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1986-02-04 第104回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年二月四日(火曜日)     午後零時三十分開議 出席委員   委員長 馬場  昇君    理事 天野 光晴君 理事 桜井  新君    理事 村岡 兼造君 理事 池端 清一君    理事 中村  茂君 理事 松前  仰君    理事 薮仲 義彦君 理事 滝沢 幸助君       榎本 和平君    小里 貞利君       鍵田忠三郎君    笹山 登生君       田中 直紀君    谷  洋一君       近岡理一郎君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    畑 英次郎君       若林 正俊君    渡辺 栄一君       木島喜兵衞君    佐藤 徳雄君       富塚 三夫君    山中 末治君       吉原 米治君    遠藤 和良君       武田 一夫君    水谷  弘君       森本 晃司君    伊藤 英成君       菅原喜重郎君    三浦  久君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 山崎平八郎君  出席政府委員         国土政務次官  白川 勝彦君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    高多 康次君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         国税庁直税部審         理室長     森田  衞君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       篠塚  脩君         厚生省健康政策         局指導課長   入山 文郎君         厚生省社会局施         設課長     荻生 和成君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      渡辺 義正君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         建設省住宅局民         間住宅課長   三井 康壽君         自治大臣官房参          事官      奥田 義雄君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         消防庁防災課長 田中 基介君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ――――――――――――― 委員異動 昭和六十年十二月二十八日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     小里 貞利君   田原  隆君     中村喜四郎君   渡辺 省一君     畑 英次郎昭和六十一年一月十六日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     伊藤 英成君   横手 文雄君     滝沢 幸助君 同月二十七日  辞任         補欠選任   大石 千八君     天野 光晴君   瓦   力君     谷  洋一君   中村喜四郎君     長野 祐也君 同月二十九日  辞任         補欠選任   長野 祐也君     村岡 兼造君   山岡 謙蔵君     鍵田忠三郎君 同月三十一日  辞任         補欠選任   田中 恒利君     井上 普方君   渡辺 三郎君     佐藤 徳雄君 二月四日  辞任         補欠選任   井上 普方君     木島喜兵衞君 同日  辞任         補欠選任   木島喜兵衞君     井上 普方君 同日  理事田名部匡省昭和六十年十二月二十八日委  員辞任につき、その補欠として村岡兼造君が理  事に当選した。 同日  理事横手文雄君一月十六日委員辞任につき、そ  の補欠として滝沢幸助君が理事に当選した。 同日  理事大石千八君一月二十七日委員辞任につき、  その補欠として天野光晴君が理事に当選した。 同日  理事池端清一君同日理事辞任につき、その補欠  として松前仰君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  災害対策に関する件(新潟能生町の雪崩災害  等      ――――◇―――――
  2. 馬場昇

    馬場委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事池端清一君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 馬場昇

    馬場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任並びに委員異動に伴い、現在理事が四名欠員になっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 馬場昇

    馬場委員長 御異議なしと認めます。それでは、       天野 光晴君    村岡 兼造君       松前  仰君    滝沢 幸助君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 馬場昇

    馬場委員長 この際、山崎国土庁長官及び白川国土政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。山崎国土庁長官
  6. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 このたび国土庁長官を拝命いたしました山崎平八郎でございます。  災害対策担当大臣といたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。  昨年は、豪雪豪雨地すべり災害を初め、多くの災害発生いたしましたが、災害対策特別委員会におかれましては、災害応急対策災害復旧事業の推進などに精力的に取り組んでこられましたことに深く敬意を表する次第であります。  災害から国民の生命、身体、財産を守ることは国政の基本であり、大規模地震を初め、台風、豪雨豪雪火山噴火などの各種の災害に関し、防災訓練など予防対策強化災害発生した場合における応急対策の迅速かつ的確な実施、早期の復旧など、災害対策のより一層の充実に向けて積極的に取り組んでまいる所存であります。  先般発生した新潟能生町における雪崩災害につきましては、政府調査団団長として現地に参りましたが、亡くなられた方々に対しまして心から哀悼の意を表しますとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  なお、現地調査してまいった結果については、後ほど詳細に御報告申し上げます。  委員長を初め、委員各位の御指導、御協力をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手
  7. 馬場昇

  8. 白川勝彦

    白川政府委員 このたび国土政務次官を命ぜられ、中央防災会議事務局長として災害対策の重責を担うことになりました白川勝彦でございます。  微力ではございますが、山崎国土庁長官を補佐し、諸先生方の御指導を仰ぎつつ、災害対策全力を尽くしてまいる所存でありますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  なお、先般の新潟能生町の雪崩災害につきましては、私も山崎長官とともに現地に参りましたが、亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈りし、被災者方々に心からお見舞い申し上げる次第であり、この冬の当面する雪害対策にも全力を挙げて取り組む決意であります。  委員長を初め、委員各位の格別なる御指導お願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)      ――――◇―――――
  9. 馬場昇

    馬場委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、新潟能生町の雪崩災害等について政府から説明を聴取いたします。山崎国土庁長官
  10. 山崎平八郎

    山崎国務大臣 今冬の降雪による被害状況等について、新潟西頸城郡能生町で発生した雪崩災害中心に御報告申し上げます。  今冬は、北陸地方を初め、日本海側で強い降雪が断続したため、新潟県を中心に各地で被害発生し、これまでに死者四十四人、負傷者二百二十一人、家屋全壊八棟等となっております。  中でも、去る一月二十六日午後十一時ごろ、新潟西頸城郡能生柵口地区発生した大規模雪崩により、死者十三人、負傷者九人、家屋全壊八棟に及ぶ極めて大きな被害を生じました。  この能生町の雪崩災害に対しましては、直ちに関係省庁担当官派遣政府調査団派遣関係省庁連絡会議開催等を通じて迅速的確な災害応急対策実施に努めてまいっているところであります。  私は、一月二十八日に政府調査団団長として現地視察してまいりました。柵口地区には四メートルもの積雪があり、災害現場はその後の降雪も加わり、一望する限り雪にすっぽりと覆われておりましたが、一瞬のうちに破壊された家屋の残骸を目の当たりにいたしまして、豪雪の猛威を強烈にこの肌に感じました。  また、除排雪警戒監視等に日夜懸命に取り組んでおられる地元方々や県や市町村などの関係者方々に接し、その御苦労はまことに大変なものと改めて認識した次第であります。  現地では、新潟県知事能生町町長などから被害状況等について報告を聴取いたしますとともに、雪害対策等についての陳情や要望を承りましたが、これらにつきましては、関係省庁と諮りまして可能な限りおこたえすべく私も努力いたしてまいる所存であります。  今冬もいわばまだ中間点であります。政府といたしましては、関係省庁の緊密な連携のもとに、雪崩対策を初め、所要の雪害対策にさらに全力を挙げて取り組みますとともに、今後とも豪雪地帯生活環境等の向上を図るため、国土の均衡ある発展を目指した施策を総合的に推進してまいる所存であります。  以上、簡単ではありますが、私からの報告とさせていただきます。  なお、詳細につきましては防災局長から説明いたさせますので、よろしくお願い申し上げます。
  11. 馬場昇

    馬場委員長 次に、杉岡防災局長説明を求めます。
  12. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま大臣から御報告申し上げました今冬の降雪による災害発生状況及びその対策概況につきまして、新潟能生町の雪崩災害中心に、補足して御説明を申し上げます。  お手元に三枚つづりの資料を提出しております。これをごらんいただきながら、お聞きいただきたいと思います。  まず、一ページでございます。  一月二十六日の深夜発生いたしました新潟能生柵口地区における雪崩災害について御説明申し上げます。  今冬、新潟県下の上・中越地区は、山沿い中心大雪となりました。特に下句に入ってからは連日激しい降雪に見舞われました。このような中で、二十六日二十三時ごろ、能生権現岳に大規模雪崩発生をいたしたわけでございます。雪崩発生権現岳の中腹、標高八百五十メートル付近と見られまして、その平均幅は約二百メートル、流送距離は約千六百メートルにも及ぶ表層雪崩であったと推定をなされております。  被害状況でございます。  現地では、消防団あるいは消防職員警察職員役場職員などが、発生後直ちに徹夜で懸命の救生活動に当たり、二十二人を救出いたしましたが、まことに遺憾ながら十三人の方々がお亡くなりになり、その他お手元資料にございますような一般被害が生じたわけでございます。施設関係被害につきましては、目下調査中でございます。  二ページをごらんをいただきたいと思います。  そこに図面が出ております。  柵口地区を襲いました雪崩は、この図面の中の実線で示しました範囲に到達いたしまして、そこで黒く塗った、塗りつぶしたその住家八棟が全壊いたしました。また、斜線を引きました住家三棟が半壊ないしは一部損壊をいたしまして、先ほど申しましたような人的被害をもたらしたわけでございます。  なお、二次災害危険性があるということで、二十七日の十八時十五分に、この図の中の破線で示した区域がございますが、破線で示したこの被災地周辺地区の二十一世帯、五十五人に避難勧告が出されましたが、その後専門家現地調査の結果、予想されました危険性はないという判断のもとに、三十日夕刻にこの避難勧告は解除をなされたわけでございます。  再び一ページにお戻りいただきたいと思います。  この一ページの後半部分の政府対応等について御説明申し上げます。  政府におきましては、この災害を受けた能生町に対しまして、二十七日二時四十五分、災害救助法を適用いたしました。また、地元におきましては、町、県におきましてそれぞれ災害対策基本法に基づく災害対策本部設置いたしまして、行方不明者の捜索や障害物の除去等懸命の応急活動をいたしたわけでございます。  また、政府におきましては、迅速かつ的確な災害対策に資するために、翌二十七日、直ちに関係省庁担当官現地派遣をいたし、また同日、関係省庁連絡会議を開催いたしました。そして、翌二十八日には国土庁長官団長国土政務次官を副団長といたします政府調査団現地派遣をいたしました。翌二十九日には、この災害調査団調査結果等を踏まえまして関係省庁連絡会議を開催いたしまして、当面、次の三項目を重点に応急対策に万全を期することといたしました。  その第一は、まず被災者避難者に対しまして、今後とも適切な救助措置に努めることであります。  第二は、被害拡大防止のために今後とも的確な警戒避難体制をしくことであります。さきに述べましたように、避難勧告は既に解除されておりますが、今後なお降雪、気温、こういったものの状況等を的確に把握して対応してまいることといたしたいと思っております。  それから第三は、恒久対策でございますが、恒久対策につきましては、今後の調査結果を踏まえまして関係省庁が緊密な連携のもとに適切な対策をとることであります。これにつきましては、農林水産省、建設省など関係省庁におきまして専門的な調査実施しており、今後の調査結果を踏まえまして、再度災害防止のため、恒久的な対策を的確に実施することといたしております。  以上が、能生町の雪崩災害被害状況及び対策でございます。  三ページ目に参ります。  これは今冬の雪害発生状況及び対策等概況について御報告を申し上げます。  今冬は、十二月の中旬には北陸地方中心にいたしまして季節的に早い大雪がございまして、また一月の四日から六日、九日から十一日、日本海側地方で強い降雪があったわけでございます。その後、二十日ごろまでは小康状態になっておりましたが、一月の二十一日から二十八日にかけまして寒気の流入が続きまして、一週間以上にわたる大雪になっております。  その後は、これまで全般的にややこの寒気は弱まりましたが、現在再び北陸地方中心大雪が降っておる現状でございます。  このため、先ほどの能生町の被害を含めまして三ページのⅡの表に掲げてございますように、二月三日現在でございますが、これは全国の表でございますが、死者四十四人、負傷者二百三十一人等の一般被害が生じております。なお、施設被害等につきましては、関係省庁で鋭意調査中でございます。  今冬のこうした災害に対しまして、新潟県及び青森県並びに六十二の市町村におきまして災害対策本部設置いたしております。また、これまでに災害救助法が適用されました市町村は、新潟県下の三市町村となっております。  政府といたしましては、昨年十二月の中旬に、降積雪期を迎えるに当たりまして、とりわけ雪崩とかあるいは雪おろし中の人身事故等人的被害防止する観点から、関係省庁連絡会議を開催いたしまして、防災体制強化するという申し合わせをいたしておるとともに、関係機関及び地方公共団体に対しまして、雪害に対する防災体制の一層の強化についての徹底に務めてまいったところでございます。  しかし、今回の能生町の災害にかんがみまして、今後さらに関係省庁が緊密な連携をとりまして、降積雪状況の推移に即応いたしまして、懸命に努力してまいりたいというふうに考えております。  以上、御報告を終わります。
  13. 馬場昇

    馬場委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  14. 馬場昇

    馬場委員長 これより雪崩対策について質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  15. 桜井新

    桜井委員 それでは、自由民主党、新自由クラブを代表して、質問をさせていただきます。  ことしこそはという願いもむなしく、三年連続の大雪となり、また恐ろしい、絶対に口にしたくない大雪崩に見舞われる結果となりました。ことしもまた能生町の雪崩による十三名の方々を含め既に四十四名のとうとい人命を失うこととなったわけであります。全くお痛わしい限りであり、残念なことでございます。心より御冥福をお祈りいだすとともに、被災者に対し、心よりお見舞い申し上げる次第であります。  雪国にとっては、雪の恐ろしさを報道されることは、近代化工業化などの振興策の最大の敵であると思うわけであります。これだけの科学技術資本力を持つ時代です。何とか政治の力で災い転じて福となしていただきたいという願いを込めて、雪国住民を代表し、質問させていただきます。  まずは能生町の大雪崩のことでございますが、今ほど長官並びに杉岡防災局長の方から詳細に御説明もございました。またさらに、強い決意でこの再災害防止やらあるいは被災者に対する手当てのことについて決意のほどが表明されたわけでございますので、私の方からは二、王お願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。  まず最初に、このたびの災害については、御就任早々にもかかわらず、山崎長官白川政務次官を初め国土庁皆さん方からは、敏速に対応し、現地視察に入っていただきました。この政府視察団方々、また我が自由民主党を初め各党の視察団も敏速に入っていただいたようでありますが、新潟県民の一人として皆さん方の御好意、御努力に心から感謝を申し上げ、敬意を申し上げておきたいと思うわけでございます。そして、その中で不安にさらされておる村の人たちが安心できるように、先ほど杉岡局長からもお話がございましたが、ややもするとこういうところは、過去の実績からいって必ずと言っていいほど再災害を誘発しがちであるわけでありますが、どうか再災害の起こらないように万全の調査対応をしていただきたいとまずお願いを申し上げておきます。  それから、早速災害救助法の適用をしていただいたようでありますが、被災者に対する十分な手当てと、それから犠牲になられた御遺族様方に対して弔慰金をできるだけ早く支給できるように体制を整えていただきたい。この辺のことがどうなっておるのか、ちょっとお伺いをしたいと思うわけでございます。これは厚生省になりましょうか。  それから続いて、能生町のことについて一通りお願いをさせていただきたいと思うわけであります。先ほど恒久対策についてもお話がございましたが、先ほど理事会でも話題になりましたけれども、これは現状四メーターからの雪の中にあるわけでありますので、応急対策といってもなかなかしかとした方策が立たないだろうと思うわけでありますが、融雪後――それまでは再災害防止等に努めていただいて、融雪後十分な調査をしていただいて恒久対策を具体的に詰めていただきたいと思います。具体的なことについて局長からの話がなかったようでありますが、林野庁建設省砂防部担当になるかと思いますが、どの程度のことをどうやるつもりなのか、ちょっとこの際、被災住民がいささかでも心を安んじられるようにつまびらかにしていただければありがたいと思いますので、とりあえず能生町の雪崩災害についてお聞きいたしておきます。
  16. 荻生和成

    荻生説明員 災害救助関係について御説明申し上げます。  能生町の雪崩災害につきましては、県の方から一月二十七日の午前二時四十五分に協議がありまして、即刻適用しようということで話が整いました。  それから現在までに災害救助法上のとった措置としましては、被災者の救出、避難所設置、炊き出し、生活必需品の給与といったようなものでございます。それからまた、地元の方で準備が整い次第、応急仮設住宅設置それから住宅応急修理等について実施してまいりたいというふうに考えております。  それから、先生の方からの御質問にもありました災害弔慰金の件でございますが、これにつきましては受給者に対して早急に支給できるよう県を通じまして指導しているわけでございます。  今後とも必要な措置については迅速にやっていくように努力いたしたいと思っております。
  17. 船渡清人

    船渡説明員 新潟能生町の雪崩災害につきましての林野庁としての今後の対策を御説明いたしたいと思います。  林野町におきましては、災害発生後直ちに担当の係官並びに専門家現地派遣いたしまして、被害状況等の把握に努めますとともに復旧方針検討を進めているところであります。  今後の対策につきましては、今回の災害の甚大さにかんがみましてこれら専門家等の意見を踏まえまして必要な調査を行った上、関係省庁連携をとりつつ、融雪後速やかに緊急治山事業といたしまして雪崩防止事業実施いたしますとともに、さらに六十二年度以降につきましては、雪崩防止林造成事業実施することによりまして再度災害防止に万全を期してまいりたいと考えております。  対策工法といたしましては、発生源における発生予防工法発生した雪崩被害防御工法とがあるわけでございますが、基本的には、発生源対策工事実施することが望ましいわけでございますけれども、今後、融雪時までの間に専門家等とも十分御相談しまして現地状況に合った最も効果的な対策工法検討して実施してまいりたい、このように考えております。
  18. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  柵口地区恒久対策についてでございますけれども、私ども建設省といたしましては災害発生後直ちに担当官派遣いたしまして災害の実態、それから復旧工法等につきまして検討を加えておるところでございますが、今後、建設省といたしましては再度災害防止のために恒久対策といたしまして、融雪時を待ちまして調査実施いたし、適切な工法検討いたしますとともに、関係省庁調整を図りながら、集落雪崩災害から守りますところの雪崩対策事業実施いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  その工種につきましては、集落を守りますための誘導工でございますとか防護工、それから減勢工というふうなものが中心になろうと思いますけれども、それらにつきましては、現地調査を待ちまして適切な対策を立てていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  19. 桜井新

    桜井委員 今つまびらかにしていただき、ありがとうございます。  残念ながら、雪崩災害というと大体新潟県になるわけであります。早くこういう嫌な汚名は返上したいと思っておるわけでありますけれども、その都度政府の方からは適切な、しかも敏速な対応をしていただいて、翌年また同じところで再災害が起きるというようなことは、今までは大体防げてきたわけでありますが、この箇所についても、今林野建設両省から言われたことについてぜひひとつ仰せのように敏速に対応していただきたい。重ねてお願いを申し上げておきます。  次に、きょうは四十分しか時間がないということでございますが、何しろ毎年毎年こういったとうとい人命を失って、しかも雪崩によると何人がまとめて亡くなられるものですから大変問題にしていただけるのですが、そのほかいろいろな事故で一人、二人と亡くなっていて最終的には毎年百人前後の犠牲者を出しておるわけであります。そういったことについての切実感といいましょうか、厳しい対応にどうも欠けておるような気もいたしますので、せっかくの機会でございますからこの際あと四点ほどただしてまいりたいと思っておるわけでありますが、時間がないので一点一点まとめて質疑をしてそれぞれ関係者から御答弁をいただきたいと思いますので、まずはお願いを申し上げておきます。  新潟県から知事名で政府にも要望書が出ておると思うのですが、前段の三項目については今も触れましたが、特に激甚災害の指定については十分調査をして指定可能かどうかということで対応していただきたいと思っておりますので答弁は結構でありますが、最後の三項目について。  まず最初に、異常豪雪時に伴う特別交付税の増額配分についてということでございます。まさに特交の配分をする時期が来ておるわけでありますが、ことしの雪は断続的に降りながら、しかも一定の期間、連続して降る期間の降雪密度が非常に高いために、絶対量は例年と比べてそんなに大きいとは思いませんが、除雪費が非常にかかっているわけです。そういうことで市町村の負担が非常に高くなっているので特別な傾斜配分をお願いしたいと思いますが、自治省からこのことについての考え方をお伺いしたいと思います。  二番目は、道路除雪費に対する国庫補助金の大幅増額について。これも今市し上げたような理由で例年にない除雪費用がメーター当たりにはかかっているので特別配分をしていただきたいと思いますが、これは建設省に御答弁を願います。  三番目は、市町村道除雪費に対する特別補助でございます。これは市町村の財政ではどうしても賄い切れない突出した部分について、昭和五十二年から予備費を発動して二分の一を国から補助しようということでやっていただいております。特に近年は、絶対量の余計なところと二十センチや三十センチしか降らないところを全部一律の基準で一・五倍ということでは余りにも不公平ではないかということで、このことについての修正も願いつつお願いしてきたところでありますが、ことしはこういう状況でありますので、早速にも自治体の首長が安心して地域住民のための除雪態勢をとれるように対応していただきたいと思います。このことについては国土庁から見解を承りたいと思います。  以上三点でございます。
  20. 奥田義雄

    ○奥田説明員 特別交付税関係についてお答え申し上げます。  豪雪地帯除排雪経費につきましては、従前からできる限り特別交付税の配分等に際して措置を講じてきたところでございます。今後とも特別交付税の適正な配分に努めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、この冬におきます地方公共団体除排雪経費につきましては、現在各団体で用意しております経費について調査中でございます。二月二十日過ぎに調査結果が上がってまいりますので、この調査結果に基づきまして、普通交付税の措置枠を勘案しながら特別交付税について遺憾のないよう適正に配分してまいりたい、かように考えております。
  21. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  積雪地域におきます国県道五万五千六百八十九キロメートルにつきまして、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法に基づきまして除雪事業を行っているところでございます。今後、降雪状況等を考慮いたしまして、昨年十一月に承認いたしました実施計画に対しまして除雪事業費の不足する県につきましては、示達保留額を重点的に配分することといたしております。また、今後の降雪状況等によりまして除雪事業費が不足する場合には、他の予算の移流用等についても検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  22. 杉岡浩

    杉岡政府委員 市町村道除雪につきまして、その特別補助の制度につきましては、今後の降雪状況を十分見きわめながら検討する必要があると考えております。今後の推移に即しまして関係省庁と緊密な連携をとりまして、所要の検討をしてまいりたいと考えております。
  23. 桜井新

    桜井委員 次に、先ほども触れましたけれども、毎年雪のためにたくさんの犠牲者を出しておるわけであります。昨年は百二十五名、五十六年も大豪雪だったわけでありますが、この年も百八名、私ども新潟県の湯之谷村と守門村という二カ所で相次いで大変な雪崩事故があったわけであります。先ほども申し上げたように、これらの事故は必ずしも雪崩だけではない、いろいろなことが原因で犠牲者を出しておるわけでありますが、これらの対策について幾らここで国土庁長官から立派な決意表明をいただいても、具体的な対策がなかったらこれはなかなか防げるわけはございません。日航機事故みたいなものが起きると国を挙げて大変な対応をするわけでありますが、雪のことについては、雪崩でもあって何人がまとまって亡くなられると、いっときだけわっと騒ぐけれども、後は大体すぼんでしまうような格好でございます。しかし、これだけ科学技術の発達した、しかも世界第二の経済大国とまで言われた今日、この際行政がこのことについて本気で取り組んで――今まで本気でないとは申しませんが、どうか決意を新たにして取り組んでいただきたい、こういう気持ちから三点ほどお伺いしたいと思うわけであります。  それは死亡事故の原因を大別してみますと、家の屋根の雪掘りとか周りの雪掘りとか、家にまつわる除排雪による事故、これが一つ。それから、除雪作業中のブルにひかれたとか通行車と雪の壁の間に挟まれて死亡したとかいうような道路交通上の事故が第二点であります。第三番目が、今度も問題になりました雪崩事故による災害でございますが、これらのそれぞれの原因についてそれなりの私の見解を申しつつ対応お願いしたい、こう思っておるわけでございます。  まず第一番目には、家に関係する除雪被害についてでありますが、これは屋根雪対策として、直接の雪作業をできるだけ少なくする、できることであればやらなくてもいいようにする。例えば屋根に雪が積もらないような方法、いろいろございます。部屋の中の暖房を屋根裏に上げて積もらないようにする、水を流して積もらないようにする、あるいは滑らせる、雪国雪国なりの知恵でいろいろなことをやっておるわけでございます。あるいは床の基礎を高くして周りの雪を掘らないようにする、掘らないでおけば春になるとみんな消えるわけでありますから。こういったようなことをやるとか、いろいろ知恵を出しながら金をかけて、越冬費用を少なくする、そして直接雪作業に携わらないようにするということが一番大事ではないかということで今までもいろいろ知恵を出してきたのですが、この際、この中で二つだけ確認というかお願いをしておきたいと思うわけであります。  それは、一つは今まで住宅金融公庫から高床にする場合に金のかかった分については特別融資枠五十万を出していただいてきたのですが、このたび屋根の雪対策として屋根の特殊施設についてもこの制度を適用してやろう、いわゆる地域政策割り増し融資制度というのがあるわけでありますが、これを適用してやろうということで、またこれが適用になると五十万出るわけでありますが、これはダブル融資を認めるという認識でいいのかどうか、まずお伺いしたいことが一点。  その次は、この豪雪地帯の高床住宅については、実は昨年の暮れの予算編成の中で我が党と政府の間でいろいろ取り交わした中で、高床住宅についても新築住宅の特別優遇税制の適用にしてあげようということで、面積要綱の減額を認めることにしたわけでありますが、その後とこまでどんな検討をされておるのか、いつから実施をすることにしたのか、このことについては雪国住民に対してどういう方法でいつからいつまでに周知徹底を図ろうとするのか、この二点についてお答えをいただきたいと思うわけであります。  一つは建設省の民間住宅課、一つは自治省の固定資産税課に御答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  24. 三井康壽

    ○三井説明員 まず私から、住宅金融公庫融資の高床工事割り増しと克雪住宅割り増し、これにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。  今御指摘のございました高床工事につきましては昭和五十七年度から公庫融資をさせていただいているわけでございまして、床を少し高くしまして、積雪によります基礎の老化を防ぐとかあるいは採光するとか、それから雪が積もったときに、先ほどおっしゃいましたように、後で掘り出したり、そういうことをしなくて済む、こういったことで五十七年度から五十万円の割り増し融資をさせていただいております。  今回、六十一年度予算におきましても、地域の特別割り増しという制度を幾つか創設させていただいているわけでございますが、その一つの克雪住宅融資につきましては、屋根の雪おろしを人手を使わないでやっていこう、こういった目的でつくらせていただいたものでございます。御説明の中にもございましたけれども、例えば屋根の中に暖房の余熱を使って、日光が照ったときもそれを使って雪おろししていこう、そういった制度でございますから、二つの制度は、まあ目的といいますかあるいは効果といいますか、そういったものが違うというふうに認識しておりまして、合算して割り増し融資をさせていただくという考えでいるわけでございます。
  25. 桜井新

    桜井委員 合算ということは、ダブル、要するに百万まではいいのだな。
  26. 三井康壽

    ○三井説明員 さようでございます。
  27. 佐野徹治

    ○佐野説明員 高床式住宅の固定資産税の扱いの問題でございますが、固定資産税では、新築住宅につきまして、床面積が四十平米以上百六十五平米以下のものにつきましては、百平米相当部分まで、三年ないし五年間、二分の一の減額措置を講じることにいたしております。  ただいまお話のございました高床式住宅の問題につきましては、これが積雪という非常に厳しい自然条件に対処をいたしますためにやむを得ず高床化されたものである、こういうこと等にかんがみまして、その一定の床下部分の床面積は算入しない、こういう取り扱いをいたしたいと考えておりまして、現在その細部につきましては作業中でございます。これら細部の案がまとまりますれば、早急に地方団体には通知をいたしたいと考えております。  現在まだ作業中で、詳細は最終的には詰まっておりませんが、現在考えておりますものといたしましては、対象住宅といたしましては積雪時におきます出入り、それから居室の採光、換気の確保、これらのために床下部分を通常より高くいたしましたこれらのものにつきまして、床下部分の高さが一・八メートルまでのものを原則といたしたいと考えておりますが、ただこれはそれぞれの積雪状況、地域によりましていろいろな状況がございますので、一・八メートルを超えるものにつきましても対象といたしたいと考えております。  それから、この床面積に算入をいたさない対象でございますけれども、これは一般の住宅との均衡を考慮いたしまして、一般の住宅におきます物置等の割合、それ相当の面積は当然必要なものといたしまして、おおむね九割に相当する床面積は算入をいたさないということを現在考えておるところでございます。  それから、適用の関係でございますけれども、これは昭和六十年の一月二日以後に新築されました住宅に対します昭和六十一年度分の固定資産税から適用いたしたいと考えております。  いずれも現在細部につきまして作業中でございまして、これらの案が固まり次第、地方公共団体の方に対しまして通知をいたしたいと考えておるところでございます。
  28. 桜井新

    桜井委員 不動産取得税のことについてもあなたの方からちょっと触れていただきたい。
  29. 佐野徹治

    ○佐野説明員 不動産取得税は都道府県税でございますけれども、これにつきましても固定資産税と比較的よく似たような考え方に立っておりまして、一定の要件に該当いたします住宅で、その床面積が百六十五平米以下のものにつきましては特例措置が講じられております。  こういうように床面積の要件での特例措置が講じられているということにつきましては固定資産税と同様でございますし、それらの基本的な考え方は固定資産税と共通するものが相当ございますので、先ほど申しましたような考え方をベースにいたしまして不動産取得税につきましての特例も検討いたしておるところでございます。  なお、適用関係につきましては、不動産取得税につきましては、昭和六十一年の四月一日以後に新築された住宅から適用する、こういうことで現在検討いたしておるところでございます。  以上でございます。
  30. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  ぜひこのことについては実施をいただいて、先ほど申し上げたように、とにかく家のことで除雪作業に直接携わらないでもいいような雪国づくりということを、ぜひ国土庁から積極的に各省を督励して推進をしていただきたい、重ねてお願いを申し上げておきます。  それから二番目として、交通上、自動車交通によって犠牲になられる方々をなくすための対策として幾つか方法があるわけでありますが、きょうは特に三点についてただしておきたいと思っておるわけであります。  それは一つには、これは建設省にお尋ねをいたしますが、自動車と歩行者との間の事故というのは、大体雪の壁と自動車の間にすりつけられてやられる、あるいは自動車の運転席から死角になって、見えないところで、カーブのところでやられるとか、こういうことでありますので、どうしても歩道の除雪をしていただかないとこの事故はなくなりません。  そこで、建設省からは、かねてから試験除雪ということで御努力をいただいておるのでありますが、もうそろそろ本格的な恒久対策に入ってもいいのだろう、こう思われます。幸か不幸か、道路に関する雪寒事業の五カ年計画が今度六十三年から改定になるのかな、そういうことでありますので、このときまでに十分準備をして、このときからはぜひ恒久化した予算づけが五カ年計画の中に盛られるようにスタートしていただきたい、私はそう思うのでありますが、建設省のお考えをただしておきたいと思うわけであります。  続いて、除雪作業中に、私ら見ておりますと、除雪作業のときにはほとんど監視員がついておると思っているのですけれども、どういうわけか作業中にこういう事故が今までも何件か起きておるわけであります。そしてまた、これは格別痛ましい結果になってしまうし、残された人は、作業現場にいる方々は本当に申し開きのできないところに追い込まれてしまうわけでありますので、どうかひとつこの監視員制度を、ただ日雇いでちょっと頼んできたというような人でなくて、それなりに経験のある、場合によったらそれなりの資格を持った人たちで監視をやることを義務づけるような方法等をいろいろ工夫をすべきではないかと思っておりますので、この辺についてもお考えをただしておきたいと思っております。  三点目は、ちょっと変わっておるのでありますが、消雪パイプの威力というものは、これは雪質にもよるので違いますが、新潟県は特にこの効果が非常に高いわけであります。ところが、一番便利なものですから、どこでもこの消雪パイプをつけるようになりましたら電気料が高くなって、各市町村みんな参っている。そこで、去年、資源エネルギー庁と電力会社の御理解で、電気料の節減ということで軽減策をとっていただいたわけであります。ところが、その代償として、夕方最も電気の使用のピークになるときに二時間ほど節電に協力してくれ、こういうことで、それが条件ですから当然了承したわけですが、自動的に電気が切れるようにしてしまっておるわけですね。  ところが、ことしは冒頭に申し上げたように、雪の降り方がいつもと違って、降るときに異常に密度が高くて、一日に百三十センチも百四十センチも降るようなことですから、時間積雪量にしても大変な量なんです。二時間も消雪パイプが効かないで、ひょっと出したってこれは全然効かなくなる。これが交通のネックになって、ことしの冬は大変な障害を来して、方々で文句が出ておるわけであります。  このことについて、事実を承知しておるのかどうか。それから、もし承知しておるなら、これからどういう方法で対策を立てようとされるのか。承知をしてなければ、現地調査をぜひやって対策を考えていただきたいと思っております。今のは資源エネルギー庁からお聞きをしたいと思いますが、この三点をとりあえずお願いいたします。
  31. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  歩道除雪につきましては、冬期間の歩行者の安全な通行を確保するために、国県道につきまして、昭和六十年度におきましては二千七百五十キロメートルの歩道除雪の試験的施行を実施しているところでございます。この試験的施行を通じまして、歩道用除雪機械の開発とその適応性、除雪方法、施工歩掛かり等の基本的な問題につきまして調査を進めてきているところでございます。この調査結果等をもとにいたしまして、歩道用除雪機械の改良、除雪体制の整備、除雪技術の向上等に努めているところでございます。  歩道につきましては、幅員が狭く、障害物等もあるため、除雪も非常にしにくく、さらに屋根雪の処理、住民の協力態勢等の問題もございまして、現在、その望ましい除雪のあり方につきまして積極的に検討しているところでございます。今後ともその研究を進めまして、関係者の意見も踏まえまして、昭和六十三年度を初年度といたします第九次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画の策定時に十分検討してまいりたいと考えております。  それから、除雪作業のあり方についてでございますが、これにつきましては実態をよく調べまして適切な対応をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  32. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  融雪用電力の電気料金に関する件でございますが、先ほど先生御指摘のように、一般的には電力の使用がピークになる時間帯で、この融雪パイプなどにつきましては二時間程度のカットが可能ではないかという使用実態調査を踏まえまして、そういう制度をつくって割引措置を講じたところでございます。  雪の特に多いところでは、二時間連続して切るということではなくて、一時間、一時間、合計二時間になるような運用も行っておるようでございますが、先ほど先生お話しのように、この制度、本年度から開始をしたばかりでございまして、ことしの冬がまだ初めての冬になるわけでございます。  したがいまして、その運用の実態、現地状況、そういうものにつきまして、ある程度は今までも聞いておりますが、さらにそれをよくまとめて聞きまして、運用の改善が可能かどうか、十分検討させていただきたいと思っております。
  33. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  特に資源エネルギー庁の今の御答弁、大変ありがとうございましたが、ぜひ、私もこれからこの委員会が終わっても、このことについては目を通してまいりたいと思っておりますので、よろしく努力をお願いいたしておきます。  それから三番目として、雪崩被害についてでございますが、このことについてはもう既に何回も議論をし、この委員会でも小委員会の中で議論もしてきたことでありますので、きょうはこの対策について一つだけお願いを申し上げておきます。  林野庁建設省が共同で、まずはこの原因究明についていろいろ検討もされ、そういった原因を把握した中で、どういう要件で危険箇所を指定するかということで危険箇所の調査をやっておるようでありますが、五十八年、五十九年と調査をしてきて、いよいよ箇所の特定を六十年、六十一年とやられるようでございます。ぜひこれはできるだけ早く危険箇所の特定をしていただいて、それを何年間でどうやるのかというような年次計画をつまびらかにしながらやっていただきたい。これまた、治山治水五カ年計画の見直しが昭和六十二年からということになっておりますので、これに間に合うようにぜひやっていただきたいと思うわけであります。これはお願いでございます。  私が申し上げておきたいことは、先ほど能生町の今後の恒久対策について、林野庁建設省、それぞれからお話があったわけでありますが、こういうことがこれから頻繁にある、また人身事故がなければ余り話題にもならぬで過ごされてきますが、雪国は常にそういう危険と背合わせに冬じゅう生活していなければならぬわけでありますので、雪崩危険箇所、特に集落の近くについては人身事故があるなしにかかわらず、直ちに対応していただかなければならぬわけであります。  そういう場合に、災害は今ごろから起きるわけですから、予算配分、箇所づけが終わってから来るものですから、なかなか普通の予算では当年度やりにくくなっておる。  そこで、林野庁昭和六十年度から緊急治山と同じ扱いで災害扱いをすることで柱を立てていただいたのですが、建設省はようやく雪崩防止事業というものを新しく柱を立てただけで、まだ災害対応がはっきりしていないわけであります。この際、新しく制度の新設を林野庁並みにやって、こういったことに敏速に対応できるようにすべきではないかと思っておりますが、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  34. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  今回の雪崩災害の実態にかんがみまして、これを機にしかるべく早急な対応ができますような方策につきまして、建設省といたしましても検討を重ねてまいりたいと考えております。
  35. 桜井新

    桜井委員 このことについて、きょうは大蔵省にもおいでをいただいておるわけでありますが、これは幾ら建設省がやろうと思っても、大蔵省が承知をしていただかぬことにはどうにもならないのですが、大蔵省もぜひそういう方向でこの際努力を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  36. 涌井洋治

    ○涌井説明員 六十年度より緊急治山の中に緊急雪崩防止事業、それから建設省の急傾斜地崩壊対策等事業費の中に雪崩対策事業費補助という制度を創設して、所要の予算措置を講じているわけでございます。先生御指摘のように、治山事業の中では、一般公共と同時に災害復旧事業の中にも一つの制度を組み込んであるということでございますが、建設省の方は今のところ一般公共事業の中での制度ということになっております。  御指摘の点につきましては、今後いろいろ検討させていただきたいと思います。
  37. 桜井新

    桜井委員 大蔵省からも十分対応するように検討していただくというお話でありますから、ぜひひとつお願いしたいと思います。  先ほど申し上げたように、どんなに立派な決意をしていただいても、具体的なことが進まないことには始まらぬわけでありますから、今まで大変御努力をいただいて感謝を申し上げておりますが、さらに一層の御努力を重ねてお願いを申し上げておきます。  最後になりましたが、今ちょうど四全総の策定に向かっておるときでもございます。また、特豪法の基本計画の見直しをする時期であるとも聞いておるわけでありますが、私が今までこういういろいろなことを申し上げてきたようなこと一つ一つを、具体的にどう対策を立て、消化をしていくかというようなことを根本的にこの特豪法の中に入れていただく、そういう意味で、根本的な豪雪対策そのものの見直しをこの際やるべきかと思っておりますが、きょうは国土庁長官、予算委員会の関係で出られませんが、幸い雪国の出身の白川政務次官がおりますので、国土庁の見解といおうか決意といおうか、そのことをひとつお聞きをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  38. 白川勝彦

    白川政府委員 最初にお尋ねの豪雪地帯対策特別措置法に基づくいわゆる基本計画でありますが、これについては近いうちに見直そうということで、国土審議会の豪雪対策特別委員会の中に企画部会を設置して、早速検討をさせていただくつもりであります。  なお、四全総の策定は、今国土庁、省を挙げて鋭意やっておる最中でございますけれども、三全総においても雪の問題については十分配慮したつもりでありますが、その後、社会経済状況の変化というような中で新たなる問題も出てきたというような感じもいたします。特に、例えば除雪一つをとらえてみても、かつては山間僻地というのはもう大変悪くて、孤立集落がいっぱいあったわけでございますが、そういうところはどんどんよくなるにもかかわらず、いわゆる人家連檐地域と言われている町中などの除雪が極めて最近不十分になってきておるというような、いわゆるかつてとは逆の現象が起きておるという中で、そういうことを含めて、社会経済環境が大きく変わっているという中で、四全総の中において、先生いろいろ御指摘なされたような諸点について、十分期待にこたえるようにひとつ策定をしてまいりたいと思います。私も雪国出身でございますから、国土庁の職員にいろいろな意味で我々の実態を反映させるような策定をされるように、ひとつ鋭意指揮をしてまいるつもりでございますので、御指導のほどお願い申し上げます。
  39. 桜井新

    桜井委員 どうもありがとうございました。
  40. 馬場昇

    馬場委員長 次に、木島喜兵衞君。
  41. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今回雪崩が起こった選挙区の木島でございます。この間における政府やあるいは委員会の皆さんに大変に御迷惑をかけたことを心から感謝しながら、若干の御質問を申し上げたいと思います。  災害は忘れたころにやってくると申しますけれども、新潟県においては、雪害なる災害は毎年必ずやってくるのであります。だから、それを人は宿命と考えております。確かに我らの祖先は、この新潟豪雪地帯に住みついたとき、それは当然雪が降っておることを、毎年豪雪であることを知りながら住みついたのでありましょうから、それはある意味では人生の敗北者であったのかもしれません。だからといって、それが宿命だといって済まされていいのだろうか。それはまさに政治の宿題ではないのか、私はそう思います。  私、三十五年ほど前でありますけれども、新潟県の県会で、さっき質問した桜井さんのお父さんなんかと一緒のころ、桜井さんのお父さんと一緒ですからな、そのころに、雪が降って道路に積もっても、それを除雪し、排雪して自動車が通れるようにすると言ったら、かんじきでしか、雪を踏み締め踏み締めでしか歩くことができなかったところの我が選挙民は、木島の大ぶろしきだと笑いました。今どの道も除雪されております。  私、かつてこの委員会だと思うのでありますけれども、例えば家屋の雪をアーケードに落として、アーケードにベルトコンベヤーを置いて、そして動かしていきながら、最後にダンプカーに載せたらいいじゃないかと言ったら、この委員会の方々は笑いました。そのとき私は言いました。かつて私は、除雪をすれば車が通れるなと言ったときに、我が選挙民は笑った、今諸君は笑った、だが科学技術というものはそういうものじゃないだろう、そこに政治がないのかと言ったのでありますけれども、もちろん私は、科学技術というものをすべてに、自然を克服することによって無限の幸せが得られるといった、そのことがすべてであるかどうかは私は今疑問に思っておりますけれども、しかし、今回の雪崩を見たときに、まさに太古そのものではないのか、何の力もなかったではないか、私はそう思うのです。  そこで聞きたいのでありますが、今回、新潟県では雪崩危険箇所に指定しておらないといって、例えば新聞等においても新潟県は非難をされております。しかし、地すべりにおいては根拠法がおのおのある。建設省においても林野庁においても、あるいは土地改良にでも地すべりは根拠法がある。ところが、これには根拠法がない。根拠法があることと根拠法がないこととどのように違うのでしょうか。これは防災局長だな。
  42. 杉岡浩

    杉岡政府委員 雪崩防止事業それ自体には、例えば地すべり防止法とかあるいは傾斜地保全対策事業とかあるいは治山治水緊急措置法とかいったような具体的な法律はございません。  ただ、事業の施行につきまして、例えば林野庁でやっております……(木島委員「そんなことは聞いておらぬ。根拠法を聞いているんだ」と呼ぶ)これにつきましては、具体的に事業の中身は同じでございます。
  43. 木島喜兵衞

    ○木島委員 私が今言っていることは、なぜ根拠法がないのか。新潟県が指定をしたのは、これはちょうど私が五十六年に災害委員長をしておったときでありますけれども、桜井さんのお住まいの守門とか湯之谷に災害があった。雪崩があった。そこで、その翌年、新潟県は新潟県の防災会議において約二千カ所ほどの指定をした。しかし、根拠法はない。砂防法なら砂防法には地域指定がある。法的根拠がある。森林法の指定によって、あるいは土地改良法によってそれぞれ地すべりはある。なぜないのか、私は、そこにないことを問題にしておるのです。太古そのままじゃないかということを私はさっき言った。そのことを問題にしているのです。どうですか。
  44. 杉岡浩

    杉岡政府委員 雪崩対策につきましては、先ほども関係省庁から答弁申し上げましたように、十分その重要性を認識しながら仕事をしておるわけでございます。ただ、雪崩の現象でございますが、その発生あるいは滑落あるいは滑って、停止堆積、こういったようないろいろな要因がそのときの気象とか地形、土質、それから雪質、こういったものによってそれぞれ異なるわけでございます。そういった観点から、雪崩の完全な解明というのは非常に難しいわけでございます。関係省庁いろいろと勉強しておりますけれども、まだそういった段階で、完全な、地すべり等とは違った段階であるということでございます。
  45. 木島喜兵衞

    ○木島委員 それでは、新潟県が防災会議で二千カ所ほど指定しておるけれども、それは意味のないことだとおっしゃるのですか。そういう五十六年のときの教訓を、根拠法がないから、国会がやらないから、政府がやらないから、だから新潟県は新潟県だけでも危険なところは指定してそれでお互いに警戒しようとやっておるじゃないか。根拠法がない、雪がまま子扱いだということを言いたいのだ。  きょうは本来、予算委員会をやっていないのだから大臣が暇なはずだから、なぜ来ないのか私はわからない。だけれども、福岡の大臣よりも同じ選挙区の雪国白川さんの方が話がわかると思うのであります。今あなた、そうおっしゃるけれども、確かに新潟県で申しますと、新潟県の雪崩対策事業は、道路でもって昭和六十年県単も含めて二十三億八千万、山林は五億四千五百万、三十億近い金を新潟県は雪崩対策事業にかけております。けれども、それは主に道路や山林の保護であって集落対策はありません。建設省が今年度初めて集落対策一億二千万です。ことし三カ所、新潟、冨山、福井でやっておる。新潟県の、これまた先ほどの桜井さんの六日町でもって六千万だけやっておる。新潟県では三十億近くかけて対策をやっておる。やっと集落に六千万、しかも、その多くはなぜことしからか。道路や山林中心で、そのことは何かというと、経済が、物が、金が最高の価値という観念があるから人命がそれよりも軽く扱われておる。そこに五十六年のときの教訓がいささかも生かされずしてやっとことし一億二千万ついたのじゃないのか。私は、そういう思想、そういう政治姿勢こそ雪国が救われないゆえんだと思う。この宿命を宿題にするにはどうするか、そこにあるのではないかと思うのでありますが、この点については白川さん、ちょっとお答えいただきましようか。
  46. 白川勝彦

    白川政府委員 雪崩被害が悲惨であり、これを防止しなきゃならないということは、行政に携わる者の、これは言われなくても言われてもあるいは法律があってもなくてもやらなければならないことだと思いますし、今までもいろいろな意味で関係者が努力してきたところだと私思っております。ただ、先ほどから防災局長が答弁いたしておりますように、どういう地域が雪崩発生をするのか、そのためには具体的にはどういう工事がいいのか、こういうようなことになりますと、先生御指摘の地すべりであるとか急傾斜地の崩壊地区であるとか、そういうところに比べてなかなか特定がしにくいだろう、こういう困難さもあるだろうと思います。さりとて、例えば危険なところを仮に全部指定しても現実には限られた予算の中ではなかなか思うような対応ができない、そういう中で今なおいろいろな意味で研究すべきところなのではないだろうか、そういうところでございますが、いずれにいたしましても、先生御指摘の点についてはしかと肝に銘じまして、四全総あるいは今後豪雪地帯対策特別措置法、こういうものを見直す際には十分参考にさせていただきたいと思っております。
  47. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今おっしゃった四全総、あの四全総の中には、今まで雪というものはおのおのばらばらだった。各省ごとばらばらだったものを、国土庁ができて、そこでもって、事業は直接ないけれども総合されておるという点については非常に感謝しておるのです。それは大きな進歩だと思っておるのです。ただ、縦割り行政というものについての批判がいろいろありますけれども、それは別としまして。したがって、今おっしゃいますように、四全総の中に豪雪対策というものをまさに一章設けて、そこでもって整合性を持たせるというのでありましょうか、統合するというのでありましょうか、そういうものはぜひ必要でありますので、そのことについてあわせてお願い申し上げたいと思います。  地すべりの災害などと比べ、あるいは他の災害と比べまして雪崩災害というものは、春になって雪が消えますと桜も咲きます、梅も咲きます、若菜が出ます、何の変化もない。ただあるのは、この場合でいうと十三の卒塔婆が立つことと家が壊れておる、それだけだ。それはきっと、先ほどもお話がございますように、恒久的な対策は行われるでありましょう。これは感謝します。けれども、ここは大きな雪崩がなかったところなんです。三十九年前の昭和二十二年に大きな地すべりがあって、この部落は八十三戸のうち七十二戸が倒壊あるいは埋没いたしました。百二十年前にやはり大きな地すべりがありました。けれども、このような大きな雪崩はなかった。だが、恒久的な工事をやっていただくことは感謝をいたします。しかし、何かむなしさを感じます。  そこで、時間がありませんから先へ進みますけれども、確かに家がつぶれておる、その住宅をどうするのか。これはしょせんはどこかから金を借りるしかありません。がけ地近接危険住宅移転事業というものがある、これは一戸ごとに移転をするときに金が借りられる。集団移転の災害復興資金がある。これは十戸以上まとまらなきゃならない。しかし、集団移転でありますから大変条件がいい。跡地の買い上げもしてくれる。まとまって行くわけでありますから、公共施設もつくられる。そういうように条件がいい。けれども、十戸まとまるかどうかというと、またこれが問題である。この土地は出稼ぎの土地であります。出稼ぎで食っていると言ってもいいでしよう。田畑を耕しているのは自分の食べる物程度でありましょう。まあどっちがいいか、そんなことは言いません。金を借りたい。借りなければ家を新築もできないし、移転もできないし、補修もできない。金は借りたい。しかし、越後者は律儀でありますから、借りた金は返さねばならない。しかし、返すめどはない。仮設住宅にいつまでもおれるわけがない。返すめどがないから金を借りられない。金を借りない限りつぶれた家は直らない。こういうときは一体どうなるんでありましょうか。
  48. 杉岡浩

    杉岡政府委員 災害によりまして個人住宅を失われた方々、非常にお気の毒でございます。これに対しまして、政府といたしましては、まず住宅金融公庫の……(木島委員「そんなことはいいよ、時間がないんだから。返す金がないときどうするんだというんだ」と呼ぶ)いや、それを低利で貸し付けるとかあるいは援護資金をやっておりますが、そういった対策、できるだけのいわゆる個人災害対策、これをやっておるわけでございます。
  49. 木島喜兵衞

    ○木島委員 具体的に何があるのよ。あるわけないでしょう。政治は、一番困っている、一番苦しんでいる、そういう者を放置しているんじゃないのか。雪国全体に対してもそうである。この場合、こういうことに手が差し伸べられないで、まさに政治とは何ぞや、国家とは何ぞやという問題にならないのだろうか。  例えば県なんかでは、各県どこもやっていると思いますけれども、中小企業等が金を借りたときに信用保証協会で保証しますね。そして、それを払えないときに代位弁済いたします。一定の条件のときに、こういう場合に、払えなかったときに市町村が代位弁済するという、もちろんそれは審査が必要でありましょう。そういう道はないんだろうか。中小企業にはそういう道があって、この困っておるところの人たちにその道が開かれない、そういう政治があるんだろうか。  学校事故なんかの場合に、例えば事故が起こって国家賠償法によって有罪になったときに、市町村で一億五千万もの金を出すことは大変ですから、したがって、これは損保において保険がある。民間の損保によってそういう保険制度がある。そういうものを工夫することができないのだろうか。それで初めて政治というものじゃないのか、そう私は思うのであります。いろいろなことをやりますなんと言ったって、具体的にはどうするのかというとないのでしょう。ないのならそういう方法を考えるしかないじゃありませんか。どうなんですか。
  50. 白川勝彦

    白川政府委員 木島先生とは同じ選挙区でございまして、いろいろな災害を一緒に視察したこともございます。そして、そのときに、本当に政治家としてだけではなくて一個人としてそういう困った方々に何かすることができないだろうかと思うのは人の常だと思いますし、政治家としては当然私自身もそう思いました。しかし、そういう中でようやく長年の結果、せめて自然災害によって命を亡くされた方には弔慰金を出そうという制度が国会の長い努力の結果でき上がったわけでございますが、やはり生命と財産というところにいささかの質的な違いがあるのだろうと思うわけでございます。  自然災害に対して国がどの程度かかわり合うべきなのかということは、ある面では国家と個人との関係をも含む極めて難しくかつ政治的な理念の問題というようなこともある中で、現在先生御指摘のとおり、率直に申しまして十分な制度がないことは私も承知しておりますが、今答弁がありましたように、災害援護資金の貸し付けであるとかあるいは住宅資金の優先的なあっせんというようなことが現実には考えられて、気持ちだけといえば気持ちだけかもわかりませんが、災害融資の場合は五・五が五・〇になるというようなことであります。これは今後日本がもっともっと進歩していく中で、あるいは住民の、あるいは国民の物の考え方が変わっていく中で、将来的には何らかの解決がなされる問題であろうと私は思って、先生の御指摘については十分心して承っておきます。
  51. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今、白川先生、個人の災害と国、政治とのかかわりというお話がございました。防災局長さん、あなた初代でしたな。防災局というのは最終的には国民の生命財産を守る役所と考えて間違いありませんか。
  52. 杉岡浩

    杉岡政府委員 災害対策基本法に、政府の役割として、国土及び国民を災害から守るというのが国の責務でございます。私、防災局としてそれに徹しておるつもりでございます。
  53. 木島喜兵衞

    ○木島委員 にかかわらず、今回十三の人命が散った。責任を感じませんか。
  54. 杉岡浩

    杉岡政府委員 災害対策について諸般の努力をいろいろとやってきておるわけでございます。今回の雪崩災害、十三人の方々のとうとい人命が失われたことにつきまして、我々としては非常に遺憾に思っておるわけでございます。こういったものを教訓にいたしまして今後の災害対策に努めてまいる覚悟でございます。
  55. 木島喜兵衞

    ○木島委員 警察も消防も究極的には国民の生命財産を守るために国や地方自治体が金を出している役所である。ところが、白川先生もおっしゃいましたように、例えば国家賠償法は施設に瑕疵があった場合あるいは公務員の故意または過失があった場合に国が補償する。逆に言うと、国に責任がないときには補償しないという思想であります。だが、それていいだろうか。今お聞きしましたように、防災局ができた。もともと警察や消防というのは国民の生命財産を守るものである限り、それが完全でなかったからその補償は一〇〇%せよとは言わないけれども、責任は皆無だとはならない。ここのところが、これから我々が考えねばならない問題なんだろうと思う。そういう観点が犯罪被害者等給付金支給法という法律ではないだろうか。すべての理由ではありませんけれども、この犯罪被害者等給付金支給法というものができた幾つかの理由が考えられる。これは五十六年の一月一日から施行されておりますけれども、その前には、例えば新宿のバスの焼き討ちというのですか、ああいうものがあった。そういう被害者は、その人に責任がないのにその一家が路頭に迷わなければならないことになる。しかし、国は国民の生命や財産を守るために警察やあるいは消防がある。にかかわらず、それが完全でなかったがゆえにこそこういう事件が起こったがゆえに、行きずりのああいう犯罪に対して若干の金を、すべて一〇〇%とは言わないが、責任があるから。だから、災害が起こる。災害はいつだれがかかるかわからない。それに対して、その個人だけが不幸にして遭ったからといって、その個人だけが一家が路頭に迷うような状態になっていいのか。そうではないから、だれもがその可能性があるがゆえにこそ国全体でもって補償しよう、そういう思想もあります、この法律ができるには。  この災害委員会の歴史もまたそれがあります。昭和五十六年のときに、福島とか福井県では雪のために随分と森林が折れました。雪損木と言いました。それを激甚法を改正して、森林は個人の財産です一が、個人の財産を国が一定の補償をしよう、すべてじゃないが。そういう法改正をいたしました。あの年、寒冷のために、樹液が凍ってミカンが枯死いたしました。温州ミカンのでき過ぎから晩柑種に植えかえて農林省から金をたくさん借りた連中は、みんな五百万、八百万の借金があった。しかし、農林省は、一度金を出したとこうのものは二度出さない。しかし、それは予算的に措置をいたしました。そういうこの委員会の歴史がある。  したがって、そういう意味で個人災害というものを、すなわち国家賠償法では国に責任がないものは国は補償しない、国に責任があるものだけを補償する、過失賠償責任主義から無過失賠償責任主義の方向に行かざるを得ないのではないか、災害に関しては。  もう時間がありませんから、しゃべってしまいますが、そのことは、例えば今日雪おろしの税金で、雑損控除、五万円以上のものをしますね。個人災害で、個人に降った雪、この雪をおろすのに雑損控除で減税をする。それは個人災害に対するところの手を差し伸ばしたものでしょう。今雪の話をした。屋根の雪を道路におろす。その道路におろした雪は、市町村が排雪するわけでしょう、公の費用で。そういう大きな方向をたどっておると思う。  だから、過失責任主義から無過失責任主義という方向に、災害に関しては行かねばならないのではないのか。だのに弔慰金は、世帯主で二百五十万、世帯主でない者百五十万。さっき言いました犯罪被害者等給付金支給法は、いろいろなあれがありますけれども、大体八百五十万ぐらいじゃありませんか、いっているでしょう。この法律は、さっきも言いましたように、国も責任があるという思想があるわけです。災害弔慰金は恩恵的、恵慈的な金だ。気の毒だから出しましょうということ、責任を感じて出すのじゃない。そういう発想が転換されなければ被災者は、そして雪国は永久に救われないのじゃないのか。十三人の人たちが死んだ。死んだが、それが単に死んだのじゃなくて、犬死ににならないように政府の、政治の大きな転換がなされればこの十三人の生命は生きていくだろう。そういう政治がなければならないのじゃないのか。  しょせん、私は、きょうは答えを求めてはおりません。物の発想を、先ほど宿命から宿題へと言った。政治の宿題と言った。それは政治の、政府の物の考え方を根本的に直さない限り始まらないのじゃないのか。だから、私はさっきから、なぜ根拠法がないのか。根拠法がないということ、そのことは何だ。地質や何かいろいろ変わるなんてさっき局長は言ったけれども、地すべりは土質などはみんな違いますよ。家は金を借りなければ建てられない。家がつぶれた。金を借りなければ建てられない。だが、返す力がない。それでどうするのか。いろいろ融資があります。融資などと言っているのじゃない。融資は金を返せる者が借りるのです。返せない者は一体どうするんだ。しかし、そこには、私がさっき言ったように、幾つかの補償の方法があるじゃないか。そのことが直ちに生きるかどうか知りませんよ、検討しなければならぬことでしょう。しかし、そういう知恵が回ったっていいじゃないか。一番苦しんでいる者をなぜ救えない。そのことの基本は何か。そのことの基本は、国に責任のあるものは補償するけれども、責任のないものは補償しないという。しかし、先ほど言いましたように、犯罪被害者等給付金支給法はそういう思想を入れておる。財政的に言うと、確かに今市町村は、災害が起こったときには大体国からいろいろな面で面倒を見てもらっておりますことを感謝しております。これからなすべきことは一体何か。個人災害はどうするか、そこに国が責任を負うか負わぬか、責任を感ずるか感じないか、このことがまさに焦点になるのだろうと思うのです。  そういう観点というものは、私は、きょう答えが得られるとは思っていません。けれども、そこは白川さん、同じ雪国の中で雪の中の苦しみを知っている者、あなたの政治生命にかけてこのことをやると約束していただけませんか。
  56. 白川勝彦

    白川政府委員 ただいまの先生の高邁な政治思想、あるいはまた災害に遣われた方々に対して何か援助の手を差し伸べられないのかという、我々が災害視察などに行ったときにいつも感ずる素直な気持ちをまさに熱烈に、切々と訴えられたと思うわけでございます。  私、先生よりはかなり若い政治家の一人として、心してそのことを承った次第でございます。そのような理想に向かって、私も自分なりに一人の政治家として、また同じ雪国に生まれた者として先生と同じような気持ちを持っておりますので、時間はかかるかもわかりませんが、鋭意努力することをお約束を申し上げる次第でございます。
  57. 木島喜兵衞

    ○木島委員 時間がないから最後になるかもしれませんが、現場へ行きまして、下の県道は除雪されているけれども、村道の山の方は除雪されてない。余り厳密なことを言ってはなんですけれども、もし火災が起きて消防車が行かない。もし、国家賠償法に訴えられたならば、道路が除雪されないために個人が災害を受けたら、勝てる自信がありますか。かつて私は、今の自民党の金丸幹事長が国土庁長官のときに、道路でもってそうなったらどうする、国家補償にかかったらどうすると言ったらあっさりと、あの人は大変あっさりした人ですから、負けますと大きい声で言った。そうだと思う。しかし、そのことから実は除雪費用が大変豊かになりました。今この場合も勝てるとは思いません。道路というものは人や車が通るところのものなんですから、それが通れなかったら瑕疵ある施設と言わざるを得ません。それでは勝てない。ところが、主要市町村道はなっているけれども、なっておらない、除雪されない、これは十分にお考えいただきたいことを申しまして、私の質問を終わります。
  58. 馬場昇

    馬場委員長 次に、薮仲義彦君。
  59. 薮仲義彦

    薮仲委員 このたびの新潟県の災害に際しまして、我が党は多田副委員長団長といたしまして当委員会所属の水谷委員現地調査、激励に参ったところであります。私は、このたびの災害で亡くなられた方に対して心からお悔やみ申し上げ、また被災なさった方が一日も早く立ち上がれるように祈りながら質問させていただくわけでございますが、関係省庁におかれましては、こういうときこそ行政の温かい政治のぬくもりが感じられるような対策を講じていただきたい、これを災害委員としての立場を超えましてお願いをするところでございます。時間が非常に短い関係もございますので、答弁は要点を簡潔にお願いをしたいと思うのでございます。  最初にお伺いしたいのは、絶対あってはいけないのは二次災害でございます。二次災害は起こしてはならない。この観点から、現時点における二次災害危険性、可能性の有無、また対策としてどのようなことを講じられたのか、要点を御説明いただきたい。
  60. 杉岡浩

    杉岡政府委員 当地における二次災害防止でございますが、当時、二十六日に災害がございまして、翌二十七日、一部亀裂があるということで避難勧告をいたしたわけでございますが、幸い三十日の午後になりまして直接雪崩につながるものではないということで勧告を解除いたしたわけでございます。今後、降雪状況あるいは温度、こういったものが刻々と変わってまいります。そういった観点から、この地域は一たん災害が起きましてやはり再度災害発生するおそれがございますので、地元におきまして監視体制を十分強めまして、もし危ない場合があれば事前に避難をするというような対策をこれから強化してまいりたいというふうに考えております。
  61. 薮仲義彦

    薮仲委員 避難以外に、例えば雪崩を他の方向へ誘導するということが可能であれば、可能な限り関係省庁においてその努力をしていただきたい、これは望んでおきます。  それから、やはりこういう災害を再び繰り返さないということは抜本的な対策が必要だと思うのです。しかし、この対策は、やはり雪が解けて現地の詳細な調査の上で初めて対策が立つことと思うのでございますが、現時点で考えられるのは、やはり発生源における防止、これは大事だと思うのです。それから、集落周辺においてどうするのか。これは関係省庁でいえば発生源における植生等にかんがみてということになりますけれども、植生は十年、二十年先の話になってまいります。  さしあたって林野庁お願いしたいのは、やはり雪崩防止のための堰堤をつくるということが住民の方が一番望んでいらっしゃることだと思うし、また建設省として考えられるのは、集落の周辺に雪崩の危険があったときに、その雪崩を防除するような方法等を当然今のうちから考えておかなければならないと思うのでございますが、林野庁、設省、抜本的対策として今何を考え、どういうことをやろうとしているか、御説明いただきたい。
  62. 船渡清人

    船渡説明員 お答え申し上げます。  林野庁といたしましては、恒久対策といたしまして専門家等の意見を踏まえながら必要な調査を行った上で融雪後直ちに緊急治山事業によります雪崩防止事業実施いたしたい、さらに六十二年度以降につきましては、雪崩防止林造成事業対応してまいりたい、このように考えておるわけでございます。  対策工法といたしましては、ただいま先生お話しでございましたように、発生源におきます発生予防工法、さらに発生した雪崩被害を防御するための工法というものが考えられるわけでございますが、御案内のように、権現岳は大変急峻なところでございまして、どのような対策工事が可能でかつ有効なのかというような点につきましては、今後専門家等調査もいたしまして現地に最も合った効果的な工法というものを融雪時期までに検討してまいりまして適切な工事をいたしたい、このように考えております。
  63. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  今回の柵口地区恒久対策についてでございますけれども、再度災害防止するという見地から、雪解けを待ちまして現地調査実施いたしまして適切な工法検討いたしますとともに、関係省庁調整を図りながら集落雪崩災害から守ります雪崩対策事業というものを実施してまいるように検討していきたいというふうに考えております。  なお、工法につきましては、集落の保護という観点に立ちまして、誘導工でございますとか防護工、それから減勢工というふうなものを調査の結果を見ながら適切に決めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  64. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は当委員会に所属しまして、相当長い年数、ここで何回も質問させていただきました。今政務次官もお話しでございましたように、我々がひとしく政治家として思うことは、災害によってとうとい人命が失われないような行政の対応等が一日も早からんことを願いつつ今日まで来たわけでございます。時宜を得て中曽根内閣のときに、この行革の折りに防災局ができた。  先ほど災害基本法のお話がございました。私も対策委員としてもう一度災害対策基本法をひもといてみました。まず、定義として、災害は「暴風、豪雨豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象又は大規模な火事」、こうなっております。さらに、国の責任としては、「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」と、はっきりと国の責任がうたわれているわけでございまして、我々ここにいる災害委員、なかんずく国政にかんがみる者、行政に携わる者、ひとしく生命財産を守らなければいかぬということで今日まで努力を積み重ねておることについては十分承知でございます。  しかし、私は防災という観点から何回も申し上げたことがある。先般のあの南米コロンビアのネバドデルルイス火山、あのときにアルメロの町が一瞬にして埋まってしまった。しかし、あの火山については想定図があって、アルメロはすっぽり埋まるだろうということはわかっておった。建設省が土砂災害あるいは豪雨、集中豪雨のときの災害等について、浸水、雪崩等の危険についてはそれぞれ研究調査をなさっていらっしゃることは十分私も承知いたしております。そのときに私は、やはり防災局ができた以上、防災局の機能として一番大事なのは――先般あの日航のジャンボジェットが墜落という痛ましい事故がございました。あのときには、政府調査団をつくってその原因を究明してはっきり対策を講じようという結果が出てくるのです。今回も国土庁長官初め政務次官もおいでになって、現地の人は大変喜んでおられると伺っております。こういう調査があったときに、科学技術庁や建設省林野庁関係省庁あるいは大学の研究機関もそこへ行って調査をしている。そのデータというものがきちんと集約されて次へのために役に立つように生かされているかどうか。ストックしておいただけではなくて、それが生命財産を守るために生かされて初めて私は調査の意味があったと思うのです。そのために、今国土庁の防災局の中で関係省庁あるいは研究機関の調査というものが集積されて、それが次の行政、関係省庁に先導的指標として役に立っているかどうか、この点私は何回もお願いもし、申し上げてもきた。やはり調査したらそれをストックするのではなくて生かすということで本気になって防災局ができた。初代の防災局長のときにその方向性はつくっていただきたい。また新任の政務次官にも鋭意これには心を砕いていただきたいと私はお願いするわけでございます。  なぜこういうことを言うかというと、これは決して難しいわけではない。これは防災局長には再々お見せしてありますので、委員長、これを政務次官にもお見せしたいが、よろしゅうございますか。――これは防災局長よく御存じの神奈川県の地図でございますが、現在地方自治体というのは乏しい資料の中でどうしようかと思って苦労している。それは環境影響、あるいは開発するためにどうあるべきかということで、そこに出ておりますのは御承知のように洪水の予想される地域、あるいはがけ崩れ、地すべり等の想定図が重なっているわけでございます。それは地形図の上に考えられる条件を重ねていきますと、ああこの地域はかけ崩れがあるんだな、この地域は浸水しそうなんだな、この地域は高潮なんだなということが大体想定される。私が申し上げたいのは、今私の手元にもう通産省から林野庁科学技術庁、いろいろなところの国土調査資料をいただいております。すぐれたものがたくさんあります。そのものをもしも一つの地勢図のうちに重ねていけば、ここは植生はこうである、地形の角度はこうであるということによって十分――災害というものは五年、十年その資料、研究調査というものを重ねていけば立派な判断の基準が一つの指標として出せると私は思うのですね。現在の進んだ科学技術でいうならば、私は資料さえ、原因の究明の結果さえ積み重ねていけば必ずわかると思うのです。そうすれば、先ほど雪崩の危険地域の指定ができないのか、私はできないわけがないと思う。  ここにあるのは、これは政務次官も御承知の、気象庁が今度の六十一年一月八日から二十七日にかけての積雪深、気温の状況を書いてくれた一枚のペーパーです。この中でも我々は、今度の災害発生能生町の地域はどうだろう。六十一年一月の平均、八日からずっと出ておりますが、そのときはマイナスです。途中で温度がプラスの一・七度に上がっているのです。それからまたぐんとマイナスに来ている。いわゆる大陸からの寒気団が来て通過してまた豪雪が降った。その中間に、アメダスですから雨か雪か正確にはわからないけれども、高田でも雨が降ったから能生町でも雨が降ったと思われる。建設省科学技術庁に聞けば、今回の雪崩は泡雪崩表層雪崩で、やがて融雪期になれば、今度は地表の温度も上がり、深層雪崩発生すると思われます。そうなれば、一回雪が降った、雨が降ってそれがアイスバーンになって、その上に積もってまた降れば、これは危ないな、これだけの急傾斜地、植生は雑木林、危険だというのは、一枚の気象庁のペーパーからもわかると私は思うのです。そこに、今政務次官もごらんになったように、いろんな図面を重ねていけば、これは危険だな、逃げた方がいい、あるいは対策を講ずることも可能であるという判断ができると思うのです。  ですから、私は、防災についての防災マップをつくってほしい。火山の被害想定図ができるんだったら、防災についての、国土の安全を守るために、国民の生命財産を守るために、防災局が中心となって関係省庁のすぐれたデータを集積して防災マップをつくって、それを各関係省庁に、こうあるべきだというような先導的な役割を国土庁が、ある意味では調整だけではなくて好ましい意見を関係省庁にも進言できるのではないかと思いますので、防災マップを何とかつくってほしい。形は変わってもいい、コンピューターの中にぴしっとこれをインプットなさればすばらしいものができると思うので、私はこの御返事をお伺いしたいと思います。
  65. 杉岡浩

    杉岡政府委員 防災マップの作成につきましては、かねてから薮仲先生の方からいろいろと御指摘を受けまして、我々といたしましてもかねてからその勉強をいたしておるわけでございます。各省の資料を整理いたしまして、国あるいは地方公共団体等においてそれぞれがそれを有効に使うということは非常に大事なことでございます。その一環として防災マップの問題があるわけでございます。  現在各省において、それぞれいろんな形において資料をお持ちでございます。ただ、それがまた十分に、完全にできておるところもあるし、あるいはない。それから、大きさといいますか、スケールもばらばらである。いろいろとそれを一つの、ただいま拝見いたしました神奈川県の地図のように重ね合わせるというのは技術的に難しゅうございます。しかし、難しいという点を我々は今勉強いたしております。これを解明いたしまして、そういった防災マップ、あるいは広い意味におきまして防災情報の収集利用、こういった面について、これの制度、仕組みをつくり上げるというのが我々の一つの大きな仕事だと思っております。  そういった観点から、現在、それからさらに六十一年度からもこの面について積極的に検討を重ねていきたいと思っております。
  66. 白川勝彦

    白川政府委員 先生御指摘の防災マップというのは大変大切な御意見かと思います。国の機関でございますそれぞれの役所が持っておりますデータは、それを統合することによって防災上大変効果があるとするならば、それを集積する責任は当然のことながら国土庁にあると思いますし、これは各役所とも否定すべきことではないと思っております。  ただ、私もよく勉強はいたしておりませんが、いいことを集積しておりますマップでございますと、うちも載っけてくれということになるんでしょうが、逆にマイナスの、ハンディの条件がここはこれだけあるぞということを公表するということにも一方ではなる要素もあるわけでございまして、なお進めていくにはそれ以外の、防災だけではないほかの点も十分考慮して進めていくことも一方では考えていかなければならないのではないか。  いずれにいたしましても、大変貴重な御意見でございますので、一生懸命勉強させていただきたいと思っております。
  67. 薮仲義彦

    薮仲委員 これで終わりますけれども、政務次官、私は雪害じゃなくて地震の静岡県です。地震地域に住んでおる者はこういう被害があることを覚悟して生きております。雪にある人、災害にある人はそれに耐えて、それを乗り越えて生きていかなければならないんじゃないかと思いますので、今の御意見は御意見として承りますけれども、十分御検討いただきたいと思います。  以上です。
  68. 馬場昇

    馬場委員長 次に、水谷弘君。
  69. 水谷弘

    ○水谷委員 公明党の水谷弘です。長官初め政務次官、また各省庁の皆さん方が、今回の能生町の雪崩災害発生して直ちに現地調査に入られ、被災者の皆さんの激励を初め、各方面にわたって特段の御努力をされていることに対して敬意を表するものであります。が、しかし、私も現地に参りまして言葉にあらわせないような大変な思いをしたのでございます。   〔委員長退席、中村一茂一委員長代理着席〕  ちょうど約一年前、同じ西頸城郡青海町の玉ノ木における地すべり災害発生をしたときにも私は現地へ参りました。わずか一年の間にほぼ同じ地域に雪が原因でこれだけの多くのとうといお命を失うことが発生してしまった。防災に携わる者の一人として私は大変な責任を実は感じながら現地に立っておったわけであります。  きょうは長官が所用でおいでになりませんので、政務次官といろいろ今後の防災のためにひとつ前進的な議論をしていきたい、こう思っております。  まず、今回新任になられた政務次官として、その直後のこれだけの大きな災害を目の当たりにされて、率直な御自分の今後の国土防災の責任のある立場でお仕事をされるその御決心、決意をお伺いいたしたい。     〔中村(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 白川勝彦

    白川政府委員 私も、昨年の玉ノ木部落の被害者がたしか十名かと記憶しております。今回も十三の遺体のありますお御堂に案内をされてお悔やみを申し上げたわけでございますが、自分の個人的な体験でも、そのように十体であるとか十三体という遺体があるところに遭遇したことは後にも先にもこの二回しかないわけであります。そういう意味で、自分の選挙区ということもこれあり、本当に胸が張り裂けるような思いをいたしたわけであります。それだけに私ども、災害防止のためには細かい金のことは言わないでやっていただきたい、こういう気持ちが率直のところございます。  しかし、現実には金の制約がある中でどういうふうに努力したらいいのか、そういう面では我々防災業務に携わる者としては、全知全能を傾けながら最も安い費用で最大の効果が上がる、そういうことを今この時勢の中では考えていかなきゃならないということで、関係の省庁あるいは関係の係員とともに今いろいろな意味で今後の国の防災政策について考えておる最中であります。
  71. 水谷弘

    ○水谷委員 豪雪地帯の上越を中心にした新潟四区の白川先生でございますので、政務次官で頑張っておいでになる間に、どうかひとつ、豪雪はもちろんですけれども、国土防災のために全力を挙げてお取り組みをいただきたいと申し上げておきます。  先ほど来各委員からいろんな御指摘、御質疑がございましたので、私も質問をしたい件数がたくさんございましたが、ダブリませんように角度を変えて質問をしたいと思います。  確かに、先ほど前の委員がおっしゃいましたように、雪崩は雪が消えてしまいますと本当にどこでこんな恐ろしい事故が起きたのかというような、そういう災害でございますから、私はいろいろ調べてみましたが、どうも雪崩に対する本格的な取り組みが足りないのじゃないか、これが率直な私の感想でございます。  それで、五十六年から建設省林野庁国土庁、三省庁がそれぞれ連携をとりながら雪崩危険地域に対する調査を進めてこられた、そして今日を迎えておられるわけでありますが、具体的にどのような調査を今日まで進めてこられたのか、これをまずお伺いをしたいと思います。
  72. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  雪崩につきましては、その要因がいろいろな因子が大変複雑に絡み合って発生するというようなこともございまして、この雪崩の危険箇所につきましては、五十六年から五十七年の二カ年にわたりまして建設省と共同で雪崩危険度の判定手法の開発等のための調査を行いまして、その調査手法に基づきまして、五十八、五十九年の二カ年にわたりまして全国の豪雪地帯市町村を対象にいたしまして危険箇所の実態調査をいたしたところでございます。  雪崩災害発生を未然に防止いたしますためには、危険箇所のより的確な把握が重要であるということでございまして、この二カ年にわたります実態調査結果に基づく危険箇所につきまして、六十年と六十一年の二カ年にわたりまして、現在、山地災害危険地調査も私どもやっておるわけでございますから、その調査とあわせましてこの危険箇所につきましても総点検をいたしまして、危険地区を的確に把握してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  73. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  前回の調査につきましては、先ほど林野庁の方からお話のあったとおりでございますけれども、今回の柵口地区雪崩災害でわかりますように、その発生する場所を予測するということは極めて困難であるわけでございます。したがいまして、今回、建設省昭和六十一年度に総点検を実施いたそうというふうに考えておるわけでございますけれども、前回の調査要領を基本にいたしまして、空中写真の判読等の調査手法を取り入れまして、今回の災害等を参考に、雪崩発生の要件を備えている斜面を全部把握しようというふうに考えておるところでございます。
  74. 杉岡浩

    杉岡政府委員 国土庁は、林野庁それから建設省、その国土庁の公共事業総合調整費を使いまして御調査をいただいた取りまとめをいたしたわけでございます。今後、林野庁建設省、六十年、六十一年調査をなされるわけでございますが、雪崩対策についでこれが前進するよう、十分関係省庁と連絡を保っていきたい、こういうふうに考えております。
  75. 水谷弘

    ○水谷委員  伺いました。  そこで、もうちょっと詳しく説明してくれませんか。具体的にどうやって調査をしているのか。それから、雪崩調査はやはり雪が降っている真っ最中、こういうときに調査をしませんと、具体的にその発生がなかなか予知できない。冬季における調査も必要、現地も見なければいけない。それから、各市町村、県から上がってきた調査表をそのまま受け取るだけでもまずい。私は、今建設省が答弁をされました六十一年度に総点検をやろう――もう五十六年の一月七日、新潟県守門村で四棟全壊、三世帯八人死亡、これは五十五年度、このような大きな雪崩が起きた。さらにまた、五十六年の一月十八日、先ほどもお話がございましたけれども、湯之谷村でも六名死亡という大変な雪崩が起きた。それらが五十六、五十七年度に本格的に雪崩調査をしようという大変な出発点になったはずです。それで、五十六、五十七、調査をしてきた。ことしは六十一年度を迎えようとしているのですよ。六十一年度に本格的な調査、総点検をしますという、こういう態勢の中にこの問題が起きる大きな原因があると私は指摘をせざるを得ない。  先ほども、うちの委員から御指摘がありましたけれども、防災局ができた。どうか従来のようなスローペースではなくて、本格的な対応と、それも現地へどんどん乗り込んでいって、専門家もしっかりと現地へ飛び込んでいって、二度と起こしてはならないんだという覚悟を持ちながらしっかり調査、総点検をしていかなければならない。  今回の表層雪崩については、確かに専門家が考えても起きるような場所ではなかった、予測は不可能だ、こういう言葉が出てきます。しかし、本当に不可能だったのか。この辺にまで痛みを感じながら徹底した調査、それをやっていかなければ、これはまた起きますよ。もっと悲惨な雪崩事故が起きてくるような気がしてならない、今のような対応では。私は、少なくとも今日までの雪崩調査に対する、雪崩災害に対する調査を抜本的に見直して、本格的な調査をしていかなければならない、このことをどうしても指摘せざるを得ない。政務次官いかがですか。
  76. 白川勝彦

    白川政府委員 建設省、農林省、それに国土庁も入りまして雪崩の危険地域の調査を進めているわけでございますが、他の地すべりであるとか急傾斜地と違いまして、要するに雪がどの程度降るかということでございまして、いわゆる定性的な、定量的な調査ができないというのでしょうか、同じ雪でもその年の風向きによって随分積もる年もあれば積もらない年もある。調査そのものは、他の危険な地域の指定と違って極めて難しい面があろうかと思います。  例えば、今回の柵口地区の問題につきましても、通常であるならば今回の雪崩発生した一番先のあたりというのは雪がそもそも積もらない地域である、こういうふうに長年言われていたんだそうであります。それがことしはどういうわけか知りませんが、そこにたまたま雪が積もった。しかし、そこをさらに今結果から考えてみれば、あそこに雪がたまったときは、今までと違うぞということで、危険信号ということもあるのでしょうけれども、そういう面では、今回の地域一つとらえてみてもそういうふうに極めて難しい面があるわけでございます。  そういう面で、ひとつ鋭意やっている最中でございますので、叱咤激励いただくのは大いにやっていただきたいと思うのでございますが、性質上非常に難しい問題があるという点もひとつ御理解いただきまして、今後さらに御指導、御鞭撻をいただきたい、そう申し上げたいわけでございます。
  77. 水谷弘

    ○水谷委員 政務次官おっしゃるとおり、これは専門家の口からしても学者の研究からしても、非常に難しいことはよく知っております。特定できない、どこで起きるかわからない。特に、表層雪崩はそういう要素を多分に持っている。しかし、それで過ぎでは通れない、責任ある立場としては。何かないのか、どうすればいいのか、衆知を集めてこれに対応していかなければ、とうといお命を亡くされた方々に対して何とおこたえをしたらいいのか。この質問をすること自体も、私はむなしく感ぜざるを得なくなる。  そういう意味で、今回の雪崩の峻厳な事実というものを徹底的に解析し、分析をされること、それから調査表を各都道府県、市町村に配って調査表を吸い上げるだけの調査ではなくて、本格的に現地へ乗り込んでいって、そして徹底した調査をされること、さらにこれはまた科学技術庁に、きょうお見えになっておりますので、お願いをしたいわけでありますが、総合的な研究開発、本当にその発生のメカニズムの解析やらまた予知体制の研究、そういうことについても、これは地震等に比べ、また土砂等の急傾斜地の災害等に比べて非常に難しいことは百も承知の上で実は私申し上げているわけであります。ですから、鋭意努力をされるように心からお願いをする次第であります。  科学技術庁、今後の総合研究開発また予知の問題等についてのお取り組みについてお尋ねをしておきます。
  78. 高多康次

    ○高多説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、雪崩の研究につきましては、特に予知という観点につきましては、長い間やってきておるわけでございますが、いろいろな基礎的なデータ等を集めておるわけでございますけれども、そういう複雑なデータをいろいろ組み合わせて一つの予知技術というようにまとめていくには、なかなか大変な困難な問題があるわけでございます。しかしながら、科学技術庁といたしましては、防災科学技術センターの雪の専門的な研究所といたしまして長岡に雪害実験研究所というのがございますし、それから新庄に支所がございます。そういうところを通じまして、現在特別研究といたしまして生活関連雪害防止技術の開発研究というのをやっておりまして、その中で、特に本年度、六十年度から雪崩発生機構と衝撃力に関する研究というテーマを設けまして、基礎的な研究をまた再度改めて始めておるわけでございます。  それから、科学技術庁がいわば音頭をとって雪崩の研究をやっていますものがございまして、これは五十七年度から五年間の計画で科学技術振興調整費という予算を使いまして、各関係省庁の試験研究機関共同で推進しているものでございますけれども、豪雪地帯における雪害対策技術の開発に関する研究というのを進めております。この中で雪崩予知研究、雪崩予知技術の開発というサブテーマを設けまして、科学技術庁の防災センター、それから建設省国土地理院、農林省の林業試験場というようなところが共同して行っている研究を進めております。この研究につきましては、いろいろな基礎的な段階を経まして現在二期ということで、六十年度、六十一年度二年間で一応まとめにかかっている段階でございます。  そういうことでございまして、現在鋭意雪崩災害につきまして、特に予知技術の関係につきまして研究を行っているところでございます。
  79. 水谷弘

    ○水谷委員 大変困難でしょうけれども、どうぞ頑張っていただきたいと思います。先ほどからも、根拠法がない、総合的に雪崩対策に対する対応づくりをいろいろ議論されてきたところでありますが、それらをしっかりと整備できますようにひとつ取り組んでいただきたい。  特に、雪崩が起きるところはかなりの山間地帯でございまして、ほとんどの方が出稼ぎに出ておいでになる。御婦人また子供さんたちが残されている。そういうところは監視能力が非常に弱くなっているわけです。ですから、現在、例えば新潟県でも冬季の集落保安要員という方をわざわざおつくりになって、県が補助を出してそういう方を配置していらっしゃる。そのほかに、森林保全の監視員とか地すべりの監視員とか道路情報のモニターとか、いろいろな方々災害からとうとい人命と財産を守るために御努力をされておるのでありますが、どうもそれが総合的に機能できない、またもう少し力を入れていくべきであろうといういろいろな議論が起きている。そういうものを含めて、豪雪地帯全体の災害に対する監視体制の確立をより一層強めていくべきであろう、このように御指摘をするわけです。  時間がございませんので最後に、消防庁おいでになっておられますが、災害が起きますと、それこそもう御自分のお命を顧みず救助の任に当たってくださる消防団また消防職員、そういう皆さん方の御苦労に対してはいつも心から敬服をいたしておるところでありますが、その消防行政の中で、こういう災害に対する警戒避難体制がより一層確立していただけますように、これは感謝と要望でございますが、私から申し上げておきたいと思うのです。  今回も八百名を超す方々現地で一生懸命御努力をしてくださいました。私も現地へ参りまして、あの権現岳雪崩のふもとまで登っていくのに消防団長さんに御案内をしていただきながら、当日あの悲惨な事態の御努力をよく伺ってきたものでございますが、今後のいわゆる警戒避難体制についてのお取り組みの決意を一言お伺いをしておきたいと思います。
  80. 田中基介

    田中説明員 御指摘の点につきましては、消防庁といたしまして今後とも関係機関と十分連絡をとりながらなお一層指導を徹底いたしますとともに、雪崩災害対策に万全を期したい、こういうふうに考えております。
  81. 水谷弘

    ○水谷委員 それでは、今後の防災に全力を挙げていただくことを重ねて御要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  82. 馬場昇

    馬場委員長 次に、滝沢幸助君。
  83. 滝沢幸助

    滝沢委員 このたび新潟能生町のあの雪の災害につきまして、お亡くなりなさった方々の御冥福をお祈りさせていただき、罹災者の皆さんが一日も早く復興されまするよう心からお祈りをするものでございます。  ところで、私はこの質問の初めに、雪というものについての認識、思想、理解というこの基本のことをまずひとつお尋ねし、あわせて私の考え方も述べさせていただきたいと思います。  大体雪国の不幸は、日本じゅう、世界じゅう全部雪が降るならばこれは簡単な話なんです。そうじゃなくて、ほんの一部分のことであるということが一つ、もう一つは、雪は御存じのように消えてしまうものでありますから、この二つの条件によって雪は軽んぜられ、理解されにくい側面がございます。  そこで、私は会津の雪国に生まれまして十二メートル降雪、四メートル、五メートルの積雪という中で生涯を送る立場として考えますことは、雪は、今政府機関が考えていらっしゃるのは、降って、そして、それによって住宅が壊れた、道路、河川が決壊したということで初めて査定を受けて雪害となるわけであります。しかし、もしも雪国の人が雪の降らない人々と同じような細い柱の住宅を建てて、そして除雪の作業に一切がかわっていないならば、橋はすべて落ちるでしょう、家屋はすべて倒壊するに違いありません。つまり、役所のサイドで雪害はなかったとおっしゃることは、それだけに出費をして、それだけに努力をしているということでございます。  ゆえに私は、雪は降ることそのものが雪害だ、雪は雪そのものが災害だというふうに認識を改めていただかないことには雪の議論は始まらぬ、こう思うのでございます。この点について、ひとつ政府の見解を。
  84. 杉岡浩

    杉岡政府委員 雪国は非常に厳しい条件にあるわけでございまして、その点につきましては私も現地等を視察いたしまして本当に認識をいたしたわけでございます。災害対策基本法災害の定義があるわけでございますが、ここを見ますと、豪雨豪雪、地震、噴火、こういったものによりまして生じた異常な自然現象でございますが、こういったものによる被害をいう、こうあります。  豪雪につきましては、私は、既に被害を伴うものを豪雪と言っておりますので、そういった意味におきましては豪雪災害だというふうに認識をいたしております。  もとより災害対策といたしまして、雪国に対しましては、例えば道路に雪が積もれば交通渋滞等が、あるいは生活のために除排雪をするというような対策もいたします。それから、さらに大雪がある場合には災害救助法の適用とか、農林漁業あるいは中小企業、こういった方々に対しまして融資の制度を行う等々、万全の雪国対策と申しましょうか、それをいたしておりますし、さらには一般的な豪雪対策事業といたしましていろいろな面を特別立法によりまして対策を講じておるということで、雪に対する政府の認識というのは十分心得ておるつもりでございます。
  85. 滝沢幸助

    滝沢委員 万全の対策になっているなら質問しなくてもいいのですよ。ですから、政府の政策のPRは要りませんから、やっていてくださるのはよくわかっているのです。でもしかし足りないものですから、みんながいろいろと質問もし、これから相談しようとしているわけです。  そこで、もしも雪崩を予見することができたならば大変にいいことなんです。しかし、先ほど私は国の一部分のことだ、そして時間的に消えてしまうことだと申し上げましたが、でありますから雪についての研究が進まぬのであります。そこで、雪が金のかかる嫌なものだという認識が、言う言わぬは別として政府の中にあるのね、行政の中にあるのです。ですから、雪に対する理解も進まなければ対策も進まないけれども、しかし、これは大変な国家の資源でございますね。水力発電所、言うまでもありません。かんがい、すべてを考えましてそのとおりでありますから、雪にもっと金をかけていただけばよろしいわけであります。  ここで一つの問題でありますが、雪の作業中に亡くなった話をさっきいろいろとおっしゃっていただきましたけれども、これに対して保険の制度を考えることはできないものか。つまり、工事現場等でありましたならばそれは労災というようなことでございますが、個人の私生活の中で除雪の作業中に亡くなるということはたくさんあるわけです。この一つの問題としては、私がさっき申し上げました保険、もう一つは建物の構造を工夫しなければなりません。十年一日のごとくやっていたのではだめだ、こういうふうに思うのであります。このことにつきまして、政府の各省にわたることでありますが、これは現代の科学のおごりであると私は思うのでありますけれども、雪の中に生まれて雪の中に死んでいく、村に生き残っていらっしゃる古老の、しかも、おじいちゃんから聞いたというような伝説やあるいはまた村の風習というものをもっとひとつ皆さんの科学のデータの中にさらにこれを加味していただけば大変別な結果が出よう、私はこう思うのであります。これはひとつ後で答弁に触れていただくときに、どなたでも結構です、このことについては直接の御答弁は要りません。  そこでひとつ集落の移転でありますが、能生町のあの柵口地区について集落の移転というものを考えておられるかどうか。さらには、集落移転ということを考えていきまするときに、一つは建設省、一つは国土庁建設省の方は二戸からよろしい、国土庁のですか、あれは十戸まとまらなければならぬ。ところが一方、憲法には居住の自由ということをきちんと書いてありますし、個々の生活の計画が違いますから、そこで十戸全部まとまらなくちゃだめだ、一戸残ってもだめだ、このために補助の対象にならなかった例を私は多々知っております。あるいはまた、行く先を一緒にしなさいといったってなかなかそうはいきません。これに対して私はもっと弾力的な運用がされなければならぬと思うのでございます。  そして、一つの問題は、出ていく場合に、移転先についての生活の基盤がないところに出ていけないということが一つございますね。最近朝日新聞では、雪国を出ようとしている奥さんと出ないとしている奥さんとの投書のやりとりがありましたけれども、いずれにしても胸を打つものであります。そのような思いをして、しかし出ていくならば行った先の生活がある程度の見込みがなくちゃいかぬ、このことについて私は手が薄いのではないか。そしてもう一つ、残していくふるさとの財産について、これをだれも買ってはくれない。ここに大きな課題があります。例えばこれを国有地に接収するなりというような方法はないものかどうか。  このあたりでひとつ御答弁をちょうだいしたい。集落の移転にまつわることでございます。
  86. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のとおり、集落の移転の場合におきましては、我々の方で主管いたしております防災集団移転促進事業という事業がございます。これは防災を契機とした集落の再編成ということを目的としているわけでございますので、やはり一定の要件が定められておるわけでございます。まず、適切な移転促進区域を設定いたしまして、そして、その移転促進区域内の全戸が移転する。そして、移転戸数の二分の一以上あるいは十戸以上が、移転先におきまして住宅団地に入居するということでございます。そういった集落の再編成という意味を含む事業でございますので、この要件を緩和するにはおのずから限界があるというように考えております。しかし、運用でできる点につきましてはできるだけ弾力的に行いたいというようなことも考えておりまして、例えば団地の形成につきましては全部一カ所で二分の一以上を要求しなくてもよろしい、数カ所の団地に分かれてもよろしい、そういうような運用を行っておるところでございます。  また、これは今申し上げました法律に基づくものではございませんが、過疎の集落移転事業というものも同じように我々の方で主管をいたしておりまして、過疎集落の移転に適用しておるわけでございますが、これは予算補助でございます。これも原則として十戸以上ということになっておりますが、その運用におきまして、過疎地域におきましては特に災害危険区域に該当しているような場合には五戸以上が団地を形成すればよろしいというような緩和も行っておるわけでございまして、我々といたしましては運用でできるところはできるだけ被災者の立場に立ちまして便宜を図っているところでございます。ただ、集団的な移転でございますので、二戸とか三戸とかということになりますとなかなか対応がしづろうございまして、そこはがけ地近接等危険住宅移転事業の方で対応していただきたいと考えておるわけでございます。
  87. 滝沢幸助

    滝沢委員 さっきも申し上げたのだけれども、政府の制度はどうかと聞いているのじゃないのですよ。政府のとっていらっしゃる制度が満ち足りぬものですから、これをこうしたらどうだと一言しているわけですから、政府の制度やその他の解説を承っても何の意味もありません。だから私は、なぜ集落で一緒に動かなくちゃならぬか生言っているわけです。東京に一人、大阪に一人でいいじゃありませんか。あのいつ雪崩が来るかわからぬところで住まいをしておる。そして、いざというあの事件が起きれば、そこで何十人も一緒に死ぬのでしょう。それを守るためには、あの現場でするには大変な金がかかるのでしょう。それを解消しようというのですから、ばらばらでいいじゃありませんか。なぜそれを一つの集落としてそっくり移転しなくてはならないのですか。満州開拓とは違いますよ。ですから、私は政策の論争をしているわけですから、今の制度を説明してちょうだいしたのでは意味がありません。どうかひとつ認識を改めて、それは勉強しようとおっしゃるのじゃ話になりませんから。  そこで、一つは医療の問題でありますが、今、日本の医療の大きな課題は、大都市部は過密医療、僻地は無医村ないしは無医地区がたくさんあるじゃありませんか。このことです。この無医。地区は今どのようなことになっており、あるいはまた柵口地区の医療状況はどうなっていたのか、そして今後無医地区の解消のためにいかなる計画を持っていらっしゃるか、このことについてお伺いしたいと思います。今の制度の解釈では聞いたって仕方がありません。
  88. 入山文郎

    ○入山説明員 お答えをいたします。  初めに、柵口地区状況でございます。ここは町全体で申し上げますと、医師は五人おります。人口十万単位で比較いたしますと、全国の町村部よりも低い水準にあるようでございます。また、もう少し広域的に見まして、糸魚川保健所管内ということで比較いたしますと、これは人口十万当たり七十三でございますから、平均よりやや低い地域ではあるが、医療は一応確保されているというように私どもは見ているわけでございます。  一般的なことで申し上げますと、御指摘のように、医師の偏在と申しますか、地域による格差というものはあるわけでございます。こういったことから、従来から僻地医療対策といたしまして僻地中核病院あるいは僻地診療所の整備、また僻地巡回診療の実施、僻地勤務医師確保のための医学生の修学資金の貸与といったようなことを行ってきているわけでございます。今後とも医療と保健とを一体化いたしまして、より広域的な見地から総合的に対策を進めていきたい、こういうように考えているわけでございます。  さらにまた申し上げますと、さきの国会におきまして成立をいたしました医療法の改正法によって各都道府県が医療計画を策定するということになるわけでございますが、その都道府県の医療計画の策定を通じまして医師等の医療従事者の計画的な確保、あるいはまた必要な医療機関の整備その他体系的な医療供給体制の整備に今後とも努めてまいりたい、こう思っているわけでございます。
  89. 滝沢幸助

    滝沢委員 いろいろありますが、時間がありませんから先に進ましていただきます。  文部省から見えていていただいているはずであります。雪につきまして文部省に二つのことをお伺いやら申し上げたいと思いますが、これは現実あった話です。固有名詞を隠さしていただきます。  ある分教場、四十数人の生徒さんがおります。物すごい雪の中です。ところが、八キロぐらい離れた本校からそこの学校に行ってくださる男女一人ずつの先生がいらっしゃるのだけれども、決まって新任の先生、学校が終わって採用されて、辞令を持って校長先生のところにあいさつに行きます。前の日に既に職員会議が終わっていて、先生にお勤めいただくのはあの分校です。これは単純に教育の問題としても、全然教育の経験のない新しい先生が山の中へぼつんと行ってもどうにもならぬ。本当はベテランが行っていただく必要があるのです。そのことが一つ。  ところが、ある学校はだれも行く人がいないわけですよ。新任の先生いないわけだ、ことしは。今の話じゃありません。そうしたら、くじ引きですよ。先生方がくじを引いて、当たった者は一年間、全部一年です。一年交代の約束ですから、一年間だけ分校へ行くのですね。ところが、その先生は車の免許を持たない。で、私がどうしてタクシーで毎日行かなきゃならないのと。昔、と言ったって戦後ですよ、泊まりがけでやっていたのです。泊まっていたのです。これは全体の大きな課題ですが、全部、校長以下現地に泊まっていたのですから、そのために校長住宅建てろ、職員住宅建てろという要求があったのでしょう。整備されたら泊まる人がいなくて、みんな通いですね。私がどうしてタクシーで通うのと、みんなからタクシー料金を集めて、その先生は一年間お通いになった、こういうことがあります。  さらにもう一つ、半身不随の先生がいらっしゃった。普通の職場だったら半身不随の人はどうあれお勤めいただくわけにいかないでしょう。ところが、学校の先生というのは、私もやったことがありますが、べろがあれば勤まりますから、そこでこれはやっていらっしゃる。そこの豪雪の僻地が、女の先生と半身不随の先生ですよ。ここに雪害が起きたらどうして生徒を誘導することができますか。生徒がその先生を一生懸命、先生こっちと言って誘導することになるんじゃありませんか。こういう教育を文部省はやっているのです。そして、僻地教育はどうとか、僻地教育で何かやった人を表彰するなんて、こんなのは話になりません。こういうことですから、いじめにだってなるのです。  そしてもう一つ、学校建築の設計ですよ。私は体験しましたが、高等学校の設計を見ました。そうしましたら、屋根の真ん中に煙突をぽつん、ぽつんと出すのですよ。あれは北欧のロマンか何か知りませんけれども、私は最初から、こんなのをつくったら一年もたぬよと言いました。初雪でこれはもうぼんですよ。そうしましたら、次に直しました。今度は屋根のすぐここのところに出しましたね。これは次の年ぼんでしょう。出すのだったら屋根のてっぺんに出せばいいのですよ。こんなのはわかっているわけです。ただ、東大がどこか出なすったか知りませんけれども、工学博士か知りませんけれども、一級建築士はお知りにならない。だから、さっきも申し上げました。古老のお話を聞きなさい。神社仏閣が、文化庁か知りませんけれども、五百年前、一千年前のを保存させるでしょう。それは大きな屋根の軒が出ています。雪をぼんと向こうに投げるのです。ところが、今僻地に建てるすべての建物、スマートか何か知りません。港区と同じですよ。屋根が全然出ていません。ですから、雪が降ってきますと、こう回ってきて、窓を押します。ここら辺のところに全国画一の考え方がある。  床の高さのお話をさっき聞きました。神社仏閣ごらんなさい。床が高いです。湿気の多い日本、特に裏日本、雪の多いところは湿気が多い。だから、床が高いのです。今、建て直すのは皆ぺたんじゃありませんか。ですから、三年、四年で床がえの予算が出てくるわけです。もう十年、二十年で老朽校舎、こうなるのです。ここら辺の思想の転換を私は文部省を初め、一般の住宅につきましては建設省ですか、もう町営住宅なんか見ますと、三年で床はべしゃんですよ。そこら辺のところを……。私の家は百五十年とかいう家に今も住まわせていただいておりますが、床はぴんぴんです。奥ゆかしい話です。  そこで、これは文部省に一言。文部省はそこら辺、思想転換できますか、できませんか。イエスかノーかで結構です。
  90. 篠塚脩

    ○篠塚説明員 施設の方についてお答えをさしていただきます。  今、先生がおっしゃったとおり、かつて私どもはかなり画一的な学校建築をやってまいりましたが、雪害等で大きな被害を受けたこともございまして、五十八年に各県の教育委員会及びその施設担当皆さん方に集まっていただきまして、各県の特色のある地域の防災が組めるような建築にするようにということで各県から雪の状況もお伺いいたしましたし、ぜひ地域に合ったような設計をするように、その辺を現在指導しておりますし、今後もやらしていただきます。  以上でございます。
  91. 滝沢幸助

    滝沢委員 わかりました。ひとつお隣にお寺がありますから、村の古いお寺を見てください。それで結構です。  それと、あと急がしていただきますが、大蔵省さん、除雪費用というものについて雑損控除ということで五万円足切りということで措置をされていただいております。だけれども、これは所得税を納める人じゃなくちゃ該当しない。  そしてもう一つ、雪国の雪というのは人を頼んでやるんじゃないのですよ。自分の家で、朝起きるとスコップを取って出る。そして、一応の道をつけたら後、朝御飯にして、また出る。そして夜は、このままですと朝大変だというので夜もやる。五万円の領収証なんか出す人ありませんよ。女房がだんなさんに出すのですか。そこで、もっと親切な方法を講じてほしい、こういうことであります。これも時間がありませんし、ほかのこともありますから、簡単にひとつおっしゃってください。
  92. 森田衞

    ○森田説明員 お答えいたします。  まず、雪おろし費用に係ります雑損控除の適用でございますが、政令では領収証等を確定申告書を提出する際に提示しろとか、また添付しろ、こういうふうになっておるわけでございますが、先生御指摘のように、実際問題といたしまして領収証はなかなか手に入らないという事情がございますので、そこは私ども弾力的に運用しておりまして、家計簿とか明細簿に実際に支払った年月日とか支払い先、金額等につきまして記載したものがあれば、その事実が確認されれば認めるという形にしておるところでございます。  それからもう一点、実際に御自分がされたような場合等でございますが、これは税制の問題でございますから私からお答えするのもなにかと思いますが、自分でされる場合にその御労苦は十分理解できるところでございますが、その具体的な損失額とか支出額というものがない場合につきましては、その御労苦を税制上評価いたしましてどうこうするということは、これはさまざまなバリエーションがございましてなかなか難しいなというふうに私は聞いておるところでございます。  以上でございます。
  93. 滝沢幸助

    滝沢委員 農水省に対しまして、何といっても治山事業です。また、建設省もそうでありますが、あの能生町のお話も、道路やその他についてのスノーシェッドやなんかはもう大体できつつあるけれども、集落に対する雪崩防止の事業が遅々として進まぬとおっしゃっておりました、何か建設省ではことしは三カ所とか言っておりますが、そういう次元でなくて、ひとつ飛躍した考えを持っていただきたい。  あわせて一切申し上げさしていただきますが、自治省さんには交付金について、あるいはまた予備費の支出ということについて飛躍した考えを持っていただかなくてはなりません。  さらに、簡単にでありますが、消防庁。これはことしも出初め式に出ました。団長さん、消防長さん、幹部さん、そういう方々で実際働かなくたって、働きはいろいろあるのでしょうが、作業しなくたっていいような幹部の方々は立派な制服を着て出られました。しかし、一般団員は昔ながらのはっぴであります。まあハッピーな話ではありませんな。そこで、あの服装ぐらいは見てあげたらどうか。特に防火衣服、靴というようなものについて、ないしは手袋もあるでしょう、こういうものについてももっと温かい措置を要求したいと思います。  御答弁の時間がありませんから、答弁していただくならばどなたかまとめて一つで結構です。なお別の機会にちょうだいさしていただきます。  政務次官、最後に一言おっしゃってください。
  94. 白川勝彦

    白川政府委員 先生のいろいろな問題について、本来ならば各省庁からお答えすべきでございますが、それらを総合して、要は豪雪地域にいろいろな意味でハンディキャップがないようにするというのが国土庁の大きな仕事の一つでございますので、関係省庁を大いに督励いたしまして、御趣旨に沿うようにひとつ頑張ってまいりたいと思っております。
  95. 滝沢幸助

    滝沢委員 どうもありがとうございました。御苦労さまでした。
  96. 馬場昇

    馬場委員長 次に、菅原喜重郎君。
  97. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 先月二十六日、新潟能生町に雪崩災害発生して、十三人の死者を出したことは哀悼のきわみであります。政府には、このような災害から国民を守るために事前調査し、予防対策を講ずべき責任があります。しかし、雪崩災害対応は、これまで地すべりなど他の対策に比べ、おくれておりますので、まず今後の雪崩対策に取り組む政府としての決意のほどを国土庁にお伺いします。
  98. 白川勝彦

    白川政府委員 雪崩災害から人命、財産等を守ることは最も大事なことであります。その対策をしていくために、まずハードな面といたしましては雪崩発生機構の解明とこれらの研究を促進していくことが極めて大事だと考えます。また、危険箇所の的確な把握、それから保安林等の指定、整備もやっていかなければならないと思っております。また、特に危険なところについては雪崩防止施設の整備を急がなければならない。五番目といたしましては、警戒避難体制の整備等の施策を総合的に推進していく必要がございます。  冒頭、ハードな面と言いましたが、若干言い直しますと、要するに、ハードな面で雪崩防止するということと、特に最後に申し上げました警戒避難体制というようなものは極めてソフトな面ではないかと思うわけでございます。ハードな面でいろいろな意味での施策を講じるとともに、いろんな知恵を生かしまして危険を事前に防止して防除する、こういうことも雪崩の場合には幸いにも可能な災害でございますので、特に意を用いていかなければならないのではないかと思います。  いずれにいたしましても、国土庁はこれらの問題についての中心的な官庁でございますので、関係省庁と十分協議をいたしまして、御指摘の点にこたえられるように鋭意頑張ってまいるつもりでございます。
  99. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は今回の能生町の災害地形を見ますと、十分に森林を育成、整備していれば防げた雪崩ではないかと思うスロープでございます。私は、こういう点で、やはり雪崩のような自然災害は極力自然の力を利用する方法をとってこれを防止する、そういう思想を根本的に中心に据えて持っていかなければならないのではないかと思っているわけでございます。  つきましては、林野庁で早急に、こういう箇所があるわけでございますので、この整備の実態はどうなっているのか、また、この保安林の地域指定の状況はどうなっているのか、能生町の雪崩災害の今後の対策ともあわせてお伺いいたします。
  100. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  雪崩防止のために森林を造成するということは大変重要なことだというふうに考えておるわけでございまして、林野庁といたしましては、昭和十二年、戦前から公共施設あるいは集落被害を与えるおそれのある箇所につきまして雪崩防止林造成事業実施いたしまして森林造成を積極的に推進しているわけでございまして、必要な箇所につきましては、さらに雪崩防止保安林に指定しているというような状況でございます。その保安林の指定状況は、昭和五十九年度末現在で全国で約三千八百カ所、面積にいたしますと約一万九千ヘクタールというような状況になっておるわけでございます。  今後とも、必要な箇所につきましては積極的に雪崩防止保安林に指定いたしますとともに、必要な箇所につきましては雪崩防止林造成事業並びに緊急治山事業におきます雪崩防止事業等々で対処してまいりたい、このように考えておるわけでございまして、能生町の災害につきましても緊急に復旧をする必要があると考えるわけでございますので、現地状況等を十分調査した上で、六十一年度には融雪後直ちに緊急治山事業雪崩防止事業に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
  101. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は私は、林野庁に、植林技術の問題で、皆伐主義はやめて、一度植えた植林は百五十年、二百年というような林相に育てていく施策がえをすべきだということを主張しているわけでございます。やはり雪崩はどういたしましても大変な力、エネルギーを起こすわけでございますので、このような対応をとらなければ不慮の災害をいつも起こすのじゃないか、こう危倶しております。  ついては、この雪崩防止林造成事業状況はどのような技術的な施策でやっているのか、お伺いする次第でございます。
  102. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  雪崩防止林造成事業といたしましては、植栽工を主体にいたしながら、さらに、森林のみでは限界があるというような点もございます。またかつ、森林が一定の力を発揮するまでの間、これを補足するといいますか補助すると言いますか、そういう観点から、必要な階段工あるいは柵工あるいは安全な方向へ雪崩を誘導するための誘導工等々のハードないわゆる工法も組み合わせながら事業をやっているところでございます。  なお、森林の状況につきましては単一林よりもさらに複層林等の方がいろいろな効果もあるというようなこともございまして、現地状況に応じながら適切な森林の造成に努めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  103. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 防災林造成事業は昭和六十年度に二十億ぐらいついているわけでございますが、このことは、今後こういう雪崩防止林造成事業の方にも流用といいますか、併用して増加できる内容であるかどうか、ちょっとお伺いいたします。
  104. 船渡清人

    船渡説明員 雪崩防止林造成事業は、大きくは私ども治山事業の中の事業でございます。さらに、治山事業の中の防災林造成事業というのを実は持っております。その中にただいま申し上げました雪崩防止林造成事業あるいは防風林造成事業あるいは防潮林造成事業、そういうふうなものを抱えているわけでございまして、予算編成に当たりまして各県の要望等を踏まえながら、あるいは五カ年計画等々を踏まえながら計画的な推進に努めているわけでございまして、そういうような点を考慮しながら予算の編成をしてまいりたい、このように考えております。
  105. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は岩手二区の私たちの奥羽山系内にも豪雪地帯がございます。湯田町がその特筆すべ岩雪崩の不安のある地域でございますので、ぜひ今言いましたような造成林事業のための調査をまず要望していく次第でございます。  次に、建設省に尋ねますが、昭和六十年度に雪崩防止事業が新規に人家を対象にして三カ所を着手され、今年はこれを六カ所に防護さく設置工事などを進めることにしているようですが、その技術の概要はどうなっているのか。このことは今私が申し述べましたように、自然の災害、特に雪崩は自然の力を十分に取り入れた方法でこれを実施すべきだという考えから、建設省といえどもこの方法を人工防護工事に併用して取り上げてもらいたいと思うからであります。この点について技術的なその概要をお伺いいたします。
  106. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  雪崩対策事業建設省実施いたしておりますのは昭和六十年度からでございまして、集落を対象といたしまして実施しておるわけ一でございます。  先生質問技術的な概要でございますけれども、構造物によりますところの雪崩災害防止策といたしましては二つの考え方がございます。一つは、雪崩発生を阻止いたします雪崩予防施設ということでございます。これには階段工でありますとか予防さく、予防ぐいというふうなものが入るわけでございます。それから二つ目は、雪崩の走りますところ、それから堆積をいたします地域に設置いたしまして、雪崩の破壊力を回避したり軽減するというものでございまして、雪崩防護施設でございます。これには防護さくでありますとか誘導工でありますとか減勢工というふうなものを主体に、建設省といたしましては実施をいたしておるところでございます。  先生御指摘の自然の力を利用したらというお話でございますけれども、私どもの事業は現在緒についたばかりでございますので、今後先生の御発言の趣旨を踏まえまして、工法等の研究開発には努めてまいりたいというふうに考えております。
  107. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は全国に数千カ所もあるという危険地域の対策工事を考えますと、焼け石に水のごとき進捗率の対応にしかならないと思われるわけでございますし、また防護さくでは積雪が三メートルを超えてくると、表層雪崩防止効果が激減するとも言われております。  こういう点で、ぜひ建設省においても植林の研究、これには実はポット植林というのがございまして、時期を問わないでいつでも植林できる。それから、成長も速い。それから、直立根が自然播種でございますから出てくるという、そういう効果があります。こういう点を、これは林野庁にもしょっちゅう要望しているわけでございますが、過般、農水の委員会でヨーロッパの農業事情を調査した際、イギリスでこのポット植林の効果も十分に調べて、いいものだなと思っておりますので、ひとつ建設省の方でもこういう技術研究に手をつけていただきたいことを要望いたしまして、時間でございますので、質問を終わります。
  108. 馬場昇

    馬場委員長 次に、三浦久君。
  109. 三浦久

    ○三浦(久)委員 質問に先立ちまして、今回の能生柵口地区雪崩災害犠牲になられた方に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  また、あの寒い中、夜を徹して救助に当たられました能生町職員の皆さん、また消防団の皆さん、その他関係団体の皆様方の御苦労に心から感謝をいたしたいと思います。  私も、連絡を受けまして二十七日の夜、現地に入りました。そして、二十八日の早朝から調査に当たったわけであります。まず最初に能生町の伊藤町長にお会いして激励もし、そしてまた、さまざまな要望も承ってまいりました。そのときに町長さんは、たくさんの人命を亡くしたということを大変悔やんでおられました。と同時に、これでまた一層嫁対策が難しくなるな、こういうことも言われたわけであります。私は、この町長さんの心配というのはよくわかるわけですね。ですから、こういう心配を解消してやる。そのためにもこういう惨事というものを雪国の宿命というものにしてはならない。そのためにも今後の万全の対策というものが政治に求められているのだなということを痛感をしたわけでございます。  そこで、厚生省にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一は、この豪雪に対する政府の取り組みの姿勢でございます。  この能生町の雪崩発生と同時に、災害救助法能生町と、また小千谷市、それから広神村に一緒に適用されましたね。小千谷市とか広神村につきましては地元からの要望もこれあり、二日前から我が党の林吾郎衆議院議員が災害救助法の発動を求めていたのであります。これは厚生省に連絡をとっております。ところが、雪崩発生するまでは全然適用しない。雪崩発生してから慌てて災害救助法の適用をする、こういうありさまですね。しかし、雪崩発生しなければ発動しないというような態度では、急激な大量の積雪それ自体が災害に直結している、さっきも防災局長が言われましたけれども、そういう認識がまだまだ足りないのではないか、私はそういうように思わざるを得ないわけであります。  現在、新潟県に守門村というのがありますね。この守門村は一月の二十八日に雪崩のおそれがあるというので、三十三世帯、百五十七人に避難勧告が出されているのであります。この守門村からも一月二十七日に県に対して災害救助法の適用の要請があっているんですよ。ところが、いまだにこれが発動されていないのです。これは災害救助法施行令の第一条第四号には「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じたこと。」この場合には発動することになっておる。避難命令を出されておるということは雪崩の危険が生じているということなんですよ。生命、身体に危険が生じている、そういうおそれがあるということですね。それにもかかわらず、いまだに適用されていないというのはどういうことなのか、これを厚生省にお伺いしたい。
  110. 荻生和成

    荻生説明員 まず、二日前から協議があったという話でございますが、この件につきましては我々の方は……
  111. 三浦久

    ○三浦(久)委員 協議があったとは言ってないですよ。衆議院議員の方から要請していると言っているんでしょう。協議というのは、あなたたちは何か協議をした後に発動するという、そういう意味での協議、そうじゃない。
  112. 荻生和成

    荻生説明員 我々の方は、要するに発動しましたのは二十七日でございますが、その前日の日曜日から我々の方は役所の方に出向きまして、そして県の方と協議が十分調うように役所に出向きまして情報交換をしております。そのようなことで準備は十分やっているつもりでございます。  それから、守門村の問題につきましては、県の方から具体的な協議はございませんでした。そういうような状況でございます。
  113. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなた、協議がないと言う。じゃ、あなた何も知らないの。守門村で避難命令が出されているということは何も知らないのですか。どうですか。協議がなされていないから発動していませんといって、じゃ何も知らないのですか。何も情報を受けていないのですか。どうですか。そんなばかな話ないでしょう。
  114. 荻生和成

    荻生説明員 私の方は、県の方からそういうような状態があって適用してもらいたいというような具体的な協議はございません。
  115. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなたたちは協議というのと説明というのと使い分けるようですね。それで、協議をした後に発動する。協議の前にいろいろあなたたち事情を聞いているでしょう。聞いてないの。聞いていて説明は受けているでしょう。説明を受けてないなんということは言わせないよ、係官がこっちに来ているんだから。
  116. 荻生和成

    荻生説明員 我々の方では、県の方からそのような守門村についての具体的な話は聞いておりません。
  117. 三浦久

    ○三浦(久)委員 全然聞いてないですか。
  118. 荻生和成

    荻生説明員 私の方は聞いておりません。
  119. 三浦久

    ○三浦(久)委員 聞いてないと言うんだからしようがないですね。  それでは、すぐ県に問い合わせをして、そういう避難勧告が出されているのかどうか、これは新聞に報道されていることですから、よく調査をして協議をして、そして発動するように検討してください。いかがですか。
  120. 荻生和成

    荻生説明員 県の方とよく事情聴取をいたしたいと思います。
  121. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ここにもやはり私は消極的な姿勢があらわれているんじゃないかと思うのですよ。長官いらっしゃいませんが、政務次官、先ほどもありましたけれども、この豪雪それ自体が既に災害だという考え方、これはさっき局長も答弁されておりますけれども、歴代の国土庁長官もそういう御認識のもとにきめの細かい対策を講じなければならない、こういうことを答弁されているのですね、議事録を見ますと。この点はやはり私は豪雪災害に立ち向かう国の基本的な姿勢として極めて大事だと思うのですね。私も同感であります。私は九州の人間ですから四メートルの雪なんというのはちょっと想像もできませんでしたけれども、現地に行って本当に大変だと思いましたね。よくこんな雪の道を自動車が走るな、人が歩くなというような感想が第一にきましたね。  ですから、そういう意味では、豪雪自体が災害だというのは大変私は貴重な考え方だと思うのですね。その点ひとつ確認をしておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  122. 白川勝彦

    白川政府委員 豪雪災害だと思います。ただ、何を豪雪と言うかということに関してはどうも十分詰めがないまま、豪雪災害だと言う場合もあるような気もいたしております。  と申しますのは、例えば私の生まれた十日町市というところでございますが、二メーターくらい降るのは大体常といたしておるわけでございます。ここに二メーター雲が降って、豪雪地帯と言われているところではございますが、直ちにそれが豪雪かと言われると、これはどうかな。豪雪であることに違いないのですが、それが直ちに災害であるかということになると難しい問題が出てくるだろうと思います。やはり通常とのくらい降るかということというものは大事であろうと思います。その通常降るのに比べて異常に降ったという場合に、そこの地域にあっては豪雪というものだろうと思います。ですから、例えば一メーター五十降る。東京に一メーター五十降れば文字どおり大豪雪であるわけでございますが、十日町市に一メーター五十降っても十日町市の人は大豪雪の年であると言わないわけでございます。これらがどうも混同されておるのではないかなという気が、私も豪雪地区から出ている者としてその辺が十分議論されていないのではないかなという気がいたします。  と申しますのは、例えば、豪雪の場合の発動などがあるわけでございますけれども、単純に平年の倍降った場合には何とかというような場合もあるわけでございますけれども、三十センチぐらいしか降らないところに倍降ると六十センチでございますが、二メーターのところに倍降られると四メー夕ーということになって、これらが非常に問題だと思います。  要は、雪が降って、そして、そこの地域に、生活もしくは産業に通常では考えられない被害が出たか出ないがというのが災害対策基本法で言う災害というか、豪雪になるかならぬかということのような気がいたします。
  123. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大変細かい御答弁があったわけですけれども、災害救助法の発動の要件としての積雪というのは、厚生省と各県が相談をしてまた細かい規定を設けておりますね。例えば、二日間で一メートル五十以上降ったらどうのとか、いろいろあるのですよ。そういうことは私はお聞きしているんじゃなくて、やはり災害対策に立ち向かう基本理念という観点で私はお尋ねしたわけなんですね。ですから、まあそうだとおっしゃいますから、それで私、話を進めてまいりたいと思います。  厚生省にお尋ねいたしますけれども、政府は今回の雪崩に際していろいろ対策を立てられておりますが、応急仮設住宅の建設、これは一体どういう状況になっているのか、ちょっとお尋ねしたいのです。  きょうの資料によりましても、八棟が全壊、二棟が半壊。その被災者たちは親戚とか知人とか、そういうところに寄宿しているんだろうと思うのですけれども、しかし、これは長続きはしません。応急仮設住宅の建設というのはどうしても必要になってまいりますね。私は、そういう建設を要望する被災者に対してはすべてその要望をかなえてやるということが必要だというふうに考えておりますけれども、どうなっておるのか、現状を御報告いただきたいというふうに思います。
  124. 荻生和成

    荻生説明員 まだ県の方から具体的な戸数等のお話はございませんけれども、町の方の要請では大体三棟ぐらいをお願いしたいというような要請になってございます。県の方と十分相談しましてやりたいと思います。
  125. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、きょういただいた災害についての報告書によりますと、対策の一つとして「障害物の除去等」というのが書かれてありますね。この「障害物の除去等」というのは一体どういうことを指しているのか。現地では、全壊家屋からの家財の搬出、それからまた、これはもっと後になる話だろうと思いますが、全壊家屋の除去、焼却、こういうものも救助法を適用してやってほしい、こういう要望が非常に強かったわけでありますけれども、こういうことを指しているのか、それとも、そうじゃない、例えば雪おろしみたいなようなことを指しているのか、その点ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  126. 荻生和成

    荻生説明員 一般的に豪雪の場合の障害物の除去といいますと、例えば高齢者世帯のところで屋根の雪おろしができない、それで近隣の方々もお手伝いして通常の場合それで対処できるわけですが、長引いてなかなか人夫等が確保できないといったようなときに、災害救助法が発令されておりますと、そういうときの屋根の雪おろしといったようなことが行われます、そういうのが一般的な場合だろうと思います。  それから、能生町のような場合には、その場合の障害物の除去ということになりますと、半壊世帯といったようなところにつきましては、今後その住宅を使うわけでございますので、そのときのために、障害物といいますのは雪であるとかいろいろなものがあると思いますけれども、そういうものを除去する、そういったような趣旨でございます。
  127. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今、課長さん、雪おろしという話がありましたけれども、あれは雪おろしじゃないね、行ってみると。屋根の上から道路に落とすのじゃなくて屋根から道路に上げているという感じですね。だから、私は雪おろしというふうに思っておったら雪おろしじゃないですね。びっくりしましたよ。  それはともかくとして、そうすると、やはり全壊家屋の除去とか焼却とか、それからまた全壊した家屋から家財を当面の生活に必要だというので搬出するというようなことは救助法の適用にはならないということですよ。そういうことですね。私、これはどうにも不合理だということを現場で痛感したのです。  私が現場を見ましたのは、さっき言いましたように、二十八日午前中です。かなり早い時期ですね。そのときはもう人命救助はもちろん一段落しておりました。ですから、人命救助に来ていた人たちは全部引き払った後ですね。そして、またその後降雪がありますから、この雪崩によって家がひっくり返ったり壊れたりしたという生々しい状況というのはもうないのですね、雪がずっと積もってしまっていますから。そういう状況だったのです。そういう意味では全体が雪野原という感じですけれども、しかし、我々は歩いてその倒壊家屋のそばに行きますね。行くと、人が仕事をしています、一人ぐらい。何をやっているかといいますと、これはおふくろの形見だと言って台所から――台所がひっくり返って上に出ているのですね。ですから、小さな穴ですよ、そこから入っていって皿とか茶わんとか、おふくろが使っていたものというので取り出してきている、そういう作業をしていました。あるところでは、やはりこれも一人でしたけれども、家財道具を運び出しているのですね。あるところは二、三人でやっているところもありました。そんな状況です。  我々が柵口地区に行ってみたらほとんど人がいない、全然見えない、そういう状況です。ですから、そういう意味では荒涼たる雰囲気ですね。そういう中で一人ぽつんと家財を運び出すとか形見を拾い分けているとか、これはやっている本人も大変だと私は思うのです。寂しい、頼りない、そういう気持ちだと思う。我々から見たって異常な感じがしました。  ですから、やはり災害救助法の適用をさせて、家財道具というのはそのときに必要なわけですから、すぐ運び出すために大勢の手をかけて短期間にやってやる、そのくらいのことは災害救助法でやってやっていいのではないかというふうに私は強く痛感をしたのです。  ですから、この点、政務次官、法律の改正は要らないでしょう、法令ですね、法令の改正をして適用範囲を今私が言ったように全壊家屋の除去、焼却、さらに家財の搬出、そういうものにまで範囲を広げていくというお考えはございませんか。
  128. 白川勝彦

    白川政府委員 私も、今回を含めてでございますが、三件ばかり雪崩被害のところを視察したことがございます。本当に当座はとにかく人命を救出するということが第一でございまして、そのときは消防団以下あらゆる方が来られるわけでございますが、とりあえず人命の救出が終わりますと、あるいは遺体の収容が終わりますと、確かに先生おっしゃいましたようなことがあるわけでございます。特に雪崩が起きるところというのは場合によっては車も通わないという中で、家財道具の搬出そのものも大変困難な作業を伴う場合もございます。そういう点も含めて、厚生省の方で今後御検討いただければと思います。細かいことは厚生省の方にさらにお聞きいただければと思います。  なお、若干付言いたしますが、能生町につきましては、御報告を受けているところによりますと、町当局の方でいろいろな意味で便宜を図って、そういう面では被災者は相当助かっておるというようなこと空言っておりますが、もちろんこれは町の財政支出でやられたというふうにお聞きしております。
  129. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今政務次官が言われましたように、町当局はいろいろやっているようですね。私も、おとといNHKのテレビを見ておりましたら、ブルが入って動いておりました。しかし、それは町に任せてやるということでは国の責任を果たしたことにはならないのじゃないか、やはり災害救助法という法律があるわけですからね。確かに人命の救助というのは緊急な課題ですね。しかし、もうちょっと、もう少し手を入れてやればもっと快適に住むことができるわけですね。そしてまた、そういうことをやってやれば精神的にも立ち直りも早いかもしれませんですね。  町当局もどうしても必要だからやっているわけです。ですから、国もその必要性を認めて、災害救助法の範囲をそこまで広げてやるということをしてやる必要があると私は思うのですね。今、町単費でやっているというお話がありましたけれども、そうすると、これは町の財政負担になっていますね。聞くところによりますと、あの災害から今までの間にもう二回臨時議会を開きまして、二回補正予算を組んでいるそうです。どこも裕福な自治体はございませんからね。私が行った二十八日の朝も八時半から臨時議会だと、こうおっしゃっておられました。ですから、これをそのまま自治体の負担にするというのはよくないのじゃないか。国の財政援助についてどういうふうにお考えになっているのか、自治省、お見えになっていたらお尋ねをいたしたいと思います。
  130. 奥田義雄

    ○奥田説明員 お答え申し上げます。  今回の能生町の雪崩災害に関連いたします経費につきましては、現在実情を調査中でございます。十分調査いたしました上で、被害状況ですとかあるいは町の財政状況を勘案いたしまして、地方債なり特別交付税などによりまして対処すべきものにつきまして適切に処置をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  131. 三浦久

    ○三浦(久)委員 次に、災害弔慰金の問題についてお尋ねいたしますが、死者が出ました六世帯、十三名全員にこれは支給されるようになっているのかどうか、また障害見舞金の支給対象者はどうなっているのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
  132. 荻生和成

    荻生説明員 今回災害によって死亡された方は六世帯、十三人の方々でございます。その六世帯のうち、だれかは遺族の方に参っているわけですけれども、厳密に言いますと、十三人のうち十一人の遺族の方に支給される、そういったような状況でございます。
  133. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この弔慰金というのは生計維持者が三百万でその他百五十万でしょう。これは私は常識的に言って大変低いと思うのですね。さっきも同僚議員から質問がありましたけれども、行きずり殺人の場合、あの犯罪被害者給付金ですが、この場合でも最高額が昨年、四十歳から四十五歳ぐらいの働き盛りの人ですが、八百四十五万円出ているのですね。それに比べますと、生計維持者でもって三百万というのはとても少ない。自分の責めに帰すべき事由以外の不可抗力ですね、行きずり殺人にしても今度の災害にしても。ですから、行きずり殺人を参考にしてこの弔慰金の額をもっと引き上げることを検討すべきではないか。まさにスズメの涙、気は心ということでは済まない問題じゃないかと私は思うのです。特に町当局もこれについては単費で、これも気持ちだけということかもしれませんけれども、五十万円ずつ上積みして支給するということを考えているようですね。  ですから、この点についても弔慰金の額をもっと拡大をする、増額をする、このことを御検討いただきたいということ。それからまた、町単費で負担した問題について国が財政援助をすべきだと思いますが、その二点についてお尋ねいたしたいと思います。
  134. 荻生和成

    荻生説明員 災害弔慰金につきましては、この法律の趣旨からしますと、社会連帯による見舞金という趣旨のものというふうに物の本では書かれておりまして、そういったようなことから損害補償とかそういったようなものではないので、そういったような性格を勘案しますと、今の三百万というのが低過ぎるということはないんじゃないかと思っています。
  135. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなたは自分が被害に遭ってないからそんなことをしらっとして言うんですね。だって、行きずり殺人の場合には、今言ったように八百四十五万円も出ているのですよ。やはりそれと均衡を保つということ、所管の省庁なんだからもうちょっと熱意を持って事に当たっていただき保たいというふうに私は思うんです。  それから、自治省、今の上積みの問題については財政援助はどうなりますか。さっきと同じお答えだろうと思うんですが、一応確認だけしておきたいと思います。
  136. 奥田義雄

    ○奥田説明員 個別の問題につきましては、地元の県なり市町村を通じまして、それの支出の内容なり考え方というふうなものを聞く必要があるのではないかというふうに考えております。  災害弔慰金の上積みということでございますけれども、弔慰金の性格といたしましては、やはりA町で亡くなった場合には三百万、B町なら一千万、こういうふうなばらつきが出てくるのは必ずしも適当ではないのではないかというふうな気もいたしますので、その辺の考え方も含めまして、県なり地元の御意見を聞いてみたいというふうに考えています。
  137. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それでは、次に林野庁建設省にお尋ねをいたしたいと思います。  能生柵口地区雪崩再発防止対策についてでありますが、既に恒久的な対策については御検討に入られているというふうに思いますが、その内容についてもう少し具体的にお尋ねをいたしたいというふうに思います。
  138. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  林野庁におきましては、災害発生後直ちに担当官あるいは専門家現地派遣いたしまして、被害状況の把握と復旧方針検討を進めておるところでございますが、今後の対策につきましては、これら専門家等の意見を踏まえまして、さらに必要な調査を行った上、関係省庁とも連携をとりながら、融雪後直ちに緊急治山事業の中での雪崩防止事業、これを実施いたしまして、さらに六十二年度以降につきましては雪崩防止林造成事業によって対応してまいりまして、再度災害防止に万全を期したい、このように考えておるわけでございます。  対策工法といたしましては、融雪時までの間に専門家等とも御相談をいたしまして、現地状況に合った、最も効果的な対策工法検討してまいりたい、このように考えております。
  139. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  柵口地区恒久対策についてでございますけれども、建設省といたしましては、再度災害防止のために、雪解けを待ちまして調査実施いたし、適切な工法検討いたしますとともに、関係省庁調整を図りながら、集落雪崩災害から守ります雪崩対策事業というものを実施すべく検討してまいりたいというふうに考えております。  なお、工法でございますけれども、雪解けによりまして現地の地形とかそういった諸般の調査実施いたしました上で、現地に合います最適の工法につきまして、集落を保護するために、例えて申しますと、誘導工でございますとか防護工でございますとか減勢工というふうなものにつきまして有効な工法検討をいたしたいというふうに考えております。
  140. 三浦久

    ○三浦(久)委員 次に、林野庁にお尋ねいたしますが、これは権現岳の植林の問題でございます。  この柵口地区というのは、県の雪崩危険箇所には入っていなかったところですね。現地に行きまして、雪崩の進行経路等々について、これは一つの予想でございましたけれども、現地の人から説明を受けたわけであります。そのときに、その説明に立ってくれた方は、もっと造林をしておけばよかったな、そうすればもっともっと雪崩の勢いが減殺されたんじゃないか、こういうことを言っておられたのですね。その方は土田孝さんという方で、たしか自分の奥さんを亡くされた方だと思います。昭和二十二年に大地すべりがありまして、これは日本の四大地すべりの一つと言われたほどの大災害だったわけでありますが、その後、植林が行われていなかったということを言われているわけですね。植林が行われていなかったどころか、私たちが説明を受けたところによりますと、雪崩発生源と言われている権現岳の急斜面の下方の緩やかな傾斜のところです、ここは数年前に雑木を伐採しまして、逆に伐採していみのです。そして、牧場をつくっている、冬はスキー場になっている、こういう状況なんですね。  今回の雪崩規模、そういうものから言って、そういう雑木を伐採しなければこういう大雪崩防止できたと言うことができるかといえば、私は直接的にはそうは言えないだろうというふうに思うのです。しかし、植林をするところか、逆に伐採をするというようなことは、雪崩に対する警戒心というようなものがやはり足りなかったんじゃないか、そういうふうに私は思うわけなんです。  それで、私は、人を介して前の新潟大学の積雪災害研究センター所長の中俣三郎先生に聞いてみました。これは二、三日前のことであります。先生は、地すべり地は雪崩地帯だという認識が必要なんだということを強調されておられました。そして、雪崩を防ぐためには、山全体が植生で覆われていることが大切だ、こういうふうにも言われております。  このことは今後の対策を立てるに当たって林野庁としても十分心にとめておかなければならない問題だろうというふうに私は思うのですが、いかがでございましょう。
  141. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  雪崩発生いたしました柵口地区は、先生御指摘のように、昭和二十二年に大変大きな地すべりが起きているわけでございまして、その地域につきましては地すべり防止区域に指定をいたしまして、地すべり防止対策として渓間工あるいは排水工等必要な事業はその後やってまいっておるわけでございますが、地すべり対策事業といたしましては、基本的には今申し上げたような土木工法、これで対処していくのが基本でございまして、これが概成いたしました後に必要に応じ植栽するというふうなことであろうかというふうに考えておるわけでございます。  今回の雪崩発生原因は、地すべり防止区域の上部約三百ないし四百メーターぐらいのところで発生したものじゃないかというふうに専門家の話ではなっているわけでございます。その対策工法につきましては、専門家等の意見を聞きながら現在検討しているところでございますけれども、雪崩防止対策といたしましては、この植栽工というのが私どもは基本であろうというふうに考えておるわけでございますので、そういう検討の中で雪崩防止対策として必要な植栽工というものは工事の一つとして十分に考えてまいりたい、このように考えております。
  142. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私は、国の雪崩対策の中で一番おくれているのが集落に対する雪崩対策だと思うのです。まず、根拠法規がないということ、それからまた予算措置でやっているということ。それも六十年度から初めてやった。六十年度、建設省、三カ所でしょう。六十一年度六カ所ですね。予算を倍にしたと言ったって、それは六十年度で一億六千万ぐらいですから、これは最もおくれた分野だというふうに私は思うのですよ。  そこで、この災害の機会に建設省林野庁雪崩危険箇所の全国的な調査をやる、こういうふうに言明されておるのですが、その計画の概要をお知らせいただきたいというふうに思います。
  143. 船渡清人

    船渡説明員 お答えいたします。  林野庁といたしましては五十六年以降、これは建設省と共同で全国の危険箇所の実態調査、その前に危険度の判定手法等の検討を行った上での話でございますが、実態調査を五十九年度までにやったわけでございまして、これは一つの手法に基づいた危険箇所の調査でございますので、今後六十、六十一年の二カ年にわたりまして、この調査結果を踏まえまして総点検をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  144. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  今回の柵口地区雪崩災害でもわかりますように、雪崩発生いたします場所というものを予測することは極めて困難な状況にあるわけでございます。したがいまして、今回、建設省といたしましては、昭和六十一年度に雪崩の危険箇所の総点検を実施いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  その内容でございますが、前回の五十八、五十九で行いました調査要領というものを基本的に生かしまして、それに空中写真の判読等の調査手法というものを新たに取り入れまして、今回の災害等を参考に、雪崩発生の要件を備えている箇所につきましてはすべて把握したいというふうに考えておるところでございます。
  145. 三浦久

    ○三浦(久)委員 調査に当たって、私は全く素人ですから、専門家じゃありませんけれども、素人なりに考えますと、やはり危険性というのもあらゆる角度から検討していかなければならないのではないかと思うのです。例えば、今まで雪崩がなかったからここは大丈夫だという、そういう安易な考え方ではだめだろうと思うのですよね。例えば、何年か前に清津峡の災害もありました。あれも危険箇所に指定されていないところですね。今度の柵口地区もそうですね。かつてなかったからいいんだというようなことにはまずならないのじゃないか。  ですから、やはりいろいろなこと、例えばこの地域では地すべりがあったのかどうかとか雪崩が過去に発生したかどうか、そういうことも当然頭に入れながら、多様な危険性に注目して危険な箇所を摘発していっていただきたいというふうに私は考えております。  もう時間がありませんので、政務次官に最後に二つ、三つまとめて御質問を申し上げたいと思いますが、この調査の結果を温めておったって何の役にも立ちませんね。その調査の結果に基づいて具体的に対策を実行していかなければならないわけでありますが、五十八年の五月、中央防災会議が「当面の防災対策の推進について」という決定をいたしております。ここでは危険箇所の把握、そして、それを住民へ徹底をするとか警戒を強めるとか、そういうことがうたわれております。それからもう一つは、雪崩防止施設等の整備の促進、そして危険度の高いものから重点的にやっていくんだ、こういうことが防災会議の決定になっているわけであります。  私は、この防災会議の決定を着実に実行していく、そのためにはやはり何といっても法的根拠が必要だろうと思うのです。この法的根拠がないというのが、私は雪崩対策の致命的な欠陥になっているというふうに考えているわけであります。ですから、この法律の根拠があれば、例えば道路整備五カ年計画をもうずっと建設省はやっていますね、あれと同じように雪崩対策を五カ年計画をつくり、そして、それが終わったらまた五カ年計画をつくってやるということができるはずなんです。ですから、このことをぜひひとつ真剣に検討してほしい。要するに、立法措置を講ずべきだ。我が党は、一九八一年に地すべり等防止法の中にこれを規定したらどうかという提案をしているのですが、何もそれだけじゃなくても結構ですから、立法措置をまず検討してほしいということが一つであります。  もう一つは、この雪崩対策を各省庁がそれぞれの立場でやっておりますね。科学技術庁の防災センターもやっている。林野庁もやっている。建設省もやっている。気象庁もやっている。また、各大学もやっているというようなことです。しかし、これが地震予知連絡会のように一カ所に集まって、そして大勢の研究者、また、それぞれの専門家の知恵を出し合ってやるという体制にはなっていないのですね。ですから、これは恒常的な雪崩対策の統一的な組織をやはりつくる、ここを御検討いただきたいということでございます。  以上で、時間が参りましたので、御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  146. 白川勝彦

    白川政府委員 雪崩対策をやっていかなければならないということは御指摘のとおりでございますし、先ほどから関係省庁が話しておるとおり、国としては一生懸命やっておるわけでございます。それがおくればせであるかどうかということは評価の分かれるところでございますが、今一生懸命やっているところでございます。そして、近いうちにその何らかの成果も先生方の方に発表できるときも来ると思うわけでございます。  五カ年計画を策定する、もしくはその前提として立法措置を講じたらどうかということでございますが、これについても十分参考にすべき意見かと存じておりますが、一方ではこれがまたなかなか難しいいろいろな問題もあるということも先ほど来からるる述べてきたとおりでございます。  いずれにいたしましても、現在雪崩防止というようなことを含めても全く法的措置がないかと言えばそういうわけじゃなくて、豪雪地帯対策特別措置法、これに基づく基本計画というようなものもあるわけでございまして、こういうところの知恵の絞り方によっては何らかの対応もできることもあろうかと思いますし、立法措置がなかったとしても、雪崩対策についての御指摘を各省庁が十分頭に置くならば、こういう点においてもそれ相当の成果を上げることができると思っております。  いずれにいたしましても、今後の検討課題としてしかと承っておかしていただきたいと思っております。  それから、統一的なところで雪崩対策についてやられたらどうかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございますし、国土庁としてもそういう面では関係省庁と連絡をとりながら、少なくともそういう方向に向かって努力しているところでございます。なお足らざるところは今後鋭意関係省庁とも協議をした結果、先生御指摘のような趣旨に沿って効果が上がるように努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  147. 三浦久

    ○三浦(久)委員 終わります。
  148. 馬場昇

    馬場委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会