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1986-04-09 第104回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月九日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 野田  毅君    理事 奥田 幹生君 理事 佐藤 信二君    理事 野上  徹君 理事 与謝野 馨君    理事 城地 豊司君 理事 長田 武士君    理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       加藤 卓二君    梶山 静六君       岸田 文武君    高村 正彦君       辻  英雄君    仲村 正治君       林  大幹君    原田昇左右君       渡辺 秀央君    奥野 一雄君       後藤  茂君    中村 重光君       浜西 鉄雄君    水田  稔君       横江 金夫君    木内 良明君       福岡 康夫君    青山  丘君       横手 文雄君    工藤  晃君       野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣  渡辺美智雄君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    宮本 邦男君         通産省産業大臣         官房総務審議官 鎌田 吉郎君         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君         通商産業省産業         政策局長    福川 伸次君         通商産業省立地         公害局長    黒田 明雄君         通商産業省機械         情報産業局長  杉山  弘君         資源エネルギー         庁公益事業部長 山本 幸助君         中小企業庁長官 木下 博生君         運輸省港湾局長 藤野 愼吾君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         建設大臣官房総         務審議官    佐藤 和男君  委員外出席者         経済企画庁物価         局審議官    井上  正君         国土庁計画・調         整局計画課長  糠谷 真平君         国土庁土地局土         地利用調整課長 山崎 皓一君         運輸省港湾局技         術参事官    奥山 文雄君         自治省税務局企         画課長     前川 尚美君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  民間事業者能力活用による特定施設整備  の促進に関する臨時措置法案内閣提出第六〇  号)      ————◇—————
  2. 野田毅

    野田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤卓二君。
  3. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 内需振興策における民活位置づけについて大臣にお尋ねしたいと思います。  我が国の経済は、急激な円高の進行により、輸出中小企業産地を初めとし、いわゆる円高デフレによる経済危機政府当局考えている以上に進行しています。大変な経済危機に直面し、また外にあっては欧米諸国が莫大な経済収支の黒字の解消を迫っている。この際、思い切り内需拡大に留意すべきではないか。  民活というと、すぐに頭に浮かんでくるのは東京湾横断道路、明石海峡大橋と、大企業が優先と言われるようなプロジェクトが多いが、これも国の骨格をつくる大事な仕事だから、今の活力ある民間経済体力のあるときに当然行うべきだと思います。ただし、湾岸や海峡だけに人が住んでいるわけではなく、国土は有意義に使う意味でも内陸に向けて内需振興策をとるべきだと思うが、それに対して政府は昨日、経済対策閣僚会議総合経済対策を決定したところであるが、その概要及び民活位置づけについて御答弁をお願いいたします。
  4. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 御質問の昨日の総合経済対策概要について御報告を申し上げます。  一つには、金融の機動的な運営を行う。金融につきましては、一月三十日に〇・五、三月十日にさらに〇・五%公定歩合を引き下げまして四%にいたしました。これに伴って預貯金金利短期プライムレート等が一律に下がるということでございますが、今後とも経済の動向や国際通貨情勢等を見まして、さらに必要に応じその適当な機動的な経済金融運営を図っていこう。必要に応じてはさらに金利引き下げもあるかもしれないという含みも持たせてあるわけであります。  第二番目は、公共事業の施行の促進でございまして、過去の最高が七七・二%、九月までの前倒しというのが最高でありますが、今回は過去の最高を上回ってできるだけ大きく、できるとすればそれは八〇でも七九でもできるだけ大きい前倒しをやろうということであります。  第三番目は、円高原油価格の低落があったわけですから、この差益を速やかに国民に還元する、そういうようなことをやりたい。そこで通産省としては、九電力及びガス会社三社に対する料金の引き下げ、合計でおおよそ一兆円の大減税に相当するものを六月から実施をしたい、そう思っておるわけであります。また、輸入畜産物それから牛肉等価格引き下げ、こういうものを図ったり、航空運賃方向別格差の縮小を図るとか、輸入品については、特に石油のように市場メカニズムによって下げられるものはひとつどんどん下げてもらう、あるいは配合飼料等も農家にどんどん安い値段で還元をする、それからデパート等でも輸入品については極力この四月から六月にかけて一〇ないし二〇%約千品目についての値下げを断行してもらう、こういうようなことをやっていきたい。  それから、規制の緩和をして市街地の再開発が非常に、容易にできやすくするようにしていきたい、こういうようなこととか、あるいは国公有地信託制度を導入するとか、住宅建設民間設備投資に役立てるように融資それから税制面で特別な配慮を払う。  また、電気事業電気通信事業等についても、ことしは上半期で四−六月を中心に約七千億円程度の繰り上げ発注を行って前倒しをやらせる。さらに、電線の地中化では千四百億円程度のものを投資してやりたいというようなことが中心であります。  そのほかに、公共的事業分野については民間活力活用する、そのためにこの法案も提出してあるわけでありますが、東京湾横断道路を初め幾つもの民活プロジェクトがあるわけでございます。それらについて極力それがやりやすくなるための法律整備、それからそれによって税制金融等助成を行っていきたい。  中小企業については、経営調整資金その他この間つくられた特別立法等金利引き下げを行う。マル経資金についても同様だ。  こういうようなこと等を総合的にやって内需拡大を図っていこうというのが、簡単に言いますと骨子になっておるわけであります。
  5. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 民活趣旨及び採算性について質問します。  この法案は、民間事業者能力活用し、特定施設整備促進せんとするものであり、民活法と略称されている。明治以来近代化を図る日本が敗戦の中から立ち上がり、農商務省から独立した通産省が、世界に冠たる日本企業をつくり上げたのは、自由主義経済の原則にのっとり、それぞれの企業が切磋琢磨し、伸び伸びと働いたからであり、通産省指導力も大したものだと思っておりますが、そのために民間企業活力がついてきたのだ。国土が狭く、資源もない日本企業がなぜ伸びたかということは、何もないから頭を使う、そして時間を使って働く以外になかったのだ。ところが、日本国土は狭いとはいいながらも、自給できているお米に関しては世界一高い米を食べなければならない。アメリカは、自国に石油があるために、日本ドイツよりも高い石油を使わざるを得なかった。日本は、石油でも石炭でも鉄でも、あらゆる資源を安く世界に求めることができ、そのおかげで今日の体力をつけたのだ。その資金力をただ召し上げるというような御用金制度のような考え方でなく、民活の本来の趣旨は、弾力的で効率的な経営能力を公共的な施設建設及び運営活用することにあるのだと考えるが、政府の見解をお聞かせ願いたい。  なお、事業採算性に関して、公共的な施設民活により整備しようとする場合には、民間側から真っ先に心配するのは投資採算性であります。しかるに、施設公共性から事業採算性一般に低くなるから、民間の腰がなかなか上がらないんじゃないかと懸念されるが、ついては本法対象事業採算性について政府としてどのように考えているか。さらに、このような事業民活で進めるためにどのような支援措置を講じようとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  6. 福川伸次

    福川政府委員 まず第一点でございますが、民間活力というのは、ただ民間資金力を使うだけでなくて、経営能力活用することも考えるべきではないかという御指摘でございましたが、私ども全くそのように考えております。本来、私企業体制日本経済はこれまで発展をいたしてきたわけでございます。しかし、経済社会はいろいろ変化を遂げますし、将来の発展可能性を探求する上には、あるいはいろいろリスクにも挑戦しなければならないということがあると思います。そういう意味で、政策的な意義が高く、しかも公共的な性格を有するというような新しい事業分野は、収益性が低い、また投資懐妊期間が長いということでございまして、そういう意味では、これに民間能力をうまく引き出していくというためには、それなりに呼び水的な措置を講ずる必要があるというふうに考えるわけでございます。  今回提出いたしましたこの法律も、そういった意味民間事業者の広い意味での能力活用いたしまして、今後経済発展のために非常に重要と考えられます特定施設整備促進していくということをねらっているわけでございまして、まさに御指摘のとおり、民間の弾力的かつ効率的な経営能力活用することが肝要であると考えております。  もとより、その場合には、民間にいかなる助成措置を講じていくか、どういうような呼び水的な措置を講じていくかということが重要でございまして、そういう意味で、今回具体的には例えば一三%の特別償却制度を設け、さらにまた固定資産税あるいは不動産取得税等の減免の措置を講じますと同時に、開発銀行からの出資あるいは融資、さらには民間金融を補完する意味産業基盤信用基金による債務保証を行う、さらにまた関連の公共施設整備を連携をとりながら進めていくといったような措置を講じているわけでございます。  ここで想定をいたしております種類の施設というのは、本来、一般経済ベースにはやや乗りにくい、投資懐妊期間が長い、いわゆるリスクが大きいということで民間プロパーではなかなかしにくい分野を、民間事業に将来結びつけていくという呼び水をいたしているわけでございまして、この投資懐妊期間が長いという意味採算性はやや劣ることではございますが、私ども、このような助成措置を講ずることによって民間事業に結びつけてまいりたい、かように考えております。
  7. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 次に、ソフトインフラ整備考え方について質問いたします。  ソフトインフラとは、国民生活基盤となるべき建物、橘、道路工業用地などの公共施設のよりよい運営の手段、方法を考えることと理解しているが、研究開発拠点あるいは情報センターを例にとってみた場合、いわゆる箱の整備にとどまらず、その後の運営をどうするかというようなソフトが必要であると思います。通産省ソフトインフラ整備基本的考え方をお聞かせ願いたいとともに、この整備計画の認定をどのようにするのか御説明願いたい。  なお、この整備計画については、埼玉県、また大臣出身地である栃木県とか群馬県とか、関東内陸部が適しているのではないかと私は考えるのですが、こういう地域におけるプロジェクト掘り起こし通産省並びに関係当局は積極的に取り組む用意があるかどうか、お答え願いたいと思います。
  8. 福川伸次

    福川政府委員 まずソフトインフラ整備関係でございます。  確かに、二十一世紀を控えてこれからハイテク化あるいは情報化が進んでまいるということでございますと、従来の技術に支えられたハードと同時にソフト部門整備ということが重要でございまして、そういう意味では、あるいはソフトインフラストラクチャー、今委員指摘のようなそういう表現も適切なものではなかろうかと感ずる次第でございます。もとより、ソフトインフラと申しましても、これはその運用ソフトの面が非常に重要になってきているというわけでございまして、これはハードだけでもだめでありますし、またソフトだけでもだめでありまして、そういう意味ではハードソフトのいわゆるハイブリッドによって十分な効果が発揮できるのではないか、かように考えておるわけでございます。  従来、インフラストラクチャーと申しますと道路あるいは橋といったようなものが中心でございましたが、これからは、研究機能とかあるいは国際交流といったような、施設と同時にどのように運用をしていくかということが非常に重要になってくるわけでございまして、そういう意味では、冒頭の御質問にもございましたように、民間のすぐれた経営能力、機動的、効率的な能力を積極的に活用していくということが非常に重要でございまして、これからこういったハードの面をうまく運用していくソフトの面、これをひっくるめてソフトインフラというふうに言ってよろしいかと思いますが、これは大いに進めていく必要があると考えております。  また、このプロジェクト掘り起こしの点でございますが、現在地方も二十一世紀をにらんで、将来の地域経済はいかにあるべきかという点は、都道府県あるいは地元経済界も真剣に取り組んでおられるところでございます。県の中でそういった連絡協議会等を設けて情報交換等をいたしておりますのもその一つのあらわれであると考えます。今埼玉県のプロジェクトを初め幾つかのプロジェクトを例示なさったわけでございますが、私どもとしても、こういった地方活性化していく、地域経済活性化を図る、しかもまだ国土の均衡ある発展を図る、適正な工業立地、あるいはそれを支える研究機能をそれに合わせて配置していく、こういう考え方から、全国的な視野に立ってそういったプロジェクトの発掘あるいは県との協力、情報交換指導といった面については、従来にも増して引き続いて努力しなければならない時代を迎えていると認識しております。
  9. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 次に、研究開発拠点施設について質問したいと思います。  特定施設の第一号である研究開発拠点施設リサーチコアというのですか、これは産学共同研究を初めとする地域頭脳拠点形成を目指すものと聞いているが、そのかぎである人材養成確保についてどう考えているのかお聞きしたい。  また、私は埼玉が選挙区でございますが、埼玉県北で国際的な研究学園都市構想があるということを過日の予算委員会公聴会の席で質問したところ、大変な賛同を受けました。  このプロジェクトは、日本技術海外に援助している割合には外国人日本留学が大変少ないと聞いておりますが、これは日本語が大変難しく、語学の壁が一番大きな壁となっている。そこで私は、日本にも高等学校大学英語フランス語スペイン語等で教育並びに研究できる施設をつくり、そこで勉強したり技術を学んでいくようにすべきではないかという考えを持っておりました。その人たち英語そしてフランス語であれば、日本語を覚えに来ているわけじゃございませんので大変効率もいいし、そしてきっと帰る時分には大体日本語もしゃべれるようになって帰る。世界との交流にも大変役に立つと同時に、環太平洋時代に備えて大変大事なことではなかろうかと思うと同時に、日本でも四十万人の海外生活者がおりますし、その子弟三万人が毎年帰国し、そしてその施設で勉強することによって言葉の障害が取り除けるのではないかと思います。  それと、西武線東上線の終着駅である埼玉県の秩父、大里、児玉は、サンフランシスコ郊外スタンフォード大学、そしてシリコンバレー、ボストンにあるハーバード大学、マサチューセッツ工科大学研究学園都市、またフランクフルト郊外にある研究学園都市と同じように、立地条件内陸にあって、民活を行う場合に大変すばらしい立地条件になるのじゃないか。関係当局考え方をお聞きすると同時に、このようなものが民活で行えるようにぜひひとつしていきたい、そんなふうに話したところ、大変な賛同を受けたわけでございます。その辺に関して、ぜひひとつ関係当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 福川伸次

    福川政府委員 まず、リサーチコアの点でございますが、これは今もいろいろ地方技術背景にした工場誘致をいたしておるわけでございますが、そういった工場も、今後技術は日進月歩でございますから、やはりそういう中に研究機能を備えておきませんと、生産拠点というものも時代おくれになるわけでございまして、そういう意味では、今回この中に例えば開放型研究施設等を初めとした諸施設整備し、それをうまく運用することによりまして、それぞれの工業地帯がさらに活性化をしていく、二十一世紀に向かって飛躍をしていく、こういうことが非常に重要なポイントになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そういう点では、いわゆるそういった地域頭脳拠点形成を目指すという以上、人材育成が非常に重要ではないかという御指摘冒頭にございましたが、私どももそのようなことで考えておりまして、この施設の中には、もとより最新の技術革新あるいは情報化に対応した種々の研修あるいは人材養成といったような施設、これらを総称いたしましてリサーチコアと私ども称しておりますが、そういうことが非常に重要なものと位置づけて、今回これらの整備を図りたい、かように考えておるわけでございます。  また、埼玉県北研究学園都市構想について、予算委員会公聴会での御論議は私どもも承知をいたしております。こういった研究開発というものを背景にいたしまして、それを企業化していくということは、今申しましたように非常に重要な点でございます。これをどのように具体化していくかという点はこれからの課題であろうと存じますが、これの対象としていくかどうかという点に関しましては、今後それぞれの地域民間事業者あるいは県がどのような方向でこれを具体化していくかということで、それを本法対象にするかどうかという点は考えてまいる必要があると思うわけでございます。  この県北での研究学園都市というのも、私ども一つの今後の方向といたしまして、基本指針等考える場合にも参考研究も勉強もさせていただきたい、検討もさせていただきたいと思っておりますが、今後こういった問題がさらに具体化をしていく、それが将来成功の可能性があるということであれば、我々としてもこの問題は今後十分取り上げていく価値がある構想ではないのかと考えております。
  11. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 次に、施設整備における文化的要素の導入についてお尋ねしたいと思います。  私が世界だとか日本の国の各地を歩いて常に感じることは、今残っている先祖が残してくれた施設の中では、文化的な要素の多いものが地域社会にしっかり根差している。逆に言えば、文化の薫りのないものは地域に根差さず、永久に残らないんだということになるわけで、私たちが二十一世紀を控えて子孫に残すべきものを真剣に考える場合に、このことを十分に頭に置くことが重要であると考えます。したがって、二十一世紀に向かっての基盤整備を進める上で、文化的な要素を重視し積極的に取り入れていくことが必要と思うのです。  また、ドイツとか欧米諸国では、ビルをつくったり公共的施設をつくる場合には、必ずその中に一定の面積の比率で美術品とか文化的なものを入れなければならないと規定されております。本法に基づく地域経済社会基盤整備拠点づくり、このような場合においても、それが真に地域社会に残っていくためにも、このような考え方をしていただきたいと思うわけでございますが、いかがかと思います。  なお一つ、そういう文化的なものを残すときに、大蔵省の美術に関する感覚が日本では幾らか厳しいように思うので、国民的な総意でそんなふうなことができるようにぜひてしいけるようお願いしたい。箱の行政で終わることのないようにという気持ちでございます。ひとつお願いいたします。
  12. 福川伸次

    福川政府委員 確かに、これまで日本は、経済発展ということを志向して大変努力をしてきたわけでございますが、御指摘のように二十一世紀に向けて文化的な側面日本経済大国にはなったけれども文化的な側面がおくれているのではないかという御意見がある点は、大変重要な御指摘であると考えております。  今後研究拠点をつくり、あるいはまた国際見本市施設整備をしていわゆるハイテク化に備え、国際化に備えていく、こういう観点のこういう施設を進めていく中で、今おっしゃっている文化的な側面あるいは文化的な生活環境整備するという点は、これも一つの重要な視点であると考えております。今回は、いわゆる二十一世紀を目指した経済社会基盤整備をしようということでございます。今おっしゃったような点は、その周辺施設として、私どもも重要な意義を有するものであると思いますし、そういう意味では、関係者がそれについて大いに努力をしていくという点は、これから大いに考えていかなければならない点であると考えております。  ただ、これを今この対象施設の中に入れるかどうかということになりますと、そういった文化的な施設をどういう形で整備をしていくのかとか、あるいはどういう形の助成措置がいいのかという点は、今もお話がありましたように、いろいろと問題があろうと思うわけでございます。それが本当に民間活力ということでやっていけるのかどうかという点も問題があろうかと思いますが、今回取り上げましたものは、いわゆる呼び水的な助成措置を講ずることによって、将来、長期にわたってではありますが採算性を保ち得るというものを取り上げたわけでございまして、それを支える周辺環境整備として、今御指摘文化的な諸施設あるいは生活環境整備といった点も、これとの一環として考えられるべきではなかろうか。そういう意味では、関係省庁あるいは関係団体もその辺に大いに意を用いていくべきであると考えております。
  13. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 第三セクター方式についてお尋ねしたいのですが、本法による事業は第三セクター中心運営されるものが多いと聞くが、いかなる理由によるものか、また、どのような出資を見込んでおるのか、まずお尋ねしたい。  さらに、一月十一日の埼玉新聞、二月十七日のサンケイ新聞の紙面に三井物産、日本興業銀行、清水建設等中心になり研究開発環境生活環境最先端技術等総合開発計画、ハイテクフォレスト、高度先端技術の森というのですか、こういう構想が打ち出され、私ども埼玉県、また地元の市町村が大変積極的に誘致に乗り出しておりますが、民活としてぜひ取り上げていただくような考え方ができないものかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。  特に、民間が積極的に出ようというときに、通産並びに関係当局からぜひ御支援をお願いしたいというのが、地域に根差し、過疎で悩む県北の代表として皆からいろいろな意味でいつも質問を受ける大事な問題でございますので、ぜひひとつその辺を積極的に取り組んでいただけるようお願いしたいわけでございます。お願いします。
  14. 福川伸次

    福川政府委員 まず第三セクター運営されるということでございますが、私どもも、これはかなり地域経済に密着をすることでございます。関係都道府県あるいは地元経済界、これが一体となってこれを進めていくことがこの事業が成功する一つの決め手であろうというふうに考えておるわけでございまして、そういった対象施設整備地域振興の効果にかんがみまして、地方公共団体が出資を行うというような形でこれに参画していくことが好ましい、かように考えておるわけでございます。少なくともこの中核的な施設にはこの第三セクター中心になって整備をするという形になるのが好ましいと考えておるわけであります。また、その周辺ではもちろん幾つかいろいろな波及効果が出てき、それはまた民間でも十分できることと思っております。そういう意味では、全体がうまく運営していくという点が非常に重要であると思いますが、中核的なものにつきましては、今申しましたような観点で地方公共団体も参画する第三セクターということが、結局この地域経済活性化に大いに力があるということになるのではないかと考えております。  またもう一つ、今埼玉県で幾つかのプロジェクトがあるということは私どもも承知をいたしております。例えばハイテクフォレスト構想とかあるいはテクノゾーン構想とかいうようなものが埼玉県にもございます。私どもも、民間企業がイニシアチブを発揮されてこういった研究開発ゾーンを形成するということは、これからの一つ方向を示唆する重要な動きであろう、かように考えておるわけでございまして、今後計画が具体化していく段階で民間活力をどのように発揮させていったらいいかということについて、地元でも十分お考えになられ、私どもとしても十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。  また、この民活法との関連でこれをどのように取り扱うかという点につきましては、今後この構想具体化していく段階で順次考えてまいりたいと思っておりますが、私ども、こういう構想一つの検討の対象に入り得る構想ではないか、検討に値する構想ではないかということで、今後、これが国全体でどのような位置づけをすべきかという点は、さらに検討すべき点は残しておると存じますが、私どもとしてもこれは十分検討してまいるプロジェクトであると考えております。
  15. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 これは運輸省の方に随分関係してくると思うのですが、特定都市開発地区及び特定港湾開発地区の指定についてお尋ねしたいのです。  特定都市開発地区及び特定港湾開発地区の指定はどのような地域に行われるのか。また、指定の効果はどんなふうに考えておられるのか。特に港湾開発地区について、港湾をつくるときに今の港湾が二十一世紀に生き残れるような港湾になるのかということをまず頭の中に入れて考えてみたい。私は、ハドソン湾、ニューヨークの港、サンフランシスコ湾の中の過去四十年間の推移を見ていると大分事情が変わっているし、フィラデルフィアの工業地帯が今造船が非常に不況な町になっているのを見ている。ピッツバーグを初めボルチモアとかいろいろな都市が非常に荒廃しているときに、二十一世紀に生き残れるような形の港湾を考えてのお考えだと思いますが、特に港湾開発地区については十二分に考えていただきたいと同時に、二十一世紀に生き残るために海洋開発、海洋スポーツ、海洋レジャーについて当然配慮がなされるべきだと思います。  これは過日いろいろな部会での話のときに、なかなか合意が得られなかった問題のように思いますが、欧米に見劣りするような港をつくってはいかぬということと同時に、欧米の見識に劣るような考え方では困るのだ。ですから、ぜひひとつ当局並びに皆さんがいま少し海外のいろいろな問題を、そして私たちが必ずついていかなければならない先進国というよりも、そういうスポーツだとか海洋レジャーに関して理解がいただけるよう当局の考え方をたださなければいかぬが、どうもこの点は大蔵省余り理解していただけないように感じたのです。時間の都合上余り長くこの問題には触れないようにしますが、民活を導入して欧米諸国に追いつくような措置をぜひ心がけていただくようお願いしたいと思いますが、どなたかひとつ。
  16. 奥山文雄

    奥山説明員 第一にお尋ねの特定港湾開発地区についてでございますが、港湾におきましては、国際化情報化など近年の我が国の経済社会情勢の変化に対応しまして、港湾の国際機能であるとかあるいは業務機能等の増進を図って、港湾を利用することにつきまして大変質の高いサービスを提供するよう求められてきていることがございます。  そういう情勢に対しまして港湾の整備を積極的に進めているところでございますが、特に見本市会場であるとか港湾業務用ビル等特定施設につきましては、港湾の国際化あるいは業務の効率化とか旅客等に対します利便の向上を図る上で大変重要な施設でございます。これらの施設につきましては、臨港道路あるいは緑地等の公共的施設と一体的かつ計画的に整備を図ることによって、その機能がより一層発揮されるということであろうかと存じておるところでございます。このために、港湾管理者が当該港湾の開発利用を促進するため特にその整備を図るべき地区につきまして、特定港湾開発地区として指定いたしまして、この地区の開発整備に関する方針を策定することにしたものでございます。こういった開発地区を設けたことによりまして、特定施設整備と港湾の開発整備との調和が図られることでございますし、また特定施設の機能の十分な発揮も期待できる等の効果があると考えておるところでございます。  第二にお尋ねの海洋開発あるいはスポーツ、レクリエーション等についてでございますが、御指摘のように欧米諸国の港湾に見られますように、こういった役割を港湾が果たしておるということにつきまして、私どもも大変重要なことと認識いたしておるところでございます。運輸省におきましては、新たに港湾整備政策といたしまして「二十一世紀への港湾」と題する、港湾が迎える新しい時代への方向づけということにつきまして発表したところでございますが、その中で、港湾をこれまでの物流あるいは産業といった場だけではなくて、地域社会にふさわしい豊かな空間の形成を図ることによりまして、総合的な港湾空間の創造というものを目標の一つにしているところでございます。この中で、今後の港湾におきましては、海洋性レクリエーション基地の整備を図るなど、国民が港に親しめる場の整備を図ることとしておるところでございます。  当省におきましては、これまでに、国民が港に親しめるように親水緑地とかマリーナの整備を図ってきたところでございますが、さらに潤いのある空間整備を図るために今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。今回は優先度の高い施設につきましてまず法制化を図ったものでございますことを御理解願いたいところでございます。  以上でございます。
  17. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 次に、認定の判断基準についてお尋ねしたいのです。  既に各地域に多数の対象候補のプロジェクトがあり、各省からリストアップされたものが公表されている。この中には構想の段階のものから、かなり熟度の高いものまで入っている。これらを順次認定していく上で、いかなる点を判断基準にするのか。各省のリストに基づき簡単に説明してほしい。  なお、他の施策との連携に関し、本法の推進において既存の地域振興施策や技術振興等とどういうふうに連携をとっていくのか。特にテクノポリス計画、ニューメディアコミュニティー計画、テレ小ピア計画等との関係はどうなのか。テレトピア計画等に関しては、郵政省の方がおられたら私たちにもまた御説明願いたい、こう思うわけでございます。  さらに、あらゆるプロジェクトに関してのことですが、これらの問題に関して最後に問題になるのは、用地の確保だとか建物等についての規制緩和、こういう問題が非常に大きく関連してくると思いますので、それをひとつ御質問いたします。
  18. 福川伸次

    福川政府委員 この特定施設の認定の考え方でございますが、これは第三条で「基本指針」を定めまして、これにつきましては、特定施設整備の基本的な方向あるいは機能に関する事項、立地並びに規模及び配置恒関する事項あるいは運営に関する事項、こういったようなものが定められることになっております。また、先ほども一部お触れになられました特定都市開発地区あるいは特定港湾開発地区というところにそれがあります場合には、それに関する事項がここで定められることになるわけでございます。  こういうものを参酌いたしまして、特定施設整備事業を行おうとする者がこの認定を受けた場合には、先ほど申し上げましたような助成措置が受けられるということになるわけでございますが、その認定を受けます場合には、今申しましたように「基本指針」に照らして、当該施設整備の目的を達成し、当該施設の機能を発揮させるために適切であるかどうかといったようなことなどが中心になっております。また、特定都市開発地区におきましては、この開発整備に関する方針に合っているかどうかということが認定の基準になるわけでございます。  もとより、このような運用をいたしますときには、他の諸施策との関連がある点はまさに御指摘のとおりでございまして、私どもに例をとりますれば、他の幾つかの地域振興施策、御指摘のテクノポリスとの関係あるいはニューメディアコミュニティーとの関係といったようなものがこの中で出てまいるわけでございます。  この法律趣旨は、研究開発拠点施設技術関係に関して申しますと、その拠点施設整備促進しようということでございまして、これはいわゆる技術振興策や地域振興策を補完して、あるいはこれと連携をとりながら技術振興、地域振興に大いに寄与していこうということやあるわけでございます。もとより、そういった研究的な機能の施設整備するということが目的でございます−から、テクノポリスとは直接は関係ございませんけれども、テクノポリスの母都市の中でこういったリサーチコア等が設けられていくという点は、これはまた大変好ましいことでございますし、テクノポリスにおいてハイテク工場の展開をしていく中にこういった高次の研究開発機能が入っていくということは、これから非常に重要なことであるわけでございます。そういう意味では、こういった認定を行います場合に、このような他の諸施策との関連ということも当然考慮すべきであると考えております。  また、ニューメディアコミュニティーにつきましても、ソフトに重点を置いた構想ではございますが、本来はこれと異なるわけではありますが、地域情報化を図るということからいえば、この両者の連携は当然考えるべきことであるというふうに考えております。その辺は、このような施設整備が効果的に発揮できることになるかどうかといったようなところで、「基本指針」などの面でそういった点が盛り込まれていくことになると思います。  他の省庁に関する部分はそれぞれから御答弁させていただきます。
  19. 奥山雄材

    奥山政府委員 本法による施策と郵政省で推進しておりますテレトピア計画との関係いかんという御質問でございますが、御承知のとおりテレトピア計画は、二十一世紀に到来が予見されております高度情報社会の構築に向けまして、電気通信が先導的、先駆的役割を果たすという見地から、実用を前提といたしまして、先ほど先生から御指摘のございましたソフトインフラの一環でございます電気通信インフラを集中的に整備しようという構想でございます。したがいまして、具体的にはテントピア構想は、主としてCATVの施設とか、地域INSとか、中央と地方を結んだ衛星通信といったようなものの電気通信設備の整備を図ることによりまして、これをてこに高度情報社会への円滑な移行を目指すものであります。  これに対しまして本法の第二条第一項第四号で言うところのいわゆるテレコムプラザでございますが、電気通信事業の発達等のための複合型施設につきましては、先ほどの通産省の御答弁と同じような観点から、地域における電気通信高度化のための拠点となる施設整備することに加えまして、地域住民やらあるいは地場産業の方々が電気通信の利用を一層しやすくするために、展示機能やら研修施設あるいは講習会の会場等、共同で利用できるような各種の機能を集める施設整備することを目的としております。  したがいまして、両者はそのねらいとするところは、ある角度から見ますと、電気通信の高度化の基盤を整備するという意味においては合致しておりますし、共通のものがございます反面、それぞれの施策の具体的なやり方につきましてはそれぞれの目的があるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、テレトピア計画は既にここ二、三年前から地域における電気通信高度化に強い関心を有してこられた地域でございますので、その意味では本法が目指しております地域高度化の基盤施設の受け入れ素地が非常に熟しているということは言えるわけでございまして、両方の施策が相補いあるいは相助長し合いながら進んでいくことが、二十一世紀に向かっての電気通信の高度化に非常に望ましいことであるというふうに私どもとしては考えております。  なお、当然のことではございますが、テレトピアの指定を受けない場合でございましても、テレコムプラザ整備の必要条件が満たされれば、民活法の対象となり得るものというふうに私どもとしては承知をしております。
  20. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 建設関係の御説明をいたしたいと存じます。  建設関係の所管事業は、国際会議場とか高度の情報センター等の特定施設を都市開発と一体的に整備する場合でございます。具体に今の段階で都市開発が相当程度の熱度を持っているプロジェクトとして十一ばかり挙げてございますが、その内容は、共同研究開発施設として千葉県の上総の新研究開発都市における研究開発施設とか、みなとみらい21の高度情報センターとか、国際見本市等では御存じの幕張メッセ、埼玉の中枢センター等のプロジェクトが想定されてございます。  なお、用地の確保や建築物の規制緩和についてのお尋ねもあったと思いますが、こういう建設省所管の事業が行われますのは、先ほど御説明のありました特定都市開発地区でのことでございます。この地区は、例えば市街地再開発事業とか各種の都市整備事業が行われる地区でございまして、特に市街地再開発事業などが行われます地区につきましては、先ほど御説明のありました経済対策の中でも、建築物の規制に関し用途地域の見直しとか、特定街区等の容積率の弾力的な割り増し等の各種の規制緩和の措置を講ずることを予定してございます。また、用地の確保につきましては、当然のことでございますが、市街地再開発事業の場合には都市計画事業でございます。いわば法律に基づきます強制的な用地確保のできる道も残されてございます。こういうことにより用地の確保、建築物の建築についての規制緩和等の措置が十分講ぜられるものと思っております。
  21. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 特定施設考え方の中で一号二の研究開発企業育成支援施設または、研究開発企業に対してどのようなメリットを与えるのかということを質問したいのです。これはアメリカで言うベンチャービジネス、ベンチャーキャピタルのことを指しているのかなと思うのですが、通産省ではどのようなメリットを与えるのか、ちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
  22. 福川伸次

    福川政府委員 最近御指摘のように、アメリカでもベンチャーインキュベーターという施設が大変多くできるようになっておりまして、私ども調べている限りでも百ぐらいの機能があるようでございます。これは、ベンチャービジネスを一つのビルの中に入れまして、それに若干の研究的な諸施設あるいはまた経営指導等を行うということで、これが大変成功をおさめているわけでございます。  確かに、技術革新時代でございますから、そういった新しい技術革新をうまく企業化をしていくというためにインキュベーター、これはいわゆるふ化するという言葉の英語のようでございますが、そういうような施設整備し、あるいはまたそれに指導を行う、あるいはまた金融的な手段等についてもそれぞれ助言を行うといったような施設ができているわけでございます。  ここでも、今回提出しております法律の第二条の研究関係の部分、第一号の部分に関しましても、「工業技術に関する研究開発及びその企業化を行うための事業場として相当数の企業等に利用させるための施設」というのは、実は今申しましたようなベンチャービジネスのそういった企業化のための施設ということを想定をいたしているわけでございまして、これがいわゆる研究開発そのものを企業化するということになるわけでございます。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕 この点につきましては、今申し上げましたように、これがこの施設自身については特別償却、あるいは先ほど申しましたような地方税の減免、さらに設置をいたします場合の資金においては開発銀行からの出資または融資、あるいは民間から金融を得ようとする場合にはそれについての債務保証といったような制度がございます。  また、恐らくこういったベンチャービジネスが今度そのふ化器を巣立ってまいりますと、現実に立地をする、こういうことになるわけでありますが、そういうことになりますれば、これはまた新技術企業化とかいったような、また次の助成措置につながっているわけでございまして、そういう意味では、こういったいわゆるシーズのところから順次これをふ化し、それを企業化に結びつけていく、こういうような形で効果を上げるような運用考えてまいりたいと考えております。
  23. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 とにかく、病めるアメリカを立ち直らせたのはベンチャーキャピタルだ、ベンチャービジネスだというわけですが、ぜひひとつ日本でも、スタンフォード大学のショックレーの学者から始まるガレージ産業というような非常に小さなものから、今日のアメリカのIC産業、シリコンバレーができたのだ、こう聞いておりますが、こういう問題に関しても通産当局の御理解ある御指導をお願いしたい。  最後になりますが、主務大臣について御質問いたします。  この法律は四省共管の法律であるが、実際の運用に当たっては四省間の協調、協力関係が特に必要であると考えます。この点について、法案提出官庁であるところの通産大臣のお考えを最後にお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  24. 福川伸次

    福川政府委員 大臣から御答弁申し上げます前に、これの経緯をちょっと申し上げてみたいと存じますが、これは当初、昨年の税制改正で、私どものほかに運輸省、郵政省、建設省、四省においてそれぞれこの税制改正要求等を出してまいっておりました。その後いろいろ税制改正の方向が決まり、さらにまたこれを立法化するという段階になってまいりましたときには、各省の構想がそれぞれかなり同じようなこと、同じ部分をねらっておる、あるいはまた助成のシステムも共通であるというようなことでございまして、そういうことから考えますと、各省がばらばらで仕組みをつくったといたしますと、民間事業者も大変混乱が生ずるということになろうかということでございまして、内閣が全体として今回この法律一つの体系にまとめ上げる、このことの方が民間活力を発揮する上においても効果的であろうし、また運用面においてもその方がより効果があるのではないか、かようなことからこのような形で法案を提出させていただいたわけでございます。  立案の過程におきましては、四省庁大変緊密な連絡のもとで練り上げてまいったわけでございます。私どもも今後、そのようなことでこの運用の適切を期してまいりたいと思います。
  25. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 ただいま産政局長から答弁したとおりでございまして、通産省といたしましても各省庁と緊密な連絡をとりまして、法の趣旨が非常に円満かつ適切に執行されるように。一段の努力をしてまいりたいと考えます。
  26. 加藤卓二

    加藤(卓)委員 以上で質問を終わらせていただきます。
  27. 与謝野馨

    ○与謝野委員長代理 浜西鉄雄君。
  28. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 本案の中身を検討する前に、基本的な問題として少しお尋ねしておきたいと思います。  これから先二十一世紀に向けていわゆる情報化社会というものがいよいよ実現するわけです。その前提に立って、この民活法案もそういう出発点としての、将来を展望しての対策だというふうに私は受けとめております。今回は四省庁のそれぞれの事業計画、それらが一つになっていわゆる民間活力を引き出して将来に日本のネットワーク社会の先駆けとしてやっていこう、大体こういうことなんですが、そうすると昭和二十五年のあの国土総合開発法律ができたわけでありますが、したがってきょう国土庁にも来てもらっておりますが、私どもから見ればもうそろそろ四全総が出てしかるべきだと思うのです。一部の学者から言えば、それはおくれておるところに一つの特徴があるのではないかという学説すらあるわけです。なぜかというと、こういうものを論議する際に国土庁が全くかんでいない、参画していないような気がするので、もともと商業、工業、これらの分散化、日本列島の将来計画というものは、当初の国土総合開発計画の中に明確に盛られておるように、もっと集中しないで分散をして地域産業の育成、特性を生かしながら日本列島をそういう方向へ向けていくのだという一つの立派な基盤があるわけです。  したがって、まず四全総がなぜおくれておるのか、四全総は何を今度は重点的に、このままずっと全国総合開発計画というものを踏襲をしての上で特色というか、どんなものを出そうとしておるのか、今の時点でその辺をまず冒頭に伺っておきたいと思うのです。
  29. 糠谷真平

    ○糠谷説明員 お答えをいたします。  第四次全国総合開発計画につきましては、現在国土審議会の計画部会で検討作業を進めておりまして、昨年八月以来主要な検討課題ごとに部会を開きまして審議を進めてまいったところでございます。今年三月でほぼ主要課題ごとの検討が終わった状況になりましたので、集約化の段階に入っておりまして、できれば本年秋には計画を策定したい、こういうことで作業を進めているところでございます。  主要な内容につきましては、これからのまとめの段階での課題でございますけれども国土の均衡ある発展ということが国土政策の基本でございますので、現在の東京一極集中状況というものを是正しながら、いわば多極分散型といいますか、地方にそれぞれ特色のある極ができました多極分散型の国土を目指していきたい、かように考えているところでございます。
  30. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 まだはっきりした部分が出てないから、ここで国土庁に余り深く問いただしても仕方がないと思うのですが、やはり総合開発法の第一条で、これはちょっと記憶を呼び起こすために、簡単ですが読みますが、「この法律は、国土の自然的条件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。」と明確になっております。  それで、最近、輸出偏重型と申しますか、国際的には貿易黒字が出ておることを見てもわかりますように、外国に物を売ってもうけておることはもう紛れもない事実です。その背景というものは、この一条にあることとは逆に、やはり大都市集中型の生産力というか、そういう集中型の生産によってかなり発達をしていったということで、少し目的と離れておると思うのです。今から何年前でしたか、ある一時期にはUターンという言葉が使われました。Uターン現象、大変いいことだ。だんだん過疎になっていくところがまたよみがえってくると一縷の望みを託したわけですが、やはりこれは夢であって、現実には都市集中型である。今回提案されておる民活法案の中身を見ても、東京中心とは言いませんけれども、やはり都市集中型になっておると思うのです。  物の初めは比較的取っつきやすいところからやっていくということのおよその気持ちはわかりますが、この将来展望というものを今度は通産省にちょっと聞いてみたいと思うのですが、将来展望というものをどのように考えて——これは、つまり商工委員会で通産省が大体主体的な役割を果たしながら提案されておるわけですから、とりあえず通産省に聞く以外にないわけでありますが、将来、日本列島全体ネットワーク時代が来ると思うのです。ただ単に、今回の提案のような港湾だとか、あるいは商業的なあれだとかいうふうにそれぞれが計画されておるが、これもその中の一つであるにすぎないけれども、もっとマクロ的に見た場合は、日本列島が本当に、文化の面でも消費生活の面でも金融関係でも犯罪捜査関係でも、もちろん商業、工業を中心に今回提案されておりますが、すべて網羅をして、これから先はそういった社会に移行するんだという前提でこの問題が論議をされたのか、その辺が提案を見てもよくわからない。  だから、国土庁に今お尋ねしたように、もともと四全総がもう出なくちゃならぬ。その四全総は近いうち、秋ということですから、集約されると思いますが、その集約の中身はこれ以上聞きませんけれども、それらとやはり歩調を合わせて、日本列島を将来こういうふうに情報化社会に対応してつくっていくんだ、そして産業の地域分散化、特色を生かす。昔は、今までもそうですが、それこそ重厚長大と申しますか、大きな生産物だったのが、言ってみればコンピューターの出現によって、集積回路などに見られますように生産物が非常に軽薄短小になってきた。そういう意味では、地域的にかなり分散をしても輸送もそう難しくない。そういうことも兼ね合わせて、いろいろ将来展望というものがあるはずです。  この法案が今日提案される経過というか前提はどのようなものに立っておるのか。その辺、私が今さっき質問をしておりますことと関連をさせて、考え、展望があれば少しく聞かせてもらいたい、そういうことです。
  31. 福川伸次

    福川政府委員 大変重要な御指摘をいただいたわけでございますが、私どもも、二十一世紀を控えまして技術革新の胎動期を迎えておると思っております。いわゆる三大技術革新分野と言われますマイクロエレクトロニクスあるいはバイオテクノロジーあるいは新素材といったようなもので、これは、今後の産業社会を相当大きく変えていく可能性を秘めた技術革新が徐々に二十一世紀に向けて生まれつつある。またその中で御指摘のように情報化社会ということが大いに進んでいくであろうという大きな認識については、私どももそのように考えているわけでございます。  では、これを具体的に展開していくときにどうかということでございますが、私ども通産省関係省庁と協力をいたしまして、例えばテクノポリス構想といったようなものを実施いたしておるところでございますが、今後、やはり国土の均衡ある発展ということを考えますと、今先生御指摘のように、日本の全体が均衡のとれた形で発展していくにはどのような施策、方向があるべきかという点が重要なポイントであることは、私どももそのように考えております。  このプロジェクトをいろいろ考えていきます場合、昨年の夏の予算要求以来、関係の府県ともいろいろ連絡をとり、各府県の構想もあるいはまた民間の方たち構想もいろいろと承りました。やはり地方の産業を活性化しよう、地域経済の振興を図るということは非常に重要でございますし、今また御指摘のようにハイテク化が進む、情報化が進むということは、また、それを可能にする条件が一つ進みつつあるということも事実でございます。  そういうわけで、私どももむしろ、これはよく草の根民活と俗称もいたしたりしておりますが、地域のそれぞれの工業地帯生産拠点という中にこれからのハイテクを迎えるといたしますと、日進月歩のこの技術革新の世の中で、やはり研究機能頭脳拠点というものを地方生産拠点の中に配置をしていかないと、それぞれの生産拠点、これがまた時代おくれになる、こういうことでございまして、私ども、こういった研究機能地方に配置していくということは、それぞれの生産拠点活性化する、また活性化することが新しい研究機能を求めていく、こういうことの相乗効果がある、かように考えておるわけでございまして、考え方といたしましては、私どももこういった地方経済活性化ということに重点を置いて考えておるわけでございます。  また、地方経済活性化ということを考えます場合、今回私どもも、例えば北海道、東北あるいは四国、九州、中国、いろいろな地点のプロジェクトを府県からも聴取をいたしました。それぞれの府県も、その新しい地域経済の特色をどこに求めるかというようなことで、それぞれ特色はございますが、いろいろなプロジェクトをお持ちでございます。今御指摘のように、国土全体の均衡ある発展ということから、これを私ども、思想の中にも地域の関連をつけたいということを考えておりますし、また法案の中にも第三条の第四項で、この基本指針を定める場合には国土庁長官その他関係行政機関の長と協議をするという条文が入っております意味は、今申し上げましたように国全体のいわゆるハイテク化情報化を踏まえました経済発展ということについての整合性を保とう、こういう趣旨でございまして、私どもも、大きなハイテク化情報化の波あるいはまたこういった地方経済の全体の発展ということを念頭に置きながらこのような構想考えたわけでございまして、もとより国際交流あるいはそのほか情報化、いろいろな六つの施設が入っておりますが、それぞれの省庁も同様に考えておるものと考えます。
  32. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 基本的にはそう大きく違わない立場で将来を展望されておるようですから結構なんですが、一、二加えるとするならば、完全就業の形をとるというか、労働者が大体おじいさんからお父さん、子供、孫というような格好で、その地域に将来ある程度定住できるというようなこともやはり考えた上での立地というか、だから親子がばらばらになって、息子は大阪の方に就職しております、お父さんは東京に身赴任していますというようなことでは困る。私が言うのはその逆のことでありまして、そういうふうなことにも配慮して、地域に定住できる、そういった分散型というか、これも国土庁の基本的な考えの中にあるはずですから、そういった点では、新しい国土開発関係する今回のような提案がある場合には、国土庁そのものがもっと積極的に基本的な立場でこれに参画し、あるいは指示を与え、時にはこうすべきだという指導的な役割を果たしながら進めるべきだということを、今の基本的な考え方の答弁にありましたから、つけ加えて、これから先の心構えとしてそういうふうにお願いしておきたいと思うのです。  そこで、提案されたもの、およそわかります。これにはたくさん問題がありますので後ほど一つ一つ分析いたしますが、まず関係するそれぞれの省庁に、今の時点で考えておる、今回の法案を提案してやろうとしておる構想、これは中身はどんなものか、素人にわかりやすく、税金の分け方はこうだとか安く金を貸しますとかいろいろあるのですが、そんなことはちょっとのけておいて、ともかくイメージとしてどういうものをつくろう、まずそれを聞いて、私はそれを聞いた上でいろいろ総合的に判断したいと思います。  まず通産省に聞きましょうか。通産省が関連しておる今回やろうとしておる新しい民活、新しい事業はどんなものか、ひとつこれを説明してください。
  33. 福川伸次

    福川政府委員 法律の第二条の第一項で六号特定施設が列挙してございます。私ども通産省関係いたしますのは、第一号と第三号と第五号でございます。  まず第一号でございますが、工業技術研究開発及び企業化の効果的な推進を図るということでございますが、私どもはこれをリサーチコアと称しております。ここで考えておりますのは、一つは、ある程度工業技術生産拠点があります場合に、その中に新しい研究開発を非常に進めていく必要がございますし、また最近では、異業種間の研究開発、例えば新素材とマイクロエレクトロニクスとかいろいろ異分野の相互の研究開発ということが非常に重要になり、それをうまく複合することによりましてこれがより効果を発揮する、こういうことでございますので、そういう意味では、ここにあります施設の中に開放型の研究施設、共同の研究施設を設けておく。さらにまた、技術が日進月歩でございますから、技術者の養成ということが非常に重要になるわけでございます。そういう意味では、技術者の新しい技術革新に備えた研修のための諸施設をその中に持っているということが重要になると思います。さらに、技術者が相互に意見交換をする、情報交換をする、技術のデータベースを交換し合えるような形の施設ということが、これまた研究機能を高める上で重要であると考えます。さらにまた、得られました研究機能を今度は企業化するということが重要になってまいるわけでありまして、そういう意味では、よくベンチャービジネスというようなことが言われますが、ベンチャービジネスの育成施設、先ほども申し上げましたが、アメリカではベンチャービジネスインキュベーターと称しまして、そういうベンチャービジネスを企業化していくためのいろいろな支援のための諸施設がございます。こういったようなものをそれぞれ持って、その周辺関係企業がそれぞれ研究活動あるいは生産活動を行う、こういうような形のコアになるものをこの中につくってはどうかということがこの第一号の趣旨でございます。  これで、従来生産拠点にとどまることが多かった地方研究開発水準を高める、あるいはまた産業の一層の高度化を推進するための頭脳拠点形成される、こういうことで私どもとしては、日本全体、地方を含めました我が国全体の研究開発のすそ野が大いに伸びていく、それがまた地方経済の自立的な発展につながる、こういう政策的な意義があると考えておりますのが第一号でございます。  第三号が情報化のための基盤施設ということでございますが、地域の多様な情報ニーズに広く応ずるための情報処理の事業を行うための施設、あるいは地域情報化ポテンシャルを向上するための啓蒙、普及あるいは研修といったような共同利用施設、こういうものの複合施設がこの第三号の趣旨でございます。これは、中央に比べまして情報化のおくれております地域における情報化促進の中核的な機能を果たして、地域の産業、経済発展に資する、こういう政策的な意義があるのではないかと考えております。  第五号が国際交流等の促進のための施設でございますが、これは今まさに地方国際化時代を迎えておりまして、地方もそれぞれすぐれた特色あるいは技術的な力あるいは特色ある製品というものを持ちまして、国際化が非常に進んでおります。また、諸外国もそれぞれ地域に立地をするあるいは地域に進出をするというようなことで、この国際化という点は、今後地方国際化ということが求められる時代になっているのではないか。先生御指摘のように、地方も大いにそういう情報化機能を発揮しながらその経済の力を高めていこう。こういうことでございますと、こういった国際交流のための施設を備えるということもこれまた重要な意義があるのではないか、かように考えておるわけでございます。  そういう意味では、例えば国際見本市の開催を通じまして外国企業との直接の交流を果たす、あるいは輸入促進にも資する、さらに新しい研究交流も行われる、こういうことが期待されますし、また国際会議の開催ということも、ただ単に技術分野にとどまらず、文化的な面あるいは社会的な側面にも大いに効果がある、かように考えているわけでございます。こういうような施設は、いわゆる地方国際化にも役立つ、日本全体の国際化につながるわけでありますし、また摩擦の緩和、国際交流促進ということにも寄与するのではないか、かように考えております。  私どもの方は、今申しました一号、三号、五号という点でございますので、御説明させていただきました。
  34. 奥山雄材

    奥山政府委員 本法対象となります郵政省関係特定施設について御説明申し上げたいと思います。  本法の第二条第一項のうち第二号並びに第四号でございますが、まず第二号の電気通信業及び放送業に関する研究開発を効果的に行うための施設につきましては、電気通信業等の技術の開放型研究施設と私ども称しているところでございます。  これにつきましては、電気通信分野に関しまして電気通信事業法施行後、電気通信体制の自由化と同時に、各企業が一斉に新しい電気通信事業における研究開発に取り組んでいるところでございますけれども、幸か不幸か、これまではNTT、かつての電電公社が一元的に電気通信事業を行っておりましたために、NTTの研究開発即国の研究開発であったわけでございます。しかしながら、今後の新しい電気通信事業分野考えました場合には、民間企業あるいは個人の方々がフルにその創意性を発揮いたしまして研究開発を行うべきであろうということでございます。  そうした考え方に基づきまして、二号施設につきましては、電気通信業や放送事業などがその事業を行うために必要な技術研究開発を効果的に推進しようというものでございます。これによりまして、NTTの独占体制で行われました研究開発のすそ野をあまねく広く物理的にも広げると同時に、かつ企業的にも広げてまいりたいということでございます。しかしながら、この研究開発自体は、電気通信事業者あるいは放送事業者自体に限定されないわけでございまして、いやしくも電気通信事業研究開発に関心を有する人たちについては、これを広く開放したいというものでございます。  また、具体的な構想といたしまして、既にこの点につきましては、特に関西の研究学園都市におきまして、株式会社国際電気通信基礎技術研究所の設立構想が着実に進んでいるところでございまして、関西文化学術研究都市の第三クラスター内に開放型の研究施設整備が着実に進んでいるところでございます。  次の第四号施設でございますが、電気通信業の発達等のための複合型施設、テレコムプラザでございます。この第四号施設につきましては、地域における情報通信の高度化、特に電気通信の高度化を推進するための拠点施設整備したいというのがその目的でございまして、地域における生活あるいは産業の発展など地域社会活性化に資するものを対象としたいと存じておるところでございます。  これら四号施設につきましては、広く各地域におきましてこれから構想が進んでまいりますので、非常に着実に構想が熟しているものから、まだこれから構想に取りかかるものに至るまで、非常にさまざまでございますけれども、いずれにいたしましても、これら各地域における自主性、創造性、自律性といったものを最高度に尊重しながら、民間活力がこうした施設に投入されるということを期待しているのが政策的な目的でございます。  具体的な設備で申し上げますと、電気通信業または放送業の業務を行うための施設でございますので、CATVのセンターあるいは通信処理の中枢センターあるいは中継センターといったものに加えまして、共同利用ができるためのスペースを設けるような施設を志向しているところでございます。
  35. 奥山文雄

    奥山説明員 運輸省に関係いたします特定施設といたしましては、第五号施設であります国際会議施設あるいは国際見本市場施設でございます。それに加えまして、第六号施設でございます旅客ターミナル施設、港湾業務用施設がございます。  これらの施設の内容につきましては、五号施設につきましては通産省の答弁のとおりでございますので、ここでは省略させていただきまして、六号施設でございます旅客ターミナル施設につきましては、フェリー、旅客船等の利用者に対しまして質の高いサービスを提供するとともに、港湾を訪れる人に対しまして、港湾の各種の活動やいろいろな機能等に関しまして啓蒙、普及を図るなどのソフトな面のサービスを提供するものでございます。具体的な施設内容といたしましては、旅客待合室でございますとか、旅客船関連事業者の事務所であるとか、あるいは研修施設とか展示施設、場合によっては来訪者のための利便を図るためにレストランなどの施設などから構成されることになる施設でございます。  また、港湾業務用施設と申しますのは、港湾におきます諸業務の効率化を図るためのものでございまして、港湾関係の官公庁がございますが、それらの事務所あるいは港湾関係事業者の事務所とか会議室あるいは情報関連施設等の共同利用設備など各種のサービス施設から構成される施設でございます。これらの施設につきましては、港湾におきます国際化あるいは業務の効率化等の要請が高まっている中で、これらの機能の増進を図るということでございまして、港湾の効率的で高度な利用を促進するために大変重要な意義を有する施設であると考えておるところでございます。
  36. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 建設省の関係は、先ほど来三省から御説明ありました法案の第二条第一項第一号から第五号までの施設が都市開発と一体的に整備が行われる場合が所管でございます。具体的には、特定都市開発区という地区の指定が行われまして、その地区内で行われる事業と相なります。  具体的なプロジェクトといたしまして、千葉県の上総の研究開発都市などでは大規模な土地区画整理事業の調査が現時点においては行われてございまして、この調査を経て具体の事業に入りますと、先ほど来お話がございました共同研究開発施設等の設置が一体的に進められるべきものと考えております。  それから、いわゆる情報センター的な施設に関しましては、例えば下関の情報文化センター等が具体例としてイメージに上っておりますが、これは先生御存じだと思いますが、下関市の国鉄用地を利用して新都市拠点整備事業として事業に着手しているものでございます。ここにおきます情報センターを新都市拠点整備事業と一体的に整備するということが一つの柱に相なります。  それから幕張のメッセとか埼玉の中枢センターのように、国際見本市場施設とか国際会議場が、これは多くの場合土地区画整理事業を伴って行われているものでございますが、土地区画整理事業、再開発事業と一体的にこれらの施設整備してまいろうという趣旨に出たものでございます。
  37. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そこで、この建設に当たって、今最後にお話がありましたように、建設省の場合は都市開発という立場で参画をするが、それなりのイメージを持っている。この中身が通産省考えておるようなことと似たり寄ったりのものもあるし、郵政省の場合もそうであるし、一つの例を申しますと、運輸省が今説明のありました港湾関係の人を、省庁、出先機関、これを一つのものにまとめるとしますと、大変便利がいい。そうすると、下関にも合同庁舎というものがあって、その中に第四港湾がある。これが出ていって、言ってみればそこに移動するようなことになるわけですし、それから、そのごく近くに、今建設省が言われた都市開発というものがある。これは恐らく場所的には国鉄ヤードの跡地を考えておるというふうに思いますが、非常に似たようなこと。それぞれがそれぞれかかわりがあるところでは主管庁としての任務を果たすような提案なり計画があるわけですが、その辺がどうも……。  一つ尋ねておきますが、運輸省の場合、下関、もう一つ人工島ができますね。これは港湾関係がタッチするのか、つまり運輸省がタッチするのか。建設省を中心にこれから商業、工業を含めた一つの集団、まあ都市開発というかそういうものになるだろうと思うのですが、こういう場合と、今回提案されるものと本質的にそれは違いもあるでしょうが、市民から見た場合、人工島の問題もある、港の問題もある、国鉄のヤード跡地の問題もあります。大体似たり寄ったりというふうになる。だから、この人工島の問題、今からいろいろ策定されて実行段階に入ると思うのですが、それと港の問題あるいはヤードの問題、これは運輸省の方に聞いた方がいいのか、建設省の方に聞いた方がいいのか、ちょっとその辺の物の考え方、人工島はこういうことで今回の民活とは関係がないというならばまた違った受け取り方もできますが、その辺一体どうなのか、これをちょっと聞かせてください。
  38. 奥山文雄

    奥山説明員 人工島につきまして、運輸省の方で現在調査中でございますので、私の方から申し上げることといたしたいと思いますが、まだ調査中というようなこともございますし、これから、残されておる調査事項もかなりまだたくさんのものがございまして、実行段階までにつなぐには相当の期間も要しますし、調査の項目の消化も要るというようなことであろうかと思っておるところでございます。  いずれにしましても、人工島につきましても中身がまだ必ずしも確定しておらないわけでございますから、現段階で確たることは申し上げられませんけれども、内容によっては、この法律活用によりまして展開していくことも可能ではないかと考えておりますけれども、このプロジェクトにつきまして、当省といたしましてはもう少し調査も行ってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  39. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生がお尋ねの人工島計画は、先ほど運輸省の方からお話があったとおりでございまして、建設事業とは直接関係ございません。  念のため、建設関係プロジェクトとして下関の情報文化センターを挙げましたのは、昭和六十年度から、新都市拠点整備事業によって、下関の細江地区におきます国鉄の細江ヤード跡地を活用して新たな都市拠点形成を図る事業を始めてございまして、その中核的な施設として現時点で下関情報文化センターという構想があることを申し添えておきたいと存じます。
  40. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今直ちに着工するだとかということを私は言っているわけじゃありませんが、将来構想としてこの種のことは民活、つまり一貫をしてこれから先もそういう取り組み方をする前提に立っての今回の民活法案ならばそれなりに意味があるけれども、今回だけで後の関係はどうなるかわからぬでは、少しく国土庁に私がお尋ねしたように、日本列島情報ネットワーク時代を想定をして、いろいろ今技術者の訓練だとか国際的な交流だとか、そういうものはすべてそこに最終的に行き着くと私は思うのです。そのための時代の先取りというか、研究開発も含めてモデルケース的にやるのだというふうに受けとめておるから、例えば人工島は少し姿が見えてきておるわけですから、そういう問題もこういった一貫した民活法案の流れの中でこれからも考えておる。つまり、コンピューターを駆使してネットワークをして、人工島といえどもそういう新しい時代に対応できるような装いというか、そういう中身を持っておらなくてはならぬと考えるし、その目的とか規模とかはそれぞれの地域、特色によって違いますが、しかし基本は、情報化社会を展望して、そういうコンピューターを駆使して、新しい文化、消費生活あるいは金融関係でもそうなんですが、後ほどいろいろ提起しますけれども、いろいろなものが織りまざって二十一世紀というものは非常に便利になり、今までに経験しなかったような社会に向かっておると思うのです。  今人工島関係は調査中ということだが、それでは、調査が完了したならばそれは運輸省か建設省がやって、通産省あたりは全然この問題には、つまりコンピューター社会、情報化社会に向けてのこれは全然関与しない、通産省はそれは別問題、これで進んでおるのか、この辺をちょっと聞いておきたいですね。通産省は全くらち外で、今回だけで、あと人工島その他全国的にいろいろあるでしょうが、それには今回提案されたこういった民活法案的なもので処理する考えはないのか、あるいはこれからもこういったシステムでずっと日本列島を、商業、工業、文化国民生活を含めて、そういうイメージするところのものを考えておるのか、これをまず聞いておきたいと思うのです。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕
  41. 福川伸次

    福川政府委員 今この法案に関しまして特定施設が六つ並んで列挙されておりますが、これはいわゆる民間事業として、もちろん地方公共団体もそこの中には部分的に参画することを期待しているところがございますが、民間事業としてそれがやっていけるもの、これについて助成をすることによってビジネスチャンスに結びつけていこう、こういうことでこの六つの施設考え、基本的な展望は、先ほど委員指摘のとおり、また私も申し上げたとおりのことでございます。  この場合に、今お話がございました点に触れますが、例えばある特定都市開発地区あるいは特定港湾開発地区、こういうことに入った中に、先ほどで言えば、例えば私どもの方では第五号の国際交流施設ということが組み込まれます場合には、いわゆる都市開発という側面あるいは港湾開発という側面と、それから、そういった国際交流施設が効率的に運用できる、あるいはまたそういう好ましい形で配置が全国的にできていく、こういう視点で関係省が共同してやる、こういう仕組みになっておるわけでございます。  今御指摘の人工島に関することでございますが、今人工島をつくる、あるいはまたその人工島を将来どのように使っていくかということになりますと、ただ島をつくるだけでなくて、いろいろな施設がその上にきっと出てくるのだろうと思います。そうなりましたときにそれがどういう施設に相なるのか。今御指摘のように、あるいは非常に情報関連の諸施設ということになるのか、あるいはレジャー的なものになるのか、あるいはそういった国際交流的な施設がその上にできるのか、これは今後の計画にまたなければならないだろうと思っております。したがいまして、これが具体的にどういう形の人工島になり、具体的に何がその上につくられるか、こういう構想が固まってきました段階で、どのように関係省庁が取り組んでいくか、こういうことになるかと思います。  もとより、それがこういった民活方向でいけるのか、あるいは、これはやはり民活ではちょっと無理で、もうちょっと公共事業分野でいくべきものかということについての判断も、恐らく今後そういった具体的な調査計画ができた上で判断されることになると思います。もし仮にそれが民活でいけるんだ、こういうことになり、その上の施設がどういう形になっていくか、こういうことがはっきりいたしてまいりますれば、それぞれその上の施設の観点から、私どもがかむこともあると思いますし、他省庁が関連することもあると思いますが、そういった点で、その具体的な計画が固まった段階でそれが決められていく、こういうことになるわけでございます。もし仮に民活でいけるんだ、こういうことになれば、それはその時点で判断されるわけでありますが、この仕組みというのはあるいはその際一つ参考になるのではなかろうかと考えます。
  42. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 民活というのは、私は手段だと思っています。民活そのものがこの目的ではなくして、民活は手段だと思うのです。極端に言えば、政府に金があれば、フランスのように端末機を中小企業に皆ただで提供して、あるいは家庭にも提供して、それで地球の裏側の大学と子供の勉強の関係交流もできるでしょうし、端末機によっていろいろなことができるわけですね。これはもう消費生活分野金融関係、すべて入っていくと思う。そういうふうに先にただでやっておけば需要がどんどん出てくるという逆説的なこともあるわけですが、これは金があっての話、ないから民活という手段をとっておると私は思うのです。  だから、民活のためのことを論ずるのではなくて、民活一つの手段ですから、そのやり方、利子が安いか高いかということを論ずればいい。目的であるところの、二十一世紀へ向けての総合的な日本列島の都市開発地域開発、分散化、そういうものを目指して、これは国土庁がイニシアチブをとるべきだと言ったのは、既に昭和二十五年に出ているところのそういう基本方針に基づいて、時代時代の変化に対応するところの四全総が出る、今度は五全総が出るというふうに向かっていかなければならないと思うからです。  それは今度例えば公共投資でやろうが民活でやろうが、そのことは余り関係がない。むしろ、そういう線上にこれから先のいろいろな開発事業というものは一貫してこういった形で論議をされ、そしていいことならばどんどん進めていこうじゃないか。それは公共投資でもいいです、民活でもいいです、人工島の問題、それはどういう扱いになるか知りませんが、やはり国土総合開発のうちの一つとして位置づけ考えるべきだと思うので、その辺のお考え方を私は聞いたわけです。もう一遍。
  43. 福川伸次

    福川政府委員 先ほど申しましたように、国土の均衡ある発展ということからいえば、今御指摘のように、それぞれのいろいろな地域の展開というのは全国的な規模で検討されるべきであると思います。今御指摘の人工島というのが民活でいくべきかどうかという点については、さらに今後の検討にまたねばならない、私どもかように思いますが、御指摘のように国全体でどういうふうにそれをやっていくのか。これから大変情報化社会になってまいりますし、いわゆるネットワークの中でどうやって一番住みよい社会をつくり、あるいはまた効率的な国土の利用を図り、あるいは可能な限りでの成長を図るかということが非常に重要であるということでございまして、そういう観点で、今回、これはもちろん国土庁との協議も経た上でこういう施設を展開していくわけでございまして、国全体が国土をどういうふうに開発すべきかは、もちろん四全総あるいはまたその次に続く幾つかの計画の中にいろいろその辺の論議が盛り込まれていくことが必要であるという点は、私もそのように思います。
  44. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 一応考え方の統一をお互いにする意味質問をやりとりしたわけですが、そこで国土庁にお伺いします。  国土庁、今私が質問して通産省が答えられた将来的な物の考え方はおわかりになったと思うのですが、国土庁として今後いろいろな問題が出てくる。人工島はまだ後の話ですが、新時代に即応した産業の開発ども含めた日本列島全体の再開発地域分散化、内需型、いろいろ考えられるわけですが、そういった立場でも国土庁がやはりその中に参画をして、国土庁独自の本来あるべき日本列島総合開発という立場に立って物を言うべきだと思いますが、もう一遍国土庁のその辺の考え方をただして、国土庁の関係は終わりたいと思います。
  45. 糠谷真平

    ○糠谷説明員 お答えをいたします。  第四次全国総合開発計画は最終的には閣議決定を経でつくられる計画でございますので、現在各省庁で提起をされておられますいろいろなプロジェクト、そういったものは、国土庁といたしましても各省庁と協議をいたしまして四全総の中で位置づけるものは位置づけていく、こういう形で整合的な計画にしていきたいと考えております。  現在の第三次全国総合開発計画では定住構想ということを掲げたわけでございますけれども、その定住構想を掲げました後、国土庁が音頭をとりまして、定住構想推進連絡会議というものを各省庁とつくって推進をしてきた、こういう経緯もございますので、関係省庁とよく御相談しながら四全総を進めてまいりたい、このように考えております。
  46. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 国土庁、御苦労さまでした。あとはまだ各省庁それぞれ関係がありますのでおってもらいたい。国土庁、よろしゅうございますから。ひとつ自信を持ってやってください。  そこで今度は、建物、大体イメージはわかりました。それぞれ四省庁が大体こんなものだということで今発表がありましたから。問題は、需要というか、地元の勢いというか、これがばらばらだと私は思うのです。悪く言えばなかなかこれに乗っかり切れないところもあるだろうと思うし、それからほかに何もすることがないと言っては地方自治体に大変御無礼ですが、待ってましたとばかり、何とかかねや太鼓で宣伝をして、資金集めをしたり計画に参画してもらったりするところもあるでしょうし、そういう全国的な状況、今の段階でその辺がわかれば、正直なところどんな状態かということを少し聞かしていただけませんか。
  47. 福川伸次

    福川政府委員 私ども昨年の夏、予算要求をいたしますころから関係地方公共団体の御意見も承りながらこの構想を固め、予算、税制等について最終的な決着を見たわけでございます。私どもでは先ほど申しました三つの種類のものがあるわけでありますが、現在、その第一号の施設、工業技術研究開発及び企業化の基盤施設と言われる、いわゆるリサーチコアというものの中では、今各府県もいろいろ御検討になっておられますが、構想されているものが四十ぐらいございます。その中でかなり熟度の高いものが二十から三十ぐらいの間あろうかと思っております。これは各府県も、これから地方頭脳拠点を高めたいということについては大変熱心でございます。また、情報化関係でも、こういった施設考えていこうというのが現在恐らく十あるいは十五ぐらいあろうかと思います。また、国際交流関係でも十前後のものが今あろうかと思っておりますが、特に、先ほどもちょっと触れておられましたが、例えば横浜のみなとみらいの国際交流ゾーンとか、あるいはそのほか幾つかのものがかなり具体化しているということでございます。  私どもも、今いろいろ申し上げましたようなプロジェクトがいわゆる今後つくります基本指針に照らして好ましいものであるかどうか、あるいはその計画の可能性あるいは将来の収益の見通し、そういうものを見ながらこの点について認定を加えていくわけでございますが、各都道府県もそれぞれ地方の特色を生かして地方活性化を図りたいということでございまして、もちろんプロジェクトの中にまだ熟度のそれほど高くないものもございますけれども、各府県はそれぞれ、やはり地域経済活性化する一つのコアとしてこういうものを取り上げてまいりたいという意欲は大変強いものがあると私どもは感じております。
  48. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 ほかの省庁にも聞きたいが、大体似たり寄ったりだろうと思いますから、今のあれでおよそ想像できます。  そこで、郵政省に違った角度からちょっと聞いてみます。  これから先の情報化社会を目指していろいろな、商売と言った方がいいでしょうね、研究開発が我々の知らないところでどんどん進んでおるわけです。例えば山つの例を申し上げます。コンピューター求人機というものが、Qコムというものが一つの商売になるということで、その会員を募集しておる広告があります。これは何かというと、ミニボックスの中に情報機というか機械が入っておるわけですね。恐らく電話ボックスみたいなものだろうと思うのですが、知りたい情報をそこで無料で知ることができる。それは若者が最も喜ぶホットな情報、求人情報、ショッピング情報、中古事情報、あるいはどこかでこういうイベントがあるというようなことなど、無料ですから大変利用が多い。利用が多いから、それを提供する業者、利用してもらいたいという業者が大体月に一社三万円ほど金を出しておるわけですね。それで賄うわけですが、これで見るとかなりの参加者があるようですね。それで結局、今回特約店システムというものを導入して、そういう気持ちのある人はもうかりますから我が社の代理店というか機械を買うてどうですかと、こういうふうなのが堂堂とあるわけですね。Qコム一台が三百五十万円、加盟金というか入会費が百五十万円、合計五百万円を払えば後はもうけ次第というようなミニ情報事業といいますか、こういうものが既に町にあらわれていますね。  それから、もっと大きな話をすれば、それこそ日本に今、いよいよこれから出てくるわけですが、ハピネスというデータベースの構築用というか、そういう機械ができた。これは大変高い。七百万円から一千万円ですね。これはエコノミストに載っておるわけでありますから間違いないわけですけれども、つまり今まではコンピューターに入力するのは大変難しい時代だった。入力してしまえば見やすいけれども、それを分類をし入力していくのが大変手間暇かかった。ところが今度は入力したい情報をそのコンピューターのハピネスにかければ、これが分類して入力してくれる、そういうデータベース化できる代物なんですね。今私が最初言った小さな情報屋的なもの、もうかりますよという新商売、これだって我々の知らない間にどんどんできますと、新しい情報化時代の豊田商事みたいなものができぬとも限らぬですね。それらの管理監督は郵政省、一体考えておるのかどうなのか、そういう問題だってある。  それからCATVの問題だってある。CATVは有線放送ですから、それにコンピューターその他をうまく接続して、今私が言っているQコムが五百万円出せば商売が成り立ちますよと言っている中身のいろいろな情報、ショッピング、中古事情報、求人情報あるいはイベント情報、地方でいいますと市町村がいろいろ行うイベントあたりを周知してもらいたいと、行政の側からCATVのなにに金を出してそれでやってもらうようなことになるでしょうね。その間に古い映画フィルムなんかを入れたりして流しながら、あるいは歌謡番組を流しながらそういう周知をしていくというCATVという問題だって、これから日本列島のあちらこちらに、谷間に新しい商売、今まであったのですけれども、今までは難視聴のところを何とかということで細々出発したものが、大変な新しい時代に日の目を今まさに見ようとしておるような、そういう商売も出てくるだろう。今「データベース元年」と書かれた、こんな大型な機械もどんどん開発されてくるだろう。そうすると、各家庭に企業から、あるいは小売店から、あるいは金融機関から、あるいは行政の窓口からオンラインをされて、そういう日本列島ネットワーク社会というものが我々は当然想像にかたくない。  そうなった場合に、これらの豊田商事的な問題もあるだろうし、それから金融機関でいえば光通信の光を盗んで個人の番号を読み取る、これは犯罪がありましたわ。そういうようなことだとか、あるいは金融機関同士の逆探知で、あの人はこれだけの財産を持って預金があるということで、ほかの物件の売買の参考にするようなことだってあるかもわからない。あるいは家庭の端末機で簡単な住民票ぐらいはとれるかもわからない。そういういろいろなことがこれから想像される。  そうすると、それらの個人のプライバシーを守るとか、あるいは金融犯罪を未然に防止するだとか、考えられることはたくさんあるわけですが、郵政省は通信の立場で事前にそういった問題についての対策というか、これに既に乗り出しておるのか、今からなのか、ひとつその辺について聞かしてもらいたいと思う。
  49. 奥山雄材

    奥山政府委員 先生の方から大変幅広い御指摘をいただいたわけでございますが、高度情報社会というものにおきまして、情報の依存度が国民生活においても産業経済社会においても飛躍的に高まることは申し上げるまでもございません。そのような中で、先ほど御指摘のございましたCATVなりあるいは光ファイバーといったような超高速あるいは超大容量の情報伝達手段の利用形態が目覚ましく進歩しつつあることも事実でございます。したがいまして、こういう大容量、高速の情報伝達手段が発達すればするほど、その中における情報の取り扱いというものは、一つ間違うと大変なことになることは申し上げるまでもございません。先ほどの事例にも類似したことでございますが、先般もKDDの情報が海外からも盗まれかかるといったハッカー事件というようなものもあったくらいでございますので、こうしたここで言う情報社会における落とし穴の存在につきましては、私どもも非常に真剣に受けとめ、また深刻に受けとめておるところでございます。  特にそのような見地から、昨年四月一日に施行させていただきました電気通信事業法等におきましては、プライバシーの保護なりセキュリティーの確保につきまして、さまざまな規定を既に置かしていただいているところでございます。つまり、総則的な規定の中で秘密の保護あるいは検閲の禁止等がございますし、あるいは各論の部分におきまして技術基準を適正に定める省令を制定することとか、あるいは不適当な設備の場合には業務改善命令を発することができるといったような担保措置がとられているところでございまして、そのような意味におきましては、これからの経済社会の安全を担保する意味で、プライバシーの保護なり安全信頼性対策について法的措置を、郵政省の所管業務の中で既に実行しているということは申し上げられようかと思います。  ただ、ただいま先生からも御指摘がございましたように、プライバシーの保護あるいはセキュリティーの確保につきましては、その関連する領域が非常に深くかつ広いわけでございますので、また表現の自由とかといったような問題とも絡んでくる部分があることも否定できないところでございます。したがいまして、郵政省のみでこれらプライバシーの保護全般にかかわる問題をすべて賄うことは非常に困難なわけでございますので、昨年の七月以降、例えば総務庁におかれましても、行政分野におけるデータ保護についての学識経験者による研究会を発足されております。その中に電気通信の分野の学識経験豊かな方にも御参画いただきまして、電気通信行政を所管する立場から、こうしたプライバシーの保護あるいは安全信頼性対策の問題等についてもいろいろ御議論をいただいておるところでございます。  また、そうした関係各省の打ち合わせ等の場で、郵政省の立場からのヒアリングには積極的にもちろん意見を述べておりますし、また今後とも郵政行政の観点、つまり電気通信行政を所管しているという責任ある立場からは、積極的にプライバシーの保護あるいはセキュリティーの確保について対応してまいりたいというふうに考えます。
  50. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 セキュリティーの問題が出ましたが、今回提案され、これから通産省などそれぞれの民活法案ということで新しい時代を想定をしながら取り組むことになるわけですが、これは商工業やあるいは地域の、今港だとか地方行政だとかいうものも含めての少し広範囲になっておりますが、なおかつ、まだこの上にプラス警察の犯罪捜査あたり、あるいは国際的な問題だって「データベース元年」の中に書いてありますが、地球の裏側にも電波は飛んでいく、そうしてそれがまた直ちにこちらに回答が出てくるというような時代ですから、国際的な問題も秘密保護の関係で私は出てくると思うのです。やはり国益というものも将来、今まだ国内が整備されておりませんが、これがされると国際的なオンライン、地球の裏側まで電波が飛ぶような世の中になると思いますから、そういう問題も想定しなければならぬ。警察関係は犯罪捜査でそれぞれないしょでコンピューターを駆使してそういった機械を組んでいくだろうと思う。それはそれ、それから通産は通産で商業関係、工業関係に必要ないろいろなコンピューターというものをこれからつくっていく、こういう構えです。金融関係金融関係で、これがいろいろショッピングと結ばれたり、あるいは国税の関係で結ばれて自動的に納税をするというような、そういったプログラムも出てくるであろう。それぞれの分野でそれにふさわしい企業秘密的なコンピューターをこれからどんどんつくっていく。  問題は、それを通信回線で結ぶわけでありますから、あるいは電波で結ぶわけでありますから、もし地震だ、いや火事だ、あるいは過激派だ、いろいろなことがあったときに、これを直ちに切りかえる、手動に切りかえる場合もあるだろうし、あるいは予備線を使う方法もあるだろうし、そういったセキュリティーの問題はばらばらにやったのではどうしようもないわけですから、これはやはり一貫して一つの省庁でまとめて研究開発をやらないと、お互いがそれぞれの分野に関連をしてセキュリティーを少しずつ考えるということでは、総合的な我が国のそういう通信に頼る時代に入ったときには、まかり間違ったらとんでもないことになるのです。健康管理の問題もあるだろうし、あるいは手術するのも、テレビでやるわけではありませんが、かなりのところまでは皆通信回線で結んで、そして診断をし、薬を与えるということだってやる。いろいろ健康問題から金融関係から犯罪捜査からあらゆるものがこれから網羅されて、それに必要な機械がどんどん生産されてきて、ましてその間にいろいろ珍商売もあるし、いろいろな業者が出てきて、それを買いなさい、この機械はもっと優秀ですよというあんばいでやるわけですね。だから、そのことは大いに結構ですが、そのセキュリティーですね、結んだものについて、適当な省庁はないと私は思うが、今のところ考えるのは、通信という立場から郵政省がそういうセキュリティーの問題を、責任持って私が今言ったようなところへ積極的に踏み込んでいって、その問題に対して大丈夫なような次善の策を講ずるべきだと思うが、その意思はおありですか、それをちょっと一言だけ。
  51. 奥山雄材

    奥山政府委員 先ほども若干触れましたけれども、現行法令におきましても現在の所掌分野の中で安全性、信頼性、つまりセキュリティーと一言で言っていいかと思いますが、これに対する措置は可能な限り講じているところでございますし、また、さまざまな実態上の防護策といたしまして、電気通信回線につきましては電気通信システムを防御するための指導、例えば暗号化の問題等含めまして、あるいはパスワードの問題等含めまして開発もし、また関係業界等にも指導しているところでございます。  またさらに、今後の電気通信技術発展を見越しますと、ある意味では安全性の問題、信頼性の問題というものはイタチごっこの面がないわけではございませんので、こうした面を含めまして、将来の技術発展動向も踏まえた上で、電気通信分野におけるセキュリティーの確保をいかにすべきかということで、現在電気通信審議会にお諮りいたしましてその御答申を待っているところでございますので、こうした電気通信審議会といったような権威ある場での御答申を踏まえた上で、私ども積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
  52. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 ひとつその点をよく検討されて、世田谷の電話の火事、あれは小規模でしたが、まだまだ大変な問題があらわれると思うので、それを想定して取り組んでもらいたいと思います。  さて、個別に少しこの法案の中身で疑問のところをただしておかなければならぬと思うのです。  まず通産省、いまさっきの説明の中にも出てきましたように、頭脳拠点というのですか、そういう一つの大きな目的もこの中に入っておるようですが、そういう頭脳拠点という意味合いから多少指導的な、これからそこを拠点にして漸次、今回の民活法案に提示されておるような都市開発というものが徐々に全国的に波及していくだろうし、またしなくてはならぬと思うのです。私はそう思うのですが、今回の提案の中ではやはり都市集中型になっておるわけですね。これは頭脳拠点的なもの、頭脳だけではなくして一つのお手本として見てもらうという意味では多少都市型にならざるを得ないのですが、将来展望としてこの種のことを、私が国土庁に何回も言っておるのと同じように、分散をし、地域格差をなくして、そういうバランスのとれた情報化社会を想定した上での商工業発達というもの、思いをそこに寄せなければならぬと思うのですが、その点は基本的な考え方ですから、これをまず通産省に聞いておきたいと思います。
  53. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、確かに今は大都市にいろいろな意味での経済活動の集積があります。したがって、いわゆる民間活力ということになると、都市にそういうものがあるということは確かに言えるのではなかろうかというふうに思います。しかし、先ほどからも委員指摘のように、広い意味日本列島、国土を効率的に使っていく、あるいはまた住みよい生活環境と結び合わせてそういった経済活動を展開していく、こういうことになるといたしますと、私ども地方への経済活動の展開ということが非常に重要であると思っております。  先ほど、現在四十ばかりのプロジェクトがある、そのうち二十数カ所のプロジェクトが比較的熟度が高いということを申し上げたわけでございますが、その中に、もちろん既存の市街地の中でそういった新しいタイプの機能を埋め込むというものもございますが、むしろ多くのものは地方の生産活動についてこういった頭脳拠点を入れていこう、こういう計画がございます。もとより、地方と申しましても全くの山間僻地というわけではございませんで、ある程度は中規模的な経済活動があるところではありますが、恐らくそういった地方の中規模的な拠点ということがまた周辺に影響を及ぼしていくわけでございまして、いずれにいたしましても、私どもも、このリサーチコア頭脳拠点というものがいわゆる生産活動と相まって地方経済活性化につながっていく、こういうことを考えているわけでございます。  今二十幾つかのものが計画されておりますが、かなりのものが地方経済活性化ということをねらっているわけでございます。一部にも、先ほども質疑がございましたテクノポリスとの関連がございますが、例えばそういったテクノポリスというものは高度技術を使った生産活動を進めていく、こういうことでございまして、これも現在十八ほどであったかと思いますが、指定がされております。これもそういった地方活性化、先ほどUターン現象ということもお触れになられましたけれども、そういった定住と合わせた形で、しかも地方経済の特色のある発展を図る、こういうことにもしこういう研究開発機能が相携えていくということになれば、そういったものが両々相まって今後伸びていくということでございまして、私どももそういった地方経済活性化ということについては、この施設整備に当たって十分重視すべきポイントであると考えております。
  54. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 考えは大体わかりました。  そこで今回の計画を見ますと、やはり民活法案と言われるだけに、本来金があれば公共投資その他でもっと計画的にやれたと思うのですが、民間に金を出させる、簡単に言えばそういうことになる。いろいろな多少のえさ——えさと言ってはおかしいのですが、税金でまけ、利子をまけということでやっと、それでもやはり民間事業者に肩がわりすることは間違いない。私はいまさっきフランスの例を言いましたが、一番需要を喚起しそのことが勢いがつくのは、最初、言葉は悪いけれども、えさをまく、ただでかなりのものをやって、そして勢いをつけて後々ゆっくり政府投資したものをいただくという方式の方が本当はいいと思いますけれども、何せ財源難ということで民活ということになったのだろうと推定しますが、これはやはり、第三セクターというものに仮に運営させていくにしたって、これは恐らく地方自治体が中心となってそういうものをこしらえていくようになると思うのですが、これも負担が重たい。そういう、地方自治体や民間業者に負担をかけるということについては好ましくない、フランスの例ではありませんけれども、もっとやり方はあるのではないかと思われますが、この点どうしようもなかったのか、ひとつこの点だけ聞いておきたいと思います。
  55. 福川伸次

    福川政府委員 私どもといたしましては、国に財政上の制約があるので、ただ民間の資金に依存するためにこういうことを考えたのではないかという御指摘でございましたが、冒頭委員が御指摘のように、今時代の非常に大きな変革期にある、またその変革期の中にいろいろ新しい民間のビジネスチャンスがあるというふうに私どもは思うわけでございます。確かに、今ここにございますようなものは、諸外国では一部国がやっているという面があろうかと思いますが、今後これだけ大きく変革をしていくことを予想いたしますと、そういったものが、当初の間はリスクが多い、投資懐妊期間が長いというようなことはございますが、将来民間のビジネスチャンスになっていく可能性というのは十分ある分野ではないか、むしろそういうものを積極的に取り上げていこう、こういうことを考えたわけでございます。  もとより、民間活力の発揮ということになりますと、例えば規制緩和とか、あるいは国公有地活用とか、あるいはまたこういった呼び水的なことによる民間事業活動分野拡大ということがございますが、私どもとしては、もとよりそれは財政状態が厳しいということが念頭にあったことは否定すべきものではございませんが、しかし、御指摘のような時代の変革ということを考えれば、むしろ今ここで呼び水的なものを用意をすることによりまして、将来これが民間企業として成り立っていく可能性があるのではないか、こういうことに着目をし、時代の要請にも合い、しかもそういった民間が将来事業として定着できるようなものを、呼び水を用意することによってこの事業を推し進めてまいりたい、それがまたひいては国内の需要の開発にも役立つのではないか、こういうようなことを考えておったわけでございまして、私どもも、昨年の夏産業構造審議会でもいろいろと御議論をいただきましたが、今申し上げましたような意見で中間的な御報告もいただき、このような構想を練り上げていったわけでございまして、その点御理解を賜ればありがたいと存じます。
  56. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今の説明、二十数カ所がそういう調子で、ほかは、これは大変だ、金は集まらぬが弱ったな、そういうところは二十数カ所以外はあるというふうに私は見ておるわけです。その辺の難しさというものも十分理解をしてかからないと、将来もうかるからといってみんなが飛びついてくるほど甘いものではないと私は見ていますから、その点はここで言っておきます。  さて、そういう場合でも、やはり地方自治体に地方債起債を認めてやらないと、これはちょっと難しいのではないかと思うのですね。その点が一つ。それから、産業基盤信用基金の適用のところが二つしかありませんね。工業技術研究開発、それと国際経済交流促進施設。なぜこれだけに限定をしたのか、その辺の理由。二つあります。一つは、地方債の起債を認めてやるべきだと考えるかどうか。それから、産業基盤信用基金債務保証対象が二つしかないが、これは一体いかなる理由か。これを聞いておきたい。
  57. 福川伸次

    福川政府委員 地方債の問題でございますが、これは、どのような形で自治省がお考えになるかという問題でございます。  もとより、この事業に関しましては、地方公共団体、これも非常に重要な問題であると認識いたしておるのでございまして、今後これについて地方公共団体としての助成ということになりますと、これを一般財源でいくのか、あるいは今おっしゃったような地方債でいくのか、今後、事態の推移に応じて地方公共団体と自治省の間のお話し合いによるということになると思っております。  それから、産業基盤信用基金の適用範囲でございます。これを二つの施設を適用したということでございますが、まずリサーチコアあるいは国際見本市の施設、こういうことについてでございます。これは、私どもとしては、かなり担保価値が少ないためにこういう債務保証をいたすわけでありますが、そういうことからいうと、この施設の規模が大きくて、また、その構造等の特性から、通常のオフィスビルと違って、いわゆる転用の可能性が非常に少ない、したがって担保価値が非常に低い、こういうようなものをここで考えておるわけでございます。  また、一部、こういうものについては国公有地を賃借して利用する、こういう構想が多いわけでございますが、その場合、当然用途の制限が課されるということでございまして、幾つかのプロジェクトがございますが、特にこういう民間が大いに行っていこう、しかしその場合に、例えば転用の可能性が著しく小さい、あるいは土地の担保価値が著しく低い、こういうものについて事業を行います場合にこの信用の補完措置が必要である、こういう考え方からこのような二つを対象にいたしたわけでございまして、今申し上げましたような趣旨で、予算上の措置もそのような形で私どもも折衝いたしまして、このような形に落ちついた次第でございます。
  58. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 担保価値が低いようなことなど、その辺の理屈はわかりますが、それじゃほかの関係、例えば運輸省の港湾利用の高度化施設、あるいは郵政省の開放型研究開発施設、こういった問題について、それぞれの省に聞きますが、この債務保証の必要があるのかないのか、それはないといえば結構ですが、それぞれの考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
  59. 奥山雄材

    奥山政府委員 いわゆる二号施設の開放型の研究開発施設について基金の必要性があるかないかの問題でございますが、今私どものところで具体的に把握をしておりますプロジェクトは、京阪奈丘陵に設置される予定の株式会社国際電気通信基礎技術研究一つでございます。  この構想は、つとに関西の財界、その他電気通信関係者等が中心になって温めてまいりましたものでございますので、財政的基盤も相当しっかりしておりまして、ある程度将来を見通した計画が既にかなり煮詰まっております。その意味で、この施設については、現在時点でこういう御要望はまだ承っておりません。  ただし、この法律が施行されました後、さらに開放型研究施設をつくりたいという御要望が他の地域において出てくることは当然想定されますし、また、私どももそれを期待するわけでございますので、仮にもしもう一カ所程度そのような名のりを上げられた場合に、そこの関係者の方々から、あるいは特定産業信用基金を利用したいというような御意向が表明される可能性がなしとはしないというふうに考えております。したがって、そのような事態が想定される可能性はありますので、もしそうした必要性が出てきたような場合には、郵政省といたしましてもその内容を十分聞き、また分析をした上で、政府部内において適切に対処したいというふうに考えます。
  60. 奥山文雄

    奥山説明員 運輸省からお答えいたします。  港湾の高度化利用施設につきましては、現段階で港湾管理者、地方公共団体が主体でございますが、港湾管理者が参加いたします第三セクターを予定しているわけでございます。こういった港湾管理者みずから参加するということがございますし、それから、この高度化利用施設に関しましては、別途政府金融機関による出資あるいは低利の融資等々の手当てが可能かということでございますから、そういう意味で、現段階では特段の債務保証の必要性はないのではないかと考えておりますけれども、なお、実績が出てまいった段階でいろいろな問題が生じますれば検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
  61. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 さて、これはどこに聞いたらいいのですか。今運輸省の方は将来の課題、将来は別としてとりあえずは必要がないような態度でしたが、郵政省の場合は、将来要望があって同じような施設がそういうふうに造成されてくる場合はその必要が生じてくるだろうと言う。その場合には今回のこの債務保証適用の対象のあれは、そのときの状態で対象に直ちになるというような、実態に合わせてそのようなことができることになっておるのか、改めて法律改正みたいな格好で出てこなければならぬのか、その対象の部分だけ扱いをちょっと聞かせてください。
  62. 福川伸次

    福川政府委員 今両省から御答弁ございましたように、これもいわゆる民活として民間にメリットを与える助成措置ということでございます。したがいまして、今必要性があると考えられましたものについて法律の条文をこのような形で構成さしていただいたわけでございますが、今後事態の推移によってそういう問題が生じてきた場合には、あるいはその時点におきまして、予算上の措置とあわせましてまた国会の御意思をお諮りいたしまして、所要の法律改正の措置を講ずることが適切であると考えております。
  63. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 わかりました。  それでは、時間が来ましたから絞ってちょっとこれだけ、やはり将来問題になると思うので。いまさっきも少しそれらしいことを私は言ったと思うのですが、特に郵政の関係、通産の関係、これは外野席が言うだけじゃなく、私も少しくそういうふうに思うのですけれども、悪く言えば何となく縄張り争い的なものがあるような気がするのですね。そういうふうなことをこれから区分するというか、これは似たような部分が出てくるわけです。それぞれの立場で二十一世紀を目指して研究開発し、あるいはそういう技術者を育てるという似たり寄ったりのことをやっておる部分が、この問題だけでなしに基盤法のときも乱そう感じましたし、これはちょっとあるのですね。これはいずれの時点かでその辺の区分というのを明確にしておかなければならぬと私は考えています。これは郵政大臣もおられ通産大臣もおられというフェアな立場でそれぞれ考えを聞きたいわけですが、今郵政大臣おられません。やはり通産大臣の方が強いですから、その点フェアじゃないから所見を聞くというのは大変難しいと思うのです。  私が感じておるその縄張り争い的なものがお互いにいい方向へ進めばいいけれども、都合のいいところだけ取り込んで、セキュリティーの問題だとか何かあったときには大変な責任逃れになって、結局はおかしなことになってしまうのではないかという側面も心配されるのです。まだまだやらなければならぬ課題はたくさんあるのです。これから先のいろいろな情報やそういうことを飯の種にするような人も含めていろいろ出てくるわけです。これは大変いいことです。その中で淘汰されて、悪いものは豊田商事みたいにやられてしまうし、それはいいことですが、やはりその間それなりの指導、歯どめ、刑罰、予防、いろいろな問題があるわけです。そういうことについても、通信の部分については郵政省、このようなコンピューターを開発し商業活動を盛んにしていくという立場では通産省、これは理屈ではわかっておるのですが、それに至る施設関係ではかなり競合した部分がありますので、この辺についてはお互いに心がけてきちっと区分整理をしてもらいたいということをお願いしておきますので、そういった意味でもし通産大臣に何かありましたならば、ここで一言聞いておきたいと思うのです。
  64. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 役所の権限争いというのは我々が想像つかないほど激しいものがあるということは時々経験をいたしました。いたしましたが、各省大臣は、各省の所管でありますけれども、それと同時に国務大臣でございますから、やはり大所高所から見ましてそれはちゃんと調整を円満につけるようにしなければならない義務がございます。また、お役所の方々もそれぞれ常識を持ったエリート官僚ばかりでありますから、言うことは言っても世界の情勢はわかっているはずだし、日本の置かれている立場もわかるわけですから、必ず話はつくものと思っておりますので、よく協議をして譲るべきところは譲り、どちらがいいかということは大体冷静に判断すればわかることですから、そういうように綿密な連絡をとって万遺漏なきを期したいと考えております。
  65. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 ありがとうございました。それでは、終わります。
  66. 野田毅

    野田委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十六分休憩      ————◇—————     午後一時二十七分開議
  67. 野田毅

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の本案について、運輸委員会、逓信委員会及び建設委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 野田毅

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、連合審査会において参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 野田毅

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、関係委員長間で協議の上決定いたしますが、来る十四日月曜日午後二時から開会の予定でありますので、御了承願います。     —————————————
  70. 野田毅

    野田委員長 質疑を続行いたします。城地豊司君。
  71. 城地豊司

    城地委員 今度のこの法律案の名称ですが、民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法案ということになっております。そしてこの法律法案要綱によりましても、「この法律は、最近における経済的環境の変化に対処して、経済社会の基盤の充実に資する特定施設整備民間事業者能力活用して促進するための措置を講ずることにより、」云々ということになっておるわけでございます。  しかし、その後のいろいろな資料を見ましても、民間事業者とはいかなるものなんだろうか。一般的に民間事業者といったら何だといえば、いや民間事業者民間事業者だよという言葉が返ってくるような言葉ですが、民間事業者の定義が定かではない。しかも、後ほどいろいろ御質問申し上げますが、今後いろいろな経済社会の基盤の充実に資する特定施設整備ということの中で、果たしてこれが民間事業者といえるのかどうかという疑念もわいてくる関係もありますので、最初にこの民間事業者の定義についてお伺いをしたいと思います。
  72. 福川伸次

    福川政府委員 ここでの民間事業者の定義でございますが、ここでは、国、地方公共団体などの公共主体以外のものを想定をいたしております。したがいまして、既存の民間企業あるいは官民共同出資の第三セクターあるいは民間の共同出資の新会社あるいは公益法人、こういったものが含まれるものと考えております。
  73. 城地豊司

    城地委員 内容はわかりましたが、今後は法律的には民間事業者というとそういうふうに解釈してよろしいですか。法律用語として解釈してよろしいのでしょうか。
  74. 福川伸次

    福川政府委員 今申し上げました定義は、この法律考えます場合の定義として申し上げたわけでございます。それと異なることがあるいは別途の法律ではあり得るかと思いますが、少なくともこの法律では今申し上げたような定義で考えていただきたいと存じます。
  75. 城地豊司

    城地委員 では次に、この法律一般的には略称民活法案というふうなことで言われておるわけでありますが、いわゆる民間活力のことを民活というのですが、一方では草の根民活というような言葉もございます。民活という言葉の意義をどういうふうに解釈しておられるのか、考え方を伺いたいと思います。
  76. 福川伸次

    福川政府委員 ここで民間活力と申すものは、民間のいわゆる経営的な能力あるいは資金的な力、こういうものを総称いたしまして民間活力と称しておりますが、この法律で取り上げております民間活力というのは非常に政策的な意味がございまして、公共的な性格はある、しかしまた反面で収益性が低い、投資懐妊期間が長いといったようなことで、従来整備の実例の比較的乏しい特定施設整備をそういった民間事業者資金力や効率的あるいは機動的な経営能力活用して行う、そういうような意味でこのところでは民間活力ということを申しております。  よく草の根民活というようなことも申しますが、これはむしろ地方の草の根的な掘り起こしをしていこうという意味でございますけれども、特にここでねらっておりますのは、国土の均衡ある発展、いわゆる地域経済発展ということから、そういうことを俗称する意味で草の根民活というようなことも申しております。そういうことで、民間資金力経営能力といったすぐれた点を公共的分野にも活用していこう、こういう趣旨でございます。
  77. 城地豊司

    城地委員 そういう説明でいきますと、世間で言う民間活力という言葉と、この法律案で言う民間事業者とか民間活力とかいう言葉の意味とは、若干違うと思うのです。非常に幅広い解釈ということで理解してよろしいですか。
  78. 福川伸次

    福川政府委員 一般民間活力と称しますときには、通常の企業活動ももちろん民間活力でございますし、現在日本の場合は私企業体制をとっておりますが、その私企業体制全般も広い意味で言えば民間活力でございます。私どもも、例えば研究技術力あるいは研究開発能力、その他一般的な設備投資の高さといったようないわゆる企業全体の経営の力、これをよく民間活力と称することもございますが、この法律で言いますのは、特定の施設整備する、こういうことにそういった民間能力活用していこうという趣旨でございます。
  79. 城地豊司

    城地委員 先ほども説明がありましたが、ここで言う民間活力というのは、要するに経営的、資金的な点で民間活力を十分利用するということである、しかも公共的な性格を持って収益性の低い特定施設というようなものについて十分考慮してやるのだという御説明がありましたが、結局、私どもこの内容をいろいろ分析してそれなりに勉強してみますと、どうも今回出されているこの施設の内容には第三セクター的なものが非常に多いような感じがします。しかも、性格的にいいまして収益性の低い、そして公共的な性格を帯びたもの、そういう施設ということになるとどうしてもそういうことになるわけでございますが、今回の場合には特に、悪い言葉で言うと第三セクターのためにというようなことが、民間事業者と言われたり民間活力と言われたりしているような気がするわけであります。そういう意味で第三セクターの占める割合が非常に多いと思うのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  80. 福川伸次

    福川政府委員 確かに、先ほど申しましたように地域経済活性化を図る、こういうことから申しますと、まさに地域開発をしていく場合に関係地方公共団体あるいは地元経済界、こういうものも打って一丸となって努力をしていく、こういう意味で言えば、今後の地域経済発展を図っていくという意味では、そういった地方公共団体あるいは経済界との一体的な努力、協力ということが必要になるかというふうに思っておるわけでございます。  この特定の施設は六項目書いてございますが、それはある程度公共的な性格が強いものでございまして、そういう意味では収益性が比較的低い、しかし地域経済の底上げをしていく上には非常に重要な事業だ、こういうことから考えますと、そういった地方公共団体も協力をしていく、少なくとも中核的な部分については地方公共団体も参画していく形で地域全体の経済の底上げを図っていく、こういうことが期待されることになるというふうに思っております。したがって、今申し上げましたようにこの施設がそういった公共的な性格を持っておるということから、地方公共団体も一部出資をする、あるいはまた地元経済界も資金力経営能力でそれに協力をしていく、こういうことによってこの事業を推進していこうということがございますけれども、しかしその周辺施設についてはもちろん民間事業者のみで行う、あるいは民間デベロッパーが行う、こういうことがあるわけでございます。そういう意味では、第三セクターと言いながらも、これも民間能力が十分活用されますし、また周辺においてもこの民間事業者能力というものを十分に発揮させていって、これを活用することによって今申し上げましたような、ここにあります特定施設整備促進してその地域経済活性化に資したいというのがこのねらいでございます。
  81. 城地豊司

    城地委員 後ほど具体的な内容の質問に入りますけれども、今御答弁がありました特定施設の中で、特に工業技術研究開発及び企業化の基盤施設リサーチコア、これの関係でいきますと、今度の法案でいろいろなそういう施設に対する援助措置というようなものがあります。例えばリサーチコアに対するいろいろな援助の中で、特に租税の特別措置で税金を安くするといいますか、その関係は第三セクターでなければそういうような租税の特別措置がなされないというように聞いているのですが、そういうことで理解していいのですか。
  82. 福川伸次

    福川政府委員 税法上の特別措置の具体的要件については、今後大蔵省及び関係省庁との間で調整し詰めていくことになるわけでございます。  御指摘のような大まかな方向といたしましては、特定施設整備事業の中核部分を地方公共団体など公的セクター出資している第三セクター整備運営するものをこの税法上の特別措置対象とする、こういうことで考えているところでございます。したがって、純粋の民間法人が特定施設の一部の整備または運営事業主体となることは、税法上の特別措置関係でももちろん差し支えはないのですが、少なくとも事業の中核部分の運営は第三セクター事業主体になっているということで現在のところ考えております。
  83. 城地豊司

    城地委員 ということは、どういうふうに理解したらいいのでしょうか。例えば第三セクターがその主体であればそういう税法上の特典がある。純然たる民間であればそういう特典がない。しかも性格的に、例えば工業技術研究開発及び企業化の基盤施設というようなものであれば、私は仮に純然たる民間であっても第三セクターであっても税法上の措置をとってもいいのじゃないかというような考えを持つのですが、なぜ第三セクターがそういう中心的な主体にならなければ税法上の特典を受けられないのかという点についてお答えをいただきたいと思います。
  84. 福川伸次

    福川政府委員 現在考えております一応税法上の方向といたしましては、今申し上げましたようにこれが地方公共団体、地方とそれからいろいろ民間が一緒になってやっていこう、こういうことでございますので、少なくとも中核的な部分についてはいわゆる第三セクター地方民間も一緒になってやっているということでございますが、その中のプロジェクトが、もちろん中核部分とそのほかその周辺部分がございますが、少なくともその中核部分の運営が第三セクターということであるプロジェクトであれば、その周辺の関連の事業について民間だけでやっても税法上の特典が得られる、恩典が得られる、こういう方向で今のところ考えております。
  85. 城地豊司

    城地委員 今のお答えで大分理解はできましたが、この点については、中核とか周辺とかいう概念が、いろいろな施設の混在している、特にリサーチコアなんかは非常にいい施設だし、いい発想だし、こういう技術者の研修施設交流施設、ベンチャービジネスインキュベーターというようなものなんかも全部入れてある、そういう施設だとすれば、地方のそういう技術水準を高めるために非常に大きな役割を果たすと私は思うのです。そういう意味では、このこと自身には賛成なんですけれども、今言われたように中核部分と周辺部分というと、概念として中核とは何なんだ。例えば四つのセクションがあって、二つがちょうど中核で、それが第三セクター運営する、あとの二つは純然たる民間でやるということもあり得ると思うのですね。その場所、それからその置かれるいろいろな措置によってあり得ると思うのです。そういう場合に、中核とか周辺とかいうような概念だけでは、その場その場でいろいろな措置が変わってくるということも考えられますので、それらについてはどういうふうに理解したらいいのか、御答弁をいただきたいと思います。
  86. 福川伸次

    福川政府委員 何を中核的な部分と考えるかということでございますが、ここも先ほど申しましたように、こういった第三セクター、これは地方公共団体あるいは経済界が一緒になってやろう、こういうことをとらえているものでございますので、例えば考え方として、全体の施設の中での床面積の割合がどうであるかとか、あるいは今おっしゃいました、この中でも特に重要なリサーチコアの中でも、例えば開放型の研究施設あるいは御指摘のベンチャービジネスインキュベーター、こういったようなあたりのものをあるいは中心に見るか、あるいはまたこの公的セクター出資の比率の見方をどういうふうに考えるか、いろいろな観点があると思います。したがいまして、私どもも、今申しましたように、例えば床面積で見るか、あるいは研究施設あるいはベンチャービジネスインキュベーターで見るか、この辺につきましては、御指摘の点も踏まえて、私どもとしても実際上の運用に支障を来さないことで関係省庁と話を進めてまいりたいと思います。
  87. 城地豊司

    城地委員 今質問し御答弁をいただきましたが、私としては、通産大臣にもお願いですが、いわゆる今言われたようにいろいろ判断の基準によって、イエスと言われると特別な税法の恩典が受けられる、ノーと言われればだめということになるわけでありますから、総合的に判断をする場合に、私はどうも自分の考え方がそうなのかもしれませんが、言うなればいい方に解釈をする。床面積のようなことであれば数学的に二分の一以上とか、何かでどこかで区切るようなことになるのですが、人間のやることですから、少なくともこういう施設ができた場合のそういう租税の減免措置といいますか、そういう特別措置につきましてはやはり前向きで、要するにいろいろな苦労をしてつくるわけですから、苦労してつくるときに、第三セクター的な要素が少し薄いからこれはだめだというようなことでなくて、それなりにつくるときには苦労されるということでありますから、そういう前向きの方向努力をしていただきたい。これは御答弁は後ほどで結構ですから、そのことを最初に申し上げておきたいと存じます。  次に、特定施設がたくさんございます。そして、この特定施設関係では同僚議員が先ほどもいろいろ質疑を交わしておりましたが、通産省関係だけでなくて郵政省、運輸省、建設省、それらの関係がございます。そして、現在こういう特定施設をつくりたいということで日本全国各地で相当研究、検討されている。先ほどのことでいきますと、通産省関係でも六十件ほど、リサーチコア四十件、情報化十ないし十五、国際交流十前後ということでありました。それらの全体的な施設がこういうことをやることによって、内需に非常に大きな影響を及ぼすということが考えられると思うのです。そういう意味で、これは他の省庁の関係通産省だけでは把握しにくいという点もあろうかと思いますが、総額で結構でありますから、現在計画されてほぼ動き出すであろうという想定のものは、トータルでどれくらいの金額になるのだろうかということをお聞かせをいただきたいと思います。
  88. 福川伸次

    福川政府委員 現在、地方公共団体は大変熱心にこのプロジェクトの推進に取り組んでおられるわけでございます。関係省庁でもそれぞれの所管のプロジェクトの把握に努めておられるわけでございますが、四省庁でいろいろ現在把握しておりますものを集計いたしますと、なかなかこれも事業規模等について明確に申し上げられますのは、まだいろいろ計画途上のものもございますので必ずしも正確ではございませんが、現段階で申しますと、直接の事業規模で一兆四千億円程度、これに関連の事業を加えますとおよそ八兆円から九兆円程度の規模になるものでございます。これはもとより数年あるいは十年ぐらいかかってのことでございますが、今申し上げましたようなことで、こういった中核的なものができてまいりますれば、かなりこの関連の効果も大きい、地域経済のかさ上げになるのではないか、かように期待をいたしております。
  89. 城地豊司

    城地委員 直接でも約一兆四千億ということでありますから、そういう意味では、言われるように内需拡大に非常に大きな影響を及ぼすというように判断されると思います。ただ、現在出されている計画、通産省関係のやつを見せていただきましたが、それらの中で見て感じたことなんですが、例えばこのリサーチコアですね。先ほど四十件程度ということでありますから、四十件あれば、日本全体の都道府県別の配置にしてもおおむねバランスよくなるのじゃないかという感じがするのですが、そういう意味でいきますと、私は、この事業をやるときに、現在のシステムでいきますと地元でやりたい、こうしたいということが上がってくる、それに対して通産省が、よし、それならばいいだろうということで認可をするという形になっているのですが、実際上はそういう申請されたものを認可するという考え方だけではなくて、新しいこれだけの特定施設が必要だ、日本の産業基盤をあれするためにこういうようなものが必要なんだとすれば、むしろ通産省指導してやるということも必要なんじゃないかというふうに考えるのですが、そのような考え方についてはどのように理解したらよろしいのですか。
  90. 福川伸次

    福川政府委員 もとより、民間活力を発揮させていくということでございますれば、地元の発意ということを尊重するのが基本であると思っております。     〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕  ただこの法律にも、条文の中にも盛り込まれておりますように、基本指針というものを一応つくるということでございまして、この基本指針に則してこの認定を行っていく、こういうことでございます。  もとより、地方経済を伸ばしていく、あるいは国土の均衡ある発展を図っていく、こういうことでございますれば、この全国的な研究機能の分散という考え方はこれまた非常に重要であると思います。あるいはまた国際交流という視点からの国際見本市場の地方への展開につきましても、全体の需要を見て、いやしくも共倒れにならないような配慮ということも必要でございます。そういう意味では、全国的な適正配置という考え方もこの中には考えていって運用をすべきものと考えておるわけでございます。関心を持っております関係の都道府県で既に連絡協議会ができておりますが、そういった連絡協議会の場でも、私どももいろいろ全体の考え方を申し上げ、あるいはまた個別に各府県の御意見あるいは御事情も承ったりしながら、十分この辺、今申し上げたような全国の適正配置というような視点からも、好ましい形に展開するように努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 城地豊司

    城地委員 今そういう御答弁がありましたけれども、例えば国際見本市とか国際会議場の問題を考えてみましても、現在計画をされているのが横浜と千葉とどこかですね。そういうことでは関西、例えば名古屋、名古屋は中部ですが、そういうところとか、どうも若干不足している点が感じられるのです。例えば国際見本市、国際会議場に例をとりましても、そんなに全国どの都道府県にも一カ所ずつ必要だというような性格ではありませんけれども、それらなんかは当然、ただ単に地元がやりたいからということで出してくるというだけではなくて、こちらからもこの辺はどうかということで指導するといいますか、そういうことが必要なんじゃないかと思うのですが、それらについてはどのように考えておられますか。
  92. 福川伸次

    福川政府委員 今申し上げましたように、全国の適正配置という考え方から見ると、どういうプロジェクトが好ましいかということについては、これはまたいろいろ地方もお考えになるわけでありますし、あるいはまた経済活動全般の立場から見て、こういう新しいタイプのインフラが必要じゃないかという観点も出てくると思います。そういう意味では、それぞれ府県も今大変御熱心になっていらっしゃいます。いろいろな局面で私どもとも接触をいたしておりますが、今のような御趣旨で私どもも都道府県との連絡は密にしてまいりたいと考えております。
  93. 城地豊司

    城地委員 具体的な内容で、一番目玉だ、一番大きいと思われます通産省関係の工業技術研究開発及び企業化の基盤施設リサーチコア、この内容について概略御説明をいただきたいと思います。
  94. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 リサーチコアと略称されておりますものは、この法律の定義で第二条に規定しているわけでございますが、その第一号でございまして、研究開発のための施設、それに技術者の研修施設、それからそういう研究開発の成果あるいは情報の提供または交換のための展示施設会議施設その他の施設、それに研究開発及び企業化を行うための事業場として相当数の企業等に利用させるための施設、いわゆるインキュベーターでございますが、こういったものから成る一部の施設考えております。
  95. 城地豊司

    城地委員 このリサーチコアを見まして、私たちが一番直観的に考えるのは、こういうものは非常にすばらしいことだと思うのです、日本の全体的な技術水準を上げるためにも。といいますのは、民間企業なんかで大きな企業は、自前でいろいろな研修施設も持っている、研究施設ももちろん持っている。研究投資は、例えば有力な企業であればもう年間二千億くらいな研究投資を行っている。そういうことで全体的に大企業研究に熱心だ。しかし、中小企業その他の人たちが新しい技術に追いついていくためには、自前ではなかなか難しいというふうなことも、今度のこの施設整備一つの目的になっていると思うのです。  そういう意味で非常に好ましいわけですが、この中で一番問題なのは、建屋はお金を出して優秀な設計屋に設計させればそれはできます。それに付随するものもいろいろできますが、一番肝心なのはやはり何といっても人間じゃないかと私は思うのですね。現在全国から四十カ所程度そういうような申請が出ているということだし、それぐらいつくりたい、もちろんそういうものがなければならないと私も思いますが、そういう人的な問題、人的配置というような問題では非常に難しいんじゃないか、端的にそう思うわけであります。それらについてはどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  96. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 特定施設を認定するためには基本指針というのを決めることになってございますが、法律上の手続あるいは観点から申しますと、この基本指針の中で「特定施設運営に関する事項」というものを定めることになっております。今委員指摘研究開発スタッフでございますとか人材を確保しなければ、確かに設備とかどんがらだけつくったというのではうまくいかないわけでございまして、この点は大変重要な点であるというふうに考えておりますが、スタッフは、その運営に関する事項ということで基本指針の中に定めてまいりたいと思います。  それで、現実にそういった人材を確保できるかという問題がございますが、私ども考えるところでは、現在特に地方においてそういうスタッフが確保できない大きな理由といたしまして、研究環境の未整備という点が強く指摘されます。今度こういう特定施設の中でリサーチコアという一部の研究開発施設整備されていくことになりますと、この研究開発環境が改善されるということで、そういう人材の確保が容易になっていくのではないかというふうに期待いたしております。それから、さらにもっと長期的には、このリサーチコアの中に人材養成施設がございますが、こういったところでの養成を通じて地域のスタッフを拡充し、そういった人たちがまたこういうリサーチコアの中で働いていくというようないい循環ができ上がるということを強く期待している次第でございます。
  97. 城地豊司

    城地委員 非常に簡単に人材の確保ができる、研究環境の未整備整備されれば人材はそこへ集まるという確信のあるお答えですが、私はむしろ逆じゃないか。今の状況ではなかなか人が集まりにくいと思うのですが、そんな簡単なものと理解してよろしいのですか。
  98. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 私は今のように期待しているわけでございますけれども、当面の問題といたしましては委員指摘のような問題も予見されるところでございまして、周辺の既に存在しております企業でございますとか大学でございますとか、あるいは既存の研究機関と連絡をとりまして、そういったところからのいわば協力と申しましょうか援助と申しましょうか、そういったもので当面スタッフの充実を期するという考えをとっております。
  99. 城地豊司

    城地委員 私が先ほど申し上げましたように、人間の関係は建物のようにはなかなかいかないのです。ですから、通産省の立場としては、こういう法律をつくる、そして具体的にそういうものを推進していく、そして日本全体のそういう技術水準を上げるということであるのでしょうが、私は、人的な配置それから人的問題の解決というのが一番困難なことだと思うのです。ですから、私は当事者じゃありませんけれども、やはり何といっても人材の確保をまず最初にやる。建物なんかは後でもいいんです。極端に悪いことで言うと、終戦後我々はいわば敗戦の中でバラックの中でも仕事をやりました、雨の漏るところでも仕事をやりました。何もそんなことまでとは言いませんけれども、人間が集まって、一時はバラックで例えば半年でも一年でも研究をするにしても、人が集まるというめどがついてからそういう施設をつくるというようなことになっていかなければ、この事業はうまくいかないのじゃないかと私は考えているわけなんですが、それらの考え方について何かお考えがあれば伺いたいと思います。
  100. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 特定施設を認めていく段階で、委員指摘人材確保については関係者に強く努力を求めてまいりたいと思います。  それから、一つの最近の傾向でございますが、県によりましてリサーチコア要員を確保するためにUターンの可能性などについて調査をしているところがございます。そういった調査から見ましても、ある程度人材確保の道があるというふうに考えておりますので、こういったUターンの人人の活用ども指導の中に加えてまいりたいと思います。
  101. 城地豊司

    城地委員 そういうような考え方で、何物にもかえがたいし、簡単にできないのが人材の確保だと思うのです。私も各所にいろいろな視察に行きまして、ある県、ある市なんかでは、例えば数年後を目指して、ことしは直接採用しなくてもいいんだが、そのときに活用しようということで地元大学から県庁とか市役所へ採用しておいて、三年間もったいないけれどもその人間を確保して、施設ができたらそこへ充当しよう。非常にむだなように見えますけれども、三年間だって遊んでいるわけじゃありませんし、そういう意味ではそういう方法もあるわけですね。それほど人材というのはそう簡単に得られないということで、そういうような例もあります。  それから、私の出身であります茨城県に筑波研究学園都市があります。あそこは研究学園都市としては成功だと言われるのですが、人間の定住する関係では失敗だと今も言われているのですね。あの研究学園都市一円、全部ひっくるめて約二十万都市になるだろう、ところが今十万から十二万ぐらいですか、たしかそれぐらいしか人口がふえないという現象にぶち当たっています。なぜかというと、筑波は確かに空気はいい、生活するのにはいい空気、それから青い物もたくさん食べられる、筑波山もある等々あるのですが、別な面でいくと、生活環境という点では、あそこの研究学園都市に移った人は神奈川、東京から移っていった、そうすると広義の意味での生活環境、自分が日曜日に何か楽しもうとしても楽しむ施設が少ないというようなことがある。さらには、大学教授なんかに至ってはアルバイトができないというような率直な意見もあったわけであります。ですから、人材をそこへ投入する、人材をそこで確保するというようなことは、ただ我々が理屈の上では、あんないいところで、しかも日本一の研究施設があるんだから行ったらいいだろうと言っても、行く側からすればそういう細かい個々の条件がたくさんあると思うのですね。そういう意味からしても人材の確保、人的配置というのは非常に難しいと思います。  そういう意味では、もちろん通産省がやるということだけでなくて、こういう新たな事業をやるところが、このことを最優先に考えていくということが必要だとは思います。しかし、通産省がそれらを認可するそのときの条件としても、バラックでも何でも人間を確保しておけば、建物はその後できるのですから、そうすればその施設はできたときから有効活用できる。建物についてはいろいろな計画でつくる、しかし実際にはそれの運営というような面でつまずいている例が幾つもあるのですね。それは何も、最初から運営をまずくやるために建物を早くつくるというのではないのですけれども、結果的に建物はちゃんと指定した期日にでき上がっている、人間の関係はそういうことはできないという意味で、私は、それらについてぜひ十分な配慮をしていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。  次に、これらの施設ができますと、当然その施設を利用する料金とかそれらをめぐってのサービスというようなことが問題になるわけであります。先ほども説明がありましたように、非常に収益性が少ないということから、収入を得るのには結局料金しかないわけで、料金を高くするというようなことも考えられるわけでありますが、それらについては、できた後の将来の運営の問題ですけれども、どのように考えておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  102. 福川伸次

    福川政府委員 この施設、六項目ございますが、確かにある程度公共性があるわけでございます。また、収益性が低いためにいろいろの助成策を講じようといたしておるわけでございます。  おっしゃるように、対象施設運営の適切性ということは非常に重要な問題でございます。法律におきましても、施設ごとに定める基本指針において運営に関する事項を規定いたすことになっておりますが、具体的な整備計画の認定に当たりましても、この基本指針に照らしましてこの点を十分判断していく必要がある、かように考えております。これはもちろん、余り低く設定すればこの事業主体が立ち行かないということになりますし、しかしまた、余り高くするということになれば公共的な目的あるいは地域経済発展に支障を来す、こういうことになるわけでございます。  先ほど委員からも御指摘がございましたが、民活の推進のための税制ということの適用の認められる中で、事業の中核部分に地方公共団体等の出資した公的セクター、資本金の一定割合以上を出している第三セクターが参画をする、こういうことを考えておるわけでありますが、そういった意味で、もちろん地域経済周辺地元企業がその施設を十分利用して大きな経済効果を上げていくということを期待いたしているわけでありますので、こういった意味で、そういう第三セクター等がある程度関与をしているということもあるわけでありますので、そこの施設の利用については、そういう公共性にも配慮した運営がなされるものと期待をいたしております。
  103. 城地豊司

    城地委員 次に、今度リサーチコアを出されましたが、このリサーチコアは四つのセクションから成っています。開放型試験研究施設技術者の研修施設交流施設研究開発企業育成支援施設、これらの四つですが、このリサーチコアとまでいかなくてもこれに類似のもので、各都道府県とか市町村でやっている実例がありましたら一つ二つお知らせをいただきたいと思います。
  104. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 熊本県に熊本テクノ・クリエイティブ・エリアというのがあるのでございますが、これは現在建設構想を計画中でございます。この構想によりますと、熊本テクノポリスの母都市機能を強化するという目的で、国際的な規模の見本市、コンベンション等を開催できる展示場、会議場、研究開発企業育成施設等の整備を行おうというわけでございます。この構想の一部を構成いたしますテクノリサーチパークという部分がございますけれども、ここに既に開放型研究施設であります電子応用機械技術研究所というものが昭和六十年四月に完成いたしております。それから、人材育成施設でございますテクノポリスセンターというのも現在建設中でございまして、こういったものはいわばリサーチコアの先行的な実例というふうに言えるかと思います。  なお、本件は六十一年度はマスタープランを作成するということで、リサーチコアにしようという動きでございます。
  105. 城地豊司

    城地委員 今度この検討をされたときに、いろいろな事業、先ほど一から六までございました。それ以外にも例えば高齢者福祉、余暇関連施設等についても検討されたというふうに伺っているのですが、それらはどういう形で検討され、結果はどうなったのか、お知らせいただきたいと思います。
  106. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、私どもでも予算要求の段階で一時、高齢者福祉施設あるいは余暇施設ということについても、今後の経済社会の流れを考えてみますと、どうしても整備する必要があるのじゃないかということを考えたことは事実でございます。もちろん、こういった施設整備が必要であるというふうに私どもも思っておるところでございます。  しかし、高齢者福祉施設につきましては、例えば年金福祉事業団などの融資制度によって従来から支援措置が講ぜられておりましたし、また六十一年度においてもその充実強化が図られることになっておって、これを前提とした民間事業者整備が進んでいるといったような事情がございました。また、余暇施設につきましては、会員制といったような形で既に民間事業者による整備が相当程度進んでいる、こういう事情がございました。  そういうことを考えまして、私どもも特にこれから国が力を入れて助成してやっていくということの基盤的な施設ということになってみますると、二十一世紀に向けて新たな技術革新時代情報化時代を迎え、しかもまだ、日本の社会の一層の国際化を図る、こういう国際的な観点から、特に政策的にも重要なるものに絞ってこの際助成策を講じよう、こういうことで御提案申し上げております、御質疑いただいております第二条の六つの施設対象にする、こういうことにいたしたわけでございます。
  107. 城地豊司

    城地委員 今言われたようなことで除かれたわけでありますが、除くよりもその中に含めても差し支えないのじゃないかと思うのですが、主として、要するにほかでやっているからやる必要がないという、そういう意味で理解していいのですか。
  108. 福川伸次

    福川政府委員 私どもとしては、現在そういったことで施設整備が進められる手段があり、また民間ベースでも既にかなり進んでおる、こういうことから、今回の助成策を講ずるということについてここで取り上げるということの必要性はまだ今のところないのではないか、かように考えたわけでございます。  しかし、こういった施設自身は、先ほども申し上げましたように、これから余暇の利用とかあるいは高齢化社会を迎えるということでございますから、当然こういったものもいずれも整備されることが望ましいということでございます。  今後どのようにこういう点について取り組んでいくかは、今後の施設整備の状況あるいは国民のニーズの動き等を見ながら、今後また改めて将来検討をさせていただきたいと思っております。
  109. 城地豊司

    城地委員 それから、これは今回の課題と直接的な関係はないかもしれませんが、前回の法案審議の際にも若干問題になりました、日本におけるソフト技術者が昭和六十五年で六十万人も不足をするということがございました。そういうことから考えますと、技術者の養成というのは、ただ単に教育、いわゆる文部省の学校教育というようなことだけでなくて、今度のようなこういう関係では、例えばソフトの専門学校をいわゆる第三セクターでつくるというようなことを考えてもいいのじゃないか。またそういうようなことでもやらなければ、昭和六十五年で六十万人不足するというソフト技術者の養成はできないんじゃないかと思うのですが、そういうソフト技術者養成施設というようなものについては、今回これには考えられなかったのでしょうか。
  110. 福川伸次

    福川政府委員 私どもに関します限りでは、例えば第二条の第一項の第三号で「情報処理の事業の発達を図るための施設」ということを取り上げて知るわけでございますが、これはいわゆる情報処理事業を行います施設と同時に、展示施設、研修施設その他の共同利用施設ということをそこに取り入れておるわけでございます。  今御指摘のように、まさに人の問題というのは、私はこれから一番重要な問題であるというふうに思っているわけでございます。もちろん、全般的な意味で、ソフト技術者の養成というのは別途全国的なレベルで取り上げておるわけでありますが、御指摘のように、ここでもこういった研修ということについては取り上げられる体制になっておるわけでございます。また、情報関係技術者あるいはソフトウエアのプログラマー、システムエンジニアに限りませんで、いわゆる技術者の養成というのは御指摘のように非常に重要でございます。技術が日進月歩であるわけでございますから、新しい技術革新に対応した技術者の教育あるいは再教育ということはまさに非常に重要な問題でございまして、そういう点で、ここでもリサーチコアに限らず、情報処理関係施設に関しましても、御指摘のような点に留意をしてまいる必要があると考えております。
  111. 城地豊司

    城地委員 次に、若干具体的なことでありますが、現在そういうリサーチコアプロジェクトの中に、私の地元であります茨城県の常陸那珂国際港湾公園都市「ビジネス・プレジャー・ひたちなか」というのが茨城県勝田市でプロジェクトとして計画をしているということでありますが、私、寡聞にしてこの内容を知りませんでした。概略、差し支えない範囲でお知らせをいただきたいと思います。
  112. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 茨城県ひたちなかプロジェクトでございますが、現在検討をされているというふうに伺っております。  その中身は、水戸射爆場跡地の開発事業という形で取り上げられておりまして、常陸那珂港、それに国営公園の整備とあわせまして先端技術を核とした研究開発、それに研修、情報の拠点、さらに国際交流施設、こういったものを整備しようとする構想でございまして、大変積極的に検討されているというふうに伺っております。
  113. 城地豊司

    城地委員 今までの答弁で概略的にそれはつかめましたけれども通産省として、今後このことをやっていくのに、要するにこういうことは心配だ、こういうことは将来の検討課題だというようなことがあればお示しをいただぎたいと思います。
  114. 福川伸次

    福川政府委員 今お話しございましたように、最近茨城県でもこのような構想が出てまいったわけでございます。もちろん、これが整備されていくためにどのような具体的な計画ができていくのかということが問題であろうと思います。もとより、そういったいわゆる周辺生産拠点との関係、あるいはまた周辺の諸施設整備との関係、あるいは御指摘のような人材の問題等々、いろいろな問題がこれから検討されていくと思いますし、また特に力を入れるべき分野をどのようなことで考えるかといったようなことがこれから検討されていかれることとなるわけでございます。  私どもとしても、この民間活力で進めていく二つのシステムをこの法律で御提案申し上げているわけでございますが、私どもこの法律が成立いたしました暁には、これを効果的に運用してまいるということで考えておるわけでございます。今後、茨城県のそのプロジェクト具体化をしてまいりました場合に、この趣旨にどのような形で当てはめていくことができるか、私どもとしても、地元の検討の状況を見守りながら十分検討をさせていただきたいと考えております。
  115. 城地豊司

    城地委員 まだ私の質問時間はありますが、議事に協力する意味で、最後の質問で終わりにしたいと思います。  いろいろ質疑の中で確認できたことはたくさんございますけれども、これらの問題の中でも、特に私は先ほど人材の確保の問題を主張いたしました。これは、私が今までいろいろなことに携わってきた中で特に感じている内容が人材の確保ということでございます。  そのほかにも、新しい事業をやるためにはやはりたくさんの障害がある。今頭で考えている以外に多くの障害があると思います。しかし、それらを乗り越えて、こういうような基盤を整備したりする特定施設整備ということが非常に重要なことだと思いますし、日本の産業の全体のすそ野を広げていくという意味でも非常にいいことだと思います。そういう面では大変賛意を表するのですが、これを建設するために一番最初にぶつかってくるのは、何といっても土地の整備とかそういうことに始まり、そしてさらには資金の問題、そしてさらに、できた後の運営の問題等々たくさんの課題があると思うのです。しかし、それらを乗り越えていかなければ新しい事業は進展しませんし、民間活力といいましても必ずしも民間だけではございません、第三セクター的な要素が非常に多いわけでありますけれども、いいことはやはり前向きで推進をしていくということが必要だろうと思うのです。  そういう意味で、今までの質疑の中でたくさんの要望もいたしましたし、問題点の指摘もしたのですけれども、それらを含めて、通産大臣の御決意のほどを伺って終わりにしたいと思います。
  116. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 今までに例のないようなことをやるわけでありますから、恐らく気のつかない点、試行錯誤の点、また、今御指摘になったような心配等がいろいろ出てくるものと私は思っております。したがって、そういうものに適切に対処をして、法の趣旨が本当に生かされて民間のいろいろな事業振興の母体になっていくように、今後各省庁とよく連絡をとって努めてまいりたいと存じます。
  117. 城地豊司

    城地委員 終わります。ありがとうございました。
  118. 奥田幹生

    ○奥田(幹)委員長代理 福岡康夫君。
  119. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、私の方は、まだ運輸、郵政、建設、自治の方がおいでになっていないということで、まず通産省の方にいろいろ先にお尋ねいたしたいと思います。  税制措置を呼び水といたしまして民間活力の導入活用によって公共施設整備を図ろうとする問題点で、通産省と四省が昨年夏ごろから独自の民活法案を御検討になっておったのでございますが、ことしの一月ごろから、民活法案一本化を目指して法令調整をしてこられたと聞いております。  今回提出された民活法案のメリットは何なのか、なぜ一本化したのであるか、まず、これらの基本的なことについて通産大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
  120. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 民間活力を利用してやるべきだというような声が出ましてから、例によって、各省庁ばらばらにみんな思い思いのことをやろうという動きが出てきた。いつもそうであります。  そこで、どんな問題があるかというと、これはばらばらにやられたのではいろいろ困るし、ダブったものができるというようなことでも困る。そういうようなことから、四省庁が、共通して民活税制対象とされておって、その対象施設経済的環境の変化に対応して経済、社会の基盤の充実に資する、そういうような共通の性格を持たせていこう。要するに、同じようなものをみんなばらばらにつくってもしようがないから、極力ダブったものは避けて、しかも、共通するものは共通して利用できるようにやっていこうじゃないか、そういうようなことでこれらのものがつくられた、こういうように私は考えておるわけであります。  これによって、民間業者と地方公共団体にとっては、手続面の負担の軽減と混乱の回避が図られるということがあります。また、上物である特定施設整備基盤整備が一体的に進められることによって、事業の円滑な進展が図られるとともに、より一層いろいろなそういう施設の機能等が有効に発揮されるのではないか。まあ、ばらばらよりは一緒になってやった方がいい、それで、そこにまとまったメッカをつくるといいますか、その地域地域の産業基盤になるようなものをつくっていこう。それがまたいろいろな施設投資にも役立つし、公共事業のかわりにもなるし、将来のためにもなるし、内需拡大にもなるというようなことでつくられたというように考えております。
  121. 福岡康夫

    ○福岡委員 大臣、そうすればやはり一つ民活対象といたしましては、厚生省及び農林水産部門における問題点はこの部分としての対象にはならなかったのかどうか、その点の除去した理由、この点についてはいかがでございましょうか。
  122. 福川伸次

    福川政府委員 今申しましたように、民間活力を発揮するための施設整備というのは、今後、いわゆる技術革新時代あるいは国際化時代、こういうことを迎えてやっていくということが一つ時代の要請であろう、こういうことで私どもは要求をいたしておったわけでございます。  もとより、内需拡大民間活力を発揮していこうというようないろいろな構想があろうかと思いますが、私どもとして考えましたのは、先ほど申しましたように、特に国際化の問題あるいは技術革新あるいは情報化の進展、こういったものを取り上げておったわけてございます。そういうことに関して言いますと、建設省、運輸省あるいは郵政省といったあたりにもこういうような構想がございまして、今大臣が御答弁申し上げましたように、いろいろと各省庁がそれぞれ動いておったわけでございます。  今、農林あるいは厚生からそういうような構想がなかったのかというお尋ねでございましたが、私どもの範囲では、こういった民間活力ということを発揮をする、こういう観点からいいますと、今申し上げましたようなところに一つのポイントがありまして、そして出ている四省庁のプロジェクト、これにかなり共通性がある、あるいは助成のシステムが同じである、こういうようなことから、私どもとしては、これを一つ法律に固めることがよかったのではないか、かように考えております。特に、厚生省あるいは農林省からこういった類似の構想は出ていなかったというのが当時の経緯でございます。
  123. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの政府委員の答弁によりますと、厚生省、農林水産省にそういう事業計画がなかったんだ、こういうお話でございますが、私の方の地元の新聞によりますと、広島の場合にあるのですが、広島県が県の歯科医師会、住宅供給公社と共同でビルを建設し、婦人総合センター、歯科衛生士養成所、賃貸住宅に利用しようという計画が自治体、民活の部門で報道されておりますが、こういうような形の構想は本件と全く関係ないものでございましょうか、いかがでございましょう。
  124. 福川伸次

    福川政府委員 今私申し上げましたのは昨年の税制改正の決着ができます時期で、あるいはそれ以後の展開を申し上げたわけでありますが、私どもの方も、先ほども御答弁申し上げましたが、一部、例えば余暇的な施設あるいは高齢者のための施設がこういう構想の中でできないだろうかと検討いたしたこともございますし、一部の地方公共団体の中にもそのようなことに関心を栄持ちのものもございました。しかし、先ほども申し上げましたが、例えば高齢者のための福祉の施設というのは、年金事業団、年金等を活用しての施設整備も進んでおられるようでありますし、余暇施設はむしろ民間がビジネスとして既にかなり定着している事例が多々あるわけでございまして、そういうことから、いろいろ政策的な必要性、重要性ということを見て、最終的には四省庁に関するプロジェクト税制で取り上げることに政府部内で決着がついたということでございます。もとより、そういった今御指摘の医療関係の諸施設、高齢者のための福祉施設、養護介護施設、これももちろん整備されるべき必要があるという点は私どももそう思っておりますが、こういった助成措置を講じてやるということの仕組みの中に取り入れますのは今申した四省庁のものが適当であろう、こういうふうな結論になった次第でございます。
  125. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、今こういう事象もあるということでとりあえずボールを投げさせていただきました。ほかの部門についても積極的に数多い省庁でこれに協力していただく、こういう形がやはり必要ではないかと考えております。  聞くところによりますと、四つの省が内需拡大策という一定の目的のもとに、協調精神のもとに一本化に成功したことは、今までの内閣提出法案にはなかった画期的なことと私は評価しております。私としては、運用面においても今後各省が緊密なる連携をとって対応していただきたいと切望するわけでございます。どのようにすれば円滑な運用をすることができるのか、対応策として通産大臣にお伺いしたいわけでございますが、私は四者民活対策連絡協議会なるものを設けて対処してみてはどうか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  126. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、四省の関係いたしておりますプロジェクト一つ法律にまとめ上げたわけでございまして、これは冒頭大臣も御答弁申し上げましたように、一つ施設を別の面から、例えば施設整備という面あるいは都市開発といった面からすることもございます。そういったことからいえば、これを一つ法律ですることの方が事務の、あるいは民間事業者事業の執行にも効率的でございますし、むだも省ける、こういうわけでこのようなことにいたしたわけでございますが、実際の運用をまた各省がばらばらでやったのでは、これはうまく運用がいかないという点は御指摘のとおりでございます。この法律一つのものにまとめ上げるに当たりまして、既に四省庁、我々の間では緊密な連絡をとりながらこのような法律をつくり上げてまいったわけでございます。  今後、運用に当たりましても、例えば一つ施設を複数の省庁でやっていこう、それはもちろんそれぞれ省庁分担がございますから見る角度は違いますけれども、しかし一つのものをつくり上げていく、それからまた周辺の関連施設の、関連の機能との連携も保っていかなければいかぬということも当然ございますわけですから、関係省庁が連絡を密にしていかなければならないということは当然でございます。御指摘のような対策連絡協議会という名前を付すかどうかは別といたしまして、私どもでも、関係省庁の間でそれぞれこれを円滑に運用していくための連絡協調体制という点については十分意を用いて対応すべきものと考えております。
  127. 福岡康夫

    ○福岡委員 きょうの時点においてはその素案なるものはございますか、どうでしょうか。四者民活対策連絡協議会という名称は別といたしまして、こういうものの御構想があるかどうか、その点はいかがでございますか。
  128. 福川伸次

    福川政府委員 どういうレベルで、どういう名前で運用をしていくかという点はいろいろございますが、既にそれぞれ四省庁の担当部局の間では緊密な連絡をとって法案の作成の準備に当たりました。私どもも、どういう協議会がいいか、いろいろ十分考えさせていただきたいと思いますが、少なくとも四省庁の間では、連絡を密にする何らかの仕組みという点については関係省庁と御相談してみたいと思っております。
  129. 福岡康夫

    ○福岡委員 なぜ私がそういう点をしつこく聞くかと申しますと、通産省が提出した資料集の「対象施設と主務大臣」の表を見てみますと、これで明らかなように、例えば国際会議施設の場合、三つの主務大臣が登場してまいっておるわけでございます。三つもの主務大臣が関与して特定施設整備されるということになれば、今までの中央官庁の縦割り行政の弊害も出てくるものと思われる、そういう点を懸念するわけでございます。また、その事務手続円滑化にも問題が生ずるおそれもあるのではないか。せっかくつくっていただこうと思っております今回の民活法案が、所期の目的を達成しないで国民の皆様から批判を受けるようになってはどうか、そういう点を懸念しておるわけでございまして、この点についての通産省の御見解はいかがでございましょうか。
  130. 福川伸次

    福川政府委員 今、国際会議場を例に引いてのお尋ねでございます。確かに特定都市開発地区あるいは特定港湾開発地区、これにまたがってそういった施設ができるということは考え得るところでございます。そうしますと、三省がこれに関与するということは御指摘のとおりでございます。これを各省がそれぞればらばらでやっておったのでは、それは施設は少なくとも一体として行われるわけでございますから、それがばらばらになったのでは、御指摘のように将来効果的な運用ができにくいわけでございますから、私どもも既に、そういったものについては関係の三省は共同してやろうということでこの問題に取り組んでいるわけでございまして、御指摘の点については私どもも十分留意して運用に当たるべきものと考えております。
  131. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの質問の問題につきまして運輸省、郵政省、建設省のお考えはいかがか、ひとつお答え願いたいと思います。それぞれお願いいたします。
  132. 奥田幹生

    ○奥田(幹)委員長代理 建設省はまだ来ていません。運輸省からいきますか。
  133. 福岡康夫

    ○福岡委員 はい。
  134. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 運輸省の港湾局長でございます。  同様な考えを持っておりまして、お互いに十分連絡をとりながらやってまいりたいと考えております。
  135. 奥山雄材

    奥山政府委員 先ほど福川局長からこの法案の提出に至るまでの経緯を含めましてるる御説明があったとおりでございまして、この法案策定の前段階から四省非常に緊密な連絡をとってこの法案を一本化したわけでございますので、今後におきましてもその運用の面で誤りなきを期するよう、四省において緊密な連絡体制を整備していく必要があるものと考えております。
  136. 福岡康夫

    ○福岡委員 重ねて御質問いたしますが、四者民活対策連絡協議会、仮称でございますが、これは私が今唱えておるだけのことでございますが、こういうものを設ける面について、運輸省、郵政省の御見解はそれぞれいかがでございましょうか。
  137. 奥山雄材

    奥山政府委員 先ほど福川局長からも御答弁がございましたが、何らかの形で四省の緊密な連絡協議の場というものが必要であるということについては私ども全く同感でございます。先生が御指摘の四省連絡協議会というネーミングの問題でございますが、ネーミングの方はまず実態ができ上がればおのずから定まるものであろうと考えますので、まず四省で緊密な連絡体制をつくるということでこの際は御了解を賜りたいと思います。
  138. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 おっしゃっております趣旨に全く依存はございませんので、むしろそういう場でもつくってお互いの連絡を図ってまいるというふうに考えるのが至当かと思っております。そのとおりでございます。
  139. 福岡康夫

    ○福岡委員 私その点を一番懸念いたしますので、ひとつ広い視野で各四省庁ともお互いに情報交換しながら、いろいろの物事の処理については迅速果敢に御処理をされる方法をいろいろお考え願いたい。これをひとつ念押しいたしまして、次の質問に移らせていただきます。  地方時代を迎えまして、地域頭脳拠点たる共同研究施設をつくり、中小零細企業が恩典を受けられるように、地域に工業研究の中核をつくる必要性ありと通産省当局は言っておられます。これまで通産省が推進してきたテクノポリス政策とはどういう関係になってくるのか、この点について御見解をお示し願いたい、かように考えます。
  140. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 今回御提案申し上げております中身の一部を構成しておりますリサーチコアは、我が国の経済あるいは社会が非常に高度な発展段階に達しまして、将来を見渡した場合、全国各地にこういう研究開発促進され、我が国の産業あるいは技術水準そのものが高度に発展していくことが将来にかけて非常に重要であるという認識から、一部のこういう研究開発関連施設整備しようというものでございます。  他方、テクノポリスの構想でございますが、高度技術工業集積地域という一つ地域開発のプランでございまして、この中身をなしますのは、高度な技術開発する企業、あるいはその開発された技術を利用して生産する企業、こういった企業をテクノポリス地域に育てていく。その土地にあります企業、あるいは外からそういった高度技術を使う生産事業者を導入するというようなことによりまして、テクノポリス地域を高度技術を核とした工業を中心にし、かつそういう地域での潤いある生活、それを通じての研究者の定住を志向しまして、そういう産業づくりと同時に町づりを行うという構想でございます。  この構想を今まで進めてまいったわけでございますが、そういう高度技術開発し、あるいはまたこれを使って生産をする工業のテクノポリス地域における集積あるいは育成を図るためには、やはりこれを支援する一つ研究開発機能がそのテクノポリスの中、あるいはその近傍にあることが必要であるというふうに考えておりまして、これは実は当初からテクノポリス構想の母都市という形で位置づけておったわけでございます。この母都市を中心にテクノポリス地域の、今申し上げましたような形での展開を考えておったわけでございますが、この母都市機能をさらに強化することがテクノポリスの明るい発展のためには必要であるというふうに考えております。  そういう二つの構想がございまして、それぞれは別の目的と申しますか独立した存在理由を持つわけでございますが、これがテクノポリス地域には両々相まちまして、母都市においてリサーチコア建設されるならば、テクノポリス地域での地域開発というのは一段と進むものというふうに理解いたしております。
  141. 福岡康夫

    ○福岡委員 そうしますと、大都市圏の研究開発基盤施設を認定するとなると、工業再配置政策との調和点の問題についてはどういうようになるのでしょうか。
  142. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 このリサーチコア整備そのものは、すなわち工業生産の増強に直ちにつながるとか、必ずつながるというようなものではないわけでございまして、こういったリサーチコアの設置を通じての研究開発能力の向上ということは、全国どこでも必要ではないかというふうに思っております。ただ、工業生産の増強に直ちに結びつくものではないと申しましても、やはり工業再配置政策というものを私どもが掲げております以上は、これに矛盾する動きがないように私どもとしては運用しなければならないというふうに考えております。  今、委員質問の大都市圏における問題でございますが、大都市圏におきますリサーチコア整備計画の認定に当たりましては、例えば首都圏でございますと、首都圏全体として工業生産機能の規模の著しい拡大を避けなければならない、また首都圏域内におきます適正な機能のあり方というものとの整合性も求めていかなければならないというふうに考えておりまして、そのような旨を基本指針にも明示いたしたいというふうに考えております。
  143. 福岡康夫

    ○福岡委員 建設省、おいでになりましたですか。——建設省にお尋ねいたしますが、先ほど関係省庁の方に、この通産省が提出した資料集の中の「対象施設と主務大臣」の表に、私見まして、国際会議施設の場合三つの主務大臣が登場してまいっておるわけでございますが、この点について、今までの中央官庁の縦割り行政の弊害も出てくる可能性が強いので、私自体として、仮称でございますが、四省の民活対策連絡協議会なるものを設けて対処しなければ、いろいろな問題点、事務手続の円滑化にも問題が生じ関係者の方が御苦労されるのではないか、こういうことを指摘したわけでございますが、この点について建設省はどのようなお考えを持っておられるのか、お考えをお示し願いたいと思います。
  144. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 関係の各省からお話があったとおりでございますが、建設省といたしましても、今回特定施設に関連しましてこれを都市整備と一体的に行う場合に、都道府県知事の特定都市開発地区の指定、さらにはそれに基づきます整備方針という手続をこの法律の中に入れていただきまして、建設省の所管します都市整備の観点が一体的に効果を上げるように立法の過程で御相談申し上げたわけでございます。  先生の御提案の、その結果といたしまして特定の場合に関係の省庁が二ないし三になる場合が出てくるわけでございまして、そういう場合、当然のことながら民間業者の方の便宜等もございまして、関係各省間の連絡を密にすることはぜひとも必要だと思いますし、今後その方向で私どもも皆さんと御相談申し上げてまいりたいと思っております。
  145. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、私考えてみるのに、研究開発基盤施設が効果を上げるには民間に歓迎されるような施設でなくてはならないのかとは思いますが、主務大臣の認定を要するとか事業実施が第三セクター方式であるということを考えてみますと、民間活力導入のメリットである民間の創意工夫という問題が十分生かされることができるのかどうか、この点を私は心配しておるわけでございますが、通産当局の御見解はいかがでございますか。
  146. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、民間事業者能力活用するという場合には、民間の自由な発想あるいはすぐれた経営能力、これが十分発揮されることが非常に重要であることは申すまでもございません。ただ、この法律では税制上の恩典あるいはそのほか信用保証といったようなもののメリットを呼び水として用意をいたすわけでございますが、このような制度の中で認定というものを設けました趣旨は、こういった非常に政策的な意義の高いプロジェクトに限って支援措置を重点的に投入していこう、こういうことでございます。したがって、その認定等に当たっては、もとよりその発想自身は民間活力が実現する形でいくことは当然でございますが、そういったいわゆる政策的な意義の高いものについて支援措置を重点的に投入していこうということで、そういう仕組みを考えた次第でございます。  また、中核的な部分に第三セクターが多いということを考えておるわけでございますが、これについても、この事業の実施に当たりましてはもちろんそういう新しいタイプのインフラ関係事業者が利用していく、こういうことになるわけでございますが、そういう場合にはやはり地方経済活性化地方の基盤的な施設整備ということになるわけでございますから、都道府県、関係地方公共団体あるいは民間とが一緒になって熱意を持って進めていくということが、非常に成功に導く源泉であろうと考えているわけでございまして、そういう意味では、このプロジェクトの中核的な部分はいわゆる第三セクター、これは地方公共団体といったようなものがそこに参画したような第三セクターがこれを進めていく、こういうことがむしろ全体をうまく進めていく方向になるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  もとより、今委員が御指摘されましたように、民間の創意工夫ということが損なわれるようなことがあってはならないわけでございますが、私どもとしてもその点は、この認定等の場合においては十分意を用いていくべき重要なポイントであると考えております。
  147. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいま政府委員の方から詳細に御答弁がありましたが、その点を私は一番懸念をいたしておりますので、ひとつ十分御留意をお願いしたい、こういうように考えております。  さて、次の質問に移らせていただきますが、このたびの民活法案政府内需拡大策が大前提になっておると思いますが、それに対応する形で六つの特定施設整備事業を実施しようとするものであるのではないかと思います。特定施設という上物を建設すること自体が本法案の本来の目的ではないにしても、本法案が施行の日から十年以内に廃止するとの時限立法である、この点を考えますときに、相当のウエートが上物の建設事業のもたらす内需拡大効果にあることは明らかではないか、私はかように考えておるわけでございます。  そこで通産省にお伺いしますが、対象になります事業規模は何億円以上となるのか、その根拠、またこの額は年度ごとにアップされるのか、その点について御見解をお聞きします。
  148. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、これは内需拡大にも資するということでございますが、考え方は二十一世紀に向けての新しい発展をつくっていくための基盤をつくっていく、しかしまた、それが同時に内需拡大にも役立つ、こういうことでございます。もちろんこの施設自身が内需拡大に役立つという側面と、それからまた、こういった施設ができてそれを運用することによってより高い経済効果をもたらすという、二重の意味内需拡大につながっていくのではないか、私はかように考えております。  しからば、この施設整備いたします規模というものは、やはりこれだけ税制その他の恩典を与えてやるわけでありますから、それなりの効果が期待できる規模である必要があろうか、かように考えております。そのために、課税の特例についての事業規模については、一応税制改正の際の考え方はおおむね十億円以上のプロジェクトについて講ずる、こういうことがその当時の経緯でございますので、今後関係省と調整を行っていくという場合の一つの目安になるのかと考えておるわけでございます。特に、これは決めてまいりますれば今後の運用一つの足がかりになることでございますので、私どもとしてはそうしょっちゅう変えるべきものではないのではないか、かように考えておるわけであります。  いずれにいたしましても、認定となるプロジェクト、これについては内需拡大ということにつながる二つの大きな意味があるという点について御理解賜ればありがたいと思います。
  149. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、特定施設整備事業の問題について。  私は、民間企業が参加する事業実施会社、すなわち第三セクターが特定の施設整備を推進することとなると思いますが、その場合、関係地方公共団体の第三セクターに対する出資割合が大きいときは、民間活力の導入によるメリットが減殺されることになりはしないか、本法案の目指す意図が達せられないこととなるおそれがあるのではないか、このあたりの調整はどのように通産省は御配慮されておるのか、ひとつ御見解をお示し願いたいと思います。
  150. 福川伸次

    福川政府委員 今の中核的部分に第三セクターが関与しておるということについての第三セクター出資の割合でございますが、御指摘のように、私も先ほど申しましたように、これはやはり地元と一地元と申しますのはいわゆる地方公共団体と関係経済界、これが一致して取り組んでいるということが必要なわけでありますが、その場合の地方公共団体側の出資割合が余り大きいと民間活力の発揮にならないのではないかというお考えには、私どもも共感を覚えるものでございます。したがいまして、これをどのような基準を引くかということにつきましては、私どもといたしましても、そう高いものをこの基準に置くということは好ましくないと思っております。御意見のような趣旨も踏まえて検討してまいりたいと思っております。
  151. 福岡康夫

    ○福岡委員 その点をひとつぜひ御留意願いたいと思います。  三月末の私の方の地元の新聞報道を見ておりますと、「自治体の六割民活に積極的 首都圏四〇〇−一〇〇〇億円事業続々」との見出しで民活のことが記事となって出ております。そこで私、通産省、郵政省、運輸省及び建設省の四つの省に分けて、プロジェクトが現在どのように都道府県別に予定されているのか、この一覧表にして見てみたわけでございますが、何と四十七都道府県のうち十一の県が何一つプロジェクトが予定されていないのでびっくりしたわけでございます。対照的なのは、神奈川県のように四つの省のすべてにプロジェクトが予定されており、しかもトータルで七十二のうちの八プロジェクトがあるわけでございます。私は別に神奈川県が多いと批判しておるわけではございません。どんどん民活事業はやっていただきたいわけでございますが、どうでございましょうか、行政はやはり公平の原則が必要だと思うわけでございます。行政は公平を欠いてはいけないと思います。行政のバランスが大切であると私は考えておるわけでございますが、全国平均的に内需拡大を図ることが政府の意図するところと私は考えますが、ひとつこの表にある十一の県に対して民活法案趣旨を徹底していただきたい。  この点について、通産省、郵政省、運輸省及び建設省、それぞれの御答弁を承りたいと思うわけでございます。特に、郵政省及び建設省所管のプロジェクトが少ない理由を御説明願いたい、かように考えておるわけでございます。
  152. 福川伸次

    福川政府委員 私どもも、昨年の夏予算要求の準備をいたしまして以来、関係地方公共団体に対しまして、こういったプロジェクトについての関心の度合い、あるいはまたプロジェクトの計画の有無等についていろいろ調査をし、また、関係地方公共団体は、こういうプロジェクトを進めるについての仕組みをつくる、あるいはまた今後の情報交換をする意味連絡協議会等が発足をいたしておりまして、私どももその協議会と緊密な連絡をとってまいったわけであります。その結果、今私どもでは大体リサーチコアで四十、そのほかを含めますと約六十程度プロジェクトが上がってきておるわけでございますが、その中にはもちろん、まだ熟度の浅いものもありますし、また熟度の高いものもございます。私どもとしては、この熟度の高いものから順次実施に移していくことを期待をいたしておるわけでございます。     〔奥田(幹)委員長代理退席、佐藤(信)委員長代理着席〕  今委員が御指摘になられましたように、各省のプロジェクトを並べてみると、全く上がってこない一部の府県があるというお話でございました。私どもも、こういったプロジェクトを進めるというのは、それぞれその地域地域の特性に合った、一番効果的なものをつくっていくということが非常に重要であるというふうに思っているわけでございます。私どもも、今プロジェクトのまだ上がっていない府県の中でも、いろいろまださらに工夫をし検討し研究をすれば、いろいろなプロジェクトを発掘し得る可能性はあるのではなかろうかと考えているわけでございます。  御指摘のように、私どももこれを草の根民活と称したりもいたしております。これは全くの俗称でありますが、むしろその意図するところは、地方経済をなるべく活性化していくということで、地方のいろいろなプロジェクトを草の根的に掘り起こしてこれを実施に移していくということを期待をいたしておるわけでございまして、また、国土全体の有効的な利用ということから考えますれば、それぞれの地域地域の特性に合った、しかも効果的なプロジェクトを配置していくということが必要であると思うわけでございます。  御指摘のように、私ども関係の府県とはいろいろな形で連絡もとっておりますし、また、私どもには八つの通産局もございますので、いろいろそういう機能を動員しながら、均衡ある発展に役立つようなプロジェクトの発掘に今後努力してまいりたいと考えております。
  153. 奥山雄材

    奥山政府委員 委員指摘のとおり、郵政省の所管にかかわります本法対象特定施設、いずれも内需拡大に大きな効果があるものというふうに、私どもも見ております。その意味におきまして、これらの施設ができるだけ広く、各都道府県においてあまねく建設されることを私どもとしても望んでいるところでございます。  しかしながら、現在時点で私どもが把握し、リストアップしておりますのは、御承知のとおり開放型研究施設一つ、電気通信高度化基盤施設で九つでございます。これらの合わせて十の施設につきましては、これまでの予算編成並びにその後の法案策定の過程で、現実に都道府県において具体的構想として既に着手されているもの、並びにテレトピア地域の中で、テレトピア構想に加えてさらに特定基盤施設対象としての施設建設したい意向のあるようなものをリストアップしたものでございます。  なぜこのように他省庁に比べて対象施設が現時点で少ないかという理由でございますが、御承知のとおり、電気通信の行政というのは、有史以来昨年の四月まで、電電公社等、国あるいはそれに準ずる主体が一元的に運営してまいりました。したがいまして、各都道府県並びに地方公共団体並びに地方公共団体に属する住民の方々が、電気通信に関しましては、その高度化並びにその促進について十分の意欲を持ちながらも、いかにしてこれを発揮せしめたらいいのかという手法についてもまだ慣熟しておりませんし、また、そのような発想自体について十分に成熟しているとは申し上げられません。これから電気通信の世界が一挙に花開いて、さまざまな電気通信サービスが多様化し高度化してまいるわけでございますので、そのような情勢の展開とあわせまして、各都道府県あるいは市町村におかれましても、電気通信にかかわる高度化施設についての認識が急速に高まりつつあるというふうに私ども見ております。  幸いにいたしましてもし今回の法案をお認めいただきますと、課税の特例等を含む税制上の優遇措置を含む法制上の枠組みが確立するわけでございますので、これをも有力なてこにさせていただきまして、各都道府県あるいは市町村等を通じてこの民活法の趣旨を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  154. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 結論的には、委員のお話しのとおり私たち考えております。  このたび民活プロジェクト、いろいろ調査をいたしまして、私たちも全国で二十三のプロジェクトを発表させていただいておりますが、そのほかにも幾つかのものもあるということを含めて、やはり地域の特性、事情によりまして確かに全国一様にはなっていない、また登場しておりますプロジェクトでも、それぞれ若干熟度の差もあるということも承知をいたしております。  ただ、今お話もございましたように、今後の経済社会の変化に対応していくためにも、あるいはまたこのような基盤整備を通じて地域の振興やら、特に我々の場合は港湾をお預かりしておりますが、港湾の発展という観点からも、やはり全国に数多くのプロジェクトが展開されることが望ましいというふうに思っておりまして、そういった意味から、このたびのこの法律趣旨の徹底を初めとして、今後このプロジェクトの推進に努力をしていきたいというふうに思っております。  具体的には、既にプロジェクトとしてはっきりしておりますものは、それらの実施に向けて可能なお手伝いもしたいと思っておりますし、さらにまた、新しいプロジェクトの発掘のために、いろいろまたしかるべきお手伝いもさせてもらいたい、かように考えております。
  155. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 建設省といたしましても、今後の経済社会の変化に対応した都市整備促進する観点から、さらには、先ほど来お話がございますような内需振興を図る観点から、全国各地で数多くのプロジェクトがこの法案対象となって進められることを期待している次第でございます。  たまたま私どもが先生に御提示しましたプロジェクトの数が十一とやや少ないのは、一つは、やや代表的なプロジェクトを挙げたという経緯がございます。それともう一つ特定施設の基盤に関連します都市開発関係が、例えば具体の事業費がついているもの、ないしは調査の段階で国と当該公共団体との関係で一定の調査を進めることについての合意がきちっとついているものという形で、いわば都市開発の具体性があるものについて表示をした結果、御指摘のようにやや数が少ない結果になったものと思われます。  今後、この都市開発具体化に伴いまして対象事業も増加すると思われますし、また都市開発を進める過程において、今回の法案で取り上げております各種の特定施設が核としてそこに整備されることが望ましいという関係の公共団体の御意見が随所に出ておりますので、私どもといたしましてもそういう点を克明に拾い上げて、都市開発と一体的な整備を推進してまいりたいというふうに考えております。
  156. 福岡康夫

    ○福岡委員 これを表にまとめて、四つの省のいずれのプロジェクトにも挙がっていない県を申し上げますと、群馬、石川、福井、山梨、岐阜、三重、奈良、和歌山、鳥取、島根、高知の十一の県に及んでおります。四十七都道府県の二三・四%を占めております。これは民活法案趣旨が徹底されていないためなのか、それとも自治体自身の財政力が弱い上、肝心の民間企業が少ないからだと判断していいのかどうか、その点について通産省はいかにお考えか、ひとつ御判断をお示し願いたいと思います。
  157. 福川伸次

    福川政府委員 昨年の夏、私どもこういう構想考えておりましたころ、通産局の単位で関係の県、市といった関係者を集めまして説明会を行い、また法案が閣議決定をされました後にも同様に法案の説明を通産局単位で行っておるわけでございます。そういう意味で、先ほどから申しておりますような幾つかのプロジェクトがその中で出てきたわけでございます。  こういうプロジェクトを挙げていない、今委員が御指摘になられました十一の県がいかなる理由でそういう構想を持たないのかという点は、私ども必ずしもつまびらかにはいたしませんが、ただ、今御指摘のような県を聞きましても、もちろんそれぞれ県によって差はありますけれども、これまでにいろいろな産業を持っていたような県もあるように私も感じます。こういった新しいタイプの産業のインフラというようなものについての具体的なニーズが果たしてないのか、あるいはまたそういった今御指摘のような府県の財政力ということがあってうまく取り組めないのかといった点は、私ども、もう少し分析をしてみないと何とも申し上げかねる事情があると思うわけであります。  しかし、こういったスキームが一応できたわけで、このスキームができますと、それぞれの今まだプロジェクトを持っていない府県も、どうやったらできるのかというような一つの目安にもなると思いますし、また、別の府県のプロジェクト参考にしながら、自分の県の特色はどうやって生かせばいいのだろうかと考え一つの足がかりができるのではないだろうか、かように期待をいたしておるわけでございまして、今お挙げになられました十一の県において民活プロジェクトの検討が進む可能性は十分あるのではないだろうかと私は期待をいたしておりますし、私どもも通産局等の機能を活用しながら適切なプロジェクトの発掘には今後も努力したいと考えております。
  158. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで、次の御質問をさせていただきますが、本法案の存続期間が十年となっておりますが、現在は、企業はあるが不況業種が多くて民活を求める状況ではないといった県もあるのではないかと思います。中長期的観点から見て、私、十年間では短期間過ぎるのではないかと思うわけでございますが、この点について通産省はどのようにお考えでございましょうか。
  159. 福川伸次

    福川政府委員 確かに、最近円高の影響でデフレ効果に悩んでいるといった産地があることは事実でございます。しかし、反面、そういう状況であることから、内需拡大に資するこういったプロジェクトの推進という点は私どももむしろ力を入れて、その地域経済活性化に貢献しなければならないというふうに考えておるわけでございます。  今既に幾つかのプロジェクトが準備されておるわけでございますし、今後十年ぐらいの間には相当程度施設整備が進むと思いますし、またその過程でも幾つかのものが出てくるように思うわけでございます。特に今、二十一世紀に向けての基盤づくりということでございますれば、私どもとしても一応十年のめどに立ってこのような将来の展望を持ち、あるいは将来を見通した施設整備を図っていくことが一つの目安になるのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  今まだプロジェクトのない府県もあるではないかという御指摘でございますが、その点についても、この法案が成立いたしました暁には、この趣旨を一層徹底を図りまして、民活プロジェクト掘り起こし努力をいたしたいと思っておるわけでございます。  つけ加えますれば、十年後には本法を廃止するということになりまして、その際には廃止法を制定することになるわけでございまして、その時点でまた改めてこういった施設整備をめぐる諸般の情勢を検討することになるかと考えております。
  160. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの御答弁によりますと、廃止法を制定する、そういう形になった時点において本法案の取り扱いは、また通産省自体としてはお考えを持つわけでございますか。いかがでございますか。
  161. 福川伸次

    福川政府委員 十年先ということでございますから、私ももちろん通産省にはおらないと思いますけれども、その時点でどういうふうな判断をするかわかりませんが、いずれにいたしましても廃止法を制定するということになると思います。現在は廃止法を出すというのが一応前提になって今回はお諮りをいたしておりますが、廃止をするという意味は、その際廃止法を制定するということでございますので、これはそのまま廃止してしまっていいのか、あるいはまた何か別途の構想が出てくるのか、これは十年たった時点で考えられるべき問題だと思っております。
  162. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、世界の国際見本市場の現状及び我が国の国際見本市場の需要動向について、ひとつ通産省の方から御説明をお願いしたいと思います。
  163. 福川伸次

    福川政府委員 最近国際見本市の開催は世界的に急増をいたしております。国際見本市連盟加盟の見本市の数は、一九七〇年の百六件から八一年には三百十四件ということで、十年間で約三倍ということになっておるわけでございます。特に有名なのはいわゆる国際博覧会、万博と言われるものでございますが、最近ではむしろ専門的な博覧会というのがふえつつあるようでございまして、かってよく申しておりました一般博というよりは、個別の専門的な見本市がふえているというのが特色でございます。  ただ、日本に関しましては、こういった施設が必ずしも十分に整備されていなかったということがございまして、開催件数は我が国の場合はそれほど多くはございませんでしたけれども、最近日本でも、国際化時代を迎えてこういった国際交流ということを大いに進めていこうという機運が、もとより高まっておるわけでございます。また、論外国からも日本への市場アクセスをしよう、日本への輸出を拡大しようとするときに、こういった施設がないといった不満もあるわけでございます。また、特にハイテク製品ということになってまいりますと、こういった情報交流という場は非常に重要になってくるわけでございまして、私どもとしても、今後国際見本市の開催件数は我が国におきましても増大をしていくものと考えております。
  164. 福岡康夫

    ○福岡委員 首都圏のプロジェクトを見てみますと、日本の最大クラスの常設の見本市会場をつくってホテルを誘致する千葉県の幕張メッセの大型プロジェクトがありますが、これら大型の上物の建設事業については、地元の景気浮揚の観点からぜひ地元建設業者等に受注させることが、本法案の意図する全国的かつ地域的な内需拡大策につながるものと私は考えますが、いかがでございましょうか。このことはプロジェクトの多い通産省と運輸省にお尋ねをいたします。
  165. 福川伸次

    福川政府委員 もとより、各地域においてこういった特定施設整備されるということは、地元建設業者などにも新しい受注の機会を提供するという意味で、景気浮揚に資することは御指摘のとおりでございます。  ただ、この場合のプロジェクトに係る発注先をどこにするか、こういった問題につきましては、もとより民間事業者が、工事の内容、どういうものをその中に埋め込むとか、いろいろ技術的な問題もございましょうし、工事の内容等を勘案して決定すべき問題ではないかと私どもは思っております。もとより、御指摘のとおりの地方への景気の浮揚という効果があります点は私も十分認識をいたしておりますが、ただ、個別のプロジェクトについての業者の選定というのは、今申し上げましたような工事内容等を見ながら、それぞれその事業者の間で決定されるべきものではないかと考えております。
  166. 藤野愼吾

    ○藤野政府委員 御質問の、今回の民活プロジェクトをどのような主体に発注をしていくかという議論は、今も通産省の方からお話もありましたが、今回の民活プロジェクト事業主体が、民間と申しますか、第三セクターというふうに申しますか、そういうことになるわけでございますので、運輸省の我々がそれについてどこまでコメントできるかというところはちょっと気になるところがございます。  ただ、ただいまのお話にもございました、昨今来引き続き御議論のあります今回のプロジェクトの実施ということの持つ意味合い、内需拡大なり地域振興に及ぼす効果、影響というふうな観点というのは、当然これは考えていかなければならぬというふうに思っておりますことと、しかしながらまた一方では、この事業が適正に執行されなければならぬという意味から、事業の規模なり種類なりに応じた、それにふさわしい執行能力を持つ業者さんにやっていただかなければならぬというふうなこと、その両面を持っているのだというふうに思っておりまして、私たち、従来公共事業の執行の中におきましても、いろいろそのあたりのバランスを考えながら事業をやっておるわけでありますが、同様な配慮、検討がなされて事業が執行されるものというふうに考えております。
  167. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、渡辺通産大臣にお尋ねいたしたいのでございますが、特に渡辺通産大臣は貿易摩擦の立役者でございますので、御回答いただきたいわけでございます。  貿易摩擦緩和のため、政府輸入拡大に力を入れるべきだと主張されております。輸入拡大はかけ声だけでは効果は上がらないと思うのです。やはり輸入拡大のための環境整備が重要ではないかと私は思うわけでございますが、この点で、大規模国際見本市場の建設を積極的に推進することは緊急課題ではないかと思うわけでございます。  我が国には、現在国際見本市場が東京と名古屋と大阪の三カ所にあるとのことでございますが、将来は中国地方、広島に一カ所、他の地方ブロックに五カ所程度、少なくとも合計六カ所の大規模な国際見本市場を設ける必要があるのではないかと私は思います。本州に例をとってみますと、幕張メッセや横浜のMMのプロジェクトがありますが、地理的に偏在するのではなく、各地域拠点に設けることが必要なのではないかと思いますが、通産大臣といたしまして、この点はどういう御見解をお持ちか、ひとつ御披露願いたいなと思うわけでございます。
  168. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 輸入のバザールをやるとか、そういう見本市をつくるということは大変結構なことです。しかしながら、これは場所の問題が一つございますし、せっかくつくっても人様が集まってこなければ意味がないことですから、やはり人がたくさん集まれるようなところということになるでしょう。そのためには、ヒンターランドといいますか、そういうようなものも考えなきゃならぬ。東京にばかり集めるのが能じゃありませんから、各地に見本市会場をつくるということは重要である。しかし、これはやはりいろいろな経済取引の問題がございますから、ただ均等配分すればいいというわけにはなかなかいかない。特につくりたいという地域があれば、手を挙げてきてもらえば御相談には応じます。ふやすことは賛成です。
  169. 福岡康夫

    ○福岡委員 大臣、この席上をおかりしまして、ぜひとも地方にも日の当たる場所をこしらえていただきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  大規模国際見本市場の設置に当たっては輸入拡大策に重点を置いておられますが、その会場で製品についての説明や相談、契約締結といった機能を持つ会議施設をあわせ持つ見本市場であることが必要だと私は考えますが、この点について通産省政府委員でも結構でございますが、御見解をお示し願いたいと思います。
  170. 福川伸次

    福川政府委員 こういう国際見本市は欧米にはいろいろございます。例えば有名なので申しますとドイツのハノーバーメッセとか、あるいはアメリカではシカゴのマコーミックプレースとかニューヨークのコンベンションセンター、いろいろございますが、最近ではこういうコンベンションインダストリーというのが欧米でも非常に発達しつつございます。そういうところでは、ただ単に物を見せるというだけじゃなくて、そこには、今お話しのように商談も行われる、あるいは特に最近のように技術的な商品が出てくるということになればそういった技術関係のセミナーもあわせて行う、こういうようなものが併設され、また、そういうものを包括的にコンベンションインダストリーということで、最近アメリカでも非常に脚光を浴びているというのが実情でございます。  したがいまして、今後これを進めていくという場合、従来の晴海とかあるいは大阪の見本市会場、それはもちろん手狭という面もございますが、今お話しのように、今後こういった商談とか技術関係のセミナーとか、あるいは場合によってはシンポジウムとか、そういった機能も備え持ったような、ある程度総合性を持った施設にしていくということは重要な方向ではあると考えております。
  171. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、条文について事務当局にいろいろお尋ねいたします、  本法の第二条の第一項の第一号を見ますと、イ、ロ、ハ、ニの四つの施設から成る一部の施設特定施設として対象になっておりますが、そのうちいずれか一つを欠いているときは、どうして特定施設として不適格となるのであるのか。また、二に「相当数の企業」とあるが、「相当数」とは具体的にいってどれぐらいの企業数を予定しておられるのか、御答弁願いたいと思います。
  172. 黒田明雄

    ○黒田(明)政府委員 委員質問の第一点のリサーチコア、「一部の」というのは四つの施設すべてを満たす必要があるか、その理由いかんという点でございますが、私どもとしては、すべて備えた一部のものを特定施設といたしたいというふうに考えております。  その理由でございますが、せっかく法案を提案させていただき、各種の支援促進措置を講じてこの種の施設整備しようとするわけでございますので、ぜひとも効率的なものにいたしたいというふうに考えております。そういった観点から考えますと、こういう四つの施設を、一部を形成するような形で整備することによりまして、相互に補完的な効果を及ぼし、総合的な効果を上げることができるというふうに考えておりますので、この四つはぜひとも兼ね備えていただきたいというふうに考えるわけでございます。さりながら、四つをすべて新設しなければならないかという点につきましては、既存の施設がこの中に組み込まれて他の施設との連携が図られる、機能的な面で一体性が確保されるということでございますれば、これは対象になり得るものというふうに考えております。  それから、御質問の第二点、インキュベーターに相当する部分の「相当数の企業」とはどれくらいを予定しているかという点でございます。  これもこの研究成果企業支援施設に入居すべき企業の数というのを考えます場合に、やはり一定の数が入居することによってその施設の効率的な利用が図られ、成果が上がるという観点から考えなければならないというふうに考えておりまして、地域の実情によりさまざまではあろうかと思いますけれども、具体的にこの施設に設置されるであろうと思われますコンピューターでありますとかワープロなどの機器、それから財務、経理等に関する各種のコンサルティング機能、こういったものを共同利用することによりまして施設の利用が低廉に行われる、かつ、ベンチャービジネス間の相互啓発の効果が期待できる、こういった程度の数を持つことが必要ではないかというふうに考えるわけでございます。そういうような観点から考えますと、少なくとも五、六社以上は必要であろうかと考えております。
  173. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、本法第二条の第一項第三号及び第四号についてお尋ねしたいわけでございます。  特定施設のうち、通産省の所管する情報化基盤施設と郵政省の所管する電気通信高度化基盤施設とは、典型的な施設は区別できても、具体的な施設計画においては両省の所管分野が入りまじる事態も予想されると思うわけでございますが、その場合、いかに対処されるのか、通産省及び郵政省にそれぞれお伺いいたしたいと思います。
  174. 杉山弘

    ○杉山(弘)政府委員 御指摘の第三号の施設でございますが、これはごらんいただきますように、情報処理の事業の発達を図るための施設ということになっておりまして、私ども具体的には、例えば計算センター機能を持つもの、またはデータベース機能を持つ共同情報処理センターというようなものを頭に置いているわけでございますし、また四号の方は、これから郵政省の方からお話があると存じますが、電気通信業または放送業の業務を行うための施設というものを中心考えておりますので、両省の事業範囲が錯綜しているから特定施設の段階でも重複することが多いのじゃないかという御指摘は当たらないと思いますし、現に私ども具体的に把握しております計画に即して考えましても、この点については特別重複が起こるという事態はなくて済むのではないかと考えているところでございます。
  175. 奥山雄材

    奥山政府委員 郵政省関係の第四号施設、いわゆる電気通信高度化基盤施設でございますが、先ほど通産省の方からもちょっとお触れになりましたように、電気通信業及び放送業の発達その他電波の利用の促進を図るための施設であるということでございまして、こういう観点からこれをとらえました場合には、具体的にはCATVの放送センターとか通信処理の中継センターといったような電気通信菜または放送業の業務を行うための施設中心になりまして、それに合わせて地域の住民の方々や地場の企業の方々にも電気通信についての技術や知識を御修得いただくような共同利用型の施設がこの対象となるわけでございます。したがいまして、両方の施設につきましては、実態上も異なるものでございまして、重複する場合が多いのではないかというふうに私ども考えておりません。  これは、これまで私どもがリストアップいたしましたそれぞれの施設に徴してみましても混乱はないわけでございますが、これは多分、私どもが想像いたしますのに、実際問題といたしまして、こういう施設建設されようとされる方々が何を目的として、自分だちは何の仕事をやろうかということをはっきりと見定めて建設計画にお取り組みになる、また法案ができれば、その法案によって、こういう施設をつくれば税制上の優遇措置が受けられるということを見きわめた上で取り組まれるから、御指摘のような混乱を生ずるようなことはないというふうに考えております。
  176. 福岡康夫

    ○福岡委員 第十条の第二項に基づく固定資産税の軽減等地方税の特例措置を見ておりますと、認定を受けても、土地や建物を昭和六十二年度末までに取得しないと対象にならないというようになっておりますが、現実の事業は、これら各地で構想を練って事業をスタートさせるわけでございますから、土地はともかく、建物を建設してということになると、向こう二年間では間に合わない場合が多いのではないかと私は思うわけでございます。税制措置は当面二年間とし、その後については別途検討されるということだろうと私は推定いたしますが、そんなことでは民間が安心して事業に着手できないということにもなりかねません。私は、この民活法が存続する限り、六十三年度以降も税制措置を延長すべきだと考えますが、この点、いかがでございますか。通産省のお考えをお聞きし、その後、自治省はどうお考えになっておられるのか、御回答を承りたいと思います。
  177. 福川伸次

    福川政府委員 地方税の特例の対象期間につきましては、当面の内需拡大の要請にこたえる、また各事業ができるだけ早く進捗するということを期待して二年間という期間が定められております。  ただ、御指摘のように、現在各地で検討が進められておりますプロジェクトの中には、六十二年度末の期限までに建物の取得に至らないものが出てくることは当然私ども予想されるところでございます。したがいまして、私どもとしても、この事業の進捗を見きわめながら、今委員が御主張になられましたように、必要に応じまして制度の延長を税務当局にお願いをいたしまして、折衝をし、事業の円滑な遂行に支障なきを期したいというふうに考えております。
  178. 前川尚美

    ○前川説明員 地方税制上の措置についてのお尋ねにお答えを申し上げます。  ただいま通産省の方から御答弁がございましたように、この法律の案の趣旨自体が、二十一世紀を迎えるに当たっての新しい産業あるいは経済社会の基盤づくりに資するとともに、あわせて当面の緊急の課題である内需拡大にも資する、こういう観点からの趣旨のものと理解をいたしておるわけでございますが、地方税制上の措置につきましては、そうした意味において、ここに掲げられております特定施設整備促進するという観点から、いわばインセンティブとして設けられていると、これまた理解をいたしておるわけでございます。そうした観点から、委員指摘ございましたように、地方税制上の特例措置の期間につきましては、六十三年三月三十一日までに取得なり建築なりされたものについて適用がある、こういう形になっているわけでございます。  お尋ねは、この計画の状況なりから見て、さらに二年経過後それを延長すべきはないかということでございます。私ども、そうした趣旨で、ひとつできるだけ早くこの事業を推進していただきたいということで二年という期間を定め、またこれは国税の法人税とも整合をとりながらこうした措置を講じさせていただいて御提案をさせていただいている、こういうことでございますので、私どもの気持ちといたしましては、ひとつその期間内にできるだけ整備促進してその効果を上げるように、関係省庁の方々にもお願いをしたいと考えているわけでございます。  それでは二年先どうするか、今提案させていただいたばかりのところでございますので、とても私どもまだそこまでは手が回っておりませんけれども、そういうことで、ひとつその期間内を有効に活用していただきたいというふうに考えておるわけでございます、
  179. 福岡康夫

    ○福岡委員 二年先のことは想像できないというような御発言でございますが、やはりこういう問題はせめて中期的展望に立たなければいかぬのですがね。そういう場合に、二年先という形は考えないで果たしていいのでしょうか、どうでしょうか。
  180. 前川尚美

    ○前川説明員 地方税制上の措置については、先ほど申しましたようなことで、いわばインセンティブを期待する措置として設けさせていただいているということでもございます。したがいまして、これは多くの政策税制に共通する基本的な考え方ということにもなろうかと思いますけれども、一応期限を設定させていただいているということは、その期限内に所期の効果が上がるように、それぞれ関係の方々にも御努力をお願いしたいという趣旨であろうと考えるわけでございます。法律でございますから、そのときどきの社会経済情勢の状況に即応して弾力的に見直しがされ、対応さるべきことは御指摘のとおり申すまでもないことでございますが、しかしながら、今それではこの席で二年先どうするかとお尋ねをいただきますと、私どもの立場といたしましては、まだそこまでは考えがいっていないということになろうかと思うわけでございます。
  181. 福岡康夫

    ○福岡委員 先ほど私御質問いたしましたときに、十一の県が、場合によってやっていくかやっていかないか、これから決まるところです。そういう時点においての二年間というのは、そんな免じゃないのですよ。だから、こういう経済的展望を持つのに二年間というのはそんなに長い期間とは思ってないのですが、そういう構想もないで進めていくというのは、少しいかがなものだろうかと考えるのです。まだ十一都道府県、場合によってはやるかもわからぬのですよ。——いや、自治省にちょっとお願いしたいのです。通産省の御見解は結構です。
  182. 前川尚美

    ○前川説明員 御指摘の点もあるわけでございますが、私どもこの措置について検討させていただきましたときには、各関係省から計画の現状等を踏まえた上での御意見もいろいろお伺いをいたしまして、その上でいわば政府部内での一つの統一された御提案ということでこれをお出しし、御審議を賜っている、こういうことでもございます。そういう意味におきましても、この席で申し上げられますお答えとしては、この辺が私は精いっぱいではないかと考える次第でございます。
  183. 福岡康夫

    ○福岡委員 大体のことはわかるのですが、そういう発言はこういう場所で果たしていいかどうか、ちょっと私は疑問に感ずるわけでございます。十一の都道府県が対象でこれからまだ考えていこう、また通産省の方の御見解も、これから周知徹底、いろいろの問題について喚起を求めていこうという形で、もう今年度の予算は済んでおります。そういう中での問題点を考えると、やはり中期展望に立ってお考えになっていただかなければいかぬのじゃないか、かように考えておりますので、その点をひとつお含み願いたいと思います。  次に、産業基盤信用基金の問題についてお尋ねしたいのですが、特定産業信用基金の改組によるスタートとなるわけでございますが、従来の業務と新しい業務との比率及び職員の数、またスタート時点での資金はどれほどか、将来基金にどれくらいの債務保証があるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  184. 福川伸次

    福川政府委員 産業基盤信用基金は特定産業信用基金、産業構造改善臨時措置法に基づいて設けられております特別認可法人が改組してスタートするわけでございますが、現在、産業構造改善臨時措置法に基づきます設備処理の達成率は、ことしの二月の時点で約七五%に達しておりまして、従来の計画から見ると順調に進捗をいたしておるところでございます。これは本来、設備処理に当たりまして信用保証をするのが基金でございましたが、設備処理は順調に進んでおるということでございまして、産構法に基づきます設備処理についての保証の需要というのは、私どもはもうそれほど大きくないと思っております。したがいまして、今後この信用基金と申しますのは、新しい、いわゆる民活法に基づきます保証業務が中心になっていくと思っておるわけでございますが、特にこれから対象プロジェクトが進捗いたしてまいるということでございますと、むしろこの産業基盤信用基金の大部分のものは、新しい民活プロジェクトによって行われていくというふうになるように思っております。  もとより、この組織等でございますが、現在の組織は十六名で運用をいたしておるわけでございますが、行革大綱の趣旨にかんがみまして、現在の職員、組織については拡充することなく、基本的には現状の体制で業務の処理をしていく、効率的に運用を図っていくということで、このような現在の体制で適切かつ効率的な運用を図ってまいりたいと考えております。
  185. 福岡康夫

    ○福岡委員 三十七条についてちょっとお尋ねしたいのです。  この任命権者と評議員の役割との関係から見て、理事長の権限が強いように見えますが、理事長にその人を得ないとき、ワンマン理事長の横暴を結果的に許すような形になるのではないかと私は懸念をいたしますが、いかがでございましょうか。  役員の再任が許されておるようになっておるが、再々任はできるのか、定年制はどうなっておるのか、この点についてはいかがでございましょうか。
  186. 福川伸次

    福川政府委員 。三十七条の関係でございますが、ここの理事長は経団連の稲山会長が現在のところ当たっておられます。今、理事長の横暴を許すことになる体制になっているのではないかというお尋ねでございますが、もとよりこの理事長には人格、識見とも優秀な方がその職を占めるように、これは大蔵、通産両大臣が任命をすることになるわけでありますし、もしそれが適切でない場合には、法律に基づいて解任し得ることにもなっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、特に御指摘のような、理事長がいろいろ問題になるようなことを起こすことのないようにこの運用をすべきものであると考えております。
  187. 福岡康夫

    ○福岡委員 条文の御見解を最後にお尋ねしたいのです。  基金は民間から出資を募ることが可能であるようになっておりますが、この場合、外国企業や個人からでもよいのか、また出資額の制限はあるのか、この二十三条第二項について御見解をお示し願いたいと思います。
  188. 福川伸次

    福川政府委員 恐縮でございますが、先ほど一つお答え漏れがございました。  役員の再任あるいは再々任がどうかという点につきましては、一応再任、再々任は法律上はできることになっておるところでございます。  また、今の出資の点についてでございますけれども、基金に対する出資者につきましては特段の制限は設けてございませんので、今お話しのように外国企業あるいは個人からの出資ということも差し支えございませんし、また出資の額に関しても特段の制限はございません。
  189. 福岡康夫

    ○福岡委員 時間が参りましたので質疑をやめますが、最後に、私が冒頭お願いいたしましたように、本法通産省、運輸省、郵政省、建設省というような四つの省庁にまたがった一つの大きな、今までにない、中央官庁の縦割り行政を超えた形での画期的な行政推進になるので、ひとつ横の連携をきちっといたしまして、関係者にいろいろ事務上の問題点を起こさないように、また迅速に処理できる体制をおとりになることを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  190. 佐藤信二

    佐藤(信)委員長代理 宮田早苗君。
  191. 宮田早苗

    ○宮田委員 我が国の経済は、対米貿易摩擦、また急激な円高によります輸出産地の経営の深刻化等々、極めて困難な局面を迎えております。     〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕 さらに財政事情は、本年度予算で国債費が予算全体の二〇%を超える等、まことに厳しいものがございます。このような状況のもとで、国際協調型経済に転換をして、世界経済に占めます一割国家として国際経済社会でその責務を果たしていくとともに、現下の国内経済が直面いたします課題に適切に対応していくためには、内需主導型の経済成長を図らなければならないと思います。また、その対応は緊急かつ実効性のあるものでなければならないと強く認識をしておるところでございます。私は、以上申し上げました基本認識に立って、これから政府の見解を承りたいと思うわけであります。  まず最初に経企庁にお伺いいたしますのは、昨日決定されました総合経済対策概要と重点項目について説明をしていただきたい、こう思います。
  192. 宮本邦男

    ○宮本政府委員 お答え申し上げます。  先生から御指摘いただきましたように、昨日朝の経済対策閣僚会議におきまして総合経済対策が決定されたわけでございます。この対策をつくるに当たりましての私どもの、我が国経済をどういうふうに認識しているかということをまず最初に御説明いたしたいと思いますが、我が国経済は、景気は全体として見れば拡大傾向を続けているわけでございますけれども、去年の半ばぐらいから輸出が頭打ちになりまして、それにつれまして経済の一部の部門、例えば鉱工業生産などが弱含みに転じておりました。その上に、先生から御指摘いただきました急激な円高ということで、最近では企業、特に輸出に関連した企業、なかんずく中小企業の景況感が影響を受けておる、俗に言う円高デフレ的な状況があらわれている、こういうことだろうと思います。  もちろん、この円高というものにはマイナスの影響だけではなくて交易条件改善効果というプラスの面もあるわけですが、問題なのは、やはり最初にこのマイナスの効果が出てしまう、しかも一部の部門に集中的にあらわれるということでございますので、ほうっておけばややもするとおくれがちな円高のプラスの効果を、できるだけ前に引き寄せると申しますか、前倒しをする。それから、四月四日に成立いたしました本年度予算の中には、いろいろな内需拡大策が埋め込まれております。予算成立に際してそれをできるだけ早くしかも確実に実施するということによりまして、我が国経済を、引き続き内需中心とした景気の維持拡大でより確実なものとする、こういう観点からつくられたものでございます。  七項目から成ってございますけれども、第一が「金融政策の機動的運営」ということでございます。  それから二番目が「公共事業等の施行促進」ということで、上半期の契約率、いわゆる前倒し率でございますけれども、これを過去最高を上回ることを目途に可能な限り施行の促進を図るということにいたしているわけでございます。ちなみに、過去の最高というのは、我が国経済が不況の底に沈んでおりました五十七年度でございますけれども、このときが七七・二%でございましたから、それを上回ることを目途にやっていこうということであります。  それから三番目が「円高及び原油価格低下に伴う差益の還元と価格の適正化等」ということで、電力九社、大手ガス三社の円高及び原油価格低下による差益の需要者への還元等々が考えられております。  四番目に「規制緩和による市街地再開発促進等」ということでございます。  五番目に「住宅建設民間設備投資等の促進」ということで、住宅建設におきましては住宅金融公庫の貸付金利を、今一番優遇されておる金利が五・四%でございますけれども、五・二五%に引き下げる、その他の金利もそれに平仄を合わせて引き下げるということにしておりますし、民間設備投資につきましては、電力会社あるいはNTT等に投資前倒しとか、あるいは電線の地中化計画を拡大いたしまして投資の上積みをお願いするというようなことを考えております。  六番目が「中小企業対策等の推進」でございまして、例の今国会でつくっていただきました中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度及び小企業等経営改善資金融資制度の貸付金利引き下げ、その他きめの細かい思いやりの届く対策を考えております。  最後に「国際社会への貢献」ということで、以上の対策に上りまして日本内需拡大いたしますれば、それは輸入の増大ということを通じて世界経済に好ましい影響を及ぼすわけでございます。それと同時に、今後の情勢をも見ながら、特に開発途上国に対する配慮ということで国際社会に貢献すべく適切な対応を図るということにいたしておるわけでございます。  政府といたしましては、この対策を着実に実施して所期の目的を果たすように努めてまいる所存でございます。
  193. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に公定歩合について、できますならば通産大臣の見解を、さらには経企庁の方で検討されておりますならば見解を承りたいと思いますのは、再々引き下げは早急に実施していただきたい、こう思いますが、望ましい引き下げの幅がいろいろ言われておるわけですよ、何ぼがいい、何ぼがいいと。一番好ましい幅はどの程度大臣はお考えか、見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  194. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 具体的な公定歩合操作の時期及び幅については日銀の判断事項であり、具体的答弁は差し控えたい、こう書いてありますが、これだけでは味もそっけもない話でありまして、公式論はそうかもしれませんが、問題は円レートだと思うのです。円ドルレートが、アメリカもともかくドルの暴落は困る、日本もこれ以上の円高は困る、アメリカもかなりドルが安くなって輸入インフレぎみという点もございます。そこらのところの兼ね合いが難しいのですが、しかし結局、もっと円が強くなって八十円を突き抜いて七十六円、五円というような状況でいくとすれば、ほかに手がありませんから、やはり金利格差という問題が影響がありますから、その点は日米両方の利害が一致をする。あるいは八十円ぐらいで、一、二円上下ということがあっても、それはアメリカも金利を下げたいという空気ならば、一緒に日本も下げたっておかしくないし、それらとの兼ね合いで決められるべきものではないであろうか。私は今すぐ下げるということは、この間下げたばかりですから申しませんが、ここらの行方を注意深く見守って臨機応変、適切に日銀は判断をするであろう。評論家みたいな話になっちゃって申しわけありませんが、所見をと言われればその程度であります。
  195. 宮田早苗

    ○宮田委員 経企庁で検討された場合にはということを申しましたけれども、通産大臣がおっしゃいましたので、後は答えにくいと思いますから、もう結構でございます。  次に、公共事業前倒し発注を思い切って実施する、大変賛成でございます。そのためには、需要創出効果が早く出る事業を特に優先させるとか、さらには不況地域に重点的に配分するとかいう気配りが大切だ、こう思いますが、その点についてのお考えと、また、下期については当然補正予算を組まなければならぬと思いますが、息切れがしないよう公共事業支出を増大させていく必要があると考えますが、この点については建設省、経企庁、通産省、それぞれ関係があると思いますのでお答え願いたい、こう思います。
  196. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 まず建設関係の昭和六十一年度予算全体は、先生御承知のとおり、内需拡大と社会資本の計画的整備という大きな二つの命題に対応するために、五・七%の増というような事業費の拡大を完成したところでございます。  まずその執行に当たりましては、先ほど来お話が出ておりますように、経済対策におきまして、上半期における契約済み額の割合が過去最高を上回ることを目指して施行の促進を図るということでございますので、端的に申して上半期八〇%を念頭に置いて、私どもとしては関係省庁との協議を進めてまいりたいと思います。この場合、今ほど先生から御指摘ございましたように、公共事業地域経済活性化に果たす役割なり投資効果の早期の発現という点については、当然のことながら十分配慮してまいらなければいけないと思います。事業の重点的、効率的な実施を中心的な課題に据えて進めてまいりたいと思います。  なお、下期におきます公共事業の追加につきましては、現時点におきましては、今後の内外の経済動向を見きわめながら適切に対処されるべきものという私ども考え方を申し述べるにとどめさせていただきたいと存じます。
  197. 福川伸次

    福川政府委員 公共事業前倒し発注に当たっていかなる点を配慮すべきか、また、その後どうするかというお尋ねでございますが、ただいま建設省からもお話がございましたように、確かに地域経済の状況というのはいろいろ差がございますし、私どもとしても、そういう意味では、それぞれの各地域経済の状況あるいはまた社会資本の整備の状況、あるいはおっしゃったように波及が高いかどうかといったような事業の優先度、こういったような諸情勢を勘案して配分されるというふうに期待をいたしておるわけでございます。私どもも、この公共事業前倒し発注というのは、現在の円高の影響を吸収する上で一つの重要な方向であるというふうに考えております。  しからば、この秋になって足りなくなったときどうだろうか、こういうお話でございます。それは私どもが今ここでとやかく申すべきことではございませんけれども、私どもとしてはできるだけその当時の時点で適切な判断をしていく、こういうことで現在のところはお許しいただきたいと思います。
  198. 宮本邦男

    ○宮本政府委員 公共事業の実施につきましては、いろいろ考えなければいけない要素があろうかと思います。事業の優先度ですとか、それぞれの地域の社会資本の整備状況等を勘案することを基本としながら、さらに経済事情等、各地の実情を念頭に置いて適切に行っていくべきものと承知いたしております。今後ともこうした方針にのっとって対処していくことが必要であると考えておりますし、現に、先ほど御説明いたしました総合経済対策の中にもそういう考え方が盛り込まれておるところでございます。  それから、下期についてのお話でございますけれども、私どもも、現時点におきましては、この総合経済対策の効果が十分発揮されまして、我が国経済が引き続き内需中心とした着実な拡大を続けることを期待しておりまして、下期の段階でまた適切に対応するということではないかと思います。
  199. 宮田早苗

    ○宮田委員 本法案と密接な関係があると思います土地利用についてお伺いをいたします。  いろいろの規制を思い切って緩和することが、地価の高騰を抑制する意味においても、さらに民間活力活用する上でも極めて重要だと思います。具体的な規制緩和措置の進め方について、建設省、国土庁に考え方をお聞きいたします。
  200. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 昨日決定を見ました総合経済対策におきましても、経済社会活動の中心でございます都市の開発民間活力を最大限に活用するために、線引きの見放しとか開発許可制度の運用の改善とか用途地域、容積率の見直しに関する規制緩和を推進することといたしてございます。  特に、先生がおっしゃいましたように、地価の高騰の著しい大都市におきましては、宅地の供給ないしは事務所供給の増加ということで地価の安定に貢献するという面、それから、最近特に東京では国際的な金融の面等からの高度の事務所需要が非常に高まっております。そういう意味から、優良な再開発プロジェクトを推進することが必要だと考えておりまして、このためにスポット的な用途地域の見直し、一定の、例えば住居専用地域的なものから住居地域、本文では、第一種住居専用地域から第二種住居専用地域への見直しというのも書いてございます。それから、特定街区なり総合設計を活用しました場合の容積率の弾力的な割り増し、現行の次官通達等で定めております割り増しのルールをルールとして見直したいというようなことを考えでございます。それから、こういうような都心に関しますことのほかにも、開発許可の基準を見直して宅地供給の増加を図るというようなことを考えております。  ただ、申し上げるまでもございませんが、こういう場合に、良好な環境の市街地を計画的に整備するという都市計画なり都市整備の基本的な目標を忘れてはならないと思っておりますし、今回の法案の中で私どもが特定都市開発地区制度等を含めて立法作業をお願いしましたゆえんのものも、一部当然その中に入っているものとお考え願えれば幸いでございます。
  201. 山崎皓一

    ○山崎説明員 国土庁が所管しております国土利用計画法におきましては、合理的な土地利用を図りますために土地利用基本計画というものを定めまして、さらに、一定規模以上の土地取引につきましては、あらかじめ都道府県知事でございますとか政令指定都市の長に届け出をさせまして、不適正な土地利用でございますとか価格の高騰というものが生じないようにチェックをしているわけでございます。こういった制度と申しますのは、先生が御指摘になりました土地の高騰を抑制するため、あるいは民活活用をする上でも極めて重要な制度だと思っておりますので、今後ともこの制度の的確な運用に努めてまいりたいと思っております。
  202. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、円高差益及び石油値下がり益の還元についてお聞きをいたします。  我が国の輸入額がおおむね千三百億ドルでございますので、仮に六十円の円高といたしますと、単純に計算してみますと約七兆八千億円の海外への所得移転が軽減されることになります。また、原油価格が一バレル十ドル下がりますと、輸入量が約十二億バレルでございますので、百二十億ドル、二兆一千六百億円の負担軽減となります。円高デフレなどの進行が懸念される今日、景気対策上も重要な意義を有すると思うわけであります。また、還元策についての具体的な取り組み方針について、決意を含めて説明をしていただきたいと思うわけであります。  なお、電力、ガスの還元方法については、家庭用についてはある期間分、一カ月ごとでなしに半年分とか一年分をまとめて戻し税的に還元した方が受け取る側も実感を持ちますし、消費拡大につながると思いますが、その点についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
  203. 井上正

    ○井上説明員 円高差益還元の具体的方策ということでございますけれども、今回の総合経済対策におきまして、まず具体的に電力九社、大手ガス三社の料金の引き下げ、二番目に乳用種牛肉あるいは豚肉、バター等の安定帯価格引き下げ、それから輸入牛肉につきましては小売目安価格引き下げ、さらに国際航空運賃方向別格差の縮小、あるいは国際通信料金につきましてはその引き下げといったようなことが決められておるわけでございます。これらのものにつきましては、既に実施に移されているものもあるわけでございますけれども、具体的な細部につきましては現在検討中のものもございます。それぞれ担当省で御検討いただきまして、所定の期日までに逐次実行に移していくというのがまず第一でございます。  それでは、今回の経済対策の中で具体的に触れられていない商品なり物資なりサービスについてはどうなのかということでございますけれども、これにつきましては、今回の対策では基本的には二つのことを決めております。  一つは公共料金関係でございますけれども、今回具体的に書きました電力あるいはガス料金以外の公共料金につきましても、今後の料金の決定あるいは改定の際に、円高あるいは物によりましては原油価格低下のメリットといったものができるだけその料金に反映されるように努めてまいりたいというふうに思っておりますし、そういうものを考慮いたしましても引き下げが困難であるというものももちろんあろうかと思いますけれども、そういったものにつきましては、できるだけ料金を長期に安定していただくとかサービスを改善することによって、円高等のメリットを消費者に還元するという形をとってまいりたいと思っておるわけでございます。  それからもう一つは、それ以外の一般物資でございますけれども、これにつきましては、円高なり原油安なりのメリットが、基本的には市場メカニズムを通じまして経済の各分野なり国民生活に浸透していくということであろうかと思います。したがいまして、政府といたしましては、その市場メカニズムがうまく働くように、これを側面から支援していくということかと思いますけれども、今回の対策の中では、具体的には石油製品あるいは配合飼料といったような重要な物資につきまして、これは現在既に価格が低下傾向にあったり、もう引き下げをやっているわけでございますが、今後ともその価格動向を十分注視していくというようなことを考えているわけでございます。  それからさらに、国民生活に影響が深い主要な輸入消費財三十七品目につきまして、現在通産省を初めといたしまして関係の三省で輸入価格動向といいますか小売価格動向の調査をやっているわけでございますので、それの結果を今月中にまとめまして情報提供をしていきたい。こういったような形で市場に対する監視機能といいますか、こういったものを強化いたしまして、市場メカニズムを通ずるメリットの浸透ということに努めてまいりたいと思っているわけでございます。
  204. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 電力、ガスの差益の還元につきまして、具体的な方法につきましては、現在電気事業審議会あるいは総合エネルギー調査会で審議中でございます。その結論を得た上で具体的な方策を検討したいというふうに考えております。  先生御指摘の、一括して渡したらどうかという点でございますが、確かに内需振興という観点から、実際に受け取った場合に実感がわくということで望ましいという議論がございまして、前回の五十三年度の還元の際にもいろいろ議論されたわけでございます。ただ、実は問題がございまして、実際に一括して返す場合に、考え方として前払いと後払いと両方ございます。  まず前払いをする場合どうか。例えば六月からあるいは七月から実施という場合に、そのときに全部あるいは半年分前払いしてしまおうということが考えられるわけでございますけれども、この場合には、例えば六月とか七月とか一定の月の消費量に応じて想定して払うわけでございます。そうしますと、何らかの理由でもって六月にたくさん使う人とか少なく使う人というのがございますので、実際にそれに従って全体を掛けて還元いたしますと、いわゆる料金の原価主義という観点からは非常に離れた結果になり、不公平を生ずるということで問題があろうかということでございます。  また他方、後払いということで来年の三月三十一日になったら一括して払いましょうというのでございますと、若干魅力がないということもございますけれども、そのほかにも、異動した人については追跡をどうするかとか、あるいはいわゆる電気ガス税がございまして、これの徴収関係も非常に複雑でございます。そういうことで、前回の五十三年度にもいろいろ議論されたけれども、やはりこれは難しいということで見送られた経緯はございます。  いずれにしましても、今後還元の具体的な方法につきましては、審議会の議論等を見きわめながら検討したいというふうに考えております。
  205. 宮田早苗

    ○宮田委員 せっかく大臣おいでになりますので見解を——今還元の方法について聞きますと、前払い、後払い、いろいろ技術的に先回検討したけれどもなかなか難しい面がある、こうおっしゃいました。しかし、四百五十円ですか、半年しますと三千円程度ということになると思いますが、ほとんどのガス料金、電気料金というのは銀行から振り込みになっております。ところが、還元もまた振り込みということになる。一兆円という膨大な金がそれぞれ振り込まれたら、これは内需喚起なんかでも何にもなりませんよ。それは五万円とか十万円振り込んでもらったら、半分引き出して使おうかということになりますが、三千円、四千円を振り込まれたとしましても引き出すような気持ちになりはしませんから、一兆円むだなんです。やはり使ってもらわなければいかぬわけでしょう。そのためには、少々無理してでも現金を送るとかあるいは小切手を送るとか、これは何としても大臣、ひとつ指示をして、電気会社に指示したら少々の経費がかかってもやりますよ。やったら一兆円そのまま丸々内需に向けられる、これは間違いないと思うのですが、その辺、大臣どうですか。
  206. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 私も政治家だから、あなたと同じようなことを考えたのですよ。それで指示をしたのですが、なるほど聞いてみればそれは難しいのです。転勤、異動がある。それから税金。毎月税金を取っているそうですね、あれは。毎月、その月の翌月か何か、市町村か何かに電気ガス税、地方税を払い込む。ですから、そこらのところが非常にややこしくなってしまうということで、今までどおり取っておいて、ある月、十二月ごろになってか、早目に払っちゃうわけにいかないから、結局やるとすれば後がちでしょうな。だから、五月にあらかじめ電気料は今までどおり高く取る、しかしお金だけ先にどかっとくれるわけにいかないから、お金をくれようとすれば、今までどおり取っておいて、一番最後の月にどかっとやるということになるのでしょう。そうすると、その間全然電気料が下がらなかったというニュアンスになりますね。  それじゃ何百円かずつやるのをやめちゃって、それでみんな公共事業の方へ回してしまうか、公共事業というか設備の方に回してしまうか、それとも産業用だけにしてしまうか、それも考えたのですよ。考えたけれども、やはり一兆円という程度の規模になれば、一般家庭にやらずに産業用と工場だけで分けちゃった、これはでかいですからね、一工場でも月に何百万円か減るというような話になりますから、仮に通帳から引き下げるにしても。だから、いろいろ考えた末、やはり原価主義ということもあるし、何百円かもしらぬがやはりそれは均てんをさせる、それでないとまたおしゃもじのおばちゃんがやかましくて——またそんなこと言っちゃいけませんが、本当にこれはまたうるさいですからね。そういうことも考えまして、まあ理想的に、あなたの言うようにそんなことを私も考えたのです。政治家だから同じなんです、発想は。だけれども、これは私の方がお譲りを申し上げたということでございますので、どうぞひとつお譲りをいただきたいと思います。
  207. 宮田早苗

    ○宮田委員 要望になりますが、できるだけ消費者が、ああもうかったという気持ちになるような還元の方法を考えていただきますようにお願いをいたします。  次に、輸出産地の中小企業対策についてでございます。また、中小企業対策について万全を期していただきたい、こう思うわけです。各般の中小企業政策が有効に活用できるよう、国、自治体、商工会議所、商工会が一体となって取り組んでいただきたいということ。なお、官公需については目標値を大幅に拡大することが特に本年度は必要と考えますが、この点について。さらに円レートの適正化と安定化を図るべきであると思いますが、通産大臣の見解をひとつお聞きいたします。
  208. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 先ほどもちょっとお答えしたのですが、適正化というのは幾らがいいのかということは人によってみんな違うわけですよ。ただ漠然と考えられることは、要するに百八十円では非常にきつ過ぎる、高過ぎる、まして七十円台に落ち込んでいったのでは、そんなに急にやられてはたまらぬ、これは大体みんな一致しているんじゃないかという気がするんですね。中には、輸入専門にやるのだからもっと円が強くなった方がいいという人もありますが、大半の人は、こう急激にやられたのではかなわぬ。アメリカの方も、急激にドルが安くなったのでは困るというようなことで、お互いが利害が大体一致しまして、しばらくの間そう余り変動せずに、ずっと介入もしないでいって、余り乱高下しないというのがやはり適正化と言わざるを得ないのでしょうね、実際は。     〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕 だからそういう点では、百八十円というのはこちらとしては高過ぎると思う人もある、向こうとしては安過ぎると言う人もある。けれども、日米両方とも百八十円台がその辺ぐらいが長続きすれば適正化ということであって、安定することが一番いいことである。ここでまたうんと安くなっても困るし、これ以上強くなっても困るし、安定をしてくれれば後の計画が立つわけですね。ですから、ここで安定をしてもらうということが一番いいことだ、そう思っております。
  209. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 最初の二点についてお答え申し上げます。  昨日の総合経済対策の中で「中小企業対策等の推進」という項目が一つ入っております。その中でも触れられておるわけでございますが、下請等中小企業に係る相談受付・指導を充実するため、商工会、商工会議所等の窓口を強化する。それから、各都道府県における相談窓口の設置を要請し国及び都道府県の連携強化を図るということが入っておるわけでございます。  御承知のように、中小企業行政は、従来から県と密接な連携をとりながら、商工会、商工会議所あるいは中央会等々を通じて中小企業者の方々にいろいろ経営指導等を行ってきているわけでございますから、今度の円高対策の関連でも、でき得る限りそれらの団体に相談窓口を設けまして、そこで施策の普及を、国としてこういう施策をやっているということをPRすると同時に、個々の中小企業者の方々の相談に応ずるという体制を強化していきたいと考えております。  それから官公需の問題につきましては、やはりきのうの「中小企業対策等の推進」の中の最後の項目に「公共事業等の施行等に際しては、中小企業者の受注機会の増大に努める。」という項目がございますので、公共事業前倒し等に際しては、できる限り中小企業者との契約をやっていただくよう各省にお願いしたいというふうに考えております。  それで、官公需の目標につきましては、例年六月から七月にかけまして閣議で目標数字を決めて、関係各省において実行いたしておるわけでございまして、六十年度につきましては、三九・五%という目標値を設けて実行したわけでございます。まだ実績が出ておりませんので、実績を見た上で六十一年度の目標値を決めることになろうかと思いますが、現在、全体の契約規模というのですか、受注規模というのが予算が非常に厳しいという状況でふえない状況にありますので、大幅にこの数字を上げていくということは現実問題としてなかなか難しいということかと思います。  ただ、関係各省におきましては、中小企業者に対する受注機会の拡大について、最近非常に行き届いた配慮でやってきておりますので、今年度も目標を決めますときには、現実的な数字でありながらもできるだけ高い目標を置いて進めていきたいというふうに考えております。
  210. 宮田早苗

    ○宮田委員 何ゆえに今民間活力の導入が大きく叫ばれるようになったか、さらにまた、民活とはどういう概念なのか、そして、公共事業分野及び公益事業分野はそれぞれどの程度民活に期待されるのか、この点についてひとつわかりやすく説明をしてほしい、こう思います。
  211. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 わかりやすく説明してくださいと言いますから、私が説明をします。  問題は、お国にまず金がないということですね。ですから、公共事業をふやしてやるといったって、お国に金がない。民間にはまだまだたくさん金がある、貯金はもう順調に伸びておりますから。輸出も非常に順調である。お金が非常にある。貯蓄率は高い。それからもう一つは、国や何かがやったのでは、いろいろな問題がどうしても公正、公平、規則ずくめになってしまいまして自由がきかない。同じ事業をやるにしても、民間が乗ってこれるようなもので、しかも多少国や何かがやるよりも自由がきいて、融通がきくというようなこと等も考えて、やはりこれから整備しなければならない問題がいっぱいあるわけです。輸入拡大のためのいろいろな見本市をつくろうとか、電気関係もいろいろな新しい研究所をつくろうとか、それから港もつくろうとか、いろいろそういう問題があるのですから、それに地方の方が、民間が金を出し合って、国がそれを助成する形で、そして内需拡大にも役立つし、将来の基盤づくりにも役立つというようなことを考えたらどうかということで、各省がみんな考えたものを、余りダブってもいけないし、むだも省くようにしなければならぬ、方針が皆違っても困るというようなことで、一本の法律に取りまとめたというのがこの法律でございます。  また一方、東京湾横断道路のようなものは別なものもございます。これも一つ民活の方法である。そういうように余り難しく考えなくたっていいんじゃないかと思いますがね。私はその程度の理解なんです。
  212. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、民活を導入する手法と効果についてはどのように考えておいでになるかということ。具体的には、財政、税制金融上の支援措置の限界と、それと民活を導入したプロジェクト促進効果との関係、また公共性、公益性の確保との関係についてどのようにお考えになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  213. 福川伸次

    福川政府委員 確かに、民活というときにいろいろな考え方があろうかと思います。今までいろいろ議論されますのは、一つ公共事業について民間能力活用するという面があり、あるいは規制緩和といったように民間の活動分野を広げるということもあります。また、国公有地を払い下げることによって民間事業拡大するということもございますし、また、今回御提案申し上げておりますように、公共的な事業分野での新しい分野民間活力を発揮し得るような環境を整備する、こういったものがあるのではないかと私ども考えております。  これがどのような効果を発揮していくか、こういうことでございますが、これは確かに今申し上げましたいろいろな手法がございますので、いろいろ組み合わせて、先ほど建設省からも御答弁ございましたように、規制緩和といったようなものの効果も期待できましょうし、また東京湾横断道路といったような公共事業について民間能力活用する、こういったようないろいろな手法があるわけでありますが、お尋ねの、本件についてどの程度の効果が期待できるかということでございますが、これは、この六つの施設ということを対象にいたしまして関係省庁でそれぞれのプロジェクトの集計をいたしております。これはまだいろいろ未熟なものもあったり、今後さらに県等で詰めていかれるものがあったりいたすと存じますが、現段階で把握しているもので申しますと、直接の事業規模で四省庁で一兆四千億円程度、それに、これに関連をいたします間接効果を含めますと八兆円から九兆円、こういうような効果が期待できると思っておるわけでございます。これは、私どもといたしましては、今大臣から御答弁ございましたように、二十一世紀をにらんだ新しい分野をうまく民間のビジネスチャンスに結びつけてまいりたい、かような思想に出るものでございます。
  214. 宮田早苗

    ○宮田委員 本法案を提出するに至りました背景、それから経緯について説明していただきたいと思います。
  215. 福川伸次

    福川政府委員 これは先ほど大臣からもお話ございましたように、私どもとしては二十一世紀をにらんで、新しい技術革新の胎動あるいは情報化が進展をするという状況、あるいは国際化がさらに進んでいく、こういった環境の変化に対応いたしまして、それに即応した企業の活動の基盤を整備していく必要がある、かように考えたわけでございます。もとより、内需拡大ということが求められる経済情勢にございまして、これは当初日本の黒字解消ということから内需をふやす、こういうことでこのような構想考えたわけでございます。  先ほどの御質問にもございましたが、これについて金融措置あるいは税制上の措置、こういうような呼び水の支援措置を講ずるわけでございますが、今申し上げましたような新しい事業、新しいタイプの産業インフラというような分野については、これはまだ従来企業として十分経験を積んでいるわけでもございませんし、リスクが大きいし、また投資懐妊期間が長いということでありますと、ほっておいてはなかなか具体化しない、そうかといって公共事業の方としてやれる余裕もないということでございますので、ここで何か呼び水を用意することによってこれを具体化する、しかも二十一世紀をにらんで基盤整備に大いに役立っていくようなものをここでひとつ推進しようじゃないか、こういうことで考えたわけでございます。そうして、先ほどの税制上あるいは金融上の助成措置を講ずることによってこれを具体化していこうということを考えたわけでございます。  もとより、こういう助成措置を講ずるということでございますから、それなりに公共性、公益性というものの確保が必要でございますわけで、そういった意味で、今回これの財政的あるいは税制上の支援措置をここに集中的に持っていく、こういうことからいきますと、そういった事業の目的あるいは内容が国全体の立場から見て好ましい方向であるのかどうかということが重要になりますので、そういった意味では基本指針というようなものをつくって、それに即応している、あるいはまた地方全体が大いに盛り上がってやっていくという意味で、第三セクターといったような形のものが中核的部分に関与するということでこれの公益性も担保していく、こういうように考えているわけでございます。  もとより、この経緯についてのお尋ねでございますが、関係四省でも類似の構想を持っておりまして、中には一部同一の施設について別の側面からこれを助成しようという構想もございましたし、また助成しようとする仕組みが類似をしているということでございまして、そういうことでございますと、一つ法律体系につくり上げた方が民間もわかりやすい、また、行政上の処理も幾つもの省庁に行かないで全体で政府部内で調整してこの運用ができる、こういうことが好ましいというわけでございます。今申し上げましたように、これを一つ施設整備という国全体の立場から、あるいはまた都市の開発あるいは港湾の開発といった面から、関係省庁が連携をとりながら一体的に推進するということが非常に必要になったということでございまして、当初四省がそれぞれ考えておりました構想を、今申し上げましたような趣旨で内閣全体として一つに組み上げたいということでございます。これはまた、行政の効率化という面において一つ方向ではないかと考えている次第でございます。
  216. 宮田早苗

    ○宮田委員 通産省は、昨年、法案構想段階では余暇施設、スポーツ施設、福祉施設対象としたいと考えておいでになったようですが、これら施設本法案の対象から除外された理由をお聞きしたいと思います。
  217. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、私どもも予算要求を考えます段階では、余暇施設、スポーツ施設といったようなもの、あるいは高齢者の福祉施設といったようなものも検討の対象にいたしたことは事実でございます。特に、労働時間の短縮といった要請がございます。それに対応する上での余暇開発をどう考えるかというのは確かに重要な課題であると思いますし、また高齢化社会を迎えて、高齢者の生活のあり方あるいは福祉のあり方といったようなものについても、これはまたいろいろと新しい仕組みが必要ではないかということで勉強はいたしたわけでございます。  いろいろ勉強はいたしたわけでございますが、確かに地方にも一部そういうことを具体化しようというプロジェクトがあったことは事実でございますが、余暇施設あるいはスポーツ施設につきましては、既にかなりの程度民間事業者整備を進めるという仕組みが進んでおるわけでございます。また、高齢者の福祉施設につきましては、年金福祉事業団などの融資制度によりまして従来から支援措置が講ぜられておりまして、六十一年度においてもその充実強化が図られることになっております。それで、これを前提にいたしました民間事業者による整備が進んでおる、こういうことでございまして、それなりにこれらの分野はある程度定着しているのかなと思いました。  それで、先ほども申しましたように、昨年の夏以降、関係の府県の御意向を通産局を通じていろいろと聞き取ってまいりましたが、そういう中でも、むしろこれからの経済発展考えるということになりますと、いわゆるリサーチコアのような研究機能をそれぞれの地域経済の中に配置をしてまいりたい、あるいは国際交流、こういうような点で地方国際化にも対応していく、こういうことが非常に重要だというのが府県の意向でございました。そのほか情報化の問題もございますし、またそれぞれの省庁でそれぞれのお立場でのお考え方がございまして、今回このようなことに取りまとめたわけでございます。  もとより、私どもも、こういった余暇施設、スポーツ施設あるいは高齢者の福祉施設といった施設整備が重要であることはそのとおりに思っておりますが、新しい助成の仕組みをつくってやるということについては、今御提案申し上げているところに焦点を当てるべきではないかというふうに考えた次第でございます。
  218. 宮田早苗

    ○宮田委員 郵政省の方、お見えになっていますね。後の時間の関係もありますから、郵政省の方、通産省の方、両方に聞きます。  特定施設としてテレトピア事業、ニューメディア事業が掲げられておるわけですが、現在も郵政、通産で予算措置をもって実施されておりますのに、何ゆえに本法案の対象としなければならなかったのか。さらに、テレトピアとニューメディアの違いは一体どこにあるのか、わかりやすく説明をしてほしい。大きな違いがないということになりますと、両省で協調してやっていただきたいと思いますが、その点についてお聞きします。
  219. 奥山雄材

    奥山政府委員 テレトピアとニューメディアコミュニティーとの差の方から先に説明をさせていただきたいと思います。  テレトピア構想は、五十八年八月に打ち出したわけでございますが、今日まで五十三地域を全国で指定しております。このテレトピア構想というものは、基本的には、高度情報社会に向けて電気通信が先導的、基盤的な役割を果たすということに着目いたしまして、実験ではございませんであくまでも実用を前提といたしまして、電気通信のインフラストラクチャーをその地域に優先的に集中的に構築をする、それによりまして高度情報社会へのソフトランディングを目指すというものでございます。実用でございますので、現在既にシステムが実際に稼働しているところもございますが、そのような実用過程の中で技術的な問題、制度的な問題あるいは経済的な諸問題を解決しながら、高度情報社会の早期の実現を図るというものでございます。  ニューメディアコミュニティーの方は通産省の御所管でございますので、通産省の方でお答えいただいた方がいいかと思いますけれども、これにつきましては、従来委員会等で私どもが拝聴しているところによりますと、地域のコミュニティーにおける産業とか社会分野のニーズにこたえるモデルシステムの構築の促進を図るというふうにお聞きしているところでございます。  一言で申し上げますと、私どもの方はどちらかというと通信インフラストラクチャー整備通産省におかれましてはニーズオリエンテッドなシステムの構築ということが言えようかと思います。そういう意味におきましてそれぞれ手法が違うわけでございますので、それぞれの概念と手法に沿ってこれまでもやってまいりましたし、また必要に応じまして関係各省、関連するところと協議会等も持って、相談しながらテレトピア構想の推進を図ってきておりますので、地方の自治体その他関係の向きにおかれましては、今日ではテレトピア構想とニューメディアコミュニティー構想についての混乱といったような事態は生じていないというふうに考えております。  しからば、こうしたテレトピア構想に加えて、なぜ今回四号施設、いわゆる電気通信高度化基盤施設について税制上の支援措置等を講ずるのかということでございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、テレトピアにつきましては、通信インフラストラクチャーとしてのネットワークを構築するわけでございますので、これは俗に言う箱物を必ずしも想定したものではございません。ところが四号施設は、電気通信高度化を図るための拠点となる施設を構築いたしまして、いわゆる箱物を拠点として、その中に通信処理の中継施設とかCATVのセンターといったようなものを中心にして、さらに共同利用型の施設をもそれに投入するということでございますので、完全に両者の間には観点の違いがあるわけでございます。     〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕  一般会計の予算で、テレトピア関係で六十一年度、今年度成立いたしました額は七百万円でございます。この七百万円と申しますのは、テレトピア地域においてこれから計画がどんどん進んでいくわけですが、それに対する指導助言のために必要な経費でございまして、直接そのテレトピア計画を推進するための個々のプロジェクトに対して金を投入するというようなものではございません。  また、テレトピア計画につきましては、昨年十月に発足いたしました基盤技術研究促進センターから一定の条件を満たした推進法人に出資が行われますが、これにつきましては、六十年度二億五千六百万円全国で推進法人に出資が行われております。  いずれにいたしましても、このようにテレトピアに関しましては一般会計予算並びに基盤センターからの出資があるわけですが、施設についての助成措置はこれまでないところでございますので、本法が制定されることによりまして初めて課税上の特例措置その他の優遇措置が講じられるということでございますので、両々相まって高度情報化が進展していくものというふうに期待をしているところでございます。
  220. 杉山弘

    ○杉山(弘)政府委員 お尋ねのテレトピア構想とニューメディアコミュニティー構想の違いについては、ただいま郵政省の方からお答えがございました。私どももそのように理解をいたしております。  それから、私どもがやっておりますニューメディアコミュニティー構想、予算措置はとっておりますが、これは先生御案内のように、各地域のニーズに即して、同種のニーズを持つ地域については一カ所だけしか指定しないということにいたしておりまして、したがいまして、同じようなニーズを持つ他の地域が新しい情報化対策を講じようという場合には、予算措置は一カ所しかございませんが、ハードウエアを建設してまいります場合には今回の民活法案対象として助成することが必要であろうと考えるわけでございます。  また、対象地域についてはタブることにならぬか、こういう御質問もあるいはあろうかと思うわけでございますが、対象地域に指定されましたところにつきまして、私ども予算措置を講じておりますのはシステムの構築費だけでございますので、実際のハードウエアをそのシステムにのっとって構築する場合の助成措置というのは、やはりまた本法案に依存せざるを得ない、こういうことでございますので、特に従来までの財政上の支出とこの法案による助成措置がダブっているということには相ならないのではないか、かように考えております。
  221. 宮田早苗

    ○宮田委員 あとの部分は十五日にまたお願いするといたしまして、これで終わらせていただきます。
  222. 野田毅

    野田委員長 工藤晃君。
  223. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 この法案について伺いますが、この法案で言う民間事業者というのは、第三セクターもある、それから一〇〇%民間資本もある、ともに含まれると考えてよろしいでしょうか。  それから、第三セクターという場合、自治体の出資比率はどのくらいのものを想定しておるのか、伺います。
  224. 福川伸次

    福川政府委員 ここで申します民間事業者というのには、第三セクターのみならず純粋の民間企業も想定をいたしております。ただ、プロジェクトといたしましては、中核的な部分については第三セクターが入っている、こういうことを想定をいたしまして、従来私どもとしては税制改正を考えておったわけでございます。  また一方、地方自治体の出資比率はどのようなものであるかという点については、どのくらいであるかということを一律に言うことは難しいわけでありますが、それぞれのプロジェクトに応じまして、地域の実情によって、公共性の観点あるいは民間の効率的、機動的な経営能力の発揮という観点との兼ね合いで、恐らく地方公共団体も出資の比率を決めていく、あるいは関係企業と話し合いをしていく、こういうようなことになるのかというふうに思っておるわけでございます。  従来、若干幾つかの事例がございますのは、二、三割、四、五割ぐらいのものが多いように思いますが、これはそれぞれの事業の性格に応じて関係者の間で決められていくものと考えております。
  225. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 第七条の特定都市開発地区の指定及び開発整備方針について伺いますが、どういう必要があってこういうことをやっていくのか。
  226. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 この法案の二条の各号に出ております特定施設は、それ自体技術革新なり情報化国際化という最近の経済社会の変化に対応するために、産業行政上ないしは電気通信政策上等の観点から極めて重要な施設整備であるという考えを前提といたしまして、一方、都市整備の観点からも、こういう施設をいわば核として進めることが今後新しい都市整備を進める上で極めて重要であろうという考え方で、この制度を本法案の中に盛り込んだわけでございます。  具体的に申しますと、都市の開発整備の観点からいたしますと、公共施設などの都市の基盤整備と一体的にこういう特定施設整備が行われることによりまして、都市の拠点形成され、それが促進されるということが極めて重要でございます。これが特定都市開発地区制度、そういう拠点を囲みます一定の範囲を特定都市開発地区といたしまして、これを都道府県知事が地域の実情を十分踏まえて指定を行う、かつその地域内の開発整備については知事が開発整備の方針を示すという制度にしてございます。これが一般に公表されますので、一般事業者にとって将来その地区の整備方向が明らかになり、それを受けて民間事業者が個々の特定施設整備を決断するということになろうと思う次第でございます。
  227. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 時間が限られておりますので、答弁は簡単に。何かずっと読まれてしまうと、いつまでたっても終わらないエンドレステープみたいになりますので。  私が聞きたいのは、区画整理事業とか再開発をやっている地域の中にある地区を定めるわけでしょう。定めるということは、ここを全体の中で優先させるというねらいがあるのか。優先させるという場合、優先させる保証として何を考えているのか。それで、もしまたこういう優先させるところを再開発とか区画整理のところにつくると、今随分再開発とか区画整理は競合している、逆にほかのところがおくれる心配が出てきやしないか。そのことだけごく簡単に答えていただきたいのです。優先させるのかどうか、またどういう保証で。
  228. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 当然のことながら、そういう地区を重点的に整備することに相なるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、それによって全国的な再開発事業がおくれるとかそういうことではございませんで、このような特定施設整備が行われます地区を重点的に整備することによりまして、都市全体のいわば新しい形成促進されるというように理解してございます。
  229. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 また後でもう少し聞くかもしれませんが、私は特定施設整備促進の手法に幾つか疑問があります。  それは、主務大臣が六つのタイプの特定施設ごとに基本方針を定める、それから民間事業者整備計画をつくり、主務大臣が認定する、そして事業実施会社が事業を進めるというこのやり方というのは、住民参加というのは全く見られない。それから市町村自治体の町づくりというのも、これらの自治権というのが、この都市計画、都市再開発においては全く認められていない。そして、市町村自治体との協議ということさえ規定されていない。こういう問題があると思いますが、いかがでしょうか。これも簡単に答えていただきたいと思います。
  230. 福川伸次

    福川政府委員 今、市町村の点にお触れになられました。私どもは、これは先ほども申しましたように、中核的な部分には第三セクターが関与するというふうに考えております。地方公共団体の場合は都道府県あるいは市町村があるわけでございますが、都道府県が実施する場合に、当然その中に市町村の意見は十分尊重をすることになるわけでございます。実際問題として、そういった事業に参画するという形で、その関係地方公共団体、あるいはまたそれに関係いたします市町村の意見は、その中に吸収し得るというふうに考えております。  私どもでは、今申し上げましたような事情、あるいは行政制度の簡素化という趣旨にかんがみまして、法律上一律に地方自治体の意見を聞くという仕組みをしなかったわけでございますが、実際の認定に当たりましては、必要に応じまして十分地方公共団体の意見が反映するような運用をいたしたいと考えております。
  231. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 反映させるといっても、この法律の条文上どこにもそれはありませんし、第三セクターといったって、仮に五割ということでも、相手が大きなJAPICみたいなところだとか、そういうところなら何の指導性も出てこないし、まして地域の本当に草の根の町づくりというならば、やはり自治体で住民参加で計画が練られるということが保証されなければならないという立場から今の質問をしたわけですが、これに加えまして、これは通産省の方で、マクロ経済運営についての研究会というところで昨年の六月にまとめた「報告書」を見ても、一人当たりの住宅の広さ、下水道普及率、一人当たりの公園面積は、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスなどと比べて大変おくれている。これは数字を挙げるまでもないと思います。  それからもう一つ政府のこれまでの五カ年計画を見ますと、六十年度が最終の五カ年計画を見ましても、第四期住宅建設五カ年計画で、私たちから見て大変不満足な、非常に低い計画でありながら、公営住宅は七二%、公団住宅は五五%しか達成していない。第五次下水道整備事業量は七五%しか達成していない。第三次都市公園等整備計画も七七%しか達成していない。そういうふうに、世界的に見て、今の日本の貿易摩擦問題で、日本の住宅は一体どうなっているのだ、下水道はどうなっているのだ、公園はどうなっているのだ、国民もその点では全く強く願っている。  これらの事業がおくれにおくれているときに、そういう手法の新しい公共事業といいますか、新しいやり方でやっていきますと、いわゆる民活法的開発にこれらの従来の住民のための公共事業というのが押さえ込まれていくのではないか。というのは、どうしても自治体がやる場合、基盤をつくるのに何らかの出資をしなければいけない。場合によれば、ある国有地はそっちの方に使ってしまうとか、そういうことになるわけですね。そういうことで、一番求められている下水道とか公園とかそういう公共事業に対して、ただでさえ計画が達成されていないのを一層悪化させるのではないか、こういう心配をしておりますが、その点はいかがでしょう。
  232. 福川伸次

    福川政府委員 公共事業に関する部分は、別途建設省の方からお答えさせていただきます。  冒頭、マクロ経済研究会の御報告を引用なさったわけでございますが、私どもも、住宅あるいは生活関連の社会資本のおくれがあります点、これは内需拡大という見地から効率的に進められるべきというふうに思っておるわけでございます。  私どもも、今回ここでお出しいたしましたのは、別に今申した住宅とか社会関連資本等、これのさらに財政的な圧迫になるようなことを考えているわけではなくて、私どもとしては、長期的にこういうものが二十一世紀にかけて重要だということで考えているわけでございます。  公共事業の計画等につきましては、建設省からお答えさせていただきます。
  233. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生おっしゃいますように、下水道とか公園等の都市施設整備が諸外国、先進国に比べましておくれています。国民のニーズも非常にこれに対して強いということでございます。このため、御存じのように、昭和六十一年度を初年度とする第六次の下水道整備五カ年計画なり第四次の都市公園整備五カ年計画を策定して、これらを重点的に整備を進めてまいりたいと思っております。  ただ、今回この法案考えております特定都市開発地区は、先ほど来申し上げましたように、新たな今後の都市の形成の核でございまして、やはりその整備のために基幹的な街路なり公園等の都市施設整備は必要でございますが、これは、それによって裨益するところが非常に大きいこと、それから、余り大きくない投資によって、民間活力によって大きな都市形成が図れるという意味で、やはり他の地域のこれら公共施設整備と同じように極めて重要なものというふうに考えております。
  234. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それから、先ほどもこれは問題になったのですが、こういう施設整備というのを上から下へ押しつけるようなやり方でやるだけでなしに、上物については通産、郵政、運輸、それからいわゆる基盤、地べたについてはそれらに建設が組み合わさる、それから特定都市開発地区で特に国際会議施設なんかになると通産、運輸、建設と大変ややこしい組み合わせになっていくのですが、さっき言ったように、住民の方、それから地方自治体の方から言うと、まとまって一つのプランを進めたいというとき、ともかく三つも四つも省庁が競合するようにして、これをやったらどうか、あれをやったらどうだというようなことになってくると、私は既に幾つかの自治体からもそういう話を伺っているわけですが、これだけはやめてほしいなという意見を聞いているのですが、一体どうなんでしょうか。
  235. 福川伸次

    福川政府委員 これまでの御論議の中でもしばしば御指摘がございますように、これは私どもも、いろいろな側面から各省庁が特定の施設整備しようということでございましたが、助成のスキームが類似をいたしておりますし、あるいはまた一部に同一施設対象にする、こういうことでございますので、むしろそういった調整を政府部内で関係省庁の間で図っていこう、それがむしろ地方公共団体あるいは関係民間事業者のための便宜になるのではないか、また行政の効率化になるのではないかということで考えた次第でございます。  確かに、最近はいろいろな大きな複合的な施設になっておりますから、いろいろな側面関係省庁と関連はいたすことがございますが、要は、その施設が効率的に全国的な意味で効果を上げ、しかもその都市の再開発ともうまくマッチするということが重要であるわけでございまして、そういう意味では、こういう形で関係省庁が従来の垣根を越えて協調して一緒にやっていくということは、私どもとしては、今後十分効果を上げ得る一つの仕組みであると考えているわけで、その点御理解賜りたいと思います。
  236. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 従来の垣根を越えてというのは、私はなかなか信用できないのですが、次に移ります。  法案施設整備対象となるプロジェクトとしていろいろ説明を受けましたし、いただいた資料の中にも入っております。この中で、例えば国際展示場というと、出てくるのが宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、新潟県、岡山県、熊本県で七地域で、国際会議場は宮城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、熊本県、宮崎県、香川県と七地域が拾えます。それから国際会議場については、首都圏に国立の国際会議場をつくる計画も進められているというふうに聞いておりますが、こんなに競合していて、一体これだけ要るのですか、一体これをどうしようとなさっているのですか。これからこういう法律ができてしまうとますます競合状態を激しくして、結果としていろいろまずいことを起こすのじゃないかと心配しておりますが、いかがでしょうか。
  237. 福川伸次

    福川政府委員 この法案によります主務大臣の認定でございますが、例えば今御指摘の国際見本市あるいは国際会議場、こういうものについてこれを取り上げるかどうかといったことについては、将来にわたる施設の需要の見通しを考えるのは当然でございますし、また民間事業者自身も、自分たちの経営的な経験に基づいて適切な収益計算を行って、事業の遂行の見通しが確実であるということでなければ進めるわけにはいきませんし、またその点は認定をする際に十分考えるべきであると思っております。  現在、確かに国際見本市場あるいは国際会議場は不足でありますが、もとより、委員指摘のようにこれが乱立あるいは過剰ということになれば、当然そういった収益計算に影響を及ぼすことになるわけでございまして、したがいまして、それぞれの地域の需要に見合った形でこの施設整備が進められるようにこの運用を図る考えであります。
  238. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 ちょっと念のため伺いたいのは、首都圏で国立国際会議場の計画というのを聞いているのですが、そういうのも同時に進められていくわけですか。そうするとますます乱立することになるのじゃないですか。
  239. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 今ほど先生がおっしゃいました国立の国際会議場という話はちょっと私もよく存じませんが、まず首都圏の場合は、これは国土庁の御分担でございますが、首都圏の中において大規模な国際会議場なり国際見本市会場等、そういう国際的な機能をどのように配分していくかというのは、現在策定が進められております首都圏整備基本計画等の重要な一つの課題だというふうに理解しております。
  240. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 建設省も御存じないなら、そういうのはないというふうに考えていいと理解しますけれども、ともかく今言ったように、ここも国際会議場、あそこも国際会議場といってそんなことできるわけないのは、京都の国際会議場をごらんになったってわかると思うわけです。ですから、何かそういうことをあおるような内容になっているということが一つ非常に心配です。  これはテクノポリスでも同様で、たしかもう既に十八地域ですか、テクノポリスと言う以上、何か研究的機能のものが必要だというのでこういう発想になる、これは理解できるのですよ。理解できるのだけれども、どの県にもこういうのが一つあって、果たしていわゆるハイテク産業の非常に大事な要素がそこに集積するような地域がどこにもここにもできるだろうか。私は決してそういうことにはならないと思うのです。これは過去に、ともかく重化学工業がすべてであるということで、臨海工業地帯で新産都市だ、そのほかいろいろな手法でそれがやられてきたけれども、特に後期に至っては大型の工業地帯が、むつ小川原じゃないけれども石油化学が来るどころか、逆に核燃料のごみためみたいになっていくような状態さえ出てくるし、多くの化学にしろそのほか金属にしろ、重化学工業の設備廃棄というようなことで不況に悩んでいる、こういう地域が広がっているわけですね。ですから、産業の交代が非常に徹しいわけですから、今度はハイテクならすべてうまくいくというような幻想を与えて競争をあおっていくというやり方は、結局は住民のニーズにこたえることにならないし、住民の利益にならない。その辺のところをもう少し考えなければいけないのじゃないかと思いますが、そこは通産大臣にお願いします。
  241. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 あなたの心配もないわけじゃないのですね。ないわけじゃないが、これが例えば国が六割補助、地元は二割出してあとは融資とかいうと、今言ったようなことになるのですよ、間違いなく。ところが、これはそこが民活だから、国が余り出さないんだから、自分で出していって自分がやるのだから、採算が全く合わぬとなったら自分が全部かぶるわけですから、それは乱立でとんどんみんなやるということに対してはかなりブレーキがかかる、私はそう思っています。  そこで、また全体として、ほかの地域のことはわからぬで手をいっぱい挙げてきても、今度は国の方で見て認可するときに、それは多過ぎると思えば、あなた、こういうわけだから採算が合わないよと注意をしてやればいいわけですから、その点は十分に心得てやるつもりであります。
  242. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 問題は、この法案の意図というのは、特別の地区を決めて、そしてそこを中核にして都市をつくっていくんだ、そういう手法だと言うのですが、私も非常に奇妙に思っているし、この辺、もっとはっきりさせなければいけないと思うのです。  これは私、東京都にも聞きましたが、ある新聞に、再開発促進地区が東京で百五十二地区で四千五百ヘクタール、再開発促進誘導地区が百六地区で四千二百ヘクタール、計八千七百ヘクタールあって、その中には御存じの汐留だとか大変なところがいっぱいあるわけですね。そうして丸の内の大手町でも八十五ヘクタール、新宿副都心でも七十ヘクタールですから、このうちの全部がそうなるわけじゃないけれども、この面積の広さたるや実に広大なものである。そして一方、神奈川ではみなとみらい21が百八十六ヘクタール、それから千葉では幕張の新都心が四百三十八ヘクタールといって、東京を中心にしてそういう極めて大規模な再開発計画がうごめいている。ですから、この法案の内容を考えるときに、この法案にのってくる再開発だけじゃなしに、全体として今展開されているいわゆる民活による再開発、その中でどういう相乗作用が起きてどういう結果が起きるのか、この辺もっと考える必要があるのじゃないか。  結論から言うと、どうも東京都の二十三区とかその辺を中心にして、大きな企業とか外国企業の業務的な、あるいは中枢機能的なものがどんどん集まってきてしまって、結局、全国的に言うとつり合いのとれた発展ということには逆行するようなことになるし、この法案だけでそういう結果をつくると私は言うわけではありませんが、全体の今の民活ムード等が、このやり方の中でこういうのを出されると、一層そういう方向を進めてしまうのではないかと考えるのですが、その辺、いかがでしょうか。
  243. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生御指摘の東京都の都市再開発方針、いわゆる再開発のマスタープランは、今ほどおっしゃいましたように、東京都の方でことしの三月に都市再開発方針の原案をつくりまして、近々、公聴会等、都市計画の手続に入る予定をしているものでございます。  お話ございましたように、再開発促進地区四千五百ヘクタール、誘導地区四千二百ヘクタール、合わせて八千七百ヘクタールの区部の一五%程度を今後の再開発、いわば長期的な再開発の目標にしてまいりたいということでございますが、これは、まず東京都に関しましては、東京都の多心型の都市構造、単に丸ビル、東京駅を中心とした中心部ではございませんで、上野、浅草とか大崎とか、いろいろな多心型の都市構造をつくるための再開発の方針でございます。  さらに広くは、首都圏整備計画等におきましては、この外縁に、例えば大宮とか、東京でいいますと立川のような地区に、いわば業務核都市という形で事務所の核をつくって、そこに再開発等を集中的に投資して、いわば均衡のとれた首都圏をつくっていきたいという大きなマスタープランもございますので、御指摘のような単に地価の上昇とかそういうことには相ならないものと考えております。
  244. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今の説明を聞いたって全然さっき言ったことの答えにはならないと思うのですが、東京でこれほど大規模な再開発をやって、それから周辺でもいろいろ出てくるとき、業務がどこへ集積していくかということが非常に大事な問題なんですね。それによって人口の移動も起きますし交通問題も起きます。それから、本当を言えば全国的にもっと分散しなければならないという必要があるときに、実際、最近の都心の地価の驚くべき高騰に見られるような結果がもっともっと広がるということを私は指摘したわけです。  さらにこの法案につきましてちょっと伺いたいのは、特定施設整備への支援措置ということで見ますと、第十条ですが、いろいろあるけれども主として地方税ですね。不動産取得税それから固定資産税、特別土地保有税、事業所税、その軽減とか非課税とかなんです。とりわけ私が申したいのは、全然協議にもあずからない市町村の固定資産税、特別土地保有税まで二分の一転課だとか非課税だということで、地方自治体というのは計画には参画しないけれども、結局税金面で負担を負わされるというばかな目に遭う、ひどい目に遭うということになるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  245. 福川伸次

    福川政府委員 御指摘のように、ここに課税の特例は国税の特別償却、それから今御指摘地方税が盛り込まれておるわけでございます。この点に関しましては、各地方公共団体に交付されます地方交付税の税額の算定の基礎となります税収がその分減少するわけでございまして、したがって、この分がそのまま地方公共団体の負担に必ずしもなるということではないというふうに私どもは思っております。  ただ、いずれにいたしましても、従来であればあるいは地方公共団体がやったのかもしれませんが、こういった施設整備されるという意味では、そこの地域経済活性化をいたしますし、そういった施設もここにふえていく、集積が高まっていくということでございますので、私どもとしては地方公共団体も間接的に潤っていくということになるのではないかと考えております。
  246. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今の説明はおかしいですね。今随分地方団体の中には不交付団体というのがふえまして、交付税の関係では全然関係が出ていないところが広がっているということもありますし、直接税収が減ってしくということは そこの独自の財源を失っていくということですから、これは大変な問題なんですね。そういうことぐらいはちょっと理解していただきたいと思うわけであります。  そこで、もう時間もだんだんなくなってきましたので、この法案のねらいを知るために商工委員会の調査室の要点及び問題点というのを読んだところが、四省庁の対象プロジェクト一覧表がありますが、共通しているのがみなとみらい21計画というので、四省庁のどれにも共通して出てくるわけなんで、そういう意味でこのみなとみらい21計画というのは確かに各省庁が注目しているところだなと思うのですが、どうしてそういう結果になったのか。これは簡単に感想でもいいからお聞かせ願いたいと思います。
  247. 福川伸次

    福川政府委員 今御指摘のように、関係省庁の関与するというのはそれぞれ各省庁の任務に基づいて関与をしてくるわけでございます。私どもといたしましては、むしろ国際見本市のための施設あるいは国際会議といったような国際経済交流を果たすということに関して深い関心があるわけでございます。もとより、そういう形で進むということは、直接間接内需拡大にもつながるし、二十一世紀に向けての基盤整備に役立つという観点でこのプロジェクトというものについての関心を深く払っている次第でございます。
  248. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そうすると、ますますここで展開されている計画に対する支援も各省庁は考えているということがわかったわけなんですが、いろいろ問題があると思うのです。  これは地元の神奈川新聞という新聞がありますが、八五年五月六日に、みなとみらい21、MM21というのだが、これは三菱みらい21と言われているということなんですね。そういういろいろ批判を受けている。民間民間とここで言うと、民間イコール三菱グループになっているのではないか。今度の法案が具体的にこういう形でやるのだ、それを支援するのだというのが、まず民間イコール三菱グループというのでは、さっきの草の根民活というのはどこかへ行ってしまうのではないか、そう言われていることは御存じでしょうか。
  249. 福川伸次

    福川政府委員 私ども、このみなとみらい21ということの中に三菱系の企業が関与していることは承知いたしております。ただ、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、ここで考えられておりますプロジェクトが、いわゆる将来の二十一世紀をにらんで国際経済交流ということの基盤施設として重要な政策的な意義がある、かように考えている次第でございます。
  250. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 もう少し説明したいと思うのですが、このみなとみらいの中心的な部分というのは三菱重工の造船所の移転跡ですね。それで移転跡地というのが三十一ヘクタールあったのですが、三ヘクタール残して二十八ヘクタールを売ったわけです。売った相手は横浜市、住都公団、三菱地所ということですが、これは一平米大体二十四万から二十五万ぐらいで売っておりますから、六百八十億円という収入があった。一方、本牧、金沢の市が埋め立てたところ、合わせまして五十四ヘクタールあります。自身で埋めた一ヘクタールがありますが、それはちょっと除いておきまして、本牧の場合は一平米一万円弱、それから金沢の場合は一平米七万円という値段で手に入れたわけですから、これらを総計してみますと二百五十一億円ということになりますか。そうしますと、差額は四百三十億円の収益があったわけです。土地からいいますと、二十八ヘクタールを売って五十四ヘクタール買って、しかもこれだけ差額が出たというのですから、土地は約倍近く広がって、それで差額はこれだけともかく出てきているわけです。  しかし、これはまだまだ音楽で言えば第一楽章みたいなもので、第二楽章は何かというと、三菱地所が横浜に陣取りを始めたということになります。それはさっき言いました三菱重工の土地をあれだけ買ったということもありますが、特に桜木町、横浜駅、ここが一番近いところですが、桜木町のゴールデンセンターを買収したとか、横浜駅の東口のスカイビルの株の五七%を持ったとか、こういうことになってきました。そうしてこれは三菱地所の社内報の「丸ノ内」などを読みますと、もう既に彼らが真っ先にやろうとしている二十五街区三・八ヘクタールにどういう人たちが入ろうとしているかと盛んにいろいろな調査をやりまして、これは八五年の陽春号というのですから去年の春ごろだと思いますが、ここはまだ容積率二〇〇%のところなんですが、今年度には必ず四〇〇%に変更指定がなされる、間もなく八〇〇%になるであろうということを堂々と言って、そうすると池袋サンシャインシティーと比べて七割ぐらいのすごいビルが出現する、第三の都心形成を目指すというぐあいにして盛んにやって、自分が容積率を変えるのだと言わんばかりの調子でこれを出しているわけです。  それに加えまして、御存じのように株式会社横浜みなとみらい21という第三セクターができまして、これは五〇%、五〇%で自治体と民間が分けておりますが、民間の方で単独でその半分を出しておる、つまり全体の四分の一を出しておるのは三菱グループでございます。そして、役員の中でも断然強いのが三菱グループで、大体私が勘定しただけでも五人は入っている。トップにいるのは高木文雄さんですが、あの方は大蔵省出身、国鉄出身の方ですからそれ以上論評するわけじゃないのですが、こういうふうにしてまさにみなとみらい計画に対してもう三菱地所が物すごい意欲を持って入り出しているということ。それで、たとえこの株式会社横浜みなとみらい21が半分、半分であるとしても、何といっても丸の内以来の都市再開発とか業務地を整備するノーハウを持っているのは三菱地所ですから、そしてこの会社が特に一番大事な中央地区ですか、そこをどういうふうに分割するかとかいうようなことを決めていくという大変重要な役割を果たすということになるわけです。  それで、さらにその後の第三楽章、第四楽章で私が考えているのは、現地盤が百十ヘクタールある、埋め立て分が七十六ヘクタール、百八十六ヘクタールになるわけですけれども、市が埋め立てる七十六ヘクタールについて言いますと、そこを何か業務地みたいにして高く売れそうなところ、売る計画のところはそのうちごく一部分でありまして、十八ヘクタールが宅地利用処分で、残りの七六%の五十八ヘクタールというのが総局緑地、オープンスペース、道路、公園などに充てるということになるわけですね。そうすると、もう三菱地所の方はさっきの二十五街区ですかで早速どんどん新しい構想を、高密度利用をやろうとしているときに、市がやる役割というのは、埋め立てをして、どちらかというとそれを高く売れるようなことをしなくて、オープンスペース整備の側に回ってしまう。一方、どんどん高度利用されるところは三菱が中心になって、そしてたちまち今の二十五万円ぐらいの土地があるいは一千万円を超えるようになるかもしれない、そういう状況になってくるわけなのです。  しかも、私はこの社内報を見ていてなかなか複雑なことを考えているなと思ったのは、実はここで、横浜市の計画の中で国際会議場を非常に重視しているわけなんですが、三菱地所の方からいえば、早くここに三菱として大きな会議場を持つ国際ホテルをつくる、そうすれば国際会議場なんてこれで間に合ってしまうじゃないかということを言って非常に意欲を燃やしている、こういうありさまもあるわけです。そして結果として、さっき言った埋め立てをしたりするのは横浜市がやって、その金額だけでも恐らく二千億円を超えるということになる。これはやはり市民の負担にかかってくるということになるわけで、さっき言いました、民間活力と言うけれどもここでは民間イコール三菱グループになっているというのが紛れもない事実なので、さっきから草の板とかいろいろ言いましたけれども、こういうやり方がこの法案によって一層広がるということ、あるいは促進されるということは極めて重大だというふうに私たち考えるわけです。本当にもっと発想を変えて、今公園が足りない、緑地が足りないというなら、造船所の跡地をそのまま公園にしてしまえぐらいの発想になぜならないのかということでございますので、どうかそういう点で大企業中心の再開発促進されるようなことがないように、ひとつ大臣にお答えを願いたいと思います。
  251. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生御存じだと思いますが、MM21の計画というものは、現行の第三次首都圏整備基本計画においても各都市の一つのシンボル的な地位を占めているものでございます。それからまた、横浜市におきます港湾機能の再配置なり新しい横浜の再生のための商業機能の強化という意味でいわば中心的なプロジェクトでございまして、私どもが理解するところによりますと、こういう意味から今回の制度で特定都市開発地区を多分横浜市としては指定して、横浜市の考える土地利用の形態をここでとっていくものと理解してございます。  なお念のため、三菱グループの所有地は、現在住宅・都市整備公団が行っております区画整理地区七十四ヘクタールのうちでは十九・三ヘクタールでございまして、将来のことでございますが、減歩等のことを考えておきますれば、相当の負担をもって新しい都市開発が行われるということでございます。
  252. 福川伸次

    福川政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、みなとみらい計画、これは横浜市も関与いたしました、私どもとしましては政策的な需要の高いプロジェクトであると考えております。したがいまして、この実際の運用に当たりまして、いやしくも不公正にならないように、私どもとしても運用には十分気をつけてまいるつもりでおります。
  253. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 大臣、いかがですか。
  254. 渡辺美智雄

    渡辺国務大臣 局長が言ったことで尽きております。
  255. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これで終わります。
  256. 野田毅

    野田委員長 次回は、来る十五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十七分散会