○浦井委員
大臣の御認識そのものが間違っておると私は思うのであります。だから、その誤った認識の上に立案されたこういうような
改正案というのは決して高齢者の健やかな老後を保障することにならないし、特に先ほどから言われておるように世代間の
負担の公平を図るというような
議論そのものが
福祉の概念から逸脱しておる、いわゆる社会保障の概念から逸脱しておるというふうに私は思うわけであります。
先ほ
ども指摘があったように、この
改正案の実態というのは
福祉、社会保障の面での
国庫負担削減の極めて巧妙な手法である。皆さん頭がいいですから、そういうところから出てきた、三年前の
老人保健法もそうでありますけれ
ども、今度の
改悪案も極めて巧妙な手法を駆使してきておるというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。吉村
事務次官も、それから
幸田保険局長もよく言われておるように、今度の
老人保健法の
改悪案というのは
厚生省当局から言わせると、
福祉の改革の第一ラウンドから第二ラウンドへの橋渡したというふうに位置づけられておるわけでありますけれ
ども、そういう点ではまさに
福祉切り捨ての第二ラウンドの始まりだというふうに位置づけたいと私は思うのであります。
そこで、なぜかといいますと、
一つはこれは高齢者の自己
負担をさらに
引き上げて、あなた方は否定するけれ
ども受診抑制を図っておる。現にこの前のときにそういう現象が起こっておるわけなんです。高齢者にとっては最大の関心事は、どういうアンケート
調査をやっても
自分の健康が心配だということなんです。ところが、これが成立しますと、さらに高齢者の健康を損ねることは確実なんです。さらに不安が募りますから、革新共同の田中美智子議員が本
会議で
指摘しましたように、今でもこの法案が三年前に通ってからずっと高齢者の自殺がふえておる。この
改悪案が通るならば、ますますそういう現象がふえていくのは確実だろうというふうに思うわけであります。
それから二番目には、
按分率の問題にいたしましても、これも今ずっと
指摘がありましたように、若い被
保険者集団の
負担が重くなる。そうすれば、国は出さないわけでありますから、ひいてはこれはそういう集団の
保険料のアップに究極的にはつながっていく。そうして家計を
圧迫する。このことは極めて確実であります。
それから三番目に、いろいろと中間施設、いわゆる
老人保健施設のことが論議されておりますけれ
ども、これは病院の方から中間施設の方に転用するということであって、そういうことになりますと、中間施設を評価するというようなことは私はできないと思う。安上がりの
老人病院をさらに
一つのカテゴリーとしてつくり上げるということになって、全体として、あなた方が言われておる百七十万床を百万床にとにかくベッドを削減したい、そして
医療費を抑制したいという一番的確な手法のこれは始まりではないか、そういうふうに私は思うわけであります。
それからもう
一つけしからぬのは、
老人保健法、
老人保健法と言っておりますけれ
ども、
老人保健法等ということで、等の中に
国保の滞納者に対する制裁
措置が入ってきておるわけであります。何でこんなものが
老人保健法の
改正案の中に一括できるのですか。要するに、これは
国保の料金を払わない人あるいは滞納している人には
保険証を渡さない、こういうことの始まりである。こういうことが進めば、
国民の運動によって
国保と
健康保険で何とか今まで
国民皆
保険制度がずっとでき上がってきた、その
国保の
制度の崩壊の突破口になるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。特にこの
国保の滞納者の制裁
措置については、人権をじゅうりんする疑いさえもあると私は言わざるを得ないわけであります。
このように述べてまいりますと、この
改悪案というのは憲法二十五条あるいは
老人福祉法の精神を全く
政府が真っ向から踏みにじるものにすぎないということを私は
指摘をしたいわけであります。だから、どなたか言われておるように、もうこういうものは
政府が
責任を持って即刻撤回をすべきであるということを私は強く主張をしたい。どうですか、
大臣。