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1986-04-09 第104回国会 衆議院 大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月九日(水曜日)     午前十時開講 出席委員  大蔵委員会   委員長 小泉純一郎君    理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君    理事 中村正三郎君 理事 上田 卓三君    理事 野口 幸一君 理事 坂口  力君    理事 米沢  隆君       越智 伊平君    大島 理森君       加藤 六月君    金子原二郎君       自見庄三郎君    田中 秀征君       高鳥  修君    東   力君       村上 茂利君    山中 貞則君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       伊藤 忠治君    沢田  広君       戸田 菊雄君    中村 正男君       堀  昌雄君    矢追 秀彦君       正森 成二君    簑輪 幸代君  内閣委員会   委員長 志賀  節君    理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君    理事 小川 仁一君 理事 元信  堯君    理事 和田 一仁君       石原健太郎君    菊池福治郎君       塩川正十郎君    月原 茂皓君       矢山 有作君    鈴切 康雄君       滝沢 幸助君    柴田 睦夫君  地方行政委員会   委員長 福島 譲二君    理事 糸山英太郎君 理事 小澤  潔君    理事 西田  司君 理事 平林 鴻三君    理事 安田 修三君 理事 宮地 正介君    理事 岡田 正勝君       大村 襄治君    坂本三十次君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  社会労働委員会   委員長 山崎  拓君    理事 稲垣 実男君       自見庄三郎君    谷垣 禎一君       箕輪  登君    金子 みつ君       伊藤 昌弘君  運輸委員会   委員長 山下 徳夫君    理事 鹿野 道彦君 理事 津島 雄二君    理事 吉原 米治君       柿澤 弘治君    堀内 光雄君       増岡 博之君    箕輪  登君       若林 正俊君    横山 利秋君       梅田  勝君    辻  第一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         厚生大臣    今井  勇君         運輸大臣    三塚  博君         自治大臣    小沢 一郎君         国務大臣         (総務庁長官)         大蔵大臣臨時代         理       江崎 真澄君  出席政府委員         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         防衛庁経理局長 池田 久克君         防衛施設庁長官 佐々 淳行君         防衛施設庁総務 平   晃君         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         防衛施設庁労務         部長      岩見 秀男君         経済企画庁総合         計画局審議官  勝村 坦郎君         大蔵政務次官  熊川 次男君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      木戸  脩君         厚生省健康政策         局長      竹中 浩治君         厚生省保健医療         局長      仲村 英一君         厚生省保険医療         極老人保険部長 黒木 武弘君         厚生省社会局長 小島 弘仲君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         運輸省航空局長 山田 隆英君         建設大臣官房長 高橋  進君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治大臣官房審         議官      持永 堯民君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁次長   井上 孝男君  委員外出席者         国土庁地方振興         局山村豪雪地帯         振興課長    中澤 澄次君         外務大臣官房審         議官      太田  博君         文部大臣官房審         議官      横瀬 庄次君         文部省教育助成         局財務課長   逸見 博昌君         会計検査院事務         総局第一局審議         官       疋田 周朗君         会計検査院事務。         総局第三局審議         官       田村 眞造君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査 矢島錦一郎君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の補助金等臨時特例等に関する法律案(内  閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 山崎拓

    山崎委員長 これより大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  大蔵委員長所用のため、私が委員長の職務を行います。  内閣提出、国の補助金等臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 まず、公共事業長期計画進捗状況について、政府関係各省意見を聞きたいと思います。  ここに各公共事業長期計画進捗状況一覧表がございますが、治水治山、海津、道路港湾、漁港、空港住宅、下水道、廃棄物処理都市公園土地改良治岸漁場整備、交通安全、急傾斜地等、実にたくさんの長期計画が今日ございます。その一覧を見ますと、全部目標を達成していない。一体どうしてこんなに率が低いのであろうか。私はたまには、一つや二つは一〇〇%達しておると御自慢なさるところがあってもいいと思うのでありますが、ことごとくであります。  例えば運輸省関係を例にとってみましょうか。港は、公共が七四・九、災害関連事業地方単独事業港湾機能施設整備事業六一・三、空港に至っては公共六五・九。これを比べますと、失礼な話だけれども運輸省成績は極めて悪い。建設省関係住宅が九四%等で、運輸省が特に悪い。サボっているのか、やる気がないのか、特に運輸省が悪いというのはどういうわけなんです。
  4. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えを申し上げます。  五カ年計画は五カ年計画計画であります。しかし、計画だからといいましてそれはそのままであっていいというわけではございませんで、御審議をいただいてこれを御決定いただきました以上、一〇〇%に達します努力を傾注してまいらなければならぬことは当然のことであります。  ただいま横山先生から、運輸省関係が特に悪いということでおしかりをいただいたわけでございますが、率直に申し上げさせていただきまして、今、六十年度までの五カ年計画は御指摘のようにそんなことでございます。これは財政再建という極めてシビアな財政運営年次に四カ年遭遇をいたしました。建設国債発行による公共事業確保ということが至難になり、事業費による確保という手法が講ぜられることにより全体的にこれを取り進める、こういたしたものでございますから、予算ベースではさようなことに相なります。事業費ベースではそれなりのことかなとは思いますが、しかし計画でありますから、あらわれた数字は厳粛なものであります。  さような意味で、おしかりはおしかりとして受けさせていただきながら、まことにやむを得ない国家財政再建年次に当たっておりましたということについて深い御理解を賜りたいと思いますし、これからの六十一年度を初年度とする五カ年計画におきましては、過去の経験を踏まえ、果敢に財源措置等運輸省運輸省として考えつつ全力を尽くしてまいらなければならない、このように思っておるところであります。
  5. 横山利秋

    横山委員 お答えになっていないじゃないですか。何で運輸省だけが悪いのか。あなたは全部の計画についての総括答弁をなさったのであって、私の聞いているのは、運輸省だけが成績が悪いのはどういうわけかと聞いておるのです。
  6. 三塚博

    三塚国務大臣 悪いと言われますと悪いのでありますが、住宅五カ年計画は、波及効果が非常に高いということでこれに集中した政策的効果が出ておるようであります。運輸省だけ悪いのではございませんで、流れを見ますとやや横並びの感じかな。(横山委員「そんなことない」と呼ぶ)そうですか。そうでありますならば、これは非常にえらいことだな、こう思いますし、腹を据えてこの問題に立ち向かっていかなければならぬ重大事だな。事務当局に他の五カ年計画との比較検討を精密にやらさせていただきまして対応していかなければならぬ、こう思います。
  7. 横山利秋

    横山委員 もう一つの特徴は、この表を見ますと、地方単独事業成績が非常によろしい。直轄でやるものは成績が悪いけれども地方単独事業でやるものは成績がいい。これは一体どういうことだと判断しますかね。これは大蔵大臣代理にひとつ。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御承知のように、国家財政赤字は、GNP比でいいますと四三%。地方赤字、これもございます。ございますが、わずか六%。これは全く財政事情が違います。アメリカ赤字財政というのはGNP比の四〇%でございまして、日本国家財政の四三%の赤字比率からいいますと、日本の方がむしろ悪い。地方の場合は、赤字は北海道とかいろいろな僻地に財政事情の相当悪いところもございます。しかし、全体から見ると国家の比ではない。そういうことが単独事業が活発に行われることにもなっておるというふうに考えております。
  9. 横山利秋

  10. 三塚博

    三塚国務大臣 運輸省であります。それと農林省、水産庁、あと建設省です。三省、今御指摘のありましたとおりです。
  11. 横山利秋

    横山委員 この表を見ますと、海岸が五十六年から六十年、投資規模九千三百億、今度六十一年から六十五年まで一兆円。九千三百億円が一兆円になる、一〇七・五%の増加ですね。それから、港湾が五十六年から六十年が四兆二千六百億、今度は四兆四千億、一〇三・三%の増加ですね。今までの実績がひどく悪いのに、欲を深くして一〇七・五%だとか一〇三・三%とか、実績を踏まえずして計画しているのじゃないですか。
  12. 三塚博

    三塚国務大臣 お答えを申し上げます。  前年度、御指摘のとおり諸状況によりまして進捗率が落ちました。この苦い経験を踏まえながら、この程度のことは二十一世紀に向けての基盤整備として、また社会経済状況の変革に応じた最小限のものであろう、こういうことで積み上げをさせていただいたわけでございまして、実現可能のもの、このように自信を持って実ははじき出させていただいたというのが実情でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 お言葉ですけれども港湾が、公共が七四・九、それから災害だとか地方単独事業だとか港湾機能施設整備事業が六一・三%ですよ。そんな六〇%ぐらいのことを五カ年でやっておって、今度は四兆二千六百億を四兆四千億、一〇三・三%、前計画よりも多くするということは、これはその実績を全然考えずに、ええから一〇〇%以上にしておけということじゃないのですか。積算基礎がちょっと危ないな。
  14. 三塚博

    三塚国務大臣 今、積算の、数字にわたりました積み上げ実態のことでありますものですから、港湾局長からその実態を説明させます。
  15. 藤野愼吾

    藤野政府委員 総額におきましては、例えば港湾を例にとりますと、第六次五カ年計画の三%増しぐらいのもので成っております。  それの個別内訳につきましては、財政実態なりなんなりを総合的に判断をいたしまして、公共事業地方単独事業機能施設整備事業、それぞれの一定の考え方のもとに数字をはじき出してございます。例えば、公共事業のところで申し上げますると、むしろ六次の五カ年計画よりも名目的には下がった形にもなってもおりまするし、また、今後の検討課題ではございますが、昨今、民間活力の活用といったこともいろいろと具体的な検討が進んでおります。そういったものを今度の港湾整備五カ年計画の中でどう位置づけるかということも一つ命題でございますが、そういったものも考えていくというふうなことから、全体の部門別割りつけを考えたものでございます。  なお、区分の最後のところに調整費というのがございますが、これは今後の経済社会情勢変化ないしは財政の需要の動向等々を勘案しながら、弾力的にこの計画を遂行していくための枠取りとしてそういったものを考えたものでございます。
  16. 横山利秋

    横山委員 少なくとも、閣議を経て長期計画が策定される、それを計画のときに大々的に宣伝をして、その役所が、それぞれ担当の省がそれに対して前向きになる。この計画閣議で決まるまでには相当の根回しもして、きちんと体制を整えて、しかもこれらの長期計画は、少なくとも社会的基盤風水害対策国民生活基盤、そういう社会的な、国家的な基盤整備として重要な位置づけを持って閣議決定していると思うのです。  それを決めたら決めたで、後で念査を総合的にするということが今ないのではなかろうか、おまえのところ、おくれているじゃないか、閣議で決めたメンツをどうしてくれる、それじゃその整合性が保てぬではないかということをやるところはどこですか。
  17. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、いろいろな整合性をまとめて見ておりますのは、経済的には経企庁でもありますが、何といっても大蔵省が、この財政再建のために、公共事業等についての伸び率を思うように予算づけをしなかった、これはもう財政再建のためという、それを先行させたことによるわけでございます。  また、今運輸大臣に対しての御意見、大変ごもっともでございますが、運輸省も全く守備範囲が広うございまして、そういう点で私、進捗率が悪いのだろうというふうに思っております。  それから、さっき調整費があるという話もありましたが、六十年に至る五カ年計画調整費というのは、これも財政再建のために残念ながら使うことができなかったというようなことなどもございまして、御不満の点はよくわかります。  本当は今までに何とか内需振興をもっと活発にすべきだったということも考えられるわけでありまして、これはアメリカの高金利に引き寄せられて、つい、簡単に言えばマネーゲームに走っておった、その一種の報いみたいなものが日本財政に災いしたということもあるわけでございまして、この点は、御指摘のようにもっと公共事業を第三セクターでやれなかったかということを言われれば、本当に惜しいことをしたということが言えると思います。
  18. 横山利秋

    横山委員 何か私の質問先手を打っておられるような気がするのだけれども、先ほど聞いたのは、確かにそれは江崎さんのおっしゃるように、大蔵省は、計画はしたけれども、ひもを締める役だ。私の聞いておるのは、閣議決定した、綸言汗のごとしだ。長期計画政府方針として決めた、それを決めたとおりにやれと言う役所はないのかということを聞いているのです。大蔵省の仕事じゃないのです。大蔵省はなるべく使わぬようにすればいいので、経済企画庁はそれをやっているのですか。
  19. 三塚博

    三塚国務大臣 本件につきましては、それぞれ各省事業省が五カ年計画執行責任にあるわけでございまして、運輸省とすれば港湾であり、空港であり、海岸であり、以下あるわけでありますが、毎年の予算編成の際に、概算要求から始まるわけでございますが、全力を挙げて、五カ年計画が達成できますよう、年次別進捗率を計算し、概算に盛り込んでまいるわけです。  残念ながら、十二月の政府予算案決定の際には、財政方針財政再建計画等々とのにらみ合わせの中で、全体的に公共事業抑制べースの中でこれが辛抱せざるを得ないということでございまして、そういう国家目標の中で行わさせていただいておるという点では、運輸省としても不満は大きく残るのでありますけれども、やはり財政再建というのも国家的な命題であるということでこれに従わざるを得ない。しかし、その部分を、前段申し上げましたように六十一年度を初年度としてスタートをする五カ年計画の中でこれを取り進めてまいるよう全力を尽くしていかなければならない。それぞれ本件は、我が省といたしましてはそういうような方向の中で全力を尽くしましたが、結果的にさような進捗率に相なりました。  あえて言えば、大蔵省は全体をにらんでということになるでしょうし、経企庁経済政策の中でというふうになるわけでありまして、運輸省としても、経企庁及び大蔵省にそれぞれ政府機関として予算決定までの間に交渉をし要請を続けておるわけでございますが、さような結果であるということであります。
  20. 横山利秋

    横山委員 私がこの五カ年計画を徹底をして完全実行しろと言うゆえんのものは、少なくともこれが国家社会的基盤あるいは災害対策あるいは生活基盤、なくてはならぬものとして閣議で決めたからであると同時に、最近猫もしゃくしも内需振興内需振興と言っているけれども本当内需振興は長期的、広範で、すそ野の広い公共事業本当内需振興なのではないか、その大きな柱ではないか。最近大きなプロジェクトをとってきたように、線路の上に高層ビルを建てるとか思いつきのようなことに狂奔をしておられるけれども、それは結局は大企業を得させる、喜ばせる、取ったか見たかの話であって、すそ野の広い本当のやり方というのは、一つは、公共事業長期計画を丹念に完全に行うことによってすそ野が広がる、こう信じておるからです。  それから、もう一つ内需振興というのは、場違いではあるけれども個人消費を高めなければ本当のものにならぬ。国民総生産の過半数を超えるのは個人消費ですから、この個人消費を高めることにならなければ内需振興というものはすそ野が広がらぬと私どもは思っている。今では労働組合や私ども社会党が言うばかりではなくて、サントリーの佐治さんや財界のお偉方がずばりずばりと言っているでしょう。江崎さん、どうお考えですか。
  21. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御質問の点は、全く仰せのとおりだと私は思います。五カ年計画などは、努力目標を含めてぜひ達成したいという計画であり、それは閣議でも認められるわけでありまして、財政事情さえよければ必ず達成する、これは閣議決定事項ですから厳粛です。しかし、その後の財政事情が思うに任せず、つい達成することができなかったことは、仰せのとおりに私どもも極めて残念に思うものであります。  内需振興につきましては、これもおっしゃるように、今度の、俗称前川委員会と言っていますが、私的諮問機関経構研の答申を見ましても、やはり週休二日制を思い切って日本も取り入れるべきだとか、それは国民消費を考えての話でございますね、したがって、今は四週六休制に向けて現在官庁は試行中である。どうやら中小企業も、九九・四%が中小企業ですが、五八%まではいわゆる四週六休制をとっておるというわけでございますから、間もなく官庁などにおいても四週六休制が実行に移されるのではないか。これは私が言うわけではなくて、人事院勧告によらなければなりませんが、仰せのように、だんだん民間消費が活発になるような努力も続けていかなければならない、これはよく今後も努力をしてまいりたいと思います。
  22. 横山利秋

    横山委員 せっかく閣議決定を得て国会で決めた長期計画というものについて、各省が、大蔵省に抑えられたかどうか知らぬけれども、大体、実施状況実績に対して極めて真剣さが足らない。やろうと思えばやれるはずだ、しかもこれは単なる計画ばかりでなくて、何度も言うように、社会的基盤災害対策国民生活基盤、一番大事なことだから閣議で決まっている。内需振興と言うのもいいけれども本当内需振興の方策はここに、決まったことに向けられるべきである。私はこれからもう厳重に実績を注意いたします。  先ほど江崎さんが言われた調整費先手を打たれたような気がするのですが、これを見てみますと、全部の計画調整費が出ている。治水が九千九百億、治山が千七百億、海岸が五百億、それから道路が一兆三千億等々、合計しますと何と十一兆三千三百億に達している。一文も使っておらぬとはどういうわけだ。十一兆三千三百億の調整費一文も使っておらぬ。こんなものなら調整費は要らぬではないか。  最初これは予備費だったのです。予備費というのは、要するに予見しがたい問題ができたときに使うのが予備費だ。それを、予備費をやめて調整費にした。調整費にしたゆえんのものを私も前に随分追及したことがあるけれども、要するに各省大臣が余裕を、ポケット財源を持っておって、よしそれならやれと追加してやる、ええ顔する銭かと言ったら、そのときの建設大臣はにやっと笑った。大蔵省もそれを子としたと私は思うのです。ところが、十一兆三千三百億を一文も使っておらぬというなら、やめた方がいい。調整費をやめて予備費にしなさいよ。今度の計画の中でも、海岸調整費が一千九百億、港湾調整費が七千九百億。使う気があって計上しておるのか。今まで全然使わなかったのにのめのめと調整費を計上するばかがどこにあるかと私は言いたい。どういうことなんだ。
  23. 江崎真澄

    江崎国務大臣 調整費仰せのとおりでございますが、先ほど調整費があるという話をしたから、後、誤解があってはいけないから私さっき申し上げたわけですが、経済情勢変化に弾力的に対応するために投資額のいわゆる内数として設けられたものだ、こういう前提でつけておるわけでございまして、御承知のとおり、財政事情アメリカよりももっと悪い、こういう状況でありますためにこの調整費を使うことがなかった、六十年度までの五カ年計画で、仰せのようにゼロであった。これも財政再建を優先させたというわけでございまして、この点はあしからず御了解を願いたいと思います。
  24. 横山利秋

    横山委員 あしからずと言っても答えにならぬじゃないですか。一兆や二兆じゃないですよ。十一兆三千三百億をこの五カ年の間に一文も使っておらぬ。それで次の計画にのめのめとまた調整費を全部盛ろうなんて、ずうずうしいじゃありませんか。ずうずうしいの言い方より言いようがないと私は思うのです。これはやめたらいかぬのか。やめたらどうふぐあいが起こるのか。     〔山崎委員長退席山下委員長着席
  25. 保田博

    保田政府委員 お答えいたします。  調整費の性格につきましては、先ほど港湾局長あるいは江崎大蔵大臣臨時代理から御説則申し上げたとおりでございますが、とにかく内外の経済情勢が非常に流動的な時期でございますので、先般来の国際的な海外からの影響、金利情勢かくも動く、あるいは円レートかくも動く、こういう時期でございますので、本来の国庫負担がある直轄事業あるいは補助事業等につきましては、過去の計画消化実績等を勘案しまして現実的な数字に圧縮をさせていただいたわけであります。しかし、経済情勢が今後非常に流動的だと予想されますので、将来の弾力的な投資を行える余地を新しい計画の中にも引き続き織り込ませていただいた、こういうことでございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 わかったようなわからぬような話ですね。私の意見は、これはやめたらいい、何でやめられぬかということがそれではわからぬのです。  それから、何で運用できぬかという問題が一つあると思うのです。それは、調整費というものは三塚さんの自由裁量ではない、大蔵大臣に協議せんならぬ、これはたしかそうですね。そういうことは、おまえのところの銭をまだよう使わぬのに、これひとつどうだということを言わずに、やることだけやってから持ってこいということになると思うのです。だから調整費本当の目的、最初私が言ったように、これは大臣のポケットにあって、全部見ておって、よしここへやってやれという裁量費、大蔵大臣に通知だけして協議などしないでもいいということになっておれば、まだ使いようの方法が私は出たと思うのです。大蔵省に相談に行ったら、そんなものはまだ使っておりもしないものを余分に調整費を使わせよと言ったって、それは無理よと言われるのが落ちだから、結局はだれも言い出さないということだと思います。しかし、原則的に言えば、調整費の金が使い切れないという状況ですからやめた方がいい。  大蔵省、私はやめた方がいいという意見だ。ほかは反対するかもしれぬが、大蔵省やめよと言ったら、あんたの方は喜ぶんじゃないのか。どうだ。
  27. 保田博

    保田政府委員 政府全体として、先般の閣議決定した計画でございますので、我々としましてはこの計画に従って誠実に実行に努めたい、こういうことでございます。
  28. 横山利秋

    横山委員 答弁にならぬじゃないですか。江崎さん、答弁にならぬのですよ。よく検討してもらいたい。
  29. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、仰せのように見せ金みたいに終わったのではいけませんね。ただ、今主計局次長が申します意味は、閣議決定をし、しかも、非常に理想的な努力目標を掲げてその五カ年計画がなされておる、それに知らぬ顔はできません、私が通訳すると、そういう意味ですね、わかりにくいとおっしゃったが。  ですから、それは計上はしなければならぬが、それよりも財政再建が優先したために使うことができなかった。財政事情が許すいわゆる高度成長時代には十分これが役立ったわけでありますが、苦境を切り抜ける努力を現在懸命にいたしておりますので、その間はいましばらく御理解をちょうだいいたしたいと思います。
  30. 横山利秋

    横山委員 これは意見が違いますが、私の言うのは、十一兆三千三百億も計上しておって一文も使わぬということは、これはもう調整費を設定した意義が失われておる。しかも、今後も財政がよくなるなんということはそう簡単じゃないのですよ。そうだとすればやめたらどうだ。どうしてもやめなければ、それは各省大臣の裁量権にゆだねるようなやり方をしなければだめよ。また五年過ぎに、今度は私は承知しないからね。――五年過ぎたらおるかしら。(笑声)
  31. 江崎真澄

    江崎国務大臣 五年過ぎも必ずおられるでしょう。  仰せの点は、やはりこういう苦しい財政事情に、何か見せ金みたいに終わっておるということは議論のあるところだと思います。検討に値する御意見だと承りました。
  32. 横山利秋

    横山委員 補助金カットが今度の地方計画にどういう影響をもたらすか、なかなか簡単に私は試算できませんでした。しかしながら、補助金カットによって長期計画にマイナス要因を与えることは間違いないと私は判断せざるを得ないのです。今度の法案で大体一兆二千百六十三億をカットをするというわけですね。かわりに建設地方債を九千三百億、たばこ消費税を千二百億、地方交付税をたばこ関係で千二百億、これをやるので勘弁してくれと地方自治体に言うわけですね。建設地方債は九千三百億、えらいたくさんの金額だが、結局はおまえのところで借金しろということなんだから、かわり財源に本当になるのかならぬのか、これは後に尾を引く問題だと思います。  これは六十一年度から六十三年度だけですが、補助金カットとそのかわり財源の問題はその後は一体どうするつもりですか。
  33. 江崎真澄

    江崎国務大臣 その後のことにつきましては、まだ三年間もありますし、補助金検討部会で、これは地方公共団体の責任者も交えまして、そして、この三年間はひとつこういうことで御理解をいただこうということで、いろいろアクセントはつけましたものの一応一律カットをしなければならなかった。しかし、仰せのように公共事業、例えば五カ年計画事業べースで作成されておることから見まして、この計画進捗率を高めるためには事業費確保を図ることが何としても必要であるというわけで、その補助率の見直しは、厳しい財政事情のもとで事業費確保していくという観点を踏まえてそれぞれの対策を行ったところであります。したがって進捗率については支障なきを期した。  しかし、それは地方債なりあるいは国が対処をしたとはいうが、それは借金として残るではないか。この方法、やり方については、いろいろなやり方もあると思いますが、何と言ってもまだ、先ほどの数字は繰り返しませんが、押しなべて言えば地方の場合はGNP比でわずか六%、国は四三%という大きな財政事情の開きもありますから、とりあえずここは、中央地方一体でございますので、苦しみを分かち合っていただこう、また、地方になずむものは地方で責任を持っていただこう、こういうことで今回の措置に出たものでございます。
  34. 横山利秋

    横山委員 去年の十二月十三日の地方財政審議会の「昭和六十一年度の地方財政についての意見」を見ますと、つまりかわり財源について、「地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、適切な措置を」しろと言って、政府の建設地方債その他がそれだと思うのですが、もう一つ言っていることは、「地方の超過負担については、国と地方との間の適正な財政秩序を保持するため、実態に即した補助単価等の改定を行い、その完全な解消を図る必要がある。」と言っている。その完全な解消を図る補助単価問題については、ことしどうしたのですか。
  35. 保田博

    保田政府委員 御指摘の超過負担の解消問題は、非常に古くからの懸案といいますか問題でございまして、各年度各年度の予算編成におきまして、その前に関係省庁との間で実施しました実態調査をもとにしまして是正の措置を講じておるわけでございます。  六十一年度の予算編成におきましても、まず一つは、物価動向その他の経済事情等を勘案しまして補助単価の是正を行うということをやっております。それからもう一つは、補助の単価を決めます基準面積というものも改定をしておるわけでございます。  それぞれについて若干御説明をいたしますと、まず補助単価でございますが、法務省の外国人登録事務に従事する職員の給与、これがどうも実際の職員と補助単価との間に格付の差があるということ、それから労働省所管におきまして、失業対策事業費の管理監督要員に係る給与の格付についても同様なものがあるということでその是正を行った。それから第二の面積基準等の改善でございますが、これにつきましても、文教施設等の面積基準について若干の改善を行っておるわけでございます。  それらによりまして、六十一年度予算におきましては、事業費ベースで三百七億円という改善を実行させていただくことにいたしております。
  36. 横山利秋

    横山委員 この問題、たくさんの問題があるのですが、ここに「その完全な解消を図る必要がある。」と言っているのですが、あなたの言っていることでその「完全」だと、自分では思っているのですか。
  37. 保田博

    保田政府委員 「完全」の意味でございますけれども、毎年度の予算編成におきまして、編成の少し前に自治省当局から各地方自治体よりの補助単価の是正要求が出てまいりまして、それらについて実態調査をさせていただいて、その結果これは是正を要するというものについて予算上の措置を毎年やらせていただいております。  「完全」であるかどうかということにつきましては、例えば補助単価が地域によっていろいろ異なるとか実際の設計面積が地域によって多少異なるといったようなことによりまして、水かけ論的な部分が残ることはありますけれども、現在のシステムの中で自治省当局と我々との間でこれは大いに不満であるといったような是正の余地が残されているというふうには考えておりません。
  38. 横山利秋

    横山委員 港湾整備緊急措置法の一部改正案の六十一年度主要事業別一覧を見ました。特定港湾施設工事の中に名古屋港が実施箇所として挙げられていますが、その内容は何ですか。  それから民活法案で、主な対象プロジェクト候補に名港ボードタウンとして名古屋港が挙がっていますが、現地の計画とその推進体制はどうなっていますか。
  39. 藤野愼吾

    藤野政府委員 まず第一点目の名古屋港における特定港湾施設工事の内容でございますが、これは中部電力の申請によって、企業合理化促進法に基づく一定の受益者負担金をちょうだいし、公共事業方式によりまして港湾施設の整備をするというものでございます。  二点目の名古屋における民活プロジェクトについてのお尋ねでございますが、御案内のように名古屋というのは中部圏におきます非常に重要な地域でございまして、私たちもかねてから名古屋港の整備を精力的に進めてまいりました。  昨今、民活プロジェクトの発掘という中におきまして、地元愛知県、名古屋市それから名古屋港管理組合等関係者が寄り寄り御議論を進められておるようでございますが、例えば名古屋の築地地区の再開発でありますとか、あるいは金城埠頭、そしてポートアイランドの開発利用に関する構想が現在検討されておるということを私たち承知いたしております。  今後私たちといたしましては、地元の皆さん方の構想の具体化に対応しながら、その支援措置というような意味合いを込めまして一定の調査費なども用意をいたしましてこのプロジェクトの推進を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、今度は民活をやっております特命相の方でお答えをしますが、今の答弁よりは私の方が少し詳しいようでございます。  名古屋市それから愛知県、財界等から非常に強い要請がありまして、現在、理想的に言うならば東名道路と東名阪を結ぶ約六千億くらいの湾岸道路と申しますか、これを整備しようというわけですが、六千億は少し高額に過ぎますので、とりあえず御存じの西大橋だけはかかりました。そこで、伊勢湾の船が出入りする真ん中の橋というのは非常に高い建造物になるわけですが、現在はその橋と東大橋に調査費がついておる段階でございます。したがって、この両橋をとりあえず名四国道に結びつけよう、総経費は千三百五十億円程度でございます。  それを愛知県、名古屋市、地場産業等々、民活として公団方式がいいのか、愛知県の公社方式がいいのか、あるいは名古屋公社方式がいいのかという三つの方式で今、運輸省港湾局から試案をお出しくださっておるところです。私ども特命室もこれを拝見しまして、今週の末ぐらいにはそれぞれの地方自治体から回答が出るが、恐らくは明石海峡方式ということで、公団方式で公団債を地元側が引き受けるという体制で進んでおるというのが現況でございます。
  41. 横山利秋

    横山委員 江崎さんも地元で、地元同士の八百長は避けなければならぬが、私、つくづく港の問題を考えますのに、昔は港と言えば貿易施設だけ、景色も何も考えぬでもいいということだったのですね。しかし最近は、港湾整備について、地域社会との整合性、風致地区、緑といったものが欠くことのできない問題になってきて、港についての物の考え方、港に住んでいる人の要望というものは大きく変貌しておると思うのです。船が来た、荷物をおろす、送る、それだけやればいいという考え方はもう時代おくれだと思うのです。港湾整備に当たって、そういう点はどうお考えですか、運輸大臣
  42. 三塚博

    三塚国務大臣 全く横山先生指摘のとおりでございまして、運輸省ポートルネッサンス21計画というのを立てましたゆえんは、まさに御指摘のラインに沿うべく、港は、出入り、荷の積みおろし、また輸出、こんなことだけで足るものではございませんで、その地域社会のセンターになるべきものであろう、さような意味におきまして緑地、港湾公園を配置いたします。さらに、市民がそこに集う場としての空間もつくらせていただく。また、出入りをする船員を初め皆々様がそこで活用できる利便施設も設置をしなければならぬだろう。特に名古屋港のように国際的に知られた港におきましては、国際会議場等も設置するなど多彩な機能を持たせることにより、港がその地域に住んでおる人のセンターになっていくような配慮が、これからの二十一世紀に向けての港湾づくりの基本でなければならぬだろう、このように考えております。
  43. 横山利秋

    横山委員 いいことを聞いた後で注文すると、あなた返事に困るかもしれないが、今の話を忘れぬようにしてほしい。  江崎さんも御存じだと思うのだが、名古屋港が非常にきれいになったのですね。釣りがじゃんじゃん行われておる。今から二十何年前の伊勢湾台風の後、皆さんの御協力で高潮防潮堤ができましたけれども日本一のあの高潮防潮堤は災害を防ぐだけのつもりでやった。ところが、釣りには本当にいいのですね。北側の方は一日千人ですよ。千人ぐらいの人が釣りに来るわけです。それからこっちの方もぎょうさん来て、クロダイはとれるわ、エビはとれるわ、そしてカニからイワシからとれる。高潮防潮堤付近、伊勢湾内外、釣りがもう本当に多い。管理組合の入っちゃいかぬという立て札が立っておる。それでも千人入っておる。しかも高潮防潮堤は狭いんですよ。このくらいかなあ。まだ死んだ人はおらぬけれども、危険だと言えば危険。それからほかの、防潮堤以外のところでもみんなが釣っておるわけです。管理組合は厳重に入っちゃいかぬと言っておるけれども、いかぬ、いかぬ、いかぬと天に向かって言っておるだけで横を見ない。まあしようがないわ、いかぬと言っておらぬと、事故が起こったときに管理組合の責任になる。だから、いかぬと言っておりましたというアリバイを言っておるだけで、今となっては、いかぬ、いかぬと言っておっても、事故が起きたときには多少は責任はとらにゃならぬわなという心境なんです。  それで大臣、今あなたはいいことをおっしゃった。港はみんなのためだ。釣りができるなら釣りもやらしてやれという気持ちになって、高潮防潮堤がこうありますわな、こういうところへ網さくをずっとつくって、そこへ腰かけて釣る。落ちても網さくの中へぽとんと入って、海の中へ突っ込まない。こういうことができぬはずがない。しかし、これは名古屋港ばかりじゃないですよ。全国の港が同じことなんです。それでみんなけんかしておるのですよ。  だから運輸省としてみれば、名古屋港、気の毒だ、おれも知っておるという人はおるんだ。おるけれども、名古屋港をやったら全国やらなければいかぬ、こういう顔をしておる、言わぬけれども。そんなことを言うなら名古屋港だけ先にやったらどうだ。やれるところからやったらどうだ。それで、港についての感覚が運輸大臣のさっき言われたような雰囲気で、管理組合に、さくをやった方がよろしい、そしてそこを釣り人のために開放してやれというように、必要な予算は大したことないと思うのですよ、やってちょうだいよ。さっきの話と違ったことを言ったらいかぬよ。
  44. 三塚博

    三塚国務大臣 先生から通告がありまして、港湾局長がきちっと答えるように相なっておるわけでございますが、これはこれとして、それでもこれは答弁のときに、よく打ち合わせをさせていただきましてきちっと前向きで答弁をするようには相なっておりますが、横山先生の実演を交えた、それと具体的な御提案、なるほど網などをこうやって事故防止をしたらどうかねということも現状に合った御提案のように思います。私も釣りが好きなんですが、仙台港にも実は同じようにそういう声がありますことをよく知っておりますし、それと、立入禁止の札が立ち、釣り人がそれで大変当惑し、何回か陳情を受けた経験もありますものですから、それだけに実感を持って横山先生の御提案を実は受けとめさせていただきました。  本件につきましては、やはりポート21という計画の中でこれから地域社会のセンターとなっていく港であるというならば、前段お答えを申し上げましたとおり広く活用をされてしかるべきであろう。問題は、我が国の役所が、事故が起きた場合あるいは死亡者が出ました場合、どの役所が責任を負うのかという、ここの点の勘法主義が、えてして弾力的な柔軟な施策の遂行に勇気を欠いたことは事実であります。  この辺のところを、私どもやはりこういう時代に遭遇をいたしまして、やれるものはやらさせていただくということで進めたいと思うし、特に入場料みたいなこと、まあそれに金取るのかと言われちゃこれもあれなんでありますが、低廉な活用料、防波堤でありますので、という意味は、港湾局長と関係者、保安庁にもいろいろ聞いてみましたが、急に高潮等がわんと来て、波に巻き込まれてさらわれた場合の措置をどうするのかという点が実はあります。それは海水浴場で監視塔を設けてやっておることもその一つでありますが、それに準ずる形の監視体制というものを、釣り人なりいろいろの中から日当程度のものを若干出してやる、こういうことなんですね。  私はきょう打ち合わせで港湾局長に言ったのですが、国鉄の余剰人員があるんだから国鉄の皆さんを一人ずつそこに対応させて……(横山委員「関係ないよ」と呼ぶ)それはそれとしまして、そういう監視体制、一人か二人で常時釣りをやっている時間見ておりまして、この辺できょうは終わりということなど、工夫をしつつ対応してまいらなければならないだろうと思っておりますので、ひとつ真剣に検討させていただきます。
  45. 横山利秋

    横山委員 きのうかおとつい、どなただったか自民党の代議士から手紙が来まして、釣りに行こうじゃないかという招待がありました。ちょうど日曜日で、私は名古屋だから参加できないのですが、国会議員の中でも釣りの愛好家が山ほどいます。全国の釣り愛好家といったらすばらしいものです。老若男女、貴賤を問わず、国際的にこの釣りというのは健康なスポーツとして非常に高く評価されています。ですから、三塚さんとは国鉄では対決せにゃならぬが、港、釣り人のことをやったら、私はあなたを全国に宣伝しますよ。国鉄では対決で悪口を言うけれども、これはひとつお願いします。  おだてた後でしかってはいかぬけれども、次は悪いことです。五十七年度決算の補助金についての会計検査院の検査、ちょっと古いけれども、これを見ると、補助金の不当事項の件数は、厚生省が二十六件、農林省十八件、通産省十七件、運輸省は割合に少なくて三件、労働省十三件、建設省十八件その他で、合計百十一件。補助金というのは、僕も決算委員長をやっておったんだけれども、悪の温床になっておる。会計検査院における摘出の温床になっている。例えば、今四月だけれども、三月三十一日に竣工をしておらぬものを竣工したと公文書を偽造して、県知事や市長や村長が補助金をもらって、出納官吏が横に置いておいて、実際に工事が竣工したら銭を払う。こういうやり方は公文書偽造だと言うてこの前私は徹底的に追撃をしたのですが、とにかく補助金というものは問題があり過ぎるわけなんです。  きょうは運輸省の問題なんですが、五十七年度で、札幌市の地下鉄用地五千百七十五平米、取得費用一億三千九百七十九万円、国の補助として四十九年度から五十六年度までに四千百五十二万円。「しかし、地下鉄用地として使用されているのは、駅出入口部の四十九平米のみで、残りの用地は、同市のバスターミナルとして使用されており、この土地の取得費は、地下に線路があるため、支払わなければならない対価などを差し引いても、五千九百八十六万円が補助の対象にはならないもので、国の補助金千七百七十七万円は交付する必要がなかった。なお、この補助金については、返還の処置が執られた。」、  こういうことがあったにかかわらず、五十九年にまた同じことがあったのです。「地下鉄建設の補助金の算定が不適切」ということで、「運輸省は、東京都ほか五市が四十一年度から五十八年度までに施行した地下鉄の新線建設工事に対し四十二年度以降五十九年度までに国庫補助金三千七百三十二億四千六百十六万円を交付している。」「この補助金は、工事の施行や用地等の取得のために要した費用から用地の売却収入等を控除した額に所定の率を乗じた額を限度とし、十年間に分割して交付」。検査院が調べたところ、「工事の終了後も売却せず、学校用地、都市計画街路の拡幅用地等として使用する予定で更地のまま保有していたり、既に道路、バスターミナル、厚生施設等地下鉄事業以外の目的に使用したりしている土地が、合計百四十一箇所、八万六百十九平方メートル取得費相当額五十二億千三百万円」、「計算すると、補助金十六億四千二百万円を節減できる。」「本院の指摘に基づいて、運輸省では、六十年十一月に運用方針の取扱指針を定めるなど必要な処置を講じた。」こう書いてある。  五十七年にこういう問題が起きたら、運輸省や会計検査院は、私が見てもこういうことは何も札幌だけじゃなかろう、方々でも同じ、空港でも同じだろう、あそこでも同じだろう、この種の問題が存在することがわかったら二度と再びこういうことが起こらぬようにやれそうなものだと思うが、一年足らずして、今度は東京都ほか五市がそれが見つかってしかられたとは、どういうことをやっておるのか。  まず会計検査院に聞きたいのだが、五十七年にこういうことが起こったときに、会計検査院としても、ここが悪いと言うだけでなくして、あっちもこっちもどうだということを政府に勧告しているのかね。
  46. 田村眞造

    ○田村会計検査院説明員 五十七年度の検査におきまして札幌市がございましたので、同一事態につきましては他の事業主体についても調査いたしましたが、札幌市と同じような事態はほかにございませんでしたので、札幌市のみを指摘したものでございます。
  47. 横山利秋

    横山委員 運輸省はどうですか。
  48. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  五十七年度の会計検査に際しましての札幌市に関します検査院の御指摘に係る事案といいますのは、先生先ほど御指摘になったとおりでございます。本来バスターミナル用地として使用する計画があった土地を含めまして、これを地下鉄事業の用に供するものとして補助金の交付申請を行ったケースでございまして、これはまことにあってはならない不当なケースであったというふうに認識しております。したがいまして、会計検査院の御指摘を踏まえまして、私ども、こういった事態が今後二度と起こらないように関係の地下鉄事業者を含めまして広く強い指導を行ってきたところでございます。  ところで、先生最前から御指摘の、今回の五十九年度会計検査に係る東京都ほか五市に係る指摘というのは、今の札幌市のケースとは本質的に事情を異にするわけでございまして、先生も御案内のように、今回の事案と申しますのは、地下鉄建設工事のために取得いたしまして地下鉄建設工事の用に供した土地ではありますけれども、それがある時間が経過いたしまして、その当初の目的と申しますか効用を果たしております。ところが、ある時点からそれが直接には地下鉄建設工事の用に供されなくなるということは数多くあるわけでございますが、その効用を終わった土地につきましての扱いについて、もっとこういう方向で改善を図ったらどうかというのが今回の会計検査院の御指摘でございます。
  49. 横山利秋

    横山委員 それでどうしたの。六十年十一月に運用方針の取扱指針を定めだというのだが、何を決めたの。
  50. 服部経治

    ○服部政府委員 今回の会計検査院の御指摘の趣旨は、貴重な補助金の一層の効率化を図るために今までの運輸省のやり方というものを改善したらよかろうということでございますので、その御指摘を踏まえまして、まず、六十年度の補助金の交付に当たりましては、その趣旨を踏まえまして、売却されてはいないけれども現に地下鉄事業の保有、所管になっている用地につきましては、これを時価評価いたしまして、その価額を全体の地下鉄の工事費から控除するというやり方で各関係の地下鉄事業者に対します補助金の決定交付額を減額査定したところでございまして、その方向での取り扱いを新たに定めているところでございます。
  51. 横山利秋

    横山委員 大臣にはこの間随分嫌なことを言いましたけれども、この間言ったように、運輸省の内部監査の状況についてまた御説明に来てもらいました。そして、どういうことを内部監査で指摘したかといって聞きましたら、結局、判こを押していないとか、帳簿がそろっておらぬとか、そういうものが山ほどとは言わぬけれどもあるんですね。     〔山下委員長退席、中西(啓)委員長代理     着席〕 かかる会計検査院が指摘するようなことは内部監査では摘出できないのです。本人たちの言い分は、それは口でこそ言わぬけれども、人数がよその官庁に比べて少ないとか、大体私のところのやり方というのはこういうやり方ですとか、そういうことを言っておるわけです。  ところが、歴年の会計検査院の運輸省に対する指摘は、ふえこそすれ減っておらぬのです。そして、指摘事項を見ますと随分問題がある。会計検査院の検査とそれから運輸省の内部監査との脈絡、一貫性がちっともない。六十人ばかりで内部監査をやっておられるそうですけれども、実質やっておるのは十人内外だろうと思う。しかし、各局、各出先機関で内部監査のシステムはあるのですから、よその省のように、内部監査を会計検査院の指摘を受けるまでもなくもうちょっときちんとやってもらわなければだめじゃないか。  三塚さん、張り切って前向きにいろいろやっておられるようだけれども、足元が少し――何か事が起こったら、あなたのメンツ丸つぶれになる可能性がありますよ。
  52. 三塚博

    三塚国務大臣 後ほど官房長からその具体的な方法なども説明をいたさせますが、先般横山先生から御指摘を受けましたことを受けまして、事務次官を中心に、チェック機能をきちっとするようにということで体制をとらせていただいたところであります。  今服部地域交通局長から言われましたとおり、特に地下鉄の助成措置というのは、農林、建設と違いまして、農林、建設は、全体事業費の五〇%の補助であれば五〇%というふうに、一千万であれば工事をやる場合には五百万を補助するということでストレートに決まるわけでございますが、地下鉄は、御案内のとおりスタートいたしましてから、開業時からの運営費補助ということで、すべての適正な補助単価、補助費、工事費総額を積み上げてまいりまして、そのうちの七〇%を十年で割賦助成をしてまいるという公共交通の助成措置をとっておるということであります。港湾、運輸、空港等についても、担当局長に私もじかにいろいろと質問をし、ただしましたが、他の役所もきちっとやられておるわけでありますが、運輸省もそういう点で極めて神経質なほど実はそれをやられておるという実感は受けたわけであります。  ただ、会計検査院からさような指摘を受けるということはやはり問題である。受けませんようにそれはきちっとやられてしかるべきだな、こういうことで気を引き締めて、やる体制をつくらさせていただいたところでありまして、実効は上がってまいると思うし、先生の御指摘に十二分にこたえられるというふうには思っておりますが、官房長から補足の具体的な説明をさせていただきます。
  53. 永光洋一

    ○永光政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、会計検査院から毎年何件かの指摘があること、非常に遺憾に思っておりまして、そういう注意事項、不祥事項のないように努めておるところでございますが、今後とも、原局が行っております補助金適正化法に基づきますところの監査がより厳正に行われますように努力をいたしたいと思っております。  今先生がおっしゃいました内部監査の問題でございますが、これも先生からいろいろ意見を伺っておるわけでございますが、確かに、私らが今やっております運輸省の内部監査は、地方の出先機関に対しまして会計事務が適正、効率に行われているかというようないわゆる内部指導にどちらかというと重点が置かれてきた、こういうふうに考えております。  それはそれなりに会計関係の職員に対する基本的な事項を徹底させるという意味で意義はあると私は思うのでございますけれども、確かに、実態的に会計検査の仕事等とどういう関係になるかという具体的な問題につきましてもう一遍考えてみなければならぬ、こういうことでございまして、一つはやはり会計監査自体の充実に努める、あるいは職員の研修をいわゆる一般のそういう補助金監査業務について行う、それから、先ほど申しました港湾あるいは地下鉄その他補助金の適正化関係の原局の業務と十分に連携をいたしまして、監査に参りますときにも、内部監査の場合にそういう補助金の監査とタイアップをいたしまして徹底をいたしたい、こういうようないろいろ具体的な考え方によりまして、従来行っておりました内部監査、いわゆる内部指導に重点を置きましたやり方を変えてもう少し実効のあるものにいたしたい、こういうふうに考えておりますので、もうしばらく内部で検討させていただきたいと思っております。
  54. 横山利秋

    横山委員 最近、フィリピンのマルコス汚職に関連いたしまして、国会でも調査特別委員会を設置して、フィリピンのみならず海外のすべてにわたって経済援助、技術援助等についての調査が行われるという展望が明らかになってまいりました。無償援助は八四年度では実績で七百十九億、もっとも債務救済、協力を除いた数字でありますが、直接借款も八四年度で五千七百九億。国民の血税あるいは預金が海外経済援助に大量に使われておる。図らずもマルコス汚職の問題から、一体どうあればいいか。経済大国としての日本は今後とても海外経済援助はしなければならず、しかしどぶへつぎ込むようなやり方では困るではないかというのは、まさに今や天の声、地の声、人の声になっておる。  今まで外務省としては、よその国へ銭を貸し、技術援助をして、そのよその家の中へ土足で入り込んで、どうなっておる、こうなっておるといって調べるわけにはいかぬではないかという態度で終始をしてきたのですが、もはや今日の状況としてはそれは許されない状況だと私は思います。日本側として海外経済援助に新たな努力をするという以上は、少なくとも今日よりも百尺竿頭一歩を進めて、外務省もそれから検査院もあるいはまた総務庁行政監察局等も、今後の経済援助について、今までのようなあり方ではだめだと私は思います。会計検査院の様子を聞いてみますと、三年に一遍ぐらいさっと通ることができるかどうかという程度です。行政管理局の話を聞いてみますと、これまた技術援助についてはいろいろと日本側の役所の欠陥は言うたけれども本当に効果的な経済援助に金が使われておるかどうかについては、なかなか今の状況としては私どももどうもと言っておる。それでは国民を納得させるわけにはいかぬと私は思うのであります。  今後の国会の審議並びに与野党の話し合いになるとは思いますけれども、少なくとも政府側として国民のそういうような期待といいますか、もっとしっかり効率的な経済援助ができるようにやれといいますか、そういう期待にこたえるためには、相手国に対してもやはりそのような注文をし、そして念査をする、国内の企業に対しましても外務省は随分細かいところまで首を突っ込んでいるのですから、やってやれないことはないと私は思います。まず、どなたから聞いたらいいでしょうかね、江崎さんから総括的な御意見を伺いたい。
  55. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは総務庁長官の立場で、行政監察をしたらどうか、こういう点についてお答えをしたいと思います。  今度のフィリピンの問題、新聞等で私も拝見しながら、こんなことが公然と行われておるとしたら本当に重天な問題だ、仰せのとおり国民の税金でございますから、これはフィリピン側にとっても、仮にリベートが実際に行われたとしても、それは無償でない限り借款で残るのですからね。ですから、その分は二十年、三十年長期のものであっても返す金額に入ってくるわけですから、フィリピン自体にとってもこれは大変な大問題である。ましてや、それを無償、ないし有償で利子をつけて借款供与をしておる、こういう形にしても、この利子はごく微々たるものですね、そんなことを考えてみるにつけても、これは日本の好意が踏みにじられることになるから私も大変重要に受けとめております。  この評価に関しまして、昭和五十五年十一月の対外経済協力審議会の答申、それから五十七年七月の臨時行政調査会の答申等においても、評価体制の整備、評価方法の改善、これがはっきり指摘され、所管省庁においては評価委員会を設置するなどして、この援助額の評価の充実を図るということが言われております。そのように対応をしておるわけでございます。したがって、フィリピンの援助につきましては、とりあえず外務、通産、大蔵、経企等々四省庁にわたりますが、この四省庁がまず自主努力で、そういう不正、不公平、また国民から見ても納得のいかない事態がどうなっておるか、これは十分責任をもって調べるべきである、こういうふうに認識をしております。  そこで、行政監察は、御存じのように検察とか警察とは違いまして、事務対応が適切に行われておるのか、またこの評価について過去の審議会の答申とか臨時行政調査会の答申等のように的確に行われておるのか、この四省庁の取り調べなどの成り行きを見守りまして、それが不適当であるとすれば監査に出る、とりあえずはまず四省庁間の自主努力にまつ、こういうことで、非常に重要視して、その成り行きを目下注目しておるところでございます。
  56. 横山利秋

    横山委員 外務省、お見えになっていますね。  外務省は今まで、相手国の座敷の中へ足を突っ込むわけにはいかぬから、向こう様の問題で、内政干渉になるからいかぬと言っておったのだけれども、それでは済まなくなったと思いますが、借款の場合、技術協力の場合、その念査の方法、効率的な運用の問題、竣工後の検査の問題等について、相手国との協議をこれからどうなさるおつもりですか。
  57. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、我が国が経済協力を推進し、これを一層拡充していく上で、我が国の行います援助が効果的、効率的に使われることを確保するということは絶対に必要な条件であるというふうに考えておりまして、これまでもいろいろな形で援助の効果的、効率的な実施を確保する措置をとってまいりました。  そのうちの一つが評価活動ということでございまして、これは年間の評価計画というのを立てまして、実際に我が国が行いました経済協力が所期の目的を達しているかどうか、効果的、効率的に使われているかどうかということで行っておりまして、最近では、フィリピンも含めまして、年間で大体百件ぐらいの評価を実施しております。これは外務省が派遣するミッション、それから在外公館が行う使節団、それから経済協力基金ないし国際協力事業団がミッションを派遣して行う評価、それから、有識者等第三者にお願いして被援助国に行っていただきまして行う評価、いろいろございますが、今後ともこの評価活動等を一層充実させる必要があるというふうに考えております。  特に、本年度につきましては、フィリピンに対する評価活動、これを重点的な評価対象と考えておりまして、具体的には、エネルギー工業分野、運輸通信分野、農業分野及び社会福祉の四つの分野につきまして、外部の有識者を団長とする調査団をフィリピンに派遣いたしまして、現地における評価の調査を実施する予定でございます。
  58. 横山利秋

    横山委員 その評価結果については何か公表されていますか。
  59. 太田博

    ○太田説明員 個々の評価は、先ほど申しましたように年間百件ぐらいを取り上げておりますけれども、それを全体でまとめまして、評価報告書ということでこれまで三冊公表いたしておりまして、近々第四冊目の評価報告書、これが公表される予定になっております。(横山委員「後で全部私にください」と呼ぶ)はい、お届けいたします。
  60. 横山利秋

    横山委員 会計検査院は、先ほど御紹介したように、三年に一回ぐらいさあっと回ってくる程度で、在外公館員と会って現地を見れればいいところだというようなお話でございました。しかし、それではこれだけの膨大な経済援助や技術援助に対する国民の血税の使途が十分検査されたとは言えないと思うのですが、会計検査院としては今後これらの問題についてどう対処されるつもりですか。
  61. 疋田周朗

    ○疋田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども会計検査院といたしましては、会計検査担当機関としての専門的立場から、援助が所期の目的どおりに適正かつ有効に実施されているか否か、こういった点につきまして、検査手法の開発に努めることによりまして海外援助実施省庁に対します国内での検査の充実を図りますとともに、援助の効果が発現しているかどうか、このような観点から、旅費予算の増額に努めまして、援助先諸国の事業実施現場にも赴きまして、事業が計画どおり実施されているか、あるいは完成した施設等が有効に活用されているか、このような点についても十分調査を行いたい所存でございます。(横山委員「行いたいと言ったって、銭はあるのですか」と呼ぶ)その点につきましては、関係当局とも折衝いたしまして極力努力をしてまいりたいと存じております。
  62. 横山利秋

    横山委員 江崎臨時大臣、会計検査院の銭というものは、先年国会で会計検査院を検査する検査官をつくらなければいかぬという問題が発生しましてから、会計検査院の銭の使い方は非常に厳しくなったのですね。ですから、今ああいう体裁のいいことを言っておられるけれども、海外で調査するなんということは現状ではできないのです。ですから、会計検査院の海外調査が十分できるようにお骨折りを願いたいと思いますが、いかがですか。
  63. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、私も今にわかに判断できませんが、会計検査院の権限が、国外に出てその検査ができるのかどうなのか、それは私もちょっと研究をしてみたいと思います。  とりあえずは、外務、通産、大蔵、経企、この四省庁が直接関連し、しかもその調整役は経企庁ですが、主務官庁としては、提供が具体的であれば通産省なんか多いわけでしょうね、それから建設関係もありましょう。ですから、そういう各省庁にまたがる自主努力というものは、大臣もおりますし、当然今仰せの線に従って十分調査をする、そして、その上で会計検査院が、その検査が妥当であるのか、なまぬるいいいかげんなものであるのか、これはやってもらわなければいけませんね。が、果たして、海外に出てそういう――まあ借款ですわね、それに手を突っ込んでいくことができるかどうか、ちょっとにわかの質問で、私つまびらかにいたしませんが、追ってこのことは後から補足してお答えを申し上げたいと思います。また、関係者でわかっておれば答えていただきます。
  64. 横山利秋

    横山委員 最後に外務省に聞きたいのですが、今江崎さんがおっしゃるように、だれしもよその座敷へ足を突っ込んでいいかという問題が残るわけですが、しかし今後、国民的期待にこたえるためには、外務省が借款協定なり技術援助協定なりを締結する際に、日本国民が承知しない、マルコス疑惑が非常に悪影響を及ぼしたということで、竣工検査なり評価なり、あるいはその評価の方法なり現地における調査、これらを協定なり何かの中へ一条項入れるべきだと思いますが、外務省、どうお考えですか。
  65. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  我が国の援助が適正に、かつ効果的、効率的に使われることを確保するというのは、これからも引き続き援助を実施し、これを拡充していく上で不可欠の条件というふうに言えると思います。先ほども御説明いたしましたように、今までも種々の措置をその観点からとってきた次第でございますけれども、現在、今までのやり方についての検討というのをいたしておりまして、もし改善すべき点があれば改善をすべきであると考えております。  なお、先ほど申しました評価でございますが、これは特に重要でございまして、ただいま外務大臣のもとにODA研究会というのが昨年の四月から設けられておりますけれども、そのもとで、特に評価活動につきまして経済援助評価検討部会というのがこのたび発足することになりまして、その部会におきまして、これからの評価活動がどうあるべきかということを有識者に御検討いただくことになっております。  なお、先生の御指摘の点に関連いたしまして一つ申しますと、先ほど申しましたように、本年度は評価につきましてフィリピンを重点的にすると申しましたけれども、さらにその効果を上げるべく、我が方から評価使節団がフィリピンに参りましていろいろな評価をいたす際に、フィリピン側の関係者にも我が方の評価活動に参加してもらいたいということを既にフィリピン側に申し入れておりまして、フィリピン側から、原則としてそれで結構であるという感触を得ておりますので、フィリピン側の協力も得てフィリピンにおける我が国の経済協力についての評価活動を実施していきたいと考えております。
  66. 横山利秋

    横山委員 質問を終わります。
  67. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 小川仁一君。     〔中西(啓)委員長代理退席、中村(正三郎)     委員長代理着席〕
  68. 小川仁一

    小川(仁)委員 まず最初に、いわゆる一括法というもののあり方について大臣の見解をただしてみたいと思うのです。  こちらの方にも補助金の一括法がございますが、内閣委員会の方にも地方公共団体の執行機関が国の機関として行う事務の整理及び合理化に関する法律案というのが出ております。これを調査をいたしてみましたら、補助金と内閣委員会の方とダブっているのが六本ございます。それから老人保健法の改正案と補助金あるいは内閣委員会とのダブりもございます。老人保健法と内閣委員会の方のダブりも一本。それから個別に、消防法、こういったようなものに対する法律案が二本あります。  このように幾つもの法律案がそっちこっちに分離して出されたり、あるいは当然一つの委員会で決定されるべきものが分割して出されたり、こういうことは私は非常に問題じゃないかと思います。去年も内閣委員会で社会党は撤回要求をいたしましたけれども、こういった審議の仕方、これは一つは、国会の常任委員会の審議を軽視している、こういう形になると思います。一つの補助金なら補助金が減額されるということは、その法律を含めて一つの行政執行上の他の関連部分が大変あり、各委員会にしても当然審議をしなければならない、こういう状況があると思いますので、政府が余りにも便宜的に扱い過ぎる、こういう感じがいたしますので、こういう法律の出し方自体についての御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は、はっきりお答えしなければならぬ点だと私も思います。  一括法につきましては、昨年七月の行革審の答申に沿って、機関委任事務の問題は、地方の自主性、自律性を強化する措置を内容とするものであり、具体的には、機関委任事務の廃止、団体事務あるいは町村への委譲、国の認許可権の知事への委譲、こういったものですね。それから老人保健法の問題については、これは名称はともかくとして、内容は、法案としてその趣旨に全く相伴ったものであるというふうに承知をいたしております。  そこで、よく、日本は法律が多過ぎる、何でも法律法律で、法律の数が多かったり、またその法律が明治以来のものであったりというようなこともありまして、改正の趣旨、目的が地方の自主性とか自律性とかそういう統一性のあるもの、こういったものはなるべく一本化した方が御審議をいただくのにも合理的であり、またその方が妥当ではないかという善意に立つわけで、これも行革審の答申を尊重しながら一本一本やらなければ――まだほかにもございます、民活の法律も一括法案ですね。ですから、御指摘の点は私、重要に考えますが、そういう合理化の意味でありまして、決して国会の審議を妨げたり、あるいは軽視したりというような挙に出るものではありませんので、そのあたりは御了承を願いたいと思います。     〔中村(正三郎)委員長代理退席、中西     (啓)委員長代理着席〕
  70. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうおっしゃいますけれども、具体的に申し上げますが、例えば老人福祉法、これは補助金の一括法にも部分的に財源問題が入っております。それから老人保健法の一部改正という形で社会労働委員会の方にも入ります。それから事務整理合理化法案の方にも入ってくる。何か一つの法案、例えば事務整理合理化法案の問題でいけば、中身にすれば執行機関の変更、これだけのことであるかもしれません。しかし、一つの法案がなぜこう三カ所に提案されなければならないか。一カ所でいいじゃないですか。  例えば老人保健法等の一部改正という法律があったら、そこへ補助金一括法に係る分を入れる、あるいは内閣委員会に係る整理及び合理化に関する法案に係る、ほんの少しの部分という説明でありますが、それも入れる、そうして社労委員会なら社労委員会で討議する、こういうことの方がむしろ能率的でもあり、総合的でもあり、また審議も十分尽くせる、こういう感じがするのです。私は、どうしても一括法というのを承知できない感じがするのです。  内閣委員会には十一省庁、四十三法律、六十一事項かかります。内閣委員会でやれと言われればやりますけれども、実際問題としては総務庁だってお困りになる、結局は各省庁を呼んで審議をしなければならない、こういう格好になります。  私は、確かにいろいろな面で今法律を整理されているということ自体を理解しないわけではなくて、整理するものは整理してもいいが、まとめた一括という便宜的なやり方というものをぜひ今回を最後にお考え直しを願いたい、こういうことを含めてもう一度答弁をお願いしたいと思います。
  71. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御意見まことにごもっともな点もあると私思いますが、法律案に盛られた性格が共通の性格を有し、その趣旨、目的が一つであり、一体をなしておる、こういう場合には一本の法案とすることは従来もしばしば行われた、これは御存じのとおりでございます。  一本の法律にすることは、立法の趣旨を明らかにする上でも、また、その立法趣旨に基づいてとられておる措置を総合的に、例えば補助金の問題など判断をしていただく上において適切であると考えたこと、それからまた、一括して御審議をお願いすることは全体を通覧した総合的な審議を可能にするものであって、国会の審議を制約しようとか、そういう意図に発するものではもちろんございません。  補助金の特例法案においても、財政状況及び累次にわたる臨調答申に基づいていわゆる一括切り下げというものをまた延長したというようなことで、そのこと自体においては一体的なものですから一括した、こういうわけでございます。  もし、私の答弁で不備があれば、事務当局から補足をいたさせます。
  72. 保田博

    保田政府委員 幾つかの法案をまとめて国会の御審議をいただくということについての基本的な考え方、並びに今回補助金の一括法につきまして  一本にまとめました際の考え方につきましては、先ほど江崎大臣から御答弁したとおりでございます。  一方で、御指摘のとおり老人福祉施設でございますとか保育所等の施設に係るいろいろな措置がまとめられて、また別途の委員会に提出をされておる。これはどういう措置であるかと申しますと、従来これらの入所措置等々といったものは、国による地方公共団体への機関委任事務という性格づけをいたしております。入所の基準でございますとか、施設あるいは定員の配置といったようなことにつきまして、国が非常に大きな規制を加えておったわけでございますが、それらの事務の性格につきまして実態に即した見直しを行ったわけでございます。  その結果、これらの事務を地方公共団体のみずからの団体委任事務ということに性格づけを変える。それに伴いまして入所の基準でございますとか、あるいは先ほど申し上げました施設の基準、あるいは人の配置の基準等について国による規制を大幅に緩和するということで、地方団体の事務運営の自主性を高めるという改正を行うことにいたしておったわけでございます。  この事務事業の見直しということにつきましては、昨年七月行革審の答申もございまして、地方の自主性あるいは自律性の強化といった観点から広範な政策提言をいただいておるわけでございます。したがいまして、そういうものはまた行革審の指摘事項を一括して措置する総務庁が提出をいたしておりまする機関委任事務整理法案というものにまとめて御提出をさせていただいた、こういうことでございます。  それから老人保健法とダブっておるではないかという御指摘がございました。老人保健法につきましては、老人の医療について一部負担を求める、あるいは老人医療の将来の財政問題が非常に不安であるということから、サラリーマンのグループによる財政援助の措置を強化するといった観点から別途の法案として提出をさせていただいておる、こういうことでございます。一つの法案について幾つかの委員会に係る法案として分けて提出した前例もございますので、その点は御了承をいただきたい、御理解をいただきたいというふうに考えております。
  73. 小川仁一

    小川(仁)委員 お二人からお話を聞きましたけれども、やはりどうしてもなじまないという感じがいたすわけでございます。今回は提案になりましたから審議には入りますけれども、さっきの老人保健法の話じゃないけれども、三つの委員会に係るというふうなやり方というのは極めて非能率的であります。そしてまた、お話は、今回は、例えば内閣委員会の方は整理合理化で統一したというけれども、去年は地代家賃統制令なんという整理合理化とは何の縁もゆかりもないものを紛れ込ませたりする、こういうこともありますだけに、このことについては、今後こういう法案の提出の仕方についてぜひ御配慮、お考えおきを願って、むだな審議をしないような形をおとり願いたい、このように要望しておきます。  続いて、私昨年もこの委員会で御質問申し上げましたし、また盛岡の公聴会にも参りました。したがって、今回質問に入る前に、前回の公聴会に出られた方々にお電話でお聞きをしたりお会いしたりしたわけでありますが、もうどなたも口をそろえて、去年の約束は一年限りだった、それで背水の覚悟で予算に乗ってきたのに、またこれをと言われますともうどうにもならぬ、こういう政府に対する不信感が口をついて出ておりました。知事、市町村が来るときは、いろいろとお願いをしなければならないこともあるでしょうから直接的な言い方をしないけれども、下へ行くと、各市町村あるいは団体のこういう非常に厳しい声があるということは、長官十分おわかりと思いますが、こういうものに対して一体どういうふうにして信頼を回復するかということについてのお考えがございましたら、お願いしたいと思います。
  74. 江崎真澄

    江崎国務大臣 六十年度における補助率の引き下げは一年間の暫定措置である、それをまた六十年以降六十三年まで延ばしたのは本当に困る、おっしゃる意味はよくわかりますが、これは御承知のように、今度の場合は補助率のあり方について、国と地方の間の機能分担、それから費用の分担の見直しといった検討を行いまして、そしてアクセントをつけながら補助金の見直しを行った。これは、御承知のように国家財政も非常に苦しゅうございますし、地方も必ずしもいいとは思っておりません。いいとは思いませんが、国に比較すればまだ余地があり、そしてまた地方公共団体として引き受けていただいた方が地元のために、また住民のためになずむというような配慮などをいたしまして、これは補助金問題検討会、それからまた閣僚会議、こういったものを随時開きまして、そしてその結果こういうことにしたわけであります。  いわゆる今度の検討会の趣旨を踏まえて、我々は政策分野の特性に配意しながら、社会保障を中心に事務事業の見直しを行いながら補助率の総合的見直しを行った、こういうことでございます。
  75. 小川仁一

    小川(仁)委員 皆さんのお考えがそうであったとしても、具体的に下では予算が減っておるわけです。そういう不信感があるわけでありますが、例えば教材費で、私は岩手県の地元の小中学校でどの程度減ったかということを幾つかの郡市で調査をしてまいりました。  それで最初に、文部省おいでになると思いますが、去年のこの措置によって教材費は全国的にどの程度総額で減っておるか、わかったらお示し願いたい。
  76. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  昨年の十一月十五日現在で昭和五十九年度と六十年度とを比較したものをとっております。全国ベースでございますが、五十九年度が三百十七億、六十年度が三百二十六億、全体的には三%の増、こういった状況でございます。
  77. 小川仁一

    小川(仁)委員 全国的には大変いいように見えますが、十一月十五日現在ですから最終決算ではないと思います。岩手県のような貧乏な県に参りますとこれはちょっと様子が違いまして、今申し上げてみますが、義務教育教材費配分類、これは稗貫という地区、花巻中心の地区でございますが、ここはすべての学校が一九八四年度分の配分と一九八五年度分の配分でマイナスになっております。それから、具体的に数字を申し上げてみますと、これは釜石の地区でございますが、例えば大槌小学校、学級がふえても金額が減っている、こういう状況です。大槌では二十一万四千円、吉里吉里中学校では五万円の減額になっておりますし、気仙郡の方へ参りますと、生出小学校で十二万七百円、矢作中で十八万四千四百円、横田中で十八万四千四百円というふうに教材費が具体的に減っているわけです。全国的な水準で、経済的に豊かな県とそれから経済的に非常に厳しい県、こういう格差が出てきているわけです。こういう格差について文部省はどのような指導あるいは対策を練っておられるか、お答え願いたいと思います。
  78. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  先ほどは全体のベースで申し上げましたが、例えば各県別に申し上げますと、前年度を上回っているところ、この県が……(小川(仁)委員「対策を聞いているのです」と呼ぶ)それで、ふえているところと減っているところがあることは先生御指摘のとおりでございます。  減る事情でございますが、これにはさまざまなものがございます。例えば学級数が減る、児童生徒数が減る、学校数が減るといった状況がございます。それから、これまで教材をせっせと十分にやってきたから、今回は例えばほかの設備に予算を回すというふうなところもございます。そういう状況でございますので、ある年度と次の年度を比較されて直ちに大幅に減っておるからどうこうということではなくて、少し幅を持ってごらんいただきたい。  私ども、そういった形で大幅に減っておるところについては、適切な予算措置を講ずるよう都道府県を通じまして強く指導しておるところでございますが、最終的にはある程度の幅を持って各都道府県、市町村の状況を見てまいろう、こういうふうに考えているところでございます。
  79. 小川仁一

    小川(仁)委員 そういう御答弁が出ると思いましたが、例えば学級増になっても減っていますよ、学級増というのは児童生徒がふえていますから。これは具体的に言うと大槌小学校です。約六万円減っているのです。六万円という金額はここではほんの微々たる金額です。しかし、学校にしてみると非常に大きいのです。それからもう一つは、稗貫郡は学校全部がマイナスになっているのです。  今年度何か特別にこっちへ使うことがあるから回した、こういうふうにお話しなさるかもしれませんけれども、教育というのは、去年教材費が多かったからことし少なくてもいいとか、そういうふうなものではなくて、毎年子供たちにかかるものなんです。ですから、文部省として、たしか去年は絶対心配ないようなお話があったような気がするのですけれども、特別の措置あるいは経済的に食しい県に対する特段の措置といったようなものをお考えできる余地があるのですか、これは両方からお聞きしたいと思います。
  80. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、六十年度の予算措置が極めて低いところにつきましては、各都道府県を通じまして個別に強く指導しておるところでございますので、いましばらく、例えば三年―五年という期間で一体どうなっておるかといった状況をまず見守りたいと思っておるところでございます。まずは指導の強化ということで、特別のその他の措置を講ずるつもりはございません。
  81. 保田博

    保田政府委員 義務教育諸学校の教材費の問題につきましては、ただいま文部省当局から御説則をいたしたとおりでございますが、いずれにいたしましても、この義務教育国庫負担金の対象から外しました初年度でございます。これに対しましては、自治省の指導によりまして地方交付税の増額措置もとられておることでもございますので、文部省当局の指導あるいは自治省当局の助言といったようなことに期待をさせていただいておるということでございます。
  82. 小川仁一

    小川(仁)委員 初年度に減るから非常に大きな問題だと思うのです。初年度に減って二年度が増額するという保証は、私は同じような措置をとったらあり得ないと思います。  今教育界に御承知のようないじめとか非行とかという問題があります。そういう中で、子供たちに対する文部省を含めた政府の対応というものは、予算をけちるという格好ではならないと思うのです。特に教材費というのは子供に対して影響するところが非常に大きい。私は、同じ状況にある文部省の中の旅費の問題にきょうはあえて触れてないのです。そちらは運営上の問題として何とかなるからと思うのですが、やはり教材費は非常に大きな問題だと思います。子供に対して過保護になることもいけませんけれども、今までやってきたような教材が、たった五万円であってもことしは減ったという状況でやるということは、わずかの不便かもしれませんが非常に大きな問題だと思うのです。  私は、政府の予算執行がいじめや非行につながっているなんという短絡的な思考はいたしませんけれども、こういう状態であるだけに、幾らかずつでも教材費その他が減っていくということは、子供に対する直接的な政府の責任みたいなものが問われる時期ではないか、こういう立場なので、今の問題について大臣のお考えを一言お願いしたいと思います。
  83. 江崎真澄

    江崎国務大臣 補助金がカットされるということは確かに地方にとっては大変な痛手だ、よくわかります。  ただ、国家財政事情も御承知のとおりでございますし、国と地方の行政上の分担を明確にして地方にも責任を持ってもらおう、こういうことで今回の延期措置が検討部会においても結論づけられたわけでございます。その中には県知事あるいは市町村長の代表といった人たちも入った上で十分御検討いただいたわけでございまして、特に地方の権限強化という点にも配慮しながらやっておるわけでございます。  まことに御趣旨に沿う答弁にはなりませんが、地方地方としての自主性を持って問題解決に努力をしていただく、国は国としてまた果たすべき役割を困難な財政事情の中でも精いっぱい行っていこう、こういう考え方に立って行ったところでございます。
  84. 小川仁一

    小川(仁)委員 今の考え方と直接未来を担うであろう子供たちに対する政府の対策というものに少しずれがありました。これは臨教審の中でも討議されている問題でありますけれども、教育というのはある意味では非常に大きな投資でございます。一人前になるまでに一人一人にかかる費用というものについては、親も国も地方自治体も心して行わなければならないことだと思いますので、十分御理解をいただきたいと思います。  しかし、そう言って補助金を減らしながら、一方では補助金がどんどんふえているところもあるのです。去年もこの委員会で申し上げましたが、例えば防衛庁の中に社団法人隊友会というのがございまして、何でこんなにふえるのかわからぬけれども、毎年補助金が増加しているわけでございます。これは五十八年度と五十九年度で三千三百万円、五十九年度と六十年度で九千五百万円、六十年度と六十一年度で二千四百万円も増加をしているわけでございます。  一方で子供たちの教育費を減らしながら、一方でこういう法人に対する予算を増加している、これはどういうわけでございますか。なぜこんなふうに社団法人の隊友会の補助金がふえているのか、理由をお聞かせ願いたい。
  85. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  御案内のとおり、現在隊友会に退職自衛官の再就職対策のための補助金を交付いたしております。実はこれは五十四年から実施をいたしておりますけれども、この再就職の事業を行います組織、これは隊友会そのものの中に別に援護本部という組織をつくっていただきまして、そちらの事業に対して補助をいたしておるわけでございますが、何せ新規の事業でございましたので、人員、組織等を毎年財政状況の許す範囲で少しずつ現在まで拡充をいたしておった関係でございます。現在七支部ございますけれども、当初は二支部だけというところから発足をいたしました関係で、支部増に伴いまして各支部に配置する人員が充足されてまいりますので、事業の全体の姿ができていなかったという途中の経過で補助金の金額が逐年上がっておるという実情でございます。  自衛官は早く現職を退職いたしますので、何とかしっかりした再就職先を見つけていただくことが自衛官の士気にも大きく影響を及ぼしますし、自衛隊の隊務遂行のためにもぜひ必要なことであるということで、私どもとしては力を入れてまいったものでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  86. 小川仁一

    小川(仁)委員 何か隊員の業務をやっている個人個人にお金を支払っているというふうに聞いておりましたが、各地区で業務をやっている人にどの程度のお金を支給しているのですか。
  87. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  援護本部で行っております再就職援護事務でございますが、これは専従の職員を配置いたしておりますので、それぞれそこにおります職員には、国家公務員の類似の職務に従事する者に大体準じた給与を支給いたしております。そういうことで、給与、人件費としての内容が大きいものでございます。
  88. 小川仁一

    小川(仁)委員 私が聞いているのは、各市町村で業務を担当している人に、個人にどれくらい支給しているのかということを聞いているのです。
  89. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  退職自衛官の再就職対策に関して隊友会に出しております補助金は、各県の方あるいは民間の方、直接かかわりのない方に交付しておるということではございませんで、七支部におる職員あるいはその本部の職員だけを対象といたしております。  先生お尋ねの件は、あるいは予備自衛官の委託業務のことではなかろうかと思いますけれども、予備自衛官の委託業務につきましては、隊友会のそれぞれの県の支部にその委託事務に係るものを委託費として支払っておる、こういう状況でございます。
  90. 小川仁一

    小川(仁)委員 両方兼ねておやりになっているのが大体各市長村の方なんです。通信料とか電話料とかという形で個人にお金が行っているようであります。これが間違いであれば間違いと言っていただいてもいいのです。  そして同時に、この隊友会というのは、実は、再就職と言うけれども、予備自衛官に登録している以外の旧自衛隊員を管理し、所在を明らかにし、そして今何をしているかという状況を押さえて、何かあったときにいつでも連絡ができる、招集はどうということにはならぬと思いますが、そういう形で管理している組織、こういうふうに隊友会に入っている重立った方々が認識しているようでありますが、そういう認識でこれを指導しておられるのですか。
  91. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  予備自衛官の管理業務は先ほど来お答えしております退職予定自衛官の援護業務と若干異なるわけでございますが、予備自衛官の管理事務につきましては、現在は地方連絡部が本来の仕事ということで全般の管理をいたしておるわけでございますけれども、御案内のとおり予備自衛官と申しますのは非常勤の職員でございます。日常は一般社会人としてそれぞれの業務に従事をいたしておりまして、年一回の訓練出動以外は自衛隊と接する機会がほとんどないわけでございますので、これの管理がなかなか難しいわけでございます。  これを管理いたします地方連絡部の理体制では人員が必ずしも十分でございませんことから、元自衛官で組織しております社団法人隊友会に予備自衛官管理事務の一部をお願いしておるということでございまして、管理事務の全部をお願いしているわけでございませんで、そのごく一部をお願いして、隊友会員が直接予備自衛官と面接をいたしまして、現在の状況あるいは手当支給の状況等について管理をしておるということでございます。
  92. 小川仁一

    小川(仁)委員 そういうのに時間をとっていてはいけませんから、また改めて内閣委員会で御質問申し上げることにいたします。  問題は、こういうふうに一方で補助金が減らされながら、一方でふえているということなんですよ。防衛庁関係を見ますというと、どの補助金も防衛庁関係はふえています。防衛庁の補助金をいろいろ見ているうちに、実は昨日の本会議で加藤防衛庁長官は、三宅島に飛行場を設置するということの中で、一番迷惑をかけることが少ない地域だという表現をなさいました。迷惑というのはわずかかければ許されるということにはならないと思いますので、一体この自衛隊の迷惑料といいますか、そういうものを含めた補助金がいっぱいありますが、迷惑というのは、一人一人が迷惑をこうむっているのですよ。その一人一人には全然迷惑料は支払われないで、やられているのを見ると、農協とか市町村、こういうかかわりになっている。  調べてみましたら、お米のもみの乾燥施設、これが迷惑料で市町村に出ているのですが、お米のもみの乾燥施設をつくるとその地域の個人個人の迷惑が幾らかでも償われると思ってこんな補助金を出しているのですか、防衛施設庁さん。
  93. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  先生お尋ねの事業につきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律に基づきます民生安定助成事業の一環でございます。この民生安定助成事業は、防衛施設の設置、運用によりまして周辺地域の住民の生活が阻害されることが認められた場合に、地方公共団体がその障害の緩和に資する施設を設置しようとする場合に補助するものでございまして、ただいまお挙げになりました農業用施設について申しますと、防衛施設の設置、運用により、演習場内の野草とかあるいは家畜等の飼料の採取の……(小川(仁)委員「私が聞いているのは、もみの乾燥施設がどう関係するかと聞いている」と呼ぶ)そういう農業経営上に生じた障害を緩和するためにいろいろの農業用施設事業をやっておりますが、その農業用施設事業の中の一つの事業としてもみ乾燥施設というのがございます。
  94. 小川仁一

    小川(仁)委員 私はさっきから言っているように、農民は確かに個人個人、迷惑を受けていますよ。しかし、一定地域の中には農民だけ所在しているということもないのです。今の農民人口をごらんなさい。人口比率でいって専業農民、何人いますか。  それで、あなた方のいわゆる法律第八条、政令第十二条による施設を見てみますと、民生安定といいますけれども、市町村庁舎とか消防庁舎とかこういったような建物あるいはコミュニティーセンター、こういった建物をおつくりになるけれども、それでその地域の住民が、迷惑をこうむったものに幾らかでも補償されたという印象をお持ちになるだろうかといったら、全然そんな感じはしないのです。夜間の発着陸で夜も眠れないやつが、もみの乾燥施設をつくってもらったって全然ありがたい補助金だなどとも思っていないのですよ。  そこで、こういう補助金を要求するときにどういう観点で要求書をお出しになるのか、それから大蔵省として、こういうむだみたいな補助金をどういう立場で査定なさるのか、この二つをお聞きしたいと思います。
  95. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  ただいま農業用施設につきまして民生安定助成事業の御説則を申し上げましたが、民生安定助成事業は、防衛施設の周辺地域に生ずる障害の防止のために各種の事業を実施しておりまして、例えば庁舎のお話がございましたが、これは騒音防止対策事業の一環として実施しておりまして、市民の方々が集会をする場合に、その航空機等の騒音が防止されるような集会施設を設置するということで行っております。  そのようにいろいろの事業がございますが、それぞれの事業につきましてその障害の実態を把握しまして、周辺市町村がその障害を受けている住民の方々の障害を緩和するために事業を実施する場合に、その対象の人員とか範囲とか障害の内容等によりまして事業を選択して行っておりますので、その選択されて御要望の出てきた事業に対して、私の方は十分その必要性それから関係住民の方々の御要望等も踏まえて審査した上で補助対象事業として決定しております。
  96. 保田博

    保田政府委員 御指摘をいただきました施設周辺整備助成補助金につきましては、臨調等の御指摘もございます。したがいまして、財政当局としましては、現下の厳しい財政事情というようなことを勘案いたしまして、毎年毎年厳しい見直しを防衛庁に対して求めておるわけでございます・  その結果、その金額も毎年多少ずつ減額をいたしておるわけでございまして、防衛庁全体の補助金につきましても、ほかの分野の補助金と同様に今後とも厳しい態度で臨まなければならないというふうに考えております。
  97. 小川仁一

    小川(仁)委員 私は周辺地域の迷惑をかける個人個人の国民にいろいろな立場で補償するということを否定しているのじゃなくて、むしろそれはやってもらいたい。ところがそういう方向にお金が使われないで、とんでもない方向の道路が直ったり、離れたところの山のスキー場ができたり、これじゃあ何のことはない、その地域の市町村長さんとか何人かの人たちは喜ばせるかもしれないけれども、地域住民の迷惑というものに対しては何ら補償されていない。こういう点がありますので、そういう点を十二分に考えてもらいたい、こういうことが物の言い方の趣旨です。そして、そういう補助金はむしろやめて、さっき言ったように、直接子供に役に立つような補助金の増額をすべきだという考え方です。  最後に言いますけれども、この補助金の問題について、三宅島に七百億か八百億のお金を使っていろいろな施設をおつくりになるようですが、国民にかける迷惑とゴルフ場の建設とどうかかわりがあるのでしょうか。そして、一体そのお金はどういう形を通して、どういう項目の中で出されるように自民党と各省庁の間でお話がついているか、わかりましたら御答弁願います。
  98. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題はまだ正式に党側と政府との間で合意しておるものではございません。したがって、今のどれだけの金額かということなどについては検討中でございまして、そういうわけではございません。  それから、いろいろ減らしておるという話ですが、補助金をふやしておるものも随分あるのですよ。例えば農業基盤整備等の事業費なんというのは、わずかではありますが二・四%増とか、それからバイオ関係、これからは岩手など東北の時代ですから、この岩手県などには二十五億七千九百万円、これは前年比で一三・六%増のバイオテクノロジー関係の予算拡充をやっておるわけです。東北、北海道など単作地帯にバイオテクノロジーをお入れになって、そして農業の近代化、企業として成り立つ農業の経営、こういったものをぜひおやりいただくことが大変いいことだと私は思います。また、森林・林野などについても、六十一年は活性化五カ年計画初年度として八十億円、こういうようにふやしておるものもありまして、全部削っておるわけではございませんので、前向きの点についてちょっと申し上げておきます。
  99. 小川仁一

    小川(仁)委員 ただいまそういうふうにふやしたと言われましたけれども、岩手県から言いますと、牛肉の値段は引き下げられました、乳価も下げられました、来年、米も上がらないということになると、農民の収入の方は減るのですよ。バイオの予算が上がりましてもそういうことなんです。  こういう補助金とかなんかは、国民生活にかなり直接的に役立つという形で全体的な政策の中でお考えをいただかないといけないと私は思うのです。私が減らしていかぬと言っている部分、江崎長官がふやしていると言う部分、これだけを別々に言いますと政策全体としては討議ができないということなんです。  また前に戻りますけれども、この一括法というのはやはりおやめになった方がいいということと、それから七百億、八百億の三宅島の話は、あれは政府もあるいは党もまだ決めたわけじゃなくて、何といいますか一流の宣伝文句でございますか。
  100. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは党側が検討をしておるということでございまして、もちろん政府がこれに全然かかわっていないというわけではございませんが、正式に決めたものではございません。
  101. 小川仁一

    小川(仁)委員 終わります。
  102. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 坂口力君。
  103. 坂口力

    ○坂口委員 国の補助金等臨時特例等に関する法律案の連合審査に入らせていただきたいと思いますが、きょうは連合審査でございますので、財政的な面よりも、厚生省関係、自治省関係とかかわりの深いところをやらせていただきたいと思います。  まず最初に、メーンに入ります前に、自治大臣にきょうは御出席をいただいておりますので、一つだけお聞きをしておいて、そしてメーンに入っていきたいと思うのです。  地方制度調査会から「地方財政に関する当面の措置についての答申」というのが昭和六十年の十一月二十七日に出ておりますし、それから、地方財政審議会の方から「昭和六十一年度の地方財政についての意見」というのが六十年の十二月十三日に出ております。これらの内容を拝見いたしますと、今回の補助金の特例等に関する法律案に出てまいっております内容と必ずしも一致しているとは言いがたいものもあるわけであります。例えば一例を挙げれば、生活保護等については、もう全国一律の話であるから、その一律の引き下げというようなことはよく検討してから行うべきであるとか、そういう意見もいろいろ出ているわけでございまして、それらをごらんをいただいた上での自治大臣としてのこの法案に対する御感想をお聞きをして、次に入りたいと思います。
  104. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 地方制度調査会また財政審議会等の意見につきましては、私どももかねてより主張しておった考え方でございますが、補助金につきましては、政策目的を達したものあるいは各省庁で重複しておるもの等々については積極的に整理合理化をしていくべきである、また補助負担率の問題につきましては、いわゆる国と地方の役割分担、事務事業の見直し、個々の事業につきまして、これは地方でやるべきか、あるいは国がより負担をすべきか、そういう議論の中からこの問題をとらえて考えていかなければならない、おおよそそういう趣旨であろうと思います。  私どもも従来からそのような考え方のもとに立ってこの問題に取り組んできたわけでございますが、六十年度の予算編成の際に覚書が交わされまして、六十一年度以降につきましてはただいまのような考え方のもとに立って国庫補助負担率というものをとらえていかなければならないという趣旨の覚書がなされたわけであります。その後、関係閣僚会議あるいは補助金検討会の報告におきましても、今申し上げましたと同じような基本的な考え方に立って報告がなされました。もちろん六十一年度の予算編成そしてこの補助金の法案につきまして、いわゆるその基本的考え方のもとに立ち、社会保障関係の中で事務事業の見直し、権限の委譲、そういうものがなされた上で六十一年度予算編成がなされたものと考えております。  しかし、まだまだこれで十分であるという認識をしているわけではありません。今後さらにこの基本的考え方に立って、もっと掘り下げた、そして真剣な議論の中で国と地方の補助負担率のあり方というものが検討されるべきである、そのように考えております。
  105. 坂口力

    ○坂口委員 地方制度調査会の方の基本的な考え方の中に、「地方公共団体の負担分を含めた補助事業量全体を圧縮することを目的として、対象事務事業の廃止・縮小を行うことを基本とすべきであり、国の財政負担を地方公共団体に転嫁するようなことが行われてはならない。」これが一つあるわけですね。それからもう一つ、「国庫補助負担率の在り方」のところで、「国庫負担事業に係る国庫負担率は、対象事務事業に係る国と地方の責任の度合いに応じて決められるべきものであり(例えば、生活保護費のごとく法令に基づき全国一律の基準によって実施されるべき事務事業に対するものについては、国が昔同率の負担をする等)、国の財政上の都合によって一律に国庫負担率を引き下げるような措置がとられるべきではない。」こういう答申が出ているわけであります。このことを一つ念頭に置きまして、以後の議論を進めていきたいと思うわけでございます。  そこで、この補助率を引き下げることを政府に決意せしめました要因というものをいろいろ考えてみましたときに、これはいろいろあるだろうと思うのです。石油ショック以後の低成長率の問題もありましょうし、財政運営の失敗等の問題もあるでしょうし、それから社会保障費の自然増という問題もあろうか、厚生省に係りますところの社会保障、とりわけその当然増と言われるものが大変大きくなってきている、そのことがこの補助率のカットの背景にありますし、またこの法案そのものを見ましても、四十九項目ありますが、その中で十五項目は厚生省関係のもので占めているというようなところからも、非常に絡みが大きい問題でございますので、きょうはこの辺を厚生大臣を中心にしてお聞きさせていただく。江崎大蔵大臣臨時代理は、初めの方はしばらくお聞きをいただいておいて、そして最後のところでまとめとしての御意見を伺いたいと思うわけでございます。幸いきょうは時間もかなりたっぷりといただき、厚生大臣とじっくり時間をかけて議論をさせていただく機会を与えていただきましてありがとうございました。  厚生省の当然増というのは、去年も九千億ぐらいでしたか、ございましたですね。まず一番最初にお聞きしておきたいと思いますが、来年、昭和六十二年度の当然増というのは大体どのぐらいになる予定でございますか。
  106. 今井勇

    ○今井国務大臣 これまでの当然増は先生おっしゃいましたような九千億程度ということでございますが、これからの問題は、実はこれから検討をいたしますので、幾らということは今直ちに申し上げる段階ではないわけでございますが、ラウンドナンバーで言えばそんなことではないかなというふうな感じがいたします。
  107. 坂口力

    ○坂口委員 そんなことではないかなというのは、ことしと同じ九千億か一兆がというぐらいな程度だという意味ですか。
  108. 今井勇

    ○今井国務大臣 特別なことがない限りそのような程度ではないかと私は考えております。
  109. 坂口力

    ○坂口委員 将来に対する例えば医療費なんかの数字のとり方というのは、とり方によりましてもかなり違いますが、一九八五年に十五兆円少々でございました。これが一九九〇年には二十四兆円、二〇〇〇年には六十兆円になるというふうに言われております。ただし国民所得の方もふえますから、国民所得比で見ますと、一九八五年が五・三%でございましたが、一九九〇年には五・八、二〇〇〇年には七・一ぐらいになるだろうというふうに多くの予測が出ているわけでございます。こういうふうな状態の中で、今おっしゃいましたように、これは医療費だけではございませんで、年金その他も含めまして来年度も当然増がかなりふえるであろうと思うわけでございます。  そこで、こうした中で医療が行われるためには、どうしても医療はより効率的に行われなければなりませんし、そのためには医療機関は機能分担というものをより明確にして、そしてそれぞれの持ち場持ち場を十分に守って、お互いに連携をとっていきながら効率的な医療というものをつくり上げていかなければならないと思うわけでございます。  まず最初に、病院の機能分化と申しますか、持ち場の問題を少し議論したいと思いますが、病院と診療所というのは現在も存外に明確になっておりまして、案外スムーズにいっているところもあるのではないかと思います。ただ、ここにも決して問題がないとは言えませんけれども、しかしここはほかの分野に比べますと案外はっきりしていると思うわけであります。  次に、公立病院と私立病院との機能分担というのはどんなふうにお考えになっておりますか。
  110. 今井勇

    ○今井国務大臣 公立病院と私立病院との機能分担と申しますのは、これは各地域の実情に応じて考えられるべきものだというふうに思いますけれども、一般的に申し上げれば、民間の活力を生かす観点から自由開業制を今しいております私立病院が主体となる一方、公立病院というのは、がんであるとかあるいは特殊な医療であるとか僻地医療というふうに、私立病院の担うことが困難な分野を担当しまして、お互いに補い合いながら全体として国民の二ーズにこたえていくというふうに考えることが望ましいのだろうというふうに私は考えております。
  111. 坂口力

    ○坂口委員 公立病院といいました場合に、国立病院それから自治体病院も入ってまいりますが、自治体病院の場合に、自治体病院と私立の病院と、片や国立病院と、というふうに関係してくるわけですが、自治体病院の分担すべきところというのは、自治大臣、どんなふうにお考えになっておりますか。
  112. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 自治体の病院ですから、それぞれの自治体においてその役割は必ずしも全国一律に申し上げることは難しいと思いますが、いずれにいたしましても、その地域住民に対する医療サービスの中核に自治体病院がなっておるということは間違いのないことであろうと思います。また、地域によりましては、ほかに医療機関がない、したがってその地域の唯一の医療機関が自治体病院であるというような場合もあると思いますし、また、いわゆる私的な医療機関とかそういうものが、具体的に言えば、どちらかといえば都市部の方に集中いたしますので、現実問題としてそういうような私的な医療機関の進出の難しいところにおいて積極的に医療サービスの中心となって果たしていくという要素が自治体病院の場合は非常に大きいのではないかな、そのように考えております。  今後も、その地域医療の実態に即しながらこの自治体病院の健全な医療サービスを確保していくということは非常に大事な問題だと思っておりますし、私どももそれに対しまして積極的に協力していかなければならない、そう考えております。
  113. 坂口力

    ○坂口委員 文部省、お越しいただいておりますか。――それじゃもう一つ。  国立病院と大学病院それから私立病院を比較をいたしましたときに、大学病院は、大学というところは教育機関であり研究機関でありますからそれはプラスしてございますが、地域におきましては、これは一つの附属病院として、地域住民は医療機関としての位置づけとして見ているケースが非常に多いわけでありますが、国立病院と大学病院との関係、これはどんなふうにお考えになっておりますか。
  114. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 ただいま御指摘のとおり、大学の附属病院と申しますのは臨床医学の教育あるいは研究施設として設置されたものでございますので、主な機能といたしましては、そうした医師の教育の場、それから研究活動の場、卒後研修の場、そういうもので機能しているということは疑いのないところでございますが、ただ、地域によって実態はまちまちでございますけれども、一般的に申し上げれば、地域の医療における指導的な医療機関としての役割が果たされている、これも事実であろう、実態であろうと考えております。  したがいまして、私どもとしてもそうした地域の要請にこたえまして、救急医療とかあるいは重篤患者の受け入れであるとか、そういったことに関しまして非常に要請が強いものでございますから、地域医療に貢献すべく充実を図っている、努力をしているところでございます。
  115. 今井勇

    ○今井国務大臣 今、国立病院と大学病院のお話ということでございました。大学病院は今お答えがありましたが、私も同じように、主としてやはり医学生などに対します教育だとか医学研究に資するための施設としての機能だろうと思うのですが、一方、国立病院といいますのは、先生御案内のように、広域的な観点からの高度の専門の医療、あるいはらいであるとか難病といった政策医療というものを担うことが期待されるものだろうというふうに考えております。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 今いろいろの立場からそれぞれの病院の位置づけというものを語っていただいたわけでありますが、確かに、公立病院といいますと、これは全国各地域、その地域によりましての若干の違いはありますけれども、少なくとも今までは、自治大臣もおっしゃいましたように、その地域における指導的役割と申しますか中心的役割を果たしておりました。そして、他の私立病院との間のいろいろの連携もあり、また診療所、医院との連携もある、こういうことでございましたが、私立の病院の実力というものが最近だんだん上昇してまいりました。  医師の数も非常にふえてまいりましたし、また財政的にもかなりゆとりを持ってまいりまして、そして優秀な人材を私立の病院が集めることができるようになったこと、そしてまた機械器具等も、これも国立病院や自治体病院がまだ設備をする前に私立病院の方が先に最新鋭の機械器具の設備をするというようなケースがだんだんと最近ふえてまいりました。それから、例えば特殊なリューマチセンターでありますとか、あるいはまたその他のいわゆる難病の部類に近いようなそういう疾病につきましても、私立の病院が専門としたような立場で進出をしてくるというような形になってまいりました。  そういうことで、今までと申しますか、過去に比べますと、国公立病院と私立病院――私立病院は格差が非常に大きいものですから全部が全部というわけにはいきませんが、私立病院の中の非常に優秀なものと国公立病院との間の差というものがなくなってきている。むしろ、時によりますと、地方によりますと、これが逆になっているケースもなきにしもあらず、こんな感じがするわけでございます。  そして一方、国立病院を中心に考えました場合に、国立病院とそれから大学病院というものを比較しますと、国立病院は治療中心の、治療オンリーの病院でありますから、これはむしろ大学病院よりも国立病院の方が上なんだという自負を持ってやっていただいているところも確かにございますが、しかし現実問題といたしますと、その地域の医師の人事というのは大学病院中心になっておりまして、そして大学病院中心にその人事が回っているというようなことがございますために、どういたしましても大学病院の系列下に国立病院が入りまして、大学病院を乗り越えていくということはなかなか難しい医学界の環境に実はあるわけでございます。そういう立場に国立病院というのは置かれている。したがって、大学の中堅どころの人たちが国立病院に来て、そして頑張ってもらっているというようなところが多いのではないかと思うわけです。  そこで、これは国立病院の今回行われようといたしております統廃合の問題ともかかわってくるわけでございますが、将来国立病院というのは、一体どのところを、何を中心にしてやっていくべきかというところをもう少し整理をする必要があるのではないだろうか。過去の経緯だけを踏まえて国立病院はこうあるべきだというのではなくて、現状をよく踏まえて国立病院のあり方というものをいま一度考えてみる必要があるのではないかというのが私の意見でございます。  現在の医療全体のあり方という問題にもかかわってくるわけですが、厚生省の方でも、この前も予算委員会におきましても少し厚生大臣にお聞きをいたしましたが、一方では家庭医というものについての研究を進めておみえになります。これを制度とするかどうかということにつきましては、医師会等との間でもいろいろの意見がありまして、制度というのは一つ別におくといたしましても、家庭医というものを考え、そしてできるだけ早い時期にその患者さんに接するとか、あるいはまたその予防段階から地域住民によく接触をして、病気の後のリハビリ等に至るまでの間の幅広い範囲において住民と大きな接触を保って、しかもなおかつ非常に権威のある存在をつくり上げていこうというのが家庭医の目指しておられるところではないかと、これは私の想像でございますが、思うわけでございます。  片やそういうふうな方向をとりながら、今までの、このままにしていくと医療費がだんだん上がっていく、それをできるだけ切って、そして自己負担分をふやしていくという方向はもう限界がある、だから、この医療費全体を余りふやさないようにするためには、どうしても予防というところ、あるいはまた健康管理といったようなところにさらに多くの時間をかけて、そうして全体として医療費が大きくならないように考えていくという方向を厚生省も一方では目指しておみえになるのではないかな、私はそんなふうにそばから見せてもらって考えておりますが、その辺に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  117. 今井勇

    ○今井国務大臣 先日も委員会におきます先生の御主張を承りまして、私もまことにそのとおりだというふうに申し上げたのですが、確かに、これからの医療費の問題等を考えますと、先生がおっしゃるとおりだと思います。やはり日ごろからの健康の管理、それから疾病の予防あるいはまた早期発見、治療、さらにリハビリテーションといった包括的な、しかも継続的なプライマリーケアというふうなものが極めて大事になってくると思います。それがまた極めて国民のためにもなると思っているわけですが、そういうプライマリーケアの中心的な担い手が先生のおっしゃる家庭医だと私は思うわけでございます。  そんなこともありまして、おっしゃいますように、具体的な方策をどうすればいいのかということで、私どもは今学識経験者から成ります家庭医に関する懇談会というのをつくりまして、先生がちょっと言及されましたが、一生懸命検討を願っているわけでございます。これが今のところ六十二年、要するに来年の三月には結論をいただくということになっておりますので、それが一日も早くいただけるようにお願いをしているというのが現状でございまして、この問題については、今後厚生省としても本当全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  118. 坂口力

    ○坂口委員 そこで、新しい医療のあり方を求める中で、国立病院はいかにあるべきかということを改めて考えていかなければならないだろうと思うのです。今回の統廃合の内容というものを、私もそれぞれのケース全部が全部知っているわけではございませんが、大ざっぱに見せていただきますと、いわゆる高次医療ということをかなり前面に出した統廃合ですね。どちらかといいますと、地域密着型の療養所あるいは病院から、そうではなくて、もう一つ大きく、最終段階の、第三次医療という言葉がありますが、二次か三次かわかりませんけれども、そうした医療を行う場にしていこうというような発想ではないかなと思うわけです。  しかしながら、国立病院を取り巻く現状というのは、先ほどから申しましたようにかなり変化をしてきている。無論、三次医療というものも必要ではございますけれども、それだけではなくて、やはり地域の住民との接点をより求めなければならない、あるいはまた地域の開業医の先生方との間の接点をより求めなければならない、そういうことが要求されているのが国立病院ではないだろうか。ただし、先日統廃合の一覧表を拝見をいたします限りにおいては、そういう物の考え方というのは全く入っていない。それよりも高次な医療、高次な医療という方向にどうも厚生省の方向が向かっているのではないかというのが実は私の印象でございます。  首をひねっておみえになりますので、違いましたらひとつ意見を挟んでいただきたいと思います。――同感でございますか。同感でございましたら結構でございます。私はそういう感じを実は持っているわけです。だから、地域におきましては国立病院も、もちろん高次医療もやっていただかなければなりませんけれども、それだけに固まってしまってはいけない国立病院の現在置かれている立場があるということを、私は理解をしてもらわなければならないと思います。  なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、それをどう考えるかということによって、病院をどこに置くかということにも大きくかかわってくるわけです。例えば、その第三次医療だけを行う、とにかく自分で歩いておじいちゃんやおばあちゃんが国立病院へ行くというようなことは高次医療の場合には少なくて、救急車に乗せてもらっていくか、病院から送られてくるか、あるいは医師の紹介状をもらっておうちの方の自動車に乗せてもらっていくか、そういうことでありますと、自動車の交通の便がいいということを中心に立地の場所を考えなければならないし、そうではなくて、地域の人たちとより密着をした病院で、しかも健康な人との間の接点も持っていこう、あるいはまた開業医の先生方との間の交流もより深めていこうというような病院であるならば、これは電車の便がいい場所、あるいはまたパスとの連係のいい場所、そういう場所を選ばなければならないというような、場所の選定にもこれはかかわってくるわけでございます。こうした物の考え方によりまして、国立病院の性格、そして位置、そうしたものが決定されてくると私は思うわけでございます。  そういう考え方の中で国立病院の統廃合の問題を考えましたときに、もう一度これは考え直してもらわなければならない点がたくさんあると私は思うのです。     〔中西(啓)委員長代理退席、中村(正三     郎)委員長代理着席〕  今まで全国にあります病院は、何が何でも、いついかなる時代であっても絶対につぶしてはならないものであるということを私は申し上げているわけではありません。しかし、それはケース・バイ・ケース、慎重に十分検討し、そして地域の皆さん方や医師会の皆さん方や県の皆さん方、あるいは担当の市町村は言うに及ばず、よく話をされた上で、ここは処理をしてもよろしゅうございます、これはこういうふうにしてほしい、そういう納得の上での統廃合であれば話は別でございますけれども、やみくもにと言うと大変失礼でございますが、上意下達式に、地元に何の相談もすることなしに、ここはこういうふうに決定をいたしましたとぼんと下におろしてくるというような形での病院の統廃合というのは私は反対である、こういうことを申し上げているわけでございます。  その理由と、もう一つ、先ほど申しましたように国立病院の置かれておる立場というのはそういうふうに変化を来しておりますから、高次医療だけを求めて、そしてその役割を果たすのだという考え方は一考を要する。それは文部省の方もおっしゃいましたように、大学病院と国立病院との関係もあるわけですね。大学病院は三次医療と言われるものを中心にいたしておりますし、それからまた、先ほどおっしゃいましたように、地域の指導的な医療機関としての役割も果たしておみえになる。そういう大学病院も片やあるわけでありますから、大学病院の小型になってしまっても困るわけです。国立病院は国立病院としてのこれからどうしてもやらねばならないところがある、それは、先ほど厚生大臣もそのとおりだというふうに御答弁をいただきましたとおり、これから健康を取り戻すことによって医療費をいかに下げていくかということが厚生省に課せられた最大の課題でありますから、そのことに個々の国立病院は最大限取り組んでいかなければならないと思うわけです。  余り私ばかりしゃべりますと私が厚生大臣みたいになりますから、一遍厚生大臣に答弁をしていただきたいと思います。
  119. 今井勇

    ○今井国務大臣 先生の御意見はよくわかるのでありますが、一つだけちょっと気になりますのは、廃止統合をするということは、私どもは人員であるとか機材であるとかいうものを本当にすくすくと伸ばしたいという気持ちはあるのですけれども、この御時勢でございますのでそういうこともなかなか難しい。というならば、この際は少し戦線を縮小しても、国民の皆さん方に喜ばれるような医療を提供できるようにするにはどうすればいいかということから廃止統合等が始まったわけでございます。  ところが、今まで国立病院、療養所というものは歴史があって各地に存在しているわけでございますね。したがって、その存在しました地域によりましては、一緒にします場合に、おっしゃいますような位置については、先生がいろいろ御指摘なさいましたように、新しくつくるわけでございませんからケース・バイ・ケースがあろうと思います。  しかし、私が基本的に考えていますのは、先ほどから申し上げますようにがんだとか循環器病などのいわゆる高度先駆的な治療、それから結核とかハンセン病といった国が中心にならなければやっていけない、またずっとやってきたというものの継続でございますね、それからまた、先生も難病についてお触れになりましたが、原因がわかっていない難病というのはたくさんあるようでございますから、そういうものはやはり国がやっていかなければならぬと思うわけでございます。それから、国際医療協力といったこれから日本が果たさなければならない大きな役割もある。そういった政策医療と申しましょうか、それを実施しますほか、臨床研究だとか教育研修という場についても国立病院がやっていかなければならぬだろうと思うのです。  しかし、その場合に、先生おっしゃいますように、私どもはかねてから申し上げますように、国立病院とか療養所の再編成というのはやみくもにやろうとは思っておりません。これは地元の方々によく相談をして、御納得をしていただいた上できちっとやっていこうと思うわけでございます。しかし、そのときにぜひひとつ御理解をいただきたいのは、私どもの言い分もよく聞いてやろうじゃないか、こういう意見があるよということについての積極的な御意見をいただいて、それで接点を求めてやっていこう。これは十年かかってやろうと思うわけでございますから、ことし、来年でぱんとやってしまうわけではございません。しかしながら、やはり十年といいましても、黙っていて九年目になってやろうといってもできないわけですから、それは一年一年積み上げていかなければいかぬ、そのための努力は私どもは一生懸命いだそうと思いますから、そういう意味では、積極的な御協力というより、話に耳を傾けてやっていただきたいということをぜひお願いしておきたいと思うものでございます。
  120. 坂口力

    ○坂口委員 わかります。そういたしましたら、これだけここで約束してくれますか。現在国立病院が建っております市町村、あるいは県の場合もあるかもしれませんが、その市町村の了解を得ることなしに統廃合を行うということはあり得ない、それをちょっと……。
  121. 今井勇

    ○今井国務大臣 結論から言えば先生のおっしゃるとおりでございまして、私は、了解を得るように、一遍や二遍じゃなくて何百遍でも行って、あるいは交渉して、御納得いただくように努力いたします。
  122. 坂口力

    ○坂口委員 現場のそうした問題とあわせて、先ほど私が申しましたように国立病院のこれからのあり方というものについて、これは審議会等にもかけられていろいろ意見も出ておることをよく承知いたしております。  先ほど私は言うのを落としましたけれども、特殊な疾患でありますとか僻地における診療でありますとか、こうしたことも国立病院の大きな役割だというふうに私も思うわけでございます。しかし、その特殊なもの、それから高度なもののほかに、先ほど申しましたような新しい事態も起こってきているということをよく認識をしてもらいたい。だからそういう意味で、ひとつ今後の国立病院のあり方というものをこの際もう一遍真剣に考えてもらいたい。その新しい部分を抜きにして、今までの過去からの経緯だけを見て、それによってこれからの国立病院のあり方を決定していこうということは非常に危険であるということを私は主張したいわけでありまして、これから厚生省の中で、どの部門かわかりませんが中心になって、もう一度国立病院のあり方というものについての十分な検討を加えてもらいたい。
  123. 今井勇

    ○今井国務大臣 おっしゃるとおり、国立病院のあり方が、ずっと在来考えられていたことだけでいいのかどうかという問題については、私も問題があろうかと思います。しかし、これは一つの歴史があるわけでございますから、やはりその歴史を踏まえた上で新しい時代に即応した形にどうやっていけばいいのかということは十分検討させていただきたいと思いますが、そのことと国立病院の廃止統合というものとは、それが片っ方ができなければ廃止統合というものはできないんだというふうに私は考えていないわけでございまして、やはり並行していくべきものだというふうに考えておりますことだけは御理解いただきたいと思います。
  124. 坂口力

    ○坂口委員 そこまで言われますともう一言私も言わなければならないわけで、関係が非常に深い問題だと私は思うわけでございます。国立病院がどうあるべきかということを明確にすることなしに、その国立病院をこれからどうしていこうという行動を先に移すことは危険である、そういうふうな意味に御理解をいただくのだったらそれは結構でございます。
  125. 今井勇

    ○今井国務大臣 それはおっしゃるとおりでございまして、これから国立病院が何をやっていくかということについては私がちょっと申し上げましたし、先生の御意見もいただきました。しかし、そのことについての考え方はそんなに大きく離れてないと私は思っておりますから今申し上げたわけでございます。
  126. 坂口力

    ○坂口委員 江崎大蔵大臣臨時代理、大変長い間お待たせをいたしまして申しわけありません。実は、ことしの一月に大蔵省から「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」というのが出ているわけでございます、ちょっとお手元にはないかもしれませんが。それを拝見いたしますと、かなり具体的に書かれておりまして、今後の一般歳出における節減合理化に努める中に、医療につきましては「医療費適正化対策を充実・強化するとともに、医療供給体制の見直し及び医療保険制度の公平化、合理化を推進する。」というところがございまして、医療供給体制の見直しを促進する、それは節減合理化だ、こういうことが書かれているわけでございます。  先日、「医療供給体制の見直し」とは何かということをお聞きしましたら、国公立の統廃合をすることがここに含まれているのだという大蔵省事務当局の御意見でございました。厚生省が統廃合を進めていくのは、それは私の考え方と厚生省の考えに違いはありますけれども、厚生省も財政的な節減合理化をやるために統廃合をやろうとしているのではないと私は受け取っているわけでございます。ただ、やり方とかそのことについての意見の違いがあるだけで、節減合理化のためではないと思っているわけでありますが、大蔵省の方はそれを節減合理化のための医療供給体制の見直し、こういうふうにとっておみえになるのではないかという思いがするわけでございます。今後の医療体制をどうしていくか、これから膨張していく医療費をどう解決していくかということと非常にかかわりの大きい問題でございますだけに、私はあえてこのことを申し上げたわけでございます。  そういう意味で、臨時の大臣に大変申しわけないわけでございますが、決して節減合理化のために医療供給体制を見直すのではないというところを理解していただきたい。御感想がありましたらお聞かせいただきたい。
  127. 江崎真澄

    江崎国務大臣 国立病院と診療所の機能分担、国立病院と私立病院の機能分担、国立病院と自治体病院の関係、機能分担、大学病院と国立病院の機能分担は一体どうなるのか、専門家としてうんちくを傾けての御質問は傾聴いたしました。  これは厚生大臣がるる御答弁申し上げておりますように、現在の国立病院、診療所を含めまして、戦前からの非常に古い施設もたくさんあることは御存じのとおりでございます。したがって、国立病院がどういう役割を果たすのか、これは非常に重要な点だと、傾聴して私もいろいろ考えておりました。これは厚生大臣も言いますように、まさに国立病院としてふさわしい難病、奇病、特に最近エイズの怖いことは参議院の予算委員会で同僚のお医者さんの方から聞きまして、これはかかったら三年以内に死ぬのだ、がんとエイズ、どっちが怖いですか、順番に答えてくださいということでございましたが、そういうお話を聞くにつけましても、国立病院が果たす役割は非常に大きいものがございます。  そうかといって、今おっしゃるように国費を無限に支出できるかどうか、これは高齢化社会に向けて非常に重要な点だと思います。今九兆八千三首四十六億、その中の四兆一千億が医療費、これは国債費の十一兆、地方交付税交付金の十兆円、端数は省略ですが、それらに続いて三番目に属するわけであります。もちろん、国民の健康また長寿社会ということは何よりも貴重なことだと私どもも認識をいたします。そうかといって、これが無限に膨らんで、高齢化社会に備えて一体だれが負担するのかというようなことなども全然考慮の中にないということは言えないと思います。  しかし、その重要性は、もちろん国民の医療、命にかかわる問題でありますから、それぞれの機関との連携の上に立ちながら最も国立病院にふさわしい診療体制を整える、これは十年がかりでやるという初めからの計画でございますので、厚生大臣も申しておるとおりでございます。したがって、その内容整備等についてもいかにも国立病院らしいものにしていく、この理想を捨ててはならない。十分配慮をしてまいりたいと思います。
  128. 坂口力

    ○坂口委員 きょうは総論的な話でございますので、具体的なことは私も言わないつもりでおりました。ただし、今、江崎大蔵大臣代理がお触れいただきましたので一言だけつけ加えさせていただきますと、私の県でも二つの病院を統廃合する問題が起こっているわけでございます。これは東海三県もそれぞれ一県に一つぐらいずつあるわけですね。その場合に、両方ともこの数年、片や十数億、片や十八億ぐらいの大変なお金をかけて立派な病院にしてしまった後で、さあ統廃合だというような話が出てくる。それが行政改革だということになると、一体行政改革とは何かという話に当然なってくるわけでありますし、急いで事をやりますと、朝令暮改と申しますか非常にどたばたとしたような形にならざるを得ない。  ですから、国立病院のあり方というようなことについては、一遍きちっとけじめをつけておいてからやらないと、そのけじめがつかない前に事を起こすということになると、一つのところにまとめてみたけれども赤字が大変でぐあいが悪いからやめようかというような話になってみたりというようなことになっていく可能性なきにしもあらず。したがって、国は一体何をやっているのだということをその地域の皆さん方に思われないように国としては事を進めなければならないだろうと思うわけです。  それはまた効率的な国家予算の使い方にも結びついてくるわけでありますので、ただ国からの財源をそこにつぎ込むことを減らすがために事をするのだということが前面に出ては困る。だから、基本は国立病院はいかにあるべきかということを真剣に議論した上での姿でなければならないということを特に訴えさせていただきたいわけでございます。もし御意見ございましたらお伺いしまして、次の問題に移りたいと思います。
  129. 江崎真澄

    江崎国務大臣 仰せの点は全く同感でございます。効率的で合理的、しかも最も先端的な医療が行われる機関をつくり上げる、これはもう厚生大臣がるる御答弁を申し上げておるとおりでございます。そしてまた、屋上屋というようなことにならぬように、むだ遣いにならないように、財政再建の場面でさようなことが許されるはずがございませんので、地域医療機関の連合体もあることでございますから、十分相談をしながら配慮をしてまいる予定でございます。
  130. 坂口力

    ○坂口委員 それじゃもう一つの問題をやらせていただきたいと思いますが、今回のこの法案の中に離島振興法それから過疎地域振興特別措置法というようなものも含まれておるわけでございますが、この離島、過疎の地域の皆さんというのは、何事につけましても不利な点が多いわけでございます。  とりわけ、医療などにつきましても、保険料は皆さんと同じように払っておみえになりますけれども、実際に医療を受けようと思いましてもその機関がないということで、片や人並みに金は納めてはおりますが、しかし実際に医療を受けることはできない、そういう地域であるわけであります。また、人口も少のうございますから、この皆さん方の声もどうしても大きくなりにくい、政治の場にもなかなか反映されないというような環境の中にあるわけであります。  そうした中で、この離島だとか過疎というところも今回同じようにカットされますわけで、この地域の皆さん方にとってこれは大変気の毒なことだというふうに私は思いますし、この辺のところだけは勘弁できないのだろうかという強い気持ちもあるわけでございます。  その問題はさておきまして、そうした医療に恵まれない地域の人たちが急に何か病気になったあるいはけがをしたというときに、それをどうして救うかという問題は、実は案外なおざりにされてきたわけでございます。最近医療用の立派なヘリコプターができました。私も先日晴海埠頭から国会の上まで乗せていただきました。怖かったものですから外をよく見ませんでしたが、内容は非常にすばらしいものでございました。そういうヘリコプターが四十七都道府県に全部配置をされていて、そしていざというときにそれが出動できる体制であればこれは問題ないわけですが、いろいろお聞きをしますと、そんな状態には今のところなっていない。むしろ、現在この救急医療システムをどうするかということについて、国土庁の方でいろいろと御検討になっているという段階だそうでございます。  そこで国土庁、せっかくこういうパンフレットもまとめていただいておりますので、現在までのヘリコプターによる救急輸送システムについての検討の結果、どこが問題であったかということをひとつ簡単にお答えをいただきたい。
  131. 中澤澄次

    ○中澤説明員 お答えいたします。  先ほど先生のお話にございました手引書でございますけれども、これは五十九年度に福島県において実験事業をやっていただいた結果をもとにいたしまして、関係省庁の御協力をいただきまして国土庁として取りまとめをしたものでございます。  このヘリコプターを活用した救急搬送の問題につきましては、五十九年度にその事業をやったわけでございますけれども、その手引書をもとにいたしまして、また六十年度も四県において実験事業をお願いいたしております。さらに六十一年度も、その結果をもとにいたしまして、システムの改善のための検討を進めていきたいというふうに思っておるわけでございます。  先生からお話がございました問題点でございますけれども、一年間の実験事業ということでとりあえずまとめたものでございますので、幾つかの課題を残しております。  その課題でございますが、一つは、システムの活用主体をどうするか、といいますのは、やはり組織をつくっていただくということが大きな課題であるというふうに思っております。ヘリコプターを活用する場合に、いろいろな問題をあらかじめ十分詰めておく必要があるということでございます。例えば費用負担の問題でありますとか、各機関との連絡調整をどうするかというようなことをあらかじめ詰めておくということで、そうした問題につきましては、各市町村がばらばらに対応するということでは問題がございますので、各市町村が例えば協議会のようなものを設けましていろいろ検討を進めるということで、そうした活用主体の問題。  それから、先ほど申し上げましたが、費用負担の問題がございます。この手引書にっきましては、一応現状は自衛隊のヘリコプターを使わせていただくということで、ヘリコプターを購入するという点につきましてはいわば省略しておるわけでございますけれども、協力医療機関に対する謝礼の問題でありますとか消防団員への出動の手当、それからヘリコプター搭乗者に対する保険の付保、そうした関係でいろいろ経費がかかります。そういう経費をどういうふうに負担していったらいいかというような問題がございます。  それから、医師の添乗の問題、それから自衛隊のヘリコプターということでどこでも使えるというわけではない、そういういろいろな問題がございます。  そうしたことにつきまして、六十年度の事業、それから六十一年度のその検討の中でいろいろ進めてまいりたいというふうに考えております。
  132. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ヘリコプターは、御承知と思いますが、規制が非常に強かったわけです。それを運輸省がアクションプログラムの中で規制を緩和しまして、日本はヘリコプターをもっと取り入れて、今御指摘の救急医療はもちろんですが、消火活動とかその他の活動、あるいはホテルと成田とのアクセス、あるいは本社と工場、そういう面で、民間をひっくるめて使いやすくしよう、これがアクションプログラムの決定でございますので、今詳しく救急面での説明がございましたが、私は、ヘリコプターというものはもっともっと大衆化していいと思うのですね。そのときに、それを救急医療にどういうふうに取り入れるかということは非常に重要な御指摘だと思います。この点は、アクションプログラムの実行とあわせて十分検討をいたしたいと思います。
  133. 坂口力

    ○坂口委員 外国ではかなり研究も進んでおりますし、実際に活動も進んでおります。西ドイツからのレポートをいろいろ見てみますと、患者を早く医療の場に引き出す。早ければ早いだけ効果が大きい。それは、そのときの効果だけではなくて、それから後の治療効果にも大きな影響を与えるというようないろいろなことが述べられておりまして、西ドイツでは年間に少なくとも二千三百人の交通事故の犠牲者を死から免れさせることができている。そして、それにはヘリコプターの代金だとか、あるいはそれに乗る人だとかいろいろ費用がかかるわけですが、しかし、その人たちが死を免れることによって、それから後に行うであろう経済活動を比較検討すると、むしろそれは帳消しになるというような数字も出ておりましたり、いろいろなところがあるわけでございます。  時間がございませんので、最後に、この問題の一番大事な点といたしまして、先ほど国土庁からもお触れになりましたように、これから組織化をしていかなければならないわけでありますが、この組織化は一体どこが中心になっておやりになるのか。それは自治省、まあ消防庁が中心になっておやりいただくのが一番いいのだろうと私は思いますけれども、これは消防庁が中心になって救急の問題としておやりをいただくのか、厚生省におやりをいただくのか、あるいはちょっと範囲は違うように思いますけれども、国土庁はこういう研究もなさっているのですから国土庁がおやりになるのか、これは私もよくわからないわけですが、やはりどこかが旗を振っていただいて、各都道府県の救急体制としてやっていただきたい。もう既に非常に進んでいるところもありますが、非常におくれておるところが多いわけですので……。  そして、そのときにはそういうヘリコプターは一体どこに要請をするのか。お聞きをいたしますと、中には自衛隊を利用できる地域もあるようでございますし、警察のを使わせてもらえるとこうもあるらしい。ところが、自衛隊だとか警察だとかいうのはお借りをすることができるというだけでありまして、大きな顔をして使わしてもらえるかどうかはわからないわけであります。その辺のきちっとした話もでき上がっていない。  だから自衛隊の場合などは、知事さんからの要請があった場合にこれはできるというようなことで、知事さんがどこかに行って、おらなかったらできなかったということもこれは起こり得る話でございまして、そういうことも含めて、各地域できちっと、何かが発生したときにはどこに連絡をする、どこに連絡をしたらそれが直ちにどうなるという、これは緊急を要する問題でありますから、少なくとも十分以内に何とかしなければならないというような話でありますから、だれだれが今留守だから、しばらくしまして帰りましたらお返事をしますみたいなことでは済まない話でございます。ですから、その辺のところでどこが中心になっておやりになるのか、それをここでちょっと詰めていただければと思います。
  134. 井上孝男

    ○井上政府委員 救急医療という問題になりますと、医療機関あるいは搬送業務、各種の関係が出てまいりまして、非常に広範な問題になるわけでございますが、病人を搬送するという救急業務を所管いたしております消防庁といたしましては、御指摘のようなヘリコプターを大変必要とする救急業務というのも、特に僻地あるいは離島においてあるわけでございます。  そういうことでございますので、先ほど国土庁からるる御説明もございましたけれども、消防庁といたしましても、昭和五十九年度におきまして救急業務へのヘリコプターの活用問題について調査を行ったところでございます。その結果に基づきまして、現在具体的に各地方団体に対して指導をいたしておりますが、その趣旨は、現在消防ヘリコプター十七機、そして防災ヘリコプターが都道府県に二機ございます。約二十機近いヘリコプターを持っておりますので、現有のヘリコプターをできるだけ広範囲に効率的に活用するということ、あわせまして、この機数では少のうございますので、自衛隊あるいは警察の保有するヘリコプター、こういうものとの連携を保ちました搬送業務、こういうものを積極的に指導をするように、まずその地域地域ごとのシステムづくりというものにつきまして指導をいたしております。  さらに、昭和六十一年度におきましては、救急のみならずもう少し広い範囲の、すなわち防災体制という中でのヘリコプターの活用ということも当然あるわけでございます。大規模特殊災害時における広域航空消防に関する体制づくりと申しておりますけれども、この中でも、救急業務というものもおのずからこなしていく必要があろうかと思っております。  現在、ヘリコプターは一時間に大体二百キロぐらい飛行いたしますので、半径二百キロ単位で、北は札幌から南は九州に至りますまで、ヘリコプターの活動がカバーできる地域を設定いたしまして、その地域内に所属いたします地方団体がお互いに協議し合い、協力し合ってヘリコプターを導入する、あるいはその維持管理のための費用の負担のルールを決めるというようなことを検討いたしております。これの結果が近く出てまいりますので、その成果に基づきまして具体的な推進につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  135. 坂口力

    ○坂口委員 もう一つだけお聞きしたい。  消防庁の場合には、例えば搬送に使います自動車にいたしましても、今度ヘリコプターならヘリコプターを買うにいたしましても、国の補助は二分の一ですか。
  136. 井上孝男

    ○井上政府委員 消防庁が所管いたしております補助金の補助率につきましては、全国どこが導入いたします場合でも三分の一でございます。と申しますのは消防事務、これは本来地方の事務ということでございますので、奨励的補助として三分の一というのが補助率として設定されておるところでございます。
  137. 坂口力

    ○坂口委員 もう時間が迫ってまいりましたので最後にいたしますが、これは総務庁長官としてひとつお願いを申し上げたいと思います。  今消防庁の方からもお話がありましたように、一応消防庁の方でいろいろそういう指導はしていただいているわけでありますが、しかし、タクトを振って、そしてこういう体制をつくろうということを全国的に流して組織化をしておみえになるわけではないんですね、考えてみれば、こんなことがなかったのかなと思うのですが、案外こういう大事なことが抜けておりまして、そして、いざというときの緊急体制というものが全国的に一本に動かない状態にあるわけでございます。厚生省の方にお聞きしましたら、厚生省はそれは担当ではないというお話でございますし、自治省が担当かというと、そうでもないというお話でございます。ならば消防庁ですかと言ったら消防庁も、そこまで果たして言えるかどうかというようないろいろの御意見がございますので、一度全体でお考えをいただいて、どこかでまとめ役をひとつつくっていただきまして、この問題は、全国的に行き渡るように早急に御配慮をいただきたいというのが一つ。  それから、大蔵大臣臨時代理としてお願いを申し上げますのは、今もお話ございましたとおり、消防庁の関係のところは補助率三分の一なんですね。消防あたりは、本当はもうちょっと何とかということもあっていいのじゃないかという気もするわけであります。ましてや、離れ島ですとか僻地だとかいうところのヘリコプターを買うというようなことになりますと、これは対象としては小さな範囲でございますし、補助金ということになりますと、これはその地域で持てと言いましてもなかなか持ちにくい、県なら県単位で持つというような形にしていかなければならないとは思いますが、しかし、きはうはこの補助金が対象の審議の時間でもございますので、補助金の問題のあり方につきましても一考していただくことができれば幸いでございます。  以上、二点。
  138. 江崎真澄

    江崎国務大臣 実は私、総務庁長官としても交通安全対策室を持っておるわけです。それで、死者が年間九千人を上回っておるわけですね。これを八千人以下にしよう、実際、八千人以下にする近道を今御指摘になっておるわけですよね。ほかの、病気もありましょうけれども、交通事故などの場合ならばこれも時間の問題。したがって、これは関係省庁が承っておりまするので、よく話し合いをしたいということを、今も厚生大臣と隣同士で話した次第でございます。  自衛隊に対するアレルギーも一部にはありましょうが、災害出動ということでは全党一致いたしておりますね。そうだとするならば、いわゆる離島とか、そういうような僻地などの救急発進というようなことはあっていいと思うのですね。県知事がというお説のとおりの手続がありますが、それなどについても、必要に応じてそこにあるものを使うという意味なら、しかもそれが生命の救済に役立つというならば、それなどもひっくるめて県とよく連絡をして決定をし、御返事ができるような体制をとっていきたい。今は、消防庁が救急車を初め担当しておって相当な効果を上げてもらっておりますが、ヘリコプター時代だと思います。  それからまた、補助率の問題につきましては、今にわかの話でございますから、私がここですぐどういたしますと確答はできませんが、その重要性については十分承っておきます。ありがとうございました。
  139. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  140. 中村正三郎

    中村(正三郎)委員長 代理午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時四十一分休憩      ――――◇―――――    午後二時開講
  141. 小泉純一郎

    ○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  142. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 最初に、総理にお尋ねします。予算委員会の総括質問の際に、補助金、負担金という問題について、法律、例えば地方財政法等に基づいて整理をすべきではないか、私はこういう問題を提起いたしました。これについて大蔵省の方もそういう作業を進めておるやに伺うわけでありますけれども、これはなかなか大変だろうと思うのです。しかし、やはり法律がある以上はぜひ法律に基づいて整理すべきだと思いますので、これについて総理はどういうふうに対応しようとしておるのか、また、大蔵大臣としての基本的な態度についてお答えいただきたいと思います。
  143. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は非常に微妙な問題でございまして、実定法の上から文言と予算科目、これをどういうふうに整理していくか、こういうことで御指摘があったと承っております。そこで、これまでの沿革等もさらに研究し、御指摘の重要な御趣旨を踏まえて目下幅広く勉強しておるところです。関連する予算、それから大変各省庁にまたがっておりますので、もうしばらく時間をいただきたいというのが事務当局側の私に対する報告でございますので、いましばらく時間をおかしいただきとうございます。
  144. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 細谷委員が御指摘になりました補助金、負担金、分担金、いろいろ名前が変わったものがありまして、これはもう一回見直したらどうかという御質問を拝聴いたしまして、そういう問題があるなど私も認識をいたしました。大蔵省におきましても、今江崎長官が御答弁申し上げましたように目下整理方等を検討中の由でありまして、時間をいただきたいと思う次第でございます。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 これは長い間の問題でありまして、各省にまたがる、しかも予算と密接不可分の関係を持っていることでありますから、総理の強力な指導力というのが私は必要だろうと思うのです。研究中ということでありますけれども、ひとつ強力に推進をしていただきたいと思います。  ところで、今度のいわゆる補助金一括法案は、昨年できました補助金問題検討会等の意見を酌んでこういう一括法ができたということでございます。法律を見てみますと、四十九条目は財政措置等について抽象的な国の姿勢をうたったものでありますから、実質的には四十八条であります。これについては前回も問題になりましたし、参議院の方では特別委員会をつくってやっておるわけでありますけれども、あれだけ問題になったのになぜ今回も一括法案と称して四十八本の法律を一つの法律にくくって出さなければいかぬのか、その真意を伺いたいと思います。
  146. 江崎真澄

    江崎国務大臣 昨日来、しきりに御質問がある点でございますが、これにつきましては、まず国と地方の役割分担、そして国、地方を通じる行政改革の重要性にかんがみて、補助金検討部会に諮問をしてこれを延長することにしたわけでございます。  そこで、行政が総合的、効率的に行われるためには国と地方がそれぞれ機能と責任を分担し合う、その点では全く一致しておるわけでございます。相互協力が必要でもある。また、地方公共団体の自主性、自律性の尊重という観点から見直しを行ったものでありまして、多岐にわたります。仰せのとおりだと思います。そういう目的に沿って補助率を、アクセントはつけたというものの一律カットした。これも、国の財政事情GNP比で四三%もの赤字である。地方GNP比では六%ですが、短期のものを加えると一三%、そういうことを考えますと、地方にも担っていただくのにふさわしいものはひとつ地方に権限委譲もするし、負担もしていただこう、こういう意図に出るものであります。したがって、四十八項目については共通の問題でありますので、審議の手数を省くというよりも、日本は何でも法律法律ということで法律の数が多過ぎますので、それを簡素化、能率的にするという意味も含めて統一をしたわけでございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 それは答弁にならないと思うのです。法律がたくさんある、たくさんあるから十六の常任委員会で専門的に審査するという体制になっているわけでしょう。それを四十八本の法律を一緒くたにして一括するというのは、それは財政上の問題もあり予算編成上の問題もあってやったということはわかりますけれども、去年もやったことです。そして、あれだけ問題があったのをことしもやるということについては、私は理解できません。これは江崎さんらしからぬ答弁だと思う。
  148. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私の言葉の足りない点があったと思います。これは合同審査をお願いしておるのでございますからね。  御承知のように、内需の拡大ということがしきりに言われております。せっかく予算も通していただきましたので、できればこの法律案を一括御審議いただくことによっていち早く前倒しをして、そうして円高の影響を少しでも軽くすることができるようにという精神もあるわけでございます。確かに言葉が足りなかったと思います。御了解を願います。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大蔵委員会に付託されて、そして連合審査という形で総理も二回にわたって出席してやることですから、従来よりは熱意を帯びておる。私はそれをもとに戻せなんということを言っているわけではない、今後の問題もありますから。  補助金等の関係でこの種の一括法案が出たというのは、昭和二十九年にあるだけですよ。その際に、これもまたちょっと財政が悪くて一括して出しております。法律百二十九号ということで出ております。その後は絶えてなかったわけです。ところが、五十六年に例の行政改革を推進するということで、補助金等の縮減という形で法律九十三号で出ております。これは鈴木総理の時代ですね。そして去年、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律、これが六十年の法律三十七号で出ておる。三回しかないのですよ、少なくとも国と地方との補助金に関する金のやりとりは。ところが、今度また出ているわけですね。  そこで、その出た法律を当たってみますと、例えば児童扶養手当法という法律がございます。この一括法の中にも、児童扶養手当法を改正するということで二十一条の規定という形で出ておるわけですね。ところが、主管である社会労働委員会の方にも、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律という同じ法律が出ているわけであります。言ってみますと、一本の法律を主管委員会である社会労働委員会に出して、その中の補助負担分だけはこの一括法に引き抜いてやっておる。これはおかしいでしょう。こんなことをやらないで、むしろ、児童扶養手当法というのは社労でやらなければいかぬ法律なんだ、支給条件をアップするのですからやらなきゃいかぬ。それならその一本の法律の中に、従来どおり負担率をどうするのだということを書くのが常識じゃないでしょうか。それをわざわざその分だけ切り離してやるというのはおかしいんじゃないですか。統一的に、能率的に審議することにならないと思うのですよ。これは社労の方でも問題になったそうですが、いかがですか。
  150. 江崎真澄

    江崎国務大臣 仰せの点は、確かに理屈は通っておると私は思います。ただ、後から補足をいたしましたように、一括法にいたしましたのは、何とかこの経済的な不況を、上半期の問題ですから何とか実施いたしたい、せっかく予算をお通しいただいたならばこの補助金の一括法も御審議をいただいて、そして執行に入りたい、こういう便宜主義的な意味も多分にあるわけでございますが、思うところはまさに国民の要望にこたえようとする念願に発するものでありますから、どうぞその点は御理解をいただきとうございます。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 国民の要望にこたえるためにはやはり国会においては慎重な審議をして、そして早ければ早いがいいんだ、そればかりではありませんで、国民の要望にこたえる中身がなきゃいかぬ。そこで私は、一例を一括法との関連で申し上げました。  今、これから内閣委員会審議しようとしております法律案、これもまた機関委任事務整理合理化法案で一括しております。今ここで審議しておる補助負担金の一括処理、引き下げ、補助負担金のものだけは別にこの一括法に引き抜いて、そして内閣委員会にかかっている。ちょっと挙げてみますと、身体障害者福祉法、老人福祉法、児童福祉法、精神薄弱者福祉法、母子保健法、これの機関委任事務の関係のものについて内閣委員会の一括法の中に入っているわけです。これも引き分けてあるのですよ。これはまとめて出されたらいいでしょう。能率的ですよ。わざわざ一人の子供を双子にする必要もないでしょう。  総理、そういう状況なんですよ。一括法にして早ければ早いがいい、こういう意図かもしれませんけれども、わざと法律を補助負担金の分を引き分けて、そして本来の委員会にかけるのは形骸化しておる、こんなことはおかしいと思うのですが、総理、いかがでしょうか。
  152. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 やはり整理の方法を二つにいたしまして、一つは行政改革的観点、臨調答申やら行革審の方針で、中央、地方との事務事業の見直しあるいは地方に対する委譲、そういう面から片方は整理をした。もう一つの視角は、これは財政的観点から、お金の面で補助金という面からこれを一括してみた。そういう二つの視角から整理をした結果今のようなダブり、そういう二重構造みたいになっている部分もあると思います。
  153. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 残念ながら、それは確かに機関委任事務に関係することは行革関係から出たものでありますから、それは内閣委員会にかかるわけですから一本にまとめてそちらにやって、内閣委員会に行ったから行革ということじゃないわけですから、これはやはりまとめるべきだと思います。  私は、貴重な時間を費やしてこれだけ言っておくのは、こういう一括法は過去にも例がなくて、そして中曽根総理のもとで去年、ことしと頻繁にこれが出てきているところを問題にしているわけですから、今後そういうことにならないようにひとつ特段のお願いをしたいと思うのですが、総理、いかがですか。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 従来からも、趣旨や性格、目的という点において共通のものがあるという場合には、行革におきましてもあるいは補助金等についても一括するということでお願いをしてまいりまして、今回もそういうお願いをしてあるわけでございます。野党の皆様方の御議論も拝聴いたしまして、野党の皆様方からすれば御無理もないと例える御議論もあるように思います。また、我々の方の立場からいたしますと、事務事業の円滑化というような面からいたしまして今のようなやり方をとらしていただいておるのでございますが、そういう御議論も野党の皆さんにあるということを頭に置きまして、今後いろいろ進めてみたいと思う次第でございます。
  155. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 これは、そういう法律の事務的な推進は大蔵省が主としてやられるでしょうが、大蔵、江崎さん、いかがですか。
  156. 江崎真澄

    江崎国務大臣 もちろん、これは法制局とも相談の上でこういうふうに、今総理が答弁いたしましたように区別をしたわけでございます。
  157. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 法制局長官の前回の国会におけるあれでは、目的が同じならいい、こういう形で一本にした、こう言っている。内閣のやつもそうです。今度は新聞でもいろいろ言われておりますけれども、通産省、運輸省、そういうところに関係の四省から出たのが、目的が同じ民活だ、民活だという一点に絞って、同じものだから一括法だ、これも少し度が過ぎているんじゃないかと私は思います。しかし、この問題についてはこれ以上申し上げないことにいたします。  それから、今度のこの一括法の中にあります、まあ言ってみますと国が大きな責任を持つべき義務教育費国庫負担法、これは、昨年は旅費とか教材費を一般財源化いたしましたから一〇〇%地方の負担となりました。今年どういうことをやったかといいますと、大体大蔵省としては、義務教育費国庫負担法の対象を縮小して一定の金額を引き出そう、そして予算に使おう、こういう意図であったようでありますけれども、それは無理だ、義務教育というのはとにかく国の大変大きな義務じゃないか、それを範囲を広げるのならともかくとして、それを狭めてやるなんというのは言語道断だということでどこへ来たかといいますと、余り人に目立たない退職手当、退職一時金、それの国庫負担をねらって二分の一の負担を三分の一にしてしまったのです。普通の人はこれはわからぬですよ。なるほど、義務教育費国庫負担法は学校の事務職員の負担率を減らすとか栄養関係の職員の負担率を減らすとかいうのが取りざたされておったが、それがなくなった。一切片づいたかというとそうじゃない。一定の金額、八百四十二億円という金額を年金の基金の方から取ってしまったんですよ。年金というのは給与でしょう。そういうやり方は義務教育費国庫負担法をいよいよ形骸化するものじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  158. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは地方公務員の共済制度以来の問題でもありますから、事務当局から御答弁をさせます。
  159. 保田博

    保田政府委員 共済の追加費用等が給与であるか否かということでございますが、俸給それから扶養手当等毎月決まって支給される給与及び期末手当等が給与ということになっておりまして、共済費及び恩給費は給与ではないというふうに解釈をされております。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 年金なんというのは給与じゃないと今あっさり片づけた。どう見ても給与でしょう。(「生涯賃金と言ったじゃないか」と呼ぶ者あり)都合のいいときは生涯賃金、年金というのも給与の一部だ、こう言っているかと思うと、一部じゃない、これはおかしいですね。  ところで、この法律を読みますとどういうふうに書いてあるかといいますと、国庫負担法の附則に「第二条第一号から第四号までに掲げる経費(第一号及び第二号に掲げる経費にあっては、退職年金及び退職一時金に係るものに限る。)」こういうことできちんと押さえてあるかのごとく見えます。そして、「及び前二項に規定する経費のうち、政令で定める経費に対する」云々、こう書いてある。政令で決めるわけですから、法律でここで決まってしまえば、三年間のうちに政令を拡大することができますね、補助金をカットすることができますね。できないですか。大蔵省の胸三寸でしょう、どうなんです。これは随分心配していますよ。いかがですか。
  161. 保田博

    保田政府委員 法律的には、政令でそのためにふさわしいように改正をすれば可能でございます。
  162. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そんなことを言っているが、後で聞きますけれども、来年度の予算編成はことし以上に困難だろうと私は思っているのですよ。そういう中においてどこから財源をひねるかというと、政令で決めればいい、一つ政令の対象をふやせばお金が出てくるじゃないかということになりますね。何のために国権の最高機関である国会が日夜かなりの時間、貴重な時間を費やして法律を審議して可決しているのですか。その言葉はちょっと許せないのですよ。この法律審議の際に予定しておるもの以外には広げません、そういうときには改めて御相談いたします、こうあるべきですよ。どうなんです、大臣、これはおかしいでしょう。
  163. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、御質問の御趣旨はよくわかります。改正するということは現在考えておりません。
  164. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大臣、私は、総理大臣を前に置いて少し技術的な細かいことでありますけれども、基本姿勢の問題ですからあえてお尋ねしている。義務教育費国庫負担法のうち、この法律に年金関係と書いてある。それから退職一時金と書いてあります。年金関係というのは、長期給付の分が千百三十一億円あるわけですよ。それから年金の追加費用、もうやめた人についての金が足らぬ、この追加費用というのが千五百三十七億円ある。恩給費というのが百四十八億円ある。今のところこの追加費用と恩給費というのが対象になっておりまして、これが三分の一になっております。長期給付の分は二分の一ですからそのままになっております。この長期給付を政令一つで二分の一を三分の一にしますと三百七十七億円、ことしは八百四十二億円でありますけれども、さらに三百七十七億円出てくるわけですよ。そんなことで、底抜けの、ざるのような法律を国会でつくることにはならぬかと私は思います。そうなりませんか。次長の答弁でありますと、それも来年はできるということになりましたから……。
  165. 江崎真澄

    江崎国務大臣 追加費用に要する経費を一括して国庫負担の対象としてきた経緯等を踏まえまして、法文上両者を一括運用し、そして具体的な取り扱いを政令にゆだねることにしたわけですね。しかし政令では、六十一年から六十三年の措置として、追加費用に要する経費について国庫負担割合を三分の一に引き下げる、こういうことにしておるわけであります。
  166. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 それは答弁はそのとおりなんです。法律で政令にゆだねているわけですが、その政令はいつでも必要に応じて変えますよという答弁があっているのですから、それならここで予定して、予算には先ほど言うように八百四十二億円ですよ。八百四十二億円は何かといいますと、追加費用と恩給費から出ているんですよ。これが対象になっている。長期給付は出ていないんですよ。これを政令を広げたら三百七十七億円だけの財源が出てくるわけですよ。これは金が足らぬときには勝手にやりますかと言ったらやりかねないような答弁があるものですから、それじゃ困りますよと言っておるわけです。いかがですか。
  167. 江崎真澄

    江崎国務大臣 だから、後のことについては現在考えておりませんということを申し上げたわけでありますが、御趣旨の存するところはよくわかったつもりであります。
  168. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 恐らくやらないつもりでそう言っていると思うのですけれども財政事情はしかくイージーなものじゃない、大変な厳しさがあるわけです。厳しさに負けてそこへ手を出さなければならぬ、しかも、残念ながら江崎さんは代理大蔵大臣ということですから、それはそういうことを言わぬで、今予算に決めてあるとおり八百四十二億円で、対象をふやすふうなことはいたしません、こういうことでありましょう。  私はなぜこの点をしつこく言うかといいますと、この法律で先ほど言った「及び前二項に規定する経費のうち、」その「前二項」というのをまた洗ってみますと、一つは恩給関係、一つは共済関係ですから、これはまた政令でいかようにも手を出せるんですよ。これでは困るわけです。ですからこれは、予算に計上してある予定以外のことは今のところやりませんということをはっきりとお答えいただきたい。いかがですか。
  169. 江崎真澄

    江崎国務大臣 恩給と共済制度というものは本来同じような性格のものでありますが、しかし、法律的にそれをどうこう変えるとか、政令でどうするとかいうことは現在考えていないということを先ほど申し上げたわけです。
  170. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 現在ただいま、今国会の段階では考えておりませんけれども、来年の予算編成で考えが変わったのでは困るわけです。一貫しません。そういうときは改めて法律として対応するということにしていただかなければ、そのとき考えが変わった、時代が変わったということではいかぬわけですよ。もう一度ひとつ。
  171. 江崎真澄

    江崎国務大臣 なかなか手厳しい御質問でございますが、何せ困難な経済情勢でございまして、来年のことについて今臨時代理の私からこういたします、ああいたしますと確約することは大変難しい問題だと思います。御趣旨の点はよく理解しておるつもりであります。
  172. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私は、先輩である江崎さんの言葉でありますから、臨時といえども副総理格と言われているのですから、あえて総理はどうかということを問いませんけれども、総理はよくおわかりいただいていると思うのです。やはり法律、政令というものはきちんとした関係で対応していただきたい、こう思います。  そこで、今度は自治大臣。こういうふうに一兆一千七百億円、義務教育の国庫負担でも、去年も一般財源化という美名のもとに五百億円程度地方財政は食い込まれたのです。卑しい言葉で言いますと、自治大臣の懐に、地方自治体の懐に手を突っ込んで金を取られたのですよ。今度も義務教育強国庫負担の関係では八百四十二億円、地方財政全体としては一兆一千七百億円、大臣、あなたのポケットから取られたのですよ。泥棒と申し上げておるわけじゃないです。そうなってまいりますと、必然的に地方財政法に基づいてその財源対策を講じなければなりません。例でありますが、今の共済費追加費用の国庫負担について自治省としてはどう対応しようとしているのか、お答えいただきたいと思います。
  173. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 ただいまの問題につきましては、義務教育費国庫負担金のうち、恩給費と追加費用に限って暫定的に三分の一に引き下げられたものでございまして、政令におきましてこの範囲を拡大する考えはございません。
  174. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 自治大臣、ワンテンポおくれているのです。私がお聞きしているのは、共済において八百四十二億円カットされましたよ。それについて自治省としても財源対応をしているでしょう。その財源対応はどういうものなのか。
  175. 持永堯民

    ○持永政府委員 義務教育の恩給、追加費用の率を三分の一にしたことによりまして八百数十億円の影響が出るわけでございますが、それを含めまして、先ほど御指摘がございましたように、一兆一千七百億円についてマクロで地方税、地方交付税、地方債によりまして財源の補てんをいたしまして、同時に、個々の都道府県に対しましては、交付税の需要の算定を通じまして義務教育のいわゆるカット分を措置してまいるということにいたしております。
  176. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私がいただいた資料によりますと、今議論しておる共済費の追加費用約八百四十何億円、それに対して自治省としては、まじめに地方交付税でその減った分を裏づけようとしているわけです。資料によりますと、小学校について単位費用を百円程度上げております。それから中学校で百五円程度上げております。これによりまして、かなりの交付税が基準財政需要額として地方に裏づけしてやっておるわけですね。  あなたの方から出ておる地方財政計画、これを見ましても、六十一年度にふえた共済組合負担金の改定に伴う増加というのが、財政計画では去年は千三百四十億円であったけれども、六十一年度は千六百八十億円を計上しているでしょう。これは六十年度に比べて六十一年度はふえるという金額ですよ。こういう増加が起こっておるわけですよ。よくも金があったものだと私は思うのでありますが、無理はいたしておりませんか。
  177. 持永堯民

    ○持永政府委員 地方財政全体の収支のすり合わせは、御案内のように地方財政計画の上で行っているわけでございますが、この地方財政計画をつくるに当たりましては、歳出につきましても各費目ごとにそれぞれ必要なものを組み込みまして、そして歳入につきましても、現時点で見込み得るより的確な推計をいたしまして収支を合わせてあるわけでございまして、その結果、国の補助負担率の引き下げ分については別途補てん措置をいたすことにしておりますけれども、全体では所要の経費を賄える計画をつくっておるということでございます。
  178. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今私が示した六十一年度地方財政計画、六十年度から国の方の財政から地方財政は搾り取られておりますから、地方財政の構造がどういう状況になっておるのかということを私はちょっと調べてみました。  昭和四十八年度、地方財政計画は二兆八千億円規模がふえております。その際に、二兆八千億円のうち地方独自の負担分、地方債を加えた費用というのは大体一兆九千億円ぐらい。言ってみますと、大体六七、八%というのが地方財政計画の規模の拡大による地方費の負担分。ところが、六十一年度はどうなっておるかといいますと、地方財政の規模は二兆三千億ふえておりますが、その二兆三千億をふやすために、地方の一般財源を二兆五千六百億円ふやさなければ地方財政計画はできない。あなたの方のつくっている財政計画からこういう数字を出しておりますが、この数字は確認できますか。そして、その数字が事実とするならばどういう現状になっているか、自治省としての認識を示していただきたい。
  179. 持永堯民

    ○持永政府委員 数字の点につきましては、今御指摘があったとおりでございます。  なお、この地方財政計画増加額の中で地方費が占める割合でございますが、これは一般的に申しますと、どういうたぐいの経費がふえるか、つまり、国の負担が高いような経費がふえる場合あるいは逆に地方単独がふえる場合、いろいろございますから、そういった経費のふえ方によってこの割合は変わってくると思いますけれども、六十一年度については、先ほど申し上げましたとおり、あるいはただいままさに御審議いただいております法案によりまして国の負担割合が下がってくるということによりまして、この地方費の負担が当然ふえてくるという状況になるわけでございます。
  180. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 五十年以降、石油ショック以降の国と地方との関係を見ますと、国の財政も大変でありますけれども、今や地方財政も構造的に文字どおり危機になった。例えば、公債費負担比率が非常に高くなっておる。危険区域と言われる一五%を超えたところ、あるいは二〇%を超えたところ、破産に瀕しておるという団体が三千三百余りにも非常にふえたという指摘はありますけれども、あなたの方でつくっておる地方財政計画を見ても、構造的に今のような状態になっておる、こういうことを私は指摘したいのです。  総理大臣、私は非常に心配しているわけですよ。そういう構造的な面について、私の指摘のとおりだ、こういうふうにお認めになりますか。
  181. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 地方財政計画を見ますと、県によって、また団体によっていろいろ落差はございますが、概して苦しい県がふえつつあるように思います。これらをどういうふうに調整していくか、これは地方団体あるいは自治省でいろいろ相談をすることでもあり、また国と地方との関係においてどういうふうに資源の配分等を行うかという点も相談すべきことでありますが、いずれにせよ両方が助け合って、相手は国民全体でございますから、国民の皆様方が満足いくように協力し合うということが大事であり、国がいろいろな政策を行う場合でも常に地方団体の考え方をお聞きし、その反応を見つつ、地方団体に十分なおもんぱかりを持ってやるべきであるというふうに考えております。
  182. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私のお聞きしたいポイントの周辺でお答えいただいて、まことに残念であります。間違いなく、地方財政の基準である地方財政計画の構造というのは大きく変わってしまっておる、こう言えると私は思うのです。  そこで、小さなことでありますけれども、去年の一括法で補助負担金を五千八百億削減をいたしました。その利子をことし払わなければいかぬでしょう。三年据え置きですね。その利子は幾らと見ておりますか。
  183. 持永堯民

    ○持永政府委員 利子でございますが、昨年の五千八百億の財源補てんのために発行した地方債の利子というふうに理解してお答え申し上げますけれども、五千八百億のうち一千億は交付税で補てんをいたしましたから、これは利子がないわけでございまして、四千八百億の地方債の利子ということになりますが、団体によって若干利率等も違いますので、的確には今数字も持っておりませんけれども、仮に六%程度の利子ということになりますと三百億程度になるのではなかろうかと思います。
  184. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 三百億程度とおっしゃったが、これは計画からいきますと大した金じゃないのですよね。去年は削減して地方債を借りた。それは年度当初、四月一日から借りているわけはないですね、年度の半ばから借りておるのですから。大体において六十一年度に払わなければいかぬ利子の金額は百二十五億ですよ。それをあなたの方で交付税の基準財政需要額に計人する場合に、一部は一〇〇%、いわゆる国の方からの都合でカットした分については一〇〇%、そうでない部分については、公共事業をふやすために八〇%という原則がありますから、それで恐らく年度の半分ぐらいでしょう、半年ぐらいで百二十五億円利子を払わなければいかぬということになる。あなたは一年間を見て三百億程度であると言うが、やはり担当者、数字はきちんと頭に入っておるようであります。これはだれも知らないですよ。去年借りたその利子は一体どうなっているのだと言ったら、利子は適当にやっているだろう。三二%の交付税で食っているわけですよ。これは大蔵省も知っているかもしらぬけれども、知らぬかもしれぬぞ。私の今の言葉は正しいのですか、どうですか。
  185. 持永堯民

    ○持永政府委員 数字はちょっと的確に申し上げかねますが、事柄としては今御指摘のあったとおりでございます。ただ、交付税でこの公債費について基準財政需要額に算定をいたしますが、その場合、投資的経費の国庫補助の引き下げ分につきましては、その半分を一般会計から別途加算をするということに相なっております。
  186. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 もう一つの話は、行革審の答申の中で、十兆円近い交付税を聖域として扱っているのはけしからぬ、三二%は高過ぎるぞと言っている。そこで、地方交付税というのは、基準財政需要額と収入額を計算して、収入額というのは都道府県の場合は実際の税収の八〇%、市町村の場合は七五%というのが基準税額ですよ。そうすると、基準税額と実際のあれで都道府県の場合は二割、市町村の場合は二五%余分なものじゃないか、この金を削れば交付税は減らすことができる。私もちょっと計算してみました。仮に都道府県を五%基準税額を引き上げる、市町村を五%引き上げるとしますと、大体において九千億円ぐらいの金が出てくるわけですよ。それを削ると、来年度の予算編成では三兆四千五百億ぐらいの要調整額だと年度初めの大蔵省の中期展望の中で出ております。したがって、大体予算をつくるときには留保財源の引き下げをねらっているのですよ。大蔵省はねらっておらぬようでありますが、行革審はねらっておるようですね。こんなことはできますか。私はおかしいと思うのですよ。それは地方と国との財政関係を知らぬ人の言葉ですから、ひとつ教育の意味も含めて、自治大臣、簡単明瞭に答えてください。
  187. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 ただいま御指摘の基準税率を、留保財源でございますが、仮に小さくいじれば、結局基準財政需要額の増加ということになるものでございまして、これと交付税の問題とは全く別の次元の問題でありまして、そういう議論を一部なさっておる方もあると聞いておりますが、折に触れましてそのことにつきましては私どもよく説明をいたしまして、理解してもらっておるところであると考えております。
  188. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大臣、自信を持って答えたが、基準税額と実際の税収との間に二〇%、二五%とすき間があいているのは要らぬ金だ、それを取り上げれば国の予算は楽にできるじゃないかという言を、特に財界あたりの人が出している。私は意識的だと思うのですよ。仕組みを知らぬはずがないのですよ。持永さん、あなたは責任者だから、それについて詳細なレポートですか、自治省の考え、かつて大蔵省財政状況についてPRしましたね、それくらいのPRをしていただく意味において、やる意思がありますか。
  189. 持永堯民

    ○持永政府委員 留保財源の問題は、技術的な面もございまして、なかなか理解していただきにくい点もございますけれども、私ども資料もつくっておりますので、なるたけ関係の方々にそういう資料でもって御説明申し上げたいと考えております。
  190. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 話を変えまして、持永さん、借金を返済するために元利について交付税でカウントしておりますね。六十一年度は需要額に対してどのくらいカウントしておりますか、都道府県分、市町村分合わせてその元利償還、借金払いのための需要額の裏づけ。
  191. 持永堯民

    ○持永政府委員 普通交付税の算定はまだ今からでございますので的確な数字を申し上げにくいわけでございますが、先ほど御議論のございました国の補助率の引き下げによって発行した地方債につきましては、先生おっしゃいましたように一〇〇%の分と一部八〇%がございますが、それを算入することにいたしております。
  192. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 算入した経緯を聞いているのだけれども、六十一年度はこれから計算するでしょうが、六十年度は大体一兆七千億の需要額になっているのですよ。交付税総額の一七%というのはそれで食われておるんですよ。あなた、そこに財政担当の人がおるのにすぐ頭の中に浮かばないというのはおかしいよ。これは一兆七千億という需要額にまずカウントされてしまうのですよ。ですからその意味において、借金を重ねることによって、交付税は聖域だ、聖域だと言われておりますけれども、何も聖域ではない、タコの定食いのようにどんどん総額は減っていっておると言わざるを得ないのですけれども、いかがですか。大蔵大臣、今自治省は私の言うことにあるいはうんと言うかもしれませんが、その後で大蔵省はどう見ているのか、それもひとつつけ加えて答えていただきたい。初めに自治大臣がいいでしょうね、それから大蔵大臣に答えていただきたい。
  193. 持永堯民

    ○持永政府委員 今御指摘ございました一兆七千億という数字は、公債費全体の数字かと思います。これは財源対策の地方債だけじゃございませんで、全部でございますが、いずれにしても、昭和五十年度以降かなり起債がふえておりますので、交付税の需要額の中で公債費の占める割合がだんだん高まっておるということは事実でございまして、そういった意味で、当然のことながら全体的にこの地方財政の運営も厳しくなっているということは言えるかと思います。     〔小泉委員長退席、中西(啓)委員長代理     着席〕
  194. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 今政府委員からも答弁いたしましたが、御指摘のように、いわゆる起債の借金の元利償還等が非常に大きくなっておりまして、それが地方財政におきましても非常に厳しい状況であることは事実でございますし、また交付税の大きな割合を占めてきておることも事実でございます。私どもといたしましては、そういうような状況によって地方財政の運営に支障を来す結果にならないように、今後とも交付税そのものの問題とかをいろいろな角度から検討しながら、健全な地方財政の運営に資するように努力いたしたいと考えております。
  195. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは非常に重要な問題でありますから、私からもお答えしておきますが、地方債の元利償還については、地方財政計画の策定に当たって常にカウントしておるわけです。したがって、もし不足が生ずれば所要の地方財政対策を講ずることにいたしております。それで、建設地方債の増発に伴う元利償還費の増によって地方財政の運営に支障を生ずることのないようにしておる、こういうことでございます。私も自治大臣をやった経験がありまして、今あなたとのやりとりで思い出しました。
  196. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大蔵大臣は建設地方債を発行したと言っている。これは元金と利子払いということはやらなければいかぬです、逃げられない。経常経費もこれは最小限逃げられないのですよ。どこをねらってくるかというと、一番問題は投資的経費ですよ。その投資的経費を本来ならば交付税でカウントしなければならぬわけでありますけれども、カウントするためには総額が足らないから建設地方債を充てる、そして経常経費の方に振りかえて追い出していっている、こういう現況になっているわけです。  ですから、どういうことになっているか大ざっぱに言いますと、交付税の基礎になる基準財政需要額というのはおおむね七〇%が経常経費、平常なときには投資的経費に二八%か二九%、残りの一%が災害対策とかなんとかの借金払いになっている。今はどうかといいますと、経常経費の七割は変わりませんけれども、交付税の総額が足らぬものですから、借金は払わなければいかぬ、したがって、どこへ行くかというと投資的経費に逃げ込んでおる。その投資的経費は七%ぐらいふえていっておりますから、これはもう交付税の総額がないから、計算をしてみますと投資的経費がめちゃくちゃ不安定です。ですから八月に計算してもらってみなければ、地方は幾ら交付税がもらえるのか、どういう仕事をしたらいいのかという財政計画も立たない、こういう現況になっておることは事実であります。私は誇張して言っているわけじゃない。それが事実であります。そういう事実をお認めになりますか。そうして、認めたらどう対応しようとしているのか、お答えいただきたい。
  197. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、どうも残念ながら事実だと私も思っております。各年度の交付税については、地方財政計画の策定を通じて地方財政の円滑な運営に必要な額を確保する、これはやはり原則としては心得ておるところであります。
  198. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間が来ましたから、終わります。
  199. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 坂口力君。
  200. 坂口力

    ○坂口委員 時間が短うございますので、端的に御質問を申し上げたいと思います。  補助金の削減を行わなければならなくなりました理由につきましてはいろいろあろうかと思いますが、その中で、社会保障費の増大というのも一つの大きな要因であったと思います。今回のこの法律案を見ましても、対象法律四十八法ございますが、その中に厚生省関係十四法が含まれています。この社会保障費は補助金削減法をつくらしめた要因でもありますし、また、削減によって最も大きな影響を受ける分野でもあるわけでございます。この法律案が約束どおり三年で終わることができるかどうかというのは、これは社会保障費の増大にどう対応していくかということによって決定すると言っても過言ではないと思うわけでございます。社会保障費の将来推計につきましてはいろいろの数字が出ておりますから、今さら申し上げるまでもありませんが、一九八〇年に対して二〇〇〇年では約二倍、大ざっぱに申しましてそういう数字になろうかと思います。二〇一〇年になりますとまた三倍になる、こういう数字だと思って大きな間違いはなかろうかと思います。  厚生大臣、きょう午前中にちょっとお聞きしましたが、十分な御答弁はありませんでした。来年度の厚生省の当然増というのはどのぐらいになるのか、それから五年後はどうなるかということをもう一度ひとつお答えをいただきたい。
  201. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 当然増の来年の見込みでございますが、概算要求段階で試算しておりますので、六十二年度はまだ現段階で試算しているわけではございませんが、ただ、最近数年間を見てまいりますと、大体八千億から九千億程度の当然増の経費が厚生省の関係では出ておるわけでございます。したがいまして、来年度につきましてもほぼその程度の額の当然増が生ずるというふうに見ておるところでございます。  それから六十五年度ということでございますが、いろいろな推計の仕方があるのでございますが、六十五年度までほぼ毎年大体今申し上げましたような数字の当然増が続いていくという、同じような傾向に進むのではないかというふうに見ております。
  202. 坂口力

    ○坂口委員 そこで、総理、五十九年には健保の一割負担導入がございました。それから六十年度は年金改革で給付額の引き下げがございました。ことしはこれからでございますけれども、老人保健法の改革案が出ておりまして、自己負担の増額がここに提出をされているわけでございます。五十九、六十、六十一年と当然増に切り込む主なものがあったわけでございますが、年金の方も済みましたし、健康保険の方も済みましたし、もう来年の当然増を切り込める環境というのはないわけでございます。私はもうこれはちょっとないのではないかという気がするわけでございますが、いかがお考えでございますか。
  203. 今井勇

    ○今井国務大臣 お説のように厚生省の予算につきましては、厳しい財政が続く中で制度の長期的な安定を保つ見地から、健康保険だとか老人保健制度の改革に取り組む一方、厚生年金の国庫負担の繰り延べというようなことで、事業運営に支障のないような工夫をしながら予算編成を行ってきたことは先生おっしゃるとおりでございます。しかし、今後とも人口の高齢化などに伴いまして相当規模の当然増が生ずることを考えますと、従来のような手法で予算編成を行いますことは一層困難になるのではないかと私も考えております。  そこで、今後とも社会保障の水準というのはどうしても維持しなければなりませんから、どうして具体的に予算を編成していくのかということにつきまして、予算編成のあり方なども含めまして今後関係当局と十分相談をしながら幅広い見地からひとつ検討してまいりたい、こう考えておるものでございます。
  204. 坂口力

    ○坂口委員 実は、きょうも高齢者対策企画推進本部の報告が発表になりましたが、厚生省はかねてから社会保障特別会計の設置についてという試案を考えておみえになるわけでありますが、六十二年度にはこういう方式というものを要求されるおつもりでございますか。
  205. 今井勇

    ○今井国務大臣 いろいろ部内で検討はいたしておりますが、六十二年度からそうするということをまだ今決めておりますわけではございません。
  206. 坂口力

    ○坂口委員 総理は、社会保障特別会計につきましてどのようにお考えでございますか。
  207. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 一つの示唆あるアイデアであると思っております。恐らく、年金そのほか社会保障体系の安定性を考えたアイデアではないかと思います。
  208. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと補足させていただきますと、総理がおっしゃるように、確かに一つのアイデアと評価するものであります。しかし、これはややもすれば安易に堕する、そして聖域をなくして財政再建をしようというときに、これが聖域化する憂いなしとしない。この点を十分配慮しない限り、採用ということは困難ではないかというように評価しております。
  209. 坂口力

    ○坂口委員 特別会計の必要論には、大きく分けまして大体三つの意見がございます。一つは、年金でございますとか、医療よりも年金が主でございますが、超長期の中で考えていかなければならないものである。また、一般の予算は単年度主義でやっていくものである。この単年度主義の中で超長期の年金等を含めた社会保障というものを考えるところに無理があるので、これはひとつ切り離していく必要がある。これは本質論から出る議論でございます。もう一つは、一律シーリング方式で予算編成のときにもうこれ以上予算を組むことができ得ないという、予算編成論からまいりますところの議論がございます。もう一つは、新税を社会保障税とするという税制論からまいりますところの案もございます。  本質論、予算編成論、税制論、大体この三つに分かれようかと思いますが、総理のお考えは、この三つのうち大体どの辺のところでございますか。
  210. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、まだ賛成していないので、そういうアイデアであると拝察いたしておりますと申し上げておるのであります。これは、江崎長官が今発言なさいましたように、いろいろな問題点が含まれていると思うのであります。しかし、一つのアイデアではある。こういう大体行き詰まってきている状態ですから、そこに持ち出されてきている一つのアイデアですから、我々の方としても勉強してみたいと思っておるところでございます。
  211. 坂口力

    ○坂口委員 せっかく分けて申し上げたのですが、残念でございました。  いずれにいたしましても、この特別会計の考え方がいろいろの方面であることは事実でございます。きょう報告されました高齢者対策企画推進本部の報告の中にもこの設置のことが書かれているわけでございまして、厚生省としてはかなり突っ込んだ存在になっているのではないだろうかと思うわけでございます。今総理も、一つのアイデアではあるけれども、またそれに賛成している段階ではないというお話でございましたので、この議論を進めることをはばかるわけでございますが、ただ、これから考えていただきます材料としてひとつお考えをいただきたいと思うわけでございます。  それは、厚生省の考え方の中に、「財政再建期間中は、」「新たな特定財源を導入する。」といたしまして特別調整保険料、この特別調整保険料というのがどういう意味なのかちょっとよくわかりませんが、厚生省の試案の中にはそういう言葉があるわけでございます。または福祉目的税、こういう言葉が入っております。福祉目的税にいたしましても、特別調整保険料にいたしましても、今まで社会保障の中でどの部分だけをとるかもこれはいろいろ議論がありますが、今、年金と医療なら医療というこの二つを対象にするともし仮定をして考えました場合に、例えば新しい保険料あるいは目的税をつくりましてそれをこの二つに充てるということになりますと、今までそこに例えば二十兆円なら二十兆円というこれに充てられておった予算があるわけでありますから、もし新しくそこにつくってそれを充てるということになりましたら、今までそこに充てられていましたものは要らなくなるわけでございます。そういたしますと、目的税という形でこれを導入されたといたしましても、今までそこに使われておったものは別のところに使われるわけでありますから、これは目的税とは名のみで普通の増税と変わらないということになると私は思うのです。  ですから、私がここで厚生省の考え方をまずお聞きをしたいのは、特別調整保険料または福祉目的税というこの考え方が、対象とする年金なら年金だけあるいは年金と医療なら年金と医療だけという、それを全部そっくり賄う税金をつくるおつもりなのか、それともそうではなくて、毎年当然増が出てまいりますが、その当然増だけを別途の保険料あるいはまた税制で埋めていく、そして残りのところは「増税なき財政再建」というものを守っていくというふうにされるのかによって、話は大きく変わってくる。これは大変大事なところだと思うわけでございますが、厚生省の考え方というのはそのどちらでございますか。
  212. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 今先生おっしゃいました特別調整保険料とか福祉目的税というようなお話は、増岡前大臣の構想の中に述べられているものでございまして、厚生省としてこういうふうなことということではございません。それは一つ御説明をいたしておきます。  それから、ただいまの、仮に特別会計の財源を考えていく場合に、仮にの話でございますが、福祉目的税というものをつくってその分を全部入れると今まであったものはどうなってしまうか、こういう問題は確かにあるわけでございます。ただ、そういう従来ある分を全くのけてということでございますと、それこそ財政再建という問題とは全くかけ離れた結果をもたらすわけでございます。その分がほかへ回るわけでございますし、それは結局野方図な財政ということにつながるおそれがあるわけでございますから、私ども仮に考えるといたしましても、はっきりその辺の歯どめをかけた考え方をいたしませんと何のための特別会計が、こういうふうな議論は出ると考えております。
  213. 坂口力

    ○坂口委員 高齢者対策企画推進本部の報告を見せていただきますと、「行政組織・機構の、再編、改革を図るほか、「社会保障特別会計構想」にみられるように社会保障財政についても見直しを進めていく必要がある。」云々、こういうふうになっておりまして、この問題にきょうも触れておみえになるわけでございます。そういたしますと、この推進本部の報告は、これはそっくりそのまま厚生省の意見になったということではないんだろうと思いますが、しかし事務次官が中心になってまとめられたものでありますから、厚生省の意見というふうに申し上げてもよろしいのではないかと私は思います。先ほど私が挙げました特別調整保険料でございますとか福祉目的税という言葉はいわゆる増岡試案と言われるものの中に出ておるものでありますから、これをそのまま申し上げるのは失礼かとも思いますが、しかし、こちらの方の企画推進本部の報告は一応厚生省の意見というふうにとらせていただいてもいいのではないかと思います。  ここで考えておみえになるところの社会保障特別会計構想というのは、先ほど私が申しました全部をごそっと新税で賄うという案なのか、それともこれは一般会計勘定と別に、この社会保障勘定というものを全く別建てにしてやるという案なのか、これはもうきちっと分けてしまう、そして社会保障勘定は勘定で全く別にしてしまうという案なのか。先ほど私が申し上げたみたいに、当然増が出てまいります部分だけを、一律のシーリングでほっておきましたら当然増の中にはカットされるものもあるかもしれない、そのカットをされないようにその部分だけは別途でそれを埋めていくということなのか。この特別会計構想というのはその辺のどこにあるのかということをお聞きをしたい。
  214. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、私は総務庁長官として今朝この委員会に先立って受け取ったところでございます。実はまだ内容を見るいとまもなくここへ駆けつけておりますので、むしろ坂口さんの方がよく御存じなわけでございますが、この点については厚生省の意見というわけではございません、学識経験者にお願いをした取りまとめ意見、こういうわけでございます。
  215. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 先ほど先生が三つの考え方を述べられたわけでございますが、少なくとも私ども検討の視点といいますか考え方のもとといたしましては、最初に言われた第一番目の発想、非常に長期的に社会保障制度を安定したものたらしめるためというところが私どもの基本的な視点でございます。それからまた、財政一般の原則と矛盾しないような形で考えていかなければならないということもございますので、今先生のおっしゃいました当然増だけを引っ張り出すということにはならぬとは思いますが、少なくとも財源を仮に新たに考えるといたしますと、それは当然増の方に充てられるのが財政全般から考えまして正しい姿ではないか、内部での検討としてはそういう考え方を持って考えておるところでございます。
  216. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと訂正させていただきます。  私が今朝ちょうだいしたのは、総務庁に老人対策室がございますが、総理の私的諮問機関ということで老人問題懇談会の意見をいただいたということでございますので、誤りでございました。
  217. 坂口力

    ○坂口委員 厚生大臣、今当局からお話しになりましたが、大体その考え方でよろしゅうございますか。
  218. 今井勇

    ○今井国務大臣 この検討会は長いこと検討しておりましてやっと成案を得たものですから、今回私に対しましても報告がありました。それを同時に発表したわけでございまして、これからいろいろ詰めていかなければいけない問題がありますが、いずれにしても、今事務当局が御説明したようなことが骨子でございます。
  219. 坂口力

    ○坂口委員 そうなってまいります場合に、新しい財源をどこに求めるかということが次の課題になってまいります。これはまだ検討の段階で、これが行われるかどうかもわからないことでありますから、それをだんだん積み重ねてさらにその上のことをお聞きをすることは大変失礼かと思いますので、もうこの辺にとどめてはおきますが、そのやり方によりましては本当に違ってしまう。     〔中西(啓)委員長代理退席、小泉委員長     着席〕 先ほど三つほど挙げましたけれども、その処理の仕方を一つ間違えますと、これは何のために目的税としたのかわからないということにもなるわけでございます。  私も、まだこの税制をこうあるべきだというふうに考えるところまで実は至っていないわけでございますが、一つ私の個人的な考えといたしますと、例えば当然増の部分だけはどうしてもふえてくるわけでありますから、もう二倍、三倍にだんだんと膨らんでくる。ですから、今までの部分は部分として確保しながらも、その当然増の部分を一体どうするかということは、これは何らかの財源を求めなきゃならないことだけは私もやむを得ざることだというふうに思うわけでございます。  ただ、その部分をどうするかということはこれからの問題でございますが、例えばロボット税みたいなもので一人を雇っておりましたら、そこで所得税もありますし、年金や医療の保険料も出してもらうことができる。しかし、ロボットになりますと、所得税ももらうことができないし、年金もあるいは医療の保険料ももらえない。税金までは言わないけれども、年金と保険料ぐらいはそれじゃかわって出してもらったらどうだという意見もあるわけで、もしそういう方法が一つ考えられるとすれば、そうしたものも当然増の中にこれから考える一つの項目かなと私自身今考えているわけでございます。ただし、これは私の思いつきでございまして、決して理論的な話でも何でもないわけでございますが、何らかの方法を見出していかなければならないことだけは事実であろうと思います。  そこで、この問題は一応これだけにいたしますが、総理、まだ賛成しているわけではないとおっしゃいます問題に最後の締めくくりのお話をお聞きするのは大変失礼でございますけれども、しかしせっぱ詰まった問題ではあるのですね。来年度の予算でもうどうにもならない、切るに切れない、切るもののないところへきていることも事実でありまして、好むと好まざるとにかかわらず、早急にまないたの上にのせなければならない問題であることは私も事実だと思うわけでございます。そういう意味で、賛成したわけではないというふうにおっしゃりつつも、その中でのお考えをひとつお聞かせいただいて、この問題の締めくくりにしたいと思います。
  220. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと総理の先に私から申し上げたいと思いますが、非常に興味ある御提案、さすがに専門家だと思います。  ただロボットの問題は、これは企業ですから、拒否されてしまえばそれまでですからちょっと問題が難しいと思いますが、いろいろ、社会保障だけが別枠という説明で国民的に果たして納得が得られるかどうかという、まず第一に大きな問題がありますね。それから先ほどの、聖域化して合理化努力がおくれはしないかという問題も、付随して当然起こってくるでしょう。財政当局の立場からいきますと、今のようないろいろな意見を承りながら今検討しておる段階です。これはもう待ったなしの問題であることは確かでございます・  しかし、果たして受益者と負担者の関係をどういうふうに見たらいいのか、その辺にも問題があると思いますね。ですから、そのあたりを十分検討を進めて結論を得たいこれは今後の重要な検討課題であると認識をいたしております。
  221. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 極めて良心的なお話であると思いまして、私は敬意を表する次第でございます。なかなかこういう発言はできない発言だろうと思って、本当に敬意を表する次第でありますが、こういうアイデアについては、何しろ新しいアイデアですから、いろいろな面から検討もし、また問題点も続出してくるポイントがあると思います。  まず第一に、例えば大蔵側の見解からすれば、予算の弾力性というものが損なわれる、あるいは歳入の弾力性というものが硬直化していく、そういうような問題もあるでしょう。また、しかし一面においては、では伸びる分だけをどうして財源を得るかという問題については、「増税なき財政再建」というものとどうであろうかという問題もあります。あるいはさらに、税という形でそれをやった場合に、今までの保険思想というものと税との対立関係をどう調和すべきか。それを全部税にしなければいかぬのじゃないか、ふえた分だけ税にするというわけにはいかぬじゃないかとか、さまざまな問題があるのです。しかし、来年度予算等も考えますれば、自然増がかなりあることはもう事実でありますから、いずれ解決しなければならぬ問題でありまして、一つのアイデアとして我々も勉強させていただきたいと思う次第でございます。
  222. 坂口力

    ○坂口委員 来年度あたりにおきましてはあるいはまたいろいろの知恵を出してもらって、新しい当然増のところを埋める財源を特に求めなくても現在の枠組みの中からそれは求められるかもしれません。しかし、これが三年先、五年先というふうに先に参りますと当然行き詰まってくることは事実でありますから、これはまあ中期的な一つの話としてお受け取りをいただければ幸いだと思うわけでございます。  最後に、厚生大臣にもう一つだけお聞きをして終わりにしたいと思いますが、きょうのこの企画推進本部の報告の中に、老人保健につきましての部分がございます。そこで五%云々の文字がございます。今回の医療費の中で、老人保健の改革案は、これで上がりまして全体の中で四・五%ぐらいというようにお聞きをしておりますが、今回この出ましたものは全体で五%ぐらいというように、五%という数字が出ているわけでございます。これは、老人医療費の枠というのはこれからだんだん大きくなっていくわけでありますから、その五%もまただんだん大きくなっていかざるを得ませんね。そうすると、これは当面、ことし一遍そういうふうにして値上げになりましたけれども、次々に上げざるを得ない、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。それだけ聞かせていただいて終わります。
  223. 今井勇

    ○今井国務大臣 この五%の根拠といいましょうか出どころというのは、本人負担が今一割でございますね。それで、老人医療費の動向にもよりますが、老人にとって払いやすい定額制というものは維持する、しかしながら、その老人医療費の自分で持たれるものは老人医療費全体の五%ぐらいを一応の目安として御負担を願おうといっているわけでございます。したがいまして、老人医療費が膨らんでまいりますれば、その五%でございますから、御本人の負担分もふえてまいるわけでございますが、その割合としては五%程度を一つの目安としてそれを超えないようにしようというふうに考えているものでございまして、そういう趣旨のことを述べておるわけでございます。
  224. 坂口力

    ○坂口委員 ありがとうございました。
  225. 小泉純一郎

    ○小泉委員長 岡田正勝君。
  226. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今回は高率補助を切り下げるというようなことで、地方に対しましては一兆一千七百億円、まあ中身は、たばこの関係で二千四百億円を補てんをいたしまして、足らず前は地方債で面倒を見てやろうという、我々からいいますと、地方の者にとりましてはまことに負担の転嫁が大きいなというようなものを含めて、予算が先週四月四日に通過いたしました。     〔小泉委員長退席、福島委員長着席〕 それを待っていたかのように、今や東京は桜の満開であります。こういうときを迎えまして中曽根総理の御気分はいかがでございますか。ルンルンルンという気分でございますか。予算が無修正で通過をした、待っていたかのように桜も咲いた、やがてアメリカに行ってレーガンさんにも胸を張って会う、こういう状況だろうと思いますが、御気分はいかがでございますか。
  227. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 戦々恐々として、政治に誤りなきを期したいと思っております。またしかし、国民の皆様方の大変な御支持もいただき、また野党の皆様方の非常に御好意のある措置もいただきまして、心から感謝しておるところでございます。
  228. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今非常に謙虚な態度をもちまして気分をお述べになりましたが、今ここに私は中曽根内閣の支持率を調べましたものを持ってまいりました。共同通信、読売新聞、とりあえず手元にあったものを持ってきたのでありますが、いずれを見ましても非常に高い支持率でありまして、共同が五五・八%、読売は五七・五%、いずれも五五%を超えるという高支持率をずっと続けておられるのでありますが、その高支持率が続くというのは、一体その理由は何だと総理はお考えになっておりますか。さもあらん、うんというふうに思っていらっしゃいますか、あるいはこれはこれはと思っていらっしゃいますか、簡単な御感想をひとつお述べいただきたいと思います。
  229. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私ごとき者に対して過分の御支持をいただいて恐縮に存じておるところでございますが、やはり国会の運営等におきまして野党の皆様方の御協力が多分にあずかって力あるものと感謝いたしております。
  230. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まことにそつのない御答弁で、重ねて聞くことはやめることにいたします。  さて、話は変わるのでありますが、今国民が非常にいらいらしておる問題があります。それは何かといいますと、川柳の一つにこういうのがけさ出ておりました、「警棒でゲリラ叩きがしたくなり。」これは全く国民のいらいらを含めた川柳ではないかと私は思うのです。そのよって来るところは、もう総理はおわかりであろうと思いますけれども、御承知のとおりゲリラ事件があっちこっちに出ております。そのことに対して、これからイギリスの皇太子もお見えになる、陛下の在位六十周年記念もある、サミットもある、重要な行事を控えておりまして、警察当局の警備も一段と厳しくなり、大変な警備態勢をしいておることはよく存じておりますが、他面国民にとりましては、そのために交通規制は物すごく厳しくなるというようなこと等がありまして、今まで大型トラックで運搬しておったものを小型トラックで運搬しないとなかなか仕事ができないというような苦情も、小さなことかしれませんが出てきております。  そういういらいらが募っておるところへもっていって、これは本当かうそか知りませんけれども、ある週刊誌によるならば、ゲリラを画策しておる当の責任者二人に会ってその話を聞いた対談が載っておりますけれども、その対談の中身を見てみるとまことにそら恐ろしいことを言っておるのでありまして、何十億円の費用をかけようと十重二十重の警備陣をしこうと、そのすきをついてやるのがゲリラである、防ぐことは恐らくできぬであろう、こういう不気味なことを宣言しております。  そういうこと等に対する国民のいらいらがこの川柳にあらわれたと思うのでありますが、このことにつきまして、非常に大事な行事を控えておるのでありまして、いずれにしても、この三つの行事に万が一というようなことがあったら、これは天下の一大事です。国際的問題にもなりかねません。こういう問題を控えておる今日、総理はどのような決意をお持ちになっていらっしゃるか、その決意のほどを御披瀝いただければありがたいと思います。
  231. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 特に外国の公賓等も見えるということもございまして、全力を振るいましてそういう不祥事件が起きないように今やらしておるところでございます。きのうも新聞記者の皆さんにお聞かれしましたときに、特に東京都の皆様方に対して交通規制で非常に御迷惑をおかけして恐縮に存じております、まことに申しわけない次第ですが、しかしこれだけの大きな事業でやっておりますので、もうしばらくの間ぜひ御勘弁ください、ぜひ御協力をお願いいたしますとお願い申し上げたところでございます。  万が一にでもそういうことが起きないようにすることは政治家の務めであり、また行政当局の責任でございますから、我々も全力を振るって、万が一ということのないように今やらしておるところでございます。そのために多少御迷惑をおかけする向きが拡大しつつありまして残念でございますが、できるだけ市民の皆さんには御迷惑をおかけしないように、かつ御理解をいただけるような方法でやれ、そういうことを具体的に指示してやっておりますので、ぜひ御了解をお願いいたしたいと思っておるところでございます。
  232. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで話題を一転させていただきまして、私どもの党の塚本委員長が昨日我が日本へ帰ってまいりました。そこで、これもまた川柳の欄を読んでおりましたら、まことにうがったことを詠んでおります。「マルコスがこけて丸見え袖の下」、これもよくうがっておるなと思いました。もう一つ感心したのは「リベートで肥り三界に家は無し」。今ハワイからどこかへ移ろうと思いましても、どこの国も受け入れてくれない。たっぷり懐は膨らんでおるのでありますが、三界に住む家なしと、まことによく描写しておるなと思って感心したのでありますが、これは国民の皮肉だと思うのです。  ところが、国会におきましては、これを言っていいか悪いか、ちょっと気分を害さぬようにお聞きいただきたいと思いますが、平泉さんの発言が出て、この問題にひっかけてひょうたんからこまが出たと言うのが適当なんでしょうか、とにかくフィリピン等対外経済援助に関する調査特別委員会を設置しようじゃないかということで、議運で現在協議中であります。まだどういうものになるかわかりません。そのことにつきまして総理の心境といたしましては、要らざるときに要らざることをしてくれるなという御心境でしょうか、いかがでしょうか。
  233. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府は疑惑の究明に全力を尽くしますと、そう申し上げているのでありまして、自民党も一体でございますから、あの特別委員会、調査委員会の設置についてはあなた方がお考えになると驚くぐらい早く賛成申し上げたわけです。しかし、その構成等については今各党で商議が成立するのを見ておる、そういうことでございます。
  234. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 総理は非常に前向きの発言をされまして、大変安心をいたしました。これで資料の取り寄せ等も至極円滑に動くことであろうと思います。フィリピンの方は、日本政府あるいは適当なる機関から御要求があればいつでも必要な資料は御送付申し上げると、ここまで言い切っております。そのことについても今の御発言から考えると、資料要求が委員会から出てまいれば、これはもう政府としては前向きに取り組む、対応するというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  235. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 将来委員会ができまして、委員の一致としてそういう意見が出てくれば、政府はできるだけ御協力申し上げるべきものと思います。ただ、行政府と立法府は独立でございまして、フィリピンの方もしっかりとした政府があるわけでございますから、そういう政府関係、外交関係の処理にも当たることになりますので、これは外交慣例とか国際法とかそういうものをよく考えつつ行わなければいけない、そう思います。
  236. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今まで考えられておりました概念というのは、こういう対外の経済援助は政府から政府へ渡されるものであって、向こうが受け取った後は差し上げた国の方がごちゃごちゃ言うことはないわいというような感覚で野方図にされておったことで、やはり今回のようなああいう非常に乱れる事件が出てきたのではないかと私は思っています。だがしかし、その金そのものは国民の金でありますから、お粗末な扱いをしてはいけないことはもう当然であります。ですから、これのために究明もしなければなりません。そしてどうすればそういうことが防げるかということも慎重に検討しなければなりません。  それはそれでありますが、しかし、このままフィリピンに対する対外援助を凍結しっ放しにしたら大変なことが起きてくると思うのであります。これは、アキノさんが我が塚本委員長に訴えたことでありますけれども、その要旨を申し上げますと、私は大統領になりましたけれども、これから向こう一年の間に、国民の皆さんがなるほどおれたちの生活は確かに変わってきたなという何か感じを受け取るようにならなければ大変なことが起きてくるのじゃないか、国民は、二重の失望を味わったそのあげく、どんなことが起きてくるかもわからない、下手をすると左翼勢力が物すごい勢いで台頭してくるのではないかとさえ実は心配をしておるのであります、だから、いわゆる正常な援助は早くひとつ開始をしていただきたい、もう一日も早くいただくことをお待ちしております、こういうことをアキノさんは訴えておるのでありますが、それに対しまして塚本さんがこういう提案をしました。  これは仮称でありますけれども、経済援助評価委員会というようなもの、例えばその中身は、政府あるいは学者それから民間人の三者で構成をいたしまして、日本にもフィリピンにもそれをつくって、両方の評価委員会が合意したものは速やかにばっと実施をするというような形に持っていったらいかがでしょうか、こういって試案を言ったところ、これに対して反応を示しましたのは、アキノ大統領、ラウレル副大統領、ボズワース駐比アメリカ大使の三人が三人とも、これはもうまことにベリー・グッド・システムである、ぜひ急いでいただきたい、私どもも大賛成だと言って評価をされたのでございますが、こういう考え方につきましては総理はいかが思われますか。
  237. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 塚本委員長のいろいろな御努力については敬意を表するところでございます。いろいろ建設的なアイデアもお出しになったように承っておりますが、まず第一に大事なことは、今回のいろいろな状態にかんがみまして、万が一にも不正事件があるとすれば、こういうことを絶対繰り返してはならない。繰り返さないためにはどういうことをやるか、仮に、既に不正事件があったという場合には、その始末をどういうふうにするか、そういうような点を厳重に究明する必要は私はあると思うのです。  そういう意味で、フィリピン政府側のもろもろの調査がどういうふうに進行していくか、どういう刑事事件が起こりあるいはどういう腐敗事件があったか、それに日本がどういうふうに関与していたかというような点もよく正確につかみ出しまして、その上に立って今度は、日本の国内法あるいは国会の皆さんの御意見等もよく勘案しつつ、どうすべきかということを政府は処理していくべきである。それで、最終的には、これは日本とフィリピンの政府間が外交文書、交換公文をもって決め、その前にはいろいろなフィージビリティースタディー、調査もやり、それからプロジェクトごとに一つ一つ点検をして、どういう金額でどうするかということも決めてきておる、ちゃんとした手続でやってきておるものでございますから、それがどういうふうに使われたか、どういうふうな展開になったかという点も先方の資料等も見てよく調査した上で、フィリピン政府日本政府がこういうことを起こさないためにどういうことをやったらいいか、外交当局を通じて将来の対策について協議すべきことであると思っておるわけで、そういう段階に至れば私たちはフィリピン政府と相談したい、そう思っておるところでございます。  それから経済援助につきましては、今回のいろいろなケースにもかんがみまして、やはり相当なしっかりとした計画、手続が必要であります。その基本は、まずフィリピン政府側が経済再建、財政再建について今どういうお考えてお進みになるのか、我々のところにはまだ全然連絡もございません。アメリカにおいてもIMFにおいても、ともかくフィリピンに経済協力している国が一つのクラブみたいなものをつくっております。この国際的な関係等もまた考慮する必要もありますし、国際機関はフィリピンに対して、こういうふうにやってくれなければお金は貸せませんよというわけで、IMF等を通じましていろいろコンディショナリティーを出しているわけです。それで、旧政権のときに、ビラタ首相がこのために随分世銀やIMFを往復して苦労をしてきた面も私は見ております。またフィリピン国民にある程度耐乏を強いた点もあるわけです。さもなければIMFはお金を出しません。そういうようないろいろな厳しい環境の中でこういうものは行われておるのでございます。  したがって、まずフィリピン政府側がどういう経済再建なり財政計画をお持ちであるか、そしてそこに日本の援助がどこにどういうふうに必要であるか、そういう点の合点がいきませんと、大事な国民のお金を処理することでございますから、何でもかんでも出してやれ、出してやれというわけで、どんぶり勘定で出すというわけにはまいらない。これはやはり厳密な手続を経てやるべきものである、そう思っておるのであります。
  238. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたので、最後の一問だけにさせていただきますが、今、総理から非常に細かく御答弁いただきまして、決意のほどがわかってありがたく思っております。  そこで、いま一つ最後に御提案申し上げておきたいのですが、とかく対外援助というのは、何かしらんつまみ金、つまみ銭あるいはどんぶり勘定というような感覚でしか国民に受け取られていないと思うのです。それでこういう問題が起きてくる、あってはなりませんが、なくても変なうわさを立てられるということになりかねないのでございまして、この事件を契機といたしまして、やはり政府としては毅然とした態度をもって、いやしくも疑惑を受けることがないように、対外援助等基本法と申しますか、仮称でありますが、国民に説明できるようなぴしっとした基本法を制定する必要がこの際私はあるのじゃないか、今がその時期ではないかと考えておりますが、総理の決意はいかがでございましょう。
  239. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 対外援助基本法の構想は、前からも時々国会でお聞きしております。おりますが、今回の事件等々もよく反省して、よく検討の上でこちらも勉強してみたいと思います。
  240. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  241. 福島譲二

    ○福島委員長 経塚幸夫君。
  242. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今のに引き続きまして、マルコス疑惑の解明問題について総理にお尋ねしたいのであります。  この問題は連日のように報道されておりまして、国民的関心の最大緊急事となっておりますが、本当にこれを解明するには、資料を明らかにするかどうか、ここに焦点が絞られておると思います。そこで、今総理は、フィリピンに対する資料提出要望に対して、委員会が設置されて委員の一致した意見であればフィリピンに対して提出を求める考えがあるかのように承ったわけでありますが、もし委員会が設置されても委員の一致した意見でない場合には、それでも政府としてはフィリピン側に資料の提出を求めるのか求めないのか、その点はいかがですか。
  243. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 対外関係を処理するというのは、今まで外務省を通じて政府がやってきておるところでございます。国会からの御要求があれば、我々はそれを受け取ってできるだけ国会に御協力申し上げるという基本姿勢で進むわけでありますが、国会の御要求が委員会から出てくる場合、委員会内部においてどういう形がとられてきたかということも、今までの国会の慣例等もございましょうから、そういうものも踏まえて、国会の意思を統一していただけるものと考えております。
  244. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねいたしましたのは、もちろん国会の意思が反映される手だてとして委員会が設置され、そこで一致して資料の提出を求めるということは当然でありますが、フィリピン側は、ラウレル副大統領の言によれば、日本政府の要請があればフィリピン側の資料は提出しましょうということでありますから、当然国会が疑惑解明について国民に責任を負うと同時に、政府がやってきた海外援助に対してこういう疑惑が生まれておるわけでありますから、政府みずからが資料の提出を求めるべきだと考えるのですが、いかがですか。
  245. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 まずスタートはやはり委員会でありまして、国会の委員会がまとまってどういう御要求が成立するかということで、ばらばらの場合は外へはそういう意思は出てこない、それが今までの扱いであると思っております。
  246. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国会を隠れみのにすべきではないですよ。総理は、政府はみずから進んで疑惑解明の意思があるとおっしゃったのでしょう。それなら政府が求めるべきですよ。外交上とおっしゃるけれども、フィリピン側は政府の要望があればお出ししましょうという姿勢でしょう。事は簡単じゃないですか。なぜ求めないのですか。これは了解できない。いかがですか。
  247. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 今お話があったのは、国会の要求があった場合にやるかやらぬかということでありますから、それは国会の調査委員会なら委員会が一つのまとまった意思として外へ発動してくる、あるいは議会の意思として出てくる、そういう場合に政府はそれを受け取って国会に協力申し上げる、これが筋である、今までの慣例でもある、そう申し上げているわけなのです。
  248. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国会から要望があれば、政府が動くのは当然ですよ。国会は国会ですよ。政府の海外援助ですから、政府も解明の責任はあるのですよ、それを通じての疑惑なのですから。国会の要請がなければ求めないというようなことでは、政府が進んで解明するということにならぬじゃないですか。  もう一つお尋ねしておきますが、海外経済協力基金の保有しておる資料につきまして、我が党の調査団に対してサロンガ委員会のバウチスタ委員が、契約書が入手できれば日本企業との契約条件が正確にわかり、それが公表されれば委員会は大変助かる、こう言っておるわけであります。したがいまして、これも外交上の問題はないわけなのですね。フィリピン側は資料が公表されれば助かるとおっしゃっておるわけでありますが、それじゃこれは国会にお出しになりますか。
  249. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 国会から御要求があるかどうかということがまずスタートと、さっきから申し上げているとおりです。  それから、政府政府として、日本の援助等について不正あるいはわいろを贈ったとか、そういうようなことがあれば、これは国内法に照らして処理しなければなりません。あるいは、政治倫理という面にかかってくるものがあれば、その面についても我々は重大関心を抱いて解明すべきものはしなければなりません。そういう立場に立って、政府が独自の見地に立って行うべきことを行うことはまた当然のことであります。しかし、これは、犯罪というものが存在するあるいは濃厚にそういう嫌疑があるような場合、あるいは今申し上げた政治倫理というような関係で我々が資料を整える必要があると認めた場合、そういう場合に発動すべきものであって、めくらやたらに何でもやればいいという問題ではない。いわんや、外国に対して外交通路を通じてやるという問題は慎重に行うというのが当然のことであると考えております。
  250. 経塚幸夫

    ○経塚委員 外交上の問題は、私が申し上げましたように、フィリピン側はむしろ歓迎しておると言っておるわけでありますから、そうは言っておらぬということであれば別問題ですが、歓迎するとおっしゃっているわけですから、何ら障害がないじゃありませんか。これは明らかにすべきであります。  それから、政府がみずから進んで疑惑を解明しようという姿勢であるならば、フィリピン側に対しましても直ちに資料の提出を求めるべきであります。これは新聞にも「後ろ暗いことはないのに疑惑隠しに加担しておるようで、外務省の印象を悪くするおそれがある(外務省幹部)」と報道されておりますね。臭い物にふたをするようなことがあってはならぬと思う。みずから進んで疑惑解明の先頭に政府が立つということであれば、フィリピン政府に対しても直ちに資料の提出は求める、国会に対しても必要な資料は提出するという姿勢でなければならぬ、このことを重ねて申し上げておきます。  それから、十三次の円借款四百九十五億円、これは凍結されておりますが、昨年十二月に政府間で交換公文が結ばれて、あとは融資の契約だけ、こうなっているわけですね。これはいつ凍結解除される予定なのですか。
  251. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  フィリピンに対する第十三次円借款につきましては、昨年十二月に交換公文が結ばれておりまして、その交換公文に基づいて、フィリピン政府と借款の手続、実施を担当しております海外経済協力基金との間の借款契約を結ぶ段取りのところで今とどまっているわけでございますが、この借款契約をいつ結ぶかにつきましては、今後双方、特にフィリピン側の準備が整い次第実施に移される予定になっておりまして、現在フィリピン側におきまして、この第十三次借款をどういうふうに扱うべきかについて検討が行われていると承知いたしております。
  252. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今御答弁があったわけでありますが、総理、そういたしますと、これは十二月に交換公文が結ばれて、あとは実際に融資の手続をするということでフィリピン側の態度待ち、こういうことに解釈できるわけでありますが、御承知のようにフィリピン政府は、前政権と違いまして今後不正のないようにという今の政権でございますから、これはフィリピン側の条件が整い次第直ちに凍結は解除すべきである、かように考えますが、重ねて総理の方からの御答弁をお願いしたいと思います。
  253. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 我々は、対外経済援助はある特定の政府のためにやっておるのではないのです。その国の国民の福祉や民生の安定のために、国民を中心に、国民を目指して実はやっておるわけで、いかなる政権に対しても同じであります。そういう基本的立場に立ちまして、やはりしかるべき手続はきちんと経て行うというのが正しいと思っております。  交換公文も既にできておりまして、いよいよ今度は契約を結ぶという場合でございますが、フィリピン政府側が内部的に調整して意思表示をしてくる、手続を踏んでくる、そういうことを待っているという状態なので、今フィリピンの政府は、ともかく政権ができていろいろ物事を秩序立てるのに一生懸命な時代で、経済的な政策や何かまでもなかなかまだ手が回らぬようにも伺います。オンピン大蔵大臣も近く来るとかいうお話でございますから、順次そういうお考えも明らかになってくると思いますが、ちゃんとした手続を経てやっていきたいと思っておるものであります。
  254. 経塚幸夫

    ○経塚委員 続きまして、補助金カットの一括法の問題についてお尋ねをいたします。  総理の手元へ資料をお渡ししてございますか。私が昨年の二月十九日、総理にお尋ねいたしましたところ、総理はこうおっしゃったのですね。「政府地方公共団体との負担の割合は変化はありますけれども、それによって今まで受益されておったあるいは待遇を受けられておった皆様方に対する扱いというものは変わらない。」こうおっしゃいました。  そこで、私は資料をつくってみました。「福祉関係施設措置事業費と財源内訳」でございます。簡単にわかりやすくするために、総事業費国庫負担分、地方負担分、費用徴収分、それぞれ最下段の一人当たりというところをごらんいただきたいと思いますが、例えば総事業費は、一人当たり五十六年度五十三万七千六百円、六十一年度これが七十万八千七百円、一三・八%ふえております。ところが国庫負担は、一人当たり三十一万二千七百円が二十五万五千三百円、実に一八・四%減らされておるわけであります。一方、地方負担は、七万七千三百円が二十五万一千三百円でありますから、実に三・二五倍であります。さらに、問題は被用徴収分、入所者並びに保護者の負担分でありますが、一人当たり十四万六千七百円が二十万二千百円、三七・八%、わずか五年ほどの間にこれだけの負担がふえておるわけであります。  国と地方の負担割合の変更だけじゃないですよ。明らかにこれは入所者さらに保護者の負担がふえておるじゃございませんか。しかも、国庫負担を削減した分がそっくりそのまま費用徴収の本人の負担分となっておる。例えば、五十六年から六十一年を比較いたしますと、国庫負担の削減分が一人五万七千四百円であります。費用徴収でふやした分がちょうど五万五千四百円であります。何のことはございません、国と地方の負担割合の変更だけじゃないじゃないですか。明らかに国民への負担転嫁じゃございませんか。これでも変わりはないとおっしゃるんですか、いかがですか。
  255. 小島弘仲

    ○小島政府委員 本人並びに扶養義務者の費用負担が逐年増加してきておりますが、これは例えば老人ホーム等につきましては、五十年度から急激な負担増を避けるため費用徴収を開始したわけでございますが、逐年限度額を引き上げる、また、その同じ所得階層につきましても徴収額を逐次引き上げて、急激な負担増にならないようにするという配慮のもとに引き上げてきておる結果でございますし、また身体障害者施設、精神薄弱者施設につきましては、本人徴収が六十一年度から初めて開始されるという事情を反映したものでございます。
  256. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府委員御答弁のとおりです。
  257. 経塚幸夫

    ○経塚委員 御答弁のとおりといいましても、これだけ歴然と国民負担がふえているわけですよ。何の影響もないというのは、私はもってのほかだと思いますよ。  一応これで総理への質問は終わります。
  258. 福島譲二

    ○福島委員長 岡田正勝君。
  259. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 江崎さんにお尋ねをさせていただきます。大蔵大臣代理、また副総理格というお立場でございますので、本来、総理にもお尋ねをしなければならぬ問題を含めてお尋ねをさせていただきたいと思うのであります。  今、政府は、六十五年度赤字国債発行ゼロという、いわゆる「増税なき財政再建」路線というものを進めておりますが、これはあくまでも堅持するという方針でございましょうか。     〔福島委員長退席、笹山委員長代理着席〕
  260. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはり堅持するということをしばしば大蔵大臣も言っておりますが、こういう努力目標を外すと今やっております行政改革も根本的におかしくなりますし、やはりこれは堅持の方向を進めていきたいということを申し上げます。
  261. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 江崎さん、委員会だからというて遠慮なさいませぬように。今の政府では、経済についてはもうこの人をおいてほかはないというのが江崎さんなんですから、財政もしかりなんです。ですから本当のところ、本音を――そんなこと言ったってそれはだめよ、できるものかと本心は思っておられませんか。
  262. 江崎真澄

    江崎国務大臣 本音はやはり堅持すべきである。これはいろいろなやりくり、また切り詰めなどをすることによって、例えばNTTの株式の問題もありましょうし、いろんな問題もありますから、先ほども私は責任逃れで臨時代理と言ったわけじゃないので、あえて今は大蔵大臣であることは間違いないのですから、やはり責任を持って堅持する、こういうことをお約束申し上げます。
  263. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大蔵大臣質問をいたします。  いわゆる「増税なき財政再建」路線というのを堅持すると今お答えになりましたが、堅持するとなれば、これまでの一律緊縮財政路線に基づく財政の厳しい抑制というのは今後も続くものと見てよろしゅうございますか。
  264. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在、御承知のように、総理が言っております税制改正については税調に諮問をしておりますね。しかし、これとても「増税なき財政再建」という根本方針を変えないで、何かやりくりをしていこうという発想に出るもののように私どもは受け取っております。  しかし、やはり財政経済というのは弾力的に運営しなければならぬことは言うまでもありません。そのときに、何といっても民間活力の引き出しということが私、非常に大事だと思うのです。今度の前川研、経済構造研究会という中期目標の報告でも言っておりますが、日本一国だけがGNPの三・六%というような経常収支を計上しておるということは、容易ならぬことだと思います。それは世界から見れば、日本というのはもうひとりよしとして他を顧みないのかという、独善者のそしりを免れないようにも思いますので、これは改めていかなければなりません。そうかといって、財政がにわかによくなるめどはありませんね。堅持をするとは申しましたものの、なかなかそこに名案があるかというと名案があるわけではありませんが、もうくどくなるから数字は繰り返しませんが、とにもかくにもアメリカよりも財政事情は悪うございます。しかし、国民の貯蓄率は非常に高い。そうかといって、地価は高いし、家は建たない。そんな懐までねらうかということになりますね。しかも、国民一人当たり平均百四十万円ぐらいの借金を抱えています。ですから、とにかく経常収支の五百億ドルという金はどこかにあるのですから、これがアメリカの高金利に引き寄せられたり、マネーゲームというか不景気の株高といったふうに流れないように、何らかの経済措置をとって、そしてその金を海外投資よりも国内の公共投資に引きつけていく、これが大事なポイントだと私は思うのです。これを努力して、今度は七七%と言っていますが、これは消化量もありましょうからね、とにかく史上最高の予算を通していただいたのですから前倒しをしよう。しかし下半期に息切れしますね。その息切れの分については民需の活用によって何とかつないでいこう、そのために現在一生懸命特命相としても努力をしておるわけでございます。
  265. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 御苦心のほどはよくわかるのでありますが、しかし、いずれにしても緊縮財政路線を踏襲していくことになりますと、国の一般歳出の四十数%を占める国庫補助金というものは、三年間の暫定期間が過ぎた後も引き続き抑制をしていくぞということになるのではありませんか。
  266. 江崎真澄

    江崎国務大臣 この問題は、既にお答えをいたしておりますように、まだ期間もあることでございます。それで、三年間延ばしたのはけしからぬではないかというおしかりも受けておりますが、これは補助金問題検討会にかけ、数次にわたる臨調答申にこたえて補助金の見直しを行い、そして地方にも責任を分担してもらうものは分担してもらおう、こういうことで継続にしたわけでありますが、今後の財政事情また地方財政の情勢もよく見きわめなければなりません。その時点で判断をする問題だと考えております。
  267. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それに関連をいたしますが、こういう厳しい歳出抑制路線が今後も続くと仮定をして考えてみますと、補助率のカットが今度三年間続きますが、三年間続く限り、補助金をさらにその上カットするというわけにはまいりませんね。今度の補助率のカットが三年間続くという提案をされているのですから、その三年の間にさらにカットするということは恐らくできないと思います。ということになると、考えてみると、結局のところは地方交付税の減額に手をつけざるを得なくなってくるのじゃないかなと私は心配をするのであります。地方交付税率には手をつけない、それは心配しなさんな、岡田さん、それは杞憂だよ、手はつけぬというふうに大蔵大臣として言えますか。
  268. 江崎真澄

    江崎国務大臣 地方交付税のあり方は、私もさっき細谷さんとやりとりしながら自治大臣のころを思い出したわけですが、これは大変な問題でして、国と地方の基本的な財源配分というわけであります。したがって、これに軽々に手をつけるということはできませんが、国と地方財政状況を踏まえて幅広い見地から検討を行うことは必要ですが、軽々に断ずる話ではない、さように心得ております。
  269. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 竹下大蔵大臣は、この三年間のうち補助金の整理合理化のための検討機関は設けないと答弁をしております。昨年の三大臣合意に基づく補助金問題検討会でも十分な結論が得られなかったので、大蔵任せで補助金の整理合理化は進むのかということを私はお尋ねしたいのです。そして、各省の枠を超えた検討機関が今後必要になってくるのではないかと私は思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  270. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、竹下大蔵大臣がさよう答えておるとすれば、それは正しいと思います。そして今後の諸情勢の推移、国の財政状況などを踏まえて、もしも変えるというような場合には各省庁との協議も十分必要でございますし、閣議問題でもありましょうし、容易ではないと考えられます。
  271. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 政府税調の戦後税制の見直し作業の中で、国と地方の税源配分のあり方の見直しは不可欠な課題になってくると思いますが、これは十分検討されておるでありましょうか。
  272. 保田博

    保田政府委員 先生御指摘のとおり、国と地方との間の税財源配分という問題については、国も非常に大きな関心を持っておりますけれども地方団体ももちろんそのとおりでございます。したがいまして、我々としてもこの問題の重要性は非常に強く認識をいたしておりまして、地方税とか地方交付税、譲与税、さらには補助金といったもののあり方、それから国と地方との間の行政事務の配分のあり方というものも総合的に勘案しながら慎重に決めていかなければならないと考えております。  六十二年度にも税制の抜本的な大改正が行われることに恐らくなるのではないかと思いますが、その内容につきましては現在税調におきまして国税、地方税全般について抜本的な手直し案の勉強がなされておりますので、それらの審議結果を踏まえて慎重に検討させていただきたいと考えております。
  273. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 あなた税調のことに非常に詳しいようでありますからちょっとつけ加えて質問させてもらいますが、その見直しをやっておる中では、地方交付税の見直しは全然考えていませんか、いかがですか。
  274. 保田博

    保田政府委員 大変誤解でございまして、私、実は税の主税局に籍を置いたことがございません。現在、税調でいかなる審議が行われているかということにつきましてこのような場で御説明をするというのはいかがかと考えますので、お許しをいただきたいと思います。
  275. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 はい、結構です。私は大変素直でありますから、御都合の悪いことは都合が悪いとおっしゃってください。  続いてお尋ねさせていただきます。  昨年度に引き続きまして地方への補助率を一律に引き下げましたね。この基本的な理由は一体何でありましょうか。
  276. 保田博

    保田政府委員 先生は、今の御質問の中で六十一年度の補助率の引き下げが一律カットであると御指摘になりましたが、実は我々の方はそうは考えていないものでございます。  御承知おきのように、六十一年度の予算編成におきましては、補助金問題検討会の報告にございますように、社会経済情勢の推移を踏まえまして、政策分野の特性にも配慮いたしました。例えば社会保障の分野でいいますと、老人ホームでありますとかそれから保育所といったような施設が典型的な例でございますけれども、これらの施設につきましては、従来は国の地方に対する機関委任事務というふうな理解をいたしておりました。そういう理解の上に立ちまして、国は地方公共団体等に対しまして、入所のための諸条件とかあるいは施設の基準あるいは人員配置の基準といったようなものまで非常に細かい、厳しい規制をいたしておったわけでございます。でございますが、戦後四十年近くなってといいますか、これらの制度ができまして数十年を経た今日におきましては、国と地方の間の財政事情も相当変わってきましたし、地方の行政能力も非常に向上いたしております。それから、いろんなそういう施設におきまする収容あるいは処遇の状況につきましても、世の中随分変わっております。したがって、地方の自主性を尊重した方がいいのではないかというようなことから、従来機関委任事務と考えられておりました事務を団体委任事務ということに切りかえをいたしまして、国によるいろいろな規制を緩和することにいたしました。そういうことによりまして、地方の自主性を尊重しながら仕事をやっていただく、そういうことも考えつつ補助率の引き下げを行うというようなことが一番大きなものでございます。  これらにつきましては、いわば国と地方が割り勘というようなことで五割なんでございますが、例えば生活保護ですと、従来八割だったものを六十年度には七割にしまして、これをさらに引き下げるべきかどうかということについては各方面から大変な御議論がございまして、三分の二に引き下げるべきだという意見もございましたし、十分の八という本則に戻すべきだという御意見もございました。まあ議論の結果、これは十分の七で据え置きということで、再引き下げはいたさなかったわけでございます。  そのほか、公共事業等につきましても、補助事業について再引き下げを行うといったようなことは行いましたけれども、全体を通じまして、かなりそれぞれの事務事業の性格に応じまして引き下げ率についてはあんばいをさせていただいておりますので、我々は、一律カットと言われるのは甚だつらいなというのが率直な感じでございます。
  277. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 あなたが一律ということにえらいこだわったから、私は物にこだわるのは嫌いなんでありますが一言。  日本語的な一律という意味ではあなたのおっしゃるとおりでありましょう。だが、もっと言葉をかえて言ったら、大幅な補助率の切り下げ、この方が響きが大き過ぎて政府に余りよくないのじゃないかと思いましたが、しかし、一律という言葉はやめて大幅にというふうに変えてくれとおっしゃるから、そういうふうに質問の内容を、議事録を変えていただくことにしましょう。  さて、そこで、国に比べて地方財政には余裕がある、地方に協力を求めるのは当然であるというような考え方を大蔵はお持ちになっておるのではありませんでしょうか。
  278. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは、私、午前中にどなたかの質問お答えしたときに、ちょっと舌足らずのところがありました。それは、GNP比日本赤字は四三%、地方財政は六%、合わせて四九%、こういう数値が出ております。しかし、これは長期債務を言っておるから六%であって、短期の借入金などを入れますと、大体二二%弱という情勢だということをよく聞いております。しかし、国の財政事情は非常に悪いですね。だから地方に責任をしょわせる、そういう意味ではございません。  この補助金一律――一律じゃないですな、大幅カットですか。そのカットの継続ですか、これはなぜそういうことになったかというのは、地方に負担してもらったり地方が措置した方がより適切である、こういうものについては地方に任せ、そしてまた、車の両輪のような国と地方の間柄でありますから、そこで地方の県知事あるいは市町村長の代表、こういった人も含めて補助金検討部会を開いた上で三年間継続を認めたわけでありまして、国がつらいからそっちの方でこたえてくれという意味ではないわけであります。  ただ、国の財政事情に比較すれば、もちろんばらつきはありますよ、東北方面とかあるいは北海道とか。しかし、総じて地方財政にはまだゆとりがある。よく給与の問題で、ラスパイレスの指数で国よりも給与がいいではないかと自治省がやかましく指摘しておられるところでありますが、そういうことなどを考えますと、もっともっと国も地方も一緒に行政改革をして、簡素にして能率的な官庁でなければならぬということを考えるわけでございます。
  279. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国債残高が国の方は百四十三兆円になる予定、それで公債依存度は二〇・二%。これに対しまして地方債の残高は、普通会計分で四十三兆六千億円、地方債依存度は八・四%。これらの数字を単純に比較をして、今江崎さんもおっしゃいましたが、地方財政に余裕があると論ずることは、私はまことに遺憾だ。いわゆる地方債の依存度だけを比較に挙げて――ラスパイレスは別でございますよ。これはよくわかりますが、今の地方債の依存度という関係からいったら、それで地方は余裕があるんだよという考え方というのは遺憾であると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  280. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃるとおり、地方にゆとりがあるという短絡的な考え方を持っておるわけではありません。そうかといって、建設地方債の発行額、それから公債依存度、ともに六十年度より増加しておることは確かに事実です。ところが、国が建設公債の発行を目いっぱいいたしておる上に多額の特例公債を発行しなければならないという、こういう財政事情を勘案すれば、まあ地方は何とかふえた分ぐらいは許容し得る範囲ではないか、こういうことは言えると思います。
  281. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 なるほど、今おっしゃいますように、地方の借金というのは、地方債のほかに交付税特会の借入金の五兆七千億、それから公営企業債の普通会計負担分九兆五千億がありまして、全体としたら五十八兆八千億円の借金に上りますね。そのほかに債務負担行為も多額に上っておるのであります。また、地方財政は、三千三百もある地方団体の財布を寄せ集めできたものの今のお話でございます。団体によっては財政事情はそれぞれ異なりますね。単純に全体の数字を比較してみても意味がないと私は思うのです。しかも制度上の制約、すなわち地方税も国が定めた地方税法の範囲内で適用ということになってくるということもありまして、地方団体の実質的な財政の自主性は乏しく、財政構造も国と異なりましてまことに弾力性に欠けております。この辺の実情を抜きにして、地方財政余裕論を盾に補助率を引き下げ負担を地方に転嫁するということは国のごり押しではないかというふうに私は極言をするのであります。  一般的に言えば、先ほど江崎さんおっしゃいましたように、国の予算は五十四兆八百八十六億四千三百万円、それに対していわゆる借金残高は百四十三兆円、これは大きい、三倍からある。ところが地方の方は、地方財政計画五十四兆円に対しまして何もかも全部ひっくるめたものが五十八兆円でありますから、ほぼとんとんの赤字である、一対一。だから、一対三という国の借金の度合いから見たら地方は余裕があるよとおっしゃるかもわかりませんが、今私が申し上げた質問に対してどうお答えいただけますか。
  282. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる点はごもっともで、何も地方に国の赤字を転嫁しようということを思っておりません。  今度の改正は、補助金を総じて見直そうという臨調答申にこたえた意味もあります。また、国の補助金をもらうのに手数をもっと簡略化したらどうだ、能率的にしたらどうだ、こういう重要な指摘もなされておるところでございます。そのとおりだと思います。そういうことがなされれば負担は相当合理化、軽減されるのではないか。  しかも、私思いますのに地方と国の役割分担、いわゆる行政分担ということが行革で明確化を迫っておるところですね。そういう点をまず明らかにしたということが第一点。それから、行政が総合的、効率的に行われるためには国と地方がそれぞれ機能を果たし、そしてそれぞれの分野で責任を果たすという相互協力体制、これも大切ですね。第三番目には、地方公共団体の自主性、自律性の尊重、こういう観点から見直したものだ。自分でちょっとメモしてみたのですが、そんなふうに考えます。そういうのが今度の補助金の適正な改正、こういうわけでございますので、どうぞ御了承を願います。
  283. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のことに関連して自治大臣質問してもいいですか。私、しまったなと思ったのですよ。江崎さんが答弁する前に自治大臣質問すればよかった。ちょっと作戦的に失敗したのです。  簡単に言うと、地方の方は何もかも集めると借金が五十九兆円近くありますよ、それに対して国は予算の三倍からの赤字残高があるんだ、それに比べたら余裕があるよ、こういうことですね。そこへ持ってきて、都合の悪いことにラスパイレス指数は相も変わらず、努力はしておりますがまだまだ下がってはおらぬ、退職金もしかり、こういう状態であるから余裕があるではないかというような気持ちがどうも国にあるような気がします。そういういわゆる財政の余裕論を盾にとって補助率をばっさばっさと大幅に引き下げて地方に負担を転嫁するというのは、これはもう国のごり押しではないか、何をぬかしやがると自治大臣は思っておるのではありませんか。
  284. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 私どもは、従来から、国と地方の負担割合というものは、それぞれの仕事の適性に応じて国がどれだけ出すか、地方がどれだけ負担するか、そういう考え方の中から初めて生まれてくるものである、そういう主張をしてきたわけであります。したがいまして、ないそでは振れないから引き下げた、あるいは先生の御指摘のようにまだ余裕があるのだから我慢しろ――大蔵大臣はそういう意味で言ったのではないと思いますが、もしそういうような議論がなされるとすれば、これはちょっと筋違いの話でありまして、地方にとりましても、一生懸命政府部内で議論してまいりました私どもも、泣くに泣けないという話になってしまいます。  もちろん、現状は財政が厳しいですから、財政事情ということからの議論が非常に大きなウエートを持ってくるのは否めない事実だろうと思います。しかし、私どもとしてはやはり基本的な筋道だけはきちんと通して、そして地方団体も一緒になって国と仕事をしていく、そういう環境をつくっていくのが我々の仕事だと思っております。
  285. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 では、続いて質問させていただきます。  国は補助率カットに伴う地方財政対策については万全の措置を講じたと言われますが、それはあくまでも今年度の措置でありまして、来年度、そしてその翌年度も、十分な財政措置を講ずるという保障があるのでありましょうか。  それから、地方交付税についての特例加算、これは国のたばこ消費税の増税千二百億円を地方へ譲りましょう、ただし一年限りの措置でございますということでそういうものが今年度はございますが、来年度、再来年度というのはそういう特例加算があり得るのでしょうか。この二つについてお答えください。
  286. 持永堯民

    ○持永政府委員 今御指摘ございましたように、補助率の方は三年間の暫定措置ということでございまして、一方財源補てんの方は、今きちんと決まっておりますものは六十一年度分でございます。  後年度どうするかということでございますけれども、後年度におきましても、また毎年の地方財政収支の見込みを立てまして地方財政計画上で収支を合わせるわけでございますから、その段階で当然地方財政の運営に支障がないように措置をとっていく。具体的にどういう方法をとるかということは、またその段階で十分検討してまいりたいと思っております。
  287. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうなると江崎さん、これは副総理からお答えいただかなければいかぬようになると思うのですが、とにかくことしは、財源対策の一環としてたばこ消費税を一本一円値上げすることによって二千四百億円の財源が生まれてきました。だが、これも一年限りと時限が決まっておりますね。そういたしますと、これは来年はないわけですから、来年度の財源対策はまだその地方財政計画を見て何とかやりくりします、考えてみますというお答えでございます。意地悪を言うのではないのですが、露骨な言い方をしますと、ことし五月からたばこを一本一円値上げをする、これは一年限りということになっておる、そうすると来年の五月一日からはたばこは値下げになるというふうに考えていいのか。一年限りと法律には書いたけれども日本政府のやることは、単年度限りというのはまた次、また次と延びてくるのでありまして、これはもう御心配ないように、永遠に続きます、こういうことなんでしょうか。たばこは値下がりするのでしょうか。
  288. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大変重要な御質問だと思います。この点は税制調査会の答申にまつというわけでありまして、これだけでなしに、税制調査会では大幅減税を含めて考えておるところでありますから、これはやはりその答申にまつ、そういう答弁の方が正確だと思いますね。また、税制調査会で大きな問題を含めて、減税措置を含めどこに財源を求めるかということを考えておるときに、ことし一年限りでございますとか、先行きどうでありますというようなことを言いますことの方がかえって言い過ぎになりますので、税制調査会の結論待ち、こういうことでございます。
  289. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 政府きっての経済通であります江崎さんに、委員会ということに余り意識をとらわれないで、ちょっとこっそり教えてほしいのですが、実際に言って、たばこをことし上げたものを来年は値下げをするというようなことが現実に起こり得ると思われますか、それはちょっと考えられぬなと思われますか、いかがでしょうか。
  290. 江崎真澄

    江崎国務大臣 非常にラフな答え方をすれば、中には五円上げておけばよかったなんという話もあるくらいでして、これは巷間ですよ、何も一・円と言わなくてもという話がありますと、これは税調がどう判断しますか、軽々に私の口から幾らと言うわけにもまいりませんが、まあまあこんなところであろうかなという感じがいたします。
  291. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、その問題についてはそれ以上お尋ねはせぬことにいたします。  自治大臣、ちょっとお尋ねをいたしますが、今私が問いました六十一年度については、千二百億円の国のたばこ消費税を含めて二千四百億円といういわゆる特例加算がございました。六十二年、六十三年と補助金は六十三年までカットされるわけですから、カットする方は決まっておる。特例加算についてはことししかない、来年度はどうなるかわからぬ。こういう非常に不安定な状態でありますが、今後の地方財政対策について自治大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。
  292. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 このたばこ消費税につきましては、先生ももう御案内のとおり、補助負担率の切り下げ、特に生活保護費の問題等の激烈な議論の中から臨時異例のものとして出てきたわけでありまして、その趣旨は、このような状況の中で地方に少しでもいわば現ナマで自主財源を与えてやろうという考え方の中から出てきたものであると理解いたしております。したがいまして、今日の税財源の配分の仕組みが、基本的に税調の答申を受けでいろいろな制度の変革があって地方に余裕が出てきたとか、そういうような状況変化があれば別でございますけれども、たばこ消費税が一年、その点については江崎先生からお話ありましたが、いずれにしてもこれは税制調査会の判断の妨げにならないようにということで一年だったと思いますが、たばこ消費税の分になるのか、あるいは六十二年度税制改正でほかの形になるのか、それは別といたしまして、今後もこういう状況が続く限り何らかの形で自主財源として地方に与えられるべきものである、私どもはそういう考え方に立って今後も対処していきたいと思っております。
  293. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国債の元利払いがふえたのが国の財政悪化の原因と言いますが、そもそも国債発行というのは国の財政運営の結果でありまして、地方には何ら責任がありません。地方地方財政計画で、国から与えられた財源の中で財政運営をしているのが実情であります。地方債も許可制がとられております。公債費も一定比率を超えますと起債がストップということになります。この結果、地方債残高が国債残高よりも少ないのは当たり前のことではないかというように私は思うのです。これはもうストップがかかりますから。それで、国債を増発した国がその責任をおとりになりませんで、国の方に借金がふえたからというので地方にツケ回しをするということは本末転倒ではないかと私は思っておるのでありますが、いかがでありますか。
  294. 江崎真澄

    江崎国務大臣 せっかくの御質問ですが、必ずしも私はそうは思いません。それは、地方によって非常にばらつきがありまして、事業税とか固定資産税とかで大変収入の多いところもございます。そういった面も無視できません。ですから一律一様にはいかないわけで、非常に困っている地方自治体については大蔵省はきめ細かに配慮することは当然ですが、ややもすればラスパイレスの面からいっても余剰給与を払っておるというようなところなどについては自治省でも厳しく注意喚起をしておられるし、我々総務庁においても注意喚起をしておる、こういうわけであります。地方によるばらつきが非常にあるということ、地理的条件で非常に豊かであり、恵まれておる地方もあることは御存じのとおりだと思います。
  295. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはちょっと精神的な問題の質問に相なるかと思いますが、国と地方は車の両輪だよということをよく言いますね。全くそのとおりだと思います。非常にいい言葉だと思うのですけれども、しかしながら、国の都合のよいときにだけ国と地方は車の両輪だよと言ってにこにこして頭をなでられる、そういうことじゃ地方はたまったものじゃない。そのような国の姿勢というのは、地方は国の下部機構だよ、ついてこい、言うたとおりにせいというような、いわゆる地方を国が見下しておるというような感情はないんでしょうか。
  296. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういうことはございません。地方が成り立って初めて国が立つわけでありまして、地方が乱れて国が立つわけのものではもちろんございません。したがって、車の両輪はそのとおりの表現であるというふうに思っております。
  297. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国は地方行革の推進を強く求めておられますが、行革はむしろ国の方がおくれておるのじゃないかと私は思っておるのです。国は地方に協力を求める前に、国の財政再建計画を策定をして、その計画の中で徹底した行政改革努力によりどれだけ財政の節約をしたかということをまずもって明確にすべきではないでしょうか。地方に対しては一斉に行革の計画書を出せと言って、去年の秋に出させましたね。これはもう半ば強制的です。それはやっておりますけれども、国の行革というのは我々から見ても大変おくれておるというふうに思いますが、国の行革の努力によってどれだけ節約しましたということをまず明確にするべきじゃないかと私は不満を持っておるのでありますが、いかがでしょうか。
  298. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは岡田さん御指摘のとおりだと思います。やはりまず国が率先垂範、人員の整理もやりました。それから、整理をしながら国鉄の余剰人口県を吸収する、相互扶助精神でこれを優先させておるということも御存じのとおりでございますが、なお公的規制の緩和について、このままではいかぬと思いますね。これは国の補助金を申請するにしても手間がかかり過ぎる、許可までの時間がかかり過ぎる、これなどの不合理は、大臣としてはもちろんですが、政治家として、お互いの問題として、この簡素化ができれば、少々の負担金の削減、補助金の削減よりももっと大きな効果が地方にもたらされると思いますね。これは大いに努力をしてまいりたいと思います。これは総務長官の仕事ですから、努力いたします。
  299. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大変いいお答えをいただきまして頼もしく思っております。ぜひ頑張っていただきたいと思います。  今おっしゃるような努力がなかなか行われぬままに、単に中期財政の試算を計算をして財源不足額をはじいただけでは、財政を預かり地方に負担を求める大蔵省の姿勢としては責任ある態度と言えないというふうに私は思っておるのでありますが、いかがでありますか。
  300. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大蔵省も私は本当はよくやっておると思うのですがね。フィリピンでああいう不祥事が起きたということは残念でたまりませんが、海外借款などでも随分大蔵省はチェックして厳しくやっておりますね。それが、先へ行ってリベートが行われる、向こうに渡ってからの話ですね。全く残念だと思うのです。本当にこれは、その国のためによかれかしと思ったことがその国民に十分行き渡らないなどということがある。これはやはり非常に反省すべきことだと思っております。しかし、大蔵省の査定とか、大蔵省の主計官一人一人とらえて話をしてみますとなかなかよく知っておりますね、地方事情等についても。そういう点はよくやっておるというふうに私は評価しております。
  301. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 最後に、今ちょうど対外経済援助のお話にもお触れになりましたから、先ほど総理にもお尋ねをしたのでありますが、副総理格であります江崎さん、もう貫禄、風格とも十分なお方の決意をひとつお尋ねしておきたいのでありますが、先ほど私が総理にお尋ねをしましたように、言うならばその投資をした効果を評価する委員会、そういうものをつくったらどうかということと、それから経済援助のいわゆる基本法的なものをちゃんとつくって、もうどこからも疑いがかかるようなことのないようにぴしっとした姿勢でやるべきじゃないか、毅然とした態度をとるべきじゃないか。そのためにも基本法をつくったらどうだろうか。それから、今のいわゆる評価委員会というようなものをお互いの国につくって、そしてどんぶり勘定でほい何ぼ要る、よしやろうというようなものじゃなくて、どれだけの効果があるかということを確かめながら差し上げる、そういうやり方をすべきではないかと私は総理に提言をしたのでありますが、江崎さんとしてはどのように思われますか。
  302. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは御承知のように、まず通産省そして外務省、そこに経企庁が調整役で入って、大蔵省が厳しい査定をするというわけで、政府の仕組みとしては一応整ったものがありますね。しかし、その結果がこういうことになったということは、本当に私も遺憾至極に思っております。  ただ、今後どう対策するかという点については、今貴重な御意見の表明もございましたが、そういった御意見を踏まえながら今後の対策については十分検討をいたしてまいりたいと考えます。
  303. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。
  304. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 経塚幸夫君。
  305. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に厚生大臣にお尋ねをいたします。  先ほど私は、総理に補助金の削減の問題についてお尋ねをしたわけでありますが、特に老人とかそれから障害者に対する強用負担の引き上げが、これは大変過酷なほど重いと思うのです。お渡しいたしましたこの資料を見ていただけばおわかりのように、費用徴収の負担分でございますが、一人当たり平均からいたしますと三七・八%増でありますが、老人の項を見ますと、五十六年度一人当たり払っておった費用負担が五万三千円であったのが、わずか五年後に十八万千五百円、三・四二倍ですよ、大臣。これは大変な負担ですよ。特に五十九年度と比較いたしますと、六十年、六十一年、この国庫負担金、補助金のいわゆるカットが実施されてからは老人の費用負担が急速にふえておるわけであります。保育所関係を見ましても、一人十六万円から二十一万円。  これは大阪府立の精神薄弱者授産施設に通っておる中田さんとおっしゃる方の苦言でありますが、この方は六十歳、年金生活者、子供さんを施設に通園をさせておるわけでありますが、五十六年度の費用負担が四千円、六十年が一万二千円ですね。本人がおっしゃるのに、六年間で七倍も費用負担がふえているのですよ。これは障害者の家族にとってどれほど重い負担であるか。大阪の例でありますけれども、費用負担の滞納額が八百六十五万、これが五十八年度に三千三百六十三万、滞納がどんどんふえておるんですね。これは、支払いが極めて困難となってきているということの証拠であります。  そこで大臣にお尋ねしたいわけでありますが、これでも国庫負担金の削減は国民に影響を何ら与えておらないと大臣お考えなんですか。
  306. 今井勇

    ○今井国務大臣 例えば老人ホーム等の費用の問題がございましたが、費用徴収につきましては、実は中央の社会福祉審議会老人福祉専門分科会というものがございまして、そういう分科会にかけまして意見の具申がございましたものを踏まえて行っておるわけでございます。  例えば老人ホームの入所者の場合を考えますと、給食であるとか入浴、介護、日常生活万般についてサービスを受けておるわけでございます。こういったことは、高齢化社会に対処しまして、今後ますます増大をいたします入所者について十分な福祉の施策を実施するためにも、また、在宅で生活をしておられる寝たきり老人等々の方々との負担の公平ということも考えますと、やはり所得に応じた無理のない負担をしていただくことが必要であろう、こう考えて実は制度の運営を進めておるわけでございます。
  307. 経塚幸夫

    ○経塚委員 在宅で寝たきりの人との負担の公平ということをおっしゃいますけれども、在宅で寝たきりの方は、特別養護老人ホームを余りふやさないものだから、特別養護老人ホームに入りたくても入れない、やむを得ず在宅で家族が看病しなければならぬというような状況もあるわけでしょう。それから在宅、在宅とおっしゃるけれども、厚生省の考え方は一貫しているのですね。高いところへ引き上げていくのではなしに低いところへ合わせるのを公平だ、こうおっしゃっているのでしょう。在宅の人たちの条件をよくすればいいんじゃないですか。それが公平化という意味と違いますか。公平化、公平化と言うんやったら、低いところを上げはったらどうですか。下げといて何が公平化ですか。在宅で、家族が本当に犠牲になって寝たきりのお年寄りを介護しておるその条件を、例えば特別養護老人ホームをもっとふやすとか、年金をふやすとか、手当をふやすとか、そして既に入所されておる養護老人ホームの方々に対してはできるだけ負担を少なくする、こういうのが本当の公平化じゃないですか。  社会福祉審議会の答申、答申とおっしゃいますけれども、五十九年の社会福祉審議会、費用徴収は「食費相当額」、こう言っていたわけでしょう。今これはどうなっていますか。例えば月五万円の人は六八%引き上げられ、月十万円の人は一円でも超えると四万七千九百円ですね。四七・九%の費用負担なんですよ。手元に何ぼ残りますか。手元にはほとんど残りゃしません。  それで、手元に残す金について厚生省の計算でいきますと、散髪代が要る、身の回り品が要る、嗜好品が要る、こういうようなことで、昭和五十四年十一月二十日の社会福祉審議会では一年二十五万円、月二万円ちょっとで賄えるだろう、こう言っていて、物価上昇に従ってだんだん引き上げていきましたけれども、五十八年は年間二十九万円、それだけ身の回り品だとか日常生活に要るだろうと言って引き上げてきておったのを、今度六十年度は二十六万二千円に引き下げてしもうとるじゃないですか。  さらに、社会福祉審議会、審議会とおっしゃるなら、社会福祉審議会の五十四年の答申では、その後の生活の質の向上を勘案して手元に残すお金については考えなさい、こう言うとったわけでしょう。生活の質の向上、何ら考慮されておらないじゃないですか。この計算でいきますと、例えば十万円をたとえ一円でも超えた人は四八%近い負担をしなければならぬ、こういうことを先ほど申し上げましたけれども、これは軽費老人ホームを上回るでしょう。しかも措置費の生活費が甲地で四万一千七百五十円から五万二千七百八十円でしょう。生活費丸々取るという建前なんですか、どうなんですか。
  308. 小島弘仲

    ○小島政府委員 養護施設、特養等を初めといたします福祉施設につきましての費用徴収、本人徴収の考え方につきましては、大臣から申し上げましたように、入所者本人につきまして生活万般の面倒を原則的に見ます。ただ、個人的な日常費、お話しのような散髪代とか嗜好品とかというものに充てる金は手元に残すような徴収をしていくべきであろうということで、その限度額として当時は一月当たり一万五千円程度でいいのじゃなかろうか、おっしゃるように五十五年から実施する場合は二万円程度でどうであろうというような基準が一つ示されていたわけでございますが、現在でも先生お話しのように、例えば月五万円という方につきましては六十年度でも一万四千六百円徴収する。そういたしますと三万五千四百円は手元に残るという格好になります。特養につきましては、例えばおむつ代も全部措置費で面倒を見るわけでございますので、全く個人的な日常経費でございますので、十分な金額は残っているものと考えております。  ちなみに諸外国の状況を見ましても、手元に残す金、徴収をしない限度額と申しますと、大体一万から一万五千円程度をめどに考えているようでございますし、生活状況の差等を勘案しても、現在の措置は本人の処遇に問題を生ずるというようなおそれは全くないものと考えております。
  309. 経塚幸夫

    ○経塚委員 とんでもない話ですよ。諸外国とのいろいろな社会保障制度の違いも無視して、月一万円そこそこで全く問題がないと言うのはもってのほかだと思うのですよ。  厚生大臣、東京の施設長三十名の方々が大臣に要望されたことがありますね。その当時、手元に残るお金が年二十八万円そこそこでは少な過ぎる。これにもう四十万円プラスして六十八万から七十万ぐらいにしてほしい。その理由は、今ホームに入っておる人たちは、数年もしくは十年前後で不幸なことに必ずといっていいほど病気で入院しなければならぬ。それからその後には死が訪れる。六十五歳、七十歳前後でホームに入られると、それはそのとおりなんですよ。元気でころっといってくれればまだ幸せだと不幸ながら考えておられるお年寄りもおるような状況なんですが、大抵患われるのですよ。そしてその後死が待っておるのですよ。これが五年、十年の期間なんですよ。手元に月一万円そこそこ残って、葬式代あるいは入院したときの手当てをどうします。  今度老人保健法を改悪されるのでしょう。これでいきますと、一年入院すれば、今までですと一万八千円で済んだのが十八万かかるのですよ。そういうことを理由にされて、東京の三十の施設長が、例えば付添看護料一日八千六百五十円として三カ月で幾らになるかという勘定もされた。ベッド差額一日一千三百円でどうなるか。葬式代は最低の二十万円に抑えるとして、これを三年前後で入院するまでホームにおる間にためておかなければならぬ。こういうことで、もう四十万円せめてふやしてもらって六十八万から七十万前後にしてほしいという要望をされたのですよ。これに逆行しておるじゃないですか。二十九万まで年間手元に置いておけたお金を、生活の質の向上も勘案して考えなさいと言って社会福祉審議会の答申も出されておるのに、事もあろうか二十六万円に下げるとは何事ですか。それで、先ほどの厚生省の答弁だと、手元に一万円そこそこで何不自由ないと思いますと大きな声でおっしゃる。ホームのお年寄りが聞いたら怒りますよ。一体我々の生活を何と考えておるのか、こう言いますよ。当然ですよ。どうですか。
  310. 小島弘仲

    ○小島政府委員 一万円から一万五千円と申しましたのは外国の例でございまして、それと比較いたしまして我が国の場合は、月収入が、本当にネットの自由な金でございますが、五万円程度の人が手元に残る金は三万五千四百円程度残るような計算になっておりますと申し上げたとおりでございます。  ちなみに、生活保護で七十蔵の方が単身で生活する場合の生活保護費は七万七千円程度でございます。これで全部の生活を賄っているわけでございます。食費から介護それから身の回りの世話というようなことまで全部措置費で面倒を見ておるわけでございますので、それ以外に必要な金と申しますのは本当に個人的な日常経費でございますので、十分な金だと考えております。  また現在、施設の方の発言があったようでございますが、これもいろいろな意見がございます。もう少し徴収してもいいのじゃないかという意見もあります。また特養等について見ますと、入所者の一人当たりの預金額は現在百万円程度にもなっております。
  311. 経塚幸夫

    ○経塚委員 社会福祉審議会の老人分科会の意見具申の中で、今費用徴収の最高限度額を決めておりますが、この限度額は最終的には廃止するのが望ましい。それから「検討課題」として、「資産を有していることを費用徴収基準に反映させる」。さらに、「死亡した入所者の遺産のうちから応分の負担を求める」。死んでからも取れというのですよ。こんなことをやるのですか。まともに検討しているのですか。
  312. 小島弘仲

    ○小島政府委員 中央社会福祉審議会老人福祉分科会から、先生御指摘のような意見が出ております。  これにつきましても、本当に負担の公平というところを考える場合には、単なるフローの収入だけではなくて、例えば預金とか不動産とかの資産に着目した徴収をするのが公平になるのではなかろうかというお話もあります。それからもう一つ、公費でほとんど面倒を見てもらいながら、死後は、全く面倒も見なかった親族の方が相続するというケースも、本当に社会的公平に当たるのであろうか、この辺はもう少し考えてもいいんじゃなかろうかというような見地からの御意見もございます。
  313. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣、どうなんですか。これはもう上限も廃止をしていく、それから資産も費用徴収の対象にする、それから遺産まで費用徴収の対象にする、それでこれが公平だ、こうおっしゃるのですね。大臣本当にこんなことやるつもりなんですか。いかがなんですか。
  314. 今井勇

    ○今井国務大臣 今局長がいろいろ御答弁申し上げましたが、中央社会福祉審議会の老人の専門部会等においていろいろな意見が出ておることは事実でございます。そんなことで、いろいろ検討をしているわけでございますから、十分に今のような御意見を踏まえていろいろやりたいと思いますが、少なくとも出ております意見についてはやはり尊重していくべきだと私は考えております。
  315. 経塚幸夫

    ○経塚委員 中央社会福祉審議会の御意見を尊重する、尊重するとおっしゃいますけれども、もっと先に尊重しなければならぬ問題をやらずにほったらかしにしておるじゃないですか。  例えば、老人ホームの木造をなくして、大部屋を解消する。これはもう既に昭和四十七年の十二月に中央社会福祉審議会の中間意見として意見具申が出ているんでしょう。木造はなくしてしまう、そして個室化を図る。幾らこれはやられているのですか。六十年四月一日現在で、四人室以上がなお二三・一%あるじゃないですか。昭和四十七年に中間意見が出て、もう十三年もたった六十年でまだ二三%残っておるじゃないですか。中央社会福祉審議会の意見具申、これを尊重する、尊重すると言うなら、こういうやるべきことを先にやりなさいよ。  厚生省は、ホームは収容の場から生活の場に質的に変える、こうおっしゃって、それで費用負担を始めたわけでしょう。単なる収容の場から生活の場に変えるというのなら、何よりも生活環境の改善こそ答申に従って実施すべきじゃないですか。やらなければいかぬことをほっておいてやったら困るようなことだけどんどん先へ進めるというのはもってのほかだと思います。  それから、ホームの運営問題についてお尋ねします。  五十九年度に老人福祉施設について監査を実施されたと思いますけれども、この監査の結果につきまして、監査をされた施設数それから主な項目について、簡単でよろしいからワーストスリーを御説明いただきたいと思います。
  316. 小島弘仲

    ○小島政府委員 御指摘の昭和五十九年度の老人福祉施設の監査結果でございますが、国が実施したものが五十三施設、都道府県、指定都市が実施したものが千九百七十八施設、全体の実施率で見ますと七四・六%程度になっております。  そこで主なる指導指示事項は、運営管理関係と入所者の処遇関係、それから職員の就業規則と申しますか処遇関係、それから経理事務処理関係というような事例が一般的に多かった主な指導指摘事項でございます。  ワーストスリーという表現をどういたしますか、そういう指導件数が一番多かったという事項別で見ますと、運営管理関係では、給与規程が不備なものが六百六十八件、それから災害事故防止対策としての用意が不十分だと考えられるものが三百九十五件、それから管理規程、就業規則が不備なものが三百四十二件というような状況でございます。  また、入所者の処遇関係では、入所者の預かり金の管理が不適切な事例が三百四十八件、それから一人一人にふさわしい処遇計画を立てるように指導しておりますが、その処遇計画の策定が不十分なものが二百三十八件、それから処遇に関する記録が不十分なものが二百三十件というような状況でございます。  また、職員の処遇関係では、労働基準法等に基づきます所定の届け出等が十分になされていないというようなものが二百四十一件、それから夜間の勤務体制が不十分なものが百二十四件、それから職員の健康管理にもう少し配慮を必要とすると考えられるものが百二十件というような状況でございます。  最後に、経理事務の処理関係では、経理事務の処理が不適切な事例が三百四十件、関係諸帳簿の整備が不十分なものが二百七十二件というような状況でございます。
  317. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣、今お聞きのように、生活環境の改善と言う以上は、設備の改善と運営の適正化、この二つが相またなければ生活の場としての機能は発揮できない。ところが、監査の結果、災害事故防止対策が不十分というのが三百九十五件ですか、全監査施設数が二千三十一件でありますから、大変な数ですね。預かり金の管理が不適切、これが一五%にも上っているわけでしょう。職員の健康管理不十分、これも百二十件でしょう。  そこで、お尋ねをいたしますが、大阪で老人ホームの不正事件が相次いだ。特別養護老人ホーム「のせの里」、昨年十月十四日に理事長が農薬自殺をした。原因は、事務長が入所老人の預貯金四千万円を着服した。それから施設長、義妹でありますが、出勤もしておらない、常勤でもないのに措置費から給料を受け取っておった。それから堺市の特別養護「ベルファミリア」、これは措置費、人件費を不当に流用しておった。五十七年が千四百万、五十八年が二千二百万等々、職員から大阪地裁堺支部に対しまして仮処分の申請が出て、これは決定されたわけですね。それから交野市の「きんもくせい」、これも配置基準を守っておらない。栄養士一人置くべきところをゼロ、施設長は出勤せず名義だけで給与を受け取っておった。それから調理員三人が二人しかおらない。このためパック食品をレンジで温めて給食しておった。寮母が検尿、投薬、舌下剤の注入、点滴の針を抜かされ、看護婦、医師でなければできないようなことまでやらされておった。  こういうことで大変問題になりまして、大阪府が監査に入ったはずであります。監査の結果は一体どうであったのか、それからどんな指導を厚生省としてはしておるのか、お答えいただきたい。
  318. 小島弘仲

    ○小島政府委員 その前に、先ほど申し上げましたいろいろな指摘事項は、口頭で注意しましたごく軽微なものを含む状況でございまして、重大なものがそう多かったというふうには理解しておりません。  今お尋ねの三カ所の施設でございますが、「のせの里」につきましては、問題の預かり金の着服というようなはっきりした不正事件がございまして、これらにつきましては、既に亡くなられました前理事長等が立てかえて弁済して済んでおります。  大阪府は、これにつきまして、六十年十月二十五日に立入検査を実施し、その後継続的に指導を行っておりまして、今後ともさらに十分な指導を行ってまいるということにしております。  また、こういうことを契機といたしまして、昨年の十二月に府下の老人ホーム全体につきまして、預かり金の管理等の実態調査を実施し、必要な指導を行っているところでございます。  それから特別養護老人ホーム「ベルファミリア」につきましては、労働組合との間に賃金訴訟と申しますか、処遇改善関係の訴訟もあるようでございます。これは人件費をほかに使ってしまったというようなことではございませんで、管理費も含めまして措置費はほかに使えないことにしております。ただ、人件費の流用は認めておりますが、ここは一般的に現状までのところで見ますと、措置基準で示しております人件費よりも安い月給で雇い入れているというようなこともありまして、それを預金として確保しているというような状況があります。これは使ってしまったという経緯はございません。ここにつきましては、職員給与の決定については法人の裁量権であるというようなことを主張し、労働組合と係争中のようでございます。これにつきまして、労使関係というところで介入できない面もありますが、職員の適正な処遇、それから入所者の処遇を適正に確保するという関係から、労使間の紛争の早期解決、それから就業規則等のはっきりした規定を設けるというようなことについて必要な指導を実施中でございます。  「きんもくせい」につきましては、職員解雇問題についてこれも組合との間に訴訟問題があったようでございますが、この職員の解雇問題については和解が成立したというふうに承知をしております。これにつきましては、六十年十一月一日に指導監査を実施いたしまして、現在、実施した指導監査に基づきまして指導中でございまして、今後とも継続的に必要な指導を実施するという処理になっております。
  319. 経塚幸夫

    ○経塚委員 厚生大臣にお尋ねします。  私は一連のことをお尋ねしてまいりましたが、本当に生活の場にするというのであれば、木造は一刻も早く解消し、いわゆる個室の完成を目指すとか、今監査の結果、口頭にしろ随分膨大な指摘をせざるを得ないような事態も起きておりますし、それから大阪の例を申し上げましたが、これもゆゆしき問題であります。今厚生省の答弁では、何かかばうような発言をしておるけれども、もってのほかですよ。厚生省は、生活の場というのなら、厳しく指導する立場に立たなければならぬのですよ。場合によっては施設を閉鎖する権限だって厚生省は持っておるのでしょう。だから、運営に公正を期するような観点から厚生省は厳しく対処すべきであって、いやしくもこんな不祥事件を起こしておるような施設をかばうというような態度は、あなた、もってのほかだと思います。  そこで厚生大臣にお尋ねいたしますが、本当に生活の場にふさわしいような施設の改善、公正な運営、これに対してどういう姿勢で対処されるのかお尋ねをしておきます。
  320. 今井勇

    ○今井国務大臣 おっしゃいますように、その監査の結果、極めて不適正なもの等々について、これはやはりまことに残念なことで、こういうことはあってはいけないことでございますから、その是正については、強力に指導をして直させる、これは当然のことであろうと私は思います。  それからまた、今の施設の改善等につきましても、これはやらねばならぬことでございますから、御要望に応じまして一つ一つ着実にこの改善を図ってまいるように努力をいたしてまいりたい、このように思います。     〔笹山委員長代理退席、小泉委員長着席〕
  321. 経塚幸夫

    ○経塚委員 自治大臣にお尋ねをいたしますが、お手元にお渡しいたしました資料を見ていただいたらわかりますように、五十六年度と六十一年度の比較で、総事業費が二六%ふえた。国庫負担が逆に二二%減らされた。地方負担は千七百九十億円から五千五百六十三億円。地方負担が三・二五倍ですね。しかも、総事業費の中で占める地方の負担割合は一四%から三五%ですよ。特に、五十九年度から六十一年度がひどいわけですね。  地財計画によりましても、五十六年度から六十一年度の予算の伸びの規模が一八・六%でしょう。ところが国庫支出金がマイナス六・八%ですよ。地方交付税は手当てした、万全の措置と言いますけれども、一二・八%しかふえてはいません。予算規模の伸びよりも低いですね。これに比べて地方税は四〇・九%の伸びでしょう。使用料、手数料が三一・三%でしょう。これはどんどん住民負担やおまへんか。しかもなお、地方財政はやりくり算段、公債費が五八・八%もふえているじゃないですか。六十一年度は都道府県も市町村も予算編成は大変だったでしょう。どんどん基金を取り崩さぬことには予算が組めぬというような状況やおまへんか。  こういう状況の中で、一体どこまで気前よく国庫負担の削減のしわ寄せを受けていくつもりなのですか。地方財政は裕福じゃございません、こう幾ら口でおっしゃっても、こんなことを受け入れておる限りは、事実上は裕福というような結果に受け取られるようなことになりかねぬじゃないですか。いつまでこんなことを続けるおつもりなんですか。こういう国庫負担の削減だけを目的にしたような地方と住民への負担転嫁を認めるべきでない、私はこう思いますが、いかがですか。
  322. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 先生御指摘のように、いわゆる単純な財政需要、国の財政事情だけで地方への補助負担率等々負担を多くしてはいけない、これは私ども、従来ともお話し申し上げているところでございます。  今いろいろ資料において指摘された点につきましては、事務事業等の見直し等も通じまして、そして地方の団体の事務あるいは権限移譲等も含めましてそういう項目の中のものであると思いますし、また私どもといたしましては、それに要する地方団体の経費等につきましては、交付税の算定に当たりまして基準財政需要額に組み入れて、地方に対しても措置をいたしておるところでございます。
  323. 経塚幸夫

    ○経塚委員 交付税で手当てをした、こうおっしゃいますけれども自治大臣、これはもう釈迦に説法ですけれども、交付税というのは国の財源じゃないんでしょう。地方の財源やおまへんか。地方財政法第十条で、国が進んでその費用の全部または一部を負担する。奨励的な意味を持つ補助金と国庫負担金は性格がまるきり違うのです。だから、本来国が持たなければならぬものを削っておいて、そうして国の財源じゃなしに地方交付税、つまり地方の財源でこれを手当てをしたからといって、これは万全の措置とは言えまへんがな。地方交付税というのは、もともと地方の財源の調整を果たす機能を持ったものであって、これだったら、まさに国の財政を調整するために交付税がその役割を果たさせられておるということになるわけです。総理を初め、国は万全の措置をとった、万全の措置をとったと言うておりますけれども、これは国が万全の措置をとったのと違いますがな。地方がやむにやまれず地方の財源でもって国のつけ回しを手当てせぬことにはどうもならぬから手当てをしておるだけの話であって、無理無体にさせられておるわけですがな。自治と名がつく大臣である以上は、そこははっきりしておいてもらわなければ困りまっせ。被害者ですがな。被害者が加害者を弁護するようなことをしたらあきまへんがな。こんなものは困りまっせ、お断りやと言うてこそほんまの自治大臣と言えるんやおまへんか。これは看板を塗りかえなければならぬということになりかねませんよ。だから、そこの姿勢はちゃんとしておいてほしいわけであります。  そこで、最後に大蔵大臣にお尋ねいたします。今度は国と地方の役割分担を明確にした、ここが六十年度と違うところだ、こうおっしゃいますけれども、なるほど国の機関委任事務を地方の権限である団体委任事務にしたのは、そこだけ見ればいいですわ。けれども、銭をつけないで権限だけを任したからといってどないなりまんねん。ちゃんと持参金をつけて不自由せぬようにやってこそ、それは事務の権限ももろうた、金ももろうた、こうなって、地方の自主性、自律性は強まりますけれども、銭は半分に削ってしまうわ、それで事務を渡したら、これは悪く言えば、国が今まで住民に負担を転嫁して切り捨てておった福祉を今度は国が直接手を下さずに、地方に手を下させる、こういうことになりますよ。だから、こんなもん自律性でも自主性でも何でもおまへんがな。国民には自律性と言って費用負担をうんとかける、地方には自主性の尊重だと言って負担をしょわせる、これはあなた、地方の独立性、自律性を強化したことになりませんよ。やるのなら、十分財源の保障をしてこそ自律性、自主性と言えると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  324. 江崎真澄

    江崎国務大臣 仰せのとおり、国の財政が豊かであれば、おっしゃるようにやりたいですね。ところが、アメリカ財政事情が悪いと言われるそれ以上に悪いというのですから、これは世界一先進国の中では財政事情が悪いですね。そういう場面で、自主性を認め、自律性を認め、能率化を図り、そして補助金の検討部会に地方自治体の責任者にも入っていただいて、その上で、この程度ならば妥当であろう。そして本当に困る面についてはそれぞれちゃんと対策をしているのです。ですから、そういう点では御評価を願いたいものだと思います。金があればおっしゃるようにいたしたいことはやまやまですが、仰せこの国家財政状況でありますので、御推察願いたいと思います。
  325. 経塚幸夫

    ○経塚委員 時間が参りましたので終わりますけれども、その金のない厳しいときにどうするかが政治なんです。だから、私どもは組み替え動議を出しておりますように、軍事費を削りなさい、大企業から応分の負担を取りなさい、そうすれば十分やれるじゃないか、こう申し上げたわけでございます。  いずれにいたしましても、六十年度のときも、一年限りといって延ばした、今度は三年限りだ、また恒久化だ、そして四十八の法律を一括して出すというのは議会制民主主義を踏みにじるものだ、こんなものは撤回しなさい、このことを申し上げまして、終わります。
  326. 小泉純一郎

    ○小泉委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十二分散会      ――――◇―――――