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1986-03-05 第104回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月五日(水曜日)    午前九時四十分開議 出席委員   委員長 野田  毅君    理事 奥田 幹生君 理事 佐藤 信二君    理事 野上  徹君 理事 与謝野 馨君    理事 城地 豊司君 理事 和田 貞夫君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       加藤 卓二君    梶山 静六君       岸田 文武君    高村 正彦君       椎名 素夫君    辻  英雄君       仲村 正治君    原田昇左右君       奥野 一雄君    後藤  茂君       中村 重光君    浜西 鉄雄君       水田  稔君    横江 金夫君       渡辺 嘉藏君    近江巳記夫君       木内 良明君    草野  威君       青山  丘君    横手 文雄君       工藤  晃君    野間 友一君  出席政府委員         通商産業大臣官         房総務審議官  鎌田 吉郎君         中小企業庁次長 見学 信敬君  委員外出席者         参  考  人         (全国金属鉱業         振興対策協議会         会長)    佐々木喜久治君         参  考  人         (全国鉱山所在         市町村協議会会         長)      岡村 勝文君         参  考  人         (元日本鉱業協         会会長)    西田  堯君         参  考  人         (日本非鉄金属         産業労働組合連         合会中央執行委         員長)     姫野 庄三君         参  考  人         (全日本資源産         業労働組合連合         会中央執行委員         長)      中西敬一郎君         参  考  人         (日本陶業連盟         会長)     宮崎  晃君         参  考  人         (日本金属洋食         器工業組合理事         長)      金子 司良君         参  考  人         (日本綿スフ織         物工業組合連合         会副理事長)  村上 亀六君         参  考  人         (日本絹人繊織         物工業組合連合         会理事長)   秋常外喜雄君         参  考  人         (社団法人日本         玩具協会会長) 山科 直治君         参  考  人         (全国中小企業         団体中央会副会         長)      中島 茂清君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ————————————— 二月二十七日  企業危険管理に対応する人材育成制度法制  化に関する請願嶋崎譲紹介)(第九四九号  )  企業人材資源専任制度法制化に関する請願  (嶋崎譲紹介)(第九五〇号)  中小企業円高不況対策に関する請願小沢貞  孝君紹介)(第九五一号)  同(串原義直紹介)(第九五二号)  同(清水勇紹介)(第九五三号)  同(中村茂紹介)(第九五四号)  同(林百郎君紹介)(第九五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件。  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野田毅

  3. 野田毅

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 野田毅

    野田委員長 まず、午前中の参考人として佐々木参考人岡村参考人西田参考人姫野参考人中西参考人、以上五名の方々に御出席を願っております。  なお、そのほかの方々には午後から御出席を願うことになっておりますので、さよう御了承願います。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  ただいま本委員会におきまして、特に急速な円高影響問題について調査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず佐々木参考人お願いいたします。
  5. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 秋田県知事佐々木でございます。  本日は、鉱山所在自治体代表の一人といたしまして意見を述べる機会を与えていただきましたことを、心からお礼を申し上げます。我が秋田県は、古くから鉱物資源に恵まれ、特に非鉄金属につきましては、明治、大正以来数多くの鉱山開発され、鉱山県としての地位を確保してまいりました。その間、昭和三十年代には秋田県の北部におきまして、世界に例のない高品位の金、銀、銅、鉛、亜鉛のほか、最近の先端産業に欠くことのできない各種レアメタルを含んだ黒鉱鉱床が発見され、その後、国、県、企業による探鉱の結果、次々と有望鉱床が発見されており、現在この黒鉱を中心に、大館市周辺で小坂、花岡、釈迦内など六鉱山年間百八十万トンの鉱石を採掘いたしております。これらの鉱山から産出する金属量国内鉱出金属生産量と比較いたしますと、金が二八%、銀が四三%、銅が六三%、鉛が四六%、亜鉛が四〇%となっております。  また、これらの鉱石を製錬するため、銅、鉛、亜鉛の製錬所が県内の三カ所に立地しており、これら非鉄金属鉱業従業員は三千五百人に及んでおります。また、鉱山の集中しております大館市と小坂町の鉱山関連人口は約一万四千六百人で、総人口の約一八%を占めております。このように、鉱山地域経済にとって基幹的な産業として位置づけられており、したがって鉱山関係者地域社会の中心的な担い手となっているのであります。  しかし、御承知のように鉱山は天から与えられた資源を採掘する産業であり、資源は再生産ができないために、常に探鉱を行いながら鉱山存続を図っていかなければならない宿命を持っております。また一方、その金属価格はその形成が国際市場で決められるなど、特殊な性格を持った産業でございます。  このような特殊性に基づき、国の基本的政策として各種鉱業政策が実施されてきたのでありますが、これらの政策の最近の経過を見てみますと、昭和三十八年の貿易の自由化に当たっては金属鉱業事業団の設立、昭和五十三年の市況低迷時の緊急融資制度の創設、五十六年には休廃止鉱山鉱害防止のための抗廃水処理補助制度など、経済環境に対応して時宜を得た施策がとられてきております。  一方、金属市況は、昭和五十四年から五十五年にかけて一時的な回復が見られたものの、それ以降長期にわたり低迷を続けてきたのでございますが、各鉱山は、政府のこれまでの各種施策を受けて、新鉱床探鉱経営合理化に努めるなど、企業存続にあらゆる努力を重ねてまいられました。  しかしながら、それでもなお中小鉱山赤字操業が続いていたやさきに、昨年の九月以降の急激な円高影響を受け、これまで優良鉱山とされてきた、銅換算で約一〇%の高品位黒鉱を最新鋭の設備で採掘しております秋田県の餌釣、深沢鉱山でさえも赤字操業に転落しており、今後の鉱山存続が極めて心配される状況になっておるのであります。  ちなみに、本県の場合で申し上げますと、円高一円について年間一億六千万円の損失と推定をいたしております。この未曾有の危機に直面した各鉱山は、従業員配置転換下請企業に対する発注の削減、資材購入の節減など、大館市、小坂町合わせておよそ二十億円の受注減となっております。これに伴いまして、現在時点で下請企業従業員百十七人を削減解雇するという措置をとっておるのであります。また、地方団体関係では、鉱産税が約一億三千万円と約五〇%の大幅な減収になっておりまして、地域経済に大きな影響を与えているのであります。  したがって、さきにも申し上げましたように、鉱山地域社会とのつながりがまことに大きいために、国内鉱山は何としても存続させる必要があり、そのためにも、国内鉱山位置づけを明確にして基本的鉱業政策を立法化するなど、鉱山存続のための方途を考えていただきたいのであります。いずれにいたしましても、現在国で実施されておりますいろいろな鉱業政策では、この円高を乗り切れる状態ではないのでありまして、当面、急激な円高に対する施策について御検討をいただきたいのであります。  そこで、一つ御提案を申し上げたいのでございます。  昨年九月の五カ国蔵相会議によってつくられた円高誘導政策というものは、日本経済全体に大きな影響を与えていることは御承知のとおりでありまして、その中でも国内鉱山は最も激しい影響を受けた産業であります。また反面に、このたびの円高で思いがけない好影響を得られる産業もあるのでありまして、その利益の一部をもって安定化資金を確保して、円高による影響を受けた産業分野危機救済のために利用したらいかがかと考えるものでございます。  この円高により思いがけず大きな利益を得られるその最たるものは石油輸入関連した産業であると思います。すなわち、原油の輸入価格はキロリットル当たり、円が二百四十円当時に比較いたしますと、二百円で六千五百円、百八十円で一万円程度の値下がりがあるものと推定をされますので、この円高差益に対しまして、例えば二百円の場合には二千円、百八十円の場合には三千円といったような臨時課徴金的な負担をしていただきまして、この財源で円高影響を受けている鉱山等産業救済のほか、問題となっております海外援助等に充てることとしてはいかがなものでございましょうか。このような制度の新設は大変なことと存じますが、国内鉱山存続させるためにも英断をもってこの政策の実現に格段の御配慮をお願いいたしたいと存じます。  以上をもって私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  6. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  次に、岡村参考人お願いいたします。
  7. 岡村勝文

    岡村参考人 私は、全国鉱山所在市町村協議会会長をいたしております兵庫県大屋町の町長でございます岡村勝文と申します。  平素は御列席の諸先生を初め関係国会議員の諸先生方には何かと私ども市町村振興のためにお力添えをいただいており、厚く御礼を申し上げる次第でございます。また、本日は大変貴重な時間を割いていただきまして、私ども意見をお聞き取りくださる機会を設けてくださいましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。  御指名をいただきましたので、国内非鉄金属鉱山を抱える地元市町村立場から意見を申し述べさせていただきます。  全国の私どものような鉱山の所在する市町村は、一様にこのたびの急激な円高によりまして企業経営不安が生じております。地域住民ひとしく非常な切迫感を持って受けとめております。諸先生方には既に御高承のことと存じますが、我が国国内非鉄鉱山は、いずれもその鉱物供給量といたしましては、割合といたしましてはそれほど高いものではございませんが、資源安定供給源といたしまして、また技術維持向上等の見地から、今後も安定的存続を図ることが我が国施策として推進されるべきであり、しかも鹿児島県の菱刈鉱山の例にもみられるとおり、今後の探鉱促進によってはなお優良な鉱物資源の発見の余地も十分にあると存じます。  私ども全国鉱山所在市町村は、いずれも地理的条件の悪い山村地域が多く、平たん地も少なく、経済的基盤も弱く、社会的にも非常に不安定であります。現在の経済情勢では農林業にも大きく頼り切ることもできません。多くを鉱山に頼っております現状でございます。したがいまして、どうしても鉱山企業城下町的な性格の濃い市町村にならざるを得ない、そういうところでございます。  私の町におきましても、昭和三十年代からの急激な経済成長非鉄金属自由化等に伴う企業合理化国際価格乱高下等による不安定な経済変動にもまれまして、多くの住民が町を去っていきました。昭和三十年の発足時には一万二千八十六人の人口がありましたのに、昭和六十年の国勢調査では六千四人と、二分の一以下に減少いたしております。典型的な過疎町であります。多くの鉱山のある町が私の町と同じような運命をたどっております。  このようなときに、今回、一挙に二五%という急激な円の値上がりによりまして、国際価格となっておりますところの銅、亜鉛等非鉄金属価格が暴落いたしまして、企業経営が極めて困難となっております用地元鉱山が閉山もしくは大規模な縮小となりますと、そこに働く多くの従業員は失業しますし、他に目ぼしい産業もないために転職も思うに任せない状況がございます。過去にも例が見られますように、多くの住民は仕事を求めて町を離れざるを得ないものと思います。また、鉱山には関連下請企業もございますが、これらも運命をともにしなければなりませんし、鉱山地域商工業者も廃業に追い込まれることは必至でございます。  一つの例といたしまして、私の大屋町について申し上げますと、明延鉱山という金、銀、銅、鉛、亜鉛すず等を産出する優秀な鉱山でございますが、先ほど申し上げました人口六千人余りのうち鉱山関係者が二〇%、戸数にすれば二四%を占めております。また、町民所得で申し上げますと、所得水準が全般的に低いという関係もございますが、全町民所得の三四%が鉱山関係で占めております。町の行政を担当する者にとりましても、町税収入の約二六%が鉱山関係で占めております。その点からは町の財政にも大きな打撃を受けるわけでございます。また、鉱山地域にせっかく整備いたしました公共施設等も無用のものとなってしまいますし、建設した経費のための借入金だけが残ることになりかねません。そのほかに郵便局などの公共施設廃止に追い込まれてしまいます。  私ども鉱山を持つ市町村長は、かねてから鉱山経営の厳しさ、こういうものはよく承知いたしておりますが、どうしてその中で地域を守っていくか、地域振興活性化の手だては何かと日夜悩んできたところでございますけれども、今日の急激な円高に直面いたしまして、一挙に鉱山経営危機に陥ったために、地域振興どころか、来年度の見通しすら立てられないという状況となっております。このように鉱山所在町は、町の存亡鉱山にかかっているということを御理解いただけるものかと存じます。  しかし、半年足らぬ期間に一挙に六十円という今回の急激な円高によるところの鉱山存亡危機は、単なる企業の労使による自助努力やそれから一地方公共団体支援では乗り切れるものではございません。今、突然にこういう山村を襲いました大台風か大地震が、そういうものに等しい災難でありまして、一生懸命働きながらそういうことを見ますと、私どもはやり場のない気持ちでいっぱいでございます。  辺地の山深い山村を持ち、努力している私どもにとりまして、鉱量が枯渇したということでありましたならばあきらめもつきますが、豊かな量を持ちながら山の灯の消えることは、あきらめ切れぬ感を深くいたすものであります。鉱山は一度閉山すると、もとに戻して採掘するには長い期間と莫大な経費を必要とすると言われております。  単なる一時的な経済性のみでなく、我が国の将来のために国の施策によりまして国内で産出する非鉄金属資源安定供給のために、安定した生産体制維持を図っていただきたくお願いを申し上げる次第でございます。このためには、価格安定の方途を講じていただくことが何よりも重要であります。非鉄金属価格の安定のための制度を確立していただきますようお願いいたします。また、国内の確認されている埋蔵量は、現在といたしましてはそう多くはございません。コマーシャルベースのみで、よいものだけを掘り尽くしてしまいますと、もう生産は終わりになってしまいます。まだまだたくさんある国内金属資源を探す探鉱事業を行い、国内資源開発促進すべきであります。国の探鉱事業拡充を特にお願い申し上げます。  幸い我が国非鉄金属鉱山は、過去から現在に至るまでそう大きな事故も起こしておりません。優秀な技術はたくさんございます。すべての鉱山を残すということはできないと思いますけれども、今手当てをすることによりまして残すことのできる優秀な鉱山はまだたくさんございます。これを国の政治的な力によって残していただきますよう切にお願いを申し上げる次第でございます。  市町村が私企業でありますところの鉱山全面的支援に踏み込む構えを示しますのは、鉱山経営の帰趨が決して人ごとではないということでございます。まさに市町村自体の問題と言い得るからでございます。私ども全国鉱山所在市町村協議会といたしましても、去る二月二十四日に円高対策緊急会議を開催いたしました。そして、一といたしまして、国内鉱山の安定的な存続のための抜本策早期確立。二といたしまして、経営安定化融資制度による低利融資制度弾力的運用。三といたしまして、事業団による国内探鉱の一層の拡充促進。それから中小鉱山への探鉱補助金制度の充実。五番といたしまして、電気特約料金制度の見直し。六といたしまして、特定不況業種特定不況地域関係労働者雇用安定法対象業種非鉄金属製錬業を加えていただきたいということ。さらに七番といたしまして、国会議員の諸先生方によりますととろの調査団派遣等をぜひともお願いいたしたい。こういうことを内容とする要望を採択いたしました。その内容が先ほど申し上げましたように企業救済事項になっておりますのもそのためでございます。また、私ども地元市町村といたしましても、これらの事項関連いたしましてできるだけの支援救済措置を考えているところでございます。  私の町では、国への救済お願いすることを第一義としながら、優良鉱床開発のための産業道路の開設、探鉱のための利子補給等について手がけております。ただ一いま例として申し上げましたが、これはひとり私の町だけでなく、多くの鉱山所在市町村が、多少の違いはありましても同様またはそれ以上の措置を講じているところでございます。このことにつきましてはお手元に説明資料がございますので、御高覧願いたいと存じます。そういう関係から、これらにつきまして特別な財政措置お願いいたしたいと思っております。また、市町村自身にも企業合理化による影響が大きくかぶさってくるおそれがございます。地域活性化対策につきまして、商工農林業を含めて地域の特性に応じた振興施策お願いをしたいものでございます。  ここで何としてもお願いしたいことは、かねてから要請しておりますところの国内非鉄金属鉱山安定的存続のために基本的な政策を確立していただくことでございます。大切な国内資源としての位置づけと、資源の存在する限られた地域の中でしか生産をすることができないものであることを御理解いただきまして、これの基本的な施策を確立していただくことを重ねてお願い申し上げます。  なお、念のために申し上げますけれども非鉄金属鉱山輸出産業とは違いまして、円高対策による救済によって輸出が増加するというものではございません。この点よろしく御理解を賜りたいと存じます。  以上、十分に意を尽くしませんが、私ども実情をお酌み取りくださいまして、何とぞ我が国国内非鉄金属鉱山並びに地元自治体経営安定のために、諸先生方の特段の御高配を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。  以上、発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手
  8. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  次に、西田参考人お願いいたします。
  9. 西田堯

    西田参考人 日本鉱業協会西田でございます。  本日は、商工委員会金属鉱山関係参考人としてお招きいただきまして、業界代表として御説明機会を与えていただきましたことにつきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。  私からは、現在国内金属鉱山が置かれております不況の実態と業界としての御要望につきましてお話し申し上げます。  御承知のように、私ども非鉄金属鉱業は、大きく分けまして鉱山部門と製錬部門とがありまして、鉱山部門におきましては銅、鉛、亜鉛といったベースメタルや金、飯あるいはタングステン、ガリウムなどの貴金属あるいはレアメタル鉱石を採掘いたしまして、これを送鉱し浮選いたしまして、いわゆる選鉱工程を経まして精鉱コンセントレートに仕上げるところまでを鉱山部門で行います。一方、製錬部門におきましては、これら鉱山から出てくる精鉱、いわゆるコンセントレートを自熔炉や反射炉を使いまして熔錬し、さらに転炉精製炉を使いまして品位が九八%くらいの粗地金に仕上げ、これを電気分解法地金に仕上げるわけでございます。  現在、昨年九月以降急激な円高金属価格の暴落によりまして特に苦況に陥っておりますのは、今申し上げました鉱山部門でございます。もちろん製錬部門につきましても、原料鉱石の多くをLMEまたはコメックス価格に準拠いたしましてドル建てで輸入しており、メタルに仕上げましてこの価格で販売いたします。ツーツーでございまして、製錬所に残ります収入といたしましては製錬加工費でございますが、これも同じドル建てになっております関係から、急激かつ大幅な円高の進行によりまして減収を余儀なくされておりますが、円高直撃度という観点から申し上げますと、鉱山部門の方ははるかに影響が大きく、かつ深刻なものとなっておるわけでございます。  金属鉱山は、オイルショック以前の昭和四十五年には国内で二百四十六鉱山ありまして、我が国資源産業の最も安定的な原料供給源となっておりましたが、第一次及び第二次オイルショックによりまして、昭和五十五年では七十一鉱山に、そして昭和六十年では実に五十九鉱山まで激減してしまいました。これに伴いまして従業員数も、昭和四十五年に三万三千八百人おりましたが、昭和六十年には九千二百人まで減っております。もちろんこの間にも海外資源開発とともに国内資源探鉱開発も進められまして、秋田北鹿地帯九州南部で有望な金、銀、銅、鉛、亜鉛を含む黒鉱山や金山が誕生しておりますが、全体といたしましては残念ながら衰退の一途をたどっているのが実情でございます。  これはなぜかと申しますと、一つには、二度にわたるオイルショックによりまして価格低迷が長く続きまして、非鉄金属鉱業の体質が著しく弱くなりましたことと、何と申しましても非鉄金属は国際商品でありまして、一般にその価格はLME、いわゆるロンドン金属取引所等におきまして決められ、それが世界の価格とされて、国内にも写真相場として適用されているために、鉱山、山元のコストがどのように変化いたしましても価格に反映できないという仕組みになっているのであります。したがいまして、金属鉱山円高・ドル安の影響を即座に一〇〇%ストレートに受けざるを得ないのでございます。  金属価格につきましては、オイルショック以降長期にわたり低迷を続けておりましたが、昨年秋以降は円高・ドル安誘導により相次いで暴落いたしまして、現在銅は一トン当たり二十万円、キログラムにいたしますと三百円でございます。鉛は十万円、亜鉛は十五万八千円となっております。これはいずれも昭和三十年の価格以下となっているのでございます。ちなみにLMEのポンドで申しますと、昭和三十年には三百五十ポンドでございましたのが現在九百九十ポンド、約三倍近くになっております。また、アメリカ・セントで申しますと、昭和三十年には三十五セントだったのが現在六十四セントになっております。約二倍弱になっております。全く円高のせいでございます。  また、これも皆様御承知のように、金属鉱山はそのほとんどが山間僻地に存在しておりまして、いわばその地域経済的中心となっており、そこでは役場、学校、病院から商店に至るまで地域ぐるみで運命共同体的社会を形成しているわけでございまして、どんなに経済性が悪くなり赤字が累積いたしましても、企業として直ちに閉山、撤退するということが簡単にはできない事情もございます。  さらには、鉱量が枯渇して閉山した後でも、坑廃水処理につきましては永久に責任を負わされているというのが実態であり、さらにはまた、最近に至り、閉山後、元従業員によるじん肺等職業病に関する集団訴訟が相次いでおり、企業負担をさらに大きなものとしております。  以上、金属鉱山を中心に実情を簡単に申し述べましたが、このように当業界におきましては、昨年来の急激かつ大幅な円高誘導政策の進行は、金属価格の暴落と相まって極めて大きな打撃をこうむっているのでございます。  当協会の計算によりますと、今次円高につきましては、一円の円高業界全体で年間十億円の減収鉱山部門で四億円、製錬部門で六億円の減収となることになりまして、昨年九月末の二百四十円台から最近の百八十円台までの六十円の円高によりまして、年間六百億円の大幅減収が見込まれておるのでございます。これに金属価格下落の影響を入れますと、国内鉱山のみで年間四百億円の減収となりまして、これは実に鉱山年間生産金額の三分の一以上に相当しておりまして、過去何回かの不況合理化と閉山によって対応してまいりました当業界にとりまして、これはもうかつてない一大危機でございます。  したがいまして、このような円高金属価格暴落による非鉄金属鉱業危機を打開するために、当業界といたしましては、次の三点につきまして特に国の政策的御配慮をお願い申し上げたいと存じております。  第一点は、ここまでの急激かつ大幅な円高政策によるひずみを是正するために、何らかの形で政策の修正をしていただきたいということでございます。  第二点は、国の基幹産業一つたる非鉄金属鉱業のあり方について、国内鉱山位置づけを含めた抜本的政策を検討し、国民的コンセンサスを確立するために、鉱業審議会を中心とした検討機関を早急に設置していただき、具体的対策の実施をお願いいたします。  そして第三点は、今次円高により大きく見込まれております差益の還元につきまして、電気料金の引き下げという形でユーザーへの早急な還元措置をとっていただきたいということでございます。現在、当業界では年間五十億キロワットアワーの電力を使用しておりまして、電力料金の引き下げによるコスト削減の効果は極めて大きいものと期待しているわけでございます。  諸先生方には、連日我々業界のために御熱心な審議を賜っているところでございますが、ただいま申し上げました非鉄金属鉱業が直面しております苦境につきまして何とぞ御理解と御認識を賜りまして、適切なる御配慮、御支援をいただきますよう、心からお願い申し上げる次第でございます。  御清聴まことにありがとうございました。(拍手
  10. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  次に、姫野参考人お願いいたします。
  11. 姫野庄三

    姫野参考人 御紹介をいただきました非鉄金属労連の姫野でございます。  本日は、私ども産業の窮状につきまして参考人として発言の機会を与えていただき、まことにありがとう存じます。  私は、労働組合の立場から、鉱山の現状と若干の意見要望を申し上げ、先生方の御理解と御支援を賜りたいと存じます。  私ども非鉄金属労連は、昭和五十七年九月、かつての金属鉱山代表的組合でありました金鉱の組織を継承、発展させる形で新たに発足をいたしました。鉱山、製錬、金属加工などを中心とする組合でありまして、組織人員は約一万七千名でございます。  御案内のように、昭和四十八年の第一次オイルショック国内鉱山、製錬所に大きなダメージを与え、諸合理化が相次ぎ、一部の鉱山ではコスト低減のための人員削減にとどまらず、鉱山の分離、別会社化など、中小独立鉱山として山命を延長し、地域に密着した地場産業として再スタートするなど、生き残るためのあらゆる方策が検討され、実施されてまいりました。五十一年七月の三菱の五鉱山分離もその一例でございますし、東洋一の亜鉛鉱山と言われました神岡では、五十三年七百名、第二次オイルショック後の五十六年には二百名の減員と、実に九百名に及ぶ減員、合理化が実施されました。そのほかにも、五十四年に日鉄鉱業の釜石鉱山の分離、別会社化と三百名の減員がなされたわけであります。  これら多くの減員対象者は、鉱山特有の社宅居住者であり、職を失えば直ちに居住の場を失うという悲惨な状況と同時に、地域経済や地方自治体にも大きな影響を与え、過疎化に拍車をかけてまいりました。  鉱山数や鉱山労働者数の推移を見てみますと、昭和四十六年当時、銅鉱山は七十一、労働者数では一万六千百二十五名、鉛、亜鉛鉱山は十二で七千三百十名、合計八十四鉱山、二万三千四百三十五名でありました。これは銅と鉛、亜鉛鉱山だけであります。六十年では銅が十二鉱山で約四千名、鉛、亜鉛が四鉱山で三千名、計十六鉱山、七千名となっております。しかも、本年に入りまして二鉱山が閉山し、一鉱山に閉山提案がなされている現状でありまして、この十五年間で見てみますと、鉱山数は八〇%、労働者数は七〇%以上の減少となっており、四十六年当時と比較しますと、約二割程度の鉱山存続しているにすぎません。こうした厳しい環境の中で、残された鉱山は、生き延びるための労使一体となった懸命の自助努力を積み重ねております。  一例を申し上げますと、秋田小坂鉱山では昭和四十五年採鉱員一人当たりの月間出鉱量は百七十トンでありましたが、現在では二百九十六トンと一七〇%の伸びを示し、岐阜県神岡鉱山では百七十トンを三百四十トンと二〇〇%、福井県中竜鉱山では百五十二トンを二百四十二トンと一五二%増というように、各鉱山とも人員減を機械化や労働者の努力によって生産性を上げ、出鉱量をふやしてきたのであります。  また賃金面では、六十年度における民間企業平均賃上げ額は一万八百七十一円でしたが、私どもは八千九百三十四円で、鉱山の過酷な労働と平均年齢が五歳も高いという実態を勘案していただけるならば、その実情は御賢察願えるものと存じますし、かつて大鉱山であった細倉鉱山などでは、六千円台という極めて低額で妥結を余儀なくされております。  期末一時金についても同様のことが言えます。一般水準は年間百二十万円、半期六十万円時代と言われておりますが、私ども年間で二十万円以上の格差をつけられ、中小鉱山では半期二十万円台というところも少なくありません。  以上申し上げましたように、金属価格の長期低迷の中で、鉱山の延命のためにじっと耐え、我慢をし、現在まで頑張ってまいりましたが、その苦しさにさらに追い打ちをかけるような急激な今回の円高は、まさに私ども産業に死を意味する過酷なものであります。  今日、銅の建て値は三十万円で三十年前の価格に低落し、亜鉛も大きく採算価格を割り込む十五万八千円に下落、鉛や、金、銀についても軒並み大幅な値下がりとなっております。このことは、結果として、閉山、休山、首切りを初め、レイオフ、賃金カット、時間延長、諸制度の見直し等、さまざまな合理化を誘発し、そのしわ寄せはいつの時代にも労働者へ向けられているのであります。労働組合として、まさに断腸の思いでこれら諸合理化に前向きに対応いたしておりますのも、ひとえに、国内鉱山存続と雇用の確保を最優先させているからにほかなりません。  いずれにいたしましても、ただいま申し上げました背景から考えまして、鉱山存続のために懸命の努力を行っても、もはや自助努力の限界を超えていると判断せざるを得ませんし、抜本策なくして国内鉱山維持存続はあり得ないと考えます。今日の円高政策誘導によるものである以上、現状の窮状打開も政策的に解決すべき問題であると考えますし、同時に、国内鉱山存続のための抜本策や、行き過ぎとなっている円高の是正は、少なくとも政府や政治の責任において行うべきものと考えます。  したがって、私は、次の諸点についての対策を強く求めるものであります。  まず第一には、国内鉱山維持存続を基本に、鉱業政策抜本策を審議、検討する場を早急に設置し、政策の確立を図ること。そして、設置されるその委員会には労働組合の代表も参画させるようお願いいたしたいと存じます。  第二には、今日の行き過ぎた円高を速やかに是正すること。  第三には、今日の異常とも言える急激な円高金属価格の現状から判断し、緊急避難の措置として、特別財源による価格差補給金制度を創設すること。  そして第四には、電力料金の問題であります。円高差益還元の形で料金引き下げを早期に行い、とりわけ電力多消費型産業であり、円高によって大きく打撃を受けている私ども非鉄金属製錬業等に重点的に配慮していただきたいこと。加えて需給調整契約料金の引き下げについても考慮していただきたい。  以上、極めて一方的な物の言い方となったと存じますが、国内鉱山の現状、置かれている立場、さらには各鉱山で働く山男たちの「おれたちがこれだけ苦しみながらも鉱山存続に執念を燃やしているのに、政策で何とかならないのか」という悲痛な叫びをお酌み取り願いたいと存じます。したがって、国内鉱山の中心地とも言うべき秋田黒鉱地帯の実態調査を、商工委員会超党派による先生方によって実施されるよう強く要請いたします。  そして、ぜひとも、国の重要な基礎素材として、我が国に金属地下資源がある限り、国内鉱山の灯を消さないよう重ねて抜本策の確立を強くお願いし、非鉄金属労連を代表しての私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手
  12. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  次に、中西参考人お願いいたします。
  13. 中西敬一郎

    中西参考人 私は、全日本資源業労働組合連合会、略称資源労連の中央執行委員長を務めております中西敬一郎でございます。  私ども資源労連は、新しく組織を結成いたしましてから本三月五日をもちまして満二十一年になります同盟傘下の産業別組織でございます。資源労連を構成します企業連、支部、単組各組合の大半は、四十年の歴史を持つ労働組合でも、ございます。  きょうは、私ども立場で、置かれております実態について申し上げまして、私ども産業に対する御理解と適切なる御助成を賜りたいと存ずるものでございます。  私ども資源労連は、昭和四十年三月に結成をいたしました。このとき私どもの組織内に三十九カ所の鉱山がございましたけれども、この二十年間に採算限界鉱量の枯渇によって三十鉱山が休閉山し、残るは、非鉄金属労連さんと重複する三鉱山を加えまして、九鉱山までに激減をいたしました。  私ども資源労連は、過去二十年間にわたりまして、労働条件の向上と同等のウエートを置いて非鉄金属産業政策に関する運動を行ってまいりましたけれども、その基本的考え方は、「非鉄金属資源の大半を海外に依存しなければならない我が国にとっては、長期展望に立った資源の安定確保体制が必要である。このような中における国内鉱山の役割は、非鉄金属資源安定供給源としての役割ばかりではなく、海外資源開発に必要な人材、技術の養成、確保に大きな役割を果たすとともに、地域社会における雇用並びに経済に大きな貢献をしてきている。したがって、国内経済の面からも、経済安全保障の観点からも、国内鉱山存続をぜひとも図らなければならない」とするものでございます。  私どもは、以上のような観点で、かねてから産業政策の要請をしてまいりました。これにつきましては、各党の先生方から党派を超えて深い御理解と御支援をいただいてまいりました。また同時に、私どもの生活基盤であります産業企業存続を図るために、みずからの取り組みとしてコスト削減のための合理化努力を労使一体となって進めてまいりました。  しかるに、昨年九月以降の急激にして大幅な円高により、金属価格の長期低迷に追い打ちをかけ、国内鉱山のほとんど全部を一挙に壊滅的な、いわばパニックと言える状態に追い込んでおります。  すなわち、金属価格におきましては、昨年四月と現状との比較では、銅がマイナス二五%、鉛がマイナス二九%、亜鉛がマイナス四三%となっておりまして、これらを三十年前の価格と比較いたしますと、銅は三十年前三十一万四千円でありましたけれども現在は三十万円、鉛は十三万二千円が十万円に、亜鉛がようやく三十年前ととんとんというありさまであります。一方、コストにつきましては、長期にわたって生産性の向上に努め、コスト削減を図ってまいりました経過からいたしましても、削減の余地は余りありません。ましてや急激なコスト削減は現実的に不可能であります。  言うなれば、円高によって金属価格は大幅に下落いたしましたが、コスト削減はできないのが実情でありまして、このまま推移をすれば、生活基盤の崩壊も避けることのできない現実となるというふうに憂慮いたしているところでございます。したがいまして、従来からの鉱業政策を超えて、生活基盤であります産業企業存続のための強力にしてより具体的助成策が何としても必要でございます。  このような観点から、私どもは組織内部で検討をいたしました結果、次の点を国に要請したいというふうに思うところでございます。  まず第一には、緊急的助成策であります。今このような場で論議をいたしている間にも、国内のほとんどの鉱山はいわば大出血中でありまして、どくどくと血が流れている状態にあります。したがって、まず一つは、国内鉱山に対する抜本策を直ちに確立していただきたいということであります。  緊急助成策の第二は、現行制度であります経営安定化融資制度の弾力的拡大運用を行い、無利子融資もしくは超低利融資の実施と、返済の据置期間の延長についてぜひとも実施していただきたいということであります。  緊急助成策の第三点は、電力料金の見直し、円高差益の還元であります。我が国の電力料金は昭和五十五年以降世界最高水準まで大幅に引き上げられておりまして、このことが国内非鉄金属産業が国際競争力を失う大きな要因になっていることは既に御承知のとおりでございます。したがいまして、昨今の円高、原油価格の下落等の状況からいたしまして、差益の還元、国際競争力可能な電力料金という観点で見直しをしていただきたいということでございます。  以上三点が緊急策として早急にお願いしたい施策でございますけれども、長期にわたる助成策としてお願いいたしたいのは、先ほども申し上げましたように、非鉄金属産業は、地域経済、雇用の面からも、また海外資源開発のための技術の温存という面からも大きな貢献をいたしております。このような観点からいたしますと、端的に申し上げて非鉄金属産業は、同様な地下資源としての石炭に比べ、国による援助策が不十分でございます。どうか長期にわたり石炭産業と同様の多面的な助成策をお願いしたいと存じます。  例えば、休廃止鉱山坑廃水処理義務の有限化の問題があります。永久に課せられている坑廃水処理費用は現状の非鉄各社の大きな負担となっておりますが、坑廃水問題の特殊性にかんがみ、一定年限をもって鉱業権者の処理義務を免除されたいということであります。  また、これまで資源産業政策の中で要請してまいりました探鉱助成策の拡充、減耗控除制度の恒久法化と拡充等の施策につきましても、引き続き要請申し上げるところでございます。  以上、緊急的助成策及び長期的助成策をお願いするものであります。  既に十分御理解いただいておりますことでございますけれども、現在残っている鉱山鉱山所在市町村との関係は、鉱山によって町や村が開かれ、鉱山によって栄えた市町村が大半でございます。したがって、鉱山とこれら市町村とのかかわりは極めて大きなものがありますし、鉱山で働いている労働者の多くは地元出身者であります。したがって、このままの状況が続けば、国内鉱山のほとんどが休閉山に至るのは時間の問題であり、地域における経済及び雇用の面に決定的な影響を及ぼし、大きな社会問題となることは必至であります。  かかる事態にも十分御理解を賜って、産業が成り立つよう国としての抜本的な助成策をぜひともお願いしたいことを申し上げまして、資源労連を代表しての意見といたします。(拍手
  14. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  以上で午前中の参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  15. 野田毅

    野田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者にあらかじめ申し上げますが、質疑の際は、まず質疑する参考人のお名前をお示し願います。  なお、念のため参考人に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。与謝野馨君。
  16. 与謝野馨

    ○与謝野委員 まず、秋田県知事佐々木参考人にお伺いしたいのですが、佐々木参考人は、現在の制度ではもはや鉱山維持できない、特に円高により大幅なメリットを受けた石油関連産業から特別の課徴金、臨時課徴金を取ってこういうものの穴埋めをしたらどうか、こういうことですが、具体的にはどういうことをお考えでしょうか。
  17. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 石油関係の輸入量は少なくとも二億キロリットル以上あると思います。そして先ほど申し上げましたように、この円高によりまして恐らく二百円でありますとキロリッター当たり六千五百円、百八十円の円高でありますと約一万円前後の差益が生じていると考えられますので、その差益分のうちの幾分かを、今度は円高によって悪い影響を受けた産業にその安定化対策資金として、いろいろな方法があるかと思いますけれども、無利子融資なりあるいはまた価格差補給金なり、そういう形でその対策を講じてあげるという措置をとっていただいたらどうだろうかということを提案申し上げたわけでありますが、特に鉱山関係につきましては、この円高によりましてもう既に大きく原価割れを生じてきておる、そういうことで一定の最小限度の原価まで何らかの価格補給的な制度を当分の間とっていただく。さらに将来的には価格安定対策といたしまして、一定の安定価格を設定いたしまして、政府として国内鉱山に対してはその安定価格以下の価格分について補給をしていく、その反面、安定価格を相当上回った場合においてはある程度の課徴金を国内鉱山から取っていくという方策によって、国内鉱山経営安定を図っていただきたいということを御提案申し上げたわけであります。
  18. 与謝野馨

    ○与謝野委員 どうもありがとうございました。  次に、岡村参考人にお伺いしたいのですが、岡村参考人は地方自治体、特に市町村長のお立場から、過疎化あるいは雇用の不安等を強くお訴えになられましたが、これはもはや鉱山自助努力では乗り切れない、こういう御認識のもとで価格安定制度探鉱事業拡充その他、これに対する政府の補助、こういうことをお訴えになられましたが、政府市町村に対して何をしたらいいか、そういう点では何か御要望はございますでしょうか。
  19. 岡村勝文

    岡村参考人 市町村の場合には商工、つまり通産関係だけではなく、自治省の関係もあると思います。先ほど申し上げましたように、過疎対策あるいは雇用対策そういう面、あるいは地方の財政各種の問題が生じるわけでございますが、やはり企業城下町的な性格が極めて強いということを申し上げましたが、企業即町村の非常に枢要な位置を占めている、こういう点から見まして、私どもはいろいろな面で肩がわりをしていこうというものがございます。これは今回の緊急の場合だけでなく、医療関係であるとかあるいは老人問題であるとかあるいは除雪対策であるとか、それから事業を行うにぐあいのいいように道をつけるとか、つけ直すとか、いろいろな肩がわりをするのが通常でございます。今回はそれ以上に有望鉱床開発ということがあれば、この急激な円高赤字に対しましては、そこに至るまでの道をまずつけようという問題を生じたりいたします。  そういうことから自治省に対しましては、特別交付税のそういうものに対する措置等をお願いいたしたいわけですし、また、県もこのことに対しては地域の雇用問題ということから若干の助成なりあるいは貸し付けなりということをしてくれております。そういう点から自治省に対しましては、これらの特別な事業に対しましては特別交付税等の何らかの措置をぜひともしていただきたい、こういうことでございます。  なお、通産関係に対しましては、先ほど申し上げましたように抜本的な基本的な施策として、いい鉱山でありますので何とか生き残れるようにしてほしい、こういうことでございます。  以上でございます。
  20. 与謝野馨

    ○与謝野委員 次に西田参考人にお伺いしたいのですが、これは非鉄鉱山ということでなく、例えば石炭の山について議論をしますときに、石炭を国内で掘る必要はないんではないか、石炭の国際価格は非常に安いし、国内で掘っておると非常に深いところを危ない条件で掘っている、それよりももっと安いものをどんどん輸入した方がいいんではないか、国内鉱山はやめた方がいいんではないかという議論もございますが、我々としては国内の石炭鉱山の重要性を認識し、またそれの位置づけも考えながら、石炭産業存続できるようにやっているわけでございます。  今お話がございましたように、銅、亜鉛、鉛は全部国際価格で決まってしまう、そうなりますと、国内で買ってもあるいは国際市場で買っても同じではないかというような状況の中で、国内鉱山維持発展させていくための基本的な考え方、位置づけというものはどういうふうにお考えでしょうか。
  21. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  日本は自由世界でアメリカに次ぐ非鉄金属類の大消費国でございます。それにもかかわらず、国内から産出する金属の量を申し上げますと、銅は三%自給しております。それから亜鉛につきましては三四%自給しております。鉛は一六%自給しております。銀は二〇%自給しております。これはこの日本の国土から掘り出せる国の富でございます。しかも相対的に言いまして、日本の少ない資源の中でこれだけの自給率があるということは、これは大変貴重な資源と言えるのではないかと考えます。経済の安定性という面から申し上げましても貴重な存在でございまして、これはぜひ国内鉱山から出さなければならないものだと考えております。  また、国内鉱山の競争力という問題がございます。これにつきまして一言申し上げますと、鉱山には鉱石の賦存状況、いろいろの鉱床のタイプがございまして、脈状のものあるいは現状鉱床、層状鉱床、いろいろのタイプがございまして、一概に山の競争力を申し上げるのは非常に難しいのでございますが、同じ坑内掘りで掘っております世界の優秀な鉱山と一例を挙げまして比較してみます。  チリのエルテニエンテという大きな鉱山がございます。これは銅の山でございまして、銅の品位が一・四%でございます。また、同じくチリのエルサルバドールという山がございまして、これはやはり坑内掘りをやっておりまして、銅の品位が〇・九二%でございます。同和鉱業、我が社でございますが、黒鉱をやっておりまして、内の岱、松峰、深沢、餌釣、四鉱山を掘っておりますが、この四鉱山を平均して申し上げますと、金、銀、銅、鉛、亜鉛、すべて入っておるのですが、銅に換算いたしますと六・九七%でございます。また神岡鉱山、これは鉛、亜鉛、銀の鉱山でございますが、これを銅に比較のために換算いたしますと二・七二%でございます。いずれも品位はチリよりもいいわけであります。  ただし採掘条件が非常に違います。いろいろ鉱床によって違うのでございます。したがって、先ほど真っ先に申し上げましたエルテニエンテ鉱山は一日一人当たり二十一トン掘っております。これは非常に能率のいい鉱山でございます。鉱床条件がいいわけでございます。同じくエルサルパドールは一日一人当たり十八トン掘っております。それから黒鉱四山を平均いたしますと一日一人当たり五・三トン。非常に軟弱鉱体で条件が悪いものですから、チリのように能率は上がりません。神岡鉱山は非常に鉱床条件がよろしゅうございます。したがって一人当たり十四トン掘っております。これを月の地金量に直しますと、全部銅に換算してでございますが、銅の地金量で言いますと、エルテニエンテが一人当たり月に七・五トンでございます。それからエルサルパドールが銅に換算して四トンでございます。同和の四山は八・七五トンでございます。神岡は八・八トンでございます。  これから申し上げましても、我が国鉱山で世界にも名が知られております鉱山につきましては、鉱石の賦存量、品位あるいは生産性の諸観点から申し上げまして決して見劣りするものではなく、かなりの国際競争力を持っていると言えるわけでございます。したがって、国内鉱山を何としても生かしていきたいと考えております。  以上でございます。
  22. 与謝野馨

    ○与謝野委員 労組の代表の方には幾つか御質問したいことがあるのですが、その前に、非鉄鉱山を長期的に生き残らせるための施策はまた別にいたしまして、とりあえず当面の円高、これはここ半年間に起こっておる話でございますので、当面の円高に対して一体どういう緊急対策を業界として政府に御要望するか、この点についてお伺いしたいと思います。西田参考人にお伺いいたします。
  23. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  この急激な円高でございますが、先ほどから申し上げましたように、円高によって全く低価格の我々の商品になっておるわけでございますから、この円高を速やかに政策転換をしていただきたいことがまず第一でございます。  二番目といたしましては、現在の金属鉱業経営安定化融資制度の融資対象の拡大をお願いしたいのでございます。現行制度では、融資対象といたしましては確認探鉱事業費と保安対策事業費及び一時的減産に伴う合理化費用に限定されておりますが、これを拡大して通常の操業費用も対象とするとともに、融資条件等につきましても弾力的に運用していただきたいと考えております。  次に第三点といたしましては、電力料金の値下げを急ぎ実施していただきたいとお願いするものでございます。当業界では、先ほど申し上げましたように年間約五十億キロワットアワーの電力を使用しておりますが、電力料の値下げはコスト減に大きく貢献することとなる次第でございます。  第四点といたしましては、既に実施した雇用調整に伴う離職者の再雇用の問題等につきましては、特段の御配慮をお願いしたい次第でございます。  以上でございます。
  24. 与謝野馨

    ○与謝野委員 西田参考人にもう一度お伺いしたいのですが、銅、亜鉛、鉛は電気を大変たくさん使う、五十億キロワットアワーも年間使っておられるということでございます。電力料金につきましては、どれだけ長い間円高が続くか、あるいはどれだけ長い間現在の原油安が続くか、これは数年先はわかりませんが、少なくともここ一、二年はそういう傾向が続くであろう、こういうことを前提にいたしますと、一年にいたしますと一兆円を超える円高差益が電力会社に入ってしまう。これは財政当局はそのままにしておいて半分は法人税でいただこうという考え方もあるようでございますが、電力料金は原価プラス適正報酬ということからしますと、その一兆円分は不当利得とは申しませんけれども、もらい過ぎというようなものだろうと私は思うわけです。そういう意味では、電力料金につきましては、これだけ円高が急速に進み、かつ円高の幅が非常に大きい、原油も非常に値下がりをしたという状況の中では、やはり非鉄産業の皆様方がストレートに返してくれとおっしゃるのは無理はないと思うわけです。先ほど二段階料金制度等の料金格差の問題もありますが、それはストレートに返してほしい、こういう意味でございますか。
  25. 西田堯

    西田参考人 はい、ストレートに返してほしいということでございます。それと、現在深夜料金、特約料金制度を利用いたしまして電力会社に貢献いたしております。できますればこの面の貢献度をもう少し評価していただきたいということでございます。以上です。
  26. 与謝野馨

    ○与謝野委員 今度は姫野参考人にお伺いしたいわけでございます。姫野参考人はとにかく審議会をつくって非鉄産業についての抜本策を考えるような場をつくれということも御提案になられたわけでございますが、審議会をつくってどういうことを中心に議論をして非鉄産業を盛り立てていこうというふうにお考えでしょうか。
  27. 姫野庄三

    姫野参考人 私は政策の専門家ではございませんけれども、先ほど西田参考人からもお話がありましたように、国内鉱山はまだかなり国際的競争力を持っている鉱山もあるわけでございますので、やはり鉱山存続を基本にしながら、どうしたら鉱山が数多く生き残っていくのかということを中心にしながら、そのための、例えば知事のおっしゃったような価格安定帯をつくるとか、あるいは鉱山がなくなることによって地方自治体にもいろいろ影響が起こるわけでございますので、自治体立場からの御意見もいろいろあろうかと思いますし、さらには先ほどお話が出ましたような鉱山閉山後の坑廃水処理の問題をめぐっては環境庁等のいろいろな問題があると思います。そういう意味で、業界あるいは学識経験者と申しますか、関係省庁にわたる各層の先生方といいますか専門家の皆さん方に集まっていただいて、多角的に国内鉱山の生き残る道を基本にしながら論議をしていただきたい、そしてその対策をつくっていただきたい、非常に抽象的でございますが、そういうことを基本にやっていただきたいと考えております。  以上でございます。
  28. 与謝野馨

    ○与謝野委員 次に、中西参考人にお伺いしたいのですが、先ほど中西参考人は非常に重要な御提案をされました。それは坑廃水の問題で、現在は無限に会社の責任になっていく。これはある一定時期を区切って有限化した方が会社も経営の見通しがつくのではないか、こういうお考え方を労組からお伺いしたわけでございますが、それについてもう少し詳しくお話しいただければと思います。
  29. 中西敬一郎

    中西参考人 現在私ども調査では、休廃止鉱山の坑廃水処理並びに鉱山が閉山する際に行います鉱害防止工事等々を含めて考えますと、おおよそここ十五年くらいの間で、一鉱山当たり三十億ないし五十億程度の支出がされているということでございまして、それが即現在の非鉄各社の足を引っ張っているということになるのではないだろうか。さらにまた、休廃止鉱山が大きな重荷になるために、新規鉱山開発というものに二の足を踏むということになると考えておりまして、そういう面では非鉄各社の果たしてきた役割等、十分に御理解を賜って、一定年限で何とか免除をいただいて、そしてまた新たな資源開発に意欲の持てるような状況にぜひしていただきたい、このように考えておる次第でございます。
  30. 与謝野馨

    ○与謝野委員 最後に西田参考人にお伺いしたいわけですが、探鉱というのは昔から千三つと言われるくらい、掘っても掘ってもという面もありますし、掘ったら当たっちゃった、しかも金が出てきたとか、うまい話も実はたまにはあるわけでございますが、世界のほかの山、あるいは日本の地質的な状況等から考えまして、日本でこの非鉄の探鉱事業に国がどんどん金を出していって、ある程度見つかったらそれを民間に渡すというようなシステム、これをさらにもう少し探鉱事業に、探鉱開発は非常にリスクの高い資本ですから、この部分だけもっと国が肩がわりすべきだ。肩がわりすればもっといい鉱山が見つかるぞという状況なのか、まあ日本の場合は幾ら掘っても大体この程度のことかなというのか、どちらなのでしょうか。
  31. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  今後も優良鉱山の発見の可能性は極めて大きいものと考えております。なぜならば、既存鉱山のほとんど大半は地表の露頭部から開発されたものでございます。ごく最近発見されました鉱床は潜頭性、いわゆる地下に潜って露出していない鉱床でございますが、潜頭性のものは最近続々発見されておりまして、例えば内の岱、釈迦内、松峰、深沢、餌釣、菱刈、温州等の優秀な鉱床が挙げられます。こうした潜頭性鉱床探鉱の余地は極めて大きいものでございます。  ちなみに、金属鉱業事業団の試算によりますと、潜頭性鉱床の賦存可能地域の、いわゆる要探鉱地域でございますが、面積は全国土面積の二二%に達すると言われております。しかも期待鉱量が九億トン、銅量九百二十万トン、鉛と亜鉛を合計いたしまして二千九百万トンの可能性があると予測されております。  しかしながら、これらの探鉱は、先ほど先生おっしゃられましたように長期かつ多大の経費を要しまして、これに伴うリスクは極めて大きいものであります。したがいまして、少なくとも現在金属鉱業事業団で実施をお願いしております広域調査段階から精密調査段階までの探鉱は、全額国家予算で実施していただくこととするとともに、ターゲットを十分絞った上で企業探鉱へ移行させていただきたいとお願いするものでございます。そうしますれば、まだまだ鉱床は発見の可能性が多いと考えております。
  32. 与謝野馨

    ○与謝野委員 以上で終了します。ありがとうございました。
  33. 野田毅

    野田委員長 後藤茂君。
  34. 後藤茂

    ○後藤委員 各参考人の皆さん方から本委員会に大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、これからの非鉄金属鉱業に対する委員会としての対応についても、大変参考になったと思うわけでございます。先ほど与謝野委員の方からも御質問がございまして、若干重複する面があるかと思いますけれども、ひとつ具体的にお答えいただけないだろうかということを、まず冒頭に申し上げておきたいと思います。  大変貴重な御意見をちょうだいしたわけでありますが、私は、急激な円高に緊急避難といいますか対応策をとっていくことと、それから、各参考人がほとんどすべて触れておられましたように、金属鉱業の抜本的な位置づけというものについて考えていく、二つのものについて整理をしておく必要があるだろうと思うのです。  私も二十一日でしたか、この委員会で、また各党の委員の皆さん方も、非鉄金属関係が大変な窮状に陥っているということで議論をいたしました。議論しながら大変悩んでおりますのは、今まで緊急にいろいろな制度を確立してまいりましたが、今度のは少し違っている。国際価格の乱高下によって、それに対応する対策は一応講じてきたけれども、なおこれではどうもこの円高に対する対応策がとれないという状況にあるだろうと思うのですが、その窮状にある、緊急に政治が動かなければならない、動いてもらいたいという点に絞って、ひとつ西田参考人からお伺いをしたいと思います。
  35. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先ほどから申し上げましたとおり、円高のために現在、例えば銅の値段で申し上げますと三十万円になっております。これは、昭和三十年の銅の価格と全く同じでございます。先ほども申し上げましたが、LMEのポンドで申し上げますと、三百五十ポンドが現在九百九十ポンド、コメックスのセントで申し上げますと、三十五セントが六十四セント、LMEで約三倍、コメックスで約二倍になっております。ところが日本の円で換算いたしますと三十万円、現在も三十万円ということでございまして、全く、円高のためにこういう状況でございますので、速やかにこの円高の修正といいますか、引き下げをお願いしたいということでございます。  次に、電力料金の値下げをお願いしたいということでございます。これは為替差益を十分ため込んでおられるわけでございますが、我々は円高のせいで非常に困っておるわけでございまして、この円高をつくり上げたのは我々でございません。日本の一番優秀な企業である産業技術力が非常にすぐれておる、労働の質がいいので世界の市場におきまして競争力が抜群であるということで円高になってきたわけでございます。我々は労働の質は非常にいいし技術も優秀でございます。しかし、鉱山というところは自然条件に八〇%、九〇%左右される産業でございまして、全く円高の犠牲になっておるということでございますので、円高の差益を十分ため込んでおられる電力会社から、電力料金の引き下げということでできるだけ多く貢献していただきたいと考えております。  次に、現在政策としていただいております緊急融資制度弾力的運用お願いしたいということで、融資額は現在たしか百二十億と考えておりますが、この発動価格、銅は四十三万四千円、亜鉛は二十二万八千円でございます。これと現在の価格との差額を計算いたしますと、銅と亜鉛でございますが二百十億ぐらいになるはずでございます。少なくともこのくらいの融資を無利子でしていただきたい。しかも、返済は現在五年で返済することになっておりますが、これは価格が上昇して例えば銅が五十万円になる、亜鉛が二十五万円になる、そういう時点から返済するということにしていただきたいということでございます。
  36. 後藤茂

    ○後藤委員 今お答えいただいた西田参考人に再度お伺いしたいのですが、お答えいただいた特にコストの面ですけれども一つ円高の修正を言われました。確かに昨年のG5で政策誘導が大きく、六十円ばかり円高になっていったという経過があるわけでありますけれども、この為替レート、現在の条件からいきますとどのくらいなら山の維持が一応可能なのか。二百四十円から百七十円ぐらい、まあ百七十円じゃもちろんもうだめだし百八十円じゃなかなか大変だということなのでしょうけれども、大体現在の山を維持していく上における望ましい為替レートというのは、どのくらいだったら何とか歯を食いしばってやっていけるか。国際価格ですから乱高下の問題は別として、為替レートの面だけをお聞きしてみたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。     〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
  37. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先生おっしゃいましたように国際価格の乱高下もございますし、最近もう既に成熟いたしました先進諸国と発展途上国が累積債務に悩んでおりまして、近代化がなかなか進んでおりません。したがって、こういう非鉄金属類の需要が低迷しております。したがってこの低迷の状態が相当長く続くものと思われます。そこで、円のレートは急激な円高の前は二百四十円台でございました。これであれば十分やってきたわけでございますが、これはちょっと無理といたしましても、我々懸命な自助努力をいたしましてせめて二百二十円、最低、最高といいますか二百二十円であれば何とか歯を食いしばってやっていける、またやっていかなければならないと考えております。  以上です。
  38. 後藤茂

    ○後藤委員 佐々木参考人にお伺いしたいのですけれども、特に電力の問題についてはそれぞれ皆さん方から御指摘がございまして、これはまた具体的にどういうように差益をいわゆる電力多消費産業に還元させていくかということは、なお深めていかなければならぬ問題があるかと思うのですが、石油の点について臨時課徴金的なお話がございました。こういう言葉がいいのかどうか私もよくわかりませんけれども利益の中から、二百円の場合なら二千円ぐらい、あるいは百八十円の場合なら三千円ぐらいというように言っておられるわけですけれども、この辺の根拠は一体どういうように判断なさっていらっしゃるんでしょうか。
  39. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 明確な根拠というものではございませんけれども、おおむね円高差益の三分の一程度を源泉において課徴金的に徴収をしていただいて、当面緊急に対応しなければならない産業分野に対するいろいろな融資制度や何かの原資に充てる。また円高による問題として対外的な問題が出ております。そうした対外援助資金に充てる。その資金から逆算をしてみれば、まず三分の一程度の課徴が適当ではなかろうかという判断でございます。     〔奥田(軒)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 後藤茂

    ○後藤委員 岡村参考人にお伺いしたいのですが、私もこの間明延へ行ってまいりました。明延へ入ったのは前後四回入っているのですけれども、特に今度の場合は大変深刻な事態になっているということを私も肌で感じてまいりましたし、また岡村参考人からもいろんな貴重な御意見も現地で聞かせていただいたわけでありますが、聞かせていただいておりながら、鉱山所在地の自治体としてどうも歯がゆい思いのところがたくさんあるだろうと思うのですね。  一方は私企業である。しかし、それが閉山になるということになると自治体の崩壊につながっていくわけですから、自治体としても何らかの対策を講じていかなければならぬ。しかし、そこに自治体財政すべてつぎ込んでいくということはもちろんできないことであって、鉱山の所在地の自治体として先ほども特別の交付税等の話がございましたが、単に有望鉱床への道路等について助成するというようなことを超えて、こういうことをやってもらえればなお鉱山もそれからまた地域経済も大変よくなるんだけれどもというようなことが、行政を進めている上においてあるのではないかと思うわけでありますけれども、そういう特別交付税等の中身等について、もし日常の行政を進めている上におけるお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  41. 岡村勝文

    岡村参考人 先生には先般調査団として山に入っていただきまして、いろいろと事情を調査していただきましたことを厚くお礼を申し上げる次第でございます。  地方自治体といたしましては、まことに財政力というものが微々たるものであります関係上、国の施策なり県の施策なりいろいろな面を要請することが第一としながらも、その答えが思うほど出てこないという歯がゆさを感じ、山で働いておられる方々が掘ったのを出してみたら値が下がっておったというような実態から、私ども、乱暴な言い方だったと先ほど思いますが、大台風か大地震か大火災か、そういう天災にある日突然に遭遇したんだというような感を強くしておるわけでございます。  そういう点からの、つまり企業に対して先ほど来出ておりますいろんな助成策あるいは政策上におきましての措置が講じられるならば、自治体といたしましては、水道であるとかあるいは医療の問題であるとか若干の道、その地引き受けられるものを何とかやっていけばいいわけでございます。しかし、現行のような状況であれば、住民の合意を得てこれだけのことをこれだけやるから、これだけの大きな影響あるところに生き残ってもらうところのこの処置をするということで、住民との話し合いといいますか、合意を得るいろいろな手段を講じておるわけでございます。乱暴なようでございますけれども、とにかく地震、雷、火事、おやじといいますか、大災害を受けて一番弱っておるのが町村の現在の実態であるということを御理解をいただきたいと思います。
  42. 後藤茂

    ○後藤委員 姫野参考人にお伺いしたいと思いますが、参考人は第三点として、急激な円高金属価格の現状から考えて、特別財源による価格差補給金制度を創設してもらえないだろうか、こういう御意見があったと思うのですが、この特別財源というのを参考人はどういうようなことをお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  43. 姫野庄三

    姫野参考人 価格差補給金制度をつくってくれということは、先ほど申し上げましたように、端的に言うと何とか助けてくれ、一言で言えばそういうことだと思うのです。それをああいう形にあらわしておるわけでありますが、したがって秋田県知事から申されましたように、こういう緊急な事態をあれしていくためには、特別の財源を国から出してほしいということが一つであります。それは石油の円高による差益を充てるなり、それをどこから持ってくるかということは別として、基本的にはそういうことを考えてほしいということであります。  私ども特別財源について、一応現行の制度の中でも、地金の製錬では現在減産をいたしておりますし、日本の国で年間使われる、例えば銅で申し上げますと百四十万トンから百五十万トンぐらいが使われておるわけでありますが、そのうち国内の製錬所から出るのは約九十万トン、そのほかは地金で入ってきておるわけであります。その地金で入ってくる場合には、トン当たり一万五千円の関税がかかっている。もちろん特恵で税金をかけていない地金も入ってきております。それが大蔵の、国の財政の一般会計の中に、定かではありませんが数十億の金が入っているんだと思うのですが、これらを今の制度のほかに考えてくれないかということを一つ考えております。  それから、率直に言いましてこれは業界の意思疎通を図らなければならないことだというふうに思いますし、長年のいろんな慣行があると思うのですが、やはり国内鉱山をどうしても残していくということを基本にすれば、海外から鉱石を相当量各社買って製錬をして地金にしておるわけであります。その中に関税メリット見合い分が各社にそれぞれ鉱石を入れているところには入っておるわけでありますから、その一部分をプールをして、国内鉱山を助けるような方策はできないのかというようなことを労働組合の立場としては考えておりますし、先ほど秋田県知事なり岡村参考人からもお話がありましたように、県や市町村にも大変お世話になっておるわけでありますが、こういう緊急的な鉱山が生き残っていけるかどうかというような事態でございますので、いろいろ税法上問題はあろうかと思いますけれども鉱産税が幾らかはわかりませんが、日本年間数億の鉱産税が入っているんだと思いますが、この金額は微々たるもののようでございますけれども、それらに見合う金をそれぞれの鉱山所在地で何とか鉱山のために還元できるようなことを考えていただけないかとか、そういうようなことも含めてそういうことを現在の制度の中では考えられないか。しかし、それではとても足りませんので、先ほど来申し上げておりますように、国の政策として特別財源をさらにそれに付加をしていただきたい、このように考えておるところであります。
  44. 後藤茂

    ○後藤委員 中西参考人にお伺いしたいと思いますが、参考人も触れられた休廃止鉱山の坑廃水の処理ですね。これは五十三年に私ども委員会秋田調査に行きまして、それから尾去沢の鉱山がちょうど閉山になるということでその閉山式に立ち会ったわけです。そのとき、実は私ども調査項目にはなかったのですけれども、この鉱山は閉山になるが、これから坑廃水の処理を未来永劫といいますか、やっていかなければならないんだ、しかもそれがわずかな金額ではないということをるる訴えられまして、そして坑廃水の処理をしておるところまで、実は現地に行ったわけです。そのときに幾つか問題になりました。つまり、自然汚染というものと、それから古い時代から鉱山というのは採掘されておるわけですが、そういう他人汚染といいますか、存在が明確になっていない人の汚染、それから現在まで採掘しておった企業者の汚染、そういう比率といいますか、振り分けができるのかどうか。これは大変難しいと実は思っておりましたところが、その振り分けがある程度できるということで、今日の坑廃水の処理のための制度が確立したわけです。  先ほど参考人は、石炭に比べてということも言われておりました。なるほど確かにそのとおりでありますけれども、産炭地における石炭の鉱害の復旧というのは、復旧しますとある程度安定するところがある。ところが水の方、坑廃水の方は非常に厄介なものですからこれがなかなか難しいので、一定有限化をぜひしてもらえないだろうか。有限化しようとどうしょうとその坑廃水は出るわけですから、どこかが責任を負わなければならない。当然これは国あるいは自治体ということになるのでしょうけれども、この辺を、一定年限というのをどの程度にお考えになっているのか。あるいは望ましい方向としては、先ほど言いましたように自然汚染なりあるいは他人汚染なりということの長い歴史を考えてみると、このくらいはやっていかなければならぬが、その後はひとつ社会的な責任で、費用で負担をしてもらえないかというところの一応のお考えがあるかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  45. 中西敬一郎

    中西参考人 休廃止鉱山の補助金制度ができます際には、諸先生方から特段の御支援、御理解をいただいて、まことに感謝をいたしております。  そういうことでございますけれども、先ほども申し述べましたように、やめる際の鉱害防止工事、それからそれ以降の坑廃水処理、今相当の支出が伴っている現状でありまして、さらにまた、一銭の収入なくして未来永劫続くということになりますと、私どもの生活基盤を危うくする問題でもあるというふうに考えておりまして、これについては何とかひとつ善処方をお願いをしたいというふうに思っております。有限化の期限については、私どもとしては望むところは五年、長くて十年というふうに考えております。
  46. 後藤茂

    ○後藤委員 西田参考人にお伺いしたいのですけれども、私は、こういうように円高あるいは鉱山が苦境に入ってまいりますと、品位のいい鉱石だけ抜き掘りするといいますか、そして品位の悪いところはもう見捨てるということになりはしないか、そのことによって鉱山の寿命を非常に短くするのではないかという心配をするわけです。神岡にも二、三度入ってまいりまして、またこの間は、先ほど言いましたように明延へも行ってまいりました。あのすずの鉱石というのは実にすばらしい。本当に輝くようなすずの鉱脈を見てきたわけでありますけれども、そういう抜き掘り的、高品位鉱だけを抜き掘りして早く店じまいということになったのでは大変だと思うわけですけれども、そういうような傾向なり、そういう気持ちに駆り立てられるというような心配はございませんでしょうか。
  47. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、これだけ価格が下がりますと、いいところを掘るという気になります、実は。なりますが、山は長く存在させていかなければならぬと考えます。私どもの例で申し上げますと、例えば松峰鉱山は現在四万トン掘っております。その中で二万トンが非常に品位のいい黒鉱の部分でございます。あとの半分の二万トンは低品位鉱体と申しまして品位が少し低い部分でございます。それをまぜまして出鉱しておるわけでございますが、今回のような価格になりますと、品位の低い部分を掘れば掘るほど赤字が大きくなります。したがって品位の低い部分を掘らない、品位のいい部分を掘る。ただし、品位のいい部分は量に限度がございますから、今まで掘っておったペースで掘りますと二万トンしか振れません、四万トンのうち二万トンがいい部分でございますから。そのペースで二万トン掘ろうとしております。したがって人間が半分で済むわけでございまして、半分の従業員配置転換してもらうというような事態が起こるわけでございます。したがって、先生おっしゃるように、山の寿命を長く延ばすという方針でこの不況下でも耐え忍んで続けていきたいと考えております。以上です。
  48. 後藤茂

    ○後藤委員 もう一点西田参考人にお伺いしたいのですが、各参考人からも探鉱については若干の御指摘がございまして、三段階の探鉱制度がとられているわけです。光あるいは内の岱、釈迦内、幾つかの有望な鉱山を見つけ出しているわけですけれども、私は今の探鉱のあり方を見ておりまして、相当広域あるいは精密にやってはいるのですけれども、特に金、銀等は脈状鉱脈というのになりますと、ボーリングでうまく当たればいいですけれども、そのそばまで来ておって見つけられないということもあり得ると思うのですね。したがって、三段階探鉱のもう少し緻密さというものをやるべきじゃないか。日本列島をCTスキャンみたいにあらゆる角度からやっていいのではないかという気がするのですけれども、今の探鉱技術的なあり方、もちろんこれは当然資金が伴うわけですから、非常に細かくということは難しかろうと思いますけれども、もうちょっとこうしておれば、ああいう内の岱でもごく最近、といってももう大分になりますが、つい足元がわからなかったというような状況、あるいは光にしてもそういうことでありますけれども探鉱のあり方に対して御意見がございませんでしょうか。
  49. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、露頭から掘っていく鉱床による鉱山がだんだん少なくなりまして、現在専ら潜頭性鉱床、地表に出ておらない鉱脈を探り当てるということが主になっております。したがって、金属鉱業事業団で広域調査をやり、精密調査をやる。精密調査はボーリングで貫くわけでございますが、そしてその有望なところを企業探鉱がやるという三段階方式になっておるわけでございますが、現在精密探鉱については自治体あるいは企業体がある程度負担するという制度でございますが、先ほど申し上げましたように広域、精密は全部国で持ってもらいたい。しかも、ここで申し上げたいのは、先生おっしゃいましたように、現在残念ながら地下の鉱床は物理探鉱とかいろいろありますが、まだまだ技術が進んでおりません。実際ボーリングで当ててみるしかわからないという状況でございますので、精密調査費をもっともっとふやしていただいて、もっとボーリングをやっていただくということではないかと考えております。
  50. 後藤茂

    ○後藤委員 これは各参考人からお答えいただかなくても結構でございますけれども、今回の円高不況あるいは国際価格の大幅下落による非鉄金属関係の苦境というのは、ちょうど昭和五十三年の事態と非常によく似ている。さらにそれに円高が追い打ちをかけていますからもっと事態は深刻であります。そこで委員会としては、こうして参考人に来ていただきまして、さらに秋田に夜行で調査に行って夜行で帰ってくるという強行軍でありました。そして委員会で決議をし、今日のいろいろな制度、法律等もその現地の調査を経た上に立って私どもはつくってきた経験を持っているわけです。  きょう参考人の皆さん方から、委員会としてぜひ現地に調査というか実情を把握してもらいたいという御要望が一、二ございましたけれども、これは私ども委員長にもこの前もお願いをいたしまして、理事会で諮って商工委員会として、一番集中しております秋田黒鉱地帯というのがいいのではないかと私は判断をいたしておりますが、ぜひ調査に行きまして、この前と同じように調査しますといろいろなことが、また私どもにも政策あるいは法律を見直していく上において勉強になるし参考になるわけですから、私は委員長の方にもお願いをして、ぜひ現地に調査団を派遣してもらいたいということを言っているわけです。  これは佐々木知事の方からこの件についてひとつお考えをお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 ただいま仰せがありましたように、現地特に大館小坂にかけては鉱山の集中する地域でございますし、また円高による鉱山不況による影響が一番大きい地域でありますから、どうか皆様おいでいただきまして、地域の人々からじかに地域意見をくみ上げていただければまことにありがたい幸せでございますので、県といたしましても全力を挙げて調査に御協力申し上げたいと存じます。
  52. 後藤茂

    ○後藤委員 ありがとうございました。
  53. 野田毅

    野田委員長 長田武士君。
  54. 長田武士

    ○長田委員 本日は地方自治体の県知事さん、また町長さんもおいでをいただきましてありがとうございます。また業界の皆さん、それから労働組合の皆さん、本当に御苦労さまでございます。  今、後藤委員からお話がございましたとおり、先日、理事会で視察の問題が出ました。国会開会中で商工委員会、法案を非常にたくさん抱えておりますので、緊急に調査できないといういろいろな問題がございまして、またぜひお邪魔をしたい、このように考えておる次第でございます。  まず、私からは西田参考人から話を伺いたいのでありますけれども、先ほど円の適正と申しますか、業界として二百二十円台の円ならば何とかやっていける、こういうお話をいただきました。実際問題、このような急激な円高というのはもう御案内のとおりでございまして、アメリカの財政赤字の問題、さらには貿易収支の赤字の問題、この双子の赤字といわれておりますこのような問題が大きな原因だろうと私は考えております。  財政均衡法なるものがアメリカの上院を通りました。しかし、ワシントン地裁ではこの財政均衡法は違憲であるという判決が出ております。秋口には最高裁の判決が出るようでありますけれども、この財政均衡法もなかなか思うようにはいかないというような状況ではなかろうかと思います。そうなりますと、今の円高の傾向というのは簡単に円安にはならないのじゃないか、このような感じを持つわけであります。そういう点で、円の動向についての御見解はどうでしょうか。
  55. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、今回の円高はなかなかもとへ戻らないのじゃないかと考えております。五十三年の場合はたしか百七十五円まで円高が進みました。そのときも山は非常に苦しかったわけでございますが、幸いなことに、ハント兄弟というのが銀をどんどん買い占めまして、銀の値段が高騰して三十万ぐらいまで上がりました。それに引っ張られて金、銅、鉛、亜鉛すべて上がりまして、業界にとりましては未曾有の好況のときがございました。ただし今回はもうそういう偶発はなくて、現在の状況から見ましてこの円高・ドル安は長く続くのではなかろうかと考えております。したがって、この状況が続きますと大変なことになりますので、我々といたしましても何とか山を生かしていくために、人員の削減あるいは能率の向上、あらゆる面で手を打って備えておるのでございますが、この百八十円が続きますともう手の打ちようがないのじゃないかと思います。  先ほど申し上げましたように、やはり二百二十円ぐらいが限界ではなかろうかという気がいたしております。この額につきましてはなかなか予測が困難でございまして、かつて経済学者の方々が盛んに予測されておりましたけれども、当たったためしがないのでございまして、私どもも何とも言えないというのが実情でございます。
  56. 長田武士

    ○長田委員 御案内のとおり、二百二十円台に円安傾向に働くということはなかなか難しいような感じが私はいたします。当初は為替介入をやりましてつくられた円高であると言われておりましたけれども、私は先日の委員会では、逆介入いたしましても円高デフレで悩む中小企業を救うべきである、そういう提案をいたしました。この点については政府もなかなか重い腰を上げようといたしません。今まで論議がございましたけれども円高というのは日本経済にとってマイナスなのかプラスなのか、私は両面あるような感じがするのですね。決してマイナス面ばかりではない。円高を十分に経済に反映させる、こういうことが大事ではなかろうかという感じがいたしております。  そこで、何といいましても鉱業審議会を開いて具体的な案を示してほしいというのが第一点。第二点目は、緊急融資としてできれば無利息の貸し付けを実行してほしい。第三番目には、製品価格の七〇%は電気料金である、これについて考慮していただきたい。こういう御要請がございまして、私も先月の二十一日の当商工委員会でその問題を取り上げました。  そこで、きょう私議事録を持ってきましたので、政府の答弁がございますから、私は非常に不満とする答弁なんですけれどもお聞きをいただきたいのです。三点のうち、審議会については答弁がございません。第二番目は、無利子という御指摘でございましたけれども、今の財政下で無利子ということはなかなか困難でございますが、この制度は実は現在金利が平均三%でございますし、そのうち最初の一年半は一・一%ということになっております、そういう点ではほかに並ぶような金利はございません、超低金利でございます、何とかこの制度を活用してほしいという答弁がございました。さらに通産大臣は、特定中小企業の事業転換対策の措置をあわせて使うべきだというようなことを言っております。皆さん方、簡単に事業転換できないでしょう。山を休ませてしまえばもうだめです。こういう素人の通産大臣が言うのですね。皆さんどうでしょうか。
  57. 西田堯

    西田参考人 おっしゃるとおりでございまして、山をやめまして他の職種に転換するということは非常に難しいことでございまして、鉱山というのは有限でございまして、鉱床を掘ってしまえばなくなるわけでございます。次々見つければいいわけでございますが、それもある程度限度がございます。しかし我々といたしましても前々から、新しい事業方面に進もうということで研究開発を強力に進めております。  我が社の状況で申し上げますと、現在メタルの売り上げが年間約千億ございます。その他の部分が三百億ございます。これをどんどんふやして早い時期に五〇%ぐらいにしなければいかぬ、こちらの分を千億にしなければいかぬということで懸命に努力しておりますが、なかなかそう思うようにまいりません。事業転換ということは非常に困難なことでございます。そういうことでいろいろお願い申し上げておるわけでございますが、財源的にもなかなか難しいことだと考えますが、先ほどから申し上げておりますように、この円高は我々のせいじゃないのです。我々は全く一〇〇%犠牲を受けておるわけでございますから、何か助ける道があるのじゃなかろうかと要望している次第でございます。
  58. 長田武士

    ○長田委員 そこで私は、円高でメリットのある電力、最近は北海原油あたりはスポットでも十四ドルくらいになっているようであります。そういう点を考えますと、電力料金は公共料金でありますから原価主義がその旨でございますが、私たちの一般家庭は今一キロワットアワー二十七、八円でしょうか。そして、皆さん方は需給調整契約によりまして今十四円くらいでしょうか。しかし、それでも西欧諸国に比べますと五円くらい違うのです。そうなりますと、皆さん方の業界で一番悩んでいらっしゃるのは、電力コストが高くて国際競争力が五円違っておりますから、そこでもうギブアップしてしまう、こういう状況ではなかろうかと思います。先ほどお話がございましたとおり、約五十億キロワットアワー使用されておるということでございますから、一円下げたといたしましても単純計算で鉱山でも年間五十億円ぐらいということになりますね。そうなりますと、現在の電力料金をどのくらいに下げれば業界としては御満足でしょうか。
  59. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  現在電力会社に円高差益が約一兆円入っておるということを聞いております。また、原油がどんどん下がっておりますので、まだまだ差益はふえるのじゃなかろうかと考えております。電力会社は株式会社でございますので、これを全部ユーザーに返すべきだと考えております。そうなりますと、少なくとも一キロワット当たり二円はすべての面に還元できるはずでございますし、我々業界といたしましてはさらに深夜料金を利用しまして、これは特に亜鉛製錬でございますが、設備を余分につくりまして夜間電解作業を実施しております。したがって、従業員も深夜働いておるわけでございます。昼間は少ない電力を使うというような作業の方法をとっております。また、いつ瞬時に予告なしに遮断してもらっても結構であるというような特約を使わしてもらっております。こういう面で電力会社に貢献しておりますので、この貢献度をもっと評価していただきまして、少なくともその特約料金の二〇%ぐらいを下げていただきたいと考えております。
  60. 長田武士

    ○長田委員 二〇%といいますと、十四円ですから二円八十銭。そうすると十一円二十銭くらいですね。そうですか。もっと、一けた台を言われるかと思っておったのですけれども、大変謙虚な御答弁をいただきました。  それから、時間がございませんので姫野参考人、それから中西参考人にお尋ねをいたします。  雇用問題についても非常に大きな問題が出ているような状況であろうかと私は思います。先行き、見通しについてひとつお聞かせいただければ大変ありがたいと思っております。
  61. 姫野庄三

    姫野参考人 鉱山で減員といいますか合理化が行われますと、従来はできる限りその企業の多角化している金属加工部門だとかそういった関係会社と。いうところで吸収してきたわけでございます。ところが、このままのような状況が続きますと、輸出産業が非常に停滞いたしておりますように、金属加工部門とか従来の受け入れ先である業種も非常に厳しい環境になってきておりますので、なかなか受け入れが難しい。無理に受け入れてきた。ところが、その受け入れる側も非常に厳しくなってきておりますから、雇用問題は大変頭の痛い問題でございます。したがって、私どもが一番心配しておりますのは、一つは、もうこのままやっても、かなりの支援をしてもやっていけないということで休閉山が相次ぐという問題と、もう一つは、私たちが一番恐れているわけでありますけれども、山をつぶすわけにはいかない、しかしこのままではやっていけない。そうしたら全員一度解雇して、全員解雇だ、退職金も払う、そのかわり今までの労働条件だとか従来の慣行も全部白紙で、新たにその条件でよければ雇ってやるというようなところが出てくる可能性もあると思うのです。そういうようなことをしても働きたいといいますか、やろうという場所もあるかもしれませんが、関西と東北の間ではいろいろな雇用情勢も違いますから、特に坑内の労働者の充足については非常に厳しい環境でございますので、労務倒産といいますか、結果的にそういうようなことをしても人が集まらない、坑内には入りたくないというような状況が出てくることを労働組合としては最も恐れている。したがって、そういうことがないようにひとつ国の政策を強くお願いをいたしておるわけでありますし、我々も従来以上に自助努力を労使ともにやりたい、このように考えております。  以上であります。
  62. 中西敬一郎

    中西参考人 先ほども申し上げましたように、現在の状況は従来のように品位を上げるとか、あるいは出鉱量をふやすとかということでは到底間に合わない状況でありますから、先ほども申し上げましたように、このままの状況が続けば壊滅的な状況になるということを申し上げました。私ども資源労連の段階では、今のところ幸いにも休閉山の話が出ておりませんが、出てもおかしくないし、出ないのがかえっておかしいくらいの状況にあるということでございますので、このまま参りますと夏ごろまでには相当の荒療治をしなければならないような状況になるのではないかというふうに残念ながら考えております。  御存じのように鉱山は山間僻地でございまして、周りに雇用を吸収できるような産業企業はほとんどございません。したがいまして、雇用という問題について考えますと全くお手上げであるということを言わざるを得ないというふうに考えておりまして、そういう面からは何としても山を残すための努力をしていかなければならないというふうに考えていますし、国による助成もぜひともひとつお願いをしたい、こう考えております。
  63. 長田武士

    ○長田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  64. 野田毅

    野田委員長 宮田早苗君。
  65. 宮田早苗

    ○宮田委員 最初に西田参考人にお伺いいたします。  皆さんの御意見を聞いておりますと、これは当然なことかもしれませんが、非鉄金属産業危機状況に当面しております最大の原因は、まず円高であるということ、そしてこの打開の方法といたしましては、円を皆様方が期待されておるようなところまで戻せという期待と、もう一つは、当面はこれによる差益が当然に起きておるわけでございますから、差益を利用して援助策を講じろ、こういうふうに聞いておるところでございまして、当然とは思いますが、そこで西田参考人にお聞きいたしますのは、一体、銅、鉛、亜鉛等を採算ベースに乗せるためには価格としてどの辺をお考えになっておるかということが一つと、もう一つは、その採算ベースに乗せるために、さっきも質問の中で電気料金二〇%下げれば、二円下げればとおっしゃいましたが、品種ごとに、これは同じ鉱石から分解して出るというふうに私は認識しておるわけですけれども、品種ごとに具体的にどの程度電力料金を下げれば採算ベースに乗せられるものかということをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  66. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先ほど二百二十円であれば何とか自助努力とあわせてやっていけると申し上げました。現在の低迷している価格では非常に苦しいのでありますが、具体的に価格で申し上げますと、銅は緊急融資の発動価格というのがございまして、これがたしかトン当たり四十三万四千円でございます。それから亜鉛が二十二万八千円でございます。この発動価格の程度、銅が四十三万か四十四万、亜鉛が二十三万、他のメタルを申し上げますと、鉛が十八万、金がグラム当たり三千円、銀がキログラム当たり五万円、この程度の価格であれば自助努力とあわせてやっていけると考えております。  次に電力料金でございますが、先ほどちょっと誤解された面がございまして、二円は全部に返す、そのほかに深夜特約電力を二割引いてくださいということでございまして、したがって五円ぐらいになるはずでございます。こうなりますと、現在亜鉛製錬が一番電力を食うのでございますが、亜鉛一トン当たり生産するのに大体四千五百キロワットアワー使いますので、五円下げますと二万五千円ぐらいのコストが節減されることになるわけでございます。こうなりますと、現在の価格では二万五千円足しましても十八万とか十九万ぐらいにしかなりませんが、正常の価格だと大体やっていけるんじゃなかろうかと思います。特にここで申し上げたいのは、アルミは電力の高い料金のために壊滅したわけでございますが、亜鉛もこのままいきますと壊滅状態になりかねません。ただし、亜鉛日本の国に資源を持っておるのです。この膨大に使う日本亜鉛量の中で三五%自給しているものでございます。したがって、亜鉛はどうしてもつぶしてはいかぬと考えておりますので、よろしくお願いいたします。  他の銅、鉛につきましては、採鉱から製錬にかけまして大体二千キロワットから三千キロワットの間ではなかろうかと思いますので、これも五円下げますとやはり一万五千円ぐらいコストが下がるということになりますので、ぜひお願いしたいと思っております。  以上です。
  67. 宮田早苗

    ○宮田委員 佐々木参考人岡村参考人にお聞きをするわけでございますが、どんどん閉山をされ、縮小され、そのことによって起きます従業員配置転換ということになるわけです。もちろん労使の関係が中心でございましょうが、行政担当としてこの配置転換、できるだけ地元にとめておきたいというのは担当者として当然のことと思いますが、そのためにはやはり新しい別な産業の誘致といいますか、具体的に言いますと企業誘致ということが当然に考えられておると思います。今までの例で結構でございますし、まだこれからの希望ということもございましょうが、その点ございましたら両参考人からそれぞれお答え願いたいと思います。
  68. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 先日も実は県内におきまして鉱山一つ閉山をいたしまして、今その雇用対策、私どもも一生懸命取り組んでおるところなのでありますけれども、やはり一つは、閉山する鉱山地域が、通常の企業の場合にはなかなか企業誘致がやりにくい地域だということであります。  それからもう一つは、鉱山に現在勤めておる人たちの年齢が相当中高年化しておりますので、新しい企業を入れましても誘致企業とも雇用の条件がなかなか折り合わないという問題がございます。それで、転職のための職業訓練を実施をするということにいたしておりますけれども、職種が非常に限られてしまう、こういう問題があります。  さらにもう一つは、地域との結びつきが非常に強い人たちが多いためにその地域から出られないという条件がありますので、その地域の中で新しい雇用を見出すということが、一方で鉱山が閉山をするという経済的な打撃を受ける中で新しい雇用の場を見つけるということがこれまた非常に難しい状態にあって、尾去沢鉱山が閉山いたしました場合にはある程度県内に雇用の場を見つけることができたのでありますけれども、最近のような、もうぎりぎり地域から動けない人が勤めている鉱山の場合には、現実問題として非常に問題が難しゅうございます。
  69. 岡村勝文

    岡村参考人 先ほども地理的条件というものが山村僻地に多いということを申しましたが、確かにそういうところが多く、農林業ではなかなか成り立たない。しかしまた反面、そこにおられる方も家に帰れば家族が農林業を一部やっておるというような例もございます。そういうことから、先ほどお話の出ましたようになかなか動くに動けない人、つまり家なり屋敷なり不動産があるために動くに動けない人たちが多いということ。反面また、いろいろ合理化されたところ、閉山されたところからの若干の受け入れ等もございます。これらは別にいたしましても、なかなか動くに動きにくい方が非常に多いということで、地元での雇用ということでございますけれども、いわゆる所得関係から申しまして、私ども誘致企業等も優良なのをいたしましたが、しかしそれにいたしましてもなかなか所得がそこに及ばないということ、そういう点で田舎でございますのでなかなか魅力が鉱山のようにないということも実態でもございます。それだけに山を愛しておられるし、また山の灯をしっかり守っていく山男の根性がそこにある、このように思っております。受け入れには非常に苦労いたしておるのが実情でございます。
  70. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  71. 野田毅

    野田委員長 工藤晃君。
  72. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 本日は参考人の皆さん大変お忙しいところを当委員会へおいでくださいまして、御苦労さまです。  前回の円高の折には、金属鉱業事業団法の改正とも絡めまして緊急融資制度をつくるなど、一応の対応を行ってまいりましたが、今度の状況は一層深刻であるということを各参考人の皆さんからこもごも伺いまして、何とかしなければならないという気持ちでございます。しかし私十分間でございますので、五人のすべての方に十分伺えないのを大変残念に思いますが、最初に一つの問題として佐々木参考人に伺いたいんですが、先ほど姫野参考人それから西田参考人から、今の円高はもう行き過ぎになっているんじゃないか、何とか是正するということも含めて考えなければいけないということも言われました。  私も全く同感でありまして、大体去年の九月の五カ国蔵相会議でどうも二百円あたりの目標、ことしの一月の蔵相会議でもう少し進んだ百八十円とかいうようなところが出てきているように見られるわけでありますが、まさに政治的な相場にもなっていると言われている状態のところで、本当に大事な国内資源地域産業とを支えるために、こういう行き過ぎた円高の是正ということを強く求めておられるのではないかと思いますが、その点について伺いたいと思います。
  73. 佐々木喜久治

    佐々木参考人 ただいまの百八十円前後の円高というのは、私ども県内の経済情勢を見ますというと非常に打撃が大きいというような感じを受けております。もう少し安い値段、二百円前後ぐらいのところといったようなのが、私どもとしてはまあまあ今の諸外国との関係においてその辺のところまで何とかしてもらえないものだろうかなというふうな感じがしております。
  74. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 西田参考人に伺いたいと思いますが、国内の非鉄鉱山を守っていくために、これまであったいろいろな制度ではとても今間に合わない。緊急対策的なものとして先ほど言われたのは、電力料金の問題とそれから経営安定資金の融資条件、発動の条件などをもっと改善せよということ、その他あったと思いますが、特にこれまで借りている資金に対する、既往債について返済猶予とかそういう方面でのいろいろな御要望は出されているのかどうか、この点まず一点伺いたいと思います。
  75. 西田堯

    西田参考人 まだ返済猶予の要望は出しておりません。
  76. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それで、続きましてもっと抜本的な対策ということを言われますが、そこでもう少し具体的にどういうことをお考えか、提案されようとしているのか、伺いたいわけであります。  各金属について随分自給率が落ちてしまっているわけでありますが、せめて銅とか鉛、日本の自給率はこのくらいの目標を国としてはしっかり確保する、そのために方策を設けよというやり方とか、あるいは国際的な価格と直結しているわけでありますが、価格面でそれを保証するためには一定の価格安定対策を設けるべきだ、例えばこういうことだとか、それらについてもう少しお話しいただきたいと思います。
  77. 西田堯

    西田参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、現在の安定化融資制度は、発動価格が銅は四十三万四千円、亜鉛は二十二万八千円、それ以下になりますと融資を受け得るわけでございますが、融資の対象事業が限定されておりまして、現在たしか全額百二十億の利子補給財源で運営されております。現在の価格とその発動価格との差を計算いたしますと、これが二百十億ぐらいになるはずでございます。したがって、少なくともこの二百十億ぐらいの融資の利子補給財源を確保していただきたいということでございます。  また、これの融資の利子につきましても、現在五年間で返済するわけでございますが、平均して三%、非常に低利にしていただいておるわけでございますが、こうなってきますと、できましたら利子もゼロにしてほしいということと、返済の時期を、価格が上がりまして例えば銅が五十万、亜鉛が二十五万、それ以上になりました時点で返済を始めるというような制度にしてもらったらどうかとお願いする次第でございます。  以上です。
  78. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 姫野参考人に伺いたいわけですが、鉱山を守っていくために、今までいろいろ具体的なお話を伺いました。それから、もちろんそこには西田参考人と共通したような意見もあると思いますが、労働組合の立場からして一点伺いたいのです。  従来もこれまでやってきた大手の鉱山会社が鉱山を分離会社にしていって、そしてそのことによって、具体的に言いますと、宮城県の細倉鉱山を細倉鉱業株式会社という形にして分離したがゆえに、労働者も地元の自治体の方も、どこまで親会社が面倒を見てくれるのだろうかという不安を持ったりする例が非常に多く出てきているわけでありますが、鉱山を守らなければいけないという共通の問題と同時に、特に労働組合の側からしてやはり国、同時にまた企業に対して、こういう点ははっきりとして労働者の主張を貫いていきたいという点、もし具体的にお話しいただけるとしたらお願いしたいと思います。
  79. 姫野庄三

    姫野参考人 鉱山を生かすために分離したのは、もちろん親会社の都合もございますが、鉱山をそのまま残しておけば赤字が累増して親会社もその山もだめになっていくということで、中小鉱山に徹することによって各種の補助金なりいろいろな面でプラスもあるし、本社費その他の費用も軽減になるということで、いわば鉱山が自立していくためにはその方がいいのではないか。そのほかの経営側の要素もあったと思いますが、そういうことで労働組合も納得をし、地域の地場産業に徹してきたわけでございます。  鉱山がいいときに切り離したときには、そのときの労働条件をそのまま持っていきましたが、その後は鉱山の実力に応じて賃上げなりボーナスを払うということになりましたので、結果としては必ずしも親会社にいたときよりもいい条件に恵まれていないことは事実であります。しかし、鉱山によっては、資本金の五倍にも当たる累積赤字を抱えていても賃金やボーナスは保証されるということと、もう一つ鉱山が仮に閉山をするという事態を迎えたときには、その再就職先なり退職金については親会社が保証をするということになっておりますし、現実に現在ほとんどの中小鉱山は赤字が累憎いたしておりますから、先日も秋田県で一つ鉱山が閉山になりました。その約二十億の閉山費用は親会社が保証するあるいは地元対策もあわせて行うということですし、その部分については同じ経営のグループの他部門の労働者の稼ぎ出した利益で保証しているということで、したがって鉱山以外の労働者にもそういう鉱山の実態を訴えて理解を求めて鉱山の対策に協力してもらうなり鉱山の労働者の雇用保障なり、そういった労働諸条件の保障についても側面的にバックアップしてもらうような教育をしているつもりでございます。
  80. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  81. 野田毅

    野田委員長 以上で午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しい中を長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  82. 野田毅

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  急速な円高影響問題について調査を続行いたします。  午後からの参考人として宮崎参考人金子参考人村上参考人、秋常参考人山科参考人中島参考人、以上六名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。  ただいま本委員会におきまして、特に急速な円高影響問題について調査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず宮崎参考人お願いいたします。
  83. 宮崎晃

    宮崎参考人 私は、日本陶業連盟会長宮崎でございます。陶磁器工業を代表いたしまして御説明を申し上げたいと思います。  急速な円高による当陶磁器工業の業界は、端的に申し上げまして、為替レートを前年同日と対比いたしますと、昨年の三月四日は二百六十円七十銭でございました。昨日の三月四日は百七十八円八十五銭であります。実に三一・四%の円高になっておるのが実情でございます。こういう状況下において、陶磁器輸出業界の採算レートは二百二十円が限界でありまして、現在進行中の百八十円−百七十円台では到底成約というものが成り立たないわけでございます。  業界では、既に受注残を持たないものが大部分であります。現在、操業短縮等によりカバーしておりますが、このまま円高が推移するといたしますると、操業不能となり、不測の事態が発生するのも時間の問題と言われておるわけでございます。これらは地域経済に与える影響が甚だ大きく、失業等の雇用問題も当然発生することになるのであります。  このような状況の中で、各企業経営推持のため、少ない受注を赤字覚悟でかき集めているため、また国内の競争は一層激化して、かつドル価格においても引き下げの傾向にあり、レートの差以上の価格の引き下げを余儀なくされておるのが実情でございます。本年に入って、輸出実績は平均一〇%以上の減少を見ておりますが、内容は採算を度外視した価格で注文を量産でカバーしているのが実情であって、統計もその内容を十分にお酌み取りの上、把握していただきたいと思う次第でございます。  今回の円高政府の主導によって進められ、その結果が弱小中小輸出業界のみが死活の危機に追い込まれておることは、国の政策として甚だ公平を欠くものと存ずる次第でございます。これがため、以下の御要望を申し上げたいと思います。  一に、円高の是正と安定。現在の苦境がすべて円高に起因するものであることは周知のとおりでありますが、即刻円安の方向への対策をとっていただきたいと思う次第でございます。今日までの経過を見ても、この異常な円高にかかわらず対外貿易摩擦は何ら解決されていないと考える次第でございます。輸出超過が主として価格競争力のある大企業製品の急増に原因があると考えるので、これを規制し調整する等の措置によって、円高とレートの安定が解決されるべきものであると信ずる次第でございます。為替のレートについては、当業界としてあくまでも二百二十円を限度といたしておりますが、とりあえず二百円台への移行に全力を挙げて取り組んでいただくようお願い申し上げる次第でございます。  二に、差益の即刻還元でございます。円高による差益は、企業努力によって得たものではありません。この差益は、差損の出ている産業界へ公平に配分する御配慮を賜りたいと思うわけでございます。当業界では、直接原料等は輸入いたしておりません。大部分が国産であって、原料面における差益というものは皆無であります。一方、関連資材の電力、石油、パルプ等、輸入による差益を受けている主要産業製品等についてほとんど価格が据え置かれておるのが現状であるので、電力料金、原材料卸売価格等、強力な行政指導によって即刻引き下げの実施をお願い申し上げたいということでございます。  三に、法人税の還付、地方税の減免、納税猶予をお願い申し上げたいと思います。赤字企業に対する法人税の過去一年の納税分の還付、納税猶予については、既に発表されております。還付についても少なくとも過去三年間にさかのぼるよう、また、納税猶予についても円高差損による赤字が続く間はお認めを賜りたいと思うわけでございます。なお、地方税につきましても、固定資産税、事業税等の減免、納税猶予をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  四は、当面の救済措置としての金融でございます。円高救済措置政府等金融機関の貸出金利についても、現在の五・五%から、少なくとも中小企業事業団高度化融資の二・七%並みへ引き下げてほしいと思うわけでございます。また、借り入れ希望の企業はすべて赤字企業であるが、円高に起因する赤字については貸し出しの選別対象から除外されるよう即時指導してもらわないと、現実の融資が受けられない実情にあるわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕  五、転廃業による設備の買い上げでございます。業界も最大の努力を払って企業維持に努めておりますが、仮にこの円高が推移するとすれば、我が国産業構造の変革、とりわけ中小企業にとって一段の厳しさが増して、業界の大半が転廃業やむを得ない事態も予測される次第でございます。したがって、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に、転廃業による既存設備の買い上げ等の措置を追加していただくようにお願いする次第でございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。
  84. 佐藤信二

    ○佐藤(信)委員長代理 ありがとうございました。  次に、金子参考人お願いいたします。
  85. 金子司良

    金子参考人 私は、日本金属洋食器工業組合の金子でございます。  まず、御報告申し上げる前に、私ども業界の現況について、組合の状況を前もってお話し申し上げていると、後よく御理解いただけるのではないかと思いますので、一応組合の現況を先に申し上げます。  私どもの組合は、新潟県燕市を中心とする五町村並びに岐阜県の関市の一部にあります組合、合計百四十六社をもって結成している組合でございます。従業員は合計で五千三百二十四人でございます。これは組合員の従業員だけでございます。そのほか、関連企業として金型、それから研磨、成形、それからプラスチックというような下請関連企業が約三千軒ほどございます。したがいまして、すべて中小企業、零細企業でございます。  また、輸出生産高といたしまして、昨年は三百七十八億円でございます。そのうちの約七五%が輸出に依存しているわけでございます。世界各国、百二十カ国に出しておりまして、そのうち五〇%以上がアメリカ向けに依存しているわけでございます。したがって、典型的な輸出依存型の地場産業でございます。  それで、私どもの組合は、中小企業団体法に基づきまして、通産省の監督下において輸出数量の規制並びにデザインの登録認証、その他の事業を行っている組合でございます。  それで、今回の円高に対する現況につきまして御報告いたしますが、まず五十三年の十月にやはり同じような円高の問題があったわけでございますが、それが百七十五、六円だったと思いますが、そのときとにかく大変な苦労はしましたけれども、一応乗り切ったわけでございます。しかし、では今回じだから何とかなるのではないかというようなお話もよく言われるのでございますが、その時点と私どもの今の置かれている時点と全然状況が違うのでございます。  そういった意味で少し申し上げたわけでございますが、と申しますのは、五十三年当時は私ども日本の洋食器業界が世界に対して供給しているシェアが約六〇%以上でございましたので、日本がリーダーシップをとっておって輸出できたわけでございますが、その後、中進国、発展途上国等の急激な追い上げがございまして、現在では逆転しまして、私ども日本業界が占めておるシェアは約四〇%でございます。したがいまして、五十三年のときは供給する立場から、買い入れるバイヤーも日本からある程度買い入れなければならぬということで、双方歩み寄ってこの前の円高は乗り切ったわけでございます。しかし、今回は逆に発展途上国、中進国の方が数量的にもあらゆる面においても追い越しておりますので、今度はそうはいかない。そこへもってきて今回の為替レートの問題でございますが、二五、六%の円高でございます。それに、一番私どもの競合相手である韓国、台湾、特にお隣の韓国に対してはドルとの連動からいって逆に安くなっておりまして、現在でも既に六%も安くなっております。したがって、これを合わせますと約三六、七%、四〇%近い為替だけの差があるわけでございます。一〇%、二〇%のものであればまだ私ども企業努力し、一生懸命やって何とかカバーしなければならぬと思うわけでございますけれども、四〇%以上の差ということになりますると、現在はもうどうにもならないというのが現実でございます。  それで、昨年の全体の一年間の出荷数量、金額等を見ますと、昨年は前半がよかったものでございますので、九月からの円高をカバーしまして、平均しますと一〇%弱の落ち込みで推移したわけでございますけれども、本年に入って一、二月になりますと、月々に一〇%前後の落ち込みがございまして、現在では、先ほどお話し申し上げましたような、一番大きいアメリカ向けが約六〇%近く落ち込んでおります。全世界に対する出荷数量も既に四〇%近く落ち込んでおります。したがって、一月前後までこの前の二百円のレートを前後しておりましたので、これでいくのではないだろうかということで、私どもの採算レートでいいますと、どうしても二百二十円が最低採算点ぎりぎりでございます。  しかし、十二月の後半から一月にかけて二百円前後のレートでまいりましたので、一応バイヤーの方は、私どもから買う商品とお隣の韓国から買う商品と区分いたしまして、どうしても日本でなければできない商品がまだあるわけでございますので、この商品に対して引き合いが始まったのでございます。またそれ以外の商品に対してはほとんど韓国の方へ移った。バイヤーが持っていった。したがって、先ほど申し上げましたような六〇%近くの落ち込みになった。にもかかわらず、さらにせっかく引き合いの始まった四〇%近くの注文がまた百九十円、百八十円という二十円の円高によりまして現在のところほとんどストップしております。したがいまして、今日私ども業界としては全く打つ手がないというのが現実でございます。でも何とか乗り切らなければならぬということで、市を先頭にして一生懸命にやっているわけでございますけれども、そう簡単に打てる手があるわけではございませんので、何としても県、国のお力をおかりしてこの態勢に対処しなければならない、こう思うわけでございます。  そんなような意味におきまして、私どもが御要望申し上げたいのは、先ほどからお話がございます、まず円高の是正でございますが、これはせめて何とか二百円前後のレートにお戻しいただけるように御配慮賜れば大変ありがたい、こう思っているわけでございます。  それから、何としてもこれに対するカバーをしていかなければならぬという意味から、まず逆な立場である円高による受益がある電力、また輸入資材等による還元でございますが、いわゆる価格の引き下げ、また電力量の引き下げというものに対してぜひ御指導を賜れば大変ありがたい、このように思うものでございます。したがって、これに対して、また私ども業界といたしましては、もちろん手をこまねいて待っているわけではございませんけれども、一生懸命で頑張ってまいりたいとは思いますけれども、今のところ打つ手がないというのが現実でございます。したがって、これからのあれに対しては、いろいろ県、国の御指導をいただいて、材料に対する御協力をお願いするとか、また今申し上げた電力料金等をお願いできれば、今申し上げたレートで何とかやっていけるのではなかろうかと思うのですが、しかし、現在は既に転廃業が始まっておりますし、二番目に私の方でお願い申し上げたいのは、どうしても余る生産力、三〇%以上ないし四〇%というものは転廃業しなければならぬ、転業または廃業しなければならぬ。そうしたときの、廃業する場合の現在の洋食器の私どもの機械は専用機械でございますので、ほかに転用することができません。したがって、転業、廃業する場合の機械の買い上げというような、これを何とかぜひお願い申し上げたい、このように思うわけでございます。  そんなようなことをお願い申し上げて、終わりにしたいと思います。
  86. 佐藤信二

    ○佐藤(信)委員長代理 ありがとうございました。  次に、村上参考人お願いいたします。
  87. 村上亀六

    村上参考人 私は、日本綿スフ織物工業組合連合会副理事長で播州織の理事長村上亀六でございます。  貴重な時間を私ども円高影響産地の実情をお聞き取りいただくために割いていただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  私ども綿スフ織物業界全国六十数産地に及びますが、今回の円高輸出とのかかわりの有無を問わず、直接間接に大変な事態に直面するものと考えております。殊に五十三年の円高とは環境の変化が余りにも大きく、国際競争力の減退は申すに及ばず、輸入の急増など産地死活の事態に突入するのではないかと憂慮しておるのでございます。  私ども播州織の事例をかいつまんで御説明いたしますと、播州織は兵庫県の中央部、加古川の上流の西脇市を中心として三市三郡にまたがる県下トップクラスの地場産業で、地域の織物依存度は八〇%以上と見られています。企業数は大小合わせて約二千五百、うち織布工場は千三百五十、織機台数は二万二千五百台、したがって一機業当たりとなりますと、平均十七台という中小零細な企業の集まりでございます。  産地の特色は先染織物一〇〇%です。カラーシャツ地、ブラウス地、婦人服地などでございまして、また、ハンカチーフ、サロン、インテリア織物など多彩なものを生産しております。出荷高は年額約一千億円でございます。輸出比率は平均七〇%前後、昭和初期に産地挙げて輸出に転換して以来、六十年来ひたすら輸出先染織物の開発と市場の開拓に努めてきたのでございます。生産の形態は一〇〇%受注生産でございます。このほか産地の特色は、糸染業、織布業、織物加工業、座元業がそれぞれ専業的に分業化していることや、生産部門はほとんど産元の賃加工形態をとっているところでございます。  さらに、積極的な産地気質で、設備の合理化や共同化に前向きに取り組んでいます。共同加工場や染色の共同汚水処理施設などは、他産地に例のない規模と言っても過言ではないと思っております。もっとも、それだけに投資も大きく、負債もたくさん抱えているということになります。  輸出市場の主力はアメリカの市場で、直接間接の依存度は四〇%ラインになりましょう。その他ヨーロッパ、豪州、中近東、アフリカ、中南米など広範囲な市場を持っていますが、最近はいずれも低迷しております。輸出の取引は大部分、大手輸出商社が窓口で産元業者がこれとタイアップをしています。また、紡績と座元間の賃織りケースも四〇%近くございます。短繊維の先染織物産地としては世界最大の規模と言われてきました。  以上が播州織のあらましでございます。  さて、円高影響につきまして御説明を申し上げます。  播州織の先物受注の状況では、三月度を九〇%確保していますが、四月物では定番品の不振で三〇%の減少が予想されます。さらに五月物ではもっと厳しい事態になるのではないかと心配しているのでございます。これら三、四月物は、去年、つまり円レートが二百十円前後までに成約されたものであって、大阪商社の情報によりますと、それ以来の新規成約はほとんどないに等しいと言っています。ハイペースの円高で値段が合わないのです。先染織物では、通常三カ月の先物の成約状況で好不況の予想が立ちますが、現在では二カ月、先物すら確定せず、不安におののいているのが実態でございます。  春夏物を主力とする我が産地では、バイヤーの仕入れの時期はほぼ決まっており、九月のバケーション明けとか旧正月明けなどでございますが、ちょうどこの最も重要な時期に、しかも売れる時期に円高に突入したのでございます。私どもの産地にとりまして、まさに致命的な円高誘導でございました。しかも不運にも、先染織物は一昨年来からファッションの変化期に遭遇し、低迷市況が続いておりました。去年の九月ごろになってようやくアメリカの市場の在庫の調整も終わり、いよいよ本格的な商談が始まるという説が強まり、十先の商機に大きい期待をかけておりました。事実、アメリカのバイヤーも十月ごろには活発に動き始めました。ところが、思わぬ円高となったので、バイヤーは大阪を飛び越えて韓国、台湾に走りました。播州織は値段の駆け引き材料にだけなったのです。台湾の業界では既に六月まで満杯となったと伝えています。  品質、納期、デザイン性、新品種の開発能力など、ついこの間までの国際市場での播州織の優位性はこの円高により吹っ飛んでしまいました。少しぐらい高くても品質や納期が安定し安心して取引のできるものが欲しいという限界を超えたのでございます。過去一年間、私どもの組合では海外市場の情報を集め、整理し、年内にはマーケットの在庫が調整できるから市況は必ず回復するという確信のもと、組合員に対し、この一年を定番品の緊急避難の年と思い辛抱して競合との綱引きに負けないよう頑張ってほしい、十先からは必ずよくなると言って励ましてきました。地域の一般住民もまた業者と同様に、この市況回復期に大きな願いと期待をかけていたのです。我々のはるか手の届かないところの円高操作が、このような形で我が産地を襲うとは思ってもみませんでした。産地も地域住民も生活の糧を失い、塗炭の苦しみに追いやられることになるのです。  最近の調査では、ここ一年間の休廃業は六十九社となっております。この円高がこのまま続けば、ますます休廃業が出るのではないかと案じております。組合といたしましては、円高融資の大幅導入や構革リース資金の償還延期、県市町への支援要請と隔週二日制の導入、織り工賃の下落防止の申し合わせ、情報の早期収集など、連日のごとく会議を重ねておりますが、融資を受けても返済のめどが立たない、あるいは担保がないので融資も受けられないといったケースもあり、対応に日夜苦慮しているのが現状でございます。一日も早く中小企業の能力に対し適正な円レートで安定し、商談が成り立つようにしていただきたいのでございます。内需も輸入急増を予想して値段が通らないようです。内需転換もままおりません。さらに憂慮されることは、輸入品が迂回して日本の窓口から輸出されるおそれもあるとさえ言われています。管理体制に万全を期してほしいのでございます。  最後に、要望点を一括して申し上げます。  第一に、前に述べましたとおり、適正円レートヘの早急な復帰誘導施策を実施していただきたいのでございます。第二に、電力料金の大幅値下げの配慮でございます。第三に、円高差益を財源とするアフリカその他海外援助物資、特に織物の特需発注をお願いしたい。この案件には前例もあり、先物の受注計画の立たない我々にとっては緊急かつ重要なカンフルと存じます。第四に、政府系金融機関への配慮は承っておりますが、一般金融機関にも同様の協力要請を、特に償還猶予について積極的な御指導を大蔵省として実施していただきたいのでございます。  意を尽くしませんけれども、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  88. 佐藤信二

    ○佐藤(信)委員長代理 ありがとうございました。  次に、秋常参考人お願いいたします。
  89. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 私は、日絹連合会理事長の秋常でございます。  本日は、私ども業界円高に伴う実情について陳述する機会をお与えくだされ、心から御礼申し上げます。今回の円高対策の一環として、特定中小企業者事業転換対策臨時措置法が異例のスピードで実施されまして感謝しております。  私ども業界は、絹織物と化合繊の長繊維織物の製造業者の集まりから成る団体であります。企業数約二万六千、その大部分は中小企業者であります。歴史的に絹織物業から始まった産地が多く、したがってその主要産地は日本海側に存在しております。  本日は輸出型の中小企業産地のお話ということですので、その輸出比率が七〇%以上と高い合繊織物の実情についてお話し申し上げ、先生方の御理解をいただきたいと考えております。  さて、合繊織物の産地は日本海側の、特に福井、石川、富山の三県のウエートが高く、この三県で全国生産の八〇%を占めております。私は石川県織物構造改善工業組合の理事長でもありますので、本日は主としてこの北陸の実情を中心に述べさせていただきたいと思います。  北陸産地は合繊メーカーや商社からの発注による賃加工形態の割合が高く、この賃加工比率は九〇%以上であります。したがって、織物業者がみずから糸を買い、織物を販売する形態ではないのであります。このような賃加工による織物業者の織物の営業は、発注者である合繊メーカーや商社がこれを行い、一種の垂直連携による分業になっております。その意味では、実際に生産量を決定する発注者たる合繊メーカーや商社の責任は大変大きいと言ってよいと思います。  さて、このようにして生産された北陸の合繊織物は、五十九年夏以来世界的なファッションの天然繊維指向への移行もあって、需要が伸び悩み、輸出、内需とも市況低迷し、大変な不況が襲来してまいりました。この原因は、今ほど申し述べたほか、革新織機、すなわちウオータージェットルームの過大な導入による供給過剰がその大きな要因として挙げられております。  その結果、織物価格は下落し、それに伴い織り加工賃も極度に低落し、産地は今大変に混乱しております。我々業界においても、今日まであらゆる不況対策を実施してまいりました。すなわち、減産の強化、過剰生産品の買い上げ凍結、転廃業者救済の設備の共同廃棄、合繊織機の県外からの移動禁止等実施した結果、ようやく定番品を除く一部品種に明るみが見え始めたやさき円高が直撃したのであります。  今回の円高は全く人為的な協調介入であり、我々業界にとって大変迷惑至極であります。わずか四カ月余りの間に、二百四十円から百八十円と、二五%もの変動は非常事態であります。北陸産地は、今度の円高は全く死の宣告を受けたと同様な深刻さであります。  具体的な円高影響は次の点が挙げられます。  一、新規成約については、一ドル二百円を割ってから新規商談はぴたりととまった感じであります。このように二百円以上の円高は致命的で、引き合いはあっても折り合わず、商談は進行しない実情にあります。  二、成約後であっても、値洗い、再契約させられる産地が多いのであります。  三、以上のように新規成約が厳しい現状から、四—六月期の合繊メーカー、商社からの発注量は激減が予想されております。  四、同様に、四−六月期の織り加工賃はさらに低下するのは必至と言われている。また、織り加工賃の後決めも余儀なくされている機屋が多いようであります。  五、四−六月期において多数の倒産の発生が心配されております。  なお、産地の織り加工賃について一例を挙げると、定番品であるポンジーの五十九年一−三月期の工賃が一匹が千円強であったものが、現在約五百円と半減し、甚だしいものは、一部には三匹で千円とも言われています。  以上御報告申し上げたような状況でありますので、この非常事態打開に対する一段と強力な政府の対応を望むものであり、次の円高に対する要望事項につきまして、何とぞ実現賜りますようお願い申し上げる次第であります。     円高に対する要望事項  一、下請業者(賃織り業者)への加工賃の引き下げ、不当返品、条件設定後の変更など、円高による賃織り業者への不当なしわ寄せを阻止していただきたい。  二、中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の金利をさらに引き下げていただきたい。同時に、既往長期借入金の金利引き下げをしていただきたい。  三、信用保証制度の無担保、無保証等の限度枠の拡大を図り、あわせて保証料の引き下げを実施していただきたい。  四、早急に円レートを安定していただきたい。  五、電力業界円高差益を受けており、その分は電力の需要業界に還元していただきたい。特にオイルショック後の特別割り増し料金を撤廃していただきたい。    我々が現に購入しているC重油も一リットル六十一円であったものが、現在四十七円にと二〇%以上下がっている。直ちに電力料金を引き下げていただきたい。  以上でございます。
  90. 佐藤信二

    ○佐藤(信)委員長代理 ありがとうございました。  次に、山科参考人お願いいたします。
  91. 山科直治

    山科参考人 日本玩具協会の会長を務めております山科でございます。  お話の当初に当たりまして、皆さんのお子さんや皆さんにもなじみの深いおもちゃのことでございますので、少しおもちゃ業界の現況をお話ししてみたいと思います。  私どもの登録いたしております事業者数は全国に五千五百社ございます。従業員数は四万三千名、主要産地は東京、大阪、名古屋、一部静岡あるいは栃木というように散在をしておりまして、そのうちの六〇%は東京並びに東京の近在の生産でございます。生産額は、多種多様でございますが約四千五百億円、輸出額は一千五百億円でございます。これは生産の約三〇%に匹敵するわけでございます。  ただいま御先輩各氏から円高におけるところのいろいろな実情のお話がございましたので、私どもは一番私どもが打撃を受けておりますアメリカの実情から少しばかりお話を申し上げ、御理解を得たいと思います。  従来、今から約十五年ぐらい前までは、私どもはアメリカや欧米の先進国からいろいろ玩具を見習いまして、それに私ども自身の創造力を付加をいたしまして、そして日本の玩具が大変世界の寵児として輸出されたわけでございますが、その後御承知のように日本をめぐる近隣三国が日本以上に実力をつけてまいりまして、現在は韓国と台湾と香港で日本の約四倍以上の実績を持って、一番の輸出国であるアメリカへ輸出しているわけでございます。そして、アメリカは全体の需要総額の約八〇%近くまでは東洋に生産拠点を依存をしておるわけでございます。言葉をかえて申し上げますならば、アメリカで売られているところの玩具並びにそれに類するものの八割までは、ほとんど東南アジアで生産されていると言っても過言でないわけでございます。その中の日本の占める割合は、年によっても若干の変動はございますが、七%から一割以内に抑えられているのが現在の状況でございます。  そうして、このような円高になる前にアメリカに大きな産業構造の変化が出てまいりまして、アメリカではほとんど玩具を先ほど申し上げましたように生産をしていないというふうな実情でございます。将来とももうアメリカは産業構造の変化から、今のような円高・ドル安というようなことになりましても、失業者の救済やあるいはまた輸入を抑制する、そういうような状態に今日なっていないというわけでございます。  そして、アメリカと我々が話し合いをやっておりますときに到達いたしましたのは、原点の発想はアメリカは大変すぐれている。しかし、それに付加価値をつけ、創造力をつけ、応用問題で一つの玩具をつくり上げることは日本の方がすぐれている。また、それを廉価で、しかも品質をよくつくるのは韓国、台湾、香港、加うるにマカオ、シンガポールというような東南アジアにその生産拠点を移動しておる。言うならば、おのおのの国の長所を生かした国際分業というようなものを次第に進行していこうではないか、必然的にそういうような方向を認めておったやさきに、この円高の問題が出てきたわけでございます。そのために、私どももいずれはというように覚悟はしておりましたけれども、その円高のテンポが余りにも急激でありまして、手の打ちようがないというのが現在の実情でございます。  私が一番憂えておりますのは、先ほども先輩各位からもいろいろ各地のお話ございましたが、いろいろな問題点もありますが、私どもは長年、特にこの近年、日本経済の異常な成長につれまして、多少の蓄えは皆ございます。一番今業界の下請だとかあるいは部品関連工場が困っておりますのは、新規の発注が全くない。言うならば、例年でありますならば、多小値段の方はきつくても、それに伴っていわゆる先物の予約があるわけでございますが、今年に関しましては、いわゆるバイヤーやあるいはOEMをやっております向こうのメーカー、あらゆるものがこの円高がまだいくのではないか、このような不安定なときに発注はできないというようなことで、全く発注がないということが、非常に私ども業界の仕事に携わっている人たちに夢や希望をなくし、やる気をなくしているというのが私は一番大きな問題でなかろうかな、このように考えているわけでございます。  そのために、私どもはできるならば二百円程度まで戻してもらえば、私どもも懸命な努力を重ねることによっていわゆる合理化をしていこうというようなことは指導もし、考えているわけでございます。もちろん、そのための運転資金の確保であるとか、あるいはまた受注減はこのままでいきますと約半分ぐらいになるのではないかというふうに思っておりますので、操業の短縮、その他もろもろのための雇用調整給付というようなものはぜひともお願いをいたしたい、このように考えておるわけでございます。  それからまた、皆さんも御承知のように、玩具はいつも新しい夢とロマンを与えるというようなことで、新しい商品を次々と改良をしてまたつくっておるわけでございますので、新製品の開発ということは世界の業界をリードするというために大変大切なことでございまして、業界挙げでそのような方向へ行こうということをやっているわけでございますが、たまたま今回のようなことがありますと、米国と同じように産業構造の空洞化とでも申しましょうか、もう日本ではおもちゃはできないというような方向へも傾斜していくことを大変苦慮しているわけでございます。  したがいまして、私どもはぜひ諸先生方お願いをいたしたいと思いますので、何とぞ二百円まで引き戻されるようにひとつ御配慮願えぬだろうか。それから、今のようなことでは、アメリカ政府の高官がまだ円高になるのではなかろうかと言ったようなことからとまっておりますので、どうか現段階での閣僚その他の方々の御発言は、円高を誘導するようなことはもうやめていただけないだろうか。この上追い打ちをかけられるようでは、まことに為政者として惻隠の情に欠けるものがあるのではなかろうかと私は思う次第でございます。しかも、いわゆる対米感情がよくなるのならいいのですが、むしろ逆に悪くいっているのではなかろうかと私は考えております。  それから中長期的な措置といたしましては、貿易摩擦解消のために輸入促進ということについての予算措置を講じていただきたい。私は昨年年末とことしと、先般約半月前にアメリカへ行ってまいりましたが、ジェトロでも、政府の皆さんは、とにかく輸入なくして輸出なしというぐらいに、今までとは急角度に変わった、輸入をしろということを強く言っておられます。私どももそのような国策に準じて、できるならばぜひ輸入をいたしたいということは考えておりますが、これに関してはかけ声だけ、あるいはまた総理が一人百ドル買えというような呼びかけだけでは決してこの問題は解決しないのではなかろうかな、私はこういうように考えるわけでございます。  したがいまして、輸入も輸出もいわゆる国際協調というようなことから相並行してやる必要があるのではないか。私どもは小さな業界ではございますが、米国玩具の輸入促進につきまして、輸入は単に政府間の、先生方だけの仕事ではない、我々業界もまた個人の企業も応分な負担をすることは当然だというようなことで、業者間の輸入協定というようなことを、一応法律的な拘束はありませんが、いわゆる紳士間で守っていこうじゃないかというようなことを契約をしてきたわけでございますが、これもちょっと逆目に出まして、言うならば、輸出をするのに向こうの業者から文句が出なければ、問題がなければということのために、向こうの業者もある程度輸入をしてほしいということを我々に勧告されたわけでございます。ところが、今回の急速な円高誘導のために肝心かなめの輸出をするところか、どうしても輸出なくしてはやはり日本の国、殊に我々のような資源のない加工付加価値に依存をしておる業界は絶対なのでございまして、そういう面につきましても私どもは今後とも努力していきたいと考えておるわけでございます。  最後に、新しい産業構造の変化が円高によって行われていくであろう、そういうときに、私ども中小企業に特にこれから入ってくる青年や若い人たちのために、新しい産業の精神的なビジョンを与えていただけないだろうかということでございます。私どもは年でございますので古くさいかもしれませんが、戦争前は八紘一宇であるとか海外雄飛、殖産振興というような一つの立派な目標を国全体が孜々に与えてくれました。しかし今私どもは、片方では経済的や仕事の方では困っておりますが、将来に対して明るい展望を少しでも、我々の仕事に従事する人たちに心のともしびをつけてやるのが私ども業界人の仕事ではなかろうかというわけでございます。  したがいまして、どうか若者に夢とロマンを与えるような新しい日本産業ビジョンを言葉で、また政府が率先してやっていただくことを心からお願いする次第でございます。  どうも大変ありがとうございました。(拍手
  92. 佐藤信二

    ○佐藤(信)委員長代理 ありがとうございました。  次に、中島参考人お願いいたします。
  93. 中島茂清

    中島参考人 私は、全国中小企業団体中央会の副会長中島でございます。  円高による影響をこうむっている中小企業に対し、昨年十二月に緊急融資制度の実施、また先月には特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を制定、さらに同法に基づく緊急経営安定対策等、早速に手を打っていただき、感謝を申し上げる次第でございます。  しかしながら、今回の円相場の高騰は余りにも急激な上昇であり、しかもその先行きについて全く見通しが立たない非常に不安定な状況にあるのでございます。中小企業が大きな打撃をこうむることは申すまでもありませんが、特に企業経営に携わる者から見ますると、景気の先行きに対する不安感が募ってきつつあることを憂慮している次第であります。つきましては、さきに成立いたしました転換法の運用に当たって、同法の附帯決議にもありますように、中小企業のそれぞれの実態に即しできるだけ弾力的に運用されるよう、ぜひともひとつお願いを申し上げるものでございます。  さて、今回の急激な円高によります各地の中小企業に対する影響でありまするが、既に輸出関連産地を代表されまして各業界における現下の深刻なる状況が述べられましたので、私は全国的な観点から実情を述べさせていただきたいと存じます。  まず、今回の円高に対する中小企業の受けとめ方でございます。前回の昭和五十三年の円高と比較してもかなり厳しいものがあります。     〔佐藤(信一委員長代理退席、委員長着席〕 一つは、一カ月そこらで二〇%近くも上昇するというような、極めて短期間の間の急激な上昇であったということでございます。二つ目は、景気の下降局面での円高であったということでございます。したがって、前回は内需転換への対応が比較的やりやすかったのに今回は極めて困難であること。三つ目は、韓国、台湾等の発展途上国が当時と比べものにならないほど力をつけていることでございます。また、今回は他国通貨に比べて円がとりわけ高くなっているため、これら途上国の追い上げ、進出による影響が極めて深刻になっていること。四つ目は、国、地方とも財政事情が前回に比べて格段に悪化しており、公共投資による景気のてこ入れに大きな制約があることなど、五十三年のときと比べて関連中小企業が受けたダメージの強さは比較にならないほど厳しいものがあります。私ども調査によりましても、中小企業が何とかしのげる採算レートはぎりぎり二百二十円というのがほとんどの状況であります。このような中で一ドル百八十円割れという最近の情勢でありますから、中小企業に与える打撃の大きさは想像をはるかに超えており、対処の方法なしという絶望的な意見を寄せている産地業界もかなりあるのであります。  私ども中央会に寄せられております円高による影響の状態を見ますると、輸出関連中小企業における深刻の度が強まってきていると同時に、その影響を訴える中小企業の範囲といいまするか、中小企業者の層がかなり広まってきているというのが実情でございます。当初、繊維製品、陶磁器、缶詰、雑貨等の直接輸出品の中小企業が中心でありました円高による影響が、次第に機械金属、電機、輸送用機器等の下請中小企業にも及ぶようになり、現在では内需向け製品を製造している縫製品、ニット製品、木材、割りばしメーカーなど、発展途上国からの輸入増による影響を訴える者があり、さらには貨物運送業、建設関連、旅館業、産地周辺商店街など、間接的と思われる分野にまで円高による影響が出ているのでございます。  輸出型産地におきます中小企業への影響については既に述べられましたので、ここで下請中小企業における円高影響を申し述べさせていただき、何分の御考慮をいただきたいと存ずる次第でございます。  我が国中小製造業の三分の二は下請中小企業であると言われており、そのレベルの高さが今日我が国輸出産業の基盤となり、国際競争力を維持するに大きな力となっているわけでありまするが、これら下請中小企業をめぐる最近の状況が、円高によりまして親企業からの種々の要請により極めて深刻なものとなりつつあるのであります。もとより、親企業といえども円高影響をこうむっており、円高分をすべて販売価格に上乗せできないときは、これを自社内の合理化によって吸収する努力をしているのでありましょうが、下請中小企業の場合、価格交渉力も弱く、しかも需要伸び悩みの中での仕事量の減少ということもあって、一方的減額要請にも応ぜざるを得ないという状況であります。受注量の減少に加うるに受注単価の引き下げというダブルパンチが、円高によるコストダウン要請の名のもとに、地域、業種を問わず下請中小企業を見舞いつつあるのであります。  しかも、新規契約分についてのみならず、既契約分についても協力要請、円高協力費の分担という形で、実質値引きに等しい措置がとられつつあるのであります。下請中小企業としましても、当面その苦境を乗り切るべくあらゆる対応努力を尽くしているところでありまするが、こうした努力が少しでも円滑に進展するよう、輸入原材料価格の低下、特に円高差益還元による電気、ガス料金等の早期改定をお願いする次第でございます。また、親企業からのコストダウン要請につきましても、円高上昇率をはるかに上回る大幅な要請も出ていると伝えられております。通産省においては既に輸出関連親事業者団体に対し、下請企業に対する円高影響を不当に転嫁しないよう要請を行うとともに、公正取引委員会との連名で下請取引の適正化を求める通達を出していただいておりまするが、こうした措置が十分に実を上げ得るよう、一層の指導、監視体制の強化をお願いする次第であります。  最後に、今回の円高我が国産業の国際競争力が強く、巨額の経常収支の黒字を背景に、これを緩和するための措置として政策的に誘導されたもののごとくであります。そうであるならば、これを完結させるためには何よりも内需の拡大が不可欠であり、それがまた今回の円高によって深刻な影響をこうむっております中小企業を苦境から救う何よりの方策と考えます。厳しい財政事情にあることは十分承知しているのでありまするが、我が国の活力の源泉であります中小企業が再び立ち上がれないダメージを受ける前に、実効性のある対策をぜひとも早急に実施していただくことをお願いし、私の意見陳述とさせていただきます。  終わります。ありがとうございました。
  94. 野田毅

    野田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  95. 野田毅

    野田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者にあらかじめ申し上げますが、質疑の際は、まず質疑する参考人のお名前をお示し願います。  なお、念のため参考人に申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。野上徹君。
  96. 野上徹

    ○野上委員 参考人の皆さん、きょうは御苦労さまでございます。ただいま諸参考人のお話を伺っておりまして、まさにその深刻の度極めて深いものがあるという感慨を受けました。  まず最初にお伺いいたしますが、ほとんど皆さん方から円を大体二百二十円にしてほしい、しかし何とか二百円まで、こういうことでありますが、まず中島さんにお聞きいたしますけれども中島さんは一応二百二十円ということでありますが、きょうおいでいただきました参考人の皆さん方は、先般百八十三業種が特定中小企業者として臨時措置法の対象になったわけでありまして、その代表者でございますから、そういう各業種の総合的な考え方として、円のレートはぎりぎりここまでというような線は一体どの辺にあるのか、もう一度お聞きしたいと思います。
  97. 中島茂清

    中島参考人 円高の円レートでございまするが、私は二百二十円と申しました。これは大体二百円から二百二十円というのが実際の調査のデータでございますが、まず二百二十円という声が大変多かったということでございまして、二百二十円と申したのでございます。  以上でございます。
  98. 野上徹

    ○野上委員 わかりました。  それで、現在は百八十円ということで操短から始まりまして休転廃あるいは倒産と、こういう事態が相次いでおりまして、中小企業庁が調査いたしました三回目の調査にいたしましても、一回目、二回目に比べて非常にふえているわけであります。この百八十円という非常に無理な現況でありますけれども、これが一カ月や二カ月でどのように動いていくかという行方がわからないというのが一番困った状況だと思うのですが、この百八十円という今日の状況のままで一体その業界が持ちこたえられるのか、あるいはさらにこの倒産というものが進んでいくのか、そこら辺を代表して金子さん、ひとつお答えいただきたいと思います。
  99. 金子司良

    金子参考人 今の先生のお話でございますが、私ども業界としましては百八十円ではまず不可能でございます。精いっぱい頑張っても二百円が限度でございます。まず百八十円は不可能でございます。
  100. 野上徹

    ○野上委員 先ほどから話がありますように、緊急融資だとか事業転換等の臨時措置法というものを施行するなど緊急対策を講じているわけでありますけれども、その中で皆さん方のいろいろな要望というものは、例えば差益還元だとか融資関係のいろいろな条件をもう少し考えてもらいたいとかいろいろありますけれども、それらを一挙にやっていくわけにはいかぬので、その中でも特にこの点だけはどうしてもやってもらいたいという点を三点くらいに絞って言っていただきたい。これは中島さん、ひとついかがでしょうか。
  101. 中島茂清

    中島参考人 実は円高差益の還元でございまするが、昨年度私たちがちょっと調査いたしましたところ、円が大体一円上がるとある電力会社は年間百四十二億円くらいの利益が出る。過日新聞にもちょっと出ておりましたが、電気料金の問題でございまするが、輸入の石油の円高によって一千億くらいの利益が出るのじゃないかということがちょっと報道されておったようなわけでございます。電気に限らずガス関係もぜひひとつこの際速やかに還元をしていただきたい、これを特にひとつお願いを申し上げるわけでございます。  これを何に還元しろということは私たちは申し上げませんが、一応中小企業不況で本当に困っているんだ、何とか救済をしようということでその料金を下げていただければまことに私は結構だと思うわけでございます。
  102. 野上徹

    ○野上委員 さらに、先ほど下請加工業、下請中小企業について、他の五人の方というとあれなので再度中島さんに伺いたいのですが、なかなかこの中小企業は親企業に対して、困っていても物が言えないのが現状だと思うのですね。こうしてほしい、ああしてほしいとここまで出かかっていても、それを言ってしまうと終わりだという切実な問題があると思うのです。それに対して中小企業庁あるいは通産の各局は、相談室を設けたりあるいは対策推進本部を設けたりいろいろな通達を出したりして親企業に対する指導をしているわけですけれども、今後ますますこのしわ寄せが、親企業も確かに大変だろうけれども、その下の方に行くとそれはもっと深刻になると思うのですね。この問題というのはこれから大変大きくなってくると思うのですが、その点親事業者に対してどのような行政指導をさらにしてほしいか、この点について中島さん、もう一度お願いします。
  103. 中島茂清

    中島参考人 特に下請企業の問題でございまして、ただいま御質問がございました。基本的に私たちはぜひひとつ親企業と共存共栄で、できれば共存共栄でやっていきたいというのが望ましいわけでございまするが、現状は親企業から協力要請という形で圧力が実は加わっているのでございます。企業名は申し上げられませんが、これが下請企業の大きな宿命でございます。さらに行き過ぎた抗議もできませんので、ただ親企業の言うなり、もし言うことを聞かないと実は仕事量が減少していくというようなことでございまして、でき得る限りひとつ親企業との連絡を密にして、共存共栄でいきたいというのが私の本音でございます。  以上でございます。
  104. 野上徹

    ○野上委員 さて、事業転換ということでありますけれども、一口に事業転換と言っても、なかなか今までやってきた商売を衣がえをするということは大変難しい、困難なことだと思うわけであります。やれる業種とやれない業種、どうしてもやれない業種、こういうものがあると思うのでありますが、例えば金属洋食器のような場合、これは私はある程度可能性があるような業種と承っておりますけれども、この点金子さんひとつお答えいただきたいと思います。
  105. 金子司良

    金子参考人 今先生おっしゃいました点でございますが、まずその前に、私どもの洋食器は専用機械でございまして、ほかのものに利用することは全然不可能でございます。それで、先ほど陳述のときお願い申し上げたように、転廃業しようとしてもその機械がある限りなかなか転廃ができないのでございますので、せめて機械を転廃業する場合に限り買い上げをいただけるようにすれば、また転業の線は十分、ステンレスの加工、いわゆる金属加工においては主産地でございますので十分可能性はありますけれども、今の機械を利用しての転廃業は不可能でございます。ぜひお願い申し上げたいと思います。
  106. 野上徹

    ○野上委員 仄聞するところによりますと、私も燕へまだ行ったことがないのですけれども、燕市では事業転換に非常に熱心に取り組んでいると聞いているのでありますけれども、その実態はどんなふうなんでしょうか。
  107. 金子司良

    金子参考人 市を中心といたしまして第三セクターによる新しい事業転換ということに対して市は一生懸命にやっておられますけれども、まだ実際に実を結んだのはございませんけれども、最近非常に中央からの引き合い等が活発になってきております。しかし、それに何としてもネックになっておりますのは、先ほど先生に御報告申し上げた点がネックになっておりまして、しかしそういう体制には市を中心として進んでいることは事実でございます。
  108. 野上徹

    ○野上委員 さらに宮崎さんにお伺いしたいんですが、昨年暮れからの緊急融資の利用状況でありますけれども、これがどの程度効果を上げているか、おたくの業界ではこの緊急融資の利用状況、こういったものはどのくらい進んでいるんでしょうか。
  109. 宮崎晃

    宮崎参考人 お答えいたします。  私どもの資料によりますと、私は愛知県の出身でございますので、国と県を対比しまして今回の円高融資についての基礎的な数字を申し上げます。  御高承のように、国の方においては昨年の十二月二日に特別融資の制度が実施されたわけでございます。全国では一月三十一日現在で二百八十八件、七十三億円に達しておるわけでございます。このうち愛知県は七億三千百五十万ということになっております。ところが、十四日おくれまして十二月の十六日に愛知県は同じような制度を発表いたして実施に入ったわけでございます。いずれも金利は五・五%でございます。県内を対象とした円高融資につきましての額は、窯業について二十七億円の融資をしました。県内全体では五百二十三件、七十億に達しております。つまり円高融資について県内の七十億は国全体の七十三億にほぼ匹敵するわけでございます。  どのような事情によってこのような差が生じておるかということを端的に申し上げますと、まず国の三公庫の融資は申し込み手続等が煩瑣であるということと、即時という実情には沿っていないということと、返済能力が一番問題になるわけでございます。それで私どもの組合でも種々こういった緊急融資について組合員に説明をいたしますし、かつ融資のあっせんをいたしておりますが、すべて今申し上げましたような理由によって、せっかくの国の円高対策資金というものが生かされておらないというのが実情でございます。国の融資のうちの窯業関係というものは大変現在のところは低くて伸びておらないわけでございます。わずか二億七千万程度が愛知県分で融資されておるのが実情でございます。  当初この資金に対する私どもの聞き及んでおりますことは、あすの給料の支払い、手形の決済、そういったことに困っておる人に緊急融資をする、このような趣旨に承っておりますが、実情は今申し上げたようで、県と国とこのような実質上においても格差があらわれておるということでございますので、この点について当初の目的どおりの融資がなされて、そういった多くの組合員が適切な応急処置がとれるような施策を改めて通達をお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。
  110. 野上徹

    ○野上委員 先ほど宮崎さんのあれで、六・八%が五・五%になった、それを、ちょっと聞き取りにくかったのですが、さらに二・七%と聞こえたのですが、五・五%の金利をさらにこのくらいにしてほしいということですね。もう一度お願いいたします。
  111. 宮崎晃

    宮崎参考人 これは中小企業事業団の高度化融資が二・七%となっておるわけでございます。したがいましてこれと同じような扱い方をしていただきたい、それを申し上げるだけの十分な理由がある、かように申し上げておるわけでございます。
  112. 野上徹

    ○野上委員 村上さんにお伺いいたしますが、現在播州の組合では、構造改善事業で中小企業事業団からの借り入れの高度化資金の返済猶予をお求めになる考えがございましょうか。
  113. 村上亀六

    村上参考人 お答えします。  施行できるようになりまして、現在一年延長の手続中でございます。
  114. 野上徹

    ○野上委員 山科さんにお伺いいたします。  第一点は、日本の電子玩具、電子おもちゃは不況の中でも割合好況と思われるのですが、いかがでしょうか。
  115. 山科直治

    山科参考人 お答え申し上げます。  野上先生のおっしゃいますとおり、電子産業、特にそれを代表するファミリーコンピューター等は、業界大変閑散の折ではございますが、今もって一応状況は極めて活発でございまして、お客さんの手元に即日に渡らないというような実情でございます。  ちょっと業界のことを申し上げますと、この電子産業というのは、従来の私どもや皆さんが大体知っておりますところの玩具と違いまして、高度な電子を利用しておるわけでございまして、一般の中小企業方々生産をするというよりも、ある一定の大企業が新しい研究分野で開発された商品なのでございます。したがいまして、上の方もぐっと広がりますし、下も広がります。私どもが商社あるいはメーカーの力の中の真ん中におりますと、ここから下のいわゆる販売店であるとかあるいはデパートであるとかというようなところは全部電子玩具で潤っておるわけでございます。ところが、それは販売分野に限定されておるわけでございまして、上の方の広がり、例えば部品工場であるとか下請工場であるとか協力工場であるとか、あるいはそれに伴う従来の多種多様な玩具のいわゆる関連分野には全く波及していないわけでございます。従来は、例えば不況の中で競争いたしておりましても、ある一定のメーカーが大変忙しいと、いつの間にか下請の方へ波及効果がございまして、仕事が全くないということはないわけでございます。ところが今回に関しましては、おもちゃの分野へは入っているかもしれませんが、またおもちゃ屋さんで売られているかもしれませんけれども、それは生産の方におきましては全く異質の分野でございますので、その受注恩恵というものに対しては浴していないというのが実情でございます。また、輸出も今のところ全くないわけでございまして、これはあくまで内需に限られているということを申し添える次第でございます。  以上でございます。
  116. 野上徹

    ○野上委員 再度山科さんにお聞きいたします。  日本玩具協会とアメリカの玩具製造協会とが自主的な協定を締結して輸入拡大を行うと聞いておるのですが、その内容はどういったものでしょうか。
  117. 山科直治

    山科参考人 お答え申し上げます。  先ほどもちょっとお話を申し上げましたが、貿易摩擦は、政府間の皆さんのお力で一応回避されたように見えますが、今後も事あるごとに芽を吹いてくるのではなかろうか、このように推定しているわけでございます。その弁といえば、そのためにいろいろな面で不都合を感じたり、商売がやりにくいとか、あるいはまた失業者が出るということを条件にして、向こうの方で所属の選出の代議士さんの方へ突き上げがあったりなんだりというようなことから大きな問題になるわけでございまして、私どもは向こうの業者の人たちと話をいたしまして、そういうことではなくて、もっと大きな意味からお互いの立場に立ってひとつということで、そのいわゆる紳士間の輸入協定を結んだ次第でございます。年間、金額にして大体二億四千万くらいのものを三年間、継続して上積みをして買おうということに契約をしてきたわけでございます。
  118. 野上徹

    ○野上委員 それは、ある程度余裕があるということなんですか。
  119. 山科直治

    山科参考人 今のところは余裕は全くございません。しかし、努力は大いにしてみたい、このように思うわけでございます。  その理由は、今までアメリカは輸入国でございまして、先ほど申し上げましたように日本からはアメリカの商品はほとんど買っておりません。したがいまして、内需振興拡大という国の政策にも基づきまして、このチャンスを利用いたしまして、金額はさほど大きなものでございませんので、このくらいのものなら買えるであろうということで実行に踏み切りたいというふうに思います。
  120. 野上徹

    ○野上委員 中島さんに再度お聞きしたいのですけれども、直接にこの円高影響を受ける業種もあるわけですが、間接的な影響を受ける業種もたくさんあると思うのです。例えば運送関係業界もそうだろうし、あるいは観光客が減れば旅館業だとかそういうのも影響あるだろうし、商店街もあるだろうし、いろいろあると思うのです。そういう間接的な影響を受ける業種も含めまして、この円高による影響を受ける中小企業というのは、九九%は中小企業だと言われておりますが、全国でそのうちの何%ぐらいが影響を受けるわけですか。また、どんな業種があるか、幾つか例を挙げていただけますか。
  121. 中島茂清

    中島参考人 パーセンテージといいますとちょっと押さえておりませんが、まずどんな業種だということを申し上げますと、大体下請の間接的影響をこうむる業種でございますが、取扱数量が大変減少しておるということで、建設、運送業、石油製品販売業、さらに産地周辺の商店街、先ほども申したとおりでございます。旅館業、あるいは鉄骨工事、板ガラス卸業、観光事業、内装工事業、こういうことで、これが結局間接的な影響をこうむっておるようなわけでございまして、仕事量が減ったために過当競争で採算割れができ、自分たちで首を絞めているというようなところも実はございます。  こんなようなことが大体主なところでございます。パーセンテージにおいては現在のところちょっと不明でございます。
  122. 野上徹

    ○野上委員 そうなりますと、このたび指定されましたこの百八十三業種というのは、今後経緯を見守る中でさらにふやしていく、あるいは補助金の対象になる組合も現在の二十組合、三億二千万円というところからさらにふやしていかなければならない、こういうようなことも考えられると思うのですが、その点はいかがでしょう。
  123. 中島茂清

    中島参考人 早速の御手配で百何種類業種をふやしていただきましたが、申し上げましたように状況に応じてぜひふやしていただきたい、業種ごとに現状を見てどんどんとふやしていただきたいことを申し上げたいと思います。
  124. 野上徹

    ○野上委員 秋常さん、秋常さんの業界は事業転換というものもなかなかままならない業界だと思うのでありますし、NICSと言われます台湾、韓国、シンガポールといったところからの追い上げも大変ひどいものがある、このように思いますけれども、今後仮に二百円程度になった場合に、どのような自助努力をなされるつもりですか。
  125. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 現在四−六の受注交渉はほとんど停滞しております。しかし我々はこれに屈することなく、何としてでも韓国、台湾の追い上げを乗り越えて、世界の合繊織物を日本によって制覇しなければならぬという非常に強固な努力でやっております。  それには、いろいろ問題がたくさんありますが、何といってもやはり新製品を開発する。今までの品物では現在の二割五分、三割上がった円高だとこういう価格になる、それではなかなか貰う人も買えないし売ろうとしても売れない。だから消費者ニーズに合った新製品をこしらえて、これならばこの価格である。今まで絶対類例のない品物であるからそれは必ず通ると思います。そういうようにして新製品を開発して、それで世界の隅々まで輸出していきたい、さように考えております。
  126. 野田毅

    野田委員長 渡辺嘉藏君。
  127. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 参考人の皆さん方、お忙しいところ、私どもの国政審議の大きな御示唆となる参考意見を賜りましたことを心から感謝申し上げるとともに、皆さん方の意見を十分国政に反映するために数点にわたって質問させていただきます。よろしくお願いをいたします。  冒頭にお断りをいたしておきますが、過日渡辺通産大臣が、自民党の方はえさをつけるそうです、野党は毛針にひっかかる低知能層だとおっしゃったそうです。私は新聞で拝見した。私どもはそういう層ではありませんので、その点をひとつ前提に、与党、野党の問題ではなくて、日本経済を支えておる中小企業をどう助けるか、助けると言ったら失礼ですが、どう一緒になって立ち直っていくかということのためにお聞きをするわけですから、そういうふうにお願いを申し上げたいと思う次第です。  私も四十年来中小企業のそういう意味でのお使い役を献身的にやらしていただきましたが、まだまだ微力ではございますが、しかし皆さん方を釣るという考え方は全くありません。あくまで皆さんと一緒に苦しみ皆さんの発展のために努力をする、こういう献身でございますので、その点をお含みをいただきたい。  今回私ども社会党といたしましても、岐阜県内の東濃陶磁器を初め、関の金属刃物あるいはまた福島、大阪、愛知の瀬戸等、そしてまた今回栃木、岡山、各地の円高調査を実地にいたした次第です。そういう観点から、まず冒頭に中央会にまとめて聞いておきたいのですが、今回の円高は今までと違うということをそれぞれの参考人の方みんなおっしゃったのです。私もそのとおりだと思うのです。  そこで、大企業中小企業がそれぞれ円高から受ける影響というものはかなり違うのですね。昨日でしたか一昨日でしたか、テレビを私はちらっと見てあれっと思ったのですが、日本企業は今度の円高に当たっては百八十三円なら何とかやっていけるんだ、こういう統計が企業側のアンケートの中で出たというのが出たのです。私はあれっと思った。しかしよく考えてみると、大企業の世界に冠たる技術と設備とスケールを持っておるところと、そうでない中小企業との格差を考えれば、あるいはそういう数字が出たかもしれないが、今承っておりますと、二百円以下ではもうとてもだめだ。できるなら二百二十円ぐらい、私もかねてから何回も言うのですが、二百円から二百五円、これ以下にしたらもう大変だということは強調していたわけですが、この点中小企業立場から、中央会としてはどの程度の水準が限界なんだ、こういうことを全国中央会の立場できちっと明らかにしていただきたい。
  128. 中島茂清

    中島参考人 どれも、あれがあれだということはちょっとここで申しかねますが、先ほども申しましたように、中央会は二百二十円ということを申し上げました。これは決してでたらめではございませんが、実は調査した結果、最低どのくらいまで持ちこたえられるかという質問に対して、二百十円台が二二・四%でございまして、二百二十円が三四・五%、二百三十円台が三一%でございますので、その中間をとって私は二百二十円ということを申し上げたのでございます。  以上でございます。
  129. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 その点は承っておきますが、今の状況はそういうことでないとすれば、中央会としてはもうこの線を切ったらだめなんだ、そのかわり政策としてもこの線でやってもらえぬかという線は、今二百二十円という希望は聞きました。しかし中央会が検討された結果はどんなふうにお考えですか。所見で結構です。
  130. 中島茂清

    中島参考人 この線をはっきりと申されますと、業種によって随分違いますので、ここでその線をはっきりということはちょっと答えられないと思います。  以上でございます。
  131. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 私はそういう点はわかるのです。しかし、ある程度もうきちっと中小企業はこれだというものを出しておかぬと、いろいろなものから打たれて、あるいはアメリカの圧力もありますし外国の圧力もありますから、私は、そういうような意味で早急に、なんでしたらある程度の限界線、そういうものを出されたらいいんじゃないか、こんなふうに思います。  しかし、時間がありませんので次に移りますが、附帯決議は御案内だと思うのですが、自民党、社会党、公明党、民社党が一体となりまして共同提案をして、全党一致で附帯決議が通ったわけですね。これは特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を通すときの附帯決議ですね、御案内のとおり。そのときに私ども主張したのは、この転換法、簡単に言いますが、転換法はこれは二百円から二百五円程度のときの、もみ合っておる相場でできた法律だと私どもは考える。あと多少は上がると思ってもその程度で考えられたんじゃなかろうか、こんなふうに思っておるわけです。  そこで、情勢の推移は、今百八十円がもうもみ合っておるところで、百八十円を割っておるわけです。前回は御承知のとおり、四、五日でもうすぐに百七十円台が終わって、二十日間で百九十五円に戻っておるのです。それから二百円に来ておるわけですから、前回は一過性だったわけですね。今度は長期化する、こういう前提があるわけですが、この機会に、この附帯決議に基づいて政府施策を講ずるわけですから、早急に中央会としても、かくしてもらいたいという要望はもう既に出していらっしゃいますけれども、しかし転換法が出てからの要望も新しく出されていい時期ではなかろうか、こういうことを中央会に聞くのですが、どんなものでしょう。  それからもう一つ、公定歩合の再引き下げということを渡辺通産大臣はかねて言われたわけですね。これは御案内のとおりです。これについて、内需拡大を含め全体的な問題を考えて、中央会は、これは個々に聞きたいのですけれども時間がありませんので、中央会としては公定歩合の再引き下げの問題についてどうか、それから一昨日発表された百二十数業種のあの業種で大体満足していらっしゃるかどうか、これだけちょっと承りたいのです。
  132. 中島茂清

    中島参考人 過日百二十何業種不況業種に指定をいただきましたので、実は早速この点は調査をしまして、そしてまたお願いを申し上げる予定でございます。  現在の円高、百八十円以下というようなことでございまするが、一般の声を聞きますると、どうしても早く、一日も早く安定化をしていただきたい、安定化をしていただくことが今後の仕事量も注文もとれるんだ、百八十円になったりあるいはまた百九十円近くなったり、現在のところでは実際見通しも立たないというようなことでございますので、早く、一日も早く安定化をしていただきたいということが一つでございます。その点につきましては、後ほど早速取りまとめましてまたお願いを申し上げる次第でございます。(渡辺(嘉)委員「公定歩合については」と呼ぶ)
  133. 野田毅

    野田委員長 中島参考人、公定歩合の問題。
  134. 中島茂清

    中島参考人 公定歩合につきましては、昨年十二月に特別融資について下げていただきましたが、公定歩合が下がった場合は、ぜひひとつ即座にその下がっただけ我々特別融資あるいはあらゆるものに対して、金融に対して下げていただきたいということをお願い申し上げるわけでございます。  以上でございます。
  135. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 じゃ次に今度は、一連いたしておりまするので、宮崎さんと金子さんと村上さんにそれぞれ承りたい、こう思います。  今、中央会からそういうお話を聞いたわけですが、今回の円高は政治の介入であるということは皆さん先ほどから何回もおっしゃったとおりですね。私がこの席で渡辺通産大臣に、政治が介入して円高に来たのだから、政治の立場から云々を言うたときに、通産大臣は、介入しておらぬ、こうおっしゃった。後で大蔵省に問い詰めたところが、二十数億ドルの私が質問したような中身が出たのです。介入によって最初は円高が出たということは明らかなんですね。ですから、そういう意味で同じ立場で聞くのです。  まず第一に、先ほど申し上げたように二百円から二百十円、この程度のときなら五・五%でも私はいいと思うのです。緊急融資として価値があった。しかし、今の段階では、私も五・五%ではもう無理だと思うのです。だから、この五・五%の引き下げのために、今強く要請を受けましたが、どの程度ならいいかということについて、私は二つの立場で分けて考えておるのですがね。一つは運転資金の立場と事業転換した場合の設備の資金の立場と、二つを考えるのです。だから、運転資金ならどの程度で、そして、転換したりあるいはまた新しい機械を入れたり、いろいろなデザインを変えたために機械を新しくしなければならぬ。当然ですね。それがために何千万も何億もかかったのではとてもやっていけないし、その場合にはどのくらいのレートがいいか。だから運転資金についてはどのくらい、設備資金についてはどのくらいのレートで、緊急融資を分けてやってもらったらどうかということについてどうお考えですか。今申し上げたような順番で、宮崎さん、金子さん、村上さんから承りたいのですが。
  136. 宮崎晃

    宮崎参考人 お答えいたします。  先ほどの質問でも申し上げましたように、本来円高措置につきましては、中小企業事業団の高度化資金並みの二・七%が転換した場合の設備の場合には必要である。それから運転資金については、少なくとも私ども業界の中では四・五%程度に早急に改正してほしいという要望が大変強いわけでございます。  以上でございます。
  137. 金子司良

    金子参考人 私の方も運転資金と設備資金とに分けまして、運転資金の方は四・五%程度でお願い申し上げたい。それから設備資金の場合は高度化資金並みの二・七%にお願い申し上げたい、こう思うわけであります。
  138. 村上亀六

    村上参考人 お答えいたしますが、運転資金はやはり公定歩合に連動して、下がった場合は下げていただきたい。それから、転換の設備につきましては二・六%を要望いたします。
  139. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 皆さん方全部聞くべきかと思いますが、大勢をお知らせいただいたという意味で、後に移らしていただきます。  それではそれぞれの組合の方に今度また聞きますが、御案内のように、今度の転換法で第二章はいわゆる事業転換をうたったわけですが、第五条で、商工組合が転換のための円滑化計画をつくって、そして進めていくという、こういうアウトラインになっておるわけですね。そうすると、商工組合が円滑化計画をつくるのに、率直に聞くのですが、今の組合の体制でやれます、今の協同組合あるいはまた協業組合その他の組合でやれますというところ。それから、しからばそれはどのくらいの期間が必要だろうか、もちろんこれは大変なことですから。それから、転換の内容はどの程度を期待されるのか、要するに完全な異業種かどうかということについての希望。それから、この転換のための円滑化計画をつくれば一組合当たり八百万円の補助金が出るという予定になっておるわけですね、県がこれに上積みしますけれども。そういうような意味で、これについての補助金の問題。それからこれに関連して、今度はその組合が設備をした場合には近代化資金が使えるわけですね。二・七または無利子の近代化資金が使えるわけですが、これについて先ほどの設備の問題、二・七とおっしゃった。これについてどういうふうに連動してお考えになりますか。いわゆる組合も二・七、それから個人の中小企業者も二・七、こういうようにお考えと承ってもいいわけですか。その点、ひとつ今お聞きしましたそれぞれの方々から承りたい、こう思うのですけれども
  140. 宮崎晃

    宮崎参考人 お答えいたします。  この件につきましては、組合も構成員もともに転換設備資金については二・七%を要求したいと思います。  以上でございます。
  141. 金子司良

    金子参考人 私どもも同様、個人並びに組合事業とも二・七%をお願い申し上げたいと思います。
  142. 村上亀六

    村上参考人 ちょっと聞き漏らしたかもわかりませんけれども、転換資金のことは先ほど申しましたとおりで、転換につきましては我々の組合では四月度からいろいろと研究会を発足せしめるというような状況に進んでおります。全くの業種転換ということは非常に難しい。我々の要望といたしましては、同じ業種でありながら高度化のものも転換業種と認めてもらうような方法はないかというようなことを要望いたしております。
  143. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 ちょっと私の質問の仕方が悪かったかもしれませんが、今のそれぞれ持っていらっしゃる協同組合、それで特定商工組合として円滑化計画をつくられるつもりかどうか、それから補助金が今出るわけですが、これでいいかどうか、このことも質問したんですが。それから期間ですね。計画をつくるためにどのくらいの期間が必要か。
  144. 宮崎晃

    宮崎参考人 お答えいたします。  昨年の五月に中小企業技術開発促進臨時措置法が制定されました。これは中小企業技術開発ということで、私ども関連組合においては既にこの立法措置によっていわば業種転換、陶磁器工業の中においては同類にありますファインセラミックス部門への転換ということで、既にその法律に基づいて現在組合といたしましても施設を行っておるところでございます。  そういう段階におきまして今回の特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法が制定されたわけでございます。私は内容において関連性があると思うわけでございます。したがいまして、先ほど時期とおっしゃったわけでございますが、私ども業界の例をとりますと、現在行っている通常陶磁器産業からファインセラミックスの部門に入るにはかなりの高度のノーハウが必要である。これをそれぞれの構成員が習得しなければならないということがあります。それと資本でございます。こういった関連から、かなり多額な資金需要が必要となってくるわけでございます。したがいまし一で、こういう前提が整わないと実行できない。少なくとも現在既にそういうことを計画中の方はいいですが、これからだという方は少なくとも二年、三年の時間は当然必要であると考えます。  以上、お答えいたしました。
  145. 金子司良

    金子参考人 私どもの事業転換につきましては、組合で行うものとそれから個人で行うものと二通りあるわけでございますが、まず私ども組合の事業において行う場合においては、私ども業界は、当初の陳述の際申し上げましたように、平均三十五人とかいうような本当の中小零細企業でございまして、またそのうちの大半が家庭工業を主とした企業体でございます。したがって、転換する場合、むしろ転換とそれから廃業という二つのものを促進しないと転業ができないわけでございます。したがって、先ほどお願い申し上げましたように、まず家庭工業のいわゆる零細企業の設備を賢い上げて廃業しやすいようにしむけるという方法が一つ。それからさらに、それを集約したものに対して一つ企業化をしていかなければならない。企業化していくとしても、これを組合においていろいろのものを研究、試作をして、それを組合員に普及していくという方法でございますので、少なくとも研究に一年ないし二年、それから組合員に普及していくのに少なくとも一年から二年かかる。合計少なくとも三年以上の期間が必要になるかと思います。  以上でございます。
  146. 村上亀六

    村上参考人 説明の段階でお話ししましたとおり、織物に対する依存度が非常に高い産地でございまして、二百年の歴史を持っておるというようなことでこの産業に対しては非常に愛着を持っております。こういう中での事業転換でございますが、率直に言いまして事業転換が非常に難しいというふうに思うわけでございますが、先ほどお答えしましたように、四月からビジョン委員会を発足せしめまして、事業転換の可能性の追求なり品種転換の誘導体制なり産地能力の再検討、それから染色設備、織機能力、織物加工能力、加古川水系の水質規制の問題、それから座元販売体制、輸出規制のかかわり合い、地域経済に対する貢献度の将来性とか、そういうことを今から意識調査をいたしまして、こういう方向で取り組んでみたい、このように思っておるわけでございます。  以上でございます。
  147. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 次に、下請並びに労働者の立場の質問をしたいと思うのですが、先ほども通産省、中小企業庁の方からも下請対策の諸施策が手を打たれたわけです。あるいはまた附帯決議にも、労働者の意見を聞きそしてそれが反映されるようにということを期待し、あるいはまた本法にも労働者の雇用の安定のために第十五条で盛り込んであるわけですが、この点について、順番で申し上げて失礼ですが、秋常さん、山科さん、そして中央会の立場で重ねて中島さんに承りたいのです。  私らの立場からいくと、皆さんと同じ立場でいくと、二百四十円で売れたものが二百円で売るのと同じことになるのですから、それで百八十円で売るのと同じことになるのですから、そうするとその四十円なり六十円をだれが負担するのか。バイヤーあるいはまたメーカー、商社、三分の一ずつ負担したとすればあるいは三分の一で済むかもしれない。私は各地で見ておりますと、親企業も困るものですから、かなりの部分を下請へかぶせていらっしゃるのですね。その部品、パーツをつくるところへかぶせていらっしゃる。ちょっとひど過ぎるということも実際見ておるのですが、そういうような意味で、その負担のし合いをどういうふうに考えていらっしゃるだろうか、これについての御意見があったら聞かせていただきたいことと、あわせて、転換その他を含めまして、労働者の意見はそれぞれにどう反映していらっしゃるかということもちょっと聞きたいと思います。簡単で結構ですから。
  148. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 我々は合繊メーカーの下請、つまり賃織り加工をやっておる業界でございます。昨年来非常に不況になりまして、加工数量が一期ごとに減っておる状態です。現在では一年前の約三意上達というようなことから経営者が働く人たちと一緒になっていわゆる危機感を訴えてもよろしいのですが、不安感をできるだけ出さないようにということで大方の企業努力をしておるところでございます。  以上でございます。
  149. 中島茂清

    中島参考人 御承知のように雇用調整補助金制度もございますので、これらを積極的に活用させていただき、さらにまた労使一体となって現在の現況をよく理解していただいて、そして現在のこの苦しいところを乗り越えていきたいと思います。  以上でございます。
  150. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 それでは、あと一つだけ聞きますが、事業転換の結果、事業転換あるいはまた転廃業、いろいろあるわけですが、それがための設備廃棄の声もいただきました。この件について皆さんから全部聞くといいのですが、時間がありませんので、これはむしろ中央会から聞くのがよろしいのか、それとも自分は言いたいという方があったら聞かせていただいて結構ですが、私はこの設備廃棄についてはいろいろな見解を持っておるわけですが、これもやむにやまれず今私ども必要だと思っているのです。これはやむを得ないのです。  そこで、転換が非常に難しいから設備を廃棄してしまった、廃棄してしまった後どうするつもりかということですね。サラリーマンになってしまうのか、もう後は隠居さんで左うちわで終わるのか、雇用安定資金なり雇用保険をもらってそれで終わるのか、年金をもらって終わるのか、この後が大事だと思うのですね。だから設備廃棄についてはまず中央会に聞いておきたいのですけれども、この前撚糸工業組合でああいう不正事件が起きたのは知っておりますね。これは私どもにとっては非常に残念な出来事なんです。ですから、こういうことのないように中央会としては万全を期していただきたい。とともに、そういうことに関連した政治献金、これはやめてもらわなければいけない。この点は周知徹底をしていただいて、設備廃棄についての対応と、それから先ほど申し上げたように転換については、では廃棄後どうするか、そしてどの程度を廃棄させたらそれぞれの業界はいいのかということにつきまして、それぞれ御所見ありましたら承りたい。
  151. 中島茂清

    中島参考人 この転換法というのは大変難しゅうございまして、転換をするという業種が大変難しいと思いまするが、労働者、組合との話し合いをいろいろしまして、そしてできることなら新しい分野へ転換していくということもできまするが、最終的には結局自己の責任で経営者、労働者が話し合いをして決めていく、さらに転換する場合、不要な機械設備は何とかひとつ買い上げていただきたいということを要望申し上げたいと思います。  以上でございます。
  152. 宮崎晃

    宮崎参考人 今の設備の廃棄の趣旨についてお答えいたします。  これは、現在の事業をこのまま継続しておる場合に、いわば自己資本を元も子もなくしてしまう。したがって、当面設備の廃棄等で事業を廃業する、しかるべき時期に転業する、こういうことでございます。継続して事業をやっておっては大変なことになる、そのチャンスすら失うという危機感でございます。  お答えいたしました。
  153. 渡辺嘉藏

    ○渡辺(嘉)委員 あと和田先輩にやっていただきますので、私は以上で終わります。ありがとうございました。
  154. 野田毅

    野田委員長 和田貞夫君。
  155. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間がありませんので、質問させていただいてお答えいただきたいと思います。  先ほどいろいろとお聞きしますと、例えば食器の方は総生産量の七五%までウエートが輸出にかかっているということですね。それからまた播州織物は七〇%が輸出のシェアである、あるいは絹についても七〇%である、玩具についても三〇%が輸出のシェアであると言われたのですね。なかなかそのことを事業転換によって、しかも内需向けに事業転換していくということは私は非常に難しいと思うのですよ、もう輸出型になっておるのだから。大企業もまた輸出型になっておるわけです。なぜ中小企業だけがそのしわ寄せを受けなければいかぬのかという疑問があるのです。この法律は、緊急的に経営安定のために、融資等々のために、与野党一致で早急に上げた法律ですけれども、事業転換には私はやはり疑義があるのです。疑問があるのです。むしろ事業転換というよりも廃業に持っていかれる可能性が、中小企業に押しつけられる可能性が私はあると思うのです。  先ほどから事業転換を、積極的ではございませんが、いろいろと考えておられることをお聞きしたわけですが、私は参考のために、例えば業種指定が三日に決められたわけですけれども、中央会に通産の方からこの業種指定に当たって相談があったのか、あるいは中央会の方からこの業種も入れてくれというふうに通産省の方に言った上で決まったのか、その点をお聞きしたいのです。鏡も入っておりませんし、自転車工業会も入っていないのですね。そういうような点でひとつお聞きしたいのです。  また行政の方も、法律は決まったけれども、なかなか各県の商工部、経済部が事業転換を指導するような気になっていない。そういう事業転換の指導をしたら、もう業界の方から袋だたきになるというように行政の方からも私は聞いているわけです。そういうことで、法律ができたけれどもこの法律によって事業転換ができるかどうかということを二つ目として、そしてどういうような内容にすれば事業転換を可能に至らしめるか、この三つの点について中央会の方からひとつお聞かせ願いたいと思います。
  156. 中島茂清

    中島参考人 決して通産省からどうだというような御相談はございませんでした。各業種からの強い要望がございましたので、通産省にお願いを申し上げたようなわけでございます。  以上でございます。
  157. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 そうすると、あなたの方から言った中ではなお漏れておるのですね。業種については不満がないんですか。
  158. 中島茂清

    中島参考人 それはまた徐々に、そういう方々から要望が強く来ればお願いを申し上げるということでしております。御承知のように、この円高が安定してしまうのかどこまで行くのかわかりませんので、このまま行けば、お話を聞けば四月、五月、六月になればまだひどいのだろうということも聞いておりますので、まだそういう業種が出てくると思います。  以上でございます。
  159. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この法律で事業転換がスムーズに可能なのかそうでないのか、あるいはどういうようにすれば可能になっていくのかということをひとつあわせて。
  160. 中島茂清

    中島参考人 これは大変難しい問題でございまして、経営者の決断でございまして、できることならこういう法律ができたからできるだけこれを利用さしていただいて、内需向きにとにかく転換をしていくというのが経営者の決断でございまして、大変難しい問題でございます。ここでこうしろということは私としましては申し上げられません。  以上でございます。
  161. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これは食器の方もそうですが、設備それ自体が専用機械でしょう。私が今挙げております自転車工業会もやはり専用機なんですよ。それを事業転換しろと言うたところで無理な話なんです。だから私はお尋ねしたんですが、どういうようにすれば事業転換が可能になるのか、あるいはとっても我々の業界としては事業転換はできぬということであれば、その点でも結構ですから、時間がありませんので今お答えできるのであればお答えしてもらいたいと思いますし、お答えできないのであれば、どうぞひとつ私たちの方にその方途なり方策をお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  162. 野田毅

    野田委員長 木内良明君。
  163. 木内良明

    ○木内委員 公明党の木内でございます。本日は、参考人の皆様には貴重なお時間、私どものこの委員会の審議にお越しをいただきまして、まず心から厚く御礼を申し上げます。  また、現下のこの深刻な円高不況の事態を勘案しつつ、参考人の皆様の貴重な御意見を、また本日を契機にしっかりと国政に反映してまいらなければならない、このように決意もしている次第でございます。  初めに中島参考人並びに宮崎参考人金子参考人にお尋ねをいたします。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕 と申しますのは、六人の参考人の皆様それぞれに承りたいのでございますけれども、時間の関係もこれあり、関連の深いところからという意味合いから御意見をお聞かせいただきたいと思います。  さきに制定されました特定中小企業者事業転換等臨時措置法を初めといたしまして、昨年来の緊急融資、こうした一連の施策を講じまして、私どもはこれまで日本経済の屋台骨となってまいりました中小企業方々、この足腰を強化し、さらにまた先ほど来の意見の陳述にもございましたように、今極めて厳しい深刻な事態を招来している環境の中で塗炭の苦しみを味わっておられる事実に対しまして、国として、また政治ができ得る限りの施策を講じてまいらなければいけないということで、私どもは日夜活動してきたわけでございます。そうした私どもの発想というものがこの法案に盛られ、そしてまた今施行されているわけでございます。申し上げたように資金繰りが悪化してまいりまして倒産の危機に追い込まれている。言ってみれば、みずからの必死の経営努力にもかかわらず、急激な円高という環境的な要因によりまして、あるいはまた貿易関係という点からいいますと、他律的な要因によってそうした危機に追い込まれているわけであります。  ところが、こうした事態に対して、我々がいろいろな施策を講じようという国会の審議を行っているにもかかわらず、例えばアメリカからは輸出の補助力をつけるものであって、いわばこれはガットの輸出補助金取り決めに違反するものであり、あるいは不公正な貿易慣行であるということで、USTRの通商代表代表から、あるいはまたレーガン大統領の側近といわれるベーカー財務長官等々から、実はいろいろな形でクレームがつけられているわけであります。過日の事業転換等臨時措置法を審議いたします本委員会におきましても、私はこの点明確に、我が国政府が足並みをそろえるべきであるという観点から、通産大臣、中小企業庁長官はもとより、外務省の関係者からも明確な答弁を実は得ているところであります。  そこでお三方にまずお聞きをするわけでありますけれども、このアメリカ側からのクレームに対しまして、現場はもうそんな輸出補助力をつけるとか足腰をどうこうという問題は通り過ぎてしまって、もっともっと深刻な事態に実は今追い込まれているのだ、このまま政府のそうした助成措置というものが行われなければ、倒産はおろか一家心中までしかねないような事態が各業界、産地で頻発をしているんだという、そういう声を私は非公式に皆さんからお聞きもし、先ほど来意見の陳述をいただいておるわけでありまして、こうしたアメリカからのクレーム、いろいろなコメントが出ていることに対します率直な御意見をまずお聞きをさせていただきたい、このように思います。中島参考人それから宮崎参考人金子参考人お願いしたいと思います。
  164. 中島茂清

    中島参考人 お答えいたします。  事業転換対策については、事業の転換、また新しい分野に進出する、それぞれ企業の自己責任で最終的には経営者の決断によるべきだと思いまするが、しかし現実の問題といたしましては、どういう分野へ転換すべきか、その決断はほとんどわからない実情でございます。駐車場やマンションあるいはまたそんなようなところは遊んでいる土地、資産を活用して新しい分野に転換していけますけれども、我々工場経営者としては、下請産業に携わる経営者としては大変難しい問題でございまして、さらにまた、とはいっても今後の産業構造の変化を想定する、あるいはまたこういうようなことを含めて真剣にひとつ考えていかなければならないと思います。この場合最も重要なことは、何よりも内需の拡大があると同時に、事業転換が円滑に行われるよう環境等の整備にひとつ何とか十分御配慮をいただきたいことをお願い申し上げます。  以上でございます。
  165. 木内良明

    ○木内委員 今の御答弁の御趣旨はよく理解をさせていただきます。  ぜひ承りたいのは、申し上げましたように、今回のこの深刻な状況下で低利融資や法人税の還付あるいは政府の債務保証による融資限度枠の拡大等、いわば緊急経営安定対策として一連の措置というものが今講じられているわけでございまして、これに対するアメリカのクレームというものをどのように受けとめておられるかという点についてぜひ忌憚のない御意見をおっしゃっていただければ、こんなふうにも思いますのでよろしくお願いいたします。では、もう一度中島参考人
  166. 中島茂清

    中島参考人 クレームという問題が出ましたのですけれども輸出品のクレームの問題でございましょうか。私は実は専業はそういう製造メーカーじゃなく下請加工業でございますので、私たちの業種としては個人的に申しますとそういうクレームについて我々は余り対処をいたしておりません。製造メーカーと違いまして、私たち業者としてはクレームについて対処はいたしておりませんので、直接そういう関係にあったことはございませんので、ちょっとその現況は私にはわかりません。  以上でございます。
  167. 木内良明

    ○木内委員 ぜひ御理解賜ればと思いますが、この国際収支の問題あるいは貿易黒字のバランスの中で、そうした国際経済下における日米関係という点でまず申し上げているわけでございますが、それが御理解いただけるまで宮崎参考人お願いできますでしょうか。
  168. 宮崎晃

    宮崎参考人 ただいまのアメリカからの緊急融資についてのクレームの問題でございますが、私どもはこの措置によって一つの社会不安、いわばパニックから逃れることができる。日本として現在の中小企業立場においても、当然この緊急措置はあってしかるべきだと思うわけでございます。したがって、ガット云々のアメリカの主張は失当だと私は考えております。
  169. 木内良明

    ○木内委員 大変明快な御答弁をいただいて私もほっといたしております。引き続き金子参考人お願いいたします。
  170. 金子司良

    金子参考人 御質問の件につきまして、私、こういう例がございます。私ども業界は二十五年前から何度か輸入制限をアメリカから受けたことがございます。その都度えらい苦労した業界でございますけれども、そのとき私どもが何度かアメリカの公聴会に出席しましたとき、アメリカの政府輸出であるが業界に対して転換しなさいと言って、それに対しては政府からは事業転換法の援助をするではないか、だから早急に事業転換しなさいというように言われまして、その後何度かのあれを見ましてほとんど現在ではアメリカの業界は転換いたしまして、また一部転換するとかというようにして、現在のところ私どもの業種に関しては大きいメーカーで一社、あと小さいメーカーで二、三社残っている程度で、ほとんど転業した例がございますので、アメリカで、自分でそう言ってやっておりながら、私どものものに対してそういうクレームをつけるということに対しては、私どもちょっと理解ができかねるようでございます。
  171. 木内良明

    ○木内委員 今の金子参考人、二十五年前の大変貴重なお話を承って、私もそういうことがあったのかという認識を新たにしておりましてありがとうございます。その際、渡米されて向こうの公聴会にお出になったという今の意味でございますか、そう受けとめてよろしゅうございますか。今立場が逆になりまして、みずからの国内経済がそうした事態のときに事業転換を進め、そうして今回と同じような措置を講じておきながら、今我が国経済中小企業がこのような事態に立ち至ったときに、我が国国内における一連の措置に対するそうした指摘をしてくるというのは筋違いであるということでよろしいのだと思います、御意見として。いかがでしょうか。もう一度お願いいたします。
  172. 金子司良

    金子参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。私どもから見た場合は、本当に今さら何を言うんだ、私どもに再三そういうことを押しつけておきながら今さら言うのはおかしい、このように私は思います。
  173. 木内良明

    ○木内委員 実はこの日米経済の問題も含めまして、トータルなテーマをひっ提げて私どもの竹入委員長が数日後、九日でございますが訪米をいたします。こうした本日の御意見の開陳があったこと、私もぜひ訪米団に伝えまして、しっかりと理解をしてもらうように努めたいと思っております。恐らくこれはほかの参考人方々のお立場でも同じ思いではなかろうか。どの国であってもその国内での中小企業の実態というものは、ここまで深刻な事態になればこれはもう当然この程度のことはその政府であるならばやるべきであって、まだまだこれでは不十分なんだ、私はそれを常々思っております。  次に、秋常参考人並びに今御答弁いただきました金子参考人に再びお聞きをしたいのでありますけれども、今回の措置における政策効果の問題ということなんですけれども、通産省、中小企業庁もその苦しい立場もこれあり、かねや太鼓でみずからの政策について喧伝をしていた時期とは若干最近の論調は趣を異にしてきておりまして、過日の報道によりますと、実はこの一連の措置というものがそれほど効果をもたらさないものであるという印象の内容報告をしていると仄聞をしているわけであります。  例えば、この融資規模の三千億円は中小企業向け事業用資金融資残高全体のわずか〇・一七%程度である、貸付限度額六千万円は平均的中小企業の数カ月の資金繰りを賄う程度の規模である、融資対象の中小企業数は一万から三万で全中小製造業の一・三八から四・一四%にすぎないとしているのですね。私は本委員会の審議で随分応援団の立場でこの促進なりあるいは主務省令における運用の段階に至るまで踏み込んだ議論をして、この政策というものが血が通って、そして深刻な事態の中小企業方々が少しでも活路を見出し、あるいは技術開発が行われ、あるいは新規市場の未開拓分野へも踏み込むことができるような運用をぜひ願いたいと要望もし、ただしもしたのでありますけれども、その提案者たる政府の方からまたこういう数字が出てきた。非常に残念だけれども、温かく見守りながら、さらにこの内容というものは充実させていかなければいけない、政府とともどもに考えていかなければならない、こういうふうに思っているきのうきょうでございます。  そこで、お聞きするわけでありますけれども、昨年十二月からのこの融資制度は実際問題どの程度の効果があったのか、業界内の実態を踏まえてお述べをいただければ、このように思うのでございます。
  174. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 お答えいたします。  今度の緊急の金融措置は非常に適宜に実施せられたものとしまして、我々の間でこれを非常にありがたく利用しております。ただしかし、無担保、無保証ということで政府系金融機関においてはいわゆる身体検査が行われている。力のない業者には、例えば無担保の枠は相当残っておってもなかなか希望する融資を得られないというのが現在の実情であります。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕 実際に弱い者のためにできた制度が、現場の窓口では生かされていないことを非常に残念だと思っております。ぜひ金融常識を打ち破る血の通った運用を行ってくださるよう改めてお願いいたしたいと思います。  先ほどアメリカのクレームの問題がありましたが、私は御答弁申し上げなかったが、我々の業界においては合繊織物は世界のいかなる国にも追随を許さない立派な商品でありまして、品物そのものに対するクレームは全然ありません。ただ、商売のことでありますから、アメリカが、非常にいい優秀な品物でも値段を値切ります。しかし、それには応じないわけにもいかないで応ずると、今度は逆にアメリカからダンピング法でシロ、クロの決定がせられるというようなことがありまして、その点がアメリカに対する貿易の一番の悩みであります。  以上であります。
  175. 金子司良

    金子参考人 融資の件でございますが、私ども業界では、昨年の暮れからでございますが、市サイドによる融資とそれから県サイドによる融資と国サイドと三段階ございます。市の場合は下請業者を主体としてこれは全くの無担保、無保証ということで審査をして一〇〇%通っております。貸し付けられております。また、県においても無担保、無保証ということで、ただ残念ながら金額が最高金額でも一千万円ということでございます。それから国の融資につきましては、商工関係ですね、これが一千万円まで。これは無担保、無保証ということでございますが、一番大きい頼りにする中小公庫、また政府系の三公庫のうちの一番小さいものを除きましては、商工中金と中小公庫は残念ながら、先ほどお話もありましたように担保の問題それから信用枠の問題からいってこれで選別されます。したがってなかなかその恩典にあずかれないというのが現実でございまして、六千万、また事情によっては八千万、一億というお金が借りられる制度になっておりますけれども、なかなかそれがお借りできない。仮に借りられるとしても相当審査が長くかかりますので、時間がかかって即効薬にはなっていないというのが現実でございます。
  176. 木内良明

    ○木内委員 実は私、今回いろいろお聞きするのに際しましては、自民党さんからも社会党さんからもそれぞれの時間の中で質疑が行われておりますので、できるだけ重複を避けながらという気持ちでお聞きをしてまいりました。これはあえてお答えは結構でございますけれども、この金融措置の具体的な現場における条件の緩和等、ぜひとも貴重な御意見として承って、また生かしてまいりたい、このように思います。  特にこの融資条件という問題については、実際にお金を借りたくない人には貸すけれども、今のどから手が出るほどお金の欲しいそうした方々に対しては、担保がどうであるとかあるいはその事業内容とか見通しがどうであるとかということで融資の道が閉じられているのが現状でございますので、今のお答えをいただいて私も改めて理解をさせていただいた次第でございます。  なお、金子参考人のお話にございました金融常識を破るような金融措置ということを、無担保、無保証ということを言われておりますけれども、ごく小規模、零細については私は常々無利子で無担保で無保証で、そして零細企業に対しては即刻融資のできるような制度さえ社会政策的見地から行うべきであるということも主張しておりますので、まずお伝えをしてまいりたいと思います。  それから事業転換の問題でありますけれども、言うはやすく行うほかたしというのがこの問題であります。新技術開発あるいは情報の収集、加えて製品化された段階でのいわゆる販路の確保、こうした不安材料が横たわり、先ほど来の参考人の御意見にもありましたように、いわば事業転換はイコール廃業につながる、この同時進行でなければまことに難しいというお話もございました。そうして、私は御意見を聞いて思ったのでありますけれども、例えば勇を鼓して、またさまざまなクリアしなければならない条件を克服して事業転換が成功したような場合には、いわゆる官公需をその成功した業者の方々にお出しするように提案をこの前の審議でも申し上げたところであります。  そこで中島参考人にお聞きするのでありますけれども、昨年は群馬の前橋、それからおととしは秋田で、全中の全国大会に私は党を代表してそれぞれお邪魔をいたしております。その行事の際には必ず官公需ということも言われているわけでありまして、もしこういうような呼び水になるような魅力が事業転換にさらに付加されたならば、業界の皆さんのこの事業転換にかける意欲というものもさらに大きなものになるのではないかというふうに思います。  そこで、最後に中島参考人に御意見をお聞き申し上げますとともに、実は山科参考人が先ほど国際分業、国際協調ということで、我が国産業の中における先駆的な役割といわば経営哲学に基づいた業界のあり方というものに言及されました。いろいろお聞きをしようと思ったのでありますけれども時間がございませんのでおわびを申し上げて、また後ほどお知恵もいただければ、このように思います。それでは時間が参りましたので、中島参考人から簡単にお答えをいただいて終わりにしたいと思います。
  177. 中島茂清

    中島参考人 今先生から御質問がございました大会におきましていろいろと皆さん、先生方お願いを申し、またその実現方に御努力いただきましてまことにどうもありがとうございました。  事業転換につきましては先ほどちょっと申し上げたとおりでございまして、今後こういう問題に取り組むには、大変な仕事でございまするが、できるだけこれを活用させていただきまして、そして中小企業の未来の発展のために努力をしてまいりたいと思います。  以上でございます。
  178. 木内良明

    ○木内委員 どうもありがとうございました。
  179. 野田毅

    野田委員長 青山丘君。
  180. 青山丘

    ○青山委員 参考人の皆さん方には大変貴重な御意見をいただきましてまことにありがとうございます。時間も続きますのでお疲れだと思いますけれども、私の立場からは、皆さん方の意見をぜひよく聞かせていただいてその御要望にこたえていきたい、こういう気持ちでいっぱいです。そこで、まだ十分言い足りておらないというふうに思っておられる方がありましたら、ひとつ挙手をして意見を述べていただいても結構ですが、私から二、三だけお尋ねいたしたいと思います。  日陶連の会長宮崎参考人からお尋ねいたしますが、先ほど、陶磁器輸出業界の採算レートは二百二十円、こういうふうにお話がありましたが、けさあたりは百七十八円あるいは百八十円、こういう状況でありますとなかなか成約が進まないであろう。しかも、動いておりますとこの契約がさらになかなか進まない。こういう状況で今日まで一体どういう対処をしてこられたのか。実は午前中にこんな話が出ておりました。今もう出血して大変な状況である、どくどくと血が流れている、赤字になってもやらざるを得ないんだ、こういうような話が実はあったのですが、採算を割ってでも要求にこたえていかなければ仕事がなくなってしまう、そういう状況なのかどうか、どのように対処してこられたのかまずお尋ねをいたしたい、これが第一点。  それから、統計をぜひひとつ正しく組み入れていただきたい、こんな話が先ほどありました。去年に比べて一〇%減という数字はそれなりに対応ができそうな数字のような気がしたのです。しかし、よく考えてみると実情はそうじゃない。実態は、一〇%減どころか、相当無理な価格を押しつけられてきておるので四〇%、五〇%の被害を受けているという声も実はあるのですが、いかがでしょうか。この二点についてお尋ねいたします。
  181. 宮崎晃

    宮崎参考人 御指摘の二つについて御説明いたします。  現在百七十円台ないし百八十円台で成約が困難である、どのようにやっているかという御指摘のようでございますが、これは当然に出血で生産しておる、したがいまして従来からの乏しい備蓄を吐き出して継続しておるという状況でございます。したがいまして、現在のところこういった厳しい経済変動の中において、受注の方は一応安定するまで様子を見てからということで、そういった引き合いというものは非常に減少している。ですから、そういった乏しい引き合いをいわば奪い合う、何とか仕事を継続していきたい、仕事を継続して時間を稼いでおればそのうちに何とかなるのではないかというような対応の仕方であるわけでございますが、一番問題は、ここで脱落したら再びもとの戦列に戻ることができないという危機感がそうさせている。したがって採算無視で生産を行っておるということでございます。  そういう結果、二の問題につきまして、輸出金額が統計上一〇%減少しておるという御指摘ですが、そのとおりでございます。実情に照らしまして、この一〇%の減少はわずか一〇%だというような、ここに統計上のマジックがあるわけでございます。現実はドル契約でございます。したがいまして、私が冒頭に申し上げましたように、二百六十円から百八十円になったら三一%自動的にカットされる、かつ乏しい受注を奪い合うということで、二次的なドル価格の値下がりとあわせまして昨年対比少なくとも百円のものを六十円以下で生産しておる。私ども業界は普通優秀な企業においてその経常利益は三%ないし五%と言われています。したがいまして、この四〇%という数字が何を物語っておるのか御推察を賜りたいと思うわけでございます。
  182. 青山丘

    ○青山委員 さらに二点にわたってお尋ねしたいと思います。  一点は、中小企業者の非常に多い陶磁器輸出業界において、貿易摩擦解消のための深刻な被害を自分たちがもろに受けている、そのことに対して率直な感想をひとつ述べていただきたい。皆さん方の業界が十分対応できることによって日本の貿易摩擦はきちっと解決していくのかどうか。実は随分辛らつな批判を政治に対して受けているわけですが、必ずしもそうではない。そうではないというのは、皆さん方がおっしゃる気持ちが全くそのとおりで、政治的な取り組み、解決になっていくのかどうかという意味で疑問を述べられております。これが一点。  それからいま一つは、先ほど五つにわたって要求が出されました。端的に言ってこれだけはまずやってもらわないと困る、こういう希望がありましたら述べていただきたいと思います。
  183. 宮崎晃

    宮崎参考人 お答えいたします。  率直な感想を述べよというお話でございますが、率直に申し上げますと、先ほど経済企画庁から現地の産地の調査報告が発表されております。私ども業界では岐阜県は一番大きな産地でございます。ここの場合は操業不能という結論を出しております。愛知県の場合は全部が赤字転落、こういう端的な結論を出しておるわけでございます。こういう状況下でございます。したがいまして、私ども業界は事業所数約一万、就労人口十万と言われております。このような業界でございまして、輸出分野は約三五%、ドルでいいますと百億ドル、円でいいますと二千億円の規模を持っておるわけです。したがいまして、企業界の三五%がこういう状況下にある中で、今後の成り行きというのは、茫然自失なすところがない、どういう手を打ったらいいのか、三一%の円高ではなすところがないというような状況でございます。全体では三五%であるのですが、同業でございますのですべてにこれが関連していく、すぐ響いてくる、こういう状況でございます。  したがいまして、このような状況下において、通産省におかれまして業界に対する的確な今後の指針というものを制定していただきたい、かように私は思うわけですね。どの方向へ我々は行ったらいいのか、どうしたらいいのか、もうちょっと明確な指針が欲しいと思うのです。  それから、二つの要望が出ておりますが、まず第一番に、何を一番望んでおるかというと、即時二百円のレートの安定、これでないと、先ほど申し上げましたように受注ということが始まらない、仕事がなくなってしまう。現実に現在仕事がなくて操短しておるという状況でございます。早く受注ができる客観情勢をつくっていただくには、二百円のレート安定を即刻お願いしたい。  それから二番目に、先ほど来話が出ております緊急融資の件でございますが、本当にあす金がない、もう困ってしまうということでかなり苦しんでおられる業者がたくさんある。そういう前提のもとの緊急融資であってほしいと思うわけでございます。したがいまして、血の通った融資が行われるように行政指導をお願いしたい、かように私は思っております。  以上です。
  184. 青山丘

    ○青山委員 ありがとうございました。
  185. 野田毅

    野田委員長 横手文雄君。
  186. 横手文雄

    ○横手委員 民社党の横手でございます。本日は、参考人の皆さん方にはわざわざお出ましをいただきまして、貴重な御意見を聞かしていただきましてありがとうございます。  また、日ごろは、円高の大変苦難な中でそれぞれの団体のリーダーとして御苦労いただき、そしてまた御奮聞いただいておりますことに心から敬意を表する次第であります。  私に与えられた時間はわずか七分でございますから、多くの議論もできません。しかし、国会はきょうだけではございません。これからも商工委員会等を通じて皆さん方の意見反映のために頑張らせていただきたいと思いますし、きょうは皆さんの横の方には各省庁の政府委員方々も御出席でございますから、十分聞いていただけたものと思っております。特に、私も福井県の出身でございます。この円高で長繊維織物関係あるいは眼鏡関係は塗炭の苦しみの中にあります。先ほどから皆さん方が、この苦しみは我々には死刑の宣告を受けたようなものだという御発言に対しては、大変胸を痛めながら聞かせていただきました。  さらにまた、この問題に対して私ども国会があのような新しい法律をつくらせていただいたわけでございますが、これに対して感謝をいたしますという発言のすぐ後から、しかしという言葉が続いたということも受けとめさせていただきました。我々も決して十分とは思っておりませんでしたけれども、現場の皆さん方がそういったことで食い足りない点がたくさんある。あるいは無担保、無保証ということの国会の附帯決議はついたけれども、現実に金融機関の窓口に行くと身体検査があってそこではねられてしまう、こういったような苦痛も述べられたわけでございまして、これからも政府に対して、これら皆さんの御期待に沿えるような新たな方途も見つけ出していかなければならないことだと思っておるところであります。特に私ども民社党は、先般来、中小企業の皆さん方といろいろと懇談をさせていただきました。そのまとめもできましたので、近々各関係大臣に対して申し入れもし、そのことを通じてまた委員会でも審議を進めてまいりたいと存じます。  そこで、私は一つ気になることがございますので、一点だけ御質問を申し上げたいと存じますが、日絹連の秋常参考人、それから綿工連の村上参考人にお伺いをいたします。  先ほどの御発言の中で、我々は、この対策としていろいろなことをやってきた、減産対策をとり、織機の認定制を導入し、あるいは過剰の品物を買い上げ凍結する、あるいは織機の買い上げ等も行ってきたということがございまして、この中で構造改善に伴う織機の買い上げが今なお進行中であります。ところが、先般撚糸工連のあのような不祥事が起こりました。私も大変残念な事件であると思います。これは悪いことをしたわけでございますから、司直の手で厳重に裁かれるべきは裁かれると思います。しかし、だからといって、今業界の皆さん方が再建対策あるいは活性化対策一つとして進めておられる織機の買い上げが、他の分野にも普及をし、いささかもこれが鈍ってはならない、特にこういうときだけに、この仕事は続けていかなければならないと思うところでございます。その点について、そのようなことで弊害になっておるようなことがありはしないかという危惧を持ちますが、お二方、いかがでございましょうか。
  187. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 お答えをいたします。  通産省では今回の不祥事件に対して、制度そのものの必要は認めつつも、制度の運用面に誤りがなかったかどうか、現在関係の連合会に対して総点検の指示を出しておられます。我々もこの指示に従って膨大な点検作業に入ったところであります。通産省は、この総点検作業を終了し関係機関の信頼を回復した上でないと、六十年度下期に既に破砕した織機の買い上げ代金の支払いはもちろん、ウォータージェットルームの価格の決定や来年度の事業にも入れないとしております。その意味では本事業に大変なおくれが予想されるのであります。我々としては全く残念至極であります。ぜひ三月中にもウォータージェットルームの価格を決定し、来年度の事業に入れるようにお願いしたいと思います。そうでないと、産地は大変な混乱に陥ることをあわせて申し上げたいと思います。
  188. 村上亀六

    村上参考人 お答えいたします。  日本線スフ織物工業連合会におきましては、輸入の急増なり産地環境の変化に対しまして速やかな再編成を図るべく、新しい時代の繊維産業ビジョンに基づきまして設備廃棄事業を実施しておるところでございます。私たち播州織産地におきましては、工程別設備のバランス上、現在は買い上げを行っておりません。  それから撚糸工連の件でございますが、繊維業界の中で引き起こしたことだけに、遺憾この上ない気持ちでございます。私ども綿工連におきましては、当初より当局の厳重な指導のもとに商工中金とタイアップして厳重な管理体制を持っておりますので、御迷惑をかけるようなことはないと考えております。
  189. 横手文雄

    ○横手委員 終わります。ありがとうございました。
  190. 野田毅

    野田委員長 野間友一君。
  191. 野間友一

    ○野間委員 参考人の皆さん御苦労さまでございます。共産党の野間でございます。  今輸出の総額が約四十一兆円何がし、その中で産地を中心とする中小企業輸出が一兆七千億円何がしだったと思うのです。だから、四十一兆円分の一兆七千億円、率にいたしますと四・八%の中小企業の皆さんが、つくられた円高の中で大変苦労なすっている。今いろいろ実情をお聞かせいただきまして、まさに胸のうずく思いがいたしておるわけでありますけれども、その中で非常に御奮闘されておる皆さんに心から敬意を表したいと思います。  いわゆる事業転換法の審議のときに私ども共産党としては修正案を出し、これは残念ながら日の目を見なかったのですけれども、このときに先ほどからいろいろと参考人が言われておりますようなもろもろの課題、例えば金利を少なくとも三%ぐらいにしろ、あるいは制度融資について、近代化だけじゃなくて事業団の高度化融資とか制度融資、こういうものも全部償還を猶予、緩和しろとか、産地法の延長をしろとか、さまざまなことを要求して業者の皆さんの意を体して奮闘したわけでありますし、今度また二度目の調査に入る予定にしておりますが、きょうは時間の関係で余りお聞かせをいただくことができませんが、重複を避けまして、若干教えていただきたいと思います。  最初の問題、これは若干重複しますけれども、どなたか同僚から聞かれました、法によるわずかな手当てがアメリカにとってみると輸出の助成金だというクレームがつけられた、これは宮崎参考人等々からも御意見がございましたけれども村上さん、中島さん両参考人中島さんの方はたしか直接お答えになっていなかったのじゃないかと思いますけれども、ぜひひとつ率直な見解をお聞かせいただきたいと思います。
  192. 中島茂清

    中島参考人 今回の転換法は輸出促進のために措置せられたのでございまして、まことにありがたいことでございますが、最低限の救済措置だと私は思うわけでございます。——ちょっと取り消します。逆でございまして、今申し上げましたのは逆でございますので、どうかひとつよろしくお願い申し上げます。
  193. 野田毅

    野田委員長 村上参考人。その後でもう一遍、中島参考人、わかりやすく答弁してください。
  194. 村上亀六

    村上参考人 アメリカのとられた措置につきまして……(野間委員「アメリカはクレームをつけておるでしょう、法の手当てが輸出補助金じゃないかと言って。それについてのコメントです」と呼ぶ)そのクレームでございますが、我々といたしましては当然の措置であるにもかかわらずそのようなクレームということになりますと、非常に僭越なやり方だと私は思っております。
  195. 中島茂清

    中島参考人 もう一遍答弁をします。  今回の転換法が輸出促進のための措置だとは思いもよらない最低限の救済措置だと思います。
  196. 野間友一

    ○野間委員 きょう御出席参考人の皆さんは同意見のように私は承ったのですけれども、けしからぬ話だと私も実は思っておるわけです。  次にお聞きしたいのは、いわゆる産地法の問題であります、産地中小企業振興法ですね。これは七月一日から切れるわけでしょう。政府にいろいろ意見を聞いてみますと、例えば今度転換法がつくられた、あるいは去年でしたかつくりました技術開発促進法、こういうものでフォローできるのじゃないかというようなことを言うわけでありますけれども、現地へ参りますと産地法の延長を要求される声が非常に強い。私も現地に幾つか行ってまいりましたけれども、その点で産地法の延長について、これは秋常さん、中島さん、御両者から御意見を承りたいと思います。
  197. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 産地振興法が切れるのですが、これを引き続き実行していただきたいと思います。
  198. 中島茂清

    中島参考人 お答えいたします。  転換法の中に盛り込まれておりますので、これで十分だと思います。  以上でございます。
  199. 野間友一

    ○野間委員 そうですか。まあまあ、そういう御意見として承っておきたいと思います。  秋常さんのところは賃加工が九〇%以上ということで、しかも下請関係が非常に多いというふうに私は理解しておるのですが、下請いじめをやめろというのが要望として先ほどから出されたと思います。これは中小企業庁あるいは公取も下請に対してしわ寄せするなというようなことで親企業を集めていろいろやっておりますけれども実情は決してそうじゃないというお話も承ったわけです。具体的に事例の二、三を挙げていただくのと、それからどうすればこれを是正することができるのか方策いかんというようなことが具体的にございましたら、提言をしていただきたいと思います。
  200. 秋常外喜雄

    ○秋常参考人 お答えいたします。  北陸産地は、合繊織物は合繊メーカーの大体九〇%が下請、すなわち賃織り制度でやっております。しかし、今おっしゃるその法律もあるのですが、実際商売の面になるとなかなかそういうわけにいきません。それを非常に叫ぶ業者もおりますけれども、何と言っても合繊メーカーと北陸産地の合繊の機屋は運命共同体ということを標榜してきておるわけなんですが、実際こしらえた織物が販売できなければ、また価格が安くなければ、売れなければ、したがってその織り工賃もしわ寄せを受けるのはどうもやむを得ぬのじゃないかと思うのです。しかし、その織り工賃もだんだん低下し、しかもその売れ行きが悪いために数量もだんだん減っております。現在、数量は三割は減らされておりましょう。それから織り工賃は、先ほど陳述の前文で申し上げましたとおりに、甚だしいものになると半分になっております。また甚だしいのは三分の一ぐらいになっておるのもあります。今電気料の値下げも申し上げましたが、そのうち電気料は四〇%ないし六〇%を支払わなければならぬ。その残ったわずか五〇%そこそこでどうして経営維持できますか。そういう苦しい情勢に今追い込まれております。  しかし、我々はいつまでもこういうことをしていては全部が壊滅してしまいますから、ここで一気奮聞いたしまして、これを打開する道は、世界のだれにも追従できないような消費者ニーズに合った新製品をこしらえて、それをもって、新価格をもって販売拡大していくというよりほかに方法がないと思っておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
  201. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので終わりますけれども中小企業庁、政府も、字面と申しますか形だけではなくて、実態は決してそうではないということをきょう肝に銘じていただきまして、さらに強力な施策をぜひとっていただきたいということを強く要望したいと思いますのと、それから中島参考人に、産地法についてはこれで十分だというお話がありましたけれども、私もかなり産地に参りましたところが非常に強い要望があるわけですから、ぜひ産地の御要望をもう少しお聞きいただいておまとめいただいたら大変幸せかと思っております。  きょうは大変お疲れのところありがとうございました。これで終わりたいと思います。
  202. 野田毅

    野田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しい中を長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十三分散会