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新村(勝)
委員 日本の経済はもちろん自由主義経済であります。しかし、不況業種等の特別な
状況、条件のもとにある業種に対しては、政治が手厚く保護するということが行われております。これは大変結構な
制度だと思いますけれ
ども、同時にそれは一種の特権、あるいは一種の特典を伴う、そしてそれがよほど注意をしないと利権に結びつく、あるいは政治と癒着をして
疑惑を生ずる、こういうことがいろいろなそういう
制度からは派生しやすい、そういうことが言えると思います。
例えば不況業種に対する
設備廃棄事業につきましても、機械の
登録を通じて、あるいはその買い上げを通じてそういった
疑惑がつきまとっておるということであります。例えば
撚糸あるいは織機、そういったものの
登録をするかしないか、無籍であるか有籍であるかということによってその所有者には大きな経済的な
差別がついてくるわけですね。原則として無籍はないんでしょうけれ
ども実際にはあるわけで、無籍については仕事もできない、また買い上げの
対象にもならない。そこで、無籍のものを有籍にしてもらうためにいろいろ手を打つということが出てくる。それからまた、買い上げをしてもらうことについて、それに伴ういろいろな工作なりというものが当然生まれてくるということです。そういうところからいろいろな
疑惑が出てくるんだと思います。
そこで、撚
工連については連合会の資金を流用したということでありますけれ
ども、私はこういうことを申し上げたいのですが、織機の業界というのは、
昭和十七年に大不況になりまして、一度三〇%程度整理をされた。その後、日本絹人絹工業協同組合を中心にして運営をされておるようでありますけれ
ども、
昭和二十六年に
登録制がとられ、その当時、大変景気のいい、いわゆるガチャマン景気という時代があったと言われております。そして、この時代に
登録のされておらない無籍の機械が大変出回ったというか増加をしたということですね。そして、五十年には絹人絹織機の
登録と再整備がなされて、ここで無籍の機械が大量に有籍になった、こういう経過があるようであります。そして、原則として
登録をされた機械でなければ生産ができない、したがって仕事をもらうこともできないということ、それからまた罰則もあるようであります。
そこで、そういう
状況の中で無籍の機械を有籍にする、未
登録のものを
登録するための、もちろんこれは個人ではできませんから、それを
登録してもらうためにいろいろの工作が行われ、その間において政治資金が流れた、こういう
疑惑が持たれておるわけであります。
これは綿スフ絹織物あるいは化合繊の織機でありますが、未
登録が
登録されますと、未
登録の場合には全くスクラップ同様のものが、
登録をされますと二十万ないし四十万の値打ちがその瞬間に出る、こういうことであります。そして、
登録の機械であればその権利を売り買いをすることもできるということでありますから、
登録をすることによって所有者は一躍大変な経済的な利益を得るということですね。そこで、そのときに地元の有力政治家が、無籍を有籍にしてやるからということで一台五万円の政治献金を受けた、こういうことが伝えられております。
その
状況については後でも詳しく申し上げますが、そういう形で未
登録から
登録に変わった織機が数千台あるということが伝えられております。この絹人絹織機については五十年の前半にそういうことが行われたようであります。そして、この織機については六十年、六十一年、六十二年にも三年計画で約八千六百台程度を廃棄しろ、こういう計画があるようであります。こういう経過のもとにこれから八千六百台の廃棄がなされるわけでありますけれ
ども、そういう経過を
通産は御存じであるのか、それからまたこの三年間の計画についてはどうなっているのか、まず伺いたいと思います。