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1986-04-17 第104回国会 衆議院 内閣委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十一年四月十七日(木曜日) 午前十時三十五分
開議
出席委員
委員長
志賀
節君
理事
石川
要三
君
理事
戸塚 進也君
理事
深谷 隆司君
理事
宮下 創平君
理事
小川 仁一君
理事
元信 堯君
理事
市川 雄一君
理事
和田 一仁君 池田 行彦君
石原健太郎
君 内海 英男君 月原
茂皓
君 井上 一成君 上原
康助
君 新村 勝雄君 矢山 有作君 鈴切 康雄君 日笠 勝之君 三浦 久君
出席国務大臣
国 務 大 臣 (
内閣官房長官
)
後藤田正晴
君
出席政府委員
国防会議事務局
長
塩田
章君
委員外
の
出席者
内閣委員会調査
室長
石川
健一君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
安全保障会議設置法案
(
内閣提出
第九号) —————・—————
志賀節
1
○
志賀委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
安全保障会議設置法案
を
議題
といたします。
趣旨
の
説明
を求めます。
後藤田内閣官房長官
。
—————————————
安全保障会議設置法案
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
後藤田正晴
2
○
後藤田国務大臣
ただいま
議題
となりました
安全保障会議設置法案
について、その
提案理由
及び
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
内閣
における
総合調整機能強化
の
一環
として、
重大緊急事態対処体制
の整備を図るため、
現行国防会議
の
任務
を継承するとともに
重大緊急事態
への
対処措置等
を
審議
する
機関
として、
内閣
に
安全保障会議
を
設置
し、その構成その他
安全保障会議
に関し必要な
事項
を定めようとするものであります。 近年における
社会
全体の
複雑高度化
、
我が国
の
国際的役割
の
拡大
と
我が国周辺地域
の
国際政治面
での
重要性
の
増大等
により、
重大緊急事態
の
発生
の
可能性
は潜在的に高まっておりますが、このような
事態
に対し迅速、適切に
対処
し、
事態
の
拡大発展
を防止するため、
内閣
の果たすべき
役割
はますます増大しております。
臨時行政改革推進審議会
の
答申
においても、かかる
基本的考え方
に基づき、
内閣
に
安全保障会議
を
設置
することを提言しておりますが、
政府
はこの
答申
の
趣旨
を最大限尊重し、これまで慎重に検討してまいりましたが、ここに成案を得ましたので、今回、本
法律案
を提出した次第であります。 次に、この
法律案
の
内容
の
概要
について御
説明
申し上げます。 第一は、
安全保障会議
の
審議事項
についてであります。
安全保障会議
は、現在の
国防会議
で
審議
することとされている
国防
に関する
重要事項
のほか、
重大緊急事態
が
発生
した場合において、
内閣総理大臣
の
諮問
を受け、
当該重大緊急事態
への
対処措置
について
審議
することとしております。 また、このほか、
国防
に関する
重要事項
及び
重大緊急事態
への
対処
に関する
重要事項
につき、必要に応じ、
内閣総理大臣
に対し
意見
を述べることができることとしております。 第二は、
安全保障会議
の
組織
についてであります。
安全保障会議
は、
議長
及び
議員
をもって
組織
するものとし、
議長
は、
内閣総理大臣
をもって充てることとしております。
議員
は、現在の
国防会議
の
議員
である
内閣法
第九条の
規定
によりあらかじめ指定された
国務大臣
、
外務大臣
、
大蔵大臣
、
防衛庁長官
、
経済企画庁長官
に加え、新たに
内閣官房長官
及び
国家公安委員会委員長
をもって充てることとしております。 第三に、
現行国防会議事務局
を廃止することとし、
安全保障会議
に関する
事務
につきましては、
内閣官房
において
処理
し、命を受けて
内閣審議官
がつかさどることとしております。 以上のほか、
関係国務大臣
その他の
関係者
の
会議
への
出席
、
議長
及び
議員
の職務上の
秘密保持等
につきまして
所要
の
規定
をいたしております。 最後に、
安全保障会議
は、
昭和
六十一年七月一日から発足することとしております。 以上がこの
法律案
の
提案理由
及びその
内容
の
概要
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。
志賀節
3
○
志賀委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
志賀節
4
○
志賀委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますのでこれを許します。
石川要三
君。
石川要三
5
○
石川委員
ただいまから
質問
をするわけですが、
官房長官
が時間が
余り
ないようでありますので、
長官
の時間もそういう御
都合
ができるように、できるだけ御協力をしながら
質問
をいたしたいと思います。 そこで、最初に
長官
に二、三
お尋ね
するわけですが、
にわか勉強
でいろいろとこの
内容
を
勉強
してみたのですけれ
ども
、今回のこの
安保会議
の
設置
というものは、要約しますと、現在の
国防会議
は存置いたしまして、さらにその上に
重大緊急事態
への
対処措置
、こういうことがこの
安全保障会議
の
役割
というふうに解釈できるわけでありますが、先般の本
会議
での野党さんのいろいろな
質問
に対する
総理
並びに
官房長官
あるいは
外務大臣等
の御
答弁
を
議事録
で読み直してみまして、私なりにこれを解釈してみたのですが、後段に二つある
重大緊急事態
への
対処措置
、これの
内容
が私は
一つ
の物差しがきちんとあれば非常にわかりいいのじゃないかと思うのですが、例えば
ダッカ事件
とか
大韓航空
とかいろいろと事例は出されましたけれ
ども
、しかし例えば
災害
の問題におきましても
規模
によってはかなり違ってくる、
対象
になるものもあるし
対象
にならないものもあるということではないかと思うのですが、抽象的になると思いますけれ
ども
、こういう場合にはこうなんだということがもう少し明示できないかと思うわけでありますが、その点についてもう少し詳しくその
内容
について
お尋ね
をしたいと思います。
塩田章
6
○
塩田政府委員
今も
お話
がございましたように、
重大緊急事態
の定義の問題でございますけれ
ども
、必ずしも具体的でなくて抽象的な表現に
法律
上なっておるわけでございますけれ
ども
、
考え方
としまして、
我が国
の安全に重大な
影響
を及ぼすおそれのある
事態
という
一つ
のつかまえ方をしまして、それから二つの除外を設けております。と申しますのは、第一は
国防事態
でございまして、
考え方
によりますと
我が国
の安全に重大な
影響
を及ぼすものの最たるものが
国防事態
であるということになるわけでありますが、
国防事態
につきましては現在の
国防会議
、今後の
安全保障会議
の第二条第一項の
規定
として
対象
になることが明記されておりますので、そういう
意味
でこれを排除します。さらに第二の排除としまして、今も
お話
にございましたけれ
ども
、
通常
の
緊急事態対処体制
が現在いろいろございますが、そういうことによって
通常
に
対処
できるものは今回の
重大緊急事態
からは排除してよろしいではないかという
考え方
で、例えば
自然災害
につきましては
中央防災会議
あるいは
事態
が
発生
した場合の
災害対策本部
といったような現在の
制度
がございまして、そういったもので
対処
できる
体制
ができております。また、
エネルギー等
の問題につきましても
国民生活安定緊急対策本部
といったような
制度
がございまして、それに
対処
するという形が現在できております。そういったものを除いて、それ以外のもので
総理大臣
が必要としたものが
安全保障会議
の
審議事項
になる、こういう
考え方
でございます。 それでもなおかつ抽象的ではないかということでございますが、将来起こり得るいろいろな
事態
を、どんなことが起こるかわからない
事態
を具体的に書くということは大変困難でございまして、私
ども
としましては、今申し上げた
法律
の
規定
以上には、過去の具体的な例でこういった例が該当するではなかろうかというふうにしか具体的には申し上げにくいわけでありますが、その例としまして、例えばミグの
事件
とか
ダッカ
の
事件
とか
大韓航空機
のような
事件
がもし今後起こるとすれば、それはこの
安全保障会議
の
審議
の
対象
になるのではなかろうかと考えておるところでございます。
石川要三
7
○
石川委員
今の
答弁
に対してさらにこれを続けて
質問
したいのですが、何か
大臣
の日程もあるようでありますから、順序を変えまして
官房長官
に特に
お尋ね
したいのです。 私の知るところによりますと、
国防会議
が
設置
されたのはかなり前だと思いますが、ある人の話によりますと、その
国防会議
を
国会
で通すときには大変な時間と日数をかけて議論された、
本当
かうそか知りませんが、
総理
も三回ぐらいこの
委員会
に臨んでいろいろと
質疑
があったということを聞いております。そのような大変な
エネルギー
を消費してようやく
国防会議
が誕生したのだと思うのです。しかし、
国会
の本
会議
での
質問
の中にもありましたが、その後の
国防会議
の実際の
運用
を見るとそんなに重要な場ではなさそうな
感じ
もするというふうに私には
感じ
られるのですね。でありますから、今回それを継承するというのだから、それをただ継承したんじゃどうも重大なことじゃないかと私は思うのですけれ
ども
、そういう
運用
を誤ると大変なことになる。過去のことばかりにとらわれるわけじゃございませんが、一体
国防会議
というのは何回くらい、
本当
にどんなものを
内容
にやられたのかということをまず一点聞くと同時に、そういうことを継承するならばせっかく仏をつくっても魂を入れずということになってしまったら大変だと思うわけです。ですから、今後のそういう
運用
などについてはどんなふうに考えられているのか、その点を
お尋ね
したいと思います。
塩田章
8
○
塩田政府委員
お尋ね
の中に今までの
回数
の
お尋ね
がございましたので、その点私から先にお答えいたします。
国防会議
としましては、現在まで七十二回、それ以外に……(
石川委員
「年間どのくらいですか」と呼ぶ)約三十年間で七十二回でございますから、単純に割れば二回強ということになりますが、これは非常に偏っておりまして、例えば去年、六十年なんかは一年間に十一回開いております。と申しますのは、そのときのテーマによりまして、例えば五十一年の「
防衛計画
の
大綱
」をつくった年なんかも相当
回数
を開いております。それ以外には
余り
開いていない年があるといったことで偏っておりまして、単純に平均すれば二回強という格好になっております。それ以外に
国防会議
の
議員懇談会
というのがございまして、これが今までに七十一回開かれております。
回数
は以上のような
状況
でございます。
後藤田正晴
9
○
後藤田国務大臣
国防会議
は申し上げるまでもないので、
文民統制
という上から見て私は非常に重要な
機関
である、かように理解をしておるのですが、今日までも
防衛
の
基本
の
方針
、第一次から第四次までの
防衛計画
、さらには「
防衛計画
の
大綱
」、そして
中期業務計画
の策定、それぞれの
段階段階
で私は
それなり
の
役割
を果たしてきたと考えておるわけでございます。 しかしながら、この
国防会議
の
あり方
をめぐっては過去随分古くからいろいろな御
意見
がございます。その御
意見
の中の
一つ
に、
石川
さんの今の御
質問
のように、年に二回ぐらいしか開いておらぬ、しかもそこに二十数名の職員がおる、何をしておるのだといったような手厳しい批判があることも事実でありますが、しかし同時に、この
制度
があること自身が、
シビリアンコントロール
の上から見て重要な
存在
であるし、
それなり
の
意味
を十分に果たしておる、私はかように考えるわけでございます。そこで、今回の
改正
の際には、こういった
国防事態
に対してはそのまま引き継いでいくということをまず考えております。 いま
一つ
は、
警察
であれば
非常事態宣言
がございます。しかし、これは、
公安委員会
がそれぞれ管理しておる
警察
を、
公安委員会
を、その
事態
には配慮して
総理大臣
が直接指揮命令できるというだけで、
実態
的には何らの変わりはない
組織
でございます。あるいはまた、
災害
であれば
災害対策本部
ができるし、
エネルギー等
の場合には
国民生活安定緊急対策本部
というものができます。しかし、実際は、これらでは
処理
できない
事態発生
の
危険性
を絶えず内包しているのが
日本
を取り巻く内外の
情勢
だろうと私は思う。国内的に見れば高密度の
工業社会
でございますし、国際的に見れば
世界的規模
で
日本
と諸外国との
関係
が非常に緊密化しておる、その
世界
の
情勢
がいつ、いかなることが起きるかわからないということでございます。それらの
影響
は、国の安全なり
国民
の安全に直接重大な
影響
を及ぼすという
事態
が当然考えられる。 ところが、その際の
日本
の
政府
としてのそれに対応する
対処方針
をどう決めるかというのが、どうも
国防会議
の
対象事項
ではない。そして同時に、今まである
非常事態宣言
あるいは
国民生活安定緊急対策本部
であるとか
災害対策本部
といったようなことだけでは
処理
し切れない場合があるわけですが、そのときには、
各省
の
関係
が当然のことながら幅が非常に広くなるわけです。ところが、
日本
の
行政組織
の中の今までの
あり方
は、
ボトムアップ
の
コンセンサス社会
になっております。
ボトムアップ
でございます。そうしますと、
各省
の
意見
がまとまらないのがあると、私は実際に
官邸
で三度ですか勤務をしておりますが、これは容易でありません。
官邸
の中というのは秘書官以外おらぬものですから、
本当
にてこずるのが
実態
なんですね。そうすると、
各省
の
意見
がまとまらない場合、適時適切なる少なくとも
方針
だけは決めなければならない、その
方針
が決まらないということによってそういった
日本
の重大な
事態
に
対処
する
あり方
が時期おくれになる、うまくいかない、結局は
国民
に大きな被害を及ぼすおそれが多分にある、これが
日本
の
行政組織
全体を見た場合に今最大の欠点であろうと私は考えるわけでございます。 そこで、今回の
行革審
としては、それらを検討しながら、
国防事態
の方は
国防事態
で従来のものを引き継ぎなさい、今までの
審議
の
状況等
から見てこれには十分な余力があるでしょう、しかし同時に、その前の
段階
で
処理
しなければならぬ
事態
を
処理
させる必要がありはしないのか、それで、ここで従来の
国防会議
を廃止して一緒に合わさって
安全保障会議
を設けて、従来から抜けておるところを所掌する
組織
につくりかえなさい、この
組織
は
内閣総理大臣
の
スタッフ組織
を
強化
するものである、
つまり物
によっては
トップダウン
の
政府
の
意思決定
を得なければ間に合わないわけですが、その
トップダウン
の
政府
の
意思決定
を間違ってやられては大変なわけでありますから、どうしても日ごろから
各省
との連携あるいは
情報
の
収集
を完全にやっておいて、そういった
事態
に適時適切な
指導方針
が決まるような
スタッフ組織
を
強化
しておけ、それで実施はどうなるかといえば、これはそれぞれの所管において
基本方針
さえ決まれば
各省
はみんなやれるわけですから、それに従ってやっていこうというのが今回の
改正
の
趣旨
でございます。 したがって平たく言えば、うっかりしてほっておけば
有事
のような状態になるおそれがある、しかしここで適切な
処理
をすれば
有事
に至る前の
段階
で
有事
に至らしめないような国全体の
政府
の
方針
というものが的確に決まっていくのではないのか、このことは
国防会議
の
国防事態
というものと合わさることによってある
意味
において
つながり
はありますから、
実態
の
対象
は違いますが
つながり
が出てくるおそれがあるわけですから、
シビリアンコントロール
という
意味
合いにおいても十分な
機能
を果たすことができるのではないかということ、これが
一つ
。 もう
一つ
は、
形式論
ではありますけれ
ども
、
シビリアンコントロール
をやらなければならない
国防会議
が、
防衛庁設置法
の中にあるという
法体系
は一体いかがなものであろうかということ。私が
基本
的に考え、また言っておるのは、
国防会議
は決して
自衛隊
の
出店
ではありませんよということなんです。これは
自衛隊
の
出店
になったのでは
意味
がないわけですから、こういった
考え方
のもとにきちんと整理することによって、
本当
の
意味
での
シビリアンコントロール
を広い
意味
でも果たさせたいという
意味
でございます。 やや長くなりましたが、立法の
趣旨
その他についてあわせてお答えしたわけでございます。御理解願いたいと思います。
石川要三
10
○
石川委員
今の
長官
の
お話
で、
国防会議
は
防衛庁
の出先であってはまずいという御見解、なるほど私も全く同感でありますし、そのとおりだと思います。 ただ、これはまた前後してバックしてしまうような
質問
になるかもしれませんが、
国防会議
は
政府
も相当の
エネルギー
をつぎ込んで
設置
した割には、何か失礼だけれ
ども
、全く
盲腸
のような
感じ
が私はせざるを得ないのです。ですから、その上にまた今度は違う
要素
も入れてつくるのですから、
盲腸
というのはついておるのです。今までなら
盲腸
みたいなものでも、それを継承していくというのだから、せっかくできたものもまた第二の
盲腸
になりはしないかという
心配
をせざるを得ない、こういった
角度
から
質問
したわけでありますから、どうかその点を十二分に、せっかくつくられた仏ですからしっかりした魂を入れてもらいたいという念願をして
質問
したわけであります。 もう
一つ
の
心配
の
要素
は、
重大緊急事態
への
対処
でございますが、これは非常に重大しかも緊急ですからゆっくり考える時間がないわけですから、そういう
内容
のものを、これは
諮問機関
でありますけれ
ども
、それにかけて、そしてまた、その
一つ
の
結論
は多数少数ということでなくて、
一つ
の
結論
を
総理
がそこから得るわけですから、間違ったものでは困るわけです。ですから、そういう裁断をして
結論
を得た、それを
閣議
にかける、時によると何か緊急なるがゆえにこれがそれだけの効果を発揮できるかどうかという、そういう
緊急性
と慎重との
関係
、そこいらをどのように御判断されているものか。場合によれば
閣僚会議
の中でそういうものを十二分に検討することだってできないのじゃないか。どうしてもこれが必要なものかどうかということで、場合によれば、
閣僚会議
にかければ
余り大勢
だから議論が百出してまとめられないということもあるかもしれません。しかしそれは
運用
でもって、何も多数決でやらなくてもいいのですから、
関係閣僚
に一任するとかという方法もとれるとは思いますが、しかし、もしもそういうことならば、私が
心配
している第二の
盲腸
論的な
存在
になりはしないかという
心配
からすれば、こういうことをやると結局
緊急事態
に一体対応できるのかしら、こういうふうに
心配
するわけですが、その点
長官
はどんなふうに御判断されているかということを聞きたいのです。
塩田章
11
○
塩田政府委員
緊急を要するということでありながら
閣議
との
関係
でかえって時間がかかるのではないかというような
趣旨
の
お尋ね
だったと思いますが、
閣議
との
関係
につきましては、
基本
的には現在の
国防会議
と同じ
関係
でございまして、現在の
国防会議
も
安全保障会議
もともに
総理
に対する
諮問機関
であります。
総理
に対して
答申
をするわけでございますが、その中で
閣議
にかけるべき必要な
事項
については当然
閣議
にかけていく、この点は今後も変わらないわけでございますけれ
ども
、その点今後の
重大緊急事態
の場合を考えますとそれでは時間がかかって遅いではないかという御
指摘
は確かにあるわけでございますけれ
ども
、かけるべきものはやはりかけていかざるを得ません。これは当然のことだと私
ども
は理解いたしております。したがいまして、
案件
によりましては
閣議
にかけないで
処理
できる
案件
ももちろんございます。そういったものは
総理
に
答申
し次第
総理
の指示を受けて
各省
がそれに従って動いていく、こういうことになろうかと思いますが、その辺はまた実際の
運用
の問題でもございまして、御
指摘
のとおり緊急の
事態
に速やかに
対処
するという要請につきましては当然我々も考えていかなければなりません。ただ同時に、
閣議
にかけるべきものはやはりかけていく必要がある、このように理解しておるところでございます。
石川要三
12
○
石川委員
この
安全保障会議
というものは、要するに
一つ
の
事件
というものが
発生
して初めて作用するのですか。その以前、これはまた解釈が非常にあれで、
対象
が制限できませんからなかなか予測もできないかもしれませんが、例えば北朝鮮と韓国との
関係
が非常に怪しくなってきた、それに対する
日米
の間のいろいろな
関係
からまた非常に憂慮すべき
事態
も想像される、予知されるという場合、リビアとアメリカはちょっと地理的な
関係
があるからこれはどうかわかりませんが、そういういろんな
国際紛糾
の中で
日本
の
安全等
も脅かされることが予知される、その予知されることが十分顕著なんだけれ
ども
という場合、そういうときにもこの
会議
については作用できるのですか。
塩田章
13
○
塩田政府委員
安全保障会議
は、
原則
、
事態
が起きた場合にこれにいかに
対処
するかということについて、その
対処措置
について
審議
をし、
総理
に
答申
をするということが
任務
でございます。平素どういうことをしておるかという点につきましては、これは
答申
にもございますけれ
ども
、いざ何か
事態
が起こった場合の
政府
の中の
連絡調整
の
あり方
でありますとか、その
情報
の
収集
の仕方でありますとか、そういった
調整
の仕方について平素
勉強
をしておく、マニュアルをつくっておくということはやっておく必要がある、これは
答申
にもそういう
指摘
がございまして、我々もそういうふうに考えております。動くといったらあれかもしれませんが、
原則
、
事態
が起こったときにこれにいかに
対処
するかというのが
任務
であることは変わりはございません。
石川要三
14
○
石川委員
大臣
の時間の御
都合
は、もう退場しなければならないようなことを聞いておりますが、よろしゅうございますか。(
後藤田国務大臣
「まだ大丈夫です」と呼ぶ) もう
一つ
お聞きしますけれ
ども
、今度の
安保会議
というものは、申し上げるまでもなく
行革審
の
答申
からこのような
設置
になったということでありますが、
内閣官房
の
強化
の
一環
として
外政調整室
というものができるわけでありますが、これと
外務省
との
関係
につきまして、
二元外交
ができるのじゃなかろうかというような
角度
から、先般本
会議
でも二、三の方から
質問
がありまして、これに対して
総理
並びに
安倍外務大臣
からの
答弁
が出ているわけでありますが、この
議事録
だけを読んでみてもこれについては非常に簡単に触れているのです。 例えば
総理
の
答弁
でございますけれ
ども
、「
外政調整室
の問題については、これは
内閣レベル
の
総合調整機能
を
強化
しようとするものでありまして、対外的な接触を必要とする問題は、
外務省
と協議の上、正規の
外交チャネル
を通じて行われるものでありまして、
二元化
のおそれはありません。」これだけで終始しております。それから
安倍外務大臣
の
答弁
につきましても、「
外交関係
の
処理
に必要な
国内調整
は、第一義的には
外務省
が行います。その上で、
内閣
としてその
統一保持
上必要な場合に、
所要
の
総合調整
を行うことが
外交調整室
の主たる
任務
であり、」これだけです。これはどの方の
質問
に対しても同じように、ちょうど
判こ
を押したような答えが返ってきておりますが、これだけではちょっとわかりにくいし、
余り
にも何かお役人さんがメモ的に読んだという印象が強いのですが、この点についてはもう少し
内容
について親切な
説明
をひとつ承りたいと私は思うのです。
後藤田正晴
15
○
後藤田国務大臣
この案は、
行革審
の
審議
の途中からも、
外交
二元化
のおそれを生ぜしめるようなことがあってはならない、こういう御
意見
がございました。したがって、それらの点については十分配慮した上で
行革審
の御
答申
もあったと思いますし、また、
政府
が作案する過程でもその点については十分配慮しておるつもりでございます。
対外関係
の
処理
について
外務省
の
頭越し
に
対外折衝
をやるということはあり得ざることであって、これはやはり
外務省
が
外交一元化
のもとにやるべきものである、そういう線でこれを運営いたしたいと思います。 ただ、問題はどういうことかというと、今日の
日本
の
行政
を進める上において、
外交
の
案件
というものが直ちに
内政
に
影響
するわけです。今までであれば、普通よく言われることは、
内政
の延長線上に
外交
というものがあるのだ、これが
常識論
でありまして、まさにそのとおりだと思います。しかしながら、最近の
我が国
を取り巻く
状況
から考えますとそれだけでは不十分で、
外交
の頭を持って
内政
のかじ取りをやらなければ国政はうまく進まないという
実態
が出てきていることも事実なんです。
外交
の
案件
が即、したがって
内政
との
調整
がうまくいかないと、とてもじゃないが
対外関係
の
処理
ができないという
実態
があるわけですから、そこでその際に、
外務省
が外国とは折衝はいたしますが、しかしながら、
外交
の問題を国内的にどうこなしていくかというときに、
外務省
だけではとても
各省
が言うことを聞きません。そうしますと
日本
の
意思決定
というものはできないわけでございますね。そういう事例が非常に多くなってきておる。 しかもそれが
緊急性
を帯びてきたとき、普通の
事態
であれば時間をかけて従来のようにやればそれは一向かまいません。しかしながら、これが緊急な
事態
の場合にはどうにもならないということがございますから、そういった
総合調整
をやるときに、
政府
全体としての
意思決定
はこれは
官邸
でやらざるを得ない場合が出てきます。そういうときに、やはりふだんからの補佐
組織
というものをきっちりしておかないと、間違った
調整
をやられたのじゃこれは大変な
事態
になりますから、やはり
外政調整室
というものを置きながら、絶えず
外務省
なり通産省なり経企庁なり大蔵省なりともよく連絡をしておきながら、そういった
事態
が起きた場合のその
調整
について、普通は普通のやつでやりますから、しかしながらどうしてもこれはそれでは
処理
ができないというときには、
政府
の
意思決定
を早急にやる、そのときの
政府
の決め方について間違いのないように補佐をする必要があるということで、
外政調整室
と
内政
調整
室を置いて絶えずその二つの連絡をさしておく、こういう仕組みに考えているわけでございますので、御理解願いたいと思います。
石川要三
16
○
石川委員
いろいろと
お話
を聞いておりますと、確かに今回の
安保会議
の
設置
をする必要性というものはよく理解をされるわけであります。問題は、ただ、
国防会議
のようにせっかくこれが
設置
されてもどうも今までのように、何か我々の期待から見て非常に希薄な
存在
のようなものにならないように、ぜひひとつ、せっかくできるこの
会議
を十二分に、
我が国
の真の安全保障のために
機能
を十分に発揮できるようなそういう
運用
を積極的にお考えをいただきたい。そのことを切に要望いたしまして、
質問
を終わります。
志賀節
17
○
志賀委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時十二分散会 —————・—————