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桜井参考人 今、先生の方からのお尋ねでございますけれ
ども、まず第一点といたしまして、
全中の
理事会の方で正
組合員戸数三千戸以上、それから
都市化地帯の
農協におきましては三百億以上というのを
目標とする。とりわけ、
市町村区域未満農協及び正
組合員戸数千戸未満農協の
合併を強力に
推進しましょう、こういう
方針を立てたことは事実でございます。
これまでの
合併の
規模目標に対しまして大きくなっておることはたしかでございますが、その最大要因として私
どもが考慮いたしておりますのは、今まで申し上げてまいりましたとおり
金融自由化の問題でございまして、金利が
自由化されました場合、当然資金コストは従来よりも高くなるというふうに想定をいたします。また、運用面でもなかなか大変でございますので、利ざやは縮小をするのではないかと考えます。それから、コンピューターを初め通信
関係の
施設の投資を
競争上相当やっていかなければならないという問題も抱えるわけであります。
そういうことを考えてまいりました場合に、先ほど申し上げましたように、
千戸未満農協が六割まだあるという
状態でございますので、これでは他の
企業との
競争を勝ち抜くわけにはなかなかまいらぬのではないか。そこで三千戸、
都市化地帯農協三百億、こういう
目標を立てたのでありますけれ
ども、一概にこれをそのまま押しつけてそのとおりやりなさい、こういうことではございませんで、先ほど北海道の例も出ておりますとおり、機械的に三千戸以上にしなければいけない、こんなふうには考えておりません。当然県段階で中央会あるいは連合会、それから
農協、全部が集まりまして、どのような
合併計画を持つか、また
組合への働きかけにつきましてはどういう形でやっていくかという点の相談をいたしまして、また、一番基礎にありますのは
組合員がどのような判断をするかということでございますので、十分
地域の
実情に即して
合併の計画はつくられていかなければいかぬというふうに考えます。
それから
農協離れの問題でございますけれ
ども、これは大
規模農協になりましたから農家が離れていくというよりは、大
規模農協になりました場合に、むしろ
営農指導面あるいは生活
指導面、それから
生産、
流通加工施設の整備等につきましては従来の
小規模農協よりは整備がされてきておる、こういう実績でございますので、
農協から農家が離れるというのは、
合併農協、大
規模農協だからという要因ではなくてむしろ別の要因があろうかと思っております。なお、専業的な大
規模農家が特に
農協から離れるという問題があるわけでございまして、これは先ほどちょっと申し上げましたような形での
対応の
強化をしなければならないと考えておるところでございます。
それから、大
規模農協になりました場合に
農協としての性格がなくなってしまうのではないかということでございますが、農地があり農家があり
農業が営まれておるという前提で考えますれば、しかも
農業協同組合でありますから
農業を忘れて
農協が存立する基盤は全然ないわけであります。したがいまして、現在
営農指導関係につきましても約一万九千二百人
程度の
営農指導員がおります。それから、これからの時代を考えてまいりますと、特に私
ども地域営農集団、土地
利用型の
農業におきましては、所有権はそのままにしてなるべく
利用範囲を広くして
生産性の向上を図る、コスト低減を図っていく、こういうことが大事でありますので、そういう面の
指導の
強化をいたしております。また、今後は作目の複合、この面でも力を入れなければいけない。また、
営農指導面では情報手段の発達に伴いましてコンピューター等を使いましての
経営分析あるいは
指導ということも大事になろうかと思います。また、
系統農協自体におきましても新しい品種の改良、開発ということも手がけていく必要があろうかと考えて、現在そういうふうな
取り組みをいたしておるところでございます。
それから、大
規模農協になって
職員の労働
強化になるのではないかということでございますが、先ほど申し上げておりますとおり、むしろ職場の活性化といいますか、それが大
規模農協になることによって、
職員が二、三十人の
組合よりは百五十人とか、職場の活性化というものが出てくるのじゃないか。また、優秀な人材も確保されるということでございまして、それが過酷な労働条件になって賃金の割にはとてもきつい
状況になるということは、これはあってはならないわけでございます。待遇面の改善は先ほど言いましたように小さな
規模より大
規模農協の方が待遇面は改善をされておるということでございますので、そういう面もあわせまして
経営管理の
指導等を強めていかなければいかぬと考えます。