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1986-05-16 第104回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月十六日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 瓦   力君    理事 東家 嘉幸君 理事 野中 広務君    理事 平沼 赳夫君 理事 木間  章君    理事 中村  茂君 理事 山中 末治君    理事 新井 彬之君       池田 行彦君    榎本 和平君       金子原二郎君    桜井  新君       森田  一君    保岡 興治君       山岡 謙蔵君    井上  泉君       上野 建一君    山花 貞夫君       宮崎 角治君    永江 一仁君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣             建 設 大 臣 江藤 隆美君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 山崎平八郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       吉居 時哉君         国土庁土地局長 田村 嘉朗君         国土庁大都市圏         整備局長    山本 重三君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 廣瀬 利雄君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君  委員外出席者         議     員 木間  章君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         自治省財政局指         導課長     横田 光雄君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     田中淳七郎君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  吉田  巌君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     小坂徳三郎君   榎本 和平君     藤尾 正行君 同日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     池田 行彦君   藤尾 正行君     榎本 和平君 同月二十二日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     長野 祐也君   榎本 和平君     塩崎  潤君   金子原二郎君     玉置 和郎君   國場 幸昌君     野呂田芳成君   桜井  新君     伊藤 公介君   東   力君     粕谷  茂君   森田  一君     宇野 宗佑君   瀬崎 博義君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     桜井  新君   宇野 宗佑君     森田  一君   粕谷  茂君     東   力君   塩崎  潤君     榎本 和平君   玉置 和郎君     金子原二郎君   長野 祐也君     池田 行彦君   野呂田芳成君     國場 幸昌君   工藤  晃君     瀬崎 博義君 五月七日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     椎名 素夫君   榎本 和平君     鯨岡 兵輔君   金子原二郎君     水野  清君   國場 幸昌君     松野 幸泰君   桜井  新君     藤波 孝生君   東   力君     山中 貞則君   伊藤 英成君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     榎本 和平君   椎名 素夫君     池田 行彦君   藤波 孝生君     桜井  新君   松野 幸泰君     國場 幸昌君   水野  清君     金子原二郎君   山中 貞則君     東   力君   青山  丘君     伊藤 英成君 同月九日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     金丸  信君 同日  辞任         補欠選任   金丸  信君     村岡 兼造君 同月十日  辞任         補欠選任   前川  旦君     山口 鶴男君 同月十三日  辞任         補欠選任   桜井  新君     長野 祐也君 同日  辞任         補欠選任   長野 祐也君     桜井  新君 同月十六日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     宮崎 角治君   伊藤 英成君     永江 一仁君 同日  辞任        補欠選任   宮崎 角治君     坂井 弘一君   永江 一仁君     伊藤 英成君 同日  理事中村茂君同日理事辞任につき、その補欠と  して木間章君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十三日  住宅保障法案井上泉君外五名提出衆法第一  九号) 四月二十三日  国民生活関連公共事業に関する請願富塚三夫  君紹介)(第三六〇九号)  同(堀昌雄紹介)(第三六一〇号)  同(上野建一紹介)(第三六八四号)  同(上坂昇紹介)(第三六八五号)  同(渋沢利久紹介)(第三六八六号)  同(安井吉典紹介)(第三六八七号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願小沢和秋  君紹介)(第三六一一号)  同(正森成二君紹介)(第三六一二号)  同(加藤万吉紹介)(第三六八八号) 五月二日  国民生活関連公共事業に関する請願川崎寛治  君紹介)(第三七四七号)  同(山口鶴男紹介)(第三七四八号)  同(山中末治紹介)(第三八二〇号) 同月六日  我孫子市の国道六号線に防音壁設置に関する請  願(森田景一君紹介)(第三九〇二号)  国民生活関連公共事業に関する請願井上一成  君紹介)(第三九〇三号)  同(森井忠良紹介)(第三九〇四号)  同(山口鶴男紹介)(第三九〇五号)  同(森中守義紹介)(第三九二八号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願奥野一雄  君紹介)(第三九〇六号) 同月八日  公共賃貸住宅建設等に関する請願浦井洋君  紹介)(第四〇一九号)  我孫子市の国道六号線に防音壁設置に関する請  願(森田景一君紹介)(第四〇二〇号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (熊川次男紹介)(第四一〇七号)  同(小坂徳三郎紹介)(第四一〇八号)  同(佐藤誼紹介)(第四一〇九号)  同(武部文紹介)(第四一一〇号)  同(福田一紹介)(第四一一一号)  同(渡部恒三紹介)(第四一一二号) 同月九日  国民生活関連公共事業に関する請願中村正男  君紹介)(第四一八九号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第四三一九号)  同(福岡康夫紹介)(第四三二〇号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願上原康助  君紹介)(第四三二一号) 同月十二日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (石橋政嗣君紹介)(第四四二二号)  同(奥田敬和紹介)(第四四一四号)  同(梶山静六紹介)(第四四一五号)  同(田邉國男紹介)(第四四一六号)  同(船田元紹介)(第四四一七号)  同(渡辺省一紹介)(第四四一八号)  同(青木正久紹介)(第四六六八号)  同(山下元利紹介)(第四六六九号)  同(若林正俊紹介)(第四六七〇号)  国民生活関連公共事業に関する請願岩垂寿喜  男君紹介)(第四五一一号)  同(竹村泰子紹介)(第四五一二号)  同(松浦利尚君紹介)(第四六二三号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願中林佳子  君紹介)(第四八二一号) 同月十三日  国民生活関連公共事業に関する請願日笠勝之  君紹介)(第五〇〇四号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願小川新一  郎君紹介)(第五〇〇五号)  同(草川昭三紹介)(第五〇〇六号) 同月十四日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (岩垂寿喜男紹介)(第五〇四七号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第五〇四八号)  同(春田重昭紹介)(第五〇四九号) 同月十五日  尾瀬の水の広域的運用に関する請願(長谷川四  郎君紹介)(第五三二一号)  国民生活関連公共事業に関する請願田邊誠君  紹介)(第五三二二号)  同(中島武敏紹介)(第五三二三号)  同(野間友一紹介)(第五三二四号)  同(馬場昇紹介)(第五三二五号) 同月十六日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (保利耕輔君紹介)(第五四九五号)  同(渡辺紘三君紹介)(第五四九六号)  同(中井洽紹介)(第五七三八号)  同(野間友一紹介)(第五七三九号)  公共賃貸住宅建設等に関する請願沼川洋一  君紹介)(第五六八二号)  同(松本善明紹介)(第五九四〇号)  国民生活関連公共事業に関する請願瀬崎博義  君紹介)(第五九三七号)  同(中村巖紹介)(第五九三八号)  同(水谷弘紹介)(第五九三九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十二日  流水占用料徴収反対に関する陳情書外一件  (第  二三六号)  地盤沈下防止等対策の推進に関する陳情書  (第二三七号)  明石海峡大橋の名称に関する陳情書  (第二三八号)  公営住宅入居資格収入基準緩和等に関する  陳情書(第二三九号  )  北関東横断道路早期建設に関する陳情書  (第二四〇号)  東海北陸自動車道建設促進に関する陳情書  (第二四一  号)  四国における一般国道バイパス建設促進に関  する陳情書  (第二四二号)  四国縦貫横断自動車道建設促進等に関する  陳情書  (第二四三号)  四国縦貫自動車道ルート変更に関する陳情書  (第二四四号) 同月十六日  国道号バイパス無料化等に関する陳情書  (第二六七号)  流水占用料徴収反対等に関する陳情書外三件  (第  二六八号)  国道一九三号バイパス等建設促進に関する陳  情書  (第二六九号)  紀の川高規格道路早期建設に関する陳情書  (第二七〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  住宅保障法案井上泉君外五名提出衆法第一  九号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 瓦力

    瓦委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、この際、御報告申し上げます。  本委員会委員でありました前川旦君が、去る十一日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。  ここに、委員各位とともに故前川旦君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  御起立をお願いいたします。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 瓦力

    瓦委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ————◇—————
  4. 瓦力

    瓦委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事中村茂君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 瓦力

    瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 瓦力

    瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、理事木間章君を指名いたします。      ————◇—————
  7. 瓦力

    瓦委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団理事田中津七郎君及び本州四国連絡橋公団理事吉田巌君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 瓦力

    瓦委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  9. 瓦力

    瓦委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
  10. 山中末治

    山中(末)委員 質疑を申し上げるわけでありますが、先ほど委員長からもお話がございましたように、本委員会前川旦先生が逝去されまして、心から哀悼の誠をささげたい、このように思います。  私は、本日は建設行政等につきまして質問を申し上げたいわけであります。京都の北の方、日本海沿岸に丹後町というところがございます。そこに後ヶ浜という海水浴場がございまして、非常に風光明媚なところでありまして、なおかつこの付近は、残念ながら過疎地域でございます。せんだっても建設省の手によりましてトンネル開通をいたしました。地元は非常に喜んでおられるわけでありますが、私も開通式に行きまして、いろいろその場でお話を聞きますと、この立派なトンネル若者が出ていく道にしないでほしい、むしろこのトンネルを通じて若者が帰ってくるような道にしてほしい、こういう強い要望がお年寄りの方からありました。  全くそのときは強く胸を打たれたわけでありますが、その地域に後ヶ浜といういわゆる海水浴場があるわけです。そしてこの海水浴場海水浴のお客を目標にして非常に多くの民宿が過去にはありました。それがだんだん民宿の数も減ってまいりまして、海水浴客が非常に少なくなってきた、ほとんど来なくなってきた、こういう状態であります。これを何とか回復しなければならない、こういうことで地元京都府当局と建設省の間でいろいろ工法協議等されて、数年前から離岸堤等の施工をしておられるところであります。  その後、その途中で、この地方はウラニシという季節風が南西方面から始終吹いてきます。そういう影響もあろうかということで、地元の方からウラニシが吹いてくる方向にブロックを入れて消波の作業をされて、そして水の流れがうまく砂を吐き出さないようにする施策というものもされてまいったわけであります。  私、この原因についてはよくわからないのですが、今まで海水浴場であったその浜辺の砂がだんだん沖の方へ持って出られまして、そして海岸擁壁があるのですが、この擁壁が残っている程度にまで砂がなくなってしまいました。何とかこの砂浜を回復して、人たちがここへ海水浴に水もきれいなところですから来るように、そしてまた地元民宿等も往時の盛んなありさまをもう一回復活をしてもらいたいという要望が非常に強いわけであります。  今日まで、建設省におかれても地元京都府といろいろ工法等の協議をされまして手を打ってこられたわけでありますが、私も冬でしたけれども現地へ参りまして、私の知人がおりますのでそこで一泊して、海の際ですから体験をしたのですが、非常に波が強いのです。随分強い波なんです。  それで原因はまだ私としてはつかんでおりませんけれども、この今までやってこられた工事のほかに、砂を百メートルないし八十メートルくらい沖まで持って出られることを防ぐ方法は何かないものかというふうに思いまして、これは以前の委員会でも写真を写してきましてここで御質問申し上げたのですが、その後のお考え方等についてお伺いしたい、このように思います。
  11. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  後ヶ浜海岸侵食が著しいため建設省では昭和五十五年から侵食対策に着工いたしております。当面の侵食対策として緊急と判断される離岸堤すなわち、南北の方になりましょうか、それの離岸堤整備を促進してまいりましたけれども、六十一年度中には西側離岸堤が完成するようにということで鋭意努力中でございます。  それから先生お尋ねのように、前面の海岸防砂対策についてでございますが、この海岸は非常に難しい工法上の問題がございます。と申しますのは、先生指摘のように、風が非常に強いということと、それから海岸といたしましては比較的水深の深い場所でございます。したがいまして、従来の工法でも可能なわけでございますけれども、何かこういう地点に適切な工法はないかというようなことで、建設省といたしましてもいろいろ研究をいたしております。  その一例といたしまして、人工リーフという、今までは離岸堤ということでブロックを積み重ねる方法でございましたけれども、海底に広くブロックを敷設する、いわゆる人工リーフと育っておりますが、そういう工法も実は建設省といたしまして本年度から実施いたしておりますので、そういう工法も含めましてこの海岸に一番適切な方法というものを今年度中かけまして研究いたしまして、来年度から実施に持っていきたいという心構えで現在進んでおります。
  12. 山中末治

    山中(末)委員 今一つ方法として人工リーフのことを考えている、こういうことでございますが、この工事につきましては二つ問題点がある、私自身こう思っています。一つは、砂が返ってくるようにしなければならないということと、もう一つは、浜辺ができた、海岸に砂ができた、これが、どんな原因がわかりませんけれども、二度と再び海の方へ出ていかないようにしなければならない、この二つだと思うのです。  ですから、普通の静かなものに対する施策ではなしに、風とか波とかいう動くものを対象にしてやられる工事ですから、これは非常に難しい工事だと私も考えています。それで、専門家がいろいろ御研究なさって人工リーフ、あるいはまたその他の原因がわかってきますと、施策というものを考えていかなければならないと思うわけです。その二つの大事な目的といいますかこれの一つに、水深も深いということがありますが、ぜひとも砂を浜へ戻してもらうということを並行してとっていただきたい。  今の話によりますと、昭和五十五年からやっておられるわけですから、ことしを入れますともう六年たっておるわけですね。それで多少は西側の方で砂が戻ってきた感じがあるのかなという感じは私も持っているわけですが、あの湾全体にはなかなか砂が戻ってこない。ですから、そういう工事を研究して施行されるということも非常に大事なことであります。  と同時にそれと並行して、砂をもとへ戻すということ、これはもうただ単純に戻していくということですが、これを並行してやっていただけないだろうか。実際、地元は大変困惑しているわけですね。これは府県とか国の方へ要望を続けて、この砂浜を戻すということを実現してもらわぬとどうにもならないというせっぱ詰まったところまで来ておりますので、何とか砂を戻すことを並行して考えていただけないか、お尋ねいたします。
  13. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  私は今、離岸堤並びに人工リーフということを申し上げました。これらは二つとも、先生が御指摘のように、砂を持ってきてなおかつ、海岸の遠くに持っていかないようにするための工法でございます。  と申しますのは、海岸に砂がなくなりましたところにつきましてはどこからか砂を持ってこなくちゃならぬわけですから、海の水ができるだけ来るようにしなければならない。それで、その流れとともに砂を一緒に持ってくる。そして水だけ沖に返しまして砂だけ海岸に置くということで海岸が蘇生するということになるわけでございますが、離岸堤並びに人工リーフ二つ工法とも、今御指摘のような効能があるような最も適切な工法であるということで海岸関係の学者から推奨されている工法でございます。
  14. 山中末治

    山中(末)委員 それはよくわかっているのですけれども、始めてから今まで六年間もかかっているわけでしょう。そして局長が今おっしゃったように、人工リーフという方法をもう一回考えてみよう。私は、今までやられた離岸堤と消波ブロック、これは効果がないとは考えていないのです。これは効果あると思っているのです。だからそれ以上に、人工リーフを施行するということは要素をプラスしていくわけですね。  ですから、今まで六年かかって一生懸命やってこられた、これでそういう離岸堤とか消波ブロックが配置されない状態よりははるかに、砂を沖へ持っていく度合いといいますか量といいますか、これが少なくなっていると私は思うのです。そういうふうに信じたい、せっかく長いことやって巨費を入れたわけですからね。そうすると、今おっしゃっているように人エリーフをやって、あと一体何年たったら砂が浜へ返ってくるかという、そこに地元のもどかしさがあるわけですね、期待の大きいものがあるわけですね。  ですから、そういう施策離岸堤と消波ブロックとやってもらったわけですから、それとパラレルで並行して砂を返してもらう、何かの方法で。私、調査をしましたら、沖の八十メートルぐらいのところに砂が堆積しているのです。そこへ行くと人間の背が立つぐらいなんです。そこから沖へは行っていない、そこへ堆積しているということですから、局長のおっしゃることはよくわかるのですけれども、それと並行して砂を返してみる、人工リーフも並行してやってもらう、こういう方法がとれないかということを申し上げているのです。
  15. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  先生おっしゃっているように私たちも長期的な構想の中には砂を直接戻すことも考慮の中には入っているわけでございますけれども、できるだけ人工と申しますか、天然の作用によって自然に砂が浜につくという工法が適切だと考えておりますので、まず離岸堤をやり、それからそれにあわせまして人工リーフ等も施行いたしまして、その現象を見ながらいろいろの対策もあわせ考えていきたい、かように考えておりますので、先生指摘の砂を戻すということもその効果を見ながらその段階において考えさせていただきたい、かように思っております。
  16. 山中末治

    山中(末)委員 よくわかるのですけれども、行政政治というものはそれぞれに痛みがあるわけですね、対象となる地域とか。私は、それを自分の痛みのように受けとめて解決していくという基本的な姿勢が行政政治には要ると思うのです。これは大臣が以前からもそういうニュアンスのお話をしておられまして、私はそれは間違っていない、こう思っているのですが、今おっしゃっていることは技術的な問題とあわせて将来長期的な段階では砂を戻すことも考えているということですが、そうすると地元の人は、これは本当に過疎の町でして、これにかける期待は想像以上に非常に大きいわけですね。  ですから、私が今お聞きしたいのは、ではいつ砂を戻します、こういうことがわかれば一番地元は安心するわけですよ。片一方では技術的な問題と予算の問題とあって、一遍にここへ何億というのをぶち込むわけにもいかないかもわからぬ。そうすると、やはり年々予算を投入してやっていく。これは時間がかかる。いつ砂が戻ってくるかということはなかなかわかりにくい。普通の建設事業なら大体わかりますね、何年ぐらいにはこれが完成するということが。この場合は非常に技術的に難しいのでそれが言い得ないしんどさ、苦しさというのが施行側にはあるわけですね。  地元側はそれと逆に、いつ砂を浜へ戻してもらえるのかわからぬという不安があるわけですね。これはやはり非常に大きな地元の苦しみですから、それと並行して、パラレルでやってもらえないかということを申し上げておるのです。それが、長期的な施策の中では砂を直接浜へ戻すということも考えていますということですから、余りこればかりお話ししているのもどうかと思いますけれども、ではいつごろ砂浜を従来のように再現させていくかというめどがあったらお聞かせいただきたいと思います。
  17. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  砂を浜に戻したい、そのもどかしさというものは、先生は住民の方々のもどかしさということをお話しになられましたけれども、我共行政の者、技術を担当している者につきましても同じようにできるだけ早く砂を浜に戻したいということをひしひしと感ずるわけでございます。  しかしながら、ある行為を海岸に起こしますと、それのまた反動、リアクションということも出てまいりまして、一度に大規模なものを投入するということになりますと、成功する場合にはこれはよろしゅうございますけれども、天然のことでございますので、その辺の効果等も勘案しながら、できるだけ地元の方々の御心労にこたえるように我々の技術を研究し、それから予算も投入しながら実施をしていきたいというふうに思っておりますので、お尋ねのように何年たったら砂が出てくるんだということをしかと申し上げるという段階にはございませんので、事情を御勘案の上、よろしくお願いをいたしたい、かように思います。
  18. 山中末治

    山中(末)委員 では、二十年たっても戻ってくるかどうかわからない、十年たってもわからない、五年たってもわからない、これでは非常に不安だ、こう思うのです。だから、二十年はこれはちょっと長過ぎますけれども、三年ぐらいとかあるいは今の人工リーフを一回やってみて、その状況を見ながら砂を戻していく、それは最低何年ぐらいはちょっと様子を見なけりゃならぬということがわからぬと、地元も生活していく手だてが、目標がなくなってしまうんじゃないか、このように私は思うのです。  そういう意味で、大体何年ぐらいということの目途を、こう言うたからこうせいということはないのですけれども、その辺の決意になりますね。それと、余りその辺まで言いたくないのですが、昭和五十五年から今まで六年間、ことしやりかけだから五年間ですね、巨費を投じてやってきて、そして今またひとつ新しい方法でこれをやってみようということになると、今まで投資した予算の投資効果というもの、これが疑われてくるんじゃないかというふうに私は実は心配するのです。  だから、そういうものもあわせて総合的に積極的にやるけれども、目標としてはこれぐらいだということぐらいはひとつ決意として聞かしていただけばありがたいし、大臣、そのあたりは非常に地元期待していますから、だからひとつうまくよろしく指導していただいて、地元要望にこたえ得るための大臣のお考えもお聞かせいただければありがたい。
  19. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 当初に申し上げましたように、人工リーフ等につきましては今年度中に何らかの検討をして適切な工法を立てたいというような段階でございます。  先生のたってのお尋ねでございますので、非常に不確定要素が多いという前提で私どもの決意を申し上げたいと思いますけれども、やはり五年から十年ぐらいの間にできるだけ早くやりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  20. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私も自分の生まれたところが昔は随分大きな砂浜がありまして、それがなくなってしまいました。なくなりますと、なかなかもとに返っていきません。私は漁港議員連盟の幹事長もずっとやっているのですが、海の中のことというのは、潮流の関係、風向きの関係、あるいはさっき局長が言いましたように、一つの施設をつくるとそれによって今度はまた変化が起こるということで、これは漁港の修築計画なんかをやってみて、そんなはずではないと思ってやると、今度はちょうど港の入り口が砂で埋もったりする、非常に難しいと私は思っております。  このことはせっかくのお尋ねがあるということでございまして、いろいろ河川局でも心配をいたしまして、今までの経過についての検討、それから今局長が言いましたように、新しい工法に対してどういう方法があるか、そのときに一体どれくらいの金がかかるだろうか、金がかかるとするならば、将来のこれからのいわゆる予算の動向等を見ながら、五年から十年というと倍違うわけですから、随分と幅があり過ぎるような気がしますけれども、しかし、工事の規模がまだ未確定であるということ等も考えると、まあ五年か十年という表現になったのだと思いますが、いずれにしましても、砂を返すということは、私は技術的には素人でありますけれども、非常に難しいと思うのです。  難しいと思いますが、せっかくこれだけの技術陣がおることで、五年間の経験をもとにして一生懸命新しい工法を検討するということですから、至急に工法を確立をして、そして、これから少なくとも五年から十年というのだったら、大野伴睦流に言うと、足して二で割ると七年半ぐらいになるわけですが、何とかそういう一歩でも早める努力をするということが必要だと私は思うのです。特に海の中というのは年数をかけたってしようがないのですよね、そのうち埋もってしまいますから。そういうこともありますので、ひとつよく検討させていただいて、積極的に進めるように努力をいたしたいと思います。
  21. 山中末治

    山中(末)委員 ちょっとしつこいようですけれども、原因は僕も大体わかっているのですよ。現場に行ったのです、パラペットのあれもありますから。だけれども、そんなことをここで言うより、そういうものを全部お含みだと思いますから、そういうことも含めて、大臣がおっしゃったように五年から十年といったら倍になりますから、少なくとも大臣がおっしゃったようにできるだけ早く実施を完了していただいて浜を戻してもらうように、私自身が考えている原因というのは持っているのですけれども、それはこういう席で言うよりも、また後ほど申し上げていきたいと思います。  それでは次に移らせていただきます。  地元の問題ばかりで申しわけないのですが、時間が余りなくなりましたので、四つほど質問を用意してきたのですが、二十四号バイパス、京奈バイパスというのが今あります。これは道路公団の方が施工されておるわけですが、これも以前この建設委員会でお尋ねいたしました。この京奈バイパスについては、京都昭和六十三年に国体が開催されますので、この遠路に対する地元期待というのは非常に強いわけです。そのときに田中理事出席されまして、そして六十三年までには国道三〇七との出会いのところまでは何とか完成をさせたい、こういう決意をおっしゃったのです。  私は、そこまで行くならもう奈良県境がすぐそこですから、ひとつ鋭意御尽力を賜りたいということを申し上げておいたのですが、最近聞くところによりますと、私の家から車で十分ほど走ったところにこの道が通るわけですからいろいろな話を聞くわけですが、工事を進めるためには用地買収から、付近の住民の方々のいろいろな意見もございますし、非常に難しい。用地買収も難しいしそういうことを解決していってなおかつ工事を所定どおりに進めるというのは非常に難しいですが、そのことはよくわかっているわけですけれども、今、田辺町の地内で新しい住宅ができまして、そこへ入居して間なしにこの道の話が出てまいりました。そこで地元で随分時間をかけて公団の方も鋭意努力をされているようです。  私は、こういう問題は非常に厄介なといいますか、時間のかかる問題ですけれども、こういう問題を鋭意努力をしていただいて解決をしてもらって進めなければならない、このように思いますので、本当は今日までの進捗状況とかそういうものを聞きたかったのですけれども、もう余り時間がありませんので、そういうことは私現場を見て大体よくわかっていますので、こういう地元の住宅地のど真ん中を通るこれについての話し合いがされていますが、その話し合いの解決のために今後もひとつ鋭意努力をしていただいて、そして解決を早くしていただきたいと思いますが、その点について田中理事のお考え方、道路公団のお考え方をお聞きしたい、このように思います。
  22. 田中淳七郎

    ○田中参考人 私、公団に来まして早速この問題を先生にも言われたわけでございますが、調べましたところ、先生もうよく御案内のようでございまして、田辺町の青葉台という団地がございます。新興団地でございまして、その住宅地域を御指摘の京奈バイパスが通過するわけでございます。いろいろ騒音公害、それから大気汚染等々ございますが、この青葉台団地におきまして一番住民の皆さん方の問題になっておりますのは御指摘の自動車騒音でございまして、これに関しましてはもう御案内だと思いますが、環境施設帯を設けまして、その環境施設帯に木を植えます、いわゆる植栽でございます。さらにその内側に防音壁を設ける構造にいたしまして騒音対策を講じたい。  具体的に申し上げますと、今考えております環境施設帯の幅は片側十メーターでございまして、遮音壁の高さが五メーターでございます。こういうふうな防音構造をとりますと、当地域では昭和七十五年度の一日当たりの交通量が大体三万一千五百台、約三万二千台と考えておりますが、住宅地を通ります場合の四車線道路の環境基準を十分満足する、さように考えております。  ただ、いろいろ現地の一部の方々から御意見がございますので、鋭意現地で今詰めているというのが現状でございまして、公団の今の設計でもう一回申し上げますが、幅十メートル、それから防音壁の高さ五メートル、防音壁に関しましてはいろいろな構造がございますけれども詳細は省略させていただきますが、それで十分音に関する環境基準は満足するという結果になっております。国体の期間も迫りましたので鋭意現在詰めているような現状でございます。  以上でございます。
  23. 山中末治

    山中(末)委員 公団の方が、今田中理事おっしゃったように地元で十分話をしてもらうと、私の方へいろいろな苦情が出てくるのは減っていく、そしてそれがうまく解決しないとどんどんいろいろな話を聞いてくるということで、私は緩衝地帯じゃないので何もできませんけれども、そういうことはあるのです、ここ一年間のところ。ですから、今、田中理事おっしゃったように現場の方の事情もよく聞いていただいて、そして円滑に進めていただきたい、そのために一層の御尽力を願いたい、このように要望をいたしておきます。具体的な内容については、まだ日がありそうですから後日でもまた連絡をいたしていきたい、このように考えております。  あと時間がなくなりましたけれども、この前、この委員会大臣に御質問申し上げまして、それで官公需の問題、中小企業、零細企業等に対する発注の問題、私はこれで三年目、三年間予算委員会の中で通産大臣を中心にして要望してきました。この前、この委員会でお聞きしたときは、大臣は例を大鳴門橋にとられまして、随分多くの大企業、中小企業等にも仕事をしてもらっています、こういうことでありまして、その資料を後日、道路局長から払いただきました。  一言で言いますと、大企業、中小零細企業にも仕事をしてもらっていますというその基本的な考え方なんですけれども、大企業が入札をして仕事を得た、それを今度子会社、孫会社、子請、孫請というような格好で下へおろしていく例が随分ありますね。これは中小企業にも仕事をしてもらっているということには厳密な意味ではならない、こう思うのです。  したがいまして、大きな工事等につきまして、業者の方もA、B、Cとかランクがあるそうですから、大きい仕事については大企業とか、中くらいの仕事については中企業とか、小さい仕事とか堤防の草刈りとかいろいろありますね、そういうものについては中小零細企業とか、そういうところに入札をさしてそういうところが元請になって初めて大企業、中小零細企業にも仕事をさせていますということになるのではないか、実はこのように思うのです。  この前もここで申し上げましたが、例えば一兆円の工事があるとしますね。全部大会社がやるなら、これは大会社が元請で全部やってしまうわけですが、そうはいかない。その分は中の会社、小の会社へ仕事を渡していくのですよ。そのときに、残念なことには、社会通念上一兆円が通行料みたいな形で九千五百億円になったり、それから孫の会社に行くとまた請負金額が下がっていったりする。現実に国は一兆円の予算を組んで予算を執行するわけですけれども、実際現場でやる場合は、その投資額だけの額が中小零細に行ってない場合がある。これは業界の悩みなんですね。  そうすると、これは予算のむだ使いなのとは違うか、こういうことが出てくるわけです。したがいまして、大きな企業、中企業、小企業、零細企業についてはそれぞれの企業が元請になってその仕事をやっていくということにならなければだめだ、このように思うのです。これは投資効果の問題から考えましてもそうなんですね。現実と理屈とは大分違いますので、そのように大企業、中小零細企業へ仕事を発注していくという基本はそのあたりだというふうに考えております。  この前のときもそういう趣旨のことをちょっと申し上げましたが、時間が足りませんでしたので、きょう大臣に最終的にお答えいただきたいのですが、その前に総括しておられる方から考え方を聞かせていただきたい。
  24. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 基本は、それぞれの工事の規模に応じましてランクづけをそれぞれの業者について行っておりまして、大きい工事についてはそれにふさわしい大手、小さいものは中小企業、こういう基本でございます。  ただ、建設省の直轄工事あるいは公団の工事というのは基本的には割合と単位が大きいものでございますから、非常に小さな零細業者に直接発注するというところにはいかぬ面がございます。できるだけ分割発注あるいは分離発注ということに努めてはおりますけれども、効率性という問題にも絡んでまいりまして、非常に小さな業者に直接発注するというのはやはり限界があるのですね。ですが、これは元請から下請、専門工事業に対して、専門分野についてはそれぞれ下請をお願いするということで参加はいただいておるわけでございます。  その場合の元請、下請関係の合理化の問題、この問題はいろいろ御指摘のようにありますけれども、適正な関係ということで別の面で指導をしてまいりたい。基本的には先生のおっしゃる方針はよくわかっておりますので、そういったことでやってまいりたいと思っております。
  25. 山中末治

    山中(末)委員 今一つの結論が出されました。分割分離発注についてはこの前申し上げたのですが、技術屋さんは非常に大変だと思うのです、分けなければいけませんから。事務をやる方も非常に大変だ。しかし、そういう努力を重ねてもらわないと、今のままで推移してしまうことを恐れるわけです。ですから、今おっしゃったように、分割分離発注を鋭意御検討願い、実行していただくよう努力していただきたいと思います。これは要望いたしておきます。  それからもう一つは、国内各地でいろいろプロジェクトが行われますが、直轄の場合も地方へ出す場合も補助金で工事をする場合も、工事地元で進められておりますから、請負業者も発注者も一緒ですが、現場に事務所を持って工事をされますね。そういうときの地元の意見ですが、工事をどんどんやってもらっているのはいいのだけれども、トラックがどんどこ通る。  工事が済むまでは辛抱しなければしようがないということで地元の人は理解はしてくれているのですが、そこで工事をやっている人たちは消しゴムとか鉛筆などの文房具とか現場で飲む酒、食料品等何も買ってくれないというのです。これは本省とか出先で一括して購入するのではなしに、できるだけ地元からいろいろなものを購入することを一段と実行してほしいと思いますが、いかがなものでございますか。
  26. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 直接役所が購入するものにつきましては、物品購入につきましてもできるだけ中小企業者から購入するようにという方針がございまして、そういう方針のもとにやっております。今先生がおっしゃった点、今後ともそういった方針を強めてまいりたいと思います。  ただ、受注した請負業者がどこから物を買うかというのはちょっと間接的なことになりますから、ストレートにはいかぬ面があろうかと思います。
  27. 山中末治

    山中(末)委員 御尽力を賜りたいと思います。  本庁、出先等に勤めている方々の超過勤務手当を完全実施すべきじゃないか、命令したからそれは超過勤務で、命令しないからあれは自分勝手に好きでやっているんだという解釈はやめるべきだという内容の質問がありましたけれども、時間が来ましたので終わらせていただきます。
  28. 瓦力

  29. 上野建一

    上野委員 久しぶりの委員会でございますので、重要な事項についてお伺いいたしたいと思います。     〔委員長退席、野中委員長代理着席〕  まず、円高不況が緊急な対策を要求する状態になってまいりました。特に、建設省関係においては緊急対策の中で果たす役割が大変大きいと考えられますので、きょうはそこら辺のところを率直な御意見を承りたいと思います。  まず最初に、建設省関係の仕事の中で、既に大臣も発表されておりますが、前倒しを積極的に行って仕事をどんどんやろう、内需の拡大にもつながる形をとろうとされておるようでありますが、建設省関係の前倒しと言われるものの内容について、現状はどうなっているのか、あるいはこれからどういうふうにしようとするのか、お伺いします。
  30. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 さきの閣議で、いわゆる内需振興のために政府全体として平均七七・四%の前倒し執行をしようということになりまして、私ども建設省に関します分については過去最高ということですから、五十七年が七八%でございましたので、八〇%をめどに九月までにすべての発注を終わろう、こういう方針を決めまして、今推進本部を設置してこれが予算の執行に向かって全力を傾注していこう、こういう体制で臨んでおるものでございます。
  31. 上野建一

    上野委員 発注を積極的にやる、八〇%を目指すということですから結構なことなんですが、問題は、建設省関係の大きな仕事になりますと、発注はしたけれども仕事は進まないという事態がこれからも予想されますし、過去においてもそういう事例が多かったわけであります。そこら辺の対策は今度の場合は特にやらなければならぬと思いますが、その点はどうでしょうか。
  32. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 この点につきましては、今大臣からもちょっと触れられましたが、省内に事務次官を長とする建設省関係の公共事業推進本部の会議を設けまして、これは本省の幹部をもって構成しているものでございますが、せっかくの前倒しという基本方針を立てたわけですから、先生今おっしゃられましたように、工事そのものがいろいろなことで延びてその効果が出ないということでは非常に問題がございますので、そこで特段の督励をいたしました。  一方、地方建設局等あるいは公団等に対しましても、特にことしの場合そういったことを踏まえて、前倒しの効果があらわれるように特段の督励をしているところでございます。
  33. 上野建一

    上野委員 前倒しについては前半半年の間に八〇%を目指すということでありますが、その上に立ってなお今日の円高対策については大変な状態でありますので、中曽根総理大臣も日経連の会合で、緊急事態には緊急の対応を行うのが政治の責任だ、思い切った政策を推進したい、こういう意味のことを述べられております。  そこで、緊急の事態に緊急の対応ということでありますから、建設省の方でも秋には建設国債を増発していきたい、こういう希望があると聞いておるわけであります。したがって、この総理大臣のおっしゃっていることとも符合するのですが、建設国債の増発も含めた補正予算を考えておるのか、もちろんまだ決まっていないと思いますが、建設省の希望それから展望といいますか、どのようになさろうとするのか、建設国債の問題を中心にして御答弁をいただきたい。
  34. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 過ぐる七日であったかと思いますが、参議院の本会議で総理が、前倒し執行等によって下半期の事業量を確保するためには補正予算も考え、あるいはまた円高によって苦しむ中小企業対策というものを早急に講じなければならぬ意味の御答弁をされたわけでありまして、そのとき初めて補正予算という話が実は出てきたわけであります。  景気というのは多分に気分的なものがありますから、前半に八割やります、あとの半年については全くめどがたちませんというのでは、今おっしゃいましたように、仕事はとったけれども後へ繰り延ばしておかぬと、後半仕事がなくなるからなかなか着工しないというようなことにもなりかねぬわけであります。  そういう意味で、私たちは一覧表をつくりまして、公団を含めて五月いっぱいで出せるものはできるだけ積極的に出していこう、六月の初めにしか間に合わないものは六月の初めに出していこう。建設省としてそういう一覧表をつくって直轄から公団事業まで全部洗いざらい計画を立てて執行するというのは初めてだろうと私は思います。  そういうことをやりながらやっていきますと、どうしても後半の事業費ということが問題になるわけであります。これは、総理も補正予算をと言われるわけですから、私どもは大歓迎でありまして、そのときの財源措置を一体どうするのかということになりますと、もちろん建設国債の話も出てくると思います。  それからもう一つは、ゼロ国債を一体どうするんだ。ことしは災害復旧にゼロ国債を六千億二月にお願いしたわけですから、ゼロ国債、前倒し前倒し、前食い前食いでやってきた。これらのゼロ国債の取り扱いもどうするんだということ等を含めて、これはかなり深刻な財源に対する討論、討議をしなければ前へ進まぬであろう、こう考えているところであります。
  35. 上野建一

    上野委員 大臣、建設国債を考えなければならぬという意味の答弁だと今受けとめたのですけれども、ただはっきりしないのは、建設国債を出し得るのかどうかということについての政府としての腹がまだ決まっていない、私はこう思うのです。これは、財政再建という枠がはめられておることとかいろいろあると思うのですけれども、特に緊縮財政をずっと続けてきた、いわばこの緊縮財政路線というものあるいは臨調路線というようなものの変更になる、こう思われるわけです。  したがってその点ではなかなかはっきりしないんだと思いますが、しかし、建設省としては建設国債を出したいという希望があると思うのです。これはちょくちょく新聞にも出てきますね。だからこの際、希望で結構ですから考えていることを少し出してもらいたい。建設国債を出したいということが第一点、あるいは、どういう事業をやるために建設国債を考えているのか、したがって規模はどのくらいになるのか、この点はどうでしょうか。
  36. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 まさしく、今御意見のありましたように、一体どういう仕事をいかなる規模でやるのかということが決まりませんとこれはお話にならぬわけであります。今までどういうというわけじゃありませんが、見ておりますというと、補正予算などというのは大蔵省が方針を決めまして、それを公共事業を持っているところに割り当てて、その中で各省がいろいろ考えていくというのが大体の普通のやり方ではなかったかというような気がしてならないのです。  今回は総理も、余り前例にこだわらずにひとつ思い切った施策を考えて持ってこい、こう言っておられるわけであります。思い切った考え方を持ってこいというのは、臨調路線、財政再建という大きな枠があるわけです、さはさりながら今の内需拡大、円高対策としてこれだけのものは必要だという説得力のあるものを持ってこい、こういうことだろうと私は思っております。  ですから、大蔵省からお仕着せではなくて我々は事業官庁としてこれから、この席でもしばしば御議論いただきましたが、日本のもろもろの社会資本の投資がおくれておる、すべての五カ年計画というのがその七〇%そこそこの達成率で次へつないでいく、こういうことから考えたときに、本来のそうした計画を軌道に乗せていく必要がある、その上に円高対策、内需拡大というのがあるわけですから、どういう仕事をどのような形でどの程度やったらいいのかということで、実はきのうも幹部会でその話をいたしまして事務次官のもとで大至急に建設省としての考え方をまとめようということになっておりまして、まだ幾らということは決まってないというのが正直なところでございます。  しかし、いつまでもほっておくわけにいきませんから、私はできれば今月いっぱいぐらいには遅くともそういう我々の考え方をまとめようではないかということをきのう提案いたしまして、そしてこれに取り組もうという省の態勢をつくったところでございます。
  37. 上野建一

    上野委員 そこで、今求められているのは内需の拡大ということでありますから、今大臣が言われた仕事の内容についてもおのずから限定されてくるだろうと思います。そういう意味では、大きなプロジェクトと言われるような大事業、東京湾横断道とか本四架橋あるいは新幹線とか高速道路もそうでありますけれども、これは既に経済学者の中でも指摘されておりますように、産業基盤の強化にまたつながってくる。  したがってそういうことよりも今やらなければならぬのは、いわゆる住宅投資とか下水道、住民の利用する身近な道路あるいは公園の整備、そういう生活基盤の拡大になるようなものに力を入れるべきだという意見があります。私も、その方を重点にすべきだし、この委員会でもたびたび指摘してきましたが、都市洪水、町の中に水が出るというような状態がまだ依然として続いている、それから住宅建設もなかなか思うようにいかない、下水道は三六%が全国平均と言うけれども私どもの千葉県なんかはまだ二〇%台しかいってないわけであります。人間の多く集まっているところが意外におくれている、こういう実態がございます。したがって、そういうところに力を入れるべきだと思いますけれども、いわゆる補正予算段階で、考え方として私が申し上げたようなことに建設大臣は力を入れるつもりがおありかどうかお伺いしたいと思います。
  38. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 東京湾横断道路、明石海峡大橋というのは、御承知のようにこれからいよいよ環境影響調査というものを閣議決定に基づいてやらなければなりません。それから漁業補償ですとか、あるいはまた関係の業種がたくさんございますから、それらの皆さん方の御了解を得ないことには実際工事は始まらないわけでありまして、そういう面からいいますとこういう大プロジェクトというのは緊急の間には合わない。しかし、将来必要なプロジェクトであることについては間違いありませんから、これはこれなりに進めていかなければいかぬ。  しかし、今回の場合は直ちに事業に結びつくというものが大事になりますから、例えて言うと一番進めなければならぬのは、用地費の要らない下水道事業などは約九〇%ぐらいは今回前倒し執行を行う。せっかく予算を配分してみたけれども、なかなか用地交渉で間に合わずに、あげくの果てにはぎりぎりになって用地費に全部とられて仕事にはならなかったというのでは始まらないわけでありますから、そこいらの整理整とんといいますかその取捨選択をして私どもの考え方をまとめていこう、こういうことであります。  それからもう一つは、例の住宅建設というのがいわゆる景気の動向に対して一番影響をもたらす、こういうことでありまして、これは与野党の書記長・幹事長会談でも、住宅減税を思い切ってやるための話し合いをして具体的に話を詰めよう、こういうことになっておりますから、そういうことも私ども期待しておりますし、諸般の規制の緩和と相まって、やはり住宅の建設をするために減税あるいは融資条件の改善、規制緩和、それらをやりながら全体的に私どもの果たすべき役割を進めてまいりたい、こう思っておるところであります。
  39. 上野建一

    上野委員 そこで、きょうは大蔵省の主計局からおいでいただいておるわけでありますが、私がお聞きしたいのは、大蔵省は建設国債の増発について必ずしも賛成しておらないように私どもには受け取られます。事実私も、建設国債というと、何かいわゆる赤字国債と別のもので、建設国債なら幾ら出しても大丈夫だというような考え方、幾らでもということはないでしょうが、建設国債なら善であり、赤字国債、特例国債は悪だ、こういう一般論もあるわけで、私もその点では、出し方によっては、しかも両方同時に出すということになると、赤字国債も建設国債も内容的には余り変わりはない、こう思われます。  したがって、今建設大臣も言われたように、あるいは総理大臣も秋の補正の中にはどうも建設国債を考えているように受け取れると思うし、それから最近の新聞などでも、財界は建設国債の増発を強く希望している、こう受け取れるように思います。そういうことですので、この建設国債の増発について大蔵省は現在どのように考えておるのか、そして建設国債を増発することが今の国家財政の中ででき得るのかどうか。でき得るとするなら、どこら辺までならできると考えているのか、そこのところをお聞かせ願いたいと思います。
  40. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答え申し上げます。  最初に、建設国債と赤字公債との性格の差異と申しますか、そういった御質問であったかと存じます。  私、今さら申し上げるまでもないと思いますが、建設国債は御承知のように公共事業費等の財源に充てますために発行されているものでございまして、その点におきましては経常的支出を賄うため、いわばその見合いの資産がない特例公債というものとは基本的に違うということから、現行の財政法上も建設公債の発行というのは、四条一項のただし書きでございますが、赤字公債はその規定がございませんために、毎年特別法をお願いをしているということからも御理解をいただけるのではなかろうかというふうに考えております。  しかしながら、建設公債と申し上げましても多額の利払いを伴うという点では特例公債と変わりはないわけでございまして、現在、六十一年度末で百四十三兆円に上ると見込まれますような巨額の公債残高を抱えておりまして、これの利払い費の圧迫というものが大きく予算を制約しているという現状でございまして、こういった現状から考えますと、その増発というものは厳に慎まなければならないというふうに考えているわけでございます。  それから、お尋ねのございました現在の景気、特に内需拡大の観点から建設国債を増発してはどうかという点でございます。  その前に、今年度の予算の話でございますが、六十一年度予算におきましても、厳しい財政事情のもとではございますが、一般公共事業の事業費につきましては、民間資金あるいは財投活用を図りまして前年度の三・七%という伸び率を上回ります四・三%の伸び率を確保いたしておりますし、また先ほど来お話が出ておりますような公共事業の大幅な前倒しをいたすという決定をしたばかりでございまして、そういう意味で、私どもとしましても内需拡大には特段に配意しているつもりでございます。  それから、現下の経済と申しますか、景気の問題でございますが、輸出の伸びは鈍化しておりますものの、物価が御承知のように戦後最良の安定を示しておりまして、また個人消費等の内需といいますものも増加基調にございまして、そういう意味で全体として見ますれば緩やかながらも拡大局面にあるというふうに考えております。  また、今後につきましても、円高のプラス面、すなわち交易条件の改善を通じます実質所得がふえまして、それによる内需拡大の効果が出てくることとか、あるいは現在まで三次にわたって実施いたしました公定歩合の引き下げの効果というものが徐々に出ていくのではなかろうか、あるいは原油価格が下がっておりますが、大体三月に日本に入ってまいります分あたりからかなり低下を見ておりまして、こういったプラス効果期待できるのではないかというようなこと等もございまして、繰り返して申し上げますれば、我が国経済は、総じて内外需のバランスのとれたインフレなき安定成長といったものを持続していくのではなかろうかと考えているわけでございます。  そういった景気判断との関係から申し上げますれば、直ちに建設公債を増発して内外需拡大をしなければいけないという情勢にはないというふうに考えております。  それから、一般論を申し上げますと、先ほどの問題とも絡みますが、建設公債を増発いたしますと多額な利払いを伴いますことと、それと、確かに短期的にはある程度の景気上昇が期待できるわけでございますが、長期的に見ますと、それによって得られます税収増を大幅に上回るような公債の元利支払いの負担というものが発生してまいりまして、長い目で見ると財政体質を一層悪化させることになるという問題もございまして、いろいろと申し上げましたが、そういった観点から、私どもとしては現在行うような情勢にはないというふうに考えているわけでございます。  以上でございます。
  41. 上野建一

    上野委員 建設大臣、今の大蔵省の話を聞いていても、私どもどうも大蔵省の発言の方が説得力があるのです。それにもかかわらず、この対策もまたやらなければならぬ、内需の拡大もやらなければならぬ、こういう状態なんですが、今の大蔵省の考え方というものを押し切ってまでやり得る力といいますか、建設省の方針というものを出し得るのかどうか、ここら辺のところはどうでしょうか。
  42. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 そこを一生懸命勉強しようと思っております。今のような大蔵省の考え方を見事に撃退できて、参りましたというようなことが何かないかなと思って、ひとつこれから一生懸命脂汗を絞って頑張ろう、こう思っておるところであります。  特に、これは建設省の考えではありませんで、総理がいわゆる急速な円高対策としてあるいは前倒しの結果として生ずるもろもろのことに対して補正予算を組もうということを、これは政府の方針として出されたわけですから、それに伴って我我事業官庁はどうするかということを具体的に案を練ろう、こういうことであります。  それから、予算委員会からずっと議論をしてきたことでありますが、多額の利払いがあるというのは当たり前のことでして、民間だって、金がないときは皆、銀行から金を借りてきて仕事をやります。あるいは個人だって、お互いが住宅政策を進めようというのですから、それは住宅金融公庫の金を二十五年も借りてごらんなさい、元本が三倍近くなりますよ。それは当たり前のことであって、ただそれによって長い将来、国民がいかなる利益を享受するかということが私は政治の選択だと思っておるのです。  しかし、財政当局は財政当局として、大蔵大臣がかたくななまでに私はこれ以上財政を悪化してはならぬと考えておりますと言うから、私はその悲壮な決意というのは高く評価していいと思っているのです。特にことしも五兆七千億の建設国債を出しておるわけですし、百四十三兆の借金残高のうちで七十九兆円は建設国債でありますから、建設国債を出してないというわけでもありませんし、そしてまた、それが足りないというわけでもありません。  多額の財政窮乏の原因は、建設国債を八十兆近く出してきた、その利払いに追われておるという一面も私はやはり考えなければいけないと思っているのです。しかしながら、これは特殊な、今日我が国の経済が初めて遭遇する事態でありますから、過去のいろいろなしがらみは抜きにして、新たなそういう観点に立って我々は政策を立案し、進めていく必要があるであろう、こういうふうに考えておるところであります。
  43. 上野建一

    上野委員 もうちょっと僕も議論したい点がいろいろございますが、時間もございませんので後ほどにさせていただいて、ただ最後にもう一点お伺いしたいのは、建設大臣、補正予算というのはどのくらいの規模なら今日の円高不況に対する内需の拡大を含めたいわゆる有効な効果を上げることができると考えておられるのか、その総額をお願いしたい。
  44. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 それがまだわからないのです。今大蔵省から話がありましたように、例えば円高によってデメリットもありますけれどもメリットもあります。例えば電力料金が下がる、油が下がる、あるいはその他の資材が下がる。これは今私、一生懸命計算をしてもらっておるのですけれども、ある面においては、そういう資材その他の値下がりによって事業費がどの程度伸びるのか、ある人はそういうもので一割くらい伸びるのじゃないかと言う人がおります。  ですから、そういうことになれば、これは円高のメリットというのは公共事業の事業費を一割伸ばすということで大変結構なことだと思いますが、それらについても話でありまして、一体円相場を幾らに抑えたときにどういうメリットが出てくるのかという確たる自信が正直なところないのです。  したがいまして、そういうことも基本にしまして、先ほどから申し上げましたように、一体どういう仕事をどういう規模でやったときに円高対策になるのか、内需拡大にどれほど貢献をするのか。ただ与えられた中でやればいいというのじゃなくて、我々の考え方をひとつまとめようではないかと言っておるのはそのことでありまして、いましばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  45. 上野建一

    上野委員 まだ大建設省も、お聞きしたい内容が十分整っておらないようでありますので、残念ながらこの問題は打ち切りたいと思いますが、いずれにせよ、求められておる不況対策としての建設省の果たす役割は大きいと思いますので、先ほど指摘をいたしました内需の拡大につながるような、特に生活基盤の拡充になるような形での補正予算の組み替え、その効果の上がるやり方を強く求めておきたい、こう思います。  そこで次は、東京湾横断道についてお伺いをしたいわけでありますが、国会を通過したわけでありますので、東京湾横断道の今後の日程についてお伺いをしておきたいと思います。  一つは、アセスの問題がございますし、漁業補償の問題がございます。それから、事業を開始するための会社の設立、こういうものの時期は一体どういうことになるのか、その日程はどうなのか。それから、六月に最終の調査報告、もちろん少し残された問題はあるにしても、いわゆる横断道に関する調査報告を六月に出すという約束になっておりますが、これは一体どうなっているか、六月に出せるのかどうか、この点をお伺いいたします。
  46. 萩原浩

    ○萩原政府委員 東京湾横断道路の建設に関する特別措置法は、去る四月二十五日に国会で成立をさせていただきました。そして、五月七日に公布をされまして、即日施行されることに相なっております。また、それに関連いたします政令も整備をされておりまして、法制的にはここで整備が成り立ったわけでございますので、日本道路公団におきましては、早速環境影響評価の手続に入っております。現在、その準備を進めておりまして、これの終了を一日も早くしたいというように考えております。  現在のところ、いろいろな予測がございますけれども、大体この環境影響評価の手続を終了いたしますには最低九カ月は必要ではないだろうかというふうに私ども予測をいたしておりますが、先ほどから申し上げてございますように、できるだけ早くこれを完了いたしたいというふうに考えております。  それから、先生指摘のように、漁業補償の問題あるいは海事関係者とのいろいろの御協議の問題がございますけれども、これは、先生も御指摘の日本道路公団が従来積み重ねてまいりました調査結果、これを六月中にまとめる予定でございます。大体調査は終わりましたけれども、現在、最終的な報告書をまとめるべく努力中でございまして、六月中にはまとめるつもりでございます。この結果を持ちまして漁業関係者あるいは海事関係者と下協議といいますか、いろいろなお打ち合わせを開始をいたしたいというふうに考えております。  正式な漁業補償の交渉は、先ほど申し上げましたアセスメントの完了を待ちまして、道路整備特別措置法に基づきます一般有料道路の許可がおりてから初めてその権限が出てくるわけでございますので、正式な漁業補償交渉はそれから後になりますけれども、それより前にいろいろ協議を進めたいというふうに考えております。  なお、会社の方でございますが、会社の方は民間が独自に計画を進められることに相なると存じますけれども、聞き及ぶところによりますと、今月中には設立準備会を発足させたいということで準備を進められておるというふうに聞いております。なお、会社はできますれば十月初めには設立したいなというようなことでいろいろ準備を進めておられるということを聞いております。
  47. 上野建一

    上野委員 それで、きょうの前段とも関連するのですけれども、残された時間でもう一つお聞きしたいのは、きょう自治省がおいでになっていますが、自治省の最近の方針といいますか、こういうものが一定の変化を来している、特に財政上の扱いが大変大きく変化しているんじゃないだろうか。これはいわゆる民活と言われるような形の中で前にも指摘したことがございます。「いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を打ってはならない。」と地方財政法第二条にございますが、私は最近の民活のやり方、その他の中から、地方公共団体に対する財政負担が新たな段階を迎えている、こう思われます。  今お話のありました東京湾横断道でも二百億の出資金を出さなきゃならぬようになっていますし、それから例の民活の関連での臨時措置法案、これにも関連をして、例えば国際会議場あるいはメッセ、そういういろいろな施設についても、民活という形の中で、実はこの関係地方公共団体がむしろ民間よりも財政負担が大きくなっている、こういう実態がございます。それでいながら、一方では補助金のカットがされていますし、さらにいろいろな福祉関連のお金も減らされている、こういうことですから、地方自治体は、今持っている借金も含めますと大変な財政状態にあると思います。  それにもかかわらず、自治省がこの出資とかその他において奨励しているような感じもいたしますけれども、そこら辺のところについて自治省はこれからどう考えておられるのか。特にこれから地方における公共事業が進展するに従って負担が大きくなるという傾向がどうしても出てまいりますので、そこら辺のところをお伺いしておきたいと思います。
  48. 横田光雄

    ○横田説明員 地方財政の硬直化が進んでいるということは御指摘のとおりでございます。  特に、地方団体が民活も含めまして第三セクターへ出資することについてどのように考えるかという御質問でございますが、これにつきましては、一般的に言えば、地方団体自身がその当該事業の公共性あるいは事業効果、採算性それから当該団体の財政状況等慎重に検討いたしまして、自主的に判断するべき問題ではないか、このように私ども考えております。
  49. 上野建一

    上野委員 自主的に判断するといっても、あなたはそらぞらしいことを言いますけれども、地方自治体がそういう財政支出がいいかどうかという判断というのを常に自治省に求めていると思うのですね。また、行政指導の中でも自治省はやっておると思うのです。したがって、そういう意味では、自主性といっても、もちろん主体性を持ってやる形にはなりますけれども、実際問題として政府の方から出される、そして現に東京湾横断道なんかも出資するのが望ましいという話を自治省は出しているのです。そういうことからいうと、地方自治体の今日のこういう第三セクター、民活などに出す金の出し方というのは自治省も責任があると思いますが、責任は感じませんでしょうか。
  50. 横田光雄

    ○横田説明員 出資そのものにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、地方団体の主体的な判断に基づくものでございます。ただ、財政が極めて悪いような団体につきましては、市町村につきましては都道府県が、それから都道府県につきましては、私ども財政局に財務調査官という仕組みがございますが、そこで十分状況をお聞きしながら必要に応じて財政健全化についての指導をする、こういう仕組みになっております。  それから、特に東京湾横断道路の建設に絡みましては、これは同法の中で「地方公共団体は、自治大臣の承認を受けて、」「出資することができる。」というような規定がございます。そういうような場合には、当然自治省といたしましてもその状況等を十分伺いながら承認をするわけでございます。したがいまして、個々の問題につきましては対応が場合によっては異なる場合もございますが、一般的に言えば、自主的に御判断いただくというのが一番望ましい、このように考えておるわけでございます。
  51. 上野建一

    上野委員 自治省は今いろいろなことで指導している中身と、地方公共団体の財政的な困難がこれ以上ひどくならぬようにこれから本格的な検討をしなければならぬだろう。単に民活とか内需とかいろいろなことに流されて、財政的に地方自治体が困窮な状態にならぬように自治省は責任を持って検討すべきだと私はこう思います。  時間がありませんから、最後の御質問を申し上げたいと思います。  これは河川局長さんにお伺いしたいのですが、先ほどからのこととも関連するのですけれども、私ども新興都市を抱えておる地域では、大変困るのは都市型水害なんですね。これは本当に弱っている。この中で問題の一つは、これはもう河川の改修をどんどんやらなければならぬのですが、それと同時に、都市の中にある河川ですから、環境との関係をやはり重視しなければならぬ。そこで、環境対策としてこの都市河川についてこれからどのような方策を持って臨もうとするのか、これを一つお伺いしたい。  二つ目は、都市河川の中の洪水をもたらす河川ですね。都市河川は小さいのが多いのですけれども、この都市河川のうちの九〇%は普通河川なんですね。補助金のないものです。これがこれからの大変な問題になります。したがって、これは内需の拡大とか、先ほど言った公共事業という中で普通河川を改修ができ得るような処置をすべきじゃないのか。これは河川局で積極的に打ち出すべきだと思いますので、この普通河川についても何らかの対策、補助金あるいはそれ以外にもっと効果のある点があればなお結構ですが、そういうものを考えていただきたいし、秋の補正ということになった場合には第一にこの点を取り上げてもらいたい、こう思いますが、この二つの点についてだけ時間がありませんのでお答えをいただきたい、こう思います。
  52. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  まず第一番目に、河川の環境についてでございますが、河川環境につきましては、私ども河川事業を実施するときにいろいろの方策を立てております。例えば魚礁ブロックをするとか、それから風景にマッチしたような堤防を考えていくとか、堤防をつくるときにつきましてもいろいろ環境について配慮をいたしております。それから現にでき上がってしまった、完成した河川につきましては河川環境整備事業というものがございまして、この点につきましても、現在実施をしているところでございます。  それから、時間がございませんので端的に申し上げますが、第三番目の点といたしまして、水辺環境ということが最近言われてきております。私ども、特に都市の中におきましては水辺環境が都市の生活環境にとってかけがえのない非常に重要なものであるという認識に立っておりまして、河川改修とともに、水辺環境を生かした都市づくりをしていきたいということで、現在始まったばかりでございますが、一例といたしまして大川端の再開発であるとか、そういう事業を実施しておりますので、今後先生のおっしゃるような方向で水辺の環境を加味した都市の再開発、改造、そういうものを考えていきたいと思っております。  それから第二番目でございますけれども、普通河川の問題であろうかと思います。  河川につきましては、御承知のように決河川、準用河川、普通河川というふうに三大別されるわけでございます。先生指摘の普通河川の事業についての補助というお尋ねでございますが、普通河川につきましては河川法と違います法体系になっておりまして、私どもの河川事業で考えられる範囲は決河川及び準用河川でございます。つきましては、普通河川におきましてあるいは水質上あるいは後背地の問題等々で河川事業を行う必要があるという判断に立った場合には、地方自治体の長が準用河川に認定するという制度になっております。  準用河川に認定していただきますと、我々の治水事業の対象になりますので、そういう準用河川で現在考えられております補助制度がございますので、それを適用しながら都市における治水事業に対処していきたい、かように考えているわけでございます。
  53. 上野建一

    上野委員 終わります。
  54. 野中広務

    ○野中委員長代理 次に、宮崎角治君。
  55. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 本日、建設委員会建設行政に関する質問の機会を与えていただきました長崎一区の公明党の宮崎でございます。主として道路行政につきましてお尋ねしたいわけでございますが、その中で幹線道路、そういった問題につきましての若干の質問でございます。  昭和五十七年の七月二十三日に史上二番目の長崎を襲った集中豪雨がございまして、長崎地方を襲ったこの集中豪雨によって極めて甚大な被害を、国県道を初めとして道路網がずたずたになったわけでございますが、その幹線道路の欠落あるいはまた流失、崩壊などによりまして全く機能が麻痺し救援活動が非常に遅延した、そういった大被害の事例を体験しておるわけでございます。  そこで、基本的に、また非常に幼稚なことでございましょうけれども、道路とは一体何なのか、幹線道路とは一体何なのか、そういった道路の構造といいますかこういった基準というものはいかなるものなのか、こういったのに非常に疑問を感じたのでございます。  そこで、道路の構造の技術的基準については法文化されているように感じるわけでありますが、では道路の構造の技術的基準というのは、その根拠になっているものは何なのか、そういった面につきまして最初に基本的な問題についてお尋ねしておきたいのでございます。
  56. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、道路の技術的基準につきましては道路法の規定がございまして、これは政令で定めるということになっております。この政令は具体的には道路構造令という政令でございまして、これは道路の格あるいはその地域、これによりましていろいろ種別を定めております。その種別ごとにこのような構造基準をとるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生指摘の災害に対する問題でございますが、これは道路のみならずすべての土木構造物に共通することでございますけれども、大体想定する状況というものを定めます。未来永劫に絶対に壊れないというようなものをつくるといたしますと非常に多額の費用を必要といたします。したがいまして、ある程度の、例えば雨でございますとどのくらいの雨を想定するか、あるいは風でございましたらどのくらいの風を想定するかというような一応の想定を設けまして、それに耐えられるような構造とするということにいたしております。  例えば雨でございますとその想定を超えるような降雨があった場合には、大変残念でございますがところどころでいろいろな障害が起こるということになり得るわけでございまして、それならばその想定雨量を上げればよいではないかということになりますが、これを上げることによりまして、先ほど申し上げました費用との関連もございます。そこら辺との関連で、ある程度の確率雨量というものを定めて、それによってそれに耐えられるような構造とする、大体こんな物の考え方をとっておる次第でございます。
  57. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 建設大臣にお尋ねしたいのですが、現在の道路の問題で今そういった降雨量を想定した問題、さらにそれをアップするとまた予算の問題等とのいろいろな連動がございますけれども、今我が国では道路建設に主眼を置いているのか、あるいは道路の維持、改良面に主眼を置いているのか、この辺について大臣の所見をひとつお尋ねしたい。  もう一つは、いわゆる東高西低といいますか、東日本に非常にウエートがかかった道路のすばらしい整備というのがなされているような感もするし、西日本は非常に低迷をしているんじゃないか。幸い我が建設大臣は西日本出身でございますから、その辺等もあわせまして、そういった感触あるいはまた構想あるいはまた抱負などにつきましてお尋ねしておきたいのであります。
  58. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 道路行政は、一口に普通の国道、県道、市町村道くるめて言いますとまだ道路改良率はわずかに三八%足らずである。簡易舗装を入れまして舗装率は五八%そこそこである。これは特に市町村道がおくれておりますからそういうことが言えるわけでありますが、こう考えてみますというとまだまだ改良の面でもあるいは舗装の面でも随分と努力をしなければならない面が、言うならばこれからである。ですから第九次道路整備五カ年計画というものがまだ七三%そこそこですから、何としてもこれを将来につないで延ばしていかなければいかぬということが一つございます。  それからもう一つ、御承知のように昭和四十一年に七千六百キロの高速自動車道路の指定をいたしまして約二十年たったわけでありますが、供用開始になったものは三千七百二十一キロであってまだ半分にも満たないということを考えますと、普通道路もさることながら、高速自動車道路というものも大いに進めなければこれは将来に対して、地域開発に対して大きな禍根を残すであろう、こういうふうに考えるのです。  それからもう一つ、東高西低ということになりますと、どういうふうに言ったらいいかわかりませんが、大体人間、私どももひがみっぽくできておりますものですから、見るとやはり九州がおくれておるなという感じは否めません。特に東京湾横断道路をやりまして一兆一千五百億やって、これに伴う道路のアクセスをやれば道路だけでもなお七兆八千億から八兆円近くの投資が首都圏は要るという話を聞きますと、七兆円も八兆円も九州に入れたらそれこそぴかぴか光った金の延べ棒を敷いたような道路ができるがなと思うと、やはり人間の余計おるところにそうした投資がちょっと偏るのかなという気がしますが、都市部は隘路の打開である、我々のいわゆる後進地域地域開発の道路である、そういう違いがあるんじゃないか。  ですから、これから先そういう地域開発ということを考えたときには、我々九州の道路網の整備というのはもっともっと進んでいい、こういうふうに思っております。私が九州だからそう言うわけではありませんが。
  59. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 大臣としてバランスに富んだまた調和のとれた御答弁がありましたが、高速道路のこういった進捗、高速自動車道を進めていかないと将来禍根を残すというただいまの大臣の御答弁の中にございましたこの件につきまして、長崎県あるいは長崎市が当面考えております、また進行形であります問題につきまして具体例を引きながらこれから御質問申し上げますので、ひとつ誠意ある明快な答弁を求めたいのでございます。  最初に、幹線道路の整備状況と工事完成見通しについてお尋ねしたいのでありますが、九州横断自動車道について質問いたします。  地理的に日本列島の主軸から外れておりまして、その上に西の果て、不利な位置にあります我が長崎県は、九州縦貫自動車道の鳥栖ジャンクションから長崎までの九州横断自動車道開通が時間距離の短縮によりましてさまざまな地域効果を生み出しておるのでありますが、またいろいろな県勢の浮揚に緊急不可欠の課題でもございます。  幸い昭和五十七年の十一月には九州横断自動車道の大村から長崎多良見聞、これは十七キロでございますが、全国で初めての横断道として開通されました。長崎市から長崎空港までの利便性また定時性など、その効果は極めて大なるものがございます。現在、鳥栖から佐賀大和間も開通いたしておりまして、六十一年度中にはまた佐賀大和から武雄間、こういったところが完成していくのではないかというように仄聞をしているわけでありますが、これが供用区間が一体となりまして効果を発揮するには、やはり現在事業中の武雄から大和間の早期供用が望まれてならないわけであります。  そういったことからしまして、その整備状況とそれから工事完成の見通し、これをひとつ定かにしておきたい所存でございます。
  60. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘の九州横断自動車道のうち長崎県の大村インターチェンジから佐賀県の武雄インターチェンジ間、約三十九キロメートルございますが、これにつきましては現在用地買収及び工事の進捗を図っているところでございます。  この間におきまして、特に大村インターチェンジから嬉野までの間、かなり地形が厳しゅうございますけれども、ここら辺の工事の進捗も鋭意今後図っていきたい。できますれば六十年代中ごろの供用を図りたいということで今鋭意事業の促進に努めているところでございます。
  61. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 六十年度の中ごろでありますか。ちょっと一年おくれている……。
  62. 萩原浩

    ○萩原政府委員 大変失礼いたしました。昭和六十年代の中ごろでございます。
  63. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 昭和六十年代、六十五、六年ということですね、わかりました。それではひとつよろしくお願いいたします。  また第二には、武雄佐世保道路についてお尋ねしたいのでありますが、九州横断自動車道と佐世保市を結びます自動車専用道路の建設は、一般国道三十五号の恒常的な交通渋滞を緩和するばかりでなくて、本県の北部の地域の経済、社会のおくれを打開して安定的な発展を促進する上で重要な役割を果たすものであろうと考えております。  懸案となっておりました九州横断自動車道と武雄佐世保道路との連結につきましては、去る六十一年の一月に国土開発幹線自動車道建設審議会、国幹審と申しますか、これにおいて決定されまして、都市間を有機的に連結することになろうかと思うわけでありますが、現在用地買収もほぼ順調に進んでおりまして、工事の発注も大体全線の大半について実施されておるようでありますが、本省として、その整備状況とかあるいは完成の見通しとか、あるいは九州横断自動車道の完成との整合性、そういったものについてはどのように把握されて検討されているのか、あわせてお伺いしておきたいのであります。
  64. 萩原浩

    ○萩原政府委員 御指摘の武雄佐世保道路は、昭和五十五年度に日本道路公団が事業に着手をいたしたものでございます。全延長二十・四キロメートルございますが、そのうちの約半分、佐世保市から長崎県の波佐見町間十・三キロメートルにつきましては、昭和六十二年度末、第九次道路整備五カ年計画内に供用開始したいというふうに考えております。  残りの十・一キロメートルでございますけれども、長崎県側の五・二キロメートルについては既に工事に着手しておりますが、佐賀県側四・九キロメートルにおいても昭和六十一年度から用地交渉に入る予定でございます。以後、鋭意事業の進展を図りたいというふうに考えておりまして、先ほど申し上げました九州横断自動車道大村−武雄間、これの開通に合わせて何とか全線開通をいたしたいというふうに努力をするつもりでございます。
  65. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 大体、構想、その他見通しにつきましては、今の御説明で子としたわけでございます。  それでは、県庁所在地の長崎市の問題につきましてお尋ねしておきたいと思うのです。  これは三点ございますが、一つは一般国道の三十四号日見バイパスの建設促進であります。この点につきましては、非常に用地買収あるいは工法上大変な御苦心をしているのじゃないかと思いますけれども、これが第一点。  二つ目には、主要地方道のいわゆる長崎野母港線でございますが、これの整備促進について、非常に多年にわたる国への陳情、いろいろな要望を申し上げているわけでございますけれども、これが第二点。  三つ目には、都市計画道路でございますが、いわゆる出島町あるいは西山町線の整備促進、こういった三線については非常に遅々として進んでいない、もう本当にしびれが切れるような思いをするわけでございますけれども、この辺についての本省の進め方、御構想、あるいはまた見通しにつきましてひとつ答弁を求めたいのでございます。
  66. 萩原浩

    ○萩原政府委員 国道三十四号の日見バイパスでございますが、延長約七・一キロ、四車線のバィバスでございます。先生も御指摘いただきましたように、非常にここら辺は地形も厳しく、また用地買収が非常に難渋をいたしております。はっきり申し上げますと、移転していただくところがなかなか見つからないという非常に難しいところでございます。  この点につきましては、鋭意五十一年度から事業を実施いたしておりますので、もう既に十年を経過いたしましたけれども、六十年度までに百三十六億円をもちまして長崎市の馬町から本河内町まで二・三キロ、これにつきまして用地及び工事を実施しております。  そのほか、防災対策が特に必要な長崎市の田中町から芒塚町に至ります区間、二・五キロメートルにつきましても用地の買収に努めております。昭和六十一年度単年度で二十三億四千万の事業費を投入いたしまして、引き続き用地買収及び工事の促進を図ることといたしておりますけれども、そのうち六十三年度末までに馬町から中川町、一・一キロメートルの供用がやっと図られるのではないかというふうに考えております。  それから、残余の区間につきましては、順次整備を進めていきたいというふうに考えております。なかなか非常に大きな事業でございますので、隆路のところから順次供用を図っていきたいということで、今後とも努力をいたしたいと思います。  次に、主要地方道長崎野母港線の整備でございますが、これにつきましては、特に長崎に近いところ香焼町までの間が非常に道路が狭隘になっております。この区間につきまして、六十年度までに立ち退き家屋六十戸お願いいたしまして、あと十九戸残家屋がございますが、何とかことし、この十九戸のうちできるだけ立ち退きといいますか。地の交渉をまとめたいというふうに考えているところでございます。  ここも先ほどの日見バイパスと同じように非常に狭隘なところでございまして、用地交渉に難渋いたしております。この路線につきましては、さらに南の方で、特殊改良一種などの事業費も投入をいたしまして、都市部に近いところ、さらにその南の方、両面相まって今後とも事業の促進を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。  なお、都市計画道路につきましては、都市局長から答弁させていただきます。
  67. 牧野徹

    ○牧野政府委員 お話のありました路線は、長崎の中心市街地と北部の西山、三原地区を結ぶ延長千六百八十メートルの道路でございまして、先生御承知のように、現在街路事業を四分の三程度の千二百メーター分は市がおやりになっている、それから残りの四百四十メーター分は県道でございますので県がやっております。  それで遅々として進まないというお話でございましたが、確かに市の事業は四十七年度採択でございますからかなり時間がかかっておることは御指摘のとおりでございます。それで六十年度末の進捗状況でございますが、県事業、市事業両方合わせまして約五三%でございます。今後のことでございますが、予算の伸び等ももちろん関係はございますが、用地買収あるいはそれが済めば工事と鋭意進めてまいりたいと考えております。
  68. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 るる御説明いただきましてありがとうございました。  昭和五十九年は前における道路の財源の補助率でございますが、これは三分の二であったのが六十年は十分の六、六十一年は十分の五・五というふうに非常にダウンしてきている。この道路の財源につきまして私が非常に危惧するのは法定の特定財源、ガソリン税あるいは石油ガス税、こういった道路財源について、自動車重量税、これの発足の経緯からして現在どういう状況になっているのか。五十八年から第九次道路整備五カ年計画が進められているのでありましょうけれども達成されていない、こういった自動車重量税についての未充当額というものはどれくらいあるのか、なぜこれが充当されないのかという因につきましてひとつ定かに答弁を求めたいのでございます。
  69. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘の自動車重量税の未充当額は昭和五十七年度から五十九年度までに合計四千百八億円に達しました。一方、昭和六十年度に二百億円、昭和六十一年度において二百一億円の一般会計の投入がございましたものですから、現段階で累積いたしております未充当額は約三千七百億円と私ども考えております。   この未充当額がどうして生じたのかという先生の御指摘でございますが、これはやはりいろいろの財政上の理由からどうしてもこれを組み込めなかったということでございまして、したがってこの未充当額はできるだけ早く道路整備費に充当していただきたいということを事前にお願いしているわけでございますが、今後ともその努力をしてまいる所存でございます。
  70. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 早急に手を打っていただきたいと思うわけでありますが、大臣、建設大臣と大蔵大臣との間で財政の事情が許せばこの問題については早急に解決する、こういった約束がございますか。
  71. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和五十七年度から五十九年度まで重量税の未充当額が順次累積をされていったわけでございますけれども、昭和五十九年度の予算編成に当たりまして、そのようなある意味の今後努力するんだということのお話があったことは事実でございます。その結果によりまして先ほど申し上げましたように昭和六十年度に二百億円の一般会計を投入していただきましたし、またさらに未充当額を上積みするというような事態はなかったわけでございます。  また、六十一年度も同様の措置をとっていただきましたけれども、まだ三千七百億の未充当額がございますので今後ともその一刻も早い解消に向けて努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 そのオーバーフローの三千七百億ですけれども、こういった額が道路整備に充当されてないということになりますと、いろいろな先ほどの御説明や御答弁の中からあるいはまた地元のいろいろな用地買収、いろいろな交渉等々についての問題も大きく響いてくるのじゃないかと思いますので、この点についてはひとつ鋭意進めていただきたいと思うわけでございます。  なお、前段の問題で長崎市の交通渋滞の大きい因をなすこういった都市計画道路、あるいはまた十年前から、もっと前からこういった問題が採択されておりながらできないいろんな素因等々もありますけれども、現在、長崎半島、島原半島、北松浦半島という全国十九の半島の中で三つの半島がいわゆる半島振興法の指定を受けたわけでございますけれども、こういったものとあわせまして、建設大臣に最後に、離島に近いあるいは陸の孤島みたいな非常に格差が生じております中でこういった法律が制定され、今後どのようなスケジュールまたは建設大臣としてのいろんな御構想、そして格差是正の大きいプランにつきましての御所見を伺っておきたいのでございます。     〔野中委員長代理退席、平沼委員長代理着席〕
  73. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 先ほど来道路局長が御説明申し上げましたように、まず当面の問題としては、九州横断道路の完成を一日も早くすることが大事だと思っております。それには今お話がありましたように長崎のバイパスを含めまして昭和六十年代の中ごろには何とかこういう問題が片づくようになると、一段落すると私は思うのです。ですから随分と長崎の方はいきましたが、大分県側が少しく難航しておりまして、やはりこういう有料道路というのは用地交渉にすべてがかかっておるわけでありまして、用地交渉が順調に進めば工事も早いということですから、ぜひそういう面は地元でも御協力を賜りたいと思います。  それから国県道の整備をする、これはお互い私の宮崎も長崎も同じですが、やはり九州は一つだという経済圏にならなければお互いの県はよくならないと私は思っているのです。九州は一つだと言いながらも一つになれないというのは道路交通網の整備がいまだしであるということに一にかかっていると思っております。  先般来、実は福岡県で一日建設省を開かせていただきました。そのときに、福岡から唐津、伊万里を通って佐世保に至る区間を高遠自動車道路の幹線自動車道路に御指定を願えないかという御意見もありました。九州にはそういうものと、延岡から高千穂を通って熊本に行く中央横断道路、それから薩摩半島、大隅半島、南回りのもの、いろいろ構想が出ておりますが、特に今お尋ねのそうした長崎、福岡、北九州の関係については、今申し上げました福岡−唐津−伊万里−佐世保に至る一つの路線についても我兵はこれからの高規格幹線自動車道路の指定に当たって検討すべき重要な路線ではないか、こういうふうに実は考えておるところでございます。
  74. 宮崎角治

    宮崎(角)委員 終わります。ありがとうございました。
  75. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 新井彬之君。
  76. 新井彬之

    ○新井委員 大臣に、建設大臣というだけではなくて閣僚の一人といたしまして今一番問題になっております円高・ドル安の問題について基本的なことをちょっとお伺いしたいんですけれども、とにかく今どこへ参りましても大変な不景気でございます。それはやはり今の円高・ドル安では採算が合わない、こういうようなことで、どうしても生産をするとその分赤字になる、生産をしなければそれで倒産をしてしまう、こういうような状況であるわけでございますけれども、やはり日本の国というのは貿易立国で今まで成ってきた、そしていつもいつも努力をし、技術開発をし、いい製品を安く売ろう、こういうことですから、世界に自動車初め電機、カメラあるいは時計、いろいろのものが出回ったわけでございます。  そういう中でドルが日本にどんどんたまって、日本の国というのはけしからぬ、さきの先進国首脳会議におきましても、前々からそういうような。こともずっと言われてまいったわけでございますが、そういう中で、毎日、新聞に出ておりますように、いろいろな提言とか問題点指摘されているわけでございます。  そこで、前々から内需拡大、こういうぐあいに言われているわけでございますが、一向にその成果というものが出ていないために、今の輸出とか輸入とか、そういうような状況を見ましても、ますます輸出がふえドルがたまる、こういうような傾向にあります。しかし、内面、それらはもう中小企業が非常に赤字で最後のあがきみたいな形で頑張って輸出をしているわけでございまして、これを即とめるということになりますと、これは大変であろう、こんな非常に難しい中にあるわけでございます。  そこで、建設省といたしましては、内需拡大はやはり大幅な公共投資によって内需拡大をして、そして日本経済をとにかく貿易立国から内需拡大型の経済にしなければいけない、こんなことがあるわけでございますが、片面、円高差益というのは十二兆円ほどあるようでございます。そして、この前、電気とかガスとかということについては、一兆五百億円ですかそれだけは還元をする、あとの九兆円についてはどこへ消えたかさっぱりわからない。国民の皆さんがそういう円高差益によってある程度購買意欲が盛り上がらなければいけないわけでございますけれども、何がどう下がったかもわからない、こんなようなことで、いろいろな大変難しい状況を抱えているわけでございます。  そこで、建設大臣というお立場、もう一つは閣僚の一人というお立場の中で、今の日本経済というものを今後どのような方向に持っていくべきか。私は、公共事業を二兆円でも三兆円でもやったからといって、今の構造そのものからいきまして決してドルがたまらないというような状況にはならない、これは、今の貿易立国からいきまして当然ドルは片面たまっていくだろう、ますますこの円高は進むだろう。  したがって、やはりこの経済構造というか基本的なことを変えてもらわなければいけないのじゃないか、そうしないと、これからの十年、二十年、二十一世紀に向かっての日本の国の安定した経済というものにはならないのじゃないか、こういうぐあいに私は考えるわけでございますけれども、本日の新聞にも、中曽根総理が緊急に法律を改正してまでもとにかく今の問題に対処をする、こういうようなことも発言されておりますけれども、そういう全般的についての、まず閣僚の一人としての建設大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  77. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私は、ずっと総合農政調査会長をやりまして、日米農産物交渉でしばしばその団長でアメリカに行ったり、向こうの代表と東京でも厳しく対決をして、何年も何年もやってきました経験からすると、お互いが日米交渉をやって、貿易摩擦の解消というときに何を言ってきたかといったら、この貿易黒字の最大の原因はドルの垂れ流しによるものではないか、だからドル安・円高にしろといって我々はアメリカに強く、これは与野党、財界を含めて要求してきたと思うのです。  たまたま今度は円高になってきてドル安になってきた。そうしたら、今度はその円高はけしからぬというような話が出てきて、なかなか世の中というのは難しいものだな、こう思いますが、しかし、私は本来からいったら一ドル一円が一番いいのだろうと思うのです。しかしそんなことになったら大変ですから、その過渡期にいろいろな問題が起こってくる。日本の輸出の中小企業というのはお手上げの状態になるし、今度はドル安になったアメリカの農村というのはもう三分の一ぐらいが壊滅状態になってきて、したがって、農機具から肥料から農薬業界というものが軒並みにばたばたといくような状態になった。ドルが安くなったことによって、アメリカは一番の世界的な競争力を持っておった農村が参ってしまったし、我が国は世界に誇った輸出産業というものが大きな打撃を受けてきた。  これに対して一体どうするかということは、これは厳しく受けとめて、私は経済学者でもありませんし、そういう難しいことはわかりませんが、我々がなし得ることをやり一生懸命やらなければいかぬ。それは公共事業の前倒しであり、それから適正な、総理が言うように補正予算の方向づけをして、下半期についても心配要りませんよ、上半期に幾ら契約したって下期の仕事が当てにならぬというのでは、これは食い延ばしをせぬことには途中で倒れるわけですから、だから、やはり前倒しをやるということになれば、当然それなら後半の財源措置は一体どうするのだということを考えなければいかぬと私は思うのです。  それからもう一つは、直ちに、なかなかもって円高のメリットがないということですが、私は畜産関係をやっておりますからよくわかるのですけれども、家畜のえさを、これは一〇〇%外国から買うわけであります。アメリカから二千万トンも買うわけですが、そうすると、ストックしておるものが大体三カ月ぐらいですね、買い付けをするのは半年前ですね、ですから、去年の暮れぐらいのドル建ててその買い付けをする、それがようやく今ごろ製品になってくる、こういうわけですから、ドルがうんと安くなって円がこれほど高くなったのに、一向にえさは安くならぬではないか、こういうふうな問題が各所にある。これはまさに石油の問題でも、電力の問題でも私は同じだと思うのです。  そういうことを考えてみると、円高というものと今の物価というものが各個々人にもたらす影響という面では、かなりのずれがある、そういうことから、私はさっきも申し上げましたように、この秋口になりましたならば、この金利の低下あるいは原材料の値下げ、そういうものによってうまくいって建設事業費というものが一割ぐらい実質ふえることにならぬものかな、こう思っていろいろな試算をしておるという状態であります。  したがいまして、建設国債等についてはいろいろ意見があります。意見がありますが、その前に我々が一番大事なのは、一体どういう仕事を、どういう形で、どの規模やったならば、そういう円高対策としてその整合性があるのか、また、内需拡大に役に立つのかという整理を早くして、私どもの建設省としての物の考え方をきちんとしておく必要があるであろう、こう考えまして、今、鋭意努力をしておるという状況でございます。
  78. 新井彬之

    ○新井委員 そういう中での建設行政のあり方、これは非常にいろいろ議論をしなければいけないと思いますけれども、きょうは時間がほとんどありません、そういうことで言いませんけれども、この前、日本経済新聞に建設省調査情報課長の六波羅昭さんが、とにかく輸出に迫る誘発力というのが公共投資にはあるのだということで、「経済教室」というところで、それも日本経済新聞に論調をいろいろ書かれておりますけれども、やはりこういうようなことも当然考えられるのじゃないかと私は思うわけでございます。  これだけでいいということではなくて、さっきも言いましたように、業種が違えば違うでそれは生きなければいけませんから、赤字であろうと何であろうとどんどん輸出するという面もありますから、総合的に今非常に問題にされている、そういうことについても閣僚の一人といたしまして、ひとつそういう問題を含めて今度は建設省としてどうするか。先ほども話がありましたように、国債を当然増発をして、そして内需拡大の一つの基本にする、これはやはり非常に大事なことではないか、このように思うわけでございます。  もう一つは、それに関連してお伺いしたいのは、いろいろ各業者を回りますと、仕事の発注でございますけれども、年度末というか三月ぐらいになると物すごく仕事が出まして、忙しい。発注する方も三月三十一日までにやれと言ってもなかなか難しいようなんですけれども、突貫工事でもとにかく仕事が出たらやれということでやっているらしいのです。そのかわり、四月、五月、六月は全然仕事が出ない、こんなようなことがあるようでございますけれども、やはりちょうど仕事のしやすい時期というのは、冬場よりも三月ごろから十一月ごろが一番仕事のやりやすい時期じゃないか。こういうところの配慮というのは、毎年同じようなことが行われているわけですけれども、そういう問題についてはどのようにお考えでいらっしゃるか、お伺いします。
  79. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 まさにそのとおりでありまして、私が一番不思議に思いますのは、例えば港湾事業なんというものは今ごろが一番やりやすいのですね。これが暮れになりますと、波は高くなるし、それから風は強くなるし、手戻りが多くなりますから、一割ぐらい工事費がかさむ。ですから、適切な時期に適正な発注をするということが公共事業の一番大事なことだと思います。  したがいまして、ことしは前倒し発注ということに八〇%の目標を立てまして推進本部をつくったわけですから、直轄事業、公団事業等についてはなるべくひとつ五月の末を目標に出していこう、それから、それに間に合わないものは、今度は六月の初めに出していこう。計画的にわかりやすく、ひとつ私ども自体がまず努力をして、そして五月の末、六月の初め、そういうものにやはり集中して出していく努力をする。それに伴って、各地方自治団体、関係団体等に対しても同じ歩調でやってもらうようにこれから御協力をお願いして、おっしゃるように年度末に向かって仕事がどどっと出てくるようなことがないように六十一年度は取り進めてまいりたい、こう思っております。
  80. 新井彬之

    ○新井委員 地方都市の再開発についてお伺いしますけれども、地方都市の再開発においては、大体主要な駅の周辺整備が非常に問題になるわけでございます。  六十年度に新都市拠点整備事業、こういうことで本当にいろいろな角度から考えられて建設省が行っているわけでございますが、西播磨地域の核都市であります姫路市においても、姫路駅周辺の再開発ということが非常に問題になっております。そういうことで、市長を初め関係の各機関、地元住民の多くの方々が非常に努力をされておるわけでございますが、山陽本線等の連続立体交差事業、これについて今どのようになっているのか、それをお伺いしたいと思います。
  81. 牧野徹

    ○牧野政府委員 姫路駅周辺の連続立体交差事業でございますが、御承知のように、国鉄の山陽本線と播但線と姫新線、三本が関連するわけでございまして、これをいずれも長期的には連続立体にしようという計画でございますが、現在は第一期工事として播但線五キロについて工事をやっておりまして、これは今年度中に完了する予定でございます。  残りの国鉄山陽本線と姫新線でございますが、これについては県が引き続き事業を進めるという意味で都市計画決定を行う必要がございますから、それを今年度中にぜひ目標としてやりたいということで素案をつくりまして、国鉄等の関係機関と調整を進めておる段階でございます。
  82. 新井彬之

    ○新井委員 次に、河川の改修問題についてお伺いいたしますけれども、河川の改修というのは、この前総理府の世論調査を見ておりますと、福祉厚生・医療関係施設というものの要望というのが二七・一%、それから治山治水対策というのが二二・八%、こういうことで要望が非常に多いわけですね。その割にそれが余り進んでいない、こんなようなアンケート調査が出ているわけでございますが、ちょうど昭和五十一年の台風十七号というのが西播磨地方にも大きな災害をもたらしたわけであります。それからちょうど今十年たったわけでございますけれども、一級河川の揖保川、林田川の整備について、今どんなような状況になっているのか、お伺いしておきたいと思います。
  83. 廣瀬利雄

    廣瀬(利)政府委員 お答え申し上げます。  揖保川の改修は昭和四十一年度に定められました工事実施基本計画に基づきまして事業を実施しているわけでございまして、計画流量は二千九百立方メートルということになっております。  それで、現在事業を重点的に実施をいたしておりますのは、林田川の河道拡幅でございまして、それにあわせまして栗栖川の河道拡幅、それから下流部の水術都対策護岸、上袋尻地区の堤防のかさ上げというような重点に絞りまして鋭意事業を実施しておりまして、六十一年度の事業費は約二十億を予定いたしております。
  84. 新井彬之

    ○新井委員 では、時間がありませんから、最後に道路空間とかそういうものの活用について。  これは今まで日本の国では余り論議をされていなかったと思うのですけれども、世界各国のきちっとした都市づくりにおきましては、広告とかそういうものが一切なくて本当にきれいな町並みになっている、こういうようなことがあるわけでございますが、日本の場合は自転車が放置されておったり、あるいは自動販売機が出たり、あるいは広告塔が出たり、そういういろいろな障害物が美観を大変損ねている、こういうふうな現状もあるわけでございます。  これからの長寿社会とかあるいはまた環境の整備ということから考えまして、こういうものに対しての整備というものも今後考えていかなければいけないのじゃないか、このように考えますけれども、それらについてのお考えをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  85. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先生指摘のとおり、我が国の道路は従来交通に追いかけられまして、何とかこの交通需要に対応しようというところがあったことは事実でございます。しかし、潤いとゆとりのある道路づくりということについても十分配慮すべきであるというふうに考えまして、道路審議会の基本政策部会におきまして御討議をいただいておりまして、親しみと潤いのある道路整備の推進について五十七年三月に御提言を受けております。これを踏まえまして、私どもといたしましても広幅員の歩道であるとかあるいはコミュニティー道路、道路緑化、そのような整備を図りまして、景観、アメニティーに配慮いたしました道路整備を実施しようということで現在努力中でございます。  さらに、幸いにいたしまして、現在、いわゆる円高あるいは油の価格の低落ということによって、何とかその差益を活用いたしまして電線の地中化をやりたいというふうに考えております。これについても、また進めまして、都市景観といいますか道路の景観が一段と向上するように努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  86. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  87. 平沼赳夫

    ○平沼委員長代理 永江一仁君。
  88. 永江一仁

    永江委員 私は、同僚の伊藤英成議員にかわっていただきまして、地元の問題でございますが、国家的大事業であります明石海峡大橋の問題につきまして、数点質問させていただきたいと思います。  大臣も後の予定もおありのようでございますので、できるだけ質問時間を短縮いたしたいと思いますので、御答弁は簡単明瞭にお願いいたしたいと思います。  この問題につきましては、三月七日の予算委員会分科会でも私質問させていただきましたので、大まかなことは承知しておるのでございますが、去る四月二十六日に地元の神戸において起工式が行われました。大臣は、何か参議院との関係だそうで御出席ございませんでしたけれども、一応盛大に起工式が行われたわけでございます。しかしながら、このことすらも地元住民からいたしますと、何ら明石海峡大橋についての具体的な説明がなしに起工式だけやられる。起工式という名称から受けるイメージが何か着工式、こういう問題もあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、地元住民、特に立ち退きを迫られるであろうと予測されるところあるいは環境アセスメントの関係で従来の本当に住みやすい住宅地域が公害に侵されるのではないか、こういう心配が渦巻いておるわけでございます。  私も地元でありますから先般もその辺を歩きまして、また地域の奥様方との集会なども持ったわけでございます。きょう今から御質問することはそこで聞いたことも踏まえての本当に地域の住民の声でございますので、ひとつお聞きいただきたいと思うのでございます。  まず第一は。私たちはある程度夢のかけ橋ということで橋がかかればいいであろうという単純な受けとめ方がありますが、端的に、果たしてあの明石大橋が必要なのかどうか、実に素朴な意見のようでございますが、原点に立ち戻って問われたときに若干たじろぐところがなきにしもあらずでございます。現在でもフェリーで十分間に合っているじゃないか、こういうお金をかけてつくった橋は多分交通料金も非常に高くなるはずだ、フェリーの料金より高くなるんじゃないかという問題も含めて、それだけの住民の犠牲を強いてまでこの橋をかけなければならないのかどうか、こういう素朴な問いがあるわけでございます。  この点については、いろいろ経済効果その他の問題で答えることはできると思うのでございますが、もう少し何か一般市民にもわかりやすいような形での橋の有効性ということの説明をぜひしていただきたい。夢のかけ橋という段階は夢物語でよかったのでございますが、現実にこれから工事が始まるということになるとやはりそういった公害の問題も含めてのマイナス要素もあるわけでございますから、これをさらに凌駕して、こういった面で非常にいい方向に行くんだという点についての御説明をぜひしていただきたいのでございます。
  89. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私は船からとそれからヘリで一回予定路線の上をずっと中国縦貫道路まで真っすぐ行ってみました。家が立て込んでおるところですからこれはなかなか容易ではないなという印象を強くしたわけですが、御承知のように路線発表がおくれたということ等からいろいろそういう地元の御不満もあっただろうと思います。高速道路などの路線発表というのは往々にしてよからぬ者がよからぬたくらみを起こす危険性が実は多分にあるわけで、そういうことからいいますとこの路線発表というのは極めて慎重にしなければいけないという一面があると思います。  そういうことは今度は逆に、実際の影響を受ける皆さんからすると、我々をつんぼ桟敷に置いてとっとことっとこ行って不親切ではないかという御不満となってあらわれてくるということもこれは全くそのとおりであろうと私は思うのです。言うならばこの橋は、一般的に言えば四国の皆さんが喜んで、かかってくるこっち側の明石の皆さんの方は快適な生活をしておるのに家を立ち退かなければいかぬなどと言われたら迷惑だという人があることもこれはやむを得ぬと思うのです。そういうことはあり得るだろう。  しかし、日本全体あるいは西日本全体のことを考えますと、既に供用中の大鳴門橋に引き続いてこの橋がかかるということは、これは西日本一帯の産業、経済の大動脈をなす一つの大きな道路ができ上がるわけですから、四国と兵庫県はおろか西日本が一体となって発展する基盤を築いていくだろう。ですから、一般的には四国が喜んでおりますが、心ある人はこの橋ができたら四国の経済は兵庫県内に取られてしまうのじゃないか、吸い寄せられてしまうのじゃないかという人もいるのです。いや、これでよくなるんだという人もおります。  いずれにしましても、私どもは道路ができたら環境が悪くなったというありきたりな道路行政をやってはいけないと思う。ですから、これから本四公団を中心に私ども進めていくわけでありますが、地元の皆さんに対する説明等については、これから御指摘のようなことを十分踏まえまして、謙虚に熱心に皆さん方の御理解と御協力が得られるように努力をしていきたいと思います。それから道路にしても、道路ができたら環境がめちゃめちゃになったというようなことがないように、そうした環境問題についても最大の注意を払っていくようにいたしたい、こう考えております。
  90. 永江一仁

    永江委員 家庭にいらっしゃる奥様方を説得するには、今の大臣はなかなか上手に御説明はなさいましたけれども、これはまだまだ時間がかかるのでございます。私も地元の者としてはこれからも苦労しなければならないと思っておるのでございますが、長い問題でございますから本当に建設省なり道路公団が親切な、住民から不信感を実際持たれておるのでございますが、これが氷解していくということでの努力をぜひともお願いしたい。  同時に、このルートは決定しましたけれども、今後の環境アセスメントの問題も含めてこれは都市計画決定だ。まず神戸市が都市計画決定をやる、着工、こういうことの御説明は聞いておるし、そのとおりだと思うのですけれども、その場合公団がこの都市計画決定、そして住民等の理解を得ていくという中でどういう役割をするのか。こっちで聞きますと、これはまず都市計画決定で神戸市が住民と話し合いをして計画決定をしてもらう、それをまた県に上げて、県知事の都市計画決定で決まったのに沿って我々は工事を進めるだけだ、こう言う。  ところが地元へ行けば、これは国の仕事や、公団の仕事や、こういうことで、地元へ行けばいやこれは国や市と言う。こっちへ来ればいやまず神戸市だ、これはお役所によくあることですけれども、これでは住民にとってはまことに不信がばらまかれるだけなんであります。そういう意味で、この都市計画決定の中において公団はどういう役割を果たしていくのか、前面に立つのかあるいは本当に神戸市と一体となって住民に説明していくのかどうか、こういう点についてはいかがでございますか。
  91. 萩原浩

    ○萩原政府委員 神戸側陸上部の都市計画は、法定上は兵庫県知事が神戸市の作成をいたしました原案に必要な調整を行いまして案を作成する、そして公告、縦覧などの手続を行った上で都市計画地方審議会の議を経て、さらに建設大臣の認可を受けて決定する、これがいわゆる法的な手続でございます。  しかし、これの原因者、いわゆる施工予定者は本州四国連絡橋公団でございますから、当然この公団が地元への説明あるいは地方公共団体への資料の提供というものを行うのは本来の施工をする者でございまして、したがって公団が市あるいは県に任せ切りということはもう一切ございません。むしろ公団がまず原案を作成し、そして法定の権限者でございます市あるいは知事と御相談をして都市計画決定に持ち込むということでございますので、今後とも建設省といたしましても公団が責任を持って対応していくように指導いたしてまいる所存でございます。
  92. 永江一仁

    永江委員 ぜひそういうことで公団がやはり主体者であるという姿勢は崩さないでいただきたいのでございます。往々にすると都合が悪くなると市とか県に、今局長おっしゃったとおりで、法的にはそういうことだ。そうすると公団とか何とか後ろへ下がる可能性があるわけです。しかしながら地域から見ればあくまでもこれは国の事情であるということのギャップが出てまいりますから、そういうことについてはまさに一体というよりも、公団が全責任を負うという姿勢でぜひともやっていただきたいし、建設省はそういう指導をしていただきたいのでございます。  そこで、これは若干先の話になりますけれども、そういう都市計画決定の中においてはそこまでいくのかどうかわかりませんが、言うならば立ち退きなりあるいは環境アセスメントをどういうふうに公害から守っていくかという具体的な措置に入ったときに、そういった立ち退き交渉などにおけるこの役割はいかがですか。
  93. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほどから申し上げましたように、都市計画決定者は知事でございます。そしてそれを大臣が認可するということでございますが、事業の実施は公団部分については公団でございます。  ただ、今回の地域におきましては、関連の例えば再開発であるとかいろいろな事業を合併いたしまして実施しませんと、先ほど大臣が申し上げました、良好な環境を保全しつつこの事業を実施するということは不可能であろうと存じます。したがいまして、部分的には市が実際の事業者になるというものもあろうと思いますので、市あるいは公団とが本当に連携をとりましてそごを来さないような事業の実施が必要であろうと思います。先生おっしゃいます公団の道路事業に限って申し上げますと、当然のことながら公団が補償交渉に入るということになります。
  94. 永江一仁

    永江委員 それで、これも非常に先の話でございますが、その補償の交渉の過程で、これは本当に地域住民からすると、現在のところは絶対反対が非常に強いということは事実ですけれども、やはりこれは期間をかけて説得する中において条件闘争的な面が出てくる、これは往々にあることでございます。  そこで、その条件面について、これは本当に十二分にそういった面についての補償、あるいはその代替地、こういうことについては、世紀の大橋にふさわしい補償をぜひ心がけて、もう法的にこうなっておる、単純に一律にこの辺の土地代はこれぐらいだというようなそういったお役所仕事では、やはり今後いろいろ問題が起こってくると思うのでございます。少なくとも私は、第二の成田闘争のようなことになってもらいたくないという基本的な立場に立って、この補償については本当に誠意を持ってやるということだけはぜひ腹に入れてこの大事業に取り組んでいただきたいということを申し上げるのでございますが、いかがでございますか。
  95. 吉田巌

    吉田参考人 まず最初に、先ほど来先生がおっしゃっておられますように、私ども公団といたしましては、明石海峡大橋を建設する事業の担当者でございます。それはもう十分認識しておりまして、その責任の中で誠心誠意事業に取り組んでまいりたいと思います。  今御指摘の、いわゆる用地買収といいますか、補償交渉ということについて具体にお答え申し上げますと、御承知のように本四公団が発足をいたしまして既に十六年、御承知の、早期に完成をいたします児島−坂出ルートに着工いたしましてからほぼ七年、その間に当然地域の方々と十分接触をし、事業内容を御説明をし、そして御納得いただいて、用地のための幅ぐいを打ち、今御指摘のような代替地も準備をし、用地買収をしてまいったわけであります。その経験を踏んだ上で改めて決意を新たにして今回の事業に取り組ませていただくわけでございます。  したがいまして、その用地交渉、用地補償につきましては、具体の話として、要するに、道路の構造はこうなっております、こういうものをつくります、したがいましてこれだけの幅が要るんですよという御説明を申し上げ、そしてその構造についての御納得をいただいた上で用地の幅を決めまして、そして具体の補償内容については具体の事例に従いまして補償措置をしてまいりたい、こう思っております。今までの公団として持っております経験を十二分に生かしまして、御迷惑をかけないように取り組んでまいりたいと思っております。
  96. 永江一仁

    永江委員 迷惑をかけないようにといっても、そこに住みたい人を追い出すのですから、これはもう迷惑はかかるのです。ですから、そのことを補償するという意味において、ぜひ大臣、これは補償の額をどうこうということじゃございませんけれども、本当に世紀の大きな橋をやはりきちっとやっていくということになれば、まあこれはちょっと言い過ぎかもわかりませんが、その周辺の立ち退かなかった人、あるいはあれを真っすぐいけば数百軒か数千軒の人が立ち退かなきゃいかぬ、あそこで西へカーブするから四、五十軒の立ち退きで済むという、若干土地的なあれがあります。  ですから、地域の人からいえば何も西へ曲がって来ぬでええやないかという理屈まで言うわけですけれども、真っすぐ行けば立ち退き軒数が何倍にもなるわけですから、これは一つの合理性はあると思います。しかしながら、本当に立ち退いた人が立ち退かなかった人から見ればいい目をしたと言うとなんですが、うらやましがられるというような形で交渉が成立したときに、私はこれはスムーズにいくんじゃないかと思うのですね。本当にこっちへ橋が来ぬで助かったと思うんじゃなくて、そんなに代替地もいいところ与えられるんだったらというくらいの、これは若干言い過ぎの面がありますが、それくらいの意気込みでこの問題に取り組んでいただきたい、こう思うんでございますが、監督官庁の大臣としていかがでございましょうか。
  97. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 理事が言いますように、いよいよこれから公団が誠心誠意取り組ましていただきます、こう言っておるわけですから、その努力にまちたいと思っております。  ただ、その内容が本当に人がうらやましがるような補償、こういうことになりますと、これはこれにかかわらず全体の公共事業の補償等に影響してくるわけでありますから、今からそういうことを明言することはいかがかと思いますが、要するに、私も現地をよく見て事の難しさはよく存じておるつもりでございますので、皆さんが納得できないことには仕事は進まないわけですから、誠心誠意、皆さんの納得を求めるような努力をしてまいりますということできょうのところはお答えをさせていただきたいと思います。
  98. 永江一仁

    永江委員 あわせまして、環境保全という観点からも、ただ立ち退きのところだけでなくてその周辺、この問題についてもぜひとも十分な配慮を、言わずもがなのことでございますが、強く御要望をさせていただきたいと思います。  もう一点は、先般、三月七日の予算委員会分科会でも御質問いたしましたが、工事に入る、その資材置き場について、何か白砂青松と言われるあの舞子の浜の非常に景勝の地に不粋な人工島みたいなものをつくってそこが資材置き場になるなら、これは造船、鉄鋼不況対策も含めて、浮体工法という形で資材置き場をつくって、航空母艦の大きいのか何かわかりませんけれども、そして工事が済めばそれは撤去する、もとのきれいな海岸に戻す、こういうことについて御質問いたしましたところ、これは非常に検討に値する、検討する、こういう御答弁でございましたけれども、その後いかがになっておりますでしょうか。
  99. 吉田巌

    吉田参考人 先生から御質問ございました前回の御指摘を受けまして、私ども検討をしてまいりました。作業基地の一部に浮体構造のものを使ってみたらどうだろうかという具体の御指摘でございます。それに従いまして、実は浮体構造を採用するにつきまして、幾つかの問題が実はございます。  それは、浮いている構造物でございますと、それをしっかりとめないと、いわゆる定着、アンカーするといいますけれども、しっかりとめませんと使い物になりません。それじゃ、あの具体の場所でどのくらいの潮の流れがあるか、こういたしますと、舞子の海岸の近いところで私どもが調べた範囲では、毎秒一・五メーターくらいの潮流がございます。もちろん海峡部の真ん中に参りますとその三倍くらい、四・五メーターというような非常に速いものになりますけれども、海岸でもそれでも一・五メーターくらいの潮流がございます。そういうものに耐えるような構造にしなければいかぬという問題が一つあります。     〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、干満の差があるわけでございます。浮いているわけでございますから、当然、潮の干満によりまして上下するわけでございます。上下いたしますと、陸岸との取り合いがやはりなかなか難しくなります。あるいはつくります工作物との間のギャップを埋めなければいかぬわけです。そういう意味で、浮いたものを使うということにつきましてはやはりそれなりの問題があるわけでございます。そういうわけで、今現在細かく詰めておりますが、今申し上げたような点でなかなか難しい問題があるということをひとつ御理解いただきたいと思います。  それでは、今おっしゃったように、埋め立てではなくて、何かもう少し自然環境を破壊しないような方向で具体のものはないだろうかというお話でございますが、私どもは鳴門の橋を建設いたしました所あるいは岡山のルートを建設いたしました折に使いました、いわゆるジャケットと我々は呼んでおりますが、鉄鋼でつくった骨組み構造のものを据えまして、それをくいを打ってとめてやって、工事が終わったらそれを撤去する、そういうような構造体も当然考えられるわけでございまして、どちらかというとそちらの方が使い勝手がいいのじゃないかと思っております。  先生指摘のように、鉄鋼関係の方々の今の現況というものを私ども十分認識しておりますので、そういうような鉄鋼工作物も含めて検討さしていただきたい、こう思っております。  以上でございます。
  100. 永江一仁

    永江委員 私の趣旨は、もちろん造船、鉄鋼不況対策もありますが、何か埋め立ての小型のものをつくって資材置き場にする、後はそのまま残るという感がしておりましたから、あそこのきれいな砂浜海岸にそういう何か異物みたいなものが残ってしまうのでは、住民にとりましても景観の問題からも非常に問題があるのじゃないかということですから、そういう撤去するということであるならば、私はそれなりに評価したいと思うのでございますが、一応そういうふうに、工事が済んだ後そういった資材置き場はなくなるという方向になるということですか。
  101. 吉田巌

    吉田参考人 構造物そのものは当然永久的に残るわけでございます、つり橋の構造物そのものは。それは御理解いただきたい。  工事をするための資材置き場をどうするかという話であるわけでございますが、工事をするためには、やはりある程度いわゆる人工の島をつくって、それをでき上がった後も構造物の管理用に使うとか、あるいは一部は緑地として残すとか、そういうようなことも私どもあわせて検討さしていただいておりますので、いわゆる非常に臨時的な資材置き場につきましては、私ども申し上げたように、撤去をする方向で今検討しておりますけれども、構造物の周辺につきましてはある程度のものが残るということもあわせて申し上げておきたいと思います。全部撤去するというわけにはいかぬと思います。
  102. 永江一仁

    永江委員 海流の問題とかそういうことも御説明ありましたけれども、しかし少なくとも世界一の大橋をつくるくらいの技術があるのですから、それをやろうと思えばできないはずはないと思うのですけれども、この点は私どももう少し検討、研究さしていただきますが、今おっしゃった、少なくとも何か資材置き場の人工島みたいなものがぼこんとそのまま後々まで残るというのでは、非常に環境の問題あるいは景観の問題が残るのじゃないかと思ったから、あわせてそういったジャケットのあり方につきましてもぜひともさらに検討していただきたいと御要望しておきたいと思います。  次に、橋がかかってまいりまして、それから一応の大まかな御説明ではトンネルへ入る、それから今度はいわゆる神戸西バイパスにつながっていく、こういうことを聞いておるのですけれども、この神戸西バイパスとの関連のルート決定というものがまだなされておらない。  そういうことで、はっきり申し上げて、近ければ近いほど、橋はかかってくるけれども、目の前に立派な橋はあるけれども一体これに乗れるかどうか、どこまで行ければ乗れるのかどうか、そういう意味で利用価値があるかどうかという、近ければ近いほど、何か橋だけはかかってきて、橋げたの下で別に利用価値がないじゃないか、こういう素朴な意見として当然のことながらはね返ってくるわけですね。  御説明によると、神戸西バイパスにつながるということですけれども、これの詳細なルート決定というのはいつごろになるのでございましょうか。
  103. 萩原浩

    ○萩原政府委員 明石海峡大橋の兵庫県側陸上部につきましては、先生今御指摘のように、海山序から約七百メーターほど行ったところで延長約三キロメートルのトンネルに入る計画をいたしております。このトンネルを出まして約五百メートルくらいの地点で垂水ジャンクションというジャンクションを設けます。このジャンクションといいますのは高速道路と高速道路をつなげるところをジャンクションと私ども呼んでおりますが、この垂水ジャンクションを経まして神戸西バイパスの一番東側のところにつながるわけであります。そして、その神戸西バイパスは第二神明道路として連絡をいたします。こういうとりあえずの連絡を考えております。  しかし、この明石海峡大橋から参りました交通量がすべて第二神明に乗りますと、第二神明、現在もうかなり交通量ございますので、パンクをしてしまいます。それで、長距離の交通はそれから真っすぐ北上いたしまして山陽自動車道に連結するような、そういう計画を考えております。したがって、明石海峡大橋から来る交通量は山陽自動車道に乗る交通と第二神明に乗る交通、この二つでとりあえずは処理したい。  そしていずれ長期的計画といたしましては神戸西バイパスをさらに延伸をいたしまして、そして須磨の海岸から六甲アイランドまでつなげる、いわゆる今の阪神高速道路、それにつなげるという長期的構想がございますが、この長期的構想はまだ構想の段階で、とりあえずはこの第二神明とそれから山陽道で受ける、第二神明を使いまして地域の方々はその橋に乗ることができる、こういう構想になっております。  なお、神戸西バイパスは現在の明石海峡大橋の都市計画と一緒に都市計画決定をしていただければなあということで現在作業を進めているところでございます。
  104. 永江一仁

    永江委員 そこなんですね。おっしゃることはわかるのですが、神戸西バイパスそれ自体のルートというのがもう一つはっきりしていないのですけれども、これはどうやって第二神明につながるのでしょうか。
  105. 萩原浩

    ○萩原政府委員 神戸西バイパス、これはまだ仮称でございますが、神戸西バイパスは延長十四・六キロメートルの第二神明の北を走るバイパスでございます。現在の第二神明道路の北をバイパスするような形で走る道路でございます。したがいまして、明石海峡大橋から来ました路線はトンネルを抜けまして第二神明を一回越えるわけです。越えまして、それで神戸西バイパスにつながって、それで東の方に行きまして第二神明とつながる、大体こういう構造になってございます。
  106. 永江一仁

    永江委員 ちょっとくどいようですが、その神戸西バイパスのルートが都市計画決定一緒にとおっしゃいましたけれども、これのルートというのですか、これはもう決まっていますか。
  107. 萩原浩

    ○萩原政府委員 神戸西バイパスのルートにつきましては既に地元に発表さしていただいております。ただ、これはまだルートだけでございまして、断面とかそれから今のジャンクションの詳しい構造であるとか、これはまだ今検討中でございまして、近々発表さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  108. 永江一仁

    永江委員 そこのところも地域の住民にとりましては非常に関心の深いところでございまして、ぜひとも今後ともまた意見を十分くみ取っていただきたい。きょうはその程度に終えておきたいと思います。  そこで最後に、トンネルに入る、トンネル約七百メートルというお話がございましたが、このトンネル内の排気ガスがどのように処理されていくのかということ、これがまた非常に住民から関心を持たれておるのでございますが、この点はいかがでございますか。
  109. 萩原浩

    ○萩原政府委員 ただいま申し上げましたように、明石海峡大橋を渡りまして、七百メーター過ぎましたところからトンネルに入るわけでございます。本来ならば、そのトンネルのちょっと手前のところはずっと下り坂になっておりまして、そしてそれから今度は上り坂になるわけでございます。そのちょうど谷間みたいなところで頭を出すことが本当はできるわけでございますが、それを頭を出すことによりまして、地域に対する影響、騒音であるとかあるいは大気汚染であるとか、そういう影響が出るということを考慮いたしまして、現在ではその部分は頭を出しませんで、そのままトンネルで潜るということを一応考えております。したがいまして、延長が約三キロになるというかなり長いトンネルになるわけです。  それで、さてそのトンネルから排出されます排気ガスでございますけれども、現在は換気塔の位置は舞子の墓苑の近く、それと北側の出口、この二つで処理できるのではないだろうかというふうに考えております。それでまたそのトンネルの高さその他につきましては、環境基準が十分満足されるような、そういう高さを考えておりまして、いわゆるNOxであるとかその他拡散されまして、環境基準が十分満足できるようなそういう構造を考えさせていただいております。この点につきましては、都市計画決定の段階におきまして十分この環境対策地元の方に御説明をいたしまして御了解を得るように考えておる次第でございます。
  110. 永江一仁

    永江委員 これから長期にわたる問題でございますから、またの機会に御説明をいただくなり質問もさせていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、地域住民が不安を抱かないように、当初申しましたようにできるだけ皆さんの方が足を運んでいただいて、本当に一人一人説得するというくらいの心づもりでやっていただきたい。あのルートからいくと、影響を受ける軒数は直線にすれば非常に少ないわけでありますから、そういう意味では誠意を持って当たっていただくならば道は開けると思うのでございますけれども、まだまだ今のところ見たところではそういう姿勢は全く感じられない。  この間一遍明対協を中心にした何か集団交渉的なことをやられて大騒ぎをしただけ、こういうのが実態でございますから、皆さんもよく御存じだと思いますけれども、これから都市計画決定の間が非常に重要でございますので、ぜひとも誠意を持って努力していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  111. 瓦力

    瓦委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後三時開議
  112. 瓦力

    瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島武敏君。
  113. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、初めに国土庁にお尋ねしたいと思います。  国土庁が発表したことし一月一日現在の地価公示価格によりますと、東京の千代田、中央、港都心三区の商業地は一年間に平均五三・六%も高騰しています。これは、狂騰というふうに言ってもよいかと思うのです。しかも、商業地だけでなくて住宅地にも影響が出てきているという状況でありまして、杉並、世田谷、目黒などの住宅地でも一〇%から二〇%の値上がり、こういう状況であります。こうやって住宅地の方も値上がりをしてきますと国民生活にも直接影響を及ぼすということになるわけでありまして、都心部における地価の高騰問題というのは大変重大だと思うのです。  国土庁としては東京都心部における地価の高騰についてなぜこんなふうに値上がりをしているとお考えであるか、その点を伺いたいと思うのです。
  114. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 お答えいたします。先生指摘のように、昭和六十一年の地価公示によりますと、全国の全用途平均の地価変動率は二・六%のアップということで全般的に安定しているわけでございますけれども、東京の都心商業地等におきましては非常な上昇率が見られるわけでございます。  このような地価上昇がどういう原因によって起こっているかということでございますけれども、私どもの考えでは、東京都心部等における旺盛なビル用地需要が基本的な原因であるというふうに思っております。基本的には我が国経済の国際化とか情報化、ソフト化といった構造的な変化に伴いまして、オフィス化需要が東京都心部に非常に集中して増大しているということが言えると思います。  それがビル用地需要を旺盛にし地価の上昇に反映していると思いますし、また、その地価高騰の影響を受けまして都心商業地に隣接した住宅地にビル用地需要が波及している、そして業務地化が進んでおひますし、さらに住環境、利便性を重視した中高級住宅地への買いかえ需要といったものがございまして周辺に影響が見られる、こういうことであろうかと思っています。
  115. 中島武敏

    中島(武)委員 今、局長が挙げられた理由のほかに、例えば国公有地の払い下げが地価の暴騰の原因をなしているという場合も見失ってはならないと思うのですね。また、金融資本が、非常にだぶついている資金を不動産に投資するということも最近極めて顕著になってきているという点も見失ってはならない問題ではないかというふうに思うのです。一兆五千億の不動産投資のうち生命保険会社だけで三千二百七十億という数字があるところを見ましても、やはりこういう点を見失ってはいかぬと思うわけであります。  同時に、都心部のこの地価の高騰は、狂騰と言ってもいいと先ほど申しましたけれども、これにはやはり大手デベロッパーの土地の買い占め、投機があるという点が非常に重要だと思うわけであります。  私ども共産党は、都心五区についてこの状況をいろいろと調査いたしました。委員長にお願いなのですが、資料の配布をお許しいただきたいと思います。
  116. 瓦力

    瓦委員長 どうぞお配りください。
  117. 中島武敏

    中島(武)委員 今申し上げたように、私どもかなり広範囲に調べているのですけれども、今配布をお願いしましたのは千代田区の、しかも西神田三丁目というごくごく限られたところに関してであります。  それで、ここはどういうところかといいますと、印刷製本、板金、小売商、こういうところが大変密集している、軒を並べているという地域でありまして、これも私どもの調査でありますからあるいはもっとほかにもあるかもしれないということなんですけれども、私どもの調査でわかっただけでも、ここにありますように六十筆、三千七百二十七・九七平方メートルというものが買い占められておるわけです。それで、この町内では空き地が目立ち始めた、空き家も目立ち始めた、人が住んでいても実は底地は買われてしまっている、こういう状況なんですね。こういう大手デベロッパーの投機、これこそが地価をこのようにぐんぐん引き上げている大きな原因をなしているのではないかというふうに思うわけであります。  今の資料を見ていただいておわかりかと思いますけれども、西神田三丁目で千十七・九二平方メートルを買い占めております泉門ビルディング株式会社、これは実は住友不動産の本社に事務所を置いているのです。住友不動産の社長が社長をやっておるわけでありまして、率直に申し上げてこれはダミーの会社であります。ここへ問い合わせましたら、住友不動産のビル開発部の担当者が出てきまして、住友不動産と思っていただいて結構だという返事なんです。  住友不動産は、住友不動産の名前を使わないでこういう地上げ屋と言われるダミー会社の名前で土地の買い占めを行っている。このこと自身、社会的にも道義的にも大変問題なのですけれども、ここでお尋ねしておきたいのは、泉門ビルディング株式会社というのは宅建業法の免許を取っているかどうかということです。これは建設省にお尋ねいたします。
  118. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 泉門ビルディング株式会社は免許を取っていないようでございます。
  119. 中島武敏

    中島(武)委員 ダミーは何も泉門ビルディング株式会社だけではないのです。これも資料に書いておきましたけれども、泉虎門ビルディング株式会社、泉園株式会社、泉新株式会社、こういうダミー、いずれも免許を持たないものが土地の買いあさりをやっているということであります。これは宅建業法の違反になるのではないかと思うのですけれども、この点もお尋ねしたいと思うのです。
  120. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 単に、自分で建てるビルの用地を取得するというようなことでありますれば宅地建物取引業には該当しないと思いますけれども、土地を買ってそれを他に売るということを業として行う場合には免許が必要でございます。
  121. 中島武敏

    中島(武)委員 登記簿謄本をとってみましても、売買を業とするということが明記されておるわけでありまして、私はこれは非常に重大だと思うのですね。三千七百二十七平方メートルといいますと千坪を超えるわけですね。この辺、一説によりますと、坪四千万で取引されているという説もあるわけでして、そうなりますと四百億円なんですね。その三分の一近いものをこの無免許の泉門ビルディングがやっているということになってくると、私は非常にこれは重大だと思うのです。ここで私は非常に大事だと思いますのは、厳重に、ダミーを含めて投機を取り締まるということが必要なんじゃないかという気がするのですね。  その点で国土庁に、どういうふうにこれをされるのか、地価の高騰を抑えなきゃならないのですけれどもどうするのかという点を伺いたいのです。
  122. 田村嘉朗

    ○田村(嘉)政府委員 現在の東京都心都等におきます地価の高騰に対しまして、我々といたしましてもかねてから検討してまいったわけでございますが、特に東京都ともこの点につきましては相談をしながら検討を進めておりまして、当面、基本的には、先ほど申し上げましたような原因から考えまして、旺盛な事務所需要に対応するための事務所用地の供給に努めるわけでございますが、それとあわせまして投機的取引を抑制するためにまず行いますことは、国土法のさらに一層的確な運用に努める、こういうことでございます。そのためのいろいろな通達等も最近、徹底を図るために出しております。  さらに、投機的取引あるいは不適正な取引を抑制する一つの方策といたしまして、条例によって小規模の土地取引を届け出する制度を創設するという方向で、現在東京都では東京都土地取引適正化検討委員会というものを設けまして、現在具体的な内容について検討を進めているわけでございます。  こういった方法と、さらに特定の、地価高騰の著しい地域におきまして詳細な土地取引の状況を調査するということもあわせて行いまして、こういったいろいろな施策を交えて、不適正な取引が防止されるように努力する考えでございます。
  123. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、長官にお尋ねしたいのですけれども、供給対策をやる、それから投機的な取引を今局長の言うように規制をするといっても、いずれもダミーを野放しにしておいてはうまくいかないのです。しかも、今申し上げましたように、これは東京都心で広く行われているもののごくごく一部分を私はちょっときょうは取り上げたというだけにすぎないのですけれども、やはりダミーの取り締まりを含めて厳しい規制でないとえらいことになってしまうのではないかというように思うのですね。局長から答弁もありましたけれども、重ねてひとつ長官からお答えをいただきたいと思うのです。
  124. 山崎平八郎

    ○山崎国務大臣 お答えいたします。  近年、地価という問題は全国的には安定しているわけでございますけれども、仰せのとおり、東京の都心部、商業地等の一部の地域におきまして大変な地価の高騰があっておるわけでございます。  このために、実は先般東京都知事とも十分に連携をとりまして、事務所用地等の供給の促進を図りながら投機的な土地取引の抑制等の総合的な対策を講じまして都心の地価の安定に万全を期する、こういうことを図っている次第でございます。
  125. 中島武敏

    中島(武)委員 ぜひひとつ、ダミーを含めての厳しい規制でないとざるから幾らでも漏れていってしまうのだということをよく心得て対処していただきたいと存じます。  次に、建設大臣に伺いたいのです。  これは、四月三十日に、御存じのとおり行革審の特殊法人問題等小委員会から「特殊法人等の活性化方策」が発表になりました。この中で住宅・都市整備公団に関するところを見ますと、「事業を住宅の新規供給から都市の再開発事業に重点を移行」するということであるとか、それから「事業区域を原則として四大都市圏に限定し、」実際は「京浜、京阪神の二大都市圏に重点化する。」とか、あるいは「賃貸住宅の建設については、」「既存賃貸住宅の建替・立体化を積極的に推進する」、それで新規の建設については「二大都市圏に重点化」する、こういうふうに書かれて知るわけであります。  私は、これは再開発公団化するものじゃないか、あるいは建てかえ公団化するものじゃないか、しかも区域も事実上二大都市圏に限定する、こうなりますと、閣議決定しております住宅の五期五計、その中における公団賃貸の建設もこれは事実上否定されることになるのじゃないかというおそれを非常に感じるのです。  それから、この前、二月二十一日でございますが、私、この問題に関して住宅局長それから江藤建設大臣からお答えをいただいておりまして、あれは、住都公団に働く総裁にも会いましたら、非常に激励される、こう言って喜んでおったのです。だけれども、その大臣の答弁、局長の答弁をも、私は、これは否定するものじゃないかという気がしてならぬわけであります。  それで、審議会の本答申が出されますのは五月末ごろというふうに私は伺っておりますけれども、これは、もう率直に私は申し上げるのですけれども、中曽根内閣のやり方を見ておりますと、この答申が出ると閣議を開いて尊重しますとか言って決定しちゃうから、もう、いいところ、悪いところ、取捨選択するという余地はないわけなんですね。こうなったら建設大臣といえども縛られてしまう。だから、本答申が出ぬ前にしっかりしなければいかぬというのが私の、これまた率直な気持ちであります。こういう、以前の建設大臣それから住宅局長の答弁を否定するような本答申が出ないようにする必要があると思うのですけれども、時間の関係もありますので、大臣にずばりひとつお答えをいただきたいと思います。
  126. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 賃貸は建てかえに限定するとは考えておりません。  ただ、御承知のように、六十六万戸も賃貸住宅があるわけですから、その中には戦後すぐに、公団発足当時建てたものもありまして、場所はいいが非常に狭い、古くなった、それで高さも低いというようなのがありますから、そういうものはやはり賃貸でも建てかえていくということですけれども、しかし、建てかえだけでこれからの公団の運営をやっていこうという考え方は持ってないわけです。  ただ、まだ小委員会の検討中でありますから、いろいろ言うことは差し控えたいとは思いますけれども、基本的には私どもはそうです。一年間に二千戸建てかえても五年で一万戸ですから、それぐらいなことは当然建てかえもやっていかなければ、古いものをほっておくわけにはいかぬだろう、こういうことであります。
  127. 中島武敏

    中島(武)委員 ぜひひとつ、この前ここで御答弁いただいた方向を大いに貫いてやっていただきたいということを申し上げたいと思うのです。  なお、残されている時間でもう一つ建設大臣にお尋ねしたいことがあります。  それは、実は高速道路王子線の問題なんです。実は、高速道路王子線はことしの二月二十五日に都の都計審で都市計画決定がされました。しかし、これは非常に問題なんです。環境アセスメントについて言いますと、都のアセスメントが前提としました昭和六十年三月のNO2の環境基準達成は全く不可能となって、現在、いつ達成され局かもわからないのです。つまり、アセスメントの前提が崩壊してしまったのです。ところが、これを認めない。認めないのですけれども、認めないそのアセスメント審議会の答申でさえも三十八項目にわたってその不備を指摘しているわけであります。ところが、それにもかかわらずその都計審で都市計画決定を強行してしまった、こういういきさつがあります。  それから、もう一つ申しますと、昨年環境庁大気保全局が発表しました「大都市地域における窒素酸化物対策の中期展望」というのがありますが、これを見ますと、NO2については、自排局では六十三年時点では達成局数の増加は余り期待できないと非常にはっきりと言い切っているわけであります。同じ大気保全局が発表いたしました「大気汚染健康影響調査報告書」、これでは、現行の環境基準以下でもNO2の増加に伴って有症率が増加するということが認められております。  それからさらに、ごく最近ですが、五月十一日付のある報道によりますと、東京都も複合大気汚染健康影響調査報告書をまとめたのですけれども、これが故意に発表がおくらせられているとか、NOxが健康に大変影響があるとかいう中身のようでございます。  それで私は、結局この事業認可が建設大臣によってやられるわけですから、こういういろいろな問題があるわけですから、ぜひよく調査をして、そして安易に事業認可をしないでいただきたいということを申し上げたいのです。大臣の方から御見解を聞きたいと思います。
  128. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私どものこれからの手続はどういうことかというと、首都高速公団に対していわゆる基本計画を指示する、その後は今度は実施計画の計画書の承認をする、そしていよいよ今度は都市計画事業の承認をして、これが終わると事業に着手する、こういう運びになることは御承知のとおりです。  さて、この事業については、既に五十回以上いろんな会合が持たれて、その上で決定されたという話も聞いております。一応、都が決定したことを根本的に覆すということはなかなかできないことであろうと思いますが、たくさんの意見のあることでありますから、これは今後の事業の執行に当たっては、周辺住民のことも考えながら適切に対処していく、適正に対処していく、こういうふうに考えております。
  129. 中島武敏

    中島(武)委員 これで終わりますけれども、住民の皆さんにとりましては環境破壊、それからまた営業破壊、生活破壊と非常に重大な問題がいろいろとあります。いろいろな審議はやられてきているのですけれども、十分にもう一度よく検討していただきたいということを重ねて申し上げまして、私の方からの質問をこれで終わります。
  130. 瓦力

  131. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ことしの二月十五日に江藤建設大臣から中建審に対して、建設業の許可要件のあり方、それから経営事項審査制度のあり方、共同企業体等のあり方、産業構造の改善を進めるための諸方策、この四点について諮問が出されているのですね。この直前に、今度は建設経済局長の私的諮問機関である建設産業ビジョン研究会、このごろは私的諮問機関ばやりなんだけれども、これが「二十一世紀への建設産業ビジョン」という、一種の答申めいた報告を出している。何か中建審の審議に対して予見を与えるための既成事実づくりをやったのかなとさえ思えるのですが、そういう中で、この「二十一世紀への建設産業ビジョン」の中身について質問をしたいわけであります。  まず、ビジョン報告の中に「元請・下請関係の改善」という項があって、その中で、いわゆる「下請代金の不払が発生した場合に、元請業者である特定建設業者が立替払いする制度」について、「この制度の運用については、法に定める勧告要件を満たしているか否かの判定や、適切な支払額の確定が困難なこともあって、現在必ずしも法の趣旨に沿った運用がなされているとは言えないとの指摘もある。このため、紛争相談機能の拡充あるいは労働行政担当部局との連携の強化等勧告制度の円滑な運用を可能とする諸条件の整備を検討する必要があろう。」こう述べておるのですね。  この立てかえ払い制度は、今日の長引く建設不況の中で、中間下請業者等の倒産によって苦労している末端下請の零細業者のいわば最後の救済手段みたいになっているわけなんですね。これに対して見直しを出してきたのは私としては非常に意外に感じているわけです。  そもそも、建設業界は完全受注産業のために、下請の側は上位の下請に対して切れ目なく継続的に発注を期待するといっても無理なんです。それから、一つの現場が完了するごとに他の現場にどうしても移動せざるを得ない。そういうところから、元請、一次下請、二次下請、三次下請という系列関係もいや応なしに変動せざるを得ない。  さらには、元請にしても直営の労働者や機材をたくさん抱えると遊ばせたりあるいは現場移動に伴う莫大な費用もかかる。そういうところから、重層下請制度を活用するということになる客観的条件があるわけです。そういう中ではこの制度は最小限度の下請保護の制度ではないかと思うのですが、法の趣旨に沿った運用がなされていないとは一体どういうことを言っておるのか、これが一つ。  それからもう一つは、建設省だってこれまで下請保護についてとか下請代金支払いの適正化について、こういういわば法律を生かすための通達をちゃんと出しているわけですね。こういう通達を出しておきながら、逆に法の趣旨に沿った運用がなされてないなんというようなことは全く矛盾していると思うのです。こういうビジョン研の出してきた結論に対して建設省はどういう見解を持っておるのか、まずこれを明らかにしてほしいと思うのです。
  132. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 立てかえ払いの勧告制度の問題につきましては、現実の運用実態を見ますと、法に定める勧告とかいう手続までいかないで、事実上いわゆるこちらの行政指導といいますか、そういうふうなもので解決されている面が非常に多いわけでございます。ビジョン研でそういう表現をとられたのは、恐らく法に基づいた手続の実績が余りないんじゃないかということを言っておるのではなかろうかというふうに思うわけでございますが、いずれにいたしましても、現在のいわゆる元請下請の関係の現状におきましては、ああいうふうな制度をなくすとかいうことはとても考えられないことでございます。  ビジョン研の報告では、元請下請関係の近代化といいますか、そういうことに向けて、契約関係をもっと近代的なものにする、そのために一番重要な問題は価格決定のルールというような問題で、そういうものをもっと改善をしていく努力といいますか、そういうことを提言をしておりますので、そういった方向へ向けての努力が今後非常に必要ではないかというように考えております。
  133. 瀬崎博義

    瀬崎委員 じゃ、重ねて確認をしておきたいのでありますが、建設業法の四十一条、いわゆる立てかえ払いの勧告制度、それから二十四条の六で、いわゆる特定建設業者である元請に下請全体に対する総合的な監督指導責任を与えているわけですね。この両者が有機的に結びつきあるいはこういうものがバックになって、建設省の過去出してきた行政通達等も大いに生かされながら、建設省の努力も実ってきているということではないかと思うのです。  だから、四十一条に基づくいわゆる建設大臣あるいは知事の勧告自体が実績を持っていないからといって、これは無用だとかなんとかということに絶対ならないと思うのです。だから、こういう点では我々としてはまだ不十分だと思うのだけれども、最小限度のものとしてこれだけは維持していかなければならないと思っているので、その点だけはきちっともう一遍明確にしておいてほしいと思うのです。
  134. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 先ほど申し上げましょうに、元請下請関係の現状におきましては、四十一条の立てかえ払い勧告制度なり二十四条の六の元請の下請に対する指導責任というふうなものが当然必要でございまして、こういうものを踏まえて「元請・下請関係合理化指導要綱」等々の指導を今後とも強化していく必要があるというふうに考えております。
  135. 瀬崎博義

    瀬崎委員 次に、同じくビジョン研報告では、業者数の適正化の一環として建設業の許可審査の厳正化、許可要件の強化を打ち出しているわけですね。「建設業の許可審査を厳正化し、許可要件の強化を図って不適格企業の排除に努めるとともに、非効率な企業や施工能力の不足する企業が、たとえば建設業法に違反する行為を行うことによって不当な競争力を持つことのないよう、諸規定の的確な運用に努める必要がある。」随分これはひどい書き方をしているように思うのですが、現にここに書かれているような事実、つまり建設業法に違反する行為を行うことによって不当な競争力を持つ、こんな事実というのはそんなに建設省の方に来ているのですか。
  136. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 建設業法に違反するような行為というふうなことは、例えば施工能力が実際問題として余りないような企業が受注だけして、一括下請負で実際の仕事は他の業者にやらせるといったふうな問題であろうかと思いますけれども、この一括下請負の禁止規定を的確に運用するというのは実際問題としてなかなか難しい面がございまして、そういうふうなことから、具体的な事例として一括下請負の禁止規定の違反の事例が幾つあるというふうなことにはなっておりません。
  137. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一括下請に該当するような事例というのは零細な業者に多いのではなくて、むしろ商社とか百貨店とかあるいは製造業者が建設業の許可を取っている場合に起こってくることは、これはもう我々と日常的に建設省が接触する下請救済問題の中で起こっているはずなんです。もしそういうことを意味していると理解するのであれば、これはあくまでそういう本来建設業者の実態を持たない商社等の方にむしろもっと厳しく処置をしなければならないということになると思うのですが、そういう理解でいいですね。
  138. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 今の建設業界の状況から考えますと、特に商社とかどうとかということだけではなくて、そういったいわば不適格業者が現実問題として許可を受けて建設業者として活動しているということの指摘が業界の中にかなりあるわけでございまして、そういうふうなもの全般を指して言っていると思いますし、私どもとしても今後そういう点については十分そういう実態がなくなるように努力をしていかなければならぬというふうに考えております。
  139. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで、具体的には財産的基礎の再検討と専任技術者の要件の強化、こういうものがうたわれているわけなんですが、実はついこの間、これは行管庁の勧告もあって、現行の一本の許可制度を許可、登録、無許可の三ランク制にしようという動きもあったけれども、結果的には若干の財産的基礎あるいは資本金の引き上げということで一たん落着したわけですね。そのときに中建審は三ランク制導入に対して「登録制度の対象となるであろう小規模建設業者に対して一時的であれ不利に作用することが懸念されること、小規模建設業者であっても公共公益的な事業の担い手として、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するという責務を有していること、」こういうことを挙げているわけなんです。  だから、これは一たん決着済みだと私は思うのですが、ここでまたビジョンがこの財産的基礎の引き上げ等を出してきた。こう書いていますね、「「財産的基礎」については、」「会社の最低資本金の引き上げを検討している商法改正の動き等も勘案しつつ、」「建設業経営の確保という観点からの再検討が必要である。」と。こんなものは商法連動ですよ。  さて、この場合二通り考えられるのですね。つまり、またもう一遍前回のように許可、登録それから許可なしでやれる範囲をつくるという、事実上の三ランク制みたいにして、今のビジョンのような線に沿っていくのか。それとも単純にいわゆる基準の引き上げ。こうなりますと、今度は許可を取るのが大変困難になりますから、許可から締め出された業者は路頭に迷う危険も出てくるのですね。こういうビジョンをもらった建設省はこれを一体どういうふうに受けとめているのですか。
  140. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 許可制度のうち財産的基礎の問題でございますけれども、この点につきましてはこのビジョン研の報告では財産的基礎については「特に、公共工事の主要な部分を担い、建設業法上大規模な工事の元請となることが想定されている特定建設業者については、工事の的確な施工を担保し得る十分な資力が備えられるよう必要な引き上げが検討されるべきであろう。」こういうふうに言っているわけでございまして、いわゆるたくさん下請を使うというふうな業者はかなり経営基盤のしっかりした業者であってもらわないと、この特定建設業などが倒産した場合の下請に与える被害というか影響というものは非常に大きいわけでございまして、そういうふうな観点も含めて、この財産的基礎の見直しが提言されていると思うわけでございます。  それからもう一つ、この要件の問題といたしましては技術者要件の問題があるわけでございますけれども、これら全部をひっくるめまして、今先生がおっしゃいましたような三段階制とか、つまり現行許可制度の一都について登録制度に直すとかいうふうなことはこの提言の中に含まれていないというふうに考えておりますので、私どもとしてもそういうふうに受け取って、それ以上のことは考えておりません。
  141. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ただ、今度は、建設大臣が申達審に諮問した中には建設業の許可要件のあり方、それから経営事項審査制度のあり方、こういうのも入っているわけですね。だから、その中にもそういう制度の変更を伴うようなことは入ってない、つまり三ランク制なんということは諮問の中に入ってないんだという理解でいいなということが一つ。  それから、では単純にこの財産的基礎の一種の再引き上げみたいなことについてなんですけれども、これも五十九年四月の中建審答申では「軽微な建設工事の金額及び一般建設業の財産的基礎の金額については、従前どおり連動させて建設工事費の増嵩等社会経済情勢の変化に対応して適宜見直しが行われるべきである。」こういう答申をちゃんと出しているわけですね。  では、最近の建設工事費の増高等を見てみたら一体どうなっているか。今建設総合デフレーターは六十一年三月が一〇一、それからその前の五十九年三月が一〇一・二で、むしろ下がっているわけですね。だからもう既に五十九年の中建審で答申が出されているような基準に従えば、今さら財産的基礎を引き上げる根拠というものは生まれてこない。そんなところへまた建設業の許可要件のあり方を諮問する建設省もこれまた矛盾しているな、こういう感じがしてならないのですが、このいわゆる建設省の諮問は一体何をしてくれということなんですか。
  142. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 今回の許可要件のあり方についての諮問は、ビジョン研の報告に基づいて行っているわけでございますけれども、一般的にその財産的基礎の金額を引き上げることが適当だというふうな観点を持って諮問しているわけではございませんで、ビジョン研で言っておりますように、特にその点については、先ほども申し上げましたように、特定建設業の経営基盤の強化といいますか、しっかりした業者に、特定建設業になってもらうという観点からの見直しを指摘されておりますので、私どもといたしましてもおおむねそういう考え方で諮問をしているつもりでございます。  なお、最近におきまして、特に特定建設業の倒産もかなりふえてきているというふうな状況もございますので、そういった事態にも対処する必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
  143. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは恐らく最後になると思うので、大臣に伺っておきたいのですけれども、もう一つ、またビジョンではこういうことも言っているのです。「公共工事においては、こうした中小企業振興という観点から、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づき中小企業への発注目標が定められたり、企業規模階層にほぼ対応したランク別発注が行われている。しかし、こうしたことは、行き過ぎれば効率性の観点から問題が生じるおそれがあることも否定できない。」こういうやり方を余りやるべきではないととれるような表現があるのですね。  そして、「入札参加業者の指名に際して、極力平等に機会を与えようとする発注者が多く、業者数増加の一因となっている。」「一定の基準に満たない企業は有資格業者としての登録をしないことについても検討が望まれる。」つまり、ふるいにかけろと言わんばかりの話が出ておるわけですね。「発注行政においては、不必要に発注規模を縮小せぬよう十分留意する必要がある。」こういったことから、結局どちらかといえば、これまで我々も要望し、わずかながらも進められてきた分割発注等が今後後退するのではないかという心配を中小建設業者は強く持っているわけなんですね。  大体こんなことが出てくる前提は、このビジョンのそもそもの出発点、この建設業界について、「業者数が多い半面として企業の規模が小さく、しかも近年零細化の傾向にある。これは、企業経営の面から見ても、産業の効率性の面から見ても問題である。今後はある程度企業規模の拡大を目指す中で、その結果として、業者数が減ることが望ましい」、こうなるわけですね。これはこの前江藤建設大臣も一たん御答弁なさっているのです。物の考え方として、同じ建設業者だから、大きいから大事で小さいものを粗末にしていいという考え方はない、こう言われておるのですが、現実の問題として、こういう分割発注で多少仕事の確保にありつけそうになりかけたら、またこれが後退して仕事から締め出されれば、結果としてはビジョンの理念に沿ったようなことになっちゃうわけですね。  だからそういうことのないように、何はともあれ、やはり仕事が与えられなければ生きていけないわけですね。円高不況で非常に深刻なとき、この間許可基準の引き上げも最小限度で済んで一安心したところで、またこんなものが出てきて、また新たな不安が出てくる。少しは弱い者、零細な業者にも安心できるようにしてやってほしいな、こう思うので、こういう分割発注を後退させるようなことのないようにお願いしたい。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  144. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 五十二万の業者が約五十兆円の公共事業を五百万人の従業員を抱えてやる。その中には非常に大きい人もおれば小さい人もおる。機会をそれぞれ与えてみんなが生きていけるようにしていかなければいかぬけれども、しかしそれにしても野放しにしておっていいということではありませんで、足腰の強い経営体をつくっていこう。そして、公共事業というのは税金でありますから、この公共事業を執行するに恥ずかしくないような、そういういわゆる企業体系をつくっていくためにこれからの建設業はどうあるべきか、こういうことを実は私ども模索しようというわけでありまして、特別に弱い者を切り捨てていこうとか機会均等をなくしていこうとか、そういうことでスタートしておるのではありません。  ですから、これからいよいよ諮問の中でいろいろ御検討なさるでしょうし、また答申を受けましてから、その後、私どもは今度はそれを受けてもろもろのことを取り組んでいくわけですから、十分時間をかけまして、そして業界の育成については努力をしてまいりたいと思っております。      ————◇—————
  145. 瓦力

    瓦委員長 次に、井上泉君他五名提出住宅保障法案を議題といたします。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。木間章君。     —————————————  住宅保障法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  146. 木間章

    ○木間議員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました住宅保障法案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。  本格的な所得税減税の見送り、公的な健康保険や年金制度の改悪、政府・財界一体となった労働者賃金の抑制、緊縮財政と円高放任による中小企業の経営環境の悪化など、中曽根内閣の悪政と大企業の横暴により、働く国民は苦しい生活環境を強いられています。  とりわけ、住宅問題は深刻であります。  国際比較で見ますと、新築住宅の平均価格を一世帯当たりの平均年収で割った倍率は、次のようになっております。アメリカは一九八二年で三・〇倍、イギリスは一九八三年で三・六倍、フランスは一九七七年で二・七倍でありますが、我が国は何と六・五倍であります。また、二戸当たり床面積は、我が国の場合、一九八三年で八十六・六平方メートルであり、百平方メートルに達しようとしている西ドイツやスウェーデン、百三十平方メートルを超えるアメリカの水準には、はるかに及ばないのであります。  政府の住宅政策は、第五期往宅建設五カ年計画における公共賃貸住宅建設計画戸数の大幅削減に象徴されるように、国の責任を放棄し、市場経済に任せてしまうやり方であります。そして、建築規制の緩和、借地・借家法の改悪、国公有地の払い下げなどにより民間大企業に好きほうだいにマンションを建てさせようというやり方であります。結果はどうでありましょうか。  規制の緩和は地価の上昇をもたらし、高層マンションを建てても上の階に行くほど家賃や分譲価格が高くなり、土地の高度利用のメリットがデメリットに相殺されているのが現状であります。また、借地・借家法が改悪されれば、住みかえる適当な住宅がないまま今までの住宅から追い出される居住者が大幅に増加するのでありましょう。政府のやり方は、民間大企業に手厚く、国民には非情なやり方であります。  このような住宅政策を転換し、住宅問題を基本的人権の問題としてとらえ、国の責任を明確にするためには、住宅政策の基本と方向、その理念を示す法律が制定され、この、いわば住宅政策の基本となる法律とその他の住宅関連諸法が一体となって、欧米諸国のようなまとまった住宅法体系を形成することが必要であります。  以上の理由により、ここに住宅保障法を提出した次第であります。  次に、本法律案の概要を御説明申し上げます。  第一に、本法の目的でありますが、すべての国民に対し健康で文化的なゆとりある生活を営むに足りる住宅を保障するため、国の住宅政策の目標を明らかにするとともに、その目標達成のため国及び地方公共団体が講ずべき施策の基本を定め、住宅対策を強力に推進し、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することといたしております。  第二に、国の住宅政策の目標でありますが、すべての国民が、適正な居住水準が確保され、かつ良好な環境を備えた住宅に、適正な住居費の負担において居住することができるようにすることといたしております。  第三に、国、地方公共団体、国民、事業主のおのおのの責務と協力を規定いたしております。  第四に、国民の住生活の基準につきまして、住宅の規模、構造、設備、環境、住居費負担の基準を明らかにいたしております。特に、居住規模については標準世帯で百平方メートル、住居費負担については標準世帯で所得の一〇%と基準値を明記しております。  第五に、住宅供給の促進についてでありますが、地方公共団体主導の長期計画の策定、計画においては、公的資金住宅の事業を明らかにすること、公的資金住宅の事業費の二分の一以上は公共賃貸住宅とすること及び民間住宅への指導と援助、関連公共公益施設の整備等につきまして、おのおの規定いたしております。  第六に、老人、障害者等の福祉を増進するため、福祉住宅の供給の促進等を行うことといたしております。  第七に、公共住宅に入居を希望する人為に対する速やかな公共住宅のあっせん等を行うための公共住宅入居希望者登録制度を実施することといたしております。  第八に、国及び地方公共団体は、住宅及び宅地取引の公正の確保について必要な施策を講ずることといたしております。  第九に、住宅行政を強力に推進するための行政組織の整備と行政運営の改善を図ることといたしております。  第十に、総理府に附属機関として、住宅宅地政策審議会を置くこととし、本法施行に関する重要事項を調査審議いたすこととしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  各委員の御理解をいただきまして、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  終わります。
  147. 瓦力

    瓦委員長 以上で、趣旨説明の聴取は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会      ————◇—————