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薮仲委員 今、警察庁、消防庁から伺いましたけれ
ども、
道路局長、私が申し上げることをよく聞いておいていただきたい。
道路トンネル
技術基準が昭和四十九年十一月に告示されております。これは
建設省道路局長名でお出しになったのですから、
局長はよく知っていると思うのです。これは、トンネルの等級をA、B、C、Dに分けまして、その用意すべきものとして通報装置、非常警報装置、それから消火
設備として消火器と消火栓を用意しなさいと書いてあります。間違いございませんね。それが
日本坂トンネルの災害にかんがみて、昭和五十六年四月に
都市局長と
道路局長名で
道路トンネル非常
施設設置基準が、改善の上、通達されました。
当時の
道路公団の総裁が御答弁になっているわけですけれ
ども、鈴鹿トンネルの災害にかんがみて
道路上の防災基準ができております、
日本坂トンネルはそれをはるかに上回っておりますという
委員会での答弁がございます。今ここに示したように、こういう基準があるから大丈夫だろうと思っていますけれ
ども、何がだめかということをきょう具体的に言っておきますから、
東京湾横断道路のときに私の
指摘を思い起こしていただきたい。
これは静岡県の静岡及び焼津両消防本部の報告による資料でございます。消防庁に聞いた方がいいのでしょうけれ
ども、時間がありませんから私が申し上げます。
消防庁の資料で、まず一番いけないのは発火場所の確認ができてなかったことです。「
東名川崎指令センターから専用電話で静岡市消防本部に「
東名下り線、
日本坂トンネル内で大型トラックと乗用車の衝突事故があり燃えている。けが人はわからない」旨の入電があり」ここまではいいのです。この次です。「静岡市消防本部から
東名川崎指令センターへ火点確認を行ったところ「
日本坂トンネルの静岡側に近い地点で、現在スプリンクラーが作動している。テレビカメラでは火が立っていない。」旨の回答あり(十八時四十五分)。」ここに間違いがあるのです。「
日本坂トンネルの静岡側」というところに誤りがあったのです。火点は焼津側なんです。消防庁に聞けばおわかりのとおり、
東名の下り線は静岡消防署が出ていくのです。上り線は焼津消防署が出動するのです。ですから静岡消防署は、静岡側だと思って現地へ行ったのです。
ところが火点はとんでもない、この報告書にありますように
日本坂トンネル下り線焼津側出口約四百二十メーター、これは二千メーターのトンネルですからね。焼津側から四百二十メーター、
道路公団式に言うと
東名高速道路下り線百六十九・一KPというところです。そこが火点なんです。
ところが、最初のモニタテレビを見たときの報告が間違っておった。これによって出動の態勢が、静岡から出ていったけれ
ども、実際は焼津から来なきゃならなかったというのがあるのです。そのために焼津へ連絡が行ったのが十九時十八分です。ここに約三十数分間の問題点があります。このモニタテレビ、スプリンクラーが作動しております、火は出ておりません。火は出ているのです。入ったときに、ここに消防のものが出ております。「焼津市消防本部の最先到着隊が到着した時(十九時四十分)は、大型トラック等四〜五台が燃焼の最盛期となっており、火焔は天井に達していた。」物すごく燃えていた。火が出てないという判断と、火点の位置が間違っているということが大きな問題なんです。それから、ここで問題を
指摘しなければならないのは、まずあの
日本坂トンネルの消火容量が少なかった。これはいわゆる水噴霧機、ありましたね。それから給水栓の問題もあるのです。これは、きょう時間がないから具体的に言っておきますから、
東京湾横断道をおつくりになるときによく研究していただきたい。水噴霧機というのは、
道路公団がおつくりになって、霧のような水の幕がおりるのです。これは、
一つ一つの区画に降るわけですけれ
ども、この容量があの当時は百七十トンしかないのです、後で改善されました。全部使いますと四十分しかその水はなかったのです。
ですから消防隊が、こう書いてある。「焼津隊は、積載タンク水の注水後本線上にある給水栓を活用し、ポンプ車三台による中継による防ぎょ活動を
実施したが、水量不足によりトンネル出口西方約二百メートルの地点の花沢川からポンプ車七台中継による防ぎょ活動を行った。」
ここに
二つ問題がある。あの
日本坂トンネルで消防が出動しても、消防のあのホースとつながるのは入り口の二本しかなかったのです。真ん中は消火栓なんです。ここに、表に書いてあってそういうことが抜けておりますけれ
ども、消火栓のゲージ、
局長聞いてごらんなさい。当時四十ミリのはずですよ。消防庁お見えですから消防署のホース聞いてみてくださいよ。六十五ミリですようながらなかったのです、中では。ですから、トンネルの両側しか消防のホースがつながらないのです。しかも水量がなかった。消防の方が、花沢川から物すごい苦労をしておった、水がないのに。
ですから、この水で消すという問題、この初期消火の水噴霧機というのは消火ではございませんという
説明なんですよ、
道路公団では。温度を下げて、そして消火しやすいようにします、消火は車に乗っているドライバーが消火器で、あるいはトンネルの中の消火栓で消すのが消火でございます、こう言っているのです。水噴霧機は温度を下げるだけです。確かにそうかもしれません。消えなかった。普通乗用車に全部消火器を積むようになっているけれ
ども、全部が全部積んでいるかどうかは疑問です。もしも火災が起きたときに、じゃ、どうやって消すか。水をじゃあじゃあかければ消えるか、これはまたよく研究していただきたい。
それから、消火器でといいますけれ
ども、あの消火器というのは、人間にとってまた非常に危険な部分がございます。火を消そうとしてやったときにガソリンの火災を、例えば非常に消えやすい消火器がございますね。あれをトンネルの中で使ったら今度人間が酸欠状態になってまいります。人命救助の問題もあります。トンネル内の火災を消すということは、私はあの火災を見ておって
技術上非常に難しいな。ここにあるのですが、やはり消防隊が、「濃煙、熱気が激しく困難をきわめた。」
あのトンネルの中の温度は一回調べてください。スプリンクラーも使えなくなりました。それからテレビのモニターカメラもだめでした。水噴霧機ノズルも使えませんでした。全部、あのトンネルの中にあった最新鋭の消火
施設あるいはモニタテレビが温度のためにだめになったのです。
そこで、あの二キロのトンネルの中でも逃げる人が一番困ったのは、トンネルの中が真っ暗になったことです。例えば
局長、自分の置かれた立場を考えてください。トンネルの真ん中で、右へ逃げたらいいのか、左へ逃げたらいいのかわかりませんよ。例えば焼津側の四百メーターのところにいて、逆に静岡側に逃げたら、千六百メーター走らなければならないのですよ。こっちへ逃げればいいというその標識をつけなさいということで、トンネルの中に、右側へ逃げれば何キロ、左側へ逃げれば何キロというのは、私が
指摘したから
道路公団はおつけになった。それから火災に強いケーブルもおつけになった。
また、私は、あの
高速道路上の安全の問題でずっと何回も
指摘したときに、
道路公団はつける、つけると言って、ラジオ再放送
施設があのときまだなかった。一番困ったのは、焼津と静岡の消防隊が無線で通信できなかった。どういう火の
状況になっているかわからなかったのです。しかも、あそこの中をジェット噴流ではあっと、後で構造を変えましたけれ
ども、あそこへ例えば風を送りますと余計火が燃える。例えば、あのトンネルは炭鉱と同じですから閉鎖すればいいかもしれない。閉鎖したら中の人が死んでしまうわけです。どうやって避難路をやるか。上り線と下り線に三カ所逃げ道があったのです。でも、そこへの誘導の照明は必ずしも正確じゃなかったのです。ですから、この三カ所の逃げ場所には絶対火に強いランプをつけなさい、今ついています。今度
東名高速を走ったらごらんください。私はあのトンネルを走るたびに、今申し上げた何点かのことが心の中をよぎるのです。
もしも、
東京湾横断道の十キロのど真ん中で火災が起きたらどうするんだろうか。五キロ歩く、走るといったって、一時間、二時間逃げなければならない。そういう点で、このトンネルの中での火の消し方の難しさ、これは十分考えていただかないと、避難をどうさせるか、簡単にはできませんよ。特に、私がなぜ限界量を明らかにしなさいと言ったかというのは、トンネルの中が数珠つなぎになったのです。それで火が燃え出したものですから消しに行けないのです。ですから、私は、トンネルの中を車を通すのは結構です。あのとき、車線変更もやめさせなさい。四車線の車線変更はやらせるべきでありません。逃げ道をどうするか、これは十分考えていただかないと重大な惨事を引き起こしかねません。
ですから、これは警察庁で御検討いただきたいのは、限界容量。他の一般
有料道路と違って、通して採算面だけでやることはやめていただきたい。やるんだったら安全面を、人命尊重の立場からしっかり考えていただきたい。車間距離をしっかり守らないと事故を起こします。もしもぶつかって火災が起きたら大変です。ですから、
東京湾横断道の中はむしろ、何台通そうかなんという採算ベースで考えるのではなく、限界は何台です、これ以上通せません、そして四台と四台のその車線は結構ですが、必ず車間距離はとる。もしも縮めれば、途中で何か、今高度情報化社会なんですから、車間距離が縮まったときにドライバーに、あなたの車は少し近づき過ぎました、こういう警告を与えるぐらいでなければいけないと思うのです。あれを
道路構造は八十キロでやっていらっしゃいます。八十キロですと、警察庁にお聞きになれば、八十キロなら八十メーターの車間距離、百キロなら百メーターの車間距離と必ず言うはずです。そうすると、八十キロという
道路構造でおやりになって本当に安全を見るんだったら、トンネルの中に何台しか卓が入れない、そこから収支の計算をおやりになることです。ただ数珠つなぎにやって、もしも火災が起きたら、これは炭鉱の火災以上に悲惨な状態になります。
だから、
日本坂トンネルの事故にかんがみて、今
道路局長は万全でございますとおっしゃいましたけれ
ども、私は現地に何回も行った。あの火事は消えなかったのです。あの火災が起きてから私は本当に心が痛んだ。あの翌日も見に行った。翌日も消えませんでした。その次の日も消えなかった。正味約三日間近く燃えておったのです。これは正式に申し上げますと、これも
局長覚えておいてください、七月十一日の十八時四十分に発火しました。これは消防署の資料です。消えたのが七月十四日の十二時です。正式に言えば二日と十七時間燃え続けておったのです。二日目になっても消防隊は消しに入れなかったのです。風を通せば燃える、ふさげばどうなるかわからない。この消防
技術がまだあのトンネルの中で、教訓は多々あったと私は思うのです。
もっともっと申し上げたいことはたくさんあるのですけれ
ども、きょうはたくさん質問があるものですからこれでやめておきます。私の言った幾つもの点は、本当にケーブル一本にしても高熱に耐えられるようにしてほしい、もしも不測の事態が起きたときに救急体制はどうするか、あるいは病人ができたらどうするか、いろいろなケースを考えて救急体制は考えていただきたい。
消防庁に
一つ聞いておきたいのは、私は災害対策の質問のときにアルメロの地震がありました。あのとき私は、
建設委員会、昨年の十一月だったと思いますけれ
ども、消防庁に国際救急救助隊をつくってやってくれ、消防庁のすぐれた救急
技術というのは見上げたものだ、あのアルメロの水の中で命を落とされた子供を見て心が痛む、救いに行ってくれないかという提言をして、消防庁は国際緊急救助隊をおつくりいただくということで努力をしてくださった結果を私は評価しておりますが、こういう
長大トンネルの中でもしも火災が発生したときに、消防庁のレスキューの
技術はどのような対応をしてくださるのか、ちょっと伺っておきたいのですが。