○島田
委員 改めて強調するまでもないのですけれ
ども、我々は、農業基盤の整備というのは国土の保全とか自然環境の維持さらに培養、また山村
地域の特に過疎
地域におきます活性化を図るという重要な使命を持っているという認識に立ってやってきたわけであります。また、その
ような観点から
予算措置も行われてきた。それは、今佐竹
局長が言われている
ような物の
考え方が
地域においても基盤整備を促進する基本になっていたということは事実であります。しかし、農業基盤を整備するというそのこと自体はあくまでも全額国庫で
負担すべきものだというのが我々の主張でありまして、つまり、国土の保全とかさっき述べました
ような大変公益的な
役割を担っている、こういう点で、むしろこれは
地域の分担とか
負担とかというものはなしにして、あくまでも国庫が全額
負担して進めるべきものだ、こういう立場で我々は従来主張してきたわけであります。それが今度は、差はつけて進めるのだと言いながらも、実質的にはやはり補助率の削減、こういう事態になっていくわけでありますから、これは
地方のいわゆる事業に少なからざる影響をもたらすということは紛れもない、そういう状態だろうと思うのです。一
ですから、先ほど私は
自治省にも
指摘をしました
ように、そうはおっしゃっていても、
地方の
財政事情とか
地方の力、そういうものを十分勘案して、一律平板ではなくて、それをきちっとフォローアップできる
ような
予算措置をこれからはなお一層きめ細かく進めていってもらわなければならぬ、こういうことを
指摘したのであります。どうも
全国一律の物の見方で
地方をとらえている
ようでありまして、その点は大いに反省願いたいところであります。
したがいまして、こうした補助率の問題につきましても、
地方がどういう経済的な影響を受けるのかという点の
地方の
実態調査というものが基本になければならない。ところが、幾ら質問してみてもどうもそういうものが全くなくて、ただやみくもにこれを進めていこうというふうにしか答えとしてははね返ってくるものがないというのが大変心配される点であります。
ところで、私はここで農業の今日的な
状況というものの中で大変心配される点を一、二話題を変えて
お話をしてみたいと思うのです。
もう十四年前のことでございますが、たまたま同じこの席から私は当時の江崎北海道開発庁長官と——私は初陣でありました。初めて国会に立った。そのときに話題にいたしましたのをもう一遍繰り返してみたいと思うのでありますが、実はあのときは災害対策特別
委員会でございました。その中で私は、北海道の開発を進めていく過程でどんどん先へ事業を進めていく、しかし、その後始末がしっかりできていないという点について
指摘をいたしました。それは例えば、河川改修が行われる、これは土地基盤整備に
かかわります点でも関連があるわけであります。そのとき話題にいたしましたのは、開発庁以前の建設省の時代、河川改修が行われました。農地を買収いたしました。四十年たっている今日もなお農地が現在の川の中にあるという事実を
指摘したわけです。私の
調査だけでも大変な面積になっていた。こういうものを放置して、これは川のことだけ申し上げましたけれ
ども、当然のことながら道路の改修問題でも同じ
ような事態が現場で起こっているわけですね。四十年もたっておりますと、おじいさんの時代から今は孫の時代になっています。おれの土地は川の中にあるという話なんですね。それで、土地基盤の整備を行おう、あるいは土地改良を行おうとしても、そこがネックになってその対象になり得ないという事態が現場に起こっている。このことを私は
大臣に
指摘をしたのであります。
大臣は早速この点を取り上げられまして、私が個別に
指摘をした、具体的に
指摘をしたところは、その後、七、八年かかりましたが、あなたの御指示があったのでしょう、これは四十年たってやっと孫の名義に変わっていくことができました。しかし、そこだけはなったけれ
ども、ほかにも実はまだあるのであります。これは建設省も決して責任がないとはいえないのですね。開発庁の以前のいわゆる責任が北海道のそういうところにあるわけであります。今も現に自分の農地が名義上はまだ川の中にある。しかも、旧河川はまだそのまま放置されていて、地続きの農家がそれを埋め立てでもして何とか農地を有効に利用したいという願いもなかなか
達成できないという
地域がまだ残っているのであります。私は、全道的に
全国的に調べているわけではありませんから、そういう敷衍的な問題として取り上げるにはいささか的を射ていないかもしれません。私の足元の身近なところでそういう事態がまだあるわけであります。これは農業経営を進めていく上では大変大きな阻害要因になる。こういうものを早く解消してもらいたいと随分私も開発庁を通じて話をしておりますが、登記とかいろいろな問題はそう一朝一夕にいかない。測量がついてまいりますし、お金がかかる、この事実は私としても否定できないものがあるのであります。しかし、そういう現場の状態が起こっていた。私は、行政
改革というのはそういう点が
改革されるということでないかと認識している。
それから、ついでですからもう
一つ、建設
大臣、実はおととしのことであります。私のところに鹿の子ダムというダムが建設されました。これは建設省と開発庁の所管で、長い年数をかけ大きなお金を投じてともかくも多目的ダムが完成をいたしました。この完成の後、実は長い間国のいわゆる直営でやってきたものでありますから、附属する建物、これが立派なものでありまして、それを取り壊す。事業が終わりましたから、工事が終わったから取り壊す。実に痛ましい。十分使える。地元で利用したい、売ってほしい、払い下げてほしい。ただで欲しいけれ
ども、ただといったってそうもいかないだろう、こういう
財政事情だからと地元はえらい理解を示しました。ところが、取り壊し料がこの建物に八百万かかるそうであります。払い下げてほしいと言ったら千三百万円出せと言ってきました。矛盾しておるじゃないですか。僕はそう思いまして、時の水野建設
大臣のところに直訴しました。ところが規則規定でそう簡単にいかない。だから、僕は
大臣とじかに、こういうものには政治的な判断があってしかるべきじゃないですか。行政
改革でしょう。ただ取りつぶすのに八百万の金がかかるのなら、それを有効にこれから地元が利用するというのにただで払い下げてくれたっていいじゃないですか。行政
改革というのはそういうものじゃないですか。むだな金をそんなところに使うことはないじゃありませんか。さすがに時の
大臣も、おまえの言うとおりだ、そのとおりだ、こうなったのですね。役人の方を呼びました。
大臣だめです、そんなことはならぬと言うのであります。千三百万出せば払い下げてやる、しかしそうでなければこれは払い下げできません。変な話じゃないですか。さっきの河川の跡地の処理の問題で、時の開発庁長官江崎さんは政治家の判断でこれをおやりになったのですよ。それは一部ですけれ
ども、私の
指摘してきたところだけなんだ。しかし、金を一銭でも大事に使わなければならぬというのが今の補助金削減だし、行政
改革だとおっしゃっているわけでしょう。役人のいちゃもんで
大臣の判断ができないなんというのはおかしな話じゃないですか。どうお感じになりますか。両
大臣、お二人にかかわる話をきょう私はしたのです。いずれも農業の基盤整備にかかわる問題であるし、これから営農を続けていく上で現地で抱えている大事な問題なんですよ。そういうものが整理されなくて何が行政
改革ですか、何が
財政再建ですか。
大臣がやればやれる話がどうしてできないのかと思うが、できなかったのですね。まさに今は役人天国なのでしょうか。有力なる
大臣もその力を発揮することができないとしたら、だれを信じたらいいのでしょうか。私はそういう思いに閉ざされて暗たんたる気持ちにさせられました。
結論を申し上げますと、後段の鹿の子ダムの附帯施設の問題は、昨年三月三十一日付をもって取り壊しになりました。払い下げが実現できなかったのです。地元は難しい話をしていないのですよ。壊す
予算が八百万で済むのに、欲しいならその上に五百万を積み上げて出せというのは、
地方財政に対して一体何と
考えているのかと私は思いました。しかし、地元の
皆さんは、八百万の取り壊し料がかかるのだったら、取り壊さないで済む額として、理屈に合わぬけれ
ども八百万でいただきますとまで言ったのです。それもだめなんです。千三百万でなければだめなのだ。しかも、私がこのことで建設省に乗り込んで
大臣室で直訴しましたら、
大臣は二つ返事で、よしやろうとなったのです。結果的にはだめだった。こういう事実を聞かれてどうお感じになりますか。私の厳しい口調に対して恐らく納得されるのではないかと思うのですよ、政治家同士ならば。役人が介在するとおかしくなるというのは一体どういうことなんですか。今二つの例を挙げるまでもなく、そういうことがいっぱい現地で行われているのです。ぜひ反省を願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。