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1986-02-12 第104回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月十二日(水曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 宮地 正介君       伊藤 公介君    臼井日出男君       大村 襄治君    左藤  恵君       坂本三十次君    自見庄三郎君       鈴木 宗男君    中川 昭一君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    五十嵐広三君       小川 省吾君    上西 和郎君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       駒谷  明君    中村  巖君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 小沢 一郎君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         自治政務次官  森   清君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         大蔵大臣官房調         査企画課長   畠山  蕃君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         大蔵省主税局税         制第三課長   瀧川 哲男君         厚生省保険局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     自見庄三郎君   湯川  宏君     鈴木 宗男君   佐藤 敬治君     上西 和郎君   小谷 輝二君     駒谷  明君   宮崎 角治君     中村  巖君 同日  辞任         補欠選任   自見庄三郎君     宇野 宗佑君   鈴木 宗男君     湯川  宏君   上西 和郎君     佐藤 敬治君   駒谷  明君     小谷 輝二君   中村  巖君     宮崎 角治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に  関する法律案内閣提出第三号)      ————◇—————
  2. 福島譲二

    福島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。小沢自治大臣。     —————————————  昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に   関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま議題となりました昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  今回の補正予算において所得税及び法人税減額補正されることに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して千四百四億八千万円の落ち込みを生ずることとなってまいったのであります。  しかし、現下の地方財政は、当初予算に計上された地方交付税総額減額できるような状況ではありませんので、昭和六十年度分の地方交付税については、地方交付税法第六条第二項の規定による額及び交付税及び譲与税配付金特別会計法第四条の規定による一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入金の額の算定について特例を設けることにより当初予算に計上された地方交付税総額確保することといたしております。  また、この特例により、昭和六十年度において減額されないこととなる額につきましては、地方交付税法第六条第二項の規定による後年度の精算の対象からは除外することとするとともに、別に法律の定めるところにより、この額以内の額を、昭和六十二年度以降の地方交付税総額から減額する措置を講ずることとしております。  以上が、昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 福島譲二

    福島委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 福島譲二

    福島委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  6. 安田修三

    安田委員 それでは、早速でありますがただいま議題になりました法律改正案につきまして質問いたします。  まず大臣、今度新しく就任されましておめでとうございます。地方自治体にとりまして行財政の大変厳しい折、ぜひひとつ地方自治の発展のために御尽力をお願いしたいと存じております。  さて、まず私は、大臣地方交付税に対してどのような見方を持って対処されておられるか、このお考えからひとつ先にお聞きしたいと存じます。
  7. 小沢一郎

    小沢国務大臣 地方交付税は、税源地域の偏在を調整しながら地方行政が合理的、妥当な水準を維持するためにそれを保障していく制度であると思います。そして、それによって国と地方の事務の配分経費負担区分に対応しまして地方税源配分の仕組みを定める制度一つであろうと思います。したがいまして、一般歳出予算に計上されるものでありますけれども法律国税三税の一定割合配分する、交付するということになっておりまして、その意味におきましても地方公共団体の固有の財源である、そのように考えております。
  8. 安田修三

    安田委員 さてそこで、今度国の経済政策変動からということで、変動としたのは円高問題あり、あるいは内需の拡大がうまく施策として伸びていない、こういう点の変動のために今度は国税減収が起きたということになってまいったと私は思います。そこで、そのために交付税が今度枠が縮まってきた。しかも地方自治体にとりましては、地方財政計画に見積もられておりますように、一方では国の公共投資等が思うように進まない中に地方単独事業をふやしたり、あるいはまた公共事業費補助金削減等の中にあえて公共事業拡大等仕事を背負わされたり、いろいろなことで実はたくさんの仕事を目いっぱい行ってまいっております。  こうしたときに、地方交付税の枠が国税減収によって縮まるということは、これはまさにだれの責任だろうか、仕事はしてしまったが、金の方は縮まってきた、だれの責任かということが出てまいります。私は、これは明らかに国の経済政策変動による減収、即地方交付税への影響ということで、国の責任ではないかと思いますが、大臣所見はどうでしょうか。
  9. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま先生から御指摘ありましたように、今回の国税収入落ち込みについて地方団体責任ではないということは御意見のとおりであろうと思います。したがいまして、ただいま御客蔽いただきますように、地方交付税については減額しないという趣旨でもって先生方に御審議をいただきたい、そのように考えて提案いたしたものでございます。
  10. 安田修三

    安田委員 そこで、今大臣は、だから減額はしない、こういうことなんでありますが、確かに今度の法律案で、今年度当初に見積もられた総額確保はできるということについては私たちも賛意を表しておりますし、当然だと思っております。ところが、法律案減額すべき額、いわゆるもし今の国税収入に合わせて三二%ということに補正したならばという、その差額を将来減額するということになっております。いわゆる六十二年度以降、交付税総額から減額することにしておりますが、私は、先ほど言いましたように今年度、さらに来年度予算案につきましても国の補助金削減やその他によりまして地方負担が極めて大きくなってきている、こうしたときに後年度減額を承知するということはできないと思うのであります。  そういう点で、今までも毎年こうして交付税総額につきましては、足らないとき、余ったとき、いろいろな措置を今日までその知恵を絞ってきた事例がたくさんあるわけでありますが、私は、ここはひとつ大きな抱負を擦って就任されました大臣政治手腕によって将来この一千四百四億八千万円の額が地方負担にならないかどうかということになってくるのではなかろうかと思います。そういう点で私は大臣に、法律上では減額ということに今なっておりますが、将来本当にこれは地方自治体に背負わせてしまうのか、あるいはまた六十二年度以降、法律によって定めることになっておりますので、それはまたひとつ地方自治体財政運営支障ないようにおれは頑張るんだということでこの処理に当たっていかれるか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  11. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先生指摘のように、地方公共団体もその財政は大変厳しい状況にあるわけでございます。したがいまして、もちろん六十一年度で精算できる状況にもありません。そういうことで、六十二年度以降にこれを法律でもって定める規定に従って精算するわけでございますが、その法律で定めていく際におきましても、その時期やらあるいは金額等につきましても本当に地方公共団体運営支障を来さないように、先生のおっしゃる意味十分念頭に置きながらこの法律も定めるようにしていきたい、そのように考えております。
  12. 安田修三

    安田委員 私は、これは後ほどまた財政局長にも聞きますが、要するに後年度交付税を決めるときにこれらがどういうぐあいに案分されて減額されるかということになるのであろうと思いますが、過去のいろいろな事例からして、やはり今度法律案で書いてあること、これは減額ということになっておりますが、これそのものもひっくるめて見直しながら将来当然当たっていくべきではなかろうかと私は思います。そういう点で、大臣にそこら辺ひとつよく腹の中に持っていただきまして処理に当たっていただきたいと思うのであります。  そこで、私、実は大臣のいらっしゃる間に、昨日、熱川大東館の大火災がございましたので、急でございますが大臣にもお聞きし、そして消防庁にもお尋ねしておきたい、こう思います。  先ほどいただきました文書によりますと、けさ大臣閣議で御報告になっている要旨がございます。私、こういう世界の先進国である日本にどうして毎年毎年このような火災が繰り返されて、そして今度の場合もまたこういう二十四名という犠牲者が出るという痛ましいことになってまいりました。まことに遺憾にたえません。  私は、けさ閣議でも御発言なされておりますので、まず大臣にこの火災についてひとつ所見をお聞きしたいと思います。
  13. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この熱川の大東館火災につきましては、ただいま二十一名の犠牲者が確認できておりますが、行方不明者を含めて二十四人ということでございます。本当に火災は貴重な国民生命財産を一夜にしてなくしてしまう、そういう大変痛ましい、と同時に国民生命財産を失うという、私どもといたしましてはどうしてもこれを防いでいかなければならない事象である、そのように考えております。ただ、これはいろいろ技術的な、あるいは日本家屋そのもの構造とか、そういったことにも起因いたしておるのであろうと思います。  私どもといたしましては、消防法をより厳格に適用していくということはもちろんでございますけれども、本当に火災の恐ろしさを、そしてまた、特にお客さんを泊めるという旅館ホテル、そういうことを経営している皆さんにも、大切な生命を預かるという立場におきまして、防火体制建物維持管理につきましては十分認識して注意していただくようにさらに今後とも呼びかけ、指導してまいりたい、そのように考えております。
  14. 安田修三

    安田委員 長官お見えでありますので消防庁の方にお聞きしますが、火災はそこの管理者の十分な管理がなければ防ぐことはなかなかできない点がたくさんございますが、もし火災になった場合にこのように大量の死亡者が出るという防火上の管理その他、これは消防法にも規定されておりますように消防庁防火管理体制整備その他の大変大きなお仕事を実は持っていらっしゃるわけで、なぜこのように大量の人が死ななければならぬようなホテル旅館等構造日常改善されないのか、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  15. 関根則之

    関根政府委員 ホテル旅館等大勢の方々がその地域なりその建物状況を知らないで宿泊される場合というのがあるわけでございますので、火事が起こりましたときの被害が大きくなるという危険性が極めて高い建物であるわけでございますので、そういったものに対します防火体制の確立につきましては、私ども本当に真剣に取り組んでいるところでございますけれども、依然として大きな犠牲を伴う火事が発生をしていることが後を絶たないということもまた事実でございます。  旅館ホテル等につきましては、御承知のように、消防法上、防火体制につきましての、例えば避難路確保でありますとか自動火災報知機でありますとか、比較的大きなものにつきましてはスプリンクラーの設備義務づけでありますとか、そういった設備面設置義務化というものも図っておりますし、また、消防訓練でありますとか、そういったいわば管理面ソフト面での体制もしっかりしたものを行うようにしているわけでございますが、必ずしもまだそれらが十分守られていないという面がある。設備そのものはできておりましても、その保守管理維持管理というものが必ずしも設備本来の機能を十分に発揮させることができるような形で行われていない。そういうところに問題があってああいう惨事が起こってしまったというふうに考えておるところでございます。
  16. 安田修三

    安田委員 今度の場合は、日常避難訓練もされていなかったやにも実は聞きますし、あるいはまた、出火から消防車出動まで三十六分間という大きな空白時間があるわけでありますが、今おっしゃったように、訓練あるいはその他施設、そういう点について、これは当該消防署が、日常防火管理が十分かどうかということについては立ち入り検査、質問その他大きな権限を持っているわけでありますけれども、ここの場合は、現地消防署では日常そういう点についてどのように行われていたか、消防庁の方ではもう掌握されておりますか。
  17. 関根則之

    関根政府委員 お話のありました消防設備設置状況でありますとか、また訓練その他の防火管理上のいわば維持管理面、そういったものにつきましての実情がどうなっていたか、それは現在調査中でありまして、具体的に今の時点で明確にお答えすることができないわけでございます。  また、出火から消防車到着まで時間がかかっておるということでございますが、正確な出火時間等につきましては私どもまだこれも正確につかんでおりません。ただ、消防本部への一一九番によります連絡がございましたのは二時十一分でございまして、それを受けまして直ちに出動いたしまして現地到着いたしましたのは二時十七分。消防本部の場所から火災現場まで六キロほどございますので、大体機敏に対応して現地出動はできたものというふうに考えております。
  18. 安田修三

    安田委員 消防車がわずか六分で現地到着ということになっているのですが、出火の通報が遅くて三十六分の空白になったのかどうか、これから調査にまたなければなりませんが、とにかくあれだけ若い、体力のある学生さんでさえ逃げられなかったということでありますから、これは火の手が早かったことは間違いございません。したがって、ひとつ十分の調査をいただきたいと思います。  同時にまた、今マル適マークの適用を受けるのは三十人以上を収容する施設。そうしますと、古いのは古いのでそのままうっちゃらかしというような感じになってしまいますが、古いのはどういうぐあいにしてこういう惨事に遣わないような対策ができるのか、その点はどういうぐあいになっておりますか。
  19. 関根則之

    関根政府委員 マル適マークにつきましては、これは一定消防設備等義務づけられておる、そういうものがきちんと法律どおり設備がなされておるかどうか、あるいは訓練等がきちんとなされておるかどうか、そういうものを点検いたしまして、法規どおり必要最小隈項目等について適法状態というものが確保されておりますとマル適マークを交付している、こういうものでございます。  そこで、マル適マーク対象としないものは消防法上の規制を一切課していないのかというと、そうではないのでございまして、マル適マーク対象になろうとなるまいと一定施設については必要な一定消防設備設置義務というものも課しているわけでございます。たまたま一種の消防体制整備を促進いたしますところの行政上の便法といいますか、一般国民にもわかりやすい制度として「適」マーク制度というものをとっているわけでございますが、その背後にあります消防施設整備義務というものは、それぞれの大きさなり危険性危険度合いというものに応じまして必要な義務を課している。すなわち三十人以下の木造三階建ての建物につきましても、例えば自動火災報知機とか消火栓でありますとか、あるいは消火器でありますとか、そういったものの設置義務づけておりますし、また、そういうものの義務どおりやっているかどうかの点検というものは、現地消防署においてきちんとやらせていくように私どもとしては指導しているところでございます。決して三十人以下の木造家屋をそのまま消防法対象から外してしまってほっぽらかしておくということではないということを御理解いただきたいと思います。
  20. 安田修三

    安田委員 そういうことであれば、私は、適格になっておればこういう大量に死ぬなんということは起き得るわけはない。確かにおっしゃるような消火栓だとか消火器だとかそういう施設はあったことは間違いないということは既に報道もされております。問題は、それでは、それらの防火管理が適切に行われておるかどうかということにまた戻ってきてしまうわけでございますけれども予算の方からしましても、消防の方は大変特に厳しい毎年の予算になっておりますし、来年度減額ということになっております。我が党からも絶えずそういう点についてかねがね指摘もされておるわけでございますが、私は自治体消防について市町村に責任はあるとはいいながら、やはり今日これだけ建築物が進みあるいはまたレジャー、観光が盛んになっておるときでありまして、これはこうした大量に人が出入りし、そこでいろいろな催し物を行う場についての防火体制について、これはぜひひとつ抜本的に見直して、かかることが今後起きないようにぜひひとつ今度は腹を引き締めて対策をしていただきたい、と思います。  その点、消防庁の方で、そのためには何が足らぬのか、何が必要か、そういうことがあればそれは十分国会に相談すべきことではないか。いつも何とはなしに、そのときあれが不十分、これが不十分ということで出火が繰り返されていく。あるいはまた業者の中にも多大な設備費が要りますから、そういう点もまた皆さんの方ではあるいは激変させないようにというおもんばかりもあるようにも見えます。しかしながら人命を預かるところでありますから、私はそういう点は厳しく対処される必要があると思いますので、長官考えをお聞きしたいと思います。
  21. 関根則之

    関根政府委員 先ほども申し上げましたように、ああいった旅館ホテル等火災が起きますと、今回のように大変大勢犠牲者を出してしまうという大変な惨事になる可能性が非常に高いわけでございますので、私ども人命火災から守るという責任を持っている行政庁といたしまして、こういったものが再び起こらないようにするためにどういう制度的な問題点があるのか、また管理上どういう点をさらに徹底する必要があるのか、そういった問題につきまして、今度の火災を教訓といたしまして十分検討をし、消防施設整備でありますとか、その維持管理あるいは避難路確保等、その他消防防火対策上必要な措置を十分とっていきますよう、業者はもとより、そういった関係者の指導につきまして地方消防機関を督励して徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  22. 安田修三

    安田委員 それでは消防庁の方を終わりまして、次は大蔵省の方にお尋ねしたいと思います。  まず初めに、今度の国税減収政府経済見通しに対する誤りから来たのではないかと思いますが、大蔵省の見解を問いたいと思います。
  23. 畠山蕃

    畠山説明員 お答えをいたします。  六十年度経済見通しの当初見通しと、それから昨年末に行いました実績見込みの違いでございますが、当初見通し段階では四・六%の実質成長率を見込んだところでございます。これに対しまして、改定いたしました実績見込みでは四・二%ということになっているわけでございます。ただ、この当初見通し段階では基準年度を五十年度ということで策定をいたしてございまして、多少技術的なことで恐縮でございますが、改定実績見込み段階では新基準ということで五十五年度基準ということにいたしております。  したがいまして、この四・六%と四・二%という一見下方修正したかに見えます数字を正確に比較することは困難でございますが、一般的なことを申しますと、新基準になりますと成長率数字そのものが小さく出るという傾向がございます。したがいまして、全体を総括して考えますと、当初見通しの四・六%、五十年基準という数字と五十五年基準をもとにしました改定見通しの四・二%という数字は、それほど相違のない数字であるとい。うふうに理解をいたしております。
  24. 安田修三

    安田委員 相違のない数字なら、どうしてこのように大きな減収になってきたのか。これは予算上はそんなに大きな差になって見えておりませんけれども、いただきました資料によりますと、その他のふえておるところもありますが、どうしてこういう差になってきたのでしょうか。
  25. 畠山蕃

    畠山説明員 ただいま申し上げましたのは、実質成長率の全体の数字としてはそれほど相違のない数字ということでございますが、需要項目の中身を見たり、あるいは名目成長率という税収見込みに若干影響のあります数字でごらんいただきますと、そこには若干数字の変化がございまして、名目成長率円高影響とかあるいは一次産品価格の安定といったようなことから物価が超安定をいたしておりまして、その結果、名目成長率が当初見通しよりもかなり低い数字になっているということは事実でございまして、そういったことも影響して、税収見込みにつきましては担当者が別途おるわけでございますが、これは名目成長率見通しからたちどころに出すというものでなくて、それぞれ個別に積み上げているわけではございますが、しかし、そういった名目成長率のダウンということが一つ影響したバックグラウンドとして指摘できるのかと思われます。
  26. 安田修三

    安田委員 そこで、国税収入について、五十九年度当初予算額三十四兆五千九百六十億円、これと六十年度当初予算額三十八兆五千五百億円、伸び率は一一・四%。一方、五十九年度決算額三十四兆九千八十四億円、これに対する六十年度の当初予算額は三十八兆五千五百億円、その伸び率は一〇・四%ということになっております。この両者の差は一%でありますが、大蔵省の方でこの見積もり方はどういうぐあいにして見積もっておられるのか。
  27. 瀧川哲男

    瀧川説明員 お答え申し上げます。  予算見積もり、今の先生の御指摘は当初予算見積もりでございますけれども、当初予算見積もります際には、それまでの課税実績、つまり前年度実績等をまず置きまして、それに今調査企画課長の方からお話しございましたけれども政府経済見通しというものが出ますので、そういうものを基礎といたしまして、さらに、今調査企画課長の方からも話が出ましたけれども、我が方といたしましてはその個別の税目ごとに積み上げていくという方式を使いまして見積もっております。
  28. 安田修三

    安田委員 そこで、これは自治省の税務局長にお尋ねするのですが、地方財政計画では六十年度の計画税収というのは五十九年度の計画税収に対しまして一〇・六劣の伸び率を見たわけであります。この限りでは、大蔵の方で見ております国税収入と大差はございません。  さて、地方財政の場合、この一〇・六というのはよかったのかどうか、ことしのいわゆる税収の関係からしますと、これは正しかったかどうかということですが、税務局長、どうでしょうか。
  29. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 昭和六十年度地方財政計画において見込みました地方税収、これは昭和五十九年度の計画に対しまして今御指摘のとおりの伸び率でございました。ただ、昭和五十九年度におきまして、地方税の実額に若干の増収がございましたので、いわば五十九年度の決算見込みと対比をいたしますと、六十年度の計画計上額は七・五%という数字に相なるわけでございます。この七・五%、つまり五十九年決算対六十年計画見込み額の七・五%が果たして確保できるのかどうか、その見通しについてのお尋ね、このように考えますが、道府県税につきましては御承知のとおり毎月速報をとっておりまして、最も新しいものが十二月末現在の数字でございます。この数字で見ますと、今の七・五%に見合いますものがトータルでは七・七%になっておりますから、計画を若干上回るペースでございます。ただ、内容を見てみますと、法人事業税につきましては、これはどうも先ほど申し上げました伸び率七・五%の内訳である法人事業税の内容に比較いたしますとちょっとやはり難しいのではないか、つまりはっきり申し上げまして計画計上額を下回る見込みが極めて大である。ただ、それ以外の自動車税であるとかあるいは軽油引取税であるとか、こういったものが計画のペースを上回っておりまして、したがいまして道府県税全体といたしましては、もとより今後の経済情勢にもよりますけれども、何とか計画計上額を確保できるのではなかろうかと考えております。  なお、市町村税につきましては、これは速報をとっておりませんけれども、各種の報告、データ等から見ましてこれは計画を若干上回る収入確保できようかと考えておりますので、地方税全体といたしましては計画で見込みました額は確保可能、このように考えておるところでございます。
  30. 安田修三

    安田委員 今おっしゃったことですけれども、多少、自動車税その他上がっておるのがありますが、この道府県税の場合に法人関係の大きいのが落ちておりますと、同じ落ち方でも大きいものが落ちているわけで、そしてその他の、自動車税も大きいことは大きいのですが、上がり方からするとやはり何といっても大きい落ち込みにはかなわないのじゃないかと思います。調定額からしますとまだ九千億円ばかり届かないようでありますが、今局長がおっしゃったように、大体計画どおりいくということになりますか。大体見込み額まで到達するという見込みですか。
  31. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 道府県税につきましては、先ほども申し上げましたとおり、法人事業税におきましては五十九年決算に対して六十年度の計画見込み額は二二%ぐらい伸びなければならぬということになっておるわけでございますけれども、現在、十二月までの実績一〇・八%でございまして、二・二%ポイント下回っておる。既にもう八割以上が収入をされておりますので、この事態で推移いたしますと、これは決算額確保はちょっと難しいかな。国税におきまして減額補正も行われておりますけれども、法人事業税についてもやはり同じような傾向が出ておる。では、それ以外の税目につきましては、これは季節によって余り変動が大きく出るということは考えられません。したがいまして、今申し上げました自動車税とか軽油引取税、こういったものは計画を上回る見込みである、結果的にトータルとしては確保できるのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
  32. 安田修三

    安田委員 そこで、今度は財政局長の方であります。去年財政局長は、五十九年度決算見込みに対して六十年度の場合は八・二%の伸び、こういう言い方をされておるわけであります、国会の答弁で。それは、五十九年度計画税収に対して六十年度の計画税収が一〇・六という伸び、これについての議論があったときに、どちらかというとゆとりを見て、実際は五十九年度の決算見込みからすれば八・二%の伸びを見込んだのだというお話があったのです。先ほどの税務局長のお話からしますと、五十九年度の決算との伸び率は七・五%ということでありまして、まあこの率の差はそのときの情勢ですから、今の場合はどうということは言いませんが、去年財政局長のおっしゃっていたことは、実はちょっとのんびりした考え方だったんじゃないだろうか。私、要するにゆとりを見たという中にそれが感じられるわけであります。  さて、そうしますと、財政局の方では、こういうぐあいに厳しく落ち込んでくる。まあ今税務局長のお話聞きますと、何だかんだ寄せ合わせると大体見込み総額確保されるんではなかろうかというお話でありますけれども、どうでしょうか財政局長さん、おたくの去年おっしゃっておった言葉からしますと、ゆとりを見てというようなことにはならないんじゃないでしょうか。意味、わかりますでしょうか。
  33. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度の決算見込みに対しまして六十年度八・二%程度ということを申し上げましたのは、当時の見積もりによりまして決算の見込みとしましてとったものから八・二%程度、これが五十九年度税収がもっと伸びましたものですから、その決算に対しては七・五という伸びになったわけでございます。これは決してゆとりを持って組んだということではございませんで、地方財政計画におきます収入見積もりは計画の当初対当初ということで組むわけでございまして、これを実際の決算、各地方団体の決算の状況から見ますと、実際に伸びるのはこの程度という数字がまた別にあるわけでございます。その点を申し上げたわけでございます。結局、この額が確保できるかどうかということにつきましては、先ほど税務局長から御答弁申し上げたとおりでございます。
  34. 安田修三

    安田委員 そこで、六十年度の決算見込みとそれから六十一年度財政計画との対比——今年度の決算見込み、大体どの程度か。今、税務局長さんは税収の伸びは大体確保できる、まだそこまでいっておりませんか。見込みはなっておりませんか。
  35. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方財政の六十年度の決算の見込みはまだそこまでいっておりませんで、現在五十九年度の決算がまとまったという状況でございます。  ただ、先生御心配される点は、全体としては賄えるかもしれないけれども、個々の団体においてはかなり苦しいところが出ておるのではなかろうかという実感からの御質問ではなかろうかと存じます。私ども、確かに税収状況を見ておりましても、この十二月末現在の法人事業税の伸び率も、前年度よりも減っている県が八県ございます。また二〇%以上も伸びているのが六県というふうに地方団体によって非常にまちまちである、ばらつきがありまして、全体としてはこの収入確保されるという見通してはございますけれども、個々の団体においては運営に問題があろうかという点が見られるわけでございますので、この点につきましては減収補てん債その他によりまして、各団体の地方財政運営支障のないようにしてまいりたいと考えております。
  36. 安田修三

    安田委員 大蔵省の方は結構でございます。  さて、地方財政計画における歳出は、臨調行革審路線が出ましてから急激に実は抑制されております。当局の方も国に沿った抑制策を毎年厳しくとっておりますが、それを地方財政計画の中で見ますと、絶えず前年伸び率というのは、まず歳出の場合に五十五年度が七・三%になって以来、五十八年度が〇・九%、五十九年度が一・七%、六十年度が四・六%、こういうことになっておりまして、特段五十八、五十九年度では全く伸びが見られなかったということになっております。この反面、国民の租税負担における地方税の割合からしますと、五十五年度が八・二%、五十六年度が八・五%、五十七年度が八・八%、五十八年度が九%、五十九年度が九・一%、六十年度が九・三%、実は毎年地方税が伸びております。  これを一言で言えば、歳出は引き締め、地方税はふやす、その上に国庫補助負担率の引き下げを図ってきたということになりますので、地方自治体にとりましては、非常に大きな負担増になっておると思うわけでございます。にもかかわらず、地方にはまだゆとりがあるのではないかというような考えから、昨年も大きな負担増になり、今年もまた、新年度もまた大きな負担増を強いて、地方債の増発ということになっておりますが、さて、財政局長さん、こういう今の形でいきますと、一体地方自治体財政というのはどこまで借金をしょっていけばいいのか。皆さんは何かありますと、巨額の借入金を抱えて地方は非常に厳しい状況にあるとおっしゃるのだけれども、にもかかわらず、せっかく収支均衡、その収支均衡というのは、今言いましたように歳出を手厳しく引き締めて、地方税は上がっておるという中に、去年、今年も国庫補助負担率の引き下げがなければ収支とんとんになるだろう、こう言われておる中に、収支とんとんになれば、さらに切り込んで地方債の増発をせざるを得ないということになってくる、これは私はまさに異常な財政運営ではないかと思いますが、どうでしょうか。
  37. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方財政計画の策定に当たりましては、毎年度経費全般につきまして徹底した節減合理化を図っておりますが、同時に財源の重点配分に徹するという見地から、この計画を策定しておるわけでございます。また一方、税収におきましてもそれぞれの時点におきます指標に基づきまして的確な見積もりをしておるわけでございます。ただ、御指摘のように地方財政は非常に苦しいわけでございますけれども、この収支が均衡をしたというのも、確かにおっしゃるとおり六十六年度以降に借金を先送りしているということから来ておるわけでございます。  今回、補助率のカットということがございましたけれども、これは国の厳しい財政状況のもとでやむを得ないというふうな措置を私ども講じたわけでございますけれども、個々の地方団体財政運営支障のないよう毎年度的確に交付税確保あるいはその他一般財源の確保に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  38. 安田修三

    安田委員 局長、確保ということをおっしゃるのですけれども、しかし実態はなかなかそういうぐあいにうまく確保されていない。例えば今年度皆さんも大変御苦労なさったことは私たちも十分聞いてはおりますけれども、市町村の退職者医療制度に伴う国保事業の赤字についても、二千八十億円の二カ年間にわたる赤字は、結局三分の二、一千三百六十七億二千五百万円だけが補てんされて、あとは地方自治体負担増になってしまう。こういうぐあいに地方の方は考えておるのだとおっしゃるけれども、さて大蔵の方がきっいのか、あるいは皆さんの方が弱いのか、あるいはまた政治判断でどうしてもこうしなければならぬのか、とにかく地方負担が何かにつけて手厳しくおっかぶさってくる。これはもう少し自治省の方でこの点開き直ってもらいませんと、なかなかうまく解決できないのじゃないか。地方六団体もいろいろなことを言いますが、いざということになれば、日本の今日の現状からしますと、国に言うのは何か天につばを吐くような感じで結局みずからに降りかかるということで、最後は口をつぐんでしまいます。そういう点では自治省の果たす役割は非常に大きい。私は純粋に地方の立場から、これは政府部内で奮闘してもらわなければならぬと思いますけれども、今も言いましたように、こういうぐあいに国保の赤字も降りかかる。そして地方財政計画ではだんだん地方費がふえていく。そして総体的に歳入の縮まった中に、実は表向きは、地方財政は国庫補助金が少なくなるから、自主財源がパーセントでは見かけのふえ方だけになってきて、いかにも地方が健全化されたような歳出構造に見せかけられる。こうしたものを全部一遍はねのけてもらわないことにはなかなか地方の実態というのはわからないのじゃないかと私は思います。  そういう点で、今度の交付税のとられた措置の場合でも、表向きの公式論からすれば、五十九年度制度改正の趣旨から見て今回のやり方は妥当ではない。それはなぜか。それは一千四百四億八千万円を後年度に借入金と同様の性質で繰り越すから、これは五十九年度の改正のときにここで皆さん方とも大変議論になりましたが、とにかく皆さん方が今の制度にしたというのは、これからは借金はしないということであったからだと思います。しかし今度の場合、これは徴年度に借金を繰り越すのと一緒の効果、ただ利息のついてない借金、こういうことになるのじゃなかろうか。そうしますと、これは皆さん方が制度改正だ、制度改正だとおっしゃって行われた、その中身に反してくるのじゃないかと思います。また別の角度から見て、もしこれが翌年に大蔵が主張したように精算する、こうなりますと、これは国の経済施策の変動によって地方が過大の欠損をしょわされるということは、これまた六十年度地方財政計画に基づいた事業内容等が既に行われている中にあってこれは妥当ではない。そういう点で、これは本来は今年は総額確保してさらに後年度負担をさせるべきではない、後年度に持ち越すのなら国の責任においてこれは処理すべきお金ではないかと思うわけですが、財政局長、どうでしょうか。
  39. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の特例措置は、国税三税の減額補正に伴います地方交付税落ち込み分について六十年度においてこれを減額できるような状況でないために減額しないこととしたわけでございます。これによって実質的に国の一般会計の立てかえによって交付税総額確保されるという形になるわけでございますので、後年度において精算することとしたわけでございます。五十九年度におきます地財対策の見直しは、交付税特別会計における新たな借り入れ措置は原則として行わない、そして当分の間地方交付税総額特例措置を講ずるということにしたわけでございます。この特例措置額は法律の定めるところによって精算をするということにしておりますので、したがって今回の措置というものは五十九年度の見直しというものと趣旨が同じ形になっておるというふうに御理解いただきたいと思います。  今後これを返さないということができるかどうかでございますけれども、やはり交付税総額国税三税の三二%と法定されておるわけでございまして、毎年度地方団体に交付すべき交付税の額というものもそれぞれの年度における国税三税の収入見積額を基礎とするということになっておりますものですから、建前といたしましてはこれは収入見込みが減になったときにはその時点において減額するというのが法律の建前になっておるわけでございます。そういった意味で、今回、この五十九年度措置、見直しといいますか、それとも整合性のとれた形でこのような精算を行う、ただ、現在すぐに減額できないという状況でございますので、今後法律の定めるところによって減額をするというふうにいたしたわけでございます。
  40. 安田修三

    安田委員 その五十九年度制度からすればこれでいいんだ、特会で借り入れというのはやめたんだから。特会ではもちろん借り入れしないという、それは皆さんの方はとにかく借金体質をなくするから借り入れはやらない、その年に精算していくということだったと私は思うのです。ですから、これだけの金を後年度におくということはこれは利息なしの借金と一緒じゃないかと実は私は思いますが、皆さんの方はそうじゃないという考えたけれども、しかし皆さんの今までの趣旨からすればこういうやり方というのは本来なかったんじゃないか。  だが、ことしの場合は一応総額確保ということで法律案が出されておりますからそれはそれ、今年度はその措置で終わるわけですから、そういう点ではその点の問題はないわけですけれども、後年度に返さなげればならぬ。もしこれが現年度に足らなければ、既に地方仕事をしてしまったわけですから、かねがね各党が主張されるように、また私たちも主張しておりますように、交付税率を引き上げて実は国で措置してもらわなければならぬ。国税収入が減ってそして一方地方の方は仕事をやってしまった。昨年来多くの補助負担率の引き下げ等によって地方に借金を担がせてきた、また交付税配分等中身についても、経常費系統等の負担分等については地方債のやりくり等いろいろな技術的なことまでして地方負担を担がせてやってきたのですから、これはその場合には当然国が面倒見るべきじゃないか、こういうぐあいに私は思います。  そこで、これを今局長のおっしゃるようにそれは必要はないのだ、これはおかしい。本来国が面倒を見るんだが国は金がないから勘弁してくれ、こうおっしゃるのならまだ筋ですけれども、そうでないということになりますと、何か自治省の方も最近は大分国の全体の中で地方の立場を忘れてしまったんじゃないだろうかという感じがいたしますが、局長さんどうでしょうか。
  41. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かに交付税につ省ましては四十年代にはこのような国の減額が起こりました際には、たしかあれは四十年度の場合にはこれは出世払いというふうなことが行われました。建前としましてはあの当時、地方団体状況がよくなればこれは返すという形でございまして、四十三年度にはこの覚書を破棄したわけでございますが、四十六年度の分につきましてはこれは全額返した。当時でございますれば国と地方財政関係というものもうまくいっておりましたために、いわゆる年度間の調整というものはそれぞれの立場におきまして借りたりあるいは返したりということを行っておった。五十年代になりまして国、地方ともに非常に苦しくなったために、五十三年度から二分の一借り入れ方式というふうなことを講じたわけでございます。結局、この時点におきまして私ども地方財政が苦しくなりましたために交付税率の引き上げということを要求してまいったわけでございますが、国の財政が御承知のような状況でございますためにこれができないという状況でございます。私どももこういった地方財政というものを守るためにはやはり必要な交付税というものは確保しなければならないと考えておりますが、現在の状況では余りに国の財政が悪過ぎると申しますか、そういうふうなことでございますので、やむを得ずいろいろと工夫を凝らしておるということでございます。  ともかく私どもとしましては、地方財政運営には絶対に支障を起こさないように各年度におきまして財源の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
  42. 安田修三

    安田委員 そこで、次は特別交付税の方に少し移りたいと思いますが、実はことしも三年連続の大雪が各地であります。しかもことしは場所が変わりまして、従来余り降らないところにも、四国の方に降ったりということになっております。  さて、ことしの特別交付税配分、特にこの積雪関係についてはどういうことになりますでしょうか、お伺いしたいと思います。
  43. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 ことしの除排雪経費につきましては現在調査中でございます。三年連続して豪雪という可能性が非常に強いわけでございますので、今年度、普通交付税におきましても除排雪経費の増額を図ったところでございますけれども、今後この積雪の状況調査の結果によりまして特別交付税におきまして適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  44. 安田修三

    安田委員 そこで、今年度、普通交付税の算定方法のうち道路橋梁費等の寒冷補正が実は改正されて、積雪度による補正率は路面補修費が二・八%、除排雪費が二%引き上げになったと私思っております。  こういうぐあいに積雪度による補正率というのは近年改善されておるわけでありますが、積雪地帯におきましては毎年毎年連続こういうぐあいに大変負担増が出てまいりまして、もちろん昨年も配分については適切な措置はされておりますが、今後さらに普通交付税等においてもこうした積雪補正というものを改善していってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  45. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 積雪寒冷地帯におきます増加財政需要額を基準財政需要額の算定に反映させるために、御指摘の寒冷補正を設けて年々その充実を図っておるわけでございまして、六十年度におきましては、暖房用設備の価格や除雪人件費等につきまして所要の改正を行いました。今後とも暖房経費あるいは除雪経費等につきまして、物価の動向等をも勘案しながら、適切に改正を行ってまいりたいと考えております。
  46. 安田修三

    安田委員 そこで、先ほど言いましたように交付税関係は昨年もかなり適切な配分等がなされておりますので、ことしもぜひそうして積寒地帯に十分な御配慮をいただきたいと思いますが、さらに、道路関係の除排雪について国庫補助の方、これは自治省の方から呼びかけて建設省と話し合っていただいた方が非常に効果があるようでございます。ぜひひとつ自治省の方から、自治省の方もこういう特交等の配慮をするので建設省等の補助金もぜひひとつ積雪地帯については配慮せいということで働きかけをやっていただきたいと思いますが、局長、どうでしょうか。
  47. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 ことしも大変な豪雪でございまして、こういった事態におきましては特別交付税のみでは十分ではないということで国庫補助金措置が昨年度も行われたわけでございます。今年度におきましても、国土庁等とその点について、国庫補助金の支出について話し合いに入っておるところでございますので、御指摘のような措置を講じてまいりたいと存じます。
  48. 安田修三

    安田委員 そこで、時間が参りましたので、私、最後に要望を申し上げておきたいのは、実際積雪地帯の住民というのは屋根の雪おろし、雪囲い、そうした目に見えた費用のほかに随分いろいろな費用がかかります。私たちも、もう自分で機械を借りて除排雪しなければならぬということで個人負担が非常にふえるわけです。御存じのように、五十六年の豪雪のとき以来、五万円以上の雪おろしは雑損控除になりましたが、大蔵の方も五万円以下あるいはまた雪囲い等を雑損控除に入れるということは大変ガードがかたくて、毎年どこかの委員会で必ず触れておりますけれども、私も去年ここの委員会で触れましたし、去年の予算委員会でもほかの委員の方が触れられておりますが、なかなか実現しません。そういう非常に過大な費用のかかっているものについて、地域住民にしますとそこらあたりは何とかしてもらいたいという意見が非常に強いわけであります。地方税の関係におきましても住民税のこうした軽減措置、これはただ軽減ではなくしていわゆる雑損控除の中にこの種の住民の除排雪関係のものが入るように、こうなりますと国税との関係がございます。自治省の方におきましても、住民のそうした負担軽減のためにぜひひとつ将来に向かって検討していただきたいということを私要望を申し上げて、終わりたいと思います。
  49. 福島譲二

    福島委員長 吉井光照君。
  50. 吉井光照

    ○吉井委員 先ほど安田委員からもお話がございました熱川温泉のホテル火災につきまして、まず冒頭お尋ねをしておきたいと思います。  昨日の深夜の火災で二十四名の方々が死亡または行方不明、このように報じられておりますが、まず、お亡くなりになった方々に対して心から御冥福をお祈りするわけでございます。  そこで、火災原因等につきましては今後の調査にまたねばなりませんが、報道されるところによりますと、出火が午前一時三十五分ごろ、そして消防署出火通報があったのが二時十一分、その間三十六分とされておるわけでありますが、消防車が現場に到着したのが二時十七分、そのときにはもはや手がつけられなかった、このように言われておりまして、消防活動におきまして最も重要な初期出動がこのようにおくれた原因についてどのように掌握されておるのか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  51. 関根則之

    関根政府委員 お話がございましたように、消防本部が一一九番によりまして通報を受けましたのが二時十一分でございます。六キロほど離れておる火災現場までほぼ六分間で到着をいたしておりますので、消防そのものといたしましては大変迅速に対応したというふうに考えておりますが、通報そのものがどうもおくれたようでございます。ただ、私どもといたしましては、お話ございましたように一時三十五分ごろということが言われておりますけれども消防当局としてそれを確認するまでに至っておりません。なお、仮に一時三十五分ごろ出火をしたのがどうして二時十一分まで通報されなかったのかということにつきましては調査中でございまして、現時点でははっきりしたことが申し上げられないわけでございます。
  52. 吉井光照

    ○吉井委員 この火災に遭った大東館の別館は昭和十四年の建設の三階建ての木造、こういったことで、建築基準法による構造規制が適用されておらない。そのために防火体制消防法によるところの防火設備防火管理体制だけに依存しておったわけです。無論スプリンクラーもなくて火災報知機も鳴らず、従業員の避難誘導もなかった、このようにも言われておるわけでございます。このような建築基準法が適用されない老朽の木造施設については、一体全国でどのくらいあるのか、またこれらについては消防法の規制を一段と強化すべきではないか、そして特に危険な施設については使用停止であるとか営業停止等の処分をもっと積極的に行うべきではないか、このように思うわけです。どうしても木造建築、老朽化した木造建築になりますとこうした火災の発生度合いも非常に高いわけでございますので、そういった点のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  53. 関根則之

    関根政府委員 現在、木造旅館ホテル等につきまして階数が三階以上のもの、昨日火災を起こしましたのと同じような旅館ホテルが全国では千三百程度あるものとつかんでおるところでございます。  ただ問題は、現在の建築基準法では木造三階建て以上の旅館ホテル等は認められないと聞いております。したがって、現時点ではつくれないわけでございますが、昔の、法律改正以前の建物というのは一応適法な形で存在をいたしておるわけでございます。そういったものにつきましては私どもは必要な消防施設を講じるという義務づけをもちろんいたしておりまして、安全対策を講じた上で認めておると申しますか営業が行われておるわけでございまして、消防設備の主なものといたしましては消火器消火栓それから自動火災報知機、こういったものが通常の場合必要なものというふうになっておりまして、昨日の大東館の旧館の方もそういう設備設置義務づけられておったわけでございます。それにつきましての遵守状況等につきましては、現在まだ調査が進行中でございまして、どうなっていたかにつきましての最終的な結論は申し上げられませんが、そういうことによりまして、一般の木造三階建ででも防火体制をきちっと講ずることによりまして営業は認められておるというのが現状でございますし、また、そういった防火体制につきましては、訓練でありますとか火災報知機の維持管理でありますとか、そういうものにつきましても徹底をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  54. 吉井光照

    ○吉井委員 このホテルは収容人員が三十人以下ですから、マル適マークの適用の対象外ということでございますが、全国的にも今おっしゃった千三百程度、かなりあるわけですね。したがって、今後このような施設についてもやはりマル適マーク制度を適用してそして利用者の安全を確保すべきではないか、このように思うわけですが、この点いかがですか。
  55. 関根則之

    関根政府委員 消防法上必要な消防設備でありますとか、それの維持管理でありますとか、そういった規制につきましては、マル適マークの適用の対象とするかどうかにかかわらず、必要な施設については小さな旅館でも設置をしなければならない、こういう規制をいたしております。そのことによりまして宿泊客の安全を守っていこう、こういう考え方でやっておるところでございます。  しかし、今御指摘のありました比較的収容人員が少ないものにつきましてもさらにマル適の制度を広げていったらいいではないか、こういう御意見もございますので、今回の火災の原因、犠牲者をあんなに大勢出すことになった状況、そういったことをよく調査をいたしまして、それらの反省の上に立って今の御指摘の問題につきましても検討をしていくべきものというふうに私は考えております。そういった検討は当然対象として考えていきたいと思います。
  56. 吉井光照

    ○吉井委員 ここ数年間、ホテルニュージャパンであるとか蔵王ホテル等の大きなホテル火災が相次いでおるわけですが、その都度その対策の強化が指摘されているわけでございます。  昨日の火災につきましても、きょうの報道によりますと、東京消防庁あたりはこういったたぐいのホテルについて総点検をやる、これは当然のことでございますが、いつもこうした大きい惨事の後には総点検云々と言われておるわけですが、それにもかかわらず、こうした惨事が後を絶たないわけでございます。したがって、このような惨事を繰り返すことのないように、私はやはりハード面、またソフト面、この両面から現行の消防体制というものを真剣に見直して、そして必要な措置を講ぜられることを強くひとつ要望をしておきたい、このように思うわけでございます。  次に、救急医療体制のあり方について若干お尋ねをしておきたいのですが、実は昨年暮れ、東京大田区で強盗を追いかけた勇気ある大学生滝口邦彦君が犯人に刺殺されるという痛ましい事件があったわけでございますが、しかしその後、一刻を争う重体の滝口君を現場で収容した救急車が五つの病院からその手当てを拒否された、こういう事実が明るみに出たわけでございます。  そこで、もしこのようなたらい回し、俗に言うたらい回しですね、これがなかったならば滝口君の生命は救えたのではないか、こういう報道もされているわけでございますが、これが事実とするならばまことにゆゆしき問題ではないかと思います。警察当局はこの事実をどのようにとらえてどのように対処されようとしておるのか、まずこの点をお尋ねしておきたいと思います。
  57. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 この事件につきましては、先月二十二日に被疑者は強盗殺人等で起訴になっているわけでございますが、殺人を立証するためにも先生指摘の点は大変問題になるわけでございます。  そういうことで、警察といたしましては、これまでに被害者が受傷をしてから病院に収容されるまでの状況につきまして関係者から事情聴取を行っておりますほか、死亡に至りました原因につきましても現在鑑定を依頼しているところでございまして、これらの結果を待ちまして適切に対処していきたいと考えております。
  58. 吉井光照

    ○吉井委員 次に消防庁にお尋ねするのですが、東京消防庁調査によりますと、昨年十二月の二十三区内での救急車の出動件数のうち、重体患者、これで五カ所以上断られた後にやっと受け入れられたというのが二十件に上る、このように言われております。消防庁は、このような人命にかかわるたらい回し事件について全国の状況、これをどのように把握しておられるか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  59. 関根則之

    関根政府委員 消防庁におきましては、たらい回しと一般に言われている言葉がありますが、なかなか概念規定が難しいものでございますから、私どもの方ではいわゆる転送患者と申しまして、何らかの理由によりまして救急車が運びました患者を搬送先の医療機関において収容されなかった場合、よそへ転送をいたします。その転送という概念で調査をいたしております。その件数は、昭和五十九年の数字におきまして全部で四万七千五百九十六人でございます。全体の救急搬送人員が二百十八万二千七百七十二人でございますから、割合といたしまして二・二%、百人について二人ちょっと強というものが最初に寄りました医療機関に収容されないでそのほかの医療機関に収容されておる、こういうことでございます。  なお、この中には応急措置のため当然その収容を予定しないでたまたま至近のところへちょっと寄ったというものも含まれているということを御理解いただきたいと思います。
  60. 吉井光照

    ○吉井委員 あわせてちょっとお尋ねしておきたいのですが、同僚の宮崎委員もかねてからドクターカーの普及を熱心に主張しているわけです。消防庁によれば、既に茨城県の筑前消防本部、それから松本、宇都宮両市で具体化されているようですが、これを機会に消防庁は本格的にドクターカーの普及について検討すべきではないか、このように思うのですが、いかがですか。
  61. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、ドクターカーにつきましては現在筑南消防本部と松本、宇都宮それぞれの消防本部におきましていわば試験的な運用という形で運行をいたしておるわけでございます。特に松本市の消防本部におきますドクターカーは、昭和六十年中におきまして六十九件の出動を見たというようなことで地域の住民からも大変信頼を寄せられておる、効果が上がっておるというふうに私ども聞いておるところでございます。  私は、こういう形で大変効果を上げ得る施設であるというふうに考えますけれども、実際にドクターカーを運用するということになりますと、やはり適切な医療機関との間の連携協力関係というものをうまくつくりませんと、車だけ配置いたしましても実際には機能しないというような場合も予想されるわけでございます。そういったようなことからなかなか医療機関との連携、適当な医療機関があるのかないのか、また協力体制確保できるのかどうか、またその医療機関というのは大体大都市、比較的大きな都市にあるわけでございますので、田舎の市町村消防が果たしてドクターカーというものをうまく自分の管轄区域との兼ね合いにおきまして整備できるのかどうか、そういったようないろんな問題がありますから、全面的に全国的に、幅広くドクターカーを設置していく、それを消防法上の制度としてやっていくということは、なおやはり引き続き調査研究を要するのではなかろうか。ドクターカーそのものについては私どもも非常に結構なことだと思いますが、今の消防力の中で直ちにそういうものを大々的、全面的に取り入れていくということは、実際問題としてはいろいろ難しい問題があるのではなかろうかという感じがしているところでございます。
  62. 吉井光照

    ○吉井委員 最後に政務次官にちょっと御意見をお伺いしておきたいのですが、消防国民生命を守ることがその業務であることは当然であります。今回の事故のこうした責任の所在についてはともかくといたしまして、まず消防庁がイニシアチブをとって厚生省等関係機関とも協議をしながら、消防機関と救急病院との間の効果的な連絡体制、また消防救急職員の医療知識や技術、救急医療機関のあり方等について速やかに全国的に見直しを行って、このような痛ましい事件が今後二度と起こることのないよう、ひとつ万全の対策を講ずべきではないか、このように思うわけです。また、そうすることが滝口君の勇気ある行為に報いる唯一の道ではないか、このように思うわけですが、政務次官の御意見をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  63. 森清

    ○森政府委員 吉井委員から救急医療体制、特にこの前の痛ましい事件について、非常に深い御洞察と御意見を拝聴いたしました。私もかねがねそのようなことが、いわゆる救急する側といいますか対処する側の手落ちによってとうとい人命が失われるというようなことがあってはならない、このように考えますので、消防庁あるいは厚生省その他関係機関よく協議をして、御趣旨のようなことができますように努力をしたいと考えております。
  64. 吉井光照

    ○吉井委員 では、次に本論に入らさせていただきます。  今回の法案で所得税法人税減収影響地方交付税が一千四百四億八千万減額すべきところを減額しないで当初計上どおり確保しようとしているもので、この点につきましては当然のことながら評価できるわけでございます。ところが、その附則を見ますと、今回減額しないこととした額を六十二年度以降に交付税から減額することになっております。これでは単に減額を繰り延べただけであると思うわけです。  そこでお伺いしたいことは、具体的に何年度に幾ら減額するのか、これらの点を明らかにしていただきたいと思います。
  65. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の国税三税の減額補正に伴います交付税落ち込み分につきましては、六十年度において減額できるような状況でないということから減額しないこととなったわけでございますが、今後返還といいますか精算すべき額と申しますのは、今回落ち込みが千四百四億八千万円でございまして、このうち寝たきり老人に係る政策減税分九億六千万円を差し引きました千三百九十五億二千万円につきまして六十二年度以降、法律の定めるところによって返還をすることとしておるわけでございますが、いつの時点におきましてこれを減額するかということにつきましては、今後地方財政状況等を十分勘案しながら、地方財政運営支障のないような考え方で減額してまいりたい。その点につきましては法律によって御審議を願いたいという考え方でおるわけでございます。
  66. 吉井光照

    ○吉井委員 では、大蔵省にちょっとお尋ねをしておきますが、年度中途の所得税等の減額に伴う交付税の補てん措置についての過去のケースを見ますと、政策減税分は常に国が全額負担、それから自然減収分は四十年度以降には国が負担をし、五十二年度以降には国が二分の一の負担、そして五十八年度には政策減税分、自然減収分を合わせて国が約二分の一を負担しておったわけですが、今回の改正案によりますと六十二年度以降、今回減額しなくてもよい額を交付税から減額することになっているわけですが、地方が全額負担をし、国が全く負担をしなくてもよいということになるわけですね。これでは従来の取り扱い方と大きく異なってくるのではないかと思うんですが、いかがですか。
  67. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  今回の特例法におきましては、先生指摘のとおり今年度においては交付税減額いたしません。附則において、あわせて政策減税分を除きまして六十二年度以降の法律の定めるところによって精算をするという規定を設けまして御審議をお願いしておるとこはでございます。  例えば四十年度、五十二年度の取り扱いと違う点はどうしたのかという御質問でございますけれども、広い意味での地方財政対策というものにつきましては、先生御承知のとおり四十年代、五十年代、いろいろ変遷を見ております。今回このような措置をいたしました大きな理由といたしましては、基本的には交付税の金額というのは国税三税の三二%というふうに法定されているところでございまして、仮に国税三税の計上額が決算額を下回った場合には精算をされるという原則がございます。あわせて五十九年度におきまして、先ほど来自治省の方から御答弁がございましたように交付税総額確保のための特例措置額につきましては原則として法律の定めるところによって精算をするという一種の原則が打ち立てられたところでございまして、そのような点を勘案いたしまして今回そのような措置をとっておるところでございます。
  68. 吉井光照

    ○吉井委員 ところで、この一千四百四億八千万の中には、先ほど御説明がございましたように寝たきり老人等の政策減税によるところの九億六千万が含まれておるわけですが、この政策減税によるところの年度中途の交付税減額は従来からは行なわないとされていたわけです。したがって六十二年度以降においても、少なくともこの九億六千万については交付税から減額しないということを法文の上に明記しておくべきではないか、私はこのように恵うわけですが、お考えをお伺いしたいと思います。
  69. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、この点につきまして法律に書くべきではないかという議論も私どもいたしたわけでございますけれども、この金額というものが現在御提案申し上げております法律の構成の上からどこにも出てこないと申しますか、これをそのまますぽっと書く根拠と申しますか数字の基礎といいますか、そういったものが出てこないという難点がございまして、立法技術上の問題でございますので、この辺は法制局とも相談いたしまして「以内の額」ということといたしました次第でございまして、その点につきましては今後精算すべきときにはっきりと法律に書くということといたしたわけでございます。
  70. 吉井光照

    ○吉井委員 また、千四百四億八千万からこの政策減税分の九億六千万を差し引いた千三百九十五億二千万、これは明らかに政府税収見積もりに問題があって生じたものですから、いわば地方団体とは全く関係のないものです。したがって、これについては六十二年度以降に交付税から減額するというのはどうもおかしい、このように思うのですが、もう一度この点について御見解をお伺いしたいと思います。
  71. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 この点につきましては、先生御承知のように、国税三税の減収は政策減税の場合と異なりまして、これは景気の動向等に関連するものであるということ、また、交付税額は国税三税の三二%と法定されておって、国税三税の予算計上額決算額が下回った場合には、法律の定めるところによって精算されるということもございます。また、五十九年度におきます地方財政対策の見直しにおきましても、交付税総額確保のための特別措置につきましては、原則として法律に定めるところによって精算する、こういうふうなことになっておりますことを勘案いたしまして、六十二年度以降に減額することといたしたものでございます。
  72. 吉井光照

    ○吉井委員 では、ちょっと政務次官にお尋ねをしておきたいのですが、今申し上げましたように、政策減税によるものも、また政府税収見積もりの欠陥によるものも、いずれも交付税総額から減額すべきものではない、このように思うわけですが、仮に本年度交付税総額減額しないとしても、将来減額するというのでは、実質的にこれは減額したことと同じことになるわけです。昭和六十二年度以降減額するときは、必要な交付税総額確保して、しかる上に地方財政運営支障のないようにすることは、これはもう当然のことだと思います。  問題は、せっかく長い間かかって築き上げてきた、政策減税に基づくところの交付税減額やまた自然減収による交付税減額は行わないというルールが、単に国の財政事情を理由にして全く崩壊してしまうのではないか、このように思うわけです。五十八年度には、交付税減額し、その約二分の一を国が特例加算してその返済を地方に求めないという補てん方式がとられたわけですが、せめて今回、この方式程度はなぜとれなかったのか。結局このような交付税から減額の余地を残す今回の附則の規定は、私は削除すべきではないかと思うわけですが、いかがですか。
  73. 森清

    ○森政府委員 ただいま御審議願っておりますこの法案について、その経緯あるいは考え方については財政局長あるいは大蔵省の主計官から御説明申し上げたとおりでございます。  吉井委員指摘のとおり、地方財政というものを将来を見込んで考えますと、大変これは問題があろうとは思います。しかし、地方交付税というものが国税三税の三二%で、しかも地方財政側からいえばこれは独立税源であるということを主張するというか、考えておるわけでございますが、そういう基本論。それから、財政というのは、国、地方両方を通じてその年その年の財政運営が両輪のごとく相伴ってやっていかなければならない、こういう現実。そしてまた、国も地方も中期的には非常に難しい財政状況にある。  こういうことを総合的に考えまして、また、過去の経緯、特に五十八年度にとられた措置というものを考えましてこのようなことがなされておるわけでございますが、将来、それではこのような交付税を返すといいますか、減額するという措置をとって、地方財政運営支障を来すというようなことは絶対にあってはならない、このように考えますので、六十二年度以降においてその措置をとるときには十二分にその辺のことを考えまして適切な処置をとっていきたい、このように考えております。
  74. 吉井光照

    ○吉井委員 補正予算では、交付税減額のもととなったところの所得税法人税を初めとして租税が五千七百六十億減少しておるわけでございます。これはいろいろな発生要因はあると思いますが、国税ではこのように年度中途の減収補正を余儀なくされておりますが、地方税では本年度地方財政計画に基づく見込み額を確保できるのかどうか、この点を最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  75. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 昭和六十年度地方税収につきまして、計画で見込んだ額を確保できるのかというお尋ねでございますが、道府県税につきましては、十二月末現在の調定の実績を見ますと、六十年度計画計上額が対前年決算に対しまして七・五%のところ、十二月末の実績は七・七%ということに相なっております。ただ、その内容を見てまいりますと、その主力を占めておりますところの法人事業税につきましては、計画で見込んだペースをある程度下回っておりまして、最終的な確保がちょっと難しいのではないか、このように考えておりますけれども、その他の税目の中で自動車税、軽油引取税等、これらは計画計上額を上回るペースで進んでおるところでございます。したがって、道府県税トータルといたしましては、計画計上額を何とか確保できるものと考えております。  また、市町村税につきましては、速報はとっておりませんけれども、各種の報告、データ等から見ますと、計画を若干上回る額が総額としては確保できると考えております。  したがいまして、地方税収総額といたしましては、本年度の計画計上額を確保し得るもの、このように考えておるところでございます。
  76. 吉井光照

    ○吉井委員 以上で終わります。
  77. 福島譲二

  78. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 お話の中でやや重複をする場面も出てまいると思いますが、お許しをいただきまして質問をさせていただきとう存じます。  まず、消防庁長官に要望を含めて一点だけ質問をいたしたいと思うのでありますが、先ほど来各党の方々からも質疑がございましたけれども、こういうような痛ましい事件が起きまして大変憂慮をいたしておるところであります。  私ども旅館に参りましての感じでございますけれども木造の三階建てなり二階建てなりそういうものを見ておりますと、避難口というかそういうものが大変わかりにくうございまして、これは木造に限りませんけれども、泊まっておりまして一たん有事のときにはどうして出て行けるかなと思うような旅館というのは率直に言って数多くございます。それで、避難口というのが一応行政指導では矢印でつけられるようになっているというように思うのですけれども、現実に泊まっておりまして、そういうものがきちっとできておる旅館というのは本当に数が少ないような感じを私ども感ずることがあるのですね。したがいまして、やはり一たん有事の場合の、いわゆる避難口をきちっと明示する必要が行政上あるのではないかと私は思います。  それから、今度出火をして一一九番に電話をしてそれがなかなか通じなかったとかいうことも多分出てくるのではないかというように想定されるのですね。しかも、消防団の方々も現場へ到着して当然もう一一九番で知らせてあると思っておって、現実は知らせてなかったとか、こういうことがあって三十六分も、これは三十六分については問題がはっきりしないかもしれませんが、とにかく現場へ着いたときには猛火の中でもうどうにもならなかったというのが今回の現況のようですね。この通知を受けて五分とか七分に来たからよいのだということでは済まされない問題ではないかと私は思うのですね。一一九の通報の仕方、あるいは何か消防団なら消防団の方々でも、そういうときには何人か通報する責任者を決めていくとか、旅館もまず第一番目には通報をするという義務づけをするとか、何かこの辺の指導が徹底をする必要があるんじゃないかと思うのですね。  それから、この間杉並の高円寺でやはり火災があったときに、一一九を電話をいたしましたら一一九が話し中だったというのですね。そうしますと、私はすぐ現場の人に聞きましたら、幾つか電話がかかっていくと話し中になると言うのですけれども、話し中だと火事があったということが伝わっているのか伝わっていないのかわからないこともあるんじゃないか。住民側にしてみれば非常に不安な状態に陥るのではないか、一一九がお話し中でございますのでね。やはり私は、その辺のところもどういうようになっておるかということが現実の問題で心配でございまするし、今回も何かその辺に実は問題があったのかなという感しなきにしもあらずでございまして、この辺は一体どういうような御配慮をしていただいているか。これからも、こういうような火災が実際に起きて、おくれてこういう被害が大きくなったという現状にかんがみまして、これらの対策は私は焦眉の対策でなければならぬと思いますので、長官からこの機会に伺っておきたいと思います。
  79. 関根則之

    関根政府委員 旅館ホテル等はどんな小さな旅館でありましても、また「適」マークの対象にならないようなところでありましてもすべて誘導灯を設置する義務があることに消防法上なっております。これは部屋から一たん外へ出ましたときには必ず見えるようなところへ、どこの部屋から出ましても必ず見えるようなところに誘導灯がありまして、避難口なり避難口に至ります通路それからそういうものの所在のわかる標識、こういうものを設置しなければいけない、こういうことになっているわけでございます。しかし、現実にはなかなかわかりにくいといいますか、必ずしも法律どおり設備がなされていないところも中にはあるかもしれませんし、せっかくこしらえてある避難路、避難口が何か荷物が置いてありまして実際には使えなくなってしまっておる、こういうところも実はなきにしもあらずでございます。こういうところを現地消防本部が査察と申しまして実際に立ち入りまして点検をし、不正がありましたときにはそれを是正をしていただく、こういうことをさらに徹底してやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  それから今回の火災に際しまして一一九番のおくれがあったのではないかというお話でございますが、まだ出火時間が正確につかめておりませんので何分おくれて通報があったのか、その辺のところがっまびらかでございません。いずれにしろ通報を消防本部で受けましたのは二時十一分であるわけでございまして、仮に出火が一時三十五分ということになりますと御指摘のように三十六分もたっておるということで、多分相当早く出火があったのではないかと、正確な時間はわかりませんが、私ども考えております。消防隊が現地へ着きましたときにはもうほとんど旧館の方は手がつけられないような状態、一応放水はいたしましたけれども、すぐにグランドホテルの方の延焼防止の方に消防そのものは回っております。消防団が旧館の方の火勢の鎮圧のために放水をもちろん続けておりますけれども消防隊の主力はむしろ延焼防止の方に回った、それほどに旧館そのものは火の手の回りが早かったということだったと思っております。なお、私ども、当然、消防隊が通報を受けてから早く行ったというだけで満足しているものでは決してございません。できるだけ早く通報を受けるような体制につきましても、これから状況を調べてそれに対する対応策をとっていかなければいかぬと思いますし、また、通報責任者を設けたらどうかという問題でございますが、これは旅館ホテル等につきましては防火管理者というのがきちんと置いてありまして、そういうことを責任を持ってやるという体制がとられるように指導をしておるわけでございますが、徹底を欠いておるという面があると思います。いずれにいたしましてもこういう問題は、訓練日常繰り返すことによりまして、どういう状態になったらだれがどういう形で通報するんだということをきちんと決めておいていただきたい、そういうことをさらに徹底していきたいと思います。  それから、一一九番が話し中の場合があるかというお話でございますが、具体の先日の大東館の場合には、回線は二回線持っておりましたので、一度に二人の方から一一九番の通報がありましても受けられるような体制でございます。東京の指令台は回線数はもっともっと多いわけでございまして、通常の状態であれば一一九番が話し中になるということはまず考えられないと思います。しかし、本当に何か大きな事故が起こって、見ていらっしゃる方が一斉にお電話をいただいたというようなときには、場合によるとそういう事態が起こるかもしれません。なお、そういうことが起こらないようにできるだけ私どもとしては回線数もふやしていくように設備面での改善を指導してまいりたいと考えておりますし、また新しい時代の新しい技術に基づきまして消防も緊急情報システムというようなものの研究開発も進めております。緊急時に情報関係がきちんと迅速につながりますようなそういう研究もし、そういう設備設置につきましても私ども努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  80. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうぞひとつかかる事件が再び起こらないように万全の策を講じられますことを希望、要望いたしておきます。結構でございます。  それでは、ただいま議題になっておりまするところの昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案に関連をいたしまして質問をいたしたいと存じます。  まず初めには、交付税というのは普通交付税と特別交付税とに分かれておりまするけれども、普通交付税はいっどのようにして交付されているか、あるいは特別交付税についてはどのように交付されておるか、現状についての報告を願います。
  81. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 普通交付税につきましては、毎年四月、六月、九月及び十一月の年四回に分けて交付しておりまして、普通交付税の決定される前の四月、六月分、これは普通交付税総額の四分の一に相当する額を各地方団体の前年度の交付額を基礎として概算交付いたしております。また、普通交付税の決定後に残額を九月分、十一月分に分けて交付しております。  また、特別交付税につきましては、災害等の特別の財政需要等に充てるため、毎年十二月と三月に年二回交付するということにいたしております。
  82. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 そうしますと、普通交付税については交付済み、それから特別交付税については十二月までは片づけておるけれども、その後については三月、こういうことでございますね。そうすると、特別交付税の三月分までに保有しております予算といいますかそれは幾らくらい残っておるのですか。
  83. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 六十年度の特別交付税総額は、五千六百八十九億円でございますから、十二月分として千二百三十二億円を交付済みということで、残りは三月分四千四百五十七億円でございます。
  84. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今回の国の補正で、所得税法人税が四千三百九十億円減額するために地方交付税もその三二%でございます千四首四億八千万という金が落ち込んでくる。したがって、今回これが提案されることになっておるわけでありますが、未交付の特別交付金が四千四百五十七億円あるのでございますから、したがって、趣旨は違いますけれども交付税を千四百四億八千万の減額をすることは数字の上では可能なように思うのでございまするけれども、この点はどう思っておられますか。
  85. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 ことしは災害がかなり多く出たわけでございますし、また積雪の状況も三年連続ということでかなりの豪雪のようでございます。そういった点考えますと、特別交付税の算定対象となります財政需要というものから相当な額に上るのではないか。そういうことを考えますと、特別交付税総額を現在の段階減額できるような状況ではないというふうに考えております。
  86. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまそういう説明があったのですが、特別交付税は災害その他の特別の財政需要に充てるものであることは承知をいたしておるわけであります。未交付のものがあってもこれを減額すべきではないというように思うわけであります。既に交付した交付税地方団体から返してもらうことも事実上はできないのでありまするから、したがいまして今の時点で国税三税の減額補正に伴い交付税減額されることになっても、これについては何らかの形で国が補てんをせざるを得ないと思うわけでございます。つまり、今回の法案のように本年度分の交付税総額が減らないようにするという措置は当然の措置だというように思うわけでございます。従来も年度途中で国税三税が減額されるというような措置はたびたびあったわけであります。  ところで、従来の取り扱いというものを調べてまいりますと、五十八年度までは国税三税の減額理由がいわゆる政策減税による場合は、交付税落ち込みは国の政策によるものの責任でありまするから、したがって全額を面倒見るとか二分の一を面倒見るとかいうことでやってまいったと思います。また、自然減収による場合の交付税落ち込みは、国の事情によって交付税が減少し地方財政運営支障が生ずることを避ける観点から、国が二分の一を負担する方式がとられてまいりましたことも事実であります。その以前はいわゆる政策上であるとかいろいろの理由によりまして国が全体を負担してきたという歴史的な事実があるわけであります。五十八年度には国の財政事情から一時的にいわゆるルールというものが崩れてきたのであります。それでも五十八年は全体の二分の一を国が負担してまいったところであります。  今回の交付税落ち込みは千四百四億八千万で、先ほど来お話がございましたけれども所得税の寝たきり老人等の減税による交付税の減が九億六千万と、いわゆる所得税法人税の自然減収によりますところのものが千三百九十五億二千万、こういうことになっておるわけでございます。こういうことでございまするので、法律案の附則によれば昭和六十二年度以降最大限千四百四億八千万まで交付税を減らすことができることになっておるわけでございます。つまり、今回交付税減額しないで済んだ額はそのまま全額地方団体負担をすることがあり得る、こういうことになるのでありまして、それでは五十八年度までのルールと違いまして、また五十八年度措置とも異なり、国は全く負担をしないままに済むという結果にも陥るわけでありまして、今のように地方財政が厳しいときに地方団体に一方的に押しつけることになりまするし、従来のルールを尊重していく必要があると思うのでございますけれども、この点のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  87. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 このようなケースの場合、過去の状況先生御承知のとおりでございますけれども、四十年代は原則として政策減税分以外は全額地方が持つ建前にしておりました。五十年度以降につきましては国あるいは地方財政がともに不均衡であった、そこで五十三年度に借入金の二分の一を国が持つという方式をとったわけでございます。五十八年度交付税減収となった場合には、五十七年度の精算分を使っていわば地方の金で穴埋めをしたという形になって為ります。五十九年度にいわゆる特会からの新たな借り入れは原則として行わないというふうな措置を講じたわけでございまして、現行法の規定からまいりますと、税収見積もり減収による地方交付税の減は地方がそのまま受けるという形になっておるわけでございます。  いわゆる「以内」ということであるならば、これが全部返さなければならないことになるのではないかという御指摘、もっともでございますが、政策減税分を減額対象から除外するために特に「以内」と書いたわけでございまして、その額を法律上明記しなかったのは、その額が昭和六十年度交付税額の特例を定めるというこの特例法の内容から直接導かれるものではないということから、今回の附則に入れるのは立法技術上の制約があるということでこのような法案になったわけでございまして、この点は今後具体的な精算額を法律で定めます際に明らかにしてまいりたいと考えております。
  88. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 引き続いて質問をいたしてまいりたいと思います。  今のお話のように、昭和六十二年度以降に交付税から減額をすることになるわけですが、国と地方間の財政関係を明確にするためにははっきり書いていく必要があるのじゃないかという感じを私は持っております。例えば従来のルールによれば、政策減税分が、いわゆる寝たきり老人の分九億六千万、それから自然減収の分が千三百九十五億二千万、これの二分の一だといたしまするとその額は六首九十七億六千万になりまして、その合計は七百七億二千万ということになります。そうしますと、今お示しをいただいております千四百四億八千万の中から、いわゆる政策減税分と従来国が自然減収分の二分の一を負担してきたということからそれを差し引きまして、残りが六百九十七億六千万となるわけでありまするから、例えば六百九十七億六千万以内にするということを明示することによって国と地方の間がはっきりするなという感じが持てるのではないかと考えます。この辺のところのお考え一つ。  それから、百歩譲りまして、それでは政策減税分の九億六千万を引いた額、千三百九十五億二千万以内にするとか、どちらにしてもその辺のところを明確にする必要があるのじゃないかと私は考えるのですけれども、お考えをひとつ伺っておきたいと思います。  それから、法文上では昭和六十二年度以降になっておるわけでございまするけれども、率直に言って非常に早いという感じがいたします。したがいまして、本年度補助率の一割カットということで大幅削減が行われたわけでありまするけれども、それらを含め、例えば昨年度まででは国が負担をいたしてまいりました利差臨特であるとか、あるいは財対の臨特等につきましては六十六年度以降、いわゆるこの財政再建の後の一つの方向づけの中で国が負担していこう、こういうことになっておるわけでありまするから、今回のことも当然六十六年度以降でひとつ考える、こういうことにしたらどうかというような考え方を持っておるのでありまするけれども、この点についてのお考えをお示しをしていただきとう存じます。  それからもう一点は、六十二年度以降としたねらいの中にこれからの財政状況なりいろいろ考えて、六十二年度以降自治省と大蔵省がお互いが協議をしながら地方財政の現況を見ながらそれに対応していく、こういうようなことでお考えがあってそういうことにしておるのかどうか、この辺のところもひとつ、あわせ御答弁をいただきとう存じます。
  89. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 最初の御指摘のルールの確立の問題でございますが、確かに地方団体側にとりましてもルールをはっきりさせておくということが非常に重要なことでございます。ただ、まず最初の二分の一という問題につきましては、毎年度分として交付すべき交付税総額国税三税の収入見込み額の三二%とされておりまして、国の収入見込み額の減少によりまして交付税総額法律上当然に減収となるものであるわけでございます。  また五十九年度におきます地方財政対策の見直しにおきまして、交付税特会における借り入れは行わない、そして当分の間、交付税総額確保のための特例措置を講ずるということにされたわけでございますが、この措置額につきましても、原則として法律の定めるところによって精算をするということにされたわけでございますので、今回、政策減税分を除きましては精算をするということにしたわけでございます。  それから、二分の一でなくても法律減額すべき額は明示すべきではないかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように立法技術の上からこの法案に非常に書き込みにくかったということがございまして、したがいまして今後精算すべきときに明らかに法律に書かせていただきたいと思っております。  それから、これを六十六年度以降に返したらどうかということも一つ考え方であるわけでございます。私どもとしましても建前としましては国税三税の収入見込み額の三二%という原則から見ますと、収入見込み額の減少によって交付税法律上減少するというのはもうやむを得ないことでございます。これをいつ返すかという問題でございますけれども、今後これは国と十分話し合いをいたしましてその時期を決めてまいりたい。これは精算を行った上で地方交付税が不足するというふうな場合にはもちろん所要の特例措置を講ずることになるわけでございますけれども、この点につきまして今後地方財政運営支障のないように十分財政状況を見詰めながらこの点を検討してまいりたいと考えております。  六十二年度以降、どのように話をするのかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように地方財政運営支障のないような措置を講ずるということを眼目といたしまして、話し合いをしてまいりたいと存じます。
  90. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 きょうの質疑の冒頭で小沢自治大臣の、今の地方財政の現状からいって、大変厳しい状況に立ち至っておる、そういうような状況考えたときに地方財政支障なきように十分配慮しますという答弁もございました。地方の方々もこういう年度途中の減額措置については、今回、現状ではそういう状態ではございませんけれども、やはり計画的な財政運営を図っていくという面からいえば、こういう減少が出てきて、将来にわたっても減額が途中でされるというようなことになりますると、いわゆる地方における財政計画というのは不安定な状態に立ち至るわけであります。やはり国と地方との間のルールというものをきちっと守り、そして財政秩序を守っていくところに地方自治財政運営あるいは財政の確立ということもあるわけでありまするので、どうぞこの点につきましては、自治省におかれて十分なる指導と、そして一つの確信のあるルールづくりにつきましての方向づけをしてほしいと希望するものであります。  先ほど自治大臣からの答弁がございましたけれども、せっかく政務次官いらっしゃっておりますので、最後にこの問題についての総括的な答弁をお願いして質問を終わりたいと思います。
  91. 森清

    ○森政府委員 小沢自治大臣からも御答弁を申し上げ、また藤原委員、非常に適切なる御質問でございまして、我々、地方財政地方財源の充実強化、それを念願といたしておりますので、御指摘のような点を総合的に踏まえまして今後努力をしていきたいと考えております。
  92. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 終わります。どうもありがとうございました。
  93. 福島譲二

    福島委員長 経塚幸夫君。
  94. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、大東館火災に関連をして消防庁の方にお尋ねをいたします。  全国でホテル旅館の数は今幾らあるのですか。
  95. 関根則之

    関根政府委員 ホテル、族館のうち、主として消防法の規制の対象となります百五十平米以上の規模のホテル、族館の総数は八万五千三百三十八ということでございます。
  96. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そのうち「適」マークの対象件数は幾らですか。
  97. 関根則之

    関根政府委員 現在行っております「適」マークの調査のやり方に従いまして対象となります旅館ホテルの数は一万七千九百九十八でございます。
  98. 経塚幸夫

    ○経塚委員 このうち立ち入りを行った件数は幾らになりますか。
  99. 関根則之

    関根政府委員 一万七千九百十六でございます。
  100. 経塚幸夫

    ○経塚委員 「適」マークを交付した件数は幾らですか。
  101. 関根則之

    関根政府委員 一万四千三百九十七でございます。
  102. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、交付をしなかった件数がなお三千数百件、二〇%近くあることになるわけでありますが、これはどういうことですか。いわゆる判定基準に合わなかったから交付をしなかった、こういうことですか。
  103. 関根則之

    関根政府委員 立入調査の結果、二十四項目の適否を検討調査することになっておりますが、そのいずれかに適合していないということでございます。
  104. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、「適」マークの制度といいますのは、もう申し上げるまでもなく五十五年のいわゆるプリンスホテル火災の中から、全国的に基準をつくって安全を確保する必要があるのじゃないか、こういうことでできた制度でございますが、あれから既にもう六年を迎えようとしておるわけでありますが、二〇%近くがこの判定基準に適合しておらない。これはどういうふうに指導されているのですか、大変これは危険だと思うのですが。
  105. 関根則之

    関根政府委員 御指摘をいただきましたように、「適」マークの制度昭和五十六年の五月から実施に移されたものでございます。その間対象となる旅館等につきましては、点検項目二十四項目はそれぞれ消防法義務が課せられているもの、それから三項目につきましては建築基準法との兼ね合いの問題でございますが、いずれにしろ法律上必要な事項でございますので、これらを法律に従ってきちんと遵守すべき旨、消防本部を通じましてそれぞれ旅館ホテルの経営者に対しまして強く指導をいたしておるところでございますけれども、現実の問題として残念ながら整備がなされていないというのが現状でございます。
  106. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これ自体が大変な事態だと考えております。  それからもう一点は、「適」マーク対象外が約六万数千件で、全体のホテル旅館の数の中で八〇%を占めておるわけですね。「適」マーク対象ホテル旅館でも「適」マークの交付を受けられなかったのがかなりあるわけであります。対象外を含めますとこれは相当な件数になるわけでありますが、この対象外につきましては、どういうふうに指導されるのですか。何か聞き及ぶところによりますと、東京消防庁の方は一斉に調査に入ることを決めた、こういうことが報道されておりますが、消防庁としましてはこういう事態に直面をしましてどのような対策を講じられるのか、お聞かせいただきたいと思っております。
  107. 関根則之

    関根政府委員 「適」マークの制度対象とするかしないかという問題と、旅館ホテル等建物に対しまして消防法上必要な設備義務づけるかどうかということは全然別物でございます。比較的小さなものにつきましては「適」マークの対象にはいたしておりませんけれども、しかしそれらの旅館ホテルでありましても、例えば百五十平米以上の面積を持っております旅館ホテルにつきましては消火器設置義務づけておりますし、また延べ面積が三百平方メートル以上の旅館につきましては仮に定員が三十人以下でありましても自動火災報知機設置しなければいけないという規制を設けているわけでございまして、それぞれの規模等に応じまして必要な消防設備設置義務は課しているところでございますし、訓練あるいは防火管理者の設置義務、そういったものにつきましても、それぞれ必要に応じて規制をいたしております。  したがって、一口で申し上げまして、「適」マークの対象にならない旅館ホテル等でありましても、消防法上必要な規制は設けてありますし、それをきちんと遵守すべく指導をしておるということでございます。  また、東京のお話がございましたけれども、私どもは「適」マークの制度の運用に当たりまして、三十人未満の収容人員のところについては全国的な基準としての「適」マーク対象範囲からは外しておるということでございまして、消防本部に余力があると申しますか、そこまで手が回るというような消防本部につきましては、もっと小さなところについても「適」マークの対象として立入検査等をし、希望があれば、それに適合しておりますときには「適」マークを交付するという事務をやることをお勧めはいたしておるわけでございます。ただ、残念ながら、全国千近い消防本部でございまして、田舎の小さな消防本部ということになりますとなかなかそこまで手が回らないといったような実情もございますので、全国の標準的な「適」マーク対象といたしまして三十人規模というものでラインを引いている、こういうことでございます。東京などは比較的その方面の人員等の整備がよろしゅうございますので、三十人以下のものにつきましても「適」マーク対象になっておるということでございます。
  108. 経塚幸夫

    ○経塚委員 この問題に関連して最後に政務次官にお尋ねをしておきたいのですが、予算委員会での大臣の答弁では、この小規模対策として法律改正ということも考えられるが規模が小さいので極めて困難である、こういう御答弁もあったようでありますけれども、確かに小規模のところは、法律を改正して厳しく取り締まるという対象にしたとしましても、大東館昭和十四年でありますから、ほとんど三階、木造、小規模、古いというようなことで経営もそんなにいい経営の状況のところはないと思うのですね。したがって、幾ら法律を厳しくしましてもこれは実際にはそのとおり守られるかどうか。いわゆるホテルだとか小規模以上の大きなところでも、今お聞きいたしますと「適」マーク対象のうち交付したのは八〇%で、二〇%は二十四項目の基準に合わないから「適」マークを交付しておらないという状況があるわけですから、ましてや小さいところは規制を厳しくしましてもなかなか難しいと思うのですね。  私は、最大の問題はやはり資金の問題だろうと思うのですね。ですから、何にしましても人の命にかかわる重大な問題でありますから、規模が小さいからといって放置されることは許されません。備えるべきものは備えなきゃなりませんが、それだけの備えられるような状況をつくることが非常に大事じゃないかと私は考えております。そういう点で、全国の族館、ホテルに対しまして必要な安全設備設置するために必要な資金などにつきましては、長期低利の融資制度もこの際抜本的に考えてみる必要があるのではないかと思っております。そういうことをぜひひとつ関係省庁に自治省からもお願いをしていただけないものだろうか、かように考えておりますので、所見をお伺いいたしたいと思います。
  109. 森清

    ○森政府委員 まことに適切な御指摘でございまして、御存じのとおりホテル旅館等の防災設備についての融資制度につきましては、中小企業金融公庫、国民金融公庫、環境衛生金融公庫、これに特別な貸付制度が設けられておりまして、これについてはもちろん中小規模のホテル旅館にも適用があるわけでございまして、まずその制度趣旨の徹底、指導をいたしましてよく利用をしていただくということ、さらにまたその資金の充実その他については関係省庁に十二分に連絡をし、要請をしていきたいと考えております。  さらに、委員指摘のとおり、そういう既存の制度に加えてさもに抜本的な融資制度をというふうな御提案でございましたので、これについても十二分に検討していきたいと考えております。
  110. 経塚幸夫

    ○経塚委員 二度とこのような事故が起きないように、ひとつ十分な対策を講じていただきたいということをお願いしておきます。  続きまして、厚生省、国保の問題についてお尋ねいたします。  退職者医療の見込み違いによる影響額の補てんの問題ですが、あなたはもう何回もこの委員会に御出席をいただいておりまして、その都度、ひとつ対策を講じたい、こういう御答弁をいただいておったわけでありますが、これは結局三分の二でしょう。これ、国の責任なんでしょうが。何でこんなことをするのですか。全額補てんしないのですか。理由はどういうことですか。
  111. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように六十年度補正予算におきまして国保の特別交付金千三百六十七億という措置をいたすことにしたわけでございますが、六十年度補正予算の財源は非常に厳しいわけでございまして、その枠の中で政府といたしましてあらゆる努力を重ねたわけでございまして、その中でぎりぎりの線ということでこういうことになったわけでございまして、現在の国の財政状況考えますとこれ以上のことはなかなか困難であるというふうに考えているわけでございます。  私どもといたしましては、これから市町村国保の財政状況でございますとかあるいは退職者に伴います影響の推移、こういったものを見守りながら、国保財政運営の安定化というものが図られますように、今後とも誠意をもって対応してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  112. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そんなことは理由になりませんよ。国の財政が厳しいからと言いますけれども、それなら地方の国保財政はそんなに厳しくないとでも考えていらっしゃるのですか。そうじゃないのでしょう、地方財政状況だって大変じゃありませんか。  国保中央会の資料によりますと、赤字団体は五十五年が百八十一団体、全体の五・五%でしょう。赤字総額は百六十一億円でしょう。五十九年はどうですか、一遍にふえておるじゃありませんか。六百十四団体、何と三・四倍でしょう。赤字総額も、百六十一億円だったのが四百六十五億円でしょう。そこへ持ってきて今回の補てんが三分の二しかやられないということになりますと、三分の一残ります相、六百三十億。これが加算されれば赤字の総額は千百億円を超しますよ。五十五年の約七倍近くになるじゃないですか。これは被保険者だってたまらぬですよ。六十年度国保料の引き上げをやりましたのが、何とこれは全国の団体の九一%に上っておるじゃないですか。四〇%以上も引き上げた市町村が二十二市町村でしょう。一人当たりは、五十九年度三万九千円が六十年度は四万二千九百円でしょう。  あなたの方の厚生省保険局だって認めておるじゃないですか。五十八年度の国保の実態調査報告、保険料の所得比の資料を出しておりますね、五十三年度所得と五十八年度所得を比べておりますね。あなたのところの資料によりますと、所得が三三・九%増ですよ、保険料はこれに対して五〇・三%増じゃないですか。それで、厚生省の見解としまして、所得に対する保険料負担は着実にふえておる、こういうふうに評価しているのですね。これは着実どころじゃない、もう大変なふえ方でありますけれども、いずれにしましても、所得に対する保険料の負担はふえておるということはあなたのところの資料でも認めておるのでしょう。  これは被保険者の実態調査でありますが、日本生協連によりますと、国保などの保険料「高い」、これは八一・五%でしょう。「家計の負担になる」、七四・二%じゃございませんか。地方だって大変だし、被保険者だって大変でしょう。  それで、しかも原因は、地方責任ですか、被保険者の責任ですか、そうじゃありませんよ。これは国の責任見込み違いでしょう。あなたのところが加害者じゃないですか。加害者が被害者を補償するのは当たり前のことじゃないですか。ちょっと苦しいので三分の二で辛抱してくれ、みんなこれを被保険者が肩がわりをせざるを得ぬという状況が生まれておるじゃないですか。これで地方の国保の財政が、先ほど言いましたように三分の二ということになりますと、赤字が千百億円を超えるわけでありますが、財政を守れると考えておるのですか、どうなんですか。
  113. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 五十九年度の赤字の額でございますが、保険者の数にいたしまして四百二市町村でございまして、赤字の総額が四百九十八億でございます。前年度が二百三十五億でございましたので、二百六十億程度の赤字の増加ということになっているわけでございます。  先生指摘のように、医療費の伸び、それから退職者の影響、こういったもので地方財政というのは、以前に比べますと確かに苦しくなっていると思いますけれども、今回の国保特別交付金千三百六十七億円というものと、あるいは財政調整交付金約三千七百億円ございますので、こういったものを活用いたしまして、今まで健全に財政運営をしてきながらも、今回の改正によりまして異常な財政困難になっているもの、これにつきましては、私どもとしましても、県と相談の上、いろいろな手だてを講じたいというふうに考えておるわけでございます。
  114. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今、財政調整交付金の話が出ましたが、それではこの三分の二の配分はどうするのですか。影響額の三分の二を、全国どこの市町村であっても三分の二配分をするのか。それとも、調整交付金については条件をつけておりますね、収納率、医療費の抑制等々、こういうような条件をつけるのですか。その点はどうなんですか。
  115. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 補正予算につきましては、現在、予算委員会の方で御審議中でございまして、私ども補正予算の成立後におきまして具体的な方法を決めたいというふうに考えておりまして、現在の段階ではまだ部内で検討中ということでございます。  私ども基本的に考えておりますことを申し上げますと、現在、財政調整交付金、これは法定の財政調整交付金の中で退職者の特別調整補助金というのを出しているわけでございます。これはある程度一律に配るということで配っているわけでございますが、それとの関連をあわせ考えてやらなければいかぬというように考えておりまして、全部一律ということにはいかないのではないか、ある程度財政力を勘案いたしまして配りたいというふうに考えております。  それから、収納率云々につきましては、まだその辺について私どもの具体的な考え方は決めておりません。
  116. 経塚幸夫

    ○経塚委員 具体的な考え方を決めておらぬということは、収納率も考慮に入れることもあり得る、こう判断してよろしいのか。
  117. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 先ほども申し上げましたけれども、まだこの辺は決まっておりませんので、入れるとも入れないとも考えておりませんが、これ、個人的な考え方で恐縮でございますけれども、私個人としては、これは財政補てんという意味でございますので、なるべくこういう考え方は入れたくないというふうに考えております。
  118. 経塚幸夫

    ○経塚委員 あなた個人の答弁では国るのですよ。あなた個人の答弁だったら、この委員会にあなたも何回も出られて、迷惑をかけぬように頑張る、こういうことをおっしゃっていたわけですが、ちっともそのとおりになっておらぬわけでありますから、これは個人の答弁では困るわけでありますが、これはいわゆる補償の補てんでありますから。交通事故で言うたら、その加害者が被害者に補償するわけでありますから、被害者が言うことがけしからぬとか、生意気だとかなんとかかんとかということを口実にして、ある人には補てんは一〇〇%するけれども、ある人には三分の一しかしないとか、こういうようなえこひいきは絶対にやるべきでないし、やれる性格のものではないと私は考えておるのですよ。ところが、この調整交付金の配分につきましては、従来の収納率をさらに引き上げる指示を、六十年度の調整交付金の配分に当たってはされたでしょう。これは全くけしからぬ話だと思うのですよ。これ、省令事項なんですよ。省令事項でまだ省令を改定もしておらぬのに、全国の国保団体に対しまして、従来の収納率をさらに引き上げるような、しかも段階を設けるような指示を出して、そして六十年度の調整交付金の申請はこの書式に従え、これはもってのほかですよ。省令も変えておらぬのに、こんなことを全国に対してやるというのは越権じゃないですか。やるのなら省令を変えてから手続上はやるべきであって、我々はこの内容についても承服しがたいわけでありますが、時間の関係もございますので、その点はこれ以上追及はいたしませんが、最初に申し上げましたように、これは国の責任で生じた赤字欠損でありますから、当然国の責任で全額補てんをすべきである、補てんをするに当たっては格差を設けるべきではないということを、念のために申し添えておきます。  あなた、結構でございます。  次に、豪雪対策につきまして、自治省にお尋ねをしたいわけであります。  これは三年続き、財政局長もおっしゃっておりましたように、大変な状況だと思うのですね。私ども、いろいろ調査をいたしましたが、例えば新潟県の場合は、これはもう既に死者が二十九人、負傷者が百三十七人出ておりますが、予算七十六億六千三百万に対しまして、もう既に執行済みが六七%なんですね。普通交付税で算入されておる額から試算をいたしますと、八一・二%もう既に執行済みだ、こういうふうに言われております。青森県は、県、市町村合わせましてさらに六十九億二千四百万必要だ。これも普通交付税算入額の六〇%が執行済み。北海道の場合でありますが、追分は一月末でもう既に七三%執行済み。岩見沢などは八〇%執行済み。当別町、私ども直接行って調査をいたしましたが、ここはもう基金を取り崩さざるを得ない。しかも、ここの町は公債費率が一八・五%なんですね。これは大変な状況だと思うのです。滝川市などは車の事故が例年よりも三〇%ふえておって、この間は、新聞にも出ておりましたが、消防車が七台火災で出動しましたが積雪のために結局路地へ二台しか入れずに、消防・職員が見ている目の前で全焼してしまった、こういう事故も起きておるようであります。能生町は、一月三十日臨時町議会を開いて千六百十七万円議決をされたようでありますが、ここも町の財政が大変ですね。予算四十四億に対しまして地方税収入が五億台です。だから一〇%ちょっとですね。交付税などが約三〇%であります。  こういう状況考えてみますと、地方財政にとりましては、三年続きでしかも例年よりも積雪が非常に多い、今後なお災害が予測される、こういうことで特交の配分等々を望む声が非常に強いわけでありますが、二点お尋ねしたいと思います。  一つは普通交付税でございますが、札幌の例ですと、五十九年度、決算では四十七億八千五百万、普通交付税で算入をされましたのが二十一億八千二百万、四五・六%であります。これは五十八年の五三・一%より下がっているわけです。したがいまして、一点は、いわゆる除排雪、積雪対策といたしまして普通交付税の算入につきましては算入の係数を見直す必要があるのじゃないか、これが第一点。  それから第二点目、特交を十分手当てができるのですか。その点はいかがですか。
  119. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 積雪によります除排雪経費というものが相当多額に上っておるわけでございますが、この除排雪の経費につきまして普通交付税に算入しております額、これを本年度は前年度よりも三十二億円増額をしたわけでございます。ただ、この金額を超えるような経費を支出しております団体につきましては特別交付税措置をしなければならないわけでございますが、今後普通交付税の算定につきましてこの指標というのも、これは寒冷度の関係とそれから積雪度の関係がございますけれども、積雪度関係につきましてはおおむね十年ごとに見直すような形になっておりますけれども、現在のところ割と新しい指標を使っておるという意味で、今寒冷度についての見直しをやろうという状況でございます。この中の算定の指標につきましては今後とも、いわゆる暖房関係の経費だとか除排雪の人夫賃の増高あるいはその後の積雪の状況等もいろいろ見ながら改善を図ってまいりたいと考えております。  それから特別交付税についてのお尋ねでございますが、昨年、五十八年度非常に大きな額が出ました。五十八年度は特別交付税で百八十億円措置したわけでございます。五十九年度は百二十億円、今年度もこの五十九年度の額を上回るのではないかというふうに考えておりますが、ことしはこの前二年度と異なりまして特別交付税総額が一一%ふえておりますから、この所要経費というものは十分措置できるというふうに考えております。
  120. 経塚幸夫

    ○経塚委員 普通交付税につきましては、財政局長、これは寒冷度、積雪度両方とも検討される、こう承ってよろしいですか。
  121. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現在検討いたしておりますのは寒冷度の方でございまして、これは現在使っておりますのは昭和六年から昭和三十五年までの気象庁の公表データを基礎として四十六年度に決定しておるというものでございます。これを六十年度におきまして最近の観測データに基づきまして調査いたしました。この結果を六十一年度の算定から適用いたしたいという考えでございます。  積雪度の方につきましては、現在使っておりますのは五十四年度から新しく適用したものでございますので、こちらの方について今直ちに変えるというふうなところまで作業は進めておりません。
  122. 経塚幸夫

    ○経塚委員 時間も参りましたので、最後に、大臣があればと思ったのですが不在でございますので政務次官にもお尋ねをしておきたいと思うのですが、これは寒冷度だけではなしに積雪度の係数につきましてもぜひ見直しをしていただきたい、決算と交付税算入額との間でかなり乖離が出てきておりますので。  それから政務次官、私先ほど幾つか例を申し上げましたが、去年は災害の年とも言われるくらい災害が相次いだわけですね。例えば長野県の地附山の地すべりにつきましても、県自体はこの件だけで特交として十二億八千五百万要望しております。それから長野市が二十三億十三万円、合わせまして三十五億八千余万円この地すべり対策で要望が出ておるわけですね。それから日航機の事故の関連でありますが、現場の上野村では遺体収容に要した予算、これは国からも日航からも手当てをされずにもてあましているのがなお数百万円あるわけですね。これは現地財政課長のお話で。は、特交で手当てされるべきものと考えておる、こう言っております。それから藤岡市でありますが、遺体収容に二百六十一万、これも特交をお願いしておる、こういうことであります。それから群馬県の予算でありますが、警察官の活動費二億三千五百万、これは当然国で持ってもらうべき性格のものだ、こういう見解を申し述べております。  こういうようなことで、いわゆる去年起きました災害関連それから今回の豪雪災害等々合わせますと、地方財政厳しい状況の中で、これは自治省も大変だと思いますが、万遺漏なきようぜひひとつ十分な手当てを講じていただきたい、かように考えておりますので、最後にその点御見解をお伺いしておきたいと思います。
  123. 森清

    ○森政府委員 御指摘のとおり、地方公共団体が現実に財政運営を行いまして、あるいは行わなければならないという金額については、特別交付税という制度があるわけでございますから、委員指摘の点を十二分に踏まえまして対処していきたいと考えております。
  124. 経塚幸夫

    ○経塚委員 では、よろしくお願いしまして、終わります。
  125. 福島譲二

    福島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  126. 福島譲二

    福島委員長 速記を始めて。     —————————————
  127. 福島譲二

    福島委員長 討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  128. 福島譲二

    福島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  129. 福島譲二

    福島委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。平林鴻三君。
  130. 平林鴻三

    ○平林委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党を代表し、昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     昭和六十年度分の地方交付税総額特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の点について善処すべきである。   昭和六十二年度以降において減額することとされている額相当額の減額の時期及び金額を定めるにあたっては、交付税特別会計借入金の償遠を昭和六十六年度以降に繰り延べている等地方財政の厳しい状況を十分考慮し、所要の交付税総額確保支障を生じないようにすること。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  131. 福島譲二

    福島委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 福島譲二

    福島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、小沢自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢自治大臣
  133. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して、善処してまいりたいと存じます。     —————————————
  134. 福島譲二

    福島委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 福島譲二

    福島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  136. 福島譲二

    福島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会      ————◇—————