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岩崎政府委員 従来は、自然界における
分解性、そうしたものを
人体が摂取した場合の
蓄積性、そうした蓄積していった過程における
慢性毒性、この三つとも
クロであるというときに初めて本法、
現行法の対象にする、こういう建前でございました。これはこれで
一つの合理性があると考えております。
ただしかし、非常に
分解性がないものを何万トンというふうに毎年大量に生産し、それが使用され外界に放出されていきますと、分解の速度よりは投入の量が大きくなってまいります。難
分解性のものでも、これは程度問題でありまして、分解はしていくわけです。ただ、その分解の速度以上に投入が続きますので、自然と自然界への濃度が大きくなる。したがって、そういうものを単に
人体への
蓄積性がないがゆえにこの
化審法の対象から外すということはいかがなものであろうか、非常に大きなものを野放しにする結果になるのではないかということで、今回そういう
蓄積性がないものでも難
分解性のもので
慢性毒性があるものについては本法の対象にし、それをまず
指定化学物質としてウォッチし、ある
一定の限度に来たときにはそれを第二種
特定化学物質として
規制していこう、こういう考え方をとったわけでございます。
そこで、この
指定化学物質の
基準あるいは
指定化学物質になりましたときにどういう監視体制をつくるかということでございますけれ
ども、これはまさに
分解性がない、かつ
慢性毒性である、この二点について既知の知見、既得の知見をもって判断する場合もありますし、その判断がなおできない場合にはMPDに基づくス
クリーニング試験をしましてその判断をする、こういうことになります。そういう判断の結果
指定化学物質になりました節は、毎年この製造もしくは輸入数量を報告する義務を課すことになります。ということは、
日本国土に毎年新たに投入されるその
物質の総量を把握する体制をつくる、こういうことでございます。
それから、有害性の
調査はじゃどの段階でやるのか、こういうことでございますけれ
ども、私
どもはそういったス
クリーニング試験の結果、その
物質について
分解性がどの程度か、先ほど申し上げましたように全然分解しないというものはございません。
分解性がどの程度か、それはどの程度
人体に蓄積されたら
毒性の効果を持つのかということを
一つの判断
基準として持っておることになります。その
物質が毎年どの程度生産されていくか、それがどの程度在庫になり、輸出になり、あるいは反復回収利用される分があるか、その残りが自然界に出るわけですが、それがどのように本体系あるいは大気体系へ発散していくか、こういうことについてはかなり現在各国においてモデルが発展しております。そのモデルによって、このものはこの程度の生産、輸入、使用
状況であるとこの程度に蓄積されていくということがある程度推定可能でございます。したがって、その推定可能なモデルによって、全体としてどの程度の
汚染状況かというのを常にウォッチしつつ、これはもう限界に達しつつあるなというときに追加
試験を
指示するわけでございます。したがいまして、これは
環境庁あるいはその他が行うモニタリング、これが
現実の最大の決め手でございますが、これでは遅うございます。むしろ、事前にそういうモデルによって、どの程度の
汚染状況になっていくかということを予測しながらこの
法律を運用する、こういう建前でございます。
それから、もしそういう追加
試験、確かにこれは二、三億のコストがかかると思われます。そういうものをコストをかけてやった場合に、シロである場合にどうするか。多分私はシロの
可能性は非常に薄いと思います。なぜならば、ス
クリーニング試験でそれの
分解性が少ない、あるいは慢性溝性がある程度あるというのは既に確定しておりますから。したがって、それがシロであるという
可能性は非常に薄いと思いますけれどし、もしシロであるとすると、それはむしろその供給者にとっては幸いではなかったか、フリーに供給できるようになるわけですから。そのように考えております。