○坂口委員 そこで、新しい医療のあり方を求める中で、国立病院はいかにあるべきかということを改めて考えていかなければならないだろうと思うのです。今回の統廃合の内容というものを、私もそれぞれのケース全部が全部知っているわけではございませんが、大ざっぱに見せていただきますと、いわゆる高次医療ということをかなり前面に出した統廃合ですね。どちらかといいますと、地域密着型の療養所あるいは病院から、そうではなくて、もう
一つ大きく、最終段階の、第三次医療という言葉がありますが、二次か三次かわかりませんけれ
ども、そうした医療を行う場にしていこうというような発想ではないかなと思うわけです。
しかしながら、国立病院を取り巻く現状というのは、先ほどから申しましたようにかなり
変化をしてきている。無論、三次医療というものも必要ではございますけれ
ども、それだけではなくて、やはり地域の住民との接点をより求めなければならない、あるいはまた地域の開業医の先生方との間の接点をより求めなければならない、そういうことが要求されているのが国立病院ではないだろうか。ただし、先日統廃合の
一覧表を拝見をいたします限りにおいては、そういう物の考え方というのは全く入っていない。それよりも高次な医療、高次な医療という方向にどうも厚生省の方向が向かっているのではないかというのが実は私の印象でございます。
首をひねっておみえになりますので、違いましたらひとつ
意見を挟んでいただきたいと思います。――同感でございますか。同感でございましたら結構でございます。私はそういう感じを実は持っているわけです。だから、地域におきましては国立病院も、もちろん高次医療もやっていただかなければなりませんけれ
ども、それだけに固まってしまってはいけない国立病院の現在置かれている立場があるということを、私は理解をしてもらわなければならないと思います。
なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、それをどう考えるかということによって、病院をどこに置くかということにも大きくかかわってくるわけです。例えば、その第三次医療だけを行う、とに
かく自分で歩いておじいちゃんやおばあちゃんが国立病院へ行くというようなことは高次医療の場合には少なくて、救急車に乗せてもらっていくか、病院から送られてくるか、あるいは医師の紹介状をもらっておうちの方の自動車に乗せてもらっていくか、そういうことでありますと、自動車の交通の便がいいということを中心に立地の場所を考えなければならないし、そうではなくて、地域の人たちとより密着をした病院で、しかも健康な人との間の接点も持っていこう、あるいはまた開業医の先生方との間の交流もより深めていこうというような病院であるならば、これは電車の便がいい場所、あるいはまたパスとの連係のいい場所、そういう場所を選ばなければならないというような、場所の選定にもこれはかかわってくるわけでございます。こうした物の考え方によりまして、国立病院の性格、そして位置、そうしたものが
決定されてくると私は思うわけでございます。
そういう考え方の中で国立病院の統廃合の問題を考えましたときに、もう一度これは考え直してもらわなければならない点がたくさんあると私は思うのです。
〔中西(啓)
委員長代理退席、
中村(正三
郎)
委員長代理着席〕
今まで全国にあります病院は、何が何でも、いついかなる時代であっても絶対につぶしてはならないものであるということを私は申し上げているわけではありません。しかし、それはケース・バイ・ケース、慎重に十分
検討し、そして地域の皆さん方や医師会の皆さん方や県の皆さん方、あるいは担当の市町村は言うに及ばず、よく話をされた上で、ここは処理をしてもよろしゅうございます、これはこういうふうにしてほしい、そういう納得の上での統廃合であれば話は別でございますけれ
ども、やみくもにと言うと大変失礼でございますが、上意下達式に、地元に何の相談もすることなしに、ここはこういうふうに
決定をいたしましたとぼんと下におろしてくるというような形での病院の統廃合というのは私は反対である、こういうことを申し上げているわけでございます。
その理由と、もう
一つ、先ほど申しましたように国立病院の置かれておる立場というのはそういうふうに
変化を来しておりますから、高次医療だけを求めて、そしてその役割を果たすのだという考え方は一考を要する。それは文部省の方もおっしゃいましたように、大学病院と国立病院との関係もあるわけですね。大学病院は三次医療と言われるものを中心にいたしておりますし、それからまた、先ほどおっしゃいましたように、地域の指導的な医療機関としての役割も果たしておみえになる。そういう大学病院も片やあるわけでありますから、大学病院の小型になってしまっても困るわけです。国立病院は国立病院としてのこれからどうしてもやらねばならないところがある、それは、先ほど
厚生大臣もそのとおりだというふうに御答弁をいただきましたとおり、これから健康を取り戻すことによって医療費をいかに下げていくかということが厚生省に課せられた最大の課題でありますから、そのことに個々の国立病院は最大限取り組んでいかなければならないと思うわけです。
余り私ばかりしゃべりますと私が
厚生大臣みたいになりますから、一遍
厚生大臣に答弁をしていただきたいと思います。