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1986-03-20 第104回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年三月二十日(木曜日)     午前九時三十一分開議 出席委員   委員長 正木 良明君    理事 太田 誠一君 理事 高村 正彦君    理事 塚原 俊平君 理事 森田  一君    理事 田中 克彦君 理事 永井 孝信君    理事 柴田  弘君 理事 三浦  隆君       阿部 文男君    臼井日出男君       加藤 卓二君    北川 正恭君       左藤  恵君    津島 雄二君       野上  徹君    林  大幹君       山村新治郎君    上野 建一君       奥野 一雄君    上西 和郎君       沢田  広君    斉藤  節君       安倍 基雄君    藤原哲太郎君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三塚  博君         建 設 大 臣 江藤 隆美君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   小沢 一郎君  出席政府委員         警察庁交通局長 八島 幸彦君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       矢部 昭治君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省道路局長 萩原  浩君  委員外出席者         国土庁土地局土         地利用調整課長 山崎 皓一君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     吉川  汎君         建設省都市局都         市計画課長   伴   襄君         日本国有鉄道副         総裁      橋元 雅司君         日本国有鉄道常         務理事    山之内秀一郎君         日本国有鉄道施         設局長     村上 郁雄君         特別委員会第一         調査室長    木村 俊之君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   上西 和郎君     奥野 一雄君   塚田 延充君     安倍 基雄君 同日  辞任         補欠 選任   奥野 一雄君     上西 和郎君   安倍 基雄君     藤原哲太郎君 同日  辞任         補欠選任   藤原哲太郎君     塚田 延充君     ――――――――――――― 三月十四日  交通安全施設整備充実に関する陳情書外一件  (第一六六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の  一部を改正する法律案内閣提出第二二号)  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二一号)      ――――◇―――――
  2. 正木良明

    正木委員長 これより会議を開きます。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  3. 永井孝信

    永井委員 今回のこの法律案は、これからの五カ年間の交通安全対策についての施策を講じようというものでありますが、今まで第三次にわたって交通安全対策を集中的に行ってきているわけですね。そのためには莫大な予算も投入されておりますし、多数の人々がその交通安全の施策のために携わって、専念しているわけでありますが、それでもなお、昨年、昭和六十年の交通事故死者数は九千人の大台に乗ってしまったわけですね。これについて、いわゆる道路管理者といいますか、そういう関係立場から、あるいは取り締まり立場からそれぞれひとつ見解を簡単にお答えいただきたいと思うのです。
  4. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私どもは、ただ道路をつくればいいということだけではございませんで、やはり安全で快適な道路をつくっていくことが大きな役割でありますが、その中で相も変わらずそうした死傷者が多いということは、今後の道路行政を進めていく上においてこれは肝に銘じて、やはり反省をしたから、心してこれから安全施設整備に努めるべきであろう、こういうふうに考えております。
  5. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  御指摘のように昨年の死者も九千人を突破いかしまして、御承知のように四年連続九千人以上の死者数を出しておりますことにつきましては、警察といたしましてもまことに残念に存じております。今後、取り締まりだけではなくて、安全教育その他、安全施設は当然でございますが、総合的な対策警察の所掌の範囲内でも最善の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  6. 永井孝信

    永井委員 九千人の大台に乗ったということで、それぞれ責任ある立場からすれば、じくじたるものがあると思うんですね。したがって、これからの交通事故をなくしていくためにいろいろな施策が講じられていくわけでありますが、この交通事故を起こしたドライバーの年代にかかわる問題ですね。例えば若者無謀運転をするということは、非常に大きな社会問題にたっております。あるいは高齢者ドライバーが、運動神経が低下するというのですか、そういう関係から、とっさのときに決断ができなくて事故を起こすという場合もあると思うのです。概略でいいですが、大体若者というのは大まかに分けて二十歳前のドライバー、そして例えば六十歳以上のドライバーが起こした、交通事故死につながった事故件数はどのくらいありますか。
  7. 八島幸彦

    八島政府委員 六十歳以上の高齢者が第一当事者となった交通死亡事故を申しますと、昨年中四百九十五件でございまして、これは死亡事故全体の六・一%にたっております。  それから若者につきましては、ちょっと数字を調べまして後ほど御報告申し上げたいと思います。
  8. 永井孝信

    永井委員 ドライバーで、運転免許を取りたての初心者を含めて、新聞の社会面などに出てくる交通事故の報道を見ますと、非常に無謀運転が多いわけですね。したがって、これは後で数字をお知らせいただいて、ちょっと問題提起をしたいと思うのですが、欧米各国を上回って急激な高齢化社会になってきている、こういう現状下で、高齢者交通事故犠牲者数というものを数字的に言えば、この数字に間違いがあれば御訂正いただきたいのでありますが、私の調べたところでは、昨年は二千四百六十二人に上っているわけですね。六十歳以上で交通事故に遣われて犠牲になられた方の数が二千四百六十二人、これは昭和五十年以来の最悪の数字なんですね。  そうして、今言われたように、片方、六十歳以上の高齢者が第一当事者となって交通事故死に至った件数というのは四百九十五件ある、全体の六・一%。これはドライバーの全体の数からいくとかなり高い数字だと私は思うんですね。そう考えますと、高齢者交通安全を確保する対策というものはやはり特別に考えていかなくてはいけないのではないか、このように思うのですが、どうでございましょう。
  9. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のとおりでございまして、これからますます高齢運転者が増加してまいる、あるいは高齢者歩行者事故も昨年はかなりふえております。これからの交通安全対策一つの柱として高齢者対策を取り上げていく必要があるというふうに考えております。
  10. 永井孝信

    永井委員 局長、そういう対策が必要だということはわかるのですが、では一体何をするのかということが問題なんですよ。そこのところを具体的に示してもらいたい。
  11. 八島幸彦

    八島政府委員 現在、高齢運転者事故の問題につきましては、高齢運転者事故特性なりあるいは高齢運転者運転特性と申しますか、そういうものにつきまして自動車安全運転センターに委託をいたしまして、そういう研究をやってもらっております。こういう研究の結果、あるいはその他の専門家の方々の御意見等も拝聴しながら、その種の特性等につきまして、安全教育面にどのように反映していくかということを現在検討いたしております。  それから歩行者の問題でございますが、特に高齢歩行者横断中の事故がふえておりますので、これにつきましても安全教育面で、従来は、ともしますと老人クラブだとか、あるいはその他のいろいろな会合を利用した教育をやってまいったわけでありますが、その種の教育をより一層推進しますとともに、そういう会合等に出てこられないお年寄りがともすると事故に遭っているということもございますので、大変手間がかかることではございますけれども、そういうお年寄りがいらっしゃる家庭を個別的に訪問いたしまして、横断上の注意事項等をいろいろ御理解いただくということも今後やっていきたい。さらには反射塗料を塗ったワッペンとか、そういう運転者視認性を高めるようなワッペン等を夜にはつけていただくようなことも、希望に応じてでございますけれども、進めてまいりたいと考えております。
  12. 永井孝信

    永井委員 六十歳以上の人が聞くと、大臣も六十歳以上ですか、腹立たしい思いになるかもしれませんけれども交通安全を推進するためにあえて申し上げるのですが、六十歳以上の免許保有者数は三百三十九万人になっているのですね。高齢化社会ですからこの数字はどんどんふえていくと思うのです。やはり歩行者の方にも十分な注意が必要だけれどもドライバーの方にも注意が必要だ。若者無謀運転と並んで、高齢者の場合は非常に慎重運転はするのですけれども交通戦争と言われている状態の中で、とっさの瞬間的な状況判断を求められるという場合に、どうしても判断がおくれていくと思うのです。そういうことから考えますと、高齢者免許証保有者に対する安全教育は、やはり何かの方法で考えていかざるを得ないのではないかという気がするのですが、どう’でしょうか。
  13. 八島幸彦

    八島政府委員 高齢運転者のこれからの安全管理の問題でございますが、一つ運転免許について何らかの措置を考慮するかどうかという問題がございます。これにつきましては、実は先生承知のように、高齢者といいましてもいろいろ個人差がございまして、一律に何歳以上をどうするかとかいうことが非常に難しい面もあろうかと思います。私どもといたしましては、むしろ規制的な面でそういうことを考慮するのではなくて、安全教育面と申しますか、例えば更新時講習の場におきまして、六十歳以上のクラスあるいは七十歳以上のクラスというような年齢の段階に応じたクラス編成等を行いまして、何といいましても年を経るに従いまして視力あるいは聴力という面で衰えが出てまいりますのは一般的に言えることでございますので、そういう肉体的な衰えに応じて留意すべき事項等についてそれぞれ御理解いただく、そういう面で対策を講じてまいりたいと考えております。
  14. 永井孝信

    永井委員 そこで、安全教育を含めて安全対策というのは、よりいろいろな角度から多角的に検討してもらってこの交通戦争に対応できるようにしてほしいと思うのですが、これに関連する取り締まり関係などについては後ほど質問してみたいと思います。  そこで、建設大臣にお伺いするのですが、現在まで続いてきました現行五カ年計画進捗状況と、交通安全施設整備状況について概略お答えいただけますか。
  15. 江藤隆美

    江藤国務大臣 ただいまの五カ年計画は、八九・四%程度進捗率になるかと思います。  内容については道路局長からお答えさせていただきます。
  16. 萩原浩

    萩原政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、第三次の特定交通安全施設等整備事業五カ年計画、五十六年度から六十年度の五カ年でございますけれども、八九・四%、これは事業費ベースでございますけれども、それの達成見込みでございます。その内訳といたしましては、特定交通安全施設等整備事業は八九・四%でございますが、そのほかに地方単独事業もやっております。特定事業総額八千丁三十九億円の投資実績でございますが、地方単独事業は四千八百九十七億円の投資見込みでございます。ただし、これは五十九年度末でございまして、六十年度はこの地方単独についてはまだ集計ができておりません。  これらの事業を推進いたしました結果の交通安全施設等整備事業でございますけれども昭和六十三年三月末の見込みでございますが、歩道延べ延長が七万二千八百キロ、それから自転車道延べ延長が約四万五千キロ、それから立体横断施設約一万二千二百カ所、道路照明が約百五十九万基、防護さく約八万六千キロ、道路標識約百三十五万本という状況になってございます。
  17. 永井孝信

    永井委員 まず第三次の五カ年計画達成できないんですね。どうですか。
  18. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほど申し上げましたように、第三次の五カ年計画昭和五十六年度から六十年度計画でございます。ところが、大変残念ながら、昭和五十五年度から五十九年度にかけましてゼロシーリングマイナスシーリング予算規模状況でございまして、その中でも懸命の努力をいたしたわけでございますが、現在のところ八九・四%の達成率にとどまる見込みでございます。
  19. 永井孝信

    永井委員 ゼロシーリング予算が十分でなかったために、当初計画しましたとおりの事業が遂行できなかった。大臣、これは人命にかかわる問題でして、もちろん人命にかかわる問題は交通安全だけではない、医療関係もいろいろありますけれども担当大臣として、これから新しく五カ年計画をつくるというわけですから、事業計画を立ててもどんどん予算で削られていって、事業計画が遂行できないということについては大臣どうお思いですか。
  20. 江藤隆美

    江藤国務大臣 財政再建の中ですから、考え方によってはやむを得ないという面もあっただろうと思います。しかし、私は今日ずっと見ておりますと、この予算を編成した時点と、予算が通って実行する段階とはやはり著しく環境を異にするようになるのではないかと思います。  それだけに公共事業に対する要望も強いし、またひとりこれは交通安全施設だけではございませんで、都市公園、下水道あるいは海岸、住宅、それぞれ五カ年計画達成率が軒並み悪いわけでありますから、立てた以上はやはりしっかりこれを、こういう環境にあればあるほど、私はいつも役所で言っているのですが、ことしは違うよ、初年度だから達成できなかった、仕方がないなということでは済まぬ、それは一体予算の組み方が悪かったのか、制度の仕組み方が悪かったのか、あるいは、例えば住宅ですと税制上の問題あるいは融資の問題、その他土地問題、可処分所得の問題、いろいろ総合的に見てやはり家が建たなかったのかな、厳しく反省してやらないと、今までのように七二、三%で達成率が終わって、やむを得なかったなということにはこれからはならない。これからは、もう何としても五カ年計画を立てた以上は、絶対にこれを完成するという意気込みで初年度をかかろうではないかということをいつも話をしているところでございます。
  21. 永井孝信

    永井委員 建設大臣ですから、交通安全だけじゃなくて今言われたようにいろいろな公共事業を主管されているわけですね。だから、交通安全施設を含めまして、今言われたように五カ年計画というものをあくまで達成するために緻密な計画を立てられてきたはずであります。それがこの予算編成でどんどん削られていって、とりわけ公共事業の全体に大変なしわ寄せがきているわけですね。これでは政治を進める政策責任者としては問題があるのではなかろうかという気がするわけです。  ですから、今回この予算案が今参議院の段階で審議されておりますけれども、新年度に入りますと、どうせすぐ翌年度予算編成作業にかかっていくわけでありますから、この交通安全施設を含めて、そういう国民の暮らしに不可欠な公共事業については断じてマイナスシーリングになってはならないという決意で臨むべきだと思うのですが、どうでございますか。
  22. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そのように思っております。
  23. 永井孝信

    永井委員 ひとつぜひそういう立場で頑張ってもらいたいと思うのです、今決意が述べられたわけでありますから。  さて、それでは第四次の特定交通安全施設等整備事業の五カ年計画というものは、現行の五カ年計画に比較して事業規模や、あるいは事業内容においてどのような差異があるのか、これを具体的にお答えいただけますか。
  24. 萩原浩

    萩原政府委員 まず道路管理者分からお答え申し上げます。  第四次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画規模といたしましては、一兆三千五百億円を予定いたしており失して、この中には調整費二千億円を含んでございます。この一兆三千五百億円は、第三次五カ年計画と比較をいたしますと、約一・四八倍ということに相なります。約一・五倍の事業量をもってこの五カ年計画を遂行しようというものでございます。  この事業内容といたしましては、第三次五カ年計画と同様、交通事故による死者数の約四割を占めます歩行者自転車利用者の安全の確保ということを最重点といたしまして、歩道自転車道整備を推進いたしたいというのが第一点でございます。  第二点といたしましては、坂道等での無理な追い越しの防止と、円滑な交通確保を図るために登坂車線整備に取り組みたいというふうに考えております。  第三点といたしましては、道路標識、特に案内標識が非常に不備である。そのために、例えば先ほど先生指摘のように老年の方の運転に支障があるということもよくございまして、道路標識への助成措置を充実いたしたい、特に案内標識への助成を充実いたしたいというふうに考えております。  第四点は、道路情報提供装置への助成措置をやりたい。  第五点は、自転車駐車場への助成措置をやりたい。  このような内容を含みまして第四次特定五カ年計画を想定しているところでございます。
  25. 永井孝信

    永井委員 予算規模もかなり増加させてやっていこうというわけでありますから、これから先五年後に、今私が指摘しておりますように、計画はよかったけれども予算関係でできなかったということのないように、とにかく関係当局は不退転の決意でこの予算確保というものに臨んでもらいたい。大臣、これは特にお願いしますよ。  そこで、今説明の中で、事業内容について新たに手をつけよう、あるいは重点的にやっていこうという問題点がいろいろ項目的に提示をされたわけでありますが、これは一定の道路附属物設置に要する費用負担または補助ということに該当するわけですね。
  26. 萩原浩

    萩原政府委員 建設大臣が直接管理をいたします指定区間内の国道、これを直轄国道と称しておりますが、これにつきましては当然維持管理に要する費用管理者であるものが負担するわけでございますけれども、そのほかの道路につきましては、道路附属物設置にかかわるものは維持管理の業務であろうということで国庫補助対象から除外をされております。ただし、今回のこの交通安全五カ年計画の中では特別に法律でこれを定めていただきまして、道路標識であるとか道路情報提供装置でございますとか、道路に接する自転車駐車場につきまして指定区間外一般国道都道府県道及び市町村道について補助制度を取り入れようというものでございます。
  27. 永井孝信

    永井委員 補助を新たにつけるのですから、それだけ国の政策としては前進していると思うのですが、この中でとりわけ私が重視をしたい問題があるのです。  それは、実はこの交通安全対策特別委員会議員立法によって制定をされた自転車駐輪場施設法律があるのです。自転車法と略称で呼んでおりますけれども自転車駐車場施設についてせっかくつくられた法律ですから、この法律を有効ならしめるためにいろいろな努力をされてきておるわけですね。だからこそ、当委員会の中にも自転車問題の小委員会まで設置をされているわけでありますが、実はいろいろなところへ視察へ行きましても、御承知のように今都会地では、私の地元もそうでありますが、一つの駅に何千台と自転車が放置されて、バスを通すのに自転車をのけないと通すことができないほどです。大臣、これは現状を見てもらったらびっくりすると思うのですよ。埼玉県や千葉県もそうですが、私のところなんか大変なところなんですね。  ところが、駐輪場設置するための法律をつくったんですから、これを何とか有効ならしめようということで自治体とも相談して努力をするのですが、実は上物よりも土地確保することが難しい。駐輪場をつくりたいというところほど都会中心地ですから、べらぼうに土地の値が高いということもあって、これで全部——全部と言いませんけれども、ほとんどが予定どおり駐輪場設置することができないでいるというのが現状なんですね。ですから、補助率は二分の一と聞いているのですが、用地取得を含めて補助対象にするのかどうなのかをひとつお答えいただきたい。
  28. 萩原浩

    萩原政府委員 現在私ども考えておりますのは、用地費を含めてというふうに考えております。
  29. 永井孝信

    永井委員 用地取得を含めての補助というのは、予算規模であらかじめどの程度まで今考えられているのですか。
  30. 萩原浩

    萩原政府委員 詳細な計画はこれから積み上げることになっておりますが、私どもが現在想定しておりますものは、自転車駐車場直轄で約百九十カ所、これは直轄国道割合交通量の多いところでございますが、補助事業で新たに今度制度として取り上げて、中身といたしまして約五百十カ所くらい、合計七百カ所くらいを予定いたしております。事業費ベースでは五千七百億ほど、約六千億弱というものを考えでございます。
  31. 永井孝信

    永井委員 この問題で執着して申しわけないのですが、直轄国道、その他の一般道路、こう言われているのですが、実際にこの駐輪場の必要なところは、国鉄であるとか私鉄の非常に通勤者の多いところに集中しておるわけですね。これが国道とすぐに連結しているわけではないというところも都会の中では非常に多いと思うのです。  念のために聞きますが、そういう国鉄私鉄自転車の放置が集中的に行われているという箇所が対象にされるのですね。
  32. 萩原浩

    萩原政府委員 大変申しわけございません。先ほどの事業費でございますけれども、五十七億一千二百万、約六十億でございます。大変失礼いたしました。  対象でございますけれども、過去の制度は二百台以上のものについて動いております。したがいまして、今回の交通安全計画といたしましては五十台から二百台くらいを拾ってみたらどうだろうか、二百台以上は従来の制度の中で動いていただいたらどうだろうかという腹案を大体考えている次第でございます。したがいまして、幾らか小規模のところを考えておるような次第でございます。
  33. 永井孝信

    永井委員 小規模のところも大事ですけれども、今一番自転車駐輪場で困っているのは大規模のところなんです。大規模のところは都会地でありますから、用地取得がより困難なんですね。だから、そういうところをこそそういう補助対象にすることを考えるべきではないのですか。小規模のところを除外せよと言っているのではないのです。小規模のところもやらなければいかぬけれども、五百台どころではなく千台、二千台と放置されているようなところが都会地にたくさんあるわけですから、そういう大規模のところから集中的にまず整理をしていくということが今不可欠な条件になっているわけでしょう。そこのところは今までどおりで放置するのですか。これではなかなか駐輪場はできないのです。そこのところを交通安全施設として何とかすべきではないのですか。
  34. 萩原浩

    萩原政府委員 先生先ほど御指摘のように、都市計画自転車駐車場という制度がもう既に出発していただいておるわけでございます。これは、大体三大都市圏その他それに準ずるところで、自転車が五百台以上駐車されているか、五年後に五百台以上放置されることが推定されるもの、あるいは敷地面積が百平米以上で駐車台数が二百台以上のもの、このような基準に従いました制度でございまして、私どもといたしましては、何とかこの制度を動かしていただきたいと考えておるわけでございます。  このような制度でカバーできないようなところにつきましても、歩行者の通行の阻害あるいは道路交通の阻害になるところがございますので、そういう点を埋めていきたいと考えているものでございます。
  35. 永井孝信

    永井委員 大臣、今お聞きのようでございまして、従来の法によって、いわば都市計画の関連で施行していくということではなかなか駐輪場というのは処理ができないのですよ。これは交通安全施設ということで適用されるのかどうかはさておきまして、建設大臣は全体のことを見ていくわけですから、早急に検討してもらって、通勤圏内でいきますとベッドタウンになっているところが一番対象になっていくのですが、そういうところについては建設省としても実情を再度調査してもらって、何らかの対応策をとることについても検討願えないですか。どうですか、大臣
  36. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私も、実際見たところもございますし、あるいはテレビ等でそのすさまじい駐車の状況というのもしばしば拝見しております。建設省でも十分検討しておることではございますが、せっかくまた五カ年計画がスタートするわけでございますから、十分また勉強させていただきたいと思います。
  37. 永井孝信

    永井委員 この問題ばかりにかかっておるわけにもいきませんので、ひとつ御努力を願うことにして、次に移っていきたいと思います。  特定事業地方単独事業の関連でありますが、この事業区分の見直しを行って、信号機の新設であるとか、可変標識とか固定標識などを地方単独事業に移した理由は一体何なのか、また、その地方単独事業に要する費用について財政上の対応はどのように考えておられるのか、これをお答えいただきたいと思います。
  38. 八島幸彦

    八島政府委員 先生指摘のように、従来特定事業として実施しておりました信号機の新設等を、第四次計画におきましては地方単独事業として実施することとしているわけでございます。  その理由は、一つには、国の厳しい財政事情かも、第三次の実績を踏まえましてそれを若干上回る程度のものにせざるを得なかったということがございます。また、特に信号機の新設につきましては、一部大都会ではもう既に信号機は十分についているではないか、むしろ多過ぎるために交通渋滞のもとになっているのではないかというような御指摘のあることも事実でございます。そういう一方、地方の県におきましてはまだまだ信号機が足りないところもございまして、都道府県の実情によりましてかなりの格差が出てきております。そういうことから、それぞれの実情に応じて設置していくのが適当ではないかというふうに判断したものでございます。  また、大型可変標識等につきましても、先生承知のように普通の標識、標示は従来から都道府県単独事業として実施しておりましたので、その従来の単独事業に非常に似通っておると申しますか関連が深いという意味で、今回単独事業の方に移したものでございます。  それから財源措置についてでございますが、そういう事業を単独事業としてお願いするにつきましては、もちろんそれなりに、地財計画の基準財政需要額等に計上していただきまして、それに見合う交付税等の措置をとっていただく、あるいは適債事業として起債対象事業に認めていただくというような措置関係機関にお願いしましてとらせていただいているところでございます。
  39. 永井孝信

    永井委員 これは突き詰めて言えば、地方の格差解消ということもあるのでしょうけれども、その格差を解消することの第一次的な責任はそれぞれの地方にありますよというように、いわば国が責任を転嫁したことなんですよ。予算措置についても、交付税の措置を考えるとか起債を認めるとか言うのですけれども、起債を認めて、もらっても、これは結果的には地方の借金ですからね。国がその借金を払ってくれるわけではないのですから、財政的にも地方への責任の転嫁なんですよ。  地方からいろいろ実情が陳情されましても、いや、それは地方の問題ですよ、国は責任ありません。あるいは地方自治体に対しては、君のところは交通施設についていろいろ要望があるけれども、やりたかったら自分のところでやりなさいよということで、第四次五カ年計画はつくるのだけれども、実際のところは大半の責任を地方に押しつけてしまって、いわば国は背中を向けるということになっていはしないか、そう言わざるを得ないと私は思うのです。  これは答弁をしてもらっても、そこのところは埋まるわけではないから私は一方的に申し上げておきますけれども、そういう政策は本来あってはならないことであって、今までやってきたことを責任を持って遂行していくのが国の責任ではなかろうかと思いますので、私は強く指摘しておきたいと思います。  そこで、時間もありませんから次に入るのでありますが、今言われた答弁の中にもありましたけれども道路標識が余りに乱立し過ぎているという指摘もあるのですね。そのことが結果的に運転判断を誤らせるということも現実に都会地域などではあります。めったやたらにいろいろな標識があって、どれを見たらいいのかということがありますが、こういうことについて公安委員会あるいは道路管理者などでどのように今対応がされているのか、あるいは調整が図られているのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
  40. 八島幸彦

    八島政府委員 道路標識整備につきましては、標識の種類、様式、設置場所等を規定しました道路標識、区画線及び道路標示に関する命令に基づきまして、公安委員会道路管理者がそれぞれ任務を分担してその適正な設置に努めているところでございます。  道路標識が多過ぎるという御指摘でございますが、確かに公安委員会設置する標識につきましては、最近交通規制がきめ細かくなってきたこともございまして、その数が多くなってきているのも事実でございます。そこで、これまで標識の大型化、可変化を進めることによりまして標識の整理統合化と視認性の向上を図っているところでございますが、今後ともこの点について一層努力してまいりたいと考えております。
  41. 永井孝信

    永井委員 これも実情に合わせて、そういう道路標識がはんらんしているようなところはできるだけ速やかに再整理をしてもらう、ドライバーに混乱を与えないようにしてもらう、これはぜひひとつ早急な実施を求めておきたいと思います。  その次に、これは私毎回よく取り上げて担当大臣ともやりとりがあったのですが、制限速度ですね。この付近は五十キロ制限のところが多いのですが、地方へ行きますと四十キロ制限のところが非常に多いのです。四十キロ制限とか五十キロ制限とかあるいは三十キロで制限するというのは、その交通の実態に合わせて判断をされていくのだと思うのですけれども、どこでも四十キロならいいというので、四十キロが現実に日本の標準になってしまっているわけですね。果たしてそれでいいのだろうか。四十キロにするがために交通渋滞を起こす場合もあるし、いらいら運転を起こす場合もあるし、いろいろなことが起きてくると思うのですね。だから、人口の密集地などは別にいたしまして、人口のそう密集していない道路などについては制限速度をもう一回見直すべきではないか。この間の新聞で見ますと、東京近郊では五十キロに制限緩和をしたところも若干あるようですが、前々から私は全国的に見直すべきだと言っておるのです。  もう一つは、なぜそういうことを言うかというと、制限速度に対してスピードの違反取り締まりが行われていくわけですね。だから、警察取り締まりに対する批判というものも非常に強い。警察取り締まりに対する批判が強いということは、日常的な警察の捜査について市民の協力がなかなか得られにくいという問題も複合的に出てくるわけですよ。この制限速度の問題についてこれからどのように見直しをされるのか、見直しをするお気持ちがあるのかどうなのか、お答えいただけますか。
  42. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、速度の交通規制が厳し過ぎるのではないかという御意見はしばしば承るところでございまして、私どもも、かつては交通事故防止のために設定した速度であっても、その後安全施設その他道路の条件が変わった場合には勇気を持って見直すようにという指導をしてまいっております。  そこで、最近の速度規制の見直しの状況でございますが、先ほど先生指摘のように、警視庁におきましては四次に分けましてスピード規制の大幅な見直しを始めておりまして、去る三月十三日には都心部を中心にいたしましてスピード規制を緩和いたしております。計画では、四次計画で計二百三十キロメートルにわたりまして規制の緩和が図られる予定でございます。  それから全国でございますが、若干古い調査でありますが、一昨年から昨年の九月末までに、全国でスピード規制が緩和されました延長は約一千四百キロメートルにわたっております。  以上でございます。
  43. 永井孝信

    永井委員 早急にこの見直しを進めてもらいたいということを再度申し上げておきたいと思います。  もう一つは、時間もありませんから簡単にお答えいただきたいのでありますが、反則金ですね。この反則金が交通安全の施策予算として使われていくわけですね。一定の予算が計上されていくわけでありますが、これは可能性、理屈上の問題ですよ、これはもし全部交通マナー、交通規則を守ってくれれば反則金ゼロになるわけですよ。本来それが一番望ましいわけでしょう。その反則金というものを交通安全施設に使う、そのことが予算計上されて使われていくということとの相関関係において、反則金を予定どおり、悪い言葉で言えば水揚げするために取り締まりをするのではないかという批判がつきまとって消えないわけですよ。これについて、取り締まりのための取り締まりにならないようにするために、ひとつ警察当局の考え方を一言で聞かしてくださいませんか。余り時間がありませんから、短くやってください。
  44. 八島幸彦

    八島政府委員 安全施設整備につきましては、地財計画で計上されたものにつきましては交付税等で措置されておりますので、必ずしも反則金収入が減額になったからといって施設整備がその分減らされるというものではございません。御指摘のように、取り締まりのための取り締まりにならないように十分指導してまいりたいと思います。
  45. 永井孝信

    永井委員 警察のそういう日常の活動に対しまして市民から信頼をより持っていただけるようにするために、交通取り締まりは直接ドライバーとの関係で感情問題も発生するわけですから、十分な配慮の上に配慮を重ねて日常の取り締まりに当たってもらいたい、こう思います。  そこで、時間が大分なくなりましたけれども、安全、円滑な自動車交通確保ということが第四次五カ年計画でどのように策定されていくのか、こういうことが私自身の頭にぴんとわかるように、ひとつ具体的な問題についてちょっと質問してみたいと思うのです。  それは、全国を知っているわけじゃないんで、自分の日常生活しているところのことを一つ例示として、これは大臣、聞いてくださいよ。  これから新たに五カ年計画が発足したらどのようになっていくのかということでお伺いしたいと思うのですけれども、私の地元で都市計画道路である高砂北条線という線があります。これは山陽本線、国道二号線と交差しておるのですが、これは今陸橋工事が進められているんですね。地元とすれば、これは一体いつになったら完成するのだろうか、たしか当初は六十年ごろには全部供用開始できるように言われていたがどうなんだろうか、こういうふうに皆さん思っていらっしゃるんですね。この完成予定はどうなっておりますか。
  46. 牧野徹

    ○牧野政府委員 今先生指摘道路事業は四十八年度から街路事業で実は始めておりますが、まず平面のところがございますね、この改良工事は六十年度までで実質終わります。そのうち一部、二百三十四メートルはもう供用開始しているのは御承知だと思いますが、最後に立体部分でございますが、二つまたぐものですから、一つ国鉄をまたいで国道二号へ連結する部分、これは昭和六十一年度末、来年度末に供用したいと考えております。さらに国道二号をまたいでいく部分につきましては、鋭意工事を進めて、できれば六十三年度に全面供用開始したいと考えております。
  47. 永井孝信

    永井委員 えてして公共事業というのは当初計画をすれ込むことが多うございまして、大きな事業であればあるほど地域の住民の協力が不可欠でありまして、約束どおり進展していきませんと、一体どうなっているのだ、こういうことになりますので、ひとつ進捗についてはさらに努力をしてもらいたいと思うのです。  ついでのことにちょっと具体的なこと、地元の、私の目で確かめての問題について申し上げたいと思うのですが、国道三百七十二号線というのがあります。この国道三百七十二号線はいつ国道に指定されたのか。国道に指定されて現在に至るまで、滝野町というところと社町というところがあるのですが、これは九十度に折れ曲がった国道なんですよ。真っすぐな国道じゃないのですね。ちょっと常識では考えられないほど九十度に曲がっているのです。その中に、ある一定区間いまだに車両が一台しか通れないで、しかもそれが直角に折れ曲がっている、二重に折れ曲がっているというところで非常に危険な箇所があるのですが、これは一体国道としてのていをなしているのだろうか、役割を果たしているのだろうかと思うのです。小さい問題で恐縮でありますけれども、わかっておったらひとつどのようにされるのかお答えいただきたいと思います。
  48. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘国道三百七十二号線は、昭和四十七年に国道に昇格いたしております。したがいまして、四十七年以来もう既に十四年ほどたつことになるわけでございますけれども、河高地区の約六十メーターが拡幅工事がまだできないというところで残っているわけでございます。現況が四メーターでございますので車のすれ違いもできないということで、非常に地元の皆様方に、通行の皆様方に御不便をおかけしておるのでございます。  現地では、話がうまくいきそうになるとまた壊れてしまうということの繰り返しをどうもやっているようでございます。私どもといたしましては、道路管理者でございます兵庫県を指導いたしまして、できるだけ早くこれが解決するように努力させたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  49. 永井孝信

    永井委員 大臣、これは地元の問題を取り上げて恐縮なんですけれども、今の国道の実態にはそういうところが幾らでもあるのですよ。だから、国道に昇格をさせて予算をつぎ込んで道をよくするという手もあります。しかし、現に今言われたように、国道になってから十四年たってたった六十メートルが、しかもそれは全く見通しがきかないのですよ、御承知かどうか知りませんけれども。そこに大型トラックが全部双方から乗り入れてくるのですよ。その間が今言われたように四メートル。こんなものは国道じゃないですよ、基幹道路じゃないですよ。こういうものは早急に処理をするということにしていかないと、全国に幾つもこういう例があるのです。だから私は一つの例として申し上げているのであって、早急に、早急にという言葉だけで終わらぬようにこの対応をひとつ進めてもらいたい、こう思います。  それから、同じような問題で一つ指摘しておきたいと思うのですが、国道二百五十号線で明姫幹線というバイパス道路があります。これは延長二十二・六キロメートルのバイパスなんです。用地取得は全部とうの昔に済んでいるのです。ところが、これは既に全線供用しているのですが、片道一車線、全部で二車線ですね。二車線のところと四車線のところと六車線のところとあるのです。それが全部細切れになっているものですから、ドライバーの心理になってみれば、片道一車線のところではもうじりじりしながら運転していくわけですよ。片道二車線になったり三車線になるといきなり追い抜きにかかるのですね。これはドライバー運転注意しろという以前の問題でありまして、危険な運転を誘発するというのは道路の側にある。  これは、私は毎年国会でも分科会などでも取り上げてきたのですが、一向にらちが明かない。一体これはいつのときにどのように対応されるのか、交通安全を守るための一つのサンプルですよ。ひとつお答えいただけますか。
  50. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のようにこの明姫幹線、総延長のうち約半分十二・七キロが現在二車線で供用中でございます。この部分につきまして四車線化に五十九年度から着手をいたしておりまして、鋭意その事業を促進いたしておりますけれども、まだ残事業が五十億ほどございます。かなり大きな構造物もございますので、この事業の推進についてはできる限り努力をいたしたいというふうに考えております。現在までのところ、六十年代半ばぐらいまでには何とか全線を完成させたいということで努力をしていきたいと存じます。
  51. 永井孝信

    永井委員 一つ道路が、ある一定の区間二車線でその次が四車線になる、ここまでは二車線ですよ、次は四車線ですよ、こういう道路はまだまた残っていると思うのですね。私が今指摘しているのは、六車線で来て二車線になって四車線になって、また二車線になってまた四車線、こういうことですから、これで交通事故が起こらなかったら不思議なんですよ。そう思いませんか。片道二車線だからと思ってドライバーがいい調子で運転していくと、途端に一車線になって右へ寄るとか左へ寄るということになる。わずか二十二キロぐらいのところでそれが繰り返し行われている国道なんというのは、私は全国に例を見ないと思うのです。だから、これはとにかく一日も早くそういう交通事故を防止するために、建設省としても私は集中的な予算投資をしてもらいたいですね。最前の国道三百七十二号線もそうです。早急にじゃなくて、いつごろをめどにするかということ。  時間がありませんが、もう一つついでのことに言いますが、例えば国道百七十五号線だってそうです。西脇のバイパス、これは一体いつになったら供用開始ができるのか。この三つを、めどだけ、ついでのことですからお答えいただけますか。
  52. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほどの国道三百七十二号でございましたか、あれは用地の解決さえすれば一年でできる事業量でございます。何とか用地の交渉を早く済ませてやれば単年度でできるというものでございますので、できるだけ早く用地を解決するように兵庫県を指導いたしたいと思います。  それから次の明姫幹線でございますけれども、現在のところは六十五年ぐらいをめどにやりたい。その間におきまして、先生指摘のようになるべく車線の変位といいますか、四車線から急に二車線になってまた戻るというようなことのないように、できるだけ効果を上げるような形で六十五年までには完成をさせたいというのが現在の計画でございます。  また、国道百七十五号の西脇バイパスでございますけれども、総延長五・四キロでございます。もう用地買収も約八〇%進捗いたしておりまして、当面は都市計画道路西脇芳田線から北側の終点までの間、半分、約二・八キロにつきまして六十年代前半、それから残る区間については六十年代中ごろに供用したいというふうに考えております。具体的には、その前半といいましても、北側の方は大体六十二年ごろには完成させたい。それから全線は六十五年ごろまでには完成をさせたいということで今事業を進めておるところでございます。
  53. 永井孝信

    永井委員 若干私の目で確かめて、日常使っている道路一つの例として、わかってもらうことも含めて今御質問申し上げたのですが、一事が万事でありまして、全国の道路網の中で、高速道路をつくるのも建設大臣、いいですよ。いいですけれども、日常生活道路と言われている一般国道、主要地方道あるいは市道や県道であっても、生活に密着しておる道路などについて、今言われたように、結果的に交通事故を誘発するような道路状況は、私は枚挙にいとまがないほどあると思うのですね。これらがこの五カ年計画の中でどこまで遂行できるかが今問われていると思うのです。  そういう面で、建設大臣、もう時間がなくなりましたから最後に一つ、そういう道路の、道路だけではなくて交通安全全体について、予算確保も含めてより積極的に対応してもらいたいと思うのですが、それについての決意をひとつお聞きして終わりたいと思います。
  54. 江藤隆美

    江藤国務大臣 いろいろな陳情を聞きますと、八割方は道路を何とかしてくれという要望が、地方に行けば行くほどやはり強いと私は思います。ですから、道路予算確保するということについて全力を挙げなければならない。特に六十一年度予算執行については、こういう内需拡大のことも言われておるときですから、よほど心して弾力的な予算の執行を考えるべきであろう、こう考えております。  今私が建設国債をとか前倒しを云々とか言う立場にはございませんけれども、広い意味で弾力的な対応を図って、やはり道路をよくするということは大事なことなので、あわせてこうした交通安全の五カ年計画等についても、これからは歩行者の安全を図らないような道路行政というのはあり得ないわけですから、きょうは出てきませんでしたけれども、例えば今各党にも私お願いしておるのですが、キャブシステムをもっと広げる、北の方は除雪作業がうまくいくように、全体的には通学道路の見通しがよくなるように、町の美化にも役立つように電線、電話線、こういうものを何とかして地中に埋める、そういう事細かなことを考えながら交通安全対策を考えていくことが必要であろうと思っておるところでございます。
  55. 永井孝信

    永井委員 終わります。
  56. 正木良明

    正木委員長 次に、上西和郎君。
  57. 上西和郎

    上西委員 私は、本特別委員会に付託をされております交通安全施設法案に関しては基本的に賛成の立場を堅持しながら、それに関連をして若干御質問をいたしたいと思うのであります。  まず第一点は、私よく気になるのでありますが、道路というと建設省が管理をしているところが道路であって、それ以外のところは道路でないようなことをしばしば国会周辺で耳にするのであります。したがいまして、まず最初にお尋ねしたいのでございますが、農道、林道、港湾道その他、いわゆる建設省所管外の道路で、現実に一般の生活道に供されているところでは交通事故はどのように発生をし、とりわけ死亡事故はどうなっているか、ここ若干の推移等について御説明いただきたいと思います。
  58. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  農道、林道等、道路法に定める道路以外の道路における交通事故の発生状況についてのお尋ねでございますが、昭和五十八年の発生件数は五千九件でございまして、全事故の一%でございます。うち死亡事故件数が百四十九件、これは全死亡事故の一・六%でございます。昭和五十九年が発生件数五千二百三十八件、これも全事故の一%、死亡事故につきましては百五十三件、全死亡事故の一七%でございます。昨年の発生件数が五千七百七件、全事故の一%、死亡事故が百五十三件、全死亡事故の一・七%ということでございますので、大体全事故の一%、死亡事故は一七%内外という状況でございます。
  59. 上西和郎

    上西委員 そうしますと、農道、林道、いわゆる建設省の所管外のところでも結構交通事故は発生をし、とうとい人命が失われている。こうなりますと、せっかくこの法案によってさらに五カ年間、大変安全上の施策の強化、施設の強化ということが行われるのでありますが、一方、建設省所管外の他の道路に関してはどういう施策が行われ、特に安全に関して、ざっくばらんに言って管理の水準、そうしたことについてはどのような現況にあるのか、御説明いただきたいと思うのです。
  60. 吉川汎

    ○吉川説明員 お答え申し上げます。  本来農道とか林道等は特定の目的のために整備される道路ではございますが、御指摘のように一般の交通も当然予想されるわけでございます。したがいまして、幹線の市町村道に準ずるような基幹的な農道の整備に当たりましては、道路法の道路の基準に準じた交通安全施設補助対象として実施いたしております。また、道路の供用開始に当たりましては、事前に所轄の公安委員会の立ち会いとか指導を受けるように都道府県を指導してまいっているところでございます。  また、その他の農道あるいは林道等の整備に当たりましても、道路の利用形態とか交通量等を勘案いたしまして必要な交通安全施設補助対象として実施できるような仕組みになっておりますので、今後とも交通安全の対策には万全を期するよう都道府県を指導してまいりたいというふうに考えております。
  61. 上西和郎

    上西委員 お答えは大変うれしく聞くのでありますが、念のためにお尋ねしたいのです。  私の選挙区は大変農道、林道の多いところでございまして、今おっしゃったように、当初の交通量等を予想されているいろされている。ところが、現実に農道がドーンと完成しますと、下手な県道なんかより便利になっちゃうのですね。バイパス的役割を果たす、大型ダンプカーとか、車がどんどん通る、そして痛ましい事故が発生しているわけです。そうしたいわゆる運開といいますか供用前の予測と現実の交通量等については、いわゆる数量の確認、統計の確認、そうしたことについては意を用いておられますか、参考までにお尋ねしたいと思うのです。
  62. 吉川汎

    ○吉川説明員 ただいま先生指摘のような事態は当然想定されております。ただいま数字はこちらへ持ち合わせておりませんが、冒頭申し上げましたように、農道とか林道というのは特定の目的を主体として造成された道路でございますので、供用開始に当たりましては、速度制限等もかなり緩いスピードで通れるような仕組みにするよう都道府県を指導しておるわけでございまして、場合によっては、特に農道なんかの場合にはトラクターというような低速車も通行するわけでございますので、そういった低速車の交通に支障がないように道路交通体系をしていこうということで、標識等にも十分意を用いておるつもりでございますけれども、なお今後ともそういうことにつきましては十分注意をしてまいりたいと考えております。
  63. 上西和郎

    上西委員 お答えはわかりましたが、私がここで重ねてお願いしておきたいのは、供用開始前の予測をはるかに上回る交通量、想像もしなかった大型車の運行、痛ましい事故が現に起きているわけですね。だとするならば、今お答えになりましたように、供用開始前に道路法に準拠するものを十二分にやった、それはそれで結構です。しかし、事実供用を開始したら大変な交通量だ。そういう予測以上のことが起こった場合に、改めてその施設で十分なのか、標識はいいのか、そうしたことについてもう一遍全国の、とりわけ農水省所管の農道、林道等を中心的に点検整備をされる、こうしたことについては警察庁あたりもやはり意を用いてもらいたい。建設省も、おれのところの道路じゃないなんて余りお考えにならずに、せっかく民主的な大臣が御就任になりましたから、もう一遍全国の道路、実際に国民が使っている道路、こういった観点で幅広く御検討いただきたい、これをお願い申し上げておきたいと思います。  次は、ちょっと私の選挙区といいますか居住区についてのことで少し恐縮なんでありますが、昨年八月三十日の深夜から三十一日の未明にかけて台風十三号が九州を直撃しました。大変な被害で、私も台風銀座の三丁目にずっと住んでいるのですが、私たちの体験では、少くなくとも戦後、数多い台風の中でも風の強さではビッグスリーに入る、これほどの大変な台風でございました。  ところがその後、一般県民大衆といいますか、住民の方々の苦情というのは、例えば電気がつかない、ガスが来ない、水道がどうだということに集中しておりましたが、一段落してみんなが気がついたのは、交通信号、標識がめったやたらにやられている。ところが、この復旧が余りはかどっていない。このことについて声なき声が私のところに随分寄せられたのです。大体鹿児島の県警本部というのは、明治の初期、初代大警視川路さんの伝統を受け継いでおりますから、綱紀粛正、警察庁の中でもまあAクラスに位される極めて士気高い鹿児島県警本部だと私は思っております。そうしたところでこんなにおくれるのは、一体警察庁というのは、こうした異常災害が発生したときに、ああ、それは鹿児島の県のことだからほっておけということで、予算上の措置とか復旧状況の確認とか、そういったことに一体意をお用いになっていたのかどうか、極めて素朴な疑問を持っておりますので、まず警察庁に、こうした場合にはどういう措置をとられるのか、普遍的な見解で結構でございますから、まずここで承りたいと思うのです。
  64. 八島幸彦

    八島政府委員 台風災害その他の天災等によりまして安全施設が破損をしたような場合につきまして、その復旧につきましては警察庁といたしましても十分関心を持っております。  御指摘の昨年の鹿児島県に上陸しました台風十三号についてでございますが、各県それぞれ緊急に復旧の措置をとりまして、確かに鹿児島県が一番被害が多かったせいもございまして時間がかかりましたが、それでも十月にはすべて安全施設の復旧が終わったと報告を受けております。この台風災害の部分につきまして特別にさらに補助金等を加えて交付するということはいたしておりませんが、安全に関する極めて重要なものでございますので、県の財政当局におきましても特別に考慮していただいて復旧がなされたと承っております。
  65. 上西和郎

    上西委員 今のお答えですと、十月で終わっている。そうしますと、極端な言い方をすると、九月、十月、二カ月間は国県道、市町村道、農道、林道を含めて、交通標識あるいは防護さくといったものについて随分傷んだまま、結果としては長いところで二カ月間あったわけでしょう。私はそこでどんな事故が起きたとかなんとか言いませんが、私も自分の選挙区外県内を時々走りますが、あら、またこれは曲がったままかというところを実は九月、十月随分見かけたのです。久しぶりに通りますと迷ってしまうのですね、信号機が風のために反対を向いてしまっているのだから。  私は、鹿児島県警の実情を私なりに知っています。正直言って、私はオギャーと生まれたときが警察署の官舎、小学校の三年のときは署長官舎に住んでいましたから、日本の警察官が昼夜を分かたず日本のため、国民のためにせいぜい努力をされていることはよく承知をしております。にもかかわらずこういうことになるなら、一体予算をどうつけてくれたんだろうか。いや、それは一番遠い鹿児島だからほっておけ、お江戸の周辺は一生懸命やるぞ、もし警察庁がこういうことでいるなら大変なことだ。  話は飛びますけれども、台風十三号の天気予報が報ぜられたときに鹿児島で専ら言われたのは、鹿児島県民の最大関心事の台風十三号の気象庁の予報がどんどんおろそかにされて、東京に近い十四号ばかり報道した。NHKだって警察庁だって、すべて建設大臣の大親分の方がおられるところを中心にいろいろ動かれているんじゃないか。こうなりますとやはり寂しいのですね。  だから、被害があることはあなた方はわかっていらっしゃるなら、やはり会もおろそう、場合によっては応援も出そう、こういったことで、びしっと一刻も早く回復をするという姿勢を警察庁みずからとられないと、台風十三号の災害は、全国至るところでどこでいつ起きるかわからない。その都度二カ月かかって終わりましたでは何のための交通安全なのか。私はこの点について極めて心外に思いますので、今なされたことについてはとやかく申し上げませんが、少なくとも警察庁を中心に、大臣もおられますが、各関係省庁が総力を挙げて、他の問題と同じように、この交通標識あるいは信号、防護さく、その他のことについての回復が一日も早からんことのためにぜひ御努力をお願いしたい、これは強くお願い申し上げておきたいと思います。  次に、話題を変えまして、私ちょっと気になるのは交通安全協会のことです。ただし私は、よく交通安全協会は警察官僚の天下り光とか、○○署長さんにせんべつ幾らやったなんてことが時々話題になりますが、そういうことをここで議論しようとは思っていません。  ちょっとお尋ねしたいのは、交通安全協会の常勤役職員、非常勤の役員は現在どれだけおられますか。その数をまずお示しいただきたいと思います。
  66. 八島幸彦

    八島政府委員 正確な数字承知しておりませんで恐縮でございますが、常勤の役員につきましては、鹿児島県の場合約二百五十人と承知しております。非常勤の役員につきましては、概数でございますが、全国に約二千人程度いると承知いたしております。
  67. 上西和郎

    上西委員 私の尋ね方が悪かったのでしょうか。全国の交通安全協会が中央、都道府県、各支部ありますね、警察署単位にある、こういうところの常勤の役職員は幾らいらっしゃるのですか。それから各町内会までいますね、支部長とか何とか役員、非常勤の役員、いわゆる春秋の交通安全運動のときに率先してたすきをかける立場の方々の数はどれだけなんですかとお尋ねしているのです。大体で結構です。
  68. 八島幸彦

    八島政府委員 先ほど間違ったことを申し上げまして、訂正させていただきます。  全国の常勤の役員数が約二百五十人でございます。それから、全国の非常勤の役員は一応ボランティア的な方々もたくさんいらっしゃるものですから、約二千人と承知しております。
  69. 上西和郎

    上西委員 局長、その数はちょっとおかしいのじゃありませんか。少なくとも警察署の数を勘定してもわかるでしょう。鹿児島といっても、三十はないけれども、二十七ですか警察署は。そこには交通安全協会があるわけですから、そこに非常勤の役員が一カ所に五名や十名いるでしょう。ちょっと合わないと思うのですが、もう一遍お尋ねしたいと思うのです。
  70. 八島幸彦

    八島政府委員 失礼いたしました。  二千人は県レベルの安全協会の非常勤役員でございまして、各支部の非常勤役員につきましては正確に把握いたしておりませんが、この十倍程度いるのではないかと承知しております。
  71. 上西和郎

    上西委員 では、重ねてお尋ねします。  過去交通安全協会が、交通安全協会の業務あるいは警察の要請等があって、いろいろありますね、いろいろな行事参加、行動参加、そうしたときに事故のためにけがや、あるいは不幸にしてお亡くなりになる、こういった事例はあったのかなかったのか、ちょっと参考までにお尋ねしたい。
  72. 八島幸彦

    八島政府委員 都道府県警察からの報告によりますと、最近三年間に交通安全活動等に従事中に交通事故等に遭った方は二十一人いらっしゃると承知しております。
  73. 上西和郎

    上西委員 死亡はどうですか。
  74. 八島幸彦

    八島政府委員 死亡はおりません。
  75. 上西和郎

    上西委員 それではお尋ねしたいのですが、二十一名負傷者が出ている。こういった方々に対する、非常勤の場合ですよ、常勤の役職員ですと当然労働者災害補償保険法が適用だと思いますから非常勤の役員の方々、ボランティア活動の方々に対してはどういう補償制度が適用されているのですか。
  76. 八島幸彦

    八島政府委員 非常勤の役員の方々の補償につきましては都道府県でいろいろ異なるわけでございますが、二十九都道府県におきまして、条例あるいは災害保険への団体加入等で措置いたしております。具体的に申しますと、条例で補償を決めておりますのが五道県、災害保険に団体加入しておりますのが十七都府県、それから安協で独自にそういう保険等に加入しておりますのが七県でございます。
  77. 上西和郎

    上西委員 ここで、大臣以下関係の方々でございますから参考までに申し上げたいのですが、私の体験です。  四十一年七月九日に私の同級生、旧制中学、高校とずっとクラスメートであった者が、消防団員として災害救助で出動したら、二次災害でまた崩れてきまして、そのために即死したのです。私たち全国に散在する同期生は、連絡をとり合って初盆に香典を届けた。墓前に報告をし、お参りをした。そのとき私たちは、消防団員だから当然災害補償はあるだろうと思って、余り突っ込みも何もしなかったのですが、その次の一周忌にお邪魔したときに、お父様とまだ三十になるかならない未亡人、がんぜないお子さんを抱えているのですが、よく聞いてみたら、遺族補償年金も何もない。そんなばかなことがあるか。何か勲章が一つと勲記が来ているだけでした。お父さんが、こんなものをいただいたけれども、これでは飯を食っていけぬとおっしゃいました。そのとき、あれだけの災害の中に出ていって命を失って本当に何もないのか、こう思いまして、私は当時選挙に出ようなんということももちろんなかったのですが、気のつく限りのところを走り回った。たしか四十二年か三年から、消防団員の皆さんには遺族補償年金の制度が開始されたとは私は記憶しているのです。  そうだとするならば、全国で九千名の方々が毎年命を失っている、交通安全協会を含めて交通安全連動に携わる方々の任務がますます重く大きくなっていくときに、交通安全協会のいろいろな活動に参加をしている非常勤の方が三年間で二十一名もけがをしている、命があったのがせめてもの幸いだと言えるのでありますが、ここらあたりで消防団員並みに国の制度で何か補償してあげる、こういうことをやってもいいのではないかと私は思えてならないのであります。  特に、集団登下校中の児童生徒に車が突っ込むようなことが続発しているわけでしょう。もしあそこにボランティアの奥さんがいたら、非常勤の役員の町の商店主の方がおられたらと思うとぞっとしますよ。子供さんも一緒、役員の方々だって一家の大黒柱だ。そうした方々に万が一の事故があったときに、いや、二十九の都道府県でこうやっていますから結構ですという気持ちではない、日本の警察はもっと温かい気持ちだと思いますので、これは警察庁だけの責任だとは思いませんが、法律とかなんとか言わずに、関係省庁挙げて取り組み、そうして交通安全協会の方々が安心してその先頭に立って交通安全運動を推進できる、こういう立場を欲しいと思うのであります。  その点に関して大臣、直接所管ではないと思いますが、きょう一番偉いのはあなたでございますので、ぜひ御見解をいただきたいと思うのであります。
  78. 江藤隆美

    江藤国務大臣 二、三年前に私のところで山火事がありまして、消防団が徹夜で火を消して、これでもう鎮火したということになってみんな引き揚げたのです。それが昼間にまた火を噴き出しまして、消防団員は仕事に出ていますから、親父さんが、私の一年後輩ですが、昔消防をずっと二十年も三十年もやってきた、音とったきねづかで、やはり村のことですから、子供が間に合わぬというのでかつての消防団員相糾合して山に登ったのです。そして焼け死んだ。  ところが何の補償もないのですね。今おっしゃった交通安全の無料奉仕と同じなんですよ。幾らやってみても何もないのです。現職は制度をつくったわけですが、そのOBもしくは善意の協力を消防活動にした人に対して何もないということで、消防庁に頼みまして、消防庁がちょっと出してくれると県も出せるものですから、消防庁長官の関根君に随分苦労してもらって、それから県にも出してもらい、町にも出してもらいまして、少しくまとまったものをお見舞いに差し上げたのです。  何でも銭金という時代ですけれども、これから先そういう善意の奉仕をした人の災害に対しては、おっしゃるような何らかの制度を当然考えでいいのではないか。これは政治全体の中で私どもが一回検討させていただく課題であろう。実は、あいつが死んだとき困ったがなと思いながら今お話を承っておったところであります。
  79. 上西和郎

    上西委員 さすがは中曽根派の闘将、中曽根内閣の一方の大黒柱、大変心強いお答えをいただきまして御期待申し上げております。今の大臣の御答弁が速やかに生かされるよう、関係の皆さん方の御努力もあわせてお願いしておきたいと思うのです。  ここで、少しく交通安全のことについて申し上げておきたいことがあるのです。  私の同窓で同じ鹿屋の出身で、もう既に退官しましたが建設省に奉職していた方が、随分前ですが鹿児島の国道事務所長に赴任してきました。幼なじみですから時々会って話をする。それで彼が非常におもしろいことを言いました。交通安全とかなんとかということをとかく専門家がやろうとする、標識がどうだ、ガードレールがどうだと言うが、おれは一度、マイクロバスを仕立てて国道事務所の事務屋を全部乗せて、気のつくことを全部メモしろと言ってスケッチブックとメモを持たせて、一回では回り切らぬから何回かに分けて鹿児島県内の国道をずっと走らせた。おもしろいアイデアですよ。紺屋の白ばかまという反省をした。この方は技官でしたから、自分はプロだと思っておったけれども、全然気のつかないところを具体的に指摘されて大変勉強になり、それを生かすことができた、こういう述懐をされたのを私はまだ鮮烈に記憶しておるのです。  とかく交通警察はおれが、いや建設省は道路はおれが、こういうお考え、これも大事であります。自信と誇りがなければ仕事は進みませんから、それはそれで極めて大事なんでありますが、やはりおか目八目といいましょうか、そうした目から見たところのいろいろな具体的なものを幅広く、心豊かに取り入れていく。そして日本国全体という大きな立場での交通安全の推進、このことが原点になければ、幾ら予算がつき、どんな立派な信号がつき、自動車学校で教習を重ねたって、交通事故というのはなかなか減っていかないのではないか、こう私は愚考しているところであります。  そうした意味合いで、局長、私の今申し上げたことについて何かあれば、せっかくですから警察庁はこう言ったということも欲しいと思いますので一言、それから道路局長さんからも一言御所見をいただければありがたい、こう思います。
  80. 八島幸彦

    八島政府委員 交通警察専門家だけの考えで行われおということにならないように、一般の有識者の意見をできるだけお伺いしながら、全国民的な行政という位置づけで今後とも努力してまいりたい、かように考えております。
  81. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおりでございまして、一例をとりますと、例えば案内標識でございますが、現在我が国の案内標識は非常に悪いと言われております。それは、案内標識というのは道を知らない方が利用するわけなのに、道を知っている人だけがわかるようなものになっておる、非常に独善的である、そういう御指摘を受けるところは随所にあろうと存します。その意味で、私ども、一年に一回ぐらいはいろいろな方にまじっていただいてパトロールをやり、御意見を承っておるのでございますけれども、そこらの制度をさらに拡充してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。どうぞよろしく御指導をいただきたいと思います。
  82. 上西和郎

    上西委員 最後に、今のことに関して大臣からも言いただいて終わらせていただきたいと思います。
  83. 江藤隆美

    江藤国務大臣 最近民活ということが言われますが、私は金だけが民活ではないと思っておるのです。知恵も民活だ。その手始めに、例えば建設街で民活を進めようというとき、建設行政に携わりながら、直接は関係していないが見ておる、あるいは都市再開発を直接担当していないがこういうふうにやったらいいなと、建設省の中でも全く素人の人が、あなたがおっしゃるように案外いい考え方を持っておることがあり得る。  そういうことで、おとといの朝、幹部に皆集まってもらいまして、ひとつそういう論文、提案を求めてみようではないか、要するに担当の課長、局長といったいわゆる専門家、権威者と言われる人たちだけが物を考えて進めるということではなくて、二万六千人おる建設省の職員の中に、我々が当面しておる物事についてそれぞれの考え方を持っておる人がおるはずだ、あるいはまたグループが話し合うこともあり得るであろう、一回それをやってみようじゃないかということで、近々成案を得ましたらそれを省内に出しまして、ひとつ意見をまとめてみょうということにしてあるのです。これは私は大賛成でして、やはりみんなが参加して、官民ともに一体になって新しい模索をすべき時代だと思っておりますから、私どももしっかり勉強してまいりたいと思います。
  84. 上西和郎

    上西委員 では終わらせていただきます。ありがとうございました。
  85. 正木良明

    正木委員長 次に、柴田弘君。
  86. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間がありませんので、自治大臣にひとつ質問をいたします。先回の所信表明に対する質問におきましても申し上げましたが、やはり交通事故の発生と交通安全整備というのは相関関係にある、こういうふうに私は思っております。我が党といたしましても、昨年の八月には、この第四次の交通安全整備計画の発足に当たってはそういった観点から十分な財政措置をして、ひとつ財源確保をして対策を強力に推進していただきたい、こういうふうに要望をいたしたわけであります。  ところが、残念ながら第四次は千三百五十億円という、先回の第三次の千九百億円に対しまして七一%、しかも第三次の執行率は六九%ということでありまして、今国が行っておりますいわゆる公共事業五カ年計画の中で、空港に次いで最低の執行率であった。その上なおかつこういったような七一%。しかも信号機の新設等々、先回の交通局長の御答弁にもありましたように、五百八十億円も地方負担が行われている。なるほど基準財政需要額の中に交付税措置をするといっても、それは三二%の中の交付税措置でありますから、これは地方にとってはプラスになるわけがない。起債といってもこれは借金であります。これは返済をしていかなければならない。  現実に先回もデータを申しましたが、信号機の設置数も、例えば全感応式では三百基がち二百五十基に減っている。プロ多段式におきましても一万一千三百八十五基から四千八百基、押しボタン式は六千から二千四百、あるいはまた歩行者用の灯器にいたしましても十一万から四万四千、車両用灯器は六万から二万二千、こういうふうに減ってきているわけであります。なおかつ八千人の交通事故死以下に抑えよう、こういう目標であります。ところが、本当にこれだけの計画でその目標が達成できるかどうかということは極めて疑問である、私はこう思います。  そこで、これは自治大臣にここでひとつあなたの重大な決意を一本当は確約をしていただきたいのですが、三年後に見直しがあると思います。私は、これを少なくとも二千億ベースに持っていく決意を持ってこの第四次の計画を見直すべきである、こういう考え方を持っておるわけであります。そしてなおかつ、予算の執行を一〇〇%やっていく、こういう決意をお願いしたい、このように思うわけですが、この第四次計画に取り組む、見直し、財源確保の問題、そしてこの執行の問題、これを一言決意を伺っておきたい、このように思います。
  87. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 交通安全の問題は、現代社会におきまして最も重要な課題でございまして、先生の御指摘のとおりであります。  いろいろ御審議いただいております今度の第四次につきましては、これまた御指摘のとおり、五百八十億を地方分として見ざるを得ないいろいろな状況があったわけでありますけれども、トータルといたしましては第三次を若干なりにも上回っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この問題につきましては基本的に警察といたしまして全力を挙げて取り組んでいかなければならない、そのように考えております。特に御指摘の三年後の見直しにつきましては、国の計画分といたしまして第三次を上回る二千億を目標として頑張ってまいりたい、そのように考えております。
  88. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、ぜひひとつ二千億ベースで努力をして頑張っていただきたいと思います。  特に、今後自動車の保有台数、運転免許人口も激増してまいりますし、あるいは道路の舗装整備も年々図られてまいります。そして都市化の進展あるいは地域開発の促進、こういったものによって今後交通環境というものは大幅に変化をしてくる。当然交通事故の発生件数というのは多くなってくると思います。だから、それを上回る交通安全対策整備ということが必要であると思いますので、どうかひとつ今おっしゃったような方向で、かたい決意のもとで最大の努力をお願いしたい、これは要望しておきます。大臣どうぞ、結構であります。  そこで、建設大臣にお伺いいたします。建設省所管の分は、今度の第四次計画は、調整費二千億を含めて一兆三千五百億円でありましたね。第三次に比べまして四八%の増加、これは非常に増加したということは結構なことだと私は思います。ところが、先回の第三次の執行率も八九・四%ですよ。積み残しがあると思います。今度四八%の大幅な増加をして、果たしてこの五カ年計画の中で十分な効率的な執行というものが図られていくか、あるいはまたこの一兆三千五百億円、調整費も含めて、これが果たして計画どおりきちっと実施をされるかどうかということを私は非常に心配いたしているわけであります。  現実に六十一年度予算を見てまいりますと、調整費を除きました一兆一千五百億円に対しまして、六十一年度予算は千九百八十七億円ですね。これはパーセンテージにいたしますと一七・三%なんです。普通なら五カ年計画でありますからこれは二〇%が平均でありまして、今御答弁の中でとにかく内需拡大のためにやるんだ、大臣はこうおっしゃいましたよ。そういった名目も当然あるわけであります。ところが、五カ年計画といっても初年度から二〇%を割る一七二二%で、果たして五カ年の中でこの一兆三千五百億円が十分に効率的な執行が図られるかというと、私は非常に疑問に思っているわけなんです、初年度がこれなんですからね。この辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  89. 江藤隆美

    江藤国務大臣 この五カ年計画の改定のときに議論になりますことは、七一、二%の達成率、わずかに公営住宅だけが九四になるのですが、それだったらいっそのことやめてしまえ、五カ年計画というのは無意味じゃないかという議論があるわけです。しかしながら、五カ年計画だから、スタートの年は悪くてもやはり目標を高々と揚げて、五年の間には状況変化もあろうし、終戦直後、例えば道路でも、昭和二十九年に第一次道路整備五カ年計画が始まって今第九次ですね。やはり継続性があって五カ年計画、五カ年計画とここまでやってきたのだから、金がないからその五カ年計画をやめてしまえということにはならない。しかも五カ年の間には状況変化もある。だから、どうしても五カ年計画は目標として立てるべきであるということで、五カ年計画というものはこうしてできてくるわけです。その間にはやめてしまえという意見がないわけじゃないです。  しかし、少なくとも閣議決定をして国会でお認めをいただいてスタートするからには、これからは、私はいつも省内で言っておりますように、もう今までのようにできませんでした、しようがありませんでしたでは建設行政のかなえの軽重が問われる。いつもそういうざまかということでは、これはもう面目ない話だから、何としてもこれからスター牛する五カ年計画は絶対に達成するという心構えで取り組んでいこう、こういう話をいつもしておるわけでございます。  これは、ことしの六十一年度予算は昨年暮れにできまして、私が就任する前にできたわけでございますから、これにもやはり継続性からいって責任がありますが、これはこれから次年度、またこの予算が通りますといよいよ積み上げが始まってくるわけでありますから、そういうつもりで私どもは今後取り組んでいこう、こういうふうに思っておるところでございます。
  90. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今大臣おっしゃいましたように、これは交通安全対策の五カ年計画ばかりじゃなくて、建設省所管で言えば都市公園の五カ年計画もありますし、あるいはまた道路整備の五カ年計画もあります、下水道もありますね。道路整備の方は六十二年度までですね。ところが、これも六十一年度を見てまいりますと、末で七一・六%ですね。まだ六十二年度まで一カ年あるわけでありますが、あと三〇%近く予算を計上しないとこれは一〇〇%達成できない。各公共事業のこういった計画が閣議決定をされ、しかも国会で審議をして、そして今おっしゃったように出会で議決をして認めても、最後、財源難がどうだったとかいろいろな状況によって執行がなされてない。政府の八つの公共事業は平均して大体七〇%程度なんですね。それを見まして、果たして何のための計画であろう、こういうことを私どもはしみじみ感じている。しかも、公共事業の拡大ということが今叫ばれている中で、やはりこれは一番緊急必要なことだ、こう私は思います。  今御答弁がありましたように、さらなる御決意を固めていただいて、計画として一応策定した以上は、一〇〇%はもちろん、あるいはそれ以上に、また三年後の見直し等々もあるわけでありますが、やはりそれ以上の執行に持っていくんだ、こういった決意のもとでひとつ事業を推進していたたきだい、これは要望しておきます。  あと時間が五分程度しかありませんので、交通局長さんにお尋ねいたします。  私ども昨年の予算要望で、交通安全のための中央研修所を建設したらどうだ、これは自動車教習所の指導員の皆さんあるいは安全運転管理者の皆さん、交通警察官あるいはまた交通安全教育指導に携わる指導員の皆さん、こういった方たちの養成と、より一層の質の向上を図る研修機関として、こういった研修センター的なものをひとつつくったらどうだ、こういう要望をいたしました。この問題は何もこういった予算要望のときだけでなくて、これは前から私どもの先輩、同僚である各議員の方から絶えずこの委員会において質疑をし、要望してきたわけであります。そういった考え方が今どうなっているのか、ひとつお聞かせをいただきたい、このように思います。
  91. 八島幸彦

    八島政府委員  お答えいたします。  先生指摘のその種の施設といたしまして、自動車安全運転センターの中央研修所を現在つくる計画がございます。この自動車安全運転センター国家公安委員会の認可を受けて設立された法人でございますが、このセンターは昭和五十年に設立されたわけでございますが、中央研修所準備室を設けまして、研修施設の具体的な検討、あるいは研修用カリキュラムの検討等基本構想を作成するために必要な作業を行ってまいったところでございます。  現在、中央研修所の用地につきましては、五十六年十一月に国有財産中央審議会から大蔵大臣に対しなされた答申によりまして、茨城県の水戸射爆場跡地のうち約百ヘクタールを利用することが認められております。そういうことで、現在中央研修所建設の総工費を幾らにするか、あるいは具体的なコースの内容、研修の内容規模等について目下鋭意関係機関と協議をいたしておりまして、細かい詰めを行っているところでございますが、できるだけ早く工事に着工いたしまして、またできるだけ早くそれが完成されるように今後努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  92. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いずれにいたしましても、とにかく一日も早く研修が開始できますように前向きな努力をお願いしたいと思います。  総工費、着工の時期あるいは研修開始の時期等等については、もしそういったものが今あなたたちの方の考え方にあれば御説明をいただきたい、こう思うわけでありますが、その辺のところを伺いまして、一日も早く着工し、完成し、そして研修が開始できることを要望したい、こういうふうに思っております。その辺のところだけ、あと一分しかありませんので、わかっておる範囲でいいです。
  93. 八島幸彦

    八島政府委員 今最終的な詰めをやっておる段階でございまして、確たることを申し上げる段階にはございませんが、私どもの希望といたしましては建設費は百数十億くらいをかけたい、また建設時期につきましても、できれば六十一年度から開始をいたしたい、かように考えております。
  94. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 終わります。
  95. 正木良明

    正木委員長 次に、斉藤節君。
  96. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 まず最初に大臣の御所見をお伺いしたいのでありますけれども交通安全対策事業の取り組みに対する基本的理念について御所見を承りたいと思います。  そもそも動物が植物と異なるのは、いわゆる移動するものであるということでございます。特に人間には居住権がありますが、これは逆に移動権によって支えられているとも言えるわけでございます。このように、いわゆる移動が自由かつスムーズで安全に行われなければならないと思うわけでございますけれども、そこでまず第一に、人命尊重という観点から申し述べますと、移動自由の確保、それから安心して自由な移動の可能ということから、効率ある安全の確保と生命の安全の確保が要求されるわけであります。  しかし、昨年の交通事故による死亡者の数は九千二百六十一人で、月平均七百七十一・七五人、一日当たり二十五・三七人、比較するのはちょっとあれでありますけれども、日航ジャンボ機事故死者数と比較すると、ジャンボ機の死傷者というのは交通事故死者の一カ月分にも満たない、そういう数であるわけであります。この重大な道路交通事故死というものが日常茶飯事になっている、なれっこになっているということは、私は極めて恐ろしいことであると思うわけでございます。また、がんが盛んに制がんとかその他で叫ばれておりますけれども、がんによる死亡者数よりもこの交通事故死者の方が多いということであります。がん対策が大声で叫ばれていることは私は大いに結構だと思うのでありますけれども、しかしこのような交通事故死に対しても、もっと大声で叫ばなければならぬのではないか、そんなふうに思うわけでございます。  そのようなときに交通安全費が削られるという状況は一体どういうことなのか、私は非常に疑問に思うわけでありますけれども、今、もう一度ここで見直すべきと思うのであります。何か今まで見ておりますと、対策が硬直化してきているんじゃないか、そんなふうに思うわけでありますけれども、これをまず人命尊重という立場から一つ申し上げて、御所見を承りたいのであります。  次は、経済的な観点から申しますと、国民の自由移動の確保、つまり運搬手段という点から交通安全対策があるわけでありますが、いわゆる物資輸送の効率化、つまり円滑化の問題があります。  卑近な例で申しますと、国鉄などは、例えば特急あるいは急行が二時間以上おくれたら払い戻すというような制度があるわけでありますけれども、しかし交通渋滞によるおくれについては、だれがその責任を負うのかという問題が私はあるのではないかなと思うわけでございます。それで、道路交通法第一条、これは目的でありますけれども、ここには「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。」このようにあるわけであります。ここで言う「円滑」ということは、いわゆる危険の度合いを示すバロメーターであると私は思うわけであります。なぜかと申しますと、円滑というのはスピードであります。したがってこれは危険とパラレル、比例するものでありますから、そういうような観点から、経済性の上からも交通安全対策というのは重要な問題であろうかと思うわけであります。  この二点について、まず最初に大臣の御所見を承りたいと思うわけでございます。
  97. 江藤隆美

    江藤国務大臣 今お話を承って、私、大きく二つあるような気がいたします。  一つは、当面する交通安全施設をどうするかということがあります。例えば歩道ですとか自転車置き場ですとか、標識ですとか信号機ですとかあるいは段差の解消ですとか、そういうふうないわゆる既にできておる、これからつくる道路について安全施設をどうするかということが一つあると思います。  それから今、移動の自由という大変ユニークな表現をいただきましたが、そうして私ふと思いますと、やはり日本の国道というものは総延長のうちの大体三五%が渋滞区間になる、これは渋滞の時間というものはありますから朝から晩までというわけではありませんが、都道府県道においては総延長の三六%は渋滞する。それから東名、名神においては、高速道では年間に六千回の渋滞が起こる、一日十六回に当たる。首都高速においては八千八百回渋滞が起こる。それは一つのいらいらであり、そういうことがやはり交通事故に結びついていくということを考えますと、国県道においてはバイパスをつくるとか、二車線を四車線にするとかあるいは交差点の改良をするとか、そういうことをやっていく必要がある。  ところが、改良率を見ると、都道府県道から市町村道まで入れて百十二万一千キロ、国県市町村道合計すると、まだ三八%程度しか道路の改良はできてない。道路の舗装は、簡易舗装を入れるとまだまだ五八%しか終わってない。日本の道路というものはまだこういう未成熟の状態にある。ですから、ただ単に安全施設だけを完備したから交通事故がなくなるというものではないのであって、本質的に日本の道路というのはまだ未整備状況にある。ですから、これを我々は、一方においては交通安全施設の五カ年計画をやると言いながら、片っ方で道路整備五カ年計画、あるいはまた高速自動車道路の建設というものを精力的に両両相まって進めていかなければいけないんだろうな、こういうふうにお話を承りながら実は考えておったところでございます。
  98. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 経済性についてはどのようにお考えになりますか。
  99. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私、宮崎県でありますが、宮崎県で見ますと、人間の移動はもう九六%は車、すなわち道路なんですね。すると九〇%の貨物はやはり道路なんです。あとの一〇%が鉄道と、それから私のところはカーフェリーがありますかも、カーフェリーなんですね。ですから道路が渋滞するということは、それだけに大きく経済性を損なっていく、こういうことの一番大きな原因になりますね。  これはもう先生、北海道大学で学ばれたわけで、北海道で今やっていますが、牛乳の値段を一円上げるということは今大変なんですね。ところが、国鉄があのまま順調に流れておりまして、今のようにタンクローリーでもって運ばずに、列車でもってあれを大阪に運んでおりましたら、大体キロ当たり十七円ぐらい得をするんですね。十七円ということは、六千キロを出しますと大体一頭年間十万円ぐらいでしょう。五十頭の人は五百万、輸送手段を変えるだけで五百万円の所得増になるんですね。ですから私は、日本の物価というのはいわゆる移動の運賃である、包装費と運賃が日本の物価を形成しておるというような気がしてならないのですね。
  100. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 大変心強い話をお聞かせ願ったわけであります。本当に経済的に効率的な交通安全を含めたそういう交通という問題を、これから頑張っていかなければならないなと私思うわけでございますけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  さてそこで、警察関係についてお尋ね申し上げますけれども、六十一年度からの第四次交通安全基本計画についてお尋ねしたいと思います。  昨年一年間の交通事故は、件数でいきますと五十五万二千件に達しているわけであります。この交通死亡者につきましては、今申し上げましたように九千二百六十一人であるわけでありますけれども、これで五十七年以来の四年間続けて死者が九千人を超えているわけでございます。それで、犠牲者を八千人以下に抑える、こういう第三次交通安全基本計画は目標を達成できずに終わるのじゃないかな、そんなふうに私は思うわけであります。  そこで御質問申し上げたいのですが、第四次五カ年計画が六十一年度より実施されるわけでありますけれども警察としての基本理念は何か、お尋ね申し上げたいと思います。
  101. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  第四次交通安全施設等整備事業におきましては、公安委員会所管の分の基本理念でございますが、幹線道路の円滑化、都市交通機能の確保交通弱者の保護を重点に事業を推進しまして交通事故の増加傾向に歯どめをかけたい、かように考えておるところでございます。
  102. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、次に御質問申し上げますけれども、今日大変厳しい財政状況下にあるわけでありますが、第四次五カ年計画計画どおり達成できる見込みはあるのかどうか、その辺もお尋ねしたいと思います。
  103. 八島幸彦

    八島政府委員 第三次の五カ年計画につきましてはまことに残念な実績にとどまってしまったわけでありますが、私どもといたしましては、第四次五カ年計画事業につきましては、完全達成を目指しまして最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  104. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では次に、続いて警察庁の方に御質問申し上げますけれども交通の安全と円滑、先ほども円滑というのはスピードだということを申し上げましたが、これを図るために第四次五カ年計画では具体的にどのような施策を進めておられるのか、詳しく御説明願いたいと思います。
  105. 八島幸彦

    八島政府委員 まず特定事業でございますが、老朽化しました施設の改良あるいは高性能化に重点を置いております。具体的には、低性能かつ老朽化しました三十一の交通管制センターの設備の改良あるいは高性能化。  第二に、既設の七十四の交通管制センターの制御エリア、コントロールの区域でございますが、制御エリアの拡大及び交通管制サブセンター、補助的なセンターでございますが、そのサブセンターを五十の都市に設置する。  第三に、低性能かつ老朽化した信号機、約三万基ございますが、この三万基の改良と高性能化を図る。  第四に、信号機の、閑散時、交通量が少ないときの感応化あるいは右折感応化等の新たな機能を付加する、こういったことを中心に第四次計画は実施いたすことにしておるわけでございます。  また、地方単独事業におきましては、従来の特定事業で実施しておりました信号機の新設、それから標識、標示の大型化等、また地域の実情に即した標識、標示施設整備等を進めてまいることといたしております。
  106. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、この五カ年計画の第三年度調整費等について見直しを行うというふうになっているわけでありますけれども警察としてはこれに対してどのような考えで臨むつもりでおられるわけでございますか。
  107. 八島幸彦

    八島政府委員 第四次の特定事業につきましては、先生承知のように、二百億円の調整費を含めておりますが、三年後の見直し時期におきましてはこの二百億円の具体的な事業の裏づけを図っていくということ、あるいは先ほど大臣が答弁申し上げましたように、千三百五十億という枠につきましてもできるだけ増額改定の方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  108. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その調整費は有効に、効果的に行っていただきたい、そんなふうに思うわけでございます。  最後でありますけれども、二十一世紀に向けて高齢化社会になっていくわけでありますが、安全設備についてどのような考えを持っておられるのか、五カ年計画にどのように盛り込んでいかれる考えなのか、この辺お聞かせ願いたいと思うのです。  と申しますのは、老齢化社会になりますと、私もこれからだんだん老齢化していくわけでありますけれども交通信号の時間間隔が、元気な人なら十分通れる時間であっても、老齢化していきますとだんだんと体が自由になりませんから、そういう点で普通の人より時間がかかる。そのときに、自分が自信がないなと思うような場合には信号機をちょっと、目の見えない方、障害者の方が今やるような、ああいう信号のように何かやると間隔が長くなるとか、そんなようなことなど、そのほかいろいろあると思うのでありますけれども、これから二十一世紀に向けて老齢化社会になってくるわけでありますから、その辺どのようにお考えになっておられるか、その辺もお聞かせ願いたいなと思っております。
  109. 八島幸彦

    八島政府委員 これからますます老齢化社会を迎えることは先生の御指摘のとおりでございます。警察といたしまして現在行っておりますのは、老人ホーム等の高齢者の利用度の高い施設の周辺地域をシルバーゾーンとして設定いたしまして、ゾーン内における歩行者道路、速度規制、一方通行あるいは御指摘の信号現示の延長、あるいは押しボタン信号機の設置横断歩道設置等、お年寄りの安全を主とした、目的とした安全施設整備を一層図ってまいりたいと考えております。
  110. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 これで警察関係の質問を終わらせていただきます。  総務庁の方、いらしておりますか。——先ほども大臣にちょっとお伺いし、御所見を賜ったわけでありますけれども、総務庁としては、先ほど申し上げたようなことについてはどのようにお考えになっておられますか。
  111. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  先生御質問ありましたように、国民の身体、生命を交通事故の脅威から守り、その安全を確保するということ、それから同時に交通の円滑を確保するということ、これは交通対策として極めて重要な、基本的な課題でございます。  このため私どもといたしましては、現在第三次の交通安全基本計画の最終段階に至っておりますけれども、この中におきましても人命尊重を基本理念といたしまして、特に歩行者の方々に対する安全対策、つまり人の保護ということを念頭に置きまして、歩道整備とか歩行者自転車利用者あるいは幼児とか高齢者、こういった方々が安心して通行できるような道路環境整備という問題、それから同時に今度は、交通道徳に基づいて自発的な交通安全意識の高揚を図るための生涯を通じた交通安全教育の推進、それから広報活動の充実、こういったことを重点といたしまして進めてまいっておるわけでございます。  また、この安全と同時に、円滑な自動車交通という問題につきましては、御案内のとおり大変交通が過密化、混合化いたしておりまして、特に都市部等におきましては、幹線道路等を中心にいたしまして道路混雑ということもございまして、それに伴う事故なりドライバーのいら立ちなり、こういうものもございますので、これにつきましては先ほど来話がありましたように、交通安全施設整備の面では管制センターとか信号機の高度化、拡充とか、あるいは道路の交差点の改良とか案内標識の問題とか、いろいろそういった施設整備ということ、あるいは効果的な交通規制とか道路使用の適正化、これを三次の計画において進めてまいっておるわけでございます。  第四次計回を、やがて六十一年度からスタートさせるべく事務方で現在関係省庁と検討いたしておるわけでございますが、今申し上げましたものをより鮮明に打ち出してまいりたい、こういうことで現在関係省庁と緊密な連携を保ちながら総合的な検討をいたしておる、こういう段階でございます。
  112. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その点よろしくお願いしたいと思うわけであります。次に、建設省関係の質問をさせていただきます。  まず、道路局長にお伺いしますけれども、首都圏中央連絡道路の早期建設についてお伺いしたいと思うわけであります。これは私の選挙区でもありますので大変恐縮でありますけれども、お聞かせ願いたいと思います。
  113. 萩原浩

    萩原政府委員 首都圏中央連絡道路は、東京都心から四十キロあるいは五十キロの半径のところでございまして、延長約二百キロの非常に大きな幹線道路でございます。そのうち八王子市から埼玉県の川島町に至ります都市計画決定の予定をいたしておりました区間、約五十キロございますが、埼玉県の二十八キロにつきましては、ついせんだってでございますが、昭和六十一年二月二十四日に埼玉県の都市計画地方審議会におきまして議決されております。したがいまして、六十年度中に都市計画決定の告示がなされるであろうというふうに考えております。  問題は東京都内でございますが、東京都内分二十二キロメートルにつきましては、計画の周知を図るために、五十九年十月以来地元に路線計画についての説明を実施かたしております。残念ながら一部の地域におきまして環境問題等によりまして住民の反対の声がございまして、計画の進捗がおくれているという実態にございます。今後は早急にこの東京都内分の都市計画決定が図られますように関係機関との調整を進めまして、それを踏まえて八王子市から鶴ケ島間四十キロメートルの早期完成が図られるように今後鋭意努力したい、こう考えておる次第でございます。
  114. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その辺よろしくお願いしたいと思います。  次に、多摩川中流部の橋梁及び関連道路の早期着工についてお伺いしたいと思います。
  115. 萩原浩

    萩原政府委員 多摩川中流部の架橋の問題でございますけれども、数多くの計画がございます。しかし、公共事業その他の財源の問題がございまして予定どおりの進捗がなかなか図れませんので、この建設手法につきまして多様化を図りたいということで今鋭意都の方でも検討を始められたところでございますが、私どもといたしましても、そこら辺を十分踏まえまして都と打ち合わせの工事業の進捗を図ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  116. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 それはよろしくお願いしたいと思うわけであります。  次は、建設省として道路交通安全確保のためどのような措置を講じているか、昭和六十一年度予算においてどのように措置されておるか、その辺、御説明願いたいと思うのです。
  117. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほども大臣が御説明申し上げましたように、交通安全の問題は、根本には道路整備の推進ということがあろうと存じますが、それは別といたしまして、当面の道路交通安全の問題といたしましては、五カ年計画に基づきまして歩道自転車歩行者道の整備、これを第一の目標として掲げてございます。それから、交差点の改良あるいは登坂車線設置というようなことで交通のいらいらの解消を図りたい。それから第三番目には、道路標識あるいは道路情報装置の整備を図りまして円滑な運転に資することにいたしたい。それからもう一点は、自転車駐車場整備を図ること、これによりまして歩きやすい歩道というものの確保を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  この五カ年計画の第一年度といたしまして、昭和六十一年度は千九百八十七億円の事業費を計上いたしておりますが、これは昭和六十年度に対しまして一・一〇、一〇%増の予算を計上いたしておりまして、現在御審議をいただいておるところでございます。  このような交通安全対策とは別個に、一般の道路改築事業におきましても、現道の拡幅であるとかあるいは小規模のバイパス、これをすることによりまして歩道設置することができるとか、あるいは現道の通行を減少いたしまして交通事故の減少に役立たせる、こういうような改築事業の推進をいたしまして、昭和六十一年度事業費といたしまして六千三百二十九億円を予定いたしております。これは対前年度一・〇八、八%の増ということでございまして、六十一年度はこのような事業を予定いたしておるところでございます。
  118. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では次に、建設省は交通安全施設等を十分配慮した道路整備を重点課題としておるということを聞いておるわけであります。建設大臣交通安全対策事業に対する御所見を先ほども大分聞かせていただきましたけれども、特に高齢者あるいは身体障害者等の交通弱者といいましょうか、こういう方々に対する交通安全施設等整備事業の考え方をお伺いしたいと思うわけでございます。ひとつ大臣の御所見をお願いしたいと思います。
  119. 江藤隆美

    江藤国務大臣 やはり体の不自由な人には、特に道路標識をきちんとするということが一つございますし、道路の段差をなくするということがやはり大事になってくると思います。それから道路を広くする、それは車道を整備すると同時に自転車の整理をする。それから、できるだけ電柱をなくして、電線、電話線を地下に埋めて歩道を広くしていくというような、総合的なそういう思いやりがやはり必要だろうと私は思っております。  六十歳以上高齢者という話が朝から出まして、高齢者高齢者と言われて、私もちょっといささか落ち込んでおるところです、そういう仲間に入ってくるのかなと思いまして。やはりそういう人たちがどんどん出てくるわけですから、道路は車のためにあるという、強い者がまかり通るという考えではなくて、その陰に弱い人が押しやられないような、そういう温かい思いやりというものが行政の中ににじみ出てきているのではないか、こういうふうに考えておりまして、心してこれからやっていきたいと思っております。
  120. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 大臣、よろしくお願いしたいと思います。交通弱者を守っていくというのはやはり大切なことじゃないかなと思っておりますので、ひとつよろしく。  もう時間がありませんので最後でありますけれども、今後首都圏における道路事情はますます混雑が予想されると思われるわけであります。このような観点から、東名、中央、東北道等の各高速自動車道の道路交通の分散化、またこれに接続し、これらの地域における交通の円滑化と土地利用の適正な誘導を図るためにも、首都圏中央連絡道路整備が急務であると私は考えるわけでございますけれども、建設省のお考えを再びお聞かせ願いたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  121. 江藤隆美

    江藤国務大臣 先生のおっしゃるとおりでありまして、私が首都圏の高速道路が年間八千八百回も渋滞するというのは、今おっしゃったような高速道路から入ってきますけれども、横へ抜けるところがないのですね。みんな一点集中で真ん中にやってきますから、どうしてもそこで渋滞が起こる、こういうことで、私どもはこの中央連絡高速道路、いわゆる外環状道路、それからやはり十四、五キロを中心とした内環状道路、それからもう一つは東京湾岸道路、木更津からずっと来まして、今度は横浜から湾岸五期をやるわけでありますが、こういう横に散らしていく道路整備しないと、幾ら優秀な高速道路を延ばしましても、東京へ来たときはだめだということですから、これは全力を挙げて、そういうおっしゃる中央連絡高速道路の建設は何としてもやりたい、私どもはこれは悲願なんです。また、ぜひ応援をお願いしたいと思います。
  122. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ぜひそれをお願いしまして、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  123. 正木良明

    正木委員長 次に、辻第一君。
  124. 辻第一

    ○辻(第)委員 交通安全施設等整備事業計画について伺います。  五カ年計画特定事業達成率を見ますと、第一次計画道路管理者分一〇三・八%、公安委員会分一〇五・二%、第二次計画はそれぞれ一〇三・九%、九四・九%、第三次に至っては八九・三%、六九・〇%にととまっております。  そこで伺いますが、特に第三次計画達成率が低かったのはどうしてでしょうか。また、せっかくの計画も、このような達成率状況ということは大変な問題であります。第四次計画では目標達成のためにどのようにされるのか、それぞれお答えをいただきたい。
  125. 萩原浩

    萩原政府委員 特定交通安全施設等整備事業五カ年計画進捗率は、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。特に第三次、昭和五十六年度から六十年度にわたる五カ年計画でございましたけれども、この達成率が最も悪いということも先生指摘のとおりでございます。この原因につきましては、昭和五十五年から五十九年にかけましてゼロシーリングマイナスシーリング、いろいろな財政事情がございまして、それがちょうどこの五カ年に重なってしまいまして、非常に事業量の伸び、事業費の伸びが図れなかったということで、大変残念ながら八九・四%の達成率にとどまる見込みでございます。  こういう状況のもとで、一方では交通事故が九千人を突破する、なかなか八千人以下に抑え込まれないという事態でございますので、私どもといたしましては、何とか交通安全施設整備を進めまして、少しでも交通事故の削減、死者の削減を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。したがいまして、六十一年度から六十五年度にわたります第四次五カ年計画は、第三次五カ年計画の一・四八倍の事業費を計上いたしまして、この完遂を目指して頑張りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  126. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  交通安全施設の公安委員会所管分につきましても、御指摘のように特定事業につきましては六九%という達成率でございまして、まことに低い結果となりましたことは甚だ残念に存じているところでございます。その理由でございますが、国の厳しい財政事情下によるものでございまして、特に公安委員会所管分につきましては、警察庁の分は御承知のように特定の財源がございませんので、一般会計の予算ということもありまして、特に厳しい財政事情が反映された結果だというふうに思っております。  第四次につきましては、第三次の計画に比較しますとまた一段と厳しい特定事業規模になっておりますけれども、この分につきましては、地方単独事業を含めまして、全体的に第三次を下回らないような計画にいたした次第でございます。
  127. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な対応をやっていただきたいと要望いたしておきます。  次に、第二阪奈道路の問題についてお尋ねをいたします。  私は、昭和五十九年の三月十二日の衆議院の予算委員会第八分科会で、環境アセスメントを十分行うこと、住民の合意と納得を得て計画を策定、決定していくことの重要性を指摘いたしまして建設大臣の所見を求めました。  これに対しまして水野建設大臣は、   幹線道路建設についてはいろいろな騒音その他の問題が出てまいりますが、沿道の方々に対する生活環境の保全ということは、道路行政にとって大変重要なことである、これは承知をしております。建設省といたしましては、道路建設に当たりましては、地形地質、騒音、大気質などの調査を行いまして、あるいは環境影響評価を実施いたしまして、その結果を踏まえた上で適切な道路構造を採択をしております。環境面に対する十分な配慮も行っているわけでございます。 このような答弁をされました。  ところが、昨年十二月、奈良県知事は、第二阪奈道路建設計画で、環境アセスメントは極めて不十分なまま、沿線住民の説明もまだ完了していないにもかかわらず計画の縦覧を強行し、都市計画審議会の答申を得たとして、都市計画法第十八条に基づく計画の認可を昨年十二月二十三日に申請をいたしまして、建設大臣は、即日これを認可されたというふうに聞いているわけでございます。本来、アセスメントは、環境を悪化させないために行うものであり、代案も含めてアセスメントを実施した結果、計画の中止または変更もあり得るものであります。  ところが、奈良県が行った第二阪奈道路についてのアセスメントは、計画を強引に進めるためのパスポートを手に入れるようなもので、現況調査もほとんど行っておらない、大気汚染においては調査項目を二酸化窒素と一酸化炭素のみに絞っていて、重要な地質構造などについても十分な調査を行っていない、このような内容のものであります。  こういう状況の中で幾つかの問題についてお伺いをするわけであります。奈良県側で言えば生駒市と奈良市とが主に関係があるので、それぞれ大変な問題があるのですが、きょうは生駒市地域の問題についてお伺いをするわけでございます。  一分のランプ、小瀬のランプ、そして工事用取りつけ道路ということを中心にしてお尋ねをいたします。  第一は一分のランプでありますが、ここは、アクセスとして考えられている国道百六十八号線というのがあるのですが、ここは一日一万五千台から一万六千台の車が走るのですね。非常に狭いのです。当然交通渋滞、道路公害というような状況になっているのですね。そのために道路を改良する、あるいはバイパスをつくる、こういうことがいろいろ検討されてきているのですが、まだ確定をしていないという大変難しい状況のところなんですね。こういう百六十八号線をアクセスにするというようなことになりますと大変なことになるのです。またバイパスをつくるとすれば、それはそれで、沿線関係住民に多大な影響をもたらすという大きな問題があります。  この国道百六十八号線が一分ランプのアクセスになるとすれば、この地域の国道百六十八号線についての改良計画はどのようなものなのか、建設省として御存じであればお示しをいただきたい。
  128. 萩原浩

    萩原政府委員 御指摘の第二阪奈道路と交差をいたします国道百六十八号の改良計画でございますけれども、生駒市の乙田から小瀬までの間につきましては小瀬工区と称しておりまして、長さ八百六十メーター、これは昭和五十二年度事業に着手いたしまして、現在、用地及び工事を促進をしているところでございます。  また、その小瀬から北の方でございますが、生駒市の東生駒までの間につきましては、昭和四十二年に都市計画決定されました奈良西幹線の一部を国道のバイパス事業として整備することといたしまして、一分工区といたしまして延長二・七キロ、昭和五十九年度事業着手いたしました。現在、用地買収を進めているところでございます。今後、この百六十八号線につきましては重点的に整備を図りまして、第二阪奈道路の一部供用開始、暫定供用開始といいますか、二車線の供用開始までにできる限りの整備を図り、昭和七十五年に予定をされております全面開通までには全面的に整備を終わるという予定で事業を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  129. 辻第一

    ○辻(第)委員 次は、小瀬ランプの問題であります。小瀬ランプでは、生駒市の東生駒、さつき台、はぎの台、このような第一種住宅専用地域を通過する都市計画街路菜畑乙田線をアクセスに使うことになると思います。そして工事用車両の通過と、供用開始後は相当数の車両の通過が予測をされるわけであります。このことにより、第一種住専としての住環境は一挙に重大な影響を受けることは明らかであります。また工事に伴う建設資材、土砂運搬車両用の取りつけ道路計画も当然あるはずでありますが、これについては何の地元説明もないという状況であります。  さて、小瀬のランプのアクセスに使おうとしております都市計画街路は第一種住専を通過するものであり、ここをアクセスに使うということは極めて不適切な問題であろうと考えます。今日では、安全街区の形成は一般にも広く求められているところであります。本来、幹線道路の通過は住宅地を避けるべきではないでしょうか。建設省の見解を求めます。
  130. 萩原浩

    萩原政府委員 小瀬ランプは、先ほど先生指摘の一分ランプと一体となって一つのインターを形成するものでございます。したがいまして、小瀬ランプは奈良側に向けて位置するというランプになるわけでございます。この小瀬ランプに、菜畑乙田線がちょうどくっつくような格好になっておるのは先生の御指摘のとおりでございます。  それで、第二阪奈道路は当初暫定二車線で供用することにいたしますけれども、この第二阪奈道路のそばに側道をつけますものですから、例えば小瀬ランプで奈良側からおりた方も、さらにその側道を使って、百六十八号を使って歯あるいは北の方に分散するというような交通も当然考えられます。現在のところ、暫定で供用したときに、この小瀬ランプは一日約二千六百台ぐらいが乗りおりするのではないだろうかというように考えております。また、先ほどの一分ランプも同じような乗りおりになるだろう。  そこで、交互に行き交っていくわけでございますので、菜畑乙田線にどのくらいの交通量が流入するかということについてはまだ定かではございません。私どもといたしましては、おっしゃいますように、この一種住専の中を通る菜畑乙田線に交通が集中することは決して好ましいことではないというふうに考えておりますので、先ほど申し上げました百六十八号バイパスの整備の促進に鋭意努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  131. 辻第一

    ○辻(第)委員 第一種住専のところをこのような幹線道路が通る、しかもそこのバイパスをアクセスに使うということは許されない問題だと私は思うのです。これはきちっとした対応をぜひとっていただきたいことを私は強く要望して、もっともっとお尋ねをしたいのですが、時間がありませんので次に移りたいと思います。  次は、工事用取りつけ道路の問題であります。  これは第二阪奈道路それ自体の沿線だけではなく、一分と小瀬のアクセス道路の沿線及び工事用取りつけ道路の沿線など、工事中と供用開始後の沿線住民に、環境保全上も交通安全対策上も深刻な影響を及ぼすものだということであります。この工事用取りつけ道路計画も明らかにされていないように思うのです。そして、それに伴う環境保全、交通安全対策、また工事の最盛期にはどの程度の工事用車両が走行するのか、この点についてお尋ねをいたします。
  132. 萩原浩

    萩原政府委員 第二阪奈道路事業の実施に当たりましては、かねてから地元住民の御理解を得て工事を進めるように事業者である奈良県道路公社を指導いたしておりますけれども、今後ともその指導は続けてまいりたい、こういうふうに考えております。  奈良県道路公社によりますと、本道路の資材搬入等のための工事用車両は、百六十八号一分付近において三カ所予定しているというふうに聞いております。工事中の環境保全対策といたしましては、板囲いの設置であるとか騒音の少ない機種の選定であるとか、資材搬入車両に対する関係法令の遵守の徹底等を旨といたしまして、交通安全対策といたしましては、工事用車両出入口の誘導員の配置等万全を期すように指導したいというふうに考えております。  なお、一分ランプ、小瀬ランプ付近の工事用車両の台数といたしましては、トンネルのズリはかなり道路本体に流用いたします。したがいまして、ごく一部を生駒の方に運ぶという予定になっておるようでございますけれども、ズリ運搬車が一日に六十台ぐらい、それから資材運搬車が一日に五十台くらいというふうに見込んでおります。これの安全並びに環境保全につきましては、先ほども申し上げましたように、鋭意奈良県道路公社を指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  133. 辻第一

    ○辻(第)委員 今申し上げましたように、一分ランプと小瀬ランプ、それに工事用取りつけ道路、どれを見てまいりましても、五十三年七月一日付の建設省事務次官通達「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の方針について」というのが示しております「当該事業が地域の環境に及ぼす影響及び環境保全上の対策について十分な説明を行うものとする」ということに反している状態であります。また、昭和五十九年の私の質問に答えた環境面に対する十分な配慮を行っていくというものにももとるのが現状であります。また、建設大臣が当該計画を認可するに当たっては、当然安全対策も十分考慮に入れていなければならないと思うわけでありますが、沿線住民の交通安全対策についてはどのような対策を検討されたのか、もう時間がありませんので後日お尋ねをしたいと思います。  建設大臣が認可されました第二阪奈道路計画は、小学校や中学校、高校など教育施設が集中をしているところをあえて通過しようとしている、このような状況であります。児童生徒を道路公害から守るということもあわせ、交通災害から守ることを第一義的に考える必要があろうと思うわけであります。今次の計画は、この点でも配慮を欠いていると言わざるを得ないものであります。時間がありませんので十分言うことができないわけでありますが、このような諸点から見てまいりましても、第二阪奈道路計画についてはアセスメントをやり直すべきだ、もっと充実すべきだ、そしてアセスメントの結果に基づいて計画そのものを再検討すべきだ、私はこのことを強く求めるものでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  134. 江藤隆美

    江藤国務大臣 第二阪奈道路は七百億以上をかけまして六十五年には完成させよう、それからさらに完全四車線にするのにはまたその倍の金が要ると言われるくらい大事業でありまして、その大事業をやるのに、辻さんがおっしゃるような反対があるということは私はどうしても腑に落ちないわけでありますが、過去の経過等もよく聞きまして、十分検討させていただきたいと思います。しかし、計画をやり直すということはなかなか困難であろうと思っております。ただ、私が考えてみたいというのは、そういう交通安全施設の万全を期するために今の計画をよりよいものにするという意味でございまして、その点勉強してみたいと思っております。
  135. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり環境の問題は、交通安全の問題も含めて、どんどん人口が急増している地域をまともに通るわけでありますから、十分な対応をとっていただいて、合意や納得の上に進められるべきだということを重ねて強調して。終わります。
  136. 正木良明

    正木委員長 次に、三浦隆君。
  137. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 建設大臣並びに警察の方にお尋ねいたします。  初めに、第四次特定交通安全施設等整備事業の重点施策と言えるものはどういうものでしょうか。
  138. 江藤隆美

    江藤国務大臣 第四次のこの五カ年計画は第三次を引き継ぐものでございますが、御承知のように、歩道及び自転車道等の整備を最優先的に考える、とにかく交通弱者のことを第一番に考えて歩道をよくする、それから自転車道整備をするということに最も重点が置かれます。それから、交差点の改良を進めていく、あるいは案内標識道路情報提供装置等について整備を進めていく、それらのことが骨子になって、これから五カ年計画を進めていくものでございます。
  139. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 では、建設省の方に引き続いて細かい点でちょっとお尋ねします。  資料によりますと、初めに「歩道等に自転車が放置されており、交通安全上危険となっている箇所に自転車駐車場整備し」云々、こうありますけれども、全国的には、今こうしたような歩道等に自転車が放置されており、交通安全上危険であるという箇所はどのくらいあるものなのですか。
  140. 萩原浩

    萩原政府委員 ちょっと統計が古くて恐縮でございますが、昭和五十八年十一月に総務庁が行っていただきました調査によりますと、百台以上の自転車が放置されている箇所は全国で約千七百カ所という報告がされております。この千七百カ所と、先ほど先生が御指摘歩道等に自転車が放置されておりまして、交通安全対策上危険となっている箇所とが必ずしも一対一に対応しないとは存じますけれども、私ども一つの指標として使わせていただいております。      〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
  141. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 予算上との兼ね合いもあろうかと思いますけれども、ひとつ早急に整備をお願いしたい、こう思います。  次に、交差点の改良の問題なんですが、交通事故も交差点で起こることが大変多いというふうに思いますけれども、これからの改良でどういう点に特に重点を置いて交差点を改良していくのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  142. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、全体事故件数の約六〇%が交差点及びその付近で発生しているという統計がございます。したがいまして、交差点の整備は重要な課題であるというふうに認識をいたしております。第四次五カ年計画では、具体的には交差点を中心に右折車線の設置であるとか、あるいは交差角の改良、それから隅角部の隅切り等の改良を行いたいというふうに考えております。  ちなみに、第三次と比べまして、この交差点改良につきましては約三倍の事業費をつぎ込みたいというふうに考えております。はっきり申し上げますと、簡単に交差点改良ができるところは割合できてまいりましたが、これから後はかなり金目が多くかかるような、費用の多くかかるようなところにも取り組んでまいりまして、九百カ所ぐらいの交差点の改良を見込んでおる次第でございます。
  143. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 交差点のところも、具体的には信号のつけ方その他がどうもうまくないところがありまして、いたずらに渋滞を招いたり、またそういうことが交通事故の原因になっているところもあろうかと思いますので、十分に御考慮して整備していただきたい、こう思います。  その次に案内標識のところなんですが、資料によりますと「利用者の立場に立った系統的で判り易い案内標識の充実を図る。」と書いてあります。大変結構なんですが、具体的にはどのようにされるのでしょうか。
  144. 萩原浩

    萩原政府委員 実は、我が国の道路案内標識が非常に悪いということをいろいろな方から御指摘いただいております。また、外国人の方にはローマ字の入った標識がちっともないじゃないかという御指摘も承っておりますので、私ども案内標識はまだ質あるいは量ともに非常に不十分であるというふうに認識をいたしております。したがいまして、今五カ年計画の中では、わかりやすいものとするためには路線番号のマークを積極的に入れる、あるいはそのマークに標示のシンボル化を図るというようなことを考えております。それから二番目には、適正な文字の大きさにすることによりまして視認性確保いたしたい。それから三番目には、ローマ字の併記を行うことにより国際化に対応いたしたいというふうに考えております。  もう一方、系統的なものとするためには、道路管理者間で案内標識に標示する地名が異なってしまう、そうするといつの間にか目標の地点がなくなってしまいまして、知らない方はもう過ぎていってしまったのかというような御批判が随分ございますが、こういうことのないようにその統一を図りたいというふうに考えております。また、利用者が目標地に到達するまで同一目標地名をずっととぎれることなくするというような、そういう系統的な案内標識の確立に努めてまいりたいというふうに考えおる次第でございます。     〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
  145. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 今御答弁の中にもあったのですが、いろいろとあろうかと思います。走っていてどこへ進むのかなと、標示に載っているのが、あるところへ行くと急になくなってしまって、本当に戸惑ってしまうというのは多々あることですので、その辺も十分直していただきたいと思っております。  次に、関連して警察の方にお尋ねしたいと思います。  都市交通機能の確保という点から、交通管制センターの改良あるいは高性能化及び拡充という点に触れられておりますけれども、具体的にどのような点をどのように改良あるいは高性能化されようとするのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  146. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  近年コンピューター技術の著しい発展を背景といたしまして、コンピューターは約四年から六年ごとに新しい機種と取りかえられているのが一般的でございます。しかし、交通管制センターでは設置後十年以上経過したコンピューターを使用しているのが実情でございまして、旧型のため著しく能力が劣る、あるいは現状交通実態に対応できない、そういう状況になってきております。  こういうことから第四次五カ年計画におきましては、この種旧式のコンピューターを処理速度が速く、約三倍程度速くなるものでございますが、そういうスピードアップあるいは記憶容量の大幅な増大を可能とするような新型のコンピューターにかえていく予定にしております。これによりまして地域制御エリアの拡大、迅速かつきめ細かな交通情報の提供、交通状況の急激な変化に即応した信号機のコントロール方式の導入等が可能となってまいりまして、過密混合化が進む都市交通の安全と円滑に大きく寄与できるものと考えております。
  147. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、道路交通情報提供施設整備、これはどのように整備あるいは拡充されようとするのですか、お尋ねしたいと思います。
  148. 八島幸彦

    八島政府委員 交通管制センターでは、都市部を中心に交通量、交通渋滞状況道路工事の実施状況等の情報を広域にわたって収集しておりますが、これらの情報をドライバーに提供し、交通の分散、誘導を図ることは都市の交通渋滞を緩和するための有効な手段でございます。  このため第四次計画におきましても、情報提供施設整備拡充する計画でございまして、具体的には、大都市周辺の幹線道路を中心に、常時カーラジオを通じて、その地域の情報をきめ細かく提供する路側通信システムを五十カ所に整備する、都市流入部や都市内主要交差点を中心に、文字や図形により迂回、渋滞等の情報を提供する施設を三百四十カ所に設ける等のことを考えております。
  149. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 たまたま私横浜に住んでおるのですが、横浜の首都高で乗ってくる途中に交通渋滞何キロというふうに出ているのですね。そこでこのまま渋滞でも走った方がいいのか、おりて国道に出た方が早いのか迷うのですね。ですから、単に高速道路が渋滞だという標示だけではなくて、その次に、おりて第一国道なり第二京浜がどの程度渋滞なのかすいているのかもあわせて標示していただくと、そのまま真っすぐ高速道路を行くべきか、おりるべきかという判断上大変都合がいいのじゃないか。この点は、何も横浜からの首都高だけじゃなくて全国的に言えることじゃないかと思いますので、そういう点考慮いただけるものかどうか、今後のことでございますが、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  150. 八島幸彦

    八島政府委員 交通情報提供装置は、公安委員会で設けておりますものと道路管理者で設けられているものがございます。いずれにいたしましても、情報内容の具体化、先生の御指摘のような内容の充実を図るということにつきましては、関係機関とも連携をとりながらその整備充実を図ってまいりたい、かように考えております。
  151. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のような情報施設は、既に湾岸から箱崎に入るところで一部試験的に供用いたしておりますが、今後そのような技術をまた拡充いたしまして御要望にこたえるように努力いたしたいと存じます。
  152. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。  次に、信号機の改良、高性能化につきまして、幹線道路の円滑化あるいは交通弱者の保護の観点から二、三お尋をいたします。  まず、信号機の低性能あるいは高性能というのはどういうことなのか、その点からお願いしたいと思います。
  153. 八島幸彦

    八島政府委員 低性能な信号機と申しますのはいわゆる定周期と申す信号機でございまして、一定のサイクルに合わせて自動的に同じサイクルで信号機運用をやるものでございます。これに対しまして、高性能の信号機は感応式の装置を備えまして、例えば深夜等で交差交通がほとんどないというような交差点におきましては、車を感知しない限りは幹線の方を常時青にするというような感知機能等を備えたもの、あるいは系統式に、一定の速度で走る限りは常時青で進行できるような信号機を高性能な信号機と言っているわけでございます。
  154. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この国会のところにもあるのですが、信号ですね、信号機が、渡ろうとするときにたまたま赤のところに直射日光が当たりますと大変見にくいということがあると思います。これは何も国会周辺だけに限りませんで、信号機のところに直射日光が当たって見えづらいというのは大変困ることですので、これを具体的に直す手段をどうお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
  155. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、現在の信号灯器は、取りつけ場所や角度によりまして直射光が入る時間帯、すなわち朝夕におきまして若干視認性に欠けることがございます。  このため当面の措置といたしまして、信号灯器の取りつけ角度の調整、信号灯器の増灯、裏表につけるというような増灯措置をとりますとともに、直射光による視認性の低下を防ぐための研究、例えば灯器のレンズ面に薄い膜を取りつける方式等を現在研究いたしているところでございます。
  156. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 とりあえず国会のところの身近なところからお願いをしたいと思います。早い話が、信号機の上のひさしというのでしょうか、あれを少し延ばしていただいても直射日光を直接当てることを避けると思いますし、とにかくできるところから早急に直していただきたいと思います。  次に、色覚障害者用信号機の整備推進ということがありますが、大変結構なことでありまして、この委員会でも何回となく色弱者対策ということも言われたと思います。青がはっきり見えないというのでは大変困ったことですので、これに対する弱視者対策、その後どのように進められているか、お尋ねしたいと思います。
  157. 八島幸彦

    八島政府委員 色覚障害者の免許試験は、先生承知のように、現在信号機の色別が可能かどうかをいうことで行っております。したがいまして、これで不合格になる方は実際上は非常に数が少のうございます。そういう人たちのためにも——しかし色別可能な信号機を開発するということにつきましては、これまでもいろいろ研究をいたしてまいっておりますが、いろいろ国際条約等の問題もありまして、抜本的に形式を違えるようなものも困難でございますが、いずれにいたしましても、できるだけそういう人たちが免許をとれるように、信号機の改良等、あるいは予算等の問題もございますけれども、今後とも研究をさせていただきたい、かように考えております。
  158. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この問題、前にも質問したことがあるのですが、別に非とか青のそういう国際的に決まったものを変えてほしいと言っているわけではないのでありまして、今もう既に赤だけれども、矢印がついて、右は回ってもいい、あるいは左なら通ってもいい、赤であるけれども、そういう標示がありますね。ですから、現実の信号機にマルなりバツなり、今言った矢印なりつけ加えていただくだけでもって弱視者対策は成り立つのではないかということですので、やはり予算の問題だけなんじゃないか、技術的には何の難しいこともないんじゃないかというふうに思いますけれども、どうですか。
  159. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、予算の問題が一つの大きな課題でございます。現在全国に約十二万基の信号機がございまして、灯器にいたしますと約六十万ございます。こういうことでございますので、そういうのを全国のすべての信号機につけるということになりますと膨大な予算を要するわけでございますが、そういうことも含めまして、今後とも何とかもっと予算のかからないような方法がないかというようなことも含めまして検討をさせていただきたいと思っております。
  160. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 全国一挙にそうしろといっても、これはしょせん無理でありますから、予算の可能な限り、主なところから少しずつ直すということでは何の差しさわりもないんじゃないかと思いますので、できる限り速やかに、できるところからだけで結構ですから進めていただきたいと思います。  三十分になりまして、慌ただしくなってまいりましたので、この辺で質問は打ち切ることにいたします。
  161. 正木良明

    正木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  162. 正木良明

    正木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 正木良明

    正木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  164. 正木良明

    正木委員長 この際、本案に対し、塚原俊平君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
  165. 永井孝信

    永井委員 ただいま議題となりました交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たっては、次の点について必要な措置を講ずべきである。  一 交通安全施設等整備事業に要する費用については、その計画達成を図るため、所要の財政措置について十分配慮すること。  二 道路交通の過密化に対応してその安全と円滑を確保するため、信号機等の高性能化を図るとともに、今後の高齢化社会の到来、情報化の進展に対応した道路交通環境整備に努めること。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨につきましては、法律案審査の過程におきまして種々論議され、十分御承知思います。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  166. 正木良明

    正木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  塚原俊平君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  167. 正木良明

    正木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。江藤建設大臣
  168. 江藤隆美

    江藤国務大臣 交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。  ここにこの法案の御審議を終わるに際し、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
  169. 正木良明

  170. 小沢一郎

    ○小沢国務大臣 本法案につきましては、御熱心な御討議をいただきまして本当にありがとうございました。心から御礼申し上げます。  審議の過程におきます御意見、あるいはただいま議決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、交通安全施設等整備に万全の処置を講じてまいりたいと存じております。  委員長初め委員の皆様、本当にありがとうございました。(拍手)     —————————————
  171. 正木良明

    正木委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 正木良明

    正木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  173. 正木良明

    正木委員長 午後三時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後三時三十一分開議
  174. 正木良明

    正木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。
  175. 村上郁雄

    ○上野委員 私の方は前回とも関連がありますので、その関連をまずいろいろお聞きいたしたいと思います。  前回、当委員会で杉浦国鉄総裁は、交通関係する者の第一の務めであるのが安全運送なんだ、そのために明るい職場をつくりたい、その職場づくりについて強調をされました。そこで私は、労働安全衛生法に従って労働安全衛生委員会が現場につくられているわけですけれども、その委員会を杉浦総裁の言う意味でも重視をしておるわけです。労働安全衛生法の第一条に「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な作業環境の形成を促進することを目的とする。」こう明確にされています。  さらに第三条では「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な作業環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」こう言っておるわけであります。それについて前回いろいろとこの安全委員会、いわゆる労安というのが開催をされてないと具体的に指摘をいたしました。それでさらに全国的な状況についての資料を要求したわけでありますけれども、まだ届いておりません。これはぜひともお約束どおり、法律で決められているのに開催をされてないというようなことのないように、まず冒頭お願いしておきたいと思います。  前回名前を挙げて指摘した津田沼電車区についてはきょう二年ぶりに開催をされる、こういうことでございました。その点は、開催をされるということでありますのでその誠意を私は認めるものでありますけれども、この問題と関連して、ただ開催を形だけやればいいというものでもないと私は思いますので、開催するのは当然でありますが、例を一つ挙げてぜひこの点についても改善をお願いしたい。  この労安委員会は、事業者を一号と呼んでおるようでありますけれども、その事業者の側の態度によって大分違うだろうと思うのです。実はこの間、私も発言した関係もございまして、新幹線の東京電気所に行ってまいりました。そこでいろいろ話を聞いてまいったのでありますが、実はこの電気所の所長さんは大変元気のいい勇ましい方のようで、事前に幹事同士で話し合うわけですね。ところが、その話し合った議題について、いよいよ開かれるとこれは議題ため、これはだめというふうにやるんだそうです。  それから、組合の方の分会長が傍聴しているのが慣例になっているんだそうですけれども、その慣例で来ておる分会長に、おまえはだれだ、おまえは出ていけ、こういうことなんですね。ですから、そういうことでは明るい職場なんてできっこないんで、電気所の所長にしてみれば、組合の方の分会長というのはいわば法律上は対等の立場なんですね。そういうものに対する態度といい、それから具体的に自分の意見に合わないようなそういう議題については幹事間で話し合ったものまでけっ飛ばすというのです。こういうことであってはこの委員会の所期の目的を達するわけにいかないと思われます。  したがって、内容にまで触れておる時間がないので残念なんですけれども、副総裁、この点について、開催をすることはもちろんでありますけれども、開催されたら中で十分話し合いができるように、特に最近は当局の方の一方的なやり方で現場協議会というのがなくなっていますので、現場協議会とは別のものでありますけれども、現場協議会で行っておったようなこともここでは話し合うことが可能だと私は思います。したがって、その中身についても積極的に、総裁が言われたように、明るい職場づくりのためにこういう東京電気所のようなことのないようにしてもらえるかどうか、まず最初にお聞きしておきたいと思います。
  176. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先般来の先生のお話、しかと拝聴いたしました。たしか前回二月二十五日でございましたが、その後二月二十八日に、労働安全衛生委員会の運用につきまして地方機関に十分注意す今ように注意を促しました。  また、先生の御依頼と申しますか、御要請のあった開催状況等につきまして目下調査をいたしておるところでございます。いずれまとまりましたら御報告を申し上げたいと存じております。  私自身がつて管理局長をやりましたときに、現場に参りまして、労安はどうなっておるかということをよく聞くのでございますが、ある場合にはマンネリズムに流れておったり、あるいは議題の選択等をめぐりましてとげとげしいやりとりがあったところも間々あったように記憶いたしております。  その後、先生おっしゃるように労安と申しますのは、安全というのは私どもの一番重要な課題でございますので、そういった意味でこれは大事にしたい。つまるところは良識ある関係者の態度というのが前提になるわけでございまして、充実した審議、そして実りある成果をぜひ引き出してもらいたいと思っておるところでございます。私どもも、今後ともそういった方向で現場を指導いたしてまいりたいと思っておりますので、先生、どうぞよろしくまた御指導いただきたいと思っております。
  177. 村上郁雄

    ○上野委員 副総裁の発言を子としまして、ぜひ発言されたことについて今後ともよろしくお願いしたいと思います。  そこで、次の問題は、新幹線の安全の問題との関連で、新幹線の一部の点でボルトの緩みがあったのに対して、これに対処したやり方が国鉄の基準に合っていない、こういうことで前回指摘をし、答弁と私の調査とは大分食い違っておりましたので、なお一層の調査をお願いをいたしたところであります。  そこで、前回の答弁では、正規のやり方で夜間作業をやったと言っておるのでありますが、その後当局から、あなたの方からも話がありまして、これは外注業者が勝手にやった、こういう説明が前回の委員会から今回の委員会までの間にありました。どうしてこういうことになるのか。勝手に業者が国鉄の中に入って仕事ができるように一体なっているりかどうか。しかも、国鉄には公式の報告書というのがあると思うのですが、その報告文書ではどうなっているのか、だれがこの文書の作成者なのかを聞かしていただきたい、こう思います。  そこで外注業者、これは前回も私が言いましたが潤生という業者のようですけれども、この外注業者がどうしてボルトの緩みを知って、そして勝手に修理をするということになったのか、この間の事情を説明いただきたいと思います。
  178. 村上郁雄

    ○村上説明員 前回の委員会におきまして、ボルトの緊縮につきまして、当日の一月二十二日の夜に、保守時間帯になってから補修いたしましたと御説明しましたが、今先生指摘のように、その後詳細に調査いたしました結果、事実関係は次のようになっております。  まず、巡回中の管理室の職員がボルトの緩みを発見いたしまして、この旨を支所の助役に通報いたしました。これを受けました支所の助役は、直ちに現場に赴きましてその現場を見て、さらに調査をするべく線路内に立入調査をしたいということで、指令の方に徐行の電話を要請いたしました。そうしてその指令の運転指導科長と申す者が、線路内に入らなくても通路から調査するように、それができるのではないかという指示をしたもので、この現場の助役はこの指示に従いまして、さらに現場で調査をした結果、昼間に緊急に修繕する必要はないけれども、夜になって修繕をするべきだと判断をいたしました。そのために助役は業者に対して夜補修するように直ちに指示を与えました。  しかしながら、業者はこの指示を無視して、当局に無断で当日の十六時ごろに軌道内に立ち入りましてボルトの締めつけの作業を実施いたしたという経過にございます。その締めつけも、五丁が緩んでおったわけでございますが、五丁のうちの一丁だけは完全な締めつけを行いましたけれども、あと四丁については十分締めつけを行うことができませんので、夜に作業を回したということでございます。さらに、業者は夜に現場に行きまして、あと残りの四丁の補修の作業を実施したということでございます。  そういうような経過になっておりまして、前回の委員会で私が申し上げましたことが一部事実と異なるということにつきまして、深くおわびを申し上げたいと思います。  先ほど先生がおっしゃいました、どうして業者が勝手に立ち入りをして昼間に締めてしまったのかという御指摘に対しまして、これは業者が夜作業をするためには現場を見なければいけませんので、十六時ごろに現場に、その箇所を見に行かせております。そのときに、業者がどうせ夜作業するならというような安易な気持ちで線路内に立ち入りましてボルトを締めつけたものというふうに言っております。そういった経緯で、業者が無断でボルトを締めつけたことになっておるということでございます。そのことについての文書の報告ということにつきましては、私ども文書報告ということは別段義務づけはやっていないわけでございます。  以上でございます。
  179. 村上郁雄

    ○上野委員 この問題もそう時間がないので深くやっている暇はないのですが、その中で事実と違う点がまだあるのです。  今の答弁も、前回と大分違うのですが、さらに違うのは、あなたの方では業者が勝手にやった、こう言っておりますけれども、その助役が科長に報告をした段階で、科長は業者を連れていってちゃちゃっとやってしまえ、こういう話をしているのです。だから、今の報告はそのとおりになっているのです。  ところが、現場は新幹線のスピードを緩めないで調査できるような状態ではないようですね。現場はそう簡単に中を見れないのだそうです。しかも、中に入るということ自体も規則と違うでしょう。そういう新幹線の何かがあるときには、中に入るには入るだけのいろいろな規則があってそう簡単ではないのでしょう。それから、七十キロにスピードを落とせというのは、やはり調査に必要だからやるわけでしょう。だから、そういう規則にも既に反しているし、やり方も違う。  しかもこれは、助役は現場を調査した結果、とにかくスピードを緩めて調査をしたい。これに対して科長が助役に対して、そんなことやらないでもう業者を連れていってやってしまえ、こういう話で、現場は、事実はそのとおりになっているわけです。これはどう判断してもそういう形で行われている。  しかも、これは夜の作業はやってないのです。私の方に委員会の前に報告があったのでは、ここに報告の文書もありますが、一本だけが締まった、あとの四本については夜やった、こう言っている。しかも職員が現場に立ち会っている、こう言っているのですが、私の調査では現場の職員は立ち会ってない。行ったのはほかのところへ行っているのです。ここのところは、見に行ったときにはもう全部締まって終わっているのです。だから夜間作業でやったのではなくて、既に五本とも全部締められている。後で行ったときには、もうそこは終わっていたのでほかのところに行った、こういうことを言っている。この点についても違うのです。  だから、その辺のところをもうちょっと明確にしないと安全の確保はできないのじゃないだろうか。徐行してやるべきだと現場の経験者が言っているのに、もうそんなことしないで早くやっちゃえ、これは一体どういうことなのか、私には理解ができないのです。その点について、その違いをどう見ているのか。業者に作業を指示したとしか思えないのですけれども、この点についての責任はどういうことになるのでしょうか。業者が勝手にやったと言うなら業者が規則に違反したということになるのですが、今のような弱い下請の業者が、科長なり助役なりに言われればやらざるを得ない。これは極めて危険な状態ですね。スピードも緩めないで、しかも現場の状態は我々が考えるように平板じゃないようです、とにかく立っていても陰になっているボルトが見えない場所なんですから。しかも、急カーブのところでそういうことをやっているということですから、大変危険な状態です。  事実、そういう形の中で盛岡でも事故が起こっている。あるいは新幹線じゃないけれども、松戸でも最近起こっている。みんな業者が勝手にやったということになっているけれども、事実は命じられなければやらない、そういう中に入っているのです。したがって、ここら辺のところは一体どういうことになるのか。今の答弁の中では簡単に謝っておられますけれども、ここで謝ることよりも、実際にこういう場合の責任とは一体どうなるのか、この点をお伺いしたい。  それからさらに、もっとはっきり言うなら、走行中ボルトを締めることは労働安全上禁止されているのじゃないでしょうか。しかも、外注業者が自分の社員にやらしているわけですね、違反してやらせている。こういう問題について、労働安全上も重大な問題ですし、こういうことをやった業者に対してはどういう処置をとるのか。例えば契約停止とか罰金とか、何か処分をするのでしょうか。この点をお聞きしたい。  それから、副総裁、実は先ほど申し上げた助役と科長とのやりとりのテープがありまして、この間皆さんのところには聞かせてありますし、翻訳したのも見せてありますけれども、こういうやりとりについてどう考えられるのでしょうか、ここら辺のところを答弁いただきたいと思うのです。
  180. 橋元雅司

    ○橋元説明員 前回先生から御指摘をいただきまして、関係部局でよく調査をしたようでございますが、その結果が先ほど施設局長から御答弁申し上げた内容でございます。さらに、それは事実と違うという先生の御指摘でございますので、その点につきましては再度よく調査をいたしたいと思っております。  おっしゃるように、大量高速の新幹線につきましてはとりわけ安全についても意を用いておるわけでございますが、確かにルールの違反と申しますか甘い判断がいろいろあったように感じております。過日、潤生につきましては警告書を手渡しましてきつく注意をいたしたところでございます。また、担当の科長につきましては厳しく注意をいたしまして、再度こういうことのないように、そしてまた他の関係者にも十分注意を喚起したところでございます。事実関係につきましては、もう一度よく調査をさせていただきまして御報告を申し上げたいと思います。
  181. 村上郁雄

    ○上野委員 なお違っている点、私どもが申し上げた点については、副総裁が調査されるということですから、それをお待ちしたいと思います。  そこで、どうしてこういう問題が起こるのかということなんですけれども一つは、いろいろ面倒くさい問題を外に出さないということが働いているのだろうと思うのです。ただ、今の国鉄の実態から考えますと、それから私がいろいろ調査をした中で感じた点は、今国鉄管理者内部に物すごい競争がある、新会社に残ろう、その辺のところが分割・民営化をめぐってある。したがって、責任逃れというか事故隠しというものが出ておるのだと思うのです。これは政府も悪いのですけれども、まだ何も決まっていないのに、国鉄当局、職場が分割・民営化が事実上決まったことを前提にして進められている。そこに管理者同士の競争の問題、あるいは事故隠しその他の問題が出てくるのだと私は思っているのです。  こういう問題は特に人命に関する。したがって、この点は私どもは素人ですからわからぬ点もありますけれども、実際にスピードも緩めないでボルトを締めたりなんかするというやり方で、もし事故になったら一体どうなるのだろうかと、私どもが考えても冷やっとするような状態ですが、そういうことをなくするために管理者がもうちょっと現場について、特に総裁や副総裁が現場について今日何が行われているかということを調査する、あるいはこのような管理者同士の競争になるようなことはやめさせなければならぬのじゃないだろうか。特に勤務評定なんかでも選別のために行われていますし、広域的な異動がある、あるいは新幹線の運転士の試験でも、一つの組合の方は全部落とされてしまう、一つの組合は分割・民営化に協力的だから採用されるというようなことも事実あるのです。  きょうは時間がないから具体的なことは言いませんが、次の機会にいたしたいと思いますが、そういうことであります。したがって、この点をぜひなくしていただきたいと思います。また後でこの点についてまとめて答弁をいただきたいと思います。  時間の関係がありますので、三つ目の、前回の引き続きで仙台工場におけるボルト使用の状況の問題をさらに質問いたしたいと思います。  このボルトは新品を一切入れていない、それで古いのを使っているということ、それから現場で古いのを使っては危ない、そういうことなんですが、話の内容を聞きますと、一定の期間全部新品だけ使って、新品がなくなったら今度は古いのだけ使うというやり方になっていたようですけれども、これは一体どういうことなのか。どうも理解に苦しむのですけれども、その点があります。それから、新品というのは毎月一体どのくらい使用しなければならぬのか、あるいは古いのはどのぐらい使っているのか、この点をまず御答弁いただきたい。  それから、新品について毎月決まっただけ出ているわけですから、なくなりそうになったら、これは特殊ボルトですから当然新たな発注をすると思うのですが、それがなされていない。それで前回の委員会の直後に、あわててまた外注して予備をつくろうとしておるという事実も聞いておりますが、その点はどういうことになっているか、お伺いいたします。
  182. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 前回の委員会先生からたしか二本のボルトをお持ち——今もお持ちかと思いますけれども、私ども初めて伺いましたので、今の御質問の件を含めて早速調査をさせていただいたわけでございます。そもそもこのボルトがどういうことになっているかということから調査をいたしたわけでありますが、車両が検査に入るときはボルトを一々検査いたしまして、再度使用していいかどうかをチェックいたした上で、悪いものは廃棄いたしまして、いいものは再度使用するわけでございますし、悪いものについては、当然その部分は新しいもので補充するなり、ストックをしてあります既に検査済みの使用しても差し支えないボルトを再度使用することになっております。これは一般的ルールでございます。  ただ、御指摘のとおりある時期新品をどうも大量に使用しておるわけでございまして、その結果として、かなり倉庫に寝ていたものがたまたま使用の中に入っていたという格好でございます。そういった一種の在庫調整をなぜやったか、ちょっとまだ現在調査中でございますが、いずれにせよ使用状況としてはそういった格好でボルトの交換なり使用をいたしております。
  183. 村上郁雄

    ○上野委員 この点も極めておかしな点が幾つかあります。まず外注に出してない。検査すると言っているけれども、それをやっていない。慌ててやり出したり、古いのを検査したのは二月の二十六日以降なんですね。二十五日に質問していますから、それ以後慌てて今度検査を始めた、こういうことがありますし、それから新品は全然なくなっているのに発注していない、こういうこともある。  それからもう一つ、これは副総裁ぜひ聞いていただぎたいのですが、工場の当局はこの私の質問の後、三月十日なのですけれども、国労の本部で会議があるために国労の仙台工場の支部の役員が出席しようとしたわけですが、その前に役員を呼びつけて、全国会議で例のボルト問題を報告したりなんかしたら処分するぞというおどかしをかけているのです。こういうことから見ましても、やはり私がこの前指摘したように危ないものを使用しておった、どう考えても私はそうとらざるを得ない。したがって、こういうことがあってもいいのかどうか。  それから、作業の流れもどうもおかしいのですね。あるところは新品ばかり使ったと言うのです。それから今度は古いのだけ使うと言っている。僕が指摘したら慌てて古いのを検査に出したり外注でやっています。そういうことなので、ブレーキを締めるボルトですから、これがもし吹っ飛んだりなんかしたら一体どうなるんだ、この心配から私は安全問題として取り上げたわけで、この点について、副総裁から今後この問題をこういうことのないようにできるのかどうかお伺いしておきたいと思います。
  184. 橋元雅司

    ○橋元説明員 大変大切な部品のようでございまして、先生の御指摘いただいた直後からよく調査をしたようでございます。決して問責したということではないように聞いておるのでございますが、事実関係をよく調査いたしました。やはり全体として在庫管理その他どうも至らない点が多々あったようでございまして、よく御注意の趣旨を体しまして今後安全に一層努力してまいりたい、こう思っております。  以上でございます。
  185. 村上郁雄

    ○上野委員 済みません、もうちょっとで終わりますが、そこで最後に申し上げたいのは、実はそういうボルトの問題まで何も国会でやらなくていいのだと思うのです。問題はやはり現場で実際にやっている人たちの意見を取り上げて安全に対処すればいいのであって、ところがそうやられていない、現場の言うことを聞かないというところからこういう問題になるわけですね。したがって、その点をぜひ上の方からこういうことのないように十分気をつけていただきたいのです。特に、私はこの間もボルト持ってまいったわけですけれども、そのボルトを持ち出したということで大分怒られているようなので、怒られるとすれば私が怒られなければならぬので、ひとつそういうことのないようにしていただきたい。せっかくですからきょうはボルトお返しします。ボルトのことで処分なんかされたのではかないませんから、きょうお返ししておきます。  そこで、なお事実関係その他で問題点がありますが、これは具体的に、きょう時間がありませんので、後で指摘をしておきたいと思います。  そこで最後に安全全体について、問題は今の職場の状態からいろいろ出ているところがありますので、これは前回は総裁が無理だと言っておりましたが、現場協議会などないと今後の安全の問題としてはうまくいかないのではないだろうか、こう思いますので、ぜひ現場協議会についてもこれからも検討していただきたい、このことを申し上げ、最後にもう一度この点についての、三つの項目について全体としての答弁をひとついただきたいと思うのです。
  186. 橋元雅司

    ○橋元説明員 申すまでもなく、安全は私ども事業運営の基本でありまた原点でございます。先般来総裁が申し上げておりますように、もろもろのルールをきちっと守って、確実に日常業務を遂行していくということに尽きるかと思います。  過日、私ある場所で国内線の航空会社の幹部の方とお話をする機会がございましたが、午後十時になるとほっとするというお話がございました。午後十時以降は飛行機が飛ばないのだそうでございますが、私どもは一日二十四時間、それから一年三百六十五日どこかで汽車が走っておるわけでございまして、そういった意味で、私ども一層安全には全力を傾けて取り組んでまいりたいと思います。先生いろいろ御指摘ございましたことを、今後もよく趣旨を体してやってまいりたいと思います。  ただ先ほども申し上げましたように、やはりお互いに良識ある、常識的な態度でやらないといけない。明るい雰囲気の中で十分なコミュニケーションということでございまして、そういった意味で、先生に御指摘いただきましたいわゆる労安の活性化と申しますか活用は、今後とも私ども十分努力してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  187. 村上郁雄

    ○上野委員 ボルトは、処分は考えていないですね。
  188. 橋元雅司

    ○橋元説明員 はい、考えておりません。
  189. 村上郁雄

    ○上野委員 終わります。
  190. 正木良明

    正木委員長 次に、田中克彦君。
  191. 田中克彦

    ○田中(克)委員 三塚運輸大臣大臣の所信表明の中では、特に交通安全対策については重点を置くということを数カ所にわたって力説されておりますし、その一環として踏切道の改良促進法をさらに今回五カ年間延長することにして万全を期したい、こういうふうに言っておるわけであります。  そこで、現在の日本の交通事情の中で、依然として鉄道輸送が占める比重というのは非常に重要な役割を果たしておりますし、特に、貨物は別にいたしましても、旅客輸送の実績につきましては、これはちょっと数字古いのでありますが、五十六年でも輸送人員延べで百八十二億四千八百万人。このうち国鉄は定期の者が四十四億七千五百万、定期外が二十三億四千八百万、締めて六十八億二千三百万。それから私鉄につきましては定期が七十一億五千九百万、定期外が四十二億六千六百万、これで締めて百十四億二千五百万。私鉄国鉄合わせますとさっき申し上げましたような数字になりますが、このうち定期が占める比率というのは百十六億三千四百万、六〇%以上の旅客輸送というものは、いわば定期の旅客を中心に行われておる。  こういうことから見ましても、いかに通勤通学の人たちの足が、国鉄あるいは鉄道輸送によって支えられているかという実績が明らかであります。したがって、こういう旅客輸送を中心にし、さらには通勤通学の人たちの足を中心に運ぶことを果たしている鉄道輸送というものの安全性、わけても大臣指摘しておりますように、事故の半数以上が踏切事故によって占められているというようなことから、この踏切道の改良促進、非常に力を入れなければならぬ、こういうことであります。  そこで具体的にお伺いをするわけでありますが、実は今回の場合もこの法案の延長に当たりまして、六十一年二月十二日に交通対策本部決定として踏切事故防止総合対策なるものが立てられる。ここでは立体交差化の促進、踏切道の構造改良の促進、踏切の保安設備等の整備の促進、交通規制の実施、踏切道の統廃合の促進、その他というふうにそれぞれ計画が立てられておりますが、この中で連続立体交差によるものについては延長延べ三百キロ、それから単独立体交差につきましては三百カ所、鉄道及び道路の新設に伴う立体交差化については四百カ所、踏切道の構造改良につきましては千百カ所、踏切保安設備等の整備につきましては千五百カ所、こう決められたようであります。  ところが、この計画につきまして前二回の計画を見ますと、特に特徴的なことは、いわば踏切道の立体交差化の促進に特に今回も重点を置いておるということ。というのは、四十六年のときにこれが百キロメートル、五十一年から三百キロになりまして今回も三百キロ。それから、単独立体につきまして四十六年のときは六百カ所ですね。それから五十一年の計画のときは五百カ所、これが今度は三百カ所、単独は逆に減少傾向であります。   特徴的にはそういうことだろうと思うのですが、特に今回の計画でこのようにウエートを連続立体交差の方に移してきている。これは都市構造、あるいは人口構成の偏りというようなものや交通量その他によってこういう傾向になってきたのでありましょうが、その辺のウエートを移してきた背景、理由、そういうものについてまずお伺いをしたい、こう思います。
  192. 服部経治

    ○服部政府委員 もう先生承知のことでございますが、踏切事故の防止のために一番有効な手だてというのは、踏切を除却してこれをなくすることでございます。そういう意味で、立体交差化は踏切対策の中でも最もはっきりと効果のあらわれる有効な手だてであるというふうに考えておるところでございます。
  193. 田中克彦

    ○田中(克)委員 私の聞いていることのポイントとちょっと御答弁がすれ違っているような感じがいたします。  それではさらにお伺いしますが、さっき指摘をいたしましたように、対策本部の決定というのは三回にわたって行われておりますが、この計画に基づいて、この促進法に基づく踏切道の改良の指定を建設省あるいは運輸省、これがそれぞれやるわけでありましょうが、これの改良の実績、そういうものと、いわば対策本部で立てる計画との整合性、これは一体どういう経過になっているのでしょうか。
  194. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  踏切事故防止総合対策計画と実際の実施状況の差でございますけれども、一次、二次、三次と行ってまいりましたが、立体交差の面につきましては若干の差がございますけれども、構造改良それから保安設備の整備につきましてはほぼ計画どおりの実施になってきております。
  195. 田中克彦

    ○田中(克)委員 午前中の安全施設の問題の論議の際にも出ましたけれども、結局財政再建を中心にしてマイナスシーリングになってからは、どうしても事業量全体が落ち込んだということで、計画をそのとおり遂行することに非常に困難な情勢があったということを説明されておりますが、私は今回の場合も、同じ現象は踏切の問題でも起こっているのだろうと思います。  そこで、私がお伺いしたいのは、特に昭和三十六年以来、踏切道の改良、解消を始めまして、現在までに指定を行ったのが千八百五カ所、六十年度末までに千二百四十三カ所が完成する見込みであるということになりますと、指定されながら残っているのが五百六十二残るわけですね。結局、年度末までに三千四百五十二カ所が完成する見込みである。こうなりましても残は百六十七、こうなります。  したがって、私思うのは、構造改良よりも、特に立体交差の方が圧倒的に工事中の箇所あるいは未着工の箇所というのは多いわけですね。これは私当然だと思うのです。都市計画道路との関係もあるでしょうし、道路改修との関係もあるであろうし、それから場合によれば河川との関係も出てくる。計画全体の遂行の上からいろいろな諸般の情勢もある。そういうものを一応克服して、用地確保ができて着工した、こうなりましても、実際問題としてはほかの工事に比べて大変工事費もかかるし工期も必要だ、こういう条件があろうと思うのですね。そこで、同じ工期をかけるにしても、マイナスシーリングになって、いわば五年かかるところは七年、七年かかるところは十年でやる、こういう状態に引き延ばされるわけですね。それがこういう現象になってあらわれているのじゃないか、私はこう思うのですが、それはお認めになるでしょう。  そのことによって私が聞こうとするのは、要するにここでもって計画は立てた、積み残し分ができた、それを五年の間にできるだけ早い指定をして、五年の間に仕上がることは一番理想的ですが、少なくともそれが仕上がらなくても五年の間には手をつける。手をつけたら次の五年間の計画の中では完成するというくらいのテンポで事が進みませんと、私は行政としては現地の人には非常に不親切な行政になるじゃないか、こう思うのです。  そこでこのことを聞くわけですが、こういうふうに積み残しが出てきている主要な原因というのは、私が言ったようなことと理解していいんでしょうか。それから積み残しされた分、これは既に指定を終わっているわけですね。終わっている分は、六十一年からの計画五カ年間に移りますね。これとの関係はどういうことになりますか。
  196. 服部経治

    ○服部政府委員 立体交差化の事案につきましては、先生ただいま御指摘のとおりのような数に映っておりまして、現在工事中のものが四百六カ所、それからまだ未着工のものが百五、六十カ所というような状況でございますが、それがそういう数字になってあらわれている事情というのは、一つには、先生指摘道路予算が、これまでのように十分手当てされがたい面もだんだんに生じてきているということが一つございましょうし、あるいは地元との調整等が難航して未着工になっているというようなケースもございます。  それから、これらの四百何カ所及び百五、六十カ所の未着工のものにつきまして、この新しい五カ年の間でそれがどういう取り扱いになるかという点でございますが、これは法律上の手当てによりまして、自動的に新計画の中で、既に指定を受けておりますものは新しい五カ年におきましてもそれによって指定されたものというふうにみなされることになっております。
  197. 田中克彦

    ○田中(克)委員 質疑の進行に協力する立場で、できるだけ時間内に終わりたいと思って少しはしょった質問になっていくと思うのですが、前へちょっと進めさしてもらいたいと思うのです。  そこで問題は、そのようにして行う踏切道の改良、これにつきまして費用分担の問題が極めて重要だと私は思うわけであります。そこで、これは立体交差の場合、連続立体交差につきましては、鉄道の既設分につきましては国鉄事業者の負担として一〇%、民鉄の場合には七%、管理者の方が対国鉄に対して一〇%のものに対しては九〇%あと持つ、民鉄についてはあと残りの九三%を持つ。増設分につきまして以下ずっと、現在幅員部分あるいは拡幅部分、鉄道増設部分、鉄道新設部分などにつきましてはずっと変わりはないわけでありますけれども、現在幅員部分の構造改良につきましては、これは鉄道事業者三分の一、道路管理者三分の二、こうなっておりますけれども、人口五十万の場合には二分の一ずつですか、大手以外の場合には全額管理者が負担する場合もある、こういうことだと聞いていますが、これを見ます限り、やはり国鉄と民鉄というものを比べますと、連続立体交差の場合には一〇%と七%と、三%の鉄道事業者の負担の差があるわけですね。  これは運輸大臣にお伺いするわけですが、盛んに議論されております国鉄の分割・民営、これにつきましては既に閣議決定して、今国会に分割・民営の法案を出そう、こうされている。九法案と言われておりますが、そういう前提に立ては、政府の意思並びに運輸大臣の意思というのは国鉄の分割・民営を推進する、特に三塚運輸大臣はその推進論者の一人でしょうからそういうように受けとめるわけでありますが、これから法案はおりできますが、さっき上野委員の質問にもありましたように、現実に人員削減あるいは配転等の問題につきましては、その前提に立って先走りをしているわけですね。  そういう状況の中で私がお伺いしておきたいのは、この費用分担問題、いわば一つ国鉄国鉄として成り立たない、だから分割・民営によるほか生きる道がない、これは政府側の言い分の大前提だと思うのですね、私どもはそうは思いませんが。だとすれば、そうした国鉄に、分割・民営にしなければ存続できない状態の国鉄に、これでいきますとなおかつ民鉄より余分な事業者負担を背負わして踏切道の改修をやる、この矛盾を一体どう釈明されますか。
  198. 三塚博

    ○三塚国務大臣 国有鉄道でございましたから一〇%、私鉄が七、こういうことの建国協定なり建設、運輸の協定があったと思います。いよいよ来年四月以降、国会の御承認をいただきまして準備完了、スタンバイということでスタートさせていただくことになる暁にどう対応するか、こういうことでありまして、原則は、法律が制定しないのに交渉しては云々と、こういう問題もありますが、それはそれとして、そのとおり進めなければならぬわけでありまして、準備的な、その場合をどうするかというようなことでスタートを切らなくてはならないのかな、同時に、法律が制定をいたしましたときに向けて、直後から真剣な本格協議に入りまして、あるべき姿を確立しなければなりません。  端的に言いまして、これからは国有鉄道ではないわけでありますから、そういたしますと私鉄と同格の競争をしていく、鉄道事業法でそれなりの規定をさせていただくということになりますから、やはり同じ条件の負担で、こちらが七であればこちらも七、こういうことかなと、それらを含めまして国鉄に余計な負担を生じしめるようなことのありませんようにやはりしていかなければならぬ、他との、私鉄との負担区分と右倣えをいたしていく以外にないのかなと、こういうふうに思っております。
  199. 田中克彦

    ○田中(克)委員 私も今の答弁で非常に驚いたのですが、具体的にはまだ明確な方針というものは決められてない。決められてないまま今言うようなことで、ただ単に五年の繰り延べという形でこの法案が、この重大な国鉄の体質ががらりと変わる時期に、そのことの前提も無視して出されてきているということについては私も非常に驚いたのですけれども、今の大臣の答弁をお伺いしますと、まあ民営になるのですから民鉄並みになるのじゃないですかというようなお答えですが、そういうふうな可能性を示唆された、こう受けとめてよろしいですか。
  200. 三塚博

    ○三塚国務大臣 お答えしますが、ですから、本年は建国協定で進むわけですね。六十二年度以降どうするのかと問われておりますので、六十二年度スタートに間に合いますようにこれをやらなければならぬ、こういうことなんですね。  ところが御見からはかねがね、法律できぬのに何を進めているのだという、これは予算委員会、衆参あわせておしかりをちょうだいいたしておりますものですから、それを踏まえて、実は準備作業を進めながら、成立したときに直ちにこの協定ができ上がりますように全力を尽くす、こういうことでありますから、私がお願いを申し上げております、今国会に成立をお願いしたいということでおのおのそのようにお取り計らいを仮にいただくと仮定をいたしますれば、国会終了後直ちにこの協定を詰めさしていただく、その費用の負担部分につきましてはやはり一〇%引き続きお願いをするということになるのか、しかし、私鉄が七であります以上やはりこの横並びでそういうことでお願いをする。管理者負担はその分ふえるわけでありますが、その部分は自治省等お願いを申し上げ、地方自治団体の理解を得つつ、その分は交付税の裏打ちで補てんをさしていただくとか御負担をいただくとか、こういうことでお取り組みをさしていただく、こういうことであります。
  201. 田中克彦

    ○田中(克)委員 そういうことになりますと、踏切道の立体交差化につきましては、言われるところの運建協定、それから単独立体交差につきましては建国協定、こういうものを六十二年のスタートに合わせていわば内容を再検討して詰める、改めてその協定をつくり直す、こういうことに取り運びとしてなるということですね。
  202. 三塚博

    ○三塚国務大臣 そのとおりでございます。
  203. 田中克彦

    ○田中(克)委員 そこで、さらにもう一つこの問題については伺っておかなければならぬわけですが、いわば国鉄が、さっき私が全体の旅客の輸送量を申し上げましたように、依然として通勤通学等を中心にして陸上輸送の根幹としての役割を果たしていることは間違いないわけです。それは運輸大臣もお認めになると思うのですが、そういう上に立って、国鉄が果たしている重要性にかんがみ、従前、年間五億ないし六億の国鉄助成というのは国の一般会計の中から国鉄へ出していた、こう思うのですね。今度民営になりますとこれは必要なくなると思うのです。  そうなりますと、交通安全対策という上から、鉄道輸送の占めている比重、それから安全性、こういうものを確保することの重要性の上からこの踏切道の改良促進法が出ているということでありますと、分割・民営しなければ存続も危ぶまれるという国鉄、分割・民営に移るわけですから、そうであるとすれば、そのことによって、国鉄に出していた助成金を今度は出さないでいいということになりますと、その分が安全輸送の面へ、全額とは言いませんけれども、振りかわるようなことをして、この分割・民営後の鉄道を経営として助けていく、こういう発想がなければおかしいと思うのですけれども、さっき単に協定の見直し、こういうことを言われましたが、この協定の見直しの中でそういう要素を十分に検討される用意がありますか。
  204. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 大筋大臣からお答え申し上げました線でございますが、今先生の御質問の、国鉄は非常に経営が悪いから、分割をしなければ成り立たないような会社だから、分割しても大変苦しいからいろいろな意味で助成をさらに続けるべきではないかという御指摘でございますが、その件につきましては、御承知のように、分割に際しましてそれぞれ健全な経営が行えるという私鉄並みの会社をつくるということが今回の改革でございまして、そのために長期債務等も新しいところにはそんなに負担をさせませんし、年金負担その他の負担もこれを肩がわりいたしまして、スタート時点においては健全な経営を行える通常の私鉄並みという会社として発足をさせよう、こういうことでございます。  したがいまして、建国協定、運建協定、これをどういうふうに改めるかは、そのほかいろいろ詰めなければならない問題はございますが、その一環として政府部内において検討している最中でございますけれども、基本的には先ほど大臣が申し上げましたように、六十二年四月一日からはあらゆることに対して基本は私鉄並みということでスタートをする、こういう考え方の中で助成というものも考えていかなければいけない、かように思っております。
  205. 田中克彦

    ○田中(克)委員 先ほどの大臣の答弁の中から、私はこれは大臣の方から答弁をいただきたかったわけでありますが、協定の見直しの際に、私が先ほど質問したような趣旨を協定の見直しの中の検討の材料として研究する用意があるかどうか、その点だけお答えください。
  206. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これはなかなかそのようにまいらぬだろうと思うのです。といいますのは、分割体は収支の面において採算が合ってまいるであろう、特に本州の三分割会社、三島につきましても、わずかではありますがとんとん経営の、若干シングル程度の利益金を上げて運行できるであろうという大前提、基本的な積み上げの中で御提案を申し上げておりますものでありますから、その延長線上でまいりますと、新たに助成金という形で国がこの対策に対応して申し上げるという形はないであろう。安全運行という鉄道の持つ使命からいたしましてこれはすばらしいことになるわけでありますし、そういう中で、その程度私鉄並みの御負担だけはいただける、こういうふうに指導していきたい、こう申し上げたわけであります。
  207. 田中克彦

    ○田中(克)委員 しからば協定の問題はとにかく、先ほどの答弁の中で、民間へ移るんだから民鉄並み、こういうことでおくとしても、私の言わんとするところは、要するに踏切道改良促進のこの事業の中で、別に安全対策として、政府はこのことについてもう少し積極的に見ていくぐらいの心構えはあってもいいじゃないか。言いかえれば、そういうことの意味も含めていますから、ぜひそういう意味で検討していただきたい、そのことだけ要望しておきます。  それから、次の問題に移りますが、実は踏切数でありますけれども、三十五年の時点では第一種から第四種まで含めて七万一千七十あった。それが六十年の見込みだと四万二千九百八十七に減る、こういうことで二万八千八十三減っているということでありますから、これは大変な成果だと思うのです。第一種につきましては、昭和三十五年に四千三百五十五が六十年の見込みで二万九千五百、こういうことになっておりまして、いわば現象として見る場合に、第二種、第三種、第四種がいずれも減少して第一種に転換をしている、こういう傾向にあります。これはもちろん踏切道改修をしていった成果でこういう現象になったんだろう、こう思いますし、このこと自体非常に望ましいことであります。  しかし、逆に事故件数の方を見ますと、これは六十年度数字だと思うのですけれども国鉄の場合に六百五十一件中第一種で三百七十五件、このうちで死者は百二十六人、負傷者が二百二十七人、こうなっています。私鉄の場合は第一種で百四十二件、このうち死者が七十七人、負傷者が百九人、こういうことですが、いずれも件数に対して二分の一以上が第一種の踏切で実は起きているわけですね。  ところが、踏切の種類からいえば、第一種の踏切というのは踏切の中ではいわば最も良好な踏切といいますか、そういう性格だ、こう思うのですが、これを五十五年から五十九年まで見ましても、水準というのはずっと横ばい状態なわけですね。踏切改良をして四種を三種にする、三種を二種にする、できるだけ一種のような踏切だけを残していく、こういうことで、その数字はずっと出ているのですけれども、いわばその残った第一種の中に起こっている交通事故状況というのは、今申し上げたように横ばい状態ということで、問題はここをどう下げるかによってこの件数なり死者数なりというものを減らすことができる。なぜかといえば、事故件数のうちの半分を第一種が占めているからです、国鉄私鉄も。ところが、これは実際にはなかなか難しい問題だと思うのですね。  そこで、ここにポイントがあると私は思っているわけでありますけれども、この現象について国鉄の方ではどうとらえていますか。それから問題は、これから後五カ年の中でこの事故件数を減らせる、あるいは死者を減らしていくということの努力を払っていかなければならぬのだけれども、ここにポイントがあるとすれば、どういうことによって問題の解決がここに残されているわけですか。
  208. 服部経治

    ○服部政府委員 現状はただいま先生指摘のとおりのことでございますけれども、私どもといたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、第一には立体交差化を進めることによりまして踏切そのものをなくすということでございます。どうしても立体交差化等によって踏切を除却できない場合には、遮断機のしっかりつきました一種の踏切化を促進していくということを対策の眼目にいたしておるわけでございます。  先生指摘のように、この第一種の踏切におきます事故件数国鉄私鉄合わせまして五百十七件、全体の九百二十件のうち五六%を占めていることは御指摘のとおりでございますが、一方、ちょっとお考えいただきたいのでございますが、そういうことで第一種踏切をふやしてまいりました結果、現在では第一種踏切は全踏切の七〇%になっております。一方、例えば第四種の踏切でありますが、確かに第四種踏切での事故件数はトータルで二百四十八ということで全体の二七%でございますが、この第四種の踏切の数は全体で二二・三%ということでございまして、したがいまして、これをもう少しわかりやすく申し上げますと、踏切百カ所当たりの事故件数で対比いたしますと、第一種が百カ所当たり年間一・八件、これに対しまして第四種踏切の事故件数は、百カ所当たりで年間二・五件、そういう勘定になっております。  さらにもう一つお考えいただきたいことは、当然そういった第一種の踏切というのは交通量が非常に多うございます。第四種は交通量は少のうございます。その箇所数当たりの発生件数というものに今度はその踏切を利用する、通過する車両なり人なりの数を加味して計算いたしますと、例えば百カ所、一千万人当たりの事故発生件数は、第一種で年間〇・〇二件でございます。これに対しまして第四種の踏切は〇・四七件、そういう数字になっておりまして、そこに格段に差が出てきております。  それにいたしましても、第一種踏切での事故をなくすことが事故を減らすための一番肝要のポイントであることは先生指摘のとおりであります。この点につきましては、私ども大変対応に頭を痛めておりますが、事故のうちの多くのものは、遮断機が閉まりかかっておるところを強行突破していかれるような、そういう車が多いということがございますので、さらに私ども踏切の整備には努めますけれども、一方で交通モラルの向上ということが非常に大事なんではないかなというふうに考えているところでございます。
  209. 田中克彦

    ○田中(克)委員 相対的に比率から言えばおっしゃるようなことだと思うのですが、ただ、国鉄の踏切事故としてあらわれてきている絶対数の中での問題とすれば、ここを解決しなければ件数は減らぬわけですから、そのことについてどう対応するかということを私はお伺いをしたかったわけですが、さらに全力を挙げてひとつ努力をしていただきたい、こう思います。  あとちょっと残っている問題、これはぜひ大臣にお伺いしたいわけですが、時間がありませんから具体的に申し上げます。  先日、東横線の横浜で桜木町行きの急行が脱線しまして、上下線不通になって九万二千人の足が奪われた、こういう大混乱がいっときあったわけでありますけれども、こういうことに見られますように、これは脱線だけでとまったからいいわけですが、転覆というようなことになりますと列車事故の場合には非常に大事故の発生につながって、また日航機の二の舞みたいになる危険があります。  そこで、時間がありませんので私具体的にお伺いをしますが、実は大臣にぜひこの写真を見ていただきたい。一その写真はレールの破損の現場写真でありますけれども、これは一月三十一日、具体的に申し上げますが、八高線の八王子駅より十六キロ五百地点、箱根ケ崎−金子駅間、ここでごらんのようなレールの損傷を発見をしたわけであります。直ちに現場の職員が支区へ報告をして対策を要請した。幅は四十ミリ、深さ七ミリ、長さ百十ミリということでありまして、三日昼間、二十九分の間合いで更換するようにという指示が翌日あったようであります。  直ちに下見をいたしまして検討しましたが、すぐ近くには踏切がある、保安上問題がある、夜間工事でやるべきだという要請を受けたようであります。ところが、当局が信号との関係の調整がつかないというので夜間は不可能である、こういうことで十八日星にできないか、こういう問い合わせがありました。間合い的にそれは不可能である、こういうことになりまして、管理室では週一度この監視を続けていたようであります。その間再三当局に更換の要請をしたということでありますが、らちが明かない。二月の二十八日に管理室に一、三月の二十四日更換予定と連絡がありました。  結論的にはこの支区の管理者が、四月二日の夜間作業で実施をする予定になったということになったようであります。したがって、これは一月三十一日に発見をされていながら、これからそのレールの取りかえをする、こういうことでそのまま現在に至っているわけであります。こういう問題について、これは写真もごらんになっておりますが、どうお考えになりますか。
  210. 三塚博

    ○三塚国務大臣 お聞きしている範囲では直ちに取りかえられるべきであるとは思いますが、ひとつ国鉄の方から状況を重ねて御説明をさせて対応します。
  211. 村上郁雄

    ○村上説明員 先生指摘のように、一月三十一日にこのレールの損傷の報告がございまして、その当日直ちに現場の管理者が現場に参りましてこの傷について検査をしております。それに基づきまして先生がおっしゃいましたように更換計画というものも立てておったわけでございますけれども、この傷そのものにつきましては、直ちに列車の運行に支障があるというふうには考えておりません。できるだけ早く更換することが望ましいわけでございますので、そういった段取りをやっておったわけでございますけれども、先ほど先生が御指摘になりましたように、若干の現場の事情がございまして二、三回更換計画がおくれております。  現場についての保安上の措置といたしましては、レールにカラーチェック等を施しましていつでも監視ができるように措置をしながら、巡回も強化しながら保安の確保をするべくやっておるわけでございます。ただいま先生もおっしゃいましたように、四月二日には新しいレールに更換するという計画をしておるところでございます。
  212. 田中克彦

    ○田中(克)委員 時間がありませんからまた後でよく調査をいたしますけれども、安全性の上から、運行に直接的な支障がないというようなことで済まされる問題じゃないと私は思うのですよ。レールの上にこれだけの、十一センチ、深さ七ミリという傷があるレールがそっくりそのままに取りかえもされずに、さしあたって列車の運行に支障がないなんということは答弁にならないと思うのですよ。  それから、そのことはさておきまして、実はもう一つあるのですよ。大月の保線区の問題で、これは時間がありませんから私の方からそっくり申し上げますが、実は本社規程として、線路検査基準規程の改正というのが昨年の十二月二十日に行われて規制は緩和されたわけです。そのことによって、検査項目幾つかありますが、特にポイントの検査について、分岐器の細密検査というのがありますが、これにつきましては、従前、本線または重要な側線については一年に一回、それから側線については二年に一回、こうなっていたものが、今度は側線についてだけ五年に一回、こう緩められたわけです。これは交通事情や輸送上の問題や人員の問題とか、いろいろな点が総合的に検討されてこの程度の基準でやれば安全が確保できる、こういう結論から改定されたものだと私は理解します。  にもかかわらず、昨年の十二月二十日に改正された基準によって的確にこの検査が実施されているかと言えば、そうではないわけですね。それはどういうことかといいますと、この大月の保線区には本線、重要な側線に附帯する分岐器というのは百五十五台、側線の部分については百四十一台あるのです。五十八年に、本線並びに重要な側線に附帯するポイントというのは、百五十五のうち十八、分解して点検してあるだけですね。五十九年にはたった十五してあるわけです。六十年にはこれはたった六つに減っているわけです。側線については三年間全部やってありません。前には二年に一回、こういうことで、今度は五年に一回だから三年間全然やってないといっても側線の方は当たります。  しかし本線と重要な側線、毎日通っている列車の方ですよ、百五十五あるうちの五十八年が十八で五十九年が十五で六十年が六、こういうことで、しかもこの基準を昨年の十二月改定をして職場の実態がこうなっている、一体これで安全確保できるでしょうか。これは私は職場に入って職場の職員から話を聞く中で耳にしましたら、資料を欲しい、こういうことでもって全部持ってきたわけです。安全確保の上からいくと大変な問題を内包していると私は思うのです。だから私は運輸大臣もよくその辺は聞いておいてもらいたい、こう思うのです。  時間がなくて本当に恐縮ですけれども、ただ、運輸大臣の所信表明の中にこういう表現がありました。「事故を未然に防止するためには、特に、交通機関に従事する人についての対策が大きな比重を持っております。」私もまさにこのとおりだと思うのですよ。日航機の事故の前の羽田沖、東京湾へ落ちたときの問題についてもやはり人の管理という問題、人のコンディションの問題というのは非常に重要だと思うのです。現在、首切りや配転や職場の中の管理強化が行われて、職場の職員というのが非常に動揺もしているし不安定ですし、そこでもって安全を確保したり仕事に誇りを持ったり、そういう形でやれる状態になっているのかどうかという点について、職員の資質の向上、訓練の強化、安全の確保、こう言いましても、その面だけでは問題は解決しないと私は思うのです。その点について、私は最後に運輸大臣の考え方をぜひ聞いておきたいと思うのです。
  213. 三塚博

    ○三塚国務大臣 御調のとおりであります。安全確保交通従事者の最大のポイントでありますし、運輸省といたしましても、そういう点の指導監督を強化してまいっておるところでございます。今後分割・民営体になりましょうとも、その安全確保という観点で万全を期してまいりますように指導をしてまいる、こういうことでございます。
  214. 田中克彦

    ○田中(克)委員 一言だけお願いをして終わりたいと思います。  私は、仕事というのは現場の管理職、それから職員が仕事を通して一体の気持ちにならなければできるものではないと思うのです。それがただ単に職員の監督、管理を強化して言うことを聞かせるだけ、こういうことで、できないことをやらせるようなことを強いてみてもそのことによって成果は上がらない、こう思うのです。どうすれば安全輸送ができるのか、私はそこにポイントがあろうと思うのです。今私が申し上げたような具体的事実が職場の実態に今ありますから、そういう点の欠陥が大きな事故となって発生するというようなことが間違ってもないように、ひとつぜひその辺の御努力をお願いして質問を終わります。
  215. 正木良明

    正木委員長 次に、柴田弘君。
  216. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今回の提案をされました法律案でありますが、実はこれを読んでおりまして、大臣、私の率直な見解といたしまして、立法論からいってこの法律というものは一体どうだろうか、こういうふうに思いますよ。大臣もうなずいてみえますから言わずもがなでわかっていると思うのですね。  今地域交通局長交通安全対策、あるいはまた交通の円滑化ということから、立体交差化というものは一番大事だ、だから五カ年計画においてしっかり促進していくのだ、これはもう結構なことです。そのとおりなんですね。ところがこの法律の第三条一項では、運輸大臣建設大臣が踏切道の指定をされる、そして第四条第一項によって、立体交差化の計画あるいは構造改良計画の提出を鉄道事業者及び道路管理者に求めてみえる、そうですね。そして改良の実施は第五条でありますが鉄道事業者、道路管理者。そして第六条第一項によって費用負担の協議をする、こうなっているのです。  しからば国の補助はどうなるか、問題はここなんですよ。これは運輸省の所管じゃない、建設省の管轄になっている道路整備緊急措置法、こういうことですね。だから、本来整合性を求めるものならば、要するに法案があり、そして予算があるということであれば、これは一体でなければならない、これは私の率直な見解であります。この辺をひとつ指摘していきたい、こういうふうに思うわけであります。  現実に私の地元の名古屋で名鉄瀬戸線というのがありまして、この清水駅から森下駅、二・四キロ立体交差化の事業を推進しよう、こういうことで事業が採択されたのが昭和四十七年です。それで全体事業費が百六億円、そしてこのうち名古屋市が負担するのが九十二億円。そしてこの九十二億円のうち三分の二がかつては国費でありました。ところが補助率カットによりまして、昭和六十年に高率補助金の一律カットということで、これが昭和六十年度には十分の六、六十一年には十分の五・五、こういうふうになってまいりました。そして四十七年に事業が採択をされまして、五十九年度までの事業費は百六億円のうちわずか三億二千万、そして六十年度事業費が一億九千万、六十年度以降の残事業費が百億九千万、六十年度末の事業進捗率は五%の見込みだ、こういうことなんですね。一年間に二億足らずで百億の事業をやる。百年河清を待つというのじゃありませんが、この調子でいくと五十年以上かかるのですよ。  今あなたはやっていくとおっしゃった。なるほど何カ所かあるいは何キロメーターかやる。しかし大臣、実態はこういうものだということを私は知っていただきたい。私は自分の名古屋の地元のことで申しました。だがしかし、全国的にこういう実態のところもあるということです。連続立体化が大切だ、それを推進していきます、こういうふうにここで答弁をされても実態はこういうものである。そして法律も、こういうふうにちょっと立法論上から言っておかしい。もちろんこれは憲法違反じゃないと思いますけれども、憲法違反だったらこれは大変なことになりますから、それは心の中にとめてまた私も申しておるわけであります。そういう点も指摘しておきたい。  そしてもう一つ、これで率直に感じましたのは、この保安整備、肝心の話をしましょう。  第三次の計画は目標が四千カ所、これが四千三百七十一カ所、これは見込みも含めて実績となっております。実績は見込みを含めて目標をオーバーしている。ところが第四次のいわゆる六十一年から六十五年度は、これが千五百カ所なんですね。これでもう保安整備は終わってしまうのかなと思うのですね。第三種、第四種、まだあると思うのですね。現実に六十一年度予算も十二億六千五百万、六十年度予算の十七億六千七百万に比べて五億二百万の減額になっているわけですね。交通安全対策は大事だ、人命尊重は大事だ、こう言っておりながら、実態はやはりこういうものだった。これで事業が、もう保安整備はありませんよ、千五百カ所でありませんよ、こういうものであれば、私はそうですかと、こう引き下がるわけですけれども、いろいろ申しましたが、大臣、大ざっぱでいいですからひとつ御答弁ください。
  217. 三塚博

    ○三塚国務大臣 百年河清を待つというのはこういうことかな、私も今聞いておってそう思うのでありますが、やる以上敏速果敢にやらなければいけませんし、他にいろいろな事情があるのかなと考えてみたりしまして、いずれにいたしましても、交通安全対策整備事業というのは重要でありますので、御指摘の問題などがどうクリアできるか、建設省とも、また財政当局、財源的な措置もあるでしょうから、協議をして対応してまいるつもりでございます。
  218. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この法律で申し上げたいのは以上の三点です。よく腹にとどめていただいて、大臣もうなずいてみえましたから、そう私も間違ったことを言っていないと思っていますので、どうぞひとつよろしくお願いいたしますよ。地域交通局長さんもよろしく。  それで、きょうは時間の許す限り国鉄用地の払い下げの問題をちょっと取り上げさせてもらいたい。  先般東京九段北で、いわゆる三倍の坪三千六百万で売れた、国鉄は非常にほくほく顔だ、こういうことであります。それはそれで結構だと思いますよね。十六兆七千億ですか、この累積債務、国民負担がそれによって多少減るということは確かにお金の面においては私はそのとおりだと思います。ところが、それによって地価の高騰をもたらす、これは国民生活と国民経済にとっては大きなマイナスになってくるだろう、こういうふうに思うわけであります。  そこで、これはまた私は地元の名古屋の例を引き合いに出して全国的な問題についてお尋ねをしたいと思いますが、先般もちょっと当委員会において申し上げましたが、笹島のいわゆる国鉄貨物駅跡地の払い下げ問題、これは御承知のように十二・八ヘクタール、三角形の袋小路になっているところでありますが、これは名古屋駅のすぐ近くでありまして、何とか地域活性化のためにここを都市再開発をしていこうということで愛知県、名古屋市あるいはまた国鉄、建設省そして学識経験者等の検討委員会を設けまして、そして国際展示場にしようとか全天候の野球場にしようとか、国際会議室をつくろうとかあるいは宿泊施設をつくろうかということでいろいろやっています。今二つの案があるわけであります。何とかひとつここを払い下げていただいて、公開入札でなくて随契でお願いしたい、こういう要望もあって、正式にまた運輸省、国鉄に依頼が来る、こう思うわけであります。  この問題、ぜひひとつお願いしたいと思うのですが、その前に、これは建設省の新都市拠点整備事業の調査箇所にしてもらいたい、こういうことで建設省の方に昨年あたりから要望いたしました。ところが、残念ながら六十一年度は、これは大蔵省の方で一体何をつくるかということで、まだはっきりしておりませんのでカットされた。これはぜひとも六十二年度に、都市活性化のために地域再開発ということで、建設省の方で新都市拠点整備事業調査箇所に指定をしていただきたい。そして何とか六十三年度からは事業化したい、こういうことであります。その点が一つ。  それからもう一つ、建設省の新都市拠点整備事業というのがあるのです。それは幾ら調査箇所にしても、まだその土地をどういうふうに売却するかというのがはっきり決まっていないのですね。だから、それは一つの問題だと思いますが、建設省としては、地方自治体が活性化のために使うこういった整備事業を行うところについては、優先的に払い下げてもいいだろう、僕はこういう一つの期待感があると思うのですが、その二点について、まず建設省の担当の課長さんからお伺いをしたいと思います。
  219. 伴襄

    ○伴説明員 お答え申し上げます。  まず笹島地区の新都市拠点整備事業の来年度見込みというか見通しみたいなお話だったと思いますが、これにつきましては、先生的確に御指摘いただいたとおり、確かに六十一年度事業ということで大蔵省に要求いたしましたが、その利用構想が二つほど大きくありまして、それが固まらないうちはなかなか難しいということでございますので、まず今笹島地区の総合整備計画調査委員会というものを設けて検討していただいておりますので、それでまず利用構想を決めて、それから来年度以降の要求につないでいきたいというふうに考えております。  それからもう一点、国鉄用地について新都市拠点整備事業等で再開発上非常に重要なポイントにつきましては、公共団体に優先的に譲渡したらどうかというようなお話だと思いますが、私ども建設省といたしましても、現在の国鉄ですと、公共団体に対して随意契約によりまして優先約払い下げということが可能になっております。建設省といたしましても、都市開発の観点から必要なものについては、今後とも個々に地方公共団体に優先的に払い下げていただきたいというふうに考えておりまして、今後とも関係機関とも十分協議をしながら、適正な価格での跡地確保を図って、円滑な都市再開発に結びつけたいというふうに考えております。
  220. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、建設省の昭和六十一年度新都市拠点整備事業としての調査箇所は、全国で五カ所あるのです。新鶴見の七十四ヘクタール、中府の六十八ヘクタール、富山四十五ヘクタール、それから二条十三ヘクタール、奈良二十二ヘクタール、そして六十一年度で三千三百万の予算をもって調査をする。六十二年度以降今の名古屋の十二・八ヘクタール、岐阜の七・三ヘクタール、仙台長町、これは大きいのですが六十ヘクタール、それからあとまた三十カ所程度のこういうようなところがあるわけなんですよ。  私の申し上げたいのは、せめてその新都市拠点整備事業でやるところは今の国鉄、旧国鉄と言ったらいけません、まだあれですからね。これは随契ができるのです。ところが、後で申しますが、これは新会社になると清算事業団、これがやります。これは運輸省令で決めるということでまだはっきり決まっていない。もちろんこれはこれからのことなんで、これは百も承知で私質問しているわけなんだが、せめてこういうものは私は優先的に随契でやっても罰が当たらぬ、こういうふうに思うのです。時間がないので、せっかく副総裁お越しになっているので、一遍副総裁の簡単な考え方をお聞きしたいと思います。
  221. 橋元雅司

    ○橋元説明員 具体的に笹島の問題について申し上げますが、今先生おっしゃいましたように、検討のための委員会に私ども参加いたしまして、今鋭意勉強中でございます。目下のところは笹島はまだ貨物扱いをやっております。これを一体どこへ移すかというようなことも含めまして、私どもとしては今後検討すべき課題、たくさんあると思います。いずれにいたしましても、先生おっしゃいますように地元の地方公共団体等とも十分御相談申し上げる、都市計画あるいは地域開発計画との整合性を配慮して、かりそめにもそういうものと全然逆、背馳することのないように十分注意してまいりたい、こう思っております。
  222. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣にお聞きする前に、国土庁はどういう見解でしょうかね。こういった自治体等が言ってくる国鉄用地の払い下げ問題、国土庁もやはりそういうお考えにあるのかどうか。それからあわせて、この間の九段の問題もありますけれども、やはり国土法の規制の対象というのはお考えになっていないのですか。この二点だけちょっとお伺いしたいと思います。
  223. 山崎皓一

    ○山崎説明員 国鉄用地あるいは国有地等の払い下げの問題につきましては、私ども国土庁といたしましては、払い下げを受けました土地の適切な利用、適正な売却価格、この二つの面につきまして非常に強い関心を持っておるわけでございます。  まず、利用の方について申し上げますと、こういった土地は国民の共有財産でございますので、社会資本の立ちおくれている我が国の都市整備を進める上で非常に貴重な資源であるというふうに考えております。したがいまして、これらの土地の売却に当たりましては、公共用優先の原則を基本的には維持しながら、良好な都市の再開発、地域にふさわしい公共公益施設整備等のために、地元の公共団体の利用計画に即した有効活用が望ましい、かように考えておるところでございます。また、このような方式にいたします際には、地価に関しましても適正な地価が形成されるであろうというふうに考えておるところでございます。  それから第二点の、国鉄用地の売却に当たって国土法等をどう考えるかというお話でございますが、御承知のように、国鉄用地あるいは国有地等の売却につきましては、現在国土利用計画法に基づきます手続の適用除外となっております。国等が土地の売却等を行います際には、当然国土利用計画法の目的でございます適正な地価の形成という面に配慮して行われるということを前提にしているわけでございまして、実際に地価が高騰している地域等におきまして、こういった国鉄用地あるいは国有地等の売却が周辺の地価に悪影響を与えることがないように、私どもかねてから適切な配慮を関係方面に要請しているところでございます。  しかし、実際問題としまして、九段の例をおっしゃられましたが、現実に地価が高騰している地域において、国有地等の売却が周辺地価に悪影響を及ぼすのではないかという御意見もあるわけでございまして、これについて、国土法上何か関与すべき点はないかという御意見のあることも承知いたしております。私どもといたしましては、現在進めております国土利用計画法の見直しの一環として、国土法上どういう対応が可能か検討してまいりたいというふうに考えております。
  224. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、地方自治体、いわゆる公共性の一番強いところ、それがトンネル会社みたいになってほかへ転売しちゃった、こういうケースも過去にあったというようなこともちょっと聞きました。雑誌でも読んだことがあるわけです、事実かどうかわかりませんが。しかし、せめて建設省がやる新都市拠点整備事業の調査箇所に基づいて、地域の活性化、発展のために地方自治体が事業化をしていきたい、しかも地域住民に利益が還元されるところについては随意契約で土地を売却していただいてもいい、私はこういうように思っております。名古屋の笹島を含めて、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  225. 三塚博

    ○三塚国務大臣 ただいま笹島の具体的例、それと地方自治団体のとり行う事業、特に新都市拠点整備事業という形のものはどうだ、こういうことでございます。  まず一般論から申し上げさせていただきますと、今回の法律の中にも、国鉄用地の処分は公開入札を原則とする、こううたわせていただきました。国民に十六兆七千億余負担をお願い申し上げる、できるだけこれを縮めてまいりたい、そのことが姿勢として正解であろうということで、国民の側に立った判断の中でこれをとり行うという、言うなれば国民の利益という形でその方針を取り決めさせていただきました。  これと地価との関係をどうするのだという問題が一つ指摘をされておる問題でございまして、地価安定も国民の願いでありますことは承知をいたしております。同時に、公開入札を行うのは今申し上げました国民の利益にかなうという負担上の問題、それとかねがね御指摘をいただいております国民共有の財産でありますので、いささかの疑念を残すことのないようにガラス張りの中で処分をされていかれるべきであるということで公開入札、こういうことになる。そういたしますと品川の例、今回の九段の例のようなことに相なるわけでございまして、ガラス張りを求める、こういうことの中で結果がさようなことに相なる。それは土地政策との関連、こういうものの今後の調整をどうするかということで、一般論として言いますれば、地方公共団体が行う事業についてどう見るかというのが、省令で定めるとは言っておりますが、その中で明確にしていかなければならないことでございます。  特に、地方都市の再開発という重要な課題を抱えております問題については、これまた政治の重要な要請でありますし、そのことが今御指摘のように他に転売するのではなくして、具体的なプランがきちっと立てられておりまして、地域社会のために大きく貢献する、そのことはさらに鉄道事業にも間接的にプラスになるということでありますならば、笹島の例で考えますと新都市拠点整備事業、国も指定する事業でありますし、まさにパブリックなものである、こちらも公共団体であるという意味で、公開入札を原則として、今後考え得る原則外のいわゆる特別なケースとして何があるかということになりますれば、そういう方式も極めて有力な、今後運輸大臣として各省大臣との協議の中で詰めていかなければならぬ重大なポイントの御指摘であると言えると思います。
  226. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、日本国有鉄道清算事業団法案、これはまだ上程もされてませんのでとやかく申す段階ではありませんが、今大臣から答弁ありましたように、この三十条を見てまいりますと、一般公開入札を原則としている、これは当然。ところが、その他の運輸省令で定める方法によるとあるわけです。ここがみそなんです。これは今まさしく大臣から御答弁ありましたように、各省連携のもとに、相手方が地方公共団体であるかどうかというものも一つの大きな判断の基準になってくるだろう、こういうように私は今の御答弁で理解をいたしました。  そこで、現在の国鉄法の第四十九条あるいは同施行令第二十五条の中に、国、地方公共団体その他の公法人または公益法人と契約を締結する場合をは随意契約で売却できる、こうあるわけです。運輸省令で定める場合もこれが一つの大きなよりどころになってくる、私はこういうふうに理解をいたしておるわけであります。だから、その辺の随契について、そういった地域開発への、新都市拠点整備事業等々を含めて、自治体がやる事業については十分配慮して行っていただけるものと理解をいたしておるわけであります。この点も含めて最後に御答弁いただきたいと思います。  それからもう一つ、都市局長来ておりますか。(「来ておりません」と呼ぶ者あり)今あなたは指定を六十二年度以降と言われたね。それは六十二年度にやってください、こう言っているわけなんです。それをもう一遍はっきりしていただけませんか。その二点だけお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  227. 伴襄

    ○伴説明員 笹島地区の新都市拠点整備事業でございますが、順序としては六十二年度調査ということになりますが、中身の構想が固まれば、調査の採択等必要な支援措置をぜひとも検討してまいりたいというふうに考えております。
  228. 三塚博

    ○三塚国務大臣 これはもう先生もよく全貌、全体を展望しておわかりの中で御質問いただいているわけでありまして、法律が成立をいたしますと、それに基づいて政令、省令——省令でどうやるか、こういうことになるわけですね。そうでありますから、その中で公共事業、特にこういう指定のものはちゃんと国鉄法四十九条と同じように随意契約できるようにせい、こういうことでありますから、またここでそのとおりすると言いますと、法律ができぬうちにどんどん既成事実をということでおしかりをちょうだいしますものですから、この辺はそのことを踏まえ、やはり今あるべき姿は二つしかないわけですから、公開入札でいくか随契に該当するものは何か、こういうことを厳密に、国民共有財産でありますから、このことはその地域社会に還元され、その公共団体がオープンに、パブリックのために使用されていくという使途明確なうちにこれが行われていってしかるべきである、そういうことを弧に置きながら今後に対応したい、こういうことで、法律が成立をいたしますと直ちに明確になるということで御理解をいただきたいと思います。
  229. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りましたので、終わります。
  230. 正木良明

    正木委員長 次に、三浦隆君。
  231. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 第四次踏切事故防止総合対策の指導方針等についてお尋ねしたいのですが、せっかく大臣もいらっしゃいますから、一言大臣の方にお尋ねをしたいと思います。  この資料をごらんいただきまして、十六、十七ページのところに「踏切道改良促進法及び緊急措置法に基づく指定及び整備状況」というものがございますけれども大臣としてこの整備進捗状況についてどうお考えでしょうか。また、これから予算上のいろいろと制約もあろうかと思いますけれども、今後の整備についての見通しなどお尋ねしてみたいと思います。
  232. 三塚博

    ○三塚国務大臣 この表に示されておりますように、整備状況整備率はそれなりのものでございますが、先ほど来その進捗率において非常に欠ける点があるのではないか、こういうことでありますし、これに対する予算上の措置、財源のあり方等も、本問題を進めることについての今後の重要な問題であろうかというふうに思っております。決められた指定数が決められた年数の中で完成ができますように、今後とも全力を尽くして関係省庁と協議の中で取り組んでまいる、こういうことで進んでまいります。
  233. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、総務庁にお尋ねいたします。  第四次踏切事故防止総合対策の実施に当たって、都道府県における対策の推進につきまして交対室長から各知事あてに通知することになっておりますが、実施に当たっての具体的な指導方針はどうなっておりましょうか。
  234. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  踏切事故防止総合対策のうちで、踏切道の立体交差化事業と構造改良事業につきましては、主として鉄道事業者と道路管理者の協議により行われることになりますが、踏切保安設備の整備あるいは交通規制の実施、踏切道の統廃合の実施、こういうものにつきましては、都道府県レベルで都道府県が関係行政機関、道路管理者あるいは鉄道事業者等と十分な調整をとりつつ総合的、計画的に実施をする必要がございますので、これらの諸機関を構成員として都道府県別に設置をされております踏切道改善促進協議会におきまして十分協議の上、具体的実施計画を定めますように都道府県を指導することとしております。  そのため、今回策定をいたしました第四次の踏切事故防止総合対策の実施に当たりましても、関係省庁と緊密な連携をとりながら、近いうちに各都道府県知事あてに通達を出す予定にいたしております。  なお、主としてその中身といたしましては、第四次総合対策のうち踏切保安設備の整備交通規制及び統廃合についての具体的実施計画を、都道府県ごとに速やかに踏切道改善促進協議会を開催した上で策定をすること、踏切保安設備の整備交通規制及び統廃合の実施に当たりましては、踏切道改善促進協議会を活用するとともに、地元の市町村等との連絡を密にいたしまして地元の住民等の理解が得られるように努めること、また、これらの事業の実施に当たっては、立体交差化及び構造改良の計画を勘案する必要がありますので、立体交差化事業または構造改良事業を行っている鉄道事業者及び道路管理者とも十分連絡をとること、そして最後に、春秋の全国交通安全運動等の機会を利用して自動車運転者歩行者等踏切道通行者に対しまして安全意識の向上等の周知徹底を図るための広報活動を強化すること、こういったことを骨子とした通達を出すことを予定いたしております。
  235. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 先ほど大臣にお尋ねした同じ表のところなんですが、大臣にもお答えをいただきましたように、整備状況なんですけれども、構造改良とか保安設備の方は大変によく整備率が達成しているのに対して、立体交差化の方が大変におくれているわけですね。特に国鉄と民鉄を比べますと、国鉄の方の立体交差化がこの表ですと七五・八%、民鉄の方は五七・〇%というふうに際立っておくれているように思えるのですけれども、これはどういう理由なんでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
  236. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  踏切事故を防止するためには、踏切道の立体交差化ということが非常に効果的なことであるわけでございまして、自動車交通量が多く、かつ列車の運行回数あるいは利用交通量等が非常に多いこととか、また、立体交差化によって交通渋滞の解消、あるいは道路交通確保が図れるというようなこととともに、事故防止に対します寄与度と申しましょうか、これが高いものにつきまして重点的に推進しているわけでございまして、立体交差化の規模が非常に大きいために、市街地における踏切道にあって、交通計画上の調整だとかあるいは環境面での地元の協議に非常に時間を要しているわけでございまして、そのような理由によりまして着工がおくれている場合が非常に多うございます。  このように非常に難しい問題があるわけでございますけれども、今後は都市計画との調整あるいは地元との協議に誠意を尽くして、円満な理解のもとに早期に実施できるよう指導に努めてまいりたいと思っているわけでございます。  国鉄また民鉄との差が非常に大きいというお話でございますけれども、私どもちょっとそこまでの理由、ここでお答えするほど考えておりませんので、失礼させていただきます。
  237. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 理由はわからないそうでございますが、せっかくの整備ですから、お調べいただいて、促進方お願いしたいと思います。そうじゃないと第三次あるいは第四次、進んで第五次になっても、いつまでたってもぐあいが悪いんじゃないかなというふうに思います。  そこで関連なんですけれども、この踏切道の立体交差化等を行っていく場合に、その付近の住民の理解なり協力がどうしても必要だと思うのですね。そういう場合の、住民が反対されたりなかなかうまくいかぬというふうな場合、どういうふうにしてこれを打開されているんでしょうか。ちょっとお尋ねしてよろしいですか。
  238. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  当初のときは、指定という行為があって、いきなり地元にこういう工事に着手するというようなことで、前広に地元にわからないような場合があったかもしれませんけれども、最近の改正では、都市計画に関連しましてその地域の都市計画を詳細に決めてから実施するわけでございますので、そういう面で都市計画段階から踏切道の立体交差化あるいは整備というような問題が地元によく理解されるようになっておりまして、都市計画の作成の場で話し合われ、また環境面等ではそれぞれのアセスメントを実施して、地元に対する了解を得る手段ができてきたと思っております。
  239. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 同じく関連なんですが、資料の十一ページのところを済みません、おあけいただきまして、国鉄、民鉄を問いませんで、第一種の踏切のところは目標を達成するように大変よくでき上がってきているわけです。それに対して第四種の方は、本当に効果が出ているというか、昭和三十五年三万七千百十三というのに対して、昭和六十年の見込みは五千九百二十七と、まさに一六%まで下がるというか、大変に減ってきているわけで、これは交通安全対策上極めて望ましいことでよいことだ、こう思うのです。しかもいずれは、できるならばこういう第四種の踏切というふうなものは全廃されてもいいものだろう、こう考えます。しかし、今の国鉄あるいは民鉄における合理化に伴う人員削減、こういう中で、人員増を伴うような第一種の踏切道をふやすということは、予算上もなかなか難しい点がこれから出てくるのではないかなと思うのですが、今後の第四種踏切道並びに第一種踏切道対策について、特段何かお考えの点があったらお聞かせいただきたいと思います。
  240. 服部経治

    ○服部政府委員 私ども踏切道の整備に取り組みます基本的な姿勢というのは、まず第一に踏切をなくすことでございます。立体交差化等によりまして踏切を除却してまいるのを第一義といたしております。しかしどうしても踏切を浅さざるを得ない、立体交差化等の計画がなくて浅さざるを得ないという箇所につきましては、設備の立派な第一種踏切化を志しておるわけでございまして、第四種はもう次第になくしていきたいというふうな姿勢で取り組んでおります。  その際に、先生指摘のように、第一種踏切がふえていけば、その関係での踏切の保安要員もふえるじゃないかというようなことは確かにございますけれども、これは鉄道というものを経営していきます上で安全ということは一番大事なことでございますので、他の面での経営努力を十分に行いまして、そういった要員の生み出しを図ってまいるべきであるというふうに考えております。
  241. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 大変結構だと思います。ぜひそうあっていただきたい、こう考えております。  ただ同時に、旧来の第一種踏切のように保安要員を置かなくても、今までの一、二、三、四という種別にこだわらないで、人手をかけないでより安全を、目的を達成し得るというふうなことなども、最近の科学の進歩から考えれば、お金をかけなくてもより安全で大丈夫だという方法も探し得るんじゃないかというふうに思いますので、今後十分にひとつ御研究をいただきたいというふうに思います。  その次に、道路の解釈についてちょっとお尋ねをしたいと思います。  といいますのは、踏切道改良促進法の第二条には、「「踏切道」とは、鉄道と道路法による道路とが交差している場合における踏切道をいう。」というふうにございます。道路法を広げてみますと、道路法第三条にいう道路の種類は「高速自動車国道 一般国道 都道府県道 市町村道」です。これに対して、昭和五十六年の交通安全対策室長名による通知によりますと、「踏切事故防止総合対策の実施について」というものの中で、「道路法にいう道路でない農道、林道、臨港道路等による踏切道についても総合対策が適用される」こうあるわけであります。これらの農道等と、踏切道改良促進法にいう道路とにちょっと意味の食い違いがあるように思うのですが、その関係はどうなっていますか。
  242. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  この法律は、踏切道における交通事故の防止と交通渋滞を緩和するため、一定期間内において踏切道の早期改良を実現する意図のもとに企画されましたいわゆる促進法でありまして、交通量の多い、かつ一般交通の障害になっている踏切道の改良を重点的にかつ確実に実施していこうとしているものでございます。  したがいまして、一般の交通量が少ないとか、あるいは主として特定の用途に供されておりますことを常態とします農道だとか林道、あるいは臨海道路、臨港道路、私道等につきましては、この法律の立法趣旨に照らしましてこの法律の適用対象から除外することにしているわけでございます。しかしながら最近の踏切事故の現況にかんがみまして、これらの道路についても、道路法による道路と同様に踏切事故防止総合対策に沿いまして踏切保安設備の整備等を積極的に行う必要があるわけでございまして、鉄道事業者どこれらの道路管理者が協議し、その整備を行うよう指導してきたところでございますし、また今後も一層引き続き指導をしてまいりたいと思っております。
  243. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、踏切事故の原因別発生率についてお尋ねします。  資料の十三ページのところでありますが、踏切事故の原因別発生率におきまして、道路側要因としての直前横断等あるいは自動車運転誤りというふうなことが国鉄、民鉄を合わせたトータル的なものを考えてみますと、昭和五十五年から五十九年においてそれほど総体的に違いは見られません。ところが国鉄と民鉄とに分けて個別的に見ますと微妙な食い違いがここで出てくる、こう思うのです。  一つは、直前横断等が国鉄の方ではやや増加の傾向をたどっているのに対して、民鉄の方では逆に減少の傾向をパーセンテージではたどっていること、逆に自動車運転誤りというのは、国鉄の方がむしろ減少ぎみであるのに対して民鉄の方は増加をしておるというふうな微妙な食い違いがあるように思えるのですが、これはどういうことによるのでしょうか。
  244. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  先生指摘のありました踏切事故の原因につきまして、直前横断あるいは自動車の運転誤り等の発生率につきましては、大まかに見ていただきますと大差はなく、発生件数、率でもほぼ年々横ばいないし減少傾向にあろうかと思います。ただ特定な年を見ていただきますと、先生指摘のような若干の差があるわけでございますが、ただ国鉄私鉄、先ほどの御質問のときも確たる一わかりませんと申し上げたわけでございますけれども、やはり交通環境私鉄の場合は大都市近郊というのが非常に多くなっているわけでございまして、国鉄のように全国一般になっているところとそういう交通環境の差が若干出ているのではないかと私は思っている次第でございます。
  245. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 これも後ほどぜひ御研究をいただきたいと思います。  さて、次に踏切道の立体交差化についての問題なんですが、交通白書の中で、踏切道の中でも「大都市過密地域等における列車運行回数が特に多い区間」あるいは「踏切遮断時間が長く道路交通量が多いもの」あるいは「主要な道路との交差に係るもの」などについては、立体交差化を実施することにより踏切道をなくしていきたい、こう書かれているわけです。  さて、お尋ねしたいのは、この三つなら三つの要件をすべて満たしているのですけれども、しかし、地形的な理由によってこれまでの立体交差化の方法によっては工事が難しい、つくりづらい、こういうふうなケースの場合どうしたらよろしいのでしょう。
  246. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、現在の状況で立体交差化するのは非常に難しいところで何かアイデアはないかというお話であろうかと思いますけれども、例えて申し上げますと、エレベーターを使って車を上げてというようなことも形としては考えられるわけでございますけれども、ただ、立体交差をする箇所は非常に交通量が多くて交通渋滞を起こしているようなところでございますので、そういうようなところでそういう交通量を処理できるのかどうかという面で非常に問題があるわけでございまして、私ども今後の長期的な考え方として検討させていただきたいと思います。
  247. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 この点もぜひ御検討をいただきたいと思います。何しろ科学は日増しに進んでいることでございますから、新しい時代においての御研究をお願いしたいと思います。  さて、これはまたよくあることだと思うのですが、今御質問しました三つの、例えば「大都市過密地域等における列車運行回数が特に多い区間」とか、そういったような要件を満たしている第一種踏切道において、踏切道の幅をもう少し広げたい、あるいは立体交差化を図りたい、だけれども踏切に隣接する家屋が邪魔であってどうしてもそれができない。立ち退かせたいけれども立ち退かないんだというふうなケースが幾らもあろうかと思うのですが、今そういうときはどういうふうに処理されているのでしょうか。
  248. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、地元と申しましょうか、その当該者からなかなか御理解が得られない場合もあるわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、都市計画段階で地元とよく協議し、都市計画の作成の段階でそういうことを討議して、今後の問題についてできるだけ問題の出ないように私どもとしても努力してまいりたいと思っております。
  249. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 質問を終わります。
  250. 正木良明

    正木委員長 次に、辻第一君。
  251. 辻第一

    ○辻(第)委員 昭和四十一年から始まった四次にわたる踏切道改良促進法に基づく事業によりまして踏切道の改良が行われ、事故件数死傷者数が大幅に減少したことは喜ばしいことであります。しかし、五十九年度でもなお九百二十件の事故件数、五百三十九人の死傷者数があります。踏切道を改良し、事故をなくすことは極めて重要な課題であります。  そこで、具体的にお尋ねをいたします。  国鉄にお尋ねをいたします。  去年の五月九日、静岡県沼津市の国鉄御殿場線の中石田踏切で、列車と乗用車の衝突事故がありました。二十四歳の青年が首の骨を折って意識不明の重体だ、このような新聞の報道がありました。これは、ちょうど列車が来たら遮断機が上がった、ちょっと我々びっくりするようなことだったようでありますが、踏切作動システムにおける誤った作動によるものだ、言うなら国鉄の欠陥踏切というようなことで問題になったと思うわけであります。このような欠陥のあった踏切にどのような対策をとっておられるのか、お尋ねをいたします。
  252. 村上郁雄

    ○村上説明員 先生指摘の御殿場線の中石田踏切での事故につきまして、これは本当に危険な事故でございまして、列車が来たときに断遮機が上がったということでございまして、私どもも非常に憂慮しております。  この原因についていろいろ調査したわけでございますけれども、一般に、単線区間にございますこのような踏切につきましては、踏切の前後に、踏切の箇所とそれから踏切を挟んで二カ所、合計三カ所の制観点がございまして、その制観点を列車が順番に踏むことによりまして、警報が鳴り出す、遮断機がおりるというのが第一番目の制観点。第二番目の制観点が踏切のそばにございますから、それを踏みますと今度は遮断機が上がる。それから最後の制観点を列車が踏みますと、本当にこの区間に列車がいなくなったということで、次の列車を受ける態勢ができるわけでございます。  そういったような仕組みになっておるわけでございますが、今回の事故につきまして、同じような条件が起こり得るのかどうかということで現地で再現試験を行ったわけでございますけれども、この装置そのものにはそういったことが再現しないということがわかりました。これはどうしたことかということでさらに詳しく調べましたところ、当該列車が行きます直前に、私どもの保守用に使っておりますモーターカーがここを走行しております。そのモーターカーと申しますのは、編成数としては一両で走っておりますので、先ほど申しました制観点を踏むときに完全に踏まない場合があり得るということで、恐らく三番目の到御点、最後の制御点を踏まないような条件で行ってしまったのではなかろうか。そうしますと、今度列車がそこに入ってまいりますと、今度はやっと列車が抜けていったという条件になりまして、踏切は上がったままになってしまうというようなことが想定されるわけでございます。  こういった状態は非常に危険なわけでございまして、私どもそういうことのないように、モーターカーを使用いたしますときに、普通ですと線路の信号が感ずるような短絡状態ということになるわけでございます。右と左のレールが短絡するようになるわけですけれども、それをしないように、完全に絶縁状態にするという対策をとりました。これを全国のモーターカーにつきまして、単線区間の踏切で作業をするときには絶縁状態でやるということを徹底させて、この対策としております。
  253. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ二度とこういうことがないように、十分な対応をしていただきたい。要請をしておきます。  次に、運輸省にお尋ねをいたします。  踏切道改良促進法対象外となっております農道や生活道路、ここの事故が依然として後を絶たないわけであります。農道にしても生活道路にいたしましても、そこに人々の暮らしがあり、交通が生じ、踏切ができたわけでありますから、人々の命や暮らしを守るためにも交通事故の防止策が求められるべきであります。  そこで運輸省は、このような法の対象外となっている農道や生活道路事故を防止するために何らかの対策を鉄道事業者に対して求めるべきだ、このように考えるのですが、いかがですか。
  254. 服部経治

    ○服部政府委員 道路法上の道路に係る踏切以外の踏切につきましても、それの整備を図りますことの重要性はまさに先生指摘のとおりでございまして、私どもは今後とも鉄道事業者を督励いたしまして、そういった農道とか林道に係る踏切道につきましても、それの整備を鋭意進めてまいりたい考えでございます。
  255. 辻第一

    ○辻(第)委員 もうちょっと具体的に何かありませんか。
  256. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  答弁としては今局長がお答えしたことでございますけれども、私どもも、改良促進法の中には入っておりませんけれども、踏切事故防止総合対策の中ではそういう道も含めまして、その総合対策に基つぐ通達ということで事業者を指導しておりまして、現実に整備をした踏切道の十数%というのはそういう道路法以外の道路でございます。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な対応をしていただきたいと思います。  次は、私の地元の奈良の踏切の整備状況でありますが、県の企画部の交通安全対策課の資料によりますと、五十六年から六十年度の五カ年計画で、目標は一種化が四十九カ所、三種化が二十三カ所、この計画に対しまして、六十年度見込みで、一種化が八十カ所、三種化が三十三カ所ということで、一六三%、一四三%の進捗率であります。関係者の御努力に敬意を表したいと思うわけでありますが、なお四種の踏切が四十四カ所、三種の踏切が六十六カ所残っております。  そこで、国鉄にお尋ねをいたしますが、そのうち国鉄は三種が十カ所残っておって、四種が三十一カ所残っている、このように聞いているわけであります。今後の改善の見通しをお示しいただきたい、これが一点です。  それともう一点は、国鉄の大和郡山駅南側の稗田踏切というのがあります。これは踏切が斜めになっておりまして非常に長いのです。東側からは入りやすいのですが、西側へ出ていくときに、そこが三差路になっておって、渋滞をして出にくいということがしばしば起こり得るのですね。そういう状況の中で、昭和五十八年の二月八日に自動車と電車が衝突をして人が亡くなるという事故がありましたし、五十七年にも同じところで自動車と電車の衝突事故があった。非常に危険な踏切であったわけであります。  そういうことで、当時大和郡山市も、また私どもの大和郡山市議団も、天王寺鉄道管理局に対応をしていただきたいという要請をいたしました。私も五十八年三月八日に天鉄局へ参りまして、障害物検知装置の設置をしていただきたい、十分な踏切の対応をしていただきたい、このようにお願いをいたしました。さらに、国鉄本社に五十八年八月二十六日に参りましてお願いをしたということであります。そういう経過があったわけでありますが、今改善をしていただいているように聞いております。どのような改良が今されておるのか。いつごろ完成をするのか、その二点、お尋ねをいたします。
  258. 村上郁雄

    ○村上説明員 初めの奈良県の国鉄の踏切についてお答え申し上げます。  五十九年度末で奈良県内の踏切の数は二百二十カ所ございますけれども、そのうち踏切保安設備のついてございます踏切は百八十九カ所でございます。全体の八六%ということで、全国的に見ましても、全国では七八%の装備率でございますので、奈良県についてはかなり進んでいるというふうに考えておりますけれども、今後とも整備を進めてまいりたいと私ども思っております。今後踏切道の改善促進協議会の組織の中でその整備計画についていろいろと検討していただいて、その上で私ども整備もさらに進めていきたいというふうに思っております。  それから、大和郡山市の踏切につきましてのことでございますけれども、御指摘のように五十八年二月に事故がございましたけれども、この踏切につきましては昭和四十三年に自動化いたしまして、その自動化したときにあわせまして非常事態を知らせるための非常ボタンを踏切につけさせていただきまして、そのボタンを押せば発煙筒が発火するという設備になっておったわけでございます。事故の当時にその非常ボタンを押していただければよかったわけでありますけれども、そこまでなかなかいかなかったということであります。そこで、さらに抜本的な対策として、今先生おっしゃるような障害物検知装置を取りつけるということを計画いたしておりまして、種々検討しました結果、ことしの三月末にはこの障害物検知装置の使用開始ができるというところに至っておりますことを御報告申し上げておきたいと思います。
  259. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも御苦労さんでございました。  最後に、連続立体交差化事業の問題でお尋ねをいたします。  この連続立体交差化事業がいろいろと非常に大きなメリットがあるというふうに思うわけでありますが、それはそれとして、これの費用負担の問題であります。先ほども少し御論議がありましたが、建運協定に基づいて費用負担がやられているということでありますが、その中に、「鉄道受益者負担当額は高架下貸付益額等とし、当分の間、地方鉄道の場合七%とする」、このようになっていますね。それから、国鉄については一〇%となっている。このような認識をしているわけでありますが、この地方鉄道七%という算出、また国鉄の一〇%という算出はどのような根拠なのか、もう少しわかりやすく説明をしていただきたいと思うのです。
  260. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  立体交差に伴います鉄道の負担は、踏切がなくなったということで何らかの影響があるわけでございまして、もちろん踏切事故もなくなるというようなことでそういうような利益、それから高架の下を店舗等に貸し付けて有効な利用をしているわけでございますが、そういうところから上がってくる収益、そのようなもろもろの収益があるわけでございまして、それを一応の受益額ということでその合計額から、ただ単に入ってくるばかりでなくして、やはり維持管理に係る費用というものもあるわけでございまして、受損額と申しましょうかそういうようなものを差し引いた額で決めているわけでございまして、そういうものではじいたところ、利子等の負担等の差がありまして、民鉄の場合は七%、国鉄の場合は一〇%ということで決められているわけでございます。
  261. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間があと四分ほどになってきましたので詳しく聞くことはできないのですが、これはちょうど調査をされたのが昭和四十四年ということでありますから十七年前ですか、そういうことですね、大分時代も変わってまいりました。最近の状況を見てまいりますと、高架の下を貸し付ける、それはショッピングセンターでありますとか店舗でありますとか駐車場でありますとか、いろいろ高度に利用されているという状況がふえているのではないか、そこからの収益がふえているのではないか、私はこのように考えますし、そのような声もかなり聞くわけであります。  ですから、これはもう十七年もたっているわけでありますから一度見直してもらって、それから地方自治体の負担がやはり非常に重いということですね。七%としますと九三%ですか。今地方自治体の財政が非常に厳しいという状況ですね。きょうも補助金の削減一括法案というのが提出をされるという状況でますます厳しくなりますね。こういう状況の中でいわゆる民鉄さん、高架下の貸し付けでかなりの収益が上がっているのではないか、こういうことで、もう一度見直して民鉄の負担をもっとふやすべきだ、私はこのように考えるのですが、いかがですか。
  262. 神戸勉

    ○神戸政府委員 お答えいたします。  負担分の額につきましては先ほど申し上げましたような経緯で決まったわけでございますけれども、何分にも古く決まったわけでございまして、国会の当委員会でもいろいろ見直したらというお話を伺っていたわけでございますが、実はそういうようなお話もありまして、私ども五十七年度に当時の民鉄の高架部分について調査を実施したわけでございまして、そのときの結果で申し上げますと、もちろん収入も相当上がっておりますけれども、経費の方も相当上がっておりまして、民鉄全体としては、若干ではございますが、その当時では七千六百万くらいの赤字という状況になっておりまして、そういうような調査を通じて基本的な条件というのはまだそんなに変わってないように思っております。もちろんそれぞれの時期、毎年というわけにはいかなくて、長期に見て相当件数いったときには当然見直すべきだと私ども思っております。
  263. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度厳正に調査をしていただいて、私は、地方自治体が非常に苦しい状況の中で、それは民鉄さん、ひとつ負担をふやしていただきたい、こういうふうななにをぜひやっていただきたい、重ねて強調して終わります。
  264. 正木良明

    正木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  265. 正木良明

    正木委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  踏切道改良促進法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  266. 正木良明

    正木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  267. 正木良明

    正木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  268. 正木良明

    正木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会