○安倍(基)
委員 私も、手前みそですけれ
ども、そういったことが出る前に大蔵に行ってたしかそんなことを
指摘した覚えがございます。たまたま文芸春秋に市場開放反対論を書きまして、ドルと円が逆転したらどうなるかと言った途端に変わったものですからね。やはり円ドル
関係というものは非常に大事な話で、私はそういったことも含めまして現在の国際金融の状況を見ますと、日本がそういう
税制面で配慮していかなければならぬという気がいたします。
具体的に利子
所得、配当
所得をどうするかという話は後回しにいたしまして、その次に、今度のいわば
特別措置法の
関連で幾つかお聞きしたいと思います。
私は先回の本
会議での
質問演説で、今回の
税制改正が
中小企業に対して厳しいんじゃないかというお話をいたしました。御
承知のように、私の選挙区なんかは特に輸出に頼っているわけでございますが、日本の場合には、大企業と
中小企業との組み合わせによって、大企業が
円高で輸出がちょっと苦しくなってくると合理化をする、それを相当
中小企業にしわ寄せをする、しわ寄せと言ってはいかがでございましょうけれ
ども分担するという形で、下請企業も非常に苦しんでいる。それの、みならず、全然大企業とのつながりがない
中小企業、これはまたもろに苦しんでいるわけでございます。こういった現場をぐるぐる回って話を聞きますと、いわば自分たちの手の届かないところで非常に苦しい状況が生まれてきているという状況でございます。
人によっては、
円高は全部
政府がやったんだからというようなことを言う人もおりますけれ
ども、そんなことはないんで、やはり経済というものは生き物でございます。この間、
竹下大臣が行かれてちょうどタイミングがよかったというか、そういう状況のときにぽっとついた、それが結果的に大きな効果を持ったということは事実でございまして、この
円高を
政府の責任だけにするようなことは素人
考えでございますのでそれはあえて言いませんけれ
ども、しかし、個人の力でどうともならないで非常に苦しんでいることは事実でございます。
そういった状況のもとに現在導入された一つのあれがいわゆる繰越
欠損金の一部停止の問題でございます。これはいろいろ話を皆さんから聞きますと、非常に昔からの制度である。明治三十二年から大正十五年まであった。大正十五年から
昭和十五年までは一時中断したけれ
ども、
昭和十五年から二十年まであった。その場合には三年間の繰越期間だそうでございますけれ
ども、明治三十二年のころは無期限だったそうでございます。そういったことで、いわば戦争中の非常に問題というか苦しいときも存続された制度である。
昭和二十五年シャウプ勧告の後五年になって、それがずっと続いてきている。その上で、いわばみんなが既成事実と申しますか法体系として組み込まれた形でずっときている制度でございます。
これは
大臣、御
承知かと思いますが、こういった歴史的経緯を踏まえますと、戦争中でも存続した制度ということになれば、ある意味からいうと非常に大きな意味を持ってきた制度でございます。確かに、
赤字法人が非常に多い、それで税を逃れているという話もございますけれ
ども、歴史的経緯と、もう一つは、
赤字法人でやっているというのは、いいのと悪いの、本当に隠している者と違う者というのをきちっと区別して行政で調べていくべきものであって、たまたま
赤字法人が多いということだけで一遍に画一的にこういう制度を導入するというのは、非常に正直者が損をするということがございます。第一は歴史的経緯。二番目は行政でもって
措置すべきものではないのかな、本当にまじめにやっている者とまじめにやってない者と一緒くたにするのはどうかということです。
三番目でございますけれ
ども、これはたしか本
会議での
質問のときにも、
お答えといたしましては、要するに欠損を続けている会社なんだから別に問題はないだろう、しかも一年だけだというお話がございました。ただ、いろいろ現状を見ますと、
中小企業は余り続けて損を出しておりますと銀行
あたりが相手にしてくれないということで、例えば自分の資産を処分して、無理やりと言っては悪いけれ
ども、益を出す
中小企業も多々ある。でございますから、単に欠損を続けている会社だから同じじゃないかというのではなくて、企業によってはやはり益を出さなければいかぬということで追い詰められて益を出してきている会社もある。それが、従来は前のいわば繰り越しがあったから引けたけれ
ども、引けなくなるというような問題があるわけですね。
特に、これから
中小企業は続けて苦しくなって損が出てくるというときに、たまたま去年ぐらいまではよかった、去年で一応自分が益を出した、物を処分して出した、あるいは景気がよくて出した。去年、全然そういうことを知らないで、知らないでと言ったら変だけれ
ども、そうやって益を出した。これからは、四月以降に制度が変われば、あえて自分の資産を売って益を出そうというのは当分出てこないと思いますけれ
ども、そういう不公平と申しますか、過去に、去年の十二月とか去年の十月とかそういうところで一応益は出した、あるいは無理に益を出したような企業が、もちろん制度が変わるときにはそういう公平、不公平という問題はありますけれ
ども、急にそういう話が入り込んできたということは非常に法的安定性を害するんじゃないかというような議論がございます。
そういう意味で、私もきょうは実は急の
質問だったものですから個々に詳しいあれを皆さんからしておりませんけれ
ども、いろいろなこういったことを
考えますと、繰越
欠損金の一年の話というのは小さな問題のようで非常に大きな問題であると思います。この点ちょっと、
大臣答えられる前に事務当局から
答えられて、
大臣の御感想を承りたいと思います。