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1986-02-20 第104回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月二十日(木曜日)     午前十時五十八分開議 出席委員   委員長 大石 千八君    理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君    理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君    理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       上草 義輝君    太田 誠一君       片岡 清一君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       堀之内久男君    松田 九郎君       三池  信君    山岡 謙蔵君       上西 和郎君    島田 琢郎君       竹内  猛君    辻  一彦君       日野 市朗君    細谷 昭雄君       駒谷  明君    水谷  弘君       吉浦 忠治君    菅原喜重郎君       津川 武一君  出席国務大臣         農林水産大臣  羽田  孜君  出席政府委員         農林水産政務次         官       保利 耕輔君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房総務審議官  眞木 秀郎君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         農林水産省食品         流通局長    鴻巣 健治君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁長官   佐野 宏哉君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   高橋 厚男君         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         通商産業省生活         産業局原料紡績         課長      江崎  格君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         建設省住宅局住         宅建設課長   久保 敏行君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農林水産業の基  本施策)      ————◇—————
  2. 大石千八

    大石委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  農林水産業基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
  3. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、先般の羽田農林大臣所信表明に関連をして若干の質問をいたします。  まず最初に、農林大臣の御就任はまさにエース登場というところで大変おめでたいわけでありますが、さて、客観情勢は必ずしもこれを許さないような情勢がある。私は大臣郷里を同じゅうして、蓼科山、八ケ岳、浅間山、こういう山岳地帯に生まれ、同じ郷里で育ってきた者であり、同時にもう一つ共通点は、私はここに「土に叫ぶ」という本を書いたわけですが、羽田農林大臣のお父さんだと思いますけれども羽田書店ではまさに何年か前に「土に叫ぶ」という上下を出されておる。こういう点でも同じ心持ちであろうと思う。  さてそこで、この農業問題というのは今極めて重要な段階にあって、与野党で共通して守らなければならない点が多々あろうと思うのです。そういう中で、現在の事情は、国内的には財界中心行財政改革が進められ、海外からは貿易自由化で、日本に対しては農産物輸入を強要されているという二正面作戦に遭い、国内においての予算中曽根内閣のもとで、きのうも衛藤委員からも御指摘があったし、我が党の島田委員からも強く指摘があったように、大砲かバターかという段階ではついに大砲の道を選んでしまって、防衛費農林予算を上回った、こういうことが、これは事実なんです。しかも、私がこの委員会最初に入ったのが四十八年、あの当時は農林予算が一〇%を超えておりましたが、現在五・八というような段階では大変厳しい状況である。  そういう中でエース登場、果たして守り農政から攻め農政に転化できるかどうか、ひとつ羽田農政の真髄、きのうは哲学という話があったけれども、考え方に対する骨格をひとつ述べてもらいたい。
  4. 羽田孜

    羽田国務大臣 大変御丁重なお言葉をちょうだいしまして本当に恐縮をいたしております。竹内委員とも今日まで相当長いことこの委員会の運営の問題あるいは今日の農業の問題、ともに語り合ってまいった先輩であります。いろいろな面でこれからも御指導いただきたいことをまずお願い申し上げたいと思います。  今、攻め農政あるいは守り農政あるいは羽田農政というお言葉があったのですけれども、かつて、私が政務次官を務める前ですから十二年くらい前でしたか、安倍農政というのがございましたけれども、このときには攻め農政攻め農政という言葉が実は言われたものであります。ただ、そのときどきの閣僚、担当所管大臣によりまして農政が変わっていくということ、これはあり得るものじゃないというふうに思っております。私も先生方一緒に十年間ほど農政に携わっておりますけれども、やはり農政というのは一つずつきちんとしたものの積み上げ、そういう中で事を処していくということであろうというふうに考えております。  ただ、私どもいろいろと長いことやっておるだけに、いかに環境というのは厳しいのかなということ、それから厳しいということでこのまま行っていくと本当に日本農業あるいは林業、水産業というものは廃れてしまう。しかし、果たして廃れていいものなのか。これは古来から変わらない価値といいますか、その中で農林水産というのは一つの国の基本である、この普遍の価値というものは変わらないというふうに私は認識をいたしております。そういう意味で、これからその価値というものを高め、しかもそういったものが認められ、そして働く人たちがそれに誇り、意欲、こういうものを持つ農政というものを展開していかなければいけないんじゃないか。私は今日までの積み重ねの中でそういったものを少しでも展望を切り開いていきたいというふうに考えております。  具体的にどういうことですかというと、結局一番のあれは何といってもやはり経営基盤というものをきちんと築いていくことが必要であろうということで、基盤整備、そういったものなんかを進めていかなければいけないんじゃないかと思っております。それに加えまして、やはり新しい農業、新しい手法、新しい技術開発、こういったものも進んでくる。これはもう間違いなく、今日本だけでなくて世界各国がそれを目指しながら進めておる。日本発酵学そのほか育種の問題等につきましても今研究を進めておるということであります。そういう先端技術というものをこれから発展させる土台を築いていく必要があろうかと思う。そして、それにたえ得る農業後継者といいますか、農、林、水のこの産業に携わる産業人の育成というぐらいのつもりで私たちは考えなければいけないんじゃないかな、そこにともかく先行きというものについての展望を開くことができれば、そんなつもりでこれから農政に努めてまいりたい、かように考えております。
  5. 竹内猛

    竹内(猛)委員 基本に関する限り別に異議がないわけですけれどもね。  そこで、国会では五十五年に食糧自給力を高める決議をした。五十七年には、国内生産でき得るものについてはできるだけ国内生産をし、海外からの輸入についてはこれを差し控える、こういう決議もしておりますが、現実には穀物自給率にして三十五年に八二%のものが五十八年では三二%になり、カロリーベースにしても七九が五二%というぐあいに落ち込んでいる。そこでもし海外から輸入がなかったとしたらどうなるかといえば、二千五百九十カロリーの中で千三百六十一カロリー、たんぱくも八十グラムが四十五、それから脂肪にしても八十二が二十八、こういう状況というものを考えたときに、この五十五年以来の努力というものは一体どういう努力をしてきたのか、積み重ねはどうしたのか、これが問われることじゃないか、こう思うのです。国会決議に対して忠実であったかなかったかということ、これが問われるわけです。いかがですか。
  6. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに五十五年ですか食糧自給力強化に関する決議というものを国会で通していただきまして、それに基づいて私どももそれぞれの立場努力をしてまいったところでございます。確かに今お話がございました自給率の問題、これは穀物自給率あるいはカロリーベース自給率、また総合自給率といいますか、いろいろなとらまえ方があるわけでございますけれども、私ども特に主食にかかわる米あるいは果樹、野菜、こういったものについては一〇〇%あるいは八十数%前後、そのくらいのものを確保することができたということが言えます。  ただ問題は、特に一番低い穀物自給率ということになりますと、これは残念——残念というよりは、食生活というものが大きく変わってきておるという中で、日本国内飼料穀物等を十分に確保する、そのためにはどうしても倍以上の耕地面積が必要なことはもう委員がよく御存じのとおりであります。そういう中でここの面での自給率というものを上げることができなかったということは御指摘のとおりだというふうに認識をいたします。  ただ、自給力というこの国会決議に忠実にあれするとなれば、基盤整備を前進させる、そういうことなんかにおいても前進をしてきておると思いますし、また将来に向かっての先ほど申し上げたような先端技術、こういったものについての技術開発予算なんというものもある程度確保することができたんじゃないか、その意味での力というものはだんだんつけつつあるというふうに考えております。
  7. 竹内猛

    竹内(猛)委員 確かに穀物自給率を高めるためには現在の農地の倍ぐらいの農地がなければできないことも承知をしていますが、むしろ農地の方は減っているという、後でこれは指摘をしますが、そういう状態でありまして、私どもは前々から、農林水産業というものは二つの側面を持っている、一つは人間、国民に対して新鮮で安定的な食糧を確実に供給をする役割が一つある。もう一つは、大臣がしばしばあちこちで話をされているように、国土保全治山治水環境浄化、観光も含めたこういう大事なものである。この点については認識一緒だと思いますが、その生産の方に関しては、これは粗生産で十一兆とか何ぼという計算はできるけれども、後の方の面、治山治水とか空気浄化とか、これを金銭に直せば一体どのくらいになるのか、この点をちょっと……。
  8. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 農業の持っております多面的機能というものを金銭に評価するのは非常に難しゅうございますけれども、一応いろいろな前提を置きまして昭和五十五年に計算したことがございますので、それに基づいて御報告をいたしますと、そういういろいろな機能の中で、水源涵養機能、それから土砂流出防止機能、土壌による浄化機能保健休養機能、それからさらには酸素供給なり大気浄化機能、こういうものを取り出しまして概算計算してみますと十二兆強になろうかと思っております。
  9. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そうしますと、計算のしようによればもっと多くなると思います。かつて角道さんが官房長のころにはもう少し額が多かったように記憶しておるわけですけれども、大分値切ったような感じがするのですね。しかし粗生産よりはるかに多い。  そこで問題は、過保護論というものがある。農業は過保護だと財界がしばしば言う。労働組合の一部からも農業は過保護だと言われております。空気や水やそういうものをただ取りして、そして過保護だと言うのも当たらない。やはり一定条件のもとに農業に対しては保護は必要だ。  ここでちょっとお尋ねしますが、ヨーロッパのECはどうなっているか、あるいはスウェーデンアメリカ、あらゆる国で、ウサギの皮をむくように一枚はぎ二枚はぎ農業を丸裸にして資本主義競争の中にほうり出すような国は世界にはないわけだ。食糧自給が余り伸びない中でなおそういう危険なことをしている国はない。少なくともいろいろな形で農業保護しているが、その保護についてかいつまんでひとつ報告してもらいたい。
  10. 眞木秀郎

    眞木政府委員 お答え申し上げます。  主な欧米諸国アメリカEC等におきましても、それぞれの国の農業の実情に応じまして、やはり農業者所得保障等中心各種農業保護措置を講じているわけでございます。  まずアメリカでございますが、四年間の期限をもちまして八一年の農業食糧調整法が期限切れとなりました後、昨年の十二月末に新しい八五年農業法が五年の期間で成立いたしました。この法律の最も重要な政策は、小麦とか飼料穀物等の主要な農産物につきましての価格支持でございます。これは目標価格を基準といたしました不足払い制度と、一定水準の、目標価格より少し低めに設定をされましたローンレートという融資価格水準、この二つの方法によりまして農家の手取りを保障する仕組みになっておるわけでございます。  アメリカ農業は八〇年代に入りまして非常に不況になったわけでございますが、この中で、財政支出の削減なりあるいはまた失われた国際競争力を強めるという三つの非常に矛盾したような要請をどのように解決するかということでいろいろ議論がなされました結果この法律ができたわけでございますが、この結果、目標支持価格水準につきましては今後二年間は据え置きますけれども、その後段階的に引き下げていくということで、やはり国際競争力の回復を図りたいというのが農業サイドから見た一つ特色であろうかと思っております。  またこの法律では、輸出振興のために輸出信用制度あるいはまた現物の供与によりまして各種輸出助成措置が定められております。  このほか、国境保護措置といたしまして残存輸入制限を行っているものとして砂糖がございます。また、ガット加入時に自由化義務免除というウエーバーをとりました品目が、酪農品、ピーナツ、綿等十三品目ございます。また、食肉輸入法に基づきまして、食肉輸入が非常にふえたときには実質的な輸入制限が行われるという措置もあるわけでございます。  関税につきましては、アメリカの場合は輸出国という立場が強うございますので、その水準は比較的低いものになっておるということでございます。  また、EC諸国におきましては、御案内のとおり共通農業政策のもとで主要な農産物穀物とか酪農品食肉等約六十品目相当と思いますが、これにつきまして一定域内支持価格、これは指標価格とか市場介入価格等を設定いたしまして、域内価格が暴落した場合には域内市場介入をして買い上げを行う。また域外に向かいましては境界価格というものを設けまして、輸入価格境界価格よりも低い場合には、その差額可変輸入課徴金として徴収することによりまして域内価格水準一定に保つということをやっておるわけでございます。  しかしこの結果、ECの中では過剰が非常に大量に発生いたしまして、砂糖とか酪農品が主でございますが、この二年間は非常に抑制的に支持価格水準も設定されていると聞いております。この過剰になりました農産物につきましては、域内価格国際市場価格差額輸出補助金という形で交付をして域外市場に出すということで輸出振興を図っておるわけでございます。  輸入制限措置といたしましてはフランスが一番多いわけでございますが、十九品目、イギリスなどは低うございまして一品目、バナナについて今でも輸入制限を行っております。  関税水準につきましては、課徴金の額がいつも変わりますので測定が非常に難しいわけでございますが、平均をしてみますと一二%余りということで、我が国よりは高い水準になっております。  それから、スイスとかスウェーデンという国は、中立という立場から非常に食糧安全保障に関心が強く、そのための施策が多いわけでございますが、これらの国々におきましてもやはり合理的な生産を目指しながらかなり国施策を強めまして、備蓄とかそういうものについての施策を行っておるわけでございます。特にスウェーデンとかスイスは、今申し上げました永世中立という立場から非常に自国の食糧安全保障に重厚な施策を行っておるということでございます。  簡単でございますが、以上です。
  11. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今説明があったように、諸外国輸入にしても輸出にしても国内生産者に対してもいろいろな保護措置をとっている。確かに日本にもそれがないとは言えないけれども、どうも農家生産者所得にそれが回ってこない面があって、農村の中では大変苦しんでいる。  大臣、今の諸外国の話を聞いて、日本農政との間で何か矛盾を感じませんか。
  12. 羽田孜

    羽田国務大臣 今眞木審議官の方から御説明いたしましたのはまさに一般的に各国がとっている措置でありまして、それでは各国農業がそんなにみんなあれしているのかというと、そうでなくて、むしろ大きければ大きい地域においてはもっとつらい厳しい状況が生まれてきておるということが言えるのじゃないかと思います。  ただ問題は、先ほど竹内委員から御指摘がございましたように、農業というのは単に食糧を提供する、農産品を提供するというだけではなくて、国土保全機能を初めとする非常に公益的な機能があるということであります。そういう意味で、そこで生産する人たちがきちんと健全に生産にいそしめる体制というものはつくる必要があるわけでありまして、我が国としても今日まで所要の施策を進めてきておるというふうに私は確信をいたしております。
  13. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それでは、戦後十年ごとに日本農政を顧みると、二十年代は、敗戦で農地改革を進める、そういう中で食糧がない、強権発動までして米を確保するという段階が二十年代であったと思うのですね。三十年代の特徴は、所得倍増計画あるいは農業基本法、そして構造改善選択的拡大、それから工業団地をあっちこっちにつくって労働力農村から抜き取っていったという時代が三十年代の段階だと思うのですね。四十年代は、石油ショック物価高騰、そして日本列島改造という形で都市計画法ができたり、優良農地が大変多く壊廃をされるという、農地に手をつける段階。五十年代は、これは四十年代から続けたわけですけれども、水田の再編、減反、牛乳あるいは鶏卵、肉、ミカン等々がいずれも生産過剰になって減反をしなければならない、しかも海外からは農畜産物輸入がどんどん進められてきて、そこで国会でも自給力の確保と外国からの輸入に対する決議をするということによってこれを切り抜けようということをしたわけですけれども、そういう段階。現在六十年代に入ると国際化時代で、まさに貿易自由化開放経済そして財界主導行財政改革があり、農業経営権が既に崩壊をする、こういう段階に来ておるのではないか。私は今の六十年代の農政というものを非常に心配をしておるわけであります。  こういうふうに見るのが間違いかどうか、これは議論をするとそれだけでも二、三時間議論しなければならないから、一つの見方だと思うけれども、今日的課題についてそういうような経過を経ているのではないか、どうですか。
  14. 羽田孜

    羽田国務大臣 今委員の方からそれぞれの年代についての特色特徴お話があり良した。まさにそのとおりであろうというふうに思っております。  ただ、この六十年代、市場開放ですとかあるいは行政改革の中でというお話でありますけれども、確かに高度経済成長のところで非常に大きくあれしてしまった、そういう中で国の借り入れなんかも大きくなった。ある程度、何というのですか、スリムにしていかなければならない。これは農政だけでなくて行政全般に言えることで、これが将来の足腰を強くするもとをつくるのだという意味での今の行政改革であろうということで私ども認識をしながら進めておるところです。いろいろな時代時代の変遷について非常によくあれされていると思います。
  15. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、現段階長期見通しというものがつくられている。ちょうど私がこの委員会に来たときに五十七年の展望がありました。当時、櫻内農林大臣に私はここで追及したことがある。そうしたら、あれは閣議の決定は経ていないし、農政審議会の議も経ていないこういうメモみたいなもので説明をする、けしからぬではないか、こういうことでようやく安倍農林大臣のときに展望が出されたと思いますが、その後しばしばあれをしておりますけれども、そのつくり方に実は問題があるのじゃないかと思うのですね。  先にいろいろなものをつくって上から押しつけてくるというそのつくり方に問題があって、どうしてもローカルの、地域要求というものが抑えつけられてしまうのじゃないかという感じがする。やはり物のつくり方については、補助金をつけて上から役所が指導する、補助金も悪いことではないけれども、上からの指導があって、下からの要求、これがまとまってくるような方向でないから何としても非常に難しいことであって、それがだんだん食い違ってくるようなことになっておる。その中で一番ひどいのがミカンであり養蚕であり、米は米の消費が伸びないために過剰になって今最大の問題になっている。  そこで長期見通しの再検討というものを昨年以来私は要求をしてきて、今官房においてはそれに取り組んでいるはずですね。その方向なり、それはいつごろどうなりますか。それをちょっと……。
  16. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 長期見通しにつきましては先生から再三御指摘ありまして、長期見通しをつくってもう既に五年になっておる、その間でいろいろな前提条件変化等もあるのでここで見直すべきではないかという御指摘があったわけでございますけれども、我々といたしましても、長期見通しの、例えば米であるとか大家畜であるとか、こういう基幹部分についてはそう現実見通し乖離をしているという点は少ないわけでございますけれども、今も御指摘ありましたお蚕であるとかミカン、こういうものについては相当乖離というのも残念ながら見受けられます。  現在、農政審議会企画部会というところで、五年前に見通しました六十五年見通しなりあるいは六十年代の農政展開方向、こういうものにつきまして、現実と当時考えたこととがどういうふうになっているかというフォローアップ作業をいたしておりまして、きのうまでに四回ほどこの会合を重ねてまいり、それから、どういう検討課題についてこれから物事を整理していくかという課題の整理を三月中に終えたいと思って現在鋭意作業を進めているところでございます。
  17. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、もう一つのこの中の問題は、財界からは食管制度の見直しをしろ、こういう強い要請があるはずであります。明日二十一日には恐らく財界のヒヤリングがあるはずだ。そういうことが計画されていると思いますが、きのうも大分この食管の問題については質疑がありましたが、いろいろと議論になっています。これを一体これからどうするつもりなのか。羽田農林大臣は時にタブーに挑戦をする、そのタブーというのはまさに食管じゃないのかと思うのですけれども、これはいかがですか。
  18. 羽田孜

    羽田国務大臣 食管についてもタブーということはないのじゃないかと思います。というのは、五十六年に現状に即するようにということで食管法の改正をやっておりますし、またつい先ごろも需要供給といいますか流通ですね、特にこの点についてやはり問題があるのじゃないかということで流通改善というのを昨年の秋でしたかにやっております。そういうことで私どもとしては、やはり消費者に対して、そして生産者に対しても安定したものであるということが必要であろうという考え方は今日もって変わっておりません。そういう意味で、もうこれは年じゅう論議はしておりますし、改善されるべきものは改善されておりますから、特にタブーというべきものでもないと思っております。
  19. 竹内猛

    竹内(猛)委員 しかし、食管の問題はこのままでいいということじゃなくて、これからどういうように食糧問題を考えるかということについては、今のようなことだけではなしにもう少し何かあるはずなんです、どうしても。多くがあるはずなんですね。やはりそれを言わなければ話にはならない。
  20. 羽田孜

    羽田国務大臣 食管制度につきましては、国民の主食である米というものを政府が責任を持って管理をする、その需給及び価格の調整と流通の規制を行うことによって、生産者に対してはその再生産を確保し、消費者に対しては家計の安定を図っていくという一つの大きな役割がございます。政府としましては、従来からの経済事情や米の需給事情の変化に即応して必要な見直しを行ってきたということであります。  ただ、このところ米の売買逆ざやというものが解消といいますか、売買逆ざやというよりはコストを多少残すだけになってきておるというのが現状でございまして、やはり消費者のニーズというものに対してどうこたえていくのかということが今一番大きな問題で、それがこの間の流通改善であろうというふうに認識をいたしております。
  21. 竹内猛

    竹内(猛)委員 食管問題や第三期減反についてはきょうはちょっと時間がないからまた別なところで議論します。土地改良の関連でやります。  次の問題は、昭和三十年代ごろまで、農業基本法のできるころまでは、我が国農業の構造は、有名な横井時敬先生が言うように千四百万の労働者、農業従事者、それから面積が六百万ヘクタール、五百五十万戸の農家というものが大体定着をしていたわけですけれども、現在はこれが大きく変わって、三十五年から見ると三分の一あった専業農家が現在は七分の一の専業農家、三分の一の第二種兼業は三分の二になり、非常に構造が変わったということです。そして今現在、第一種と言われる農家が両極に分解をしている。専業の方と第二種に分解をしているという傾向になっている。  農業人口、就業人口についても、これはいろいろとり方もあるかもしれませんが、明治時代には八〇%も労働力農村に従事していたけれども、現在は八%だと言われている。明治時代の十分の八から見るとただの八%になってしまった。こういうような状況があり、同時に、三十八年には八万九千五百人就業していた学卒が現在は四千八百人と二十分の一、これは去年の農業白書にも出ているけれども、お医者さんの試験の合格者七千五百四十二名よりも農村に残る高卒が少ない、こういう実情というものを顧みると、農業がいかに厳しいか、これが明らかになっていると思うのですね。  これからの一番の問題は、後継者がない、嫁が来ない、この農業をもっと豊かで希望が持てるような農業にしていかなければならない。農林大臣の使命はそこにあると思うのだけれども、これはいかがですか。
  22. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘がありますように、確かに農業に従事する皆さん方の年齢構成というものを見ましても大変高いものになってきておるということが言えると思います。それから、あるいは御婦人が相当なウエートを占めておるという一面もまた出てきておると思います。また一方では、若い新しい後継者の参入というのが今御指摘のとおりの数字になってきておるということで、これは私どもとしてもやはり非常に憂える問題であります。それから、今また嫁が来ないというお話がありましたけれども、確かにこの問題についても、実は私どもとしてもやはり一つの社会問題みたいになってしまっておるなという認識も持っておるところであります。  そのためには、先ほど委員が御指摘のとおり、やはり農業というものに魅力のあるもの、これを与えていかなければ本当に農業に従事する人が減ってくるであろうというふうに考えております。そんな意味で、やはり農業の本当の基盤というものをきちんとつくり上げていくこと、それから、土地なんかも流動しながら規模の拡大が行われていくこと、そしてそういう中で本当に生々と農業ができること、それからもう一つは、先ほど申し上げたいわゆる新しい技術、こういったものなんかについての展望を開いて、本当にみんながやることによって、そういう中で新しい農業が開けるのだという展望というものを申し上げていかなければいけないなということを今私も痛切に感じておるところであります。
  23. 竹内猛

    竹内(猛)委員 やはりここは後継者が残る、嫁が来るような農村にしなければいけない。このためにひとつ努力をしてほしいということだし、これはやはりすべての農業者の願いだ。  そこで今後の農政に関連をして、所信の中にもあるし、しばしば言われることは、構造政策基盤整備、中核農家の育成、そして価格政策から構造政策へ、補助金農政から融資へ、こういうように農政が大きく変化をしているように思います。そこで、いかに日本の場合に規模拡大をしようとしても、これはヨーロッパにおいても十ヘクタール以上というものが経営の規模になっているし、アメリカにおいては百六十以上というものがそうだ、日本の場合には、北海道はかなり面積が広いけれども、その他の場合においてはそうはいかない。どうしても現在の二種兼業というものを崩して、その土地を大型の方へ利用するということについては甚だ困難ですね。そうなると、やはり二種というものを残しながら同時にこの農業を進めていく、そして、一方においては地域になじんだものをつくっていくという、その保護政策というものが常につきまとわなければならない、こういうふうに考えるわけですが、農業に対する行政上の保護というものに対して、今までのあり方をもう一遍再検討していく考え方はないかどうか。
  24. 羽田孜

    羽田国務大臣 確かに委員が御指摘のとおり、今の規模では実際に本当に農業で飯を食っていく、農業というものがいわゆる産業として発展していくということは非常に難しいことであろうというふうに思っております。そういうことで、まだ十分ということではございませんけれども、規模を拡大するために皆様にも御審議をいただきました農用地三法という法律、こういったものを駆使しながら、今ようやくその機運というのがだんだん出てきたのじゃないか。  というのは、だんだん高齢化時代になってくるという中で、その後継者が入ってこない、それでは農用地三法を活用して、特に農用地利用増進法というものを活用しながら何とかひとつ中に入ってもらって、ひとつ土地を貸しましょう、耕作をお任せしましょうという動きが出てきております。そういう意味で私どもも、本当に農業の中で生きていく人たち、こういった人たちがやる気を起こして、そして、一つの手段さえ得られれば本当に農業に専業しながら食べていけるというものをつくり上げるために、融資の面ですとか、もろもろの施策というものは拡充していかなければいけないというふうに考えております。
  25. 竹内猛

    竹内(猛)委員 社会党としては農業三法というものを今、国会に、農林委員会に出しておるわけですね。食糧に関するそれぞれのものを出していますが、あれが基本的な考え方だ。しかし、現在これが皆さんのあれによってなかなか通してもらえないわけですから、どうしてもそれに到達するまでは、この状況というものを何とか守っていかなければならない。今は平和で、貿易摩擦がいろいろあるけれども、ショッピングに行くと何でも買える、そういう時期ですね。だから、一般の人から見れば、物は豊富じゃないか、自給率なんか問題じゃないじゃないかと言われるけれども現実に物を少し生産をすると、卵の値も下がる、牛乳も余れば値を下げなければならないというようなことも問題になるだろう、豚肉もここのところ数カ月間以上値がずっと下がりっぱなしだ、こういうような状況、野菜も何もかもそうなんです。  そうしてみると、物を余計生産をすれば下がる、それで消費者の手には意外に値段は変化がない、こういうことでは生産の方が非常にぐあいが悪い。といって、これを計画生産をしろということはちょっと資本主義のもとでは無理だろうから、そこで生産と消費との間に価格の調整機能を持つような、そういうことが必要じゃないか。  この前、五十三年から去年まで随分鶏卵の問題で議論をした。そして、社会党は公明党、民社党さんと一緒になって、ここに鶏卵の需給と価格の安定に対する法案を提出しました。それは通っていませんが、しかし、畜産局がかなり厳しい通達を出すことによって、去年の七月以降今日まで鶏卵の価格はかなりいい方向にいっています。こういうような需給調整機能というものを持つ行政体制というものができないかどうか、これについてひとつお答えを願いたい。
  26. 羽田孜

    羽田国務大臣 今お話がありましたとおり、我が国の畜産、特に今お話しの養豚ですとかあるいは養鶏、こういったものにつきましては、土地利用面での制約というものが割合とないということもございまして、小家畜につきましては既に規模の拡大、これはもう、特に鶏なんかにつきましてもあるいは養豚なんかにつきましても、酪農についてもEC並みのところに来ているのじゃなかろうかというふうに思っております。そういうことで、潜在的な生産力の面では非常に大きなものを達成してきているというふうに考えます。ただ、これらのあれは規模が大きくなるということですから、例えばえさなんかも価格が下がってきますと、途端に鶏なんかの場合も増羽が行われるというようなことがありまして、価格が非常に乱高下といいますか、ちょっと緩みますとわっとふえてしまうということで価格が下がっていくという面があります。ただ、果たしてそれを今度法律で抑えていくということがいいのかということになると、今までももう長いこと委員とも議論をしてまいりましたけれども、さあ、この鶏なんかについては、今そういう法律であれすることがいいのかなということになりますと、ちょっと私どもは疑問に思っておるというのが率直なところでございます。
  27. 竹内猛

    竹内(猛)委員 僕は、別に法律で争う万能プレーヤーじゃなくて、そういう総合的な需給調整機能というのを持つ機構をつくって、そして長期見通しを補佐をしていく、流通の中でやっていくということが必要じゃないか、こういうふうに提案をしているから、これは大いに検討していただきたい。どうですか。
  28. 羽田孜

    羽田国務大臣 これは、需給調整というものを法でやるということになると、一つの自主的な努力というものを逆に阻害してしまうという要因なんかもあるということもありますので、これは今でも、従来も行政指導というものをやりながらやってきた。ただそれが数年たつとまた価格なんか下がってきて、またその必要が出てくるんですけれども、しかしその都度行政の指導というものを発揮することによって一つの鎮静安定、この方向は見出してきたと思っておりますので、こういうものについてきめ細かくする必要はあろうかというふうに思っております。
  29. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題もまた将来の課題にして、次に行きますが、農用地開発公団のことについて昨日衛藤委員から、やはり僻地の問題とそれから肉牛の問題を含めて、今紙上にとかく言われている問題について、これは推進すべきだ、そういう御指摘がございました。大変結構だと思います。  そこで、農用地開発公団が四十九年に農地開発機械公団からいろいろ職員を引き継ぎ、それでその後八郎潟の新農村の事業もやりながら、特に多くの僻地において大規模な事業をやってきた。北海道、岩手、福島、茨城、島根、熊本等々においてやってきました。食糧の長期安定確保のために生産基盤整備、まさに生産基盤整備をやってきた。個人でもできない、一つの町村でもできない、県だけでもできないものをやってきたんですね。そういう意味において非常に大事な仕事をやってきました。そして労働の生産性を高めて国際化に対応する経営形態をつくっていこう、こういうことでやってきました。  それから、大変これは重要な仕事をしてきたわけですが、特にきのう衛藤委員の御質問にもございましたが、これは関係者については農水省から監督がありますけれども、これについて今どういうお考えですか。
  30. 羽田孜

    羽田国務大臣 農用地開発公団の果たしてきた役割は今委員が御指摘のとおりでありまして、私どもは、先ほど来ずっとお話ししております食糧自給力というものを確保していかなければならない、そしてこれからまだある程度需要というものが伸びていく畜産、これに対する飼料というもの、自給率の点でも飼料問題というのは一番大きな問題でありますけれども、少なくも畜産にとって一番大事な粗飼料というものを確保するということはどうしても必要なことでありまして、まさに食糧自給力を強めるために、私どもとしてはまだこの公団というものが果たしている役割は大きいというふうに考えております。  そういうことで、今臨時行政改革推進審議会ですか、特殊法人問題等委員会、ここで公団事業の基本的なあり方についての厳しい議論が行われておりますけれども、私はただいま申し上げましたこと等につきましてよく御説明し、理解を求めていきたい、かように考えております。
  31. 竹内猛

    竹内(猛)委員 五十六年から臨時行政調査会は出発をしておりますが、五十七年のこの公団法の一部改正のときには、これは農用地開発公団が国内だけでなしにブラジルとか海外技術提携をしていくという、法案の改正のときにそういう三項目の決議をしております。これは五十七年四月の二十日でありますが「農畜産物濃密生産団地建設事業については、これが食糧自給力の向上と畜産業の健全な発展に寄与している実情にかんがみ、今後とも同事業の促進に努めること。」こういう決議をしておるわけですね。これは、行財政改革というのは五十六年に始まっている。その真っ最中にこういう決議があるわけですから、今大臣が言ったように、何でもかんでもつぶすじゃなくて、これはもうしっかり守ってもらいたいと思う。  もう一つは、これは後の撚糸工業の問題に関連をするけれども、どうも役所からの天下りとか横滑りとか、こういうようなものがあっちこっちでいろいろよろしくないことをしていて、どうも仕事に熱が入らない。特にこの農用地開発公団の場合においても、大変立派ないい仕事をしておるにもかかわらず、その首脳部があっちこっちと渡り歩いてきて、情勢にお任せだ、こういうことでは非常に困る。ここで働いている皆さんは技術者であり、生涯をこの公団にかけている。自分の生活と子供の教育から全部これにかけているんですね。ところが幹部の理事たちはもう既にあるところで一定の功成り名遂げて、その方々が今度はそこへ行って三年なりなんなりしてたんまりいろいろなものをいただいてくるわけですから、これは非常に困るのです。そういうことについては厳重に注意をしてもらいたいし、激励をしてもらいたい、そういうことのないように。非常にまじめな内部の方々が意気を失う。だから本来であれば職員の中から責任者を立てるぐらいのことをしていかなければいけないじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点に対して所感をひとつお聞きしたい。
  32. 羽田孜

    羽田国務大臣 まず国会決議にございましたとおり、これは私どもも、私自身も皆さんと一緒にこの決議をした仲間でございますので、その点については十分これから私どもみずからがこれを拳々服膺しながら部外に向かって説明をしていきたいというふうに考えておりますし、また海外農業開発、こういったものに日本が協力しなければいけない、ここでも重要な役割を果たすということでありますから、この使命について私どもはよく説明をしていきたいと思います。  また撚糸工連の話をあれしながら役員の問題についてお話がありましたけれども、ああいう特別な天下りとか各所でそういうことが起こっているというけれども、そういうおかしなのはそんなに数があるものじゃないというふうに私自身は認識しております。そして、こういう重要な使命でありますから、やはり役所で経験した者、こういった人たちが今までのつながり等なんかも活用しながらいろんな仕事ができるわけでございますけれども、しかし、ただ本当にぐるぐる回って歩いているとかなんとかという者がもしあるとすれば、これはやはりまずいことでありまして、私も農用地開発公団の役員の皆さんなんかともお話ししますけれども、やはり大変な熱意を持って、みんな私どもを逆に説得したり議論をする方が非常に多いので、私は今は別に問題ないなと思っております。しかし御指摘のようなことがあると問題がありますので、その点は十分注意をしていきたいと思っております。
  33. 竹内猛

    竹内(猛)委員 臨調の中間報告の中の(ア)の項にしても、公団の問題についていろいろなことが書いてある。これは現在の御説明の趣旨と違ったことになっているんですよ。これから基盤整備をし、それから僻地に対してなお造成をしていく、こういう方向が、これが我々は正しいと思っているんだけれども、それはもうやめろ、こういうことになるとおかしくなってくる。我々は前の理事長とよく相談をしました。これは僻地対策としても肉牛、和牛の対策としてもなくてはならないものであるから何としても存置して、運営の方向は変えてもいいけれども、これをつぶしてしまうなどということはもってのほかだと思っているのですけれども、これはぜひはっきりしていただきたい。
  34. 羽田孜

    羽田国務大臣 まさに御指摘のとおりであります。特に僻地あるいは山間地の畜産とか酪農というのは、幾ら基盤整備しようと何しようと、田んぼなんかはそんなに大きくなることは非常に難しい地域であります。しかし、そこに人が住んでもらって山を守ってもらう大きないろいろな使命が実はあるわけでありまして、その意味で私は、山間地あるいは僻地と言われるところなんかのこういった飼料を供給する基地というものは非常に重要なものであるという認識を持っておりますので、その点についてはこれからも私どもも担当の皆さん方とお話し合いをしてまいりたいと思っております。
  35. 竹内猛

    竹内(猛)委員 最後になりますが、蚕糸絹業に関連をして、通産省が指導しているところの撚糸工業、最近新聞の社会面をかなりにぎわして不愉快な思いばかりしているわけですけれども大臣も私と一緒に養蚕問題のことについては一番熱を入れているわけですからよくわかると思います。直接日本の養蚕業には関係がないと思いますが、しかし、今日事業団に在庫がたまった、借金もたまったという形で、非常に苦労をして農水省の方ではこの在庫処理について骨を折っているわけです。それで一元輸入、二国間協定というような形でできるだけ海外からの輸入を差し控えて、国内の養蚕家あるいは繊維工業に働く労働者を守ろうという努力をしているときに、これが不況産業という形でつぶされていくということも理解をしています。そのときに、事もあろうに、その前の井上という人は通産省の班長がなんかやった、そこにいる五人の職員も役所からの横滑りだ、こういう者が何十億という行方不明の金を使い、政治献金もしたと言われている。きょうあたりの週刊誌を見ると、もらった人の名前まで出ているようですけれども、これは大変なことだろうと思うのですね。  これはこの時間だけでは始末ができませんが、ともかくこういうようなことについて国内で、例えば農用地開発公団はこれだけの立派な仕事をしているのに行革はこれを抑えてつぶしてしまおうと言う。ところが、四年間の据え置き、十数年で返す、その間は無利子だという、こんな優遇をされていて、しかもそれにいろいろな形でやりとりをして汚職をする。こういうようなものをそのまま残しておくわけにはいかない。残すにしても全部入れかえをするか何かしなければならない。こういう点について担当の通産省の方からその経過というか問題を出してもらいたい。     〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
  36. 江崎格

    ○江崎説明員 先生指摘の事件でございますが、通産省の所管いたします団体の幹部がかかわった不祥事でございまして、私ども大変遺憾に感じておりますし、また監督責任の重さというものを痛感しております。  本件の事実関係につきましては、今私どもとしましてもまだ十分把握しておりません。今後、司直の手によりまして十分な究明がなされるものと期待しておりますけれども、通産省としましても、二度とこのような不祥事が発生することのないように事実関係の調査に努めたいと思っておりますし、またこの日本撚糸工業組合連合会に対する厳正な指導監督などに最善の注意を払っていきたいと思っております。
  37. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これも直接農水省には関係がないかもしれませんが、これは関谷局長、養蚕業に関係するから何か考え方があろうと思うのですが、一言。
  38. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 いわゆる撚糸事業そのものは、御承知のように生糸の一つの大事な需要者であり、またそれを使いまして糸をつくる大変大事なものでございますので、私どもとしても、これは通産省の所管事業でございますけれども、需要の状況に応じた健全な発展を願っております。また、今度のような問題については、直接私どもの役所なり蚕糸砂糖類事業団からのいろいろな意味での援助というのは従来からも行っておらないわけでございますので、そういう意味では直接関係はございませんけれども、どうかこの撚糸事業関係の健全な発達という意味で、団体的な活動がうまく行われますように私どもとしても願っている次第でございます。
  39. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これで私は終わりますけれども、今の農用地開発公団の問題にしても撚糸の問題にしても、これが口火ですから、ここで話をしたことを今後確実に守ってもらいたい。そして日本農業というものに対して、羽田農政というものは今度は守り農政じゃなくて攻め農政の姿勢に向かって、来年度の農林予算は少なくともしっかり組んで、今度の農林予算は後ろの方では手をつけたかもしれませんが、来年度の予算を組むわけだから、しっかりいい予算を組んで、大砲かバターかなんて言われないように、バターが優先する、こういうふうにやってもらいたい。終わります。
  40. 島村宜伸

    ○島村委員長代理 上西和郎君。
  41. 上西和郎

    ○上西委員 まず私は質問の冒頭に、待望久しい羽田農林水産大臣の就任を心から歓迎申し上げたいと思うのです。  ざっくばらんに申し上げて、本年、防衛費予算と農水省の予算は逆転をする、昨年からこれは火を見るより明らかでありました。このときに当たって農林水産大臣の要職にどなたがおつきになるか、私はざっくばらんに与党の皆さん方に当たってみました。返ってきた言葉、これは敬称を略します。超派閥で羽田孜以外にない、羽田孜を中曽根さんが農林水産大臣に起用するならばまだ脈がある、実はこういう言葉が返ってきたのであります。しかも、きのう質問の準備をしておりましたら、「政界春秋」に「ついに躍り出た新大臣羽田孜」と特集記事があります。この写真、いいですね、お人柄がちゃんと出ております。私はこの写真をしみじみ眺め、中を読ませていただきました。まさに超派閥で羽田農林水産大臣待望という声が与党の中に満ちあふれていたはずだと確信をいたしました。  先ほど我が党の竹内議員がエース登場と申しましたが、せっかくエースが登場した以上、そこにお控えの農林水産省の各高級官僚の皆さん、がっちりと守りを固めて、エースが思う存分ばったばったと相手を三振に打ってとれるような体制を確立されることを心から祈念して、あわせまして羽田大臣のこれからの御健闘を心から御期待申し上げ、まず就任激励のごあいさつを一言申し上げます。  さて、我が党の中の打ち合わせの結果、私は主として林業問題をメーンに質問をさせていただきます。  一昨年、当選早々の初質問のときに、林業に対して余りにもつれない中曽根内閣の仕打ちということで、私は厳しく質問を申し上げました。  たまたま日本国有鉄道の関連企業が発行しております「グッデイ」という雑誌がございました。これは月刊誌でございますが、発行部数毎月六十七万部、日本全国に出ているのでありますけれども、これが森のことを取り上げまして、「森林は人類の保護者なり」というスローガンで大特集をやりました。これは私、若干部数を手に入れて、林野庁や関係労働組合等にお届けをしたのでありますが、そうしたことで、農林水産省や林野庁、あるいは林業関係者以外のところでさえ森林の重要性を認識している。  こういう中で、ずばり申し上げて林業は衰退の一途をたどっている、今の政府の方針でいけば国有林さえお荷物的な存在になりかねない、こういう極めて厳しい条件下にあって林業をこれからどのように盛り上げていくのか。ざっくばらんに言って、林業を本当に一番重要なことだと理解させる方向にこれからぐんぐん持っていこうとされるか、基本的なお考えを意欲に満ちた大臣からまず承りたいと考えております。
  42. 羽田孜

    羽田国務大臣 大変激励賜りましたことを心から感謝を申し上げます。  ただ、農業、林業、水産業、大変な難しい環境の中にございます。ただ一人の力なんかでどうにもなるものじゃないということ、それから一朝一夕に物事はでき上がっていくものじゃないということで、地道に、今日までの歩みをよく見詰めながら、皆様といろいろなことを話し合いながら、その中に一つ展望を開いていかなければいけない。農は国の基とだれもがみんな言うのですけれども、その農は国の基ということは、少なくもそこに従事して働く人たちが誇りを持てなければいけないのじゃないかなと思いまして、そんな面で皆様とまたこれからお話し合いをしながら本当に明るい展望を開くことができればと思っておりますので、また御指導をいただきたいと思います。  なお、今、林業につきまして、森林は人類を守っていく一つの生みたいなものであるというお話でありまして、全くそのとおりであると思っております。  私、かつてパキスタンのある遺跡の前に立ったときにも、そして最近ではエチオピア等の状況を見ましても、ともかく森林がだめになっていってしまったら、結局そこに営々と栄えた文化そのものが消えていってしまうのだということをみんながまず認識することだと思いました。  そして、その認識状況はどうかといいますと、全般的に見たときには、昨年は国際森林年ということもあっていろいろな書物も盛んに著されたり、方々で林野庁を初めいろいろなところが主催しながらいろいろな催しもやってきたこともある。それともう一つ、エチオピアで餓死者が出てくる。結局森林が絶えていく中でそういうものが生まれてくるのだということ、もちろん戦乱のちまたであったということもあるでしょうけれども、一番の原因はそういったところにあるということをみんなが報道その他で知るようになってきたということで、幅広くみんなが理解するようになったと私は思っております。  そうして、総理もいろいろなことを言われるけれどもというお話が今あったのですが、今度の林活五カ年計画につきましても、総理のところでいろいろとお話をしたときに、実はこうこうこういうことで本当に山は荒れているのです、今これに手をつけなかったらだめなんです、そしてこれは山だけではなくて林産業、いわゆる川下に至るまで今手をきちんとつけないとだめになってしまうのですということを申し上げる中で、一番初めのときに、合板問題なんかも簡単に扱われそうな気配がありましたけれども、総理みずから抑えてくれましたし、それから活力五カ年計画について、確かに財政が非常に厳しいことを私も承知しているが、実際に間伐が進まない中で山が荒れていることもよくわかる、必ず私自身が応援しようということで、あの財政の厳しい中ではこんなのはお化けを担いでいるようなものだと私たちはみんなに言われたものですけれども、ともかくここまで歩むというか結論を得ることができたことは、総理のような一番の中心といいますか国を動かす人も、こういった問題についてようやく本当に理解を示すようになった、今一番大切なときであるというふうに認識をいたしております。
  43. 上西和郎

    ○上西委員 さすがは期待された羽田大臣、もう既に大変赫々たる成果を上げておられます。心強く思いますので、さらに一層の奮励努力を御期待申し上げたいと思います。  さて、林業を盛り上げるためには何といっても需要拡大だと思うのです。そうした観点から、文部省お見えだと思いますけれども、本年度の予算で木造校舎をつくろうということを目玉に売り込むというか、文部省らしさをここで出そうという感じを受けているのでありますが、この計画についての考え方なり御説明を若干いただきたいと思うのです。
  44. 遠山耕平

    ○遠山説明員 学校の建物につきましては、これまで防災上の観点から不燃堅牢化を進めまして、大体九二%が鉄筋、鉄骨の建物になっているわけであります。  しかし、学校はそこで子供たちが勉強すると同時に生活する場でもあるということで、もう少し潤いとゆとりのある環境づくりが必要ではないかということがかねてから言われてきているわけであります。そういう点で、木材についてはやわらかで温かみのある感触である、また吸湿性もすぐれているということで、建物の仕上げ材として使うと潤いとゆとりのある環境づくりができるというぐあいに言われているわけでございます。  そこで、五十九年から、学校の内装に、具体的には床でございますとか腰壁に木材を使った場合には、単価を加算して補助を行ってきているわけでございます。さらに昨年の八月に、文部省といたしましては教育助成局長から各都道府県の教育委員会に通知を出しまして、現在の建築基準法の範囲内ではございますけれども、防火等にも注意して木造について積極的に取り組むようにということで通知もしたわけでございます。さらに六十一年度予算では、木造校舎の補助単価を大幅に、大体七割近くですが上げまして、鉄筋と同じ単価にしたわけでございます。さらにまた、木の教育研修施設というものに対して新たに補助を行うことにしているわけでございまして、箇所数とすれば少ないのですが、木造校舎と木の教育研修施設と両方合わせて五十カ所ぐらい補助をやる予定でございます。  市町村の要望等を見ながら、来年以降さらにふやしていきたいと考えております。
  45. 上西和郎

    ○上西委員 ありがとうございました。  きょうの委員会の本来の筋から少しそれますけれども、最近マスコミを非常ににぎわしておりますいじめっ子問題なんかも、もとをただせば、今文部省からお話があったとおり、ゆとりと潤いのある教育環境がやや欠けてきていた結果ではなかろうかと私は思うのです。私などは、大臣より年だけは上でございまして、木造でしか育っておりませんので、どうも鉄筋は冷ややかな感じを受けるのです。昼間しか人のいない建物なんということをよく言われるのですけれども、そうした上で、文部省の大英断に私は心から敬意を表したいと思うのです。  願わくは、五十カ所と言わずに、これも一けたぐらいせめて上げていく、ジェット戦闘機一機に比べれば安いがなという感じがしないでもありませんので、この制度をさらに拡充されていくように——と申し上げますのは、数少ないそのうちの一校が私の選挙区にあるのです。物すごい反響なんですね。特に昭和一けた、大正生まれの方々は、おらが町にまた木の校舎ができるということで大変な歓迎なんです。地域にいろいろな意味でのはかり知れない影響といいますか、精神的なものを与えている。それはいろいろな意味でその地域に、文化とまでは言いませんけれども、そうしたゆとりと潤いというものをじわっとしみ込ませている、こういう感じがいたしますので、さらに文部省でのお取り組みの強化と、あわせまして、うなずいておられる羽田大臣、あなたに閣議で全力投球で応援をしていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。  さて、せっかく文部省がそうされたのですが、私、自分の選挙区を回りますと、私のところは過疎地帯が多いのですが、どこへ行っても四階建ての鉄筋の公営住宅がにょきにょき建っているんですよ。ぐるっと久しぶりに回って、あ、またここにもできているということで、公営住宅は何かすべて押しなべて鉄筋でないといけないかのような感じを受けるのでありますが、建設省お見えだと思うので、文部省に続いてといいますか、文部省より先にやはり公営住宅は木造でいこう、こういうお考えありや否や、お承りをしたいのであります。
  46. 久保敏行

    ○久保説明員 お尋ねの木造公営住宅の推進の件でございますが、先生お話ございましたように、従来、木造の公営住宅といいますのは農山村地域の中でも過疎地域のようなところに建設する場所を限定して数少なく認めておった、こういう状況でございます。しかし、近年もっと進めるべきではないかというような自治体の御要請等もございまして、昭和五十六年度からは、都市部でございましても、市街地の状況等で差し支えないという場合にはその建設も結構じゃないか、こういう考え方を私どもいたしておるわけでございます。  最近におきましては木造振興というような考え方も大きくなっておりますので、そういった見地からも木造公営住宅の建設を今後促進していきたい、このように私ども考えておりまして、現在実際の運用といたしましては、要望が出てきた地方公共団体の公営住宅については優先的に採択をいたす、こういうことにいたしておるところでございます。
  47. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  それでは関連して、大蔵省お見えだと思うのでありますが、住宅金融公庫の融資条件、これは鉄筋、不燃住宅と木造では償還期限、金利、特に償還期限などで大分大きな差があるようです。そういったことについて、あるいは大蔵省の指揮下にあります各金融機関の住宅ローン等について、何か木造に関して条件の改善、緩和といったことについてお考えありや否や、御説明いただきたいと思うのです。
  48. 高橋厚男

    ○高橋説明員 お尋ねは、木材需要喚起のために住宅公庫あるいは民間の住宅ローンの条件を緩和してはどうか、こういう点でございます。  初めに住宅金融公庫でございますが、償還期間につきましては、住宅の耐用年数でございますとかあるいは借り入れを申し込まれる方の返済能力、年齢等々を総合的に勘案いたしまして、木造住宅の場合は二十五年以内、耐火住宅の場合は三十五年以内等と決まっておるわけでございます。したがいまして、木造住宅だけを耐用年数とは関係なく条件を変えるというのは非常に難しいのではないかと思います。二十五年というのはかなり長い期間ということで、御利用をいただきやすい条件にしているものでございます。また、金利につきましても、木造住宅の場合、普通規模の住宅の場合で五・五%と、かなり低い水準ということでございます。  ただ、木材の需要喚起という観点もございまして、六十一年度の予算措置一つといたしまして、地方公共団体が支援をいたしますような木造住宅の建設につきましては、優良木材住宅建設の促進等を図るために、一戸につき二百万円の割り増し融資を行う、こういう制度を創設することといたしております。こういう制度によりまして、木材の需要喚起に住宅金融公庫といたしましても寄与し得るものではないかと考えております。  それからもう一点、お尋ねの民間の住宅ローンの条件でございますが、これは先生御承知のとおり、民間金融機関が、資金の調達の期間でございますとかコスト、あるいは長期プライムレート等の貸出金利の動向あるいは貸出先の返済能力等々を総合的に勘案いたしまして自主的に決めているものでございます。したがいまして、これを今後さらに緩和できるのかどうかというようなことにつきましては、基本的には民間金融機関がそれぞれの経営判断で決めていくものではないかと思われます。  ただ、現在どういうことでやっているかということを若干敷衍させていただきますと、民間住宅ローンは現在償還期間が最長二十五年、非常に長い期間となっております。またさらにそれに加えまして、五十八年の五月からは、期間三十年、親子二世代ローンというものを導入いたしまして、いわば超長期と呼んでおりますけれども、相当長い期間の借り入れができるということで借り入れがしやすいように工夫がされております。また、金利につきましても、そういう超長期の貸し出しであるにもかかわらず、かなり低い水準で設定されていると聞いております。したがいまして、現在の水準でも相当御利用しやすい水準に、自主的な決定でございますけれども決まっていると承知をしているわけでございます。
  49. 上西和郎

    ○上西委員 御説明わかりました。  ただ、私の住んでいる大隅半島の鹿屋というところは、台風常襲地帯であります。私は若いころ、当時の基準で十二坪の住宅金融公庫の融資を受けまして二十三万円、職場の融資が七万円、そして総工費四十万円で十二坪の家を建てて以来そこにずっと住んでいるのですが、三十年近くたちましても雨漏り一回しないのです。いかに我が国の建築技術が優秀であり国産材が優秀であるかということだと私は思うのです。全部木造です。三十年でびくともしないのですよ。  だから、金融機関が三十年貸すのは僕は当たり前だと思うのです。ですから、住宅金融公庫も思い切って二十五年をあと五年ぐらい延ばして三十年にするとかいうことをやったって、それこそ融資上何の問題もない。きちっとつくって、住金の検査は厳しゅうございますから、私は安心して融資されていいのではないか、こう考えますので、そうしたことを大蔵省に今後御検討をお願い申し上げておきたいと思うのです。  さて、以上それぞれの省から御説明がありましたが、林野庁長官、こうしたことを含めてあなたみずから、林野庁みずからはどのような具体的な需要拡大策を、とりわけ住宅建築等についてお持ちなのか、あるいは具体的にどうお取り組みになろうとしているかを含めて、若干の御説明をいただきたいのです。
  50. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 ただいま文部省、建設省、大蔵省、三省庁からのお話にございましたように、最近、木材需要の拡大につきまして施策の充実が顕著に行われたことを、私ども大変感謝感激をいたしております。これは、関係者の努力もさることながら、国会におきまして超党派でこのような木材需要の拡大につきまして非常な御後援をいただいております諸先生方の御支援のおかげと思っておる次第でございます。  もちろん木材需要の拡大が、林野庁といたしましても、木材産業のみならず林業にまで響く、これを活性化たらしめる王道であると思っておりますので、これにつきましてはそういう認識で取り組んでいるところでございます。  なお、このためにこれまでもいろいろやったことはございます。木造建築物の建設促進でありますとか木材の普及啓発、新製品、新技術開発等を行っておるわけでございますが、特に林野庁といたしましては、もちろん関係省庁と実務担当レベルでのいろいろな連絡はございますけれども、さらに昨年は政務次官会議におきましても特にこれを徹底して、この需要拡大についての御協力方をここにいらっしゃるさきの近藤次官に大変訴えていただきまして、二度ばかりそういうお願いをいたしておりますし、また、この問題につきましては、羽田大臣が数年前から私ども林野庁に対しましては最も積極的に、激励と申しますか推進と申しますか、そういうことでずっと私ども励まされつつ進めてまいったわけでございます。そういうことの結果、先ほど御紹介いただきました三省庁でも非常に御協力いただきまして、私ども本当にこれ以上うれしいことはないわけでございます。  なお、これを民間の方でも受けてまいりまして、各都道府県全部の段階に木材需要拡大の協議会というのができまして、県政に対してそういうレベルでいろいろ意思疎通を図るとか、それがまた市町村段階にもそういう下部組織のようなものをつくりまして、そこでの公営住宅の問題とか学校の問題を論ぜられるように、そういう動きが広まりつつありますので、そういうものに対しましても、新しい五カ年計画の中でそれを促進する援助をしていきたいと思っております。  当面は、林野庁で具体的に行いますのは林活の五カ年計画の中ででございますが、現在考えておりますのは、全国各地にこれぞ木造と胸を張れるような、シンボルになるような建物をつくっていきたい、いろいろ展示施設とか公会堂とかあるいは音楽堂とかあるかと思いますが、地域のそういう要望に沿いましてつくりたいと思っておりますこととか、そういうものをつくる過程で、いろいろクリアする段階で、いろいろな法規についてもクリアするためのノーハウを蓄積するとか、それをまた民間に知らせるとかいたしたいと思っております。  また、これは住宅と少し関係がありませんが、大量に木材を使ってもらわなければならないので、ハイテクの利用による飼料化とか肥料化とか燃料化とか、そういうことについても研究組合をつくりまして、短期間に成果が上がるように大いにドライブをかけてやってほしい。そういうふうなことを今考えておるところでございますが、なお一層これまでのそういうふうな連絡網、行動を強めまして、成果が上がるように努力をしていきたいと思っております。
  51. 上西和郎

    ○上西委員 よくわかりました。この私の質問が、そういったやり方が、林業を盛り上げていく、振興する王道だとおっしゃった、私、大変心強く思うのであります。  例えば木造住宅を個人個人お建てになるときに、確かに今お話しの融資がありますけれども、国産材を一定基準以上使う場合は金利を下げる、若干金利の面で優遇するとか、国産材の強さというのは立証されていると思いますので、償還期限についても、そういうことで若干延伸を認めるとか、あるいは熱川のホテルの火災で、木造だからあれだけ死んだなんという声もなきにしもあらずですが、逆に言えば、コンクリートの方だったら、鉄筋の方だったら部屋ごとに蒸し焼きだったと私は思うのですよ。だから、ホテルのああいった大惨事を一つの参考にしながら、やはり国産材を内装にもっと使わせる、これは建設省のお仕事だと思いますが、そうしたことなどについてももっときめ細かに知恵を絞り合って、お互いがそうした需要拡大に努力されることを、大臣以下関係の省の皆さん方を含めて御努力をいただきたいとお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただきます。  次は、林道の問題であります。  林道の整備。私、若いころは、正直申し上げて県道よりか林道の方が立派だとよく聞かされたのです。車で走っていても、あっ、ここから先は林道だぞ。というのは、県の県道を持っている方々の担当距離と林道を保守している方々の担当距離などについては、林道の方がやはりその基準が厳しゅうございました。だから、手入れが届くということで、林道の方が立派だということがあったのでございますが、大変残念なことに、ここ数年がた落ちでございます。  ですから私は、ここでちょっと二つに分けてお尋ねしたいのですが、民有林の林道の新規開設状況などは今どのように進んでいるのか。それから、今後林道の開設は具体的にどうそれを広げていこうとされているのか。そうしたことについてお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。なぜ私がこれを言うかといいますと、林道は、ただ単に林道という表現にとどまらず、その地域の全体的な産業基盤の基本にかかわる問題だ、こう考えておりますので、林道の現状あるいはこれからの開設の考え方、この点について林野庁からお承りをしたいのでございます。
  52. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 お話にございますように、林道は、単に林業の競争力強化に極めて役立つのみならず、地域開発にも大変大きな役割を果たしております。したがいまして、そういう認識に立ちまして林道整備に努めておるわけでございます。  今整備の現状等を申し上げますと、まず基本的な目標が森林資源に関する基本計画の中に示されておりまして、これは理想的な林道網と言ってよいと思いますが、これが十八万三千五百キロメートルとなっておりますけれども、現状は三八%、約四割の整備水準にある現状でございます。  それから、開設のテンポについて申し上げますと、開設のテンポは、全国森林計画によりまして、これは五十八年から七十二年までの十五カ年計画でございますが、民有林林道はこの中で年間四千八百キロメートル程度の開設が予定されておるわけでございますけれども現実の開設量はそのうちの二千三百キロ、なかなか五割に達しないような段階になっておるわけでございます。
  53. 上西和郎

    ○上西委員 大変厳しい予算状況の中で、長官からお話があったような進捗状況しかとれない、私は極めて残念なのであります。だから、せっかくエース登場と言われる羽田大臣でありますから、この羽田大臣のもとで、今のこの五〇%を切るような状況というのを、進捗率を高めていくような御努力を、大臣、お答え結構でありますから、ぜひお取り組みをいただきたい。お願いを申し上げておきます。  次は、松くい虫の問題です。  大変な全国的な松枯れということで社会問題化しているのでありますが、松くい虫被害対策特別措置法というのは六十一年度で切れるでしょう。関係者の中にはやはり不安があるのですね。とりわけ何か林野庁が赤字だ、私はそう言いたくないのでありますが、そんなふうに言われて、お荷物はどことどこだというときに必ず林野庁が入る。こういう中で、六十一年度で切れた後を一体どうしてくれるのだろうか、関係者の不安も結構あると思います。きのうの質疑にもちょっとあったようでありますが、改めてこのことについて、六十二年度以降どうするのかということについて、よろしければ御見解を長官から承りたいと思うのです。
  54. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 この法律は途中で一回延長しまして、したがいまして、約九年間の実績と、いろいろな全国各地での経験を積み重ねてまいったわけでございます。にもかかわりませず、現在、その被害の総量は落ちたとはいいながら、新たにこれまでの処女地に対しまして蔓延していくとか、そういう非常に憂うべき様相もあるわけでございます。  したがいまして、過去のそういう経験、蓄積を分析いたしまして、現在、学識経験者に集まっていただいておりまして、これからこの法律の切れるまでの間に精力的にいろいろ意見を交換し合い、そして今後の対策を鋭意検討してまいりたいというふうに考えておりまして、既にもうその懇談会を二回ばかり開いたところでございます。精力的な検討を深めておるところでございます。
  55. 上西和郎

    ○上西委員 長官、私も当選するまで、野にあって十数年、鹿児島県の林政民主化共闘会議の議長をしておりました。松くい虫の北限はここまでだ、ここまでだ、だんだん北限が上っていってしまう、実際にいろいろな会合等でこういう報告を受けておりまして、やはり心を痛めている一人なんです。やはり松、竹、梅で松がトップなんですから、何だってお正月は門松ですから、そうしたことで、この松の木、日本のシンボル、これを守り抜くためにいろいろおやりになっているようでありますが、その懇談会の推移と別に、やはり林野庁としても大臣以下よくお話し合いいただいて、この期限切れに間に合うようないろいろな措置について幅広い御検討をいただきたい。これは御要望申し上げ、次の質問に移らせていただきます。  ざっくばらんに申し上げて、私当選してから驚いた。いわゆる国有林関係の中における民間林業労働者の重大災害、すなわち死亡事故の多発状況、これに私は驚くと同時に、今もって胸を痛めている一人だとあえて申し上げましょう。おととし、昨年と相次いで質問を申し上げました。長官が担当の部長のころから重ねてお尋ねしてきているのです。ところが、最近またいろいろお聞きをしてみますと、極端なことを言うとほとんど減っていない、依然として死亡事故続発という状況にある。  一体これは何が原因かと私は申し上げたいのでありますが、少なくとも六十年度、現在死亡事故は一体どれだけ発生しているのか、まずストレートにお尋ねしたいと思うのです。
  56. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林の請負事業にかかわります、これは立木販売なども含めまして死亡災害でございますが、本年度、現在までに三十三件の発生を見ておるところでございます。
  57. 上西和郎

    ○上西委員 私が手に入れた資料では、大体ことしを七年目としまして、前六年間はほとんど三十五から四十というところに入っているのですね。現在で三十三だということは、七年間その数字でほぼコンスタントにやはり死亡者が出ている。これは重大なことだと思うのですよ。  私は前の委員会でも申し上げたのですが、私たちが終戦後、民主教育というのを受けたときに、非常に鮮烈に残っておるのは、人の命は地球より重いという言葉、これはまだ、それこそ中学校の三、四年、今の高校の一年ころの頭の中に今でも焼きつくように残っているのです。ですから、私は職場にいたときも安全についてはとりわけ考えを強めていた男なんであります。  林野庁にいろいろお聞きしますと、職員の方々の事故はずっと減ってきている、とりわけ死亡事故は。民有林も全体的な事故は減っているのですね。災害発生件数は減っている。しかるに重大事故いわゆる死亡事故だけはほとんど減っていない。やはり何かがあるとしか私は考えようがないのですよ。これは科学的に、精神的に、いろいろあるでしょうけれども、林野庁はこの安全対策についてどう取り組んできておられるのか、今後どうされようとしているのか、まずその辺について長官から御説明をいただきたいのです。
  58. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林におきまして、いろいろ造林、生産等の請負事業に従事しておられます事業体につきましては、これらの事業体は横断的に国有林のみならず民有林の仕事も担っておる、そういうふうなことで、地域でそういう事業体が健全に育つことが、林業のため、地域振興のために大変大事である。したがいまして、そういう事業体での災害、特に死亡事故を絶滅といいますか、どうしても防止することは、本当に国の行政と申しますか、林政を超えた大きい問題だという認識で考えておるわけでございます。  国有林野事業は、いろいろ仕事を発注する、あるいは常時いろいろの接触のあるという立場でございますので、まずは労働基準監督機関との定期的な連絡協議会を全国の営林局署で設けさせております。年に何回かそういう定期的な打合会をいたしておりますことと、それから、あらゆる請負契約を締結いたしますときに、これは私どもの方でわかりやすい労働安全衛生に関するパンフレットをつくっておりまして、それを手渡しまして、安全主任者の問題でありますとかチェーンソーの時間規制の問題でありますとか、認識を徹底をさしております。それから、お互いに安全研修会などもやっております。さらに、チェーンソーの使用などにつきましては、作業計画書を出させて、無理のないチェーンソー使用で生産ができるように計画面からチェックをするというふうなことなどをしておるわけでございます。もちろん、契約書の中にはそのような労働安全衛生に関する法令とか通達をちゃんと守るようにということを明記する。  そういうふうなことでいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、お話しのように三十件から四十件という発生を見ておりますことは、総業務量が余り伸びてない今日でありますので、大変残念なことと考えておるわけでございます。  原因につきましては、例えば急速な高齢化が進んでおりますので作業動作等にやはり不自由さが出ておるのではないかとか、作業条件もむしろ年々悪くなるような状態もございますし、そういうことから相乗的にこのような結果になっておるのではないかという想像はいたしておりますけれども、私どもとしましては、しかし結果が悪ければいけないわけでありますので、こういう事業体に対しましては、災害が起きました場合などは、その内容によりましては契約を停止する、あるいは指名を停止するというふうな措置どもとりまして、厳しく指導を強めておるところでございます。今後ともそのようにしてまいりたいと思っております。
  59. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。ただ、事故だけは予告はありませんので。そして、とりわけ林業の後継者がどんどん減っていっている。そして亡くなっている方々は、私など聞いてみますと、ほとんど一家の大黒柱でしょう。そうすると、かけがえのない林業労働者、こうした方々が無残にも命を奪われていく、極めて残念であります。今の長官のお答えを、さらに営林署の、林野庁の末端の隅々まで行って、関係業者、そうしたところへの指導が徹底されるように重ねてお願いしておきたいと思います。  同時に、社会保険への加入率が少し低いのじゃないか。事故が発生した後、国民年金の場合ですと遺族年金がないわけですね、ざっくばらんの話。子供さんがもうある程度大きいと母子年金も何もない、辛うじて労災の遺族補償年金だけだ、こういうことなんで、社会保険への加入率を高めるようなこともあわせて林野庁として指導指針の中に入れていただきたい、このことを私の要望として長官以下林野庁当局に強くお願いしておきたいと思うのです。よろしいですね。
  60. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 お話十分承りました。私どもも、年々、たとえ任意加入でありましても極力入るように勧めておりまして、その結果加入率がだんだんと向上をいたしてきております。
  61. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。さらに一層の努力をお願いをいたしまして、林野庁はこれで終わりまして、あと他の局の方に若干質問させていただきます。  まず、たまたま私の選挙区になぜこう出るのかわからないのですけれども、昨年の十一月から鹿児島県の大隅半島に続発をしておるアカバネ病に類似した牛の異常出産、分娩についてお尋ねをしたいと思うのです。  この発生状況、その対応、現在の対策等について一応御説明をまずいただきたいと思うのです。
  62. 大坪敏男

    ○大坪(敏)政府委員 ただいま先生お話ございましたように、昨年の十一月末ごろから鹿児島県を中心といたします南九州におきまして、虚弱、盲目または神経症状を呈する新生の子牛の分娩例が発生しております。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕  その発生状況でございますが、ことしの一月末までに報告があったものを集計いたしてみますと、四百九十八頭に上っております。なお、この四百九十八頭の県別の状況でございますが、鹿児島県が最も多うございまして四百二十三頭、宮崎県が五十二頭、大分県が十六頭、熊本県が七頭、そういうふうになっております。  ところで、この病気の原因についてでございますが、現在農林水産省の家畜衛生試験場なり鹿児島県におきまして病性鑑定中でございます。病理組織学的検査の結果によりますと、ウイルス性疾病に特有な所見が認められるということでございまして、そこでウイルス性疾病についての固定のための検査を現在行っております。これまでの結果によりますと、先生指摘ございましたように、アカバネ病等数種のウイルス性疾病ではないかというふうに見られております。  現在、異常産牛からのウイルス分離を行う一方で、文献等によりまして異常産に関与すると言われておりますウイルス約四十種、及び最近我が国で分離されていますが、その分類、病原性等の不明な新しいウイルス十六種類につきまして、免疫学的検査を行っているわけでございまして、こういった検査等を通じまして目下その原因究明に全力を挙げている段階でございます。  以上でございます。
  63. 上西和郎

    ○上西委員 局長の御説明はわかるのです。ただ、私が非常に気になるのは、一月下旬にこのことが、最初百八十一頭くらいで、私の選挙区の曽於郡八カ町トータルをとって出てきたのです。これはマスコミに出ました。私、そのときにおたくから担当の方においでいただいて御質問をしたら、いわゆるアカバネ病と非常に似ております、違うところは曽於郡という局所に発生しております。前回は西日本がばあっとやられた。それから、前回は初産牛だけだった、今度は経産牛がある、こういうことだったのですが、何とそれから十日もたたぬうちにあちこちにどんどん広がっていって、僕が帰って鹿屋の町でしゃべったら、いやうちでも死んでいる、あそこでも死んでいる、でしょう。だから、これだけ情報網が発達しているときに、一体なぜ——十一月末から起きたのが、一月、もう足かけ二年といいましょうか正味二カ月近い間、いや曽於郡だけなんですよなんということになりますと、やはり不安が広がる一方なんです。それで今お聞きすると大分県や熊本県まで出ている。  こうなると、農水省の対応が手ぬるいのではないかと僕はあえて言いたいのです。発生したときに、直ちに九州各県に何かないかというようなことをされたのかどうか。その辺は、私はいつも申し上げるとおり、国家公務員の皆さん方は、日本国のため国民のために懸命に頑張っていることはよく知っています。しかしなぜ、いや曽於郡だけなんですというようなことが——当初何か先入感で動かれたのではないか、こう私はいささかな疑念を持っているのです。その点はどうなんですか。
  64. 大坪敏男

    ○大坪(敏)政府委員 私ども、病気の発生状況につきましては、いろんな面で調査、把握に努めたわけでございますが、十一月、十二月段階では発生はやはり鹿児島県だけでございました。月別に申しますと、昨年の十一月に六頭、十二月に百十九頭という数字でございまして、いずれもこれは鹿児島県下において発生した件数でございます。したがいまして、鹿児島以外の宮崎、大分、熊本におきます発生は一月からであるということでございます。
  65. 上西和郎

    ○上西委員 事実はそうでしょう。ただ、農水省の姿勢なんですよ。前回のアカバネ病は中国、四国を含めて大量発生している。十数年前にそれがあったわけでしょう。だとするならば、それに類似するようなのが出てきた、やはり一斉に言うならば警報を発して、各県に類似のことが起きていないかといったようなことをぴしっとやっていけば一私、この細かい数字の一々をお聞きしようとは思いません。問題は、今お聞きするともう大分まで全部広がっているとなれば、もう南九州全域ですね。これは一体、ぴしゃっとこれでとまるという保証は何もないわけですね。  しかも、私がずっと選挙区を回ってみますと、アカバネ病の生ワクチンを投与した、鹿児島に聞いたら一本千四百円だというんだけれども、全部打っている。打ったのは大丈夫だったという話が最初おたくからも聞こえてきた。ところが、今度よく聞いてみたら、十頭中二頭はワクチン接種のものもやられている。こうなりますと、畜産農家は不安のどん庭なんですよ。ひたすら頼るのは農林水産省なんです、お上なんです。政府がこの問題が起きたときにどう迅速に対応したかということについて、やはり少し甘過ぎたのではないか。言葉が過ぎるかもしれませんが、甘過ぎたのではないかと私はあえてここで申し上げたいのです。  したがって、改めて関係の局課の皆さん方に反省を促すとともに、もう一遍西日本全域にこの異常分娩についての徹底的な調査、原因究明の促進、対策の確立、このことについてこの場で厳しく要望を申し上げておきたい、こういうことでこのことを終わらせていただきます。  次は、牛の枝肉の格付問題。  去年再三この委員会でお尋ねをして、農水省側も食格協との間でいろいろと作業をお進めになっています。昨年の答弁の中で、大体今月ごろには大まかな基準案がまとまって、そして格付員の研修を始めて、六十一年のできるだけ早い時期に実施に移したいというお答えがあったと私、記憶しているのでありますが、進捗状況の現状について御説明いただきたいと思うのです。
  66. 大坪敏男

    ○大坪(敏)政府委員 ただいま先生指摘ございました牛の枝肉取引規格の見直しの問題につきましては、昨年の十二月に本委員会におきましてスケジュール等につきまして御説明申し上げたわけでございますが、その際、現在見直しを予定しておりますものといたしましては、枝肉切開部位の統一の問題、脂肪交雑評価適用基準の緩和の問題、歩どまり基準の導入の問題、この三つの項目につきまして見直し作業を進めるということを申し上げたわけでございますが、その際のおおよその実施の目安につきましては、枝肉切開部位の統一及び脂肪交雑評価適用基準の緩和につきましては来年度には実施に移したい、ただ、歩どまり基準の導入につきましては、新しいデータの収集等々もございますので実施の時期は六十二年度というふうに考えておると御説明したところでございます。  現在この線に沿いまして、具体的な検討準備作業は社団法人でございます日本食肉格付協会におきまして実施されているわけでございますが、その後の項目別の検討状況を御説明申し上げます。  まず、枝肉切開部位の統一の問題につきましては、昨年からことしの初めにかけまして十回程度会合を開きまして、関係業界との調整を進めてまいりました。さらに近々にも会合を開きまして調整を進めたいと考えております。  次に、脂肪交雑評価適用基準の緩和の問題でございますが、これにつきましては、データの収集もおおむね終わりましたので、その集積データを、明二十一日社団法人日本食肉格付協会の専門委員会を開きまして、この委員会に提示いたしまして、基準緩和の程度等につきまして具体的に検討に入っていただくという予定にしております。  最後の歩どまり基準の導入の問題でございますが、これにつきましては、本年の一月までに必要な基本的なデータは約八割程度収集を終えたわけでございまして、何とか三月までにデータ収集を終了いたしたいと考えております。したがいまして、来年度は引き続きまして補完データの収集に当たるというふうなことを考えておるわけでございます。  大体以上三項目につきましては、最近の準備検討状況は以上のとおりでございます。
  67. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。さらに作業の進捗方を御要請を申し上げておきたいと思います。  次に、豚価安定のための母豚の淘汰等のことについて、昨年の委員会でも議論があり、これは既に相当程度進んでいると思いますが、進捗状況をずばりお答えいただきたいと思うのです。
  68. 大坪敏男

    ○大坪(敏)政府委員 母豚の淘汰につきましては、昨年来の豚肉の需給の改善の方策といたしまして、中央にございます養豚経営安定推進会議におきまして、昨年五月、母豚の淘汰を行う方針を決定いたしまして、十一月一日からおおむね一カ月間の予定で六万七千頭、この内訳を申しますと、通常の更新が四万頭、これに対しまして上乗せといたしまして二万七千頭を加えた六万七千頭の淘汰の実施に取り組んだわけでございます。  その結果でございますが、屠殺証明書のチェック、あるいは県外で屠殺されたものにつきましての整理等を行う必要があるわけでございまして、現在このような作業を進めておりまして、最終的な数字の確定には至っていないわけでございますけれども、おおよその感じで申し上げますれば、関係方面の御協力によりましておおむね目標は達した、やや上回った水準まで淘汰が実施されたのじゃないかというふうに見ているわけでございます。ただ、先生御案内のように、この母豚の淘汰は、豚の生産期間を考えますと、おおむねことしの秋から冬にかけてその効果があらわれるということになるわけでございます。  以上でございます。
  69. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  農水省関係の最後で、農業者年金について一言お尋ねをしておきたいのです。  ここで念を押しておきたいのは、農業者年金は、極めて残念ながら本年四月一日からは大改悪を余儀なくされているという事実をやはり明確にしていただきたいということです。そして私は、当選してすぐ申し上げたように、農業者年金は国民年金とセットしている制度です。したがいまして、四月一日以降、新しい農業者年金制度の周知徹底と同時に、セットされている国民年金部分が年金統合法の改定によってどう変わるか、このことをやはり全体的にとらえて農水省としては周知徹底を図っていただきたい。そして、その結果として加入者や受給者に失権を与えないように、無知なるがゆえに損をさせないように、こういう要望を兼ねた質問をいたしますので、ざっくばらんにお答えをいただきたいと思うのです。
  70. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  私も年金の行政は初めての経験でございますけれども、年金は人の一生の重大問題であるにもかかわらず、技術的な性格上非常にわかりにくいという問題がございます。まして農業者年金の場合には、御指摘のあった国民年金の付加給付の形をとっておりますために、両省の行政にまたがる、先生国会でも御指摘いただいたような現象が起きてまいるだろうと思います。  したがいまして、私どもといたしましては、今回の改正についてはもとよりでございますけれども制度全般について、単に加入をふやすとかあるいは会計検査院に怒られないように事務担当者が的確にやる、もちろんそれは大切なことでございますが、それ以上に、一人一人のこれを利用される農民の立場に立って、制度の普及、周知徹底を図る、かようなことに努めてまいりたいと思います。その際、特に私、先生のお書きになった御本を拝見いたしまして、目次で大変感心いたしました。そのようなことを旨としてやってまいりたいと思います。  いろいろお気づきの点ございましたら、また私どもに御指摘いただき、御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  71. 上西和郎

    ○上西委員 大変心強いお答えで、期待を申し上げておきます。  最後に、気象庁お見えだと思いますが、昨年十月八日に、台風十三号に伴う異常な被害の問題に関して、天気予報、台風情報の改善について要望申し上げ、気象庁快くそれをお認めいただいて、十月十五日から委員会が発足したように承っておりますが、現在の作業の進捗状況等についてお答えいただきたいと思うのです。
  72. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 台風の予報円の見直しにつきましては、かつて関係方面、先生を含めまして御要望がございまして、昨年九月以来、庁内に検討委員会を設置いたしまして検討を進めているところでございます。  台風の進路予想に関します情報でございますけれども、報道機関を通しまして一般の視聴者に伝達されるという事情を考えますと、図の形で表現した情報が誤解なく理解され、かつ防災情報として役に立つものでなければならないという観点に立って進めるということ、それからまたもう一つ、台風の情報といいますものは大変広い分野で利用されるという性質がございます。  そういったものも含めまして検討を進めておるところでございますけれども、最終的には広く各関係方面の意見を取り入れる必要があるというふうに考えておりまして、その方策につきまして現在関係方面と協議を進めているという段階でございます。本年の台風の時期には絶対に間に合うようにということで鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 上西和郎

    ○上西委員 私は台風銀座に住んでおりますので、ぜひことしの台風常襲時に間に合わせるように、気象庁の格段の御努力をお願い申し上げます。  最後に、大臣、一言。  今るる、きめ細かいことを申し上げました。とりわけ民有林労働者の安全等を含めて御見解を締めくくりの意味で承って、質問を終わらしていただきたいと思うのです。
  74. 羽田孜

    羽田国務大臣 質疑を通じながら委員の方からも御指摘があり、また長官の方からもお答えいたしましたように、山というものをきちんと守っていくためにはやはり安全な労働環境というものが必要であるということでありますし、また、それと同時に安全性についてみんなが認識して仕事をするということが重要であろうというふうに考えております。  そういう意味で私どもも、今お話がありましたような組織を通じながら、一人一人の勤労者の皆さん方にも十分な注意とまた知識というものを普及していかなければいけないということを感じております。
  75. 上西和郎

    ○上西委員 ありがとうございました。終わらせていただきます。
  76. 大石千八

    大石委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  77. 大石千八

    大石委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。
  78. 武田一夫

    ○武田委員 昨日に続きまして二、三お尋ねをしておきたいと思います。  問題に入ります前に、私はいつも思っているのですが、私も国会に来まして十年になります。私が来たときはちょうど故中川一郎農林大臣でございました。それ以来羽田先生が九人目でございます。ところが期間が非常に短いというのが私は非常に残念でございまして、一番長かったのは亀岡先生が一年五カ月ぐらい、これが最高、あと普通九カ月や一年で終わるというのは非常に問題であろう、こういうことを考えますと、やはりこれからの大事なセクションとしての農林水産大臣、特に農業というのは一つのものを植えるにしたって一年はかかるという、また、一つ政策を見てみましても、三期対策、今の米の生産調整などを見てみましても、一つの結果が出るまでに十年やあるいは三年、五年という一つのリズムがあるわけですね。そういう意味で、私は農林省の幹部の皆さん方も、毎年毎年くるくるかわる大臣の存在にはいたく心労をされているのじゃないか、こう思うときに、大臣には三年や五年はひとつ頑張ってほしいという願いを込めまして、それだけの実績を皆さん方でつくっていただきたい、こういうふうに思います。こちらの委員会にいた加藤防衛庁長官が今期もまたやったということを考えますと、これは非常に結構なことでありまして、そうした連続性のあるものをひとつ私は期待しております。そういう意味で、我々も今後この問題は、大臣の口からおれのを長くしろなんということはちょっと言えないと思いますが、その決意を我々は持っておりますので、大臣としてもひとつそういう実績と努力をしてほしいな、こう思います。  最初に、きのうおいでにならなかったときに水産庁長官にはお尋ねをしていたのでありますが、水産漁業問題でちょっとお尋ねをしたい。  実は、きょうも私の地元の塩釜の方から多くの漁業者が参りまして、そして宮城県北洋底びき網漁業協会の佐藤会長以下十数人参りました。そして、日ソ漁業交渉の延長による打撃が大変であるということの悲痛な訴えがございました。大臣にも頭の痛い問題だと思うのでありますが、この難航しておる日ソあるいは日米の漁業交渉の打開策をいかように考えておるか。またその間のそうした関係者に対する救済措置といいますか、対応というものをいかがお考えになっておるか。この点は非常に深刻でございまして、そのことについてまず最初にお尋ねをしたいと思います。
  79. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘のとおり、北洋につきましては、ちょうど一月六日から日本もソ連邦の方も両方とも操業が中止されておるという状況であります。またアメリカの水域におきましても、ともかくその都度大使をお招きしましてお話をする、そういう中で今日操業をする分というものを確保しておるわけでありますけれども、これも三月以降一体どうなるのかという問題もあって、本当にこの問題については憂慮すると同時に、両国に対しましても、外交ルートその他を通じながら、そして担当者を通じて話しかけをしておるというように、私たち懸命になって努めておるところであります。  ただ、この交渉再開がおくれておるという、交渉の結果がいまだに出ないという状況の中で、漁業者の皆さん方の苦衷というのは大変なものであるということを私たちも承知しております。また、それと同時に、水産加工業者の人たちも出漁遅延に伴いまして原料不足という現実があるわけでありまして、この皆様方も今本当に苦しい中にあるというのが現状であります。そういうことで、私どもも何といっても一日も早く交渉を打開する、そのための働きかけをしていかなければならない、これがまず第一点であります。  そして、今こういったことによって経営上非常に大きな影響を受けている皆様方に対しましては、ともかくまずつなぎ融資、今、交渉の最中でございますから、まずつなぎ融資ということを考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。また、加工の関係につきましても、各道、県、こういったところからも情報を私ども掌握をいたしまして、そういった皆さん方に対する金融の措置、こういうものも考えていかなければいけないのじゃないかというふうに考えておるところであります。
  80. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつ一生懸命努力しまして、相手のあることでございますから、その点ひとつ十分なる御配慮というものをお願い申し上げます。  次に、食糧の問題と人口の増加に関係するいわゆる世界的な食糧危機というものに対する対応、ちょっと先の長いことでありますが、それにしても、二十一世紀と言えばあともう十五年でございますから、ちょうど羽田大臣が総理大臣になるくらいの年じゃないか、我々は引退していないときでありますけれども、十年後、十五年後の食糧問題というのは非常に世界的に危惧されている。というのは、人口が今大体四十二億ちょっと超している、これが六十二億くらいになるだろう。いわゆる人口がどんどんふえていくということははっきりしている。ところが、耕地の拡大できる可能性があるというのは、現在大体十五億ヘクタールでありますが、その四%程度しかふえない。ということになりますと、二〇〇〇年の穀物の需給というものは相当厳しいという展望があるわけでありますが、農林水産省としましては、この件につきましてどういうふうに見ているのか、まずそれをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  81. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 世界食糧需給は、一九七〇年代に入りましてから過剰と不足という非常に振幅の大きな動きを示しているわけでございますけれども、最近では世界的な景気の低迷によります需要の伸び悩みあるいはアメリカ中心とします大増産というようなことで、若干緩和基調に推移しているわけでございます。  しかし、中長期的に見てまいりますと、ただいま先生からも御指摘がありましたように、人口の大幅な増、それから農地の小幅増ということしか期待できないということで、特に発展途上国を中心にします人口の増加が大きい、それから経済発展が進むにつれまして畜産物の消費がふえてくる、それからさらには、気象変動幅がここのところかなりございますし、地域によっては砂漠化の進行というような不安定要素がいろいろとございます。それで、一方では技術進歩でございますとかあるいは単収増というような明るい要因もあるわけでございますけれども、そういう供給面と明るい要因とを両方足してみますと、必ずしも楽観はできないという感じを我々もいたしておるわけでございます。
  82. 武田一夫

    ○武田委員 アメリカの予測あるいはまたいろいろなFAOの予測を見ますと、いずれにしましても、二〇〇〇年における世界全体の穀物の需給というのはマイナス、特に開発途上国という地域、こういう地域が非常な不足である、それから計画経済国も不足ぎみである、先進諸国がそれをカバーしているけれども、そのカバーも需給見通しからいうと、この表を見ると農林省では何か三十万トンですか、こう見ていますが、いずれにしましても、正直言いましてこんなものではないような気がするわけです。そうしますと、やはり日本国内自給率の向上を図りまして国内で間に合うだけのものをしかと確保する、これは最大の必要条件でありますけれども、と同時に、世界の中の日本ということを考えますと、こうした食糧の不足する地域に対する対応も日本立場として考えなくてはいけない。そして、人類が平和に生存し続け得るようにこの十五年の間にあるいは十年の間に食糧生産手段というものをしかと確保するということの努力が私たち日本に課せられるのじゃないかと思うのでございます。  そこで私は、そうしたことを考えたときに、今農林水産省には食糧研究所というような機関があるのかどうかをまずお聞きしたいのでありますが、もしあるとすれば、そこで今何をテーマに研究しているかという点をお答えいただきたいと思うのであります。
  83. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 食品につきまして流通加工なりいろんな研究をしております食品総合研究所というのがございます。
  84. 武田一夫

    ○武田委員 食品というのは食糧の一部分ということになるわけですね。実は世界食糧不足の解消のために何か決定的な手段がないのかということでいろいろ勉強、研究している人もいるわけです。実は今から四年前に、私の先輩が筑波研究所におりまして、ちょっと講演を聞いたときに、藻の話が出ました。たんぱく源として世界の人口増加に対応する最後のものは藻であろう、こういう話を聞いたのであります。今農林省の筑波の方にいるのであります。ところが、最近またこの藻の話をちょっと聞きました。長崎大学の桂先生という方なのですが、この人は歯医者さんでありますが、この先生の話を聞いたときに、日本一つの今後の対応としてこういうものも研究して、検討に値しないものかどうかということを私なりに考えたわけであります。  それは、この先生の言うのには、土地依存の在来農業の改良、拡大というのは、まず一つは多額のお金が必要である。基盤整備にしたってなかなか思うように金が投資できません。それから長期間を要する。ずっと第何次まで来ましてもまだ三五%、四〇%です。それから、環境破壊というのがそれに従って必然的に起こってくるということで、日本は周囲は海でございますから、海を活用した藻の育成というのはどうなんだという発想であります。  というのは、実はアフリカとかメキシコなどの塩湖、塩分を含んだ湖で非常に繁茂をして、住民が古くから食糧としてだんごのような形で食べているのだそうであります。また、ソ連とか台湾でもこの研究がなされている。それから、大日本インキではそのための培養装置を開発している。  その藻は藍藻類のスピルリナという名前で呼ばれている。これは顕微鏡で見ますとらせん状のものでありますが、一日で約十倍に繁茂しまして、これが非常にたんぱく源としてあるいはでん粉の原料として、またビタミンも多い。特にたんぱく質が非常に多い。日本で大事なのは、特に世界的にも大事なのはたんぱく源であろう。かつてアミをとるというので、北転船を差し向けて大量にとるんだという話がありました。あれも今何か加工されて食糧として我々の回りにあるんだそうでありますが、私は残念ながら一度もそれを口にした記憶がないのであります。  そういうものもいずれそういうたんぱく源が不足してくれば各国がねらってくるのじゃないかと考えるときに、この広い海、一年じゅうどこでも使えるという、日本だけでなく世界の海を使えるという、そういう一つのものとして、今申し上げましたスピルリナというらせん状の藻の存在というのは非常に注目していいんじゃないかということなんであります。こういうことについて何か今まで話題に上がったことはないでしょうか、農林水産省ではどうでしょうか、研究部門で。
  85. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えいたします。  まず最初に、スピルリナでございますが、これは水温のかなり高いところじゃないといけないようでして、大体三十五度Cくらいだそうであります。それから日照条件も大変厳しいものでございまして、十万ルクスくらいないとうまくいかないんだそうです。ちなみに、日本ですと三万ルクスくらいだということであります。生産コストが大豆たんぱくに比べて割高であるということもございまして、現状ではちょっと人間が直接食べるものとしては問題があるようでございます。先生お話のございました大日本インキでやっておるという話でございますが、大日本インキは五十三年からタイでこれの生産をやっておりまして、粉末にして現在百トン程度輸入して、健康食品、これは錠剤になっておるそうですが、そういうものとして使っておるということのようでございます。  それじゃ私ども農林水産省として、スピルリナは別といたしまして、海藻類についてどういうふうに考えておるかという点についてちょっと申し上げますと、海藻類は、太陽エネルギーをでん粉やたんぱく質の形態にして蓄えて人間の食糧とか家畜の飼料となるばかりでなく、魚類の産卵場としてもあるいは幼稚仔保育上からも重要な役割を果たしているものと認識をいたしております。試験研究の分野におきまして、従来から海藻類の増殖及び養殖等に関する研究を進めておりますが、特に近年バイオマス資源としての海藻類の有効利用を図るために、農林水産技術会議におきまして昭和五十六年度から十カ年計画で進めておりますバイオマス変換計画というのがございますが、このバイオマス変換計画の一環といたしまして、水産研究所を中心に昆布等に含まれているでん粉、たんぱく質等の有効成分を効率的に利用する技術について研究を進めているところでございます。
  86. 武田一夫

    ○武田委員 今いろいろと条件的にまだそういういいところまで行ってないような話でありますが、問題としては、今後最高に科学の粋を結集しまして、いろいろな情報収集等も含めまして、こうした問題に取り組んでいくという姿勢は十分考えていただきたいと私は思うのですが、大臣、どうでしょう。科学技術の研究開発は非常にすぐれている日本としては、世界の中に大きく貢献するという立場を考えると、そういう点でのいろいろな地域のお手伝い等も必要だと思いますし、もし今私が申し上げておるものが本格的にいろいろと研究していったら採算がとれるというふうになれば、人間というのは、例えば藻を遺伝子の組みかえなどによって味なども人間の嗜好に合ったものにつくれるというような話も聞くわけですから、そういうことになりますと食糧の不足に対する解消への一つの道として考えられるのじゃないかと、夢のようなことを申し上げるのでありますが、このことに対する国としての取り組みを今後一層推進していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  87. 羽田孜

    羽田国務大臣 ただいま長官からもお話ありましたし、また今先生からも御指摘ありましたけれども、いずれにいたしましても海藻というもの、あるいは海にあるそういったものが活用できるという可能性はもう十分秘めているわけであります。そして、日本人自身が海藻を食生活の中に取り入れてきた歴史というものも長い歴史の中でもきちんとあれされているわけでございますから、またそれを発展させていくという意味で、とるだけではなくてこれからはそういったものを繁殖させていくというようなこともありますでしょう。いずれにいたしましても、周囲が海である、しかもこれは相当広い海でございますから、こういったものを活用していく、そのための研究は今から真剣にやっておくということについては私も同感であります。
  88. 武田一夫

    ○武田委員 大変な環境の中にあるわけで、財政的にもいろいろと苦労があるでしょうが、そういう一つの大きなテーマを掲げた中での研究を進めることが、技術会議において頑張っている方々やそういう方々に対する大きな励みにもなるし、世界食糧の安定確保に貢献することになればまた一段とその方々に誇りも希望も出てくるし、日本にとっても非常にいいことではないか、こう思うので、ぜひ大臣の力でそうしたものを着実に進めていただきたいと思います。  次に備蓄の問題についてちょっとお尋ねしたいのでありますが、まず最初世界の備蓄体制はどういうふうになっているのか、簡潔に各国状況を御説明いただきたいと思うのでございます。
  89. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 特に西欧先進諸国について御説明いたしますと、食糧の相当程度を輸入に依存している国、こういう国を中心にいたしまして、各国の置かれております歴史でございますとか地理的あるいは政治的な条件、こういうものに応じてそれぞれの制度がとられているようでございます。  各国ごとに区分けして基本的な考え方について見てみますと、まずスイススウェーデン、これは御承知のとおり非同盟・永世中立を国是としているわけでございますけれども、こういう国では人口も少ないということもございまして、経済封鎖等に対処して自給自足を行うという基本的考えに立っているようでございます。  それから一方西ドイツでございますとかイギリス、こういうところは、戦争の偶発的な発生でございますとか交通ストライキという短期的な緊急事態に対応するために、若干の物資について、基礎的な食糧についてでございますけれども、ある程度の期間確保するという政策をとっているようでございます。  それからなお、デンマークでございますとかイタリー、フランス、こういう国は、共通農業政策全体の中での在庫というものは抱えておりますけれども、特別政策目的として食糧備蓄という観点からの在庫保有というものは行っていないようでございます。
  90. 武田一夫

    ○武田委員 大臣、備蓄のあり方について大臣としてはどういうふうなお考えか。今世界の二、三の例が官房長から話があったのですが、大臣としては備蓄というものは日本の場合どうあるべきだとお考えか、聞かしていただきたいと思うのです。
  91. 羽田孜

    羽田国務大臣 この備蓄につきましては、従来から検討をずっと進めておりましたけれども、今度の米のあれにつきましても、一年間四十五万トンずつ回転備蓄をしていこうということで、およそ百数十万トンを米で予定をしております。そのほかにつきましても、非常に振れの大きいものを、たしか大豆ですとかそれぞれにつきまして民間あるいは業界、そういったところなんかを指導しながら今日も安定確保、供給するための体制というものをとっておるという状況でございます。
  92. 武田一夫

    ○武田委員 私たちは前から機会あるごとに、もみ貯蔵はどうなんだと言うと、非常にいろんな、条件が悪いとか、特に膨大な設備が必要だとか金がかかる、あるいはまたいわゆる虫害等の影響が多過ぎるという話を聞くのですが、私たち現地を回ってみますとそういうことは全然聞かれないわけなんですね。  それで、最近東北ではもみ貯蔵をやろうという農協も出ているということなんですが、一回このもみ貯蔵についての実態をよく調べられて——例えば我々が一関周辺の農協に行ったときは、食べるときにそれを精米にして差し上げるというので、いつも新鮮でおいしいのが提供されるというので非常に好評であったということで、その地域は二十年近くもそれで進んできているということもございました。  ですからこの問題を、日本としては輸入に頼っているだけに、安定的に食糧を確保するという観点から考えると、しっかりした備蓄というものの理念というか方向性というものをつくっておかなければならない。農協さんなんかは棚上げ備蓄による百五十万、二百万トンぐらいの米は必要ではないかというような話をされているところもあります。  そういう意味で、備蓄というものの一つ基本的な方向検討する中で、このもみ貯蔵というものを、もう一度現地を、成功してやっているところをごらんになって調査研究なされたらいかがでしょうか。この点ぜひひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  93. 石川弘

    ○石川政府委員 私どももみ貯蔵をそんなに嫌っておるわけではございませんで、御承知のように今カントリーエレベーター、これは全部もみで入れて持っているわけでございます。全国で三石弱ございますし、それから収容能力でも、たしかそろそろ七十万トン近くまで収容できるわけでございます。これ世御承知のようにもみで持っておりまして、玄米なんかの常温貯蔵よりもはるかに古米化の進度も遅いわけでございますし、それから病虫害の発生も少ないというメリットがあるわけでございます。そういうことで、今都市へ出していきますときには玄米で出しませんともみ殻処理ができませんから、カントリーのところで今ずり米ですって、それを大都市の大型の米屋さんに届けるというのは大変いい方法だということで、これを進めているわけでございます。  問題は、今ある倉庫にもみの状態で入れるということになりますと、御承知のようにばらで入れましても一・五倍くらい容積が膨れてしまいますし、それからこれは袋に入れて持つということになりますと二倍の倉庫収容力が要るということになります。それから、御承知の、備蓄は政府の責任でやっておりますものですから、政府の姿でもみで持つということになりますと、こういう管理経費がすべて政府に乗ってまいりまして、それが玄米の低温よりもまだ管理費が高いというようなことがございます。  私ども、何かもみはいかぬと言っているのではなくて、もみについてはカントリーと大型搗精工場を結ぶような形ではうまくいっておりますし、それから今先生ちょっと御指摘になりました、農家が自家用の保有の米を、農家は低温に入れるというわけにいかぬわけですから、もみで持っていて今ずりで食べる。確かにそういうのがいいとおっしゃっている方も相当おるわけでございます。  問題は、政府が持って管理し貯蔵し備蓄するという米を、今の倉庫でございますと、政府は大半の倉庫を農協さんとかあるいは営業倉庫からお借りして保管をしておるわけでございます。政府自身の持っている倉庫の量というのは微々たるものでございます。そうなりますと、今の玄米で持っております——まあ玄米の場合も越年させますものは低温で入れておりますが、そういうものよりもまた費用がかさむという点がありまして、今の姿でいいのではないか。将来の方向として各地でカントリーがもっと増設されてまいりますと、カントリーの中では自動的にもみ貯蔵の形でいく、そういうような姿を頭に描いております。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 それでは次にお尋ねしますが、農業についての教育とのかかわりですね。  最近、農業高校の生徒が修学旅行に出かけるときは、何々農業高校の農業をとった何々高校という形で修学旅行に行くのだそうです、そういうケースもあるのだそうです。それから農業高校の統廃合というのがどんどん進んでいます、人が来ないということもあるのでしょうが。そういう学校教育の問題だけじゃなくて、小中高あるいは幼稚園という一つの学校教育の中で農林水産業に対する理解を一層進めるというような動きがここ二、三年少しあるようでありますが、まだ私は不十分なような気がしてならない。ですから、これは教科書等でのそういう啓発だけでなくて体験学習といいますか、これはやっているところもあるようでありますが、そういうものを通しての農林水産業を肌で知るという問題ですね。こういうことによって青少年の健全なる成長というもの、あるいはまたお年寄りの皆さん方、老齢になった方々にもそういう機会を与えることによって一つの心の安らぎを与えるというようなことで、生涯教育というような観点からもいろいろ考えますと、農業に関する教育のあり方というものは非常に重要だし、私はそれを国の大きな柱として教育は進んでいくべきではないかというふうに考えているのです。  羽田大臣も教育にはかなり関心を持っている御家庭にお育ちでございましたし、阿部次郎さんからお名前をちょうだいしたということでございまして、孜々としてということは一生懸命勉強して云々という話もありましたので、この問題についていかがお考えになっているか。これは、文部省はきょう呼んでおりませんが、文部省等々との連携が非常に重要ではございますが、今の文部大臣も若い、これからを担う大臣でございますし、羽田農水大臣との連携によって、農業を通しての教育、教育を通しての農業振興発展、そういう問題に大臣としての御見解をひとつ聞かしていただきまして、まあこれは来週、再来週分科会をやったときにそれをちょっとちょうだいしてまた海部大臣に質問しようということでありますので、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  95. 羽田孜

    羽田国務大臣 おっしゃるように、これからの農業後継者というものを私どもはどうしても確保していかなければなりませんし、しかもこれからの農業というのは相当高い知識というものも必要になってこようと思っております。そして、農業も労働集約型から、これからさらに知識集約型と言われるようなものにまで進んでいくのじゃないか。その意味でやはり教育というものは大事であろうかと考えております。  今日やっておりますのは、すぐれた農業後継者を育成しようということで、従来から農業改良普及事業の一環として、農業高校との連携をとりまして、先進農家の見学ですとかあるいは農業者大学校での営農研修を行いまして、就農意欲というものの向上に努めてまいったところであります。  ただ問題は、現実には就農率が非常に低いということもありますし、また農業を志向しない人の入学もあるということでございまして、農業後継者育成の場として農業高校が十分に機能を果たしているかというところに問題があろうかと思っております。今後の農業の担い手としては、幅広い視野と先ほど申し上げたような知識あるいは技術、こういうものを身につけた人材が必要でございまして、このような観点から、高校段階における基礎的な教育の上に立った専門的な研修教育、これを行う機関として県農業者大学校等の充実に努めてまいっております。このため、従来から農業高校と県農業者大学校との連携について文部省とも随時意見の交換を行ってきたところであり、今後とも農業後継者育成のための研修教育、これの充実を図っていかなければいけないというふうに考えております。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 私があちこち歩いたとき、都会の人間が農業高校に入るケースがあるわけですね。ところがクラスの何人かはその中で啓発されて、自分も農家の一員になりたい、農業をやっていきたいという者が必ず出てくるという大変貴重な話を聞きました。この間も新規参入ということでそういう方々を受け入れる態勢を考えてもらいたいという話もしたのであります。  多摩市にある農林省の農業者大学校、それから農協学園が町田にありますね。行って若い連中と話をしますと、やはり教育の偉大さというのは大変なものだなと思うのは、あそこは全寮制です、それでとにかく我々が考える以上に一生懸命に前向きに勉強している。こういうことを考えると、昨今言われているような農業高校の統廃合ということでどんどん農村から農業高校が消えていくというような、そういうことに歯どめをかける必要があるのではないかということを私は痛感しているわけであります。特に、要するに全寮制で寮生として二年、三年というものを全うするときは、宮城県の加美郡に加美農高というのがあるわけですが、ここの先生に聞きますと、確かに勉強の程度はちょっと低くても社会に行くと非常に歓迎される。それから礼儀作法、精神というか、これがしっかりと打ち込まれておりまして、大体面接したときに一番最初に好感を持たれたのはそこの全寮制でしっかとまじめにやった生徒で、態度、礼儀作法でオーケーだったと自慢をしていました。  ですからこういうことを考えますと、これは一つの例でありますが、そういういろいろの要素を含んだ農業高校あるいは農業の教育機関、これはひとつ文部省だけに任せることなく、農林水産省としても全面的に、これからの次代を担う後継者の育成という観点からさらに充実をさせていただきたいというふうにお願いを申し上げます。  最後に林野庁にお尋ねをいたします。林野庁も長官以下いろいろと大変御苦労なさっている分野でございます。私たちもあちこち、グリーン会議をつくりまして、各地の山あるいは林産業に取り組んでいる方々と随分歩いてまいりました。その中で依然として山の抱えている問題は深刻だなということを痛感しておるわけであります。  それで、きょうは国産材の活用という問題について、林産業にそして山に活力を与える、そういう取り組みをお尋ねしたいのでありますが、ことしを含めて、今後国産材というものの活用、利用というものについて林野庁として特に取り組んでいこうとしている施策をまずひとつ簡単に要点を聞かしていただきたいな、こういうふうに思います。
  97. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 木材の需要を拡大することは大変重要でありまして、現在残念ながらだんだんと落ちてきておるというような現象はあるわけでございます。そういう中でもありますけれども、例えば合板等の関税問題に対する考え方におきましても、需要が落ち込むから入れないというふうなとらえ方ではなくて、木材はまだまだ使うべきであるし、使われるべきである、その可能性も大きいということから、まずは外材、国産材を問わず木材のよさが啓発普及されて総需要量が拡大する方向をとろう、その中で関税等の引き下げにも対応していこうというふうな基本的な考えで対応いたしましたので、まずはあらゆる木材のよさの啓発普及ということを一つ置き、さらにその中で、地域の木は地域の材を使ってとか、県産材の愛用が地域振興にもつながるとか、そういういろいろな県のレベルの施策と結びつく、あるいは業界等といろいろ手を結んだ産地直売住宅方式などもございます。森林組合で丸森ハウスとか奥三河の家とか、いろいろな地名を冠しまして地域材を普及させる運動などがあるわけでございますが、そういうものに対しまして、例えば国有林におきましては安定供給の契約を結ぶとか、そのような密着した供給方式で需要を拡大することなども考えております。  さらに、どうしても国産材は小径木がこれから多く出ますので、それを新用途に開発するための技術開発でありますとか、定量、定時的に供給できる体制を整備いたしますこととか、あわせまして国産材ハウスあるいはログハウスなどにつきましてもいろいろ各地で開設、展示が行われておりまして、この促進にはこれからも努めてまいりたいと思っております。  なお、今回の活力回復の五カ年計画におきましては、シンボリックな木造建築を全国の各地にデモンストレートするようなつもりでつくる、各地で既にそれに参画したいという声も続々と上がっておりまして機運が感ぜられるわけでありますが、シンボルとなるようなものをつくるということを先頭に立てまして、木造建築の振興を図っていきたいと思っております。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 非常に結構だと思うのですが、ただ、ちょっと最近気になったのです。今から言いますが、汽車でちょっと新聞を見ていたら、外材を利用すれば木造三階建ても許可するということがちょっと新聞に出ていました。それでいろいろ聞いたら、これは日米林産物MOSS協議の決定に基づいたものである。それで、「木材需要拡大に資するため、米国が日本の協力を得て、新しい木造建築の技術を生かした木造建築物を建設し、これを展示することとした。」こういうことなんですが、これは目的はどうなんですか。これは国産材ではなくて、外材の啓蒙、拡大のための展示であるのかということでございますが、どうですか。
  99. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 MOSS協議におきましてこれを決定いたしましたのは、アメリカ側では、日本はいろいろ関税以外にも非関税関税でないところの商慣行とか無形の障壁を設けてアメリカの材が入らないように仕組んでおる、建物についてもそうだ、いろいろな制限があって結果的に材が入らない、したがって日本国民に対しましても立派なアメリカ材を使ったところのよさというものを啓蒙普及させる機会がない、ぜひそういう機会をしてもらって、よさをわかった上で買ってもらいたいんだというふうな意見が強くありましたので、私どもも横綱相撲で受けとめて、そういうことは堂々とやって、いいものはいいという認識を広めてもらうのがいいことであると受けとめまして、いろいろ場所の提供とかその他こちら側も協力をいたしまして、今回建てることと決まったものでございます。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 新技術の紹介ということで、これは結構だと思うのですが、これは外国に先行されないで、林野庁を中心とした技術機関でもう少し日本で先行的に国産材におけるこういうものをやらなければいけないのじゃないか。何かこちらから招いてこちらの技術をやるなんということでなくて、日本の山を愛する気持ちが新技術の紹介ということにつながっていくという必要がある。  これを見てみますと、新しいはりのIビーム、ボックスビームあるいはOSB、ウェファーボードなんという、これは新技術の売り込みでないかと思うのですよ。これを使ってやるということによって外材がどんどんまた入ってきて、これでもってまた国産材が、先ほど年々需要が落ちているというでしょう、それなのにこういうものに取り込まれてしまったら私は大変でないかという気がしたのです。  そういう協議があってこれが行われているということに対して私は文句をつけることはいたしませんが、それ以上に我が国の木材を使って——しかも三階建てでしょう。ですから、これは危険な地域には建てられない。いわゆる防災地域などには建てられないということになると、郊外とかかなり土地の余裕のあるところか、あるいはまたそういう防災で心配のない地域が指定されるのでしょうから、そうすると東京などでは余りこの辺なんかは無理でしょうね。となると、ちょっと郊外の方とかというふうになる。地方の方なんかにかえってぴたりとした一つの工法ですよ。しかも土地が少なくていいわけです、三階ですから。もしこれに入ってこられたら困るのじゃないかなと私は思うのですよ。  ですから、これは展示だけでなくて必ずこうした新技術の売り込みが推進されるのじゃないか。この事業の実施に当たっては外務省や農林水産省、建設省、それから今回世田谷に建てるものですから、東京都それから世田谷区、それから日本ツーバイフォー建築協会、全国木材組合連合会及び日本合板工業組合連合会、全部一致協力、もうこれは大変な熱の入れようである。現場ができたら、五月にできるというから私は見に行きますよと言ったんです。  これはこれとして、もっと国産材をちゃんと技術革新をしながら取り組みをしていくというものがなければ、そうして競合したら日本の方が勝った、だから何ぼ入ってきても構わぬということに持っていかないと、これでもってまた山の方に影響が来たら心配だということで一応指摘しておきたいと思います。  長官、そういう心配はないかということ、大臣も、私はそういう点で今後国産材がどんどん活用される時期であるというときに、これは協議でこうなったと言えば何とも言えないわけでありますが、気がついてこういうものを見れば、また外材が国産材を駆逐するということになりかねないような方途ですね。これはやはり慎重にお考えいただきたいものだ、こう思うのですが、最後に答弁をいただきまして終わりにしておきます。
  101. 羽田孜

    羽田国務大臣 今御指摘ございましたこのハウスにつきましては、まさにMOSSの協議の中でいろいろと話し合った問題であります。というのは、今御案内のとおり、国内で三階建てというのはいけないということじゃなくて、こういう要件がかなえばよろしいということですけれども、非常に厳しいわけでもございます。そういう中で、こういう方法、こういう材というものを使えば建てることができるのだということを一つ示す意味というものはあると思います。  いずれにしましても、今いろいろな基準、これは基準というものについてずっとあれしましても、例えば建物の中に内装するにしても、〇・三ミリ以上のものを張ってはいけないというようなものがありまして、実際に需要が拡大できないというのが現状であります。こういうものを戦後の新しい、いろいろな開発されておる材、特に最近いろいろなものが開発されております。こういったものでやれば、二階建てだけでなくて三階建てもできるのだよというものなんかも理解してもらう。もちろんそういう中で、先方から入ってくることもあり得るというふうに私は考えますけれども、しかし、それと同時に我が国の木材業界、こういったものを啓発する意味もあるのじゃなかろうか、かように考えております。  そしてなお、これはやはり日本のものについてもやらなければいけないということで、例えば住宅の国産材ハウスなんというものの開発、展示というものをやりましたり、またログハウス、森の家というようなものも、実はこれも開発し、今進めておるところであります。いずれにしましても、いろいろなきっかけを持ちながら、その中から日本の風土にかなった木材の家というものがもっと普及されるように努めていくべきじゃないかなというふうに考えております。  先ほど長官からもお話ししましたように、そういうことのためにモデル的な建物、こういったものについても助成しながら、やはりみんなに見てもらって、使ってもらって、それが話題になってみんなが木を使う、そんなきっかけをつくることが今一番大事なのじゃないかなというふうに私ども考えております。
  102. 武田一夫

    ○武田委員 どうもありがとうございました。  時間が来ましたので、終わります。
  103. 大石千八

  104. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず大臣に。  専門に農業に取り組んでこられた羽田議員が大臣に就任されましたので、我々農水委員は力強い限りと感じております。御同慶にたえませんが、同時に、難局に立つ日本農業の問題解決のために、大臣の手腕力量が大いに発揮されまするように期待する次第でございます。  つきましては、大臣所信表明をお伺いしたわけでございますが、これに取り組む決意の中で、大臣がこれだけはぜひ実現してみたいと考えられる施策がございますなら、まずそれをお知らせいただきたいと思います。  私たち委員として、日本農業発展の基礎となる政策の石組みを一つ一つ積み上げていくことに責任を持っているものでありますので、重点的に物を考えたく、この質問をするわけでございます。
  105. 羽田孜

    羽田国務大臣 激励を賜りまして、本当にありがとうございます。いろいろな面でまた御指導を賜りたいと思います。  農林水産業をめぐる環境というのは、これはもう今さら私から申し上げるまでもなく、なかなか厳しいものがございます。そして、それを進めていくに当たりましてやはり私たち基本に考えなければいけないのは、食糧自給力というものを高めることであるというふうに思っております。そのために、何としてもこれは農林水産業の体質強化、これに努めていくというのが基本であり、そのために農山漁村というものの整備というものも必要であろうかというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、先ほど来申し上げてきておるわけですけれども、その基礎というのは何かというと、やはり何といっても生産基盤というものが非常に重要であろうと思っております。そして、規模の拡大を図っていくために、あるいは農業の再編成を図るためにも、基盤整備というものがきちんとされていなければいけないということを考えております。  その基盤整備をした中で営農をしていただくわけでありますけれども、今武田さんとの質疑の中でも話しましたように、技術ですとかあるいは経営能力、こういうものにすぐれた人あるいはこれからの新しい技術に対して対応のできるような中核的な担い手という方を育成していかなければいけない、これは非常に重要なことだと思います。  そして、そういったものをもとにしながら、新しい技術でありますバイオテクノロジー等の先端技術開発、これを進めるということはやはり重要であろうと思っております。  そして、特色といわゆる創意工夫といいますか、そういったものがどんどん生かされるような活力のある山村づくり、こんなものに対しても農政の中から刺激をしていくということが必要なのじゃないか、かように考えております。
  106. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣がただいま申されました中での基盤整備の強化の件でございます。  私も実は農業に対しまして、農業は知識集約産業であり、先進国型産業であるわけでありますので、そういう性格を発揮するにはどうしても土地基盤の整備、人材の育成、品種改良・栽培技術の研究開発、こういう三点がその基礎とならなければならぬ、こういう主張を今まで続けてきたわけでございますが、昨今の我が国におきましては、この中で特に土地基盤整備の急務を私は感じているわけでございます。  質疑に入ります前に、政府といたしましてもこのことには重点的にお取り組みいただきまして、第一次土地改良長期計画が昭和四十年から始まり、継続で今第三次長期計画の半ばに入っているわけなんでございますが、この進捗率をまず質疑の前にお伺いしたいと思います。
  107. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 第三次土地改良長期計画につきましては、五十八年度から六十七年度まで十年間、三十二兆八千億の投資を予定しております。五十八−六十一年度、これは予算案でございますが、それまで含めまして四年間の進捗率は、事業費ベースで二一・九%ということになっております。これを面積ベースで見ますと一六・五%、かような状況でございます。
  108. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣、今お聞きのように、事業計画の方では二一・九%、面積率では全面積の一六・五%というわけなのでございます。  実は今、日本農家の兼業化がどんどん進んでおりまして、第二種、第一種合わせましてもう既に兼業農家数が八五%を超えているわけでございます。さらに六十歳以上の農家の老齢化、これも進んでおりまして、これは二三・二%以上で、五十歳以上となりますと、推定ですが、もう七〇%じゃないか、こう思っております。さらに、調べていただいたのですが、無後継者も、これは四〇%を超えているわけでございますね。  こうなりますと、十年、十五年後には急激に老齢化によるところの農業維持に対する内部崩壊というのが懸念されるわけでございます。しかも、今土地改良の進捗率、面積率で一六・五%だとなると、これはゆゆしい事態をここ十年、十五年後には生じてくるのではないか、私はこういうような切迫感でいるものですから、実は今まで、この土地改良だけは国と県と市町村で一〇〇%負担して実施する体制をとれないかということを、前大臣、前々大臣にも再三要求してきたわけでございます。  このことにつきましてはいろいろ反論の答えが出たりいたしまして、個人の土地所有に対して国家一〇〇%の公共投資事業を実施はできないというわけでございますが、事農地は、ほかの企業、個人の所有と違いまして、農産物しか生産できない、農産物はいつでも国家が統制をかける、それから国土保全あるいは地下水の保水関係あるいは環境保全、いろいろな点で、農地だけは国家一〇〇%の公共投資をやっていいのではないか、そういう持論を今まで展開してきたわけでございます。  殊に最近、第二種兼業で後継者のない人は、借金を残したくないという意識がこの基盤整備促進の障害になってきているのです。だから、それを説得するのに大変な苦労がこれは年々増しているわけです。いわゆる内部において、今言いましたように既に無後継者が四〇%以上にふえている、後継者のない農家は借金はやりたくない、そういうようなわけでございますので、実はこの基盤整備も、国が計画いたしましても現在でさえこういう二一・九%の進捗率でございますと、これは全く大変な事態だ、こう考えるわけでございます。  そこで、財源がない、ないと言いますが、今年度農業生産基盤の整備に八千六百億の金が投入されているようでございますが、これの一五%は一応都道府県が負担する、あと一五%が受益農家が負担するとなっているわけでございます。この一五%というのは千三百億円ぐらいでございますね。そうなりますと、これは私の仮定なんですが、県が一五%を負担するなら、市町村にその半分の七・五%を負担させますと、六百五十億ずつ国が負担し、市町村が出し合うと、一〇〇%の事業費になるわけですね。  六百五十億円ぐらいの金は、水田利用再編対策費を見ましても二千三百億から使っておりますし、それから余り米、過剰米処分の損失補てんを見ても、六百七十七億円なんというものを、大義名分があると一般会計から繰り入れするわけでございますね。さらに転作奨励金、例えば基本額が四万二千円でございますと、もしも十万ヘクタール事業を実施したとして、土地改良通年施行補助金が二万二千円でありますから、二万二千円を減らしたとなりますと、ここで大体二万円というお金が出てくるわけでございますね。これに転作奨励金第一種加算が二万円、第二種加算が一万円ですから、これらを合わせますと三万円から四万円の金が出てくる。そうなりますと、十万ヘクタールでも一年間に四百億円は浮いてくるはずですから、何か国家が一〇〇%出してやれそうじゃないか、私はこう思うのですよ。  今までの答弁では、農地も個人所有だから、個人所有に一〇〇%の国家投資はできないということが何かひっかかっているようなんですが、大臣、この基盤整備の問題で、今本当に大変な時期を日本国家は迎えようとしておりますので、こういう対応を私本当に心からお願いするのですが、研究してみていただけないでしょうかな。新大臣なのでこういうことをずうずうしくお願いするというか、これはずうずうしくない、むしろ私は正義感を持ってお願いしているわけでございますが、この点についての御意見をお伺いしたい、こう思います。
  109. 羽田孜

    羽田国務大臣 先生の言われるお気持ち、これは私たちもそういうことがあってもいいのかな、いろいろな議論をしていく過程の中に、これは私どもが役所の中で議論するということじゃなくて、外で議論しているときにも、ともかく土地改良ということは、国家としての一つの値打ちを上げるのだから全額あれしてもいいじゃないかという議論は私どもも実はよく聞かされることもあります。そのお気持ちはある程度理解できるかなという気持ちもあるのですけれども、個人所有のものに国が全額あれするということはどうなのかなという考え方はどうしてもあるわけなんです。  例えば教育なんかの場合にでも、保育園ですとかあるいは幼稚園なんかにしましても、これを法人化しないとなかなか助成金をもらうことができないのですよ。これも、例えば自分が幼稚園をやめるときには県なら県にそれを差し上げてしまうということで、教育というものは大事なんだということはだれも皆わかっているのですけれども、個人に対して国が全部負担することは難しいなということなんです。そして今、個人のものに対してこんなに助成することはどうなんだといろいろな議論もあります。  しかし今そういう中で、確かに一部は融資なんかに切りかえたりなんかしていくといういろいろなあれもありますけれども、その中で私どもとしては、今度の場合にも御案内のとおり財投資金等の特別会計制度、こういったものを拡充して進めようということで、今懸命になってやっておるところなんです。全額国庫補助ということについては、私は基盤整備は大事だと思うのですけれども、これはやはり難しい議論じゃないかなと考えます。
  110. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 こういう主張をするのは、国と県と市町村三者での全額の意味なんですが、何か強制的な事業を進める執行力がないと、本当に今大変な事態にもなってきている。この強制的な執行力をどのように持たせるかとなると、端的に一〇〇%だったら持たせられるという論拠ですからこのことも言うのですが、本当に今これから残った農地地域ほど大変な事態になっていますので、大臣、それでもこのことは常に念頭に置いて対策を考慮いただきたい、こう思う次第でございます。  次に移らしていただきますが、去年私たちの胆沢平野というああいう大穀倉地帯において、石淵ダムという十分水の配慮をしていただいた施設を持ちながら、やはり末端の方は水泣きしたのですね。ですから、全国押しなべて去年のように好天が続きますと、やはり水資源だけは確保して、十分な上にも十分に農業用水だけは確保しておかなければならぬわけでございますが、農業用水の確保対策ということについてはどのようになっておりますか。
  111. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 基幹的な農業用用排水施設の整備というのは、末端の農地整備の前提条件でございます。したがいまして、第三次土地改良長期計画におきましても、計画期間内で用水関係で百六万ヘクタール、排水関係で五十八万ヘクタールを整備することを予定しておりまして、それに必要な事業費といたしまして五兆七千八百億を予定しているわけでございます。  なお、先ほど御答弁申し上げた中でちょっとお断りしたいのでございますが、農地そのものの整備率といたしましては本年度三月の状態で一六・五%と申し上げましたのは、第三次土地改良長期計画において整備すべき水田百万ヘクタール、畑八十万ヘクタールに対して一六・五%の整備が済んだ、かようなことでございますので、念のためお断りいたしておきます。
  112. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今度私たちの胆沢平野に対して、石淵ダムの拡張工事の計画があるようでございますが、農業用水確保ということについてひとつ重点施策として今後これを進めていただきたいことを新大臣にも要望いたしまして、次の、若人の人材育成という面に移りたいと思うわけでございます。  大臣も人材育成のことを所信で取り上げているようでございますが、どのような一応内容でこれを推進しようとするのか、お聞きいたしたいと思います。
  113. 羽田孜

    羽田国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたように、次の時代農業を担う若い人たちが本当に誇りと生きがいを持って農業に邁進しようとするためには、やはり農業生産性の向上を図ること、そして産業として本当に魅力のある産業であるということ、これがやはり重要じゃないかと考えます。  このために、農業者の創意と工夫を生かしながら農業経営の発展が図られるように、なかなかこれを実効を上げるというのは難しかったわけですけれども農地の流動化というようなものも図り、経営規模の拡大を進めていくことだと思っております。そして、今のお話がございましたような生産基盤というものをきちんと整備する、これを何とかやはり難しい中でも進めるということで、今度の予算も、確かに国費の面では多少減りましたけれども、事業費の面では財投等を活用しながら進めることにしたわけでございます。  そういったものを基本にして、こういったものだけに頼るということではあれでございますけれども、バイオテクノロジーなどの先端技術開発、これを本当に実用普及化、実用化するために普及すること、こういったことについてやはり十分努力していかなければいけないのじゃないかなと考えております。そして、農業者がこういったものにたえ得るような知識、技術といったものを身につける体制を整える、そういう中に担い手を確保していく方途があるのじゃなかろうかと思っております。
  114. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は大臣農業が魅力ある農業だと後継者もどんどん育ってくるし、若い人たちも誇りと生きがいを持ってこれに続こうという機運が醸し出されるわけなんですが、実はそういう意味で今回無利子で農地の改良等を実施するための制度を創設していただいたり、このほかにいろいろな融資制度を充実していただいた、これは本当にありがたいわけなんです。といいますのは、今やる気のある農家ともうやる気を失った農家とが混在していますから、やる気のある農家が、やる気を失った農家の阻害要因のために、本当に持っている力を若い連中が伸ばしていけないという現象が起きているわけですね。これは大臣も御承知のようにです。  そういうとき、今度さらにこういう人たちは自分たち農業に合ったいろいろな経営方針を立てたり研究しますので、そうしますと、現地に合った考え方というのはバラエティーがあって豊富なわけなんですよ。そういう点、今まで農林水産省の方で補助金行政で枠組みのあるのでやると、どうしてもその枠というのは固くなっていますから、多様性ができない。そういう意味で、私は今まで、補助金行政は、国の方も財政が大変なんですから融資制度に切りかえるべきだ、自由に使える金をどんどんこの融資制度の中で流すべきだということを主張してきたんですが、ひとつ、今育ちつつある、この厳しい農業下にあって頑張っている人たちを、新しい後継者というよりも、一緒に若い担い手の中に入れて育てていただきたい、こういうことを要望する次第でございます。何か回りくどい言い方をしたわけでございますが、次に問題を移りたいと思います。  土地利用型農業ということが大臣の表明の中で七ページで言われているわけでございますが、この体質強化を図るという土地利用型というのを農林水産省の方ではどのように定義づけているわけでございますか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
  115. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 確固とした定義があるわけじゃございませんけれども基本的には、稲作でございますとかあるいは飼料でございますとか大豆、麦というような、土地そのものが生産力を大きく規定するというものを総称しまして土地利用型農業と言っているつもりでございます。
  116. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、土地利用型農業の体質強化というわけですが、この体質強化というのはどういう中身を持っているわけでございますか。あとこの技術開発という意味は。
  117. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 小規模な畜産、養鶏でございますとかあるいは中家畜の養豚、こういう、施設に多くを依存しております経営につきましては体質なり規模というものが相当大きくなってきているわけでございますけれども、残念ながら、土地の広がりそのものが生産力を規定してまいります。ただいま言いました大豆でありますとか小麦でありますとか稲作でありますとか、こういうものにつきましては、日本国土のこういう狭い土地ということが限定要素になりまして、なかなか規模拡大、生産性の向上というものが今まで図られてきてなかったわけでございます。  したがいまして、そういう点に着目して、農地三法でございますとかああいう法律で、単に所有権だけじゃなくて利用権の集積というようなことでできるだけ規模拡大するとか、あるいは地域内での複合経営、兼業農家も巻き込みましての地域営農集団というようなものを総合的に推し進めまして体質を強化したいというふうに考えておるわけでございますし、それから、いろいろなハイテクなり新しい技術というものも、土地の広がりが無理なら質的な向上といいますか、単収を上げるという点でも体質の強化に大きく寄与するというふうに考えておるわけでございます。
  118. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 稲や何かの労働集約型の形態もあるわけなんですが、実はこの土地利用型農業というとき、米、麦とかこういう主殺を入れるなら、私は、これは私の持論なんですが、日本最初から農地面積が少ないわけですから、単一作物だけの体制を組もうといったって、面積がとれないのでとてもこれは国際農業と対抗できないわけなんですよ。  それから私、これはいつももったいないと思うのですが、東北からこちらの西日本にかけましては裏作ができるわけでございます。我々が小さいとき、我々の親やじいさんなんかというのは、せっせせっせ裏作、レンゲをまいて土地を利用したわけなんでございますね。しかし今の日本の水田は、冬の間ずっと砂漠化しておりまして、田植えするとやっと緑が出る、刈り取るとまた砂漠化する、その期間は麦や何かが十分にまた一作できるのに、もったいないわけなんですね。  ですから、私は日本農業は単一生産形態の産地型だとかなんとかというよりも、やはり複合経営の管理形態、せっせと土地を利用することにおいていわゆる収入を上げる形態を開発しなければならぬということを常に主張してきたわけなんでございますから、土地利用型といってもひとつ今言ったような複合経営ということを、答弁の中にありましたので、複合形態の研究を今後、私たちもいい知恵をたくさん持っていますので提示しますから、研究し、普及していただきたい、このようにお願い申し上げるわけでございます。  次に、ニューメディアの「モデル的な情報システム化の構想を推進する」というわけでございますが、この情報システム化に関するところの構想というのはどういう構想で進められようとしているのか。  時間がなくなってまいりますので申し上げますが、アメリカなんかは、やはり農民は情報インプットのソースといたしましては、政府の普及事業がどんどん進んでいるのでこういうことに頼ることと、民間のアグリビジネスあるいは民間のコンサルタント、こういう形態が随分アメリカに発達しているわけでございますが、大体こういうことを想定しての構想でございますかどうですか、お聞きしたいと思います。
  119. 羽田孜

    羽田国務大臣 農村というのはどうしても情報量が少ないという面があります。どうもその情報というのは今まではむしろ都市に集中しておったのではないかということでありますけれども、ニューメディアというものが出現するようになり、こういったものをいわゆる農村生産性の向上ですとかに存分に活用することができればということで、農林水産省は御案内のとおりグリーントピア計画というものを申し上げてあります。  この構想というのは、農村地域の自主性と創意工夫を生かして地域農業が当面している課題を解決するための情報システム化の計画を策定しまして、農村地域における情報システム化を普及促進するということでございます。この構想の内容としましては、情報システムはコンピューターですとかCATV、これらを活用しまして営農の技術あるいは経営管理情報処理を提供するシステム、こういったものを実は計画しておるということでございます。
  120. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は私は、国の役割といたしましては、政府介入を極力経済面あるいは経営面のことにはなくすべきだ、技術面だけのコンサルタントで、経営とか経済的な、何を植えたらいいか、何をやったらいいかというのは農民の選択に任せる、あるいは民間のコンサルタントに任せるような形態にしないと、何もかにも政府が指導的な役割でこういう面まで行きますと、結局惰農行政になるのではないか。今農家自身が、惰農の形と伸びる形というのが、表面はあなたはと言えないのですが、もう内部ではちゃんとわかるようになってきておりますからね、世の中が。だからそういう点はひとつはっきりした立場で、お互いがお互いの分野で発展できるようなそういう構想で進めていただきたい、こう思うわけでございます。  それから肉問題で、この十三ページでありますが、「酪農・肉用牛生産近代化基本方針に即し、酪農及び肉用牛生産について総合的な振興合理化を図ってまいる」というわけですが、このことについて、これも再三私が主張してきたわけでございますが、日本で霜降り肉が最高肉になっているうちは日本の畜産は伸びないということを主張してきたのですよ。というのは、この霜降り肉は、御承知のように穀類を食わせないと霜が降らぬのですね。本来反すう動物は草で育つのですが、そこで草の研究がおろそかになったり、植物生理学の研究あるいは草の土壌学、そういうのがどうしても穀類に頼る畜産を育てようとするとおろそかになる、そういう傾向がございます。  そればかりではなくして、実は前沢牛というのが、これは私の隣町、選挙区なんですが、日本一の——せんだってテレビでも放送になって、霜降り肉でもう銘柄肉になってきたのですね。しかし、現地へ行ってみますともう大変なんですよ。霜降り肉をつくれない農家は借金がふえているのですね。というのはどういうことかというと、子牛一匹三十万から三十五万、二年間に霜降り肉を育てるのに大体三十万から三十五万えさ代がかかるというわけですよ。そうすると六十万から七十万でしょう。いい霜が降っていると一匹百万で売れるけれども、霜が降ってないともう七十万、六十万になるというのですよ。そうなると、二年間何のために育てたかわからぬというのです。霜を降らせる技術というのはプロの肉生産ですね。ですからプロの肉生産が普遍的に考えられると大変なんで、肉は本来やわい赤肉の脂肪の入らないのが上肉ですから、そういう点では、こういうのがもうちょっと流通面でも守られるような、そういう点を本当は配慮してもらって、こういう霜降り肉のようなのは、今のプロの、何と言ったらいいか特別会計的な援助、そういう指導をしていただきたい、こう思うわけでございます。これは要望だけでもよろしゅうございますが……。  次に、水田利用再編第三期対策の問題なんですが、米の過剰基調の場合は——過剰基調の場合といいましても、どうも日本生産力は過剰基調でございますが、こうなりますと、これは恒常的に続けざるを得ない、こういうものでございますね。いかがでございますか。
  121. 関谷俊作

    ○関谷政府委員 水田利用再編対策、現在実施しておりますもののねらいは、先生も御指摘がございましたような、米の需給の均衡化をねらって需要の動向に応じて農業生産を誘導していくということがねらいでございます。  これからまだまだこういういわゆる転作を続けるのかという問題でございますが、やはり現在の米の需要の状況から見ますと、あるいは一方、日本における米の水田における生産能力、これらを勘案しますと、やはり形はいろいろ検討する必要がございましょうが、何らかの形でそういう需要の動向に応じて生産の方を再編成していく、こういう形での対策は必要なんじゃなかろうか。その中にもちろん転作という形でのことも含まれるわけでございますが、やはりこれは、日本農業の方で国民の需要に応じて生産をいわば組み立てていくということが基本的に大事であります以上は、この種の対策については、これからも大変いろいろ困難の多いことでございますが、取り組んでいかなければいけないだろう、かように考えております。
  122. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今、自主流通米の分野で米の停滞ぎみな現象が起きてきたということですが、この面はどうなっておりますか。
  123. 石川弘

    ○石川政府委員 御承知のように、四年連続不作が続きました間は、良質の米を求めまして大変自主流通が売りやすい環境にございました。そういうこともございまして、生産者の組織の方も自主流通米の販売量をだんだんふやしてまいっておりまして、五十九年に三百万トンを超えるという状況になったわけでございます。  その後、五十九年産、六十年産と大変な豊作の続きます中で、御承知のように豊作になりますと米の質全体は実は上がってまいりますものですから、自主流通米だけが特に好まれるという形ではなくて、一般の政府が管理をしております米も品質が向上してまいりまして、非常にそれも需要が強い。どちらかというと、自主流通米の方は過去において少し勢いよく伸びたものでございますから、それの調子がまだとまらぬということもございまして、普通良質米と申しますのは年内に売り切りまして次の年に持たないわけでございますが、五十九年産を持ち越した。六十年産がまた豊作でございまして、現在、卸に結びつかない、集荷はいたしましたけれども卸売の方が引き取ることができないでペンディングになっている米がまだ相当あるわけでございます。  これは過去五十三年、五十四年にもそういう歴史がございましたが、そういう場合は、そういうペンディングになりました米を値段の面でいろいろと考慮をしながら実需者の方に引き取る。そういう引き取りました米は結局品質のいいものでございますから、今まで売っております米の中の品質を結果的に上げる、しかし、その値段はほどほどの値段で売っていくというような方法で浸透させるわけでございますが、現在そういうことで集荷団体と卸売団体と話し合いを行っておりまして、私どもも、せっかく余計どれましたいい米でございますから、消費者にもそういう利益がうまくつながりますように今指導しておるところでございます。
  124. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 ついでに、ブレンド米の実態はどうなっておりますか。
  125. 石川弘

    ○石川政府委員 米をブレンドすると申しますのは、実は単品の米だけが品質がいいということでございませんで、いろんな多様な品種をまぜながら、しかしそれは格上げとかそういうことでは困るわけでございますので、そういう品質のもの、例えば自主流通の一番いいものが何%入っている、そのほかに政府米は何%入れているというようなこともきちっと表示させまして、したがいまして、中に入っております原料の構成と、それから価格が違うわけでございますから、それで適正な価格をつけて売るというのが一般的な売り方でございます。  もちろん品だけを望む方がございますから、例えば新潟コシヒカリ一〇〇%というようなものもございますけれども、これはあくまでも量的には多いものではございませんで、むしろ全体の量としましては品種の違ったものをブレンドしたものが多い、しかしブレンドしましたものははっきり内容も表示させ、それに応じた価格で売るということをやっているわけでございます。
  126. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は大臣、米の問題は、ことしから、石川食糧庁長官なんかの勇断で流通機構の改善をしていただきまして、一卸一小売のところが複数知にさせていただいた、これは大変画期的なことだ、こう私は考えているわけでございます。  それから、これは九五%も農協が集荷しているんだから、農協自体がもうちょっと流通面でも権利をとって売れるようにしたらいいんじゃないか。  そのためには、今世の中は量より質の時代に変わっているんですから、もう食管法もいわゆる間接統制的な形でもいいんじゃないかというようなことを話したら、おしかりを受ける人たち、あるいは、いや、そうだと賛成を受ける人たち、半々あったんでございますが、米の問題は、やはりもっともっと、良質米、本当のおいしいものはおいしいもので単品で売れる方向にしないといけないのじゃないか、私はこう思っているんですよ。そうでなくとも米の需要が落ちております。  しかし、昭和五十六年に制度改正されたときは、やみ米は悪いというのでやみ米が禁止になったわけです。物の余っているときのやみ米というのは、これはこの前も質問申し上げたのですが、質に対する価格形成のやみなんですね。物のないときのやみは、やみをやるのは不正な利益を得るからこれはいかぬのです。ですからそういう意味で、物の余っているときのやみは、消費者は金さえ出すとおいしい安全な米が食えるというので、値段が良質米に高く出してもらえてきた。それがいわゆる一応やみが悪いということでストップしますと、どうしても需要に応じ切れないからこういうブレンド米が出るんじゃないかと私なりに解釈してきたんです。しかし、本来ブレンド米というのはやはり品質のやみですから、米そのものを今度滅ぼすのじゃないか。そういう現象が今回の自主流通米の中でも停滞ぎみになってきたと見ていいんじゃないかなと私なりに解釈しているんですよ。  そして、よい米は何といいましても五%、一〇%最初から減収なんですよ。それから苦労が大変ですよ、肥料の管理だって天候の問題だって病虫害だって。しかしそれだけの苦労に報いる価格形成は十分に自主流通米の中で政府の標準米と比べますと出ていますからね。やはり農民にいいものをつくることに努力させ、その報いが得られるという体制をつくらせることに努力しなければならぬし、国もそういう体制をつくらなければならぬ、こう思っているのです。  こうなりますと、実は良質米のできない地域をどうするかが最大の問題でございますね。そうしたら、良質米のできない地域、極端にいえば北海道なんか何か米にかわる指導ができないのか。そうなると、二千三百億もかかるようなこういう金だってこれはずっと減るんじゃないか、こういう金の半分も開発に流したら、うまく本当の適地適産ができるのじゃないかというのが私の主張なんですが、この考えについて政府の方でひとつ検討していただきたい、こういうことを申し述べておきます。答弁は要りません、時間がなくなりますので。  まだまだたくさんあるのですが、林野庁の方の質問に入らさせていただきたいと思います。  森林・林業、林産業関係についてでございますが、御承知のように、森林は国土保全、水資源涵養など、国民にとって重要な資源でありますが、近年、資金不足等によって間伐の手おくれなど保育が不十分なため、二十一世紀に残すべき森林資源の確保は極めて困難な状況にあると危惧している一人であります。同時に、木材需要の減退と価格低迷の長期化は、林業、林産業の壊滅的な事態をも想定させ得るような事例が見聞されるのであります  このような状況の中で、政府は、合板等林産物関税の引き下げ、林業、林産業の活性化策として森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画を策定し、六十年度四十億円、六十一年度八十億円の予算規模での施策を講じようとしているようでありますが、この程度で果たして木材需要の拡大や森林産業の体質強化、間伐の促進といった当面の事態に十分対応できるのか、大変疑問を感じているわけでございますので、まず大臣の所信をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 羽田孜

    羽田国務大臣 御指摘がございましたように、森林の今日の状況というのはゆゆしきものがありますし、特に水源地等の森林というものは非常に難しい状態にあります。それと同時に、戦後植栽いたしました森がちょうど今間伐伐期にも来ておるということでありますので、そのための林道ですとかあるいは作業道、こういうものもつくっていかなければならないというのが現況であります。加えまして、こういったものをきちんとやはり適正な管理をすることができなければいけない、適正な管理をするためには活発な林業活動というものがなければいけないというふうに考えております。  そういう意味で、私どもとして、この厳しい予算の中にあっても何か一つここに活力を与えることができないだろうかということで、今お話がありました林活の五カ年計画というものを組んだわけであります。私ども当初これを打ち上げましたときは、もちろんこれはもっと大きなものであったわけでありますけれども、財政が今日こういう厳しい中で、折衝に折衝を重ねる中でこの額になったということであります。しかし世の中の人たちの中には、おいおいそんなものを持っていって本当にできるのかという驚きも実は逆にあったのですけれども、国際森林年というようなこともあり、いろいろな人の理解を得ることができてようやくここまで確保することができた、これが万全なものだというふうには考えておりません。しかし、やはり前進はしたなというものを感じております。  私どもやりますものは、これは五カ年計画について御案内と思いますけれども、間伐を促進するということ、あるいは需要を拡大しなければやはりどうしてもなかなか適正な管理に金が回ってこないということもございます。そういうことが二点目であり、そしてもう一つは、合板ですとかあるいは製材、この関係者の人たちが非常に難しい状況にあります。そういった人たちで転廃業するものあるいは同じ材木の中でもほかの分野に進出しようとするもの、こういったものに対して手助けをいたしましょうということであります。
  128. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大臣には、殊に間伐問題は今杉山崩壊という現象も起きておるわけでございますので、本当に十分の対策ができるようにひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、森林に対する公共投資についてお伺いいたします。  公共予算に占める林野公共の比率は、三十年度の一〇・二%から六十年度は四・五%へと低下しております。実行は計画に比べ治山が七三%、造林五七%、林道五三%と相当なおくれが目立っているわけでありますが、これはどのような原因でこうなっているのか。  また、森林・林業、林産業は一体のものとして国土保全に寄与しているわけでありますから、国の防衛費がGNP一%枠ということで推移してきている、そういうことと関連しまして、国土保全についても同様趣旨の財源措置が必要じゃないか、私は山を守る立場からこういう考えを持っているわけでございます。今日、民官を問わず、木材需要の減退、価格低迷、人件費、資材価格の増高等から、木材販売による収入で森林造成を図ることは至難のわざであるわけでありますので、政府予算一定額を国土保全に振り向けるという努力大臣にぜひお願いしたいとも考えるわけでございます。この二点について、所見をお伺いいたしたいと思います。
  129. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 公共事業につきましては、特に林野公共の場合は国土保全そのものでありますので、大変重要な事業であるという認識に立ちまして、それぞれ計画的に進めることといたしておるわけでございます。治山事業などにつきましては、現在、第六次の五カ年計画をつくっておりますし、また造林、林道などにつきましては、全国森林計画に基づきまして計画的に推進をしておるわけでございますが、御案内のように林業の経営活動が大変停滞をしておるものでございますから、現在のトータルの進捗を見ますと、長期計画に対しまして相当程度のおくれが出ておる、そういうふうな残念な状態でございます。  お話のございました林野公共のシェアでございますが、三十年度、まああの当時は災害復旧でありますとかあるいは国土保全でありますとかの要請が大変大きいためにそのようなシュアを占めておったわけでございますが、その後、公共事業が道路でありますとか下水道でありますとかいろいろ新しい事業の方へウエートが移ったこともありまして、ただし、そうはなりましても、それぞれ林野公共の額も減ったわけではございません。伸び率が鈍化して、シェアにおいては昭和三十五年度には五・四五%くらいまで落ちたわけでございますが、しかし、また最近の災害状況等を考えましたこの十年間のシェアを見ますと、少しずつではございますけれども、例えば昭和五十年度は四・一五%でありますが、六十一年度につきましては四・五五%というふうに、その重要性から伸ばすことができたような状態になっているわけでございます。  なお、その一定額をというふうなお話でございますが、私どももその年々の財政事情に応じまして、また必要な額は極力確保するように努力をしてまいりたいと思っております。本年などにおきましても、通常の概算要求基準に従いますと、マイナスシーリングによりまして精いっぱいでも例えば九三とか四、そのくらいにしかならないのが常識と申しますか、一般のレベルではそうならざるを得ないわけでございますけれども、林野庁の非公共予算におきまして一〇七%と伸ばすことができましたのも、むしろ、一定額を前もってというよりは、そのときの情勢によりまして必要な向きについての重点要求をするというようなことが御理解を得られた結果ではなかったかと思っております。御意見の趣旨は私どもも十分わかるところでありまして、必要な予算額の獲得にはまた努力をしてまいりたいと思っております。
  130. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もう時間がなくなったわけでございますが、最後に、国有林野事業特別会計においてお願いするわけでございます。  六十一年度の予算を見ますと、歳入のうち、特別会計本来の主体であります木材販売による業務収入が四二%、財投資金からの借り入れが同じく四二%を占めております。中でも林野、土地売り払い代が前年度よりも百二十四億円もふえて、一一%にも及んでいるわけであります。土地の利活用と言えば聞こえもいいわけでありますが、財産の切り売りで賄うという財政のあり方は、これは好んでやることではない、こう思うわけでございます。  このような予算編成が六十二年度以降も続き得るとは到底考えられないところでありまして、山を守るためにはどうしても特別財源の確保の道を考えなければならないと思っておりますので、このことを大臣に強くお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  131. 大石千八

    大石委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十一分散会