○
上田(卓)
委員 経済というのはやはり生身ですから、後手後手に回るのじゃなしに、金融でもそうですけれども、対策をとるときにやはり一番いい時期にそういう手当てを打つということが一番大事だと思いますので、その点ひとつぜひともお願い申し上げたいし、また同時に、
日本全体としては
経済力があっても先ほどのお話のように
日本チームの中には強いメンバーもあれば本当に弱い力のないメンバーもあるわけでありますから、そういう点でやはり外需主導型の
貿易に
日本は依存しなければならぬということはよくわかりますが、やはりこの内需主導型の
経済運営というものを考えていかないと結局はこの
貿易摩擦、この
貿易黒字の解消のために国内の弱い産業が犠牲を受ける、こういうことになるわけでありますから、そういう点で、やはりもう必ず出超になればその見返りが来ることは明らかなのでありますから、やってみなければわからぬというよりもそのことははっきりしておるのではなかろうか、私はこういうふうに思いますね。
例えば一ドル百七十五円で定着しても、
日米の
経済摩擦は完全に
貿易黒字が解消できるというような
状況にないということも、これまた事実だと私は思うのです。やはり、一にも二にも社会資本の充実等によって
日本の景気のてこ入れ、特に我我野党が要求しております二兆三千億円の、これでも少ないと思いますよ、大型とは言えないかもわかりませんが、最低こういう
減税をするとかあるいはずっと今まで、公務員だけじゃなしに民間サイドにおいても相当賃金が抑制されてきたという経過があるわけでありますから、この際、特に
円高差益で収益を上げている企業などは賃金を大幅に引き上げることによって内需拡大に貢献するというようなことも、春闘の足を引っ張るのではなしに、逆に道を開くというようなことも非常に大事ではないか、私はこういうように思っておるわけであります。時間の関係もございますので、どうか私が申し上げている点について十分ひとつ御理解をいただいて、各省庁と十分連携をとって対策を練ってもらいたい。
また、
円高差益でもうけている企業について、結局は
国民に還元されなかったな、結局は彼らだけが笑いのとまらぬ利益を上げたという、またそれの一部がどこかに回っているというふうな疑いの持たれないように、本当に
日本経済の活性化のためにそれが使われておるんだということが目に見えるような形で使われるような指導をぜひともやってもらいたい、このように思います。
さて、
関税二法の問題、特に私がここで申し上げたいのは、皮革、それから靴の関係で、通産省の方もきょうはお見えいただいておるわけでございますが、この法案につきましては、やはり
日米の
貿易摩擦の解消、こういうことで、
市場開放の一環として数量規制の撤廃あるいは割り当て制度の廃止、
関税率の
引き下げなどを行おうという法律であるわけであります。
先ほども申し上げましたように、昨年秋以来の
円高で、要するにG5の前は一ドル二百四十二円であったわけでありますが、それが百七十五円に、そういう意味では四〇%の
円高ということになるわけでありますから、これだけで四〇%の
関税率を
引き下げたと等しい結果をもたらしておるわけであります。そういう意味で、今回の法案が業界にとってはもうダブルパンチというのですか、
円高で四〇%も実質効果を上げ、さらに
関税率の
引き下げ、こういうことで大変な苦しい
状況になっておるわけであります。
御存じのように、靴、皮革は伝統的な同和地区の地域産業でもあるわけでありまして、非常に零細な、本当に、従業員が三人以内、家族経営ですね、そういう下請関連企業がたくさんあるという
状況があるわけであります。そして劣悪な住居、職場、そういう
状況の中から、今なお結婚とかあるいは子供の就職とか、いろいろの形で差別が残っておる。今、地対法という法律があるわけですけれども、来年三月でそれが切れる、こういうことで、我々は部落解放基本法の制定を強く要求いたしておるわけでありますが、そういう点で、この法案によって、
関税引き下げによって、数量規制から
関税割り当て制に移行することによって、皮革、靴業界がどれだけの被害をこうむると見ておられるのか。そういう業界の実態と、それが今度の
関税の移行によってどういう形で条件が悪くなるのか。通産省の
局長がお見えでございますので、そのことをどのようにつかまえておられるのか御
説明いただきたい、このように思います。