○長田
委員 次に、
情報化社会の脆弱性についてお尋ねをいたします。
情報化の進む中にありまして、実は本人が承知しないところで個人の
情報が収集、利用され、本人に思わぬ不利益を及ぼす、こういうような問題が起きておるのですね。ここ数年、個人データの保有量が急増しておりますものに消費者信用
情報機関のものがたくさんあるわけであります。すなわち、クレジット社会、カード社会を反映して信用取引は急成長しておりますが、例えば各銀行が加盟しておる個人の信用
情報センターの持つ個人データは、昨年三月末現在で七百四十八万作。ここ四年間でそのデータの数は約四倍に伸びております。また、サラ金
関係の全国信用
情報センター連合会は七百六十八万人のデータを持っておりまして、−件数ではこの三倍に急成長といいますか、数がふえておるわけであります。また、割賦
関係の会社では、五百社くらいあるのでありますけれ
ども、会員となっております信用
情報交換所、これも千四百五十万件というふうな膨大なデータを実は抱えておるという
状況であります。
実際問題、サラ金なんかで金を借りに行きますと、あなたはほかのサラ金でどのくらい借りてますね。すぐわかりまして、私の方のサラ金にひとつまとめてはどうでしょうかとか、我々ではわからないところできちっとそういうデータが出てしまって、サラ金の誘惑に遭うというようなデータが実は出回っているのですね。
そういうような
状況で、総理府では昨年の十月二十七日に「個人
情報の保護に関する世論
調査」、この結果について発表いたしました。これを見てまいりますと、五年前に行った
調査結果と比べまして、
情報化社会における
国民のプライバシー侵害への危機感は非常に高まっておるという
調査結果が出ております。つまり、どんなときにプライバシーが侵害されたと思うかというような問いに対しまして、回答は、ダイレクトメールが頻繁に舞い込むというのが三三・二%で、五年前に比べて大幅にふえておる
状況でございます。以下、自分や家族のことでうそを言いふらされたとか、自分に関する資料が知らないうちに集められていたなどの順となっておるわけであります。このように、頻繁に郵送されてまいりますところのダイレクトメールあるいは
電話攻勢の洪水に、自分の住所や職業あるいは子供の出生などをどこで知ったのかという不安を持った人たち、
経験者は非常に多いのじゃないかと私は思います。
このように世にはんらんする個人
情報の中で、
国民自身は全く無防備であり、対抗するにしてもなすすべがないというのが現状であります。こうした現状に対しまして、行政による具体的な措置がほとんどなされていないということもまた現状であります。
一九七〇年代に入ってからは、欧米諸国ではプライバシーに対する
考え方が、従来の他人に知られたくない権利から、より積極的、能動的に、自分についての
情報の内容を知り、その
情報を許可なしに他人に利用させない権利として位置づけられるようになったわけであります。この
考え方に立ちまして、七三年のスウェーデンを皮切りにいたしましてプライバシー保護法が相次いで制定されました。八〇年にはOECDが、公共、民間両部門における個人
情報の保護の法
整備を求める勧告を実は行っております。そして、これまでにOECD加盟二十四カ国の中で十二カ国で
法律が制定されました。残りの大半の国も政府案を決定したり
審議中であり、いまだに着手してないのは日本とアイルランド、トルコの三カ国にすぎません。
我が国におきましても、有識者をメンバーといたしまして行政管理庁のプライバシー保護研究会が五十七年の七月に報告書を提出をいたしました。公共、民間両部門を
対象としたプライバシー保護の基本原則に立ちまして
法律を制定するように
指摘をしておりまして、実は我が党といたしましてもプライバシー保護の法制化を強く主張しておるところでございます。しかし、その後法制化については何ら具体化されていないというのが現状のようでございます。
そこで、こうしたプライバシーの保護について、私はぜひ日本も、OECD二十四カ国で三カ国だけが着手されていない、手をつけてないという現状では、私は先進国日本としては甚だ恥ずかしい
状況ではなかろうか、このように
考えますが、この点いかがでしょうか。