○岡田(正)
委員 そこで、今お答えがありました中で、リコール等に訴える直接請求の場合のケースとして、
住民から著しくひんしゅくを買うような行動あるいは公約に反するような行為等があった場合ではないかなということで大体運用されておりますということでございますが、三宅島におきますこのリコール騒ぎというのは、私の聞いておりますところでは、昨年の十二月の十二日に二人の議員さんが空港設置に賛成をしておる、胸くそ悪い、この議員をひとつやめさせようじゃないかというので直接請求の要求をした。そこで代表者の証明をしなければならぬわけでありますが、一人の議員について一枚ずつの証明が要るわけでございますから、六人の請求代表者が署名、捺印をして選管にお出しになった。それが十二月の十四日。そこでリコールの署名はずっと進んだ。ところが、どこからどういうことでどうなったのかわかりませんが、結果的にはその六名の代表者の中に農業
委員をやっておる人が一人入っておった。それが両方とも入っておりますので、六名のうち一名ずつ入っておりますので、それは特別公務員である、したがって代表者になることはできない。したがって、この代表者の証明というのは無効であるということが出たので、とりあえず十二月二十六日リコールは取り下げた、直接請求は取り下げた、こういうことになって今日ずっとそのまま不気味に鳴りを静めているということでございますが、ここで私がなぜこんなことを聞くのかといいますと、これは一部の全くうわさですから事の真否はわかりませんけれ
ども、空港設置に賛成をする二人の議員憎しとしてその二人の議員を議会から排除するためにリコールをやるというのなら、よし、それじゃ今度は反対する者もやってやろうじゃないかということになってきますね。これは泥仕合いに発展して、その
地方自治体のためには決してならない問題であります。空港設置に賛成したからといって、ひんしゅくを買うような行動ではありませんし、それから公約に違反する行為でもございません。ただ島民の反感を買っておるというだけのことでありまして、言うならば主義主張の差ですよね。こんなことは国会ではしょっちゅうありますね。特に共産党さんなんかになると人事なんかの問題はオール一〇〇%反対という態度をおとりになることがたびたびありますね。そういうことがありますが、その都度、おのれ、共産党のやつ、けしからぬやつだと言って
国会議員はできないことになっています。ところが、
都道府県会議員、市町村
会議員はこれ、できるんですね。そうすると、大都会なんかじゃ
考えてみたところで物語ですからおよそできるわけもございませんが、ごくごくいわゆる過疎な
地域につきまして
考えてみますと、そういう村議会なんかではまあ一名ぐらいしか出ていらっしゃらないでしょう。大体一、二名ですね。そういう人たちに対して、あいつ
会議のたんびにうるさいことを言いやがる、よし、それならあいつやめさせてやれということで、
住民をちょっとおだてればいつでもリコール騒ぎができるわけですね。これは大変なことだと私は思うのですよ。
政治の場ですから、いろいろな
考えがあるのは当たり前ですよ。その主義主張の差、政策の差があることによって、それが気に入らぬから直接請求だと言ってそんなものが一々取り上げられておったのでは、
日本の国の中ではもういつもかつも大騒ぎをしておるというようなことになりかねないという心配を実は和しておるのです。これは経塚先生に頼まれて言っておるのじゃないのです。頼まれて言っておるのではありませんが、いわゆる少数政党なんていうものはいつ、そういうわなにかかるかわかりません。あり得ることです。三宅島でもしこれが成功しましたらとんでもない前例を残すことになりかねないと私は思います。幸いにしてといいますか、とにかくこの直接請求は一応やめたわけですから、不発弾で終わったわけですから事なきを得ておるのでございますが、ええい、畜生、ちゃんとメンバーをそる文で、代表者の中に公務員を入れぬようにしてもう一遍おれはやったるぞということで本当にやってごらんなさい。今の三宅島の空気からいったら、三分の一以上の署名をとるぐらいのことはわけはないですよ。それでリコール成立。成立したら今度は選挙になりますね。選挙になったらああいう勢いじゃ当選することは恐らく不可能です。ああいう空気のところでは不可能です。言葉は悪いかもしれませんが、一種の村八分、合法的な村八分ということに通じやしないか、これは議会制民主主義というものの根底を破壊することになるのではないかと、私は非常に大げさに受け取っておるのですよ。
我が党のけさの国対
委員会の中におきましてそのことが実は問題となりました。これは決して共産党さんから頼まれたのでも何でもありません。これは繰り返し念を押して申し上げておきますが、とにかく議会制民主主義を守る上でこんなこと許されていいのかいな、しかも、
住民の直接請求というのは何でもできるんだよということになっておるのなら、これだけは除外というのはおかしいと思います。だが、
地方税の問題にしても、
負担金の問題、手数料の問題、使用料の問題、すべて
住民の直接請求は相ならぬと決めてあるじゃありませんか。例外規定はあるじゃありませんか。ということになれば、議会制民主主義の根幹を揺るがすような大問題が今芽生えかけて火がおさまっているこの段階で何かの
対策を講じなければならぬと私は
考えておるのでありますが、いかがでございましょうか。