありますから、経営が小さい農家もあるいは大型の農家も手数料の面では同じにしなければいけない。大量に生産資材でも購入する、えさでも購入する、あるいは販売でも大きくやるということであればそれなりの配慮を他の組合員とは別にやってもらってもいいのではないか、こういうふうな希望が当然出てこようかと思います。そうなりました場合に、これはなかなか難しい問題でございますけれども、場合によりましては経済連が直接そういう大型の農家に対応するということも必要になってくるのじゃないかと考えております。
  58. 武田一夫

    ○武田委員 それでは高野福澤参考人に二つお尋ねいたします。  一つは、合併によって大きくなりますと、いろいろと人材の確保という問題が組合発展の重要なかぎであると私は思うのであります。やはり事業は人によってよくもなり悪くもなるわけでありますから、そういう点で、これまで合併推進されていろいろとその結果よき方向へ向かってきた、高野参考人にはそうした人材の確保についての御苦労、また今後どうあるべきか、待遇の面なども含めまして御要望なりお考えがございましたらお聞かせ願いたいじ、これから合併なさろうとする福澤参考人につきましても、今後人が非常に重要だということを考えたときに、人材確保のための努力は十分しなければならないのですが、そのために我々としてまたアウトサイドからいろいろと御支援すべきものはこういうものだということがございましたら、ひとつ御意見を聞かせていただきたい。  私は、組合長さんが一生懸命やって非常にすばらしい実績を上げている模範的な地域をたくさん見ているだけに、そこにいる多くの若い職員皆さん方も張り切ってやる、これは非常に重要な課題だと考えますときに、これから合併に踏み切るときの最大の問題は人材の育成と確保であると考えるわけで、こういう問題も一つ提起したわけでありますが、お二人から御意見を聞かしていただきたい。
  59. 高野正道

    高野参考人 当農協合併前あるいは合併後数年間につきましては職員採用におきましては余り応募者がなかったというふうなことが実態でございますが、ここ十年近くは職員採用につきましては応募率が常に三倍から五倍ぐらいの応募者がございますし、短大卒、大学卒も応募してきているというふうなことで、やはり大型農協になったからこのような結果が出たんだということで非常に安心をしておるような状況でございます。
  60. 福澤益人

    福澤参考人 お話しのように、私ども、事業は人なり、こういうような考え方で、できるだけ優秀な人材を得たいと日常努力をしておりまして、現在男子職員につきましては県の中央会が行っております農協学園卒、また短大あるいは大学というようなことで、高卒はできるだけ採用を控えておるわけでございます。ところが、今まではそういう形で切れたわけでございますが、ことしはどうしても高卒を若干入れざるを得なくなったというのは、やはり農業がそれだけやや下に見られるというような形になったのではないかという、実は非常に残念な気持ちでおるわけでございます。  やはりそれを解決していく上におきましては、ある程度規模になりまして、そこで安定して生活ができるんだという将来の見通しをつけていくということがいい人材を得る一番の近道ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。合併することによって職員に非常に励みが出てくることは間違いない、また今の職員は皆そのような考え方を腹の底に持っておると考えておりますので、ある程度大型化をすることによりまして人材が得られやすくなる、こういうふうに見通しを持っております。
  61. 武田一夫

    ○武田委員 東京には農協学園がございますね。あと国のあれでは農業者大学校、言ってみますと、まことに一生懸命農業をやるという情熱のあふれる優秀な人間がおります。こういうような機関等々にいろいろな方々を大いに皆さんの方からよこしていただいておるわけでありますが、農家でなくてもそういうものをやりたいという者にもっと門戸を開いて、一般の人間も優秀な人で農業に力を注ぎたいというのがふえてきておる、例えば農業を新規参入の形でやりたいという人もふえてきている時代ですから、そういうことも人材の確保に非常に重要じゃないかということで、一つ御提言を申し上げておきます。これは皆さん方の今後の対応の中で頭に入れていただけばありがたいと思います。  最後に、これは問題として時々聞かれるのですが、今生協が一つ問題になっていますね。大型化したために員外利用が多過ぎるとか、規定どおりやらないで地域とのトラブルとかなんとかで、今騒いでいますね。これは農協の場合でもそういうのが時々聞かれる地域がある。要するに、大型化になるとほかの地域の経済に大きな影響を及ぼす。商工業の皆さん方が、自分たちの分野に入ってこられるのじゃないかという心配がある。何でもやる、正直に言うと、食品から冠婚葬祭までずっと入ってしまう、保険ももちろんやっていますし。そういうことで地域の中での農協という役割は非常に大きい影響力がある。そういうことを考えますと、大型化によるそうしたところに対する心配や不安を与えてはいかぬということは当たり前のことでありますから、地域皆さん方の話し合いの中で、そういう分野に余りにも踏み入った信用活動といいますか、そういうものが出てこないようにという配慮が必要ではないか、こういうふうに私は思います。もしそういうことがあると、また生協さんのように農協さん、何だ。こういう非難を受ける、そういうふうになりかねないと私は思います。あちこち歩きますと、やはりそういうことに気をつけているようですが、今後大きくなっていくときにそういう心配が起こらないかどうか、起こったときにはどうするのだということもあわせて考えなければいけないと思うのですが、この点について最後に三人の皆さん方に、そういう心配もないし、きちっと協調してやっていけるし、やってきたというようなことであれば、一言簡単に御意見を伺いまして、時間でございますので私の質問を終わらせていただきます。
  62. 桜井誠

    桜井参考人 農協の事業上の競争相手は、信用、共済事業におきましては御案内のとおり銀行とかあるいは郵便局とか、あるいは一般の民保、簡保、いわば大企業、国営企業というものが競争相手ですから問題がないわけでありますけれども、特に生活購買面で地元の中小の小売業者との摩擦という問題が若干ないわけではない。ところが、最近におきましては五十七年以降、農協におきましては、特に地元に新しく購買店舗を出店いたします場合に地元の商店街の皆さんと十分な調整を経た上で出店をするということでございまして、これは着実に実行をいたしております。最近では購買店舗の出店もそんなにふえておるわけではございません。逆に、面積ではやや減少の状況にあるようでございまして、今先生からお話のありましたようにあつれきを生ずることなく地域の円滑な運営が全体として仕組まれるということも極めて重要な要素であろうと考えます。
  63. 高野正道

    高野参考人 生協との問題につきましては、私ども農協では産直というふうな形で畜産物なり野菜等を生協に供給しております。協同組合間協同というふうな考え方から、今後とも産直の問題については積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、購買面につきましては、私の町にも生協の組合員が出まして、わずかではありますが、いろんな購買品の供給がなされておるというふうに聞いておるわけでございます。生協におきましてもそれらの分野というものを十分考えながら進めるものと思っておりますので、現在そのような問題等についてとやかく云々するというふうな考えは持っておりません。
  64. 福澤益人

    福澤参考人 地域地域でありますだけに生協も確かに活発にやられておりますが、農協生活購買事業と特別な問題というものは現在起きておりません。また、いろいろの生産物のあっせんでありますとかあるいは加工品の販売というものを生協にお願いするとか、こういうようなことの話し合いも実は持っておるわけでございまして、いささかも、現時点で私ども地域におきましては農協生活購買と生協の活動とは問題が起きておりません。なお、今後もそういうことのないように、お互いに競争ということは当然していくわけでございますけれども、その辺は地域に問題の起こらないように努力をしていきたいと思っております。
  65. 武田一夫

    ○武田委員 それでは時間が来ましたので終わります。大変御苦労さまでした。ありがとうございました。
  66. 大石千八

    大石委員長 神田厚君。
  67. 神田厚

    ○神田委員 参考人皆さん方には大変貴重な御意見をありがとうございました。限られた時間でありますが、二、三御質問をさせていただきます。  まず初めに桜井参考人にお伺いをいたしますが、合併によって農協大型化してきますと、経営者の責任もそれだけ重くなってくるわけでありますが、望ましい農協経営者あるいは組合長像というのはどういうものだとお考えになっておりますか。
  68. 桜井誠

    桜井参考人 農業協同組合は一般の企業と異なりまして、組合員農協組織ではございますけれども同時に利用者であり、同時に運営者である、目的は非営利であるというところが一般の企業と違いますし、また同時に、個々の組合員農協の事業を利用するのみでなくて横に組合員組織でつながって運動としてこれを展開をするということが一番基盤にならなければいけないと考えます。  組合長は当然組合員の大事な貯金なりなんなりを預かりまして事業をしていくわけでありますので、規模が大きくなればなるほど、もちろん小さな組合でもそうでございますけれども、責任は重大であろうと考えております。  全中といいますか、県の中央会を含めまして役員の理想像というものを設定をいたしております。なるべくこういう役員になってもらわなければいかぬじゃないか。かいつまんで申し上げますと、今申し上げました農協運動者としての信念を持つ人、同時に行動する人、それから誠実に理事としての職責を果たしていく人、それから組合主体の組合運営を実行する人、さらに常に研さんを重ねて自己啓発に努める人、これが理事の要件になるのじゃないか。特に組合長にありましては指導力の発揮、それから的確な判断と決断、行動力、こういうものが要求をされるのではないか。また常勤理事につきましては、実務の精通ということが当然必要でございますし、先ほどから職員のことが問題になっておりますが、職員の能力を総合的に高めるというふうな大事な役割を担っておるということで、期待される農協役員像というようなものを私ども設定をいたしまして、特に役員の方々の自己研修、研さんをお願いをしておるということでございます。
  69. 神田厚

    ○神田委員 桜井参考人にお伺いしますが、先ほどもちょっと述べられておりましたが、これまでの経験あるいは実態から、農協合併助成法はどのような効果を持つというふうにお考えでありますか。端的にひとつお答えいただきたい。
  70. 桜井誠

    桜井参考人 本来でありますと農協みずからが法律の助けをかりずに自主的な合併を進めてまいるというのが本筋であろうかと思います。しかしながら、昭和三十六年来、この合併助成法適用されてまいりまして、具体的には税の減免措置というものがとられてきたこと、同時に国会によりまして法律が制定され、農協合併が必要であるということが、組合員農家にも趣旨徹底の面では非常に大きく効果があったのではないかと考えております。  具体的に申し上げますと、昭和三十六年来五十七年までの間に、年間におきましては大体百二十ケースぐらいの合併があったかと思いますが、昭和五十八年度来、これは自主合併でございますが、最近ではテンポが落ちまして一年二十ケースぐらいに落ちておるという状態でございまして、これから先の経済社会の変化対応しての合併促進という面では、合併助成法適用を再びお願いをして推進をする必要がある、こういうふうに判断をいたしております。
  71. 神田厚

    ○神田委員 桜井参考人にお伺いしますが、大型化することによって職員の問題では労務管理が強められていろいろと労働強化その他の問題が起こらないかどうか。また、支所の存在があるわけでありますから、そういうところに対する配置転換等の問題はどんなふうに考えておりますか。
  72. 桜井誠

    桜井参考人 合併に伴いまして職員の労働強化懸念されるのではないかというふうなお尋ねでございますが、むしろ合併によりまして職員数は小さな農協の場合よりも大きくなるわけでありますし、それから短大なり大卒の新卒の方も入ってくるということで、職場の活気というものが私は出てくるのではないかというふうに考えます。同時に、合併は、単に量的な集積だけで今までのものが単純に寄せ集まったというだけでは本来の合併効果にはならないわけでありますので、職員に対しまして生産性の向上といいますか、こういうことは他の企業との競争の面からいきましても当然必要になる。ただ、それが結局過酷な労働条件になって職員にはね返る、こういうことではまずいわけでありますので、職員が生きがいを持って仕事ができるという条件整備を当然やらなければいけないというふうに考えるわけであります。  それから異動でございますけれども、本所、支所、これが合併をいたしました場合に異動というのは当然想定をされてくるわけでありますが、その場合に組合員との結びつきの面で、顔を知った職員支所から離れて本所に行った、あるいは別の支所に行ったということになりますと、組合員との結合がその面で薄れるのではないかという心配も確かにあろうかと思いますが、逆に合併によりまして何人かの職員で仕事がやられる、こういうことでございますので、職員の異動によって組合員との結びつきが薄れる、こういう懸念はないかと思います。また同時に、異動自体は新しく別の職場に参りまして十分新しい知恵で仕事をやる、こういう効果もございますし、人材の適材配置という面からも私は必要な要件ではないかと考えます。
  73. 神田厚

    ○神田委員 続いて高野参考人にお伺いします。  職員組合員に対するサービス低下というのがこの合併問題のときにいろいろと言われてくるわけでありますが、そのために高野組合長のところでは月に一回対話の日というのを設けて組合員訪問をしているというようなことでありますが、こういうところからいろいろ上がってくる意見というのはどういうものがあって、そういうものをどういうふうに処理をなさっているのか、ちょっとお聞かせをいただければと思います。
  74. 高野正道

    高野参考人 一日対話の日の集計でございますが、各支所ごとに全部集計をいたしまして、私まで全部それらについて、要望事項等について目を通すわけでございます。なお、それらの要望事項に対する回答等につきましては、個人的な問題は別といたしまして、全般的な問題については、毎月一回「農協だより」という機関紙を発行しておるわけでございますが、その「農協だより」等をもちまして組合員に周知徹底をするというふうな方法をとっております。
  75. 神田厚

    ○神田委員 もう一点お聞きしますが、三十九年に八農協合併をしたということでありましたが、その後がなり年数も経過しております。合併で御苦労がたくさんあったと思うのでありますが、特にどういう点か、二、三特徴的なことをお聞かせいただきたいと思います。
  76. 高野正道

    高野参考人 先ほど申し上げましたように、うちの場合は不振組合と普通の組合というふうな二つに極端に分かれておったわけでございます。そのような関係で、かつては、合併前でも出資配当なり利用配当を行っておった農協もあり、一方は赤字農協だというふうなことから、いろいろ購買品の値段なり、あるいは出資金については他の支所が自分の地区まで追いつくまで出資はしないというふうなこともございましたし、農協間のアンバランスの問題を解消するというふうなことについて一番大きく苦労したわけでございます。  なお、労務管理等につきましても、今までは十名ないし二十名ぐらいの労務管理で済んだわけでございますが、それが百三十名、四十名というふうな人数になりまして、その点についての苦労もありました。以上です。
  77. 神田厚

    ○神田委員 次に福澤参考人にお聞きいたしますが、この合併助成法、国の方の法律という形で出てくるわけでありますが、一般の組合員の方はこの大型合併というものについてどういうふうに考えておられるのか、また役員、理事さんや監事さんなどはそれぞれこの問題についてどういうふうに考えておられるのか、ちょっと感触をお聞かせいただきたいと思います。
  78. 福澤益人

    福澤参考人 合併につきましては、当面の農産物の国際経済化、それと金融自由化、こういった面から、特に最近におきまして従来よりも増してその必要性というものを理事会等でも考えておるわけでございます。できるだけこれは進めていかなくてはならない、こういう考え方でおります。  なおまた、先ほども申し上げましたが、組合員皆さんも特に農業生産部会、農産物の生産、販売というものを有利に持っていく上においては、やはり荷口の大型化を図っていきたい。それで農協間協同共同選果等もしておるわけでございますが、若干この精算等におきまして、農協が違いますと方法も違う点がありまして、その調整に職員も頭を悩ましておるわけでございますが、早く合併できたらこの心配がなしになる、こういう期待感を実は持っておるわけでございまして、組合員皆さんまた役員の皆さんも、私ども農協におきましては一日も早く合併に進みたい。  なおまた、助成法ということにつきましては、組合員皆さんも今までの啓蒙運動の中でよくその趣旨というものを認識をしていただいておるわけでございまして、今回適用をいただければ一層励みがつく、このように考えております。よろしくお願いいたします。
  79. 神田厚

    ○神田委員 最後に桜井参考人にお聞きしますが、今残っている合併しない組合、つまり合併助成法指導してきましたが、合併ができないというか、いろいろな事情で残っておりますね。その最大の原因はどういうところにあるのか。また、それを今度解消して合併をさせていくというためにはどういう指導をなさるのか。その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  80. 桜井誠

    桜井参考人 現在、農協と県の中央会でいろいろ相談をいたしまして、六十一年度から六十三年度までの合併の計画が一応立てられつつあるわけでございます。千六百農協を合体をいたしまして四百六十くらいの農協にしよう。  先ほど申し上げましたように五十八年度以降、これまでの合併の件数が年二十件くらいにとどまっておるという状況で、従来のテンポに比べますと少なくなっておるということでございまして、なぜ合併がなかなか進まないのかという点につきましては、いろいろな要件があろうかと思いますけれども、まず一つは、先ほどから申し上げておりますような組合間の財務の不均衡の問題があるとか、地域的な感情なり町村合併のしこりが残っておるとか、環境条件が違うとか、重点とする作物が違っているとか、人事問題、あるいはその支所、本所をどこに置くか等々の問題があろうかと思います。それから、先ほどから申し上げておりますような、小規模農協でも現在なお優秀な農協もあるわけでございますので、そういう農協におきましては現状のままでもやっていかれるのではないかという点が、なかなか合併が進まない状況になっておろうかと考えます。  これから先の問題といたしましては、従来申し上げておりますとおり、その必要性については、これからの経済社会の変化を考えますとどうしても推進をしなければならない。その場合にやはり組合員との合意の形成、その前段におきましては、現在の役員、職員合併に対する理解というものがなければ組合員自体への話しかけも十分に行われないわけでありますので、そういう点がスムーズに行われるように、また合併されました農協での実例、こういうものを未合併農協が十分勉強、参考にしながら推進をしてまいるということが大事ではないかと考えております。
  81. 神田厚

    ○神田委員 終わります。ありがとうございました。
  82. 大石千八

    大石委員長 津川武一君。
  83. 津川武一

    ○津川委員 参考人皆さんには、貴重な御意見を聞かせていただいて本当にありがとうございました。  今回の合併に対する全国農協中央会方針が、余りにも重大な問題を含んでおり、農協の将来に禍根を残すのではないかという心配が私にありますので、合併の共同提案者にはなれないのを私も残念に思っております。  そこで、質問の重点は桜井参考人に集中して、高野さん、福澤さんにもなるべく質問したいと思いますが、時間の関係でもし質問が行かなかったらお許し願いたいと思っている次第でございます。  全国農協中央会がことし一月に決めた農協合併推進方策によりますと、合併目標規模として、正組合員戸数三千戸以上を最低規模目標とする。また貯金残高三百億以上を目標とする。とりわけ、市町村区域未満農協及び正組合員戸数千戸未満農協合併を強力に推進すると打ち出しております。これは、前回の法延長の際、全中農協合併促進方針を出しましたが、そこでは、合併重点対象農協として、町村区域未満農協、正組合員戸数五百戸未満を挙げており、いわば小規模合併に重点が置かれていました。このときは私たちも賛成しました。こういうふうに今度は恐ろしく変わってきました。ここに心配があるのでございます。どうしてこのようになったのかお答え願いたい。これが一点。  第二点は、組合員の三千戸未満といえば全体の農協の九二%になります。千戸未満では先ほども桜井参考人が言いましたように六一%、これを合併対象最低目標にするということになりますと、まさに大規模合併、広域合併全国的に推し進めようという新たな宣言だとも思います。農協成立したときに比べても、大きなあらしになると思います。必ず無理が入ると思います。  そこで、質問の第二点は、合併規模をこのようにあらかじめ決めるのではなく、合併の対象農協もあらかじめ決めるのではなく、各農協の自主的判断で農協合併を決めるべきだ、こういうことなんですが、これに対する桜井参考人意見。  三点は、大規模合併、広域合併をすると、事務所やいろいろな施設は大きくよくなることもあるでしょうが、農民農協離れが起こったというのが過去の各地の合併で聞かれる話でございます。大型合併農民の協同組織としての農協の性格を弱めることにならないかということであります。  また、金融自由化対応して経営基盤を強化するというが、営農指導など、農民が最も切実に求めている部門が不採算部門だからといって切り捨てられるようなことはないでしょうか。働く職員、労働者の労働強化につながることがないでしょうか。そのようなことがないという保障があるかどうか、明らかにしていただきたいのであります。  桜井参考人、お願いします。
  84. 桜井誠

    桜井参考人 今、先生の方からのお尋ねでございますけれども、まず第一点といたしまして、全中理事会の方で正組合員戸数三千戸以上、それから都市化地帯農協におきましては三百億以上というのを目標とする。とりわけ、市町村区域未満農協及び正組合員戸数千戸未満農協合併を強力に推進しましょう、こういう方針を立てたことは事実でございます。  これまでの合併規模目標に対しまして大きくなっておることはたしかでございますが、その最大要因として私どもが考慮いたしておりますのは、今まで申し上げてまいりましたとおり金融自由化の問題でございまして、金利が自由化されました場合、当然資金コストは従来よりも高くなるというふうに想定をいたします。また、運用面でもなかなか大変でございますので、利ざやは縮小をするのではないかと考えます。それから、コンピューターを初め通信関係施設の投資を競争上相当やっていかなければならないという問題も抱えるわけであります。  そういうことを考えてまいりました場合に、先ほど申し上げましたように、千戸未満農協が六割まだあるという状態でございますので、これでは他の企業との競争を勝ち抜くわけにはなかなかまいらぬのではないか。そこで三千戸、都市化地帯農協三百億、こういう目標を立てたのでありますけれども、一概にこれをそのまま押しつけてそのとおりやりなさい、こういうことではございませんで、先ほど北海道の例も出ておりますとおり、機械的に三千戸以上にしなければいけない、こんなふうには考えておりません。当然県段階で中央会あるいは連合会、それから農協、全部が集まりまして、どのような合併計画を持つか、また組合への働きかけにつきましてはどういう形でやっていくかという点の相談をいたしまして、また、一番基礎にありますのは組合員がどのような判断をするかということでございますので、十分地域実情に即して合併の計画はつくられていかなければいかぬというふうに考えます。  それから農協離れの問題でございますけれども、これは大規模農協になりましたから農家が離れていくというよりは、大規模農協になりました場合に、むしろ営農指導面あるいは生活指導面、それから生産流通加工施設の整備等につきましては従来の小規模農協よりは整備がされてきておる、こういう実績でございますので、農協から農家が離れるというのは、合併農協、大規模農協だからという要因ではなくてむしろ別の要因があろうかと思っております。なお、専業的な大規模農家が特に農協から離れるという問題があるわけでございまして、これは先ほどちょっと申し上げましたような形での対応強化をしなければならないと考えておるところでございます。  それから、大規模農協になりました場合に農協としての性格がなくなってしまうのではないかということでございますが、農地があり農家があり農業が営まれておるという前提で考えますれば、しかも農業協同組合でありますから農業を忘れて農協が存立する基盤は全然ないわけであります。したがいまして、現在営農指導関係につきましても約一万九千二百人程度営農指導員がおります。それから、これからの時代を考えてまいりますと、特に私ども地域営農集団、土地利用型の農業におきましては、所有権はそのままにしてなるべく利用範囲を広くして生産性の向上を図る、コスト低減を図っていく、こういうことが大事でありますので、そういう面の指導強化をいたしております。また、今後は作目の複合、この面でも力を入れなければいけない。また、営農指導面では情報手段の発達に伴いましてコンピューター等を使いましての経営分析あるいは指導ということも大事になろうかと思います。また、系統農協自体におきましても新しい品種の改良、開発ということも手がけていく必要があろうかと考えて、現在そういうふうな取り組みをいたしておるところでございます。  それから、大規模農協になって職員の労働強化になるのではないかということでございますが、先ほど申し上げておりますとおり、むしろ職場の活性化といいますか、それが大規模農協になることによって、職員が二、三十人の組合よりは百五十人とか、職場の活性化というものが出てくるのじゃないか。また、優秀な人材も確保されるということでございまして、それが過酷な労働条件になって賃金の割にはとてもきつい状況になるということは、これはあってはならないわけでございます。待遇面の改善は先ほど言いましたように小さな規模より大規模農協の方が待遇面は改善をされておるということでございますので、そういう面もあわせまして経営管理の指導等を強めていかなければいかぬと考えます。
  85. 津川武一

    ○津川委員 ここは論争の場ではないので質問を続けていきますが、合併規模、うちの組合ならこれでいいと思っているときに、全中合併規模組合として文章化しているのでついていけないと言っているのですが、もう一つついていけないというのは、これからやろうとしている合併が上からの押しつけ的な性格を持っているという懸念農協関係者は持っているのです。  既に全中は三年間の計画として、四百二十六件、千六百六十七農協合併を進めるとして、具体的な対象も決まっているようでございます。私のところでどういうのが合併になるかということを全中から表をもらった。そこで対象になっている農協に連絡してみたら、そんな話は全然聞いてない、理事会もそんなことはまだ考えていない、理事会でも論議になってない、こういう農協全中の表の中に合併の対象となっておる。ここが怖いのです。  そこで、昭和五十年代に入って、合併件数は合併助成法のあるなしにかかわらず減少を続けており、未合併農協はさまざまな経過から合併が困難なのです。それを今度全中は、組合員合併の必要性を強調し、行政と一体になって進めるとして、これでは農民は、農協の人はびっくりしている。先ほど、行政と一体になると言っていて、桜井さんが行政の協力も得ながらというふうに修正していますが、皆さんの成文化されている文章ではこうなっているのです。こういうことに対して、以前は、合併推進ケース農協組合員との協議を深め、五十三年以降については合併自主性にゆだねる、これがおたくの方針だった。今度は組合員合併の必要性を強調し、行政と一体となって進めるとくるので、農協全国連の下請機関とされてしまうのじゃないかという単協の心配があるわけであります。やはり自主的な民主的な手続で合併を進めなければならないと思いますが、この点で桜井さんの御意見を伺わせていただきます。
  86. 桜井誠

    桜井参考人 今、先生からお話のありましたとおり、合併の計画なり推進につきまして、上からの押しつけでなくて民主的な話し合いのもとで決められていくべきであるということはそのとおりであります。  今、青森の六十一年度から六十三年度の合併の計画の中で理事会にも諮られていないというお話がございました。その件につきましては、私は今回の合併助成法適用をお願いするにつきまして、系統農協全体といたしましてこのような計画を持っておりますということを早急に示していく必要があるというふうに考えまして、去年の十二月からことしの一月あたりの段階で、この六十一年度から六十二年度計画という一応の目安のものを県の中央会と協議をいたしまして上げていただいたわけであります。その際、当該農協との話は当然県の中央会でされておると思いますが、十分な理事会での討議あるいは組合員討議を経た上での六十一年度から六十三年度の計画に現時点ではまだなっていない面もあろうかというところから、先生が理事会にまだ諮られていないじゃないか、これは上からの押しつけではないかという懸念が出てきたものと推察をいたしております。  ところが、具体的な合併をこれから計画し、推進をいたしていきます場合に、どの農協とどの農協合併をしたらよろしいかというのは、当然それなりの立地条件農業経済圏あるいは生産団地化等の問題を考慮いたしまして、当該農協とも十分相談をしながら青写真がつくられなければいけない。それから、全然その青写真なしに組合員に話をするというわけにもまいらぬわけでありますので、青写真をつくるにつきましては、各組織の代表者の皆さんによる集まりのもとで相談をし、理事会にも諮り、それから組合員の討議に付してまいる、こういう順序を経なければならないと思っております。  それで、行政庁と一体という表現があるということでございますけれども、私どもの気持ちといたしましては、法律によりましてこの合併促進が必要でありますということを農家にも徹底をしてまいる、また国によります税金面での配慮もやっていただくというところから、今回助成法適用といいますか、延長につきましてお願いをいたしておるわけでございますが、上の方から、行政庁の計画あるいは県の中央会の計画ですべてこれでいくというものでは、今先生の御指摘のような天下りなり押しつけ、こういうことになるわけでありますから、具体的な計画の策定あるいは組合員との話し合いにおきましては、当然十分な民主的な手続がとられていかなければいかぬ、こういうふうに考えるわけでございます。  以上でございます。
  87. 津川武一

    ○津川委員 もう一つ金融のことで質問したいのですが、時間もなくなりましたし、せっかくおいでになりましたので高野さんと福澤さんに、今言われたように行政と一体になって合併推進させるとか税制の優遇措置で合併をさせる、これはえさだね。こういう形でやると、私は農協合併が禍根を残すと思うのです。そこで本当に農民立場から自主的な形で合併を進めるべきだと思うのですが、このことに対して高野さん、福澤さんから御意見を承って、私の質問を終わります。
  88. 高野正道

    高野参考人 私も先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、我々農家組合員といたしますと、農業協同組合は自主的につくられたものだというふうな意識に欠ける組合員が大分多うございます。そのような関係で、法の助成があればそのような組合員の方々も理解ができるのではないかというふうに考えまして、ぜひとも合併助成法適用を延長していただきたいというふうな考えております。
  89. 福澤益人

    福澤参考人 私どもは、全く自主的に合併をしなくては農協というものはやがてはもうやっていけなくなるのじゃないか、特に山間地域の弱小農協においてはその危機感を実は持っております。これは職員もそういう危機感を持っておりますし、組合員も危機感を持っております。それで、スムーズにこれに同意が得られるようにするには、やはり合併助成法というものを一つ促進の材料ということでぜひこれを使っていただいて、末端組合員の考えておる、望んでおることをかなえていただけるようにひとつお願いをしたい、こういう気持ちでございます。
  90. 津川武一

    ○津川委員 ありがとうございました。終わります。
  91. 大石千八

    大石委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し述べます。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。  次回は、来る二十五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会