運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-04-08 第104回国会 衆議院 大蔵委員会文教委員会農林水産委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月八日(火曜日)     午前九時三十七分開講  出席委員   大蔵委員会   委員長 小泉純一郎君    理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 上田 卓三君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       大島 理森君    加藤 六月君       金子原二郎君    自見庄三郎君       田中 秀征君    山中 貞則君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       沢田  広君    堀  昌雄君       柴田  弘君    薮仲 義彦君       正森 成二君    簑輪 幸代君  文教委員会   委員長 青木 正久君    理事 臼井日出男君 理事 鳩山 邦夫君    理事 佐藤 徳雄君 理事 佐藤  誼君       榎本 和平君    森田  一君       中西 績介君    山原健二郎君  農林水産委員会   委員長 大石 千八君    理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君    理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       太田 誠一君    片岡 清一君       鈴木 宗男君    月原 茂皓君       松田 九郎君    島田 琢郎君       辻  一彦君    日野 市朗君       菅原喜重郎君  建設委員会   委員長 瓦   力君    理事 谷  洋一君 理事 東家 嘉幸君    理事 野中 広務君       榎本 和平君    金子原二郎君       桜井  新君    森田  一君       保岡 興治君  出席国務大臣         文 部 大 臣 海部 俊樹君         建 設 大 臣 江藤 隆美君         国 務 大 臣         (総務庁長官)         大蔵大臣臨時代         理       江崎 真澄君  出席政府委員         大蔵政務次官  熊川 次男君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         文部庄初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         文部省高等教育         局長      大崎  仁君         文部省高等教育         局私学部長   國分 正明君         文部省体育局長 古村 澄一君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         農林水産政務次         官       保利 耕輔君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改造局長    佐竹 五六君         林野庁長官   田中 恒寿君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         自治大臣官房審         議官      持永 堯民君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         文教委員会調査         室長      高木 高明君         農林水産委員会 羽多  實君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の補助金等臨時特例等に関する法律案(内  閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 小泉純一郎

    ○小泉委員長 これより大蔵委員会文教委員会農林水産委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出、国の補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  3. 中西績介

    中西(績)委員 補助金問題で、昨年義務教育国庫負担法を改正いたしまして、文教関係で言いますと教材費あるいは旅費、この分が一般財源化いたしまして交付税措置されました。その結果どうなったかについて確認をしておきたいと思います。  と申しますのは、昨年この場での論議の過程の中におきましても、このよう国庫負担から一般財源化された場合、各地方自治体なりあるいは公共団体が従来ひもつきであったにもかかわらず、その財源を他に流用するなどというこうした問題等がありまして、十分これを消化し得てなかったという状況等もあるわけでありますから、そのことも含めて確認をする必要があろうと思いますので、結果がどうなったかについてお答えいただきたいと思います。これは文部省
  4. 阿部充夫

    阿部政府委員 お答えを申し上げます。  昨年一般財源化をいたしましたのは旅費教材費、二種類あるわけでございます。  まず、旅費の方でございますけれども、これは都道府県負担をする経費でございますが、全国的な数字といたしまして、六十年度予算、各都道府県が計上いたしました総額が四百五十一億円余りということで、前年度に比べまして〇・七%程度増額ということになっております。各県別に見ますと、ほとんどの県は前年同額があるいはそれを上回るという措置をしておりますが、若干の県において五%程度減額という措置が行われたところもございます。  教材費でございますが、この教材費の方は市町村負担する経費でございますけれども、全体として申し上げますと、六十年度計上額が三百二十六億円余りということで、これも対前年度比三%程度増となっております。この数字は九月補正後の時点での概要を調査いたしたものでございますので、その後もなお各市町村等において逐次補正等が行われておりますので、六十年度全体の姿はまだ出ておらないわけでございます。  なお、県別に申し上げますと、前年度同額以上にいたしましたものが十四県、減額となっておりますものが残りのところというよう状況でございます。
  5. 中西績介

    中西(績)委員 今局長答弁されましたその中身というのは、旅費においてはわずかの伸びを示しておるという、さらにまた、教材費については三%程度増額をしておるという言い方でありますが、まず、私は教材費から問題指摘を申し上げたいと思います。  今も説明ございましたように、調査した時期が十一月十五日時点での内容答弁があったと思いますけれども、実際にこれを見ますと、昨年より二・八%物価上昇率を含めて地方交付税では措置をしておるということになっているわけでありますけれども、その結果は、一〇〇%以上になっている分は十四県、それから、一〇〇%未満九〇%以上が二十九県、九〇%から八八%、この間が四県ということになっております、したがって三十三県。文部省調べにおきましても全体には三%の伸びを示しておるということにはなっておりますけれども県ごとの集計からいきますとこうしたマイナスの結果が出ておる。  このことは、もう一つ調査した分がございまして、これは六十一年三月二十四日の日本教育新聞に出ておりますように、全国連合小学校長会小学校を調べた結果によりますと、さらに明確になっております。これからいたしますと、非常に細かい率が、ずっと一〇%ずつされておるわけでありますけれども、一〇%減額されたものが二五・五七%、それから一〇から二〇%までが一八・七五、さらに三〇%までが九・九四、四〇%までが五・六八、五〇%までが四・五五、さらに五〇%以上になりますと、三・六九%が五〇%以上減額されているのですね。増額されている分については非常に少ない。ですから、約七割が減額をしておるという実態が出ています。しかも、これは補正されまして補正を組んだ中身を見てみましてもわずかしか増額したものになっていないという結果が出ています。  こうなってまいりますと、昨年松永文部大臣が、このよう教材費一般財源化することによって歯どめをかけると同時にむしろ充実をしていくという考え方に立ち、そして局長なりが指導を強めていくということをやった結果がこのようになっておるということは、私たち指摘をしたように、これは将来的にはまさに教材費を含めて直接教育かかわりのある分がどんどん減額をされていくという傾向を示しています。このことに対してどのようにお考えですか。
  6. 阿部充夫

    阿部政府委員 ただいま小学校校長会でございましたでしょうかの調査についてのお話があったわけでございますが、先生の中でも触れられましたように、八月時点調査ということでございますので、九月補正以前の状況ということになるわけであります。それともう一点は、小学校の場合には、今児童生徒減状況にございまして、教材費学級数に応じて計上されるということもございますので、小学校の場合には若干ずつは減になってくるのが普通の傾向ではなかろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、今年度さらに指導を続けておるところでございますので、全体の結果が出た段階で、またまとめて文部省としても検討してみたいと思うわけでございます。  五十九年度から六十年度に移りますときに、一般財源化という、非常に新しいと申しますか、制度改革を行ったわけでございますので、その改革が各市町村に十分しみ通っていくのに若干の時間を要するということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。私ども、そういった方向で現在、前の国会でお約束いたしましたように、一般的な指導に加えましてさらに、計上額が非常に少ないと思われるところについては県を通じましてその事情を問い合わせをし、補正できるものについては補正するようにという指導を続けているところでございますので、今後ともそういう形での努力を重ねたい、こう考えておる次第でございます。
  7. 中西績介

    中西(績)委員 少なくとも文部省調べでは十一月でしょう。ですから、九月補正はもう終わっておるのですね。それから、連合小学校長会の分につきましても、補正予算細む予定学校が七十五校ありました、調査した中で。それまでわかっておるのですよ。そしてその中で、補正を組むという学校が四十四校、そういう中身まで全部わかった上でなお減額が大変多い、こういう結果なんです。ですから、九月から後になると十二月の補正ということになりますけれども、そのことで全体的な額が増額されたのでこれが減額をされてないと言うごまかしはいけません。これはいけません。  したがって、今私が申し上げましたように、この調査結果が残念ながら指摘したとおりになってきておるということからいたしますと、金がないということで制度を変更したわけですね。そうすると、それは直ちに後退に拍車をかけて、五十七年度から、一〇、一〇、一五%という大変な減額をして、六十二年で終了することになっておるのですけれども、十年の達成率はいまだに五〇%前後にしか達してないという状況でしょう。だのに、このようにして具体的には各県段階においてはむしろマイナスに滑り込んでいっておるということになっていきますと、この達成は到底不可能だと考えなくてはなりません。  こう考えてまいりますと、各県別あるいは市町村別格差は拡大するのです。今までは滑りどめとしてひもつきであったがゆえにある程度一緒に行っておった分が、今度は格差がぐんと開いてくるという結果を生ぜしめることになる。  そうなると、昨年松永文部大臣が言った、教育水準を維持するとか、あるいは教育の機会均等とか、あるいは父兄負担抑制策を目的とするこの国庫負担法を改めたことが正しかったかどうかということが今問い直されておると思うのです。大臣、どうですか。
  8. 阿部充夫

    阿部政府委員 御指摘ように、ここ数年来、教材費については大幅な減額が行われてきました。一〇%、一〇%、一五%、三年間で単純に足し算をいたしますと三五%も国家予算をカットせざるを得ないというよう状況があったわけでございますが、そうした中で一般財源化という方向がとられ、それによって、わずかではございますけれども単価をむしろ数%引き上げるという方向がとられてきたわけでございますので、そういった形で地方財源財源措置としてはいたします。同時に、各市町村に対しまして、その財源措置を踏まえて適正な額を計上してほしいということをお願いをする。その際に父兄負担に転嫁するようなことがあってはならないということを重ねて指導しておるわけでございます。現在、切りかえた最初の年でもございますので、私どもとしてはその指導徹底していくことによって御心配のような点に対処していきたいと思うわけでございます。
  9. 中西績介

    中西(績)委員 私は、教育水準という問題からいたしましても、教材費の問題は最も大きな影を落とす結果になると思うわけであります。  日本教育新聞を見ていただいてもわかりますように、教材費がこうなった結果、校長としてどう対応するかということに対してのいろいろな回答がなされています。「予算範囲内であらゆる努力をする」という言い方で、減額されたことに対して一生懸命努力ようとする傾向が明らかです。予算執行計画化あるいは重点化していく以外にはないのではないか、あるいは「他費目の流用で」というような答えが次々に出てきておる中、私が特に注目しなければならぬと思いますのは、「やむを得ない場合にはPTA後援団体保護者等に頼ることもありうる」、これが二割もあったということです。私は昨年ここで、これが教材費父母負担を持ち込む大きな突破口になってくるということを指摘したのですけれども、今そのとおりの傾向が出てきておるということです。  そこで、これは大蔵省にも聞きたいのですが、まず文部大臣に今までの感想をお聞かせいただきたいと思うのです。一般財源化したことが正しかったかどうか。特に、財源化する理由として、定着をしたということを盛んに言ったわけですが、このことを考えますと、私は定着をしておらなかった、こう考えざるを得ないわけです。しかも、校長余自体父母負担拡大へという考え方を持っておられるということになってまいりますと、これは皆さん考えたこととは違っておると思うのですが、この点についての見解はどうですか。
  10. 海部俊樹

    海部国務大臣 先ほど来のいろいろな御議論の中で、厳しい財政状況の中でこの額が毎年大幅に減らされてきたことは先生指摘のとおりでございます。もし六十年度も従来の方法で続けていくといたしますと、概算要求時点で七%減額要求をせざるを得ない状況に立ち至っておった。したがいまして、この制度地方財政のいろいろな状況等を勘案して入ってきましたときのことも思い、また、地方交付税措置でやっていただく方が結果として三%増となっておるわけでございますので、そういったこと等も考えでこのよう措置に判断をしたと私は報告を聞いておりますし、ほんのちょっとでしたけれども、結果として、文部省が続けてやっておるよりも地方にお願いしてそれが防げるように処置をしたというふうに聞いております。
  11. 中西績介

    中西(績)委員 これで文部省の態度が大体皆さんにおわかりいただけたと思うのです。  大臣は三%増と言われましたが、もうちょっと分析しますと、例えば神奈川県は倍額になっているのです。十七億二千万だったのが三十五億八百万になっているのです。これが果たした役割というのはうんと大きいわけですよ。そして、ほとんどは横並び状況で、特定の県だけが物すごく増額されたために全国的にははね上がった、こういう格好になっているのです。この資料を見ていただけばわかるのですが、それが一つ。  それからもう一つ、今大臣が言われましたように、去年松永文部大臣も、七%減額をされるであろうと思ったのが逆に二・八%引き上げたではないかということを盛んに言われたのです。私が指摘をするのは、引き上げておるにもかかわらず減額しているのは何事だ、こういうことです。それはひもつきということを外したために起こったのではないか。もしあなたたちが反論するなら、ひもつきであったときにもそういう県については物すごいマイナス予算を組んでおったという実態があるなら、そのようにお答えください。
  12. 阿部充夫

    阿部政府委員 ただいま手元に具体の資料を持っておりませんから記憶をたどって申し上げますと、国庫負担金制度のもとにおきましても、文部省が定めております単価までは予算を組まないという市町村も若干はあったと記憶しております。
  13. 中西績介

    中西(績)委員 今度削減をした地域というのを全国的に見ますと、県名を挙げるといろいろ支障があるでしょうから言いませんけれども小学校長会全国四百七十校かを調べた中で、五〇%以上減額したのが十三例ありますね。最も多いところでは二百九十六万円から百三十七万円に引き下げています。あるいは八十二万円から三十七万円というところもある。また、六十二万六千円から二十八万円に、これは五五・三%という減額をしているのです。この結果を見ますと、先ほど言われるように組んでおらなかったというところではないのです。組んでおったにもかかわらず五〇%以上減額をしておるという状況等が出てき始めたという、その中身が大変問題だということです。しかも一〇、一〇、一五%というのは、中曽根内閣が成立して以来大体そういう傾向になっているわけですが、行財政改革と称して、それによってこういうふうにどんどん切り込んできたわけでしょう。そのことは教育とは無関係なんです。教育などというのは財政が云々されさえすれば自由に減額できるという最も特徴的な例がここにある。教材費というのは教育とのかかわりからいいますと大変直接的な役割を果たすものなんですね。これが今こういう結果になってきておるわけです。  このように、わざわざつけてやっておるにもかかわらず、これを減額して他に流用しておるということについて、自治省としてはどういう御見解ですか。
  14. 持永堯民

    持永政府委員 六十年度におきます財源措置あるいはその結果の状況等については、今お話があったとおりでございます。  減額されている県もかなりあるわけでございますけれども、先ほど文部省からもお話がありましたように、学級数が減ったことによって減っているようなケースもあろうかと思いますし、備品の購入等につきましては臨時的な経費も中にはあるいはあるのではなかろうかというような原因もあるかと思いますけれども、必要なものについてそれを削るということであってはいけないというふうに考えております。  そこで、交付税措置につきましては二・八%の単価アップをいたしておりますが、特に重要な制度改正でもございますので、この点は私どもとしても、各地方団体に通達なりあるいは会議度等を通じて十分徹底をいたしたわけでございます。これからも適切な措置がなされますようにさらに徹底をしてまいりたいと考えております。  なお、ひもつき云々というお話がございました。交付税措置しております額は全体で二百五十数億でございますけれども、実際の予算計上額はそれをかなり上回っておるわけでございまして、全体としては財源措置をしたものを上回って措置されております。ただ、個別に見ますと、今御指摘がございましたように、かなり大幅に減らしているところもあるのではないかということはあると思いますけれども、総じて言えば、おおむね適切に予算が組まれているというふうに受けとめております。
  15. 中西績介

    中西(績)委員 今答弁されました中身を聞いておりますと、自治省は、考え方文部省よりまだ悪いですね。私は文部省はもう最低だと思ったのだけれども、それよりまだ下回って、教育などという問題について、それじゃ今までが十分であったのかどうか。そうお考えですか。ちょっと答えてください。     〔小泉委員長退席瓦委員長着席
  16. 持永堯民

    持永政府委員 教材費内容なりあるいは金額が従来十分であったかどうかという点については、私ども率直に申し上げまして的確にお答えする立場にないわけでございますけれども、一応考え方として、従来国の補助事業として国の予算が組まれ、そして地方団体がそれに対応して予算を計上していたその水準と比べますと、現在でも従来の補助事業範囲を超えて予算措置をされているということを申し上げた次第でございます。
  17. 中西績介

    中西(績)委員 去年の数字というのは、さっき申し上げたように、五十七年から一〇、一〇、一五減額し、三五%減額したのに対してどうなるかということを調べたのですよ。その結果がこのようマイナスになっておる県が三十三県あるというのです。十四県だってもう横並びだから、実質的にはどうなのかということになると、横並びだということになれば、アップ率二・八%はほとんど加えてないということになるわけですから、そうなってまいりますと、実質的にはマイナス予算だということになるのです、十四県あるけれども。さっきの神奈川県あたりは倍額近くになっていますからこれはもう別なんであって、他のところを見ますとほとんど変わりはないのです。わずか上回っていますということになっているだけなんです。ですから、そのことからいたしますと、この教材費というものがどのよう教育現場で重要視されておるかということを全く無視して今答弁されたとしか言いようがないわけです。ですから、予算執行があるいは予算額決定が割合に良心的にやられておるというよう言い方をされておるようでありますけれども、今教育という側面からこれを見た場合には、まさにマイナス面が非常に顕著になって出てきたし、そして、今まで自治省が言われあるいは大蔵大臣が言われあるいは文部大臣が言われたこととはほど遠い、定着をしておらないというまさに今自治省答弁ございましたから、定着しておらないということを、そのことを完全に裏書きしたと私は思うのです。ですから、このことを考えますと、これは大変重要な内容になってきたとしか言いようがありません。  したがって、私、自治省から資料をいただきましたけれども大蔵大臣がおればよかったのですけれども、代理の方が今お見えですから、この点について、私が今こうして論議をしてまいりましたその中身がこのようにして一般財源化したことが正しかったかどうかについて大蔵省から見た場合どうなんだろう、この点についてお答え願いたい。
  18. 保田博

    保田政府委員 六十年度予算編成に際しまして、教材費義務教育費国庫負担金対象外となったことに伴いまして、地方公共団体教材費に対する実際の予算措置が期待より少なかったのではないかという御指摘でございます。数字に間違いはないものと思いますが、何分制度改正後間もないことでございますし、文部省並び自治省当局の適切な指導によりまして、各地域の実情に応じました適切な対策がとられることを期待したいと思っております。  なお、教材費というものの性格からしまして、私、実態をそう詳しく知っているわけではございませんが、毎年毎年一年限りで消費されるというようなものばかりではなくて、耐用年数が何年かにわたるものもあろうかというふうに聞いておりますので、そういうものが整備されてきますれば、各年度の予算措置が前年度を下回ったからといって、全体としての教材レベルが下がった、備えつけられた教材レベルの全体の水準が下がったということは必ずしも言えないのではないかというふうには考えております。
  19. 中西績介

    中西(績)委員 むちゃくちゃですね。本当にむちゃくちゃですね。小学校校長会が言っているでしょう、「やむを得ない場合にはPTA後援団体保護者等に頼ることもありうる」と。これをしないということが定着をしたのでこのよう措置をしたのです、一般財源化をしたのですというのが去年の中心的な論議だったのですよ。ところが、そうでなくてこの結果が、このように二割も小学校校長が答えておるという実態ですね。そのことは今あなたが言われたよう内容であったかどうかというと、一〇、一〇、一五%マイナス予算を組んだ当時から、文部省指摘をする達成率からすると五〇%。六十二年で終わり、来年で終わりですよ。それが五〇%しか到達しておらないという実態、それはあなたが今言われるようなことで済まされますか。どうですか。
  20. 保田博

    保田政府委員 文部省当局との話し合いの結果ではございませんのですが、教材費の整備目標に対しましてどうも実績が下回っているのではないかという御指摘かと思うのでありますが、最初の指導目的が非常に理想に走っているという場合だって実はあり得るわけであります。各種の長期計画でも、政府が決めた計画でも財政状況なりあるいは経済状況によって一〇〇%できないということは、これは残念ながら実態としてあるわけでございます。我々としましては、そういうような事態に立ち入らないために財政再建、財政改革に一生懸命になっておるわけでございまして、そういう観点から、教材費の問題もここしばらくの財政による下支えが十分でないという場面があるかもしれませんが、財政改革の途中でございますので、その辺は御容赦をいただきたいと思います。
  21. 中西績介

    中西(績)委員 今の言葉そのとおり受けとめていいんですか。大臣、今のことでよろしいですか。理想的なものであって高過ぎたということを言っているのですけれども大臣もそうお思いですか。
  22. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 大変ふなれで恐縮でございますが、今政府委員答弁いたしましたが、財政再建というのは本当に苦しいことでございます。そうかといって、アメリカよりもむしろ財政事情は、御承知のとおり日本の方がGNP比でいいますとまさに高いわけでございまして、その目的を達成するために、御承知のように補助金問題検討部会というものを設けて検討の結果、お示しのようなことにしたわけでございます。  また、教材費については、六十年に交付税で、わずかではありますが幾らか面倒を見たという経緯などもございまするので、地方自治体における自主努力もぜひひとつしていただきまして、地方、中央がそれぞれ苦痛を分担し合って財政再建に貢献していただきたい、かように思っておる次第でございます。
  23. 中西績介

    中西(績)委員 いや、今のは答弁になっていません。  ですから、大蔵省というのは答弁ができないということなんです。さっきの保田主計局次長の答弁のごときは、彼はそういうあれを担当して予算を組んでいると私は思うのです。  これは私、文部大臣に聞きますけれども、今の答弁、認めますか。
  24. 阿部充夫

    阿部政府委員 昨年の国会におきましてもお答え申し上げましたけれども……(中西(績)委員「聞かぬ。私は大臣に言っておる」と呼ぶ)昨年の国会においても御説明申し上げましたけれども、十年計画そのものは……(中西(績)委員委員長、私はあれしていませんから。大臣に言っておるわけです」と呼ぶ)
  25. 瓦力

    ○瓦委員長 局長答弁をした後に大臣に。
  26. 阿部充夫

    阿部政府委員 大臣がお答えいたします前に、少し事務的に説明をさせていただきたいと思いますけれども、昨年も御説明申し上げましたように、十カ年計画そのものは補助制度に絡んでの計画でございますので……(中西(績)委員委員長、時間を中断してください」と呼ぶ)そういう計画でございますので、これが補助金から外されたということによって計画自体はなくなったと言わざるを得ないわけでございます。
  27. 中西績介

    中西(績)委員 こんなのむちゃくちゃだ。必要ないんだ。大臣がやるべきだよ。そんなばかなことがあるか。
  28. 海部俊樹

    海部国務大臣 整備の十年計画の目標中身達成するよう文部省としてはいろいろ努力をして指導してきたつもりでございますけれども、今指摘されておるようないろいろな問題については、制度の変わり目でもありますので、さらに市町村をよく指導をして、教材環境整備が行われるように今後とも要望を続け、指導を続けていきたいと考えます。
  29. 中西績介

    中西(績)委員 答弁になっていません。主計局次長が答えたあの中身を認めるかどうかと言っているんだ、私は。理想的過ぎると言っているわけですから、この点を認めるかと言っているのです。
  30. 海部俊樹

    海部国務大臣 文部省といたしましては、十年計画の中身達成させたいということで努力をしてきたわけでありますし、これからもそのよう指導、要望を続けていきたい、地方公共団体にもお願いをしていく、こう考えておるのです。
  31. 中西績介

    中西(績)委員 そうすると、さっき答弁した主計局次長は、この十年計画、第二次計画案は理想的過ぎると言うのですよ。高過ぎると言うのだ。ところが、文部省はそれを実施させるといって去年だって一生懸命やりますと言っているんですよ。だのに主計局はそれは高過ぎると言っておるから、これに対する見解はどうだ、こう言っておるんですよ。
  32. 保田博

    保田政府委員 全体を必ずしも知悉し切れないままに言葉足らずな発言をいたしましたことをおわびさせていただきたいと思います。計画の中にもいろいろございまして、政府レベルで決めた計画でも一〇〇%達成できないものがあるからといったような観点からの釈明のつもりが、文部省の十年計画が理想的であると、これが間違っていたというふうにお受け取りがされるのが当然かというような発言をいたしましたことについてはおわびをさせていただきます。
  33. 中西績介

    中西(績)委員 とにかく、言えば言うほどまずくなるわけだよ。だから、この点は私は、文部省もそうだけれども大蔵省、もう一遍そこはちょっと整理をしてもらって、ちゃんと政府計画に対してどういう考え方を持っているかということをぴしっとしてくれよ。(発言する者あり)
  34. 瓦力

    ○瓦委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  35. 瓦力

    ○瓦委員長 それでは速記を始めてください。  江崎大蔵大臣臨時代理。
  36. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私は、教育現場、特に文部省教材費を初めすべての計画について、十年計画について、それぞれ理想的な計画を立てる、これはやはり主務庁として当然あり得ることだというふうに考えます。ただ、御承知のよう財政再建のこういう苦しい場面でございますので、したがって、中央、地方の実情に即して分担をし合うということで、不本意ではありますが御了解をお願いしたい。そしてまた、六十年にはわずか二・八%前年比増という程度では十分と私ども考えておりませんが、まあ何とかこのあたりで合理化をし、実情に即してやっていただきたい。  先ほどの次長の理想的に過ぎるという言葉につきましては、表現が適当でなかったというふうに思います。
  37. 海部俊樹

    海部国務大臣 文部省といたしましては、努力目標を達成したいと思って十年計画を立て、環境整備のために努力をしてきたということでございますので、今後もできる限りの努力を続けていきたい、こう思っております。
  38. 中西績介

    中西(績)委員 理想的計画だとかなんとかいう言葉までつける必要はないと私は思うのですね。普通すべて、理想的計画などということを言いますか。行政的にはそういう言葉は入らないですね、中身はあったとしても。むしろ、今までの計画があって、それが不足しておるのでさらに十年間延長して第二次計画、こういうことになっていくわけですね。第一次があって第二次です。ですから、理想的なものであるかどうかということの判断は、先ほどの文部大臣答弁ようにこれは一般的なものであって、そういう中身でないということははっきりしているのですね。そのことが五〇%しか、来年一年しかないのに達成してないのです。しかも、このようにして校長だって、このままいくと二割は父母負担なりに頼らなくてはならぬという言い方をしている。そのことを指摘した上にあのよう答弁が出てくるということになりますと、私は、大蔵省教育というものに対するとらえ方が、予算というそうした金額だけでもって措置をしていく、そのこと以外には何も考えていないという、こういうところに本音が出てきたのではないかという気がするわけです。  そうなりますと、大蔵大臣にお聞きしますけれども教育というもののとらえ方ですね。絶えず今まで総理から、昨年あたりでも論議した過程の中では、教育は国家百年の大計であるとかいろいろ言われてきました。大蔵省考え方の中にこういうことが無視されておるかどうか、この点はどうお考えでしょうか。
  39. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 教育はまさに仰せのとおり百年の大計だと私も認識いたしております。したがって、必要な面を削ることについては重要な細心な検討を要する。教材費などについては現場に即して、ひとつ地方においても努力をしていただきたい、こういうことで措置がなされたというふうに理解をしておりますが、教育の重要性については全く先生と認識を一にするものであります。
  40. 中西績介

    中西(績)委員 認識が一致できるなら、国庫負担法に持ち込んだということ、このことの意味をもう一度とらえ返してもらわなくてはならぬと私は思うのです。これを三十三年にやっていますからね。  こうしたことを考えてまいりますと、まさに大変重要な内容だということがあったために、父母に負担させない、それからもう一つ教育水準を均等化する、あるいは教育の機会均等を求めていく、こういういろいろな目標があってこのことはされた。それなのにこうした措置になっておる。一般財源化したことがそうなりますよ、問題があるよと指摘をしたのにかかわらずこうなっておるから、私はきょう長時間割いてこれをやっておるのです。ですから、先ほど発言をした、直接その衝にある担当主計局次長を含めて大蔵省皆さんは、この点を十分認識していただかなくてはならぬと思うのですけれども、その点は御認識いただけたかどうか、最後の確認をしたいと思うのです。
  41. 保田博

    保田政府委員 人は国家の将来を支える非常に重要なものでございまして、我が国が今日ありますのも、勤勉で優秀な頭脳を持った人たちの汗のたまものであるというふうに考えております。将来の国づくりのために教育の重要性は十分認識しながら、しかしまた一方で、財政再建、財政改革ということも将来の我が国を支えていくための財政的な対応力の回復が必要だという見地から、一生懸命努力をさせていただきます。
  42. 中西績介

    中西(績)委員 いい答弁をいただきましたが、財政再建をしていくということとあわせて、今言う内容について御理解いただきましたから、これ以上してもなかなか答弁しにくいと思いますので、もうこれでやめます。  そこで、私は文部省にお聞きします。  文部省の場合には、こうなってまいりますと、これから計画案はどうしますか。昨年はこれは一般財源化されたから一応御破算みたいな格好になっているのですよ。ですから、これの今後の措置の仕方をどうするかということは大変重要ですね。特に、聞いてみますと、六十一年度は二%アップしているようですから、このアップされた分が完全に各地方公共団体財源措置をするということが一つと、それから計画案をどのようにこれから今後指導していくのか、この二つ。
  43. 阿部充夫

    阿部政府委員 昨年もお答えしたと思いますけれども、現在の十カ年計画そのものは国庫負担金に係る計画としてつくりましたものでございますから、一般財源化に伴いまして事柄としては形式的にはなくなったと言わざるを得ない、昨年もお答えしたわけでございます。  しかしながら、私どもといたしましては、十カ年計画で考えておりました内容の実現は引き続きぜひ図っていきたい、こういうことで、昨年も中西委員からの御指摘もいただきましたので、各都道府県を通じて市町村に対する指導中身におきましては、従来の教材基準を廃止せずに、これを各市町村教材を整備する場合の参考基準として活用してほしいということで指導しておるわけでございまして、そういった形において実現を期していきたいと思っております。  なお、毎年度の交付税措置につきましては、六十年度二・八%、それから六十一年度は、これも自治省に御配慮をいただきまして二%程度引き上げをしていただくということになっておりますし、これを逐次毎年御配慮を願っていくというようなことで財源的には対応してまいりたいと思うわけでございます。  なお、二%の増額そのものを直接そのとおりに予算計上するかどうかという問題につきましては、やはり交付税制度ひもつきでないという事柄と絡んでまいりますので、若干の上下、前後はあってもしかるべきものであろう、こう思っておりますけれども、基本的に適正な額が確保されるようにということで、個々具体の指導を重ねてまいりたい、かよう考えております。
  44. 中西績介

    中西(績)委員 二%上下があってもよろしいというよう言い方ようでありますけれども小学校一校当たり十八学級、標準学級ですね、これでいけば七十六万二千円。学級に四十九万三千円、学校に二十六万九千円、こういう割り振りの基準まで決まっているわけですから、それが明確になっているだけにこれは徹底してほしいし、それより以上に、先ほどの十カ年計画の関係からいたしますと、上積みをするというこのことが今大事だろうと私は思うので、むしろ上積みをするという指導をしてほしいと思うのですね。下があってよろしいということにはならないのです。     〔瓦委員長退席、小泉委員長着席〕 ですから、そのことと、十年間で六十二年というものを、ただそのままであってはならないし、短縮して何年ごろまでという計画なりをある程度示さなくてはならぬと思うのですね、六十二年に未達成だということはもうはっきりしておりますからね。そうすると、何年ごろまでにはという年限を提示する必要があるのではないでしょうか。どうですか。
  45. 阿部充夫

    阿部政府委員 これからは財源的には交付税措置に頼っていくということになるわけでございますので、そういった意味で、具体に何年ということを計画としてつくっていくというのはなかなか難しいことではあろうと思いますけれども、私どもなりにいろいろ検討いたしまして対応策を考えてみたい、かように思います。
  46. 中西績介

    中西(績)委員 具体的に通知なりあるいは通達なりを示される場合には、ぜひ私たちにもその内容についてお知らせをいただきたいと思います。このことは要望しておきます。  そこで、旅費でありますけれども旅費を見ますと、先ほどの答弁では、一定の伸びを示しているところもあるということを言っておるようでありますけれども、この中身が問題ですよ。小学校長会の関係を見ましても、同額が十八県、増額が十四県、減額が十三県、不明が二県となっていますけれども、増額した県も運賃の改定に伴う単価増などを考えると大体同額に等しい金額でしかない。ですから、聞いてみますとここ相当の年数五万八千八百円という中身でしかないわけです。実質横ばいです。ということは、実質的には落ち込んでおるので、小学校長会の意見などを見てみましても、今文部省なり臨時教育審議会が求めておる研修意欲からすると大きく減退しておると言われておる県があります。こういうことを考えてまいりますと、特に旅費の問題については、増額ぐらいはしていかないと、今文部省が求めておるそうした問題を解決することにはならないわけでありますけれども、この点はどうでしょう。
  47. 阿部充夫

    阿部政府委員 ただいま先生お話にございましたように、旅費につきましてはここ数年来据え置きという形で参りました。一般財源化をいたしました際にも、単価的には同額ということで推移いたしておるわけでございます。公務員一般について申しますと、旅費は大変厳しい状況にございまして、運賃の値上げ等にもかかわらず、むしろ逆に減額されているというのが実態でございますけれども、そういった中で財政当局、地方財政当局に種々御配慮いただきまして、少なくとも教員の旅費については減額しないということで今日まで来たわけでございます。もちろん、これから研修の充実強化等を考えていきます場合にも旅費の増額というのは望ましい点でございますが、具体にどう対応していくかはもう少し各県の実態等も聞きながら検討させていただきたい、かように存じます。
  48. 中西績介

    中西(績)委員 財政問題を言いますと、教材費旅費の問題もそうですが、文部省の場合、人件費が予算の大部分補助金になるわけであります。補助金の減額ということになれば、人件費の問題は一応枠外になるわけでございますから、そうしたこととあわせて教育実態というものから考えていく場合、効果を上げるということから考えれば必然的に防衛費や海外開発援助費とかいうものと同じよう措置はできないものか、そういう考え方を持ったことがあるかどうか、文部省
  49. 海部俊樹

    海部国務大臣 国家百年の大計でございますから、そのときそのときのいろいろな情勢よりも教育努力の積み重ねが必要であると基本的には考えておりますので、我々も政策を立てたり努力をしますときには、常に高い努力目標を置いて、できれば今御指摘ようにODA的な発想で文教関係予算は見てもらいたいという強い願いを持つのでありますけれども、御承知のように厳しい財政状況のもとでございますから、他の政策との整合性の中で、いろいろな枠の中でそれでもできるだけのことをしよう努力を続けておるところでございます。
  50. 中西績介

    中西(績)委員 もう時間がなくなってしまいましたので、一言だけ大蔵大臣にもお聞きしたいと思うのですが、今のよう考え方教育に対する財政措置の問題は、少なくとも防衛費なり海外開発援助費なりと同等の考え方を持って措置される、そのことが今一番問われておるのではないかと思うのですけれども、その点はどうでしょう。
  51. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 教育というのは国家百年の大計、お示しのとおりだと私も思います。したがって、この問題については極力削減をしないようにしていくこと、これが根本思想でなければならぬ、当然さよう考えます。ただ、今財政再建の途次にありまして、地方自治体にも担っていただくということでこういう措置に出ておるわけでありますが、極力御趣旨を体しまして今後とも対策に努力したい、かよう考えます。
  52. 中西績介

    中西(績)委員 この点についてはぜひ勘案していただきたいし、文部省が特に大蔵省との折衝の中で頑張っていただきたいと思います。  そこで、もう一つ、そうしたこととのかかわりがあるわけでありますけれども文部省予算というもの、大部分が人件費補助になっています。これは予算の何%ぐらいになっていますか。
  53. 西崎清久

    ○西崎政府委員 先生指摘の点を六十一年度予算で申し上げますと、文部省関係の一般会計は四兆五千七百二十二億でございます。そのうちの人件費につきましては、御案内のとおり義務教育の教職員給与費、国立学校の教職員の給与費が大宗でございまして、全体で七四・六%というシェアになっておるわけでございます。
  54. 中西績介

    中西(績)委員 今お答えいただきましたように、七五%近くの率を占めておるということになるわけであります。そうしますと、六十年度の場合、賃金のベア分については一%予算化しておる。ところが、五・七四アップしておるわけでありますから必要経費は——一%は予算化されておったのですけれども、残る部分はなかったのですが、この部分は文部省ではどれくらいになっているのでしょう。
  55. 西崎清久

    ○西崎政府委員 ただいま先生指摘の給与費の五・七%分の平年度化でございますが、全体での六十一年度所要額は千六百億でございます。六十一年度で大体前年度並みの予算という形で文部省予算は構成されておりますので、この千六百億につきましては、御指摘の一%分三百億を差し引きますと千三百億でございます。千三百億につきましていろいろな検討を加えて六十一年度文部予算を編成した、こういう経緯でございます。     〔小泉委員長退席中西(啓)委員長代理     着席〕
  56. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、千三百億を今度の予算編成の中には組み入れておるということですか。
  57. 西崎清久

    ○西崎政府委員 御指摘の点は、財政再建で大変厳しい国家財政の中でございますので、文部予算を千三百億あるいは千六百億に係る給与費として突出させるというわけにまいりませんので、この千三百億に係る人件費につきましては、大体従来の種々の予算についての削減合理化という形での賄いをいたしておるわけでございます。  その点について若干申し上げますと、先ほど申し上げました三百億以外、前年度との比較でございますが、公立学校施設整備費につきまして……(中西(績)委員「いや、それは要らぬです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。——そういうふうな関係の処理をいたしております。
  58. 中西績介

    中西(績)委員 全然答えがわからないのですよ。何を言っているのか、私わからぬ。さっきから私が聞いているのは、六十年度一%予算化しておって、五・七四%アップしたから一%分はあったけれどもあとの分はなかった、それに必要な経費は幾らですか、こう言ったんですよ。これは幾らになる、その一点を聞こうと思ったところが、千三百億が何だ、千六百億が何だと言うからわからぬ。私、頭が悪いから、もうちょっとわかりやすく言ってください。
  59. 西崎清久

    ○西崎政府委員 どうも失礼いたしました。  五・七四%の給与費の平年度化に伴う必要経費は千六百億でございます。したがいまして、この千六百億につきましては六十一年度予算において計上する必要がある、そういうことでございます。したがいまして、この千六百億の経費は六十一年度予算に組み入れておるわけでございますから、それにつきまして全体の予算がほほ前年同額であるという形でお考えいただければ、給与費以外の経費の削減で千六百億が貯えておる、こういうふうな意味でございます。
  60. 中西績介

    中西(績)委員 では、もう一遍確認しますが、この賃金の分については確保してあるというお答えですね。
  61. 西崎清久

    ○西崎政府委員 御指摘のとおりでございます。
  62. 中西績介

    中西(績)委員 ところが問題は、昨年、六十年度分のときにそういう措置、一%しか組んでおらないので、あと四・七四%については今の財源の中で何とか措置をしなさい、こう言われたわけですよ。だから、今あなたが言うように、この千六百億は財源的に措置をされてあるので、ほかの分にしわ寄せが行きましたということを言っているわけでしょう。そうですね。——わかりました。  そこで、そうなりますと、結果はどういうところにしわ寄せされたか。
  63. 西崎清久

    ○西崎政府委員 ただいまの先生の御質問につきましてお答えいたしますとするならば、先ほど申し上げかけました公立学校施設費が、対前年度比の減額として三百二十七億。それから義務教育費国庫負担金につきまして、恩給費等あるいは追加費用につきまして補助率を二分の一から三分の一にした、これは事柄としては法律の定めで支出をするわけでございますから、事柄は動かないわけでございますが、交付税化という形で国庫負担金は減るわけでございまして、これが八百四十億、それから国立学校の施設費につきまして百六十八億、これらを足しますと約千三百億となるわけでございます。  それから、先ほど先生がおっしゃいました一%の計上を、六十年度は三百億計上しておりましたが、六十一年度予算につきましてはいたしておりませんので、その分が三百億、合わせますと大体千六百億、こういうふうになるわけでございます。
  64. 中西績介

    中西(績)委員 そうしますと、もし六十一年度べースアップがあると、これは今度とうなるのですか。
  65. 西崎清久

    ○西崎政府委員 先生ただいま御指摘の点は、恐らく予想されます八月の人事院勧告でべースアップが行われることを指摘しておられるわけでございますが、ベースアップに伴う給与費の所要額は、六十一年度の所要額とそれから六十二年度の平年度化の所要額、二つ出てまいります。六十一年度に三百億を計上していない、まあ三百億というのは六十年度の額でございますが、計上していない場合には、六十一年度のベースアップに伴う所要額はすべて補正予算でこれを賄わなければならない、こういうふうな形になろうかと思います。
  66. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、その補正予算を組むにしましても、また来年度予算編成のときにそのしわ寄せというのはどこかに持っていかなければならぬということになるでしょう。
  67. 西崎清久

    ○西崎政府委員 六十一年度予算におきまして給与費に係るべースアップ分を計上しないという仕組みは、文部省だけではなくて、政府関係各省の人件費の所要額については六十一年度はこれを計上いたさないというふうなことで統一的に処理しておるわけでございまして、六十一年度のベースアップに伴う財政需要なりあるいは六十二年度の予算編成における平年度化の所要額につきましては今後の課題処理として残る、これは御指摘の点でそのままおっしゃるとおりかと思うわけでございます。
  68. 中西績介

    中西(績)委員 そうなってまいりますと、恩給だとか年金だとか施設だとかこういうものにずっとしわ寄せしていきましたね。それと全く同じように、今度もまた義務教育国庫負担、この分にしわ寄せをしていくということになるのですか。
  69. 西崎清久

    ○西崎政府委員 六十一年度のベースアップに伴う補正予算の処理、六十二年度の給与費の平年度化の予算処理をどういうふうに行うかということは現在白紙でございます。先ほどから先生がおっしゃっております義務教の負担金の恩給費、共済費の補助率の変更につきまして、これは三年間お願いいたしておりますから、この関係は三年間継続するわけでございますけれども、その他の問題については現在白紙である、こういうふうなお答えになろうかと思うわけでございます。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 そうなりますと、三年間ですからそのことはわかりますけれども、ところがまだほかに余地を残しておるところがありはせぬですか。
  71. 西崎清久

    ○西崎政府委員 現在は、文部省としてはまだ全く考えはございません。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 そこで、大臣にお聞きしますが、今白紙であるということを言いましたけれども、去年も随分論議しました。  それは事務職あるいは栄養職員の問題、この分が絶えず問題視されておるということを聞いておりますだけに、一応六十一年度分についてはこれは除外するなどということにはなりませんでした。そこで、昨年も大臣あたりから、基幹職員であり学校教育の中における中核的職員であるという認識の中から、除外しない、こうしたことで今まで措置をしてきたと思いますね。努力をしてきたと思う。このことは、今後も今のように次々べースアップ分が出てくると、数が多いわけですから他の省庁に比べると金額もうんと大きいわけでしょう。そうすると、そこにぐっとしわ寄せしてきたら、押し出すところはそこしかありませんなどとは言わぬでしょうね。
  73. 海部俊樹

    海部国務大臣 御指摘の問題につきましては、昨年は私は党の文教制度調査会長の立場で、予算編成のときにいろいろ物を考え、意見も述べさせていただきましたが、当時文部大臣が言われたように、事務職員、栄養職員は学校の基幹的な職員であって、これは学校運営のために国庫負担制度の中にきちっと残しておきたいということを言われ、我々もそれに賛成をして一緒にその存置をやってきた経験も持っておりますから、そのことは大切に考えてこれからもやっていきたい、こう考えております。
  74. 中西績介

    中西(績)委員 今文部大臣は、そのように変更しないということを言われましたけれども大蔵大臣にちょっとお聞きしますけれども、今文部大臣答弁いたしましたように、もともと義務教育国庫負担制度そのものがなぜできたかということは先ほどからるる申し上げてきたところです。そうした中における基幹的な職員であるというようなものを、大蔵省側からまさかこれに手をかけるなどということは言わないだろうと私は予測をするのですけれども、これは大丈夫ですね。
  75. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはいろいろ議論がありまして、その末、御承知のような結果に据え置いたわけでございます。今後も議論の対象になることはあり得ると思いますが、できるだけ御趣旨は尊重したいと考えます。
  76. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、先ほどから私は、教育問題は枠外としてでも予算措置すべきではないかと主張してきたわけでありますけれども、さらに詰めようと思いましたけれども、時間がございませんので、この点はぜひひとつお考えいただくということで確認をしてよろしいですか。
  77. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御承知のよう財政再建の非常に苦しい場面ではありますが、御趣旨の点は尊重してまいりたいと思います。各方面の意見を徴しながら、十分御趣旨を体します。
  78. 中西績介

    中西(績)委員 以上で終わりますが、まだたくさん質問する事項はありましたけれども、後の同僚に任せることにします。  今、私がるる申し上げてまいりました教育問題は、特にこの補助金臨時特例措置が及ぼす影響は大変大きなものがあるということをぜひ御理解いただきまして、この点についての特例措置を今度逆に、教育予算については、先ほどから申し上げるように、最も国民的なコンセンサスからいたしましても、すべての人たちが要求している中身の違いはそんなにありませんから、ぜひこの点御留意いただくようお願いを申し上げまして、終わりたいと思います。
  79. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 島田琢郎君。
  80. 島田琢郎

    ○島田委員 羽田農林大臣が間もなくモスクワに立たれるようであります。農林大臣の臨時代理はだれになるのですか。
  81. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 国土庁長官だそうでございます。  農林省田中房長
  82. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 羽田農林大臣が十二時の飛行機で日本国を離陸いたしますけれども、離陸する前までは、といいますか、現時点では羽田農林大臣でございますが、午後からは国土庁長官が臨時農林大臣を相務めることになっております。
  83. 島田琢郎

    ○島田委員 きわめて変則な審議ということになるわけですね。大蔵大臣もおられぬで臨時代理、また農林大臣もいない、しかもそれは、臨時代理も決まっているけれども私の質問には答弁できない。おかしな話でありますが、しかし、そのために審議をとめるわけにもいかぬようでありますから、せっかくここに農政通を自認する江藤建設大臣もおるから、後ほどひとつまたあなたからいろいろ聞かせてもらいたいと思います。特に、政務次官がこの間私の対応をされるそうでありますが、しかしこれはおざなりに答えてもらっては困るのでありまして、その点は腹に据えてここにお座りになっているだろうと思いますけれども、念を押しておきたいと思うのです。  さて、六十一年度予算が成立したのでありますが、農林予算は残念ながら五年続きの減額予算、しかも、歴史的な一つの重い意味を持つと私は指摘したいのは、防衛予算と逆転してしまった。大砲かバターかという論議は決して新しい論議ではありません。言われて久しいのでありますが、文句なしにバターを選ぶ、これが国民のコンセンサスだ。また我々政治家も、行政も含めて、挙げて国民の大事な食糧を確保する、それがまた安全保障という立場でも有効に機能する、だれも異論のないところだと思うのです。しかし政府は、特に中曽根総理は、口を開けば、農業は生命産業だ、これは本会議でも予算委員会でも繰り返しそういうことを言っておられる。しかし、言っていることとやっていることとがこれほど違うというのも、まことに遺憾きわまりないだけではなくて、政治家としてのモラルを問われるのではないかとさえ私は指摘をしたいのです。こんな状態が続いていったら、国民の大事な命を一体どうやって守るんだろうかという点で、私は非常に強い疑念を持たざるを得ない。  その上さらに、農林予算全体では相当多くの補助金を持っているわけですね。まさに補助金が農林省の大半の任務であると言ってもいい。そこを、昨年は一年の限定つきではありましたけれども一律削減を行って、私は同じこの問題で昨年もここで各大臣に質問したわけでありますが、これは一年きりの措置だと繰り返し言われました。ところが、今度は非情にも三年続けてやるというわけですね。この及ぼす影響、先ほど文教予算中西委員地域に及ぼす影響の少なからざる点をこもごも指摘されました。農林水産予算というのは地域の経済を確実に維持して今日まで来たわけです。この状況でどんどん進んでいったら、地域経済や産業は崩壊してしまうのではないか。また、担い手たる農林水産の第一線の人たちは、先の見通しが立たないということで非常に経営に身が入らない、こういう状況になっているわけです。この農林予算の現況に対して大蔵大臣は一体どういう認識をお持ちになっておられるか、まず冒頭にそれをお聞きしたい。
  84. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 農は国のもと、これは総理も申しておりますように、私も全く同感でございます。いかに国情が変わろうと、経済的に日本が充実発展しようと、農政の重要性は認識しておるつもりでございます。  今度の補助金整理につきましては、行革審の勧告等にも基づきまして、総体的に中央、地方この財政再建のときに、双方苦しいわけでありますが、その実情に沿ってこれを行おう。特に検討委員会などにも諮問をし、そこの中には自治体の代表者も入ってもらいまして、そして、なお今後継続することに決めたわけであります。このことについては、財政再建という大義名分の上からいって、聖域を認めない、このしわ寄せが農政に寄せられた。これはさっきの文教の場合と同じでございます。これは今後の国家財政をどうしても立て直さなければならないという至上命題の上からいっても、補助金の合理化は何としても必要である、こういう見地かる行った対策でございますので、その点は御了解を賜りたいと思います。
  85. 島田琢郎

    ○島田委員 僕は大臣にそういうことを聞いたのではないのです。これで国民の命を守れるか、食糧安全保障というのはこれでできるのか、こういう点についての御感想を伺いたかったのであります。  ところで、江藤建設大臣、冒頭私申し上げましたように、先ほど農政通——かぶりを振られましたけれども、あなたは大臣になられる前は、党内にあっては、農業問題となればやはり一家言をお持ちだったでしょう。こういう農林予算実態に対してどのようにお感じになっていますか。一言感想を聞かせていただきたい。
  86. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 財政再建という一つの大きな命題を抱えて、言うならば、国家財政が糖尿病第四期に入っておる、こういう中で、例年四年も五年もマイナスシーリングあるいはまた補助金のカットが行われるということは、これは大変残念なことでもあるし、一般公共事業においても言えることでありますが、しかし、やはり一つの過程としてそういう合理化をするもの、あるいはまたお互いが創意工夫をするもの——私は、やはり本来からいうと、補助金も大事でありますが、補助金行政に頼るのではなくて、あるいはそういうものをもっと一歩前進した方法があるのではないか。例えば、融資制度に切りかえていく、長期低利の資金に切りかえていく、それも一つの方法であって、これは利率の安いものにすればそれだけ補助率が高くなったと同じことですから、やはり創意工夫をして、一つの過程としてこういうものは乗り越えて、これは国家財政がなくなったら何にもならぬわけですから、非常につらいことですけれども、ここは頑張っていかなければいかぬ、そういうふうに思っておるところでございます。  ちなみに、私も先生のところと酪農のおつき合いをしましてもう十数年になります。北海道のビートを扱ってまた酪農をあずかって十数年になりました。しかし、いろんな過程はありましたけれども、今顧みて、我々のやったことは間違いであったか、こう言うと、いろんな試行錯誤はありましたけれども方向としては、私は、間違いではなかった、これからもいろんな苦難な点はあるでしょうけれども、それを乗り越えていく努力と創意工夫をこれからもしていきたい、こう思っておるところでございます。ですから、閣僚をやめて党内に帰りましたら、また農政のことも一生懸命お手伝いをしていこう、こういうふうに思っておるところです。
  87. 島田琢郎

    ○島田委員 この論議を長々続ける時間がありませんので、これはまた別の機会に譲りたいと思うのです。  ところで、私は昨年も指摘をしたのでありますが、そのときに政府から答弁として、六十一年度以降については国と地方役割分担それから費用負担の見直しを総合的に検討して対処する、こう答弁されました。どうも今回提案されている法案の内容や省政令の内容予算措置、これらを総合的に見てみますと、二分の一を超える高率補助については、その性格を問わず、社会保障は除きますが、原則として同率の引き下げ措置である、こうなっていますね。これは六十年度の提案と同様に、国の負担地方に肩がわりさせる、これだけでありまして、つまり、行政改革とか財政再建とかいうふうなものの面から見て、私は、そこに一つの政府の強い姿勢はあっても、哲学が全くない、去年私に約束した地方との役割分担とか費用負担のあり方、それを総合的に検討した結果だとはどうしても思えない。この哲学なき財政再建あるいは財政措置予算措置というものは、冒頭に両大臣からお話がありましたように、こういう厳しいときだから仕方がない、こう言って済まされる問題ではない。  しかも、一年きりだと言ったのですが、今度は三年でしょう。三年きりだと約束できますか。三年が終わったら、恐らくまたぞろ同じことを繰り返していくのではないか。そうすると、のべつ幕なしにこういう措置がとられていくということに私は大変危機感を覚えます。昨年は一年きりです。  したがって、私の指摘したようなことを総合的に十分検討した上で、一刻も早い財政再建ができるよう努力をしたい、行政改革も軌道に乗るようにしたいと言ったのですが、そういう検討がなされた形跡が全く感じられない。大蔵大臣、いかがですか、これは。
  88. 保田博

    保田政府委員 昭和六十年度の予算編成におきまして、先生指摘ように高率補助金の一律的な引き下げを行いました。この措置は六十年度の一年度の暫定措置であるということでお願いをいたしまして、その際に、六十一年度以降の補助率をどうするのかという点につきましては、御質問の中にも御指摘ございましたが、国と地方の間の機能分担、費用負担の見直し等とともに検討を行うということを御答弁してまいりました。そこで、その検討の場といたしまして、補助金問題関係閣僚会議及びその下に補助金問題の検討会を十二回にわたって開催をいたしまして、その結果としまして、六十一年度予算編成にはこの検討結果を政府として最大限尊重するということから、今回の法案の内容をなしております補助率の引き下げを決定させていただいてまいった、こういうことでございます。  補助率引き下げの中身が、そういう機能分担でございますとか費用負担のあり方についての検討がなくて一律ではないかという二番目の御指摘でございますけれども、この点は六十年度の一割程度の一律的な引き下げとは基本的に異なっておるわけでございまして、実際に補助率をごらんいただきますと、事務事業の見直しを、これは主として社会保障の分野でございますけれども、社会保障の分野につきましては、老人ホームでございますとか保育所の入所関係の仕事について、従来の国からの委託による機関委任事務という性格づけから団体委任事務に性格変えをするというようなこと、それから、国による地方公共団体の規制を大幅に緩和するといったような、仕事のやり方を大幅に変えまして、そういう中身を変えるとともに、補助率を二分の一に引き下げを行うことにいたしたわけであります。そのほか事務の性格によりまして、例えば生活保護あるいは結核、精神に対する国庫負担は六十年度と同じ七割に据え置いたものもございます。それから、地域のかさ上げ補助率のように、かさ上げ措置を残しながらも他の補助率のバランスにも留意して補助率の引き下げを行ったものというように、いわば一律の引き下げということでは実はないのでございまして、この点につきましては御理解を得たいと思っております。
  89. 島田琢郎

    ○島田委員 そうおっしゃいますが、農林水産関係の中の予算一つ例をとってみますか。  これは公共事業だけではなくて、非公共についても二分の一を超える補助率についてはすべて同率の引き下げが行われておる。この代表的な例として森林病害虫駆除費補助金、これは平たく言いますと松くい虫防除対策費が主流になっております。これは必要だとして、つまり政府の強い姿勢でこれが行われてまいったものであります。我々は、この松くい虫対策の原理的な面で難色を示し、このやり方に対して反対しましたが、しかしこれは強行されているわけですね。ところが、これも一律に三年度でただいま三分の二の補助が十分の五・五に切り下がっていく。これだけ必要だとしてやられているものに対してまで補助金の削減を行おうとすれば、あなたが今おっしゃったお答えとかなり矛盾するのでないですか。ですから、今一律ではないと言うけれども、何もかも一緒くたにして、その事業の重要性も緊急性も無視して一律にやっちゃうということでしょう。残念ながら松枯れの実態は決してとまっていないのです。こういうやり方がいいか悪いかというのはきょう議論する場ではございません。しかし、国会筋では私どもはこれは賛成したわけでありませんよ。しかし、これは必要だとして政府が強い姿勢で行ってきたものなんだ。そういうものも今度のいわゆる補助率の一括引き下げの対象にしていくというのは極めて政策的な矛盾があるじゃありませんか。実態的にも矛盾を生み出すのではありませんか。そういう姿勢で今度のこの一括切り下げ法案が出されているという点に、哲学もなければ何にもない、政策もない、そういう感じがしてならぬということを私は指摘したいのですよ。
  90. 保田博

    保田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、六十一年度におきまする補助率の引き下げは、事務事業の見直しを行いながら、国と地方あるいはいろんな事業者との間の役割分担、費用負担のあり方といったようなことを念頭に置きながら、その具体案を練ったわけでございます。でありますが、それだけでは足りません。結局、そういう事務事業の見直し等を行った結果、補助率が下がりますものとのバランスといったようなことを考えることもまた必要なわけであります。事務事業の見直しを前提として補助率を引き下げたものが大半でございますし、さらにもう一つ、公共事業につきましては、現下の経済情勢といったようなことから事業費を確保しなければならぬといった意味での補助率の引き下げも行ったわけでございますが、そういうかなり広範な補助率の全般的な手直しを行いますとともに、その対象とならなかったものとのアンバランスを防ぐという意味では、そのほかの補助金につきましても若干の補助率の調整はしないとアンバランスになる、こういう観点からの補助率調整はさせていただいておるわけでございます。
  91. 島田琢郎

    ○島田委員 僕が今例に挙げた松くい虫対策とあなたの今の答弁では極めて矛盾するのですよ。こじつけなんですよ、今の言っているのは。しかし先へ進みます。  さて、国と地方財政負担の問題でありますが、国の財政状況はどうなっているのか、これはきのうからいろいろ議論されておりますから改めてここに提起する必要はないかもしれませんけれども、しかし、地方財政も非常に追い詰められている、こういう状況の中にあると思うのですね。したがって、これは三年間の時限、こういうことでありますが、ここでまず冒頭に、私は大臣一つ確認をしておきたいのでありますが、昨年は一年間ということでやって今度三年、だからまた三年たったらやるんじゃないかと私は少し勘ぐりでお話ししましたが、そんなこと繰り返されては困るのでありまして、仮に政府の考えているような補助体系に基づいて三年間の縮減、削減を行っていったら、地方との役割分担とかあるいは費用負担のあり方なんかを抜本的に改善できる自信がおありなんでしょうか。つまり、平たく言えば、この三年間の時限でやった措置は今後やらない、三年間やれば大丈夫、これがきちっとあなた方の考えているような予想どおりの結果にうまく結論がつけられるという自信がおありでやっているんだろうと思うのですね。これは大丈夫なんですか。
  92. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは検討部会の議を経て三年間延長、こういうことにしたわけであります。したがって、その後どうするかということについては、財政事情がにわかによくなるとは思えませんが、しかしまた、三年間これを行っていく間に時間もありますし、当然検討をしなければならぬというふうに考えております。  それから、本来ですとこれは農林省からお答えするべきでありましょうが、先ほどの森林病害虫等の防除費の補助は、いわゆる松くい虫ですが、これは六十一年度は十分の五・五、十分の六からやや下がりました。農業改良普及推進事業費、これは十分の六から二分の一へ、こういうことになっております。ところが、事業推進のための所要事業量の確保という点には十分留意をしておりまして、六十一年度の事業費におきましては百一億六千六百万円、これは一〇〇%事業費として確保しておるわけでありまして、事業量については相当幅広くこの施策ができる、御要請にこたえることができる、かよう考えております。     〔中西(啓)委員長代理退席、中村(正三     郎)委員長代理着席〕
  93. 島田琢郎

    ○島田委員 後段の部分は余計なことでございまして、私の聞こうとした趣旨と違う話であります。  ところで、大臣お話を聞いても、三年後に再び同じようなことをやらないで済むという見通しはないままに、極めて見通しのないままにこの法案が提案されているという印象を今私は強く持たざるを得ません。  そこで、地方財政の厳しい状況というのがきのうから指摘されているのでありますが、自治省はどういう認識に立っておりますか。
  94. 持永堯民

    持永政府委員 地方財政の現状でございますけれども、国と同じように昭和五十年度以来財源不足の状態が続いておりまして、そういったものを補てんするためにかなりの部分を借金で賄ってきたというような推移に相なっておりまして、かなり借金もたまっております。同時にまた、各地方団体、個別の地方団体におきましても公債費の負担が大変重くなってきているということで、大変厳しい状況にあると認識しております。
  95. 島田琢郎

    ○島田委員 具体的に言いますとどういうことになりますか。補助金が切られて、結果的には地方で手当てせにゃならぬ。そうすると、起債とかあるいは交付税をふやしてもらうとか、こういうことにまたなければ地方財政を賄い切れない、そういうことになるでしょう。
  96. 持永堯民

    持永政府委員 昭和六十一年度におきます国庫補助負担率の引き下げに伴いまして地方負担がふえるわけでございます。公共事業の拡大に伴います地方負担の増加を含めまして、全体で一兆一千七百億円の地方負担の増という見込みに相なっておりまして、これにつきましては、地方たばこ消費税の税率を引き上げることによりまして千二百億円、それから地方交付税の特例加算ということで千二百億円、残りの九千三百億円を建設地方債の増発によって賄うということにいたしております。
  97. 島田琢郎

    ○島田委員 それはそうなるんだろうけれども、しかし、九千三百億の地方起債の可能な地方自治体と全く不可能な地方自治体とがあるでしょう。どこもここも全部同じ条件にあるとは言えないのじゃないですか。あなたは一般論でおっしゃったと思うのです。いかがですか。
  98. 持永堯民

    持永政府委員 起債で貯えない団体もあるのではなかろうかという御指摘でございますが、これは起債した場合に、当然のことながら将来の償還に耐え得るかどうかという点からの御質問かと思いますけれども、この国庫補助率の引き下げを補てんするために発行する地方債につきましては、その地方債の元利償還金について、後年度、将来におきまして各地方団体に対して交付税でもって措置をするという予定をいたしておりますので、この起債をすることが将来の財源から見て非常に難しいということにはならないというふうに考えております。
  99. 島田琢郎

    ○島田委員 しかし、補助金の切り下げられた分、地方はその分相当額をオンして事業拡大を図る、こういうことがねらいに一つあるでしょう。それも今あなたのおっしゃったようなことで可能なんですか。全部の町村でできますか、町村といいますか都道府県も含めまして。
  100. 持永堯民

    持永政府委員 各地方団体はそれぞれいろいろな状況にございまして、例えば税収の面で見ましても、税収の伸びがいいところもございますし、悪いところもございます。そういった意味でのいろいろな状況の差はございますけれども、補助率の引き下げによってどうかという御指摘に対しましては、今申し上げましたとおり、確かに一部九千三百億は借金で当面賄いますけれども、それは将来の償還については交付税措置をするということになっておりますので、補助率の引き下げそのものを理由として事業ができなくなるというようなことには相ならないというように理解しております。
  101. 島田琢郎

    ○島田委員 自治省として出先の地方自治体の財政事情をそんな程度に把握していて誤りがありませんか。私は非常に地方財政が苦しくなっているという実態に間々触れておりまして、苦しいだけではなくて、もうやりくりもできないところも出てきている。そういう点で、私は、今度の措置というのは地方へ転嫁するというだけではなくて、地方財政を身動きできないものにしてしまう、そういう心配が非常に強くあります。それに対して自治省の答えは極めて楽観的であって、そんなことで私は大丈夫なのかという気がいたしますが、時間が余りないものですから一つのことにこだわっていられないのが残念でありますが、しかし、ともあれ補助率が切り下げられる、そのことによって地方の単独事業というものの財源を圧迫していくことは間違いない。それは交付税で賄い切れるのなら別でありますが、賄い切れるのなら何も今補助率を切り下げる必要はないと私は思うのですね。そういうところにねらいを置いているのじゃないでしょう。補助率を切り下げて、その分地方交付税で補てんしてやる、こういうことだったら、これはやらなくたって同じことじゃありませんか。そうじゃないと思うのですよね。ですから、そういう点でいいますと間違いなく地方財政を圧迫する。それだけではなくて、結局事業量を切り下げていかなくてはならない。  今、土地基盤整備あるいは農業の基盤整備その他で地元から強く要請されておりますのは、冒頭申し上げましたように最近農林予算が非常に切り詰められている。そのために大きな事業などは予算がつかなければ先へ延ばさざるを得ない。結局一定の予定した年度で終わることができなくて、それをさらに先延ばししていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。したがって、事業の進捗を促進をしてもらいたい、こういう強い希望がございます。これは過般、土地改良法や土地改良特別会計法によりまして、一部国の直轄に係るものについては一定の財政措置をもってこの事業の促進が図られるよう措置がとられるようになりました。これは農林水産委員会でも議論が行われたところであります。しかし、そういう直轄以外の地方の事業というのが全体的に縮小傾向にある、小さくしていかざるを得ない、こういうことでありますね。ですから、今度のこの補助金削減というのは、もろに地方財政、特に単独事業の縮小を余儀なくされる、こういうことになるという点を私は強く指摘しておきたいと思うのです。  ところで、今のような点を考えてまいりますと、例えば交付税交付金、これの算定方式というものも一律平板でいいかという問題があると私は思うのです。自治省持永議官は平均的におっしゃっているのでありますけれども、私は平均的に見るということはもうだめだと思うのです。やはり地方の力に差があるわけですし、またその置かれている財政事情なんかも客観的にも非常に違うものを持っている、こういうところが多いわけでございますから、従来のような交付金の交付方式をそのまま採用していくということは格差をさらに拡大していってしまう。したがって、この変更が私は必要だと思うのですけれども、そのお考えがあるかどうか。  それから、地方公共団体個々に細かに、全国一律ではなくて、事業量などにも十分目を通して、きめの細かい財源対策というものを講じてやるということがありませんと、これは恐らく地方においてはもういいところはどんどんいく。どんどんとはいかないまでも、いいところは何とか生き残れるが、悪いところはどうにもならなくなってしまう、こういうことになりますから、そういう自治省サイドのきめの細かい指導一つ要るだろうと思う。  それから、これはもともと農業基盤整備ということになれば農林省の仕事でございますから、農林省もそこまで配慮を加えて予算の配分をしていくということも必要だろうと思うのです。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、中西(啓)委員長代理着席〕 そういうものがなければ、補助金だけ一律に切っちゃって事業は地方任せで、地方はもうにっちもさっちもいかなくなっているのをそのまま放置をするという結果になってしまいますから、これはひとつそういうきめ細かい指導なり、あるいは自治省サイドの物の見方というものを基本から改めてもらうという必要があると私は思うのですが、この点についての問題認識を自治省自身はお持ちなんでしょうか。続いて、佐竹構造改善局長がおいでですから……。
  102. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど申し上げましたのは、補助率引き下げによる補てんをいたしますので、その分についての影響は心配ないということを申し上げたわけでありまして、地方財政全体の状況について大変厳しいことは十分認識をしているつもりでございます。特に最近の税収の動向等を見てまいりますと、北海道、東北あるいは九州といったようなところは全国平均までの税収の伸び率がないというよう状況にございまして、そういった地域では大変厳しい財政運営になっておるということでございます。  そこで、今御指摘がございましたように、そういった地域間の財政力の格差の是正といいましょうか調整というものを地方交付税制度を通じてやっておるわけでございまして、これまでもそういった措置をとることによりまして、計数的に見ますとかなり財源の均てん化が図られておりますけれども、特に近年、今申し上げましたような税収の状況もやや違った傾向が出ておりますので、さらにこの財源の均てん化ということも頭の中に置いて、交付税制度の算定についてさらに研究を十分してまいりたいというふうに考えておりますし、同時にまた、個々の団体の事業の実施状況等も踏まえながら、交付税なりあるいは地方債の算定についても十分配慮していかなければならないという認識を十分持っておりまして、そういったことで対応をしてまいりたいと考えております。
  103. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 今回の補助率引き下げにつきましては、私ども基盤整備を推進するという観点から、一つは農民負担が増高しないこと、それからもう一つ地方自治体の負担増によって事業の執行に支障を生じないこと、このような二つの条件が保証されるということで了解したわけでございまして、補助率引き下げは計算上事業の拡大効果を持つことは、これは否定できないところでございますので、事業促進に役立つ、かような観点から了承したわけでございます。  さらにまた、地方別の特殊事情については十分考慮しているつもりでございまして、例えば十分の五・五の補助率が一律に十分の五になったわけではございません。私どもの畑総あるいは団体営農地開発等につきましては、北海道等従来から補助率を高めていたわけでございますが、そのような観点から十分の五・二というような補助率にとどめたわけでございまして、私どもそれなりに努力をしているつもりでございます。
  104. 島田琢郎

    ○島田委員 改めて強調するまでもないのですけれども、我々は、農業基盤の整備というのは国土の保全とか自然環境の維持さらに培養、また山村地域の特に過疎地域におきます活性化を図るという重要な使命を持っているという認識に立ってやってきたわけであります。また、そのような観点から予算措置も行われてきた。それは、今佐竹局長が言われているような物の考え方地域においても基盤整備を促進する基本になっていたということは事実であります。しかし、農業基盤を整備するというそのこと自体はあくまでも全額国庫で負担すべきものだというのが我々の主張でありまして、つまり、国土の保全とかさっき述べましたような大変公益的な役割を担っている、こういう点で、むしろこれは地域の分担とか負担とかというものはなしにして、あくまでも国庫が全額負担して進めるべきものだ、こういう立場で我々は従来主張してきたわけであります。それが今度は、差はつけて進めるのだと言いながらも、実質的にはやはり補助率の削減、こういう事態になっていくわけでありますから、これは地方のいわゆる事業に少なからざる影響をもたらすということは紛れもない、そういう状態だろうと思うのです。一  ですから、先ほど私は自治省にも指摘をしましたように、そうはおっしゃっていても、地方財政事情とか地方の力、そういうものを十分勘案して、一律平板ではなくて、それをきちっとフォローアップできるよう予算措置をこれからはなお一層きめ細かく進めていってもらわなければならぬ、こういうことを指摘したのであります。どうも全国一律の物の見方で地方をとらえているようでありまして、その点は大いに反省願いたいところであります。  したがいまして、こうした補助率の問題につきましても、地方がどういう経済的な影響を受けるのかという点の地方実態調査というものが基本になければならない。ところが、幾ら質問してみてもどうもそういうものが全くなくて、ただやみくもにこれを進めていこうというふうにしか答えとしてははね返ってくるものがないというのが大変心配される点であります。  ところで、私はここで農業の今日的な状況というものの中で大変心配される点を一、二話題を変えてお話をしてみたいと思うのです。  もう十四年前のことでございますが、たまたま同じこの席から私は当時の江崎北海道開発庁長官と——私は初陣でありました。初めて国会に立った。そのときに話題にいたしましたのをもう一遍繰り返してみたいと思うのでありますが、実はあのときは災害対策特別委員会でございました。その中で私は、北海道の開発を進めていく過程でどんどん先へ事業を進めていく、しかし、その後始末がしっかりできていないという点について指摘をいたしました。それは例えば、河川改修が行われる、これは土地基盤整備にかかわります点でも関連があるわけであります。そのとき話題にいたしましたのは、開発庁以前の建設省の時代、河川改修が行われました。農地を買収いたしました。四十年たっている今日もなお農地が現在の川の中にあるという事実を指摘したわけです。私の調査だけでも大変な面積になっていた。こういうものを放置して、これは川のことだけ申し上げましたけれども、当然のことながら道路の改修問題でも同じような事態が現場で起こっているわけですね。四十年もたっておりますと、おじいさんの時代から今は孫の時代になっています。おれの土地は川の中にあるという話なんですね。それで、土地基盤の整備を行おう、あるいは土地改良を行おうとしても、そこがネックになってその対象になり得ないという事態が現場に起こっている。このことを私は大臣指摘をしたのであります。  大臣は早速この点を取り上げられまして、私が個別に指摘をした、具体的に指摘をしたところは、その後、七、八年かかりましたが、あなたの御指示があったのでしょう、これは四十年たってやっと孫の名義に変わっていくことができました。しかし、そこだけはなったけれども、ほかにも実はまだあるのであります。これは建設省も決して責任がないとはいえないのですね。開発庁の以前のいわゆる責任が北海道のそういうところにあるわけであります。今も現に自分の農地が名義上はまだ川の中にある。しかも、旧河川はまだそのまま放置されていて、地続きの農家がそれを埋め立てでもして何とか農地を有効に利用したいという願いもなかなか達成できないという地域がまだ残っているのであります。私は、全道的に全国的に調べているわけではありませんから、そういう敷衍的な問題として取り上げるにはいささか的を射ていないかもしれません。私の足元の身近なところでそういう事態がまだあるわけであります。これは農業経営を進めていく上では大変大きな阻害要因になる。こういうものを早く解消してもらいたいと随分私も開発庁を通じて話をしておりますが、登記とかいろいろな問題はそう一朝一夕にいかない。測量がついてまいりますし、お金がかかる、この事実は私としても否定できないものがあるのであります。しかし、そういう現場の状態が起こっていた。私は、行政改革というのはそういう点が改革されるということでないかと認識している。  それから、ついでですからもう一つ、建設大臣、実はおととしのことであります。私のところに鹿の子ダムというダムが建設されました。これは建設省と開発庁の所管で、長い年数をかけ大きなお金を投じてともかくも多目的ダムが完成をいたしました。この完成の後、実は長い間国のいわゆる直営でやってきたものでありますから、附属する建物、これが立派なものでありまして、それを取り壊す。事業が終わりましたから、工事が終わったから取り壊す。実に痛ましい。十分使える。地元で利用したい、売ってほしい、払い下げてほしい。ただで欲しいけれども、ただといったってそうもいかないだろう、こういう財政事情だからと地元はえらい理解を示しました。ところが、取り壊し料がこの建物に八百万かかるそうであります。払い下げてほしいと言ったら千三百万円出せと言ってきました。矛盾しておるじゃないですか。僕はそう思いまして、時の水野建設大臣のところに直訴しました。ところが規則規定でそう簡単にいかない。だから、僕は大臣とじかに、こういうものには政治的な判断があってしかるべきじゃないですか。行政改革でしょう。ただ取りつぶすのに八百万の金がかかるのなら、それを有効にこれから地元が利用するというのにただで払い下げてくれたっていいじゃないですか。行政改革というのはそういうものじゃないですか。むだな金をそんなところに使うことはないじゃありませんか。さすがに時の大臣も、おまえの言うとおりだ、そのとおりだ、こうなったのですね。役人の方を呼びました。大臣だめです、そんなことはならぬと言うのであります。千三百万出せば払い下げてやる、しかしそうでなければこれは払い下げできません。変な話じゃないですか。さっきの河川の跡地の処理の問題で、時の開発庁長官江崎さんは政治家の判断でこれをおやりになったのですよ。それは一部ですけれども、私の指摘してきたところだけなんだ。しかし、金を一銭でも大事に使わなければならぬというのが今の補助金削減だし、行政改革だとおっしゃっているわけでしょう。役人のいちゃもんで大臣の判断ができないなんというのはおかしな話じゃないですか。どうお感じになりますか。両大臣、お二人にかかわる話をきょう私はしたのです。いずれも農業の基盤整備にかかわる問題であるし、これから営農を続けていく上で現地で抱えている大事な問題なんですよ。そういうものが整理されなくて何が行政改革ですか、何が財政再建ですか。大臣がやればやれる話がどうしてできないのかと思うが、できなかったのですね。まさに今は役人天国なのでしょうか。有力なる大臣もその力を発揮することができないとしたら、だれを信じたらいいのでしょうか。私はそういう思いに閉ざされて暗たんたる気持ちにさせられました。  結論を申し上げますと、後段の鹿の子ダムの附帯施設の問題は、昨年三月三十一日付をもって取り壊しになりました。払い下げが実現できなかったのです。地元は難しい話をしていないのですよ。壊す予算が八百万で済むのに、欲しいならその上に五百万を積み上げて出せというのは、地方財政に対して一体何と考えているのかと私は思いました。しかし、地元の皆さんは、八百万の取り壊し料がかかるのだったら、取り壊さないで済む額として、理屈に合わぬけれども八百万でいただきますとまで言ったのです。それもだめなんです。千三百万でなければだめなのだ。しかも、私がこのことで建設省に乗り込んで大臣室で直訴しましたら、大臣は二つ返事で、よしやろうとなったのです。結果的にはだめだった。こういう事実を聞かれてどうお感じになりますか。私の厳しい口調に対して恐らく納得されるのではないかと思うのですよ、政治家同士ならば。役人が介在するとおかしくなるというのは一体どういうことなんですか。今二つの例を挙げるまでもなく、そういうことがいっぱい現地で行われているのです。ぜひ反省を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  105. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 実際問題を存じませんから、そのことについてコメントすることは適当でないと思いますが、一般論からいたしますと極めて妙な話だと私も思います。  ただ、最近、島田さんもその推進論者の一人ですが、内需拡大ということで、例えば住宅を建てようということが言われます。ところが、これから五カ年計画で六百七十万戸住宅を建てようというときに、でき上がってみたら鉄筋コンクリートとプレハブだけだったというのでは何も内需拡大にならぬわけでありまして、いかに国産の木材住宅を建てるかということが基本だろうと私は思うのです。ところが、公営住宅をつくる、あるいはまた、長官も来ておりますけれども、林野庁が営林署をつくるときに、いろいろなことがあってどうしても鉄筋コンクリートでつくる。これは妙な話でありまして、おれは使わぬけれども、おまえらは木材を使えという話は通用しない。ところが、山の中の学校でも役場でも営林署でも、木材ではつくれぬと言うからよくよく調べてみると、昭和二十六年に官庁営繕法ができておって、準防火地域では三百平米以上のものは木造ではいかぬ、その他は千平米以上はつくってはいかぬという規制があるのですね。私は、それは戦時中に空襲でよく木造が燃えたということと、戦争直後に台風が随分来ましてばたばた倒れましたから、そういう反省から、木造はいかぬ、鉄筋コンクリートにせい、こういうことだったのかな、こう思っておるのですが、今になってみると極めて妙な法律であって、そのために、山がこれほど荒れて、せっかく拡大造林をやってきたものが、間伐材の買い手もなければ間伐もやらない、山をほっぽらかしておるから山がそのまま地すべりを起こす、災害の原因になる、こういうことを繰り返しておるのを見ると、長い間、戦後四十年もたつ間に、その当時は適切な法律、制度であったものが、今日の物差しに合わないような状態になっておる、そういうものがたくさんあるのではな一いか。  今の払い下げの問題においても、それは役人けしからぬと言われても、どこかに法律、制度があって、それを飛び越えてやれば役人が法律違反をやらなければいかぬということで逡巡したのではないかと思うのです。片仮名で書いてある法律もたくさん残っておるわけでありまして、そういう現実に沿わないものがたくさんあるだろうと思うのです。これは私の所管ではありませんが、少なくとも建設省所管のものでそういうものがあるとするならば、御提言ですから、私どもは謙虚にそういうことを顧みてよく検討させていただきたいと思います。どういうことでそういうことになったのか、もしそういう法律、制度があってそれが現実に合わないものであるならば、それに対して適切な措置をとる、これは行政改革として当たり前のことであろうと思いますから、御提言の趣旨を承りまして、勉強させていただきたいと思います。
  106. 島田琢郎

    ○島田委員 この案件は、既に壊してなくなったわけでありますからもとに戻りませんが、こんなことを地山の石として、今大臣おっしゃっているような、本物の行政改革を進める、財政再建を進めるということにぜひ資してもらいたい、こういう気持ちできょうはこれを話題にいたしました。  さて、内需拡大、今の話も大体そんな含みを持っているわけでありますけれども、今の政府の経済運営の基本は内需拡大に置こう、こういうことで整備充実をする、その一環として公共事業に対しても民間活力を導入していこう、こういう考え方に立って総理を初め皆さん答弁しておられるようであります。  私は、また農業基盤整備事業に戻るのでありますけれども、この農業基盤整備というのは、言わずもがな、国民の大事な食糧を生産する、そしてまた国土の改善、地域経済の活性化も図り得る、こういう点でこの事業そのものの持っております性格は大変評価されていいものだと思うのです。であるがゆえに、ここにまで削減のメスが入れられるようではこうした地域の経済を損なうということに結果的になるので厳に慎んでもらいたいということを先ほど言ったわけでありますが、分析いたしますと、この基盤整備事業が持っております役割、任務が他の公共事業に比べても決して小さくないということを指摘する第一の点は、受益者が負担するということになっているわけですね。先ほど私は、全額国費で見るべきだ、これは自分の土地を改良しているようでも決してそうではなくて国土の改善であるということを言ったわけでありますが、現実には受益者が負担するわけです。そうすることによって事業費の拡大が行われる、こういうことになるわけですね。ですから、事業費に占める用地やそのほかの施設等の買い取りあるいは補償費というのがその分だけ少なくて済むということも結果的には言えるわけですね、丸ごと持っているわけじゃないのですから。  二番目には、人的労力、こういうものが非常に高い価値観を持つ可能性を持っている。それから、地方に発注しやすい性格がありますね。中央からでかい企業が出かけていってやるなんというよりは、地方でだれでもこれはできる。ですから、地方参加で非常にこの工事が進められやすくなっている。  ただ、問題はありますよ。この間も農林水産委員会での議論の中で指摘がありましたように、どうも自民党の献金の巣になってしまう。おれがやった、あれがやった、それを全部吸い上げて政治献金になっているという疑いもたくさん持たれて、地方では、公共事業を余りふやすと自民党の諸君がそこにたかって全部政治的に吸い上げてしまうのではないかという語さえ伝わってくる。こういういただけない話もあるけれども、しかし、総体的に言えば、今申し上げましたような四つの点は、土地基盤整備あるいは農業の基盤整備に係ります事業としての持っておる有利性といいますものは、今日的な評価ができるのではないかと私は思うのですね。  ですから、そういうことを考えますと、余り今の予算を削り込んでいくとか補助金まで切り下げていくとかというようなことは、内需拡大つまり地方参加の活性化を阻害していくことになりはせぬか、そういう考え方を私は持っております。  この際、せっかく農林大臣のかわりにお座りになっている政務次官、あなたからお考えを聞かしてください。
  107. 保利耕輔

    ○保利政府委員 農業の基盤整備は、効率あるそして生産性の高い農業をやっていくためには大変重要なことだと思います。先ほど先生指摘がございました受益者負担がある、経済の波及効果が大きい、事業費に占める労務費の割合がほかの公共事業と比べて最高に高い、あるいはいわゆる一億円未満の資本金の中小企業に対する発注率が非常に高いということで、地方の経済を支える重要な事業だと考えておるわけでございます。そして、この農業基盤整備事業は、地元からの申請に基づきまして実施をされておりまして、御指摘のとおり民間活力を導入した事業であるというふうに位置づけることができると思います。  農業基盤整備事業は、先ほども申しましたとおり、農業の生産性の向上、あるいは需要の動向に即応した農業生産の拡大、あるいは農業の構造の改善等に資するという重要な役割を持っておるわけでございまして、その着実な推進に農林水産省としても取り組んできたわけでございます。特に、昭和六十一年度におきましては、財投の資金を活用いたしました特別会計制度の拡充を図ったりいたしまして、引き続いてまた地方財政措置を講ずる等、補助負担率の削減措置を講じまして事業量の拡大、そして確保に大いに努めているところでございます。  今後とも農業基盤整備事業の円滑な推進を図りますために、所要の予算額の確保は当然でございますけれども、さらに事業量の確保、拡大に努めてまいりたい、このよう考えております。
  108. 島田琢郎

    ○島田委員 ところで、もう時間がなくなりましたから、農産物の貿易自由化の問題について触れておきたいと思います。  ガット問題が休戦されて、その休戦が明けるのが今月というふうに言われております。そうしますと、この棚上げされている問題というのがいよいよまた二国間の協議が始まるわけですね。これに臨む政府の考え方、あるいはまた、その対策をどのように持っておられるのか、この際、聞きたいと思います。
  109. 保利耕輔

    ○保利政府委員 市場開放の問題についてでございますが、今農産物の十二品目について、これまで昨年の十二月四日並びにことし三月十八日、二回にわたりまして事務ベースでの協議を重ねてまいったところでございます。御存じのように、協議におきまして米側は、いわゆる自由化、輸入制限を撤廃すべきであるという旨の基本的な立場を表明いたしておりますし、日本側は、自由化をコミットできる立場にはないということで、個々の産品について自由化が困難であるという事情について今まで詳しく説明を米側に対してしてきているところでございます。  今後につきましては、今月の四月十日ワシントンで開催予定の協議を含めまして、四月二十二日の期限切れに向けまして協議を継続してまいりたい、粘り強い協議をしてまいりたいと考えております。  本件につきましては、我が国農業の厳しい実情及び十二品目のいわゆる重要性にかんがみまして、我が国農業に悪影響を及ぼさないような現実的な解決を目指して最大限の努力を今後とも続けていく覚悟でございます。いずれにいたしましても、事務の交渉を通しまして現実的な解決を図っていくということを申し上げまして、お答えとさせていただきます。
  110. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私、国際経済の特命相でもあるわけですが、この問題はアメリカ側に対してよくプロパガンダをする必要があると思うのですね。徹底しなければなりません。  大体、御承知のように米の生産量が千五十万トンですね。外国からの輸入量は穀物全部で二千七百万トン。そしてアメリカからは千五十万トンの約倍である二千百万トンを輸入する最大の輸入国なわけですね、日本の場合は。ですから、そういうことがアメリカの農民にはわかっておるわけですが、政治家にわかっていない。これは非常に残念なことでございまして、ジェトロあるいは在外公館だけではとてもだめですから、進出企業なども、各州五十州もあるのですから、日本に比べたら巨大な象みたいな国ですから、そういうところに向かってもっと徹底して宣伝をする必要がある、これを痛感しておる次第でございます。
  111. 島田琢郎

    ○島田委員 ところで、江崎大臣総務庁長官でございますし、行政改革の担当大臣、こういうことでありましょう。この際、農用地開発公団、これが行革審の論議になっているようであります。  現実に、この農用地開発公団が我々の経営を側面から助けて今日まで非常にいろんな役割、任務を果たしてくれまして、それが我々の営農推進の上にも大変助けになってきた。ところが、仄聞するところによりますと、行革審の小委員会ではこれを廃止するというふうなことが取りざたされていると伝えられております。私はもってのほかだと思いまして、公団の果たしてきました役割についての認識が足りないのではないか、こう思っているのです。中には、効率的な事業がなされていないとやら、あるいはまた酪農、畜産の置かれておる今日的な状況を十分認識しないまま、もうその役割、任務は終わったとやらいろいろ言われているようでありますが、どうもこの小委員会の参加委員皆さん方は余り農業の実態に詳しくないようだという感じさえするよう論議がなされているようであります。  私は、政府の責任において、この農用地開発公団が果たしていく役割の大きさをしっかりと自覚をしていただきまして、今後も大いに、これだけ大事な我が国の農業の現状を考えますときに、この任務が中止されるようなことがあってはならぬというふうに、ぜひひとつ政府部内の統一を願いまして、農林省サイドの考え方等を私も聞いておるわけでありますけれども、我々と同じような認識を持っているようでございますので、きょうは幸い大蔵大臣としてここへお出になっておりますので、これはひとつ私から、ぜひそういう認識をきちっと持って、こうした行革審に対する対応をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  112. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは総務庁長官としての御答弁になるわけでありますが、行革審において目下いろいろ議論されておることは私も漏れ聞いてよく理解しておるつもりでございますが、大体行革審の答申というのは、総論は賛成でも各論になりますと政治的にいろいろ議論が出てくるのですね。ですから、当然これは審議の過程におきまして、私ども政府ももちろんでございますが、政府与党側にも非公式な打診もありましょう、今の御意見なども踏まえまして、十分慎重に御論議をいただくようにしてまいります。  ただ、今ここで約束せいと言われても、これは委嘱をして、今結論を急いでおってもらうところでございますので、十分御意見を承りましたということで御了承をいただきたいと思います。
  113. 島田琢郎

    ○島田委員 総論賛成、各論反対で私は言っているのじゃなくて、政治家的発言でもなければ、現実に私は農民でございますから、こういう公団が今までやってきた仕事を目の当たりに見ているわけです。そういう体験の上で、私は、公団の果たすまた果たしていかなければならない役割を評価しているわけであります。ですから、ほかの公団と一緒にしたような話にはならぬと私は強く申し上げておきたいと思います。農林省もその決意に立ってひとつ頑張ってほしい。そのことを申し上げまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。
  114. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 武田一夫君。
  115. 武田一夫

    ○武田委員 国の補助金等臨時特例等に関する法律案につきまして、何点かの問題を取り上げましてお尋ねをいたします。いろいろな方からこの問題についてはるる御質問がありまして、重複する点もございますが、その点は御容赦いただきながら、簡潔に明快な答弁をいただきたいと思うのであります。  まず、この法案につきましては、当初六十年度一年限りとされていた高率補助金の一律カット、この一年限りの約束がほごにされて、今後さらに三年間の延長ということであります。各地方自治体、私は宮城県でございますし、東北をずっと歩いてまいりますと、このことにつきまして、まず最初に、やはり約束したことはきちっと守らなければいかぬじゃないか、これは政治の基本、人間としての最低の基本でございますし、一年限りが今後また三年延長ということになる、それじゃ三年後に果たしてもとに戻った方向で行くのかということを非常に心配しておるわけです。  そこで、まず最初に、この問題につきまして、今回の措置が三年の時限立法ということでありますけれども、三年たてば国の財政事情が改善されまして、そして現行どおりの補助体系に戻すめどがあるのかどうか、やはりそれが一番の関心であるということであります。めどが立たないとすれば、今後三年間の国と地方役割分担、費用負担のあり方などについての抜本的な検討はぜひしなければならない至上課題ではないかということでございますが、この点について長官はどのようにお考えてありますか、まずこの問題からひとつ聞きたいと思うのでございます。
  116. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 この問題については、検討部会の議にゆだねまして、そして地方公共団体の代表者にも入っていただいた上で決めた結論であります。そして、地方地方役割を分担していただいた方が能率的なものはそういうことにしていこう。それから、先ほど来議論がありますように、豊かな財政事情の地方ばかりではございません。したがって、悪いところにはそれなりの対応措置はとっていくという原則も踏まえながら、やはり今国の財政事情としては、これは地方を合わせますとGNPの四九%、国はそのうちの四三%という比率になります。アメリカはGNPの四〇%と言っておりますが、何といっても大変な苦しい財政事情にあるわけでありますから、地方も苦しいことはわかります、しかし国に比較すればまだ多少のゆとりはある。しかしばらつきがありますから、悪いところは今お答えしたとおりでありますから繰り返しませんが、地方に即応したものは担っていただこう、こういうことで向こう三年間決めたわけでございます。その先をどうするか、これはまだ時間もありますし、これから十分検討いたしてまいりたいと考えます。
  117. 武田一夫

    ○武田委員 各自治体の皆さん方は、そういう政府の方針に非常に忠実に、一生懸命努力ようとしているのです。これはまことにけなげな姿でございます。カットされた分は地方交付税あるいは地方債、たばこ税で補っていく、これで三年間は事業をいろいろ苦労はあるけれども頑張ろう、こういう意欲を持ってそれなりの努力をしていることは私もよく知っているわけでありますが、大蔵大臣と自治大臣の申し合わせで、六十五年の赤字国債がゼロの段階から、これまでのそうした努力に対して、各自治体でいろいろと出てきた赤字については責任を持って償還するための手当てはする、こういう話を我々はされている、これは口約束でありますけれども、政府の皆様方が言うわけですから、これは信じたい。しかしながら、一度あった一年限りがまた延びて三年になったということを考えると、その時点のしっかりした確約を各首長さん方がいただかないと、これは仕事がいろいろな面で、特に建設、特に公共事業の問題なんか各知事さん、市長さん、町長さんにとっては自分たちの政治生命をかけた問題をたくさん抱えております。こういうことがしょっちゅうくるくる変わって、事業がさっぱり進められない、住民の福祉の向上、環境整備等が思うように行かないとなると大変に困る。我々の宮城県のうたの中に「辛抱する木には金がなる」ということがあるけれども、三年間辛抱していけば、その見返りとして、間違いなくその時点からしっかりと国は我々の苦労に報いてくれるのか、そういう声はどこに行っても聞くのでありますが、これらについても、そういうことは間違いないんだということを長官からはっきりと答弁をしていただきたいと思うのであります。
  118. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 国と地方役割を分担しようということで検討部会でこの合意を見たわけでございますが、確かにその地方の事情によっては耐えられないところも随分あると思います。それは、さっきも申し上げたように、国として特別な措置をしていこう。しかし、国はさっき申し上げたとおりの大変大きな赤字財政でございますが、まだ地方の場合は、国に比較すればゆとりのあるところが多い。悪いところもあります。北海道その他東北方面でもたくさんあります。そういうところにはもちろん特別措置をいたしますが、しかし、地方に担っていただくことが妥当であると考えられるものについて一律カットの期を延ばした、こういうわけでございまして、その点、カットするということはいいことではありませんから御不満もあると思いますが、今の国家財政の事情からやむを得ざる措置ということで、特別の、これは特例措置といいますかでございまするので、御理解を願いとうございます。
  119. 武田一夫

    ○武田委員 第二臨調、五十八年三月十四日の最終答申、この中では、補助金等改革方向として、補助金の整理合理化は行政施策全般の見直しや国と地方の事務分担及び費用分担のあり方を検討することということを答申の中身にしている。この線に沿って一生懸命努力をされたと思うのですが、これについてはまことに不十分であるという声が多いのも事実であります。そういう意味で、今回の補助率の一律カット、これはこの臨調答申に反する行き方ではないか、行財政改革とは言えないという、そういう批判もあるわけであります。  そういう意味で、地方行財政改革というのは国の事務事業、財源の再配分を行うべきでありまして、昭和二十七年から二・二倍にもなっている機関委任事務の整理など早急に実現をしながら、これは政府もこのとおり一生懸命努力をしているんだという姿がなければ、地方としても政府が何を言おうとこれは絵にかいたもちでありますので、そういう点の努力を私は第一義としてやってもらいたいと思うのであります。この点についてはいかがお考えでございますか。
  120. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは非常に重要な御指摘でありまして、補助金をカットする、権限委譲はしない、これは大変な矛盾でありますね。ですから、機関委任事務、そして国、地方を通ずる許認可権限の整理合理化、これは法律案として今国会にもお出ししておるところでありますし、もう一つは、補助金をもらうための手続の簡素化ということが非情にやかましい問題になっていますね。これに費やす地方の労力というものは大変なものであるということもよく私ども認識いたしておるつもりであります。  こういったことをひっくるめまして、今後とも簡素化努力をし、委譲すべき権限は委譲し、許認可権も与える。そうでないというと、これはやはり本当の行政改革にならない。御指摘のとおりだと思います。
  121. 武田一夫

    ○武田委員 先ほども長官が指摘されたように、自治体によっては財政状況非常に厳しい地域がございます。東北、北海道は特にそういう一つの例だと私は思います。起債を発行せよといっても、それの不可能な地域もある。こういうことを考えると、そうした動脈硬化の状況に陥っている自治体に対する負担というのは相当重荷になってくる。これが、結局地域住民の負担となってはね返ってくる。となれば、これから本当に活力ある福祉社会をつくろうと努力をしている、その皆さん方の責任というか、そういうものに対する大きな負担を我々はほうっておくわけにはいかない。国もその点は考えていると思うのでありますが、そういう住民への負担というものにやはりこれから三年の延長によるいわゆる補助金のカットが及ばないようにという配慮、これをまず第一番に考えていただきたい。  そこで、この問題で、特に私は教育、それから厚生の問題、それから農業という、その三つが特に大変な場面に当面することを憂えるわけでございます。そこで、文部大臣にもおいでいただいておりますし、厚生省もおいでいただいていると思います。あと農林省は、きょうは大臣の片腕の保利さんがおりますから、これは時間をかけてじっくりとやらせていただきます。  まず、文部大臣に。私は、これから日本の大きな発展を支える事業というのはやはり教育と農林水産業の振興だというふうに思っております。人づくりと土づくりというのは国の発展の基本だと私は思っておるのでありますが、こういう点で教育にしわ寄せが相当来る。特に、私はこの間、分科会でも大臣お話ししました、私学振興という大事な問題を抱えている教育、これがこの一律カットによるしわ寄せによってそうした教育の本当に重要な問題が停滞することがないかという問題あるいはあるかという問題、この問題をはっきりとしておかなければならぬ。そのために文部大臣、今回のこの法律案中身につきまして担当大臣としては、そういう心配はないし、その手当ても十分に行っていけるのだということをひとつ御答弁をいただきたいな、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  122. 海部俊樹

    海部国務大臣 御指摘ように、教育が抱えております大変大きな目標を達成するために、過日の分科会でも先生から細かに御質問をいただきまして、御意見等を踏まえてこれからもしっかりやっていかなければならぬと考えておりますが、今の具体の問題で参りますと、これは国と地方とのいろいろな役割分担などの背景がありまして、昨年、先生御承知のように、補助金問題検討会の報告の中で一括していろいろと見直しが行われた中の一環でございます。  文部省といたしましては、教育の環境を整備するということは非常に重要なことだと考えておりますが、その際、地方財政当局との御相談、お話し合いの中で、実質的にそういった水準が下がらないよう地方財政の方で財源措置をしていただく。私どもとしては、都道府県並びに地方教育委員会について、そのような趣旨であることも申し伝えまして、実質的に影響低下のないように期待もし、またそのような方針で努力も続けていかなければならない、基本的にはこう考えております。
  123. 武田一夫

    ○武田委員 教育へのしわ寄せというのが、予算中身を見てみますと、ここ数年前から特に顕著に感ずるものが私学だったわけであります。昭和五十五年、六年ぐらいまでは私学助成も何とか少しずつ上ってきまして、これはいい傾向だと思っていましたが、中曽根総理の時代になってから不思議と削られている。教育については一生懸命熱心に答弁されるけれども、その姿と裏腹に現実には削られている。これは私立大学、県でいえば私立高校の交付金の金額がカットされる。その分が結局授業料の上乗せとかあるいはまた入学金の上乗せということが行われている。ことしなどは顕著であります。こういうことが結局は父兄への負担の拡大になってくるわけであります。  教育に国が力を入れる、優秀な人材を育成する、それが結局は国のため世のため人のために頑張るという、そういう姿として返ってくるのではないかと思うにつけ、ひとつ補助金の一律カットの中で、大臣が今言われたように、教育の問題におけるそうしたいろいろな不便や不都合がないようにしっかりと対応していただきたい、こう思います。この点につきましてよろしくお願いを申し上げまして、大臣も忙しそうでございますから、結構でございます。ありがとうございました。  そこで、いよいよお待ちかねの保利次官にひとつお尋ねをいたしますが、その前に、長官、お一人になりましたけれども、長官の個人的な見解として、日本の農林水産業の現状というのをどういうふうにお考えになりまして、今後これはどういうふうにしなければならないかという、そういう問題についての御所見をひとつ聞かしていただきたい、こう思うのでございます。
  124. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは中曽根総理も御答弁しておりますし、私ども予算委員会を通じて、農は国の大本である、重要視しなければならない。ただ、近代化し合理化していくことがやはり必要ですね。基盤整備事業などのお話も先ほど御質問がございました。これはやはり大事なんですね。ですから、補助率は下げましても事業量を広くして、そして工期を早くして能率化していくとか、それからバイオテクノロジーの導入、これなどの予算は思い切った予算措置をしておるというようなわけで、農業の近代化、そして企業として耐え得る農業の育成、これに向かって最善の努力をしていくことは大切であるというふうに考えております。
  125. 武田一夫

    ○武田委員 総理も各大臣も、お聞きしますと、農業というものの重要性はやはりおのおのそれなりに認識をしていただいているわけであります。でも、私はずっとこの仕事に携わって非常に残念なのは、ここ五、六年農林予算というのは毎年削られました。恐らく五千億近くが削られているわけでございます。農業に対するいろんな風当たりの強いのも私たちも知っておりますが、やはり一次産業としての農林水産業というのは、日本の一億の国民の生命を支える重要な産業であるし、これは国家の安全という問題を考えたときに防衛以上に重要な一つの産業として、国は、総理を初め全閣僚が一致団結してこの農業を守る方向でのお考えがあるならば——こうした農林予算が毎年のように削減され、ことしは三兆一千億くらいでしょう、防衛予算が三兆三千四百億、もう防衛予算よりも少なくなっちゃった。こういうことを考えますと、やはり農業というものは、その中で補助金を非常にたくさんちょうだいしているということもございまして、この一律カットによって農業が今後ますますしりすぼみになっていくのではないか、こういう心配をだれでも関係者が持っているわけであります。  そういう意味で、大事であるならば、農家の皆さん方も団体の皆さん方もそれなりにいろいろと努力する。また、今長官が言われたような近代化を目指す努力等も必要、これはもちろんのことでありますが、そういう努力を一生懸命しながら今日続けてやってきていても、四十年代の一千五百万ぐらいいた農家人口がもう六百七、八十万、こういうふうにどんどんどんどん減っている。後継者もかつては年に七万五千人くらいいたのが今は六千人から七千人と、若い連中が本当に農業というものからどんどん去っていく。こういう事実は、私は、深刻に心の中にとどめておいていただきたい。そして、この農業というものの重要性をやはりこういう予算の面やあるいは仕事の面ではっきりと国が認めているんだという一つの証拠を残していってほしい、こういうふうに長官にまずお願いをしておきます。  そこで、保利次官にお願いしたいのでありますが、今回農林水産省関係で補助金のカット、相当な打撃を受けます。公共事業の地方負担増はこの補助率カット分で約九百十二億ですね。私の宮城県は大体十四億です。  それで、この下の町村に行きますとどういう話が返ってくるかというと、要するに、特に今具体的なものを申し上げますと、公共事業のほかに非公共事業もかなり切られていますね。その中で、一つは野菜価格安定対策費補助金、そのうちの道府県野菜生産出荷安定資金造成費、それから森林病害虫等防除費補助金の、これは松くい虫ですね、森林病害虫等駆除費補助金、それから漁業近代化資金利子補給等補助金、その中の漁業経営維持安定資金利子補給等補助金、こういうところがかなり大きく削られます。  私の宮城県に松島というのがあります。これは松島町、日本三景の一つ、一生懸命松くい虫の防除をやっております。松がなくなればこれは島島だ、こういう心配のある松くい虫がその周辺で大量に発生している。県や町で一生懸命金を出して、国際観光都市に今度指定されましたものですから、それがまた大きな目玉になってくるということで、一生懸命やる。しかしながら、それがこのようにカットされると、自分たちのところはそれでも、この目玉だから一生懸命やる、そしてその生命財産としてしっかり守っていくわけだけれども、その周辺が、例えば石巻周辺というのはこれは大変ふえている。こういうところから、やはり同じようにやっていかぬとこれは伝染していく。となりますと、そういう地域まで一律にカットされてこのように仕事ができなくなるということは、これは非常な国家的なまたその地域にとっての損失であるということでございます。私もこういう地域はほかにもたくさんあるんじゃないかと思うのであります。  先ほど、一律カットではない、いろいろときめ細かに対応しているというような話はされているのでありますが、それは事実なのかどうか。地元の方々は、今後はその分、お金をそこに取られるならば、別な分野で仕事の量を減らすかお金を減らすかしなければ対応できないという悩みを抱えておられるわけです。  それから、隣の町には塩釜というのがございます。ここはこの間ソ連の船が入りましていろいろと日本じゅうに有名になったあの漁港でございます。ここでは今漁業がこのように不振であります。スケソウを中心としたかまぼこ、これは大変な苦労をしている、そういう業者、企業が多い。それから造船業も不況、それで非常に苦労している。税収入も非常に伸び悩みである。仕事は、もう全くほかの仕事はできない。体育館をつくりたい、あるいはその他の公共施設をつくりたいといっても、今まで一、二年前の仕事は継続してことしはいいけれども、もう来年以降は市長や町長は何にもしないでじっとしていなくちゃならないのかと、こういうようなものが結局、今申し上げたカットの中で問題として苦悩のこの上ない悩みであります。  こういうことを考えると、私は、そういうところに対しては、例えば松くい虫などの仕事というのは国が多く責任を持つ分野だと思うわけでありますから、こういうようなものまでも五億八千万カットをされるということは非常に問題だと思うのでありますが、次官はどのようにお考えでございますか。そして、こういう方々にはどういうふうにしてこういう苦境を乗り越える努力をバックアップしてやるつもりか、その点についての答弁を欲しいと思うのです。
  126. 保利耕輔

    ○保利政府委員 御承知のように、六十一年度の予算編成に当たりましては、厳しい財政状況のもとで国、地方を通ずる行財政改革を推進するということが必要だということでございまして、補助金の整理合理化を進めなければならないということが課題とされていることは先生もよく御承知のとおりでございます。  農林水産関係の補助金につきましても、整理合理化を図ることが第一だということで、検討会の報告の趣旨を踏まえながら、一部の非公共関係の、今先生指摘の松くい虫等の問題も含めて補助金について補助率の引き下げ等を行うことにいたしておりますが、本処置を講ずるに当たりましては、経営あるいは今お話しの事業につきましての安定あるいは円滑な実行を阻害することの狂いように十分に配慮していかなければならないのは先生指摘のとおりでございます。したがいまして、今回の処置によりまして支障が生ずるおそれがないと私ども考えておりますけれども、今後とも補助金の効率的な執行に努めてまいりたいと思っております。  なお、適切な地方財政処置が講じられることによって、いわゆる事業量というもののカットというものはしないように配慮をしていっておるところでございます。  先生からお話ございました松くい虫の点につきましては、私の地元にも大きな松原がございますので大変関心を持っております。補助金の引き下げというのは今回先生指摘のとおり行われましたけれども、いろいろな御協力をいただきまして、事業量としては百一億の一〇〇%を確保いたしておるところでございます。こういう形で今後とも進めてまいりたいと思っております。
  127. 武田一夫

    ○武田委員 各市町村、県、こういう皆さん方が一生懸命政府の方向に従って三年間辛抱するという中で、しかしながら、自分たちがこれだけはしなければならない事業、今のよう問題等を、農林水産省関係の問題についてはまたいろいろと問題があったら必ず相談に乗っていただきたい。皆各地域で特に大変なものばかりです。そうしないと、三年間がそれは一年間でまた大変に困る問題が出てくるということになります。その点、これは漁業関係も先ほど申し上げましたが、漁業などというのはまた大変低調この上ない問題でございますから、ひとつ必ずそういう相談に十分乗っていただいて、適切な指導をしながらバックアップしてもらいたい、こう思います。よろしくお願いします。  さっき基盤整備の問題が出ましたね。最後に、基盤整備の問題で、この基盤整備というのは農業の場合は民活の導入ということで、ほかの公共事業から比べれば最大のものだと私は思うのです。普通の公共事業などの四倍くらいの経済波及効果があると言われていますから、こういう内需拡大にとってはすばらしいものにこの際思い切ってお金をふやすなり事業量をふやすという努力が必要である。そういうようなところが停滞するとこれまたおかしな経済政策になるわけです。減税をすることと内需拡大の公共事業の推進という中で、特に基盤整備、土地改良という問題は国家的な事業として最優先に取り上げて、金も十分に張りつける、そして仕事も十分にやっていける、工期がおくれて十カ年計画が十五年になったり二十年になったりするなどということがないようにするのが農林水産省の責任でもあるし国の責任だと私は思う。こういう意味で、今回の補助率のカットによる事業の停滞やらあるいは事業量の縮小とか、あるいはまた、そういうふうなことにより農家への負担が過重になってくるとかというようなことのないような配慮は十分になされているものかどうか。前にも聞いたのでありますが、この際ここでもう一度次官の口からその状況を御説明いただき、御答弁をいただきたい。その答弁のよしあしきによって終わるか終わらないかは決めたい、こう思うのであります。よろしくお願いします。
  128. 保利耕輔

    ○保利政府委員 一億二千万人の日本の国民に対して、いついかなるときにも安定をして食糧を供給するということは、国にとって大切な事業であると考えております。その農業をさらに近代的なそして効率のよい、生産性の高いものにしていくためには、農業の基盤整備事業というものは国として大いに進めていかなければなりませんし、私どももそのつもりで農業基盤整備事業に取り組んでおるところでございます。本年、補助率引き下げ等によりまして、ややもすればマイナス方向考えられがちでございますけれども、いろいろと工夫を凝らしまして、またいろいろなやり方を考えまして、事業量は二%強増強するという形に持っていっておるわけでございます。  先ほども申し上げましたとおり大事な基盤整備事業でございますし、先生もよく御承知でございますし、御指摘をいただきましたとおり、私どもも基盤整備事業には真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
  129. 武田一夫

    ○武田委員 前回から比べると多少前向きな御答弁をいただいた。  そこで最後に、長官、先ほど農薬の重要性を指摘していただきました。ところが、四全総というのが今策定中でありますが、四全総がこれから出てきますと、東北、北海道というのは大体四全総の対象になる地域でございます。ここは食糧の供給基地として日本の食糧の大事な供給源でございまして、国としてもその地域、東北、北海道というものの重要性は十分御認識をいただいていると思うのであります。農林水産業というのはその地域の経済を活性化させる一つの大きな大事な産業でございます。こういうときにこの地域の活性化を図り地域づくりを振興する、そして地域経済の中において東北、北海道が国民のために十分なる食糧を供給するという責任を果たすためには、どうしても一つ一つの法案やら対応には殊のほか国の手当てが必要ではなかろうかと私は思います。  公共事業でもそうでありますが、今まではいつも西高東低と言われて、東京から西の方がどうしても金の投資が多かった。最近おかげさまで新幹線等々の高速体系もできます。いろいろと企業の進出もあります。しかしながら、今まで西にかけたお金と比べるとまだまだその規模は小さいし、また時間も短い。となれば、やはり農林水産業を中心として生きていく東北、北海道というものに対する国の格段の予算等の措置、またこういう補助金の問題につきましても、やはり農業というのはどうしても補助金に頼る部分が大きいということをよく御理解いただきまして、農林水産省をバックアップして、日本の農業をしっかりとした足腰の強いものにしていただきたい、こういうふうにお願いをするのでありますが、長官から御決意を一言お聞きいたしまして、時間がちょっと早まりますが、終わらしていただきたいと思うのでございます。
  130. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 農業基盤の整備については先ほどお話があったようなことで尽きておると思います。また、事実補助カットの分については財政措置で見ていくということでありますから、事業量もふえるし工期も早められる、理想的にやっていきたいというふうに思います。  それから、やはり何といっても、四全総でも指摘しておりますように、企業として成り立つ農業、これは東北、北海道などで言えることでございます。  それから、私は、余談ですが、高速道路ができたり新幹線ができたということは、東北の時代である。本当にこれが、トンネルができたんだから北海道まで延びればもっといいがと思いますが、これはちょっと今すぐできない状況ですが、バイオテクノロジーの関係予算は三五%増。これはやはりこのハイテク時代にバイオの関係に無関心であっていいはずはないと思います。特に、このバイオテクノロジー関係の、非常に将来が期待される地域は北海道であり東北地域ではないかというふうに私は思います。  ですから、そういった面にも目を向けていただき、本当に企業として成り立つような近代農業に改善していくことが何よりも必要である。そのためには、国は、この険しい財政事情の間でも、将来の農業近代化のためには相当思い切った予算をつけておるということを私は承知しておるものであります。ぜひ御期待にこたえるよう努力いたしてまいりたいと考えます。
  131. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、私の質問はこれで終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  132. 中西啓介

    中西(啓)委員長代理 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時一分開講
  133. 青木正久

    ○青木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山原健二郎君。
  134. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょうど昨年の四月八日、同じく連合審査で、一括法の問題につきまして私は松永文部大臣に対して質問をいたしました。そのとき、教材費旅費国庫負担の対象から外されたという問題について、松永さんは、六十年度においては前年度を二・八%上回る地方財政計画で財源措置をしたので、むしろ減額に歯どめがかかった、充実を図っていきたいというふうに答弁をされたわけです。文部省としましては教材費について予算措置状況調査しておられます。きょうは同僚議員からも質問があったようでありますが、その調査結果を見ますと、五十九年度が三百十六億、六十年度が三百二十六億ということで、三%増という結果が出ておるようでありますけれども、問題になります神奈川県が、五十九年が十七億、六十年が三十五億と倍以上に膨れ上がっているわけです。これは大変奇妙な数字でありますから、いろいろ尋ねてみますと、神奈川の場合、五十九年度に独自で措置していたものを六十年度に繰り入れたということですから、これは信用するわけにはまいりません。神奈川のこの分を差し引きますと、五十九年度で二百九十九億五千万、六十年度で二百九十一億二千五百万となるわけでございまして、結局減額になっていることは間違いないと思います。この点でお伺いしますが、これは事実かということと、今度お調べになって何県が減額になっているか、この数字をお答えいただきたいのです。
  135. 阿部充夫

    阿部政府委員 教材費に関しましては、先生お話にも出てまいりましたように、去年九月補正後の状況ということでとりあえず調査した数字がございまして、三百二十六億円余り、対前年度三%増という状況になっておるわけでございます。  なお、各市町村予算計上の仕方はいろいろあるわけでございますけれども、今回はこの教材費に対応する予算がどうなっているかということで計上したものを調査したということでございます。現在までに十二月以降の補正も幾つかのところで行われだということも聞いておりますので、今申し上げました数字が昭和六十年度の最終的な数字ではないということで御理解をいただきたいと思います。
  136. 山原健二郎

    ○山原委員 これは時間の関係がありますから……。三十三県がこの段階で減っているのですね。四十七都道府県の中で三十三県が減になっておりますし、北海道、福岡などを調べてみますと、教材基準の該当費以外の例えば消耗品なども大幅に減っておりまして、ざら紙などが減少したために学級通信が出せないとまではいかなくても非常にしわ寄せを受けているという状態が出ているわけです。  そこで、私はまず文部大臣にお願いしたいのですけれども小学校その他各校調べてみますと、県によっての落差もありますけれども学校ごとの落差、ところによっては一小学校で五〇%も教材費が減っておるところもございまして、これはかなり深刻な事態が生まれようとしているわけですが、この点について各学校単位ぐらいに調査をしていただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  137. 阿部充夫

    阿部政府委員 教材費その他の予算につきましては、関係の設置者である市町村教育委員会が予算計上するわけでございますけれども、その予算計上の仕方につきましては、おおむね管下の小中学校全体で教材費幾らというような計上をいたしまして、後は具体に各学校の実情等を見ながら配分をしていくことに相なる性格のものであろうかと思うわけでございます。そしてまた、個々の学校によりましては、この年度に例えばピアノを買いたいとなりますと大変な金がかかるわけでございますから、よその学校では若干我慢をしていただく、そのかわり翌年はこちらの学校の方に特別に重点配分をするというような、いろいろなケースがあるわけでございまして、そういう運用が具体に行われていることもあり得るわけでございますので、個別の学校について調査をするというのは余り事態を的確に把握するデータとはならないのではなかろうかと考えております。
  138. 山原健二郎

    ○山原委員 学校における親御さんたち調査教材費に重みがかかっているというようなことがたくさんありまして、しかもそれがばらばらの状態にあるということで調査をしてほしいと思いますし、同時に、義務教育国庫負担法の原点に返ってもらいたいということを要求として出しておきたいと思います。  そこで、教材がやられる、旅費がやられる。旅費も今大変なんですね。そして今度は、今の法で恩給、共済の追加分を二分の一から三分の一に削られる、さらに養護学校の建設費、児童生徒急増地建設費も削減されるという事態を迎えております。そうしますと、毎年毎年義務教育国庫負担が削られてくるわけでございまして、まかり間違えば、この前問題になっておりましたように、事務職員あるいは栄養職員の給与、教職員の給与まで削減に向かうおそれがないとは言えません。要するに、義務教育国庫負担法という、あれだけ時間をかけて論議をして戦後教育に重要な役割を果たしてきたこの枠が、次から次へと大事な部門が脱落していくわけですね。これは重大な問題でして、この点についての歯どめをかけるあるいはもとへ戻すという行為がなければ、このままいけば義務教育国庫負担法というのは制度的にも崩壊する可能性を持っているわけですが、この点について文部大臣はどうお考えでしょうか。
  139. 海部俊樹

    海部国務大臣 義務教育制度国庫負担法の根幹をなくしようとか崩壊させよう、そういった考え方は毛頭ございませんし、また、昨年も予算編成時期におきまして、私はまだ党側の立場でございましたが、今お名前を出されました当時の松永文部大臣とのお話し合いの中で、学校事務職員、栄養職員は学校の基幹的な職員としてその存在を我々も評価しておったわけでありますから、これは引き続き負担法の枠の中でしていかなければならぬということで、結果として今年度はそういう措置になり、私もただいまもそういう考えで取り組んでおりますから、文部省としましては法の根幹を変えようという気持ちはない、重ねてこのことを申し上げさせていただきます。
  140. 山原健二郎

    ○山原委員 海部文部大臣は、義務教育国庫負担法制度について、これを削減、見直しするつもりはない、今はっきりおっしゃったわけですね。  さらにお伺いしますが、高等学校以下の私学助成も地方一般財源化するつもりは恐らくないと思いますね。それから、もう一つついでに、学校給食について人件費、光熱水費を受益者負担にするというお考えもなかろうと思います。三つ目に、教科書を有償化するというお考えも、今までの文部行政の歩みから見まして恐らくなかろうと思います。さらに、私学助成につきましても自律自助の立場で、父母負担に転嫁するというお考えもなかろうと思います。そういうふうな私の解釈で間違いないでしょうか。
  141. 國分正明

    ○國分政府委員 高等学校以下の私学助成についてでございますが、現行の私立学校振興助成法の中で、高等学校あるいは幼稚園という教育におきまして私学の果たしている役割の重要性にかんがみまして、国の補助ということが全国的な水準の維持向上という観点から定められておりますので、私どもとしては引き続きこの制度を維持してまいりたい、かよう考えております。
  142. 山原健二郎

    ○山原委員 恐らく今おっしゃったように、私学助成あるいは学校給食もそうだと思いますね、あるいは教科書無償法ができて教科書が無償ですね、これを有償化するというお考えも今まで文部省にはなかったと私は思います。いろいろの動きはありましても、やはり頑張ってこられたと思いますよ。それから、私立大学に対する助成の問題も、助成法ができまして今日まで来ているわけですから、これをもとへ戻すというようなことはなかろうと思うのです。  ところが、今度臨教審の答申が四月二十三日と予想されているわけでございますが、既に答申へ向かっての動きが非常に濃厚になっていまして、新聞等にも報道され始めております。そのときに大蔵省は、「教育改革財政問題に関する基本的考え方」という文書を出しておられます。ここへ持ってきております。これはいわゆるスクラップ・アンド・ヒルドという考え方で、「スクラップ」のところ、「ビルド」のところ、枠がありまして、「スクラップ」のところに「見直し事項」として今私が挙げました問題事項が全部出ているのです。  一体、大蔵省がこの文書を出されたのは、これは公式文書だと思いますけれども、同時に、これは大蔵大臣が目を通して公式のものとして発表されたのかどうか。この文書の性格は何か、この点を最初にこの問題では伺っておきたいのです。
  143. 保田博

    保田政府委員 お答え申し上げます。  先生のお示しになりました文書、しかと拝見はいたしておりませんが、恐らく臨教審の第二次答申に向けまして大蔵省の意見を求められたことがございます。審議会からの公式の意見ということではなくて、私的に大蔵省の職員が、臨教審の重立ったメンバーに大蔵省の私的な考えを文書で御説明に上がった、そういう性格の文書でございます。
  144. 山原健二郎

    ○山原委員 そんなものではないんですよね。大蔵省の一職員が臨教審へ持っていって、臨教審というのは内閣直属の機関として、あれだけの大騒ぎをして決定されて設置された機関でしょう。日本の教育を、彼らに言わせれば第三回目の大改革である、二十一世紀へ向かっての教育改革を断行するのだというもとに臨教審が開かれているわけですね。その臨教審へ向かって大蔵省は、これは一職員が出したようなものじゃありませんよ。「教育改革財政問題に関する基本的考え方」、さらには「教育改革財政問題について」という財政分析、それからさらに「既存施策の見直しの具体案」、こういうものがぴしっと書かれているのです。その中に、今文部省がそういうことをやりませんとおっしゃった項目は全部入っているのです。  例えば、四十人学級の問題についても、四十人学級の計画の完成後、すなわち六十六年でありますが、さらに改善を行うについては十分検討すること。改善をする、しないは今度の答申には書いてはならぬと書いてある。これは物すごいものですよ。法律によって決められた審議会に対して、大蔵省が答申の中にこういうことを書いちゃならぬということまで指示しているのでしょう。  それから、私学助成につきましては、高等学校以下の場合一般財源化する。今文部省が否定されたそのものがここに出ているのです。さらに教科書は有償化する、これが出ています。それから、私立大学の場合ですが、私立大学に対する私学助成のあり方を自律自助に切りかえる。自律自助というのは、自分で出しなさい、なるべく私学助成の国の支出は撤退をしますよということですね。社会教育費を一般財源化する、ちゃんと書いてあるのです。学校給食を受益者負担化する、すなわち、人件費、光熱水費については自分で負担しなさい、親御さんが負担をしなさい。受益者負担思想ですね。それから、国立大学の授業料を適正化する。育英奨学事業については有利子化をする。さらに、科学技術研究については民間活力を導入する。こういうことが書かれておりまして、臨教審に対して大蔵省としての基本的な考え方が提示をされておるのでありまして、これはただの文書ではないと思いますが、この点について、きょうは大蔵大臣、竹下さんはいらっしゃいませんで江崎先生がおいでになるわけでございますが、これは一体どういう性格を持ったものなのか、ぜひ伺っておきたいのですが、いかがでしょうか。
  145. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先ほど来、海部文部大臣一つ努力目標、そしてまた将来計画、これを申されたことは、文部省として正しい意見であるというふうに私はお聞きをしております。  ただ、財政当局としては、やはり財政再建というこの険しい場面に立たされておるだけに、いろいろな意見があるわけです。私は今臨時代理ですから、その書類の内容についてその経緯をよく知るわけがありませんので、一体どういうものだというので今ちょっと秘書官に聞いてみたところでありますが、それは大臣が決裁をして出したものではなくて、臨教審から大蔵省に、何か意見があれば承るうというような御協議というか意見を求められたので、主計局段階で平素議論になっておるところを並べて、大蔵省側の考え方としては、財政再建の根本を推進しようとすれば例えばこんな問題がありますという意見を羅列と言うとおかしいですが、述べたというものがこの書類である、今こういう報告を聞いたところであります。大臣が決裁したものではございません。
  146. 山原健二郎

    ○山原委員 主計局はお見えになっておりますか。——主計局、今江崎大臣のおっしゃるようなことであれば、これはお取り消しになりますか。大臣の決裁を経たものでもなくて、何かわかりませんが、しかしこれはもう大変な文書ですからね。文部行政の基本、根幹にかかわる、言うならば日本の戦後教育の根幹を崩壊する内容すら持っておると言っても過言ではない。文部省が今日まで文教行政の一番重要なものとして掲げてきた柱がことごとくスクラップの中へ入っているわけですからね。これは見たら驚くべきことなんです。いかがでしょうか。
  147. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは私から先にお答えさせていただきますが、要するに、平素予算編成段階で問題になっておるものをずっと記述しておるわけでありまして、そういう点では予算編成段階で問題になっておることが書き上げられておるということでありまして、これが大臣決裁であるとすればそれが結論ということになるわけでありますが、一つ問題になっておるのはこういう点でございますということについて意見を述べた、これはあくまで最終的には臨教審が決定されるわけでありますが、それについての参考意見、こういうことに理解をいたしております。
  148. 山原健二郎

    ○山原委員 参考意見としまして、例えば給食の費用はこの辺は削ってはどうですかとか、あるいは教科書は有償にしてはどうですかとかいうことは話し合いの中であり得ると思うのです。でも、これはスクラップ・アンド・ビルドという思想がある。予算削減のきちっとした基本的考え方というのがあるわけです。  江崎大臣に今お答えいただいたのですが、大臣としては今おっしゃったことが現在のお気持ちだと思います。けれども、事はそれほど生易しいものではないと思いますので、主計局の考え方を簡単でいいからちょっと聞かせてください。
  149. 保田博

    保田政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますが、恐らく先生お手持ちの資料は、我々の部内における検討の結果をメモとして臨教審の主だった先生方に御説明の便宜上お渡しをした上で御説明した、そういう意味で大臣の判こを押したような正式のものではございませんが、我々の気持ちをメモにまとめたものでございます。  財政当局としても、文教予算の重要性は非常によくわかっておるわけでございますが、一方で財政改革もまた将来の日本の行方を決する緊急の課題でもあるわけであります。したがいまして、文教予算の重要性もよくわかりますけれども財政改革との両立を我々としては常に念頭に置きながら毎年毎年の予算編成に従事する、こういう基本的な姿勢でございます。
  150. 山原健二郎

    ○山原委員 今のお考え、くしくもおっしゃったわけですね。その考えていくと、スクラップ・アンド・ビルドですよ。こうならざるを得ない。それが基本的考え方として出ているのですね。  例えば、新聞を持ってまいりましたけれども、報道によりますと、教育改革を臨教審がやろうとしている。教育改革をやろうとすれば四兆円、これは大蔵省試算で三兆七千億円かかる。毎年四千億円ずつ上積みをして十年間四兆円、これが必要という数字なんです。今改革の提案されている、例えば初任者研修制度とかいうものを見てみますと、初任者研修制度は、臨教審の岡本会長の発言によりますと何と年間七百六十億、しかも七年間で五千三百億円必要だというのです。初任者研修制度なんというものは臨教審の一部の諸君が勝手に考えたことであって、国民はだれ一人合意に達していませんよ。教育関係者だって、こんな初任者研修、新しく二万八千人の先生が入ってくる、その先生にまた先生をつけるなんということを、私は今まで十七年文教委員をやっておりますけれども、だれもそんな発言をしたものはありません。そんな発想はありません。それがいきなり臨教審に出てきた。年間にして七百六十億。七百六十億あったら四十人学級が三年間で全部できる。教科書無償のための四百五十六億円が完全にできるわけです。  だから、臨教審が改革ようとしている初任者研修制度だけでもこれがビルドの中に入っているのです。そのビルドの部分を出すために、今まで文部省が基本政策としてきた私学助成、あるいは四十人学級、あるいは給食の充実、そういったものを全部スクラップにしなさい、こういう枠を書かれておるわけですね。だから、臨教審はこれを一体どうするのかよくわかりませんけれども、初任者研修制度だけでもそれだけのお金が要るということですね。それから六年制中等学校をつくる、これは二つとも臨教審の目玉商品です。その目玉商品を実現するためには、今申しましたように初任者研修制度だけでも五千三百億円要る。六年制中等学校をつくると、私は計算をようしないくらい膨大な金が要ると思います。本当に国民が合意すれば、どんな膨大な金がかかろうとやるべきものはやる必要があると私は思うのです。ところが、国民的合意はいまだないし、反対の空気がたくさん強いものを、ビルドとして、これに金を出すために、今まで国民が合意し国会が決議をしている四十人学級を書くのはやめなさい、あるいは教科書を有償にしなさい、こうなってくると、これは本末転倒も甚だしい教育改革になってしまうわけでございまして、これはまさに教育改革ではなくて、戦後公教育の解体につながる中身を持ってくるわけです。だから、その意味で、それをさらに増進する可能性を持つこの大蔵省のいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの思想というものは、これから日本の教育改革にどういう影響を与えてくるかということは重大な問題です。  私は、この点についてははっきりさす必要があると思っておりまして、きょうはその点を大蔵大臣がいらっしゃればもっと詳しくお伺いしたいと思っているのですが、少なくともこれは文部行政に対する不当な介入の立場だと思いまして、この大蔵省の態度には納得できません。その意味につきまして、両大臣からお考えを伺いたいのです。
  151. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは主計局の次長から申し上げておりますとおり参考の意見書である、メモ程度のものである。繰り返して申し上げますが、これは政府・与党でいつも問題になっておる、予算折衝のときに大臣折衝で復活したり、あるいはまた党側の強い要請で復活をしたりというようなことはありますが、いずれにしろ問題点を抜き出したものである、その程度にまず御認識おきをいただく、これが大事なことだと思います。
  152. 山原健二郎

    ○山原委員 そこで、大蔵省が常におっしゃっておりますように、財源には限度があるし、今情勢は厳しい財政情勢である、その再建も見通しが率直に言って立たない状態にあるわけです。ところが、一方では、法律によって内閣直属の臨時教育審議会ができまして、内閣は、この答申が出たならばこれを最大限に尊重いたします、こう言っています。その中の臨教審の今日の目玉が、一つは初任者研修制度であり、一つは六年制中等学校の設立ということでございます。もちろん私はこの二つに対して賛成はできませんけれども、しかし、臨教審がこれを本当に目玉として今世間に公表されているわけですね。ところが、それを実現するためには、初任者研修制度だけでも七年間に五千三百億円の金が要る、財政は厳しい。それを最大限に尊重して実現をするならばどこかを削らなければならぬというスクラップ・アンド・ビルドが出てくるわけです。  そうしますと、戦後の教育の文部行政の基本までここで掘り崩さなければこれが出てこないということになりますと、これから文部大臣大臣になられて二回目でございますけれども、新しく大臣に就任されてから日がたっておりませんから、これ以上お聞きするのは酷かもしれませんが、このジレンマの中で教育予算を確保するためには何かが必要だということをおっしゃっておられるのですね。例えば聖域化の問題が出てみたり、あるいはODA方式のようなものもあるのではないかということも出されたわけでございますが、その辺はこの事態の中で何かお考えを持っておられるでしょうか。
  153. 海部俊樹

    海部国務大臣 文教行政に対しまして、財政面からもいろいろ厳しい壁がありますが、私どもは、毎年毎年の予算編成のときに、文部省側としてかなり高い努力目標、高い次元を目指して予算の要求をさせていただきますし、財政当局とは、他の政策との整合性の間でいろいろぎりぎりの決着点がきょうまでもついてきたわけです。しかし、先ほど来御指摘の私学の助成の問題にしても、給食の問題にしても、義務教育の教科書無償の問題にしても、法律の背景で私たちは行政を進めさせていただいてきたわけですから、これらの基本についてはできる限り守っていきたいという考え方で対処しておることは御理解をいただけると思います。  同時に、今具体の問題になっておる臨時教育審議会についてのお話でありますけれども、初任者研修が必要だということは、各種の世論調査などを見ていただきましても、ベストスリーを占めますものが、いじめ、暴力の問題を何とかしなさい、入学試験の問題を何とかしなさい、教員の資質向上をお願いしますということで、ときどき入れかわりはありますけれども、これが大体国民の皆さんの御要望であります。また、私どもも、教壇に立ってもらう教師自身の立場に立って物を考えても、しっかりと研修をして自信を持って教壇に立っていただくことの方がその先生方のためにもなる、こう思っておりますから、この間の「審議経過の概要」で示されました初任者研修の制度は評価をしながら、どのような答申が出てくるのか見守っておるところでございます。  ただ、そのやり方自身につきましても、先生は何らかの発言をもとに、初任者研修には全部先生をつけるとか七百六十億かかるとかおっしゃっておりますけれども、臨教審の内部自身でもこの議論はちょっと幅がございまして、朝から晩まで全部張りつけることを考えた時期もあったかもしれませんが、このごろはそうではなくて、現場の中堅の先生が御指導するとか、あるいは私どもの夢を率直に言わせていただくなれば、先生方はいつも指導教官についてやっていただくのみならず、新任者自身がグループをつくって青年の家に泊り込んだり僻地の学校を見たり都会の真ん中の大規模校を見たりしながら、自分たち教育実践のときにはどうしたらいいかということをお互いに議論し合っていただくようなこともまた大切な研修ではなかろうかと考えております。幾らかかるか、どれくらいやるかというようなことは、答申が出ましたらまさに答申の趣旨を尊重して考えますと同時に、これはひとしく都道府県教育委員会が自主的に御判断いただかなければならぬ問題等も含まれておりますので、お金とか方法についてはもう少し先になってから御答弁をさせていただきたい、こういう問題だと思っております。ただ、答申が出ましたら趣旨を尊重して政策努力をしていくことはお誓い申し上げておきます。
  154. 山原健二郎

    ○山原委員 初任者の先生方の教師としての資質を高め、そして研修するということ、そのこと自体に私は反対しておるわけではありません。しかし、今まで臨教審が唱えてきたいわゆる管理主義体制の強化に結びつくような初任者研修制度そのものには批判があることは間違いないのです。最近も、今までの日教組と文部省の間のぎくしゃくした関係を正すんだなどという言葉も出てきておりますけれども、まさにこれは最大の争点になっているわけですね。しかも、年間七百六十億の金が要るというのは臨教審の会長さんがおっしゃっているわけで、私が言っているわけではないのですよ。そうだからこそ、それだけの金が要るのならば、そのビルドのためにはそれだけスクラップしなければならぬという大蔵省考え方が誘発されてきているわけです。  臨教審をつくって今まで二年を経過しまして、いよいよ第一次答申が目前に迫っているという段階で、私は本当に臨教審の言っていることはさっぱりわかりません。目玉と言われる初任者研修についても、今大臣がおっしゃったよう中身がまだわからないという問題ですね。改革などと称して一体何がやられているのか皆目わからない。共通テストの問題だって何のことやらさっぱりわかりません。そういう点を考えますと、臨教審が今歩もうとしていることが、予算の問題とも関連をして、それに対する整合性もなければ、勝手に何名かの者が集まってこれがいいのだというようなことでやられたのでは、これは文教行政は成立しませんから、そういう意味でこの問題を取り上げたわけです。  いずれにしても、改革をやるためにはお金が要る。そのお金はない。それならばどうするかということになると、大蔵省はスクラップ・アンド・ビルドだ。こういうふうになってきまして、改革もできないし、国民が合意していない改革を無理にやろうとすれば、既存の施策をスクラップしなければならぬという矛盾が今非常に浮き彫りになってきたと思います。この点について正しく対処しなかったならば、もう大変な事態になりますし、教育改革どころではない、教育の破壊につながりかねないと思いますので、その点を御警告申し上げまして、またこの問題については今後も取り上げていきたいと思いますが、私の質問を終わりたいと思います。今までの御答弁ではまだ納得いたしません。  以上です。     〔青木委員長退席、小泉委員長着席〕
  155. 小泉純一郎

    ○小泉委員長 菅原喜重郎君。
  156. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 まず、農林省の方にお伺いいたします。  今、農家の大型負債問題が深刻化しているわけでございまして、いずれも四十年代から五十年代前半にかけて、国、県の制度資金などを導入して大規模経営を夢見た人たちが、大変な負債で倒産を初め、内容が深刻化しているわけでございます。  猫の目農政だとかばらつき農政だとか言われるわけでございますが、実は農地開発利用促進事業、果樹産地総合整備事業で取り組みましたリンゴの生産組合が、取り組む当初は国から補助金が出るという話で取り組んだのが、途中五十七年に補助金制度の見直しがあり、農業用機械、施設の整理合理化が行われた結果、地元で当初計画したトラクターとか、格納庫、資材置き場、ロータリーモーアー、それからスピードスプレーヤー、これは二台というのが一台になったからそれでもいいけれども、動力運搬車、ホールリガー、防鳥機、こういうものが対象から外されたというわけです。そうでなくともこの計画は、当初から元金二億を超える償還計画で農地開発利用促進事業に参加して始めたのが、こういう途中からの補助金カットでは、どうも行き先が不安で困るという、倒産もしておるものですから、こういう声が聞こえるわけなんでございます。  そこで、ついては、こういう途中から変更された問題に対しましては無利子の融資等の救済措置を講ずべきじゃないか、こう思うわけでございます。幸い畜産振興費あるいは農業基盤整備強化資金やなんかで、三年据え置き七年償還とか二年据え置き六年償還という制度もとられてきているわけなんでございますから、ひとつ道義的にもこういう問題のところに対しては無利子の融資等の救済措置が講ぜられないかどうか。まずこのことをお伺いする次第でございます。
  157. 保利耕輔

    ○保利政府委員 先生よく御承知のとおり、我が国の農業は自然条件に非常に左右をされておりまして、規模が零細で収益性も低いという特性がございます。また、作目が非常に多様でございまして、そういった特質を持っております。これらの特質を踏まえまして、農政推進上、補助金というものが非常に大事だということは先生よく御承知のとおりでございます。一方、各農家におきまして農業をやります場合に、自主性と創意工夫ということが非常に大事な要素だというふうに考えられております。そして、財政資金の効率的な運用、使用を図るという見地から、補助金というものから融資に切りかえていったらどうなんだというお話が出まして、融資でやった方が適切な対応であると考えられるものについては融資への切りかえを補助金から行ってきたところでございます。  この処置の一環といたしまして、先生が御指摘の岩手県におきます事業におきまして、昭和五十七年度からトラクターあるいは温室といった個別の農家の経営になじむ機械、施設につきましては、原則として補助対象から除外するというふうにしたわけでございます。ただし、除外されたものにつきましては、農林漁業金融公庫資金の中から、主務大臣指定の施設資金のうちの農業機械、施設に対する融資枠を増加をすることによりまして対応をしてきたところでございます。御承知のように、いわば市中の金利より安い金利でこういった融資をしてきたわけでございます。今後とも補助と融資の役割分担というものをよく考え、それを念頭に置きまして、所要の整理合理化を図っていくというのが農林水産省の方針でございますし、農林水産業の体質強化を図るためには、一方では本当に必要だと思われる補助金については十分確保してまいりたい、そのよう考えております。     〔小泉委員長退席、大石委員長着席〕
  158. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 補助金問題は私も今までいろいろ質問してきたところなんですが、国でセットした補助金が過剰設備投資になって、そのことが負債を増大して倒産に追いやっているという結果もございますので、あながちこの補助金を打ち切ったのが悪いということを言っているわけじゃないわけなんですが、しかし、今言いましたように、途中から変更になったようなところにはやはり無利子の融資等の処置を講じていただきたいと思うわけでございます。  といいますのは、矮化リンゴ、これは全国的なケースで、何も岩手県だけじゃないのですが、大体百二十五本の植栽を一反歩にさせているわけでございますが、専門家から聞きますと、この償還は、大体反当たり三トンを七年後から見るわけですね。しかし、百二十五本も密植して三トン上げるとなると、もう大変な労力といろんな管理経費でなかなか大変なんだというわけです。むしろ八十本くらいにして二トンくらいに抑えて良質なものを、いわゆるくずリンゴのようなものとか品質の低下したのをつくらない二トンくらいで抑えた方が非常に効率がいいんだ、品質のよい、市場でも高く取引のされる生産物ができるというわけです。そういう点で、植物の性格からしても、いろんな説明を受けているわけですが、自助努力といいましても、当初は農林省あるいは県の指導の規格じゃないと補助金がおりませんし、またそういうものの打ち切りが出ると大変なことですので、この無利子の融資措置というものをこういう農家にはぜひ考えていただきたい、こう願うわけでございます。  次に、この補助率の削減処置によって農業基盤整備事業の受益者負担が増大するといったおそれはないのかと思うわけですが、このことについてひとつ所見をお伺いしたいと思います。
  159. 保利耕輔

    ○保利政府委員 今回の補助金の削減処置につきましては、土地改良事業の円滑な推進を確保するために、昨年と同様、国庫補助負担割合の削減分が受益者の負担増とならないように配慮いたしまして、都道府県を主体とする地方公共団体において削減分の全額を負担するものといたしまして、所要の指導を行うことといたしているわけでございます。また、削減処置に伴います地方公共団体負担の増の分につきましては、地方財政運営に支障が生ずることのないように、その全額につきまして臨時財政特例債による起債を認めましたり、あるいはまた、起債に係ります元利償還金は地方交付税の基準財政需要額に算入するなどいたしまして、昨年と同様の処置を講ずることといたしているわけでございます。したがいまして、補助負担率の削減処置によりまして農業基盤整備事業の受益者負担が増大するということはない、このよう考えております。
  160. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 受益者の負担増がないいろいろな諸対策を講じてもらっていることはありがたいことなんですが、しかし、現実にはやはり負担増になっているわけでございます。といいますのは、これも国の農地開発事業の一端なんですが、岩手の須川地区においては当初計画は三十一億足らずで事業の完成を計画したわけです。それが事業が延びたりいたしまして百十六億を超える総事業費になっているわけです。こうなりますと、農民が事業が完工してから償還に入るといいましても、当初の三倍以上の総事業費の増加となると、もう大変な負担なわけでございます。  そこで、ここ十年以内にEC並みに日本農業の体質改善強化を図るためには、どうしても基盤整備と水の確保だけは、国家と都道府県あるいは市町村、この三者が一〇〇%負担して、強制執行をかけてもやらないと間に合わぬぞということを今私はしょっちゅう話しているわけでございます。  また、こういうことを主張する裏には、現在もう兼業農家が八六%にもなり、さらに後継者のない農家がどんどんふえてきまして、これは四〇%を超えてきたわけですね。そして、この後継者のない農家はこれから基盤整備をやるのに大障害になってきているのですよ。何ぼこっちで笛を吹いてもなかなかこれに乗ってこれない。そうなりますと、農業労働力の高齢化、老化を見ますと、もう既に六十歳以上が二三%を超えておりますから、五十歳以上となりますともう六〇%を超えているのじゃないか、こう思います。そういうときに、やはり日本農業の救済を急ぐ、その農業の近代化の基本となる土地改良が、四十年から始まって、今第三次長期土地改良計画に入っているのですが、まだ四〇%にならないというこういう進捗では、それこそあと十年、十五年では内部崩壊になる、こう思っているわけでございます。  それから、須川パイロット地区におきましても、米の値段が上がらぬものですから、米の値段が上がらぬよりも、これも途中で減反政策が起きて、米を、ウルチをつくっちゃいかぬということになってモチ米だけに転換させられたわけですね。こういうことが当初計画からみんな狂ってくると、賦課金そのものも現時点では、当年度では一割、過年度を見ますともう四割くらい延納になっているわけです。こういうことを考えますと、やはり償還期間の延長、まず三十年で三・五%ぐらいの利率引き下げ等の救済措置を講じないと本当に大変じゃないかという、こういうせっぱ詰まったものを感じているわけです、実態がそうなのですから。こういうことに対して農林省の方でどのようにお考えなのか、お聞きいたしたいと思います。
  161. 保利耕輔

    ○保利政府委員 先生指摘の須川地区は、当初三十一億円ほどの予算規模があって、その後、六十一年時点におきましては予算規模としては百十七億円程度に上昇をいたしております。したがいまして、十アール当たりの年償還額が七千円から二万九千円に上昇してきておるということは事実でございます。大変御心配だろうと思います。  そこで、一般に国営事業の負担金の償還条件というものは、事業効果があらわれてまいりますまでの期間、農家の償還能力等を勘案して長期低利に定められておるわけでございます。須川地区に係ります総合農地開発事業につきましては、償還条件につきましては、償還利率が五%、そして償還期間は、農地造成につきましては事業完了の翌年度から三年据え置きまして十二年の償還期限となっております。元利均等年賦償還となっておるわけでございまして、これは農家にとりましては現在の状況で非常に有利な条件になっているということを御理解をいただきたいと存じます。したがいまして、昨今の非常に厳しい財政事情のもとでは、先生指摘ように三・五%、三十年という御希望はよくわかるわけでございますけれども、この償還利率の引き下げあるいは償還期間の延長ということを図ってまいりますのは非常に厳しい状況であるということを御理解を賜りたいと存じます。
  162. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 大蔵省の方にお聞きいたします。  この土地改良事業の促進は、これは日本農業の命運を左右する大事な問題なんですが、今までの改良方法は、これは仕方ないといたしましても、これから六〇%という残った農地の改良については、先ほど申し上げましたように内部では大変な障害になる事態が生じているのでございますので、私はこの前の分科会で竹下大臣に直接要求はいたしましたが、いわゆる国と県と市町村とで一〇〇%強制執行をかけてやらぬとだめだということ。しかし、一〇〇%は難しいとするなら、今言いましたような償還期限の延長、利率の引き下げ等、対応できないのかどうか。この前も言いましたが、ことし八千六百億ぐらいの土地改良費の中で、一五%を都道府県が持って、一五%が地元負担となりますと千三百億、その七・五%を市町村に持たせれば、あとの七・五%分ですから、六百五十億ぐらいを捻出すると十分にこの一〇〇%の予算が出るはずじゃないか、六百五十億ぐらい大蔵大臣としてどこからでも引き出せるじゃないかということで、いろいろな補助金行政の例なんかも出したのですが、このことに対していかがでございますか。これから、そういう全額じゃなくしても、償還期間の延長、利率の引き下げをやって、早く日本の基盤整備を国土保全のためにも実現していく、このためにこういう措置がとれないものかどうか、お伺いする次第でございます。
  163. 保田博

    保田政府委員 農業基盤整備の重要性ということは、御指摘のとおり我々としてもよく理解をしているつもりでございます。  しかしながら、この事業はやはり特殊な性格を持っておるわけでございます。これによりまして農業の構造改善あるいは基盤の非常に重要な部分の改良をするという意味では非常に公的な側面を持っておりますけれども、またこれは特定の土地を持っている農民の受益に帰する事業でもあるわけでございまして、そういう意味で私的な側面もまた兼ね備えておるということでございますから、この事業を国あるいは地方公共団体が全部公的資金によりまして整備するということについては、我々としてはいささかどうであろうかなという気がいたしております。  そうではございますが、土地改良事業の裏負担が農民にとって大きな負担になるという御指摘もよくわかりますので、先ほど保利農林政務次官からお答えいたしましたように、低利の長期融資をさせていただいておるわけでございます。しかし、結果としまして、金利を下げますとそれに伴う利子補給というのが将来にわたりまして非常に大きな財政硬直化の要因にもなるということでございますから、御指摘の意味はよくわかるのでございますけれども、だからといって、利子を下げて、それに伴う将来の利子負担を大幅にふやしますということをここでお約束するというわけにはまいらないということでございます。御了解をいただきたいと思います。
  164. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私的所有地という性格のあるところに一〇〇%の公金の持ち出しができないこと、これはよくわかっているのです。ただ、何回も言いますが、農地は農作物しか生産できないし、その農作物は一たん緩急あるときはいつも国家統制の対象になっているわけでございます。こういう点では、特に今米がその対象になっているのですから、既存の水田についてだけでも早く基盤整備をしてやらないと、本当に日本農業の近代化はできない。  昔、一人の地主が何人、何十人、大きいところでは何百人というような小作人を持ったのですが、今や一人の小作人が何人、何十人、富山県では二百戸以上の地主の土地を賃借して耕作しているのです。もう逆転しているのですよ、一人の小作がそういう大きな地主を持つというふうに。何回も例に出すのですが、私たちの方の水沢市のある米生産組合では、六十五、六人の人が三十五、六町歩を生産組合をつくって五、六人でさせていると、普通の第二種兼業が生産を上げている以上の配当を受けているのです。しかし、それにはやはり基盤整備をしてやらないと、ちょうど基盤整備とかんがい排水が完備したときそういうものができるわけですから、水田だけでも早急にこういうことをして米作からの日本農民の解放をさせないと、食管会計でも何でも大変な赤字になっているのですよ。そうすると、六百五十億くらいは食管会計の赤字から見たって出せそうじゃないかと思うのです。ひとつ水田だけでも、国家統制をやっているのですから、検討してください。  次に、公共事業等の国庫補助率は、それぞれの事業の性格や今までの歴史、経緯等に応じて定められて定着してきたものであります。この定着した国と地方の分担割合の関係というのは一つの既得権的なものと考えてもいいのじゃないか、こう私は思っているわけであります。しかし、今回の補助金の一律カットは、このような長年にわたって形成されてきた国と地方役割分担関係を、国側の財政上の都合のみで一方的に変えてしまうおそれがあるわけでございます。今回の補助率の見画しに当たっては、この国と地方役割分担について十分な検討、議論がなされたのかどうか、またなされているのか、この点をお伺いいたします。
  165. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは御承知のように補助金問題の検討会というので地方公共同体のそれぞれの代表にも参画願いまして、地方公共団体定着したものについては権限委譲もまた補助金カットもしよう、これは補助金の問題が主でありますが、そういうことで委譲したわけでありますから、無理のない、定着化したものを優先させたというふうに御理解を願いたいと思います。
  166. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 六十年度に補助率カットを行った際には一年度限りの措置であるとの理解であったと思うのですが、政府はこれをさらに三年間延長し、拡大しようとしております。どうもこれは国会に対してもまた地方公共団体に対しても約束違反になるのじゃないか、こう思っているのですが、この点はいかがでございますか。
  167. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これも御承知のように、検討部会で十分検討の上、この際、地方に権限委譲したり、地方定着したものは地方でやっていただこう。私はまた、総務長官の立場から言うならば、補助金についての手続、そして配分についての簡素化、能率化、そういったことがもっとスムーズに行われることになれば、この程度の御辛抱は十分願える。それからまた、大蔵省においては特殊事情のある貧困な地方公共団体についてはそれなりの配慮もしておるわけでありますから、十分満たされていくものと考えております。
  168. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 六十年度一年限りとしたものをさらに三年延長するといった政府の対応を見ておりますと、政府は補助率引き下げを既成事実化して、最終的には恒久化措置としてしまう意図があるようにも思えるわけなんですが、三年経過した後、補助率をもとに戻すという考えはあるのかないのか、この点もお伺いする次第でございます。
  169. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これはまだ時間もありますから、検討部会でこれが妥当ということで決められた補助率でありますから、すぐ変えるということはないと言っていいと思います。しかし、まだ時間もありますし、そのときの財政事情、社会情勢、これなどを踏まえて当然検討の余地あり、かよう考えております。
  170. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 検討の余地ありという御答弁でございますので、一応その点は納得するわけでございます。しかし、こういう措置というのは、国の財政事情の悪化を地方公共団体への負担転嫁で賄うといったような、我々から見るとつじつま合わせ的な予算編成の方法ではないか、こう思うわけでございます。しかし、国が何だかんだ言いましても、赤字財政でありますと今後もこういう予算編成がされる、こういう危惧を我々は持つわけなんでございます。ですから、これからはどのようにこういうことをなくすための対応をしていくつもりなのか。我々、党といたしましても、不公平税制その他の要望を掲げて要求しているわけでございますが、この点についてひとつ大蔵省からの所感をお願いしたいと思います。
  171. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは予算委員会で既に、大蔵大臣答弁も聞いておりましたが、税制についての見直しをしていこうと言っております。それから、財政再建は、しかしこれはなかなか簡単ではないな、どんな見直しをしたとしても。これはしかし、どうしてもこのままでは何ともなりません。やはり赤字財政は六十五年に解消しよう、この看板はおろさない。そうしていくことが、行革審の答申に基づいて簡素にして能率的な政府づくり、地方行革にもつながるわけですね。ですから、そのこと自体は極めて重要なことだと私は思っております。  ただ、今お話しのありましたように、補助率をだんだん減らしてしまうのじゃないか。そういうことは、もちろんその時代、そのときの経済情勢、財政情勢、それを踏まえて弾力的に措置はできる。ただ、今端的に言えることは、GNP比率で日本は四三%、アメリカが四〇%ということからいえば日本の方が最悪の事態であるということを考えますと、簡素にして能率的な政府づくりのために、補助金についても地方になじむものは地方負担してもらう、やっていただくということも、本来国と地方は一体ですからそういう形で進めていかざるを得ない、かように思います。
  172. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この補助率カットに伴って当然地方公共団体負担は増大するわけでございますが、地方財政にどのような影響を及ぼすものと見通されているか。また、これに対応して政府は十分な措置を講じようとしているのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  173. 持永堯民

    持永政府委員 昭和六十一年度におきます国庫補助負担率の見直しによる地方財政への影響額でございますが、これは公共事業の拡大に伴う地方負担の増加を含めまして、全体で一兆一千七百億円というふうに見込んでおるわけでございます。これにつきましては、地方財政運営に支障がないよう措置することにいたしておりまして、具体的に申し上げますと、地方たばこ消費税の税率の引き上げによりまして千二百億円、地方交付税の特例加算によりまして千二百億円、残り九千三百億円を建設地方債の増発によって対応していく、こういうことに相なっておるわけでございます。同時に、個々の地方団体に対しましても、それぞれの影響が出てまいりますから、その分につきまして、地方交付税の算定なり地方債の配分を通じて、財政運営が困ることのないようにそれぞれ対応してまいりたいと考えておる次第でございます。
  174. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 地方財政に対する措置がいろいろ講じられているわけですが、こういう措置が講ぜられるといたしましても、財政力の弱い地方公共団体にとっては実質的にこれに対応できない面も出てくるわけでございます。こういう点は力の弱い地方自治体ほど影響が大きくあるものと思うわけなのでございますが、こういう地方公共団体に対してどのよう考えておられるのか。また、こういう地方公共団体ほど内需拡大や社会資本の整備充実が強く要請されている地帯でございます。道路、河川等の公共事業を推進していく上でも不公平があってはいけない、こういう体質的に差のある弱い地方公共団体も対等に各種の事業を促進できるようにさせていくよう国に対して要望するわけなのでございますが、この点についてはどのようになっているのか、お伺いいたします。
  175. 持永堯民

    持永政府委員 先ほど申し上げましたように、この補助率の引き下げによります分は補てんをいたしますので、そのこと自体によって財政力の弱いところが非常に困るということにはならないと思います。しかし、元来、財政力につきましていいところ、悪いところまちまちあるわけでございまして、特に最近の税収の動向等を見てまいりますと、東北、九州あるいは山陰地方といういわば財政力の弱いところの税収の伸びが非常に悪いということも事実でございます。そういったところにつきましては、従来から地方交付税制度によりまして団体間の財源の調整をやってきておりますけれども、現状を踏まえまして、財源調整がうまくいくように、つまり財政力の弱いところにつきまして手厚い措置ができますように、交付税の算定等についてさらに検討を加えたいと思っておりますし、また個々具体の団体のいろいろな財政状況あるいは事業の実施面の問題等々につきましては、個別にお話も伺って適切に対応していくように努めてまいりたいと考えております。
  176. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 それでは、最後に、自治省の方にお伺いする次第ですが、今言いましたように、地方公共団体への個別の財政指導自治省ではどのようになそうとされているか、ことに過疎団体への地方財政措置はしっかりやっていただきたい、この点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  177. 持永堯民

    持永政府委員 各団体の財政運営の問題と申しましょうか、過疎団体についてのお尋ねかと存じますが、御案内のように、過疎地域につきましては、昭和四十五年度以来でございますけれども、いわゆる過疎法ができまして、過疎債という地方債でございますけれども、そういう特別の地方債を発行して、その元利償還についてはまだ交付税で見ていくというような仕組みをつくっておりまして、そういった地方制度の活用、それから交付税の面におきましても、例えば人口が急減するようなところについては人口急減補正、技術的な問題でございますけれども、そういったことを通じて所要の措置を講じてまいっているわけでございます。  しかし、今後におきましても、先ほど申しましたように、どちらかといいますと過疎地域と言われるところの方が税収の状況なり財政状況がよろしくないということも事実でございますから、さらに団体間の財源調整を強めていくというようなことについては十分検討してまいりたいと思っておりますし、過疎地域についての財政需要については的確に対応していくよう努力してまいる所存でございます。
  178. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 以上をもって質問を終わります。どうもありがとうございました。
  179. 大石千八

    ○大石委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十八分散会      ————◇—————