○塩田
委員 これは
労働力調査の
完全失業率という
数字だと思うのですが、これは各国大体共通の尺度で、国連等におきましてもILO等におきましても調整をして、定義をできるだけ一緒にし、また
調査方法も同じようにしていく
努力をした結果、いわゆる
完全失業率という、いろいろな制約
条件がありますけれ
ども、一定の定義による率がはじかれておる。そういう点から見ますと、我が国の場合は、全般的には、今言われましたように二・六%ないし二・七%といった低い水準であると思います。しかし、これもいわゆる
完全失業率という定義によるものでありまして、このほかにも不完全
就業だとかあるいは全部
就業あるいは短時間
就業とか、いろいろな形の半失業的な観念を入れますとまた違った
状況になってくると思うのです。これは、所得なりあるいは労働時間の
関係が入ってきての
状況をこれに加味しないと本当のものはわからないと思うのです。
いずれにいたしましても、我が国の場合は完全
雇用を目指して終戦後鋭意
努力をしてまいりました。そして今日の経済の発展のもとに良好な
状況にある、完全
雇用に近い
状況にある。もちろん
年齢別あるいは地域別あるいは業種別等には大きな失業なりあるいは
就業の不安定性等の問題はありますけれ
ども、全般として今の
状況はまずまずのところだというふうに評価されるわけでございまして、
労働省がそれに全組織を挙げて完全
雇用政策、
政府の他の関連の
施策とあわせまして
努力をされた結果の大きな成果だと私は思います。
前回も申し上げましたが、マルコス政権が崩壊しましたその背景、その
社会の不安定性あるいはアメリカ、東南アジア、ヨーロッパ諸国を見ましても、やはり失業問題というのは非常に重大な問題と考え、これを経済
政策、労働
政策、すべての
政策の最重点、最高の目標にしておる、こういうふうに思われるわけでございます。そういう点からいいますと、全般的には良好であり、他の国のような
社会不安というものに対する、
社会的緊張あるいは不安といったものに対するかなりの措置ができておるというふうに我々考えるわけでございます。
そこで問題は、高
年齢者の失業率が五%近い、すなわち
平均からいうと倍近いものになっているというのはやはり問題でございまして、そしてその総体の人口がふえてくるということ、そして戦後の経済の発展なり、日本経済が世界的にも大きな力を示すに至りましたその担い手といいますか、生産力というのはまさに勤労者であり、サラリーマンであるわけでございます。そういった方々が年が経過するに応じまして
高齢化していく、その人たちはまだまだ心身ともに働く余地がある、活用できる、また活力がある、こういう
状況であれば、なおさら
高齢者の
規模自体がふくらむ中で高い失業率というものは放置されてはならないと思うのです。非常に重要な問題だと思うのです。
ところで、一方また
高齢者が対策をされて生産に携わる、あるいはサービス産業にも携わる、いわゆる労働人口として残っていく場合には、やはり
高齢者が対策をして多くなればなるほど
就業者というものの全体の
高齢化というものが進んでまいります。その場合には、やはり
高齢者の対策につきまして、高齢の方の活力の低下というものも一方ではあると思うのです。
定年制をしいた
意味というのは、やはり活力なりあるいは仕事の面での一定の水準を維持しようという目的もあったと思うのです。これが延びていくわけですから、心身ともに活力は残っており、昔とは違うとはいえ、全体的には生産力が、よほど活力を生かすようにしないと今までのままの
状況では全体的に活力が低下するという面も片方で出てくるのではなかろうか、このように思うわけでございまして、それがまた景気の低迷とかあるいは
雇用情勢あるいは生産性にもいろいろ響いてくるのじゃなかろうか、このように思うわけです。そういった一面があるということをどのように見ておられるかお伺いいたします。
〔浜田(卓)
委員長代理退席、
委員長着席〕