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1986-04-11 第104回国会 衆議院 大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会社会労働委員会農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月十一日(金曜日)     午前十時開講 出席委員  大蔵委員会   委員長 小泉純一郎君    理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       越智 伊平君    自見庄三郎君       高鳥  修君    山中 貞則君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       伊藤 忠治君    沢田  広君       戸田 菊雄君    中村 正男君       堀  昌雄君    柴田  弘君       古川 雅司君    矢追 秀彦君       正森 成二君    簑輪 幸代君  内閣委員会    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君       池田 行彦君    石原健太郎君       菊池福治郎君    二階 俊博君       堀内 光雄君  地方行政委員会   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 平林 鴻三君       大村 襄治君    松田 九郎君       小谷 輝二君    吉井 光照君       経塚 幸夫君  社会労働委員会   委員長 山崎  拓君    理事 稲垣 実男君 理事 池端 清一君    理事 村山 富市君 理事 塩田  晋君       自見庄三郎君    谷垣 禎一君       金子 みつ君    森本 晃司君       小沢 和秋君    阿部 昭吾君  農林水産委員会   委員長 大石 千八君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 玉沢徳一郎君 理事 田中 恒利君       片岡 清一君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       野呂田芳成君    堀之内久男君       松田 九郎君    小川 国彦君       島田 琢郎君    竹内  猛君       辻  一彦君    日野 市朗君       津川 武一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 今井  勇君         農林水産大臣臨         時代理     山崎平八郎君         自 治 大 臣 小沢 一郎君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         大蔵政務次官  熊川 次男君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生省保険医療         局老人保険部長 黒木 武弘君         厚生省社会局長 小島 弘仲君         厚生省児童家庭         局長      坂本 龍彦君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         農林水産政務次         官       保利 耕輔君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         農林水産省構造         改善局長    佐竹 五六君         農林水産省畜産         局長      大坪 敏男君         自治大臣官房審         議官     石山  努君         自治大臣官房審         議官      持永 堯民君  委員外出席者         労働省職業安定         局高齢者対策部         職業対策課長  長勢 甚遠君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の補助金等臨時特例等に関する法律案(内  閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 小泉純一郎

    小泉委員長 これより大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会社会労働委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出、国の補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  3. 日野市朗

    日野委員 おはようございます。特に大蔵大臣には長旅でお疲れのところまことに恐縮でございますが、これもお役目柄でございますから、私の方から質問させていただきます。  六十年度に引き続いて補助金をずっとカットされるということで問題になっている法律案が提出されているわけでございます。一応三年間の時限法という形でこの法律案が出るようでございますが、まず、三年後どうなるのかということから伺わせていただきたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 去年の場合は、申すまでもなく補助率あり方を一年かけて検討いたします、したがって、可能な限り本格的な勉強をして補助率を決定したいと思いますので、一年間はいわば一律一割カット的な考え方で御容赦を願いたいという意味暫定措置でありました。今度の場合は、事務事業見直しに努めながら言ってみれば総合的見直しを行いました。ただし、この中で生活保護の点につきましては、検討会でも両論併記になった、こういうような経過でございます。したがって、これはいつかも申し上げましたが、一つ考え方としては、財政再建期間中、すなわち六十五年までお願いするというのも考え方としてはないわけでもない。しかし、両論併記の問題もあったし、そして経済情勢もいろいろな変化もあるだろうということになればやはり三年が適当ではないかということでお願いをしておるわけでございますが、その後の問題につきましては、まさに今後の諸情勢推移とか、それから本格的に国と地方との財政状況等がどう変化していくかというようなことを勘案しながらその時点で相談させていただくことであろうというふうに考えております。
  5. 日野市朗

    日野委員 補助金に対する考え方ですが、三年間というのは、法律では一応三年間と限ったけれども、さらにその先もまた切らしていただきますぞということなんでございましょうか。これは地方自治体やなんかからは大分いろいろな反応が恐らく出てくるのではなかろうかというような感じがいたします。この法案を出すに当たって、これは政府部内の統一ということで最終的には統一して出されているようですが、私のうかがい知っているところでは、これを準備なさる段階ではかなり各省庁間で甲論乙駁があったように私も認識をしているところでございますけれども、今の大蔵大臣の御答弁を聞きますと、これは三年には限りませんぞ、こういうことを言っておられるわけでございますね。そうすると、これはその後もこういうことはあり得るという御答弁でございますか。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 今の時点で、六十四年からどうするか、こういうことについて確定的なお答えをする環境にはございませんが、地方財政と国の財政がどう変化していくかということ等を見定めながらその時点で決めることでございますので、補助率というものがもとに返るということの断定も私はできませんし、また、さらに切り込んでいくというようなことも必ずしも断定できない。まさにその時点における国、地方財政の姿というもので判断させていただく、こういうことになろうかと言わざるを得ません。
  7. 日野市朗

    日野委員 この補助金というもののあり方、今までは結局それはそれなりの果たす役割があってこうなってきていたのだろうと思います、それがいいことか悪いことかはまた別にしてですね。しかし、今までずっと出てきた補助金というものを切り込むということになりますと、これは地方財政にとって非常に大きな影響があるわけでございまして、地財法の根本的な思想からいいましてもこういうことで地方財政に対して圧迫を与えてはならないということは、常識的に考えてもそうでございますし、地方制度調査会なんかでもそのことはかなり鮮明に言っておられるわけでございますが、地方財政にとってこのことが果たして負担を呼び込むことにならないかどうか、この点はいかがでございましょう。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 地方制度調査会等々の御意見は私ども十分承知をいたしておるところでございます。今回の措置というのは、基本的には補助金問題関係閣僚会議、そのもとに置かれた補助金問題検討会、そういうものの検討を踏まえて行われたものでございますが、もとより地方制度調査会等各般意見も勘案させていただいたということは事実でございます。  特にこれは私の経過的に感じたことといたしまして、いわゆる公共事業関係というのは事業費そのものを伸ばすという一つの物の考え方と、それから過去においてもその都度都度の国と地方とのいわゆる財政状態等を勘案して幾ばくか変化してきたこともあるわけでございますが、特に社会保障見直しに当たっては、基本的な見直しとしては、可能な限り地方自主性を尊重するという観点から国と地方との間の役割分担見直しを行ったり、それから一般財源化を推進したり、最終的に一番大事なことは、私どもとしては、いわゆる地方財政計画マクロベース、あるいは出口ベースとでも申しましょうか、これに対して支障を生じないよう対処していかなければならぬという意味においては地方制度調査会の御意見にも沿ったということになるのではなかろうかというふうに考えております。しかし、地方債でもって多くの面をお願いするわけでございますから、これに対し、言ってみれば地方自主財源たる交付税のいわば先取りを意味するものではないかとかそうした御意見もあったことは、私ども十分承知をいたしておるところでございます。
  9. 日野市朗

    日野委員 今の大蔵大臣答弁を踏まえまして自治大臣に伺いたいのですが、このように補助金を切り込んでいきますとこれは地方に対するダメージになること、これは間違いのないところなんですね。今大蔵大臣地財計画についても言及なさったのですが、自治大臣としてはどのようにこの点をお考えになっておられるのか、ちょっと聞かせていただけませんか。  私の理解しておるところでは、この法案ができるまではかなり自治省あたりでも抵抗なすったのですね。いろいろ自治省の方からもお話は聞いていますが、この法案ができてしまってからは、政府内の見解の統一ということもありましょうからそう強い批判もしていないようですけれども、率直なところをひとつ聞かせていただきたい。地方自治体の、そういう団体のこれからの財政計画にどのような支障考えられるのか、支障はないと考えておられるのか、ひとつ。
  10. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今度のいわゆる六十一年度の予算編成におきましては、先ほど大蔵大臣答弁ありましたけれども社会保障中心事務事業見直しを行いながら予算編成を行った。私ども従来から、あるいは地方制度調査会におきましても同様でございますけれども、この国と地方負担率というのはいわゆる事務事業あり方役割分担あり方、そういう議論の中から初めて決められていくべきものである、そういう考え方に立っておるわけでありますが、検討会も、考え方としては基本的にはそれと同様な方向を持って報告されたわけでございまして、その意味におきましては、今後この三年間の暫定期間中にさらに役割分担事務事業費用負担あり方、そういうものを検討される中で補助負担率というものは決めていかれるべきである、そう考えております。  いずれにいたしましても、こういう状況の中でいわゆる地方負担増分としては、いい悪いは別といたしまして、たばこの消費税による二千四百億円の自主財源、現ナマといいますか、それをやはり与えなければいかぬじゃないかということでやりました。それからまた、あとの九千三百億円はいわゆる地方債になるわけであります。この地方債につきまして、元利償還等交付税で見ていくという考え方でおるわけでございますが、いずれにいたしましても、そういうような意味においては地方借金という形であることは間違いない。したがいまして、私どもとしては、今後も地方交付税においてそういう点十分見ていかなければならないと思っておりますし、後年度の加算措置もとられるわけでございますけれども、それでもなおかつ、このために地方財政支障が出てきたということになってはこれは大変でございますので、我々といたしましては、そういうような状況を生まないように、地方財政支障を来さないように、今後ともあらゆる角度からの検討を踏まえてこの交付税総額というものは確保されるべきものであるし、そのように努力しなければいけない、それが自治省の務めである、そのように考えております。
  11. 日野市朗

    日野委員 今お述べになった自治大臣精神そのものについては、まことにそのとおりだと私も思います。非常に優等生的なお答えだろうと思うのですけれども、問題は現に金がないということにあるわけでして、交付税でちゃんと借金の分は見ますよとおっしゃったのですが、ただ、借金交付税で見ますよと言いましても、その財源が果たしてうまく出てくるのかどうかということになりますと、これは多分に私も疑念を持つわけですね。  大蔵大臣に伺いますが、あれでしょうか、大体三年くらいのめどでこれは財政状態好転という見通しをちゃんと立てて借金地方自治体肩がわりをしておられるのかどうか、ここのところが大事だと思うのですね。大体六十五年までに公債の発行をゼロにしたいという計画がございますが、それについては、どうも大方の見るところまず不可能なのではなかろうかという言い方がございますね。それと、交付税財源ということになれば、所得税だ、法人税だ、酒税だ、こういうものがございますが、それらについても、どうもいま一つこれらの財源を確保するだけの税収の見込みといいますか、見通しといいますか、これは霧の中というよりは、その霧もかなり暗くて深い霧のような感じがしてならないのですが、そこらの見通しをちょっと聞かせていただけませんか。     〔小泉委員長退席大石委員長着席
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 一つございますのが、今、国、地方税あり方についてということで税制調査会へ諮問をしておる。それがどういうふうに出てくるかということはある意味においては霧の中ということであろうかと思っております。そもそもの交付税そのもの考えてみますと、いろいろな経過で今日の率が決まっておるわけでございますけれども税制調査会地方税あるいは地方譲与税等がどういう形で出てくるか、そういうあらゆることを総合的に勘案しなければ、あらかじめ地方交付税税率がどう変化していくかということは、まさに税制調査会答申とかいろいろなもので、また、補助金あり方をも含めて総合的に判断すべきものでございましょう。したがって、今おっしゃいましたように、これから地方財政と国の財政がどうなっていくかということをにわかに判然と先の予測をすることは非常に難しいと思いますし、私ども国財政もぎりぎりこれからなお財政改革をやっていこうというわけでございますから、地方にもそれと平仄を合わせたことをお願いしながら、この秋出ます税制調査会答申、それらを見て総合的に見通しは定めるべきものであって、今の段階で確たる見通しを申し上げるということにつきましては、全くおっしゃるとおり、今日それだけの見通しを把握しておる状態には残念ながらございません。  したがって私は、いわゆるくみしてはならない議論というのは、地方財政富裕論というものを初めから念頭に置いてやるべきものではないということについては、絶えず自分自身にも言い聞かせておるところでございます。そして、今自治大臣からもお答えがあったことに対する評価もいただいておりましたが、連合審査会に出ますと、率直に言って、何か加害者被害者が一緒に質問を受けているような感じが時々することは事実でございます。しかし、内閣一体の責任で予算なり法律はお願いしておるわけでございますから、それはやむを得ないことといたしましても、そういう気持ちでぎりぎりの調和を図ったものが今日時点審議をいただいている法律だ、こうお答えをせざるを得ないと思っております。
  13. 日野市朗

    日野委員 今大蔵大臣みずからおっしゃったのでちょっと念を押しておきますが、地方富裕論という考え方があたかも世論であるかのごとくマスコミなんかを通しても喧伝をされ、または臨調あたりを通してもそういうことがちらほらと見えてくる、こういうことは私は極めて遺憾なことだと思っておるのです。地方が、例えば東京都が一応黒字に転じたといっても、これはやるべきことをやらなかったから黒字になっただけの話でございまして、この点について何も長々と申し上げることはないかと思うのです。地方富裕論にくみしてはいけないと思っているとお考えだ、こうお述べになりましたが、地方富裕論といわれるものの実態を見ましたときに、私は根拠のないものだと思うのですよ。御同意いただけるでしょうか、私のこの考え方
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 地方財政富裕論というのは、要するにどっちも借金しておるが借金の比率が地方の方が国よりは少ないということで、富裕じゃなくして比較貧乏度合いとでも申しましょうか、そんな感じすら時々私も持つわけでございます。  間々いろいろな指摘を受けるのは、それは個々の自治体に対してのアンバランスがございますから、それらに対して新聞報道等がなされておるという事実は私も承知いたしておりますが、いわばこの地方財政が裕福だからこうしてくれとかいう考え方であってはならぬ。あくまでも、基本的には、車の両輪たる両者のいわば仕事の調整とそして費用分担あり方というところから議論はしていかなきゃならぬものだということを踏まえていないと、安易に私どもの方の財政当局が、地方の方が比較して貧乏度合いが少ないからいいじゃないかというようなことでこの議論をすると本質を誤るよということをみずからに言い聞かしておるということでございます。
  15. 日野市朗

    日野委員 私、ちょっとこだわりますのは、今まで国が地方財政負担を押しつけるときには、常套手段的に、地方は豊かだ、国の方がこう言ったような傾向があるのですね。  一例を挙げれば、昭和三十年代になりますか、特に政令指定都市なんかについてはこれは財政的に豊かだというようなことで補助金を切り込んで、非常に政令指定都市に迷惑をかけたなんということもありました。そういうことがありますので、ちょっとその点は念を押したわけでございます。これからも地方富裕論などということはこれっぽっちも言っていただかないで、比較貧乏論みたいな話だったらこれはいいかもしれませんが、富裕だなどということはないのだという認識は国政の上で必要だと思います。  それで、ちょっと自治大臣に伺いますが、今の大蔵大臣答弁をお聞きになっておられたと思うのですが、自治省としては、地方公共団体に対して、地方債は出してもそれは借金で、これはちゃんと交付税で見るんだよというようなことで恐らく説得をなすっただろうと私は思います。そういうところがちゃんとなっていなければ、地方も、じゃ補助金カットオーケーよと言うわけにはちょっとまいりませんので、そういう説得をなすったと思うのですが、今の大蔵大臣答弁を私伺っていまして、大蔵大臣は、これからの三年間の推移を見てということをまくらに置かれて答えておられるのです。それで、地方債や何かで国から押しつけられて地方借金を負うわけですが、それを交付税なんかでちゃんと見てもらえるという確信をお持ちですか、いかがでしょうか。
  16. 小沢一郎

    小沢国務大臣 この点につきましては、私どもといたしましては、どのような状況になっても交付税総額は確保しなければいかぬというのが筋道、建前として譲れないところであります。したがいまして、先ほど大蔵大臣お話にもありましたが、交付税は、国と地方税財源の仕組みの基本の問題でございますが、税そのものではないとは思いますが、その基本になるのは税でございます。したがいまして、今税調なんかでいろいろな議論がなされておると思います。基本的には、この地方財源不足につきましては、地方税収あるいは交付税によって充てていく、起債に頼るということなくそういう自主財源で持っていくというのが本来の姿であろうと思います。国も地方も両貧乏という話が出ましたけれども、どうしてもこういう状況の中ではいわゆる財政事情という点からの議論が強く出てくることは否めない事実であろうと思います。  しかし、いずれにいたしましても、例えば税調議論がどうなるかはわかりませんけれども、大幅な所得税法人税の減税ということになれば、交付税のもとになっている税自体が少なくなるわけです。そういうようなことも十分考えながら、それならば例えば国と地方分担あり方等考え方をひとつこれから進めていかなければならないと同時に、一方においてそういうような状況が出てくるとすれば、例えば交付税率をもっと上げなくてはいかぬじゃないかという議論も出てくるかもしれませんし、またあるいは、交付税が今国税三税になっているわけでありますが、その税目についてどうしたらいいかとか、これはいろいろ、税制調査会において答申が出てきた時点においてその一環として考えられることであろうと思います。  いずれにいたしましても、そういうような状況を踏まえながら、基本的には地方の税源を確保していくという形で我々としては対処しなくてはいけないと思っておりますけれども、結論といたしましては、そういった問題等も含めまして交付税総額は絶対確保しなければならない、この点は譲るわけにいかない一線であると考えております。
  17. 日野市朗

    日野委員 まさに、交付税を確保して地方借金をちゃんと払えるようにするということは譲ることの絶対にできない一線である、全く私も同感なんです。  ただ、今までの国のその交付税あり方、それを実現していく実務というようなこと、そしてどのように自治省がそれを配分していくか、そういった実務と関連させてみますと、果たして今自治大臣がおっしゃったような絶対に譲れない一線を守り通すことができるのかどうかということについて、私、かなりの疑問を感ずるのです。  大体、交付税というのは、地方でどのくらい金が必要なんですよという計画を出して、それに対応して自治省の方で割り振りをしていくわけですが、そのもとになるところは、これは自治体や何かから見れば雲の上の大蔵省自治省との間の話でこれは決まってくるわけですな。全く自治体としては息を潜めてその成り行きを見守るしかないというのが現状でございますね。こういう中で、金がない大蔵省と金が欲しい自治省との間でしきりにこれは綱引きを、それは自治省も一生懸命やられるだろうと思うのですよ。その綱引きを一生懸命やられるだろうと思う。しかし、現実にないそでは振れないのでございまして、そういうときに、恐らく自治大臣が各地方公共団体説得された、借金は絶対に大丈夫なんだ、返すんだ、そういう計画でやるんだということが果たして可能なのかどうか。今大蔵大臣おっしゃったところによれば、今後の推移を見ながらという、まさに霧の中での発言をやっておられるので、ここは確信を持てますか。いかがでございます。
  18. 小沢一郎

    小沢国務大臣 今後の状況推移を見なければ、今断定的な話はできませんけれども、いずれにいたしましても、税でいえばシャウプ税制以来の大改革を行うという前提でいろいろ議論はなされておるわけであります。その答申の結論を待って、また政府としてもそれなりの考えを固めていくという順序になると思いますけれども、そういうもろもろの状況を見まして、いわゆる地方税源を充実し、交付税総額を確保していくということ、これは自信があるかどうかという問いでございますけれども、もちろん自信を持って、しかもそうあらねばならないという信念を持って今後も対処していかなければならない、そのように考えております。
  19. 日野市朗

    日野委員 銭金の問題は信念ではいきませんからな。ただし、これは大蔵大臣にも自治大臣にも注文しておきますが、地方というのはこの法案について本当に泣く泣く財政上やむを得ないだろうということになっておるのだと思いますので、ひとつその泣いた地方自治体の心情を十分に酌んでいただかなければ、国の信頼にかかわることでございまして、国の政治にかかわる仕事をしている我々の信頼にもかかわります。あれは与党がやったことなのよ、野党であるおれたちは知らぬことなのよではこれは実は済まないのでして、そこらは、我々もこれから十分に注文もつけてまいりますし、監視もしてまいりますが、野党だとか与党だとかいうものの枠を乗り越えた国の地方に対する責任ということをしっかりと腹に置いて仕事をしていただきたい、こんなふうに思います。  それから、厚生大臣おいでになったのですが、時間がなくなってきましたので手短に聞いていきますが、厚生省は補助金が随分切られているわけでございます。それで、いろいろな問題がありますが、特に高齢化社会に入ろうという日本のことですから、もう入っているわけですが、高齢化社会に対する対処ということについてちょっと聞いておきたいというふうに思います。  施設ケアについての補助金が今度は切られる、こういうことになりました。これは今までの機関委任事務から今度は団体委任事務に移行するという一つの方向でございますね。こういう方向はそれはそれなりに評価できるところはあると思うのですが、こういうことについての厚生省そもそもの考え方、こういう社会保障についての大蔵省考え方というものについて大ざっぱな御意見をちょっと聞かしていただけませんか。
  20. 今井勇

    ○今井国務大臣 福祉の問題、特に老人福祉の問題もございましたが、こういう問題というのは住民の関心度もまた非常に強く、地方におきます施策として十分根づいておると申しましょうか定着しておるといいましょうか、そんなふうな感じが私どもだんだんしておりますので、そういうことを国の機関委任事務から地方団体の委任事務に改めるということによって急激な混乱が起こるとかいうことはないのじゃなかろうか、そういうふうに私は基本的に考えておるものでございます。
  21. 日野市朗

    日野委員 厚生省の人の言うことを聞いていますと、団体委任事務にしていく、それから社会保障の問題、特に高齢化の問題については地方自治体の果たすべき役割というものを重視してやっていくのだ、こういうお話でございます。私もそこのところは、地方の事務と国の事務というのは仕分けがきちんと進んでいって、一つのトータルなシステム化ができてくれば非常に評価していいことだろうと思うのです。このころは福祉国家よりも福祉社会だというようなことがしきりに言われ、社会保障よりは福祉サービスだということがしきりに言われている。そしてそのサービスの内容も、施設サービスから、経済給付も当然含みますし、在宅福祉サービスだとか、相談サービスだとか、生活開発サービスだとか、そういったいろいろなサービスの形態があって、それがトータルに一つのシステムになっているのであれば、国の方がそのところから権限的にも財政的にもだんだん手を引いていって、そして地方にしかるべき自主財源を与え、しかるべき事務処理の権限も与えていく、こういうトータルなシステムができ上がっていくのだったらこれはいいと思うのですよ。現状から見ると私はどうもそうは言えないような感じがしてならないのです。いかがでしょう。
  22. 小島弘仲

    ○小島政府委員 御指摘のように、これからの社会保障と申しますか、医療、福祉、すべて包括的なものとして体系づけていかなくちゃなりません。確かに現段階地方、あるいは国も一部そうでございますが、全体系を包含したような運営機構が十分確立している段階にはないと考えておりますが、今後、御指摘のような高齢化社会を迎えまして、特に老人福祉対策、老人福祉サービスという面につきましては、そのようなトータルなシステムづくりが不可欠だと考えておりますので、国と地方と協力しながら、それぞれの段階においてそういう運営機構を整備していきたいと考えております。
  23. 日野市朗

    日野委員 そういうトータルなものをつくり上げていきたいというお話だったのだが、実は識者の指摘するところによりますと、日本の社会保障制度について、特に高齢化社会制度についてマスタープランがないということが今まで指摘されてきたわけですね。マスタープランが立てにくいその大きな原因は、国の方が権限も金もがっちり握って、そして余りにも地方が裁量的にやれる事務が少な過ぎるではないか、もっと地方のコミュニティーの機能を重視しながらこれに対応していかなければなりませんよということは、これは識者が今まで指摘してきたところですが、今まで厚生省は、それに対してどっちかといえば突っ張ってきたわけですね。それで中央集権としての実を上げようとしてきた。そういう努力をしてきたんだというふうに私なんか見ておりますけれども、それが、この法案が出る前に、大体前年度の調整の段階あたりから、どうもその厚生省の言う言い方が地方を重視していくという方向に大分大きく方向転換してきた。そのことは結果的には私はいいと思うのですが、方向の切り方が気に入らぬといいますか、それを方向転換をするインパクトになったものがどうも気に入らぬという感じがしているのですが、ちょっと感想を聞かしていただけませんか。
  24. 今井勇

    ○今井国務大臣 先生おっしゃいますように、社会福祉のあり方というのは、やはり地方の独自性の尊重と同時に必要な施策の推進ということでございますが、私どもは、そのときに全国的な福祉サービスの水準の確保という横並びの水準というものはやはりどうしても極めて大事だと思うわけでございます。そんなことで私どもはやっているわけでございますが、従来の機関委任事務から団体委任事務にいくというのは、ではそのインパクトは何だとおっしゃいますと、それはやはり国家財政のいろいろな意味の窮乏というようなものも一つの契機になっていることは間違いございませんが、それだけではなくて、やはり福祉サービスというのは地方が本当にやっていただいて、自主性を持ってやっていただきたいという考え方は前々からあったわけでございます。
  25. 日野市朗

    日野委員 厚生省の部分は非常に大きな額をこの法案で切り取られるということもあるし、非常に象徴的な部分だと思いますので伺っておきますが、これは三年間の限時法でございます。三年間たちますと見直しは必至でございましょう。大蔵大臣お答えですと、その間のいろいろな財政事情や諸般の事情を見て、そしてまた見直す、こういうことだったのですが、もしその間の諸般の事情があって、非常に税収や何かがばあんと上がって、また、財政状態が好転してきたという場合、では、その前の補助金に戻しましょうということになった場合、どういう態度をおとりになりますか。
  26. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 大臣も先ほど申しましたが、福祉関係の仕事につきましては、国と地方との役割、仕事のやり方についてかなり検討した結果でございまして、その結果と関連いたしまして補助率の変更というものが行われたわけでございますので、これは三年後どうなるかということを確定的に申し上げるわけにはもちろんまいりませんが、業務の見直しと関連して補助率の変更が行われだということを考えますと、そう大きな、完全にもとへ戻るというようなことはないと私ども考えております。
  27. 日野市朗

    日野委員 どうもこの部分でやっていますともっともっといろいろ聞くところがあるのですが、ホームグラウンドのところを聞かないと後で怒られますので、この分については大体この辺にしたいと思うのです。ただ、私の意見も申し上げて、そして大蔵大臣の御意見も聞きたいと思いますが、今の日本は大蔵省の支配体制が確立しているようなことでございまして、金を握っている人は何といっても強いわけでございますから非常に強かったわけでございますが、やはりそうやって金を大蔵省が握って、中央集権的にと申しますか、全国一律にずっと統治してこようという今までの方法論のひずみといいますか、ゆがみが現在のような財政危機という形であらわれてもきていると思うのですね。  これからは地方と国との役割分担ということはきちんとやって、地方の権限は地方の権限、それに応ずる財源措置財源措置、これはきちんとやっていかなくちゃいけないのではなかろうか。つまり、財政危機ということが一つのきっかけになって、本来の意味での地方自治、地方におけるコミュニティー的な機能を生かした地方自治というものに今好むと好まざるとにかかわらず進みつつあるような気がするのですよ。厚生省なんかのお答えは、まさにそういう方向を目指していると思うのですがね。そういう国の事務、地方の事務、これをきちんと分ける方向で進むというようなこと狂ついては、お考えはいかがでしょう。これは本当は総理大臣あたりに聞くことですけれども大蔵大臣はニューリーダーのお一人でございますからひとつ話していただきたいと思いますし、自治大臣も非常に将来性豊かな方でございますので、両大臣から伺っておきたいと思います。
  28. 竹下登

    竹下国務大臣 戦後の日本経済あるいは財政なりをずっと見てみますと、最初の五年間というのは、言ってみれば新しい社会、経済、政治体制へ移行するためのもろもろの準備が行われた時代であって、憲法に基づいて地方自治の尊厳というのがうたわれながらも、大体あの当時を見ますと、平衡交付金などという、名前はいかにも平衡に交付してやるぞよというような感じ、私もそのころ地方議会におりましたのでそんな印象を受けておりました。  最近たまたま財政難の財政当局を担当しておりますと、本当のあるべき姿というのは、外交、防衛、治安、教育、それに社会保障の義務的に備わった生活保護というようなものがいわば国の業務であって、あとは全部地方自治体自主性において財源調達もできるような税源を設けてやるというのが本当はいいのじゃなかろうかという感じをいつも私は持ちます。が、現実にそれを考えてみても、税源そのものが大変偏っておる。そうすると、最終的には基準財政需要額と基準財政収入額等を勘案してやはり交付税というものが存在しないと、実際問題としてなかなかバランスのとれた個々の自治体の運営はできないということにまた後戻りして、私の考え方もそこに帰着するということになるわけでございます。  それで、しっかりしなければならぬのは、個々のことは実際問題自治省さんでないと私どもになかなかわからないことが多いわけでございますが、マクロのべースの中で結局交付税総額を毎年毎年決めていかなければならぬ。そうするとやはり責任を感じますから、責任を感じた余りおしかりを受けた措置としては、たばこなんというのは典型的なものだと思います。私自身もあれくらい寝覚めの悪かった決断をしたことは、率直に言って今までございません。だから、そういうような措置をとってでも、マクロベースで確保するということだけは私どもの良心においてやらなければならぬことだというような認識を持っておりますが、最初申し上げたように、可能なことならば外交、防衛、治安、教育、その辺が国のなすべき仕事であって、あとの身近な問題は地方に税源が存在し、財源が確保できるようなのが好ましい姿だということは、いつも私なりに考えておることでございます。
  29. 小沢一郎

    小沢国務大臣 いわゆる中央の政府地方自治体、その行政のあり方につきましては、大蔵大臣基本的な考え方お話がありましたが、私も基本的には同じように考えております。したがいまして。例えば今問題になっております補助負担率問題等におきましても、これは地財法の九条、そしてただし書きを受けて十条ということでお互いの負担の責任を書いてあるわけであります。基本的には地方の仕事は地方自治体がすべて負担してこれをやるということでありまして、特に国が責任を持ってやらなければならないことはやはり国も負担するんだという趣旨であると思います。したがいまして、この補助負担率のいろいろな議論の中で、単に今までの延長線だけの議論ではなくて、その中の個々の問題等をとらえながら、これはやはり地方負担すべきかあるいは国がもっと、今以上に負担責任を負うべきなのか、そういう個々の議論がなされていくべきものであろうと思います。  ただ、現実の、いろいろな今日の行政の仕組みの中で、制度的に事務事業あるいは権限の問題等のことを整理していくと同時に、何といってもその裏づけになるのは財政、銭金の裏づけがなければ行政ができないわけでございますので、そういった権限とか事務事業そのものの性格の整理と、それからそれに対応できる税財源の配分のあり方、仕組み、この両面から考えていって、本来の中央の政府、そしてまた憲法に定める地方自治の本来の機能を十分に発揮できるように考えていくべきものと思っております。
  30. 日野市朗

    日野委員 今大蔵大臣答弁を伺って、私なりに感ずるところがございます。私も、本当に国と地方役割分担ということは大事なことだろうと思います。ただ、大臣は意識しておられるかどうかわかりませんけれども交付税そのものが平衡交付金みたいなものになっているのではないかなという感想を私は持っておりますので、そういう感じを持たせることのないような運営をお願いしたいと思います。  本来の農水の方の時間がなくなってしまいましたので、今度は農水省に伺いたいと思います。  特に、農業基盤整備などで補助率がばっさり切られていますね。農水省の方も今までのやりとりを聞いておられたと思いますが、地方自治体に対する事業量は十分確保できるのか、そのために起こした地方債というのはちゃんと返せる確信が持てるのか、そこのところからまず伺いたいと思います。
  31. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 今回の法律によりまして、特に公共事業を中心にして実質的に事業量を確保するということを含めまして補助率のカットをしたわけでございますけれども、これに伴う地方公共団体負担増につきましては、先ほど来大蔵大臣及び自治大臣から御答弁がありましたとおり、地方財政措置を講ずるということで地方への負担増についての緩和措置が十分講ぜられるところでございますので、我々といたしましても、そういう全体の体系の中で円滑にいろいろな補助事業が進むものと信じております。
  32. 日野市朗

    日野委員 農水省という専門的な分野になりますとそういうお答えにならざるを得ないことはよくわかるのですが、今、大蔵大臣自治大臣からお答えいただいたところでは、今後の情勢推移ということも頭に置かれていて、この辺、非常に心もとないわけでございます。  特に私が心配しますのは、基盤整備をちゃんとやって農業を地方の産業としてきちんと位置づけていきたいというところは、財政がよろしくない地方が多いわけでございます。漁港についても補助率カットが行われていますが、四種漁港などを持っているところというのは財政基盤がかなり悪いということが言えるわけでして、こういうところに事業量をきちんと確保してやるためには、借りた金はちゃんと返せるのですよという担保的な措置が必要だと思うのです。自治大臣にもお話ししましたが、銭金のことは精神論では何ともならぬことでございますよ。そういうところを農水省としてはどのような担保的な措置といいますか、どういうふうにそこらを説得して事業量を確保するというお考えなのでしょうか。特に、日本の農業は体質的に国際的競争力が弱いし、どんどん脆弱化しつつあるような状況ですね。日本の農村というのは、働き手がどんどん出ていって帰ってこない、地力も低下している、そういうところで基盤整備というのは非常に必要なことであります。漁港について言うならば、遠洋から締め出された日本の漁業が生きるところは沿岸とか近海しかない。そういうところで小さな漁港が果たす役割は非常に大きなものになります。これをもとにして我々はこれから魚のたんぱくを確保していかなくてはいけない。そのためには、国家的に非常に重大な役割を持つ部分の事業量をきちんと維持していくためにどういうふうに説得していくか、どういうふうに事業量をふやしていくか、これは、専門的な分野を担当している役所としてはやらなくてはいけないところだと思うので、そこらをお聞かせいただきたいと思います。
  33. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 先生御指摘のとおり、農山村、漁村は財政力が弱いということは現実でございますが、そういうところこそこれからの我が国の農業なり漁業を育てていくために重要な地域でございまして、我々といたしましても従来から予算の傾斜的な配分に努めてきておるところでございます。特に漁港につきましては、事業費ベースで見てみますと、昭和六十年度予算に比べまして六十一年度では一〇二・四ということで、全体的に苦しい中ではございますけれども、トータルとして事業量をふやすということもやっております。  それから、ただいま御指摘がありました地方の問題でございますけれども、先ほど来話が出ておりますように、一たんは借金で行いますけれども、その後の元利償還金につきましては交付税措置することになっておりますので、そういう全体の地財措置の中で円滑に仕事を遂行してまいりたいと考えておるわけでございます。
  34. 日野市朗

    日野委員 きょう私ここに立つ前に、各省からレクチャーを受けておりまして、ちゃんと地方財政計画で返します、大蔵省も厚生省も農水省も、みんなそう言っているわけですが、問題は後年度に対するあいまいさ、これから果たして返していけるのかということについて、きょう大蔵大臣はこれからのいろいろな推移を見てという言葉をまくらに置かれたわけなんで、これからそういう地方債なんかを起こした部分については返すのですよという確固たる自信を持った物の言い方を今まで皆さんやってきたにもかかわらず、それに対する不安は依然としてぬぐい切れないというところだと思うのです。それで、事業量をふやすことと金とがきちんと結びつくということについての担保ということをどうですかと私は今伺ったわけなんです。その点はどうなんでしょう。これから私なんかが地方を歩きまして、大丈夫ですからおやりなさいと確信を持って言えるのかどうか、いろいろな陳情や要請を受けたりしたときに、どんどんおやりなさいということが言えるのかどうか、そういうことになると非常な不安を感ぜざるを得ないのですが、いかがなものでしょう。
  35. 持永堯民

    ○持永政府委員 後年度の起債の償還についての交付税措置がきちんとできるかどうかという点での御質問でございますが、計数的に将来何年度にはどういう措置ができるということを申し上げることはなかなか難しいわけでございます。毎年の経済情勢なり税収状況なり抜本的な税制改正がどうなるかということ等を踏まえて、毎年適切な対応措置をとる必要があるわけでございます。  現在地方行政委員会で御審議いただいておりますけれども地方交付税法の規定の中に、国の補助率カットに伴って発行する地方債の元利償還については措置をする、つまり基準財政需要額に算定するという法律で決めていただくことになっておりますので、そういった意味におきまして、事柄としては法律上はっきりお決めいただくということで御安心いただけるのではなかろうかと考えております。
  36. 日野市朗

    日野委員 先ほども申しましたが、地方に対する国の責任というのは大変なものでございまして、地方と国との間の信頼関係が断ち切られる、傷がつくというようなことは絶対にあってはならないと私思いますので、その点を特に念を押して、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。労働省や何かにもおいでいただきましたが、時間がなくなってしまったので出番をつくれませんでした。その点をおわびいたします。  終わります。
  37. 大石千八

    大石委員長 辻一彦君。
  38. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、きょうは大蔵大臣自治大臣、農林大臣臨時代理の出席をいただいて、土地改良の問題を中心にして、国と地方分担、また受益者農家等との分担についていろいろと今問題があるように思いますので、それらの点について二、三お尋ねをしたいと思います。  一般的にいろいろと論議がありましたので、私は具体的な土地改良区の地区の例を引いてこの問題について触れてみたい、かように思っております。  農林省の方は、今までしばしば説明をしておりますが、大蔵、自治両省の方にはそういう機会が余りないので、農林省見えておりますから、後でごく簡単に説明をいただきたいと思います。  坂井北部という特別会計による国営の農用地開発事業がありますが、これは宮崎県の美々津、それから三重県の青蓮寺、福井の坂井の三つが五十一年から初めて特別会計で出発しました。初めは特許を導入すれば非常に早くできるだろう、こういう考えで出発したのでありますが、現在になりますと、この事業量は数倍に、またその負担金も非常に重くなっているというので、非常に問題が出ております。どういう状況でそこに至ったか、これを農林省の方からごく簡単に経緯を報告してほしいと思います。
  39. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいま御指摘のございました坂井北部地区でございますけれども、四十四年から着工いたしました。五十一年に特別会計へ移行し、工期の促進を図ったわけでございます。関係市町村は、福井県三国、芦原、金津、丸岡町でございます。受益農家戸数が二千六百八十七戸、受益面積、農用地造成四百六十、かん排千八百八十、区画整理八百四十三、総事業費は、現在確定いたしました事業費で三百十六億でございます。六十年度までに九五・九%完成し、六十一年度で完了の予定となっているわけでございます。  主要作目は、野菜、ナシ、飼料作物、カキ等でございまして、この事業の問題点といたしましては、ただいま御指摘もございましたけれども、大変工期が長くなりまして、特に二度にわたるオイルショックに伴う物価騰貴等がございましたために、当初予定しました工事費から著しい増高を招き、そのために農家負担も増高したということでございまして、現在最終的な計画変更の手続をとっておるわけでございます。関係農家の御同意を得べく、我々せっかく努力中でございます。
  40. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大要はわかっていただいたと思いますが、なお私はちょっと補足しますと、昭和四十六年当初は七十五億前後で出発して、五十一年が百八十億、今日三百十六億と当初に比べると非常に大きくなってまいりました。五十一年にこの国営農用地開発事業のおくれが国会で論議されておりまして、その中で新たに国営農用地開発事業にも財投の投入を図るということの法改正が行われて、その三地区が第一号となった。当初は、これによって非常に関係地区農家や自治体は工期が早まって成果が早く上がるだろう、こういう期待をしておったわけですが、今局長答弁のような事情によりまして、非常に工期が延びてしまう。  そこで、そういう中で工期が延びますと、実は非常に大きな問題が起こってまいります。特別会計というのは財投の金利に依拠しておるため、非常に金利が高い。一般会計でやれば五%ちょっとの金利も、財投の場合には一番高いときは八・一%から七%、年度によっていろいろ違いますが、非常に高い。これが大変裏目に出て金利負担が重くなったということと、建設中の利子が例えば坂井北部でも約三十億かかっておる。こういうことは、早くできればそれほど問題は起こさなかったのでありますが、いろいろな事情から工期がおくれたために、この点が非常に先鋭に問題になってきている、こういうように思うわけであります。  そこで、各関係農家は、その四十六年のときにおいても、五十一年のときにおいても、大体土地改良は米一反一俵であるという説明を受けて出発をしている。どこでも大体米一俵というのが相場であって、これは言うならば二万。三万になれば非常に高いというのはどこの全国の土地改良でも言えるわけでありますが、この場合には、償還金が試算の結果非常に高くなっている。農林省の方から各農用地開発、それから水田、畑地の区画整理、用水等においてどれぐらいの償還金が試算をされているか、ごく簡単に御報告を願いたい。
  41. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生もう既に御承知のように、農民に対する償還は県が条例を決めて定めることになっております。この条例はまだ制定されておりませんので、全くの試算でございますけれども、仮に地元負担を県と農民が半々で持つという通常のルールによりますと、畑の場合は、農用地造成で十アール、年償還額は五万五千円、それに畑の区画整理プラス用水事業でございますが、これで七万六千円。それから水田につきましては、区画整理と用水事業を行いますところが九万五千円、それから用水事業だけのところは三万七千円、さらに排水事業だけの地区もございまして、ここは四千円、かようなことになっているわけでございます。
  42. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今御報告がありましたように、一般的に通念として、土地改良は米一俵というような慣例が大体あるわけですが、それに比べると水田の九万五千円、畑地の開拓五万五千円、区画整理や用排水七万六千円は非常に大きな金額になります。  こういう金額が経営の中から十分に生み出せるのであれば、これは高くても当然払っていけるわけでありますが、一反歩あるいは五反歩程度、小面積を集約的に施設園芸等をやればこれは幾らでも可能でありますが、この地区においては大体二・五から三ヘクタールというのが中核農家であって、これらの農家がこの償還をやるということは非常に難しい。  これは農林省も調べておられますが、私もいろいろ自分で歩いて調べてみて、県の調査資料等も参考にしますと、例えば五十八年の県の方が百戸の専業農家、畑作農家を調査しております。それによりますと、大体基準は、所得が四百から五百万円、そして生活費が四百万ぐらいかかる。だからいっぱいですが、それに償還金が大体この場合には二・五ヘクタールで百八十万、三ヘクタールで二百万ぐらいかかっていく。このままかぶれば、これはマイナスになるか、多少残ってもとてもこれは後やる気がしなくなってしまうし、跡継ぎもなかなか続かない、こういう心配があるわけでありますね。  そこで、ごく全般的に見て、臨時大臣もこういう畑の御出身でありますが、また大蔵大臣自治大臣もそれぞれ農村に御縁が深くよくおわかりのところでありますので、こういう金額は妥当なものであるかどうか、ちょっと感想を伺いたいと思います。
  43. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問でございますけれども、たまたま私もこの仕事にかなり長い間従事したことがございまして、お気持ちはよくわかるわけでございます。特に坂井北部、御承知のように、経済の大変動の中で長年にわたりましていろいろな御苦労がございまして、したがって、私といたしましては、今後の償還条件の緩和という問題、よく役所側と相談いたしまして、今の先生のいろいろな御心配を少しでも減らしていきたいと存ずる次第でございます。
  44. 竹下登

    竹下国務大臣 かねがね辻さんからこのお話を聞かせていただいておりますが、制度の中で、厳しい財政事情の中でいわば償還の軽減措置を設けるというのは実際問題非常に難しい問題であるな。償還が六十二年から始まるということになれば、個別の問題として来年度予算編成までに農水省とお互い勉強してみたらどうだ、これが偽らざる現状でございます。  確かにいろいろな議論をする人がおりまして、農用地というものも言ってみれば私有財産じゃないか、国の投資によって私有財産の価値を高からしめるという問題に対する議論は確かにございます。それに対して、これは本当にオーソドックスな考えじゃ必ずしもないかもしれませんけれども、私自身は、その器でつくる食糧というものがいわば国のものである、したがって、国のものを生産する基盤だから、所有権からは私有財産であっても国費の投入というのはそこに妥当性があるのじゃないか、これはいささか私的な議論でございますけれども、そんな議論もしてみたりいたしております。  したがって、制度としてこれを改革するのは確かに今の財政状態の中では難しいから、個別の問題として、両省で来年度予算編成までに、償還期がたまたま来年でもあるから、勉強してみてくれというのが現状の姿でございます。
  45. 小沢一郎

    小沢国務大臣 土地改良につきましては、今度私の地元でもやっていただくことになっておるのでございますけれども、いわゆる農業の生産そしてその収入という面だけからとらえていけば、かなりの受益者の負担ということは事実であろうと思います。しかし、いわゆる農業生産性を向上させる、基盤整備という意味からこの事業もとらえられておるのであろうと思っておりますし、それと同時に、また大蔵大臣お話にもありましたが、ちょっと筋道は別でありますけれども、いわゆる私有財産についての土地の環境整備あるいは資産価値とか、これは別個の話になりますが、そういう要素も裏にはあるわけでございます。したがいまして、そういうもろもろのことを考えてみますと、農家にとりましてはできるだけこれは少なければ少ないほどいいに決まっておりますけれども、そういうような目的の中でなされているものでございまして、基本的には農家に対してそれが還元される結果になるわけでございますので、これはできるだけ少ない方がいいに決まっておりますけれども、そういった本来の仕組みとか制度、あるいは住環境、生活環境の整備にも資するというような点を考えながら、やはりお互いにこういうことでやっていこうやという中で現実は進めておられるのではないかなと思っております。
  46. 辻一彦

    ○辻(一)委員 非常に貴重な経験に基づく識見を伺ったのですが、それについて私もちょっと申し上げますと、これは農林省としては、整備条件もなかなかよくできておりますし、仕事としてはよくやってくれたと思うのです。ただ、今言ったこの負担金は非常に重いので、これがまた大変なわけですね。そこで、国営の農用地開発事業のねらいは、私の見たところでは、その地区における中核農家群の育成にある。それをねらってやっておる。そうなりますと、大体償還金というのは経営の中から捻出されていくというものでなくてはならない。経営を超えるものであれば、せっかく国営土地改良をやって開発をしても、最後には、赤字がずっと重なればその土地を手放さなければならないということも起こり得る。そういうことがあってはならない。あくまでねらいとしては中核農家が育成されていくという中身でなくてはいかぬ。そうなりますと、二・五から四ヘクタールを、財産だからちょっと負担が重くても財産管理としていいのではないかというような論議は、この場合にはなかなか当てはまらないと私は思うのです。  そこで、大事なことはやはり中核専業農家が何とか意欲を持ってやっていけるような償還条件、現実には国も県も町村も農家も、私はこれは四方一両損と言っておるのですが、ここまで来れば、四者それぞれ努力をして前進しなければいかぬのじゃないかという感じを持っております。  そこで、このことを私は非常に強調したいのは、この国営事業の建前からいくと、これは直接には受益農家と国との関係でなしに、実は国と県との関係になる。農家の方も経営を超えては償還金がなかなか払えない。農家が大体これくらいなら我慢してでも出しましょうという同意をしないことには第二回の計画変更が進まないわけですから、むちゃくちゃなことをしたって同意はとれない。そうすると、米一俵プラス一両損といいますか、幾らになるかは別として、農家もそういう負担をするにしても大体納得のいく金額でなくてはいかぬ。そうなりますと、下が決まってくると、上の国も動きがつかぬ。今度は地方自治体がこの間に入って最終的には責任を持たなければならぬとなってくると、これは地方財政にいろいろな意味で、今いろいろな形でこの問題が出ておりますが、個別のケースにおいてもいろいろ影響が出てくる懸念があるのです。  私は、これらの地区は法律の谷間になっていると思うのです。というのは、三月二十五日に衆議院の農水委並びに本会議において国営の事業に関する土地改良法の一部改正案が可決されて、二十八日には参議院で同様これが可決されている。これが可決されて、前進はしたと思うのですが、そのときに、これからの国営事業は、財投を一般農家に導入するというところまでいくと金利の点でいろいろ負担の心配があるから、それは一般会計で全部立てかえることにして、県の段階までで財投はとどめたわけですね。だからこれからは、あるいは一般国営でやっているところはこれに切りかえることによってその法律の恩恵が出てくると思うのです。  それから、それでは全国に七つ特別会計で出発した従来方式と言われる地区があるが、それは一体どうなるんだ、こうなりますと、そのことを心配して三月二十五日の農水委員会の最後に附帯決議を各党の御同意を得て私が提案して、ほかのことは別としまして、第二項に、「従来方式の特別会計地区等には、工期の遅延をふせぎ事業の進捗を図るため特別の配慮を行うとともに、完了後における農家負担の軽減に資するよう各般の措置を講ずること。」こういう附帯決議を全会一致でつけたわけですね。  そこで、農林省に聞いてみますと、従来地区でもまだ工事を進めているところはある。ひとつおくれないように予算を増額配分するということで手当てをしているのですね。これは、私は結構だと思うのですよ、おくれることが一番大きな問題ですから。手当てをしている。新しくやるところは新しい法律のもとに手当てができる。ところが、この法律の谷間に三つの地区が残ったんですね。それは、工事が終わった、あるいは来年、ことしで終わるという地区がある。宮崎県の美々津と三重県の青蓮寺と福井の坂井ですね。この三つが残ったのですね。この宮崎の美々津の方は、山の方で水の問題を棚上げにされたために、水が一番問題だったのですが、それを切り離して第二次の計画に回したためこれは余り問題が出ていないんですね、負担金としても。ところが、三重の青蓮寺、福井の坂井北部は、そういう意味で残った二つの谷間になっている。これに対して、私は、法の恩恵が全国に及ぶときに、谷間にそのままに放任することはできないのではないか、こういう観点から、これに対する対策をまず国としても考えるべきである。こういう点で、大蔵大臣は、制度的にはなかなか難しいが、別途十分来年度までに勉強して取り組みたい、こういう非常に前進した答弁をいただきましたですね。  ただ、私は、難しいとは思いますが、この機会にもう一度強調しておきたいと思います。それは、例えば今金利が、公定歩合が四%台に下がっている。いいことだと思いますが、それに伴って財投の金利は六%、あるいは将来六%を切るかもわからない。ところが、この国営地区、特許地区でやったところは、詳しいことは時間の点から申し上げませんが、昭和五十五年と記憶します。このときには十七戸ほどお金を借りているのが八・一分、八%で借りているわけですね。これを、ずっとこれから十何年か返していくわけですから、金利としては非常に高いです。さっき言いましたように、早くできてしまえば余りその心配がなかったのですが、おくれたためにその問題が非常に出てきている。こうなると、金利負担の軽減というか、金利を下げるということもこういう問題について制度上難しいことは大蔵大臣答弁でもわかりますが、何か考えるべきではないかと思うのです。この点についてひとつ。  それからもう一つは、国営の農用地開発公団が償還年限を二十年でやっていますね。それから、干拓の場合は二十五年なんですね。国営の農用地開発は十五年になる。これは十五年というのを二十年に延ばしてもらいたいというので大蔵当局に大分農林省はかけ合ってここ数年やっているのですが、なかなか難しい。まあ、今の状況ですから難しさは十分わかりますが、しかし、これ考えてみれば、償還年限を農用地開発公団並みの二十年くらいにしても、横並びにしてもそんなに無理なことはないのではないか、できないことはないのじゃないかと思うのです。  この二つについて、制度上は難しいことは承知をしながら、あえてこの機会に大蔵大臣にこれについての見解をもう一度お尋ねをしたいと思います。
  47. 竹下登

    竹下国務大臣 五十五年というのは、予算編成中に公定歩合を二回上げさせていただいた、いわばちょっとインフレが心配で公定歩合を二回上げた時期でございます。したがって、公定歩合の上げ下げにおおむね連動いたすのが預貯金金利であり、そして財投金利である、こういうことになります。  今、公定歩合の引き下げを二度にわたって行って、今のところ完全連動をして六・〇五でございますかになっておりますが、法律がありまして、六%以上でないといかぬ、こういうことになっております、預託金利そのものが。したがって、公定歩合の操作による預貯金金利の連動、それに伴う預託金利、預託金利イコール財投の貸付金利、こういうことになりますと、恐らくその都度都度の金融情勢の中で決まっていくわけでございますから、いわばよく新商品にありますような変動利付制ではない、こういう建前があるわけでございます。  したがって、個別地区の問題について勉強してみてくださるように私から事務当局にお願いしておるのも、どういう措置があるかはっきり私も――繰り上げ償還しておいて新たに借りれば今度は新しい金利の分になるじゃないかとかいろいろなことを考えてみますが、制度上はそれはなかなか難しい問題であろうから、その辺の知恵を出してもらいたいものだというふうに考えておるというのが実態でございます。
  48. 辻一彦

    ○辻(一)委員 もう一つ、償還年限はどうですか。
  49. 竹下登

    竹下国務大臣 償還年限問題というのは、恐らく私がお答えするよりもこれは事務当局の方がより正確で、その事柄の性質上その都度都度恐らく協議の結果決まったものであろうと思っておりますので、専門的知識のありません私よりも事務当局の方がより正確であろうかと思います。
  50. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間の点から。農林省の見解は私も三、四回やってよく承知しておりますし、大蔵の事務当局の見解もわかっておるのですが、大臣、もう少し政治的に物を考えていただけばこの問題についても多少前向きな、何か前進がないのかと思うのですが、その点はどうですか。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 それも含めて、私の立場から言えば勉強させていただきます。
  52. 辻一彦

    ○辻(一)委員 そこで自治大臣にお尋ねしたいのですが、大蔵当局も、今大臣もひとつ勉強をして農林省と一緒にいろいろ検討していただく、こういうお約束をいただいて、これは前進と思います。そこで、と言っても、制度が変わらないことにはこの問題は全部吸収することはそこだけではなかなかできないとすると、県、国との関係で、県、自治体の応分の負担というか、こういう問題が将来出てくると思うのです。そのときに県や自治体がいろいろ自治省に相談に行ったとすれば、そのときどうしますか。相談に乗りますか。いかがですか。
  53. 持永堯民

    ○持永政府委員 土地改良事業につきましては、御案内のように、国あるいは都道府県の負担割合というものはおのずから決まっておりまして、受益者負担の割合も決まっておるということでございます。  今のお話は、都道府県が当然持つべきものについてはこれは持つわけでございますから、その他の分についての手当てと申しましょうか、ということだろうと思いますけれども、これは各府県なり市町村によりましてある程度御支援申し上げる例もございますけれども基本的には土地改良法での負担割合というものがございます。自主的に地方団体がある程度お手伝いすることはあえて否定は申しませんけれども、だからといいまして、そういうものについて特段の財政措置をするというようなことはなかなか難しいという点は御理解いただきたいと思います。
  54. 辻一彦

    ○辻(一)委員 事務当局の御答弁は大体そういうことになろうと私は思うので、この短い時間に余り聞いてもなかなか難しいと思うのです。ただ、ある意味において法の谷間に置かれている地区なので、だから第一は大蔵、農林当局にお願いをし、論議をしていただく、と同時に、自治省も相談があればそれぐらいは聞いて、知恵が出るのであったら出してもらうとか、それぐらいのことは考えてほしいと思うのですが、大臣、どうですか。
  55. 小沢一郎

    小沢国務大臣 その点につきましては、個々の具体的な事情のある地域であろうと思います。したがいまして、自治体等から相談がありましたらばできるだけ相談に乗って、御協力できるところはするようにいたしたいと思います。
  56. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題は、時間の点からこれで切り上げたいと思います。  最後に一つ、これは私の感じであります。  昭和五十年十一月に財政特例法が国会で論議されました。私は社会党で参議院の大蔵委員会理事をして、野党代表ということで二兆三千億の赤字国債を初めて出すときに随分と論議にかかわったことがあります。そのときに、こういう形で赤字国債を出していけば五、六年たつと五、六十兆円になる、後のツケを一体どこに回すのだ、その答えが出なければ賛成しがたい、こういう論議をしたことを思い出します。  あれから十一年たって、今赤字国債は百三十兆円余に上っているという状況です。そういう中で、いろいろな形で国は財政が大変だから高率補助金等は一律に削る、そして、それは起債その他の財源によって裏打ちをして地方の方では心配がないようにする、大体こういう中身になっております。  しかし、国と地方財政は別々であると言えば別々であるし、また、大きく日本国という中の財政ということになれば、国も地方公共団体一つというふうに見られるのです。国の方がそういうふうにして地方の方に借金を少しずつふやしていくというやり方をこれから続けていきますと、地方財政においても何年か先に、かつて十年前に我我が指摘したのと同じようなことが起こる心配があるのではないか、こう思います。私は、大きく言わずに国と地方は別だと考えていきたいと思うのですが、これから先こういうような財政分担の方法が続くとすると、地方財政も将来国と同じような借金財政、赤字財政に追い込まれる、そういう心配はないかどうか。これは自治大臣どうお考えですか。
  57. 小沢一郎

    小沢国務大臣 地方財源不足につきましては、本来ならば地方税収あるいは交付税等の一般財源で補っていく、これが当然のことであり一番望ましいことであろうと思います。しかし、今日の状況の中で、何とも財政事情も苦しいという中で地方債を活用していくということもある意味ではやむを得ない面もあろうと思います。  ただ、その元利償還をしていくにつきまして、これが地方財政を圧迫する要因になっていくということは事実であろうと思いますので、私どもといたしましてはできるだけ今回の措置におきましても交付税で見ていく、また、交付税の後年度の加算措置もしていく、そういう措置をとりながら、さらに、それでも困るようなことがあれば交付税総額を確保することによって地財計画を通じて財政運営に支障のないようにしていきたい、そのように考えておるわけでございます。  こういうなかなか厳しい状況でありますので、理想どおりいかない面もありますけれども、国と地方が一体となって初めて国民に対する行政サービスができるわけで、むしろ地方公共団体の方が国以上に直接国民に対するサービスを担当していくわけでございますので、その点は今後も十分気をつけながら健全化を図っていくように対処してまいりたいと思います。
  58. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大蔵大臣にお伺いします。  大蔵大臣は、国の財政の責任者であると同時に、当然また地方財政も含めた日本の財政の責任者でもあるわけです。そこで、国の方は極力抑えてもその抑えた分だけ地方の赤字がふえるということになれば、これは大きな枠で見れば同じことになりますが、こういう問題についてどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  59. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的には、いわゆる基準財政需要額、基準財政収入額等々を考えて、いわば毎年毎年の予算の際に交付税出口ベースにおいては支障を来さない措置を国の責任においてやらなければならぬ。年々苦労いたしまして、ことしのようにたばこが飛んで出たりというようなこともするわけでございます。それがぎりぎり果たさなければならぬ役割であるというふうに考えております。あとは可能な限り――実際、占領下の予算を見ますとまるきり進駐軍が原案をつくって国会が協賛しておるような感じもしますけれども、いわば地方自主財源なんというのはないようなことからずっと今日に至っておりますから、基本的には、今自治大臣からもお答えがあったように、より身近な問題は地方の判断にゆだね、それを基礎としていわゆる費用負担あり方を相互が決めていく、こういうことではなかろうかというふうに考えております。  重ねて申し上げますように、確かに伸び率で見ましても、一般歳出は国がゼロ、地方は四・七、公債発行額は十兆九千億と四兆四千億、さらに公債依存度は国が二〇・二%、地方は八・四%、公債残高で見ますと百四十三兆と四十四兆、このうち特例債は六十四兆残高が残っておるわけでありますが、だからといって地方にはまだ負担の余裕があるのだというような物の考え方に立ってはならぬと思って、厳しく私の方でも自浄作用をしながら毎年毎年対応しておるというのが実態でございます。
  60. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ややもすると大蔵当局にも、国の財政は大変だが地方はゆとりがあるというような見方が多かったので、そういうことを言われるかと思ったら、大臣はそうであってはならないということでありますので安心しました。国の財政も大変ですが地方財政も容易でない状況にある、こういうことを十分頭に入れて、国の財政運営、地方財政運営をやっていただきたい。そして、さきに論議しました農林、大蔵の協議につきましてはひとつ早急に具体化していただくように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  61. 大石千八

    大石委員長 小川国彦君。
  62. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は、国の補助金の削減による地方自治体への打撃、影響というものを考えます中から、国の特殊法人、外郭団体が貸し付けをしたり補助をしているそうした補助金に対する適正化の措置というものに政府はもう少し真剣に取り組むべきではないかという角度から質問をしたいと思うわけであります。  一昨日も私は農林水産委員会で質問をしたわけでありますが、ことしと来年にかけまして中央競馬会から農水省の農業改良資金の特別会計に三百億繰り入れるという法案審議がなされて、きょうの本会議にかかるようでございますが、大蔵省としては、大臣としては、こういう措置についてどういうような判断をなすっていらっしゃったか。まず最初にそれをちょっとお伺いいたします。
  63. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる行財政改革の焦点をまずは政府そのものの行政機構の中に向けていろいろ議論をいたしてまいりましたが、しかし、大変関係の深いいわゆる特殊法人、公社公団等につきましても、現下の財政事情の中で可能な限りの仕組みの変更をも加えた改革を今日もなお継続してお願いをしておるという段階であろうかと思っております。
  64. 小川国彦

    ○小川(国)委員 中央競馬会あるいは自転車振興会、小型自動車振興会、船舶振興会、こうした農林あるいは運輸あるいは通産にわたる外郭団体、特殊法人があるわけでありますが、こうしたところの交付していも補助金というものには非常にむだ遣いが多い。それから、福祉なら福祉あるいは教育なら教育、体育なら体育、地方自治なら地方自治と、それぞれ本来の所管で行うべき補助金を全く違う特殊法人なり外郭団体が交付をしているという事実があるのです。  私は、年来中央競馬会について調査をしてきているのですが、相変わらずむだ遣いが非常に多いわけです。これは具体的な例から入っていった方がわかりいいかと思うのでありますが、先般も私取り上げました中央競馬会のハイヤー・タクシー代とかあるいは海外旅費とか食糧費、実はこういうものの動向を私は調べているのでありますけれども、これらの予算が少しも減っていないということで、今行政改革と大臣の言われた趣旨が徹底していないじゃないかと思う点が非常に多いわけであります。  例えば海外旅費など見ましても、最近ニューヨークのジョッキークラブというところの会合があって、それがニューヨークの競馬会主催で行われた。この会議に中央競馬会の役職員が出かけたわけなんですが、その後アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、オーストリアと世界一周に近い回り方で六十日間旅行をして、二人で四百十二万円を使っている。  それから五十八年の例などでまいりますと、海外の語学研修ということで、競馬会の職員を八十六日行かせ、百六十九万も旅費を支給しているわけですね。政府機関で、政府機関の職員に採用してから二カ月余りも海外に語学研修にやっている例というのは、恐らく省庁でも外郭団体でもなかなか見られないのじゃないかというふうに思うわけなんですね。  それからまた、アジア各国から招待して日本で競馬をやっているのですが、そのアジア競馬会議というのを日本で主催して、レースをやる。ところが、招待状を出せば足りるものをわざわざ御案内に各国歴訪の旅に出まして、これも二人で十六日間に香港、フィリピン、タイ、インド、シンガポールなどを回って、二百四十二万の旅費を使っている。私はこういうわかりやすい事例を申し上げたのです。  それからまた、ハイヤー・タクシー代なども、中央競馬会全体で使っているハイヤー・タクシー代、車両借り上げ料というのは、五十八年が五億四千七百七十四万、五十九年が五億九千九百二万、六十年では六億一千六百十万。今各省庁が行政事務費を五%削る、一〇%削るというふうに一律にやっているときに、売り上げが伸びたからということかどうかわかりませんが、競馬会は売り上げが伸びると経費が伸びるというものでもないと思うのですが、この六億一千六百万ものハイヤー・タクシー代、車両借り上げ料というのは物すごいですね、千八百人の職員でこれだけ使っているのですから。私は、こういうむだ遣いをしているところの職員というのは、恐らく私用の帰りでも一杯飲むと大体公用のタクシーのチケット券を使っているという例が非常に多いと思うのです。そういう風習が残っているのじゃないかというふうに思っているのです。職員一人当たりで見ても年間三十三万のハイヤー・タクシー代。千八百人の職員が全部ハイヤー・タクシーを使うというふうには思えないので、三分の一の幹部が使っていると考えると、一人当たり百万使っているということになるわけです。このハイヤー・タクシー代も非常に使い過ぎるんじゃないかと思うのです。  それから食糧費です。これも非常に大きゅうございまして、六十年で二億三千八百万。飲み食いのことですから余り細かく言うのもどうかというふうには思いますが、これも年度別に見ると、二億円から二億二千二百万、二億三千八百万と年々ふえていますので、やはりこういうところもきちんとしなければいけないのではないかというふうに思うのです。  こういうふうな金の使い方をしている中央競馬会の財務諸表などを私ども分析したのですが、日本の上場会社で非常に経営がいいと言われているトヨタとかソニーとかそういう会社と比較してもはるかに高い収益率というか、経営状況にある。だからこそ大蔵省も、それから今度は農水省も、こういうところから国庫納付金を取るということになったと思うのです。昭和五十六年に大蔵省の方が百八十四億、五十八年には二百二十億、こういう特別国庫納付金を取っておる。それから今度は農水省が百五十億ずつ二年間にわたって取る、こういう形になっているわけです。  私は、国の財政というものから考えてみて、大蔵省が国の歳入というものを一元化してそれを各省庁に配分していくというのが大蔵省考え方じゃないかというふうに思うのです。去年出てきた水源税の問題とか占用料の問題は、例えば水源税を取ったらこれは林野庁で使っていい、あるいは占用料を取ったら建設省で使っていい、今度は中央競馬会から取ったら農水省が使っていい、こういうふうな形になったら国の財政のルールというのは崩れていくのではないか。やはり国の歳入というものに一元化して配分していくところに効率的な国の予算使用というものができるのじゃないかというふうに思うのですが、その点大臣はいかにお考えになりますか。
  65. 竹下登

    竹下国務大臣 まず基本的に今の立論というのは正しいと思います。したがって、本当は租税収入というものは安定的な歳入確保が一番大事なことでございますから、色のつかないお金が一番妥当であろうと思っております。しかし、現実問題としては、いわゆる特定財源、言いかえればその事業との関連が非常に深い場合、特別会計として目的税というものが機能してそういうものが存在をしておるということも歴史的経過の中で事実でございます。しかし、可能な限りいわば色のつかない歳入財源が好ましいというのが原則であろうと思っております。  それから、特殊法人の国庫納付金の問題、電電とか専売はまさに民間へ移行していったわけでありますが、これはやはりそれができるときの歴史的経過の中で法律上決まってきておるものが多い。したがって、五十八年も私大蔵大臣でありましたが、あのときもお願いして負担していただいたというように記憶をいたしております。
  66. 小川国彦

    ○小川(国)委員 農林大臣も来ておりますから、私は中央競馬会に限ってもう少しただしてみたいというふうに思うのですが、中央競馬会は、私が予算委員会等で取り上げたときには、約三千億の特別積立金という余っている金がある、これを今国がそっくり取り上げても、国の歳入にしても、特別納付金にしても、経営には影響ないということを申し上げたのです。それが現在段階では四千億近いものになっているわけですね。その中から今度は農水省が二年間で三百億取る、こういうことになったわけなんです。例えば農水予算ども毎年減少の傾向をたどっておりまして、四年前と今日と比較しますと、農水省、運輸省、建設省といった順で予算の削減度が大きいわけですが、農水省が四年前に比べて四千五百億も予算が削られている、そういう状況があるわけですね。そういうところに本来一般会計できちっと財源を補てんすべきなのに、補てんしない。そして中央競馬会からこちょこちょっと三百億ぐらい入れるようなことを法案で出してくる。そういうことをせずに、こういう余剰金があるならば、これは国の歳入なら歳入として三千億を三百億ずつ、十カ年ずつでもいいからきちっと入れる。そしてそういうものを、例えば競馬会法によって競馬会の国庫納付金は畜産の振興に充てるというふうになっているのなら、そこにきちんと手当てしていく、ちゃんと大蔵省の懐は通すという形でないと不正常なものになっていくのじゃないか、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
  67. 竹下登

    竹下国務大臣 財政あり方としては、今おっしゃいました姿の方がより好ましい姿であろうと私も感じておるところであります。  ただ、競馬会を一例に出して御議論いただいておるわけでありますが、その歴史的経過等からいたしますと、私は、今回の措置というものもまさに畜産振興そのものへ充てられるということでありましたので、そのような法律でお願いをしておるということであります。本来、租税の中で目的税は可能な限り避けるべきものである限りにおいて、国庫納付金の問題等につきましても可能ならばそのような姿が望ましい、そういう御意見は私もちょうだいできるものであるというふうに思っております。とはいえ、今回の措置を否定しておるわけではございません。まさに非常に関係の深いところに拠出していただくということでございますので、それなりの意義は認めております。
  68. 小川国彦

    ○小川(国)委員 私は農林大臣に伺いたいのですけれども、中央競馬会のやっている補助金の中で地方自治体への環境整備費というものが、五十九年度で見ますと五十六億、それから競馬場のある周辺の自治会や消防に対してお祭りの衣装を寄附したり、神社の屋根がえを手伝ったり、ちょっと私どもとしては納得いかない補助金が四億一千六百万。  それから中央競馬会の馬主会を中心につくっている福祉財団の補助金が、社会福祉施設等への補助金というのが五十九年度で二十三億七百万出ているわけですね。この使途なども、私ども調べてまいりますと非常に問題が多いわけです。  例えば福祉の仕事に補助金を出す場合は、厚生大臣お見えになっているので伺いたいのですが、厚生省が福祉の予算を交付する対象としては、当然福祉法人というものを第一義的に考えていらっしゃると思うのです。この点はいかがでございますか。
  69. 今井勇

    ○今井国務大臣 おっしゃるとおり、法人組織を持ったものに出しております。
  70. 小川国彦

    ○小川(国)委員 ところが、中央競馬会が出しております福祉財団の補助金は、例えば保育所とかその他に出しているのですけれども、これが、福祉法人ではなくて宗教法人に対しての補助金がたくさん出ているわけです。例えば、地名は皆さんの方の資料で出していないのでわからないのですが、浄福寺とか安養寺とか源通寺とか元暁寺とか法然寺とか浄照寺とか、こういうお寺さんがやっている福祉施設に百万、二百万といった補助金を交付しているわけですね。福祉補助金ということで、中央競馬会がつくっている福祉財団がその補助金を出しておる。福祉法人というのは設立認可を受けた法人、それから文教施設にする場合には学校法人の認可を受けた施設、そういうところに国の補助金というのは使われるのに、こういう外郭団体がやっている補助金は、宗教法人――宗教法人というのは届け出をすればいいわけなんですね。官庁の認可が要らないわけですよ。それだけ内容的にはずさんな問題が多いというふうにも見られる。そういうところに、農水省の中央競馬会の、畜産振興事業団の補助金がたくさん行っておる。これはやはり直さなければいかぬと思うのですが、いかがでございますか。
  71. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  ただいまの一般の社会福祉施設への助成という意味は、御承知のように競馬賞金の一部でありますところの馬主協会賞を財源として行われておるものでございますが、今お話に出ました宗教法人等の問題は、これは実はなかなか問題もあると思います。この点、十分に検討いたしまして善処いたしたいと考えておる次第でございます。
  72. 小川国彦

    ○小川(国)委員 当面はそこを直してもらうということが先決だと思います。  それからもう一つは、中央競馬会の福祉財団の補助金というのは、こう申し上げては失礼なんですが、大体自民党の国会議員の方で馬主会に有力な発言権を持っている方のところに集中している嫌いがあるわけです。  前にも私、指摘しましたが、最近の例では福祉財団博仁会、特殊養護老人ホームですが、これは法務大臣、厚生大臣をやられた元自民党議員の古井喜實さんが理事長をしているところなんですけれども、ここに五十六年は自動車、厨房機器、五十七年は厨房の増改築、マイクロバス、五十八年は食堂増改築、五十九年は冷蔵庫、便所施設、防火用水、六十年はナースコール、厨房機器というようなことで、五年間にわたって四千百六十万が、大臣をおやりになった、しかも厚生大臣をおやりになってこういうことをお築きになったのかどうかわからないのですが、自民党の元議員に集中している。  また、亡くなられた方のことを言っては悪いけれども、九州福岡から出ていた馬主会長の元自民党の幹事長さんのところには、私、かつて調査していたときに、福祉財団の予算の大体十分の一近くがそこの選挙区に集中していたというような状況なんです。  全国にこういう福祉施設はたしか五万件でしたか、福祉施設の件数をちょっと私の方で失念してしまったので、これは厚生省の方から答えてもらったらいいと思うのですが。
  73. 小島弘仲

    ○小島政府委員 児童福祉施設、社会福祉施設含めまして四万七千六百余件でございます。
  74. 小川国彦

    ○小川(国)委員 その四万七千六百の福祉施設がある。この競馬福祉財団がやっておる補助金は大体年間五百カ所。四万七千の中からどういうふうにここのところが選ばれるのか。しかも、中には五年も連続して補助金が行っておるところがある。本来、馬主の方は、馬のこと、サラブレッドのことは詳しいと思うのですけれども、こういう福祉施設のことについてはちょっと無理なんじゃないか。  ですから、これは農林大臣に申し上げたいのですけれども、こういう福祉財団がやっている福祉の補助金というものはおやめになって、農水省も四千五百億も予算が四年前の対比で削減されているというような状況にあるならば、こういうものこそ、さっき大蔵大臣も本質的にはそうだと言うように、国庫にきちんと入れて、そこから農業振興なら農業振興に使うべきで、農水省所管の外郭団体がこんな宗教法人にやってみたり、特定の政治家のところへ集中してみたり、わけのわからない配分方法で補助金を配っているという、この財団そのものの補助金をもう整理すべきときが来ているのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、この点について所管大臣から御答弁いただきたい。
  75. 大坪敏男

    ○大坪(敏)政府委員 ただいま先生お尋ねの中央競馬社会福祉財団が行います社会福祉施設への助成につきましては、先生御案内のように競馬賞金の一部でございます馬主協会賞を財源として行われているものでございます。しかも、その対象につきましては、これら施設の遊具、ピアノ、簡易な修繕等国の助成ではなかなか手の届きにくい面について行っているというふうに理解しているところでございます。したがいまして、このような社会福祉財団の助成につきましては、国等が行います社会福祉事業のいわば補完的な役割を果たしているというふうに考えているわけでございまして、国が一元的に助成をするというお考えもあろうかと思いますが、現在のような形で行うことがよりきめの細かい対応ができるということではなかろうかと思うわけでございます。  なお、先生御指摘の事業の実施体制につきましては、引き続き厳正かつ的確に行われますよう今後とも十分な指導監督を行ってまいりたい、かように考える次第でございます。
  76. 小川国彦

    ○小川(国)委員 中央競馬社会福祉財団がやっている補助金一覧表を私は持っているわけであります。昭和六十年、財団法人中央競馬社会福祉財団が「施設助成金割当」という一覧表を出しているのですが、これを見ると補助金は馬主協会関係で三百六十件、場外関係で六十三件、県で百十七件、公益法人で十七件、合計五百五十七件、昭和六十年度はこういう施設の配分をやっている。  ただ、これを見ると、いかなるルールによって補助金が配分されているかというルールがわからないのですね。厚生省としてこういう中身について御検討なすったことがあるかどうか、厚生省に見解を伺いたい。
  77. 小島弘仲

    ○小島政府委員 馬主協会の賞金をもとにしております助成につきましては、地方のそれぞれの福祉施設からの申請がまず出ます。それに基づきまして、馬主協会のあるところはその協会を通しまして中央の方に上がってくる。それから、馬主協会のないところでございますと共同募金会を通じまして上がってくる。馬主協会で地方で御推薦なさる場合には、都道府県の民生部長とか福祉関係者を入れた推薦委員会というようなものを設けまして、そこで審査をして上がってくる。それから、中央で決定いたします場合にも評議委員会、これは福祉関係者も含まれておりますが、そこの意見を聞いて交付先を決定するという扱いになっていると承知しております。
  78. 小川国彦

    ○小川(国)委員 馬主協会や共同募金会から申請があったもので交付されるというのですが、私はこの一覧表を見てみまして、やっているものが施設の補助とか基本的なものじゃなくて、テレビをやったり台所を直してやったりいろいろ補完といえば補完でしょうけれども基本的な社会福祉の部分からそれているように思うのですね。今度のこの一括法案の中でも一番大きな問題は、農業補助金の削減もあるし、生活保護費とか、児童扶養手当とか、保育所とか、精神病院の措置費とか、そういう社会保障の社会福祉の基本的な部分の補助金を削らなければならない、こういう法案を出してきているときに、一方でばらまき福祉のような補助金、しかも宗教法人のような、性格が明確でない、運営内容も明確でないところに行ったり、特定の府県に集中したり、特定の政治家の選挙区に集中したり、こういう補助金あり方は好ましくないのではないか。私が何回もこの委員会で申し上げることが、もうそろそろ大蔵省も厚生省も農水省も一緒になって、この辺は農水省で使う、この辺は厚生省でやるというふうにきちんとされるべきじゃないかというふうに思うのですが、大蔵大臣としてはいかがですか。
  79. 竹下登

    竹下国務大臣 恐らく、私は詳しく存じませんが、歴史的経過の中で、ボランタリーなものに対しての、窮屈な言葉で言えばいわゆる制度上の補助金の補完的役割、こういうことで機能しておるのではなかろうかと思っておりますが、私ども直接に存じませんものの、勉強課題であるという印象は私自身受けさしていただいたところでございます。
  80. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣も大蔵大臣を大変長くやっていただいてあれしているわけですが、それだけに経験も深いわけで、そういう意味では私ども思い切ってここでこうしたものの整理統合というものを考えていただきたい。  私がギャンブル四団体のこうした補助金総額というものを調べてみますと、今申し上げた中央競馬会で環境整備費とかあるいは地元協力費というような形で出されている補助金昭和六十年度で六十四億九百万、それから中央競馬社会福祉財団が二十二億八千五百万、それから日本小型自動車振興会で七十三億三千八百万、日本自転車振興会で三百七十一億七千六百万、日本船舶振興会で八百三十七億四千万、こういういわば政府の特殊法人、外郭団体が出している補助金を総計いたしますと千三百六十九億四千八百万になるわけです。  これらの外郭団体が交付している補助金というものは、本来、省庁が補助金配分に当たってとっている基本原則とかルールというものを非常に逸脱した形でこれらの補助金交付がなされている。こういう実態を見ますと、国の一般財源がこれだけ厳しい中で補助金カットを行っている状況の中で、一例を私は中央競馬会の具体的な事例から挙げているわけですが、他の団体も調査をしてまいりますれば同様なずさんな問題点が出てくるのではなかろうかというふうに思っているわけです。こういう補助金全体を洗い直して、それを国庫に納付させるものはきちんと納付させる。そして今申し上げたように、社会福祉でも、地方自治でも、農業でも、そういうところの基本的な施策で欠けている予算財源に充当していく。国の財政がこうした窮乏化の中にあればあるだけ、そうした外郭団体に対する厳しい指導監督なりが行われてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点、大蔵大臣初め各大臣の所見をひとつ伺いたい。自治大臣もお見えになっておりますので、いろいろ補助金削減の中で御苦労をされているようでございますから、私の所見に対しまして、また大臣の所見も伺いたい。列席の大臣の方方からそれぞれ所見を例えればと、こういうふうに思います。
  81. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃる筋道は私も理解できるところでございますが、私も昔、赤十字奉仕団で保育所を経営しておってその種のものをちょうだいしたことがございます。ボランタリーとボランタリーというものがつながりますと、私はその際感じたのは味のある仕組みだなということでございます。しかし、今おっしゃるほど多額の予算になっておるということは、私も実は不勉強でありましたが、それぞれの立場でまずはお考えいただけることではなかろうかというふうに考えます。
  82. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 先ほど社会福祉施設につきましては申し上げましたので、特に環境整備事業について申し上げますが、これは、それぞれの競馬の開催に伴いまして、それぞれ競馬場付近の交通の混雑とかごみ散乱等の迷惑を地元に与えるため、周辺環境の改善を図り、かつ競馬開催について地元の理解を深めるために実施しているものでございます。しかし、競馬開催に伴う地元の迷惑というものは、これだけでは実は満足していただけないので、さらにもう一段、地元からのいろいろの御要請もございまして、増額を考えながら今後も事業を継続して実行してまいりたいと考えておる次第でございます。
  83. 今井勇

    ○今井国務大臣 先生のお話のこの助成制度というのは、基本的に、中央競馬の馬主が賞金の一部を自主的に出して、それを財源としているわけですから、国に納付するという性格のものではないと私は思うのです。しかしながら、せっかくこの金を使うのですから、厚生省として出します国庫補助制度とこの助成制度がうまく絡み合いまして、そして福祉の増進が図られるようにするということは全くそのとおりでございまして、これは農林省やその他の団体とも十分協議して、もったいなくないように、有効に使いたい、私はそのように思います。
  84. 小沢一郎

    小沢国務大臣 先ほど大蔵大臣あるいは畜産局長からも答弁がありましたけれども、先ほどのお話をお聞きすれば、競馬会に限らず、制度、仕組み等は、国が画一的、一律的にできないものを補完的にきめの細かい配慮をすることによって全体として全うさせる、そういう本来の制度の趣旨、目的を持って発足し、今日に続いておるのだろうと思います。しかし、どんな仕組みであれ、どんな制度であれ、それを運用するのは人でありますし、また長い間には惰性に任せて本来の目的を多少十分に果たしていなかったり、いろいろなことがこれは出てくると思います。したがいまして、常にそういう点はお互いに理解し合って、そして本来の目的にかなうようにしていくのが我々の務めであると思います。先生御指摘のような事実がいろいろあるとすれば、それはまたお互いにどういう点をどう改めるべきか常に考えていくべき問題であろう、そのように私は思っております。
  85. 小川国彦

    ○小川(国)委員 時間も参りましたのでこれで終わりますが、今各大臣から御答弁をいただいたわけでありますが、総じて勉強不足、突っ込みが足りない点が大臣の方にまだかなり見られます。きょう私が質問しました要旨を後ほど各大臣にお届けしますので、ぜひ十分御研究をいただいて、そして一元化の方向に対して各省庁とも御返答いただきたい。  それから最後に、大蔵大臣は次期総理を目指していらっしゃるお一人でありますから、それだけにこうした問題について、国の財政の一元化、予算の効率的な使用という面から、私がきょう提起しましたように、中央競馬会の剰余金あるいは納付金制度、それを国の財政を通じて、農政なら農政に生かす。もう一つは、福祉のことはやはり厚生省。例えば農水省が福祉をやったり、運輸省が福祉をやったり、通産省が福祉をやったりするということは、私はやはり本来的な行政の枠外になると思うのですね。大臣方が言われているように、それぞれの特性を生かすと言っても、もちはやっぱりもち屋だというふうに思うわけで、その点では、こうした補助金予算も本来的にはやはり一元化するという方向をひとつ明確に打ち出していく、そういうことが必要ではないかと思いますが、竹下大蔵大臣の御見解を最後にお伺いしたいと思います。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 恐らく、それぞれの給付の段階では、社会福祉行政のプロであられる厚生省の立場で参画しておられるだろう、私はそのように思っておりますので、いわば福祉行政の外枠の方へはみ出てしまうことはなかろうというふうな気持ちでそれぞれの担当のお答えを聞いておりましたが、私ども、そういう筋を離れた財政という問題から勉強すべき課題ではあるという問題意識はちょうだいをいたしました。
  87. 小川国彦

    ○小川(国)委員 大臣の認識もまだ浅いというふうに私は考えているのです。今私が指摘した事実を聞いてなかったのかなと思える部分も非常にありますので、ひとつもう一度議事録なりで私の指摘した問題点を十分御検討いただいて、改革の実をもう少し真摯に示していただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  88. 大石千八

    大石委員長 村山富市君。     〔大石委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  89. 村山富市

    ○村山(富)委員 四月七日における私の質問、厚生年金の減額分に対する返還についての大蔵大臣お答えをいただきたいと思います。
  90. 竹下登

    竹下国務大臣 去る四月七日、村山富市委員からお尋ねのあった補助金特例法による年金国庫負担金の減額分の返済についてお答えを申し上げます。  今回の補助金特例法による年金国庫負担金の減額分の返済については、行革関連特例法の規定を勘案し、今回の法案においても従来と同様に。「年金財政の安定が損われることのないよう、特例期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分を繰入れるものとする。」と規定し、法律上その基本考え方を明らかにしているところであります。  しかしながら、返済の期間、方式等返済の具体的内容については、従来から政府の見解でお示ししているように、今後の国の財政状況を勘案する必要があり、現時点で明らかにできないところでありますが、政府としては国の財政改革をさらに一層強力に推進する等誠意を持って対処し、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後において、行革関連特例法及び今回の措置による年金国庫負担金の減額分につき積立金運用収入を含めできる限り速やかな繰り入れに着手するとともに、繰り入れに当たっては年金財政の運営に支障を来すことのないよう計画的に行う所存であります。  なお、今回の繰り入れ特例措置の実施に当たっては、六十一年度より実施される年金制度改革との整合性を図るため、基礎年金分以外の国庫負担である三十六年四月前分給付費等の経過的国庫負担を繰り入れ特例の対象とし、減額割合は、今後の財政改革の推進により極力圧縮できるよう二分の一以内と定めたところであります。この結果、六十一年度の減額分は、一段と厳しい財政事情にもかかわらず三千四十億円と六十年度の三千五十億円を下回るものとしたところであります。このように政府としてはぎりぎりの努力、工夫していることをあわせて御理解いただきたいと存じます。
  91. 村山富市

    ○村山(富)委員 せっかくの御答弁ですけれども、これでは納得がしかねるわけです。しかし、現時点ではもうこれ以上幾らお尋ねをしても回答が出ないと思いますから、一応この回答を受けることにして、ただお尋ねしたいのは、来年度予算の編成の時期ぐらいには返済の計画を明らかにすることができますかどうか、それをお聞きします。
  92. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほど、返済の期間、方式等返済の具体的内容につきましては、今後の国の財政状況を勘案する必要があり、現時点で明らかにできないと申し上げたところでございます。この点につきましては、来年度予算政府案決定時においても残念ながら同様の事情にあると思われますために、御要望に応じることは実際問題として困難であろうと思いますので、御理解をいただきたいと思います。  先ほども申し上げたとおり、政府としては、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後においてできる限り速やかな繰り入れに着手するとともに、繰り入れに当たっては、年金財政の運営に支障を来すことのないよう計画的に行いたいと考えておるところでございます。
  93. 村山富市

    ○村山(富)委員 税制調査会はこの秋までに答申を出すことになっていますよね。その税制調査会答申というのは、税制改革を行って財政再建を図っていこう、立て直しをしよう、そのためには赤字国債依存体質を脱却させる。その赤字国債を脱却させるというものの中に、この繰り延べた減額分なんかは入っているのですか、入っていないのですか。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 税調の今度の審議はいわゆるレベニュー・ニュートラル、したがって中立的なものであるということでございますから、その種の政策判断は基本的にはないだろう。頭の中には皆さんお持ちになっているのでございましょうけれども基本的には、今度はあるべき税制の姿ということで議論していただきますから、その何年までにどうという認識は必ずしもないのじゃないかと思います。
  95. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、何年までに返すなんということはないにしても、赤字公債の依存体質を脱却をして、そして収支が整うように財政の立て直しを図っていく、そのために税制改革をどう行うか、税収をどう図っていくかということの答申をされると思うのです。ですから、そういう検討をされる場合に、赤字公債の体質を脱却するという意味においてこの繰り延べ減額分なんかは当然そのものとして入っておるのかどうか。だからいつから返すなんという話じゃなくて、それが入っていないとすれば一体それはどこで扱うのかということになりますからね。
  96. 竹下登

    竹下国務大臣 重ねて申し上げるようですが、税制調査会においては、六十五年度脱却とかそういう一つの政策目的を置いて議論してください、こういう諮問になっていないわけですよね。いわばあるべき税制の姿というものをいわゆるシャウプ勧告以来の抜本改正として議論してください、こういうことになっておりますので、皆さん頭の中にはありましても、それが土台になった議論をしてくださいとは申し上げていないわけです。税制のあるべき姿としての、俗に言ういわばレベニュー・ニュートラル、中立的な議論をしてください、こういうことになっておるわけですから、その問題はいわば政策判断の問題でございますから、それの土台の上に立った議論ではないだろう。頭の中には皆さんあると思いますけれども、建前はそうなっております。
  97. 村山富市

    ○村山(富)委員 時間がありませんから端的にお尋ねしますけれども、そうしますと、今あなたから回答があった答弁では、「一般会計が特例公債依存体質から脱却した後において、」こうありますね。脱却するめどは六十五年でしょう。そうすると、六十五年をめどにして返済計画を立てていくということになるのか。あるいはもう一つ、「年金財政の運営に支障を来すことのないよう計画的に」返す、こうなっておりますけれども、これとのかかわり合いはどうなりますか。
  98. 保田博

    ○保田政府委員 一般会計の立場からしますと、先ほど来御指摘をいただいております厚生年金の国庫負担額の繰り延べ額の繰り戻しというものはいわば借金の返済でございます。一般会計はそういう立場でございますから、平たんに言いますと、当然貸し主側の年金の財政を損なわないというのがまず第一義だと思います。  ただ、その返済をいたします計画をつくるには、まず何よりも一般会計の特例公債依存体質を脱却することが先決であって、その時点で年金の財政支障を与えないような返済計画をつくりたい、こういうことでございます。したがいまして、まず一般会計としては、その特例公債依存体質からの脱却を目指してとにかく財政改革に懸命の努力をしたい、こういうことでございます。
  99. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうすると、さっきから言っておりますように、特例公債依存体質から脱却するめどは大体六十五年度、そうすると、年金財政支障が来されると思われるような年次というのは、一般に七十五年とか八十年とか言われておりますけれども、あなたの方ではどういうふうに踏んでいますか。
  100. 保田博

    ○保田政府委員 厚生年金特別会計の金繰りからいたしまして、いつの時点になったら年金財政の運営に支障を生ずるかということについては、人によって、立場によりましていろいろあると思うのですが、借りている立場からしますと、とにかく特例公債依存体質から脱却すれば極力早く計画的に返したい、こういうことでございます。
  101. 村山富市

    ○村山(富)委員 もう時間が参りましたからこれでやめますけれども、いずれにいたしましても借りている方が、これは表現は適切かどうかわかりませんよ、借りている方が返すめども計画もないままに金を借りているなんというのは、もう世間では通用しませんね。ですから、さっきも言いましたように、現時点で求めたって無理かもしれませんから、少なくとも六十五年の赤字国債依存体質を脱却する時点から年金財政の運営に支障を来す、来さないにかかわらず返還をしていく、このくらいの心づもりで計画を立てていただくようにお願いしておきたいと思うのです。  それから最後に確認しておきたいと思うのですが、今まで、昨年も質問いたしましたけれども、貸している方の側から何ぼになりますということは聞いておりますけれども、借りている方の側から、借金は何ぼになりますということは全然聞いておりませんので、大蔵省の方から、六十年度末、運用収入も含めて累積何ぼになるか、そのことだけひとつお願いします。
  102. 保田博

    ○保田政府委員 六十一年度末の見込みでお答えさせていただきたいと思いますが、金利を一応計算をいたしまして約一兆四千六百八十億程度になろうかと思います。
  103. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは大変莫大な金で、六十三年までいきますとこれはもっとふえていくわけです。ですからなかなか難しい問題だと思うのですけれども、しかしこれは年金の金を、国民の金を借りているわけですから、返すのは当然なんで、いいかげんにすることなく、可能な限り早い時期にちゃんと返還計画を示せるようにしていただくということを私は要望して、最後に大臣の考え方を聞いて終わりたいと思います。
  104. 竹下登

    竹下国務大臣 私もちょうどこの質問を受けて、それからアメリカへ行っておりまして、先進十カ国のサーべーランス、相互監視でございますが、おまえのところはまだ五十三兆財源があるじゃないか、こういう話なんですね。それは日本の年金は成熟度がまだあなたの国とは違うから、これから仮に二十五年かかれば空っぽになって、それから先は一体どうするかと言ったら、おまえ二十五年先のことまで考えているのかと言う方がいらっしゃいまして、日本の財政というのはその限りにおいては精神状態はまだ健全だなという感じが実はしました。それはやはりあなたとの一問一答をやっておったから僕はそんな印象を受けた。おまえ、けしからぬじゃないか、いや返すように努力します、こう言っている限りにおいては、日本の考え方というのは、その局面だけとらえての話ですけれども、まだ日本は死せずというような感じがいたしました。  今おっしゃるような御意見も重々肝に銘じて、将来にわたってもだれがこの衝に当たってもそういう考え方でいないといかぬな、まだ五十三兆も余っているじゃないか、こんな議論をする人すらいらっしゃるということで、あの一問一答をしていなかったらとっさにそんな感じは出なかったかもしれません。少し長くなりましたけれども、素直にそのことを申し上げようと思って、ちょっと時間をとりました。
  105. 村山富市

    ○村山(富)委員 終わります。
  106. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 阿部昭吾君。
  107. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大蔵大臣、大変お疲れのところでありますが、わずかな時間お尋ねをしたいと思います。  今まで議論され尽くしたことでありますが、昨年一年間限り一括カットをする、こういうことで、今度はさらにまた三年間カットだ、財政見通しというのも六十五年といっておるわけでありますが、必ずしも余り信用がない、こういう状況だと思うのであります。例えば今度の経済成長率などにつきましても、政府の方は実質四%と言い、民間の方は当初三二%と言っておったのが、どうも最近の状況ではさらに若干低目に下方修正の議論が強い、こういう状況にございます。  そこで補助金の問題でありますが、私は、大蔵大臣と同じように日本海岸側の過疎の地方でございます。その中で、地方自治体などの立場で補助金というものをどういうふうに位置づけておるかということでありますが、実際上は補助金などというものではなくて予算の一部、こういう組み立ての仕方で、ある意味では我が国の財政政策運営の一環の中に補助金というのは長い期間位置を保ってきた。さっき、年金はまだ成熟をしておらないと言われたのでありますが、補助金政策というのは、それなりの問題を持ちながら実際は行財政運営の中に成熟をし、一つの位置をちゃんと持ってきた。補助金というから、何か要らぬところに補助されておるというような議論も一部にありますけれども、実際は一つのポジションというか、きちっと確立をされてきておるものが相当多いのではないかというふうに思うのであります。  その中で、特に最近、いろいろな政策の中で各省の中でメニュー方式というのがとられてきました。例えば農林省で言えば環境整備事業であるとか、言ってみると農村地域の小さな道路の整備であるとか、集落の排水事業であるとかいろいろなものがメニュー方式、それぞれの自治体が希望して、そしてこれが恐らく県段階、国段階で総合調整をされて、しかしそれには相当な補助が行われていく、こういうシステムなどいろいろなものが多分野にわたって長い期間積み上げられてきたと思うのであります。  したがって、この一括補助金削減、一年の約束のものが三年になる。しかも、その先六十五年度という財政再建のめども実際はそんなに先行き明るいとは言いがたいという意味で今までも議論になりましたけれども、一年のものを三年にし、その先のことも必ずしも信用されていないという段階では、特に地方団体の代表が相当多く参加をした形で制度の根幹というものを論議をして、次の展望をはっきりさせていくということがあっていいのじゃないかと私は思うのであります。これは決して嫌みで言うわけじゃありませんが、いろいろなそういう総論的な政策課題の検討というのは、政府にとって都合のいい身近な人々で審議会のようなものがつくられているという感じが強過ぎるのであります。地方団体の第一線というのは、大蔵大臣、これは言うまでもなく大変厳しいものなんであります。これは地方自治体というだけじゃありません、そういう立場の皆さんを中心にした議論をちゃんと詰めるという形の機構をつくって、一体これから先、例えば補助金なら補助金というあり方をどうするのかという問題の論議はそのあたりで詰めるべきではないかという考え方を私は一つ持っておるのであります。この点につきまして、ぜひ大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  108. 竹下登

    竹下国務大臣 去年一年限りでお願いしたというのは、まさしく今おっしゃったようなもみ方がされていなかった。したがって、一律一割で、アバウト一割でありますよ、一年かかって本格的な検討をしますので、この制度は暫定です、こういうことでお願いしたわけです。  そこで、一年かかって何をしたかということになると、最終的に決めるのは補助金関係閣僚協議会で決めよう、しかし、今おっしゃったような趣旨を踏まえて検討委員会をつくろうじゃないか、その検討委員会には自治体の関係者の方に入ってもらおうというので、知事さん、市長さん、それから村長さんの代表者に入ってもらいまして、ぎりぎりもんで今度の報告をちょうだいした。その報告の中で詰まらなかったのがいわゆる生活保護。これは、福祉は身近なものだからみんな半々にしましょう、しかし従来の経過もこれあり、生活保護のたぐいは二分の一のものを三分の二にしましょう、いややはりこれは八割であるべきだというので、それだけはいわば両論併記、こうなって出て、政策判断として三年間、その間をとったわけじゃございませんが七割でいこうや、こういうことに決めたわけでございますので、やはり直接村長さんでも市長さんでも知事さんでもお入りいただいたから今度の場合は去年のようなぎしぎしした状態が比較的なくなっておるのではなかろうか、こういう問題意識を持っております。
  109. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私が申し上げますのは、確かに最終的に政府の判断というのが基本になるのだと思う。こういう問題はあの機構の中に何人か入ったということじゃなくて、むしろ主体的なそっちの方に判断をゆだねる、そしてそっちの方と政府の間はフィフティー・フィフティーの立場で議論をして最後に定めていくというくらいのことがあっていいんじゃないかと思う。これは議論になりますが……。  それからもう一つ、時間がございませんが、私は、大蔵大臣は本来は非常に積極財政論者なのではないかという見方をしております。この三年間、中曽根内閣における竹下財政というのは何であるかということになると、これは私の感じじゃなくて国民の感じなんでありますが、非常に縮小再生産型の財政をとってきた。僕ら長い国会の中で竹下大臣というものの本質や体質にそれなりに共感するところが多いのでありますが、外向きの国民の側から言うと、竹下財政というのは中曽根内閣の中の縮小再生産、不景気政策の推進者なんじゃないか、こういう見方をしておる人が意外に多いということであります。私は、本質は相当違うんじゃないかな、こう竹下さんの弁護みたいなことを二、三言うておるのでありますけれども、しかしどうも国民の見方は、あなたの財政は中曽根不景気政策のしりぬぐい役に徹し切っておる、こういう感じの見方が非常に強いのであります。  そこで、私はこの間大阪から私の郷里まで飛行機に乗ってみた。その飛行機は日本列島の約九千メーターの上空を飛んだのであります。飛びますと、東京とかあるいは近畿の地方であるとかメガロポリスの地域に物すごい集中が行われておるという感を――九千メーターで飛びますと日本列島の太平洋岸側も日本海岸側も両方みんな見えるのですよ。そうしますと、自民党政治四十年というのは何であったかということになると、都市集中の政治ではなかったかと思うのであります。したがって、これは相当大胆に変えなければいけない。変わらなければ、もしこのまま集中が続いていって巨大地震が一発起こったら日本は相当どえらいことになっちゃうんじゃないかなというのが私の懸念であります。  それから同時に、財政政策の面で言えば、今は非常な不景気なんですね。したがって、冒頭申し上げましたように、政府見通しの成長率などよりも実際の経済の第一線におる人たちの見方は者もっとずっと厳しいのであります。今補助金の問題とか財政再建の問題というのは、最終的にはやはりもっと経済が上向きになっていかなければ解決されないんじゃないか。自然増はいや応なしにどんなに行政改革をやろうともやはり毎年伸びるのですよ。そうしますと、経済全体の総枠が相当押し上げられていかなければ結局計画は全部崩れるのではないか。そうすると、竹下財政三年間というのは、中曽根内閣の一員でありますから無理もないとは思いますけれども、何か国民から見ると非常に縮小再生産型の不景気、今はその一部の補助金という問題でありますけれども、これでは財政全体が根本的に立て直される見通しなんというのは出てこないのではないかというのが実は私の懸念なんであります。  私は、不敏でありますけれども昭和の一けた人間で、ちょうど昭和恐慌のさなかに生まれました。あの当時世界の中でアメリカは巨大なる積極政策、二ューディールなどをやってあの不況を乗り切った。日本や西ヨーロッパの方はファシズムが台頭して戦争への道というところであの不況に立ち向かって今日に至ったのだという結果から見ると――今日本がそんなようなことになるとは言いませんよ。いろいろな議論はあっても、私はそう単純には戦争の危険とかなんとか言いませんけれども、やはり三年間の我が国の財政運営というのは余りにも縮小再生産型のために、したがって、枠組みが、財政再建にしても何にしても皆どんどん崩れてきたということではないか。  私は本来財政の積極政策論者だとひそかに期待しております竹下さんなんでありますけれども、やはりこのあたりでもうちょっと、それはいろいろなしがらみはあるのだと思いますが、国民から見るとなるほど次は変わっていくなというような新しい機軸をぱっと打ち立てるべき時期なのではないかというふうに補助金の論争を通じて痛感しておる次第であります。大蔵大臣の所見をお伺いして、わずかの時間でありますが質問を終わりたいと思います。
  110. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに私の財政はけちけち財政だと言う人が多いということは承知しております。それからこの間も、円は上がったが、評判は下がった、なるほどそのとおりだなという感じも持っております。  結局、日本経済というものを見ますと、何によって支えられたかというと、昭和三十九年までは国債を一銭も出していない。四十年の補正、私、内閣官房副長官をしておりましたが、厳しい議論をして初めて二千億出して、それで今度は四十九年まではまだ一銭も赤字公債はない。それで残高も十兆程度である。初めて五十年に赤字国債を出した。しかしそれはオリンピックの翌年の戦後最大の不況とか四十八年から来ました第一次石油ショックに対応して、どうやら日本がほかの国に比べて一番先にそれを脱却したのは、あれは国民の貯蓄があったからだ。その貯蓄を借りる能力があった。それが五十四年で限界が来たのじゃないかな。すなわち利払い費がふえてまた国債も当時売れなくなる傾向があって、さあ困ったというところから財政再建という言葉が出て、最初五十九年までに少なくとも赤字公債を脱却しましょう、こう言っておった。それが五十六年、七年が結局世界の最大不況ではなかったか。したがって九兆円、二年間ではございますが、歳入欠陥九兆円なんというのは、我々は一%は誤差のうちなんて言っていますから、どえらい歳入欠陥であった。それをしのいでいって、それでいわばインフレは終わりだ、インフレのない持続的成長をしようというのが世界の先進国の合意になって、そこでほどほどの財政、後世代へのツケ回しを可能な限り減していく財政に転換して、予算を毎年毎年、私は四年連続で予算を組ましていただいて、毎年、一般歳出はたとえ五億でも十億でも前年度以下、こういうことをやってきておるわけですから、これは余り寝覚めがいい気持ちはしておりません。  されば、今ここで建設国債でも大量発行して、従来も災害等は補正等で発行させてもらっておりますけれども、大型補正やったらどうだ、こういうような意見のあることも十分承知しておりますが、そのことは、せっかくインフレのない持続的成長という体質にそれでもなれつつあるものが、急にまた今までの努力が水泡に帰してしまう拡大経済になって、インフレを招来し、子孫のために悪くなるんじゃないかというので、きょうも閣議で、私、この前あの予算を通していただいた直後の閣議にはいなかったものですから、きょう、予算が通りましてありがとうございました、さて六十二年度予算もまた今これから勉強しますが、いずれにしても厳しく対応せざるを得ないという発言をするというのは、容易なことじゃないな、だから、長らく続けて大蔵大臣をやらしていただいているのも、ある意味においては希望者がないからだなというような気持ちを持って、やはりインフレのない持続的成長というものに体をならしていくという必要はあるんじゃないか。  非常に心安さ紛れに平たい話をしたことをお許しくださいませ。
  111. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後三時九分開講
  112. 小泉純一郎

    小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。金子みつ君。
  113. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私は、きょう、今審議されております国の補助金等臨時特例等に関する法律案、早く言って補助金一括法案と呼ばれているこの法案に関して、主として社会保障の立場から質問をいたしますので御答弁をいただきたいと思います。  総理がおいでにならないということでちょっと残念なんです。総理にぜひ伺いたいと思ったことがあったのですが、それができませんので、そのかわりは竹下大蔵大臣にお願いしようと思いますからよろしくお願いいたします。  今度の法律案、非常に簡単に趣旨が説明してありますが、繰り返すこともないと思いますが、私はこれを読んでいていろいろな疑問を感じました。今回は「社会経済情勢推移及び累次の臨調答申等の趣旨を踏まえ、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における国の補助金等補助率の引下げ措置等を定めようとするものである。」こういうふうに趣旨が示されております。  そこで、考えてみたいと思いますことは、御案内のように、昨年、昭和六十年度に、やはりこれと同じような考え方で国の補助金を一率一割カット実施をするときに、こういう措置は六十年度一年限りとしてやるんだということを大変に強調されて、多くの反対がありましたにもかかわりませず無理に実施されたものだというふうに理解いたしております。今度の法案の趣旨からいきますと、さらにそれを六十一年から六十三年度までの三年間延長をして、しかも補助金並びに補助率をさらに低下させることを行うということになっているわけなんですけれども、私はそこで疑問が起こりますのは、なぜそのようにされるのか、その根拠をはっきりと納得できるように説明をしていただきたいということがまず一つございます。  それは、ここでは大変簡単に「社会経済情勢の」云々と書いてありますが、それだけの問題なのか。これを読んでいってみましたら、こんなことが出ているのですね。「補助金等は、特定の施策を奨励したり、全国的に一定の行政水準を維持したりする等、国の施策を実現するための重要な政策手段としての機能をもっている」、これはわかります。「他方、これが既得権化したり、惰性的運用に陥って硬直化しやすいなどの弊害も」起こってきたということなんですが、こういうこともあるから、要するに言葉をかえれば、補助金の活用方法が適当ではない、適正ではないということがあるからむだに使っているのじゃないか、だから補助金は少なくしてもよろしい、私の考えは大変に単純ですけれども、そういうことがあるのじゃないかということがこの説明書の中から酌み取れるのですよね。だから、やはりそういうこともあるのじゃないかなと思います。少なくとも社会保障関係にはそんなものないだろうと思いますが、それもわかりません。ですから、そういうことなども踏まえておられるのかどうか。今回の措置の根拠をはっきりとお示しいただきたい。お願いいたします。
  114. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、昨年でございますが、一年限りの措置という問題を申し上げなければならぬと思っております。昨年も累次の臨調答申等からして、いわゆる国と地方との費用負担あり方等について検討をいたしてみました。しかし結論から申しますと、なかなか一つ一つ費用負担あり方についての結論が出なかった。したがって、もう一年かけて抜本的な議論はいたします、だから一年間の猶予をください、その意味において、一年限りの暫定措置として一律というような、全部が全部パーフェクト一律ではございませんにしても、アバウト一律という考え方でお願いをした。  そこで、今回は一年かかって議論をいたしまして、まず政府の責任において閣僚協議会をつくろう、それに基づいて検討委員会を設け、地方団体の方々とかいろいろな方々にこれは諮問と申すよりも御相談申し上げ、その報告書をちょうだいした。  そこで、報告書でおおむね合意に達したものと両論併記のものがあった。その両論併記は、申すまでもなく生活保護費につきましての両論が併記された。また一方、ことしの秋までに国税、地方税あり方についての御答申がいただけるというようなことを加味いたしまして三年、私どもとしては場合によっては財政再建期間中と言われる六十五年までとも考えないわけではございませんでしたけれども、三年ということにしてお願いをしたという次第になるわけであります。  一方、補助金そのもののあり方についてということも、毎年毎年補助金を減らしてきておることは事実でございます。補助金というのは、ある意味においては奨励的な意味と、国の負担を明らかにしていく負担金的な問題といわば二種類とでも申しましょう。したがって、奨励的な政策を行った補助金の中には一般財源化した方がいいと言われるものもございます。あるいは廃止したものもございます。だから補助金は一概に悪いものではなく、奨励的意味の施策として大体もうその役割を終わったじゃないか、こういうものについては補助金をやめにしていただいたり一般財源化していただいて、これは毎年毎年やっておるわけでございます。  したがって、今回のものは押しなべて申しますと社会保障関係、もう一つ公共事業関係公共事業関係につきましては、従来ともにいわばそのときどきの経済財政事情に応じて変化してきておりますが、社会保障は大きな変化なしにきております。したがって、最も地方の身近な問題として一応は二分の一ということで国と地方とのいわば調整を一つは定着させよう。しかしそうでない特別なものに限って三分の二にしようという案と、生活保護の場合はやはり八割という数字がいいというので、中をとったというわけじゃございませんけれども、結局十分の七ということでお願いをしておる。そのような議論経過を経て御審議を賜っておるというのが現状でございます。
  115. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そこで、それならなぜ三年間と線を切ったのかというのも一つの疑問になるわけです。初めに昨年は一年限りということだったのが、いろいろ御説明の中でもおっしゃっているようですけれども、三年と切ったのは、特別な意味はなかったのですか。本当は六十五年までと思ったのだけれどもとりあえず三年、どういった軽い気持ちの三年なのでしょうか。
  116. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、初めにそう思ったということではなく、そういう意見もございました。六十五年の財政再建期間中までお願いした方がいいのではないかという意見もございましたが、去年の一年は、一年間かかって検討する機会を与えてください、したがって暫定です、ことしは、検討して個々のものについて上げ下げがあっておるわけでございますから、したがってその性格は異にするものではなかろうか。一方、先ほど申しましたように税制改正がこの秋に結論が出る。そうすると、六十二年税制の中でどれくらい政策選択の位置づけができるか、あるいは、年度途中から改正されたものは平年度化するのが六十三年ということにもなるでありましょう。そうしたことを勘案して三年、こういうことにいたしたわけでございます。  六十四年度以降どないするんや、こういう議論が当然出てまいりますが、六十四年の時点におきましてそれこそ経済、財政諸般の事情を考慮してそのときに決めます、こういうふうにお答えをいたしてきたところでございます。
  117. 金子みつ

    ○金子(み)委員 実は六十四年から先はどうなさるおつもりですかと私はお尋ねしたいと思ったのですけれども、一足先におっしゃってしまわれましたからそれで結構です。  そうなると一つ問題がございますのは、社会保障関係で申しますと、絶対に逃れることができないというか不可欠の問題に予算の当然増というものがございます。そこで、六十一年度予算をつくるときに、厚生省は当然増を一兆五千億円というふうにおっしゃいまして、その一兆五千億円の当然増が必要なんだということで要求されたと思います。ところが大蔵省からは、三千九百何がしだったと思いますが、約四千億円だけしか認められなかった。あとは厚生省が手持ちの中で操作しなさい、こういうことだったのだろうと思うのです。  そこで厚生省はいろいろと苦心をなさったということは私どもは伺っております。補助金を削ったのもあるでしょうし、医療費のむだな使い方をしているのを改めて医療費の方を節減するということも考えられたでしょうけれども、幾つか考えられたことの中に、老人保健制度の患者負担を強化するということで千九百億円賄おうということもあったわけでございますね。それはそういうふうにされたと私は理解したわけでございますが、厚生大臣いらっしゃるから今の部分はちょっと確認しておきます。当然増を仕上げるために老人保健法を改正して患者負担を強めて千九百億円を用意しよう、こういうふうになさったものだと私どもは聞いておりますけれども、それは間違いないですか。
  118. 今井勇

    ○今井国務大臣 確かに、数学的に申しますれば先生のおっしゃるとおりでございます。千九百六十億円の減になっております。
  119. 金子みつ

    ○金子(み)委員 老人保健法の問題は、先ほど本会議でいろいろお話が出ておりましたし、私も後で申し上げますけれども、そういうことがあったということは事実なんです。  そういたしますと、私が大変に懸念いたしますことは六十四年から先ですね。今のいわゆる厚生省が持っております当然増のこととか生活保護財源など、これはきちっと確保できるというふうに考えておられるのかどうかということを一つお尋ねしたい。  それから、関連いたしますので続けてお尋ねいたしますが、こういうものはほかの財源と性格が違いますから、まけてもらうわけにもいかないし、削るわけにもいかない、必ず準備しなければいけないということを考えますと、一般会計の中で計画することは非常に不安ですね。このように毎年毎年削られていくことを考えれば大変不安なので、この際、特に当然増の問題などについては、生活保護の問題も含めてですけれども、特別会計のようなものを用意なさるのがいいのか、あるいは先ほど本会議でも出ておりましたが、社会保障税のような目的税のような形で用意する方が安定するのか、その辺のお考えはいかがでございましよう。
  120. 竹下登

    竹下国務大臣 社会保障には当然増が伴うという事実は私も認めるところでございます。したがって、今回の問題は、老人保健法の問題もきょう本会議で御審議が始まりましたが、いわば世代間の問題、そうしてまさに中長期的にも安定しなければならぬということでお願いをしよう。昨年の国会でお願いした年金改正等もその一環であるわけであります。人口構造が大変変化いたしますから、やはり二十一世紀、それ以後を見定めた中長期的な視点で組み立てを考えていかなければならぬ。まだそれがなっていない問題としては、御案内のように年金の統合一元化なんというのはまた将来の課題であるわけでございます。  そこで、先生のおっしゃるいわゆる特別勘定とか特別会計とか特別基金、それには目的税をもって財源に充てたらどうだ、こういうことが最近かなり各方面で議論されておる。日本社会党におかれても、これは年金に限ってではございましたけれどもこの案が出ております。それから去年は増岡前厚生大臣が、増岡試案と銘打ってでございますけれども、そういう構想をお出しになっておる。また、いろいろな経済研究所等からも出ておる構想でございます。財政当局は本来、特別会計を設けたり目的税を設けるというのは好ましい姿とは思いません。色のつかないお金が入りまして、そのときどきの情勢に応じて重点的にこれを配分する。しかしながら、非常に因果関係の強いもの等は現在も目的税が特定財源として存在しておることは事実でございます。したがって、欠点としては、硬直化しやしないかとか、いわゆる聖域化しやしないかとか、政策選択の努力がそれによって行われなくなるのではないかとかいろいろな問題もありますけれども、やはり示唆に富んだ提言として勉強してみよう、こういうことを整理してお答えしておるわけであります。  究極的には負担する方も国民、受益者も国民でございますから、そうして一つ大きな目的税、特別勘定をつくれば歳入歳出構造が大きく変化するわけでございますから、その辺を総合的に検討すべき課題だ、最近、国会でもかなりの時間を割いて議論されるようになってきたという問題意識で、我々もその基本的な問題をも踏まえて検討しよう、だから示唆に富んだ御提言だというところまで現在言葉を整理しておるということでございます。
  121. 金子みつ

    ○金子(み)委員 今の問題はこれから先の問題だとは思いますけれども、十分考えていただきたい問題でございます。  次に、国と地方公共団体の間の機能分担見直しが今度入っておりますが、そのことについて少しお尋ねしたいと思います。  国と地方は、車の両輪として相互に協力、分担しつつ、地方自主性、独自性を尊重して行政目的を達成していく、こういうような言い方がございます。そのことはそのことで理解できるのですけれども、今回は国の行政責任と財政責任を地方に委譲していこうとしているわけですよね。だから、委譲という言葉は、言葉としては問題ないと思いますけれども、実態は何か押しつけじゃないかなというふうに私どもは見ているわけです。  そこで、先ほどお話も出ましたように、六十年度で補助金の一括カット措置をやりましたときに財政不足が起こりました。それを地方の一般財源によって補てんするということを昨年やってきたわけですよね。今回さらにそれを向こう三年間進める政策を打ち出しているということなんでごさいますが、地方の立場に立ってみれば大変なことだろうと私は思うのです。  自治大臣お見えになっていらっしゃいますので御意見を伺いたいと思うのですけれども、私は今、地方自治体財政は動脈硬化化していると思うのですよね。そんなことになっている地方財政のところへもってきて、改めて大きな大きな重たい荷物をしょわされるわけです。そんな大きな荷物をしょって本当にちゃんとやっていけるんだろうかどうかという非常に大きな不安、心配がございます。この議論が多分閣議であったのでしょうけれども自治大臣はこの問題についてどれほど反発なさったのか、それとも反発なさらないで、御説ごもっともだと唯々諾々とお受けになったのか。その辺をちょっと御意見を聞かしてください。
  122. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいまの国と地方の問題ですが、これは六十年度の予算編成以後、検討委員会やなんかでいろいろ議論されまして、とにかく補助には補助金と補助負担金の二つが先ほどのお話のようにあるわけですけれども補助金につきましては、これはいろいろダブったりあるいはもう政策目的を達したり、ごく少額のものだったり、そういうものは積極的に整理合理化して状況に合うようにしていく、これは地方制度調査会におきましてもどこにおいても言われていることで、当然のこととしてやっていかなければならないと思います。  負担金の問題でございますが、この補助負担率につきましては地財法にも定められておりまして、その項目によって、事項によって、国としての責任を負担していかなければならないということでございまして、したがって、この負担率の変更等、あるいは定めるのも法令で定めるということになっておりまして、それだけ国の負担の責任もあるものだと思います。  今回その役割分担事務事業見直し等も社会保障の中で一部行われたわけであります。これは必ずしも国の権限の押しつけというような、あるいは仕事を任しちゃうということではないだろうと思います。地方におきましても、このぐらいのことはもう地方自主性に任してくださいよという、そういった意見等も踏まえてなされたものであると私は思っております。  ただ、いずれにしてもかなり大きな、地方債九千三百億円になりますので、借金としてその意味では負担になることは間違いのないことであります。したがいまして私どもとしては、その起債分につきましても、地方が大変苦しい、厳しい財政状況の中ですので、交付税加算措置をしたり、あるいは今後の交付税においてその元利償還を基準財政需要額に見込んで処置していこうということにいたしておりまして、今後どんどんそういう事態がふえれば交付税の中に占めるそういった元利償還の分もふえる、また、地方財政運営も大変になってくる、そのことは十分我々も注意しながら、これから財政運営に支障のないように交付税総額を確保していかなくてはいかぬというふうに思っております。  いずれにしても、一部地方地方財政富裕論というようなことがよく言われますが、地方は三千三百幾つの団体を集めたものでありますから、マクロの指標を見れば単純な数値の比較は出てまいりますが、個々の地方公共団体でも財政状況は非常に厳しい状況でございますので、そういう点には十分配慮しながら今後も自治省といたしましても配慮しなければならない。いずれにしろ、財政事情だけでの地方への負担転嫁はもう許されるべきでないということで、自治省としても強く主張してまいっておるところでございます。     〔小泉委員表退席、中西(啓)委員長代理     着席〕
  123. 金子みつ

    ○金子(み)委員 そうあろうと思いますけれども、でも結果的にはなっちゃったんですよね。だから、どうにもしようがないだろうと思いますけれども、それは結果的にはそういうことでして、仕事が来るけれども、お金は余り来ない。  ここに数字をつくってもらって持ってまいりましたけれども、今数字を読み上げると時間がかかりますし、一々私が申し上げなくてもわかっていらっしゃることだと思いますから数字は申し上げませんけれども、福祉関係の施設措置事業費について、総事業費と国庫負担分と地方負担分と費用徴収分とに分けて数字を出してもらったのです。それで見ますと、五十六年当時のことは別といたしましても、五十九年から六十一年の三年間の間で国庫負担分は三〇・三%減るんですね。ところが逆に地方負担というのは、同じく五十九年から六十一年の間に約五倍近くふえるんですね。金額がですよ。だから、私は大変なことだろうと思うのですよ。これを数字に換算すれば随分大きな金額になるわけです。それからあとは費用徴収分というのが一三%くらいふえます。だから、いずれにいたしましても、国は大変に負担が軽くなるんだけれども地方が大変に重くなるし、同時に国民に大変重い負担がかかってくるという結果になっている、結果になっていくだろう、こういうふうに考えられます。  今大臣おっしゃいましたように、地方債お話がございましたが、地方地方債だけで間に合わないんじゃないだろうかという感じがいたします。私が心配しますのは、地方債地方債として財源を用意することをなさるだろうと思いますけれども、そのほかに地方行政改革のようなものもおやりになるんじゃないだろうかということが考えられるし、それからさらには、例えば今までは地方自治体の単独事業としてやっていたこともやめてしまう、打ち切ってしまう、それはできないということもあるだろうし、細かいことで申し上げれば、たくさんいろいろな手数料というのが地方行政の中にはございますね、ああいうものもぐんぐん値上げをするだろうしと、こういうふうなことになっていくのじゃないかと想像するわけです。そういうことになりますと、結局せんじ詰めれば市民への負担が強まってくるということになるのじゃないかというふうに思うわけです。その市民への負担が強まるということは、言葉をかえれば社会保障が後退するということになるわけなんですけれども社会保障が後退するというようなことになると厚生大臣どうお考えになりますかというふうなことになってまいります。  これは厚生大臣だけのお考えではない、大蔵大臣あるいは総理のお考えも伺わなければならないところだけれども、こんなふうにして国が負担を軽くするということによって、大きな負担が逆に一般市民にかぶってくるということですね。地方の行政機関にかぶることもさることながら、一般の市民へもかぶってくるというようなことになりますと、私は事は穏やかではないと思いますが、この点はどういうふうにお考えですか。仕方がない、やむを得ないじゃないか、そのことを自覚しながらそういうふうにお考えなんでしょうか、どうでしょうか。厚生大臣、大蔵大臣に伺いたい。
  124. 今井勇

    ○今井国務大臣 お言葉でございますけれども、例えば今度の福祉の問題等をとりましても、基本的にまず地方自主性を尊重する観点から事務事業見直しをやろう、それに伴って国と地方との負担区分を変更しよう、そしてその所要な地方財源措置はまた別途にひとつ見ようじゃないかということでございますから、それが直ちに福祉の水準につながって後退するというふうには実は私は考えていないのでございます。  そこで、地方財政措置が裏負担をちゃんと考えないということならば、それはあるいはできない地方公共団体もあろうかと思いますけれども、今回は国の負担分の減に対しては、地方負担増についてはちゃんと見るんだというふうに私は理解をいたしておるものですから、全体を合わせて考えれば福祉の水準というのは下がっていないんだというふうに私は理解をいたしているものでございます。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、厚生大臣からお答えがございましたように、今回の措置によりまして社会保障の給付水準そのものには何の影響もないわけでございますから、社会保障水準を切り下げた、すなわち国の責任を放棄したということにはならないということでございます。これは基本的に、先ほどお答えがあっておりますように、それによって地方負担の増加額を織り込んだ上で生じます地方財源不足額は、いわば非常にマクロベースでございますけれども、基準財政需要というものがあって、それに見合わせなければならない。それで、それが不足したものは手当てを地方財政計画でやっていかなければいかぬ。個々の地方団体につきましては、これは自治省さんにお世話していただくしかございませんが、私どもの方としては自治省さんとの間で、トータルの基準財政需要額に見合うものは措置をいたしましょう、それを多くは建設国債で措置をいたしましょう。なお、どうしても問題の生じてまいりますものについては、私は先般通していただいた税法改正の中で最も心を痛めました、例えばたばこの消費税を上げさしていただいて、それを地方へ回す、こういうような措置で、出口ベースでは一応これが整っておるということになるわけでございます。  ただ、原則的に、御指摘があっておりましたが、臨調答申にもございますように、ことほどさように、高齢化社会が到来します今日において、現在の税と社会保険負担と足したいわゆる国民負担率というのは、将来にわたっては上がっていかなければならない性格のものであろう。ただ、その国民負担率の限界はどこかといいますと、いまだ私どもはヨーロッパのそれよりはかなり低いところということまでにお答えの限界を設定をしておるというのが現状でございます。
  126. 金子みつ

    ○金子(み)委員 私がよくわからないせいでしょうか、十分納得ができないのですけれども地方負担分は見るんだからいいじゃないか、こういうふうに考えていらっしゃるわけですね。地方負担分を確かに見ておられるとすれば、地方では、今度は地方の行政の中で、政策の中で、一人一人の市民に対しては負担をかけないで済むような政策が出せるはずだ、こういうふうに理解していいのでしようか。
  127. 竹下登

    竹下国務大臣 今度の補助率改正によりまして、地方自治体が新たなる増税措置等において手当てをされる必要はないということでございます。
  128. 金子みつ

    ○金子(み)委員 しつこいのですが、わかりたいものですから。  新たに増税などの措置をしなくても済むということはわかります。ですから、そうだとすれば今までと同じような政策が実施できて、そして市民に負担をかけることはないということができるという見通しがあるわけでございますか。
  129. 竹下登

    竹下国務大臣 今度の分では負担増をかけておりませんが、将来にわたっては、いつも申し上げておりますように、ヨーロッパはその国民負担率が五五あるいは六〇、日本の場合は今日三六でございますから、必然的にやってくる高齢化社会の中で国民負担率は将来にわたっては上がっていかざるを得ないであろう、今日の制度、施策の水準を守っていく限りはお願いしなければならぬ宿命的なものである、こういうことはいつも申し上げておるところでございます。
  130. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その辺はわかりました。  それで、これはちょっと角度が違うのですが、去年やった一律一割カット、それからことしは一律一割とは言わないけれどもやはり一律にカットされているというやり方が非常に多いですね。こういうのは政策じゃないんじゃないですか。私はよくわかりませんが、一律一割カットなんというのは、要するに機械的で事務的で、特別な配慮も施策もない大変に乱暴なやり方だなというふうに思うのですけれども、そういうのはどこの国でもやっているのでしょうか。いろいろなものたくさんありますが、全部どれもこれも一律カットだというようなやり方、これは本当に政策なのかどうなのかなとちょっと疑問に思うのですけれども、そういうやり方というのは許されているのか。そういうやり方というものは財政的にあるんですかね。
  131. 竹下登

    竹下国務大臣 去年は正確に全部が一割とは言えませんが、おおむねアバウト一割の一律カットであった、私もそのとおりであると思います。  ことしの分は、いわゆる社会保障を中心に事務事業見直しを行ってきたわけでございまして、したがって、事務事業見直しに伴って補助率を二分の一に引き下げたもの、それから生活保護等個々の事務の性格を踏まえ当面六十年度補助率を据え置いたもの、それから三番目には地域かさ上げ補助率のようにかさ上げ措置を残しながら補助率のバランスに留意して補助率の引き下げを行ったものというふうに、引き下げ幅も区々でありますので、一律だとは言えない。  ただし先生、生活保護につきましては、検討委員会も両論併記だったものですから、身近な社会福祉は大体半々にしましょうや、まさに二分の一という数字がありますと、当然私ども三分の二という数字を考えます。一方、やはり八割という表現の仕方もありますので、結局これは議まとまらず両論併記、したがって政策判断として去年どおりの十分の七にしようやということで落着したという経緯でございます。
  132. 金子みつ

    ○金子(み)委員 その次は、今度の法案をつくって審議をされているわけですけれども、こういう法案をつくるという問題についてなんです。私はこういうのはやはり正しくないんじゃないかと思うのです。と申しますのは、今回は四十八本の法律一つ法律にまとめたわけですね。まとめたという言葉は適当でないかもしれない、寄せ集めたのかもしれません。とにかくそれが大変に疑問だと私は思うのです。なぜそういうことをされたのかという問題が残るわけなんですけれども法律に対して忠実じゃないといいますか、そういう感じがいたします。本来なら、一つ一つ法律に規定されている補助率とかあるいは補助金とかいうものがあるわけですね。ですから、そういうものはそれぞれその所管の委員会で十分審議していかなければならないと思いますのに、これは全く無視してしまって、単に財政だけの意味で、それを目的に別の委員会、今回は大蔵委員会ですが、そこで審議をするということにしてありますものですから、結局こういう連合審査のようなことをしなければならなくなってしまう。そうすると、連合審査なんというのは時間が短いし、十分に審議ができなくて、大変表面的で形式的なものになってしまうおそれが非常にあるというふうに思います。私は、そういうことはやはり一つの正しいやり方ではないのではないかというふうに思うわけですね。これは言うなれば、大変言葉は悪いのですけれども、手抜きみたいな感じで、一つずつやれば時間がかかって大変なのを一括してやれば簡単に終わるというふうな事務的操作の結果考えられたのかなというふうにも思ったりいたします。  ところが、それならそれで徹底してわかるのですけれども、物によっては重複しているものがあるのですね。例えば社会保障関係で申しますならば、児童扶養手当法とか特別児童扶養手当法などは先般社会労働委員会審議しております。それもまた今度こっちにも入っているわけですね。重複するものもあるということになりますと何か非常に不統一感じがいたします。制度検討会ですか、生活保護だとか老人福祉、児童福祉、身体障害者福祉、精神薄弱者福祉などは同一の補助率にすることは問題があるというような御意見があったというふうに記されておりますし、この四つの問題については、そうならば一つ一つやるべきじゃないかという意味が言外に含まれていると私は解釈したのですけれども、そうだとすれば児童関係以外の老人の問題、身障者の問題、精神薄弱者の福祉の問題などはそれぞれの所属の委員会、この場合ですと社会労働委員会ですが、ここで一つずつやるべきだったのじゃないだろうか。全然やってないのですね。それから、これからもやる予定は立っていない。ですから、児童扶養手当と特別児童扶養手当だけが実際に委員会で行われてあとはやられていないわけですが、こういう不均衡なものが起こってくるということがあるのだと思うのです。こういうのはどういうふうに解釈なさいますか。それはそれでもいいのだとお考えでいらっしゃいますでしょうか。
  133. 竹下登

    竹下国務大臣 あるいは厚生省からもお答えがあろうかと思いますが、まず、いわゆる別途単独法として提出されているものがあることは御指摘のとおりでございます。これらの法律は今回の補助金の特例措置とは直接関係を有しない給付改善等制度固有の改正理由に基づいて提出されたものであるというふうにその問題は整理をいたしております。  そこで、いま一つの俗称一括法でございますが、これも、社労は一週間のうち労働日と厚生日とがあって一日の定例日しか審議していただけないから、特別委員会あるいは連合審査でやれば月曜日も土曜日も審議していただけるからこの方が通りやすいというような国会対策上の考え政府が持つことは断じていけないことでございます。私もそっち側におるときなら別でございますけれども、これは最も慎まなければならぬことだとかねてみずからにも言い聞かしておるところでございます。  したがって、本法律で想定しております措置というのは、いわば財政状況と累次の臨調答申の趣旨を踏まえて行われたまさに財政上の措置であるということの共通性。それから二番目には、国の補助金負担金等について行われるまさに措置である。それが財政資金の効率的使用を図るため行われる措置であって、財政収支の改善に資するものである。したがって、財政ということになるならば、大蔵省が持っておりますいわゆる予算調整権限に基づいて取りまとめたという角度からこれを一本の法律にした方が立法の趣旨が明らかにされる上でむしろベターであり、そして個々でとられた措置を総合的に判断していただく上でも把握がしやすいではないか、こういうことを考えたわけでございます。国会の審議権を制約しようとかそういうような考え方に立ったら、これは征伐しなければならぬ心でございます。そういう心を、私も国会議員でございますが、行政府の立場に所を変えたときには、そのことだけは、国会対策上この方が便利だからというような考え方は絶対にとってはならぬことだというふうに考えておるところでございます。
  134. 金子みつ

    ○金子(み)委員 いま一つの問題は、これは大蔵大臣の責任というふうには考えない問題なんですけれども、総理がいらっしゃいませんから御意見を伺いたいと思います。  それは、今度の一括法案を作成する経緯の問題なんですが、大体どの法律にも法律に定めて審議会があって、審議会の意見によって法律改正などの御意見を諮問して、そしてその答申によって動かすというやり方が常道でございますね。ところが、今度の場合は法律に基づかない検討委員会、そこが意見を出されたことに基づいて今度の改正が行われていくということはあっていいことなのかどうかというふうに私は思うわけなんです。その法律の動かし方、法律改正のやり方について余り安易になり過ぎているのじゃないだろうかという感じがいたします。そうでなくても、法律による審議会のほかに任意に、例えば総理が御自分で私的諮問機関というようなものをつくってその意見を聞いて進められて、自分の個人の意見じゃない、この委員会の意見だからいいじゃないか、こういうふうなやり方が今までにもあったような気がいたしますが、それに似たような感じがするわけです。今度の検討委員会というものの性格がはっきりいたしませんし、法に基づいていないということを考えますと、それで法律を改正することができるのだったら法律軽視じゃないかというふうに思いますし、そのことは立法府である国会軽視に結びつくのじゃないかということを大変に懸念するわけですが、そんな心配はないよとお考えでございましたら御意見をひとつお聞かせいただきたい。
  135. 竹下登

    竹下国務大臣 これは御指摘のありましたとおり、補助金問題検討会というので今度やったわけでございますが、これは独立の機関意思を決定し得る国家行政組織法第八条の審議会とは異なっておることは事実でございます。  従来、よく八条機関――ところがまた国会では審議会、八条機関をいっぱいつくって、それこそ政府の隠れみのじゃないか、こういう批判もまたあるわけでございます。したがって、かれこれ検討して、今度はそれじゃ補助金関係閣僚会議で物を決めよう、しかしながら、閣僚は、私は特にですが、そのプロじゃございません。専門家じゃございません。したがって、有識者の皆さん方に集まっていただいて検討会を開催して、その意見を聞いてそして決めよう、そういう方法をまず最初に決めたわけでございます。  そこで、その人選に当たりましても、村長さんや市長さんや知事さんや、そういう方に検討会のメンバーになっていただきまして、そうして御意見を聞いて、それを可能な限り尊重して法律としてまとめたものでございます。  したがって、何もかも八条機関でやるのがいいか悪いかという問題も確かにございますが、今回の方法は、やはり補助金問題のいわゆる閣僚会議というのをつくったわけですから、行政府の責任で国会へお出しして、もちろんイエス・ノーを決めていだだくのは国会でございますから、国会の審議権の問題とは関係を直接に持っていないと思っておるわけであります。みんな国会で決められておる、国家行政組織法という国会を通過した法律に基づく八条機関でやらなければならぬというのも、あるいは行政改革とかいう点につきましては、時にはそれは隠れみのとして不必要なものが多過ぎる、こういう議論もちょうだいいたしますので、かれこれ考えて、この際はプロの方の意見を閣僚会議で集約しようという方法をとったわけでございます。
  136. 金子みつ

    ○金子(み)委員 これもやはり行政改革に結びつきますね。  そうしますと、御説明は御説明としてわかりましたけれども考え方としてはやはりイージーに進められてきたんだなというふうに考えざるを得ないのでございます。  時間がなくなりましたのでおしまいにいたしますけれども、要するに今回の一括法案制定の趣旨というのは、言葉は大変悪いですけれども、とにかくなりふり構わずと言ってもいいかもしれませんが、歳出削減最優先という政府の姿勢をどうしても貫きたいということでこういう形になってあらわれたんだな、理屈は何とでもつけられると思いますけれども、そういうふうになったんだなということがわかるわけで、大変に何とも言えない気持ちがいたします。  ただ、それだけではなくて、その後に疑問として残るものがあるんです。それは、この検討会は、今おっしゃったように大変に考えてつくられた検討会のようですけれども、その検討会がこういうことを言っているんです。抜本的な見直しは今後の問題だ、今回のことは暫定的だ。「今回の措置は、当分の間の暫定的なものとして行われるべきもの」であって「抜本的な見直しは今後の課題」として問題になるんだ、こういうふうに言われておりますが、そうだといたしますと、その「今後の課題」に対する責任、あるいは国民に対する責任と申してもいいかもしれませんが、責任と義務はどういうふうに考えていらっしゃるのか。今やっているのは暫定措置なんだ。先ほど大臣から、去年一年間の分は暫定だ、今度のは暫定じゃないという御説明がございましたが、検討会は暫定だと言うのですよね。だから、そうだとすれば、その先の問題はどういうふうになるかというのはやはり残るわけなので、そこに御意見が食い違ってくるわけですけれども、その辺の解明をしていただきまして質問を終わりたいと思います。お願いいたします。
  137. 竹下登

    竹下国務大臣 あるいは言葉を正確に使わなかったかもしれませんが、去年の暫定措置というものは、いわゆる答えを出すまでの暫定措置として一年間お願いした、今回も、三年間というのはやはり暫定措置であることには間違いない、先生の御指摘なすっておるとおりでございます。そして、「補助率見直しについては、基本的には、事情の許す限り極力安定的なものとする必要があると考える。しかしながら、国・地方財源配分のあり方についての抜本的な見直しは今後の課題とされていること、」それは国税、地方税あり方もその課題の一つだと思います。今、税調に諮問しております。「政策分野の特性に配慮しつつ、今後とも引き続き事務事業見直しを行う必要があること等から、今回の措置は、当分の間の暫定的なものとして行われるべきものと考える。」こういう報告をちょうだいしておることは事実でございます。  もちろん、今回の措置事務事業見直しを行いながら行ったものではございます。したがって、一年間事務事業見直し等を行う期間を下さい、だから一年間の暫定だというものとは性格を異にするわけでございますが、確かにこれから税制改正等も行われるわけでございますが、この六十四年度以降の取り扱いにつきましては、今回の措置の経緯や性格、そして今回行われた国会の論議、今後の諸情勢推移、また国と地方との財政状況等を勘案しながら、その時点で関係省庁と十分協議して決めていく考え方であるわけでございます。したがって、抜本見直しをするための審議会等を設けたらどうかというような意見も時にございますが、大体、補助率を含め補助金あり方は、臨調答申と行革審の意見財政審の報告、そうしてこの検討会の報告等で見直しの方向を指摘されたものを今回お願いしているわけでございますが、今後とも不断の点検、見直しに努めていくという考え方はもとより持ち続けていかなければならぬと思っております。
  138. 金子みつ

    ○金子(み)委員 もう終わりますが、今日、暫定に暫定を重ねてずっと来ているような様子でございますね。いつまで暫定が続くのかなあと国民は大変不安に思います。ですから、できるだけ早い機会に抜本対策ができるような体制を今おっしゃったようにぜひとっていただきたい。少なくとも六十四年からというのを、もう目の前でございますから、しっかりと仕上げていただきたいということを御要望いたしまして、終わります。  ありがとうございました。
  139. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 吉井光照君。
  140. 吉井光照

    ○吉井委員 私は、今回の補助金の一括削減法案につきまして、大蔵大臣を初め各大臣に若干の質問をいたしたいと思います。  まず最初に、六十年度の補助率引き下げによるところの地方財政運営の問題点につきまして自治大臣にお尋ねをいたします。  今回の補助率引き下げで生じた地方財源不足一兆一千七百億は、建設地方債の増発等で完全に補てんされて、地方財政の運営には支障を来さない、このように言われているわけです。しかしながら、六十年度の場合もそのような総理以下の政府答弁があったわけですが、それはトータルの財源補てんの話でありまして、個々の地方団体財政運営については政府の説明に反しまして多くの問題が残っておる、こういったことが我が党の山口県本都の調査で判明をしてまいりました。  例えば、六十年度の生活保護費の補助率、この十分の八から十分の七への引き下げに伴うところの地方負担増千五百十億、これは普通交付税への算入や、また厚生省の生活保護臨時財政調整補助金二百億円の新設で穴埋めはされた、このように言われているわけですが、とてもそれでは補てんし切れない団体があるわけでございます。そこで、不足する分は特別交付税でもって措置をした、このように言われておりますが、補助率引き下げによる負担増は普通交付税と臨時財政調整補助金によって補てんすべきであって、特別交付税まで使って措置することはその性格上問題ではないか、このように思うわけですが、まず、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  141. 持永堯民

    ○持永政府委員 今御指摘ございましたように、生活保護を含めまして、マクロでは昨年の場合五千八百億円補てんをしたわけでございます。  そこでミクロの、交付税の算定上的確にいっているかどうかという御趣旨の御質問かと存じますけれども生活保護につきまして申し上げますと、技術的なことで恐縮でございますが、単位費用の引き上げあるいは密度補正の単価の引き上げ等によりまして、各団体の実際の需要に対応する算定を普通交付税の上で行っているわけでございます。しかし、普通交付税でございますからおのずから算定技術上の制約もあるわけでございまして、三千三百のすべての団体に一文も間違わずにぴたっと入るかということになりますと、若干の過不足というものは出てまいるわけでございます。生活保護だけじゃございませんで、全体の、ほかのいろいろな経費につきましてもそれぞれ補てんをいたしておりますので、総じて団体ごとに見ればおおむね補てんはし得たものと、現在私ども段階でも、各県なり市町村の方々からそういった意味での御指摘はそう受けてないつもりでおるわけでございます。  それから、特交を使うのは非常に問題があるじゃないかという御指摘でございますが、基本的には、この補助率カットを穴埋めするためには特交は使っていないわけでございまして、生活保護の場合確かに従来から一部特交を使っておりますのは、生活保護世帯数を計算する場合に前年度の数字を使いますが、年度の中に入りましてから、交付税の算定を終わった後に生活保護世帯数がだんだんふえてくるようなケースがあるわけでございまして、そういった場合は、交付税に算定されていない部分を特交で年度末に調整するということは従来からいたしておりまして、特交は補助率引き下げにかかわるものじゃないという点を御理解いただきたいと思います。
  142. 吉井光照

    ○吉井委員 今御答弁をいただいたわけですが、特交まで使って生活保護費の補助率引き下げによるところの負担増千五百十億はすべての団体について不足なく補てんされた、そういうことだろうと思いますけれども、今も御答弁いただきましたように、補てんされていない団体もまだ残っているわけでございます。したがって、非常に難しい問題かもしれませんが、厚生省は、この際早急にそういった実態を調査されて必要な対策を講じるべきではないか。  また、六十一年度も特別交付税措置するような実態になると思われるが、これを避けるためには、六十一年度の厚生省の臨時財政調整補助金を六十年度と同額の二百億円ではなくして、これを増額すべきである。少なくとも、この一年間の生活保護費の措置費のアップ、これは当然あるわけですから、そういった点も考慮して、今も申し上げましたように二百億というのじゃなくして増額をすべきではないか、このように思うわけですが、厚生大臣いかがですか。
  143. 今井勇

    ○今井国務大臣 まず、昭和六十年度の国庫負担率の引き下げによります生活保護費の地方負担増につきましては、地方財政対策を通じまして一般的には措置されたところでございます。しかし、財政力が脆弱である、財政規模に占めます保護費の割合が高い、そういった理由などで補助率の引き下げによります影響が特に大きい地方団体に対しましては、特別の配慮が必要であると考えまして、そして生活保護の臨時財政調整補助金を計上いたしまして、こうした地方公共団体におきます財政状況あるいは適正化の努力などの把握に努めまして、これを参考にしながら配分額の決定を行ったところでございます。  また、昭和六十一年度の本補助金予算額でございますが、これは六十一年度の補助率昭和六十年度と同じでございますなどの理由から、私ども昭和六十年度と同額の二百億円としたところでございまして、これはひとつその事情を御了察願いたいと思うものでございます。
  144. 吉井光照

    ○吉井委員 もう一度自治大臣にお尋ねをするわけですが、これは冒頭申し上げましたように、政府は、国のレベルで削減された補助金額に見合うところの地方交付税の特例措置額やまた起債の増額で措置されたから、地方財政の運営には支障がない、こういう御見解ですが、しかし交付税地方債は、個々の団体について削減された補助金の金額に見合うように配分するわけではありません。したがって、国のレベルでは補助金の削減額以上の交付税特例額やまた起債を用意しておかなければならないのではないか、こういう気がいたします。そうしないから、その結果個々の地方団体では財源不足が生じている、ひいてはその財政運営というものに大きな支障を来してくるのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  145. 小沢一郎

    小沢国務大臣 交付税あるいは起債、そういったいわゆる地方財政計画を策定するにつきましては、どうしてもいわゆる全国の標準的ないろいろな基準、画一的なそういう作業になりがちな点があることは事実でございますが、起債の点等につきましても、もちろん個々の地方団体の事情、意見等を十分話し合いをしながら積み上げておるものでございます。もちろん、そういうような配慮をしながらやるものでありましても、先生御指摘のように、三千三百幾らの地方公共団体があるわけでございますので、そういう点につきまして個個の地方団体におきましては、当初のそういった計画以外の事情等が発生したり具体的な状況が出てくることがあることは事実であろうと思います。したがいまして、私どももそういう点につきましては、個々の具体的な地方団体状況も的確に把握しながら、地方債の配分、交付税等々につきまして対処していかなければならない、その点はそのように考えておるわけであります。
  146. 吉井光照

    ○吉井委員 また、公共事業費の補助率の引き下げによる負担増の補てんの起債配分、これにも若干問題があるのではないかと思うわけですが、六十年度には、その補てんのために四千八百億の起債が増発されたわけです。それには経常経費の起債振りかえ分、それから公共事業の補助率引き下げ分、それから公共事業の事業拡大分の三種類あるわけですね。実際問題として、各団体ごとに負担増を正確に捕捉した上でこれらを配分するということはこれはもう非常に困難なことでございますが、そのため自治省団体財政事情等で別の基準をつくってそれをもとに配分している、このように言われておるが、どうなんですか。
  147. 持永堯民

    ○持永政府委員 今御指摘ございましたように、六十年度の場合で申し上げますと、全体で四千八百億の地方債があるわけでございまして、その中で、御指摘のように三つの種類のものがあるわけでございます。  最初の、臨時財政特例債と言っておりますが、公共事業の国庫補助金の縮減に伴いますものにつきましては、これは各地方団体に公共事業が配分されました後に、各団体ごとの、一つ団体でもいろいろな事業がございますから、事業ごとに、この事業で幾ら国費が減ったかということを一つ一つ計算をいたしまして、それを集計いたしましたその実額を起債を措置しておりますので、これについてはまさに一〇〇%、各団体の国費縮減額に対応する額が措置をされている、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  それからあと二つの、一つは経常経費の振りかえ分、それから公共事業の拡大に伴います地方負担分、これは両方合わせまして調整債というふうに言っておりますが、これにつきましては、基本的にはこの交付税の算定との関係をまず一つ考えます。それからもう一つは、公共事業の実施の状況、配分状況というものを参考にいたしまして、また各地方団体の実際の財政状況というものもやはり勘案しなければならないということで、いろいろな要素があるわけでございますが、そういった配分の方式等につきましては説明会等で説明をいたしまして周知をいたしておるところでございますけれども、同時に、都道府県の分につきましては、私ども自治省の方で直接いろいろ状況をお聞きし、また市町村の分につきましては、各県の地方課におきまして市町村の実態なり公共事業の状況等を十分把握をしていただきまして、市町村ともよく御相談をしていただきまして、そうして最終的には配分をいたしておりまして、六十年度の場合もそれぞれ御納得のいただけるような、御理解いただけるような配分をなし得たものというふうに受けとめておる次第でございます。
  148. 吉井光照

    ○吉井委員 個々の団体の側でも、補助率引き下げによるところの負担増を正確に把握するということは非常に困難と思います。それにしても自治省で年度末まで起債が幾ら配分されたのか、これがわからない。そのために事業執行に支障を生じたとか、あるいは予定していた配分額を大幅に下回ることになったので結局予算に穴があきそうだ、こういう団体もあるようでございます。  六十一年度の建設地方債の増発は九千三百億、六十年度の約二倍ですね。このような問題は今からさらに大きくなっていくのではないか、私はこのような気もいたします。起債の配分方法については、あらかじめ地方団体の側で一体幾ら配分されるのかわかるようなシステムだとか、もっとすっきりしたものをつくるべきではないかと思うわけですが、大臣いかがですか。
  149. 小沢一郎

    小沢国務大臣 起債の配分等につきましては先ほどもちょっと触れましたが、地方自治体のいろいろな事業経費等々につきまして自治体と協議をしつつ周知徹底できるように、その点は従来とも十分に行ってきたつもりでございますけれども、なお先生の御指摘も念頭に置きまして、今後地方自治体もさらに今以上により一層きちんと理解し、そして事業予算を組むことができるように、我々としても一層の努力をいたしたいと思います。
  150. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは次に、六十一年度の補助率引き下げの根拠について若干お尋ねをしておきたいと思いますが、今述べましたように個々の地方団体財政運営に支障を生ずるような六十年度の高率補助率の引き下げについては、地方団体は、このようなことは補助率が決められた過去の経緯を無視するもので、行革の基本理念にも反するし、単なる国の財政負担地方転嫁でしかない、このように一斉に猛反発をしたわけでございますが、にもかかわらず政府はこれを強行したわけでございます。  しかし、さすがにそれだけでは問題だとして、社会保障に係る高率の補助率の引き下げ措置については「昭和六十年度における暫定措置」だとして、「昭和六十一年度以降の補助率あり方については、国と地方の間の役割分担費用負担見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとする。」との覚書が大蔵、厚生、自治の三大臣の間で結ばれたわけでございます。今、その当時の大臣といえば大蔵大臣しか残っていられないわけですが、当時の古屋自治大臣は、国、地方間の役割分担費用負担あり方を見直すことなく、単に補助率だけを引き下げることは自分としても非常に残念だが、今後一年以内にその見直しをするというのでやむを得ず六十年度の補助率引き下げを受け入れた、こういう趣旨の答弁を再三繰り返されたわけでございます。  この三大臣の覚書は新大臣であるところの厚生大臣、自治大臣も当然に拘束される、このように理解してよろしいですか。
  151. 今井勇

    ○今井国務大臣 おっしゃいますように、この五十九年十二月の覚書というのは大蔵、厚生、自治の三大臣の間で結ばれたものでございますが、私もこの覚書というのは当然尊重をしていかなければならぬというふうに思っております。
  152. 小沢一郎

    小沢国務大臣 行政は継続しておるものでございますし、その行政の長たる大臣が交わした覚書でございますので、大臣がかわっても当然お互い誠実に履行していかなければならない責務を負っておるものと思います。
  153. 吉井光照

    ○吉井委員 では農林大臣にお尋ねしておきますが、この三大臣の覚書は社会保障補助率しか言及していないわけですが、農林水産省等その他の補助金についても、六十一年度以降のあり方についてはさきの覚書と同様に取り扱うという大蔵大臣答弁がなされておりますが、当然今の農林水産大臣もこれをお認めになるわけですね。この点どうですか。
  154. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 お答えいたします。  昭和六十一年度以降の補助率あり方につきましては、今お話に出ましたように、三大臣覚書の趣旨に基づきまして、国と地方との間の役割分担費用負担見直し等をともに政府都内において検討を進め、結論を得るものとされていたところであります。このような検討を行う場として、補助金問題関係閣僚会議及び補助金問題検討会が開催され、農林水産関係の補助金につきましても所要の検討が行われたところでございます。昭和六十一年度予算における農林水産関係補助金補助率見直しは、こうした経緯のもとで昨年十二月の補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえ、関係閣僚会議の決定に基づき行ったものでございます。
  155. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、厚生大臣、この三大臣の覚書に基づいて学識経験者等によるところの補助金問題検討会が設けられて、昨年の五月の末から十二月までの半年間で計十二回の検討会議を開いて、昨年の十二月二十日にその報告書が政府に提出をされております。そこで、これを受けて政府部内に設けられていたところの補助金問題関係閣僚会議が、昨年の十二月二十一日に「昭和六十一年度以降の補助率あり方については、十二月二十日提出された補助金問題検討会の報告を最大限尊重することとし、その趣旨を踏まえて、予算編成を行う」との決定をしております。その結果、補助率の引き下げが行われたわけでございます。  これが六十一年度の補助率引き下げの経緯でありますが、そこでもとになるのは補助金問題検討会の報告でございますが、これを読んでも、三大臣覚書で言うところの国、地方間の役割分担費用負担見直し等についての十分な検討が行われたとは到底思えない部分もあるわけでございます。  例えば、大口の補助金である生活保護費の補助率に、ついては、三分の二が適当であるとか、いや従来どおり十分の八が適当であるとか、見直しに努力するとか、このようないろいろな表現が使われているわけですが、現在の生活保護費の補助率について、国、地方間の役割分担費用負担あり方の十分な検討がなされた結果こうあるべきだという具体的な指摘が全くなされてないのではないか、私はこのような気もするわけでございます。これで果たして、生活保護補助率について三大臣覚書に言う検討がなされた、このように言えるのか。それとも厚生省は、独自の機関でこの問題についての検討を行われたのか。この点はいかがですか。
  156. 今井勇

    ○今井国務大臣 まず、補助金問題検討会のことに御言及がございました。補助金問題検討会におきましては、生活保護というのは国民の最低生活を保障するものでありまして、今後とも機関委任事務として残すことが適当であるということ、また、その補助率につきましては三分の二とする意見と十分の八とする意見があったこと、さらにまた、今回の措置は暫定的なものとすべきことが報告されているわけでございます。それで、この検討会におきましては、今国と地方役割分担とか費用の負担見直し等を行うという観点からいろんな検討が行われたところでありまして、生活保護補助率あり方についてもやはり三大臣の覚書に沿った検討がなされたものと私は理解をしております。また、さらに詳細を申し上げますならば、補助金問題検討会では、三大臣覚書の趣旨に沿って、国と地方の間の役割分担費用負担あり方等につきまして、地方公共団体の代表者も参加して、しかも、十二回にわたって幅広い見地から真剣に検討を行って、その結果を報告書としてまとめたものだと私は理解をいたしております。
  157. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、検討会では確かに問題点等の指摘はあるけれども、要するに結論が出なかったということではないかと思うのですね。そうだとするならば、三大臣覚書の要件を全く満たしていないことになるのだから、六十一年度以降の生活保護費の補助率は、五十九年度までの十分の八に戻るのが当然ではないか、こう思うわけでございます。にもかかわらず六十年度の補助率のままに据え置くとするのでは、逆に三大臣覚書の趣旨に反するのではないか、このように思うわけですが、厚生大臣いかがですか。
  158. 今井勇

    ○今井国務大臣 今回とられました措置というのは、国と地方役割分担を含めました政府部内での十分な検討の結果とられたものでございまして、六十年度の補助率の単純な延長ではないと私は思っているわけでございます。したがいまして、三大臣の覚書に違反するとは考えておりません。
  159. 吉井光照

    ○吉井委員 農水大臣にお尋ねしますが、公共事業の補助率については、検討会の報告には、「公共事業の事業費の確保の見地から公共事業の財源対策の一環として、暫定的に補助率見直しを行う」としておるわけですが、しかし、これでは事業費確保のために補助率を見直そうとするものであって、三大臣覚書に言うところの国、地方間の役割分担費用負担あり方からの検討が行われたのかどうか、私は疑問に思うわけです。農林水産省にしても公共事業はあるわけですから、事業費確保のための補助率引き下げでは、その三大臣覚書で言う検討がなされたとは言えないのではないかというふうな感じもするわけですが、いかがですか。
  160. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 農林水産関係公共事業につきましては、他の公共事業と同様に事業費を確保するという要請をも踏まえまして、今後三年間の暫定措置として、二分の一を超える高率補助率の引き下げ措置を講じるものとしたところであります。この場合、三大臣の覚書に基づきまして設けられた補助金問題検討会の報告におきまして、事業費の確保の見地をうたうとともに、現行制度の根幹を踏まえ、国の施策としての重要度等を勘案をすると提言されておりますことから、この趣旨を踏まえまして、まず第一には、国の責任において施行する直轄事業については引き下げ幅の拡大を行わない。二番目としては、事業種目の特性等に応じて設けられている補助率の格差を維持する等の考え方によりまして措置したところであります。  なお、農林水産関係公共事業費につきましては、一般公共事業全体で対前年比五百三十四億円増、すなわち二・三%の伸びとなっております。     〔中西(啓)委員長代理退席、福島委員長     着席〕
  161. 吉井光照

    ○吉井委員 では大蔵大臣にお尋ねをしておきますが、さきにも述べましたように、当時の古屋自治大臣は、六十年中に補助率あり方について国、地方間の役割分担等を検討することを三大臣の覚書で確認したから、順序は逆になりますけれども、その検討なしで六十年度の補助率引き下げにやむを得ず応じたということを委員会でも再三答弁をされているわけであります。しかし、その三大臣覚書に言う検討補助金問題検討会の報告に述べられているような程度のもので果たして本当に検討がされたと言えるのかどうか。まさか三大臣覚書は、補助金あり方について検討さえすればよいので、結論は出なくても六十一年度以降の補助率引き下げはできるという趣旨ではないと私は思うわけですが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  162. 竹下登

    竹下国務大臣 よく法律を提出いたしますときに、審議会の議を得なければならぬ、その場合、お願いして、議がまとまらなかったという議を出してくださいというようなことを言った覚えが私も、この問題ではございませんけれども、例えば国家公務員等共済の国鉄救済の法律をつくるときにそんなようなことまでお願いしたことがございますが、それは法律に基づいて答申をちょうだいしなければならぬ、その答申が議まとまらずの答申であったということでございますが、このたびは、そんなことを前提に置いて毛頭考えることもなく閣僚会議検討会にお願いをしたわけであります。  実は、先般も御要望がありまして、検討会の議事録を出せぬかという話もありまして、これは私がアメリカへ行っている間に勉強してみてくれと事務当局に申しました。それで、きのう帰りまして、国会が済みましてからいろいろ検討の結果を報告を聞いてみたわけでございますが、検討会というのは、一つ一つのテーマごとに、何と言いますか、行きつ戻りついろいろな議論をなされておりまして、終局してみると、この検討会で出された意見というのが結局はこれに集約されておる。強いてもう少し書いたものを出すとすると、順序でもかえるぐらいなことになってもまたかえって非礼に当たるということで、結局報告と同じような内容にならざるを得ないなということで、新しくこれの順序を入れかえたりするような検討経過をお出しすることは御勘弁願おう、こういうことにしたわけでございます。  したがって、いわゆる補助率体系の簡素化についてということになるときちんと書かれておって、その総論、各論、さらには議論の過程で出された少数意見等が記述されておりまして、結果的に見ればこれでかなり深みのある議論をしていただいたというのが読み取れるのではないかというふうに感ずるわけでございます。  ただ、御指摘がございましたとおり生活保護のところは、「その補助率としては、補助率の体系的な見直しの観点から三分の二とするのが適当とする意見がある一方、国の責任の度合を考慮して、従来どおり十分の八とするのが適当とする意見があった。」これだけは完全に両論併記になったことは事実でございます。それで、古屋さんと五十九年の終わりのときに議論しましたときには、本当に三個ばかり大臣折衝をやりましたけれども、いかにも詰めた議論にならなかった。したがって、一律アバウト一割、こういうことで、去年も本委員会へ出て本当に加害者被害者が座っているような感じがしまして、私もえも言われぬ良心の痛みを感じながらお答えをしておりましたが、今度の場合は、したがって地方自治体の村長さんも皆入っていただきましたので、その点についてはやはり三大臣合意に基づく検討ができたというふうに御理解いただけるんじゃないか。ただ、両論併記の部分を結局去年どおりにしたというのは、まさに政策選択であったから、ある意味において暫定という言葉を使わざるを得ないなという感じがしました一つの要因が生活保護の問題を去年どおり十分の七ということにしたところにもあったというふうに、私はそういう印象で今日も臨んでおります。
  163. 吉井光照

    ○吉井委員 今大蔵大臣から御答弁いただいたわけですが、いろいろな認識の違いというか、そういったものもあるようでございます。私は検討会でどのような検討がされたのかいろいろ当たってもみたわけですが、今までいろいろと述べてきたように余り具体的な検討まで行われていないような気がするわけでございます。したがって、地方団体にとっては重大問題であるところの補助金あり方について、国、地方間の役割分担費用負担あり方等の観点からきちっとこういったことが検討されて、その結果として補助率を引き下げざるを得ない、こう言うのであるならば地方団体もある程度の理解はできると思います。しかしながら、それなしに六十年度に引き下げられた補助率をただ単に据え置いたりあるいはさらに引き下げをしたり、また新しく引き下げをするというのでは国民の批判を一段と強く招くだけではないか、このようにも思います。  今回の一括法案でも三年間の暫定措置だとしている点は、これは言いかえるならばまさに検討が不十分で結論が出なかったことをみずから認めているのではないか。これでは一年前と事情は全く同じであるわけです。この際はっきりと、検討が不十分で結論が出なかったとはなかなか言えないでしょうけれども、国の財政事情でそうせざるを得なかったということを素直に認めた上で今後の対策を考えていくのがやはり行政の正しい筋道ではないかと思うわけですが、今後のこともございますので、もう一度大蔵大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  164. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、その補助率の体系の簡素化というのは一つおおむね結論が出た問題だな。すなわち、国及び地方公共団体が双方で等しく負担を分かち合う性格の事業は補助率は二分の一、それをベースにすると、その要素を勘案してより高い補助率は三分の二、より低い補助率は三分の一。いわゆる七〇%、八〇%あるいはという議論の体系は、整理して二分の一を基準に置いて三分の二と三分の一というようなことで区分したらいいというところまでは大体のコンセンサスであったと思うわけでございます。  したがって、基準としてそれに基づいて行ったわけでございますが、やはり生活保護のところは明快に、「その補助率としては、補助率の体系的な見直しの観点から三分の一とするのが適当とする意見がある一方、国の責任の度合を考慮して、従来どおり十分の八とするのが適当とする意見があった。」これはまさに、両論併記されたということは検討の結論が出なかったということになるわけでございますので、したがって政策選択としてどうするかというので、財政上かなわぬから去年どおりに十分の七という、総論の原則とは違った書き方でことしも三年間お願いしようという結論になったわけでございますから、この点については私は政策選択の上でやむを得ず財政事情でこうしましたということを素直に申し上げていいのじゃないかと自分で思っておりますし、それが暫定の一つの要素になったとも考えておるところでございます。
  165. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、今回の補助率引き下げ措置は三年間の暫定措置でございますが、昨年の検討会の反省の上に立って、今後補助率あり方について今度はいつごろからどういう方法で検討されるのか、それはもうおわかりですか。
  166. 竹下登

    竹下国務大臣 一応私は、六十一年度以降の補助率見直しということで検討会等においては国と地方との間の役割分担費用負担あり方等についても十分検討を行っていただいた、その検討の結果を踏まえた補助率総合的見直しである、こういうふうに位置づけております。だから、六十年度のように補助率あり方を一年かけて検討しますからという暫定措置とは性格が異なっておると思います。  重ねて申し上げるようでございますけれども生活保護については両論併記があったことは事実でございます。したがって、六十四年度以降の補助率の取り扱いについては、今後の諸情勢推移それから国と地方財政状況等を勘案しながら、結論から申しますと、その時点において関係省庁とともに協議の上適切な対処をしていかなければならぬ、この既存の補助金あり方というのは毎年毎年絶えず問題として見詰めていかなければならぬ課題だというふうに考えておるところでございます。  一つは、私の念頭に幾分か存在しておりましたのは、国、地方の税のあり方というものの答申もそのうち出てくるな、こういうことも念頭に置いておったことは事実でございます。
  167. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、補助率引き下げの代償措置について総務庁長官にお尋ねをしておきたいと思うのです。  補助率引き下げによって地方団体は本来国が持つべき負担の転嫁を受けて、その結果財政の硬直化がますます進行し、財政運営にも当然支障が生じて何のメリットもないわけです。ところで総理は、一昨年の九月、高率補助率の引き下げの見返りとして国の権限の地方委譲を自治省に指示をされたわけでございます。この点については昨年の二月二十六日の予算委員会での私の質疑の中で総務庁長官が、確認の上で行革審で権限委譲の答申を出してもらうとの答弁があったわけです。そしてそれを受けて先般国会に提出された地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案、これによりますと、機関委任事務で廃止が十、それから団体委任化が三十三、市町村への委譲が五、国の許認可権限の地方委譲で十一の事項が改められたにすぎないわけでございます。これは、かねてから提出されておるところの約二百項目に及ぶところの地方団体からの要望事項からすればほんのわずかとしか言えないわけです。補助率引き下げによる地方負担増は、六十年度で五千八百億、六十一年度で約二倍の一兆一千七百億に上りますが、その見返りがたったこれだけ、こう地方自治体では言っているわけです。果たしてこれで先ほどの総理の指示を十分に満たしていると言えるのかどうか、長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  168. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは相当やっておるわけであります。さきの話にさかのぼってちょっと恐縮ですが、機能分担の適正化を図るために、五十八年には簡素合理化法によって四十四事項の機関委任事務の整理合理化をやった、それは御承知のとおりです。それから昭和六十年には、国の関与しておる必置規制の整理合理化法によって五十事項の整理合理化を行ってきたわけでございます。  そこで、御指摘の国、地方を通ずる許認可権の一昨年の総理の指示に基づいて、六十行革大綱によって行革審に審議を求めることとしたわけですが、自治省地方公共団体等から権限委譲等の意見、要望が出ているものを総ざらいして審議したというものでございます。その結果、昨年七月に行革審から機関委任事務の整理合理化及び地方への権限委譲として個別に指摘があり、今回の機関委任事務一括法案では、そのうち当面法律改正が必要な機関委任事務の整理合理化五十事項及び地方への権限委譲十一事項、これは全体で四十三法律を盛り込んでおる。そんなに小さいものではございません。なお、政省令等の改正によって措置が必要な七十二事項についても、九四%に及ぶ六十八事項がこの四月中までに措置される予定となっておるわけであります。  国、地方を通ずる許認可等の見直しについては、今国会に提出しておるこの法律改正を初めとして、今後も、こんなにあるのですから私は委譲すべきものはもっと委譲したらいいと思うのですね。これは総務庁として旺盛に努力をし、御期待にこたえるようにしてまいりたいと考えております。
  169. 吉井光照

    ○吉井委員 大蔵大臣にもう一点お尋ねしておきたいのですが、補助金の交付手続の問題です。これは非常に複雑煩瑣、地方団体の足かせとなっていることは周知のとおりでございます。高率補助率の引き下げを初めて打ち出した六十年度予算の概算要求の閣議了解、これは五十九年七月三十一日ですが、引き下げと並んで新たに交付手続の改善、こういった項目が入っていたわけでございます。ところが、実際には高率補助率引き下げだけが強行されて、肝心の交付手続の改善には結局手がついていない、現在まで放置されたまま、このように思います。閣議了解の際交付手続の改善が入っていたのは、やはり高率補助率の引き下げを地方に納得してもらうための単なる方便にしかすぎなかったのかということも言われているわけですが、大蔵大臣いかがですか。
  170. 竹下登

    竹下国務大臣 簡素合理化につきまして、各省庁に執行面でさらに工夫をしてくださいませということで補助金等適正化中央連絡会議、こういうものを直近におきましては先月の二十八日に開いておりますが、これでもって各省庁のいわゆる執行面での工夫をしていただくということでございます。  これは、どうでもやらなければならぬことでございますから、今のところ、提出部数の削減とか提出書類の一部廃止とかヒアリングの回数を減すとか、そういう簡素合理化を推進してきております。実際、これだけの事務量がかかったとか、それを金目に計算してその金の方がちょうだいする補助金より多かったとか、大変ないろいろな指摘をいただいておりますから、場所としては補助金等適正化中央連絡会議というのがございますが、各省でその方針に基づいて、ヒアリングの回数、提出書類の部数の削減、提出書類の要らないものをつくるというようなことは、これからも目の細かい配慮で進めていく課題だというふうに、指導といいますかお願いをしておるということでございます。
  171. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと補足させていただきます。  御指摘の点は極めて重要であります。私自身も竹下大蔵大臣代理のときにもお答えしたように、これは簡素化しなければいけませんね。  そこで、昨年の十月から十二月にかけて補助金事務手続の簡素合理化を進めるための行政監察をやったわけです。これは目下全国の行政管区から集めております。それから、全県にある行政事務所の報告も取りまとめ中でございます。したがって、今ここで御報告はできませんが、間もなくまとめまして近く御報告のできるようにしたいということで、旺盛に事務を促進しております。取りまとめの結果、改善を要すると認められる事項については厳しく関係大臣に対して勧告をする、そうして補助金事務手続の簡素合理化をぜひ推進するように御期待にこたえたい。これは決意を申し上げる次第であります。
  172. 吉井光照

    ○吉井委員 長官から非常に強い決意をお伺いしたわけですが、いずれにいたしましても、総務庁の六十年度の行政監察計画の中の一つの大きな柱がこの補助金事務手続の簡素化になっておるわけでございますから、長官の御決意どおりにこの問題をどんどん進めていただきたい、このように強く要望するわけでございます。  自治大臣補助金の交付手続の簡素化、これは地方団体から非常に強く要望されているにもかかわらず、先ほどからお話がありますように、改善されていない。これは単に地方団体の人手を食う、時間を食う、銭を食うということだけにとどまらず、事実上、非常に言い方が悪いかもしれませんが、地方行政に対する国の関与の最強の手段になっているのだ、このように言われているわけです。したがって、補助率引き下げの代償としてせめてこのくらいのことはやるべきであって、それが補助率引き下げによって生じた国、地方間の信頼関係を回復する一つの道ではないか、このようにも思うわけですが、最後に自治大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  173. 小沢一郎

    小沢国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、地方団体意見あるいはいろいろなアンケート結果を見ましても、最大の問題として取り上げられておる問題であります。これはそれぞれの必要に応じて各省庁において定められておるものであるとは思いますけれども、そういった形で必要以上に複雑な手続が要るということは、現実問題として自治体においても大変苦労をいたしておるところだと思います。  総務長官の御発言もありました。我々自治省といたしましても、積極的に各省庁とも協議をいたしまして、その簡素化、必要以上の干渉にわたらないように、御指摘の点を踏まえまして今後も最大の努力をいたしたいと考えております。
  174. 吉井光照

    ○吉井委員 では、以上で終わります。ありがとうございました。
  175. 福島譲二

    ○福島委員長 森本晃司君。
  176. 森本晃司

    ○森本委員 今回の補助率一律カットに関しまして、私は数度質問をさしていただきたいと思うわけでございます。  私は、社会労働委員会の所属でございますので、主に福祉後退についていろいろと質問をさしていただきたい、このように思うわけでございますけれども、今回また三年連続補助率カットという状況を見ましたときに、昨年この一律カットをするときに、六十年度限り、この一年度限りと、もう数多くの大臣がその発言をされていた。それにもかかわらず、それに対する十分な措置がされずに、今度は三年も続いて連続で一律カットをやるということを今決めようとしている。しかも、六十年度五千八百億円であったものが本年度からは一兆一千七百億円になる。こういう状況を私は見ましたときに、一体今回の一雄カットの持つのは何だろうかということを思わずにいられない。  行政改革、行政改革と、中曽根総理が「戦後政治の総決算」であり行政改革をやるということを述べてまいりましたけれども、この結果を見たときに行政改革とは一体何なのか、それは国のとばっちりを地方へ持っていくことにほかならないんじゃないか。要するに国の借金をそのまま今度は地方へ持っていくということになってくる、責任の負担を転嫁しているだけにすぎないなというふうに思うわけです。     〔福島委員長退席、小泉委員長着席〕 きょうも総理が本会議の席上で、それは地方自主性とかあるいは事務の簡素化、合理化というふうにおっしゃっておりましたけれども、そんな美しい形ばかりじゃなしに、実は一律カットで地方に責任をもたらすものでありますというふうにはっきりと申された方がまだよりわかりやすかったんではないだろうかというふうに私は思うわけでございます。  同時に、どうしても守らなきゃならない福祉のところまで一律カットがぐっと食い込んできている。特に生活保護の問題、これは後でまた厚生大臣の方に御質問をさしていただきたいと思いますけれども、そういう状況になっているというところから見まして、私は、今回のこの一律カットを三年間続いてまたやっていくということは、まさに六十年度行ったことは無能そのもので、それをまた三年間続けていくということにほかならないのじゃないか、このように思うわけでございます。  そこでまず、この一律カットで地方自治体が一番苦労するという状況でございまして、その声が一番寄せられている自治大臣にお尋ね申し上げたいわけでございます。  百二国会で参考人として出席された福井市長が、要するに、国庫補助負担率の一律引き下げについては断固反対だ、そして、六十年度限りとすることを厳守してもらいたい、また、「今後このような国と地方の信頼関係を損なうようなことは二度と繰り返されてはならない」ということを百二国会で強調され、訴えておられる。  さらに、六十一年度予算に関する要望を出した全国知事会が、「地方財政対策に関する要望」の中で、「行政改革と財政再建は、国・地方を通ずる行政の減量、簡素効率化を基本とすべきで、六十年度に行われた国庫補助負担率の一律引き下げによる単なる地方への負担転嫁は、明年度以降絶対に行わないこと。」ということが、六十一年度予算に関する全国知事からの声が寄せられている。  また、六十年六月五日、全国市長会議が、「六十年度予算においてとられた国庫補助負担率の引下げ措置は、地方への単なる負担転嫁にすぎず、行革の基本理念に反するばかりでなく、国と地方の信頼関係をも損うものであり、今後二度と繰り返すべきではない」。  自治大臣のところへは、そういった地方団体の長からいろいろと多くの声が寄せられている。この声の寄せられ方にも、私思うのですけれども、大きな波が寄せられて我々のところへ電報がやってきたなと思うと、突然何かあったように沈黙してしまった時期もある。私は、これは一体どういう作用が動いているんだろうかというふうに疑問にも思わざるを得ない。  大臣としては、非常に各地方自治の皆さんからの声が寄せられているだけに、その声を聞いて一番苦慮されていると思いますが、今日までこうして寄せられてきた、あるいは要望があった、あるいは国会の中で意見陳述があったということをどう受けとめておられるか、お伺いしたいと思います。
  177. 小沢一郎

    小沢国務大臣 補助負担率の引き下げにつきましては、それによってもたらされる影響を一番こうむるのは地方公共団体でございます。したがいまして、先生御指摘のように、昨年来地方公共団体の皆さんからもいろいろと要望、意見が出されておりまして、私どももその点につきましては真剣に、深刻に受けとめておるところでございます。  今年の六十一年度予算につきましては、ただ単にいわゆる国から地方への負担転嫁ではないかというふうにおっしゃられますと、私どもといたしましても、いや、それは事務事業見直しも行い、また補てん措置も講じて、そしてその起債等につきましては今後の交付税の算定の中で十分見ていくつもりである、したがいまして、ただ単に負担転嫁をしたのではない、そう言わざるを得ないのでございますけれども、いずれにいたしましても、地方に大変御苦労をおかけしている。そしてまた起債、地方借金につきましては、その元利償還等につきましていろいろと今後地方財政の運営について大変厳しい状況になりつつあるということも事実でございまして、私どもといたしましては今後いろいろ、毎年度の地方財政計画の策定等を通じまして、これによって地方財政運営に支障を来すということのないようにこれからも地方意見を十分聞きながら具体的な個々の問題についても対処していかなければならない、そのように考えております。
  178. 森本晃司

    ○森本委員 国の借金地方に持っていったということは、私は免れないのじゃないかなというふうに思っております。  そこで、大蔵大臣、去年のとった措置について、きょうは今ここにいらっしゃいませんが、中曽根総理が、「一番大事な点は、地方の公共団体の皆様方とよく連絡を密にして、ご意見を十分承り、十分ご理解を得たうえで、両方が納得しつつ行う。そういう進め方が非常に大事であり、反省すべき点があったと思う」、こういうふうに述べていたことがあります。  果たしてこれは、今回地方の皆さんと十分にいろいろと意見交換がなされたのか、それから、総理大臣が反省すべきだと言ったのは、とにかく六十年度が通過すれば、それさえ過ぎればもう後は知らないという独特のやり方で今回もまたほおかぶりをして通り過ぎようとしているのか。  今、自治大臣から地方財政が非常に苦しいという話がございましたけれども大蔵大臣も非常によく御存じだと思うのです。今、地方財政借金はもうだんだんふえている一方で、公債費率は極めて著しく上昇している。危険ラインと言われる二〇%を超えている自治体が何と千二十七団体、もう既に三二%もある。総理が十分検討し、反省すると言ったけれども、現状はこれだけの三二%がもう二〇%を超えている比率の中で、果たして地方自治の人が皆さん納得し、また総理の反省に対してじゃあよろしいというふうにおっしゃった上で、大蔵大臣が今回の一律カットを決断し、そういう方向に持っていこうとされたのか。お伺いしたいと思います。
  179. 竹下登

    竹下国務大臣 昨年の九月九日の全国知事会議での総理の発言でございます。私も同席いたしておりました。「一番大事な点は、地方の公共団体の皆様方とよく連絡を密にして、ご意見を十分承り、十分ご理解を得たうえで、両方が納得しつつ行う。そういう進め方が非常に大事であり、反省すべき点があったと思うのでございます。」こういう御発言でございます。  確かに、五十九年の終わりに、いわゆる地方対策問題につきまして大臣折衝を三回かやりました。結局ここにつきましては両者の議まとまらず、したがって、一年間かかって本気に勉強しようや、だから一年間の暫定措置にしてその勉強の期間を与えてもらうということで、ことしはアバウト一律でお願いしようということに帰着したわけです。したがって、いつも申しますように、何か加害者被害者というような感じがした印象も残っております。そこで、知事会へ出て、やっぱり連絡が不十分でしたということを申し上げられた背景もそこにあったと思います。それで、五月でございましたか閣僚会議をつくりまして、それで検討会に村長さん、それから知事さん、市長さん、この代表の方も加わっていただいて、十二回議論していただいて出たものが今度の報告ということであります。  いわゆる両論併記があったことは再三申し上げるとおりでございますが、大筋まあ二分の一ということで刻もう、そして三分の二と三分の一というようなものが上と下とにまた存在するというような基本的な考え方から進めていただいた検討会の結論でございましたので、それを最大限尊重をした。したがって、物によって上がったものもございます、下がったものももとよりございますが、とりあえず一律という考え方ではなく、事務分担費用負担あり方という点を、自治体の代表の皆さん方にも集まってもらって検討会議論していただいたという意味においては、昨年度とらしていただいた措置とは基本的に違ったおるんではないかということで御理解を求めておるというのがきょう現在の実情でございます。
  180. 森本晃司

    ○森本委員 私、いつかどこかで聞き、あるいは読んだと思うのですけれども、よく大臣が地方と国とは車の両輪であるというふうにおっしゃっていましたけれども、どう考えても借金も一緒に車の両輪でいこう、そういう意味の車の両輪かなというふうに私は思い、また感じるわけでございます。実際に国からのとばっちりを受けた苦しい地方自治体、よく話し合いができて今度何とかやりましたというふうにはおっしゃいますけれども、この間決まった四十七都道府県の六十一年度の一般会計当初予算案を見ますと、非常に義務的経費が膨張して財政硬直化に拍車をかけているというふうな感じを受けるわけです。納得はしたけれども、現実に国のとばっちりが地方自治に行っているということは間違いないと思う。  きのうの朝日新聞を読みますと、「自治体予算苦しいやりくり」という見出しの記事の一番最後のところで、私の県の上田知事が、「補助・負担率の引き下げなど国の財政事情をまともに受けた厳しい環境の中で、節減合理化で行政水準の維持につとめた」と述べております。上田知事は物を言うのもおとなしく、しかも非常に穏健な知事さんでございますけれども、その知事さんが「まともに受けた厳しい環境の中で」というふうにおっしゃっている。本来ならばもっと厳しいことを言いたかったに違いない、あるいはよその県の知事さんだったらもっとおっしゃるかもわからない。その知事さんの感想が、所感が載っているわけでございますけれども。これは全国どこの地方自治団体でも、特に財政の困難な町村あたりになるともっともっとそんな思いがあるんじゃないだろうか。それが今度の六十一年度予算の中に縮図となってあらわれてきているんじゃないかと私は思うのです。しかも、国との話し合いで地方自治団体の長は納得せざるを得ない。なぜかというと、また予算もいただかなければならないからです。  ところが、またこの新聞の内容を見ますと、そのしわ寄せがどこへ行っているかというと、これはまた後の問題になってきますけれども、住民負担に行っているという点です。これを何とか補わなきゃならないと考えた長はどうしてやったかというと、使用料、手数料の引き上げ、公営住宅の賃貸料、美術館、博物館の入場料、県民会館や体育館などの公共施設の使用料、各種証明書発行手数料のアップ、それから老人ホーム、葬儀所、霊園の使用料、まさに揺りかごから墓場まで全部そういったものを住民の負担に持っていかなければならなかった。それで一生懸命頑張った、こういうふうに受けとめられるわけでございますが、今回のこの予算案、財政硬直化にますます拍車がかかっていくと私は思うわけでございますが、大臣が見られましていかがですか。
  181. 竹下登

    竹下国務大臣 今度の措置によるものは、いわば交付税出口ベースで無理したたばこなんかも含めまして措置はした。しかし、地方自治はあくまでも地方自治の原点に立たれるならば、硬直化した中でも恐らく単独事業を含むいろいろな施策を自治の本旨に基づいてやられるであろう。その場合、そういう各種の使用料、手数料等について、今御指摘なさったようないわば利用者の負担増とでも申しますか、そういうものが生じておるであろうということは私も問題意識としてはわかるという気がいたして、今お話を承っておりました。
  182. 森本晃司

    ○森本委員 直接補助率カットについては政府がまた措置を講じているから大丈夫だというふうな考え方があるかもわかりませんけれども、このしわ寄せがだんだん次へ次へと押し寄せていく、その結果そういう状況になった。私は別に風が吹いておけ屋がもうかるというところまでの長い話をしようというわけじゃありませんけれども、こういう状況の中からだんだん押されていくのは、やっぱり弱いところ弱いところへ押されていくんじゃないかと思うのです。  地方自治体の長とお話をさせていただいたことがありますけれども、特に市町村になってまいりますと、一番心配しているのは、社会保障、福祉、教育というところにそのしわ寄せがぐっぐっと押されていく。もう六十年度にその影響はあったと私は思います。だけれども、今六十年度に影響があったかどうですかと尋ねますと、いやまだ六十年度の結果が出ておりませんのでという答えしか返ってこないと思いますので、そのことについては問いませんけれども、今度の予算案を見ますとそういう形になっているところに、もう既に六十年度からその影響は出始めていると言っても過一言ではない、私はこう思うのです。  特にこれは自治大臣と厚生大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、こういうしわ寄せがやってまいりますと、例えば老人福祉とかそういったところの福祉施設の入所措置が機関委任事務から団体委任事務に移行されておりますが、補助金カットあるいは事務移行によりまして福祉の後退はあり得ないと思いますか、それとも、それもやはり影響を受けると思われるでしょうか、どうでしょう。
  183. 今井勇

    ○今井国務大臣 社会福祉施設の入所措置事務の団体委任事務化への対応でございますが、これは地方自主性を尊重し、地域のニーズに応じたきめ細かな対応ができるようにしよう、そういうものだと私はまず考えるものでございます。  そこで、じゃ今回の国と地方負担区分の変更に伴います地方負担増分をどうするのだということでございますが、それは地方財政対策として所要の手当てが講じられております。したがって福祉の水準というのは、確かに国の負担の分は減りますけれども、それに対応して地方財政対策としては所要の手当てが講ぜられておるわけでございますから、福祉水準の低下を招いたりあるいは事業の実施に支障を生ずるというふうには私は考えていないものでございます。
  184. 小沢一郎

    小沢国務大臣 福祉の水準については厚生大臣からお答えありましたが、今回の補助負担率の引き下げにつきましては、先ほど大蔵大臣お話にもありましたが、いわゆる国と地方負担比率の問題でありまして、給付水準の切り下げというものではないわけであります。その点につきましては、地方負担増については地方交付税等を通じまして私どもとしてはできるだけ十分な措置をしておるつもりであります。しかしながら、先ほどの答弁の中でも申し上げましたが、年々地方財政も窮屈になっておりまして、大変厳しくなっております。そういう状況の中で、先生の御指摘のように財政のいろいろなやりくりの中からそれが結果として住民の負担増という形になっていっては、これは本来の趣旨ではございませんので、そういう点につきましては、私ども自治体状況を十分把握しながら対処していかなければならない現実の問題であると考えております。
  185. 森本晃司

    ○森本委員 今は厚生大臣、所要の手当てが講じられているからまず大丈夫だというふうなお答えをいただきまして、さらにこれから所要の手当てを講じてもらえるものだと。そうでないと福祉は大きく後退してくる。今井大臣は、大臣になられる前から委員会が御一緒でございましたので、人柄については非常に慈悲深い方だというふうに今日まで私は認識しておりますが、本当に所要の手当てをきちんと講じていかないと、慈悲深い大臣が厚生大臣のときに老人いじめから子供いじめまでやった、弱い者いじめをやったと、大臣にそういう汚点を残してもらわないためにも頑張ってもらわなければならないと私は思うわけでございます。  これから生活保護法の問題についてお伺いしたいわけでございますけれども、今回特に生活保護費が議題に上がって、テーブルに上がってまいりましたときに、よくいろいろな意見がまた新聞等等で流れてまいりました。その中でよく聞いた話は、生活保護の問題については厚生省は物わかりがよ過ぎる。自治省は大変頑張っている、自治大臣が頑張っているという流れで。ところが厚生省は物わかりがよ過ぎる、今度厚生省は沈黙を保ち続けたんだというようなことが一部論調にはあった。これも今井大臣の時代にそういう汚点を残してもらったら困るなと私は思っておるわけでございます。  生活保護費の問題、まず自治大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、昨年十二月十三日に出されました地方財政審議会の「昭和六十一年度の地方財政についての意見」には「生活保護行政については、今後とも国の責務として実施されるべきものと考えられるので、国と地方との負担割合は変更すべきでない。」また補助金問題検討会の報告、六十年十二月二十日、ここに、先ほどちょっと大蔵大臣もおっしゃっていただきまして、いろいろ意見があるということでございましたけれども、「三分の一とするのが適当とする意見がある一方、国の責任の度合を考慮して、従来どおり十分の八とするのが適当とする意見があった。」と記されております。  この生活保護費の問題でございますが、自治大臣、「国の責務」あるいは「国の責任」という限り、国民の最低生活の保障という問題から生活保護の今回の削減についてはどう考えておられるか、どうでしょうか。
  186. 小沢一郎

    小沢国務大臣 生活保護の問題につきましては、検討会においてもついに結論を得ることができず両論併記となり、予算編成の最終の段階で、たばこ消費税という、地方への自主財源というような処置まで講じまして暫定的に十分の七ということですることになったわけでございますけれども、私どもといたしましては、これについてはいろいろな考え方があるとは思いますけれども生活保護、生活最低水準の保障という点につきましては社会保障制度の基幹でもございますので、より国の重い責任を分担すべきではないかという主張を従来ともいたしておったわけであります。今後さらに、特にこの生活保護を中心にいたしまして、いろいろと役割分担議論等を通じまして関係省庁で詰めることになると思いますけれども、私どもといたしましては基本的にはそのような考え方に立ちながら今後さらに検討をしてまいりたい、そのように、考えております。
  187. 森本晃司

    ○森本委員 自治大臣、もう一度お尋ねしたいのですけれども、今後さらに検討していきたいというお話がございましたけれども、今後さらに検討というのは、この三年間やるだけやって、三年後に検討しようというのですか、それとももっと早い時期から検討して、もし早い時期からいけるのであれば、今三年間と決めようとしているけれども一年でも早く十分の八に、本来の姿に戻そうという考え方なのか、十分の八が本来の姿だと自治大臣は思っていらっしゃるのか、お伺いしたい。
  188. 小沢一郎

    小沢国務大臣 これは一応三年間の暫定措置ということになっておりまして、その間にこれをいろいろ検討して結論を得るということであろうと思います。したがって、私が申し上げましたのは、その検討の中にありまして、私どもといたしましては生活保護費最低水準を保障する、これは国のより強い責任が求められておるものであるという考え方に立ってこの検討をいたしたい、検討に臨みたい、そのように思っておるところであります。  したがいまして、それが検討の結果従来のような十分の八でいいのか、あるいは十分の九にしなければいけないのか、あるいは、いやこれは国と地方はもっと負担が平等の、例えばもう少し少なくてもいいのか、いろいろな議論はあると思います。しかし、私どもとしては今申し上げたような考え方で今後の検討をいたしたい、そのように思っております。
  189. 森本晃司

    ○森本委員 今ここで大臣が十分の八にするとは言えないけれども、私は今の言葉の端から、大臣はやはり十分の八にすべきだと思っておられるというふうに受けとめさせていただきたい。  それから、大臣の話の中に、国と地方負担を公平にするというふうな意見がいいかもわからないという御意見がちょっとございましたけれども、この生活保護費という問題については、これは国が直接行っている最低のことでございますので、私は断じて今よりも下がるようなことがあってはいけない、どんなことがあっても。もう一度また若き自治大臣のもとで十分の八にまでぐっと戻して、生活の一番最前線の人たちのことを本当に守ってあげていただきたいというふうに強く要望しておきます。  それから担当所管である厚生大臣、先ほど来申し上げました生活保護の問題でございます。憲法第二十五条の最低限の国民生活の保障、これはもういかに経済情勢が変わろうとも国の果たすべき使命である、今日まで生活保障の行われてきた戦後の経緯を見ても私はそのように思うわけです。しかも、国が直接行う数少ない福祉の中での大事な行政の一つである。私は、まず厚生大臣が十分の八を守るべきだというふうに声を大にしてもう一度隣におられます大蔵大臣に申し上げていただきたいと思うわけです。  先ほどの厚生大臣の回答の中で、所要の手当てが講じられているので守られている、守られていくと思うという大臣の回答でしたけれども、大臣、実態は決して不変状態ではないですね。生活保護費が削られていくと、絶対に不変とは言えない。なぜかというと、それは地方財政が苦しくなってまいりますので、受給者の抑制につながってくる。それから、生活保護の引き締めが始まると私は思う。また、その波及効果が出て、今度はそのほかの福祉にまで大きな影響が出てくると思うのです。私は、暫定措置を講ずるから影響が出ないということはあり得ないと思います。ここで厚生大臣がぐっと踏ん張らないといけない。要するに、これをいろいろ決めていくときに厚生省が沈黙を守っておりました。そうすると、生活保護の事務を行っておられます前線の地方の事務官、事務をやっておられる方々は、ここで厚生省が踏ん張ってくれなかったらやる気も出てこないじゃないですか。厚生大臣、生活保護、これはもう何としても大臣に踏ん張って守ってもらいたい。
  190. 今井勇

    ○今井国務大臣 まず、今回の措置になりますまでのことでございますが、今回のこの措置というのは補助金問題検討会におきます検討結果を踏まえて国と地方負担割合を変更するものでございますが、それに伴います地方負担につきましては、先ほど申し上げたように所要の地方財政対策を講じておるものでございますから、少なくとも憲法二十五条の精神に反するものではない、私はこう思っております。  そこで、今の生活保護補助率の問題でございますが、これはいろいろないきさつがありました結果、六十一年度から六十三年度の三年間は十分の七ということで決まりまして、そのときに、その後のあり方については改めて大蔵、厚生、自治の三大臣が協議して決めようということでございますから、この閣議の決定をそのまま受けとめまして、私は、三年の間は十分の七としまして、その後のあり方についてはこの文言どおりに協議して決めてまいりたい、こう思っております。
  191. 森本晃司

    ○森本委員 大臣、この生活保護費の問題、今後の措置についても、私は厚生大臣の踏み込んだ姿勢をぜひ示してもらいたい。それが実務に当たっている皆さん方のまた励みにもなっていくし、一番困っている人たちの励みにもなっていくと思うのです。生活保護費を受給されておられる方々というのは、確かに生活保護費の問題を論じ始めるとすぐに不正受給の問題が出てくるわけでございますけれども、それはその問題であって、本当に苦しんでいる人にとってはこれは大事なものである。そういう人たちにとってはちょうど水や空気のようなもの、もうなくてはならない存在になっている。国会議員の私たちもバッジを取り上げられれば何にもできないというふうな状況と同じように、生活保護の皆さんも本当にその人たちの生活の中で水、空気と同じようになくてはならないものである。そういう状況考えましたときに、厚生大臣、今後ともこの生活保護費だけは絶対に後退をさせてはならない、真に困っている人には十分その手当てが行くようにしなければならない。  また同時に、今度生活保護費が、わずかでございますけれども四月からアップされることになります。アップされますと地方財政もまた苦しくなっていくという状況。だけれども、アップはわずかですけれども、することはしなければならぬ。そのしわ寄せが他の福祉行政に行かないように大臣頑張っていただきたいと思いますので、もう一度大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  192. 今井勇

    ○今井国務大臣 先生の切々たるお気持ちはよくわかります。しかし、私も厚生行政を預かっております責任者でございますし、また、この生活保護に係ります補助率の問題につきましては過去のいきさつもあるわけでございますから、やはりその関係閣僚会議の決定の趣旨を踏まえていくのが厚生大臣としての私の務めであろうと思っておりまして、先生の御趣旨を踏まえまして今後とも心してまいりたいと思います。
  193. 森本晃司

    ○森本委員 この問題、かくも私が取り組むのは、私の青春時代の体験でございます。今こういう立場にさせていただいておりますけれども、おやじが戦争で二歳のときに亡くなって、家を焼かれて、そして高校のときに今度は母親ががんになって倒れた。まさにもうどうしようもない生活の状況の中に置かれたそのときに、親戚やいろいろな人から御支援、御援助をいただいたわけでございまして、そのおかげで今日があるわけでございますけれども、そういう生活体験から考えてみると、本当に生活に困っている人たちに対して政府の強い強い、この人たちは断じて守っていくんだというその活力が、また地方自治の繁栄になり国の繁栄にもなっていくんだ。地方自治が繁栄して国が繁栄する、これがまさに車の両輪だ、地方と国との両輪なんだというふうに考えていきたいと思います。  今いろいろと厚生大臣に訴え、要望いたしましたけれども、臨調の中で大変な論議を呼んだ生活保護の問題でありますので、私も負担の割合を変更すべきでないというふうに思っております。ところが、検討会を設置して物すごく検討したかのように論じながら、これはある意味ではごまかしに近い検討会であったのではないかと思いますが、そういう形になっていったということ、この生活保護費の問題、これは台所奉行でございます大蔵大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  194. 竹下登

    竹下国務大臣 生活保護費が憲法二十五条に基づきまして一番問題になりましたのは、占領下の予算のときだそうでございます。当時担当であられた方が、今の国会にいらっしゃる奥野誠亮先生なんかが当時課長さんでございますか、そのくらいでございましょう、というような話も、これは先生と選挙区も一緒でございますが、私、文献を見ましたらそういうものが出ております。予算の際にだしか大蔵省でおよそ二億と思っておって、あるいは妥協点が九億でございましたか、そうしたら占領軍からぽかんと三十億と言ってきた、こういうようなことも書かれてあります。  そこで、当時はまさに、終戦直後は全額国費であった場合もございます。それから、戦争中は半半であったこともございます。そこで、いろいろな議論をしてこの八割というものに決まって、大変な文献の厚さだというふうに私も聞いております。したがって、そのことは基本的に大切なことであるということも私も十分認識しておりますし、今度も、今も御意見がありましたようにスライドもしてまいって、総体的に年百九十万弱になるのでございましょうか、いつも感じますのは、学卒初任給の単身者の月給と四人世帯の基準とが大体一緒だなというふうに私は見ております。したがって、今自分の体験から通じてお話しになりました、本当に困っておるといいますか、これに対しては本当にきちんとした対応をすべきであるという考えは、私もまさしく同感でございます。  とかく我々財政当局でございますと、今いみじくも不正受給ということをおっしゃいましたが、その点から問題をとらえるのは私も正しくないと思っております。何で千人当たり四十人の都道府県が存在し、何で千人当たりだった三人の都道府県が存在するのだろうかというときには、若干の懸念を私も感ずるということもございますので、その執行に当たっては、これは厳正にあるべきであることは当然でありますが、初めからまず財政の都合ありきというだけでこれを見ていくべき性格のものではなかろうという認識は私なりにも持っておるつもりでございます。
  195. 森本晃司

    ○森本委員 そこで、厚生大臣、これからきちっとしたものを厚生省が持っていないとだんだん切り込まれていく可能性も出てくる。だから、福祉の問題ですけれども、守らなければならない生活保護費の問題をこのままにしまして、これからだんだん高齢化社会に入っていく、情報化に入っていく、産業構造の変化がある、そういったところで国庫負担を削減していくというぐあいになると、ナショナルミニマムの安易な切り下げが行われはしないんだろうかというふうに思うわけです。したがって、福祉ナショナルミニマムを厚生省として明示されることが必要ではないだろうかというふうに私は考えるわけでございますけれども、いかがでございますか。
  196. 今井勇

    ○今井国務大臣 社会保障と申しますのは、国民が生涯を通じて生活の安定を図るための基盤であります。したがって、年金とか医療などの国民の基本的なニーズに対応していくことがナショナルミニマムの確保となるものと私は考えております。  そこで、年金にしても医療にしても一体どうあるべきであろうかということを私どもは今いろいろ省内でも詰めておりますし、また、皆さん方にもいろいろ御意見を承っておるところでございます。そういう意味では、これからの医療、年金といった基本的なもの、それをきちっと踏まえましてどうなるか、どういうふうな形になっていけばいいのか、どのくらいにすればいいのかということを私どももきちっと考えてまいりたいと思っております。
  197. 森本晃司

    ○森本委員 じゃ昨年、増岡厚生大臣のときに社会保障特別会計の設置についてという増岡試案が出されましたけれども、今度大臣になられました今井厚生大臣はどのように考えておられるのか、御意見をお伺いしたいと思います。
  198. 今井勇

    ○今井国務大臣 先生御案内のように、この社会保障予算につきましては、高齢化が進みますことや年金の成熟化などによりまして、毎年ともかく相当規模の当然増があるわけでございます。そこで、こういった社会保障予算について一般会計から切り離して、社会保障に関します給付と負担の関係を明確に示すということは極めて示唆に富んだ考え方で、増岡前大臣もそういう構想を言われたわけでございますが、私もその考え方についてはまことに同感でございます。  ただ、問題は、国の財政構造全体にもかかわることでございますし、今後の社会保障の進め方にも大きくかかわる問題でございますから、この考え方を含めまして幅広い角度から検討を行っていくことが必要であろう、こういうふうに考えているものでございます。
  199. 森本晃司

    ○森本委員 この問題は、きょうは時間ございませんし、また社会労働委員会でいろいろと考え方、御意見を伺ってまいりたい、このように思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、私の先輩でございます坂口委員が先般この問題について、この特別会計制度になって目的税が取られるようなことがあってはならない、断じて住民負担にならないようにということがございましたけれども、私もそのことを強く訴えておきたい、そのように思う次第でございます。  それから、今度特別措置、これは大蔵大臣にお伺いしたいわけでございますけれども、建設地方債六十六年度以降四百億精算というふうになっておりますけれども、六十六年度以降精算するもので二千八百億ほどあるようにも伺っているわけでございます。また、もう一つは、六十六年以降検討という二千四百四十億円。日本の国だから払ってくれるだろうと思うわけでありますけれども、それはそう思わざるを得ないわけでございますが、これは非常に不確実な問題ではないかな。地方にどんどん借金の前借りをさせているように感ずるわけでございます。  もう一点、時間がございませんので、済みません。たばこ消費税二千四百億円、税調を通らずに決定になって、その後でお話があったようでございますけれども、これは非常に遺憾なことで、まるでだまし討ちのような手のうちでございましたけれども、たばこ消費税一つの突破口として、地方財政が困難だから、こういうぐあいに持ってくるということで大型間接税をいろいろと導入しようということをもくろんではいらっしゃらないと思うのですけれども、いかがでございましょう。
  200. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初の「二、四四〇億円に相当する額については、今回の補助率の引下げ措置等が昭和六十一年度から昭和六十三年度までの暫定措置であることにかんがみ、暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、その取扱いについては、」「暫定期間終了後、両省間で調整するものとする。」こういうことになっておりますから、まさに読んで字のごとく御理解をいただきたいと思っております。  それから、たばこ消費税の問題につきましては、確かに手続上法律が通ったから言うという意味ではございませんけれども、私自身も寝覚めがいいことではございませんでした。最終的にどうするか、こういうところを税調が済んだ後からぎりぎり決着を迫られ、赤字公債の増発でいくか、あるいは何か財源を求めるか。そこでたばこ消費税、こういうところへ着目をして、だから事後了解、こういうことをとらざるを得なかったわけでございます。  ただ、たばこ消費税の将来がどうなるかという問題になりますと、税制調査会でどう議論されていくか。それは粗っぽい議論として、たばこは「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と書いてあるからもっと高くしたらいいじゃないか。例えば倍にしますと、二百円のたばこを四百円にしますと三兆円入るじゃないか、こういう議論をする人もございます。それなら半分ぐらいはやめるから、それでも一兆五千万円じゃないか、こんな議論があったこともございますけれども、そんなに安易に手をつけようなどとは考えておりませんので、抜本策に検討をゆだねるべきではなかろうか。そして、この措置がことしとられた一年間のまさに臨時異例の措置でございますが、今度は六十二年度の地方財政計画の場合は別途、いわゆるマクロではきちんとした地財計画に御協力を申し上げなければいかぬということは申すまでもないことでございます。
  201. 森本晃司

    ○森本委員 今度の補助率カットで私は再三申し上げましたけれども、大事な大事な国民生活の後退があり得ないように、それぞれきょう御回答いただきました大臣の皆さん方にさらに強く要望しておきたいと思います。時間が参りましたので、そのことをお願いした上で、一点だけ私の要望を、違う角度でございますけれども述べさせていただきたいと思うわけでございます。  私のすぐ隣村が日本のふるさとである明日香村でございます。日本のふるさとであり、日本人の心のふるさとでございます。ここは明日香立法を制定していただきまして日本の歴史、ふるさとを守る流れになっているわけでございます。今度の国庫補助負担率対比表を見ますと特に六十一年―六十三年に切り込んではいないというふうに思い、今後もさらに明日香立法の精神に基づいてこの地域については特段の御配慮をお願いしたい、このように思うわけです。  しかし、明日香の現地、これから一番いい季節でございます。年間百五十万人ほどの観光客も来るわけでございますが、ああいう素朴なところでございます。かえっていじらないところがよさでございます。学生さんたちが非常に多い。そういう面から見ると観光の収入というのも極めて少ない。しかも明日香立法で、あの自然を守るために工場誘致もできない。それから、新しいビルを建てることもできない。言うならば経済的活性が非常に難しいわけでございます。村長さん初め、何か村おこしの運動ということで今一生懸命取り組んでいただいておりまして、先般私もいろいろと意見を交換してまいりました。しかし、何といっても明日香村も自主財政がだんだん厳しくなっているところでございます。どうか今後とも交付税等々に関しましても、私、何も隣村だからという意味ではございません、明日香立法の精神に基づいてここについては特段の御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  202. 小泉純一郎

    小泉委員長 塩田晋君。
  203. 塩田晋

    ○塩田委員 国の補助金等臨時特例等に関する法律案につきまして、大蔵大臣、厚生大臣、自治大臣にお伺いいたします。  まず、補助率というものは安定性がなければならぬと思います。地方公共団体にとりましてこれがしょっちゅう動いておるのでは計画が立ちませんし、財政の運営上非常に支障を来すということはわかり切ったことでございます。昨年、同じように暫定措置として補助率をカットする、一年限りですと。このことは何回か大蔵大臣に対しましてお尋ねをいたしました。読んで字のごとく暫定的です、一年限りです、こういうお話でございました。ただ、ちょっとひっかかりますのは、引き続いて検討するという文言が入っておりまして、これは何か意味があるのかということもお尋ねしたのでございますが、これも引き続いて検討するということであって、暫定一年には変わりありません、こういうお話でございました。  今回のこの法律案を見ますと、六十一年度から六十三年度まで三年間の暫定ということでございますが、この暫定暫定が四年続きますと、本当に暫定という意味がどういうことなのかというふうに疑問に思うわけでございますが、大蔵大臣はいかがお考えでございますか。
  204. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに去年の場合は一年間、今度の場合は三年間という時限法でございますから、暫定措置であるということには間違いございません。  ただ、昨年の際の一年限りの暫定措置と申しましたのは、結局、五十九年末いろいろ関係省庁議論をいたしましたが、一つ一つ基本的な補助率あり方について議がまとまらなかった。したがって、一年かけて勉強しますからとりあえずアバウト一割削減という、一律カットという形でお認めいただきたいという意味においてこれは暫定措置であったということでございます。  ことしの場合は、いろいろ閣僚協議会を持ち、そして検討会に村長さんやら市長さんやら知事さんもお入りいただいて、学識経験者の皆さん方の報告をちょうだいして、それに基づいて今度の補助率の体系をつくったわけでございますから、その限りにおいてはいわゆるアバウト一割カットというものとは基本的に性格を異にしておる。ただ、そこで問題のございますのは、生活保護については残念ながら両論併記という形になった。したがって、これは政策判断として去年どおり、こういうことをやらしていただいたということに相なるわけであります。  したがって、補助金あり方というのは、毎年毎年の予算編成で絶えず事務事業あり方費用負担あり方について検討を続けていかなければならぬ問題でございますが、補助率の問題についてはおおむね三年という形において御理解をいただこう。その検討会の報告にも明確にございましたように安定するのが好ましいということは事実でございます。一方、私どもの頭の一隅には、地方税、国税を含めた抜本改正というのを一方に諮問しておる段階でございますので、したがって、三年後、六十四年度予算をいかにするかという段階におきまして、さらにその後のことは決めようということに相なっておるという筋合いでございます。
  205. 塩田晋

    ○塩田委員 補助率カットによりまして、地方公共団体の円滑な行財政運営に支障を来さないようにどうように地方財源を確保していかれますか、お伺いいたします。
  206. 持永堯民

    ○持永政府委員 昭和六十一年度の国庫補助負担率の引き下げに伴う地方財政に対する影響額でございますが、全体で一兆一千七百億円ということに相なっております。これは生活保護等の経常経費の分、公共事業等の分を含めて全体でということでございますけれども、マクロのベースといたしましては、そのうち千二百億円につきまして地方たばこ消費税税率を引き上げることによって対応し、さらに千二百億円につきましては地方交付税の特例加算をし、残り九千三百億円につきましては地方債の増発をして対応するということにいたしております。  あわせまして、個々の地方団体に対します財源措置について、詳細に申し上げますと時間がかかるので簡単に申し上げますが、地方交付税の基準財政需要額の算定あるいは地方債の配分を通じて措置いたすことにしております。  それから、九千三百億円の地方債を発行するわけでございまして、当然これは将来償還が出てきますので、これにつきましても将来、一部地方交付税の特例加算をするようにいたしているわけでございます。
  207. 塩田晋

    ○塩田委員 厚生省関係の予算なかんずく社会保障関係につきまして、今の点はいかがでございますか。
  208. 持永堯民

    ○持永政府委員 社会保障関係、生活保護等々の分でございますけれども社会保障以外のものも含めて、いわゆる経常経費につきましての影響額は全体で六千百億円ございます。そのうち大部分は社会保障系統というふうに御理解いただけばよろしいかと思いますが、六千百億円の地方負担の増額については、マクロとしては先ほど申し上げたような形で補てんをいたしますが、個々の地方団体に対しましては、地方交付税の基準財政需要額をふやして対応していく予定にいたしております。
  209. 塩田晋

    ○塩田委員 国債発行をできるだけ抑制するという基本方針で近年予算編成が行われてまいりました。かなり努力しておられることはわかるわけでございますが、予算編成のゼロシーリングのしわ寄せが地方に行っているのじゃないか。地方財政の運営に支障を来さないようにということを自治省でもいろいろ考えておられることはわかりますが、今御答弁がございましたように九千三百億円の地方債の増発というものが出ておるわけでございます。これはいかがでございましょう、国で国債を発行するのを抑制するけれども地方地方債がふえていくということで、結局国の分を地方公共団体肩がわりしていることにはならないのでしょうか。
  210. 持永堯民

    ○持永政府委員 地方債で一部補てんいたしているわけでございますが、基本的には地方税なり地方交付税といういわゆる一般財源、返済の要らない財源措置するのが望ましいことは申し上げるまでもないわけでございますけれども、現在のこの厳しい財政状況のもとにおきまして地方債をある程度使っていくことはやむを得ない措置ではなかろうかと考えておる次第でございます。  なお、今回のこの補助率の引き下げでございますけれども、昨年の場合と若干違うわけでございまして、今回は社会保障系統の経費を中心にいたしまして、国と地方役割分担、事務の見直しをいたした上でそういう措置をとるわけでございますので、必ずしも全部が全部国債のかわりに地方債を発行するということではなかろうと理解いたしております。
  211. 塩田晋

    ○塩田委員 増発される地方債の元利償還など、後年度の地方財政負担に対しましてどのような財政措置を講じていかれますか。
  212. 持永堯民

    ○持永政府委員 先ほども申し上げましたが、九千三百億円の地方債を出しますので、当然この償還が出てまいります。そこで、個別の地方団体に対しましては、元利償還に合わせまして、後年度におきまして地方交付税の算定を通じてその元利償還費を措置していくことにいたしております。  同時に、そういう措置をとるためにはそれなりの財源が必要になるわけでございまして、これにっきましては、詳細に申し上げますと複雑でございますけれども、全体ではございませんが、一部については、先ほど申しましたように将来交付税の会計の方に一般会計から特例加算という形で特別に繰り入れをしていただくことにしておりますし、将来仮にそれでもなおかつ財源が十分でないという事態があるとすれば、各年度の地方財政の収支の見込みに応じまして地方財政計画をつくるわけでございますけれども、その際に必要な財源、必要な交付税を確保していくように努力いたしまして、地方財政全体の運営あるいは個々の団体の運営にこの補助率の引き下げによって支障が出るようなことのないように措置してまいりたいと考えておるところでございます。
  213. 塩田晋

    ○塩田委員 大蔵大臣、私、十数年前に大蔵省の造幣局を見学させていただきました。そのときの職員とのやりとりをいまだに鮮明に記憶しておるわけでございます。一万円札が印刷されてどんどん出てくる、これはまことに見事なものです。職員は、この一万円札はお金と思わない、物と思って運んでおる、つくっておる、こういうことでありますね。  いろいろと教えられるところがあったのでございます。その中で、当時私はそれほどには思わなかったのですが、大丈夫でしょうかと非常に心配した言葉を向けられたのです。何ですかと言いましたら、一万円札どころじゃない、五千万円の借金の証書。これは、大きさは卒業証書のようなものですが、これを八枚でしたか九枚でしたか、大きなもので印刷にかけておるわけです。それを裁断して一枚が五千万円。十数年前ですから今より相当価値が高いと思います。この五千万円の借金証書を輪転機にかけて高速で印刷している。何万枚も刷っているのです。五千万円の借金証書を何万枚。それが国鉄一社だと言うのです。こんなことをしていて本当に大丈夫なのですかと言われました。  寓話の「裸の王様」というのを御存じだと思いますが、専門家であればあるほど大蔵大臣は、全体の五十四兆という大きな予算、また財投その他、地方財政計画を含めますと大変な額のものを扱っておられるわけですけれども、現場で働いている人たちはそういうものを印刷していて本当に心配をしている。私はぱっと裸の王様を感じたのですけれども、その衝に当たっておられる大蔵大臣その他の方々はちょっと不感症になっているんじゃないか。恐ろしいことだという感じを現場の職員が持って印刷をかけているわけです。一兆円で考えますと、五千万円の証書が二万枚ですから、輪転機で相当な高速度で大量に印刷する。今ちょうど国鉄でも十六兆を国民の負担で賄わなければならぬ。総額だと三十二兆ですか、国全体は百三十何兆でしたか、そういう大きなものなのに、不感症になってしまっているんじゃないか。  国債発行を抑えようということでありながら、またこのような補助金カットを通じて地方自治体財政にしわ寄せをしている、そこで地方債の増発を図っている、こういうことを、むしろ素人というか普通の人の方が本当に心配して、専門家、その責任のある人が、かえってその余りの金額の大きさに不感症になってしまっているのじゃなかろうか。これが積もり積もっていきますと――国鉄がその当時でストップをしておれば、今日のような二十何兆あるいは三十数兆といった大きな赤字を総額で抱えることはなかったと思うのですが、その辺、足らなければ仕方がないから地方債だということで安易にいっていいのだろうかということを非常に心配をいたしますが、このような仕組み、このような国家財政あるいは地方財政を含めての組み方、本当にいいものかどうか、大蔵大臣にお伺いいたします。
  214. 竹下登

    竹下国務大臣 印刷局におったりあるいは銀行の窓口で毎日お札を数えているととかく不感症になりがちだ、しかしなおその衝に当たっている、不感症になりがちな人が心配してくれるのですから、これまた大変貴重なお話だと思っております。     〔小泉委員長退席、笹山委員長代理着席〕  結局、財政というのはどうあるべきかというと、やはり均衡のとれた健全な財政であるというのがまさに昭和二十二年に財政法をつくられたときからの基本考えであると思うのであります。事実、昭和三十九年までは一銭も公債発行をしなくてやってきたのでございます。四十年、オリンピックの翌年に、戦後最大の不況というので、二千億初めて発行しました。このときはたしか、法律を出したというのはいわゆる建設国債と赤字国債の区別がなく、結果は建設国債と同じように使われておりますけれども、当時私は内閣官房副長官でございました。閣議で物すごい議論が行われたことが鮮明な印象として残っております。やはり一つ外すと惰性に陥りやすい。四十九年までは建設国債だけで、赤字国債いわゆる特例債はないわけでございます。それで、全部トータルいたして十年間で九兆三千億か九兆六千億だったと思いますが、数字は若干の違いがあるかもしれませんが、とにかく十兆弱発行されて、そしていわば高度経済成長期を乗り切ってきたとでも申しましょうか、そういうことが言えると思います。  財政法を読んでみますと、今我々が言っております建設国債の発行そのものも、本来はオーソドックスなものではなく、たまたま大変に景気が落ち込んだときに臨時的に発行されるべきものである。ややこれが心理的に恒常化してきて、そうして五十年には、これはやはり四十八年の暮れから来るところの第一次石油ショック、二ドルの原油が六倍になったのでございますから、倍数からいえば第二次石油ショックのときよりあのときは大きいわけでございますから、それに対応したときに赤字国債の発行をした。そのときは大平さんが大蔵大臣であられまして、私覚えておりますのは、財政を担当する者として取り返しのつかないことをしたという意味のことを、多少アーウーと言いながらおっしゃっておりました。  それが過ぎますと、建設国債はこれは資産が残るから当たり前で、いいことで、赤字国債はきょうのくそ小便になるから、これは悪い国債だ。それで性善説と性悪説みたいなのになると、またここで歯どめがなくなってしまう。そこで、今度は残高になりますと六十一年度末には百四十三兆になるわけでございますから、これは大変なもので、赤字公債も建設公債も同じものになってしまうわけです。一兆円では三兆七千億、言ってみれば三・七倍の負担を六十年間にわたって後世代にツケを回す、こういうことになるわけです。六十年といいますと、子、孫、ひ孫の時代にまでツケを回しながら今の財政運営をするということは、本当はたまらない気になるわけです。  では、現在の水準を維持するためには、受益者も国民、負担するのも国民だから、じゃ増税したらいいじゃないか、こういう短絡的な意見にくみするわけにもいかぬ。そこで臨調が「増税なき財政再建」というもので、安易に増税しないで、その中で自己改革をやれと言うのですから、いわば歳出削減に対する一つのかんぬきがかかって、それをここのところ、マイナスシーリングということで四年続けてやらせていただいている。私が五十五年の大蔵大臣のときはまだプラス一〇%シーリングでございましたから、さま変わりになったなというのを五十八年、九年と四年連続して予算編成を担当してしみじみと感じております。  だから私は、財政法でも認めておるわけでございますから建設国債の発行なんというものを全面的に否定する考えはございませんが、善玉と悪玉に区別した場合、財政法の基本からいってやはりそういう区別をすべきではない、残高になったら全く同じ性格のものになる、こういう経過になっておるのじゃないかな、それだから、ばかなようでも毎年毎年今のような議論を繰り返しながら、国民の方で、サービスはこの程度だ、じゃ負担はこの程度だ、印刷局で札を刷るわけじゃないのだ、負担しているのもおれたちだ、受益者もおれたちだという意識転換を、問答の中で逐次国民のコンセンサスが得られるようにしていかなければならぬではないかな。日本の場合、貯蓄率が商うございますから、借金をしようと思えばほかの国よりははるかに環境は楽だと思うのでございますけれども、それが一番注意しなければならぬことだなと思っております。  答弁が少し長くなって申しわけありませんが、もう一つだけさせていただきますと、この間の十カ国蔵相会議のときに、私に、ある大蔵大臣が、おまえのところは五十三兆も別の黒字の金があるじゃないかと言う。よく聞いてみますと、厚生年金の積み立てでございますね。それで、いや、二十五年先になるとちゃんと年金が成熟してきて、高齢化社会になって、あれは空っぽになって困るから、今から負担を上げて給付を下げるように、中長期的に、二十一世紀どころか四十年ぐらい先を見て法律の改正をお願いしておる、こう言ったら、そんな先まで考えなくてもいいじゃないか。それは賦課方式でやっている国の大蔵大臣さんでございましたけれども、そういうようなところまで仮にずるずるといっちゃいかぬなと思って、国会でおしかりを受けておるのが一番いいことじゃないかな。多少歳出圧力の傾向も国会にはございますけれども、お互い選挙を控えておりますから。しかしまた一方厳しい御指摘を受けて、双方が問答しておるから日本はまだ大丈夫だ、こんな気持ちを持ったこと。これは後半の方はジョークぐらいにお聞きいただいて結構でございますが、感じて帰ったところでございます。
  215. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  日夜、財政の建て直しに御苦労されておられますことに敬意を表しますとともに、今後ともひとつ「増税なき財政再建」を達成していただきますようにお願いを申し上げます。さすが総理を目指される竹下大蔵大臣だけありまして、決して裸の王様でなかったということを感じます。ありがとうございました。  続きまして、生活保護を高率補助として運営してきた根拠は何でございますか。事情が変わったから前年カットがあったわけでございます。その変わった事情とは何か、国の責任の度合いが減ったからなのかどうか、引き続き機関委任事務として行われるわけでございますから、その辺の事情は厚生省としていかがでございますか。
  216. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護につきましては、補助金の中で最も高い補助率ということで従来から来たからだと思います。これは戦後二十二年の旧法のときから十分の八ということで来たわけでございますが、当時の事情は戦後の混乱期でもございますし、その前は十分の十というときもあったわけでございまして、やはり辛うじて何とか財政的にもしっかりしているのは国だけだという事情もあり、特に生活保護というのは社会保障の基底でもあって、国の最終的な保障で何としてもこれは確保しなければならぬ制度であるということで、国の重い責任ということで非常に高率の補助金で来たということだと理解しております。  先般、六十年度にはそれを十分の七に暫定的に変えるという措置がとられておるわけでございますし、今回も六十一年度から三年間、引き続き十分の七ということで暫定の補助率でいくことになっておるわけでございますが、これは一つには、やはり国と地方の力関係を見ましても、戦後とは大分違った様相が出てきておるということがあろうかと考えます。  それからもう一つ、厚生省全体の施策を考えましても、今後ますます高齢化社会の進展とともに、社会保障関係経費はどうしても膨らんでまいらなくてはならぬという厚生省全体の財源の扱い、国全体の財源の扱いもありますし、そういうことで地方にももう少し御負担願えないかということで、いろいろな交渉の結果、十分の七ということになったと思いますが、それにつきましても国が最終的な責任を負うわけでございますので、十分の七になって地方が完全な実施ができないということでは困りますので、地方財政計画に基づきます交付税措置というようなもので万全の策をとらしていただいておるという経緯でございます。
  217. 塩田晋

    ○塩田委員 厚生省の関係は、国の機関事務の整理合理化法案の中では、全部で四十三法律あるうち十五法律がかかっておるわけでございますし、また事項別に見ましても、六十一項目のうち半数の三十が厚生省関係でございまして、これは機関委任事務を廃止したり団体事務化したり、あるいは委譲事務整理といった措置がとられて、非常に、厚生省関係が多いわけでございますが、この生活保護についてはあくまでも国の機関委任事務として維持をしていかれる、そしてまた、それにあわせて補助率は十分の七を維持していかれるという方針でございますか、お伺いいたします。
  218. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護とかあるいは児童扶養手当のような所得保障的な給付と申しますか、しかも全国一律の基準で実施していかなくてはならぬというものにつきましては、そういうような実施の体制を担保するためにも、あるいは最終的に特に生活保護につきましては国の責任であるということを堅持いたしますためにも、今後とも機関委任事務として実施するのが適当であろうと考えております。補助率につきましても、いろいろな補助率の中で最も高い補助率という形で位置づけられることが、国の責任を明確にする一つの方法でもあろうかと考えております。
  219. 塩田晋

    ○塩田委員 国の責任において生活保護行政を今後とも維持していくということでございますが、それはそれなりに結構なことだと思います。  ところで、生活保護の不正受給が非常に大きいものがあると会計検査院からも指摘されておりまして、これは昨年、一部、全部じゃなかろうと思うのですが、八億百二十万円の不正が指摘をされております。厚生省はこれにどう対処しているのか、お伺いいたします。
  220. 小島弘仲

    ○小島政府委員 先生御指摘のとおり、会計検査院の指摘を受けた事項が百七十六世帯の関係の保護費の支給でございまして、支給費総額は八億百二十万円という合計額になっております。ただ、これはすべてが不正ということでございませんで、取り扱い上どうであろうか、問題がありやせぬかという御指摘を受けた件数でございます。  これらは主として不動産の取り扱いに関係するものでございまして、特に非常に高額な遊休不動産を持っているにもかかわらず生活保護をしたとか、あるいは非常に高い居宅と申しますか、土地家屋を持っておるのに生活保護を受けておるのはどうか。それから生活保護受給中にローンの返済をしているケースもある。あるいは生活保護受給中に不動産を取得したというケースもあるというようなことでございまして、これらにっきましては従前、特に居住する住宅、土地につきましては、その使用価値と処分価値とを比較考量して、処分させないで利用させておいた方が生活保護の趣旨に合う、あるいは効率的であるというものについては認める形にしておりましたが、それが近年の土地の上昇によりまして非常に高額になってきたということが、一つ問題の端緒であろうかと思います。  ただ、遊休不動産の問題につきましては、その保護受給者が転々といたしましてなかなか従前住んでいたところに持っていた不動産の把握ができなかったというようなケースもございます。通常の事務処理上ではなかなか発見しにくいというような状況もございますが、現在、不動産の取り扱いにつきまして詰めた検討をしておるところでございますので、今後は単に実施機関の第一線の判断にゆだねるということではなくて、具体的な処理基準を示しまして遺憾のないように処理してまいりたいと考えております。
  221. 塩田晋

    ○塩田委員 生活保護を受けていらっしゃる世帯のほとんど大部分の方は、生活保護を受けなければならない世帯の方々だと思うのですが、ここでも、あるいはまた新聞等で拝見いたしますと、生活保護を受けながら一億円の土地を持っておるというようなことが出ておる。あるいはまたローンで返済しながら不動産を取得しようとしている、こういう例が挙がっております、本当にわずかなケースだと思いますけれども。こういったものにつきまして会計検査院から指摘されて初めてその処置に大わらわするというようなことでなくして、少数のそういったものにつきましては、やはり国民の税金で賄われているわけですから非常に批判の目がきつい。こういったものを放置しておきますと制度全体が存続を問題にされることにもなりかねません。厚生大臣、いかがでございますか。
  222. 今井勇

    ○今井国務大臣 おっしゃるとおり、この生活保護の問題を今度の場合にも国の機関委任事務として国がみずから責任を持ってやろうとする、こういう気持ちでおりますだけに、そういった不正事件というのが起こることはまことに残念なことでございまして、こういうことはやはりきちっと正していかなければならぬと思っております。したがいまして、先ほども局長答弁いたしましたが、今後こういういろいろな運営につきまして目を光らせていきたい、私もそう思っております。
  223. 塩田晋

    ○塩田委員 続きまして、地方公共団体自主性に基づく行政という名のもとに、老人福祉、児童福祉、身障者福祉、精薄福祉、こういった弱い層に補助金カットあるいは財政のしわ寄せ、また機関委任事務から団体事務化を行っている。これはどういう趣旨でございますか。福祉の後退にならないのでございますか。また、精神措置入院、児童扶養手当あるいは特別障害者手当等について同じような取り扱いになっていくのはどういう趣旨でございますか、お伺いいたします。
  224. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 先ほどからお話がございました生活保護は別でございますが、ただいまお挙げになりましたような老人福祉でございますとか児童福祉の問題と申しますのは、住民の身近なところにございます地方公共団体の仕事に一番ふさわしい仕事と考えられるわけでございます。そういったことから、従来いわば国で全国一律というような考え方が強い機関委任事務という仕事の性格を団体委任事務というようなことで少しでも自主性が発揮できるような形にしよう、こういうような考え方でございまして、むしろ福祉を地元に根づいた形の身近なものに持っていきたい、こういう考え方に基づくものでございます。
  225. 塩田晋

    ○塩田委員 地紋の実情に合わせて地元に根づいた行政を実施する、もちろんこれは条例によって行われるわけでございますから、それはよいといたしまして、そういたしますと、将来同じ日本国民でありながら各自治体によって余りにもアンバランスが出てきはしないだろうか、水準の高低ができるのではなかろうか、このように思うのでございますが、いかがでございますか。
  226. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 基盤的なやるべきことは法律できちんと規定されるわけでございまして、そのやり方が各地方によって違ってくるというようなことを考えておるわけでございます。基本的なことは各地方公共団体できちっとやっていただく、いわばその上の方はいろいろな形で展開していくというようなことで、やり方が地方ごとにいろいろ違うというようなことは予想しているわけでございまして、結局これは住民にとってプラスになるような形で福祉の仕事が広がってくるというようなことを私ども考えておるわけでございます。
  227. 塩田晋

    ○塩田委員 ぜひとも公平ということ、それから受益者にとっては平等という原則を貫くように、最低基準を決めるとかあるいはガイドラインを決めるとか、厚生行政は全国的な広がりを持って行われるわけでございますから、そういった相当な配慮が必要ではないか。条例によってそれぞれが違った方向に行ってしまうことのないように十分に御留意をいただきたいと思います。  最後に、退職者医療制度の発足と、この際加入者の見込み違いによりまして財源不足が起こっておる、これに対しましてどのように対処していかれたか、また今後対処しようとしておられるか。各地方公共団体から聞きます御要望は、保険料も最高になってしまった、退職者医療の関係のしわ寄せによってそれでもなお地方財政の運営上大変支障を来している、このような声を随分聞くわけでございますが、この退職者医療制度が発足する際にこういうふうにやりますというふうに言われましたけれども、なかなかそうはいってないように思いますが、いかがでございますか。
  228. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 昭和五十九年十月から発足をいたしました退職者医療制度につきましては、できる限り正確を期して実施に入ったのでありますけれども、予測と若干の違いがございまして、特に退職者数、対象者数等の把握におきましてかなり予測と乖離をいたしましたために市町村国保財政に影響を与えていたことは事実でございまして、国としても重大に受けとめているところであります。このために先般、昭和六十年度補正予算におきまして千三百六十七億円という極めて厳しい現在の財政状況のもとではぎりぎりの財政措置を講じたわけでございますが、私ども厚生省といたしましては、今後とも市町村国保の財政状況あるいは退職者医療の推移を見ながら国民健康保険財政の安定的な運営、事業の健全な運営ができますように配慮をしてまいる考えでございます。  なお、保険料引き上げの問題でありますが、私どもが現在までに把握をしております昭和六十年度の保険料引き上げの状況でありますが、全国平均で一〇%をやや超える程度の保険料引き上げの状況でありますが、中には保険料の引き下げを行っている市町村もありまして、全体の市町村の一割弱の町村では逆に保険料の引き下げを行っている状況であります。国民健康保険全体で医療費の伸びが六十年度大体一〇%前後でございますから、そういった意味では医療費の伸びとほぼバランスのとれた保険料引き上げではないかと私どもは判断をしている次第であります。
  229. 塩田晋

    ○塩田委員 保険料の引き上げはもう最高額ぎりぎりのところまで上げていると思います。引き下げのところは退職者医療の関係で、たくさん出ていったところはそういうことになるかと思います。いずれにいたしましても二千六十億円の赤があった、それに対しまして千三百億の手当をされたということでございますが、なお不足するものがありますし、今後起こる可能性があるわけでございますので、ひとつ十分に自治省と連携をとって措置をしていただくようにお願いをいたしまして、終わります。ありがとうございました。
  230. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 簑輪幸代君。     〔笹山委員長代理退席、小泉委員長着席〕
  231. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 補助金カットの法案についてお尋ねするわけですけれども、昨年の補助金カット法案の際、国は財政事情を理由にしてほぼ一律に一割カットという法案を提出し、そしてこの一括法は一年限りということでございましたけれども、今回その補助金カットをもとに戻すどころか、逆にさらに補助率の引き下げを強化して三年間これを行うという法案を出してきたわけです。昨年の審議では一年限りということですから、自治体を初め国民の皆さん方も一年たったらもとに戻すのであろうという期待を持っていたわけですけれども、これが見事に裏切られるところか、逆にこのようなひどい攻撃となってかかってきていることに私どもは大きな怒りを持っております。  この問題を論議する中で、地方自治体に国の責任を転嫁するものである、負担を押しつけるものであるという論議もありましたし、また国民の福祉や教育に重大な影響、被害が出てくるものであるという指摘もされました。これらに関して中曽根総理は、中央と地方財源配分の問題だけで国民の皆様方には直接的にサービスや給付の劣悪化はないという答弁をしておられます。しかし、この一年のさまざまな実態を見てみますと、福祉、教育面で大きな後退が生じていることは明らかです。私は生活保護や保育所の問題などについて句点がお尋ねをしたいと思います。  最初に、今回の法案の中に盛り込まれている生活保護、老人医療、保健所それから婦人相談所等この法案の中にもかかわり合いを持っているさまざまな事務事業について、地方財政法の十条では国の責任が極めて重いとして、義務教育を初めとして期待されております。今回、事務事業見直しに伴って財政上も三年限りの補助金の引き下げということを提案してきているわけですけれども事務事業見直しは三年限りというわけではございませんで、全面的見直しが恒久的措置として別の法律で出されている。そして補助率カットの方は三年限りということですけれども、これをあわせ考えてみますと、三年限りではとどまらずに半恒久的なものになりはしないかという懸念が持たれるわけです。そうなれば事実上この地方財政法十条一項というのが骨抜きにされてしまう、空洞化されるという危惧があるわけですけれども、そういった懸念は全くないのかどうか、自治大臣にお尋ねしたいと思います。
  232. 小沢一郎

    小沢国務大臣 生活保護の問題につきましては、検討会でも両論併記となりまして結論を見るに至らなかったわけであります。その間の経緯については先生も御案内のとおりでございますが、その他の社会保障関係につきましては検討会報告の趣旨を踏まえまして事務事業見直しを行った上で負担比率を変えたわけであります。  私どもは従来とも、この地財法に規定されておりますが、この負担の比率というのは国と地方役割分担、どちらがどれだけ負担するのかという議論の中から負担率というものを考えていくべきである、そう主張しておったわけでございます。今回、生活保護については結論を得られませんでしたが、その他の関係の福祉事業につきましてはそういった事務事業見直しが行われ、権限の移譲等も行われ、そういう考え方のもとに行われたものでありますので、私どもといたしましては先生の御指摘のような地財法の精神に反するというようなことではないと思っておりますし、またその分国費の負担が減った分につきましては基準財政需要額に取り込みましてその点の措置交付税においてしてきたところでありますし、今後そういう形で補てんをして、支障がないようにということで対処してまいりたいと思います。
  233. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 地方財政を所管される自治大臣がそのようなことでは非常に困ると思うのですね。私は、事務事業見直しによって地方自主性が前進をするということは望ましいことであり、しかし、それと同時に補助率を引き下げるということは決して論理必然のことではありません。地方財政法において国が積極的に負担すべきとして規定されているその精神を充実させていくためには、補助率のカットには断固として反対をしていく姿勢を自治大臣が持たれるべきであるということを私は強く主張しておきたいと思います。  この補助金カットによってさまざまな影響が出ている中で、特に重大な問題をはらんでおります幾つかの点ですが、現場では生活保護というのが大変な問題を起こしているということを述べたいと思います。まず最初に、生活保護基本理念といいますか、あるべき姿といいますか、生活保護の精神というようなものについて厚生大臣の御見解をお尋ねいたします。
  234. 今井勇

    ○今井国務大臣 まず生活保護は憲法二十五条の理念に基づきまして国民の生存権保障の最後のよりどころとなるものであります。また、保護の水準というのは、そのときどきの社会的あるいは経済的な状況に対応した健康で文化的な最低限度の生活を保障するというものであって、私は財政的な理由からそれがゆがめられることがあってはならないというふうに考えております。
  235. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 まさに憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をすべての国民に保障したものであります。したがって、財政的理由によって左右されてはならない。どのような予算を組もうとも、生活保護を受給すべき条件にある人は無条件で措置される、支給開始が決定される、継続されるというのが当たり前のことだと思うのです。そしてその問題について、財政的には窮迫しているということを理由にしてあれこれ論ずることではなく、財政措置はどんなことでも講じなければならない、国はその義務があるということだと私は思うのです。そうだとするならば、この生活保護というのが最後のよりどころになるならば、この生活保護の実態というのがもっともっと充実していくべき課題であるというふうに思います。ところが、最近、生活保護の受給者あるいは受給を望む者に対して、その権利を否定するような事件が起こってきています。  東京荒川区の場合では、糖尿病と視力低下で通院中の桧垣ヨシさんという七十四歳の方に対して福祉事務所は、倒産のため失業中の五男に対して桧垣さんの面倒を見るように電話をし、その五男が失業中だから他の兄弟に言ってほしいと断ったのに対し、息子さんが面倒見ると言っているというふうに桧垣さんにうそを言って辞退届に押印をさせ、保護を廃止してしまうということがありました。  そしてさらにまた別のケースですが、傾きかけたバラック住まいの浅香千代さん、八十四歳の場合では、昨年六月二日、退院した当日、荒川区福祉事務所から三人がやってきて、子供たちに面倒を見てもらいなさいというふうに言いました。びっくりして翌日、長女と福祉事務所を訪問。係官は、浅香さんは持ち家がある、生活保護は上げられない、辞退しないと長男にこれまでの保護費の返還命令を出すというふうに言いました。長女が百万円ぐらいになるのでしょうかと聞くと、そうだという返事。長女は恐ろしくなって辞退届に印を押したと涙ながらに語っているということも聞いております。  それから岩原五郎さんという四十八歳のケースは、荒川四丁目の四畳半のアパートでひとり暮らし。六年間受給していますが、通院している病院の神経科の医師から病気が悪化するので働いてはいけないと言われています。それまでも厳しく就労指導を受けていましたが、昨年の七月、保護費の支払い通知がないため、七月六日に続いて八日に福祉事務所に行くと、病気のことは言わないで職安で仕事を探しなさいというふうに指導をしたということです。加えて、この辞退届を書いてもらわないと私は知らないと突っぱねたわけです。当時岩原さんは家賃一万六千円の支払いがおくれて、食うや食わずの状況でしたので、やむなく七月分の受給と引きかえに辞退届に押印をしたというケース。  また、森田勝久さん、四十八歳の場合は、慢性肝炎、胃炎及び神経症で入院して、昨年五月七日退院していますが、その翌日、五月八日、福祉事務所から呼び出しを受けて長女と事務所へ行くと、長女に父親の扶養を強要しました。余裕がないと言うと、やってみなくてはわからないでしょうとなおも扶養を迫る。しかも、父親のぐあいが悪くて病院にかかるため健康保険証の必要を訴えると、ここに判こを押せば保険証を発行するというので押印した。ところが、押したのは辞退屈だった。長女はだまされたと涙を浮かべて抗議をしたということです。その後一カ月父親を扶養しようとしたものの自分自身が食べられなくなったということで、七月九日、再申請をしました。しかし理由も示されず却下というような事件が続発しているわけです。  こういうふうなペテンにかけての辞退屈への捺印の強要、それから労働してはいけないと言われているのに強引に労働を強制する。それから扶養能力のない義務者に扶養を強要して、却下理由を知らせる義務さえ履行しない。こういうような非人道的な許しがたい事件が一体どうして起こってくるのか。家賃も払えず食うや食わずの生活を強制されるなどということは厚生省の方針としてあってはならないことだと思いますけれども、一体どうなのでしょうか。
  236. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護は大臣が申し上げたような理念によって運営しているものでございますので、真に生活保護を必要とする方については十分な保護ができるような運営を行っていくべきものと考えております。  お示しのケースにつきまして、東京都等についても調査をしましたが、なかなかその辺のやりとりのことについては必ずしも明確でない面もあります。なお十分調査いたしまして必要があれば指導してまいりたい、こう考えております。
  237. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 生存、命にかかわるという事態に立ち至っているこうしたケースについては、一刻の猶予もならないというふうに思うのです。こうした問題が明らかになったらば、今東京都を調査してというお話がございましたけれども、緊急にこの問題点を解決するために保護を開始し、そしてさらにまたそれを解決するために他の手だてがあるならばそれはおいおい解決していけばいいことではないかというふうに私は思うわけです。万一のことがあったときに一体どうなのかという点で私は本当に胸の痛む思いがしております。  荒川の区職労が八五年の十二月十六日付で出しております組合の新聞には、生活保護等を担当する援護第二課の担当者座談会が特集されております。その中で援護第二課長が、ひたすら保護率の低下を目指し保護廃止の強要等の仕事の締めつけをやっていることが紹介されております。そしてその中で、遺骨の移送に悩んでいる部下の相談に対しては「そんなの、隅田川に放っちゃえばいいじゃないか」というようなことを言ったと言われております。許しがたいことだと思うのです。保護率の低下を目指すなどということは断じてあってはなりません。私は、このようなことが職場で問題になっているということは、まさに現実に荒川の保護担当の課ではこうしたことが強要されているとしか言えないわけですし、ひいてはこういう問題について厚生省がちゃんとそのことを把握してそれを改善すべきだというふうに思います。そうでなければ、厚生省があるいはまたそういう保護率の低下などということを目指して指導しておられるのかどうか、そのこともお尋ねしたいと思います。
  238. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護制度の適正な運用については機会をとらえて、またケース指導等も通じまして実施しているところでございます。  荒川のケースにつきまして、先ほどさらに詳細を調査してみてと申し上げましたが、どうも言葉のやりとりの問題ということもありはせぬかという気もいたしております。生活保護を申請される方につきましては、より親切な態度で状況を伺うというその接遇という面についても今後十分配慮してまいらなければならぬ、こう考えております。が同時に、このような制度が円滑に実施されていきますためには、やはり先ほど不動産処理の問題についていろいろ御批判もいただきましたが、その適正な運営を確保するということが必要なことは言うまでもありませんので、その適正化対策には努めておりますが、単に保護率の低下を目指すというようなことをやっているつもりは毛頭ございません。またそういう趣旨の指導もいたしておりません。
  239. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 不正受給をなくすということについて、その問題が結果としては当然支給されなければならない人に対してまで受給が拒否されるというような形になっていはしないかということを問題にしているわけです。同時にまた、申請主義ということであるために、本来ならば困ってどうしていいかわからないと悩んでいる人たちが放置されているという面さえあります。先日NHKでも報道しておりましたけれども、子供たちが一月から食べる物を全く与えられなかったために、つい先日食べ物を買うために盗みに入って問題になった。親は失業中で食べさせられなかったというようなことが報道されておりましたけれども、そうした子供たちが食べる物も食べられないという状況に置かれていてもそれに救いの手を差し伸べることができないこの厚生行政、そして一方で不正受給をなくすということに名をかりて受給すべき人たちが強引に廃止させられているというそういう実態を見るにつけて、この生活保護の問題、厚生省が本当に国民の立場に立って、受給者の立場に立って行政を行われているかということはまことに疑わしいと思わざるを得ません。  荒川区に限りません、全国至るところでさまざまな苦情が寄せられております。京都の東山区では、離婚の意思を証明するため家庭裁判所に調停手続をしろ、それをやらなければ離婚の意思を明らかにされないわけだから申請は受け付けないというようなことさえ言われています。田川市では、申請書は金庫に入れられてしまって申請に行ってもなかなか受け付けてもらえない。大阪平野区では、糖尿病で通院加療しながら十数年働いている職場があるのに、賃金が安いから仕事をかわれと再三強要されるとか、そのほか福岡県では、暴力団の不正受給の解消を図るとの口実で県警察当局者を入れて生活保護関係連絡協議会を設置しているとか、警察権力の介入まで制度化していこうという明治憲法下のやり方を思わせるようなことまで行われているわけです。こんなことが許されるのでしょうか。厚生省として一体これをどう考えているのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  240. 小島弘仲

    ○小島政府委員 離婚の強要というようなことはやってないというふうに考えております。離婚をしてない場合には、婚姻生活が続いている限りは夫婦はお互いに生活扶助の義務があるわけでございますので、夫の扶助を受けるように努めるようにという指導はした。どうしても離婚というならその離婚という形にはっきりすべきものではないかというふうな言い方がいろんな、そういうふうに離婚しなければ生活保護は適用しないというような誤解を招いている面がありはしないかと考えております。先ほど申しましたが、保護申請者に接する場合にはさらに十分慎重な態度をとるように十分指導してまいりたいと考えております。  また、福岡の例でございますが、警察権力、これは暴力団対策ということになりますと福祉事務所の職員だけでは手に負えない面もありますので、その場合には職員の身の安全ということも考えまして警察当局とも十分連絡をとるという必要性のあることは否定し得ないものと考えております。一般の生活保護の適用につきまして警察の権力をかりる必要は毛頭ございませんので、そういうようなことは考えておりません。
  241. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 厚生省は一体何を考えておられるのでしょうか。離婚するもしないも自由だし、私は生活保護の受給の要件というのは困窮状態にあるということに限られるべきだと思うのです。扶養すべき者があったらその人に扶養をしてもらうようにいろいろ指導することはあっても、困窮状態があるという現状のもとではまず保護を開始して、その後扶養義務等についてそれが行われるように進めていく。そしてその扶養義務が行われたならば保護を廃止したらよろしいし、扶養義務があっても現実に扶養をしなければそれは後に費用を徴収するなど、手だてはきちっと生活保護法上決められているわけです。生活保護受給の際にあれこれ論ずるというのはもってのほかであり、困窮状態というその事実に限るべきだと思うのですが、厚生大臣、どうでしょうか。
  242. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護につきましては、民法上の扶養義務が本法の適用に優先するという取り扱いになっておりますので、申請がある場合にはまず受けられないかという相談をすることも事実だと思います。だが、現に生活に困窮しているという場合には、先生おっしゃるようにまず生活保護を適用するというその扱いは至極当然のことでございます。
  243. 今井勇

    ○今井国務大臣 ずっとお話を聞いておりまして、私は、生活保護に対します私の考え方を申し上げておかなければいけませんが、生活保護行政というものは真にそれを必要とする人には保護の給付を行う、不正な受給に対してはこれは厳正な態度をとる、そういった、いずれにしても温かい気持ちで窓口の業務を行うように、指導してまいりたい、基本的にそう思っております。
  244. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 厚生省の指導の中で具体的に、他法優先ということでそちらを強調する余り、困窮状態があるにもかかわらず保護を開始しないというケースがあるので私は問題にしているわけです。そして、結果的には気の弱い人は保護を受給する権利があるにもかかわらずそれが受けられないという事態を招いています。  もう一つだけ生活保護でお尋ねしたいと思うのですけれども、扶養義務者という範囲ですけれども、おじ、おばの関係、逆に言えばおい、めいの関係というのは扶養義務者なんでしょうか。
  245. 小島弘仲

    ○小島政府委員 生活保護法の扶養義務者は民法に規定する扶養義務者ということになっておりますので、三親等の親族までは一応扶養義務者の範囲に入ります。
  246. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 それは大変な発言ですよ。三親等まで扶養義務者というのは、一体民法のどの条文に書いてあるのでしはうか。私も弁護士ですので民法申し上げますけれども、八百七十七条、ここでは直系血族及び兄弟姉妹、これが扶養義務者です。三親等につきましては、これは家庭裁判所で特別の事情がある場合に扶養義務者と認定されたときに初めて扶養義務者になるわけであって、一般的におじ、おば、おい、めいの関係が扶養義務者であるとは到底考えられませんが、厚生省はどうお考えでしょうか。
  247. 小島弘仲

    ○小島政府委員 おっしゃるとおりでございまして、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合の外、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。」したがいまして、これにつきましては、生活保護上の扶養義務の取り扱いにつきましても、一項に言う扶養義務者あるいは配偶者の関係とは別な取り扱いにいたしております。
  248. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 ではここでお尋ねいたしますが、上越市社会福祉事務所長が出した「扶養援助の実施について(照会)」という文書があります。これによりますと、「あなたの叔母に当るA殿の家庭は、現在生活保護法による保護を受けております。 生活保護法では、同法を適用するにあたっては、民法に定める扶養義務者の扶養を優先して行っていただくことになっております。 そこで、あなたも扶養義務者として、できる限りの援助を願いたく、別紙により年月日までにご回答をお願い致します。」ということで、おばであるというだけで、逆に言えばおいであるというだけで「あなたも扶養義務者として」という文書が上越市社会福祉事務所長の名前で出されておりますが、これは厚生省はどうお考えでしょうか。
  249. 小島弘仲

    ○小島政府委員 それは、機械的にそういうものを出しているとすれば問題があろうかと思います。我々としては指導で三親等の方に扶養をしていただけないかとお願いする場合には、現にその方が今保護申請をされている方と同居の親族についての扶助を行っているケースがあるとか、かつて、今で言うとおばさんですか、おばさんが本申請者から長い間生活の援助を受けていた実績があるというようなケースについては、まずそういうことも当たってみるようにという指導をしているところでございます。
  250. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 私、厚生省のやり方はすごく問題だと思うのですね。過去におじだとかおばだとかおいだとかめいだとかがどういう関係にあったというところまで厚生省があれこれ調査し、指導と称して圧力をかけるというのは全く問題だと思うのですね。そんなことをする権限がどうしてあるのか。扶養義務者でもない者にあなたは扶養義務者であるということを文書として出されますと、そういう知識のない者は、これはえらいことになったとうろたえるわけです。そういううろたえるのに乗じて力ずくで押しつけていく。そして適正受給というような名前を使いながら、結果的には本来受給すべき者の権利を否定していくというやり方につながるわけで、このようなやり方は断じてやめていただきたいと思います。いかがですか。
  251. 小島弘仲

    ○小島政府委員 扶養義務者の扶養義務の履行につきましては、まず当事者間の話し合いということをお願いしておりまして、それを尊重するという立場で運営しております。したがいまして、扶養能力のない者あるいは扶養義務の履行を負わせることが妥当でない者にその扶養義務を強要するということはいたしておりませんし、今後ともその適正な運用に努めてまいる所存であります。
  252. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 ですから、おじ、おばの問題等について、一律にあなたも扶養義務者であるなどというような表現は適切でないと思いますが、いかがですか。
  253. 小島弘仲

    ○小島政府委員 確かに、御指摘のような文書がそのままの形で出ているとすれば適切でないと考えますので、必要な指導をしてまいりたいと思います。
  254. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 生活保護あり方については、厚生大臣もおっしゃられたように、受給すべき人が正しく受給できるように、そして不正受給というのはあってはならないという一般論についてはそのとおりだと思うのですね。しかし現実には、本当に困っている人に温かい手が差し伸べられるような積極的な保護行政というのは全然やられていないのですね。このちまたで苦しんでいる人たちに隅々まで温かい手が差し伸べられるような厚生行政というものを考えたときに、今日のこの補助金のカットというものが追い打ちをかける結果になっているということで、ぜひともこの補助率は十分の八に戻すように厚生大臣に奮闘していただきたいと思いますが、厚生大臣のその辺の御決意を伺いたいと思います。
  255. 今井勇

    ○今井国務大臣 先ほども答弁申し上げましたが、この問題につきましては、昭和六十年十二月二十一日の補助金問題関係閣僚会議の決定によりまして、生活保護に係ります補助率につきましては六十一年度から六十三年度の三年間は十分の七として、その後のあり方については改めて大蔵、厚生、自治の三大臣が協議して決めよう、こういうふうに決まっておりますので、私はこの決定によって、そのとおりに進めてまいりたいと思っております。
  256. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 その三大臣が協議するときの基本姿勢の問題ですね。この生活保護補助率については十分の八に戻すべきであるという姿勢で臨んでいただけるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  257. 今井勇

    ○今井国務大臣 そのときの大臣がだれであるか、まだわからぬわけでございまして、私が三年も続けていられるかどうかわかりませんしいたしますので、今のお尋ねに的確にお答えするのは極めて難しいだろうと思います。
  258. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 厚生大臣は、厚生行政の責任者として三年先にどうこうということは自分は言えないというのじゃなくて、今日厚生行政を充実させるためにこういう姿勢で臨みたい、仮に後任の人が決まればその人にも伝えたいと言うのが当たり前じゃないでしょうか。それは厚生大臣のみずからの厚生行政にかかわる姿勢の問題としていささか消極的であり、とても心細い感じがいたしますが、その点で、厚生大臣が本当に厚生行政を充実させるための決意を今日ここで明らかにしていただき、先のことはまた後任の方に伝えていくというのは当然じゃないでしょうか。
  259. 今井勇

    ○今井国務大臣 私は必ずしもそう思わないので、この問題についてはいろいろ問題があったので、関係閣僚が相談をしてこういう決定をされたわけでございますから、「協議して定める」というその文言は私はそのとおり受け取っていいと思っております。
  260. 正森成二

    ○正森委員 関連質問。  今の厚生大臣の、私は三年先やっているかどうかわからぬから答えられないなどというのは、国務大臣として不見識きわまることじゃないですか。もしそれと同じ論法を竹下大蔵大臣が言うとすれば、六十五年に赤字公債から脱却と言うが、六十五年には私は大蔵大臣をやっておるかどうかわからぬから、そんな先について現在言えないと言ってしまえばそれで終わりですよ。そんな答弁がありますか。
  261. 今井勇

    ○今井国務大臣 おまえはどう考えるかと言われましたから、私はそのとおり素直に答えたつもりでございます。
  262. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 というのが厚生大臣の姿勢であるという点について、私は中曽根内閣の厚生行政に対する非常に後ろ向きの姿勢を感じております。これでは国民はまことに頼りないし、心細いし、一体どうなるのだろうかという不安をますます増大させる一方でしかない。厚生省の最高責任者としての厚生大臣が、今日厚生行政についての基本姿勢、生活保護についての基本姿勢、あるべき補助率について、みずから見識を持って述べられるのが私は当然ではないかと思うのですが、先のことはわからない、そんなことを言うならここで論議することは一切むだなことになるじゃありませんか。先のことは約束できないというのが責任ある言葉というなら何も議論する必要はありません。三年先のことなんてさっぱりわかりません、それはいかにも無責任なことじゃないでしょうか。  どうお考えになりますか、自治大臣大蔵大臣、それぞれお考えを聞かせてください。大臣としての物の考え方についてです。三年先の問題についてはわかりませんというような考え方自治大臣大蔵大臣もお示しになりますかということです。
  263. 今井勇

    ○今井国務大臣 先ほど申し上げましたように、生活保護の問題については、私は本当に必要な人には生活保護を給付すべきである、不正受給者には厳正な措置をとる、いずれにしても温かい気持ちで窓口をやりなさいというふうに指導しますと私は言った、その気持ちは変わっておりません。しかし、あなたが今補助率の問題をおっしゃいますから、生活保護補助率の問題は今後三年間暫定的に七割としているわけでございますから、その決まりを尊重してまいりたい。それで、そのときおまえはどうするかとおっしゃいますから、そのときに私はいるかどうかわかりませんのではっきり答えられませんと申し上げただけでございまして、気持ちとしましては、やはり今までのいきさつから決まったとおりに守っていくのが現在の閣僚の態度だと思っております。
  264. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 閣僚が論議をするときに、こうあるべきだという姿勢を持って論議をしなければならない。厚生大臣は、生活保護の国の補助率については十分の八に戻すべきであるというふうな姿勢で臨むのか、あるいは皆さん方で勝手にお決めになったとおりに私は従いますとおっしゃるのか、さらにまた、生活保護補助率はもっと下がっても構わないとお考えなのか、そういう基本的な認識をお尋ねしているわけですから、そのことをお答えいただければ結構なんです。
  265. 今井勇

    ○今井国務大臣 この問題についてはいろいろな意見があって決まらなかったのでございますから、私は、この問題については国の財政状況というものもいろいろ考えられていたのだろうと思うわけでございます。したがって、今おまえがどうだと言われることについては、そうでございますとかこう考えておりますということを申し上げるのは、いささか私の現在の状況としては申し上げにくいということを申し上げているだけでございます。
  266. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 見識をお持ちでないということに私は承りました。厚生行政において生活保護の国の補助率はこうあるべきであるというような理念をお持ちでない。それは本当にびっくりすることです。  もう一度重ねてお尋ねしておきますが、三年先のことというのは自分は大臣をやっているかどうかわからないから明言することは難しいと自治大臣はお考えでしょうか。それとも大蔵大臣もそのようにお考えでしょうか。答弁の姿勢の問題で私は申し上げているわけです。
  267. 今井勇

    ○今井国務大臣 大変おしかりを受けておるようでありますが、私は国の責任の重さを考慮して補助率を決めるべきだと思っているわけです。しかし、そのときの状況は今わかりませんから今お答えしにくいと言っているだけのことでございます。
  268. 竹下登

    竹下国務大臣 生活保護というものが憲法二十五条から発しまして、昭和二十一年以来大変な議論が積み重ねられて今日に至っておる。長い間十分の八というこの補助率が存在しておったということからくる重みは私は十分承知しておりますが、ただ、いわば費用負担あり方という意味におきましてはいろいろな議論があるであろうというふうに考えます。
  269. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 生活保護の国の補助率についてどうあるべきかという点について大蔵大臣の見解をお尋ねしたわけじゃないのですね。さっき私がお尋ねしたのは、三年先は大臣をやっているかどうかわからないからその点について答弁は難しいというようなことについて大臣はどうお考えでしょうか。
  270. 竹下登

    竹下国務大臣 老境に達して生きておるかどうかもわかりませんですけれども、三年先の問題を今私が確定づけてかくあるべきだと言うことは差し控えるべきではなかろうかなと。やはりこの問題については費用負担あり方という問題でございますから、諸般の事情を検討して決められるべき課題ではなかろうかと考えております。
  271. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 生活保護の問題は保護を受ける国民にとって非常に重要な問題であるというだけでなく、国の基本的な施策であり、憲法上の責任という点でも国が重要な部分を占めるというのは当たり前のことです。むしろ全面的な責任があるわけですから、費用の面でもそれにふさわしいだけの、十分の八にとどまらずあるいは十分の十であっても構わない、そのことが決して論理矛盾になるものでもありませんし、より一層国が積極的にその施策に対する責任を負担していくというのは望ましいことだと思っております。しかし、今日地方自治体にその一部を負担させているという現状から考えまして、自治体側にこのような負担が強化されるという点については地方自治体にとりましてもゆるがせにできない問題であり、地方自治体によっては、生活保護がその地方財政の中で非常に大きなウェートを占めるという自治体にとってみれば地方財政に重大な影響をもたらすものであることは明らかです。  したがって、自治大臣にお尋ねしますけれども、このような生活保護補助率について、地方自治体に与える影響等にかんがみて、このような十分の七というような状況ではなく十分の八に戻してほしいという姿勢で自治大臣は臨まれるのでしょうか。その辺のところをお尋ねします。
  272. 小沢一郎

    小沢国務大臣 生活保護そのものに関する基本的理念につきましては私も先生の御意見に賛成であります。したがいまして、憲法二十五条を引くまでもなく、社会保障の基幹的制度でもございますし国の負担というものが重くなるということは、その点についてはそのような考え方を私も持っております。ただ社会保障全般については、私とやかく言う立場ではございませんけれども、本当に働きたくても働けない、あるいは一生懸命働いても生活できない、そういう人たちに対して国民全部でお互いに助け合おうというのが、基本的な生活保護だけではなくて社会保障全般の理念であると思います。したがいまして、働けるけれども働きたくない人に対して国民の血税を使うということになったんではこれは本来の社会保障の趣旨とは異なるんではないだろうか。その意味において、先ほど来先生がお挙げになった個別のケースについては私は知りませんからそれのことを言うわけではありませんが、例えばいつでしたかの委員会でも、キャデラックに乗った暴力団が生活保護を受けていたとかいろいろ個別の不正受給の問題もあるし、その点については厳正に適用していかなければならない。そういうことで国民の税金が十分本来の目的に沿って生かされていくべきものと思っております。  結論は、前段申し上げましたように基本的にはより重い責任が問われておるであろう、そのような考え方に立って今後暫定期間内に、いろいろそれぞれの御意見があると思いますので、検討協議をいたしてまいりたい、そのように考えております。
  273. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 生活保護にとって常に言われることは、暴力団がキャデラックに乗っているだのというような、全体のケースの中ではごくまれな例を取り出してその他を論じるようなやり方は適切でない。つまり、その問題はその問題で処理すべき事柄でありますけれども、そういうのを理由にしながら全体の保護開始を厳格にするというよりは困難にしていくという状況をもたらしている。そのことが問題にされる。生活保護法が最初つくられて、燃えるような情熱を持って現場で取り組んでこられた厚生省の方々がいろんな文章をお書きになっているのを読みますと、本当に困った人たちに遺漏のなきようにしたい、一部不正な者に支給されているというケースを事荒立てて取り上げるよりは、本来受給すべき人に漏れていはしないかということに思いをいたしてやるべきであるという情熱に燃えて取り組んでこられたわけですね。ところが最近の厚生省の姿勢というのは、まずとにかく不正受給の防止というのを一番最初に掲げて、そして本来受給すべき者に厳しくしていくという傾向にあることは否めない事実だと思うのですね。それがこのような国の財政事情の悪化ということをてこにして、補助率の引き下げがさらにそれに拍車をかけているという今日、この補助率の問題について私は、厚生行政、生活保護行政の中で苦しんでいる人々がある、そしてこの一年さらにこの補助金のカットによって大きな被害が出ているということを指摘してきたわけです。  本当は、きょうは保育所の問題も数々お聞きしなければならないと思っておりましたけれども答弁の都合等によりまして時間がなくなりました。改めてまた、大蔵委員会の質疑もございますので、質疑を続行したいと思いますので、厚生大臣、自治大臣お越しいただきたいと思います。本日はこれで終わらせていただきます。
  274. 小泉純一郎

    小泉委員長 以上をもちまして、本案についての連合審査会は終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十分散会      ――――◇―――――