○奥野(一)
委員 ちょっと何かうっかりしている間にもう時間がなくなったのだそうでありますけれ
ども、これは経企庁だとか通産だけの責任ではないと思うのでありまして、
政府全体が取り組まなければならないことだ、こう思うのです。例えば個人消費支出をふやすのに一番いいのは賃上げあるいは減税、これはもう当然のことだと思うのですよ。しかし実際には、では
政府は国家公務員に対して何をやったのか、ことしはベースアップの予算も組まない。
政府がある程度見本を示していかないと、例えば休暇にしたって労働時間の短縮にしたって、そう簡単にできるものではないと思うのです。民間はなかなかそれでも大変なんですから。休日を十日ふやすなんて言っていましても、実際には年次休暇さえ消化できないという実態はたくさんあるわけですよ。きょうは労働省の方を呼んでおりませんからあれですけれ
ども、年次休暇さえ完全に消化できないというのがたくさんある。だから、仮に休日をふやしてみたって、これは役に立たないということだってあるのですね。だから
政府はまず率先してそのことについて、国家公務員をそれではどうするのだ、地方公務員をどうするのだ、
政府がある程度手のかけられるところを積極的にやっていくということだって一つの方法だと思うし、そしてそれを民間の企業にもやらせていくということにこれはなっていかなければならないと思うのですね。時間がないから、そんなにあと言いません。
それから
輸入をふやすということと内需拡大ということは、これは矛盾するわけでしょう。それは私は矛盾すると思っているわけです。
輸入をふやしたからといって、
輸入をふやすということは外需のマイナス部分ということになるのであって、それは内需にはならないと私は思っているわけでございます。
それから、例えば、それじゃ
輸入をふやして黒字がなくなったらすべて解消するのかといったら、そうはならないと思うのですよ。
農産物を五百億ドル
日本が買ったら黒字はなくなる、じゃ
貿易摩擦というのは消えるのかといったら、それはないと思うのです。
貿易摩擦は、仮に車なら車というものは依然として残る。これは個々のものだと思うのですね、
貿易摩擦の方は。
国際収支の方はそれでバランスがとれるということになろうと思いますけれ
ども。だから、それは個々に対応しなければならない問題だと思うのですね。
ですから、
輸入もある程度ふやさなければならないでしょう、こういう状況ですから。それはそれでやる。しかし、それと並行して内需が拡大できるような施策というものを一緒にやらなければだめだ。一緒にやらないとまた別な混乱が起きてくる。だからそれは並行してやるということと、それからもう一つは、輸出型の産業というものを内需型に転換させていくということも
考えなければだめだ。これは非常に難しいと思いますよ。自動車なんかだったら、それじゃ今五五%の輸出比率になっているものを、例えば二〇%ぐらいの輸出比率にして、残りの三〇%を
国内に向けられるかというと、なかなかそうはならないかもしれない。うんと安くずれは買いたいという人方がどんどん出るかもしれませんけれ
ども、そういうようなことなんかも一緒にやらなければこれは非常に難しいと思っているわけであります。
ちょっと時間がなくなっちゃったのですが、最後にもう一つ
お尋ねしておきたいのです。
石油価格ですが、今
円高でもって一兆八百億ほどの差益還元をやるわけですが、大体四兆円くらいは差益というものがあるのじゃないか、こう言われていますね。きのうあたりも、テレビなどでもそのことを盛んに
報道しておりました。四兆円もあるのだけれ
ども、実際には一兆八百億円ぐらいより還元しないで、あとは内部保留、そういうふうになる。それは計算の仕方、先ほど
渡辺さんなんかも言っておりましたけれ
ども、百七十何円で計算したのと百六十円で計算するのとまた違うとか、いろいろなのがあると思うのですが、それだけある。これは私は、実態をまず明らかにするということが
政府として必要ではないかと思うのですよ。会社の方がこういう計算でもって料金値下げの申請をしてきました、大体いいであろうなんということでやるのではなくて、それはそれで結構でございます、おやりになって結構だ、しかし、
円高の差益というのは一体どうなっているのかという実態は、これは
国民に知らせるべきだと思うのですよ。そういう作業というのは
政府の方でやるべきではないか、こういう点は一つ申し上げておきたいと思います。
それからもう一つは、原油が下がってきているのだけれ
ども、これは実際に業界の方から苦情として出ているのですが、特約店というのですかね、メーカーの方からそこへ卸す値段、向こうに言わせると仕入れ価格ということになるのだけれ
ども、こっちはなかなか下がってこないと言うのですよ。ところが、小売の方だけはどんどん下がっていく、もうそれに追いつかないということで大変困っているというような状況があるわけでありまして、何で小売価格だけが先に下がるんだ。この辺、小売店、ガソリンスタンドなんか、自分で勝手に下げているはずはないと思うのですね。やはり仕入れている大手メーカーの関係の方は、それなりに安い値段で卸しているのではないかと思うのですよ。ところが、特約店の方にはそれでおりていかないのだ。そういうようなことでもって特約店の方は非常に困っているという苦情も出ておりますから、そういう面は少し洗ってみて、流れがうまくいくようなそういう形のものにしていただかないというと、私も流通経路というのは詳しくわかりませんけれ
ども、大手の方から行くガソリンスタンドの方だけが勝手にどんどん下げられていったり、農協も下げている方の一つだと思いますけれ
ども、そっちの方だけやられて、中間にある業者の方にそういう点が行かないということになりますと、これまた
市場で混乱する、こういうことも出てまいりますので、そういう面をひとつ十分配慮していただきたいと思います。
時間がないのでこれでやめます。