○辻(一)委員 非常に貴重な経験に基づく識見を伺ったのですが、それについて私もちょっと申し上げますと、これは農林省としては、整備条件もなかなかよくできておりますし、仕事としてはよくやってくれたと思うのです。ただ、今言ったこの
負担金は非常に重いので、これがまた大変なわけですね。そこで、国営の農用地開発事業のねらいは、私の見たところでは、その地区における中核農家群の育成にある。それをねらってやっておる。そうなりますと、大体償還金というのは経営の中から捻出されていくというものでなくてはならない。経営を超えるものであれば、せっかく国営土地改良をやって開発をしても、最後には、赤字がずっと重なればその土地を手放さなければならないということも起こり得る。そういうことがあってはならない。あくまでねらいとしては中核農家が育成されていくという中身でなくてはいかぬ。そうなりますと、二・五から四ヘクタールを、財産だからちょっと
負担が重くても財産管理としていいのではないかというような論議は、この場合にはなかなか当てはまらないと私は思うのです。
そこで、大事なことはやはり中核専業農家が何とか意欲を持ってやっていけるような償還条件、現実には国も県も町村も農家も、私はこれは四方一両損と言っておるのですが、ここまで来れば、四者それぞれ努力をして前進しなければいかぬのじゃないかという
感じを持っております。
そこで、このことを私は非常に強調したいのは、この国営事業の建前からいくと、これは直接には受益農家と国との関係でなしに、実は国と県との関係になる。農家の方も経営を超えては償還金がなかなか払えない。農家が大体これくらいなら我慢してでも出しましょうという同意をしないことには第二回の
計画変更が進まないわけですから、むちゃくちゃなことをしたって同意はとれない。そうすると、米一俵プラス一両損といいますか、幾らになるかは別として、農家もそういう
負担をするにしても大体納得のいく金額でなくてはいかぬ。そうなりますと、下が決まってくると、上の国も動きがつかぬ。今度は
地方自治体がこの間に入って最終的には責任を持たなければならぬとなってくると、これは
地方財政にいろいろな
意味で、今いろいろな形でこの問題が出ておりますが、個別のケースにおいてもいろいろ影響が出てくる懸念があるのです。
私は、これらの地区は
法律の谷間になっていると思うのです。というのは、三月二十五日に衆議院の農水委並びに本
会議において国営の事業に関する土地改良法の一部改正案が可決されて、二十八日には参議院で同様これが可決されている。これが可決されて、前進はしたと思うのですが、そのときに、これからの国営事業は、財投を一般農家に導入するというところまでいくと金利の点でいろいろ
負担の心配があるから、それは一般会計で全部立てかえることにして、県の
段階までで財投はとどめたわけですね。だからこれからは、あるいは一般国営でやっているところはこれに切りかえることによってその
法律の恩恵が出てくると思うのです。
それから、それでは全国に七つ特別会計で出発した従来方式と言われる地区があるが、それは一体どうなるんだ、こうなりますと、そのことを心配して三月二十五日の農水委員会の最後に附帯決議を各党の御同意を得て私が提案して、ほかのことは別としまして、第二項に、「従来方式の特別会計地区等には、工期の遅延をふせぎ事業の進捗を図るため特別の配慮を行うとともに、完了後における農家
負担の軽減に資するよう各般の
措置を講ずること。」こういう附帯決議を全会一致でつけたわけですね。
そこで、農林省に聞いてみますと、従来地区でもまだ工事を進めているところはある。ひとつおくれないように
予算を増額配分するということで手当てをしているのですね。これは、私は結構だと思うのですよ、おくれることが一番大きな問題ですから。手当てをしている。新しくやるところは新しい
法律のもとに手当てができる。ところが、この
法律の谷間に三つの地区が残ったんですね。それは、工事が終わった、あるいは来年、ことしで終わるという地区がある。宮崎県の美々津と三重県の青蓮寺と福井の坂井ですね。この三つが残ったのですね。この宮崎の美々津の方は、山の方で水の問題を棚上げにされたために、水が一番問題だったのですが、それを切り離して第二次の
計画に回したためこれは余り問題が出ていないんですね、
負担金としても。ところが、三重の青蓮寺、福井の坂井北部は、そういう
意味で残った二つの谷間になっている。これに対して、私は、法の恩恵が全国に及ぶときに、谷間にそのままに放任することはできないのではないか、こういう観点から、これに対する対策をまず国としても
考えるべきである。こういう点で、
大蔵大臣は、制度的にはなかなか難しいが、別途十分来年度までに勉強して取り組みたい、こういう非常に前進した
答弁をいただきましたですね。
ただ、私は、難しいとは思いますが、この機会にもう一度強調しておきたいと思います。それは、例えば今金利が、公定歩合が四%台に下がっている。いいことだと思いますが、それに伴って財投の金利は六%、あるいは将来六%を切るかもわからない。ところが、この国営地区、特許地区でやったところは、詳しいことは時間の点から申し上げませんが、
昭和五十五年と記憶します。このときには十七戸ほどお金を借りているのが八・一分、八%で借りているわけですね。これを、ずっとこれから十何年か返していくわけですから、金利としては非常に高いです。さっき言いましたように、早くできてしまえば余りその心配がなかったのですが、おくれたためにその問題が非常に出てきている。こうなると、金利
負担の軽減というか、金利を下げるということもこういう問題について制度上難しいことは
大蔵大臣の
答弁でもわかりますが、何か
考えるべきではないかと思うのです。この点についてひとつ。
それからもう
一つは、国営の農用地開発公団が償還年限を二十年でやっていますね。それから、干拓の場合は二十五年なんですね。国営の農用地開発は十五年になる。これは十五年というのを二十年に延ばしてもらいたいというので大蔵当局に大分農林省はかけ合ってここ数年やっているのですが、なかなか難しい。まあ、今の
状況ですから難しさは十分わかりますが、しかし、これ
考えてみれば、償還年限を農用地開発公団並みの二十年くらいにしても、横並びにしてもそんなに無理なことはないのではないか、できないことはないのじゃないかと思うのです。
この二つについて、制度上は難しいことは承知をしながら、あえてこの機会に
大蔵大臣にこれについての見解をもう一度お尋ねをしたいと思います。