○
竹下国務大臣 まず、そもそも論になりますが、G10というのがもう一つありまして、これはオーソライズされた会合でございますが、G5というのは、本当はどこかでだれかが決めて、規約があってということではなく、何となくIMFの暫定
委員会とか、あるいはG10がある前にごそごそと集まりまして話をしたのがずっと数年間続いておる。悪口を言う人は、通貨マフィアの集まりだ、こう言います。通貨マフィアということはどういう意味かというと、要するに通貨ばかの集まりだというふうな意味にもとれるのでございます。通貨のことはおれたちが一番知っているぞというような連中が、物好きが何となく集まった、こういう批判もあります。だが、強いて私申しますと、SDRの構成国でございますからそれが集まって、あるいはベルサイユ・サミットのときに、将来IMFの専務
理事あたりをチェアマンにしてお互いの相互監視をやったらいいじゃないか、多角的サーべーランスなんて言っていますけれども、相互監視をやるようなことがいいじゃないか、こういうことが、オーソライズされておる理由をあえてつければつけることになるんじゃないかな、こんな感じを私自身は持っております。
そこで、本当に五カ国だけでございますから、おまえのところは
財政赤字が多過ぎるとか少ないとか、そんな議論が実際問題としては出てまいります。お互いが相互監視し合おうという感じで集まりますので、すっとんきょうな話もいたしますが、ニューヨークのときのG5が余りにも衝撃的であったということから世界じゅうの
関心をより得るようになったのではないかと思っております。
やはりニューヨークのことから簡単にお話ししなければなりませんが、私は本当は会う機会は、十月六日ソウルでIMFの総会をやりますので、二週間しか違いませんからそのときに集まってもいいのではないかと思っておりました。が、どうしてもベーカーさんは二十二日に会いたい。しかし私は、ヨーロッパの三カ国が本当に来なければ、おれ一人遠いところへ行って、近いところの韓国で二週間待てばあるのにという気持ちがございましたけれども、最終的にヨーロッパが参加するというのがわかりましたので、私も成田からひそかに出た、こういう感じでございます。
向こうへ参りましたら、要するに上手にみんな整理いたしましたのは、先ほど申しました主要通貨国の通貨当局者による多角的サーべーランスの一環としての会合を持とうということで何となく集まったということになりましたが、本会合におきましては、通貨を初めとする
世界経済をめぐる諸問題ということの意見交換が行われました。
それで、その第一が
各国の
経済パフォーマンスと政策の協調が順調であること、そして
他方、それが現下の
為替レートに正しく反映されていないことということで認識が一致したわけです。
各国いろいろやっておるが、どうも今の
為替レートは
各国の
経済のファンダメンタルズを正確に反映しておると思えないではないか、こういうふうな意見の一致でございます。あれだけ議論して変動相場制にしたわけですから、本来は介入なんというのは邪道だというような気持ちも、私自身も
昭和四十六年、官房長官をしておりまして、直接の担当者ではございませんでしたけれども側面から見ておっても、いろいろ議論して変動相場制しかないというときに、やはり
市場にすべてゆだねるべきだという気持ちがないわけでもございませんけれども、どうしてもこれでは、私の方で言えば円安に過ぎる、
ドル高に過ぎる。五人集まったら、結局ドルの独歩高じゃないかというような認識で大体一致しまして、それで共同して政策をとろうや、密接に
協力しようや、こういうことになったわけでございます。
そうなりますと今度は、しかし日本はそれだけではいけません、これだけの貿易、経常収支の黒字は、やはりもっと
市場をオープンにしたり
内需政策をとったり、これもしなければならぬと思いますという附属文書も私は私なりに出しました。それも確認し合ったわけでございます。
それからいわゆる俗称協調介入が始まるわけでございます。それで急速に円高基調がずっと定着してきた、こういうことになりました。今度はやはりそれをフォローアップしてみにゃいけないではないかというので、これは私も勘で考えまして、十八日の土曜の晩ぐらいかあるいは一週間後にそれを設定して、どちらかで集まってもいいなという気持ちはございました。したがって、私のコロンビア大学で学位をちょうだいします会合をちょうど真ん中へ設定しておきますと、どちらであっても参加できるという時間的、距離的にいいところにおるという自信も持っておりましたが、開くことになったわけでございます。今度はロンドンでございました。
それで、フォローアップで結局大事なことは、いい方向へ行っておるから後戻りせぬようにしようやということだけは
合意したわけです。そうしますと、
開発途上国の問題等がまた議論になりますと、やはり当面金利が下がるということはあの人たちの累積債務のためには大変いいことでございます。それから、
内需ということを約束しておる私にとってもいいことでございます。
ただ、私どもとして気をつけなければいけませんのは、
澄田総裁いらっしゃいましたが、
公定歩合というものは法律上でも日銀の専権
事項でございます。政治が恣意に働くべきものではないという節度だけは、出ておる
大蔵大臣は皆ちゃんと踏まえております。そこで、我々の意識としては、
インフレも大体いいところへ行っておるじゃないか、日本と西ドイツはべらぼうによくて、ほかもややいいということでございましょう。
インフレが静まっておるというのは金利を下げる環境が整っておるというところまでが我々の意思統一で、あとは中央銀行さんの親方——親方は取り消します。
総裁方でそれぞれ
協力してやってもらったら一番いいな、こういうところまでにとどめてあります。その辺の節度は節度で考えております。
したがって、よく協調介入失敗とか、新聞に出ておりましたが、結局、金利問題というのはそれぞれの国の通貨の番人でございます中央銀行さんでお決めになることであるが、我々はそういう共通の認識は持った。そこでこれからの問題ということになります。金利問題になりますと、
経済の動向でございますとか、また、当然のこととしてレートの問題とか、いろいろ参考にしてお決めになることでございますが、これを私なりにこの間整理してみますと、五カ国はできるだけ政策を協調してやろうやということになっているわけですから、
経済政策の協調の一環としての金利問題が論じられた、そして環境が熟しておるというところまで
合意したということに尽きるんじゃないかなと思います。
それじゃ今度は、将来どうするか、こういう
坂口さんのお話でございますが、一つは、今問題になっておりますのは七カ国にしてくれという陳情、陳情というとちょっとおかしいのですが、申し入れがあっております。それはなるほどと思いますのは、SDRの構成国じゃないのでございますけれども、サミットで一緒になっておってどうだろうか、こういうことでございます。また、イタリーの場合などは、ヨーロッパの共通通貨の場合に介入をかなり余計されて被害者意識みたいなものもあるのかなという感じがしないわけでもございませんが、その問題はまだ結論が出ておりません。
我々、国際
会議に出ますと、ちょっと集まろうやということは将来ともあり得ると思っておりますが、何を議題にしようという感じではなく、集まった
合意が大体こういうことだったというような性格の会で、あくまでもインフォーマルな会であることは事実でございますけれども、世界で五人、中央銀行の
総裁と十人で集まれば、それぞれの国の通貨の価値があれだけ一遍に翌日変わるものだ、田舎の方へ行けば、おまえも偉いものになったなと私も言われるのでございますけれども、これは私が偉いのじゃなくて日本
経済がそれだけ評価されておるというにすぎないことでございます。余りにも九月二十二日が大きかったから、非常に権威のあるG5という格好になっていますが、本来は依然として非公式なものではないか。しかし、これからも折に触れそういうものはあって悪い課題じゃない。
それから、IMFの専務
理事さんが招集されれば、五カ国のお互いの
経済の相互干渉、おまえのところはこうやったらいいじゃないかとか、そういうような意見交換の場というものは、これはサミットでもある程度認知されておるというふうに考えます。
何といいますか、非常に現実そのままを述べましたので、あるいは整理した言葉になっていないかと思いますが、G5というものの性格として、今後もそういう非公式会合というものはやはりあり得るだろう。それから我々にとって、実際問題として、先進国でございますその五カ国の
経済力というのは相当なものでございますから、集まって話をすることに意義はいつもあるなという感じはしております。ただ、それでそれぞれの国の内政干渉にわたるようなところまで、話としては友達になっておりますから議論しますけれども、表面でそれを声明に出すというようなことはしないという性格のものでございます。
大変行ったり戻ったりの説明になりましたが、そのとおりをお話ししました。