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1986-04-07 第104回国会 衆議院 決算委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十一年四月七日(月曜日) 午後零時八分
開議
出席委員
委員長
角屋堅次郎
君
理事
糸山英太郎君
理事
上草
義輝君
理事
新村 勝雄君
理事
渡部
行雄
君
理事
貝沼
次郎君
理事
玉置 一弥君 金子 一平君 森下
元晴
君
渡部
恒三君
斉藤
節君
中川利三郎
君 阿部 昭吾君
出席国務大臣
法 務 大 臣 鈴木 省吾君 国 務 大 臣 (
内閣官房長官
)
後藤田正晴
君 国 務 大 臣 (
総務庁長官
)
江﨑
真澄君
出席政府委員
内閣参事官
兼
内閣総理大臣
官房会計課長
中嶋 計廣君
内閣総理大臣官
房審議官
田中 広樹君
臨時行政改革推
進審議会事務局
次長
山本 貞雄君
総務庁長官官房
会計課長
塩路
耕次
君
総務庁人事局長
手塚
康夫
君
総務庁行政管理
局長
古橋源六郎
君
総務庁行政監察
局長
竹村 晟君
青少年対策本部
次長
倉地 克次君
北方対策本部審
議官
稲橋 一正君
法務大臣官房長
根來
泰周
君
法務大臣官房会
計
課長
清水 湛君
法務省民事局長
枇杷田泰助
君
法務省刑事局長
岡村 泰孝君
法務省矯正局長
石山 陽君
法務省保護局長
俵谷 利幸君
外務大臣官房審
福田 博君
外務省アジア局
長
後藤
利雄君
外務省経済協力
局長
藤田 公郎君
委員外
の
出席者
人事院事務総局
管理局会計課長
森 猛君
警察庁刑事局捜
査第二課長
国松 孝次君
警察庁警備局公
安第三
課長
鏡山 昭典君
警察庁警備局警
備
課長
井上 幸彦君
総務庁官長官房
審議官
米倉 輝君
防衛施設庁施設
部施設取得
第二
課長
志滿
一善君
外務大臣官房審
議官
太田 博君
大蔵省主計局司
計
課長
西津 裕君
国税庁調査査察
部調査課長
友浦 栄二君
通商産業省通商
政策局経済協力
部経済協力企画
官 安達 俊雄君
通商産業省生活
産業局原料紡績
課長
江崎 格君
自治省行政局行
政課長
濱田 一成君
会計検査院事務
総局
第一
課長
三原 英孝君
会計検査院事務
総局
第二
課長
天野
基巳
君
会計検査院事務
総局
第五局
審議
官 沢井 泰君
最高裁判所事務
総長
草場 良八君
最高裁判所事務
総局総務局長
山口 繁君
最高裁判所事務
総局経理局長
川嵜
義徳君
最高裁判所事務
総局民事局長
上谷 清君
最高裁判所事務
総局刑事局長
吉丸 眞君 参 考 人 (
海外経済協力
基金総裁
) 細見 卓君
決算委員会調査
室長 大谷 強君 ――
―――――――――――
委員
の異動 四月二日
辞任
補欠選任
斉藤
節君
福岡
康夫
君 同日
辞任
補欠選任
福岡
康夫
君
斉藤
節君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
昭和
五十八
年度
一般会計歳入歳出決算
昭和
五十八
年度
特別会計歳入歳出決算
昭和
五十八
年度
国税収納金整理資金受払計算書
昭和
五十八
年度
政府関係機関決算書
昭和
五十八
年度
国有財産増減
及び現在額総
計算
書
昭和
五十八
年度
国有財産無償貸付状況
総
計算書
〔
裁判所所管
、
内閣所管
、
総理府所管
(
総理本
府、
行政管理庁
)、
法務省所管
〕 ――――◇―――――
角屋堅次郎
1
○
角屋委員長
これより
会議
を開きます。
昭和
五十八
年度
決算外
二件を一括して議題といたします。 本日は、
裁判所所管
、
内閣所管
、
総理府所管
中
総理本
府等、
行政管理庁
及び
法務省所管
について
審査
を行います。 この際、お諮りをいたします。
裁判所所管
の
審査
に関し、
国会法
第七十二条第二項の
規定
による
最高裁判所長官
の指定による
代理者
から
出席
説明
する旨の
要求
がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは
委員長
に御一任願いたいと存じますが、これに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
角屋堅次郎
2
○
角屋委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
―――――――――――
角屋堅次郎
3
○
角屋委員長
この際、
最高裁判所当局
、
内閣官房長官
、
総務庁長官
及び
法務大臣
の
概要説明
、
会計検査院
の
検査概要説明
を求めるのでありますが、これを省略し、本日の
委員会議録
に掲載することといたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
角屋堅次郎
4
○
角屋委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
―――――――――――
昭和
五十八
年度
裁判所所管一般会計歳入歳出決算概要
最高裁判所
昭和
五十八
年度
裁判所所管一般会計歳入歳出決算
の
概要
を御
説明
申し上げます。 一
裁判所所管
の
歳出
につきましては、当初
予算額
は、千九百九十六億五千八十九万円余でありますが、これに
大蔵省所管
からの
移替え額
六億二千七百四十七万円余、
予算補正追加額
十一億四千三百二十一万円余、
予算補正修正減少額
三億六千三百三万円余、
予備費使用額
九億六千三十五万円余、差し引き二十三億六千八百万円余が
増加
されましたので、
歳出予算
現額は、二千二十億一千八百八十九万円会となっております。 これに対しまして、
支出済歳出額
は、二千十五億六千六百二十一万円余であり、
歳出予算
現額との
差額
は、四億五千二百六十八万円余であります。 この
差額
のうち翌
年度
へ繰り越した額は、三億四千二百九十七万円余、
不用郷
は、一億九百七十一万円余であります。
不用額
となった
経費
は、
人件費
六千十五万円余とその他の
経費
四千九百五十五万円余であります。 二
裁判所主管
の
歳入
につきましては、
歳入予算額
は、十七億五千九百六十一万円余であります。 これに対しまして、
収納済歳入額
は、十六億五千七百三十八万円余であり、
歳入予算額
に対し、一億二百二十三万円余の
減少
となっております。 この
減少
は、
相続財産
で
相続人
不存在のため
国庫帰属
となった
収入金
及び
保釈保証金等
の
没取金等
の
減少
によるものであります。 以上、
昭和
五十八
年度
裁判所所管一般会計歳入歳出決算
について御
説明
申し上げました。 …………………………………
昭和
五十八
年度
決算裁判所
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
五十八
年度
裁判所
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 …………………………………
昭和
五十八
年度
内閣所管一般会計歳入歳出
決算
の
概要説明
昭和
五十八
年度
における
内閣所管
の
一般会計歳入歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
内閣主管
の
歳入
につきまして、
歳入予算額
は、一千四百十七万円余でありまして、これを
収納済歳入額
五千五十三万円余に比較いたしますと、三千六百三十五万円余の
増加
となっております。 次に、
内閣所管
の
歳出
につきまして、
歳出予算
現額は、百三億九千七百九十四万円余でありまして、これを
支出済歳出額
百三億七千二十二万円余に比較いたしますと、二千七百七十一万円余の
差額
を生じますが、これは
人件費等
を要することが少なかったため、
不用
となったものであります。 以上をもちまして、
決算
の
概要説明
を終わります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
五十八
年度
決算内閣
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
五十八
年度
内閣
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 …………………………………
昭和
五十八
年度
総理府所管一般会計歳入歳出決算
の
概要説明
昭和
五十八
年度
における
総理府所管
の
一般会計歳入歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
総理府主管
の
歳入
につきまして、
歳入予算額
は、二百三十億三千三百九万円余でありまして、これを
収納済歳入額
二百四十五億九千四百二十九万円余に比較いたしますと、十五億六千百十九万円余の
増加
となっております。 次に、
総理府所管
の
歳出
につきまして、
歳出予算
現額は、五兆八千四百五十八億七千三百六十八万円余でありまして、
支出済歳出額
は、五兆七千二百九十八億四千九百十五万円余であります。 この
支出済歳出額
を
歳出予算
現額に比較いたしますと、一千百六十億二千四百五十三万円余の
差額
を生じます。 この
差額
のうち翌
年度繰越額
は、一千七十四億六千五百十一万円余であり、
不用額
は、八十五億五千九百四十一万円余であります。
総理府所管
の
歳出決算
のうち、
警察庁
、
行政管理庁
、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁及び国土庁については、各
担当大臣
から御
説明
申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、
総理府本
府、
公正取引委員会
、
公害等調整委員会
及び
宮内庁関係
について申し上げますと、
歳出予算
現額は、一兆八千三百九十六億二千二十九万円余でありまして、これを
支出済歳出額
一兆七千六百五十八億三千八十八万円余に比較いたしますと、七百三十七億八千九百四十一万円余の
差額
を生じます。 この
差額
のうち翌
年度繰越額
は、七百三十六億三千三百十万円余であり、
不用額
は、一億五千六百三十万円余であります。 翌
年度繰越額
は、
恩給費
でありまして、これは
文官等恩給
及び旧
軍人遺族等恩給
の請求の遅延及び
履歴等
の
調査確認
に不測の日数を要したため、
年度
内に
支出
を終わらなかったものであります。 また、
不用額
は、
人件費等
を要することが少なかったため、
不用
となったものであります。 以上をもちまして、
決算
の
概要説明
を終わります。 何とぞよろしく御
審議
のほどお願いいたします。 …………………………………
昭和
五十八
年度
決算総理木
府等についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
五十八度
年総理府
の
決算
のうち、
歳入
並びに
総理本
府、
公正取引委員会
、
公審等調整委員会
及び
宮内庁関係
の
歳出
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 …………………………………
昭和
五十八
年度
行政管理庁関係歳出決算
の
概要説明
昭和
五十八
年度
における
行政管理庁関係
の
歳出決算
につきまして、その
概要
を御
説明
申し上げます。
行政管理庁
の
歳出予算
現額は、二百十三億千五百九十八万余円でありまして、
支出済歳出額
は、二百十二億二千四十九万余円、
不用額
は、九千五百四十九万余円であります。
支出済歳出額
の内訳は、
人件費
八十三億四千六百六十七万余円、
事務費等
二十六億九千五百六十一万余円、
統計調査事務地方公共団体委託費
百一億七千八百十九万余円であります。本月額を生じた主な理由は、
退職者
が少なかったので、
退職手当
を要することが少なかったためであります。 以上をもちまして、
行政管理庁関係歳出決算
の
概要説明
を終わります。 …………………………………
昭和
五十八
年度
決算行政管理庁
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
五十八
年度
行政管理庁
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果、特に違法又は不当と認めた
事項
はございません。 …………………………………
法務省所管昭和
五十八
年度
歳入歳出決算説明書
昭和
五十八
年度
法務省所管一般会計歳入歳出決算
の大要を御
説明
申し上げます。 一
法務省主管
の
歳入
につきましては、
予算額
は、七百二十六億六千八百五十八万円余であります。 これに対しまして、
収納済歳入額
は、八百二十二億八千四万円余であり、
歳入予算額
に比べると、九十六億千百四十五万円余の
増加
となっております。 この
増加
しました要因は、
罰金及科料
六十二億千九十七万円余、
刑務所作業収入
二十一億六千九百五十九万円余が
増加
したことによるものであります。 二 次に
法務省所管
の
歳出
につきましては、当初
予算額
は、三千五百九十四億六千三百六十一万円であります。これに、
予算補正追加額
十四億九千三百九万円、
予算補正修正減少額
八億七千六百十六万円余、前
年度
からの
繰越額
一億三百二十四万円余、
予備費使用額
十六億八百三十万円余、差引き二十三億二千八百四十七万円余の
増加
がありましたので、
歳出予算
現額は、三千六百十七億九千二百八万円会となっております。 これに対しまして、
支出済歳出額
は、三千六百八億八千四百六十九万円余であり、その
差額
は、九億七百三十八万円余となっております。 この
差額
のうち翌
年度
へ繰り越した額は、三億千二百五万円余であり、
不用額
は、五億九千五百三十三万円余で、
不用額
の主なものは
人件費
であります。
支出済歳出額
のうち主なものは、
人件費
二千九百三十七億三千九百五十五万円余、
外国人登録事務処理経費
十一億四千二百十七万円余、
登記事務等処理経費
三十八億七千三百三十五万円余、
検察事務処理経費
二十八億七千六百五十二万円余、
矯正施設
における被
収容者
の
収容
、
作業等
に要する賢二百四十三億千二百九十三万円余、
補導援護経費
三十六億六千七百八十五万円余、
出入国審査
・
難民認定
及び被
退去強制者
の
収容
、
送還等
に要する
経費
六億五千九百八万円余、
暴力主義的破壊活動団体等
の
調査
に要する
経費
十七億四千九百四十九万円余、
施設費
百五億五千七百九十六万円余となっております。 以上、
昭和
五十八
年度
法務省所管一般会計歳入歳出決算
について、御
説明
申し上げました。 よろしく御
審議
を賜りますようお願い申し上げます。 …………………………………
昭和
五十八
年度
決算法務省
についての
検査
の
概要
に関する
主管局長
の
説明
会計検査院
昭和
五十八
年度
法務省
の
決算
につきまして
検査
いたしました結果の
概要
を
説明
いたします。
検査報告
に掲記いたしましたものは、
不当事項
一件であります。 これは、
職員
の
不正行為
による
損害
を生じたものであります。
本件
は、館林区検察庁におきまして、
事務課職員
が
罰金
の
納付告知等
の
事務
に従事中、
納付義務者
が
罰金
の
納付
を申し出た際、現金を収納する
権限
がないのに直接これを受領するなどして、五百三十四万七千円を領得したことによって生じたものであります。 なお、
本件損害額
については、
昭和
五十九年八月、全額が
不正行為者
から返納されております。 以上、簡単でございますが
説明
を終わります。 …………………………………
角屋堅次郎
5
○
角屋委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
渡部行雄
君。
渡部行雄
6
○
渡部
(行)
委員
最初に、
内閣官房長官
にお伺いいたしますが、
予算
というのは、すべて
決算
の総括の上に編成されるべきであるというのは申すまでもないと思います。したがって、常に表裏一体をなすものでなければならないわけで、もちろん、
政府
は
会計検査院
の
指摘
あるいは
内部検査等
によって
予算
が組まれるものと思いますが、問題は、このような状態、つまり六十一
年度
に入って三年前の
決算審査
をしておるというような現状では、
予算編成
時に
決算
についての
国会
の
意思
が反映されないでしまう。 この主たる
原因
は、
国会
の
姿勢
というよりは、むしろ
決算委員会
に対する
政府
の
姿勢
の問題にあると思いますが、この点、どのようにお
考え
なのか。
財政
の
民主化
が叫ばれる今日、
決算
こそ私は何よりも優先して重要視しなければならないと思いますが、
官房長官
の御意見をお伺いいたします。
後藤田正晴
7
○
後藤田国務大臣
ただいま御
指摘
のとおり、
決算審査
というのは
予算審査
と表裏の
関係
にあるわけでございますから、
政府
としては、
国会
の
決算委員会
の御
審議
、これには
最大限
の御
協力
を申し上げて、そして同時に、
会計検査院
の毎年の
検査
の成果が
予算
の執行上生かされていくというような措置を講じなければならぬことは、これはもとよりでございます。 実は先般、
角屋委員長
からもそういった点についての厳しい御
指摘
がございまして、
決算委員会
の
審査
に
政府
としては
最大限
の
努力
をすべきではないか、したがって、
閣僚等
の
出席
についても万障繰り合わせて出るようにしてもらいたい、こういう厳しい御
要請
がございました。 それを受けまして、閣議の席でも私から各
閣僚
に、それぞれの法律案等抱えて
国会
のそれぞれの
委員会
のお話し合いということも願わなければならぬけれ
ども
、しかし、
決算委員会
の
重要性
、そして
決算委員会
の
審議
が、これは
財政法
では、
決算
は翌
年度開会
の常会で
国会
に提出する、こうなって、御提出はしておるのですが、残念ながら、毎年
審議
がおくれておるわけでございますから、こういったことのないように各
閣僚
は十分ひとつ
努力
してもらいたいという私からの御
要請
もいたしておるわけでございまして、
政府
としては、こういった
基本姿勢
の上に立って
決算
の
審査
に御
協力
を申し上げ、それと同時に、
会計検査院
の毎年の御
指摘事項
の改善、これらについては当然のことながら従来も
努力
をいたしておるつもりでございますけれ
ども
、より一層の
努力
を傾けてまいりたい、かような
決意
でおるわけでございまするので、御理解を賜りたいと思います。
渡部行雄
8
○
渡部
(行)
委員
実際に運営を見てまいりますと、結局、
決算委員会
の場合に、
大臣
がとれないというのが主たる
原因
になっておるようでございます。
委員会
からの
要請
があれば、本来
内閣総理大臣
も
出席
して答弁しなければならないことは、
憲法
上保障されておる問題であることは言うまでもありません。そういう重要な問題が軽視されておる。しかも、
大臣
が
所管外
でいないという場合には、
課長
を出してよこす。それが当たり前のような顔をして
質問者
に通告してくる。こういうことでは
国会軽視
も甚だしいと思うのです。
大臣
がいなければ、どんなことがあっても
局長
以上の、それにかわって答弁できる、しかも自分で判断できる、そういう一つの形で
答弁者
を出してきてほしいと思いますが、今後どういうお
考え
か、その辺を明らかにしていただきたい。 とにかく
財政
の
民主化
が崩れたら、これはファッショの土台をつくるだけでございますから、
フィリピン
のようなああいう
政権
をつくらないためには、どうしても
財政
の
民主化
を何よりも重要視すべきだと私は思います。その点、
お答え
を願います。
後藤田正晴
9
○
後藤田国務大臣
ただいま
お答え
しましたように、
閣僚
としては
最大限努力
をして当
委員会
に
出席
すべきものである、こういう
基本認識
のもとに、万やむを得ないといったときには、副
大臣
としての
政務次官
もおりますから、
政務次官
あるいはまた
局長
、こういった方々に当
委員会
にできる限り
出席
をするように
政府
としては
努力
をいたしたい、こう
考え
ております。
渡部行雄
10
○
渡部
(行)
委員
ぜひ、今後重大な
決意
をもって臨んでいただきたいと思います。 次に移りますが、
政府
は今度の
フィリピン
の政変に対してどのような
認識
を持っておられるのか。つまり、
フィリピン
の
政権
の移動というのは
革命
という
認識
で受けとめるのか、それともどういう形でマルコスから
アキノ
に
政権
が移動したという受けとめ方をしておるのか。この
認識
が私は一番重要なかぎだと思いますが、その点、ひとつ
お答え
を願いたいと思います。
後藤利雄
11
○
後藤
(利)
政府委員
アキノ大統領
が三月二十五日、
暫定憲法
を発表したわけでございますが、同
暫定憲法
におきましては、新
政府
は
フィリピン国民
の権力の直接の行使によって成立したものであるというように言っておりまして、
フィリピン国民
のこの
歴史的行為
は、
フィリピン
の一九七三年の
修正憲法
の
規定
によらないで行われたものとしております。さらに、今次
暫定憲法
を公布する
大統領
の
権限
の源泉を
国民
に求めておるという点、従来の
憲法
の
改正手続
に基づき作成したとの形はとっておらないわけでございます。したがって、その意味で
アキノ
新
政府
は、その成立の基礎を従来の
フィリピン
の
憲法体制
に求めていないということは言えると思います。 ただ、
革命政権
がどうかということにつきましては、
専門用語
があるわけではございませんので、国際法的にどういう性格の
政権
がということを論ずることは必ずしも適当ではないだろうというように
考え
ておるわけでございます。いずれにしましても、
アキノ政権
はみずからは
革命政権
と言っておりません。
暫定政権
という形で言っておりますので、どのようにそれを呼ぶかというのは
フィリピン
の問題であって、我が方が云々するべき問題ではないだろう、かように
考え
ております。 いずれにしましても、私
ども
日本政府
といたしましては、二月二十六日に
安倍外務大臣
が
談話
を発表しておりまして、我が国としては新
政権
を
フィリピン
を代表する新
政府
として認め、同
政府
と正常な
外交関係
を維持していくとの
意思表示
をしたのは御記憶のとおりでございます。
政府承認
が問題となる事態か否かということでございますが、実際上は既に二月二十六日の
外務大臣
の
談話
によって私
ども
は
アキノ政権
を承認している、こういう立場にあるわけでございます。
渡部行雄
12
○
渡部
(行)
委員
これは、
フィリピン
の
政権自体
が
革命政権
であるということを宣言しておるのに、こちらが
アキノ政権
を認めておりながら、その
革命
の本質についてはコメントを避けるというのはどういうことでしょうか。
後藤利雄
13
○
後藤
(利)
政府委員
今
委員
の御
指摘
でございますが、
フィリピン政府
は、
革命政権
というような形では言っておりません。
暫定憲法
のテキスト及び三月二十五日の
アキノ大統領
の
記者会見
の中でも、みずからの
政府
のことを
革命政権
と称している箇所はないわけでございまして、今後の六カ月のうちに新しい
憲法
を起草して、
国民
にその新しい
憲法
を発布する、こういうことになっておりまして、私
ども
の理解する限りでは、
アキノ政権
が
革命政権
という形ではなくて、いわば
暫定政権
と言っております。
憲法
のことをインテリムコンスティチューションと言っておりますけれ
ども
、そういうような
認識
で、先ほどの繰り返しになりますが、果たして私
ども
はこれを
革命政権
と呼ぶのかどうかはむしろそれぞれの見方であろう、かように
考え
ております。
渡部行雄
14
○
渡部
(行)
委員
これは
参謀総長
が
記者会見
の中で、テレビではっきり言っていますよ、私はこの耳で聞いたのだから。
アキノ大統領
自身はわかりませんが、
参謀総長
が言っておる。しかも、
革命政権
でないとすれば、この
フィリピン
のマルコス
大統領
時代のすべての問題は継承されるはずだと思います。
アキノ政権
はその問題を継承するのですか、しないのですか。
後藤利雄
15
○
後藤
(利)
政府委員
繰り返しになりますが、今回いろいろな人がいろいろな
政権
の呼び方をしておりますが、
アキノ
夫人が
大統領
でございますから、その
大統領
が
革命政権
という言い方をしておらないというところを私
ども
は
認識
すべきであって、率直に申し上げまして、その
政権
の呼称というものは何であれ、先ほ
ども
申し上げましたように、
国民
の歴史的な行為によって新しい
政権
が生まれたんだというところを私
ども
は重要視して
考え
るべきであろうと思います。 それから、継承の問題につきましては、国際法的なものについてはこれを守っていきたいということを言っているというように私
ども
は理解しております。
渡部行雄
16
○
渡部
(行)
委員
そうすると、今までマルコス
政権
に与えたいわゆる
海外経済協力
資金、円借款等は、そのまま引き継がれるというふうに解釈していいんでしょうか。
藤田公郎
17
○藤田(公)
政府委員
私
ども
、日本からの円借款に基づきます
フィリピン
の債務は、当然継承されるものと
考え
ております。
渡部行雄
18
○
渡部
(行)
委員
そうすると、マルコスと
日本政府
が契約したとおりに、この借款の問題は返済がされる、将来完済される、そういうふうに受け取っていいでしょうか。
藤田公郎
19
○藤田(公)
政府委員
そういうふうに確信しておりますし、現実にも返済を行ってきております。
渡部行雄
20
○
渡部
(行)
委員
そこで、今アメリカや
フィリピン
当局から、リベートを贈ったという日本の企業やその企業名などが明らかにされつつあるのですが、日本の
政府
からは全然このような問題を明らかにされていない、また、追及されても逃げてはかりいる。これは一体どういう理由に基づくわけですか。
藤田公郎
21
○藤田(公)
政府委員
フィリピン
に対します経済
協力
の
関係
の資料で私
ども
が御提出できるもの、公表できるものはすべて御提出し、公表をいたしております。
委員
が今言及されました受注企業名の点でございますけれ
ども
、受注企業名と申しますのは、我が国は
フィリピン政府
に対しまして援助を行います。事業を行っている主体は
フィリピン
の
政府
でございまして、その
フィリピン
の
政府
の行っている事業に対して我が国は援助を行う。我が国の円借款の場合には、原則として公開競争入札を行うことを義務づけておりますけれ
ども
、入札を行いますのは
フィリピン
の
政府
でございまして、その
フィリピン
の
政府
が入札を行い、適当と認められる落札者と契約を結ぶわけでございます。その入札の行為、それから契約は
フィリピン政府
が当該企業と行う商契約でございまして、
日本政府
は承認行為は行いますけれ
ども
、これは我が国が
フィリピン
に行っております援助、
政府
間で交換公文で与えております援助の趣旨に合っているかどうかということを承認はしておりますけれ
ども
、契約自体は
フィリピン政府
と当該民間企業との間のものでございまして、
日本政府
は当事者ではない。したがいまして、当事者でない
日本政府
としましては、その契約の一部でございます受注企業名を公表する立場にはないというのが、今まで
政府
として御答弁を申し上げてきた立場でございます。
渡部行雄
22
○
渡部
(行)
委員
それは、正常にマルコス
政権
が機能しておる段階なら、今の
お答え
を私は聞きますよ。しかし、今マルコス
政権
というのは、その犯罪性を国際的に追及されているのじゃないですか。そして、
政権
としての機能もあるいはその機能もなくなっているのじゃないでしょうか。そのために何で義理立てをしなければならないのでしょうか。私はそこが一番わからないのですよ。 アメリカあたりは、マルコスの財産まで差し押さえるなどと言って、そのマルコスの罪状を次から次と暑いているのに、
日本政府
は何一つしようとしていない。この前も新聞に
指摘
されておりましたが、外務省はほとんど何にもやっていないというんじゃないですか。それは何か
日本政府
の要人や政党の大物に
関係
があるということなんでしょうか、どういうことなんでしょうか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。何のために義理立てしなければならないのか。
藤田公郎
23
○藤田(公)
政府委員
今般のいわゆるマルコス文書と申しますか、明らかになりました文書につきましては、これは総理
大臣
、
外務大臣
、
国会
の場で御答弁ございましたように、
関係
省庁におきましてこれを精査し、いやしくも我が国の経済
協力
に何らかの疑惑を持たせるようなことがあってはならないということから、私
ども
この資料を検討し、
関係
省庁で検討の結果を持ち寄っていろいろ協議を行っているというのが現在の状況でございまして、何もしていないというような状況では全くございません。 第二番目の、マルコス前
大統領
に義理立てをして云々という御
指摘
でございましたけれ
ども
、既に完了しました事業につきましても、先ほど申し上げましたように、それを受注いたしました企業の名前、それから契約の内容と申しますのは、先方の
政府
と当該企業との間の契約でございますので、これを我が国
政府
として公表できる立場にはございませんし、現在、前
政府
との間で結ばれました取り決め、契約に基づいていろいろな事業が引き続き行われております。これらの事業につきましても、当然のことながら、そのもとになっております契約の内容というのは公表いたす立場にはないというのが
政府
の立場でございます。
渡部行雄
24
○
渡部
(行)
委員
新聞ではほとんど企業名が発表されておって、
国民
の税金をつかさどっている
政府
が、この問題について一言もどういう企業にその仕事が行っているのか発表できないというのは、私はどうしても納得できないのですよ。しかも、その
フィリピン政府
と契約した企業というものに金を支払うのは、銀行を通してですけれ
ども
、
日本政府
が直接支払うというじゃありませんか。それなのに、その相手が発表できないというのはどういうことでしょうか。そんなことで
決算
がうまく進むと思いますか。どんなことがあっても
国民
の税金は明らかにしなくちゃならない義務があると思いますよ。 アメリカの方ではなぜ企業の発表なり資産の発表なりをやれて、周本
政府
はなぜそれができないのですか。その理由は何ですか。外国の
政府
がやれることを
日本政府
ではやれないと言う。そこを教えてください。
藤田公郎
25
○藤田(公)
政府委員
我が国が
政府
として何ゆえに企業名の公表ができないのかという理由は、先ほど来申し上げているとおりでございます。 ほかの国につきましては、それぞれの国の法制等々があることと思いますので、日本と同じような法制をとっている国もございますし、そうでない国もあるというのが現状がと思います。
渡部行雄
26
○
渡部
(行)
委員
ダザ
委員
という方が、日本の
国会
から
要請
があれば、いつでも
出席
して資料の提供なり御
協力
を申し上げますと言っているのですが、
政府
はこのダザ
委員
の発言についてはどういうふうに
考え
ているのでしょうか、
官房長官
。
藤田公郎
27
○藤田(公)
政府委員
そのような報道があることは承知しております。
渡部行雄
28
○
渡部
(行)
委員
あなたはこの問題について発言権ないですよ。これは
政府
がどういう態度であるかという、むしろ
政府
を代表する
内閣総理大臣
が答えるべき性質のものだけれ
ども
、ここにはいないから、
官房長官
という名指しで私は質問したのです。
官房長官
、お願いします。
後藤田正晴
29
○
後藤田国務大臣
フィリピン
のみならず、日本の対外援助の問題は、それぞれの正規の手続に従いまして、そして厳しい手続の上で適正に実施をせられておる、私はかように確信はいたしておるわけでございますが、こういった対外援助に関連して、今回
フィリピン
のような問題が出たということは、私は大変残念に思っております。
政府
といたしましては、
国会
で特別
委員会
もできるといったようなことでございますので、この特別
委員会
の御
審議
には
政府
としてできる限りの御
協力
は申し上げたい、かような
考え
方でおるわけでございますが、ただいま御質問の、
要請
があれば
フィリピン
側から何か
国会
に人を出すなんというようなことは報道で私は聞きましたけれ
ども
、報道以外、正規にそういう話が
フィリピン
の
政府
から我々の方に来ておるということは聞いておりませんので、この席でそれについてコメント申し上げるという立場にはないわけでございます。 いずれにいたしましても、
フィリピン政府
から正式に日本側にそういうようなお申し出があれば、これはその段階で
政府
としての受けとめ方を決めてまいりたい、かように思うわけでございます。
渡部行雄
30
○
渡部
(行)
委員
マルコス
政権
に与えたこれまでの円借款を含めた援助額の総額は、どのくらいですか。
藤田公郎
31
○藤田(公)
政府委員
援助額は、もちろん返済されてきているのもございますので、総額ということで申し上げますが、賠償を一応別にいたしますと、円借款が昨六十
年度
までの約束額の累計で四千六百六十七億三千九百万円、それから無償援助が昨六十
年度
までの累計で五百四十六億六千九百万円、それから技術
協力
が、これはまだ六十
年度
の集計は終わっておりませんので、五十九
年度
までの累計で申し上げますと三百八十一億二千二百万円ということでございまして、約五千五百億円程度になるかと思われます。
渡部行雄
32
○
渡部
(行)
委員
口でこそ五千五百億円と言いますけれ
ども
、これは莫大な金でございまして、これを
アキノ政権
が、我々は
革命政権
だからこの問題については責任はない、こういうふうに言った場合に、その返済を求めることができるのかどうか、その辺についてはどうなんでしょうか。
藤田公郎
33
○藤田(公)
政府委員
これは先ほど申し上げましたように、合法
政権
はもちろんのこと、
革命政権
につきましても、前
政権
の債務を継承することは私
ども
は当然のことと
考え
ているのが今の状況でございます。
渡部行雄
34
○
渡部
(行)
委員
そこで、こういう問題が日本の
政府
を巻き込んだような形で問題にされておるときに、このダザ
委員
のような発言が、かりそめにも新聞紙上であれ何であれ出ておる限りは、むしろ積極的にこの問題の究明に乗り出すという
姿勢
を
国民
の前に示してこそ、本当の信頼を獲得できるのではないか、こういう問題を我関せずで逃げるだけ逃げようというような
姿勢
となって
国民
の日に映れば、これは逆に
政府
に対する物すごい不信感と変わっていくと私は思うわけでございます。そういう点で、
官房長官
はどのように
考え
ておられるでしょうか。
後藤田正晴
35
○
後藤田国務大臣
今の
渡部
さんの御質問の中に、
政府
は逃げられるだけ逃げまくるというようなお話がございましたが、そんなつもりはございません。先ほど申し上げましたように、特別
委員会
もできるということでございますから、
政府
としましては、御
協力
を申し上げたいという
考え
方でございますので、その点はさように御理解をしておいていただきたいと思います。 ただ、この問題は、なるほど今毎日
フィリピン
の一部の
政府
関係
者を含めましていろいろな方がいろいろな御発言をなさっている、しかしながら、事は
フィリピン政府
と企業との間の私的契約に基づくものである、したがって、事の第一義的には
フィリピン
の
政府
が解明に乗り出すべき筋合いのものであって、
フィリピン政府
から
日本政府
に対して正規にお申し入れがあれば、これは
日本政府
としても当然事態解明に
協力
をする、こういうことが基本でなかろうかと私は思います。 ただ、事は日本の
フィリピン
援助に関連していろいろな問題が起きているわけでございますから、
日本政府
としても、特別
委員会
等ができて事態の解明に当たるということであれば、それに御
協力
申し上げでそれなりの対応をすべきでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、先ほど来のいろいろなやりとりを聞いておりまして、
フィリピン政府
としてまだ何ら物を言っていないときに、日本側がこの企業はどうであるこうであるといったことを
フィリピン政府
より先に公表するといったようなことが、果たして外交上いかなる問題があろうかという点で
政府
としては慎重に
考え
なければならない。そして究極においては、こういった疑惑がありとするならば、これははっきりさせなければなりません。いずれにいたしましても、
政府
が逃げまくるという
考え
方はないということだけは、はっきりと申し上げておきたいと私は思います。
渡部行雄
36
○
渡部
(行)
委員
次に、
総務庁長官
にお伺いいたします。 特に今貿易摩擦が非常な問題になっておることは申すまでもありません。ただ、貿易摩擦貿易摩擦と言って現実に八百億ドルも黒字をつくっていったのでは、今まで何をやっておったのか、私はこういうふうに
考え
ざるを得ないわけですが、摩擦摩擦と言いながら、経常収支を含めて日本の黒字がどんどんふえていくことは一体どこに問題があるのか、はっきりさせていただきたいと思います。
江崎真澄
37
○
江﨑
国務
大臣
この問題は、何といっても、従来はドル高、そして高金利といったことも大きく日本企業に輸出ドライブがかかった理由になっておる。鉄鋼においても自主規制をしておりますし、自動車などでも自主規制をしてきたことは御存じのとおりであります。それからまた、日本側がもっと物を買うということは、前からも我々はしきりに
努力
をしてまいりましたし、特に昨年のアクションプログラムにおいて相当思い切ったことをしたわけであります。 日本の市場というのは、ただ文化の違いと一言で言い切れないものがございます。それは、中小企業の定義は御存じのとおりですから今さら申し上げませんが、日本の中小企業が何と九九・四%になるのです。そうしますと、大企業はごく限られた〇・六%ということです。ですから、この中小企業の激甚な、しかも、カリフォルニア一州よりも狭いところに外国企業が売り込み
努力
をすることがいかに難事であるか。それは規格、基準・認証の緩和とかが相当、もう税率に至っては、総品目でいえば税率は世界一安うございます。東京ラウンドで決めました多国間の貿易取り決めにおいても、六十七年までに税金を引き下げていくという徐々にいくべきものを、二年前に数度にわたって前倒ししてもう完了してしまって、その上また引き下げたわけです。ですから、ネックというならば、そんなにネックはないわけです。ですから、外国にも売り込み
努力
をもっとしていただきたいということが率直に言えるところであります。 仰せのように、それにしても多過ぎるじゃないか。本当にそうだと思います。多過ぎます。特に経常収支がGNP比の三・五%強、三・六%、これは重大なことでございまして、私
ども
、貿易依存型でなくて、もっと内需振興型の経済志向に変えていかなければならないというので、大いに
努力
しておるところであります。 この六百億ドルを上回るという中に、簡単な例を申し上げますと……(
渡部
(行)
委員
「例はいいから、簡単に
お答え
ください」と呼ぶ)一九八五年のアメリカとの貿易額で、在日米国企業による輸出、これは日本の勤労意欲と技術に依存して日本に進出した企業ですが、二十億ドルもあるのです。それからOEM輸出、これはアメリカの有名ブランドが日本と何らかの形で合弁して、そしてアメリカに輸出したり第三国に輸出しておりますが、アメリカに逆上陸したのが約七十億ドル。それから、完成品をつくるための部品輸出が約八十億ドルであります。それから、アメリカで全くつくられていない商品、これはVTRとか三十五ミリカメラとか音響機器といったようなものが代表的なものですが、これが何と四十億ドル。合わせて二百十億ドル、これは総輸出額の三〇%に当たるわけであります。 ウォーレス国務次官が先ごろ参りましたときに、私はこの資料を差し上げまして、アメリカとは水平分業、垂直分業、もう本当に切っても切れないような産業
関係
にありますよ、三分の一は本当にアメリカの産業に貢献しておるものですということも申しましたが、そのときに彼は手を広げて、そんな数字は初めて聞いた、もっとアメリカに宣伝しなさい。 ジェトロ、大公使館、領事館、総領事館などが宣伝しておるわけですが、こういったことの宣伝があの五十州にまだまだ十分に行き渡っていない。そこで、
政府
としても自民党与党においても、あの五十州に進出しておる企業に、これをもっと宣伝したらいい、そうしてアメリカとの深いつながり、三〇%、三分の一というのは大きいですから、こういったことを
努力
しておるというのが現状でございます。
渡部行雄
38
○
渡部
(行)
委員
時間が参りました。もっと質問したかったのですが、
大臣
の答弁が長過ぎて困りました。ここでやめます。 どうもありがとうございました。
角屋堅次郎
39
○
角屋委員長
次に、
貝沼
次郎君。
貝沼次郎
40
○
貝沼
委員
大変突然で恐縮でございますけれ
ども
、初め
官房長官
にお尋ねしたいと思います。 十二日から総理が訪米されるという話を聞いておりますが、この点について
官房長官
のお
考え
をお聞かせ願えればと思います。
後藤田正晴
41
○
後藤田国務大臣
総理は、
国会
開会中ではございますけれ
ども
、お許しを得まして、十二日から十五日まで訪米をさしていただく予定にいたしておりますが、その目的は、やはり御案内のような日米間の厄介な経済問題がございますから、こういった日米間の全般的な問題、これらの話し合いが一つ。いま一つは、五月早々にサミットが開かれますので、日本は議長国でございますのでサミット成功に向けての日米間の事前の調整を行いたい、こういった目的で訪米をいたすことにいたしております。
貝沼次郎
42
○
貝沼
委員
そこで、経済問題、貿易摩擦の問題等につきましては、大体どういう方向でのお話がなされるのか、もし差し支えなければお聞かせ願いたいと思います。
後藤田正晴
43
○
後藤田国務大臣
これは江崎国務
大臣
から
お答え
するのが適当かと思いますが、御案内のような日米間の経済問題、貿易不均衡問題から日本の市場の開放、そしてまた内需の拡大といったような
要請
がございます。こういったことの
要請
もございまするので、
政府
としては、
予算
も通さしていただきましたので、これを機会に当面の総合的な経済対策も早々に打ち出したい、こう
考え
ております。これが一つ。 それからもう一つは、やはり日本の貿易産業構造そのものの構造政策の転換を行わなければ、なかなか我が国の輸出型の黒字がたまっていく情勢が改善になるとも思えません。そういったことで、合せっかく中長期の日本の構造政策についての検討を進めておりますが、これらもおおよそその目鼻が立っております。 こういったような諸般の事情を踏まえまして、これは
大統領
と総理の話でございますから私
ども
のいろいろ申し上げる筋合いではありませんが、大局的な立場に立って、日米間のそういった話し合いの中で日本の対応について恐らくや総理はお話をなさるのではなかろうか、かように
考え
ているわけでございます。
貝沼次郎
44
○
貝沼
委員
それからもう一点、この
大統領
と総理との話の中に、今
国会
でさんざん議論されております
フィリピン
のマルコス疑惑の問題につきまして、何か話し合われるという予定はございますか。
後藤田正晴
45
○
後藤田国務大臣
総理の訪米は外交チャネルを通じて大分前から話し合いをしておることでございまして、マルコス問題はその後で起きてきた問題だと私は理解しております。したがいまして、日米の首脳間の話しで
フィリピン
問題が論議に出るということは、私はこれは全く承知をいたしておりません。
貝沼次郎
46
○
貝沼
委員
常識的に
考え
ると話が出るのではないかと想像されるわけでありますけれ
ども
、もし――もしというのは大変失礼な言い方ですが、恐らく出るだろうと思うので、そういう場合は、日本の
政府
としてはどういう立場で、どういう
姿勢
で話し合いをされる予定ですか。
後藤田正晴
47
○
後藤田国務大臣
フィリピン
のこの問題が、今のこれだけの世界情勢の中で果たして出ましょうかな、私は出ぬのじゃないかなと思いますが、仮に出るのか出ないのかわからぬ問題としますれば、これは今私はここで、そのときに私が総理ならそれは言いますよ、だけれ
ども
、そういうわけじゃありませんから、ひとつ答弁を差し控えさせていただきたい、こう思います。
貝沼次郎
48
○
貝沼
委員
それから、新聞の連載で前にあったんですが、「援助途上国ニッポン」というところに自民党のある
閣僚
経験者が言っている。こういうので括弧つきであるわけです。
政府
開発「援助のカネは機密費みたいなもんだ。どの国へいくら、と
国会
で決めるわけじゃなし、どう使われているのか
国民
にはほとんど知らされない。おまけに、もっと増やせ、増やせだ。政治資金というタマゴを産むニワトリとしては、とびきり上等だよ」、こういう言葉が出ているわけでありまして、これが元
閣僚
経験者というふうについておりますので、自民党だけなら、私は自民党のことですからそんなこともあるのかいなと思いますけれ
ども
、
閣僚
という名前が出てきますと、これは外国との
関係
で大変不名誉な話でございますので、こういうような前の記事でありますから恐らく御承知だろうと思いますが、
政府
としてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
後藤田正晴
49
○
後藤田国務大臣
貝沼
さんも既に御案内のように、日本の経済力がここまで強大になり、しかも国際社会の中において日本の責任というものが重みを増しておる今日、日本のこの海外援助といいますか途上国援助については、本当はもう少し
予算
をふやすべき時期に来ておるのではないか。七年間でまた倍でしたか三倍でしたかするということは決めておりますけれ
ども
、私はもう少しやってもいいくらいに
考え
ております。しかし、それだけに海外援助というものはあくまでも厳正な手続を経て、そしてきちんとした成果が上がるような、相手国の民生の向上、福祉の向上、経済の発展、こういうものに役立つようなやり方でやらなければならない、こう
考え
ておるわけでありますが、そういう過程でこういう事件が起きて、私は大変残念に思っております。 〔
委員長
退席、
渡部
(行)
委員長
代理着席〕 しかもただいまのお話、それは元
閣僚
というのは本当ですかな、そんな人は
閣僚
になるはずがありませんな、私はそう思う。一体何を
考え
てそういう愚かな発言をするのか、そういうことは私は大変不名誉なことだと思います。今までも、先ほど来申し上げておるように、正規の手続を経まして厳しい手続でやっているわけてございますから、それが何でしたかな、今のお話で何か元
閣僚
なる者が「タマゴを産むニワトリ」、冗談じゃありません、これは全く不見識きわまる発言だ、私はかように理解をいたしております。
貝沼次郎
50
○
貝沼
委員
ただいま長官の御答弁を聞きまして、外国に対して日本人として全く不名誉であるということは、私は同感でございます。 そこで、行管庁がかつて行政監察をしたときの記事の中に、問題点というのが
指摘
されております。その三番目に、「開発途上国における必要性、妥当性よりもわが国行政機関の関心の度合いや、友好面、通商面等からの配慮に主眼が置かれる場合がある。」というわけで、大体援助が決定するまでは、援助を
要請
する相手国、そして相手国
政府
から
要請
があった場合外務省が受けて、そして無償資金
協力
があるいは技術
協力
か直接借款かというようなパターンがあると思いますが、そこで案件発掘の
調査
団派遣というのがなされまして、それからいろいろやった結果、外務省が検討し相手国と交換公文の締結、これがルールだと思います。 ところが、この交換公文の締結のときに
国会
の承認は不必要となっておるわけでありまして、どういうふうにしてこれが決定されるかというのが、実は
国民
の目からは非常にわかりにくい状況になっておるわけでございます。したがって、こういうようなことから、例えばある企業などは、相手国がこれを
要請
しておるということよりも、こちらが向こうから
要請
させた方が自分の商売が成り立つというようなことから、それを押しつけてやっておる。 よく疑惑を持たれておりますのは、例えば持ち込みとしてはインドネシア・アサハン・アルミニウム株式会社ですね。これが、日本国内で電力が高騰した。アルミニウムというのは電力を固めるほど電力を使うわけでありますから、そんなことで悲鳴を上げたアルミ業界の活路として、このプロジェクトが実施されたというふうなことも言われておるわけであります。 もし日本の企業によって向こうから
要請
しろというような動きでもって対外援助が行われるとするならば、これは大変問題がある、そういったことのないようにというのが、恐らくこの行管庁の
指摘
だと私
考え
ておりますけれ
ども
、この点について当局としてはどういうふうにお
考え
であり、また今後どうされようとなされるのか、御答弁を願いたいと思います。
太田博
51
○太田
説明
員
お答え
申し上げます。 具体的に
日本政府
が開発途上国に対してどのようなプロジェクトについて
協力
をするかということの検討に際しましては、我が国の経済
協力
についての基本的な
考え
方、つまり開発途上国の民生の安定、福祉の向上、社会経済の発展に役立つような援助を行うという立場と、それから具体的に開発途上国からの
要請
、これを踏まえまして検討している次第でございます。 ただいま先生の御
指摘
のような、日本側がしかけて
要請
させるというようなケースが全くないとは言えないかもしれませんけれ
ども
、我が方といたしましては、ただいま申しましたように、日本側の基本的な
考え
方、それから
要請
をしてまいります被援助国側の
要請
の具体的内容、真の必要性というのがどこにあるかということを十分検討して、本当に
協力
をするのに値するかどうかという点から、厳密に事前にチェックをした上で実際の
協力
を決めている次第でございます。
貝沼次郎
52
○
貝沼
委員
こういうようなことも起こってくるのは、私は、交換公文の締結のときに、表にその内容が出てこないというところから起こっていると思います。例えば、外務省とあるいは相手国との間で話し合いがなされるけれ
ども
、
国会
の承認問題になっていないというところに――
国会
の承認というのがいいのか、あるいは別の方法があるか、それは私はいろいろあると思います。あると思うけれ
ども
、外務省だけがわかっておるというところに私は問題があると思います。したがって、こういうような点について今後何か改良する点を
考え
ておるのかいないのか、その点について
お答え
願いたい。
太田博
53
○太田
説明
員
お答え
いたします。 交換公文でございますが、これは相手国
政府
と具体的な点につきまして詰めましてから交換公文を結ぶわけでございますけれ
ども
、内容につきましては後ほど交換公文を締結されましてから公表されておりますし、交換公文の中に盛られますプロジェクト名、それから円借款の場合ですと供与いたします借款の限度額等を明確に
規定
しておりまして、
国会
におきましても、交換公文の内容につきましてははっきりわかるような形で処理されているというふうに
考え
ております。
貝沼次郎
54
○
貝沼
委員
はっきりわかると言いますけれ
ども
、では実際今までどういう企業がどういうふうなプロジェクトでどれだけの仕事をしたのかというような一覧を、実態というものを、今度
国会
で全部
フィリピン
関係
については出せとかいろいろ言っております。ところが、そういうのはなかなか出てこない。わからない。 それで、先ほ
ども
話がありましたけれ
ども
、例えば総理
大臣
は、このマルコス疑惑については全力を尽くして早期究明に
努力
している、これは私は結構だと思います。ただ、
努力
している具体的なものは何を
努力
なさっているのか、ここがまだ見えないですね。あれはこれはとこっちの方から聞いてみると、いやそれは違う、これは違うというふうなことがあって、
努力
しているとおっしゃっているのが、私
ども
としてはよくわかりません。 そこで
官房長官
、総理
大臣
の答弁ですから
官房長官
になると思いますが、全力を尽くして早期究明に
努力
しておると言いますけれ
ども
、具体的にはどういうことを今なさっていらっしゃるのでしようか。
後藤田正晴
55
○
後藤田国務大臣
総理は、アメリカ側の公表資料の分析等を行って真相究明に努めなさい、こういう指示を四省庁に出されております。
関係
省庁は公開の資料に係る事実
関係
の把握に努めまして、その把握の過程で、民間企業から必要に応じ参考として意見を求めて聞いておるというのが現在の段階である、かように承知をいたしておるわけでございます。
貝沼次郎
56
○
貝沼
委員
きょうの報道にも、四省庁が合同して、順次、文書に名前が挙がった企業を呼んで事情を聞くとか、あるいは書類の洗い直しということが報道されておりますので、恐らくこの記事が今の答弁の記事だろうと思いますが、この事情の聴取とかそういうのは、日程的には既にもう入っておるということなんでしょうか。
太田博
57
○太田
説明
員
お答え
申し上げます。
関係
の企業からのヒアリングにつきましては、既に外務省及び通産省で二、三の企業から事情を個別的に聴取いたしております。ただ、
本件
の
重要性
にもかんがみまして、円借款に直接
関係
しております四省庁がばらばに事情聴取をするのではなくて、四省庁として事情を聴取すべきということで、そういう形の事情聴取はこれから行いたいというのが現状でございます。
貝沼次郎
58
○
貝沼
委員
これから行いたい、ひとつなるべく早くやっていただきたいと思います。 それから、
外務大臣
は現段階では
フィリピン
国に対して資料を請求する
考え
は持っていないというような答弁があったようでございますが、今、出たものについては、そういうふうに検討したり、いろいろ資料を
調査
するということであります。 これは先ほど
官房長官
が、
フィリピン
のラウレル副
大統領
の言葉については正式なものではないので答弁のしようがないということでございましたが、報道されておるところでは、
フィリピン
側の資料は
要請
があれば日本側に引き渡す、これは報道の段階ですね。したがいまして、少なくとも日本の企業とのかかわりでそういう問題が起こっておるんだなということがあるならば、そういう報道がなされても、それをもとにして事実どうであったのかというような確認とか、あるいはそちらの意向はどうなのかというような確認というのは
政府
としてはやってはいけないことなんでしょうか、それともやったんでしょうか。
太田博
59
○太田
説明
員
お答え
申し上げます。 ただいま先生御質問の点につきましては、
安倍外務大臣
が
国会
で
お答え
しておりますように、現時点においては
フィリピン政府
に対して日本の方から関連の資料を
要求
はしないということでございます。
貝沼次郎
60
○
貝沼
委員
今質問したことに答えてください。
太田博
61
○太田
説明
員
お答え
いたします。
日本政府
としてそういう
要請
ができないのかどうかということでございますが、
本件
につきましては、日本と
フィリピン
との間の経済
協力
という重要な
事項
にかかわることでございますので、もし聞く場合には、どういう観点から何のために
要請
するかということをあらかじめ明確にした上でないと聞くのに適当でないであろうということで、現時点ではそういう照会をすることは
考え
てないということでございます。
貝沼次郎
62
○
貝沼
委員
そういう答弁をするから、やっぱり何となく及び腰だな、こういうふうに受け取られるわけですね。私は、そういうふうに
日本政府
が受け取られることは大変残念なことだと思います。したがって、もっと積極
姿勢
を示してもいいのではないかと思っておるわけでございます。 それから、通産省の方おいでですか。お伺いいたします。 五十五年に改正される前の外国為替管理法、これでは手数料が一〇%を超える場合は通産
大臣
の許可が必要であったはずでございます。それで、今回発表になりましたマルコスのいろいろな文書を見てみますと、コミッション一五%あるいはBBB一五%、いろいろなのがあります。こういうような書類を見て、一〇%を超えておるようでありますが、これは通産省が許可をされたものなんでしょうか、それとも今初めて見たものなんでしょうか。もし初めて見たものであるならば、それに対してどう対処されようとなさいますか。
安達俊雄
63
○安達
説明
員 御
指摘
の点でございますが、現在、事実
関係
について確認を行っているところでございます。
貝沼次郎
64
○
貝沼
委員
事実
関係
ということは、少なくとも、今回のこのマルコス疑惑に関する資料として公表されたものについての企業名がありますが、そういうものについてやっているということですか。
安達俊雄
65
○安達
説明
員 ソラーズ
委員会
公開資料の中で、
指摘
のある点について所要の分析を行っておるということでございます。
貝沼次郎
66
○
貝沼
委員
時間がなくなってまいりましたので、今度は
警察庁
の方おられると思いますが、この資料の中にあれだけ、ゼロックスが飛んでいるものですからよくわからないけれ
ども
、専門家に読んでもらったところ、アメリカ向け機密費
関係
で、例えばレーガン、カーター、おのおのに各五万ドル献金とか、いろいろ出ておるわけでございます。それで、アメリカの方は政治献金として既に
審査
済み、こうなっておるのです。こういうことがアメリカの政治家に対してなされたということなんですが、アメリカだけで、日本の政治家にはそういうことはあり得ないという判断に立てるのでしょうか。あるいはこれをもとにして、何らかの参考にして捜査か
調査
を始められたかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
国松孝次
67
○国松
説明
員
お答え
を申し上げます。 このいわゆるマルコス資産問題につきましては、警察といたしましても大いに関心を持ちまして、必要な情報収集に努めておるところでございます。 日本の政治資金規正法によりますれば、外国人あるいは外国法人等から日本の政治家なり政治団体が寄附を受けた場合には、それを違法とするという条項はございますが、それに当たるかどうかということにつきましても、まだ具体的な事実は私
ども
つかんでおるわけではございません。いずれにいたしましても、一般的な情報収集をいたしておるというところでございます。
貝沼次郎
68
○
貝沼
委員
最後に一問お伺いいたします。 これは
会計検査院
の方でありますが、
会計検査院
は、今の体制ではこういう問題が起こった場合にはなかなかチェックできません。そこで、日本のチェック機能というものが大変貧弱であるということが
指摘
されておるわけでありますが、今後、例えば人員とか体制とかについてこういう点をこうすべきであるというお
考え
があれば、御答弁願いたいと思います。
三原英孝
69
○三原
会計検査院
説明
員
お答え
いたします。
会計検査院
といたしましても、今回の問題には深い関心を持っておりまして、先般も官房やほかの局からの応援体制を整備いたしまして、海外経済援助に対する
検査
のスタッフの充実強化を図ったところでございます。私
ども
といたしましては、このスタッフを十二分に活用いたしまして、今後海外経済援助の
検査
に取り組んでまいりたいというふうに
考え
ているのでございますが、今回の事態にかんがみまして、今後こういった海外経済援助に対する
検査
のあり方はどうあるべきか、これは十分に研究する必要性というものを痛感いたしているところでございます。 現在のところ、各
関係
省庁におきまして事態の解明あるいは必要に応じ改善すべきところは改善していく、こういうふうなお話もございますので、そういった当局の対応を見きわめながら、今後この
検査
にはどう取り組んでいったらいいか、真剣に
考え
ていきたい、かように
考え
ております。
貝沼次郎
70
○
貝沼
委員
終わります。
渡部行雄
71
○
渡部
(行)
委員長
代理 新村勝雄君。
新村勝雄
72
○新村(勝)
委員
法務大臣
にお伺いいたしますが、
会計検査院
の
検査
の
概要
に関する
説明
の中に、
法務省
に関する館林区検察庁における
不正行為
があるわけであります。 これによりますと、
事務
課の
職員
が
罰金
の
納付告知等
の
事務
に従事中こういう間違いを犯したということでありますけれ
ども
、これは単独の
職員
がやったのか、それともどういう事情であるのか、お伺いをいたします。これは担当の方でもいいですよ。
清水湛
73
○清水(湛)
政府委員
お答え
申し上げます。 これは館林区検察庁、前橋でございますけれ
ども
、区検察庁の
職員
が
罰金
の
納付
告知の
事務
に従事していたわけでございます。本来、
罰金
の徴収
事務
には
関係
がなかったわけでございますけれ
ども
、この徴収の
権限
があるように装いまして、
昭和
五十九年一月から五十九年七月まで、約五十三回にわたりまして五百三十万円余の全員を不法に領得した、こういう事案でございます。
新村勝雄
74
○新村(勝)
委員
そうすると、これは単独の犯行ということですね。一人がやった。
清水湛
75
○清水(湛)
政府委員
当該
不正行為
をしたものは一人でございます。
新村勝雄
76
○新村(勝)
委員
そうしますと、一人が五百三十四万七千円、これは一人の額としては大変大きいわけでありますけれ
ども
、相当な期間にわたって犯行を反復してやったということだと思いますが、こういうことがなぜ長期にわたって知り得なかったのか、発覚しなかったのかということであります。 そういう点で、監督責任、それから庁内の自律的なそういう体制が疑われるわけでありますけれ
ども
、しかも
法務省
の所管においてこういうことがあったということは大変残念であります。また、たった一件でありますけれ
ども
、その性質を
考え
るとこれは大変管理監督がずさんであったと言わざるを得ないらけでありますが、そういう点でのその辺の事情はいかがでありますか。
清水湛
77
○清水(湛)
政府委員
お答え
いたします。 検察庁の窓口を通じまして、年間約六百億円余りの
罰金
等の徴収
事務
が行われているわけでございます。そういうことの中で、こういう金額は五百万円余という金額でございますけれ
ども
、そういうことが一件たりともあってはならないということで、従来より検察庁におきましては
罰金
の徴収
事務
につきましては厳正な体制をしいておったところでございます。しかしながら、非常に残念なことにこういう事件が起きてしまった。 翻って
考え
てみますと、小規模な区検察庁というところでございまして、日ごろよりその徴収
事務
の管理監督につきましては意を尽くしていたつもりでございますけれ
ども
、結果としてこの種の事案が残念ながら一件発生してしまった、こういう状況でございます。まことに申しわけないことでございますけれ
ども
、そういう事件が起きたということを契機といたしまして、さらにこのような事件が再発することがないような諸種の措置を講じておるところでございます。
新村勝雄
78
○新村(勝)
委員
たとえ一件でもこういう事件があることは、これは絶対に許されないわけでありますが、特に
法務省
の中で起こったということについて、これは大変残念だと思います。しかもこの起こった場所が、
職員
の数も少ないし、小規模の
事務
部局なわけですね。そういう中で起こるということは、これはもう
職員
の数も多いし大きな部局の中で起こったということに比べると、はるかに発見しやすい、発覚しやすいわけであります。監督もしやすい。そういう中で起こったということは大変残念であります。 これから絶対にこういうものを起こさないという
決意
でやっていただくこと、これはもちろんでありますけれ
ども
、
大臣
もひとつこの点について
決意
を新たにし、たとえ一件といえ
ども
、これはよく
考え
てみると大変理解のできない面もあるわけであります。絶対にこういうことを繰り返さないことが必要だと思います。その
決意
と、それからこれに対して、この問題についての後の処置はどうなっていますか。この
職員
に対するどういう処置がなされているか、それをまず伺って、それから
大臣
の御
決意
を伺いたい。
清水湛
79
○清水(湛)
政府委員
お答え
いたします。
関係
者の処分につきましては、当該本人は懲戒免職で、刑事裁判で有罪の判決を受けているところでございます。それから、監督責任につきましては、まず、直接の上司である
事務
課長
につきまして減給処分、それからさらに、区検察庁のさらに上司である検察官につきましては戒告処分、それから、館林区検察庁を管轄いたしております桐生支部の支部長につきまして訓告、それから、前橋地検の次席検事につきまして戒告、さらに、前橋地方検察庁の検事正に対しまして訓告という、それぞれの
関係
上司について非常に厳しい処分をいたしておるところでございます。
鈴木省吾
80
○鈴木国務
大臣
法務省
という立場でかような不祥事が起きたことは、まことに遺憾に存じます。今後は、そういうようなことのないように厳重に指導監督し、再びかようなことが起こらないようにしてまいりたいと思います。 〔
渡部
(行)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
新村勝雄
81
○新村(勝)
委員
次に、治安対策でありますが、今国の内外、日本の国内だけではなくて、国際的にもテロあるいはゲリラという事態があるわけであります。こういうことに対してどういう体制をもって臨んでおられるのか。特に最近、国内における暴力行為が頻発いたしております。これについては左右両翼からややもすると暴力行為が起こる、そういう可能性といいますか温床があるわけであります。 そこで、現在の国内の状況、特にテロあるいはゲリラ、そういうものが起こる温床というか暴力団体というか、こういう団体の現状はどうなっているのか、まずその概況を伺いたいと思うのです。
鏡山昭典
82
○鏡山
説明
員 最近、国内で極左あるいは極右といいますか右翼のテロ、ゲリラ志向がだんだん強まっております。特に、極左暴力集団の場合、
国民
の支持をだんだん失うようになり孤立化してきた、あるいは警察の厳しい取り締まりで、街頭闘争などをやるとすぐ捕まるというようなことで、だんだんテロ、ゲリラ化を強めてきているわけでございます。 現在、極左暴力集団と呼ばれる組織は、総結集勢力で全国に大体三万五千ぐらいおるというふうに私
ども
見ております。もちろん、これが全部テロ、ゲリラをやるというものじゃございませんで、まとまった組織が大体二十二ぐらいございますが、このうち現実にテロ、ゲリラをやっているのは五つございます。この五つの組織がだんだん組織を非公然化するあるいは軍事化するという形でテロをやっているわけでございますけれ
ども
、このテロ、ゲリラの特徴と申しますのも、だんだん内容が悪質化してきて、先般三月末に都内あるいは大阪で起こりましたように、発射弾を使って攻撃するというようなそういうゲリラをやる、あるいは昨年十月二十日に成田で行われましたように、直接警察官に火炎瓶を投げたり、石を投げたり、鉄パイプで殴りかかってくるという、いわゆる街頭で集団武装闘争をやる。こういうような闘争もやってきているわけでございます。 この極左暴力集団が一番当面の目標としておりますのは、一つは、四月二十九日に行われます天皇陛下御在位六十年式典を粉砕するということと、もう一つは、五月四、五、六日と開かれます東京サミットをつぶしてしまう、これに最大の力を入れております。そのほか、成田闘争とか関西国際新空港反対闘争、こういうものに重点を置いてやるようにしております。 いずれにしましても、極左暴力集団は、
国民
の支持を失うという中で自分たちの組織をなるべく温存したい、そういう意味で、警察の取り締まりに現場で捕まらないようにゲリラというものにだんだん重点を入れてきているわけでございます。 右翼につきましても、新右翼というようなものの中には、極左暴力集団等とつながって過激なテロ等をやろう、こうした動きがございます。
新村勝雄
83
○新村(勝)
委員
左翼に対する概況は今伺ったわけですけれ
ども
、やはり左翼と同時に、右翼にもそういう暴力的な要素、あるいはそういう形で自分の
意思
を表明するというか貫徹しようとする志向があるわけですね。右翼の概況についてもお願いしたいと思います。
鏡山昭典
84
○鏡山
説明
員 私、極左担当でございまして、詳しく右翼のことを
お答え
できませんけれ
ども
、右翼は今大体十二万ぐらいおります。ただしかし、これは理論的な右翼あるいは街頭で宣伝をするような右翼も含めてでございまして、実際テロをやっていこうというようなのは、いわゆる新右翼と呼ばれるものの中にございまして、こういうのが
政府
要人あるいは左翼勢力等に対して直接行動で対決していくという
姿勢
をだんだん強めてきておるようでございます。
新村勝雄
85
○新村(勝)
委員
現在、事を起こしているのは左翼だと思いますけれ
ども
、これに対して当局がどういうふうな対策を持っておられるのか。そういうことがあってはいけないのですけれ
ども
、万一突発した場合の緊急対策はどうなのか。その点を伺います。
鏡山昭典
86
○鏡山
説明
員 現在、特にテロ、ゲリラ等をやっております極左対策でございますけれ
ども
、これには二つの面からの対策がございます。一つは攻めの立場からの対策でございますし、もう一つは守りの立場からの対策でございます。 攻めの立場といいますのは、積極的に極左暴力集団の動向を把握して、そして事前に手を打っていく、いわゆる情報収集等をやって、彼らが今後何をやるかというのを事前に手を打っていくことでございます。 もう一つは、同じ攻めでございますけれ
ども
、彼らの違法行為を見逃さずにこれを積極的に検挙していって、そこからまた彼らを押さえ込んでいくし、新しい資料を入手して対策をとっていく。今極左暴力集団、先ほど申し上げましたように非公然、軍事化を強めておりまして、
関係
活動家め発見とか視察検挙というのは非常に難しい面がございますけれ
ども
、全警察を挙げて最大の
努力
をしているわけでございます。 もう一点、守りでございますけれ
ども
、これは、彼らがねらうであろう対象、いわゆる施設あるいは人に対する警戒でございます。これにつきましては、極左暴力集団がねらうであろう対象に対しまして事前に警備警戒を強めまして、事件を未然に防圧する、あるいは相手がやってきたときに迎え撃ってこれを検挙する、こういう両方の面からの対策をとっております。
新村勝雄
87
○新村(勝)
委員
ハイジャックについては最近はしばらくないのですけれ
ども
、最近アメリカのTWA機が空中爆発を起こしたというようなこともありまして、絶対に油断のできない一つの問題だと思いますけれ
ども
、仮にハイジャックというようなことが起こった場合の緊急の救出対策、あるいは特別に訓練をしたそういうユニット、隊があるのかどうか。そういう訓練また救出の技術、こういった点についてのどういう準備がございますか。
井上幸彦
88
○井上
説明
員 御
指摘
のような事案を想定いたしまして、警察といたしましては、機動隊員等を中心にいたしまして常に実戦的訓練を実施して、この種の事案に当たれるように対応を
考え
ているところでございます。
新村勝雄
89
○新村(勝)
委員
それだけじゃどうもはっきりしませんけれ
ども
、そういう緊急事態に対処する部隊、部隊といいますか隊といいますか、それと技術、そういったことについても十分備えがあるということですか。
井上幸彦
90
○井上
説明
員 御
指摘
のような事案に対処するために、機動隊員の中にそのような任務を持たして、目的意識的な訓練も行っておりますし、事案発生の際には人質の安全救出を第一義として対応できるように、訓練にもおさおさ怠りないような状況でございます。
新村勝雄
91
○新村(勝)
委員
次の問題ですけれ
ども
、逗子池子弾薬庫の跡に米軍の住宅をつくるという計画がございまして、それに対する住民の反論というか反対といいますか、これが強く運動として今展開をされておりまして、これに伴って市長のリコールあるいは議会のリコール、市長選挙、議会選挙――議会の選挙はきのうありまして、その結果はわかったはうでありますけれ
ども
、こういう事態でありますけれ
ども
、こういう直接民主主義、住民の意向を直接そういう形で表明していくという制度が日本にはあるわけでありまして、その制度に基づいてそういう手続がとられておるわけでありますが、そこにあらわれた結果について防衛施設庁としてはどういうふうにお
考え
ですか。
志滿一善
92
○
志滿
説明
員 池子問題の御質問に対して
お答え
いたします。 池子米軍家族住宅の建設につきましては、地元逗子市におきましては賛否両論があり、先般の市長リコール投票で、本建設に反対の立場の市長のリコールが不成立になったことは承知しております。また、逗子市議会選挙の状況についても承知しておるわけでございます。しかしながら、当庁といたしましては、地方自治体のリコール投票や選挙についてコメントする立場ではございません。 またしかしながら、
本件
米軍家族住宅建設は我が国の防衛政策上の重要な
事項
でございますので、神奈川県条例による環境影響評価の手続を終了後速やかに着手するという従来の方針には変わりございません。今後も地元の理解と
協力
を求めつつ、実現のために
努力
してまいりたい、こう
考え
ている次第でございます。
新村勝雄
93
○新村(勝)
委員
この住宅を建てることの可否について今論じているわけではなくて、住民の
意思
を表明する制度があって、その制度に基づいて適法に表明された住民の
意思
があるわけですね。それにコメントする立場ではないというのはおかしいわけでありまして、これを無視をするのか、それともそれに従っていくのか、結局
政府
としてはその二者択一を迫られておるわけですよ。ですから、コメントする立場にはないということは、これは答弁にはならないのでありまして、そういう住民の表明された意向をどう受けとめるのかということです。
志滿一善
94
○
志滿
説明
員
お答え
いたします。 先ほ
ども
申し上げましたように、私
ども
防衛施設庁としましては、地方自治体のリコール投票あるいは選挙についてコメントする立場にはございません。 しかしながら、先ほ
ども
申し上げましたように、
本件
米軍家族住宅建設は我が国の防衛政策上の重要な
事項
でございますので、神奈川県条例による環境影響評価の手続を終了後速やかに着手するという従来の方針には変わりありません。また、今後も地元の理解と
協力
を求めつつ、実現のために
努力
をしてまいりたい、こう
考え
ておる次第でございます。
新村勝雄
95
○新村(勝)
委員
自治省にお伺いしますけれ
ども
、住民の
意思
を直接請求あるいは選挙によって表明するということは、これは民主主義の原則でありますし、そういう制度が現にあるわけです。その制度に従って公正に表明された住民の
意思
があるわけですね。こういう制度のもとで公正に表明された住民の
意思
が尊重されるべきであると我我は思うわけです。これは、重ねて言いますけれ
ども
、住宅を建てることの可否ではないのだ、直接民主主義の精神を認めていくのかあるいは無視をするのかという問題になるわけですけれ
ども
、自治省としてはどういう御見解ですか。
濱田一成
96
○濱田
説明
員
お答え
いたします。 自治省といたしまして、直接請求制度が適正に運用されるということは大切なことだと思っておるわけでございます。 今回の問題につきましては、事柄が、
関係
する住民自身がどう対応するかという問題でございますので、所感を申し上げることは差し控えたいとは思いますが、国と地方の双方がお互いの立場を尊重し、問題の解決に向けてねばり強く意見調整を行い、一日も早く市政が正常化されるということを望んでおります。
新村勝雄
97
○新村(勝)
委員
そうしますと、自治省としては、国の方針と住民の
意思
とは違うわけですから、それを調整するとおっしゃるわけですか。今後調整していかれるおつもりですか。
濱田一成
98
○濱田
説明
員 自治省として直接この問題にタッチする立場にはないわけでございまして、一日も早く意見調整が行われるよう切望をいたしているところでございます。
新村勝雄
99
○新村(勝)
委員
タッチする立場ではないということではなくて、自治省としては、住民の公正に表明された
意思
を尊重する立場で行動していただきたいと思います。 時間がありませんから、次の問題ですけれ
ども
、
法務大臣
にお伺いしますけれ
ども
、帝銀事件の平沢貞通が死刑の宣告を受けてから三十年たって、現在、ことしで九十四歳になりますか、こういう高齢になるわけでありますし、三十年以上も確定してから拘置をされているという例は、そうしてまた九十四歳にもなる死刑囚というのは世界にも例がないのではないかと思いますけれ
ども
、この点について
大臣
はどうお
考え
であるのか。 それから、この犯罪は、死刑の判決を受けた諸犯罪の旧刑訴法における判決による死刑囚としては現在最後だと思います。自白が過度に重要視されていた旧刑訴法のもとでの死刑囚としては最後である。それからまた、その裁判あるいはその証拠能力等においても多くの疑問が提起をされておるわけであります。そういう大変難しい事件ではありますけれ
ども
、判決そのものにも疑問が持たれるという点があるわけであります。そういうことで歴代の
大臣
はずっとこの執行をちゅうちょしてきたということでありますが、それだけに問題の多い事件であったし、また平沢死刑囚としても問題をみずから体験していくといいますか、こういう事件だと思うのですね。 そこで、まず一つは、九十四歳にもなる高齢者の死刑を執行するということ自体、既にもうできないのではないかということが一つあります。それから、繰り返し再審の請求あるいは恩赦の請求がなされておるわけであります。こういう点で、もう三十数年たっておるわけでありますし、世論の動向あるいは被害者の感情等も十分
調査
をされてわかっておると思いますけれ
ども
、そういう点で一つの決断を下すべき時期じゃないか。決断というのは恩赦あるいは釈放ということですね、その決断を下すべき時期じゃないかと思いますが、
大臣
はどうお
考え
ですか。
俵谷利幸
100
○俵谷
政府委員
平沢の問題につきましては、御
指摘
のようにいろいろ御意見があること、あるいは今日の事態に至りましたその経過につきましては御
指摘
のような事情があることは、十分承知しているわけであります。御
指摘
の中で、例えば旧刑事訴訟法による判決であるから特に
考え
たらどうか、あるいは高齢であるからこれを
考え
たらどうか、こういうような御
指摘
もありましたが、その旧刑訴下における判決ではございましたが、この事件につきましては、第一審の東京地裁、東京高等
裁判所
におきまして極めて慎重な審理が行われました結果真犯人と断定されまして、有罪判決がされてきておるわけでございます。それから、最高裁におきましてもこの判決が支持され、さらに十六回にわたります再審請求がされ、さらに十七回目の再審請求がされておる、こういう状況にございます。十六回の再審請求いずれも棄却されておる、こういう事情でございます。恩赦につきましても、第三回までの恩赦請求は、特赦の請求でございますが、これはいずれも恩赦の理由がないということで相当の棄却がされておる、こういう状態でございます。 しかしながら、なお第四回目と五回目の特赦の出願あるいは刑の執行免除の出願がされているわけでございまして、これにっきましては中央更生保護
審査
会におきまして慎重に審理が行われているわけでございます。特に、第十七回目の再審請求が現に係属中でございますので、中央更生保護
審査
会といたしましては、この再審請求の裁判の成り行き等を慎重に見ながら審理を進めていく、こういう状況にあるわけでございます。現在のところでは、再審理におきまして無罪の判決あるいは恩赦によりまして赦免の実施がされない限りは現状を続けざるを得ない、かような状況になっておるような次第でございます。
鈴木省吾
101
○鈴木国務
大臣
先生、先ほど来からお述べいただいたような意見のあることは承知をいたしておりますけれ
ども
、ただいま
政府委員
から申し上げましたように、ただいま四回目、五回目の恩赦の請求が出て
審議
中でございます。また十七回目の再審の請求、これまた
審議
中でございますので、その
審議
の過程にある今日、私から意見を申し述べることは適当ではないと
考え
ますので、御了承賜りたいと思います。
新村勝雄
102
○新村(勝)
委員
終わります。
角屋堅次郎
103
○
角屋委員長
次は、
渡部行雄
君。
渡部行雄
104
○
渡部
(行)
委員
最初に、行政改革に伴って今法務局の出張所等が統廃合を進めておるわけでございますが、この問題は今後どのようになっていくか、その全体の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
枇杷田泰助
105
○枇杷田
政府委員
第二次臨時行政
調査
会の答申によりまして、今後二百七十五片程度の登記所の統廃合が必要であるというふうに言われております。それに基づきまして、毎年閣議決定で
努力
目標としての序数が決められておるわけでございますが、私
ども
といたしましては、その線に従いまして五カ年の間に二百七十五庁の整理をいたしたいということで進めております。 五十九年及び六十
年度
におきましては大体目標に近い統廃合が実現をいたしておりますので、今後あと残された三年間に、残された百数十庁の適正配置計画を進めてまいりたいという
考え
でおるわけでございます。
渡部行雄
106
○
渡部
(行)
委員
この統廃合問題は、地域住民の感情等の問題もございますが、しかし地域の方々は法務局の出張所を残していただきたい。出張所のあるところはえてして非常に交通の便も悪い、あるいは広範な山村僻地である、こういうようなところが多いわけですが、この統廃合を進めるに当たって、地域住民の
意思
とか希望とか、そういうものはどのように取り扱っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
枇杷田泰助
107
○枇杷田
政府委員
ただいま御
指摘
がございましたように、登記所は地元の方々から非常に愛されておると申しましょうか、存置を強く希望されているわけでございまして、私
ども
といたしましては、そのような庁を廃止するにつきましては、かなり長期間にわたりまして法務局の現状を御
説明
申し上げるとともに、広く町民あるいは村民の方方に御理解を得るような方策をいろいろと講じております。そして、廃止になりました場合に後をどういうふうにするがということにつきましても、何回も御相談を申し上げて、できる限りの措置をとるというふうなことで進めておる次第でございまして、一方的にいつ幾日から廃止するというふうな措置を講じておらずに、何回も何回も足しげく
局長
等が現地に出向きまして御
説明
申し上げて、御理解いただくように努めておるわけでございます。
渡部行雄
108
○
渡部
(行)
委員
あと三年たって二百七十五が整理された場合の
職員
は、どのようになっていくのでしょうか。
枇杷田泰助
109
○枇杷田
政府委員
適正配置が行われますと、従来の庁におりました
職員
は受け入れ庁の方に行く場合もございますし、それからまた繁忙の庁の方に行くというふうなこともあるわけでございますが、二百七十五全部の適正配置が終わりますと、その結果、現在一人庁と言われているものが七十五片ございますけれ
ども
、その大半は解消して、複数の
職員
による登記所が原則としてできるという形態になってまいろうかと思います。
渡部行雄
110
○
渡部
(行)
委員
総体として
職員
はふえるのですか、減るのですか、その辺をはっきりさしてください。
枇杷田泰助
111
○枇杷田
政府委員
登記所の適正配置は、法務局の
職員
の絶対数に
関係
がある措置ではございませんで、その適正配置をして
職員
を減らすというようなことはもちろんございません。ふえるということもないわけでございまして、そのふえる方は、また別途登記事件の全体の繁忙度ということの解消のために毎年増員措置を強力にお願いをして、そして定員の
増加
の厳しい今日でございますけれ
ども
、法務局の登記
事務
に関しては毎年ある程度の増員が認められておるということになっております。
渡部行雄
112
○
渡部
(行)
委員
そこで、また一方、登記業務のコンピーター化というものが進められているようでございますが、これは十五年の計画によって七十四
年度
に大体完成するというふうに聞いておるのですが、この計画の内容とその将来の見通しについて、ひとつ御
説明
願いたいと思います。
枇杷田泰助
113
○枇杷田
政府委員
登記
事務
のコンピューター化につきましては、まだ明確な具体的な計画が立っておるという段階ではございませんけれ
ども
、一つの
努力
目標と申しましては、二十一世紀までにはコンピューター化を実現したいという一応の目標を立てております。そういう面で
昭和
七十四年までということになるわけでございますが、その間にどういうふうな手順で進めていくかということはこれからの課題でございますけれ
ども
、コンピューター化にいたしますと、現在の登記簿によるところの登記というものがなくなって、そしてコンピューターがいわば登記簿にかわっていくというふうになるわけでございます。 ただ、登記の仕組みの中で登記簿がコンピューター化されるということは非常に大改革でございますが、その他の手続面についてはそれほどの大変革は当然には起きないだろうというふうに
考え
ております。ただ、現在いわゆる乙号事件と言われております謄抄本の発行並びに閲覧の
関係
が、コンピューター化に伴いましてかなり現在とは違う姿のものになっていくであろうというふうに
考え
られるわけでございまして、私
ども
もコンピューター化のメリットの一つが謄抄本の短時間における発行、それからまた閲覧制度がどうなるかということが大きな課題になってくるんじゃないかというふうに
考え
ております。
渡部行雄
114
○
渡部
(行)
委員
これはいわゆる七十四
年度
で全国全部ネットワークみたいに完成させるおつもりですか。
枇杷田泰助
115
○枇杷田
政府委員
ただいま申し上げましたように、具体的にまだ七十四
年度
中に完成というわけではございませんが、
努力
目標としては、その時点で全国の登記所に全部コンピューターを入れて、そして処理をするような形に持っていきたいという希望は持っております。 その場合のネットワークというお話でございますけれ
ども
、現在のところでは、原則として各登記所にコンピューターの本体と申しますか、ホストをそれぞれ置くようにする、例外的に小規模庁については何庁がまとめてということも出てこようかと思いますが、そういう形で来まして、そして各都道府県単位ぐらいにバックアップセンターを設けて、中央には中央のセンターを設けて、そこでお互いに結びつき合って処理をするというふうな形のものを
考え
ております。そういう面では、謄抄本などが全国のどこの登記所からでも必要なものがとれるようにすることが可能かどうかというふうなことも、現在検討をしているところでございます。
渡部行雄
116
○
渡部
(行)
委員
そこで、今登記全体の中で非常に問題があるのは、相続登記がなかなか進んでいないで、明治時代ごろの登記がそのまま残って、権利者は既に死んで何十年もたっておる、こういう不動産がたくさんあるわけです。そういうものについて、実態と登録とが甚だ違っているのに、それがそのまま放置されているということについてはどう
考え
ておられるのか。あるいは抵当権の問題でも、あるいはそのほかの権利上の問題でもそうですが、もう既にだれが見てもこれは時効になっているということが歴然としておるにもかかわらず相続ができていない、あるいはその他その権利者がどこに行ったかわからない、そういうことで結局これも何十年も放置されたまま抵当権がそのまま乗っかっている、これをどうすることも処理できない、こういう問題についてはどういうふうに
考え
ておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
枇杷田泰助
117
○枇杷田
政府委員
御
指摘
のように、実態的には相続が開始されているにもかかわらずその登記がされないままで放置されているという不動産、並びにかなり古く設定された抵当権で、債権額も千円にも満たないようなそういう抵当権が抹消されずに残っておるという状況がございます。 私
ども
も、いろいろな
関係
でそのようなことは望ましいことではございませんで、きちんと実態に合うような形で登記の上にも反映してほしいというふうに
考え
ておるわけでございますが、御承知のとおり、権利の登記につきましては、これはまさに任意の申請に基づいてするということになっております。したがいまして、登記所側の方で職権的にそれを始末するということはもちろんできないわけでございますので、それに対しては実態に合うような形での登記申請を促すということが必要になってまいろうかと思います。 そういう点におきまして、私
ども
も、殊に相続登記未済のものにつきましては、いろいろな機会にそういうものを早く手続をとるようにということのPRに努めておりますし、また司法書士会もそういう面についてのキャンペーンを張っておるというふうなことでございまして、いずれにいたしましても、任意にそういう実態に合わすような登記申請をしていただくように、私
ども
の方ではそれをどうやって促すかということが課題であろうと思いますので、その点についてこれからもいろいろ工夫を重ねてまいりたい、司法書士会とも力を合わせてそのPRに努めてまいりたいというふうに
考え
ております。
渡部行雄
118
○
渡部
(行)
委員
これは確かに申請は自由でございますから、しかも申請に基づいて登記はなされるわけですから、それはそのとおりですが、現実には登記というのは、やはり実態と登録というものが常に一致していることが必要であって、実体のないような登記というものは、むしろ財産の保全とか権利の保全ではなくて、逆に侵害になるわけでございます。そういうのは実務をやってみると一番わかるわけでございまして、そういうことを
考え
ますと、これは申請案件だから申請がない限りどうしようもないというような消極的な態度では、今の登記
事務
というものを合理的に進めることは不可能じゃないか。 そこで、もっと真剣になって、例えば時効になっているのは民法上明らかになっているわけです。その要件を満たしたものについては法務局の判断でどんどんと申請を受理する、そういうようなことも必要であろうし、また、例えば相続登記は、被
相続人
が亡くなって一年以内とかそういう範囲で登記をした場合には登録税を少し免除するとか減額するとか、いろいろな方法、誘導の措置はあろうかと思うのです。そういう誘導措置を
考え
て、実態と登録とが常に一致するような方法は
考え
られないものかどうか、その点、ひとつお伺いいたします。
枇杷田泰助
119
○枇杷田
政府委員
いわゆる休眠抵当権の抹消につきましては、ただいま御
指摘
のように、登記簿上から見ても当然時効になっているだろうというような推測ができるものもあるわけでございますので、何かそういうものを立法措置によってすることはできないだろうかということも、私
ども
も一つの課題としてはかねがね研究いたしてはおりますけれ
ども
、何分にも、先ほど申し上げましたように、権利
関係
の登記につきましては、これは当事者の行動によってやるということが原則でございますので、どの程度できるかということが一つの研究課題としては難しい点であります。その点はなお今後も研究をさせていただきたいと思います。 それから、相続登記の
関係
につきましては、相続開始後短期間の間に申請がある場合には登録免許税を減免するというふうな御意見でございます。そういうような御意見もかねがね承ったこともあるわけでございますけれ
ども
、この点は税金の問題でございますので、私
ども
が直接
お答え
をしていいかどうかわかりませんけれ
ども
、これもまた減免をするというのが、税金をいわば減免をするということとの結びつきでどう
考え
るかというふうな問題もございますので、これもひとつ研究をさせていただきたいと思いますけれ
ども
、税金の問題でその促進を促すというのは、そう簡単なことではないのじゃないかという感じでおります。 先ほど申し上げましたように、その登記がおくれますと、むしろその所有者、
相続人
自身がいろいろな面で図られるわけでございますので、したがいまして、そういうふうなことの理解を促しまして、そして相続登記が早く出るようにというふうなことのPRと申しましょうか、その促進方を図るのが第一義的には本筋であろうというふうに
考え
ておる次第でございます。
渡部行雄
120
○
渡部
(行)
委員
これは指導とかなんとかといったって、実際はできるものじゃないですよ。
国民
一般は、目の前に実体としてのメリットがあるとかあるいは逆に損するとか、そういうものが出てこないとなかなか動こうとしないというのが大体のところだと思います。 そこで、確かに税金のことは大蔵省の問題ですけれ
ども
、しかし登記
事務
を円滑に進めて、なおかつ
国民
の権利、そういうものの保全を的確にやっていくとなれば、これは
法務省
の方から大蔵省に働きかけて、そういう
協力
を願う、理解を願う、そういう一つの
努力
があってしかるべきじゃないか。税金の減免でなければ、一定の期間以上過ぎてやらない者にはさらに高い登録免許税をかけるとか、いろいろ方法はあるかと思います。いずれにいたしましても、もっと実態と登録というものが一致するような方向で登記
事務
というものを
考え
てもらわないと、今の状況は決して好ましい状況ではない、私はこういうふうに
考え
るわけですが、その点はどうでしょうか。
枇杷田泰助
121
○枇杷田
政府委員
私
ども
も、相続登記がされないままで放置されているということは、望ましい状況ではないと
考え
ております。ただ、それを解消するために登録免許税の減免とかあるいは課徴とかいうふうな形でいくのが政策的にいいか、あるいは税金の理論からいって問題がないのかという点については、なお検討させていただかなければなりませんけれ
ども
、その問題は御
指摘
のとおりであろうと思います。したがいまして、いろんな角度から、どういうふうにしたらいいかということは今後とも研究、検討させていただきたいと思っております。
渡部行雄
122
○
渡部
(行)
委員
次に、これは余り小さなど言うとなんですけれ
ども
、地方的な問題ですが、法務局の会津若松支局というものが今非常に手狭で困っておるわけです。簿冊の
収容
も困難なくらい狭いし、いろいろな
事務
を遂行していく中でもなかなか支障がある。そこで、この
事務
所の建設についてですが、これは何か
法務省
の方では構想があるのでしょうか。 一説には、総合
事務
所の建設を
考え
ているようなお話もありますが、この地域は、御承知のとおり官庁街と言っていいか、役所がずらっとそろって、会津若松鶴ケ城に面したところで、まさに目玉のところにあるわけですが、その真ん中に刑務所があるのです。そうすると、やはり市民感情からして非常に問題がありますので、その辺をもっと整理して、この官庁
事務
所の建設というものを
考え
てはどうかと思うのですが、ひとつ構想などありましたらお聞かせ願いたいと思います。
枇杷田泰助
123
○枇杷田
政府委員
まず、私から法務局の会津若松支局の点について申し上げたいと思います。 御
指摘
のように、この支局は
昭和
三十二年に建築をされまして、その後若干の増築をいたしておりますけれ
ども
、建物も古く、そして狭隘も著しい、早急に新営をしなければならない庁舎であるというふうに
考え
ております。 その新営のためにどういうことを
考え
ておるかと申しますと、現在のところは建設省の方で、この会津若松市にあります七つか八つの行政庁をまとめて、行政合同庁舎を建てようという計画をお持ちでございますので、私
ども
もその中に入れて、そして早期に実現を図っていただきたいということで、建設省に強くお願いをいたしておるところでございます。したがいまして、それが実現いたしますと、問題の解決が図られるということになろうかと思います。
渡部行雄
124
○
渡部
(行)
委員
ひとつその点は促進させていただきたいと思います。 次に、監獄の方、来ていますか。 監獄で囚人に机をつくらせたりあるいはおわんをつくらせたり、いろいろ製品になるものをつくって売っておるわけでございますが、それが非常に安過ぎて、中小企業のそれと同じようなものをつくっている業者を圧迫しているということなんですが、そういう点ほどのようにお
考え
でしょうか。
石山陽
125
○石山(陽)
政府委員
委員
の今の御質問に
お答え
する前に、先ほど会津若松の刑務所とおっしゃいましたが、実はあれは拘置支所でございます。御存じのように、刑務所は既決でございますが、拘置所はまだ捜査及び裁判中の者の身柄を入れる施設でございます。したがいまして、
裁判所
とか検察庁のすぐそばにないと大体仕事になりません。そういう
関係
がありますので、現在は
裁判所
と検察庁のすぐ接した場所にあるわけでございまして、これも官庁街にある官庁でございますので、御了承いただきたいと思います。 次に、今の御質問の点でございますが、実は刑務作業というのは、現在私
ども
から国庫にお納めしているお金が年間約百六十億くらいになりますけれ
ども
、これのまず八割は大体中小企業の方の孫請あるいはひ孫請という形で作業をさせていただいているのが実は実態でございます。それで私
ども
といたしましては、むしろ大企業の下請をされる中小企業の方にさらにまた便宜を図られるという形で共存共栄をしたいということで、日夜中小企業の方々とのいわゆる契約面を通じましてもあるいは工事の実施面を通じましても疎漏のないように、あるいは今御
指摘
のような摩擦が起きないようにということは十分
考え
ておるつもりでございます。 今の点でございまするが、私
ども
でつくっております品物がたまたま業者の方たちの下請であります場合には、その業者の方のブランドで出ていくわけでございますので、これは一般の方は刑務所でつくったということも御存じないことがむしろ多いかと思います。ただ、その残り二割の中で一部刑務所がつくりましたものを展示会、即売会という形で売っている場合がございます。これは御存じのように、刑務作業というのは、受刑者の改善更生を助けるために手に職をつけさせてやるという教育刑の画的がございますので、最小限度、何も今まで社会で有用作業についてなかった者に対する技術指導をやるというのは刑務所本来の仕事でございます。ただし、そういう面でできました品物が、地場で売りまして、地場の消費者には喜ばれましても、中小企業の業者の方にいろいろ御心配かけてはいかぬので、なるべく売る場所を変えるとか、あるいはトラブルがありましたときは十分話し合いに応ずるとか、そういう配慮はいたしておるつもりでございます。 もし、今後そういう実例が御当地にございますことがありましたら、どうぞ遠慮なしにおっしゃっていただいて、私
ども
善処してまいりたいと思いますので、よろしく刑務作業の本質を御理解いただきまして御
協力
のほどお願い申し上げたいと思います。
渡部行雄
126
○
渡部
(行)
委員
これは実際、即売会とかそんなのは構わないのですが、大きな中小企業が大量にそこから買って、今まではほかの中小企業から買っておったのが、その三倍くらい安いらしいのですが、そういうように安いのでそっちから今度はどんどん買うことになって、今までつくっておった中小企業はとてもその値段では納められない、そういうことで苦情が出ておるわけですから、後でまた具体的に申し上げたいと思います。
裁判所
をやるわけだったのですが、時間がもう来てしまいましたので、きょうはやめておきます。 最後に
法務大臣
から、この間総理が司法のオーバーランなんということで問題があったようですが、これからの法務行政を進める上での御
決意
と申しますか、ひとつお話をお願いしたいと思います。
鈴木省吾
127
○鈴木国務
大臣
先ほど来先生からいろいろの御意見を承って、特に登記等についての実務に非常にお詳しいお話を承って、本当にありがたく思っております。先生の御意見等を十分参酌いたしましてこれから勉強いたします。 今のお尋ねの件でございますが、私に与えられた責務は、法秩序の維持をしてまいること、さらに人権の擁護をしてまいること、ますます人権を尊重し伸長していくことであろうと思います。今御案内のように大変な事件等も起きておりまして、国内の治安の維持について心配ないわけではございません。こういう点にも私は厳正に対処して、そういうもののないようにしてまいらなければならない、かように
考え
ます。そういう取り締まりとかそういうことだけでなくて、今申し上げましたように、ますます
国民
の人権というものが伸長されるように、それが日本の民主的な国家あるいは平和国家の基礎であろう、こういう問題につきまして誠心誠意最善を尽くして
努力
をしてまいりたい、私はかように
考え
ておる次第でございます。いろいろと御指導、御鞭錘をお願いいたします。
渡部行雄
128
○
渡部
(行)
委員
終わります。 どうもありがとうございました。
角屋堅次郎
129
○
角屋委員長
次に、
貝沼
次郎君。
貝沼次郎
130
○
貝沼
委員
法務大臣
、これは通告のない話ですけれ
ども
、初めにちょっとお伺いしたいと思います。 最近、この
国会
の周辺はあの爆弾騒ぎ以来交通が大変混雑いたしております。それで巷間では、一体ああいうのはどうなっているんだというような、先ほど治安というお話も出ましたので、そういうことで皆さん大変関心を持っておるわけでございます。
法務大臣
は、ただいま治安のお言葉がありましたので、こういう問題についてどのようにお
考え
なのか、その所見をお伺いしたいと思います。
鈴木省吾
131
○鈴木国務
大臣
お尋ねの件は、第一義的には警察の任務であり、お願いをしていることでございますが、先生おっしゃったように、先般来ああいった事件が二、三起きております。しかも、天皇陛下御在位六十周年記念式典なりあるいはサミットに向けてそういうものを粉砕するんだ、ああいう事件を起こしたセクトの機関紙なんかを見てもそういうことが出ておりますので、さようなことで実は警備等も厳重にしているものと
考え
ますが、そのために
国民
にも今お話しのような若干の交通問題なんかで御迷惑がかかっているかと思いますけれ
ども
、警察当局としては、そういう問題、なるべく御迷惑がかからないように、しかも事件を未然に防げるようにやっているものと
考え
ております。
貝沼次郎
132
○
貝沼
委員
それでは、初めに
フィリピン
の問題、もう二、三点確認しておきたいと思います。 最近、
フィリピン
側から「リベート授受で比
委員会
代理人介在つかむ」という記事が出ておりまして、「円借款プロジェクトに絡む日本企業の不正リベート支払い問題を調べている
フィリピン
政治倫理
委員会
筋は六日、不正に関与したとされる複数の日本企業からのリベートの一部は日本国内で
フィリピン
側エージェントに支払われていたことを明らかにした。」こういうふうな記事が出ておるわけでございます。したがいまして、この記事について、この報道について事実の確認はなされておるのかどうか、これが一点でございます。 それから、「日本国内」という言葉がありますので、こういう場合、
フィリピン
の法律に違反しておっても、これは
日本政府
としてはどういう
関係
になるのか、どういう対応になるのか、その二点を伺っておきたいと思います。
岡村泰孝
133
○岡村
政府委員
検察当局といたしましては、この
フィリピン
問題に関しましていろいろ報道されておりますこと、また
国会
で論議されておりますことは承知いたしておるところでございまして、事態の推移に応じまして適切に対処するものと思っておるわけでございますが、具体的な事柄につきましては
お答え
を差し控えさせていただきたいと思うものでございます。 それから次に、仮に
フィリピン
の国内法で何らかの犯罪を構成するといたした場合、我が国ではどうかということでございますが、それが
フィリピン
の国内法で犯罪になるからといって、直ちに我が国の国内法で犯罪になるということは言えないわけでございまして、これは結局事実
関係
いかんということに。なろうかと思います。ただ、
フィリピン
の国内法で何らかの犯罪を構成するということで、具体的な犯罪の容疑があるということで、我が国に対しまして捜査共助の
要請
がありました場合は、我が国といたしましては、国際捜査共助法の定める要件に従いましてこれまた適切に対処する、こういうことでございます。
貝沼次郎
134
○
貝沼
委員
そういたしますと、具体的なことはしゃべれないということなんですが、この記事、この報道にあらわれておるようなことから、既に日本としてはこの発表された範囲においては
調査
に入っておるというふうに
考え
てよろしいですか。
岡村泰孝
135
○岡村
政府委員
調査
と申しますか、捜査と申しますか、そういうことに入ったかどうかということを含めまして答弁を差し控えさせていただきたいと思うものでございます。
貝沼次郎
136
○
貝沼
委員
それでは、次の問題に入ります。 このマルコスの
関係
の文書、この中に、東陽通商の今は故人であります小竹常務が、マルコス
大統領
の
関係
のアンヘニット投資会社あてに一九七七年十月十四日に出した手紙がございます。大変長い手紙で、専門家にいろいろ読んでもらったのですが、朝日ジャーナルの訳文が非常によく合っておるようでございます。実はこの中に、「NPC(国家電力公社)のカガヤン電化計画」というところが三番目にありまして、「この電化計画が公表されました時、
関係
各メーカーはただちにカルテルを結成いたしました。」こういうふうに小竹さんは書いておるわけです。これが事実であったかどうかは私わかりませんが、こういうカルテル行為というものは、こういう場合に結成してもいいものなんでしょうか、悪いものなんでしょうか、この辺はどうなっておるのでしょう。
岡村泰孝
137
○岡村
政府委員
カルテルにつきましては独占禁止法がいろいろ
規定
しているところでございますが、この独占禁止法につきましては
公正取引委員会
がその運用に当たっておりますので、
法務省
の刑事局といたしまして、ただいまの御質問に対しましては
お答え
いたしかねるところでございます。
貝沼次郎
138
○
貝沼
委員
いや、これがカルテルであるかないかということは当然公取がやると思いますが、本人がカルテルを結成したんだ、こういうふうに書いてあると、これは判断というよりも、むしろそのカルテルが事実あったかどうかという
調査
の段階に入るのではないかと思って、私は今尋ねておるわけでありますが、それは
関係
ありませんか。
岡村泰孝
139
○岡村
政府委員
国内でカルテルを結べば独禁法違反になることは明らかであると思うのでございますが、
フィリピン
との
関係
におきましてのカルテルということになりますと、それが独禁法上違反になるのかどうかにつきましては、私ちょっと
お答え
をいたしかねるところでございます。
貝沼次郎
140
○
貝沼
委員
通産省の方、こういう場合はどういうふうに指導されておりますか。
安達俊雄
141
○安達
説明
員 恐縮でございますが、通産省としてカルテル云々ということにつきまして今
お答え
する立場にございませんので、あしからず。
貝沼次郎
142
○
貝沼
委員
では、これは公取だけが見ておって、通産省管轄の業者がカルテルを結んでも、通産省には指導的責任はない、こういう
お答え
ですか。
安達俊雄
143
○安達
説明
員 独禁法上カルテルが認められないということは当然でございまして、通産省としてこのようなカルテルといったことが行われないような一般的な注意喚起は、
本件
ということではなくて、ごく一般的に
政府
の一員として行っておると私は理解しております。
貝沼次郎
144
○
貝沼
委員
そうすると、ただ
政府
の一員としてやっているということですけれ
ども
、もうちょっとはっきり言って、通産省は
関係
ないということですか。
関係
あるのならば、カルテルを結んだとあるわけですから、それについて
調査
しなければならぬわけですが、
関係
ないということですか。
安達俊雄
145
○安達
説明
員 何せ約十年前の話でございまして、現在
本件
につきましては事実
関係
を調べておるところでございます。
貝沼次郎
146
○
貝沼
委員
わかりました。 それから、
法務省
にお尋ねいたしますが、いろいろな論調がありますけれ
ども
、今度は
アキノ政権
が誕生したわけでありますから、この種の問題でもう少し積極的に、例えば先ほど捜査のことでは国際捜査共助法があるという話もございましたけれ
ども
、それももちろん絡めてでありますが、
アキノ政権
と共同して、日本と
フィリピン
というような
関係
で
調査
機関を設置して
調査
するというようなことが必要ではないかと言われておるわけでありますが、この点についてはどういうお
考え
でしょうか。
岡村泰孝
147
○岡村
政府委員
この件につきましては、
フィリピン
の方から我が国に対しまして国際捜査共助の
要請
があれば、先ほど来申し上げましたように、国際捜査共助法に従ってこれに応ずるかどうかを検討する、こういうことになるわけでございます。また、我が国から
フィリピン
側に対して捜査の共助を行うということになりますれば、外交ルートを通じまして
フィリピン
側と折衝することになるわけでございますが、これはあくまでも一般的な手続としてそうなっておるということでございまして、具体的な問題について今の段階で申し上げることは差し控えたいと存ずるわけでございます。
貝沼次郎
148
○
貝沼
委員
それでは次に、時間の
関係
で、撚糸工連の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思います。 これは
昭和
五十三年、五十四年と
会計検査院
の方から
不当事項
として
指摘
されてきた問題でございます。ところが、現在こういうような事件まで大きくなっておる。そこで
検査
院の方にお尋ねいたしますが、五十三
年度
、五十四
年度
で
指摘
したにもかかわらずこういう事態になったということについて、皆さんがなさった
指摘
というものは生かされたとお
考え
か、それとも生かされていないというふうにお
考え
なのか、この辺のところの御見解を承りたいと思います。
沢井泰
149
○沢井
会計検査院
説明
員
お答え
いたします。 五十三年、五十四
年度
、ただいま御
指摘
のように、
検査報告
に中小企業事業団の貸し付けについて
不当事項
として掲記いたしました。その後数年たちましてこうしたような事態がまだ続いているということは、私
ども
として非常に残念に思っております。したがいまして、今後の
検査
におきましては十分に
検査
をしてまいりたいと思っております。
貝沼次郎
150
○
貝沼
委員
いや、あなた方の
検査
はよかったのです。よかったのですが、これが生かされたか生かされないかということが問題であったのですね。あなた方は今の答弁では、残念であるということは生かされていないというふうに受け取りますが、生かされていないとすれば通産省の
関係
になるわけでありますが、通産省はこれをもとにして指導されたと思いますが、その指導は適切であったと今判断しておりますか。
江崎格
151
○江崎
説明
員
昭和
五十三年および五十四年に御
指摘
を受けました
不当事項
の問題でございますが、御
指摘
を受けました後、直ちにこの融資案件につきまして繰り上げ償還をさせますとともに、撚糸工連あるいは産地の組合等に対しまして、実施要領あるいは違反設備取締要領などを厳重に厳格に運用するようにという注意を当時の
局長
などからいたしたわけでございまして、その後の設備共同廃棄事業の実施に遺漏のないようにというふうに注意したわけでございます。しかしながら今回のような事件が起こったわけでございまして、私
ども
の五十五年に行いました注意が今の段階で見まして十分でなかったというふうに反省しておるところでございます。
貝沼次郎
152
○
貝沼
委員
十分でなかったということは、どういうところに欠陥があったとお
考え
ですか。また、それをどう改めようとされますか。
江崎格
153
○江崎
説明
員 五十五年に当時の
局長
が注意喚起いたしましたのは、その時点における設備廃棄の事業実施要領あるいは登録制に関する違反設備の取締要領、こういったものの実施の徹底ということを注意喚起したわけでございますが、今回起こりました不正事件、どれを見てみますと、まだ検察当局で
調査
を続けておられる最中でございますが、私
ども
が承知しておりますところでは、対象設備としまして登録されてない、つまり無登録の設備を対象にしてしまっている、それから、組合員の持っている設備でなければ対象にならないところを、非組合員のものを対象にしてしまっている、それからもう一つ、現に運転可能でなければならないというところを、そうでないものを対象にしてしまっているというような点で不正といいますか、問題があったわけでございまして、こうした点を
考え
ますと、五十五年で注意喚起しました実施要領あるいは違反設備の取締要領だけの問題ではなくて、登録制あるいは設備廃棄の運用の仕方全体について再検討をしなければならないというふうに
考え
ております。 特に登録制あるいは設備廃棄というものを
考え
ますと、何千台、何万台というような非常に膨大な設備を対象にして事業をやるわけでございますが、その
関係
上、従来産地の組合とかあるいは工連等に対してその運用をある程度任せるということをせざるを得ないわけでございますけれ
ども
、その任せ方に問題がありまして今回のような事件が起こったということでございますので、そういった点も含めて事業の運用の改善を再検討する必要があるのではないか、またその過程で制度そのものの存廃についても検討する必要があるのではないかというふうに
考え
ております。
貝沼次郎
154
○
貝沼
委員
そういう対策というものは、大体いつごろまでに作成されるのですか。例えばこのチェックの仕方、それから制度そのものの改良の問題、今あなたがおっしゃいましたね、それはいつごろまでにこういうふうにするということをお決めになるのですか。
江崎格
155
○江崎
説明
員 非常に重要な問題でございますので慎重に検討する必要があるわけでございますが、私
ども
としては、できれば数カ月内に答えを出したい、そういうふうに
努力
をしたいというふうに思っております。
貝沼次郎
156
○
貝沼
委員
それから、東京地検特捜部がいよいよ通産省の
課長
までも逮捕したわけでございますが、彼らは贈収賄の時効の五年というものとのかかわり合いでいろいう言われておるわけでございますが、この人たちを逮捕したことと時効との
関係
について、どういう判断で逮捕がなされたのかということを御
説明
願いたいと思います。
岡村泰孝
157
○岡村
政府委員
公訴時効にかかっておりますと公判請求をいたすことができないわけでございますので、やはり公訴時効にかかっていない分につきまして強制捜査に踏み切った、こういうことでございます。
貝沼次郎
158
○
貝沼
委員
それで、この事件も五年よりもかなり前の部分もあるわけでありますから、私は当時の
局長
クラスもかなり関連があったのではないかという話を聞くにつれて、
課長
だけでこれだけのことをやれるはずもないような気がいたします。その辺のところはどういうふうに
考え
ていらっしゃるでしょうか。
岡村泰孝
159
○岡村
政府委員
現在東京地検におきまして捜査中でございますので、捜査の中身にわたります事柄につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存ずるものでございます。
貝沼次郎
160
○
貝沼
委員
それでは、それはもう聞いてもあと出ませんから、もう一点だけお尋ねしておきたいと思います。 これは撚糸工連の話でありまして、実はこの中小企業振興事業団の
関係
では、
不当事項
で
指摘
されておるのはこの撚糸工連だけではありません。いろいろとあるわけですね。そういうようなほかの業種、ほかのものについても、これから問題がなければいいと私は
考え
ておるわけでありますけれ
ども
、この点については
会計検査院
の方としてはさらに注意して見る体制をとるのか、あるいはまた通産省としては、ほかの業種のものにつきましてもさらに注意深く指導されることがあるのかどうか、これを両方から聞いて終わりにしたいと思います。
沢井泰
161
○沢井
会計検査院
説明
員
お答え
いたします。 撚糸工連に準じだような形で、類似しました設備の共同廃棄事業というものはほかにもございます。こうしたようなものにつきまして、私
ども
は今後十分に
検査
をしてまいりたいと思っております。
江崎格
162
○江崎
説明
員 先ほど申し上げました設備登録制あるいは設備共同廃棄事業の抜本的な見直しの中に、撚糸以外の現在登録制を実施しております業種、あるいは設備廃棄をやろうとしております業種、あるいはやってきた業種すべてを対象にしまして再検討するつもりでございます。
貝沼次郎
163
○
貝沼
委員
終わります。
角屋堅次郎
164
○
角屋委員長
次に、玉置一弥君。
玉置一弥
165
○玉置(一)
委員
今回、
フィリピン
の問題が選挙以来かなり取り上げられておりまして、
日本政府
の対応が非常に手ぬるいような感じを私も受けておるわけでございます。そうした中で、これからのいろいろな方向をある程度明確にしていただこう、こういうことがございまして、私も対
フィリピン
問題について
法務省
としての御見解をお伺いをいたしておきたい、かように思います。 その前に、まずマルコスさんのいろいろな私財蓄積等、これはアメリカからのいろいろな文書差し押さえ等によって発覚をしたわけでございまして、先ほどからずっと話が出ておりますけれ
ども
、まだ
調査
中ということでございますが、この時点でひとつ問題点を整理するという意味で簡単に状況を確認をしておきたい、かように思います。 米国の下院の外交
委員会
におきまして、マルコス文書の
調査
が始められた。ここでいろいろな内容が明らかにされてきたわけでございますが、三月二十日に、約二千ページに及ぶ文書のうち千ページ分が日本の関与する部分であった、こういうことになっております。そしてその内容によりますと、我が国のいわゆる円借款の事業に絡んだリベートが余りにも大き過ぎたということ、そしてこれが
フィリピン
の
政府
の高官に支払われていた、こういうことがその文書で明らかにされている。そして日本国内からの送金も行われていた、こういうことが出ております。 政治的な問題点と法律的な問題点、それから社会的な問題点、この三つに分類をされると思いますけれ
ども
、一応
法務省
管轄ということで、法律的な問題点ということに集約をして
考え
ていきたいと思います。 この
フィリピン
の円借款だけをとらえてみますと、第一次から第十三次まで含めますと、四千六百六十七億円という大変膨大な数字になります。約一年間の海外
協力
の金額に相当する、あるいはそれ以上の金額になるわけですが、そこの文書に書かれておりますように、手数料が二〇%から一五%ということでありまして、一五%、低い方をとって一律の
計算
をいたしますと、七百億円に上る税金がむだ遣いをされている、こういうことになります。 それで、毎回リベートの問題が、例えばロッキードの事件のときあるいはその他のいろいろな事件のときにリベート問題が出てくるわけでございますけれ
ども
、このリベート処理、これが各企業とも非常に用途が違うという面もございまして、会計処理もいろいろに分かれているわけでございますが、国税庁は国税庁として税務上の
調査
ということが行われておりますけれ
ども
、外国企業あるいは
政府
に対するリベート、いわゆるリベート商法ですけれ
ども
、この問題そのものについて国内法に関して、国税の場合には五%以上がいわゆるリベートでも有税のリベート、こういう処置を設けておりますけれ
ども
、
法務省
としてはこのリベートの見解というものをどういうふうにお
考え
になっているのか、まずその辺をお聞きしたいと思います。
岡村泰孝
166
○岡村
政府委員
リベートと申しましても、その実態なり性格なりがいろいろあろうかと思うのでございまして、その辺の具体的な事実
関係
も明らかでございませんので、今の段階でリベートについてはこういう犯罪の疑いがあるとかないとか、そういうことを申し上げかねるのでございます。
玉置一弥
167
○玉置(一)
委員
リべート商法そのものは別に表に出しても悪くない問題だと思いますけれ
ども
、パーセントとして余りにも大きい場合あるいは個人で着服をした場合、それぞれあもと思うのです。今回の今時点で明らかにされておりますのは、相手の
政府
高官を通じてマルコスさんの財産になったりあるいはほかの
政府
高官にも回されている、こういうことが今文書で明らかになっているわけでございますが、そういう場合、日本国内におきますと贈収賄になるわけでございます。だから、相手方の外国の
政府
高官に対しての形が贈収賄になった場合に国内でも適用できるかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
岡村泰孝
168
○岡村
政府委員
外国の公務員に対しまして贈収賄に当たるような行為が行われたといたしました場合、当該外国の国内法におきましてこれを処罰する
規定
があるかどうかということに一つはかかってくる問題でございまして、その辺は外国におきます国内法の問題でございますので、私からは何とも
お答え
いたしがたいところでございます。 ただ、日本の国内法でも公務員に対する贈収賄を処罰する
規定
が設けられているわけでございますが、日本の国内法におきます公務員とは我が国の公務員を指すものでございまして、外国の公務員は含まれていないわけでございます。したがいまして、我が国の国内法上、外国の公務員に対して贈賄したからといってそれを処罰することはできない、かようなことになっておるわけでございます。
玉置一弥
169
○玉置(一)
委員
当然それぞれの国の法律で罰するということでございますが、明らかに意図的に外国における
不正行為
を働くという行為が続いているわけでございまして、この辺について
法務省
として、従来の、ロッキードは別にしても、ほかのいろいろな事件で、これは日本だけではないのですけれ
ども
、各企業が何とか外国の入札に入り込もうとかあるいは人のつながりをつけていこうということで、日本国内においては明らかに不正だと思われる行為を平然としてやっているわけでございまして、これに対して何らの対策も打てないということでは、非常に法治国家としても困るわけでございますし、逆に今外国におきます日本経済というか日本のいわゆる商社なり企業の進出が非常に取りざたされているときでございまして、放任はなかなかできない、こういうふうに私自身思うわけでございますが、まず
大臣
に、外国におきますいわゆる日本企業の経済活動、これが常道を逸している場合、これから何らかの対策を
考え
ていかなければいけないと思いますけれ
ども
、この件に関してどういうふうにお
考え
になっているか、お伺いしたいと思います。
岡村泰孝
170
○岡村
政府委員
ただいま御
指摘
の問題は、対外援助の問題あるいは対外経済取引の実態がどうなっているのかという、そういう上に立ちまして判断されるべき事柄であろうかと思うのでございまして、これはただ単に
法務省
だけの問題ではございませんので、そういう実態の上に立ってどう判断すべきか、こういうことになろうかと思うのでございます。
玉置一弥
171
○玉置(一)
委員
確かに
法務省
だけの問題じゃないですけれ
ども
、余りにも常道を逸した行為というものがあるわけでございまして、それぞれが
関係
するわけですね。例えば外務省なりあるいは
内閣
もそうでございますし、総理府もそうでございますし、そういうふうにいきますと、やはりいろんな問題提起をすお部署というものがなければいけないわけでございます。そういう面で
考え
てみて、一番比較的公平に物事を見られる部署が
法務省
じゃないか、こういうふうに思うわけでございますから、これについて、全くこれからそういうものを黙認していくのか、あるいは
考え
ていかなければいけないのか、この辺について
大臣
に
お答え
をいただきたいと思います。
鈴木省吾
172
○鈴木国務
大臣
そういう援助の仕事は、先生御存じのように、経済企画庁その他
関係
四省庁で主として扱っていただいております。また、実際のそういった商行為のようなことは通産省その他で御指導いただいておるわけでございますが、私も国務
大臣
として
考え
ますことは、これほど日本が経済的にも強くなってまいりまして、世界各地に出てまいってそれぞれの分野で活躍をいたしておるわけでございますから、日本のそういった活動が本当にその地域の民衆のための援助として十分効果を上げられるような、いささかも疑念を持たれないそういう活動をお願いしなければなりませんし、まだこれからの商業活動その他についても、世界各地からさすがは日本はやはりフェアだな、こういうことにしていただきたいものだというふうに
考え
ておる次第でございます。
玉置一弥
173
○玉置(一)
委員
それでは、今この問題については
調査
中だということでございまして、
お答え
がいただけないようでございますが、海外のいわゆる刑事事件の
調査
、こういうものについて、警察の場合にはICPOという相互間の
協力
体制というものがあるわけでございますけれ
ども
、これも正規な捜査にはなかなか手が出せない、こういうふうに聞いております。これから経済問題等を含めていろいろ追及が始まってまいりますと、海外での捜査
協力
といいますか、こういうところにある程度踏み込んでいかなければいけないと思いますが、現段階で海外捜査、この状況がどうなっているのか、そして今回この問題をとらえてみて、もし捜査を拡大して相手国あるいはアメリカ等に
協力
を依頼するということになれば、
政府
としてどういう手続をやっていかなければいけないのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
岡村泰孝
174
○岡村
政府委員
外国との捜査の共助の
関係
でございますが、一つは、我が国が外国から捜査共助の
要請
を受けました場合にどうするかという問題でございます。これにつきましては、我が国の国内法といたしまして国際捜査共助法という法律ができておりまして、この法律に、共助の
要請
を受けました場合にこれに応ずる際の要件とかその手続、こういったものが
規定
されているのでございまして、外国から捜査共助の
要請
がありますればこの法律に従いまして対応する、こういうことになるわけでございます。 一方、我が国から外国に対しまして捜査共助を
要請
いたします場合は、それぞれの国がどういう手続で捜査共助に応じるかという個別の問題になってくるわけでございまして、この場合は外交ルートを通じまして当該外国といろいろ折衝を進める、こういうことになるわけでございます。
玉置一弥
175
○玉置(一)
委員
現段階で国内の捜査共助法というのがあるわけでございまして、それを適用するということでございますが、
フィリピン
の行政規律
委員会
ですか、ここが日本の企業のリベート問題、こういうものでいろいろ日本に
協力
を依頼するようなこともある、こういうような話がもう既に出ておりますけれ
ども
、
フィリピン
から捜査
協力
の依頼があった場合に、
日本政府
として今の段階で、外交的な問題もございますが、受けるような形になるわけですね、今の法律を適用するということであれば。 これについては、
法務省
独自で受けるという決定ができるのか、あるいは外務省と相談をされてやられるのか。そして、今回の
フィリピン
問題についての具体的な
要請
があった場合にどうされるのかというような形で
お答え
をいただきたいと思います。
岡村泰孝
176
○岡村
政府委員
一般論でございますが、国際捜査共助法によりますと、
法務大臣
がその判断をすることになっておるわけでございます。ただ、ルートといたしましては、
外務大臣
を通じて行うのが建前になっているのでございます。ただ、これはあくまでも具体的な犯罪容疑の捜査、すなわち刑事事件の捜査として必要な証拠の提供を求められた場合に限って、この国際捜査共助法に基づく共助を行うことになるわけでございます。 具体的に
フィリピン
から捜査共助の
要請
があった場合にどうするかということでございますが、これは先ほど来申しております国際捜査共助法の要件に従いまして、捜査共助の
要請
に応ずるかどうかを個別的、具体的に判断するわけでございますので、一般的に応ずるかどうかということは、今の段階では申し上げられないのであります。
玉置一弥
177
○玉置(一)
委員
外国への
要請
の方でございますけれ
ども
、既に
調査
に入られたということでございまして、それでいきますと、外国へもう既に捜査共助の
要請
をされたのかというふうに受け取りますけれ
ども
、これについてはいかがですか。
岡村泰孝
178
○岡村
政府委員
検察当局といたしましては、
調査
と申しますか捜査、そういったものに入ったかどうかを含めまして、
お答え
いたしがたいところでございます。
玉置一弥
179
○玉置(一)
委員
これだけオープンになっている問題ですから、当然
政府
というか捜査当局としても手をつけるような問題だと思いますので、外交ルートを通じてということで外務省でとまっているのか、その辺について確認をしたいと思います。捜査に入る入らないは別にして、ルートとしてはあるわけでしょう。というのは、当然捜査するという
意思
なんですけれ
ども
、やるとすれば、国内だけじゃなくて海外もやられるわけでしょう。
岡村泰孝
180
○岡村
政府委員
私の理解で申し上げますが、先ほど来申し上げておりますように、検察当局といたしまして
調査
なり捜査をやっているかどうかということは、やっているともやっていないとも申し上げかねるのでございます。 また、一般的に外国との
関係
はどうなっているかということでございますが、一般的には、我が国では国際捜査共助法があります。外国におきましても、こういった法律がある国あるいはない国あろうかと思いますが、要するに、個別に共助の必要が生じましたときに我が国では外国に共助を
要請
する、また外国もその必要が生じましたときに我が国に共助を
要請
してくる、そのときに個別に判断してこれに応ず局がどうかを決める、こういうことになっておるわけでございます。
玉置一弥
181
○玉置(一)
委員
今回捜査するしないというのは、
国民
には明らかにされないということですか、黙ってやるということですか。
岡村泰孝
182
○岡村
政府委員
捜査は本来密行的に行われるべきものでございまして、例えばこれまでの例から申し上げましても、強制捜査等に移りました場合は検察当局もこれを発表いたしておるわけでございますが、それ以外の場合につきましては、捜査の性格上、捜査が行われているとか行われていないということについては申し上げがたいのでございまして、法務当局といたしましてもそういう立場で
お答え
せざるを得ないわけでございますので、その辺ひとつ御了承いただきたいと存ずるものでございます。
玉置一弥
183
○玉置(一)
委員
終わります。
角屋堅次郎
184
○
角屋委員長
次に、
中川利三郎
君。
中川利三郎
185
○中川(利)
委員
わずか十四分の短い時間でございますので、恐縮ですが、
お答え
は簡潔にお願いしたいと思います。 国税当局が来ておるようでございますが、マルコス資産の疑惑については国税庁は税務
調査
に着手した、これは三月末の各紙で大きく報道されているわけでありますが、今日その進捗状態はどの程度になっているか、まず
お答え
いただきたいと思います。
友浦栄二
186
○友浦
説明
員
お答え
申し上げます。 対
フィリピン
経済援助に関連する課税上の問題につきましては、国税当局としても関心を持っておりまして、外務省から入手いたしましたソラーズ
委員会
公表文書の分析を初め、各種の報道等を含め、課税上有効な資料、情報の収集に全力を挙げているところでございます。かようにして収集した資料、情報に基づきまして、必要がある場合には随時
調査
を行うなどして、その適正な処理に努めてまいりたいと
考え
ております。
中川利三郎
187
○中川(利)
委員
マルコス文書の中には、バックナンバー〇一五五八から〇一五六一の四枚つづりのアシジェニト社のステートメント、つまり貸借表がございます。これをますと、例えば一回の船積みごとにマルコス・リベート吸い上げ会社であるアシジェニト社へ支払うべきリベート一五島の金額が一番左の項目にございます。その内訳、内容として、一〇%分はドル送金、五%分は円で受け取る、その仕分けがきちっと一覧表になっておるわけであります。しかも、その出し入れが克明に記載されているわけでありますが、その中の一部が東京でJun、いわゆるジュニアですか何か、Junと書いてあります。日本円で支払われたと書いていますね。その中に、三井物産、東陽通商、現在の東陽テクニカ、関与した会社の名前が明らかに示されているわけであります。この貸借表そのものは、一九七八年二月二十七日、それから六月十三日のわずか三月半の間にアシジェニト社が受け取ることになったリベートの類とその支払い状況であります。 この資料につきまして国税当局はどのように検討しているのか、
お答え
いただきたいと思います。
友浦栄二
188
○友浦
説明
員 御
指摘
の文書を含めまして、先ほど申し上げました外務省から入手いたしましたソラーズ
委員会
の公表文書について分析を行っているところでございます。その中にお示しの記述があるということは承知しております。 私
ども
としましては、対
フィリピン
経済援助に関連する課税問題につきまして、
国会
で御議論のあった
事項
、ソラーズ
委員会
の公表文書その他新聞等で報道された
事項
等を参考にして、適正に処理してまいりたいと
考え
ております。
中川利三郎
189
○中川(利)
委員
今御紹介いたしましたステートメント、貸借表でありますが、私ちょっと見ただけでも、三月間に八回の船積みがございまして、リベー十分は総額三億五千万、そのうち三分の一、一億一千六百万が三回に分けまして、日本円でしかも東京でJunに渡されたということになっているわけであります。これはいずれも一九七八年段階の問題でありますが、私は、この四枚つづりのほかに、問題だと思うのは、その後もずっとやられている形跡があるわけであります。 これはバックナンバー一五五六、一五五七でありますが、この資料を見ますと、七九年五月二日、七九年五月七日段階、その他次の年になっても同じような格好でこういうことが繰り返し行われているということになるわけです。 そこで、私は国税庁当局にお伺いしたいのは、
フィリピン
と日本との間に条約があるのです。所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と
フィリピン
共和国との間の条約、
昭和
五十五年条約第二十四号というものでありますが、この第二十六条には、「この条約の対象である租税の回避に対処することを目的とする法規を実施するために必要な情報を交換するものとする。」こう書いてあるのですね。私は、この条約に基づいて当然
フィリピン政府
の国税当局と情報交換することを発動すべきであると思いますが、この点についてはいかがでありましょうか。
友浦栄二
190
○友浦
説明
員 ただいま先生御
指摘
のように、日本と
フィリピン
との間で締結されている租税条約におきましては、情報交換の
規定
が置かれております。この
規定
は、他の締約国における情報交換の
規定
と同様に、租税に関する脱税を防止するため、または租税の回避に対処することを目的とする法規を実施するため必要な情報を
権限
のある当局間で交換するもので、交換された情報は秘密として取り扱われております。また、求める情報につきましても、締約国との
関係
で種々の制約がございます。したがいまして、情報交換の必要性、有効性をよく見きわめながら、この条約の適正な運用の中で
考え
てまいりたいと
考え
ております。
中川利三郎
191
○中川(利)
委員
それではよくわからないんだな。適正な運用の中で
考え
ていきたい、そんなことを聞いているのじゃなしに、やはりこれは早急にやるべきなんだ、このことを私はお聞きしているわけであります。 時間がないから次に進みますが、
法務大臣
にお伺いします。 多額のリベートを贈与し、マルコスの不正蓄財に手をかした日本企業の役員らの背任行為、さらには、私が今
指摘
しましたように、円借款プロジェクトをめぐって当時のマルコス
政権
と受注企業の契約内容を知り得る立場にいたOECFの
関係
者、これらの
関係
者にリベートがキックバックされているとの報道もあることは御存じのとおりであります。そうなれば当然贈収賄の疑いが出てくるわけでありますが、マルコス疑惑について
法務大臣
として今後どのように対処しようとしているのか、お聞きしたいと思います。
鈴木省吾
192
○鈴木国務
大臣
刑罰法令等に触れる事案があれば、検察当局は厳正に対処していくものと思います。
中川利三郎
193
○中川(利)
委員
この後でまた質問がありますから、いいでしょう。 最後に、
委員長
にお伺いしたいと思うのですが、この問題の真相解明のために先ほど私は四枚つづりのこの資料を提起して、その中に三井物産あるいは東陽通商、今の東陽テクニカでありますが、これが証明できるわけであります。そういう意味からいたしまして、私が今言いました当時の東陽通商、現在の東陽テクニカの社長、野村長だと思いますけれ
ども
、それから三井物産の江尻宏一郎社長、この二人の証人喚問を
要求
したいと存じますが、いかがでありましょうか。
角屋堅次郎
194
○
角屋委員長
委員長
に対するお尋ねでありますので、
お答え
をいたします。 本
委員会
終了後
理事
会を開く予定を
委員長
として
考え
ておりますので、取り扱いについては
理事
会で相談をさせてもらいたいと思います。
中川利三郎
195
○中川(利)
委員
終わります。
角屋堅次郎
196
○
角屋委員長
次に、玉置一弥君。
玉置一弥
197
○玉置(一)
委員
官房長官
には行ったり来たり、大変御迷惑かけます。本来でございますと、ずっと座っていただければすっと済んだ問題でございますけれ
ども
、今後ともぜひよろしくお願いしたいと思います。 先ほどからいわゆるマルコス疑惑という話がいろいろ出ておりましたけれ
ども
、今回の場合、特に海外援助にかかわる問題として、今外務省の中ではこれから七年間にわたりまして海外
協力
を二倍にしたい、こういう動きもございますし、国内の
財政
的には非常に苦しい中での海外
協力
ということで、税金面でかなり厳しいチェックをしていかなければならない、それほどまでに
財政
が厳しいわけでございますから、使い方が本当に効果のあるものかどうかという論議がなされていかなければいけない、今そういう時勢でございます。 特に今回の
フィリピン
問題をとらえてみても、一九七一年の第一次円借款プロジェクト、これから始まりまして十三回行われましたけれ
ども
、この合計が先ほ
ども
申しましたように四千六百六十七億、ざっと五千億近いのですね。新聞等に発表されておりますように手数料が、というよりもリベートですね、リベートがもし一五から二〇%ということで
計算
をいたしますと、一五%の一番低いところでも七百億円という大変大きな金額になってくるわけでございます。 従来から、お金だけの海外援助がいいのかどうかというような問題もありまして、私も機会あるごとに、人の派遣もやはり
考え
ていかなければいけないんじゃないかというお話もさせていただいているわけでございますけれ
ども
、今回のような問題が出てきたということを
考え
ていただいて、まずこれからの海外援助についてどういう
姿勢
で
政府
として臨まれるのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
後藤田正晴
198
○
後藤田国務大臣
対外経済援助の問題につきましては、
政府
としては、午前中
お答え
しましたように適正な手続を経て、それが効率的、効果的に相手国の経済の発展向上、そして民生、福祉に役立つといったようなことでやってきておるつもりでございまして、それなりに成果を上げておる、私はかように理解をしておるのですが、たまたま
フィリピン
の政変に関連をして対比援助の問題が今日世上でいろんな疑惑等が流布せられておることは、日本の対外経済援助をめぐってのまことに遺憾な出来事である、かように
考え
ておるわけでございますが、
国会
の中に特別
委員会
等もおつくりになるようでございますから、その御
審議
には
政府
としては当然のことながら御
協力
を申し上げてまいりたい、こう
考え
ておるわけでございます。 そこで、まず従来からのやり方でございますが、やはり効果的、効率的にやらなければならないということで、事前
調査
の充実であるとか、あるいは交換公文の際の援助資金の適正使用及び施設、機材の適正な使用、維持の義務づけ、こういったこともはっきりさせておりますし、評価活動の充実等の諸措置も講じておるわけでございます。こういったようなことを努めておるのですが、こういう遺憾な事態が起きた以上は、やはり将来こういった疑惑を招くことのないように、
調査
の結果もし是正すべき点があるということであるならば、運用方法等について是正をすることも必要であろうかと思いますが、これは今後の課題であろう、かように理解をしておるわけでございます。 なおまた、
政府
としては、従来のこの対外援助のあり方についても、既にことしの二月に、総理
大臣
の諮問機関でございます対外経済
協力
審議
会というものがございますが、この
審議
会に対して、経済
協力
を進めるに当たって今後留意すべき基本的な
事項
ということを諮問をいたしております。その諮問の内容を簡単に御紹介しますと、一つは多様化、複雑化、高度化する開発途上国のニーズに見合った援助、二番目は効果的、効率的な援助の実施、三番目が援助に携わる人材の養成、確保、四番目が広範な
国民
的理解と支援に基づく援助、五番目が援助をめぐる先進国との問題、六番目が民間経済
協力
、こういったような項目についてことしの二月以来御
審議
を願っておるような次第でございますが、これらの
審議
会の意見等も踏まえながら、さらにまた今回起きておる事態の
調査
の結果、それらを見て運営上改善すべき点があれば、
政府
としては改善を図っていきたい、かように
考え
ております。
玉置一弥
199
○玉置(一)
委員
大筋はわかるのですけれ
ども
、今回のこのような問題が出てきたというのは、一つは国内の事業団、この辺の監督といいますか、いわゆる
調査
能力、この辺が問題だというふうに思います。 それからもう一つは、先ほ
ども
お話をしていたわけでございますが、日本の企業が仕事をとるために常道を逸した形で走ってしまう、こういうことがあるわけです。一つはそのリベートの高さも問題があるわけでございますけれ
ども
、やはり外国であれば何をやってもいいという一つの
考え
方があるように思えるわけでございますが、日本の企業に対して
政府
としての、外国から見た日本企業、こういう面が今でも非常に問題になっておりますけれ
ども
、やはりこれからこの辺の
姿勢
を正していくような
協力
要請
といいますか、これをやらなければいけないと思います。 それからもう一つは、民間
協力
もちろんでございますけれ
ども
、先ほどから言っておりますように、日本がODAをこれから主体にしていこうということでございますけれ
ども
、逆に我々が
調査
に行ったときに相手国からいろいろ話を聞きましたときに、日本がお金を出していても渡す人はアメリカ人であり欧州人でありという方々で、実際日本からお金が出ているというふうにわかっている方は、実際の国際機関との取引をやっている当事者だけだというような形でございまして、相手国が十分日本がお金を出しただけの評価をしていないというような問題点があるわけです。その辺を変えていかなければいけないと思います。 ですから、一つは
調査
、いろいろな使われ方とか、あるいは今回のような不正事がないかどうか、こういうことを日本独自である程度
調査
をやらなければいけないし、場合によっては
会計検査院
を派遣をするとかいうようなことにもなるかと思いますけれ
ども
、この辺の問題点と、それからお金だけではなく、人にウエートを置いた海外
協力
というものも
考え
ていかなければいけない、こういうふうに思うわけですが、これについてどのようにお
考え
になっていますか。
太田博
200
○太田
説明
員
お答え
いたします。 まず、最初に先生御
指摘
の
調査
の件でございますが、これはただいまの御
説明
によりますと二種類の
調査
があるかと思われます。一つは、実際に円借款等で取り上げますプロジェクト、適正な真に相手国の社会経済開発のために役に立つプロジェクトを見出すための事前
調査
の
重要性
がと思われます。それからもう一つは、事後の評価でございまして、実際に日本が行いました経済
協力
が真に適正に使われており、かつ効果的、効率的に使われているかということを事後的に評価する意味での
調査
ということかと思われまして、双方とも我が国の経済
協力
を一層拡大していく上で極めて重要でございまして、今後ともその一層の拡充に努めてまいりたいと思います。 それから、もう一つ先生御
指摘
の人の面の
協力
の
重要性
でございますが、これはまさに御
指摘
のとおりでございまして、我が国といたしましては、相手国の
要請
、これを踏まえつつ、単に物、金だけの援助ではなくて、人の面を通ずる
協力
、これを一層拡充してまいりたいと
考え
ております。人の面の
協力
は、通常技術
協力
と言われておりますけれ
ども
、国際的に比較いたしますと、我が国のODAに占める技術
協力
の割合が約一割でございまして、DAC諸国の平均二割に比べますとまだまだおくれているという点がございますので、ただいま先生御
指摘
のように、人の面を通ずる
協力
、これを今後一層充実させていきたいというふうに
考え
ております。
玉置一弥
201
○玉置(一)
委員
ロッキードのときもアメリカから情報が来まして、今回もアメリカから情報が来た、こういうことで、問題の発覚がすべて外国の手によって火がついてきた、こういうことでございます。前回も申し上げましたけれ
ども
、日本のいわゆる情報収集能力あるいは
調査
能力、こういうものが非常に不足をしているのではないかというふうに思います。 今回の問題点をとらえてみて、先ほどからのお話の中で、例えば
会計検査院
が
調査
を行う場合、今まで二回ほど、五十三年、五十五年ですか、海外
協力
の
調査
ということで相手国に行かれたことがございますが、これはあくまでも外形上の
調査
というか、その程度にしかない、こういうような感じを受けるわけです。 今回の場合、国内で押さえられる問題と、それから相手国の実情
調査
というある程度踏み込んだ形での
調査
が必要だと思いますけれ
ども
、この辺を分けて
考え
た場合に、外務省あるいは
会計検査院
、それぞれどういう形での
調査
ができるか、あるいは今の機構上どういう点に不備があるか、
お答え
いただきたいと思います。
太田博
202
○太田
説明
員
お答え
いたします。 会計
検査
そのものにつきましては
会計検査院
の方から
お答え
があると思いますけれ
ども
、経済
協力
の問題につきまして、もし
会計検査院
が海外に赴いて必要な
調査
を行うという場合がございましたら、外務省といたしましては適当な形でかかる
調査
に
協力
をしたいというふうに
考え
ております。
三原英孝
203
○三原
会計検査院
説明
員
お答え
いたします。 私
ども
の海外における
海外経済協力
に対する
調査
は、ただいま先生おっしゃいましたとおり、外見的な外面からの
調査
にとどまっておりまして、言うなれば、援助の効果が上がっているかどうか、そういった観点からの
調査
にとどまっていることは御
指摘
のとおりでございます。 それで、今回のような問題にかんがみまして、私
ども
会計検査院
が外国の会計経理まで
検査
をするということになりますと非常に重大な問題になりまして、事は援助のあり方に関しまする国家政策上の判断の問題になろうかと思いますので、私
ども
の方からは答弁を差し控えさせていただきたいと思っておりますが、現在のところは、ただいま申しましたようなことで、外国の会計経理には私
ども
の
検査
は及んでおりませんので、限界があるということでございます。
玉置一弥
204
○玉置(一)
委員
今の
お答え
をお聞きしても、日本の行
政府
ではなかなか手が出しにくいという部分がございまして、そういう意味では、
政府
としてぜひ外交ルートを通じた
調査
依頼をやっていかなければいけないのではないかというふうに思います。中曽根総理も徹底究明をする、こういうふうに言っておられますけれ
ども
、
政府
として現在の状況に対して
フィリピン
及びアメリカに
調査
員派遣の用意があるかどうか、この辺についてお伺いしたいと思います。
後藤田正晴
205
○
後藤田国務大臣
事態の
調査
については、総理も解明に
努力
をしていきたい、こう申しておるわけでございますけれ
ども
、しかし、事柄は本質的には
フィリピン政府
と企業との私的契約の問題でございます。その契約を通じてのいろいろな問題が発生しておる、こういうことであれば、私はこれはまず
フィリピン政府
が徹底究明をすべきである、その
フィリピン政府
が日本側に
協力
要請
ということであれば、日本側としてもこれに
協力
をすることは非常に楽なわけでございますが、事は外交問題でございますから、私は、日本側から積極的に
フィリピン
へ行って会計
検査
をやるとかいうようなことはやるべきことではないし、非常に難しいことである。 本来、こういうことを私が
お答え
するのは果たしてどうかなと今の時期に思いますけれ
ども
、これはやはり借款でございますから、だから適正にやっていなければ、なるほど日本も、これは日本人の貯金なり税金なりの中から貸しているのですから、それなりにきちんと効果が上がるようにしてもらわなければならぬということは当然の話でございますが、しかし低利の金として貸しておる、しかし低利であっても返ってくることは間違いないわけですね、借款ですから。そうすると結局は、仮にそれにいろいろな不正、不当のことがあるとするならば、それは
フィリピン国民
が最大の被害者にならざるを得ない、こういうことが私は基本的な事柄ではなかろうかと思います。 しかし、いずれにいたしましても、これは放置していいというわけのものではありませんから、
フィリピン政府
が
日本政府
に対して
協力
の
要請
があるということであれば、これはもう
日本政府
としては非常にやりやすい、こういう環境になるのじゃないか。いずれにいたしましても、総理が事態解明に
政府
としては十分
協力
をしたいと言っているのも、趣旨はそういうことではないのか。余り日本が先走って――いろいろ新聞には出ておりますよ、新聞には出ておるけれ
ども
、
フィリピン政府
から日本に対してそういう
要請
が今日まだ来ているように私は承知をしておりませんから、そこらを十分見きわめた上で、いずれにせよ、事態の解明だけはこれは明らかにして、そしてその上に立って、日本の海外援助のあり方について改善すべき点があるならば改善をしていくというような手順が一番適切なのではなかろうか、かように
考え
ておるわけてございます。
玉置一弥
206
○玉置(一)
委員
まさにおっしゃるように、一つは
フィリピン
の国内問題でございまして、対外累積債務があれほど蓄積されている中で、なおかつこういう不正が行われたということで、
フィリピン国民
にとっては大変な痛手になっているわけですね。そういう意味で、我々の日本の企業が逆にそういう体制に
協力
をした、こういうことも言えるわけでございますが、この辺についてはどういうふうにお
考え
になりますか。
後藤田正晴
207
○
後藤田国務大臣
実態が明らかになる段階において、今玉置さんがおっしゃったようなことを日本の企業がやるならば、これはやはり日本企業でございますから、
日本政府
としては十分なる行政指導を加えて是正をしてもらうようにしなければならない、私はかように
考え
ております。
玉置一弥
208
○玉置(一)
委員
時間がございませんので、
フィリピン
問題はまだまだこれから特別
委員会
等で明らかにされていくと思いますし、日本としても、ASEAN諸国に対する、あるいは海外援助をやっている国に対して
姿勢
を正していくということでやっていかなければいけないと思うので、また別途違う時間でやっていきたいと思います。
総務庁長官
にお聞きしたいのですが……。
角屋堅次郎
209
○
角屋委員長
局長
さんがおりますから。
玉置一弥
210
○玉置(一)
委員
では、
局長
さんでお願いします。 行政改革が最近何となく下火になってきている、こういう感じを受けるわけです。中曽根
内閣
のまさに柱でございました行政改革、我々ひょっとして無理じゃないかと思う「増税なき
財政
再建」までやるとおっしゃるのですから、当然それだけのいろいろな行政改革における効果というものを把握をされてやっているというふうに思うわけです。 ところが、臨調答申等の実施状況を見ますと、
昭和
五十九年十月に進捗状況が大体四三%ぐらいでありましたものが、一年後に進捗状況が四五%ということで二%しか上がっていない、こういう状況でございます。片方では、
財政
の方でございますが、四年連続一般
歳出
伸び率ゼロということで緊縮
財政
を組み続けていて、今回の円高等の状況で日本の国内景気も非常に悪化をしてきている、こういう状況でございます。 ですから、総枠規制はとられているけれ
ども
、圧縮という形になっておりまして、圧縮されるとその負担はどこかへ転嫁をせざるを得ない、こういうような形になっているわけで、行政改革が本当にどこまでできるのか、そして、もう実際のいろいろな動きとしてはほぼ行き着いているのかどうか、その辺について総務庁としての見解といいますか評価と見解、この辺をお伺いしたいと思います。
江崎真澄
211
○
江﨑
国務
大臣
御心配をいただいて大変恐縮です。 行革は絶えず行っていかなければならないことは言うまでもありませんが、今行政改革の推進状況は行革審から五合目ぐらいまで達しておるであろう、これはよく言われるように、激励の意味を含めた評価であろうというふうに言われておりますが、この五合目評価を受けた後も、公的年金制度の改革、これは四月から実施しておるところですね。それから、規制緩和の一括法、民間活力の発揮の推進、地方行革の指針となる地方行革大綱の策定、それからその他いろいろな改革の成果を上げつつ今日に至っておるわけであります。しかも、行革審においてなお一番問題とされる国鉄の改革は、来年の四月を目前に控えて今
国会
で法案
審議
をお願いしておるところであります。 したがって、
内閣
の総合調整機能の強化を初め、特に今申し上げました地方行革の問題は、これからが本当の正念場だというふうに
考え
ております。したがって、私
ども
も引き続いて行政改革の推進には不退転の
決意
で取り組んでまいる、特に前長官が今
内閣官房長官
でありますから、これは二人分で頑張っていこう、それくらいの気持ちでおりまするので、どうぞその点は大いにこれからも御督励を願いたいと思います。
玉置一弥
212
○玉置(一)
委員
二人おられると非常に聞きやすいのですけれ
ども
、今まで
後藤
田さんも行革を大分一生懸命やられておりましたし、また江崎
大臣
も後を引き継いでやられておるわけですけれ
ども
、
予算編成
のときにいつも思いますのは、言葉が先行して金額的な効果が出てこないのじゃないか。 最初は、着手した当初でございますから金額的になかなかあらわれてこないということもございましたけれ
ども
、五十八年ですから、五十八、五十九、六十、ことしで三年半くらいたつわけですね。普通ですと、三年半たちますと半分くらいの効果はもう既に還元をされてくる、こういうふうに思うわけです。評価をされている割にはなかなか金額的に出てこないというふうにも思うわけでございますし、逆に、金額的に出てこなければ別に行政改革やらなくてもいいのじゃないかというふうに思うのです。少なくとも伸び率で抑えたあるいは出費を抑えた、今より減らした、どちらかで効果がなければおかしいわけでありますが、この辺についてはどういうふうに把握をされていますか。
江崎真澄
213
○
江﨑
国務
大臣
これは金額的にも相当な効果はあったということは言えると私は思います。それは電信電話公社の民営化にしても、もしあのままにしておけば大変な赤字が出る寸前のところであった。真藤、今は社長ですが、かつての総裁に聞いても、しみじみ、その内容が薄氷を踏む思いであったということを聞かされますし、我々もまた納得をするわけであります。専売公社の民営化、これもよかった、時宜を得たものだと思っております。国鉄に至っては、これは御
協力
を得ながらどうしてもやらなければならない重大な問題、国策としてももう放置できないところまで来たこの民営・分割化でございます。そういうものを一々数えてまいりますと、大変いいことをやっておるわけであります。 それから、今後も、教育臨調の答申にこたえての、第二次答申を控えての改革とか、銭金に換算できないような大きな精神面での教育の見直しな
ども
行うわけでありますから、今後といえ
ども
この問題には大いに熱意を込めて取り組んでいく
決意
でございます。
玉置一弥
214
○玉置(一)
委員
きょうから大蔵
委員会
でも補助金一括法案の
審議
が始まりました。これは一年しかやらないというお話で各自治体とも約束されてきたもので、我々が去年一生懸命反対しましたら、各自治体の方から、これは一年しかやらないという約束をもらったんだからもういいかげんに通してください、こういうような話になって、逆に補助金の割り振りをするために早く日程をセットした、こういうこともあったわけです。そういうように見てみますと、制度をそのままにして一律削減ということで結果的には地方の財源負担ということになってしまったわけですから、やはり制度改革というものも
考え
ていかなければいけない。 普通の企業でいいますと、人がいるから仕事ができるわけで、人がいなかったら仕事が簡略化していくものなんですね。私も会社で十二年間そういう仕事をしていまして、自分の仕事をなるべくしないようにしないようにして、人に全部渡していきますと自分の仕事が浮いたわけです。浮くからまた違う仕事を取り入れてくる、こういうことができたわけですけれ
ども
、臨調の答申にも書いておりますように、やはりそういうふうに行政の体質として見直していくような、こういうものを制度として
考え
ていかなければいけないし、また逆に言えば、今定員削減一〇%という方針が出ておりますけれ
ども
、これは一〇%というよりも三割ぐらいをねらってやれば、一〇か一五くらいでぴしっといくと思うのです。最初から一〇%ということで非常に目標が甘いような気持ちもするわけで、そういう面で、先ほどおっしゃったようにまだまだこれからが正念場だというように思います。 そういう意味で、もっと具体的な効果の上がるもの、このものがまだまだたくさんあるわけでございますし、その辺からぜひ着手をして増税のないようにこれからお願いをしたいと思いますが、最後に心構えだけお聞きして、終わりたいと思います。
江崎真澄
215
○
江﨑
国務
大臣
激励を交えての御質問でございますが、全く同感でございます。あれは一九七五年ですか、フリードマンが新しい経済学説を唱えてノーベル賞をもらいまして、アメリカでは非常に評価されておりますね。それは、時代に即応した簡素で能率的な経済運営というのが根本思想なんですね。これは官庁にも言えると私は思うのです。補助金をもらうために随分手間がかかり過ぎるとか、私
ども
いろいろ質問を受けるわけでございますが、全くそのとおりでございまして、これをもっと簡素化できぬものか、これはやはり今後に向けて大いに
努力
をし、合理化をし、能率化していくことが必要だというふうに思います。これがすべての根本につながる、御
指摘
のとおりだと思います。
玉置一弥
216
○玉置(一)
委員
終わります。 ありがとうございました。 ――
―――――――――――
角屋堅次郎
217
○
角屋委員長
この際、お諮りいたします。
本件
につきまして、本日、参考人として
海外経済協力
基金総裁
細見草君の
出席
を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
角屋堅次郎
218
○
角屋委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
―――――――――――
角屋堅次郎
219
○
角屋委員長
中川利三郎
君。
中川利三郎
220
○中川(利)
委員
日本からの円借款に絡むいわゆるマルコス疑惑が表面化する中で、日本の対外経済援助のあり方が根本から問われていると思います。
政府
はこれまで、我が国の対外経済援助について、発展途上国の自立的な経済社会開発、人道的な配慮や見地に重点を置き、世界経済の活性化にも役立っていると経済
協力
白書でも自賛してまいったのでありますが、しかし今回のマルコス文書を通じて一端が明らかにされたその内容は、このような
政府
の言い分とは全く反対に、相手国に腐敗と借金を残すだけのものになっているという
指摘
もあります。ましてや、経済援助の資金は
国民
の税金や貯蓄でございまして、その資金がマルコスの私腹を肥やし、独裁支配を支えていたり、日本の大企業の利潤追求の対象になったりしていることは問題であると思います。 そこで、
官房長官
にお聞きするのでありますが、今回のマルコス文書でその一端が明らかになった
フィリピン
向け援助の疑惑についてどう受けとめているか、簡単に
お答え
いただきたいと思います。
後藤田正晴
221
○
後藤田国務大臣
我が国の経済援助は、午前中からしばしば
お答え
をいたしておりますように、やはり適正な手続によりまして、事前の
調査
、事後の評価、いろいろなきちんとしたやり方で今日までやっているつもりでございます。したがって、それなりの効率的な運営も図られておる、私はかように信じておるわけでございます。 ただ、日本が置かれている立場は、御案内のように、やはり国際的な責任を果たすという意味合いにおいて、この経済援助そのものはより一層充実強化をしていかなければならない、
政府
はそういう基本的立場に立っておるわけでございます。しかもその経済援助というものは、相手国の経済の発展あるいは民生、福祉の向上、こういうものに役立つものであって、特定
政権
を援助するといったようなものではございません。そういうようなことでやっておるので、それなりの成果を上げておる、そしてまたそういう線でやらなければならぬと
考え
ておるやさきに、
フィリピン
のような問題が起きたということは大変残念でございます。 したがいまして、この問題については
国会
でも特別
委員会
をおつくりになるというようなことでございますから、日本としてやはりなし得る限度の事態の解決に向けての
協力
ということはやっていかなければならない、かように理解をしておるわけでございます。
中川利三郎
222
○中川(利)
委員
今長官から、適正な手続あるいは事前評価、いろいろ適切にやられてそれなりの成果が上がっておる。しかし、そう言いながらいろんなこういう問題が起きているところに大きい問題があるわけでありまして、つまり今の向こうの
要請
だとか――
要請
主義ですね、あるいはいろんな事前
審査
だとか、それらは実態を覆い隠すオブラートの役割しか果たしておらなかった。いわばそういうものが全部形骸化されたところに問題の本質があるわけでありまして、ここでその点で論議する時間もございませんけれ
ども
、まさに日本の
政府
も
フィリピン
の
政府
も、当時のマルコス
政府
は当然でありますが、日本企業とも
ども
に重大な責任を負わされているものだ、私はこういうふうに
考え
るわけであります。 そこで、あわせて長官にお伺いしたいのでありますが、
フィリピン
のソリタ・モンソド経済計画相兼経済開発庁長官、いわばそっちの部門の最高の責任者でありますが、彼はこう言っているのですね。「円借款によるほとんどの
フィリピン
の国内プロジェクトは
経費
が水増されていると
指摘
。
フィリピン
側の対応策としては①(リベートなどの)水増し分を除外して実際の借款分を返済して、水増し分は返済を拒絶する②借款協定に「不誠実」な点があったとして、すべての債務を帳消しにする――の二つが
考え
られる」と語っているわけでありますね。
官房長官
はこの点についてどうお
考え
になりますか。
後藤田正晴
223
○
後藤田国務大臣
ただいまの御
質疑
の件は、
政府
からも先方に照会をしたようでございますが、先方への照会の結果は、対比援助の一部しか払わぬといったようなことはございません、対外債務は確実に支払いをするというのが
フィリピン政府
の
お答え
であったようでございます。また、そうでなければおかしいんです。まず御自分のところをきちんとせられてそしてやってもらわぬことには、自分のところもきちんとしないで、それはおれの方は払わぬぞと言われたんじゃ、これはどうにもならない。これはやはりそこはけじめをつけてやらなければなりませんし、
フィリピン政府
としてもけじめをつけた
お答え
をなさっておる、かように私は理解をいたしております。
中川利三郎
224
○中川(利)
委員
けじめをつけたやり方としては、全部払うのが至当だ。しかし問題は、その中に水増し、それがもう不当に向こうの権力者あるいは日本の企業、そういうものがぐるになってやられたという中でああいう発言があるわけでありますが、まあ仁の問題についても私は若干長官と意見を異にするわけでありますが、次の問題にまず進ませていただかなければ時間がございません。 そこで、今ほど話がありました
海外経済協力
基金の総裁、お見えになっておるようでありますが、参考人としてお聞きするのでございます。 マルコス文書を拝見いたしますと、円借款に関連して法外なリベートをマルコスやその取り巻き財閥に支払っていることが、文書の中で幾つも出てきておるわけですね。しかし、相手国
政府
と借款協定を結んだ後に、例えば入札時、書類の
審査
をして承認をしていますね、基金は。それから、入札評価の時点でも
審査
して承認をしていますね。契約のときにも
審査
して承認をしている。いわば全部その段階において基金が
審査
して承認を与える、そういうシステムになっているんですね。それにもかかわらず今回の問題が起きた
原因
、これは一体何だろうか、このことについてどうお
考え
になっているか、お聞かせいただきたいと思います。
細見卓
225
○細見参考人
お答え
申し上げます。 基金の業務というものは、御存じのとおり
政府
の間で協定ができました借款、それが交換公文でこのプロジェクトに幾ら幾らの金を援助するというふうになるわけです。それによりまして相手国
政府
は事業の日論見書というのをつくりまして、事業計画書というのをつくりまして、それをもとにしまして
フィリピン
の銀行に、信用状を開いてくれ、つまり、それだけの金が借りれをようにしてくれということを言うわけです。
フィリピン
の銀行はそのまま払えませんから、日本の
海外経済協力
基金のいわば銀行で金庫の役をしております東京銀行の方へ、そういう信用状を開いてくれということを言ってくるわけです。そういたしますと東京銀行は、そういう借款は本当にございますかということで私
ども
の方に問い合わせが参りまして、私
ども
はそれに対して、いわばそのとおりです、こうこうこういう計画によって借款が与えられることになっておりますと、まあレター・オブ・コミットメントと申しますが、そういうものが事業計画に基づきましてあるわけです。 そうしますと、あとは全くの通常の貿易の取引と同じでございまして、何月何日こういう入札をして、こういうものを買いたいがいいかということで、入札が行われますとその書類が私
ども
のところへ参りまして……(中川(利)
委員
「簡単、簡単」と呼ぶ)はい。そこのところが非常に大事なところで、つまり参りますと、それが計画どおりであるかどうかというのを見ればいいわけなんです。で、それが貿易の通常のルートでございます。そういうやり方をしておる。ですから、中身を見て云々ということは、契約がその計画どおりに行われているかどうかということを見ればいいということなんでございますので、そこのところだけを丁寧に申し上げたわけでございます。
中川利三郎
226
○中川(利)
委員
別に私はその手続をあなたにお聞きしたんじゃないんですよ。そういうシステムがちゃんとできて、あなた方の
審査
、承認が各段階ごとにあるにかかわらず、こういう問題が起こっているんですよ。なぜそうなのか、その
原因
を何と
考え
るかということを聞いているのです。長々と、時間がないのにそういう手続問題を聞いているんじゃないということですね。 同時に、基金はそういう意味ではすべて知り得る立場にあるということがはっきりしたわけでありますが、そういう状態の中でこういうものが起こっているということについては、例えば田中秀穂前の
フィリピン
大使でさえもこう言っているんですね。「
フィリピン
側の
要請
で始まるはずの円借款事業を、受注業者側が持ちかけて話を進めた場合は、事情が異なる。日本の企業側が「このような事業をしてはどうか」と、事業を「作り出す」わけで、このような時は、発注主(
フィリピン
側)が特定の受注主を希望したり、入札をしても、他企業は手を引く、という。」こういうことをちゃんと
談話
で出しているんですね。そこが問題だということを言っているのでありまして、今のような御答弁を私は期待したのではないということを重ねて申し上げたいと思います。 時間がないから、次に進みます。 そこで、総務庁にお伺いしたいわけでありますが、総務庁は過去に
海外経済協力
に関する行政監察をやったことがございますか。
米倉輝
227
○米倉
説明
員
お答え
申し上げます。
昭和
四十七年の九月から四十八年の五月にかけまして、
海外経済協力
に関する行政監察、ただしこれは技術
協力
を中心にした監察を実施しております。
中川利三郎
228
○中川(利)
委員
つまり今言う、こういう経済
協力
基金のいわば円借款の問題は何もやっていないということですね。一番問題があるものについて四十七年に一回やったきりで、後は何もやっていない、そういうことの表白にほかならないと思いますし、私が取り寄せた資料でも、こういう返事が返ってきているのですね。今回言われているのはマルコス円借款なので無
関係
、おれの方は無
関係
だ、こういう言い方ですよ。こんなばかなことがありますかということを聞いているわけでありますが、まさに白々しい限りだと私は思うのですね。 そうすると、これは一種の聖域扱いにされていた、軍事費は当然、軍事費以上に聖域扱いされていたということになると思うのですけれ
ども
、長官、いかがですか。こういう、一回しかやっていない、ほかの技術
協力
だけですね。
江崎真澄
229
○
江﨑
国務
大臣
技術
協力
については今お聞き取りのとおりでありますが、
政府
開発援助の適正、そして効果的な実施確保、こういった問題についても、我々の方ではもちろん深い関心を持っておることは当然であります。 ただ、現在問題になっておりまする経済援助については、所管省庁において既に真相究明を手がけようということで、
国会
側にも
委員会
が発足いたしますし、外務、通産、そして大蔵というのも、援助を決めるときには、最終的には、こういう
財政
事情の厳しいときですから、相当厳しく対応しております。調整官庁としての経企庁もおるわけです。これらのそれぞれの
関係
省庁がどう今後対応するか、これは十分その推移を見守ってまいります。その上で、いかがわしい点、不十分な点があれば、当然行政監察に付す。やはりまず所管庁のそれぞれの責任、特に四省庁が
関係
しておりますから、これが責任を持って正確を期する、これは当然なことであると
考え
ております。
中川利三郎
230
○中川(利)
委員
四十七年に技術
協力
一回だけ監察したことがあるということですね。しかし、その当時問題になっていないかというと、問題になっているのですね。それにもかかわらず、この問題、経済
協力
基金、円借款の問題については一度もやったことがないということは、あなたがどう言おうと、それは事実だということが今の御答弁の中でもはっきりしていると思うのですね。 例えば、一九八五年一月号の「国際開発ジャーナル」というものがありますが、「日本の援助は、本当に途上国の民衆の役に立っているか?」という題で、「三塚博自民党政務
調査
会長代理に聞く」という文章がございますが、これを拝見いたしましても、こう言っているのですね。「毎年約五、〇〇〇億円。ODAを含めて国費分が大体そのくらいの額になるが、問題があるといわれているのは、
フィリピン
、インドネシア、タイなどですね。全体の七割がアジアだが、全力をあげて援助をしているのに一向に対日感情がよくならず、かえって排日運動が強まるのは、援助が民衆のためになってないのではないか、という素朴な疑問が出てくるのです。」こうおっしゃっているのですね。また、江崎さん、あなた自身も八二年七月十五日に
フィリピン
を訪問して、実情を把握しているはずでありますね。 私がお聞きしたいのは、
国民
のそういう預貯金である財投の資金などが、
政府
の貸付業務を通してマルコスの不正蓄財や日本企業の利潤追求の対象になることは、それ自体大変な問題があるわけであります。私、ここで総務庁の設置法というものを持っておるわけでありますが、この第三条の「任務」というところを拝見いたしますと、「総務庁は、行政の総合的かつ効率的な実施に寄与するため、」「行政機関の業務の監察、」ほかにもありますけれ
ども
、「主たる任務とする。」こうあるわけですね。ためにするほかの意図がないならば当然のことながら、これを聖域にとどめないで、総務庁はOECFを含めた
海外経済協力
に関する行政監察、まず第一義的にはこれこれの省庁があるということはわかっていますけれ
ども
、これはこの段階になったら当然やるべきだと私は思いますが、あなたの御意見はいかがでございますか。
江崎真澄
231
○
江﨑
国務
大臣
私も鈴木
内閣
時代に特使で訪問したこともございますし、特にASEAN地域には深い関心を持っておるつもりでございます。その我々のよかれかしという経済援助が、もしも今言われておるような不正な扱いを受けておるというなら本当にけしからぬことでして、残念至極だと思います。 しかし、今申し上げましたように役所の組織というものがありますから、これは四省庁も
関係
しているのですから、まずこの四省庁が第一義的には責任を持ってしっかりとこれをチェックする。そして不正があれば、それはそれで対応する。その状況を我々総務庁としては見ていくわけで、検察だとか警察のような立場ではありません。むしろ我々総務庁としては、その行政が適切、円滑に行われておるかどうか、どう合理化したらいいのか、どうしたら能率的になるのか、そういった面をまず第一義的に見ておるわけでありまして、当面、私さっき
お答え
したように、四省庁にわたるこの問題の対処の仕方を注意深く見守っていく、それから我々の出る番があればある、こういうことだと
考え
ます。
中川利三郎
232
○中川(利)
委員
だから、四省庁が今やろうとしておることは、先ほど
後藤
田さんの御答弁でもお話が出たわけですね。しかし、その結果を待ってそれからやるということで、
国民
が納得するかどうかということですね。今
国民
は行政監察に大変期待をかけていることも事実だということを御
認識
いただきたいし、その方向で検討するというぐらいのことは、答弁として当然あってしかるべきだと私は思うのですね。でなければ、今援助の中身については
国会
でも事前に論議できないし、外交上の配慮云々ということで、なかなか
政府
は物をしゃべらないですね。
国民
は知る手がかりも何もないということですね。どうしたらいいのか。我々の税金が使われていながらそういう状況があるわけであります。 現に、
フィリピン
のサロンガ
委員会
、これは向こうの行政監察庁ですが、彼らはいろいろ事細かく、こういうふうに動き出すのだというプログラムを発表していらっしゃることはあなたも御存じだと思うのですね。そういう点からいいましても、少しおくれていやしませんか。確かにあなたのおっしゃることもわかりますけれ
ども
、今ここで総務庁がどう動くかということについて、少なくともその方向で検討するということは、私は最低の答弁として出てくるはずだと思いますが、重ねてお伺いいたします。
江崎真澄
233
○
江﨑
国務
大臣
これはもう何遍も申し上げておるように、検察だとかそういう立場とは違いますから、我々は十分四省庁の対応ぶりを注目して今後の対策を
考え
ます。また、必要があればいつでも出る、こういうことを申し上げておるわけでありまして、決して責任を回避したような答弁をしておるわけではございません。
中川利三郎
234
○中川(利)
委員
最後に、
官房長官
にお聞きするのでありますが、企業の商行為上のモラルの確立とあわせまして、援助に絡む癒着と腐敗を防止するための対策をとる必要がぜひあると思います。アメリカでは、御承知のように、カーター
政権
当時、外国
政府
高官に対する不正資金の支払いを禁止する海外腐敗活動防止法が制定されました。その後の改正で幾らか骨抜きされたようでありますが、依然としてこの種の規制では厳しいものになっていることは御案内のとおりであります。
政府
としてこの種の対策の検討を行う
考え
があるのかどうかをお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
後藤田正晴
235
○
後藤田国務大臣
今のはどういう御質問でございますか、ちょっと恐縮ですけれ
ども
……。
中川利三郎
236
○中川(利)
委員
アメリカでは、カーター
政権
当時、外国
政府
高官に対する不正資金の支払いを禁止する海外腐敗活動防止法が制定されているわけであります。その後幾らか改正されて少し緩くなっておっても、この種の法律としては非常に厳しいものになっておるわけでありますから、当然、今回のこうしたマルコス問題を契機に、
政府
としてはこの種の対策を立てる必要があるのではないが、検討する必要があるのではないかということを聞いているわけであります。
後藤田正晴
237
○
後藤田国務大臣
わかりました。 日本には、選挙に関連した資金であれば公選法、それから政治資金規正法で外国の法人等から政治資金を受けてはならぬという
規定
がもう既に整備されておるわけであります。
中川利三郎
238
○中川(利)
委員
不満ですが、終わります。 ――――◇―――――
角屋堅次郎
239
○
角屋委員長
この際、本
委員会
が、去る三月二十四日、防衛医科大学校、中国帰国孤児定着促進センター及びジョンソン飛行場住宅地区跡地の現地視察を行いましたので、その
概要
につきまして、便宜本店から御報告申し上げます。 私はか
委員
三名は、九時三十分、衆議院正玄関をバスにて出発、車内において、河路衛生
課長
及び水本援護局
調査
資料室長から
概要説明
を聴取し、十一時四十分、所沢市の防衛医科大学校に到着、
委員
二名が合流いたしました。 まず、井上総務部長から設立目的、教育方針、教育課程、学生の身分、卒業後の教育及び病院等について
説明
を聴取した後、高谷病院長の案内で放射線部及び
検査
部を視察いたしました。 卒業生は四百十七人が医師国家試験に合格し、自衛隊における医官の充足率も五二%に上昇しておりますが、離職問題につきましては、第一期生が
昭和
六十四年に義務年限が切れますので、それからと思われます。 次に、同市内の中国帰国孤児定着促進センターに赴き、御所長から組織、入所状況及び日本語指導目標等について
説明
を聴取した後、居室、自炊室及び授業状況を視察いたしました。 生活慣習や意識の相違から運営上種々苦労がありますが、出所者の定着率は一〇〇%ということであり、大量帰国に備えて、六十一
年度
において建設費三億三千九百三十六万円をもって受け入れ能力を倍増することとしております。 次いで、狭山、入間両市にまたがるジョンソン飛行場住宅地区跡地に赴き、柿沼理財局財産室長の
説明
を聴取しながら地区内を巡回いたしました。 返還財産百六十七ヘクタールにつきましては、航空自衛隊入間基地、学校、公団住宅、市道等に処理され、未処理分も用途は決定しており、留保地としている四十三ヘクタールは、大蔵省としては、首都圏最後の大規模国有地であるので、有効に利用するために
関係
者の意見を参考にしながら慎重に対処していく方針であります。 最後に、処分地に建設された入間産業文化センターを視察し、十五時五十分、帰路につきました。 以上、御報告申し上げます。 この際、お諮りいたします。 ただいま御報告いたしました内容の詳細につきましては、これを視察報告書として本日の
委員会議録
に参照掲載いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
角屋堅次郎
240
○
角屋委員長
御
異議
なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――
―――――――――――
〔報告書は本号末尾に掲載〕 ――
―――――――――――
角屋堅次郎
241
○
角屋委員長
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時二十四分散会 ――――◇―――――