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1986-04-23 第104回国会 衆議院 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十三日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 原田  憲君    理事 小里 貞利君 理事 左藤  恵君    理事 中島源太郎君 理事 松永  光君    理事 上田  哲君 理事 大出  俊君    理事 坂井 弘一君 理事 渡辺  朗君       伊藤 公介君    石原慎太郎君      小此木彦三郎君    津島 雄二君       吹田  愰君    藤本 孝雄君       渡辺 秀央君    稲葉 誠一君       河上 民雄君    土井たか子君       水田  稔君    神崎 武法君       二見 伸明君    中野 寛成君       正森 成二君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      平泉  渉君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         外務省アジア局         長       後藤 利雄君         外務省経済協力         局長      藤田 公郎君         外務省条約局表 小和田 恒君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         国税庁次長   塚越 則男君         国税庁調査査察         部長      日向  隆君         通商産業省通商         政策局長    黒田  真君         通商産業省貿易         局長      村岡 茂生君         通商産業省機械         情報産業局長  杉山  弘君  委員外出席者         法務省刑事局参         事官      馬場 俊行君         会計検査院長  大久保 孟君         会計検査院事務         総局次長    磯田  晋君         会計検査院事務         総局第一局長  三原 秀孝君         会計検査院事務         総局第五局長  秋本 勝彦君         参  考  人         (海外経済協力         基金総裁)   細見  卓君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   熊谷 和秀君         参  考  人         (国際協力事業         団総裁)    有田 圭輔君         特別委員会第一         調査室長    木村 俊之君     ――――――――――――― 四月二十三日  マルコス金脈疑獄徹底糾明に関する請願(東  中光雄君紹介)(第三六一八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  フィリピンに対する経済援助等に関する件      ――――◇―――――
  2. 原田憲

    原田委員長 これより会議を開きます。  フィリピンに対する経済援助等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、海外経済協力基金総裁細見草君及び同理事熊谷和秀君並びに国際協力事業団総裁有田圭輔君参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田憲

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 原田憲

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里貞利君。
  5. 小里貞利

    小里委員 本調査特別委員会が設置されまして第一号の質問者でございますが、現段階におきまするマルコス疑惑関連する内外の諸問題、特に基礎的な解明重点を置きたがらこれから要点を簡潔に質問を進めてまいりたいと思いますが、何分にも時間がおおむね一時間と制約されておりますから、答弁におきましても要点を簡潔にお願いを申し上げる次第でございます。  御案内のとおり、我が国の対フィリピン経済援助の長きにわたる功績等については、既に高く評価されてまいっておるところでございますが、殊に、我が国フィリピンに対する経済援助は、インドネシア、インド、タイに次ぐ第四番目の重点国でもあるわけでございます。御案内のとおり、有償資金協力におきましては、十六年の長期にわたりましておおむね四千七百億円の巨額高にも上がっておるわけであり、これは当然その借款国が返済をするべき一つ事業ではございますが、さらに無償資金協力のごときにおきましても、十四年間の長きにわたりまして、御案内のとおりおおむね五百五十億円という巨額実績を示しておるところであります。なおまた、御承知のとおり、技術協力の分野におきましても五百五十億円になんなんとする実績を示しておるところでございますが、この借款事業の制度の基本的な問題としてまずここで認識してかからなければならぬ問題を感ずる次第です。それはすなわち、いわゆるその相手国自助努力一つ前提といたしまして、それを助けるために相手国要請によりまして我が国は対応をいたしておるというこの基本的なシステムを前提に置かなければならぬと思うのでございますが、その意味におきまして、援助を提供してまいりました我が国は、相手国の主体的なプロジェクトを最も優先し、尊重して行ってきたものと思われるわけでございますが、まず、この点について、外務大臣基本的見解を問う次第であります。
  6. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国経済援助につきましては、今お話がありましたように、相手国自助努力を支えていくということを大きな眼点にいたしまして、開発途上国社会開発であるとかあるいはまた福祉の向上、民生の安定に資するということを目的にいたしましてこれまでやってまいったわけでございまして、我が国は、そういう中で、フィリピンを初めといたしまして、御指摘がございましたように、世界の開発途上国に対しましてその発展には大きな貢献をなしておる、こういうふうに確信をいたしておるわけであります。
  7. 小里貞利

    小里委員 相手の主体的なプロジェクト中心にして実施をしてきた、そしてまた、その実績内外に高く評価されておるところであるという答弁でありますが、その具体的な事業実施の中身におきまして、端的にお伺いいたしますが、適正に、かつまた有効に実施されてきたとお考えであるのか、あるいはまた、ただいま外務大臣も触れておいでになりましたように、基本的に所期の目的を具体的な形において達成しておる、裏返しに言いますと、その援助を受けた相手も、その経過に対しては高く評価をしておるものと私は察したいのでありますが、その辺のことについての基本的な見解をお伺いいたしたいと思います。  なおまた、この種の援助行為というものは、二国間におきましてただ単純に、経済援助をいたします、それをお受けいたしますというプロジェクト実施することのみが目的ではないのであって、その根底にある相互の国家間あるいは国民的な合意、さらには友好親善を基本的には促進するものでなければならぬと思うのでありますが、それらの点について外務大臣、いかがでございますか。
  8. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 我が国経済援助経済協力につきましては、先ほどお話しのように、円借それから無償援助、そして技術援助、この三本柱になっておるわけでございます。我が国先進工業国としてその国際的な責任を果たすという立場から、開発途上国に対しまして、これまでこれらの三本柱を中心にして援助を拡大してまいりました。三年倍増、五年倍増、そして今七年倍増計画を持って援助を進めておるわけでございます。  私は全体的に見て、この我が国の行っておる援助は、被援助国からの非常に高い評価を得ておる、私自身も各国を歴訪いたしまして各国の首脳の皆さんとお目にかかってきておるわけでございますが、全体的に我が国援助各国自助努力に大きな貢献をしておる、また開発に大きく役立っておるということで評価をし、感謝をされておるというのが実情である、全体的にはそういうのが実情である、私はそういうふうに考えております。
  9. 小里貞利

    小里委員 計画におきましても、あるいは推進においても、またその経過においても、さらにまた援助を受けたフィリピンにおいても、我が日本政府と同じように高く評価するものである、さらにまた、両国友好親善に大きく役立っておりますというお話でございますが、にもかかわらず、今や内外におきまする例の、いわゆるマルコス疑惑にかかわる内外の仄聞する情報等によりましては、御案内のとおり対比援助が誤解をされたりあるいは奇怪千万な情報などが飛び交っておることも御承知かと思います。いわゆるマルコス疑惑発展をいたしまして、発展と申し上げますかめぐって本調査特別委員会が設置されましたいきさつなどもよく御承知のはずでございますが、今世間で流布されておる、我々が仄聞するマルコス疑惑の実態とは一体何なのか。まず、この辺の基本的なところを、大づかみで結構でございますが、御説明をいただきたいと思います。
  10. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 一般にマルコス疑惑と言われるものについて特に定義があるわけではございませんけれども、私どもの認識では、マルコス疑惑とは、マルコスフィリピン大統領が何らかの形でフィリピンの法律に照らして不正蓄財を行ったのではないかというのが一般的に言われるマルコス疑惑かと思います。特にその中で我が国との関係について申し上げますれば、いわゆるマルコス疑惑と言われるものは、円借款事業関連いたしまして日本企業よりフィリピン側コミッションが支払われ、それがマルコスに渡っていたのではないかということであろうかと思いますが、その場合、我が国企業が支払ったとされるコミッションフィリピン政府高官に渡ったものか否か、またそれがフィリピン国内法に違反するか否か等の問題が一番重要な点であろうかと思います。これが私ども理解するいわゆるマルコス疑惑かと思いますが、したがいまして、事の性質上、このような疑惑については、第一義的にはフィリピン政府が主体的に真相を究明すべきものであろうかというように考えております。
  11. 小里貞利

    小里委員 ただいまの局長答弁によりますと、いわゆるマルコス疑惑というものは、フィリピン国内においてうわさがあり、かつまた発生したものであるごとき説明であります。同時にまた、受注をいたしましたいわゆる企業フィリピン側コミッションを支払って、そしてそのコミッションの全部かまたは一部が前マルコス大統領または当時の高位高官に渡されたものであるごとく、それを肯定せられるやにも承ったわけでございますが、そういうような一つ説明が最も正しい一つの現状であるといたしますれば、例えば次のようなことに対して日本政府はどういう判断を示しておるのか、具体的な事例をとってお伺いしてみたいと思うのです。  その一つは、御承知のとおり、先月の二十五、六日でございましたか、フィリピンサンチェス労働雇用大臣がやってまいりまして、次のようなコメントをしたかのごとく私どもは聞いております。すなわち、日本受注企業がいわゆるフィリピン経済堕落をせしめた、その罪は大きいですぞと、いわゆる前マルコス大統領の周辺にそのような不明朗ないわゆるコミッション等を贈った日本企業は締め出しますよ、こういうような二段階コメントを行っております。これはそういう不明あるいは不当なあるいは不正なそのようないわゆる契約執行に当たった受注企業があるとすれば、断固これは排除しなければならぬことは当然でありますけれども、しかしながら、その前段が私は非常に理解に苦しむのであります。日本受注企業フィリピン経済堕落のために貢献をしておりますぞというこの断定的な評価先ほど外務大臣言明とは相反する一つの構えでございまして、このような言明は一体どういうふうに理解すればいいのか。  しかも、これは言わずもがなのことでございますが、援助をしておる国に援助を受けておる国の政府の閣僚がやってまいりまして、そして直ちにその問題を極めて重大な犯罪があるがごとき前提におきましてそういう言明をなさったということは一体どういうふうに理解をすればいいのか、まずこれもお伺いいたしたいわけであります。
  12. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 ただいま御指摘の三月二十七日のサンチェスフィリピン労働雇用大臣日本におられましたときの発言でございますが、その発言を私どもつぶさに、非常に関心を持って後で調べたわけでございますが、サンチェス大臣も非常に慎重な言い回しを今委員が申されましたようにされております。うわさを根拠に話し合うことはできない、仮説をもとに話し合うことは何の役にも立たないだろう、で、もしというようなことで今委員のようなお話がされておるわけでございます。  さらに、サンチェス労働雇用大臣はいわゆる円借に関係する直接の所管大臣でもございませんので、このあたり私どもとしては留意する必要があろうかと思いますが、いずれにいたしましても本件フィリピン政府側判断にかかわる問題でございますし、今問題をいろいろ調査中でございますので、これ以上このサンチェス労働大臣発言について私どもとしては立ち入ったコメントを差し控えた方がよかろうかと、かように考える次第でございます。
  13. 小里貞利

    小里委員 サンチェス発言についてはこれでおきますが、この種の問題の解明は少なくとも現段階においては具体的に確たる証拠、論拠の上で今議論することがなかなか困難な側面がありますから、私はこのように具体的事例でもって政府感覚なり姿勢を問いただそうといたしておるわけでありますが、そのような観点でもう一点お伺いいたします。  それから一週間ぐらい前の話でございますか、フィリピン政府が第十三次の円借款関連をいたしまして、御案内のとおり、十一のプロジェクト交換公文等行われておりますこと、署名なされておりますことは御承知のとおりであります。その十一の中で四つの既に交換公文署名に相なった事項につきまして、日本政府返上をいたしましょうか、この際一時保留でございますか、そのような申し入れがあったかのごとく聞く。これが一体本当であるのかどうか。さらに、そのような四つプロジェクト返上がなぜなされたのか。  私どもが仄聞するところによりますと、その中の二つは前マルコス政権のいわゆる利益に直結するものであるごとく判断をして、このようなものは受け入れるわけにはいきませんとアキノ政権返上したのではないかとも言われております。あるいはまた、あと二つについてはフィリピン経済あるいは産業開発の面から、実効性あるいは緊急性と申し上げましょうか、そういう観点から返上をするものであったとも言われておりますが、その後者の方であれば、これはある意味におきましては理解できないわけでもございません。政権がかわった、だから政策優先度も変わる、そういうこともあり得るでしょうけれども、ただし、前段のあたかも日本借款事業というものが当時マルコス政権貢献するかのごとき位置づけをなされるということは極めてざんきにたえないと思うのでありますが、日本政府はこれについてどういう見解を持っておいでなのか、きちんとひとつお伺いしたいと思うのです。
  14. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 委員指摘のとおり、第十三次の円借款につきましては、十一のプロジェクトにつきまして昨年末に交換公文の締結を下しております。その後、新政権成立に伴いまして、最初の先方の話では、三月二十一日、我が国政府から協議チームが派遣をされました際に、先方政府責任者、具体的には経済開発庁長官及び大蔵大臣でございますが、新しい政府になったことに伴って当然のことながら政策変更がある。前政権と比べて、重点を例えば農村開発等に置いていきたい、そういう観点に立って、既に交換公文は下しているけれども、十一のプロジェクトについてもう一回フィリピン政府部内で再検討しているので、その政策優先度に照らして、当時は二つぐらいと言っておりましたけれども、二、三のプロジェクトについては先送りと申しますか、緊急度ということからいってちょっと後回しにするということがあるかもしれないので、その点はぜひ協議に応じてもらいたい、こういうお話がございました。その後先方から協議を行いたいというお話がございまして、現在両国政府間で協議中でございますので、最終的に幾つのプロジェクト先送りになるのか、その理由がどうなるのかということにつきましては、確たることは今のところ結論が出ておりません。しかしながら、マルコス云々ということではございませんで、新政権になりまして政策重点が変わってきたんだ、こういう御説明でございました。
  15. 小里貞利

    小里委員 計画変更については、向こうの政策変更による理由が主である、そういうふうに理解をいたします。したがいまして、今進行中でもございますし、先ほど指摘申し上げましたように、いわゆるマルコス政権に直結する不明朗な理由によるものではない、かように理解をするものでありますが、この機会に、先ほども若干お聞き申し上げたところでございますが、いわゆるコミッション、言うなればリベート、このマルコスリベート世間で言われておりまするこの行為について、政府の基本的な見解を聞いてみたいと思うのです。  例えば日本企業が、契約成立いたしますと、現地のいわゆるアシジェニト投資会社という名前が登場するわけでございますが、このような代理店などにコミッションを支払う、そしてまた、そういうコミッションを支払った一連契約の中に、たまたま今問題になっておる円借款事業も含まれていた、こういうふうに指摘されるわけでございますが、その辺の実情、これは簡単でいいですから、含まれる、含まれていない。  それから、さらに大事なことは、このコミッションの基本的な性格であります。現地における商習慣、国柄あるいはその国の習慣等もありましょうから、商いの習慣商習慣等からくる必然的なものも、必然性を持ったものもあるかとも思われるわけでありますが、一体、我々が通常考えておる、既成概念として持っておるリベートやあるいは堕落、こういうものと今言われるコミッションとの区分、この辺がどのように理解すればいいのか、可能な範囲で結構でございますが。
  16. 黒田真

    黒田(真)政府委員 一般に貿易取引が行われます場合、いろいろな手数料リベートといったようなものが介在することはあるわけでございます。例えば輸出で例をとってみますと、仕向け国で各種の業務がいろいろ発生してまいります。情報を収集いたしますとかあるいは信用調査契約成立販売等のあっせん等々、いろいろな役務が発生をいたしまして、そのために代理手数料コミッションというような形でこれらの業務に対する支払いが行われるということは、通常貿易取引、今の場合で申しますと輸出取引においては起こっている、通常商取引の一部を構成するというふうに考えていいものかと思います。  なお、リベートという言葉は、通常商取引の中では、一度支払った代金の一部が何らかの形で相手方に戻される、それは商品の販売促進というような名目が立てられることが多いと思いますが、そういった割り戻しという特殊な形態に着目した言葉かと思われます。したがって、リベートの形をとるコミッションというようなこともあるいはあり得るかと思いますが、そういうような意味からいいますと、一般的な貿易関係におきまして、あるいはさらに言えばより広く商取引の中で、そういったコミッションあるいはリベートというものが通常含まれているということ自身特別なことではないということが言えるのではないかと思います。
  17. 小里貞利

    小里委員 時間がありませんから急ぎますが、ただいまの答弁の中で、一般的に商取引の中で手数料がやりとりされる、これは必然的なものじゃなかろうか、こういう手数料の構成の範疇にある、すなわち、この私が先ほどお伺いしたコミッション、こういうふうに包括してお考えのようでありますが、しからばお伺いいたしますが、我が国フィリピンに対しまして、経済援助を受けるフィリピン立場からいいますと、恐らくそのシェアは四四、五%だろうと聞いております。あとの五四、五%は日本以外の他国援助しておるわけです。では、その他国フィリピン商取引におきまして、いわゆる借款契約事業契約において、そのようなコミッション他国受注企業は支払っていないのかどうか。それから、支払っておるといたしますと、これらの問題は今のところ私どもの知る限りにおいては余り表ざたにされていない、浮き彫りにされてこない、そういう感じを私どもは受けておるのでありますが、いかがですか。
  18. 黒田真

    黒田(真)政府委員 私どもも詳しいことを必ずしも承知しておるわけではございませんけれども代理店手数料支払いというような形のものは、先ほどお答えしましたように、我が国企業の活動に特有なものだというふうには考えられないわけでございまして、基本的には、他の企業においても同様なことが行われているものだというふうに考えてしかるべきかと思います。  ただ、本件との関連でその辺がどうなっているかということにつきましては、先生御指摘のとおり、必ずしも今までそれに関する報道については私ども承知していないということでございます。
  19. 小里貞利

    小里委員 ただいま御明言なさったように、コミッションそのもの我が国受注企業固有のものではなさそうだ、そうでないというふうに理解をするわけでありますが、その前後でお伺いいたしましたことは一応お聞き申し上げておきますが、次に、そのような、ただいま答弁にあるような性格コミッションであっても、そのコミッションの額も一〇%なり一五%なりいろいろな数字が流布されておるわけでありますが、私ども感覚からいいますと必ずしも妥当な額とも思えないような節もある、感じもする。それはさておきまして、一体そのようなコミッションというものは出どころはどこなんだろうか。  例えば日本は、先ほどもちょっと申し上げましたように、相手要請によりまして、日本国政府ひとつ借款援助を願います、こういう要請がある、それを受けて政府は、いわゆるミッションを政府なり基金から送って現地でも調査をする、また先ほど大臣お答えのとおり、相手国の主体的なプロジェクトというものを総体的に検閲もする、精査もする、そして政府交換公文、そして借款契約、それからまた指名入札契約一連事業も直接間接ながら監査も一応しておいでになるようであります。さらにまた事後評価もなさっておられるのですが、それらの一連事業契約作業の中で、今お答えになりました性格のものでたとえあったにしても、その出どころというものは一体どこなんだろうか。  例えて申し上げますと、ある人は水増しじゃないか、あるいは手抜きじゃないか、あるいはなれ合いじゃないか、あるいは日本受注企業は今仕事がないから無理してやっているのだ、いろいろな説が流されております。あるいはまた一面におきますと、設計あるいは単価あるいは資材調達あるいは全体のプロジェクト事業計画そのもの契約成立後に調整しておられるごとく言われておる側面もあるわけでございますが、この辺は非常に重要な問題を時間がないから私が三点今並べて整理してお伺いしておるわけでありますが、ひとつ責任ある答弁を願いたいと思います。
  20. 黒田真

    黒田(真)政府委員 この手数料あるいはコミッションというものはそれぞれのある種の、先ほど例示いたしましたような役務とかサービスとか、あるいはもう少しはっきりしない要素を含むかもしれませんが、そういったものに対して支払われている。ものだということだと思います。  したがいまして、これは非常にケース・バイ・ケースで変わってくるものだろうと思いますし、なかなか適正な水準あるいは妥当な水準が幾らかということは申し上げかねる要素があろうかと思います。  他方、それらはある種のサービスあるいはある種の役務というものを前提とし頭に置いているものでございますから、コストの一部を構成するものだというふうに通常観念されているというふうに言ってよろしいのではないかと思います。
  21. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 ただいま通産省からお答えがございましたけれども、それに若干つけ加えてお答えを申し上げたいと思います。  円借款につきましては、これが適正使用さるべきであるという条項が交換公文借款契約の中に明示されております。これに背馳するような事例があるかどうか、究明しているところでございます。  基金に対しましても、実態把握につきまして大臣から総裁に対して指示もしております。これらの究明の結果、改善すべき点があれば改善を図ってまいるということで今作業を進めているところでございます。
  22. 小里貞利

    小里委員 コミッション性格をめぐりまして、そしてまたその出所についても、いわゆる事務的に事業契約書の中身を非常に微に入り細をうがってと申し上げますか、これを解析していかなければ、なかなか簡単に出てくる性質のものでもないということはよくわかるのであります。  そこで、話を進めまして、一体今度のコミッション論議、この行方の本質は、先ほども若干答弁がありましたように、フィリピン国内におきまして事業契約契約事業の遂行の過程において発生をいたしておるか、こういうふうに理解をするわけでありまして、言いかえますと、先ほどマルコス前大統領あるいは当時の高位高官にも一部あるいは全部が渡されたごとく解されるようなお話もあるわけでございますが、一体この問題はその真相を具体的に解明をいたさなければならぬ、これは当然でありますが、まずその真相解明責任は、トラブルが発生をしたフィリピン側にある、フィリピン政府にあるのじゃないか、こういうふうに私は理解をするわけであります。  さような観点からいきますと、例えばこれも具体的事例で申し上げますが、四月十日の各紙の朝刊であったと思うのでありますが、アキノ新大統領は、日本政府がこの一連マルコス疑惑解明をする上において、必要があれば政府綱紀改善大統領委員会委員長でございますか、サロンガ氏を日本に派遣して協力をする用意がある、こういうようなコメントをなさったやに聞くわけでございますが、この真相、事実であるのかないのか、さらに、これが事実であるといたしますと、私似若干疑問も感じないわけでもないのです。  それは、まずフィリピン政府におきまして真相を究明して、そして責任の所在を明確に一応される、あるいは明確にされる過程におきまして、必要があらば日本政府に対して今こういう問題がフィリピン現地において起こっている、日本政府援助した国の一員、一つの当事者でもあるから協力をしてくれないか、こういうようなところから手続が始まってくるのが一応の節度ではなかろうかとも私は思うのでありますが、日本政府はそのような面はどういうふうに考えるのか。それから、政府は今の段階では答えにくい側面があるとすれば、このサロンガ委員長の訪日の日程、これは正式に知っているのかどうか、この程度は御説明をいただかなければならぬと思うわけでありますが、いかがですか。
  23. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今いろいろとお話がありましたが、いわゆるリベート問題の本質についてですが、我が国企業が支払ったとされるコミッションフィリピン政府高官に渡ったものか否か、またそれがフィリピン国内法に違反するか否かの問題であろうと思います。したがって、第一義的にはこの疑惑フィリピン政府が主体的に真相を究明すべきであると考えられます。また、実際にフィリピンにおきましても、事態の究明のための諸活動が行われておる、こういうふうに承知をいたしております。  サロンガ委員長日本を訪問されるということにつきましては、いろいろと報道等では承知をいたしておりますが、政府としてはまだそういう話は直接聞いておりません。
  24. 小里貞利

    小里委員 サロンガ委員長の訪日日程については正式に聞いていない、そういうことでございますが、それはわかります。  先ほどお伺いいたしましたいわゆる意見の中で申し上げたのでありますが、フィリピン政府責任を持ってこのマルコス疑惑の解則はやります、ついては日本政府も当事国の一人として協力をしてくれ、これには積極的に協力をする用意がある、こういうふうに理解をいたしたいのでありますが、もちろんそのためにはいわゆる司法上の手続、共助行為等についてのいろんな両国間の協議も必要であると思うのでありますが、まず積極的に協力をいたしますよ、その辺について一言お聞かせいただきたいと思います。
  25. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピン政府から今日起こっておる問題について究明をしたい、これに対して日本政府の協力を求めたい、こういう御要請があれば、日本政府といたしましては、これに対しましてできる限りの御協力は申し上げたい、こういうふうに考えております。
  26. 小里貞利

    小里委員 安倍大臣の大変明快にして積極的な御答弁をお伺いいたしまして、次に、アキノ政権は今後我が国に対しまして経済援助を求める、これは当然意思があるだろうと私どもはそのように理解をいたします。昨日の本会議場における中曽根・レーガン会談の結果におきましても、フィリピン援助はひとつ温かく見守っていこうじゃないかという話をしてきたという報告もあったぐらいでございますが、そういう方針もさることながら、アキノ政権自身がそういう方針に沿って何か新しい、日本政府に対しまして就任後申し出をしてきているのかどうか、そうしてまた具体的にこのたびのこのような一連の騒ぎも含めまして何か日本政府に対して意見の表示があったのか、その辺をひとつ説明いただきたいと思います。
  27. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 アキノ政権成立をいたしまして、我が国からも外務次官といいますか審議官も派遣をいたしましたし、またその他いろいろの関係者もおいでになってアキノ大統領あるいはラウレル副大統領等と会談をされております。そういう中で、アキノ大統領もラウレル副大統領も日本との友好関係を今後とも強く維持してまいりたい、そうしてフィリピンのこの困難な経済を回復するために日本の強力な支援、援助を要望したいという意向が表明されておるわけでございます。  我々は、それは真剣に受けとめております。そうして、誠意を持って、フィリピンの今直面している経済は大変困難な状況であろうと思っております、この困難な状況を回復するために、日本としてもできるだけのひとつ御支援、御協力は申し上げなければならぬ、そういう旨はお伝えをいたしております。具体的に今それじゃどうするかということについては、政府当局間で話し合いはまだそこまでは進んでいない、これかもいろいろの面で協議が始まるであろう、こういうふうに考えております。
  28. 小里貞利

    小里委員 大変明快な御答弁でございます。  そこで、時間もありませんから話をさらに続けてまいるわけでございますが、まずこのような借款事業というのは、援助をする国は謙虚に、援助を受ける国は節度正しく、そしてまた言うなれば有効にこれを活用するという基本的な姿勢が要請されると私は思うのです。  そういう前提から申し上げますと、我が日本もこのたびの、今ここで結論的に申し上げるわけじゃないんですが、若干世間でいろいろうわさされておる、中身は大体基礎的なことは今理解できましたけれども日本政府が対応しておる、考えておるその辺のアウトラインはわかったつもりでありますけれども、やはり日本政府としてもこの際一応この借款事業について、特に実施の手段においてシステム等をいろいろ検討をしてみる必要もあるかな、こういう感じがいたします。そのことは後ほど二、三かいつまんで整理をして質問申し上げますが、その前に、フィリピン政府に対してもこの際私はその辺の率直な、借款事業とは一体基本的には何が問われるか、何が一番重要な本質を持っているのか、その辺をお互いに話し合ってみる必要もあるのではないか、こういうことを感じます。  例えば、御承知だと思うのでありますが、この前国家経済開発庁長官でございますが、モンソドという長官がいわゆるマルコス疑惑にかかわる一つコメントの中で、マルコス疑惑に該当するそのコミッションのことでしょう、いわゆる金の相当額は他日日本に返さなくてもいいんじゃないか、こういうことを現地お話しになったと聞くのでありますが、それは日本に聞こえてくるわけですから、新政権が、今安倍大臣がお話しになりましたように、借款事業を継続してお願いしますよ、また日本政府が、外務大臣が、いや、それは好意を持っておこたえいたします、それが新しい舞台で進展中でありますとおっしゃるにもかかわらず、このような話が出てくるということは、私は非常に理解に苦しむわけであります。このモンソド長官がそういうことを言明されたことが事実であるとかないとか、それをあえてここで確かめようとも思わぬけれども、そのようないわゆる話題が取り交わされるところに、私は基本的にもっとこの際借款事業のあり方というものはお互いに襟度を持って節度を正してきちんと整理しなければならぬという必要性を感ずるわけでありますが、いかがでございますか。
  29. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 円借款を含む我が国経済協力は、被援助国自助努力を尊重しながら経済社会開発であるとかあるいは民生の安定、福祉の向上に貢献することを目的としております。こうした考え方に基づきまして、我が国が協力する円借款プロジェクト実施主体は、これはおくまでも被援助国でありまして、借款の適正使用についても第一義的にはやはり相手国側が義務を負うものである、こういうふうに思うわけでございます。しかし、私は、こういうふうにマルコス文書等が問題になっていろいろと国会でもここに調査特別委員会まで設けられて、この援助のあり方等についても論議していただいておる、そしてまた我々自体もこれから援助を拡大をしていく、こういう中でやはり我が国民も納得していただくような形で、またさらにこの援助そのものが適正にまた効果的、効率的に実行されるという形で、やはり何か改善すべき点は率直に今までの援助のあり方というものを見ながら改善していく必要があると思います。第一義的には、やはり相手国がいろんな問題できちっとやっていただかなきゃならぬと思いますが、日本自体としてもそういう点について改善すべき点があれば改善をしなきゃならぬ、こういうふうに考えていろいろと今研究を進めておるわけでございます。  同時にまた、援助、借款につきましてこれは返す必要がないじゃないかというような議論もあったとか報道がされたような節もあるわけでございますが、これについては私はちっとも心配をしておりません。アキノ政権も国際条約、国際協定、国際的な約束はきちっと守るということを言っておられるわけでございますし、我が方としましても、その点についてフィリピン政府にも照会をいたしましたところ、フィリピン政府としては今後とも対外債務の支払いを予定どおり行っていくという考えであることを回答を得ておりますから、心配はいたしておらないわけであります。やはり約束はお互いにきちっと守っていかなきゃならぬ、また同時に、改めるところはお互いに改めていく、本当に信頼関係に基づいた協力が行われることが必要であろう、こういうふうに思うわけであります。
  30. 小里貞利

    小里委員 大変明快にきちんとしたお答えをいただいておりますが、時間の関係がありますから、次に、今度は我が国のいわゆる政府あるいは基金におきまして、この際反省とまでは言わなくとも、留意しなければならぬ事項等もあるかと思うのです。その一つ。この前からいろいろ言われておりますが、この問題の解明努力の一つとして、関係企業から事情を聞いたらどうか、もっとその辺を調査してみる必要があるかということがあるのではないかということが指摘もされておるわけでございますが、その後政府はどのような対応措置をとっておいでになりますか。もとより、これは手続としては慎重に取り運ばなければならぬことだとは思いますが、いかがですか。
  31. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 近く円借款関係四省庁で、今まで公表されておりますソラーズ小委員会資料の分析等を、事実関係を確認作業いたします一環としまして、関係企業から任意にお話を伺おうということで準備をいたしておりまして、現在、どのようなことを伺うかという項目を関係企業にお伝えしまして準備をしていただいているという状況にございます。関係の方々もかわられたりいろいろしておられますので、企業側の方でもいろいろ準備の御都合があるというふうに承っておりますので、そういう点で準備を始めていただいているというのが現在の状況でございます。ただ、ただいま委員が御指摘のとおり、もとよりこのような活動は、私ども行政官庁といたしましては慎重の上にも慎重な配慮をして進めてまいりたいと思っております。
  32. 小里貞利

    小里委員 関係企業に対する任意調査は今準備中であるということでございますから、一応期待申し上げたいと思います。  次に、先ほどから指摘申し上げておりまするような、仮に円借款フィリピンにおきまして不正蓄財、不正、正しからざるもの、不正蓄財等にこれが消費された、消化されたというものであるとすれば、これは日本政府交換公文あるいは借款事業契約書等によって日本政府に対して返還を求めるべきものではないかという意見もあります。あるいは政府のある閣僚も、それに尊しきがごとき発言もなさったやに聞いておるわけでございますが、これは一体その後我が政府はどういうふうに対応いたしておるのか、お伺いいたします。
  33. 平泉渉

    ○平泉国務大臣 今お話しのとおり、先ほども申しておりますが、円借款というのはその供与目的に従って適正に使われなければならぬ、こういうことが交換公文借款契約相手国政府との間に国際的に約束をされておるわけでございます。したがって、その事実関係そのものはまだ現在の段階では全く明らかでない状況でございますが、仮にそういう仮定を置きまして、フィリピン政府またはフィリピン政府高官円借款目的外に使用したということが全く明らかになった、こういう場合におきましては、海外経済協力基金相手国政府との借款契約上に義務違反があった、こういうことになるわけでございまして、その場合は期限前の償還を求めることができるという規定があることは御承知のとおりでございます。ただ問題は、この規定を発動するかどうか、こういうことはこれはできる、こういうことでございますから、これをやることを本当にやるか、こういうことになりますれば、これはまた十分に両国政府間で協議をしなければならぬ。相手政府との間の、これはまさにまず第一に交換公文によって両国間の外交案件として処理されるべき問題ではあるまいか、かように考えておるわけでございます。
  34. 小里貞利

    小里委員 現段階におきましては、マルコス疑惑中心に、このフィリピン相手にした借款事業の全容というものがまだ具体的にきちんと解明されたものでもございませんし、ここでこれからの対応を具体的に詰めようとは思いませんけれども、少なくともこの三十六年間ないし有償資金協力十六年間の経験から考えまして、この際日本政府としては、借款予算を決めさえすればとまでは言わないけれども、借款予算を決めたら後は実施機関を主体にしてその援助を受ける相手国との交渉に当たり、そして事業の遂行を図り、そしていわゆる事業の総括までやらせるというこの一連の作業は妥当なるものとしても、もっと積極的に、国民が納得できるようにあるいはこのような紛らわしい一つの疑問などが飛び交うようなことがないように、きちんとこの際整理をするべき事項もあるかな、こういう感じを受けるわけです。  例えば、もっと申し上げますなれば、実施機関のOECF等に対しましても国会がチェックする、会計検査院がやる、あるいは国税庁なども立ち入る、これは会計検査院も現在はもうこの対象にはしておると思うのでありますが、日常業務として入っておるとは思いますけれども、もっとそれらのことを含めまして有効適切に、しかも国民の納得が得られるように、疑惑の、疑問の一点も差し挟む余地がないがごとき結果を生むように、システムの上で徹底的にこの際研究をする必要があるのではないか、かように私は思うわけであります。決して私は、現在日本国内におきまして不明朗な、不正な事件が発生しておりますよという前提で言っておるわけではない。このような、今申し上げましたように、不明朗な空気が若干たりとも漂っておるということは事実なんですから、そういうものをきちんと払拭できる、制度の上で、システムの上で検討してみる必要はないのか、そして、言うなれば借款をその借款供与国の立場で公正な事業推進を確保する、こういうことに努めなければならぬと思うのでありますが、最後にお伺いいたします。
  35. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 我が国の制度として考えますと、事前調査の充実でございますとか交換公文における適正使用条項の付与、公正な入札の確保等々、制度としてはかなり完備したものがあると考えます。それに加えまして、事後評価調査ということで、行いました経済協力案件の事後評価というものにも徹底を期すように努めておりますが、委員も御指摘のとおり、経済協力という事業自体が各国ともわずか四半世紀の歴史しか持っておりません。常時改善を続けていく事業でもございますので、ただいまの御指摘、今後の当委員会における御論議等も十分考慮に入れまして改善の努力を重ねてまいりたいと存じております。
  36. 小里貞利

    小里委員 どうも失礼しました。
  37. 原田憲

    原田委員長 この際、伊藤公介君より関連質疑の申し出があります。小里君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。
  38. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 極めて限られた時間でありますので、結論的なことから直接伺ってまいりたいと思います。  さまざまな報道を通じて、我々が一九五六年以来フィリピンに賠償、無償援助をして以来、ある意味では誇りを持って隣人に役に立ってきたと思ってきた経済援助が、さまざまな疑惑があるということが明らかになって、しかも年間一兆円という我々の大切な税金を外国に援助をして、その使途についてさまざまな問題があるという指摘をされるに至っては、日本の国民の一人一人にはやりきれない気持ちがあることは事実であります。この際、私は、この委員会を通じて日本政府が、あるいはそれぞれの省庁がこの真相解明に全力を挙げ、かつまた、これからの、どういうシステムにしたら再びこうした疑惑を生まないかというような制度と仕組みを改めて考え直さなければならない、そのためにこの委員会が大きな役割を果たさなければならないと思っている一人でございます。  そこで、私どもは今まで予算委員会でもこのフィリピン援助については幾多の質疑がございました。あるいはさまざまな報道を通じて我々が感じますことは、まだその全貌が明らかになっていないということであります。総理大臣も外務大臣委員会の中で、この真相を明らかにするために全力を尽くすと答弁をされておりますが、まず、今資料が依然として残っていると言われるサロンガ委員長のもとの資料、アメリカのソラーズ委員会の資料、この資料を日本側に、その全貌を明らかにするために何らかの手を打ったかどうかを伺いたいと思います。
  39. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 資料の所在については、今先生が御指摘のように二カ所あるかと思います。  一つはアメリカだと思います。これは米国政府及び議会の関係当局によって二千ページにわたる資料の公表がなされたわけでございます。これは主としてマルコス前大統領が米国に持ち込んだときの書類でございますが、これにつきまして、ソラーズ委員会を通じまして公表されました二千ページのものにつきましては既に公表されておりますし、それぞれ日本においても公表しておりますし、先生方のお手元に届いているかと思いますが、それ以外の部分につきましては米国はこれを公表しておりません。その中のまだ公表されていない部分につきましては、米国議会におきましてあるいはソラーズ委員会において、日本企業関係する部分はないということを明言されておりますので、私どもとしては現時点においてこれを特に要求する必要はないと考えております。  また、フィリピンにおきましてもまだ公表された資料はないと承知しておりますので、私どもとしては、現時点においてこのようにまだ公表されていない資料の要求を行うか否かにつきましては、現在公表された資料についての調査を、精査を行っている段階でございますので、今後の対応について現段階でどうであるかという確たることを申し上げる状況にはないということでございます。
  40. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 アメリカ側がどう言うかということはともかくとして、さまざまな資料がまだ残っているということでありますから、その真相を明らかにするというならば、日本の外務省はソラーズ委員会に対してもサロンガ委員長に対しても、その中に日本の資料が含まれているかどうかということをきちっと問いただす必要があるのではないですか。そういう、向こう側に問い合わせをした事実は今まであるのですか、ないのですか。
  41. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 先ほど私が答弁させていただいたような立場でございますので、今の御質問についてはそういう事実はございません。
  42. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 局長、そんなことじゃだめだよ。真相を明らかにするというなら、ちゃんと資料は取り寄せる、内容を明らかにするためにはそれだけの努力はしなければならぬと思いますがね。私は、きちっと資料だけは手元に取り寄せる、あるいはその中に日本関係のものがあるかどうかということだけの確認は責任を持って外務省はやるべきだと思いますが、いかがですか。
  43. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど来大臣が御答弁申し上げておりますように、本件の真相解明は第一義的にはフィリピン側が行うべき問題でございます。したがいまして、フィリピン側がいろいろの事態解明の努力を行っておられる過程で我が方に対して協力の要望があれば、その協力要望の内容を見て、それに応じた適当な対応をするというのが我が方の対応ぶりでございます。  公表資料以外に資料を要求しないかという御指摘でございますけれども政府政府関係で何らかの要望を先方にいたします場合には、その要望する根拠、目的等を特定して先方と話をし、その要望によって得られる資料がいかなる条件で我が方に提供されるかということもきちんと詰めた上で行われるべきものと考えますし、現在のところそのような必要は私どもとしては考えておりません。
  44. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 私は、日本の国民が多くの疑惑を持っているという大変残念な結果について真相を明らかにしてほしいという立場で、今後しっかり両国に対してあらゆる資料を集め、また我が国に関する資料があるかどうかを直接両国に対して責任ある立場からただしてほしい、要求してほしいということを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、こうした一連の問題をきちっと今後チェックをしていく必要がある。私も初めてフィリピンの大統領選挙で現地に行きましたときに、マルコス政権下の当時の閣僚の中からも現地日本の商社のいろいろな問題が個人的にも指摘をされました。私は大変驚きました。帰ってきて、一体日本はこの経済援助についてどういうチェックをしているか外務省に伺いました。それに対しては評価調査があるというお話でした。評価調査のかなりのものに私は目を通しました。しかし、この評価調査では我が国援助したお金については一円たりとも追及できない、追跡ができない。どういう形でお金が使われていたかということは、この評価調査目的ではありません。建物がそこにできているかどうか、それがその現地でどのように活用されているかといういわゆる評価調査であります。しかし、我が国はこれから七年間にアメリカに匹敵する援助をしょうというわけでありますが、そのアメリカは外国に援助をするときには、きちっと会計検査を条件にして海外援助をしているわけであります。しかし、我が国相手国に対しては会計検査がいささかもできない。この制度は改めて、我が国が今後援助をする場合にはきちっと少なくとも会計検査ができる、我が国の納税者に対しても報告ができる、そういう制度に改めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 二点御質問があったかと思います。  第一点は会計検査の件でございます。委員指摘のとおり米国はそのような制度をとっておりますけれども日本を含みます。その他の国は、経済協力というものが相手国の自主的な努力を支援するものであるという建前に立ちまして、会計検査云々という交換公文上の取り決め等は行っておりません。事後評価相手国の協力を得ながら経済協力の成果を、いかに効果的、効率的に経済協力が行われているかという評価を行っているというのが実情でございます。  米国的な方式をとるべきではないかという第二点の御示唆につきましては、米国のとっております方式がアメリカだけが援助国であった時代からの引き続いての遺制と申しますか、そういう制度でございまして、果たしてこのような制度をとることが援助の本来の趣旨でございます相手国自助努力の支援ということと経済協力を通じて友好関係を促進するという目的に照らして適当かどうかということを考えますときに、私どもとしてはこれは適当ではないのではないかと感じておりますし、米国を除きます他のすべての援助国も同様の立場に立っているものと存じております。
  46. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 どうもよくわかりませんけれども。アメリカはきちっとシステム的に会計検査ができる、しかもそれが目的の用に使われなかった場合にはそのお金はちゃんと返還をするということまできちっとしているわけであります。いずれにしても私は、我が国援助のお金の流れがきちっとチェックできるようにこの際制度を改めていく必要があると思います。それがアメリカのような方式であるかどうかはともかくとして、例えば相手国の会計検査院に対して調査と資料を義務づけた上で我が国援助をする。つまり相手の国が、この際でいえばフィリピンが会計検査をする、その会計検査の報告だけは日本側が受ける、それを国民には国内における予算と同じようにきちっと報告をするというようなシステムには少なくとも改めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  47. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 一つの御意見として拝聴いたしますが、ただいま委員指摘の制度はイギリスがとっている制度でございます。イギリスのこの制度は実は余りうまく機能しておりませんで、イギリス自身もこれをどのように改めるべきかということで今再検討を加えているというふうに承知しておりますけれども、ただいまの御発言一つの御意見として承っておきます。
  48. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 これは私も次回の質問で改めてお話を伺っていきたいと思いますが、即また次の援助もしていかなければならないという状況でありますから、少なくともシステム的にこれをきちっとしてもらいたい、会計検査がどういう形にいたしましてもできるような形をとってほしいと思っているわけであります。  そこで、一般論として一つ伺いたいのですが、アメリカの場合は、不正な使用があった場合には相手国は六十日以内に返還をするということを援助国と合意をして援助をするわけであります。不正な事実がもし明らかになったという場合、我が国はその使用分については今後どうしていくのかということを一言だけ伺っておきたいと思います。
  49. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 我が国の場合、交換公文上は相手国に対しまして適正使用を義務づける規定がございますのは御承知のとおりでございます。米国の六十日以内に返還を求めるという規定がどのように作動しているかということについては、私ちょっと詳細は承知しておりません。
  50. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 いや日本の場合は、もし我が国援助をしてその援助相手国で非常に不正に他用されたという場合我が国はどうするのですか。それは返還できるのですか、できないのですか、あるいは何らかの要求ができるのですか。
  51. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 その点でございますけれども、協力基金相手国政府借款契約上に相手に義務違反があった場合には期限前償還を求めることができる旨の規定がございます。
  52. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 そうすると返還ができるということですね。そういう規定がある。もし不正が明らかになった場合にはどうするのですか。もし不正が明らかになったら、これは要求するのですか。
  53. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 この規定があることはただいまお答え申し上げたとおりでございますけれども、この規定を発動するか否かという点につきましては、経済協力というものがそもそも外交政策的な観点から行われているということでもございますので、交換公文の規定に従って両国政府間でその取り扱いについて十分協議されて結論を出すべきもの、このように私ども理解しております。
  54. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 そうすると、フィリピンのこの問題については今後協議をしていく、こういうことですか。
  55. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 不正使用が明らかになった場合ということでございまして、現在その点につきまして調査を行っている段階であるということでございます。現在のところ、それぞれの個別の円借款契約に関しまして不正使用という事実が明らかになっているわけではございません。
  56. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 なかなかいろいろ微妙な問題がありますから、私も今のフィリピンの置かれている状況もそれなりに理解をしているつもりでありますが、これはフィリピンの問題だけではなくて今後のことを私は大変心配をしているし、冒頭に申し上げましたとおり我々の大切な血税が外国のために役に立っているという誇りを持って我々はやってきたわけでありますが、国民の中には大変な不信が、いろいろな報道を通じてその輪が広がった、これをどうしても取り除く必要が我々にもあるというふうに思っていますから、今後についてはきちっとこうするのだということをこの際はっきりすべきだと思うのですね。今、現状の中でなかなか答弁をしにくい点があるということも私も理解ができますから……。  そこで、時間が参りましたので、今後の問題について一点だけ最後に伺いたいと思います。  第十三次の円借款事業について、これまでの経過については私も承知をいたしております。今政府としては既に、こうした問題はいろいろありますけれども、十三次については交換公文を取り交わしているわけでありますけれども、今後どういう作業で進めでいくのか、今後のことについてひとつ伺いたいと思います。
  57. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第十三次円借款は昨年十二月交換公文を締結いたしまして、四百九十五億円の円借款供与を約束しております。うち百六十五億円分につきましてはこれは商品借款でございまして、一九八四年の四月に交換公文を締結しました第十二次の円借款四百二十五億円中三百五十二億円の商品借款が現在約半分の消化率でございますので、この十二次の商品借款の消化が九〇%を超えました段階で貸付契約を結ぶということで両国政府間で合意を見ております。残りの三百三十億円のプロジェクト借款、これが十一のプロジェクトに対して向けられておりますが、これは先ほど答弁申し上げましたようにこの十一のプロジェクトすべてについて直ちにフィリピン側として着手をするか、それとも政策変更に伴いまして若干の部分については先送り考えるかということで、フィリピン側で今考えを練っておられる状況でございます。先方お話を伺いながら我が方としても対応し協議を続けて、結論を見次第貸付契約を結ぶということになるかと存じます。
  58. 伊藤公介

    ○伊藤(公)委員 援助のやり方の内容等については次回の質問に譲りたいと思いますが、いずれにいたしましても真相を明らかにして、これからの援助がきちっと相手国の民衆を救うための援助になりますように御努力を続けていただきたいと思います。  終わります。
  59. 原田憲

    原田委員長 正午より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十三分休憩      ――――◇―――――     午後零時九分開議
  60. 原田憲

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 今、参議院の本会議から急ぎ駆けつけられました外務大臣に、まずお尋ねをいたしたいと存じます。  安倍外務大臣は、従来から一貫して経済援助というのは民生安定のために役立つものでなければならないということを言い続けてこられました。外務委員会の席でも、フィリピン経済援助については民生安定のためにやってきたということをおっしゃり続けたわけでありますけれども、こういうふうにマルコス疑惑というのが具体化いたしまして今外務大臣はどういうふうにお考えかをひとつお聞かせいただきたいのです。経済援助について民生安定ということから考えたらちょっとまずかったということもあるというふうにお思いになっていらっしゃるだろうと思うのですが、いかがでございますか。
  62. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 経済援助フィリピンについてももちろんそうですが、基本的な考え方としては、人道主義あるいはまた相互依存というのが我が国経済援助一つの理念になっております。そしてその目的は、もちろん今お話しのように民生の安定、あるいはまた相手国の経済の発展、福祉の向上、そういったものに資するものでなければならない、そういうふうに思っております。そういう立場日本はこれまで援助をしてまいりましたし、またフィリピンに対しましても長い間援助を続けてまいった、そしてそれだけのフィリピンに対する成果は上げることができた、こういうふうに基本的には考えております。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、こういうマルコス疑惑が浮上いたしましていろいろな具体的問題というのが出てまいりますと、外務大臣としては、これは本来民生安定のためということからすれば異常な状況である、これは思わしくない問題が過去にあったということも認識の外ではないと思うのですが、この点いかがでございますか。
  64. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 マルコス政権がまだ続いておった時代から、いろいろとフィリピンに対する援助の問題が国会でも指摘をされました。そういう中で私自身も援助というものの本質を考えまして、これはいろいろと国会の指摘もあればそういう点等も踏まえてやはり慎重にやらなければならないということで事務当局にも指示をいたしまして、できるだけ慎重を期したわけでございます。  しかし、そういう状況の中でマルコス政権が崩壊をしてアキノ政権が生まれ、そしてマルコス文書というものが表に出るというふうなことになりまして、我が国援助をめぐりましていろいろと疑問や疑惑が露呈をされるという状況になったわけでございます。そうして、当時のマルコス政権と当時の援助の仕事を実質的に行った日本企業との間でいろいろと問題が浮上しておる、そして日本援助そのものに問題が投げかけられてきたということに対しまして私は非常に残念に思っておりますし、これはやはり問題の実体というものを明らかにして、同時にまた、これからの日本のふえていく援助でございますから、その援助の効率化、適正化を期するために、こうした問題を契機として改善をしていくところは改善をしていかなければならぬ、こういうふうに率直に実は思っておるわけであります。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 今外務大臣から率直な御意見を承ったのですが、その承った姿勢からいたしますと、まず国会でいろいろ要求してまいります資料に対しても、政府にございます資料というのは御提出を願うというのが基本でございます。私はかねがね、フィリピンに対する第一次援助から第十二次までの資料の提出を要求してまいりました。わけても商品借款に対しては、第一次から第十二次に至るまで、それは具体的に言えば第一次から第七次までがまずございまして、飛んで第十二次に商品借款が認められるという格好になっているわけでありますが、この資料を要求いたしておりますのに、なかなか出てまいりません。どういうわけで資料をお出し願えないのかをひとつここで聞かせていただきたいと思います。
  66. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 政府としてお出しできる資料はお出ししなきゃならぬ、こういうふうに思っております。円借に対する関係官庁は四省ありますから、そういう中でお互いに協議もして、出せる資料は出さなければならぬ、こういうふうにも思っておりますし、私自身も、こうした事態がいろいろと出題になったときは、やはり特別に秘密にしなければならぬという筋合いのものでもないし、これはもっと明らかにする点は明らかにした方がいい、こういう思いもあったわけでございます。  しかし、やはり相手の国が、フィリピンが資料について公開しない、こういうことになりますと、これは日本政府がそれに先立って資料を公開するというわけにはいかない。本来一義的にフィリピンが問題として追及していかなければならないというのがこの問題の本質ですから、やはりフィリピンがこの資料を公開をされて初めて日本政府として公開ができる、こういう筋合いのものであるということが明らかになった、これはやはり外交関係からいえばそうした筋は尊重しなければならぬということで、公開できる資料と公開できない資料、そしてフィリピンで公開をしてない資料は日本政府としてはこれは公開ができないということでございまして、その点は御理解をずっと求めてまいってきておるわけでございますし、その基本線を変えるわけにはいかないというのが政府の姿勢であります。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 日本経済援助をしている側の国でございます。国民の税金が経済援助の中身でございます。まず中身を知るべきは国民でございます。政府が自分勝手に出す、出さないということをお決めになる問題じゃございません。  そこで、基金にお尋ねいたします。  先日、商品借款についての資料を要求いたしましたが、これは、あるのですか、一次から七次までの全資料が。あるのですかないのですか、そこのところはいかがですか。
  68. 細見卓

    細見参考人 一次から七次までのものは、文書規程に従って現在はもうございません。
  69. 土井たか子

    ○土井委員 ないとおっしゃるのは、どういう処分をなすったわけでありますか。
  70. 細見卓

    細見参考人 文書が、御承知のように往復文書が非常に多いものでございまして、例えば十二次の円借款、三百五十億円ぐらいがディスバースされておりますけれども、これで既に五千枚を超す資料になっております。したがいまして、大事なものと申しますか、私ども基金として大事な借款の権利義務の基本的なものは残しておりますけれども、その過程で発生したやりとりの文書のようなものは、我々の文書規程に従いまして処理をいたしております。
  71. 土井たか子

    ○土井委員 文書規程のどこにどういうふうに書いてございますか。
  72. 細見卓

    細見参考人 お答えを申し上げます。  文書規程の中に、「手続等承認通知関係書類のうち別冊にかかわるものは貸し付け完了後一年」、それから「貸し付け関係の書類のうちで商品借款のリインバースと申すものにかかわるものは」、つまり、市中で支払われたものをこれが商品借款のアイテムであるということを確認するための資料でございますが、それは「貸し付け完了後三年」ということにいたしております。
  73. 土井たか子

    ○土井委員 正確にお答えを願います。文書規程にそんなことどこに書いてございますか。何条にございますか。
  74. 細見卓

    細見参考人 文書規程を受けまして、その文書保存のファイリングのもの、つまり法律で申せば規則、施行細則という細則の方で決めております。
  75. 土井たか子

    ○土井委員 文書規程の何条にどう書いてございますか。その部分でございます。
  76. 細見卓

    細見参考人 お答えを申し上げます。  先ほどの文書規程によりまして海外経済協力基金ファイリング要領というものを定めまして、それに基づきまして「直接借款文書の保存期間」というものを、この規程に基づいて定めておるわけでございます。その第六条の方に、協力基金ファイリング要領の第六条の方に、永久保存、十年保存、五年保存、三年保存、一年保存ということに決めておるわけでございます。三年保存というのは「簡易な文書であって、業務上短期間例証となる文書」、つまり貸し付けが完了いたしますれば三年間置いておけば大丈夫だろうということで、こういう規定になっております。
  77. 土井たか子

    ○土井委員 今おっしゃったのはファイリング要領であります。要領の今おっしゃった六条の根拠になっているのは、規程の何条でありますか。
  78. 細見卓

    細見参考人 お答え申し上げます。  文書規程の十九条「整理及び保存」というところに、「文書責任者は、第二条に規定する文書について処理が完結したときは、これを別に定める基準に基づき整理及び保存しなければならない」、こうなっております。
  79. 土井たか子

    ○土井委員 それだけですか。これは具体的に期間の問題でしょう。ほかに法条はございませんか。
  80. 細見卓

    細見参考人 期間で申し上げますと、この文書取扱規程の二十一条「文書の保存期間は別に定める」、これに基づいております。
  81. 土井たか子

    ○土井委員 今おっしゃったとおり、文書規程の二十一条で「文書の保存期間は別に定める」となっておりまして、それに従ってファイリング要領の第六条でその保存期間を定めている、こういう格好になるわけですね。  またお聞きします。この文書取扱規程というのは一体いつつくられましたか。
  82. 細見卓

    細見参考人 手間取りまして、大変失礼いたしました。  昭和四十七年に定めまして、事後何回か改定いたしまして、最後のものは五十九年三月十五日ということになっております。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 文書規程がですか。文書取扱規程を今まず聞いているのですよ。文書取扱規程はいつでございますか。
  84. 細見卓

    細見参考人 どうも老眼鏡をかけておりましてよく見えませんので申しわけありませんでした。文書取扱規程の方は、三十九年十二月二十八日でございます。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 この文書取扱規程は昭和三十九年十二月二十八日。そして、さっきお読みになったファイリング要領の方の第六条はいつつくられたのですか。
  86. 細見卓

    細見参考人 昭和五十九年三月十五日でございます。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 さて、三十九年から五十九年までは何年間ございますか。これは二十年ございます。二十年の間、この保存期間についてファイリング要領というものはなかったのですね。その間の書類というのは全部保存されていた、こう考えてよろしゅうございますか。
  88. 細見卓

    細見参考人 恐らく全部保存しておって、それが非常に大量になって保存期間を定める必要が生じてきた、そういうわけでございます。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 二十年間ためてきた書類について大急ぎで、五十九年の三月十五日というと、これは考えてみてください、五十八年の八月二十一日にはベニグノ・アキノ氏の暗殺事件がございまして、フィリピンはそれからまことに先行き不安定な状況になりましたですよ。大急ぎで五十九年にこういう要領をおつくりになって、今までの文書に対しては廃棄しようというお取り扱いをなすったに違いないと見るのが大勢であります。首を縦にお振りになっていらっしゃるから、これはお認めになっているとしか言いようがないわけでありますが、これはそうとしか思いようがない。二十年間、今まで要領がなかったのですよ、ファイリング要領が。急につくられてこういう取り扱いになった。意図がありということがありありだと私は申し上げねばなりません。
  90. 細見卓

    細見参考人 全く心外なことを承りまして、私どもは、ただ事務の整理が悪かったというおしかりを受けるのでしたら承りますけれども、そういう意図は毛頭ございません。
  91. 土井たか子

    ○土井委員 事務の処理が悪かったらそれはそれについて甘受するとおっしゃいますが、なぜ我々が要求する書類に対してお出しにならないのか。そういう姿勢からするとさらにおかしいのですよね。  ちょっと、それじゃお聞きします。フィリピンに対する円借款については、プロジェクトは最低償還期間は何年でございますか、最高償還期間は、その最長のものについて言うと何年でございますか。また商品借款は、同じく短いのは何年で、一番長いのは何年でございますか。
  92. 熊谷和秀

    熊谷参考人 お答えいたします。  プロジェクト借款については、据え置き十年を含めて三十年でございます。(土井委員「商品借款は」と呼ぶ)据え置き七年を含め二十五年でございます。
  93. 土井たか子

    ○土井委員 プロジェクトは三十年、商品借款は二十五年と今お答えがありました。このプロジェクトについては五年で廃棄するということが、ここでファイリング要領を見ると書かれている。商品借款については、二十五年かかる償還期間について三年で廃棄してよろしいと書かれている。こんなことで基金責任がとれますか。こんなことで経済援助をやっているという立場について責任を持てますか。この取り扱い方というのはだれが考えてもまことに不審ですよ。そうして、国会から要求されたら資料は出さない。プロジェクトについては五年で廃棄するのですから、それ以前のものはないのですね、資料は。どうなんです。あるのですか、ないのですか。
  94. 細見卓

    細見参考人 先ほども申し上げましたように、借款金額に関する基本的な借款契約のようなものはずっと保存されておりまして、有効な返済関係が今ほとんどの案件について既にスタートいたしております。
  95. 土井たか子

    ○土井委員 全く今のは質問に対する答弁とは受けとめられないです。  こういう取り扱いを、今、基金としては急になすったわけでありますが、こういう取り扱い方の中でこのまま保存期間について続けていくということは、私は不適当であると思う。不祥事件がたびたび起こるのは、これはもってのほかだと言わなければなりませんけれども、しかし、こういう状況になったときに資料一つ保存されてないというのは、異常としか言いようがないのです。この取り扱いについて考え直すという御用意がおありになると私は思いますが、いかがですか。
  96. 細見卓

    細見参考人 申し上げるまでもないのでございますが、この書類は基本的にフィリピン政府の書類で、その写しがいわばこちらにあるわけなのでございますから、フィリピン政府との基本的な関係は、借款に伴う借款契約、約款というものが基本的な書類でございまして、その過程のその都度その都度支払いが行われたときの附属書類というものは、いわば内訳でございまして、それもフィリピン政府のもののいわば写しという格好のものでございますから、私はそれほど長く持っておく必要はないと今でも思っております。
  97. 土井たか子

    ○土井委員  それは、基金が勝手に、これはいい、これは悪いということをお考えになる中身では本来ないのです。経済援助というのは、忘れてもらっちゃ困るのですよ国民の税金でございますから、そういうことからいたしますと、このファイリングの保存期間というのはまことにもって作為的としか言いようがない、勝手もきわまれりと言ったって、これは逃げることは恐らくできないであろうと思われます。これは適正な取り扱いとはとても言えない。まずどうですか、こういうことについてお考え直しをされる必要があると思いますよ、これは。
  98. 細見卓

    細見参考人 先ほど来申し上げておりますように、そういう借款に伴います附属書類は、借款が計画どおり遂行されることを担保するための書類でございますから、借款が完了いたしたときをもっていわば書類としての役割は終わっておる。問題はその借款が、日本フィリピンでありますと、フィリピンとの間の関係の基本的な債権債務の関係を決めるものは、別に借款契約として保存をずっといたしております。
  99. 土井たか子

    ○土井委員 今のお答えでもわからぬですね。償還期間が完了し、完全に償還を完了するまでをやはり責任を持ってもらわなければいけないわけでありますから、そういうことから言うと、途中である文書が廃棄されてしまって、その部分についていろいろと事情を確かめる必要があったときには、手持ちの資料は日本側にはございませんと言って済むのですか。これはそうはいかないと思いますよ。これはちょっとおかしな御答弁だと思います、どこまでも。
  100. 細見卓

    細見参考人 先ほど来申し上げておりますように、私ども基金は、フィリピンからこういう債務があるということを確認していただき、その債務のことについて問題がないという段階になったといたしますと、その債務を積み上げてくる過程でのいろいろの手続的な書類は必要ない、フィリピンとの間にその債務の総額についていわば合意ができておるわけでございますから、我々としては問題ないのじゃないかと思います。
  101. 土井たか子

    ○土井委員 総額だけ御存じなのは、これは基金だけじゃなくて、我々も総額をお知らせくださいと言ったらこれはもらえるのです。中身が問題じゃないですか。中身の具体的なことが問題なのじゃないですか。中身が適正に動いているかどうかということで総額の意味も生きてくるのです。したがって、この取り扱い方に対しては納得できない。しかも、こういう内規というのは何法によってつくられているかというのも疑義がございます。保存期間なんて大事な問題ですよ。ファイリング要領、そのもとになる取扱規程、取扱規程のもとになる法律はと聞いたらこれはないのでしょう。勝手な、取り扱いもいいかげんだと思うのです。便宜主義としか言いようがありません。これは再考を求めます。いかがですか。
  102. 細見卓

    細見参考人 御叱責の点は今後よく考えてみます。
  103. 土井たか子

    ○土井委員 今後よく考えてみますというのでは心もとないのですが、それならば、今ある、我々が要求している資料、これは商品借款について言うならば、十二次のは完全にあるのです。これは出していただけますね、もちろん。さっき五千件云々とおっしゃいましたけれども、私どもは大部の資料をフィリピンから持って帰ってまいりまして、五千部ぐらい何でもございません。出していただけますね。
  104. 細見卓

    細見参考人 私どもは、フィリピンとの間のいわば信義に基づく金融機関としての立場のものでございますから、私どもが云々することじゃなくて、政府としてどういうふうにお考えになる、政府に対して中身の説明をしろと言われるのでございましたら、いつでも御説明いたします。
  105. 土井たか子

    ○土井委員 基金政府に対して責任を持つと同時に、国会に対してもまず責任をとっていただかなければならぬのです。それは総裁に申し上げるまでもない話なんですね。したがいまして、そういうことからすると、国会から資料要求があった場合には、それに対して誠実にこたえるというのが義務としてございます。これはやはり果たしていただかなければならぬ。既に、私が承っている限りでは、十二次はちゃんとコンピューター化されているということでございますから、したがって、コンピューターに打ち込んであるのを出していらっしゃるぐらいは何でもない。提出方をひとつ強く要求をいたします。これは外務大臣お聞きになって、当然のことを私言っているとお思いになるでしょう。どうです。
  106. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 十二次の商品借款につきましては、先般来土井委員が他の委員会におかれまして御要望がございまして、基金にお願いをいたしまして品目を、三十七品目と記憶いたしますが、三十七カテゴリーに分けまして、各カテゴリーにつきましての金額を御提出申し上げております。
  107. 土井たか子

    ○土井委員 それは私の要求どおりではありません。調達リストを全部お出しください、会社名、品名、単価、総額、全部これをそろえてお出しなさい、こう言っているのです。もういいですよ。局長はいいです。  大臣、これはお考えになりまして、二十年この方ファイルする要領がなかったのが急につくられまして、突然のことながら五十九年以来こういう取り扱いを基金の方はなすっているというのは異常としか言いようがないのです。私どもが要求している資料について、あるものはお出しになるのが基本であります。これは外務大臣からも、そういう立場でひとつ督促をぜひともされる必要があると思うのです。いかがですか。-大臣、大臣は政治家としてのお立場でお考えくださいよ。政治家としての御発言を私は求めますよ。後ろから局長ごときに言われてどうのこうのじゃない。
  108. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはやはり正確に答弁しなければなりませんから聞くのは当然だと思いますが、企業名等については、これは前々から国会で答弁をいたしておりますように、フィリピン政府が公表しない限りは政府としては出せないということであります。
  109. 土井たか子

    ○土井委員 まことにその姿勢というのは国民に、対して申しわけの立たぬ姿勢ですよ。国民を愚弄しているとしか言いようがない。知らせるべきは、日本の国民に対してまず知らせるべきじゃないですか、ただいまの問題について。フィリピンの方が出さない限りはこっちは出さぬという姿勢は、援助国としては、私はその名に恥じると思っています。  さて、その資料に対してはさらに強くひとつ要求をいたします。外務大臣、よろしゅうございますね。基金に対しても私はそれを申しますよ。よろしゅうございますね。これははっきりしておいてください。
  110. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いや、もうお聞きはいたしておりますけれども政府の態度は変わらないわけです。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣は、当初言われた御発言と大分様子が変わってきたのです。疑惑に対してはやはり具体的にきちっとその中身を究明しないといけない、疑惑が持たれるような経済援助というのは、本来民生安定のためにやっている立場からするとまことに残念でならない、こう言われたのですよ。そういうことからすれば、ただいまの御答弁というのは、少し初めにおっしゃったことと矛盾するのじゃないですか。さま変わり、大変わりもいいかげんにしていただきたいと思いますが、これは後でさらに要求を続けてまいります。  さて、私は今回、リベート問題、経済援助のルートの中でこういうことができるのであろうか、できないのであろうかというふうなことも含めて、いろいろな資料に当たってみまして、ここに持ってまいりましたけれども基金の方の調査開発調査第一課の広田幸紀さん、名前は大変歴史的な名前でありますが、この広田幸紀さんの「フィリピン援助受入・実施行政」という「基金調査季報」のナンバー四十六に掲載されているのを読んでみました。これは、リベートは言うまでもなく、不正な蓄財ができるはずがない通常援助システムがここにずっと書いてあるのですね。  基金にお尋ねしますが、日本はここに書いてある取り扱いでフィリピンに対する経済援助を今までされてこられたというふうに理解してよろしゅうございますのですか。
  112. 細見卓

    細見参考人 そのとおりでございます。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 フィリピン立場に立って申しますけれどもフィリピン立場から考えますと、フィリピン援助を受け入れる側であります。その援助を受け入れるフィリピンの側から見ると、日本から受ける援助、アメリカから受ける援助、これは同じように向こうでは援助システムを国内で考えて受け入れているというふうに認識してよろしゅうございますか、どうですか。
  114. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 我が国フィリピンに対します援助、これも実は円借款無償資金協力技術協力委員よく御承知のとおり、三つのカテゴリーがございます。アメリカの援助はAIDの行っております援助が主体でございますけれども、それぞれ援助の態様が異なっておりますので、我が国につきましても円借款、無償、技術協力、それぞれ先方の受け入れ体制は恐らく違っておりますし、アメリカについても同一ではなしのではないかと考えております。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 そういう分類ということよりも、行政機構の中で、この援助を受け入れるという機構が同じように考えられているか、違うかということを今尋ねています。
  116. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 我が国につきましては、経済開発庁がマルコス前大統領の時代には調整官庁ということで窓口になっておりました。アメリカにつきましても経済開発庁が窓口であるというのが従来の状況であったと承知しておりますが、新政府になりまして、三月に先方に参りまして伺いましたところでは、やはり経済開発庁が援助関係の窓口であるという状況は変わらないという御説明であったのですが、その後の先方の仕事の仕方等を拝見しておりますと、経済開発庁と大蔵省がかなり前面に出てきておられたようです。私どもも、今のところは新政府がだんだんと仕事のやり方などを固めておられる過程にあるのではないかなという感じで見守っているのが現状でございます。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 これからでなくて今までのことをただいまから質問いたします。今までもそうでありますが、その辺は藤田さん、はぐらかさぬようにお願いしたいと思います。  外務大臣は御存じないかもしれません。藤田さんは御存じだと思います。藤田さんにお尋ねしますが、一九七二年の九月二十二日付で出ておりますマルコス大統領の行政命令、アドミニストレーティブオーダー、ナンバー三百三十八、これ御存じですか。一九七六年の四月二十一日付大統領の通達、レター・オブ・インストラクション、ナンバー三百九十八、御存じですか。一九七四年の四月十五日付メモランダムオーダーですね、覚書命令と申し上げてもいいかもしれません、ナンバー四百二十二、御存じですか。同じく一九七五年三月六日付メモランダムオーダー、ナンバー四百九十七。もう一つあります。一九七九年十二月七日付メモランダムオーダー、ナンバー六百七十七。これは中身について言うとみんな同じようなことが出ているわけでありますが、御存じですか。
  118. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 今おっしゃられましたものは、突如として伺いましたものですから、フィリピン政府の部内のものでございますのか、それとも私ども承知していてしかるべき文書であるのかも判然といたしませんので、後刻調査いたしましてお答え申し上げます。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 これほどフィリピンに対する経済援助というのが毎日のように問題になっている中では、外務省としてはこのことについて御存じないはずはないのです。向こうの行政機構の中で、日本から受ける経済援助について、今申し上げた大統領令、通達というのを抜きにしては考えられないのです。  さて、そういうことを言いながら、今からわかりやすく資料を配らせていただきたいと思いますが、委員長にお願いを申し上げます。資料を配付したいと思いますが、お許し願えますか。また私自身がパネルを使用したいと思います。これもお許し願えますか。
  120. 原田憲

    原田委員長 よろしい。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 さて、ここにございますこのパネルは、お手元にお配りした一枚のその資料と同じものでございます。よく見ていただきたいと思います。  こちらの、私から見れば向かって右にある米国または他国からの二国間援助フィリピンが受ける場合、行政機構の中でのシステムはこのようになっています。日本のOECF事業の場合、これは向かって左のように、このようになっております。よくごらんしただきまして アメリカがフィリピン援助する場合には全くないものが日本のOECF事業の場合にございます。どこか。このインプリメンティングオフィサーと書いてある部分であります。円借款事業執行官、この部分が大統領と直結をいたしております。  お尋ねをいたしますけれども、昨年の六月にアメリカでマルコス不正蓄財が暴露されまして、そのときにオスカー・ロドリゲスという名前が具体的名前として提示されたのですが、オスカー・ロドリゲス氏はこの日本のOECF事業の場合のどこの部分におられるのですか。
  122. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 このチャート自身がどういう種類のチャートか私存じませんけれども、ただいまの御質問でオスカー・ロドリゲス氏が占めております仕事とここに書いております肩書とが一致するものはどれかというふうに御質問を解釈いたしますと、インプリメンティンクオフィサーというところであると思います。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 私はここに一冊のフィリピン政府刊行物を持ってまいりました。ナショナル・エコノミック・アンド・デべロップメント・オーソリティー、つまりNEDAが出版している本でございます。著者はNEDAの次官であります。ロメオ・レイエス氏であります。藤田さん、これはもちろん御存じでしょうね。お読みになっただろうと思いますが、いかがですか。
  124. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私自身はどうも浅学非才で読んでおりませんが、私の同僚はもちろん読んでいると思います。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 外務省が御存じないはずはないと思うのですが、この表題は「フィリピンに対する公的開発援助」というものでありまして、副題は「行政的能力と業績の研究」というふうに訳せばいいのでしょうか、そういう本であります。この本の中を繰ってまいりますと、五十三ページのところから以後「ジャパンOECF」ということが記載されてございまして、ここの中身で書いてあるIOの権限なるものがございますが、IOはいつつくられて、どういう権限を持っているかというのをまずお聞かせいただきたいと思います。
  126. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 インプリメンティングオフィサーは、御承知のとおり現在過渡期でございますものでマルコス大統領時代のところで御説明を申し上げますが、七名のメンバーが任命されております。電力公社の総裁、電力公社の上級副総裁、国家開発会社社長、肥料公社総裁、エネルギー省次官、国家石油会社副総裁それから御指摘の公共事業省ロドリゲス次官でございます。  役割でございますが、役割は、各援助プロジェクトに一関します調達委員会というのがございます。これはNEDAの長官が議長になっておりますが、調達委員会の承認を得られました個々の契約に署名する権限を有するのがこのインプリメンティングオフィサーであるというふうに承知しております。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 勝手なことを藤田さんもよくおっしゃいますね。これをお読みになっても、読んだということを言えばまずいことを言わなきゃならなくなるから、わざわざこれは読んでなくて外務省のほかの者が読んでいるだろう、私は不勉強で読んでない、そういう言いわけをしながら、今この中からは大分離れた御答弁をなさいました。  インプリメンティングオフィサー、これは略してIOと言いましょう。このIOについてどういうふうにこの本が言っているか、これを全部読むと大変時間がかかりますから大事な部分だけ申しますよ。まず「ジャパンOECF」、この表題で書いてある部分の最初のところにこう書いてあるのです。「援助国政府フィリピン政府との間のアレンジメントは、フィリピン政府内における内部行政機構として、日本のODAに関する借款プログラムの運営、諸手続及び支払い執行の問題は他のすべての国々のそれらと決定的に違う」とまず書いてあるのです。よろしゅうございますか。日本だけは独特なやり方をやっている、日本だけについてはほかの国と違うやり方をやっている、まずこれが最初に断ってあるのですね。そしてどこが違うかということがだんだん出てくるわけでありますが、今複数の人たちがこれを構成していると言われたのは事務局の話であります。  ここに書いてあるのは――だから先ほど五つの大統領令というのを御存じかということを私が申し上げたのは、ここで出てくるのです。この部分にございます。IOというのは一人なんです。一人のインプリメンティングオフィサーと事務局は、以下の諸法律によって設置されたものであるとなっているのが先ほど言った大統領令、五つあるのです。「公的開発援助の行政運営に関してODAに通常参加するフィリピン政府内の書記官に加えた組織が日本に関しては特につくられているのである」、またここに断ってあります。そしてずっと通常の手続というのはこういうものだということが記載をされた後に、ここが肝心だと思います。「しかしOECFによる援助プロジェクトに関しては以下のようなユニークな特色を持っている」とございまして、AとBがございます。よろしゅうございますか。そしてAとBの間は英語ではアンドでつながっております。Aにはどういうことを言っているか。入札契約全過程を、つまりすべてのプロセスをIOが調整するとなっております、日本の場合、OECFによる経済援助プロジェクトについては。そしてアンドで結ばれている次のBは「大統領がその契約を与えることの承認と契約書類の承認を行う」、こうなっているのですよ。  先ほどオスカー・ロドリゲス氏はすなわちIOであるということを藤田局長答弁になりましたが、こういうことになってまいりますと、すべての過程を通じて調整するのがIOでございますから、このIOと大統領との間でどういうリベートが動き、どういう不正蓄財のもとに経済援助が使われているかというのは、やろうとしたら何ぼでもできるようになっている。外務省はこういうのを御存じだったでしょう。基金は何よりも御存じだったと思う。基金が御存じないはずはない。基金いかがです。
  128. 細見卓

    細見参考人 入札などに関する書類の向こう側の発信者はロドリゲスであったことは間違いございません。
  129. 土井たか子

    ○土井委員 向こう側の発信者と、何でフィリピン側のことばかりおっしゃるのですか。こちらからも向こうに出していらっしゃるじゃないですか、基金の側から。しかもロドリゲスさんに対してのこのタイトルはIOというタイトルをちゃんとつけて出していらっしゃるじゃないですか。動かぬ資料がありますよ、いろいろ。ここに持ってきていますよ。それはお認めになりますね、基金は。どうですか。
  130. 細見卓

    細見参考人 直接の相手方でございますから、いろいろ文書はやりとり、係の者はやっておったと思います。
  131. 土井たか子

    ○土井委員 行政機構の中での直接の相手方はIOなんです。ここで何がつくられ、何がどう動かされ、どういうふうにリベートが動き、不正蓄財日本経済援助でつくられていったかというのは、これは以前から日本からいろいろプロジェクトが参りまして、ミッションが参りまして、向こうでそういうことに対しても薄々察知されていたという趣もございます、報告書なんかを見ますと。ただし、具体的には書いてない。日本政府のどういう資料を見たってこのIOに触れて書いてある部分というのはないですよ。わざと書いてないとしか思いようがない。わかっていて書いてないとしか思いようがない。こういうことをこのままにしておいて不正をなくそうと言ったって無理ですよ。このルートを通じて、今から続々質問の中でも出てまいります具体的なリベートの問題や不正蓄財の問題がつくられていった、これは日本についてだけつくられたルートであります。外務大臣御存じなかったでしょう。いかがでございますか。
  132. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 その辺のところは私も承知しておりません。
  133. 土井たか子

    ○土井委員 こういうことは役所の方はわかっていても大臣に聞かさないんですね。どうかと思います。これは対フィリピン援助の中では基本的に非常に大事なポイントだと私は思います、向こうの行政機構で、受け入れ側の行政機構ですから。こういうことから見てまいりますと、この関係の文書というのは基金からお出しになっている。これは基金の正式の用紙をもってお出しになっている。インプリメンティングオフィサー、オスカー・ロドリゲスさんあてに出していらっしゃる文書というのはたくさんあるわけでありますから。そのロドリゲスさんから次に出す相手は言うまでもなくマルコス大統領。この中にはいろいろありますね。例えばこの大統領の通達、ナンバー六百四十六。これは御承知のとおり入札者リスト、入札価格の審査を必ず、日本円に直すと二千万円以上の事業に対しては政府契約審査委員会の審査を受けなければならないというのを義務づけているわけでありますけれども、例えば七九年一月二十六日付、カガヤン総合農業開発計画のための鉄鋼棒材についての入札評価というのは太平に契約許可をという願いを出して、特にこの六百四十六号の例外として許可をいただきたいということをロドリゲスさんからマルコスに対して出しているという文書もございます。  なぜナンバー六百四十六の例外としてということが言えるかというと、円借款に関する限りはIOというのはオールマイティーだからです。またこのIOであるという立場において、いろいろ文書を見てまいりますとございますけれども、東陽通商がかんがい施設の設置に伴う監督料として千百九十六万円の上乗せを求めたのを、どうかお認め願いたいというのまであります。水増しです。八一年一月十日付のカガヤン総合農業開発計画関係する問題。こういうようなものは枚挙にいとまがない。こういうことができるのです、IOは。そしてそれは、しかも大統領令でそうなっているのです、以前の契約をひっくり返すこともできるし、そして入札もしないで契約を結ぶことも。これは大統領に許可をということを願い出ているのです。文書を見ていくといっぱいあるわけでありますけれども、こういうことを御存じで今まで日本経済援助フィリピンに対してやってこられたのです。外務大臣は御存じないと言われたわけでありますが、外務大臣は手直しが必要であるということも先日外務委員会でおっしゃいました。こういうことに対しての手直しをするというのが非常に大事なんじゃないでしょうか。どのように外務大臣はお考えになりますか。
  134. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今フィリピンの国内の制度、私も初めて問いたわけでございますが、これは初めて聞きまして大変参考になりました。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 それは語尾がはっきりしない。外務大臣、総裁候補らしくもうちょっとはっきり語尾も言っていただかなければなりません。もう一度、何をおっしゃったのですか。
  136. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 初めて聞いたわけですが、フィリピンはああいう制度でやっているなということで参考になったということでありますし、いろいろと御議論の中で、だんだんとこれからの日本援助のあり方について、総合的にいろいろと改善をしていくところはしていかなければならぬと私は思っておるわけで、今のお話もそういう意味では、フィリピンの受け入れ体制がそういうふうになっているなということについて初めてお聞きをいたしまして参考になりました、こういうふうに申し上げているわけです。
  137. 土井たか子

    ○土井委員 どういう意味での参考になったのですか。
  138. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 とにかくそういう制度、フィリピンの国内の制度ですから、日本の制度じゃないわけですから、フィリピンでそういうふうな形で、ほかの国とはまた違ったやり方でフィリピンはやっているんだということで、日本の円借の受け入れ体制、ほかの国とはまた違ったやり方でやっているな、こういう点に、私も今お聞きしまして参考になった、こういうふうに申し上げているわけです。
  139. 土井たか子

    ○土井委員 実に情けない御答弁ですね。日本政府は、今までこういうことを知りつつ経済援助をやってきたのです。援助そのものが、疑惑に富んだ経済援助そのものですよ。こういうことに対して日本は黙って、フィリピンの決めることだから仕方がない、お金を何ぼでもつぎ込んで、経済援助でどうか不正な方向で使ってください、不正蓄財に持っていかれることも仕方がない、フィリピンのお決めになることだから、こういう援助だったんですね。こういうことでございますか。
  140. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それは、そういうことというよりは、フィリピン政府とそれからフィリピンの業者、やはり円借を実行するための、施行するための業界との間のいろいろな問題でしょうから、これはフィリピンの中での問題であろうと私は思うわけですね。ですから、これはやはり第一義的にはフィリピンの問題だ、こういうふうに思っておるわけですが、そういう中でフィリピンではそういうことでやられておる。しかし、それが果たして今おっしゃるように、直接マルコス前大統領のところへ行ったかどうかというのは、これから明らかになる問題ではないかと思いますね。これはいろいろとそういう意味では、今フィリピンでも調査がされている、捜査もされておるわけであります。その点は我々も重大な関心を持って注目している、こういうことです。
  141. 土井たか子

    ○土井委員 基金の方にお尋ねしますけれども、これは相手がIOであるロドリゲスさんに対して書類を出し、そして交渉しということを基金としても今までやられたわけでありますから、向こうの行政機構、システムがそういうものであるというのは御存じの上でおやりになったのでしょう。しかも、このやり方からすると、民生安定のために大丈夫な経済援助として必ず全額役立つというふうには思えないという疑義もお感じになったに違ないと思うのですが、そこのところは基金としては今までどういうふうに考えてこられましたか。
  142. 細見卓

    細見参考人 先ほども申し上げましたように、ロドリゲスとの文書のやりとりもございますし、電力大臣とのやりとりもございます。私がやりとりをいたしておりましたのはNEDAの長官でございますので、その事実上の事務の執行者ということと私は考えておりました。  今お話がございました、今までやった援助というのは余り役に立たぬじゃないかというのは、これはもう全く誤解でございまして、例えばマニラの町は、御承知のように大雨が降りますと十日も十数日も水につかっておったのです。今はマニラの洪水制御によりまして、二時間ないし三時間で水が引くようになったわけです。それからまた、カガヤン・バレーの問題についていろいろお話がございますけれども、あの地方の二百万の人たちが初めて電灯の恩恵に浴したわけでございます。それからまた、あちこちに上水道とか、あるいは井戸を掘ってのかんがいとかいうようなものはフィリピンの人たちの隅々まで行き渡って、安倍大臣の言われる民生を主にしてやってきた援助としての実績、おっしゃるような多少のことが起こったかもしれませんが、大きくは私はフィリピンの国民のために役に立っておると信じております。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 多少のことが起こったかもしれませんがとおっしゃる部分は、これは問題ですよ。そんなことは、多少であっても本来起こっちゃいかぬのです。ところが多少どころじゃないんです、中身は。経済援助がそういう不正な方向に使われるということが多少であっても困る。しかし多少どころじゃない。しかもこれは、こういうシステムの中でつくられてきたということを基金は御存じなんです、このシステムを。だから相手方はちゃんと明示して、通信文も出しておられる。こういうことからすると、基金は全く知らぬ存ぜぬとおっしゃるお立場にないと思います。どうですか。
  144. 細見卓

    細見参考人 先ほど来申し上げておりますように、借款の事柄につきましてはNEDAの長官が基本的な枠組みを決めたわけでございますし、そういう後で実際上の手続きを執行していく上において、いわゆるインプリメントオフィサーとしていろいろなことをやっておったことも承知いたしておりますが、それ以上、フィリピンの機構の中でおっしゃるようなことが起こっておったか、起こっておらなかったかということは、我々が知り得る立場ではございませんでした。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 インプリメンティングオフィサーというのがオールマイティーだということを御存じだったというのは、今はしなくも御発言の中に出ておりますから、そういうことからするとリベートがその中で動き、不正蓄財が蓄積されていくということだって防止できない、そういうことに対する防止策というのはどうしたらよいかという御努力もなかったとしか思いようがないのです。これは、手直しが必要だとおっしゃっている外務大臣のお立場からすると、この実態今まで御存じなかったから、きょうは聞いて大変参考になるとも言われた。ひとつ、今までのこの不正蓄財リベートの問題はこれからどんどん質問の中で出てまいりますけれども、こういう行政機構の中でつくられていったということも念頭に置いていろいろな対応を、経済援助に対しては日本の窓口でございますから、これからお考えになるということが必要であろうと思います。  新しい時代がフィリピンには参っております。したがいまして、この新しい時代のアキノ政権に対します経済援助は大事ですよ。この経済援助に対するやり方というのは、もはやこういうことではありませんけれども、過去の不正蓄財リベート問題に対してしっかりと疑惑を究明するということが今先立つ問題なのです。民生に生きる経済援助をするために避けて通れないのです。向こうが言うまではこっちも言わない、向こうが資料出さないまではこっちは資料出さない、そんな姿勢で、これはとてもあるべき経済援助に向けて努力をするということは難しかろうと私は思います。  後の議員の質問時間が参りましたから、まだまだ私はありますけれども、これ、入り口にしたいと思います。これを入り口にして、他の議員が具体的な問題点をこれから指摘しながら質問戦が展開されます。  最後に一言申し上げておきますが、経済援助問題は単に対フィリピンの問題だけではありません。開発途上国に対する経済援助の姿勢全体が問われていると言わねばなりません。七〇年代に国会で問題になった韓国の地下鉄のあの疑惑の問題、我々は究明をいたしましたけれども政府の姿勢たるやまことに目に余るものがあります。同じことがまた再び今出ているじゃないですか。パターンからいったら同じですよ。ひとつそういうことを私ははっきり申し上げ、経済援助に対してしっかりした姿勢を持たなければならないときであります。国民の目はこちらを向いている。国民の皆さんにわかるように、資料などについてもこれを提出するのが当然だということをもう一度はっきりとわきまえていただきたい。国民にわかる経済援助でなければ困るのです。国民に対して答えられる経済援助でないと困るのです。相手の国に対しては、民生安定のためにしっかり役立っている経済援助でなければ困るのです。このことを申し上げて、第一回目の質問を終わります。
  146. 原田憲

    原田委員長 次に、大出俊君。
  147. 大出俊

    ○大出委員 今、カガヤン・バレー電化計画のやりとりがありまして、土井さんが非常にいい質問をしていただいたので、私の質問が大分助かりました。  そこで、多少のことは起こったが初めて電気が引けてよかったと、こう言う。多少のことじゃないのです何大変なことが起こっているから質問をするのでありまして、資料をお出しにならぬというのは、出せばいろいろなことがばれてしまうから出せないのだろうと私は思っている。そこでそこのところをやりとりしたいのでありますが、カガヤン・バレーの電化計画のコンサルタントをおやりになったのは、時間を省略して私が言いますが、電発つまり電源開発ですね。このカガヤン、三つありますけれども、カガヤン・バレー電化計画というのは一番最初のもの、あとは農村電化あるいは農村改良でありますから。そうすると今お話しの電気がついた、大変よかりた御苦労さ童というので電源開発にコンサル料、総額幾ら払いましたか。
  148. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 コンサルタントに対します契約金額ということではございませんが、国際協力事業団が調査費用という形で支出いたしました額を申し上げますと、カガヤン・バレー地域電化計画調査、これは四十八年、四十九年に行うでおります。同じ年にセブ島火力発電計画調査、双方を一緒の仕事として行っておりまして、双方に対しまして六千九百六十万円余りが支出されております。
  149. 大出俊

    ○大出委員 どうもそういういいかげんなことを言って、藤田さん、あなたもいいかげんだね。だめですね、それじゃ。資料を差し上げて御回答を願いたいのでありますが……。それではちょっとこの数字、簡単でありますから訳文をつけておりません。縦の長い方の表、コンサルタント会社受注一覧表、電源開発はこの一番最後の5であります。主レクトリック・パワー・デベロップメント・カンパニー、この頭をとりましてEPDC、これは電源開発であります。この一番最後の5のところにPH-P9、カガヤン・バレー電化、九億七千九百九十三万三千三百十五円。ついでに言いますが、その後に行われましたカガヤン農村電化、これも電源開発がコンサルでありますが、五千十一万七千百八十九円、トータル十億三千五万五百四円、これが電源開発に明確に、これはPH-P9、カガヤン電化、きちっとプロジェクト名も明確であります。下はカガヤン・バレー農村電化、明確であります。  断っておきますけれども、これはさりきのインプリメンティングオフィサーであるロドリゲスさんが、新政権になりて命令をされてメルカド大臣に出した資料と言われている。だからこの資料を見れば、どこにも全部サインが入りておる、間違いない。だから幾らと聞いたら一億にもいかない。べらぼうな話がありますか。
  150. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私がお答え申し上げましたのは、国際協力事業団が実施をいたしましたFS調査、これにかかりました費用で電源開発に支出されました費用でございます。  それから、ただいま委員のお配りになりましたものめ資料は、私、ちょっと内容はどういうものかよくわかりませんけれども、恐らくは円借款の中で行われているエンジニアリングサービスの費用のことなのではないかと思われます。これは円借款の中に入りているものでございますので、当初行われますFS調査の次の段階に入るものでございます。
  151. 大出俊

    ○大出委員 だから、幾ら払ったかと聞いている。カガヤン・バレー電化プロジェクトというのは一つしかないんです。だから、幾ら払ったんだと聞いている。
  152. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 したがいまして、日本政府支払いましたのはFS調査に対する支払いでございまして、それから以降の円借款の対象になりました後は、円借款の中で相手国政府日本のコンサルタント企業及び実施企業との間で契約を結んで支払っております。その契約の内容は、企業名及び金額も含めて日本政府としては公表する立場にないというのが、今まで申し上げている立場でございます。
  153. 大出俊

    ○大出委員 これが実はマルコス疑惑の本体なんです。電源開発はしからば幾らもらったか。この資料に基づいて電源開発に詳細に質問をして聞いた。何と上のPH-P9、これは九億七千九百九十三万三千三百十五円とこう書いてあるが、電源開発がもらったのは五億八千四百六十九万二千円、これだけしかもらってない。天地神明に誓ってそれ以上もらっていない、こう言う。それからPH-P、カガヤン・バレー農村電化、五千十一万七千百八十九円、これは三千三百二十三万一千円しかもらっていない。  さてそこで、この問題が新聞等で取り上げられまして週刊誌にも載りまして、電源開発は早速資料をつくって通産省に出している。いいですか、通産省に出しているのです。逃げますか。言ってくださいよ、幾らと出していますか。
  154. 黒田真

    黒田(真)政府委員 私、通商政策局といたしましては本件関係をしておりますが、そのような報告を受けてはおりません。
  155. 大出俊

    ○大出委員 そんなことを言ったって、私はここに持っている。通産にちゃんと出して日にちまではっきりしている。昭和六十一年三月二十一日、はっきりしている。この中身は、もらった総額を細かく書いてある。いいですか、六億一千八百万しかもらっていないと言う、両方で。そうすると今差し上げているこの計算、これは私の計算。フィリピン政府の資料に基づくと、ロドリゲスさんが改めて全部報告をした中身に基づくと総額十億三千五万五百四円、こうなっている。電源開発の資料、ちゃんとここにある。細かく書いてある。この資料には合わせて六億一千七百九十二万三千円、これしかない。この資料にもそうなっているし、電発自体も明言をしている。そうなると、その差額四億一千二百十二万七千五百四円はどこへ行ったということになる。今の答弁を振り返れば、政府の分だけ先にやったんだけれどもあとは民間ベースでやらしたんだ、それが円借款だ。技術料というのは、これはイクイプメント、機材輸出じゃない。いいですか。LCをオープンした後、こっちでシッピングドキュメントができたからというので持っていって、今もらってくるというシステムじゃない。向こうで四億以上のものを積み上げて円借款の中に入っている。黙って四億出ていっちゃうじゃないですか。幾らでも、これならばリベートなんか払えるじゃないですか。これがマルコス疑惑の正体じゃないですか。  あなた方は通産にいってないと言うけれども、通産に出したと言っている、ちゃんと。日にちまで書いてある。六十一年三月二十一日だ。私の方はこれしかもらっていませんと、持っていっているんだ。これ、間違いない、何回も確認済みのこと。しかも、この計算も確認済み、後から差し上げた。びた一文、これ以上もらっていない。六億一千万しかもらっていない。政府の資料の中に、ロドリゲスさんがつくった資料の中に、明確に九億以上の金になっているじゃないですか。あんな逃げ口上はだめです。だから、それで四の五のおっしゃるなら、後から答弁なさった両方合わせて、このカガヤン・バレー電化計画に関する全部の資料を出してください。出さなければ質問のしょうがないじゃないですか、そんないいかげんなことじゃ。どうなんですか。
  156. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 今御要求の資料でございますが、先ほど外務大臣が仰せられましたように、外国政府とそれから私企業関係の資料でございますのでお出しできないというのが、従来からの立場でございます。基金も国家機関の一部といたしまして、この政府考え方と同じ考え方でございます。
  157. 大出俊

    ○大出委員 いいですか、あなた方が電源開発に電話一本入れて聞いてごらんなさいよ。フィリピン政府の方はこうなっているけれども、私どもはこうなんですとちゃんと説明しますよ。しかも電発は、ほかの方のコンサル料もみんなこう書いている。いいですか、これはあらゆるプロジェクトは全部コンサルが入ってやるんでしょう、日本から行った。全部日本でしょう、この方式でみんな上に積んでごらんなさいよ。一五%のリベートぐらい、すぐ出ちゃうじゃないですか。その上に、本体にまでリベートを入れる。九頭竜川のダムの汚職事件じゃないけれども、映画「金環蝕」だ。技術屋さんにそうでない上の方が、くぎ一本、パイプ一本に入れろ、そんなことはできません、入れなさい、あれが映画に出た。あのとおり。そうやれば、一体一五%リベートなんというのはやろうとすればできる。そこに東陽通商おありになる。当たり前じゃないですか。あなた方、どうしてもお出しにならぬですか。
  158. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 ただいまお答え申し上げましたとおり、日本政府は、この外国政府と私企業との契約関係におきまして第三者の立場にございます。そういう政府立場基金におきましても踏襲している、こういうことでございまして、御提出については控えさしていただきたい、こういうことでございます。
  159. 大出俊

    ○大出委員 その答弁は何遍聞いても一緒だ。同じこと言わないでくれ。ただ、普通なら私はここで資料を出せと言って座り込んでしまいますけれどもね。だけれども、それじゃ後の方のこともあるからそうもいかぬ、きょうのところは。あなた方、一生懸命逃げたい。この委員会開きたくなくて、逃げよう逃げようとしている。だから、大出君そんなこと言うならこれはしようがないというので、後開かないなんて言い出しかねない。いけないですね、そういう姿勢は。平泉さん笑っているけれども、いけませんよ、それは。いいですか、  そこで、後からこの点はもう一遍ひとつ資料要求をいたしますが、私が申し上げているこれがマルコス疑惑の本体ですよ。いいですか。幾らだってやれるじゃないか、これやれば。あらゆるプロジェクト、六十七もプロジェクトがあって三十五社入っているけれども、みんなコンサルでしょう。みんな乗っけてごらんなさい、これ。考えてごらんなさい。明確狂資料があるじゃないですか。  さて、今のカガヤンですが、ずらっと申し上げますが、私どもが入手した資料によると、企業別にどのくらいとったか、受注したかということが明白です。明らかになった。それをまとめてみるとこういうことになる。まず、カガヤン・バレーにかかわる農村電化が入りましてもう一つ、三つになるわけですが、日本字で書いてあるのを見ていただきたいのであります。カガヤン・バレーのやつですね、見ていただきたい。線引いてありますから。  七一年十一月、ここで一つ、五十一億九千百万のがございます。二つ、その次のやつをあけていただいて、七七年の三月のがございます。六十一億六千万。もう一つ、カガヤン・バレー農村電化がございます。七七年十二月、百四億。大変な金額であります。これ全部合計をいたしまして二百十七億七千二百万円のプロジェクト。二百十七億。このうち東陽通商が百一億七千三百万円とっちゃった。受注した。半分です。百一億七千三百万。二百十七億七千二百万のうちから、こういうことになった。  なぜこうなったか。ここに今差し上げた一枚の、つまりお手元に差し上げたこういう文書がございます。これは、もう時間がありませんから余計なこと言いませんが、小竹書簡。小竹書簡を、通産省の訳もありますし、商社四つ、五つの訳がございます、ここに。小竹書簡をそれぞれ慌てて皆さん訳しておいでになりますね。だが、訳の中でそれぞれ違いがありまして、ちょっとこれは印象的だからお出しした。  どういうことかといいますと、伊藤忠をキャプテンにして幾つかの商社が集まって談合をして、リベートを取られないようにしようじゃないか、各社の利益をふやそうじゃないか。このときには、大使にも言っていれば通産省にも言っていれば基金にも言っている、伊藤忠を中心に。で、通産省なんというのは、大臣いないからやめておくけれども、そんなリベートなんか出しちゃいけないと、こう言った、このときは。ところが、これを小竹書簡でアシジェニトのヘニトさん、ヘニト社長に書簡を送ってこの内幕をはらした。ばらして、おれたちの方は出そうと思っているんだけれども、連中は出さないつもりでやっているということを言って、凍結しろと。凍結した。その資料もここにあります。つまり、私どもの資料の中にその後の経過を克明に、何枚もございます。  これは、ちょっと私の手違いで日本文と原文とつけ違いいたしておりますが、一枚違いでこうなったのでお許しをいただきまして、同じものですから見ていただけばわかる。つまりペソ建て、円建てで五九%、五七%も高いということになっちゃった。書簡に書いてあるとおりであります。今差し上げた中に線を引いてあるところ「我々の様に手数料を出すことを是とするものは」、手数料を出します。コミットメント、リベートを出します。「出すことを是とするものはカルテルからシャットアウトされメーカーの窓口になり得ませんでした。」、「是とするものは」という訳はこれしかない。ほかのにない。ないから出した。これは、伊藤忠さんというのはキャプテンなんだから、当事者なんだ。この中で小竹さんは、今は我慢の時期だ、相手が慌てているんだからリベートが上がっていきますということを言っている。過去の経済協力基金プロジェクトの場合、サプライヤーはすべてコミットメントを要求されてきた、そして必然的にサプライヤー及びメーカーの利益はその分引き下げられたというんで伊藤忠等がやったんだけれども、一番最後のところ、私はこれは忍耐のゲームと思います、いずれカルテルは徐々に譲歩していくと思います、一五%までいくかどうかは大いに疑問ですが、こう注釈。そこでどうなったか、今申し上げましたように、最初は東陽通商は入ってもいなかったんだけれども、二回、三回のところで大量にとりまして、ついに二百十七億七千二百万の半分とってしまった。なぜか、一五%リベートのおかげです。こうなればリベートじゃない、わいろですよ、これは。  そこで、受注商社の金額、お手元に差し上げた資料にございます。川鉄物産三十一万一千八百七十四ドル、〇・八ドルがついております。住友商事二十一万二千七百八ドル、〇・七五がついています。兼松江商四十万四千七百四十七ドル、こうなっている。これを受注した。東陽は別建てでございますが、これではありませんけれども、公開資料で五社出てきた。この中の大きなところは五社ですが、東陽がここで別建てで五万三千四百二十一・一七ドル、こうなっている。  ここで私は国税庁を含めて明確にしていただきたいのは、この金はソラーズ委員会公表資料でずばっと、NPC、フィリピン国家電力公社のカガヤン渓谷電化計画リベートを払ったと見られる四社プラス輸出加工区庁との取引で東陽通商、四社は川鉄、住友。兼松、エース・ラインズ・フレイトであります。こうなっておるのです。この金はどこへ行ったか、ずっとその後の調査をいたしていきますとほとんど全部認めました。兼松さんはどうなったかというと、フィリピンに四十万ドルくらい送金をいたしましたと、こう言う。川鉄さんはどうかというと、アシジェニト社に送りましたと言う。住友さんはどうかというと、アタカコ貿易に送ったと、こう言う。東陽さんは一五%は少し高いけれどもそのくらいの率のものもあったかもしれない、フィリピンのエージェントに送りました。みんな認めた。ここで出てくるアンジェニト投資会社それからアタカコ貿易、この二つ。アタカコ貿易というのはヘニトさんが三社つくったトンネル会社、つまり集金機関、しかもこれはマルコスさんの許可を得てつくっている。だからこれは明らかに資金収集の会社に入っていった。相手マルコスさんですよ。ヘニトさんからの書簡がございましょう、そういうことになる。間違いない。  さてそこで国税庁に承りたいんだが、この金の性格はどうお考えになりますか。
  160. 日向隆

    ○日向政府委員 委員承知のとおり、対フィリピン経済援助関連して、今御指摘もございましたが、伝えられるリベートにつきましては、売り上げ割り戻し、正当な手数料以外は取引先の関係者についての支払いは交際費といたしまして、それ以外の関係先に対する支払いは寄附金といたしました。また、支出されたかどうか、支出されたとしてもその支出先の不明なものにつきましては使途不明金として課税関係が発生するところでございますので、リベートの実態、特にその資金の流れについて解明すべく現在努力しておるところでございます。
  161. 大出俊

    ○大出委員 査察部長さんでしたね。私は電話で塚越次長さんだとかいろいろな方と何遍も話していまして、私はロッキードのときもそうだが、ソウル地下鉄もそうだが、浦項製鉄、たくさん同じことをやってきたのです。つまり、あなた方は商社なら商社について入ってきた、出ていったという資金の出と入りを調べますね。そうすると、当然口座がありますね。どこまで出たかというのを最後まで調べなければならぬ、そうしなければ課税対象は選別できませんから。そうでしょう。だから、あなた方は口座はわかっているはずなんだが、これは後でお答えいただきたいのですけれども、いいですか。  さて、一つは正規の手数料と見られるものがある、あるいは口きき料めいたものもある、あるいは使途不明金がある。しかし、この金はいずれにも該当しない。さてそこで、交際費がある。これ、マルコス大統領が交際費ということはないでしょうからね。そうなると、最後に寄附だけが残るような感じになるのだが、私に言わせれば寄附という名のわいろになるけれども、あるいは寄附という名の政治資金になるけれども、つまり、あなた方は今私が幾つも――あなた方は課税対象を仕分けするのだから、それがあなた方の仕事なんだから、査察部は特にそうなんだから、そうするとその中のどれに当たるか。私は注釈をつけていますが、寄附ですか。
  162. 日向隆

    ○日向政府委員 今委員の御指摘、私は十分この場で拝聴いたしましたが、実際の調査においてその実態を解明しないと、その点についてどれに該当するかはここで答弁いたしかねます。
  163. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと最初聞き損なったのでもう一遍願いたいのだが、一般論としてどういうことになりますか、こういうことになると。
  164. 日向隆

    ○日向政府委員 課税関係が発生いたしますのは、交際費、寄附金、使途不明金でございます。したがって、実態をよく見まして、交際費に当たらない場合、使途不明金に当たらない場合には寄附金として課税上処理することになろうと思います。
  165. 大出俊

    ○大出委員 つまり、選別していっていずれにも当たらなければ寄附金ということになる。そうなればこれは課税対象である。あなたの立場があるから一般論としてと私は言ったのだが、それは電話で話していればもう少し詳しいことをおっしゃるけれども。  ところで、あなたの方は口座は全部わかっているでしょう。東京で三回、公開文書には金のやりとりがあるのです。あるのだけれども、それは自由円勘定になっていようと何しようと、非居住者は非居住者の関係であろうと何だろうと、あなた方は口座を調べているでしょう。いかがでございますか。そこだけ聞いておきたいんだが、もう一遍答えてください。
  166. 日向隆

    ○日向政府委員 ただいま展開しております調査に即して私がここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、非居住者が日本国内において預金する場合にはいわゆる非居住者預金を設定することになります。リベートの実態解明の中で資金の流れを明らかにすることになりますが、資金が非居住者預金になっている場合にはその資金の実質帰属者を解明する必要がございますので、当該非居住者預金についても調査の必要があろうかと思います。
  167. 大出俊

    ○大出委員 そして口座はわかっている、いかがですか、答えてください。出と入りを調べれば、口座なんだから。
  168. 日向隆

    ○日向政府委員 その点については、現時点では答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  169. 大出俊

    ○大出委員 じゃもう一遍聞こう。わかっていても、あなた方の仕事の範囲でわかったのだからそういう意味で守秘義務がある、こういうことになりますか。
  170. 日向隆

    ○日向政府委員 重ねて同じような答弁で恐縮でございますが、答弁は差し控えさせていただきます。
  171. 大出俊

    ○大出委員 えらい皆さん今度は動いておられる、珍しいことだと思って見ておりますが、みんな知っているはずなんです、口座なんだから出と入りを調べれば。そういう意味でぜひひとつ進めていただきたい。時間がありませんから、この点はその辺にいたしますけれども。  外務大臣、今私が申し上げました、入っていっているアタカコ貿易だとかアシジェニト社だとかというのは民間ですよ。ヘニトさんというのは大統領と年じゅう書簡のやりとりをしている。公開文書にみんな出ている。ヘニトさんがマルコス大統領の許可を得て民間会社を三つつくった中の一つがアタカコ貿易、そこに金を送っている。住友さんでしたね、はっきり言っているわけでありまして、アタカコ貿易に払ったと言っているわけです。だから、一五%になっているかいないかというのを逆算してみましたら、住商さんのプレスに言っていることを見ると、六・三%だと言う。この円勘定のものをドルに換算し直して比率をとりますと、おおむね六・三%になります。これは間違いないのです。そうすると、これは入っているところをごらんになればわかるように、アタカコだとかアシジェニトでしょう。これはリベート考えざるを得ない。外務大臣、いかがでございますか。決まっているようなものだ。いかがでございますか。
  172. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 マルコス文書等を見ましても、リベートといいますかコミッション、そういったものが動いておる、それがどこら辺に行っているのかという点は別にして、動いておるということはわかります。
  173. 大出俊

    ○大出委員 大体今の御答弁でわかりましたから、第一回、こういうことでございますから、後でこの資料要求は出すのか出さぬのか、もっと明確にしたいのでありますけれども、今のところはこういうことにいたしましょう。  次に、問題は、これは委員長にお願いを申し上げたいのでありますけれども、この非常に微妙なことに携わっている東陽テクニカと今おっしゃるのですが、社長さんがたしか野村さんとおっしゃいましたかね、氏名をお挙げいたしません、どなたがおいでになってもいいのですが、東陽テクニカ、伊藤忠、住友商事、兼松江商、川鉄物産、これはひとつ証人で国会においでをいただきたい、真相を実はお述べいただきたいと思っておりますが、委員長、いかがでございますか。お取り計らいを願いたい。
  174. 原田憲

    原田委員長 今の大出君のお話は、理事会で御相談させていただきます。
  175. 大出俊

    ○大出委員 次に、丸紅と東陽通商にかかわる件に触れさせていただきたいと存じます。  ここで、丸紅さんとそれから東陽通商さんに国会にお出かけをいただきたい、同じ趣旨を持っておりますが、その前に事情の御説明をいたします。後からお手元に資料が行きますので、説明を始めさせていただきます。  これは、一言で言ったら第八次円借款のメトロマニラ交通改善計画あるいは改善事業と言ったらいいと思うのでございますが、大変に分厚い英文の資料でありまして、さすがにこれを皆さんに全部訳して差し上げるだけのゆとりはございませんでした。したがって、主要部分二枚だけを差し上げまして、ちょっと字がなかなかごらんいただきにくい字でございまして御勘弁いただくのでありますが、概略おわかり願えると思うのであります。  エアコンバス百台とオリジナルなバス、つまり普通のバス三百台、合計バス四百台、丸紅、東陽が応札をいたしました。入札をしたわけであります。それで、お手元に差し上げましたように、丸紅さんは五十一億九百六十五万四千円、東陽通商さんは五十一億一千五百万円、こうなって丸紅に落ちる。この後で、その英文にございますように、値引きの用意ありと言ったらいいのか、「を妨げない」というような表現になっておりますが、要するにもっと値下げしてもいいという話になっている。ところが、値下げするどころの騒きじゃない。二枚目の方に最後の数字がございますけれども、東陽の方が高い、丸紅の方が安い、だから丸紅に落ちたんだが、丸紅の最終的な価格を見ると東陽さんの価格とぴったり一緒。五十一億一千五百万、東陽さんがこう出した。丸紅がそれより安い。丸紅に落ちた。最終受注価格は、何と東陽が提示した五十一億一千五百万円とぴったり同じ数字。この間に、補助部品その他を上乗せをしろなんという話がホセ・ダン、どこかで聞いたことのあるような名前ですが、ホセ・ダン・マニラ首都圏交通公社局長からインプリメンティングオフィサーであるロドリゲスさんに話が行った、積み上げてくれ。丸紅が減らそうと言っているところに補助部品その地積み上げるというので出てきた数字が五十一億一千五百万。とれなかった東陽さんは三菱のふそうを推したのですね。丸紅さんは日野のバスを推したのですね。納期の問題その他おしまいの方にありますけれども、何とも不可解。このやり方というのはこれからもいっぱい出てまいりますけれども、こういうやり方は非常に不明朗きわまる。基金でもだれでもいいですが、わかっている人が一言答えてください。
  176. 熊谷和秀

    熊谷参考人 ただいま先生のお話しの件につきましては、これは一般論ですが、国際競争入札で行われたというふうに聞いております。
  177. 大出俊

    ○大出委員 何にも御存じないんだね。国際競争入札なんといったって、ちゃんとここに書いてあるのですよ。十社が入札を求めたけれども、事前審査でみんなおりちゃった。三社が残った。さらに話し合いがあったんでしょうが、丸紅と東陽だけになっちゃった。こういう経過です。あなた方は全く御存じない。一つ一つプロジェクトを御研究になっていない。フィリピン側のプランニングしたものが出てくる。NEDAが中心になってやった。それから順番がずっとありますけれども、つまりミッションが外務省から出た。その後、今度基金からミッションが行った。これを称して現地審査という、こういうふうにやってくるわけですね。  私は基金に聞いたんです。もうおいでになった方々は、ここに名刺がみんな入っているからわかっているのだけれども、何人もお見えになった。企画庁も何人もお見えになった。局長以下みんなお見えになった。聞いた。そうすると、九頭竜川のダム工事の大汚職事件じゃないけれども、映画「金環蝕」じゃないけれども、くぎ一本パイプ一本にみんな上乗せしてプランニングされて入ってくる。どうやればわかるんだ。いや何しろ二百五十名しか総員がおりません。開発部というのは四十名しかいません、事務的なことをやる人もいるから技術屋は二十名しかいません、こう言うわけです。いないから、とてもじゃないが原価計算をして何がどこになんということをやるようなことはできないと言う。仕様があるんだから、スペックその他を調べて、概略品物は間違いがないなということくらいしかできないとおっしゃる。それじゃ何が本体に乗っけられて入ってきたってわかりっこないじゃないですか。そうでしょう。それで、今度は金が余ったらどうするんだ、余った金は使ってしまえということになる。  ここで申し上げたいんだが、交換公文は「専ら」という表現で、そこで計画によって決められたもの以外は使えないようになっているんです。丸紅だって、今のバスだって一緒ですよ。これはバスの価格という問題もありますが、時間がありませんから、ソウル地下鉄のときのようなことをやるというと時間がかかってそれで終わっちゃいますからやめますけれども、大変な問題がある。非常に不可解な、何で丸紅と東陽が入札して、東陽が高くて丸紅が低くて丸紅に落ちたというのに、丸紅はその落ちたところでさらに値引きすると言っているのに、最終価格を見ると高かった東陽と同じ価格。それにはパーツを乗せたとかなんとかいろんな言いわけは出てくるとは思います。思いますけれども、これも私は大きな疑惑を持つ。  だから、ここで、ろくな御答弁なさらぬのだから、資料を出してくれと言ったって出さぬのだから、丸紅、東陽の社長さんであれ、副社長さんであれ、いいけれども、これまた国会にお出かけをいただいてお話をさせていただきたい。証人としてお呼び願いたい。委員長、いかがでございますか。
  178. 原田憲

    原田委員長 これも、先ほどと同じように理事会でよく相談させてもらいます。
  179. 大出俊

    ○大出委員 後から申し上げますが、国民の税金でございますから、大きな疑惑を生んでいることは、政党政派の問題じゃない。日本の国民とフィリピンの国民、国と国の問題でありまして、そういう意味で、政党政派じゃありませんから、本当に解明する気になっていただきたいとお願いをしたいのであります。  「事業計画借款及び商品借款が適正かつ専ら」、こうなっている。「生産物または役務」、こうなっておりますが、生産物は発電機だとか資材だとかいうものであります。役務とはコンサルタントとか、さっき私が申し上げた、四億もあんこが入っちゃっているんじゃどうしようもないのだが、工事そのもの、施行管理なんというものが役務なんです。だから、交換公文が交わされて円借款の限度額が決まる、そして何をやるかが決まった、そうすると限度額の中で十も十一も契約ができる。契約を私は出していただきたい。先ほど申し上げた資料は契約を含めた資料なんだ。出していただきたいのでありますが、それを見ればみんなわかる。あなた方はくあい悪くて出せないのだろうと私は思っておりますが、つまりそこで申し上げたいのは、さっき土井委員からお話がありましたが、マルコスさんという人の絶対権力がここにある。大統領指示、レター・オブ・インストラクション、これは法律です。大統領の指示となっておりますが、これは法律、「すべての官公庁(外部団体、地方行政官庁も含む)へ 目的 政府契約検閲委員会の設置」、これはマルコスさんが出している指示です。六四六と言われる指示、ここに全文ございます。英文も日本文もございます。つまり、政府が発注する場合に、こういう事業をやろう、公共事業をやるという場合に、まずこの指示に従って金額が書いてあります。この書いてある金額に、同委員会は二百万ペソ以上の額についてのものは大統領の最終的な考慮を仰ぐため、承認、検閲、評価、推薦を行わなければならない。だから、全部そこにかけなければいけない。全部ここにかかってしまう。これがナンバー六四六の指示でございます。  もう一つここに、これも二枚にわたる大変長いものでありますが、これも大統領の指示文書で、指示でございます。法律でございます。大統領指示害ナンバー一〇九六。六四六と一〇九六というのがある。こちらの方はどうなっているかというと、これをさらに強化した。これに違反した者は訴追されるとなっている。捕まってしまう。ところがさて、ロドリゲス公共事業・道路省次官、現次官でおいでになりますけれども、インプリメンティングオフィサーをやっておられる方でありますが、この方の作成した資料に基づきますと、本体も余った金も予備費の使用も全部これの例外として、いやでも応でもマルコスなんだ、これは。正規のこの機関にかけなければいけないのにかけない。二つある審査委員会にかけない。あなた方はこれを知っていましたか。
  180. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいまの前段の方で二百万ペソ、邦貨にしますと約二千万円かと思いますが、二千万円以上のものは、調達委員会と申しますか調達監視委員会のようなものにかけなければいけないという法令があるということはもちろん承知いたしております。  委員のおっしゃった後段の方でございますが、(大出委員「一〇九六」と呼ぶ)そちらの方はちょっと承知いたしておりません。
  181. 大出俊

    ○大出委員 この間あなた方に来ていただいて、私が六四六、一〇九六と言ったら、あわてて六四六と書いて、これはもう一遍言っていただけませんか、六四幾つでしたか、こう言うわけ。皆さん、直接の担当者ですよ。後の方は何でございましたっけと、指示六四六という数字も知らなければ一〇九六も知らない。そんなもので、基金の方に来ていただいてちょっと触れたら、そういうものは向こうの国のことだから知らない、こう言う。基金の方四人もいて、担当者ですよ、だれも知らない。ところが、これはどこから出てきたかといったら、基金なんですよ。これはあなた方の資料室にあったんですよ。これは何だと言ったら、向こうから送ってきたと言う。送ってきたって、一体円借問題を何年やっているんですか、国民の税金で。六四六が先にあった。これに訴追を入れて強化したのがこれなんだ。だから、これは新しいんだ。これを皆さんは何も知らないんだ。せめてこのくらいのことは向こうでやらせなければならぬじゃないですか。知らないには私も恐れ入ってあいた口がふさがらぬ。だから、こういうことになる。  次に申し上げます。もうこれは数え切れなくある。こんなにあるんだから数え切れない。何かというと、一九七九年九月十七日付大統領補佐官ロドリゲス氏へ、兼松江商と川鉄物産と契約することを認める。カガヤン電化プロジェクトの補助機器材料の購入について金が余ったという。だから、兼松に一億九千八百七十九万六千円分の品物を、川鉄には九千九百九十七万四千円分の品物を、三億ばかり大統領のLOI、レター・オブ・インストラクションあるいは一〇九六、これらの例外として認めてくれという。この余った金は、目的外使用である限りは日本側に舞い戻ってくるんですよ。当たり前でしょう。限度額決めたって、余った金を使える。  この次のやつ、PH-P9というあなた方の番号、カガヤン渓谷電化事業用の設備機械の調達がOECFローンから第七次IBRD電力ローンに移ったことを知っているでしょう。そのためOECFローンがまだ全部使われておりません。そうなればコミットされていない経費(予備)額は間違いなく日本政府に逆戻りしてしまうことになる、そういうふうに書いてある。そのままにしておけば戻っていってしまう。国民の税金ですよ。だから、OECFの条件のよい返済期限を考えると――条件がいいんだそうですよ、OECFというのは、基金の皆さんのところは。条件のよい返済期限を考えると、国家電力公社、NPCは使途未決定金について使う手段を見つけるべきで、OECF当局に要求するか、現在日本企業契約を結んでいる(何らかの重要な機器類)の追加注文をするというNPCの決定が必要です。冗談じゃないですよ。IBRDと、その我々の経験どおりに行われるとすれば、OECFが我々の要求を許可するビッグチャンスであります。残った金を使うビッグチャンスだ。で、OECFはうんと言うだろうというのです、経験によれば。これで残った金が全部使われる。今申したとおりであります。  そうかと思うと、これは大変なんだ。PPJHLプロジェクト、PH-P12というのがありますが、ここでも金が残った。これはコンクリート吹きつけ機械を買ったというのですが、二千六百六十四万円余った、だから同じようにそこで買ってしまおう、こういうことです。使いほうたい、やりほうだい。  マニラの交通改善、さっき私が申し上げましたが、あそこなんかひどいんですよ。金が一千万ばかり余った。何を買うかといったら、これはバスを買う話のプロジェクトでしょう、コースターを買いたい。沿岸船ですよ。海岸走る船です。何が海岸走る船がバスに関係あるんですか。船とバスは陸と海だ。これを買いたいという。それでこれを入札さしたら、コースターを買うと余った金の限度額を超えるというんだ。コースターはとても一千万じゃ買えない。それであきらめた。あきらめて何を買ったかというと、ハンドトーキーだ。ラジオだ。ハンドトーキー、ラジオとバスとどう関係があるんだ。話にも何もならぬ。  河川しゅんせつプロジェクトというのがありますが、一億七千五百万余った。追加はアクセサリーを購入した。丸紅だ。全部そうだ。  これはもう切りがない。何十もありますよ。これは時間がなくなってしまいますからそうたくさんも出せませんけれども、ここで外務大臣基金の総裁ですか、お二人に承りたいのですが、一体何という金の使い方をなさるのですか。向こうが使うんだから知らないでは済まぬですよ、いかがですか。ビッグチャンスだから、これから慌てて何か見つけて、基金はうんと言うだろうから買っちまえなんてこんなばかな、国民の税金で。
  182. 細見卓

    細見参考人 お話を承っておりますと、大変無関係なところに金を使っておる、いかにも乱暴な使い方のように聞こえますけれども、実際を申し上げますと、関連事業で、日本政府相手国政府フィリピン政府との間にできました交換公文でこういう事業をやろうという事業につきまして、例えば一年分の部品あるいは半年分の部品等考えておったのが、途上国でありますから一年分が二年分くらいはどうしても要る。それほどやりましてもなかなか汽車とかあるいは洪水制御のポンプとかいうようなものの部品がなくてうまくいってないところも現にございます。そういう途上国の現状を考えまして、これは要るものだということを個々に判断していたしておるつもりでございます。
  183. 大出俊

    ○大出委員 外務大臣どうですか。
  184. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今総裁も話されましたように、いろいろとお話聞きましたけれども、私詳細は承知しておりませんが、しかし交換公文あるいはまた借款の協定によりましてそれなりに規則的にきちっと全体的にはやっておるものである、こういうふうに私は判断しております。
  185. 大出俊

    ○大出委員 私は、基金の皆さんもみんなおいでいただいて聞いたんだけれども、まずもってコンティンジェンシー、予備費ですね、基準はないけれども、おおむねそのプロジェクト総額の、五十一億なら五十一億の一〇%だ、こう言う。なぜか。ダムつくるといったら、水流の調査など日本は二十年くらいやるが、フィリピンは一年とか半年しかやらないからだ、こう言う。だからそういう意味で予備費。それならば、仕事やっていって必要ならば使うというものなんだ、一〇%は。残っているのを見ると、ほとんど一〇%残っている。だから、計画どおりならば残るはずなんだ、初めから。残らなければおかしい。この予備費というこれが残る。中には頭から予備費を先に使っちまうなんというのもありますがね。残ったら、何を買っていいかわからない、しかしチャンスだからこの際何か買おうじゃないかという相談が始まっちゃう。そんなばかな使わせ方がありますか、国民の税金を貸すのに。そうでしょう。そういう状態では、これは国民の皆さんに相済まぬでしょう。  最後に、これは国税庁、法務省その他に承りたいのでありますけれども、この今まで出てきている公開文書の中で、まず一つは一九七七年の十月十三日の文書が二つある。一つの文書は何か。東陽通商の小竹という専務がその契約の中身その他に一五%のリベートというのをアシジェニト投資会社のヘニト氏に明らかにして出している。六つ、七つございます、Fまでですかね。もう一つの同じ日付の手紙というのは、BBBが出てくるものであります。ここにございます。BBBとは何だ、これはジェネラルに送られたものを示唆している、こういうふうに注釈がついていますが、このBBBの中をずっと調べていきますと、このBBBの性格はどうかというと、オスカー・ロドリゲスさんに頼んでこの表をつくってもらって、現在これこれのプロジェクト、これこれの契約があっていつごろ船積みするかとか、リベートは幾らかとかみんな書いてある。ところが、これは七月でございますから、来年の二月に船積みをする、契約は締結をされて借款に署名されていると書いて、一五%まだ送られていない。だからこれは仮定のものではないかという説もある。ところが調べていくと、仮定のものではない。後に改めて送り状が出てくる。ここに送り状がございます。署名されている、そしてローンがついている。それはこういうことで、つまり成約ができて船積みをしてこうなった、だからリベートは一五%ですといって後で報告がヘニトさんに出されている。  しかもその報告はこういうことになっているのです。たくさんあるわけでございますけれども一つだけ例を挙げれば、バターン輸出加工区の電化事業計画、この中の電気部品十七億五千二百七万三千円という契約受注が行われている、そして五月七日付で送金文書がここに入っているのですが、これは七七年九月十一日に契約をされている。そして七九年三月二十七日に船積みが行われた。これと同時にFOB価格で十六億八千六百八十八万七百四十一円掛ける十五、つまり一五%は幾らになるかというと二億五千三百三万二千百十四円を東陽が、マニラのトレーダース・ロイヤルバンクにアシジェニト社が持っている口座、口座番号もわかっているのです。マニラにあるトレーダース・ロイヤルバンク、口座番号はSA一〇〇九、ここに一五%分のリベートを送ったという送金状がちゃんと届けられている。そうすると、この金はいよいよ明確なリベートです。しかもそれは片っ端から一五になっている、東陽扱いなんかのものは。多少一一があったり一〇があったりするのもありますけれども。  そこでもう一遍承りたいのですが、この金の流れ、これをお調べになっているでしょう。経済企画庁長官、何もお聞きしてないので少し聞いてみたいのですが、いかがですか。基金を抱えておられる企画庁長官だから公開文書などは目を通しておられるのだと思うのですが、いかがでございますか、私が言った今の証拠。
  186. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 公開文書等につきましては、ただいま検討しているところでございます。
  187. 大出俊

    ○大出委員 今私が指摘したこの件について、検討の結果どういうことになりましたですか。バターン輸出加工区電化計画がございまして、この電気部品についてのシッピングが行われる、先のことを言っているんだが、後から送り状が出てきて、それはSA一〇〇九の口座番号であるマニラのトレーダース・ロイヤルバンクのアシジェニト社の口座に送られた、この文書にあります。
  188. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 まだ検討作業中でございます。
  189. 大出俊

    ○大出委員 通産省はどうですか、大臣がおらぬですが。
  190. 黒田真

    黒田(真)政府委員 ソラーズ委員会から公表されました二千ページ余の文書につきましては、現在精査中でございます。
  191. 大出俊

    ○大出委員 国税庁にもう一遍承りますが、今私が具体的に例を挙げた、これはもう国税庁はお読みになっていると思うのですが、いかがでございますか。
  192. 日向隆

    ○日向政府委員 公表されましたマルコス関係文書については十分分析をしております。
  193. 大出俊

    ○大出委員 話にも何にもならぬですな、今の答弁は。先ほどの国税庁の答弁に入っていることですから、一般論として述べておられますからそれはいいですけれども、どなたもが精査中であって、何もない。  ところで、法務省に承りたいのですが、これは少し時期的には先に延びるような感じですけれどもフィリピンの側で日本関係企業どもあるいはお呼びになっていろいろな形で調査をなさるのではないだろうか。その場合に、向こうで訴追をされるというようなことになった場合に、日本はどうするかという問題が出てまいります。これは外務大臣に聞いたらいいのかもしれませんが、国際捜査共助法という法律が日本の法律にございます。これは受け皿ですね。向こうから捜査を依頼してきたら捜査するという受け皿。これは外務大臣が窓口なんですけれども、法務省にもお出かけいただいておりますが、この受け皿で政府の意思決定が必要でございましょうが、外務大臣から法務大臣へというようなことになるとすれば、どういうふうにするか。改めての取り決めは要らないと私は思っているのでありますが、引き渡し協定もあるのでありますから、どうお考えでございますか。
  194. 馬場俊行

    ○馬場説明員 お答え申し上げます。  最後におっしゃいましたとりたてての協定は要らないのではないかという点については、おっしゃるとおりでございます。したがいまして、向こう側での訴追があった場合におきまして、仮に向こう側から捜査共助の要請があったといたしました場合に、これに応ずるかどうかという具体的な問題についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、制度として一般論で申し上げれば、そういう要請があった場合に、我が国の国際捜査共助法の要件あるいは相当性、そういったもろもろの条件を充足します限りにおいてこれに応ずることは可能でございます。
  195. 大出俊

    ○大出委員 最後が聞き取りにくいのだけれども、それに応じることになれば、調査、捜査いろいろありましょうけれども、やる、やれる、一般論として。ちゃんともう一遍答えてください。最後聞き取れなかったものですから。
  196. 馬場俊行

    ○馬場説明員  繰り返して申し上げますが、この件について応じられるかどうかということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、現在の段階で断定的にお答えはいたしかねるわけでございますけれども、制度的に申し上げますれば、そういった要請がありまして、かつ、我が国の国内法、具体的には国際捜査共助法の要件等を満たします場合には、応ずることは可能でございます。
  197. 大出俊

    ○大出委員 大体それでわかりました。  最初に戻りますけれども、私の方は一生懸命調べたのです。そして通産の方に、電源開発の皆さんが出している資料の中身も知っている。これだけしかもらっておりませんということを知っている。ところが、ロドリゲスさんがおつくりになった文書の方のコンサルタント料というのは、九億を超えている。電源開発の皆さんの方は四億ちょっと、両方合わせて六億ぐらいですね。両方合わせれば総額十億を超えるのでありますが、そうすると四億からの金がどうにかなっちゃっているわけです。明確ですね、これは。だから資料を出してくれと言っているので、何もなくて言っているのではない。具体的なものがあるから言っている。しかも、通産省に出しているものを印刷して差し上げませんでしたが、間違いない。文書なんですから。さっき皆さんにお見せしましたが、だから出してくれと言うのですが、それでもお出しになりませんか。外務大臣経済企画庁長官、各省庁、そこのところ皆さんひとつはっきりしてください。
  198. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 この件についてはしばしば答弁いたしておりますが、主としてフィリピン政府にかかわる資料でありまして、フィリピン政府が公開をしない、こういう立場に立っておりますので、外交上、我が国フィリピン政府に先立って公開をするというわけにはまいりませんということを申し上げざるを得ないわけでございます。
  199. 平泉渉

    ○平泉国務大臣 外務大臣見解と変わるところはございません。
  200. 大出俊

    ○大出委員 終わります。
  201. 原田憲

    原田委員長  次に、上田哲君。
  202. 上田哲

    ○上田(哲)委員 今から一週間前の四月十六日の午後、在フィリピン日本大使館員が、マニラ市パシグ地区のサロンガ委員会を初めて訪問をいたしました。ダサ委員に面会を求めました。この話の内容は、サロンガ委員会が持っている資料、私どもには公開をしたとする資料をフィリピン政府が公表したものにしないことにせよ、そういう申し入れをしたと伝えられていますが、いかがですか。
  203. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 お答え、いたします。  そのような事実は承知しておりません。
  204. 上田哲

    ○上田(哲)委員 資料を出せ出せと言っても水かけ論でありますが、向こうが公表したと言っていないのだから、向こうが出さぬものは出せないと言っているのだが、出したものを公表と言わぬでくれと頼んでいるのじゃ幾ら言ったってどうにもならぬのであります。  伝えられているところは、日本側から今後の解明作業の進み方いかんによっては援助の停止もあり得るとする助言がフィリピン政府に届けられているというのがフィリピンのアキノ閣僚間での話として既に出ております。そのような助言をされたことはありますか。
  205. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 そんな心の狭いといいますか、そんなことは全く考えておりません。我々は、今のアキノ政権が直面している事態は大変厳しいものがある、やはり一番経済で大変な事態に陥っているので日本政府としてもできるだけこれは御協力を申し上げたい、こういうふうに思っております。具体的にはこれから相談するわけですが、その基本的な考え方は変わりません。
  206. 上田哲

    ○上田(哲)委員 フィリピンの有力な人々がそんなにまでして物ごいの援助は受けたくない、こういう発言が半ば公然と出る状況を私はフィリピンから具体的にこの耳で聞いております。  例えば、その中で特にフィリピン側を刺激しておりますのは、四月九日の衆議院の連合審査で中曽根総理が、フィリピン政府から経済再建の考え方についてまだ連絡も受けておらぬ、厳密な手続が必要だ云々と述べられて、そういう表明もないのだったら援助は簡単にはいかぬぞという趣旨の発言をされています。これはちょうどサロンガ委員長調査団の派遣計画を明らかにした直後でありまして、まさにそれに向かっての総理の不快感の表明ではないか、こういうふうに受け取られている事実がある。総理の発言もある。今外務大臣は、そんな心の狭いことはないとおっしゃった。そうでなければならぬと思いますが、フィリピン政府、朝野にわたってこのような感覚が今起きている段階でありますから、この国会の公の席で、そのような意図は持たぬということをはっきり明言をしていただきたいと思います。
  207. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いわゆるフィリピンアキノ政権との間では、外務審議官も派遣をいたしまして経済協力の問題について既に話し合ってもおりますし、近くまたオンピン大蔵大臣もお見えになるということでもありますし、政府としましては、このアキノ政権、これだけのフィリピンの圧倒的な国民の支持を得て成立した政府のこれからの安定、それからさらにまた経済のこれからの立て直しのために友邦国としてできるだけの協力をしなければならぬ、この基本的な考え方は毫末も変わっておりません。
  208. 上田哲

    ○上田(哲)委員 きのうのことでありますが、昨日の時間を言えば午後二時、フィリピンの角谷大使がアキノ大統領を訪問されております。本日日本において特別委員会が開かれる前日に角谷大使が大統領を訪問された。現地では、サロンガ委員長ほかの訪日を間接的に拒否したものだ、こういうふうに伝えられていることを先ほども耳にいたしました。御存じのように、四月十七日にはダサ委員が記者会見で、五月十日過ぎにサロンガ委員長とダサ委員フィリピンの円借の窓口大臣でありますメルカド大臣が日本に行って本格調査をしたい。またサロンガ氏は、私は大統領命令があれば行く。例の五月の十六、十七、カリフォルニア大学の講演があるから、その前の十二-十四日ごろならば行けるので、これには日本政府の正式招待か国会の招請があればいい、こういうふうに言った上で、訪日すれば確実な証拠で話をすることがあるというふうに発言をされております。これはもういろいろなルートで確認をされておると思うのでありますが、こういうような言動を受けて、資料も出さぬ。我々が持っているものでも、これはフィリピン政府の公式発表ではないのだからこちらからは言えないのだ、向こうが出さぬうちは出さぬのだ。しかし、今否定されましたからこれはフィリピンに伝えたいが、どうも私たちはこうした動きを見ていると、この数日の間にも、出さぬでくれよ、出してはいかぬぞ、援助に響くぞみたいなことを言っているように聞こえる疑いを持たざるを得ない。角谷大使が急速本委員会の前日にマラカニアンにアキノ大統領を訪ねて、何を言われたか。一般にルーマーされているような、サロンガ訪日は好ましくない、こういうような表現をされたということはよもやあるまいと思いたいのでありますが、大使を指導される大臣、いかがですか。
  209. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 角谷大使がサロンガ委員長に訪日を差し控えてほしい、全くそういう事実はございません。むしろ私どもは再三お答えしておりますように、サロンガ委員長の方からはまだ正式には訪日ということはございませんけれども、もし訪日ということがサロンガ委員長の方から政府の方にありますれば、その時点においてその目的等を伺って対応を考えたい、こういうことでございまして、昨日、角谷大使は全く別件でサロンガ委員長を訪問したということでございます。
  210. 上田哲

    ○上田(哲)委員 サロンガに会ったのですか。
  211. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 アキノ大統領でございます。失礼しました。
  212. 上田哲

    ○上田(哲)委員 では、アキノに何を話したのですか。
  213. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 これはLSTでございますけれども――いや、失礼しました、木材の輸出につきまして、昨今何か日本が非常に協力をしなかったということをマセダ天然資源大臣が言っておりますので、私どもの方からは、そういうことはない、過去において十分木材の輸出に協力したということについて事実関係説明に行ったということが、きのうの角谷大使の訪問でございます。
  214. 上田哲

    ○上田(哲)委員 正式に聞いておらぬとか、公式に発表したものではないとかというのは、今日これほどの問題が起きているときに、まことに形式的な遁辞であると私は思うのです。疑惑が生ずる方が当たり前であります。  大臣に直接に感想を伺いたいが、サロンガさんが日本に来て具体的な証拠を持って話したいこともあるというような訪日の意向表明を聞いたら、大臣は不快感をお持ちですか。
  215. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まだサロンガ氏から何も、日本に来たいというような、政府間ではそういうことも全然ありませんから、その時点において、お見えになりたいということなら、それを踏まえていろいろと検討させていただきたいと思います。
  216. 上田哲

    ○上田(哲)委員 外務大臣は新聞をちゃんとお読みでありましょうから、公式であるか否かは問わず、新聞記事をお読みになって、そのことによって不快感はお持ちになっておりませんね。
  217. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 別に不快感というようなものは持っておりません。
  218. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ということは、サロンガさんがおいでになる、国民が待っているということになれば、拒む理由はありませんね。
  219. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 サロンガさんが向こうからこちらにおいでになりたい、こういうふうな御要請があれば、その御要請を踏まえて政府としてもこれに対してはお答えをしなければならぬ、こういうふうに思います。
  220. 上田哲

    ○上田(哲)委員 現段階では歓迎の意向だと受け取れると思います。  そこで、いろいろな話があるので言えば切りがないのだけれども一つ今感想を述べられたところで、大臣として、政治家として、次の時代を担う意気込みにおいて私は伺っておきたいのだけれどもマルコスが悪いことをした、蓄財をした、腐敗した政治であった、私たちは金を援助したのだから向こうのことだというようなことだけではなくて、それが国民の税金を使って不正蓄財になってしまった、向こうの国民の役には立たなかったというような状況は既に明らかですから、これについて日本国民に向かって、税金をこんなふうに使わしてしまったことが相済まぬというような御意向がどうも出てこぬですね。大臣、いかがですか。
  221. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 まず、やはり我々はフィリピンに対する援助はこれまで膨大なものを、四千七百億ですか、とにかく円借款にしてもあるいはまた無償供与それから技術援助等いたしておるわけでございますが、これは私は全体的にはフィリピンの経済の発展と民生の向上のためには非常に大きな役割を果たしてきた、こういうふうに思っておるわけでございますし、また、日本政府のやっておる援助に対する手続は、私自身もいろいろと検討してみまして、非常にきちょうめんにやっております。これはフィリピンだけじゃなくて、各開発途上国に対しても非常にきちょうめんにきちんとやっておる、私はこういうふうに思っておるわけでございますが、残念ながらこのケースは、フィリピン政府が発注した事業者、その中には日本企業もあるわけですが、それとの関係でいわゆるリベート問題というものが起こって、これがマルコス政権の高官に渡ったのじゃないか、こういうことが文書なんかで想像される、推定されるということで今問題になっておるわけで、それが不法であるか、あるいは違法であるかということは、いわゆるフィリピンの問題である。これは第一義的なものでありまして、我々は何といいましてもその第一義的なフィリピンにおけるフィリピン政府とそれから企業との間のそうした問題を正してもらう必要がある、こういうふうに思いますし、それに関連して、やはり日本企業もこれに関連しているという事実がある。また、こうした事業そのものが日本の円借等がその事業であったという事実もありますから、そういう点についてはやはり我々としても重大な関心を持ってこれを見守り、また解明される点があれば解明されなければなりませんし、また同時に、これからの援助のあり方というものについて、我々としても、これからのいろいろと借款を行う場合の協定だとかあるいは交換公文であるとか、あるいはフォローアップ体制であるとか、そうしたいろいろの点について、我々今までやってきた援助のあり方というものを踏まえて、改善すべき点があればやはり改善をしていかなければならぬ、私はそういうふうに全体的に思って御意見等も聞かしていただいておるわけであります。
  222. 上田哲

    ○上田(哲)委員 どうも余りすっきりした話じゃない。フィリピン側の問題であることが第一義的であるかどうかを言っていないのであります。日本の納税者にとってはその使い道が第一義的な問題でありまして、日本政府はそこにまず第一義的な責任感じなければいかぬ。  企画庁長官もお見えですから、先般の発言にはこだわりませんけれども、現在の心境としては、国民に相済まぬな――あの発言じゃないですよ、あの発言じゃなくて、こういう金の使い方になってしまったというのはやはり日本の為政者として国民に相済まぬなという心境をひとつ伺いましょう。
  223. 平泉渉

    ○平泉国務大臣 おっしゃるとおり、これはフィリピン政府の債務を構成する問題でありますから、もちろん我が国は十分これが有効に使われるということをフィリピン政府に対して要求する立場にある、これが本質であろうと思うのですね。ですから、まず事実関係を十分究明していかなければならぬ、こういうことでございます。
  224. 上田哲

    ○上田(哲)委員 甚だ不満であります。両大臣の発言には、納税者、まさにその四千億円、受注でも一千三十億円というふうな大変なものがどこへどう行ったか今もってよくわからぬということに対する身を切られるような反省の言葉がない。日本企業もよく監督してとおっしゃるけれども、これは政府援助じゃありませんか。たくさんそのことを例示をしているのじゃ、だれが悪かったか悪かったかばかりになってこれは本当の議論にならないから飛ばしていくんだが、一つだけ余りにも人口に膾炙されている問題をもう一遍言えば、指摘されているように、日本のこの経済援助というものが、円借款無償援助の決定が全部フィリピンの大統領選挙とか国民投票の直前、交換公文の署名日とそうした投票日の間隔は一週間から一月半の間にすべて集中をしておるじゃないですか。これは政府が決定したことじゃないですか。企業が決定したとも言えないでしょう。一義的には日本においては政府の決定じゃありませんか、  たくさんの例を挙げれば切りがない。もう新聞にいっぱい出ていますよ。直近の二つを言えば、五十九年五月十四日の国民議会選挙の前に、四月二十八日に第十二次円借款が決まっている。商品借款、数年ぶりに三百五十億円も入れて四百二十五億円。これを終わって五月一日にはマルコスが公務員と軍人、つまり集票マシンだ、その賃上げ一〇%の布告をやっているじゃないですか。五月十四日には投票日がありましたね。五月二十九日に中曽根さんへ電話をして、中曽根さん、ありがとうとマルコスが言っている。はっきりしているんだが、これまでの答弁によると、いや、これは五月二十七日、二日前が誕生日だったから誕生日のお祝いを言ったのだ。電話に耳をくっつけてないからわからぬけれども、誕生日のお祝いを二日もおくれて言うような人がどこにいますか。こんなふざけた言い方をしているというところが反省が全然ない証拠ですよ。  第十三次でもそうですよ。八五年十二月二十三日、二月七日の大統領選挙を控えて政府職員百万人に本給一カ月分のボーナス、十五万の軍人全員の給与引き上げをやった。全部同じパターンじゃありませんか。政府決定じゃありませんか。  こういう形になっているということに何で政府としては、やれ向こうの債務をしっかり調べることだ、日本企業がどう関連したかを調べることだ――調べることはこれからやるとしても、今日ただいま、税金を所掌していた日本政府の代表者が、国民に向かって相済まぬということがどうして言えぬのですか。もう一遍言ってください。
  225. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本政府の借款、援助に対する決定は確かにおっしゃるような時期に行われたわけで、私ももちろん責任者の一人として承知しておるわけですが、あのときの決定は、振り返っていろいろと考えてみますと、当時のフィリピン経済というのは大変悪化しておりました。IMFも調査をしておったような状況でありますし、政治的にももちろん不安定な状況にあった。経済が大変悪化して民衆の生活の状況というのが危殆に瀕しているというような状態。そこで、日本は友好国としまして、マルコス政権を助けるという意味でこれはやっているわけじゃありませんで、あくまでもそうした悪化した経済に対して何とかやはりてこ入れをしなければならない。これは友邦国としててこ入れをしなければならぬということで決定をしたわけでございますし、てこ入れをするに当たりましてもそうした援助をするに当たりましても我々は注意深くやっております。したがって、おっしゃるような何か大統領の選挙を助けたとかそういうことには決してなったものではない、こういうふうに私は考えておるわけであります。  それから、全体的に我々日本政府援助が間違っていたのじゃないかというようなお話ですが、私は、フィリピンにしてもその他の援助にしても、日本政府のこれまでの長い間かけた援助というものは決して間違っていなかったし、それはそれなりに正当に評価されてしかるべきものである、フィリピンに対する援助におきましても、フィリピンの経済の発展あるいは国民生活の向上のためには大きく寄与したものである、こういうふうに確信をいたしておるわけです。
  226. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ここが一致しなくてはこの特別委係員会が設置された意味も果たされないだけではなくて、国民は怒りますよ。きれいに頭を下げるとは言いませんけれども、安倍さんが、こういう交換公文が決定されていく、金がどんどん出ていくという時期に何遍か国会で、さまざまな委員会で論議が行われた、そのときの議事録を全部読むには時間が足りな過ぎるけれども、大体言っていらっしゃることはワンパターンです。マルコスが大変かなと思って見たけれども、ちょっと小康状態になった、ほぼ安定してきたから、これは別に一つ政権に向かって援助するのではなくて極めて事務的にやるのだ、自然にやるのだ、そういう言葉を使っておられる。そういうふうにやっていくのであるから政治的な意味はない、こういうふうにおっしゃった。  あなたの意図はそうだと百歩譲って認めましょう。認めるが、その見通しは違ったじゃないですか。マルコスは安定してきたよ、大丈夫だよと言われたのが、そうではないということが歴然と目の前にあるではありませんか。しかもこの不正蓄財が出てきたことになれば、意図は悪かったとは言いますまい。今これだけの疑念が国民の中に生まれているときに、そのために特別委員会も設けられたというときに、意図はどうであったか知らないが、結果的にはやはりちょっとまずかったな、いろいろなプラスもあったであろうけれども、このようなやり方をしたことはざんきである、反省を持っておる、これくらいは納税者に向かって、交換公文に署名した政府責任としては述べらるべきであると私は思うのですが、これでも一致できませんか。
  227. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それは常に、政治をやる場合においても外国との交渉においてもあるいは援助についても、やはり反省というのはなければいかぬと思います。それは、今まで日本がやってきたことに対して常に反省をしながら新しい発展の道を切り開いていくというのが私は日本の外交の姿でなければならぬと思うし、あるいはまた日本援助のあり方でなければならぬ、こういうふうに思っております。したがって、今のマルコス疑惑が出てきた、そういうことで、日本の大事な援助フィリピン政府受注をした企業者との間で疑惑となるような形で、何かフィリピン政府マルコスに一部行ったのじゃないか、こういう疑惑が出ておることは私は極めて残念に思っておる、こういうことは常に言っておるわけです。  ですから、その辺はやはりはっきりしてもらわなければなりませんし、またこういうことがないように我々として今後ともやはり円借のあり方あるいはまた援助のあり方というものは気をつけていかなければならぬし、改善をすべきことは改善をしていかなければならぬ、こういうふうに思っているわけで、何も全然私は間違ってない、堂々とやったんだ、何一つ問題にされるゆえんはないんだということではないわけです。ですから、こういうように国会で特別委員会もできているわけですから、我々はそういう点は十分反省をして、これは改善をすべきことは改善をしていかなければならぬ、こういうふうに思っています。  しかし、とにかく全体的に何もかも悪かったんだと言われますと、これまでにやってきた日本援助というもののやり方は、これはフィリピンだけじゃなくてその他の援助についてもそうですが、我々自身もあちらこちら行ってみても大変評価も受け、あるいは感謝も受けております。これは改善をしてきていることは間違いはないわけですから、そういう面では私は全体的にはそう基本的に間違っておるとは思ってないということを申し上げているわけです。しかし、何もしないということじゃなくて、反省はしながら、これは改善をするところは改善をしていかなければならぬ、こういうふうに言っておるわけであります。
  228. 上田哲

    ○上田(哲)委員 反省をしているって、どこを反省していますか。
  229. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 今申し上げたように、やはりいろいろと疑惑が出たり、そして日本援助というものに対してこうして国会でいろいろと批判をされる、あるいはまた国民の間からいろいろと日本援助というものに対して疑問を持たれる、こういうふうなことは残念である。ですから、こういう点はやはり解明もしなければならぬし、そういうことのないようにこれからやっていかなければならない。援助に当たっては、これから援助をやはり伸ばしていくわけですから、そういう基本的な一つの反省の上に立ったこれからの援助への心構えが必要だということを申し上げておるわけです。
  230. 上田哲

    ○上田(哲)委員 具体的に言いましょう。OECFの西川仁さんというのは何をしている人ですか。
  231. 細見卓

    細見参考人 経理課長でございます。
  232. 上田哲

    ○上田(哲)委員 確かに経理課長と書いてあります。これをずっと見ますと、その西川仁さんという経理課長が大きなサインをしているこの資料、膨大な資料の一部でありますがね、この中で具体的な金の支出が歴然としておるのです。  八五年十二月十七日には四億二千百五十三万九千二百七十五円。これはOECFからの支払い通知書です。十二月二十七日は二十億二千七百五十五万円。八六年一月三十一日は十二億七千五百三十六万千二百四十一円。ちゃんと書いてある。たくさん言えば切りがないのですが……。  全部が悪いとは言わないよと大臣言われた。全部が悪いとは言ってない。しかし、どこを反省してもらわなければならないかということにプリズムを当てれば、八六年一月三十一日なんというのはもう完全に政変が国民怨嗟の中で起きようとしているところです。大使館があって、外務省があって、そんな趨勢がわからぬということはないでしょう。こんな時期に十二億だ二十億だというのが矢継ぎ早にだあっと出ているんです。私が言っているのは、国民の税金だということを言っているんです。その国民の税金がだあっと出ているんです、OECFから西川仁さんの署名で。  こんな時期に出ているというのは、念のために去年と比べましょうか、資料はいっぱいあるんだから。去年と比べれば、一年前だからおととしの暮れの十二月から一月くらいまでずっと見ると、億なんというのは八五年の一月十八日、三億二千五百二十万八千七百三十四円と一件のみで、あとは百万とか千万単位です、みんな。これがぐっとここへ来て一気にこれだけの金がどんどん出ていくというのは、いいですか、意図がどうだったとは言わない、大臣、あなたがマルコス政権を一方的に支援しようと思ってやったんだとは言わない、そこを言えと言っているのではない。崩壊寸前のこの政権に、おっしゃるような経理課長の名前でどんどん血税がこれだけ入っているというのは、結果的にやはり反省すべきものではなかったかということを私は具体的に聞いているんです。いかがですか。――大臣に聞いている。
  233. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは何もマルコス政権に出ているのじゃないと思いますね。そのときのフィリピンの経済の状況、その前の十二次の円借款あるいは商品借款、これに基づいて、約束に基づいてこれを出しているわけで、フィリピン経済は大変困窮している、そういう状況の中で、基金の方でフィリピン政府の方と折衝された中で出されておる円借款、商品借款じゃないかと思いますけれども、何も政権に直接出ているとか、政権を助けるために出されておる、こういうものではない、私はそういうふうに思っております。
  234. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それがマルコス政権にどんどん入っていったということを証明しますよ、これから。  そうであったらやはりまずいとお思いになるでしょう。悪意であったとは言いませんよ。意図は別だった。フィリピン国民を助けようとしても、結果的には崩壊寸前のマルコス政権、今不正蓄財と言われて世界の声を浴びているマルコス政権をやはり支援してしまったことになるということは全く認めませんか、大臣。
  235. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 私自身としては、フィリピン援助というものに対しましては、マルコス政権が非常に不安定な状況になって、アキノ氏の殺害事件とかいうものが起こっていろいろと政治的不安定な状況、そして同時に経済は困難になっている、そういう中で、日本政府援助も慎重に取り扱わなければならぬ、これは国会でもいろいろと実は質問も受けまして、私もそういうふうな判断もいたしまして、できるだけの慎重な姿勢で対処したつもりです。商品借款等につきましても、そういう点ではむしろ非常に厳しい条件を出したように私は思っておるわけでございます、ですから消化が進まなかったという点もあったんじゃないかと思うわけでございますが。  しかし全体的に見て、そうした何もマルコス政権を助けていこうなんというような意識は全くなかったわけで、フィリピンの経済は非常に悪かった、IMFがもう既に救済に入っていろいろ調査をして、その調査報告も出る。ですからIMFとともに、日本はやはりアメリカとともにフィリピンについては最大の援助国ですし、フィリピンとは長い間の友好関係にあるわけです。昔の歴史をたどれば、かつて日本軍があそこを侵したという歴史もあるわけですから。そういうことを踏まえれば、フィリピンの経済が非常に悪くなっているときは、政権がどうなるこうなるというよりは、やはりフィリピン経済フィリピンの民衆を少しでも助けていくというのは、これは私は日本一つの役割ではないだろうか。それにしても慎重にやらなければならぬということで取り組んだ気持ちでございます。  具体的にいつどうしてどうしたということは私自身は覚えておりませんし、一々私が決裁したものでもありませんから知りませんけれども、基本的にはそういう姿勢で取り組んできたつもりであります。
  236. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大きい声を出して追い詰めて何か言わそうと思いませんよ。思いませんが、今申し上げたように、こういう金がどっとばかりに際立ってこの時期に出ているというのがマルコス政権を救うためであったかどうかなんて、そんなことを今言おうとしているんじゃないんだが、世界のあの流れの中でいうとぐあいが悪かったな、これが納税者の税金を使う使い方としてはちょっと適切なものではなかったなぐらいのことは言われなければ、真相究明のためにやっていくということにならぬと私は思うものですからね。非常にくどいけれども大臣、フランクにその一言がきけないのですか。やっぱり絶対正しいとおっしゃれば、その立場でこれから攻めていきます。その分かれ道をはっきりしてください。
  237. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 それがどういうふうに使われたかということを私よく承知しておりませんけれども、具体的にはそれはやはりきちっとした形で、例えばマルコス政権のポケットにそのまま入ったわけでは決してないと思いますよ。それはちゃんと借款契約がそういうものに基づいて、それはそれなりにきちっと使われておる、そういうふうに思っておりますから、今おっしゃるように具体的に現実的にこれはやはり明らかにしなければ何も判断ができないし、私はそれはちゃんときちっとした形で使われておる、こういうふうに確信しております。
  238. 上田哲

    ○上田(哲)委員 水かけ論は省きますから、先へ行きましょう。  今おっしゃるようなきちんとしなければならぬというところだけとらえていきますし、それから借款契約その他云々ちゃんとやっているんだというところが、ちゃんとやってないというところをこれからだんだん攻めていきますから。  そこで、全部は言わないんだけれども、集中的に出てくるのが第十二次から第十三次ですよ。第十二次から第十三次というところが本当にそういう問題のうみがたまっている感じがする。ずさんであると言えば、これぐらいずさんなことはないと私たちは言わなければならぬ。そこの象徴的なものがサンロケ・ダムです。  これは前々の委員会政府委員から、中曽根総理が向こうへ行かれて、マルコスさんと会って「マルコス大統領からサンロケダムの計画を詳細説明されまして、非常に重要なプロジェクトであるからぜひ協力してほしいという要請マルコス大統領から総理にございまして、それに対しまして総理から、そのサンロケダムのフィージビリティースタディーをまずしっかりやりましょう、この調査が先決でございます、その結果を待って将来の課題として御相談しましょうと、こういうお答えをされたということでございます。」橋本さんが答えておる。こういう経過は歴然としているわけですね。  NEDAは初め二十四プロジェクトを出していた。それが総理がこういう約束をされてから、八三年の五月二十三日に正式の要請が出てまいりましたときには、これは十五プロジェクトになっていて、そのうちのトップにこのサンロケ・ダムがランクされていた、これはもう周知の事実であります。このサンロケ・ダムは、イタリーのエレクトロコンスルがFSをやりまして、それじゃとても前へ行かないということで八三年十一月からJICAが水質検査などの環境調査を行った、そして八五年九月に報告書が出た、こういうことになるんですね。そこまで間違いありませんね。
  239. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員がおっしゃったとおりでございます。
  240. 上田哲

    ○上田(哲)委員 このサンロケ・ダムというのは、総額幾らで外貨分はどれぐらいだというふうに理解したらいいのですか。
  241. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 このプロジェクトは、ただいま委員が御指摘のように、我が方としましては実はフィージビリティーの見直しを行ったものでございまして、積算等々はイタリアのコンサルタントが行いましたもの及びフィリピン側が見積もった金額というのがございます。それによりますと、これは五十八年七月時点のフィリピン側の見積もりでございますが、総事業費は約九億ドル余り、うち外貨分が五億ドル余りというふうに見積もられております。
  242. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そのとおりですね。全部で九億ドル、外貨分五億ドルというのです。当時は一ドル二百五十円であります。計算してごらんなさい。千二百五十億円ですよ。いいですか、一次から十二次まで全部で四千億。そしてそのうちの日本企業受注分が一千三十三億円だ。こんな長い期間かかって十二次までやってきて、日本が全部やった分を足したものよりもたった一つの方が大きくなるような千二百五十億円なんというプロジェクトがやれるわけがないじゃないですか。そんなことは、総理がどれだけ数字に詳しいか詳しくないか知らぬけれども、専門家がついて話をしていって、イタリーからそでにされてどこもやってくれないといういわくつきのものを、日比親善という言葉からいったら、この数字ははみ出るでしょう。千二百五十億円のプロジェクトなんというものが一体どうして引き受けてくることができますか。本当に引き受けようと思ったのか、どこかに伝えられているようにお茶を濁して調査だけやろうとしたのが、どっちですか。
  243. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 お茶を濁してということではございませんけれども委員指摘のとおり極めて大規模なプロジェクトである。それとともにフィリピン側の熱意も非常に強いものがあるということでございましたので、我が方としましては既存のフィージビリティースタディーの環境面での評価を行いまして、我が方としてもどの程度のプロジェクトの効果、効率というものが上がり得るものかということを我が政府なりに把握しょうと試みだというのが実態かと考えます。
  244. 上田哲

    ○上田(哲)委員 何といういいかげんな話だと思いませんか。これが一体プロジェクト借款、日本援助というものの正しい姿だと大臣、お考えですか。向こうが熱意が強かった。だから聞いてもやろうと思った。しかし、どうやったって、逆立ちしたってできようのないこの金額でしょう。こんなばかなことを、ちょっとやってみたということでどれくらいかかった。調査に二年かかっているのです。金は、調査費は幾らかかった。言えたら言ってください。
  245. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一点の金が幾らかかったかという御質問でございますが、これは契約金額ということではなくて、国際協力事業団として支出しました費用として申し上げますと約三億円かかっております。  それから、委員が非常に膨大ではないかという御指摘でございますが、確かに我が国一国で行います場合には膨大かと思いますけれども、世界銀行でございますとかアジア開発銀行等との、協調融資と申しますけれども、そういうような制度もあり得るわけでございますし、我が国一国でこれを負担するということだけを前提考えていたわけではございません。ちなみに資金協力という形の要請はございません。
  246. 上田哲

    ○上田(哲)委員 それはそうですよ。やれっこないから来ないのですよ。その辺、税金の使い方がいいかげんだと思いませんか。これは三億円ですよ。調査をしたってだめなことがわかっているものを三億円かかって、しかもこの結論の報告書が出たのが八五年九月、第十二次が決まったのは八四年四月二十八日。おかしいじゃないですか。報告書が出る方が役なんだ。まじめにやってないということになりませんか。まあいい。  政府がどういう説明をしているかというと、その後向こうから全然何にも言ってこないんだと言う。冗談じゃない。大統領と総理大臣が握手をして、やってください、やりましょう。二年間三億円もかけて、血税を使って、何と思っている。それで向こうが何にも言ってこなかったら、どうなったんでしょうかぐらい聞くのは国民に、対する責任じゃありませんか。何にも言ってない、何にも言ってないというのが私がきょうまで政府から聞いてきた言い方なんだけれども、訂正されますか。何かあったに違いない。何にも言わない、向こうが言ってこないから三億円の金をむだ遣いをしたけれども、まあ千二百五十億円使うよりはいいだなんという話になったのでは、断じて私は許せない。どうなったのか、経過を明らかにしていただきたい。
  247. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 第一点の八四年五月末に交換公文を締結しました第十二次円借款との関連でございますけれども委員先ほど申されました交渉の過程でフィリピン側がサンロケ・ダムについて関心を持っていたということは事実でございますけれども、最終的に第十二次の円借款の対象プロジェクトにはサンロケ・ダムは入っておりません。その過程を通じまして調査を続けていたということでございます。  このサンロケにつきましての調査は、技術協力の一環としてフィリピン側政府のために行ったものでございまして、資金協力に技術協力としての調査の結果が結びつく場合もございますし、技術協力としての調査調査活動として、それだけの貢献で終わる。例えば地図の作製、それからマスタープランの作成等々はそうでございますけれども、特に資金協力に結びつかないからそれで技術協力としての意味は全くないということは申せないかと存じます。
  248. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そんなばかばかしい説明はまるっきり聞いてもいないし、通りもしません。  五月二十三日に正式に向こう側からのオファーがありましたときには十五プロジェクトのトップで来ているのじゃないですか。トップというのは、一番やってほしいということなのであって、一番やりたくないものを一番上に出すなんというばかなことはないんですよ。総理が会談するまではこれは全然なかったんです。それが急に十五の頭に来たんですよ。それで三億円使ったんですよ。二年かけたんですよ。何にも言ってこないから消えてしまったんです、うまくいくばかりとは限っておりません、ばかを言っちゃいけませんよ。そんな形で税金を湯水のように使われては困るのだという反省を言っているのだが、もっと言いたいことは、NEDAの場合でやったら二十四から始まった。正式に水の上に出てきたときには、それが十五になった。それが最後には第十二次借款では三つになってしまった。三つになってしまってこんなものはみんな消えて、そして三百五十五億円の商品借款がどぼっと出てきた。これが十二次借款の大きな問題なんだ。マルコスのところへ行ってない、行っているとは思わないとおっしゃるけれども、どんなに行っているかということをこれから逐次明らかにいたします。こういう形でおかしなところへおかしなところへ金が使われているということについてまだ反省がないというのでは私は困ると思うが、次へ移っていきましょう。  こういう借款プロジェクトの場合は、何もJICAばかりがやるわけじゃないけれども、おっしゃるように共同の作業もあれば、世銀もあれば、ほかの民間プロジェクトもある。いろいろあるけれども、世界に誇る技術を持っているJICAが今日まで行って円借款につながった数というのは十六プロジェクトだと思っておりますが、それでいいですか。
  249. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 フィリピンに対する円借款ということでございましたら、そのとおりでございます。
  250. 上田哲

    ○上田(哲)委員 十六あるのです。十六あるんだけれども、つながらなかったところの話はいいです、また後でやります。つながることになった十六、このFSをやる会社がある。この登録されている会社は三百を超えるわけです。  これなんです。これを全部見て見ますと、十六のプロジェクトにコンサルタントとして参加した、これは一応会社名です、やがて個人名も明らかにしますけれども。その会社名をずっと見てまいりますと三百。これはだれでも手を挙げれば入れる。だれでも手を挙げれば入れるのだが、コンピューターを使ってどんな能力があるかということでさあっと選び出すと幾つかになってしまうということになるのだが、よく見てみると、この十六だけしかない中で三回も参加している三祐コンサルタンツ、二回参加しているのが日本海外コンサルタンツ、いろいろありますよ。十六しかない中で、三百もある中で一つが三つも入っているというようなこんな形というのは大変偏っているということは間違いはないですね。  どうもこういう形がどんどん調べていくと非常に不明朗な形に結びついてまいります。大体発掘の場合もそうですし、それからいよいよ直結していく場合にも専門のコンサルタントが中に入ってプログラムをつくっていって売り込んでいくというのが、あの公式な形の前にあることは常識なんであります。そのコンサルタントとこのコンサルタントは違うんじゃないかと初めは思わされていたが、だんだん攻めていくとだんだんコンサルタントというのは同じになってくる。同じだということは、もっと深く掘っていくと、下の方へ行くと商社が出てくる。大きい企業が出てくる。これが上手にダミーでごまかしていても、こんな大きなFSをやる方なんというものはちょっと手を挙げただけじゃできませんよ。これは私は非常に危ない、危険な問題があると思います。そういう点が全くないとおっしゃるならば、時間がだんだん迫っているから余り長い説明をしてもらいたくはないのですけれども、すぱっと言えるならば心配ないということを言っていただきたいが、私はこのFSというところに実は今日の不正蓄財リベートを生み出した大きな山がある、ここを今追及していかないと問題が明らかにならないという確信を持っています。そう思っていますか、どうですか。
  251. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 今、特定のコンサルタントの名前をお挙げになりましたけれども、それぞれコンサルタント、我が国はまだ欧米に比べますとコンサルタントの発展度が低うございますけれども、かなり最近は一生懸命やってこられて専門化しておられます。  委員の御指摘になった第一のコンサルタントは農業に特化しておられるコンサルタントでございます。第二番目がたしか交通関係かと思いますけれども、そういう意味では、農業関係について強いコンサルトというのがあるというのは特に不自然ではないのではないかと思われます。  それから、コンサルタントの中立性いかんという御質問ではないかと思いますけれども、やはりコンサルタントは中立的でなければならないということで独自の倫理的な中立性を守ろうという綱領も持っておられますし、かなりその面でも努力を重ねておられる。それにもとる場合にはやはりコンサルタントの名声にも傷がつくということで努力をなさっておられるものと私ども感じております。
  252. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そんなコンニャクみたいな話では全然この問題は解明できません。  具体的に仕様の問題から入って、日本的なパターンの中でなければだめだというところも一つあるし、およそ一五%から二〇%のコミッションだ、リベートだ、性格の問題はありましょうけれども上乗せができるというのは、単に一つの仕様書の上にぽんと乗せるなんということではできないですよ、これは。まさに一番初めの策定の段階から専門家が入っていて、これが一つの円をつくっている、今はそういう言葉にしておきますよ、円をつくっているから出てくることなんです。私は今回の問題を徹底的に追及するというのであれば、ここのところに光を当てるのでなければ問題が解明できないという確信を持っています。  今、非常に抽象的なお答えがありましたけれども、問題を後に譲りたいと思うので委員長にお願いをいたしますが、特にこれが暗いとか黒いとかと言っているのじゃありませんけれどもよく名前が出てくるのでありますから、この三祐コンサルタンツと日本海外コンサルタンツの代表者を国会にお招きいただいて事情をよく聞かせていただくようにお取り計らいをお願いしたいと思います。
  253. 原田憲

    原田委員長 先ほどと同じように、理事会で協議をいたします。
  254. 上田哲

    ○上田(哲)委員 そこで、さっき商品借款の話も出ました。その商品借款でわからないことがいろいろ出てくるのです。  その商品借款で、LCとリインバースの二つのやり方があるということが指摘をされております。どういう基準でこれがLCになったり、リインバースになったりするのでありましょうか。
  255. 細見卓

    細見参考人 リインバースの場合は、既に国際的に取引が行われておるもので、しかもその商品借款に取り上げたものがまさに商品借款援助としてふさわしいというものをリインバースにするわけでありますし、そうでない、あらかじめフィリピンの中央銀行と話し合いまして中央銀行の方でいろいろ品目を選んで取り上げておるものは、これは普通の商品借款のルールになるわけであります。
  256. 上田哲

    ○上田(哲)委員 LCとリインバースと大体どれくらいの比率になりますか。
  257. 細見卓

    細見参考人 正確な数字でもございませんが、商品借款の中の大きい部分は今までは大体LCによっておりまして、リインバースはむしろ例外、つまり割合で申せば四割ぐらいがマキシマムぐらいに考えております。
  258. 上田哲

    ○上田(哲)委員 リインバースの場合はレシートだけで金が動くということでいいのですか。
  259. 細見卓

    細見参考人 購入の事実を証明する証懸書類でございます。
  260. 上田哲

    ○上田(哲)委員 だから、これが実にわけがわからぬですね。  LCの場合も、この文書の中には、二枚目の紙を送ってくれ、これを証拠にするということが書いてありますよ。そういう手続を見てまいりますと、実に簡便なんですな、細見さん。これは、人格高潔な、開発途上国援助のための情熱に燃えておるということになれば、神のごとき人であればいいけれども、このしきたりというのは、ちょっと腹黒いのが出てきたら――レシート一枚でいくのですね。問題が起きないと思いますか。
  261. 細見卓

    細見参考人 御承知のように、中央銀行がかみまして商品借款の品目を一々チェックして、日本に連絡してまいるわけでありますから、不正というのは私は原則としてない。  なお、日本から渡りました商品借款の結果としての金は、御承知のように中央銀行に凍結といいますか集められまして、それが後ほど政府に貸し出されていった場合もございますが、いずれにしても見返り資金として厳重に管理しております。その点をIMFが厳重に監督しておったものですから、その条件を若干緩めてくれないかというようなことが交渉の過程でありましたが、それが政権の交代で合うやむやになっております。
  262. 上田哲

    ○上田(哲)委員 時間がだんだん迫ってまいりましたので、この問題を今深くはやりません。深くはやりませんが、私はこの仕組みを調べてみてびっくりいたしました。こんな、何といいましょうか、裏打ちのない、やろうと思えばどんなことでもできるようなやり方で一さっき、マルコスに流れていったらとおっしゃるけれどもマルコスに現に流れたじゃありませんか。ここのところが実にずさんな仕組みであるということを申し上げておきたいのです。  具体的には、LC方式の場合でもリインバースの方式の場合でも、今お話しのように、見返り資金ができるわけですね。さて、見返り資金をどういうふうに使っていくのかということになると、交換公文の中に「フィリピン通貨が使用される開発事業計画は、両政府関係当局が別途合意するものとする。」こうなっておるわけです。十二次借款の場合は――ここにカガヤン農業総合開発、イロコス・ノルテ地方道路改良等九プロジェクトが出ていますよ。  この時期になっているから大抵のことは全部つじつまが合うようになっている。全部つじつまが合うようになっているのだが、そうはいかない。ではこの見返り資金をどうするかというと、枠が一つはまっていて、日本側が要請した場合に報告を受けることができる、こうなっています。そうですね。日本側はやっているかと言ったら、全部報告を受けております」全部言葉の上ではでき上がっている。そうはいかない。だれがこれを見ていますか、具体的に。固有名詞で言ってくれとは言わないから、何々課長が見ていますか。
  263. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 だれが見ているかという御質問でございますと、私も見ております。
  264. 上田哲

    ○上田(哲)委員 ああそうですか。――見ていることにしたでしょうね。そんなことはないです。冗談じゃありませんよ。大変今、悪名とは言いませんけれども名高い藤田局長が――細見さん笑っていますよ。これだけのものを、大変な量ですよ、五千枚もあるから出すわけにいかないなんてさっき政府のだれかが言ったんだが、こんな細かいところまで全部チェックをしている、私はそんな言葉ではだまされない。  機構として聞く、こういうものをチェックする、報告を要求し、出てきた報告をチェックするというのはあなたの役職においてやることになっているのですか。だれの役職においてやれるような規則になっているのか、条文になっているのか、明確にしてください。
  265. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 これは交換公文上、政府間の約束でございますので、私どもが報告を徴しております。
  266. 上田哲

    ○上田(哲)委員 この議論は後に譲っておきます。私も見ております――多分中曽根さんに聞いても、私も見ておりますと言うでしょうな。こんな言い方でもってこういう手続論のところをごまかされない。  もう時間がないから先へ行きますけれども、ここのところが、これはLCであろうとリインバースであろうと見返り資金が積もってくることは同じなのであって、その見返り資金が流れていくということをどうやってリサーチするか、保証するかということがはっきりしない。報告書を見ていると言うんなら、後にどこをどう見たかということを具体論で示して議論しますから、十分用意しておいてください。  そこで、最後の五分間でありますから、ぜひとも伺っておきたいのは、国税庁、五年間さかのぼって税務調査が行われたというのでありますが、まあ進展状況を聞いてもしようがないと思うのですが、今後の議論のためにちょっと伺っておきたい。  まず、コミッションリベートの区別というのはどこでなさる。それから、時間もないからあわせて伺っておきます。これは国税庁じゃないところもありますね。海外経済協力基金法二十条、二十一条に抵触する範囲というのはどの範囲のことを意味しますか。どこからお答えいただいても結構だが、この二点明確にしてください。
  267. 日向隆

    ○日向政府委員 先ほど私御説明申し上げましたように、リベートは非常に広く使われておりまして、売り上げ割り戻しであるとかあるいは正規の手数料であるとか、ないしはそれ以外に交際費、寄附金、使途不明金、こういったものも広い意味リベートに入ってまいります。委員指摘コミッションというのは、その中でいわゆる代理店等の役務の提供がございまして、その役務の提供と支払われた金銭との間に相当性があるという正規のいわゆるコミッション手数料であろうかと思います。その意味で両者には違いがございます。
  268. 上田哲

    ○上田(哲)委員 もう一つは……。
  269. 細見卓

    細見参考人 社会通念上、適正に使われることが基金法の精神でございます。
  270. 上田哲

    ○上田(哲)委員 二十条、二十一条はどこかで答えてください。
  271. 細見卓

    細見参考人 開発に直接役に立つように、となっておるわけでございます。
  272. 上田哲

    ○上田(哲)委員 じゃあこれは警察庁に聞かなくちゃいけないな。二十条、二十一条に言う、抵触する範囲というのはどの範囲かという解釈を示してください。
  273. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御指摘の法文につきましてはいろいろ検討いたしておりますが、現在御答弁申し上げるような段階ではございません。御了承いただきたいと思います。
  274. 上田哲

    ○上田(哲)委員 これはしかし、示してもらわないと何をやってもいいことになっちゃうので、それはどういうことですか。後で考えるということですか。
  275. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 この一連疑惑問題について考えられる関係条文につきましてはいろいろ検討しておるということでございます。これはいろいろ具体的な事案に即して判断しなきゃいけないわけで、特に私どもは、刑罰法令に触れるものがあるかどうかという観点から捜査をしておるわけでございまして、いろんな条文、いろんな法文を含めて検討はいたしておる、こういうことでございます。
  276. 上田哲

    ○上田(哲)委員 じゃあもう一つ聞きます。そうした捜査は始めておりますか。
  277. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 厳密に申し上げますと、捜査活動というのは、刑罰法令に触れる事実があるということを前提として、そういうおそれがあるということになりまして初めて行われるわけでございまして、現在行っております情報収集が捜査活動であるのかあるいはその前段階としての調査活動であるのかという問題はございます。ここであえて申し上げますならば、現段階においては刑罰法令に触れるような事実を把握いたしておりませんので、現在行っておる情報収集活動というのは調査活動であるということになろうかと思います。
  278. 上田哲

    ○上田(哲)委員 日本マルコスの隠し資産が何らかの形で見つかった場合の対応はどうしますか。
  279. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 これはやはり我が国の国内法令に照らして、刑罰法令に触れるような事実関係になるかどうかということによって決まるわけでございます。
  280. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大臣、仮にこの援助の形式が双方の国内で、フィリピンだけではなくて双方の国内で裏金をつくり出す温床となって、フィリピンマルコスと同じく、日本国内で政界に不正流入するということはあり得ないと断言できるかどうか、伺います。
  281. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 全く仮定の御質問ですし、そういうことはあり得ないと思います。
  282. 上田哲

    ○上田(哲)委員 わかりました。  時間が参りました。最後に委員長にお願いしたい。  第一に、真剣に事実を調査すると言われたのでありますから、フィリピン政府から公式に資料の提出を求めるべきである。委員長においてそのように御理解され、なお政府に向かって御促進をいただきたい。二つ目に、サロンガ氏、ダサ氏、メルカド氏、これは政府もしくは国会の招請が欲しいと言っているわけでありますから、政府にかかわらず、当特別委員会が設立されたという趣旨にも基づいて、ぜひ委員長において三氏らの訪日を招請されるように御協議をいただきたい。第三に、このような真相究明のために当委員会から調査団を派遣されることを、しかるべき機関で御相談をいただくようにお願いをしたいと思います。いかがでしょう。
  283. 原田憲

    原田委員長 理事会で協議をいたします。
  284. 上田哲

    ○上田(哲)委員 理事会でぜひこのことを三点とも御決定いただくことをお願いし、多くの問題を後に留保して、終わります。
  285. 原田憲

    原田委員長 次に、坂井弘一君。
  286. 坂井弘一

    ○坂井委員 経済協力我が国の対外政策の非常に大きな柱であると私は思っておりますし、今回いわゆるマルコス不正蓄財疑惑、このことによってこの柱が大きく揺らぎ始めた。このことは我が国の外交にとりまして極めてゆゆしき事態でございますし、このことはやはりアジアにおきます。そうした開発途上国との友好、平和関係の確立に対しまして大きく水を差す、言うなれば我が国のそうした平和外交の基盤をも崩しかねないほどの問題を内包しておる、こういう認識をいたします。また同時に、この協力につきましては国民の血税を充てるわけでありますから、いささかの不正もあっては相ならぬ、これはもう当然のことでございます。したがいまして、国民の合意というものを得ながら、多面的な幅広い国際協力関係、そういうものを確立していく中で開発途上国に対します協力をどう位置づけするか、その役割はいかんというところをしっかりこの際確立をしていかなきゃならぬ。したがって、そのことのためにも今回の疑惑は徹底解明をしなければならぬ、こういう立場考えに立つものでございます。  以上申し上げまして質問に入りたいと思いますけれども、今回の問題の解明にはどうしても、対フィリピンに限りましょう、フィリピンへの賠償の時代までさかのぼってその本質なり、一体問題の起こってくるもの、ネックはどこにあったかというようなところまで掘り下げてみる必要があうう、こう思います。したがって、賠償時代のことについて触れていきたいと思いますが、もちろんこの賠償は基本的には経済協力一つの形態である、私はこういう認識に立ちましてお尋ねをするわけでございます。  外務省にお尋ねをいたしますけれども、対フィリピン賠償につきましていろいろな評価をされていると思いますけれども、特に問題はございませんでしたでしょうか。いかなる評価をされておりますか。
  287. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 フィリピンに対しましては、昭和三十一年五月九日に署名されまして同年七月二十三日に発効いたしましたいわゆる日比賠償協定によりまして、総額五億五千万ドルの賠償供与が約され、昭和三十一年から同五十一年までの二十年間にわたり公共事業、工業、通信、運輸等の分野に関連する多種多様な資機材等が供与されました。これによりまして、昭和五十一年七月に我が国の賠償支払いはすべて完了いたし、我が国フィリピンに対します賠償義務が履行された次第でございます。  日比賠償の第一義的な意義は、やはり第二次大戦中の損害及び苦痛に対する償いという意義でございまして、我が国は条約上の賠償義務を履行したわけでございますけれども、これにあわせまして二つの効果があったものと考えております。第一は、我が国フィリピンとの間の平和友好関係の増進に役立ったということが申せるかと存じます。第二番目には、賠償は、委員も今御指摘になりましたとおり、経済協力とは基本的に理念を異にするものではございますけれども、賠償支払いによって多くの経済開発プロジェクト実施されまして、フィリピンの経済社会開発貢献したという役割を果たしたことは疑い得ないところかと存じます。
  288. 坂井弘一

    ○坂井委員 今申されました「第七次賠償調査団報告書」なるものがございます。この中の一節をまず御紹介します。「賠償供与の今後の方策」というところ、これは反省点でしょう。「我が国民の税金から支払われる賠償が有効に利用されることは、フィリピン国民のみならず日本国民の真に希望するところであり、我が国としてもフィリピン政府に協力して賠償の利用状況を常に把握するとともに、その有効な利用を妨げている問題で改善できるものはできるだけ改善し、賠償が最大限有効に利用されるよう努力すべきであろう」まことにごもっとも、同感であります。  そこで、これに従いましてお尋ねをいたしますが、フィリピン政府関係者が次のように言っておるのでありますが、御承知でしょうか。「賠償に政治や利権が絡み、賠償の裏にあるキックバックのために通常貿易で買う場合よりも大変高いものを買わされる」「フィリピン側が我が方に対して指摘をした。」この事実については、政府承知されておりますか。
  289. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 賠償は、ただいま御説明申し上げましたような賠償協定に基づきまして、各年度ごとに東京に駐在しておりましたフィリピン側の賠償使節団との間の話し合いによりまして、積み上げ方式によりまして供与金額内で供与対象物資を決定し、それに基づきましてフィリピン賠償使節団側が我が国企業との間で契約を交わし調達を行っておりました。  委員の御指摘になりましたように、疑惑を招きかねないようなうわさ、報道等もいろいろ当時あったことは事実でございます。そういう疑惑を招かないように、政府といたしましてもフィリピン賠償使節団との間の交渉等には慎重を期して当たったということでございます。  しかしながら、基本的には先ほど申し上げましたように、賠償はサンフランシスコ平和条約に基づきまして第二次大戦中の損害及び苦痛に対する償いという性格を第一義に持っていたものでございまして、現在の経済協力とはやはり理念、性格を異にするというものだったということは念頭に置いておく必要があったのではないかと存じます。
  290. 坂井弘一

    ○坂井委員 後段の部分はいただけませんよ。賠償と援助性格の違いということはそのとおりです。しかし今、私が冒頭に申し上げたとおり、国民の血税をもって充てることについては、いささかの変わりもない。しかも、賠償は借款と違って、借款は返ってくる。返済を求める。賠償は求めません。そのことは何かというと、相手方の経済活動に対して賠償の方がより大きな意味を持つ。そういう意味合いにおいても、戦争の償いだとかその性格論は別として、金は国民の血税でありますし、賠償の金だからといっていささかの不正があってもいいんだというような考え方がもしかありとするならば、これは大いなる過ちである。余りそのことはおっしゃっていただきたくない。  そこで、ここに書かれたことは余りにも直截的な言い方でございまして、「賠償実施上の問題点」、総括ですね。「調達、引渡段階での問題点」、次のような記述がございます。「賠償により得る物資の価格が通常貿易で買う場合より一〇~二〇%程度高い、ということは幾つかのエンドユーザーによって指摘されたが、賠償の裏にあるキック・バックのために三〇%程度は高いとはっきり指摘する政府部門のエンドユーザーもいた。」これは賠償の裏にキックバックがある。政府部門のエンドユーザーの指摘であります。我が方は外務省の調査団であります。ここに掲記したということは、この事実は明らかにあったということであります。  「賠償が船積み後すぐ金が入り、リスクが無いため日本の業者にとっても非常に魅力的であり、契約獲得のためフィリピン側にいろいろ運動する傾向があることは事実であろう。」これは我が外務省の調査団の認識、そういう認識をいたしました、こういうことであります。  その前に、「賠償に政治と利権がからむことは、日本の商社も指摘しているが、NEC」、国家経済審議会「も経済計画作成の際の賠償についての問題点として、①いかにして賠償調達、特にプロジェクト計画作成における政治的考慮を最小限にくいとめるか、」以下幾つかの問題点を列記してございます。  今申しましたのは、我が調査団のこれは総括のところでございまして、具体的には、しからば一体どういうことがあったかということにつきましては、昭和四十三年二月五日、水産委員会を訪問をいたしました。水産委員会フィリピン側出席はマネ委員長。ここで指摘されておりますことは、漁船、漁網、冷蔵設備及び調査船、合計二百四十五万四千八十五ドル、これを賠償により入手をした。このことに関しまして、「賠償物質は通常貿易で買う場合より価格が約二〇%高く、一〇%は技術的なサービス料で仕方がないにしても、残りの一〇%はキックバックのせいのようであると指摘していた。」二〇%高い。一〇%は技術料でまあやむを得ないとしても、残り一〇%はキックバックのせいであろう、これはフィリピン側マネ委員長指摘であります。そのとおりここに書かれた。  次は、国家電力公社、NPC、訪問日時二月六日、フィリピン側はNPCのロザリオ電力利用局長ほか五名、ここでは「三百十七万五千八百八十四ドルの送電線設備等を賠償により入手」、このことに関しまして「一年据置き、利率三%十年賦という賠償物資の支払条件は非常に有利であるが、価格が通常より三〇%ほど高いのが欠点であるとのべていた。」それから、我が方の印象「価格が通常貿易の場合より三〇%高いという指摘は一考の余地があろう。」こういうことであります。  幾つか、一つ二つを御紹介いたしました。つまり、この報告書には、極めて明確に、あからさまにフィリピン賠償に対しますこれだけ高いものを我が方は売る。その裏には何があるかというと、キックバックがある。一〇%はキックバックだろう。こういう政治的なといいますか、このような極めてまあ毒されておるというのですかね、これは完全な私は不正行為だろうと思いますけれども、このようなことが行われたということをここで指摘したわけでありますが、その後、この教訓、反省は生かされましたか。
  291. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員の御指摘になりました賠償時代のいろいろな問題点等につきましては、随時本院におきましてもいろんな委員会の場で御質疑がございました。  その際、政府側が御説明を申し上げておりますところは、先ほど御注意がございましたけれども、やはり賠償の性格ということを考えまして、契約の当事者であるフィリピン側の賠償使節団の意向、賠償使節団が自主的に計画の範囲内で企業との間で契約を結び物資を調達する。我が方といたしましては契約の認証はもちろん行っております。日比賠償協定の規定、それから右協定実施のための取り決めの規定及び各年度の実施計画と、この以上の三つの基準に合致しているか否かをチェックをいたしまして認証を行ってきたと、こういう状況でございます。
  292. 坂井弘一

    ○坂井委員 こういうことが行われるということは、フィリピンにとっても我が方にとっても決して利益ではないと、こういう認識で、報告書の中にあるわけですね。で、この後もなかなかこれが生かされていないといいますかね、改善に結びつくまで至っていないというようなことですから、その後の外務省、同じくフィリピン経済協力調査団の報告が四十八年の四月にございますが、その中でも「計画案の策定から決定、実施に至るまでの過程で政治的考慮が加わる危険をはらんでいるとも言えよう。」まあ、これはトーンがちょっと落ちていますけれども、同じような趣旨の指摘がなされておる。つまり、私が申し上げたいのは、この賠償の時代に既に今日言われるような不正なり疑惑を生み起こすようなものがあったということで、これがそのまま尾を引いて今日に至っている、こういうことだろうと思います。  で、既に遠い、まあこれは十八年も前になりますか、こんな昔の古いことはとおっしゃるかもしれませんが、ここから解きほぐしていきませんと今回の問題の本質に迫るわけにはいかぬ、解明はできない、こう私は思いますので、今申しました具体的な事実につきましてはフィリピン政府なりに照会、問い合わせぐらいはして、国会に報告されたらいかがでしょうか。
  293. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 検討させていただきます。
  294. 坂井弘一

    ○坂井委員 国会には報告いただけますですね。
  295. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 その点も含めて検討させていただきます。
  296. 坂井弘一

    ○坂井委員 よろしくお願いしたいと思います。  では、次に参りますが、実は今回の一連マルコス文書を初め、あるいは我が方が入手をいたしました黒柳調査団の文書等々をずっと見まして私が感じましたことは、一番やはり大きな問題はこの入札の仕組み、方法、ここに大きな欠陥があると思います。で、この入札に絡んで、まあ言われるあのロドリゲス調達官、調達官と称する極めて特殊な役職者がすべての過程に介在してくる、これが一つ。それから一方において、契約承認の関係一つ一つ全部大統領が承認をする、これらが絡んできておる。で、どうしても入札のあり方、これをひとつ根本的に、ここのところにメスを入れてみる必要がある、実はそう思いましてあれやこれやと見てみました。  で、以下若干お尋ねをしてまいりたいと思いますが、借款によりますこの調達の方式は今申しました入札、四つの形があろうと思います。一つは公開国際競争入札、これはもう言うまでもなく不特定多数でやる方式、それから二つ目には限定国際競争入札、これは応札者を限定してやる方法、それから三つ目には見積もり合わせ、これはまあ業者を特定いたしまして見積書を出させる、それから四つ目には随意契約、この四つの方式による入札の方法があるわけですが、海外経済協力基金、OECFは一番最初の公開国際競争入札、これを原則とされているはずでありますけれども、どうもこれがうまく機能していない。機能しておりません。もし、応札者がこの公開国際競争入札以外の方式によって入札をしようとする場合には基金の承認を必要とする、こういう仕組みになっているはずでございますけれども、その状況につきましてかいつまんでお知らせをいただきたい。
  297. 細見卓

    細見参考人 今御指摘ございましたように、古いところは賠償から始まりまして、最初の援助のころは日本人だけが応募するというような、いわば限定した国に、日本にだけ落札ができるようなことにしておりまして、そのことについていろいろ批判もあり、国際的にもそういうのが援助として正しいかというような議論もございまして、だんだんと国際的な公開入札の方向へ進んでまいっておることは御案内のとおりでございまして、そうは申しましても、例えば古い型をそのまま使った部品を購入するとかあるいは特定の人しかつくってないものとかいうような例外的な場合がございます。そういう場合に、その都度連絡を受けて、そういう入札方法もやむを得なかろうという形で相手に応答しておるわけでございまして、非常に限られた場合だというふうに御了解願いたいと思います。いろいろ言われておりますのは、古いころの、国が限定されていたころのいろんな問題が今間々指摘されておるところでございます。
  298. 坂井弘一

    ○坂井委員 その古いころのことのようでございますけれども、借入人が当該入札方法を採用してもらいたい、それから理由を付しまして基金の承認を得る、こういうことのようでございますので、この資料は、書類は、基金にはありますかありませんか、今。
  299. 細見卓

    細見参考人 五年間保存するようにいたしております。
  300. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、今ある部分もありますか。それとも、もう五年間の保存で、全部廃棄して、ないということでしょうか。
  301. 細見卓

    細見参考人 工事完成後五年といたしておりますので、古いカガヤンとか何かについてはございません。
  302. 坂井弘一

    ○坂井委員 くどいようでございますが、そうしますと、新しい分についてはあるということですね。あるんですね。  これは委員長、また理事会等でぜひお願いをいたしたいと思っておりますが、いずれにしろ、資料要求等含めまして、なお問題点が委員会で出てまいりました段階でお願いしたいと思っておりますが、あらかじめお含みおきいただきたいと思います。  この国際競争入札ということが建前でありながら、なお一つの問題点は、計画案の段階、設計とか総合実施計画案、これをコンサルタントが請け負う、プロジェクト本体の入札の前にコンサルタント会社の入札が行われる、こういう仕組みになっているようですね。このやり方というのは公開国際競争入札にはどうもなじまない。今でもこういうやり方をしているのかどうか、これはよくわかりませんものですからお尋ねするわけですけれども、こういう二段構えの入札方法をとりますと、日本のコンサルタントは当然非常に有利な条件で落札をする、落札が可能である。企業間のことでありますから、情報もすぐに日本側の企業に漏れますね、これは。そうすると、本体のプロジェクトの落札には極めて有利、こういうことになるわけでありますが、このコンサルタント契約、こういうあり方については今どうなっておりますか。また、問題はございませんか。
  303. 細見卓

    細見参考人 別の機会にこの席で御答弁がありましたが、だんだん日本のコンサルタントも、事業発展してまいりまして、国際的にも認められるようなコンサルタントが育ってまいっております。御承知のように、コンサルタントとかああいう知的な職業の方は、原則として企業で知り得た、あるいは事業の上で知り得た秘密は漏らしてはならない、そういう厳しいルールがございます。そういうことで、私どもは、何と申しましても、先ほどお話が出ておりまする、税金に絡んだお金だということもあり、日本の業者が一人も応札しないような援助というのはいいのかどうか、技術移転とかいう点を考えてもございますので、そういう意味で、コンサルタントは比較的日本人に有利なような格好で、コンサルタントの間で競争をしていただくという格好になっております。
  304. 坂井弘一

    ○坂井委員 そういたしますと、このコンサルタントの選定は借入人が行うわけでありますが、この選定に当たりましては、基金と合意をした条件と手続によりまして行う、最終的には基金のやはり承認を要する、こういうことになっておるようでございますが、そのとおりかどうかということと、そういたしますと、これも先ほどと同じように、この種の契約書は、基金には保存されている分はあるのでしょうか、どうでしょうか。
  305. 細見卓

    細見参考人 後の方から申し上げますと、五年間保存いたしております。  また、当然、そういうわけでございますから、相談を受けて、そしてそれは結構だという意思表示をいたしております。
  306. 坂井弘一

    ○坂井委員 後ほどまとめてと思いましたけれども委員長、順次お願いしておきたいと思います。  これは理事会におきまして、今の――これは、今の資料をそのまま出してくれと言ったって出ないでしょうからね。先ほどの資料とあわせて、ガイドラインの、大体わかるぞというものはお出しいただけますか、ちょっとお尋ねします。
  307. 細見卓

    細見参考人 ガイドラインにつきましては、余り広く公表いたしますということは、相手国のいろいろな商業上の問題も起こるわけでございまして、また、基金はこういうことでやっておるのだというのが関係のない人にわかる、あるいは関係のない国にわかるということも必ずしも適当でないと思いますから、そのものずばりということはなかなか難しゅうございますが、どういうことを考えておる、あえて項目のようなことでしたら、口頭でなり、あるいは場合によりましては私から御説明を申し上げに参っても結構でございます。
  308. 坂井弘一

    ○坂井委員 余りそう遠慮なざらないで、まあひな形がちゃんとあるのでしょうから、それぐらいのものは当委員会に御提出願って、解明に御協力をいただく、いかがでしょうか。
  309. 細見卓

    細見参考人 私ども政府の一部をなしておりますから、政府の方針全体に従いまして、しかし同時に、できるだけ援助の内容についても御理解いただきたいと思いますから、その辺の兼ね合わせて政府と御相談申し上げたいと思っております。     〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
  310. 坂井弘一

    ○坂井委員 これは経企庁長官、いかがでしょうか。
  311. 平泉渉

    ○平泉国務大臣 十分問題を検討させていただきたいと思います。
  312. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ、委員長にお願いをいたします。  これは理事会で御協議いただきまして、ぜひ当委員会に提出をいただくようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  313. 松永光

    ○松永委員長代理 後で理事会で協議をいたしたいと思います。
  314. 坂井弘一

    ○坂井委員 このことをくどくどと申し上げるのは、例えば、マルコス政権で首相兼蔵相を務めたセサル・ビラタさん、この方がこのように言ってますね。  OECFの事業の入札は、コンサルタント契約段階から日本のコンサルタント業者が独占してしまうような仕組みになっている。こういう入札制度はどうもおかしいんじゃないか。日本企業同士が独自の、ビジネスルールという言い方で言っているようですけれども、ビジネスルールというのはどうやら談合ということを意味しているのじゃないか。ビジネスルールをつくって仕事を分け合っている、こういうことを言ったようであります。これはやはり相当注意して、注目をしてこの辺には耳を傾けなければいかぬと私は思います。  そこで、「経済協力参加への手引き」これは大変立派な、いいものですね。ちょっと見てみました。その九十五ページにこうあるのです。  「借款のアンタイド わが国は、一九七五年一月一日以降、原則として」DC(開発途上国)アンタイド借款を供与することとし、さらに七八年度新規プレッジ分よりは、借款の質的改善を図る見地から、一般アンタイ化を基本方針として実施に移してきている。」これは先ほどお答えになられましたように、最近はこういう方向だろうと思うのですが、せっかくそういう方向でありながらも、こういう二段構えの入札のあり方、せっかくのあれだから日本企業が落札してほしい、気持ちはわかるのです。だけれども、これでは本当の入札じゃありませんよという相手方の指摘もある。もっと公明正大にやれませんかと。せっかくやるならば、やはり本当の公開国際競争入札、日本企業は優秀ですよ。昔の考えが、まだこういうコンサルタント、そして本体工事という二段構えの入札を我が方は崩せないというか、ちょっとこの考えは古いのじゃないですか。いかがですか。
  315. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、五十三年以降は一般アンタイド原則ということで、かなりアンタイドも進めまして、実績ベースでは、八四年六〇%ぐらいが一般アンタイドになっております。しかしながら、コンサルタント部分でございますが、これはただいまの委員の御指摘及び細見総裁の御答弁にもありましたように、LDC、開発途上国アンタイということで、一般アンタイからは除いているのが今の状況でございます。  これは二つあるかと思いますけれども一つは、他の先進国につきましても、本体につきましては一般アンタイをしましても、コンサルタントの部分については自国のひもつきにするという傾向がかなりある。やはりソフトの部門は自分の国のものを使うということで進めている場合が多いということが一つ。  それからもう一つは、委員からは、もうコンサルも日本も強くなったから、余り国際競争を恐れる必要はないのではないかという御指摘かと思いますが、コンサルタントはかなり成長はしてまいりましたけれども、やはり欧米のかなり古い伝統のあるコンサルタントに比べますと随分弱体であるというのが現在の状況でございますので、この二つの点を勘案して今のような状況をとっている次第でございます。
  316. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、このコンサルタント契約、それから本体プロジェクト契約、この二段構えのあり方がどうも今回の極めて不明朗なそういうコミッションリベート、あの辺の水増し、上積みというようなところになってきているのではないかという危惧を実は持ちますものですから申し上げているわけでありまして、調達契約基金による承認がやはりありますね、調達契約、これはやはり基金の承認を要する。それで、基金では、契約の内容がLA借款契約に合致しているかどうか、あるいは契約条件がLAの規定に違反していないかどうか、さらには供給者の契約履行能力は十分かどうか、そんな問題をチェックをして、妥当であればこれは契約認可の承認通知を借入人に送付する、こういう仕組みのようでございますが、これもあわせてガイドライン、ひな形でちょうだいできませんか。
  317. 細見卓

    細見参考人 政府とよく諮りまして、後ほど御返事させていただきます。
  318. 坂井弘一

    ○坂井委員 あわせて、理事会で資料の提出を重ねて要請をいたしたいと思います。
  319. 松永光

    ○松永委員長代理 理事会で協議をいたします。
  320. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、OECF、我が方基金のガイドラインにあるようでございますが、これは当然のことでしょうね、最低入札価格のものが落札をする、これは当たり前のことです。  これに対しましてフィリピン側は、何か内規がありまして、どうやら最低入札価格を提示した業者であっても、必ずしも落札させるものではない、こういう規定があって、真っ向からこれも両者が対立をしておる、こういうことのようでございますけれども、そういうことでしょうか。
  321. 細見卓

    細見参考人 その点につきましては多少誤解がございまして、私ども契約条項上要請しておりますことは、つまりそういう事業をやるのにふさわしい財力とか、技術力とか、あるいはスタッフとかいうものが備わっておる、英語でエバリュエートされた、つまり資格をよく見た上で安い人と、それはフィリピンもそうなっておりますし、日本の私ども考え方もそうでございます。昔の、紙や鉛筆を買っていたときのように、何でも安ければいいのだというわけにはいかないわけで、むしろ大きなプロジェクトをやるわけでございますから、そういうことをやれる能力のある人がやれそうな価格でやってくれなければ、いつか非常に安い入札価格があって問題になったことは御記憶だと思いますが、そういうことも起こり得ないとは申せないわけで、そういうわけで、国際的にはむしろエバリュエートという言葉が必ず入っております。
  322. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、我が方の考えも、一番札であってもこれは落札できない場合もあり得る、こういうお考えですね。  そこで、第八次円借款プロジェクトで、これは新聞報道等で言われます三番札の酒井重工業がこの内規によってピー・アンド・エヌ社と住友商事を抜いて逆転受注をした、こういう経緯が、これはフィリピン政府の内部資料のようでございますけれども、詳細に記録をされている。これはもちろん承知されていますね。ここでも、入札劇と言っていいのかどうかわかりませんが、この借款を取り仕切るオスカー・ロドリゲス調達官、この人に加えて日本のコンサルタントが随分活躍をする、そういうくだりがあるようでございます。同時に、今お答えのような三番札の企業の技術を高く評価をした、そういう報告書が添付されておりまして、したがって逆転だ、こういうことになったようでございます。これは承知されておりますね。同時に、これはもっともであるとされておりますか、それともこれはちょっとおかしいぞということでしょうか。
  323. 細見卓

    細見参考人 承知をいたしておりますし、相談を受けまして、技術的に評価が適正である、つまりそういうクォリファイを必ずしもしていないということで、私ども承知いたしております。
  324. 坂井弘一

    ○坂井委員 どうも私の方で聞く話が少し違うようでして、ピー・アンド・エヌあるいは住友商事の方も余り快しとしていないような感じもあるやに、だからこういうあり方というのもいかがかな、まあおっしゃる意味はわかります、必ずしも一番札が何もかもいいんだというわけにはいかぬ場合もあるだろう、わかります、それは。わかりますが、ただこういうやり方というものが日本企業受注競争というものを必要以上にあおり立てる。それが言われるいわゆるリベートを生む温床になっていったのではないかとする意見、そういう見方があるようですけれども、これに対してはどうお考えでしょう。
  325. 細見卓

    細見参考人 そういうことはあってはならないと思いますけれども、そういううわさすら出たということについては、我々も慎重に考えなければならぬと思っております。
  326. 坂井弘一

    ○坂井委員 したがって、ここでぜひお願いをいたしたいことは、より厳格にやっていただきたいですね。いささかも疑惑を招くような、本来的にはやはり一番札が入札をするというのは、これはもう当然と言えば当然、それが逆転するということは、どっちかというと極めて異常であって、そういうことが仮にしばしば行われるとするならば、これはフィリピン政府高官なりなんなりにつけ込んで、あるいは言われる調達官につけ入って、そして逆転受注も可能になる。その逆転受注を可能にするものは何かというと、水増し、上積み、リベートの提供というようなことになりかねない。したがって、ここら辺のところはどうかひとつ厳にお願いをいたしたいと思います。  カガヤン電化事業の問題で若干お尋ねしておきたいと思いますけれども先ほども問題になりましたが、受注をいたしました日本の大手商社が、どうもフィリピン側からリベート要請が余りきついものですから、もうそんな要求には応じられぬ、リベートをやめてくれと。そうしたらば、それならというわけで、事業を凍結するぞというような形で圧力をかけてきた。やむを得ず伊藤忠が譲歩いたしまして、当時の、これまた登場いたしますオスカー・ロドリゲス調達官、公共事業・道路省次官に七%のリべートを出しましょう、こういう提案をしましたけれども、これは拒否された、その後、川鉄物産がリベートは七・五%ならばいかがでしょうか、こう言ったら、これも少ない、だめだとこれまた拒否された、そういう記述がマルコス文書の中に出てまいります。  この工事に関しましては、川鉄物産から約三十一万二千ドル、邦貨にいたしまして約七千三百四十万円、住友商事からは約二十一万二千七百ドル、同じく約五千万円、兼松江商から約四十万四千七百ドル、同じく約九千五百二十万円、エース・ラインズ・フレイトから約五万一千六百ドル、同じく千二百十万円、これだけ受け取ったという領収書がありますね。川鉄物産は五十四年十月に受注額の一〇%に当たる、コミッションと言っていいのかリベートと言っていいのか、言い方はどうでもいい、要するに今申しました金額を、マルコス前大統領のリベートの受け皿会社と専ら言われておりますアンジェニト社に送金をした、住友商事、兼松江商もそれぞれこれらの金額の手数料現地代理店に支払ったとこれを認めておる、このことのようでございますが、今申しましたことに間違いないでしょうか。お調べになりましたでしょうか。
  327. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私ども委員の御指摘になりましたもののうち、マルコス文書にあらわれております記述、これは承知をいたしております。前半の部分でございますけれども、いわゆる連合を組みまして戦ったというような記述が出ております。それ以降の部分につきましては、いまだ関係の方から確認等はとっておりません。
  328. 坂井弘一

    ○坂井委員 もちろんこれをお調べになるでしょうね。これを正確にひとつ御調査いただいて、報告いただけますか。
  329. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど答弁申し上げましたように、マルコス文書、公表文書に出ております記述等につきましては、そこに登場されます企業の方から四省庁が相談をいたしましてお話を伺うということにいたしておりますので、そのお話を伺うのの一環として、ただいま委員が御指摘になりました点等が含まれていくものと考えております。
  330. 坂井弘一

    ○坂井委員 したがって、そういうことで、事情をお聞きになられましたらばその辺のことがはっきりするわけでありますので、当委員会に報告をお願いいたしたい。いかがでしょう。
  331. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私ども四つの省庁は、経済協力を担当いたしておりまして、特に調査、捜査等を行う権限を持っているわけでもございません。したがいまして、経済協力の効果的、効率的な遂行という見地から、公表されましたマルコス文書の内容につきまして、任意に先方関係企業の方から、自主的な態度でお話を伺うということにいたしておりますので、その取り扱いをどうするかというのはかなり慎重に考えるべき問題ではないかと考えております。
  332. 坂井弘一

    ○坂井委員 これまた委員長にお願いをしておかなければいけません。理事会等におきまして、今の調査ができますれば、理事会でぜひその状況につきまして報告をいただくようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  333. 松永光

    ○松永委員長代理 理事会で協議して、しかるべく決めたいと思います。
  334. 坂井弘一

    ○坂井委員 そこで、今の住友商事が約二十一万二千七百ドル、これは仲介手数料として代理人に支払った、こういうことのようでございますが、この手数料の額は妥当だ、こういうように言っておるやに聞くわけでございますが、この辺については、ちょっともし説明いただければ……。
  335. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 先ほど通商政策局長からも御答弁がございましたけれども、一般的に申しまして、いわゆるコミッションというものが存在をいたしますけれども、どの程度の額のコミッションが適当なのかということは、商慣習でございますとか、その商行為性格でございますとか、いろいろな要因で決定されるものかと存じます。したがいまして、何%であるなら適当であるかということは一概には申せないのではないかというふうに考えております。
  336. 坂井弘一

    ○坂井委員 このカガヤン・バレー電化事業、工事が一年ないし三年おくれましたね。理由は何ですか。
  337. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 着工いたしましたのが七九年の末でございまして、確かに契約を締結いたしましてから一年ばかりたっております。これは、理由はいろいろ考えられるかと思いますが、第一は、先方実施機関にとりまして初めての円借款であったということが一つ考えられるかと存じます。それから第二番目には、コンサルタントの選定で若干時間がかかった、それから施工方法の変更があった、このようなことが一応原因としては考えられるのではないかと思われます。
  338. 坂井弘一

    ○坂井委員 ここにもありますね。同じような趣旨と思います。工期遅延は、実施機関のNPC及びNEAが日本からの借款受け入れが初めてであったことによる借款手続のふなれのほかということで幾つか理由を挙げてあります。借款手続がふなれ、これが一番の理由みたいでありますけれども、実はそうじゃないんじゃないでしょうか。つまり、私が先ほど申しましたように、このカガヤン・バレー電化事業につきまして、これによりますと、三年十一カ月、それから一年の完工遅延を生じたということでありますけれども、むしろフィリピン側リベートの要求が、高いリベートをよこせ、こう来たものだから、我が方は、それは困る、むしろリベートを廃止してくれ、それで、先ほど言ったように七%、それはだめ、七・五%、それもだめ、その間工事を凍結するという圧力、そういう方法でリベートに応じさせようとしたフィリピン側理由によって工期がおくれたんじゃありませんか。
  339. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 委員の御指摘マルコス文書にあらわれております我が国の商社団と申しますか企業グループとフィリピン側との闘争みたいなものが描かれておりますけれども、これは、この文書によりますと、七七年の六月ごろから起こっておりまして、これは七七年五月に入札が行われておりますが、この入札後、七八年六月の契約までの間に起こった出来事ではないかというふうに推察いたしております。
  340. 坂井弘一

    ○坂井委員 これを裏づけることになるのでしょうか、どうでしょうか、ロドリゲス次官からマルコス前大統領にあてての報告書、一九七七年七月七日付、これに添えられていますフィリピン国営電力公社、つまりNPC、この文書が二通ありまして、この中で、今言った理由とは別に、フィリピン側理由は、どうもこれは談合の可能性が高いというような報告がロドリゲスからマルコス大統領に出されている。これも工期が遅延したという理由じゃございませんか。まあ、そのことによりまして入札のやり直しが七十八年一月三十一日に行われている。どうも、この辺のいきさつを見てみますと、随分リベートをめぐって、おかしいですね、やりとりが。相手方、フィリピン側は、いや談合が行われるかもわからぬという理由、我が方は、そんな高いリベートを要求されるのはもうとてもかなわぬということ、それに対して、それじゃというわけで工事を凍結する、こういうことのようでございまして、この辺は今後の大きなこうした借款による受注実施の参考になる問題だと思いますので、詳しくひとつ御調査をいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  341. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま御指摘のとおり、マルコス文書にあらわれております記述は、小竹さんの手紙に書かれております日本のグループが多額のコミッション支払いを拒否して、先方といろいろ争いがあって延びたということでございます。  それから、私どもは最近の新聞報道で承知しているだけでございますけれどもフィリピン側の内部では、入札価格自体が非常に高かったので談合の可能性ありということで凍結をしたという報告をロドリゲス次官がされておられるということは、新出報道で私ども承知いたしておりました。  このようないろいろなお話がございますので、先ほど答弁申し上げましたように、マルコス公表文書に出てまいります企業からお話を伺うことの一環として、今の委員の御指摘の点もあわせてお話を伺うということになるかと存じます。
  342. 坂井弘一

    ○坂井委員 それから、今度はこれを裏づける我が方の中での話でありますけれども、業界筋と言うたらいいんでしょうか、フィリピンでの入札には、常に応札者が談合いたしまして、受注価格にリベートを上乗せをするとい参ことはほぼ常識である、こんな話がいっぱい入ってきますね、お耳に入っていますね、もちろん。
  343. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 報道、うわさ等々は存じております。
  344. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、業界筋から直接この耳に入ってくるということを申し上げた。皆さんは、そういうことは一切入りませんか。
  345. 黒田真

    黒田(真)政府委員 報道その他、報ぜられておるところは承知はいたしております。
  346. 坂井弘一

    ○坂井委員 リベートが、一〇%が高いのか安いのか、一五%が、これではいけないのかどうか、これはいろいろ議論があるのでしょうし、そのことを私は今ここで直ちに議論しようとしているわけではございません。  ただ、こういうリベートというものが、結果的には製品の原価に上乗せをされて、それはツケとして国民に回ってくるということだけは確かでありますし、これも、正当なリベートというのでしょうかね、コミッションであれば、商慣習に従ってこれは当然といえば当然。しかし、今回言われるリベートは、正常なといいますか、商取引上の正当なミッションではなくて、これがどうも不正蓄財に絡んだ、そういうリベートのにおいがしてなりませんね。  そういう意味で、これはひとつしっかりただしていっていただきたいと思うのですが、企業の暗躍といいますか、これをめぐりまして、例えば元フィリピン駐在の田中大使の、日本の業者が特定の事業について円借款でお願いしたいと要請に来られたことが何度もあった、この段階では既にフィリピン側円借款前提事業計画が進められていた、こういう証言がありますね。日本企業事業をつくり出すのですな、これは。フィリピンが必要とする事業プロジェクトを、フィリピンの国のためにというのではなくて、日本側が、企業がこちらからプロジェクトをつくり出す、こういうことがしばしばのようでありますけれども、このようなことについては話として聞いておられますか。
  347. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま御指摘の新聞報道でございますが、それによりますと、田中元大使は、自分のところに頼みに来た企業もあったが断ったというようなことを言っておられます。これも若干私も不思議な記事と思って拝読いたしましたが、プロジェクトを決定いたしますのは、優先度等を決定いたしますのはフィリピン側でございまして、フィリピン政府優先度を付して我が方に要請をしてまいりまして、それを今度は我が方が我が方の立場から判定をして、協議をしながら決定をしていくという過程をとっております。したがいまして、企業の方がフィリピンにおります日本の大使にいろいろ働きかけられても余り、決定権のある方に働きかけているわけではないので、ちょっとおかしなことではないかと存じます。  それから第二の、企業がどの程度経済協力の案件にかかわってくるかという御質問でございますけれども、ある面ではコンサルタント、それから商社がコンサルタント的な役割というものを我が国ではかなり果たしております。こういうコンサルタントないしコンサルタント的な仕事の一環としまして、先方政府のためにプロジェクトの発掘それから形成ということをお手伝いするということは、むしろコンサルタントないしコンサルタント的役割を果たしている商社としては、仕事の一環ということで行っておられるものというふうに存じます。
  348. 坂井弘一

    ○坂井委員 通産省も同じようなことをお聞きになっているんじゃないでしょうか。日本側が仕掛けまして、このプロジェクトを持ち込んでいって、そして向こう側から要請させる、こういうようなやり方が業界でかなり熾烈に行われている、そのようなことは通産省はお聞きになっていませんか。
  349. 黒田真

    黒田(真)政府委員 この円借款というものは、基本的には先ほど説明がございますように相手国政府からの要請に基づいて、その結果判断をされるわけでございますが、その前提としてある種のプロジェクトづくり、事業計画づくりというものに日本関係者がいろいろ手をかしているという実態は事実上あり得ると思います。それはやはり先方政府に対して、先方政府の社会的ニーズを具体的な工事の形にしていくという場合には、それぞれそういった点についての知識を持っている人たちが協力をするということは十分あり得るわけでございまして、これは我が国の場合でも当然多くあると思いますが、同時に他の国々にもそういった同じような形での協力をしているということは私も承知しているところでございます。
  350. 坂井弘一

    ○坂井委員 協力は、それはいいのですよ。あなたのお答えは模範答弁です。それはそのとおりなんです。私は協力まで否定するわけではない。ただ、主体は向こうなんですね。その場合に余りにも我が方が、段取りがよ過ぎて、何もかもおぜん立てをつくって持ち込んで、そしてその借款リストの上位にランクさせるというようなやり方が業界ではしのぎを削っています、どうもその辺は自制した方がいいんじゃないかなということを業界内部から聞くわけ。  これは、この委員会がこれから精力的にやるのでしょうから、またその段階でそういう方に私はぜひ証人としてここにおいでいただきたい。私には、もう喜んで出席をいたしますということのようでございますから、こんなことが行われていつまでもおったならば日本の国際信用の失墜だ、まして、売らんかな売らんかなでそういう開発途上国に向かって円借款の金を、まるで泥棒猫みたいにとは言わなかったけれども、こんなみっともない競争をして本当に恥ずかしい、もう少しここには一つのルールがあり節度がなければならぬはずでありますが、いかんせん残念ながら、お恥ずかしい話だけれども、実態はかくかくしかじかでありますという話を聞くわけです。     〔松永委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、私はくどいほどに実は申し上げているわけでありまして、ちょっと外務大臣もお疲れかと思いますので、政治家外務大臣のお立場で、今のようなことが必ずしもないとは言い切れぬでしょうということは、これはもう想像にかたくないと思いますので、ひとつお心構えのほどを承りたいと思います。
  351. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは、外務省としていろいろとコントロールする立場じゃないわけですけれども、やはり日本企業一つの節度というものを心得てやらなければならぬことではなかろうか。そうしないと、せっかくの日本援助というものの精神というものが踏みにじられるといいますか、そうした精神が率直に反映しないということにもなりかねないわけですから、こうしたいろいろの問題が指摘されたこの時期を機会に、今後日本企業等もやはり日本援助に関して受注等も行っていくわけでございますし、これは当然あるわけでございますが、そういう中でおっしゃるような一つの節度というものはやはり必要じゃないだろうか、そういうふうに思います。
  352. 坂井弘一

    ○坂井委員 これはもとに戻るわけですが、確かに入札のあり方は、少しというか、少しというよりも改善しなければならぬ面がやはりあるように思いますね。どうもいろいろな動きが介入しやすいといいますか、そういうことをまた誘い込むような仕組みになっているような気がしてなりませんね。これはまた追って、今申しましたような証言を得て、その上でさらに解明をして是正策をぜひ講じるようにしていきたいと思います。  ちょっと戻りますが、外国為替管理法が五十五年に改正になりましたが、それまでは手数料一〇%を超える場合は通産大臣の許可が必要でありました。これはどうなんでしょうか。五十五年改正前まで、手数料一〇%を超えるもので通産省の許可をとったのはどれぐらいありましたか。
  353. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 御存じのように改正外為法が五十五年から施行されましたが、それ以前は委員指摘のように、一〇%を超える代理手数料につきましては通産大臣の許可を要したわけでございます。しかしながら、何件許可したかというお尋ねでございますが、具体的に許可をした資料というのは、文書の保存期間というのが一年から三年と定められておりまして、現在それを索引することはできない、こういう状況になっております。しかし一般論として申し上げますと、一〇%を超えますものにつきましては通産帰あるいは事例によりまして本省協議ということになっておりましたが、ケース・バイ・ケースで認めていたということでございます。しかしその件数はそれほどは多くなかったと理解しております。
  354. 坂井弘一

    ○坂井委員 残念ながら文書がないということですから正確にはつかめませんが、余り数は多くなかったということのようでございます。  国税当局おいでいただいていると思いますのでお尋ねいたしますが、このリベートの経理処理の方法は、私は大体大まかに三つあると思います。一つ手数料あるいはコミッションということで正当な損金処理、二つ目には帳簿をごまかしまして別の名目でありますとかあるいは裏金の処理、それから三つ目には使途不明金で処理をしてしまうということだと思いますが、今回言われますこのマルコス文書によりますいろいろ出てまいりますリベート関係、この辺の税務調査はされましたか。
  355. 日向隆

    ○日向政府委員 課税上有効な資料、情報等の収集には全力を挙げておりまして、このようにして得た資料、情報等と申告書とを対比いたしまして、必要がございましたら随時調査実施しているところでございます。
  356. 坂井弘一

    ○坂井委員 警察庁おいででしょうか。  もう既にソラーズ委員会マルコス文書公開資料によりまして、アメリカの方では機密費の関係とか政治献金の部分等につきましては、相当克明な審査というのでしょうか、調査解明をしたようでございます。我が方はどうかということでございますが、当然このマルコス資産問題につきましては、我が警察庁は特段の関心を持たれまして、先ほどの御答弁によりますと、必要な情報収集はやっておる。ただ、今日の段階調査収集といいますか調査活動の段階である。まあ準備段階のようでございますが、外国人とか外国企業から日本の政治家あるいは政治団体がお金を受け取りましたならば、これは当然違法ですな。この辺も着目されまして資料の収集あるいは情報収集、調査活動をされていますか。
  357. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 御指摘のとおり、政治資金規正法によれば、日本の政治家あるいは政治団体等が外国人あるいは外国の法人等から政治活動に関する寄附を受ければ罰則に触れるわけであります。当然こういった問題を含めまして必要な情報収集を行っているということでございます。
  358. 坂井弘一

    ○坂井委員 残念だと余り気負い込んで言うわけじゃありませんけれども、しかし、警察庁は警察庁のお立場本件解明のためにひとつ精力的にお取り組みをいただきたい。  このようなリベートをめぐって極めて不明朗な話もあれやこれやと仄聞いたしますし、私は一番冒頭に申し上げました、賠償時代にキックバックが我が方にあった、この指摘につきましては、フィリピン政府我が国政府、これはもう外務省もそういう事実があったということを認めて記述したということに事の重大さを私は感じているわけでありまして、今から十七年、十八年も前のことでありますから、もはや時効でもございますが、ただ、古いからといってこの問題を放置するならばこれは禍根を残しますよという意味で、また、この是正が十分されなかったから今日このような疑惑を生むに至ったのではないかというのが、実は私の心配であり指摘でございます。したがって、言われるような政界あるいは政党あるいは政治家等にいわゆる還流、キックバック等のないことを私は祈るものでございますが、しかし、非常に不明朗な話を聞きますものですから、どうかそういう点につきましては徹底した解明をお願いをいたしたい、重ねて要請をいたしたいと思います。警察庁、もう一度お願いしたい。
  359. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 前から御答弁申し上げておりますように、警察といたしましては十分に関心を持ちまして、考えられるいろいろな情報収集をいたしておるわけでございまして、毅然とした態度でこれに対処していく方針でございます。
  360. 坂井弘一

    ○坂井委員 続けますが、フィリピンに対する円借款契約や入札受注につきまして、政府契約調査委員会、これは向こう側にあって、この厳しい審査を経るという仕組みになっているようですね。つまり、大統領通達でレター・オブ・インストラクション、先ほど大出委員も取り上げておりましたが、私の手元にもございます。ナンバー六百四十六号及びナンバー千九十六号、この二つありまして、これを翻訳をいたしました。翻訳をいたしましたらば、この六百四十六号の方は二百万ペソ、約二千万円以上の契約につきましては、事前に政府契約調査委員会で入札者のリストあるいは入札価格の審査を受けるようにこれを義務づけています。これは六百四十六号の方です。片や、千九十六号通達は、政府政府系の企業契約相手が多国籍企業で、契約高が五千万ペソ以上、それからいま一つは、契約相手政府企業で、契約高が五十万ペソ以上の場合には政府法人委員会の審査を義務づける、こういうことであります。大変厳格な審査ですね、これを見ますと。これに基づいてこういうことが本当に行われたら、私は、公正は確保される、なかなか厳しいぞと、一見こう思いまして見たわけです。  ところが、落とし穴がありますね。落とし穴は何かというと、先ほど言いました、これはやはりフィリピンの大統領権限ですかな。これは何も、我が方の基準、物差しで何もかも悪いと私は言うつもりはありません、律するつもりはありませんが、しかし、この二つのレター・オブ・インストラクション、六百四十六号と千九十六号規定の「例外として」という箇所が随分出ますね。「例外として契約の締結を認められたい」、とれはロドリゲスから大統領あて。それで「認める」、こうなるわけですな。僕は、何のためにこれがあるのかよくわからないのですよ。これはどういうことなんでしょう。
  361. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 私も、フィリピンの国内の手続を有権的に御説明する立場にはございませんが、第一点としましては、委員指摘のとおり邦貨二千万円以上のものについては、調達査察委員会、調達実施委員会の承認を得るということを決めましたのも大統領令でございますし、それから、ただいま御指摘の点も恐らくは大統領に許可を得ようという趣旨かと思いますので、法的には同等のものではないかと思います。  それから第二点としましては、今の委員の御指摘の点は、私も新聞報道で承知をいたしましたけれども一つ事業に付随して起こってくる付随的ないしはスペアパーツ補給的な契約については例外扱いを認めてもらいたいというような趣旨の許可願であるというふうに承知いたしております。
  362. 坂井弘一

    ○坂井委員 この特例措置で、一九八〇年のメトロマニラ都市交通改良事業先ほど指摘ございましたが、バスが約四百台とスペア部品、合わせまして総額五十一億四千八百万円、これは丸紅に発注をしておりますね。それから同じ事業の余剰借款金一千万円、残りですな、これ。余った金でハンディ無線機などをピー・アンド・エヌ社に発注したということ。この本体工事は五十一億を超える工事ですけれども、これは随意契約でしょうか。  それから、一千万円の追加発注は、この本体事業と全く関係のないラジオみたいなものを買っているようですけれども、この辺は不明朗のように思うのです。お調べになられたと思いますけれども、今申しましたような、私が指摘するような問題はございませんか。
  363. 熊谷和秀

    熊谷参考人 お答えいたします。  バスにつきましては、国際競争入札をいたしまして受注者を決定いたしました。それから無線機につきましては、これは随契で契約をいたしました。受注企業名につきましては、私契約なのでちょっと発表を差し控えさせていただきたいと思います。  それから無線機は、これはバスの順調な運行を確保するということで、当初のスコープの範囲内であるということでこれを承認いたしました。  以上です。
  364. 坂井弘一

    ○坂井委員 今申しました大統領通達、レター・オブ・インストラクションの二つの通達は援助国向けのポーズで、それでずさんな実態を隠すための隠れみの的なものでつくったのじゃないかなんというような見方もあるようでございます。つまり、この通達によらないで特例として、一方で全くこれはしり抜けというか、この通達はあってなきがごとしで、それで大統領の特例でやるものですから、そういう見方も出るのでしょうけれども、それに対してはどうお考えでしょうか。
  365. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 フィリピンの国内の制度でございますので、私がどうこう申し上げる立場にはございませんけれども、一般論として申しますと、フィリピンは東南アジアの国では、アメリカの伝統と申しますか、そういう点では極めて詳細な規則等々が完備されておりまして、しかもすべて文書でもって残っているという習慣が強いということが特性として申せるのではないかと思います。
  366. 坂井弘一

    ○坂井委員 僕は、何でこの時期にこういう厳しい大統領通達などが出たのかという背景を実は追ったわけでありますが、これは後ほど申し上げるとして、その前に、我が党の黒柳、神崎二人の国会議員がフィリピンに参りました。それで、いろいろな資料の収集をしてまいっております。このマニラ首都圏都市交通整備計画、総額五十四億一千万円、これは資料がございますが、これを見ますとやはりどうもおかしいですね。これは本体工事が八一年六月二十三日に丸紅で五十一億一千四百九十九万九千九百五十九円、それで八一年六月の本体の工事の契約ができながら、それから三年も経過して、つまり八四年八月三十日、ピー・アンド・エヌ・コーポレーション九百九十九万一千四百十三円ということで、今申しましたように、これは余剰金をここで三年後に使ったということでしょうかね。これは基金の方はどういう解釈ですか。
  367. 細見卓

    細見参考人 バスの調達をやりまして、それが大体そろってまいったその段階で、その残った金で、先ほど説明申し上げましたように、自動車を運行する運転手にとって非常に有効な、交通の渋滞状況がよくわかる無線機を備えた。なお、マニラへいらしてごらんになったと思いますが、あのバスには、日比友好の記念としてこれをもらったというのが麗々しく書かれておることは御存じだろうと思います。
  368. 坂井弘一

    ○坂井委員 この大統領通達が出る同じ時期に我が方、日本におきまして、フィリピンへの賠償問題をめぐって国会で随分議論がございましたね。問題となった事項がありましたね。それは御存じでしょうね。
  369. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 春田書簡の件でございますか。
  370. 坂井弘一

    ○坂井委員 五十二年当時国会でフィリピン賠償をめぐって大変大きな問題が起こりました。それは御存じでしょうか。」私から申し上げましょう。この大統領通達が出る同じ年、大統領通達が出る直前、昭和五十二年一月、それから同じく五月には二回、計三回参議院の決算委員会で、第十六年度フィリピン賠償のうちYS11の価格差問題、物すごく大きな価格の開き、今手元に資料がございませんが、たしか四億か五億ぐらい、フィリピンと我が方で食い違いがあるという問題で決算委員会が沸騰したということです。余りにもそういう価格差が大きいものですから、これは水増しじゃないかというような議論になりまして、会計検査院が非常におかしいと、それから当時外務大臣は、いやしくも今後こういうような疑惑を招かないようにする、当時の福田総理は、援助が正しい道筋を経て行われるようにする、こういう答弁がございまして、参議院決算委員長は、これは事は極めて重大であると、総理に対しまして検査院の対外検査の強化の要請をした。こういうことを踏んまえまして、当時の日本政府フィリピン側に対しましてさまざまなアプローチをしたようでございます。検査員の派遣の検討もされたようでございます。そこでフィリピン側は、このマルコス通達、すなわち同年、五十二年の六百四十六号、それから五十五年の千九十六号になったのではないか、そうなりながら、しかしながら、もう一方においては先ほどの特例でもってしり抜け、こんなことではなかろうか、この椎論はどだい無理ですか。
  371. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま御指摘のとおり、五十二年一月二十八日の参議院決算委員会におきまして、YS11の引き渡し問題についてかなり激しい御議論があったことは承知いたしております。この国会での御審議と、ただいま委員のおっしゃいましたフィリピン側の大統領通達との関連性ということは、私どもはどうも承知いたしておりません。
  372. 坂井弘一

    ○坂井委員 まあこの辺についてもおいおい調査を進めまして、この通達と特例の関係についてきちんといたしませんと全く意味をなさないことのようですから、これもひとつはっきりしなければいけませんね。もう我が方もこのことについては十分着目されていると思いますし、もちろんこのことについては日本政府としても解明をしてきちんとした対応、このあり方ということについて検討し、確立をしていただきたい。これは要請をしておきたいと思います。  なお、これはフィリピン政府の内部資料でございますが、カガヤン電化事業で三億六千万円の追加工事。追加借款はしないで当初の契約の枠内でやったようでありますし、このことにつきましてはオスカー・ロドリゲス調達官が一九八一年六月四日付でマルコス前大統領にあてた文書の中に、三億五千八百万円の未使用金があるので送電線と変圧器を買いたい、こういう進言、これに対しまして、よろしい。これは基金はもちろん御承知ですよね。それから、一九七九年八月二十九日付の文書によりますと、円借款余剰金の活国策といたしまして兼松江商に電気機器、電気機材一億九千八百七十九万円分、川鉄物産には九千九百九十七万円分を追加発注する、こういう提案、これに対してマルコス前大統領は承認を与えた。こういうことで、つまり枠の中での活用というのか転用というのかわかりませんけれども、余り基金の承認を得ないで、向こうはかなり自由にやれる、こういう仕組みになっておりますか。
  373. 細見卓

    細見参考人 向こうで勝手にやることはございません。前もって我々の方に相談もございますし、私ども交換公文の枠内であるということでやっております。その場合、必要あるときには外務省にも御相談いたしております。
  374. 坂井弘一

    ○坂井委員 相談の上で適切に処理をされたということのようでございますが、ただ、こんなのがいっぱいありますね。次から次から出てまいりますが、どうもこの予備費がくせ者のように思えて仕方がないんですがね。  プロジェクトのコストオーバーランの問題、つまり、プロジェクトの完成までには相当な工事期間が要るということでもって、借款でコミットするコストには、完成までの各年ごとの資機材、機具に係る物価上昇分及び予備費を含めて決定をする、これは予備費の項目があるわけですな。我が方にないんですな、こういう予備費というのがいろいろな要因でプロジェクト実施がおくれるということは、それはあるんでしょう。あるんでしょうが、同時に、そういうことがあるであろうということで、あらかじめその不足額をカバーするということで、コストオーバーラン、こういう呼び方でもって予備費として計上する、こんなあり方というのは、これはよろしいんですかね。これは通常の方法でしょうかね。追加借款ということであれば、むしろその後において追加の申請がなされて、そして適切であればこの借款を認めるということの方がより正確じゃありませんかね。あらかじめ予備費というような形でコストオーバーランを組み込む。だから、かなり借款額が多いものですから、相当幅を持って使える、あるいは余剰金を生ずる。したがって、それを何とか使わぬことには、また次の借款が日本政府から文句をつけられる心配もある。予算の年度末にわあっと使うというのと同じようなものでしてね、これは。しかも大盤振る舞いで、コストオーバーラン分まで予備費でもって組んで、さあお使いなさい、これじゃちょっと、余りにも御丁寧過ぎませんか。親切に過ぎてませんか。
  375. 細見卓

    細見参考人 御指摘の点でございますけれども、今はこういうデフレになりまして、どちらかといえば非常に激しい競争で物価が下がるとか、あるいは建設費がそれほど伸びない、むしろ下がるというようなことが起こりますが、これは大体七〇年代でございますから、世界的にインフレがあり、あるいは物資の不足が生じたり、いろいろなことが起こっておる時代でございますので、私どもだけではなくて、世界銀行もアジア開発銀行も大体同じようなパターンをとっております。
  376. 坂井弘一

    ○坂井委員 今まで円借款で未使用金で我が方に返還されたお金はありますか。
  377. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 未使用金というものはございませんで、交換公文ないし貸付契約におきます限度額と実際の契約との差額というのは貸し付けられないままで残っているということで、返還等の問題は起こりません。
  378. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がございませんので、情報の交換につきまして一言お尋ねをしておきたいと思いますが、フィリピンとの租税条約第二十六条、互いに情報の交換ができることになってございますね。円借款等に関しまして情報交換は今までやったことございますか。
  379. 日向隆

    ○日向政府委員 御指摘日本フィリピン間の租税条約は昭和五十五年、たしか七月二十日に発効しております。発効して日が浅いこともございまして、今委員指摘のようなことにつきましての情報交換はしておらない、こう思います。
  380. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、委員長にお願いいたしたいと存じます。  資料要求、証人喚問等につきまして、理事会の場でぜひ要求をさせていただきたいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどお願いいたします。
  381. 原田憲

    原田委員長 承知いたしました。
  382. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  383. 原田憲

    原田委員長 次に、渡辺朗君。
  384. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 朝からぶっ続けで皆さんお疲れのことと思います。私の持ち時間、一時間をいただいております。御協力をお願いしたいと思います。  さてまず一番最初に、私は、私自身のこの委員会に期待する基本的な考え方というものを申し上げたいと思います。  それは第一番目に、今回のマルコス疑惑、この問題はもう徹底的に究明しなければならないという点であります。これはもう皆さん同じお気持ちであろうと思いますが、特に、日本の国民の、納税者のお金というものが不正に使われた、あるいはまた汚職に使われた、こういうような疑惑が生じている今日、まことにこれは国会議員として究明に当たるべきが当然であります。なおまた私は、その問題と同時に起こってまいりました国民の中における一つの大きな世論というものは、これからの経済援助あるいは技術協力日本が国際国家として生きていくに当たっての国際的なかかわりのあり方、こういうものに対してのいわば方向づけ、あるいはまたその方向づけの中での援助のシステム、こういった問題について非常に関心が今高まっているときだと思います。したがって、このマルコス疑惑の問題を解明するということが同時に公正かつ効果的な途上国援助へのシステムというものをつくり出すことを目的にしなければならぬのだと私は思います。  特に、私は、これに関連してもう一つ重大だなと思うことがございます。  それは、今そのような国民世論が高まっているときでありますが、同時に、この時点においても海外において多くの日本の方々が、若い人からいいますと海外協力青年隊の方もいるでありましょう、フィリピンの場合は、つい先般も会って懇談をずっと各地でしてまいりましたが、百五名の方がいわば第一線の現地における活動をしている、あるいはまたJICAその他から行かれた専門家の方もおられる、経済人も活動している。しかし、どうも今回のこのマルコス疑惑の中で日本の対外活動全体に対するイメージというものが大変大きく損なわれたのではなかろうか。涙ぐましいような努力をしている人々の姿というものを見るだけに、これを全部何かしら黒い霧の中に包まれるような、そういう結果にしては大変申しわけないことだとも思います。したがって、一部の人々における汚職、不正があったとするならば、これはやはり徹底的に今こそ明らかにしなければいけない、そうでないと多くの活動している人たちに申しわけない、こういう気持ちでもあります。  以上のような観点から、幾つかの問題点に対しての質問をさせていただきたいというふうに思います。  まず、私は、第一番目に外務大臣にお聞かせをいただきたいと思うのです。  外務省の中において外務大臣の私的な諮問機関、これはODA(政府開発援助)研究会という形で呼ばれておりますが、たしか三月の二十四日には、恐らくフィリピン問題を対象にしてということであろうと理解しておりますけれども、その中に援助評価検討部会、部会長は鎌田前会計検査院長さんであります、これが設立されて会合を持っていると言われておりますけれども、その後どのような調査が行われ、評価が出てきたのか聞いておりません。これについて、進捗状況はどのようなものなのかお知らせをいただきたいと思います。
  385. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣  ODA研究会につきましては、これは私自身も外務大臣になって、ODAの問題についていろいろと改善する必要があるのじゃないかという点を踏まえて、民間有識者の意見を聞くという形で私的な懇談会をつくりまして、貴重な御意見もいただいたわけでございます。そういう中でまたフィリピンの問題等も起こりまして、さらにこれらの諸点も十分反省の材料として、特にODAの評価について第三者の意見をやはり加える必要があるということで今の委員会もつくりまして、前会計検査院長の鎌田さんに委嘱をいたしまして、特にフィリピン中心にいたしまして評価を行っていただく、こういうことにいたしておるわけでございます。  詳細につきましては、経済協力局長からお答えをさせていただきたいと思います。
  386. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 評価検討部会は、ただいま大臣から御説明いたしましたように、鎌田前会計検査院長及び河合三良元行政管理事務次官等の四名のメンバーで発足させていただきまして、第一回の会合を四月の十七日に行いまして、約二時間余り御討議を願いました。結論はただいま外務大臣から御答弁がございましたとおりでございまして、本会計年度の評価活動の重点を、現下の情勢にかんがみましてフィリピンに置く、フィリピンにつきましては、四つのセクターにつきましてそれぞれの専門の方に調査活動に従事をしていただく、それから評価全般の手法の改善、第三者的な視点の導入ということで、評価の手法自体の改善にも取り組む、こういう二つの点について御討議をいただき、暫定的な結論をいただきまして、フィリピンに対しましては、四月末にも第一陣の農業関係評価ミッションに行っていただくことにいたしております。
  387. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関連してお尋ねしたいのですが、この委員会の活動あるいは部会の活動といいましょうか、その中において、コミッションの問題とか契約の問題とか、あるいはまた今問題になっているリベートの問題とかいうような事柄は調査の対象から外してあると聞いておりますが、そのような状態でしょうか。
  388. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 評価活動自体は、その経済協力目的に即しまして効率的、効果的に行われているか否かをまさに評価をしていただくということでございます。この経済協力実施に際しまして、ある特定の事業企業が完成するに際しまして、相手国政府との間での契約、幾らで受注し、利益が幾ら上がって、どのくらいコミッションをだれに払ったか等々は、言うなれば相手国政府と当該企業及び当該企業内部の商業的な問題でございまして、この点について評価部会が検討を加えられるということは考えておりませんし、評価部会の先生方も、この問題は評価活動とは別次元の問題であるという御認識と承知しております。
  389. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、当面問題になっているマルコス疑惑の問題を解明するのには、この部会というものは何らタッチしない、手を触れないということになりますね。それでは、どこでこういうような問題は調査をされる、研究をされる、というお考えでございましょう、どこにそのような問題を解明していこうとする機関をお持ちでございましょうか、外務省の方にお伺いをいたします。
  390. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 経済協力を進めてまいります際に、企業先方政府の行います入札に参加し、その後先方政府との間で契約を結び、活動を行っていく。その間、相手国代理店コミッション等支払いを行う、そのコミッションの内容、性格がどういうものであるかということは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、もしそのコミッション性格が違法である等の問題があるとしますならば、それは先方相手国側の問題でございまして、相手国側がその事実を調査し、相手国の法制に従って判断をされるというのがあるべき姿ではないかというふうに考えております。
  391. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣、その点どのようにお考えでございましょうか。私が思いますには、これはやはりここまで問題になっているんだったら、リベート問題あるいはまたこの疑惑解明するための少なくとも部会的なものを設けて対処していかれるのが筋であろうと思います。あるいは機関を設置されるのが当然ではなかろうか。そのころたしか柳谷外務次官の方は、別個にリベート問題、こういうものを検討するあるいは調査をする機関を設置することを検討中というような発言もあったやに聞いております。大臣は、それを進めていかれるお気持ちはありませんか。
  392. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 日本政府としても非常に重大な関心を持っていろいろと情報を集めております。しかし、このリベートの問題あるいはコミッションの問題、これはずっと答弁してまいっておりますように、フィリピン政府受注を受けた企業日本企業もそれに入っておるわけですが、その企業との問題、これが本来的な問題でありますから、フィリピンにおいてそれが不正であるか違法であるか、そういう立場からこれは明らかにされるべきものである、これが第一義的な問題であろう、こういうふうに思いますが、日本も、日本企業がそこに関係をしておる、あるいは日本援助をめぐっての問題であるということで政府としても関心を持っておりますし、また、マルコス文書等でいろいろと名前も出ておるわけでございますから、援助関係をいたしております四省庁間でいろいろと協議をいたしまして、そうした関係者の意見も聞く、こういうふうな体制も整えつつあるというふうに承知をいたしております。
  393. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 整えつつあるとおっしゃいましたが、それではこれから設置されるわけですね、そのような機関を設置されるというふうに理解してよろしいですね。
  394. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいまの大臣の御答弁の趣旨は、マルコス文書と称せられます公表文書の分析、検討等を現在進めております。それに基づきまして、関係四省庁の関係官同士での検討、話し合いを行っておりますし、今後、マルコス文書に登場する企業の方からお話を伺うということも予定いたしておりますので、そういうような過程を通じて本問題に取り組むのは四省庁の責任であろう、こういうのがただいまの大臣の御答弁の趣旨でございます。
  395. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 少しくどいようですけれども藤田さん、もう一遍はっきりとおっしゃっていただきたいのです。聞く用意もしているという――企業の名前が出た、恐らくマルコス文書の中に出た企業のことであろうと思いますが、そういう方方からも意見を聞くといいますか、召喚をするといいますか証言を求めるというようなことでしょうか、そういうようなことも考えておられると言われましたが、これはいつごろされるのですか。特に、これははっきりしておく必要があると思うのです。  というのは、ソラーズ下院議員のアメリカにおける調査またはそこにおける活動というところからまたこちらの方に文書が出てきた。フィリピンの方ではまたサロンガ委員会ができて、そこで今膨大な資料も持ってそれを整理中という、そういうような作業が進行しているときに、ここですべて受け身で、もしこれがうそであったとすればいわれなき誹謗だけを日本が受けているという状態で放置していたら、これは日本政府としての責任、国会としての責任は大きいと思います。ですから、はっきりとそこら辺は日程をもおっしゃっていただきたい。
  396. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 まさに委員指摘のとおりの事情でございますので、慎重の上にも慎重な配慮をした上でお話を伺うべきものと考えまして、午前の御質疑に対しても御答弁申し上げましたが、関係四省庁でただいま関係企業に対しまして、現在、どういうことを私どもとしては伺おうとしているかという照会の事項等をお伝えして準備をしていただいているという状況でございまして、関係企業等でも、古い話でも、ございますし、担当の方もかわっておられると思いますので、いろいろと部内で準備をされまして、その準備の整った段階でできるだけ早くお話を伺いたい、こういうふうに考えております。
  397. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 藤田さんばかりお呼びして、あなたももう大分お疲れではなかろうかと思うのですが、重ねてお伺いをしたいと思います。これは藤田さんでなくて結構ですよ。ほかの方でお答えいただければぜひお願いしたいと思うのです。  今、ソラーズさんのやっている調査活動というのは、何を中心にどこまで、何を調べているのでしょうか。その進捗状況というのは知っておられますか。また、サロンガ委員会の方が行っている調査、そういうものはどこまでいっているのでしょうか。そういう点についての情報というものは入手されているに違いないと思いますが、いかがでございましょう。現状を聞かせてください。
  398. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 ソラーズ委員会とまあ俗称申しましょうか、これが行っている今の活動状況は、私ども承知する限りは、公聴会を開いていろいろと証拠を集めているとかあるいは聴聞しているということで、それ以上、日本のような活発な動きは私どもとしては承知しておりません。それからサロンガ委員会の活動でございますが、これは御説明すると長くなるわけでございますが、第一には、やはり公聴会を開いていろいろな証人を呼んで調査する。もちろん、その中には日本企業関係者の証言も求めたいということを言っておりますけれども、現時点においてはまだそこまでは至っておらないと思います。  なお、御質問でありますれば、サロンガ委員会の役割とかいうことはございますけれども、サロンガ委員会の所掌を簡単に申し上げますれば、以下の事項について大統領を補佐する。第一は、マルコス前大統領及びその関係者により、不正に取得された資産を、右がフィリピン国内にあるか否かを問わず調査し、回収すること。第二は、大統領により指定される汚職、腐敗事件を調査すること。それから三としては、上記汚職、腐敗が繰り返されることのないよう防止措置を講ずること。こういうようなのがサロンガ委員会の今後の主なる活動であろうと私ども理解しております。
  399. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 ソラーズ委員会、そういうふうに呼ばせていただきたいと思いますが、これは今何を調査しているのでしょうか。
  400. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 先ほども申し述べましたように、ソラーズ委員会が何を今具体的に調査しているかという点については、申しわけありませんが、私どもとしては、現在事実関係を必ずしも正確に把握しておりません。
  401. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これはやはりちゃんとしておいてもらわないと、そちらから出てきた資料で、今私たちはマルコス文書というような形で議論をしているわけですね。あるいはこれからまた出るかもわからない、そういうこともありますので、正確にこれは掌握しておいていただきたいと思います。
  402. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 若干補足させていただきますと、アメリカにありますところのマルコスの財産、いわゆるマルコス財産というものについての実態を調査しているというのが現在のソラーズ委員会の主なる役割である、活動状況であるというように私ども理解しております。
  403. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そうしますと、アメリカの企業も、あるいはフィリピン経済協力援助とかそういうところに関与して同じように名前も出ているわけですか。
  404. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 名前として出ておりますのは、私ども承知する限りはウエスチングハウスだけでございます。現在において私ども承知しているのはウエスチングハウスでございます。
  405. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは、まだ何千ページのうちの何百ページだけが日本に来ているわけでございますが、まだまだいろいろなものが出てくるというふうに考えてよろしいですね。
  406. 後藤利雄

    後藤(利)政府委員 今の御質問は、いわゆるマルコス文書で日本関係する部分が、現在二千ページに及ぶ公表されている分以外に出てくる可能性があるかどうかという御質問でございますれば、従来より御答弁いたしておりますように、日本関係の部分は既に公表された部分の中にありまして、それ以上、私ども照会した限りは、まだ若干公表されていない部分はあるけれども、そこには日本関係部分はないということをはっき力とソラーズ委員会あるいは米国の議会筋の方から承知しております。
  407. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これは向こうのおっしゃることをそのまま信じてもいいかもわかりませんが、それではちょっと不安が残ります。やはりちゃんと資料として正式に請求されてはどうでしょうか、要求されてはいかがかと私は思いますが、委員長、この点はひとつ諮っていただけませんか。
  408. 原田憲

    原田委員長 今のことは理事会で諮りますけれども、それは政府にあなたが要求されているのでしょう、政府に対してのことでしょう。
  409. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 失礼しました。委員会として政府に対して、これは手に入れるように要求をしていただけませんか。
  410. 原田憲

    原田委員長 では、後ほど理事会で協議いたします。
  411. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それから、サロンガ委員会の活動でございますけれども、これももう少し資料その他も手に入れていただきたいと私は思うのです。伝聞証拠みたいなものがどんどん出てきて、それがどんどんまた発表されるようなことになりますと、どこに真実があるのかわからぬままで何か霧のようなものだけが広がっていくというような形にもなりかねない。  例えば、今サロンガ委員長の方はアメリカを担当しているのでございましょう。それから、ダサさんが日本を担当でございましょう。ディアス委員の方は、これはたしか銀行だと思います。それからまたバウチスタ委員の方は、これは港湾とか砂糖とかココナツオイルを担当しているはずでございます。ヤップ委員の方は、スイスにおけるマルコスの資産というものを中心調査している。こういうような形で分業をやりながらやっているようでありますが、そういうところにももっともっと私どもは、部分的な情報やら何かリークしてくるようなことで引き回されたり振り回されたりするようなことにならぬように、きちっとした形で対応していかなければならぬ。  そういう意味では、当委員会の名においてサロンガ委員会に対しても、適切なる時期に適切なる資料というものは要求をしていただきたい。それに基づいて審議をしていかないと、伝聞やらあるいはまた一部の情報によって我々は議論をする以外に方法がなくなる、あるいは推論をする以外に方法がなくなる。これは非常に危険なことでもございますから、委員会の権威にかけて、委員長、これは取り計らっていただきたいと思います。
  412. 原田憲

    原田委員長 ただいまの渡辺君の御提案につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  413. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 さて、それでは、これは私ども大変困ったなと思うのは、こういうような疑惑経済協力経済援助について出てきたということで、本当にどこから真実を究明したらいいのかということで困っているわけでありますが、しかし、そういうものが論議されるいわば原因といいますか、これは一体どこにあるのか。これはそれぞれの方にお聞きしたいのですけれども、なぜこういう疑惑が出てきたのか。外務大臣それからまた経済企画庁長官、それから海外経済協力基金の総裁にも御所見をいただきたいと思います。
  414. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 いわゆるマルコス疑惑というのは、これはマルコス文書等でもいろいろ出ておりますが、やはりフィリピン政府から発注して受注を受けた企業、その企業フィリピン政府関係、その企業コミッションが当時のフィリピン政府マルコスの高官に渡ったかもしれない、これが疑惑と言われておるわけでございまして、いわば、そういう意味ではフィリピン政府の問題、これが第一義的であろう、こういうふうに思います。  ただ、それに日本企業等が関連しているということも指摘をされておるわけでありますし、また、受注を受けておる事業日本の円借に基づく事業であるといった点で、我々としても、やはりこの援助というものの信頼性を損なわれても困るわけで、我々としては、この援助は全体的には、フィリピンに対しても、その他世界の開発途上国に対しまして日本はまじめにやっているし、それだけの成果は上げておるし、非常に評価を得ておると私は思っておるわけでございますから、そういう意味ではやはり事態を解明をしていただきたい、こういうふうに考えて、政府としてもできるだけ協力はしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございますが、問題は、やはりマルコス政権時代のマルコス政府と当時の受注をした企業との間の関係に問題があるということでございます。
  415. 平泉渉

    ○平泉国務大臣 外務大臣の御所見と大体共通でございますが、問題があるとすれば、それはやはり当時のフィリピン政権内部の問題であろう、そこにやはり問題の原因があるであろう、かように考えております。
  416. 細見卓

    細見参考人 やはり問題はフィリピンで起こっておりまして、私どもとしましても、誠心誠意やっておった結果がこういうことになって物議を醸しておるわけでありまして、大変残念に思いますけれども、これというのも、やはりフィリピンの政界、財界をめぐる環境というのが我々が予想しておる以上に厳しいものがあるということのあらわれではないかと思います。
  417. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 細見総裁の方にまずお伺いしますけれども、例えば、基金としてこれはやはりチェックが緩いというようなところも問題点ではないかと思うのですが、それはどうでしょう、お認めになりますか。日本と例えばフィリピン政府との間で、この基金からお金が行く、そういうときには、適正に使われることという表現で使途には枠がはめられてはいるものの、実際には、相手国受注企業と結ぶ契約というのは私契約だということになりまして、日本側としてはチェックする権限はないというような形で、結果的には非常にチェックの仕方が緩いものになってしまう。そういうところに原因があるとお認めになりますか。
  418. 細見卓

    細見参考人 今伝えられておるようなことがあるとしますと私どもも大いに反省はしなければならないと思いますが、御指摘のように、独立の国と国との、つまり内政干渉とかあるいは権限を越えていろいろなことを指図をするということのやりにくい環境の中でこういうことをやらなければならない難しさというのはぜひおわかりいただきたいと思います。
  419. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 その点は、独裁風家というような社会における経済活動のあり方というのは大変難しいことぐらいはわかりますので、おっしゃる意味もよくわかります。ただ、こちらの側としてどうあるべきかをこれからやっていかなくてはいけない、その場合に、やはり原因というものがあるとするならばそれをはっきり認めた上で対処しないといけないだろうという意味で、先方だけの問題でなくてこちら側の問題点も明らかにしなければと思っているからお聞きしたわけでございます。  それで、特にまた外務大臣にひとつお聞きしたいのですけれども、実はフィリピンのような国における日本の経済活動というのは、これはどうも学者やら評論家やらいろいろな方の御意見を聞きますと、賠償の時代からやはりいろいろな問題が起こってきている。先ほど同僚議員も御指摘がありましたけれども、そういうところに根があるように思いますが、その点はお認めになりますか。
  420. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 フィリピンにしてもその他の国国にしましても、日本援助というのは、やはりその国の政府を通して援助を行うわけでして、フィリピンが二十年間マルコス政権下にあったということで、マルコス政権を通して援助が行われた。しかし、援助を行う場合においても、交換公文あるいはまたその前のフィージビリティースタディーだとか評価その他、日本政府としてはフィリピンその他の国々との間でも援助というものが適正に実行されるようにきちょうめんにやってきておる、私はそういうふうに考えておるわけでございますが、そういう中で、フィリピンではフィリピン自体の問題としてあのような問題が起こって、これが今明らかになっておるということであるわけでございます。これは極めて残念でございまして、我々は、それでもって全体の日本援助、ODAというものに対して信頼感が損なわれるというようなことになればゆゆしきことであると大変心配をいたしておりますし、また日本援助というものはそういうものではないというふうに確信はいたしております。
  421. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は本当は認めたくないのですけれども、どうも認めざるを得ないような慣行といいますか、奇妙な癒着といいますか、そういうものが賠償時代にできてしまった。一九五六年から二十年間にわたる対比賠償、総額は大変膨大なものでございますが、その間に相当いろいろ無理も言われ、それでそれに応ずる、またそれを奇貨として日本が対外経済活動を活発化させていく、貿易を促進する、そういうふうな誤解やら、あるいは正しかったのかもわからぬけれども、そういう眼鏡で見られるような結果になってしまった。  実は先般も、サロンガ委員会に行きましたときに、向こうの方で一生懸命調べているものの中にどうも賠償時代のものが相当ありまして、何でそのころのものを調べるのだと聞いたときに、彼らの方は、実は根っこはそこら辺にあるように思うなんというふうなことを言いながら調べておりました。私も慌てまして、できるだけ克明にと思って賠償時代のいろいろなものをずっと見ながら今調べている最中でありますけれども、十分資料もありませんし、今日では恐らく廃棄されてしまったような資料も多いのではなかろうかと思いますが、ただ、ぽつぽつと出てきたときにこれはと思うようなものがございます。  例えば、これは小さなことかもわかりませんが、アジア研究所で出している「戦後日本の対アジア経済政策史」というのがありまして、一九八一年に出ております。こういうものを見ながらいろいろずっと実際の数字だとか想像される事態だとかいうようなものを見ておりますと、ちょうどそのときにある新聞に「マルコス疑惑」でもってこういうのが出ました。「YS11購入」、これはいつごろの話かといいますと賠償時代なんですね。昭和四十六年度の賠償品目になった日本製の旅客機YS11一機の購入代金として日本政府が支払った賠償金は十四億二千数百万円であった、ところが、メーカーの日本航空機製造が仲介の商社に売却した価格は八億二千数百万、差額の六億はどこへ消えた、こういうふうなことで書いてあると、これは何事だろうと思ってその当時の資料の中からずっと読んでみますと、こういう項目がある。これは一九七一年ですからちょうどその当時に当たりましょうか。「航空機」としまして何も書いてないのですね、十九億千二百万円。これが「賠償契約認証実績」というような形で出ている。今度はこっちの新聞の方には何と書いてあるかというと、これはフィリピンの方のお話でもあるそうでありますが、この差額は六億円。しかし、こっちにあるのは十九億ですから、実際のところはもっと大きな差額になるかもわかりませんが、どこに差額は消えたのか。後にこのYS11はイメルダ夫人の専用機として大変豪華なものに化けていた、こういうふうな記事になっているわけであります。  例えばこういうことでも、資料なんかがもっときちっとあれば、私どもこれがうそだとか本当だとかというのはわかるのですけれども、一方にこういう新聞報道が行われ、他方と照合してみると、何かそこら辺にどうも数字や何かで合わないものが出てくる。そうすると、こちらの新聞の記事の方が整合性を持ち、かつまともに見えてまいります。私はそういう意味でも、何遍も申し上げますけれども、資料その他についてはきちっとしたものを国会には出していただきたい。古いものであろうとも極力出して事態を明らかにする必要があろうと思います。同時に、今申し上げたように、今日いろいろ疑惑、汚職なんというふうなことが言われるのは、どうも賠償時代のルーツが今でもまだあるのではなかろうか。これを今どうするべきかということになれば、私は、現在のこの事態において、今後の日本経済協力のあり方の中でいかにガラス張りにし、いかにこれを刷新していくかということしか解決の方法はないと思います。確かに、もう時効になったものを引っ張り出していろいろ言っても、これは直接の解決にはならぬかもわからぬ。しかしながら、今後こういった問題を踏まえた上で対処しなければならぬと私は思うわけであります。  外務大臣、私のこういうような考え方はいかがなものでしょうか。大臣はどのようにお考えでございましょう。
  422. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 賠償と経済協力というのは本質的にやはり違っておるのじゃないかと思いますが、経済協力になりまして援助という形をとり始めてからは、いわゆる円借、無償援助技術協力ということで、制度もはっきりしてまいりましたし、いろいろと外交的な交換公文という形で実行もされる、あるいはフォローアップ、あるいはさらに評価も行っていくということで、非常に援助のシステムは賠償時代より、賠償時代というのはよく知りませんけれども確立をしてきておる、私はこういうふうに思います。他国と比べまして日本援助のシステムはむしろ非常に公明に行われている制度であろう、その辺は非常にきちっとやっておる制度になっておる、私はこういうふうに考えております。
  423. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私もそれを本当に期待をしております。確かに賠償と今の有償、無償の援助の開始というときとは時期も違いますし、それからまた非常に厳密に実行しようということで努力しておられることはわかります。しかしながら、向こうさんの体質というのはむしろ腐食部分が深まったというようなことも言えるのではなかろうか。それは外務大臣ですから、よその国のことについてはいろいろ言えないかもわからぬけれども、国民、納税者の側として言うならば、やはりそういうことをはっきり指摘しておかないといけないだろう。  例えば最近では、五十九年に国民議会の選挙がフィリピンで行われておりました。その時期は五月でございました。しかし、その直前の四月に、商品借款三百五十億を含む第十二次円借が決定しております。これは向こうから相当に強い要望もあったのだろうと思います。アキノさんが殺された後の政情不安の中で、また経済不安の中で、私はそういう強い要望があったのじゃないかと思いますが、その当時、たしか暗殺されたアキノさんの弟さんでありますが、アガピト・アキノ氏は日本に来ております。そして、国会関係の人々に一生懸命陳情しておりました。せめて国会の選挙が終わるまではこの円借はひとつ延ばしてもらえぬかということを言ってきておりました。こういうように、独裁者の場合には確かに円借だとか商品借款だとかいうようなものを自分の権力の維持のために使う、そういう可能性はなきにしもあらずであります。それだけにアガピト・アキノが非常に心配をして一生懸命陳情したのだろうと思うのでありますが、大臣、こういうような事態というものはいかがでございましょう、独裁政権のもとではあり得ることだったという言い方ではお認めになりますか。
  424. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 確かにフィリピンの政情が不安で、同時に経済は特に不安定な情勢、国際収支が大変悪くて赤字が累積をする一方ということで、IMFもいろいろと調査に入っておるという状況の中でフィリピン政府から商品借款の要請があって、日本も、このままいったらフィリピン経済が破滅をする、それで結局非常な痛手を受けるのはフィリピンの大衆であるというふうに考えまして、商品借款に踏み切ったわけですが、その中にあって、確かにおっしゃるように、当時の反対党でありました今のラウレル副大統領も私のところにお見えになったことをよく覚えておりますし、援助問題についていろいろとお話をいたしました。あるいはまた現地におきましてもいろいろと、日本援助を行うということに対して当時反対の動きもありましたし、そういう中で日本としまして、しかし経済がこういうふうに急激に悪化しているので、これは決してマルコス政権をバックアップするということではなくて、今ここで日本が商品借款を行わなければフイリピンの経済が大変な事態に陥るということで、そうした野党系の方々にも日本の大使館なんかを通じまして理解を求めたことを私も覚えておるわけでございます。大体多数の方がそうした日本の善意といいますか、誠意については理解をいただいたのじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、私もラウレル副大統領に対しまして日本のそうした立場というものを理解していただきたいということについていろいろとお話をした経験を持っておるわけであります。
  425. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 今おっしゃったラウレル副大統領も、安倍外務大臣にはマルコス疑惑、こういう問題があるのでひとつ何とか援助は控えてほしいというようなことを申し上げたというふうに述べておりましたが、それは、じゃ事実だったわけですね。  さて、今さっき細見総裁もおっしゃいましたけれども、どうなんですかね、円借款プロジェクト借款の場合、仕組みは相手国政府要請する、そして最後にプロジェクトが完成する、その間に一体どことどこで日本はチェックができますか。どこでチェックができましょうか。そのシステムがありましたら、ちょっと教えていただきたいのです。
  426. 細見卓

    細見参考人 借款契約成立いたしますと、それに見合う信用状が銀行に開設されるわけでございます。そういたしますと、施行者である相手国政府あるいは政府の機関が事業の進捗に応じて入札をしたり、あるいは調達契約を結ぶわけでございますが、その調達契約ができまして船荷証券といいますか、荷物を現実に陸揚げするあるいは船に積んだということになりますと、それが最初に提出されております事業計画書にかなったものであり、価格あるいは規格その他が適切なもので枠に入っておるものだということになりまして、それは支払われてしかるべきものだということを通知いたしますと、企業の実際の事業を施行しておられ、あるいは船で、船といいますか、荷物を調達された契約の当事者の方へフィリピン政府の金ということで私どもの金を銀行が支払うという格好で、その意味ではフィリピン政府に金が直接に渡るということはないわけでございます。  そういう意味で、私は、その出てきた船荷証券とかそういうものが適正であるかどうかということについてもっと注意深く見ろと言われることについては、これからも大いに考えてみなければいけないとは思いますけれども、表のきれいな関係で申しますと一応全部整う。それで、いろいろ裏の金といいますのは、一遍企業へ渡った金がそれからどうなったかというのがおっしゃっておるリベートだとかあるいはコミッションだとかいう話になるわけでございまして、裏の金の流れのチェックというのはなかなか難しい、この中に泥棒おるかというような話というのは、本当は難しいことだと思います。
  427. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 そこでひとつ考えていただきたいのは、幾つかどうもチェックできるところがあるように思うのですけれども、例えば契約が締結される、落札者が決まる、そのときに基金による契約の審査が行われる。そこら辺に一つ審査がありますね。その前に、LAの締結が行われる、そのときに基金による入札書類の審査がある。そうですね。ですからそこで二回ありますね。その前にはないのですか。
  428. 細見卓

    細見参考人 実際に案件が決まります場合に、政府ミッションによる現地並びに事業の審査が行われるわけでありますが、そのときに必要があれば一緒に参りまして、技術的な点あるいは経済的な面について十分私どもが持っておる知識を提供するというようなことはいたしております。
  429. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これは後でまた触れさせていただきたいと思うのですけれども、一九七八年以降いわゆるひもなしのアンタイ借款が実施されているわけでありますけれども、これは国際入札というのが原則だとなっておりますが、実際にはどうも日本企業が落札をしているというのが評判が悪いゆえんであります。しかし、実際の事実関係はどうなっておりますか。例えばフィリピンで何次の円借でも結構でございますが、出せるものがあったら出していただきたい。国際入札の結果はどうなっておりますか。
  430. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 現実の調達の実績を申し上げますと、一九八三年で見ますと、我が歯が八二・六%、それから開発途上国が一〇%、それから現地フィリピンでございます、フィリピンが七・九%。八四年で見ますと、我が国が八七・八%、それからOECD諸国、先進国でございますが、五・五%、開発途上国が五・二%、フィリピンが一・四%。八四年度までの累計で見ますと、我が国が大体八五%程度、OECDが二・四%、開発途上国が一〇%、フィリピンが二・五%、この程度の調達実績になっております。
  431. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 今の数字を聞きましても、パーセンテージというのは恐らく受注した金額の方ではないと思うのです、件数だと思うのですね。金額でございますか。ああそうですか。金額であるならば、余計に明らかになってまいりますが、約九割近いものをやはり日本がとっているということになると、外務大臣、先般もOECDで御苦労されたと思いますが、日本のアンタイド化というのはどこまでいっているのだということだとか、グラントエレメントの問題が出てきて日本はあらぬ誤解をかけられて攻撃を受ける、こういうことになるわけであります。ここら辺のことは改善する考え方はお持ちでございますか。
  432. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これは外務大臣だけの立場で決められる問題ではありませんが、しかし、私は政府の閣僚としまして、そして特に援助問題を担当する官庁の責任者の一人として、今の日本援助を、量はアメリカに次いで世界第二位ということになっておりますけれども、質の問題から見ますと、やはりまだまだ先進国に比べましてその質は必ずしも十分な状態ではない、こういうふうに思っておりますし、全体的にはやはりアンタイドの方向でいくことが基本的にはいいのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。しかし、これは今後とも、世界の援助のあり方が全体的に討議をされて、OECD等でも一つのコンセンサスが生まれようという状況にあるわけです。ことしは残念ながら日本とアメリカ、ECとの意見が合わなかったわけでございますが、しかし全体的には足並みをそろえた援助のシステムに持っていこうということになりつつある、私はそういう流れだろうと思っておりますし、そういう中で日本援助も質的な改革といいますか改善は行っていかなければならないというふうに考えております。
  433. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いろいろお聞きしたいのですが、ちょっと時間がなくなりましたので先に進みます。  プロジェクト実施した場合、やはり援助評価ということを行う重要性というのは非常に大きいと思いますね。日本で初めて評価委員会というのをおつくりになったのは昭和五十七年のはずでございます。外務省にできました。そうですね。その場合に、日本援助はその当時大体八十点という自己採点が、これは新聞でございますけれどもどうも中にちゃんと書いてあります。あちこち調べてみると、ほぼ八十点台である。そのときフィリピンではどこを調べたかといいますと、これは中小企業に対する技術提供がございましたね、パーティクルボードの開発技術、それからもう一つはカガヤン農業開発、これを調べて八〇%という、点数でいうなら八十点をつけている。ということは、どうもあと二十点は足らないところがあるということをお認めになったというふうにもとれるわけでありますが、実際にこの評価委員会というものは、正直な話、私ども見ていて、どなたが評価されたのかというと、外務省のOBの方とかあるいはまた内輪の方で全部やっておられて、第三者の声というものが入っていないのではなかろうか、もっともっと第三者機関というような第三者的観点というものを拡大しなければならぬのではないかというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
  434. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 外務省の評価は、委員指摘のとおり五十七年に第一冊目を公刊いたしましたが、委員会自体は五十六年の一月から活動を開始しております。その間、種々評価活動を行いましたが、まさに今御指摘がございましたように、評価の際、ほかの援助国におきましても援助実施機関が評価をみずから行っておりますが、我が国におきましても、外務省、経済協力基金国際協力事業団等実施機関が行うほかに、第三者的な視点の導入が重要ではないかということで、近年はマスコミ関係の方、学者の方、NGOの代表の方等にそれぞれ独立して御評価をいただきまして、第三者的な視点を導入することに努めております。件数で申しますと約一割程度が第三者による評価に現在充てられております。  それに加えまして、先ほど大臣が御答弁で御説明申し上げましたように、鎌田前会計検査院長を長とします評価部会というものを新設いたしまして、評価の手法自体に第三者的な視点の導入を図りまして評価の質を高めていこうということで現在努力している状況でございます。
  435. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間が非常に少なくなりましたので、また先を急がざるを得ませんが、もう一、二だけお聞かせください。  それは、いわゆる要請主義、向こう側の政府の方が要請してきてプロジェクトを決めるという実態であります。これは正直なところ、今までもういろいろ同僚委員の方からお話があるように、これは日本側でつくったものを相手国政府から出させるというような性格が顕著だと私は思います。この点ははっきりとタイのように、いわば日本との援助では大変に今日まで歴史を持つ国でありますが、そこにおいてはっきりと述べております。昨年でございますか、日タイの間の経済構造改善のためにタイ・日経済関係構造調整白書、これがピチャイ副首相を中心にして作成され、出された。日本政府もこれに対して前向きに肯定的な発言をしておられるようでありますが、そこではっきり言っているのは、タイにおいて案件の選択とか優先順位の決定等、組織的な援助要請計画策定の欠如のために日本側が優先順位を決定してしまう、こういうことを向こう側が言っております。フィリピンの場合は、まさにそれがもっともっと日本側の方が優先順位を決めちまったりなんかするのではなかろうか、それからまた計画もこちらが持ち込んでしまうのではなかろうかということが考えられますが、その点についての認識はいかがでございましょう。
  436. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 我が国要請主義というのをとっておりますのは、やはり相手国の自主性を尊重するという立場から、被援助国立場から援助国発展してまいりました我が国みずからの歴史にかんがみまして、被援助国の自主性を最大限尊重しつつ相手国の自主努力に対する協力を進めるのだという哲学に基づいた主義だと私は考えております。  ほかの国について見ますと、他国援助を批判するつもりは毛頭ございませんけれども、かなりの程度援助国側の都合によりまして援助の案件を決定し、それを実施しているという傾向がございます。我が国は、そういう点からいたしますと、被援助国優先度というものをできるだけ尊重していく、ただし我が国の国是がございますので、例えば軍事的な協力はできない等々、我が国立場に伴う優先度変更というのは行いますけれども、基本的に相手国優先度を尊重する、これが要請主義の恐らく要請かと存じますし、この原則は相手国も一般的には非常に高く評価してくれているのだと思います。ただし、行政機構が非常に完備しておりますアジア諸国と違いまして他の地域、例えばサハラ以南のアフリカ諸国等に援助が拡大してまいりますにつれて、やはり先方の行政機構の不備等から先方自体がなかなか要請の内容等が詰められないという弊が出てまいりましたので、その点では、我が方が積極的にプロジェクトの形成、プロジェクトを見つけることのお手伝いをするという度合いがふえてきているということは一般論としては申し上げられると存じます。しかし、その際にも、少なくとも要請の決定、我が国に対する要請を決定するのは相手国政府であるというその原則は貫いていくように、現在もそういう態度で臨んでおります。
  437. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間が参りましたので、最後に一問だけ申し上げ、そして要望して終わりたいと思います。  それは、今もお聞きしたのですが、私は要請主義全部が悪いとは思いません。ただ、その際に、日本企業あるいはコンサルタントあるいは総合商社が指導するような、そういうプロジェクトファインディングというような形で、誤解されるような形ではなくて、例えばフィリピンの場合だったらアキノ新政権はこれから民生にどう役立つような援助をしてもらうのか、ぜひしてほしいということを要望しているわけでありますから、それにこたえてのプロジェクトや何かを一緒に考える、日比両国でもって、特にまた官民両方が参加して、将来あるいは短期的、長期的な計画援助計画考える、こういうようなことが大事であろうと私は思うのです。そういう考え方はひとつぜひ持っていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。そのような作業をお進めになっていただけませんか。
  438. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはやはりプロジェクトを行う場合には双方で十分協議をして、そして協議の結果お互いに納得し合った形で行わなければならない、こういうふうに思います。
  439. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 じゃ、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  440. 原田憲

    原田委員長 次に、正森成二君。
  441. 正森成二

    ○正森委員 土井たか子委員を初め多くの委員から、本件の真実を知るためには資料の公表がぜひとも必要であるということをるる開陳されました。我が党の経塚委員が四月の九日に総理大臣に対しまして質問をしたことでございますが、フィリピンのラウレル副大統領が四月一日に、円借款に絡む日本企業マルコス前大統領との手数料疑惑関連して、日本政府が必要とすればフィリピン側資料を引き渡す用意があるとまで言明されました。これについてどういうぐあいに考えられるかということについて、安倍外務大臣、それから経企庁長官は、終始一貫してフィリピン政府が公表しないものを日本側が公表するということはできないと言っていますが、フィリピン政府は、日本政府要請があれば自分たちの手持ちのものを公表してもいい、こう言っているんですね。そうだとすれば、フィリピン政府側には異議がないわけでありますから、フィリピン政府のお手持ちの資料、今OECFの総裁の言明などを聞いておりますとOECFが持っております資料も大抵はオリジナルはフィリピンにあって、そのコピーが自分たちのところにあると言っているぐらいですから、そのオリジナルなものが受け取れれば真相解明に役立つのですから、これは要請するのが当然じゃないんですか。私はそう思います。
  442. 安倍晋太郎

    安倍国務大臣 これはしばしば答弁したとおりでありまして、いわゆる契約の当事者はフィリピン政府なんですから、フィリピン政府が公表しないものを日本政府が公表するという立場にはないわけでありまして、今後ともこの立場は変わらないわけです。
  443. 正森成二

    ○正森委員 フィリピン政府は逆に外交上のことをおもんぱかって、日本企業のことも出てくるんだから、日本政府要請があればフィリピン側は公表に異存はない、こういうことを言っているので、それを、公表を要請もしないというのは、日本政府が真相隠しのために一生懸命やっておるということ以外の何物でもないんじゃないですか。しかも、あなたの答弁は中曽根総理の答弁よりもはるかに後退しているんですよ。総理は、四月九日の答弁で、それは国会で、特に特別委員会もできることだから、そこで与野党が一致するということであれば政府は対処いたしますと、こう答えているのですよ。ですから私どもは、当委員会原田委員長に対して、自民党も理事会で全会一致でフィリピン政府に公表を要請するということを、結論をぜひ出していただきたいと思います。そうすれば、中曽根総理の議事録に載った大蔵委員会での答弁もございますから、資料の公表を得ることができ、真相解明に大きく前進すると思いますが、原田委員長、いかがですか。
  444. 原田憲

    原田委員長 今の御提案は、やはり理事会で相談をいたします。
  445. 正森成二

    ○正森委員 そこで私は外務省に伺いますが、外務省が今まで公表した資料というのは、私はここに持ってきておりますが、第一次から第七次までの商品借款の品物のリストですね。それから、第十二次につきましてもやはり同じように三十七品目の商品名と、それからそのうち八六年一月末現在の消化額、これだけを出してきただけですね。それ以外には出しておりませんね。
  446. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 それ以外には、第一次の前に日比友好道路借款がございましたが、日比友好道路借款及び第一次以降第十二次までのプロジェクト名及び限度額、これはお出ししてございます。
  447. 正森成二

    ○正森委員 交換公文ぐらいを見ればわかることですね。ところが、我々がフィリピンへ参りまして入手したら、OECFはこんな大部な、企業名こそ書いてございませんが、それ以外のものは全部載っているような資料を一九八四年の四月に出しておりますね。英文です。「ジャパンズコントリビューシュン ツー エコノミックデベロプメント イン ザ リパブリック オブ ザ フィリピンズ スルー OECF ローンズ」これもはっきりOECFの名前が書いてありますよ。全部で百ページぐらいに上る詳細なものであります。しかも、それを見ますと、年次ごとではなしに項目ごとに、これは電気関係事業であるとか、これは農村関係事業であるとか、そういうことを全部まとめているじゃないですか。しかもこれはマニラで市販されているのですよ。それを我々が入手してきた。マニラで市販されているものさえ国会に提出されないとはどういうわけですか。
  448. 細見卓

    細見参考人 マニラでお手に入れられたと言うわれるものは、恐らくその案件湖概要のようなものが書かれているものだろうと思います。それは恐らく向こうが日本からこれだけの援助を受けておるということを説明したものだと思います。
  449. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、これは「エープリル 一九八四 ザ オーバーシーズ エコノミック コオペレーション ファンド ジャパン」と、こうなっているけれども、これはフィリピン政府が出したというのですか。OECFは関知しないというのですか。  しかし、いずれにせよフィリピンでは一定の金を出せばこういうものを買うことができるのですよ。それでこれを見れば、外務省が出してきたことよりもずっと詳しいことが全部載っているのです。こんなばかなことがありますか。国会を何と心得ておる。
  450. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員のお示しになりました資料は、私、読んでおりませんが、先ほど説明申し上げましたように、第十二次円借款までの案件名、供与限度額、それに加えまして案件の内容説明でございますね、簡単な内容説明は、これは国会にもお出ししてございます。その点だけちょっと申し添えます。それよりももうちょっと詳しいものであるという御指摘でございましたら、拝読させていただきます。
  451. 正森成二

    ○正森委員 これは借款の条件から、タイド、アンタイド、あるいはLDCアンタイドですね、そういう区別から、そういうものも全部書いてありますよ。確かに請け負った企業だけは書いてない。それで、これは、私らが打ち見たところ、フィリピン政府が出したものじゃなくて、OECFが出したものだと思われる体裁になっているのですよ。それで、この前の方には序文みたいなものまで書いてありますよ。こんなものはフィリピン政府が出すものでないのじゃないですか。
  452. 細見卓

    細見参考人 それは、フィリピン政府に我々はかくかくのことをしておりますということをフィリピン政府に渡して、それがリプリントされて市販されたということだと思います。
  453. 正森成二

    ○正森委員 私が言うたらとうとう、OECFが出したものだと、それをフィリピン政府が市販したものだろうと思うと言って、OECFが出したということを認めたじゃないですか。フィリピンで市販されるようなものを自分らがつくって出しておきながら、国会には出さないとはどういうわけだ。それは、これは随分不十分なものですよ、社会党等が入手されてきた資料などに比べれば、随分初歩的な資料でありますが、それでもOECFが出しておるわけでしょう。それを、それのごく一部さえ国会には出さない。そんな国会軽視がありますか。私は、厳重に反省を求めたいというように思っております。  時間の関係で次の点に移りますが、今同僚委員から第七次賠償調査団報告というのがありまして、賠償の、非常に高いものを買わされているという報告がある。そして、例えば漁船、漁網等の購入は約二〇%高いとか、送電線の入手価格は三〇%高いとか、いろいろ同僚委員から御報告がありました。  それで、私は伺いたいのですが、一九六九年、昭和四十四年にいわゆる春田疑惑というものが起こりまして、それが報道されたと思います。それについての概略を御報告願いたいと思います。
  454. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 いわゆる春田事件でございますが、これは、昭和四十四年十一月に行われましたフィリピン大統領選挙の選挙運動中、同年九月十三日でございます、マルコス大統領と争っておりましたオスメニア候補が春田書簡なるものを公表した事件と承知いたします。当時の報道によりますと、同書簡なるものは、日本人商社員春田嘉逸発、安宅産業松村氏あての英文の書簡でございまして、日比賠償による道路建設用資機材の調達に当たりフィリピン政府高官リベートを支払うことを内容とするものでございました。その後、当地、我が方、本邦でございますが、本邦での報道によりますと、本件関係者と言われました春山及び松村雨民とも、同書簡の事実を全面的に否定され、春田氏は名誉棄損でオスメニア氏を告訴されたというふうに報道されております。
  455. 正森成二

    ○正森委員 それは、あなた方がつかんでおる一応の報道であります。しかし、この点は肝心のところをあなた省略されましたけれども、内容はこういうことなんですね。  一九六九年のマルコス大統領とセルヒーヨ・オスメニア候補、これは自由党の上院議員でありますが、その政争の最中にこの手紙が公のものになったわけであります。この手紙は五月十九日付と三十日の日付の二つでありますが、十九日の日付には、日比友好借款の日立のトラクターの商売でマルコス大統領、バラオ将軍、これはフィリピン賠償使節団長であります、その他へのリベートをお互いに我々の手を通して渡すという内容でありまして、三十日の手紙は、日野のダンプトラック二百五十台の仕事を成功させるため、以下の人々にリベートを贈ろう。マルコス大統領一六%、バラオ将軍二%、アバド賠償委員長など二%、ラキサ元公共事業相一・五%、アキノ道路局長〇・五%、こういうように詳細に著かれているわけであります。今同僚委員からもずっと昔から疑惑があったということが言われましたが、こういう内容になっているんですね。この問題について、当時、フィリピンマルコス大統領の二遍目の大統領選挙でございましたから、大問題になったのは御承知のとおりであります。  この問題について、もちろん当事者は、特に春田氏はマニフに参りまして、自分はそういう覚えがないということで否定したことになっているわけであります。けれども、それは事実ではございませんで、フィリピンの実菜家のホセ・バリオス氏はテレビでインタビューを行いまして、いわゆる春田書簡については、これは東京の私の自宅でタイプしたもので、私が春田氏がサインして封をするのを直接目撃した、春田氏は私に手紙の誤りを訂正してくれるように求めた、こういうように言明して、この手紙のコピーをオスメニア上院議員に与えたというように述べているところであります。  こういう点を考えますと、この事実については十分な疑惑があると言わなければなりません。今局長説明をされましたが、私のこういう指摘に対して再度の答弁を求めたいと思います。
  456. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 ただいま委員指摘のとおり、本件は大統領選挙のさなかに報道されたこともございまして、フィリピンの国内では新聞が極めて大々的に報道をいたしました。本邦におきましても二、三報道が行われましたけれども、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、お二人の関係者が本件を事実無根として否定されておられること、さらにまた、春田氏御自身がフィリピンに行かれて、名誉棄損でオスメニア氏を告訴するという行動に出られたということでございますので、これは直接の関係者が否定されているということで、私どもはそういう種類の事件として考えております。
  457. 正森成二

    ○正森委員 この件は、歴史の因縁といいますか、オスメニア候補側ですね、それの弁護人といいますか、そういうようになられたのが現在のサロンガ氏なんですね。サロンガ氏がこの問題でマルコス大統領を糾弾する反対側の方の弁護をされたわけであります。そして私が入手している情報によれば、この春田氏に対してはフィリピンの賠償使節団側から猛烈な工作が行われた。真実をしゃべらせないために非常な工作が行われたということも私は承知しております。その工作の内容についてはきょうはここでは申し上げませんけれども、それによって春田氏のフィリピンでの証言が非常に不明なものになったというように私は聞いております。こういう点を考えますと、昔からフィリピンとの間ではこういう不明朗なことが起こっていて、リベートがこれでは計算しますと大体二〇%を超えるのです。しかし変わらないのは、マルコス大統領に一五、六%のリベートという名の黒い金が送られているということは連綿として十数年にわたって続いてきたということが私は十分推察されるというように考えるわけであります。その点で私たちはこの問題についてもっと真剣に考えなければならないと思います。  そこで続いて伺いますが、ソラーズ委員会が発表した文書があります。その中にはBBBということがありまして、その前にパーセンテージが一五%ということで、一五%に匹敵する数字が列挙されております。このBBBというのはレートゼネラルのことであるというように言われており、そういう趣旨の答弁もありますが、BBBとは一体どういうことですか。
  458. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 まさにソラーズ文書と申しますかマルコス文書の中に御指摘のようなパーセンテージが記してございまして、その欄の項目がBBBと記されております。注記がしてございまして、BBBとは将軍に送達されたものであるという注記がしてあるということだけはマルコス文書から私ども承知をいたしております。
  459. 正森成二

    ○正森委員 マルコス文書でレートゼネラル、こうなっておりますね。しかし、BBBというのはもっと具体的なものを指していると思いますが、それについてはあなた方はいろいろ調査をしておる、四省庁一緒で調査しているのでしょう。解明したはずであります。答えてください。
  460. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 いろいろ推測、報道等もございますし、推測は可能かと思いますけれども、現在私どもがレートゼネラルというのがだれかということでございますとか、BBBというのはそもそも何でこういう記号をつくったのかというのをお答えする状況にはございません。
  461. 正森成二

    ○正森委員 もうなっとらぬですな。これがバラオ将軍を指すことだというのはここにおられる委員なら周知のことじゃないですか。しかも私が入手した確実な情報によれば、BBBというのが何の略かということもわかっているのですよ。ビッグ・ボス・バラオの暗なんですよ。だからBBBというのですよ。バラオ将軍というのは賠償使節団長その他でビッグ・ボスで通っていたのです。だからビッグ・ボス・バラオの略がBBBなんです。そこへ一五%を送って、これが集金機関でマルコス大統領に届けるということをやっていたのです。我々でもそのぐらいのことは関係者に聞けばわかるのに、あなた方は四省庁で一生懸命調べておるとかなんとかいってそういうこともわからないのですか。やる気が全然ないじゃないですか。そういう状況で、国会には資料は提供しない。外務省の一部の人がいみじくも言ったように、あなた方が疑惑隠しをやっておると疑われても仕方がないじゃないですか。  次に聞きますが、ソラーズ委員会が発表した文書では非常に注目すべき文章が何遍も出てきます。  例えば一九七九年五月二日のアンヘニット投資会社殿、東陽通商常務の小竹さんからの手紙では、「本日、トレーダース・ロイヤル銀行の貴社の口座に電信為替で以下の金額を送金しましたので、お知らせします。その金額は下記の①②③の船積みに関連して、貴社とわが社で署名した覚書協定取り決めによって、 一、〇〇五、五四六・二五ドル(一ドル=二二六・二〇円で二二七、四五四、五六二円)を送りました。」ということで、それで「フィリピン沿岸警備隊船舶修理 第三回分の」ST三隻FOBで契約金一、一八五、八〇二、六八二円×一五%=一七七、八七〇、四〇二円」というようになっております。  そこであなた方は、当然「貴社とわが社で署名した覚書協定」というのは東陽通商で調べたでしょうね。
  462. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 マルコス文書の中に覚書協定というものは含まれておりまして、その中に東陽通商はフィリピンにおけるすべての商活動に起因するサービスをアンジェニト社に委託する、その対価としてFOB価格の一五%支払いますという項目があることは承知いたしております。
  463. 正森成二

    ○正森委員 そんなことを聞いているのじゃないですよ。  マルコス文書の中に五カ所にわたって出てくるということはわかっているのですよ。けれども、これがマルコスに送られたわいろのもとになる、しかもそれを偽装する合法的な覚書であるというようなことは読んだらすぐわかるじゃないですか。私が聞いているのは、そんなことがマルコス文書の中に出ているということではなしに、ここで何遍も出てくる「貴社とわが社で署名した覚書協定」というのをあなた方は東陽通商に聞いて提出させたかと聞いているのです。それがこの疑惑中心問題の一つじゃないですか。それもやっていないのですか。
  464. 藤田公郎

    藤田(公)政府委員 マルコス文書に関連しましていろいろ事実の確認等を行おうということで、現在四省庁の間で協議をいたしておりまして、午前中及び午後の御質疑にお答え申し上げましたけれども、現在関係の商社に我が方として伺いたい照会事項等をお送りして準備をしていただいている、こういう状況でございます。
  465. 正森成二

    ○正森委員 事が起こってから一カ月もたって何という悠長なことをしておるのですか。平安時代の長はかまで廊下をしゃあしゃあしゃあと歩きよる、あれひっくり返らへんかなと思うけれども、今はマラソンだったらパンツ一枚で走る時代ですよ。そんな時代に一カ月たって今協議しておる最中でございますと言って、ようそんなことをあなたら言えたね。  国税庁、国税庁はよもやそんな態度じゃないでしょうな。これがこの文書、この金に課税すべきかどうかの決め手になるのですよ。あなた方は調査しているでしょう。
  466. 日向隆

    ○日向政府委員 再三和申し上げておりますとおり、課税上必要がある場合には私どもとして今随時調査を行っているところでございます。この調査を行っている過程において、御指摘マルコス文書等に盛られている貴重な情報等は十分念頭に置いておるつもりでございます。
  467. 正森成二

    ○正森委員 私は一言だけ聞きたい。  東湯通商からこの覚書を提出させましたか。それだけは答えてください。
  468. 日向隆

    ○日向政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども、その件につきましては現時点では答弁を差し控えさせていただきます。
  469. 正森成二

    ○正森委員 この委員会で何を質問しておるのやら、意味がないですね。本当ならこの委員会にその覚書を提出しなければいかぬですよ。委員長、私はその文書の提出を求めたいと思います。それがこのリベート問題の基本文書じゃないですか。それに基づいて、BBB、ビッグ・ボス・バラオに一五%送るとかそういうことをやって東陽通商のグループが千三十三億の実に半分も受注したんじゃないですか。酒井重工を入れたら六割も受注したんじゃないですか。一つの小さなグループがそんなに莫大なものを受注するからくりがここにあるのでしょうが。それを外務省の経済協力局長は、何やこれから探すみたいなことを言う。国税の査察部長はちっとはましかと思えば、それはお答えをお許し願いたいというようなことを言う。それでは何のために当委員会をつくったのですかというように言わざるを得ない事態であります。  そこでもう一つ伺いますが、この文書をずっと見ておりますと、アンヘニト、アシジェニトと読む人がおりますが、投資会社に手数料が送られたということになっておりますが、そういうことをOECFは知っておりましたか。
  470. 細見卓

    細見参考人 存じません。
  471. 正森成二

    ○正森委員 存じませんと言っても、全体の一五%にも上る額ですよ。存じませんで済みますか。それだけでもいかにずさんなものであったかということがわかると思うのですね。それで存じませんと言って、それだけ上乗せされておったら、コンサルタント料に上乗せされたか品物に上乗せされたか何かだから、それについての調査が全くずさんだったということを示しているでしょう。この覚書があり、手数料があるということを知っていたと言うのなら今度はまた別の質問に行くのです。借款で普通、こんなアンヘニトというような投資会社に一五%送るという事態はないのです。商社の諸君に聞いたら、そういうことがあれば即それが全部わいろだ、これが常識だと言っているのです。  それでは、そういう投資会社が介在したということも全然知らず、一五%も水増しされていたということも別に点検もせず、それで国会に出てきては、ちゃんと一々審査しておりましたというようなことを私の部屋へ来た課長などは臆面もなく言う。私は、あえて言いたくないけれども、経企庁長官が本会議で陳謝せざるを得ないようなことを言うた。それに対してその関係の下僚などがこういうことについても全然調査していないということになれば、これはとんでもないことじゃないですか。
  472. 細見卓

    細見参考人 たびたび申し上げておりますように、私どもの借款の手続と申しますのは、当初提出されました事業計画書に基づきまして、その計画書のプロセスに従って輸入が行われ、輸入といいますかフィリピンにおいては輸入が行われこちらからは輸出になろうかと思いますが、そういう船荷証券が出る、それに対して、これは契約約款の中のあるいは事業計画書の中の適正な項目であるということを銀行に通知いたしますと、それによって相手企業に、つまり受託しておる企業に支払われるわけでありまして、その受託した企業がその受託した後の金をどうしたかというのは基金があずかり知らないといいますかわからない事柄でございます。
  473. 正森成二

    ○正森委員 何を言っておるのですか。今受託した金が適正であればとこう言ったけれども、適正でないという何よりの証拠が出てきているから聞いているのじゃないですか。それも一%や二%じゃないのですよ。一五%というようなあるいはそれより多い額が出てきておるから我々が聞いているのじゃないですか。  国税庁、国税庁は「情報提供料等と交際費等との区分」という通達があるはずであります。それによって、これは情報提供料ということで損金で落としていいかあるいは交際費等ということでこれは損金として落とせないかという区別をしているはずであります。私ども承知しているところでは、その国税庁の通達には、第一に、あらかじめ情報提供料あるいは手数料として契約がなされておること、提供される情報サービスが具体的に示されておること、サービス内容に照らして情報提供料が相当であること、この三つの要件が少なくとも必要であるとあなた方の通達ではなっているようでありますが、それは間違いありませんか。もし違っていたら、違っていると答えてください。
  474. 日向隆

    ○日向政府委員 通達につきましては、委員の御指摘のとおりでございます。
  475. 正森成二

    ○正森委員 私の指摘が正しいということを認めました。そうすると、国税庁に伺いますが、このアンヘニト社に対する手数料一五%などというのはこれは表に出ていたのですか。表に出ていたとすれば、どんな契約で、提供されるサービスはどんなものだったのですか。もし表に出ていないとなれば、それは問題なしにリベートじゃないですか。答えてください。
  476. 日向隆

    ○日向政府委員 現時点でまさに調査をしている状況でございますので、具体的なことにつきましては答弁を差し控えさせていただきます。
  477. 正森成二

    ○正森委員 私は外務省の経済協力局長答弁などを聞いておって、歌の文句じゃないけれども、なっちょらぬなっちょらぬという気がしますけれども、査察部だけは、あなた方は強制権限も持っているのだから、しかも、場合によったら脱税その他として国民のためにお金を取り返すことだってできるのだ、だから、十分に調べてもらわなければならないと思いますが、現時点で答えられないというならそれでもよろしいが、私は関係の会社全部この点で精査してもらう必要があるというように思います。  そこで、大蔵省の国金に聞きますが、国際金融局も為替との関係手数料というのは大体どの程度まで認められるという基準があるはずであります。時間の関係で省略いたしますが、特殊決済方法に関する省令というのが昭和五十五年につくられているはずであります。その中では「輸出貨物代金 輸出契約の履行により輸出者が取得する債権の総額(当該輸出者が当該債権の総額から当該輸出契約の履行に直接伴って負担する仲介手数料代理店手数料、領事査証料、検数料その他の輸出に附帯する手数料の金額(その金額が妥当なものに限る。)を差し引いて受領する場合は、当該金額を差し引いた残額)をいう。」これは大蔵省の難しい表現ですから文章を見なければわかりませんが、「その金額が妥当なものに限る。」というようになっております。そうして、これについては「外国為替管理法令の解釈及び運用について」という通達が出ておりまして、その中で「仲介手数料及び代理店手数料については、その合計額が当該輸出貨物代金の十%以内の金額である場合」というように規定されているはずであります。こういうことになっているのかどうか。  それからもう一つ、そういうぐあいになってはおりますが、円借款等の支払いについてはこれは直接に適用がないのかどうか。適用がない場合には、全くフリーパスで幾らであろうと関知しないということなのかどうか、その三つについて答えてください。
  478. 村岡茂生

    ○村岡政府委員 貨物の輸出に伴います代理店手数料につきましては私どもの所掌でございますので、お答えさせていただきたいと思います。  現在施行されております外国為替及び外国貿易管理法におきましては、代理店手数料の送金というのはすべて自由でございます。したがいまして、委員お尋ねの件は、昭和五十五年改正以前の法体系についての御質問だと理解いたしましてお答えいたしますと、委員お尋ねのとおり、一〇%を超えるもの、これは当時通産大臣の許可にかかわらしめておりました。一〇%以下のものにつきましては、外国為替公認銀行限りで承認ができる、こういう体系になっていたわけでございます。さて、一〇%を超えます代理店手数料の場合におきましては、これは当時は通商産業局、地方局におきます許可という形で運用しておったわけでございますが、この場合、まことにケース・バイ・ケースなどでございますが、実態に即しながら許可をしていた、こういう実績になっております。  先ほどお話が若干ございましたように、適切なるコミッションのレベルというのは何かということは一概には決めかねるという状況にございますので、一応一〇%でラインを引きまして、それ以上はケース・バイ・ケースで審査をしている、こういうことでございます。
  479. 正森成二

    ○正森委員 OECFの総裁が答えたように、そもそも手数料の存在すら知らなかった、そんなものがまともな金であるはずがないじゃないですか。私は、この点だけでも実に重大な問題だというように思わざるを得ないわけであります。  そこで、時間がなくなってまいりましたので、最後にお聞きしたいと思いますが、東陽通商というのは今東陽テクニカというようになっておりますが、この会社は六十年の七月十五日に東証の二部に上場しております。これは証券局が御存じのはずであります。しかし、この会社は昭和五十三年ごろから東証に上場したいということを考えておりました。そこでやったことは何かといえば、自分の会社のマニラの出張所などの職員をほとんど全部ピー・アンド・エヌという会社に移しかえまして、ダーティーな仕事はほとんど全部ピー・アンド・エヌにさせたということで二部上場に備えだということが広く言われております。それは恐らく私は事実であろうというように思っております。  そこで、ピー・アンド・エヌが、私ども調査に誤りがなければ、そういうことで昭和五十三年に設立されたわけでありますが、通産省でもよろしいし国税庁でもよろしいが、このピー・アンド・エヌが、本件が報道されましてから一カ月もたたないのに解散をするということを決めまして、既にその実際的な準備に入っておるということは御存じですか。
  480. 日向隆

    ○日向政府委員 現時点で、私どもとしてはそういうことは聞いておりません。
  481. 正森成二

    ○正森委員 国税ですらこういうことを聞いてないというのは、一体四省庁の調査というのは何をやっておるかというように言わざるを得ません。  私が確実な筋から聞いたことは、それはピー・アンド・エヌの職員を含むわけですから間違いがないと思いますが、ダーティーな仕事をしておったものだから恐らくやばいと思ったのでしょう。あるいはアキノ政権ができたからもうこれ以上こんな仕事ができないと思ったのでしょう。会社を解散するという方針を決めまして、職員に対して一年分の賞与を払う。退職金を払う。できる限り八月までの給料を払うということで、会社を事実上もう整理するということを職員に話をしております。それに伴って、行き先が決まったところは既にもう退職を始めておる。そういう事実があるんですよ。  ダーティーな仕事をしていなければ、小さな資本金で大きな仕事をしてきてもうけもあったものがどうして解散するのですか。そんなことも国税庁はつかんでないのですか。あなた方は調査に入ったでしょうが。  そういうことをやって、すべてうやむやにするおそれすらあるんですよ。ピー・アンド・エヌはそういうことで、こういうやばい仕事から撤退しようとしておる。もし何もやばいことがなければそんなことをやるわけがないじゃないですか。そのために職員から非常な不満も出ていると私は聞いております。  そういう事実をもしつかんでいないのなら、本件の真相を明らかにする上で東陽通商現テクニカとピー・アンド・エヌ、太平オーバーシーズというのは一番注目して調べなければならない企業であります。この問題について速やかに調査して事実を確かめるべきじゃありませんか。そして万が一にも解散するというなら、資料について十分な保全をやるべきじゃないですか。もう一度答弁してください。
  482. 日向隆

    ○日向政府委員 ただいま委員指摘のこと、私、しかと承っております。その点については適正に処理してまいるつもりでございます。
  483. 正森成二

    ○正森委員 最後の点がちょっと聞こえませんでしたが。
  484. 日向隆

    ○日向政府委員 具体的に申し上げますと、万一解散といったような問題がございました場合におきましては、私ども適正な処理については十分そのタイミングを見ながらやっていきたい、こういう意味でございますし、委員も御存じと思いますが、法人税の納税義務につきましては解散後になっても存続することは存続いたします。したがいまして、そういう問題について手当てはできますけれども、今委員指摘の点は十分考慮していきたい、こういうことでございます。
  485. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたので、私はこれで終わらせていただきますが、以上のような事実にかんがみ、私は当委員会に、株式会社東陽テクニカ社長野村長氏、ピー・アンド・エヌ株式会社社長三富正義氏、そしてマルコス文書に名前が出てまいります酒井重工業株式会社海外営業本部副本部長として出ております取締役の牧野進氏の三人の証人喚問を要請したいと思います。  なお当面の資料要求として、我が国のこれまでの対比円借款事業借款契約書、二、我が国のこれまでの対比円借款事業に係る事業契約書、三、我が国のこれまでの対比円借款事業に係る入札について海外経済協力基金に提出された報告書等入札関係の書類、以上は本件真相を解明する上で最小限必要なものであります。  私は委員長によろしくお取り計らいのほどをお願いしたいと思います。
  486. 原田憲

    原田委員長 今正森君申し入れの件は、理事会でよく相談をさせていただきます。
  487. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  488. 原田憲

    原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十七分散会